1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○東京都制の一部を改正する法律案
○市制の一部を改正する法律案
○町村制の一部を改正する法律案
○府縣制の一部を改正する法律案
○衆議院議員選擧人名簿等の臨時特例に關する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年九月十八日(水曜日)午前十時十七分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=1
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002・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 是より會議を開きます、本日は市制を逐條審議致したいと思ひます、便宜上市制の方は第一章、第三章、即ち總則、市會、市參事會を一括して致したいと思ひます、條文で申しますと一條から七十一條迄、それから頁數で申しますと一頁から二十三頁の四行迄であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=2
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003・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 市制は概ね府縣制と同じやうな趣旨で改正致されて居りまするので、府縣制と異つて居りまする點だけを申上げて參ります、それで條文毎に簡單に申上げまするが、其の前に只今の一章から三章迄の中で府縣制と異つて顯著に變りました點を申上げますと、公民制度を廢止致しましたこと、選擧權を擴張致しましたこと、住居期間を短縮致しましたこと、是等の選擧權に關しますることが一つでございます、それから議員定數に關しますること、議員定數を結局若干増員致す傾向に修正致されて居るのでありまするが、それが第二點でございます、それから第三には、選擧人名簿に關しまする規定を衆議院議員の選擧權と要件が殆ど同樣に相成りましたので、選擧人名簿に關しまする規定を整備致しました、四番目には、市參事會が從來必置機關でありましたのを任意機關に改めて居ります、それ等の點が主なものでございまして、簡單に條文で申上げますると、一頁の四行目の第九條に「市住民は本法に從ひ市の選擧に參與する權利を有す」と云ふ規定がございます、是が現行法では、九條と申しますのは市公民に關しまする規定であります、九條の改正に依りまして公民權を撤廢致して居ります、それから一頁の末行の第十三條第三項中の改正であります、市會議員の定數の規定でありまして、是は現在市會議員は最低三十人、最高限八十人と云ふので、段階を刻んであるのでございます、それで十三條三項と申しますのは大都市に付きまして、人口三十萬を超えます市に於て人口に應じまして人口段階別に定數を増加して行く規定なのであります、さうして八十人を定限とすると云ふ規定でありますが、最高限を百人に致す、是は昭和十八年の改正で段階を嚴に致しましたのを十八年の改正前に改めようと云ふのであります、十五萬を十萬に致しましたのは、三十萬を超えます市で人口十五萬に付四人を増加致しますのを十萬に付四人に増加致す、斯う云ふ風な工合に増加率を幾らか緩くすると云ふ改正であります、以下の數字は同じやうな數字であります、二頁に參りまして第十四條、是が選擧權に關しまする規定でございます、從來に較べまして先般の御審議中にもございましたやうに、破産者で復權を得ざる者、貧困に因り生活の爲公私の救助を受け又は扶助を受くる者、一定の住居を有しませぬ者、是等の者を缺格條項から省きました點と、年齡が從來二十五年以上の者でありましたのを、二十年以上の男子に限定致し、市民と致しまして女子にも適用致しましたこと、それから二年以來住居を有しますのを、六箇月を以て要件を足りると致しました、是等の積極的、消極的の選擧權を擴張致すのが十四條の一項の規定でございます、それから十四條の二項、二頁の末行でありますが、市に對しまして特別の關係ある者に對しては、本人の申請に依りまして住所の要件を缺きましても選擧權を與へることに改正致して居るのであります、其の後は府縣制と大體似たやうな規定でございまして、選擧管理委員會に關する規定でございます、八頁に參りまして、八頁の終ひから三行目に、「第二十條の二第一項を次のやうに改める。」と云ふ規定でございます、是は選擧人名簿の規定でありまして、從來の規定は衆議院議員選擧人名簿中市會議員の選擧に關係ある部分と補充名簿と兩者に依つて行つて居つたのであります、それは住居要件が地方議會は二年、衆議院は六箇月でありますから、衆議院より要件が重いものになつて居りますので、衆議院議員選擧人名簿の中に地方議会に關係ある部分と云ふ部分を特に名簿中に書きまして、さうして其の部分と補充選擧人名簿、是は御承知の華族の戸主等の選擧權の差異がありますので、左樣な點で補充選擧人名簿を拵へまして、兩者に依つて行つて居つたのでありますが、只今の住居要件を同一に致しましたが爲に、衆議院議員選擧人名簿自體と補充選擧人名簿と兩者に依つて行ふと云ふことに致した次第であります、之に伴ひまして其の以下の規定が若干變つて居る部分がございます、次に十九頁の三行目に「第四十二條第九號を次のやうに改める。」と書いてあります、「九 市内の團體等の活動の綜合調整に關すること」、市會の議決事項と致しまして、團體の綜合調整を致させようと云ふことに相成りましたので、參事會の議決事項に加へた次第であります、其の後は定例會、臨時會等の規定でありまして、府縣制と同じでありまして、二十一頁の終ひから二行目、「第六十四條 市に參事會を置き」云々とある、其の但書の「但し特別の事情ある市に於ては市條例を以て市參事會を置かざることを得」、是は從來の實例から見ましても、市制施行直後位の人口の比較的少い市等に於きましては、必ずしも市參事會を置かないでも宜しいやうに思はれる例もあるのでありますし、殊に市會が定例會、臨時會を頻繁に開くと致しますと、市參事會が必要ない市も相當起るかと思ひますが、是は、市自身が判斷致すことであります、市參事會を置く必要がないと云ふ判斷がなされました場合には、任意に致して宜しいと云ふ意味合の規定を設けることに致しました、大體三章迄で、市制が特に違つて居ります點は以上のやうな點だけだと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=3
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004・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 御質疑ありませぬか、なければ第四章と第五章を併せて議題に供します、條文で申しますと、第七十二條から第百八條迄、頁數で申しますと二十三頁から四十五頁の一行迄発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=4
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005・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 只今の部分で顯著な事柄を申上げますると、市長の職務權限と致しまして、先程の市會の議決事項の擴張と同じ趣旨で、市長をして市内の團體等の綜合調整を致しまする權限を與へましたことが一つ、それから助役の選任方法と致しまして、從來は府縣知事の認可を得まして、市長が選任致して居りましたのを、市會の同意を得て選任致しますことに改めましたことが第二、それから第三には、町内會、部落會長等に報酬竝に費用辨償を給與し得ることを法律上規定致しました點、是等の點が市制に顯著な點だと存ずるのであります、條文に付て申上げて參りますと、三十四頁の二行目、「第七十五條第一項乃至第四項を次のやうに改める。」「助役は市會の同意を得て市長之を選任す」是が現行法では「助役は府縣知事の認可を得て市長之を選任す」と相成つて居ります、助役のやうな高級の補助機關に付きましては、將來の立法の問題と致しましては、或は直接選擧に依ると云ふやうなことも考へられる種類のものかと思ひまするけれども、現在の選擧の實情から考へまして、必ずしも市長と助役が同一黨派から選ばれると云ふことも豫斷は出來ないことでありまするし、又市長と助役は緊密な關係になければ相成りませぬので、矢張り助役は市長の選任に致す、但し從來は監督官廳との繋りだけが付いて居つたのでありまするが、監督官廳との繋りは撤廢致しまして、其の代り市會の同意と云ふ形に於て市會との連絡を付けることに致さうと致して居るのであります、次には三十八頁、「第八十八條 市長は市内の團體等の活動の綜合調整を圖る爲之を指揮監督す」、是が現行法に於きましては、市長は「市内の團體等に對し必要なる指示を爲すことを得」と云ふ程度になつて居りまして、それで指示權の範圍は必ずしも明瞭でありませぬで、多くの場合團體に對しまして勸告を致すと云ふ程度の運用に相成つて居つたのでありまするが、八十八條の二項に於きまして、監督上必要ありまする場合には事務の報告をさせ、書類帳簿を徴し、實地の視察を行ふことが出來る、更に三項に於きましては、必要なる命令又は處分が爲し得ると云ふことに衆議院で修正致されて居ります、此の團體に對する指揮監督權と申しまするのは、團體本來の監督の系統に根本的な解決を致しませぬと、必ずしも明瞭に致し得ない部分があるのでありまするけれども、地方制度上自治體内に於ける各種團體に對する綜合的の地位、優越性と云ふものを認めますると云ふ意味合では、今後の運用に付きましては更に檢討致して見る必要がありまするけれども、自治體の立場と云ふものを闡明致す爲には從來の指示權より數歩を進めたものと思ひまして、適當なる御修正のやうに存じて居る次第であります、次に四十三頁、其の間のことは概ね府縣制と同じでありまして、四十三頁の中程でありますが、初めから六行目の第百四條、百四條の二行目、「選任せられたる監査委員、參與、委員の下に「竝に町内會、部落會及其の聯合會の長には報酬を給することを得」と云ふ規定がございます、從來町内會、部落會に付きましては、之を置きますることに付きまして、根據規定を置いただけでありまして、其の給與に付て何等認めて居らなかつたのであります、町内會、部落會長と申しまするものの事務の性質から見ましても、之に對して報酬を給し、二項に參りまして前項の者には職務の爲必要なる費用の辨償を支給することを得ることに相成つて居りますので、給與の面で町内會長、部落會長と云ふものの立場をはつきりさして置きたい、斯樣に考へて改正を致した次第でございます、大體以上の點だと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=5
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006・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 今の最後の條文に付て念の爲に御伺ひ致したいと思ひますが、町内會、部落會、聯合會長には報酬を給することを得、とありますから必ずしも給さなくとも構はない、斯う云ふ解釋が出來るだらうと思ひます、さうすると根據ある地位に認めようと云ふやうな御考から考へますると、從來此の部落會長とか、町内會長の問題のありましたのは、之に對して法人格を認めるかどうかと云ふことが問題になつた、果して町内會長、部落會長に法人格を認めると云ふことが結果的に見て宜いかどうかと云ふことは議論が二通り分れまして、宜いと云ふ御説と其の地位を利用して惡用されはしないか、多少弊害が出やしないかと云ふことに懸念されての反對論も出た譯であります、今囘の御修正の立場から申しますると、そこ迄地位を認める御考がおありになつたものですか、唯單純にはつきりと之に對して報酬をやると云ふだけに止まるものでありませうか、更に報酬を給與になりますると、東京都に於きましては區の關係になりますが、地方支辨の吏員と云ふ中に迄含まれ得るものでありまするかどうか、其の二點を御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=6
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007・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 法人格を認めるかどうかと云ふ問題に付きましては、將來は其處迄發展して行く必要があるであらうと云ふ工合に考へて居ります、唯殊に都市に於きまする町内會と云ふものが、終戰後其の仕事に於きましても、規模に於きましても可なり變動期にありまするので、どの程度の仕事と云ふものが公共的に町内會、部落會に認めるべきかと云ふことの判斷が十分付きませぬので、それと現状に於きましては、直ちに法人格を與へますることが、稍稍是は官廳其の他に於てもさうなんでありますが、町内會、部落會の町内會長、部落會長が負擔し得る以上に迄事務を押付けようと云ふ非難がありますから、是等のものに付きましては、整理が十分出來ませぬと法人格を與へ之に必要な事務職員を置くと可なりの大きい費用になるのでありますが、左樣に致しましても果して人格を持つた團體としての活動が出來るかどうか、寧ろ簡素な形の方が現状に於ては好ましいのではないかと云ふ考でありますから、將來は町内會、部落會に於きましては纒つた法制を拵へたと云ふやうな氣持で、總司令部に對してもこちらの意見を申して居る節はあるのであります、併しながら現在それ迄の確定的なこちらの意見を決めまする迄には至つて居りませぬ、それから町内會長、部落會長は法制上も是は現在の考と致しましても、之を以て市の吏員と致すと云ふ考は持つて居りませぬ、廣い意味で市の職員と云ふ感じには入ると思ひますが、市の吏員と云ふ扱ひにはなつて居りませぬし、現在の所は左樣に致す考は持つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=7
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008・多久龍三郎
○男爵多久龍三郎君 七十五條に「助役は市會の同意を得て市長之を選任す」、助役は御承知のやうに其の長と極めて密接な關係がありまして、殆ど其の女房役を勤める譯でありまして、そこに多少とも相違があります場合は甚だ長としてやりにくいやうに考へるのでありますが、次に「市長は任期中と雖も助役を解職することを妨げず」と云ふことは謳つてありますけれども、大體助役の任期は四年と云ふことに定められて居りまして時別な事情がない限りは助役の任期は尊重しなければならないと斯う考へるのであります、市長が交代したやうな場合には、助役は域は殘ると云ふ風なこともございますが、勿論連絡上一時留任することは必要と存じますけれども、矢張り市長と助役と云ふものは密接な關係があります以上、前の助役が任期中であると申しまして、後の市長が之を受け繼ぐと言つても、特別な事情のない限り退職をさせる譯にも行かないと云ふ問題に陷りはしないかと云ふことになります、尚又助役が大變に敏腕な人でありまして、場合に依りまして市長の裏を掻いて、今度は大體市長にしても公選でございますから、從來と大變趣が違ひまして、改善される譯でありますが、從來のやうに市長が市會議員に依つて選擧される場合に於きましては、助役が市會の方に巧みに渡りを付けますと、市長と致しましては、助役に引摺られるやうな虞があるやうに私は考へるのでございます、此の點に多少私は運用上に、如何かと思ふ點を考へるのでありますが、助役の任期は先づ市長の責任に於て助役を採用して居ると云ふ意味に於きまして、任期と云ふものを認めないで、且助役の選任は市長の責任に於て之を爲すと云ふ風な方針を採れないものかどうかと私は考へるのでありますけれども、助役と市長と云ふものはそこに多少の溝があります場合は、市の行政上甚だまづい結果になる、勿論市長が助役の問題に依りまして彈劾されてしまへば、勿論それ迄でありますが、併しながら市長も別に彈劾されない、而も助役が巧みな工作を執ります場合は、市長が助役に引摺られると云ふ虞がなきにしも非らずと考へますが、其の點は如何御考になつていらつしやいますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=8
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009・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 助役の選任に付きましては、御承知のやうに、昭和十八年の改正前に於きましては、全く之を市會に委ねて居りまして、單に市長は推薦を致しまして、市會に於て之を選擧する、條文の形は、助役は市長の選任に依り市會之を定む、と云ふやうになつて居つたのであります、是では餘りに市長と助役の隔りが強過ぎると云ふ考へ方から、昭和十八年に市長が助役を選任すると云ふことに改めたのであります、併しながら是は市長の選任方法が、十八年法で御承知の通り上奏裁可と云ふことになつて、全く從來の選擧と違つた考へ方で、單に市會は推薦すると云ふことになつたので、斯樣に改めたのであります、併しながら何としても助役の選任方を十八年法のやうに改めることは、自治體の補助機關を決定する方法としては不適當でありまして、從つて十八年前の法律と十八年法との中間を考へまして、市會の同意を得て市長が選任することに致したのであります、それで市長の權限を極めて強くしようと云ふ考へ方に徹するならば、吏員等に付ても全部其の選任に致すと云ふことは、事柄の極めて簡明なものであります、併しながら一方に於て市長の地位を極めて強化し、それと同時に決議機關に付ても可及的之を尊重致す、其の間に於きまして若干の摩擦がありました場合に於ても、是は市長の與論を背景とした選出の結果なり、市長自身の手腕なりに依りまして、其の困雜は寧ろ克服致して行かなければならぬものでありまして、一方の機關を強力に致しますが爲に、他の機關を努めて無力に致すと云ふことには、現在の地方制度全體の民主化と云ふ上から難點があるのではなからうか、從つて此の程度の十八年前後の改正の中間を採ることが適當ではなからうか、但し市會の同意を得て選任するやうな、是等の助役に付ては市長の側、市會の側兩方から或程度の地位の保障を與へて置かなければならぬ、任期と云ふのは恐く地位の保障の意味があると思ひますが、左樣な意味で是等の種類の職員に付て任期を付けて置く、併しながら御指摘のやうな場合もありますので、任期中の解職も念の爲に付けて居りますが、任期を以て保障して、助役にも或程度責任ある執行をさせると云ふことが制度上好ましいことと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=9
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010・中川望
○中川望君 八十八條に「市長は市内の團體等の監督上必要なる命令を發し」とあり、それから「監督官廳の措置を申請することを得 市内の團體等の監督官廳は市長の命令又は處分を取消すことを得」と云ふことに付て、市内の團體になりますると、相當大きな團體の支部と云ふやうなものの存在も多數あることと存じます、さう云ふ團體の立場としましては、市長の命令が其の自分の團體の本部の命令と相反すると云ふやうな場合も起ることもあると思ひます、其の「必要なる命令」と云ふことは、所謂市の公益に關することであらうとは存じまするけれども、何かさう云ふ點に付て衆議院の方で少し具體的の話は出なかつたものでございませうか、若しありましたならば、參考の爲に伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=10
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011・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 衆議院の御意見としてはつきりと御話はございませぬでしたが、寧ろ斯樣な修正を致したいと云ふやうな御話で、懇談を致して居りました機會に、衆議院の御考では、非常に強力な斯樣な條項を入れますると、強力な運營が出來るかのやうな御考でありましたので、それに對しまして、私共と致しましては成る程此處に「團體等」、此の「等」には民生委員のやうな工合の團體を成さぬものも含む非常に強力な、何にでも指圖が出來るやうにしてあるけれども、是は現在の各種の法制等の建前で此の根據があつたからと云つて、非常に強力なことをするのは困難であらう、併しながら此の根據がありますれば、市長は「團體等」の系統の監督官廳等と豫め相談を致し、當該の監督官廳等と、官廳は自治團體でありますからどう云ふ形になるかと思ひますけれども、兩者が話合を付けて連名等で必要な勸告でも致すやうに、さうして若し愈愈監督官廳も極めて團體の綜合調整に不熱心である、且動いて呉れないと云ふやうな場合にのみ初めて命令なり處分なりを發すると云ふ形になるので、寧ろ之を置くことに依つて事前の事實行動と云ふものは非常に便利になり、強く出來ると云ふ程度であつて、命令、處分と云ふものを具體的にし、而も其の監督官廳が命令、處分には反對であつて、末項に依りまして取消すと云ふことにしたらば、却て波瀾を起す原因になるのではないであらうかと云ふやうな御話を致しまして、事實實際の運用を強力なからしむる程度と云ふので、現在の段階では恐らく實際問題としては滿足するであらう、せざるを得ぬであらうが、將來は府縣自體を完全な自治體と致しまするやうな場合に、さうしたものに付ても、成るべくならば監督官廳の權限と云ふものが自治體の方に委ねられるやうに、一つ政府に於て骨を折つて貰ひたいと云ふやうな經過で之に關しては御話が出て居つた程度でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=11
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012・中川望
○中川望君 もう一つ、命令を發して或は處分をする際に、其の團體が其の命令に服しなかつたと云ふやうなことが起らぬとも限らぬと思ひますが、さう云ふ場合には當事者を迭へたいと云ふ希望も起きて來るかと思ひます、さう云ふ際に、何ですか、次の方の監督官廳の方に措置を申請して行くと云ふ働きをして行くことになると思ひますが、それは如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=12
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013・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 仰せのやうに、命令處分迄の權限はございますが、監督官廳自體に對して之を強制する、代執行を致したり、極端なる場合には解散を致す權限がございませぬので、其の後の始末は總て後段の措置の申請と云ふことに參ると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=13
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014・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 別に御質疑がなければ次に移りたいと思ひます、次は第六章市の財務、第七章市の一部の事務、第八章市町村組合、第九章市の監督、第十章雜則、附則、條文で申しますと百九條から百七十八條迄、頁數は四十五頁から終ひ迄発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=14
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015・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 此の部分に付きましては、殆ど府縣制と變りがございませぬで、其の點も府縣制で申上げましたと似たやうなことがあるのでありますが、市に付きまして多く適用のある問題でありますから、五十頁の二行目、「第百六十七條但書中」云々と云ふ點を申上げます、此の市制第百六十七條と申しまする規定は、知事の許可權、市の事件に關しまして知事の許可に留保してあります事項でございます、之を條文で申しますと、但書中「第一號及第七號に掲ぐる事件にして」と云ふ言葉を削つて居ります、それから「同條中第二號乃至第六號」を削ると言つて居りまして、現在七號あります中で、二號から六號迄を全部削つてしまつた改正なのでありますが、それで許可事項として今後殘りまするのは、現在一號になつて居ります市條例の設定と改廢、現在七號になつて居りまする市債、是だけを許可事項に致しまして、二號乃至六號を削除致して居ります、削つて居ります其の中味は、基本財産を處分致しますやうな場合、それから舊慣に依りまする財産、營造物の使用に關しまして、其の舊慣を變更又は廢止致さうとする場合、分擔金を、税外收入である分擔金を新設又は變更しようとする場合、それから準率に依りませぬで、夫役現品を賦課しようとする場合、夫役現品は直接市税を準率となすとなつて居りますが、それを準備せずに夫役現品を賦課しようとする場合、それから夫役現品に付きまして、賦課金を賦課致さうとする場合、是等の場合を總て削りまして許可を要しない事項に致して居ります、先づ百六十七條の次の百六十九條で、輕易事件に付きまして許可を要せないこととし、或は許可に變へて報告を以て足りることに致して居りまする爲に、條例の設定又は市債の發行等に付きましても一定の限度を設けて不要許可と致すやうな扱ひも考へて居ります爲に、監督事項は非常に減されると存じて居ります、寧ろ監督事項を整理致しまして、稍稍案じて居りますことは、基本財産、特別基本財産の處分等に關しまして監督を省きまして、折角造成した基本財産等に癌になるやうなことがあつてはと云ふ懸念を若干持つて居りますが、是は許可事項として留保致しませぬで、實際の運用に依つて濫に流れることを防止して參りたいと云ふやうな工合に考へて居ります、他の點は大體府縣制で申上げた所と變りがないやうに思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=15
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016・中川望
○中川望君 只今の市債の認可、許可でありますが、それと第百六十八條の或程度迄緩めてやると云ふ、それに付て市債に付ては或程度のものは許可を要しないと云ふやうな実際上の扱ひに付ては今日如何でございませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=16
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017・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 市債に付きましては、現在施行令等に特例を設けまして、或ものは大臣許可の方に引上げ、或ものに付きましては之を不用に致して居りまするが、唯今後に於きます、地方債全體の扱ひに付きましては、「ヘッド・クォーター」の方で公債の發行に付きましては可なり深い關心を持つて居ります、從ひまして一定の枠が將來決りました場合には、可及的簡單に致さうと思つて居りますが、本年又は明年位に於きましては、市債に付ては相當制限を強くして參らなければ相成らぬと存じて居ります、現在地方債で地方から要求が來て居りますのは、凡そ三十億ございます、それで此の三十億と申しますのは、私の考では、今後に於きまする財界等を考へまして、大體地方債三十億を認めなければ實際仕事に差支が起るのではないかと考へて居ります、考へて居りまするが、現在の處、其の中極めて嚴格に査定を致しまして、終戦後の事態に應じまして、絶對に致さなければいけない仕事、五億萬圓以内を限りまして大體之を認めることに致して居ります、是は關係方面と現在折衝の段階に於きましては其の程度以上に認めることは困難だらうと云ふ工合に考へまして、其の限度に於て承認を求めて居る次第でございます、唯一方に於きましては、時期を失しますると、折角後で認めましても、仕事自體に支障がある、資金の面から申しますれば、可及的限定を致した方が望ましいのでありますが事業の面から申しますと又之を認めて參らなければならぬ種類のものもありまするので、一應の了解を得ましたならば、大體起債は内々承認されるであらうと云ふ意味合ひのことを當該の團體に通じまして、事業の方を時期を失することのないやうな扱ひを致したいと思つて居ります、それと只今の處では預金部資金等が枯渇致して居りまする爲に、從來のやうな借入先を期待することが困難であります、起債の許可は致しますが、其の借入先に付きましては、寧ろ地方の資金を吸收致すやうに指導致して居ります、此の點で地方が起債の申請書を持つて參りましても、寧ろ借入が不能であるやうな、從來の預金部資金を考へまして四分以内と云ふやうな議決をして參るやうなものが多いのでありますが、是等は總て考慮致しまして六分以内と利率の引上を致させまして借入れるやうに致して居ります、左樣な枠の問題と色々實際問題に應じて更正許可致す必要があるので、本年、明年度に於ては起債の面では寧ろ指導する意味合で成るべく此方に持つて參らせまして、さうして見るやうに致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=17
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018・中川望
○中川望君 御説明で能く分りました、實例と致しまして市債の許可は幾らか實際に於て市債の發行、若しくは借入が不能であつたと云ふやうな實例はございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=18
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019・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 只今迄の處では不能ではございませぬ、併し稍稍困難になつて參りまして、物に依りましては公債の發行、殊に長期債の發行等が段々困難になつて參る部分があるのではないかと思つて居ります、從ひまして團體の能力が許しますれば、富籖等の發行に依りまして資金を吸收致す等、色々の方法を併用致しませぬと、今後は借入不能と云ふやうなことが起り得るのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=19
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020・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 宜しうございますか、是で市制が濟みますが、何か御質問もございませぬか、それでは町村制を付議致します、町村制は第一章總則、第二章町村會、第三章町村吏員、第四章給料及給與、條文で申しますと、一條から八十八條迄、頁數で申しますと、一頁から四十頁の八行迄発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=20
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021・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 町村制は大部分市制と同樣でありまするので、一二點だけ府縣制又は市制と異つて居りまする點を申上げます、二十三頁を御覽戴きまして、二十三頁の第六十一條の四、是が町村長の候補者の届出の規定でございまするが、此の條文の前項に町村長の直接選擧に伴ひまする規定を設けてあるのでありますが、此の條文の第三項に、行數で五行目でありますが、第三項に、「前二項の規定に依る届出は選擧人三十人以上の連署を以て之を爲すべし」、と書いてございます、第一項は本人の届出、第二項は推薦届出でありまするが、是等の届出の場合には、選擧人三十人以上から連署を致せと云ふことに致して居ります、知事市長等の選擧に於きましてはそれぞれ供託金を要求致して居るのでありますが、町村長に付きましては寧ろ供託金と云ふものよりも、町村内に於て若干の人間が人的な擔保を加へて惟薦を致しまするならば、其の方が候補者自身の適格なりや否の判斷に適當である、大都市等に於きましては、若干の人間が推薦致しましても、其の人間に付きましては住民は知らぬ場合が多いのでありまするが、町村に於きましては寧ろ重達等が一定數連署を致しまして届出を爲しましたならば、其の方が當該の人間に付ての信用を保證致します所以でもあらうと思ひまして、選擧人三十人以上の連署を以て致す、人的な擔保を以て物的擔保に變へまする制度と云ふものを町村長選擧に付きまして新しく設けた次第であります、次に三十三頁の二行目、「第六十八條の二第一項及び第二項を次のやうに改める。」六十八條の二の改正であります、三行目に「町村は町村條例を以て參與を置くことを得」と書いてあります、是が現行法では町村は町村に參與を置くと云ふ規定で、町村に置きまする參與は、市の方は任意機關でありまするが、町村は必置機關に相成つて居ります、之を必置機關と致しまするのは、町村長が町村内の團體の指示權を行使致しまするやうな場合に、參與の意見を十分聽いて、指示權と云ふので權限の幅が狹うございましたから、從ひまして各種の團體の長等を參與に取込む考へ方でありましたが、考へ方に別段變りはないのでありまするが、町村竝に町村長の權限と致しまして團體の綜合調整の權限が出來ました以上は、參與を特に必置機關として置く必要がないと存じまして、町村會の權限も殖えたことでございまするし、委員等を活用する場合もございませうし、其の町村の實情に應じて判斷をして貰ふと云ふ積りで、從來の必置機關を任意機關に改めて改正を致して居ります、是は綜合調整に關しまする權限の部分を改正致されまして、衆議院で御修正に相成つた點でありまして、是は御尤だと存じて居ります、以上でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=21
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022・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 別に御質問がなければ次に進みます、第五章町村の財務、第六章町村の一部の事務、第七章町村組合、第八章町村の監督、第九章雜則、附則、四十頁から終ひ迄でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=22
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023・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 只今の部分では是も殆ど全部市制と同じでございまして、唯一點だけ申上げますると、四七十頁の終りから五行目に「第百五十六條の三中「北海道及」を削り、」と云ふ規定がございます、是は北海道に付きましては町村制の規定に拘らず、勅令を以て特例を設け得る根據規定なのであります、之に依りまして指定町村を置きまして、町村長の選任等を北海道廳長官が選任致しまするやうな特例を設けて居つたのでありまするが、府縣制に於きまして北海道に付て特別の制度を設ける必要がなくなりましたのと對應致しまして、北海道の町村に付て特に指定町村と云ふやうなものを設ける必要がないと存じまして、北海道の町村に付ての特例を廢止致します規定でございます、他の點に付きましては市制と同樣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=23
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024・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 御質疑がないやうでございますから、それでは次に東京都制の一部を改正する法律案、之を議題と致します、便宜上第一章總則、第二章都議會、第三章都參事會、是だけを付議致します、條文で申しますと、一條から九十三條迄、頁數で申しますと一頁から二十五頁の六行迄であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=24
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025・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 都制に付きましては一章乃至三章の大部分は、府縣制竝に市制と同樣な規定に相成つて居りまして、唯御覽を戴きたいのは二頁の三行目、「第十一條第三項中「百人」を「百二十人」に改める。」と云ふ規定がございます、是は議員定數の規定でございまして、現在東京都議會議員は百人に相成つて居りますが、之を百二十人に改められて居ります、是は他の府縣制、市制等で定員の増加を致しましたのと同じやうな傾向で百二十人に修正致されて居ります、他の點は大體今迄申上げた所と同じと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=25
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026・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 此の議員の定數ですが、例へば府縣制は何でありますが、市制、町村制、更に都制、此の三つを見ますると、それぞれ員數が増して居るのでありますが、東京都の現在の人口と云ふものを考へて見ますと、又此の都制の出來ました時の東京都の總人口數と云ふものを考へますと、現在の都の人口は戰災の爲に減つて居りまして、將來は分りませぬけれども、現在は事實都制の執行當時より人口數が遙かに減つて居るにも拘らず、此の數を殖やすと云ふ衆議院の御希望と言ひますか、御考と云ふものを、若しか御承知だつたら參考に承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=26
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027・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 議員の定數に關しましては、減少致します論と、増加致します論と何時も兩論ありまするので、從ひまして内務當局と致しましては、定數に付きましては現状で十分であらうと云ふやうな考は持つて居るのでありまするし、殊に人口減少都等に付きましては、其の論が強いのぢやないかと思ふのでありまするが、唯議員定數を増加致すと云ふ考へ方は成る程人口は減つて來た、併し都の中の事務等は非常に多い、將來の復興等を考へまするならば、豫算だとか言ふやうなものに付ては減つて來るけれども、寧ろ非常に注意を致して事に當らなければ相成らぬ状態になつて來て居る、さうすると或程度之を分擔して研究調査致すと云ふやうな意味合で、人數を相當數持ちたいと云ふやうなことがありまするならば、若し其の増加した定數と云ふものが、全部完全に責任を持つて働いて呉れまするならば、斯樣な自治行政の大事な際に、殊に東京位の大都市になりますれば、百二十人が必ずしも不當に大きいと結論付けられないと思ふのであります、是は一つの理由で非常に合理的な修正であると云ふ工合に、判斷は下しにくいぢやないかと云ふやうな論を、之に付ては度々繰返したのであります、又定數増員を主張されます方には、只今申述べたやうな點を殊に強調して居られる向がございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=27
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028・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 御質疑がありませぬならば第四章に移ります、「第四章都の官吏及吏員」「第五章給料及給與」、條文で九十三條の二から百十二條迄、頁數にしまして二十五頁から四十五頁の六行迄、政府委員よりは別に申上げることはないさうでありますが、御質問は如何でございませうか
御質疑がなければ次に移ります、「第六章都の財務」、「第七章都の監督」、「第八章區市町村」、「第九章雜則」、「附則」、只今の所から最後迄全部一括致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=28
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029・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 只今の部分に付きましては區に付て、是は東京都の特例でありまするから若干申上げることに致します、條文に致しますると五十頁の百四十條以下でございます、東京都の區に付きましては概ね市に準ずるのでありまするが、特に區が市と異つて居る點、或は從來の區と立法を異にして居りまする點を申述べますると、只今の五十頁の五行目に第百四十條「「都條例」を「法令及都條例」に改める。」と云ふ改正があります、從來東京都の區は法人格を持つて居りまするが、其の處理致しまする所は「財産及營造物に關する事務」と、「都條例の定むる所に依り區に屬する事務」と此の二つを扱つて、此の二種に大別出來る譯であります、之に對して衆議院は修正を致されました、事務の範圍に於きましては原案に於きましては現行法通りで宜しいと考へたのでありまするが、衆議院は修正致されまして、都條例に定むる所に依りまする事務の外、法令に依りまして區に屬する事務を處理致すことに致したいと云ふことで、「法令及」と云ふのを加へられたのであります、議論の經過と致しましては、區を完全自治體に致したいと云ふ論者は、現在の一般の市町村のやうに、法令の範圍内に於ける公共事務と、法令に依りまする事務と、都條例に依りまする事務と、是等の事務全部區に持たしたら宜いぢやないかと云ふ論であります、併しながら區自身が包括的に公共事務を處理致しますと云ふことは、全く都の中に別箇の完全に獨立した自治體を設けることに相成りまするので、事柄の性質上適當ではない、是は現行法通り、「財産及營造物に關する事務」に限定すべきものだと考へ、又左樣な論者が多數を占めたのであります、唯、今後法令に依りまして、區に屬する事務を若し法令が與へようとするならば、與へても宜しいのではないだらうか、現在の處、直ちに東京都の區に、法令に依りまして所屬させまする事務と云ふものは、ちよつと考へられないのであります、併し將來の爲に法令に依りまする事務も、有り得ることも立法致して置きますることは、其の限度に於きましては差支なからうと存じて居ります、次に五十一頁の終ひから四行目の所に、「區は區住民の權利義務又は區の事務に關し區條例を設けることを得」と云ふ規定を設けて居ります、又二項に參りまして「區は區の營造物又は區の事務に關し區條例を以て規定するものの外區規則を設くることを得」と云ふことに相成つて居ります、現在は區は營造物竝に財産に關しまする事務を處理致すのでありまするが、其の根據と致しましては、都條例又は、都規則を設くることに致し、唯此の場合の都條例は都議會で議決する代りに、區會で議決すると云ふ立法を致して居ります、此の度の區の自治權の擴充の考へ方から致しまして、區條例や副立法權を區に直接與へると云ふ改正を致して居る次第であります、次に五十二頁の三行目に「第百四十四條第三項を次のやうに改める。」と云ふことに相成つて居ります、議員の定數でございまして、議員の定數は人口段階に應じまして、現在十五人乃至二十五人になつて居ります、最低が十五人で最大が二十五人となつて居るのでありまするが、修正案に於きましては最少を二十五人と致し、人口段階に應じて四十五人に迄増加致して居ります、是も區自身の事務は、必ずしも區會議員が多い必要もないと思ひますけれども、今後の都市の復興等に付きまして、此の多數の人間が眞に役立つて呉れまするならば、事柄自身に於て特に否定しなければならない事柄もないのではないだらうかと云ふ工合に考へて居ります、それ以下は區會の規定でございまして、他の法律と大體似たことでございますが、五十六頁に參りまして、五十六頁の三行目の百五十一條の二、「區に區長を置く」、區長に付きましても原案は、區會の意見を聽きまして都長官が任命することに相成つて居りましたが、直接選擧に致すことに衆議院で修正致され、且附則に參りまして、都長官と同じやうに、區長も改正憲法施行の日迄官吏と致し、それ以後は公吏と致すと云ふ工合に修正致されて居ります、是は都内の區と云ふものを、都を唯一の基本的な自治體と見まして、區の自治權を都の統一性を害しない程度に限定致すべきか、若干の統一性に支障があるやうな場合でも、區の自治體としての性格の方を強く見るかと云ふことで、論の岐れる所だと思ふのでありまするが、憲法の地方公共團體の長は直接選擧すると云ふ條文をなだらかに讀みまするならば、或は直接選擧の方が筋であると云ふことが言へるのかも知れないと存じて居ります、それから六十頁に參りまして、六十頁の終ひから四行目の百五十六條の三の二行目に「町内會部落會及其の聯合會の長には報酬を給することを得」と云ふのがございます、是は市制で申上げましたと同じ規定でありまするが、町内會長、部落會長等は區との連絡が緊密なものであるから、百五十六條の三は、區から報酬を給することに致すと云ふことに改めて、區と町内會長との連絡を密に致さうと云ふ工合に修正致されて居りまして、結局此の問題と云ふのは、事柄としては是で宜しいのでありまするが、其の場合に於きまする區の財政を如何樣に致すかと云ふ問題があるのでありまするが、是は財政の方で其の程度のことは、都から交付金を致すならばやつて行けるだらうと云ふ見込を大體付けて居る次第でございます、それから六十一頁に參りまして、六十一頁の終ひから四行目の百五十七條の三で、區は區税及分擔金を賦課徴收し得ることに規定致されて居ります、それから百五十七條の四に參りまして、區税の賦課徴收に關しましては地方税法の定むる所に依ることに致して居ります、都條例を以て都の賦課し得る税の内、如何なるものを區税として徴收致させるかと云ふことは、都條例自らが決定致し、さうして其の範圍に於て區税を賦課徴收し得ると云ふことに、地方税法と相俟つて立法致して居る次第でございます、それから次に六十二頁の初めの百五十七條の五、是は區が區債を起し得る規定でありまするが、無制限な區債を起させる考はないのでありまして、寧ろ必要な營造物等に關しまする起債が認められるのが現状だらうと考へて居ります、それから次の百五十七條の六、是は都から、區の財政調整上必要がありまするときは、區に對して交付金を交付することが出來る、斯う云ふやうな規定であります、現在は都の財務では、財産收入等を充てまして、不足のありまする場合には都費を以て之に充てて居ると、財産收入と云ふのは殆ど限定されて居りますし、殊に現在では財産收入は極めて乏いのでありすから、大部分は都費で賄つて居るのでありまするが、此の度は區税なり、其の他の税外收入を第一次的な財源と致し、それが足りませぬ場合に、區に依りまして財政力に相當の隔りがございますから、財政調整的な意味合に於きまして、都から交付金を交付致し、之を第二次的な收入に致すと云ふ規定に財務に付ては建前を取つて居る次第でございます、大體此の分に付ては申上げることは以上の通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=29
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030・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 此の都制の方の第十六條の三の四項には、「委員及」、選擧管理委員ですが、「委員及其の補充員は隔年之を選擧すべし」、斯う云ふ規定でありますが、區の方の關係を申しますと百四十七條の二の二項に、「選擧管理委員會は「選擧管理委員四人を以て之を組織す」と任期も何もありませぬから、一遍任命されたら解職するとか何とか云ふことが此の規定で見れば、私は見方が惡いかも知れませぬが、任期と云ふものがないですが、如何になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=30
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031・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 是は此の度の改正法には出て參つて居りませぬが、現行法の百五十九條と申しますのが、區に關する必要な事項は勅令を以て規定することになつて居ります、それであの只今の區長の選擧の部分に致しましても、唯區長を直接選擧に依つて選ぶと云ふことがございまして、如何なる方法で投票に付しまするか等に付きまして詳細なる規定を缺いて居るのであります、只今の御指摘の部分等に付きましても、根據だけを法律中に置きまして、殘りの部分全部勅令に讓りたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=31
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032・中川望
○中川望君 只今に關聯してでありますが、さうすると區長は直接選擧に依ると、今選擧に付ての細かいものは勅令に讓ると、さうすると、此の外の市長の選擧に付ての法定の得票數と云ふものがありますが、それ等は矢張り勅令に於て定めると云ふことになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=32
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033・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 御話のやうに、區長の選擧の法定得票數、それから其の後に於ける決選投票、是等の規定は勅令で書きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=33
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034・中川望
○中川望君 それから是は前の方に遡るかも知れませぬが、區會議員の被選擧權は外のものと違ふのでございますか、年齡二十五年以上の男子に對して之を認めると云ふ初めの政府の案は、是は其の儘でございませうか、詰り區會には婦人はない譯なんでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=34
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035・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 區會議員の選擧權は都會議員の選擧權と住居期間に付きましては變つて參りますが、其の他の要件は總て同じでございます、婦人の選擧權も當然ある譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=35
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036・中川望
○中川望君 是は條文に付てでありませぬが、東京、帝都の都制と云ふものは、是迄の帝都と云ふものは特別の扱を受けて居ります、他の六大都市とは別に、都制だけが布かれて居るのでありまするが、今囘の改正に依つて、殆ど完全なる自治權を與へると云ふやうな觀點から申しますれば、特に東京都を特別のものにして置くのか、どう云ふ點を異にすべきかと云ふ點に付て餘程研究を要するものではないか、根本的に只今の都制と云ふものは此の機會に立て直しをせねばならぬのぢやないかと云ふ氣も致すのであります、政府としては其の點に關し、又假令帝都とは稱さなくても一國の首府である、何れの國に於ても首府と云ふものは其の國の中心として、中央政府の所在地として、特別の制度を布き、又種々特別の施設を國家も亦都もすると云ふやうに、特別扱をすることになつて居るのでありまするが、矢張り完全なる自治權を認むるにしても、尚且東京都だけは他の都市と違つた特別の扱をすると云ふ、斯う云ふ御考でありませうか其の點を一つ……それから次に區の自治權の擴張と云ふことを積極的に方針としては御認になつて居るやうでありまするが、左樣に致しまするに付ては、殊に戰災後に於て區の整理をして、餘りに其の力に於ても大差のないやうにすると云ふやうなことも考慮せにやならぬのぢやないかと考へます、自治權が擴充されまして、租税等の徴收も出來ると云ふことになりますると力のある區では種々なる營造物の施設も出來ることになりまするし、力のない所で之に同じやうな施設をすると云ふことになると、非常な負擔をして行かなければならぬと云ふことにも相成るのでありまするし、是等の點同じ都内であるのならば餘程考へて行かなければならぬのでないかと云ふ氣も致すのであります、然らば區の自治權を認めるにしても統制を破らぬ程度に於てと云ふことに付ての、何か標準と言ひますか、どの程度迄はと云ふ、標準と申すのも適當でありませぬが、如何樣にすれば都としての統制が取れるかと云ふ點に付て、どう云ふ點を考慮して居られるかと云ふことを伺ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=36
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037・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 初の御尋の首都として特別の扱を致すかと申しまする點は、何と申しましても、其の規模に於きましても、性格に於きましても、東京は他の都市とは異つて居る首都でありまするが爲に、政治的其の他一切の中心となつて居りまするが爲に、制度上も之を區別して置くことの方が必要なのではないであらうかと云ふ工合に考へて居ります、唯都制を布きました當時に、首都であるが爲に國との關聯性が極めて強いから、官廳と自治體の長としての二重の性格を持つて居る強力なる都長官を置くことに依つて、國との關聯を強めて行かなければならぬと云ふ考は、此の度は地方制度の改正、來るべき第二次改正に依りまして、其の點は全く變つて參ることと思ひます、唯都を解體致しまして甞ての府市併存のやうな形に持つて參りまするならば、必ず又當時の重複した二重施設等の問題も起つて參りまするし、從ひまして東京都に付きましては、二番目の御尋と關聯することでありまするが、區の自治權と云ふものを或程度に限定しつつ都の統一性を保つて參ることが、首都としての性格から、又從來の府市併存當時の沿革等から見ましても、必要であるやうに考へて居ります、第二の區の自治權擴充に伴ひまする問題と致しましては、現在の區と云ふものが現實の儘の姿に於きまして適當な單位になつて居るかどうかと云ふことに付ては、寧ろ疑問があるのでありまして、相當徹底した合區と云ふものが行はれることが望ましいのであります、之に付きましては東京都自身が色々と努力を致して居りまするし、私の方も亦必要な方針は授けまして促進するやうには致して居るのであります、それで區の自治權を擴充致しまして、先程も申述べましたやうに、一般の公共事務を掌りまするやうな完全な、他の東京都内の市町村と同じやうな意味合の自治權とは致しませぬで、其の代り從來都の扱つて居りました自治體としての仕事の面も或程度は區に委讓を致しまして、さうして區民の福利に關係する財産、營造物の限度に於ては、都内の區と云ふものは充實して參るが、併しながらそれ以外の部分と云ふものは都に統制を取らせると云ふことに依りまして、都の統一と云ふものは保持して參ることが出來るかのやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=37
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038・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 都制に付て御質問はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=38
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039・中川望
○中川望君 都制の方は御質問ないやうでございますが、引括めてちよつと一言御尋ねしたいと思ひます、段々各府縣制、市町村制等を通覽して參りますると、過日政府委員の口からも何か御意見が漏れたやうにも考へまするが、同じやうな規定が何れのものにもある、是は市制は市制、町村制は町村制と別々に見ますると、總て其の方が便利ではあるやうでありまするけれども、別々になつて居りますると、各各又區別があるのではないかと云ふ觀念も起し易いのであります、從つて全然斯樣な完全自治に近いものになつて參りました以上は、共通點が非常に多いのでありまするから、總括的の規定にしてしまつて、特別なるものだけ、或は物に依つては條例に大幅に讓つてしまふとか云ふやうなことをして、共通的の一本の法制に出來るのぢやないかと云ふやうな氣も致すのであります、それ等に關して御見込は如何なものでございませうか、此の機會に伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=39
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040・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 御話の通り、統一致しました自治法を拵へると申しますることは、寧ろ現在必要であらうかと存ずるのでありまして、實際實務を扱ひます慣れた者に對しまする現在の仕事のことを考へまするならば、御話がございましたやうに、分れて居ることも便利ではございますけれども、今後の憲法に地方自治の章が設けられました今日と致しましては、自治制度に關しましては國家は成るべく統一的な基本的な法制を持ち、特殊の部面に付きましては、特別な法律或は條例等に讓りまして、さうして「ホームルールド・チャーター」式のもので發達をさせると云ふことが好ましいのでありまして、左樣な方針から適當な機會に地方自治法と云ふものを確立するやうに、其の機會には現在のやうな數箇に分れて居りまする法制と云ふものは改めたいと存じます、唯今後仕事の實際の扱ひから申しまして、色々と差迫つたことがございます爲に、是には暫く時間を掛けて左樣な方向に進みたいと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=40
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041・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 是にて府縣制、都制、市町村制の一部を改正する法律案は大體質疑が終つたやうでございます、次に衆議院議員選擧人名簿等の臨時特例に關する法律案、別に御質疑ありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=41
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042・中川望
○中川望君 政府委員からちよつと簡單に御説明を願つて置いた方が便利ぢやないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=42
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043・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 名簿の特例で第一條に規定して居りますることは、本年の九月十五日現在で制度上は定時名簿を拵へることに相成つて居りまするが、同條の衆議院議員選擧法の規定に拘りませず、命令の定めた日の現在で選擧人名簿を調製致し、且其の選擧人名簿の調製、縱覽等に關しまする期日、期間は勅令を以て特例を定めまして、結局例年に於きまする場合よりも可及的急速に名簿を確定致すと云ふのが第一條の規定であります、それから第二條は、是等の名簿を拵へまする場合に於きましては、其の名簿の調製義務者は、衆議院議員選擧人名簿に付きましても、各種の地方議會選擧の爲の補充名薄に付きましても、地方制度に依りまする選擧管理委員會が之を調製すると云ふのが第二條の規定でございます、それから第三條の規定は、只今申述べましたやうな各種の名簿に付きまして、衆議院と地方議會の選擧の要件が違ひます部分に付きましても、衆議院議員選擧人名簿と同じやうに作るものであると云ふ準用規定を置き、第四條に參りまして、職權調査主義の建前は是は崩しませぬけれども、名簿調製の際に、必要があれば選擧人に對しまして届出を命ずることが出來る、斯う云ふやうな規定を設けまして、急速を期しまする際に成るべく是は實際の運用と致しましては、奬勵を致しまして一定の届出をさせまして、職權調査主義の建前に於ても可及的申告的や意味合ひを加味致したやうな名簿の調製を圖りたい、是は脱漏を防止する爲でありますが、左樣な規定を設けて居る次第であります、附則を除きまして四條から成立つて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=43
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044・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 午前中は此の程度で止めまして、午後一時から續いて會議を開きたいと存じます
午前十一時五十六分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=44
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045・会議録情報3
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午後一時九分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=45
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046・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 午前に引續き會議を開きます、「衆議院議員選擧人名簿等の臨時特例に關する法律案」此の法律案に對する質疑を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=46
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047・松尾國松
○松尾國松君 ちよつと御尋ねしますが、此の命令と云ふことがあつて、能く分らぬのですが、要するに從來の如き調査方法に申告が加つたと斯う云ふことですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=47
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048・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 從來の如き職權調査主義は何處迄も建前として採つて居ります從ひまして、從來のやふな可及的念を入れました調査はやつて貰はなければならぬと思つて居ります、併しながら其の場合に届出を爲し得ることに致して居りますから、必要な事項に付ては本人に申告致させる、さう致しまして、從來の職權調査を完全に致しまする爲に、今迄も「カード」などを配つて届出をさして居つたのでありますが、あれに法律上の根據を與へて、さうして職權調査を完全にさして參ると、斯う云ふ譯であります、ですから職權調査主義を採らずに申告主義を採るならば、申告して申告漏れのものは登録しないで宜いと云ふことになりますが、さうではないので、職權調査主義に依つて苟くも資格要件を備へて居るものは登録しなければならぬ、調製義務者にはそれだけは責任がある、唯此の際に法律上の根據に依つて是々のものを詰り届出を命ずることが出來ると、職權調査主義を建前として居りますから、罰則等を付けて之を強制はして居らない、主義は職權調査主義、之に必要に應じては、法律上罰則の制裁は付て居らないけれども、届出を要求された場合にはしなければならない義務を有權者は負うて居る、斯う云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=48
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049・松尾國松
○松尾國松君 さうすると職權調査は、所謂調査の方法が、今迄の通り、片方に於てはさう云ふ命令が出る、斯う云ふことになると、實際問題としては向ふが届出るのを待つて、それで整理する、斯う云ふことにすれば宜い譯でありますが、それを兩方併用するのは、事は分りますが、例へば今迄のやうに本籍で調べ、寄留簿で調べ、納税簿で調べ、さうして實地調査をする、斯う云ふことで、まあ幾階級かの調をして完全を期して居る譯ですが、其處へ届出と云ふ命令が出れば、届出を待つ、斯う云ふことにしても宜い譯であるが、其の點はどうなるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=49
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050・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 屈出を命ずることが出來ると云ふことには四條は、規定して居りますけれども、法律で御覽の通り、一條以降に調製義務者、即ち選擧管理委員會は名簿を一定の資格要件を具へて居るものに付て拵へなければならぬ、申告しない者は全然登録せぬで宜いと云ふ建前は採つて居りませぬ、從ひまして從來の職權調査主義と何等主義に於て變りはないと云ふことであります、唯今迄届出を定めて居りまするけれども、是は事實上の扱ひとして届出をさして居る、法律上の根據はなかつたので、法律上の根據に基いて届出をさすことが出來ると云ふ譯であります、職權調査主議を補完して居るだけであつて、何等申告主義を採つて居らぬのであります、恐らく御尋の點は、過般の選擧人名薄の脱漏に依つても經驗致しましたやうに、名簿の調製には最善を盡しましても、今日の如き有權者の厖大に相成りました際には、完全な登録と云ふものは極めて困難であります、從つて之に對して申告主義の如き、名簿の調製に付ての新しい方針を採つた方が宜しいのではないだらうかと云ふ意味合に於きましては、確に左樣なことは考へらるるのであります、それで此の度の單行法に依りまして、職權調査主義に届出を加味致しました名簿の調製を規定致して居りまするけれども、將來の問題と致しましては、永久名簿としての選擧人登録原簿と云ふやうなものを拵へまして、さうして絶えず有權者の異動に應じまして登録原簿を拵へて置きまして、さうして選擧のありまする都度登録原簿を基礎と致しまして、是から一定の時期に一齊に名簿を調製すると、斯う云ふ形に名簿調製の基本的な改正を致さうと思つて居ります、斯樣な改正が出來ました際に、初めて申告主義に轉ずることが出來るのでありまして、現在の儘では申告主義に轉じますと云ふことは、多くの有權者と云ふものを名簿から脱しまして、調製義務者の方には調製に多くの困難が起るのでありまするけれども、併しそれ以上に有權者にして名簿の登録に漏れまするものを防止すると云ふ建前で、只今では此のやうな制度を採るより仕方はないと思つて居ります、併し將來の問題としてはそれでは十分でないのでありまして、登録原簿を取つて、絶えず隣組等を通じて原簿の訂正を圖つて行く、其の場合に申告主義を採りまして、一定の時期、或は異動の都度申告をさせると、斯樣な恆久的な制度を立てまする場合に、初めて申告制度への遷り變りが出來るものだと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=50
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051・松尾國松
○松尾國松君 さうすると其の選擧管理委員が名簿を作ると、斯う云ふことになる、其の選擧管理委員は市町村長の監督を受けないと、斯う云ふことになる、それも宜いが、其の結果に於て若し工合が惡いと云ふことになれば選擧管理委員が責任を持つと、斯う云ふ意味になるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=51
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052・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 選擧管理委員の仕事は確に重いのであります、さうして名簿の調整と云ふやうな選擧事務自體に付きまして、獨立の機關に任せて致しますと云ふことは、寧ろ選擧の基礎になります事柄自體に民衆を參加させることでありまして、名簿脱漏等が一概に市町村長の責任であるかのやうに、而も選擧自身に付て住民が參加して居らないと云ふ状態は、必ずしも選擧の性格から申しまして適富ではないのでありまして、之に若し取締のやうな、何等か作爲を、作爲と申しては語弊がありますが、扱ふ者の如何に依つて結果に異動が生ずるものであれば、兎も角選擧管理委員會を設けて、さうして書記は從來の仕事に堪能な者が任命致され、さうして名簿を調整致される、從來市町村長が調製致しました名簿等が色々な材料に使はれることは勿論であります、併し責任は選擧管理委員會に屬することは勿論であります、併し之に付きましては、必要な罰則等を設けまして責任の歸屬をはつきり致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=52
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053・松尾國松
○松尾國松君 是は甚だ細かいことを御尋ねするやうでありますが、事務のことだからで御尋ねするより已むを得ぬのですが、さうすると此の選擧人名簿の調製方法、其の他調査事項、屆出の規定に對する取扱などは、直接選擧管理委員に指示さるるのですか、それはどう云ふことであるかと云ふと、市町村長も府縣知事も干與しない、斯う云ふことになりますと、其の機關に直接通達なり指示することになつて居るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=53
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054・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 恐らく從來のやうに内務省が一つの方針を決めまして府縣知事に示達致しまして、府縣知事から、府縣の選擧管理委員會、或は市町村の選擧管理委員會に示達を致します、同じものが恐らく便宜上市町村には通達されませうけれども、選擧管理委員會が行ひます仕事に付ては極端に言へば市町村は之に付て何も知つて居りませぬでも支障がないと云ふ方針を採つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=54
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055・松尾國松
○松尾國松君 益益をかしいことになつて來るのですが、さうすると此の前の選擧の時に脱落があつたから内務大臣の責任だなんと言つて色々なことを世間で言つたが、私は内務大臣の責任があるものぢやない、斯う云ふ風に法制上内務大臣に責任の行くものぢやない、唯政治倫理から行つたら別として、法律的には内務大臣には責任が及ぶものぢやないと斯う思つて、從前はさう考へて居ります、今でもさう考へて居ります、處が今度改正に依つて兎に角府縣知事も關係がない今御説明の通り關係がない、市町村も關係がない、併し具體的に言ふと原案に監督と云ふことは入つて居つたけれども、改正の結果監督も何もない、其の意味の獨立だから、さうしてやつたら宜いぢやないか、さうするとさう云ふこと迄持たれる持たれぬと云ふことは宜いが、結果に於て内務大臣が皆持つ、斯う云ふことになる意味になつて行つても、なつて行かぬでも宜いが、さう云ふことに内務省から直系的にさう云ふ風に考へるべきものか、理論的に言へば何の關係もない唯郵便の代りをするだけで内務省が通知があつたから管理委員の所に送つてやる、それで是だけ迷惑な名簿がうまく出來る出來ぬは法律上出來るとして置けば宜いが、さうするともう直接に内務省が指揮せられると斯う云ふ結果になるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=55
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056・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 選擧人名簿に關しましては、從來と雖もそれぞれ法律の規定に從ひまして、衆議院議員選擧法又は補充名簿に付てはそれぞれ地方制度の根據に依つて拵へて居るのでありまして、過般の名簿の脱漏に付て若し内務省の責任があると云ふ論が成り立つとすれば、あの住居要件を有しない名簿の調製を緊急勅令を以て致し、あの短かい期間に於て名簿を調製した、それ自身に付きましては其の立法の面に付て責任があるとすれば、あると言へるかも知れませぬ、恐らくそれは責任呼ばはりすることになるのぢやないかと思ひます、左樣な意味で責任があり、從ひまして今後も一定の標準を捉へて此のやうな時期に選擧管理委員會の選擧を致す、是は府縣會で選擧を致すのであります、併しながら是は府縣知事に何月何日頃迄選擧管理委員は選擧を致し、さうしてそれから名簿調製期日に付ては何日頃にしたら宜いだらう、衆議院議員選擧人名簿に付きましてはそれは根據があります、それから個人名簿に付きましてはそれぞれ地方制度の根據に依つて動いて居る、從つてそれだけの標準を示すと云ふことでありまして、名簿の調製等選擧管理事務に付きましては、選擧管理委員會が專ら責任を持つ、從來に於きましても、市町村長はそれぞれ市町村の補充名簿に付ては市町村長としての獨自の權限として市町村の固有の事務として責任を持つて居つたのでありまして、監督官廳は監督上の指示をすることはありましても、それは獨自の市町村長の責任である、それと同じ意味に於て選擧管理委員會が責任がある、何等市町村と監督官廳との間には一般的の監督規定はあります、是は現在の改正でもある、それと名簿の調製等の具體的の事務に付ては繋りのないことであります、法律上の固有の權限に依つて爲されて居る、其の點に於ては觀念に何等相違はないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=56
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057・松尾國松
○松尾國松君 それは幾ら説明を聽いても分らぬやうになつてしまふのですが、例へて言ふと、知事、市町村長は全體的の責任を持つものである、而して選擧管理委員は權利委員である、此の者が獨立なる責任を持つと云ふことになつて、それで府縣知事等は何等の關係がない、斯う云ふことになるものでございませう、理論上固有とか何とか云はれても、何も法律ではつきり決つたものに、知事に責任がある譯でも何でもない、是は私はどう云ふことでさう云ふ押して御尋ねして居るかと云ふと、あの原案の監督と云ふものを取ると云ふことに付てはいかぬ、斯う云ふ者です、私は原案の通りが宜い、斯う思ふので、と云ふのは今申したやうに何等の一聯の連絡なしに、申上げる迄もなく此の選擧人名簿と云ふものは非常に面倒なもので、私が實際に調査をすると、戰爭前に於て一人に四十錢づつ掛る、大都市では兵庫縣の神戸市で調べたのには、一人七十錢づつ掛る、其の位調査をしなければならぬものを、それを俄に出來た選擧管理委員が何等の關係なしに、それが内務省の通達に依つて本當にやり得るかどうか、斯う云ふことを心配する者でありますが、併しそれはそれでやれると云ふことに是はなるのですからもう別に私はそれはいくとも、いかぬとも申すのではないが、是程の迷惑な問題を、例へて言ふと、三萬の有權者を調べるには、五萬乃至五萬五千を調べて掛るのですから、さうして實際居る所に調べに行くと、私共の實際調べた經驗に依ると、三萬の選擧人を調べますには、色々な公簿から何から有ゆる方面から調べて、二萬六、七千人迄は稍稍分る、それで三萬の中の一割と云ふものは何處に居るか分らない、それを段々方々詰めて行つてさうして結局二、三百は分らぬものになる、それを一生懸命で調べて漸くに脱漏のないやうに拵へて居るのが今日迄の仕事であります、殊に今日迄戰災に依つて住所が轉々して居る、例へば一家が二階住ひして居る、併し主人は他の土地に行つて仕事をして居ると云ふやうな非常に複雜なものがある故に、今迄よりも遙かに困難なことであるに拘らず、唯此處に出來た選擧管理委員會で果して出來るか出來ぬか、さうしてそれを内務省が直接に指揮をすると云ふ系統になると云ふと、それは非常に選擧立法上面倒を來すであらうと斯う心配する者でありますが、併しさう云ふ風でやると云ふことになりますれば、どう云ふ風にしたら宜いか知らぬが、最も詳しく其の責任の所在も明かにしてやると云ふ、餘程懇切なることを爲さるのであらうか、今迄よりも遙かにえらい、例へば知事に傳へると云つても獨立のものであるから、知事に傳へると云へば、知事はそれをやるだけで何等の責任がないと云ふことになりますから、さう云ふ點は特に注意して過誤のないやうに考へて貰はなければ、私は是は出來ないことである、斯う云う風に考へて居る者でありますが、もう答辯は要りませぬが、私はさう云ふ風に考へる者であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=57
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058・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 御答辯は要らぬと云ふ御話でございますが、重大なことでありますから、ちよつと私からも説明申上げたいと思ひます、此の選擧管理委員會に對しまして自治體の監督と云ふ文字がありましたのが、衆議院の修正に依つて脱せられることになつたのですが、其の趣旨は選擧人名簿を調製する上に於きまして、監督權限に依つて委員會の公正なる名簿を作る所に干渉がましいことをやることを避けると云ふ趣旨で、あの文字を撤去致したのでございます、而して此の選擧名簿の調製事務と云ふものは、性質上市町村の選擧人名簿でありますれば是は市町村の事務たることは疑がありませぬ、又衆議院議員の選擧人名簿に關する點に於きましては、市町村に對する委任事務であることも明瞭であります、市町村の事務たることは明瞭であります、其の事務を處理する場合に於きまして、市町村の機關でありまする所の獨立性を持つて居る選擧管理委員會に調製をさせるのであります、是は市町村の事務であります、さうして是が調製事務に就くに當りましては、前にも御説明を申上げましたやうに、管理委員會が委員會として最後の責任は持つことでありますが、名簿の調製の實際上の仕事に付きましては是は市町村の職員の内外から適任者を委員會が任命致しまして、さうして其の力に依りまして、從來と殆ど同じやうに、實際上の事務は進行する譯であります、それからそれ等の委員會に對する何と言ひますか、適正な名簿が出來ることに付きましての注意に付きましては、是は固より内務省或は府縣知事が持つて居る譯であります、市町村は官の監督を受けて仕事を行つて居るのですから、名簿を調製するに付て注意をすべき點は、必要がありますれば内務大臣から府縣知事を通じて、市町村の機關たる管理委員會に注意をするなり、勸告をするなり、又要すれば説明もすると云ふやうなことに依りまして、適正なる名簿の出來ることに付きましては、内務省も府縣廳も十分そこに注意を拂つて遺憾のないことをしなければならぬと云ふことであります、唯あの監督と云ふ文字を首長の監督と云ふことになりますると、そこに名簿調整機關として獨立性を持たして置きながら、そこに首長が監督をやると云ふことは適當でないと云ふ見解から是が削除されるやうになつたのだと思ひます、此の點に付きましては、衆議院に於きましても其のやうに論議の上決つたやうでありますし、又關係方面に於きましても、それでなければ適當であるまいと云ふ勧告もあつた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=58
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059・松尾國松
○松尾國松君 是は私は第一に於て、此の選擧管理委員を知事が監督すると云ふことを取つたと云ふことは、監督がましいと云ふやうな意味のことに付て私は理論が通らぬと斯う考へるものであります、是はどう云ふ譯でさう云ふことを言ひ得るかと云ふと、是は一つの申す迄もなく形式を備へた名簿なのです、それを監督すると云うて、干渉がましいとか何とかそんなことは絶對に出來るものぢやない、又やると云つた所で出來るものでない、選擧權の要件の備つたものを監督すると云つたつて、拔いて置け、又住所要件が足つて居る者を足らぬやうにしろとか、事柄は兎に角として、そんな監督作用が其の目的に反するやうなことは出來る事柄ぢやないのです、若しそれは出來ぬと言つても、やれば仕方がないと云へば、それは何をか言はんでさう云ふ議論は成立つ筈がない、さうして其の議論が成り立たぬとすれば、其の吏員と云ふものは、吏員でありまするから其の行爲を知事が監督すると云ふことは當然のことである、それから市町村の固有事務である、斯う云ふ意味であると私は承つたのですが、固有事務にせよ、委任事務に致しましても、原案の監督と云ふ文字迄拔いて獨立性にしたものに、いやそれは府縣の義務であるから責任を持たねばならぬ、それは市町村の固有の事務であるから責任を持たなければならぬと云ふ、そんな何と言つたら宜いか知ら、倫理的の廣い意味の責任を理論上持たせるべきものではない、それであるから結局結論は、此の煩瑣なる重要なる事務を、俄かな人が作つて、機關がそれをやる、さうしてそれがまあ機關はして行くが宜いが、内務大臣が直接指揮をすると同じ形態、系統になる、それに付ては餘程の注意をしなければ、此の複雜なる選擧人名簿の完成は出來ない、斯う云ふ風に私は思ふ者でありますが、それで此の原案の監督と云ふ文字を取ると云ふことはいかないと、斯う云ふことを主張する者でありますが、まあさう云ふ風に私は考へるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=59
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060・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 今御話のやうな御趣旨に於きまして、假に監督と云ふ字を置いて置きましても、それは別に首長なり或は府縣知事が選擧管理委員會に干渉が出來ない、是は矢張り公正な名簿を作るには、法律手續に依つてやらなければなりませぬから、一般的に抽象的な監督と云ふ文字を書いて置いたら、それでそこに委員會の仕事に首長が關與することは出來ない、唯法律論的にやかましく言ひますれば、現在の名簿の調製の如きに於きましては、異議の申立がありました場合には、首長が調整權を持つて居りますから、首長に申立をする、今度は名簿の調整權は選擧管理委員會に移りましたから、選擧管理委員會がそれを處理すると云ふやうなことになるのであります、それから尚若し監督と云ふ文字を殘して置きますればどう云ふことになるかと申しますと、異議の申立のやうな場合には、監督する首長に異議の申立をすると云ふやうな立法は可能であります、其の線で原案ではさう云ふ風になつて居つたのでありますが、監督と云ふ字を取りました結果、選擧管理委員會が異議の申立を決定すると云ふ風な變つた次第でありまして、監督と云ふ文字を存置することに依りまして起る法律上の關係と云ふものは、それ以外にはないと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=60
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061・松尾國松
○松尾國松君 折角の御説明なので尚申上げるのでありますが、監督の文字があつてもなくても同じやうなことと、斯う云ふことでありますが、併しながら大體今日迄の名簿を作つたのに、市町村長が故意怠慢に有權者を登録しなかつたと云ふやうな事實は、今日迄に曾て私共は聞いたことがない、又ないのです、が唯調査の十分ならざりし爲に名簿の登載漏れがあつたと云ふことは、全國的には多少ありました、其の間に於て所謂監督とか、調製の責任者が自己の意思、作爲に依つて登録漏をしたと云ふやうなことはないのであります、それであるから監督と云ふ文字があれば從つて其の者が責任を持つ、斯う云ふことになるのでありますが、それが離れてしまへば責任がない、斯う云ふことはもう當然なことであります、併し大臣の御話は、職責上廣い意味の倫理的に責任を持つと云ふやうな意味に私は聽くのでありますが、それもさう云ふ意味はあるかも知れぬ、あるかも知れぬが、法律ではつきりして市町村長に關係のない獨立の機關が之を作製するのに、さう云ふ意味を以ての市町村長を責めると云ふことは私は法制上から言へば當らぬ、市町村長には責任がないものであると斯う考へる者であります、併しさう云ふことは考へ方の相違になりますので、私は申しませぬが、そんな無理なことを市町村長に負はせると云ふことは無理だらう、詰り原案を修正した以上は無理だ、斯う云ふ風に考へるものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=61
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062・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 此のやうになりますと恐らく此の名簿調製上に何か缺點があつても法律上責任は選擧管理委員會が負ふので、市町村長に法律上の責任はないことになると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=62
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063・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 御質疑ありませぬか、それでは本案に對する質疑は一應盡きたものと認めます、少しく御懇談をしたいと思ひます、ちよつと休憩致します
午後一時四十二分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=63
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064・会議録情報4
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午後一時五十三分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=64
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065・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 休憩前に引續いて會議を開きます、本案に對しまする御質疑も盡きたやうでありますから、直ちに討論に參りたいと思ひますが、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=65
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066・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 御異議ないものと認めまして討論に入ります、「東京都制の一部を改正する法律案」、「市制の一部を改正する法律案」、「町村制の一部を改正する法律案」「府縣制の一部を改正する法律案」以上四案を便宜に一括して議題と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=66
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067・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 私は衆議院の修正案に贊成を致すものであります、是等の各案は終戰後の國情の推移と世論の動向とに鑑みまして、之に即應し以て地方行政民主化の焦眉の急に應ぜむとしたものでありまして、近く成立せむと致して居りまする所の新憲法の精神を十分に採入れ、府縣制及び東京都制、市制、町村制の一部を改正すると共に、北海道會法及び北海道地方費法を廢止致しまして、北海道に府縣制を適用せむとするのであります、固より現行憲法の下に於ける改正でありまするからして、府縣の組織及び運營の民主化を圖る上に於きましては尚遺憾の點が多く、足らざるものなることは眞に已むを得ない所であります、何分にも不磨の大典を一變致しまして、新生日本を再建しようと致す我が國未曾有の大變革期に當りまして其の基盤をなす所の地方制度を劃期的に改正せむとするのでありますので、當局の御苦心の程察するに餘りありと存ずる次第であります、然るに「ジー・エッチ・キュー」とも十分に連絡を執り、交渉を續け、以て是だけの成案を短時日の間に得ました内務當局の御苦心に對しましては、衷心敬意を表するものであります、從つて衆議院の修正點四十點に付きましても、既に政府に於て同意致されて居りますのみならず「ジー・エッチ・キュー」の了解もある由でありますからして、是等の修正に對しましても同意を致すに吝かでないものであります、仍つて私は内務當局に於て五大都市に付ては大都市の特殊性に即應し得るが如き大都市制度を確立する爲に、成るべく早い機會に於て、遲くとも來るべき通常議會に於て、所謂特別市制法案として提出せられむことを希望致しまして本修正案に贊成を致す者であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=67
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068・松尾國松
○松尾國松君 地方制度改正案に付きましては、内務大臣及び政府委員から詳細な御説明を承りまして、又憲法改正案に伴ふ民主主義の確立、地方自治體の自主、さう云ふ方面の詳細なる説明を承りまして能く分りました、又衆議院の修正の理由も分りました、殊に第二次の改正案の準備が進みつつあると云ふことを承りまして、更に第二次に於て完成をする、今日は政府の御説明の如く、先づ以て急に應ずる第一次の改正である、斯う云ふ御意見もありました、旁旁致しまして、色々御説明に依り檢討致しまして、衆議院の市町村内に於ける團體の統制などは最も時宜に適した修正とも存じます、左樣な意味に於て私は衆議院の修正案を原案として贊成するものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=68
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069・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 外に御發言ございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=69
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070・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今梅園委員から御發言のありましたことに付きまして、内務大臣の見解を此の際明かに致して置きます、大都市に特別市制を速かに實施する問題に付きましては、衆議院に於きましても附帶決議がありましたことでございまして、此の決議に對しましては、政府は之を尊重する意思を表明致したのであります、尚又衆議院の委員會に於きまして、又新聞紙に對しまして、内務大臣は大都市の特殊性に即應する如き大都市制度を確立することを速かに致すと云ふ聲明も致して居る次第であります、梅園子爵の御發言は、政府に於きまして十分尊重致しまして、速かに大都市制度を確立し、之を實施することに取運びたいと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=70
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071・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 御發言も盡きましたやうでありますから、引續いて採決を致します、「東京都制の一部を改正する法律案」、「府縣制の一部を改正する法律案」、「市制の一部を改正する法律案」、「町村制の一部を改正する法律案」、以上四案は原案、即ち衆議院修正案の通り可決することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=71
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072・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 御異議ないと認めます、四案は全會一致を以て原案通り可決致しました、次に「衆議院議員選擧人名簿等の臨時特例に關する法律案」、之を議題と致します、討論に入ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=72
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073・松尾國松
○松尾國松君 本案に付きましては選擧管理委員が新たに出來て、さうして名簿を作るのでありますから、其の作製に關する諸般の注意を能く管理委員に徹底するやうに御指示を願ふ、斯う云ふことを希望致して原案に贊成を致す者であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=73
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074・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 御發言ありませぬか、御發言もないやうでありますから、採決に移ります、原案通り可決することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=74
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075・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 御異議ないものと認めまして左樣決定致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=75
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076・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今地方制度改正諸案に付きまして衆議院の修正通りに御可決を戴きまして誠に有難うございました、此の機會にちよつと御挨拶を申上げたいと思ひます、地方自治制度改正法律案は相當浩瀚なものであります、又之に衆議院の修正もございまして複雜なことに相成つて居つたのでございまするが、殘暑激しき折柄にも拘らず本委員會に於きましては連日熱心に御審議下さいまして、有らゆる方面、有らゆる角度から十分論議を盡され、又私共今後改正法律案を運營して行きます上に於きまして、有益適切なる御意見及び御注意を拜聽することを得ましたことは誠に感謝に堪へざる所であります、今囘の改正は新時代に即して地方政治の民主主義化を徹底して行くと云ふ重大な内容を持つて居ることでありまして、新しい試みも尠からずあるのであります、之が運營に付きましては、政府乃至内務省と致しまして細心の用意と注意とを拂つて行かなければならぬと思ひます、之に依りまして今囘此の大改正を致しました趣旨を達成致しまして、各位連日の御勞苦に報ひなければならぬと考へて居る次第でございます、以上簡單に御挨拶を申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=76
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077・白根竹介
○委員長(白根竹介君) 是にて委員會は終了致しました、連日の御苦勞を厚く深謝致します
午後二時七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=77
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078・会議録情報5
出席者左の如し
委員長 白根竹介君
副委員長 男爵 伊江朝助君
委員
侯爵 徳川頼貞君
侯爵 小村捷治君
侯爵 佐竹義榮君
伯爵 大木喜福君
子爵 森俊成君
子爵 梅園篤彦君
子爵 松平銑之助君
子爵 田中薫君
子爵 植松雅俊君
男爵 松平外與麿君
男爵 尚琳君
男爵 島津忠彦君
男爵 多久龍三郎君
中川望君
松尾國松君
河端作兵衞君
渡邉覺造君
佐々木長治君
奧主一郎君
國務大臣
内務大臣 大村清一君
政府委員
内務事務官 郡祐一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002723X00819460918&spkNum=78
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