1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○特別都市計畫法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年六月二十七日(木曜日)午前十時七分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=1
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002・二荒芳徳
○委員長(伯爵二荒芳徳君) 只今より特別都市計畫法案の委員會第二囘を開會致します、前囘に於きましては政府當局から本法案の提出の理由に付て皆樣に御説明がございましたので、本日は是から御質疑を御許し致します、尚御諮り致しますが、今日は午後も引續いて致したいと思ひますが、何か特別に御主張でもおありの御方は仰せになつて、戴きたいと思ひます、如何ですか、午後も開くことに致したいと思ひますが、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=2
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003・二荒芳徳
○委員長(伯爵二荒芳徳君) 御異議ないと存じます、便宜上法案全體に付ての原則的御質疑を初めに御許し致しまして、次いで條項に入りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=3
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004・黒田長禮
○侯爵黒田長禮君 緑地地帶のことに付て伺ひたいと思ひます、東京の眞中から西の方、麹町、四谷、赤坂、芝、麻布等の緑地地域の御豫定に付て御説明を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=4
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005・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 後程圖面を持つて參りますから、それに依つて御説明を申上げることに致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=5
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006・松尾國松
○松尾國松君 此の間の御説明でちよつと能く分らなかつたので、斯う云ふことを承りたいと思ひます、今度此の宅地の最小限は三十坪と云ふ風に伺つて居りますが、さうでございませうか、それから今度建物の關係法が改正されて、市街地は宅地面積の六割迄を建築に使用させる、さう云ふ御考であると云ふことを承つて居りますが、現行法では大體八割迄となつて居るやうでありますが、都市の盛り場に行きますと、九割と云ふか、一杯使つて居るのであります、さうすると假に改正法の六割と云ふことを強行せられることになると、三割と云ふものは宅地の利用が縮むと云ふことになります、其の次には住宅地域は面積の三割迄に建築物を許す、斯う云ふことになるやうに承つて居りますが、さうすると四十五坪の宅地に付て十五坪の建物しか建たないと云ふことになります、私共が聞いて居る所に依ると、淺草の盛り場は平均七坪であると云ふことを聞いて居ります、私は岐阜市でありますが、私共の所では盛り場は十四、五坪に使つて居ると云ふことであります、それが三十坪になると、餘り細かいことを申上げると時間を取りますが、詰りそれを大きくすると、宅地の利用と云ふものが非常に面倒になります、其の次に過小宅地と稱するのは、假に三十坪以下としますと、それは金錢で清算すれば宜い、斯う云ふことになつて居るやうでありますが、金錢で清算すると云ひましても、私の市の實例を申しますと、盛り場に僅かな土地を持つて居る、戰前に於て盛り場に四坪五合あつたのです、其の四坪五合を「フル」に高層建築物を造る爲に、私が中に入つて四萬五千圓迄買つた、それでも賣りませぬでした、それは將來に於てもさう云ふことがあるかないかと云ふことは別として、それを過小宅地であるが故に四坪五合は三十坪にする、此の法案で見ますと、さう云ふ場合に於ては大面積のものから減額してやれば宜い、斯う云ふ意味に見えるのですが、さう云ふことは容易なことでない、其の場合に於てどう云ふ措置をしたら宜いでありませうか、それからもう一つは非常に此の面積の建物使用を制限さるる爲に、一面から申すと、現在の状況から申せば非常に家賃も高くなるし、家の數も少くなると云ふことを考へられる、更に之を逆に考へると、非常に地價は低下する、戰災後に於て低下した事實もあります、低下するので家賃も高くなるばかりでない、斯う云ふことが考へられるのですが、さう云ふやうな現在に於て疑問を持つものでありますが、是は原則的に申せば、我國の住居の樣式と建造物を將來は變へるのである、例へば共同住宅にするとか、若くは三階、四階、五階建にして土地面積を少くして住居を上を多くする、斯う云ふやうな住居と住宅樣式を根本的に政正さるると云ふ意味でありませうか、其の邊のことをちよつと承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=6
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007・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) 只今の御質問に對して御答へ申上げます、過小宅地の大體の見當と致しましては、一應先般も御説明致しましたやうに大體三十坪位の所を限度と考へて居るのでございますが、唯是は土地の實情に依りましても非常に變つて來ることになると思ふのでありまして、それ等の點は法案にございまする所の土地區劃整理委員會と云ふやうなものに於きまして、色々實情に即して御檢討を願ひまして、實際問題としては考へて行くべきではないかと考へて居ります、それからそれに伴ひまして建築制限の強化の點に付きましての御質問がございましたが、是も防災或は保健の見地から、建築制限を現在のものより相當強化して參りたいと云ふ考は持つて居りまするが、是は御承知の通り市街地建築物法の改正を要する問題でありまして、之に付きましては實は只今まだ議を練つて居ります、恐らく次の議會あたりりに纒つたものとして御審議を願ふことになるのではないかと思ひますが、尚其の點に付きましては十分に一つ理想と現實の調和を研究して、決めて行きたいと考へて居ります、それから最後に將來の所謂住宅の樣式の問題に付きましての御質問がございましたが、是はどうしても將來の都市と云ふものは、四面の構造に依つて立體的に建設されなければならぬ、少くとも都心部に於てはさう云ふ方向に進まなければならない、斯樣に考へて居るのでございます、それが御質問の中にもございましたやうに延いては地價も比較的低く止らせると云ふことにもなる譯でありますので、此の點は現在直ぐにはなかなか資材の關係から思ふやうには參らないと思ひますが、少くとも行き方としてはさう云ふ風な考へ方を持つて居ります、實は本年の住宅計畫の中にもさう云ふ意味合から致しまして、極めて僅かではありますが、東京、大阪等の大都市に於きましては「コンクリート、アパート」を計畫致しまして、それの一歩を踏出したい、住宅以外のものに付きましても、さう云ふ方向に大體やつて行きたい、斯樣に現在考へて居ります、今一つの過小宅地の金錢清算の問題に伴ふ色々の困難なる状況に付きましては、他の委員から御説明を申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=7
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008・財津吉文
○政府委員(財津吉文君) 私から過小宅地の整理方針に關しまして御説明を申上げたいと存じます、過小宅地竝に過小借地の規模は、先程も御話になりましたやうに大體三十坪、百平方「メートル」迄を限度として、それ以下のものを過小宅地或は過小借地と稱したいと斯樣に考へて居りまして、今度の區劃整理に當りまして此の過小宅地又は過小借地になります部分に付きましては出來るだけ此の機會に之を整理致したい、整理の方針と致しましては出來るならば是等の小さな宅地なり借地なりは三十坪以上の増換地にしてやりたいと云ふのが私達の理想であります、從ひまして或は宅地、借地の合併、又は大きな宅地からの讓渡と云ふやうなことを勸奬致します、又區劃整理地區内に於ける土地を買收して置きまして、さう云ふ小さなものに對して増換地してやる、又或は其の場所に居なくても宜い、外の場所に行つても宜いと云ふやうな人がありましたならば、其の者に對しては別な所へ換地を與へてやると云ふやうな方法を講じまして、出來るだけ三十坪以上にしたいと考へて居りますが、併し是は先程の松尾委員の御話のありましたやうになかなか實際問題としてはむつかしいと思ひます、從つて金錢清算をする者も相當出て來るのではないかと思ふのでありますが、併し是も全面的に之を統合致しますと云ふことは、今日の情勢から見まして實施不可能に陷る虞もあると存じますので、全面的に強行する肚は持つて居りませぬ、法案に於きましても必要があればなし得ると云ふ規定がありますので、強行規定ではないのであります、唯方針と致しましてはさう云ふやうな方向に行きたい、殊に盛り場等繁華街に於きましては、今仰しやいましたやうに色々權利關係が複雜でありまして、殊に其の場所でなければ外に換地をしたのでは今迄の營業權の妨害になると云ふやうなことも考へられますので、是等の點も考慮致しまして、緩和的な規定も設ける方針で居ります、併しさう云ふ盛り場等の非常に過密な場所に於きましては、將來の理想と致しましては、出來るだけ防火建築に致したい、從つて此の共同建築と云ふやうなものをさう云ふ繁華街に於ては勸奬を致したい、斯う云ふ方針、斯う云ふ目標の下に區劃整理を行つて行きたいと斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=8
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009・松尾國松
○松尾國松君 有難うございました是は能く分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=9
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010・保科正昭
○子爵保科正昭君 只今此の法案を拜見致しますと、此の特別都市計劃法案と云ふものは、私が早急に拜見致した所で誤りがあるかも知れませぬが、誤りがあれば御指摘を願ひたいと存じます、是は既に大正十二年でございますか、關東大震災の際にも之と同樣な法律が發布され、又都市計畫の言葉はやかましく言はれて居り、其の後漸次帝都復興に付て、或は改廢され、或は訂正されて今日に及んだものでありますので、斯くの如き考、或は概念と云ふものは是迄度々繰返されて居るのであらうと思ひます、そこで其の最初の考へ方、著想に於きましては、どう云ふことになつて居りますかと言へば、此の換地、或は代地整理上の土地の貸借關係、建築の分布竝に地上使用に於きます所の授受を致しますのには、單に面積に依るばかりでなく、又地上に依るばかりでなく、隨分地下に依るものも考へなければいけないと思ふのであります、そこで今總裁の御説明になりましたやうに、將來は益益立體的建築を起し、又耐火建築を起すと云ふことになりますと、其の一坪と云つて宜いのですか、單位面積に及す地上の壓力と云ふものが非常に建築に對して多くなりますので、其の邊に對しては隨分地下に於きまする調査をしたことがあるのです、其の報告書も隨分社會に多く分布されて居りまして、東京の地區がどうなつて居るか、構造がどうなつて居るかと云ふことが詳細調べてはある筈でありますが、それ等の參考書は今日も尚戰災を經ましても十分に官廳に報告、御備へになつてあつて、それ等を嚴密に御考慮されないといけないと思ひますが、其の邊の御注意はどうでありませうか、是等の建築に對しては益益單に地上面積、地上利用のもののみならず、地下の建築に及ぼす影響が大きいことは申す迄もないが、其處迄御研究になつて居りませうか、又將來御研究になるだけの、此の前のやうな詰り資材、技術、今日は之を利用することが、出來るでありませうか、如何でありませうか、其處を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=10
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011・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 地下の實状に付きましては、東京、大阪等に付きましては或程度の資料が整つて居ります、唯戰災後の實情に付て申上げますと云ふと、特に東京の江東方面に於きましては、戰災後一時ありました土地の沈下の速度が大分緩和して來て居ると云ふやうなことが分つて居ります、又大阪に付きましても港區方面の土地が低下しつつございましたが、此の邊も緩和しつつあるやうな實情でごさいます、之に付きましては專門家の意見と致しましては從來の沈下がそろそろ其の沈下を止める時期が來たのではないかと云ふ風な觀測を致す者と、それから一方には又戰災後是等の上にありました建物、其の他地下水を利用する施設が地下水を利用致さなくなりました關係上、從來あつた土地を沈下させる原因が消滅したのではないか、將來或は又斯樣な原因が復活致しますと云ふと、此の沈下が行はれるのではなからうかと云ふやうな二説ありますけれども、大體の點と致しましては、今の所もう此の邊で一應止つたと見る方が宜いのではないかと云ふ風な説をする方が多いやうであります、此の邊に付きましては是は都市計畫の根本に關する問題なのでございまして、現在に於きましても、又引續き今後に於きましても十分な調査を遂げたいと思つて居るのでございます、尚他の都市に於きましては此のやうな問題は餘りございませぬので、唯九州の大牟田市に於きまして海岸に接した地帶が一部矢張り低下しつつあるのではないかと云ふ風なことを申して居るやうな状況であります、是等の低下地帶の處理の方法と致しまして只今研究致して居ります處では、此の土地を全般的に盛りまして、そして高くすると云ふやうなことも一つの方法であり、又其の低い土地を堅固な堤防で以て圍ひまして、さうして水害を防ぐと云ふやうな方法も一方法である譯であります、是等の點に付きましても、此の機會に何等か都市計畫の對策として、必要な措置を執つて貰ひたいと云ふのが特に大阪を中心と致しました地方民の希望に相成つて居ります、是等の點に付きましても、非常な大工事でございまするし、又將來の土地の利用の全般に關係する問題でもございますので、十分愼重に考究の上豫算、其の他必要なものに付きましては、將來其の機會に御審議を御願ひしたいと斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=11
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012・保科正昭
○子爵保科正昭君 次に伺ひたいのは震災のことでありますが、大分此の節は又震災の活動期に入ると云ふやうなことを唱へて居る學者があるやうに聞いて居りますので、今度都市計畫を致しますのに、是迄の都市に於きまして隨分此の心配をして考慮しなければ建築設計竝に建築を施行することがむつかしいのではないかと思ふ、現に一昨年戰時中でありましたか、或る工場等建造致しますのに、何等其の震災に對しての考慮を拂はなかつた爲に、莫大なる損害の受けた所も亦多くあつたさうでございますが、斯くの如きことは豫め相當な考へ方を、又研究をしなければならないと思つて居りますが、此の邊の御注意は如何でありませうか、其の御説明を願ひたいと思ひます、と同時に私はもう一つ伺ひたいのは、何も「アメリカ」の眞似をすると云ふのではない、一例を茲に述べたので、眞似をすることの出來るものでもありませぬが、誰も知つて居りますが、「アメリカ」洲を見ますと東海岸と西海岸とは非常な違ひがあります、西海岸の方は御承知の通り北は何處迄あるか知りませぬが、「ニューヨーク」邊りから南の方は南米の「リオデジャネイロ」は勿論のこと、「ブェノスアイレス」迄殆ど一枚皮を剥いで見れば下は岩盤であります、さう云ふやうな所でありますから、遺憾なく建築が出來、其の費用も非常に安くつき、地上の氣温と地下の氣温の割合が、地下の氣温は殆ど零に近いと云ふことで安全だと云ふことを聞いて居りますが、事實又常識的に見ても是は直ぐ分ることで、何人も氣が付かない人はない位でございませう、さう云ふやうなこともございますから、此の地下の問題、震災の問題、是は直ぐ建築の問題と聯關することがあるのでありますから、其の邊の御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=12
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013・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) 我が國は地震國でありまして、之に對しまして都市計畫或は建築の問題が常に考慮を拂はなければならぬことは只今の御説の通りでありまして、全く同感でございます、今囘の都市計畫等の方針に於きましても、さう云ふ點から致しまして、或は道路の幅員の問題、或は緑地の問題、色々の點に相當地震と云ふものが一つの考へ方の中にありまして決められて居る點が多々ある譯でございます、又建築に付きましては先程の御質問にもございましたが、勿論是は十分な地下の地質の調査を致しまして、如何なる地震がありましても、之に耐へられるだけの基礎工事を致しましたものを、勿論是は認めて行かなければならぬ譯でありまして、此の點に付きましては全く同感でございます、十分さう云ふ線に沿ひまして今後實際の仕事を進めて參りたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=13
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014・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 將來の都會は不燃質の構造に據ることが理想でありますが、其の前に何か政府は特に不燃質の構造のものに對して奬勵、助長をすると云ふやうな、色々補助金を交付するとかと云ふやうな奬勵法が設けられなければならぬと思ふのであります、此の都市計畫法にはさう云ふことが關係するかどうかは存じませぬが、さう云ふ御考がありや否やを伺ひたい、然らずんば此の不燃質の構造と云ふものはなかなか出來ないと思ふ、其の邊に付きましての政府の御考を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=14
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015・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) 只今の御質問に御答へ申上げますが、將來都市を不燃質のものに成るべくして行くと云ふ點から致しまして、之に對して何か助成と云ふやうな、特別なことを考へて居るかと云ふ御質問であつたと思ひますが、都市計畫其のものには其の問題は直接の關係を持ちませぬので、此の法案には其のことは勿論觸れて居りませぬ、併し事柄と致しまして御意見には大體同感であります、どう云ふ風にしてさう云ふことを實施して行くか目下研究を致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=15
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016・松尾國松
○松尾國松君 一つ御尋ね致します、第一條には、本法で都市計畫を施行するのは戰災地の市町村、斯う限定されて居る、第三條に行きますると、緑地帶は區域外の土地を指定することが出來る、斯うなつて居りますが、是は具體的な問題で申すと、先に緑地帶を設定する必要があるので、それを區域内に入れて、さうして之を計畫するものか、若くは第一條に依る計畫と云ふ方には入つて居ないからして、後からそれを區域外に指定して區域に編入する、斯う云ふ意味でありませうか、それは事實問題となると、區域外の所へ後から指定すると云ふことになりますると向ふから言ひよいと、斯うなります、其の點はどちらをせらるるか、斯う云ふことを一つ伺ひたいのです、それから第二點は第四條に、勅令の定むる所に依り、其の費用の全部又は一部を補助す、斯う云ふことになつて居りますが、是は豫算の關係でありませうから、茲で豫算關係は申上げられぬのでありますが、私が申す迄もなく戰災地は地方の被戰災者の責任でなく、所謂國家的損害でありますから、普通の言葉で申すと被戰災者は之を持つてやらんならぬと云ふ義務がないかの如くにも考へられるが、又國家的の問題でないとは申さない、從つて此の事業の補助を爲さると云ふことは、普通の場合に於て補助をすると云ふ意味とは私は違ふと思ふ、故に法案に於ても「全部又は一部」と、斯うあるのでありますが、是は相當なる決心を以て助成をして御貰ひせぬといかぬと思ひますが、之に付て勿論豫算關係がありますし、國家の財政の關係がありまして、此の法案の御説明としては確定的のことを承らうとは思ひませぬ、但し政府が此の起案をするに當つてはさう云ふことに付て、どの點まで御考へ下さつて居るか、斯う云ふことを承りたい、それから第三には、之を施行致しまするに付て減歩の補助でありますが、減歩の一割五分減ずる、一割五分以上減じた場合に於ては補助をすると斯う云ふことの規定になつて居ります、處が其の一割五分と云ふものに付ては、土地所有者と行政廳がなす場合に於て行政廳が負擔する場合がある、其の一割五分の減歩を行政廳が負擔する場合がある、今迄の都市計畫は御承知の通り、大體に於て採算的になしたものであるから、二割減つても、三割減つても既に採算が分つて居るので宜い、今度の區劃整理は採算でなく、災害上已むを得ざる行爲でなすのである、故に一割五分以内の減歩に於ても行政廳が負擔しなければ出來ない場合がある、其の行政廳の負擔に對しても、是は補助の中に加へられぬと、斯う云ふ意味になるのでありませうか、それは言ひ換へて見ますると、政府の説明としては或は私の質問に對しては、さう云ふことをやると行政廳が皆持つやうなことにしたら工合が惡いではないかと、斯う云ふ御話があるかも知れませぬが、私共は所に依つては全く行政廳が持たなければやり得ない所がある、斯う思ふのでありますが、それは行政廳が當然持たなければならぬと云ふ已むを得ざるものでも一割五分以内は考へられぬかどうか、此の三點を御伺ひ致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=16
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017・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 松尾さんの御質問に御答へ申上げます、法案第一條で特別都市計畫と云ふのは、戰爭で災害を受けた市町村の區域に依り行ふ都市計畫である、斯う云ふことに規定を致してありまするのに、第三條では其の市町村の區域外にも緑地地域を指定する、斯う云ふことになつて居るのは、どう云ふ意味か、斯う云ふ御質問の御趣旨だと存じまするが、緑地地域は是は其の都市の區域の内部に於きましても、或は其の周邊に於きましても指定する必要がある場合があります、從ひまして戰災都市計畫をやる爲に是と竝行的に必要な場合には他の市町村に付きましても、緑地地域を指定して、さうして其處に必要なる建築の制限をしなければならぬ場合が起つて參る譯であります、此の場合に於きましては、緑地地域を主務大臣が指定することに相成つて居るのでありまして、是等の點は特別都市計畫とは認めませぬが、併し矢張り本法の色々な規定に依りまして、特に是は市街地に於ける建築物に關する種々なる規定の適用を受けることに相成る譯でございます、それから第二の御質問の補助率の問題でございまするが、是は政府と致しましては、只今豫想致して居りまする、補助率と致しましては、土地區劃整理事業に付きましては、八割以内、道路に付きましては、廣幅員の街路に付きましては四分の三、即ち七割五分以内、其の他の道路に付きましては二分の一以内、尚區劃整理事業の進行に伴ひまして上水道、下水道の施設整備をなす必要がございまするが、上水道に付きましては三分の一以内、下水道に付きましては三分の二以内、是が只今迄政府の案として、一應内部で決定致して居る國庫補助率でございます、尚此の外の事項に付きましても、將來補助率を定めなければならぬ事項も起つて來ると存じまするが、それは又其の節研究の上、決定を致して參りたいと存じます、勿論是等の實施に付きましては豫算を要することでございまして、豫算案として御審議を御願ひすることになるのでございます、それから最後の御質問の點は、區劃整理事業に伴ひまする減歩の問題でございまするが、減歩に付きましての一般的な規定は、其の土地の權利關係者が何人であるを論ぜずに、一律に一割五分迄は無償で減歩を御願ひする、斯樣な趣旨に相成つて居ります、此の點に付きましては國又は行政廳と雖も同樣無償の減歩でやる、斯う云ふ方針に致してあるのであります、其の結果公共團體の財政其の他に於きまして、種々の問題を生ずる場合があると存じまするが、それ等の點に付きましては、實際問題に當りまして具體的に決定を致して參りたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=17
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018・松尾國松
○松尾國松君 今の御説明で補助の歩合を承つたのでありますが、是は前に私も御斷り申した通り、豫算關係でないからさう申してもいかぬと云ふ説があるかも知れませぬが、併し此の法案の決定は豫算關係を或は拘束し、或は擴充することになるのでありますから、此の補助と云ふことに付ては餘程法案決定に伴ふ御考を御願ひして置きたいと申すのであります、それはどう云ふことであるかと云ふと以内であるから幾らでも以内である、斯う云ふことは今迄も幾らでもあります、十分の五以内であるから二でも以内である、三でも以内であると斯う云ふことになりますが、私共が此の法案と云ふものは、繰返して申上げる迄もなく全く國家的の損害を地方が持つてやりますのであります、色々なことを申上げぬでも、御承知の通り今日の財政は地方は地方の負擔に於てなす、斯う云ふことでありますが、財産税を澤山徴收したら、後の殘りの地方財源と云ふものは殆ど私共はありはしないと思つて居ります、そこへ持つて來て補助が減る、斯う云ふことになると、言葉は補助をすると云ふことであるけれども、事實は補助がない、やり得ない、斯う云ふ結果を見ると存じます、故に此の法案成立當時に於て此の主管省に於きましては、此の意味を大藏關係に於ても十分に認識をして貰はなければ此の事業は折角の法案が出來ても出來ぬと思ひます、故に此の補助と云ふ、私共は寧ろ率直な言葉で申せば補助でなく行政廳を以て施工せしめて、其の費用は國庫が負擔すると云ふ文字でも何も不審でないと是迄考へるものであります、どうぞ其の點は一つ十分に御考へ置きを願つて、此の法案制定と同時に將來の施工に關する費用の負擔區分と云ふやうなものを相當にしつかり御決めを願つて置きたいと云ふことを私は法案設定に付ての意見として申上げて置きたいと存ずる次第であります、其の次に於きましても只今の御説明に依れば第十六條の一割五分の減歩は、所有者の何人を問はず一割五分迄は無償で提供する斯う云ふ御話でありますが、御話の意味は能く分りますが、是などでも私は今後に於て又更に考慮を願ふ具體的の問題が起り得ると確信するものでありますが、それは土地の減歩に付きましてはどうしても負擔が出來ないと云ふ理由の土地が生じて來る、さう云ふ場合に於ても御考を願ふことがあると存じますが、何れに致しましても根本的な考へ方は、戰災者の行爲の結果でないと云ふことに於て一つ此の點は相當に強い意味で法案の成立と同時に費用の負擔區分は少くとも國庫が只今御話の最大限度は持つ、將來にも持つ、斯う云ふ意味に於て一つ御考へ置きを御願ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=18
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019・松平乘統
○子爵松平乘統君 今朝程御話になりました「特別都市計畫法案に基く勅令委任事項(未定稿)」第二條關係の中で伺ひます、其の中にあります堤塘、此の字句に付て御定義を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=19
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020・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 堤塘と申しますのは堤防、それから其の他の河川の沿岸の設備で溢水を防禦する爲のものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=20
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021・松平乘統
○子爵松平乘統君 塘と防とは同じものでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=21
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022・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 塘の方は少し小さいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=22
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023・松平乘統
○子爵松平乘統君 大小に依つて決るのですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=23
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024・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) さうぢやないかと思ひますが、大體是は堤防と二つ合せまして地所名稱の區別の中で堤塘と云ふ一つの言葉として理解致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=24
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025・保科正昭
○子爵保科正昭君 只今御配付戴きました實は昨日私から願つて頂戴した圖面でありますが、まだ圖面を十分拜見する機に至らないのでございますけれども、それに先立つて私伺つて甚だ惡いかも知れませぬが、一つ伺ひたいことは、是迄戰災の復興に對しまして之を研究致しました學者が隨分あります、其の中でも相當研究を深くされて居る學者が澤山ございますが、今此の法律を御制定になりますに付きましては、是迄研究された學者の意見と云ふものは、隨分貴重のものもあり、又都市計畫の此の法律を施行される上には非常な基礎になるものであると思ひますが、それ等の學者の御意見は十分御斟酌になつて此の法律を御出しになつたのでありますか、無論其の點に付ては手落ちはないと思ひますが、其の法律を御作りになります時に、唯御役人だけで御計畫になつたのでありますか、相當學者研究家、各方面の委員會とか、公式の形を取つたかどうか、此の法律を出す迄に御研究になつたものはどう云ふものであるかと云ふことを伺ひたいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=25
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026・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 從來都市計畫に付きまして、學者方面の研究は大體二つのものに區別することが出來ると思ひます、一つは都市計畫の實體に關する研究、例へば道路の幅員であるとか、或は建築面積の割合であるとか、緑地の按配だとか、斯う云つた都市計畫の實體に關するもの、それから一つは只今仰せられました是等の都市計畫を實施するに付ての法律的な問題に付ての研究、何れの方面に於きましても、それぞれ多數の專門家の御研究がある譯でありますが、政府と致しましては昨年八月十五日終戰になりまして、直ちに法案を準備致しまして、其の後公式の委員會は一囘も開いて居りませぬが、此の方面の專門の學者、實務家又は都市行政の實際家、それから都市計畫關係の事業に付ての學者、實際家、是等の方には十數囘に亙つて御會合を願ひ、其の御意見を承りまして、加除訂正して今日提出した法案になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=26
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027・坊城俊賢
○男爵坊城俊賢君 都市計畫をなさるのに當りまして、大體一つの都市の人口をどれ位に保有することが最も理想であるかと云ふことは、是は各都市の状況に依つて勿論違ふと思ひます、例へば東京と大阪とか、或は千葉ならば千葉市と云ふやうなものとは自ら違ふと思ふのでありますが、敗戰後復員の方々、或は海外から引揚げられた方々が七百萬にも及び、人口が増加する、現在の東京都の殆ど二倍にも垂んとする人口が殖えて行くと云ふことから考へまして、唯單に、東京都の此の前みたいに一千萬にもなつても放つて置くと云ふやうなことがあつては相成らぬと思ひまするが、其のことは昨日の御説明にも都市の過大膨脹を抑制すると云ふことが確か言はれて居りましたが、併し又考へ方に依りましては、總て都市の人口は抑制してしまふと云ふやうなことも、どうも現在では食糧事情の關係あたりから、色々都市に編入する人を抑制して居るやうですけれども、將來自由になつた場合に於ても矢張りさう云ふ一つの枠を決めて考へるものであるか、そこが非常に疑問の點と思ひまするが、併し都市計畫と云ふ建前から致しまして、大體都市の人口と云ふものは、東京ならば東京都の人口と云ふものがどの位が理想であるか、大阪ならば大阪はどれ位が理想であるか、千葉ならば千葉はどれ位が理想であるかと云ふことは、自ら差があると思ひますが、さう云ふことに對してどう云ふ風に考へて居られますか、御所見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=27
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028・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 都市計畫の基本と致しまして、其の都市の將來の人口を幾らと豫想するかと云ふことは、是は極めて重要なる點でございまするし、又今日の都市計畫を決定致しまするに付きましての一つの標準になつて居りますることは御説の通りでございます、併しながら此の都市計畫が目標と致して居りました人口を、將來如何にして維持し、或は其の限度を超えないやうにやつて行くかと云ふことに付きましての方法と致しましては、直接に之を抑へる方法はなかなか困難なのでございます、之に付ての私共の考と致しましては、從來特に我が國に於きまして、過大都市と言はれて居りました東京都及び大阪市の如き地方に於きましては、將來出來るだけ人口を分散しなければならぬ、さうして所謂不健全なる過大都市と云ふものを無くすると云ふことが將來の都市計畫の一つの重要な「ポイント」と考へて居るのでございます、併しながら此の方法と致しまして、具體的にはどう云ふことをしなければならないかと申しますると、結局從來東京なり大阪なりに人口が集中して參りました所の原因を調べまして、此の原因を出來るだけ除去して行くと云ふことが必要だと考へるのでございます、東京と致しましては、從來東京の人口集中の原因として考へられて居りますのは、第一には、東京に於ける工業地帶の發展でございます、工業地帶は御承知の通り、京濱間竝に江東方面を主たる部分と致しまして、殆ど全市に亙つて大工場を持つて居りました、是等の工場地帶を整理すると云ふことが、一つの人口制限の良法になる譯でございます、其の方法と致しまして、都市計畫上考へなければなりませぬ點は、工業地帶と云ふものの區域を將來に於ては之を狹くして行く、さうして嚴重な制限をして行く、一般の所謂商業地域、或は住居地域に於ける工場の濫設を許可すると云ふやうなことは出來るだけ避けて行くと云ふ方法に依つて、工場の制限が出來ると思ふのであります、併しながら工場が東京に集中致しました根本の理由は、工業立地の問題でございまして、工場地域として東京が採算上、經濟上、社會上比較的有利な地位にあつたが爲に工場が集中したのでございまして、其の有利である所の東京から工場を閉め出すと云ふことは、日本の工業全體の能率を非常に低める、又工業と云ふものの採算を惡くする、之が爲に將來通商上非常な不利益を招くと云ふやうな點もありまするので、東京に於ける工場地帶を制限すると云ふことは、其の裏面に於きまして、他の地方に於て東京に代るべき工場地帶を新らしく拵へて行くと云ふ措置と併行して進められなければならぬと存ずるのでございます、此の點に於きまして、所謂國土計畫と云ふものを立て、さうして東京の工場を制限する代りに、平和産業を新たに興すべき區域を決める、さうして其處に平和産業の發展し得るやうな種々な施設を講じて行く、之には港灣とか或は道路、鐵道とか其の他色々な點があると思ひます、斯樣な措置と併行して、所謂工場の分散を圖ることが第一に必要だと存じて居るのであります、工場の制限に付きましては左樣な問題でございまするが、次に東京に於ける人口集中の一つの原因を成して居りましたものは、大學專門學校其の他の諸學校が東京に非常に澤山あつたと云ふ問題でございます、此の學校の中には相當戰災に罹つたものもございまするので、是等の學校を地方に分散すると云ふことは極めて人口調整上有利な、又必要な措置と存ずるのでございます、之に付きましては工場と違ひまして、學校の立地の問題は割合に基本的な要素を整備すると云ふことが簡單でございますので、割合に容易に出來るのではないかと思ふのであります、で殊に我が國に於きましては、終戰の事態に伴ひまして、從來軍都と稱せられた都市が澤山ございます、例へば横須賀とか佐世保、さう云つた所謂軍港、それから其の他最近滿洲事變以後、或は戰時中に新らしく陸軍、或は海軍の色々な學校、部隊の根據地として發展しました土浦でありますとか、其の他色々な都市がございます、又從來師團所在地と云ふものは、師團がありますることに依つて都市が出來て、又發展して居つたやうな所もございます、是等の都市に於きましては、新事態に依つて可なり都市經營上困難を來すと云ふやうな都市がございまする、是等の地域に對して學校を分散させて行くと云ふことは、それ等の都市に於ては寧ろ歡迎すべきことであります、東京に於て之を減して行くと云ふことは、東京としても考へるべきことでありまして、色々な點から是等の學校の地方分散と云ふことを、考慮することが必要であり、又それが適切であると存ずるのでございます、是等の問題に付きましても、矢張り國土計畫と云ふ觀點から十分に調査を遂げて、之を推進して行く必要があると思ふのであります、それから學校以外の文化的施設が東京、大阪等に集中して居つた、是等の分散等に付きましても漸次色々な計畫を立てて實現する、之に依つて文化の地方分散、從つて之に伴ひ或程度の人口の地方分散と云ふやうなことが出來ると思ふのでございます、是等の方法に依りまして、出來るだけ將來大都市の人口を、自然に治まるやうな方法で抑制して參りたいと存じて居るのでございまして、東京と致しましても大阪と致しましても、其の都市計畫に付きましては、將來或程度さう云ふ措置が竝行的に行はれると云ふことを前提として、考究決定致してあるやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=28
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029・坊城俊賢
○男爵坊城俊賢君 只今の御説明に依りまして、理論的には大體能く分つたのであります、併し現在迄のやうな極端な中央集權的な形に於ける總ての政治は或は經濟と云ふものが成立つて居る下に於ては、なかなか其の理想も實現し難いと思ふのであります、其の點に於きましては、唯此の都市計畫を扱つて居られる官廳だけが理解されてもなかなか困難なことでありまするので、是は政府全體と申しますか、國民全體がさう云ふ氣持になり得るやうに御指導されむことを希望するものであります、尚關聯致しまして伺ひたいと思ひますが、緑地の問題でありまするが、大體都市計畫と申しますと、現在迄に於きましては、或は港灣を造るとか、道路を擴げるとか、上下水道を完全にするとか、電信、電話の通信關係を本と致して居るのであります、運河を造り、工場を造るとか、或は建築物を何處を商店街にして、何處を工場地帶にするとか、まあ産業立地關係と云ふのみと言つても、恐らく差支ない程、さう云ふものに集中されて來たのではないかと考へるのでありますが、緑地と云ふ風に今度名前が變りまして出て居りまするが、中には或は公園運動場、公園道路、兒童遊園と言つたやうなもの迄も、含まれて居らなければならぬと思ひますが、さう云ふものが動ともすると道路とか、或は港灣、運河と云つたやうな物に比しまして、計畫だけは最初出來るのでありますが、目前の生産性がないと申しますか、生産……詰り道路ならば直ぐそれを使用して、非常に便利に産業の便があると云ふ、目前の關係もありませうが、一方緑地と云ふやうなものは今度の災害、或は大正十二年の震災の時に於きましては、樹木が必要であり、廣場が必要であることはつくづく其の時は感ずるのでありますが、併し時間が經ちますと、それ等のことは所謂咽喉元過ぎれば熱さを忘れると云ふやうな工合で、忘れ勝ちになりまして、つい其の方は道路、港灣等に比しまして、豫算の點なんかでも少くなつてしまふと云ふやうな關係もありまするが、是は一つ十分に御考へ戴きまして、公園の配置、或は住宅街の兒童遊園地の配置などに付きまして、十分の施設と、又それに對する設備をなされる豫算を十分に認められるやうに、豫算を御立てにならむことを希望するものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=29
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030・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 緑地の問題に付きまして、從來緑地は動もすると計畫倒れになつて、道路、港灣其の他實際的な事業の方が先行して、結局緑地は出來ない、斯う云ふやうなことは御話の通り、從來各地の都市計畫に於て經驗致したことで、私共も其の點を痛感致して居るやうな次第であります、今囘の都市計畫に於きましては、何分御承知の通り全國に亙りまして、極めて多數の市で、而も廣い面積に付て罹災がございましたので、事業として計畫して參りまするものは、計畫と致しましては一應全般的に計畫は致しまするが、實際著手する事業の順序は、自ら前後の區別を生じて來るのでございます、其の前後の區別を決定致しますに付きましても、只今御指摘になりましたやうな順序になり勝ちでございまして、是は或程度迄、事實今日の豫想されて居りまする事業の順序は、さう云ふことに相成つて居りまするが、併しながら從來の都市計畫と、今度の都市計畫の根本的に違つて居りまする點は、今囘の都市計畫に於きましては、何れも原則的に土地區劃整理を實施することに致して居る、さうして此の土地區劃整理を實施するに當りましては、必ず其の前に道路計畫と同時に、公園、緑地等の計畫を定めまして、是等の計畫された道路、敷地或は緑地を捻出する爲に、此の土地區劃整理事業を實施することに相成つて居る譯でございます、從ひまして公園に於ける色色な運動場の施設とか、或は植樹とか庭園の造成とか、さう云つた工事は、是は相當先のことに相成りまするが、少くとも之に必要なる用地だけは急速に確保されるのでございまして、是は區劃整理に依りまして道路敷地と併せて、同時に必要な緑地の地帶と云ふものの敷地が決定され、さうしてそれが公共の團體の手に保留されるやうな仕組に相成つて居ります、從ひまして事の順序と致しまして、公園に於ける工事、緑地に於ける色々な設備が先に延びると云ふことはありますが、之が爲に將來に於て消滅すると云ふことのないやうに、敷地だけは獲得をしてある、從つて敷地が獲得される範圍に於て、將來公園が出來ると云ふことを、保證されて居ると云ふやうな仕組で、仕事を運んで參ることに相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=30
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031・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 今坊城男爵の御話に依りまして御答があつたのですが、私も都市計畫の事業と云ふものは此の新らしい法律の出ない前からも考へて居つたのですが、どうも道路の計畫と云ふものは何時でも早く出來まして、今度新らしく緑地地域と云ふものが出來まするに付きまして、斯う云ふものは遲れ勝ちになる、併し經費と云ふ點から考へて見ますると、どれ位立派な緑地帶を御造りになるかどうか知りませぬが、少くとも道路計畫事業よりも金額も少量で或程度のものは出來るのではないかと思ひます、殊に公衆衞生と云ふ點から考へて見ますれば、此の緑地帶を造ると云ふことは餘程重要な問題だと思ふのです、最近に於ける進駐軍の公衆衞生に對する所の非常な心配、骨折と云ふことも、何か伺ひますと非常に心配して何かと當局に指示が來るさうでありますが、さう云ふ點から考へまして日本國民の保健、殊に子供、幼兒とかそれから小學校の兒童、是等に對する保健と云ふものは、是だけの戰災を受けた點から考へますると、餘程愼重に、餘程相當の費用を出してやりませぬければ、國民保健と云ふものが果して完全に遂行出來るかどうかと云ふことは非常に疑問であります、さう云ふ點から言つても此の緑地帶と云ふものは唯見物場所、娯樂場と云ふ意味ではなくして、さう云ふ重要な點から見ると、相當重要な價値、位置を占めて居るものと思ひますから、重ねて御答は得ませぬけれども、どうしても緑地帶の要地だけは指定して、後放つて置くことなく、出來るならば少し經費が少くても、先きにどんどんおやりになると云ふ熱意がなければ、却て從來のやうに計畫倒れになることがあるのぢやないかと云ふことを心配するのであります、殊に此の點を強調して申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=31
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032・松尾國松
○松尾國松君 委員長にちよつと御伺ひ致しますが、只今の御話の中で、私も重要なることに付て一つ御尋を致したいと思ひますが、それは午後又質問を御許しになるか、どうでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=32
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033・二荒芳徳
○委員長(伯爵二荒芳徳君) 引續いて御許を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=33
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034・松尾國松
○松尾國松君 それぢや午後に致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=34
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035・二荒芳徳
○委員長(伯爵二荒芳徳君) 尚場合に依りますれば懇談を開始しても宜いと思ひます、暫く休憩を致します、午後は一時から再開致します
午前十一時二十四分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=35
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036・会議録情報3
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午後一時五分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=36
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037・二荒芳徳
○委員長(伯爵二荒芳徳君) 午前に引續きまして委員會を開催致します、政府當局の配付せられました參考の地圖に付て御説明を煩はしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=37
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038・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 提出致しました圖面に付きまして簡單に御説明を申上げたいと思ひます、圖面に付て御説明申上げまする前に、總論的な問題に付て二三申上げたいと思ひます、今囘の東京都に於ける燒失區域は舊十五區の全區に亙り、又其の外廓でありまする所謂新市域にも亙つて居りまして、其の廣さは直接燒失しました部分の面積に付きまして約四千五百萬坪に相成つて居ります、此の四千五百萬坪は全國の罹災區域の面積一億六千萬坪の約三分の一弱と云ふ廣大なる區域を占めて居ります、此の廣さを又關東大震災の燒失面積に比較致しますると云ふと、關東大震災當時の東京市内に於ける燒失區域が約一千百萬坪であります、之に横濱市内に於ける燒失區域約三百萬坪を加へましても一千四百萬坪にしか相成つて居りませぬでしたが、今囘は東京一市のみに於て四千五百萬坪と云ふ大面積に亙つて居るのであります、從ひまして此の區域の復興と云ふものは非常に困難な仕事でございますると同時に、此の廣大な帝都の殆ど大部分、而も中心部を占めて居りまする區域の復舊計畫と云ふものは、其の如何に依りましては、帝都の相貌なり或は性格と云ふものを一變せしむるものがあると存ずるのでございます、從ひまして今囘の帝都復興計畫に於きましては、其の基本と致しまして、帝都復興後の都市としての性格を如何なるものにするかと云ふことが先づ問題となる譯でございます、之に付きましては、今囘の計畫に於ては、次のやうな點が主要なる目標と相成つて居ります、其の第一は能率と云ふ點でございます、都市に於ける能率の増進、從ひまして生産能率の高い都市を造つて行くと云ふ點でございます、次には保健、即ち衞生的な都市を造つて行くと云ふ點でございます、其の次には災害に對する安全性を備へた都市を造つて行く、其の次には成るべく美的な都市を造つて行く、即ち能率、保健、防災、都市美、此の四つの目標を眼目に致しまして、此の計畫が樹てられて參つたのでございます、尚帝都復興計畫に於きましては、特に帝都の性質上、日本の將來に於きましても政治の中心であると云ふことが眼目となつて此の計畫を作られて居ることは申す迄もないのでございます、斯樣な目標の下に帝都の復興計畫を考へて參りますると云ふと、先づ從來の帝都の都市としての缺陷は何處にあつたか、第一は交通の問題でございまするが、帝都の交通が極めて困難な状態にあつたことは皆樣の御承知の通りでございます、此の交通を將來に於ては緩和すると云ふことが、復興の一つの眼目にならなければならぬのでございます、と同時に帝都の市街地と云ふものの面積が、其の人口に比しまして非常にだだつ廣く、而も其の廣い地域が唯だらだらと小さな家の繋がりに依つて出來上つて居る、之を適當な家の塊りに區切つて行つて、其處に一つ一つの纒つた生活圈を作つて行くと云ふことが、將來の都市の能率、保健等の上から言つて大切なことだと思ひます、此の點に付きまして矢張り適當な區劃に帝都の全區域を區切つて行く、緑地、公園、道路、斯樣なものに依つて適當な大きさに區切つて行くと云ふことを考へなければならないのでございます、街路、縁地の計畫に付きまして是から圖面に依つて御説明を申上げまするが、それ等の計畫が決定された根本には、只今申上げたやうな觀念が基礎になつて居ると云ふことを豫め御承知置きを願ひたいと存じます、最初に街路に付て申上げます、此の街路網の計畫は既に都市計畫法に依りまして決定せられました東京の復興都市計畫街路の主要路線を掲げたものでございます、先づ此の圖面にありまする街路は如何なる街路を拾つてあるかと云ふことに付きまして、御了解を願ひたいと思ひまするが、標題に掲げました通り、此處には都市計畫街路の幹線及補助線の網のみを拾つてある譯であります、幹線街路は申す迄もなく帝都に於ける交通の主要幹線になるものであり、補助線は此の主要交通を助ける爲の補助的な路線でございます、此の外に都市に於ける街路と致しましては、更に建築物の建てられまする區域を形造る爲に、色々な形状に依つて小さな街路が造られて、此の街路がそれぞれ宅地に面するやうになる譯でございまして、是は所謂細街路網でございまするが、此の細街路網が此の街路計畫では決定されて居りませぬ、此の細街路網は將來區劃整理事業に於きまして、區劃整理の際に區劃整理の一つの部分、一部として決定されると、左樣な手續に依つて此の間の小さい道が開かれる譯でございます、で今囘の街路網の決定に付きましては、先程申上げましたやうな能率と云ふ點が主として此の街路の要素を爲すのでございまするが、之に付きまして先づ在來の東京の街路がどう云ふ風な性格を持つて居つたかと云ふ點に付て申上げて見ますると云ふと、御承知の通り從來の東京に於ける主要街路、幹線街路の中心は略略神田區を中心として、之に向つて放斜状に周邊から集中をして居つたのであります、其の結果本當に東京の地理的の中心にありまする宮城と云ふものが此の放斜線の自然の形状を掻き亂す作用をなしまして、此の宮城を廻ると云ふことに依つて街路の交通が一方に偏して居つたのであります、何故かと申しますると、宮城が丁度山の手と下町の中央にありまして、宮城より西側は東西に亙る臺地の連續でありまして、之を遮斷する街路と云ふものは谷から峰に上り、それから又谷に沿ひ、詰り絶えず起伏をしなければ宮城の西側に於ては南北の交通が出來ない、之に比しまして、下町方面は平坦地でありますからして、總て宮城の東に於ける街路と云ふものは平面で坂道がない譯であります、斯樣な譯でございまして、從來の交通幹線と云ふものは宮城の東側の神田、日本橋邊を中心にしまして、之が交通上の中心になつて、總ての南北東西の交通が一度此處へ入り、さうして之から流れて行くと云ふことになつて居つたのであります、從つて神田、日本橋、京橋、此の方面に於きましては、色々な主要幹線が錯綜するばかりでなく、時には重複して總ての交通が非常に此の區域に於て雜沓を致して居るのであります、今後の街路の計畫と致しましては、此の下町特に神田、日本橋に於ける南北の交通を出來るだけ宮城の西に移しまして、從來の中心を緩和すると云ふことが交通上の狙ひになつて居る譯であります、と同時に帝都の土地利用計畫に於きましては、從來丸の内、京橋、日本橋方面が所謂「シヴィック・センター」として雜沓の巷でございましたが、主要幹線を東側の幹線を或程度西側に移すと同時に、此の帝都の都心を二分致しまして、一つの都心を四谷から新宿に掛けた方面に持つて行くと云ふことが必要になる譯であります、ここに都心が二分されると同時に新らしく東を通る交通が起る、斯う云ふことに依つて下町方面の交通を緩和致した譯であります、で此の下町方面の交通を緩和する方策と致しましては、所謂「バイパス」と申す方法に依りまして、雜沓の巷を避けて新らしい迂囘道路を敷設する、斯う云ふ方法に依つて此の目的を達して居ります、此の圖面に於きましては、幹線街路と致しまして、百「メートル」、八十「メートル」、五十「メートル」、四十「メートル」、此の四種を定めて居ります、四十「メートル」の道路と云ふのは丁度櫻田門の前の道路が四十「メートル」に相成つて居りまするし、東京驛の前の道路が大體七十「メートル」になつて居ります、此の邊を標準として新らしい道路の幅員を御想像願ひたいと思ひます、此の中圖面に表れて居りまする路線の中主要なるものに付て説明をさして戴きますると、從來の國道一號線、即ち日本橋より發します東海道線でございます、所謂京濱國道でございまするが、此の京濱國道は今囘百「メートル」に改裝されて居ります、さうして此の百「メートル」道路は東海道から現在の昭和通りに入りまして、さうして在來の陸羽街道に合して百「メートル」が南北に走つて居ります、是は在來の宮城東側の交通の中心をなす幹線に相成る譯であります、それから東京驛の所に於きまして、是と直角をなして居りまする百「メートル」道路は、從來の所謂槇町線、即ち八重洲口から出る線でございまして、是が百「メートル」の廣幅員の計畫になつて居ります、是は主として防災の目的を有するものでございます、それから次に百「メートル」路線は、半藏門から鹽町迄の間の百「メートル」に致してございますが、是が先程申しましたやうに、將來半藏門から四谷方面にかけて新らしい都心を形成する、其の都心交通の一つの中心となるべきものとして豫定せられて居るのでございます、それから市ヶ谷から東中野へ行く線が百「メートル」に相成つて居りますが、是は現在の新宿に於ける交通を緩和する爲に設けられた新らしい路線でございます、それから川東に於ては洲崎から押上迄の間に百「メートル」の路線を設けてございますが、是は主として災害防除と云ふ所謂防火的意味を持つた廣幅員の道路でございます、是等は百「メートル」道路でございまして、之に對する八十「メートル」の道路は大井町から所謂舊市内の雜沓を迂囘致しまして、板橋に於て中仙道に達して居ります、是は一つの環状線でございます、此の外環状は先程申上げました從來の都心を通らなければ一端から他の一端に行かれなかつたと云ふ其の交通に對しまして、中仙道と東海道を繋ぐ交通を、都心外の「バイパス」に依つて繋いで行かうと云ふ路線でございます、それから其の外に東海道及青梅街道が、先の方が何れも百「メートル」がくびれて八十「メートル」道路になつて居ります、それからもう一つ此の圖面に於て御留意を御願ひ致したい路線は、丁度只今の外濠を廻つて居る街路でございます、是は矢張り都心を迂囘して外濠をぐるつと廻つて、一つの放射線から他の放射線へ交通を移して行くと云ふ作用をなすと同時に、丸の内を中心と致しました都心部に入る交通を之に依つて他へ流しまして、都心に於ける交通を緩和して行くと云ふ作用を持つた廣幅員の百「メートル」道路でございます、是等の道路に依りまして交通を緩和致しますると同時に、在來の道路を必要に應じて擴幅を致して行くのが、此の圖面の計畫に相成つて居りますが、之に依つて街路の爲にどれだけの土地が取られるかと申しますると、今囘は燒失區域に於て街路の面積が二十八「パーセント」と云ふことに相成る譯でございます、此の二十八「パーセント」と云ふのは今後定めらるべき土地區劃整理に依る細街路をも含めた率でございまして、他の都市に之を比較致して見ますると、「アメリカ」の「ワシントン」に於きましては現在道路の面積が四割三分、「ニューヨーク」と「ウイーン」に於きましては三割五分、「ベルリン」に於きましては二割六分、「パリ」に於きましては二割五分と云ふ程度でございまするからして二割八分と云ふ率は大體將來の都市として相當な道路面積であると考へられるのでございます、街路は其の程度に止めまして、次に簡單に緑地に付て御説明を申上げたいと存じます、緑地の配置を決定致しまするに付きましての基本的な考へ方と致しましては、第一には先にも申上げました通り、緑地に依つて道路と相俟つて市街地を幾つかの團地に分割をすると云ふことでございます、從來東京の都市の實状を考へて見ますと、三十五區に分れて居りまするけれども、此の三十五區と云ふものの間には、自然的な或は人工的な境界と云ふものは市街地としては殆ど見るべきものがない、唯漫然と三十五區に亙つて街が續いて居ると云ふやうな状況であつたのでございますが、今囘之を緑地に依つて幾つかの團地に分けて行かうと云ふことが一つの基本的な考に相成つて居る、それから緑地の配置に付きましては、出來るだけ緑地を諸方面に分散致しまして、さうして出來るだけ其の利用を容易にすると云ふことに依つて、緑地の利用の能率を好くして行かうと云ふことが考に入つて居る譯でございます、斯樣な考の下に決定せられまする緑地はどう云ふ所を選んで配置されたかと申しますると、第一には在來の空地を出來るだけ利用して行く、例へば練兵場の跡でありますとか、或は官有地の跡でありますとか、或は從來の公園を更に擴張すると云ふやうなことに依りまして、在來の空地を出來るだけ生かして行く、次には鐵道沿線に緑地を設けると云ふこと、是は戰爭中の經驗に依りまして、鐵道沿線に於て大規模なる建物疎開を實施致したのでございますが、此の經驗を活かして、出來るだけ鐡道沿線には緑地を廣く取るやうにして行く、それから第三には河川及海に接した所謂沿岸地でございます、隅田川を初めと致しまして、大小の河川の沿岸に出來るだけ廣い緑地を配置して、河川と相俟つて一つの緑地としての效果を更に大きく收めて行かうと云ふ考の下に、出來るだけ沿岸には緑地を殘すやうに致したいと思ひます、それから最後には緑地の大きな塊、即ち大公園と大公園と云ふものを連絡する所の半道路的な緑地帶を取つたと云ふことであります、斯う云ふことに依りまして、只今圖面に御示し致しましたやうな計畫が決定せられたのでございまするが、特に此の中で主な點に付て申上げますと云ふと、上野公園を心中と致しました地帶が茲に約三十萬坪に擴張せられて縁地としてあります、是は主として森林的な公園にして行きたいと云ふ計畫であります、それから赤羽に於きまして、約五十萬坪の緑地を保有致して居ります、代々木に於きましては約三十萬坪の緑地を存置致してございまするが、此の外に神宮外苑を中心と致しまして、約四十萬坪の緑地を取るのでございます、それから其の外に大きな塊と致しましては、駒澤に三十五萬坪と云ふ緑地、是等が最も大きな一番の緑地でございます、其の他は先にも申上げましたやうな小さい公園、或は鐡道沿線、或は河川沿岸、大公園と大公園を連絡する地帶と云つたやうなものでございます、此の圖面に示された計畫が完成致しますると、東京に於ける緑地帶の割合は約十「パーセント」と云ふことに相成ります、それから最後の圖面は復興都市區劃整理施行區域の圖面でございますが、復興都市區劃整理の地域と致しましては、燒失區域を原則として全部入れまして、之に關聯して區劃整理を實施することが必要となると云ふことを豫想されました區域を含めて居りまして、約六千萬坪に上つて居ります、それから其の中に特に區域を區劃致しまして、番號を打つてありますのが、本年度に於て直ちに區劃整理に著手すべき區域を示したのでございまして、此の坪數が全區域に比較致しますると、極めて寥々たるものでございまして、是は本年度の豫算等の都合に依つて、極めて小面積に止つて居りまするが、今後毎年實施すべき區域は段々と増加して行かなければならぬと云ふ風に考へて居るのでありまして、尚此の外に東京都と致しましては、東京都の復興區域内に於て土地を如何なる目的に如何なる程度に利用するかと云ふ、所謂土地利用計畫に付ての都市計畫が目下手續中であり、主要なる驛附近の廣場等の計畫が竝行的に進められて居りますが、是等は將來適當な機會に決まり次第圖面を提出して御説明申上げるやうに致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=38
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039・山地土佐太郎
○山地土佐太郎君 午前中に自動車の故障で間に合ひませんでしたが、此の法案と豫算の關係に付きまして何か午前中御説明でもございましたか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=39
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040・二荒芳徳
○委員長(伯爵二荒芳徳君) 午前中ちよつとそれに觸れてはございましたが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=40
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041・山地土佐太郎
○山地土佐太郎君 ちよつと簡單に願ひたいのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=41
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042・二荒芳徳
○委員長(伯爵二荒芳徳君) 御質疑の點は總體的の問題ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=42
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043・山地土佐太郎
○山地土佐太郎君 總體的のです、簡單で宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=43
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044・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 本法案は直接には豫算に關係は致して居りませぬが、本法案に基いて事業を決定致しまして實施致しますに付きましての地方公共團體の費用負擔に付きましては、國庫補助をしなければ出來ないことは申す迄もないことであります、又政府の豫算案は、正式には確定致して居りませぬが、所謂六十億の公共事業費と云ふものの内に含まれることになるものと思ひます、さうして其の金額は目下關係當局の間に於て折衝中でございます、額は決定致して居りませぬが、補助率と致しましては、區劃整理に付きましては八割、街路に付きましては大きな街路の經費は四分の三、其の他の街路は二分の一、水道の移設に付きましては三分の一、下水道に付きましては三分の二と云ふ補助率に依つてせられて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=44
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045・松尾國松
○松尾國松君 私ちよつと伺ひたいのでございますが、此の總體の御説明、只今の御説明を承つて居ると、本特別計畫法は從來の都市計畫法の其の一部の改良であるが如くにも考へられ、又根本的の都市更正の基本法のやうにも思へるのでございますが、私は此の法律を以て戰災都市再建の根本法であると斯う考へるものでありますが、それに付きまして過剩人口の制限、是は專門家の間に於ても相當に論議されるのでありますが、それは食糧問題との關係もあるでありませうし、衞生の問題との關係もあるでありませう、幾多の關係が申す迄もなくありませうが、さう云ふことに付て先程政府委員の御方の説明にも、過剩人口は過剩人口の由つて來たる原因を芟除しなければならぬ、斯う云ふ御話も承つて居るのであまりすが、本法案には過剩人口の原因を除去する所の規定が私はないと思ふのであります、例へば今日以後戰災都市を復興致しまするには、過剩都市の人口を如何にするかと云ふことが現實の問題であつて、さうして又現實の情勢は過剩人口がどうにも斯うにもならないのであります、又御承知の通り東京に於きましても、私共の知つて居る範圍に於きましても、入都を許されぬ爲に有らゆる方法を講じ、困難を感じて入つて來て居るのであります、でありますから私共は今統計の數字に現はれたよりも遙かに多い者が入つて來て居ると思ふのであります、それでありますからさう云ふことを制限すると云ふことは、本法の中に規定されなくてはならぬ、さう云ふ理由で伺ふのでありますが、例へて申しますと、既設の建物を除去をする、若しくは廢止をせしむると云ふやうな規定は、私は見當らぬやうに思ひますが、それは他の一面から言ふと、從來の都市計畫法の特例を設けただけと斯う云ふ言ひ方も言へるのでありますが、さうでなしに、此の戰災地を復興すると云ふのは謂はば民生の安定と云ふことになるのでありますが、それには從來の過剩人口と云ふものを徹底的に直さねばならぬ、さうして從來過剩人口と稱せられた過剩人口の意義如何と言へば、私をして言はしむれば、それは密集過ぎると云ふことであつて東京都に於て人口が多くなつても密集でなければ相當に考へられると思ふ、さう云ふ密集を直すと云ふことに付ては、此の法に於て私の見ました所では、どうしてさう云ふ過剩人口の原因を除去すべき條項を設けて居られぬか、斯う云ふことが承りたいのであります、例へて申しますと、此處で過剩人口の原因を成す所の學校であるとか、或は寺院も入ります、從來の都市計畫法ではさう云ふものを觸らぬやうにして居つたと斯う云ふのでありますが、今日以後の再建をするには、さう云ふもので障碍のあるものは、廢止若しくは移轉を命じ得ると云ふ條項をどうして設けられぬか、之を一つ承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=45
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046・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 過剩人口の問題に付きましては、之を解決する方法と致しまして、其の原因を除去するに努めなければならぬと云ふことは、今朝程申述べた通りでございますが、此の原因を成して居りまする工揚とか學校等を除去して行くと云ふ法規上の手續と致しましては、從來に於きまして、工場に付きましては工場法の取締と市街地建築物法の警察取締、斯樣な法規が設けられて居つたのであります、又學校に付きましては色々な學校令がございまして、此の學校令に依つて認可をすると云ふことに相成つて居つたのであります、從ひまして工場に付きましても學校に於きましても、是等を或程度制限すると云ふことに付きましては、是等の法規に依つて處置をして行きたい、斯う云ふ風に考へて居るのであります、市街地建築物法に付きましては之を改正致しまして、將來特に工場の濫立を制限するやうな趣旨の規定を設けるやうに致したいと考へて、左樣な心構を持つて目下調査中でございます、是は恐らく此の次の議會に御審議を願ふことになることと思ひます、それから學校の問題に付きましては内務省、文部省其の他關係方面と相談して居る所でございまして、其の結果法律の規定が要るものならば、將來別に左樣な法規を設けるやうに致したいと思ひます、何と申しまするか、國土計畫法と申しまするか、さう云ふ所謂國土計畫としての法規で行くか、或は在來の學校關係の法規に依つて左樣な方法を定めて行くか、何れかになると思ひますが、今の所そこ迄調査が進行致して居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=46
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047・松尾國松
○松尾國松君 もう一言御許し願ひたいのでありますが、私は今の御説明は非常に上手な御説明で、今一遍言ふのを封ずるには一番いい言ひ方なんです、それはどう云ふことかと云ふと、他の取締法なり認可の規定があると、斯う云ふ御話でありますが、今迄それがあつて迷惑して來て居るので、そんなものはいかぬです、其の次に今度は、更に國土法を作ると、斯う云ふ御話でありますが、私をして言はしむれば、其の前に之を實施すれば、之に依つてやつて行かなければならぬ、さうして國土法、假にさう云ふものが出來るとしましても、私をして言はしむれば、此の根本法に於て斯う云ふ法令があると、向ふの方でも考へるけれども、それはそつちの方でやつて行くので、從來と何等變る所はない、只今の御説明は、さう云ふことを工合よく連絡を取つてやると云ふ御話でありますが、私はさう云ふことを取り得ざるとも何とも言ふのぢやないが、從來の實績に徴しますれば、取り得ざることである、例へば復興院の方で文句を言はれると、復興院の方は復興院の方で、こつちはこつちでやるのだと云ふことで、何にもなりはしない、それだから、國土法を御作りになるならば、それは何時出來るか知らぬが、まあ豫定でありましで、其の前に是は一日も半日も緩うすることの出來ないもので、毎日實施して行かなければならぬ、それを國土法を作るので、それをどうすると云ふやうのことでは、御説明としては上手な御説明であるけれども、非常に此の法を實施する上に於ては遺憾なことである、斯う云ふ風に思ひます、それだから此の法にさう云ふ規定を入れて置く必要があるが、然らばどうするかと云ふことになるが、復興院は何も權限なしに從來通りやつて來て居ると云ふことならば、それは説明を聽くだけでいかぬと思ひます、それから本法に規定せざることを私は本法に規定する必要があると思ふ、それを今のやうな理由を以て規定をなさらぬのは不備である、斯う云ふことを考へる者であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=47
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048・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 私の申上げましたのは、今迄の法規で其の儘やつて行けるとは考へて居りませぬ、今迄の法規の結果今日の状況になつたのでございますから、能く調査の上、現在の法規で不十分なる點は、之を改正することに依つて目的を達し得るやうにしなければならぬことは、當然であると存じます、唯其の改正の技術的な方法と致しまして、本法案の中に之を入れると云ふことにせず、他の法規に依つて之を入れて行く、其の本の法規の惡いのは其の法規を改正すると云ふ風な運びにして行きたいと思つて居るのであります、復興院と致しましては、勿論此の問題に付きましては、最も深い關心を持つて居るのでありまして、實際計畫の面に於きまして、又法規其の他制度の面に於きましても、十分に各方面から調査研究を重ねて居るのでございまして、遠からざる將來に於て何か具體的な措置が執られるやうになることが出來ると豫想致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=48
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049・松尾國松
○松尾國松君 私はもう一言御許し願ひたいが、只今の御説明では私の申上げることを否定なさる理由には適切でないと考へて居るのであります、今のやうなことを何遍承つても現在に於てはさう云ふことは出來ない、本法は毎日々々急いで實施して行かなければならぬ、それに役所で文部省に關係する、或は内務省に關係する、或は商工省に關係すると、斯う云ふやうなことを御相談を願つて居つて、本法施行をそれ迄御待ちになると云ふことは出來るものではないと思ひます、それであるから本法に規定のないのが不備であると云ふことを今の御説明に依つて此の點は分りますけれども、そんなことでは本當の目的は達せられぬ、是だけは申上げて置きます、是で私は終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=49
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050・二荒芳徳
○委員長(伯爵二荒芳徳君) 御質疑は別にございませぬか、別にございませぬければ今日は此の程度で散會を致さうかと思ひます、次會は只今の所では明後日の一時半或は二時に開會することに致したいと存じます
午後一時五十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=50
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051・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 伯爵 二荒芳徳君
副委員長 男爵 松平外與麿君
委員
侯爵 黒田長禮君
侯爵 鍋島直泰君
子爵 岩下家一君
子爵 松平乘統君
子爵 保科正昭君
男爵 山根健男君
男爵 坊城俊賢君
男爵 内田敏雄君
松尾國松君
奧村嘉藏君
下出民義君
小野耕一君
奧主一郎君
宮澤俊義君
竹中藤右衞門君
山地土佐太郎君
政府委員
戰災復興院總裁 阿部美樹志君
戰災復興院次長 重田忠保君
内閣事務官 財津吉文君
同 大橋武夫君
内務事務官 岩澤忠恭君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00219460627&spkNum=51
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