1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十一年七月二十五日(木曜日)午前十時六分開議
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議事日程 第十四號
昭和二十一年七月二十五日
午前十時開議
第一 辯護士及び辯護士試補の資格の特例に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第二 郵便貯金法等の一部を改正する法律案(政府提出)第一讀會
第三 會計法戰時特例廢止等に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 金融緊急措置令(承諾を求むる件)(衆議院送付)
會 議(委員長報告)
第五 日本銀行券預入令(承諾を求むる件)(衆議院送付)
會 議(委員長報告)
第六 昭和二十一年勅令第九十號(承諾を求むる件)(衆議院送付)
會 議(委員長報告)
第七 臨時財産調査令(承諾を求むる件)(衆議院送付)
會 議(委員長報告)
第八 昭和二十一年勅令第百二十八號(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會 議(委員長報告)
第九 昭和二十一年勅令第百十一號(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會 議(委員長報告)
第十 昭和二十一年勅令第百二十七號(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會 議(委員長報告)
第十一 昭和二十一年勅令第百五十九號(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會 議(委員長報告)
第十二 昭和二十一年勅令第百七十九號(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會 議(委員長報告)
第十三 昭和二十一年勅令第百八十號(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會 議(委員長報告)
第十四 昭和二十一年勅令第二百四十一號(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會 議(委員長報告)
第十五 昭和二十一年勅令第二百四十二號(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會 議(委員長報告)
第十六 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=0
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001・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 去る十七日岩淵辰雄君、有馬忠三郎君、正田貞一郎君、貴族院令第一條第四號に依り貴族院議員に任ぜられました、又同日大野木秀次郎君貴族院令第一條第六號に依り貴族院議員に任ぜられました、又去る十九日田島道治君、淺井清君、貴族院令第一條第四號に依り貴族院議員に任ぜられました、就きましては淺井君を第二部に、有馬君を第三部に、岩淵君、正田君を第四部に、大野木君を第五部に、田島君を第八部に各各編入致しました
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=1
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002・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 昨二十四日内閣總理大臣より八月二十八日迄三十日間帝國議會の會期の延長を命ずる旨の詔書が傳達せられました、其の他諸般の報告は御異議がなければ朗讀を省略致します
〔參照〕
正四位勳四等 子爵由利正通君去る二十二日願に依り貴族院議員の辭職御允裁あらせらる
一昨二十三日本院に於て承諾することを議決したる左の政府提出案は即日之を奏上し又承諾することを議決したる旨を衆議院に通知せり
隱匿物資等緊急措置令
同日本院に於て可決したる左の政府提出案は即日之を衆議院に送付せり
罹災都市借地借家臨時處理法案
同日本院に於て採擇することを議決したる北越線鐵道敷設に關する請願外二件の請願は各各意見書を附し即日之を政府に送付せり
同日委員長より左の報告書を提出せり
訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案可決報告書
金融緊急措置令(承諾を求むる件)可決報告書
日本銀行券預入令(承諾を求むる件)可決報告書
昭和二十一年勅令第九十號(承諾を求むる件)可決報告書
臨時財産調査令(承諾を求むる件)可決報告書
昭和二十一年勅令第百二十八號(承諾を求むる件)可決報告書
昭和二十一年勅令第百十一號(承諾を求むる件)可決報告書
昭和二十一年勅令第百二十七號(承諾を求むる件)可決報告書
昭和二十一年勅令第百五十九號(承諾を求むる件)可決報告書
昭和二十一年勅令第百七十九號(承諾を求むる件)可決報告書
昭和二十一年勅令第百八十號(承諾を求むる件)可決報告書
昭和二十一年勅令第二百四十一號(承諾を求むる件)可決報告書
昭和二十一年勅令第二百四十二號(承諾を求むる件)可決報告書
同日政府より左の議案を提出せり
辯護士及び辯護士試補の資格の特例に關する法律案
郵便貯金法等の一部を改正する法律案
同日衆議院より左の政府提出案を受領せり
會計法戰時特例廢止等に關する法律案
昨二十四日委員長より左の報告書を提出せり
請願文書表(第四囘報告)
本日第五部に於て豫算委員板倉卓造君の補闕選擧を行ひしに名取和作君當選せり
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=2
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003・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より本日の會議を開きます、請暇の件に付御諮りを致します、荒川文六君一身上の都合に依り會期中請暇の申出がございました、許可を致して御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=3
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004・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=4
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005・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第一、辯護士及び辯護士試補の資格の特例に關する法律案、政府提出、第一讀會、木村司法大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=5
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006・会議録情報2
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辯護士及び辯護士試補の資格の特例に關する法律案
右
勅旨を奉じて帝國議會に提出する。
昭和二十一年七月二十三日
内閣總理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
…………………………………
辯護士及び辯護士試補の資格の特例に關する法律案
第一條 朝鮮辯護士令による辯護士たる資格を有する者で辯護士法第十三條第二項に規定する審査委員會の銓衡を經た者は、同法第二條第一項第二號の規定にかかはらず、同法による辯護士たる資格を有する。
第二條 朝鮮辯護士令による辯護士たる資格を有する者で前條に規定する者以外の者及び同令第五十一條の規定による朝鮮辯護士試補たる資格を有する者は、護辯士法第三條第一項の規定にかかはらず、同法による辯護士試補たる資格を有する。
第三條 昭和二十年八月十五日以後この法律施行の日までの間に廢止され、又は停止された政治的、社會的、思想的若しくは宗教的自由又は言論、著作、印行、集會若しくは結社の自由を制限する法令に違反して、罪を犯した廉で、拘禁され、有罪の言渡を受け、懲戒により免官、免職、除名若しくは業務禁止の處分を受け、又は退會の處分を受けた者は、その理由によつては、前二條の場合において辯護士又は辯護士試補たる資格を有しないとすることを得ない。
第四條 前三條の規定は、昭和二十年八月十五日以後に、本州、北海道、四國、九州又は命令で定めるその附屬島嶼へ、これらの地域以外の地域から引き揚げた者に限り、これを適用する。
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
―――――――――――――――――――――
〔國務大臣木村篤太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=6
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007・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 只今上程になりました辯護士及び辯護士試補の資格の特例に關する法律案の提案理由を御説明申上げます、朝鮮に於きまして、朝鮮の辯護士令に依り資格を得ました辯護士でありましても、日本の辯護士法に依る資格を得ませぬと、日本内地に於ては辯護事務に從事することが出來ないのであります、處が各位御承知の通り、昨年八月十五日の終戰と共に、朝鮮から澤山の同胞が内地へ歸還したのであります、其の中に朝鮮の辯護士令に依りまして辯護士たる資格を得たる人で、多年朝鮮に於きまして辯護事務に從事致しました人が相當數あるのであります、此の人が突然内地へ歸りましても、内地の辯護士の資格がない、從つて日本で辯護士に從事することが出來ないと云ふことになりますると、非常に此の人達に苦痛を與へるのであります、本法案は此の人達を救助しようと云ふ目的で立案されたのであります、即ち其の内容に於きましては朝鮮の辯護士令に依りまして辯護士たるの資格を得た人、此の人を日本の辯護士法の資格審査委員會に掛けまして、さうしてそこで適當な者と認めた人を日本の辯護士法の辯護士たるの資格を與へむとするのであります、又此の資格審査會の議を經ない人でありましても、此の人達に對しては矢張り日本に於ての辯護士試補たるの資格を與へたい、又朝鮮に於て辯護士試補たる資格を持つて居る人も同樣に内地の辯護士試補たるの資格を與へたいと云ふことにしたのであります、而して是等の人達の中には政治犯に依つて處罰された人がないとも限らないのであります、さう云ふ人達に付ては、此の處罰規定が終戰後或は廢止され、或は停止されたものでありますると、此の審査委員會に於てはそれ等の人に對しては不利な取扱をしない、一樣に此の人達を救つてやりたいと云ふことに内容を決めたのであります、又此の法案は終戰後内地へ引揚げた人に適用したいと云ふのでありまするから、昨年の八月十五日以後朝鮮から内地、即ち九州とか本州、四國、北海道其の他の島嶼に引揚げた人に適用致したいのであります、朝鮮と申しましても唯朝鮮だけに限つて居りませぬので、今申上げました内地以外から引揚げた朝鮮辯護士令に依つて資格を得た辯護士に對して此の法案を適用したいと、斯う云ふ趣旨で出來上つたのであります、要するに此の法案は朝鮮の辯護士令に依つて辯護士たる資格を得て、而も日本に於て辯護士たるの資格を得ない人を救濟すると云ふ目的で出來上つたのであります、左樣御了承を願ひます、どうか十分御審議の上に御協贊を與へられむことを此の機會に御願する次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=7
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008・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました辯護士及び辯護士試補の資格の特例に關する法律案は罹災都市借地借家臨時處理法案外一件の特別委員に併託されむことの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=8
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009・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=9
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010・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=10
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011・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=11
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012・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第二、郵便貯金法等の一部を改正する法律案、政府提出、第一讀會、一松遞信大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=12
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013・会議録情報3
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郵便貯金法等の一部を改正する法律案
右
勅旨を奉じて帝國議會に提出する。
昭和二十一年七月二十三日
内閣總理大臣 吉田茂
遞信大臣 一松定吉
…………………………………
郵便貯金法等の一部を改正する法律案
第一條 郵便貯金法の一部を次のやうに改正する。
第三條第一項中「五十錢」を「一圓」に、「五千圓」を「一萬圓」に改める。
第二條 簡易生命保險法の一部を次のやうに改正する。
第二條 削除
第四條第一項中「二千圓」を「五千圓」に改め、同項但書を削る。
第四條の二 被保險者六歳未滿にて死亡したるときは勅令の定むる所に依り保險金額の一部を支拂はさることを得
第八條及び第二十三條第二項中「一年六月」を「二年」に改める。
第二十六條に左の一項を加へる。
保險契約者貸付金の辨濟を爲さすして命令の定むる期間を經過したるときは政府は命令の定むる所に依り貸付金の辨濟に代へ保險金額の減額を爲すことを得
第二十八條中「保險金額又は」を「保險金額、」に改め、「還付すへき金額」の下に「又は保險契約者に對する貸付金額」を加へる。
第二十八條の二 政府は契約條項に關する命令を變更する場合に於て簡易生命保險事業の經營の状況に依り又は事情の變更に依り必要ありと認むるときは簡易生命保險及郵便年金事業委員會の議を經て其の變更の際現に存する保險契約に付ても亦將來に向て其の變更の效力の及ふものと爲すことを得
簡易生命保險及郵便年金事業委員會に關する規程は勅令を以て之を定む
第三條 郵便年金法の一部を次のやうに改正する。
第三條中「三千六百圓」を「六千圓」に改める。
第六條の二 年金受取人又は年金繼續受取人か死亡したる場合に於て其の者か支拂を受くへき年金にして未た其の支拂を受けさりしものは勅令の定むる所に依り年金受取人又は年金繼續受取人の遺族に之を支拂ふ
第八條中「二百五十圓」を「六百圓」に改める。
第十條第二項中「前項」を「前二項」に改め、同條第一項の次に左の一項を加へる。
年金支拂の事由發生したる後は年金受取人(年金受取人死亡の場合に在りては年金繼續受取人)は年金契約の解除を爲すことを得
第十七條 削除
第十八條中「及前條の特別返還金受取人」及び「又は特別返還金」を削る。
第十九條第一項を次のやうに改める。
政府は年金契約者、年金受取人又は年金繼續受取人の請求あるときは年金契約の解除に因り返還すへき金額の範圍内に於て命令の定むる所に依り貸付を爲す
第二十二條中「特別返還金又は」を削り、「返還すへき掛金」の下に「又は第十九條第一項の規定に依る貸付金」を加へる。
第二十二條の二 政府は契約條項に關する命令を變更する場合に於て郵便年金事業の經營の状況に依り又は事情の變更に依り必要ありと認むるときは簡易生命保險及郵便年金事業委員會の議を經て其の變更の際現に存する年金契約に付ても亦將來に向て其の變更の效力の及ふものと爲すことを得
第二十三條中「、返還金及特別返還金」を「及返還金」に改める。
第二十四條中「、返還金受取人又は特別返還金受取人」を「又は返還金受取人」に改める。
附 則
この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。但し、第一條の規定は、公布の日から、これを施行する。
この法律施行前の保險契約については、簡易生命保險法第四條の二、第八條及び第二十三條第二項の改正規定にかかはらず、なほ從前の規定による。
この法律施行前の年金契約については、郵便年金法第八條、第十七條、第十八條、第二十二條、第二十三條及び第二十四條の改正規定にかかはらず、なほ從前の規定による。但し、同法第十九條第一項の規定による貸付については、この限りでない。
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〔國務大臣一松定吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=13
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014・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 只今議題となりました郵便貯金法等の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申上げます、此の法律案は現下の經濟事情に對應し、國民生活の安定確保を圖る目的にて郵便貯金の最高制限額、最低制限額、簡易生命保險の保險金最高制限額及び郵便年金の年金最高制限額を引上げると共に、簡易生命保險事業及び郵便年金事業經營の適正強化を期する爲、契約條項に關する命令變更の效力を既存の契約にも及し得ることとする等郵便貯金法、簡易生命保險法及び郵便年金法の一部に必要なる改正を行はむとするものでございます、今其の内容の主なるものを申上げまするならば、先づ第一條の郵便貯金法の一部の改正でありますが、是は最近の經濟情勢から見まして、現在の一人の郵便貯金の最高制限額五千圓を一萬圓に、預入最低額五十錢を一圓に引上げむとするものでございます、次に第二條の簡易生命保險法の關係に於きましては、最近に於ける物價の急激なる昂騰に備へまして、國民生治の安定強化を圖り、制度本來の機能を十分に發揮せしむる爲、保險金最高制限額を五千圓に引上ぐると共に、此の事業の政府の獨占を廢止致しまして、又一面小兒の保險的保護を厚く致しまする爲に、現行の小兒に關する保險制度を改正し、小兒の加入し得る保險金最高制限額を、成人の加入し得る保險金最高制限額と區別することなく、生後直ちに五千圓迄契約の出來るやうに致したのでございます、尚此の簡易生命保險は長期に亙り繼續するものでございますから、此の期間事業經營の状態に鑑み、且社會情勢の推移變遷に伴ひまして、從來の契約條項に關する命令を變更して、之を既存の契約にも遡及せしむる必要がありますので、此の變更の出來る規定を設けまして、事業經營の適正強化を圖ることに致したのでございます、是等の改正に依りまして、簡易生命保險制度は益益其の機能を發揮することとなり、國民生活の安定強化に寄與する所尠なからずと確信致して居ります、第三條の郵便年金法の關係と致しましては、曩に申上げました簡易生命保險の保險金の引上げと同樣、最近に於ける急激なる物價の昂騰に備へ、國民生活の安定強化を圖り、制度本來の機能を十分に發揮する爲、年金最高制限額を六千圓に引上げると共に、年金の差押禁止規定を改正致しまして、年額六百圓を超へる金額に付てのみ之を差押へ得るものと致しました外、戰死致しました者に支拂ふべき特別返還金制度を廢止したのでございます、郵便年金契約も亦長期に亙り契約すべきものでございますから、簡易生命保險の場合の如く、從來の契約條項に關する命令を變更して、之を既存の契約にも遡及せしむることが出來るやうに致したのでございます、是等の改正に依りまして、郵便年金制度は益益其の機能を發揮することとなり、國民生活の安定強化に寄與する所多しと確信致して居る次第でございます、以上御説明申上げました點を十分御了承賜はり、何卒愼重御審議を盡され、速かに御協贊あらむことを切望致す次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=14
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015・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程せられました郵便貯金法等の一部を改正する法律案の特別委員の數を十五名とし、其の委員の指名を議長に一任するの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=15
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016・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=16
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017・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=17
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018・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔河野書記官朗讀〕
郵便貯金法等の一部を改正する法律案特別委員
公爵 島津忠承君 侯爵 淺野長武君
子爵 内藤政光君 子爵 齋藤齊君
子爵 青木重夫君 長谷川赴夫君
男爵 伊藤一郎君 塩田團平君
岸本彦衞君 栃木嘉郎君
伯爵 清閑寺良貞君 江口文雄君
男爵 沖貞男君 男爵 中村徹雄君
木下謙次郎君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=18
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019・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第三、會計法戰時特例廢止等に關する法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、石橋大藏大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=19
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020・会議録情報4
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會計法戰時特例廢止等に關する法律案
右の政府提出案は本院において可決した因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十一年七月二十三日
衆議院議長 樋貝詮三
貴族院議長公爵徳川家正殿
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會計法戰時特例廢止等に關する法律案
第一條 會計法戰時特例は、これを廢止する。
第二條 會計法の一部を次のやうに改正する。
第十一條中「翌年度に亙る契約」を「國庫の負擔と爲るへき契約」に改める。
第二十一條但書を削る。
第二十七條中「年度内に其の經費の支出を終らさりしもの」の下に「竝補助の目的たる事業の進捗遲延其の他避くへからさる事故の爲年度内に補助費の支出を終ること能はさりしもの」を加へる。
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
舊法第二條の規定は、この法律施行前に生じた亡失毀損に關しては、この法律施行後においても、なほその效力を有する。
舊法第三條第二項の規定は、同條第一項の規定により現金又は物品の出納保管を掌つた者の責任に關しては、この法律施行後においても、なほその效力を有する。
舊法第四條の規定は、昭和二十年度所屬の歳入歳出の出納に關する事務の完結に關しては、この法律施行後においても、なほその效力を有する。
舊法第八條の規定は、昭和十九年度若しくは同二十年度の歳入歳出の決算、臨時軍事費特別會計の歳入歳出の決算又は附則第六項若しくは昭和二十一年勅令第百十號第三條第二項の規定により歳入金若しくは歳出金を組み入れ整理した決算の樣式に關しては、この法律施行後においても、なほその效力を有する。
舊法第九條の規定は、昭和十八年度乃至同二十年度所屬の歳入金又は歳出金で避けられぬ事故のため同條に規定する期限までにその金額が判明しなかつたものについては、この法律施行後においても、なほその效力を有する。
―――――――――――――――――――――
〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=20
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021・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 只今議題となりました會計法戰時特例廢止等に關する法律案提出の理由を御説明申上げます、會計法戰時特例は、戰時中の緊要なる需要に應じまする爲に、會計法に對して特例を開きまして、以て會計經理上戰時の實情に即する措置を執ります趣意の下に、昭和十七年二月制定致されたものでございます、而して其の後戰局の推移に伴ひまして、數囘其の改正を致して參つたのでございますが、終戰後の今日に於きましては、其の制定の理由及び其の性質から致しまして、之を廢止するのが適當であると考へた次第でございます、併しながら此の法律の中には今後の經濟事情及び社會事情等から考へまして、尚存置致して適用するのが適當であると認められます二三の條項がございます、故に今囘會計法の一部を改正致しまして、是等の條項に定めてございます制度を實質的に存置致したいと考へて居る次第でございます、以上の理由に依りまして、此の法律案を提出致した次第でございますので、何卒御審議の上速かに御協贊を賜らむことを御願ひ致す次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=21
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022・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました會計法戰時特例廢止等に關する法律案の特別委員の數を十五名とし、其の委員の指名を議長に一任するの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=22
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023・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=23
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024・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=24
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025・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔河野書記官朗讀〕
會計法戰時特例廢止に關する法律案特別委員
侯爵 四條隆徳君 侯爵 佐竹義榮君
子爵 黒田長敬君 子爵 松平親義君
男爵 園田武彦君 男爵 多久龍三郎君
男爵 古市六三君 黒田英雄君
奧村嘉藏君 松本勝太郎君
板谷順助君 伯爵 金子武麿君
子爵 日野西資忠君 呉文炳君
田島道治君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=25
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026・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第四、金融緊急措置令、日程第五、日本銀行券預入令、日程第六、昭和二十一年勅令第九十號、日程第七、臨時財産調査令、日程第八、昭和二十一年勅令第百二十八號、日程第九、昭和二十一年勅令第百十一號、日程第十、昭和二十一年勅令第百二十七號、日程第十一、昭和二十一年勅令第百五十九號、日程第十二、昭和二十一年勅令第百七十九號、日程第十三、昭和二十一年勅令第百八十號、日程第十四、昭和二十一年勅令第二百四十一號、日程第十五、昭和二十一年勅令第二百四十二號、承諾を求むる件、衆議院送付、會議、委員長報告、是等十二件を一括して議題と爲すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=26
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027・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、委員長周布男爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=27
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028・会議録情報5
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金融緊急措置令
右承諾すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月二十三日
委員長 男爵周布兼道
貴族院議長公爵徳川家正殿
―――――――――――――――――――――
日本銀行券預入令
右承諾すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月二十三日
委員長 男爵周布兼道
貴族院議長公爵徳川家正殿
―――――――――――――――――――――
昭和二十一年勅令第九十號
右承諾すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月二十三日
委員長 男爵周布兼道
貴族院議長公爵徳川家正殿
―――――――――――――――――――――
臨時財産調査令
右承諾すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月二十三日
委員長 男爵周布兼道
貴族院議長公爵徳川家正殿
―――――――――――――――――――――
昭和二十一年勅令第百二十八號
右承諾すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月二十三日
委員長 男爵周布兼道
貴族院議長公爵徳川家正殿
―――――――――――――――――――――
昭和二十一年勅令第百十一號
右承諾すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月二十三日
委員長 男爵周布兼道
貴族院議長公爵徳川家正殿
―――――――――――――――――――――
昭和二十一年勅令第百二十七號
右承諾すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月二十三日
委員長 男爵周布兼道
貴族院議長公爵徳川家正殿
―――――――――――――――――――――
昭和二十一年勅令第百五十九號
右承諾すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月二十三日
委員長 男爵周布兼道
貴族院議長公爵徳川家正殿
―――――――――――――――――――――
昭和二十一年勅令第百七十九號
右承諾すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月二十三日
委員長 男爵周布兼道
貴族院議長公爵徳川家正殿
―――――――――――――――――――――
昭和二十一年勅令第百八十號
右承諾すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月二十三日
委員長 男爵周布兼道
貴族院議長公爵徳川家正殿
―――――――――――――――――――――
昭和二十一年勅令第二百四十一號
右承諾すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月二十三日
委員長 男爵周布兼道
貴族院議長公爵徳川家正殿
―――――――――――――――――――――
昭和二十一年勅令第二百四十二號
右承諾すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月二十三日
委員長 男爵周布兼道
貴族院議長公爵徳川家正殿
―――――――――――――――――――――
〔男爵周布兼道君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=28
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029・周布兼道
○男爵周布兼道君 只今議題となりました金融緊急措置令外十一件に關する特別委員會の審査の經過竝に結果に付て御報告申上げます、委員會は去る十一日より二十三日迄七囘に亙り開會を致しまして、愼重審議の結果全部承諾を與ふべきものと決したのであります、提案理由は曩に本議場に於て大藏大臣より御聽きでございましたから、更に申上げることを省略致します、委員會は十三日より質疑に入りまして、法案多數の爲廣範圍に亙り質問應答がございましたが、主として金融緊急措置令、臨時財産調査令に集中されたのでございます、先づ第一に、一委員から、今日産業再建の最大障碍は金融の梗塞にあると思ふ、又自由に新圓の入る方面と俸給生活者は不均衡であるが、當局は之を如何に見るか、新圓が社會の一部の層に氾濫して居るが、之を正常な「ルート」に戻す方法はないか、又第二囘の封鎖の虞あることが新圓の退藏になつて居ると思ふのが如何、之に對して大藏大臣は、産業金融に付ては御指摘の困難を認めるが、整理を必要と認めるものは整理し、國家の必要とする方面には十分に資金を貸出して行く方針を執つて貸出の充實を圖りたいと思ふ、尚近く特別の復興金融機關を設けることになつて居る、又生活費も改善し、電氣、瓦斯代、學費等も封鎖から出せるやうにしたが、本來不自然であり、不都合でもあるから、さう遠くない時期に改めることが出來ると思ふ、一部には過剩購買力を持つ故一時に行ふことはどうかと考へる、部分的に改善した譯である、事業資金の貸出しの狙ひも、新圓の獲得と封鎖の引出しの不當を是正したのである、又新圓の吸收は財産税と睨み合せ、又税に依る調節を行ひ、農村方面の所得税を増大し、闇賣商人に對してもやつて行きたい、割増貯金も、地方でもやれるやうにしたいと思ふ、又寶籤等の色々の方法で吸收するとのことでありました、一委員から政府に對し、金融緊急措置令に付根本の點を伺ひたい、現在國民は之を通貨の上に限つて居るやうに考へて居るが、政府は物の面をも考慮して此の勅令を出されたと思ふが、それに對して片手落でなく效果も十分あるやうに此の勅令を出したのであると云ふことに付てはつきり御説明を願ひたい、之に對し政府は、金融緊急措置令は勿論他の物に對する對策と綜合的な一貫を成すものとして制定されたるものであつて、他の對策と伴つて適時推進せらるべき性質のものであつたのであるが、色々の事情で何等思ふやうに行かぬと云ふことは甚だ遺憾に思ふ次第である、尚今後も物の面と睨み合せて此の邊は調整して行く、之に依つて生産阻害と云ふことのないやうに努力して行きたいと考へて居るとのことでありました、又他の委員から、毎月新圓として俸給賃銀の方面に出る金は幾何であるか、新圓の囘收率はどうであるかと云ふ質問に對して、政府より、俸給賃銀其の他事業費は六十何「パーセント」、五月末の發行高三百六十三億圓の中、金融機關の手許にあるものを除き農漁村百七十五億圓、配給機關四十一億圓、生産機關六十四億圓、一般消費者五十八億で、農漁村の百七十五億圓は大體退藏的な性質を帶び、一般消費者向の金も或程度退藏的な性質を帶びて來た、以上の數字は概數を以て示されたものであります、其の吸收策は第一に、通貨に對する信用を囘復することが根本であり、差當りは先日行つたやうな事業資金に對する措置、即ち事業資金を貸出しに切換へ、新圓を金融機關に還流させる方法、又農村に於ける退藏金は都市に於ける輕工業品と交換に還流させる、又税と新圓との關係に付ては財産税は過去の財産を整理する意味であるから舊圓或は封鎖預金から徴收する、今年の所得税は舊圓に依らざるを得ぬと思ふが、出來るだけ早く新圓に依る來年の間接税其の他の税體系に於ては、主として新圓に依ることになる、此の意味に於て或程度通貨の收縮を期待して宜しいのではないかとのことでありました、又他の委員から、封鎖預金を永久封鎖にするとの風説があるがと質しましたのに對し、政府よりは、是は事業資金の引出制限を行つた爲に出た噂と思ふが、事業資金の還流を圖る爲に制限を加へて貸出しとしたのであつて、個人の場合は性質が全く異るから、さう云ふ必要はないと云ふことでありました、又一委員からは、財産調査令に依る三月三日の調査時日を變更する意思はないか、又火災保險の特別預金、財産税の徴收の時期、財産税の取り方、財産税賦課の對象となる預金に付質問しました處、之に對して政府は國民全體の財産としてはさう變つて居ないと考へる、其の後の利得は所得課税として徴收するので調査時期を變へる考はない、併し是は飽く迄も政府原案を元としてのことである、又保險金は一般軍需補償の問題と共に只今研究中で、出來得る限り優遇したいが今の處結論に達して居ない、徴收時期は財産税法が議會の協贊を得て施行後三箇月後に徴收をしたい、財産税としては分類財産税に付て考へないこともないが、財産の種類に依り課税上不公平を生ずるから、原則として綜合で行くべきではないかと考へる、又賦課の對象としては財産税の收入を見込んだ時には、全國民財産を四千數百億圓を考へて居つたが、其の後物價騰貴等に依り現在では大體五千七八百億圓と計算をして居る、申告濟の中、銀行預金は郵便貯金を含めて二千三百億を豫定して居る、申告濟の公債、社債、株券中、個人の所有は千三百數十億足らず、株券拂込價格は二十年末で四百四十億中個人所有は六割程度、社債三百億の中個人所有は一割程度、無盡契約、信託預金は個人が相當多い見込みであるとのことでありました、又他の一委員からは、生命保險の課税及び勤勞所得税に付質問したる處、政府は簡易生命保險は課税しない、他の生命保險は全部課税する、保險金千圓以下のものは申告を要しないが、課税をするかしないかは現在決つて居らぬ、課税の方法は拂込保險料に三分の二乃至七掛程度の課税をしたいと云ふ考を持つて居る、勤勞所得税は分類所得税中最も重要で、勿論課税しなければならないが、其の負擔は他の所得よりも出來るだけ輕減したいとのことでありました、又委員より、動産の價格等に付て質問致しました處、政府は、營業者、事業者の動産は三月三日の申告に依るが、營業者でない一般の者の動産も三月三日の價格に依りたい、現在の處、生活に通常必要なる家具、什器は非課税にして居るが、其の非課税の範圍、又非課税を超えた課税財産をどう云ふ風にして行くかと云ふことは只今研究中である、賣買の實例のない物、例へば祖先傳來の動産の如きものは其の人の主觀的價値に依り申告をして貰ふが、税務署が如何に評價するかは目下研究中である、併し動産の評價に付ては保險金額と云ふものは有力な資料と認めて居る、又財産の隱匿とか不正の行爲に對しては嚴罰主義を以て臨む考である、三月三日の調査は個人法人を通じて非常にうまく行つたと思ふ、再調査は非常に困難と思ふ、又他の一委員から、財産税と擬制資本との關係、財産税の觀念等に付て質したるに、政府は、軍需補償をするかしないかと云ふことと、財産税を徴收することとは當然の因果關係はないと考へる、併し財産税を徴收するとすれば、軍需補償が如何になるかと云ふことが前提になると思ふ、國の富は實質的富が非常に減少して居る、併し名目的の預金、名目的の財産は相當殖えて居るので、此の不釣合を是正すると云ふ考である、財産税は各種の財産を合せて超過累進税率で行くのが最も公平な取り方と考へて居る、免税點は三萬圓とか五萬圓になるのではないかと云ふ豫想を持つて居る、擬制資本の撤去と云つても、是は個人に付ての場合ではなく、飽く迄も國民經濟上からの擬制資本の撤去と云ふことを考へて居る、又他の一委員からは、財産税は物納を認めるかと質問したるに、政府は財産税は物納を認めて居る、物納の順序は先づ國債、不動産、それから株得である、併し流通力のある取引所にかかつて居るやうな株は不動産より優先し得るものと思ふ、家寶等の順位は物納は認めるが後になると思ふ、出來得る限り換價し易いものを取りたいと考へて居る、株券の評價は三月三日の時價に依るか、それ以後の時價に依るか考究中である、何れにしても課税價格に依り物納を認めるとの事でありました、又一委員から、所得税の査定特に農村の査定は苛酷ではないかと質問致しましたのに、政府は農家の査定は耕作面積又作付の種類を見て作付毎に計算をする、供出物は全部供出したものは供出價格で、供出不足の部分は他の價格で賣つたと想像して適當な價格で課税して居る、農家の收入、必要な經費を見るのに農事實行組合、町村長等の意見を聞いて決める、要するに實收入、實際の所得主義でやつて居る、さうしなければ闇を助長し、公平の觀念に反すると考へるとのことでありました、次に一委員より、遞信運輸兩大臣に對して、從來國營であるが、今後如何なる考で民主化の徹底を期する積りであるかと云ふ質問がありました、遞信大臣は國民の聲を能く聞き、國民の爲のものであると云ふ立場から運營して行きたい、又運輸大臣よりは原則としては鐵道は國營であるべきものと考へるが、公共的施設として十分民主的に國民に應へなければならぬとのことでありました、又他の一委員より、船舶の補償に付質問しました處、政府は今後巨額なる政府の損失補償を續けて行くことは到底出來ないと云ふ見透しを持つて居る、全然しないかどうかもはつきり申上げられない、興銀の封鎖預金は凍結されて居るが、他の補償と關聯して能く考へるが、現在の段階に於ては申上げられない、復興金融會社が出來た時にはどうするかに付ては、運輸省と能く相談するとのことでありました、又一委員は、「ソ」聯地區に抑留されて居る邦人の其の後の状況に付て質問を致しましたる處、政府は先づ第一に、聯合軍に於て非常な努力をして戴いて居る、又此の冬を現地で過さねばならぬ多數の同胞に對する救濟方法は、現地では日本人會を結成して種々盡力して居るが、それに對して政府としても關係方面に御願ひして色々手を盡し、最近一部分の曙光を認め得るに至つて居るとのことでありまして、又他の委員より、石炭増産の補給金に付て質問をしました處、補給金は其の時期に依つて異るが、最近に於ては勞働者の賃銀の値上等よりどうしても一「トン」當り二百六十圓乃至二百六十六圓にして呉れとの要望があり、總豫算に依つては不足であるから、追加豫算として相當額の豫算を御願ひする積りである、又是は地域に依り、會社に依り、山に依り、炭質に依つても異るとのことでありました、最後に尚大藏大臣の出席を求めまして、價格調整補給金に付て一向實效を擧げて居ないのではないかとの質問がありました、之に對して大藏大臣は過去の成績に付ては十分の實效を擧げて居ると申上げ兼ねることを甚だ遺憾に思ふ、之に對しては強力に改革したいと思ひ既に石炭に付ては其の方法を講じて居る、其の他の生鮮食料品等に付ても假に補給金を續けるとしても、それが效能があるやうにしたい、現在の政府の重要な問題として處理を致す考であるとのことでありました、又緊急勅令に依つて斯くの如き重大なる問題を多數處理することはどうかと云ふことを質しました處、大藏大臣は、緊急勅令の如きものを以て重大なる措置を行ふことは決して好ましくないと云ふことは何れの政府でも承知して居つたと思ふ、況や今後に於ては無論出來ないことになることと考へて居る、實際當時の事情としては眞に已むを得なかつたとのことでありました、又新圓の偏在に付ては、預金に依り正直に生活をして居る者の半面に、新圓を退藏して、或は財産税を免るる目的なり、或は所得税を課せられないやう色々の手で退藏して居る層に對して何等の手を打たずに置くと云ふことは極めて不公平である、是等が社會不安を招くのではないかと云ふ質問に對しましては、大藏大臣は公平不公平の觀點から見ると、さう云ふことになる、又他の方面もあり、關聯する所が多いので、色々苦心して居るが、心に留めて適當に處理を致したいとのことでありました、斯くして前後七囘に亙りまして愼重審議の後、一括して討論に入りました、一委員からは、金額は稀に見る厖大な支出であるから、後の處理には篤と意を用ひ萬遺漏なきを期せられたいとの希望を述べて贊意を表しました、又他の委員は、或る物に對しては低物價政策を維持しながら、政府自體に於て煙草、運賃、郵便料の値上等を行ふので、政府の政策が何れにあるかも分らぬことに國民が不安を持つて居るのではないかと思はれる、故に何等かの機會に於て政府は其の方針を國民に示して、國民が安心して自由預金なり何なりをして行けるやうにとの希望を述べて贊意を表されたのであります、斯くして金融緊急措置令外十一件は異議なく全部承諾すべきものと決しました、是にて御報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=29
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030・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ、是より採決を致します、十二件共、委員長報告通り承諾を與ふることに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=30
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031・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=31
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032・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第十六、訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案、政府提出、第一讀會の續、委員長報告、委員長高木子爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=32
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033・会議録情報6
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訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月二十三日
委員長 子爵高木正得
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔子爵高木正得君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=33
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034・高木正得
○子爵高木正得君 只今議題となりました訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案の委員會に於ける審議の經過竝に結果を御報告致します、本法律案は七月十日上程せられまして、同十一日特別委員會に於きまして提案の理由を大臣から御聽き致しました、其の理由を少し申述べますると、本法案は民事刑事の訴訟費用及び執達吏の手數料等を増額せむとする目的を持つて居るものでございまして、斯かる費用及び手數料等は元來それぞれ民事訴訟費用法、刑事訴訟費用法及び執達吏手數料規則などに規定せられ、其の後の經濟情勢の變遷に應じまして數次の改正を經たものでありますが、最近では昭和十九年訴訟費用等臨時措置法となりまして、戦時中の暫定的特例と致しまして、増額の處置が執られた次第であります、然る處、其の後二年間の經濟状勢の變遷は誠に甚だしく、例を日本銀行調の東京小賣物價指數に取つて見ましても、本年二月現在の物價は、昭和十九年同期に比し三倍強の騰貴を示して居ります、曩の暫定措置に依る増加額は全く現在では實情に副はぬものがございまして、斯くては其の爲に民事の訴訟關係者は非常に重い犧牲を強ひられることになり、又執達吏は其の生活上非常な困窮に陷つて居るのであります、是は延いては民刑訴訟及び強制執行制度の圓滑な運行を阻害し、戰後經濟の復興にも支障を來す虞があるのであります、從つて政府は此の際暫定的に是等の額を増額して、現在の窮境を打開するのが、本案の提出の理由でございます、至つて簡單なる法案であります爲に質疑もほんの少々でございますが、一委員から、豫納金制度の還付及び豫納金制度の負擔輕減に關する質問がございましたからそれを御紹介致します、豫納金制度の還付に付きましては、其の還付の時期が延び延びになつて當事者としては非常に困る、又豫納金制度の負擔輕減、詰り日當でございますとか、旅費でございますとか、さう云ふものを當事者の親類又は親しい友達等の證人が豫め辯護士を通じましてさう云ふ費用は自分としては要らない斯う云ふ申出があつた時に、辯護士から正當な手續で以て其の費用の豫納を不必要とする、斯う云ふ届出のあつた場合には、豫納金を其の不必要額だけは減じると、斯う云ふ手續がありますが、現在に於て是は一部行はれて居るさうでありますが、之を一般的に行つて欲しいと云ふ雙方共希望的質問でありました、之に對しまして政府は孰れも御趣意に副ふやうに善處したい、斯う云ふ簡單な答辯がございました、又一委員から、執達吏の手數料に付きましての御質問がございましたが、是は地方に依つて其の手數料が非常に違ひまして、例へば大阪、長崎では非常に執達吏一人の收入が多うございますが、東京でございますとか、名古屋でございますと、非常に少くなつて居ります、さう云ふ點に付きまして、どうして斯う云ふ差があるのかと云ふ御質問に付きましては、實は手數料は其の地方々々に依つて違ふのは、是は強制執行迄行かない事件が澤山あるので、其の關係で差が出來るのであるけれども、大體に於て年九百圓迄は政府で以て之を保證する、それ以上のものは自分の働きで出來ると云ふ決めがあるさうでございますが、其の決めに及ばないものも可なりあるやうに存じます、從つて此の際斯う云ふやうに手數料の値上に依つて幾分其の間の調節になつて居ると御答辯でございました、以上三つが大體此の法案に付ての質疑でございましたが、其の外ちよつと此の法案に關聯致しまして二三質問がありましたから、それを御紹介致したいと存じます、其の一つは公證人、又調停委員に關するものでございまして、之の矢張り手當とか、旅費とか、さう云ふものはどうだ、斯う云ふ御尋がございましたが、是は兩方共勅令で出て居る關係上、公證人の方は既に三倍の増額を致し、調停委員の方は將來考慮致して居る、斯う云ふ後答辯がございました、次に判檢事書記等の出張に關する御質問でございましたが、是は所謂裁判出張と申しますが、此の裁判出張の費用が行政出張の費用と格段の差異がある、同じ一國の官吏でありながら、其の出張の際に差異のあるのはどんなものであるかと云ふ御尋がございましたが、之に對しては政府委員と致しましては、裁判出張の方は補充費から支辨するし、行政出張の方は他の項目から出す爲にそれだけの差がある、將來何とか其の差を少くしたい、斯う云ふ御答でございました、殊に大臣からは此の裁判官、判檢事書記等の生活改善に付ては十分良くして行きたい、又只今申上げたやうな出張に關しての行政出張との差なんかも十分同じやうにして行きたいと云ふ御意見を述べられました、次に一委員から、衆議院の憲法改正案の審議の途中に於て判檢事書記の俸給に關する質疑應答があつたが非常に結構なことであるが、司法大臣としてどう云ふ考を持つて居られるか、殊に將來の具體的案は如何か、斯う云ふ御質問に對しましては、司法大臣は、憲法改正案に於ては裁判所の獨立性に鑑みまして、裁判官には相當の報酬が支給さるべきものだとされて居りますが、裁判官以外の司法部職員に付ては憲法草案では別に觸れられて居ないので、之に付ては一段の考慮が拂はれなければならないと思ふ、併し目下の處自分としては具體的な案はありませぬが、他方面との關係もあり、大藏當局とも十分打合せして微力ながら將來格段の努力を致したいと云ふ御答辯がございました、質疑應答は只今の程度で終りまして、次に討論に入りました處が、別に御發言もなく、次いで採決に入りました處、全會一致を以て本案は可決すべきものと議決致しました、之を以て御報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=34
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035・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ本案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=35
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036・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=36
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037・富小路隆直
○子爵富小路隆直君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=37
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038・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=38
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039・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 富小路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=39
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040・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=40
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041・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀會を開きます、御異議がなければ全部を問題に供します、本案全部、委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=41
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042・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=42
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043・富小路隆直
○子爵富小路隆直君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=43
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044・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=44
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045・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 富小路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=45
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046・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=46
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047・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部、第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=47
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048・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、次會の議事日程は決定次第彙報を以て御通知に及びます、本日は是にて散會致します
午前十一時零分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01419460725&spkNum=48
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