1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○特別都市計畫法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年六月二十九日(土曜日)午後一時十分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=1
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002・二荒芳徳
○委員長(伯爵二荒芳徳君) それでは只今より開會を致します、前囘に引續きまして、御質疑を御許しを致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=2
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003・山地土佐太郎
○山地土佐太郎君 豫算のことに付て、政府委員の御話に依りますと、厚生大臣の所謂失業救濟豫算の六十億圓、是と結び付けてやると云ふ御説明であつたのですが、此の特別法案が是だけ大きい戰災の復興に付ての法案としましては、是が基本的の根本法案になると考へるとすると、餘り抽象的の説明で分りにくいのですが、此の法案を作らぬと、具體的に、例へば東京都で言へば、斯う云ふ點が斯う云ふ風に支障を來たす、さう云ふやうなことをもう少し現實問題として伺ふことが出來ますまいか、それから豫算としても、御承知のやうに、近來非常に勞銀が暴騰して居ります、食糧とくつつけなければなかなか勞務者も働きが出來ぬやうな事情ですから、此の法案を實施することに付ては頗る重要な問題であると思つて居ります、過日來、松尾委員から詳細に亙つて色々御質問申して居られたのですが、私も大體それに同感でありますが、之をやると斯うなる、斯うせぬと斯う云ふことに付て、どうしても此の法案を提出しなければいかぬと云ふことに付て、具體的に御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=3
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004・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 只今の山地委員の御質問に御答へ致します、只今議題になつて居りまする特別都市計畫法案は、考へ方と致しましては、從來やつて居りました一般の都市計畫法の一般規定では不十分な點を、特別な規定で補足をする、斯う云ふ關係になつて居ります、從ひまして此の法案に依らずとも、從來と同じやり方で復興を進めて參りますならば、現在の都市計畫法だけで一應出來ることになる譯でございます、只、それでは今日の戰災の實情が非常に廣凡に亙つて居りますし、又今囘立てられます復興計畫と云ふものが、可成り根本的な、將來に亙る都市計畫を作るものであります關係上、此の計畫を實現しまするには、此の特別都市計畫法案に定められますやうな規定を設けますことが實際上便利なのであります、斯樣な趣旨で出來たものであります、實際上、是等の規定の中で缺けて居つた場合にどう云ふ支障があるかと云ふ點を、主なる條項に付て申して見ますと、先づ本法案の第三條に於きましては、特別都市計畫上必要のあります時には、主務大臣が緑地地域を指定することが出來ることに相成つて居ります、さうして其の第三項に於きまして、緑地地域内に於ける建築物、土地に關する工事又は權利に關する制限は、勅令を以て定めることが出來る、斯樣な規定を設けて居ります、此の規定は現在の都市計畫法には缺けて居る規定でございます、沿革的に申しますと、太平洋戰爭開戰前に御承知の防空法が設けられたのでございますが、此の防空法に於きましては、都市の密集地帶の中に空地を設ける、さうして災害の際の被害を輕減する趣旨を以ちまして、市内に空地を設けると云ふ規定と共に、都市の周邊に於きまして空地地域を定めたのでございます、此の空地地域に於きましては、都市が周圍に向つて限りなく膨脹して行く勢を制限致しまする爲に、都市の周邊の一定地域に於ける建物を制限することになつて居つたのでございます、然るに此の防空法が前議會に於きまして他の戰時立法と共に廢止せられることになりまして、近く其の效力を失ふことに相成つて居るのでございますが、防空法の有效期間内に、東京、大阪、名古屋其の他大都市附近に於きましては空地地域を定めて居りまして、此の間の建物を制限致して居つたのであります、此の制限は今囘の戰災都市の復興に於きましても、都市の無制限の平面的な膨脹を抑制致すと云ふことが矢張り將來の都市計畫上も必要でございまするので、此の規定を存置して置かないと、郊外に於ける建物が無制限に殖えて行く、之を制限する爲に第三條の規定を設けた次第でございます、それから第四條に於きましては國庫補助を規定してございまするが、此の國庫補助の規定の設けられました趣旨は、今囘の戰災復興計畫と云ふものが非常に大きな仕事で金が掛かる、從つて一般の都市計畫に依る所の地方公共團體の負擔のみでは到底堪へられない、從って之に對して法律上國庫補助の根據を設けると云ふことが、將來國庫補助制度を戰災復興事業に採入れて、さうして事業を容易にさせる意味から言つて必要である、斯う云ふ趣旨で四條は設けられた次第であります、五條以下の規定は主として區劃整理の規定でございます、區劃整理は前囘申上げました通り、都市計畫に屬する道路、公園其の他の公共用地を捻出すると云ふことが第一の目的であり、又第二には、燒失區域内に於ける宅他を出來るだけ利用し易い形にして、其の利用價値を増して行かうと云ふのが第二の目的でございます、斯樣な目的から、戰災地域に於きましては、全面的に區劃整理を實施させたいと云ふ方針でございます、從ひまして此の區劃整理をやるに當りまして、從來の經驗等に徴しまして、斯樣な規定を設けた方が便利であると云ふ規定を、是以下に竝べてあるやうな次第であります、從ひまして此の以下にありまする區劃整理關係の規定と云ふものは、此の規定がなくとも區劃整理と云ふものが不可能にはなりませぬけれども、併し今度の戰災復興をやりまするに付ては、是等の規定があつた方が便利である、又斯う云ふ規定もなければ出來ないこともあると云つたやうな事柄がある譯でございます、主な點に付て具體的に申上げますと、第五條で土地區劃整理地區に編入する區域の範圍を擴げてございます、是は從來の土地區劃整理は都市計畫法に依つて居りまするが、比の都市計畫法に於きましては、御料地國有地、官有地、公共團體の公用又は公共用地、社寺境内地等の如きものは、區劃整理の區域に入れることが出來なかつた、從つて是等の官有地等を區劃整理に含めて全體の計畫を立て、全體の用地の調整をすると云ふことが出來なかつたのであります、然るに今囘は之を區劃整理區域に入れることに致しました、其の理由と申しますのは、今囘の區劃整理に於きましては、根本的な整理を實行致したいと存じまする關係上、從來普通の都市計畫として行はれて居ました區劃整理に比しまして、宅地の減少率、即ち減歩が非常に大きく相成ります、從つて此の減歩が大きくなる、其の大きな減歩を全部民有地だけに掛けると云ふことになりますると、民有地の減歩の負擔と云ふものが非常に過大に相成るのでございます、然るに實際戰災地區に於きましては、此の戰爭中或は戰爭後の状況に依りまして、官有地、公有地其の他で在來の用途に供することの出來なくなつた土地が相當ございます、例へば軍用地でありますとか、それも兵舍とか、練兵場其の他色々な軍事上の土地が在來の目的に供することが出來なくなりました、是等の土地は相當廣い面積を有つて居りまして、之を區劃整理に入れて減歩に充當しますると云ふと、民間の減歩を非常に減少することが出來る譯でごさいます、斯樣な意味に於きまして、從來別格に扱つて居りました官有地、公有地其の他斯う云ふやうな土地を今囘は區劃整理の中に入れまして、それに對しても必要に應じては民有地と同樣の減歩を掛けて行くと云ふ風な措置を講ずることに致した譯であります、それから第六條は金錢に依る換地の規定でございますが、從來の都市計畫法、即ち都市計畫法に於て準用せられました耕地整理法の建前に依りますと、特別な場合を除きまして、區劃整理に於ては必ず土地の權利者に對しては土地を交付する、減少はしても必らず土地で以て交換分合をして土地を與へて行くと云ふ方法であつたのでごさいまするが、曩にも申上げました通り、今囘の整理に於ては減歩が非常に大きくなりまする關係上、若し土地の所有者其の他の關係で、此の際土地の權利を抛棄して、金錢を以て清算して貰ひたいと云ふ者がありましたならば、之を金錢で清算することに依つて、外の人の土地の減るのがそれだけ防げることに相成る譯でございます、斯う云ふ規定を設けた譯でございます、其の次に、第七條から第九條迄の規定は、小さな宅地を出來るだけ整理をして參りたいと云ふ趣旨でございまして、從來の一般の區劃整理に於きましては、減歩は出来るだけ率を公平にして行く、即ち減歩の率、例へば百坪の土地が整理の結果減りまして七十坪になる、是は三割の減歩に相成る譯でございますが、假に三割の減歩があるとすると、整理の關係人に付て出來るだけ平等の割合を以て減歩をさせて行くと云ふのが、從來の法律の建前でございました、然るに戰災都市に於きましては、色々な關係上小さな宅地が非常に多いのでございます、此の小さな宅地を矢張り平等の割合で以て減らすと云ふことに相成りますると、益益小さくなつて行く、此の小さい宅地と云ふものが今後の都市の建設の上から申しますると大きな妨げに相成るのでございまして、將來の耐火構造の建築を作る場合に於きましては、小さな宅地を整理すると云ふ必要がある、此の關係上、出來るだけ小さな宅地を斯う云ふ機會に整理して行くと云ふことを一つの方針と致して居る譯でございます、從ひまして此の小さな宅地、即ち三十坪以下と云ふやうな土地は、出來るだけ減歩を平等の割合で以て掛けない、寧ろ減らさない、又必要があれば寧ろ逆に殖やすと云ふやうな方法を講じまして、出來るだけ小さな宅地が發生して行くと云ふことを防ぐ、又從來あつた宅地も、此の機會に出來るだけさう云ふ小さいものは整理をして行く、斯う云ふ風な措置を講ずる爲に是等の規定が必要と相成つた譯でございます、それから本法案に於きまして特に重要な規定は第十六條でございまするが、第十六條に於きましては、只今申上げました民有地の減歩の中で一割五分迄は無償で以て提供させる斯う云ふ規定でございます、此の規定は從來の區劃整理に於ては土地の權利者の申合せに依つて斯ふ云ふことを實施致して居つたのでございまして、其の意思に反して無償で減歩を強制すると云ふことは出來なかつたのでございますが、關東震災の後の區劃整理に於ては斯樣な規定を設けまして、御承知の如く一割を無償提供させると云ふ措置に出られたのでございます、今囘は之を一割五分迄の無償、斯う云ふ規定を設けた譯でございます、大體此の法律がなければ困ると云ふやうな點に付きまして主なるものを拾つて申上げた次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=4
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005・山地土佐太郎
○山地土佐太郎君 大體分りましたが、此の豫算は、此の法案が決定してから外の關係方面と折衝しておやりになる御趣旨ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=5
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006・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 豫算に付きましては法案に關係なく別途に決定される、斯う云ふことであります、目下正式に提案にはなつて居りませぬが、所謂公共事業費と致しまして、今年度に於きましては、公共事業費六十億と云ふものの中に必要な關係經費が織込まれることに相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=6
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007・松平乘統
○子爵松平乘統君 勅令委任事項案の第三條の「緑地地域においては、次の各號に掲げる建築物でなければ」、其處の所で、第四番に、「前各號に掲げるもの以外で緑地地域の效用を害する虞がないと認められる建築物」と云ふのがありますが、どう云ふものが「效用を害する虞」があるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=7
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008・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 緑地地域に於きまして豫想せられまする施設と致しましては、之を公園、運動場、市民農園と云つたやうなものに致しまして、出來るだけ都會の騷音と塵埃から隔離した衞生的な環境を作つて行かうと云ふのが、其の狙ひであります、從ひまして一般の集團住宅であるとか、域は煤煙とか、騷音とかを伴ふやうな各種の工場、事業場、斯う云つたやうなものは當然有害な建物として禁止される、斯う云ふことに相成ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=8
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009・松平乘統
○子爵松平乘統君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=9
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010・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 先程の御答辯の中に、豫算に付ては比の法案には直接關係なく別途に決定されると云ふ御話ですが、二十一年度に此の土地區劃整理事業に要する大體の關係の豫算の總額はどの位のものでせうか、又此の事業は恐らく永年に續くものでありますから、假りに各都市を集めまして施行せられるに方りまして、一體繼續費としては何年位續くのでありますか、御差支ない程度に於て御伺したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=10
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011・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 本年度の豫算と致しましては、昨年の暮に一度政府の豫算閣議に於て決定せられましたが、其の後、情勢の變化に依りまして、本年の三月になりまして、其の數字が改められまして、三月に一應本年度豫算の大體の輪廓が決定せられました、其の當時決定せられました金額と致しましては、土地區劃整理事業費と致しましては、本年度分として約一億一千萬圓ばかりでございます、此の區劃整理事業費に伴ひまして、區劃整理の結果、街路の應急的な新設が必要になる譯でございます、又水道、下水道の移轉等が必要になる譯でございまするが、街路に付きましての方針と致しましては、區劃整理の結果、どうしても新しく作らなければ日常の交通に現實に支障を生ずると云ふやうな、緊急差措き難い道路だけに付きまして、其の經費を見積りましたものが、街路事業費二千二百萬圓ばかりでございます、上水道に付きまして、三百七十萬圓、それから下水道に付きまして千五百萬圓、是が例年の場合に於きましては、所謂當初豫算の中に概定せられた金額でございます、此の金額は、全體の計畫、即ち戰災復興計畫全體の枠から見ますると、極めて少額でございまして、若し年々此の程度の經費で行くと云ふことになりますると、數十年、或は百年位しないと全體の完成が出來ないと云ふ位な少額に止まつて居るのでございます、從ひまして、斯樣な状態でございまするので、繼續費として此の費用を組むと云ふやうなことが今の處豫想されませぬので、毎年々々の經費を其の年限り組んで行くと云ふ方法で、經費を賄ふことに相成ると存ずるのでございます、全體の金額がどの位になるかと云ふことは、今日の物價其の他の關係……殊に變動期でございますし、又計畫に付きましても極めて大雜把にしか決つて居りませぬので、確たることを豫想致しますることは困難でございまするが、私共の大體の感じと致しましては、區劃整理を豫定通りやると致しまするならば、今日の貨幣價値として見て、少くとも百億位の經費が區劃整理費で要るのではないかと云ふ風に豫想を致して居るのでございます、尚先程申述べました如く、此の本年度分として一應豫定されました豫算は、公共事業費の一環として其の中に組込まれて居るのでございまして、此の六十億の中でどれだけの經費が復興事業に廻るかと云ふ問題、即ち先程申上げました金額が今年度に於て失業救濟の趣旨を以てどの程度増額されるかと云ふ點は、今後の折衝に依つて決る、斯う云ふ風な運びに相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=11
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012・小野耕一
○小野耕一君 現行の都市計畫法と云ふものは不十分であるから、此の特別都市計畫法と云ふものを御提案になつたのでありますが、是でまだ十分と云ふことは言へないのではありませぬか、又尚第二、第三の特別都市計畫法と云ふものが續いて出ると云ふやうなことはありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=12
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013・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 戰災復興計畫の全體が完成致しまするに付きましては、先づ街路、公園と云ふやうなものの計畫を定めますることが第一でございます、次に是等の計畫されました道路、公園、街路其の他の事業を實施して行くことが第二でございます、此の第二の點に付きまして、今囘の法案が主として區劃整理の規定として提案になつた次第でございます、此の外に都市計畫の第三の面と致しましては、斯くして決定されました地域に於ける建築物を如何に造るかと云ふ問題、即ち建築物の監督、取締の面がございます、此の法規は現行法に於きましても、都市計畫法と離れまして、市街地建築物法と云ふ中に設けられて居ります、其の中には都市に於ける各種の用途地域、即ち住居地域、商業地域、工業地域と云ふ風な土地の用途を定めること、竝に斯く定められました用途地域に於けるそれぞれの建築物に付ての警察監督、斯う云ふ規定が設けられて居ります、此の建築物の監督に付きましては、今囘の特別都市計畫法は都市計畫法と同樣全然觸れて居りませぬ、此の點に關しましては現行の市街地建築物法の改正の問題として目下調査中でございますので、恐らく成案を得ましたならば次の議會に御審議を煩はすやうなことになりはせぬかと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=13
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014・小野耕一
○小野耕一君 尚此の復興計畫に付きましても、東京都の如く政治の中心地、學問の中心地と云ふやうな特殊の性質を持つて居るものもありますし、大阪とか名古屋のやうな商工業の特質を持つた所もあり、又函館のやうな所になりますると、本土と北海道を連絡するのに重要なるものであつて、且季節に依つて海岸方面から出火でもある場合には、山の方迄も延燒して行くと云ふやうな虞も十分あるのでありますが、それ等は此の幅員百「メートル」を以ての道路で十分間に合ふや否やと云ふこともある譯で、どうも一律一體に此の都市計畫をして行くと云ふことは、非常に不便のことばかり多いのではないかと云ふやうに私は感じられる、此の邊に對して、何か各都市の地理的關係及特質とでも申しますか、さう云ふものに對しては別個の勅令か何かで御定めになる御考へがあるのですか、其の點を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=14
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015・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 特別都市計畫法及都市計畫法に於きましては、何れも一般的な、抽象的な規定のみが盛られてございます、而して只今御示になりました如く、各都市に相應しい道路なり緑地なりの構造、企畫と云ふやうな問題に關しましては、此の法規の運用と致しまして、地方々々に應じた適切なる計畫を立てるやうにして行く、斯う云ふ風に指導致すことになつて居ります、又是は中央として指導致すばかりでなく、何分戰災都市が全國に亙つて居りまして、中央として全部の計畫を責任を以て立てると云ふことは實際上困難でございまするから、出來るだけ地方々々の公共團體は地方機關に於て、それぞれ自己の力に依り、自己の性格に應じた都市計畫を立てて、本當の地理的、經濟的、社會的な環境に相應はしい、個性のある都市計畫を立てるやうに指導を致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=15
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016・小野耕一
○小野耕一君 都市計畫の中の別個の問題かも知れませぬが、能く燒けた「ビルディング」なんか大分あるのでありますが、それ等の補修などをするのに、其の「ビルディング」は大體燒けて火災保險などは取つてありませうが、それ等は特殊預金と云ふやうな形になつて居るのです、尚又自己資本を以てやると致しましても、是は封鎖と云ふやうな形にもなつて居ると思ひます、是ではなかなか復興と云ふか、修繕も出來ないと云ふやうな形になつて居るのですが、矢張り關東大震災の時分に復興助成會社と云ふやうなものが出來て、是が金融をして作られたのも大分あるのでありますが、是は此の前に竹中委員からもちよつと御質問があつたやうでございますが、何か斯う云ふやうなことを御計畫にならぬと、どうも使へるやうな「ビルディング」は全部駐屯軍に依つて接收され、燒けたものは其の儘立殘つて居ると云ふやうなことでは、事業會社などは行く所がないと云ふやうな状態になるのぢやないかと思はれまするが、斯う云ふ所に對しては何か御考が御ありになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=16
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017・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) 「ビルディング」罹災の數字から申しますと、罹災致しました「ビルディング」は、全國で延坪に致しまして五百萬坪と云ふ大體推定になつて居ります、勿論東京が一番多いのでありまして、其の他大阪、神戸、名古屋、横濱等でございますが、此の中、補修を致しまして住宅に轉用致しましたものが今日までに大體四萬五千坪程でございます、此の方面は我々の方と致しましても、更に本年も引續き相當やつて參りたいと考へて居るのでありますが、其の外に、只今の御質問は住宅と云ふのみならず、一般事務所なり何なりに對して補修をする爲に助成をしたらどうかと云ふ御質問であつたと思ひますが、何分今の處、先づ住宅問題が先決だものでありますから、只今の處大體我々の考へて居るのは、住宅に使用する場合のことを一應考へて居ります、併し住宅以外のものに使用致します場合にも、さう云ふやうな方法に依りまして之を復活して有效に使ふと云ふことは、誠に結構なことでありますので、其の點も一つの研究問題としては考へて參りたいと存じます、唯、今日迄私共が「ビルディング」協會其の他各位と御話致しました結果に依りますと、或は問題は寧ろ補助とか何とかさう云ふ問題よりも、一つは地代家賃統制令の關係、此の關係がもう少し實情に合ふやうになれば、もつと自分達の手でどんどん補修もし、復活も出來ると云ふ、斯う云ふ御意向も相當あるやうであります、是等の點は、地代家賃統制令の改正と云ふことを目下關係方面と色々折衝致して居ります、それこれ相俟ちまして、大體只今の御質問の御趣意に副ふものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=17
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018・二荒芳徳
○委員長(伯爵二荒芳徳君) 他に御質疑はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=18
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019・山地土佐太郎
○山地土佐太郎君 此の復興院の方で、特別都市計畫上、過大人口を整理すると云ふことは大きな問題ですが、其の問題と、それから都市の中心地、即ちどの方面を商業中心地にし、どの方面を學校中心地とか、或は住宅中心地とか、或は官衙の中心地とする、さう云ふやうな計畫に付て、御差支なければ伺ふことは出來ませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=19
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020・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 過大人口の整理の問題に付きましては、結局大都市に集つて居りまする人口を何等かの方法に依つて地方に分散させると云ふことになる譯でございます、特に目下私共の手許で研究致して居りまする點は三つの點でございます、と申しますのは、此の人口増大の原因になつて居りまする最も大きなものは、戰前竝に戰爭中に於きましては工場の集中でございます、東京、大阪、名古屋等に於きまする工場の集中、之に付きましては出來るだけ工場地帶を制限して、是等の工場を外へ追出すと云ふことが必要であると思つて居ります、是と併行致しまして、追出された工場が東京に代るべき有利な條件を以て經營し得るやうな場所を、地方に準備してやると云ふ措置が伴はなければ困りますので、即ち新しい工場地帶を作ると云ふ方法に行かなければならぬと思ふのでございます、之に付きましては、港灣、鐵道、道路其の他極めて多方面な施設を伴はなければなりませぬので、目下内務省を中心にして此の問題を研究中でございます、それから次には、もう一つ人口集中の原因を成して居りました學校、特に東京都に於きましてはさうでございますが、之を分散させると云ふことが必要になるのでございます、此の問題に付きましても調査中でございます、それから第三には、學校ばかりでなく、病院であるとか、研究所であるとか、或は色々な經濟的な機關、斯う云つたやうな文化的施設を地方へ分散すると云ふやうなことも考へられなければならぬと思ふのでございます、斯樣な問題は所謂國土計畫の問題でございまして、國土全體を如何に活用するかと云ふ立場から、即ち單なる一二の都市と云ふ問題でなく、國土全體の立場から研究、決定さるべきものでございまするので、斯樣な點に付きまして、現在政府と致しましては、内務省が中心になつて推進を致して居るやうな次第であります、それから都心の問題、即ち大都市の地域、地區がどう云ふ風になるかと云ふ問題でございますが、東京都に於きましては、從來所謂商業の中心、特に丸の内、京橋、日本橋方面を中心にして所謂都心と云ふものが出來て居つたのでございまするが、東京都の今囘の復興計畫に於きましては、此の都心を分散する、其の方法と致しましては、山手方面に一つの新しい都心を作る、四谷、新宿を中心として、此の方面に或程度の商業街の中心地を作つて行く、斯う云ふことに依つて、丸の内、銀座方面に集中して居りました都心的な施設を出來るだけこちらの方へ移して行く、是は最近の東京都の交通其の他の關係から見ましても、亦東京都の周邊の關係から見ましても、東京の中心が次第に西の方へ向つて今後は移るべきものであると云ふやうな見地から、さう云ふことが考へられて居るのでございます、それから學校、官廳等の計畫に付きましては、東京都に於ても尚決定の域に達して居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=20
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021・山地土佐太郎
○山地土佐太郎君 御承知のやうに戰災後、東京の所謂舊市内から新市内に掛けて、就中杉並區あたりの西荻窪、荻窪、阿佐ケ谷と云ふやうな所、外の方にも澤山ありますが、急激に人口が膨脹して、而も東京の方では進駐軍に接收されることが餘程増加して來て居ると云ふ傾向になつて居りまして、それが爲にさう云ふ方面に、單に人口、住宅だけでなくして、小さい工場とか、或は商業方面も相當興つて來て居る、是等に對して一向それに對應する計畫と云ふものが見えて居りませぬが、是等に付ては何か御計畫を御持ちになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=21
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022・大橋武夫
○政府委員(大橋武夫君) 今御示しのやうな傾向は、今後も當分維持されると云ふ前提の下に、只今東京都の都市計畫で調査致して居ります、即ちそれに依りますと、今迄何と申しますか、買物街と申しますか、商業の中心でありましたものを西の方へ或程度移行して、特に新宿、澁谷、池袋、高田馬場、斯う云つた方面に專用の商業地帶を設けて行く、それから在來各區に於きまして、帶状につて居りました商業地帶を、或程度地區的に整理を致しまして、さうして色々な商店を或所へ纒めて行くと云ふやうな措置を執るやうにしたい、それは法規の運用と致しましては、市街地建築物法に基きまする地域、地區の決定として行はれるのでございまして、東京の適當な地帶に、此處は盛場の地帶、此處は商業街、所謂「シヨッピング」の地域と云ふやうなことを決定して行く、比の計畫は或程度具體化致して居りまして、目下其の正式の決定の手續として、東京の都市計畫委員會に懸つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=22
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023・二荒芳徳
○委員長(伯爵二荒芳徳君) 如何でございませう、御質疑も餘りないやうでありますから、此の邊で討論に移ります、別に此の問題に付て討論の御發言もないやうでありますから、採決に移ります
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=23
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024・二荒芳徳
○委員長(伯爵二荒芳徳君) 本法案に對して、之を可決するに付て御贊成の方の擧手を願ひます
〔全員擧手〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=24
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025・二荒芳徳
○委員長(伯爵二荒芳徳君) 全會一致で本法案を可決致しました、之を以て散會と致します
午後二時十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=25
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026・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 伯爵 二荒芳徳君
副委員長 男爵 松平外與麿君
委員
侯爵 黒田長禮君
侯爵 鍋島直泰君
子爵 岩下家一君
子爵 松平乘統君
子爵 保科正昭君
男爵 山根健男君
男爵 坊城俊賢君
男爵 内田敏雄君
松尾國松君
奧村嘉藏君
小野耕一君
竹中藤右衞門君
山地土佐太郎君
政府委員
戰災復興院總裁 阿部美樹志君
戰災復興院次長 重田忠保君
内閣事務官 財津吉文君
同 大橋武夫君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002789X00319460629&spkNum=26
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