1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○復興金融金庫法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年九月二十六日(木曜日)午前十時二十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=1
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002・高橋是賢
○委員長(子爵高橋是賢君) それでは開会致します、今朝大藏大臣は少し差支へて居られるので、或は御出席が不可能かと思はれます、銀行局長が御出席でありますから、御質問の方は御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=2
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003・伊藤文吉
○男爵伊藤文吉君 甚だ簡單なことですから政府委員に聽きたいと思ひますが、第一條に「他の金融機關等から供給を受けることが困難なものを供給する」とありますが、此の「困難なもの」と云ふことは大體どう云ふやうなことを御考になつて居りませうか、一つ伺ひいたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=3
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004・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 此の「困難なもの」と云ふのは他の金融機關等から供給を受けるのに困難なものと云ふのでありまして、擔保の關係等に於きましてどうも十分でない、併しながら國家的要請からはどうしても育成を要すると云ふやうなものは一つの事例であります、又現在の收支状況は好くないけれども、數年後には是は好くなる、而して國家的に見まして是は育成を要すると云ふやうなもの、即ち一時育成維持を要すると云ふやうなものであります、斯樣なものは他の金融機關からは供給を受けることは困難でありますから、復興金融金庫から供給を受ける、斯樣なものであります、それから現在は設備は相當保有して居るのでありまするが、操業力が如何にも低い、併しながら是は日本の貿易産業とか、さう云ふやうな見地から育成を要すると云ふやうなものに付きましては、是亦普通の金融機關は資金の供給を澁るのであります、是は復興金融金庫から出さう、尚外國貿易が將來起つたやうな場合に壓倒されるやうな虞があるやうな事情もあらうかと思ひます、併しながら現在の日本の國情から致しましたならば、是はどうしてもやつて貰はなければならぬと云ふやうな理由があるのであります、左樣なものに對しましては普通の金融機關は融資することは困難でありますから、復興金融金庫から融資をする、斯樣なことになると考へます、大體今後の使命と云ふのは斯んなやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=4
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005・伊藤文吉
○男爵伊藤文吉君 大體今御話のやうな程度のものならば、或は普通銀行の方はむつかしいかも知れませぬけれども、興業銀行なり、勸業銀行なりと云ふやうな方面で事足りるのではないかとも思はれるのであります、此の「困難な」と云ふことは、仕事はやらしたいが、其の採算が困難と言ひますか、收支償はないやうな理由で以て囘收がむつかしいぢやないか、貸付金の囘收が、さう云ふやうな寧ろ企業を致しまして、囘收が出來ないやうなものを茲に考へて居られるぢやないかと思ふのでありますが、若しさうであるとすると、是は百億圓の資金、或は債券等で二百億圓になりませうが、どの位の國家損失と言ひますか、囘收が出來ないやうな御見込があるのでありませうか、どうも私は此の第一條の趣旨を見ますと、「困難なもの」と云ふことは他の金融機關では融資が出來ない、それは囘收の見込が非常にむつかしい、ないと云ふやうな見透しのものに限るのではないかとも思はれますが、率直に一つ政府の御考を伺つて見たら如何であらうかと思ひますが、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=5
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006・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 此の復興金融機關は政府のやつて居りまする補助事業とか、補給事業とか、左樣な金を出し拂ひと云ふやうな機關ではないのであります、是は飽迄も「コンマーシャル・ベース」と言ひますか、企業體でありまして、貸した金は何處迄も取れると云ふ見透しでやるのであります、やるのでありまするが、或場合に於きましては、見透しに付きまして多少の疑念があると云ふやうなものもあらうかと思ふのでありますが、其の場合は普通の金融機關は非常に大事を踏みますから貸しませぬ、其の際に其の間隙を縫つて是が出動すると、斯樣な態勢でありまして、何處迄も是は「コンマーシャル・ベース」のもので、出しつ放しと云ふことは考へない、從ひまして將來百億圓を出しました場合に若干の取立不能と云ふやうな見透し違ひのことが出て來るかも知れませぬ、併し大方は返つて來ると斯樣な見透しを持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=6
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007・伊藤文吉
○男爵伊藤文吉君 其の點は甚だ私はむつかしい問題だと思ふのでありますが、どうも「困難なる」と云ふ問題はですね、旁旁工業なり生産が必要であるけれども、其のやらしたいけれども、採算はどうもどうなるか分らぬ、それは國家の損失になつても此の仕事は果さしたい、政府委員は貿易の將來も考へてさう云ふやうなものに付ては囘收の見込がないものでも、それは無論初めからないとは言へぬかも知れませぬけれども、斯んな問題も此の金融金庫で賄ふと云ふやうなことをはつきり言はれて居つた方が宜いのではないかと思はれまするが如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=7
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008・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 今後の財政の一つの原則と致しまして、企業の責任と云ふことが強調されるのであります、此の企業の責任態勢と云ふことから申しますと、國家で今迄出して來たやうな助成金とか、補助金とか左樣な種類のものは成るべく限定致す、斯樣なことにならざるを得ないのでありまして、既に御承知の通り、本年度の豫算に於きましても、補助金、助成金と云ふものは過渡的にどうしても已むを得ないものだけと云ふ風に限定されて居る、左樣なものだけは振落されて居ると云ふやうな状況であります、是と裏腹を成すものでありまして、企業にして必要な資金と云ふものが金庫から出つ放しと云ふやうなものに對しましても、此の企業の融資の對象と致すと云ふことは財政の根本的な考へ方と多少離れて來る問題であります、何處迄も是は此の金庫と雖も收支相償ふ、斯樣な態勢を執らざるを得ないのであります、御説御尤もな點もあるのでありまするが、今後の財政の大きな行き方と致しまして、斯樣な態勢を執らざるを得ないと云ふ次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=8
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009・伊藤文吉
○男爵伊藤文吉君 今御話のやうな方針であるならば、特に復興金融金庫を作らなくとも、興業銀行なり、勸業銀行なり、或は特殊のものを設けておやりになつてももう差支ないぢやないか、殊に活動する期間は此の法律案に依りますと、三箇年である、極く時期が短いのです、併し金額は非常な大きなものになるのでありますが、是から準備をされ、地方に事務所を設置したり、銀行其の他のものに業務の一部を取扱はせると云ふやうなことは、非常に複雜で時宜を失するやうな虞があるのではないか、私が申上げるやうに、是は或場合には國家の損失も覺悟すると云ふやうな所迄行くならば、此の復興金融金庫を作る必要があるのも分りますけれども、政府委員の御話になる程度のものならば、現在ある機關に或部門を御設けになりましておやりになつた方が、寧ろ簡單で迅速で此の時勢に合ふのぢやないかと思ひますが、如何なものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=9
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010・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 此の復興金融金庫と云ふのは、御説の通り、國家で之と同じやうな性質の仕事を致しまして、さうして後で囘收すると云ふ建前を取りますれば、行き方と致しましては同じ效果が收められる譯であります、唯非常に激動期の産業に對處して、機動的な役目を果すと云ふことの爲には、國家が直接に行ふよりは、獨立の企業體を作つた方が宜からうと云ふので、此の復興金融金庫法案が提案された譯であります、國家がやりまする場合に於きましても、是は出し放しと云ふことは致しませぬ、是は必ず囘收すると云ふ建前を執つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=10
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011・伊藤文吉
○男爵伊藤文吉君 餘りしつこくなりますが、簡單に今一つだけ……此の十二條に「理事長、副理事長、理事及び監事は、復興金融委員會の推薦に基いて、政府が、これを任命する。」とありますが、是は非常に民主主義の立法であるかも知れませぬが、此の金融金庫の理事長、副理事長、理事、監事は餘程堪能の士を擧げなければならぬと思ひますが、矢張り是は政府が監督して居るのですから、政府が御決定になるのが宜いのではないかと思ひますが、復興金融委員會の機構は能く存じませぬが、此の復興金融委員會で、理事長、副理事長、監事を推薦すると云ふ御趣旨に付て、どう云ふ御考があるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=11
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012・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 是は復興金融委員會の任務と云ふものと非常に關係の多い問題でありまして、本金庫の機構と致しまして、一番上に來るものが此の復興金融委員會であります、復興金融委員會は普通の場合に於きますると、政府が直接此の金庫に監督權を及すのでありますが、此の金庫に於きましては復興委員會と云ふものが中間に出來まして、此の復興委員會が金庫の政策的部面竝に重要なる業務の運營方針と云ふものを決定するのであります、と云ふことは、此の金庫の民主化竝に機動化を圖る趣旨に基くのでありまして、此の金庫が左樣な趣旨に基きまして、重要なる人事にも關係すると云ふやふなことに相成る譯であります、尚重要なる人事に關係する場合でありまするが、政府が之に束縛される譯ではありませぬ、推薦を受ける譯であります、其の推薦に對しましては、政府に於て「ビート」を行使すると云ふことも出來るのでありまして、政府が此の推薦に束縛されると云ふやうな意味合ではないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=12
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013・伊藤文吉
○男爵伊藤文吉君 私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=13
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014・高橋是賢
○委員長(子爵高橋是賢君) 大藏大臣が御見えになりましたから、大藏大臣に對する質問の方を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=14
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015・河西豐太郎
○河西豊太郎君 大藏大臣にちよつと御伺ひしたいと思ひますのは、我が國の現状、殊に産業界、事業界は終戰後一年の命日に於て殆ど萎靡沈滯と云ふか、或は手も足も出せぬと云ふことであります、一部を除いては殆ど停頓状態に陷つて居ることは、私より申述べる迄もありませぬ、之が原因は、言ふ迄もなく色々のものがありませうが、主たるものは何と云つても金融、資金、之が一番の原因、最大の原因であらうと思ひます、此の時に當つて復興金融金庫法案、之を御出しになつて、之を實施する、誠に機宜を得たるものと存ずるのであります、併し咋日來板谷さん、其の他の方から色々御話がありましたやうに、之を實施し、之を活用し、實際に役立たせると云ふやうなことになりまする場合、大藏當局の非常なる苦心と御覺悟が必要だと思ふのであります、屡屡論議されまするやうに、或點に於ては、單に融通とか、何とか云ふことの見地を離して、さうして一歩進んで救濟と云ふやうのことも相當考へられ、又相當やつて置くことの必要があるのぢやないかと思ふのであります、處で先般來大藏大臣が本會議、其の他委員會、色々の方面に於ての御説明に、此の法案が實施され、之が實現する迄の間に、興業銀行、其の他に於て之を代行させると云ふやうのことを御話になつて居ります、又今日之をやつてることと存ずるのでありまするが、首腦部の御意思と實際衝に當る者と、所謂取扱銀行、そこの意思が完全に通じて居るかどうかと云ふことを疑ふやうな事情が屡屡あるやに聞き及んで居ります、若しさう云ふことであると、今日産業復興の第一歩を踏み出す大切の場合に於て頗る遺憾のことではないか、一日一刻も早く生産、其の他の増強をすることが言ふ迄もなく今日の急務である、其の時期を逸するやうなことがあつては、折角の御苦勞もそれ程の效果があるまい、此の點を深く心配するものであります、そこで之に對してどう云ふやうにおやりになるか、大臣の御考を承りたいと思ふのであります、それから政府委員もおいでになりますから、最近に於てさう云ふ取扱がどの位の件數に上つて居るか、それも序に御伺したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=15
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016・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 最近の取扱ひ方に付ては、後刻政府委員よりして御答へ致させますが、私の承知致して居ります所では、暫定的に日本興業銀行に依頼して復興金融をやつて居りますが、御質疑の如き、意思の疏通を缺いて居る點は絶對にないと信じて居ります、色々の取扱上無論唯無暗に金融する譯には行きますまいから、相當調査等に何ぼかの時間を要することは已むを得ませぬが、是は此處に居られる栗栖博士が能く其の事情を御存じのことですが、十分緊密に連絡を取つて居ることと思ひます、殊に日本興業銀行の副總裁の如きは、最近地方へ自ら出張して此の處理に當つて居るやうな譯であります、色々の金融を受ける方から言へば苦情が多少あるかも知れませぬが、是はまあ有り勝ちなことであります、非常に能く勉強してやつて居る積りでありますが、今後無論本式に金融金庫が出來ました上は同樣にやるのみならず、昨日も申上げましたせうに寧ろ指導機關をも中に作つて、こちらから一つ進んで企業の指導もし、金融もしてやると云ふ位迄進んで行きたい、斯う云ふ考で居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=16
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017・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 只今の御尋の興業銀行に於きまする暫定的措置に付きまして御説明を致します、興業銀行の暫定措置は八月一日から施行したのでありますが、之を全國に周知せしめ、又銀行に於ける準備の關係等もありまして實際に「スタート」致したのはまあ二十日、中旬の末頃と見て宜からうかと思ひます、中旬の末頃からの業績と云ふ風に見て宜からうかと思ひます、其の業績を調べて見ますと、まだ九月中の計算は出來ませぬ、參考の爲に八月中だけを申上げて見ますると、八月中に借入の申込を受けた件數は三十八件でありまして、金額に致しますると四千八百五十三萬一千圓と相成るのであります、それに對しまして貸出を實行致しました金額は四千百八十七萬一千圓と云ふ數字になつて居ります、それから此の四千百八十七萬一千圓と云ふものの内譯を申上げますと、先づ使途別と云ふか、用途に付きまして分けて見ますと、設備資金として貸出したものは二件二百九十九萬二千圓、運轉資金として貸出したものが三十二件三千八百八十七萬九千圓と相成ります、又金額別に之を分けて見ますと、百萬圓未滿の件數が二十四件六百五十七萬一千圓と相成ります、又百萬圓以上の件數は十件でありまして、金額と致しましては三千五百三十萬圓と相成ります、尚業種別に之を分けて見ますと、機械器具工業に於きまして十二件二千三百六十八萬三千圓、鐵鋼業に於きまして四件六十四萬七千圓、鑛山業が二件でありまして三百四萬二千圓、土木建築業が二件四十五萬圓、運送業が二件で三百二十萬圓、木工業が一件四萬圓、石油精製業が二件で七百萬圓、造船業が一件で四十八萬五千圓、化學工業が一件で十五萬七千圓、雜産業が二件でありまして十七萬五千圓、それから漁船建造費一件二百萬圓、鑛山精錬設備費一件九十九萬二千圓と云ふ風に相成ります、又次に地方別に之を區分致しますと、東京が八件二千萬四千圓、大阪が十件でありまして千五百八十二萬千圓、名古屋が五件でありまして三百七十三萬千圓、靜岡が二件でありまして十萬圓、神戸が一件でありまして十萬圓、福岡が四件でありまして百七十四萬三千圓、富山が二件でありまして十九萬七千圓、廣島一件十三萬五千圓、北海道一件四萬二千圓、斯樣な状況であります、尚只今九月十八日迄の概數が分りましたから申上げます、本店で二億八千百三十六萬三千圓、大阪で千七百二十二萬一千圓、神戸で二百五十九萬三千圓、名古屋で七百二十四萬六千圓、福岡で二百八十四萬圓、富山で七十八萬七千圓、廣島で十三萬五千圓、北海道で四萬二千圓、福島で十三萬五千圓、合計三億一千二百三十六萬二千圓と相成ります、此の三億一千二百三十六萬二千圓を金額別で分けて見ますと、百萬圓以下のものが千四百六十萬九千圓であります、それから千萬圓以下のものが四千九百五十二萬圓、千萬圓以上のものが二億四千九百二十三萬三千圓と相成ります、斯樣な状況であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=17
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018・河西豐太郎
○河西豊太郎君 大體只今の數字で能く分りましたが、是も昨日來どなたからか色々御話もあつたやうでありますが、なかなか代行機關に金融を申込んでも容易に捗らぬ、八月の初旬に申込んで居る人が九月末になつて漸く物件の調査をする、物件の調査が濟んで、而して貸すとか、借りるとか云ふことはそれより更に遲れる、是は果して事實かどうか、さう云ふ風なことも耳に致して居ります、それで今局長が御讀みになつた數字を承ると、相當の數には達して居るやうでありますが、併し現地の状態から見るが、もつと進んでも宜くはないか、もつと行つても宜くはないかと思はれるのでありますが、兎に角さう云ふ風のことが盛に流布されて居る折柄であるから、どうぞ其の點に萬全の御注意を拂はれて、出來るだけ此の活用に注意され、さうして金融方面のことを滑かになさるやうに希望致します、是で私は止します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=18
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019・石川一郎
○石川一郎君 此の金融金庫の困難なことは先程御話がありましたのでありますが、是は長期資金の方を主としておやりになるのか、運轉資金の方を主としておやりになるのか、只今の數字を伺ひますと、運轉資金の金が可なり多いやうに伺つたのですが、實は日本銀行邊りの御話を伺ひますと、運轉資金はどんなことをしても出すと云ふ御話がありまして、是は政府の御方針かと思つて居りましたが、要するに囘收が困難よりも、長期に亙る金を此の金庫で賄ふのが主ではないかと存じて居りましたが、只今の數字を伺ひますと運轉資金の方が多くなつて居るやうでありますが、それはどう云ふ譯でございませうか、尚困難ならざる長期資金の方の問題でございますが、それはどの位の御見込でいらつしやいますか、興業銀行、或は勸業銀行邊りで果して困難ならざるものでも長期資金と云ふものは産業界なり、事業界に供給出來るものかどうか、將來の御見透しに付て伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=19
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020・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 只今申上げました八月中の實績に於きまして、設備資金が二件でありまして、運轉資金が三十二件になつて居る、誠に是は御尤もな御不審の點かと思ふのでありますが、八月中は、丁度八月十一日と云ふ日に金融緊急措置を施行し、それから新勘定、舊勘定と云ふ措置も實施した譯でありまして、非常に會社の經理がごたごたしたのであります、そこで此のごたごたの最中に於きまして、繋ぎを付ける趣旨の資金と云ふものを臨時に融通致させたのが此の數宇に出て來て居るのでありまして、本來ならばそれが逆になりまして設備資金が大半でありまして、運轉資金の方は大體に於て市中銀行に於て賄ふ、斯樣なことに相成るのだらうと思ひます、設備資金でありましても非常に長期なものであると云ふやうなものに付きまして、借りた場合の措置に付きましては、それは囘收出來るかどうかと云ふ問題に付て興業銀行が出來るとか、或は復興金融金庫が出るかと云ふことが決るのでありまして、如何に長期なものでありましても、囘收の見透し確實と云ふものに付きましては、興業銀行が出動して差支ないものと斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=20
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021・石川一郎
○石川一郎君 此の肥料の金融の問題でございますが、一例として申上げて伺ふのでございますが、肥料の會社は金額を注ぎ込まなければ豫定の生産が出來ないやうな状況になつて居ります、詰り差當り二十億と云ふことになつて居りますが、處が其の金を調達致しますのに、社債の限度を大きく致しまして、後で社債に乘替へると云ふことで、繋ぎ資金を興業銀行なり、「シンヂケート」なり、或は農業銀行の御周旋で今數億の金を借りて居るのでございますが、政府或は興業銀行の御骨折にも拘らず、社債の限度を拂込資金の五倍に擴張すると云ふことは困難のやうに伺つて居るのですが、さう云ふ場合に今數億の金を借りて、更に二十億ばかりの金を拜借しなければならないことに相成つて居るのでありますが、此の繋ぎ資金のやうなものは、此の復興金庫の方で貸換が出來るものでございませうか、どうでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=21
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022・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 此の肥料工業の如く極めて重要な事業に付きまして、繋ぎの必要がある、併しながら此の資金が市中の銀行から供給を受けられないと云ふ事情がありまする場合には、是は復興金融金庫から融資をして戴いて差支ないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=22
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023・石川一郎
○石川一郎君 今迄數億の金を繋ぎ資金として融通して居りまして、更に相當の金が要るのでごさいますが、今迄融通して居るのでございます、處がそれは社債で以て返すと云ふことの條件で農林金庫から金が出て居るのでございますが、それが社債の限度が擴張出來ませぬ爲に、社債が募れぬと云ふことに相成りつつあるのでありまするが、さう云ふ金はどう云ふ風になるかと云ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=23
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024・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) それは此の融通を受ける方の事業自體に重要な關聯を持つ問題であらうかと思ふのであります、必ずしも此の復興金融金庫が融資する場合の條件と致しまして、社債を以て償還すると云ふ風なことも考へて居らぬ譯であります、さう云ふことを考へることは、一つの途でありまするが、他の償還の方法と云ふものが立ちますれば、そこで融通が付く譯であります、併しながら是は何處迄も個々の肥料工業會社の状況に依ることも一つ御了承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=24
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025・石川一郎
○石川一郎君 ちよつと私の質問の趣旨と違ふのですが、社債を目當に金を借りて居つた處が、社債が募ることが出來なくなつたと云ふ場合のことを實は話をして居るのであります、さう云ふ風な金を復興金庫から出しまして、さうして今迄繋ぎ資金として借りて居るものを返すと云ふ譯には行かぬと云ふことを伺つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=25
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026・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 復興金融金庫からでなくて、他の方から借りて居る場合ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=26
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027・石川一郎
○石川一郎君 金庫なり、「シンヂゲート」なりから借りまして、社債を募る積りであつたのが社債を抑へられた場合に、社債の限度がある爲に社債が發行が出來なかつたと云ふ場合…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=27
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028・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 左樣な場合に於きましては一種の借換と云ふやうな關係になるのでありまして、是亦會社の實情に依りまして處理さるべき問題だと思ひますが、一概に左樣な場合には全部宜しいと云ふ譯には行かぬと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=28
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029・石川一郎
○石川一郎君 もう一つ先程申しました御話で、興業銀行なり、或は勸業銀行あたりの造成資金で將來長期資金として貸すものの見込がどの位ございますかと云ふことを伺ひたいと思ひます、實はそれを伺ひましたのは斯う云ふ意味でございます、第一條に「もの」と云ふ風に書いてございますが、之を「場合」と云ふ風に解釋されますと、興業銀行から長期資金が出せない時は事業に要する資金を別に金融金庫から出さなくても宜いやうな種類の事業であつても、此の仕事に金融金庫から金を貸せると云ふことになつても宜いと云ふやうな氣がするのであります、どうも興業銀行なり、勸業銀行の將來の資金の調達がどの位になると云ふことも心配なものであります、さうすると事業經營が困難になる場合のみならず、金融機關の方が融通困難な場合には之を金庫から融通すると云ふ風にして置いた方が宜いのぢやないかと思ひますから、第一條の「もの」と云ふことを場合と云ふ風に兩方の「場合」に使用されるやうに考へた方が宜いのぢやないかと云ふ風に思ひます、興業銀行なり勸業銀行なりからどしどし融通することが出來れば宜いと思ふのでありますが、其の見透しがどうなつて居るか、それに依つて此の「もの」の字句の解釋なり、字句なりを變へて行かなければいけないのではないかと考へたのでちよつと申上げる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=29
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030・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) それは今政府委員から申上げたやうに矢張り個々の具體的な場合に接しないとなかなか判斷が抽象的には苦しいと思ひますが、結局長期資金に致しましても結局物なんでありますから、それだけの物があつて、唯設備が出來ると云ふ時には、私は興業銀行、或は勸業銀行等でも資金は調達出來るものと思ひます、假に萬一其の調達が困難で、併しながら復興金融金庫の方には資金の餘裕があると云ふことがあれば、其の場合には無論其の物でありましても、其の物が復興金融金庫の融資の對象になるべきものならば融通が出來ると思ひますから、御話の點は機動的には事實はやれるものと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=30
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031・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 是はもう金庫法には多少の關係はありまするけれども、此の際大藏大臣が御出席ですから伺つて置いて見たいと存じますので、御了承を願つて置きたいと思ひますが、矢張り是は擔保關係になるのでありますが、進駐軍に於て使用すべき爲に家屋の補修とか、或は改造とかと云ふやうな場合に於て今後補修費とか、改造費を現所有者にどう云ふやうなことに於て負擔させるのか、或は負擔をさせないものか伺ひたいと思ひます、次に伺ひたいのは、是は財産税に關することでありますが、財産税とか租税に國債を以て充當すると云ふことが出來ませうか、それは價格はどう云ふことになりませうか、御伺したいと思ひます、市中では非常に安い賣買に依つて取引をして居る、それは財産税に代償出來るからと云ふやうなことで賣買が出來て居るやうに伺つて居ります、是も孰れかの機會に御話があつたかと思ひますが、私まだ寡聞でありまするので承つて居りませぬから一つ御答へ願ひたい、其の次は昨日新聞に出たと云ふ新聞の切拔を持つて參りましたが、之を御覽を願つて置きたいと思ふのです、それを能く見れば何か貯蓄とか、其の他の方で新措置をせられると云ふやうに見えまするけれども、一般の者が見ると云ふと何か他に新らしい措置をせられるやうにも考へられますのでございまするから、それに付てちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=31
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032・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 進駐軍が何と申しますか、徴發と申しますか、取りました建物を修理をして居りますことは御話の通りであります、それを元の持主に返却する場合にどう云ふ風に處置するかと云ふことは實は内部で寄々話はして居りますが、まだどうするかと云ふ決定はして居りませぬ、それから國債の問題でありますが、是は世の中に誤解も多少あるらしいのでありますが、財産税で取ります財産税を何でも國債で拂へるものであると云ふ風に誤解をして居るやうでありますが、さうではないのでありまして、三月二日午前何時かの調査の時に國債があつたとすれば、其の國債に當る課税は國債でやれると云ふことになる譯であります、ですから其の時に持つて居ない國債を其の後に買つて、財産税の全額を其の國債で以て拂ふと云ふことは是は許されて居りませぬ、それから價格は私其の「テクニック」を能く存じませぬが、告示價格…それから成る程ちよつと見ましたが、日本産業でありますか、此の書き方が惡いので、如何にも御話のやうに何か特別の手を打つやうに誤解されるものと存じます、併し是は斯樣な意味に私は申したのではございませぬ、多分他の新聞にはこんな意味でなく、私の考へ通りに書いたと思ひますが、偶偶日本産業の記事が誤解を招くやうな文字を使つたもので、是は確かであります、左樣御了承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=32
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033・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 尚財産税は別として、現在の租税は國債で收め得ることが出來るものでありませうか、それも併せて伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=33
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034・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) それは出來ないさうでありますから、左樣御承知願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=34
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035・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 實は私さう云ふことを御聽きしたことは、復興金融金庫法で御借りした金、それは政府が持つものですから、之に對して金で借りたものを國債で返却することは出來得ないものであるかと云ふことを一つ伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=35
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036・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) それは出來ないと思ひます、さう云ふことは是は何か特別の措置を法律ででもすれば別でありますが、貸金を復興金融金庫が返濟さるる場合に國債で返濟を受けると云ふことは一般的には許されないと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=36
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037・板谷順助
○板谷順助君 此の法案を見ますと、此の金庫の設立以前に金融委員會と云ふものを拵へられるやうでありますが、其の構想に付て腹案があつたならば御知らせ願ひたい、それから此の金庫は勿論特別會計で處理さるることと思ふのでありますが、二十一年度の一般會計を見ますと云ふと、二億二萬五千圓の金額が復興金融の經費として計上されて居るのであります、恐らくは斯かる多額の費用が經費に要る譯はないので、其の構想が變つたのぢやないかと思はれる、それから尚伺ひたいことは、差當つて四十億の金を政府が拂込むに付ては或は日銀から借入れるか、或は又預金部から利用されるか、孰れかに依ると思ふのでありますが、一體此の金利は幾らで借りることになつて居りますか、從つてそれは貸金に相當の影響があることと思ふのであります、又今後に於ける金利の水準、是は大體大藏大臣として、日銀の貸出に付ては是が大體の基準になると思ふのでありますが、どんな程度に御考になつて居りますか、其の點伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=37
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038・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 豫算の金額は二億圓は出資であります、それからあとの半端な二萬幾らと云ふものは、是は法案が通過致しますと設立委員會を作ります、さうして正式に設立さるる譯でありまして、左樣な色々の設立に至る迄の經費を見込んで居る譯であります、それから復興金融委員の構想は、委員長は大藏大臣、副委員長に安定本部總務長官、それから委員の中に商工、農林兩大臣、日銀の總裁を入れます、あとは民間の一般の委員でありますが、大體是は産業家、それから金融方面の專門家と云ふ者を見當に致して居りますが、其の中でも是は衆議院あたりに色々要求がありまして、矢張り議員本位にしろと云ふやうな御話もありましたが、委員會の性質上議員から委員は御願ひ致しますけれども、所謂各派から出して戴くと云ふやうな構想でなく、衆議院の方にも貴族院の方にも專門家として相當數入つて戴きたい、斯樣な考で只今構想を進めて居る譯であります、でありますから職權で入ります委員三人の外七名になりますが、あと七名の方は民間人、其の中で相當數貴衆兩院から御願ひを致したい、斯樣な構想であります、それから復興金融金庫に對する政府の拂込は公債財源で現金を拂込みます、唯金利の數字は政府委員から申上げますが、金利の前途に付きましてはなかなかむづかしい問題でありますが、まあ物價等の關係から見ましても多少上る傾向を持つ、斯う云ふ風に私は觀測を致して居ります、尚金利其の他の點に付ては、研究をして善處致したいと思つて居ります、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=38
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039・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 只今豫算には二億圓戴つかつて居るのであります、然るに本金庫に對する出資金は四十億圓でありまするから、殘額の三十八億圓、是は近く御願ひ致しまする所の追加豫算に於きまして、三十八億圓を計上致しまして御協贊を仰ぐと、斯樣なことに考へて居るのであります、其の財源と致しましては、復興公債と云ふやうな名前の附きました公債を特に募集致します、其の公債を財源と致しまして、三十八億圓の拂込を致す、斯樣なことになるのであります、金利はと云ふ御尋がありまするが、此の資金調達面は只今申上げました通り、公債に依りまする關係上、一般公債三分五厘で致す譯であります、それから貸出す場合に於きまする所の金利は、只今興業銀行でやつて居りまする所の融資の利率に依りまして、日歩一錢四厘乃至日歩一錢六厘と云ふ程度の利息を取る、斯樣なことを考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=39
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040・板谷順助
○板谷順助君 差當つての四十億が公債の利子であると云ふことであるならば、恐らくは大したことはないと思ふけれども、此の大藏證券を、聞く所に依れば六分五厘ですか、六分五厘で發行されて居る…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=40
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041・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 六厘五毛でございませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=41
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042・板谷順助
○板谷順助君 六分六厘五毛ですか、どうですか、私は又聞だからはつきり分らない、分らないが兎にも角にも、今後あと六十億の社債を募る場合に於て、此の條件が私は餘程むづかしいと思ふ、從つて、此の法案を見ますと云ふと何か割引の方法に依つてやると云ふやうな條件も附いて居る、從つて今後、昨日大臣が御言明になつた通り、困難なるものに資金の融通をすると云ふ場合に於きまして、或程度金利が高いと云ふと、なかなか何ですな、金庫の金を借りても引合はないことになる、從つて金庫の大體の目的は産業復興の爲に、出來るだけ困難なるものに融通すると云ふことが其の目的でなければならぬ、然るに今申上げたやうに、其の條件が、あなたの方が詰り債券募集、其の他に付きましても、非常に金利が高くなると云ふと、そこに非常に困難が生ずる譯であります、大體百億乃至二百億と云つやうなことになることも想像せねばならぬが、此の債券の發行に付ては、どんな程度に御考になつて居りますか、若し債券の發行が非常に割の惡いと云ふ場合があるとしても、貸出の金額に對しては、今御話の通り一萬五厘程度に於て國家が損失をしてもやると云ふだけの覺悟を持つておいでになりますか、其の點伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=42
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043・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 金利の前途に付ては是は物價と同じやうに、自由な市場があるとすれば、今後どう云ふ風になりますか、相當に問題があると思ひます、併し此の復興金融金庫の資金は、如何なる場合に於ても國債を標準とした、詰り低利の資金の融通を、其の時の金利の水準から申せば、低利の資金の供給が出來ると存じます、でありますから、從つて復興金融金庫からの貸出と云ふものも、無論市場の金利を見合はなければなりませぬ、無暗に低くして宜いと云ふ譯ぢやないと思ひますが、必要な場合に於ては、相當低利な融通が出來る、斯う云うやうに考へて居ります、兎に角日本の中に於て一番低利な資金の運用が出來る一つの機關だらうと、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=43
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044・板谷順助
○板谷順助君 さうするとあなたが、昨日他の一般の金融機關との競合がない、出來るだけ競合を避ける斯う云ふ御話でありまするが、兎に角國家の經營の機關でありまするから、從つて其の條件其の他に付きましても、或は又長期貸付に於きましても、萬一其の仕事が失敗した場合に於ても政府が責任を負ふと云ふ條件、所謂有利なる條件が附いて居ることでありまするから、恐らくは日本の此の今の産業の状態から行きましたならば、大部分のものが此の金庫を利用すると云ふことの結果になるのぢやありませぬか、私は若し此の委員會が非常なやかましいことを言つて、一月も二月も掛ると云ふやうな面倒くさいことであるならば、此の金庫の目的を達することは出來ない、併しながら或は此の金庫が出來るだけ早く良いとか惡いとかと云ふ判斷をして、金融の便を與へると云ふことになれば、誰でも此の金庫を利用する、斯う云ふ結果になるのぢやないかと思ふのですが、あなたは競合にならぬと云ふのはどう云ふ意味で仰しやつたのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=44
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045・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) それは極端の場合を申せば、金利を安くすれば、御話のやうに競合になります、併しながら此の金庫の目的は飽く迄も日本の經濟の復興に寄與する企業を助け、育成する、同時に普通の金融機關で金融の出來るものには金融をしないと、斯う云ふ建前なんでありますから、此の貸付の前の選擇に於て、左樣な標準に依つて、普通の金融機關で金融の出來るものは是はしない、例へば長期金融に致しましても、日本興業銀行としての融資の出來るものは日本興業銀行でしよう、さう云ふものに付ては、是はこちらでやりませぬ、さう云ふことで選擇を第一致します、それから金利を安くする、安い金利が使へると申しましたのは、詰り日本の金融機關の中としては、是は確に政府機關でありますから、最も有利な立場に立つのであります、從つて此の有利な立場に立つて、無暗に外の銀行と競爭すれば、それは御話のやうに總ての金融は此處に集つて來ますが、左樣なことは窓口に於てやらないと同時に、又金利を安くすると云ふことは、是は必要な場合には安くしなければりませぬけれども、無制限に安くする、外に於て金融が出來るものをこつちに奪ふと云ふやうな政策は採りませぬ、ですから其の點は機動的に、金融機關のことでありますから、やらざるを得ないのであります、一方、安いからと云つて總て安くすると云ふやうな意味ではないのでありますから、其の點を御了承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=45
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046・板谷順助
○板谷順助君 あなたがさう仰しやるけれども、昨日も政府委員の説明に依ると云ふと、一般の金融機關から百四十億位は融通させると云ふやうな御話でありまするが、現在此の自由貯金が恐らくは百四五十億ぢやないかと思ふのであります、從つて一般の金融業者が金融する場合に於て、預金が思ふやうに集らなかつたならば、必ず日銀を利用せなければならぬ、日銀は幾らでも出すと云ふ昨日の御話もありましたけれども、日銀はなかなかさうは出しませぬ、あなたが御考のやうに、又金融業者も日銀から借りて、高い利子を拂つて、さうして之を融通する場合に於ては、所謂安全第一で、さう危險なことに出す譯はない、でありますから兎に角此の金庫と云ふものが非常な覺悟を以て、此の破壞されたる所の日本の現在の産業を再建する、此の御決心で御やりにならなければならぬ、從つて私は昨日も申上げましたやうに、或程度迄國家も損失をする、何も金を呉れると云ふことではない、救濟すると云ふ意味が要するに産業を育て上げると云ふ覺悟を以て、それで思ふやうに行かなかつたならば、國家が責任を以て損失を負擔する、此の非常な御決心がなければならぬと私は考へるのでありますが、一般の金融業者に融通しろと申した處が、今申上げて居るやうな、そんな状態で思ふやうに出來ないと斯う思ふのでありますが、もう一度あなたの御考を仰しやつて下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=46
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047・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 金融と云ふものはなかなかむづかしいものでありまして、私は勿論金融を自分でやつたことはありませぬが、想像するのに非常にむづかしいものである、安全第一にすれば、なかなか金融と云ふことが出來ないし、又少し放漫にすれば間違ふと云ふ譯でありますから、唯或原則を決めて、軟くするとか、硬くするとか云ふことは言ひにくいと思ひます、併し一般の金融機關は、色々借りられる方の方には苦情がありますけれども、現に金融も致して居ります、それから先程御話のありました肥料でありますとか、石炭でありますとか云ふやうなものは、是は我々としても特に色々御相談にも應じ、日本銀行も特に之を出す、詰り必ず之に依りて生産が興ると云ふものに對しては、相當日本銀行が援助しても危險がないのであります、其の金融上の危險が「インフレ」を起すとか何とか云ふ危險がないのでありますから、さう云ふものには私は一般銀行でやれると思ひます、それから市中から其の資金を吸收することが出來ない場合は、日本銀行が或程度の融資をすると云ふことは合理的と思ひます、要するに物を生産出來るかどうか、私は物さへ生産出來れば、金融の方はむづかしくないと斯う云ふ風に考へて居ります、ですから復興金融金金庫だけで左樣に何も彼も背負はなければならぬと云ふことはない、是は復興金融金庫が背負つても、日本銀行に背負はしても日本の經濟上、金融上には同じ影響を及すのでありますから、復興金融金庫が背負ふことが出夾るものならば、其の中の或ものを普通の金融機關に背負せると云ふことは可能と考へます、それが出來ないと云ふことは、詰りそれ程生産が興らぬと云ふ場合であらうと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=47
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048・板谷順助
○板谷順助君 あなたが昨日御言明になつたやうに、萬一復興金融金庫から融通を受けた所の産業が失敗に歸した場合に於ては、國家に於て之を負擔すると云ふことでありますが、勿論さう無制限に負擔すると云ふことは出來るものではないのです、或は場合に依つてそれが全部囘收が出來ることになるかも知れませぬけれども、兎にも角にも此の損失の限度がどれ位の程度に於て國家が負擔をすると云ふだけの方針を、矢張り御決になつて置く方が宜いのではないかと思ふのでありますが、それは如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=48
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049・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 初めから損失がどれだけ出るかと云ふことを豫定することは出來ませぬが、昨日も申上げたと思ひますが、此の金庫の出資を國家で全部負擔をすると云ふことは罷り間違へば出資全部が飛ぶと云ふ覺悟の下であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=49
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050・板谷順助
○板谷順助君 私は運輸大臣が御見えになる迄質問を保留して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=50
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051・村田保定
○男爵村田保定君 先程復興金融委員會ですが、此のことが出ましたので、序に伺ひたいと思ひますが、從來斯う云ふ委員會は法人の何と言ひますか、立法機關のやうな形になつて居りますが、又一方から見ると實行機關のやうにも見えるのであります、委員會と金庫とはどう云ふ關係になつて居るかと云ふことを伺ひたい、それから委員は報酬を受けるのかどうか其の點をどうぞ…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=51
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052・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 復興金融委員會は政府の監督を受けて、復興金融金庫の監督竝に業務運營に參加する委員會であります、而して委員會の性質は、今迄の委員會と云ふものは諮問機關とか、議決機關と云ふことでありますが、是は從來の委員會とは相當趣を異にして居るのであります、即ち政府で行ふ從來の形でありますると、政府に於て行ふ所の監督權の大部分を此の委員會が專行する斯樣な非常な特質を持つて居ります、もう一つは此金庫其のものの政策を茲で決定すると云ふ重大な任務を持つて居るのでありまして、何と言ひますか、日本と致しましては最初の試みでありまして、多分に是は「アメリカ」式と云ふか、左樣なこととなるのであります、それから委員の報酬と言ひますか、是は生活費を保障するやうなものは出す譯にはいかぬと思ひます、謝禮と云ふか、手當と云ふか、左樣なものが支拂になると斯樣に御了承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=52
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053・山地土佐太郎
○山地土佐太郎君 此の金庫の使命は最後の文章に現れて居ります通り、經濟の復興であつて、而して生活の安定を圖ると云ふことが目的になつて居るのであります、生活の安定を今日圖ると云ふことは、第一點としては衣食住を圓滑に、詰り不足のものを増産、或は緩和することが一番の問題であらうと思ひます、而して之を増産緩和すると申しましても、例へて言へば農産物を豐富にすると言つても、肥料の増産を圖らなければならぬ、又蛋白給源の不足を補ふ爲には、非常に漁船を建造して、水産物の増強を圖らなければならぬ、其の他日用品を初めとして、色色な物資を製造するにも、鐵、石炭、其の他有らゆるものの準備が出來なければ結局生活の安定と云ふものは出來ないと思ふ、さうすると此の復興金融金庫の金融と云ふものは、各方面、有らゆる方面に滑かに早く出してやつて、それが運用せられるやうにならないと效果が乏しいのではないか、それに付きまして、尚其の他我が國の事情から考へまして、どうしても貿易に於て食糧の輸入と云ふことが、是は非常な重大な點になつて居ります、復興金融金庫に於ては其の運轉資金、貿易資金、色々なものの使命を持つて居ります、其の見返り物資として養蠶水産等相當それ等に對する資金が要る譯であるのですが、昨日銀行局長の御説明に依りますと、取敢ず六十億位の見當をして居ると云ふやうな御話があつたのですが、それから今、九月十八日迄の申込と云ふ數字を大體想像して見ますと、非常に少い、こんなことで今申上げたやうなさう云ふむつかしい金融が滑かに行きませうか、もう少し之を一つ馬力を掛けてやらなければいかぬと思うて居るのです、それに付ては、委員會の委員の中にも、此の法案を見ましても非常に民主的になつて居りますから、今大臣からも、相當産業界、事業界の人を入れると云ふ御説明もありましたけれども、是は餘程さう云ふ方面の練達堪能の士を十分に多數に採入れてやらぬと云ふと、今申上げましたやうなことが迅速に行かぬのぢやないか、どつちかと云ふと、戰時中は軍の要求に依つて、まあ強制的に色々な金融もして居りましたけれども、平時はなかなか金融業者は、兎角役所が監督をして居るやうな方面の金融と云ふものは、我我から見ますと、非常に臆病である、非常に肝つ玉が小さい、今度の此の金庫の使命の、生活の安定、經濟の復興、之を迅速にやらなければならぬ、是が遲ければ何にもならない、早くやつて「インフレ」の防止と云ふものを一つ主眼としてやらなければいかぬ、さうするとどうしてもさう云ふ堪能の士を十分に採入れておやりになると云ふことが、非常に必要なことと思ひます、それ等に付て昨日以來斷片的に大臣の御説明は伺ひましたけれども、もう一つしつかりした所を伺ひたいと思ひます、それから四十一條に依る興業銀行の貸出の肩替りと云ひますか、是はなんでございませうか、八月後の貸出のものを振替へるのでありませうか、それ以前から此の種のやうな資金を興業銀行が貸出してあるものを全部金庫の方へ振替へる、是は最近のものだけでせうか、古いものも振替へると云ふことでありませうか、それを一つ序に伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=53
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054・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 先程からも繰返して御話があり、私も申上げたやうに、なかなか金融は寛嚴其の宜しきを得ることがむつかしいのでありまして、それは十分、山地委員も御承知のことと思ひます、併し復興金融金庫は政府が全額出資をすると云ふ建前から考へまして、詰り普通の金融機關では融資に危險を感ずると云ふものも大膽にやれると云ふ所に、一つ大いなる特徴がある譯でありますから、先程も申しましたやうに、現在でも日本興業銀行は非常に勉強をしてやつて行つて呉れますが、是はまあ何しろ開店匆々でありますから、十分世間に左樣な金融があると云ふことがまだ徹底して居ない節もあり致しまして、今の處では、相當相談は既に受けて居るやうでありますが、融資の決りましたのは比較的小額でありますが、今後復興金融金庫が、正式にやると致しますれば、相當是は進むものと考へて居ります、寛嚴宜しきを得て、相當大膽にはやつて欲しいと思つて居ります、それから此の第四十一條でありますが、是は八月一日から日本興業銀行が暫定的にやつて居ります復興金融だけであります、それ以前のものに遡つて借替をすると云ふ意味ではございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=54
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055・板谷順助
○板谷順助君 私は船舶に對する此の金庫の資金の運用に付きまして、運輸大臣、幸に大藏大臣も御出になることでありますから御伺ひ致したいと思ひます、關聯事項でありまして、甚だ恐縮でありますが、諸君の御許しを戴きたいと思ひます、運輸大臣は現在我が海運の復興に付て非常な努力を拂つて居られると云ふことを承知して居るのでありまするが、此の破懷された所の船舶を如何にして再建するか、此の點に付きましては、私は昨日大藏大臣、幸に膳國務大臣も御出になつて申上げたのでありますが、御承知の通り戰前六百萬「トン」、戰後に於て四百萬「トン」、千萬「トン」のものが殆ど九割迄喪失をして居る、處で、今現在殘つて居る船は百萬「トン」餘でありまするけれども、是は戰標型である、或は平均年齡十八年位の老朽船であつて、殆ど其の半分も用を爲して居ない、何としても日本の前途はもう既に講和會議も迫り或は自由貿易も許される、從つて此の海運と云ふことに付ては、非常な關心を以て、今から準備をしなければならぬ、さう云ふ時代であります、處が、現在の船主は御承知の通り殆ど補償に依つて打切られ、丸裸である、新たに資金を得るなんと云ふことに付ては、到底力がない、從つて「マッカーサー」司令部から御承知の通二十五萬「トン」許されて居る、少くも明年の三月迄には此の半分の七萬五千「トン」は造らなければならぬ、造船所も御承知の通り、或は一部は賠償に取られ、なかなか困難でありまするけれども、是はどうしてもやり拔いて、此の船を造らなければならぬ、それに付ての資金は昨日大藏大臣は、出來るだけの融通をすると云ふ御言明があつたのでありまするが、此の船舶の再建と云ふことに付ては、運輸大臣は如何なる所の構想を持つて居られるか、又今後に於けるどう云ふ對策を御考になつて居るか、其の點を一つ御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=55
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056・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 日本の海運の將來に付きましての私の見透しを申述べて置きたいと思ひますが、今囘の補償打切に依つて、船主と云ふものは非常に大きな損害を受けると思つて居るのであります、率直に申上げるならば、整理が出來ないで、破産するか、解散をしなければならぬやうな船主が非常に多いだらうと思ふのであります、殘りました、假に整理をして殘つた會社と雖も、私は經濟的に其の會社が非常な困難を來すのではないか、斯う云ふ觀點からして、將來日本の海運と云ふものは、それならばどうして行くかと云ふことを能く考へて見まするに、只今板谷君の御説のやうに、日本の船舶と云ふものは老朽船か、戰時型の船でありまして、自由經濟になつた時には、是等の船と云ふものは到底成立たぬと思ひます、どうしても是は新陳代謝をさせなければならぬと云ふことは、今の船舶と云ふものは日本になくても宜いんぢやないか、どうしても新しい船を造るか、或は外國の船を入れて補ひを付ける以外に私はないと思ひます、現在でも動いて居る船と云ふものは、是は運營會社が運營して居りまするから、大きな豫算の下に國家が之を補填してやつて居るのでありまして、統制を解いて船會社にある所の船を戻された時に、船會社があの船では經濟的に立つて行くことは出來ぬと思ふのであります、運賃などを少し位上げたのでは到底立行けませぬ、先づ補償打切の範圍が何處迄行くか知れませぬが、債務に對して物納をすると云ふことになると、其の船と云ふものは一應國家が引取る結果になるのではないかと思ひます、國家が自らあの惡い船を運營することは出來ないから、此の船を民間に、既存の會社若しくは新會社を作つて、其の會社で其の船を運營せしめると云ふことは考へるのでありますが、其の場合でも、損の行く船を船主に渡されても、計算が立たないものは船主は受取ると云ふことは如何かと思ふのでありますが、是は現在の船腹が、船が惡くとも兎に角動いて居るのでありますから、之を止めると輸送力に影響をしますから、どうしても動かして行かなければならぬ、さうなると國家が船を持つて之を民間に貸與する場合には、政府が餘程助成してやらなければ、船の引取方はないと思ひます、是も暫定的にはどうしても何か考へて、船の運營を圖らなければならぬ、さうしてそれに對しましては、先程申しましたやうに、新しい船が出來たら古い船を廻りから潰して行くことを考へないと、健全なる日本の海運の再建があり得ないと思ふのであります、十五萬「トン」以上は造らせないと云ふやうなことも、先般「ジー・エッチキュー」の方に話を持出した時に、必ずしも十五萬「トン」と決定したものでもないと云ふ御話があつたのでありまして、是は講和條約が出來ました後には、まだもつと多く造り得るのではないか、現に「ドツク」は三百萬「トン」の修繕の出來るだけの「ドツク」を取殘すと云ふことに賠償委員は發表して居るのでありますから、もつとどつさり造らせるのではないか、若しも假に十五萬「トン」以上造らせぬと云ふことであれば、是は外國の船を輸入して、さうして不足を補ひ、古い船は早く處分してしまはなければ健全なる日本海運の發達はあり得ないと思つて居ります、其の場合に金融の問題は是は經濟安定本部長とも私は相談して居ります、どうしても船舶に對しましては、餘程金融の途を拓いて貰はなければ、日本の海運と云ふものは立たない、是はもう大部分潰して新規出發する場合に、金融的にどうしても是はあなた方の方の復興金融金庫に援助して貰ふ外に、日本海運の再建の途はないと云ふことは既に交渉中であります、大體さう云ふ考へを持つて臨んで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=56
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057・板谷順助
○板谷順助君 諸君には甚だ御迷惑でありましても、今暫く質問を續けさせて戴きたいと思ひますが、今運輸大臣の御話の通り現在に殘つて居る所の船は、恐らくは將來何の役にも立たぬと思ふ、現に續行船に對しましても、是も粗製濫造、而も決めた船價の三倍を要求して居るやうな状態で、誰も引取手がない、であるから此の儘放任して置いたならば、日本の海運界は殆ど全滅でありますから、あなた方が今さう云ふやうな理想を御持になつて居るならば、著々と其の實現に向つて御努力を願ひたい、それから今一つの問題は昨日大藏大臣に對しまして御承知の通り現在喪失船に對する所の船は補償打切の結果、皆丸裸になる、是は已むを得ぬ、併しながら一面に於て、此の喪失船に對して政府の低利資金、興業銀行を通じて政府の低利資金を八割、二割は自己資金を出して、八割を借りて居つて六月の六日迄ならば、詰り特殊預金と興業銀行の借入の相殺が出來た、現在に於てはそれが出來ない、出來ないのであるから、所謂總浚ひの意味に於て貸借なし、お互に丸裸になる、斯う云ふ意味に於て別に船主が其の金を取らうと云ふのではない、取らうと云ふのではないから、之を相殺して決算をつくべきものであると云ふことを質問致しました處が、政府委員はそれに對してまだ決つて居らぬ、研究中だ斯う云ふ話でありまするが、是は運輸大臣があなたの責任に於て、出來るだけ此の問題はどうしても解決をして貰はなければ、現在の船主としては殆ど死んで居る、死んで居る上に今申上げますやうに一方に於ての借金が殘つて居る、一方の補償は全部止めてしまふ、どうして生きて行くか、斯う云ふ非常に多大な苦境に陷つて居るのでありまするが、之に對してはあなたはどの程度迄御奔走を願つて居るか、之を一つ御聽かせを願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=57
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058・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 重ねて申上げることになりますが、船主は殆ど無力に等しいものになるのでありまして、併しながら誰でも船の商賣が出來るものでもないのであります、矢張り從來の船主が新たな資本を幾らでも出して、さうして仕事の擔當者にならなければならぬと思ふのであります、其の場合に今日のやうな場合でありまするから、大きな資本を新たに募集すると云ふことも是は困難であらうと思ふのでありまま、小さな會社でも宜しい、新たな會社を設立して、さうして其の會社に新造船を造らせる場合の資金は、是は復興金融金庫に大幅に出して貰ふ外はないと思ふ、若しさうでなければあの惡い船を皆國家が背負込んで、新しい船も金融の途がつかなければ、少しでも國家が造つて、國家が持つて、さうして船會社に賣渡して居つたのでありますが、矢張り國として持たない譯にいかなくなると思ふ、國が持つだけの覺悟があるならば、此の民間の會社に船を計算の行くやうに、さうして金融的に困らないやうにして行くことが當然だらうと思ふ、然らざれば日本の海運の再建と云ふものはあり得ないと私は斯う強く此の問題に對しては主張して居るものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=58
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059・板谷順助
○板谷順助君 今の債權の相殺に對するまだ御返事がないやうですが、兎に角ですな、私は現在の運營會と云ふもの、獨り運營會ばかりぢやありませぬ、有らゆる統制會社と云ふものは損益を考へて居られない、損が行けば必ず國家が出すか誰か出すからして從つて仕事が放漫に流れうまく運用が出來ない、現在の運營會の船の運行のやり方ではとてもうまく行く譯はないのであります、然るに昨日の新聞を見ると云ふと運營會は其の儘當分殘して置く、九月一杯國家總動員法が廢止されても運營會は其の儘殘して置くと云ふ意味の記事があつた、勿論之に對しましては聯合軍の指圖を受けなければならぬ、聯合軍の了解を受けなければならぬことは當然でありますが、何と言ってもです、船自體は船主に返してしまつて、船主自ら働かしたならば、恐らくは私は今囘の海員組合の「ゼネスト」の如き問題は起りはしない、船主が使つて居る船長初め船員に對する有らゆる努力を拂つて行つたならば、決してこんな問題など起りはしない、又過剩船員に對しては配置轉換、斯う云ふやうなことが新聞の記事にも出て居る、海に働いて居る船員が陸に上つて何が仕事が出來るか、何と言つても出來るだけ有らゆる困難を排撃して船を造つて、さうして特異性を持つて居る所の船員を乘せる、此の方針でなければならぬと思ふのであります、是が要するに將來に於て過剩船員を解決する途である、處で今申上げるやうな運營會の將來に對して聯合軍に對する所の了解がどの程度迄行つて居るのであるか、或は今申上げまする通り、百害あつて一利なし、斯かる運營會を其の儘存續して置いて、而も國家の補助を九億五千萬圓も一般會計から出して居る、此の儘持續すると云ふことは、日本の將來の海運界に對する非常な私は不利と考へて居るのでありまするが、此の點に對する御所見を承りたいと思ひます、先づ第一に今申上げましたる相殺の問題に對するあなたの御考を一つ御知らせを顧ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=59
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060・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 補償打切の方は私から申上げるより、是は大藏省の所管でありますから…、船主が預けて居る保險は只になつた、受取つた運賃迄も返すと云ふやうな誠に慘めなことになつたのでありますから、私も之に對して何か復活の途はないかと思つて大藏大臣とも色々相談致したのでありまするが、あちらとの交渉がなんとも方法が付かぬと云ふことになつて居るので、今日の場合如何とも致し方がないのであります、運營會の問題に付きましては、御説の通りでありまして、私は運輸省に入りまして、直ちに之に手を著けまして、今迄でも事務的には運營會は解くべきものだと云ふことで、直接監督して居る「スキヤップ」の所謂日本船舶管理局との間に折衝したのでありますけれども、復員の事業が濟まぬ限りは解かないと云ふ方針であつたと云ふことを聞いたのであります、併しながら現在のやうな形の運營會と云ふものは、所謂船が六百萬「トン」もあつた時の組織でありまして、今日百萬「トン」そこそこ、而も動いて居る船が七、八十萬「トン」よりない場合に、あの大きな組織に立籠つてやると云ふことは、どの角度から見ても正しくないと云ふので、私自身「スキヤップ」の方に出掛けて、さうして運營會の全然解散でなくても、復員事業の終る迄形を變へて其の仕事だけは見れるやうにして、そうして船主に對しては船を全部戻してしまふ、從つて船員の後始末をしてしまはなければならぬ、斯う云ふ考で話しましたけれども、今直ちにやると云ふ考はないが、それは能く承つて置かう、それから其の儘にして置く譯に行きませぬから、運營會と云ふものの改組の方法を考へまして、船の運營に差支ないやうに、此の復員其の他進駐軍の船舶運用に關するものは運營會を通じてやる、其の外のものは船主に船を返して、船主の責任に於てやつて行かれる、斯う云ふことにしたらどうかと云ふ案を作りまして、向ふへ出して居つたのであります、其の後間もなく「スキヤップ」の方からも運營會、船主、政府と云ふものを對象にして細かな箇條で案が廻つて來て居るのであります、併し是は是で決定を見たのぢやない、矢張り此の「スキヤップ」だけでは勝手にならないと云ふことは、對日理事會で此の問題が議せられたことがあるものですから、そちらの方の了解も得なければ、此の案は直ちに實行する譯に行かないと云ふやうな意向でありまして、最近之を重ねて交渉して居りますが、大體に於て、矢張り復員の仕事が全部終らなければ解かないのぢやないかと思はれる、是はどうしても運輸省だけで勝手に處理出來ない問題であります、嘗つて私は議會の劈頭に貴族院で、解く方針だと云ふことを御答へした處が、翌日早速叱られました、まだこつちで認めて居らぬものをさう云ふ方針だと言ふことすらいかぬと言つて封ぜられて居りますので、爾來消極的に之を取扱つて、積極的にやる譯には行かぬのであります、併し最近になりまして、どうもあの儘ではいかぬと云ふことを言つて居ります、でありますから、是は經濟安定本部の方にも交渉しまして、側面から一つ助けて呉れと云ふことを言つて居りまするから、年内には大抵片附くのぢやないかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=60
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061・板谷順助
○板谷順助君 恐縮でありますが、今一點御許を願ひたいと思ひます、御承知の通り、現在の傭船料と言ふか、船賃と言ふか、是は昨年の八月に一割五分上げた、處が御承知の通り、鐵道は本年の春上げ、更に又二倍、三倍にも値上をして居る、到底此の船主側に於きましては、現在の傭船料、或は運賃では引合はないのでありまして、大體大藏省に其の案が出て居るけれども、大藏省からまだ之に對する所の確答がないと云ふ話を聞いて居るのでありまするが、あなたは運輸大臣の責任に於て、此の問題は一日も早く一つ解決あらむことに御努力を願ひたい、又今御話の運營會の解體と云ふことに付きましては、勿論聯合軍側の了解を得なければならぬことは當然でありまするけれども、現在我が國の海運界の現況を能く一つ出來るだけ御説明になつて一日も早く之を解體せざる限りは、國家に損害を掛けるのみである、斯う私は信じて居るでであります、それから政府委員から、今の特殊預金と現在の興業銀行の借入れの相殺に付て昨日あなたの御答を聞きましたけれども、是も大藏省、運輸省が協力をして、一日も早く解決あらむことを希望致しますが、之に對する御意見があれば御答を願ひます、私は是で質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=61
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062・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 今囘の措置に依りまして、戰時補償一般に通ずるものでありますが、是が打切られるとと云ふ際に、借金があつた場合に、之を如何に處理するかと云ふ問題だと思ふのでありますが、是は今囘の補償打切と云ふものは、是は補償の打切に依りまして、其の補償の請求權を持つて居つた人の負擔に於て財政の處理をすると云ふ恰好が出來て居る譯であります、從ひまして個人には非常に御迷惑が行つたと云ふことであります、昨年以來初め考へて居つた式で行きますと、やるものはやる、補償金は出す、其の代り國民全體が此の財産税に依つて負擔を擔つて行くと、斯樣な態勢になるのでありますが、其の熊勢がどうも色々缺陷があると云ふことで補償請求權を持つて居る人の負擔に於て、財政の處理が行はれると云ふ斯樣な結果になつた譯であります、そこで此の補償の打切が行はれますと、只今板谷さんの仰しやる通り、個々具體の場合には非常に不合理なことが多いのであります、其の場合を適正に處理すると云ふのが、今囘補償の問題に關聯します一聯の處理でありまして、一般的に申上げますれば、此の補償打切に依つて穴が明く、明くと云ふ人はそれが會社でありますれば、新勘定、舊勘定に分けまして、舊勘定に於て清算を致すと斯樣なことになります、只今仰しやられる所の銀行からの借入金がありますれば、是は舊勘定の資産の或限度に於きまして支拂ひ致しますれば、是で會社の貴任は免除されると云ふ斯樣な仕組を特に仰しやられるやうな事例に對しまして、一般的に作つてあるのでありまして、其の一般的な原則に對して只今更に特例を設けると云ふやうなことは、ちよつと色々な行掛り其の他から考へまして、到底不可能と思ひますから一般的の仕組に於て解決をすると云ふ外はなからうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=62
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063・瀧脇宏光
○子爵瀧脇宏光君 此の四十二條に復興金融金庫でない者で、此の條文があるのでありますが、現に復興金庫と云ふ名前を使ひ、或は之に類似する名稱を用ひて居るものがございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=63
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064・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 只今さう云ふものは見當りませぬが、念の爲の規定であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=64
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065・高橋是賢
○委員長(子爵高橋是賢君) 今日は是で休憩を致します、午後は一時から開會を致します
午後零時三分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=65
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066・会議録情報3
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午後一時二十五分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=66
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067・高橋是賢
○委員長(男爵高橋是賢君) では午前に引續き開會致します、午後は大蔵大臣は御出席がむつかしいやうでございますから、政府委員から御説明を申上げることに致して御質問を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=67
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068・山地土佐太郎
○山地土佐太郎君 現在貸出しをする場合に、從來の取引銀行を通して申込をせよと云ふやうな風に聞いて居りますが、何か其の法案には現れて居りませぬが、さう云ふやうな規定と云ひますか、大藏省の御方針でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=68
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069・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 此の復興金融金庫と市中銀行と云ふものは、先程御話がありましたが、或意味に於て競爭相手になります、其の間の調整と云ふものを十分付けて行く必要がある、普通一般の金融に屬します分は普通市中銀行に、是は市中銀行ではむつかしからうと云ふやうなものは復興金融金庫の方にそれが適切に分れるやうに致す必要があるのであります、それで現在の建前と致しましては、介添役と致しまして日本銀行を使つて居るのであります、日本銀行が中に立ちまして、さうして只今仰しやひました、先づ市中銀行に金を貸して呉れと云つた場合に是は市中銀行でむつかしいと云つた場合に市中銀行が日本銀行に持つて行つて之を斡旋して呉れと云ふことを頼む譯であります、日本銀行は之を受けまして、あなたの銀行ではむつかしいかも知れぬが、他の銀行ではやさしい、貸出すだらうと云ふ時は他の銀行は斡旋します、何處でもいかぬと云つたやうな性質の場合には、そこで復興金融金庫に持つて行くと云ふやうなことで、斯樣なやうにして日本銀行が中に立つて舵を取つて居る譯であります、此の仕組は或一面から、云ふと煩雜でありますが、一面に於きまして左樣に普通銀行と復興金融金庫の調整を取ると云ふ爲には必要な措置であります、今後暫く此の措置は續けて行く、併しながら此の運用が軌道に乘りまして、日本銀行が中に立たぬでも宜しいと云ふ時にはさう云ふうるさい形式は撤廢致しまして、機動的にやつて行けるやうに致したいと思つて居ります、さう云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=69
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070・山地土佐太郎
○山地土佐太郎君 さうしますと、當分の間は否でも應でも普通銀行へ一應申込まなければいかぬことになりますか、直接復興金融金庫に申込んでも受取らない、斯う云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=70
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071・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 普通銀行に申込むと云ふ場合は、普通銀行で從來取引がある場合の話であります、取引があるから、是は私の所で金が要るのですからどうしたら宜いでせうと云ふことを聽いて行くのは、何等臆劫なこともなく普通自然のことだらうと思ひます、それから取引が市中銀行に全然ないと云ふ企業に付きましては、是は直接日本銀行へ持つて行きます、日本銀行が又市中銀行から借りたら宜からう、又復興金融金庫に行つたら宣からうと云ふ判斷を致します、直接復興金融金庫に持つて行くと云ふことは、差當り當分は考へて居らないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=71
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072・山地土佐太郎
○山地土佐太郎君 それから此の普通銀行でも、それから特殊銀行、興銀なり勸業銀行なりにしましても、從來相當の經驗を持つて居ります、此の復興金融金庫が三年と云ふことに大體貸出の期限が決めてありますから、どうしても復興金融金庫を運營する傍ら普通銀行竝に從來最も不動産金融、船舶金融、或は工業金融等に付て長い經驗を持ち、而も相當の功績を擧げて居るけれども、今度の補償打切で相當の打撃が生じて居る、生じて居りますけれども、さう云ふことを早く整理を促進さして、出來るだけ從來の金融機關を盛り立ててやつて、三年經過して直ぐ正常の金融に復する時に支障のないやうに、寧ろ從來よりはより以上にさう云ふ金融を滑かにやつてやると云ふ使命を全うするやうに兩々相俟つてやつて行かなければならぬと思ひます、無論さう云ふ風な御方針でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=72
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073・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 全く左樣な方針でありまして、今囘金融機關の再建整理法が近く提案になります、其の運用等に依りまして從來の金融機關を益益之を強化すると云ふやうな仕組にしたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=73
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074・稻葉正凱
○子爵稻葉正凱君 此の復興金融金庫か申しますのは、經濟の復興と云ふことが目的でございますので、是から御伺ひしようと思ひますことは聊かそれ用は違つて居るかも知れませぬが、皆樣から御許を戴きまして、廣い意味の都市に於ける建築の復興、其の資金の金融と云ふやうなことを伺つて見たいと思ひます、新憲法の第二十五條にも「すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を營む權利を有する。」「國は、すべての生活部面について、社會福祉、社會保障及び公衆衞生の向上及び増進に努めなければならない。」と云ふことがございます、それに關聯致しまして、其の生活の面、特に住宅の復興と云ふことに付きまして、此の復興の爲に莫大なる資金が必要になる、又金融と云ふことも非常に必要なことになります、それに付きまして政府は只今どう云ふ工合に御考になつて居りますか、ちよつと伺ひたいと思ひます、人間の生活に必要でございます衣食住と云ふ面の食の方の問題は、幸ひ食糧危機の一番危い所を聯合軍の好意に依り切拔けられましたし、豐作などと云ふことで稍稍明るい感じが持たれて居ります、然るに住の問題の方を今振返つて見ますと非常に暗澹たるものがあると思ひます、食は國民の總てが、殆ど總てが其の主食を配給に受けて居りますから、一應に苦しむ時には同じ苦しみを味つて居ると考へて宜しうごさいます、それだけ老若男女一人でも食の關心を持たなかつた者がなかつたので、政府としても非常に御努力をして稍稍明るい感じを持たれた、處が、是が家の問題になりますと、全部が同じ苦しみをして居るとは言えないと思ひます、實は其の影響が社會的にも道徳的にも實に家が足りないと云ふことは大きなことで、都會に於きます交通過多、交通地獄其の他家庭内の不和、道徳の頽廢と云ふことも住の面が足りない爲に起つたと云ふことが非常に考へられます、個々の人を考へますと或者は未だに致し方なく家が無い爲に野天に暮し、「ルンペン」の生活に落ちてしまふ、又戰災後一年になりましても、燒「トタン」を集めた本當の乞食小屋と言つても宜いやうなものに迄住んで我慢をしなければならぬかと思ひますと、又何處かの一つの家に大勢の世帶が入込んで、入込まれた者も苦勞をし、入込んだ者も非常に苦勞するが、皆其の苦勞の味が其の立場々々で違つて居ります、一方には戰災を受けたあれを考へて見ましても、戰災を受けた戸數二百二十五萬戸、人口にして約一千萬、あとの國民は實は家は燒けてなかつたり、同居人を持つて居ないで、其の中には非常に幸福にも戰前と同じ状態で暮して居る、ちつとも住の不滿と云ふことを感じないので、關心を持たない、成るたけ自分の持つて居る他人より良い幸福を逃さないやうに努力して居ると云ふやうな怪らぬ人もあるぢやないかと思ひます、さう云ふやうな譯で、國民全部の關心を高まらないと云ふ譯でないかも知れませぬが、其の爲に聊か復興の度合が遲いのかも知れませぬ、又政府に於きまして逸早く戰災復興院と云ふものを作りました、さうして又同時に國庫補助金だとか、政府の低利資金の融通と云ふことをなさいまして、復興の促進を圖られました、然るに終戰一年後の今日、其の結果を見ますと、一向に成績が擧つて居りませぬ、先程申上げましたやうな暗澹たるものが非常に多い、之には勿論原因が澤山ございます、先程申上げましたやうに全部が一樣に一致して其の方に進んで行くと云ふのぢやない、それも亦一つの原因かも知れませぬ、又資材が無いと云ふこと、さうして箆棒な闇値があつて資材の入手が困難であると云ふこと、勞働者の不足とか又ひどい高賃金と云ふことも原因だと思ひますが、資金が十分に動かせないと云ふことが復興を妨げて居る非常に大きい原因ぢやないかと思ひます、今どう云ふ工合に資金の關係がなつて居るかと見て見ますと、要するに公共團體等で以て貸家などを造ります爲に政府で以て補助をしておいでになるが、其の場合でも簡易住宅の一面を見ますと、簡易住宅には坪六百圓と云ふあれがございました、一部は國庫で補助をし、一軒には二千二百五十圓を以て限度とする、それから戰災を受けた個人が恩典に浴せます政府の低利資金、是はどの位かと申しますと、一戸一萬圓限り、それから庶民金庫になりますと、一世帶二千圓であります、申す迄もなく封鎖預金の方から金を出す場合も、此の間金融緊急措置令の一部改正になりましたとは言ふものの、一萬圓迄しか引出せない、さう致しますと、事實本當に何と云ふか坪六百圓で今出來ないと云ふことは皆知つて居る、一萬圓で家が建たないと云ふことは非常にはつきり分つて居る、それからもう一つ戰災保險、戰災保險で以て五萬圓以上が打切りになつたと云ふ時に、此の前石橋大藏大臣が本議場での御答辯の中に、此の保險を掛けて居る者の九割は五萬圓以下の金額を掛けて居る、だから其の人達は別にちょん切られて居る譯でないからまあまあと云ふことがございました、私はそれを伺つて、是は事だ、何故と申しますと、若しさうとすれば大部分の者が掛けて居る保險金額と云ふものは恐らく二萬圓、一萬圓位のものが一番多いぢやないか、さう致しますと金額は切られてないのでありますが、保險を掛けたと云ふ本來の目的は何かと云ふと、戰災を受けた其の家を復興させる、さう云ふのが本來の目的、其の金を貰つても家が建たなければ何もならないと云ふことに實際はなるのであります、さう云ふ譯でごさいますから、二萬圓位のものを戴いたとしても、其の人は十分使へるかも知れませぬが、まともな方法ではなかなか家が建たない、勿論勸業銀行等で限度なしに或程度お金を拜借することも出來るかも知れませぬが、それはなかなかおいそれと行かない、して見ますと、要するに新圓成金と申しますか、新圓がどんどん儲かる商賣をして居る人、料理屋さんとか闇屋とか、さう云ふ者以外の眞面目な、眞面目と言つてはをかしいかも知れませぬが、實際に粒々と辛苦して家を建てると云ふ人達は、是から復興しようと云ふ場合には、餘程何か無理をして、自分の持つて居る物を賣つて新圓に代へるとか、已むを得ず闇屋に轉向すると云ふやうなことでもしなければ家が建てられないと云ふやうな工合になつて居る、それで實は其の建築費の方から考へて見ますと、あの一風吹けば飛んでしまふやうなあのほんとの簡易住宅のひどいものでも、現在坪二千圓ではちよつと無理ぢやないか、それで私はまあ實際考へますと、ああ云つた「バラック」を建てるのは、戰時中で是で今暫く我慢せよと云ふ場合ならば、致し方ないかも知れませぬが、今はもう戰爭を了へまして、我々は復興と云ふものに本腰で堂々と取つ組まなければならない、其の時にああ云つたちやちな建築をすると云ふことは、ああ云ふ建築でございましたならば、どんなことをしても四年か五年位に新しく改築しなければならぬ、又新しく建築しなければならぬ問題が起つて來まして、其の爲に何時迄立つても鼬ごつこと云ふことになる、と云ふことは、結局其の爲に使つた資材と云ふものを無駄にするやうに考へられる、それですから、どうしても勿論或程度生命のある壽命の長い家と云ふものを建てなければなりませぬ、其の壽命の長い家を建てました場合には、其の場所が或は都市計畫で工合が惡くなりましても、建てた家が丈夫でありましたならば、木造建築はそこも便利なのでございまして、他所へ移築することが出來ます、ですからどうしても是等の本腰になつて建てるものは、少くとも生命が或程度長い家を建てなければならぬ、さう致しますと、今進駐軍の爲に政府で建てられて居ります家は、坪一萬圓以上などと世間では言つて居ります、そんな贅澤なもの迄は欲しないにしても、矢張り十年二十年の命を持たすものを今作るとしますと、坪五千圓と云ふやうなことは先づ掛ると云ふことになつて居るのではないかと思ひます、それを假に政府の御力か何かで物資の値段を押へて戴いたり、勞銀の値段を色々調整して戴いて、坪三千圓で出來たと假定致して見ます、さうして建物の六坪ちよつとと云ふものは、今迄色々營團や何かで作つておいでになりましたが、皆評判が惡くて、結局落第してしまひまして、現在では十二、三坪のものをやつて居られると云ふ譯ですから、十二坪の家を建てると假定致しますと、一軒の家を建てますに、どうしても三萬六千圓掛る、さう致しますと、先程も申上げたやうな、今動かせる金では新圓以外のものではどうしても家がなかなか建てられないことになる、是が日本全國の九十都市の戰災家屋と云ふものの戸數は二百二十五萬と申されて居ります、勿論自然増加とか、海外から歸つて來た人とかなどを入れますと、もつと多く、四百萬とかになりますが、今假にそんなものを入れませぬで、本當に戰災を受けた、さうして燒失した家を復興させると云ふだけを考へて見ましても、要するに其の二百二十五萬戸と云ふものをどうしても建てなければならぬ、で戰災復興院邊りの今年度の二十五萬戸を建てる計畫と云ふものを伺つて見ますと、其の半數は民間が個人で建てることと云ふ御計畫になつて居ります、さう致しますと、其の二百二十五萬戸の半數、百十二萬五千戸を個人が若し建てた場合、それを先程も申上げましたやうな、値段が一軒三萬六千圓と致しますと、實に金額が四百五億と云ふ莫大なものになつてしまふ、さうして勿論是は坪十二坪の住宅ばかりがずつと出來る譯ではないので、其の住宅はもつと廣いものも出來ます、さう云ふこともございますから、もう是なんかはどつちかと言へば非常に小さく見積つたと云ふことになるのでありまして、さうして今私が申上げましたのはほんの一部分の復興なので、それ以上の住宅の復興、都市の復興と云ふものにはもう本當に人の計算に依つては色々だらうと思ひますけれども、何千億にもなる金が要つてしまふかも知れない、此の大きな資金を政府はどう云ふ工合に御考になつて居りませうか、それから例へば現在の金融の方から申しますれば、要するに一萬圓しか低利資金で貸して戴けない、其の枠をもう少し上げて戴くことが出來ないか、又封鎖預金などと云ふものも少しは一萬圓でなく上げて戴けないか、政府では此の間、要するに罹災都市臨時措置法と云ふものを御出しになりまして、其の時の御説明にさう云ふものを作つて保險屋などを保護して早く復興が促進出來るやうにするのだと云ふ御話がございましたが、一方其の金融關係が、金融關係と申しますか、資金の關係が其の儘になつて居りましたのでは、何か宜い加減片手落の氣が致しまして、保險だけはあつても金の關係で家が建てられないと云ふこともあるで、私は政府としては成るたけ早く今資金關係がほんとに行き詰つて居るやうな感じがして居る、闇の方はどうか知れませぬが、其の現状を打開して戴きたいと思ふのでありますが、それに對してどう云ふやうな御考を持つて居られますか、ちよつと承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=74
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075・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 速かに此の復興と云ふことを致す、就中衣食住に付きまして復興を致しまして、生活の安定を圖ると云ふことは全く同感であります、併しながら其の速度の問題になりますと、是は住宅の問題に致しましても、あれ程多數のものが一度に燒けたのでありまして、之を一度に建て直すと云ふことは相當の大問題であります、殊に戰時中日本の資源と云ふものは、是は申す迄もないのでありまするが、殆ど戰爭の爲に燒盡し盡したと云ふやうな現在の状況に於きまして、大震災のあとの復興と云ふやうなことを考へながら、復興と云ふやうな計畫を致したとすれば、それはもう全く畫餠と言ひますか「ペーパー・プラン」だけの話でありまして、實行性も何もない、左樣な資金計畫なり、物資需給の計畫を立てますれば、それは結局經濟の破壞、通貨制度の破壞、斯う云ふことになります、左樣な見地で、是は大戰爭に於て大失敗をした其のあとの復興だと云ふ前提の下に、各種の復興計畫と云ふものは立てられてあるのでありますが、只今御話の一萬圓の問題、是あたりも一萬圓と云ふとなかなかそれは我々の過去の常識が許しませぬ、許されませぬが、又二千圓で五坪と云ふ家を考へて見れば、一萬圓と云ふやうなことになりまする、併し其の位の實力しか、もう日本の實力はないのです、と云ふ風な考を以ちまして、只今色々なことをやつて居る譯でありまするから、物價等の關係で多少無理な點が出て來つつあるやうにも思ひますが、まあ非常に無理な状況になりますれば、又其の際さう云ふ點は是正すると致しますが、根本的な考へ方としましては、灰燼の中から起ち上る何もなく、震災の時のやうな殘された資源が背後にない、左樣なことを前提としてやつて居りますから御了承を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=75
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076・稻葉正凱
○子爵稻葉正凱君 私勿論資材がないと云ふことも能く分つて居ります、さうして是だけの建築が一度に出來ぬと云ふこと、絶對に不可能だと云ふことも能く分つて居ります、ではございまするが、今の御話を伺ひますると、大體に於て政府に物資がないと云ふこと、それから又若しも此の爲に餘り金を出すと云ふやうなことになると、場合に依れば物資の需要供給の關係から闇値が煽られてしまつて、建築は値段がどんどん上つて行くのぢやないかと云ふやうなことも御考になつての上のことだらうと思ひまするけれども、一方には何と申しまするか、全然統制を受けて居ない闇屋、闇の新圓と云ふものがございまして、さうして現在どんどん建てて居るのを見ますと、本當にさつきも話しましたやうに二千圓で「バラック」が出來ると云ふやうなことは殆ど不可能だ、それこそ「ペーパー」の上で二千圓で出來ると云ふことで、實際上は殆ど出來ぬのぢやないかと思ひます、さうして闇屋さんはどんどん坪一萬圓位のものを建てて、さうしてそこで以て飯を食はすとか何とかやつて稼ぐと云ふやうなことをやつて居るやうであります、一方又本當に戰災者で困つて居る者は、全然周りが燒けてしまつて、白分が賣らうと思ふ物もないと云ふやうな人々のことを考へますと、まあ皆敗けたのでございますから此の際大いに我慢してやらなければならないのでございまするが、何か先程申上げたやうに此の苦しみが一樣でなくて、或方面の人達は置き去りにされてしまつて居る、それは非常に殘念なやうに思ひますので、出來るだけ何とか此の資金がさう云つた物價高を變に惹起すやうなことなしに、さうして早く復興が順調に進むやうにして、さうして現在に於きまする住宅のないと云ふことから起つて居る社會的な色々な問題とか、道徳的の問題と云ふやうなことが解決出來るやうに私は希望して質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=76
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077・河西豐太郎
○河西豊太郎君 ちよつと一つだけ御伺ひ致します、今朝の應答中で私聽き洩したのかも分りませぬが、念の爲に御伺ひしたいと思ひます、復興金融委員會、此の構想に付て膳大臣から御答があつたのでありますが、復興金融委員としては委員長は大藏大臣、それから其の他に安定本部長官、それから閣僚、それからもう七人加はると云ふことを承つたのでありますが、全體の員數が幾人で構成される譯であるか、それから今御定になつて居りますか、居りませぬか、此の委員會は言ふ迄もなく理事長、副理事長、理事、監事を悉く推薦する權能を持つて居るのでありますが、其の他平生の業務に於ても委員會の承認を得てやる、此の復興金融金庫法に對しては非常に重要な職責のものと思ひますが、此の人數は豫め定めておありになりますか、なりませぬか、それをちよつと御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=77
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078・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 是は復興金融委員會官制と云ふものを出しまして、それに於て決める問題でありまするが、只今其の復興金融委員會官制の構想と致しましては、委員長一名、副委員長一名、それから委員十名であります、其の委員十名の中、農林、商工兩大臣、日本銀行總裁が入りまして、後七人が一般の民間から經驗者、有識者と云ふことで選任される、斯う云ふやうなことになります、七人の中の大半は、是は産業に關係のある方面から選ぶと云ふことに先程大臣から申上げた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=78
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079・河西豐太郎
○河西豊太郎君 分りました、宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=79
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080・中村貫之
○男爵中村貫之君 ちよつと伺ひたい、のですが、第一條に「經濟の復興を促進するため」、斯う云ふ風にありますが、是だけの御言葉で非常に廣いので、もう少し具體的に伺へないのかと思ひます、と申しますのは、どう云ふ方面にどの位金を使ふ豫定であると云ふことを伺ふことは出來ませぬでせうか、と言ふのは、昨日、今日も御話がありましたけれども、復興に要する經費を政府では大體二百億圓と見て居る、其の中七割と云ふものを普通の銀行で融資して、後の殘りを復興金融金庫で融通する、斯う云ふ風に伺つたのでありますが、復興資金を二百億と見る、斯う云ふことには相當はつきりした構想があるのだと私は想像致して居ります、それでそれには、今日御話のありましたやうに、海運の方に幾ら使ふとか、都市の復興には幾ら使ふとか、さう云ふ風な大きな構想があるのぢやないかと思ひますが、さう云ふことがあればちよつと伺つて置きたいと存じます、尚又貸す方の相手でありますが、是は會社、個人、斯う云ふものの外にも矢張り公共團體みたやうなものにも御貸しになるのでありますか、さう云ふことをちよつと伺ひたいと存じます、もう一つは、是が融資をするのは三年間、と斯うなつて居りますが、三年間以後は新規の融資はしない、さうしますと此の後の始末はどうなるか、相當に大きなものもあると思ふのでありますが、さう云ふ風なのは或は五年とか十年とか其の儘殘つてしまふか、或は或時期で打切つて之を政府の損としてしまふか、又は或は興業銀行、勸業銀行などで肩替りをして、それで此の復興金融金庫の方は事業を仕舞ふのか、さう云ふ風な後の締括りはどうなるか、さう云ふことを伺へれば結構だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=80
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081・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 只今御話の第一點であります所のどう云ふものを目標にするかと云ふことでありますが、是は今後經濟安定の綜合計畫が出來ませぬとはつきりしたことは申上げられませぬが、大體只今資金計畫上考へたものでありますが、是は全國の銀行側の主要産業に對する貸出豫想額と云ふものを取つて見たのであります、もう一つは是は過去の、終戰後今日に至る迄の貸出の實績と云ふものを色々系統を立てて調べて見たのであります、其の結果大體二百億と云ふものが年度末迄にありますれば、復興に必要な資金には十分であらうと云ふ風に考へたのであります、其の中特に主要な大額を占めるものと致しましては纖維工業、其の次は肥料でありますが化學工業、其の次は鐵道、車輛と云ふやうなものであります、次いで鐵鋼、石炭、造船、自動車、護謨等のものが入つて居る譯でありますから、其の金額に付きましては只今の處では自算も立たないやうな状況であります、それから貸付の相手方は、個人でも、團體でも、會社でも、何であつても差支ありませぬ、それから三年後の始末はどうなるかと云ふことでありますが、三年經つて見て經濟安定がまだ出來ないと云ふやうな場合には、それは延ばし得ることになつて居ります、それから三年以降に於きましては、新規の貸付は致さないことに一應なつて居ります、さうして此の金庫は解散致しまするが、其の各種の事務、例へば既存の銀行に、外の銀行に特殊な勘定でも設けまして、其の業務を引繼ぐとか云ふやうなことに致しまして、囘收は幾ら長くなつても支障のないやうにする、斯樣な風になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=81
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082・村田保定
○男爵村田保定君 今の話に關聯致しまして、復興金融金庫のことでありますが、是は從來の法人、會社等の觀念とは非常に違つて居るやうに存じます、是は三箇年の間だけを目的とした一種の何と申しますか、政府の施設を一つの法人にしたやうな妙な形、法律上の性質としては法人と云ふことになつて居りますが、從來の觀念から考へるとちよつと得體の知れないやうなものに考へますが、如何なものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=82
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083・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 只今の御話は誠に左樣な譯で、是は政府と實は一體なものであります、政府の出店であるが、唯運營を機動的に致すと云ふ趣旨に於きまして政府から切り離れて居ると云ふやうな極めて特殊な存在であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=83
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084・村田保定
○男爵村田保定君 それからもう一つ伺ひたいのは復興金融債券のことであります、先程の御話では是は國債を以て財源とする御話でありましたが、復興金融債券の方は矢張り是は賣り出されるのではないかと思ひますが、或は政府で御引受になるのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=84
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085・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 復興金融債券の方は成るべくならば市中で賣捌きたい希望を持つて居ります、併しながら現在の市中の状況ではなかなかそれもむつかしからうかと思はれるのでありまして、結論としては實際上日本銀行に於て大部分を引受ける、斯樣な結果になるのではないかと云ふ風に思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=85
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086・村田保定
○男爵村田保定君 私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=86
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087・高橋是賢
○委員長(子爵高橋是賢君) 運輸大臣が見えましたから、運輸大臣に對する御質問を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=87
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088・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 運輸大臣に於きましては、海運業の再興に付て非常に御努力になつて居ると云ふことを承りまして、私等は密かに喜んで居りまするが、午前中の海運に關する質問者の多少洩れた點を私補足的に御尋ね致したいと思ひます、先づ私は融資即ち金融に付て御伺ひ致したいと思ひますが、其の前提として現在の船舶の建造費及び其の採算點に付て遞信省で何か御調になつたものがあればそれを先づ承りたいと思ひます、例へば戰爭前に於きましての標準型の「ビー・クラス」の貨物船の建造費が今日の造船所に於て幾らであるか、さうして此の船を運航させる總ての運航費なり及び人件費、税金其の他總てのものを、取りまして、尚且一割位の配當が出來ると云ふことにしまして運賃はどの位に決めたら宜いか、斯う云ふ點に付きまして定めし運輸省に於かれましては豫め御調になつたものがあらうと思ひますから、それを先に承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=88
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089・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 戰時中造つた船は大體一「トン」七百圓から最高千圓位のものであつたのでありますが、今日造るものは「トン」五千五百圓位掛かる、此の五千五百圓掛かつた船を運航する場合に今日の運賃では非常な差があるのであります、只今運賃の標準となつて居ります石炭の例を取つて見ますると現在一「トン」三十七圓で運んで居るのであります、是が既に三十七圓では引合はぬのであります、船の運航が豫定通り出來ればさう損はないのでありますが、御承知の通り船が非常に惡いものですから、三航海出來る船が一航海半か二航海しか出來ないと云ふやうな情勢でありまして、假に之を新しい船を今日の價格で造りますると、三十七圓の運賃を四倍位に上げなければ計算にならぬのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=89
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090・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 只今の御答辯に依りますると、今日新たに建造する船を以て運航する場合に於ては、運賃を只今の四、五倍に増さなければならぬと云ふことでありまするが、さう云ふ高い運賃で果して國民が、國民と云ふよりも直接に其の物資、石炭なり、木材なり、それを利用する人が堪へ得るかどうかと云ふことが疑問でありますが、若し堪へ切らぬとすれば事實建造と云ふことは不可能のやうに思はれますが、其の點に付ては如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=90
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091・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) それは現在の船舶は先程申上げましたやうに船價が安いのでありまするから、上げましても倍位にすればどうか斯うか引合ふのではないかと思つて居りますが、新造船に對しましては、現在は百「トン」以上の船を造ることを許されて居りませぬ、でありまするから將來造り得る時代になりましたならば、建造費がもつと安くなるとか、或は船が安く輸入されるやうな場合になりますると、四倍も上げなければならぬと云ふことにはならぬのぢやないかと思はれるのでありますが、是は一般物價の水準を何處に置くかと云ふことで決る問題ではないかと思はれるのでありますが、現在を標準とすると、只今申上げたやうなことになるのでありまして、船が惡いながらも船價の安い船が全部でありまするので、新しい船の建造は許されませぬし、古い船で現在の運賃はもう既に安いのであります、是は鐵道運賃がまだ本決りに決りませぬので、鐵道の三倍、三十割の値上が最近に決ると思つて居りますが、それが決りますと直ちに船の運賃も凡そ倍位には上げなければならぬと思つて居ります、斯う云ふ考であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=91
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092・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 只今では百「トン」以上の船舶の建造はちよつと禁じられて居るやうな御話でありまするが、それではまあ定假的と致しまして、今後大きい船の建造が出來る場合に於ける、是は其の時にならぬと分らぬと仰しやれば仕方ありませぬけれども、大抵御見透が付き得ると思ひますから、假定的に大きい船を建造なし得る場合に於て、融資其の他に付きまして出來得る限りの便宜は御與へ下さると云ふ御趣旨のやうに承つて居りますが、例へば融資に付きまして、聞く所に依れば、融資は與へるがそれに付ては擔保を提供しなければならぬ、處が船はまだ建造中に於て金が要るのです、先づ發註致しますと、例へば「クレーン」を据ゑ付けるとして幾ら拂ふ、それから進水の時に幾ら拂ふ、それから受渡しの時に幾ら拂ふと云ふやうに金が直ちに要るのですが、其の時に擔保に供すべき何物もないのですが、さう云ふ場合に於て融資を與へると言つた所が事實それはどうも不可能になりまして、船舶業者に於て其の融資を利用すると云ふことは出來ないやうな譯であります、併し若しも之を現在の營團のやうなものを矢張り繼續せられまして、之に建造させまして、さうして竣工の上で讓渡すると云ふ方法があればそれは立派に成り立つと云ふことになりまするが、其の點に付きまして矢張り何とを産業設備營團見たやうなものを繼續されて、建造させて、註文する所の船主に對して金融上毫も支障ないやうな方法を與へると云ふことに付きましての御考は如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=92
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093・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 御尤な御尋でごさいます、是は先般産業設備營團は解散をせよと云ふことになつた時に、私の方と致しましては從來船は全部産業設備營團が造つて船主に賣渡して居つたのでありますが、それでは非常に困るから船の建造に付ては産業設備營團に代る何か營團的のものを許されないのかと云ふ交渉を既に開始して居るのでありますが、まだ何とも返事も承つて居らぬのであります、假是がどうしてもさう云ふものを作つてはいかぬと云ふことで、船主が直接に船を造ると云ふやうな場合になりますると、事務的に見ますると、擔保を提供せいと云ふことは當然でありませうけれとも、船會社が弱體になつて居るのでありますから、それは擔保もなければ金もないのでありますから、是はもう擧げて復興金融金庫が全部でも、場合に依つては私は金融しなければ再建があり得ないと考へて居ります、此の點に付きましては經濟安定本部長官とも、將來のことでまだ正式には諮つて居りませぬけれども、下交渉を開始して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=93
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094・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 次に現在の海運業者と云ふものは、今日では御話の通り非常に弱體化して居りまして、今後過去の業務を其の儘繼續することが出來るかどうかと云ふことも隨分疑問であらうと思ひますが、何れ之に付きましては淘汰するとか、整理するとか云ふやうな方針を執らなければならぬかのやうにも考へられまするが、其の點に付きましてどう云ふ御考へを御持ちになつていらつしやるでせうか、又當座整理するに付きましてはどんな順序でおやりになると云ふ御考でせうか、此の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=94
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095・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 先般來補償打切が本決りになりませぬ前から、大體先の見透しを付けて、是は容易ならざることである、どう決定するか知らぬけれども、補償打切に依つて船會社と云ふものは非常な苦境に立つだらうと云ふことを想像されるのでありまして、私は船會社の關係者に屡屡會つて、まだ政府としては決定して居らぬのだから發表は出來ぬけれども、内容を見るに船が一番ひどい損害を受ける結果になるのだから、是は將來の爲に覺悟をして、新に出發するやうな考へを持たなければいかぬと云ふことを強調して居つたのであります、先般も全國の船主大會を開きまして、大體さう云ふ方向に進まなければいかぬと云ふことを船主側にも傳へて居るのであります、又代表的な郵船、商船あたりの船主に對しましては、特に私は是は數囘に亙つて話合もして居るのでありまして、愈愈明日法律として上程されるのでありますから、今度は内容もはつきりして參りまするので、もう少し積極的に船會社の再建に付て當業者と何處迄も話合をして、所謂船の「エキスパート」を相手にしてやらなければならぬと思つて居ります、過去に於て船會社と云ふものは非常に日本の國の爲に貢獻したことがあるのでありまするから、是は何處迄も從來の關係者が寄つて協議をして、さうして日本海運の再建に努力することが當然であり、又政府としてもそれを援助して行かなければらぬと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=95
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096・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 海運業者の中には、或は斯う云ふ高い船價の船を運航しては、運賃が果して今日の域を維持することが出來るかどうかも分らない、寧ろ此の際は一時休む方が宜からうと云ふ考で、解散でもしたいと云ふ希望を持つて居る會社がありとすれば、是は一般の法人と同樣に、運輸省に於ては之を各自の任意で解散することを、御許をなさると云ふ御方針でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=96
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097・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 補償打切の結果に勿論依りますが、資本金の九十「パーセント」迄打切られた場合に、財産として殘つて居る船を持つて居る會社は、負債がどの程度迄殘つて居るか、是は持つて居る船の評價益を出して、其の負債との「バランス」を取れば、其の儘でも其の會社其のものが繼續が出來ると思ひますけれども、私はああ云ふ惡い船の評價益と云ふもの迄出して、さうして「バランス」を合せると云ふことは、將來の船會社の歩み方では私はないと思ふ、九十「パーセント」迄資本金を打切られて、積立金一切を失つてしまつて、惡い船を抱へ込んで、さうして其の負債が多い場合に、評價益を出して「バランス」を取ると云ふことでは、其の會社は立てないと私は思ふのですが、唯當事者の考に依りまするけれども、私の考としては矢張りもうそこ迄行つてしまつたら解散をして、所謂第二會社になりますか、新しい會社を作つて負債のない會社として出發することが當然ではないか、斯うなりますと債權者に向つて船を渡してしまふより仕方がない、其の結果船は國家が持つことになると思ふのでありますが、一遍國家が持つたものを、船會社に其の船で計算の立つやうにして、新しい會社が其の船で運營すると云ふことが私は望ましいと思ひます、併し内容に依りまして郵船のやうな、船の外に財産を持つて居る會社がありますが、是は斯う云ふ時代だから相當評價益が出せるだらうと思ひます、經濟上そんなに苦しくないと思ひますけれども、船より持つて居ない會社は、なかなか私は其の整理して後で出發することは、困難なやうに私は考へて居ります、併し是は運輸省として思ひ切つて潰して、新規に出發せよと斯う極端なことは言へないのでありますが、さう云ふやうな時には皆さん能く考へて御やりにならないと、後で大きな借金を持つて、古い船を持つたのでは私は何としても立たないと思つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=97
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098・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 諄いやうですが、尚もう一度御伺ひしますが、所有船舶全部を喪失した會社は、第一に解散の方針を取る方が宜いと云ふ御考でありますか、又一隻でも殘つて居る會社は出來得るならば存續させた方が宜くはないかと云ふ御考でありませうか、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=98
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099・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 是は矢張り當事者の考に委せなければならぬ、今迄の暖簾の關係もありませうし、色色個人的な關係があると思ふのでありますが、其の當事者の考に委せなければならぬと思ひまするけれども、非常な無理なことであれば、私としては再出發した方が宜いと云ふことを勸告したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=99
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100・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 大變御深切な御答辯を承りまして、私も滿足致しましてございますが、兎に角海運業者と云ふものは、御承知の通りどうも今日では再興を圖るにしても、政府の御援助がなければ到底目的の達成はむづかしいと思ひまする、然るに海運業者が過去に於て、どんなことをしたかと云ふことを御考になりましたならば、日本の國運の著しく發展致しましたのは、貿易と海運と相俟つて私は大いに力があると思ふのであります、のみならず日本は以前から食糧の不足に惱んで居る國でありまして、必ず食糧を他から輸入しなければならぬ、而して食糧の代金を支拂ふにはどうするかと言へば、他から何かの方法で金を取つて來ると云ふことが必要である、是は運賃の收入に依りまして、過去に於て二億、多い時には三億以上の金を日本に取りまして、國際貸借に著しく貢獻致して居る、斯う云ふ風に國際貸借に獨り貢獻したのみならず、日本の國運の發展、工業の振興に付ても、多大の效果を與へて居りましたのです、又今後日本として國を再建して行く上に於ても、四面環海の我が國に於きましては、海運を以て立つて行くと云ふことは最も必要であります、英國の例に倣ひ、若しくは「ノールウエイ」の例に倣ひまして、海運に重きを置くと云ふことは、最も必要と云ふことは大臣御承知のことと思ひまするが、處が今度戰災に依りまして總ての財産を喪失致して居ります、戰災の災害者の中にも工場の如きものは、土地が殘るとか又は燒殘りの殘品があるとか、或は材料資材なりが相當まだ殘つて居るとか、其の値上りに依りまして、損害の幾分を補填することが出來ますけれども、船舶業者は總て船舶其のものを失ひ、而して之に對する補償金を失ふことになると、財産全部を喪失したことになる、過去に著しく功業のあつた者に、斯くの如き慘めなる境遇を與へると云ふことは、誠に氣の毒で憐むべきことであると感ずるでありませう、又國家に於ても亦其の位の御考は持たなければならぬと思ひますので、兎に角思召のある所は私も承りまして、大變感謝を致しまするが、尚此の上ながら一層の一つ海運の再興に付きましての御盡力を、偏へに御願ひ致しまして私の質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=100
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101・高橋是賢
○委員長(子爵高橋是賢君) 外に運輸大臣に對する御質問の方ございませぬか、では是で……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=101
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102・山地土佐太郎
○山地土佐太郎君 此の復興金融金庫の役員は、全部代表者と云ふことになつて居りますが、全部代表權を持つて居ると云ふことに解して宜しうございますか、相當の役員が出來ると思ひますが、一般の會社邊りでも、商法では代表權は持つて居りますけれども、矢張り事務處理上株主總會に於て、代表權の宣言をすることが、大體多數になつて居りますが、どれも是も代表權を持つて勝手に代表者を選定すると云ふこと迄行くと、色々又衝突が起るやうなことも生じて來やすまいかと思ひますが、全部に代表者權を持たすと云ふことは、何か根據があらうと思ひますが、それを伺ひたいのですが、それからもう一つ委員會の委員及び金融金庫の役員になる人は今度の「パージ」に關係して居ると矢張り工合が惡いですか、差支ありませぬか、此の二つを伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=102
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103・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 是は此の復興金融金庫は、公職追放令の所謂公職と云ふ方には現在の所はなつて居りませぬが、勿論あれに準ずべき機關だと云ふ風に思ひます、從ひまして公職追放令に該當致します者は、此の機關の役職員に就くことは出來ない、斯樣に了承願ひます、それから復興金融委員會委員も亦同樣であります、次に此の復興金融金庫の代表者でありますが、是は定款に於て明かに致しますが、理事長を代表者と致します、但し理事長は其の他の副理事長又理事に對して代表權を附與することが出來ると斯樣なことになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=103
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104・高橋是賢
○委員長(子爵高橋是賢君) もう大概御質問も盡たやうでございますから、今日は是で散會致して、明日本會議があるさうでありますから、午後一時より開會致しまして討論に入りたいと思ひますが、如何でございませう
〔「贊成」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=104
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105・高橋是賢
○委員長(子爵高橋是賢君) それでは左樣取計らひます、是で散會致します
午後二時三十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=105
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106・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 子爵 高橋是賢君
副委員長 男爵 杉溪由言君
委員
侯爵 嵯峨實勝君
侯爵 西郷吉之助君
伯爵 金子武麿君
子爵 瀧脇宏光君
子爵 水野勝邦君
子爵 稻葉正凱君
男爵 伊藤文吉君
長谷川赳夫君
男爵 長基連君
男爵 中村貫之君
男爵 村田保定君
黒田英雄君
板谷順助君
石川一郎君
橋本辰二郎君
野村茂久馬君
名取和作君
河西豊太郎君
山地土佐太郎君
片倉兼太郎君
栗栖赳夫君
國務大臣
運輸大臣 平塚常次郎君
大藏大臣 石橋湛山君
政府委員
大藏事務官 福田赳夫君
同 三井武雄君
運輸事務官 長井實行君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003079X00219460926&spkNum=106
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