1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○東京都制の一部を改正する法律案
○市制の一部を改正する法律案
○町村制の一部を改正する法律案
○府縣制の一部を改正する法律案
○衆議院議員選擧人名簿等の臨時特例に關する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年九月十三日(金曜日)午前十時十分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=1
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002・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 是より會議を開きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=2
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003・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 政府委員に御伺ひ致したいと思ひます、物資の配給と住居の認定の關係はどう云ふ風になつて居りますか、實は自分のことを申上げて甚だ恐縮でございまするが、私は京都に生れて京都に住居を持って居りまするし、勿論原籍も京都にある譯でありますが、最近東京と京都とに半分々々に住んで居ると云ふやうな關係から致しまして、家内は京都で配給を受けますし、私は東京で配給を實際受けて居るのであります、勿論是は私共も此の十月に東京から轉出致しまして、京都へ轉入を致しまして、京都で配給を受ける譯でありまするが、斯う云ふやうな場合に京都を以て住居と認定せられるのでありまするかどうか、其の點を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=3
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004・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 住所の認定の場合に物資の配給を相當重要な要素には考へて居りますけれども、矢張り從來の住所の認定の場合のやうに客觀的に各般の條件を調査致し、又當該の御本人の主觀的な要素を加味致しまして、決定致して參ると云ふことが、住所の認定には從來の色々な要件に更に物資の配給をも加へて考へると云ふ程度に致して居りまするので、家族と一緒に住まはれる場所、且其處に色々な永住を致します設備等のありまする場合には、物資の配給に拘らず御家族がおいでになる場所の方を住所として認定する場合が起らうかと考へて居りまするが、從ひまして物資の配給を一應の標準とは致しまするけれども、それのみに餘り偏つて物資の配給の臺帳等を基礎にして、直ちに住所がありとしてしまひますと、却て間違ひが多いからと云ふやうな注意を與へて居るのでありますが、梅園子爵の實際の御事情に付ては又詳しく状況を伺ひまして認定は決定致す場合には致しますが、御話の程度ですと直ちに東京に選擧法上の住所があり、と云ふ工合に直に認定出來るかどうか只今の御話ではちよつと疑はしいのぢやないかと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=4
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005・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 それでは私の場合には何れ詳しいことを申上げないと御分りにならぬと云ふことになるのでありますが、大體京都を以て住居と認定されると云ふ風に解釋して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=5
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006・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 只今伺ひました程度でございますと、京都の方が有力ぢやないかと、此の席上で伺ひました所では私は考へるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=6
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007・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 次に第三條の三に「府縣内の市町村民は本法に從ひ府縣の選擧に參與する權利を有す」と云ふ風にございますが、是は缺格條項はどう云ふ風になつて居りますか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=7
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008・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 府縣内の市町村民が府縣の選擧に參與致します基本的の權利を有しますることを府縣制の第三條の三で申しまして、それから改正法の第六條に參りまして、「府縣内の市町村會議員の選擧權を有する者は府縣會議員の選擧權を有す」、「府縣内の市町村會議員の被選擧權を有する者は府縣會議員の被選擧權を有す」と云ふことになつて居ります、從ひまして其の缺格條項は市制若しくは町村制に規定致されて居るのでございます、從ひまして假に市制に例を採りますと、市制の改制法の第十四條に規定致して居ります、是は現行法で申しますると、現行法の市制九條に該當する條文でございます、積極的な要件と致しまして從來現行法では帝國臣民たる「年齡二十五年以上の男子」と云ふことに相成つて居りまするのを、衆議院議員選擧法と同樣に二十年以上のものでありますれば、男女を問はず差支ないことに相成って居ります、更に二年以來住所を有することを要件と致して居りましたのを、六月以來住所を有しまする場合は宜しいことに致して居ります、さうして缺格條項は十四條に列擧致して居りまする事項が缺格事由に相成って居るのでありまして、之を現行法に較べますと「破産者にして復權を得ざる者、貧困に因り生活の爲公私の救助を受け、又は扶助を受ける者、一定の住居を有せざる者」是等の三つの、破産者、貧困に因る救助、扶助を受けまする者、一定の住居を有しませぬ者、此の三種類のものは缺格條項から省かれた譯でございます、是等のものは自己の責任に屬しまするよりも、寧ろ社會的の事情に依りまして斯樣な状態に陷って居るものである、之を以て選擧法上の缺格事由にすることは不適當であらうと云ふ考で落しましたのであります、それ以外の部分に付きましては刑餘者等に付きましては只今の所は現行法を踏襲致して居ります、此の刑餘者の處遇を如何にすべきか、傾向と致しましては寧ろ緩和すべきであらうと思ひますが、其の程度の如何樣に致しますかと云ふことは、司法省とも更に一般の他の公權、私權の取扱とも併せて考へたく存じまして、現在は取敢へず現行法を踏襲致して居る、是が缺格條項の大體でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=8
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009・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 今の第十四條の第三項に刑餘者には選擧權がないと云ふ風になつて居りまするが、又此の刑餘者に付ては御考慮になつて居るやうでございまするが、戰時中に囚人が造船其の他の事業に對しまして驚くべき能率を發揮したことは周知の事實でありまして、私も東京造船を二度見學に參つたことがありますが、其の際に當局の説明に依りますと、普通人の數倍の能率を擧げたと云ふことを聞いて居ります、依つて刑餘者に對しまして選擧權をば與へまして其の自尊心を高めると云ふことが非常に效果があるのではないかと云ふやうな考を以ちまして、寧ろ刑餘者には選擧權を與へると云ふことに致しました方が適當でないかと思ふのでありますが、重ねて此の點に付て御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=9
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010・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今の御尋の點は郡政府委員からも申上げましたやうに、政府と致しまして此の缺格條項を再檢討致しまして、今日の事情から改めたならばどうかと云ふ點は夙に氣が付いて居つたのでありますが、是は衆議院議員選擧法の缺格條項、其の他他の諸法制とも關係致して居りまして、是だけを直しますのも均衡を得ないと云ふことも考慮致しまして、暫く之を後日に讓ると云ふ趣旨であります、衆議院に於きましても此の點に付きましては同樣の御意見でございまして、確か附帶決議にも、此のことを更に政府は速かに研究して適當な改正をしろと云ふ御意見もあつた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=10
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011・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 只今の點は内務大臣の只今の御説明に依りまして了承致しました、尚大臣にちよつと伺ひたいと思ふのでありますが、「オッペンハイマー」の説のやうに農民向都の傾向は絶へないと考へます、從って大都市は益益人口が集中することとなります、依つて食糧、勞力、其の他の見地から致しまして、東京都を初め大都市の何と申しますか、講想をば適正に致しまして、國土計畫と睨み合せて一大構想の下に大都市計畫をば樹立すると云ふことが必要ではないかと思ふのであります、勿論都市計畫の話は承知致して居りまするが、尚不徹底であるかのやうに思ひまするので、之を更に徹底的に大計畫を御立てになり、且之を實施せられると云ふやうな御意思はございませぬでせうか、伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=11
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012・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 終戰後の事情に即しまして、我が國の國内各般のことに付きまして餘程思ひ切つた再建設をしなければならぬと云ふ點は、最早我が國に於きまして輿論になつて居るやうに思ふのであります、此のやうな目的を達します爲には、政府に於きまして速かに一つ國土計畫の策定に乘り出しまして、人口の配置をどうするか、産業の配置をどう云ふ方法でやつて行くか、又學校其の他の文化施設をどうするか、さう云ふやうな國土計畫上の諸事項を逐次國策として決定して行くと云ふことが必要であらうと思ひます、又それに基きまして實際の人の動き乃至はそれ等の諸施設をどう整備して行くかと云ふやうなことの行政上の措置をも考へなければならぬと思ふのであります、現在御話の如く都市計畫と云ふことで一應の施政を從來致して來て居つたのでありますが、併し是は單に計畫に限つて居りますので、人の動きは自然に放任して居る、果してそれで宜しいものでありますか、それ等の點も再檢討の對象になるものと考へて居ります、要するに政府に於きましては近く國土計畫審議会とも言ふべきものを設置致しまして、廣く各方面の參加を得まして國土計畫を策定する上に於きまして、遺憾なきを期したいと云ふやうに考へて居る次第でございます、尚國土計畫に相伴ひまして都市計畫の上に於きましても新しい立場で考へ直して行くと云ふことも、必ず必要になって來ようと思つて居るのであります、現在其のやうなことと致しまして、極めて臨時的なことではございますが、食糧、住宅問題等も考慮致しまして、東京其の他の戰災都市に對しまする入市制限を致して居ります、又半面に於きましてはそれ等の都市の住民が成るべく地方に疎開をする、假令一時的でも宜しいから疎開をすると云ふやうな方法も講じて居るのであります、是等も將來のやり方に付きまして一つの示唆を與へて居るやうに思ふのであります、是は臨時的の措置でありまするが、此のやうな問題を恆久的に採上げる方法はないであらうかと云ふやうなことも確かに研究問題の一つだと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=12
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013・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 了承致しました、尚來るべき通常議會には大都市制度に付ての法案を御提出に相成るやうに承知致して居りますが、其の際大都市に對しまして委讓せられます所の行政警察の程度はどの程度に行はれまするか、若し御差支なければ其の内容をば御示しを願ふことが出來れば仕合せだと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=13
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014・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 將來大都市等に對しまして、現在府縣警察の權限内に屬して居りまする所の警察權の中、成るべく大幅に之を委讓致したらどうかと云ふやうに考へまして、一應の試しの案を内務省警保局に於て公表致し、各方面の意見を聽いて居る所でありまして、政府と致しましてもまだどの程度委讓致しましたならば宜しいかと云ふやうな成案を得るに至つて居ないのであります、唯大體の心持と致しましては府縣警察の方に留保して置くことが治安の維持、又國民の生命身體を保護すると云ふ上に於きまして必要なものは、是は今日の府縣警察等に留保しなければなりませぬが、然らざるものは成るべく大都市等には委讓致したいと云ふやうに考へて居ります、其の線に沿つて想像致して見ますると、まあ消防警察のやうな如きもの、衞生警察のやうなもの、風俗警察のやうなもの、其の他此のやうな大體都市民の生活を防衞すると云ふやうなものでありまして、是が我が國の社會の治安維持と云ふやうなものに餘り深き關係のないものは、大都市に委讓して然るべきものではないかと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=14
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015・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 尚伺ひたいと思ひますが、東京都を初め大都市の市内に於きまして、最近「ピストル」強盜が横行致しましたり、又殺人事件が頻出致して居ります、且又集團野荒しが跋扈すると云つたやうな風に、治安上由々しい問題が頻發して居るのでありまするが、是は警察力の不足に依りまするか、或は又警察官の素質の低下に依りまするか、恐らく兩者だと考へまするが、之を要するに、大都市に於ける現在の警察力を以て、果して其の治安の重責を完うすることが出來るかどうかと云ふ點に付きまして、甚だ心許ないのであります、尚警察官の素質の低下したと云ふことも爭はれない事實であります、是は京都で聞いたことでありまするが、或家に「ピストル」強盜が入りましたので、逸早く警察に電話を致しましたにも拘らず、なかなか警官が出張して來ない、隨分時間が經ちましてから漸く武裝警官が一團を成してやつて來たと云ふのであります、固より強盜は悠々と目的を果しまして、立去つた後であります、斯う云つた事實に鑑みましても、素質の低下と云ふことは爭はれない事實と存じまするが、警察力竝に警官の素質の低下と云ふことに對しまして、如何樣の御對策を御持ちになつて居りまするか御説明を煩はしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=15
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016・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今御尋の所は大體こちらも御同感に考へて居るのでありまするが、唯終戰後の犯罪防遏に關する件に付きましては、社會的の關係も一つ大きな原因になつて居ると思ふのであります、御承知のやうに終戰後世相が非常に險惡となつた、又國民の間に於きまして遵法心が低下した、又氣持が荒みまして、犯罪の手口が御話の如く集團的に行はれるものが多くなつた、又其の行動には兇暴性を加へて來たと云ふやうなことが治安維持の上に一つの大きな障碍になつて居つたのであります、併し此の問題は段々人心が平靜に歸して參りまするのと、食糧事情其の他も逐次緩和して參りまして、終戰直後に比べますと、今日に於きましては餘程情勢は緩和して來て居る次第であります、尚又警察官の方面に於きましては、御承知のやうに戰時中應召其の他軍事に從事する者が激増致しまして、そこに警察官の間に於きましては不馴れな者が入つて來て、又戰時中の事情と致しましては必ずしも素質優良な者のみを補充採用することが出來なかつたと云ふやうなことで、確かに素質の低下もあつた次第であります、尚又終戰後の事情と致しまして、警察官も矢張り當時の世相を反映しまして、色々の理由から致しまして、警察力が鈍つて來たと云ふことも認めざるを得ませぬ、又終戰後の新らしい行き方に於きましての警察官の進み方、警察權の限界と云ふやうな所に於きましても、はつきりしないものがあつたのであります、それ等の諸事情も逐次改善されて居ると思ふのであります、今日になりましては餘程警察力は恢復して居ると信じて居るのであります、唯何に致せ、曩にも申上げましたやうに警察の對象となるものが其の質に於きまして非常にむづかしくなり、數に於て非常に殖えて居る、然るに警察官の方に於きましては定員も一向増加致して居りませぬ、又其の裏付を成して居りました所の陸海軍兵力と云ふやうなものは全然なくなつたことでもございます、それから曩にも申上げましたやうに犯罪の手口が申告を受けましても、直ちに少數の者で出動致しましたのでは、寧ろ反撃を喰つて目的を達せないと云ふやうな事象も段々ございます、それ等が士氣の上にも自ら影響すると云ふやうなことで、兇惡なる集團強盜と云ふやうなものの取押へに付きまして、市民に不安を懷かせると云ふ事實が時々起つて居りまして、是は誠に遺憾に存じて居る次第であります、尚一面に於きましてはさう云ふ集團強盜は多く自動車等の快速度のものを利用して居るのが多いのであります、それに對處致しまする爲に、警察官の、警察の方に於きまして自動車等の設備が非常に不十分であります、更に甚だ遺憾なことでありまするが、警察電話其の他の通信機關の復舊が意の如く進みませぬので、此の點に於きましても非常な缺陷を持つて居るのであります、其のやうなことでございまして、警察改善の上から見まして、手を加へなければならぬ點が山積を致して居ります、是は極力其の改善に努力を致して參り、今後も努力致す積りであります、併しさうして參りまして、警察官の士氣は近時極めて旺盛になつて參りました、生命、自體を賭しても其の職責を完遂しようと云ふ旺盛なる士氣が甦つて來て居りますことは、誠に意を強うする所でありまして、既に兇惡なる犯罪に立ち向つた爲に生命を失はれた者も全國では大凡百に垂々と致して居ります、怪我を致しましたやうな者は其の數倍に達して居ると云ふやうな状況でありまして、此の點に付きましては警察を主管致して居りまする私と致しまして、警察官諸君に多大の感謝と敬意を表して居る次第であります、併し是は大體の傾向でございまして、一部に於きましては素質の善しくない者、又不心得の者もあるのであります、又之を過去に比べまするとさう云ふやうな宜しからざる振舞が殖えて居ると云ふことも、是は事實であります、此の警察官の素質を善くし、又其の教養訓練を高めて、警察力を増加せしむる點に於きましては、色々の工夫をしなければならぬと思ひます、先づ今日の經濟情勢から申しまして待遇を適當な所迄改善をすると云ふことは第一にやらなければならぬことでありまするが、最近一般官公吏と併せまして、警察官の待遇に付きましても一應の向上は出來たのであります、尚先頃申上げましたやうに、特に警察官に對しまして千五百萬圓だけ一箇年間に餘分に昇給を致すと云ふ豫算が成立致したのであります、此のやうなことと合せ考へまして、本年度からは中等學校以上の者を原則として採用すると云ふことに方針を立替へたのであります、それから尚此の警察大學校、或は警察專門學校と云ふやうな再教育の機關も擴充する豫定で居ります、各府縣にあります所の警察練習所も充實を致したいと云ふやうに考へて居る次第であります、尚是等の待遇改善と相俟ちまして、警察官の教養の上に付きましては、一層力を盡します、殊に民主主義的なる警察の行き方に付きましては、再教育の必要が痛感せられますので、此の點に付きましても力を致したいと考へて居ります、それから更に裝備の點に於きましても、通信機關の復舊改善に付きましては、相當額の豫算も成立致したことでありますので、之に力を致しますが、又更に聯合國の好意に愬へまして、自動車等の設備に付きましても何んとか目鼻を付けたいものだと云ふので、只今種々手配中であります、是も見透しと致しましては、數千臺の自動車を入手することが出來るのではなからうかと云ふやうに考へて居る次第であります、色々の制約下でありまして、十分には參りませぬが、併し有らゆる方法を講じまして、大體只今申上げますやうな方向で警察力を充實し、さうして民衆の信頼に應へると云ふことに全力を盡す積りで居ります、又治安の維持に付きましても、是は日本の警察力の責任でございます、聯合國に於きましても、日本の治安は日本の國内問題であるから日本警察に於て其の萬全を期するやうにと云ふ線で、常に鞭撻をされて居るのであります、又内面に於きましては、隱れたる援助、協力等も惜まれて居ないのであります、其の行届いた聯合國の態度を感謝しながら、私共は今後十分警察力を強めまして、社會治安の確保に邁進する積りで居ります、又今迄の經過から考へますと、日ならず其の目的を達成し得るものと信じて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=16
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017・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 御懇切なる内務大臣の御説明に依りまして、大體了承致しましたが、どうか「ジー・エイチ・キュー」とも十分連絡、交渉せられまして、警察官の増加、警察力の増大を御圖り戴き、且警察官の素質の向上をも併せて御圖り戴きましてさうして少くとも大都市の治安の萬全を期して戴きたいと云ふことをば強く希望致して置きます、尚陸海軍の裏付のない今日でありまするから、動もすると面子に囚はれて「エム・ピー」との連絡を缺くと云つたやうなことも聞くことがありまするので、さう云ふ面子に囚はれず「エム・ピー」との十分な連絡を取って、協力して治安の萬全を期して戴きたいと思ひます、尚もう一點内務大臣に御伺ひ致したいと思ひます、それは東京都側の一部の人から聞いたのでありますが、東京都としては、都制を此の際廢してしまつて、寧ろ特別市制の施行を希望して居ると云ふやうなことを聞いたのでありまするが、眞逆今更都制を廢止すると云ふやうなことは勿論出來ないと思ふのでありまするが、斯う云つたことを東京都制の相當な方々から聞きましたので、之に對する内務大臣の御所見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=17
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018・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 今日の東京都は日本の地方制度の中ではちよつと特殊な存在になつて居ることは御承知の通りであります、從つて一部に於きまして、寧ろ五大都市に特別市制を布くならば、それと同じ形に戻つたら宜いではないかと云ふやうな意見もあり得ることと思ひます、どの程度其の意見がありますか、私は其の點は存じませぬが、さう云ふことは確にあり得ることと思ふのであります、而して是等の問題に付きましては、今後民主的なる檢討に依りまして適當に解決されて然るべきものと云ふやうに考へて居りますが、只今の所政府と致しましては、東京都に於て特殊の發達を致して居ります所の今日の形體は、是は直ちに變更する必要があるものとは考へて居りませぬ、之には相當な理由のあることでありまして、輕々に之を變更すると云ふやうに考へるべきものではないと存じて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=18
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019・松尾國松
○松尾國松君 警察の物資配給其の他取締の根本に付て御尋ね致したいのですが、それはどう云ふことであるかと云ふと、此の頃闇を大分取締をされる、それで此の頃都民の有志の人の話を聽いて見ると、「又取締を始めやがつたが、どうせやれやしないのだからしやうがないことだ、野菜は食はれやせぬし、電球は出て來やせぬ、詰らないことをやりよるに依つて食はれやせぬのだ」と云ふやうなことを言つて居る、「それならばそれを主張したら宜いぢやないか」と言ふと、「さう云ふことを言つたつて斯んな風になつてしまして居る」と斯う云ふことを言うて居る、處で我々が見て居ると、其の警察官と云ふものは、先程大臣から御説明のありましたやうに、非常に氣の毒な状態にある、やらうと思つても先程から御説明のあつた通りやれないし、私共は寧ろ第一線に居る者であるから、其の警察官の苦勞と云ふものも非常に能く知つて居る、であるから偶にはどうかは知らぬけれども、併しさう云ふことも必ずしも惡意や何かでない、寧ろ全面的に同情に價すると思ふのです、處が今日で言ふと闇を取締る、出て來るものを取締ると云ふならば、持つて來て充てがはにやならぬ、持つて來て充てがはにや如何に取締ると言つたつて、食はずと居れないから、此の頃都民の人が言ふやうに、食はずと居れないから自分で持つて來るより仕方がない、是も根本の問題は、内務大臣は閣議で何處迄引受けられるものであるか、斯う云ふことなのです、私の疑問に思ふのは、警察官が非常に厭な思ひをして取締ると、即内務大臣のやり方が惡いのだと云ふことになる、處が内務大臣と云ふものは、今日は取締と云ふ厭らしい方面だけ引受けて居る、それで持つて來る方は來やしない、持つて來ることも、もつと具體的に云へば、農林省が配給をするならば物資を、例へば食料品、農産物で云ふなら、農林省が持つて來る、だからこつちは取締は幾らでもしてやるが、持つて來てはつきり配給をする、確かに完全かと、斯う云ふことをはつきりしなくて、唯我々外から見て居ると云ふと、少し闇が殖えた、又取締るのだから、取締ると物が又高くなる、私は現にあの取締が新聞に出た時に、心安い人が來たから、明日から高くなるから見ておいでと云ふと、さうしたらちやんと高くなつた、現實に私は物好きだから見て來て居る、茄子もあの取締が出てから二つ乃至三つ高くなつた、ちよつとそれを持つて來て高く賣る、高く賣ると云ふのが惡いぢやない、是はどう云ふことかと云ふと、取締と云ふよりも裏付すると云ふ、持つて來る方は少しも構やしない、さうして工合の惡いことだけを警察官と内務大臣が受けるのだと考へて居る、物資ならば農林省が配給、供給すると云ふ元を握つて居るから、農林省が如何に裏付をするか、それをしない限り俺の方は取締つてもいかぬ、斯う云ふ風に言はれて居るであらうと思ふけれども、其の根本に於て我々が一線から見て居ると、直ぐ内務大臣はちよつと工合惡いと、うん宜し、俺は取締を引受ける、さう云ふ輕い意味ではないだらうけれども、結果から見るとさうなる、それだから何故さう云ふ方を、取締の方で一番重要な職務を持たれるならば、裏付の方を先にして何故言はれないか、之を既往に徴しても、例へば關西方面で初は五貫目であつたが、二貫目より持つて來ることならぬ、其の中に二貫目は贈呈なら宜い、處が或人が松尾君僕は贈呈を幾らでも受けられるから宜いが、本當に買つて食はぬならぬ者ならばどうにもならない、七十五匁當てと言つたのが、僕の所は十匁も五匁も渡らぬ、だから買つて來なければならぬと言ふ、斯う云ふことなのです、さう云ふ譯で厭なことだけを警察官が背負ひ内務大臣が背負ふかの如く見える、だからどうしてそれを裏付の方にもつとしつかり言はれぬか、もつと現實な言葉で言ふと、内務大臣は取締ると言ふと、取締をせられた翌日から却て物が出て來る、斯う云ふことにならねばならぬのに、取締と云ふ方を簡單に引受けられると云ふことに付て警察官を指導、措置と云ふか、警察官の職務を勵行せしむる上に於てどう云ふ考でされるか、斯う云ふことが承りたいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=19
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020・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 戰時中もさうでありましたが、終戰後も引續きまして我が國の國民生活を確保して行きます上に於きましては、食糧其の他の物資の供出の面を統制し、又配給も統制すると云ふことを國策として執らざるを得ないまあ現實に直面致して居りますので、是等の物資の生産乃至供出と配給に付きましては、それぞれ主務省に於きまして計畫を立て、閣議にも諮つて其の大方針が決り、是が制度化されて來て居るのです、其の制度化されます場合に於きましては、其の統制に違反する者に對してはそれぞれ罰則が附せられて、内務大臣と致しましては、物資の生産乃至供出及び配給に付ては責任は持つて居りませぬ、政府として決りました其の統制經濟の運行に付ての經營違反に對しまして罰則が附きまするならば、是は違反者に對して警察が取締をしなければならぬ立場に立つのであります、又終戰後の行き方と致しましては、警察はさう云ふやうな違反行爲がありまするならば、それを斷乎取締ると云ふことが出來ますけれども、言ひ換へて見まするならば、さう云ふやうな犯罪を防遏すると云ふ點に付きましては警察は全力を盡しますが、併し其の基本を成します所の統制經濟を内務省の力に依りまして、警察の力に依りまして積極的に如何なる方向に持つて行くかと云ふやうなことは、是は行き過ぎでありますから、今日の警察に於きましては其處迄は踏み出さないと云ふ方針を嚴重に立てまして、其の線に沿ふて運營を致して居る次第であります、併し實際の統制經濟の行き方を見ますると、是は色々の制約を受けまして必ずしも計畫通りに參らないのであります、即ち供出の部面に於きましても、豫定通り進み兼ねる、又配給の面に於きましてもなかなか計畫通りには參り兼ねると云ふ事情があるのでありまするが、併し市民なり國民は生きて居るのでありまするから、生きる爲にはそこの缺陷は何としても之を補助しなければならない、そこで或は闇買が起つて來る、乃至は物の出廻りが極めて不圓滑の爲に價格違反が起る、是は何れも警察の取締對象になるのでありますが、今日のやうな状態に於きましてはそれ等の違反行爲を悉く檢擧すると云ふやうなことは實際問題として不可能であります、それから尚是等の好ましからぬ事象が起りますのは、各地方々々の實情に依りまして程度が違ふことであります、從つて一律一帶の重點主義で取締ると致しましても、其の重點の置き方が各地の實情に依って異つて來るのであります、此處に非常な困難な問題があるのでありますが、併し此の事態に直面致しまして内務省と致しましては全國一律一帶の取締方針を指示する譯には行き兼ねるのでありまして、其の各地方の實情に即しまして大體の取締方針を基準に置きまして、各府縣知事に於て各地の事情に即して經濟部の行き方、其の縣内に於ける統制經濟の進行状態と云ふやうな點を熟知しまして、さうしてそれと相竝行して警察の取締をやつて行くと云ふことに實際はなつて居るのであります、さうして取締の一般方針と致しましては、成るべく供出が圓滑に豫定通りに行きますやうな方向にやると云ふ點に重點を置いて供出面の取締を致して居ります、又配給面等に於きましては、消費面に於きましては其の各地方の實情に應じまして兎に角其の市民が配給か闇かで兎に角生きると云ふことは、生きて行く爲のことはどうしても是は見てやらなければならぬのでありまして、其處に取締の輕重が起つて來るのであります、例へて見ますれば東京都に付て考へて見ますると、豫てのやうに配給が二十日も延びた、さうして配給生活を致して居る者に付きましては殆ど生命を維持することすら困難だと云ふやうな、状況に相成つて居りますれば、其處に統制違反はございましても生きる爲の買出しと云ふことは是は大目に見ざるを得ないのであります、併し其の間に於きましては所謂闇「ブローカー」が活躍致して、さうして市民の困窮状態を利用致しまして、厖大な利益を目途としての違反行爲が盛に行はれると云ふことになりますと、此の點は斷乎取締る、其處に區別を付けます場合に於きまして、警察官の各自にそれぞれの事態に應じて適正なる判斷をすることが實際問題としては困難でありますから、其の時の事情に依りまして、或標準を立てまして、其の標準以上の米を動かして居る者は一應是は惡質者と見て取締る、又それ以下の者は一應是は惡質者でないものと見て取締ると云ふやうなことを致すのは、是は實際上已むを得ないことであるのであります、處が其のやうな場合に於きまして東京に食糧を成るべく餘分に入れれば根本が解決するのでありますが、生産地に於きまして東京に於けるが如き取締の程度を以て致しましたのでは、米は正常「ルート」に乘りませぬで闇に流れてしまひます、故に生産地に於きましては東京で執つて居りますやうな方法でなく、もう少し嚴重に買出を引締める、さうして引締めることに依りまして物が闇に流れませぬで正規の「ルート」に乘ると云ふことに努めますことも、是は生産地の責任として已むを得ないと思ひます、さうしますると時を同じう致しまして東京に於ける取締方針或は秋田縣、新潟縣に於ける取締方針と云ふものを付合せますと非常に其處に喰違ひがあります、是は併し實際問題として已むを得ないことであります、尚又最近闇市場、殊に青空市場の取締を東京、大阪、京都等の大都市に於て非常に強化致して居ります、之が爲に市民が生活物資を入手するのに非常に困つて居る、値段は高くても兎に角生活物資が、殊に青果物の如きは入手難でございますので、もう少し大目に見たら宜いではないかと云ふ聲も段々聽くのでありますが、併し東京、大阪、京都等のあの闇市場を現状の儘放置して置くと云ふことは、是は社會治安を維持する上に於きまして非常に重大な問題になるのであります、あれだけ多數の闇市場が設けられますと、闇市場は寧ろ泥棒市場と言つても宜い位に各種犯罪の温床になるのであります、例へば自轉車を盜んだ者も其の闇市場に馳込みましたが最後是は絶對にもう出ては參りませぬ、是は直ちにそこで轉賣致します、又例へば錢湯に參りまして人の衣服を著て盜んで行き闇市場に行つてそれを脱いで賣る、さうして他の市場に於て別の古著を買ふと云ふやうな手口を使はれますると、是はもう足は付かないのであります、是は一例でありますが、さう云ふやうなことで、到底あれを存續さして行くことは、東京都全體の治安維持の上に於きまして非常に憂慮すべき事態が發生致しましたので、是は進駐軍の要求もあつたことでありまするが、斷乎閉鎖さした、閉鎖さした結果、犯罪面に於きましては非常に警察が取扱ひ宜くなると云ふのであります、是等も市民の生活と云ふ點から見ますると、あすこ迄徹底してやらぬでも宜いと云ふ意見も確にあるのでありますが、大局から見ました場合には、外に無理が及びましても、斷乎取締らざるを得ないやうに考へるのであります、從つて内務省と致しまして、政府の決りました統制經濟を保障する爲の各種の罰則が附きました場合に於きましても、此の罰則を適用する上に付きまして、是は各地方の實情に應じまして、重點的に實際問題として取締つて行くより外やりやうがない、そこで内務省と致しましては是等の事態を大局的に見まして、凡その準則とも云ふべきものを各地の警察に指令を致しまして、それから各地に於きましては各地の實情に於きまして準則に則りまして、さうして各地の事情を加味致しまして、そこに各地に適應致して居ります所の重點的適用を致すと云ふやうに致して居るのであります、そこで其の準則的の指示は致さぬでも、一に地方の實情に依つたら宜いぢやないかと云ふことも考へられるのでありますが、是は或程度の準則がございませぬと隣接府縣との間に於きまして取締の逕庭が起りまして、そこに非常にむづかしい問題を起すのであります、例へば大阪の取締が嚴に失しますと、隣の兵庫縣に持つて行つて闇物資は悉く逃げてしまふ、さうして大阪市民は大阪市内の闇市場で手に入つて居つた物を神戸市迄行つて時間と交通費を使つて同じ物で高いものを買はなければならぬと云ふことも起るのでありまして、そこで全國的の或程度の統制を執る、殊に隣接府縣間の關係に付ては特に重點主義を各府縣に決める場合に於ても連絡を執らなければならぬと云ふ次第でありまして、此の問題は統制經濟を圓滑に目的通りに運行すると云ふことが非常に困難であることでありますが、其の困難なことの裏付の警察取締と云ふものは又一層の困難さを加へるのであります、始終注意を致しまして誤らないやうに萬全を期したいと云ふ積りで進んで居りますが、併し必ずしもそれは有らゆる場合に於きまして百「パーセント」成功して居るものとも申上げ兼ねるのであります、大體只今説明申上げましたやうな行き方を致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=20
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021・松尾國松
○松尾國松君 大變私の質問以上の全般的の御説明を得まして感謝を致します、私は今御説明の中、唯内務矢臣が食糧に關する取締、もつと約めて申しますと、蔬菜或は海産物鮮魚物、斯ふ云ふものを申します、是は詳しいことは又農林大臣に伺ふこととしてもう止めますが、現實の問題であると、例へば農林省の統制でそれぞれを積極的に配給すると言ふても、半分來ないやうな時が澤山ある、それから先程内務大臣の御話の通り、生産供出は自分の責任でない、それに違ひない、それであるから警察に取締と云ふことを協議をして取締る時に取締ることは宜いが、青物其の他に付てはどれだけ持つて來る裏附を確保するかと斯う云ふことを内務大臣は強く主張をせられることが必要であると斯う思ふ、唯我々が外から見て居ると、闇の取締り、勿論其法律に違反した行爲があるなら、内務大臣が警察を持つて居られる關係上、取締られると云ふことは是はもう當然で、何等私共はさう云ふことにどう斯う申す意味はない、嚴然と御取締り下さるのが國家の爲でありまして、さう云ふことに何も申すのぢやない、唯差當つて生物の蔬菜或は鮮魚と云ふものも一緒にして取締らるる場合一緒でなくて別でも宜うございます、それを取締らるる場合に於て、其の生産供出の責任ある大臣に、内務大臣は其の裏附をしなければ、俺は取締は容易に出來ないのである、斯う云ふことをもつと強く主張さるるか、されぬか知らぬが、我々が結果から見て居りますと、ちやんと新聞では最早取締ると言つて居るが、取締らない、そして愈愈取締が出ると今度は物がありやしない、外のことは申しませぬ、外のことは申しませぬが、唯差當りの食物に關する限り、もつと約めて言へば此の生蔬菜或は鮮魚に關する限りに於ては、取締れば高くなつて、來ぬと斯う決つて居る、だからそれを内務大臣は嫌なことだけ内務大臣が引受ける、是は國家の機關として嫌なことを引受けることも無論已むを得ぬ、已むを得ぬが、成程と思へば宜いが、さうして取締り始めた、又野菜はありやしない、矢張り農家へ行けば幾らでもあるけれども、何もありやしない、魚は今漁場へ行けば幾らでもあるが、持つて來やせぬぢやないか、それでは取締ると云ふのが本當の取締でない、だから簡單に申せば今後取締をなさる上に於て、そんなことは申す迄もなく御承知だと思ひますが、さう云ふ結果の工合の惡いことを、部下を指揮してやると云ふことは、部下にも同情しなければならぬし、效果も擧らないのだから、生産供出に關係する省を内務大臣の腹へ入る迄の裏附をさして取締つて貰ふ、其の通りに行かないでせうけれども、大方針に關して私は今伺つた譯であります、もうそれはそれで今承りましたので能く分りましたのですが、其の次に此處に直接に關係することを一つ伺ひたいのですが、衆議院で斯う云ふことを御答辯になつて居る、官吏と公吏との區別は、服務の對象を國家とするか、地方團體とするかに存し、それに從つて任用、服務紀律、分限、懲戒、物質的、精神的待遇に付て異にする、憲法改正案も此の官吏と公吏とを區別すると、斯う云ふ答辯になつて居る、此のことは此のどう云ふ意味であると云ふことも私は分る、處が今度は都制の上に於て、此の意味で言ふと云ふと、先囘も御尋したのでありますが知事を官吏でなく公務員とする、都でありますれば區長も公務員、其の都長と區長とが公務員であつて、地方を對象とする吏員である所へ持つて來て、國を封象とする所の官吏が眞ん中に介在する、斯う云ふことになれば、私は此の問題と云ふものは、此の改正地方制度は、政府の説明に依れば、民主主義の確立、自主主義の確立、民主主義の徹底と云ふやうな言葉が用ひられて居るのですが、さう云ふ場合に於て、上と下は公吏であるが、眞ん中には國を對象とする官吏があると云ふことは、是は私は今後地方制度を運營する上に於て、何と申しますか、非常なる支障を來すものであると思ふ、私は現實の機關で參ります、例へば大藏省關係には財務監督局あり、税務署あり、域は關税を扱ふ役所があり、それから農林省關係には食糧配給供給の事務所長があり、それから商工省關係にも石炭管理に關する出張員がある、又地方行政を連絡する地方官がある、其の他内務省には土木出張所がある、さう云ふものを擧げましたら、全國にさう云ふ國庫支辨の機關と云ふものが現在少くとも二十以上ある、二十以上ある場合に於て、今迄はそれがうまく運營出來たが、此の改正が實施になると、片つ方は國庫から俸給を貰つて居つて國に奉仕する者である、又都廳、府縣に於ても是は國に奉仕する者である、さうすると頭と下と云ふものは、地方團體、それは内務省の説明に依ると、地方吏員は國の事務も執れば地方の事務も執る、言葉はそれで能く分る、分るが、茲に精神的待遇を異にする、斯う云ふことは今日迄の考へ方から言へば敍位敍勳であるとか、まあさう云ふ意味であると思ふ、殊に之には俸給其の他と書いてあるが、他の答辯をされた所を見ると、地方の公務員で地方で受ける者は俸給が多かつた、國庫の者は少かつた、斯う云ふやうな意味のことを答辯になつて居ります、是も事實であります、事實でありますが、それは今日迄のことであつて、今日以後に於ては公吏と云ふものになる以上、さう云ふ妙な機關があつてはいけない、それはどうかと云ふと、今度は此の地方制度の根幹、基を握つて居る者は内務大臣である、其の内務大臣が一番の根幹たる者に、國に奉仕すると云ふ身分或は精神的の優遇者と云ふならば、今迄の椅子が物を言ふ官尊と云ふことになる、意味はどうか知らぬが、我々が解釋すると官尊と云ふ意味になる、だからさうなると、内務大臣は地方の公選知事を總括し統制し指導し指揮して行く、職務に在る其の人が、各省が周邊に居る所を立體的に見れば、皆んな何も離れてしまつて、片つ方は斯う云ふ考を持つて居ると云ふことになると、是は非常に大きな問題になる、私の御尋する意味は、官吏と公吏と云ふものをどうする斯うすると云ふやうな小さいことを意味するのぢやない、内務行政の上に於て府縣と云ふものは、總ての政治の基本を、成すものである、從つて今迄のやうな意味で、官廳が何本となく周邊に存在する、斯う云ふことになれば、公吏たる知事と云ふものは殆ど有名無實に事實なる、今迄とは違ふ、今迄は官吏でもあつた、新憲法の下に於てはさう云ふことに付て、松尾は確信する、さう云ふ意味に於て、總て考へ方も思想も變つて行きます、さう云ふことになつて、内務大臣は、一番重要なる府縣知事と云ふものをそんな状態に置くと云ふことに付て、どう云ふ御考を持つて居られるか、是が伺ひたいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=21
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022・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今御引用になりました私の答辯は、どのやうな場合の答辯でありましたか記憶致しませぬが、恐らくそれは官吏と公吏とどう云ふ區別があるかと云ふやうなことに付て御尋になつた時の答辯ではないかと思ふのであります、そこで私は現在の制度及び新憲法に盛られて居る所を併せて御答をしたものと思ふのであります、それは兎も角と致しまして、此の改正案に於きまして、公選せられました知事の身分を官吏とすると云ふことに致しましたのは、只今御質問になりましたやうな趣旨を強く考へて立案したものではないと思ふのであります、此の點は立案者と致しましては、現在の府縣の中に於きましては、自治團體としてやるべき仕事が相當ございますが、それよりもずつと重い分量に於きまして、此の自治團體の事務以外に、國の仕事をやつて居るのであります、其のやうな状態の所に於きまして、率然として府縣知事を公吏に致しますると、府縣知事たる公吏は、それは府縣たる公共團體の掌理する仕事だけをやりまして、國の事務は今迄の建前と致しましては、官吏が之を執行するとなつて居るから、丁度御話になりましたやうに、各種の特別官廳を作つて、府縣知事の現に管掌して居りまする官治事務は、皆其所へ持つて行き、府縣廳の解體を招來するに相違ない、是は府縣の一體制を阻害致しまして、地方の發展の上に非常な障碍になる、之を防ぐ方法如何と云ふことになりますと、それは此の國政事務、官治事務を檢討致しまして、出來るだけ多くのものを府縣の自治團體若しくは自治團體の機關たる公吏に委讓をすると云ふ方法を併せ講じた上でないと、府縣知事を公吏に切替へることは府縣の分裂を來し、府縣行政の分裂を來すと云ふ所に深き慮りを加へまして、現制の下で府縣制と云ふ地方制度だけを民主化する場合に於きましては、公選せられたる知事に官吏たる地位を與へまして、府縣の現に掌理致して居ります所の官治事務を悉く公選知事に掌握せしめる、言葉を換へて申しますならば、現在の府縣廳のやつて居りまする仕事そつくり其の儘を公選知事に掌握させる爲には、現行憲法の下に於きまして、是より外に方法がないと云ふ結論に達しまして、此の措置を致した譯であります、固より此の公選知事が官吏たる地位を得ますれば、それは理論的には國の官吏であり、公吏ではございませぬが、併し公選知事は府縣住民を基礎として出て來て居るものでありまして、其の性格は極めて民主的なものであります、其の民主的なるものに官吏と云ふ地位を併せ有せしめまして、さうして現行制度の上では官吏でなければ運用の出來ない、實行の出來ない官治事務を掌理させまして、之を政治的に申しますならば、府縣行政の全般を公選知事の民主性に依って民主化すると云ふ所に政治上の狙ひがあると申上げ得ると思ふのであります、而して此の制度は結局我が國の政治の民主化の過程に於きましては暫定的なものでありまして、先程來度々御説明を申上げましたやうに、府縣廳の取扱つて居りますやうな官治行政の面に付きましても、之を府縣たる公共團體に委讓をする方途を講じまして、さうして府縣の一體性を害さない、府縣の分裂を來さないやうな方法に依りまして、憲法實施以後に於きましては、現任府縣知事を公吏に切替へると云ふ建前で進んだ次第でございます、尚御尋の中で或は大藏省所管に於て、或は農林省所管に於きまして、特別の地方官廳が出來て居る、又其所迄行つて居りませぬでも、出張所の如きものがありまして、府縣行政の一體性を阻害して居ると云ふやうな事實も現在としてはあると思ひます、是は政府と致しまして、國家と致しまして、深く檢討を加へて、地方分權の下に於て日本の民主政治の圓滿完全なる發展を庶幾致しまする以上、是等の點に付きましても、適當な調整乃至改正を加へ、地方に於きまする特別官廳の事務の如きは公吏たる府縣知事の管掌下に移すと云ふことも當然檢討し實行せられなければならぬものと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=22
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023・松尾國松
○松尾國松君 大體承つたことは、私の申上げた意味を御承知下さつたと思ふのであります、殊に大臣の御答辯の中に、公務員として府縣知事が官治行政も併行して圓滿に行くやうにと云ふ意味と承つて居ります、私は實は此のことは地方制度改正の成果が擧がるか擧らぬかと云ふ一つの重要なる問題である、寧ろ根本的の問題であると思つて居ります、殊に現在に於ける地方選擧の有樣を見ますと、内務省でも御分りになつて居る通り色々な弊が生じて居ります、其の時に當つて、地力の府縣知事と云ふものは申す迄もなく重大なる責任を持つことは勿論でありまするし、此の地方政治を一元化し、而してそれを内務省に一任するものであると思ひますが、併し餘に御尋すると云ふことは外樣の御尋の邪魔になりますから、今日は此の程度で質問を止めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=23
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024・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 ちよつと簡單なことでありますが御尋ね致します、衆議院の附帶決議の中の五の「地方行政事務局を廢止すること、又地方事務所の存廢はこれを都府縣の任意とすること」と云ふ附帶決議が出て居ります、是は現在國の機構として行政事務局、地方商工局があります、茲では商工局の關係には觸れて居りませぬが、都道府縣の任意的にすると云ふ場合に於ては、官吏の浪人が出て來はしないかと云ふ心配があります、さうして之を都道府縣の任意にすると云ふことは衆議院に於てどう云ふ趣旨で附帶決議の一項として擧げられたのでありますか、相當弊害もあるし行過ぎもあつたかも知れませぬけれども、兎も角も今日迄は相當の成果を擧げて居つたと云ふことは否定することが出來ませぬ、我々もそれを認めて居るのであります、さう云ふ相當な官廳と云ふものを都道府縣が之を任意でやると云ふことになりますと、國の行政との關係に於て非常に妙な關係が起りはしないかと云ふことを心配致しますが、之に付きまして政府當局の御所見を承りたいことが第一點であります、第二點は矢張り附帶決議の七番にある「地方自治團體に對する煩瑣な許可報告等の監督權は一應整理すること」、言ひ換へますれば從來の委任事務の複雜多岐な事務をもつと簡素化すると云ふ御趣旨だらうと思ひます、是も附帶決議と致しましては私は非常に良い附帶決議ぢやないかと考へて居りますが、是等に付きまして御考がありますならば、どれ位の程度に縮小整理するか、するとすれば現在の所謂許可報告等の範圍に比較して、縮小整理をしたいと云ふものをどの位の程度に行けるものか、それに付ての御考を承りたいと思ひます、それから第三番目は府縣制の第三條でありますが、「府縣の廢置分合又は境界變更を要するときは法律を以て之を定む」と云ふ規定があります、是は別に今度改正にはなつて居ないと思ひます、處が承りますと法律は今ない譯であります、結局府縣制が施行せられまして今日迄廢置分合と云ふことは事實上起らなかつたと云ふことは之を認めて宜いことと思ひます、併し將來の問題として考へた場合に於ては起り得る問題ぢやないかと云ふ時に、「法律を以て之を定む」と致しますと、帝國議會の協贊を經なければなりませぬ、此の廢置分合の事實と云ふものが都合の好い時に起りますれば法律を早速帝國議會の協贊を經てそれに依つて施行することが出來ますが、若し其の時期が喰ひ違って居る場合に於きましては、結局問題が起りましても其の問題を解決するのは帝國議會の開會を俟つ、又臨時議會までは是では開けないと思ひます、さうすると其の問題が起りましてから、是が解決する迄相當な時日を要する場合も起り得ると思ふのであります、そこで自分の考と致しましては如何なるものでありませうか、關係の府縣會に於て審議して、之が廢置分合をお互の了解の下に決議した場合に於ては、之が實現化を認めるやうに此の法文を御改めになる方が、今日の民主化と云ふ點から言つても一歩進んで居やしないか、勿論府縣の廢置分合と私の申しまするのは、一つの縣或は他の縣に移る、又州とか、道とか云ふさう云ふ大きいものを考へませぬけれども、それ等の點を矢張り關係府縣會の議決と云ふことを土臺にして考案することが今日の實情に合つては居ないかと云ふことを考へるのでありますが、是等に付ての御意見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=24
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025・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 地方行政事務局乃至地方事務所に付きまして衆議院に於て附帶決議が附せられたのであります、尚衆議院に於ける説明に依りますれば、地方行政事務局と同時に地方商工局も精神の上に含んで居ると云ふことであります、さうして此のやうな意見が立ちましたのは、私は其の御意見が立つた理由を詳細に全部を申上げることは到底困難でありますが、論議の模樣に徴しますると、衆議院に於きましては官僚行政に對しまして非常に深刻な批判が度々あつたのであります、それから又地方行政事務局乃至地方事務所の今迄の行政の運行振りが必ずしも意に滿たない、寧ろなくつても差支ないものだと云ふ見解を述べられる方々が多々あつたのであります、恐らくさう云ふやうなことから此のやうな附帶決議を附せられるに至つたと思ふのであります、此の論議の際に於きまして私も度々辯明を致した譯でありますが、我が國が今日のやうに統制經濟をやつて行かなければ國民の生活は確保されないと云ふやうな事態の續く限り、府縣「ブロック」の行き方を是正し、又地方に於きましても各町村が孤立的な經濟をやつて行かうと云ふやうな立場を執るものがある限り、どうしても此の機關は必要である、將來日本の社會状態が變つて參りまして、何等の統制を加へぬでも自由經濟に依つて物が自然に適當に配置をされると云ふ時期になれば兎も角として、それ迄の間は廢止する譯には行かない、尚個個の事務局なり事務所に付きましては、能率が惡い、寧ろ非民主的であると云ふような行政をして居り、運營の宜しきを得ないものもあると云ふことは、是は實際問題として政府も之を承認しなければならぬと云ふこともあるでありませうが、それ等は一つ制度其のものを廢めると云ふことだけでなく、其の運用の任に當つて居る人を替へ、又運用方法に付て改善すると云ふことで對處すべきものであると云ふやうに、段々政府の意のある所も力説致しましたが、結局衆譏院に於きまして審議の結果、地方行政事務局は何としても帶に短かし襷に長しで餘り實效もないから是は廢止した方が宜いと云ふ結論であります、それから地方事務所の存廢に付きましては、是は如何にも各府縣の状況に依りまして存續した方が宜い場合もあるだらう、又地方の實情に依りましてはなくつても宜いと云ふ地方もあるだらう、是は全國一律に規律することは少し無理であらう、故に是は各都道府縣の實情に依りまして適宜に斟酌して存廢を決めたらどうかと云ふ決議に相成つたのであります、尚此の地方行政事務局、地方事務所の存廢に付きましては、此の改正案の立案を致して居りました時の日本の社會事情、又今日に於きましても、今日との間を比較致しましても非常に相違がある、少くとも食糧統制の上に於きましては非常に相違があります、さう云ふやうな次第もございますので、今後の社會經濟情勢或は一般の政治の民主化の行き方と云ふやうなものとも併せ考へまして、政府としては此の存廢問題を能く考究して行きたい、併し是等の官廳が存置されて居ります限りに於きましては、十分に其の機能を發揮致しますやうに督勵も致し、監督も致しまして、設置の趣旨を達成したいと云ふやうに考へて居る次第であります、それから次に許可、認可の施行の縮小のことでありますが、是は市制、府縣制、町村制に關する限りに於きましては、可能な限度に於きまして、餘程大幅に撤廢を斷行した積りであります、唯條文を仔細に檢討して見ますれば、衆議院でも御修正になりましたやうに言葉が過ぎるかも知れませぬが、例へば監査委員は府縣知事の監督を受けると云ふやうな、謂はば枕言葉式なものでありまして、餘り多くの意義はないのでありまするが、之を削除してさう云ふやうな見地に立ちますと、地方自治制度の全條章に亙りましては、官治的な建前から條文が書かれて居る點もありますから、さう云ふ點に付きましてはどうも地方制度の上に於きましても、國家の監督と云ふことの色彩を薄くする、と云ふやうな點に付ての考慮點があるかと思ひます、尚仔細に研究致しますと認可許可事項に付きまして、一部更に之を撤廢した方が宜しいと云ふものがあるかも知れぬが、大體に於きまして、今度の改正で一應此の點は濟んで居るやうに思ふのであります、問題は府縣制、市制、町村制と云ふ以外の地方行政の上に於きまして、各種の認可許可を要求して居る點があるのでありまして、是等の點に於きまして十分檢討を加へ、衆議院の附帶決議の趣旨を實現させる點は、是は多々あると思ひます、それ等の點に付きまして至急に考究を進めたいと考へて居る次第であります、それから次に府縣の廢置分合に付きましては、法律を要すると云ふ點は、御話の如く我が國の政治の運行の上に於きましては、府縣を非常に重視致して居つたのであります、日本の政治が進んで行きます上に於きましては、府縣を單位とすると云ふやうな思想が、非常に強かつたのでありまして、其の時代の立法でありますので現在のやうな規定になつて居ると思ひます、併し此の地方行政の民主化が段々と進んで參りました場合に於きましては、市制、町村制に於けるが如く、市町村の團體の區域の問題に付きましては、關係府縣の間に於きましての意見を尊重すると云ふことは、是は馴致致さなければならぬことと思ひます、尚又憲法の改正草案に於きましても、地方の自治團體限りのことは、其の住民が之を決するやうな行き方をすべきであると云ふやうな條章もあるのであります、あれ等の精神に鑑みまして其のやうな考慮は致さなければならぬものと思ひますが、併し尚現在に於きましては、府縣の區域と云ふことは、我が國政治全般の運行の上に非常な重大な關係がありますので、現段階に於きましては、府縣の關係方面の意見のみに依つて之を決すると云ふことは、時機尚早だと思ひます、現在に於きましては尚法律を以てそれを決めると云ふことは、必要であると云ふやうに考へて居る次第であります、併し是が運用に付きましては新憲法の趣旨にも鑑みまして、實際の問題と致しまして府縣の意思を無視致しまして、單に法律だけで區域を變更すると云ふやうなことは、なかなか行ひ得ない時勢に相成つて居るやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=25
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026・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 御説明に依りまして能く了解致しましたが、一番初の地方事務所の存廢は、其の都府縣の任意とすると云ふことになつて居りますが、是は實際問題と致しまして、甲の府縣では地方事務所は要らないからと云ふので皆んな廢めた、又乙の府縣では三つ位殘してやらうと云ふことになりますと、全國を見ますとばらばらになる感じがするのでありまして、どうも衆議院の御意見も分りますけれども、之も抛りつ放しにすると云ふこともなかなか考へなければならぬ問題だと思ひますが、是は將來の問題でありますし、只今どう斯うすると云ふ問題ではありませぬが、之に付ては御當局の十分の御檢討を願ひたいと存じます、其の次は先程御話があつたのですが、住所の關係であります、選擧權には住所が指定になつて居ります、例へば市制を見ますると、「市に對し時別の關係ある者の申請に依り前項の規定に依る住所の要件に拘らず市會の議決を經て之れに選擧權を與ふることを得」とあります、是は原則的に見ますと、矢張り住所を一種の必要條件とするのが本當ぢやないかと思ふのであります、然るに今度の改正案としても特別の關係あるものの申請、大體どう云ふものかと考へて見ますると、もう恐らく想像致しますれば、其の市に對して多年市長の役にあつた人であるとか、或は市に功勞のあった者であるとか、又色々經濟上に援助をしたとか、斯う云ふ人を指すのぢやないかと思ひます、併し單にさう云ふ特殊の關係ある者を選び拔いて、其の人に特別の條件を與へる、勿論本人の住所地の市ならば市に於きましては、選擧權がない譯になると思ひますが、特殊の條件、特殊の立場にある者だけを拾ひ集めて之に申請を許すと云ふことは、所謂平等と云ふ點から言ひますれば少し不公平な、或意味に於ては特別の權利と申しますか與へると云ふことになりますと、所謂四民平等と云ふ點から見ますると少し外れて居るやうな感じが致しますが、是は何か特別な御事情があるのでありますか、何でありますか、此の條項に付きまして御所見を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=26
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027・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 從來も當該の自治體に、特に緊密な關係を持つ者には選擧權を與へることが適當ではないだらうかと云ふやうな論もあつたのでありまするし、それ等の論に於きましては特別な關係ある者の事例は、概ね御述べになりましたやうな種類のものと存ずるのでありますが、殊に現在に於きましては戰災に依りまして、從來當該の市町村と極めて緊密な關係があつたにも拘らず戰災後の状況の爲に、當該の團體内に住所を有することが事實上不可能である、家屋もございませぬ爲に市や町村に復歸が出來ない、域は復歸しても居住期間を充たし得ないと、斯う云ふやうな場合に於きまして、寧ろ其の者と自治團體とを結付ける方が自治團體の發展の爲に望ましい、斯う云ふやうな状態の場合には、必ずしも現在の戰災後の社會事情だけを考へて居るのではございませぬが、特に現在に於てはそれが必要であらうと斯う云ふ工合に考へて、此の特別の選擧權を認めることに致して居るのでございます、仰せのやうな平等の原則に反しはしないかと云ふ點は、衆議院の意見に於きましても左樣な意味合の御意見がございまして、原案の通りであるならば住居地とそれから特別の選擧權を與へられた團體と、双方に於て選擧權の行使が出來ることになって、是では平等の原則に反するであらうと云ふやうな主張もあつたのであります、此の點は考へ方で岐れる所とは思ひまするけれども、平等と云ふ點を強く考へますると、其の御主張には十分理由があることと存じます、現在修正案で出て居りまするやうに、一方では申請に依つて與へる、其の代り住所地市町村の方では選擧權の行使を停止する、此のやうな修正を大體尊重する積りで、居るのであります、斯樣に致しまするならば、大體平等を此の特別の選擧權の爲に破ると云ふ懸念は先づ持たないで宜しいのではないか、斯んな工合に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=27
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028・松平外與麿
○子爵松平外與麿君 大體了承致しましたが、疎開等の關係で從來から二十年も三十年も同一地に住んで居つた、それが疎開等の爲に選擧權が行使出來ない、是は成る程一つの事情になると思ひますが、それ以外に於て特別に功勞ある人と云ふことにしますことはどうかと思ふのであります、是は今の此の條文に致しましても、地方議會の議決でありますから、議會がまあ申出になれば、何人だらうが之に同意すれば、議決すれば皆認めてやると云ふことになるのでありますから、之を運行する上に、運營する場合に於て、所謂濫用と言ひますか、さう云ふやうなことが起り得ないとも限らないのではないかと思ひます、勿論今後地方制度の民主化に伴ひまして、市會議員の場合に於きましても、極く平等感、又正しい所の理念を以て市町村制を運用されることは當然と思ひますので、此の規定の終りました場合に於ては、或特別な場合には左樣なものが生じ得る場合があると斯う考へて居るのでありますが、是は衆議員の御趣意も分りますから、今直ちにどう斯うと申しませぬが、さう云ふ點に付きましては、餘程御注意又それに對する所の處置等に付ての十分な御監督を願ひたいと思ひます、只今是で中止致して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=28
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029・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 午前中は此の程度で以て止めまして、午後一時半から開會致します
午前十一時五十二分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=29
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030・会議録情報3
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午後一時三十九分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=30
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031・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 是より午前に引績き會議を始めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=31
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032・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 京都に於きましての配電事業の樣子を見ますると、市營の時代よりも日發の經營に移りましてからの後の状態の方が餘程能率が低下しましたのみならず、色々の弊害が生じて居るやうでありまするが、恐らく東京都其の他の大都市に於きましても同じやうな傾向があるのぢやないかと思ふのでありますが、若しさうでありますると、此のやうな収益的公共事業の經營を、寧ろ財政的自治の充實と云ふやうな觀點から致しまして、都營或は市營に移した方が宜いのではないかと思ふのでありますが、此の點に付ての内務大臣の御所見を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=32
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033・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 市町村等の自治團體が電氣の供給と云ふやうな所謂公共事業を營みますことは、我が國に於きましても戰爭前に相當の經驗も積んで居りまするし、又「サーヴィス」の上から申しましても、相當成績も擧げて居ると云ふ經驗も持つて居るのでありまして、あれが戰時の要求から電氣事業は國家的統制を強く加へると云ふことになつて市營を止めたのでありますが、其の戰爭中の主張は、終戰に依つて情勢も變つて來て居ります、内務省と致しましてはああ云ふ事業は出來るならば公營に致したら結構であらうと云ふやうに考へて居るのであります、併し一面商工省で管理致して居りまする電氣事業の統制方針と云ふものはどの程度に之を戰後に持つて行つたら宜いかと云ふ點に付ては色々研究點があるやうであります、人口の密集して居りまする所に對する配電事業の公營は非常にやり易いことでありますが、地方農村に入りましてはなかなか割高に付き、さうなりますと、郡市に於ける電力なり電燈は安い供給が出來るが、農村に於ては高くなる、それが農村の工業化にどう云ふ影響があるかと云ふやうな一般國策とも關聯して居るのがあるのでありまして、そこには適當な調整を加へなければならぬと云ふことになつて居りますので、政府と致しましては電氣事業法の改正を機會に新しい電氣委員會も作り、そこで有らゆる面から檢討し、又公營事業に付ても適當な解決を得たいと云ふことに相成つて居りますので、近く改正電氣事業法も公布になり、電氣委員會も新發足を致しまして、それ等の問題を今日の時勢に合ふやうに適當に解決されるものと私共期待を致して居ります、又其の政府部内に於ける檢討に際しましては、只今申上げましたやうな點から見まして、内務省と致しましても十分一つ發言も致し、其の問題を適當に解決し、出來れば市町村等の電氣事業の公營が出來るやうに持つて行きたいと云ふやうな考で居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=33
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034・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 了承致しました、尚政府委員にちよつと此の際參考迄に伺つて置きたいと思ふのでありますが、知事が原案執行をやりましたのはどの位になつて居りませうか、又其の中で惡用されたと認められたやうなものはないのでありますか、或は又市長が原案を執行したと云ふやうなことはないのでありまするか、ちょっと參考迄に伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=34
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035・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 原案執行が頻繁に行はれましたのは大正の末期から昭和の極く初に當つてでありましたが、手許にございますのは大正十四年から昭和十年迄約十一箇年間の事例でありまするが、其の後に於きましては原案執行の例は見當らないのではないかと思つて居ります、府縣が大正十四年から昭和十年迄に九十二件、市町村は同じ期間に二件ございます、それで知事が原案執行を惡用したと思はれる例は見當らないのでありまするが、唯其の程度に於て果して原案執行をすることが妥當であつたらうか、どうであつたらうか、其の程度のものならば或は原案執行を致さずにも明瞭に收支に關し執行し難いと云ふやうな判斷を下す必要が必ずしもなかつたのではないだらうかと云ふやうなことが、只今となつては當時の情勢を離れまして結果から見ますと、左樣に判斷されるものもあるのであります、即ち比較的輕微な少額な經費の減額を致したものを捉へて、直ちに收支執行不能とか、公益を害すとか云ふ判斷を下したのではないかと思はれるものも見受けないことはないのでありますが、併しながら概ね原案執行の場合は其の儘では執行が不可能なやうな種類のものが多いのであります、一番數が多うございますのは、明に公益を害すと認められたものでありまして、該公益の多くの場合は或機關の、穀物檢査所の費用全部を削減してしまつたとか、中學校とか女學校の費用を削つてしまつたと云ふやうなのがございますし、又法令に依りまする恩給だとか扶助料だとか云ふ義務費を削除してしまつた、從つて法令に依つて負擔した費用の執行が出來ないと云ふやうな、或は或一地方の港灣に對する國庫納金と云ふやうなものを巨額に増しまして、急速に工事をしようと云ふやうなことを議決致しますが爲に、収支に關して執行が不可能だと云ふやうな種類のものが見受けられまして、何れも多くは原案執行を已むを得ないと認めざるを得ないと思ふのであります、市町村の場合には、先程も申しましたやうに僅か二件でありまして、其の一つは愛知縣下に於きまして豫算の全部を否決してしまひました場合、一つは千葉縣下に於きまして、町村長助役の給料を相當額を計上してありましたものを年額五十圓に何れも減額してしまひましたこと、此の二つが遺つて居りまして、是等は明瞭に原案執行すべきだと判斷致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=35
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036・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 前年度の豫算の踏襲と云ふことに今難色があるやうでありますが、どう云ふ點がむづかしいのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=36
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037・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 地方の豫算は國の豫算のやうに規準豫算があり、更に當該年度の豫算が之に加つて成立つ譯でありまするけれども、規準豫算と申しまするか、骨格豫算と申しまするか、是等のものは、義務費等に付ては申せまするけれども、多くの場合に地方の豫算と申しまするものは可なり其の各年度に依りまして差異を生じて參りまするし、前年度の豫算を踏襲すると云ふやうなこと、之を原則として掲げますることに無理もございまするし、又餘り多くの實益もないのでございまして、將來豫算が或程度の安定を致しました場合には、豫算が不成立等の場合に於きまして、概ね前年度豫算を踏襲致しまして當該年度の豫算を考へると云ふやうなことは、一つの方針として示しても宜い時期が來るかとも思ひますけれども、法律上原案執行權を……、是は唯豫算の場合だけでなく色々な場合も起りますので、原案執行權を全然除きまして、原案執行が濫に流れますことに對しては、之を除去すべく法律上の措置を講じなければいけないのでありますが、之に變りまして前年度豫算の踏襲と云ふ形を肯定することには、地方團體の豫算と云ふ性格から申しまして、些か無理があるやうに考へまして、前年度豫算の踏襲と云ふ形は法律上は執つて居らない次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=37
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038・森俊成
○子爵森俊成君 ちよつと御伺したいのですが、府縣制の改正とか市町村の改正とか、是が濟みますれば、今年の冬から來春にかけては、非常に澤山の選擧が行はれることと思ひます、從って非常に澤山の候補者が出ることと思ひます、從來の經驗から見ましても、是等の候補者が銘々使用する「ポスター」であるとか或は糊であるとか、是が全體として見れば非常な數量に上るのぢやないかと思ひます、現在のやうな物資が非常に缺乏して居る時、殊にあの糊なんと云ふものは「メリケン」粉なんかを潰して拵へるのですが、茲にどれだけの數量と云ふ具體的のものは私は持つて居りませぬけれども、豫想外に澤山ああ云ふ風な主食が此の方面に費されるのぢやないかと思ふのです、さう云ふ風なことに付て何等か制限するとか、他の便法があるとかと云ふ風な、何か御考がございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=38
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039・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 過般の衆議院議員選擧の結果から見ましても、仰せのやうな點は、政黨の方に於ても可なり痛感して居る風でございまして、「ポスター」等に付きまして枚數を制限致しまするか、公營を擴充致しまして選擧運動を或程度幅を狹めまするか、併しそれは選擧運動を可及的活發に致すと云ふやうなことを考へますると、勢ひ文書圖書の貼附、領布等を制限することが矛盾して參るのでありまするので、法律の根據に依りまして、命令等に之を定めまする標準と云ふものが、なかなかに附きにくい状態になつて居ります、併し若し出來ますならば、此の度の地方議會の選擧に於きまして、若干の枚數等の制限を置いた方が宜しいのではないであらうか、若しそれが間に合ひませぬ場合には、何等か一定の基準を設けまして、申合せに依りまする制限位は致す必要があらうと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=39
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040・森俊成
○子爵森俊成君 それから是は衆議院の方面でも恐らく質問があつたと思ひますが、御承知の通り先達ての衆議院選擧の時なんかでも、殊に東京の第二區などを見ますると候補者が非常に澤山出る、それで有權者の御方も、實際あの方々から送られる挨拶状或は文書などを一々見ることなども出來ない程澤山な候補者が出るのです、是は自分の自由意思で以て立候補したのですから、何とも言へないのですけれども、中には我々が見てもどうも本當に立候補したのではないと思はれるやうな人、何と申しますか、衆議院の方なんかでは泡沫侯補なんと云ふことを能く申して居りますけれども、さう云ふ方なんかも中にはあるやうに思はれるのです、又實際私の知って居る人なんかでも、是は一つの病氣と云へば病氣でせうが、如何なる場合の選擧にも必ず立候補する、而して共の人の得票數と云ふ風なものは何時も千票とは取らないと云ふやうな方があるのです、斯う云ふ風なのは例外でありませうけれども、斯う云ふ風な何か他に爲にせむが爲に出るやうな候補者を、何とか防ぐ方法はないものでせうか、それから例の保證金なども、考へて見れば馬鹿々々しいものぢやないかと私は思ひます、二千圓なり二百圓に致しました處で、立候補をすると云ふやうな人があの位の金で以て立候補を辭退するとかなんとか云ふやうなことはあるまいと思ひますが、保證金が濫立を防ぐと云ふやうな意味からのものであるとすれば、あの額から言うても少しをかしなものぢやないかと云ふやうな考を持つて居ります是はなかなかむづかしいことですけれども、何か御考がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=40
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041・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 確に仰せのやうな侯補者の濫立は困ります問題でありまして、選擧制度に付ての改正に、自署式を採らないで記號式にやつて見たらどうであらうかとか、それから色々な種類の選擧を一つに纒めて同時投票をやつたらどうかと云ふやうな、色々研究問題がありますが、只今の選擧の實情のやうに、あのやうに候補者が濫立致しましては、何れも不可能になつてしまふのであります、處が之を防ぎます方法と致しまして、何等か推薦するやうな形で推薦母體でも設けて、豫め候補者の枠を括ります考へ方、或は供託金を思ひ切り引上げて沒收點を引上げまするか、或は衆議院の委員會等で、一定の得票數に達しない者に付ては次期の立候補を禁止するやうな方法は出來ないかと云ふやうな、色々な御尋があつたのであります、併しながら一定の得票數が得られないと云ふのも、理窟を言へば、本人の責任と申しまするよりも、自由な競爭をやつて、其の結果得票がなかつたと云ふことでありますので、之を以て直ちに次期の立候補を制限するのは、何等か懲罰的な意味にならうかと思ふのでありますが、左樣な禁止をすることも、選擧の性質上困難ではないであらうかと云ふやうなことで、容易に結論が得られなかつたのでございます、事實先般の衆議院の選擧で、最低は確か十九票しか得られなかつた方があります、非常に濫立を致しました結果は、誠に無意味なる侯補者があつたことが考へられるのでありますが、政黨がもう少し發達を致しまして、政黨自體の選擇作用が行はれますれば、事實上制限が出來るのであります、非常に合理的な方法で議員の立候補を制限することで、誠に抑へると云ふ意味合からは考へ方が成立つても、他の不合理な點が出て參ります、「アメリカ」は御承知の通りに大政黨の對立で、自然に制限されて居りますから、立候補の制限は「アメリカ」流の考では、誠に押へ付けるやうな感じになつたり致しますので、此の問題は地方制度の問題と申しますよりも、衆議院選擧制度の改善と云ふ問題で、十分繼續して研究して見たいと思つて居ります、今此の方向か宜いと云ふやうな案迄には到達して居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=41
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042・森俊成
○子爵森俊成君 供託金の性質はどう云ふものですか、若しあれで此の濫立を多少でも防がうと云ふやうなものであれば、あのやうなものも考へられなければなりませぬものであるが、若しもさうでないとすれば無意味なもので、今日はあんなものは止めてしまつた方が宜いのぢやないかと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=42
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043・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 供託金は確かに其の出發が、矢張り擔保を物の面から抑へて行かうと云ふ、從つて責任ある候補者を立てます爲の擔保の一つの方法として採用されて居る譯でありまして、物的擔保が宜いか、「イギリス」流の人間が署名を致しまして、さうして人的な擔保をする方が宜いか、何等かの形で擔保があつたら、候補者の無責任な立侯補が抑制出來るのぢやないかと云ふ考へ方ではあると思ふのでありますが、是は二千圓を假に相當に引上げましても、國債等で換へまするとか、借りて來て供託だけでも致しまするし、さうかと云つて之を著しく高く上げますと、又其の立候補の制限のやうになりまするし、只今のやうな形式的な、何と申しまするか、國民の所得の殖えて居りまするやうな際に於きまして、此の物的擔保を一體どの位にしたら宜いかと云ふやうな點に付きましても、ちよつと結論が著きませぬ、擔保を全然廢止して自由な競爭をさせると云ふやうなことも一つの考へ方でありますが、矢張り方向としては人的擔保と物的擔保と、選擧の大小等に依りまして組合せて考へるべきだと思ひます、今の所二千圓を五千圓にして見ましたり、一萬圓にして見ましたりしても餘り效果も期待出來ないやうに考へて、是も矢張り結論にはまだ到達せずに居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=43
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044・多久龍三郎
○男爵多久龍三郎君 今朝總論的な御質問がございまして、殊に國土計畫に付ての御質問がございましたので、私も其の點に付きまして大臣の御高見を承りたいと存じます、私の御質問は農林大臣に御伺するのが適當かと存じまするけれども、併し矢張り國土計畫と致しまして、農林大臣には別個に又御伺する方が適當であり、内務大臣としての御高見を特に拜承したいと思ふのであります、それは今度の農地法に依りまして、農地を調整致し、自作農を創設すると云ふことになりまして、北海道を除きまして、後の府縣に付きましては平均四町歩と云ふ風な色々の規定がございますやうでありますが、それは平均でありまして、各府縣に於きまして、又其の分配に付きましては各各の立場から考へると云ふ風なことでありますやうでございますが、先日公正會の方に政府委員がおいでになりまして御説明を戴いた所に依りますと、此の分配に付きましては、地方の農家の人員に依りましてやることであつて、農業の經營と云ふ面からは全く考へられて居ない、さう云ふことは非常に重要だけれども、茲は今の所考へられて居ない、斯う云ふ風な御話でございましたが、私は甚だ遺憾に存じました次第でございます、此の點は甚だむつかしい問題ではございますが、そこに政府に於て何等かの農家の經營と云ふ面に於きまして、此の基準を御決めになることが又必要ぢやなからうかと考へる次第でございます、我が國の戰爭に突入致しました一つの原因と致しましては、地方の農家が餘に悲慘な状態にあると云ふことでありまして、我々の今後の平和的文化國家と致しましては、地方の農村に適當な規模の經營の農家を以て安定を保つと云ふことが何よりも急務だらうと存じます、殊に今後の自作農に於きましては、從來の地主に隷屬する面が全く離れまして、一つの企業體と致しまして農業を經營することになるだらうと存じます、其の相當の規模の農家は協同組合に依りまして、今後の農村は發達して參ることと考へて居るのであります、外國のやうに大規模の農具を使ひませぬ農業に於きましても、多少とも機械化致して參りますし、さう云ふ面から考へまして、地方の農家の人口に依りまして農地を細分化して行くと云ふことは甚だ面白くない結果を來すのぢやなからうかと云ふ風に考へるのであります、殊に今後の農業は一種の企業體になりまする以上、例へば適地に工場を建てて經營すると云ふ風に、適地に農業耕作地を得て、農業を自分の希望する形體に於て行ふと云ふことが最も必要だらうと存じます、「デンマーク」の農村のやうに迄は行かなくても、是位の向上した農家が集團をなすと云ふことは、我が國の今後の安定の爲に必要ぢやなからうかと考へるのであります、今日縣に於きまして開墾地の入植に付きましては、其の土地にまだ復員者があるとか色々な問題がありまして、或程度の將來の基準となるべき農家の經營面を考へますと、入植を不適當だと認めるやうな面もあるのであります、而も唯そこに現在の人員に比較致しまして、多少とも開墾地の餘裕があれば無計畫に入植をさせるやうな傾向もあるのであります、是は將來必ず相當な禍根を殘すものと考へられるのでありますが、之に付きまして國土計畫の上から、内務大臣の御高見を拜承致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=44
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045・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今多久男爵から傾聽すべき御質問があつたのでありますが、實は内務省で國土計畫を所管することになりましたのは、戰時中國土局を創設します際に於きまして、我が國の國土計畫の必要を認められまして、所管をすることに相成つたのであります、あの當時から國土計畫に付て研究は進めて居つたのでありまするが、當時の研究は大東亞戰時下でありまして、日本の行き方は今日とは全く違つた行き方をして居つたのであります、是が圖らずも敗戰になりまして、今日のやうな事情になりましたので、同じ國土計畫に付きましても、百八十度の頭の切換へをしなければやつて行けないことになりまして、爾來擔當局に於きましては、各方面から資料を蒐集致しまして、何がしかの研究は進めて來て居りますが、併し今日になりましては、我が國の國土計畫と云ふやうなものは、果して内務省所管で宜しいか、或は經濟參謀本部的の安定本部の出來た今日に於きましては、寧ろ内閣方面に於て所管をした方が宜いのではないかと云ふやうな世論も段々あることであります、併し現在は内務省所管と相成つて居りますので、其の限りに於きましては、出來るだけの研究は致して居ります、一應取纒めましたものを、内務省國土局に於きまして試案として一部を發表致したことも最近にあるのであります、併し本來國土計畫の内容として採上ぐべきものがどの程度のもので宜しいかと云ふことに付きましても、それ自體に付きましても議論のあることであります、是等は近く政府に於きまして國土計畫審議會と云ふものを作って誤りなきを期したいと云ふやうに進んで居る次第でありますが、只今御述になりましたやうな此の農地調整法と申しますか、我が國の農地の配分に付ての問題は實は國土計畫的檢討は全然致して居ないのであります、是は專ら農林行政の面から農林省に於て所管をして立案を致したものでありまして、内務省として之に觸れるべきであるかも存じませぬが、事實上何等國土計畫的の檢討を致して居りませぬので、從つて甚だ遺憾でありまするが、國土計畫上の御答を申上げることが、出來ないやうな事情であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=45
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046・渡邉覺造
○渡邉覺造君 今度の改正案には公民と云ふ言葉は全部取つてしまつて、衆議院でも公民權及び名譽職を廢しちやいかぬと云ふ質問があつたやうでありますが、私はそれよりも公民等云ふ市町村の公務に參與する權利義務を有する者を公民と云ふのと、其の地の住民と云ふのと區別した方が矢張り宜いのぢやないかと思ふのですが、今度の改正案には公民と云ふ字を全部取つてしまつたのですが、是は其の儘果して今の國民の政治意識がそこ迄發達して行つたものでせうか、又必要ぢやないかと思ふのですが、政府の御意見は如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=46
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047・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 御尋の如く今度の地方制度から公民と云ふ名稱を外してしまつたのでありますが、是は御承知のやうに公民權は元相當に條件がありまして、市町村住民の中で、曾ては一定額以上の税金を納めた者、其の他の條件を附けまして、住民の外にもう一つ特別の、言葉は適當でありませぬが、階級としての公民があつたのであります、處が今日の時勢になりましては、市町村住民の間に別に特別の階級があると云ふやうな公民の考は止めた方が、適當であらうと云ふ考から、此の公民と云ふ特殊の存在をなくした譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=47
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048・渡邉覺造
○渡邉覺造君 それでこちらの都議院の色々の問答を見ますと、政府では今後公民教育をやつて行くと云ふ言葉を御使ひになつて居るが、矢張り住民と、所謂公民、納税資格を入れないで、市町村の公務に參與する權利義務を有する者を公民と云つて、廣い意味に公民を使つた方が、矢張り住民と區別する必要があるのぢやないのですか、納税資格を取つちやつた意味で……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=48
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049・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 此の公民教育と云ふ場合の公民は、住民の政治教育と云ふやうな趣旨を持つて居ると思ふのであります、從來市町村制でありました公民とは一致しない、寧ろあの文字だと致しますると、住民教育と云ふやうな工合にした方が適切であらうかと思ひます、尚今度の改正制度に於きましては、一般住民と市民と、或は村民と申しますか、と云ふことに、此の二つにした譯であります、市民と申しますれば是は日本國民に限る、それから住民と云ひました場合には、外國人でありましても、市町村に六箇月以上居住して居れば、外國人も含めて住民と云ふのであります、市民と云つた場合には日本國民に限ると云ふやうに、此の二者に限定した譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=49
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050・渡邉覺造
○渡邉覺造君 それから今度は議員の名譽職を取つてしまつたのですが、さうすると議員は名譽職ですか、職業ですかどう云ふ風に解釋しますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=50
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051・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 是は結局議員になつた人は市町村の公務員の一種と云ふ風に考へて宜いのではないかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=51
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052・渡邉覺造
○渡邉覺造君 議員はさうすると職業の方へ入りますか、どう去ふ風になりませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=52
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053・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 職業と云ふ譯ではなからうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=53
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054・渡邉覺造
○渡邉覺造君 それぢや身分と解釋した方が宜いですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=54
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055・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 寧ろ身分と解した方が宜いのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=55
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056・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 先程來町村制を取つて御話になりましたが、此の「町村長は町村内の團體等の活動の綜合調整を圖る爲之を指揮監督す」と云ふことを新しく挿入修正されて居ります、其の次に町村長がどう云ふことをすると云ふことが出て居ります、それから第三項に「町村内の團體等の監督上必要なる命令を發し若は處分を爲し」と云ふことがありますが、是は衆議院の修正でありまして、政府御當局の案ではありませぬから、御答は御困難かと思ひますが、條理上考へまして「必要なる命令」と云ふのは相當強い權限を持つて居りますが、處分と云ふのは行政上の處分でありますか、其の他の處分も包含するものでありますか、それをちよつと承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=56
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057・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 町村長が地方制度に基きまして此處に團體に對しまする新たなる監督權を持つことに相成る譯でありまして、其の監督の範圍は、一項に申して居りまする團體等の活動の綜合調整を圖る限度に限られるのでありまするが、處分の如きは勿論行政處分に限られるものであります、唯此の命令處分と云ふものが地方制度に基きまして此處に町村長に新たに與へられますけれども、それは同時に又當該の團體等に付きます監督官廳の本來の監督權と重複し、或は矛盾すべき場合も起り得ると思ひます、其の場合には監督官廳の權限の方を優越致させますやうに四項を設けて居ります、町村長が當該の町村内に於きまする調和を圖ります限度に於きまして之を取纒めて參りたい、且又町村内の一般的な重要な團體に付きましては、どの程度に此の町村長の權限を認めますか、内務省としましては、可及的な廣い權限を認めることを希望致すのでありますが、併し他の監督官廳の意嚮等もございますので、是等の問題に付きましては十分折衝し、且大體の限度等に付きましては必要な處置を講じたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=57
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058・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 了承致しました、さうすると、町村長の監督權が出來まするのですが、是は所謂法制體系上から申しまして、此の條文だけ見ますと、或は町村の條例や規則、監督官廳に於てはさう云ふ場合の取扱も監督官廳の命令で以て出るのでありませうか、此の條文だけでありますので、何か法制上の體系を備へさせる方が宜いのぢやないかと思ひますが、如何がでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=58
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059・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 町村會の議決事項の方にも御承知のやうに、團體活動の綜合調整に關する事項を掲げて居りますし、從ひまして之に關しまして必要な條例等は當然制定致させるべきものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=59
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060・白根竹介
○委員長(白根竹介君) ちよつと私から質問さして戴きます、公民と云ふ御話がありましたが、公民館と云ふことを言はれましたが、どう云ふものでせうか、公民館を中心にして町村住民の政治教育をやるんだと云ふ御話がありましたが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=60
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061・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 文部省に於きまして地方に公民館を設け、其處を中心と致しまして、民主的な訓練を重ねて參りたいと云ふ計畫を持つて居りまして、是は事柄と致しましては誠に望ましいことと思ひまして、内務省も可及的に之を獎勵致しますやうに府縣知事等へ依頼もし、獎勵も致して居るのでございます、それで地方制度上は既に選擧の幅が著しく擴張され、政治能力も何と申しましても相當高まつて參りました今日、制度上の公民權、名與職と云ふやうな區別を致す必要はなくなつて來て居りますけれども、其の文字の公の民と云ふ意味合としての公民と云ふ言葉は、相當深い意味を持つて居りまするし、私人としての立場に對して公民と云ふやうな言葉を用ひられても結構なことであり、之に對應致します制度上の言葉は、今後は恐らく市町村民と申せば宜いことと考へるのでございますが、從つて公民的な教育、公民的な訓練をする、それの團結の一つの中心として、文部省が公民館を拵へる考へ方には十分な協力を致して參りたい、斯う云ふやうな工合に考へて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=61
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062・白根竹介
○委員長(白根竹介君) もう一つ其の公民館と云ふのは、結局市町村に造ることになるのですが、一體市町村費で造らせる御考なのですか、或は寄附行爲等に依つてやる譯ですか、又之を半ば強制的に政府の方針として造らせる御考なのですか、是は文部省に伺ふことであらうと思ひますが、財源の關係等がありますので内務當局に伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=62
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063・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 國庫補助の點は、ちよつと申上げることが正確を缺いて居るかも知れませぬが、多分之に付てはなかつたかのやうに考へて居ります、それで新たなる建築を致すと云ふことでなしに、從來の當該の市町村等にありまする公會堂の附屬の建物でありまするとか、共同の農村等にありまする集會所或は學校の一室とか、斯樣なものを使用致しまして、建物それ自身には多く經費を掛けずに實質を收めて參ると云ふやうな考へ方で、勿論理想は獨立した建物を持つことが理想なのでありますが、只今の所では色色の施設等の缺乏致して居りまする状態から、物質的方面には多くの經費を出さずに、内容を盛つて行くやうにしたいと云ふやうな考へ方で進んで居る次第でございまするし、又内務省も左樣な意味合で理解を致して協力致して居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=63
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064・島津忠彦
○男爵島津忠彦君 是は地方制度の運營に屬する問題かと存じますが少し御尋したいと思ひます、從來見て居りますると、縣と其の縣に屬する大都市の場合、市の事業と、殊に文化事業とか社會事業とか云ふ問題に付ては、隨分同じやうな事柄が地域内に重複して行はれ、さうしてどちらも同じやうな計畫である爲に、效果が十分擧つて居ないやうな例が澤山あるやうに思ふのであります、それで、殊に最近に於ては文化關係の事業が非常に簇出して居りまするのと、それから建物が燒けて非常に利用出來るものが少い、それを縣と市で以て爭奪すると云ふやうな状況が隨分多く見られるのであります、それで兩方ともうまく竝行して效果を擧げ得るものならば宜しいのでありますけれども、主としてそれに關係する民間のまあ有力者と云つたやうな者が矢張り兩方に重複しまして、さうして其の人達の力も削がれて、兩方に十分の效果を擧げて居ない、ものに依つてはどちらか一方に統一して行った方が非常に效果的であると云ふ風に我々素人にも思はれる點が澤山あるのであります、まあ將來、此の間も内務大臣から伺ひますと、特別市制、あれも近々に御提案になると云ふことに伺つて居りまするので、さう云ふ風になれば、餘程此の問題が解決されるかと思ふのでございますが、現在に於きましては私の見て居るやうな點に付て、どんな風に御考になりませうか、又市と縣の、さう云つた事業に付て、其の間を適當に調節するやうな何か宜い方法でも御考になつて居らつしやるものでございませうか、内務省のまあさう云ふ問題に付ての御見解を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=64
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065・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 今迄の行政運營の實際としまして、只今御指摘になつたやうなことが時々起って居つたのであります、東京都に於きましても、府市竝存時代に於きましては、府市共に市民住宅を造り、乃至は府市共に中學校を經營する、女學校を經營すると云ふやうなことになりまして、確に是は重復した面が現はれて居つたのであります、又さう云ふ重複面が現はれます半面に於きましては、どちらも缺けると云ふこともあり得るのであります、是等は適當に按排を致しまして、重複したものを省いて缺けた所は造ると云ふことが理想であります、是等の問題に付きましては、重複したと申しましても、突止めますと又相當の理由もあるのであります、例へば女學校のやうな場合に於きましては、府下全體から入つて參ります所の、所謂高等女學校、一般の高等女學校は府であつて、實科女學校式のものは、市内に限つた一般町家の人を收容してやつて行くんだと云ふやうなことで、又段々突止めますと、多少の理由もある譯であります、併し何れに致せ、中等教育をやつて行く上に於きまして、府市が競爭的な立場でやると云ふやうなことは、望ましくないことでありまして、是等の重複は出來るだけ避けるやうに致して居つたのであります、併し何れも各團體の自治權に立脚して居る所もありますから、話合、勸告に依つて調整をすると云ふ以上には餘り進んで居なかつたと思ひます、尤も學校の設置は文部省の教育行政と致しまして、認可等もあることでありますので、其の方面から相當の調整は行はれたのでありますが、併しそこが徹底して居なかつた點は確にあるのであります、今迄の處、其のやうな實情でございますので、重複を省き、雙方とも缺陷のあるものを設けると云ふやうな點に付きましては、法制的に十分なる措置を講ずると云ふ所迄は至つて居りませぬ、大都市と府縣との間の關係は、何れ特別市制に依りまして御話の如く解決され得ると思ひますが、其の他の府縣市町村に付きましては、差當り只今申上げますやうなことで調整を圖るより外ないのであります、尚是がもう少し徹底したる調整策に付きましては、今後一つ考究檢討致して見たいと存ずる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=65
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066・多久龍三郎
○男爵多久龍三郎君 教育文化の點の御話が出ましたので、一つ御注意申上げて置きたいと存じますが、實は終戰後、地方に向つて、地方民も非常に新らしいことが聽きたいと云ふ氣分もございますし、又監督官廳に於ても色々教育をすると云ふ風な意味から、地方に對しまして相當色々なさう云ふ風な講師を派遣されることがちよいちよいございますが、時々其の中には甚だ時勢とは合はない講演者が參ることがあります、名前は申上げませぬが、或大學の教授と云ふ觸れ込みで縣から廻された方でありますが、私も村長として承つて居りますと、全く國家主義の論説を爲さる譯でありまして、九州あたりは殊に田舍でございますので、まださう云ふ氣分が國民、殊に年長者の間には相當ありますので、非常にさう云ふ風な御話は歓迎されるのでありますけれども、是は國家の今後の行く道として、甚だ憂ふべき問題だと存ずるのであります、斯う云ふ講師を御派遣になるのは、どう云ふ系統を以て爲さるか存じませぬけれども、本省に於てもどうぞ十分御留意になつて戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=66
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067・大村清一
○國務大臣(大村清一君) ちよつと只今のはどの省から派遣した者か、内務省ではないのでありますが、内務省に關しまする限りに於きまして御注意の點、能く傾聽致しまして十分注意を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=67
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068・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 今度警察大學を新設せられまして、さうして專門的學識技能を授けられると云ふことですが、此の警察大學を卒業致しました者に對しましては、例へば高等文官試驗を通つた者に對する特別の扱ひをすると云つたやうな、それに類した優遇とか何とか云ふやうな途を講ぜられるのであるかどうか、伺ひたいのであります、尚若しさう云つた特典がないと致しますると、其の警察大學への入學を希望する者が少いと云ふやうなことにもなりはしないかとも思ひます、旁旁此の警察大學の内容と云ふやうなことに付て御説明を煩はしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=68
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069・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 現在此の内務省に於きまして、警察講習所と云ふものを中央に一つ持つて居ります、是は既に警察界に入つて居ります者の再教育機關なんであります、現在の警察講習所の程度では不十分だと考へまして、其の程度を高めまして、俗に申しまして大學程度迄引上げたいと云ふやうに考へて居るのであります、さうなりますと、各府縣にあります所の警察練習所、講習所と云ふやうなものと、それから中央にあります警察大學校と云ふ間は、非常に飛び離れて參りますので、其の中間に於きまして、現在東京にありますやうな警察講習所、謂はば專門學校程度のものと考へて宜からうと思ひますが、それがあるのであります、之を全國數箇所に設けたらと考へて居ります、來るべき追加豫算に於きましては、確か二箇所に其の專門學校程度のものを設けると云ふことになつて居ります、專門學校程度のものも、大學程度のものも、何れも是は既に警察界に入つて居ります者の再教育機關として考へるのであります、他の一般諸學校のやうに、廣く學生を募集して入れると云ふやうには考へて居ないのであります、尚警察官が身を立てて行きます上に於きまして、それぞれの階級の學校を卒業致しました場合には、それだけのことは見てやりまして、又教養を高めることを奬勵する意味に於きまして、將來、任用、昇進上に於きましても、其の點を十分考慮を拂ふやうには致したいと考へて居ります、文官高等試驗と同樣に扱ふかと云ふことは、文官高等試驗制度其のものも再檢討を要すると思ひまして、是等は文官高等試驗制度其のものと併せて考へて行きたいと思ひます、尚内務省の實際の人事の運用に付きましては、必ずしも從來のやうに高等試驗だけに限つてずつと上位迄の昇進を認めると云ふことに局限致しませぬで、現在に於きましては、所謂巡査出の人に對しましても、逐次地位の昇進が出來る、特別任用の方法に依りまして、廣く門戸を開くと云ふことに相成つて居りますので、今後は其の方針を一層強化致して行きたいと云ふ風に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=69
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070・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 選擧の公平を期しまする爲には、選擧の公營をやる必要があるかと思ふのでありますが、此の間行はれました衆議院議員の選擧に於きましても、候補者の「ラヂオ」の放送とか云ふやうなものがありましたが、是は何とかして選擧公營を徹底せしむると云ふ方法はないものでございませうか、又將來は一つ、何とかさう云ふむづかしい難點を突破しても、公營迄持つて行かうと云ふやうな御意思はないものでございませうか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=70
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071・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 民主政治の發展の爲には、選擧に金が掛かると云ふことでは、是は非常な障碍になることでありまして、選擧運動費はなくても、平等の立場に於て候補者が爭ふと云ふことにするのが理想であらうと思ひます、故に有らゆる面から選擧運動に要する費用を最小限度に止めると云ふことは、政府と致しましても種々是は研究を致し實行しなければならぬものと思ふのであります、併し之が實行に付きましては、結局物的の實際上の制限を受けることでありまして、名案も之を實際に移す點に於きまして、直ちに障碍にぶつかりまして、實行が出來ぬと云ふやうなことに遭遇するのであります、それで現在選擧法の上に於きましては衆議院に於きまして選擧公報及び演説會の公營をやつて居ります、是等も尚考へやうに依りますれば更に他の公營も考へられることでありますが、終戰後の事態と致しまして、物的の制約は多いものでありましたので、終戰後の新らしい總選擧に於きましても、新らしき、試みを致すべく、先般の衆議院議員の選擧法の改正に際ても、公營を擴げることは出來なかつたのであります、唯先般の選擧の實際に於きましては、「ラヂオ」を利用すると云ふことは、可能でありました、是は別に法律に依つて決められたものではございませぬが、「ラヂオ」を選擧運動に活用すると云ふことに成功し得たのであります、それから地方制度を立案するに當りまして、衆議院議員の選擧の實際に徴しまして、あれを出來るだけ採入れたら宜いではないかと云ふ、點も考究致したのでありまするが、併し地方選擧になりますと候補者の數が非常に大きくなりまして、そこで今日のやうな状態に於きましては、物資の點に於きましても、人手の點に於きましても、こなし兼ねる點がありますので、遂に選擧公營の制度を地方制度の中に、原則として採入れると云ふことが出來ないと云ふ結論で採入れなかつたのであります、唯此の知事公選に當りましては、是は選擧區域も廣いことでもありますし、又相當競爭も熾烈になるであらう、從つて選擧運動費も嵩むことが豫想せられるので、此の點には、一つ衆議院議員の選擧公營の方式を採入れるべきである、又採入れることが可能であらうと云ふやうに見まして、選擧公報及び演説會場の公營をやることに致したのであります、地方選擧に於て公營を採入れましたのが、此の一點だけであります、尚選擧の時期になりましては、「ラヂオ」の公營、「ラヂオ」に依る選擧運動と云ふことは、一つ出來る限り考慮して見たいと思ふ次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=71
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072・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 或は私の見落しかも知れませぬが、此の法文に確か載つて居らぬと思ひますが、知事竝に市町村長が今度公選になりますけれども、選擧費用と云ふものは別に命令を以て御定めになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=72
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073・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 御話の通り、命令を以て選擧運動の費用の制限は致すことに相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=73
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074・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 大體何でありませうか衆議院議員の立候補になる際御定めになつた選擧費用に大體準じますのでせうか、或はそれよりも程度が低くなりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=74
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075・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 此の知事公選の際に於ける選擧運動の費用の制限に付きましては、是は衆議院議員の選擧の際の方式を用ひますと相當大きい額になるのであります、併し其のやうな巨額を認めますことは、果してどんなものであらうか、出來得れば、衆議院議員の選擧の際に於ける一候補者の爲に決めた選擧費額と云ふ程度、即ち二、三萬程度の制限を致しまして、有權者一人當り何十錢に有權者數を乘じたものと云ふやうな方式で計算することを止めてはどうか、と云ふやうに考へて居る次第であります、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=75
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076・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 先般の衆議院議員の選擧に於きましても、選擧費用のことで御伺ひ致したのでありますが、どうもああ云ふやうに選擧費用を御定めになりましても、實際金の掛かりますことは或はあれ以上でありまして、例へば紙とか、人を傭ふと云ふことにしましても、物價高の今日迚もあれだけの額では納まらない、事實はあれの倍、若しくは三倍、五倍も使つて居るのが、是が事實だらうと思ひます、假に選擧費用制限と云ふものを墨守致しまして、嚴重に之に依つて取締りますれば、大部分の代議士諸君は引掛かるのではないかと云ふことは、是は本當だらうと思ひます、さう云ふ點がありますから、選擧費用は、此の前の議會で御伺ひ致し、御答辯もありましたが、御尤だと思ふのであります、何か之にもう少し常識的に合ふやうな費額と云ふものを、制限額を決めます譯に行きませぬのでせうか、どんなものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=76
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077・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 其の問題に付きましては、政府と致しましても、能く研究して見なければならぬ問題と思ふのでありまするが、御承知のやうに終戰後の事情と致しましては物價が日に日に上る、さうすると物價指數に應じて、選擧運動の費用も高めると云ふやうな行き方で致しますと、自然實際の運動費と云ふものが、巨額になると云ふやうな關係がありますので、先般のやうに大體候補者一人に付き二萬五千圓内外でございますが、其の位の程度で決めると云ふ處に於きまして、結局結果に於きましては、相當選擧運動費を切り詰める、若し二萬五千圓を五萬圓と云ふことの決めれば、又それに此例して上つて來ると云ふやうな傾向も觀取されるのでありまして、不完全ではございますが、大體現行法の定め方を當分踏襲した方が宜いではないかと考へて居ります、併し物價も安定し、又選擧費用の合理的の計算も考究しまして、出來れば實際選擧に要する適當な限度の費用を決めまして、それに違反する者に付きましては嚴重なる取締りの方法を講ずる、それに依りまして、選擧運動の費用を出來るだけ低くて濟むやうにすると云ふことは、政府としても民主政治の發展の爲に是非考へなければならぬ點と存じて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=77
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078・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 是は参考の爲でございますが、諸外國に於ける選擧に當りまして、矢張り日本がやつて居りますやうに選擧費用の制限と云ふものをやつて居りますのでせうか、それが若し計數的に御分りになりましたら一つ御參考の爲に承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=78
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079・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 私は廣く諸外國の制度は存じませぬが、衆議院議員の選擧の際に於きまして、選擧費用の制限を致しましたのは、是は「イギリス」の實際を採入れたと云ふやうに承知致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=79
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080・松尾國松
○松尾國松君 他に御質問もあるのでございませうが、如何でございませうか、今日は此の程度にして、戴きまして、さうして先程の公民館、其の他、教育に關することに付ては文部大臣に相當關係があります、又市の今後地方團體に對する所の農林當局の關係なども相當にあると存じまするが、それで次囘に於ては何れ先程から承つて居ると、皆樣にもさう云ふ直接の可なり大きい御意見があるやうでありまするが、此の次には必要な場合に文部大臣、農林大臣、或は其の他必要なる大臣の出席を請はれて、さうして主管の方は一つ十分に御練り下さると云ふことは如何でございませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=80
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081・渡邉覺造
○渡邉覺造君 審議に餘り關係のないやうな緊急質問として、御尋する機會がないものですから、此の機會に私内務省の飮食の御取締りに付て御尋したいと思ふのですが、最近中野及び其の他二三箇所に粉から來た中毒事件がありまして、何れあれは農林大臣の所管でありませうが、社會治安の面から見て内務省が非常に關係があると存じます、それのみならず一般殊に戰災地に於ける飮食物の取締を非常に嚴重にして戴きたいと思ふのであります、東京都内を歩きましても飮食物の場所には人が集つて居ります、それから又汽車に乘りますと、「キャンデー」とか云つて色々怪しげなものを賣つて居ますが……怪しげぢや濟みませぬ、是は取消しますが、「キャンデー」のやうな外から見て非常に危險のやうに見へるやうなものが公然と賣られて、私は國民衞生上非常に寒心に堪へないと存じます、是は厚生省にも關係があることでございませうが、内務省として斯うした飮食物の取締に付ては嚴重になすつて居るのでございませうか、今どう云ふ風になつて居りますか、大臣の御意見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=81
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082・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 飮食物の取締に付きましては、食糧の面から申しますと、配給麥粉から中毒事件を起したと云ふやうな點に付きまして農林省の方に於きましても其處に責任を感じまして、あの原因に付きましては農林當局に於て八方調査を致して居ります、又衞生行政の面から申しますと、是は大きな所は厚生省で受け持つて居る次第であります、併し地方の實務の點に付きましては厚生大臣指揮の下に地方長官、警察と云ふやうな面で受持つて居る譯でありまして、内務省と致しましては地方廳の人的組織の點に於ては責任がある譯でありますが、衞生行政其のものに付きましては寧ろ厚生大臣に御質問下さいました方が適切であらうと存じます、尚衞生警察に關する限りに於きましては、地方に於きまして相當の注意を加へてやつて居る筈であります、尚最近の東京に於ける小麥粉の中毒事件に付きましては警視廳に於きましても百方其の原因を突止める爲に今活動を致して居ります、此の點は若し其處に人的作爲の毒物の混入でありますれば、一つの重大な犯罪事件であります、衞生行政と云ふことのみならず、人命保護の犯罪檢擧と云ふ面からも十分注意を致します、それから市内に於ける一般の食品の衞生に付ては、衞生其のものは東京都の方に最近に於きましては權限が移りましてやつて居るのであります、併し衞生警察の面に於きましては警視廳が之に接觸を持つて居ります、東京に於きましては從來より複雜になつて居りますが、左樣な次第で、衞生行政、衞生警察を取り進めて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=82
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083・渡邉覺造
○渡邉覺造君 東京都始め地方廳の衞生行政と云ふのは、矢張り内務省から何かの指令が行つた方が筋金が入るやうに、一般に國民は感じて居りますが、是は話が別になりますけれども、衞生行政、殊に例へば傳染病の發生其の他傳播には、あれを警察部面から取つて内務部に屬したから、それが爲に傳染病の發生屆出などに、非常に色々の障碍があるやうに聞いて居ります、矢張り衞生行政は警察行政の中の一部に入れて、さうして内務省から或筋金が入つた指令が出た方が衞生行政が強力に行はれるやうに思ふのでありますが、是は私の考でございますので、大臣の御答辯は要りませぬ、御參考迄申上げます、それは色々行政部面に付ては各關係者が擔當して居られませうが、國民としては矢張り内務省が斯うした飮食物の取締に付ては十分に力を入れて戴きたいと云ふのが國民一般の願ひだと思ひます、どうぞ其の意味に於て各地方廳に内務省から嚴達あらむことを切に御願ひ致します、質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=83
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084・白根竹介
○委員長(白根竹介君) それでは本日は此の程度に致しまして、月曜日、即ち十六日の午後一時から開會致します、散會致します
午後二時五十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=84
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085・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 白根竹介君
副委員長 男爵 伊江朝助君
委員
侯爵 徳川頼員君
侯爵 小村捷治君
侯爵 佐竹義榮君
子爵 森俊成君
子爵 梅園篤彦君
子爵 松平銑之助君
子爵 田中薫君
中田薫君
男爵 松平外與麿君
男爵 尚琳君
男爵 島津忠彦君
男爵 多久龍三郎君
中川望君
松尾國松君
河端作兵衞君
渡邊覺造君
佐々木長治君
國務大臣
内務大臣 大村清一君
政府委員
内務事務官 郡祐一君
同 池田清志君
同 鈴木俊一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00519460913&spkNum=85
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