1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十一年七月二日(火曜日)午前十時七分開議
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議事日程 第七號
昭和二十一年七月二日
午前十時開議
第一 昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案(第一號)
會 議(委員長報告)
第二 昭和二十一年度特別會計歳入歳出豫算追加案(特第一號)
會 議(委員長報告)
第三 昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案(第二號)
會 議(委員長報告)
第四 農林中央金庫法の一部を改正する法律案(政府提出)第一讀會
第五 特別都市計畫法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
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001・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 報告を致させます
〔宮坂書記官朗讀〕
去月二十九日本院に於て可決したる左の政府提出案は即日裁可を奏請せり
貴族院令第一條第三號、第五號及び第六號の議員の任期延長に關する勅令案
貴族院令の一部を改正する勅令案
同日政府より左の議案を提出せり
農林中央金庫法の一部を改正する法律案
同日衆議院より左の政府提出案を受領せり
昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案(第一號)
昭和二十一年度特別會計歳入歳出豫算追加案(特第一號)
昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案(第二號)
同日委員長より左の報告書を提出せり
特別都市計畫法案可決報告書
昨一日豫算委員第一分科會に於て當選したる正副主査の氏名左の如し
主 査 子爵 綾小路護君
副主査 男爵 北大路信明君
同日委員長より左の報告書を提出せり
昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案(第一號)、昭和二十一年度特別會計歳入歳出豫算追加案(特第一號)、昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案(第二號)可決報告書
本日第八部に於て資格審査委員松本丞治君の補闕選擧を行ひして中田薫君當選せり
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=1
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002・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 去月二十九日男爵松本本松君、男爵平山洋三郎君、男爵沖貞男君、男爵尚琳君、男爵坂本大造君、男爵中村徹雄君、男爵松本鼎一君、孰れも男爵議員補闕選擧に當選せられました、就きましては部局を、沖男爵を第一部に、尚男爵を第二部に、平山男爵を第三部に、坂本男爵を第四部に、男爵松本鼎一君を第五部に、中村男爵を第六部に、男爵松本本松君を第九部に各各編入致しました
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=2
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003・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より本日の會議を開きます、過日議員よりの質疑に對しまして、總理大臣の出席がない爲答辯が保留せられて居るものがございます、此の際總理大臣より其の答辯の爲發言を求められました、是より許可致します、吉田内閣總理大臣
〔國務大臣吉田茂君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=3
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004・吉田茂
○國務大臣(吉田茂君) 御質問に御答へ致します、橋本辰二郎君より公債濫發に關する御質問がございました、終戰後に於きまして、終戰處理の爲に臨時軍事費等の支拂が多額に上つた爲に財源と致しまして、公債を發行し、從つて戰後の「インフレ」景氣に相當刺戟を與へたと云ふことは事實であります、併しながら其の支拂は已むを得ざる債務の決濟でありまして、當時の事情已むを得なかつたことであると云ふことを御了承願ひたいと思ひます、次に原泰一君から御質問がありましたが、御趣意は誠に御尤もに存じますが、政府は成るべく國民の信を繋ぎたいと云ふ考で居ります、御希望の線に沿うて善處致したいと思つて居ります、又中山太一君から思想、教育問題に對する御意見がございましたが、全然御同感であります、是亦御希望の線に沿うて善處致したいと云ふ考で居ります、又賠償問題に對する聯合國側の態度に付て御質問がありましたが、聯合國側の態度は公正、合理的なものと考へて居ります、又科學的計算に基いて戰爭能力の除去、平和的需要充足の二標準に從つて短期間に現物に依る賠償を取立てる方針である、斯う了解致して居ります、其の期する所は日本の再軍備若しくは…戰爭の再發を防止したいと云ふ希望の線に沿うて賠償問題の解決を促しつつあると、斯う私共は了解致して居ります、又片岡直方君より石炭問題に付て御尋がございましたが、石炭の重要性に付ては、今更申す迄もなく政府も誠に重要な問題と考へて居ります、増産、配給の確保に付きましては有らゆる努力を傾注致して居ります、御答へ致します
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=4
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005・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より議事日程に移ります、日程第一、昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案、第一號、日程第二、昭和二十一年度特別會計歳入歳出豫算追加案、特第一號、日程第三、昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案、第二號、會議、委員長報告、是等の三案を一括して議題と爲すことに御異議ごさいませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=5
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006・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、豫算委員長林伯爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=6
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007・会議録情報2
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一昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案(第一號)
一昭和二十一年度特別會計歳入歳出豫算追加案(特第一號)
一昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案(第二號)
右衆議院より受領したる各案を審査し總て衆議院議決案の通可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月一日
委員長 伯爵林博太郎
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔伯爵林博太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=7
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008・林博太郎
○伯爵林博太郎君 只今議題となりました、昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加、第一號、昭和二十一年度特別會計歳入歳出豫算追加、特第一號、昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加、第二號の豫算委員會に於ける經過を御報告致します、是は昨七月一日午前十時開會致しまして、三案一括議題として總會を始めました、先づ大藏大臣の説明がありましたが、之に付きまして其の大要だけを申上げてから質問應答のことを申上げたいと思ひます、元來憲法七十一條に依りまして、今後は昭和二十年度の豫算を踏襲して行かなければならないことは明かでありますが、何分二十年度の豫算は戰爭遂行中の豫算でありまして、今囘は終戰後平時の豫算でありますので、之を施行豫算で支拂ふと云ふことはなかなかむつかしいので、謂はば竹に木を接ぐと云ふやうな状況になつて辻褄が合ひませぬ、從つて此處で暫定的の實行豫算と云ふものを作らなければならなくなつたのであります、勿論實質上二十一年度の豫算としては何れ改定豫算を作りまして政府から近く議會へ出すと云ふことであります、只今申しました四、五、六、七、此の四箇月間の暫定的實行豫算を作つたのであるが、之を施行豫算で以て支拂ひの出來ない部分が多いのであるから、それは豫備金の支出、又は緊急財政處分等に依つて之を支拂はなければならなくなつた、只今議題となつて居りますものは即ち此の暫定豫算の中で施行豫算等で支辨し得ざるものに付きまして大體七月分の豫算として出したものである、數字のことを申上げれば、昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加第一號と云ふものは、全體で三十七億七百餘萬圓であります、同じく歳入歳出總豫算追加第二號は、遞信省新設の爲のものでありまして、百萬圓ばかりであります、同じく特別會計歳入歳出追加特第一號は、學校特別會計に關しまする政府職員給與改善に關する經費で千二百餘萬圓になつて居ります、其の歳入歳出の關係を簡單に申上げれば、四月乃至七月に亙ります、一般會計の歳出、百十三億四千餘萬圓になりますが、是は只今申しました通り、施行豫算内の支拂の外は、豫算金支出、緊急財政處分に依る支出、又今囘の追加豫算に依るもので支辨するのであります、歳入の方面には即ち四十七億六千三百餘萬圓でありますが、之を百十三億から引きますと、其の差額は六十六億足りなくなるのであります、是は即ち大藏省證券の發行、一時借入金で賄ひ、本年度の歳入等で返濟して行かうと云ふ考であります、詳しいことはどうか速記に就て御讀みを願ひます、それから質疑應答に付きまして簡單に申上げて見ますと、元來此の追加豫算と云ふものも相當大きなものである、而して非常に急を要するものであるが、衆議院に是が出ましてから相當の重要な會議を開いたことは認めるけれども、七月の一日になつて七月の豫算が貴族院に廻るやうなことになつたと云ふことは謂はば不都合であると思ふ、此の邊に付きまして政府は元來衆議院に於て如何なる處置を執られたのであるか、七月の費用を急激に改定豫算の中から引拔きまして提出することとなつた爲に、先般衆議院に出す直前に漸く關係各省との了解が付いたやうな次第であつて、此の點遲くなつたと云ふことは誠に遺憾なことである、七月の一日、二日位の費用は施行豫算の範圍内でやれると思ふ、次には同胞引揚と云ふことに付てはなかなか是は重大なもので、なかなか悲慘な者も其の間に聞くのであるが、其の邊の費用の見積も書いてない、在滿邦人の方面に付ては、官吏の方面は旅費等が見積つてあるが、一般邦人のものは計上されて居らないやうであるが、是はどう云ふ譯であるか、其の他斯う云ふ重大なものであつて計上されないものに付ての點を逐一質問されたのであります、是も急場の際であつて、或は日銀が立替へたり、或は現地に於て繰替へて支拂つて貰つたり、外務省が支拂つたり、色々緊急の處置を執つたのであるが、何れ借りたものであるから是は政府が追つて計上して拂はなければならない、從つて是は漸次豫算化すると云ふことに依つて辻褄を合せて行く積りである、さうすれば段々と軌道に乘るやうになる、今日の官吏は只今の表面の俸給では到底生活し得ない是は明瞭である、其の手當の現状はどうであるか、抽象的でなく、具體的の説明をして貰ひたい、月給を百圓とすると物價手當が六割即ち六十圓と云ふものが殖える、家族手當が一人に付二十圓づつ殖える、永く官吏であつた者は判任官で言へば即ち勤續手當と云うものが相當にある、其の倍額が臨時手當になつて又支給されて居る、結局官吏の俸給は引括めて五割を増さうと思つて居る、さうして上の方の官吏には薄く、下の方に厚くする積りである、處で又家族手當と會社との關係に付ての質問がありまして、會社で雇ふ場合には兎角どうもお前の家族は何人あるか、それが多いと云ふと堪能なる者が來ましても雇入れない、成るべく支給の少い者を選ぶと云ふやうなことを聞くのであるが、それは事實であるか、若しそれが事實であれば、是は國家事業である、家族が困るからと云ふことは國家が救濟すべきことであると思ふがどうであるか、勞働保險のやうに會社の負擔として「プール」制を作つて行きたい、其の「プール」制の方に會社の方から若干づつ一人に付て入れまして、其の中から家族へ分與したいと思ふ、何れ大藏省の中に給與局と云ふものが出來ますから、是は出來るだけ早く合理化して行きたいと思ふ、進駐軍の費用に付ても問答がありましたが、是は省略致します、土地開拓事業、災害復舊の件に付ての問答がありました、本年度内地十三萬町歩の開拓をする、五萬町歩の集團開墾をやる、北海道は五萬町歩やる等を説明しまして、其の外に第四次計畫八十萬町歩計畫と云ふものが出來るので、今年度の植付に間に合ふやうになつて居る、第五次計畫も追つて之を行ふ積りである、災害復舊も年度計畫で之をやつて行く、國有林、民有林林道等も計畫して居るのである、從つて勞働者も要るのであるからして、失業救濟にもなる、「メリケン」粉、棉花の輸入と我が通貨量との關係に付ても質問がありました、其の外重要なる質問がございましたが、是は速記録に讓ります、次いで討論に入りまして、採擇を致しましたる處、此の追加豫算は三案共全部全會一致を以て可決に相成りました、此の段御報告を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=8
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009・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ是より採決を致します、御異議がなければ、三案全部を問題に供します、三案共委員長報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=9
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010・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=10
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011・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第四、農林中央金庫法の一部を改正する法律案、政府提出、第一讀會、和田農林大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=11
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012・会議録情報3
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農林中央金庫法の一部を改正する法律案
右
勅旨を奉じて帝國議會に提出する。
昭和二十一年六月二十九日
内閣總理大臣 吉田茂
農林大臣 和田博雄
大藏大臣 石橋湛山
…………………………………
農林中央金庫法の一部を改正する法律案
農林中央金庫法の一部を次のやうに改正する。
第五條第一項中「森林組合聯合會」の上に「蠶絲業會、蠶絲協同組合、」を加へる。
第十四條の二第一項中「融通を爲す場合」の下に「竝に自作農創設維持の事業、農地の造成及改良に關する事業其の他主務大臣の指定する事業に必要なる資金を融通する場合」を加へる。
第十五條第一項第六號中「戰時金融金庫」を削る。
第十五條の二 農林中央金庫は特に必要ありと認めたる場合に於ては前條第一項の規定に拘らず命令の定むる所に依り業務上の餘裕金を以て同項第四號又は第五號の法人に對し主務大臣の許可を受け十箇年以内の定期償還貸付又は年賦償還貸付を爲すことを得
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
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〔國務大臣和田博雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=12
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013・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 只今上程せられました農林中央金庫法の一部を改正致しまする法律案の提出理由を御説明申上げます、御承知のやうに、現在我が國が當面致して居りまする、經濟上の諸困難を克服致しまする爲には各種の生産力の向上を圖りますることが最も緊要事でございまするが、就中食糧の増産と見返り物資の増産とは現下の危機打開の爲の主要施策であると存じます、而して是等の施策を強力に促進致しまする爲には事業資金の圓滑なる融通を圖りますることが必要でございまするので、農林中央金庫にもより一層此の方面に於きまして、協力を爲し得る途を開くと云ふことが此の改正法律案の眼目でございまする、即ち改正の第一點は、現在政府資金の融通が停止致して居りまするので、自作農創設維持事業資金、農地開發事業資金等の長期年賦資金の融通を、農林中央金庫の自己資金を以ちまして爲し得まするやうに其の年賦貸付に關しまする制限を撤廢すると云ふことでございまする、次に第二點は、現下の金融事情に鑑みまして、農林水産業に關しまする事業を營みまする法人の所望致しまする設備資金等の比較的長期の資金を農林中央金庫の餘裕金を以ちまして、融通し得る途を新たに開くと云ふことでございまする、又蠶絲業に關しまする團體等に對しまして、農林中央金庫の所屬員たるの資格を與へまして、見返り物資の太宗でありまする蠶絲の増産に資することに致したのでございまする、以上が此の改正案提出理由の概要でございます、何卒御審議の上速かに御協贊あらむことを御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=13
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014・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました農林中央金庫法の一部を改正する法律案の特別委員の數を十九名とし、其の委員の指名を議長に一任するの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=14
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015・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=15
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016・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=16
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017・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔宮坂書記官朗讀〕
農林中央金庫法の一部を改正する法律案
特別委員
侯爵 桂廣太郎君 侯爵 四條隆徳君
伯爵 前田利男君 子爵 安藤信昭君
子爵 北條雋八君 子爵 土屋尹直君
男爵 内海勝二君 男爵 中村貫之君
男爵 三須精一君 男爵 倉富鈞君
中村藤兵衞君 竹下豐次君
今井五介君 三橋四郎次君
諸橋久太郎君 伊藤傳七君
佐々木嘉太郎君 安田伊左衞門君
栗栖赳夫君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=17
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018・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第五、特別都市計畫法案、政府提出、第一讀會の續、委員長報告、委員長二荒伯爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=18
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019・会議録情報4
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特別都市計畫法案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年六月二十九日
委員長 伯爵二荒芳徳
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔伯爵二荒芳徳君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=19
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020・二荒芳徳
○伯爵二荒芳徳君 特別都市計畫法案の特別委員會の經過竝に結果を御報告致したいと存じます、本委員會は去る二十五日に第一囘を開きまして、政府當局から詳細に本提案の説明の要旨を聽取致しました、二十七日、八日の二日間に亙りまして、質疑應答を重ねました、其の結果と致しまして、本法案は全會一致を以て可決致すべきものと決定を致したのであります、只今より極く簡單に、本法案の提出の理由に付きまして申上げ、且質疑應答の状況を御報告致したいと存じます、此の法案は全國の戰災都市百二十有餘、其の燒失面積一億六千萬坪と云ふ有史以來の災害に對しまして、急速に之を復興致すべく、現在の都市計畫法では不十分な點を本法律案に依りまして補つて、土地の區畫整理、又近代都市建設へと進みたいと云ふのが、所謂提出の根本になつて居るのであります、或委員から本法が過小宅地、即ち極く狹い土地の整理に付きまして、規定致して居る點に付て質疑があつたのであります、大體過小宅地と申しますと、百平方「メートル」、即ち坪數に致しまして、三十坪を限度と致しまして、此の過小宅地と云ふものを戰災地に於て整理を致して參ることになつて居るのであります、質問者が提唱致しました所は、例へば淺草の如き、或は日本橋の如き、所謂盛り場に於ては、五坪、六坪、七坪と云ふやうな最小の坪數を以て、單位にして、それで經濟上の獨立を保ち得るやうな現實に對して、此の土地を殖やすとか、或は他の方から之に増加を致しまして三十坪にすると云ふことは、所有者自體が贊成をしなければ出來得ないことである、併し法律に於ては、是が強制力を持つて居ないので、さう云ふ場合には、執行が甚だ困難ではないかと云ふやうな質問であつたのであります、之に對しましては、所謂土地の區劃の整理委員會がございまして、其の委員會に於て、十分決定を致して參ると云ふ説明でございました、又土地の併合、又分割、換へ地等に對しましては、其の委員會が十分に研究を致しまして、さうして金錢を以て補償を致して解決をして參ると云ふ説明でございました、それから或委員からは、斯くの如き土地計畫に對しては、現在土地の沈下、詰り沈んで降つて行く沈下でございます、沈下と云ふことに付て、十分なる考慮を拂はないと計畫にそごを来しはしないかと云ふ質問がございまして、政府委員と致しましては、此の沈下には二つの見方がある、一つは地質學的に最早沈下と云ふものは終つたのだと云ふ見方と、他の見方は地下の利用の限度が既に相當程度に達したので、是れ以上は沈下をしないのであらうと云ふ説があるが、孰れにしても十分なる注意を拂ふて此の仕事を行つて參ると云ふことでございました、又或委員からは緑地帶と道路敷の問題に付て質問がございまして、緑地帶は兎角道路敷よりも其の施設の著手が遲れ勝ではないかと思ふ、斯かる點に付ては保健衞生の立場から十分に緑地帶に對しての施設を遲滯なくやるやうに希望をせられたのであります、此の點に付て政府當局と致しましては、是等の土地區劃補助率に付きまして詳細説明がございまして、土地の區劃は八割以内、廣幅の道路は七割五分以内、其の他の道路は二分の一、水道は三分の一、下水道は三分の二以内の補助を致しまして總額二百億程の金圓を使つて其の整理を致すと云ふことの説明がございました、更に此の復興事業に關しては非常な精密なる計畫を要するが、如何なる權威者を集めて研究したかと云ふことに付ての質問がございましたが、當局と致しましては終戰以来事務家、實務家、學者等を十數囘會同致しまして此の計畫を樹立したのであると云ふ説明でございました、更に都市の人口に付て制限をしなければならない、此の制限に付てどう云ふ方策があるかと云ふことの質問がございました、之に付きましては、政府當局と致しまして都市の急激なる膨張は色々な理由があり、又特別の都市の性格に依つてなかなか一概に之を處理することは出來ない、例へば東京に於ける工業都市の膨脹であるとか、或は學校の集中の結果、都市の膨脹が非常に急速度に進んで居るとか、或は近くに軍都と云ふものが出來て、佐世保とか横須賀と云ふやうな都市が急激に膨脹したと云ふやうなことがあるので、どう云ふ所に工業都市を建設し、どう云ふ所に學校を移轉せしめるか、又從來の陸軍海軍の諸施設に向つて學校の分散を企てるとかと云ふやうな、色々の方策を考へるべきだと云ふ説明がございました、次に現在の極端なる集中主義に付て政府は如何にして國民全體を指導して居るかと云ふ質問が或委員からございました、是は政府と致しましては、所謂緑地問題、即ち公園であるとか、兒童遊園であるとか云ふものの設備を十分に致しまして、さうして健康上の最も必要な都市の美観、又健康地帶としての要素等を理解せしめることに努めて參ると云ふことでございました、更に或委員から集中主義なるものはどう云ふ風にして之を阻止するかと云ふ點に付て、違ふ角度からの質問を提出されたのであります、それは政府と致しましては、丸ノ内とか、京橋とか、日本橋とか云ふ處に各各都心と云ふものがある、新しく都心の研究を致しまして、山の手、新宿、例へば池袋等々の處に新しい都心を造つて、さうして交通其の外の頻繁な困難を解決すると云ふ説明がございました、更に豫算の關係に付きまして、或委員から此の事業は法律と經費とが竝行して行かなければならないのであるが、一體どう云ふ經費を之に配當してあるかと云ふ質問がございました、政府と致しましては、正式には未だ提案されて居ないが、公共事業として約六十億の關係經費を織込んで居るのであつて、將來に於て之を完成するのには約百億の經費が必要であると認められて居る、又或委員からは豫算なるものは總て繼續年度で立てて行くのが穩當ではないかと云ふ質問に對しましては、物價其の他の變動の急速な今日に於て、本年度は約一億一千萬圓を以て、之に充當して行かうと云ふ説明でございました、尚或委員から、此の事業は戰災を蒙つた現在の日本國の状態から言つて、假令百億を費すと雖も非常な經費の支出の膨脹が考へられる、此の點に於ては、政府は徹底的に速かに總ての施設を完成する必要があると思はれる、十分なる計畫の下に進めらるべきものだと云ふ希望を持つて居りましたことを附言へて置きます、それは委員會と致しまして、委員長として報告を希望せられると云ふ當該委員の申出でありましたので附加致して置く次第であります、以上のやうな質疑應答の後に於きまして討論に入りましたが、別に發言者もございませぬで採決を致しました處が、全部が贊意を表せられまして、可決確定致すべきものと委員會では決定を致したのであります、以上を以ちまして報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=20
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021・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 質疑の通告がございます、佐々木八十八君
〔佐々木八十八君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=21
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022・佐々木八十八
○佐々木八十八君 只今議題になりました特別都市計畫法案に關聯致しまして、五大都市特別市制問題及び府縣併合問題に關して御質問申上げまして、内務大臣の御高見を拜承致したいと存じます、私は、明治三十年以來の宿案でありました東京都制法案と、大正九年以來の懸案でありました五大都市特別市制法案との實施促進運動に關し、それが實行促進運動委員の一人と致しまして、昭和六年以來十年一日の如く内務省に對して陳情を續けて居りますのみならず、毎議會必ず本會議、若しくは豫算總會に於て内務省當局に對して之に關する要望を強調致して來たのであります、内務省に於かれましては大いに之を諒とせられ、四十六年後の昭和十八年に至つて東京都制法案のみが解決致しましたのでありますが、五大都市特別市制案に付きましても其の都度御共鳴下さいまして、何れ東京都制實施に依る其の運營の成績、實驗を見た上で五大都市特別市制問題に付て能く檢討の上、遲くも二、三年後には成案し得るやうに鋭意努力すると云ふ内務御當局の仰せを確信致しまして、爾來其の機の至るのを相待ちつつ荏苒今日に及んだのであります、本來大阪出身の私が東京都制の實施促進に一生懸命になつたと云ふのは、實の處東京都制が實現さへすれば、其の次には必ずや五大都市の特別市制が順次實行せられるものであると思ひまして、先づ以て東京都制の實施が先決問題になると思ひ込んだからであります、若し此の際二十七年以來の宿案たる五大都市特別市制の實施と、六十年來の難決問題たる府縣の併合問題等が斷行を見るに至りましたならば、此の特別都市計畫法案運營の圓滑に資する所が頗る多大なるものがあると思ふのであります、茲に於て私は五大都市特別市制實施促進の要領を説明するに當つて、若し假すに長時間を以て致しましたならば、茲に五大都市行政の現状、五大都市財政の現状、五大都市行政の特質、五大都市と府縣との對立に依る有らゆる二重施設に依る不統制を初めと致しまして、五大都市市民の租税公課の二重負擔等の五大都市現行制度の不備缺陷、及び五大都市行政上と、財政上との要望、及び特別市制の必然性等を具體的に逐一申述べたいのでありまするけれども、如何にせむ其の實例は極めて多く枚擧に遑あらずでありまして、限られた時間では到底滿足に列擧し得ないのみならず、何分にも二十七年間の長い間棚晒しになつて居つた問題でありますが故に、世人は既に其の實情を周知して居られるのであります、且第七十五議會に於て、私が本問題の要望を強調致しました處、當時の内相兒玉伯爵の御答辯は眞劍に此の問題を採上げて速かに成案を得るやう努力すべしとの御共鳴もありました、かるが故に私は今日は詳細に申述べることを差控へたいのであります、もう一つは從來内務省に陳情の都度、具體的に而も詳細に申述べてありますが故に、内務大臣に於かせられましては既に業に總てを能く御承知のことと存じますので今日は之を簡略致します、何れ本問題に關し内務大臣の御高見を拜聽致しました上、又更に他の機會に於て具體的に詳細に申上げる筈でございます、併しながら今茲で我我市民側の要望する特別市制の要綱のみを申上げて内務大臣の御了解を仰ぎたいと存じます、其の要綱と申しますのは、一、從來府縣に屬せし事務を特別市の事務とすること、二、特別市の固有事務は可及的に擴張すること、三、國政事務として國に保留せることをも之を可及的に特別市に移讓して戴くこと、四、府縣知事の權限に屬する事項は司法警察と保安警察の一部とを除くの外總てを特別市長に歸屬せしむるやうにして戴くこと、五、特別市及び市長に對する監督は内務大臣直接にして戴くやうにして、從來の制度に於て府縣知事の許可、認可、又は府縣知事への報告、或は訴願、行政訴訟等の事項はそれぞれ其の性質に依つて市長の權限とし、或は主務大臣の權限として貰ふやうにして戴くこと、六、特別都市は其の財源としては市が徴收する市税の外に府縣税を併課し得る にして貰ひたいこと、七、地方分與税に於ける還付税及び道府縣配付税の交付に付ては特別市を道府縣に準じて、同じやうに取扱つて貰ふこと、八、五大都市行政監督の特例を廢止して戴くこと、九、府縣知事の權限事項は特別市制に依り市長が市令を發する權限を有することになります、十、特に法律を以て市令發布權を併せ罰則規定を制定の要があるものと存じまして、是非之を制定して貰ひたいと存じます、十一、從來市の區域に於て、府縣の經營せる事業其の他共同處理するのが便宜とするものがありますので、それ等の措置を適正ならしむる爲、府縣と特別市との組合を設置するやうにして貰ひたい等であります、之を要するに五大都市は東京都と共に、我が國文化經濟の縮圖でありまして、此の五大都市の榮枯盛衰が延いて國家の消長にも至大の關係を及すものと言はざるべからざるものと思ふのであります、今や我が國は戰後の難局に直面しながら、五大都市が平和國家建設の爲に負ふべき役割の重大性に鑑みまして、民主主義的國家體制確立の基盤として、大都市制度の行政機能を極度に發揮すべき秋にも拘らず、僅かに人口三萬の小都市と同一の市制に律せられつつある不合理極る畫一的制度を以て五大都市の發展を阻害し、愈愈行詰りの窮地に陷れしめむとしつつ之が改革を遷延放置することは實に憂慮に堪へない次第であります、由來内務行政に造詣の深い内相閣下に對して所謂釋迦に説法で恐縮の至りでありますが、今や新生日本の再建と共に、封建的官治的色彩を打破し、地方分權的自治制度の確立を要望するのは、我が全國民の總意であり、與論であります折柄、特別都市計畫法の實施に當り、之に關聯せる五大都市特別市制の實施は今や空前絶後の好機會であると存じますが故に、内務大臣に於かせられましては、何卒一日も速かに五大都市特別市制を制定し、以て大都市自治行政の發展に遺憾なからしめられむことを切望して已まないのであります、いつも陳情の節に御當局は殘存地域が此の問題の癌であるとの仰せがありましたが、之が處置解決に關しましては、御當局に於て鋭意御畫策下されて居ることと存じます、併しながら五大都市中大阪市は面積に於て當東京市と同じであり、又財政に於ても殆ど同額に近い程壘を摩して居るのであります、唯戰災後大阪市の人口が東京市に及ばなくなつただけでありますけれども、大阪市住民の社會的日常生活に於て、連帶性を有し、且一體觀を形成せる接續市町村即ち池田市、豐中市、吹田市、布施市、堺市、泉大津市、三郷町、豐島村等を併合致しますと、人口約二百萬餘の所謂理想的大都市となり、高槻市、岸和田市、貝塚市を恰も東京都の立川市、八王子市と同一の制度として、又攝津、河内、和泉の三郡部は東京都の三多摩郡と同じ制度とすると、東京都同樣の大阪都を構成し得るものではないかと思ふのであります、唯警察權が問題となります、けれどもそれは警視廳の分廳、又は近畿警察廳の設置に依つて解決するのではなからうかとも思ふのであります、今や都長官を始め、各府縣知事の公選を唱道せられる秋に當りまして、特別市制中の一先例として、大阪都制の私案を申上げたのであります、何故に私が大阪都制を提唱致しますかと云ふと、我が國が地勢上帶の如く東西に長い島に、自ら地理的にも二つの文化的、社會的、工藝的、經濟的使命の重要性たる首府を要するのであります、況んや三百年來の文化の中心の東京に比し、近畿は飛鳥時代より千年の古き文化を享有し、而も大阪は其の中心であるのであります、現に東京が東日本に雄飛するが如く、大阪は西日本に殷盛を極め、自ら首府の役割を任じつつ我が國文化經濟の源泉地となつて居るのであります、我が東海道線中、大阪驛、東京驛間の交通量が世界屈指の多量であると云ふことに徴しても思ひ半ばに過ぐるものがあらうと思ふのであります、是れ即ち兩都間の經濟的、文化的、社會的、教育的、政治的、工藝的にも密接の關係と交渉が頗る頻繁なる所以であらうと思ふのであります、以上私の觀點に對し、何卒内相閣下の御高見を拜聽致したいのであります、次に府縣併合問題に關して一言申上げたいと存じます、現行の一道二府四十二縣は明治九年の制定でありまして、我が國海陸交通機關の幼稚、否皆無とも申すべき時代其の儘の制度であります、其の當時の言葉で文明開化の魁と稱されました唯一の交通機關たる鐵道は、新橋横濱間の十九「マイル」と、大阪神戸間の二十「マイル」との合計、三十九「マイル」と云ふ貧弱さであつたのであります、翌十年に至つて大阪京都間二十七「マイル」の開通を見ましたが、之を合しましても、僅か六十六「マイル」に過ぎないのであります、其の後明治二十年、大阪府より大和一圓を割いて奈良縣を設置しましたので、一道三府四十三縣となりましたが、牛歩的ながらも水陸交通機關は稍稍増設されたので、明治二十九年に當時の自由黨、只今の日本自由黨ではありませぬ、其の舊自由黨が、二府十三縣制の説を立てましたことがございますけれども、代議士の選擧地盤に影響することから、遂に有耶無耶に立消えてしまつたのでありました、そこで私は大正十四年に某新聞に府縣併合論と云ふ論文を寄書致しまして、是が斷行を強調致しましたことは、當時其の問題に關心を御持ちになつて居た識者が未だ御存在であらせられましたならば、今尚御記憶の新なる所と存じます、將又第七十議會に於て當時の内相、兒玉伯爵に府縣併合の要望を強調致しましたことがありましたが、何分にも此の問題は地方行政の根幹であり、歴史的にも、經濟的にも種々の事情がありますが故に、爾來難問題視されつつあつたのであります、今や不磨の大典すら一變して、我が國曠古の大變革期に遭遇するのみならず、搗て加へて當問題に最も關聯の深い特別都市計畫法案が愈愈實施せられむとするに至りましたので、其の運營の圓滑を期するに於て、是非此の難問題を斷乎解決する秋ではなからうかと存じます、殊に四十二縣中、或數縣の如きは人口及び財政が東京都、大阪府の一區にも及ばない實情でありまして、之が爲に堂々たる地方官を配して、一個の獨立縣として存在せしむるには、餘りにも小さい存在ではなからうか知らと思ふのであります、又前途有爲の地方官の多數を斯樣な小さい存在に封じ込め置くと云ふことと、電車なく、「バス」なく、「トラック」なく、汽船なき明治初年其の儘の制度を墨守すると云ふことが大いなる誤りではなからうかとも存じます、今や我が國の交通機關の發達は昔日の比でないのであります、鐵道の如きは、今や私鐵を混ぜて二萬數千「キロ」を突破し、國内相互の距離は短縮せられたのであります、斯樣な小規模の一行政地域と、人口三百萬の大府縣とを同一に律する不合理は申す迄もなく、今や行政費の節約を要する時代に於て、將又特別都市計畫法實施に際し、生産、統制、配給の面よりして、是等の併合は是非共斷行すべき秋であつて、片時も忽諸に付すべからざるものと存じます、尤も人情として、併合される縣は反對致しませうが、併合する府縣は贊成致すことと存じます、要するに贊否は大差なく、何等問題に關係ないものと思ひます、以上に付て何卒内務大臣の御高見を拜聽致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=22
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023・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 大村内務大臣
〔國務大臣大村清一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=23
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024・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 御答へ致します、大阪市を初め其の他の大都市が我が國の有力なる國力の源泉であつたのでありまするが、是等大都市の戰後復興を圖り、其の行政機能を發揮せしめますことは、國内の速かなる囘復を圖り、國家再建に寄與せしめる所以でありまして、之が爲必要なる方途を講ずることは喫緊の要務であると存ずるのでございまするが、其の爲に今直ちに特別市制を實施する必要がありや否やに付きましては、尚篤と掘下げて、愼重に檢討し、之を決定すべきであると考へる者であります、我が國二百に餘る市の中で特別のもの、即ち特別の大都市に對しまして、一律の市制で律することは適當でないと云ふことは、多年朝野に叫ばれて居りまして、それは一つの間違ひない定見であらうと思ふのでありますが、併し特別市制を如何に定めて行くかと云ふことに付きましては、多年の懸案に相成つて居りまして、政府と致しましても、從來此の點に多大の注意を拂ひ、研究も致して來て居るのでごさいまするが、何分此の問題は、今後地方行政の範圍をどこに置くかと云ふ、最も基本的な問題と直接關聯があるのであります、從つて此の面から十分檢討を加へる必要があると思ふのであります、即ち、第一に、特別市の範圍を如何に定めるか、第二には只今御質問の中にもあつたことでございまするが、特別市と殘存郡部との關係を如何に調整するかと云ふやうな基礎的部面の外、現下の復興計畫、食糧對策、財政對策等の現實的部面を併せ檢討致しまして、特別市制の内容と之が實施の時期を決定すべきであると思ふのであります、尚今期議會に於て御審議を願ふことになつて居りまする地方制度改正の成果とも併せ考へまして、研究を進めたい考でございまするが、少くとも今は其の時期でないのではないかと考へて居る次第であります、尚御質問の中に大阪市に對して、他の大都市と切離して之に都制を施行したらどうかと云ふやうな御發言があつたと思ふのでありまするが、此の特別市制を實施するに當りまして、大阪市だけにするか、又他の數個の大都市も含めて、同時にするかと云ふ問題に付きましても、種々檢討を要する點があるのでございまするが、私共只今の處と致しましては、數個の大都市を纒めて取扱つた方が適當ではないかと考へて居るやうな次第であります、併し此の問題に付きましても、今後十分檢討して見たい考へで居ります、次に府縣の廢合に付ての御質問でございまするが、現在の府縣が、交通、經濟等の變遷、發達に伴ひまして、其の合理性を段々失つて來て居りますることは御述の通りと思ひまするが、府縣の區域の問題は、現下の國情に即しまして、新たに且愼重に考へて見なければならぬ問題であると思ふのであります、即ち將來の地方行政運營の單位として、如何なる區域が最も府縣に對して適當であるかと云ふ基本問題と、又現在の府縣の持つて居ります所の、歴史的傳統、地理的沿革、從つて府縣民團結の實情等の關係も、十分檢討致しました上で、決定すべきであると思ふのであります、而して其の結果が、假に府縣の廢合が宜しいと云ふ結論に達し得たと致しましても、少くとも現在の我が國の國情の下では、其の實施の時機ではないと考へて居るやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=24
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025・佐々木八十八
○佐々木八十八君 簡單でありまするので、議席から御許を願ひたうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=25
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026・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=26
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027・佐々木八十八
○佐々木八十八君 只今は内相閣下より、いとも明確なる御答辯を拜聽致しまして、滿腔の謝意を表する次第であります、どうぞ此の上、御檢討の上、一日も速かに御實施の機運に遭遇するやうに祈願して已まないのであります、唯私は催促のやうなことを申上げますが、此の五大都市特別市制の最も癌とする殘存の地域の處置が、今後の府縣廢合に大いに役に立つと思ふのは、それを實例を申上げますと、例へば神奈川縣より横濱を拔き、兵庫縣から神戸を拔き、愛知縣から名古屋市を拔き取つたならば、後の殘存町村は僅かになるのであります、之を隣縣に併合すると云ふことを檢討したら宜いと云ふことも考へるのであります、併し今内相閣下の仰せに依りますと、歴史的に於ても、地理的に於ても、經濟的に於ても、容易に出來ない點があると云ふ御話を伺ひましたが、之に付て此の上層一層御審議御檢討あらむことを念願して、私の質問は是で打切つて置く次第であります、更に深厚なる謝意を表する次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=27
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028・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 他に御發言もなければ本案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=28
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029・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=29
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030・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=30
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031・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=31
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032・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=32
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033・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=33
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034・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀會を開きます、御異議がなければ、全部を問題に供します、本案全部委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=34
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035・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=35
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036・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=36
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037・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=37
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038・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=38
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039・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=39
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040・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部、第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=40
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041・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、次會の議事日程は決定次第、彙報を以て御通知に及びます、本日は是にて散會致します
午前十一時十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00719460702&spkNum=41
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