1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○東京都制の一部を改正する法律案
○市制の一部を改正する法律案
○町村制の一部を改正する法律案
○府縣制の一部を改正する法律案
○衆議院議員選擧人名簿等の臨時特例に關する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00119460904&spkNum=0
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001・会議録情報2
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委員氏名
委員長 白根竹介君
副委員長 男爵 伊江朝助君
侯爵 徳川頼貞君
侯爵 小村捷治君
侯爵 佐竹義榮君
伯爵 大木喜福君
子爵 森俊成君
子爵 梅園篤彦君
子爵 松平銑之助君
子爵 田中薫君
子爵 植松雅俊君
姉崎正治君
中田薫君
男爵 松平外與麿君
男爵 尚琳君
男爵 島津忠彦君
男爵 多久龍三郎君
中川望君
松尾國松君
山隈康君
町村敬貴君
河端作兵衞君
渡邊覺造君
佐々木長治君
奧主一郎君
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昭和二十一年九月四日(水曜日)午前十時四十三分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00119460904&spkNum=1
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002・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 是より會議を開きます、内務大臣より法案の説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00119460904&spkNum=2
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003・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 東京都制外三法案、所謂地方自治制度の改正案の改正の趣旨に付きましては、本會議に於きまして、御説明申上げたのでありまするが、茲に重ねて御説明を申上げたいと存じます、政府は「ポツダム」宣言の受諾の精神に則りまして、政治、經濟、文化其の他有らゆる部面に於きまして、鋭意民主主義化の努力を進めて居るのでございまして、其の總ての活動の根幹を成し、國政運營の基本となるべき新憲法の草案は、既に審議が進められて居るのでありまするが、是と相竝行致しまして、現行地方自治制度の民主主義化を圖りますことは、特に現下の情勢に照し考へまする時、新日本建設の基盤を成す最も重大な事柄であると存ずるのであります、即ち新しき平和日本の建設には、何よりも先づ國民各自の自覺と責任感に基く能力の最大限の發揮が必要でございますが、之が爲には國民の自發的なる熱意と積極的なる協力とを、最も端的に且合理的に結集し反映せしめ得るが如き機構と其の運營方法とが、制度それ自體の上にも採用せられることが肝要と信ずるのであります、殊に地方自治は國民に最も緊密な、而して直接的な關係にある地方團體の政治でありまするから、之に依りまして地方自治の本旨に則り、地方自治を民主主義化致しますことは、新しい民主主義政治の確立の第一の捷徑であり、地方自治民主化の確立に依りまして、建全なる國政民主化の確乎たる地歩を築き得るものと考へるのであります、斯くして地方自治が眞に地方住民の意思に基き、地方の實情に應じまして運營致され、又地方自治團體をして自主的にして建全なる發達を遂げしむることを得まするならば、自らにして國民全般の巧まざる協力的態勢が整備せられまして、現下の危局の打開及び國力の速かなる恢復に裨益する所が、蓋し少くないものがあると信ずるのであります、以上のやうな見地に基きまして、地方自治制度に大改正を加へますることは、一日の遷延を許さざる刻下の要務であると信じまして現行諸法制下に於て新憲法草案の精神を出來得る限り採入れ、茲に東京都制、市制、町村制、府縣制竝に北海道會法及び北海道地方費法等、現行地方自治制度の全般に亙りまして、全面的な改正を行ふことと致した次第であります、次に地方制度改正の根本方針に付きまして、此の際申上げて見たいと存じます、第一には地方自治團體の自主性乃至自律性を強化すると云ふことであります、抑抑地方自治とは地方自治團體が自らの公の事務を自らの機關に依つて處理することでございますが、國家の大局的立場に背反しない限り、地方自治團體をして出來得る限り自由に活動せしめますこと、即ち其の自主性を強化することは、正しく自治の本旨に適合する所以であると考へるのであります、仍て先づ地方自治團體の固有の權能を更に擴張することと致しました、地方自治團體の種類と性格とに依りまして其の取扱を異にすることは勿論でございますが、所謂不完全自治體たる府縣に新に府縣住民の制度を設けまして、此の府縣住民は府縣の財産、營造物を共用する權利を有すると共に、其の負擔を分任する義務を負ふものと致し、或は東京都の區に對しまして新に自治立法權、財政自主權を認めることと致したのでございますが、是等は此の趣旨に即應するものであります、又完全自治體と稱せられて居りまする所の市町村に於きましても、將來國政事務と自治事務との間に適當な調整が行はれまするに從ひまして、自治事務の範圍が漸次擴充せられまして、市町村の自治權の内容が一段と實質的に豊富なものになることが期待されるのであります、次には地方自治團體に本來認められて居りまする所の自治權の發動に對する制限拘束を、大幅に整理することと致したのであります、今囘の改正に當りまして、監督官廳に依る市長の選任、町村長の認可に關する手續を改め、或は市町村の認可許可事項を大幅に整理致しました如きは、地方自治團體の自律性を尊重し、其の自主的活動を活溌ならしめむとする趣旨に外ならないのであります、第二には、地方自治團體に於ける自治行政の運營方法に付きまして住民が參與する部面を増大致し、住民に依る地方自治の本然の姿を顯現せしむることであります、地方行政の溌剌とした運營を圖りまするには、地方住民をして地方行政を自分の行政であるとする觀念に徹せしめる必要があるのであります、之が爲には住民の意思を行政の各部門に亙つて反映せしむる所の措置を講じなければなりませぬ、公民權及名譽職の制度を廢止致しまして、先般の衆議院議員の選擧權の擴充に相應じまして、地方議會の議員の選擧權及被選擧權を擴げ、普く其の住民に選擧權、被選擧權を有せしめることとし、女子に對しましても男子と同等の權利を與へることとし、或は其の首長であります所の府縣知事、市町村長等を住民の直接選擧と致し、又進んで是等の者の罷免及地方議會の解散等を請求する權利を住民に認めまして、所謂直接參政の途を拓くことと致しましたのは、此の第二の趣旨に基くものであります、又議決機關たる地方議會の權限を擴張することと致して居るのであります、住民の直接參政を基盤として運營せられます所の地方行政の中心機關は、言ふ迄もなく執行機關たる府縣知事、市町村長等と、意思機關たる地方議會の二つでありまするが、民主主義的要求は、民意を背景として選出される所の執行機關が強力であることを要請致しますと共に、執行の基礎となるべき地方自治團體の意思の決定と、其の決定の方法とに付きましては、議決機關自らの責任に於て、自由に之を決定せしめる建前とすることが至當であると存ぜらるるのであります、故に議決機關たる地方議會の權限を擴張致しまして、更に其の積極的活動を促す爲に、地方議會の定例的な活動を新たに規定致しまして、此の趣旨に副ふことに致して居るのであります、第三には地方行政事務執行の公正を確保する點であります、地方自治團體の活動の範圍が擴帳するに從ひまして、其の行政事務の執行は飽く迄も公正であり、苟も專恣に流るるが如きことがあつてはならないのであります、此の意味に於きまして、本改正案は新たに二種の制度を採用せむとして居るのであります、將來選擧の重要性は益益加重さるるものと考へられるのでありまするが、之に伴ひまして、其の選擧の公正を確保致しますることは、地方政治の基本的要件と存ぜられるのでありまして、選擧事務の執行に遺憾なからしめ、且之に客觀性あらしめます爲に、選擧事務全般の管理に當ります所の選擧管理委員會を新たに設置することと致したのであります、更に地方團體の住民又は地方議會は、執行機關の行政事務の執行を常に監視する權限を與へられて居るのでありまするが、地方自治團體の執行する行政事務は何分にも複雜多岐に亙つて居るのであります故に、其の執行の適否は住民の權威と專門的の知識を兼ね備へた常置機關の精密な監査に依るのでなければ、正確なる判定を下すことは困難であります、此の趣旨に於きまして、監査委員を設置致し、地方自治團體の行政事務全般の監査に當らしむることと致したのであります、以上申述べましたのは地方自治制度改正の根本方針でありまするが、以下其の改正の主要なる事項に付きまして御説明申上げたいと存じます、第一には地方議會の議員の選擧權及被選擧權の擴張であります、即ち衆議院議員選擧法の改正の趣旨と同樣に、廣く住民に對しまして、地方自治團體の選擧に參與する途を拓きまする爲に、議員の選擧權の年齡を二十年、被選擧の年齡を二十五年にそれぞれ引下げますと共に、破産者にして復權を得ざる者、貧困に因つて生活の爲め公私の救助を受け、又は扶助を受くる者等にも選擧權を與へることと致し、又女子にも男子と同等の選擧權及被選擧權を認めることと致したのであります、第二には地方住民に對し、地方團體の首長たる都長官、府縣知事又は市町村長を直接選擧する權利の外、各種の直接參政の權利を認めたことであります、即ち地方團體の首長を選擧致しますのみならず、更に進んで地方團體の首長竝に地方議會の議員、選擧管理委員及監査委員等の罷免を要求し、或は地方議會の解散、條例、規則の制定及地方自治團體の事務に關し、監査委員の監査を請求する權利を認めまして、地方住民と地方政治とを直結せしむる所の措置を講じたのであります、第三には選擧管理委員會の新設であります、選擧事務の執行の公正を擔保し、選擧人の信頼を確保する爲には、何等か客觀的な獨立の機關をして之が處理に當らしめる必要がありますのと、他面、地方自治團體の首長が此の度選擧人の直接選擧に依ることとなりました爲め、現在の首長が現職の儘立候補する場合も考へられるのでありまして、此のやうな場合に於きまして、現任の首長が其の選擧事務掌理の任に當りますることは不合理であると言はなければなりませぬので、東京都を初め、府縣及び市町村毎に四人又は六人の委員を以て構成する所の選擧管理委員會を設置致し、此の委員會をして選擧事務掌理の任に當らしめることと致したのであります、第四には、地方議會の權限の擴充と其の地位の強化であります、即ち地方自治團體の意思機關である地方議會の活動を更に積極的ならしめますことは、地方自治の進展上缺くべからざる要件と考へられますので、此の際地方議會の權根を出來得る限り擴充致し、其の地位の自主性と獨立性とを強化することと致したのであります、先づ議決事件の擴張を圖りまして、列擧事項以外に條例を以て地方議會の議決すべきものを定め得る權能を認めますると共に、都議會又は府縣會に對しましても、都又は府縣の事務に關しまする書類等を檢閲し、又は議決の執行及び出納等を檢査する權限を付與し、其の他財務等に關し理事機關が異議の決定を爲さむとする時は、參事會又は町村會に諮ることと致したのであります、更に地方議會は、定例會を毎年數囘招集することを要することと致しますると同時に、會期及び會期の延長、又地方議會の開閉に關する事項は、地方議會自らの決定に委ねることに改めまして、地方議會の自主性の確立を圖つた次第であります、又町村會にも原則として議長及び副議長を置き、町村會議員の中から之を選擧するものと致しましたことも、地方議會の自主性を尊重せむとする所以に外ならないのであります、第五は、都長官、府縣知事及び市町村長等地方自治團體の首長に關する事項であります、新憲法草案第八十九條第二項には、「地方公共團體の長……は、その地方公共團體の住民が、直接これを選擧する」と規定せられて居るのでありまして、地方公共團體の首長の直接公選の原則を明かに致して居るのであります、地方公共團體の長、特に府縣知事等の公選は、獨り地方行政の民主化を實現致します上に付ての最も重要な鍵でありまするのみならず、行政運營の全般に付きまして其の影響を及ぼす所は甚だ大なるものがあると存ずるのであります、府縣知事等の公選に依りまして、從來の地方行政に於ける過度の中央集權と官治の弊を是正致し、具つは任期を定むることに依りまして、其の頻々たる更迭に依る弊害を餘去致し、之に依つて地方政治を安定し、地方自治團體の明朗にして闊達なる自主的發展を圖ることが可能となり、之に依つて初めて全體の協力的態勢が整備せらるるものと考へる次第であります、而して公選知事をして住民の眞の公僕たらしめ、民意を背景として力強い施策の遂行を可能ならしめます爲には、民意を直接に表現せしむる所の直接選擧に依ることが適切でありまして、此の理は市町村長の選擧に付ても異なる所はないのであります、併しながら此の結果と致しまして、特に所謂府縣割據の如き弊を助長し、食糧政策其の他現下緊要なる國家諸施策の遂行に支障を來すが如きことがありましてはならないのであります、又現行の國家諸機構との間に調和を保たしめることも必要でありますので、府縣知事の身分は之を官吏と致しまして、之に依つて國家的要請と地方的要求との間に適當なる調和あらしめることと致して居るのであります、府縣知事又は市町村長等の選擧は、供託金の額及び法定得票數等に若干の特例あります以外は、概ね地方議會の議員の選擧に關する手續に準じまして之を執行することと致して居ります・而して之が管理には地方議會の議員の選擧管理委員會が當ることと致して居るのであります、即ち府縣知事の被選擧權は、帝國臣民にして三十年以上の者、市町村長の被選擧權は帝國臣民にして二十五年以上の者に之を認めることと致し、特に住居要件を求めることと致さなかつたのであります、是は苟くも民意の存する以上、地方自治團體の首長たる者は一地方に住居して居る者に限定せず、廣く適材を求めることが出來るやうに致しますのが適當であると考へたからであります、又町村長候補者が立候補せむとする時は、供託金の制度を採用致しませぬで、選擧人三十人以上の連署を要求することとし、所謂人的保障制を採つたのであります、是は町村の實情に即應するものと考へて居る次第であります、府縣知事等の選擧に當りましては、其の區域が廣大でありますのと、其の選擧の性格上激甚なる競爭が行はれまして、自然選擧運動の費用も巨額に上ぼることが想像せられますので、選擧運動の費用の節減を圖り、併せて選擧執行の公正を期しまする爲に、特に選擧公營を行ふことと致しまして、選擧公報の發行及び演説會場の施設の公營を實施せむとするものであります、第六は、監査委員の設置であります、地方自治團體、特に都道府縣及び大都市の處理致して居りまする所の事務は誠に廣汎多岐でありまして、從ひまして其の事務、事業の執行の状況を審査し、非違を正し、地方住民及び議會に常に公共事務の内容の實情に付ての資料を提供せしめますることは、地方自治團體の事務執行の公正と能率の向上を圖る上に於て必要なことでありまするのみならず、地方の住民及び議會に對しまして、自治に對する責任と自覺とを喚起する上にも、必要と考へられるのであります、監査委員は斯かる目的の爲に設置されるものであり、地方自治團體の首長が地方議會の同意を得て地方議會の議員又は學識經驗ある者の中から各々一人乃至三人宛選任するのであります、監査委員は地方自治團體の經營に係る事業の管理、其の出納、其の他地方自治團體の事務の執行を監査する一般的權限を有して居り、毎會計年度少くとも一囘の定期監査或は監督官廳の命令又は地方議會の要求、其の他臨時の必要ある場合の臨時監査、或は一定數の選擧人から請求がありました事項に關する監査等を行ふものであります、以上は東京都制、府縣制、市制及町村制の改正法律案中其の全般に共通する事項の中で重要なるものの概略を御説明申し上げたのでございますが、次に是等の改正法律案の中で特殊事項の主なものに付て申述べたいと存じます、先づ選擧に關する事項でありますが、先般の衆議院議員選擧法の改正に依りまして、市區町村の區域が原則として開票區とせらるることになつたのでありますが、之に即應致しまして、東京都議會議員及府縣會議員の選擧に際しても、原則として市區町村の區域を以て開票區とすることに改め、之に依つて開票の迅速を期しますると共に、戰災等に依る人口異動の激甚なるに對處致しまして、餘りにも人口の少い選擧區の發生を防止する爲に、東京都及府縣竝に市制第六條及第八十二條の市に於きましては數選擧區を併せて一選擧區を設け得ることと致したのであります、次に地方自治團體に對する監督規定を整理致しますことは、其の自主的なる活動を促す所以であると考へまして、市町村に對する監督規定を相當大幅に縮減することと致したのであります、其の結果例へば基本財産の處分とか、分擔金の新設又は變更等は、地方長官の許可を受くることなく、市町村獨自の判斷に依つて之を處理し得ることと相成つたのであります、次に北海道は從來府縣とは別個の取扱を爲して參つたのでありますが、其の近年の發達の状況を見まするに、自治體としての面に於きましては、最早一般府縣と異なる取扱をする理由は消滅して居るものと考へられるのであります、現に法律上に於きましても、北海道會法及北海道地方費法施行以來屡屡改正を見まして、今日では府縣の場合と實質的に差異がなくなつて參つて居りまするから、此の際北海道會法及北海道地方費法は之を廢止致しまして、府縣制を道府縣制と云ふ名稱に改め、北海道にも新しい府縣の制度を其の儘適用することと致さむとするのであります、尚公民制度の廢止等に伴ひまして、北海道に特有の指定町村の制度も廢止することと致して居ります、最後に東京都の區に付きましては、都の一體性を害しない限りに於きまして、之に最大限度の自治權を與へ、其の自治的發達を促進致しますことは、延いては都政全般の進展に寄與するものと考へまして、所要の改正を行つたのであります、即ち區に付きましても區住民の制度を認めまして、區の營造物を共用する權利を有し、區の負擔を分任する義務を負ふものと致します外、區民の參政權、自治立法權、財政自主權、其の他各般の自治的權能に付き、町村に準じて適當な擴張を圖つて居るのであります、以上で地方自治制度改正に關する四つの法律案の説明を終る次第でありまするが、此の四法律案に對しましては、衆議院に於きまして、地方議會の職務權限に關する規定、選擧管理委員會及び監査委員に關する規定、都道府縣の長官の身分に關する規定、地方公共團體の首長の選擧に關する規定、地方議會の解散又は地方公共團體の首長其の他の職員に對する解職請求權等、所謂直接參政權に關する規定、東京都の區に關する規定、其の他若干の規定に付きまして修正を加へられたのでありますが、政府は衆議院の院議を尊重したいと考へて居ります、尚最後に衆議院に於きまして修正の加へられた箇所及びそれに對する政府の見解に付きまして一言説明を致します、衆議院の地方制度改正法律案の委員會に於きまする質疑應答は別途印刷致しまして御手許に差上げる筈でございますので、衆議院の修正の背景とも謂ふべき點は此の資料に依りまして御承知を願へるかと思ひますが、修正の最も重要なる事項に付きまして御説明を致したいと存じます、第一は地方議會の職務權限に關する事項であります、即ち地方議會は總て毎年六囘以上之を開催することと致しましたこと、それから都道府縣及び市參事會が都道府縣會及び市會に代つて其の閉會中代議決を爲し得る事項は輕易な事件に限ること致しまして、地方議會と參事會との間に於きまする權限が調整されることと相成りましたこと、それから參事會の議長は都道府縣會議長又は市會議長を以て充てることとし、且參事會員の選擧は毎年一囘之を行ふこととせられたこと、及び市町村會に付きまして、市町村内の團體等の活動の綜合調整に關する事項を議決することと致しましたこと、竝に府縣知事等の所謂原案執行の權限が一部制限せらるることとせられたこと等が其の主なものであります、第二には選擧管理委員會に關する事項でありまして、此の委員會の性格と職務の性質に鑑みまして、其の獨立性を強化する爲め、委員會は府縣知事及び市町村長等の監督を受けないこととし、又委員會の運營の公正と公平を確保する爲め、委員一人でも委員會の招集を請求することが出來るものと致しますると共に、補充員がなくなりました場合には必ず補充員全部の選擧を行つて、此の中から委員の缺員を補充し、委員自體の補缺選擧は行はないことに修正せられたのであります、第三は監査委員に付きまして、其の職務の性質に鑑み、其の地位の獨立性を強化することに修正せられたのであります、第四は東京都長官及び府縣知事等の身分は改正憲法施行の日迄に限つて之を官吏とするやうに修正が加へられますると共に、其の選擧に於きまする法定得票數を八分の三に改め、若し之に達する者がなかつた場合に於きましては決選投票に依つて當選者を決定することに改正せられたのであります、第五に地方議會の解散は、原案に於きましては内務大臣が命ずることとなつて居つたのでありますが、地方議會が府縣知事又は市町村長等の不信任議決を致しました場合には、府縣知事市町村長等が自ら之を解散することに改め、又選擧人からの解散の請求は、其の要件を選擧人總數の三分の一以上と云ふことに増加し、其の請求は選擧管理委員會に對して之を爲し、一般投票に依つて解散するか否かを決定することに修正せられたのでありますす、尚府縣知事、市町村長議員及び其の他の職員の解職の請求も亦、其の要件を選擧人の三分の一以上と改め、府縣知事、市町村長及議員に付きましては、選擧管理委員會に對して其の請求を爲し、一般投票に依つて決定し、其の他の職員の解職の請求は府縣知事又は市町村長に對しまして之を行ひ、地方議會の特別議決に依つて之を決定することとせられまする外、請求に付て一定期間の制限を設けることとせられたのであります、尚東京都の區に付きましては、區長を直接選擧と致しますると共に、區は都條例の外、法令に依つて其の權能を賦與せられることに修正を見た次第であります、以上の外、尚若干の條項に亙りまして修正が加へられて居りますが、それ等に付きましては、御質疑に應じて御説明を申上げたいと存じます、次に此の際、「衆議院議員選擧人名簿等の臨時特例に關する法律案」に付きまして、其の提案の理由竝に内容を極めて簡單に御説明申上げたいと存じます、御承知の如く道府縣會議員及び殆ど全部の市町村會議員の任期はそれぞれ八月三十一日及び九月二十日を以て滿了致すことと相成つて居つたのでありますが、是等の議員の選擧の基準となるべき改正地方自治制度の議會に於ける審議の状況に鑑みまして、道府縣會議員及市町村會議員共に其の任期を更に十月三十一日迄延長することとし、之に關する法律案は既に兩院の御協贊を經て成立を見た訳であります、而して是等の議員の選擧に關する選擧人名簿と致しましては、從來の調製方法に對しまして今囘臨時特例を設けまして、此の際出來得る限り早急に新しい單一の選擧人名簿を調製致しまして、正確に且脱漏なく選擧人を把握致しますると共に、名簿自體を簡明にし、以て地方議會の議員の總選擧、其の他の選擧に備へしめることと致したいのであります、此の臨時特例に於て規定せむとする要點は次の三點であります、第一、本年九月十五日現在で調製することになつて居りまする衆議院議員選擧人名簿及び東京都制市制、町村制其の他の規定に依つて調製する選擧人名簿は、出來得る限り期間を短縮致しまして急速に調製致しまする等の爲、之が調製、縱覧等に關する期日及期間を特に命令を以て定める所に依らしめることとせむとする點であります、それから第二は、名簿調製義務者を今次の地方制度の改正に依りまして設置されます所の選擧管理委員會と致さむとする點であります、第三は、昨年九月緊急勅令を以ちまして衆議院議員選擧法第十二條の特例を設けまして、昭和二十一年十二月十九日迄に施行されます所の衆議院議員の選擧に用ひる選擧人名簿に登録せられます爲には、六月の住居要件を要しないことと規定をされたのでありますが、是は一に當時の特殊事情に因るものであり、疎開者又は戰災に因る避難者に對しまして出來得る限り國政に參與の機會を與へようとするものであつたのであります、併し終戰後今日では相當の時を經過致して居るのでありまして、其の間の事情は一變致して居るばかりでなく、住居要件を撤廢致しますことが名簿脱漏の主原因の一つであつた點にも鑑みまして、此の臨時特例に依つて調製する選擧人名簿には、緊急勅令に依る特例を適用致しませぬで、名簿登録要件として六月の住居要件の原則を復活しようとする點であります、以上御審議を願ひまする五法律案に付きまして御説明を申上げた次第であります、何卒御審議あらむことを切望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00119460904&spkNum=3
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004・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 先刻御配付戴きました參考資料の中にあるかも存じませぬが、ちよつと見當りませぬので此の際に御願を致して置きたいと思ひます、それは東京都其の他五大都市に於ける終戰後と終戰前、又は戰前との人口、住宅、衣料、食糧事情、輸送關係等がどう云ふ風に相成つて居りまするか、御分りになつて居りまする程度で結構でありまするから、其の統計表等をば御提出願ひたいのであります、又只今大臣から法案竝に衆議院の修正に付て一應の御説明があり、了承致しましたが、本委員會の審議を促進する爲に、衆議院に於て問題と相成りました點、修正點、竝に「ジー・エイチ・キユー」との交渉經過等に付て、質疑に依ります前に、政府當局から御説明を煩し、又此の資料と申しまするか、説明材料を戴きたいと存じます、さうすれば衆議院の速記録がまだ本院に半分しか廻つて居らない今日、衆議院に於て爲されましたと同樣の質疑をば再び繰返すことを避けることが出來まするし、審議上大いに便宜かと思ひまするから、是等の諸點に付て御説明をば煩したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00119460904&spkNum=4
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005・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 初めに仰せになりました東京其の他五大都市の戰災前、戰災後の比較に付きましては、資料に於て知り得る範圍に於て御知らせ致したいと存じます、それから次に衆議院の修正の要點に付きましては、衆議院の御修正は可なり多くの條項に亙つてをりまするので、項目別に整理を致して居るのでありますが、其の各々に付きまして從來の經過等を適當の機會になるべく早く申上げるやうに致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00119460904&spkNum=5
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006・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 此の法案は相當大部に亙つて居りまするので、只今參考資料其の他を戴いたのでありまするが、明日から直ちに審議致しましても、なかなか困難する場合があり、骨が折れるのです、寧ろ一兩日こつちで研究時期ですか、さう云ふものを御與へ下すつてから審議に入つた方が、種々の點から見ても宜いんぢやないかと思ふのですが、皆さん方の御意見を御諮り願ひたいと思ふのですが、如何ですか
〔「贊成」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00119460904&spkNum=6
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007・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 只今松平男爵の御意見でありますがどう云ふ風に致しませうか
〔「贊成」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00119460904&spkNum=7
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008・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 明後日から豫算の分科に入るんださうでありますが、さうすると速記が大分其の方に取られるので困ると云ふ事務の方の話ですけれども、と言つてさう早くこちらをやる訳にも行きませぬし、只今の松平男爵の御布望は私も實はさう思つて居ります、隨分多岐に亙つて居りますからして、少し研究の日取を置いた方が宜いのではないかと思ひます
〔「贊成」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00119460904&spkNum=8
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009・白根竹介
○委員長(白根竹介君) どの位置いたら宜いでせうかね、六日から豫算の分科に入つて八日迄分科が續くさうですから、九日あたりから開くと丁度萬事都合が好くはないかと云ふ話ですが、少し遲れますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00119460904&spkNum=9
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010・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 九日からで宜いぢやありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00119460904&spkNum=10
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011・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 八日迄休むことに致しまして御研究を願ひます、九日に開くことに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00119460904&spkNum=11
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012・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 内務省の資料ですが、大概委員の數もお分りでせうから、休會中でも關係委員の方に御配りを願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00119460904&spkNum=12
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013・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 尚又外の資料の御要求でもありますれば御申出を願つて置きます、此の席でなくても、私の方に御願ひ致します、それでは本日は此の程度で散會致します
午前十一時三十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00119460904&spkNum=13
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014・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 白根竹介君
副委員長 男爵 伊江朝助君
委員
侯爵 徳川頼貞君
侯爵 佐竹義榮君
子爵 森俊成君
子爵 梅園篤彦君
子爵 松平銑之助君
子爵 田中薫君
子爵 植松雅俊君
姉崎正治君
中田薫君
男爵 松平外與麿君
男爵 尚琳君
男爵 多久龍三郎君
松尾國松君
河端作兵衞君
渡邊覺造君
奥主一郎君
國務大臣
内務大臣 大村清一君
政府委員
内務事務官 郡祐一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00119460904&spkNum=14
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