1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○東京都制の一部を改正する法律案
○市制の一部を改正する法律案
○町村制の一部を改正する法律案
○府縣制の一部を改正する法律案
○衆議院議員選擧人名簿等の臨時特例に關する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年九月十一日(水曜日)午前十時八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=1
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002・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 是より會議を開きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=2
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003・中川望
○中川望君 昨日委員長より、本日より各論に入るとの仰せでございましたけれども、總論的質問は其の時には御認にならぬと云ふことでありましたが、私只今迄機會がございませぬでしたので、御豫定を變更して相濟みませぬが、此の機會只今から一般的の質問を暫く御許し願ひたいと思ひますが、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=3
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004・白根竹介
○委員長(白根竹介君) それではまだ各論に入らない前でありますから、御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=4
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005・中川望
○中川望君 今囘の地方制度の改正は、申上げる迄もなく憲法と相對して最も重要なる重大なる案件と考へて居ります、我が國の地方制度も既に五十餘年の經過を經て居りまするが、其の制定當時のことを遡つて考へて見ますると、今日此の今囘の地方制度の改正に對しまして誠に感慨深いものがあると存ずるのであります、明治十六年に山縣内務卿が憲法に先立つて國民の改治訓練をする必要上地方の自治體と云ふやうなことに付て非常な努力を以て地方制度の樹立に御盡瘁になつたのでありますが、爾來殆ど十數度に亙る大改革を經て自然地方分權と云ふことになつて居るのでありますが、今囘の改正は一部改正とは稱するものの、恰も頭と心臟の附替へのやうな一部の改正でありまして、精神から申せば非常な大變革と存ずるのであります、固より新たに定まりまする憲法の精神に沿うての改正でありまするから、是もあるべきこととは存じまするけれども、何分にも非常な大變革であります、而して内務大臣から承る所に依りましても、今囘の改正に付きましては短期間の間に内務當局の御努力に依つて、憲法と同時に、此の改正案を御提出になりました、御提出になりました後に於ても色々の意向に依つて大分初の御考とは違つて來なければならぬやうな風になつて居るやうにも拜察するのであります、即ち餘程「アメリカ」の制度に倣ふ所が多いやうになつて居るのでありまするが、併し其の「アメリカ」も嘗ては「アメリカ」の都市行政學者の言を籍りて申しますれば、「キリスト」教國での最惡のものは「アメリカ」の市役所であつて最も浪費する、最も非能率的で最も腐廢したるものであると云ふ極端な批評迄受けて居つた時代もあつたのでありますが、其の後市民の覺醒に依つて、或は委員制度、所謂「コンミッション・システム」、「マネージャー・システム」、支配者制度と云ふ新しい方法、能率的な方法も制定して、或は「ヨーロッパ」大陸にも之に學ぶものがあると云ふ位に迄進んで居りまするし、況や此の民衆の一般選擧に依つて解散或は解職、或は立法制定を望む如く「レフェレンダム・リコール・イニシアティヴ」と云ふやうなものに付ては最も進んだ國柄と申して宜しいのでありますから、それ等から學ぶものがあらうと思ひますけれども、何分にも「アメリカ」はあの大國で大きな州に岐れて居りまして、各州皆區々の地方制度も伴つて居るやうな譯であります、故に我が國に於て單に學ぶべき點に於きましても、餘程其の點は選擇宜しきを得ると云ふことが極めて必要なことではないかと存ずるのであります、斯樣な急激な變化に遭遇致しまして、而も内務大臣が仰せられます如く、第二次の改正に依つて國の事務を大幅に委讓すると云ふことに相成つて居るのであります、それ等の點を考へて見ますると云ふと、是迄に中央の統制が十分行き届いて來た今日、急に其の手を緩めて地方の自治に大幅に委任することになるのでございます、而も其の責任者は官吏にあらずして、一般選擧に依るものと、斯う云ふことになつて居るのであります、官僚に付ての世間の見る所は隨分軍と相竝べて攻撃をせられる點もあつたらうと思ひますけれども、又一面に於て我が國の今日の進歩發達は訓練された官吏制度の賜であるも點も甚だ多いと存ずるのでありまして、是は多年の訓練に依つて、地方の市長も十分經験學識とも國の行政と地方の自治の行政とを併せ行ふに當つて遺憾なき點に迄達して居つたと存じます、唯一般の選擧に依つて左樣な人を直ちに得ることが出來るかどうかと云ふことが、稍稍懸念せられる點と存じます、尚又此の官吏の吏僚にしても常識の發達した人なれば、下に練達の吏僚を備へて居れば事に間違はなからうと存じますけれども、是亦民主化と云ふことに依つてどう云ふことになりまするか、私の必配致しますのは、例へば是迄の市役所に勤める人と官吏との間には、官吏には詰り俸給が低くても位階勲等とか色々名譽を與へられる、國家の官吏としての一つの「プライド」を持つて、私を去つて公に努めると云ふ精神が傳統的にあつたと存じます、兎角此の自治體になりますると云ふと、殊に此の市等に於ては或は人の採用等の如きも、市會議員の紹介に依つて入ると云ふやうな所から色々な弊害が起つて參りまするし、又待遇を高くしなければ、官吏の倍も貰はなければ自治體に良い人が入らぬと云ふやうなことも是迄の實例であります、是が今後一般から選ばれる公務員に對しては十分なる御留意を以て御定めになりませぬと、果して如何なる結果を來すであらうか、制度とすれば民主的の、理想的の制度が出來ましても、其の實效、實績果して如何と云ふことが、最も私は憂慮せらるべきことではないかと存ずるのであります、況や其の執行機關が有力となつて、國政の大部分を地方に委ねられると云ふことになりますと云ふと、其の影響する所は實に大である、「アメリカ」の各州は世界各國の人が寄り集つて居る合衆國であります、日本の今日の小さい府縣が、それが自治的になつてしまふと云ふと、取りも直さず昔の封建的になつてしまふのではないかと云ふ心配もあるのであります、此の間に處して眞に統制ある國政事務の伸張と自治體の發展とをうまく進めて行くと云ふことに付ては、當局其の人々の人選、適材を得るや否やと云ふこと、心掛けと云ふことが非常な影響を與へはせぬかと存じて居ります、如何に理想的な制度が出來ましても之を行ふ人に依つては甚だ懸念すべき點が多いのではないかと云ふ考を持つのであります、之に付ては段々内務大臣の御説明もあり、又私としましては豫算分科會に於ても幾分それ等の點に觸れて御質問致したのでありますが、此の會に於きまして、尚一應其の點に於きまして一般選擧に取りまして適當なる選擧の目的を達し得るかどうか、昨日の御話に依りましても、今日の制度に於て自由の試みの選擧であるからでありませうけれども、隨分露骨に、所謂選擧違反の事實もあるかのやうにも聞いて居りまするし、自治と云ふことの履違へに依つて、又或は黨派的の考からして、種々なる弊害も起きて來るのではないか、それに對してどれだけのことをやつて將來に誤りないやうな準備をするのであるかと云ふことを一應茲で二重になるやうでありませうが、伺つて置きたいと存ずるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=5
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006・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 誠に御尤もな御質問でありまして、問題は根本に觸れ、廣汎なことでありますので、此處で無準備に全部の點に付て完全な御答を申上げますることは困難かと思ひますけれども、一應只今御質疑になりました全般に付きまして御答へ申上げす、又不備な點は更に質疑應答に依つて補充致したいと思ひます、今囘の御審議中の改正案は、終戰後の事態に即應致しまして、地方行政を民主化する上に於て焦眉の急に迫つて居ると思はれるものに付きまして、處理したいと云ふ方針で臨んだのであります、而して其の立案に當りましては、根本から申しますれば「ポツダム」宣言の趣旨を能く汲む、更に又それに基きまして新憲法が制定せられむとして居りまして、其の内容も明かになつて居りましたので、新憲法の草案の精神を十分に採入れると云ふことに意を用ひたことは當然でございますが、何と致しましても今次の改正は現行憲法下に於ける改正でありまして、其の制約を受けることは當然でありまして、尚又終戰後の我が國の社會状態と云ふものは、色々の點に於て十分なる考慮を拂はなければならぬ、理想案に走りまして、終戰後の我が國の社會状態に合はないやうな改正を致しましては、是は民主主義の發展の上に支障があるのみならず、治安其の他の點とも交渉を持つて來ると云ふやうな問題でありますので、終戰後の社會状態と云ふ間題を能く考へまして、假令進歩的な方針を採ると致しましても或は時期早尚と認められること、又其の運營に適さないことと云ふやうなことは、是は少くとも後日に譲ると云ふやうな考慮を致さなければならぬと考へます、從つて其の當時の社會情勢の上から相當制約を受けたのは當然であります、尚又今次の改正は府縣制、市制、町村制等の所謂地方自治制度に關するものだけの改正でありまして、地方行政の運營に、所謂地方自治制度以外の各種の國の制度、或は關係諸法令と云ふやうなものに依つて動いて居ります、それ等の諸法令は殆ど全部奮態依然たるものであつて、改正を企てて居ないのであります、從ひましてそれとも調和を保たせると云ふ必要があります、そこにも制約があるのであります、それで民主主義化の線に沿つては居りますが、大體只今申上げるやうな三つの方面からの制約を受けて居つたのであります、そこで當時に於て或は我が國の民間有識者に於て、又新聞其の他の方面に現はれた意見、乃至は所謂關係筋の方面に於ても各種の民主化の意見があつたのであります、是は政府の責任に於きまして、それ等の改正點に付きましては深甚な考慮と檢討を加へまして、我が國の現時の社會状態、國家状態に適するものだけを採る、適せないと思ふものは之を棄てる、又適せないもので民主主義化の上から必要なことは、少くとも之を後日に譲ると云ふやうな建前から此の改正案を作成致しまして、さうして御審議を仰ぐやうなことになつた次第であります、故に非常に進歩的な考を持つて居られる人から見ますと、今次の改正案は尚足らざる所があると云ふやうな批判が多々あるのでありまして、此のやうな批判は立案の際に於きまして當然豫期して居つた所であります、要するに今次の改正案に付きましては政府の責任に於て、只今申上げますやうな諸制約を十分に考慮致しまして立案を致したものであります、尚此のやうな大改正を致す際に於きましては、もう少し廣く民意なり有識者の意見を反映する方途を採るべきであつたと思ふのであります、何分是は古田内閣が成立致しましたのは五月二十二日でありまするが、此の議會に提案を致しますに付きましては、直ちに方針を決めまして諸般の準備を進めなければ、到底時間的に間に合はないと云ふ事情がございましたので、五月二十四日の閣議に其の改正の要綱を附議致しまして、翌日に亙り詳細に檢討を致しました上で、二十五日に要綱の閣議決定を見、さうして非常な努力に依りまして七月二日に衆議院に改正法律案を提出することが出來たのでありまして、其のやうな時間的制約がありました爲に、本來でありますならば調査會の如きものを設けまして、其の意見を十分に採入れることも致すべきであつたのでありますが、只今申上げますやうな事情で遺憾ながら其の措置を講ずることが出來なかつたのであります、尚此の新憲法の精神を採入れると云ふ點に關してでございますが、此の點に付きましては新憲法草案の全條章の精神に依つて立案を致すのが、是は固より當然なことでありますが、之を少し摘出して見ますと、憲法草案十四條に於て「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、國民固有の權利である」と云ふ點、又憲法草案の八十八條に於きまして、「地方公共團體の組織及び運營に關する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」それから八十九條の第二項に於きまして「地方公共團體の長、その議會の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共團體の住民が、直接これを選擧する。」と云ふやうに地方制度のことに關しまして明確なる規定が出て居ります、此のやうな規定を現行憲法の下に於て採り入れられるかどうかと云ふ點に付きまして十分檢討しました上、採り入れられる限りに於きまして、是等の條章を採り入れますことは、他の機會にも申上げましたやうに、新憲法の適正なる運營と云ふことに付きましては、地方團體の政治の運營が適正に行はれると云ふことが其の前提であるとも申すことも出來ます、又前提と云ふことが言葉が過ぎると致しまするならば、少なくとも竝行させて行くと云ふことが、全國民の政治の習熟と申しますか、訓練の上に於きまして極めて必要なことも考へられるのであります、此の點に付きましては特に注意を加へて立案を致した積りであります、併し先程來申上げます如く、又他の機會に於きましても度々申上げました如く相當の制約を受けた立案でございまするので、現在の御審議中の案は、今後の情勢の推移に依りまして、少くとも第二次的な改正はやらなければならぬと思ひます、又第三次的な改正もずつと後日に於ては行はれなければならぬと思ふのであります、併し其の改正點と致しましても、府縣制、市制、町村制等の所謂地方自治制其のものの上に於きまする改正點と云ふものは一應解決をして居るやうに思ふのであります、唯知事を暫定官吏とする點に於きましての條章に付きましては、之を公吏制に切換へる上に於きまして府縣制等の所謂自治制度に於きまして相當の改正をしなければならぬ、其の點を除きましては、他の點に付きましても絶無ではなからうかと思ひますが、餘り直ちに改正を要すると云ふやうな點は殘つて居ないものと考へて居る次第であります、併し此の地方自治制度に依つて規律されて居りました以外に於きまして、地方行政の面に於きましては、國の制度として又それに伴ふ法令關係に於きましては、殆ど何等手を加へて居りませぬので、此の點に於きまする改正は、第二次改正の際に於きましての重點になるものと豫想致して居ります、而して此の第二次改正を考究します上に付きましては、御質問の中にございましたやうに、地方自治と國政との調和と申しますか、連絡と申しますか、乃至は國全體の政治の統一の上に付きまして、是は深甚なる考慮を拂はなければならぬ問題と思ひます、一つの警察問題を採り上げて見ましても、府縣知事に警察權を悉く委讓すると云ふ建前を執りました場合に於きまして、國家の治安を維持する上に於て、如何なる方法に於て府縣間の連絡調整を取るか、又國家として治安維持の上に遺憾なきを期するには如何なる方途を講ずるかと云ふやうな點に付きましては、是は深甚なる考慮を拂はねばならぬ問題であります、其の他之に類する問題は各行政面に於て澤山に存在して居ると思ふのであります、而して是等の問題を如何に解決するかと云ふことに付きましては、政府自體と致しましても十分考慮致し、方針を樹てなければならぬことでありまするが、併し第二次改正に付きましては、相當に期日もあることでありますので、廣く民間有識者、經驗者等の御參加を願ひまして、第二次改正に於きましては、改正の立案に對しましても民主的方法を十分に採り入れたいと云ふやうに考へて居ります、從つて政府と致しましては、十分愼重に檢討は致しますが、先走つて民間の適正なる意見を兎もすれば掣肘すると云ふやうな結果にならぬやうな民主的方法で進んで行きたいと云ふやうに考へて居る次第であります、それから次に此の地方制度の運營の上に於きましては、御質問の中にありましたやうに、吏僚制度に付きまして十分なる用意を致さなければ、民主主義の先進國に於きましても誠に苦い經驗を澤山に持つて居ると云ふ事實もあることでありますので、此の點に付きましては特段の注意を加へなければならぬと思ひます「アメリカ」に於きまして地方自治體に於きまする吏僚制度の運營が其の宜しきを失しまして、各種の弊害を生じたと云ふことは非常に顕著な事實でありまして、此の點に付きましては、我が國に於きましても從來最大の關心を持ち、研究もされて居る所であります、併し「アメリカ」の地方自治制の運營は、相當長い期間の經驗を積んで居りますので、早く此の點に目覺めて、所謂「スポイルズ・システム」を「メリツト・システム」に切換へて來たと云ふので、「ニューヨーク」の市制其の他に於きまして相當の改善が加へられました、殊に「ニューディール」を全米州に強く實施するに伴ひまして、吏僚制度の確立と云ふことが非常な重大な關係にありましたことが主なる動機だと思ひまするが、此の吏僚制度の確立と云ふことは、單に地方行政の上のみならず、國政上の重大問題として採り上げられ、現に千九百三十六年の「デモクラット」及び「リパブリカン」の兩に大政黨の施政綱領に於きまして、所謂「スポイルズ・システム」を捨てて「メリット・システム」を確立しなければならぬと云ふことが、國家の二大政黨の綱領に迄採り上げられて居ります、而して青年男女をして、進んで地方自治團體の行政に參加することに對して魅力と熱意とを捧げ得るやうな組織を打立てなければならぬ、どちらの黨派の綱領の中でありましたかはつきり記憶致して居りませぬが、そこ迄其の國民に「アッピール」するやうな表現を以て採り入れられて居るのを私讀んだことがあります、是等は大いに參考としなければならぬことであり、又何れ新憲法の條章から見ますると、公務員法とも云ふべきもの、或は官吏法公務員法と云ふやうな二つのことも考へられまするが、之を纒めまして公務員法とも言ふべきものが、是は從來は勅令で規定されたことでありますが、法律を以て制定された國會に於て十分なる審議の上で決定せられるものと豫想せらるるのでありますが、其の際に於きましては只今申上げました點に十分なる注意を拂ひまして、今後地方行政が腐敗をしないやうに能率を維持し、國民の爲に大いに貢獻する立派な運營が確保せられるだけの保障を茲に求めなければならぬと云ふやうに考へて居ります、唯我が國に於きましては官尊民卑の傾向が尚著しいものがございます、民主主義化の見地から申しまして、是は私のまだ私見の程度でありまするが、官公吏の間に區別を設けない、官吏は國家から俸給を受ける、公吏は公共團體から俸給を受けると云ふことの差違は、是は必然のことでありまするが、其の他の點に於きましては任用も分限も或は又服務紀律も給與も其處に何等の區別を設けない、而して官吏と公吏との間に於きましては相互轉任等も極めて容易に出來ますし、恩給の如きも共通にすると云ふやうな、さう云ふやうな制度が打立てらるべきではないかと思ふのであります、固より今日の情勢と致しまして、高等文官試驗を通つた者でなければ公務員になれぬと云ふやうな制限は適當でないでありませう、固よりそれ等の資格のない人に於きましても民間に適材がありまするならば自由任用も出來る、是は現在の官吏制度の下に於きましても戰時以來段々と運營が發達して來て居ることでもありまするが、さう云ふやうなことは固より考慮しなければならぬ問題でありまするが、何に致せ「アメリカ」で經驗致しました吏僚制度の上に於きまして「スポイル・システム」が入ると云ふことは十分の戒心を持ち、「メリット・システム」で公務員が國民の爲に國民の公僕として「ベスト」を盡し得るだけのことに致さなければならぬと思ひます、尚併し我が國の政治を民主主義化すると云ふことは、我が國としても是非爲し遂げなければならぬ一つの大きな命題であると思ふのであります、其の上から申しますると所謂一人の指導者制度或は專制的な行き方と云ふやうなことは行はれぬと思ひます、他の言葉を以て致しますならば、民主主義化と云ふことに付きましては、國の統一能率と云ふやうな點に於きましてはそれが多少下ると云ふことは是は必然のことであらうと思ひますが、又御話にありましたやうな位階勲等に依りまして物質上の待遇を補助する、それを民主主義化すると云ふことに依りまして經費の支出が多くなると云ふやうなこともあらうと思ひますが、是等は何れも程度問題でありまして、我が國が將來文化國家、平和國家として發達を遂げて行きます上に於きまして、其の邊に適當な制度を打立てなければならぬ、申しますのは、必ずしも經費の節約を重點に置き乃至は統制乃至能率を非常に重視すると云ふことでは民主主義化の要求に合はないものがあるのではなからうか其の邊には適當に調和を新時代に即應しましてなさなければならぬものではないかと思ひます、此のやうなことを申上げますのは、日本の民主主義化をするに付きましては、官公吏の待遇等に付きましても、從來我が國の法制にありますやうなものより一歩進めて官公吏の待遇を大いに改善を致し、さうしてそれに民主主義化の行き方をすべきであると云ふやうな意見が我が國の内外に於ても強く主張せられて居りますやうなこともあります、さう云ふやうな行き方をしなければならぬものであると云ふやうに考へて居る次第であります、後の方に申上げましたことは私の尚私見の程度に過ぎない點がございますが、此の點は惡しからず御了承を願ひたいと思ひます、一應御尋になりましたことに付きまして精粗の點もあり、極めて雜駁な申し方でありましたが、以上御答を申上げる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=6
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007・中川望
○中川望君 只今の御説明には大體了承致しました、次に今囘の改正の中で最も民主主義化に大事なことは先刻も申しました選擧に依つて解散、解職、或は立法を求める、請求すると云ふことになりますが、立法を求めるの左は程弊害でないと思ひますが、解散、解職等に付ては若しそこに何か私心を以て或は黨派的觀念を以て、左樣なことが行はれますことが極めて警戒を要することと存ずるのであります、此の點に於て原案と衆議院の修正が投票の數等に於ても、發議の數に於て開きがあるのであります、さうして之を決する機關に付て原案は餘程御考になつて居つたやうに思ひますが、衆譲院の修正案は是亦民主主義の徹底と云ふことで、選擧管理委員會の方の權限を重く視たのであります、是等に付ての政府としての御考は如何でございませうか、衆議院の選擧管理委員會に任せて全部行けるか、唯私共の懸念するのは、斯う云ふ委員會組織のやうなもので、斯う云ふ人に關する或は當局との間の爭ひ等の場合に、採決は是等委員會に於てうまく決定が出來るかどうかと云ふ、そこに又爭ひが起るのぢやないかと懸念致すのでありまして、矢張り監督的の主張にさう云ふ意見があつたのが宜いのぢやないか、兎に角過渡の時代に於ては原案の方が宜かつたのぢやないかと云ふやうに思ふのであります、當局の御見込は如何なものでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=7
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008・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 解職請求等の人民參政の方途に付きましては、是は新しい制度を採り入れるのでありまして、立案に際しまして深甚の考慮を拂つたのでありますが、是等の制度を實行致して居ります所の實際に徴しまして、小數發言に機會を與へると云ふ點に於きましては、解職請求の如きは連署數を有權者の五分の一と云ふ條件を設けることが適當である、併し此の程度の請求權の發動が頻繁に行はれ、又其處に動機に不適當なものがあつて理由が十分でないと云ふやうなことがあり得ると思ふのであります、之を他の民主國でやつて居りますやうに、其の決定を一般投票に依つて致すと云ふ行き方は、一般投票にもまだ我が國民は慣れて居りませぬから、時期尚早ではないか、そこで監督官廳が各方面から公正に判断を致しまして、解職請求權の是非を決めると云ふ方途を執るのが現段階に於きましては寧ろ適當であると云ふので、其のやうな案と致しまして議會に提出した次第でありますが、衆議院に於きましては此の點に付きまして色々論議があり、連署數を五分の一の如き低き程度に置くのは、我が國の情勢として尠きに失する、寧ろ三分の一程度に高めることが適當である、まあ謂はば此の點に於きましては保守的な考でありますが、併し日本の實情に通じて居られます所の衆議院議員に於きまして、其のやうに修正せられると云ふことに付きましては、是は程度の問題でありまして、此の點に付きましては政府は敢て反對致さない、其の御議決は一應尊重する態度を執つて宜からうと云ふやうに考へて居る次第であります、それから次に監督官廳の裁量に依りて決定すると云ふ點は、民主主義の上から言つて餘り結構でない、官僚統制を強くやることは、民主主義の上から言つて改むべきであると云ふ強い意嚮がございまして、他の先進國に於て例のありますやうに、一般投票に依つて決すると云ふことに改められたのでありまして、此の點に付きましても修正に付きまして理由のあることでもございますし、又實際に於きましても大なる支障はなからうと云ふやうに考へまして、是も尊重を致すべきであると云ふやうに考へて居る次第であります、次に此の選擧管理委員會が一般投票を實施すると云ふ責任者になるのでありまするが、此の管理委員會は中正な立場で以て各種の選擧を管理させようと云ふ趣旨であります、併し是が實際の事務の運營に付きましては、管理委員會に必要なる書記を置くことになつて居ります、其の書記は府縣で申しまするならば内務部長、地方課長等の、選擧の事務に慣れて居ります者が、委員會の補助者として十分に協力をすることに相成つて居ります、唯管理委員會は或は選擧長は誰を選ぶとか、或は投票管理者は誰にするとか、其の他選擧執行の上に於きましての重要なることに付きましては、固より之を決定致しますが、それ等の決定に基きまして事務の細部に付きましては、別に經驗のあります者、其の方に付きまして知識もあります從來の當務者が、書記として參加するものでありますので、管理委員會の責任に於きまして一般投票を管理して行くと云ふことに付きましては、實際問題として何等の支障はないものと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=8
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009・中川望
○中川望君 次に分權と地方財政の關係に付て御尋ねしたいのでありまするが、自治體として此の事務の擴大と云ふ所から自然經費の負擔も要することと思ひまするし、且又公務員、詰り官吏でないと云ふ點から致しまして、自治體としての人件費も亦急に激増する、而して今日の經濟界の現状に照らしまして、人件費と云ふものの費用はなかなか尠くないものであります、是等の經費と睨み合せて地方の税の改正はどうしても行はれなければならぬものと考へます、殊に地方分與税なるものは地方に取つて極めて今日は有難い制度になつて居るのであります、其の力に應じた分配方法も付いて居りまするので、誠に結構な税ではありまするが、併しながら此の税の性質から考へて見ますると云ふと、餘に國家に依存して居る税であつて、民主主義には反するのではないかと云ふ風に見られると考へるのであります、是等は矢張り根本的に考へ直さなければならぬことぢやないかと存じまするが、此の點迄はまだ十分な御調べもないかと存じまするけれども、御見込を一應伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=9
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010・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 御話の如く地方行政の民主化を致すと云ふ場合に於きまして、行政民主化が如何に完全に參りましても、財政の民主化と云ふことが之に裏附を致しませぬと、非常な片手落になることは申上げる迄もないことであります、故に只今御審議中の今次の地方財政制度改正と相竝行致しまして、地方財政税制の改正も其の裏打としての考慮を致さなければならぬと云ふ所に著目致しまして、政府と致しましては、其の點に出來るだけの考慮を致した積りであります、即ち成るべく多く各地方團體に對して獨立財源を附與する、是は或は地方税の形に於きまして、或は他の使用料、手數料等の收入に依りまして、國庫財政の依存性から脱去致しまして、地方團體が獨自の見解で收入を加減することが出來ると云ふことに致さなければならぬと考へまして、可能の範圍に於て最高限度の取計らひを致した積りであります、其の行き方は先づ府縣に付きましては、府縣民税を創設致します、さうして市町村に付ては市町村民税を大幅に課税力を擴げます、府縣民税及び市町村民税を通じますると平均百圓、又必要に依りましては五割の制限外課税を認めると云ふのが之が最も大幅なる獨立財源の附與となるかと思ひます、又其の他に於きましては、所謂國税に對する地方の附加税も賦課制限を、大幅に改正致しました、さうして一面に於きまして、國税の本税其のものに於きましても増税が許されて居りますので、賦課税の賦課制限を擴張致しましたことと相俟ちまして、此の面に於きましても相當の増收が出來る、尚使用料、手數料等に於きましても、可能の限度に於きまして増徴をすると云ふやうなこと、是が主な點でございますが、さう云ふやうな各種の獨立財源を賦與すると云ふことに努めたのでありまするが、何に致せ、終戰後の經濟財政事情でございまして、是だけに依りまして地方財政を賄ふことは出來ませぬ、そこで不足額は已むを得ず從來の例を踏襲致しまして、配付税の増額に依つて辻褄を合はした譯であります、さうして又此の配付税の付與方法に付きましても改正を加へまして、終戰後の事態に立脚致しまして、從來の配付方法に相當大きな改正を加へまして、必要なる財源を要しまする所には、それに應ずるやうな配付額を得られるやうに考慮を加へた次第であります、而して政府の計算に於きましては、地方團體の全收入と全支出とを豫想致しまして、そこに「バランス」が得られると云ふことを目途として改正したのでありまするが、曩にちよつと申上げましたやうに、各團體に於きましては、制限外課税を別になし得ると云ふことになつてり居ます、制限外課税の點は考慮の外に於きまして「バランス」を得て居りますので、之を大雜把に申上げますると、制限外課税をどの程度にするかと云ふことに依りまして、從來に比べて地方團體の財政には或程度の彈力性が付與せられたと云ふ結果に相成ると思ふのであります、併し是は今日の經濟財政状況に制約せられまして、地方行政の民主主義化の上に於きましては尚不十分であると云ふことは、是も率直に政府も認めなければなりませぬ、併し此の根本改正に付きましては國の税制財政とも關聯を致して居ります、尚又今後我が國の經濟、財政事情がどのやうに推移するかと云ふやうな點も見極めなければならぬことでありまするが、是は大藏省とも打合はして居ることでありますが、成るべく早い機會に亙りまして、國税、地方税、國家財政、地方財政を通じての抜本的改正を致さなければならぬと思ふのであります、其の時期に於きましては、地方自治の民主化の裏付けとなりまする所の地方財政の上に於きましても、十分なる考慮を拂つて行きたいと考へて居ります、尚其のやうな考慮を致しまして、相當多額の獨立財源を今日地方に確保すると致しましても、併し分與税の制度を全廢するのは適當でなからう、豫ても經驗がありますやうに、地方團體の間に於きましては、所謂貧弱團體と富裕團體がありまして、そこに國民の均齊なる發達を圖ると云ふ場合に於きましては、そこに財政上の調整を圖ると云ふことは甚だ必要なものだと思ふのであります、併し從來の如く、分與税に地方財政が全部依存すると云ふやうな點は、是は十分に改めなければなりませぬ、恐らく分與税に依つて得る財源は、地方團體の財政の收入の上に於きましての少部分に止めしめ、是が或は三分の一であるとか、或は五分の一と云ふやうな其の程度の問題は尚考究しなければなりませぬが、地方團體の財政は、獨立財源に依つて大部分を賄ひ得る、そして少部分は分與税の如き地方團體の財政を調整するものを存置すると云ふことに依つて地方財政自主權を確保すると共に、又地方團體の均齊なる發達を圖ると云ふことに致すべきものであると云ふやうに考へて居る次第であります、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=10
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011・中川望
○中川望君 大分一人で時間を取つて恐縮でありますが、今度の改正に依りまして、名譽職或は公民權と云ふものを取られたやうでありますが、申す迄もなく、名譽職の制度は「ヨーロッパ」大陸方面に於ては、自治制度に取つては極めて重要なる思想になつて居つたのでありますが、併し又公民權と云ふものも、市民の覺悟、又其の「プライド」を持たせると云ふ上から見ましても非常に大事なものに取扱つて居る、或は貴賓に對しては名譽市民とする位に迄一つの最も貴い觀念に取扱つて居つたやうでありますが、今度是が制度から取られましたことに付ては、何か特別な御考があつたのでございませうか、其の點を御聽きしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=11
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012・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 公共團體の中で公民權を持つて居るものと、公民權を持たない方の住民、二者に區別しますることは、今日の事態に於きましては適當でない、寧ろ公共團體の住民は一律に公共團體の政治に參加させると云ふことが必要である、是は民主主義の上から申しまして、一つの思想上に於て重大な點である、公共團體の住民に於て一種の貴族的階級を默認すると云ふことは避けた方が宜いと云ふ所が重點でございます、それで改正を企てたのであります、又名譽職の點に付きましても、是は確かに一面に於きましては存置の理由もあることでありまするが、併し自治團體の政治に參與致します場合に於きまして、無給職を認めると云ふことは、財的の力のない者は公共團體の事務に參與するに財的制約を受けると云ふことも重要なものであり、又從來通りとせられるなれば、勿論財的の根據のあります者は名譽職に就くことが出來ると云ふやうなことで、住民の間に於きまして、既に差別の起ることであります、それから尚公共の事務に參與するに付きましては相當の之に報酬を與へまして、何人でも有能の人は之に參與が出來ると云ふ途を拓くことが、矢張り民主主義の上から見て適當であると云ふ見解から致しまして、公民權及び名譽職の制度を廢止することに致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=12
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013・中川望
○中川望君 今囘の憲法竝に地方制度の趣旨精神を國民の間に徹底せしめると云ふことは、極めて必要なることは申す迄もないのでございますが、唯昨日も疑義が殘つて居りましたが、是迄の經驗に依りますと、名士の所謂演説と云ふものは左程の效果もないと云ふことも聞いて居りまするし、それ等の趣旨のことに付ては十分御考を願ひいたいと思ひます、殊に私は公務員の訓練と云ふことが極めて大事なことに出て來ると思ひます、之に對しては唯名士の演説會と云ふやうなことではなしに、相當短期の講習會と云ふやうなものも普く公務員に一時的でなしに、引續き計畫的に行はれると云ふことが、此の改正制度の眞の精神に副ふての實施に極めて必要なことではないかと思ふのであります、公務員に對してはそれ等の常時の訓練と云ふこととそれから、「アメリカ」の市制の改善の如きものも市民の覺醒に依つたものでありまして、それに付ては或は市制調査會であるとか、市民會であるとか、色々公民の間に相當それぞれの機關が出來て或は税務に關する調査會であるとか云ふものが出來て、それ等の公正なる審査と「アドヴァイス」に依つて市制が著々改善されたと云ふ實例があります、民間に對してはそれ等のことも奨勵になることが極めて必要ではないかと存ずるのであります、只今の二點に付て伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=13
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014・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 誠に御尤もな御發言でありまして、内務省と致しましても此の地方制度の改正の趣旨を能く了解させまして、又改正地方制度に依る地方政治の運營に付きましても、十分なる研究と又其の趣旨に從つた實效を確保しなければならぬと考へて居る次第であります、關係職員の研究會若しくは講習會のことに付きましても十分考慮致し、それを著々行つて行きたいと考へて居ります、尚又現在紙の不足と云ふやうなことから致しまして、新聞其の他の報道機關の記事が非常に簡潔になつて居ります、從つて地方制度の運營の衝に當りまする者が新聞雜誌等を見て居りますだけでは十分細部迄分らぬと云ふことが非常な缺陷だと考へて居りますので、或は内務時報を發刊する、若しくは地方制度に關係を持つて居りまする中小の職員をして奉仕的に民間雜誌等にも投稿する、或は出來まするならば市町村を對象とする市町村新聞と云ふやうなものを作る、さう云ふやうな印刷物に依りましての全國的な關係職員の啓發をして行くと云ふことも遺憾なきを期したいと云ふやうに考へまして、只今其の方向で進んで居ります、現に内務時報の如きは色々な事情で發行囘數は十分でございませぬが、既に是は復刊を致しました、又市町村新聞と云ふやうなものに付きましても、全國町村長會等と連絡を執りまして、成るべく早い機會に創刊して見たい、其の他講習會或は研究會、又文書に依りましてそれ等の點に付きまして十分それを配つて行きたいと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=14
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015・中川望
○中川望君 大體論に付ての私の質問は終りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=15
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016・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 極く簡單に内務大臣に御伺しますが、此の「地方制度改正に闘する内務大臣談」と云ふ配付せられました印刷物を拜見しますと、「大都市の特殊性に即應する加き大都市制度を確立すること」と云ふ條項がございます、此の「大都市の特殊性に即應する」と云ふ制度は從來叫ばれて居りましたる五大都市に對する特別市制の問題、是と相關聯して居るものでありますが、或は又人口數等を標準として別途に考慮せられるものでありませうか、其の點を一つ參考に致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=16
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017・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 御尋ねの如くそこに表示して居りますのは、從來ございました所謂五大都市の特別市制の問題を採上げて居る積りであります、唯今後の調査の上に於きまして、或は五大都市に限定をして置きますと、都合の惡いこともあらうかと思ひまして大都市と云ふ表示をして居りますが、腹は五大都市の特別市制のことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=17
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018・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 是は私見でありますが、一應申上げて置きたいと思ひます、成る程五大都市の特別市制を考慮せられると云ふのが中心で五大都市に制限するのは困る、斯う云ふことであると思ひます、私は大體九州方面とか或は日本國土全般的に見まして、行政上から又經済上から、さう云ふ點に相當重點視され、又將來の發達を指導すると云ふ點から見まして、それに該當すべき都市は五大都市に比べまして或は人口が多少少いかも知れませぬが、行政部面、經濟部面、總ての國政の運營から見ればそれに匹敵する相當大きい責任を持つて居るのではないかと思ひます、さう云ふ部面に或程度の、五大都市の特別市制程には行かないかも知れませぬが、それの運營に準ずべきものを相當御研究願つた方が將來の運營上宜いのではないかと云ふ考を持つて居ります、是は私の私見として申上げたのでありまして、一つ御考へ置きを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=18
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019・山隈康
○山隈康君 方面委員の所管はどちらになつて居るのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=19
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020・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 厚生省でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=20
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021・山隈康
○山隈康君 更に直接の所管は…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=21
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022・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 厚生省で主管を致しまして、厚生省の指揮に依りまして地方廳で取扱つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=22
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023・山隈康
○山隈康君 方面委員のことは、府縣が厚生省の指揮に依つて方面事務を取扱ふと云ふことでありますが、是は市町村の方に委譲されてはどうか、市長若しくは村長は市民或は町民、村民に對して正確に最も通曉して居るのでありますから、市長若しくは村町長と連絡を致しまして、其の指揮監督の下にあるのが方面委員の事業には非常に成績が好いやうに考へます、方面委員に於きましても、縣は全體を支配をするのでありますから、各個の生活状態に通曉すると云ふことは非常に少い、それで是非市町村に移管して貰ひたいと云ふ希望は相當多い譯でありますが、さう云ふ御考はないでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=23
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024・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 方面委員は只今民生委員と改稱されて居るさうでありますが、先刻申しました如く厚生省の主管でございますので、御意見の點は私の方から厚生省の方へ申し傳へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=24
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025・松尾國松
○松尾國松君 簡單でございますが、一つ御伺したいのですが、公選に依る知事市町村長、府縣會議員、町村會議員の資格審査が必要であるかどうか、斯う云ふことであります、必要であるかどうかと云ふことと、是は無論必要であると云ふことには相當に世間に知られて居りますが、一番今困つて居る、現實に困つて居る問題はどう云ふものが、それに牴觸するであらうか、斯う云ふことであります、是は逐條の中の各選擧と云ふことに關係するのであります、私は其の爲に簡單に伺つて居るのですが、それで政府に於て若し必要があるとすれば、大體斯う云ふ事項と斯う云ふ事項とがいけないのだと、斯う云ふ風に先に公示をされればそれで簡單に分る、それは公他の面から言ふと、さう云ふことを言ふと責任になると云ふ、そんな弱いことを言はずに、若し此の以外のことは斯う云ふことがあるかも知れぬ、斯う言ひさへすれば何でもない、それは色々政治的には色々な問題がありませう、政治的には先に言つた方が良いなら良い、惡いなら惡い、兎に角今度は一般に要らないなら要らない、要るならば要る、斯う云ふことと斯う云ふことは大體いけないのだと云ふことを示して、而して此の以外は審査を經なければいかぬ、斯う云ふ風に言つて置かれれば一番皆んな安心する、それに付てさう云ふことをやらなければならぬ爲に施行が遲くなるとか、なんとかそれに牽強けて管々することがあつてはいかぬと思ひます、それだから若し必要があるとすれば必要がある、其の必要事項は是々に牴觸しなければ宜い、斯う云ふことをはつきりされるやうな考を持つて居るかどうか、斯う云ふことが伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=25
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026・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 地方制度改正が成立致しまして、近く各種の地方選擧が執行せられると云ふことが豫想せられますので、それに差支のないやうに此の地方議會の議員、或は市町村長其の他各種の委員と云ふやうなものに對しまして、資格審査をどうするかと云ふ問題は、早急に決定致しまして公表を致す積りで居ります、併し之に付きましては段々考慮を要します點がございますので、差支のないやうに致しまするが、直ぐ直ちにと云ふ譯には行かないのであります、政府の考と致しましては本年の一月四日の所謂公職追放に關する聯合國の指令が參つて居りますが、其の指令に基きまして、關係勅令も公布されて居りまするが、あの指令乃至勅令に列擧されて居ります者は、地方の選擧に於きましても當然に適用すべき者であると云ふ風に考へて居ります、尚是等の具體的な取扱に付きましては、嚢曩申上げましたやうに早急に取決めまして公表致す積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=26
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027・松尾國松
○松尾國松君 どうか不安の状態で經過しないやうにと云ふことだけはつきり一つして貰ひたいと思ひます、それは御考慮を要する點がありませうが、先づ以て一月四日の是々に當る者はいけないならいけない、斯う云ふことではつきりして貰ひたい、其のはつきりせざる點、斯う云ふ點は書面に依つて審査するのであると斯う云ふことを言つて置いて貰ひたいと思ひます、それはどう云ふ譯かと云ふと書面を出すやうになると、英文で何通出せ、日本文で何通出せ、又どれが工合が惡いと云ふやうな、それは審査の上だから工合の悪い點は已むを得ないけれども、兎に角數の多いことでありますから、一つはつきりするやうにだけ希望を申して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=27
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028・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今の御質問の御趣旨に副ふやうにと思ひまして申上げたのでありますが、もう一度申上げますが、此の基準は一月四日の指令又はそれに基いて勅命に明示されて居りますものに該當する人は候補者になれないと云ふことになると考へて居ります、政府はさう云ふやうな工合に致したいと考へて居ります、そこではつきりすると思ひます、更に手續に付きましては、何んに致せ市町村會議員の候補者と云ふものは數十萬に上るのであります、從來のやうな審査手續では到底捌いて參れませぬ、又數十萬に上ります者の日本文と英文の質問調書を調製することも是もなかなか行ひにくいことでありまして、それ等の點に付きましては便法を講ずべく今折角考慮立案中であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=28
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029・島津忠彦
○男爵島津忠彦君 ちよつと簡單でございますから……只今も各種の選擧が次々に行はれると云ふ御話がありました、さう云ふやうに相當多數な選擧が次々に行はれますと、ちよつと考へますのは、紙の需要が相當あるだらうと思ひます、それに付きまして何か政府としては十分な御準備が御有りになりますか、ちよつと承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=29
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030・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 各種の選擧を執行致しますと、結局投票用紙或は選擧人名簿等に於きましても、全國的には相當に紙の用意が要る譯でありますが、之に付きましては固より手當を致して居ります、それから尚地方市町村に於きましても、更に立候補者側に於きましても、相當の用紙を要することでありますが、之に付きましても十分とは今の場合行き兼ねますが、必要の最少限度は確保するやうに色々手配中でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=30
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031・島津忠彦
○男爵島津忠彦君 もう一つ先般の選擧に於きまして、立候補者が紙を稼ぐ爲に立候補したと云ふ話を聞くのでありますが、今後の選擧に於まきしても政府としての十分な御取締の方法が御有りになるだらうと思ひますが、それに付きましてちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=31
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032・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 先の衆議院議員の選擧の際に於きまして、紙を稼いだと云ふやうな情報も私共も得て居りますが、是は統制規則に違反すると云ふやうなことでありますれば十分に取締る積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=32
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033・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 一般の質問は一應是で打切りまして、是から府縣制の一部を改正する法律案、幾つもありますが、昭和二十一年九月二日配付、衆議院の訂正の入つて居る分を土臺に致しまして章別に審議をして行きたいと思ひます、それで市制、町村制、都制の一部改正の問題は、此の府縣制の方に關聯した事柄に付ては一つ其の際に御審議を願つたらどうかと思ひまするし、又府縣制の章條に該當する點に付て、市制、町村制、都制等、府縣制の制度以外に特別なことがありますならば、便宜其の際内務當局かを注意的に御説明を願ひたいと思ふのであります、そこで先づ此の原案と現行法との關係、それから又原案と衆議院で修正されて居りますので、大變見にくいことになつて居りますからして、内務當局から章別に一應の御説明を願つた方が便利でないかと思つて居りますので斯樣に致したいと存じて居ります、さうしますと府縣制の方は第一章總則、是は非常に變つて居りますから、新しい條文が澤山ございます、改正案の方には第三條の五とありますけれども、第三條の六迄、六は現行法の第三條の二となつて居ります、其の六だけが府縣條例及び府條規則と云ふ第四款と云ふことになつて居ります、其處迄先づ議題に供したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=33
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034・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 府縣制に於きましては、先づ題名が道府縣制と改まりまして、從來北海道に付きましては北海道會法及び北海道地方費法が別個の法律として存在して居つたのでありますが、之を府縣制の中に採入れまして、法律を道府縣制と題名を改めて居ります、是は現在北海道の實情が既に府縣と、北海道の拓殖とか云ふやうな實質の問題に付きましては特色を持つて居りますけれども、構成上之を別個にする必要はない状態になりましたので、法律と致しては斯樣に致した次第であります、從ひまして、道府縣制の第一條に於きまして、條文中府縣と云ふやうな用語を用ひて居りますものを、總て北海道を含んで讀みますことに規定を致して居るのであります、それから第三款の改正規定に於きましては、府縣住民の各般の權利義務を規定致したのであります、さうして第三條の二と申しまするのは、府縣には從來は府縣住民と云ふ觀念はなかつたのでありまするが、府縣が基本的自治團體であると云ふ性格を明瞭に致しまするが爲に、府縣住民と云ふ觀念を採入れまして、其の權利義務に關しまして規定を設けた次第であります、第三條の四乃至第三條の五の改正規定は、府縣内の市町村民に付きまして、各般の府縣行政に關しましする權利を有しますることを明瞭に規定した次第であります、是は直接參政の途を拓くに伴ひまして、其の基本的な權利を總則に於て書きますことが適當と考へられまして規定致した次第であります、尚此の總則に關係致しましては、都制、市制、町村制に付きまして、特に申上げる部分はございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=34
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035・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 是は新しい規定でありますからして、能く御覧を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=35
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036・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 第三款の府縣住民及び其の權利義務の關係の御説明がありましたが、直接府縣制に關係ありませぬが、住民の關係のことで、町會制度に付ては後に伺ふことに致しますが、例へば市制の場合に…、府縣制中心で御説朗がありましたから、市制が出て來た時に…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=36
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037・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 府縣制を中心にして、他の法令に特別のものがありましたら、内務省から説明して戴きまして、質問の方は他の法令に亙つても宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=37
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038・山隈康
○山隈康君 第三條の五に解職を請求する權利と云ふことがありますが、是は新憲法の實施迄は官吏である、官吏に對して辭めることを請求する權利と云ふのは、ちよつと異樣の感をなす譯であります、官吏の任免黜陟は大權事項でありまして、是は純粹な公吏と云ふことになりますれば、自分の選擧した者に對して、それが、不適任なりとする時は、退官を請求する權利が生ずるのは當然でありますが、大權の發動に依つて府縣知事たることを任命し、それに依つて職務を執る者を、民間から其の退官を請求する權利と云ふやうなことは、何だか不穩當のやうな感じが致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=38
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039・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 是は昨日も御話のございました現在の官吏の任免から考へますると、著しい特例ではございます、併しながら官吏の種類に依りまして、分限、懲戒等の特別の規定が設けられて居りまするやうに、度合は此の度の地方制度改正のやうな強いものはないのでありますが、現行憲法に依りまして、退官に付て斯樣な制限を法律に於て置きますることを、憲法十條自らに依りまして、任免の大權に制限を加へられて居る、從つて何等違法の點はないと云ふ工合に解釋致して宜しいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=39
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040・山隈康
○山隈康君 意見に亙りまするから、是だけの質問で差當り止めて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=40
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041・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 此の章は他の章にも色々關係がございますから、先づ此の章は一通り通過しまして御審議願つたら如何でせうか、御異議がなければ第二章、府縣會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=41
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042・山隈康
○山隈康君 先刻委員長の御聲明では第四款迄審議に付されたのでありますが、第四款に對しての政府の御説明はない譯でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=42
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043・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 第四款と申しますのは、現行法の第三條の二を第三條の六としまして、現行法と變りはございませぬので、御説明を省略さして戴きました次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=43
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044・山隈康
○山隈康君 衆議院の修正中、第二項中「地方事務所長若は支廳長の管轄區域を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=44
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045・白根竹介
○委員長(白根竹介君) ちよつと御注意申上げまするが、それは第二章になります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=45
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046・山隈康
○山隈康君 それでは後で宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=46
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047・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 さうすると、もう一遍伺ひますが、今の點に關聯する問題は此の際質問して宜しいのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=47
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048・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=48
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049・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 それでは質問さして戴きます、選擧權の該當者の點で財産のないもの等の規定を削除された點ですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=49
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050・白根竹介
○委員長(白根竹介君) それは第二章に關係した問題であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=50
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051・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 それならば其の時に讓りまして宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=51
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052・山隈康
○山隈康君 第四條あたりが第二章に關係があると云ふのはどう云ふ意味でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=52
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053・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 此の第二章の方は現行府縣制の方の章を採つて居るのであります、それでは第二章の府縣會に關係する分でございますが、此の改正案で行きますと、二十三頁の第六十三條第二項中云々と云ふ、それ迄が第二章に含まれる譯であります、其の間に付て御審議を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=53
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054・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 府縣制に付きまして、改正竝に衆議院修正の要點を申上げます、府縣制の第四條は府縣會議員選擧の選擧區等に關しまする規定でございます、第四條第三項に於きまして、從來合區を致します場合には隣接區のみとの合區を認めて居つたのでありますが、戰災後の状況から考へまして、隣接區との合區では尚狹きに失する場合がありますので、數選擧區の合區に改めたのであります、四條に付きまして、衆議院の御修正に相成りましたのは、府縣會議員の選擧區は昭和十八年の改正法で地方事務所長又は支廳長の管轄區域に相成つて居りましたのを、從前の法律のやうに「郡長若は島司の管轄したる區域」と云ふやうに改めたのであります、是は昭和十八年の改正法と申しますのは、從來の郡と云ふ區域は既に地理的の名稱としてのみ存し、一方に於ては行政單位として狹きに失すると云ふ考へ方と、選擧事務運營上現在活動して居る行政單位の方が便利であると云ふ考へ方であつたのであります、衆議院の御修正は、選擧と致しましては寧ろ郡と云ふ單位の方が習熟致して居ること、又比較的小さい單位に付きましても、一名を出し得るものに付ては努めて一名を出したいと云ふ御考のやうでありまして、昭和十八年前の法律のやうに御修正に相成つたのであります、四項を削除致しましたのは、知事等に付きましては特別の選擧權を認めて居つたのでありますが、是等に付きましては、特別の選擧權を認める必要がないのであらうと云ふ御意見で、特別選擧權の付與を致すと云ふ改正案を修正せられたのであります、第五條と申しますのは府縣會議員の定數でありまするが、是は現在議員定數最低三十人と致してあるのを四十人に改める、遞増の率は、現行法と致しまして最高限九十人となつて居つたのを百人に改められて居ります、第六條の改正規定は府縣に於きましては從來府縣内の市町村公民が府縣會議員の選擧權及び被選擧權を有することに相成つて居りましたのを、公民權と云ふ考へ方を廢止致しました爲に、市町村會議員の選擧權及び被選擧權を有する者は府縣會議員の選擧權及被選擧權を有することに改めた規定でございます、同條の五項の改正は選擧事務關係の官吏及び吏員の被選擧の停止の規定でございますが、本法中に新たに選擧管理委員等が加はりましたが爲に、是等に付て特に規定を設ける必要がある爲に加へて居る譯であります、之に對しまして衆議院の御修正に相成つて居りまするのは、改正法に於きましては選擧管理委員會の書記は管理委員の中から選ぶことになつて居りましたのを、管理委員以外から選ぶことに原則を置き換へられた爲に特に規定を設けた爲であります、それから同條第八項の修正は、從來衆議院議員は府縣會譲員と兼職することを禁止致して居つたのでありまするが、それを國會議員全部に付ての兼職を禁止することとなり、即ち貴衆兩院議員に付て府縣會議員との兼職を禁止することとなつたと云ふ改正であります、細かい點は抜きまして主な點を申上げて參りますと、第八條の改正に於きましては從來補闕選擧を行ひます時は議員定數の六分の一で補闕選擧を行つて居りましたのを、衆議院に於ては十分の一に、可及的少數の闕員でありましても補闕選擧を致しまするやうに御修正に相成つて居ります、第十條以下は府縣に選擧管理委員と云ふものを置くことに致しましたので、選擧管理委員會竝に府縣會議員選擧管理委員會に付ての規定であります、是等の一聯の規定では、衆議院の御修正の點を申しますと、第十一條の第三項、六頁の二行目でありますが、此の三項中の改正は、選擧管理委員に闕員が生じまして、補充員を以て補充致しました後に、補充員が出盡して尚且闕員がありまする場合には、臨時に補闕選擧を致すと云ふ改正案になつて居りましたのを、臨時補闕選擧の方法を用ひず、補充員全體の選擧を行ふと云ふことに御修正になつたのであります、此の考へ方は選擧管理委員會と云ふものは只今の丁度府縣參事會員の選擧のやうに恐らくは各政黨からの其の勢力を代表致しまして管理委員を選擧致し、それから補充員を選擧致すと云ふやうなことに相成ると思ふのであります、處が補闕選擧を行ひますると、其の補闕選擧の結果は常に其の時の多數黨に有利になると云ふことで、其の際には所要の補充員を一部選擧致しました方が第一次には多數黨に占められても少數黨は其の勢力に應じて補充員の選擧をすることが出來る、斯う云ふやうな考で御修正に相成つたのであります、第十二條の第一項の御修正は、選擧管理委員會が府縣知事の監督を承けると云ふことを削つたのでありますが、是は選擧管理委員會の獨立性を尊重致しまするが爲に知事の監督權を排除する、斯う云ふ考へ方であります、斯う云ふ衆議院の御修正の御意見のやうであります、二項の括孤内を削りましたのは、是は單に規定の上の整理であります、それから第十二條の三の「委員三人以上」の「三人以上」と云ふのを削りましたのは、委員一名からでも請求があつた場合には選擧管理委員會を招集致す方がより民主的であらうと云ふ意味合の改正でございます、第十二條の六、是は選擧管理委員會に於ける書記の規定でありまして、第二項で衆議院で修正されて居るのは、官吏、吏員の中から知事の承認を得て選ぶことになつて居りましたのを、是等の要件を撤廢致し御修正であります、それから九頁の初から二行目の小さい文字で書いてある第十三條の二でありますが、此の十三條の二の第二項と申しまするのは、推薦届出の規定でございます、他人が議員侯補者の推薦届出を致しまする場合には本人の承諾を受ける、現在は本人との連絡を全然要せずに推薦届出が出來るのでありますが、本人の承諾を要件と致すと云ふことに致して居ります、之に關聯致しまして第二項の改正に伴つて、三項の次に三行目に書いてありますやうな修正を加へました、一の選擧區で議員侯補者となりました者は他の選擧區に於ては議員候補者の届出を爲したり、又は其の推薦届出を承諾することが出來ないと云ふことに致しました、從來は數箇所に於て立候補致し又當選致すと云ふことが可能でありましたが、今度は一箇所以外は選擇を許されないと云ふことに改めて修正を致されて居ります、第十四條が投票管理者に關する規定、次に第十六條の改正、是は立會人の現定でありまして投票立會人は現行法に於ては候補者が自ら選ぶことになつて居ります、是は候補者の利益代表と云ふ考へ方であつたのでありますが、公益代表と云ふ考へ方で投票立會人に付ての規定を改めることに致したのでありまするが、矢張り現行法通り本人の利益代表の點を強めまして、從ひまして此の改正を要しないと云ふことに修正致されて居るのでります、それから十八條の二の改正でありますが、是は先程申上げました知事等が特別の選擧權を有しまする規定を設けることに致しましたのを、それを削除致しましたから、從つて此の規定が不要に相成つた譯であります、それから十頁の終ひから二行目の第十九條第一項の改正と申しまするものも、只今十八條に付て關聯して申上げましたやうに、投票立會人を公益事務の機關に充てようと云ふ改正を、現行法通り矢張り本人の利益を代表致すと云ふ考へ方をされました爲に改正の必要がなくなつた譯でございます、第二十一條、二十二條とも何れも開票等に關しまする規定、十二頁の所もさうでございます、それから十二頁の終ひから五行目の第二十二條の六、開票の際に於ける投票の受理の決定でありまするが、是も只今のやうに立會人の性格を與へまするが爲に、從ひまして衆議院の修正のやうな修正が致されて居る譯であります、十三頁の初から五行目の二十二條の八、之に付きましても矢引り立會人の規定を變へましたが爲に、整理を致した規定であります、衆議院の修正の意味は左樣であります、次の十四頁は特に申上げることはないと思ひます、十五頁の終ひから四行目の小さい文字が書いてあります、同條第三項、二十三條中の規定、是は選擧區の規定でありまするが、選擧區を變へました爲に、整理を加へた規定であります、それから十五頁の終ひから二行目の第二十四條、是亦選擧立會人、投票立會人の場合に申上げましたと同じやうな理由で、現行法通りで、改正を必要としないと云ふ意味合で修正致されて居ります、其の外は手續の規定でありまして、十七頁の一番初の行の第二十九條第一項中、是は府縣會議員の法定得票數は五分の一になつて居ります、市町村が六分の一、衆議院に比べまして府縣會と市町村會、都は府縣と同じであります、四分の一、五分の二、六分の一と云ふ開きを設けてあるのでございますが、是は總て法定得票數は是は四分の一にして置いたらどうか、一つには繰上補充制度が合理的であるかどうかと云ふことが一應檢討されたのであります、繰上補充の制度を認めると云ふことは不合理であると云ふので繰上補充制度を止める、處が衆議院議員選擧法は現行法の儘にして置いて、地方制度に付て繰上補充の制を認めないと云ふことは、又不都合のことである、是は衆議院議員選擧法の改正の際に論ずべきことであると云ふことになりまして、繰上補充のことは認めたのでありますが、然るに法定得票數と云ふものを或程度高めまして、さうして餘に選擧民の意に反した者が、補充されると云ふやうな弊を矯めようと、斯う云ふ修正が致されたのでありす、改正案の矢張り二十九條の第二項中でありますが、「年長者を取り年齡同しきときは」、是は年長者主義を採用致しませぬ、直ちに抽籖に致して參る、年長者主義を採りますことにそれほど大きな意味がないやうに存じまして之を改めた次第であります、二十九條の三は矢張り立會人の性格を變へましたが爲に改正を必要とせなくなつた點であります、十七頁に付きましては特に申上げることはないと思ひます、十八頁に參りましても此の條文の中で六行目の第三十二條第一項中「「六分の一」を「十分の一」に改め」是が再選擧の規定でありますが、此の場合にも先程補闕選擧で申上げましたやうに、闕員の數と通じて六分の一以上と云ふのを十分の一以上に改めまして、其の再選擧等の機會を頻繁に致さうと云ふ修正でございます、只今の第三十二條の第一項中の行中に、同項中「第二號を削り、」と云ふのがありますが、第二號を削りましたが爲に、外の號が變つて來たのでありますが、是は數選擧區當選の場合の再選擧の方法でありまして、數選擧區當選と云ふことが豫想されなくなりましたので第二號を削りました、從つて他の項に響いて參ると云ふ修正であります、其の後はもう申上げることはないと思ひます、十九頁の初の第三十四條の改正と申しまするものは、府縣知事に異議の申立を致しまするのを、選擧管理委員會に異議の申立を致すことに改め、それに伴ひまして各般の規定が變つて來た譯であります、それで衆議院で二行目かを三行目に掛けて御修正に相成つて居りまするのは、改正案は選擧管理委員會に異議の申立をして、之に不服があれば知事更に訴願をすると云ふ扱ひになつて居つたのでありますが、前に申しましたやうに選擧管理委員會に對する知事の監督權と云ふものを削りましたが爲に、府縣知事に對する訴願と云ふことは不釣合に相成つて參りまするので、府縣知事に對する訴願と云ふ第二審的な扱ひは致さないことになりまして、其の部分が不要になりまして修正に相成つた譯でございます、十九頁は其の程度でございます、二十頁の終ひから四行目の三十九條、是は選擧運動罰則等に關しまする、衆議院議員の選擧法の準用、それから二十頁の一番終ひの行であります、第四十條、是は罰則に關する選擧法の準用の規定でございます、前に申しましたやうに選擧管理委員會の書記等が、新たに性格が變りましたので、それを加へまして、從來は官吏吏員等だけに付て有して居りましたものを、特に其處に掲げましたやうなものを總て其處に加へて居る譯であります、次に二十一頁の初から四行目にあります四十一條第三號「決算報告を認定すること」、現在決算報告となつて居りまするのを、他の市制、町村制と併せまする爲に、又用語を正確に致します爲に認定と云ふ言葉を使つて居ります、四十三條の二は府縣の事務等のことに關しまする監査に付きまして、監査委員の監査を求める規定なのでありますが、監査委員に付きましても、知事の監査委員に對する監督權を省きまして、監査委員を獨立の機關と致しましたが爲に、知事が監査委員の監査を求めると云ふことは、府縣會が知事に對して監査員の監査を求める形を途中を省略致しまして、府縣會が監査委員に對して直ちに監査を求めると云ふ工合に改正致した次第であります、次の頁に參りまして二十二頁の二行目の第四十五條第二項を削ると云ふ修正は、第四十五條と申しますのは、府縣會が官廳の諮問に對する意見答申の規定でありますが、二項は府縣會の意見答申がありませぬ場合には、其の意見答申を待たずに處分が出來ることになつて居りまするので、如何なる事態に於きましても意見答申を待たずに處分をすることは不適當であると云ふ考へ方で二項を削つて居ります、それから次の第五十條の規定でありますが、第五十條は府縣會の規定であります、是は現行法では府縣會は通常會と臨時會に分ち、通常會は年一囘開くことになつて居りましたのを、通常會、臨時會の區別を廢止しまして、新たに定例會と臨時會を設け、そして定例會は隔月之を開くと云ふことに改正案を提出致して居るのでありまするが、之に對しては毎年六囘以上、必ずしも隔月と云ふことに限定せずに、毎年六囘以上開く、極めて頻繁に開く、會議に依つて此のことを決することに致さうと云ふ考へ方になつて居るのであります、是は隔月が六囘以上に改まりましたので、囘數は頻繁になりまするが、改正案と衆議院の修正とは、思想としては同じものと考へて居ります、それから二十二頁の終から四行目、「同條に次の一項を加へる」と云ふのがありますが、此の府縣の會期、延長、開閉等に關しますることは總て法律で規定致しますることを廢しまして、會議規則中に一切を規定致す、此のやうに自治體の機關自身に自治的に決めさせると云ふことに改めて居ります、次に二十三頁に參りまして、初から四行目の第五十六條、是は府縣會の會議の公開の原則でありますが、之に對しましては、從來は知事から傍聽禁止の要求がありました、或は議會に於きまして傍聽禁止を議決した時、多數決主義で可決致しました時、是等の場合は非公開に出來たのでありまするが、公開の原則を貫きまするが爲に、非公開の場合極めて嚴に限定致さうと云ふので、改正原案に於きましては知事の傍聽禁止要求を削除致したのでありまするが、議會の議決は比較多數に據つたのでありますけれども、衆議院の修正に於きましては三分の二以上の特別多數と云ふことに改つて居ります、それから二十三頁の終ひから四行目の六十二條第二項、是は府懸會書記の規定でありまして、是は府縣吏員の中に付て議長が定めることに原案ではなつて居りましたのを、先程の選擧管理委員會の書記と同じやうに議長が之を任免致す、斯う云ふことに御修正になつて居ります、以上が府縣制の規定でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=54
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055・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 午前中は此の程度に止めまして、午後は一時半から開會致します
午前零時十四分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=55
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056・会議録情報3
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午後一時四十二分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=56
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057・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 午前に引續いて議會を開きます、政府委員から衆議院の修正に關する全體の説明を御願したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=57
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058・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今の點でありますが、衆議院の修正の説明は私よりも郡政府委員の方が適當かと思ひまするが、併し此の修正に對しまして、政府がどう云ふ見解を持つて居るかと云ふ點に付きましては、私から説明を申上げた方が適當だと思ひますので、場合に依りましては衆議院の修正の點に付きまして更に郡政府委員から御説明を申上げることと致しまして一應あらましの御説明を申上げたいと思ひます、先づ御手許に參つて居ります刷物で第一に地方團體の住民の權利に關する事項に付ての修正點でありますが、其の第一は改正案に於きましては例へば或人が東京に於て業務上其の他の關係に於て非常に深い縁故がある、然るに其の人が住宅關係で鎌倉に住んで居ると云ふやうな場合に於きまして、其の人は東京との結び附きが大きいから、東京の地方自治の上に於て參與致したいと云ふやうな場合に於きましては、それに參與の機會を與へることが寧ろ適當であらうと云ふやうな考から致しまして、改正地方制度に於きまして此の趣旨を新たに規定したのでありますが、其の規定の仕方に於きまして衆議院に於て此の一に書いてありますやうな修正があつたのであります、即ち都市町村に對して特別關係を持つて居る者が申請を致しまして自分の住んで居る所以外の都市町村に於て選擧権を與へられたいと云ふ場合に於きましては、其の申請を認めることに致すのでありますが、原案に於きましては此のやうな場合に於きまして、先に例示致しましたやうな東京と鎌倉とに於て二つの選擧權を持つやうな原案になつて居つたのでありますが、同一人に二箇所に於て選擧權を持たせることは適當でないと云ふ衆議院の見解で、其のやうな場合に於きましては、東京に於て選擧權を與へます代りに、住所地の鎌倉に於ては選擧權を與へないと云ふことに修正をなされたのであります、尚原案に於きましては都市住民でない市長に、名譽選擧權を與へると云ふやうな制度を認めて居つたのでありますが、是も只今説明致しました修正の趣旨から申しまして二つの選擧權が生ずるやうなことは面白くない、そこで名譽選擧權の制は廢止した方が宜しいと云ふことになつたのであります、此の點に付きましては、原案と修正案との間に於きまして、結果に於て多少の開きはございますけれども、衆議院のやうな修正を加へられると致しましても、理由のあることでありますし、別に大なる支障もないことでありますから、是は衆議院の修正を尊重致して宜からうと云ふやうに考へた譯であります、それから次に改正案に於きましては條例若しくは規則の制定、それから事務の監査、地方議會の解散又は職員の解職の請求に付きましては、一定數の選擧人の連署を要するやうに致して居るのでございますが、原委に於ては、過大都市等に於きましては最高限を決めまして、例へば御手許にあります府縣制の改正案で四十三「ページ」をちよつと御迷惑でも御覧を願ひたいと思ひます、府縣會議員の選擧權を有する者の總數の五分の一以上の連署を要しまするが、併し其の數が十萬を超える時は、十萬と云ふことに致しまして、過大人口の所に於きまする連署數は、五分の一が十數萬と云ふやうな場合になりましても十萬で宜しいと云ふやうな連署數の最高限を規定して居つたのでありますが、斯う云ふことは寧ろ作らぬ方が宜からうと云ふ衆議院の修正でありまして、其の最高限を撤廢されると云ふ修正に付きましても、是は尊重して宜しいものであらうと云ふふうに考へて居る次第であります、次に條例又は規則の制定請求がありました場合に、府縣知事、市町村長等が原案の趣旨に反しない範圍内に於きまして、之を修正することが出來ると云ふやうに原案はなつて居ります、是は條例規則の如き相當はつきりした規定でなければならぬものが、素人たる選擧人が申請を致しました場合に於きましては、其の體裁を整へる意味に於きまして、理事者側に於て、原案の趣旨に反しない限り修正をして宜しいと云ふことに致して居るのでありますが、修正案に於きましては、其のやうな修正を致した場合に於きましては、此の請求者の原案を添へて議會に提出しろと云ふことに修止されたのでございます、此の點に付きましては、法律に之を明記致しませぬで、事實修正を致したやうな場合に於きましては、理事者に於きまして修正案、原案を併せて提出する扱ひに致す方針で居りましたが、此の點を法律で明記して、發案者の意思を尊重しようと云ふ趣旨は法律上結構なことだと考へまして、是も尊重致したら宜からうと云ふやうに考へて居る次第であります、それから次に地方議會の解散又は職員の解職の請求に必要な連署數は、原案に於きましては五分の一となつて居りましたが、曩の議會でも御説明申上げたやうに、之を三分の一程度に高めることが適當であると云ふ御修正でありました、是も尊重致して宜からうと云ふやうに考へる次第であります、それから次は此の市長及び議員の解職の請求は選擧のありました後一箇年間は出來ない、又此の投票を行ひました時には其の後一箇年間、それから此の市長及び議員以外の者に付きましては選擧又は投票の後六箇月間は出來ないと云ふ制限規定を新たに修正案として附加しようと云ふことに相成つて居るのでありまするが、此の點に付きましても、四項と同じやうな意味に於きまして、尊重致して然るべきものだと考へて居る次第であります、此の點に付きましては更に説明を申上げる必要もないと思ひまするが、選擧なり投票をやりまして、又直後直ちに是がいけないと云ふやうなことを認めますことは、理論上に於きましても面白くないと云ふ點もあることでありまして、修正も相當理由あるやうに考へて居る次第であります、それから次に地方議會の解散と市長及び職員の解職の請求は、手續上選擧管理委員會に對して之をなすことに改め、是は原案に於きましては監督官廳が其の裁量、決定することになつて居りますので、監督官廳に對して請求することになつて居つたのでありますが、それを選擧管理委員會に對してなすことに改め、更に一般投票に依つて決定する、原案に於きましては、監督官廳の裁定に依つて決めると云ふことであつたのでありますが、一般投票に依つて決めることに改められた、さうして一般投票に於て過半數の同意があつた時は、當然に解散又は解職が行はれる、監督官廳の裁定に依ると云ふことがなくなつた譯であります、それから、此の議員に付きましては、所屬選擧區の選擧人に對してのみ請求及び投票の權利を認めることに致した、是も改正になつて見ますと、寧ろ當然のことと考へて宜からうと思ふのであります、是は前の四、五の修正と關聯して居る問題でありますが、四、五、六を通じまして、衆議院の修正を尊重して宜しいものだと云ふやうに考へて居る次第であります、それから次に選擧民の選擧に依つて出て參ります所の市長及び議員に付きまして、一般投票で決定致しますが、住民の選擧に依つて出て居るのでありますので、地方議會の選擧に依つて出て来て居りまする議員職員に付きましては、解職請求權は府縣知事市町村長に於て、地方議會に付議致しまして、此の三分の二以上の議員が出席して、其の四分の三以上の多數で可決された時は其の職を失ふと云ふことに改められたのであります、原案に於きましては是亦監督官廳の裁定に俟つことにして居つたのであります、此のやうに改められましたので、是も四、五、六と、關聯致しました修正である、是も尊重して宜しいものと考へて居る次第であります、それから次に第二の地方議會の議員の選擧に關する事項でございますが、其の中で選擧管理委員會の組織及び運營に付きまして、四點ばかり修正があつたのであります、其の一つは選擧管理委員の闕員がありました場合に於きましては、常に補充員の中から之を補充することと致しまして、原案にありました臨時の補闕選擧は行はないことと致したのであります、是は曩に郡政府委員からも御説明を申上げましたやうに、臨時の補闕選擧と云ふことになりますと、常に多數黨に於きまして補闕選擧は有利になるのであります、一定數の補充員を設けて置きまして、補充員の中から補充すると云ふことになりますと、補充員は數人の補充員を選びますから少數代表も可能になるのであります、そこで小數代表乃至比例代表のやうな作用をなします選擧の方が適切であると云ふ見解で修正に相成つたのでありまして、是も尊重致して宜い修正と考へて居る次第であります、それから選擧管理委員會に對しまして首長の監督權を廢止することに修正されたのでありますが、原案に依りますと、管理委員會は府縣知事、市町村長の監督下にあると云ふ明文があつたのでありますが、是は管理委員會の獨立性を確保した方がより宜しい、殊に是は他にも關係があることでありますが、地方制度全般に於きまして官僚の監督的規定が隨所にある點は、是は民主主義の上から言つて成るべく之を無くした方が宜しいと云ふ衆議院の見解でありまして、他にも此の種の修正がございますが、茲に修正を見た譯でありまして、首長の監督權と云ふ文句を消しましても實際に於きましては大なる相違はないことでありまして、此のやうな修正は尊重して宜しいものと考へて居る次第であります、それから次に管理委員會は原案に於きましては、府縣制に於ては三人以上と云ふことに原案に致して居つたのでありますが、是は委員一人からでも請求がありました場合には之を開くことに改めたのでありまして、是亦尊重して宜しいものと存じて居る譯であります、それから選擧管理委員會の書記は公共團體の吏員の中から、公共團體の首長の同意を得て、委員長が選擧することに原案はなつて居つたのでありまするが、委員會の獨立性を強化する意昧に於きまして委員長が任命する、任命する範圍は公共團體の吏員の中に限定しない、吏員の内外から任命して宜しいと云ふ風に修正をされたのでありまして、是亦別段大なる支障ありとも思はれませぬし、又民主主義化の上から申しましても之を尊重して宜しいものではないかと云ふやうに考へて居る次第であります、それから次に議員の定數を引上げる點でありまするが、是は都議會議員、町村會議員、又東京都の區の區會議員に於きましてそれぞれ或程度の増員をする修正があつたのであります、併し是等は何れも民主主義化の上から申しまして餘り議員數を少數に限定する必要はないので、是は相當數増員する方が寧ろ適當であると云ふ衆議院の御見解でありまして、此の程度の増員に付きましては、別段支障もないことでありますから、尊重を致して宜しいやうに考へて居る次第であります、それから次に都議會議員及び府縣會議員の區部及び市部以外の選擧區の區域は從前郡長又は島司が管轄した區域とすることに改められたのであります、此の點は原案に於きましては、地方事務所の區域に依ると云ふことになつて居つたのでありますが、所謂十八年法に依りまして其のやうな改正が致されたのでありまするが、其の區域に依る選擧はまだ實行したことがないのでありますが、曩に郡政府委員から御説明申し上げましたやうな次第で、之を從前郡長又は島司が管轄した區域に改めたいと云ふ趣旨の修正を致しまして、是も衆議院の院議を尊重したいと考へて居ります、それから第四には教員の兼職禁止の制を改めまして、一般官吏と同樣に取扱ふものとされたのであります、是は教員だからと云つて特殊の兼職禁止規定を設けるのは行き過ぎだと云ふ御見解であります、伴し實際問題と致しましては、教員が議員と兼職することに付きましては、本屬長官の許可を受けると云ふことで、適當に捌けることでありまするので、此の修正を尊重したい考であります、それから其の次は道府縣會議員の闕員又は當選者の不足數は現制に於きましては六分の一を超える時に補闕選擧又は再選擧を行ふことになつて居りまするが、此の闕員數の割合を引括めまして十分の一と云ふことにして、成るべく議員の闕員の機會を少からしめようと云ふ修正でありまして、是も此のやうな修正に付きましては、尊重して宜しいもののやうに考へて居る次第であります、それから次は議員の候補者の推薦届出に付きましては、所謂第三者推薦に付きましては、本人の承諾を現制に於ては要せないことに致しまして、當選した暁に於きまして其の當選の諾否を決めると云ふことになつて居つたのでありまするが、是は寧ろ届出の際に本人の承諾を得て置いた方が、選擧の結果に於きまして混亂を生じないと云ふ見解で修正をされたことでありますが、又現制に於きましては、二以上の選擧區に於きまして、議員侯補者となることが出來ると云ふことになつて居りまするが、是も選擧の結果の混亂を防止する意味に於きまして、何れか其の一を選擇しなければならぬと云ふことに修正されたのでありまして、是も修正を尊重して宜からうと考へた次第であります、それから其の次に立會人は、改正案に於きましては公益代表主義に依つて立案を致して居つたのでありまするが、是は寧ろ立候補者の利益代表主義的にやつた方が運用上下手であると云ふ見解で現行法通りに修正されたものでありまして、そこで現行法でさう云ふやうなことに相成つて居りますので、現行法の方で宜しいと云ふことでありますならば、強ひて改正案の方を固執せぬでも宜からうと云ふやうに考へて居る次第であります、それから議員の法定得票數は、府縣會、市會、町村會に依りまして必ずしも一律に現行法はなつて居ないのでありますが、是は衆議院議員選擧法に於て四分の一となつて居ります、それに一律に併せると云ふ趣旨の修正でありまして、是亦尊重をして宜しいものと考へて居る次第であります、それから地方議會が解散になりました場合に於きましては、現行法は此の改正案に於きましては、現行法通り三月以内に補闕選擧を行ふことになつて居りますが、是は一箇月を短縮しまして、二箇月以内に行へと云ふことにした方が適當であると云ふ御見解でありまして、是も同意して然るべきものと考へて居る次第であります、次に地方議會に關することでありまするが、衆議院に於きまして、市町村會は市町村内の團體等の綜合調整に關して必要な事項を議決するものとする修正があつたのであります、是は今日の市町村の實際に立脚致しまして、市町村内の活動を綜合調整することが非常に必要であると云ふ見解で修正されたものでありまして、此の運用宜しきを得ますれば、市町村制の進展の上にも裨益する所が多からうと考へまするので、是は尊重致したいと云ふやうに考へて居る次第であります、それから地方議會の意見を徴して處分を要することが必要であります場合に於きまして、其の意見の答申のない場合には、行政廳は意見を待たないで處分することが出來ると云ふ現行法になつて居りますが、是は民主主義の行き方からして、必ず行政廳は其の意見を徴して處分をした方が宜しいと云ふ修正であります、是亦尊重致したい考であります、それかを地方議會は現在通常會を毎年一囘開く、其の外は臨時會となつて居りますが、之を改正案に於きましては、府縣に於ては隔月、それから市に於ては六囘、町村に於ては四囘と云ふやうに府縣市町村に依つて實情を考へ、別々のものを規定致して居つたのでありまするが、是は寧ろ各議會とも六囘以上開くと云ふことに致しまして、一週間の定期集會を頻繁に開き、其の機會に於きまして、住民が、或は各種の直接參與の機會をそれで得る、或は議員を通して行政の運行の模樣を知ると云ふ機會を作ることは、民主政治の發達の上に適當なことであるから、寧ろ是は各議會とも毎年六囘以上と云ふことにした方がより宜しいと云ふ見解で修正を爲されましたので、是も尊重して然るべきものと考へて居ります、それから地方議會の傍聽禁止は議決に依つて、多數決に依つて出來て居つたのであります、又理事者の要求に依つても出來て居つたのでありまするが、議會公開の制は強化する方が適當であると云ふ見解で理事者の要求に依る傍聽禁止と云ふのを廢止致し、更に三分の二以上の多數で決議した場合に限ると云ふことに修正せられたのでありまして、是亦尊重して宜しいものと考へて居る次第であります、それから參事會の議長は原案は參事會員の互選に依つて決めると云ふことになつて居つたのでありまするが、是は地方議會の議長を以て之に充當すると云ふ修正であります、是は此の地方議會が定例會に於きましても毎年六囘以上開き、更に臨時大會もあることでありまして、今後意思機關の活動は地方議會中心に動きまして、従來のやうに地方議會が本會議が餘り開かれぬ場合に於きましては、參事會の方に自然權限が多く移行して居つたのでありまするが、地方議會の重要性が増して參りまして、參事會は地方議會の實質上に於きましては下部機構として細目を決めると云ふやうなことになることが豫想せられますので、本議會と參事會との連繋を緊密にすることは議會の行動を強化する上に於ても適切であると云ふ見解から、地方議會の議長を以て之に充てると云ふ修正でありまして、之を尊重致したい考であります、それから参事會員の選擧は現制に於きましては縣も市も隔年之を選擧する、言ひ換へて言ひますれば二年毎に選擧すると云ふことになつて居つたのでありまするが、五の所で御説明申上げましたやうな參事會の性格に於きまして實質上變化を來すやうになりましたので、是は寧ろ毎年一囘改選をすると云ふことが適當であると云ふ修正であります、それから參事會員の闕員は一定の補充員を作つて置きまして、其の中から補充して、一人闕けた時分に一人臨時の補闕選擧を行ふと云ふことを廢止すると云ふ修正であります、是は先に選擧管理委員に關して申上げました趣旨と同じ趣旨に依る修正でありまして、是亦尊重致したいと考へて居る次第であります、それから第七に現在參事會の議決事件と云ふものは、參事會の權限を餘程擴めて居つたのでありますが、地方議會の閉會中輕易な事件に限つて代決が出來ると云ふことに制限を致して、さうして前に申しましたやうに本議會の第二次的な仕事をするやうな性格に改めた方が宜しい、是は本議會の開會度數が非常に頻繁になりますことと睨み合せましての修正でありまして、蓋し適當なものと考へて居る次第であります、それから現在の參事會は非公開主義になつて居るのでありますが、是は民主主義の趣旨から申しまして非公開主義の原則をどこ迄も固執する必要はなからう、併し參事會は各地に於きまして必ずしも一律に之を一擧公開主義に改めると云ふことも行き過ぎであらう、是はそれぞれの參事會に於きまして自ら之を定めると云ふ程度で、議事のやり方が公開するに適するやうな行き方をして居りまする所は其の決議に依り公開をする、又參事會の議事の進め方が公開に適せないと云ふやうな場合に於きましては、是亦之を參事會の決する所に依ると云ふ程度で進んだのが適切であらうと云ふ趣旨の修正でありまして、是亦適當な修正ではないかと考へて居る次第であります、それから地方議會及び參事會の書記は從來地方團體の職員の中から之を選任することになつて居つたのでありまするが、議會の獨立性を強化すると云ふ趣旨で議長が之を任命する、任命をする場合に於きましては選擧管理委員會の場合と同樣に、職員の内外から選任されることに爲し得る譯でありまして、是亦同意を致したいと考へて居る次第であります、それから此の東京都の區の權能を擴充致しまして、現制に於きましては法令の定むる所に依る事務を處理すると云ふ規定はないのであります、之を追加しようと云ふのであります、是も同意して尊重して宜しいものと考へて居る次第であります、それから其の次は地方團體の職員に關係した事項でありますが、其の先づ第一に於きましては、都道府縣の市長を官吏とするそれぞれの法律の本文の中にあります規定を削除致しまして、附則に持つて行つて憲法實施の時迄之を官吏とすると云ふ修正であります、此の書き物の書き方は當分の間となつて居りまして、是は正確でありませぬ、憲法實施の時迄之を官吏とすると云ふ修正であります、此の點に付きましては度々御説明を申上げましたので重ねて此處は申上げませぬ、それから市長の選擧の法定得票數は原案は四分の一となつて居ります、四分の一でございますから八分の二が原案でありますが、是は低きに失すると云ふので八分の一だけ引上げまして、其の八分の二を八分の三に修正されたのであります、さうして若し法定得票數に達する者がなかつた場合に於きましては最多數の得票者に人を採りまして、決選投票で之を決めると云ふ修正であります、原案に於きましては此の決選投票の制がございませぬで、選擧に依つて法定得票數に達する者がなかつた場合に於きましては再選擧を行ふと云ふ建前でありましたが、現在の我が國の状態に於きまして法定得票數に達する者がなかつた場合に於ける再選擧、一擧に再選擧に行くには度々選擧を行はなければならないやうな虞があるから、決選投票と云ふものを加へますと同時に此のやうな便法を講ずると致しますと、法定得票數の方を何がしか引上げた方が全體から見て合理的だと云ふ見解の修正でございますので、是亦尊重致したいと云ふやうに考へて居ります、それから東京都の區の區長は、原案に於きましては都長官が區會の意見を徴して定めることに相成つて居るのでありますが、他の地方に於きましては知事及び市町村長の公選になつて居ります、東京都に於きましては都長公選は出來ましても、區長は其のやうな定め方では均衡を失する、又民主化の主義から言つても少くとも區長公選は適當であると云ふ見解での直接選擧への修正でありまして、是亦尊重致して宜しいものと考へて居る次第であります、それから監査委員に對しましては選擧管理委員の場合と同樣に自治團體の市長の監督權を條文上認めて居つたのでございますが、之を廢止致しますと監督委員の職務上の獨立制を徹底させる修正案、是は又曩に選擧管理委員に付て御説明申上げましたと同じ趣旨の改正でありまして、支障のないものと考へて居る次第であります、それから現制に於きましては市町村或は府縣に於ける參與は市長が選任すると云ふことになつて居つたのでございまするが、是は地方譲會の同意を得て市長が之を選任することに改めると云ふ改正であります、尚又町村制に於きましては參與は必置機關になつて居つたのでございますが、是は參與を置くや否やは各市町村の事情に依つて任意に選擇した方が適當であると云ふことで任意機關に修正に相成つたのであります、何れも支障もございませぬし尊重致して宜しい修正であると考へて居る次第であります、それから現法の制度に於きましては府縣市町村に於きまする委員の規定は簡單なものでありまして、色々疑問も起きたやうなことが運用上にも事實上さう云ふ點がございましたので、嘗てありましたやうに、委員は常設又は臨時とし議員其の他學識經驗のある者の中から地方議會の同意を得て市長が之を選任すると云ふことに改められたのでありまして、是亦尊重致して宜しいものと考へて居る次第であります、それから市町村長は市町村内の團體等の綜合調整を圖る爲之を指揮監督することが出來るものとする、是は新しい修正であります、是は曩に市町村會は市町村内の團體等の綜合調整に關して必要な事項を議決することが出來ると云ふやうに修正されましたものと照應した修正でございまして、尊重して宜しい修正と考へて居る次第であります、現在の制度に於きましては市長が地方議會の違法又は明かに公益を害する議決、選擧に付ては之を再議に付しないで直ちに取消又は府縣知事等の裁決又は指揮を乞ふことが出來ることになつて居りますが、再議に付することが原則であります、再議に付せずしても、所謂原案執行が出來ると云ふことになつて居りますが、常に再議に付せなければならぬと云ふことに修正をされたのであります、是も民主主義の精神から申しまして、此の修正は尊重して宜しいものと云ふやうに考へて居ります、それから地方議會に於きまして市長の不信任の決議をした時には十日以内に市長が地方會議を解散しない限り自分で退職しなければならないことに修正されたのであります、原案に於きましては此のやうな不信任決議がありました場合に於きましては、監督官廳の裁定に依つて決することに相成つて居つたのでありますが、是は民主主義化の趣旨から申しまして監督官廳に持つて行きませぬで、十日以内の間に議會を解散しない限りは自分で退職すると云ふことで團體限りで處理される、監督官廳が茲に「タッチ」しないと云ふ趣旨の修正であります、それから其の二項は其の不信任議決を致します場合に於きまして、特別多數の議決に改められたのであります、原案に於きましては過半數の決議があれば宜しいと云ふことになつて居つたのでありますが、之を三分の二の議員が出席して其の四分の三以上の多數でなければならない、是は蓋し第一項に於きまして監督官廳の裁定と云ふことを省略致しますことと照應致しまして、特別多數の決議を附加されたのであります、是は兩者を併せ考へますると、蓋し妥當な修正ではなからうかと考へて居ります、尊重致したい考であります、それから自治團體の市長が地方議會又は參事會の權限に屬して居る事件を先決處分を致しました時は、之を地方議會又は參事會に報告して、且其の承認を求めなければならないことに修正されたのでありまして、是亦同意を致して宜しい修正であると考へて居る次第であります、それから第五には其の他の點でございますが、其の第一と致しましては、地方制度の上に於きまして帝國臣民と云ふ表現が使はれて居るのでありますが、今日に相成りましては寧ろ之を日本國民と直したことが妥當であると云ふ見解での修正でありまして、是も尊重して宜いものと考へて居る次第であります、それから選擧長、立會人等に對しましても報酬を與へることを法律上明記することに修正されたのであります、又選擧監理委員會、地方議會及び參事曾の書記に對しまても給料、旅費、退隱料を支給するものと修正されたのであります、是は現制に於きましては是等の書記は一面に於きましては自治團體の職員たる身分を持つて居りましたので、此のやうな規定を必要としなかつたのでありますが、衆議院の修正に依りまして書記は自治團體の職員の内外から任免し得ることに相成りましたのに伴ふての修正でございますので、何れも議決を尊重して宜しいものと考へて居る次第であります、それから東京都の區の存して居りまする所の町内會、部落會及び其の聯合會の長に對しまする報酬等は、原案に於きましては都が之を負擔することに致して居つたのでありまするが、是は寧ろ區が之を負擔した方が宜しい、區長と、區役所との結付きを密接にすることが寧ろ適當であると云ふ御見解でありまして、之には經費支辨の點に於きまして考へなければならぬことがありまするが、是は都費を區費に廻すと云ふことも必要があれば出來ることでありますので、別段支障のかどもございませぬし、修正を尊重して行きたいと考へて居る次第であります、それから東京都議會議員の任期は昭和二十一年十月三十一日迄とすることに改めたのであります、是は原案は八月三十一日となつて居りました、而して此の東京都議會議員の任期は、都制に依りますと四年に相成つて居りまして、現在凡そ三年を經過して居つて、もう一年任期が殘つて居るのであります、其の任期を特に短縮する爲には法律を要しますので、八月三十一日と致して居りましたが、是は今囘の改正案の議決が延びることに相成りましたので、それに伴ふて十月三十一日迄にと云ふことに修正を致したのであります、是は衆議院の修正と申しますよりも、法律審議の間に於きましての期日の喰違ひが出來たのでありまして、當然の修正であらうと思ふのであります、それから其の次に鹿兒島縣大島支廳管内の十島村の中、竹島、黒島及び硫黄島の縣會議員の選擧に付きましては、當分の間鹿兒島縣鹿兒島郡に屬するものとすることに致したのであります、是は大島支廳の管内は、大部分目下我が國に於きまして選擧を施行することが出來ないことに相成つて居るのでありますが、支廳管内の中此處に表示してありますものは、選擧が内地と同樣に行へることに相成つたのであります、併し是は大島支廳管内の選擧區でやると云ふことになりますと、極く少數な人口になりまして、議員の割當等にも關係があつて、都合が惡いものでありますから、隣りの鹿兒島郡に屬しまして、そこで選擧に參加をさせると云ふことが、便法ではございますが、已むを得ないことでありまして、此の點此の法律立案の時に於きましてははつきりして居なかつたのでありますが、其の後はつきりして參りましたので、衆譲院の修正と申しまするよりも、政府側から考へまして、此のやうな修正案を望んだ譯であります、それでは此の第五に對しまする只今の説朋は、私誤解を致して居りますから取消しまして、もう一遍改めて御説明申上げます、此處に表示して居りまする地域は、地方事務所の區域と致しましては、實際上の便宜から鹿兒島縣の鹿兒島郡の區域に編入されて居つたのでありまするが、是が地方事務所の區域を捨てまして、從前同支郡廳の管轄致した區域を以て選擧區とすることに改められましたに伴ひまして、斯う云ふ修正を致しませぬと、實際上の運用が出來ないと云ふ關係から、是は衆議院の修正と申しますよりも寧ろ政府側に於きまして、其のやうな修正を願はなければ運用出來ないと云ふ關係にごさいましたので、其の修正を見た次第であります、故に是も尊重を致して然るべきものと考へて居る次第であります、以上極く概略の御説明を申上げまして、又衆議院の審議の模樣に付きましては、私に於て説明を申上げますよりも、郡政府委員から御説明を申上げました方がよく事情に通じて居ります點もございますので、更に御質問に依りまして、私の説明の足らなかつた處、或は不十分でありました處、誤つて居りましたやうなことがありと致しますならば、更に御説明を申上げたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=58
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059・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 只今の御説明の衆議院の修正の箇處に付全部に亙つて御質問がありますれば、御質問を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=59
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060・中田薫
○中田薫君 只今内務大臣から衆議院の修正に付ての政府の態度を色々御説明になりましたが、それに依りますると、修正の總ての箇處が修正した方が或は理由があり、或は事實、差支ないものとして御同意された、院議を尊重されたと云ふ御言葉でありましたが、さうして見ると今迄伺つた範圍に於きましては、全部此の修正に付てさう云ふことを言はれたのだらうと思ひますが、すると一つとして政府の意思に反して修正をやつたと云ふことはない、さう云ふことに了解して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=60
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061・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今御説明致しました點は、此のやうな表示に依りますと、凡そ四十何點あるかと存じますが、それ等の修正點に付きまして、總ての點に付て衆議院の方と事前に十分なる打合を遂げまして、政府は之を尊重すると云ふ結論に達して修正をされたと云ふやうな次第ではございませぬ、事項に依りましては十分御打合を申上げました點もございまするが、衆議院獨自の見解に於きまして決定を見るに至つた點もあるのであります、併し是は決定を見ました跡に付きまして段々檢討致して見ますると、先程來御説明を申上げましたやうな工合に、提案の根本趣旨に反するやうな點は何處にもございませぬで、殆ど大部分はまあ謂はば技術上の問題が多いと思ふのであります、其處で政府と致しましては、此の點に付きまして衆議院の決議がありまする以上、強ひて反對をする必要はなからうかと云ふやうに考へて居る次第であります、それから尚申上げますが、此の修正に付きましては司令部側の一々の承認を取ることになつて居るのであります、此の點に付きまして、何れも司令部側に於きましても、異存なしと云ふことにも相成つて居ります、さう云ふ次第でありますので政府と致しましては、此の決議を、衆議院の決議に關します限り尊重致したいと云ふ風に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=61
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062・中田薫
○中田薫君 其の點は十分了承して居るのでございますが、私の質問したいと申すことは、其の修正の中に、明かに言へば政府は是は困つたんだ、併し已むを得ないと云ふやうな政府の根本の意思に反しての修正と云ふものがなかつたと、斯う了解して宜しいですかと云ふのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=62
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063・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今御尋の如く、政府と致しては能く檢討致したのでございますが、政府の根本趣旨に反すると云ふやうな點は何處にもございませぬので、政府が修正されました結果に付きまして、非常に困ると云ふやうな點は何處にもないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=63
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064・中川望
○中川望君 議員の定數の引上げが全般に亙つてありますが、是は「アメリカ」等に於ける最近の趨勢から申しますると、成るべく議員の定數を減少すると云ふ方に向いて居るやうに承知して居るのでございます、適當なる代表者を出すに付ては、多いよりは少い方が宜い、極端とも申したい程に、例へば人口百萬もある「デトロイト」が僅か九人の市會議員しかない、或は「バッハロー」の如き五十萬の人口があつても五人しかない、それを寧ろ誇りとしても居るやうであります、是は單り「アメリカ」ばかりでない、「ヨーロッパ」に於てもさう云ふ趨勢になつて居ると思ふのでありますが、是等に付て政府と衆議院との間に何か御交渉があつたのでありませうか、一應伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=64
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065・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 仰せのやうに議員の定數に關しましては、衆議院の委員會等に於きましても、議員數が少い方が寧ろ各人の責任を尊重する所以ではないかと云ふやうな點から、色々所見を申述べた經過はございます、唯衆議院の多數御意嚮は、民主的な訓練を多くの者に與へると云ふやうな點に可なり重點を置かれましたやうであります、是は根本的な理由とも考へられませぬけれども、有權者が殖え、多くの人間を選出致す、地方議會等に婦人の議員等が出られますことは、國會に婦人代議士が出るより寧ろ先に來るべき状態である、左樣な訓練的な意味合ひを多く加味したいと云ふやうな御希望が可なり強いやうに見受けました、斯樣な見解も亦成立つものであるかのやうに了解致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=65
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066・中川望
○中川望君 市町村内に於ける團體の綜合調整と云ふことは、是は極めて必要なことと存じて居りますが、なかなか是迄の實際はうまくいかぬので、内務省としては、其の點は非常に是迄より強く主張されて居るけれども、例へば米の供出等やなんか、さう云ふことに付きましても、系統的の農業との間が十分にうまくいかぬと云ふやうなことも實際の事柄であります、併し殊に今後自治と云ふものの權力が非常に大となるのでありまするから、其の自治體内の諸團體に付ては、どうしても市町村會竝に市町村長は相當の權力を持たなければならぬと思ふのでありまして、今囘の修正は誠に結構なことと存じますが、此の首長が指揮監督すると云ふことに付て何か具體的の議論があつたのでありませうか、それに付て衆議院の修正に付ての經過を伺ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=66
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067・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 衆議院の御議論は、現在市町村長が參與等の意見を徴しまして、綜合的運營を圖ります爲に、さう云ふ團體に對して必要なる指示をなし得ることになつて居る、然るに十八年の改正と云ふことに對しては、多くの期待を持つて居つたけれども、實は出來て居らぬぢやないか、是は恐らく十八年の改正と云ふものが不徹底であるが爲ではないであらうか、さう致しますると、市町村と云ふやうな團體に極めて廣汎な權限を與へることが必要なのであらうと云ふことで、多くの方の御意見は、非常に強いものに市町村と云ふものを致しまして、各種の團體を其の傘下に收めるやうなことを希望して居られるやうに見受けたのであります、處が段々と論じて行つて見まして、さうは申しましても、現行の法制等の建前で、總ての團體を市町村の傘下に收め、或は市町村の事務にしてしまふと云ふことは如何にも困難である、從ひまして、十八年の改正法と立て方は同じやうであつて、唯當該の市町村の元來の職務權限、議決事項の中に團體活動の綜合調整を入れ、市町村長の職務權限として監督出來るやうに致すのが、恐らく他の法制との均衡上最大限度であらうと云ふやうな御意見でございまして、具體的には農業會其の他の團體を擧げられては居りましたけれども、斯樣な方法でやつて行つたら此の條文の運用は出來るだらうと云ふやうな具體的の御意見は多く拜聽致しませぬで、政府に於きまして十分條文の運用に付て研究して貰ひたい、斯う云ふやうな御意見でございました、従ひまして各種の團體等に付きまして、それぞれ他の法制等も變つて參つて居る際でありますから、それぞれの省に法律の改正等がありまする際、或は當方から聞き及びました時に、此の條文の趣旨に、勿論未だ御審議中のことではありますが、斯う云ふやうな考へ方で、有らゆる機會に、市町村と云ふものを綜合的な基本的な團體としての地位を高めるやうに努めて居りますると同時に、何等かの形で市町村に此の運用に付ての具體的なやり方を致したいと思つて居ります、それで衆議院の本會議で、寧ろ現行法に付きましても、現行法の指示權が却て市町村長と産業團體の摩擦を起す種にならぬかと、寧ろ逆の御意見もあつたやうであります、是は農林當局から、市町村の方は割に圓滿に行つて居るからと云ふやうな意見で説明を致して居つたのでありますが、左樣な意味合ひからも、是は衆議院の委員會の席上でも話が出たのでありますが、此の根據と致しまして、實際の運營は成るべく市町村の實體に相應しいやうに、法律の手段に訴へずに圓滿にやつて行けるやうに、最後の據ろは持つて行きたいと云ふやうなことでございました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=67
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068・中川望
○中川望君 次に、是は都制問題の時に伺つても宜しいことでありまするが、只今の修正の中に、東京都の權能の擴充と云ふことがありますが、衆議院の修正の中で、之に關して修正されたのは此の點だけですか、他に何か之に關して非常に問題になつたと云ふことはなかつたのでありますか、參考の爲に伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=68
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069・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 都に關しまして一番問題になりましたのは、都の區に付きましては區長の公選の問題でありまして、是は都を基本的な團體とする意味合ひから、公選論の意味合ひも能く分る譯ではありまするが、同時に又都内の統制と云ふ點から考へて、其の適否に付ては十分檢討して見なければならないと云ふやうな御意見は、委員の中にもあつたことを見受けたのであります、唯全體の他の團體の首長と云ふものを總て直接選擧に致し、それから是は讀み方であらうと思ひまするけれども、憲法に申して居りまする地方公共團體の長と云ふものに、或はそれは基本的な團體であつて區の如きは含まぬと云ふ讀み方も出來ると思ひますけれども、素直に讀みまするならば、東京都の區が憲法に申して居りまする所謂地方公共團體の長と認めまして、從つて直接選擧をすべきものであると云ふ工合に見ることも、讀み方としてはすらつとした讀み方かと存じましたし、寧ろ公選を前提とし、而も東京都に於ける調和を如何にするかと云ふことを考へた方が宜いのかと思ふのであります、唯此の段階迄參りますと、東京都と云ふのを基本的團體とし、區に付ては都に從屬致すと申して居りまするが、行政區的な分を相當強く見ようとして居りまする東京都制の考へ方と云ふものに、檢討を加へる必要があるのではなからうかと存じて居ります、五大都市の特別制を考へる場合に、東京都制と云ふものも、殊に終戰後の事態に即して考へて見るべき問題ではないかと思つて居ります、尚區の問題と致しまして、法令に定めまする所の事務を、現行法では都條例の定めまする事務でありましたのを、法令に定むる事務に擴げ、更に區固有の公共事務迄認めたらどうであらうと云ふ御意見もありました、併し是は區の實體から申しましても、それから又何と申しましても、都との關聯から考へまして、區自身固有の公共事務を認める程度には法制上考へる必要もないし、又實際もさう云ふやうな働きをする場合がないであらうと云ふことで、一應御意見は出ましたが、是には多數御贊成にならなかつたやうに見受けたのであります、市町村等と特に違ひますのはそれ等の點だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=69
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070・中川望
○中川望君 市長の法定得票數に達する者がない場合に、大多數の者は二人に付て決選投票を行ふ、此の決選投票を行ふ際、何かそこに條件的なものが問題にされなかつたのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=70
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071・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 只今の御尋の趣旨を十分了解して居らないかも知れませぬが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=71
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072・中川望
○中川望君 例へば選擧民が決選投票をする價値がないと、斯う云ふ場合に、投票が極めて少なかつた、さう云ふ時でも矢張り決選投票と看做すかどうか、是は極端なことでありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=72
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073・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 御尋のやうな場合の間題は、寧ろ解職請求の一般投票に付ての論がございました、多數の御意嚮では、内務大臣が解職致すことは、折角請求權を認めながら何等民主的措置ではない、一般投票を致すと云ふやうなことに一應考を決められまして……是は多く懇談會と云ふやうな形で修正案に付て進められたのでありまして、懇談會の席上でも出て居つた議論でありますが、初の三分の一の請求權を行使する者がある、處か是は殘りの三分の二から言へば、餘り好ましくない傾向の三分の一である、從つて其の解職の請求に付ては何等熱意がない、熱心なのは三分の一である、さうすると非常に責任感が強ければ、反對ならば勿論反對の投票をすべきであるが、三分の一の解職請求に對しては大した熱意を持たない、從つて一般投票にも熱意を持たない、さうすると三分の一ばかりで投票してしまつたら、結局少數の意嚮で支配してしまうぢやないか、斯う云ふ點で一般投票とか、直接選擧とか云ふものに對して、大いに反省して見なければならぬと云ふやうな考へ方から出て居る御議論と思はれる節々があつたのであります、併し是等に對しましては、さう云ふことを言つて居ては、新憲法に流れる理想と云ふものは實現出來ない、さう云ふことのないやうに有らゆる方法を講ずべきだ、斯う云ふやうな御意見でございました、それで知事の決選投票に關しましては、八分の三と云ふものが、當初は四分の一と云ふ政府の原案でも高過ぎる、寧ろ四分の一の法定得票數を外したらどうかと云ふ御意見でありました、之に對しましては政府としては、衆議院議員でも法定得票數がある、法定得票數さへ得られない知事と云ふものを考へて、果してそれで行政が出來るであらうか、法定得票數はどうしても必要だと云ふことを言つて居つたのであります、それが八分の三に昂まりまして、それは殆ど得るものがないであらう、從つて決選投票の事態に移つて行く場合には、恐らく今後の選擧と云ふものは、政黨が基礎になるであらう、政黨と云ふものは十分に、現在のやうに多數對立して居る際に於ては、聯繋を致して間違ひのない人物を出して行くやうに、寧ろ決選投票と云ふことは選擧自身が餘りに白熱し過ぎる、其の白熱し過ぎまする結果、却て逆に虚脱状態になつてしまつて疲れて熱意がない状態になる、それから又殘りの十日間に選擧運動費用等を決めまするけれども、殘りの十日間と云ふものに有らゆる運動費用等を通じてやつてしまうやうなことが起りはしないだらうか、そこに至つては最早二人の競爭となると、夢中になり過ぎるやうな傾向になりはしないかと云ふやうな點が色々出て居つたやうであります、さう致しますと逆に持つて行きまして、普通の状態に於ては、八分の三と云ふ高い法定得票數では困難であるけれども、矢張り知事を選擧すると云ふのであれば、寧ろ「マジヨリティー」を要求することが主になるかも知れない、八分の三を取り得るやうに地元に於て結束をして、さうして總ての點で決選投票で行くと云ふことのないやうにしたいのである、さう云ふ工合に論じて居ります間に、何時かさうすれば成る程何所でも決選投票ばかりになることもなからうと云ふやうな氣持を持つて居られるやうに見受たのが實情であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=73
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074・中川望
○中川望君 市長の不信任決議をした際に、十日以内に市長が之を解散する、是は條文の方に明かと思ひますけれども、此の市長が解散をするに付ては、監督官廳か上級者の指揮を受けると云ふことも何もない、唯市長だけの考で出來るのでありますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=74
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075・大村清一
○団務大臣(大村清一君) 大體左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=75
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076・中川望
○中川望君 さうすれば其の間に自ら自己の信ずる所に依つて解散することが出來るのでありますか、政府の原案はどうであつたのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=76
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077・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 原案は解散の議決がありました時分には、解散をするかどうかは監督官廳ですると云ふことに致して居つたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=77
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078・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 今度の衆議院の改正、又政府の原案を見ても區の行政機構が可なり擴大して參ります、現在の状況から見まして、威は外に較べまして進歩し過ぎやしないかと云ふ心配が私はあるのでありますが、假に今度の改正案に依りますると、區が相當財源を求むることに相成る譯であります、さうしますと區の財源は區で出しますが、區税と申しますのは、今東京で申しますると都民税ですか、或は都の市町村民税になりますのですか、其の區民税の主體を一つ承りたいのであります、それから其の次には收入源と致しましては、此の條文にありまする五箇條か項目がございまするが、あれが大概區の歳入の財源になるものと斯う見て宜しうございますか、其の外に尚特殊財源と云ふものが作り得るのでございますか、或は都から補助して參りまするかどうか一つ承りたいと思ひます、と申しますのは、區が獨立體となりまして、相等關係議員、職員も作ります、それから給與、報酬なんかも出さなければなりませぬ、それを區で區費を以て負擔すると云ふことになるのであります、それから殊に町内會長、部落會長にも又今度新しい制度で報酬を與へると云ふことになつて來ます、其の他色々な給與又は報酬を支拂ふことがあります、さうすると相當區の歳出と云ふものは案外多くなりやしないかと云ふ心配も致します、それに對して財源が確實になつて居りませぬと又赤字になります、赤字になりますれば、どうも巳むを得ませぬからどうしても區としての起債の問題が出て參ります、さうしまして實情已むを得ざるものと監督官廳で御認になつた場合に於て、區の起債の能力竝に状態を調べまして、果してどれ位の限度の起債能力を御認になりますか、それも併せて承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=78
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079・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 區民税に付きましては仰せの通り東京都との調和も保たなければ相成りませぬので、地方税法の方に於きまして、區に於きましては都條令の定める所に依りまして東京都の課することを得る税を決定致すことに相成つて居ります、それで考へられますることは、是は寧ろ東京都と云ふ團體の性格を如何にするかと云ふ根本問題から又考へ方が變つて來るのでありまするけれども、或は車税の如き獨立税に付きましては、區に委譲しても差支ないのではなからうか、區民税は成る程區民と云ふものと區の繋りを致しますのには有力な財源でありまするが、區には成る程相當多い自治的な部面を授けようとは思つて居りますけれども、又各區が亂雜に仕事を始めまして經費の浪費を起しますことが寧ろ心配だと思ふのでございます、從ひまして區民税の如き財源は、現在の住民税を都と區と若干づつ分けますやうなことは將來は考へたいと思ひますけれども、直ちに區に區民税として住民税を徴させることを約束する時期にはまだ參らないかのやうに寧ろ考へて居ります、それから財源に付きましては左樣な財源と、それから東京都から交付致しまする交付金、是は必ずしも財政調整的な意味合ではございませぬで、町内會長等に對しまする給與を區が致すと云ふことに相成つて居ります、是は區と町内會長との繋りを付けます爲には好ましいことでありますので、其の財源は區自身で調達致しますと云ふと可なり厖大な經費になります、從ひまして負擔の關係に付ては都に於て實質は負擔し、財源を區に交付して、區から給與を支拂ふと云ふやうな形に致します意味合の交付金を、特に都と區との關係では置きたいと考へて居ります、それから區の起債に付きましても、現在戰災後の色々の状態と云ふものは、各區に依りましては大分仕事がしたいやうに申して居りますが、是も終戰後の色々の事態に對處致します事業を矢鱈に區で營まれましては、將來直ちに負債の償還に支障を來すやうな場合も起らうかと思ひます、寧ろ區と云ふものは矢張り營造物を中心に守り立てるのでありますから、從つて現在の東京都の各區の模樣で衞生に關する施設が非常に不十分である、病院でも區で拵へたいと云ふやうな、公共福利の直接區民の利益になります營造物等を拵へます爲に、市場を拵へると云ふやうなことで起債を求めて參りました場合には認めると云ふ限度を成るべく引締めて參りたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=79
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080・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 大體御説明に依つて了解致しましたが、今の御話に依つてもう一つ承ります、今の公共營造物の設置、例へば市場とか病院と云ふ場合には、必要な施設でありますから相當の起債を認めると仰しやいますが、起債と言ひましても、現在の財政上から非常に困難でありますから、或限度を大體御認になつた方が宜いんぢやないかと思ひます、でありますから大體人口數であるとか、或は一般民衆の財力であるとか云ふことから考案せられまして、大體區に於ける所の起債の限度と云ふものを豫め御決めになつて置いた方が宜いのぢやないかと云ふことをもう一遍承ります、それから其の次は町内會長と部落會長のことでありますが、是は此の前の衆議院の選擧法に付きましても大分議論が出たのでありますが、今日町内會長、部落會長の樣子を見ますと、なかなか忙しいのです、殊に配給其の他のものが度數が殖えて參ります、それで一々計算は精密にして報告を區役所に出さなければならぬ、甚だ失禮な言ひ分であるが、今考へて見ますと、面倒臭い仕事は皆區役所が町内會長、部落會長に押付けて居る、是が本當なんぢやないかと思ふのであります、是は御否定になるならば御否定するのが危いじぢやないかと思ふのであります、實に町内會長、部落會長は氣の毒な状態であります、其の外に組長があり、更に受持の月當番と云ふものがあり、實にややこしくなつて居るのであります、斯う云ふ場合に於て今お前に報酬をやるやうになつたからどうしてもやれと言つて、談判づくでやられたら町内會長だつて困る譯であります、さう云ふことはすつかり止められて、區役所で本當にすべきことは區役所に或程度迄さして置いて、さうして其の中の町内會長がやる方が適當だと云ふ限度に於てのみ、町内會長、部落會長にやらせると云ふことに致しませぬと、是は楽しみにやつて居るのは少くて、お義理にやつて居ると云ふ人がまあ十分の八以上だと思ふのであります、之を何時迄も認めて行くと云ふことも矢張り何と言ひますか、輿論となりますと、民衆としては餘り好い氣持はしませぬ、此の點に付ては十分一つ御研究の程を願つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=80
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081・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 營造物に關しまする起債等でありますれば、多く使用料の收入等で以て償還歳入が確實に賄へる程度のものが差當つて考へられると思ひます、戰災後の區の現状から申しますると、區の起債と云ふことは必要でございませうが、償還致します能力を持つて居る區と云ふものは、現實の問題としては殆どないかのやうに考へますので、餘程引緊めて枠を設けて參りたいと思ひます、それから町内會長、部落會長に付きましては、確かに忙殺されて居りまして、殊に大藏省關係の金融の非常措置以後、非常にむづかしい仕事が町内會長、部落會長に賦課せられるやうになつて居ります、是は可なり氣の毒でありまして、寧ろ私が今考へて居りますのは、現在のやうにああ云ふ重い責任ある仕事が加つて參りますならば、成るべく啓發宣傳と申しますか、運動めいた仕事を町内會長部落會長の肩から取つてやりまして、それで金融非常措置に關する各般の説明等は町内會長でも使ひませぬと……使ひましても確實に出來るものでもありませぬが、外にする者もございませぬから、現在の過渡的に必要な已むを得ぬ仕事に止めまして、さうして運動めいた仕事の方は少し除いてやりませぬと出來ないことになつて居りますから、御趣旨の點は左樣やつて行きたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=81
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082・森俊成
○子爵森俊成君 只今の松平委員の御質問と同じやうなことでありますが、今度の改正で以て區の獨立權と申しますか、非常に強大になつた、其の結果各區の財政状態なんと云ふものが非常に違つて來ると思ひます、それで各區各區に依つて課説率と云ふやうなものも違つて來るのではないかと思ひます、昭和七年に大東京を拵へました時に、舊十五區の隣接の區を併合した其の一つの理由としましては、澤山の町村が十五區の周りにあつて、それが餘にも違ふ性格内容、殊に經濟上の内容を持つて居ると云ふことが面白くない、其の面白くない町村が犇々と相隣り合ひ、相對峙して居るのは宜しくないから、それ等のものを一つにして大東京と云ふやうなものを拵へたと云ふのが理由の一つであつたと私は心得て居ります、今囘の此の改正に依つて區の獨立性が強化されて來ると、又以前のやうなてんでんばらばらのものが出來上つて來るのではないかと思ふのであります、さうすると大東京を拵へる前のやうな状態に歸る虞がなきにしもあらずと思つて居る、斯う云ふやうなことは御考になつたことがありますか、若しありとすればそれに對して何等か按配をそこにするやうな御考でもありますか、どうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=82
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083・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 森子爵の御尋の點は確に三十五區を合併するに付ての重大な理由の一つだと考へて居ります、又もう少し遡りまして大正十二、三年頃に於きましては區が小學校を經營致して居つたのであります、其の結果區税の負擔が非常に相違が出來て參りまして、麹町區のやうな富裕な區に於きましては、本税一圓に對して一圓以下のものを課ける、それに比べて本所、深川方面になりますと、本税一圓に付きまして四圓乃至五圓も課けます、さうしますと鞠町區の區税負擔と、本所深川區の負擔との間は五倍以上の開きが出ると云ふやうな不合理な點がありまして、そこで先づ教員給を市支辨と云ふことにし、後それが段段發達しまして、大體今日の國民學校の經營費は大部分都負擔と云ふ所迄發展致して參つた、是等も、其の原因の大きなものは區税負擔の均衡と云ふやうなことであつたと思ひます、將來東京都内に於ける區の自治權、自主權をどの程度迄認めて行くかと云ふことに付きましては、只今御質問になりました點も十分念頭に置きまして、そこに宜しきを得なければならぬと思ふのであります、今度の改正案に於きましては、先程地方局長からも御説明申上げましたやうに、區税で支辨して行きますやうな仕事に付きましては餘程決意しなければならぬと思つて居ります、從つて區税を課けます場合に於きましては、必ず都條例を以て決める、都は其の點に於て深甚の注意を拂ひまして、區税を課するに付きましては、都條例の定する所に依りまして、各區の間に於きまして非常な輕重の生ずると云ふやうなことは防止する用意を持たせなければならぬと思ふのであります、又區債起債の取扱に付きましても、税支辨で行けますやうな起積は餘程考慮しなければならぬ、税で償還をするのではなく、使用料の如き營造物の設置に伴ひまして、營造物收入で償還出来ると云ふものは是は別でありますが、區税で償還をすると云ふやうな區債事業に付きましては十分注意をして行かなければならぬと思つて居ります、尚又現在の區の機能に付きましては、財産及び營造物を維持管理して行く性質のものでございまして、他の一般市町村に於けるが如き公共事務を處理して行くと云ふ權限は認められて居ないのであります、唯區の機能を擴張して行くと云ふ問題になりますと財産營造物に關する區の外に公共事務を處理すると云ふことは必ず考へられることでありますが、此の點に付ては地方局長からも御説明申上げましたやうに衆議院に於きましても論議がありましたが、併し都の自治權を擴張すると云ふ見地に立つて此の際直ちに公共事務迄處理すると云ふ權能の擴張を圖ることを實行されなかつたと云ふ點も、只今森子爵の御尋になりましたやうな所も考慮されて居るものと思ふのでありまして、自治權を擴張する上に於きましては十分注意をしなければならぬと思ひます、要するに東京都内に於ける三十五區は都の一體性に重點を置いて、さうして或は又區の自主權と云ふ點に於て重きを置いて考へて行くと云ふことに依つて岐れることでありますが、私共の見解と致しましては東京都内の區に付きましては都の一體性を害せざる限度に於きまして區の自立性を伸ばして行くと云ふことで行くのが妥當である、從つて區の權限、或は區債起債に付きましても其のやうな根本趣旨で規正をして行くべきものでないかと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=83
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084・森俊成
○子爵森俊成君 それからもう一つ簡單な御答で構はないのですが、現在區の分離併合と云ふことが計畫されて、何か民間などでそれぞれ著手されて居るやうでありますが、此の區の併合と云ふやうなことに付て、何か基本的な方針等を示されて居りますかどうですか、それと併合の時期は何時ですか、是たけ伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=84
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085・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 現在の東京都の三十五區に付きましては戰災を受けました關係、又戰災後の都民が復歸します場合に住宅の殘つて居る所に密集して來ると云ふやうなことから致しまして、單に人口の點からだけ見ましても、一區に於きまして一萬位しか人口のない所があります、半面に於ては四十萬に垂々とするやうな區も出來て居ります、又人口以外の點に於きましても、非常な不揃ひな區が現はれて居ります、是等は將來東京都の復興の進むに從ひまして、段々と又情勢は變はると思ひますけれども、併し戰災前の東京都の三十五區に於きましても程度の差こそあれ、矢張りさう云ふ不揃ひはあるのであります、人口が僅か五萬位の區もありますれば一面に於ては三十萬を超えるやうな區もあつたのでありまして、此の邊の調整をしなければならぬと云ふ議論も段々あつたのでありまして、現在のやうな特に著しい不揃ひが出で參りました時に於きまして、一般に多くを合理的に考へたらどうかと云ふことになつて居りまして、是等も今日の時勢と致しまして、若し民主主義的な行き方に依つて適當な解決が得られますならば、それで行つたらどうかと云ふ見解から、政府と致しましては別段多くに付きましての基準を示して居ると云ふ手段はまだ執つて居りませぬ、併し只今東京都を中心と致しまして段々協議、相談が進んで居りまして、其の歸趨を見まして、又こちらの方と致しましても適切な勸告なり、提議を致して見たいと斯う思つて居ります、まだ現在の所に於きましてはそこ迄取計つて居りませぬ、話合で適當な解決を得られるであらう、又さう得て貰ひたいと云ふ氣持で臨んで居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=85
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086・森俊成
○子爵森俊成君 さう致しますと此の郡部併合と云ふことと、近き將來に行はれる選擧と云ふこととは何も關係はないのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=86
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087・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 其の點に付きましては次の選擧迄の間に一つ實現をして見たいと云ふ積りで研究が進んで居るやうであります、私共もそれが出來れば大變結構だと考へて居るやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=87
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088・山隈康
○山隈康君 解職請求權の五分の一を衆議院で三分の一に修正して參りまして、政府は之を尊重する、政府が衆議院に於て屡屡御説明になつた所に依りますると、是は少數の權利者を保護すると云ふ趣旨の御説明があつたやうであります、さう致しますると政府案の五分の一、假に人口百分と致しますると二十萬、三分の一に致しますると三十何萬、丁度二分の一、約半分だけの増加を見る譯であります、少數の權利者を保護すると云ふ趣旨に稍遠ざかるやうな感が致しますが、如何でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=88
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089・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 山隈委員の仰せの如く、五分の一を三分の一に引上げました關係上、少數發言の機會がそれだけ制限されて居ると云ふことは、政府も之を十分認めて居るのでありますが、實は少數發言の機會を與へる爲に五分の一と致します半面に於きまして、其の運用に慣れる迄の間に於きましては、其の解職請求権の決著は監督官廳の裁定に依つて決する、そこで少數者の申請は有らゆる角度から十分に檢討致しまして、理由ありと認める時に其の請求を成り立たせると云ふことで運用して行きたいと云ふ考であつたのでありますが、其のやうな政府依存の行き方は民主主義的でないと云ふ御見解から、是は他の先進國にもありまするやうに、一般投票で決すると云ふことに決められましたものでありますから、それと伴せ考へますれば五分の一の條件を三分の一に引上げると云ふことも、兩者伴せ考へますと已むを得ないことである、又其のやうな一般投票に行くと致しますと、其の程度の引上は是は是認して宜いものではなからうかと云ふ見解で、尊重致したいと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=89
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090・山隈康
○山隈康君 私共は少數の權利者を保護すると云ふ理由を以ちまして、此の請求權のやうなものは動もすると濫用の虞がある、それで許されれば成るべく其の數を多くの國民から解散請求權を行使すると云ふことになると若干輕視せられますけれども、修正に付て何れ私は贊成する譯でありますが、唯政府の意向だけを確めて置きます、次に政府の方では國務を大幅に地方自治の方に委譲する、自治の擴大強化を圖る、斯う云ふ意味から致しますれば、自治制の下に於ては執行機關と意思機關の二本建、是が各々獨立を致しまして市政の運用を圖る、斯う云ふ此の大幅の仕事が地方自治に委任、委譲されました以上、其の市長たる者の責務は相當重大であります、從つて此の職務を遂行するには相當の權能も亦認めてやらなければならぬと思ひます、それで此の各種の獨立機關が出來ますれば、首腦者の市長も行爲を拘束されまして、十分其の機能を揮ふことが出來ない虞はないかと思ふのであります、然るに衆議院に於きまして、管理委員、監査委員、此の二つを獨立機關として認めて、是等の機關の爲に市長は相當掣肘を受ける虞はないかと思ふのであります、監査委員は是は或は縣會等の請求に依りまして、市の財政を監査すると云ふ見地から致しまして、獨立を認めると云ふことも適當であらかとは思ふのであります、併し此の選擧に關しますることは市長自身が縣民、市民、村民の選擧に關する注意を惹き起し、公正なる選擧をなすへく常に努力をせねばならぬ責務がある、其の實際の選擧を行ふ際に於ける管理委員ですか、之を獨立せしむると云ふことはどう云ふ見地から來たのでありませうか、段々此の改正案を拜見致しますると、何だか昔の官吏が縣知事になる、其の管理の下に於ては相當獨立したるものを認めなければ民主政治ではない、斯う云ふ觀念に囚はれて居るのではなからうか、今後の縣知事は縣民の選擧に依つて、縣民の信頼に依つて知事となる人でありまするから、其の自分の信任したる知事が選擧を行ふ、其の管理委員を監督が出來ないと云ふことは、何だか知事の權限を狹めたやうな感じが致します、元の縣知事の純然たる管理であると云ふことの觀念の下に、之を獨立管理にしたのではないかと、斯う云ふことを疑ふのであります、政府の御意見を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=90
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091・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 今囘の地方制度の改正に依りましては、最も大きな點は、執行機關と議決機關との關係に於きまして大變更があつたと思ふのであります、と申しますのは執行機關は議決機關に依つて選定されて居つたのでありますが、其の關係を斷切りまして、執行機關は直接住民が選擧すると云ふことになりましたので、執行機關の地位は非常に強化されたと思ひます、又其の半面に於きまして議決機關たる地方議會に付きましても、權限も擴大を致しますし、又其の開會等に付きましても頻繁なるものを致しまして、結局執行機關と意思機關とが各々獨立の立場に於きまして竝存して行くと云ふことが非常に強化されたのであります、是は結局所謂「チエック・アンド・バランス」の作用に依りまして、之に依つて地方政治が大いに民主的に發展すると云ふ所の狙つたものであります、而して此の大きな立場と云ふものは、他の面に於きましても十分考慮を拂つた積りであります、成る程選擧管理委員或は監査委員に付きましての地位の獨立性は認めましたけれども、之に依りまして執行機關たる府縣知事なり市町村長の、一般行政の遂行に於きまして、非常な制限を受けると云ふやうなことはないと思ふのであります、殊に衆議院の修正に於きましては法文上に於ける「自治團體の首長の監督」と云ふ文字は削られましたけれども、併し是は實際の作用から申しました意味に於きましては、修正前の原案に於きましても、選擧管理委員及び監査委員の地位の獨立性は十分に確保しなければならぬ、又斯樣に考へて居つたのでありまして、唯字句の上に於きまして監督とありましたものを衆議院で修正された程度でありまして、實際の作用に於きましては修正前後に殆ど相違はないと思ふのでありまして、監査委員なり選擧委員が法令に違反するやうな行動がありました場合に於きましては、それはそれぞれ法の定むる所に依りまして、措置をされる譯でありまして、別に此の點に付きましては首長の監督權がなくても解決される問題であります、又法令に違反をしない適正なる職務を執行して居る場合に於きましては、監督權を持つて居る首長に於きましての監督權の發動を必要としないことは勿論であります、修正前後に於きまして實際の作用に於きましては、相違はないと考へて居る次第であります、それから更に何故に選擧管理委員會を設けたかと云ふ根本でありますが、是は御尋の如き府縣知事の管理制と何等關係はないのでありまして、實は斯んな考へからであります、今後自治政治と申しますか、民主政治が段々と發達を遂げて行きますに付きましては、必ず政黨政治の健全なる發達をすると云ふことに相成ると思ふのであります、從つて今後地方自治團體に於きまして、政策決定の中樞に立ちます所の自治團體の首長は、政黨を背景にすると云ふやうな傾向に段々進んで參ると思ふのであります、斯樣な場合に於きまして選擧事務を執行すると云ふ場合に於きましては、中正なる機關を設けると云ふことを考へなければ、政黨を背景にして居りまする首長が、選擧事務を行ふと云ふことに付きましては、選擧の公正を維持する上に於きまして、實際上は兎も角と致しまして、精神上に於きましても色々疑惑も起ることもございます、選擧の執行に付きましては一般の信頼を繋ぐに足るやうな、中正な機關を設けると云ふことが必要であります、併し中正なる機關を設けると致しましても、是は實際としてなかなか困難なことでありますが、結局是は選擧管理委員を地方議會で選擧をすると云ふやうなことに相成りますれば、其の選擧に依つて適當な人が出て來ますことでもあります、又出て來ます人は各派の人の代表者が參加することでありまして、それ等の合議體に依つて委員長の下にものを決して行きまするならば、其處に自ら信頼するに足る公正なる選擧の遂行が實現されると云ふことを狙ひまして、選擧管理委員會を設置することに致したのであります、從つて是は實は府縣市町長を通じまして選擧の公正を確保するのに、如何にしたら宜しいかと云ふ所から出發して居る改正でありまして、府縣制の問題として特に採上げて研究したものではないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=91
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092・山隈康
○山隈康君 大變御説明が詳細になりましたがどうもちよつと了解を致し兼ねましたが、只今政府の仰せになりまする如く、執行機關と意思機關は各自獨立を致しまして、互に侵犯することを許さないのは自治制の根本である、是は承知して居ります、然るに監査委員と云ふものは執行機關であつて意思機關でない、選擧自體の事務をするのでありまして、執行機關の一部であつて意思機關でないから、其の點から致しましても獨立性を持たせると云ふことは、どう云ふものであるかと云ふ疑ひを持つのであります、次に只今法制では獨立と云ふことになつて居るけれども、知事が然るべく取扱ひをするのであるから實際問題としては弊はない、是も私了解致し兼ねます、既に獨立性を認めた以上は、知事は之に對して干渉を許さないのが獨立性の根本であると思ふのであります、それは知事が然るべくやるから圓滿に行くのであらうと云ふことは、法制に對する質疑の御答としては了解に苦しむ點であります、更に私は衆議院の多くの修正は、大體政府原案を補正し其の線に沿うた修正であつて、私は大體賛成をします、政府は之を獨立機關にあらず、知事が之を監督をすると云ふのを、それぢやいけない獨立機關にすると云ふことが、原案を補正したものでもない、性質を變へたのでありますから、之に非常に恭しく敬意を表せられるのであると云ふのが了解に苦しむ點であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=92
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093・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 選擧管理委員會に獨立性を付與すると云ふことは、是は政府立案の當初から考へて居つたことでありまして、選擧の執行の管理と云ふのを自治體の首長の責任に持つて行くと云ふことは適當でない、獨立機關をして管掌させることが適當であると云ふ考で之を立案致したのであります、而して第二の點に付きましては、私の御説明の申上げ樣が惡かつたかと思ふのでありまするが、何も首長が適當に監督を事實上するから支障がないと云ふやうに申上げた積りではありませぬ、首長の監督を受けると云ふ法文上の表現の監督を脱しましても、本來選擧管理委員會の獨立性を確保しようと云ふ建前で行つて居るのでありまして、其の監督と云ふ文字を脱しますことに依りまして別段支障がないと云ふ趣旨に申上げたのであります、即ち法律に違反を致しますやうな行動を選擧委員が執りまするならば、それは現在も地方制度の上に於きまして、それを補整する手段は備はつて居ります、さうして又其のやうな不當な行動のない限り、假令「監督」と云ふ文字を殘して置きましても、實際上監督作用は行はるることはないのでありまして、謂はばあれは飾りのやうな文字であつたと思ふのであります、其のやうな「監督」と云ふ文字を脱した方が宜しいと云ふ御見解に付きましては、管理委員會の性格に考へまして一向支障がないと云ふやうに考へましたので、衆議院の修正を尊重して宜しいと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=93
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094・山隈康
○山隈康君 初から獨立性と云ふことを考へてござつたならば、縣知事が之を監督すると云ふことは意味をなさぬやうでありまするが、是以上は討論に陷る虞がありますから、此の問題に對しては此の程度で止めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=94
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095・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 本日は此の程度で會議を止めたいと思ひます、明日は豫算の開會日でありまして、多分本會議は午後迄あるだらうと云ふ見透しでありますから、議案研究旁旁一日休むことに致します、明後日、大なる差支がなければ午前十時に開くことに致します
午後三時四十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=95
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096・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 白根竹介君
副委員長 男爵 伊江朝助君
委員
侯爵 徳川頼貞君
侯爵 佐竹義榮君
子爵 森俊成君
子爵 梅園篤彦君
子爵 松平銃之助君
子爵 田中薫君
姉崎正治君
中田薫君
男爵 松平外與麿君
男爵 尚琳君
男爵 島津忠彦君
男爵 多久龍三郎君
中川望君
松尾國松君
山隈康君
河端作兵衞君
渡邊覺造君
佐々木長治君
國務大臣
内務大臣 大村清一君
政府委員
内務事務官 郡祐一君
同 鈴木俊一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00419460911&spkNum=96
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