1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○東京都制の一部を改正する法律案
○市制の一部を改正する法律案
○町村制の一部を改正する法律案
○府縣制の一部を改正する法律案
○衆議院議員選擧人名簿等の臨時特例に關する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年九月十七日(火曜日)午後一時十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=1
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002・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 是より會議を開きます、本日より章を逐つて御審議を願ひたいと思ひます、先づ府縣制……此の衆議院修正の棒の入つて居る分を御覽を願ひます、先般第一章は濟んで居りますからして、第二章と申しますと、條文で申しますと、四條から六十四條迄、頁で申しますと三頁から二十三頁迄であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=2
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003・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 只今御覽を願つて居りまする第二章は府縣會の組織及び選擧と府縣會の職務權限竝に庶務規定に關しまする章でございます、其の改正並に衆議院修正の内容と相成つて居りまする主なる事項は、府縣會の選擧區を地方事務所を區域と致して居りまするのを、郡を區域と致しますことに改めました點、竝に選擧に關しまして選擧管理委員會を設けましたが爲に、之に關しまする各般の規定を置いて居りまするのが五頁の十條以下に列擧してある規定でございます、實際上の運用と致しましても、法律が此のやうに成立を致し公布されまするならば、早速選擧管理委員の選擧を行ひまして、各般の選擧手續が實行致される譯でございます、それからちよつと前に戻るのでありますが、四頁の四行目に、「第五條第一項中「三十人」を「四十人」に、「九十人」を「百人」に改める」と云ふのは、現在府縣會議員の議員定數最低は三十人でありまするが、それを四十人に、最高九十人でありまするが、最高百人に引上げました定員の改正であります、後は多く手續的の改正でございまして、十八頁にもありまして、十八頁へ參りまして「第三十二條」と申しますのは、十八頁の六行目に「第三十二條第一項中」云々と云ふ規定がございます、是は從來は「「六分の一」を「十分の一」に改め」と申して居りますのは、再選擧を行ひます場合には闕員の數と通じまして、議員定數の六分の一以上當選者の不足又は闕員を生じました場合に再選擧を行つて居るのでありまするが、それを成るべく議員の曠闕を少なく致しまする爲に「六分の一」と云ふ數を「十分の一」に引下げまして、十分の一當選者の不足又は闕員のありました場合には再選擧を致すと云ふ規定でございます、それから次の十九頁の終ひから三行目の「第三十六條の三」と申しますのは、府縣會議員の選擧と知事の選擧との競合を避けます爲に、府縣會議員の選擧は知事選擧の告示がありましたらば、其の選擧の期間の經過する迄、府縣會議員の選擧の方を後の方に持つて參ると云ふ規定でございます、其の二項は衆議院議員又は府縣知事の選擧を行ふべき事由が更に競合して生じました場合には、是等の選擧が經過致した後に致すと云ふ規定でございます、是等の規定が組織及び選擧に關する規定でございます、職務權限に關しましては、二十一頁の終ひから三行目の「第四十三條の二」と申します規定が、府縣會は府縣の事務に關しまする書類等の檢閲をし、又書面に依りまして事務の管理、議決の執行、出納等を檢査すると云ふ規定でございます、書面審理を府縣會が致し、實地檢査を監査委員が致すと云ふ建前で四十三條の二の一項は、書面審査の規定を設け、是は新たに設けた規定であります、さうして二項に以て參りまして、府縣會の監査委員に實地檢査を請求致すことが出來る、監査委員自ら監査を致す場合もありまするし、知事の請求に依つて監査致す場合もありまするが、更に府縣會が監査を致すと云ふ規定でございます、それから二十二頁に參りまして、三行目の五十條の改正と申しまするのは、府縣會を定例會と臨時會に分け、定例會は毎年六囘以上開會致すと云ふ規定でございます、後は二十三頁の初から四行目、五十六條の規定と申しまするのは、府縣の會議を非公開に致します場合の傍聽禁止の場合の特別多數の規定を設けたのでありまして、之に依つて公開の原則を可及的貫かうとして居る、斯う云ふ意味合の改正でございます、大要以上の如きものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=3
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004・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 私簡單なことですが、今の五十條を改正になりましたので、府縣會は毎年六囘以上開くと云ふことになつたのでありますが、六囘以上開くと言ふと、最小限度六囘は必ず開かなければならない、斯う云ふ意味に解釋出來るが、左樣解釋して宜しうございますか、それが一つ、それから府縣會の會期延長云々は、第六十四條の會議規則中に之を規定すべしと云ふことになつて居りますが、此の會期は常識的に考へて見ますと、六回以上開くと云ふことになりますから、是迄の慣例も大概二箇月位が府縣會としては決つて居りました、已むを得ない場合は多少の延期はして居りますが、大體會期は一箇月見當に規定せらるるものと承知して構はぬと思ひますが……、或は又更に二箇月と規定しても構はないのですか、是等の勘案と云ふか、按配と云ふのはどうしたら一番宜いものでございませうか、内務御當局の御意見を承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=4
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005・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 前段の御尋の六囘以上と申しますのは、從ひまして仰せの通り少くも六囘は開け、斯う云ふ法意でございます、但し此の規定は訓示的な規定でございます、假に或府縣會で六回開かなかつたと云ふことが起りましても、是は實際左樣なこともあり得るかも知れませぬけれども、何處迄も法律は最小限六囘は開くことを要求して居る次第であります、それから會期の決め方に關しましては、仰せの通り自由だとは思ふのでありまするけれども、年六囘以上既に開くのでありまするから、是は長くも大體一箇月と云ふことを會議規則に決むべきではありますけれども、大體の標準を示したいものと思つて居ります、但し豫算縣會等に付きまして、從來よりも或は通常豫算を審議致しまする縣會等は相當長期を必要とするかも知れませぬ、さう云ふものに付ては或は一箇月以上にせられると云ふ會議規則の決め方を致しても宜しうございます、大體一般的には左樣な一囘の定期會は長くなることなく、例外を認めれば豫算縣會だけに稍稍長期に認めると云ふやうに通常致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=5
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006・白根竹介
○委員長(白根竹介君) それでは更に進みまして第三章、府縣會參事會に關することであります、法文で申しますと六十五條から七十四條迄、原案の頁數で申しますと二十三頁から二十五頁の終りから六行目迄です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=6
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007・中川望
○中川望君 縣參事會の議長に付て、原案の趣旨とそれから修正の趣旨に付て御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=7
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008・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 衆議院で御修正に相成りましたのは、府縣參事會の議長は、改正案に依りましては當該府縣參事會員の互選に依りまして獨立の議長、副議長を設けることを適當と考へたのでございまするが、衆議院では、一方に於きまして縣參事會の職務權限を可及的狹ばめまして、輕易なる事件に限つて、府縣會閉會中は議決を致すことに改めたい、是は一方に於きまして縣會を六囘以上頻繁に開くやうに致しますならば、府縣會參事會の副議決機關としての重要性は、從來よりも減ずるであらう、斯う云ふ前提であり、左樣致しました場合には、府縣會と府縣知事會との連絡を緊密に致しまする爲に、府縣會議長を以て直ちに參事會議長とすることが其の連絡を圖る上に好ましいのではないであらうかと云ふやうな御意見でありました、それで府縣會議長及び副議長を府縣參事會員の中に加へて府縣參事會を構成した方が宜いのではないかと云ふ論と、是は何處迄も從來の府縣知事が議長を勤めまするやうに、單に議長の職務を執ることのみに止めて置いた方が宜しいのではないかと云ふ兩方の御意見がありました、之に對しましては、若し府縣會議長竝に副議長を加へまして參事會を構成すると致しますると、多數黨の方が有利になる虞がある、是は適當でないので、單に議長の職務を執らせるに止める、併し府縣會と參事會との連絡を圖ると云ふことは是非望ましいのであると云ふ意味合で、斯樣な御修正に相成つたのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=8
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009・中川望
○中川望君 政府も亦其の意嚮は尊重して可なりと云ふ御意見ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=9
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010・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 是は改正案に於きまして、互選に依ると云ふことに致さうとしましたのは、府縣參事會と云ふのは、法律上府縣會と別個に存在する以上は、獨立の議長を持つことが適當ではないかと云ふ考でございましたが、現に參事會が執行機關的な役割を果しました時は別と致しまして、單に副議決機關になりました現在でも、知事を以て議長に充てて居ると云ふやうな形を持つて居りまするので、是は機關が府縣會と別個に存在するからと申しまして、必ずしも別個の議長を置く必要はなく、寧ろ從來の府縣會議長会議等の要求では、府縣會議長を充てると云ふこと、之を屡屡主張して居られ、それ自身にも理由があることのやうに思ひますので、是は御意見を尊重致すことにして支障なからうと存じた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=10
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011・松尾國松
○松尾國松君 私もちよつと御尋したいのですが、私は實は五十六條の第四項は原案の方が宜いと思ふのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=11
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012・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 五十六條はもう府縣會で濟んだ筈であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=12
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013・松尾國松
○松尾國松君 二十三「ペーヂ」でございますが……、ああさうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=13
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014・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 後で又御願ひ致します、參事會に付て御質疑はありませぬか、次に移ります、「第四章府縣の官吏及吏員」、條文で申しますと、七十四條の二から九十二條迄、頁で申しますと、二十五頁から四十四頁迄……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=14
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015・多久龍三郎
○男爵多久龍三郎君 ちよつと御伺ひ致しますが、此の「帝國臣民」と云ふ文字を「日本國民」と御改めになりましたのは、是は知事を公吏とする、詰り新憲法が實施になりました曉の意味でございませうか、現行憲法の下に於て御修正でありましたのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=15
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016・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 是は現行憲法の下に於て斯樣に改めますることを現在の段階に於きまして既に適當であらうと「帝國」と云ふ文字を現在の段階に於きましては既に制度上用ひることは、今後現行憲法の下に於ける地方制度の改正に於て、更に新憲法施行後に於きまして、繼續して恆久的に效力を持つて參りまする法律としては修正を致します機會に於ては、寧ろ修正した方が望ましいことであらうと云ふ關係方面との折衝の經過もございまして、斯樣に改めました次第でございます、第四章は二十五頁の初から五行目に書いてございまするやうに、從來「府縣行政」と云ふ章でございます、府縣吏員の組織任免と官吏及び吏員の職務權限に關しまする事項を規定致した章であつたのであります、之を此の度改めまして、「府縣の官吏及吏員」に關する章と致し、從來の第四章に入つて居りました「給料及給與」に關しまする事項は別章に致しまして、さうして「府縣の官吏及吏員」に付きまして其の組織、選擧、任免竝に職務權限を規定致すことに致した次第でございます、それで第一の眼目になりまするのは府縣に公選に依りまする知事を置きますこと、七十四條の二がそれでありますが、それに伴ひまして府縣知事の任期等に關しまする規定を基本的に設け、更に府縣知事の選擧權、被選擧權竝に其の選擧手續等を規定致したのであります、其の一聯を成して居りまする規定は七十四條の三が選擧權に關する規定、二十六頁の初、七十四條の四が被選擧權に關しまする規定、それから二十六頁の七十四條の五が府縣知事の選擧期日に關しまする規定、二十七頁に參りまして、七十四條の六が選擧管理委員會に關しまする職務權に關しまする規定、構成に付きましては第二章に於て規定致して置きましたので、選擧管理委員會の職務に關しまする規定、二十八頁に參りまして七十四條の七、是が候補者の屆出に關する規定、二十九頁の七十四條の八が供託に關する規定、是は七十四條の八で二千圓の供託を致すことになつて居ります、衆議院議員と同じに致して居りまして府縣會議員の二百圓と云ふのよりは十倍に致して居ります、それから二十九頁の七十四篠の九と申しまするのが選擧長に關する規定、三十頁に參りまして七十四條の十、是が府縣知事の法定得票數の規定でありました、三十頁の二行目の七十四條の十が法定得票數でありまして、是は衆議院議員選擧の法定得票數の四分の一と同樣の法定得票數を原案では規定して居つたのであります、之に對しましては、論と致しましては獨認制の機關を選ぶのでありまするから「マジヨリテイ」を要求する方が正しい、此の論と云ふのは、議論としては一貫して居るのでありまするけれども我が國の現状の選擧に於きまして過半數を得ると云ふことは容易でない、寧ろ不可能に近いのではないだらうか、此の樣なことが考へられたのであります、それで過半數は困難であらう、併し四分の一では獨認制の機關を選ぶにしては低きに失する、斯樣な議論を折衷致しまして八分の三の法定得票數を要求すると云ふことに衆議院に於て御修正になつて居ります、それから同じく三十頁の七十四係の十一と申しますのは、候補者が一人でありまする場合の無投票の規定、三十一頁の二行目の七十四條の十二が再選擧の規定、是は何れも各種の議員選擧と同樣でございます、それから三十二頁に參りまして小さい文字で書いてあります、七十四條の十三、此の七十四條の十三以下が先程知事の法定得票數八分の三に高めましたことに伴ひまして、八分の三と云ふ法定得票數は相當高い得票數であります、從つて之に達する候補者のない場合と云ふことも豫想致されますし、其の場合原則に基いて再選擧を致しますると手數が徒らに繁雜になる虞があります、從つて「有效得票の最多數を得たる二人」に付きまして決選投票を行ふと云ふ規定でございます、之を法定得票數の修正と共に、決選投票の規定を新たに設けまして、七十四條十三以下の規定を設けることに相成つた次第でございます、三十三頁の七十四條の十四、七十四係の十五、是等が之に關する規定であります、三十四頁に參りまして、七十四條の十六が當選の告示の規定、七十四條の十七が選擧無效の場合の再選擧の規定、七十四條の十八が訴願等の決定致しまする迄選擧の執行を致しませぬ規定、三十五頁に參りまして七十四條の十九が、先程府縣會議員の所で申しましたやうに、各種の選擧を擧行致します場合の規定、七十四條の二十が選擧運動、選擧費用に關しまする衆議院議員選擧法の準用の規定、三十六頁に參りまして七十四條の二十一が府縣會議員選擧に關しまする準用の規定、三十七頁に參りまして中程に、七十四條の二十二「府縣の官吏に關しては勅令の定むる所に依る」、從來の地方制度は官吏に付きましては、府縣の官吏に付きましては、是全く地方官官制の規定に委ねて居つたのでありまするが、府縣の官吏に關しまする根據自體を地方制度の中に採入れまして、地方官官制と相重用致しまして、其の官吏の全體の組織を規定致すことに致しました根據を設けた次第であります、次に七十四條の二十三、是が府縣の監査委員の規定、監査委員の選任に關しまする規定、それから三十八頁に參りまして七十四條の二十一と云ふのが修正に依りまして削除致されて居りまするが、是は府縣知事と監査委員には要件を充たしませぬでも、選擧權を付與致すことに原案はなつて居つたのでありまするが、斯樣な特別の選擧權を認める必要はない、一人一票の原則に副ふやうにして考へられた次第でありまするが、左樣な意味合に修正に相成つて削除致されて居ります、それから七十五條の規定が府縣知事、監査員が請負と云ふことを致しますることを禁止致しまする規定、それから三十九頁に參りまして七十七條の規定は委員に付きまして、「「委員」を「常設又は臨時の委員」」と云ふ工合に明示を致しまして、是は多くは常設委員と云ふものを設けて、今後の府縣行政の運營に、強く千與致したいと云ふ希望が強かつたやうであります、それで常設と云ふ點に力を置いて「常設又は臨時の委員」と云ふ工合に御修正になつて居ります、更に委員の選任に付きまして、「府縣會議員其の他學識經驗ある者の中より」と致しまして、府縣會議員を入れましたのは、府縣會議員と云ふのが、相當考慮すべき大きい「プール」のやうになるのだと云ふ考のやうであります、是は尤も現行法の「學識經驗ある者の中より」と云ふ、選任される者の範圍に於きましても、府縣會議員を否定して居つたのではないのでありまするけれども、地方に依りまして「學識經驗ある者」と書いてあるから、府縣會議員の中から選ばないと、府縣會議員の中に於きましても、學識經驗ある者があれば選んでも宜いのでありますが、府縣會議員を排斥致しましたやうな實例がありましたので、是は議員の方から伺つて初めて承知致したのでありますが、左樣な例もございますので、議員中から選ぶことをはつきり致して置きたいと云ふ意味合で御修正に相成つて居ります、それから七十七條の二は府縣に必要なる委員を置きまする規定、是は從來は七十五條の規定としてありましたが、知事の選擧以下の規定を置きましたので、條文を變へまして七十七條の二に持つて來て居ります、それから七十七條の三が選擧權を有せざるに至りました場合の、知事の失官等に關しまする規定、四十頁に參りまして是が府縣の官吏、吏員の職務權限に關しまする規程で、七十九條は有權者が知事に對して致しまする府縣條例、又は府縣規則の制定の請求權に關しまする規定、七十九條の二項に衆議院の修正がございますが、是は原案に於きましては條例等の制定請求權の、「原案の趣旨に反せずと認むる範團内」で修正して、府縣會に付議して宜しいと云ふのに對しまして、其の場合には有權者が發案、選擧して參りまするものは、必ずしも條例として完全な形を備へて居らないだらうから、と云ふ考であつたのでありまするが、成る程左樣では修正した場合には、原案と對比をする必要上、原案を添へて付議して欲しいと云ふことでありました、是は事實問題として當然致すのでありまして、參考資料として送付するものでありましたが、要件として必要はないだらうと云ふ、從來の政府の考でありましたが、特に法律上之を明示致して置かうと云ふ意味合で、御修正に相成つて居ります、四十一頁に參りまして五行目の八十一條の改正と申しまするのは、府縣知事が懲戒として、部下の吏員に科しまする過怠金は從來五十圓を五百圓に改める等の規定であります、其の次に小さい文字で、八十二條一項但書を削りまする規定、それから八十三條一項但書を削りまする規定、是は八十二條と申しまするのが、府縣會の違法議決に關する規定であります、但書に違法議決のありました場合には、本文では原則として再議に付するのでありますが、知事が「特別の事由ありと認」めました時には、再議に付せずして直ちに取消すことが出來ると云ふ規定であります、八十三條一項の但書と申しますのは、所謂原案執行でありまして、害公益でありまするとか、權限を踰越して居りまするとか云ふやうな、收支の執行不能であるとか、是等の場合には八十三條一項の本文の、知事は其の意見に依り、或は内務大臣の指揮を受けまして、再議に付する規定なのでありまするが、是も但書で特別の事由がありと認めたる時は、再議に付せずして直ちに内務大臣の指揮を受けることが出來る、それで但書を著しく濫用せられると云ふことはないのでありまして、會議を招集することが不可能に近いとか、明瞭に再議に付しましても改める氣配がないとか云ふやうな場合に、急速に事を處理致します爲に、是等の但書があつたのでありまするが、議會を尊重致します建前から、如何なる場合にでも、申さば見込みのないやうな時でも必ず再議に付すると云ふことにしたら宜しいだらうと云ふやうなことで但書を削られたのであります、又事實常に再議に付すると云ふことを要件と致しましても、之に依りまして時宜を失する等のことは考へられませぬので、但書を削ることは支障ないことであらうと斯樣に考へて居る次第であります、次に八十四條の規定と申しますのは、府縣會で知事不信任議決のございました場合には、知事は府縣會を解散することが出來る、さうして其の場合には二月以内に總選擧を行はなければならない、それから三項に參りまして、不信任の議決をされて、解散した時、或は解散後、知事不信任の議決をしたが、十日以内に解散をしない時、或は解散したが再度不信任の議決をされた時、是等の場合は府縣知事は辭任を致さなければいかぬと云ふ規定でございます、それから八十八條の規定、四十二頁の終ひから五行目でありまするが、其の八十八條の二と申しまする規定は、監査委員の職務權限の規定であります、監査委員が事業、出納等の監査を致す、それから二項には監査委員が定例的に監査をする、或は三項に有權者から監査の請求を受けた場合に監査を致す、是等の監査竝に報告に關する規定でありまして、四十三頁の終から五行目、此の八十八條の二其の末項でありまするが、「府縣知事は監査の結果を府縣住民に公表すべし」と云ふことに相成つて居ります、監査委員は監査を行ひまする爲には、職務上獨立に監査を致しまするが、之を外部に住民に公表致します場合には、府縣知事の名に於て公表することと致して居ります、さうして此の公表の方法は特別に限定は致して居りませぬけれども、運用と致しましては公聽會のやうなものを開きまして、監査委員から口頭を以て住民に説明を加へる、或は質疑に應ずる、或は新聞紙等に發表を致すとか、單に府縣廳等の前に公告、公示を致して、それを以て事足りるやうなことでなしに、實質の意味合を加へまして、十分監査の結果を住民に納得させる意味合の公表を致させたいと思つて居ります、從ひまして監査委員の監査を致しますこと、それは常に外部の住民に對して責任を持つと云ふことを、今後の運用としては力を入れて參りたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=16
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017・森俊成
○子爵森俊成君 此の七十四條に知事との兼職を禁じて居る規定があるのですが、此の中に教員を消してありますのは是は其の他の職員の中に入るのですか、それから此の其の他の職員と云ふのはどう云ふ風なものでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=17
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018・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 是は從來の解釋に於きましても、其の他の職員と申しまするのは、囑託等の職員を含んで考へて居りまして、雇傭員は含まないと云ふ工合に其の他の職員を呼んで居ります、之に對しては解釋としては雇傭員等も含め得るのではないかと云ふ解釋も成立つかも知れませぬが、現在の處では囑託等に限つて居ります、それから教員と申しまするものは、前囘もちよつと御話が出たのでありまするが、府縣から給料を貰つて居りまする教員、是等のものに付きまして、從來も府縣會議員に付て兼職の禁止をして居りまして、それは府縣の有給吏員は府縣から給料を貰つて居るのであるから、それが府縣の豫算等の議決する府縣會に加はることは不適當ではないだらうかと云ふ考へ方、同じ考へ方を移しまして、それが府縣知事になつては不適當ではないだらうかと云ふ考へ方でありまするが、併しながら此の地方制度に於きまして、教員と申しまするのは、大部分國民學校の教員を從來對象として考へて居ります、多くの實益は市制町村制にあつたのであります、處が國民學校の教員の給料の支給關係も變つて參りましたし、今日教員と云ふ言葉を置いて置く意味も大してございませぬし、それから又寧ろ教員で非常な適格があつた場合、それ等の者が公務に參與することは寧ろ拒む必要はないのぢやないか、出來得る限り兼職の幅を狹めて行つた方が宜しいのではないであらうか、斯樣な考へ方で御修正になつたのでありますが、其の事柄自身に多く弊害もないやうに考へまして差支ないと云ふ風に考へて御意見を尊重する氣持を持つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=18
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019・中川望
○中川望君 本法規定外の府縣官吏に關しては勅令の定むる所に依る、此の内容は地方官官制の儘を勅令で出すと云ふやうな御話ですが、其の儘を移すと云ふことは勅令の方でやると云ふことになるのでありますか、何かそこに其の移す際に内容に於ては變りはない譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=19
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020・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 其の府縣知事に關しまして、現在の段階に於きましては、府縣知事を官吏と致しますので、著しい變りはないと思ひますけれども、若干知事の部分に付きまして、官制の方の表現を變へる必要があると思つて居りますが、其の他の部分に付ては、現在の處地方官官制に改正を加へる部分はないやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=20
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021・松尾國松
○松尾國松君 私は實は一般の所で御尋をして置かうと思つたけれども、此處で御尋を致しますのですが、私は實は此の原案の方が宜いと思ふ所が相當にあるのでありまするが、まあさう云ふことは一般の時にもう一遍御尋をしようかと思つて居りますが、例へば此の選擧の監査委員と云ふのが府縣吏員であります、府縣吏員であれば、原案の如く府縣知事の監督を受くると云ふことは私は當然ぢやと思つて居ります、さうしてそれが正しいことぢやと斯う思つて居りますが、それも取つてしまふ、斯う云ふことになります、それからもう一つは先程の御説明を承つて見ると、府縣會議員を拒絶してしなんだ、斯う云ふ御話であるが、是は私は實は自分の知る範圍では逆ぢやと、斯う云ふ風に思つて居ります、恐らく御調べになつたら、市でも何でも委員を置くと云ふ時に議員が入つて居らぬ處はない、議員が入る爲に公正なる調査が出來ないと云ふのはどう云ふ譯か、之には原案の方が宜いと思ふことが相當にあるのであります、それを一體公選知事にして置いて、さうして公選は八分の三でありましたか、多數を得た者が當選するのであるから相當に信用がある、信用がある者の權限を、府縣の吏員迄其の權限を取つてしまふと云ふことは、私が二度大臣に御尋ね申したやうに、茲で又監督權も何も取つてしまふと云ふことでは、愈愈知事は何處へ行く、斯う云ふことになると思ふのであります、私は實は此の法律は申す迄もなく「ドイツ」法の中央集權を採入れた、それへ民主主義の法を加へられたのであるから、それでそこら中に多少の食ひ違ひがあると云ふことは已むを得ぬ、併し是は内務大臣の御説明のやうに第二次の改正に於て大幅に分權もする、斯う云ふ御話でありますので、それに期待致して居るのでありますが、兎に角府縣の吏員迄監督權をなくしてしまふ、斯う云ふことが外の方にも澤山ある、私は實は自分の主張では原案に戻すべきである、斯う考へる所が相當にあるのですが、此處で府縣の吏員迄も監督權を取つてしまはんならぬと云ふことはどう云ふ處にあるのでせうか、それから府縣會議員を委員にすると云ふと、府縣會議員等が幕下になる、どう云ふ譯で幕下になるかと云ふと、一番先に府縣會議員と書いてあるから、其の次のものは解釋上附加へても附加へぬでも宜い、斯う云ふことになるのであります、それであるから今迄の委員でも御調べになつたら分ると思ふのですが、議員が殆ど入らぬことはない、是が實例なんです、それを今承つて見ると知事が入れなんだ、斯う云ふやうなことは、私はそれこそ黨派的の問題で、知事は公平にしなければいかぬと云ふやうなことがあつたのぢやないかと思ふ、思ふのですが、それを逆に府縣會議員が委員に眞向からなるとそればかりになる、其の結果はどう云ふことになるか、縣會で説明すると何も變りはしない、何の爲に委員を作つたか、斯う云ふことになるのです、是は私が申す迄もなく現行の市町村制に於ても、委員と云ふ問題に付ては内務省でも議員を入れてはいかぬ、斯う云ふことで昭和十八年の改正後に於ては議員などを入れてはいかぬ、議員を加へべきものではない、それは市町村長なり、知事の參考になる所謂專門的の者であると云ふ指示があつた、さう云ふ指示が宜いとか、惡いとかは暫く措いて、其の指示も重要なる理由があると私は見て居る、此の法案は府縣知事を官吏とすると云ふことで出來て居る、官吏と云ふことを固執せられた爲に、多少權限を取ると云ふやうな意思が働いて居りやしないかと云ふことを疑問に思つて居るものであります、第一番に是は府縣會議員でやると云ふなら、府縣會議員は何も彼も相談を受けてやつて居る、それであるから特別の委員にする場合には學識經驗のある者を入れると云ふことなら別ですが、さうぢやなしに府縣會議員と云ふことを眞向に書いてしまふならば、二重のことをやると同じことになるのです、私が申さぬでもさう云ふことは能く御承知の方が相當にあると思ふ、そこへ持つて來て府縣の吏員迄の監督をとらんならぬと云ふことは、それは兎に角公選された知事にそこ迄せんならぬと云ふのはどう云ふ理由があつたのだらうか、是は原案に戻すべきものであると云ふことを考へて居る者でありますが、茲で尚一應御伺ひしたいと思ふ、局長さん一つ模樣を聽かして貰ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=21
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022・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 御尋でありますが、府縣知事が任命します所の一般吏員に對する監督權は從來通りであります、唯選擧管理委員と監査委員と云ふのは、知事の獨立性を確保した方が宜しいと特に認められるものだけ監督と云ふことをなくしてあるのでありまして、一般吏員に對する監督權は從來通りであります、それからもう一つの御尋でありますが、現行法に於きましても、公共團體の吏員を選任致しますのは、此の地方議會の議員を排斥する趣旨の規定ではないのであります、現在の規定と雖も地方議會の議員の内外から學識經驗を有する者から選任すると云ふ趣旨であるのでありますが、現行法の運營の上に於きまして、其の規定は地方議會の議員を排斥すると云ふやうな曲解を生じて紛議を起したこともあるのであります、故に法律上意圖して居ります處がはつきり分るやうに修正した方が宜しいと云ふ意見で衆議院で修正を見たのでありまして、是は、初から其の通りの内容を持つて居るのでありますから、それを尊重して宜しい、斯う云ふやうに考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=22
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023・松尾國松
○松尾國松君 それは其の通りであつて、現行法で止めて居るとも何とも私は申すのぢやない、其の御説明の通りなんであります、此の問題と云ふものは、事實を調べて貰へば分るのと、それから曩に申したやうに地方議會に出て居る者が、又其の者が委員になつて行く、斯う云ふことになれば何もそれ程の效果はありはしない、それは特に專門の知識があると云ふ人は別でありますけれども、さうぢやなしに府縣會議員をすると云ふことになると、寧ろ是は原案の通り、ない方が調節が出來る、是が爲にもう調節は出來ない、私は今迄もさう云ふ結果を見て居る者でありますが、是はどうも已むを得ぬと云ふことはないが、私はさう云ふ風に思ふのであります、今御説明のやうな意味に私は誤解も何もして居らぬ、今迄も其の通りになつて、之をはつきりすれば二重のものになるのである、斯う云ふ風に考へて居るものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=23
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024・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 他に御質疑はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=24
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025・多久龍三郎
○男爵多久龍三郎君 七十四條の趣旨の先程御説明申上げました日本國民と云ふ問題に付きまして質問致したいと存じますが宜しうございますか、七十四條の四でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=25
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026・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=26
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027・多久龍三郎
○男爵多久龍三郎君 先程御質問申上げまして、政府の意のある所を御説明戴きましたが、私まだ能く了解出来ませぬ、日本が民主國となつたと云ふのは「ポツダム」宜言の受諾の時であるか、憲法が完全に實施せられる時であるかと云ふ問題に付きましては、憲法委員會でも色々御論議があるやうでありますが、現行憲法の存在する間は、兎に角後の連絡上矢張り帝國臣民であり、帝國議會であるのぢやなからうかと私は考へて居りますが、憲法が新たになりますれば、日本國民となり、帝國議會は國會と云ふことになるものと私は心得て居りますが、此の條に於きまして帝國臣民を日本國民と御改めになりまして、帝國議會の方は其の儘でございますが、勿論帝國議會は現在存在する以上改める訳に參りませぬけれども、帝國臣民と云ふのは現行憲法にある以上は存在するのぢやないかと斯う云ふ風に考へて居ります、先般來地方長官が官吏から公吏に移る場合の法文上の連絡と云ふ問題にも大分御意見がございましたが、私も此の點多少法文上に「ギャップ」があるのぢやないかと考へますが、關係筋の御連絡上帝國と云ふ文學に付ても云々と云ふ只今の御説明がありますが、其の意味は私は云云する訳にも行きませぬけれども、片方には帝國議會と云ふ文字がありますし、強ち只今帝國と云ふ文字を取らなくても此の際は宜しくはなからうかと斯う存ずる次第でありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=27
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028・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 仰せの通り現在此の用語が直ちに否定されなければならない理由はないと思ひます、併し現行憲法は御覽の通り帝國議會と云ひ、日本臣民と申して居ります、從ひまして今日現行憲法のやうに日本臣民と云ふことも結構であります、新憲法に於ては日本國民と云ふ言葉を使つて居ります、是は用語の上に於きまして妥當な途を選べば宜しいと思ふのでありまして、現行憲法自身が日本臣民と云ふ言葉を使つて居り、從ひまして地方制度の方で是は色々な法律で色々な用語はありますけれども、帝国臣民と云ふ、帝國と云ふ文字を、此の際修正の機會に別に使ひ分けて見たらどうだらうと云ふ前提がありまする場合には、現行憲法の下に於きまして同じやうな用語があります以上は、現行憲法下に於ける改正には相違ありませぬが、日本國民に改めますことも寧ろ事柄が妥當でないか、從つて一方が帝國議會と云ふ文字が使つてあるから、帝國臣民と云ふ用語を直さないといけない、斯うは考へる必要はないと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=28
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029・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 他に御質疑がなければ、第四章の二、九十三條から九十六條迄……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=29
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030・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 九十三條乃至九十六條の改正は給料及び給與に關しまする規定でございます、名譽職、有給職の觀念を此の度の改正に於ては撤廢致して居ります、其の考へ方と申しますものは、名譽職思想に於きまして名譽的に公に奉ずると云ふ考へ方と云ふのが、地方制度の一つの根本的な考であると云ふことは、何處迄も尊重して參らうと思ふのでありまするが、公務に從事致しまする以上、其の者が專念に或職務を擔當致し、名譽職と云ふ言葉に伴ひまする事實上……事實は擔當致さなくても、何か形の上で或地位に就いて居ると云ふやうな考へ方の方は寧ろ此の際棄て去るべきものであらうと云ふ考へ方から、名譽と云ふと却て觀念の混同を來たすと思ひまして、名譽職と云ふものを止めに致して居ります、併しながら是が給料竝に給與の問題になりますると、其の職務關係が一身を其の職務に捧げる、從つて之に對しては其の生活を保障するに足るだけの給料を支給致しまする種類のものと、仕事に対しまする報酬なり費用辨償なりを給せられまして、それで十分でありまする仕事と、給料給與の面からは矢張り岐れて參ることと思ふのであります、それで九十三條乃至九十四條は何れも全文を改正致しまして、今迄のそれぞれの該當の條文とは中味が違つて居るのでありますが、九十三條には從ひまして報酬を給しまする種類の職員を書いて居るのであります、即ち府縣會議員、選擧管理委員、參事會員、議員の中から選任せられたる監査委員、委員、投票管理者、或は投票立會人等、是等の者には報酬を給する、是等の者には職務の爲に費用辨償を與へる、それから九十四條の方は、九十三條に規定致しまする吏員以外の吏員、之には給料を支給する、九十三條に規定致しまする吏員以外の吏員と、それから選擧管理委員會や府縣會の書記、之には給料を支給する、此の點でも一般の有給吏員と、議長が任命致しまする府縣會の書記等とを區別して居ります、是等は併し有給吏員の外にそれぞれ任命の系統等に依り、立て方を區別して居りますると云ふことは、必ずしも知事の強力性と云ふものを阻碍するものではないのでございまして、公選に依りまする知事が非常に廣汎なる權限を持ちますると云ふことは、其の中味に於きまして寧ろそれぞれの地位はそれぞれに保障を致して、さうして全體を統轄する知事の權限を強化致したい、是が一つの根本の思想になつて居るのでありまするが、報酬、給料の立て方に於きましても、左樣な意味合で有給吏員と各種の委員會、府縣會等の書記には給料と旅費を支給する、斯う云ふ規定が九十四條に相成つて居ります、それから九十六條は退隱料等に關しまする異議の申立の決定でありまして、是等に付きましては從來は知事に於きまして異議の申立を先決致して居りましたが、是は府縣參事會に諮問致しまして決定する、斯う云ふ工合に改めた次第でございます、此の部分の改正は以上の點であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=30
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031・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 別に御質疑がなければ第五章と第五章の二、府縣の財務、府縣組合に關する事項でありまするが、條文にしますと九十八條から百二十六條の七迄、頁數にしますと四十五頁から四十七頁迄、四十五頁の終ひから五行目、「百十四條云々」から、四十七頁の初から四行目の「百二十六條の六」云々、そこ迄であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=31
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032・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 四十五頁の百十四條の二項と申しまする二十圓を二百圓に改めましたのは、過料を從來最高限を二十圓と致して居りましたのを二百圓と致す改正であります、是は先程の過怠金と同じやうな考へ方で高めて居ります、百十五條二項と申しますのは、百十五條一項の使用料、手數料等の賦課を受けました者が、其の賦課に違法、錯誤があつたと思ひました時の異議の申立であります、元來百十五條と云ふ規定は、府縣税を元にした規定でありますが、地方税法が出來まして府縣税が別の法律へ規定されましたが、現在は税外收入の賦課徴收に付てだけ根據が殘つて居るのでありますが、それの異議の申立が、現在は矢張り先程九十六條で申しましたやうに、府縣知事の先決になつて居りましたのを、參事會に諮問して決定すると云ふことに改めました規定であります、それから百十六條の六項、四十六頁の三行目に書いてあります改正でありますが、是は百十六條と申しまする規定は、使用料、手數料等の税外收入に付きまして督促をし、滯納處分を致しまする規定なのであります、それで其の六項と申します、此處で衆議院の修正になつて居りますのは、府縣知事の委任を受けました官吏吏員が、滯納處分に一聯をなした處分を致す、それに不服のある者は、現行法に依りますると、府縣知事に訴願を致して、其の裁決に不服があれば行政裁判所に出訴する、斯う云ふ規定なのであります、それで百十五條の方は原案にありますやうに、知事が參事會に賦課徴收に關しては諮問して決定することに相成つて居るけれども、斯樣に改正致しましたが、百十六條と云ふ方は、滯納處分と云ふ處分をするのであるから、賦課徴收等のやうな場合と違つて、此の執行に付ては現行法通り訴願の裁決を知事自身が國家機關として致したら宜しいのではないだらうか、從ひまして部下の官吏吏員等が致しました執行に付きまして、府縣知事に訴願をして、それに不服があれば行政裁判所へ出訴すると云ふこと自身の改正は必要がないのではなからうかと云ふ考を持つて居りました、併しながら衆議院に於きましては、成る程賦課徴收と滯納處分と云ふ執行に付ては、事柄の性質に差異があるかも知れない、併しながらそれをだからと言うて直ちに府縣知事と云ふ機關が裁決をし放しにするよりも、寧ろ矢張り一定の機關に諮問をして決めるやうにしたが宜しいのではないかと云ふ御意見でありました、之に對しましては訴願でありまするならば之に參事會等を關與致すやうな立法は支障があると思ひまするので、異議の申立の形に致しました、異議の申立に依つて府縣知事が參事會に諮問を致して決定を致し、更に是等の決定等に付きまして不服があれば行政裁判所へ出訴致す、此のやうな順序に致しまするならば、考へ方の置き方の重點を變へることではありまするが、合理的に且百十五條と百十六條の關係に於きましても解釋が成立つやうに思ひました、此のやうな修正であれば支障がないものと、斯う云ふ工合に考へて居る次第であります、それから百二十四條は、從來決算に關しまする規定が、市制、町村制と府縣制とは書き方が違つて居りまして、府縣制の書き方は申さば古い書き方でございまして、單に「報告すへし」と云ふことで當然認定に付するのでありますが、認定に付すべしと云ふやうな言葉もございませぬ、是は寧ろ市制、町村制と同じやうな形にした方が宜いのではないか、整理の問題でありますが、左樣な整理を致しますことは何等支障がないと思ひまして、斯樣な御修正に相成つたのであります、百二十四條の二と云ふ新なる規定は、府縣の經營致します事業に付きましては貸借對照表と、民間に於きまする事業に於て其の事業の經理を明瞭に致させまするやうな種類の書類と云ふものは、之を作製することを要件に致すと云ふことが望ましいのでありまして、其のやうな改正を致した次第であります、以上であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=32
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033・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 御質疑ありませぬか、では次に移ります、第六章、府縣行政の監督、條文に致しますと、百二十七條から百三十六條迄、原案の頁は四十七頁から五十頁迄……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=33
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034・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 府縣の監督の衝に於きまする大きい問題は請求權の問題でありまして、四十七頁の百三十一條の改正でございます、是は條文の體裁上、改正案の原案に於きましては一部改正の形を取つて居りましたが、修正で全文改正の形に書き換へたのであります、解散の問題でありまして、是は從來解散權は内務大臣が持つて居つたのであります、是は府縣に於きまする最高の機關を一旦消滅させる訳でありますから、事柄の重要性に鑑みまして、府縣會の解散に付ては内務大臣に專屬することは十分な意味を持つて居るのでありまするが、新しい見地から考へまして、此の百三十一條の修正案に於きましては、府縣會議員の選擧權を有する者の三分の一から請求があつた場合、是は原案に於きましては五分の一となつて居りましたが、解散請求の濫用を避けると云ふ爲に三分の一に改められて居ります、是は改正案と修正案とは考へ方の上に於て或轉換が行はれて居るのでありまして、改正案に於きましては内務大臣に解散權は專屬をする、さう致しますると五分の一と云ふものから請求致して參ると申しますのは、申さば請願のやうなものであります、それに依つて發動するか否かは内務大臣の判斷に俟つと云ふのが改正案であります、之に對しまして修正案の方は、其の請求の結果は一般投票に付して參る、全く住民の意思に依つて決定致す、斯う云ふことに相成つて居ります、さう致しますと修正案の方は此の解散請求に非常に大きい「ウエート」を掛けることになりまするから、從ひまして五分の一は少い、三分の一にすべきだと云ふことは當然だと存ずるのであります、それから解散の請求の結果と申しまするか、選擧民の一般投票に付しまするが爲に、從つて是等の投票等に關する事務を扱ひます選擧管理委員會に對して請求を致す、是は建て方を變へました爲に是は當然さうなつて參るものと思ふのでありますが、さうなると選擧管理委員會は之を選擧民の一般投票に付し、其の過半數の同意があつたらば府縣會は解散する、斯う云ふやうな規定に相成つて居るのであります、是が百三十一條の改正であります、四十八頁に參りまして、四行目の百三十二條の規定は服務紀律の問題でありまして、府縣吏員の外に府縣會議員、選擧管理委員會の委員、書記等の服務紀律は内務大臣が定めると云ふ規定であります、それから百三十三條の規定は組織、任用、分限給料に關する規定でありまして、是は有給吏員と云ふ言葉をなくしましたので府縣吏員に改めた、體裁だけの改正であります、次が百三十三の二、之が解職請求權の規定であります、此の百三十三條の二に付きましても、改正原案に於きましては、其の身分の所屬に依りまして、内務大臣或は府縣知事に對して其の解職を請求し、内務大臣又は府縣知事が判斷を致して解職をする、知事に付きましては、更に其の身分關係から見まして、内閣總理大臣に報告を致して致すと云ふやうな順序になつて居つたのでありまするが、解散請求の場合と略略類似致しました思想で、解職の請求がある、さうすると之を選擧管理委員會に持つて行きまして、府縣知事の退官の請求がありましたならば、之を選擧人の一般投票に付する、斯う云ふことに改めて居ります、此の府縣知事の退官請求が、百三十三條の二の第一項、それから次に四十九頁に参りまして、三行目に書いてあります第二項で、府縣會議員の解職請求をする場合、所属の選擧區に於きまする有權者から、選擧管理委員會に議員の解職を請求した場合に、一般投票に付しまする規定、第三項は府縣會議員選擧管理委員又は監査委員の解職請求のありました場合、此の一項と二項の知事と議員とは一般投票に付しまするが、第三項の選擧管理委員と監査委員とは、知事が之を府縣會に付議致して決定をする、さうして第四項に參りまして、是等の場合に於きましては、知事に付ては其の官を失ふ、其の他の者に付きましては職を失ふ、一般投票で過半數の同意がありましたときであるとか、それから府縣會に付議致します選擧管理委員や監査委員に付きましては、三分の二以上出席して、四分の三以上同意があつた場合には、是等の地位を失ふと云ふことを規定致して居ります、末項の規定は、知事の退官請求と、議員の解職の請求、是は就職してから後一年は出來ない、それから又一度退職請求があつて、一般投票に付したら、其の後一年間は請求は出來ない、それから選擧管理委員と監査委員に付ては、同じやうに就職後六箇月間、それから府縣會に付議されてから六箇月は是は出來ない、斯う云ふ工合に改まつて居ります、是等の修正も内務大臣又は府縣知事が解職の當否を判斷致します場合には、要求がありまして、權限を持つて居ります側で其の適否を判斷致すのでありまするから、其の請求が比較的頻繁に起りますことは支障ございませぬけれども、一般投票に依つて決定致すと云ふことでありますれば、其の地位が不適當に動搖せしめられると云ふことは、行政の執行に差支を來すことでありますので、是等の一定の期間請求權の發動を抑制致しますることは、寧ろ必要なことと存ずるのであります、それから其の他の各條文は必要な規定の準用でありまして、それから五十頁の終ひから五行目の百三十六條の規定でございますが、百三十六條の、「「勅令の規定に依り」の下に」云々を加へると云ふ規定であります、是は府縣の行政に關しまして輕易なものは不要許可にすることが出來る、或は不要許可にする外に、許可事項であつても報告を以て代へることが出來る、左樣なことを勅令で以て定めることが出來る、成るべく許可事項等の簡易化を圖ります爲、此のやうな條文を加へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=34
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035・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 御質疑ありませぬか、それでは次に移ります、附則の終り迄……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=35
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036・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 此の五十頁の百三十八條乃至五十二頁の二行目迄の間は整理なり、讀替の規定の整理でありまして、多くの意味を持たないのであります、五十一頁の終りから二行目の百四十五條、是は地方事務所を選擧區と致しましたのを、郡長の管轄したる區域等に選擧區を改めました爲に此のやうな規定が不似合になりましたので、修正を加へられて居るのであります、それから五十二頁の三行目の附則以下、是が此の度の改正法の施行に伴ひまする附則でありまして、五十二頁から五十三頁に掛けましては何れも規定毎に依りまする施行の時期と、時期の異なるに依りまして改正法律の他に、是は府縣制でありますが、其の他に各種の地方制度が關聯して居ります爲に其の適用關係を規定して居る規定でございます、五十三頁の終ひから三行目の所に小さい字で書いてありますのが、「府縣知事は、改正憲法施行の日まで官吏とする」と云ふ衆議院の修正に依りまして加つた條文であります、それから其の次の項でありまするが、是は改正規定施行の際現に在職する知事は改正法に依りまする知事が任命される迄は、其の地位を失はないと云ふ規定であります、それから五十四頁に參りまして、二行目に書いてありますのが、北海道會法及び北海道地方費法の廢止に伴ひます北海道の財産、それから現に道會議員等の職にあります者の身分關係の規定、是等の規定が五十四頁に書いてあります、それから五十五頁の中程に、「戸籍法の適用を受けない者の」云々と云ふことが書いてあります、是は朝鮮人と、戸籍法の適用を受けませぬ者は所屬の最終に決定致します迄は之に選擧權を與へますことが不適當な者がございますので、それ等の者に關します選擧權等の停止の規定又選擧人名簿登録停止の規定でございます、それから五十五頁の終りから三行目に、鹿兒島縣大島支廳管内の十島村中黒島、竹島及び硫黄島は、當分の間鹿兒島縣に屬する規定等、此の度の改正法を施行致します爲に必要な規定を總て附則に書いて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=36
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037・中川望
○中川望君 極めて簡單なことでありますが、今の附則の中程の所にある「この法律中議員の選擧に關する規定がまだ施行されてゐないときは、その規定は」と「既に施行されたものとみなす」と云ふのはどう云ふ關係でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=37
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038・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 此の法律に依りまして府縣知事の選擧に關する部分の改正法律が施行致されなければ相成らぬ時に、議員選擧の方はまだ行はれて居らない、選擧に關する規定は御承知のやうに其の選擧の進行を始めます必要なる部分から適用を致して參ります爲、知事の選擧に議員の選擧に關します規定を準用を致して參らなければならぬ、法律關係に於ては議員選擧に關する部分がまだ適用致されて居らない、さう云ふやうな場合には知事の選擧に關する限度に於きましては、其の議員に關します改正規定は適用致されたものと看做す、斯う云ふ意味合であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=38
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039・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 是で大體府縣制の逐條審議は終りましたが、本日は此の程度で閉會致したいと思ひます、明日は午前十時から開會致し、市制、町村制、都市の一部を改正する法律案を順次に上程致しまして御審議願ひたいと思ひます、今日は是で散會致します
午後二時四十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=39
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040・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 白根竹介君
副委員長 男爵 伊江朝助君
委員
侯爵 小村捷治君
侯爵 佐竹義榮君
伯爵 大木喜福君
子爵 森俊成君
子爵 梅園篤彦君
子爵 松平銑之助君
子爵 田中薫君
子爵 植松雅俊君
姉崎正治君
中田薫君
男爵 松平外與麿君
男爵 尚琳君
男爵 島津忠彦君
男爵 多久龍三郎君
中川望君
松尾國松君
佐々木長治君
奧主一郎君
國務大臣
内務大臣 大村清一君
政府委員
内務事務官 郡祐一君
同 鈴木俊一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00719460917&spkNum=40
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