1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○東京都制の一部を改正する法律案
○市制の一部を改正する法律案
○町村制の一部を改正する法律案
○府縣制の一部を改正する法律案
○衆議院議員選擧人名簿等の臨時特例に關する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年九月九日(月曜日)午前十時七分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=1
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002・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 是より開會致します、本日は「東京都制の一部を改正する法律案」外三件、詰り地方自治に關係する法律案を全部一括しまして、全般的な質問を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=2
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003・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 總括的の質疑としてはどうかと思ふのでございますけれども、後で伺ひたいと思ひまする質疑の前提として御伺して置きたいと思ひます、それは知事、市長の公選、又府縣會議員の選擧、更に市町村會議員の選擧と云ふやうに、次々に續いて施行される譯でありまするが、是等の選擧期日はどう云ふ手續で行はれるのでありまするか、新聞に一昨日でしたかちよつと出て居つたやうでありますが、どう云ふ御豫定でありまするか、ちよつと前提として伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=3
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004・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 選擧が何時頃行へますか、又行ふと致しましてどう云ふ順序で致しますかと云ふことに付きまして、實はまだはつきりした見當を付け得るに至つて居ないのであります、と申しますのは、今茲に御審議中の本案が何時帝國議會で成立するかと云ふことも、實ははつきりと致さない次第であります、併し現在の會期は一應此の月の二十七日と云ふことになつて居りまして、其の會期中迄には、成立を致すと云ふことになりますと、直ちに附屬の施行勅令も併せまして、改正法を公布する、是はどんなに急ぎましても、十月一日前後と云ふ位にしか運び得ないと思ひます、さうなりますと、それを公布致しまして、既に色々準備的な措置は執つて居りますが、十月五日位を名簿の調製期日と致しまして、さうして女子に迄選擧權を與へる非常に擴張された名簿になりますから、人數は略略倍位になります、之を調製致しまして、確定致しますに付きましては、從來のやり方では凡そ九十日掛つて居るのであります、併し出來るだけ期日を縮めましても、一箇月を切詰めると云ふことはなかなか困難であります、併し此の際大いに手順を好くしまして、五十日ならばどうにか處置が出來る、固よりそれに付きましては、今から相當に手配をしなければ完全に行かないと思ひます、さうなりますと十月五日から五十日、さうして名簿の確定は十一月三十日と云ふことに相成る、十月五日から始まりまして、十一月三十日、さうなりますと、それ以降でありませぬと選擧を執行する譯には参りませぬ、さうして是は選擧の告示の期間等に於きまして、段々差違がございます、町村會に於きましては最も短くて行へる、それから府縣知事に至りましては、相當早く告示しなければならぬことに法律でなつて居る、尚又府縣知事に付きましては、一人の者を選ぶと致しまして、衆議院の改正案に依りますと、最低得票數が八分の三と云ふ相當高率なものを要求されて居りますから、競爭が激甚になりますと、八分の三以上の得票がないと云ふことになりますと、決戰投票もやらなければならぬと云ふやうなことで、是は相當長い間選擧に掛かると云ふやうなことがございます、それから一面に於きましては、時恰も新年に遭遇致します、それから農村でございますと、舊正月にもぶつかると云ふやうなこともございます、それから又何に致せ地方の重大な政治問題でございますので、是等を如何なる組合せで、どの時期にやるかと云ふことに付きましては、單に内務省のみならず、是は政府全體としても十分審議しなければならぬ點もございますので、大分重大な問題でありますから、只今確定致して居りませぬが、一應此の月中位に法律案が成立すると云ふ豫想の下に案を作りまして、閣議でも一つ是は審議して、早く政府としての方針を決めたいと云ふやうに今手順中でございまして、若し順調に參りますれば、明日の閣議あたりで話をつけまして、御話を此處ではつきり申上げることが出來ると思ひます、先日新聞に出て居りましたものは是は地方廳を督しまして、今から内々準備を始めると致しまして、さうなりますと一應の見當でも申さなければ話が進みませぬから、是は地方局限りに於きまして事務的に一應の豫定を立つたのであります、其の話は會議でも内審致したさうであります、それがどう云ふ都合でありますか新聞に載つたと云ふ次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=4
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005・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 只今内務大臣の御説明に依りますと、十月五日を名簿調製の期日として、十一月三十日に確定すると云ふ御話であります、又準備をするのに五十日掛かると云ふやうな何れも色々の御事情上、短期間に此の選擧を施行すると云ふやうなことになつたのでありますが、果して一時に是等の多數の選擧をやります其の準備が、萬遺漏なくやれるかどうか、而も此の短期間に準備が出來るかどうかと云ふ點に付て實は多少疑問を持つて居るのであります、殊に有權者數が非常に激増致しまして、知事の公選と云ふやうな全く我が國に於きましては、經驗のない選擧が行はれるのでありますから、恐らく其の間色々の間違ひが起りはしないかと思ひます、現に先般の衆議院選擧に於てさへ、多量の脱漏、名簿漏が隨分にあつたのでありますから、又此のやうな問題も起る虞が十分にあると考へられるのであります、就きましては今囘の是等の選擧が短期間に於ておやりになると云ふことに付きましては、特に格別御考慮を御拂ひになつて居ることと存じますが、何か之に對する特別の準備と御用意がありまするかどうか伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=5
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006・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 誠に御尤もな御尋でございますが、實は衆議院議員に付きましては、既に擴張された選擧權の下で今春に總選擧を行ひました、地方議會に付きましては現在の處、制限された選擧權の下で選擧を行はなければならぬと云ふことに相成つて居るのであります、此の點は速かに新時代に即した行き方をする必要があると思ふのであります、尚又現在の地方議會の議員に於きましては、戰時中でございました爲に任期に延長を致して居りまして、府縣會議員の如きは、所に依りまして既に今日で七箇年も在任して居ると云ふやうな變則なことが起つて來て居るのであります、市町村會議員に付きましては、左程のことはございませぬ、府縣會議員に付きましては左樣な次第であります、そこで今議會が開會せられますに際しましては、それに對處致しまして、成るべく擴張せられたる選擧權の下で早く選擧を行ひたいと云ふので、選擧人名簿の調製に付ての特例を決める法律案も此の間當委員會に御付託になつて居るやうな次第であります、あの特例を設けます際に於きまして、此の點を十分考慮致しまして、従來よりは調製期間を短縮致しまして、尚且不備を生じないやうな所を十分研究を致しまして、あの特例を提案致した次第であります、丁度議會が段々延びまして改正案が成立するに至りませぬから、其の議會が延長されました程度は延ばすことは是は已むを得ないのであります、大凡二箇月議會が延びましたので、其の名簿の確定期もそれに應じて二箇月は遲れると云ふことは是は已むを得ないことであります、そこに無理を致しますと御尋のやうな結果を生じますから、餘り無理は致さないと云ふことに考へて居る次第であります、而して今囘の名簿の調整に付きましては御話の如く有權者が非常に多くなつて居りまして、從來の名簿と大凡分量は二倍にもならうかと思ひます、併し地方議會の議員の選擧權は、曩に執行せられました衆議院議員の選擧權と略略同樣でありまして、大なる差はございませぬ、さうして衆議院議員の選擧人名簿がございますので、それを參照して十月五日現在の名簿に直すと云ふことに大體なつて居ります、尚又臨時時例に於きましては、特に此の各人の申告制度も併用し得る途を法律上拓きました、結局に於きましては職權強制主義でございますが、申告主義を加味すると云ふ方法も講じて居りますので、從來の名簿調整の方法に對しまして相當の改善も加へてある譯であります、尚且急いでやると致しましては事務當局に於きまして萬全の準備を致しまして、手配に誤りなきを期すると云ふ必要がございますので、曩に内務部長會議を開きまして段々打合せを致し、尚近く主務課長會議も開催致しまして今から十分に研究も致し、豫備的な準備もして置くと云ふことに萬全を期したいと思ひます、それ等の次第で從來よりも約一箇月も名簿調整を短期にやらうと致して居りますが、其のやうに約めますことに依つて、名簿が粗漏になると云ふやうなことは萬あるまいかと存じます、又今後も此の點に付きましては十分に意を配りまして、先般の選擧の際に起きましたやうな名簿脱漏事件と云ふやうなことが起らぬやうに、十分意を加へて置く積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=6
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007・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 只今の内務大臣の御説明に依りまして此の點に付て御留意になり、御研究になりまして、それぞれ御對策を御講じになつて居るやうでありまするから、大いに安心を致しましたが、何分にも劃期的な選擧のことでありますから、一層の御留意と萬遺漏なきを期して戴きたいと存じます、尚更に一點伺ひたいと思ひますのは、婦人にも男子同樣の選擧權と被選擧權が與へられて居りますが、何分にも今日迄婦人に對しましては何等の政治的訓練をやつて居りませぬ、而も一躍して婦選となつたのでありますから、特に此の點に關しましては當局の御留意が必要かと存じて居ります、就きましては、一般婦人に對しまして啓蒙運動と申しますか、政治的訓練と申しますか、選擧迄に泥繩式ではありますが、豫め何等かの對策をば講ぜられる必要があるかと考へるのであります、此の點に付きまして政府に於かれましては何か御考になつて居りませうか、御伺ひ致したいと思ひます、一時大藏省に於きまして、貯蓄奬勵の爲に中央地方の然るべき人々を多數囑託顧問に委囑致しまして、相當廣範圍に且持續的に講演會等をやつて或程度の成功を收めて居つたやうであります、斯う云つたことも一策であるかと思ひまするので、有らゆる機關をば動員して婦人の政治的訓練をやると云ふことが必要ぢやないかと考へるのであります、此の點に對する内務大臣の御所見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=7
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008・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 民主政治が成功します爲には、一般國民が能く政治に付て理解を致し、又其の成果を收めるやうに協力すると云ふことが絶對必要であることは申上げる迄もないのでありますが、衆議院議員の總選擧が今春行はれますに當りましては、去年の秋頃から其の點に付きまして、政府も注意を致しまして段々畫策も致したのであります、其の行き方と致しましては、是は結局中心となるのは文部省が學校教育面或は社會教育面に於て、十分手配をすると云ふことが最も適當であると云ふ見解から、文部省を中心に致しまして、政治と申しますか選擧と申しますか、其の啓蒙運動、又國民に十分關心を持たせ、又十分成果を收めるやうに熱意を持つて事に當ると云ふ點に付て進んで參つたのであります、其の文部省を中心と致しまして、内務省は衆議院議員選擧法の選擧が適正に行はるることに對しましては、主管上責任を持つて居る譯でありまして、文部省に出來るだけの協力を致して進んだのであります、中央に於きましては左樣でありますが、地方に於きましても、中央の方針に基きまして府縣廳は教育面を中軸に致しまして、地方行政及び選擧面に付て協力をすると云ふ態勢を取つて進んだのであります、而して中央に於きましては御承知のやうに、各種の「パンフレツト」を作り、或は又文部省は帝國教育會の組織を活用致しまして、それに民間運動として協力をすると云ふやうな配慮を致しますと同時に、地方廳に於きましても其の下働きを十分に致しまして、尚又町内會、部落會と云ふやうな末端の組織に至ります迄選擧啓蒙運動に付きましては動員を致して、可なりの行届いた運動を展開致したのでありますが、其の結果は御承知のやうに大成功であつたと云ふことは申上げることは出來ないのでありますが、併し婦人等に於きましては棄權者も半ばを超えるだらうと云ふやうに、危懼されて居つたのでありますが、案外に結果は良好であつたのであります、是は單に其の啓蒙運動が徹底したと云ふやうに考へることは早計だらうと思ひます、寧ろ反對に是は終戰後の事態と致しまして、國民が衆議院議員の選擧に付きまして關心を深め、又熱意を以てそれに參加したと云ふ點が大きいと思ふのであります、是は有權者の自覺と云ふことが主であらうと思ひます、又其のやうな自覺を起すに付きましては、先程來申上げますやうな、政府が民間と相協力して色々手を打ちましたことも或程度の力があつたものとも考へる次第であります、政府と致しましては近く新憲法が成立致す、又地方制度も民主主義化の線に沿つて大改正をする此の機會に於きまして、國民が國政及び地方行政の上に付きまして、十分の理解と協力とをすると云ふことに進めなければならぬと云ふ點に著目致しまして、目下内閣及び文部省を中心として、政治啓蒙の一大國民運動を起したいと云ふ所で企畫を進めて居ります、又内務省其の他の各省に於きましてもそれに十分協力しようと云ふのを寄り寄り企畫を進めて居りますから、近く何等かの結果を得まして、速かにそれに發足を致したい、其の行き方と致しましても、是は官製啓蒙運動でなく、民主的なる動きに致したいと云ふ所に著目致しまして、折角企畫中であるのであります、又内務省と致しましても、其の企畫に際しましては地方選擧と云ふことにも重大關心を拂つて、そこに企畫上遺憾なきを期して貰ひたいと云ふやうに考へまして、協力を致して居る次第であります、まだ豫算的措置を執ると云ふ所迄企畫は進んで居りませぬけれども、最近の機會に其のやうなことが決定されまして、「スタート」を切るやうに相成ると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=8
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009・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 只今大臣の御話に依りますると、此の婦人の啓蒙運動を文部省と協力し、又民間にも呼び掛けて大いにやられることを伺ひまして非常に結構だと思ひます、殊に内閣、内務省で政治啓蒙運動を始めると云ふことであり、且官製の啓蒙運動でなくて民主的啓蒙運動の方針を採つてやつて行くと云ふことを伺ひまして大いに安心を致しました、非常に結構だと思ひます、どうぞ今後とも殊に婦人の啓蒙運動は非常に大切だと思ひますので、一段の努力をば御願ひ致したいと思ひます、尚もう一點伺ひたいと思ひますのは、新憲法實施と共に知事を公吏とすると云ふやうに承知致して居りまするが、百尺竿頭一歩を進めまして、新憲法實施を待たずして之を公吏と致す方が寧ろ時勢に順應して居るものではないかと云ふやうに考へられるのであります、就きましては、新憲法實施迄之を延期せられましたのは恐らく是等の官吏を公吏に切り換へる準備の必要があるからでもありませうが、何か之を延期せられました理由と申しまするか、内状と申しますか、若し御困りになるやうでございましたら速記を中止して戴いて結構でございますから、御話を伺ふことが出來ましたならば仕合せと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=9
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010・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 公開で申上げて一向差支ないと思ひますから御答へ致します、御承知のやうに新憲法草案に於きましては知事を直接公選にすると云ふ原則が載つて居るのであります、此の原則を政府は立案します際に於きましては、當時の内閣に於きまして各方面から檢討をされて、知事公選は日本の民主化の上に於きまして絶對必要なりとしても、直接公選は時期尚早ではないかと云ふやうな論議も隨分交はされたやうでありますが、結局各方面から之を檢討されまして、直接公選の原則に落著きまして、それが法文に盛られたやうに承知致して居るのであります、さうなりますと知事は直接公選に依ると云ふ精神から申しまするならば、只今御尋のやうに府縣知事は選擧民に對してのみ責任を負ふて行く、官吏と云ふやうな身分を與へまして、一面に於ては直接選擧に基いて出た者でありますから、選擧民に對して責任を負ふと同時に、他面に於きましては國家の官吏として、國家と申しますか内閣と申しますか、と云ふものから強く制肘を受けると云ふやうな二重性格は決して新憲法の精神ではなからうと云ふやうに考へられるのでありまして、我々と致しましても其の點に付きましての根本論と致しましては、只今申上げますやうに二重性格的でない、選擧民に對してのみ責任を負ふものに致すべきであるが、恐らくは今の公務員の觀念から申しますと、知事は官吏でなく公吏にすべきだと云ふことに相成ると思ふのであります、併し今囘提案致して居ります所の地方自治制度の改正は、現在の地方自治制度に持つて居りまする限度に於ける民主化でありまして、現に府縣廳で取扱つて居りまする事務の内容を檢討して見ますと、現行の地方制度で運用されて居る府縣行政と云ふものは非常に分量が少いのであります、他の言を以て言ひますれば、今日の府縣廳の仕事は中央政府の出先機關と致しまして、國政事務を非常に分量多く扱つて居るのであります、地方自治事務の分量と國政事務の分量とを比較致しますと、國政事務の方に非常に「ウエイト」が掛つて居りまして、自治事務の方は「ウエイト」が輕いのであります、然るに今日提案して居りますものは地方自治事務に關する方の民主化でありまして、府縣廳が扱つて居ります國政百般の事務の扱ひ方に付きましては、それ等關係諸法令、諸制度の民主化の手が加はつて居りませぬ、公選知事をして府縣のやつて居りまする地方自治事務の方を公吏として扱はせると云ふことに付ては何等支障ないのでありますが、國政事務の面に於きましては之を公吏に扱はせると云ふことに付きましては、それに相應するだけの改正を致さなければならぬのであります、然るに其の改正を致すと致しますと、是は單に内務省だけの手では解決が出來ないのであります、而して國政の民主化に相伴ひまして、地方行政の民主主義化を致すことは、現下のまあ情勢から致しまして、必然の情勢であると云ふやうに私共は考へまして、不可能でございますが、吉田内閣成立直後に於きまして、府縣廳の受持つて居ります部分に付ての地方自治制度の面及び府縣がやつて居ります所の官治行政の面と云ふものの兩者の民主化案を整へると云ふことは、時間的に殆ど不可能でございましたので、地方自治制度に關するものだけの民主化を、今期議會に於きましては御審議を願ひ、來るべき次の議會に於きまして、關係各省とも熟議を遂げ、然るべき成案を得まして御審議を仰ぐ、それ等の手順が進みました上に於きまして、此の府縣廳の首長である知事を選擧民に對してのみ責任を負ふ立場に改める外やり樣がないと云ふ結論に達したものでございます、そこで其の現實に調和を保たせます上に於きまして、知事は直接公選を致しますが、其の身分は官吏と致しまして、知事は一面に於きましては、地方自治團體の首長として地方自治事務を扱ふ責任者とする、それから他面に於きましては、其の公選知事が官吏の資格を兼ねまして、從來やつて來て居ります所の國政事務を扱ふ、さうして現在の府縣廳に於きましては、知事以下にも官吏の數が相當澤山ございますが、知事が只今申しますやうな二重性格を持ちますことに依りまして、現在の府縣廳の行政事務を處理して行く上に於きまして先づ支障がなからうと云ふやうに考へた次第であります、さうして提案當時に於きましては、議會は一應會期の五十日で終ると云ふやうに、もう二箇月位早く議會が終ると云ふことに考へて居りました、さうなりますと、國政事務の方の民主主義化に付きましても、相當早い時期に立案が出來るのではないか、併し是はやつて見なければ分らぬことでありますが、或は來るべき秋の臨時議會に於きまして相當の立案が出來るであらう、又間に合はないと致しましても、通常議會に於ては更に殘部のものが御審議が願へるではないか、さう云ふやうなことになりますれば、或は明年四月と云はず、府縣知事の公吏案も成立し得るではないかと云ふやうにも當時考へて居つたのでありまするが、段々是は憲法の審議にも關係したことでありますが、地方制度の審議が遲れまして、豫定より二箇月位遲れると云ふやうなことに相成りました、それから尚衆議院に於きましては、それ等の事情を詳細に研究し審議をされて居つたのでありますが、其のされて居つた所からしての見透しで、是は憲法實施の時迄はそれ等の諸般の手續が進むことは到底不可能であると云ふやうな見透しを立てられたものと推察致すのであります、併し知事の公吏案と云ふものをのんべんだらりと何時迄も延ばすと云ふことは、日本の地方行政の民主主義化の上に於て望ましくない、是は成るべく早く即行しなければならぬ、そこで原案に於きましては、私事の身分は當分の内官吏とすと、暫定官吏の精神であつたのでありますが、暫定と云ふのは期限がございます、そこで憲法實施の時と云ふことに付きまして、期限を限つた方が、限つた修正をする方が適當であると云ふ見解であの修正をされたものと考へて居ります、あのやうに憲法改正の時迄官吏とすと云ふことになりますと、憲法實施の時迄官吏とすると致しますと、憲法實施期以前に於きまして、府縣知事を公吏に切替へることが出來ると云ふ状態になりましても、それより以前にそんなことが出來ないと云ふ制約がある、此の制約は私は當初に於ては適當でないと、若し出來れば憲法實施を待たずして公吏に出來るならば、公吏にしても宜いではないかとまあ考へて居つたのであります、併し段々遲れましたので、恐らくは次の通常議會を待たなければ、知事を公吏に切替へると云ふ諸般の準備は整はぬのではないかと思はれる事態になりましたので、實質に於ては差支はなからうと云ふやうに考へて居る次第であります、併し一面に於きまして、憲法實施の時迄官吏とすと云ふことになりますと、否でも應でも憲法實施の時迄には知事を公吏に切替へると云ふ諸般の準備を完了しなければなりませぬ、併し是は政府と致しましても極力其の點に付きまして努力を致さなければなりませぬ、尚又凡そ半年の間もございますから、それも可能であらうと思ひます、是が暫定になりまして、憲法實施の時迄にも其の準備が出來まして、其の後だらだらと長く何時迄も解決されないと云ふことも、是は衆議院の御心配で、是は尤もなと云ふやうに考へまして、政府と致しましてはあのやうな修正の出來ましたことに付きましては、之を尊重する方が宜からうに尊重すべきではなからうかと云ふやうに一應考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=10
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011・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 只今内務大臣から縷縷御懇篤なる御説明を戴きまして十分に了承致しました、尚もう一點伺ひたいと思ひますが、運輸、通信機關其の他の發達が現在のやうに高度に發達して參りました結果、距離が短縮された訳でありますが、昔と違つて、此のやうに距離が短縮されて居りまする今日に於きましても、尚依然として現在の府縣單位に於て府縣の地方行政が行はれて居ると云ふことは、ちよつと時代遲れのやうな感が致すのでありまするが、是は寧ろ此の地方制度改正の機會に於きまして、所謂府縣「ブロック」程度の道州制、道州廳制と申しますか、と云ふやうなものを設置した方が宜いと思ふのでありますが、之に對してさう云ふ御意思がありますかどうか、若し御意思がないと致しますと、何か特にそこに差障る理由がおありになるやうでございましたら御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=11
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012・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今提案して居りまする改政案に於きましては、現在の府縣の區域に依りまして、新らしい行き方をしようと云ふことになつて居るのであります、其のやうに致しました理由と致しましては、其の點を先づ一應御説明を申上げる必要があらうと思ひます、御話の如く我が國の今日の府縣の區域と云ふものは、明治の初年に決まりましたものが、大體ずつと踏襲されて居りまして、爾來交通關係又社會情勢其の他非常な變遷でありまして、明治初年に於て適當な區域でありましたとしても、今日に於きまして其の地域は新らしい情勢から考へ直さなければならぬと云ふことは、確かに理由のあることであります、尚又實際の上に於きましても、只今御述になりましたやうな府縣割據と申しますか、府縣「ブロック」と云ふやうな弊も現はれて來て居るのであります、殊に戰時中に於きましては、地方行政協議會と云ふやうな、極めて「ルーズ」なものではありましたが、其の弊を矯めると云ふ試みをされまして、戰局が苛烈になりました時期になつて、地方總監府と云ふやうなものに纒められまして、所謂道州制と云ふやうな方向に數歩を進めて居つたのであります、其の地方行政協議會と云ひ域は地方總監府と申しますのは、何れも戰時中の必要に應じた行き方でありまして、終戰後に於きましては、其の改革を元に戻すと云ふ趣旨で、總監府は廢止されたのであります、それに代はるものと致しまして、極めて小規模の組織でございますが、地方行政事務局と云ふものを作りまして、道州制の點から見ますると何がしかの根が殘つて居ると云ふのが、此の改正案を立案致します當時の状況であつたのであります、此の改正案を立案します當時は、御承知のやうに食糧問題が非常に逼迫を致して居りまして、又食糧問題の逼迫を主な原因と致して居りますが、そればかりでもございませぬ、日本の社會治安の維持と云ふものに付きましては、なかなか容易ならぬものがあつたのでありまして、あのやうな逼迫した事態になりました時に於きまして、地方制度に手を著けると致しますと、假に從來ありますやうな意見に從ひまして、立派な道州制を打立て得ると致しまして、其の新制が運行されて行きますに付きましては、何がしかの時間を掛けなければ完全な效果を收めると云ふことは倒底不可能であります、さうして從來の府縣と云ふものに付きましては多年の沿革があり、又府縣の行政と云ふものに付きましては多年の經驗に依りまして、あすこ迄發展して參つたのでありまして、さうして日本の府縣行政と云ふものは、そこに一體性が出來て居りまして、寧ろ中央政府に於きましての諸施策は、府縣廳に行きまして綜合調整が出來て、是が實際に行はれて居ると云ふやうなことに於きまして、物の統一を圖り調和を取る、是が民情に適するやうに各地の實情に即應して居ると云ふやうな點に於きまして、非常な大きな特色を持つて居るのでありまして、只今のやうな事態を餘り根本的に變へずに進む場合、又道州制と云ふやうな非常に立派な案に依りまして、現在の府縣を解體致して、そこに新しい行き方をすると云ふことと、兩者比較して見た場合に於きまして、終戰後の事態と致しましては、道州制を採るには其の時期でない、どんな名案を得ましても、道州制を採るには時期尚早である、大體現在の府縣の状態を存續することが國家の爲に、必要であると云ふやうな結論に達しまして、今囘の地方制度改正に當りましては、道州制の如き新たな構想を加へないと云ふことになりまして、只今御審議を願つて居りますやうな改正案を得た次第であります、併し道州制の問題に付きましては、考へ方に於きまして、確かに適切なものがあるのでありまして、道州制を打ち立て、行くと云ふことに付きましての研究乃至立案は、今後も試みなければならぬ問題だと思はれるのでありますが、併し此の問題は今直ちに之を實施すると云ふやうな考へ方では行き兼ねるのではないかと思ひます、尚道州制の中に於きましても色々の考があるのでありまして、例へば戰時中の地方總監府と云ふやうなものを發表させまして、全國にあります四十幾つの府縣の上に官廳制の道州制を持つて行く、さうして道州長官は中央の指令を受けまして、道府縣知事を官治的に監督をして行くと云ふやうなのも、今迄我が國で論ぜられました道州制の一つでございますが、さう云ふやうな行き方を致すことが宜いかどうか、是は日本の政治の民主主義化の下に於きまして、府縣と政府との間に更にもう一つ官廳組織を作る、所謂屋上屋を架するやうな行き方が果して宜いかどうかと云ふやうな點に付きましては、民主主義の上から申して、又行政の能率の上に於きましてどんなものであるか、是は十分研究しなければならぬ問題だと思ひます、尚又さう云ふ行き方でございませぬで、現在の府縣は地方行政の一つの單位と致しましては、大體に於て小さきに失して居る故に、現在の實情に合ひますやうな道とか州とか云ふ地方自治團體の區域の廣いものを作る、全國を七つとか十に分ける、其のやうな地方自治團體たる道州制を設ける、從つて其の道州制の首長は、人民の公選に依る公選首長になるでありませう、さう云ふ工合にやつて、もう少し廣域の地方團體が出來ますならば、現在の府縣は餘りに大きいと云ふやうなことも考へられます、鳥取縣の如きは宜いと致しましても、長野縣のやうな所は、さう云ふやうになれば寧ろ之を二つか三つかに分割致しまして、下級の地方團體としてやつて行くと云ふやうな考へ方もあるやうでありまするが、斯う云ふことになりますと、結局道州と云ふ地方團體と府縣と云ふ團體、其の下に市町村が附くと云ふやうなことで、地方團體の階級が一つ殖えると云ふことになるかと思ふのであります、尚其の外にも色々構想されると思ひまするが、大きく分けますると、其の二種類があると思ひます、是等のことは今後の日本の經濟社會状態が安定を致して參り、又治安關係等に付きましても、一時能率は下つても新しい良い制度に將來なり得ると云ふ見込が確實でありまするならば、一時の能率低下は之を忍びましても、新しきものに「スタート」を切ると云ふことも、是は確かに考へなければならぬことでありまして、是は道州制の内容に盛られます所の合理性と、又其の合理的な案を實施することを堪へる社會状態であるか、國家状態であるかと云ふやうな、二つの點から考へて決定せらるべきものであらうと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=12
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013・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 最後にもう一點伺ひたいことは、是は大都市の特別市制の實施は大體何時頃になるのでございませうか、伺ひたいのであります、此の秋の臨時議會には特別市制法案のやうなものを御提出に相成る御意思はないものでありませうか、御伺ひ致します、實は本問題は多年の宿題でありまして、而も四圍の情勢機運は今や圖らずも茲に熟したかのやうに考へられるのであります、折角の此の地方制度改正案に對しまして、畫龍點晴の意味を有しまする所の此の特別市制法案をば、是非とも來る秋の臨時議會には御提出願ひたいと希望するのでありまするが、果して御提出の運びとなつて居るのでありませうか、如何になつて居るのでありませうか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=13
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014・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 先程來申上げますやうに、只今御審議を仰いで居りまする改正案は、地方自治制度の民主主義化に付ては大體必要面に觸れた改正をして居るのであります、然るに地方行政の面に於きましては、地方自治行政以外の點に付きまして、相當各方面に亙つて民主主義化を圖らなければならぬと云ふことになつて居ります、今後地方制度の改正を御審議を願ひます點は、主として官治行政面の點に重點が掛つて來ると思ふのであります、之を如何に改正するかと云ふ點に付きましては、是は政府と致しましても十分慎重に考へなければならぬことであります、而して其の行き方に付きましても、民主主義的なる行き方を致して、政府が獨善的に立案をすると云ふことは、是は避けて行きたいと云ふやうに考へて居ります、そこで成るべく近い機會に於きまして、地方制度調査會と云ふやうなものを設けまして、各方面から御參加を願ひ、其處で民主主義的なる改正の御審議を願ひたいと考へて居るのであります、其の地方制度審議會に於きましては、府縣廳以下の地方行政廳に於て扱つて居ります仕事を民主化することに付ての御研究を願ひたいと思ひます、是はどう云ふ工合になりますか、調査會の審議に依つて決せられることはございまするが、併し恐らく是は地方分權の線に沿ふての改革が議せてれると思ふのであります、地方分權を致すと致しますると、現在國家で留保致して居りまする所謂國政的な行政は、出來るだけ大幅に之を地方團體に移譲する、乃至は地方團體の機關に委任をすると云ふやうな形に相成つて行くと思ふのであります、其のやうな傾向を是認致しまするならば、御話のやうに、六大都市の如き大都市を一般都市とは別に扱ひまして、大體府縣並に六大都市を扱つて行くと云ふことになる傾向だと思ふのであります、それから更に從來特別市制の上に於きまして解決の困難な問題は、獨立致しました特別都市の財政關係と、それから其の六大都市を持つて居りました府縣の財政關係との間に於きまして如何なる調和をするかと云ふ點になかなか難點があつたのであります、當時の難點は、固より此の府縣から六大都市が特別都市として獨立致しますと、其の府縣の財政に非常な惡影響を與へる、有力なる六大都市に獨立されては殘つた府縣が困ると云ふやうな事情もあつたのでありますが、戰爭に依りまして、六大都市の財政力と云ふものに付きましては非常な變化が起つて來て居ることもありますし、さう云ふやうな彼此色々の點を考へて行きますると、六大都市に特別市制を布くと云ふやうな問題は解決し易くなりつつあるやうに考へるのであります、故に來るべき地方制度調査會に於きましては、六大都市に對する特別市制の問題も併せ調査を願ひまして、適正なる案を得て、出來まするならば次の通常議會には其の案を提出するやうな目途で努力を致して行きたいと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=14
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015・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 只今大臣の御説明に依りますと、此の特別市制問題に付ては並々ならぬ御苦心のやうに伺ひまするのみならず、地方制度調査會を設けて、其の調査會に於て研究をし、來る通常議會には提案の運びと相成るやうに努力すると云ふやうな御話を伺ひまして誠に感謝致します、どうか出來るだけ早い機會に於て實施せられますやうに御努力を御願ひ致して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=15
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016・河端作兵衞
○河端作兵衞君 今囘の東京都制の改革に付きまして御尋したいのでありまするが、區に或程度の大幅の自治權を與へて行くと云ふ、斯う云ふ風な現在の趨勢らしいですが、現在の區では行政區劃が甚だ小さい、完全に帝都の復興をすることには大きく四つ乃至五つに分けて行くことが宜いのではないかと思ふ、區税の徴收或は分擔金の賦課、起債、併せて財政調整交付と云ふやうな制度に新たに區の一面が加はり、一面政府が保護するやうなことにもなつて居りますが、現在のやうな荒廢に歸して居る帝都は、此の點はなかなかうまく行かぬと思ひます、此の區の併合を誤ると可なり凸凹の復興状況になるのではないか、斯う考へて居りますが、此の點の御考はどうなつて居るかと云ふことを伺ひたいと思ひます、横の連絡は、地方の縣の「ブロック」と違ひまして東京都は區と區の間が有らゆる關係に於て密接な關係があると思ひます、さう云ふものが果して横によく連絡が取れて、其の間の區分がよく區として之を期し得るかどうか、斯う云ふやうなことは極めて急務に屬すると思ふ、其の邊の御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=16
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017・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 東京都の區を見て行きます場合に於きましては、東京都に區部と町村部がありまして、區部は所謂大都市としての東京の一つの纏つた存在であります、三十五區以外の市町村部に於きましては、區部とは大分關係が違ふと思ひます、東京都の區部の地方行政の分を見ますると、是は其の都市としての性格の上から行きまして、都の一體性と云ふものは常に之を重視して行かなければならぬと考へて居ります、從つて今囘地方制度の改正に依りまして三十五區の自治的權限を相當各方面に亙りまして、改正を致して居りまするが、是等は總て都の一體性を阻害しないと云ふ、そこに何等かの保障を求めまして、都の一體性は之を保持する方途を講じて居る次第であります、例へば區に獨立した課税權を與へると致しましても、是は都會に於て承認したる區税を課けると云ふやうに致して居るやうな次第であります、其の他それ等の點に付きましては都の一體性を保持する要件を適當に考慮してある筈でございます、其の見地はずつと維持して行くべきであらう、斯樣に考へて居るのであります、併し今度は各區に付て見ますと、終戰後の各區の状態は其前に較べまして非常な激變を來して居るのでありまして、人口の分布の状態を見ましても極めて少數の區民しか擁して居ない區が段々出來て居ります、一面に於きましては戰災を受けなかつたやうな地方に於ては、非常な人口が集中して參りまして、一區に於きまして三十萬五十萬と云ふやうな人口を擁して居るやうな所もあるのでありまして、少いものになりますと一區一萬内外位の人口しかないと云ふやうに、區の内容と云ふものが非常に差異があるやうになつて來て居ります、是等が區政を運用して參ります上に於きまして、相當の補正を要請される主な理由であらうと思ふのでありまして、其の點に付きまして、只今區の分合を折角研究致して居る次第でございます、只今御質問の中には、東京都の區部を數箇の區に統合したらどうかと云ふ趣旨の御意見がございましたが、まだ只今の所と致しましては、三十五區をどの程度に統合するかと云ふ結論迄には達して居りませぬが、兎も角も現在の三十五區を適當に統合致しまして、都制の運用上適當なものに改造致したいと云ふことで研究を進めて居ります、尚又此の研究に當りましては民主主義的な行き方を致しまして、餘り官僚獨善になりませぬやうに、其の邊の所には十分注意を加へまして適當な案を得べく努力中であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=17
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018・河端作兵衞
○河端作兵衞君 都長官の間接選擧の方法に依る御考は……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=18
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019・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 都道府縣の首長を公選するとしまして、之を直接選擧するか間接選擧にするかと云ふ問題に付きましては、具體的の立案に際しまして、當時の内閣に於て各方面から研究し、檢討をされたのでありますが、結局公選をすると致しますと、間接選擧に依つては妥當なる一つの方法を見出すと云ふことがなかなか困難でありまして、結局民主主義に徹すると云ふ建前から致しまして、直接選擧より名案がないと云ふ結論に達して、さうしてあのやうな草案が決定されて、三月下旬に公表されたやうな次第であります、現内閣と致しましても前内閣の檢討立案の結果を承認致しまして、之に依つて進むと云ふことに相成つたのであります、從つて都長官の點に付きましても、是は特に抽出して研究も致したのでありますが、都道府縣均一に直接公選をするより外はあるまいと云ふやうに決した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=19
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020・山隈康
○山隈康君 御伺ひ致しますが、政府が此の各案を御檢討になりまする際に、改正憲法草案の精神を汲み、同時に他面には現憲法の下に制約されまして、其の間御苦心の情を諒察を致します、劃期的の改正憲法が制定されたる後に此の種の法案を御提出になるのが當然だと云ふ理論もありまするけれども、是亦目下の情勢が民主政體を一日も早く確立せねばならぬ、斯う云ふ見地から、改正憲法の效力の發生するを待たずして御提案になつたものと存じまして、さう云ふ了解の下に一つ御尋を致したい、此の衆議院の各種の修正に對しましては政府は大體に御同意になつて居るものと存じまするが、併し貴族院と致しましては獨自の見解に立つて此の案の檢討をして見たいと思ふのであります、そこで第一に御伺ひしたいと思ふのは、都道府縣知事を官吏にする、是は御説明に依つて相當根據のあることだと存ずるのでありますが、私の疑を抱くのは、道府縣知事の選出は一般投票に依る、さうして官吏とする、官吏に付ては衆議院の岡田委員の質問に對して、大臣は、官吏の任免黜陟は天皇の大權に屬する、斯う御答辯になつて居るのです、さう云ふことになりますると、國民投票に依つて選出せられたる道府縣知事が官吏となる、而してそれが若し服務紀律等に背反した場合に於ては、政府は之を罷免することが出來る、官吏である以上は罷免をすることが出來る、さうすると直接選擧と云ふことの精神に矛盾をすることになるのぢやないかと云ふやうな疑を起す、第二の疑は、地方議會が不信任の決議をなして直ちに之を解散する、解散後更に不信任案が決定致しましたる場合に於ては、知事は直ちに辭職せねばならぬ、假にも天皇の大權に屬する以上は、議會に依つて解任せしむると云ふことは大權干犯の虞はないかと云ふ疑がある、先づ此の點に付て御説明を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=20
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021・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 御質問の中には入つて居なかつたやうでありますが、ちよつと此の際申上げて置きたいと思ひます、衆議院に於きまして相當各方面に亙つて修正をされて居るのでありまするが、此の案に付きましては固より貴族院に於きましても十分に御審議に相成ることと思ひます、故に政府と致しましては衆議院の修正に積極的に同意すると云ふやうな態度を取りますことは、少し行き過ぎだと思ふのであります、故に私は衆議院の修正に付きましては、之を尊重すると云ふ程度で進みまして、一方に同意して、又修正があれば二囘同意をすると云ふやうなことはなかなか困難なことであります、衆議院の修正は差當り尊重して進んで行きたいと云ふやうに考へて居ります、此の點どうぞ御了承置きを願ひたいと思ひます、次に公選知事を官吏に致しますと、任命大權との關係が問題になつて來るのであります、此の點に付きましては段々研究を進めたのでありまするが、現行憲法の十條の但書に依りまして、法律で以て知事を任命する場合の規定を設け得ることに相成つて居ります、それに依りまして公選知事を官吏と致しますることは矛盾なく運營が出來ると云ふ見解であります、法律に依つて知事は公選せられる、さうして其の任期は四年であると云ふことになつて居るのでありまして、其の法律の規定が憲法十條の但書の適用に依つて公選されたものを知事とする、又其の知事と云ふ官吏に任命する、さうして其の官吏は四年の任期であると云ふことに相成つて居ります、まあ服務紀律違反がありましたやうな場合に於きまして、服務紀律違反が悉く免官をすると云ふことにはなりませぬ、重大な服務紀律違反の場合に於きまして、官吏制度の上に於ては固より免官の措置は執れる訳であります、併し公選知事の地位に鑑みまして、又任期が四年と云ふやうな地方制度の法律の精神と相睨み合せまして其處に圓滿なる運用が出來ると考へて居る次第であります、それから不信任の決議のありました場合、議會を解散致しまして、再び不信任決議を受けたと云ふ場合に於きまして當然退官をすると云ふ場合も、矢張り憲法の第十條但書に依つて矛眉なく進めることが出來ると云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=21
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022・山隈康
○山隈康君 ちよつと憲法の十條を御讀み聽かせ願ひたい、官吏の所迄憲法の十條に依つて解釋することが出來ることは私は頗る疑問だと思ふ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=22
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023・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 憲法第十條は「天皇は行政各部の官制及文武官の俸給を定め及文武官を任免す」是が本文であります、「但し此の憲法又は他の法律に特例を掲けたるものは各各其の條項に依る」と云ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=23
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024・山隈康
○山隈康君 只今の御答辯で了解致しました、先刻大臣の御答辯に依りますると、其處に非常な私は疑があるのでありますが、衆議院で府縣知事を公吏とする、それが無期限ではいかぬから憲法の效力を生ずる迄であると、斯う云ふ衆議院の氣持であつたやうである、又手續等もなかなか煩雜であるから、大體さう云ふ時期迄は知事の公選も困難ではないかと云ふやうな意味の御答辯がありました、どうも世間ではそれに對して政府と議會との互に面目を重んずる爲に妥協ではないかと云ふ疑が相當にある訳であります、それで衆議院で既に修正をされ、政府も其の修正を尊重されて貴族院で之を認めると云ふことになりますれば、私は道府縣知事が何時選擧されても、直ちに公吏の資格を帯びる、さうして此の改正案を改正憲法の趣旨に基調を置きながら、其の實施を俟たずしてやつたのは時局が急速を要する、斯う云ふ見地から致しまして、道府縣知事が公吏として職務を執るのに足るべき手續と云ふものは、急速に政府は爲すべき責任があると思ふのであります、何だか御答辯に依りますと、私共の疑は、成るべくはさう云ふ風にして愚圖愚圖やつて、手續を遲らかして、憲法實施迄に漸く道府縣知事の公選が出來ると云ふやうな風にして見たいと云ふやうな疑が起る、此の點を私は明白にして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=24
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025・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 其の點は或は申上やうが十分でなかつたかと存じますが、決して新憲法實施の時迄知事の公選を延ばすと云ふ趣旨は毛頭ないのであります、選擧人名簿が出來ますれば、情勢に依つては直ちに知事を公選致しまして、其の公選されました知事は官吏に任命して行く、さうなりますと、衆議院の改正法に依りますと、憲法實施の時迄官吏の身分を持つて居るものと心得ます、憲法實施の時から官吏の身分を持たせなくて、公吏でなければならぬ、公吏で運用し得る諸制度を憲法實施の時迄に確定しなければならぬと云ふ制約が生じて來て居る訳でありまして、公選されました知事は、憲法施行の日迄官吏で宜しいと云ふことになつて居りますから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=25
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026・山隈康
○山隈康君 それは此の條文だけの解訳に依りますと、當選をすれば直ちに公吏と解釋せねばならぬ、憲法の效力が發生する迄は官吏であると云ふことは、此の修正の法文自體ではさう解釋は出來るのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=26
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027・大村清一
○國務大臣(大村清一君) それは改正案附則を御覧下さいますと、憲法實施の時迄は官吏とすると云ふことになつて居りますから、公選されました知事は、憲法實施迄は官吏としてやつて行くのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=27
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028・山隈康
○山隈康君 道府縣の自治權の擴充強大化、是が主たる改正の目的であると思ふのでありますが、之に對しまして道府縣知事の公選、更に監査委員の選擧、斯う云ふことに依つて道府縣の自治が相當強くなることは疑がないのでありまするが、其の外に此の法律の施行に依りまして、從來に與へられたる道府縣……道は別問題でありまするが、府縣の自治の上にどう云ふ範圍に自治權が強大になつたか、擴大したかと云ふ點を一つ此の案を審議する上に於て承知すれば非常に便利だと思ひますが、此の法律の下に於て如何なる道に、今の縣知事若しくは監査委員の選擧等を除いた外に、自治權の實際に於ける擴大せられたる全貌を簡單に御知らせ願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=28
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029・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今提案致し居りまする地方自治制度の改正案其のものの中に於きましては、地方自治權の擴張されたと云ふ點は、是は固より指摘し得れば何でもございませぬ、例へば各種の點にあるのでありますが、自治體の首長の地位を民意に基いて確保する觀念、監督官廳に依つて地位が動かされると云ふやうな色彩を拂拭したと云ふやうな點もございます、又地方議會の權限を擴充し、又其の地位を確保したと云ふやうなこと、又監督官廳に依りましての認可、許可の上でも大幅に整理致すと云ふやうな、さう云ふやうな點を段々指摘をされ得るのでありますが、併し是等は現在府縣なり市町村と云ふ地方自治團體の權限になつて居ることに限られて居ることでありまして、今日地方行政が運營して行きます場合に於きまして、地方自治團體の權限外のものでやつて居る點が非常に多いのであります、例へば警察權の内容になつて居るやうなものも改めまして、是は地方自治團體の權限に委讓したら宜しいと云ふものが多分にあるのであります、尚教育の上、産業の上、土木の上、或は又經濟の上、色々さう云ふ點があると思ひます、併し是等は總て地方制度の條文の上では決められて居る問題でありませぬで、他の法令で決つて居るのであります、此の他の法令の改正に依りまして、今後大幅に府縣なり市町村に事務を委讓して權限を擴張すると云ふことが出來ませぬと、地方制度の改正だけでは極めて不十分な點があるのであります、そこで是は各省に關係のことでございますが、内務省と致しましては、例へば警察制度に付きまして、大幅な改正を致したい、さうして改正を致します方向と致しましては、現在の警察の仕事と云ふことになつて居りますものに於きましても、是は必ずしも警察と考へぬでも宜しい、警察以外の事務と觀念致しまして、之を地方自治團體に委讓して宜しいものが可なり澤山あるのであります、それは是非やりたい、それから更に性質は警察でございまして、是は國家の治安を維持する、或は國民の生命財産を保護すると云ふやうな、警察の本當の固有の目的と縁の遠いと云ふやうなもの、或は乃至はそれに關係がありましても、之を地方自治團體の方に委付した方が寧ろ能くやつて行けると云ふやうな、寧ろさう云ふものは警察事項と雖も地方自治團體に委讓したらどうか、其の地方自治團體は固より府縣市町村を含みます、そこで其の委讓します場合に於きまして、市の如きに於きましては、是は餘り小さい市迄之を引受けることが出來るかどうかは研究を要しまするが、相當の力を持つて居ります市に對しましては、市長の下に市の警察署を作つたら宜いのぢやないか、市長管理の警察署を作つたら宜いのぢやないか、其の中には、最も分り易いものは、消防の如きは、是は何も國家の權能として持つ必要はございませぬ、さう云ふやうな點で現在内務省の所管致して居りまする國の行政としてやつて居ります警察行政の中を之をほぐしまして、警察と觀念せぬでも宜いものもありますし、又性質が警察でありましても公共團體に委讓した方が宜しいものは大幅に委讓すると云ふことをやりたいと思ひます、其の他土木の點に付きましても、或は地方行政の點に付きましても、只今是は内務省は他省に率先して地方分權の趣旨に副つたことをやりたい、其の改正諸案は直ちに研究に著手致しまして、遲くも次の通常議會迄には整へて御審議を仰ぎたいと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=29
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030・山隈康
○山隈康君 地方自治權の擴充に對する御構想は大變結構だと思ひます、教育と地方自治團體、即ち市町村との關係に於ては、相當從來論議もされて關心を持つて居つたのでありまするが、之に對する大體の、確定でなくても御構想だけを承れば結構だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=30
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031・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 此の教育に關する行政權を或は國家が留保する乃至はどの程度に地方自治體に之を委付するかと云ふやうな問題に付きましては、是は地方行政の面から見まして、非常に重要なこととは思ふのでありますが、御承知の如く、是は文部省が所管を致して居ります、さうして文部省は教育行政の一大刷新を策しまして、最近教育制度刷新委員會を組職し、そこの審議に依りまして適當な案を得たいと云ふので、其の審議會は内閣に於て内閣管理の下に設置されたのであります、其の方で進んで居りますので、内務大臣と致しまして今此處に其の見解を申述べる時期に達して居らぬと云ふ點を御了承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=31
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032・山隈康
○山隈康君 從來の町内會、部落會、隣保組と云つたやうなものは、是は自治制度の相互扶助の上から致しましても非常に良い制度であります、是が完全に運營が出來ることになりますると、自治の基礎は非常に鞏固になつて來ると思ふのであります、之を必ずしも法制化して小面倒な枠の中に入れると云ふことは、是は無論避けねばならぬことでありまするが、どうも實際町内會若しくは隣保組、部落會等に於きまして、必ずしも理想通り行かないものが相當あるのであります、之を内務省として御指導になつて、完全なる町内會、隣保組若しくは隣組が出來上りますれば大變結構だと思ひます、何かそれに對して政府の方では法律外に、法律に規定せぬでも其の外にどう云ふ面に向つて御指導になると云ふ大體の御方針があれば承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=32
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033・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 町内會、部落會は戰時中全國的に大分普及致しまして、地方行政の最下部の機構と致しまして相當の效果を收めて居ると思ひますが、元々此の部落會、町内會は自然發生的に段々發達して參りましたものを、戰爭中に其良い所を採つて全國的に普及をば策したのであります、さうして其の良い面を強調される人々は、もう少し之を地方制度の上に採入れて、法律上規定をしたらどうかと云ふ意見も強くあるのでありまするが、内務當局の見解と致しましては、部落會、町内會は法三章的に行つて居る所に味がある人でありまして、之を餘りに法律で以て縛ると云ふやうなことは却て其の發達の上に宜くないであらう、故に今囘の地方制度改正に際しましても、大體餘り法律的にむつかしいことを書かぬ方が宜いと云ふので手を著けて居ないのであります、唯今度手を著けましたのは、部落會、町内會長に對して市町村が報酬を出せると云ふことだけ確か加はつただけでありまして、何も手を加へて居りませぬ、それから尚是は部落會、町内會の良い面でございまするが、併し多數ある部落會、町内會に於きましては、どうも好ましくない、又十分活動して居ない、又全體の利益よりも一部に偏しまして苦情があると云ふやうなものも段々あるのであります、殊に又、戰時中のやり方に付きましては、一般の行き方と同樣に少し官僚統制に偏して居る、と云ふやうな嫌ひもございます、併し部落會、町内會と云ふやうなものは、是は本質的に最も民主主義的に、自治的に行かなければならぬものだと思ひます、従來の運營の行き方に付きましても、民主主義的に自治的に徹するやうに一つ指導を致したい、之に付きましては、各種のものがございましたので、其の事例に依りまして、良いものに付きましての内容を成るべく廣く町内會、部落會の方に普及宣傳了解をさせまして、良い方に習ふと云ふやうな行き方に指導して行きたいと云ふやうに考へて居る次第でありまして、尚内務省及び各地方廳に於きましても、部落會、町内會の健全な發達に付きましては多大の關心を持ちまして、出來るだけのことは致して居りまするが、御話の如く是は地方自治の根本を培ふものと思ひますので、地方制度調査會が出來ましたならば、それ等の點に付きましても一つ御審議を願ふ、御相談も致したい、さうして是は密議會の意見として、其の線に沿ふて一つ民主的に部落會、町内會の健全なる發達に努力をしたいと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=33
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034・山隈康
○山隈康君 教育と自治權との連絡に付きましては、文部省の關係であるから自分としては茲に言明するあれでない、一應御尤もでありますけれども、是は地方自治の發達の上に又色々の關係がありまする以上、内務省として一定の御構想を抱かれまして、之を文部省と御協議に相成つて其の實現を期すると云ふことが内務省として御責任ぢやないかと思ふのであります、文部省の仕事だから我々は知らぬと云ふやうな御態度では甚だ遺憾に思ふのであります、是は従来全國市會會議等に於ても屡屡強調されまして、例へば給料のやうなものを一應市の豫算に繰入れて、さうして市が教員に之を供給する、どうも各市に於ける公民教育との間に成るべく何等かの連鎖があつてそれに親しみ、自分の市の學校なりと云ふ觀念で其の教育の完璧を期すると云ふことをしたいのが多年の希望でありまするが、今直ちに御構想を承らうとは思ひませぬが、能く御檢討願ひまして、文部省との御交渉の上に、教育と自治との關係に付て善處せられむことを切に希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=34
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035・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 私の申上げやうが十分でなかつたかと思ひますが、地方行政の上に於きまして、教育は誠に重要な一つの事項であります、殊に教育は自治行政の對象と致しまして最も私は適當なものの一つだと思ふのであります、自分の子弟を如何に教育して行くかと云ふことに付きましては、自治體の住民は最も關心を持ち、最も熱意を持つて居ることでありまして、是等を地方自治の内容に採入れることが、即ち自治政治の健全なる發達を爲す基盤でもあり、又自治政治の内容として最も適當なものと私は確信致して居るのでぁります、尚又先般此の教育視察團が「アメリカ」から來まして、其の視察結果の報告と致しましても、日本の教育行政は地方分權化すべきものであると云ふやうな報告も出て居りまして、是は私は誠に我が意を得た報告であると實は考へて居るのであります、故に政府と致しまして教育行政をどうするかと云ふことを私から申上げる時期でございませぬが、此の教育の問題に付きましては、地方行政面から多大の關心を持つて居ります、從つて政府に於きまして立案をされるに付きましては、我々も及ばずながら十分發言も致し、さうして地方行政の上に持つて居りまする教育の重要性を十分伸ばすと云ふことに於て努めて行きたいと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=35
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036・山隈康
○山隈康君 後で御尋をするかも知れませぬが、一應此の程度で打切つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=36
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037・松尾國松
○松尾國松君 委員長質問して宜しうございますか、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=37
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038・白根竹介
○委員長(白根竹介君) もう十二時になりますから簡單な質問なら何ですけれども、午後時間がございますから、午後に御願ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=38
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039・松尾國松
○松尾國松君 午後で結構です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=39
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040・多久龍三郎
○男爵多久龍三郎君 只今教育に關して色々御意思も出ましたし、私も非常に關心を持つて居りますので、適當な機會に文部大臣の御臨席を御願ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=40
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041・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 午前中は此の程度で休憩致しまして、午後は一時から開會致します
午前十一時五十三分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=41
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042・会議録情報3
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午後一時九分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=42
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043・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 是より午前に引繼ぎ會議を致します、松尾委員発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=43
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044・松尾國松
○松尾國松君 私は二、三伺ひたいのですが、第一としまして、今度の地方制度改正に依つて知事を官吏とすると云ふことは、現行憲法の第十條の但書に依る特例でせらるる、斯う云ふことでありますが、其の特例に依ると云ふことは、任命の官吏でなくて法に定められたる官吏とせらるるのかどうか、さう云ふ意味に考へるべきものかどうか、斯う云ふことであります、それはどう云ふ理由であるかと云ふと、任命の官吏と、斯う云ふならば普通の所謂官吏である、處が特例に依る官吏は任命の大權に屬せざるものである、同時に官制を定むる大權にも屬せざるものである、それは其の府縣の住民に依つて選擧せられたるものは官制の大權範圍外であると云ふことは、私が申す迄もない所であります、それでありますから、其の官吏は法律上の官吏であつて、任命に屬する官吏であるや否や、斯う云ふことが第一點であります、それから第二點として衆議院での答辯に、公吏と云ふことにする場合に於て、官吏服務紀律の第一條に牴觸しないか、もつとはつきりした申し方をすると、官吏服務紀律の第一條の、官吏は天皇及び其の政府に忠誠を盡すと云ふ意味と、憲法改正案の第十四條の第二項に、公務員は總てに奉仕するのであつて、一部分に奉仕するものでない、斯う云ふ關係に矛盾なきや否やと云ふ質問に對して、政府は改正憲法第十四絛の第二項の、總てに奉仕すると云ふ意味に含まれて居るから矛盾はない、斯う云ふ答辯の如くに私は考へた、讀んだのでありますが、さうするとさう云ふ風に考へると、矢張り知事と云ふものは官吏としても公務員と同じ考を持つべきものか、若し公務員の中に官吏と云ふものと公務員と云ふものがある、斯う云ふ風に別にありとすれば、其の官吏と云ふ考へ方は天皇及び其の政府に忠誠を盡すと云ふことで範圍が狹くなりますのであります、さうすると、公務員と一致の如く、一致でない如くにある、斯う云ふことでそこに矛盾がある、斯う云ふ風に思ふのでありますが、是はどう云ふ意味で矛盾がないと云ふことになるのでありませうか、斯う云ふことであります、それから第三點は今確實にそれが出來る出來ぬと云ふことは第二として、私の想像する所に依りますと、地方に今度は教育廳が出來て、教育支廳が出来る、或は食糧管理局が出來るかも知れぬ、それから交通管理局、是は現在では今迄運輸管理局があると同じことで、交通管理局が出來る、さうして或は土地管理局が出来るかも知れぬ、土地管理局若しくは戰災復興支局、炭礦管理局、斯う云ふものが出來た後に於て、此の出來た其の長官は官吏であるとすれば、矢張り茲に先に第二點に擧げた官吏の考へ方と云ふものでは、地方の公務員とは別になると思ふのであります、公務員は總てに奉仕する、斯う云ふことは公務員に與へられて居るけれども、さう云ふ官吏と云ふものの奉仕の對象を限定すれば、公務員にも自ら限定が出來る、さうすれば、自ら對立と云ふものになる、其の時に當つてさう云ふ今申した如き各廳が官吏として出來た場合に、公選せられた公務員は、改正憲法施行迄は官吏とすると、斯う云ふ意味であるが、併し先に第一點に疑義を持つた如き考へ方が違ふと、斯う云ふことになれば、既に是が違ふ、若し各廳が出來て、さうして選擧に依つた府縣知事と云ふものがさう云ふ風に考を決めるならば、殆ど行政權は制限されてしまふと思ふのであります、制限されてしまつては公選知事と云ふものは極めて小範圍の孤立である、斯う思ふのであります、それに付て政府の考はどう云ふ點にあるか、それから第四の點は大凡今度の地方制度の改正をしましても、市町村に於ける各種の團體を活動せしむる爲に、其の市町村長若しくは府縣知事の相當なる統合的指導をする、斯う云ふことになるのであります、是は私共が大いに贊成をするのであります、贊成をするのでありますが、其の贊成をした結果に於てどうであるかと云ふと、今のやうに官廳の色々なものを拵へて行くと云ふと、名は政府の説明の如く、今度の改正は地方自治體の民主化である、民主主義の徹底である、民主性の確立であると言つても、極めて其の範圍が狹くなる、斯う云ふことに付てどう云ふ風に御考になるか、それから尚第五としては、公務員を、近く提案せられる所の公務員法に付てそれ等の問題を決められると云ふ御考であるか、それは、地方行政は一元でなけりやいかぬと云ふことは申す迄もないことであります、知事に一元しなければいかぬと云ふことは申す迄もないことでありますが、其の一元の事實を、口には一元と稱して、事實に於ては一元どころではない、殆ど縣知事の權限が或意味に於て著しく制約さるると云ふ結果を見ると思ふのであります、さう云ふ意味から考へて、それも矢張り公務員法にどう云ふ風に考へられるか、是は約めて申せば内務省に關係して居る所も可なり大きな問題であると思ふのであります、先程内務大臣の御説明を伺つて居りますと、府縣の統合の上に於ける道州の考へ方に付て私は斯樣に承つたのであります、現在に於て縣を或は距離の短縮其の他に依つて廢合すると云ふ意味は現在の處持つて居らぬ、更にそれに對しては戰時中の總監府其の他のものは變へるとして、道州と云ふものを現在は採入れて居らぬけれども、將來考へられるかも知れぬ、それに付て官吏組織にするのと自治組織にするのとある、斯う云ふことなのであります、私は其の問題に付ては官吏組織と云ふものより所謂自治組織になるべきものであると、斯う思つて居るのでありますが、さう云ふやうなことを色々綜合的に考へると、今御尋ね申すやうなことが根本になるのであります、それで内務大臣の御説明を承ると、民主主義に徹底せられると云ふ御意圖の如くに聽けますのでありますが、併し其の法文の上で色々考へて見ると、それよりも違つた方面に相當に考があるが如くに見えるが、さう云ふ點に於て今のやうな御尋を申すのであります、今迄のやうな御詳しい御説明でなくても宜しいが、今伺つたことに付て簡明で宜いから御答を御願したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=44
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045・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 御尋の第一點は、憲法第十條の但書に依つて出來ます官吏も齊しく天皇の任命大權に依つて任命されるものと云ふやうに御了承を願ひたいと思ひます、尚此の點に付きましては御許しを得まして、後で他の政府委員から他の事例等も引きまして、更に御説明を申上げたいと思ひます、それから次に公務員に關する點でありますが、現行憲法の施行中に於きまして、知事が公選せられて官吏に任命されて官吏知事が出來たと云ふ場合に於きましては、官吏知事に關する限りは、是は固より現行の官吏服務紀律が適用されることでありまして、そこに實際問題と致しましても何等疑義は生じないと思ふのであります、尚又新憲法が實施せられると云ふ時期になりますれば、新憲法の精神に從ひまして、現在の官更服務紀律は適當に是は修正せらるべきものであらうと思ひます、新憲法の絛文に依りますと、或は官吏法と申しますか、或は公務員法と申しますか、後者の場合に於きましては、恐らく官吏、公吏を含めた意味の公務員法が制定されることと思ひます、其のやうな新法律に於きまして、現在官吏服務紀律或は各種の官制にあります規定が、新憲法の趣旨に從ひまして改正されるものと思ふのであります、さうなりますれば、其の時期になりまして、知事を公吏に切換へると云ふことに相成りますれば、公務員法に依つて規律されることでありまして、又何等の支障なく行はれるものと思ふのであります、併し何れに致しましても、現在の官吏服務紀律の第一條の精神となつて居りまする所は、結局天皇及び政府に忠誠を捧げてやつて行くと云ふことも、亦新憲法にありますやうな全體の公僕であつて一部のものでないと云ふ公務員の規定も、根本の趣旨に於きましては、私は何等變はるものはないものと考へて居る次第であります、それから第三點でございますが、今後地方に於きまして、特殊の官廳が設置されるかどうかと云ふ問題に付きましては、全く未決の問題でありまして、之に付きましては今後の研究立案になることでありまして、又當然今後の地方官廳に付きましては從來と違ひまして、官制と云ふやうな議會と關係のないもので運行されませぬで、官廳に付きましても必ず國會の議決を經て決められるものと思ふのでありまして、其の行き方に付きまして、今直ちに私が、此のやうになると云ふやうな豫測を立てることは、非常な困難な時期であります、何れ此の問題に付きましては、民主的なる研究に依り立案され、又是が民主的に決定さるるものと思ふのであります、從つて一に今後國家運營の最高機關であります所の國會に依つて萬事は決せらるる訳でありますが、併し是は私の豫想と申しますか、希望を申上げますと、丁度松尾さんの抱懷されて居ります御考と全く同一に進んで欲しい、又進むべきではないかと云ふやうに考へます、之を他の言葉で申しまするならば、地方自治團體が眞の意味に於きましての自主性、自律性を持つて行くと云ふ線に沿うて、今後決定さるべきではないかと思ひます、唯名目上そこに自主性、自律性を與へまして、實際に於きましては、主要な事務が他の官廳、他の機關に分割されまして、形式上だけの自主性、自律性を地方公共團體が持ち、實質は他に在る、乃至は他から非常な制約を事實上受けると云ふやうなことであつてはならないと云ふやうに考へて居る次第であります、併し是からは何れ民主的に解決をされることでありますが、私の所見を申上げますと、只今申上げましたやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=45
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046・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 大臣の御説明に加へまして、初に御尋の點を申上げますれば、現行憲法の下に於きましては、官吏は直接たると間接たるとを問はず、總て天皇の任命大權に基いて任命され、例外を認められませぬことは、當然のことと存ずるのであります、但し官吏の種類に依りまして、資格要件なり分限等に特別の規定を設けることを認められますることは、憲法第十絛が自ら認めて居る所でありまして、例へば裁判所構成法の如き、行政裁判法の如き、會計檢査院法の如き、或は判事懲戒法にありますやうな除外に關するもの、是等は一般の官吏任免大權に對する特例を成して居るものであります、從ひまして此の度の地方制度に於きまして、都長官又は府縣知事は、其の被選擧權ある者に付選擧人をして選擧せしめ、其の者に付て任ぜられまするやうに規定致されて居りますることは、如何なる者を官吏に任命すべきかの資格要件に付きまして、法律自體に特定の規定を設けますることを認められましたものでありまして、官吏任免大權の發動上から見まするならば、正しく官吏任用資格の憲法第十條に申しまする特例に當るものであり、從つて又憲法の御趣旨に明瞭に合つて居るものと存ずるのであります、唯法律を以て別段の規定をなすと申しましても、一定の要件を具備して居りまする者は當然に官吏となりまして、何等任命の手續を要せずして官吏の身分を取得すると云ふが如きことを考へまするならば、是は恐らく任命大權の精神に背反するものと存ずるのであります、併しながら只今申述べましたやうに、資格の要件に付きましての特定の規定が地方制度上規定致されて居りますことでありまするから、從來の官吏の任用に付きましては、確かに新しい形であるのではありまするが、是は憲法自ら豫想して居りまする新しい形態の任命大權に關する一種の制限でありまして、之に依りまして寧ろ地方行政運營の理想と國家行政運營の理想とが現實的に調和する點を發見せむとすることであり、法律上も何等支障のないことと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=46
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047・松尾國松
○松尾國松君 大體は分りましたが、今の御説明で尚一つ御尋ね申して置きます、一體現在の官吏任命と同じやうな意味の官吏であると云ふ御説明のやうに私は承つたのですが、其の承つた意味で一つ御尋ね申すのでありますが、然らば官吏任命と云ふものの、公選に依つて其の地位を取得した者は任用令に、まあ改正すると云ふならば格別でありますが、現在は任用令にない訳であります、それでありますから、さう云ふ選擧に依つて其の地位を獲得すると云ふことは任用の範圍でない、斯う云ふ風に考へられるのであります、更に行政裁判所、若しくは會計檢査院の例もありましたが、其の例は多くは任用權の意思の發動が主になつて居るが、今度はさうでなくて地方住民の意思の發動に依るのであります、從つてそれに依る者を同じ任用令に依る官吏であると云ふことは、理論的にも通らぬと考へられる、之を何故斯う繰返して申すかと云ふと、其の考が本になる爲に、官吏は國に奉仕するのであると云ふ別個な考が起るのであります、私の考へ方では改正憲法の趣旨は、公務員で一定して居ると思ふ、其の公務員と云ふ者は全體に奉仕して、部分に奉仕するものでない、此の全體に奉仕すると云ふことは、其の民族が構成する國家に忠誠なることは、奉仕することは勿論でありますが、延いては世界人類に奉仕すると云ふ意味に迄發展すべきものであると考へるのであります、さう云ふ考の基礎の下に於ては、公務員の考へ方と云ふものは、何れも同じことである、然るに公務員の中に於て任命された官吏と云ふものの標準と申すか、奉仕の目的と申すかは、其の政府に限定さるると云ふことは、自ら同じ選擧された公務員の中に二つの對立を來す、更に之を從來の例に依りますと、地方團體と云ふものは國と對立すべきものである、國との一致でないものと云ふことは、其の組織する組織體の中に既に二つの考を持つ、斯う云ふ結果になるのであります、具體的のことで申せば、自分は官吏であるから國に奉仕するのである、或は政府に忠勤を盡す、斯う云ふことになる、一方に於ては地方團體に奉仕するのである、斯う言ふと、そこに大きなる相違が生じて來るのみならず、一方に於て斯う云ふ問題が起ります、地方住民から言ふと、それは地方に奉仕する精神でないからして、我々の機關としては信用しないと云ふやうな議論も出て來る、それであるからさう云ふ考へ方が寧ろ矛盾を來す結果を生ずる、斯う云ふ風に考へられる、それでありますから此の公務員を選定さるるに當つて、私共は是は重大なる問題であると思ひます、私は實は此の頃も斯う云ふことを話合つて居るのですが、今度地方制度の改正案が衆議院で相當多數の個所の修正があつた、斯う云ふことは私は當然であると思ふ、決して内務省の成案が悪かつたのでも何でもない、是は當然である、それから審議に日が要るのも當然である、それはどう云ふのであるかと云ふと、從來の言葉を以て申せば、其の官廳が斯く爲さしむるのである、斯く爲すべきである、斯う云ふ風な考へ方から出て居つたのである、それから今日は所謂それを受くる方のものが、斯く爲すのである、斯く爲す義務を持つのである、爲さしむるのでなくて爲すべき義務を持つものであると云ふ點から、義務を果す意味に於て、責任感の上からに於て、最も適切なることを法の上に表はす、斯う云ふことから改正が起つて來る、從つて先達て内務大臣の御説明にありました如く、其の途に多年經驗を積んだ人の意見である、と斯う云ふ御話であるが、私は御尤もだと思ひます、さう云ふ意味に於て修正をさるるのであるから、修正の個所の多いのも尤もであれば、審議に日が要るのも尤もである、斯う云ふ風に考へるものでありますが、さう云ふ風に考へると、どうしても官吏と云ふものは、私は大體改正草案に於て第七條の第五號に、國務大臣及び法律に依つて定むる官吏とありますが、此の官吏と云ふものは憲法政正案に依る公務員に一任せらるるものであると、斯う云ふ風に考へて居ります、さう云ふことを申上げると各條を引かねばならぬで時間が掛かるので省いて置きますが、さう云ふ風に憲法改正のそれぞれの條項と連絡して考へて見ると、さう云ふ風に考へるのでありますが、どうしても茲に官吏は從來の如く其の政府に忠實に、勿論政府と云ふことを廣義に解するとすれば、其の國家及び國民の發展、斯う云ふことになりますが、それは別な解釋であつて、今日迄に於ける解釋と云ふものは、感じ、事實、斯う云ふことになつて居るのであります、從つて考へ方が違つて來る、此の考へ方が違ふ爲に、現在に於て官僚、まあ官僚と云ふ言葉は古いかも知れませぬが、官僚に對して色々な批評を加へる、斯う云ふことは此の考が本になつて來て居るのであります、で私共は此の考を變へなければ、公務員法で變はらなければ教育にも及します、教育にも矢張り及す、まあはつきりした言葉で言へば、どの方面にも從來の如く官尊民卑、斯う云ふことになります、官は主觀的に意見を常に持つて居つて、さうしてそれを押し付けるが如き態度、之を獨善と稱する、斯う云ふことになるのでありますが、此の根本問題が公務員法で改まらなければ、私は改正憲法の趣旨に副ふものでないと、斯う云ふ風に考へるものでありますが、只今迄の御説明に依ると、公務員の中に官吏と公吏とある、斯う云ふ風になつて、自ら其の間に奉仕の標準と申すか、目的が變はると、斯う云ふ意味は私はどうしても此の憲法に依つて矛盾があると、斯う考へるものであります、第一番に國會法の草案に於きましても、書記官長は官吏とせず公務員とすると云ふことになつて居りますが、是なぞでもどう云ふことであると云ふと、私の解釋に依れば、書記官長は議會に奉仕するものであつて、國の奉仕でないと、斯う云ふことに考へられる、さうすると云ふと、さう云ふことを一つ一つ考へて行くと云ふと、矢張り考へ方の分裂を來すと云ふことになると思ひます、私は更に論ずるならば、大體今迄唱へられた自治體に於て固有の事務と委任事務と云ふものの、大體私の考はさう云ふものはないと考へて居りますが、それは仔細に檢討すれば何れも國家奉仕の目的のものであつて、其の住民だけのものでない、それは小さく約めれば小さい道路が町村にあるが、其の小さい道路は國民が通るから國家奉仕である、新憲法の規定はさう云ふ意味であると私は確信して居るのでありますが、從來の如き考へ方は全然變はるものであると、斯う云ふ意味から、今のやうな意昧に於て公務員法に二つになると云ふことは理論的に成立たぬ、斯う云ふことを考へる者であります、まあそれに付てどうしても二つであると、斯う云ふことに御考へになるかどうかと、斯う云ふことでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=47
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048・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 公選せられました知事を官吏に任命すると云ふ點に付きましては、他の政府委員から御答へ申上げましたやうに、官吏の候補者として知事公選に當選した者を任用條件にして、それに基いて任命されると云ふやうに考へて居るのであります、其のことは憲法第十條の但書、此の但書に依りまして憲法に抵觸するものではない、唯さう云ふやうな事例が今迄餘りなかつたと云ふことは事實でありますが、併し憲法に牴觸するものではないと云ふやうに考へて居る次第であります、尚又其の現在の官吏服務紀律と云ふやうなものは、何れ新憲法の精神に從ひまして公務員法とも言ふべきものの中に於きまして、適當に是は改正されると云ふことを私は豫想致し必ずさうなるであらうと云ふやうに考へて居る次第であります、尚又其の公務員法とも言ふべきものは立案をされる場合に於きまして、是は今日に於きまする官吏も公吏も規律されるものであらうと思ひます、是は官吏公吏と云ふやうなことは區別致しませぬ、公務員全體としての心掛なり、任用なり或は待遇なり、斯う一律に取扱はれて然るべきものだと思ふのであります、唯區別さるる點は、國庫から俸給が出る者は官吏である、地方團體から俸給の出る者は公吏であると云ふ位な區別以外は、全部一律に規律さるるのが至當であると私も考へて居る次第であります、是は今後是非立案し、議會の御議決に依つて決まることでありますが、新憲法の精神から申しまして、又日本の從來の封建的な、或は官僚的な政治を民主主義的な政治に直す點から見ましても、斯樣な方向に於て進むものであらうと云ふやうに私も考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=48
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049・松尾國松
○松尾國松君 私の質問は是で終りまして、又各事項に付ては逐條の時に御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=49
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050・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 山隈委員に御尋しますが、午前中の文部省に關聯したことで……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=50
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051・山隈康
○山隈康君 午前に内務大臣に對しまして、市町村と國民教育との關聯に付て質問を致しましたが、是は文部省の所管であります、幸に文部大臣がおいでになつたやうでありまするから、多少前言を繰返す點はありまするが、御尋ね申上げたいと思ひます、市町村に於て國民教育には重大なる關心を持ち、全部の子弟を委託を致しまして、絶對の信頼と尊敬とを以て國民教育に接觸して居つた次第であります、然るに從來の法制に依りますると、國民教育と市町村との間には何等の繋りがないのであります、今少しく連絡を密に致しまして、我々の學校、我が市町村の學校であると云ふ觀念の下に尚一層國民教育に信頼を厚くし、且之を擁護し、其の完成を期するやうに努力したいと思ふのであります、自主權は非常に擴大し、殊に教育分權も唱へられて居る際でありまするから、此の際市町村と國民教育との連鎖、例へば數年來大分問題になつて居りまする所の小學校の俸給、是は特別市には唯市民を通じて給料を出す、市町村は市町村の豫算に入れて、さうして之を教員に交付する、其の關係で此の教員と市町村との間に一種の連絡關係が生ずる訳であります、併し斯う云ふ主張は到頭時の政府が採用する所とならなかつたので頗る遺憾に存じて居りまするが、文部大臣は此の連絡に付てどう云ふ御考を御持ちになつて居られるか、一應御伺したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=51
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052・田中耕太郎
○國務大臣(田中耕太郎君) 教育の地方分權化と云ふ問題に付きましては、昨年來文部省と致しましてもずつと研究を續けて今日に至つて居ります、まだ併し確定案を得て居る訳ではございませぬし、是は時に關係廳方面も色々あるのでありますし、最も關係密接なのは内務省であります、尚是は色々な根本問題がございまして、最近に發足致しました教育刷新委員會の議にも諮らなければならないことでもあります、何れに致しましても、教育の地方分權と云ふことは、是は非常に必要なことであります、殊に此の教育に付ては官僚的の統制と云ふことを非常に嫌ひます、尚其の半面と致しまして、地方の教育界の溌剌たる機能發揮を助長すると云ふやうな方向に向いて行かなければなりませぬ、さう云ふ見地から考へますると、現在の是迄やつて參つた制度は是は米國の教育使節團も十分認めて居る訳であります、我々と雖も教育使節團が認めようが認めまいが、何とか是は改革しなければならないと云ふことを痛切に感じて居るのであります、先程來の御質問にも關係して參るのでありますが、地方自治體と云ふものは有らゆる事務に付て一元的に處理しなければならないと云ふことも、各各國の事務の性質に依つて自ら限度があることは、是は例へば裁判所の制度と云ふやうなものに付ても認められるのであります、教育をどう見るかと云ふことは、是は人々に依つて又判斷も違ふことであります、或意味に於きまして、例へば費用の如き、地方が負擔すると云ふことは是は理想的であるが、今迄理想的に參つて居ないのであります、色々そこに問題があります、理想から言ふと教員の費用の如き、俸給の如き、詰り國家が負擔して支給すると云ふことが、是は今迄の經驗から言ふとさうなければならないやうに思ふのであります、併しながら之に對して逆行する主張もございます、教育の根本に關します限りは、日本教育の民主化の大方針、殊に軍國主義的、極端な國家主義的要素を日本の教育界から排除する、殊に新しい、制定せらるべき憲法の精神に則つて國民教育を遂行するとか、或は社會教育を遂行するとか、或は大學から國民學校に至る迄の縱の線をはつきりさせる、そこに地方分權的の精神を織込んで行く、又社會教育と學校教育との相互の關係と云ふことを色々考へて見ますると、一市町村の活動の範圍を教育するものがあるのであります、さう云ふやうな色々な方面から考へまして、教育に於ける地方分權と云ふことも十分に檢討致しまして、内務大臣がさつき申しましたやうに議會の議を經て、理想に近い案を得て、速急に實現に移したいと思つて居ります、併しながら、此の場合附加へて置きますが、此の場合に於きましても公立學校に付きましては市町村との關係は極めて密接なものがあるのでありますから、殊に此の施設の方面に對しては地元も非常に關心を持つて居ります、又關心を持つて貰はなければならないことであります、で此の間題に付きましては、どう云ふ制度が確立せられるかは別として、兎に角市町村との連絡に付ては十分考慮しなければならないと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=52
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053・山隈康
○山隈康君 只今教育行政に付ては其の性質上市町村との連絡關係に於ても自ら限度がある、是はまあ御承知の通りであると思ひます、併しながら司法權の問題を御引用になりましたが、是は御承知の如く全く獨立の機關である、それも今度は簡易裁判所と云ふものを市町村に設けまして、市町村との繋りをし、更に大幅に各種の調停法を設けまして、さうして民間の人を調停委員に參加せしめまして、其の土地の町村や市と相連絡協調致しまして、裁判の圓満なる運用をやつて行く次第であります、獨立せる裁判所でも左樣なる所謂民主化を一路辿つて居る譯でありまするから、國民教育に對しましても更に一段の御配慮を願ひたいと思ひます、今一つ改正憲法草案に依りまして、基本的人權が確立して、國政が國民の手に移つて參り、國民の責任は重大でありまするが、其の權利の中に最も重きを爲して居りまするのは、國會議員の選擧、最高裁判所の裁判官の審査、或は地方公共團體の首長の任免、若しくは議會の解散請求、或は其の他種々認められて居りまするが、國民が國政に参加する中心は國民投票なんである、總て是等のものは國民の投票に依つて行はれる譯であります、然るに從來の此の投票の成績を見ますると、情實、因縁、請託等に因はれまして、眞の公正なる選擧を見る能はざることは、頗る遺憾とする所であります、そこで私は一つ教科書等に於きまして、國民投票の如何に重大なるものであるか、之を公正に運用すると云ふことは、國民に課せられたる眞の大きな義務であると、斯う云ふことを一つ教科書等に御編纂を願つて、兒童を通じて將來の立憲國民の完全なる人格を養成したいと、斯う考へて居りますが、大臣の御所感はどうでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=53
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054・田中耕太郎
○國務大臣(田中耕太郎君) 新憲法草案が實施せられますのに當りましては、特に地方の青年なり或は一般の青年層、それに對しましても公民教育の徹底と云ふことが必要と存じます、公民教育の徹底、新憲法の精神の普及と申しましても、單に抽象的の掛聲に終つちやなりませぬので、具體的に色々例を示しまして、殊に學問のない者も澤山ある譯でありますから、さう云ふ意味に於きまして、卑近な事例を採つて、又最も重要なる事例を採つて説明しなければなりませぬ、當面の一番必要なる、又今後も引續いて重要なる問題は、此の投票の問題であります、之が詰り民主主義的政治の入門であり、又之が公正に爲されれば、民主政治は大半完成したと云つて宜いと思ひます、此の點に付きましては、特に文部省と致しましても、全力を注いで選擧に對する心構へに付て、政府が新憲法の精神として考へる所を徹底せしめたいと思つて居る次第であります、尚具體的に公民教育の立場からの教科書の編纂等に付きましては、色々專門家を煩はしまして愼重に計畫致したいと思つて居ります次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=54
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055・山隈康
○山隈康君 此の間題に對する私の質問は終りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=55
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056・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 多久男爵如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=56
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057・多久龍三郎
○男爵多久龍三郎君 甚だ僭越でございますが、少しく卑見を述べまして文部大臣の御意見を煩はしたいのであります、此の度教育刷新委員會が出來まして、色々教育の根本的刷新に付きまして御審議になつて居りますることは、新聞其の他で拜承致しました次第であります、それに依りますと、學區廳の制度が出來ますやうなことも新聞に依りまして拜聽致して居ります、之に依りまして教育は從來の他の行政部門から全然獨立致しまして、國の行政上の問題に煩はされなく、一意教育と云ふ點を達成して行くと云ふことに付きましては、私共非常に有難く感じて居ります次第であります、併しながら此の學區廳の制度に付きましては、新聞に僅かに出て居りますだけでありまして、私共何等其の内容は分らないのでございます、此の點に付きまして文部大臣に、まだ御審議中でありませうけれども、多少とも其の概要を御示し戴きますれば、誠に仕合せと存じます、今日教育職員に於きまして非常に色々不平がありまして、それが爲に教員組合ももう盛に各地に出來て居ります、私共教育に多少關係致して居ります關係上、教員組合と云ふものの成立は非常に贊成でございますが、是が間違つた方向に向ひやしないかと云ふことに付きまして、常に關心を持つて居ります次第でございます、第一教員組合の主張は何處に於きましても、其の主張の第一は教學課長の公選と云ふことになつて居ります、是は誠に理由のあることでありまして、私共も贊意を表する點もありますが、併し又色々制度上、或は其の他の方面から見まして、一概に之に贊成する氣分にもならないのであります、大體に於きまして教職員の不平、不滿と云ふことは、勿論金錢上に於きまして他の官吏よりも下位だと云ふやうな風なことに付きまして、第一に不平を持つて居ると云ふことは是は當然のことであつて、又、重要なことでございますが、之を除きまして、所謂人事に面白からぬ點があると云ふことが常に言はれて居ります、此の點に付きまして相當の不平を持つて居るのでございますが、殊に上級の學校に於ては左程のこともありませぬが、國民の基本を成す所の最も重大な責任のあります國民學校、中學校、青年學校の教職員に、常に斯う云ふ風な不滿、不平のありますと云ふことは、非常に、我國の將來に對しまして寒心すべきことではなからうかと存じます、さう云ふ面に於きまして此の學區廳が出來まして、人事其の他も學區廳で行へると云ふことに付きましては、誠に有難いことでございますが、併しながら新聞に依りますと、學區廳の一番首長になる御方は、大學總長であられるやうでございますし、其の下部はどう云ふ風な組織になつて參るか分りませぬが、大體に於て教職員に依つて之を築き上げると云ふやうな御趣旨ぢやなからうかと、實は仄聞するのでございます、然るに只今迄教員の出身でない若い教學課長に依りまして、相當年功の教職員が左右されると云ふことに付きましては、多方面に於きまして不合理だと云ふ聲を聽きますことは私も甚だ同感でございますが、併しながら教學課の中に、現に私の縣なんかに於きましても、教學課長は現在は教員出身の人でございまして、又教學課には多數の校長出の人も居られますが、校長である時の態度と或は縣の視學、或は地方事務所へ入られた場合、視學となられた時に於きましては態度が豹變するのであります、でさう云ふ關係で人事にも甚だ末端に於て面白からぬことが教職員の中で御互に起る譯でありまして、教職員の自體に依る人事必ずしも完全と云ふことは出來ないのであります、此の閥に依る人事と云ふことは、或は私共の縣に於ては特に激しいのかも知れませぬが、併しながら此の教職員に閥の出來ましたと云ふことの原因は、舊く遡つて見ますと、矢張り師範學校長等の、舊い教育者の勢力が相當影響して居るのであります、必ずしも教育者に依つてのみ此の人事が完全に行くと云ふことは出來ないことは、既に大學に於きましても先生の間に閥のあると云ふことは、私共學生時代に既に相當苦い經驗を持つて居ります次第でございます、矢張り地方の教職員の人事、是が最も教育上の大事な根本問題でございますし、之には失張り地方に於ける學識ある民間人を相當參加させて、さうして教育に非常に熱心な人を之に參加せしめて、教職員の不平を聽き、人事の公正を期すると云ふことが、私には最も必要でなからうかと云ふ風に考へられるのでございます、斯う云ふ點に付きまして文部大臣の御高見を伺ひたいと存じます、又もう一つには縣廳に於きます行政と、教育の方面とが、全然分離致しますやうな關係になりますと、先では宜いかも存じませぬが、只今に於きましては、尚物資の配給と云ふ關係がございます、私の縣なんかに於きましても、兎角圓滑に參りませぬで、教職員の一番今欲して居りますのは、是は誰でも同樣でありますが、彼等は精神方面の勞働ばかりでなく、最近食糧其の他の關係もございますので、相當筋肉勞働もやつて居ります、之に對する地下足袋の配給、或は成るべくは其の學校の附近に住まはせると云ふ方針のやうでありますけれども、併しながら只今の住宅難の折でありますから、隣村から通ふ者が相當ある、之に對する自轉車の「タイヤ」の配給と云ふやうなことは殆どないのであります、而も縣に對しては相當配給があつて居りまして、丁度教職員の俸給が縣の吏員よりも以下であると云ふのと正比例致しまして、配給面にもそこに非常に改善さるべき面があるのぢやなからうかと斯樣に考へるのであります、學區廳が出來まして縣廳の方と對立致しますと、對立と迄行きませぬでも、ちよつと系統が違ふと云ふやうなことになりますと、斯う云ふ問題に於きましても、亦相當困つた問題が起つて來るのぢやなからうかと斯う云ふ風に考へるのであります、斯う云ふ方面に於きましても、縣と密接な關係を持ち、又縣の議決機關とか、或は實行機關とも十分密接なる關係を持つて、さうして其の教育の民主化を圖つて戴きたいと云ふのが私の希望でございまして、之に付きまして文部大臣の御高見を拜聽致しますことが出來ますれば、誠に仕合せと存ずる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=57
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058・田中耕太郎
○國務大臣(田中耕太郎君) 多久男爵に御答へ申上げますが、學區廳の案は新聞に掲載されましたけれども、あれは文部省が幾つも持つて居ります案の一つ、而も或段階に於ける案でございまして、關係各方面の了解を得なければなりませぬし、實はあれが新聞に出ましたことは、文部省としましては當惑致して居るやうな次第でございます、從つて只今御質問がありました所に具體的に御答へ致す迄には參つて居りませぬが、併しどう云ふ目標に向つて考へて居るか、極く「アウトライン」ほんの抽象的な構想を申上げますれば、人事に對する教員組合の方の不平と云ふことは、是は先程男爵が御指摘になりましたやうに尤もなことでありまして、斯う云ふ點が此教育の地方分權化の制度面に於ける重要な點ではないかと思つて居ります、それから學區制として發表されたものに付きまして、帝大總長が其の頭になると云ふやうなことも、決して是は決つて居ることではございませぬ、假に何等かの形で地方分權的の組織が出來ますと致しまして、下部の方の組織は、是は矢張り一般の民間有識者を入れるとか、詰り各界の中から代表的の人物を重要なる機關に採入れると云ふことは十分考へて居ります、從つて教育家が獨善にならないやうに、大いに努めなければならないと云ふ風に存じて居ります、それから先程御答へ申上げましたやうに、地方自治體、詰り府縣、市町村等との連絡の問題、是も只今御話がありましたやうに、特に物資の配給の關係、又は資材關係、其の他府縣廳、市町村等に對して依存しなければならない點が多々あります、是は詰り例へば私立學校に於きまして、學校の教育それ自身と、別に學校の維持に關する財團と云ふやうなものがあります場合に於て、其の關係と稍稍類似した關係になるのでありまして、學校の維持財團が、學校のことを細かく人事に迄干渉して來ると云ふのは、是は好ましくない現状であります、それと同じやうに現在の制度は、さう云ふ意味に於て好ましくないのであります、併しながらさう云ふ權限を自治體は假に持たなくなつたと致しまして、然らば知らぬ顏をする、地方民も知らぬ顏をする、自治體も知らぬ顏をすると云ふことは、是は甚だ面白くないことだと思ひます、併しながら制度上畫然と分離されて居れば、さう云ふ結果に人情の弱點として陷り易いと云ふことになりますと云ふことが想像出來ますから、其の間の連絡は矢張り附けなければなりませぬ、此の點は假に何等かの地方分權的教育組織が出來ると致しますれば、府縣とか市町村の方の當局を、民間の有識者以外に矢張り加へると云ふやうなことを考慮致して居る次第であります、それから先程御話になりましたやうに、地方の各縣から教育に關する人事が離れたと致しまして、教育家自身で然らば理想的にやつて行けるか、現在派閥的の弊害が隨分あるぢやないか、是は全く御指摘になつた通りでありまして、教育界に於ける派閥的闘爭と云ふものの弊害は、與論が齊しく認めて居る所と言つても宜いのでありまして、是は詰り主として現在の教員養成制度の根本に立ち入つて檢討しなければなりませぬが、さうなりますと、それが改善せられた上、其の良い影響を見るに至るのは相當に遠い將來であらうと思ひます、さう云ふ點に於きましては、地方の何等かの分權的制度が假に出來ると致しまして、中等教有、初等教育の世界が狭く纏つて固まつてしまはないで、それ以上に高等專門學校的の要素もそこに加はつて來ると云ふやうなことになると、中等學校、國民學校の先生方も餘程眼界が廣くなります、さうして學問や教育の點に付ても一層熱心になり、自己の使命に邁進するやうになりはしないかと云ふやうな訳で、それから又先程申上げましたやうに、各界代表のやうな者も何等かの形で地方に組織さるべき委員會に加へると云ふやうな風に致しまして、派閥的の空氣を段々稀薄にする、詰り除去すると云ふやうな風に致したいと思つて居る次第であります、甚だ漠然たる御答辯になりましたけれども、現在迄の所は、色々な方面に關係もございますから、それ以上申上げ兼ねます次第でありまして、御了承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=58
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059・多久龍三郎
○男爵多久龍三郎君 私の質問は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=59
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060・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 文部大臣に對する質問はもう宜しうございますか、餘り地方制度を離れたことは御聽きにならぬやうに願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=60
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061・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 今朝程内務大臣にも御伺しまして、何分婦人の政治上に於ける地位が一大飛躍を遂げたものでありますから、それで婦人の啓蒙運動、政治的訓練が必要であると云ふやうに考へるかと云ふことを御尋ね申しました處、文部省とも協力してやつて居る、又内閣に於ても政治啓蒙運動を始めて居ると云ふやうな御話を伺ひまして、大いに意を強く致したのでありますが、何と申しましても、全然政治的訓練を經て居らない婦人の問題は、どうしても學校教育に依つて之をやらねば達成することが出來ないと思ふのでありますが、それで例へば公民科と云ふやうなものは、學校に依つては設けてあつて、さう云ふ自治行政と云ふやうなことを教へてやると云ふことも聞いたことがありますが、兎に角先づ女學校とか、或はそれ以下の學校でも婦人の政治上の知識を與へる何等かの教育をばやる必要がありはしないかと考へるのでありますが、文部大臣に於かれましては、此の點に付てどう云ふ風に御考になつて居られますか、又何等か御實施に相成つて居りますか、御伺を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=61
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062・田中耕太郎
○國務大臣(田中耕太郎君) 學校教育の面に於きましては、女子教育の振興の一部分と致しまして、女子に對する公民教育をどうやつて行くかと云ふことでありますが、殊に御質問にありました點は、女學校の程度、或は專門學校と云ふやうなことになりますが、特に女學校の教育は現在御承知のやうに、中學校と女學校を比較して見ますると、女學校の方が程度が低いことになつて居ります、是は障碍がないではありませぬけれども、同一水準に迄引上げると云ふことに努力を致して居ります、それから地方婦人に對しまする政治的の啓蒙運動でありますが、是は婦人のみならず、一般的に社會教育を徹底する努力を有らゆる方面から致さなければならない其の社會教育の一環と致しまして、公民教育の普及徹底を圖りたいと思つて居ります、公民館は大分名稱は普及致しましたけれども、實際各町村に一々充實したものが設けられて居る譯ではありませぬ、唯是は文部省と致しましては、勸奬をする、奬めて居ると云ふやうな程度に止つて居ります、之を將來國庫の補助でも得られればもつと十分普及出來るのではないかと思つて居ります、併し矢張り地方が關心を持つて公民館の育成卜云ふことに力を注いで呉れなければなりませぬ、其の公民館と云ふものが出來ますと、矢張り各地方に於きまして、婦人の政治的の啓蒙を得ることに付て「センター」になります、政治的のみならず、或は婦人の主婦として持たなければならない知識等も與へることが出來る譯であります、尚學校に於きましては、母親學級とか、或は良婦學級と云ふやうなものを設けて、是は矢張り單なる家庭的のことばかりではなく、「シティズン」としての、公民としての知識を與へると云ふやうなことやらなければならないと云ふやうに存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=62
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063・山隈康
○山隈康君 甚だ繰返して御面倒だと思ひますが、此の府縣制の改正案の第七十四絛の二に、「府縣に府縣知事を置く」とあり、其の次の「府縣知事は官吏とす」と云ふことを削つて居ります、此の知事は結局七十四絛の五に依つて當選したと決定する、そこで此の規定に依りますれば、投票して當選すれば直ちに公吏たる身分を獲得する、是は市長でも村長でも同樣であつて、是は別に選擧して公吏と云ふ身分を新たに附與すると云ふ規定はない、當選したならば直ちに公吏たる市長になる、或は直ちに村長になる、そこで府縣知事に對する投票を終つて當選すれば直ちに是は知事となり公吏となる譯であります、官吏となる機會はないやうに思ひますが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=63
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064・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 法律の規定に付ての御尋でございますので私から御答さして戴きます、御指摘のやうに、七十四絛の二に、府縣知事を置くと云ふ規定を置きまして、衆議院の修正で「官吏とす」と云ふ第二項を削つてあるのであります、併しながら是は附則に於きまして、其の官吏と致しまする期間を改正憲法施行の日迄と限定致して居りまするが、五十三頁の末尾から三行目に左樣になつて居ります、且是は此の七十四絛の二以下を御覽になりましても、官吏を前提と致しましてそれぞれ規定が出來て居る譯でございます、從ひまして憲法施行後に於きましては、是は當然身分が切替へられまするから、是等にございまする本文もそれぞれ改正を致されることだらうと存じて居ります、只今の改正法に於きましては、七十四條の二の新しい三項にございまするやうに、府縣知事の選擧せられました者に付て任命の行爲があるのでありますから、御指摘の七十四條の五でありますか、之に依りまして當選者が決定致しますれば、それは候補者の中に付て、當選者が決定致し、從ひまして其の瞬間に公吏たる身分を取得すると云ふやうなことはございませぬで、當選者が決まり、それに付きまして任命行爲がありました時に官吏と云ふ身分を取得するのでありまして、改正憲法施行の日迄の間に於きましては左樣な運用を致して參ることと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=64
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065・山隈康
○山隈康君 それでは宜しうございます、それから是はどう云ふ趣旨になりますか、七十四條の二の三項ですか、「府縣知事は其の被選擧權ある者に就き選擧人をして選擧せしめ其の者に就き之に任ず」、是は只今憲法の效力の發生する迄の完全であるから「之に任ず」と云ふことでありますが、是は官吏と云ふ身分を失ふた後に於ては同時に「之に任ず」と思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=65
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066・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 先程松尾さんへの御答辯に申上げましたやうに、此の地方制度の改正法律は現行憲法の下に於て改正致されたものであり、從ひまして資格要件に付きましては憲法十條が働いて參りまするが、天皇の任命大權に基かざる官吏と云ふ者はあり得ない、從ひまして七十四條の二の三項にありまするやうに、斯樣な選擧と云ふ資格要件に付きましては選擧の手續を經ましてさうして官吏に任命致されると、斯樣に七十四絛の二の三項は規定せられて居るのであります、従ひまして御尋の憲法施行後はどうなるか、是は只今の市長若しくは町村長と同じ形に相成るものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=66
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067・山隈康
○山隈康君 さうすると憲法が效力を發生した時は「之に任ず」と云ふのはなくなるのですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=67
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068・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 是は先程大臣から御説明がありましたやうに、第二次改正が行はれます際には當然此の條文は變つて參るものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=68
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069・山隈康
○山隈康君 甚だ恐縮ですが、實は豫算總會等の爲に是等の書類を通讀する時間を持たないものですから、本日は此の程度で、又明日開いたら如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=69
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070・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 皆さんの御都合は如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=70
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071・森俊成
○子爵森俊成君 只今の御質問にちよつと關聯して御聽きしたいのですが、僅かですから此の際質問致しますが、只今教育方面に付きまして地方分權のことで山隈さんから御話がありましたが、私は是と同じやうなことでありますけれども、もつと範圍を廣く一般の經濟上、教育上、衞生上、さう云ふ方面から見ましても、餘りに總ての制度なり知識なりと云ふ風なものが從来の日本として都市集中主義に傾き過ぎはしないか、餘りに都市中心主義と申しますか、それに傾き過ぎて居まいか、從つて人材が都市に集まり、資本が都市に集まる、其の結果は地方と云ふものは段々疲弊して來る、日本全體と云ふ見地から見れば是は餘り面白くない傾向ではあるまいかと斯う考へます、そこで内務大臣の御考としては斯う云ふ風な色々な施設なり、制度なりと云ふものを地方に段々分散させて行くと云ふ風なことは如何に御考になりますか、餘に都市集中主義になつて來ると都市は繁昌するけれども、地方が疲弊して行くと云ふやうな傾向にあるまいかと云ふやうなことを御考になつたかどうか、是は大臣としては無理かも知れませぬけれども……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=71
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072・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今の森子爵の御尋は誠に御尤であります、私も全く御同感に考へて居るのであります、現在内務省に於きましては官制に依りまして、國土計畫を所管することになつて居ります、今日のやうな事態になりまして内務省が國土計畫を所管して居ることの是否に付きましては、世間にも色々論議があるやうでありますが、兎も角も内務省が所管致して居ります、現に只今御尋になりました點をも含めての、終戰後の事態に即しまして國土計畫を進めなければならぬと云ふやうに考へまして、各方面から材料も集め、當務者に於きましても色々研究を致して居るのであります、而して其の研究の一端が新聞に掲載せられたやうなことでありまして、それが機會になつて國土計畫に付ての論議が色色と社會に活發になつて來たやうであります、あの中でも御覽下さつたことと思ひますが、過大都市を抑へて、又地方に農村工業乃至は中小工業を分散させる、一面に於きましては農業發達を圖ると云ふやうなことに依りまして、終戰後八千萬と云ふ國民を全國に適當に配置し、さうして從来都市偏重に日本が發達して來た弊を矯めまして、地方にも文化の惠澤が行き渡るやう、又青年や一般人に對しまして色々の修養の機會を與へる、又高尚なる娯樂を樂しませると云ふやうなことに付きましても實は施策致すべきである、それ等のことが國土計畫の基本事項として採上げらるべきではないかと云ふので折角研究を進めて居る次第であります、併し此の國土計畫と云ふやうな大きな問題に付きましては、内務省だけの研究では到底完璧を期せられるものではございませぬから、政府は近く國土計畫審議會と云ふやうなものを創設致しまして、それを中心にして將來の日本の發展に付ての根本を策定しようと云ふことになつてそれを進めて居る次第であります、誠に御尤もなことであります、尚又山隈さんから御尋があつたことでありますが、地方制度の上に於きましても、今次御審議を願つて居ります所の改正案は今日の事態に於きまして可能であり、必要な限度に於ける民主化を策したものでありまして、追つかけ第二次民主化案も考へなければならぬことに相成つて居るのでありまして、政府と致しましては將來地方制度の第二次的改正案を調査立案致したいと思つて居ります、之に付きましては地方分權及び地方自治の本旨に基きまして、地方自治團體の組織運營に關する自主性を更に徹底せしめますると共に、警察、教育、保健、衞生、財政、勞働等の國政を原則として地方自治團體に委讓し、其の地方自治團體の指揮監督下に置きたい、さうして中央政府は是等の事務に付きましては全國的の基準を設けるとか或は各地方團體間の調整をするとか、又情報を集めるとか、其の集めました情報を各地方團體に配付すると云ふやうな程度の仕事をすることに止めると云ふ方針で以て改正を致したい、此のことに付きましては他の各省にも關係のあることでありまして、此のやうなことを衆議院に於きまして實は内務大臣から聲明を致したのでありますが、聲明致すに付きましては閣議の了解をも得て居る次第でありまして、只今仰せになりました點は國土計畫の上で扱ひたい、地方制度の上に於きましても森子爵の仰せになりましたやうな方法に向つて更に第二次的の地方制度の根本的改正も致したい、それ等に依つて其の目的を達するやうに致したいと云ふ風に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=72
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073・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 本日は此の程度で散會致します、明日は本會議がございますから、議事散會後直ちに此處へ參集しまして、審議を進めたいと思ひます
午後二時四十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=73
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074・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 白根竹介君
副委員長 男爵 伊江朝助君
委員
侯爵 徳川頼貞君
侯爵 佐竹義榮君
子爵 森俊成君
子爵 梅園篤彦君
子爵 松平銑之助君
子爵 田中薫君
子爵 植松雅俊君
姉崎正治君
中田薫君
男爵 尚琳君
男爵 島津忠彦君
男爵 多久龍三郎君
中川望君
松尾國松君
山隈康君
河端作兵衞君
渡邊覺造君
國務大臣
内務大臣 大村清一君
文部大臣 田中耕太郎君
政府委員
内務事務官 郡祐一君
同 鈴本俊一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00219460909&spkNum=74
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