1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十一年七月三十一日(水曜日)午前十時十一分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第十五號
昭和二十一年七月三十一日
午前十時開議
第一 政府出資特別會計法外二十一法令の廢止等に關する法律案(政府提出、衆議院送付)第一讀會
第二 辯護士及び辯護士試補の資格の特例に關する法律案(政府提出)第一讀會の續(委員長報告)
第三 郵便貯金法等の一部を改正する法律案(政府提出)
第一讀會の續(委員長報告)
第四 會計法戰時特例廢止等に關する法律案(政府提出、衆議院送付)第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=0
-
001・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 一昨二十九日畠山一清君、中山壽彦君、慶松勝左衞門君 赤木正雄君貴族院令第一條第四號に依り貴族院議員に任ぜられました、就きましては慶松君、赤木君を第一部に、中山君を第四部に、畠山君を第九部に編入致しました
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=1
-
002・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 其の他諸般の報告は御異議がなければ省略致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=2
-
003・会議録情報2
━━━━━━━━━━━━━
〔參照〕
去る二十五日本院に於て承諾することを議決したる左の政府提出案は即日之を奏上し又承諾することを議決したる旨を衆議院に通知せり
金融緊急措置令
日本銀行券預入令
昭和二十一年勅令第九十號
臨時財産調査令
昭和二十一年勅令第百二十八號
昭和二十一年勅令第百十一號
昭和二十一年勅令第百二十七號
昭和二十一年勅令第百五十九號
昭和二十一年勅令第百七十九號
昭和二十一年勅令第百八十號
昭和二十一年勅令第二百四十一號
昭和二十一年勅令第二百四十二號
同日本院に於て可決したる左の政府提出案は即日之を衆議院に送付せり
訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案
同日郵便貯金法等の一部を改正する法律案特別委員會に於て當選したる正副委員長の氏名左の如し
委員長 子爵 齋藤齊君
副委員長 男爵 伊藤一郎君
同日委員長より豫算委員名取和作君を第一分科擔當委員及第四分科兼務委員に選定したる旨の報告書を提出せり
同日内閣總理大臣より左の通第九十囘帝國議會政府委員仰付けられたる旨の通牒を受領せり
大藏省所管事務政府委員
大藏事務官 前尾繁三郎君
去る二十六日會計法戰時特例廢止等に關する法律案特別委員會に於て當選したる正副委員長の氏名左の如し
委員長 男爵 古市六三君
副委員長 子爵 黒田長敬君
正三位勳二等 野村淳治君
從四位勳二等 藤沼庄平君
去る二十七日願に依り貴族院議員を免せらる
同日委員長より左の報告書を提出せり
辯護士及び辯護士試補の資格の特例に關する法律案可決報告書
一昨二十九日委員長より左の報告書を提出せり
會計法戰時特例廢止等に關する法律案可決報告書
正四位勳二等 松井春生君
正三位勳二等 三宅正太郎君
昨三十日願に依り貴族院議員を免せらる
同日委員長より左の報告書を提出せり
郵便貯金法等の一部を改正する法律案可決報告書
同日衆議院より左の政府提出案を受領せり
政府出資特別會計法外二十一法令の廢止等に關する法律案
同日衆議院より本院の送付に係る左の政府提出案は同院に於て之を可決し奏上せる旨の通牒を受領せり
特別都市計畫法案
同日内閣總理大臣より左の通第九十囘帝國議會政府委員仰付けられたる旨の通牒を受領せり
政府委員
内閣事務官 三橋則雄君
農林省所管事務政府委員
農林事務官 平川守君
同 長谷川清君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=3
-
004・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より本日の會議を開きます、請暇の件に付御諮りを致します、古莊健次郎君病氣に付會期中請暇の申出でがございました、許可を致して御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=4
-
005・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=5
-
006・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 藤沼庄平君議員辭職に付豫算委員に闕員を生じました、就きましては第一部に於て其の補闕選擧を行はれむことを望みます、昨三十日、豫算委員膳桂之助君より、職務上の都合に依り委員辭任の申出でがございました、許可を致して御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=6
-
007・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、就きましては第九部に於て其の補闕選擧を行はれむことを望みます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=7
-
008・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より日程に移ります、日程第一、政府出資特別會計法外二十一法令の廢止等に關する法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、上塚大藏政務次官発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=8
-
009・会議録情報3
━━━━━━━━━━━━━
政府出資特別會計法外二十一法令の廢止等に關する法律案
右の政府提出案は本院において可決した因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十一年七月三十日
衆議院議長 樋貝詮三
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
政府出資特別會計法外二十一法令の廢止等に關する法律案
第一條 左の法律及び勅令は、これを廢止する。
政府出資特別會計法
營繕用品資金特別會計法
陸軍作業會計法
海軍工廠資金會計法
朝鮮鐵道用品資金會計法
朝鮮簡易生命保險及郵便年金特別會計法
朝鮮食糧管理特別會計法
臺灣總督府特別會計法
臺灣食糧管理特別會計法
臺灣事業用品資金特別會計法
樺太廳特別會計法
關東都督府特別會計法
南洋廳特別會計法
大正十二年法律第七號(東京砲兵工廠及び大阪砲兵工廠の各特別會計の合併に關する法律)
昭和八年法律第十五號(海軍工廠資金の臨時補足に關する法律)
昭和十一年法律第四號(昭和十一年度一般會計歳出の財源に充てるため特別會計に屬する資金の繰替使用等に關する法律)
昭和十二年法律第九號(一般會計歳出の財源に充てるため特別會計から繰入金をすることに關する法律)
昭和十三年法律第二十二號(臨時軍事費の財源に充てるため特別會計から繰入金をすることに關する法律)
昭和十三年法律第二十三號(外地特別會計における租税收入の一部に相當する金額等を臨時軍事費特別會計に繰り入れることに關する法律)
昭和十五年法律第十四號(船員保險事業の經營に伴ふ關係各會計間の分擔及び關渉に關する法律)
昭和十七年法律第二十三號(陸軍作業會計法及び海軍工廠資金會計法の臨時特例に關する法律)
明治四十三年勅令第四百六號(朝鮮總督府特別會計に關する勅令)
第二條 地方分與税分與金特別會計法の一部を次のやうに改正する。
附則に次の二項を加へる。
本會計に屬する地租、家屋税及營業税の收入は當分の内之を一般會計に屬せしむることを得
前項の規定に依り同項に掲ぐる收入を一般會計に屬せしめたる場合に於ては豫算の定むる所に依り一般會計及本會計間に於ける必要なる收支の調整を爲すものとす
第三條 作業會計法の一部を次のやうに改正する。
第一條第一號乃至第四號を次のやうに改める。
一 印刷局
二 専賣局
第二條第三項及び第四項を削る。
第四條 厚生保險特別會計法の一部を次のやうに改正する。
第一條第二項を削る。
第五條中「朝鮮總督府、臺灣總督府及關東局の各特別會計よりの受入金、」及び「朝鮮總督府、臺灣總督府及關東局の各特別會計への繰入金、」を削る。
第十一條中「竝に朝鮮總督府、臺灣總督府及關東局の各特別會計への繰入金」を削る。
第五條 食糧管理特別會計法の一部を次のやうに改正する。
第四條の三中「三十八億圓」を「五十二億圓」に改める。
第六條中「一般會計よりの受入金、」を削る。
第六條の二を削り、第六條の三を第六條の二とする。
附則第二項乃至第六項を次のやうに改める。
米穀の生産を確保する爲の補給金は之を本會計に屬せしむ
前項の補給金は一年内に償還すへき無記名證券を以て其の額面金額に依り之を交付す
前項の規定に依り交付する爲政府は證券を發行することを得
前項の規定に依り發行する證券は之を第三條の規定に依り發行する證券と看做す
政府は當分の内本會計の決算上の損失を補填する爲豫算の定むる所に依り一般會計より本會計に繰入金を爲すことを得
政府は本會計の負擔に屬する證券の内四十五億圓を限り一般會計の負擔に移すことを得
前項の規定に依り一般會計の負擔と爲りたる證券の借換の爲政府は公債を發行することを得
第六條 通信事業特別會計法の一部を次のやうに改正する。
第一條第二項中「竝に收入印紙賣捌」を「、收入印紙賣捌竝に電氣試驗所に於て行ふ電氣計器の檢定等」に改める。
第二條第一項中「及改良」の下に「竝に出資拂込」を加へ、「電信電話建設寄附」を「通信事業設備建設寄附」に、「電信電話設備」を「通信事業設備」に改め、同條第二項を削る。
第六條中「電信電話建設寄附」を「事業設備建設寄附」に改める。
第九條中「業務取扱數量の増加」の下に「其の他避くべからざる事由」を加へる。
第十四條の二 通信事業の經營に妨なき限り一般の委託に依り通信に關する機械器具等の製作修理を爲すことを得
前項の場合の歳入歳出は用品勘定の所屬とす
第七條 簡易生命保險及郵便年金特別會計法の一部を次のやうに改正する。
第三條中「、同事業の業務取扱に關する諸費に充つる爲の通信事業、臺灣總督府、關東局及南洋廳の各特別會計への繰入金竝に同事業の營繕費」を「竝に同事業の業務取扱に關する諸費及同事業の營繕費」に改める。
第四條中「竝に同事業の業務取扱に關する諸費に充つる爲の通信事業、臺灣總督府、關東局及南洋廳の各特別會計」を「及同事業の業務取扱に關する諸費に充つる爲の通信事業特別會計」に改める。
第六條 削除
第八條 帝國鐵道會計法の一部を次のやうに改正する。
第二條第二項中「及用品資金補足の豫算定額以内」を「、用品資金補足及出資拂込金を支辨するに必要なる金額を限度」に改める。
第九條 國有財産法の一部を次のやうに改正する。
第二十九條の二を第二十九條の三とする。
第二十九條の二 政府は第二十六條第一項の規定に拘らす同項の規定に依り帝國議會に報告すへき昭和十九年度の國有財産増減總計算書の調製を省略し同年度及昭和二十年度を通して國有財産増減總計算書を調製し會計檢査院の檢査を經て之を帝國議會に報告すへし
第十條 昭和二十年法律第十九號の一部を次のやうに改正する。
第二條第一項中「臨時軍事費特別會計への繰入金(昭和十三年法律第二十二號に依るものを除く)」を「一般會計への繰入金」に改める。
附 則
第十一條 この法律は、公布の日から、これを施行する。
第一條、第三條、第四條及び第七條の規定は、昭和二十一年度から、これを適用する。
第十二條 政府出資、營繕用品資金、陸軍造兵廠、陸軍製絨廠、海軍工廠資金、海軍火藥廠、海軍燃料廠、朝鮮總督府、朝鮮鐵道用品資金、朝鮮簡易生命保險及郵便年金、朝鮮食糧管理、臺灣總督府、臺灣食糧管理、臺灣事業用品資金、樺太廳、關東局及び南洋廳の各特別會計の昭和十九年度分の歳入歳出の決算竝びに昭和二十年度分の歳入歳出の出納及び決算等については、舊法は、この法律施行後においても、なをその效力を有する。
第十三條 政府出資、營繕用品資金、陸軍造兵廠、陸軍製絨廠、海軍工廠資金、海軍火藥廠及び海軍燃料廠の各特別會計廢止の際にこれらの特別會計に屬する決算上の剩餘若しくは不足、資本若しくは資金又は權利義務は、これを一般會計に歸屬せしめる。
第十四條 朝鮮總督府、朝鮮鐵道用品資金、朝鮮簡易生命保險及び郵便年金、朝鮮食糧管理、臺灣總督府、臺灣食糧管理、臺灣事業用品資金、樺太廳、關東局及び南洋廳の各特別會計の廢止に關して必要とする規定は、勅令でこれを定める。
第十五條 前條に規定する各特別會計の昭和十九年度又は同二十年度の歳入歳出の決算の會計檢査院への送付及び帝國議會への提出は、これを當分の間延期することができる。
━━━━━━━━━━━━━
〔政府委員上塚司君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=9
-
010・上塚司
○政府委員(上塚司君) 只今議題となりました政府出資特別會計法外二十一法令の廢止等に關する法律案に付きまして、其の理由を御説明申上げます、先づ特別會計法の廢止及び之に關連する諸法令の廢止に付てでありまするが、終戰に伴ひまして、其の存置の必要を失ふに至りました舊陸海軍關係の陸軍造兵廠、陸軍製絨廠、海軍工廠資金、海軍火藥廠、海軍燃料廠の五特別會計及び朝鮮總督府、臺灣總督府、樺太廳、關東局、南洋廳等の十地域特別會計を廢止致しますると共に、此の際會計制度を簡明ならしめる爲、比較的存置の理由を失ふに至りました、政府出資及び營繕用品資金の兩特別會計を廢止致さむとするものであります、尚是等の特別會計法の廢止に伴ひまして、大正十二年法律第七號、東京砲兵工廠及び大阪砲兵工廠の各特別會計の合併に關する法律外七法律も、此の際整理するのを適當と存じまして、併せて廢止せむとするものであります、次に特別會計法の一部改正に付てでありますが、其の一は、前述の特別會計の廢止に關連致しまして、作業會計法、厚生保險及び簡易生命保險及び郵便年金の各特別會計法の一部を改正せむとするものであります、其の二は、特別會計の運營を圓滑にする爲の地方分與税分與金、食糧管理、通信事業及び帝國鐵道の各特別會計法の一部を改正せむとするものでありまして、其の主なる點は、食糧管理特別會計に於ける決算上の損失に關する措置、通信事業及び帝國鐵道會計に於ける公債支辨經費の範圍の擴張を行はむとするものであります、次に國有財産法の一部改正でありまするが、國有財産法第二十六條の規定に依りますると、政府は、毎會計年度の國有財産増減總計算書を調製して、會計檢査院の檢査を經て、之を帝國議會に報告することと相成つて居るのでありまするが、昭和十九年度分に付きましては、戰災等に依りまして、國有財産の増減の計算が、著しく困難でありますのみならず、其の増減の年度區分が明瞭でありませぬ等の關係上、昭和十九年度分の國有財産増減總計算書は、其の調製を省略して、昭和十九年度と同二十年度分とを通じて、調製し得ることと致さむとするものであります、最後に「昭和二十年法律第十九號地方鐵道及軌道に於ける納付金等に關する法律」の、一部改正に付てでありまするが、同法に依りますると、地方鐵道及び軌道の納付金は、帝國鐵道會計資本勘定所屬の特別の資金として經理致しまして、其の一部は臨時軍事費特別會計への繰入金に、充用致して參つたのでありまするが、臨時軍事費特別會計が過般廢止せられましたに伴ひまして、前述の納付金は之を一般會計の繰入金に充用するのを適當と認めまして、所要の改正を行はむとするものであります、何卒御審議の上速かに御協贊あらむことを御願ひ申します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=10
-
011・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました「政府出資特別會計法外二十一法令の廢止等に關する法律案」は、「會計法戰時特例廢止等に關する法律案」の特別委員に併託せられむことの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=11
-
012・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=12
-
013・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=13
-
014・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=14
-
015・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第二、辯護士及び辯護士試補の資格の特例に關する法律案、政府提出、第一讀會の續、委員長報告、委員長高木子爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=15
-
016・会議録情報4
━━━━━━━━━━━━━
辯護士及び辯護士試補の資格の特例に關する法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月二十七日
委員長 子爵高木正得
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
〔子爵高木正得君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=16
-
017・高木正得
○子爵高木正得君 只今議題と相成りました辯護士及び辯護士試補の資格の特例に關する法律案の委員會に於ける審議の經過竝に結果を御報告致します、本法案は去る七月二十五日の本會議に上程せられ、罹災都市借地借家臨時處理法案特別委員會に併託せられました、委員會は七月二十五日開會、本法案を議題とし審議に入りました、先づ司法大臣より提案の理由の説明がありましたが、簡單に其の概要を申上げますと、終戰に伴ふ引揚者であつて、從來朝鮮に於ける司法の協力者として朝鮮辯護士令に依り辯護士たる資格を有する者及び朝鮮辯護士試補たる資格を有する者に對し辯護士法に依る辯護士又は辯護士試補たるの途を開かむとするものであります、即ち第一條及び第二條に於ては簡單に其の趣旨に依る規定を致してあります、第三條に於きましては恩赦、大赦に依る復權漏れの者に對し人權の保障の萬全を期する爲之を明文化したものであります、最後の第四條に於ては前三條は辯護士及び辯護士試補の資格に關する特例を爲すものでありますので、濫りに之を擴張することは辯護士の品位の保持の點より考へましても最も考慮を要する問題でありまするが故に、終戰に伴ふ引揚者の救濟援護の爲、是等引揚者に限り此の特例を認めたことを明かにしたものでございます、次いで質疑に入りまして二三の委員から熱心な御質疑がありました、是より其の主なるものを御紹介致したいと思ひます、一委員より、朝鮮以外の地、即ち臺灣、中國、滿州、關東州、蒙疆又は南方に於きまして多數の司法官及び辯護士が活躍して居りましたが、是等の者は復員しましてからどう云ふ状態にあつたかとの質疑に對しましては、外地より引揚げた司法官に付ては内地の判檢事に就職した者が多分にあり、書記等も亦同樣である、是等の人達を出來るだけ任用致したいと云ふ方針で現在實行中であります、又辯護士に付ては是等の地方で辯護士をして居る人は矢張り内地に於ても辯護士たる資格を持つて居るので、内地に於ても何等差支ない、從つて本法案より是等の者は除外したと、斯う云ふ答辯でございました、次に朝鮮辯護士が内地に於ける辯護士になると辯護士の過剩を來しはしないかとの御質疑がございましたが、之に付ては僅かの人數であるので、現在日本で働いて居る辯護士の方々にも御迷惑も掛からぬし、又朝鮮で辯護士を開いて居つた方々が内地で以て辯護士を爲さるのにも大した支障はないものと考へると云ふ御答辯がありました、辯護士法を改正するの意向がありやと云ふ御質疑に對しましては、憲法改正案が實施の曉には、有らゆる方面から司法部面を見た上で、此の法制の改革が行はれなければなりませぬので、目下司法法制審議會で審議中でありますので、別に此の際具體的案も持合せもないが、將來此の審議會に於て審議されたものが當然出て來るだらうと云ふ御答辯でありました、次の第一條の辯護士審査委員會に關しては、元來大臣の諮問機關であつて、銓衡機關ではないのが、今囘銓衡機關になると云ふ點に付ての御議論がありましたが、之に付ては政府は、現行辯護士法の第十三條を修正するの必要があるのではないかと云ふやうな研究をしたのでありますが、能く考へて見ますると、現行辯護士法の第十三條に依つて確かに審査委員會と云ふものが設けられることになつて居りまするので、現在の審査委員會は第十三條の目的のみを有する審査委員會でありますが、今般提出致しました法律案に依つて、此の法案が通過致しますれば、其の限りに於て現行辯護士法が修正されることになりますので、此の法案第一條に依り新たに審査委員會の目的が追加せられることになりますので、別に現行法第十三條を訂正しないでも、此の特例に依つて審査委員會の目的が當然附加されることになると云ふ風に解釋が出來ると思ひますとの答辯がありました、又辯護士審査委員會官制第一條に關して權限を官制に書くに付ては法律の委任がなくてはならぬ、即ち法律に依つて勅令に委ねると云ふ基本があつて初めて權限の擴張が出來るのであつて、唯此の官制を改正するだけでは勅令を以て法律を改めると云ふことは出來ない、法律的の權限を書かなければいかぬのぢやないかと思ふがどうかと、斯う云ふ御質疑に對しましては、本法に依つて審査委員會の權限が第一條に依つて追加せられ、其の法律に依つて權限が附與された審査委員會、其の審査委員會の機構及び職務等に付ては辯護士法第十四條に依つて勅令を以て之を定めれば其の連絡が十分付くのではないかと云ふ御答がありました、又第一條に「朝鮮辯護士令により辯護士たる資格を有する者」の中には朝鮮に於ける判檢事たりし者を包含して居るのですが、其の人達は多くの場合に於て内地に於ける辯護士たる資格を持つて居るのではないかと思ふ、當然資格を持つて居る者を銓衡すると云ふやうな結果になるがどうかと云ふ御質問に對しましては、全部含むことになるのでありますが、本法に於て救濟される中には入つて居りませぬ、除外されるものと思ふ、それはどうかと申しますと、「同法第二條第一項第二號の規定にかかはらず」と云ふ此の文字に依つて第二條第一項第二號の規定にある即ち内地の辯護士たる資格のある者は本法から當然除外されることになると云ふ御答辯でございました、第二條に付きましては、一委員より、五十一條の規定に依らない普通の朝鮮辯護士試補に付ては此の第二條の適用はないと思ふがどうかと云ふ御質問に對しましては、朝鮮辯護士試補は朝鮮辯護士令制定後は總て内地の辯護士法に依つて辯護士試補たる資格を有して居るので、第二條に於ては特に救濟規定を設けなかつたと云ふ御答辯でございました、次に第三條に付きましては、或一委員から、種々疑問の點があるが、と云ふ前提の下に、「拘禁され」「その理由によつては、前二條の場合において」「懲戒により免官、免職、除名若しくは業務禁止の處分を受け、又は退會の處分を受けた者」等に付きまして疑義を質されましたが、それに付きまして政府當局は、第三條のやうな規定は從來斯樣な分り切つたやうな規定を丁寧過ぎる程規定すると云ふことは例がありませぬが、目下新たになる情勢に即應しまして、斯樣な特別な規定を設けたもので、一口に申上げれば政治犯に依つて曾つて拘禁せられた、或は有罪の言渡を受けた者などが内地の辯護士の資格、或は辯護士試補たる資格を得るに付て何等不利益を蒙むらない、不利な取扱を受けないと云ふ趣旨で規定されたものであつて、大體政治犯は昨年十月十七日の恩赦令又昨年末の政治犯人の資格囘復に關する特別の勅令の公布に依りまして、復權した者でありますが、觀念上まだ復權しない者が幾らか殘り得る餘地を發見致しましたので、此の規定を致したのであると云ふ御答辯でありました、特に司法大臣は、誠に此の規定は絶無の場合を豫想された規定であるが、多分に政治的考慮を拂つた規定であると云ふことをご承知願ひたいと云ふ御發言がありました、一委員より、此の第三條は此の範圍、此の種類の罪ありとして刑を受けた者、是は如何に其の刑が重く、又其の質が惡くとも、總て例外なしに當然此の適用を受くる趣旨と思ふがどうか、斯う云ふ質疑に對しましては、銓衡に際して政治犯を犯したと云ふことに依つては不利な取扱を受けないと云ふ保障は與へられるのでありますが、學術が十分でないとか、辯護士としての業務を執る資格が無いと云ふことが若し認定されますれば、其の能力の方面に於て、場合に依つては銓衡を漏れると云ふことがあるかも存じませぬ、又刑事犯を伴ふ政治犯があつたとすれば、勿論第三條の適用は出來ないことになるとの御答辯がございました、又辯護士會は大體一地方裁判所、一辯護士會を以て普通として居るのに、東京だけは三辯護士會がある、之を一辯護士會に統合する意思なきやとの質疑に對しましては、種々の事情の下に分離したのであるが、現在情勢も變つて居るが故に、現在司法法制審議會で目下此の案は研究中であるから、是非の論は此の際避けたいとの司法大臣の御答辯がございました、又一委員より、恩赦大赦に關聯しまして、前科者に對し、或は五年或は七年無事經過した者は當然復權をさせると云ふやうな措置を執つたらどうか、過去に於て前科者名簿が如何に多くの人を泣かせ、其の家族を苦しめて來たかを考へると、何とか英斷して欲しいと、斯う云ふ質疑に對しましては、司法大臣は、前科者名簿の取扱に付ては今非常に考慮して居るので、或點迄は御希望に副ふことになると思ひますとの答辯でありました、大體質疑應答の重大なものは只今申上げましたが、後は速記録に讓りまして、次に質疑も終りましたので、討論に入りました處、どなたも御發言がなく、次に採決に入りました處、全會一致を以て辯護士及び辯護士試補の資格の特例に關する法律案は可決すべきものと議決致しました、之にて報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=17
-
018・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ、本案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=18
-
019・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=19
-
020・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=20
-
021・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=21
-
022・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=22
-
023・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=23
-
024・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀會を開きます、御異議がなければ、全部を問題に供します、本案全部、委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=24
-
025・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=25
-
026・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=26
-
027・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=27
-
028・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=28
-
029・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=29
-
030・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部、第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=30
-
031・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=31
-
032・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第三、郵便貯金法等の一部を改正する法律案、政府提出、第一讀會の續、委員長報告、委員長齋藤子爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=32
-
033・会議録情報5
━━━━━━━━━━━━━
郵便貯金法等の一部を改正する法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月三十日
委員長 子爵齋藤齊
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
〔子爵齋藤齊君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=33
-
034・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 只今議題となりました「郵便貯金法等の一部を改正する法律案」の特別委員會の經過竝に結果を御報告致します、本委員會は去る二十五日より、昨三十日に亙り委員會を開催すること四囘、愼重審議の結果、本法案は全會一致を以て可決すべきものと決定を致したのであります、只今より簡單に特別委員會に於ける質疑應答の概要を御報告致します、尚詳細は速記録に讓ります、委員會に於きましては、先づ政府より本法提案の理由に付詳細説明がありましたが、既に本會議に於て遞信大臣より説明がありましたので之を省略致します、續いて質疑に移りましたが、本法案は郵便貯金法、簡易生命保險法及び郵便年金法の三つの法律に對する改正法律案でありますので、質疑も大體此の三者に區別して行はれました、郵便貯金法に於きましては、現行の最高預入制限額五千圓を一萬圓に引上げる案に對しまして、現在の社會經濟情勢、新圓吸收對策及び國家貯金機關に對する信頼性等に鑑みて、最高一萬圓は少きに過ぎる、之を數萬圓に引上げるか、若しくは最高制限を撤廢してはどうかとの意見が極めて有力に行はれました、政府は之に對し、民間銀行に對する壓迫と大藏省の意嚮を參酌し、且又部内に於ける事務組織の現況より見て一萬圓を至當とすると云ふのでありました、併しながら將來に於ては貯金の最高制限額の引上に關し尚研究を進めたいと云ふ意嚮を表明して居りました、新圓後の郵便貯金の状況に付説明を求めましたが、郵便貯金預入額の最高に達しましたのは、去る三月二日に行はれました金融非常措置、即ち舊圓、新圓切換當時でありまして、其の金額は五百四十六億圓に上つたのでありまするが、其の後徐々に減少して、現在では五百十三億圓となつて居り、其の減少の最も甚だしかつたのは五月中で、一日約七千萬圓であつたが、現在は一日二千萬圓程度に減少して居る旨の説明がありました、政府に於て保管して居る貯金原簿がなくなつた場合には、全然貯金の拂戻が出來ないことになるのではないかと云ふ質問に對しては、此の原簿は全國二十八の貯金支局に於て保管して居る處、其の内十六支局が戰災に罹り燒失したのであるが、燒失原簿の數は約五千萬で、是は原簿の總數二億の内、約二十五「パーセント」に相當するのであるが、之が復舊に付ては鋭意努力して居り、來年中には完成したいと言つて居ります、尚原簿の複本は豫てより疎開してあつたので、之が復舊に付ては大體に於て支障を來すことはないと申して居ります、貯金の拂戻を圓滑ならしむる爲に郵便局に原簿を置いてはどうかとの質問に對しては、政府は、此の點に付古くより色々研究を續けて來たが、事務繁雜となる爲、現行の如く補助的帳簿を備へ付ける方式を以て建前として居るも、尚新しい觀點より檢討を加へ最善の方法を採る旨答辯がありました、現在の貯金通帳の形式は縱書で、而も貯金殘高がない爲極めて不便であるから、之を改正する意思はないかと云ふ質問に對しては、現在のは極めて古い形式なので之を横書にし且現在高が分るやうに改めるべく目下研究中である、又郵便貯金は全額を引出すことが出來ないのかと云ふ質問に對しては、現在でも請求があれば全額拂をすることになつて居る旨の答辯がありました、尚最近通信業務に關して遲配遲達の多い點を指摘し、之に對して當局の所見を求めましたる處、當局は、從業員の生活を安定せしめると共に、迅速正確且深切を「モットー」とし、有らゆる惡條件を克服して、遞信省從來の信用を囘復することに全力を擧げる旨の答辯がありました、而して速達の遲配、至急電報の遲達に對して料金を返還すべきではないかとの質問に對しましては、當局は、過失に因り速達の取扱をなさなかつた場合、又は普通郵便より遲れたと云ふ場合には、郵便規則上速達料を拂戻すことになつて居り、又電報に於ても同種の規定があるのであるから、之を民衆に周知せしめることにしたいと言つて居りました、次に簡易生命保險法に關する質疑に付きましては、先づ今囘簡易生命保險事業の政府獨占を廢止することの理由に關しては、獨占を廢止するも、今日に於ては、此の事業創始當時懸念された如き弊害を惹起し、加入者に迷惑を及すと云つた危險のないこと、又若し保險金を五千圓に引上げ獨占の規定を其の儘に致して置きますれば、五千圓以下の民間保險の新規契約が出來なくなると云ふので、民間業者の要請にも應へ、之を廢止することにしたと言つて居ります、又最高制限を二千圓より五千圓に引上げる時は、民間保險を壓迫するのではないかと云ふ質疑に對し、遞信省及び民間保險監督官廳たる大藏省は、昭和二十年會計年度に於ける民間保險の新契約一件平均保險金額は八千四百六十一圓となつて居り、最近の新契約は漸次大口のものに傾きつつあるので、簡易保險五千圓の引上げは民間保險に影響はないものと認める旨の答辯がありました、今囘小兒保險も生後直ちに、五千圓迄契約し得ることに相成つたのでありますが、被保險者が六歳未滿にて死亡した場合の保險金は、勅令の定むる所に依り支拂はれることになつて居りますが、此の點に關する質問に對しては、政府は三歳未滿にて死亡した時は契約保險金額の百分の三十、六歳未滿にて死亡した時は百分の六十を支拂ふと云ふことであります、簡易保險に於きましては、加入の際、被保險者の身體檢査を行はないことになつて居るので、弱體者が加入することに依り、事業の經營を危くすることなしと言へないのでありますから、契約後最初の一年半は保險金を削減することに相成つて居りますが、此の期間を二年に延長する點に付きまして其の理由を質しました處、以前は相當の剩餘金があつたので、何等事業經營に支障なかつたのであるが、今囘保險金を増額する場合には、相當弱體者が無診査と云ふ隙を狙つて入る危險もあるので、之を昔の如く二年に延長することにしたと云ふことであります、保險契約者が貸付金の辨濟をしない場合の規定に付質しました處、貸付期間滿了後四年を經過したものに付保險金の減額を爲す旨の答辯がありました、簡易生命保險法第二十八條の二の所謂命令とは何かとの質疑に對し、是は勅令及び省令を意味するものでありまして、是等の勅令及び省令の中には、保險料計算の基礎解約還付金計算等に關し重要なる規定を含んで居るのでありますが、差向き政府に於きましては、保險會社の契約者利益配當に相當する長期繼續契約に對する還付金制度の一部又は全部を廢止せむとする心組を持つて居り、同條に所謂簡易生命保險及び郵便年金事業委員會の組織及び權限に付ては、先づ其の權限として本條及び之と同趣旨の郵便年金法第二十二條の二に規定する事項、簡易生命保險及び郵便年金の積立金運用に關する事項、其の他重要なる事項を付議するものとし、委員會は官廳側、學識經驗者及び保險年金加入者の代表者を以て構成する旨の答辯がありました、次に郵便年金法に關する質疑に付きましては、年金受取人又は年金繼續受取人が死亡した場合に於て、其の者が支拂ひを受くべき年金にして、未だ支拂ひを受けない者は、勅令の定むる所に依り、その遺族に支拂はれることに相成つて居りまするが、其の遺族の範圍及び順位は大體現行の繼續受取人のそれに依る旨の答辯がありました、郵便年金法第二十二條の二の規定は、曩に申述べました簡易生命保險法第二十八條の二の規定と同趣旨のものであります、郵便年金に關し此の規定を差向き適用するのは、定期年金に對する利益配當たる滿期返還金制度の一部、又は全部の廢止である旨の政府の答辯がありました、此の法案の施行期日は郵便貯金に付ては法律公布の日より、簡易生命保險法及び郵便年金法は大體十月一日より之を施行する旨の答辯がありました、次に簡易生命保險事業經營の現況に付質しましたる處、此の事業は昭和十二年以來時局の影響を受け急激なる膨脹を續け、十九年度迄は收支均衡を保つて來たのであるが、二十年度後半に於て從事員の待遇改善に伴ひ、約二千萬圓程度の缺損を見るに至り、更に二十一年度では二億七千百萬圓程度の事業費を計上することと相成り、之が財源に付ては色々考慮の結果、略略收支を保つ見込であると云つて居ります、尚巷間傳へるが如き軍需補償打切と、在外資金の凍結に關連して、此の積立金及び事業經營に如何なる影響がありやに付て質しましたる處若し補償打切となるものとすれば、其の額は保險年金併せて約三億二千萬圓程度であり、在外資産は約五億三千四百萬圓であるとのことでありまして、假令是等が打切られ、又は凍結せられても、長期還付金の財源として約八億圓程度の積立金があるから、之を右の缺損の穴埋とすれば、事業經營上さして惡影響はないのであつて、之に依り契約保險金額等を切下げることはないと云つて居ります、次に簡易生命保險及び郵便年金特別會計上缺損を生じた場合嘗ては一般會計より補填を仰ぎ得る旨の規定があつたが、其の後之を削除した理由竝に今後缺損の生じた場合如何に措置するかとの質疑に對し、政府は事業創始當時は此の事業の經營が困難であらうとの見込で、斯かる場合一般會計より缺損を補填し得る旨の規定を設けたのであるが、其の後事業の好轉するに伴ひ、之を不要なものとして昭和十九年に至り削除したものと考へられる、併し此の事業は何處迄も庶民階級を保護することを目途とするものであるから、若し事業經理上缺損を生じた時には、法律を改正して一般會計より補助を仰ぎ得るやうにする考である、從つて事業經營上缺損を生ずるに至つた場合、長期還付金制度の改廢の如きは加入者の負擔に於て之を忍んで貰ふとしても、それ以上の負擔を掛けるべきではない、詰り保險金の削減等の如きは之を行ふべきではないのであつて、左樣な事態に立至れば、從前の如く保險年金特別會計法を改正して一般會計より補助を受くるの途を拓きたい所存である旨の答辯がありました、尚右の補償打切及び在外資産の凍結より生ずる影響に關連して大藏當局は民間保險に於ても保險金の小額なものに付十分の保護を與へるのは當然なことであると申して居ります、簡易保險は獨立の事業であつて、本質的には民間の生命保險と何等異らないもので、是は完全に獨立した經營體に於て經營されなければならないのであるが、遞信省が現在保險とは全く性格の異る貯金事業と同一の機構の下に之を運營して居ることは不適當ではないかとの質疑に對し、保險年金事業は現在に於ては厖大なものであり、且其の經營には高度の知識と技術とを要するから、特別會計となつて居る保險年金事業は貯金事業とは別個の機構の下に經營するのを至當とする、從つて保險年金事業を司掌する獨立の局を遞信省の外局とすべきものと考へて居る旨の答辯がありました、尚此の事業は加入者の相互扶助の精神に立脚して經營されるものでありまして、政府は唯其の仲立をするに過ぎないのであり、政府それ自體の爲に經營する事業ではなく、政府の都合に依り勝手に本事業の經營の首腦部のみを切離して、從來の如く之を厚生省に移管し、再び遞信省に戻したりするが如き點に付質しました處、政府は此の事業は飽く迄も加入者の相互扶助の施設であり、郵便局を利用することに依り、今日の發展を爲したものであるから、此の機關を母體として堅實なる運營を圖ることは、加入者の利益を擁護することとも相成るとの答辯があり、今後斯かる機構の改變は之を行はないことに努力致したい旨申述べました、以上の如き質疑應答の後に於きまして、討論に入りましたる處、一委員より、贊成の意見開陳があり、採決を致しましたる處、全委員が贊意を表せられまして、委員會では可決確定致すべきものと決定致したのであります、以上を以ちまして、報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=34
-
035・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ、本案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=35
-
036・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=36
-
037・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=37
-
038・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=38
-
039・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=39
-
040・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=40
-
041・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀會を開きます、御異議がなければ全部を問題に供します、本案全部委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=41
-
042・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=42
-
043・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=43
-
044・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=44
-
045・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=45
-
046・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=46
-
047・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=47
-
048・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=48
-
049・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第四、會計法戰時特例廢止等に關する法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會の續、委員長報告、委員長古市男爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=49
-
050・会議録情報6
━━━━━━━━━━━━━
會計法戰時特例廢止等に關する法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年七月二十九日
委員長 男爵古市六三
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
〔男爵古市六三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=50
-
051・古市六三
○男爵古市六三君 只今上程に相成りました會計法戰時特例廢止等に關する法律案特別委員會の審議の經過竝に結果に付て御報告を申上げます、本委員會は去る七月二十六日に第一囘を、七月二十九日に第二囘を開きました、先づ最初に大藏大臣より提案の御説明を伺ひました、即ち本案は戰時中の必要に應じ會計法に特例を開き、戰局の推移に應じて其の範圍を擴張し、終戰に伴ひ此の法律中にある「大東亞戰爭」とありますのを「今次の戰爭」と改め、現在過渡的に其の一部を實際に適用中であるのでありまするが、終戰後の今日に於ては其の制定の理由及び性質上速かに之を廢止するのが適當であるのと、同時に今後の經濟事情及び社會事情等を考へて、此の法律中で將來存置し、適用するを適當と認めたる第一條の前金拂及び概算拂の規定、第六條の豫算外契約に關する規定、第十條の補助費の事故繰越の規定、是だけを存置して、尚過渡的措置を講ずる必要若干あるので、廢止法律の附則に之に關する規定を設けたのでありますることは、既に本議場に於て大藏大臣より御説明がありました所で、御承知の通りであります、是より質疑應答に付御紹介を申上げます、一委員より、三月二日を基準に財産税の大部分が徴收せられるが、此の預金中には戰時中にあぶく錢で儲けたるものや、多年努力に依り勤儉貯蓄して得たものがあつて、其の區別はなかなか困難とは思ふが、新圓の發行は現在既に四百五六十億圓に達し、物價の變動に依り暴利を貪つて居る所謂新圓獲得者があるので、之を所得税にて取ることは困難なことであり、尚多額を朝鮮、臺灣、中國人が持つて居ると云ふから、之を放任すれば負擔の均衡が破れ、不公平になり、今後社會問題化する危險があると思はれるが如何との質問に對しまして、大藏大臣は、財産税の徴收が議會が遲れたりして遲延して居るので、若干手違ひがありますが、三月二日に依るのが技術的にも已むを得ませぬことであります、經濟上の色々の動機で一部に大なる利得者もありまするが、別個に所得税等に依り徴收するより外方法がありませぬ、大藏省は税務署等の機構をも充實し、缺點を除き、正確な課税をするやうにしたいと考へて居ります、經濟界の整理を行ひ、退藏の通貨は銀行預金、郵便貯金等に成るべく早く取戻すやうにする考であるとの御答辯がありました、更に同委員は、退藏された巨額の新圓はどうしても一度金融機關に受入れて、之を事業資金として中小企業者に注入する必要があるとのことに對しまして、大臣は、必要な事業方面には十分資金を注入する考であるとの御答辯がありました、尚同委員は、新圓は期限を定め金融機關で全部「スタンプ」を捺す方法を執れば、證紙に對する前囘の新圓交換時に起つたやうな失敗もなく、新圓の所在が一應判明すると考へるが如何との問に對しまして、「スタンプ」することを必ずしも最良の方法とは考へて居らぬが、此の方法に付ては大藏省に於て目下手拔かりなく研究中で、早晩公平なる處置を執る考であるとのことでありました、重ねて同委員は、大臣は日本の經濟界の將來をどう御考へになるか、現在預金の封鎖、新圓の偏在に依り、中小企業者は事業資金に惱み拔いて居る、而も中國人、朝鮮人などが此の間にあつて三割餘に及ぶ高利を以て新圓を貸付けて居る、近い將來は必ず是等外國人は其の財力を以て日本人を手先とし、日本の中小企業を危殆に陷れるであらう、大臣は速かに樂觀主義を捨てられたいとのことに對しまして、部分的には御話の如き中國人等の事實も存じて居るが、大局には敢て悲觀的でない、今後日本の權利を十分明確にし、取締強化に依つて彼等の不當の活動を抑止出來る自信がある、新圓封鎖の區別は適當なる事前工作を俟つて成るべく早く廢止をする、尚中國人等は日本工業方面に進出することは絶對に不可能と考へるとのことでありました、最後に同委員は、此の儘放置すると、内地經濟も上海同樣、日本人の活動を許さぬやうな事態が現はれると思ふ、中國人等に新圓獲得の出來ぬやう今後金融機關に十分注意を與へられたいとの希望がありました、一委員より、會計法第二十一條但書を削るのであるが、何れ憲法改正に依り會計法全體に付自然根本的の改正があると思はれるが如何との問に對しまして、大藏大臣は、然り、會計法全體の改正に付法制局、大藏省で研究中とのことでありました、即ち本法律案はそれ迄の臨時處置と考へて宜いとのことであります、更に同委員は、二十一條の但書を削ると、今迄勅令を以てしても前金拂、概算拂を許さなかつたのが、勅令即ち會計規則か何かで是が出來ることになる、現行の會計法が勅令を以てしても前金拂、概算拂が出來ないやうにしてあるのは、色々弊害がある爲で、今囘勅令を以てやらせると、色々の製造工事に付それが出來上らなかつた時、或は損害賠償を追徴することも起り易くなるが、更に範圍を擴張する理由は何處にあるかと云ふことに對しまして、政府委員は、今次の戰爭に於て諸種の金融情勢から、工事が全部出來上る迄事業者の方の金融のみで賄はすと云ふことは無理があるので、會計法戰時特例で其の範圍を擴張したものを恆久的な立法中に織込むことにしたのでありまするが、是は主として災害復舊等の場合、一日も早く工事を完成せしめる必要があるのと、又最近の經濟界の實情は、契約と同時に何割かの契約代金を前渡しする商習慣があるので、政府のみが之をしない譯には行かないので、弊害の伴はないやう前金拂、概算拂の限度、或は相手方の信用、工事が完全に出來上ると云ふ見透しを付けて、大藏省は實行當局たる各省と協議をして、愼重にやるとの御答辯でありました、之に對して同委員は、物件の買入、工事等の前金拂、概算拂に付ては弊害がある故、何等か施行規則で餘程嚴格な制限が必要であらうと注意を加へられたのであります、次に同委員より、會計法第十一條の改正で、翌年度に亙る契約は國庫の負擔となるべき契約と云ふ風に改められるので、一項二項共改まると思ふが豫備金の方の關係はどうなるか、從來は災害等があり、其の復舊等に要する爲、翌年度に亙る契約をする場合に豫備金を使用して居り、唯其の年に出來るものでも、翌年度に亙る契約でないと出來ないので、強ひて年度内に出來るものを翌年度に亙る形を取つた場合もあるが、斯樣な點は是で除かれ、便宜を得られる、斯かるものは豫備金から支出はされないで、豫算に定めた範圍でやり、其の超える場合に初めて豫備金を以て支辨する考であるかとの質問に對しまして、政府委員は、立法の趣旨は、翌年度に亙る契約と云ふは、翌年度に於て支出を必要とする契約を今年度に於てすることが出來ると云ふのでありまして、唯事業の契約をする時、必ずしも年度の區分がはつきりしないのであつて、運用が窮屈であつた譯でありまするが、それで戰時特例改廢の機會に之を改めようと存じて居る次第で、兎に角取急ぎ全體の計畫を決めて契約をし、更に事業の進捗状況を見て今年出來上る仕事、今年度内に支出を要するものに付ては第二豫備金の支出をする、議會開會中ならば追加豫算の御承認を願ふと云ふ風にするやうに考へて居る、最近の實例は、會計法戰時特例第六條に依つて契約したものは二十年度三億四千萬圓で、主要なものは自家製鹽の施設、戰時中の疎開、地下防空施設等の補助で、議會の協贊を得た金額は三十億圓の巨額でありましたが、平時はそれ程ではなく、今衆議院の方に提出中の豫算案では五千萬圓程度でありますとのことであります、一委員より、本法律案の第二條で、恆久立法である會計法中に取入れられるものは三つありますが、終戰はしたが、戰時と同樣に終戰直後の目下必要なるが故に殘すのでありますか、或は會計法の根本的改正の根本理念の一部のものが此の改正の中に幾分反映して居るかと云ふ質問に對しまして、政府委員は、單純に終戰後の今日だけに適用すると云ふ風には考へて居りませぬ、新憲法の施行に伴ひまして、會計法も全面的に改正せられると思ひますが、此の趣旨のことは恐らく取入れられて參ると存じますとのことであります、尚新しい會計法は從來の會計法と全く離れて、新しい目で改正を考へて、法制調査會などの議題になつて參ると思はれます、即ち分り易い且責任の所在もはつきりするやうにすると云ふことに大體事務當局としては意見が落著いたと云ふことであります、其の他法文の書き方が體を成さない點、法文の解釋、法文の不備、法令の慣例等に付二三委員より突き込んで御質問がありましたが、政府委員より、懇切詳細の御答辯がありました、是等に付ては何卒速記録を御覽を願ひたいと存じます、尚政府委員は會計法は非常に重要な法律で、憲法附屬の法令と云ふ風に考へて居りまして、會計法を改正し、會計法に例外を設けるやうな場合には、普通の法律の制定の手續より愼重にして、樞密院に御諮詢に相成ると云ふことになつて居りますが、此の法律案も樞密院の御諮詢を得て提案せられたものでありますと附け加へられました、一委員より、戰時と云ふことに付ての御質問がありましたが、色々の規定で或は若干の解釋の相違があらうと思ひますが、此の會計法戰時特例に謂ふ「戰時」とか「戰爭終了」と云ふ風な言葉は、講和條約締結の時を以て押へるのが適當ではないかと考へるとの御答がありました、斯くて討論に入りましたが、別に御發言はなく、採決の結果全會一致を以て會計法戰時特例廢止等に關する法律案は可決すべきものと決定を致しました、以上を以て御報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=51
-
052・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ、本案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=52
-
053・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=53
-
054・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=54
-
055・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=55
-
056・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=56
-
057・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=57
-
058・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀會を開きます、御異議がなければ全部を問題に供します、本案全部、委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=58
-
059・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=59
-
060・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=60
-
061・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=61
-
062・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=62
-
063・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=63
-
064・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部、第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=64
-
065・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、次會の議事日程は決定次第彙報を以て御通知に及びます、本日は是にて散會致します
午前十一時十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X01519460731&spkNum=65
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。