1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十一年七月九日(火曜日)午前十時十一分開議
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議事日程 第九號
昭和二十一年七月九日
午前十時開議
第一 昭和二十年法律第三十四號(衆議院議員選擧法の一部を改正する法律)中まだ施行してゐない部分の廢止に關する法律案(政府提出、衆議院送付)第一讀會
第二 臨時通貨法の一部を改正する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第三 軍人及び軍屬以外の者に交付された賜金國庫債券を無效とすることに關する法律案(政府提出、衆議院送付)
第一讀會の續(委員長報告)
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001・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 報告を致させます
〔宮坂書記官朗讀〕
從三位勲一等 朴忠重陽君
從四位勲二等 韓相龍君
伊東致昊君
從四位 金田明君
從三位 伯爵 野田鐘憲君
從四位 子爵 李埼鎔君
勲六等 緑野竹二郎君
林獻堂君
許丙君
貴族院令の改正に依り去る四日貴族院議員の資格消滅せり
從三位勲一等 山川端夫君
去る五日願に依り貴族院議員を免せらる
同日臨時通貨法の一部を改正する法律案特別委員會に於て當選したる正副委員長の氏名左の如し
委員長 伯爵 黒田清君
副委員長 男爵 高崎弓彦君
同日本院に於て可決したる左の政府提出案は即日之を衆議院に送付せり
農林中央金庫法の一部を改正する法律案
同日衆議院より左の政府提出案を受領せり
昭和二十年法律第三十四號(衆議院議員選擧法の一部を改正する法律)中まだ施行してゐない部分の廢止に關する法律案
同日内閣總理大臣より左の通第九十囘帝國議會政府委員仰付けられたる旨の通牒を受領せり
外務省所管事務政府委員
外務事務官 大野勝己君
昨八日委員長より左の報告書を提出せり
臨時通貨法の一部を改正する法律案可決報告書
軍人及び軍屬以外の者に交付された賜金國庫債券を無效とすることに關する法律案可決報告書
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=1
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002・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 昨八日桑木嚴君、林春雄君、木下謙次郎君、名取和作君、野村嘉六君、呉文炳君、孰れも貴族院令第一條第四號に依り貴族院議員に任ぜられました、就きましては、部屬を林君を第五部に、桑木君を第八部に、木下君を第三部に、野村君を第五部に、名取君を第八部に、呉君を第二部に各各編入致しました
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=2
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003・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より本日の會議を開きます、第三部理事山川端夫君、第五部理事田口弼一君、孰れも議員辞職に付闕員を生じましたから、第三部及び第五部に於て各各理事の補闕選擧を行はれむことを望みます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=3
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004・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第一、昭和二十年法律第三十四號(衆議院議員選擧法の一部を改正する法律)中まだ施行してゐない部分の廢止に關する法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、大村内務大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=4
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005・会議録情報2
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昭和二十年法律第三十四號(衆議院議員選擧法の一部を改正する法律)中まだ施行してゐない部分の廢止に關する法律案
右の政府提出案は本院において可決した因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十一年七月五日
衆議院議長 樋貝詮三
貴族院議長公爵徳川家正殿
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昭和二十年法律第三十四號(衆議院議員選擧法の一部を改正する法律)中まだ施行してゐない部分の廢止に關する法律案
昭和二十年法律第三十四號(衆議院議員選擧法の一部を改正する法律)中まだ施行してゐない部分は、これを廢止する。
附 則
この法律は。公布の日から、これを施行する。
衆議院議員選擧法の一部を次のやうに改正する。
第十一條 東京都議會議員、北海道會議員及府縣會議員は衆議院議員と相兼ぬることを得ず
第百十二條第二項を次のやうに改める。
選擧事務に關係ある官吏又は吏員當該選擧に關し前項の罪を犯したるときは四年以下の懲役若は禁錮又は三千圓以下の罰金に處す警察官吏其の關係都道府縣内の選擧に關し前項の罪を犯したるとき亦同し
第百十三條第二項を次のやうに改める。
選擧事務に關係ある官吏又は吏員當該選擧に關し前項の罪を犯したるときは五年以下の懲役若は禁錮又は四千圓以下の罰金に處す警察官吏其の關係都道府縣内の選擧に關し前項の罪を犯したるとき亦同し
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〔國務大臣大村清一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=5
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006・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今上程せられました昭和二十年法律第三十四號中まだ施行してゐない部分の廢止に關する法律案に付きまして、其の提案の趣旨を説明致します、曩に所謂外地處遇の一翼と致しまして、樺太、臺灣及び朝鮮に衆議院議員選擧法を施行し、是等の地からも衆議院に代表者を送らしめることを目的と致しまして、之に關する所要の規定の制定を見たのでありますが、是はまだ施行致されませぬで終戰となり今日に至つて居るのであります、固より講話條約等の締結がございませぬので、我が國の領土の歸屬は終局的に決定した譯ではございませぬが、各般の情勢を勘案致しまするに、此の改正法律の施行は所詮實現不可能と云ふの外はないのであります、然るに此の衆議院議員選擧法の改正と竝行致しまして全く同じ趣旨の下に貴族院令も亦改正せられまして、多額納税者議員選擧を樺太に施行し、又朝鮮及び臺灣から名望家を貴族院議員として勅選することとせられまして、此の後者の點に付きましては既に施行を見たのでありますが、此の度此の改正規定の廢止勅令が貴族院に於て審議決定せらるることに相成りましたに付きましては、昭和二十年法律第三十四號中まだ施行して居ない部分、即ち樺太朝鮮及び臺灣に衆議院議員選擧法を施行せむとする部分は之を廢止することと致しまして、此の法律案を提出した次第でございます、何卒愼重審議あらむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=6
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007・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました昭和二十年法律第三十四號中まだ施行してゐない部分の廢止に關する法律案の特別委員の數を十五名とし、其の委員の指名を議長に一任するの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=7
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008・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=8
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009・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=9
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010・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔宮坂書記官朗讀〕
昭和二十年法律第三十四號(衆議院議員選擧法の一部を改正する法律)中まだ施行してゐない部分の廢止に關する法律案特別委員
侯爵 大炊御門經輝君 侯爵 大久保利謙君
伯爵 奧平昌恭君 子爵 植村家治君
子爵 永井直邦君 子爵 松平銑之助君
男爵 今園國貞君 長世吉君
男爵 徳川誠君 男爵 鶴殿家勝君
大木操君 塩田團平君
松岡潤吉君 永瀬寅吉君
坂田幹太君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=10
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011・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第二、臨時通貨法の一部を改正する法律案、日程第三、軍人及び軍屬以外の者に交付された賜金國庫債券を無效とすることに關する法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會の續、委員長報告、是等の法案を一括して議題と爲すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=11
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012・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、委員長黒田伯爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=12
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013・会議録情報3
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臨時通貨法の一部を改正する法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月八日
委員長 伯爵 黒田清
貴族院議長公爵徳川家正殿
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軍人及び軍屬以外の者に交付された賜金國庫債券を無效とすることに關する法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月八日
委員長 伯爵 黒田清
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔伯爵黒田清君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=13
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014・黒田清
○伯爵黒田清君 只今議題となりました臨時通貨法の一部を改正する法律案竝に軍人及び軍屬以外の者に交付された賜金國庫債券を無效とすることに關する法律案の二法案に關しまする特別委員會の經過報告を致します、此の兩法案の特別委員會は去る七月六日、八日兩日に亙り之を開きまして、愼重審議の結果全員異議なく之を可決すべきものと決定致した次第でございます、此の兩法案の提出理由に付きましては、本會議に於きまして既に大藏大臣より之を爲されましたから、私は茲に之を省略致します、臨時通貨法の一部を改正する法律案に付きまして一委員から此の度の貨幣鑄造に於ける資材關係、製造能力はどうであるか、又小額紙幣を硬貨に置き換へ得るのは何時頃であるかと云ふ御質問がございました、之に對しまして、政府は資材既ち眞鍮は終戰後軍で不用となつた彈の後に著いて居る藥莢を使用するのであつて、既に相當量の拂下を貰つて居るし、又今後の割當も受けることになつて居るから資材は十分である、そして五十錢、十錢合せて滯りなく行けば年四億位の製造は大丈夫であると云ふことでありました、尚同委員から今後事情が許せば五十錢、十錢、五錢等は總て硬貨にする積りはないか、尚一圓の銀行券は將來硬貨にする意思はないか、又五十錢の硬貨が出來たらば此の一圓紙幣の發行を制限する積りはないか、と云ふことは、一圓紙幣の發行の高が近時非常に増して居るが之を制限する積りはないかと云ふ御質問でありました、之に對しまして政府は、五十錢、十錢、五錢は硬貨にしたいと思つて居る、併し一圓の方は貨幣法との關係があるので十分研究してからでなければ出來ないことであるから是は今直ちにする意思はない、又一圓紙幣は今後別に之を制限する積りはないが、適當に按配して出來るだけ之を發行して行く積りであると云ふ御答でありました、他の一委員から五錢の硬貨は今囘は造らないのか、今後一錢とか五錢とか云ふ小額紙幣はどうする積りであるか、現在一錢と云ふものは實際の賣買に使用されて居ないが、通貨の面から貨幣債權が變つて來るやうなことがあらうかと思ふがどうであらうかと云ふ御質問でありました、政府は現在流通して居る所の種類のものは大體之を持續する積りである、今考へて居るのは先づ五十錢と十錢とである、五錢は既に錫で造つたものを相當持つて居ると云ふ御答でありました、又他の一委員から「アメリカ」に於て使用されて居る如き二十五錢の硬貨を造る計畫はないか、二十五錢の硬貨を造ると非常に使用上便利ではないかと云ふ御質問がありました、之に對しまして、政府は此の點は種々檢討して來たのである、今日迄此の二十五錢硬貨の鑄造の讓も出たのであるけれども、我が國の從來の日常取引等の状況から見て、二十五錢貨幣を造らないと云ふことの意見の方に、大體傾いて居るのであると云ふ御答でありました、此の法案が貨幣に關しまする法案でありましたので、從ひまして、五百圓生活の問題とか、「インフレーション」の問題、政府は通貨量の問題を餘り過大視して居るのではないか、其の爲に生産増強に支障を來して居るのではないか、或は新圓封鎖と云ふやうな、最近「デマ」が飛んで居るが、どうであるか、又大藏省内に新しく設けられた給與局と云ふものは官吏の給與のみならず現在民間に於きまして、支給能力を無視したやうな給與の増額がされて居るが、それ等の問題迄、此の給與局で研究調整する意思はないかと云ふやうな種々の御質問が出たのであります、是等に付きまして、政府は生産の増強の爲には多少通貨の増發がなされても差支ないと思ふ、要する現在の状態は、預金に對する信用がなくなつて居ることが主なる原因であるから、今後は一日も早く整理するものは整理して、封鎖も早い議會に撤廃したいと思ふ、新圓に對する「デマ」は技術的にも、さう云ふことは出來ぬことであるから、斷然新圓の封鎖と云ふやうなことはしない積りであると云ふ御答でありました、又現在の民間に於きまする給與の増加の問題は非常に大きな問題であることは勿論である、併し大藏省内に出來た給與局と云ふものは、政府職員の給與の問題を取扱ふのであつて、民間の給與のことに付ては兎や角言ふことは出來ない、他の各省とも連絡して、民間の給與のことは十分研究して、そして各職場に經營協議會を創ることを奬勵し、之に依つて其の問題は調整したいと思ふと云ふ御答でありました、最後に一委員から右の諸問題は、大藏省の一部局の問題ではなく、殊に此の給與の問題などは、非常に大きな問題であるから、どうか大きな見地から、一つ十分之を考慮して貰ひたいと云ふやうな御希望もございました、次に軍人及び軍屬以外の者に交付された賜金國庫債券を無效とする法律案に付きまして、一委員から今囘無效となる所の國債を其の儘個人が持つて居ても宜いのであるか、軍人軍屬の場合には、本年の三月三十一日迄に之を提出しなければならなかつたのであるが、交官の場合は、唯之を個人が持つて居つて宜いのかと云ふ御質問、尚是等の國債を擔保に供したり、又は讓渡した者がありはしないか、それ等はどうなるのか、又政府が既に買上げたと云ふものは有效であると云ふが、それは其の行爲が有效だと云ふのであるか、或は政府が保有して居るものがあるのかと云ふやうな御質問でありました、政府は此の法案で以て、問題となつて居りまする國債は、其の額は約九百萬圓餘であつて、受給者が五萬九千人である、陸海軍の場合は非常に數が多かつたのである、それであるから是は一應整理する爲には、之を本年の三月三十一日迄に提出して貰はないと、其の處理上困るから、一應鳬を付ける爲に、是は提出して貰つたのであるが、今囘問題となつて居る所の國債は、今數字で擧げたやうに、餘り多くないのであるから、是は唯日本銀行が元利支拂をしないと云ふことで以て、それで無效にする積りで居ると云ふことでありました、又此の國債は記名式でありまして、是は擔保に供したり、又は讓渡したりすることを固く禁止して居るから、擔保に供したり、又は讓渡したりしたものは、是は違法である、又此の國債は特別の事情あるものは、預金部に於て之を買取つたのである、是は預金部が保有して居る、そして預金部に於ては、普通の公債と云ふ形に於て持たせて置きたいと云ふことでありました、尚他の委員より、地方では記名式であると云つても、非常に惡い者が居て、欺まして之を擔保に出したり、或は之を賣つたりして、欺されて之を買取つたやうな者もあるであらうが、さう云ふ場合是が無效になつてはどうかと云ふやうな御質問がありましたが、之に對しましては、政府はさう云ふやうな危險は全然ないとは言へないが、大體數が少いのであるから、大體に於て大丈夫であらうと云ふことでありました、尚他の一委員より軍人及び軍屬に賜りましたものは、聯合國司令部の指令に依りまして是が無效になつたのであります、是は致し方ないとしても、其の他の文官に賜つたもの迄も無效にすると云ふのは、それが社會上權衡を保つと云ふことを主眼とするにしても、今後さう云ふことを許すと段々範圍が廣まりはしないかと云ふやうな御質問がありました、又買取つて貰つたと云ふが、是は特別の事情と云ふ規定があつて、其の規定に適應しなければ是を買取つて貰へなかつたのでありますが、其の特別な事情があるとは云ふものの、兎に角早く處分をして貰つた者は得であると云ふやうなことになる、さう云ふやうな氣風を一般國民に持たせると云ふことは今後大きな影響があるのではないかと云ふやうな御質問がありました、之に對して政府は、文官の所有して居る公債の性質が軍人及び軍屬のと全く同じ性質のものであると云ふこと、又額も極めて僅かであるから、それに依り打撃を受ける者も非常に少いのではないか、僅かなものであるのではないかと思ふ、併し斯かる問題は全體の國民生活の安定、經濟の再建と云ふやうな所に觀點を置かねばならないのであるから、何時も公平とか權衡を取るとか云ふやうなことだけを考へることは不十分であることは勿論であるが、此の場合は餘りにも其の性質が同じものであり、片方の者と同じ時期に、同じ理由に依つて與へられたものであるから、此の度の處置は差支ないと思ふと云ふ御答でありました、他の一委員より此の問題は兎に角宜いにしても、是が他の國債所有者に對して何か疑惑の念を起させはしないかと云ふやうな御質問がありました、之に對しては政府はそんなことはないと思ふ、そんなことのないやうに十分心掛けたいと云ふことでありました、最後に一委員から此の賜金國庫債券は、憲法第十五條の恩實に依つて支那事變に於ける功に依つて賜はつた賞詞を、國家が各個人に對して其の債務を履行する一つの方法として交付されたものであるが、それを今無效とすると云ふのは、此の法律に依つて其の賞詞も取消されると解すべきであるか、或は此の公債を交付されることに依つて國家の債務は既に履行されたものであるから、公債を無效にすれば後には國家の債務は殘らないものと解して差支ないのであるかと云ふ御質問があつたのであります、之に對しまして政府は、聯合國總司令部から軍人軍屬に對しては金錢的給與をやることはいけないと云ふ命令があつたが、行賞と云ふことは別に取消された譯ではないと思ふ、即ち金錢的の支拂が取消されたのであつて、其の奧にある所の行爲と云ふことに付ては變りはないのである、是は取消されたと云ふ譯のものではない、從つて今度の法律に依る軍人及び軍屬以外に對する分に付ても同樣に考へて居ると云ふ御答でありました、以上が兩案審議中にありました質疑應答の經過でございますが、尚此の兩法案質疑中に、通貨の流通高、或は公債發行の數等に關しまして色々數等が出たのでありますが、是は今日省略致しますから、どうか速記録を以て御承知を願ひたいと思ふのであります、斯くして質疑を終りまして討論に入り、採決を致しました結果、此の二法案は異議なく可決すべきものと決定致した次第でございます、之を以て私の報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=14
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015・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ兩案の採決を致します、兩案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=15
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016・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=16
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017・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに兩案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=17
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018・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=18
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019・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=19
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020・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=20
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021・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 兩案の第二讀會を開きます、御異議がなければ、全部を問題に供します、兩案全部、委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=21
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022・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=22
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023・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに兩案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=23
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024・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=24
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025・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=25
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026・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=26
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027・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 兩案の第三讀會を開きます、兩案全部、第二讀會の決議の通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=27
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028・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、次囘の議事日程は、決定次第彙報を以て御通知に及びます、本日は之にて散會致します
午前十時三十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X00919460709&spkNum=28
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