1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○貿易資金特別會計法案
○産業復興營團法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年十月九日(水曜日)午前十時十六分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=1
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002・肝付兼英
○副委員長(男爵肝付兼英君) 只今より昨日に引續きまして、貿易資金特別會計法案竝に産業復興營團法案、兩法案の綜合的御質問を續けたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=2
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003・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 商工省と經濟安定本部との關係に付てちよつと伺つて置きたいと思ひます、經濟安定本部の方は、立案するけれども、手足がないので、それで恐らく商工省の方へ移して、商工省の監督の下に此の仕事は營團に言ひ附けてやらせるのだと思ひますけれども、十五條あたりに於ても、第三章の業務の所を見ますと、十五條の一、二、三、執れも皆經濟安定本部で定める方策に基くと云ふやうに、斯う云ふ風に書いてありますが、此の仕事をやらせる上から見ても、誰が見ても經濟安定本部の仕事をして居るやうに見える、さうなると商工省の監督とか指導とかと云ふことは效力が減殺されるのではないかと思はれますし、又監督する所の商工省の側から見ても、是はどうも經濟安定本部の拵へたものだから、それがうまく行くか、どうかは構はぬ、とは申しますまいけれども、割合に關心が淺いのではないかと思ひます、さうなると云ふと、事業の遂行の上にも幾分不安があるやうに思はれるが、其の點に付ては商工省の方で、どう云ふ風な御考を持つて居られませうか、此の第一條の産業復興營團の仕事と云ふものは、經濟安定本部の方で出案したものをやるんだと、書いてあるから、十五條あたりは斯う云ふ風に、決して經濟安定本部で定めた方策に基くと云ふやうに書かぬ方が宜かつたのぢやないかと思ひます、是は商工省の監督官の方からも面白くないやうに見えるし、やる方の營團の方から言ひましても、尚商工省をそつち除けで、安定本部の言ふことさえ聽けば宜いと云ふやうなことになり勝ちになりはしないかと思ひますが、如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=3
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004・和田太郎
○政府委員(和田太郎君) 經濟安定本部と營團との關係でございますが、大體經濟安定本部で基本的な産業政策を決定せられまして、之が實施は勿論商工省、其の他の産業關係者に於て行ふことに相成るのでございます、從ひまして營團に付きましても、經濟安定本部で基本的な政策を定めますが、其の定めます場合に、復興營團で是々の仕事をせよと云ふ、そこ迄具體的の政策の決定は恐らくないと思ふのであります、從ひまして一般的な安定本部の決定致しました政策の線の中に於きまして、此の營團としてどう云ふ仕事をすることが適當であるかと云ふことは、營團が決定致しますし、又安定本部の決めました色々な政策を頭に置きまして、主務大臣が營團の指導監督をする、斯う云ふことになります、從ひまして安定本部と新營團との間には直接の指導監督と云ふことは起らないと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=4
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005・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 其の點、重ねて伺ひますが、さうすると、營團の方のやるべき仕事は經濟安定本部の定めた根本方針だけで、後は詳細のことは營團の方で計畫してやらうと云ふことになりますのですか、勿論安定本部の言ふ通りのことをやると云ふ意味ではないでせうね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=5
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006・和田太郎
○政府委員(和田太郎君) 只今御質問の趣旨の通りでございまして、一般的な基本的な政策、或は方策を安定本部が決めまして、其の枠内に於て新營團が行ふことを適當とする仕事を、新營團の方で計畫する訳でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=6
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007・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 先日、どなたかの御質問の中に、それだけの仕事をするのには、資本金二億圓、頗る過少ではないか、其の二億圓と云ふものを何處から計算致されたか、と云ふ質問に對して、政府側の答辯は産業設備營團で二億圓、斯う云ふ風に承つたのですが、設備營團の方はもつと多いのではないのですか、さう云ふ御答辯であつたと思ひますが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=7
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008・和田太郎
○政府委員(和田太郎君) 從來の産業設備營團も、最初發足致しました時には、資本金二億圓でございまして、其の後四億圓に増額致したのであります、併し今日迄實際に政府が出資致して居ります金額は、一億五千萬圓餘りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=8
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009・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 凡そ官廳の仕事と云ふものは大體豫算と云ふか、目處を決めて仕事に掛かるのが本則となつて居ります、産業設備營團の方では資本金が四億圓、それに對して産業債券を發行して、それが其の十五倍、即ち六十億圓、其の範圍でと云ふことに限られて居る、此の營團の方の仕事は資本金二億圓、それの融通資金と云ふものは全額が決つて居らぬのですか、復興金融金庫から其の融通を受けてやるのでありますが、是はどの位の額の融通を受けるのでありますか、又復興金融金庫以外の所からも資金を仰いでやつたら宜いと云ふことでありますが、どの位の資金額を融通を受けてやるか、言ひ換へれば仕事の幅、奧行と云ふものは、どの位のことをやられるのか、其の御豫定は如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=9
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010・和田太郎
○政府委員(和田太郎君) 從來の設備營團に於きましては、只今御話の通り、現實に出資致しました資本金の十五倍迄債券が發行出來ると云ふことになつて居りまして、今日迄の發行致しました債券で殘つて居ります額は、約十七億でございます、其の外市中銀行等から借りて居りますものが、三十二億でありまして、産業設備債券と合しまして、現在の負債になつて居りますものは約四十九億になつて居ります、今度の新營團に於きましては、復興金融金庫から一應只今の處、三十億程度の資金の融通を受けて仕事をやつて行きたいと云ふ工合に考へて居ります、尚此の金額に付きましては、只今差當り考へられて居りますものは、昭和電工川崎工場外四工場に於ける肥料の設備の回收、或は増設に約六億數千萬圓が掛るであらうと云ふことは考へて居りますが、それ以外も肥料、或は中小炭坑の機械化、或は中小工業の振興方面の仕事に付きましては、今後經濟安定本部の定めまする一般的な政策に從ひまして、漸次具體的な計畫を建てて行きたい、斯う思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=10
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011・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 もう一つ、先達て御配布の正誤表、大分大きな正誤表が九條に加へられて居る、第九條の二項に是だけのものを入れる「民法第四十四條、第五十條、第五十四條及び第五十七條竝びに非訟事件手續法第三十五條第一項の規定は、産業復興營團にこれを準用する」、是はもう總ての此の種の法案には附きもので、役員等に關するものでありますか、九條の一項でありますが、是は現在の九條の一項は、「産業復興營團について解散を必要する事由が發生した場合において、その處置については、別に法律でこれを定める。」と云ふ此の一項と二項と云ふのは何等關係のない、寧ろ是は一體一箇條奮發して貰つても宜いやうなもので、正誤とか云ふことは甚だどうも如何かと思ふ位のものを此所に入れようと云ふのですが、法文の體裁上、是は如何なものですか、一項とは何等關係ないものである、挿入することはどう云ふものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=11
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012・和田太郎
○政府委員(和田太郎君) 實は第九條の第二項を入れますことに付きましては、内輪の話になりますが、大體理事及び其の他此處に準用してございます斯う云ふ規定を一般法人に特に準用すると云ふことを書く必要があるか、或は書かなくても當然民法の法人に關する規定は一般法人にも適用があるのかと云ふことに付きまして兩説ある訳でございます、大體復興の金融金庫其の他の金庫關係の法律に於きましては、當然適用があると云ふ解釋が從來執られて居りまして、先日御審議を戴きました復興金融金庫法の中にも此の準用の規定は入つて居らないのでございます、私共と致しましては、一應最近出ました復興金融金庫の形式に做ふ積りで手續を進めて居つたのでございますが、營團關係の法律に於きましては、從來是は當然適用はない、矢張り準用規定が必要であらうと云ふことに相成りまして、特に此の第二項を法文の中に入れることに致したやうな經緯でございます、從ひまして法文の形と致しましては、御指摘の通り、第九條の第一項とは關聯のない問題でございますが、關係方面と打合せまして、其の結果第九條の第二項に、特に之を挿入すると云ふことに致したのであります
〔副委員長退席、委員長著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=12
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013・渡邊三郎
○渡邊三郎君 日本の貿易は段々國情が安定して來ると、輸出の方を相當考へなければならぬことは分り切つたことであります、輸出と申しても、生絲とか纎維とか色々ございますが、大きなものは兎も角中小工業が相當働かなければならぬ立場になるだらうと思ふ、是は餘談ですが、此所に居られる肝付男爵のお父さんが、手前達中學の時分に、私は生絲の産地の群馬縣ですが、群馬縣に來て講演して下さつたことがある、私共中學の三、四年の時分です、其の時御發ちになる時に、お前達に土産に言つてやることがあると話されたことがあります、それは、一絲繋ぎ得たり蜻蛉洲と云ふ言葉があるか、お前達の國の人が働いて呉れることは結構である、一つの絲のみに頼ると云ふことも結構であるが、もう少し他の工業を復興して輸出を計らなければ皇國の前途は國を富ますと云ふことはなかなか困難と思ふ、斯樣な面白い話をして下さつたが、我々中學の時分でしたが、うまいことを言つたものだと感心したものです、さうなつて來ると中小工業が働かなければならぬ、生絲にばかり、女にばかり頼つては居られない、女に稼がせて、男は鐵や機械總ての物を買ふことばかりやつて居たのでは駄目です、中小工業を働かせるのは結構なことで、一生懸命やりますが、兎に角日本の今の問題は、輸出すると云ふことになると、もう出てしまつたのだから、どんな物を出しても俺は知らないと云ふ態度であつてはいかぬと云ふことです、今迄は陸海軍の嚴重な監督の下に檢査官が、分る人も居るが、分らぬ人もあつて、それに對しどう斯う非難もありましたが、何しろ他から非常に檢査を受けた、是からは所謂民主主義で自分達で檢査し、責任を持つて製品を出さねばならぬ、兎角中商工業となると良い人もありますが、中には向ふへ行つてどうならうが、唯金さへ儲ければ宜いと云ふ氣持でやる者も居る、そんなことをやられては迚も長い壽命はなからうと思ふ、之に付ては政府自らも、矢張り檢査とか云ふやうな精神を製造工場の組合等にきつく御示しにならなければいかぬと思ふ、併し餘り細かい監督をされて杓子定規でやられては困りますから、自主的に檢査させるやうな空氣を御作り下さつたらどうか、是等が根本問題ですが、今日の如く産業人が深切心を失つて居る有樣だと、何が飛出すか分らないから、直ぐに駄目にならうと思ふ、それと關聯して居るのですが、丁度満洲事變の中頃でしたが、私「アメリカ」に居りまして、さう云ふやうなことを研究でもございませぬが、事に觸れて聽いて見ました、御承知のやうに「サンフランシスコ」に丁度商業會議所のやうな、貿易商の組合のやうなものがあつて、此所に日本から「アメリカ」に輸入した商品を陳列してありましたが、なかなか能く整備も出來、當事者も熱心に努力されたやうに私は承知するのです、「ドイツ」あたりではちよつと目に止まりませぬ、流石は「サンフランシスコ」は「アメリカ」の口元で、日本との貿易に對して非常に努力された結果でありませう、非常に能く整備されて居りました、其處の主事が、あなた御歸りになつたら斯う云ふことを貿易商なり、商業會議所に言つて呉れと云ふことでした、私は商業會議所には深い縁もなかつたが、事がある時にちよつと申上げた、日本から來て此所に竝んで居る物は良い物だが、實に困ることは、日本の物は値段も「ヨーロッパ」から來る物よりも安いし、品物も良い、然るに、相當利潤があるのでせう、次に來ると直ぐ値段を下げてしまふ、二度、三度下げると、今度はもうそれ以上値下をする餘地がないからでせう、品物の品位を下げてしまふ、是には「アメリカ」人は困つた、御承知の通り「アメリカ」の商賣と云ふのは、日本とは違つて「ストック」の商賣をして居る、地方で雜貨など相當多く買ひ込んで、品物が良いから、それを本として儲けようとして宣傳もし、費用も使つて、是から愈愈儲けると云ふ時に、次に日本から來た品物が値が下つて居る、是では値段が安いからと言つて買込ひんだ商人は皆損をする、だから日本の商品は取扱ひたくない、中にはさう云ふ申合せもして居ると云ふやうな工合で、實に困つた傾向である、だから今盛に賣れて居る者は、實際は陳列所に出してない、之を出すと、其の日から商人が來て、今度は其の値よりもつと安く持つて來るので、此所に出て居る物は或期間を經た物である、斯う云ふことを言つて居りました、まあ、今直ぐと云ふ訳には參りませぬが、中小工業から出た物が段々盛に輸出されるやうになると、此の點に付ては非常に注意しなければならぬと思ふ、で、雜貨などのことを多少自分で見てみますると、當時「スエーデン」とか「チエッコ」あたりから、私共の關係して居る「スチイール」を使つた色々の製品が相當來て居つたが、餘り上手でもない不細工な物が非常に高い値段で入つて居つた、是等に付ては、日本では相當輸出して向ふに便宜を與へる餘地は十分あると思ふ、今のやうなことが、是は製造者と云ふよりも商人の方に罪はありませうが、非常に輸出を阻害して、從つて中小工業は一時は榮えても衰徴を來すと云ふことは固より目睫の間に起ると思ふ、何卒是等の點に付ては、輸出に關係する當事者の方々に格別の御注意を願ひたいと思ひます、こんなことを實際目のあたり見たり聞いたり致して居りますので、此の席で申上げて、將來の御盡力を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=13
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014・塚田公太
○政府委員(塚田公太君) 只今の御注意は誠に有難うございますが、事實、本當に今迄の日本の雜貨貿易に關する最も大なる弊害であり、此の爲に又日本の貿易が隨分全體に迷惑を及して居ると云ふことが事實でありまして、之に付ては將來大いに貿易廳としても、又日本の國全體として考へなければならぬ點であらうと考へます、全く仰せの通りであります、私も長く貿易に從事致しまして、雜貨の方に對する知識は比較的少いのでありますが、人絹、綿製品と云ふやうな、比較的製造業者としては日本の上位にあられる人達の製品に付ても、尚且、時々斯う云ふ問題が起つたのであります、でありまするから、唯、一時の輸出が盛であるからと云ふやうに、其の場其の場の需要に應ずると云ふやうな風で、嘗て爲替の下つて來て居る時分に造られた、さう云ふ物が隨分不正、不良品があつたと云ふことは、私も十分承知して居る次第であります、今御話の通り、もう日本品を扱ふのが嫌になると云ふことが何處へ行つても聞きましたのですが、私も嘗て「トルコ」、「ルーマニヤ」、あの邊をずつと、日本の綿製品、纎維製品が主として出始めた時分でありますが、其の話を矢張り聞きましたが、折角買つて、是から日本の物を輸入して、是から少しでも儲けて賣りたいと云ふやうな氣持で居ると、必ず次にどつか違ふ所が來まして、是より又安く賣るから買つて呉れ、事實それは安く、又それを一つ位買つて見ると、次に又外の人が來て又安く賣ると云ふやうな結果でありまして、日本品を扱つても何にも樂しみがないと云ふことを能くあつちこつちで小言を聞いたのであります、要するに粗惡品、又粗製品の出る一番大きな原因は、今も仰せの通りに、要するに此の賣値の競爭と云ふことが一番大きい、是は製造業者にも、貿易業者、兩方に罪があるのぢやないかと思ふので、貿易業者の方は、是ならば又更に幾ら買ふと云ふやうな注文を出します、製造業者の方も、安くても餘計造れば宜い、又斯う云ふ所は少し手を拔いたら宜いと云ふ風で、御互に廉賣競爭を海外に於てやる爲に起る結果だらうと思つて居るのでありますが、更に日本の輸出品を買つて呉れる、大部分の相手先が東亞、南洋方面でありまするから、まあ向ふの程度も相當に低い、自然餘り高くしますと賣れないと云ふ點もあることはあるのでありますが、併しそれよりも前に申しましたやうに、要するに競爭して賣ると云ふことで、幸か不幸か現在の日本の貿易の状態は國營と云ふことで、業者の競爭と云ふことが先づ必要のないことになつて居ります、又扱ふ輸出をする所も、取扱機關と云つて、各業界の經驗のある有力な方々の集合體でありまして、さう云ふ機關が製造業者に注文して造ると云ふことでありまするから、此の機會が粗製、濫造品を防止する一番好い時期でないかと云ふやうに思つて居ります、製造業者、竝に此の取扱機關を通じまして、さう云ふ點を特に御願ひして居ります、此の間も「マッチ」の輸出の方から、統制會社の方から人が見えまして、最近「マッチ」を相當纒つたものの輸出をする機運に向いて居るので、それに付てどう云ふ方針でやるのかと聽きました處が、どうも今迄ある「ストック」を出すのだと云ふやうな話がある、今迄の「ストック」だと碌な物はない、十本附けて一本か燃えないやうな物が出るので、そんな物を出されると困るが、さう云ふやうなことは貿易廳の方で御存じですかと云ふやうな話がありまして、早速輸出の方へ聽きました處が、それは誤傳で、さう云ふことはないと云ふことが分つたのでありますが、兎に角併し今輸出に關係して居る各機關の方でも、それだけ皆粗惡品を出してはいかぬと云ふことに付て、是は個人々々ではないものですから、非常に注意して貰つて居ることは非常に嬉しいことなんであります、まあさう云ふやうな風でありまして、一方に於ては斯う云ふ組織が、今さう云ふ濫造品を出來ないやうにして居ると云ふことがあるのでありますが、又強ひて考へると、是は總て貿易廳の勘定、所謂國營であるから、今の御話のやうに惡い物を出しても苦情は皆貿易廳が負擔だと云ふやうな氣持で、さう云ふ物を造る人がなきにしも非ずだと思ふのでありまして、まあさう云ふ點に付きまして、取扱機關と協力して、所謂自主的な檢査、竝に國營檢査を大いに強化して、萬一さう云ふやうな物が假に間違つて出たやうな場合に、扱つた人も、又製造した人も、其の業界から遠慮して貰ふ、追出すと云ふやうな強い檢査規定を作りたいと、斯う云ふやうに思つて居るので、現在も戰前からの檢査規定はあるのでありますが、是は稍稍形式に流れて居るやうな點もありますので、斯う云ふものをもう少し活を入れまして、大いに強化して、罰則を更に嚴重にして、さう云ふ點に付て防止したいと思つて居ります、尚又、今生絲の御話がありましたが、最近參りました「マクダモット」氏に色々最近の「アメリカ」の状態を聽きましたのでありますが、どうも日本は「アメリカ」に向つては、輸出は生絲一本で行くと云ふやうな氣持があつていかぬやうである、是は絶對に考を改めないといかぬ、斯う云ふやうに言うて居るのであります、「アメリカ」としましては、現存合成樹脂的な、「ナイロン」的な物が非常に發達して居ります、又生産量も非常に殖えて居ります、日本に今迄のやうに五十萬俵、六十萬俵の輸出を期待して居らぬ、だから、日本としては今後の輸出に付て生絲だけを考へると云ふことは非常な間違ひだから、他の日本獨得の物を考へて出すやうにと云ふことを最近注意して呉れました、そんなやうな事情もありますので、貿易の今迄の生絲が三割も四割も占めたと云ふ時代は過去の夢でありまして、今後は是は或程度、勿論獎勵して出さなければならぬのでありまするが、更に御話のやうに、雜貨製品などが日本の現在の状態に於て、又工場組織に於て、又或意味に於ては、家内工業を活かすと云ふ意味に於ても、非常に大事なことであります、それに伴ふ一番惡い粗製濫造と云ふことに付て、最も大なる注意を拂つて行かなければならぬと云ふことは御説の通りであります、至極賛成であります、注意致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=14
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015・渡邊三郎
○渡邊三郎君 只今の長官の御話で、大變に手前共幸に感じるものであります、誠に有難うございます、是非さう云ふ御方針通りやつて戴きたいのでありますが、唯どうも檢査を嚴重にする、何をすると云ふことでありますと、是は勿論結構でございますが、孰れにしても製造者自らが自分の製品に責任を持つて、さうして値段を下げるよりも、先づ其の上に深切を加へて品物を良くすると云ふことにしなければならぬ訳でありますから、是非製造者自らがさう云ふ風な機運になるやうな會合なり、或は講演なりを、貿易廳あたりの御肝煎りでやつたならば、私は宜いかと思ふのであります、工場に致しましても、今迄は親掛りであります、日本の工業の重工業は、詰り海軍が斯う言ふから、陸軍が斯う言ふからと言つてやつて來られたのであります、今度は親から離れたのですから、自分自らが飛び立つことを考へませぬと、何處迄も……孰れにしても日本は家族制度も結構ですが、家族制度の弊害と云ふものがあることは勿論でありますが、さう云ふことに頼ると云ふことが非常にあるのでございますから、今の御話の貿易廳の方で責任を負ふのだから宜いと云ふことでは、結局人民が迷惑をする、是非其の點民意を活かし、それに力を入れさせるやうな御手當を願ひたいと思ふのであります、それに何でございますが、「アメリカ」あたりでも聞いて見ても、日本の製品は相當のもので、値段よりも安いもので良いものになつて居る、そんなに値段をくよくよしなくても宜い、唯、中間に入つて來る人が自分の利潤を得る爲に、其の値段を下げて色々な金を取らう、値段を下げるのは困るのだと言つて居ります、餘り不當の値段も困りますが、値段を下げるより先づ品物を先へ上げると云ふことを考へられるやう一つ御指導を願ひたいと思ひます、今度は非常に此の問題が、今の話で生絲ばかり、生絲は非常に結構でございますが、生絲は御承知の通り穀物と同じやうに天災を受けます、手前共幼少の時分より生絲の本場で育つたものですから、氣候の變化を受けると、どうすることも出來ない代物ですが、之をどんどんやることは結構ですが、一方に今の御話の失業問題から、家庭工業なんと云ふやうな中小工業を活かさなければならぬ、それに依つて何とかさせなければいかぬと思ひます、金物を造る關あたりとか三條あたりのことを聞いて見ると、今はさうでもありませぬが、此の前の大戰頃南洋あたりは果物も餘計出來て居る、そんな所へ、刄物をちやんとしつかりしたものは造つてやる必要はないぢやないかと云ふやうなことを言つて、出したことがあります、それから二三年、手前が行つて廻つて見ると、あの時仰しやつたやうに、今注文一つ來ない、斯う云ふ物を出しては來ようがないと云ふことで、此の間關刄物工場をちよつと見廻つて見ました、矢張りあすこに貿易廳の關係で、進駐軍の注文で刄物を造るとか、料理する物が出來て居ります、相當出來て居りましたが、手前も斯う云ふ風にしたならば、「アメリカ」の氣に入る、斯う云ふものは斯う直さなければならぬと申しましたのですが、ああ云ふものが相當出て行つて、今の處宜いですが、無暗に嚴しく、杓子定規でやつては困りますが、精神、深切を入れることに御盡力願ひたいと思ふのであります、何分どうぞ、宜しく御願ひ致します、是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=15
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016・塚田公太
○政府委員(塚田公太君) 色々有益な御注意、有難うございます、私も長い間民間に居つて、殆ど役人になつたのが間違つたやうなものでありますが、民間の氣持は能く存じて居ります、どう云ふ所へ、例へば檢査にした所で、全部御役所、或は假に國營で唯嚴重にしただけで宜いことでないと云ふことは能く分つて居ります、さう云ふ點に付きまして及ずながら有らゆる業者に接する度毎に、今迄は日の丸の力で、相當に無理な輸出も出來たのでありますが、今後は日の丸の力で輸出出來ると云ふことはない、各自の國家的意識で造つた物、或は國家的意識で輸出したものが事實向ふへ行つて物を言ふのであります、若しそれが單に個人的の利益の爲に輸出されると云ふ場合には、一度失つた信用は又三等國五等國になつた日本としては、全然將來に望みがない、のみならず、將來中國にしましても、或は印度にしましても、相當日本と競爭の立場に立たれると云ふことになりますと、今迄「ヨーロッパ」又は「アメリカ」のやうに割合に工賃の高い所の製品でない物が、東亞南洋の日本の市場に矢張り競爭して來るのであります、と云ふことを考へますと、益益此の點に付て注意しなければならぬと云ふことを感じます、能く色々有益な御注意がありまして有難うございました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=16
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017・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 議事進行に付て申します、農林大臣に御質問申上げたいと思ひますが、農林大臣に御出席を御要求願つて戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=17
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018・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 早速連絡を致して都合を聽きませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=18
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019・山名義鶴
○男爵山名義鶴君 私も議事進行に付て申上げます、今日商工大臣がお見えになるのですか、お見えにならないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=19
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020・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) お見えになるのですが、今本會議の方に出席されたばかりでありましてて、今連絡を附けて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=20
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021・畠山一清
○畠山一清君 今のに關係して居るから一應御伺ひしたいのです、今の粗製濫造品の話は全くひどい粗製品が向ふに行つて居るのでありまして、向ふに行つて見ますと、日本で嘗て見たことのないやうな粗製品が行つて居ります、一例を申しますと、「ベルリン」で日本品を扱つて居る所へ行つて見ますと、岐阜提灯位が優秀な部でありまして、「コーヒー」茶碗とか云ふものになりますと、日本で見たこともない眞赤なものを「プリント」した、さうして赤い櫻の花が咲いて居る其の下に花魁が居ると云ふものを何して居る、一體斯う云ふものは日本にないのだが、どうして斯う云ふことが出来るかと申しますと、神戸に居る「ドイツ」人で、「ユダヤ」系の人間が、自分で拵へて自分で持つて來て居るのだ、斯う言ふやうな話が澤山あるのでありますが、今御話に依りますと、今は日本品の統制は出來ますと云ふ御話でありますが、第三國人が拵へて、或は拵へぬでも宜いのでございますが、第三國人に依る輸出と云ふものに付ての取締りは出來るのでありますか、如何でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=21
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022・塚田公太
○政府委員(塚田公太君) 第三國人は御話の通り今後我が國の貿易は、今迄のやうに外國人に對して、或差別待遇と言ひますか、さう云ふことをやることは絶對に出來ないと云ふことになりましたのですが、併し輸出に付て假に檢査を作りますれば、それは誰に對しても同じ取扱にする訳ですから、第三國人に對しても檢査をすることになると思ふのであります、唯第三國人の輸出した物は日本の政府は知らぬと云ふ訳には行かない、結局今の所はさう云ふことはありませぬのですが、假に將來貿易が相當の程度自由に各自の何に依つて許されると云ふ時代になりましても、各業界に於ける輸出の機關がそれぞれ出來まして、それが檢査すると云ふやうな状態になるだらうと思ひます、さう云ふ場合には、今迄のやうな或程度、其の準會員と云ふ風には出來ませぬが、同じ取扱にすることは出來るのでありますから、それは檢査は出來ると思ひます、事實は今迄にさう云ふやうな物が向ふに行つたと云ふのは、檢査のないものであらうと思ふのであります、或種の物は檢査があつても、さう云ふ物が行つたのが必ずしも無きにしも非ずと思ふのでありますのですが、普通は檢査を要しないやう物が行つたのではないかと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=22
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023・畠山一清
○畠山一清君 檢査が嚴童に出來れば誠に結構でありますが、今後益益さう云ふことが追々と行はれて行くのでないかと思ひますから、其の點にも一つ十分に御考慮置きを願つた方が大變結構だと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=23
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024・太田半六
○太田半六君 今當局の御説明に依ると、生絲の前途に付て餘り望が囑せないやうな御説明があつたのですが、私が聞いて居る所では、さうでないやうに私は思つて居る、此の輸出計畫表に見ましても、此の下期の輸出額の中、生絲も相當出て居るのですが、共の他の纎維工業品、是が殆ど輸出の大半を占めて居る、それで私は現在の日本の情勢、又「アメリカ」歐洲あたりの現状から見ましても、此の纎維工業品に重點を置くことが輸出貿易上非常に宜いことではないか知ら、又さうせなければならぬのぢやないか知らと云ふやうな考を持つて居るのですが、今の當局の御説明に依ると生絲の前途は餘り樂觀を許さないやうな御説があつたのですが、私は現在の需給状況から考へてさう云ふ心配はないのぢやないか知らと云ふやうな考を持つて居るのですが、尚一つ御説明を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=24
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025・塚田公太
○政府委員(塚田公太君) 只今の御質問でありますが、生絲は前途望みがないと云ふやうに申上げたのでなくて、「マクダモット」氏の話は、生絲に今迄のやうに、過去に於けるが如く生絲一本で日本の對米輸出をやらうと云ふやうな考は、非常に危險だ、斯う云ふことを言うたんでありまして、勿論生絲は現在も將來も大いに出さなければならぬことは、もう明かなることでありますが、唯、今迄のやうに生絲を五十萬、六十萬と云ふやうに出すと云ふやうな期待を以てやると、非常な間違だ、斯う云ふことを向ふは言うたのであります、現在之を桑の畑にしましても、既に十八萬町歩位に縮小されて居り、之を又大いに殖やさうと思つても、事實まあ食物の關係とかなどで急に殖やすことも出來ないやうな状態になつて居る、少くとも三年や五年掛ると云ふやうな話も聞いて居ります、生絲の生産の方も自然さう云ふやうな意味から、一時に殖えることもまあない訳でありますが、併し昔のやうに、生絲の對米輸出を五十萬も六十萬も出すと云ふやうな期待をして計畫を立ててはいかぬと云ふ話を、向ふが言うたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=25
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026・太田半六
○太田半六君 現状に於ては「アメリカ」なり、或は歐洲の方の需要に十分應ずるだけの製品は、とても供給出來ない状態にあるので、それですから當局のやうな消極的御考を持たないで、遠い將來は分りませぬけれども、現在に於ては製品が餘るやうなことは絶對にないと考へて居りますから、積極的に是等の、生絲ばかりでありませぬ、纎維工業品全體に付て、全力を擧げて是等の増産になりますやうに、當局の御方針を變へて戴きたいと、斯う希望するのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=26
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027・塚田公太
○政府委員(塚田公太君) 有難うございます、生絲の他の問題でありますが、既に棉花の方は「アメリカ」から五十萬俵近いものが來て居ります、又今後も更に四十萬俵は來ることになつて居るのであります、其の外にも「インド」の方の棉も今貿易廳には何にも交渉はありませぬけれども、今仄かに聽きまする處、輸入の盡力をして戴いて居ると云ふことも聞いて居ります、又羊毛に付きましてもさう云ふやうな話を聞いて居りますが、是等のものの輸出と云ふことに付ては、勿論最大の努力を拂つて、一刻も早く製品として出さうと云ふやうなこと、又今後も是非輸出品の大きなものとして、日本が過去に於て最も得意とした種類のものでありまするから、斯う云ふものを是非大いに殖やさうと云ふ努力は勿論、續けて居るのであります、更に人絹の問題でありますが、是は「パルプ」と苛性「ソーダ」と云ふやうな關係で、現在相當制約も受けて居りますが、是も全能力を發揮して作り出さうと云ふことに、各關係者を通して努力をして居るやうな次第であります、御趣旨に十分沿ふやうに努力致す所存であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=27
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028・井川忠雄
○井川忠雄君 私、先程の中村委員からの御質問に關聯しまして、ちよつと御尋ね致したいのでございますが、産業復興營團の存續期間と云ふものは別にないのでございますか、何年位存續させると云ふ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=28
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029・和田太郎
○政府委員(和田太郎君) 産業復興營團の存續期間でございますが、産業復興營團は經濟安定本部總裁が定めまする基本の線に沿ひまして事業を營むことに相成つて居りまするので、自然經濟安定本部の存續期間と關聯を持つて來る訳であります、只今の處、安定本部は一年と云ふことに相成つて居りますので、其の一年間に安定本部が定めました各種の方策に基く具體的な計畫を立てまして、其の計畫に基く資金の融通を復興金融金庫に申出ることに相成るのでございます、其の融通を申込は第十八條の第三項にございますやうに、昭和二十三年の三月三十一日迄に金融金庫に申出る、それ以後は新らしい事業に付きましての資金の融通を申込むことは出來ないことに相成つて居ります、唯此の期限は新らしい計畫に基く資金の融通の請求は此處で打切られて居りますけれども、是迄に請求致しましたもので、金庫の承認を受けましたものは、二十三年の四月一日以後でも融通を受けられると云ふことに相成つて居ります、從ひまして新らしい事業計畫と云ふものは、此の二十三年の四月迄に作るのでございますが、其の新らしい計畫に基く實際の建設工事と云ふものは、其の以後も續くことに相成ります、尚其の出來ました設備を貸付ける必要があるやうな場合には、其の貸付ける必要がある間は、一應營團と致しましては、存續をすると云ふことに相成る訳でございます、尚貸付する必要がなくなりまして、之を處分することが出來ると云ふやうな事態が相當早く參りますれば、其の際には任務を完了致しまして解散することと相成るかと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=29
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030・井川忠雄
○井川忠雄君 能く分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=30
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031・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 御質問ありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=31
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032・鏑木忠正
○鏑木忠正君 産業復興營團に付てちよつと御質問致します、此の法人の運營は役員が總てやる訳でありますが、官僚出身者を以て理事等に充てる積りですか、或は又民間の者を入れる積りですか、其の御方針はどうでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=32
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033・和田太郎
○政府委員(和田太郎君) 新營團の役員にきましては、昨日商工大臣からも御答辯申上げました通り、廣く官民を通ずる中から、本營團の事業を運營して行きます爲に、必要なと申しますか、特に適當な方々を、銓衡致しまして御願を致したい、特に今後本營團と致しましては、從來の營團とは異なりまして、中小工業の方面にも力を注ぐことと相成りますので、特に中小工業の方面に理解のある方、造詣のある方と云ふやうな方を、特に役員に參加して戴くやうに致したい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=33
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034・鏑木忠正
○鏑木忠正君 さうすると、中小工業に理解ある人、或は又民間の人を入れる積りだと云ふことは承知致しましたが、どちらに重きを置かれるものか、唯民間のそれ相當の者を選ぶと云ふだけで、官營が主でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=34
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035・和田太郎
○政府委員(和田太郎君) まだ具體的な人選には當つて居りませぬが、大體關係方面の意向と致しましては、特に中小工業方面の理解のある著を相當數入れようと云ふやうな意見もあるやうでございますので、大體大臣の御方針と致しましても、恐らく此の機關は、元元國が直接やるべき仕事でありますが、國家の機關としてやりますには、現在の所は官制とか、或は豫算の關係上、敏活な仕事が出來ませぬので、新らしい斯う云ふ機關を作るのであると云ふやうな趣旨に於きまして、官との關聯もございますので、其の連絡に必要な限度に於きまして、さう云ふ方面の方も入つて構くと云ふことに相成らうかと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=35
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036・鏑木忠正
○鏑木忠正君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=36
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037・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 御諮り致します、商工大臣が今御見えになりまして、又本會議の方へ御用があるかも分りませぬから、此の際大臣にのみ御質疑のある方から、どうか御質問を御願ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=37
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038・田中龍夫
○男爵田中龍夫君 先般の臨時物資需給調整法の時にも關聯して申上げたのでありますが、今後の日本の生産機構の上から言ひまして、輸出する見返り品の生産量と云ふものの占めます地位が非常に大きくなると思ふのであります、それに付きまして、太田委員からも昨日御質問が出ましたやうに、資金も勿論非常に重要でありまするが、資材の點に付きましても、相當問題が山積して居ると思ふのであります、それで特に外國から原料を得まして、それを加工すると云ふやうな面が見返り品製造上で大きな「レート」を占めて參ると思ふのでありますが、さう云ふ關係からも、昨日御話のやうに、輸出入の原材料會社竝に輸出入の各組合等の機關が活躍をして戴かなければならないのでありますが、それ等の機關が製造業著に對しまして發注を致します時に、原材料を或程度迄面倒を見てやらなければ製造業の方としても、非常に困難なことになると思ふのであります、そこで先般も臨時物資需給調整法の時に御質問申上げまして、政府當局から餘りはつきりした御答がありませぬでしたのでありますが、此の際改めて承りたいことは、臨時物資需給調整法の第二條の割當團體と云ふものがございますが、あの産業團體と云ふものの中に、特に貿易關係のものでありますと、所謂發注者側、即ち貿易業者であります商業組合が或程度資材の割當と申しますか、資材を持つて「メーカー」に注文をすると云ふやうな形を是非とも執る必要があると思ふのでありますが、其の場合に、臨時物資需給調整法の第二條の産業團體に割當團體として御認め戴け得るものでございませうか、其の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=38
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039・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 最初の臨時物資需給調整法立案の當初に於きましては、現存して居りまする一つの統制機構とも見らるべき會社等には指定して宜からうと云ふやうな考へ方もあつたのであります、所謂統制會社とか其の他のものでありますが、併し此の民主的なる團體、それ等に對して指定をすると云ふことの條文の、其の民主的なる團體とは一對どんな團體だと云ふことは、感じの認定よりは法文で明かにせいと云ふやうなことも其の筋から話がありましたので、それは甚だ法文が長くなつて困るから、寧ろ勅令で以てそれ等の團體を指定する、團體の斯う斯うしたものに認めると云ふことを決めることになりまして、先般衆議院の時にもそれを言明致しまして、了解を得たやうな次第でございまして、田中男爵の仰せの如き、輸出品等の原材料を取扱ふのは、さう云ふ會社があるのでありますから、本當を言へば其の會社を指定して宜いのでありますけれども、どうも其の建前から言ひますと云ふと、寧ろ社團法人的なる、非營利法人的なるものを對象とすると云ふことに、多分勅令として、或は省令として決めなければならぬかと思ひますので、さう云つた場合には、甚だ便宜上困りますから、さう云ふ物資を造られる業著の一つの團體、或は協同組合と云ふやうな形を執るのが便利かも知れませぬが、兎に角それとは非常な關係の深い組合でも一つ作つて戴きまして、それを政府が指定致しまして、さうして仕事の上に差支のないやうに十分調整を圖つて行きたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=39
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040・田中龍夫
○男爵田中龍夫君 御丁寧な御答辯を戴きまして非常に感謝致すのでありますが、今後の我が國の輸出産業と云ふことの重要性から、斯かる必要が當然生じて參ると思ひますので、其の際にはどうぞ宜しく御善處願ひたいと云ふことを申上げて私の御質問は打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=40
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041・山名義鶴
○男爵山名義鶴君 私貿易に關して、相手國の事情を誤りなく正確に掴む爲に情報機關を整備される必要があるやうに思ふのですが、此の點に付て大臣の御所見を伺ひたいと思ひます、最近外地、殊に中國から色々な人が歸つて來まして、それぞれの立場から誠に詳細な、又眞相だと思はれるやうな情報を持つて參る者が大分澤山あるやうであります、それ等の人がそれぞれの立場で、又それぞれの中國の重要な人々と「ルート」を作つて來て居る如く傳へて居るのでありまするが、是等の情報を集めて、さうして互に綜合しまして、さうして誤りない所を掴んで行くと云ふことになりませぬと、それ等の各各がそれぞれに業者と繋がつて、さうして又それが貿易の方に進んで參ると云ふことになると、互に競爭になり、互に開催をして行くと云ふやうなことになつて來る虞があるやうに思はれる、今迄中國では、日本の向ふに居ります者が、色々な立場から色々なことを言ふので、向ふの方でも、どれが本當か分らぬと、それから又、前任者と後任者の言ふこと、やることが違ふので、それも當てにならぬ、前後左右、全く連絡がないと云ふやうな惡口を嘗て中國の要人が漏して居つたやうなこともある、此の際一つさう云ふ情報、是は矢張り其の各人が非常に國を憂へて、色々な立場から一生懸命に向ふの事情の研究もし、それ等の向ふの「ルート」とも關係を附けて來て居るのだと思ひますから、是は矢張り急速に綜合して、さうして將來は矢張りさう云ふ綜合的な情報機關を作つて行くことが必要ではないかと思ふのであります、中す迄もなく此の中國との關係は、將来の日本の是は運命を決定する非常に重大な關係でありますし、今日に於ては中國との交際と云ふものは、向ふに出す物を通じて人格を輸出すると云ふ以外には、是は途がないのでありまするからして、矢張りさう云ふ關係を貿易に於て表現をすると云ふ爲には、其の基になる情報の正確であることが大事だと思ひます、さう云ふ機關を御作りになつて、此の際早くさう云ふ機關でも御作りになつて、さうして善處をして行かるることが適當だと思ひます、左樣な御考があるかどうか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=41
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042・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 誠に御尤な御言葉でありまして、殊に中國とは何處迄も密接な關係で行かなくちやならぬ訳であります、幸に歸つた人の御話を聽きますと云ふと、蒋介石政權下に於きましては、まあ實に何と云ひますか、日木の仇に報いるに恩を以てすと云ふ態度で非常に私共は感激を致して居る訳でありまして、殊に此の貿易の再開等に付きまして、現在中國から相當の人が見えられて居ります、私共は直接に御目に掛つて、常に色々なことを御交渉申したいことは山々なのでありますが、色々な意味に於きまして、私共は直ぐ直接御尋ねすると云ふことはどうかと思ふし、又先方から私共を尋ねて來ることも何でありまして、中間の人が偶然御會ひしたやうな形式を執つて戴きまして、私共數回御話をしたのでありまするが、只今山名委員の御話の通りの氣持を向ふも持つて居ります、御話の通り今日の賠償撤去に付きましても、若干のものが中國に移行されることも聽いて居りますので、さう云ふやうなものに付きましては、本當に日本は、成るべくまあ數は減らして貰ひたいのでありまするが、持つて行く以上は、完全な責任を取り、さうして出來得るならば外したものを出來るだけこちらで以て責任を以て取附ける、こちらの「エンジニヤー」に依つて運轉迄向ふ何年かさして貰ふと云ふことに圓滿にやつて貰へばと云ふことも、率直に實は御話して居ることもあるのでございます、さう云ふ點から行きましても雙方の氣持が能く分つて居りますと云ふと、實にお互に便利だらうかと思ひます、南京事件其の他非常に今から思へば、實に日本が中國に對して相濟まぬことを仕出來したにも拘らず、非常な眞の意味の日華親善の氣持を以て今御話合が出來て居りますことに對して、私共は感謝以上に、寧ろ何と言ひますか、恥かしいやうな感激を以て之に處して居るのでありますが、さりとて今此處で直ちに相互の爲の情報機關を設けると云ふことに對しましては、まだ日本が講和會議も濟んで居りませぬ際に於きまして、甚だ誤解を招くことになるので、此の間も「ラヂオ」新聞、映画等に付きましての一つの文化委員會を作りたい、是は全く文化政策の爲に、政府が建設的な意味に於きまして作りたいと思ひましても、ともすれば、それが再び昔の所謂戰時中のやうな情報局の復活でありあはせぬかと云ふやうな誤解を受けたり致しまして、なかなか其の實現が因難な點がありますので、御話のやうな點は、實際必要だと思ひまするが、今直ぐ其の機關を設けることは其の時機でないと思ひますが、併しながら實際に於きましては、有らゆる手を盡しまして、相互の理解を得るやうにお互が努力しなければならぬと思ひます、併し實際時機が來ますれば、今申したやうな御話のやうな機關も必要であらうと思ひます、精々それが早く實現するやうに進めて行きたい積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=42
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043・山名義鶴
○男爵山名義鶴君 御答を戴きましたやうに、只今急速に出來ませぬでも、實質的に斯樣な御努力を願へれば結構であります、もう一點伺ひたいのでありますが、實は農林大臣がおいでになれば、兩大臣御同席の所で伺ふ方が都合好いと思ひましたが、兩大臣お忙しい所でありますので、商工大臣に伺ひます、それは此の現在眼前の財界の整理が進んで參りますと、將來貿易の舞臺、輸出品の生産の舞臺が農村に於ける共同組合的な工場が非常な大きな役割を以て登場して參るのではないかと思ふのであります、之に對して、果して然らば當局は、今日から矢張り周到萬全な指導對策を講じて行かれる必要があるのではないかと云ふことを私は痛感致すのであります、今日農村工業の助成には民間にも一、二財團法人があるやうでありますが、どうも私が横から見て居りまする所では、農村の更生、建直しと云ふやうな點のみが主となつて居りまして、規模が甚だ小さい、打つ手も甚だ狹いのであります、或特殊の村を取り、或特殊の者だけを取つてそれを指導し、助成しようと云ふやうな依然として舊來のやり方が私は拔けないと思ふ、私は此の特別指導村とか、或者を特別に指導すると云ふことはやり方は誠に結構であるが、是のみでは私はいかぬと思ふ、或村を農村工業の特別指導村に指定をして、まあ考へて、それに多額の補助金を出して、さうして特別に指導しましても、他の村が直ぐ眞似を出來ないやうな、それに倣つてやつて見ようと思つてもやれないやうな、さう云ふ指導は、私はそれのみではどうも駄目だと思ふのでありますが、どうも私は今日の農村工業の助成指導の方法が、さう云ふ從来の、語弊があるかも知れませぬが、農林省的な指導の範疇をどうも出ないやうに思ふ、今日でも農村工業の指導が開拓と關聯をして、開拓をする新らしい開拓地に農村工業を指導して行くと云ふやうなことに、どうも囚はれて居るやうでありますけれども、實は東北地方などへ行つて見ますと、何處の村でも少し話をして行くと、農村工業のことには非常な熱を持つて居る、殊に其の農村の進歩的な中堅青年などは、非常に熱心な希望も持ち、又出來るならば其の方に進みたいと云ふ意向を持つて居るのでありまするけれども、それ等に對して全國に亙る指導の手が伸び得ないやうな今日現状に在ると思ふのでありますが、此の點に付て私は是は農林省、商工省、私は兩方の關係のあることだと思ひまするが、一つ此の際、思ひ切つた積極的なやり方に變へて農村工業の指導をされないと間に合はないと思ふ、是が一番今大事なことと思ふ、殊に商工省の方の角度から、私は一番大事なことと思ひますのは、先程來も、度々御話のあつた農村工業をやりますに付ての原料、資材の供給をどうしてやつてやるかと云ふこと、それから出來上つた製品をどう云ふ風に受取つて捌いてやるかと云ふことが出來ませぬと、技術的な方面だけ指導しましても、出來上つた物を、偖賣るに、賣る場所がないとか、値段が引き合はぬと云ふことになりますと、忽ち農村工業は素人がやつて居るのでありますから、潰れてしまふと思ふ、ですから、此の點を一つ農林省の方と、是は共管だらうと思ひまするが、農村の更生再建と云ふやうな角度ばかりでなく、國際貿易の輸出品を農村に作らす、農村の協同組合工場に作らすと云ふ觀點から、更に一層積極的な大きな手を打つておいでになる必要があらうかと思ふのでありまするが、其の點、大臣の御所見を伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=43
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044・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 全く仰せの通りに、多くの都會の者が殆ど今度戰災に遭つて居りまするし、又今後都會を再建し、其處に工場を集中すると云ふことは、國策上どうかと思ひますし、又住宅問題等も考へますと、所謂農村工業と云ふものに對しましては、相當積極的に是は働き掛けて行かなければならぬ、それには農林省系統から、所謂從來の農業團體等から一つ呼び掛けて戴くことが必要なんで、農林省に於きましても、此の議會中に於きまして協同組合法を提案さるべく準備せられて居つたのでありますが、間に合ひませぬでした、此の商工省から出しました協同組合法とも、一脈關聯がある訳でありまして、即ち農業の有閑時に於ける工業と云ふ意味から一歩離れて、今後は農村に於ての小工業、是は權衡から言ひましても、住宅關係、其の他から言ひましても、私はさう云ふ趣旨から自轉車を以て工場に通つて行く次男坊、三男坊は專心工業者になる、長男が獨りでやる、農業者兄弟は農業者である從來の行き方から言ひますと、或者は閑時農業で、有閑時だけ工業の仕事をすると云ふやうな建前より、もう一歩進んで積極的な考へ方を以て行くべきであらう、之に付きましては只今仰せの通りに個々の力の弱い經驗のない者の間には、共同的の施設が必要である、共同購入、共同販賣、もう一歩進んでは、此の主要原料だけは或程度迄共同施設で以てこなすと云ふこと迄を一つやらなければならぬ點に於きましても、幸に今農村には相當遊資もありますし、さう云ふものも集めて、而もそれが協同體として役に立つ、或は小さい漁村に於きましては魚油を集めて共同施設に依つて、さうして其處では小さいがらも石鹸工場が出來ると云ふやうな所迄、何も大きい設備でなくても石鹸は出來るのであります、假に魚油から色々の製品を造るに致しましても、其の邊迄積極化してやる、それには矢張り協同體が必要である、斯樣に考へますので今山名さんの仰せになつたやうな方針の下に、農林當局とも十分一つ能く話合ひまして、積極的に今後の中小工業が、それが地方農村に於て發達しますやうにするには、是非とも今回出來ました協同組合を最も利用して、資金面から言ひますと云ふと、或は復興金融金庫、又は農村、漁村にありまする遊資をそれに集中さすやうに一つ仕向ける、之にはどうしても農林省の方とうまく手を執りまして、此の金繰りの點に付きましては、積極的に一つ話合つて行かなければならぬ、斯樣に考へて居るのでありまして、全然御意見に御同感でありまして、又私も力瘤を入れて、日本の新らしい此の八千萬の人口を、全日本の小さな島々に分れて住んで、文化生活をしながら、而も食つて行ける手段は、全く茲にあるだらうと考へますので、さう云ふ趣旨で以て今後進んで行きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=44
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045・川上嘉市
○川上嘉一君 御承知の通り、日本の工業製品は戰時中に非常に退歩したと云ふ感じを私は持つて居ります、殊に終戰に近くなつた當時から終戰後は、物資の不足の爲に、どんな間に合せのものでも、造りさへすれば賣れると云ふ時代がありました爲に、非常に品質が低下して居りますし、其の間外國の物は大分進みまして、今日外國の物を若し手に入れることが出來ましたならば、殆ど比較にならぬ、例へば「ラジオ」の如きものも極めて小型で、遙に設計の良いと云ふやうなものが、外國の奴はありますが、日本の奴は依然として舊式な奴をやつて居る、例へば「ミシン」一つ取りましても、今方々で「ミシン」の工場が出來て居りますが、それ等が「コッピー」しようとする模範が、もう十年も前の奴を其の儘に造つて居ると云ふやうな状況でございますから、是では到底行けないと考へます、將來貿易をやるに致しましても、或は國内で消費するにしても、もつと最新の最も進歩した設計、或は製作と云ふものがどうしてもありませぬと云ふと、日本の工業は依然として非常に遲れたものになると云ふことを懸念するのであります、就きまして商工省として、工業試驗所とかと云ふやうなことに付て、今日以上に遙かに努力する必要があるぢやないか、指導する必要があるぢやないか、斯う考へます、本年の豫算に於てもさう云ふことの奬勵の爲に積極的に努力して居ると云ふやうな事實がありますかどうか、又此の試驗所の活躍に付て、此の前も本會議でちよつと質問申上げましたが、例へば革鞣しの事業が非常に遲れて居りまして、是はもう何十年やつて居りますにも拘らず、外國で革を鞣しましたのと日本のものを比べると、殆ど壽命が半分しかない、斯う云ふことは日本の全皮革の生産が若し鞣し方をうまく改良すれば、即座に同じ效果があるのでありますが、それがまだ出來ない、是等に付ても、若し國の爲に申しますならば、さう云ふものを向ふから本當に教はつて、今ある方法でも出來るからと云ふので滿足しないで、本當に良い方法を教はつて置くならば、殆ど朝飯前の仕事であるやうに我々は感ずるのでありますが、さう云ふことが兎角放任されて居る、例へば鹽を造ると云ふことにしても、それは大藏省關係かも知れませぬけれども、民間の方にも作れ、各農會で自治的に作れと云ふことで、其の財政的の援助をすると云ふやうな方法をやつて居りましたけれども、其の始めた所謂電氣製鹽なる方法が、今迄は一「キロ」の鹽に付て約五萬「キロ」程度要つて居つたのが、二、三箇月前完成しました方法では二千五百「キロ」、二十分の一の電力で濟むと云ふことになつた、製鹽の方法に付ては、私も自分の方でも、少しはやつて居りましたけれども、此の鹽が昔一升一錢六厘と云ふやうな時代を我々知つて居りますから、つい三、四箇月前に公定値段が四十錢になつた時分に、方々で造つて居るのを見ますと、殆ど一升十圓、十五圓と云ふやうな高價なものを平氣で造つて居りますので、而も四十錢と云ふ公を決めるに付ては、それ等の値段を斟酌して決めるべき筈ですから、昔から鹽をやつて居つた赤穗とか三田尻あたりを見て來たら、もつと安く作つて居るのだらうと思つて、直ぐに行つて見ますと、果して四十錢で作つて居る、それに拘らず、東海道あたりでやつて居るのは數圓、十數圓、高いのは二十圓も掛つて居ると云ふ風な状況である、日本内地で作つて居る其の方法さへも研究されずに放任して、勝手にやれ、斯う云ふのが今迄のやり方ではないかと思ひます、戰後我々が復興するのにどうもそんなことでは出來ると考へませぬ、今後さう云ふ方面がもつと劃期的に活躍するやうに特に商工大臣の御配慮を願ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=45
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046・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 全く川上さんの仰せの通りで、日本がどれ程遲れて居るか、今回商工省に通信機器局と云ふものを設けてはどうかと云ふ、指令ではありませぬけれども、御話を受けて居ります、如何に日本の通信機が遲れて居るか、「アメリカ」と比べると、何十年も遲れて居る、少い所へ設備が遲れて居ると云ふことで、成るべくそれは實現して行きたい、處が實現するにしましても、資材がなければ困る、それでは資材を送つて呉れると云ふ迄に、話合が進みつつあることは、非常に感謝に堪へぬのでありまして、日本が極めて柔順に、平和裡に今民主化した建設をやりつつあることは、段々と「ジー・エッチ・キュー」の方も認めて呉れますし、又御互が氣持良く「アメリカ」の誠意を買つて居りまする關係上、色々な點を通して聞いたり或は知りますことは、今川上さんの仰しやつた通りであります、昨日も私驚いたのでありますけれども、私は日本の醫術は世界一だと云ふ位に實は思つて居つたのですけれども、矢張り公正に見ますれば、實際は二十年遲れて居る、日本の醫學教育はなつて居ない、文部省を改革しなきやならぬと云ふやうな專門家の意見を聽きましても、一番發達して居ると思つた醫學さへもこんなに劣つて居ると云ふことを見れば、戰爭に負けたのは故なしとせずと云ふことを痛切に感ずるのであります、特に工業方面に付きまして、今後日本が加工業に依つて食つて行かなければならぬ場合に、世界の水準に劣らぬものを作り、而もそれを徹底的にやつて行くと云ふことに對しましては、只今仰せのやうな趣旨で力弱い者が集りまする協同組合だけではうまく行きませぬので、此の協同組合を指導する上に、政府が十分一つ助成しまして、一つの研究所、指導所を設けなければならぬ、商工省にも一つの一試驗所を持つて居りますが、力弱いものであります、今回豫算で若干殖やして戴きましたが是は肥料方面に對する施策研究なんでありまして、一般の中小工業の方面の研究費はさうまだ餘分に貰つて居りませぬので、此の次の冬の議會には是非此の豫算を要求しまして、指導を誤らぬやうにして行きたいと思ひまするし、一面又地方には家もありませず、人もない時でありますから、私は地方の工業學校と地方にある協同組合とがうまく抱き合つて行くやうな方策を執らう、是は文部大臣に話しましたら、非常に共鳴してくれまして、今それをどう云ふ風にしてやつて行くかと云ふことの内相談を致して居ります、之をやれば學校は、從來のやうな所謂教室で教へると云ふ形でなしに、それぞれ地方の特徴ある工業學校になりまして、それが地方の協同組合と組合つてやつて行く、それが此の方面の指導、訓練、或は工業試驗と云ふやうなものを兼ねた氣持でやつて行きますれば、若干之の補ひは出來ると思ひます、それで地方に相當金を掛けて、世界にも負けないやうな、今仰せのやうな調子にやつて行かなければ、唯人口が多いだけではやつて行けないと思ひますので、其の點は一つ拔かりなくやりたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=46
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047・川上嘉市
○川上嘉市君 それから實は、事變前に米國と共同出資でやつて居りました或大きな會社が、最近元のやうな状況に戻る準備として、言葉の能く出來る重役を入れようと云ふ話を聞いたことがあります、戰爭中、日本は外國との關係を斷たれて、研究機關も中絶し、技術も遲れて居りますが、此の遲れを早く取戻すと云ふことで將來米國あたりの資本と共同してやると云ふやうなことが何かにつけて必要かと思ひます、それ等に付て、只今申しましたやうに、或一つの會社は其處に疏通を圖らうとする動きがある、そんな例がありますが、或は相當近い將來に共同してやれるものか、其の時期に付て何か氣配がありましたら、そこを一つ御教へ願ひたいと思ひます、それから尚新らしい研究に付て、實は分以て外國の研究、「サイエンス」の方面に對する雜誌も何も手に入らぬと云ふ状況にある、之を成るべく手に入れるやうな方法を一つ御考究願ひたいと思ひます、今、日比谷にあります圖書館は、非常に「ポピュラー」なんでありますが、私共行つては、それ等の寫眞でも見て何かを得ようと思つて始終注意して居りますけれども、もつと本當の研究雜誌とか科學の雜誌とか、其の外一般の商品に關する雜誌類、或は書物の新らしいもの、さう云ふものを出來るだけ早く手に入るやうな方向に向つて一つ御盡力を願ひたいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=47
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048・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 最初仰せのやうな「クレヂット」を設定するには、まだなかなか思ふやうに話が附きませぬが將來仕事を組んで行きたい、是は是非一日も早く講和會議が開かれまして、さうして其の後、日本が眞に民主化して立直つた場合には、戰に負けながらも、「アメリカ」に對しては、寧ろお互ひが是程一つも氣持を惡くしないでやつて居る氣持は向ふにも傳はりますし、又色々な關係で大勢の「アメリカ」人が入れ替り立ち替りして本國に歸りました時には、日本の物資に對する親し味も生じ、仰せのやうなことが起るだらうと考へます、又先般原油の輸入に付ても色々御話があつた際にも、是非あちらの會社と組んで行きたい、一時「ゼネラル・モーターズ」とか「フォード」が横濱に來たやうに、それ等と組んで、一つ日本は東洋に於ける産業基地としてやつて行く、是は私は日本が狙ふ所だと思ひますので、今後さう云ふ方針で誠意と熱意を以て話しますれば、必ず行くだらうと思ひます、或は東京芝浦等に一時あちらの資本がありましたけれども、是は事變になつて處分されたのでありますが、之を元に返して、資本と技術と色々なものを一つ入れて、日本が東洋に於ける所謂平和の意味に於ける基地としてやつて行ければ仕合せと思ひます、さう云ふ方面に努めて政府は心掛けて行きたいと思つて居ります、尚、只今仰せの技術等に付きまして色々な書物を非常に渇望して居る訳であります、此の間も、私共「マーカット」少將に御目に掛かつた時も、非常にさう云ふことを申しましたら、いやさう云ふことぢや一つ入れてやらう、今貿易廳長官の申しますには、取敢ず各專門の最近の雜誌等を三千部位入れて呉れるらしい、確定は致して居りませぬけれども、私自身も參りました時には、其の話が出た時に、尤もな話だ、何とかしようと云ふやうな話が出て來ました、是は是非具體化して、是非皆さんにも御覽に入れたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=48
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049・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 商工大臣は本會議の議場から、早急御出席を願ひたいと云ふ御要求がございましたから、おいでを戴きます、此の際午前中の會議は都合に依りまして休憩致します、午後は一時三十分に開きます
午後零時二分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=49
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050・会議録情報3
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午後二時五分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=50
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051・肝付兼英
○副委員長(男爵肝付兼英君) それでは午前に引續きまして、只今より開會を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=51
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052・松尾嘉右ヱ門
○松尾嘉右ヱ門君 私、昨日も大臣にちよつと御答へ願つたのですが、何と言つても、此の案の出來ることは、是はもう全委員が賛成されることは間違ないのですが、兎に角出來たものの運營を非常に心配して居ります、昨日も大臣の最後の口吻を聽いて居つたのですが、官にも善い者もある、惡い者もあるが、なかなか優秀なものもある、斯う云ふ最後の言葉を附けられた所を見ると、無論官から理事長なり役員が出て來るのではないかと、斯う私は想像するのです、併し實際は斯う云ふ色々の團體に入つて來られる人は、本當に其の儘働ける人かと言へば、相當宜い人は年取つて居るとか、又若ければ何か癖があるとか云ふことで、なかなか良い人を今日此の營團は見附けて居らぬのです、處が、此の營團の運營は今後日本の實際の復興、今後伸びて行く日本には最も大事な法案でありまして、之に對して何か運營委員とかと云ふやうなもので監督する訳ぢやないですけれども、常に相談相手にもなり、又月に一回でも二回でも寄り集つて、斯う云ふことはどうだと、又相談も産業營團からされることもあるし、又運營委員からも斯う云ふことはどうだと云ふやうな工合で、監督の意味ではないですけれども、さう云ふやうな機關を設ける意思が政府にあるかないかと云ふことをちよつと政府に御尋ね申上げたいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=52
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053・和田太郎
○政府委員(和田太郎君) 實は今迄此の法案が出來ます迄の經緯を申上げて失禮でございますが、當初評議委員會と云ふやうなものを設けまして、廣く學識經驗のある方を評議員に御願ひ致しまして、其の評議員の推薦に依つて役員を任命するとか、或は事業の執行に付きまして、評議委員會の意見を徴したり、或は評議委員會が監督をして行くと云ふやうな制度を設けたいと、當初は考へて居つたのでございますが、關係方面と色々折衝して參ります中に、此の營團其のものは元々政府が直營しても宜いやうなものである、それを色色な事情から斯う云ふ特殊な機關にするのであるから、評議委員會と云ふやうなものは法制上設けない方が適當であらうと云ふやうな意見もございまして、其のやうな經緯から、評議委員會と云ふやうな制度を法制上は設けないことに致したのでございます、唯衆議院の委員會に於きまして、附帶決議と致しまして、此の法案に對しまして、二つの條項を附加へられたのであります、其の中の一項と致しまして、此の第一條の目的を達成致します爲に、中央及び地方を通じ、貴衆兩院議員竝に中小工業及び勤労者の代表を含む學識經験者を以て、産業復興委員會、假稱でございますが、さう云ふ委員會を政府は設けるやうにと云ふ希望條項が附いて居ります、之に對しまして商工大臣から、委員會の御趣旨は十分之を尊重して運用して行くやうに致したいと云ふ御答辯がございましたことを申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=53
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054・松尾嘉右ヱ門
○松尾嘉右ヱ門君 それは私は其のやうな意見を持つて居つたのでありますけれども、泣く子に地頭は勝てませぬから、私のは打切りますが、何とかしてさう云ふ意見を、希望條件でも入れて貰へば結構でありますが、入れて貰はなくても結構であります
〔副委員長退席、委員長著席〕
どちらでも結構であります、終り発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=54
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055・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 尚御質問をどうぞ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=55
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056・中山太一
○中山太一君 御承知の通り「ポツダム」宣言に於ても、「日本國は其の經濟を支持し且公正なる實物賠償の取立を可能ならしむるが如き産業を維持することを許さるべし但し右目的の爲原料の入手を許可さるべし、日本國は將來、世界貿易關係への參加を許さるべし」との規定がありますが、此の第一の點に於ては、纎維工業は既に是が産業の續行が許され、又其の目的の爲に原料の入手が許可されて居るやうでありますが、其の他の諸般の産業又金屬關係もありませうが、又雜貨工業等の如きものに對する原料、材料の入手が許可されつつありますか、是は是非とも許可をせられなければ、日本の産業の再建は至難だと存じますが、之に付て第一御尋ねし、次には將來世界貿易への參加を許可せられると云ふことは、今監視下にあり、聯合國の管理下に行はれて居りますが、是は平和會議迄のことでありますか、其の後も又續くものでありませうか、自由貿易と云ふ意味ではないけれども、日本國の意思に依つて貿易が輸出入共行はれる時機が近き將來到來するものと御考へでありますか、如何でありませうか、以上三つの點に付て御尋を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=56
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057・塚田公太
○政府委員(塚田公太君) 第一の御質問の所謂御要旨の原材料に付て、輸入が現實に入つて來て居るかどうかと云ふ點でありますが、只今御手許に差上げてありますが、九月十日迄の實績、近々九月一杯迄の實績が分ると思ひますが、十月迄の實績に依りましては、御承知の通り、殆ど輸入の九割は食糧であります、それから其の外に肥料、燐鑛石の如き、近々に更に其の後「カリ」なども少し入つて居りますが、食糧に次いで、輸入の約八分見當が石油であります、其のやうな状態で、外に燐鑛石が一分二厘と云ふことで現在の處、輸入の大部分は綿を除きましては、食糧だけで、要するに最低生活を維持すると云ふ方の部面に、御承知の通り非常にこちらの要請も、まあ急迫でありましたし、向ふからも六月から急激に増加して輸入をして呉れましたので、其の點で食糧が主になつて居るのであります、でありますから、輸出の方の増強と云ふことに、強ひて理窟を附けますれば、石油が運輸方面に相當に大きな力を持つて居ります、さう云ふ方面で燐鑛石は矢張り日本の農産物を作る爲にと云ふやうな状態でありまして、現在迄の所では棉花以外の他のものは輸入をして居らぬのであります、でありまするが、最近所謂緊急輸入要請を致しました結果、まだ是は確定は致しませぬが、羊毛の如きも近々に交渉が、是は濠洲と「スキャップ」との交渉でありますが、交渉が實現するやうな時機になるのぢやないか、併し貿易廳としては、何等「インホーメーション」を得て居りませぬから、確言する訳には行きませぬが、さう云ふやうな感じをして居るのであります、それから油脂類に付きましても、是もまだ明言を得て居りませぬが、大豆「コプラ」の如きは入れて呉れると云ふやうに言つて居ります、それから工業鹽に付ても、又銑鐵などに付きましても、さう云ふことが希望的に考へられるのでありまするが、併し是等はまだ何も具體的になつて居りませぬので、果して是は發表して宜いものかすらも私の方では疑問に思つて居るのでありますが、まあさう云ふやうな状態でありまして、今後は段々今食糧が減るに從つて、さう云ふやうな基礎資材とか、或は他の輸出用の原材料と云ふものが漸次増加して來ることと考へて居りますし、又我々の方でも是非それを増加して戴かなければならぬと云ふので、折角交渉を續けつつあるのであります、それから貿易の將來と云ふことに付ての御話でありますが、是は一昨日どなたかの御質問で申上げて置きましたのでありますが、要するにあの「ポツダム」宣言の「イベンチュアリー」と云ふ言葉なんですが、聯合軍としましては、私は就任早々矢張り民間に居りまして、さう云ふ點を早く知りたいと云ふやうな氣持を持つて居りましたので、聯合軍の所に就任早々挨拶に參りました時に、聯合軍の其の關係の方に色々さう云ふ希望なり、御話をして見たのでありまするが、向ふの御考は、要するに日本は政治的に先づ憲法を中心として有らゆる法律を作つて、さうして先づ是で本當の平和的民主國家になり切る、それから金融非常措置に依つて財界の安定を圖る、それから是は向ふの措置が非常に大きな影響を持つのでありますが、所謂賠償施設の撤去であります、是がどれとどれが撤去されて、どれとどれが殘る、即ち日本の産業は將來どう云ふ種類のもので立つて行くべきかと云ふことがはつきり分り、又どう云ふ生産が力が伸びるかと云ふことに付てもはつきり分る、それで始めて日本の圓の購買力と云ふものが外國に對して分る、それが分つた時に始めて各國と日本と或程度の自由の貿易に參加出來るのぢやないかと云ふやうに言はれたのでありますが、要は平和條約の後で日本が參加出來るか出來ぬかと云ふことは、日本の方が先に所謂世界に對する信用を博する、さう云ふ状況を完備すると云ふことで決るのぢやないかと云ふやうに考へて居るのであります、恐れ入りますが、詳しいことは此の前にもう、一遍答辯致して居りますので、どうぞ御參照願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=57
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058・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 長官は外の御用がおありのやうで退席せられますが、簡單なものでしたら御質問なさつたらどうですか、蠶絲局長が見えて居りますから御質問願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=58
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059・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 蠶絲局長がお見えのやうでありますから、此の機會を少しく質問をさして戴きたいと思ひます、大體日本の貿易の趨勢と云ふものを通覧致しますると、明治初年以來今日迄、其の貿易の殆ど中心を成すものは、纎維工業であつたことは皆さん御承知の通りであります、其の中でも生絲が其の主流を成すものでありまして、是が日本の特産品として、特に日本としては重要視しなければならぬものであることは當然だと思ふのであります、處が、明治二十四年でありましたか、時の政府たる農商務省であると思ひますが、一技師を歐洲の「ランカシャ」に派遣致しまして、「ランカシャ」から始めて綿絲に關する機械的生産設備を持ち歸りまして、さうして我が國が其の時以來始めて此の綿絲工業と云ふものが機械的生産として大量生産に移り得るやうになつたのでありますが、其の結果は御承知のやうに、生絲と共に、其の後日本に於ける纎維工業の中樞を成すやうな盛況を呈するに至つたのであります、處が、其の後歐洲大戰後に至りまして、茲に「パルプ」を原料とする人造絹絲と云ふものが實現を致しまして、此の人造絹絲と云ふものの製造工程を學びまして、是が相當な影響を及しましたことは御承知の通りであります、併しながら人造絹絲工業が一時は生絲の區域を侵すものであると云ふ風な意味で非常に一時心配されたのでありまするが、其の經過を見ますると、結局人造絹絲と云ふものは生糸の部門を侵すと云ふよりも、寧ろ綿絲の範圍の方の侵蝕をすると云ふやうな傾向になりまして、生絲に對しましては、其の後と雖も大した影響もなしに益益日本の重要輸出品として其の後の位置を保つて來て居るのであります、處が其の後「アメリカ」に「ナイロン」と云ふやうな、又一種の人造絹絲が出來て參りまして、是が日本の生絲に相當な影響を及すだらうと云ふ見方を致して居つたのでありまするが、事實今日は「ナイロン」が日本の生絲に對して相當な強敵であることには變りはないのでありまするが、併しながら「ナイロン」と日本の天然絹絲と云ふものとには根本的の相違があるのでありまして、此の點は將來學理的に如何に「ナイロン」が發達致しましても、私は侵し得ない或線が確かにあると考へて居るのであります、其處には生絲が動物性であると云ふ特異性、此處に私は相當な考を致して、此の生絲の將來性に付ては、十分なる用意を致すべきだらうと思ふのでありますが、此の日本の輸出の生絲の目的と致しまする所は、要するに一般的需要として行つても、是は贅澤品に屬するものでありまして、主として幾ら高くても宜いから品質の好い物と云ふことが實は要求されて居るのであります、此の點に對しますると、「ナイロン」も相當な品質の改良を見ては居りまするが、現在迄の状況から見ますると、「ナイロン」の性質には、矢張り與へられたる限度がこざいまして、是が矢張り生絲の範圍を侵し得ない一つの線と云ふものが私は確然とあることを自覺致して居るのであります、此の線を超えない限り、生絲の將來性は私は十分あると考へる餘地があらうと思ひます、具體的に申しますと、「ナイロン」はどうしても冷たい、非常に冷たいのであります、處が生絲は同じ冷たさでも、「ナイロン」と違つた獨得な柔か味のある温か味を持つて居ると云ふ所に、「アメリカ」人が靴下として使用する上に於ても、特殊な強味を持つて居るのであります、唯値段の點に付きまして、「ナイロン」は日本の生絲に對しまして戰前迄は約三分の一位の値段であつたのであります、にも拘らず、生絲の価値は少しも落ちて居なかつたのであります、處が今回の日米戰爭前後から致しまして、日本の纎維事情が非常に逼迫をして參りました爲に、此の日本の唯一の生産物である生絲を内地需要に振り向けなければならぬと云ふ所から、在來のやうに品質を目的とする所の生絲と云ふことを考へては居られない時代になりまして、寧ろ品質が落ちても大量に出來ると云ふ方向に政府の施策が向いて參つたと同時に、食糧問題が起りました爲に、其の生絲すらも御承知のやうに桑畑を段々狹められまして、三十數萬町歩あつた所の日本の桑畑が十數萬町歩に迄落ちてしまつたと云ふやうな實情でございます、處が食糧問題の爲に生絲が非常な壓迫を受けて居つた最中に、又茲に軍からの要求に依りまして、生絲は矢張り重大な軍需品であると云ふ所から、再び此の生絲の重要性を強調致しまして、拔き掛けて居る所の桑畑を再び止めて、寧ろそれを擴張しようと云ふやうな政策に又轉換をせざるを得ないと云ふ訳で、日本の生絲と云ふものの生産に對して、伸びたり縮んだり非常に痛め附けられて居ると云ふやうな現状でございます、さうして敗戰後現在の政府が命令に依る輸出を行ふやうになりました所の實情を見ましても、其の輸出の中樞を成すものは依然として生絲であります、茲に私は生絲の生命に付て、もう一度考へ直す必要がるのではなからうかと思ふのであります、其の生絲に對する日本の國策として考へまするのに、在來農林省の中には、生絲に關しまする色々な委員會が出來て居りまして、最近迄は蠶絲委員會と云ふやうなものが出來て、蠶絲に關する色々な國策の協議も致しまするし、嘗ては絲價安定委員會と云ふものがございまして、「アメリカ」に出しまする生絲の絲價を平均ならしめる爲に「プール」制に依りまして、相當に「ストック」を持つて、其の絲價を安定すると云ふやうな方法も講ぜられたこともございます、之が爲には乾繭處理法と申しまして、生の繭を乾して「ストック」すると云ふやうなことも考へられた時代があるのでありまするが、是等は戰爭に依りまして、悉く其の目的を今日は失つてしまつた現状であります、併しながら現在、日本の世界に對する貿易、竝に其の將來と云ふものを考へまするのに、矢張り此の生絲と云ふことは捨てることは出來ない重要なる輸出品の一つであると云ふことは、皆樣御承知の通りであります、現に輸出品の色々な品目を見ましても、純國産品と稱するもので、其の中樞を成すものは依然として生絲よりかないのであります、他の色々な産業方面を考へますと、石炭の如き勿論純國産品、或は所謂「ナチニラル・リソース」として相當な數量は持つて居りまするが、寧ろ是は國内的に價値があるので、輸出としては、日本としては將來性を持ち得ないものであるのでありまするが、生絲のみは純國産品としての唯一の輸出品であると云ふことを我々は忘れてはならないのであります、先程同僚渡邊委員の御質問の中に出ました、私の父が嘗て纎維業界に對する講演の中に、日本の輸出の當時の状況の香しくないのを非常に憂へまして、詠みました實は歌がございます、恐縮でございますが、非常に私は穿つたことと思つて御紹介申上げますが、「心細いよ唯一本の絲が日本の命綱」と申して居りますが、約三、四十年前に私の父が唱へました此の事柄が、今日現實の問題として現れて來て居ると云ふことは、私は誠に面白いことであると思ひますが、日本の貿易の將來性に對しまして、生絲のみが依然として日本の命を繋いで居ると云ふことは、實は私として誠に心細い感じを致して居るのでありまするが、併しながら兎に角、生絲の輸出に於ける地位と將來性に付ては、何としても此の際十分檢討しなくちやならぬことだと思ふのであります、處で私が嘗て農林省の蠶糸委員會を十數年勤めて參つた經過から考へまするのに、此の生絲に關しましては、輸出業者と製絲業者と養蠶業者と云ふものの三つが非常に關聯性を持つて働き掛けて居るのでありまするが、此の間の連絡と申しますか、或は政策の一環と申しますか、さう云ふことが甚だ缺けて居る點が私は多いと云ふことを痛感致したのであります、養蠶業者と云ふ立場から申しますれば、農林省としては所謂農家の副業として事實上割合に輕視して居るのであります、生絲其のものの輸出の價値は認めて居りまするが、養蠶業者と云ふものの價値に付ては割合に輕視して居るのであります、處で輸出業者は生絲を自分の「スペキュレーション」の材料に使ふ爲に、養蠶業者が期待する以上の値段で取引を致して、非常な儲けを致して居るのであります、にも拘らず、養蠶業者は單に農家の副業として、多少の恩典はございますにしても、農家の生絲に對する關心と云ふものは、是が國際的な日本唯一の純國産品としての輸出品と云ふ程の重要なる考を敢て持つて居るとは考へられませぬ、其の間に製絲業者と云ふものが間に入つて、是が資本的に兩方からぎゅーぎゅーと押詰められて居るやうな風な形に見えまして、私が第三者として此の經過を見て居ります時に、斯樣な不徹底な政策である爲に、生絲の本來の發展性と云ふものを非常に阻害して居ると私は考へて居るのであります、嘗て生絲が日本の唯一の國産品であり、それが「アメリカ」に對する所謂贅澤品として扱はれ、日本が金を獲得する爲の唯一の是が大事な所の輸出品であると云つて非常に強調した一面、今度は軍が此の「アメリカ」では贅澤品として考へらるべき生絲を軍需品として、寧ろ其の贅澤的な質よりも、極く丈夫な、安い、大量生産に依る生絲と云ふものを要求すると云ふやうな、非常に矛盾した政策が其處に執られざるを得なくなつて來たのであります、其の時に我々としては、一體こんな生絲のやうな高い贅澤品を軍需品として使ふと云ふことが考へ得るかどうかと云ふことを業者に質問致しました處が、輸出業者は不可能だと云ふ者が多いに拘らず、養蠶業者、或は製絲業者に言はせれば、是は綿の伏用品としても、立派に値段が合ふだけの生産は出來るのだと云ふことを私は業者から聽かされたことがあるのであります、して見ると輸出業者と云ふものが、之を非常に高い値で賣つて居つたと云ふことが想像出來るのであります、是ならば若しも養蠶業者が合理的な經營の形に依りまして、生産された生絲を合理的な値段で「アメリカ」に輸出するならば、此の「ナイロン」に對しても、又價額の上から相當對抗する餘地が將來ともある、其の上に原蠶種からしての改良をもつともつと積極的に科學的に研究を進めますならば、生絲の將來性は、私は十分日本の重要産業としての價値があり得ると云ふことを考へ得ると思ふのであります、御立場に依り、見る方に依つて、色々の御説もありませうが、私としては少くとも左樣に考へられるのでありまするが、最近農林省の御意向の一部を承りますと、此の養蠶其のものは矢張り農家の副業として、大した積極的な政策を御持ちになるやうな御意思がないやうに承つて居るのは、私としては非常に遺憾に堪へないのでありますが、全體としてはもつと積極的に之が輸出の中樞を成すべき重要なる品物であると云ふ御理解があるならば、此の蠶絲業と云ふものの國策の上に於ける取扱ひを、もつともつと私は重要視して、もう少し大きな意味に於て、蠶絲業のみならず、之には人造絹絲も入りませうし、綿工業も入りませうし、それ等を綜合した纎維に關する所の國策的な機關を御作りになつて、御研究になつて然るべきものであると云ふことを痛感致して居るのでありまするが、幸に蠶絲局長の御出席を機會に其の點に付ての御意見を伺つて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=59
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060・佐野憲次
○政府委員(佐野憲次君) 只今肝付さんから蠶絲業に付きまして廣範圍に亘りまして御尋ねがあつたのでございますが、肝付さんの御話にもございましたやうに、蠶絲業も戰爭中、非常な壓迫を各方面から受けまして、桑園に致しましても、食糧作物等に相當大きな部分を轉換を致して參つたのであります、又製絲の改備に致しましても、軍需産業其の他に轉換を致して參りました、又同じく蠶絲業の内部に於きましても、今御話のございましたやうに羊毛代用と致しまして、繭の纎維を短く切りまして、生絲に致しませぬので、短纎維として是は羊毛代用に使つて參りますと云ふやうなことを致して參つたのでありまして、生絲の製造設備と致しましても、非常に少くなつて、參つたのでございますが、丁度終戰になりました昨年の秋に於きましては、桑園の面積は僅かに二十一萬町歩程度でありまして、盛な時の三分の一にも達しないやうな状態に相成つて參つたのであります、又桑園と云ふ形で殘つて居りましても、其の實質は非常に荒廢を致して居りまして、繭の産額から見ましても二千二、三百萬貫程度でありまして、それも盛な時に比べますと四分の一程度になつて居つたのであります、更に製絲の設備になりますと、僅かに二萬一千臺でございまして、生絲を是で製造致しますならば、僅かに八、九萬俵しか挽けないと云ふやうな設備が終戰の時にも殘つて居つたのであります、其の後に於きましても、依然として桑を拔きまして、食糧作物に轉換をすると云ふ傾向は此の春頃迄は止まなかつたのでありまして、桑園面積は現在大體十七萬町歩程度と考へられて居るのでございます、終戰に伴ひまして輸出をやらなければならぬと云ふことになりまして、差當りの輸出品と致しましては、今肝付さんの御話のやうに、矢張り生絲が一番目星い大きなものでありまして、是以外のものと致しましては、今後續々出て戴かなければならぬと思ふのでありまするが、差當りの處、生絲が輸出の大部分を占めるやうな状態でございます、幸に致しまして、相當「ストック」もございましたので今年の三月から暫くの間「ストック」を出して居つたのであります、それと同時に蠶絲業の復興を圖つて參らなければならぬのでありまして、差當り製絲の設備を増設する計畫を立てまして、本年中に終戰當時の二萬一千臺を約倍の四萬三千臺程度に致すと云ふ計畫を立てまして、それぞれ希望者に免許を與へて參つたのであります、併しまあさう云ふ間に合せのことでは參りませぬので、今後蠶絲業をどう云ふ程度に復舊を致して參るかと云ふことを、少しく根本的に考て、それぞれの對策を立てて參らなければならぬのでありまするが、現在我々と致しましては、主要消費地でありまする「アメリカ」其の他の海外の状況に付きまして、十分な情報を得ることが出來ないのでございます、「アメリカ」も戰爭中は殆ど一俵も生絲は民需には使つて居なかつたのでありまして、全部軍需に使つて居つたのであります、「アメリカ」に於ける絹業が今後どの程度に復舊をして參るかと云ふことは、是は一つの將來の問題でありまして、是等の見當を附けて參る上に於きましても、十分な資料を持つて居ないのであります、併しながら矢張り現状に於きまして、先づ得られるだけの情報に依つて蠶絲業の復興の計畫を立てて參らなければならぬのでありまして、聯合軍司令部の方方の御意見等も色々伺つたのでありますが、昔のやうに生絲を四十萬俵も五十萬俵も出すと云ふことは、今後に於きましては矢張りむづかしいので、今御話にもございましたやうに、「ナイロン」も非常に品質は優良になつて居るのであります、戰爭中も「ナイロン」は全部軍需に使はれて居つたのでありますが、今後是が相當民需の方に廻つて參るのでありまして、勿論生絲には生絲の特質があるのでありまして、今後に於きましても、生絲の消費分野と致しまして、確乎たる地盤があると思ふのでありますが、過去に於きますやうな五十萬、六十萬と云ふやうな輸出を期待出來るとは思へないのでありまして、司令部の方々とも色々御相談を致しました處、一應「アメリカ」に於きます生絲の消費を三千萬「ポンド」、俵に直しまして二十二萬六千俵と云ふことになるのでありまするが、其の程度に目標を置きまして、其處迄急速に復舊を圖つて參りたいと云ふことで、蠶絲業の復興の五箇年計畫を立てまして、去る八月の閣議に於きまして御決定を願つたのであります、それだけの輸出を致して參ります爲には、大體生絲を二十七萬俵作らなければならないのであります、其の爲には桑園を、是も大體二十七萬町歩に致さなければならぬのでございます、然るに現在の桑園は十七萬町歩でございまして、約十萬町歩ばかり此處で桑園を擴張を致さなければならぬと云ふことに相成るのでございます、是は實は出來るだけ早く復舊を圖つて參る必要があるのでありますが、御承知のやうに桑園を作りますには、桑の苗が必要でありまするし、又桑の苗を植ヱましても、是が桑園として利用出來ます迄には、丸二年を要するのであります、さう思ふやうに急速に參らないのでございます、まあ一面、單位面積當りの收穫を殖やして參ると云ふことも是も勿論必要なのでございまするが、現在に於きまして肥料も十分得られないやうな状況にあるのでありまして、反當收量の増加と云ふことも思ふやうに參らないのでありまするが、まあ有らゆる努力を致しまして、急速に此の目標に到達を致して參りたいと云ふ風に考へて居るのであります、戰爭中此の數量が減つたばかりでありませぬで、品質の點に於きましても非常に粗惡なものになつて居るのでありまするが、今後の「アメリカ」の需要に應へます爲には、矢張り優秀な生絲を造つて參らなければならぬのでありまして、其の爲には蠶の種の改良の問題があるのでありまして、是は大體此の秋から先づ優良な種を配布致しまして飼はして居りますが、今後蠶品種の改良に付きましても、一層努力を致して參らなければならぬと思つて居るのであります、それから製絲の設備に付きましても、非常に破壊されて居りますので、之を今著々復舊をさせて居るのでありまして、資材等の關係で計畫通りには參つて居りませぬが、略略計畫に近い程度に目下復舊を致して居るのであります、此の製絲の技術に於きましても非常に低下を致して居りまするので、現在蠶絲調査會と云ふのが出來て居りますが、是は従來のやうに政府が單に案を用意致しましてそれを諮問すると云ふやうな機關でございませぬで、委員が自發的に仕事を致して參る機關になつて居りますが、其の蠶絲調査會が中心になりまして、それぞれの地方にある工場を選定致しまして、其の工場が製絲指導の中核の工場になりまして、附近の工場の技術を指導して參ると云ふやうな方法を執りまして、品質の改良を圖つて參つて居るのであります、それから先程肝付さんから、農林省としては養蠶を農家の副業として輕視をして居るのではないかと云ふ御話でございましたが、決してさう云ふ氣持は持つて居らぬのであります、併し此の養蠶の極く盛な時に於きましては、養蠶の專業農家とも言ふべきやうなものがあつたのでありまして、殆ど食糧作物は栽培を致しませぬで、養蠶に依つて得た金で以て米を買つて行くと云ふ農家があつたのであります、併し矢張り農家と致しましては、さう云ふ状態は非常に不健全な状態でありまして、今後農林省と致しましても、さう云ふ養蠶農家に指導を致して參ると云ふことは適切でないと考へて居るのでありまして、先づせめて自分の食ふ食糧位は作りまして、それと養蠶或は畜産と云ふものを適當に織込んで經營を致して參ると云ふことが、健全なやり方であらうと云ふ風に考へて居るのでございます、それから此の養蠶、製絲、輸出との關係が從來うまく行つて居なかつたと云ふ御話でございますが、是はもうお互に非常に密接な關係があるのでございまして、從來養蠶、製絲、輸出の間で色々な問題に付て議論を闘はし、相當揉んだのでありますが、其の間色々な問題もあつたことと思ひまするが、現在我が國に於きましては、價格も公定をされて居りまするので、其の間に別段の問題はないのでございます、併し今後貿易も自由になつて參ると云ふやうなことを考へまするときに、又其の養蠶、製絲、輸出の間に色々問題が起つて參ることと思ふのであります、それと同時に、「アメリカ」に於きまして、從來生絲が非常に使ひにくい原料であつたと云ふことは、此の價格の變動と云ふことが非常に大きな障碍を成して居つたと思ふのでありまして、其の點は「アメリカ」の人造絹絲の如きは非常に價格が安定して居りまして、絹業者、機屋さんも非常に樂に、安心をして事業が續けて行けたのでありますが、生絲は價格の變動が激しかつたが爲に、非常に使ひにくい原料であり、従つて是が生絲の需要を阻害して居つた一つの大きな原因であるのであります、又それと同時に、其のことが日本國内に於きましても、蠶絲の關係者に非常に投機的な分子を導入して參つて居つたのでありまして、蠶絲業が價格の面でも相當不安定な事業であつたのであります、今後の問題と致しまして、國内の蠶絲業を健全に發達させます爲にも、又「アメリカ」に於きまする消費を圓滑にやつて參ります爲にも、此の價格の安定と云ふことは一つの大きな問題であらうと思ふのでありまして、現在と致しましては、今後どう云ふ取引になりまするかも分りませぬので、具體的に價格安定の方策を樹てることは出來ないのでありますけれども、我々としては其の點今から十分に用意をし、對策を練つて居かなければならぬ問題であると考へて居るのでございます、色々な點に亘つての御尋ねでありましたので、以上の御説明で、落して居る所もあるかと思ひますが、一應……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=60
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061・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 諄々の御説明を戴いて、經過は能く分つたのでありますが、只今の御説明の中にもちよつと窺はれましたが、在來の養蠶業者の中には、養蠶を事業にして、全然自分の食糧を作らぬ者がある、是は寧ろ異例である、常道でないんだと云ふ御説明がございました、從つて自分の食ふ物だけは自分で作ると云ふことを主眼として養蠶業をやつて行きたいと云ふ御考のやうでありますが、それも私は一つの見方かと思ひますが、此の生絲の輸出に對する重要性と云ふことから考へまして、寧ろ私は左樣な農家としての根本原則に囚はれることなしに、養蠶が主體であつて、農は寧ろ從的問題である爲に出來ればそれも宜いとしても、其の主たる目的は養蠶を目的とするのだと云ふ位の、積極的な御政策を御採りになつて然るべきものであると、私は斯樣に考へて居るのであります、從ひまして、養蠶のみならず製絲から輸出に關する迄一貫した所の政策をもつと大々的に組織化して、國として御經營になる御方針があるかないかと云ふことを、此の機會に一つ伺つて置きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=61
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062・佐野憲次
○政府委員(佐野憲次君) 今の肝付さんの御意見でありますが、遠い先のことは分らないのでありまするが、現在の一應の見透しと致しましては、蠶絲業も昔のやうに大きな規模に迄普及を致して參つても大丈夫だと云ふ見透しが實は附かないのであります、さう云ふ點から考へましても、過去の昭和の初期に於きまするやうな規模に迄此の際持つて行くと云ふ方針も立たないのでありまするし、又言葉を御返しするやうで恐縮でありまするが、矢張り農家と致しましては、普通の農事もやり養蠶もやる、殊に畜産も加味致して參ることが農家經營としても非常に健全であり、其の間に例へば畜産から出て來た肥料を桑園にやり、又養蠶から出て來る蠶糞等を水田に入れると云ふ風に色々組合してやつて參ります方が、農家としても亦勞力の配分の關係から申しましても、宜いのではないかと云ふ風に考へて居るのでございますが、之に付きましては、何も私の考を固執する訳ではないのでありまして、廣く皆さんの御意見を伺つて、最も適當な所へ持つて行かなければならぬと思ひます、養蠶、製絲、輸出を一貫しての計畫と言はれるのは、どう云ふ意味でありまするか能く分らないのでありまするが、先般閣議で御決定を戴きました五箇年計畫に於きましても、大體桑園を基礎に致しまして、それで以て一應繭の生産計畫を立てまして、其の繭の生産計畫に基きまして製絲工場の増設の計畫を立てると云ふ風に、是は勿論のことでございまするが、一貫してやつて參りたいと云ふ風に考へて居るのであります、是は決して蠶絲業に對して意氣込が少いと云ふか、熱意が少いと云ふことではないのでありますが、希望と致しましては、差當りの所、急にさう云ふ昭和の初年のやうな尨大な計畫を立てても大丈夫だと云ふ見透しが附きませぬので、計畫と致しましては、餘り積極的な計畫でないかのやうに見えるかと思ふのでありますが、我々としては十分熱意を持つてやつて參りたい、斯樣に考へて居るのであります、又業者の方に於きましても、今年の初めに新しく蠶絲業會と云ふのを作りまして、是は養蠶も入つて居りまするし、製絲から輸出迄關係の各方面のものが入つて居る團體でございまして、其の蠶絲業會に於きましても、非常な意氣込で蠶絲業の復舊に努めて居るのでございまして、此の上ともに熱心にやらなければならぬと思つて居りまするが、計畫は左程大きくはございませぬが、熱意は十分に持つて居る積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=62
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063・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 生絲だけが輸出の中心と云ふ訳でないので、纎維工業全體として矢張り輸出の中樞を成すべきものだと云ふ、もう一つ大きな見方から致しますと、輸出を目的として所謂製絲、養蠶と云ふことになりますると、單にそれだけではなくして、そこには他にまだ綿絲もある、人造絹絲もある、羊毛もあると云ふ風に、總てのものが綜合された所謂纎維の輸出と云ふことに考へられなければならぬと思ふのでありまするが、單に生絲の輸出が十分でない場合に、其の生絲をどつちへ廻すかと云ふ場合には、或は短纎維にして、さうしてそれを羊毛の一部に代替すると云ふことも、國策としては考へなければならぬ場合も出來ると思ひますが、さう云ふやうな意味で、總てを綜合した一つの纎維と云ふものを中心にして行く一貫した國策と云ふものが、一番將來安全的に考へられるのぢやなからうか、私としてはそこ迄大きく考へて居るのでありますが、さう云ふ御考はないのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=63
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064・佐野憲次
○政府委員(佐野憲次君) 纎維に付きましては、實は私主管外でございますので申上げなかつたのでありまするが、是は商工省に於きまして纎維産業の再建委員會と云ふものを先般作りまして、綿、人絹、「スフ」、絹、麻其の他は全部の纎維に付きまして、全般に亘る計畫を御立てになつて居るのでありまして、私共の農林省と致しましても、絹とか麻とか云ふ關係で御一緒にやつて居りまするが、全體と致しまして、商工省の方で纎維全般の計畫を立てて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=64
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065・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 御計畫としては結構でありまするが、組織にもさう云ふ御考へを具體的に現はして戴くことを私は寧ろ希望するのでありますが、それにしても先程の御話の中で、要するに養蠶は農業の一部として矢張り考へたいと云ふ御意向、是は一面考へ得る問題と思ひますが、併しながら現在の重要性、將來の重要性を考へますると、是が唯農業會とか云ふものの一部の仕事として考へられるよりも、農業會は農業會、養蠶業者は養蠶業者としての獨立した一つの法律の下に考へ得るやうな、養蠶會みたいなものを獨立させると云ふやうな御意思はないのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=65
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066・佐野憲次
○政府委員(佐野憲次君) 農業關係の團體に付きましては、御承知のやうに、以前は各陣の團體に分派を致して居りまして、其の爲に一つの農家が十も二十もの團體に加入を致し、それぞれ會費を納め、又それぞれの會合に出なければならぬと云ふやうなことで、實は各種の農業團體の分立の弊害と云ふことをやかましく言はれまして、農林省に於きましても、團體統合も色々考へて居つたのでありますが、それが戰時中農業會に一本に統一をされたのでありまして、是は戰時中にされましたが爲に戰爭の爲にやつたのだと云ふ風に見られる向もあるかと思ひますが、御承知のやうに、戰爭になる前から團體の分立の弊害には惱まされて居つたと云ふこともあるのであります、併し最近に至りまして、どうも農業會で一本でやつて居りましたのでは、專門の畜産であるとか、或はお茶であるとか、それから蠶絲の關係に付きまして十分手が廻り兼ねると云ふやうな不滿が、それぞれの專門の農業部門の方で起つて參だて居るのでございます、農業會と致しましても、餘りに厖大になりましたが爲に、各方面に十分手が廻り兼ねて居ると云ふ實情であらうと思ふのであります、併しながら何と申しましても、一つの農家が普通農事もやり、養蠶もやり、畜産もやる、是が普通の影態でありますので、之を全部ばらばらに致しますことは、是は適當でないのぢやないかと云ふ風に考へて居るのであります、又養蠶に付て申しましても、現在相當養蠶業も稀薄になつて居りますので、農業會から完全に分離を致して參りました場合に、農業團體として十分な機能が發揮出來るかどうかと云ふことに付ても疑問があるのであります、勿論相當養蠶の密度の高い地方に於きましては、現在に於ても農業會と分離しても十分活動の出來る地帶もあると思ひますけれども、全般的に見ました場合に、分離の困難なものが相當出て來るやうに思ふのであります、政府と致しましては、實は現在の農業團體法に相當大きな改正を加へまして、農業協同組合と云ふものを作ります意圖の下に、法案の準備を致して居つたのでありますが、諸種の事情に依りまして今議會には提出にならなかつたのでありますが、此の次の議會には農業協同組合法の提出を致しまして、農業團體の民主化と申しまして、戰時色を拭ひ去ると云ふことを致しますと共に、今申しました現在の農業會で完全に一本でやつて居ります爲に、十分手の廻り兼ねる部面に於きまして、特殊の農業協同組合と云ふものを認めて、養蠶とかお茶とか云ふやうなものに付きまして、さう云ふ必要があり、又十分やつて行けると云ふやうな地域に於きましては、特殊の農業協同組合と云ふものを認めて參る、さう云ふ途を拓いて參りたいと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=66
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067・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 御説明を戴きまして實情は能く分りました、有難うございました、まだ私として御質間申上げたい點が多々あるのでありますが、時間もございませぬので、一應私は此の程度に止めて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=67
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068・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 他に御質間ございませぬか……それでは私ちよつと伺ひたい、是は貿易關係であるかどうか、唯聞いただけのことでありますけれども、其の聞いた事柄が非常に不安を感じますので、ちよつと御聽きしたいのであります、今朝程も「マッチ」の劣惡なことで大臣から御話もあつたやうでありますが、今日製造されて居る「マッチ」が非常に惡くて、二、三本使つたら直ぐに「マッチ」の効用が失はれてしまふと云ふ「マッチ」であります、斯う云ふ點は大體資材其の他技術の劣等から來るのか、專門的な生産面に私は頭がないので分りませぬが、さう云ふ點はどう云ふ所から起るのでありますか、もう少し有効に全部、少くとも半分位は「マッチ」の効用を發揮するやうに生産し得ないものか、之を一つ伺ひたい、それから尚其の「マッチ」なるものも、さう云ふ劣惡な「マッチ」さへなかなか手に入れられない、そこで煙草を多く用ひる人は、どうしても之に代るべき火附の用具を必要とする、それには今流行の「ライター」を使ふ、其の「ライター」を使ふのには「ライター」に點火するあの石を要する、其の石なるものは非常に廉い二、三錢位なものであるが、是が一箇十圓にも賣られて居ると云ふやうな現状である、此の「マッチ」の石なるものは「アメリカ」から月一千萬箇も輸入されて居る、斯う云ふ話を聞いたのでありまするが、さうすれば此の「ライター」の火附石の金が月に一億圓と云ふものが何處へか行つてしまつて、或は闇の方へ流れて居るのか、此の金の行方はどうなつて居るのでありませうか、或は闇貿易に依る貿易品として、其の輸出した國へ流れて行つて居るのでありませうか、さうすれば「ライター」の石だけでも、月に一億圓何がしの金が消えて行く、日本から消されると云ふことになるのであります、之をちよつと伺つて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=68
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069・岡村武
○政府委員(岡村武君) 只今御尋ね戴きました二點でございますが、「マッチ」は只今御申附け戴きましたやうに、現在迄出て居りまするものの甚だ粗惡であつた事實は否み得ないと存ぜられるのでございます、近頃本年下半期及び來年一杯の輸出計畫として「ジー・エッチ・キュー」に提出を致しました中には、本年下半期に於きましては六千「マッチ・トン」、來年一杯に於きまして三萬「マッチ・トン」の輸出を一應計畫を致して居るのであります、是は「ジー・エッチ・キュー」の正式の指示がございませぬと、現實の輸出となつて現れて參らぬかと思ひますが、何れに致しましても戰前に劣らぬ「マッチ」の輸出を展開致したい、斯樣な計畫を致して居るのでございますが、それには只今の如き粗惡なる「マッチ」では、却つて日本商品の聲價を失墜する結果に相成るのであります、其の點の心配は私共も同じく致して居るのでございます、何故今日迄の「マッチ」は粗惡であつたかと申しますると、是は聊か私の仕事の所管外でありますが、御承知の通り軸木と致しましては、大體白楊を最良と致しますが、是は北海道等に若干産するのみでありまして、其の搬出、製造等が意の如く參らなかつた爲に、戰時中は一時臨時の計畫と致しまして、松の材を使つて居つた訳でございますが、是は「マッチ」の軸と致しましては極めて不適當でありまして、窮餘の一策已むを得ざる措置であつたのでありますが、其の爲に非常に折れ易いと云ふことになりますし、又同時に火付きも必ずしも宜くないのであります、又普通の「マッチ」でありますと、火付きを宜くする爲に先の方を「パラフィン」に浸したのでありますが、「パラフィン」が戰時中非常に不足を致しました爲に例の硫黄を付けまして、所謂硫黄「マッチ」として製造致したのでありますが、是等は何れも本來の「マッチ」から申しますると、材質としては極めて不適當なものでございます、從つて今後國内に配給致しますものは勿論のこと、輸出に充てますものと致しましても、左樣な材質、原料、原材料は特に吟味致しまして、十分の注意を加へたいと存ずるのであります、勿論技術と致しましても、日本の「マッチ」は世界に比較致しましても劣らないのであります、又製造工場も必ずしも戰災に依つて壊滅致した訳でもございませぬので、將來の輸出商品に引當てるものに付きましては格別の注意を拂ひまして、日本の商品の聲價を落すことのないやうに氣を付けて參りたいと存ずるのであります、それから發火石でございまするが、是は所謂「セリウム・アイアン」でございます、日本には産出を致しませぬ「レア・メタル」でございますが、戰前は是は「ドイツ」から之を入れて居つたのでありますが、それを二月に一「トン」、三月に一「トン」と云ふやうに非常に少量でありますが、輸出用の玩具と、「ライター」に裝着致す目的で輸入を致したものであります、其の後戰爭の勃發以來此の種の製品は一つも入つて居らないのであります、又戰後に於きましても、是等の商品はどちらかと申せば、緊急已むを得ざる必需品でもございませぬので、輸入の對象には相成つて居らないのであります、戰後從ひまして此の種の發火石は一つも輸入を致して居りませぬ、現在市中に若干ございますものは、戰前の此のやうな輸出目的の爲に輸入を致しましたものの殘品が少しづつ流れて居るのではないかと存ぜられるのであります、此の發火石の輸入を大いに促進を致しまして、「マッチ」の不足に對處したらどうだと云ふ御意見、誠に結構な御考と存じますが、只今の輸出入の状況から致しまして、左樣な所迄にはちよつと手が屆き兼ねるのではないかと存ずるのであります、左樣な次第でございまするので、此の市場性を持つて居りませぬ商品に付きましては、恐らく公定價格がないかと記憶して居りますが、何れに致しましても、厖大な數量が輸入されて居る事實がございますし、其の爲に無駄な資金が濫用されると云ふ事實もないかと存じて居ります、其の邊何卒御了承を願ひたうございます
〔委員長退席、副委員長著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=69
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070・植村家治
○子爵植村家治君 尚御伺ひ致したいのでありますが、今「マッチ」の粗惡であると云ふことは御認めになつて居りまするのでありますが、今配給され、又されむとする「マッチ」が相當粗惡な「マッチ」があるだらうと思ひます、斯う云ふ二、三本で用を成さないやうな「マッチ」は國家的にも使用させたくない、徒らに資材を無駄にすると云ふやうな感を起すのでありまするが、是から配給なさらうと云ふ配給前の檢査方法、及び之に對する監督と云ふやうなことは御講じになつて居るのか、是からなさらうとなさるのか、それから現在配給所にあつて家庭に是から配給されむとするものも、何等かの方法に依つて用を成す「マッチ」にして配給さしてやりたいと云ふ能力が今日御ありでありませうか、此の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=70
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071・岡村武
○政府委員(岡村武君) 只今の御尋ね誠に御尤でございまして、「マッチ」の配給は只今日本燐寸配給會社が扱つてやつて居るのでございますが、戰後製造致すやうになりました「マッチ」は戰時中の間に合せの已むを得ざる粗惡品とは餘程改善されましたものが生産されて居るかと存じます、現に硫黄「マッチ」などは殆ど影を潜めまして、市場に「パラフィン」の「マッチ」が出て居ると存ずるのでありますが、粗惡品はまあ大體種切れでございまして、今後は從來の如き二、三本は折らなければ點かないと云ふ風なものはないかと存じます、尚今後も生産並に配給に付きましては御尋の趣旨に十分則りました注意を差し加へたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=71
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072・植村家治
○子爵植村家治君 厚生省の政府委員の方々が御出でになつたやうでありますから、ちよつと伺つて置きたいと思ひますが、今朝商工大臣が日本の醫學が進んで居ると思つたけれども、案外低いと云ふやうな御話から牽聯して、私が想起したのでありますが、尤も此の醫學の問題は或は本法案の範圍外であるやうに感ずるのでありまするけれども、營團を是から運營されて行く營團の運營者の人、又貿易を處理する人、此の人の健康如何は……要するに人の大切と云ふことに依つて此のよく運營されるか、奬勵されるかと云ふことになることかう私は思ひを致しまして、此の問題外であるやうではありまするが、一つ伺つて見たいと思つたのであります、尚醫學の問題から今後大いに醫學を尚一層向上すること、厚生上よりして厚生省が尚進んで此の學問をする、文部省の方へも一つ御連絡を願つて、私の質問が何等か醫學上に貢献し得たなれば非常に仕合せであるのであります、厚生省の方が御出でになつて居りまするから、厚生省で御關係の藥のことから一つ先に伺つて見たいと思ふのでありますが、是は戰時中帝國大學の教授から私が聽いて非常に驚いたのでありますが、是は素人から「デマ」的に、或は物知り家的に言はれたならば私は何とも思はないのでありますが、苟も帝國大學の教授が斯う云ふことを言はれたと云ふことは、非常に日本の藥物製造の上に重大なる問題だ、斯う思つたので、何時か伺はうと思つて居つたのでありまするが、丁度此の機會に伺ひたいと斯う思ひます、それは破傷風に對する醫療用注射藥、是が北里と言はれたか、傳研と言はれたか、それは一昨々年の話ですからちよつと記憶を失しましたが、兎に角其の研究所で作られて居る、相當權威者、藥學の方の學位を取つた博士連中がおいでになるのでせうが、兎に角其處で作られた藥、博士の手に成つた藥だけでは效かぬ、どう云ふ訳で效かぬかと云ふと、そこに製造技術が全くない、頭はあつても其の技術がない、其の技術を……本當に效くやうな藥であるかないかと云ふのは、そこに居る詰り給仕から上つた子飼の一人の技師、技術者、其の人の眼を一つ通さなければ、是は效くのだ效かないのだと云ふやうな状態で注射藥の製造效力が分らない、斯う云ふことから、今日の戰爭で破傷風とかさう云ふことの、此の傳染病的な治療をするにも非常に多くの注射藥が要るのだけれども、こんな工程ではなかなか大量に生産出來ない、其の間に或は原料の隘路とか色々のものがあるだらうとは思ひますけれども、事實治せる藥を出すのには、どうしてもさう云ふ人の非科學的な勘に依り産出する藥を出さなければならぬから、量が少い、是が萬一大阪方面で爆撃を受けて、大阪で傷をした人が何處かへ逃げ出すとする、大阪の大和田方面には非常に破傷風の菌が澤山居る、其の破傷風の病菌の居る大和田方面へさう云ふ怪我をした者が逃げて行つて、壕の中でごろ寢でもして破傷風に罹つたらもう其の人は死んで行く人だ、それに對する所謂注射藥はない、其の注射藥は所謂技術者の勘に依つて行かなければいかぬから、どうしても大量生産が出來ないのだ、斯う云ふことを聞きましたので、非常に私は心を寒うした訳でありますが、其の點は現在は……、一昨々年がさうであつたのが、今日は矢張りさう云ふやうなことを厚生省は御承知になつていらつしやるのでせうかどうか、一つ伺つて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=72
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073・勝俣稔
○政府委員(勝俣稔君) 只今の御話は私初めて伺ふやうな次第でございまして、大學のどう云ふ先生だか私は存じませぬが、恐らく馬に破傷風の毒素を注射する時の馬の診方なんかぢやなからうかと私は思ふのでございますが、さうしまして又出來ました血清に付きましては國家檢定をやりまして、さうして六百單位が通つて、六百單位以下のものは檢定を通らぬことになつて居るやうな次第でありますかうして、毒素を作ることは技術的に相當むづかしいのですけれども、それぞれの專門家がやつて居るので、私はさう云ふことはないと思ひますが、能く一應又調べて、研究してみたいと思ひます、現在に於ては、序ででございますから申上げますが、製造して居る所は北里研究所、傳染病研究所、大阪微生物研究所、愛知縣立血清製造所、千葉縣立血清製造所でございます、八月の生産は四十「リットル」でございました、現在の手持は二百十二「リットル」でございまして、一月から八月迄の生産高は二百五十「リットル」でございまして、今の所は破傷風血清に付きましての不足と云ふやうなことは現在ないやうな次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=73
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074・土井利章
○子爵土井利章君 議事進行に付て……時間も切迫して居りますので、本案に直接關係のある御質問を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=74
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075・植村家治
○子爵植村家治君 私は今後營團とか、貿易を運營處理をして行くには、組織に依る是等の人の健康が大いに關係すると思ひますと同時に、醫療藥品の産業及貿易上に重大なる關係がありと存じますので、此の質問を續けたい訳でございますが、是は或は本案に直接關係はないのでありませうけれども、人の健康に非常に注意を拂つて行かないと、如何なることも達成し得ないと云ふ見地から伺つたのでありまして、皆樣が直接關係がないと云ふことを御認めになりましたのでしたら、此の質問は止めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=75
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076・肝付兼英
○副委員長(男爵肝付兼英君) 他に御質問はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=76
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077・土井利章
○子爵土井利章君 逐條的に御審議になる前に、極く簡單に一般的のことを伺ひたいと思ひますが……
〔副委員長退席、委員長著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=77
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078・植村家治
○委貝長(子爵植村家治君) 今暫く一般質問をなさつても宜いと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=78
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079・土井利章
○子爵土井利章君 輸出代行機關一覽表にありまする代行機關の實際的運用に付て承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=79
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080・岡村武
○政府委員(岡村武君) 先日差上げました資料の中に、輸出上の代行機關の「リスト」が入つて居るのでございますが、是等の代行機關の性格は、木來ならば貿易廳が其の名と責任と計算とに於て行ふべき仕事の中で、貿易廳の現在の機構關係でございますとか、或は其の能力の關係等から致すまして其處迄届き兼ねまする實務的の部分を擔當せしめる爲に、斯樣な代行機關を使つて居るのでございます、從つて是は本廳と一心同體の關係でございますし、謂はば内包的な機關と申せるかと思ふのでございます、でありますから、それ等の機關に一切貿易廳の指示に基きまして活動を致すのでありまするし、又其の手數料は貿易廳が指示を致しまして、大體實費を償ふ程度に於て之を決定を致すのであります、從ひまして一「パーセント」乃至五「パーセント」程度に於て現在の手數料は決められて居るのでございます、若し斯樣な代行機關がないと致しますると、それ等の代行機關のやつて居ります仕事を自ら貿易廳がしなければならないことになります、左樣な場合には現在の、恐らくに二十倍位の人員を要するのではないかと存ぜられるのでありまするが、斯樣なことは現状に於きまして到底望み得ないことでございます、斯樣な諸般の事情から致しまして、代行機關を輸出入共に三十有餘、合せまして七十有餘作りまして、之をして貿易廳の本來ならば行ふべき實務的の部分を擔當させて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=80
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081・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 土井子爵もうございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=81
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082・土井利章
○子爵土井利章君 輸出物品に對しまする經濟的援助見たいなことはなさいますか、それとも全然なさいませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=82
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083・岡村武
○政府委員(岡村武君) 輸出産業の促進並に輸出品の確保は、將來展開されまする我が國賀易の爲に最も重要なことでございまするので、政府と致しましては有らゆる手段方法を講じまして、斯樣な方向に向けて參りたいと存じて居るのでございます、從ひまして從來は輸出品の生産確保の爲に一種の經濟的な援助、はつきり申上げまするならば、補助金の交付であるとか或は前貸し、先渡し等の手段をも講じまして、輸出産業の促進を圖つて參る、斯樣な積りで居つたのでありまするが、聯合軍最高司令部の方針と致しましては、左樣な方面に特別會計を運用することは適當でないと云ふ見解がございました爲に、現在現行法に依りまする特別會計の運用に付きましては勿論のこと、今回御審議を願つて居りまする特別會計法案に於きましても左樣な點は一切削除を致しまして、此の法律が出來上りました後の運用は、單純に輸出品の買上、輸入品の賣拂に伴ふ決濟の爲に此の特別資金を運用致すことに致して居るのでありまし、併しながら其の爲に輸出産業、延いては輸出品の生産確保に支障を來すことが惧れられます爲に、先般賀易手形の制度を創設致しまして、集荷機關並に製造業者が資金の面に於きまして、輸出品の集荷並に生産に事缺くことのないやうに取計ひを致して居るのであります、此の貿易手形は既に續々發行せられ、活動を致して居るのであります、之に對しまして貿易廳は適當なものに對しましては認證を與へて居るのであります、斯樣な貿易手形の創設に依りまして、只今御尋を戴きました輸出品の生産確保の爲に經濟的援助は、其の形に於て企圖し得るのぢやないかと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=83
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084・土井利章
○子爵土井利章君 私の質問は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=84
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085・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 御諮り致しますが、段々質問も御進め下さいまして、是から尚逐條審議的に御質問願ふのでありまするが、或はもう質問も大分御盡し下さつたやうでありまするから、如何樣に致しませう、其の御諮りを致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=85
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086・鏑木忠正
○鏑木忠正君 只今仰せの通り此の法案に付きましては隨分三日に亙りまして詳しく質問が出て居ります、逐條審議は必要はないと思ひます、是で質疑打切を願ひたいと思ひます
〔「賛成々々」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=86
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087・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 今鏑木君の動議に御賛成の方が多うございますで、それでは御質疑は全部終了致ひたものと認めて宜しうございますか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=87
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088・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) それでは御異議ないと認めます、御質問も終りましたので、是から討論に入るのでありまするが、其の前に速記を止めまして御懇談を申上げたい事項があります、それぢや速記は止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=88
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089・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 速記開始、質疑が盡きたることに御異議ないと認めまして、是より討論に移ります、先づ貿易資金特別會計法案を議題に供します、どなたか御意見ありませぬか……御發言ございませぬか……御發言ないと認めます、依つて討論は終結したるものと認め、直ちに採決に入ります、問題の貿易資金特別會計法案は、原案通り可決することを御異議はございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=89
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090・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) それでは全部原案通り可決することに決定致しました、次に産業復興營團法案を議題とし、是より討論に移ります、どうぞ御意見があれば……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=90
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091・畠山一清
○畠山一清君 私は此の際、本案に對しまして次のやうな希望決議を附するの動議を提出したいと思ふのであります
希望決議
戰後に於ける産業の速かな復興を促進する爲には時宜を得た施策を敏速に行ふ必要がある、從て本法の施行に際し政府は努めて末梢的監督を避け有效適切な積極的指導を行ひ以て營團の自主的運營に遺憾なからしめる樣特に留意せられんことを望む
提案の理由は此處に書いてある通りでありまするから、別段説明を要せぬことと存ずるのでありまするが、此の本法に對しては衆議院の方では、希望決議としまして相當具體的の案が出て居るかのやうに存じて居ります、それでありまするから、此處には抽象的に述べてありまするが、政府の方で此の趣旨に副ふやうに具體的に立案をせられまして、さうして十分此の目的を達成せられしことを希望する次第であります、さう云ふやうな次第でありまして、以上の希望決議を付けて本法案に賛成する者であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=91
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092・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 外に御意見はございませぬですか……それでは討論は終結致しましたものと認めまして、直ちに採決に入ります、尚念の爲に申上げまするが、只今畠山委員より御提案になりました希望決議は本案を採決した後、改めて採決致しますから、此の段御了承を願ひます、産業復興營團法案は、原案通り可決することに御異議はございませぬですか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=92
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093・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 御異議ないと認めます、次に只今の希望決議案に付き採決を致します、本希望決議を可決することに御異議はございませぬですか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=93
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094・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=94
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095・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 御審議の結果、御賛成を得まして感謝致します、尚此の案に付きまして希望決議が致されましたことに付きましては、此の希望決議の趣旨を忠實に履行するやう努力する積でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=95
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096・植村家治
○委員長(子爵植村家治君) 是にて付託二案及び希望決議は全部全會一致を以て可決致しました、是にて散會致します、長々と皆樣御苦勞樣でございました
午後三時五十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=96
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097・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 子爵 植村家治君
副委員長 男爵 肝付兼英君
委員
公爵 桂廣太郎君
公爵 三條實春君
侯爵 前田利建君
伯爵 大木喜福君
子爵 入江爲常君
子爵 伊集院兼高君
子爵 土井利章君
子爵 三浦矢一君
男爵 山名義鶴君
男爵 坂本大造君
男爵 小原謙太郎君
男爵 田中龍太君
中村藤兵衞君
井川忠雄君
川上嘉市君
合田健吉君
中山太一君
畠山一清君
太田半六君
渡邊三郎君
鏑木忠正君
松尾嘉右衞門君
國務大臣
商工大臣 星島二郎君
政府委員
大藏政務次官 上塚司君
大藏事務官 石原周夫君
厚生事務官 勝俣稔君
農林事務官 佐野憲次君
商工事務官 岡村武君
同 和田太郎君
貿易廳長官 塚田公太君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003169X00319461009&spkNum=97
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