1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
付託議案
○農林中央金庫法の一部を改正する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=0
-
001・会議録情報2
―――――――――――――――――――――
委員氏名
委員長 公爵 桂廣太郎君
副委員長 子爵 安藤信昭君
侯爵 四條隆徳君
伯爵 前田利男君
子爵 北條雋八君
子爵 土屋尹直君
男爵 内海勝二君
男爵 中村貫之君
男爵 三須精一君
男爵 倉富鈞君
中村藤兵衞君
竹下豐次君
今井五介君
三橋四郎次君
諸橋久太郎君
伊藤傳七君
佐々木嘉太郎君
安田伊左衞門君
栗栖赳夫君
―――――――――――――――――――――
昭和二十一年七月三日(水曜日)午前十時八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=1
-
002・桂廣太郎
○委員長(公爵桂廣太郎君) それでは只今から「農林中央金庫法の一部を改正する法律案」の特別委員會を開會致します、初めに農林大臣より説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=2
-
003・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 私から農林中央金庫法の一部を改正致しまする法律案の提案の理由に付て御説明申上げます、御承知のやうに、終戰に伴ひまして、發生致しました色々の經濟上の困難を克服致しまする爲には、何と言ひましても各種の生産力を向上致しますることが第一番に必要なことでございまして、就中食糧の増産と見返り物資の増産は刻下の急務であると存じまするが、之を達成致しまする爲には、各種の生産要素の此の方面に對しまする重點的な活用を圖らなければならないのでございまして、事業資金に付きましても、各種の金融機關の協力の下に、極力其の圓滑な融通を確保して參らなければならないのであります、而して農林中央金庫は現在相當巨額の資金を擁して居るのでございまするが、之をして、より一層此の方面に協力せしめるやうに致しますることは、現下の金融事情に鑑みまして、適切な措置と存ずるのでこざいます、從ひまして、農林中央金庫の業務上の制限に付ての緩和を圖りまして、其の活用の途を開きますると云ふことが、此の改正法律案の趣旨となって居るのでございます、改正の要點は四つでございまして、先づ第一の點は、見返り物資生産の大宗でありまする養蠶、製絲業の向上發達を圖りまする爲に、蠶絲業會、蠶絲協同組合に對しまして、農林中央金庫の出資者たる資格を與へまして、其の資金の需要に應へることと致したのでございます、第二點は、農林中央金庫の所屬團體が行ひまする所の自作農創設維持事業及農地の開發事業等に對しまして、農林中央金庫の自己資金を以て致しまする長期年賦の資金融通の途を擴充せむと致すものでございます、是等に付きましては、從來政府資金の融通を得て居ったのでございまするが、今年の當初、聯合軍司令部の覺書に依りまして、此の政府資金の融通が停止せられました爲に、政府資金に代りまして、農林中央金庫の自己資金を充て得る途を開かうと致すものでございます、第三點と致しましては、戰時の軍需産業に對しまする特殊金融機關と致しましての戰時金融金庫が現在閉鎖されて居りまするので、之を農林中央金庫の貸付先の中から除くと云ふことでございます、最後に第四點と致しましては、農林水産業に關しまする事業を營む法人に對しまして、設備資金等の相當長期の資金の圓滑なる融通の必要に迫られて居りまする爲に、是等に對しまして、農林中央金庫の餘裕金の一部を融通し得ると云ふ新たな途を開くことと致したのでございます、以上が此の政正法律案を提出致しましたる理由の大要でございます、何卒御審議の上速かに御可決あらむことを御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=3
-
004・桂廣太郎
○委員長(公爵桂廣太郎君) それでは質問に移りますが、其の前に資料の御要求のある方は只今御申述べ願ひます、只今ございませんければ、後程でも結構でございます、それではどうぞ御質問願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=4
-
005・三須精一
○男爵三須精一君 現在迄に此の中央金庫が貸出した中には、水産とか、農業とか色々ありませうが、どう云ふ方面にどれ位の金額が貸し出されたのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=5
-
006・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 資料は後で御配り致しますが、大體貸出金は随分澤山ございまして、農林中央金庫の短期の貸付だけの主なものを取って見ましても、日本罐詰統制株式會社に二千九百九十萬圓、日本木材株式會社に七千四百八十餘萬圓、日本藷類配給統制株式會社に一億一千一百萬圓と云ふやうに、非常に澤山のものに貸付を致して居りまするが、是は資料と致しまして後で御配り致すことに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=6
-
007・三須精一
○男爵三須精一君 尚此の長期貸付と云ふものと、短期貸付と云ふものの年限はどの位になって居りませうか、それと貸付利息の點はどんな工合になつて居りますか、尚其の貸付はどう云ふ方法で以て爲さるのでございますか、其の點を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=7
-
008・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 此の長期の方に付きましては、所屬團體に貸付ける所謂年賦償還或は定期償還でございますが、是は御配り致して居ります資料の農林中央金庫法の第十三條にございますが、是は普通所謂五箇年以内の定期償還、或は三十箇年以内若しくは五十箇年以内の年賦償還、斯う云ふ風に長期になって居ります、短期の方は同じ法律の第十五條にございますが、是は餘裕金の運用に限って居るのでございますが、是は現在一箇月とか、或は九十日とか云ふやうな、極く短期間の期限を以て貸付て居るのでございます、尚利息に付きましては、長期貸付に付ては、年賦とか、或は證書とか、手形とか、色々ございますが、普通は四分五厘程度の率で貸付けて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=8
-
009・倉富鈞
○男爵倉富鈞君 大臣のいらつしやる所で事務的の細かいことになるやうなことを質問申上げることは恐縮でございますが、大體今度の金庫法の御改正の趣旨には、私少しも異論はないのでありますが、此の十四條の二の今度の御改正に依りまして、政府資金に準じまする自作農創設維持の事業竝に農地の造成及改良に關する事業に對する年賦貸付は、十三條の拂込出資金と農林債劵の發行額の合計を超えてはならぬと云ふ、年賦の貸出、貸付の制限の埓の外に除外されると云ふことになって、其の方面に自由に年賦貸付が出來ると云ふやうになることのやうに思はれるのでありますが、本業の方の十三條の貸付は、依然として其の限度の制限を受けて居ると云ふやうに一應考へて宜しうございますな発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=9
-
010・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 十三條の方は其の儘にして置きまして、唯十三條では資金の關係で以てうまく動かぬものでありますから、此の十三條の分に付きましても自己資金で貸せると云ふ途を開きたいと云ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=10
-
011・倉富鈞
○男爵倉富鈞君 十三條の方でも自己資金で融通出來るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=11
-
012・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 左様でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=12
-
013・倉富鈞
○男爵倉富鈞君 其の場合は貸出の限度の制限は殘る譯でございますな発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=13
-
014・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 左様でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=14
-
015・倉富鈞
○男爵倉富鈞君 もう一つは、今度の餘裕金運用の短期貸付では、十年迄の定期貸付が出來ると云ふことになって居りますが、此の金庫の方では、本業では依然として、森林組合關係を除いては、定期貸付は五年以内と云ふ制限が殘って居る、それ等が實際の金庫の仕事をやって行く上に於て差支へないものでせうか、餘裕金運用としては十年迄はやれる、本業としては五年しか出來ないと云ふのが、何だか片手落のやうな氣が致します、言葉は變ですが、さう云ふ所に何だか金庫法全體に付て改めて戴いても宜い所があるのぢやないかと云ふ氣がするのでありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=15
-
016・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 御尤もな御質問ですが、此の餘裕金に付て、十年と云ふ謂はば中期の金融を認めましたのは、今の金融事情から言ひまして、中金の方に相當の餘裕金の運用の餘地がありまするのと、それから運用と致しまして、貸付先に付ては十分吟味致しまして、放恣に流れないやうに實際に應じてやつて行きたい、今考へて居りますのは、日本肥料でありますとか、農地開發営團でありますとか云ふ所でありますが、さう云ふやうな所は、五年と云ふ短期間では困るので、固定資産の鎖却の點から言ひましても、必要な方面に今必要な途が開かれて居らず、而も今の金融事情から言ひましても、實際に中金に餘裕がある譯でございますので、餘裕金の運用上は十分之を愼重に考慮しながらやつて行く、斯う云ふやうに考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=16
-
017・倉富鈞
○男爵倉富鈞君 今度の自作農創設の資金や何かを貸す場合には、今迄と同じやうに、農業會を通じて融通すると云ふ從來の建前でおやりになる御考ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=17
-
018・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 左樣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=18
-
019・倉富鈞
○男爵倉富鈞君 それではまどろつこしいと云ふやうな聲は起りませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=19
-
020・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) それは中金側と致しましては、只今のやうな、色色な要望があるのでございますけれども、此の自作農の資金の行き方は、矢張り農地に直接關係のある農業會でありますとか、農地委員會の斡旋を待つやうにした方が、事業の關係もございますので、矢張り從來通りやって行くのが宜いと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=20
-
021・竹下豐次
○竹下豐次君 此の農地の改革の問題に付きましては、又農地關係の法律案が近い内に政府から提出されることになるのであらうと思ふのでありまするが、二十六日の毎日新聞に、農地改革問題に關する農林當局の意嚮であらうと思はれるやうな記事がございました、あれが大體今度提案されるものの骨子であるであらうと私は想像したのであります、あの問題と現在茲に提案されて居りまする法案との間には、密接な關係がありますので、若し御許しが出たら具體的に細かい説明をして戴きたいと思ひます、尤も此の法案はまだ御出しになつて居りませぬので、後でなくちや困ると云ふ御意嚮でありましたならば、今日に限つたことでありませぬが、唯私豫算委員でもありませぬので、本會議で御尋ねしますには餘りに問題が小さ過ぎますので、若し他の方に時間を御潰しになる必要がありましたら、私の方に時間を割いて御答へ戴いたら仕合せだと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=21
-
022・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 毎日新聞に出ましたのは、私まだ讀んで居ないのですが、農地の問題は實はまだ内容を發表する迄に至つて居りませぬので、それとの關係と云ふと、私共と致しましては實は御答へ致し兼ねると思ひますので、農地の問題が出ました時に、色々と御質問なり御注意なり戴きますれば結構と思ひます、農地の問題は内容的に發表致す時期でありませぬので、關係方面との了解もまだ得るに至つて居りませぬし、殊に「毎日」に出ましたのはどんなことでありますか私知りませぬが、まあ大體想像は付きますが、さう云ふ事でございますから御了解を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=22
-
023・竹下豐次
○竹下豐次君 項目をはっきり書いてありましたので御尋ね致しましたのですが、さう云ふ御事情でございましたら、後程又御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=23
-
024・北條雋八
○子爵北條雋八君 此の法案で、前の改正で以て軍需の融資に運用するやうに改正されたやうに記憶して居るのですが、それが爲に終戰になって金庫として損害を受けた部分があるのぢやないかと思ひますが、さう云ふことはないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=24
-
025・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 御答へ致します、戰時金融金庫が實は貸付事務の對象として入つた譯でありますけれども、今の處、中金と致しましては、五億七千萬圓ばかりの戰時金融金庫債券を持つて居ります、さう云ふ状態であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=25
-
026・北條雋八
○子爵北條雋八君 尚伺ひますが、今度の此の改正に依りまして融資をする大體の團體別と申しますか、出資者別の御見込の金額は御分りでございますか、極く大體の所で結構でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=26
-
027・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 各事業の資金計畫はまだはつきり決つて居りませぬが、大體肥料資金としましては、復興其の他の資金を合せまして三十五億程度、それから自作農に致しましても、例へば自作農に要する資金の七割と云ふものを假に貸出資金として使用すれば約三十五億、生産資金としましても、三十四億位、斯う云ふ風に言はれて居ります、併し細かい點はまだ決つて居りませぬが、此の中から中央金庫で以て出來るだけ協力したい、斯う云ふやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=27
-
028・北條雋八
○子爵北條雋八君 此の林業團體方面に融通される金額は大體どの位の御見込になるのでございますか、是は木材統制が多少緩和されると云ふやうな噂もありますし、是亦現在御發表にはなれないかと思ひますが、森林組合の活動範圍は相當擴張されて居るのではないかと思ひます、さう云ふやうな關係から、相當其の方面に融通をしなければならないと云ふことになつて來るのぢやないかと思ふので伺ふのでありますが、其の大體の御見込が御分りになつて居りますれば伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=28
-
029・石川準吉
○政府委員(石川準吉君) 現在木材關係、森林組合に付きましては、まだどれ程要るかと云ふ見透しを私共聞いて居りませぬので、はつきり御答へ申上げられませぬが、唯、申込がございますれば出來るだけこちらの方でも運用したいと考へて居ります、現在は日本木材株式會社であるとか、地木社の方に多少資金が出て居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=29
-
030・安田伊左衞門
○安田伊左衞門君 伺ひますが、此の自作農創設に要する農業會の年賦償還で貸付けると云ふ金は、地方に依つて種々違ひませうけれども、平均しましたならば何年間位の年賦償還と云ふことになりませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=30
-
031・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 今は此の自作農の資金は二十四箇年賦になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=31
-
032・安田伊左衞門
○安田伊左衞門君 決つて居るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=32
-
033・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 決つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=33
-
034・桂廣太郎
○委員長(公爵桂廣太郎君) ちよつと御諮り致しますが、此の際、委員外の山地君より質問の要求がございます、宜しければ此の際許可致したいと思ひますが、如何ですか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=34
-
035・桂廣太郎
○委員長(公爵桂廣太郎君) それでは山地君に發言を許します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=35
-
036・山地土佐太郎
○委員外議員(山地土佐太郎君) ちよっと大臣に伺ひます、戰時中は戰爭の目的の爲に、戰時金融金庫、南方開發金庫と云ふやうなものが出來て、所要の増産に非常に力を入れた、終戰後はさう云ふ必要もないと同時に、今度は食糧の増産と云ふことが、恰も戰時中の戰力増強と同じやうに非常な重要性を持つて來たことは、御承知の通りであります、今日是等の戰時金融金庫とか、さう云ふものに代るべきものは、是迄は銀行が主として金融をやって居りますけれども、銀行が軍需方面の金融の補償問題等の解決が出來ぬ爲に、非常な金融難に陷つて居るのであります、そこで、それに代るべき唯一の金融機關が只今改正法案になつて居りまする農林中央金庫と思ひます、それで、農林中央金庫をして戰時中の戰金、南方開發のやうな使命を持たして、十分に御やりになると云ふ御考へでございませうか、是が御尋ねしたい第一點でございます、次は只今大臣から御説明で、事業を營む法人に金融をするやうな途を今度開く、至極結構なことと思つて居りますが、坊間傳ふる所に依りますと、法人と云ふものの解釋に付きまして、法人は公益法人を指して居るのだと云ふが、是は間違つて居るだらうと思ひますけれども、法人は所謂商法に於ける法人で、最近御承知のやうに船價の暴騰の爲に、水産金融の如きものは今迄十萬圓、二十萬圓で出來た船が、百萬圓、二百萬圓と云ふやうな非常に厖大な資本を要することになって居りますから、とても個人では經營が困難になって居ります、刻下非常に急を要する食糧の増産に付ては、どうしても個人より法人に轉ずる傾向がありますので、百萬とか、二百萬、或は三百萬、五百萬と云ふやうな小さい會社が簇出して居る今日から今後の見透しでございますが、さう云ふ百萬、二百萬、三百萬と云ふやうな法人にも、此の中央金庫に於て金融の途を開くやうにすると云ふのが此の改正の御意思でございますか、此の二つを御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=36
-
037・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 御答へ致します、現在の事情から言ひますと、資金の面から言ひますと、御説のやうに今力があるのは、實は農村であります、それで農村に於て蓄積されました資本は、是はずっと系統を通りまして、中央金庫に集まって居ると云ふ譯でございます、從ひまして、此の方面に集つて居りまする資金を出來るだけ食糧の増産でありますとか、其の他農林水産業の發逹の方向へ投資する途を講じますることは、是はなんと言ひましても、今の現状から行きますと必要だと思ひますので、我々と致しましては、農林中央金庫に集まりました資本を、出來るだけさう言ひました意味に於きまして投資さして行く、斯う云ふことを考へまして、今度の改正案を出したやうな譯でございます、何と言ひましても、農業金融と云ふ點だけからでなく、全般の金融と云ふ點から言ひましても、農林中央金庫の占める地位は非常に高まつて居ると思ふのでありまして、それだけに益益農林中央金庫としましては、其の資金の運營に付きましては、十分現在の事情に照しまして、必要な方面に資金が行くと云ふことにしなければならぬと我々は考へて居る次第であります、是は農林中央金庫を十分働かして行かうと、斯う思つて居るのであります、それから第二點の法人の點でありまするが、今度餘裕金の運用に付て特別に十年と云ふ中期の途を開きましたのに關しましては、公益法人のみならず營利法人にも貸すことがあると思ひます、併し營利法人と言ひましても矢張り農林水産業の關係が厚くて、實際上食糧の増産でありますとか、或は見返り物資の増産でありますとか、さう言つたものに貢獻するものでありませぬと、是は融通の途はないと思ひまするが、さう云ふものでありまする以上、營利法人にも貸して差支へないと、斯う云ふやうに私は考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=37
-
038・桂廣太郎
○委員長(公爵桂廣太郎君) それでは山地君の質問は終りました、どうか委員の質問を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=38
-
039・栗栖赳夫
○栗栖赳夫君 ちよつと疑義を質して置きたいと思ふのでございますが、今囘の改正は私共金融に携って居ります者に取つては、殊に最近の諸金融の情勢を見まして、非常な結構な御改正であると思ふ、此のために救はれるものが非常に多いと、斯う思つて居る次第でございます、處で、此の實際の運用に當りまして色々疑義などを生ずると云ふことがあると、却って折角の制度がうまく行かないと思ひますので、其の疑義の點を此の際此處でちょつと御尋ねして置きたいと思ひます、先づ第一の點は、是は問題はないと思ひますけれども、食糧營團其の他農林水産業に關する事業方面の中には、目下大變問題になつて居ります所の肥料工業、斯う云ふやうなものも含むと考へられますけれども、含むと解釋して宜しうございますか、それから今後蠶絲關係の組合も入ることになりますと、製絲金融、製絲家の特殊設備金融と云ふやうなことは、從來も是はなかなかうまく行つて居らなかつたのでございますが、是も將來必要になると思ひますけれども、農林水産事業の中には製絲業の如きものも含んで居りますかどうかと云ふこと、それから或は製材事業とかさう云ふやうなものも含んで居りますかどうかと云ふことを御尋ね致したいと思ひます、それが第一點でございまして、第二の點は、此の法案を見ますと云ふと、今度は設備資金の貸出でございます、從つて期限も十箇年以内と云ふやうに長期貸の形態を執ることに相成つて居ると思ふのでございます、さうしますと、殊に最近農村漁村あたりに放出されました資金は、此の農林中金を通じて吸上げると云ふ力が非常に大きいし、又期待されるのであります、さうしますと、其の吸上げを有效にする上に於きましても、長期貸でありますと、必要に應じては擔保を取ると云ふやうなことが必要であるのではないかと思ひます、是は運用の問題としまして、擔保を必要に應じては取る、斯う云ふやうな御考がありますかどうかを卸伺ひしたいと思つて居ります、それから第三の點は、現在肥料或は水産の金融は、所謂「シンヂケート」を作つてして居る譯でございますが、是は共同に責任を分擔し、或は危險も分擔をして、さうして不當の競爭を避けて、協力をしてやって行かうと云ふ形で致して居る譯でございます、斯う云ふ十五條の二が入りますと、勿論貸出に付きましては、「シンヂケート」の一員に農林中央金庫がなり得ると云ふ解釋は成り立つと思ひますけれども、一つ此の點も解釋上の疑義を省く點に於て、御考を承りたいと思つて居ります、此の三點でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=39
-
040・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 御答へ致します、第一點は、栗栖さんの御説のやうに皆入ります、それから第二點の擔保も必要に應じては取らなければならぬと思ひます、それから第三點の今の肥料金融等をやって居ります中金其の他市中銀行でありますとか、興銀の例のあの「シンヂケート」でありますが、是は私は入り得るのであって、是が出來たからと云つて、別に私は其の他の金融機關を壓迫すると迄は、さう云ふやうことは考へて居りませぬ、矢張り十分協調を取りまして、農林水産の振興に資するやうに適切に指導してやつて行きたいと、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=40
-
041・桂廣太郎
○委員長(公爵桂廣太郎君) それでは參考資料のまだ提出になって居らないものがありますし、御要求のあつた參考資料等も整へます時間も必要と存じますので、本日は此の程度に於て散會致しまして、明日又午前十時から開催致したいと思ひます、御異議がなければ其のやうに取計らひたいと思ひます
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=41
-
042・桂廣太郎
○委員長(公爵桂廣太郎君) それでは其のやうに取計らひます、本日は是にて散會致します
午前十時四十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=42
-
043・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 公爵 桂廣太郎君
副委員長 子爵 安藤信昭君
委員
侯爵 四條隆徳君
伯爵 前田利男君
子爵 北條雋八君
男爵 内海勝二君
男爵 中村貫之君
男爵 三須精一君
男爵 倉富鈞君
中村藤兵衞君
竹下豐次君
佐々木嘉太郎君
安田伊左衞門君
栗栖赳夫君
委員外議員
山地土佐太郎君
國務大臣
農林大臣 和田博雄君
政府委員
農林事務官 石川準吉君
同 佐野憲次君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002941X00119460703&spkNum=43
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。