1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○貿易資金特別會計法案
○産業復興營團法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=0
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001・会議録情報2
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委員氏名
委員長 子爵 植村家治君
副委員長 男爵 肝付兼英君
公爵 桂廣太郎君
公爵 三條實春君
侯爵 前田利建君
伯爵 大木喜福君
子爵 入江爲常君
子爵 伊集院兼高君
子爵 土井利章君
子爵 三浦矢一君
姉崎正治君
男爵 山名義鶴君
男爵 坂本大造君
男爵 小原謙太郎君
男爵 田中龍夫君
中村藤兵衞君
井川忠雄君
川上嘉市君
合田健吉君
中山太一君
畠山一清君
太田半六君
渡邊三郎君
鏑木忠正君
松尾嘉右衞門君
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昭和二十一年十月七日(月曜日)午前十時十九分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=1
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002・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 是より開會致します、本特別委員會に付託せられましたる法案は、貿易資金特別會計法案、産業復興營團法案、此の二つの法案でございます、今商工大臣が御見えになつて居りまするので、先づ産業復輿營團法案の御説明を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=2
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003・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 産業復興營團法案の提案の理由を御説明致します、産業復興營團は、戰後經濟の速かな復興を圖る目的の爲に、産業設備及び資材の整備活用を圖ることを其の業務とするのでありますが、政府に於きまして、今回産業復興營團の設立を企圖致しましたのは、主として次の理由に基くものであります、一、日本經濟の現状に於きまして、其の最低限度必要な民需生産の充足を圖りまする爲にも、戰災設備の復舊、老舊設備の改造、軍需産業設備の轉換乃至新規設備の建設等、産業設備の速かな充實を圖る必要があるのでありますが、是等の設備の建設又は復舊費は、現状に於て異常な昂騰を示して居るのでありまして、此の變則的に値上り致して居りまする設備費を以ては、企業の將來に對する健全な見透しが立ち難いこと、又事業者が一般に金融上の甚しい梗塞に苦しんで居りますること、又製品の需給の將來に對してもまだ確乎とした見透しが立ち難い状況にあること等の各般の事由に依りまして、設備の復興、建設等に對する多額の固定資本の投下が手控へられ、自然生産の沈滯を生じて居る實情であります、次に右に申述べました事情の中の金融の手詰り等は、別に準備致して居りまする復興金融金庫の金融を以て解決されるのでありますが、此の外に尚單なる金融助成のみを以てしては解決されない幾多の問題があるのでありまして、就中金融を受けましたる場合に於て、將來の經濟變動の爲、其の辨濟が不能となるやうな虞れがありまする場合は、一つの設備の増設に付て金融を受けた爲、結局企業全體が倒壊する危險に曝される等の危惧が生じ、自然現状の如き經濟界の變動期に於きましては必要な設備の擴充が見送られ、産業の恢復が容易に其の緒に着かぬ儘推移致して居る實情であるのであります、右の如き事情に對しまして、當面産業復興に必要な設備を充實して所要の生産遂行を圖る爲には、到底之を所謂産業の自主的立直りに放任することが許されぬのでありまして、國家又は之に代る機關に於て設備を建設し、之を事業者に貸付け、運營せしめて、金融を受けた場合の如く他の事情を顧慮することなく、生産の遂行に全力を盡すことを得せしめ、以て生産の達成を圖ることが最も緊要であると考へる次第であります、固より右の如き施設は、國又は其の代行機關に於て設備建設に對する負擔を全画的に負ふこととなり、國の犠牲は已むを得ぬとは言へ、少からぬものでありまするから、産業復興營團に於て設備の建設を行ひまするものは、眞に國民經濟の復興再建に必要な場合にのみ限定されることは當然でありまして、又貸付を受ける企業に對しても國の犠牲に於て過度の利潤を貪るが如きは、嚴に抑制せしめなければならないのでありますから、企業の正當な報酬以上のものが其の手に渡ることを防止する爲、貸付を受ける企業の運營に付ても必要な監督を加へる方針であります、尚右の如き業務は、其の性質上國に於て行ふことを適當とするとも考へられるのでありますが、日本の行政組織の實情に於きましては、官制及豫算の制約等の爲、機敏且自由な活動を必要とする組織を設けること實際上困難でありまして、且此の機關の業務が經濟界の實情に接觸すること敏活で、其の實情を取捨判斷するに多年に亘る經濟界の權威者の手腕を借りることを要しまするので、是等事務の捌きより考へまして、國家の必要な監督下に特別な機構を設ける、所謂産業復興營團の設立を適當と思料致しました次第であります、又産業復興營團の事業と致しまして、差當り着手致すべき産業部門は多々あるのでありますが、曩に申述べましたる趣旨もあり、且現状の日本經濟に於ける逼迫した資金と資材の實情から考へまして、差當り肥料工業設備の復興、再建並に中小炭礦に於て近代化設備の採用が遲れて居る爲、非能率を示して居る部面に於ける設備の更新、新設を圖ることを以て最初の事業と致したいと考へる次第であります、又財閥解體等に依り大企業が倒壊した後を承けまして、中小工業の急速な生産發展を助成する必要があるのでありますが、是等の中小工業は概して設備の近代化が遲れ、技術的、經營的に行詰りとなつて居る部面が多いのでありまして、是等に對しましても必要な設備の貸付等を圖り中小工業育成を圖りたく考へる次第であります、殊に舊軍需工場等の大きな工場建物等は、施設が完備して居ながら之を利用する者がない實情でありますが、是等の遊休設備及び資材を産業復興營團で取得し、之を中小工業に分割貸與して新しい工場集團の設置を圖ること等は、直ちに産業復興營團の事業として實施したい考で居る次第であります、以上申述べましたる趣旨に從ひ、茲に強力且清新なる國策遂行機關として産業復興營團の設立を圖りますると共に、戰時中の機關たる産業設備營團は之を整理解散致しますることとし、茲に産業復興營團の設立及び産業設備營團解散の根據法律と致しまして産業復興營團法案を提出致しました次第であります、何卒十分御審議の上御協賛を賜ることを切望する次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=3
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004・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) それでは次に貿易資金特別會計法案の政府の説明を要求致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=4
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005・上塚司
○政府委員(上塚司君) 貿易資金特別會計法案提出の理由は、昨日本會議で申上げました通りでありまするが、此の際、更に其の理由を御説明申上げたいと存じます、從來政府で行つて參りました貿易に關する經理に付きましては、昨年十二月に貿易資金設置に關する法律を制定致し、之に依つて輸出及び輸入の決濟に關する資金を設け、此の資金の運用として輸出物資の買入及び輸入物資の賣拂等を行ひ、之に伴つて生ずる歳入歳出は、便宜の措置として之を爲替交易調整特別會計の所層と致して參つたのでありまするが、今回貿易に關する經理を一層明確にすると共に、旁旁其の運營を一層圓滑にするのを適當と認めまして、現行の貿易資金設置に關する法律を廢止し、新たに獨立の特別會計を設置して經理致すのを適當と認めて、此の法律案を提出致しました次第であります、何卒御審議の上速かに御協賛あらむことを御願ひ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=5
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006・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 今大臣が丁度御臨席になつて居りまするので、産業復興營團法案の大臣に對する御質疑がございましたら、此の際御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=6
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007・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 産業復興營團の前身とも言はれる産業設備營團の今日迄の状態、成績をちよっと御説明願ひたいと思ひます、或は參考の書類があれば、それでも結構であります、十分伺ふ時間がありませぬから、簡單に御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=7
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008・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 大體の數字は政府委員の方から説明致しますが、後で又御必要がありますれば刷り物にして差上げたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=8
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009・和田太郎
○政府委員(和田太郎君) 産業設備營團の今日迄の事業の大要を御説明申上げます、産業設備營團は其の事業と致しまして、戰時に必要な緊要産業設備の建設と云ふことと、未働遊休設備の活用と云ふことと、戰時標準型の船舶の建造、此の三つを目的と致して居つた次第でございます、第一の緊要設備の建設の状況は、建設に掛りましたものは總數二百九件でございます、機械工業は十六、化學工業が七十三、燃料工業が三十四、鑛業が十三、非鐵金層工業が五、鐵工業は二十七、航空機工業は三十二、其の他九件でございまして、之に支拂ひました金額は十六億一千餘萬圓でございます、尚支拂ひ殘額になつて居りますのが六億二千萬圓でございます、船舶の建造に關聯致しまして、造船設備の建設を致したのでございますが、其の件數は五十一件、中、鋼造船に關係致して居りますものは十六件、木造船の建設設備の關係は三十五件でございます、今日迄に拂ひました金額は六億一千萬圓、尚殘つて居ります支拂ひ殘額は九千九百萬圓でございます、次に未働遊休設備の活用の關係でございますが、是には買取りまして之を整理致しまして、或は「スクラップ」にしたとか、或は其の儘他に轉用したと云ふものと、設備を買受けまして保有して居るのと、二つがございます、前の方の買受整理を致しましたものは總「トン」數に於きまして六十萬「トン」でございます、之に支拂ひました金額は七億一千萬圓、尚支拂ひが殘つて居ります分は一億九千萬圓でございます、それから買受保有を致して居ります設備は八件でございまして、是は支拂ひました金額は二千五百萬圓、支拂ひ殘額は八百萬圓でございます、次に標準型の船舶の建造の状況でございますが、戰時中に竣工致しました船舶は鋼造船に於きまして千百四十四隻、木造船に於きまして三千二十隻、其の總「トン」數は三百二十五萬九千「トン」、支拂ひました金額は二十五億九千六百萬圓、支拂ひ殘額は一億五千四百萬圓、それから未竣工で現在引續き建造を續けて居りますものは鋼造船百二十五隻、木造船二千八百三十三隻、總「トン」數に於きまして六十九萬六千「トン」支拂ひました金額は二億七千萬圓、契約面で残つて居りまする今後の支拂を要する金額は約三億二千萬圓でございますが、之に付きましては契約後の著しい物價昂騰に依りまして、之を完成致しまするには、大凡三倍に近い金額が掛るのではないかと云ふやうに推定されて居ります、出來上りました船舶の中、鋼造船は全部之を賣却致しました、木造船は二千六百九十四隻は之を賣却致しまして、三百餘隻は目下貸付けてございます、殘りの木造船は營團に於て保有を致して居ります、船舶關係の機關或はろ裝品を買ひ取りました金額は十四億餘でございます、大體以上の通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=9
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010・畠山一清
○畠山一清君 ちよつと伺ひます、未だ能く讀んで居りませぬので何ですが、是は産業復興の爲に緊要必要缺くべからざるものであることは申す迄もないことでありまするが、それに致しましても、從來の設備營團其の他の營團の運用を見ますと、戰時中資材、勞力其の他の窮乏から色々思ふやうに行かなかつた點もありませうが、大體動もすると官僚の下部機構のやうな傾きになりまして、活用が十分でないと云ふやうな點があつたのでありますが、今度はさう云ふことがあつては絶對いかぬと思ふのです、是が本當に適切有效に機敏な活動をして、さうして現在の日本の産業の再建を圖らなければならぬものだと思ひまするが、斯う云ふ點に付て、何か特別に政府の方で御考慮になつて居ることがありますれば、それを伺ひたいと居ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=10
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011・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 實は産業設備營團には兎角のさう云ふ非難がありましたことを聞いて居るのでありまして、率直に申しますれば、産業設備營團を、今回の非常措置等に依りまして第二營團みたいになりましたのを、其の儘之を産業設備營團の法律を改正して行かうかと云ふやうなことから話が始まりましたのでありまするけれども、色々關係方面と相談しました結果、矢張り前のは解散して清算に移す、さうして清新な氣持でやらう、斯う云ふことになりましたのも、一つは今あなたの仰しやつたやうなことが手傳つて居るやうな關係がありまして、今後の運營に付きましては、殊にさう云ふ氣持で行きたいのであります、衆議院に於きましても其の議が出まして、結局希望決議の中に、復興何々委員會と云ふやうな復興營團の一つの評議機關のやうなものを設けて、さうしてやらうと云ふやうな趣旨があるのでありますが、それも要するに只今仰せのやうな御趣旨に他ならぬのでありますが、さう云ふ關係から、さう云ふことを最も尊重しまして、初めは一定の評議機關を作つて、評議機關の中から役員を銓衡すると云ふやうな型で進めたいとも思つて居つたのでありますけれども、是は本來政府自らの仕事にせよと云ふのが大體の關係方面の注文なのでありまして、只今も申しましたやうに、豫算其の他の關係で、矢張り今日營團と云ふやうなものが考へられて居る一つの特徴を向ふも理解をして呉れまして、矢張り營團でやつたら宜からう、其の代りに只今仰せのやうな氣持を十分酌み入れて役員の銓衡等にも意を用ひて行きたい、斯樣な考で居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=11
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012・畠山一清
○畠山一清君 前の産業設備營團は、大體の建前が國家が經費を負擔すると云ふ建前で進みまして、寧ろ收支相償はぬものに對しても好んで力を致すと云ふことにありますのですが、今度のでは私は收支相償はぬ、經濟を無視すると云ふ譯には行かぬと斯う思ふのですが、さうすると益益此のやり方がむづかしくなつて來て、色々な制約をしたり、其の他手を打つことに非常に困難であらう、斯う云ふ風に存ずるのでありますが、斯う云ふ點に付ても營團に特に十分なる手腕を發揮させてやるやうにせぬと云ふと、益益活動が鈍つて效果の薄いものになりはせぬか、斯う云ふ風な心配をして居るのでありますが、此の點は如何なものでありませうか、さう云ふやうなことに……、殊に今大臣の御話のありましたやうに特別な、具體的な何か御考がありますでございませうか、それを伺ひたいのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=12
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013・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 先程も説明の中に申しましたやうに、之に依つて利潤、或は配當を多くすると云ふやうなことは到底考へられぬことでありますが、さりとて從來のやうに、まさかの場合には國が負擔するだらうと云ふやうな甘い考でやる程の、是も亦大體「ペイ」する程度の範圍に於きまして……、そんな意味合から、それならばと云つて餘り利潤のことを考へまして勇氣を失うのでは、斯う云ふ非常時局に際しまして其の運用宜しきを得ませぬから、其の點は一つの適當の方を得るやうな、經營者二人を得ることが最も肝要かと考へて居るのであります、取敢へずと致しましては、資金も少いのでありますが、併し復興金融の方から資金を受けることになつて居りまするので、此の復興金融の方に於きましては、大體復興金融委員會が先般御協賛を得まして出來たやうに、相當の金額を出しまする場合は、根本方針を先づ其の方で決められますからして、其の委員會等に於きまして、假りに肥料とか、或は石炭とか云ふものに對して取敢へず今は進んで行かうと云ふ方針を持つて居る譯でありますが、何れ中小工業方面に於ては、どの程度の金額をどう云ふ方向に向けるかと云ふことは、貸出しまする前に其の方針が概ね決まりまするからして、其の方針の下に勇敢に、時期を誤らず仕事を進んて行きたいと云ふ考を持つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=13
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014・太田半六
○太田半六君 今畠山さんから御尋があつたのですが、此の運用が極めて大切であると思ふのでありますが、理事の選任等に付てどう云ふ御考を持つて居るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=14
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015・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 只今畠山さんの御質問に對して御答へししまたやうに形から言ひましても所謂官僚の弊に陷つてはならないし、又餘り固くなり過ぎて勇敢に其の仕事をして行くことが缺けても、是もいけませぬし、さりとて從來の、ともすれば國の金だからと云ふのでつい放慢になつてもいかぬのでありますから、理事の詮衡に付きましては、私は甚だ愼重に、良い人を選ばなければならぬと思ひまするが、主として政府の仕事でありますから、從來の所謂官の方の經驗のある人も若干必要でありませうし、それから民間の企業に對しての投資でありますから、勿論其の主腦部の中心は、民間人から一つ是非出て貰はなければならぬと思ひますし、又今回の中小工業……從來の産業設備營團は、主として軍需産業であり、而も大企業でありますから、必ずしも其の必要はなかつたのでありますが、今回は少しそれを平和型か或は中小工業型に直す譯でありますから、從つてさう云ふ方面の學識經驗ある人に中小工業方面を見て戴くやうな方を理事の中に加へて行きたい、是は衆義院の委員會に於きましても其の要望があつたのでありますが、政府の方に於きましてもさう云ふ氣持で今度は進んで行きたい、斯樣な考で居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=15
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016・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) それからちよつと御話申上げますが、初めての方もおありのやうでありますから、御發言の場合は、委員長の許可を得て御發言を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=16
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017・井川忠雄
○井川忠雄君 大臣にちよつと御尋ねしますが、只今復興金融金庫から融資を受ける積りであると云ふ御話になつて居りまするが、十八條第一項に依りますと、復興金融金庫が原則でありまするが、第二項に依りますと、復興金融金庫以外のものから資金の融通を受けることが出來る、是は矢張り金融機關に限られて居る譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=17
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018・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 最初の「スタート」を切りまする前後は、大體復興金融金庫から受けるが宜からうと云ふやうな話合が付いて居ります、此の資金の二億圓の外の資金に付きましては左樣にありたいと思ひますが、併し話が、産業設備營團の清算が付きまして、或は其の清算した結果、設備營團の仕事を引受けるやうなことが後で起る場合があるかも知れませぬ、或は設備營團に付きましては、第三者より其の儘引繼いでやるやうな場合も考へられますので、さう云ふ場合は復興金融金庫以外からも受けられる餘地を殘して置きたい、斯樣に考へるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=18
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019・井川忠雄
○井川忠雄君 是は金融機關に限られる意味でありますか、それとも公募なさる意思がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=19
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020・和田太郎
○政府委員(和田太郎君) 第十八條の第二項は、大體原則と致しましては復興金融金庫から資金の融通を受けるのでございますが、比較的金融上の危險の少い流動資本でございますとか、或は事業費と云ふやうなものに付きまして、復興金融金庫が特に自分の所から出さなくても宜い、他の金融機關からも借りられるぢやないかと云ふ工合に認定致しました場合には、便宜其の承認を受けまして、一般の金融機關から借りることが出來るやうになつて居るのでございます、從來の設備營團に付きましては、政府の保證の付いて居りました營團債券を發行することが出來たのでございますが、今度の營團に於きましては、債券の發行は之を認めないことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=20
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021・井川忠雄
○井川忠雄君 今御説明に依りますと、原則は復興金融金庫、此の例外が是以外から受ける、殊に債券の發行は保證が受けられなつたからやらないと云ふやうな御話でございますが、私は此の原則と例外を引繰返して戴きたいと思ふのでございます、それは保證がないから債券が發行出來ないと云ふやうなことは、我が國の從來の債券發行に伴ふ何れかと言へば惡い先例でございまして、政府の保證がなくても債券の發行が出來るやうに今後はやつて行かなければ、經濟の民主化と云ふやうなことは出來ないと思ひます、併しそれは兎も角も復興金融金庫法案に依りますと、百億か慥か政府が御出資なさることになつて居ります、政府が御出資になると云ふことですと、結局公債を公募せられるとか、又は日本銀行から借入を受けるとか、斯う云ふやうな手以外にないと思ひますが、それでは「インフレ」を助長する以外に何もないと思ひます、折角金を出しましても、「インフレ」を助長すれば二百億や三百億の金は從來の二億や三億の價値もないやうになつてしまう、どうしても一旦市場に撒布されて居りまする資金を吸收すると云ふ建前に御變へにならなければ「インフレ」の助長と云ふことは避けられない、從つて折角産業復興營團で融資をなさつても、其の金の値打が益益下つて行くと云ふことになつて、此の法案の目的として居られることを自ら打破るやうな結果になりはせぬかと斯う云ふことを心配するのでございます、從つて營團の融資の如きは出來るだけ市中から吸收する、公募する、或は市中銀行から公募させるのも宜しいし一般の大衆からも應募させることが出來れば尚結構ぢやないかと思ひますが、先刻申しました通り、原則と例外を一つ引繰り返すやうに御努力あることが非常に必要ではないかと考へるのであります、それから次に御伺ひしたいのは、此の營團と此の前御出しになりました商工協同組合法案に依る協同組合との關係でございますが、先程の御話に依りますと、財閥解體後の中小企業と云ふものも、此の營團からの出資に依つて振興させて行きたい、斯う云ふ御考でございまするが、此の際特に御注意願ひたいのは、中小工業の協同組合組織を此の營團からの融資に依つて活用すると云ふことに力を注いで戴きたいと云ふことでありまして、私は過日本會議で「ワシントン」電報を引用して述べました通り、財閥解體後の日本の企業形態と云ふものは大體協同企業化して行かうと云ふ意嚮であるかの如くに聞いて居ります、是はあの委員會の連中、「エドワード・コムミッション」の連中が歸ります時に、大體私共に腹案として話して居たことと同じことでありますから、恐らく間違ひないことであらうと思ひます、恐らく「アメリカ」政府當局の意嚮もそれに決定し、それが軈て聯合國の意思となり、「マッカーサー」司令部の指令となつて實現して來るのではないかと思はれるのであります、さう云ふことを考へましても、中小工業に對する融資と云ふものは是非協同組合を通じて融資と云ふ風に御建前を固く御執り戴きたいと思ひます、さうでないと、從來のやうなばらばらな統制のない融資でやりますると、動もすれば、其の融資の目的に反するやうな、又不良の貸付が出來るやうな惧れが非常に多いのであります、協同組合としまして中小工業者と云ふものは御互に共存同榮の精神で以て連帶的の責任を持つと云ふことになれば、不當な貸付と云ふものは自ら制限されて來るのではないかと考へるのであります、是等の點に關しまする御當局の御意嚮は如何でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=21
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022・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 最初の資金の問題に付きましては、仰せの如く常に政府だけから出しまする金では「インフレ」助長になりまして、甚だ懸念が多いのでありまして、出來るだけ民間の遊資を吸收する方策が適當かと思はれますので、唯此の産業復興營團の最初の「スタート」を切ります時に、さう云ふ民間の融資では出來ないものに主として狙ひがありますから、或は仰せの趣旨には反するやうな結果になるかも知れませぬが、少くとも仕事が本調子になつて來た後に於ては成るべく御趣旨に副ふやうに、殊に肥料設備の如きは昨今實は民間の或は農村、山村等の色々な組合等に於ける遊金を還元的な意味に於て是非投資したいと云ふやうな希望がありまして、さう云ふものを受入れることが最も妥當であらう、そこで或は一つの中間機關と致しまして、一面さう云ふ方面からの資本を仰ぎ、さうして營團の力に依つて一面投資をすると云ふやうなことにもなる、或は直接に之を斡旋しまして、其の資金を直ぐ民間から直接に肥料會社の方に與へると云ふやうなことも行はれて、其の間の調整を致すことが最も「インフレ」防止にならうかと思ひますので、御趣旨の點は十分研究致しまして今後に處したいと思ひます、第二に、中小工業方面に仕事を向けますのには、協同組合等を通して行くことが一番私は妥當であらうかと考へまして、殊に共同施設等を利用しまするやうな場合、或は先程御説明申しました或軍需工場の大きな工場を一應は買取るなり、借りるなり致しまして、さうしてそれを個々に小さく仕切つて運用させますやうな場合には、全體に亘る電燈或は水道、瓦斯等の設備は其の營團で經營致しまして、さうして之を個々の工場に引受けさせると云ふやうな場合の對象と致しましては、其の一貫のそれを借受けます其の地區内に於ける協同組合の如きものに責任を執らせてやらすと云ふやうなことも良い方法と考へますので、何れ是等に付きましては十分考慮致しまして、出來るだけ協同組合中心に中小工業方面の仕事に助成して行きたい、斯樣に考へる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=22
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023・鏑木忠正
○鏑木忠正君 只今此の營團から出される資金に付きましては協同組合を通して行くと云ふやうな御話がありましたので、是は甚だ結構と私は考へるのであります、是非さう御願ひしたいと思ひますが、協同組合法が今度新たに出來ましたが、それ以前にも商工組合法もあつたのでありまして、それ以前に於きましても商工組合を通じて出される資金は極めて少い、民間の事業の如く出來ない、殆ど之に對する仕事が出來なかつたと云ふやうな非難も聞いて居つたのでありますが、今度新しく協同組合法が出來て、其の資金の融資の方法を考へて見ましても甚だ滿足しないやうな氣がするのでありまして、此の營團を通じて必要とする多くの金額を出されると云ふことならば是は甚だ運用が拙いと考へるのであります、それに對して從來の實績を大臣は如何に御考になつて居りますか、それを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=23
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024・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 只今私の説明がうまくなかつたので誤解を招いたやうでありますが、此の協同組合は共同施設を致します場合に營團との關聯が出來る譯でありまして、今申した金融的な意味から言ひますれば、今度出來た復興金融金庫の手足となつて働く協同組合金融それ自體は直接に復興金融金庫或は商工組合の中央金庫、それを通して末端の機構でありまする協同組合の方面に金融を致して、十分中小工業、商業全部を含めて今回は活溌に一つやつて行きたいと斯樣に考へるのであります、此の營團の方は、主として金融方面だけでは達せない所の、詰り設備とかさう云ふやうな方に伸びて行く譯でありまするから、從つてさう云ふ方面に於ける協同組合の持つ設備、それを營團が補つて行く、斯う云ふ方面に之を十分活用して行きたいと斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=24
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025・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 外に御質問はありませぬか、貿易關係の方の政府委員が御出でになつて居りますが、貿易關係の方も此の際御質疑願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=25
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026・井川忠雄
○井川忠雄君 商工大臣に御尋ね致しますが、先程色々の軍需設備等を取得して、營團のものとしてそれを貸與すると云ふことを仰つしやつたのでありますが、取得の方法は有償なのでございますか、無償なのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=26
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027・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 原則は有償でなくちやならぬと思ひます、或は拂下げの物が非常に安く、或は殆ど無償の状態であり、唯其の經費の分擔だけで行くと云ふやうなことも起ると思ひますが、大體有償で行きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=27
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028・井川忠雄
○井川忠雄君 私の希望致しすまことは、成るべく無償又はそれに近いもので御取得なさいますと同時に、之を御貸付になります場合も、極めて低い料金で御貸付になるやうにして戴きたいと思ひます、從來どうも斯う云ふ物は往々にして、非常に安く又殆ど無償で取得されて、それから非常に大きな「コンミッション」を取つて第三者に轉賣され、又轉用されたりして居るやうな場合が非常に多いやうに聞いて居ります、さう云ふことがあつては折角の産業復興をするのに、非常に障害を來たしはせぬかと思ひますので、此の點特に希望致して置く次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=28
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029・入江爲常
○子爵入江爲常君 第一條の中に資材の活用と云ふことが書いてございますが、是は今迄でも、殊に今度中小工業を狙つたと云ふことになりますと、何か或る商品を作る時に、もう少し資材があつたらもう少しうまく行くだらうと云ふことで、無駄な骨を折ることも有り得るだらうと思ひますが、營團にさう云ふことを相談すると云ふことは出來得るものでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=29
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030・和田太郎
○政府委員(和田太郎君) 今度の新營團に於きましては、資材の買取り等が出來ることになつて居りますが、取敢ず今回の戰時補償の打切等に伴ひまして、各企業が整備をせられます際に、或は軍需工場等に於きまして整理が行はれます際に、色々手持の資材が出て參ると考へて居ります、さう云ふものは出來るだけ此の營團に於て買取りまして、或は極く僅かな資材が足りないとか、或は割當はございますが現物としてはまだ暫く入らないと云ふやうな方面に、融通を致すと云ふやうな方法を執りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=30
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031・畠山一清
○畠山一清君 只今資材を有償買收をやつて、それを貸付けると云ふやうな御話でありましたが、業務の條項に「産業設備營團の所有する産業設備又は資材の貸付先」云々とありますが、此の「産業設備營團の所有する産業設備」と云ふものは、先程の御説明に依りますと、二十億或は三十億と云ふやうな額に達するものだと思ひますが、是等は無論無償で引繼ぎになりまして、今有償と仰しやつたのは是以外のことと云ふやうに考へられるのでありますが、それに致しましても二億圓と云ふ金が餘りにも少ないやうに考へるのでありますが、分けて産業設備營團の所有する資産と云ふものは、何十億圓と云ふものでありまして、是が現在の値打に直しますと云ふと、何倍と云ふことに増加するであらうかと存ずるのであります、餘りにも仕事と二億圓と云ふ資金とが、少し釣合が取れぬやうに考へるのですが、二億圓の趣旨はどう云ふ所から出たのでありまするか、其の邊の所を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=31
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032・和田太郎
○政府委員(和田太郎君) 事業の第三號にございまする設備營團の持つて居ります設備、或は資材の貸付先等の決定でございますが、考へ方と致しましては、設備營團が現在持つて居ります設備とか資材とか云ふものは、新しい營團には形式的には引繼がないことになつて居ります、以前は從來の設備營團が之を所有して居りますが、此の從來の設備營團の持つて居ります設備と新しい營團が作ります色々な設備と云ふものを、綜合的に勘案致しまして、貸付先或は譲渡先を決定する必要がございます關係上、設備は引取りませぬが、新しい營團で其の貸付先を決定させまして、舊營團が其の指示に基きまして、具體的に貸付けるとか或は譲渡をすると云ふことに相成るのであります、新營團の資本金は二億圓となつて居りますが、此の二億圓は一應基金と致しまして、之を固定設備に投資すると云ふことは、現在の處考へて居りませぬ、其の固定設備に使ひます金は、復興金融倉庫から融通を受けまして、是で賄つて行く考であります、大體資本金の二億圓が適當であるかどうかと云ふことに付きましては、確たる論據は立ちにくいのでございますが、從來の設備營團も一應發足の時は、二億圓の資本金で「スタート」をして居ります、大體仕事の量などから考へまして、一應新營團と致しましても二億圓程度の基金で出發することが妥當であらう、斯樣に考へまして、二億圓と致した次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=32
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033・田中龍夫
○田中龍夫君 第三十一條に依りますると、「産業設備營團は、舊法廢止の時において、解散する」と云ふことになつて居りますが、先程大臣の御説明を承りました際に、私共此の本法案が立法化されました瞬間に、舊産業設備營團が其の法律と共になくなるのぢやないか、斯う云ふ風に解釋して居るのですが、只今御説明に依りますと、産業設備營團と云ふものは殘つて居つて、其の營團の持つて居る諸施設は今の第十五條第三號の場合の取得の對象となるやうなことに御説明がありましたが、其の關係はどうなるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=33
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034・和田太郎
○政府委員(和田太郎君) 從來の設備營團は先程申上げましたやうな事柄の仕事をして居つたのでございますが、終戰と共に、現有設備の完備と、未働遊休設備の活用に關しまする仕事を同時に之を中止致しましたが、建造中の船舶に付きましては、引續き之を作り上げると云ふことで仕事を致して居ります、大體見透しと致しましては、此の船の方は來年前半期位に完成するのではないかと考へられるのでございますが、此の仕事を完成致します迄に、或は別の機關でも出來まして、船の仕事をそちらに引繼ぐやうなことになりますれば、仕事が終るのでございますが、若し新しい機關が出來ませぬで、引續き舊營團で之を完成すると云ふことになりますれば、其の完成迄の間は仕事を續行すると云ふことに相成ります、從ひまして十五條の第三號は、其の仕事を致して居りまする間は、設備の貸付と云ふやうなことをするのでございますが、一應其の仕事も片付きました場合には、清算に入りまして、此の新しい營團が清算人となりまして、現在持つて居ります設備、資材、船舶等の處分に入る譯でございます、謂はば第三號は事業を停止致します迄の過渡的な期間に於ける條項でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=34
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035・田中龍夫
○田中龍夫君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=35
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036・鏑木忠正
○鏑木忠正君 大臣にちよつと御伺ひ致しますが、此の第十五條の一、二にあります産業設備、又は資材の買受、之に付きまして、凡そどの位の資金を要する豫定があるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=36
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037・和田太郎
○政府委員(和田太郎君) 只今一應の考と致しましては、大體三十億圓程度のものが掛るのではないかと云ふ工合に考へて居ります、是は先づまた私共の腹案でございまして、今後此の營團が事業を致して參りまするには、經濟安定本部が各種の基本的な政策、或は計畫を樹てられますので、其の計畫等に基きまして、漸次具體的な事業計畫の樹てて行きたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=37
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038・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 外に御質問はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=38
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039・伊集院兼高
○子爵伊集院兼高君 先程貿易關係に付ての質疑は宜しいと云ふ御話でございましたが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=39
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040・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=40
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041・伊集院兼高
○子爵伊集院兼高君 先程戴きました資料に、日本政府は司令部の承認なき限り一切の輸出又は輸入は許可せられないと云ふ彼方からの指令が出て居つて、是は現在もまだ勿論さう云ふ指令の下で實施されて居ると思ひますが、輸出入物資の關係は此方から機械類や何かを輸出して、米國から食糧などを輸入して居るので、其の輸出と輸入との割合はどう云ふ風になつて居りますか、詰り輸出が超過になつて居りますか、或は輸入が超過になつて居りますか、其の邊の關係を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=41
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042・塚田公太
○政府委員(塚田公太君) 此の統計は少し古くなりましたのでございますが、御手許に差上げてりあまする一番下の表になつて居ると思ひますが、九月十日現在輸出實績、輸入實績と云ふ風なものがあります、此の金額に依りますと、輸出が十五億九千四百餘萬圓、輸入が十八億八千二百餘萬圓と云ふことになつて居ると思ひます、併し此の輸入の中には、まだ棉花は何れ製品となりまして出る物でありますので、此の中に加へてありませぬ、其の外に食糧の方面に矢張り肉、珈琲、斯う云ふ風なもの彼是三百萬「ポンド」のものが拂下價格がまだ未定でります爲に加つて居りませぬ、それから輸出の方では此の値段は所謂國内の統制價格でありまして、更に向ふとの輸出條件は「エフ、オー、ビー」になつて居るのでありますから、物に依つて少しく違ひがございますけれども、大體に一割五分乃至二割之に加はるものが輸出の「エフ・オー・ビー」値段になるものであります、と申しますと、彼是十九億前後になるのであります、でありますから、今の棉花竝に食糧の一部分が加つて居りませぬものと比べますと、日本の統制價格では略略とんとんになつて居るのでございますが、併し此の統制價格と云ふのは日本國内の値段でありまして、「アメリカ」の相場、或は中國から入つて來ます物の値段とは全然關係ないものでありますから、だから向ふにありまする日本勘定の貿易の「バランス」と云ふものは遺憾ながて此方には分らないのであります、之に付きましては、餘り分らんでもどうも何か斯う心許ないやうに思つて居りますので、時々向ふへ參りますと、照會をするのでありますが、能く又考へて見ますと、現在に於きましては今の棉の如きも、食糧の如きも、總て向ふで積出しました時から、日本が「デビット」勘定になつて居るのでありまして、それを想像しますならば、同時に又或ものは向ふの相場などから爲替はまあ分らぬものですから、日本の圓に付て換算の仕樣もありませぬが、是は假定的の十五圓一「ドル」で、頗る不條理なものでありますけれども、十五圓一「ドル」と致しましても、日本の統制價格より安いものもあります、そんなことを考へますと相當向ふには「デビット・バランス」になつて居る之を補ふ一番大きなものは棉花の製品、所謂綿製品を一日も早く拵へまして、さうして之も向ふの指示される方面に出したい、之に付てはまだ何も製品も思ふ通りに出來ないのであります、又出すこに付ても指示を受けないので、ありまして、絲或は綿布の儘で、今こちらに保存して居ると云ふ譯であります、尚又御參考迄に申しますと、輸出の方は金額から申しまして略略輸入と「バランス」が取れて居る、統制價格では、日本の圓では「バランス」がて取れ居るやうになつて居りますが、此の中で約一割八分位なものは所謂錫だとか、鉛だとか、「ゴム」だとか云ふもので、日本に出來ないものがある、日本にあつた「ストック」を向ふの命令に依つて出さざるを得なかつたものもある、其の他に約一割七八分のものは石炭であります、日本としましては御承知の通り血の出るやうな石炭が香港なり、朝鮮なりに積み出さざるを得ないと云ふやうなことでありまして、合計彼是三割五分乃至四割近いものが日本として絶對に必要なものであつて、又錫や「アンチモニー」の如き、一度出したら來ないものが加つて居る、斯う云ふ點が今迄の輸出状態で、現實から考へますと、輸出方面に於ては誠に心細いのでありますが、是も最近に色々日本の過去に於ける正常の輸出品が、東亞、南洋方面に出しました所謂日本獨特のものがそろそろ司令部の承認を得まして、送り出せるやうな準備を今やりつつあります、斯う云ふものが、紡績製品、時計、陶磁器、是は一部「アメリカ」にも行きますが、さう云ふものが段々許可を得まして出るやうになりますると、稍稍斯う云ふ穴が埋りまして、輸入の足しになるのではないか、斯う云ふ風に考へて居ります、此の點に付きましては最善の努力をして、何とか日本で出來るもので、日本に成るべく原料のあるものを輸出したい、斯う云ふやうに考へてやつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=42
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043・入江爲常
○子爵入江爲常君 今のに關聯してでありますが、くだらぬことかも知れませぬが、此の代行機關の中に例へば出版配給統制株式會社とか、飼料配給統制會社とか、配給會社がやつて居りますが、其の隣の「マッチ」會社は「マッチ」の統制會社があるに拘らず、別の會社がやつて居る、是は其のものに依り價格とか、或は機構の關係とか、何か國内の關係で、斯う云ふ風にやつた方が便利だからやつたのですか、又配給會社が輸出の關係で却て邪魔になるやうなことがあるかないか、其の邊承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=43
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044・塚田公太
○政府委員(塚田公太君) 大體統制會社は國内的の關係のものが多いのでありまして、其の國内的の關係のものから離れて、輸出なり、或は輸入なりの機構が出來た方が便利であると云ふやうなものには、さう云ふやうにやつて居るのであります、實は輸入、輸出の取扱機關を作ります時に、本廳としてもはつきりした方針を初め立てにくかつたのであります、司令部の關係などで、兎に角出來るものから作つて出さなければならぬ、或は入れなければならぬと云ふので、業者の要望に基きまして、それぞれ惡く言へば、間に合せ的に急いで作つたものもありましたので、他日是はもう一遍整理をしなければならぬやうなものもあると思ひます、又或ものに付ては統制會社として、輸出入の會社なり、或は協會なりが一緒になつてやつた方が、より便利なものもあると云ふやうなものも、現に色色肥料の如きも問題になつて居りますが、又其の他にも問題になつて居るのがありますが、何分其の當時業者の要望に基きまして、急いで早く輸出しなければならぬ、早く輸入しなければならぬ、輸入した場合取扱ふものがない、貿易廳自體は役人ばかりで、さう云ふことには不慣れでありまして、主として業者の自主的の意向に基きまして、斯う云ふやうに作つたのであります、現に七十四近くあります、まだ二つ三つ出來るものもありますが、是も入ると云ふことが決まつた爲に、或は出ることが決まつた爲に、急いで役所の方で言質を與へて居つたので、向ふとして業者が皆集まつて折角作つた團體が、餘り多く、今止めさせるのも可哀相だと云ふので、作つて居るものもありますが、是は早晩出來るだけ早い機會に於て整理したいと思つて居ります、此の中でも鮮米の輸入協會、或は石油の輸入協會と云ふやうなものもあります、事實入らないから何にもやらないものもあります、それかと言つて鮮米の業者と、他の南洋方面及佛印、「タイ」あたりの業者との成立ちと云ふか、さう云ふものとは全然違つて居るのでありますから、是は米だから入れたものは一緒にしたら宜いと言つて一緒にしようとしても、なかなか仲間同士の團結がうまく行かぬ、團結しなければ仕事が運ばぬのであります、さう云ふ方面に付ても出來るだけ業者の自主的意否を基にして纒まるものならば、纒めて簡素にしたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=44
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045・前田利建
○侯爵前田利建君 先程の日本の「ストック」のやうなものを、命令で持つて行かれたと云ふ御話から考へますと、賠償と云ふか、罰と云ふか、さう云ふ意味も含まれて居るのぢやないかと思はれるのてありますが、さう云ふことに關聯して、輸出と云ふと、大體何がしかの、物か何かでそれに對する補償が入ると云ふ考を持つて居りますが、一方賠償となると、取られ放しと云ふことになりますが、此の賠償と輸出との關係はどうなつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=45
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046・塚田公太
○政府委員(塚田公太君) 是は全部眞の輸出でありまして、賠償とは何等關係はないのであります、今御話のやうに罰と云ふか、何かさう云ふ點で、日本は現在も年末になれば、生「ゴム」はなくなると云ふやうな状態になつて居るに拘らず、最近御承知の通り、生「ゴム」の一番良いものを一萬「トン」も出してしまつた、而も其の出した後で、緊急物資の輸入と云ふやうなことで、生「ゴム」を御願ひしなければならぬと云ふやうな、非常に矛盾したやうなことがありますが、其の當時の情勢で生「ゴム」を出せ、其の代り所謂「シンセティック・ラバー」を「アメリカ」から入れてやるからと云ふやうなことでありましたので實は出したのでありますが、一向約束して戴いた「シンセティック・ラバー」がまだ入つて來ないと云ふやうなことで、又慌てて御願をして居る、事實輸出入に付きましても、貿易廳としますれば、一定の方針を持つてやつて居るのでありますが、併し此の方針をどうもこちらの力で完遂すると云ふことが出來ない、生「ゴム」の如きはどう云ふ意味で向ふが非常にやかましく言ふのですか、日本にないことは分つて居るのでありますが、一萬「トン」出さざるを得なくなつて出してしまつたのでありますが、賠償とは全然關係がないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=46
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047・前田利建
○侯爵前田利建君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=47
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048・渡邊三郎
○渡邊三郎君 今日の産業復興營團法はまだ能く拜見を致しませぬが、誠に御親切な法案で、中小工業初め一般の工業を非常に復興させる、斯う云ふ結構なことでございます、矢張り煎じ詰めて行くと、鐵の問題が相當皆關聯して行くことと思ふのであります、例へば肥料にしても、石炭の増産にしても、今鐵が餘りに是れ迄軍需工場に深い關係があつた爲に、其の後の爆撃や、其の他色々なことで鐵鋼業がばらばらになつて居らうと思ふ、之を相當に整備をされて行くと云ふことが、此の法案とは多少「デビエート」致して居りますが、結局は此の法案の活用に大なる影響を持たうと思ふのであります、御承知の通り、鐵は一口に鐵と申されますが、數十種の製品になつて居りますから、只今は主として肥料、石炭と云ふことに世の中の注意を注がれて居りますが、源は此の鐵でございませうから、相當鐵は「ウエート」を持ちませうから、鐵が寧ろ重要産業の少し上の方に行く、如何に平和産業を復興させると申されても、此の點に付て、政府御當局では相當御考へ下さつて居られませうが、一つそれを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=48
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049・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 渡邊委員の仰せの通りでありまして、實は食糧問題の爲に肥料が非常に認識を深めまして、何事を措いても肥料と、上下一般の常識になつて參りました、又石炭の問題も、今日何ものを措いても石炭と云ふことが上下を通じて官民共に認識して參つたのでありますが、まだ鐵の問題に付きましては、次に來るべき非常な鐵飢饉と云ふものに直面致しますると、如何な影響を及すかと云ふことは、まだそれから較べますと認識を缺いて居るやうな譯でありまして、商工省の監督行政の中心でありながらも、尚石炭、肥料の聲に比して、まだ鐵がそこ迄行つてないことは確かであります、之に付きましては非常に心配を致して居る譯でありますが、今回の或は復興金融金庫、或は産業復興營團等の運用から見ましても、其の方面の有らゆる企業に對して無關心であつてはならないと云ふことを隨分認識して、現に昨日も鐵に關する石炭の配炭の量は餘りにも少いと云ふ聲の爲に、勞働組合の方からも問題が起つて參つて居るやうな譯でありまして、今後石炭の配炭を致しますに付きましても、此の方面に一つ主力を注ぎたい、併しながら到底今の石炭では足りないのでありますから、特に粘結炭等の輸入を懇請致して居ります點と、それから是は貿易廳との關係でありますが、殊に重油を一つ輸入を願つて、さうして重油に置換へる、爐を直して貰つて、さうして石炭原料の不足を補つて製鐵の方面に使はなければならぬと云ふやうな考で居る譯でありまして、今後凡そ食糧問題も大體片付きますし、肥料も稍稍緒に付きまして、此の分ならば大體皆の要求するものが段段と出來るだらうと云ふ見當が付いて參りました、石炭もどうやら今の處、勞働組合の問題さへうまく行きますれば、政府の所定の月産二百五十萬「トン」年産三千萬「トン」へ兎も角も近付きつつある一つの方針を示した譯でありますが、此の次には必ず鐵問題を十分考慮致しまして、各施策を間違ひないやうに推進せなければならぬと斯う云ふやうに考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=49
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050・太田半六
○太田半六君 今大臣からも石炭のことに付て御話がありましたが、石炭の増産に付ては非常に御盡力になつて居ることは能く承知して居るのでありますが、尚規在の出炭状況では、此總ての産業に甚大な影響を來して居るので、是が詰り貿易上にも相當な關係を持つのであります、殊に此の御示しになつた表を見ますと云ふと、此の石炭の不足して居ります折にも拘らず、相當輸出が計上せられて居るのでありますが、今後も相當に此の表に依りますと、或程度の輸出があるのぢやないかと云ふことが澤山あるのでありますが、現在の内地の出炭状況から考へ、又生産業に及ぼす非常な影響もありますので、是等をもう少し緩和するやうな、何か方法はないものでせうか、一つ御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=50
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051・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 先程も貿易廳長官から御話が出ましたやうに、實は此の少い石炭を態態出すと云ふことは本當に苦痛なんでありまして、私共も自ら參りまするし、實は此の件に付きましては總理大臣自ら動いて貰ひまして、さうして香港なり、或は朝鮮向けの石炭を減らして貰ひたいと云ふことを御願ひしたやうな譯でありまして、最初の時から見れば大分數量も減つて居ります、行く行くは香港は全然止めてしまつて戴けることと思つて居ります、朝鮮の方も漸次滿洲方面の炭が出るやうになりますれば、量は段々減つて行くことと思ひますが、例へば撫順炭礦の如きは全然止つて居ると云ふやうな譯でありますから、從つてこちらから送らなければ汽車が動かぬと云ふので、已むなく此の程度のものを出して居るのであります、それ故向ふも非常に無理だと思つて居りますから、或は重油を入れて呉れるとか、或は北支の粘結炭を入れて呉れると云ふことが話が付いて居る譯でありまして、それらの點に付きましては非常に最高度の實は努力を致して居るやうな譯であります、尤も將來粘結炭を入れるに付きましても、同じ「トン」數のものを出して行く交換問題も起つて居りますので、それは從つて貿易廳の方の計畫の中にも入つて居るのであります、折角えらい目をして掘つた物をさう云ふ方に向けることは甚だ殘念ですけれども、今の處は已むを得ない事情ですから、出來るだけ量を減らして行きたい、斯樣に考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=51
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052・渡邊三郎
○渡邊三郎君 先刻商工大臣から鐵に對して非常に今後力を入れて下さる、斯う云ふことは誠に鐵自身に關係して居る者は勿論のこと、將來の産業の發展に非常に仕合せだと自分達は思ふのでありまして、直ぐ石炭の問題に入るのでありますが、石炭を出せ出せと申されても、掘る方面の人は非常に只今の事情で困るので、之を出すにはどうしても能く叫ばれて居る機械化と云ふやうなことを、一層炭礦に力を入れさせなければならぬが、機械を入れても、掘る所は……能く機械化々々々と申されても刄物の所をもう少し力を入れて戴きたいと云ふことを御願ひ致して置きます、それからもう一つ何れにしても今日鐵鋼業なり、石炭業なり、機械化にしようが、或は整備をしようが、金を出さうが、元は掘る人間なんでございますから、働く人間なんでございますから、此の人達の、是はもう申上げる迄もないのでございますが、勞働組合をもう少しもつと健全なる勞働組合にすることに政府御當局でも一層の御努力を下され、民間も結束して一つ之を導かなくちやならぬ、之に當らなくをやならぬと云ふ御説が強うございまして、どうしても是は斯う云ふ設備……法案が出來ようが、何しようが、此の問題をもつと深刻に考へて政府も民間もやるやうに行かなければ、非常に、殊に産業の復興なんと云ふことは時期も遲れ、結局は甚だ産業から「デビエート」して妙な所へ持つて行かれて、國の將來に非常に憂ふべき現象を起すのぢやないかと云ふやうなことを祕かに憂へる者でございます、此の點に付ては産業の復興或は石炭の増産、鐵の生産を上げると云ふやうなこと關聯をして下すつて、此の組合關係のこと、最近承ると色々な新聞であるとか、國鐵であるとかやつて居りましたが、又それが近く何だか機械、鐵、重工業關係の方でああ云ふことを又ちよこちよこ言ひ出して居るやうに見える、此の點に付ては商工大臣に御願ひ致して、閣議其の他で一層の一つ御努力を願ひ、我我民間人も之に付て眞劒に一つ考へなくちやいかぬと思ひますから、其の事情をちよつと御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=52
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053・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 渡邊委員の仰せの通りで、石炭の増強の問題に付きましては、此の議會中實に有らゆる方面からの聲を聽きまして、其の中の良い方面は全部採入れて行かうと云ふやうな決心を以ちまして、先般増産對策を決定致しました、其の中に、例へば今御例示のやうに、一つの刄物を……詰り資材の方に付きましては政府から或特殊な工場を指定致しまして、專門に石炭の方に向く機械を、道具を造らせる、斯樣なことを一つ決定致しました、それから得てして食糧の問題が……此の出來秋で以て其の邊は稍稍安心でありますが、併し從來一般の缺配がある時に山だけに食糧の加配米を出すと云ふことに非常に無理がありました、そこで今後は山には直送すると云ふ方針を食糧營團でも採つて呉れることになりまして、無論其の他補給金の問題を改正するとか、色々ありますが、此の間八月二九州が十萬「トン」程澤山石炭を出して呉れましたけれども、能く調べて見ますと、結局只今仰せの組合、詰り勞働者側と資本家とがきちつと氣持の合つたことが最大の原因でありました、從來動もしますれば、此の石炭山の如きは勞資の間の蟠りが多かつたのでありますが、是は一つ資本家側に於ても組合の側と能く話をして戴きまして、本當に組合の人と共々に協調してやつて貰はなければ、實際の食糧や資材や坑木や總てが揃ひましても、うまく行かないのでありますから、其の點に付きましては特に組合の幹部の方達に呼掛けまして、善處を願ひたいと思つて居る譯であります、併し政府が勞働問題等に直接に「タッチ」しますことは、ともすればそれが干渉に流れる虞がありますから、非常に控へて居る譯でありますが、今回の如く、新聞「ゼネスト」以來、今度は放送協會等に起りまする問題を見ますと、既に經濟問題を離れて、是が政治問題化して居るのでありまして、一つの政治攪乱と云ふやうなことが見えますので、本日の閣議に於きましても、一般の大衆の利益幸福を妨害する行爲に對しては斷乎として之に對しては臨むと云ふ堅い決心を致したやうな譯でありまして、既に新聞の問題が放送局に移つて參りました、或は本日はまだ其の結果が分りませぬが、電氣産業の方に既に飛火して居るのでありまして、是等に對しましては、それが單純なる勞働問題でないことを看取致しましたので、それに向つては全力を注いでやるべきことはやる、併しながら何處迄も協力を求めて行くと云ふ趣旨は、殊に石炭等の問題に付きましては、今後日閣の再建の爲には忍び難きを忍んで、本當を言ひますれば、一年位は休戰をして勞働問題は當然ないことにしてやつて貰ひたいことを欲するのでありますけれども、それは今日の場合甚だ憂慮すべき状態でありますが、政府と致しましては萬全の考を持ちましてそれ等に處して行きたいと斯樣に考へて居る譯でございまして、只今の御説の通りに御趣旨を十分尊重致しまして、今後石炭の増産、從つて其の次に起る色々な産業の上に最善の努力を致したい考であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=53
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054・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 申上げます、午前中の會議は此の程度に止めまして、都合上午後は午後三時半迄休憇を致します、其の間若し會期の延長の詔書が出ましたら其の儘本會は散會致しまして、明日午前十時から開會致したいと思ひます
午前十一時四十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=54
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055・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 子爵 植村家治君
副委員長 男爵 肝付兼英君
委員
公爵 桂廣太郎君
公爵 三條實春君
侯爵 前田利建君
伯爵 大木喜福君
子爵 入江爲常君
子爵 伊集院兼高君
子爵 土井利章君
子爵 三浦矢一君
姉崎正治君
男爵 山名義鶴君
男爵 坂本大造君
男爵 小原謙太郎君
男爵 田中龍夫君
中村藤兵衞君
井川忠雄君
合田健吉君
畠山一清君
太田半六君
渡邊三郎君
鏑木忠正君
松尾嘉右衞門君
國務大臣
商工大臣 星島二郎君
政府委員
大藏政務次官 上塚司君
大藏事務官 河野一之君
同 石原周男君
商工事務官 岡村武君
同 和田太郎君
貿易廳長官 塚田公太君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00119461007&spkNum=55
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