1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十一年八月十六日(金曜日)午前十時十一分開議
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議事日程 第二十號
昭和二十一年八月十六日
午前十時開議
第一 所得税法の一部を改正する等の法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二 臨時租税措置法を改正する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 地方税及び地方分與税法の一部を改正する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 改定豫算に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
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001・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 一昨十四日諸橋襄君、寺尾博君、井上篤太郎君、石川一郎君、原田讓二君、重宗雄三君孰れも貴族院令第一條第四號に依り貴族院議員に任ぜられました、就きましては井上君を第一部に、原田君を第三部に、重宗君を第四部に、寺尾君、諸橋君を第五部に、石川君を第八部に各各編入致しました
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=1
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002・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 其の他諸般の報告は御異議がなければ朗讀を省略致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=2
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003・会議録情報2
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〔参照〕
一昨十四日可決したる左の政府提出案は即日裁可を奏請し又可決の旨を衆議院に通知せり
會社經理應急措置法案
金融機關經理應急措置法案
同日電氣事業法の一部を改正する法律案特別委員會に於て當選したる正副委員長の氏名左の如し
委員長 男爵 八代五郎造君
副委員長 子爵 柳澤光治君
同日委員長より豫算委員男爵中村貫之君を第一分科擔當委員に選定したる旨の報告書を提出せり
同日委員長より左の報告書を提出せり
請願文書表(第七囘報告)
昨十五日委員長より左の報告書を提出せり
改定豫算に關する法律案可決報告書同日衆議院より左の政府提出案を受領せり
所得税法の一部を改正する等の法律案
臨時租税措置法を改正する法律案
地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案
同日衆議院より本院の送付に係る左の政府提出案は同院に於て之を可決し奏上せる旨の通牒を受領せり
郵便貯金法等の一部を改正する法律案
同日内閣總理大臣より左の通第九十囘帝國議會政府委員仰付けられたる旨の通牒を受領せり
政府委員
物價廳次長 工藤昭四郎君
商工省所管事務政府委員
貿易廳長官 塚田公太君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=3
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004・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より本日の會議を開きます、去る九日正三位勳三等男爵小畑大太郎君薨去せられました、誠に哀悼の至りに堪へませぬ、就きましては弔辭を贈りたいと存じます、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=4
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005・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=5
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006・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 一昨十四日豫算委員伯爵橋本實斐君都合に依り委員辭任の申出がございました、許可を致すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=6
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007・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、就きましては第三部に於て其の補闕選擧を行はれむことを望みます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=7
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008・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 公爵鷹司信輔君、侯爵中山輔親君、子爵秋田重季君、子爵戸澤正己君、子爵西尾忠方君、犬塚勝太郎君、男爵今園國貞君、男爵高崎弓彦君、男爵周布兼道君、中村純九郎君、市來乙彦君、田所美治君、橋本辰二郎君、故議員男爵小畑大太郎君、故議員今井五介君は、本院議員として孰れも既に在職二十五年以上に達せられ、常に精勵恪勤克く議員たるの職責を盡されました、就きましては先例に依りまして、此の際院議を以て同君等多年の功勞を表彰致したいと存じます、尚表彰文案の起草は、之を議長に御委せを願ひたいと存じます、以上議長の發議に贊成の諸君の起立を願ひます
〔起立者多數〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=8
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009・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 表彰を受けられます方々を除きまして、全會一致と認めます、就きましては、議長の手許に於きまして起草致しました表彰文案を是より朗讀致して御諮りを致します
從二位勳三等公爵鷹司信輔君貴族院議員の任に在ること二十八年精勵恪勤力を憲政の濟美に效せり貴族院は君か積年の功勞を憶ひ茲に院議を以て之を表彰す
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正三位勳三等侯爵中山輔親君貴族院議員の任に在ること二十六年精勵恪勤力を憲政の濟美に效せり貴族院は君か積年の功勞を憶ひ茲に院議を以て之を表彰す
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正三位勳三等子爵秋田重季君貴族院議員の任に在ること二十七年精勵恪勤力を憲政の濟美に效せり貴族院は君か積年の功勞を憶ひ茲に院議を以て之を表彰す
…………………………………
正三位勳三等子爵戸澤正己君貴族院議員の任に在ること二十七年精勵恪勤力を憲政の濟美に效せり貴族院は君か積年の功勞を憶ひ茲に院議を以て之を表彰す
…………………………………
從三位勳三等子爵西尾忠方君貴族院議員の任に在ること二十八年精勵恪勤力を憲政の濟美に效せり貴族院は君か積年の功勞を憶ひ茲に院議を以て之を表彰す
…………………………………
正三位勳一等犬塚勝太郎君貴族院議員の任に在ること二十六年精勵恪勤力を憲政の濟美に效せり貴族院は君か積年の功勞を憶ひ茲に院議を以て之を表彰す
…………………………………
正三位勳三等男爵今園國貞君貴族院議員の任に在ること二十八年精勵恪勤力を憲政の濟美に效せり貴族院は君か積年の功勞を憶ひ茲に院議を以て之を表彰す
…………………………………
從三位勳三等男爵高崎弓彦君貴族院議員の任に在ること二十八年精勵恪勤力を憲政の濟美に效せり貴族院は君か積年の功勞を憶ひ茲に院議を以て之を表彰す
…………………………………
從三位勳三等男爵周布兼道君貴族院議員の任に在ること二十五年精勵恪勤力を憲政の濟美に效せり貴族院は君か積年の功勞を憶ひ茲に院議を以て之を表彰す
…………………………………
正四位勳二等中村純九郎君貴族院議員の任に在ること二十六年精勵恪勤力を憲政の濟美に效せり貴族院は君か積年の功勞を憶ひ茲に院議を以て之を表彰す
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正四位勳一等市來乙彦君貴族院議員の任に在ること二十八年精勵恪勤力を憲政の濟美に效せり貴族院は君か積年の功勞を憶ひ茲に院議を以て之を表彰す
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從四位勳一等田所美治君貴族院議員の任に在ること二十八年精勵恪勤力を憲政の濟美に效せり貴族院は君か積年の功勞を憶ひ茲に院議を以て之を表彰す
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勳二等橋本辰二郎君貴族院議員の任に在ること二十五年精勵恪勤力を憲政の濟美に效せり貴族院は君か積年の功勞を憶ひ茲に院議を以て之を表彰す
…………………………………
故正三位勳三等男爵小畑大太郎君貴族院議員の任に在ること三十年精勵恪勤力を憲政の濟美に效せり貴族院は君か積年の功勞を憶ひ茲に院議を以て之を表彰す
…………………………………
故正五位勳二等今井五介君貴族院議員の任に在ること二十七年精勵恪勤力を憲政の濟美に效せり貴族院は君か積年の功勞を憶ひ茲に院議を以て之を表彰す
只今朗讀致しました各表彰文案に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=9
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010・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、表彰文の贈呈方は議長に於て取計らひます、此の際鷹司公爵より發言を求められて居ります、鷹司公爵の登壇を願ひます
〔公爵鷹司信輔君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=10
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011・鷹司信輔
○公爵鷹司信輔君 只今私共に對しまして、特に院議を以ちまして御鄭重なる表彰を戴きましたることは、身に餘る光榮と存ずる次第でございます、誠に感謝の至りに堪へませぬ、私共は永く議席を汚しましても、微力にして何等功勞とてはなく、徒に長い歳月を送つたに過ぎないのでございますが、今日此の光榮に浴しましたことは、畢竟先輩同僚各位の御懇切なる御指導と御援助の賜でございまして、深く感謝致して居る次第でございます、茲に僭越ながら一同に代りまして、簡單ではございますが、深甚なる謝意を表する次第でございます(拍手起る)
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=11
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012・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第一、所得税法の一部を改正する等の法律案、日程第二、臨時租税措置法を改正する法律案、日程第三、地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、是等の三案を一括して議題と爲すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=12
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013・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、石橋大藏大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=13
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014・会議録情報3
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所得税法の一部を改正する等の法律案
右の政府提出案は本院において修正議決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十一年八月十五日
衆議院議長 樋貝詮三
貴族院議長 公爵 徳川家正殿
…………………………………
所得税法の一部を改正する等の法律案
第一條 所得税法の一部を次のやうに改正する。
第五條に次の一項を加へる。前項の重要物産の製造、採掘又は採取を業とする個人が其の設備を増設したるときは命令の定むる所に依り設備増設の年及其の翌年より三年間其の増設したる設備に依る物産の製造、採掘又は採取の業務より生ずる所得に付所得税を免除す
第十條第一項に次の一號を加へる。
第八 讓渡所得
不動産、不動産上の權利、船舶(製造中の船舶を含む)又は鑛業若は砂鑛業に關する權利若は設備の讓渡に因る所得但し甲種の事業所得に屬するものを除く
第十一條第一號を次のやうに改める。
一 削除
第十二條第一項第三號中「中法人より受くる利益若は利息の配當又は剩餘金の分配は前年三月一日より其の年二月末日迄の、其の他」を削り、同項に次の一號を加へる。
十一 讓渡所得は不動産、不動産上の權利、船舶(製造中の船舶を含む)又は鑛業若は砂鑛業に關する權利若は設備の讓渡に因る前年中の總收入金額より取得價額、設備費、改良費及命令を以て定むる讓渡に關する經費を控除したる金額
同條第二項中「及臨時利得税」を削り、同條第三項及び第四項を削り、同條第八項を次のやうに改める。
不動産、不動産上の權利、船舶(製造中の船舶を含む)又は鑛業若は砂鑛業に關する權利若は設備にして命令を以て定むる日前に取得したるものに付ては命令を以て定むる價額に其の百分の五に相當する金額を加算したる金額を以て第一項第十一號の取得價額とし同日以後に爲したる設備又は改良に要したる費用のみを以て同號の設備費又は改良費とす
第一項第十一號及前項の規定の適用に付ては相續、贈與又は遺贈に因り取得したるものは相續人、受贈者又は受遺者が引續き之を有したるものと看做し讓渡後相續の開始ありたる場合に於ては被相續人の爲したる讓渡は之を相續人の爲したる讓渡と看做す
第一項及前二項に定むるものの外讓渡所得の計算に關し必要なる事項は命令を以て之を定む
第二十條の三 讓渡所得に付ては其の所得より五千圓を控除す
第二十一條第一項を次のやうに改める。
分類所得税は左の税率に依り之を賦課す
第一 不動産所得 百分の三十
第二 配當利子所得
百分の三十
第三 事業所得
甲種及乙種 百分の二十五
丙種 百分の二十
第四 勤勞所得 百分の二十
第五 山林の所得
所得金額を左の各級に區分し遞次に各税率を適用す
六千圓以下の金額
百分の二十
六千圓を超ゆる金額
百分の二十五
一萬圓を超ゆる金額
百分の三十
二萬圓を超ゆる金額
百分の四十
四萬圓を超ゆる金額
百分の五十五
十萬圓を超ゆる金額
百分の七十
第六 退職所得
所得金額を支拂者の異る毎に左の各級に區分し遞次に各税率を適用す
三萬圓以下の金額
百分の二十
三萬圓を超ゆる金額
百分の三十五
十萬圓を超ゆる金額
百分の五十
三十萬圓を超ゆる金額
百分の六十五
第七 清算取引所得
所得金額を左の各級に區分し遞次に各税率を適用す
一萬圓以下の金額
百分の十
一萬圓を超ゆる金額
百分の二十
五萬圓を超ゆる金額
百分の四十
第八 讓渡所得
所得金額を左の各級に區分し遞次に各税率を適用す
十萬圓以下の金額
百分の三十
十萬圓を超ゆる金額
百分の五十
三十萬圓を超ゆる金額
百分の七十
同條第二項中「百分の二十三は之を百分の二十一」を「百分の三十は之を百分の二十五」に改め、同條第三項乃至第五項を削り、同條第六項中「百分の二十一は之を百分の十八」を「百分の二十五は之を百分の二十」に改め、同條第七項中「第一項、第二項又は前項」を「前三項」に改める。
第二十二條第一項を次のやうに改める。
第一條の規定に該當せざる個人又は本法施行地に本店若は主たる事務所を有せざる法人の甲種の配當利子所得に對する分類所得税は前條の規定に拘らず百分の四十の税率に依り之を賦課す
同條第二項中「百分の三十五」を「百分の三十」に改める。
第二十九條第一號中「第一號」を第二號に改め、同條第四號を削る。
第三十條第一項第二號及び第三號を次のやうに改める。
二 公債、社債及預金の利子竝に合同運用信託の利益は前年中の收入金額(無記名の公債及社債の利子に付ては支拂を受けたる金額)
三 削除
同項第五號を次のやうに改める。
五 法人より受くる利益若は利息の配當又は剩餘金の分配は前年中の收入金額(無記名株式の配當に付ては支拂を受けたる金額)より其の元本を得るに要したる負債の利子を控除したる金額但し第八條に規定する利益の配當若は剩餘金の分配又は積立金(法人税法第九條及特別法人税法第九條の二に規定する積立金を謂ふ)を以て爲したる利益の配當若は剩餘金の分配にして株式の拂込若は出資に充てられたるものに件ては前年中の收入金額より其の十分の四に相當する金額を控除したる金額
同條第二項中「及臨時利得税」を削り、同條第三項及び第四項を削り、同條第五項中「第一號乃至第五號」を「第一號、第二號、第四號及第五號」に改め、同條第七項を削る。
第三十三條 綜合所得税は總所得金額を左の各級に區分し遞次に各税率を適用して之を賦課す
一萬圓を超ゆる金額
百分の三十五
一萬五千圓を超ゆる金額
百分の四十
二萬圓を超ゆる金額
百分の四十五
三萬圓を超ゆる金額
百分の五十
五萬圓を超ゆる金額
百分の五十五
十萬圓を超ゆる金額
百分の六十
二十萬圓を超ゆる金額
百分の六十四
三十萬圓を超ゆる金額
百分の六十七
前項の場合に於て戸主及其の同居家族の總所得金額は之を合算し其の總額に對し税率を適用して算出したる金額を各其の總所得金額に按分して各其の税額を定む戸主と別居する二人以上の同居家族の總所得金額に付亦同じ
第三十四條第一項中「若は乙種の退職所得」を「、乙種の退職所得若は讓渡所得」に改め、但書を削り、同條第二項を削り、同條第三項中「第一項」を「前項」に改める。
第三十六條第一項中「及乙種の退職所得」を「、乙種の退職所得及讓渡所得」に改める。
第六十九條第二項第一號中「高等官」を「所屬の一級又は二級の官吏」に改める。
第七十二條第二項中「百分の十八」を「百分の二十」に改める。
第七十三條第一項中「及乙種の退職所得」を「、乙種の退職所得及讓渡所得」に改める。
第七十六條の二を削る。
第八十四條第一項中「及乙種の退職所得」を「、乙種の退職所得及讓渡所得」に改める。
第百六條第一項中「百分の三十」を「百分の四十五」に改める。
第二條 法人税法の一部を次のやうに改正する。
第三條 前條の規定に依り法人税を賦課する所得及資本は左に掲ぐるものとす
一 各事業年度の普通所得
二 各事業年度の超過所得
三 清算所得
四 各事業年度の資本
第四條第一項中「所得」を「普通所得」に改め、同條第二項中「及臨時利得税」を削り、「所得」を「普通所得」に改め、同條第三項中「三年」を「一年」に、「所得」を「普通所得」に改め、同條第五項中「所得」を「普通所得」に改める。
第五條第二項中「所得」を「普通所得」に改める。
第五條の二 法人の各事業年度の普通所得が當該事業年度の資本金額に對し百分の八を乘じて算出したる金額を超過するときは其の超過額を以て各事業年度の超過所得とす
前項の資本金額は第七條の規定に依り計算したる金額に依る
第七條第一項中「より各月末に於ける繰越缺損金額を控除したる金額」を削る。
第九條第一項中「所得」を「普通所得」に改め、同條第二項中「及臨時利得税」を削る。
第十二條中「所得に付」を「各事業年度の普通所得に對する」に改め、同條に次の一項を加へる。
前項の重要物産の製造、採掘又は採取を爲す法人が其の設備を増設したるときは命令の定むる所に依り當該事業年度及其の翌事業年度開始の日より三年以内に終了する事業年度に於て其の増設したる設備に依る物産の製造、採掘又は採取の業務より生ずる各事業年度の普通所得に對する法人税を免除す
第十三條及第十四條 削除
第十六條第一項を次のやうに改める。
法人税は左の税率に依り之を賦課す
一 各事業年度の普通所得
本法施行地に本店又は主たる事務所を有する法人
所得金額の百分の三十五本法施行地に本店又は主たる事務所を有せざる法人
所得金額の百分の四十五
二 各事業年度の超過所得
各事業年度の超過所得金額を左の各級に區分し遞次に各税率を適用す
各事業年度の普通所得中當該事業年度の資本金額に對し百分の八を乘じて算出したる金額を超ゆる金額 百分の三十
同百分の十五を乘じて算出したる金額を超ゆる金額 百分の四十
同百分の二十五を乘じて算出したる金額を超ゆる金額 百分の五十
資本金額年十萬圓以下なる法人に限り本號に規定する税率百分の三十は之を百分の二十とし同百分の四十は之を百分の三十とし同百分の五十は之を百分の四十とす
三 清算所得
清算所得金額を左の如く區分し各税率を適用す
積立金又は本法其の他の法令に依り法人税を課せられざる所得より成る金額
百分の三十五
其の他の金額
百分の五十
四 各事業年度の資本
資本金額の千分の三
同條第二項中「當該事業年度の所得」を「當該事業年度の普通所得及超過所得」に改め、同條第三項中「法人の所得」を「法人の普通所得」に改め、同條第五項中「年十圓」を「十圓」に改め、同條第六項中「所得金額」を「普通所得金額」に、「其の事業年度の所得」を「其の事業年度の普通所得及超過所得」に改める。
第十七條第一項中「所得」を「普通所得」に、「百分の四十五」を「百分の五十」に、「五十萬圓」を「三十萬圓」に、「百分の七十四」を「百分の六十七」に改め、同條第二項を次のやうに改める。
前項の各事業年度の普通所得及普通所得中留保したる金額は其の事業年度の普通所得、超過所得及資本に課せらるべき法人税額(前項の規定に依り加算する税額を含まず)を其の事業年度の普通所得及其の普通所得中留保したる金額の雙方より控除したる殘額に依る
第二十七條中「各事業年度の所得」を「各事業年度の普通所得、超過所得」に改める。
第三條 特別法人税法の一部を次のやうに改正する。
第四條第四項中「三年」を「一年」に改める。
第九條中「百分の二十二」を「百分の二十五」に、「百分の二十六」を「百分の三十五」に、「百分の四十二」を「百分の五十」に改める。
附則第三項を削る。
第四條 營業税法の一部を次のやうに改正する。
第四條第二項中「臨時利得税竝に」を削り、同條第三項中「三年」を「一年」に改める。
第七條第六項中「及臨時利得税」を削る。
第九條 削除
第十條第二項中「及臨時利得税」を削り、同條第三項及び第四項を削る。
第十二條に次の一項を加へる。前項の重要物産の製造、採掘又は採取を業とする者が其の設備を増設したるときは命令の定むる所に依り設備増設の年及其の翌年より三年間(法人に付ては其の設備を増設したる事業年度及其の翌事業年度開始の日より三年以内に終了する事業年度に於て)其の増設したる設備に依る物産の製造、採掘又は採取の業務より生ずる純益に付營業税を免除す
第十四條中「百分の二」を「百分の二・五」に改める。
第五條 地租法の一部を次のやうに改正する。
第九條第一項中「第一囘」を「第二囘」に、「十三年」を「二十四年」に改める。
第十條中「百分の三」を「百分の四」に改める。
第六條 家屋税法の一部を次のやうに改正する。
第七條中「百分の二・五」を「百分の三・五」に改める。
第七條 相續税法の一部を次のやうに改正する。
第五條の二第一項中「五萬圓」を「十萬圓」に、「千五百圓」を「三千圓」に改め、同條第二項中「三萬圓」を「五萬圓」に、「千五百圓」を「三千圓」に改める。
第六條中「五千圓」を「二萬圓」に、「千圓」を「三千圓」に改める。
第七條 削除
第八條第一項中「一萬圓以下の金額 ― 千分の十三 ― 千分の二十 ― 千分の二十六
一萬圓を超ゆる金額 ― 千分の二十 ― 千分の二十六 ― 千分の四十
二萬圓を超ゆる金額 ― 千分の二十七 ― 千分の四十 ― 千分の五十五」を
「二萬圓以下の金額 ― 千分の十五 ― 千分の二十五 ― 千分の三十五
二萬圓を超ゆる金額 ― 千分の二十五 ― 千分の三十五 ― 千分の五十五」に、
「百萬圓を超ゆる金額 ― 千分の三百六十五 ― 千分の四百十五 ― 千分の五百
二百萬圓を超ゆる金額 ― 千分の三百九十五 ― 千分の四百四十五 ― 千分の五百三十五
三百萬圓を超ゆる金額 ― 千分の四百二十 ― 千分の四百七十 ― 千分の五百六十
五百萬圓を超ゆる金額 ― 千分の四百四十 ― 千分の四百九十 ― 千分の五百八十」を
「百萬圓を超ゆる金額 ― 千分の三百七十 ― 千分の四百二十 ― 千分の五百
二百萬圓を超ゆる金額 ― 千分の四百五 ― 千分の四百六十 ― 千分の五百三十
三百萬圓を超ゆる金額 ― 千分の四百四十 ― 千分の四百九十五 ― 千分の五百六十
五百萬圓を超ゆる金額 ― 千分の四百七十五 ― 千分の五百三十 ― 千分の五百九十
千萬圓を超ゆる金額 ― 千分の五百十 ― 千分の五百六十五 ― 千分の六百二十
二千萬圓を超ゆる金額 ― 千分の五百五十 ― 千分の六百 ― 千分の六百五十」に、
「二百萬圓を超ゆる金額 ― 千分の五百八十 ― 千分の六百二十 ― 千分の六百五十
三百萬圓を超ゆる金額 ― 千分の六百 ― 千分の六百四十 ― 千分の六百七十」を
「二百萬圓を超ゆる金額 ― 千分の五百八十 ― 千分の六百三十 ― 千分の六百六十
三百萬圓を超ゆる金額 ― 千分の六百二十 ― 千分の六百七十 ― 千分の七百十
五百萬圓を超ゆる金額 ― 千分の六百六十 ― 千分の七百十 ― 千分の七百六十
千萬圓を超ゆる金額 ― 千分の七百 ― 千分の七百五十 ― 千分の八百」に改める。
第九條の二 前二條の場合に於て第八條第一項の税率を適用して算出したる金額か其の課税價格より家督相續に在りては二萬圓、遺産相續に在りては三千圓を控除したる金額を超過するときは其の超過額を同項の税率を適用して算出したる金額より控除したるものを以て税額とす
第十七條第一項中「三百圓」を「千圓」に改める。
第二十三條第一項中「千圓」を「三千圓」に改め、同條第二項中「千圓」を「三千圓」に改め、「(朝鮮、臺灣又は樺太に住所を有したる當時爲したる贈與を含む)」を削る。
第二十七條乃至第三十條を削る。
第八條 鑛區税法の一部を次のやうに改正する。
第二條第一項中「三十錢」を「一圓」に、「六十錢」を「二圓」に改める。
第九條 有價證券移轉税法の一部を次のやうに改正する。
第二條中「社債券、産業債券、商工債券及株券」を「社債券(特別の法令に依り設立せられたる法人にして會社に非ざるもるのの發行する債券を含む)及株券(特別の法令に依り設立せられたる法人にして會社に非ざるものの發行する出資證券を含む)」に改める。
第三條中「登録したる社債」の下に「(特別の法令に依り設立せられたる法人にして會社に非ざるものの發行する債券の權利を含む)」を「會社の社員」の下に「(特別の法令に依り設立せられたる法人にして會社に非ざるものの出資者を含む但し出資證券の發行ありたる分の出資者を除く)」を加へる。
第五條 有價證券移轉税は左の區別に從ひ之を納むべし
第一種 有價證券仲買人を買受人とする賣買取引に因る移轉
取得價額の萬分の五
第二種 第一種以外の移轉
甲 取引所の實物市場に於ける賣買取引に因る移轉
取得價額の萬分の十
乙 其の他
取得價額の萬分の二十
第七條 有價證券移轉税は其の全額十錢未滿なるときは之を十錢とす十錢未滿の端數あるときは之を切捨つ
第十條第一號中「第十三條の五」を「第百十一條」に改め、同條第九號を次のやうに改める。
九 前各號の外命令を以て定むる有價證券の移轉
第十一條中「社債」の下に「(特別の法令に依り設立せられたる法人にして會社に非ざるものの發行する債券の權利を含む)」を加へる。
第二十條第一項中「三圓」を「十圓」に改める。
第二十三條中「一圓」を「五圓」に改める。
第十條 登録税法の一部を次のやうに改正する。
第二條第一項中「千分の五」を「千分の六」に、「千分の五十」を「千分の六十」に、「千分の三十」を「千分の三十五」に、「千分の四十」を「千分の五十」に、「千分の一・五」を「千分の二」に、「千分の三」を「千分の四」に、「千分の九」を「千分の十一」に、「千分の十三」を「千分の十六」に、「千分の二十」を「千分の二十五」に、「千分の二十六」を「千分の三十二」に、「千分の二十五」を「千分の三十五」に、「千分の五・五」を「千分の六・五」に、「千分の四」を「千分の五」に、「千分の二」を「千分の三」に、「千分の一」を「千分の一・五」に、「一圓」を「三圓」に、「五十錢」を「二圓」に、「五圓」を「二十圓」に改める。
同條に次の一項を加へる。
前項の場合に於て不動産一箇毎に付税額金二圓未滿なるときは二圓とす
第二條の二中「千分の一」を「千分の一・五」に改める。
第三條第一項中「千分の三」を「千分の四」に、「千分の四十五」を「千分の五十五」に、「千分の二十三」を「千分の二十八」に、「千分の一」を「千分の一・五」に、「千分の五・五」を「千分の六・五」に、千分の四」を「千分の五」に、「一圓」を「三圓」に、「四十錢」を「二圓」に、「二十錢」を「一圓」に改める。
第三條の二中「千分の五千」を「千分の六十」に、「千分の三十」を「千分の三十五」に、「千分の四十五」を「千分の五十五」に改める。
第三條の三及び第三條の四中「千分の一」を「千分の一・五」に、「五圓」を「十五圓」に改める。
第三條の五中「千分の二」を「千分の三」に、「二十錢」を「五十錢」に、「十錢」を「二十銭」に、「五錢」を「十錢」に、「一圓」を「二圓」に改める。
第四條第一項第一號中「五十錢」を「一圓五十錢」に、同項第二號中「十錢」を「三十錢」に、同項第三號中「五錢」を「二十錢」に、同項第四號中「十錢」を「一圓」に改める。
第四條の二第一項中「千分の一」を「千分の一・五」に、「二十圓」を「五十圓」に改め、同條第二項中「五圓」を「十五圓」に改める。
第五條及び第五條の二中「千分の二」を「千分の三」に、「二十圓」を「五十圓」に、「五圓」を「十五圓」に改める。
第六條第一項但書中「第六號」の下に「第八號の二」を加へ、「税金額五十圓未滿なるときは五十圓」を「税額金百圓未滿なるときは百圓」に、同項第一號乃至第十四號の五中「千分の六」を「千分の七」に、「千分の一」を「千分の一・五」に、「千分の二」を「千分の三」に、「千分の三」を「千分の四」に、「五十圓」を「百五十圓」に、「二十圓」を「六十圓」に改め、同項第十四號の六を削り、同項第十五號乃至第十九號中「二十圓」を「六十圓」に、「十五圓」を「五十圓」に、「五圓」を「十五圓」に改め、同條第二項中「五圓」を「十五圓」に改める。
第六條の二第一項中「千分の二」を「千分の三」に、「二十圓」を「五十圓」に改め、同條第二項中「五圓」を「十五圓」に改める。
第六條の三中「千分の二」を「千分の三」に、「二十圓」を「五十圓」に改める。
第六條の四第一項第一號及び第二號中「二十圓」を「六十圓」に改め、同項第二號の二を削り、同項第三號乃至第七號中「二十圓」を「六十圓」に、「十圓」を「三十圓」に、「五圓」を「十五圓」に改め、同條第二項中「二圓」を「五圓」に改める。
第七條中「五十圓」を「百五十圓」に、「二十圓」を「五十圓」に、「二圓」を「五圓」に改める。
第八條中「五十圓」を「百五十圓」に、「二十五圓」を「八十圓」に、「十圓」を「三十圓」に、「七圓」を「二十圓」に、「一圓」を「三圓」に改める。
第九條中「十五圓」を「五十圓」に、「十圓」を「三十圓」に、「六圓」を「二十圓」に、「四圓」を「十圓」に、「三圓」を「七圓」に、「二圓」を「五圓」に、「八圓」を「二十五圓」に、「二十圓」を「六十圓」に、「五十錢」を「二圓」に改める。
第十條中「二圓」を「五圓」に、「十圓」を「三十圓」に、「千分の五・五」を「千分の六・五」に、「一圓」を「三圓」に、「五圓」を「十五圓」に、「千分の四」を「千分の五」に、「五十錢」を「二圓」に改める。
第十條の二中「二十圓」を「六十圓」に、「二圓」を「五圓」に、「十圓」を「三十圓」に、「千分の五・五」を「千分の六・五」に、「一圓」を「三圓」に、「千分の四」を「千分の五」に、「五十錢」を「二圓」に改める。
第十一條中「一圓」を「五圓」に、「十圓」を「十五圓」に、「五圓」を「十五圓」に、「千分の五・五」を「千分の六・五」に、「五十錢」を「三圓」に、「二圓」を「五圓」に、「千分の四」を「千分の五」に改める。
第十二條第一號中「二圓」を「五圓」に、「五圓」を「十五圓」に、同條第二號中「二圓」を「十五圓」に、同條第三號乃至第十號中「千分の五・五」を「千分の六・五」に、「一圓」を「三圓」に、「二圓」を「五圓」に、「千分の四」を「千分の五」に、「五十錢」を「三圓」に改める。
第十二條の二中「一圓」を「五圓」に、「五圓」及び「二圓」を「十五圓」に、「千分の五・五」を「千分の六・五」に、「五十錢」を「三圓」に、「千分の四」を「千分の五」に、「二十錢」を「五十錢」に改める。
第十三條中「二圓」を「五圓」に、「二十圓」を「六十圓」に、「五圓」を「十五圓」に、「一圓」を「三圓」に改める。
第十四條中「百圓」を「三百圓」に、「四十五圓」を「百五十圓」に、「十圓」を「三十圓」に、「五圓」を「十五圓」に、「一圓」を「三圓」に、「二百圓」を「六百圓」に、「五十圓」を「百五十圓」に、「二十圓」を「六十圓」に、「二圓」を「五圓」に、「千分の五・五」を「千分の六・五」に、「千分の四」を「千分の五」に、「五十錢」及び「四十錢」を「一圓」に、「二十錢」を「五十錢」に改める。
第十五條中「十五圓」を「五十圓」に、「三圓」を「十圓」に、「一圓」を「三圓」に、「五圓」を「十五圓」に、「一圓五十錢」を「五圓」に、「二十錢」を「五十錢」に、「五十錢」を「二圓」に、「千分の五・五」を「千分の六・五」に、「十圓」を「三十圓」に、「千分の四」を「千分の五」に、「四十錢」を「一圓」に改める。
第十五條の二中「一圓」を「三圓」に、「五圓」を「十五圓」に、「四十錢」を「一圓」に、「三圓」を「十圓」に、「五十錢」を「二圓」に、「二圓」を「五圓」に、「二十錢」を「五十錢」に、「千分の五・五」を「千分の六・五」に、「千分の四」を「千分の五」に改める。
第十六條第一項中「千分の三」を「千分の四」に改める。
第十八條 登録税は其の全額十錢未滿なるときは之を十錢とす十錢未滿の端數あるときは之を切捨つ
第十一條 酒税法の一部を次のやうに改正する。
第二十七條第一項を次のやうに改める。
酒税の税率左の如し
一 清酒
第一級 一石に付 二千七百五十圓
第二級 一石に付 千九百十圓
二 合成清酒 一石に付 千七百五十圓
三 濁酒 一石に付 千二百三十圓
四 白酒 一石に付 二千七百五十圓
五 味淋 一石に付 二千二百二十圓
六 燒酎 一石に付 千七百五十圓
七 麥酒 一石に付 千二百十圓
八 果實酒
第一級 一石に付 千八百五十圓
第二級 一石に付 千四百圓
第三級 一石に付 千百三十圓
九 雑酒
第一級 一石に付 三千圓
第二級 一石に付 二千五百圓
アルコール分二十度を超ゆるときはアルコール分二十度を超ゆる一度毎に百五十圓を加ふ
第三級 一石に付 二千四百八十圓
アルコール分二十度を超ゆるときはアルコール分二十度を超ゆる一度毎に百四十八圓を加ふ
第四級 一石に付 千九百五十圓
同條第三項中「五十三圓」を「百三十八圓」に改める。
第二十七條の三に次の一號を加へる。
三 第五十條第二號の規定に依りアルコールを混和したるもの
第六十條第一項及び第二項中「一萬圓」を「三萬圓」に改める。
第八十三條第一項中「五百三十圓」を「千八百五十五圓」に、「四十三圓」を「百四十八圓」に、「五百十五圓」を「千六百九十五圓」に、「二十五圓」を「八十一圓」に改める。
第十二條 酒類業團體法の一部を次のやうに改正する。
第三條中「且當該事業に關する國策の遂行に協力」を「組合員共同の利益を促進」に改める。
第三條の二第二項中「政府の認可を受け」を削る。
第五條の二第一項中「し及過怠金を徴收」を削り、同項の次に次の一項を加へる。
酒造組合は定款又は統制規程の定むる所に依り其の組合員に對し過怠金を徴收することを得
同條第二項中「前項」を「前二項」に、「組合長」を「理事長」に改める。
第五條の四 政府は必要ありと認むるときは酒造組合の組合員に對し當該組合の行ふ統制に從ふへきことを命することを得
第六條の七及び第六條の八中「同條第四項」を「同條第二項、同條第五項」に改める。
第六條の九に次の一項を加へる。
政府は必要ありと認むるときは前項に掲くる酒造組合及酒造組合の組合員に對し酒造組合中央會の行ふ統制に從ふへきことを命することを得
第十條の三中「且當該事業に關する國策の遂行に協力」を「組合員共同の利益を促進」に改める。
第十條の七に次の一項を加へる。
政府は必要ありと認むるときは前項に掲くる酒販組合聯合會及其の會員(會員の構成員を含む)に對し酒販組合中央會の行ふ統制に從ふへきことを命することを得
第十條の九中「同條第四項」を「同條第二項、同條第五項」に改める。
第十條の十二第一項中「規定に」の下に「依る命令に」を加へ、同條第二項中「第六條の九の規定」を「第六條の九第二項の規定に依る命令」に、「第十條の七の規定」を「第十條の七第二項の規定に依る命令」に改める。
第十三條 清涼飮料税法の一部を次のやうに改正する。
第二條中「七十圓」を「三百二十圓」に、「百六十圓」を「五百五十圓」に、「五十圓」を「二百圓」に改める。
第十四條 砂糖消費税法の一部を次のやうに改正する。
第二條 削除
第三條第一號中「八圓七十錢」を「二百八十圓」に、「十一圓」を「三百四十圓」に、「十二圓」を「三百五十圓」に、「十七圓五十錢」を「三百六十圓」に、「二十二圓」を「四百六十圓」に、「三圓八十錢」を「八十五圓」に、「二十三圓」を「四百八十圓」に、「五圓五十錢」を「百二十圓」に、同條第二號中「十二圓」を「二百五十圓」に、「七圓」を「百四十圓」に、同條第三號中「十五圓」を「三百十圓」に改める。
第三條の二を削る。
第四條第一項中「第三條」を「前條」に改める。
第六條及び第七條第一項中「第四條第一項但書、」の下に「第四條の二、」を加へる。
第七條の二乃至第七條の五を削る。
第十一條第一項第二號を次のやうに改める。
二 削除
第十一條の四及び第十一條の五を削る。
第十二條の二及び第十二條の三中「及特別消費税」を削る。
第十三條の二を削る。
第十四條の二第一項中「第十三條乃至前條」を「前二條」に改め、「、特別消費税」を削り、同條第二項中「第十三條乃至前條」を「前二條」に改め、同條第三項中「、第十三條の二」を削る。
第十四條の三を削る。
第十六條中「乃至」を「又は」に改める。
第十七條中「乃至第十四條、第十四條の三」を「、第十四條」に改める。
第十七條の四乃至第十七條の九を削る。
第十五條 織物消費税法の一部を次のやうに改正する。
第一條但書を削る。
第二條 消費税の税率は織物の價格百分の四十とす但し綿又はステープルファイバーのみを原料とする織物に付ては織物の價格百分の十とす
第四條第二項を削る。
第二十七條 削除
第十六條 物品税法の一部を次のやうに改正する。
第一條 左に掲ぐる物品にして命令を以て定むるものには本法に依り物品税を課す
第一種
甲類
一 寫眞機、寫眞引伸機、映寫機、同部分品及附屬品竝に現像燒付用器具
二 寫眞用の乾板、フィルム及感光紙
三 蓄音器及同部分品
四 蓄音器用レコード
五 樂器、同部分品及附屬品
六 雙眼鏡、隻眼鏡及同ケース
七 銃及同部分品
八 藥莢及彈丸
九 ゴルフ用具、同部分品及附屬品
十 娯樂用のモーターボート、スカール及ヨット
十一 撞球用具
十二 ネオン管及同變壓器
十三 喫煙用ライター及電氣マッチ
十四 乘用自動車
十五 化粧品
十六 貴石若は半貴石又は之を用ひたる製品
十七 眞珠又は眞珠を用ひたる製品
十八 貴金屬製品又は金若は白金を用ひたる製品
十九 鼈甲製品
二十 珊瑚製品、琥珀製品、象牙製品及七實製品
二十一 毛皮又は毛皮製品但し第四十五號に掲ぐるものを除く
二十二 羽毛、羽毛製品又は羽毛を用ひたる製品
乙類
二十三 扇風機及同部分品
二十四 煖房用の電氣、瓦斯又は礦油ストーブ
二十五 冷藏器及同部分品
二十六 金庫及鋼鐵製家具
二十七 時計及同部分品
二十八 照明器具
二十九 電氣器具及瓦斯器具
三十 大理石、大理石に類する裝飾用石材及之を原料とする擬石竝に陶磁器製タイル
三十一 文房具
三十二 身邊用細貨類及化粧用具
三十三 喫煙用具
三十四 扇子及團扇
三十五 鞄及トランク類竝に行李
三十六 飾物、玩具、遊戲具、揺籃及乳母車類
三十七 運動具
三十八 漆器、陶磁器及硝子製器具にして別號に掲げざるもの
三十九 煙火類
四十 薫物及線香類
四十一 シャンプー及洗粉
四十二 紅茶、鳥龍茶、包種茶、珈琲、ココア及其の代用物、玉露竝に碾茶
四十三 嗜好飮料但し酒類及清涼飮料を除く
四十四 グルタミン酸ソーダを主成分とする調味料
四十五 犬毛皮、兎毛皮及同製品
四十六 室内裝飾用品
四十七 圍碁及將棋用具
四十八 貴金屬を鍍し又は張りたる製品にして別號に掲げざるもの
四十九 皮革製品ゆして別號に掲げざるもの
五十 簾、釣燈籠及提灯類
五十一 鐵瓶竝に茶道、香道及華道用具
五十二 釣用具類
丙類
五十三 ラジオ聽取機及同部分品
五十四 受信用眞空管、マイクロホン、擴聲用増幅器及擴聲器
五十五 電球類及電氣配線用品
五十六 携行用の電燈、同ケース及電池
五十七 魔法瓶、水筒類及同部分品
五十八 計算機
五十九 タイブライター、同部分品及附屬品
六十 謄寫器及同附屬品
六十一 金錢登録機
六十二 タイムスタンプ、タイムレコーダ及同附屬品
六十三 ミシン及同部分品竝にミシン用針
六十四 幻燈機、實物投影機及同ケース
六十五 安全剃刄
六十六 カレンダー、繪葉書竝に觀賞用の寫眞及印刷物類
六十七 歯磨
六十八 バター、チーズ、クリーム及其の代用物竝にジャム
六十九 緑茶
七十 酒類粕
七十一 食品加工料
七十二 ハム、ベーコン、ソーセージ其の他燻製の肉類及魚類
七十三 寒天
七十四 帽子、杖、鞭及傘
七十五 履物、同部分品及附屬品
七十六 家具
七十七 メリヤス、レース、フェルト及同製品竝に組物
七十八 印章及印判類類
七十九 事務用器具及事務用品
八十 電話機、電話交換機、同部分品及附屬品
八十一 板硝子
八十二 敷物類
八十三 紙及セロフアン
八十四 靴塗料類
八十五 折箱、割箸、祝箸及爪楊枝類
八十六 滋養強壯劑及口中劑
八十七 防蟲劑、殺蟲劑及防臭劑
八十八 調味料
八十九 罐、罎、壺其の他類似の容器(通常小賣に用ひざる容器を除く)に入れたる食料品
九十 海苔
九十一 書畫及骨董
九十二 靴
第二種
一 燐寸
二 飴、葡萄糖及麥芽糖
三 サッカリン及ヅルチン
四 蜂蜜
甲類に該當する物品にして乙類、丙類又は丁類の何れかに該當するものは之を甲類とし乙類に該當する物品にして丙類又は丁類の何れかに該當するものは之を乙類とし丙類に該當する物品にして丁類に該當するものは之を丙類とす
第二條 物品税の税率左の如し
第一種
甲類 物品の價格百分の百
乙類 物品の價格百分の六十
丙類 物品の價格百分の四十
丁類 物品の價格百分の二十
第二種
一 燐寸 千本に付 二十五錢
一 飴、葡萄糖及麥芽糖 百斤に付 二百圓
二 サッカリン及ヅルチン 一瓩に付 八百圓
四 蜂蜜 百斤に付 三百圓
第一種第七十七號に掲ぐる物品中綿又はステープルファイバーのみを原料とするメリヤス及同製品に付ては前項の規定に拘らず其の價格の百分の十の税率に依る
第三條第一項を次のやうに改める。
前條の價格は製造場より移出する時の物品の價格とす但し第一種第九十一號に掲ぐる物品に付ては小賣業者の販賣價格とし保税地域より引取らるる物品にして引取人より税金を徴收するものに付ては引取の際に於ける價格とす
第四條 物品税は製造場より移出せられたる物品の價格又は數量に應じ製造者より之を徴收す但し第一種第九十一號に掲ぐる物品に付ては販賣せられたる物品の價格に應じ小賣業者より之を徴收し保税地域より引取らるる物品に付ては命令を以て定むる場合を除くの外引取られたる物品の價格又は數量に應じ引取人より之を徴收す
第五條中「第九號」を「第九十一號」に改める。
第七條中「第二種又は第三種の物品」を「第一種又は第二種の物品(第一種第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に、「第二種若は第三種」を「第一種若は第二種」に、「命令を以て定むる第二種」を「命令を以て定むる第一種」に改める。
第八條第一項中「第一種の」を「第一種第九十一號に掲ぐる」に、「販賣したる物品に付其の品名毎に」を「販賣したる物品に付」に、「第二種の物品」を「第一種の物品(第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に、「第三種」を「第二種」に改め、同條第二項中「、第二種又は第三種」を「又は第二種」に改める。
第九條第一項中「第一種の」を「第一種第九十一號に掲ぐる」に、「第二種の物品」を「第一種の物品(第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改め、同條第二項中「第三種」を「第二種」に改める。
第十條第一項中「第四條但書の場合に於ては」を「保税地域より引取らるる物品に付ては」に改め、同條第二項中「第二種又は第三種の物品」を「第一種又は第二種の物品(第一種第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改める。
第十一條第一項及び第十二條第一項第一號中「第二種又は第三種の物品」を「第一種又は第二種の物品(第一種第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改める。
第十五條中「第一種の」を「第一種第九十一號に掲ぐる」に、「第二種若は第三種の物品」を「第一種若は第二種の物品(第一種第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改める。
第十六條第一項中「、第二種又は第三種」を「又は第二種」に改め、同條第二項中「第一種の」を「第一種第九十一號に掲ぐる」に、「第二種若は第三種の物品」を「第一種若は第二種の物品(第一種第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改める。
第十六條の二第一項中「第一種の」を「第一種第九十一號に掲ぐる」に、「第二種若は第三種の物品」を「第一種若は第二種の物品(第一種第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改める。
第十六條の三中「第一種の」を「第一種第九十一號に掲ぐる」に、「第二種若は第三種の物品」を「第一種若は第二種の物品(第一種第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改める。
第十七條中「、第二種又は第三種」を「又は第二種」に改める。
第十九條第一項第二號中「第一種の」を「第一種第九十一號に掲ぐる」に、「第二種若は第三種の物品」を「第一種若は第二種の物品(第一種第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改め、同條第二項中「第二種若は第三種」を「第一種若は第二種」に改める。
第二十五條中「第二種の物品」を「第一種の物品(第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改める。
第二十五條の二第一項中「第一種の」を「第一種第九十一號に掲ぐる」に、「第二種若は第三種の物品」を「第一種若は第二種の物品(第一種第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改める。
第十七條 遊興飮食税法の一部を次のやうに改正する。
第二條第三項を削り、同條第四項中「及第三項」を削る。
第九條の二第一項中「、納税切符の使用」を削り、同條第三項中「シ又は納税切符を使用」を削る。
第九條の三第一項中「及納税切符」を削り、同條第二項中「し又は納税切符を使用」を削り、同條第三項中「又は納税切符」を削る。
第九條の四中「及納税切符」を削る。
第十二條第一項第四號中「又は納税切符」を削る。
第十五條の二中「若は納税切符」を削る。
第十八條 入場税法の一部を次のやうに改正する。
第二條第二種第一號中「麻雀場」を「舞踏場、麻雀場」に改める。
第十九條 骨牌税法の一部を次のやうに改正する。
第四條第一項中「二十圓」を「百圓」に、「三圓」を「十圓」に改め、同條第二項中「五十錢」を「二圓」に改める。
第二十條 印紙税法の一部を次のやうに改正する。
第四條第一項第一號乃至第五號を次のやうに改める。
一 不動産、鐵道財團、軌道財團、自動車交通事業財團又は船舶の所有權移轉に關する證書
二 消費貸借に關する證書
三 請負に關する證書
四 運送に關する證書
五 傭船契約書
記載金高百圓以下のもの 十錢
同 五百圓以下のもの 五十錢
同 千圓以下のもの 一圓
同 一萬圓以下のもの 五圓
同 十萬圓以下のもの 十圓
同 百萬圓以下のもの 五十圓
同 百萬圓を超ゆるもの 百圓
記載金高なきもの 十錢
同項第七號中「三錢」を「十錢」に、同項第八號乃至第三十二號中「五錢」を「十錢」に、同項第三十三號中「十錢」を「二十錢」に、同項第三十四號中「一圓」を「二圓」に改める。
第五條第七號、第九號、第九號の三、第十二號、第十四號及び第二十五號中「十圓」を「五十圓」に改める。
第六條の二中「五錢」を「十錢」に改める。
第十一條中「五圓」を「十圓」に改める。
第十二條中「二圓」を「十圓」に改める。
第十三條中「四圓」を「十圓」に改める。
第二十一條 狩獵法の一部を次のやうに改正する。
第八條第一項中「七十圓」を「二百圓」に、「二十圓」を「百五十圓」に、「四十圓」を「百二十圓」に、「十八圓」を「五十圓」に改める。
第二十二條 關税法の一部を次のやうに改正する。
第十條中「、艙口申告書、船用品目録」を削る。
第十二條 削除
第十七條中「税關長の特許を受くるに非されは」を「豫め税關に屆出つるに非されは」に改める。
第十八條第一項中「外國貿易船は」の下に「税關長の特許を受くるに非されは」を加へる。
第二十六條第一項中「税關長の特許を受くへし」を「豫め其の旨を税關に屆出つへし」に改める。
第三十九條第一項中「開港間、保税地域間又は開港と保税地域との間」を「開港、保税地域及税關官署所在地相互間」に改める。
第三十九條の二 削除
第三十九條の五第一項中「又は保税地域」を「、保税地域又は税關官署所在地」に改め、但書を削る。
第四十條 内國貨物は税關に申告し其の免許を受くるに非されは外國貿易船に積載し之を運送することを得す
第四十五條中「第三十一條乃至第三十四條、第三十七條乃至第三十九條の五」を「第三十一條、第三十二條、第三十四條、第三十七條乃至第三十九條、第三十九條の三乃至第三十九條の五」に改める。
第五十九條及第六十條 削除
第七十九條 削除
第八十條中「第十三條、」の下に「第十七條、」を加へる。
第八十一條中「第三十九條の二又は第四十條第二項」を「又は第四十條」に改める。
第八十二條中「第七十七條乃至第八十一條」を「第七十七條、第七十八條、第八十條又は第八十一條」に改める。
第九十八條 削除
第二十三條 關税定率法の一部を次のやうに改正する。
第三條の二を削る。
第七條第三號を次のやうに改める。
三 削除
同條第五號を次のやうに改める。
五 削除
同條第十五號を次のやうに改める。
十五 在外公館より送還したる物品
第二十四條 保税倉庫法の一部を次のやうに改正する。
第四條 削除
第二十五條 國税徴收法の一部を次のやうに改正する。
第四條の一第二號を次のやうに改める。
二 府縣税其の他の公課の滯納に因り滯納處分を受くるとき
第二十六條 納税施設法の一部を次のやうに改正する。
「第四章 租税の貯蓄納付」を「第四章 削除」に改める。
第十七條乃至第二十五條 削除
第二十六條及び第三十一條中「、納税準備預金及戰時納税貯蓄」を「及納税準備預金」に改める。
第二十七條 國庫出納金端數計算法の一部を次のやうに改正する。
第一條第二項を次のやうに改める。
命令を以て指定する國税の收入金又は還付金にして十錢未滿の端數あるときは其の端數は之を切捨つ
第二十八條 左の各號に掲げる法律は、これを廢止する。
一 臨時利得税法
二 配當利子特別税法
三 外貨債特別税法
四 建築税法
五 特別行爲税法
六 電氣瓦斯税法
七 廣告税法
八 所得税法人税内外地關渉法
九 戰時災害國税減免法
十 日滿國税徴收事務共助法
十一 昭和十二年法律第九十四號(今次の戰爭のため從軍した軍人及び軍屬に對する租税の減免、徴收猶豫等に關する法律)
十二 昭和十七年法律第七十四號(所得税等の日滿二重課税防止に關する法律)
十三 昭和十八年法律第七十二號(輸出物品に對する内國税免除又は交付金交付の停止等に關する法律)
附 則
第二十九條 この法律施行の期日は、各規定について、勅令でこれを定める。
第三十條 不動産所得、乙種の配當利子所得、甲種及び乙種の事業所得、乙種の勤勞所得、山林の所得、乙種の退職所得竝びに個人の總所得に對する所得税については、第六項に規定するものを除く外、昭和二十一年分から、改正後の所得税法の規定を適用する。但し、同法第五條第二項、第十二條第一項、第三項及び第四項、第二十九條竝びに第三十條第一項、第三項及び第四項の改正規定は、昭和二十二年分から、これを適用する。
讓渡所得に對する分類所得税については、改正後の所得税法第十二條第六項の規定により命令で定める日以後の讓渡に因る所得に對して、改正後の同法の規定を適用する。
從前の所得税法第十二條第二項及び第三十條第二項の規定は、甲種の事業所得又は個人の總所得に對する昭和二十一年分以後の所得税について、なほその效力を有する。
法人から受ける利益若しくは利息の配當又は剩餘金の分配については、昭和二十二年分に限り、所得税法第十二條第一項第三號及び第三十條第一項第五號中「前年中」とあるのは、「昭和二十一年三月一日より同年十二月三十一日迄」と讀み替へるものとする。
不動産所得、乙種の配當利子所得、甲種の事業所得及び乙種の事業所得、乙種の勤勞所得、山林の所得、乙種の退職所得及び個人の總所得に對する昭和二十年分以前の所得税及び第一條の規定施行前に課した又は課すべきであつた甲種の配當利子所得、丙種の事業所得、甲種の勤勞所得、甲種の退職所得及び清算取引所得に對する分類所得税竝びに所得税法第百六條第一項の規定により支拂の際賦課することを得べき綜合所得税については、なほ從前の例による。
乙種の配當利子所得、甲種の事業所得、乙種の勤勞所得及び個人の總所得に對する昭和二十一年分の所得税については、なほ從前の所得税法第十一條第一號、第十二條第一項、第三項及び第四項、第二十九條竝びに第三十條第一項、第三項及び第四項の例による。
昭和二十一年九月一日から同年十二月三十一日までに支給を受ける甲種の勤勞所得に對する分類所得税については、所得税法第二十四條第一項の規定にかかはらず、同年八月一日現在の扶養家族數により、同項の規定により算出した金額を、分類所得税額から控除する。
昭和二十一年分の分類所得税及び綜合所得税に限り、所得税法第七十三條第一項中「其の年八月一日より三十一日限」とあるのは、「昭和二十一年九月一日より三十日限」と讀み替へるものとする。
昭和二十一年九月に任期の終了する所得調査委員及び所得審査委員竝びに補缺員の任期は、昭和二十二年九月まで、これを延長する。
第三十一條 各事業年度の普通所得、超過所得及び資本に對する法人税については、昭和二十一年四月一日以後に終了する事業年度分から、清算所得に對する法人税については、同日以後の解散又は合併に因る分から、改正後の法人税法の規定を適用する。
從前の法人税法第四條第二項及び第九條第二項の規定は、昭和二十一年四月一日以後に終了する各事業年度分の普通所得及び超過所得に對する法人税について、なほその效力を有する。
昭和二十一年三月三十一日以前に終了した各事業年度の所得及び資本に對する法人税竝びに同日以前の解散又は合併に因る清算所得に對する法人税については、なほ從前の例による。
第三十二條 各事業年度の剩餘金に對する特別法人税については、昭和二十一年四月一日以後に終了する事業年度分から、清算剩餘金に對する特別法人税については、同日以後の解散又は合併に因る分から、改正後の特別法人税法の規定を適用する。
昭和二十一年三月三十一日以前に終了した各事業年度の剩餘金に對する特別法人税及び同日以前の解散又は合併に因る清算剩餘金に對する特別法人税については、なほ從前の例による。
第三十三條 法人の各事業年度の純益に對する營業税については、昭和二十一年四月一日以後に終了する事業年度分から、清算純益に對する營業税については、同日以後における解散又は合併に因る分から、個人の營業税については、昭和二十一年分から、改正後の營業税法の規定を適用する。但し、個人の營業税については、營業税法第十條第三項、第四項及び第十二條第二項の改正規定は、昭和二十二年分から、これを適用する。
從前の營業税法第四條第二項、第七條第六項及び第十條第二項の規定は、法人の昭和二十一年四月一日以後に終了する各事業年度分の營業税及び個人の昭和二十一年分以後の營業税について、なほその效力を有する。
法人の昭和二十一年三月三十一日以前に終了した各事業年度の純益及び同日以前の解散又は合併に因る清算純益に對する營業税竝びに個人の昭和二十年分以前の營業税については、なほ從前の例による。
第三十四條 地租法第十條の改正規定は、昭和二十一年分の地租から、これを適用する。
昭和二十年分以前の地租については、なほ從前の例による。
第三十五條 家屋税法第七條の改正規定は、昭和二十二年分の家屋税から、これを適用する。
昭和二十一年分以前の家屋税については、なほ從前の例による。
第三十六條 第七條の規定施行前開始した相續に關する相續税については、なほ從前の例による。但し、昭和二十一年七月一日以後に隱居に因り開始した家督相續又は同日以後になした相續税法第二十三條第一項に規定する贈與については、これらの課税價格が百萬圓を超える場合に限り、同法第八條の改正規定を適用する。
第三十七條 鑛區税法第二條の改正規定は、昭和二十二年分の鑛區税から、これを適用する。
昭和二十一年分以前の鑛區税については、なほ從前の例による。
第三十八條 有價證券移轉税は、第九條の規定施行の日の前日までは、昭和二十年勅令第四百二十三號廢止の日以後においても、これを課しない。
昭和二十年八月一日から第九條の規定施行の日の前日までの間に、有價證券仲買人の業を開始した者又はその營業を廢止した者は、同條の規定施行の日から一箇月以内に、政府に申告しなければならない。
第九條の規定施行前に課した又は課すべきであつた有價證券移轉税については、なほ從前の例による。
第三十九條 恩給金庫法第四十一條、庶民金庫法第二十六條、國民更生金庫法第二十六條、住宅營團法第二十七條、帝都高速度交通營團法第三十條、農地開發法第三十一條、産業設備營團法第二十九條、戰時金融金庫法第二十六條、南方開發金庫法第二十七條及び國民醫療法第六十一條中「及有價證券移轉税法」を削る。
第四十條 當分の間、他の法令中登録税の税率の特例を定めてゐる場合において、法人の設立、資本の増加又は株金拂込について、税率が「千分の一」と定められてゐるときは「千分の一・五」、「千分の五」と定められてゐるときは「千分の六」と讀み替へ、不動産又は船舶の取得について、税率が「千分の一」と定められてゐるときは「千分の一・五」、「千分の三」と定められてゐるときは「千分の四」と讀み替へるものとする。
第十條の規定施行前に課した又は課すべきであつた登録税については、なほ從前の例による。
第四十一條 第十一條の規定施行前に課した又は課すべきであつた酒税については、なほ從前の例による。
第十一條の規定施行の際、製造場又は保税地域以外の場所で、酒類の製造者又は販賣業者が、各種類を通じて、合計四斗以上の酒類を所持する場合及びその所持する酒類が、合計四斗に滿たない場合でも、命令で定める酒類が、合計一斗以上である場合においては、その場所を製造場、その所持者を製造者とみなして、その所持する酒類に對し酒税を課する。この場合においては、第十一條の規定施行の日に、その酒類を製造場から移出したものとみなし、改正後の酒税法第二十七條、第二十七條の二又は第八十三條の規定により算出した税額と從前の規定により算出した税額との差額を、その税額として、命令の定めるところにより徴收する。
前項の製造者又は販賣業者は、その所持する酒類の種類、級別及びアルコール分の異なるごとに數量、價格及び貯藏の場所を、第十一條の規定施行後一箇月以内に、政府に申告しなければならない。
第十一條の規定施行の際、製造場に現存する酒類で、戻入又は移入したものについては、酒税法第三十八條第一項の規定にかかはらず、これを移出した時に酒税を徴收する。この場合においては、第二項後段に定める税額を、その税額とする。
第四十二條 第十三條の規定施行前に課した又は課すべきであつた清涼飮料税については、なほ從前の例による。
第十三條の規定施行の際、製造場以外の場所で、同一人が、第一種又は第二種を通じて、合計一石以上の清涼飮料を所持する場合においては、その場所を製造場、その所持者を製造者とみなし、清涼飮料税を課する。この場合においては、第十三條の規定施行の日に、その清涼飮料を、製造場外に移出したものとみなし、第一種の清涼飮料については、一石について二百五十圓 第二種の清涼飮料については、一石について三百九十圓の割合により算出した金額を、その税額として、命令の定めるところにより徴收する。
前項の清涼飮料の所持者は、その所持する清涼飮料の種別、數量及び貯藏の場所を、第十三條の規定施行後一箇月以内に、政府に申告しなければならない。
第四十三條 第十四條の規定施行前に課した又は課すべきであつた砂糖消費税又は砂糖特別消費税については、なほ從前の例による。
第十四條の規定施行後一箇月以内に輸出した菓子、糖果その他命令で定める物品に對する砂糖消費税法第十二條の二の規定による交付金については、なほ從前の例による。
從前の砂糖消費税法第三條の税率により消費税を課せられた砂糖、糖蜜又は糖水を原料として製造した砂糖(第三種の砂糖を除く。)、糖蜜又は糖水で、第十四條の規定施行後製造場から引き取られるものについては、同法第十二條の規定にかかはらず、消費税を徴收する。この場合においては、改正後の同法第三條の税率により算出した金額と從前の同條の税率により算出した金額との差額を、その税額とする。
從前の砂糖消費税法第三條の税率により消費税を課せられた第二種乙の砂糖を以て製造した第三種の砂糖で、第十四條の規定施行後製造場から引き取られるものについては、改正後の同法第三條中「八十五圓」とあるのは、「四百四十一圓八十錢」と讀み替へ、「百二十圓」とあるのは、「四百六十二圓五十錢」と讀み替へるものとする。
第十四條の規定施行の際、製造場又は保税地域以外の場所で、同一人が、各種類を通じて、合計三百斤以上の砂糖、糖蜜又は糖水を所持する場合においては、その者が、同條の規定施行の日に、これを製造場から引き取つたものとみなし、消費税を課する。この場合においては、改正後の砂糖消費税法第三條の税率により算出した金額と從前の同條の税率により算出した金額との差額(第三種の砂糖については、氷砂糖は百斤について四百三十八圓、その他のものは百斤について四百五十七圓の割合により算出した金額)を、その税額として、命令の定めるところにより徴收する。但し、從前の砂糖消費税法により特別消費税を課せられた砂糖、糖蜜又は糖水を所持する場合においては、その課せられた税額に相當する金額を控除した金額を、その税額とする。
前項の砂糖、糖蜜又は糖水の所持者は、その所持する砂糖、糖蜜又は糖水の種別、數量及び貯藏の場所を、第十四條の規定施行後一箇月以内に、政府に申告しなければならない。
第四十四條 第十五條の規定施行前に課した又は課すべきであつた織物消費税については、なほ從前の例による。
從前の織物消費税法第二條の税率により消費税を課せられた織物で、第十五條の規定施行後製造場から引き取られるものについては、同法第八條の規定にかかはらず、消費税を徴收する。この場合においては、改正後の同法第二條の税率により算出した金額と從前の同條の税率により算出した金額との差額を、その税額とする。
第十五條の規定施行の際、製造場又は保税地域以外の場所で、織物又は織物を原料とする製品(以下織物製品といふ。)の製造者若しくは販賣者又は命令で定める者が、總價格一萬圓以上の織物又は織物製品(從前の物品税法により物品税を課せられたものを除く。)を所持する場合においては、その者が、同條の規定施行の日に、これを製造場から引き取つたものとみなし、消費税を課する。この場合においては、改正後の織物消費税法第二條の税率により算出した金額と從前の同條の税率により算出した金額との差額を、その税額として、命令の定めるところにより徴收する。
前項の織物又は織物製品中、命令で定めるものについては、同項の規定にかかはらず、命令の定めるところにより、その織物又は織物製品を、その貯藏の場所から引き取る時に、その消費税を徴收することができる。
第三項の製造者若しくは販賣者又は命令で定める者は、その所持する織物又は織物製品の種類、數量、價格及び貯藏の場所を、第十五條の規定施行後一箇月以内に、政府に申告しなければならない。
從前の物品税法第一條第一種第二十五號に掲げる物品の小賣業者から、第三項の規定により消費税を徴收する場合においては、その物品の小賣業者の組織する團體(その組織する團體を含む。)について、從前の同法第二十五條の二乃至第二十五條の七の規定を準用する。
第四十五條 第十六條の規定施行前に課した又は課すべきであつた物品税については、なほ從前の例による。
第十六條の規定施行後一箇月以内に輸出した菓子、糖果その他命令で定める物品に對する物品税法第十四條の規定による交付金については、なほ從前の例による。
第十六條の規定施行前から、引き續いて、從前の物品税法第一條に掲げる第一種の物品で、改正後の同條に掲げるもの(第九十一號に掲げる物品を除く。)又はヅルチンを製造する者が、第十六條の規定施行後一箇月以内に、その旨を政府に申告するときは、同條の規定施行の日に、同法第十五條の規定により、申告したものとみなす。
第十六條の規定施行の際、製造場又は保税地域以外の場所で、改正後の物品税法第一條に掲げる第一種若しくは第二種の物品(第一種第九十一號に掲げる物品を除く。)の製造者若しくは販賣者又は命令で定める者が、次の各號の一に該當する物品を所持する場合においては、その場所を製造場、その所持者を製造者とみなし、物品税を課する。この場合においては、同條の規定施行の日に、その物品を、製造場外に移出したものとみなし、命令の定めるとこにより、その物品税を徴收する。但し、從前の規定により物品税を課せられた物品については、その課せられた税額に相當する金額を控除した金額を、その税額とする。
一 改正後の物品税法第一條に掲げる第一種の物品(從前の同法第一條に掲げる第二種の物品を除く。)で、總價格一萬圓以上のもの
二 飴、葡萄糖又は麥芽糖で、合計五百斤以上のもの
三 サッカリン又はヅルチンで、合計二瓩以上のもの
四 三百斤以上の蜂蜜
前項の物品中、改正後の物品税法第十二條第一項の規定又は第十三條第一項の規定に該當するものについては、前項の規定にかかはらず、命令の定めるところにより、その物品税を徴收しないことができる。
第四項の物品中、命令で定めるものについては、同項の規定にかかはらず、命令の定めるところにより、その物品を、その貯藏の場所から移出する時に、その物品税を徴收することができる。
第四項の製造者若しくは販賣者又は命令で定める者は、同項第一號の物品については、その品名ごとに數量、價格及び貯藏の場所を、同項第二號乃至第四號の物品については、その品名ごとに數量及び貯藏の場所を、第十六條の規定施行後一箇月以内に、政府に申告しなければならない。
從前の物品税法第一條に掲げる第一種の物品(第九號に掲げる物品を除く。)の小賣業者から、第四項の規定により物品税を徴收する場合においては、その物品の小賣業者の組織する團體(その組織する團體を含む。)について、從前の同法第二十五條の二乃至第二十五條の七の規定を準用する。
第四十六條 第十八條の規定施行前から、引き續き、舞踏場を經營する者が、同條の規定施行後一箇月以内に、その旨を政府に申告するときは、同條の規定施行の日に、入場税法第七條の規定により、申告したものとみなす。
第四十七條 第十九條の規定施行前に課した又は課すべきであつた骨牌税については、なほ從前の例による。
第十九條の規定施行の際、骨牌の製造又は販賣をなす者の所持する骨牌については、製造又は販賣をなす者が、改正後の骨牌税法第四條の規定による税額と從前の規定による税額との差額に相當する金額を税額として、骨牌税を納めなければならない。
第四十八條 第二十條の規定施行前に課した又は課すべきであつた印紙税については、なほ從前の例による。
印紙税法第四條第一項に掲げる帳簿の昭和二十年七月三十一日以前に開始した附込に對する同項又は同法第七條の規定の適用については、同年八月一日から、同年勅令第四百二十三號廢止の日の前日までの期間は、これを同法第四條第一項又は第七條に規定する一年の期間に算入しない。
第四十九條 從前の納税施設法第十七條の規定による貯蓄で第二十六條の規定施行の際現に存するものについては、なほ從前の例による。
第五十條 第二十七條の規定施行前納入の告知をなした國税の收入金又は還付金及び納付した國税の還付金の端數の計算については、なほ從前の例による。
第五十一條 法人の昭和二十一年三月三十一日以前に終了した各事業年度分の臨時利得税及び個人の昭和二十一年分以前の臨時利得税については、なほ從前の臨時利得税法の例による。
第五十二條 第二十八條第八號の規定施行前に終了した各事業年度分の所得及び資本に對する法人税、同號の規定施行前の合併に因る清算所得に對する法人税竝びに昭和二十一年分以前の不動産所得、乙種の配當利子所得、甲種の事業所得、乙種の事業所得、乙種の勤勞所得、山林の所得、乙種の退職所得及び個人の總所得に對する所得税については、なほ從前の所得税法人税内外地關渉法の例による。同法の規定施行前に課した又は課すべきであつた甲種の配當利子所得及び甲種の勤勞所得に對する分類所得税竝びに從前の所得税法人税内外地關渉法第二十二條の規定により支拂の際賦課することを得べき綜合所得税についてもまた同じ。
第五十三條 第二十八條第九號の規定施行前の戰時災害について、被害者の納付すべき國税、被害物件に對して課せらるべき國税又は戰時災害のあつた地方で納付すべき國税の輕減若しくは免除、課税標準の計算若しくは決定に關する特例、徴收猶豫又は納税資格要件の特例に關しては、なほ從前の戰時災害國税減免法の例による。但し、地租又は家屋税については、命令で特別の定をした場合には、この限りでない。
第五十四條 今次の戰爭のため從軍した軍人軍屬又はその同居の戸主若しくは家族の所得税、營業税若しくは地租の輕減、免除、徴收猶豫若しくは課税標準の決定に關する特例又は納税資格要件の特例に關しては、なほ從前の昭和十二年法律第九十四號の例による。
第五十五條 第二十八條第十二號の規定の施行について必要な事項は、命令でこれを定める。
第五十六條 酒類、清涼飮料、砂糖、糖蜜、糖水、骨牌、從前の物品税法第一條に掲げる物品、糖果又は果實蜜若しくはこれに類する物で、第二十八條第十三號の規定施行前に輸出したものに對する内國税の免除若しくは交付金の交付又は同號の規定施行前に關東州から輸入した物に對する租税の輕減若しくは免除については、なほ從前の昭和十八年法律第七十二號の例による。
第五十七條 第十七條、第二十一條及び第二十八條第二號乃至第七號の規定施行前に課した又は課すべきであつた遊興飮食税、狩獵免許税、配當利子特別税、外貨債特別税、建築税、特別行爲税、電氣瓦斯税及び廣告税については、なほ從前の例による。
第五十八條 この法律による他の法律の廢止又は改正前になした行爲に關する罰則の適用については、なほ從前の例による。
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臨時租税措置法を改正する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十一年八月十五日
衆議院議長 樋貝詮三
貴族院議長公爵 徳川家正殿
…………………………………
臨時租税措置法を改正する法律案租税特別措置法
第一條 當分の間この法律により、所得税、法人税、特別法人税、營業税及び登録税を、輕減若しくは免除し、又はその課税標準の計算若しくはその徴收に關する特例を設ける。
第二條 左に掲げる甲種の配當利子所得については、命令の定めるところにより、分類所得税を免除する。
一 明治三十九年法律第三十四號(國債に關する法律)又は社債等登録法により、銀行(日本銀行を除く。)その他命令で定める金融機關の登録した公債又は社債の利子
二 貯蓄銀行法第九條第一項又は昭和十八年法律第四十三號(普通銀行等の貯蓄銀行業務又は信託業務の兼營等に關する法律)第二條第一項の規定により、貯蓄銀行又は貯蓄銀行業務を營む銀行の供託した公債及び社債の利子
三 金融機關に對する金融機關の預金で命令で定めるものの利子
第三條 個人が、法令、法令に基く命令又は行政官廳の指導若しくは斡旋により、木材又は薪炭の増産の必要上、立木の伐採又は讓渡をしたときは、當該立木の伐採又は讓渡に因り生ずる山林の所得から、命令の定めるところにより計算した金額の十分の五を控除して、分類所得税を賦課する。
第四條 個人が、相續税法第十七條の二の規定により、相續財産たる不動産又は立木を相續税の物納に充てたときは、命令の定めるところにより、當該不動産又は立木の物納に因り生ずる讓渡所得又は山林の所得から、當該不動産又は立木に課せられた相續税額のうち命令で定める金額に相當する金額を控除して、分類所得税を賦課する。
第五條 個人のその年中の營業の所得金額又は純益金額が、その年分の營業の所得の決定金額又は純益の決定金額に對し、五割以上減少した場合においては、命令の定めるところにより、その年分の當該營業所得に對する所得税及び營業税を左の區分により輕減する。
減少割合が七割以下のとき
税額の十分の三
減少割合が七割を超えるとき
税額の十分の六
前項の規定は、個人でその年中の營業の所得金額が五萬圓以上のものについては、これを適用しない。
前二項の規定は、個人のその年中の乙種の事業所得に該當する所得の金額が、その年分の乙種の事業所得の決定金額に對し、五割以上減少した場合について、これを準用する。
第六條 前條の規定により所得税及び營業税の輕減を受けようとする者は、命令の定めるところにより、その旨を政府に申請しなければならない。
前項の申請があつたときは、政府は輕減處分が確定するまで税金の徴收を猶豫することができる。
第七條 國庫補助金その他これに類する收入で命令で定めるものは、命令の定めるところにより、法人税法による所得及び營業税法による法人の純益の計算上、これを益金に算入しない。
第八條 命令で定める法人の設定した價格平衡資金又は施設補修準備金への繰入金は、命令の定めるところにより、法人税法による所得及び營業税法による純益の計算上、これを損金に算入する。
第九條 法人が額面以上の價額で株式を發行した場合の額面を超える金額については、命令の定めるところにより、その十分の五に相當する金額を、法人税法による所得及び營業税法による純益の計算上益金に算入しない。
第十條 法人のなした寄附金のうち、命令の定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、法人税法による所得及び營業税法による純益又は特別法人税法による剩餘金の計算上、これを損金に算入しない。但し、命令で定める寄附金については、命令の定めるところにより、その一部を損金に算入する。
第十一條 法人の納付した罰金又は科料(通告處分により納付した罰金又は科料に相當する金額を含む。)は、法人税法による所得及び營業税法による純益の計算上、これを損金に算入しない。
第十二條 法人が合併した場合において、合併に因り消滅した法人の株式(出資を含む。本條中以下これに同じ。)を、合併後存續する法人又は合併に因り消滅した他の法人が、合併前において取得したときは、命令の定めるところにより、當該株式の取得に要した金錢を、合併に因り消滅した法人の株主(社員を含む。)が、合併後存續する法人又は合併に因り設立した法人から合併に因り取得した金錢とみなし、法人税法及び營業税法を適用する。
第十三條 命令で定める法人が、各事業年度分の法人税又は各事業年度分の營業税についてなすべき法人税法第十八條又は營業税法第十五條の申告の期限は、これを毎事業年度の決算が確定した後六十日以内とする。
第十四條 前條に規定する法人は、命令の定めるところにより、各事業年度分の法人税及び營業税を、同條の規定による申告と同時に政府に納付しなければならない。
第十五條 第十三條に規定する法人が、前條の規定による法人税若しくは營業税の納付をしないとき又はその納付した税額が納付すべき税額に對し不足するときは、納付すべき税額又は不足する税額に命令の定めるところにより計算した金額を、命令の定めるところにより、加算してこれを徴收する。
第十六條 納税施設法第七條乃至第九條の規定は、第十三條に規定する法人については、これを適用しない。
第十七條 耕作を目的とする土地(その土地に附屬して使用される土地を含む。)について、所有權の交換をした場合においては、交換に因る所有權の取得又は交換のためにする所有權の保存の登記については、命令の定めるところにより、登録税を免除する。
前項の規定は、永小作權の交換又は前項の土地の所有權と永小作權との交換をした場合について、これを準用する。
第十八條 左に掲げる事項が、法令、法令に基く命令又は行政官廳の指導若しくは斡旋によりなされる場合においては、命令の定めるところにより、その登記の登録税の額は、他の法令に特別の定のある場合を除いては、登録税法にかかはらず左の額による。但し、登録税法により計算した登録税の額が、左の額より少いときはその額による。
一 會社の設立
金錢出資による拂込株金額及び金錢を目的とする株金以外の出資の價格の千分の六と、金錢以外の財産の出資による拂込株金額及び金錢以外の財産を目的とする株金以外の出資の價格の千分の一・五との合計額
二 會社資本の増加
金錢出資による増資拂込株金額及び金錢を目的とする株金以外の出資の價格の千分の六と、金錢以外の財産の出資による増資拂込株金額及び金錢以外の財産を目的とする株金以外の出資の價格の千分の一・五との合計額
三 第二囘以後の株金拂込
毎囘の金錢による拂込株金額の千分の六と、金錢以外の財産の出資による拂込株金額の千分の一・五との合計額
四 會社の設立、資本増加若しくは第二囘以後の株金の拂込又は事業の設備若しくは事業の讓受の場合における不動産又は船舶に關する權利の取得
不動産又は船舶の價格の千分の四
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
甲種及び乙種の事業所得、山林の所得、讓渡所得及び個人の總所得に對する所得税竝びに個人の營業税については、昭和二十二年分からこの法律を適用する。
各事業年度の普通所得及び超過所得に對する法人税竝びに法人の各事業年度の純益に對する營業税については、昭和二十一年四月一日以後に終了する事業年度分から、清算所得に對する法人税及び清算純益に對する營業税については、同日以後の解散又は合併に因る分から、この法律を適用する。但し、同年八月三十一日までに決算の確定した事業年度分に限り、第十三條中「毎事業年度の決算が確定した後六十日以内」とあるのは、「昭和二十一年十月三十一日まで」と讀み替へるものとする。
特別の法人の各事業年度の剩餘金に對する特別法人税については、昭和二十一年四月一日以後に終了する事業年度分から、この法律を適用する。
昭和二十年分以前の乙種の配當利子所得に對する分類所得税、昭和二十一年分以前の甲種及び乙種の事業所得、乙種の勤勞所得、山林の所得及び個人の總所得に對する所得税、個人の昭和二十一年分以前の營業税及び臨時利得税、昭和二十一年分以前の鑛區税、法人の昭和二十一年三月三十一日以前に終了した各事業年度の所得及び資本に對する法人税及び純益に對する營業税及び臨時利得税、法人の同日以前の解散又は合併に因る清算所得に對する法人税及び清算純益に對する營業税、特別の法人の同日以前に終了した各事業年度の剩餘金に對する特別法人税及び同日以前の解散又は合併に因る清算剩餘金に對する特別法人税及びこの法律施行前に課した又は課すべきであつた甲種の配當利子所得に對する分類所得税及び登録税の輕減又は免除竝びにこれらの租税の課税標準の計算、徴收及びこれらの租税の輕減又は免除に因る納税資格要件の特例に關しては、なほ從前の例による。
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地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案
右の政府提出案は本院において修正議決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十一年八月十五日
衆議院議長 樋貝詮三
貴族院議長公爵 徳川家正殿
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地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案
第一條 地方税法の一部を次のやうに改正する。
第一條第一項中「府縣」を「道府縣」に、「府縣税」を「道府縣税」に改め、同條第二項中「府縣條例」を「道府縣條例」に改め、同項の次に次の一項を加へる。
前二項の規定を除くの外本法中府縣、府縣税、府縣民税、府縣知事、府縣吏員、府縣參事會又は府縣條例とあるは夫々北海道、北海道税、北海道民税、北海道廳長官、北海道吏員、北海道參事會又は北海道條例を含むものとす
同條第三項中及「北海道地方費」を削り、同條第四項を次のやうに改める。
前項の場合に於ては府縣、府縣税、府縣民税、府縣知事、府縣吏員、府縣參事會又は府縣條例とあるは夫々東京都、東京都税、東京都民税、東京都長官、東京都吏員、東京都參事會又は東京都條例とす
第二十條第一項の次に次の一項を加へる。
第四十八條の六第一項の場合に於て市町村は府縣民税の賦課總額の配當に關し違法又は錯誤ありと認むるときは其の告知を受けたる日より三十日以内に府縣知事に異議の申立を爲すことを得
同條第三項中「前二項」を「前三項」に改め、同條第四項中「第三項」を「前項」に改め、同條第五項中「前四項」を「前五項」に改める。
第二十六條第一項第一號中「又は徴收の囑託を受けたる滿洲國の國税若は地方税」を削る。
第四十六條中「百分の百」を「百分の二百」に、「百分の百二十」を「百分の二百四十」に改める。
第四十八條中「段別税」を「府縣民税 段別税」に改め、同條に次の二項を加へる。
府縣は前項に掲ぐるものの外別に税目を起して獨立税を課することを得
前項の獨立税の新設及變更に付ては内務大臣及大藏大臣の許可を受くべし
第四十八條の二 府縣民税は左に掲ぐる者に對し之を課す但し貪困に因り生活の爲公私の救助を受け又は扶助を受くる者に對しては此の限に在らず
一 府縣内に一戸を構ふる個人又は一戸を構へざるも獨立の生計を營む個人
二 前號に該當せざるも府縣内に事務所、營業所又は家屋敷を有する個人
三 府縣内に事務所又は營業所を有する法人
前項第一號又は第二號の個人に付ては當該事實ある市町村毎に、第三號の法人に付ては其の事務所又は營業所毎に府縣民税を課す
第四十八條の三 府縣民税の賦課期日は四月一日とす
前項に定むるものの外府縣民税の課税方法は府縣條例を以て之を規定すべし
第六條及第十條の規定は府縣民税に付ては之を適用せず
第四十八條の四 府縣民税の賦課總額は六十圓に第四十八條の二に定むる納税義務者數を乘じたる額を超ゆることを得ず
前項の規定の適用に付ては第四十八條の二第一項第一號又は第二號の個人は當該事實ある市町村毎に、同項第三號の法人は其の事務所又は營業所毎に獨立の納税義務者と看做す
第四十八條の五 特別の必要ある場合に於ては内務大臣の許可を受け前條第一項に規定する制限額を超過し其の百分の五十以内に於て増課することを得
第四十八條の六 府縣民税の賦課總額は府縣條例の定むる所に依り之を市町村に配當することを得
前項の場合に於ては法律、命令及府縣條例に定むるものの外府縣民税の課税方法は關係市町村の條例を以て之を規定せしむることを得
第五十八條中「藝妓税附加税」を「藝妓税附加税 第四十八條第二項の規定に依る獨立税の附加税」に改める。
第六十一條中「百分の二百」を「百分の三百」に、「百分の二百四十」を「百分の三百六十」に改める。
第六十三條第二項中「第四十八條に掲ぐる獨立税」を「第四十八條第一項に掲ぐる獨立税(府縣民税を除く)」に改める。
第六十五條第一項中「十月」を「四月」に改める。
第六十六條第一項及び第二項を次のやうに改める。
市町村民税の賦課總額は四十圓に第六十四條に定むる納税義務者數を乘じたる額を超ゆることを得ず
同條第三項中「前二項」を「前項」に改める。
第六十六條の二 特別の必要ある場合に於ては府縣知事の許可を受け前條第一項に規定する制限額を超過し其の百分の五十以内に於て増課することを得
第七十五條第一項の次に次の一項を加へる。
府縣民税に對しては府縣税獨立税割を課することを得ず
同條第二項中「前項」を「第一項」に改める。
第七十六條第二項を次のやうに改める。
府縣民税又は市町村民税に對しては府縣税獨立税割又は市町村税獨立税割を課することを得す
第八十條第二項中「二十圓」を「二百圓」に改める。
第八十五條の二中「百分の百とあるは百分の三百、百分の百二十とあるは百分の三百六十」を「百分の二百とあるは百分の五百、百分の二百四十とあるは百分の六百」に改める。
第八十五條の十中「東京都の區」を「東京都の區の區税竝に東京都の區」に改め、同條を第八十五條の十四とする。
第八十五條の七第一項を削り、同條を第八十五條の八とし、第八十五條の八を第八十五條の九とし、第八十五條の九を第八十五條の十とする。
第八十五條の六を第八十五條の七とし、第八十五條の五中「第六十四條」を「第六十七條」に改め、同條を第八十五條の六とする。
第八十五條の四第一項中「都民税」を削り、同條を第八十五條の五とする。
第八十五條の四 東京都の區の存する區域に於ては第四十八條の四第一項の規定の準用に付ては同項中六十圓に第四十八條の二に定むる納税義務者數を乘じたる額とあるは六十圓に東京都に於ける第一條第四項に於て準用する第四十八條の二に定むる納税義務者數を乘じたる額及四十圓に區の存する區域に於ける第一條第四項に於て準用する第四十八條の二に定むる納税義務者數を乘じたる額の合算額とす
都民税の課税に付第四十八條の二第二項及第四十八條の四第二項の規定を準用する場合に於ては東京都の區の存する區域を以て市と看做す
第八十五條の十一 東京都の區は東京都條例の定むる所に依り其の區域内に於て東京都の課することを得る税の全部又は一部を區税として課することを得
前項の東京都條例に付ては内務大臣の許可を受くべし
第八十五條の十二 東京都の區は前條第一項の外別に税目を起して獨立税を課することを得
前項の獨立税の新設及變更に付ては東京都の同意竝に内務大臣及大藏大臣の許可を受くべし
第八十五條の十三 區税に付ては本法中市町村税に關する規定を準用す
前項の場合に於ては市町村、市町村長、市町村吏員、市町村會又は市町村條例とあるは區、區長、區所屬の官吏、區所屬の都吏員若は區吏員、區會又は區條例とす
第二條 地方分與税法の一部を次のやうに改正する。
地方分與税法目次中「第四款町村配付税」を「第四款 町村配付税 第五款 特別配付税」に改める。
第二條第二項中「百分の十・〇六」を「百分の十六・六七」に、「百分の十四・四〇」を「百分の三十・四二」に改める。
第六條第一項中「百分の十・〇六」を「百分の十六・六七」に、「百分の十四・四〇」を「百分の三十・四二」に改める。
第十條中「百分の六十三」を「百分の六十五」に、「百分の三十七」を「百分の三十五」に改める。
第十三條 道府縣配付税は之を第一種配付額、第二種配付額及第三種配付額に分ち第一種配付額は道府縣の課税力を標準とし、第二種配付額は道府縣の財政需要を標準とし、第三種配付額は特別の事情ある道府縣に對し其の事情を斟酌して之を分與す
第十四條 第一種配付額、第二種配付額及第三種配付額は夫々道府縣配付税總額の百分の四十七・五、百分の四十七・五及百分の五とす
第十五條第四項中「百分の百」を「百分の二百」に改める。
第十六條第二項を次のやうに改める。
割増人口は當該道府縣の大都市部人口の三倍、都市部人口の二倍及町村部人口の合算額に百五十萬を加へたるものとす
第十六條の二 第三種配付額の分與方法は命令の定むる所に依る第十七條第二項中「前二條」を「第十五條及第十六條」に改める。
第十八條 前條第二項の規定に依り減額したる額は之を第三種配付額に加ふ
第十九條 市町村配付税は大都市配付税、都市配付税、町村配付税及特別配付税の四種とす
大都市配付税は大都市に、都市配付税は都市に、町村配付税は町村に、特別配付税は大都市、都市及町村に對して之を分與す
大都市及都市の區分は命令の定むる所に依る
第二十條第一項第一號中「半額」を「百分の四十七・五」に改め、同項第二號中「半額」を「百分の四十七・五」に、「大都市、都市及町村の各總割増人口」を「大都市總人口の三倍、都市總人口の二倍及町村總人口」に改め、同條第四項中「百分の二百」を「百分の三百」に改める。
第二十條の二 特別配付税の總額は市町村配付税總額の百分の五とす
第二十三條第四項中「百分の二百」を「百分の三百」に改める。
第二十四條第二項を次のやうに改める。
割増人口は當該市の人口に九十萬を加へたるものとす
第二十六條 前條第二項の規定に依り減額したる額は之を特別配付税に加ふ
第二十七條 都市配付税は之を第一種配付額及第二種配付額に分ち第一種配分額は都市の課税力を標準とし、第二種配付額は都市の財政需要を標準として之を分與す
第二十八條 第一種配付額及第二種配付額は夫々都市配付税總額の半額とす
第二十九條第四項中「百分の二百」を「百分の三百」に改める。
第三十條第二項を次のやうに改める。
割増人口は當該市の人口に四萬五千を加へたるものとす
第三十一條 削除
第三十三條中「第三種配付額」を「特別配付税」に改める。
第三十四條 町村配付税は之を第一種配付額及第二種配付額に分ち第一種配付額は町村の課税力を標準とし、第二種配付額は町村の財政需要を標準として之を分與す
第三十五條 第一種配付額及第二種配付額は夫々町村配付税總額の半額とす
第三十六條第四項中「百分の二百」を「百分の三百」に改める。
第三十七條第二項を次のやうに改める。
割増人口は當該町村の人口に三千を加へたるものとす
第三十八條 削除
第四十條中「第三種配付額」を「特別配付税」に改める。
第四十條の二を第四十條の四とする。
第三章に次の一款を加へる。
第五款 特別配付税
第四十條の二 特別配付税は特別の事情ある大都市、都市及町村に對し其の事情を斟酌して之を分與す
第四十條の三 特別配付税の分與方法は命令の定むる所に依る
第四十二條中「第十五條乃至第十七條、第十九條」を「第十五條、第十七條」に、「第十五條の災害土木費負債額竝に第十六條、第二十四條、第三十條及第三十七條の國民學校兒童數」を「竝に第十五條の災害土木費負債額」に改め、「人口、」の下に「第十六條の大都市部人口、都市部人口及町村部人口、」を加へる。
第四十七條第二項中「百分の十・〇六」を「百分の十六・六七」に、「昭和二十一年度に於ては百分の十・一四、昭和二十二年度に於ては百分の十・〇八」を「昭和二十一年度に於ては百分の十九・三五、昭和二十二年度に於ては百分の十八・九〇」に改め、同條第三項中「百分の十四・四〇」を「百分の三十・四二」に、「昭和二十一年度に於ては百分の十七・九五」を「昭和二十一年度に於ては百分の三十九・五一、昭和二十二年度に於ては「百分の三十一・四二」に改める。
第四十八條第二項中「百分の十・〇六」を「百分の十六・六七」に、「昭和二十一年度分に付ては百分の十二・二二、昭和二十二年度分に付ては百分の十・三二、昭和二十三年度分に付ては百分の十・一四、昭和二十四年度分に付ては百分の十・〇八」を「昭和二十一年度分に付ては百分の三十六・三七、昭和二十二年度分に付ては百分の四十・〇七、昭和二十三年度分に付ては百分の十九・二一、昭和二十四年度分に付ては百分の十六・七三」に改め、同條第三項中「百分の十四・四〇」を「百分の三十・四二」に、「昭和二十一年度分に付ては百分の十四・三〇、昭和二十二年度分に付ては百分の十四・五六」を「昭和二十一年度分に付ては百分の五十七・九〇、昭和二十二年度分に付ては百分の四十八・八八、昭和二十三年度分に付ては「百分の三十・四三」に改め、同條第四項を削る。
第四十九條 當分の間道府縣配付税には第一種配付額、第二種配付額及第三種配付額の外に第四種配付額を設け戰災に因り税收入の減少する道府縣に對し其の減收額を標準として之を分與す
第四種配付額は道府縣配付税總額の百分の十以内に於て命令を以て定むる額とす
道府縣配付税中第一種配付額及第二種配付額は當分の間第十四條の規定に拘らず夫々道府縣配付税總額より第十四條に定むる第三種配付額及前項に定むる第四種配付額の合算額を控除したる額の半額とす
第五十條 道府縣配付税中第四種配付額は戰災後の税收入額(戰災後税額と稱す以下同じ)が戰災なかりし場合に於て收入すぺかりし税收入見込額(戰災前税額と稱す以下同じ)に不足する道府縣に對し其の不足額に按分して之を分與す
道府縣配付税中第四種配付額が前項の不足額の合計額を超過する場合に於ては其の超過額は之を第三種配付額に加ふ
第五十一條 當分の間第十七條第一項中第二種配付額とあるは第二種配付額及第四種配付額とし同條第二項中第十五條及第十六條とあるは第十五條、第十六條及第五十條第一項とす
第五十二條 當分の間市町村配付税には大都市配付税、都市配付税、町村配付税及特別配付税の外に臨時特別配付税を設け戰災に因り税收入の減少する大都市、都市及町村に對し其の減收額を標準として之を分與す
臨時特別配付税は市町村配付税總額の百分の二十以内に於て命令を以て定むる額とす
當分の間第二十條第一項中市町村配付税總額の百分の四十七・五とあるは市町村配付税總額の百分の四十七・五より臨時特別配付税の半額を控除したる額とす
第五十三條 臨時特別配付税は戰災後税額が戰災前税額に不足する大都市、都市及町村に對し其の不足額に按分して之を分與す
臨時特別配付税總額が前項の不足額の合計額を超過する場合に於ては其の超過額は之を特別配付税に加ふ
第五十四條 當分の間第二十五條中大都市標準單位税額とあるは大都市特別標準單位税額とし同條第二項中前二條の規定に依る大都市配付税の額とあるは前二條の規定に依る大都市配付税の額及第五十三條の規定に依る臨時特別配付税の額の合算額とす
第五十五條 當分の間第三十二條中都市標準單位税額とあるは都市特別標準單位税額とし同條第二項中第二十九條及第三十條の規定に依る都市配付税の額とあるは第二十九條及第三十條の規定に依る都市配付税の額及第五十三條の規定に依る臨時特別配付税の額の合算額とす
第五十六條 當分の間第三十九條中町村標準單位税額とあるは町村特別標準單位税額とし同條第二項中第三十六條及第三十七條の規定に依る町村配付税の額とあるは第三十六條及第三十七條の規定に依る町村配付税の額及第五十三條の規定に依る臨時特別配付税の額の合算額とす
第五十七條 前三條の大都市特別標準單位税額、都市特別標準單位税額又は町村特別標準單位税額は臨時特別配付税の大都市、都市又は町村に對する各分與額の總額を全大都市、全都市又は全町村の人口を以て除したる額に大都市標準單位税額、都市標準單位税額又は町村標準單位税額を加へたる額とす
第五十八條 第五十條及第五十三條の戰災前税額及戰災後税額竝に前條の人口は命令の定むる所に依る
第五十九條 昭和二十年度分以前の國税附加税額の算定に付ては第十五條第四項中百分の二百とあるは百分の百、第二十條第四項、第二十三條第四項、第二十九條第四項及第三十六條第四項中百分の三百とあるは百分の二百とす
昭和二十一年度分の家屋税附加税額の算定に付ては第十五條第四項中百分の二百とあるは百分の三百二十、第二十條第四項、第二十三條第四項、第二十九條第四項及第三十六條第四項中百分の三百とあるは百分の四百二十とす
第六十條 昭和二十一年度及昭和二十二年度に限り第十一條第一項中前年度初日とあるは當該年度初日とす
第六十一條乃至第七十四條を削る。
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。但し、地方税法第一條及び第八十五條の十一乃至第八十五條の十四の改正規定の施行の期日は、勅令でこれを定める。
この法律(前項但書に掲げる改正規定、地方税法第二十六條及び第八十條の改正規定竝びに附則第六項の規定を除く。)は、昭和二十一年度分から、これを適用する。
地方税法第一條の改正規定の施行されるまでは、地方税法中府縣に關する規定を東京都及び北海道地方費に準用する場合において、「府縣民税」とあるのは「東京都民税」又は「北海道民税」と讀み替へるものとし、改正後の同法第八十五條の四中「第一條第四項」とあるのは「第一條第三項」と讀み替へるものとする。
昭和二十一年度分の家屋税附加税及び家屋税割に限り、地方税法第四十六條の改正規定中「百分の二百」とあるのは「百分の三百二十」、「百分の二百四十」とあるのは「百分の三百八十」、同法第六十一條の改正規定中「百分の三百」とあるのは「百分の四百二十」、「百分の三百六十」とあるのは「百分の五百」、同法第七十五條第一項中「家屋税の百分の二十五」とあるのは「家屋税の百分の三十五」、同法第七十六條第一項中「家屋税の百分の六十八」とあるのは「家屋税の百分の九十五」、同法第八十五條の二の改正規定中「百分の五百」とあるのは「百分の七百四十」、「百分の六百」とあるのは「百分の八百八十」、改正後の同法第八十五條の七中「百分の九十三」とあるのは「百分の百三十」と讀み替へるものとする。
昭和二十一年度分に限り、地方税法第四十五條中「地租附加税、家屋税附加税及營業税附加税の賦課率」とあるのは、「地租附加税及營業税附加税の賦課率竝に家屋税附加税の賦課率より百分の四十を減じたるものを一・四を以て除したるもの」、同法第五十九條中「地租附加税、家屋税附加税及營業税附加税の賦課率」とあるのは「地租附加税及營業税附加税の賦課率竝に家屋税附加税の賦課率を一・四を以て除したるもの」、同法第四十八條の三第一項及び第六十五條第一項の改正規定中「四月一日」とあるのは「十月一日」と讀み替へるものとする。日滿地方税徴收事務共助法は、これを廢止する。
―――――――――――――――――――――
〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=14
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015・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 只今議題となりました三法律案の中、所得税法の一部を改正する等の法律案及び臨時租税措置法を改正する法律案に付きまして御説明を申上げます、終戰後に於ける時局を速かに收拾し、國民生活の安定を確保し、新しき日本の建設を期する爲當面必要とする財政需要は相當巨額に上つて居る次第であります、之に對處致します爲、租税に付きましても、國民經濟の實情及び國民生活に及す影響等を考慮致しました上、適當と認めらる、増税等を行ひまして、國庫收入の増加を圖つて財政の強化に資しますと共に、經濟諸情勢等の推移に應じて國民負擔の公正を期し、併せて徴税の簡素化を圖ることと致したいのであります、即ち直接税に付きましては、分類所得税の増徴に主眼を置きまして、特に資産所得に重課致し、又間接税に付きましては、酒類等嗜好品に對して重課することと致しました、其の他各税に亙り最近に於ける物價及び取引の状況等に即應致しまして相當の増税を行はうとするものであります、同時に目下課税を不適當とするに至りました若干の租税を廢止若しくは改正致しまして、戰時税制を平時税制に移行致しまする爲の所要の整備をも併せて行ひたいと思ふのてあります、本案の内容を申上げますれば、先づ分類所得税でありまするが、本税は租税收入の半ばに達する相當重要な租税でありますので、今囘の増税に於きましても、只今申上げました通り、之に主眼を置いて居るのであります、さうして資産所得に對し増徴の程度を強くし、勤勞所得に對しては其の程度を弱くする趣旨に依りまして、所得の種類の性質に應じまして差等を附しながら、原則として百分の二乃至百分の七程度の税率の引上を行ひまして、總税額に於て二割五分程度の増徴を圖ることと致したのであります、又綜合所得税に付きましては、分類所得税の税率の引上に照應致しながら税率を改定致しまして、高額所得者に對しまして課税の擴充を期することと致したのであります、それから法人税に付きましては、法人の臨時利得税を此の法人税に統合致しまして、普通所得と超過所得とに區分して課税することと致しました、普通所得に對する税率を百分の二程度引上げ超過所得に對する税率は、從來の臨時利得税程度の税收を擧げる目途の下に之を定めることと致したのであります、之に伴ひ特別法人税に付きましても、相當程度の税率の引上を行ふことと致したのであります、それから臨時利得税は、今次の戰爭終了後一年以内に廢止することに相成つて居りまするので、今囘の税制改正を機として之を廢止することと致したのであります、併し前に申上げました通り、法人の利得税は之を法人税に統合致しまして、それから又個人の不動産等の讓渡に對する課税は、之を所得税に統合することと致したのであります、それから相續税でございますが、高額財産の相續者に對する税率を相當程度引上げることと致したのでありますが、是と同時に課税最低限又は扶養家族控除額を二倍乃至四倍程度に引上げまして、以て小額財産の相續者の負擔を緩和することと致したのであります、又地方團體の財源たる地租、家屋税及び營業税に付きましても、地方財政の状況等を考慮致しまして、相當程度税率を引上げました、其の他鑛區税、有價證券移轉税、登録税に付きましても、相當程度の税率の引上を行はうとするのであります、それから酒税に付きましては、酒類の嗜好品たる性質等に鑑みまして、此の際相當重課することは已むを得ないものと考へられますので、各種酒類の品質等に應じまして税負擔に差等を附しながら、總税額に於て十九割程度の増收を圖ることと致したのであります、それから織物に付きましては、消費税と物品税を統合致しまして、徴税の簡素化を圖ると共に、税率を原則として百分の四十と致しました、それから物品税に付きましては、徴税を簡素且適正ならしむる爲に、現在の第一種の物品は小賣課税を致して居るのでありますが、今囘之を改めまして、原則として製造課税と致しました、其の中で製造課税に改めることが困難な一部の物品に對する課税を廢止することと致しました、又甲類物品に對する税率は從來百分の百二十でありましたが、是は高きに失する嫌ひがありまするので、之を百分の百に引下げました、又飴等に對しましては、砂糖と同程度の税率の引上を行ふことと致したのであります、其の外、清涼飮料税、砂糖消費税、骨牌税、印紙税等に付きましても、相當程度の税率の引上を行ふことと致しました、以上の増税に即應致しまして、税制を出來る限り簡素適正ならしむると共に、終戰後に於きまする事態に即應致しまして、税務の運營の適正等を期することと致しまする爲、現在に於きましては、課税するを不適當とするに至つた配當利子特別税、外貨債特別税、建築税、特別行爲税、電氣瓦斯税及び廣告税等は之を廢止致しました、尚各税法に亙り必要な改正又は廢止を行ふことと致しました、尚今次の戰爭遂行上の必要等に依り實施せられて參りました臨時租税措置法は今囘之を租税特別措置法に改めまして、生産の増強、國民生活の安定其の他現下緊要の諸政策の遂行に資する爲、特に必要とせられる租税の減免等に付てのみ之を整備存置し、戰爭遂行上の必要に基いて定められた租税の減免等は、此の際之を廢止することに致しました、以上述べました増税等各種の措置に依りまして、平年度に於て三十九億七百餘萬圓、初年度たる昭和二十一年度に於て二十四億五千百餘萬圓の増收となる見込であります、今囘の増税等の大要は以上の如くでありますが、今次の戰爭開始の前後を通ずる累次の増税に依り、國民の租税負擔は現在に於ても相當重いのでありまして、國民經濟乃至國民生活が不安定な此の際、更に増税等に依り、負擔を重加することは、誠に忍び難いものがあるのであります、併しながら冒頭にも申上げた通り、財政の基礎を出來る限り鞏固にし、急速に財政經濟の再建及び國民生活の安定を圖ります爲には、誠に已むを得ない次第であると考へて斯樣な案を立てた次第であります、政府と致しましては、本増税等の實施に付きまして國民各層の深き理解と協力とに期待致しますると共に、一層適實公正な税務の運營に付きまして、十分の努力を致す所存であります、尚、國民經濟の推移及び國民生活の實情に即し出來るだけ早い機會に於て租税制度の全般に亙る根本的整理改正を行ひ、適正な國民負擔の實現を圖りたいと考へて居る次第であります、終りに所得税法の一部を改正する等の法律案に付きましては、衆議院に於て遊興飮食税の免税點を引上げる修正の議決がありました之に伴ふ減收額は、平年度に於て一億三千百餘萬圓、初年度たる昭和二十一年度に於て六千五百餘萬圓の見込みであります、此の修正案に付きましては、政府は之を尊重する所存であります、以上簡略でありますが御説明申上げました、何卒御審議の上、速かに協贊を賜らむことを希望する次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=15
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016・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 大村内務大臣
〔國務大臣大村清一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=16
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017・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今議題となつて居ります地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案に付きまして其の要旨を説明致します、地方團體の財政は、多數都市の戰災と終戰後の社會經濟情勢の一變とに依りまして其の事情が激變致し、困難なる段階に立至つて居るのであります、此の地方財政の現況を概括して申述べて見ますれば、先づ戰災其の他に依りまして、地方團體は多大の税源を喪失致しました、加ふるに物價の騰貴に依る職員の給與改善費竝に戰災復興、其の他の災害對策、食糧對策等に多額の財源を必要と致して居るのであります、更に戰災其の他に依りまして地方團體の相互の間の財政事情は著しく不均衡と相成り、且其の情況は甚だしく複雜に相成つて參つたのであります、而も地方行政の民主化、地方自治の發達を期しまする爲には、地方制度の改革と竝行して、地方自治團體の財政の強化と其の自主化とを圖る必要があるのであります、斯くの如き地方財政の現況に鑑みまして、今囘第一に地方財源の擴充、第二に地方財政の自主性の強化、第三に地方財政調整の適正化、此の三つのものを目標と致しまして、地方税法及び地方分與税法の一部を改正せむとする次第であります、先づ地方税法中の改正事項に付て申述べますが、是は大體に於きまして地方税全般に亙つて相當の増税を行はむとするものであります、今や地方民の擔税力は増強した面もありますが、又反對に弱化した面もあるのであります、殊に生活上の困難さが増大致して參つて居ります時に、一般的増税を行ふことは深甚の考慮を加へなければならぬことは申す迄もないことであります、併しながら多額の地方財政の補填を國庫財政の援助にのみ俟つことは、國庫財政其のものも亦逼迫して居りまする今日に於ては、所詮多くを期待することは出來ない事情にあるのであります、從つて地方税自體に於て相當の増税を行ふことは誠に已むを得ないものがあるのであります、而して地方税の増税に當りましては地方の財政上の自主性を強化することも併せて考慮致して居る次第であります、而して改正の第一點は、地租家屋税及び營業税の各附加税に付きまして、其の標準賦課率を道府縣市町村共に百分の百づつ増率を爲さむとすることであります、而して是等の本税たる各國税に於ても今囘相當の増税が行はれますから、之と地方附加税率の増率と相俟つて地方は相當の増收を期待することが出來るのであります、改正の第二點は、市町村民税の納税義務者一人當りの平均賦課制限額を四十圓に引上げますと共に、新に制限外課税の途を設けむとすることであります、尚納税者一人に對する最高賦課額に付きましては、其の賦課總額を著しく引上げました關係もありまして、法定の制限は之を撤廢致したのでありますが、之に依りまして過當の賦課が行はれないやうに適切なる措置を講ずる所存であります、改正の第三點は府縣に對して、納税義務者一人當りの平均賦課制限額を六十圓とする府縣民税を新設せむとすることであります、府縣民税の内容は大體市町村民税に準じて居るのであります、改正の第四點は、現在市町村に認められて居りますと同樣に、府縣に對しても法定外の獨立税を設定し得る權能を與へむとすることであります、次に地方分與税法の改正に付て其の主要な點を説明致します、改正の第一點は、配付税全體に關する事項でありますが、其の一點は、前述の地方税制の改正竝に國費、地方費の負擔區分等に依りまして、地方は相當の收入を見込み得るのでありますけれども、之を以て地方財政需要の増加及び戰災に因る地方税の減收を補填するに足りませぬから、其の不足額は配付税の増額に依つて措置することと致しまして、之が爲に配付税の繰入率及び分與率を改正せむとすることであります、而して昭和二十一年度の配付税總額は二十三億三千餘萬圓となり、前年度の八億九千餘萬圓に比較致しまして、相當大幅の増額と相成つて居るのであります、其の二は、道府縣及び市町村に對する財源賦與額と財源所要額との調整を配付税に於て圖りますが爲に、配付税の道府縣分と市町村分との割振りを變更しまして、道府縣分に百分の二を増加せむとすることであります、改正の第二點は道府縣配付税に關することでありますが、其の一は、戰災後の道府縣の財政事情は極めて複雜な變化を示して居り、從つて過去の實績を基礎とする固定した法定の分與基準のみを以て致しましては、配付税分與の適正を期し難いので、新に特別の事情のある道府縣に對し、其の事情を斟酌して分與致します所の第三種配付額を設けむとすることであります、其の二は都市方面の特に甚だしい財政需要増加の状況、人口少數團體に對する財源賦與の必要、國民學校兒童數の一時的な増減の情況等に鑑みまして、財政需要に應じて分與する第三種配付額の分與基準であります所の各道府縣の割増人口の算定方法を改めまして、大都市部人口の三倍、都市部人口の二倍、町村部人口の一倍、是等の合算額に、百五十萬を加へたも〕のに依ることと致しまして、國民學校兒童數に依る人口割増の制を廢止せむとすることであります、改正の第三は、市町村配付税に關する事項でありますが、其の一は、戰災後大都市、都市、町村間の財政事情も亦極めて複雜なる變化を示し、法定の分與基準のみを以て致しましては、大都市、都市、町村に對する配付税分割の適正を期し難い状況に立至りましたので、市町村配付税中に新たに大都市、都市、町村を通じ、特別の事情ある市町村に對し、其の事情を斟酌して分與する所の特別配付税を設けむとすることであります、之に伴ひ、都市配付税及び町村配付税の中で從來是と同じ働きをして居りました第三種配付額は不用と相成りますので、之を廢止致して居ります、其の二は、市町村配付税總額を財政需要を標準として大都市、都市、町村の三「ブロック」に分割する場合に於て、都市方面の特に甚だしい財政需要の増加の状況に鑑みまして、大都市總人口の三倍、都市總人口の二倍、町村人口の一倍に按分することに改めむとすることであります、其の三は、人口少數團體に對する財源賦與の必要、國民學校兒童數の一時的な増減の状況等に鑑みまして、大都市、都市、町村の各配付税中財政需要を標準とする第二種配付額の分與基準たる割増人口の算定方法を改めまして、大都市に付ては加算人口を五割増加致しまして、之を九十萬に改め、都市及び町村に付ても是と同樣にそれぞれ五割づつ増しますと共に、孰れも國民學校兒童數に依る人口割増の制を廢止せむとすることであります、改正の第四點は、配付税の臨時特例に關する事項でありますが、戰災團體の財政状況に鑑み、其の税の減收額の二分の一程度を補填することを目途と致しまして、道府縣配付税中に第四種配付額を、又市町村配付税中に臨時特別配付税を設けむとすることであります、尚衆議院に於て修正になりました點は、遊興飮食税法の修正に伴ふものであります、以上の通りでありますので、何卒御審議の上、御協贊あらむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=17
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018・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 質疑の通告がございます、大河内子爵
〔子爵大河内輝耕君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=18
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019・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 此の問題は政府と十分に御相談を申上げて、十分政府の御研究を願つた上で實は御答を願ひたいと思つたのです、併しまあ若し政府がうまい答を致しましたら、皆樣に少しでも早く御聞かせすることが本案を議する上に於て必要だと存じますので、政府には誠に御氣の毒でございますが、突然此處に起つた譯です、實は今朝大藏省の方へ伺ひまして十分御打合せしてそれから起ちたいと思つて居つたのです、皆さん御氣付きのやうに體を痛めて居りまして、其の上に「バス」の時間もございますので、歩いて來る譯にも參りませぬ、それで已むを得ず突然御尋ねすることになつた、併し大藏大臣に對する質問ですから、大藏大臣に特に御斷りをして置きたい、此の問題は私は徹底的にやらなければ氣に入らない、私の質問に對して高等文官試驗が通れば宜いと云ふ位な程度のものなら質問は致しませぬ、私共其の位のものは書けます、此の議會の壇上で議決される位な程度で宜いと云ふ位ならば譯ない、是も私自分でやるだけの自信はございます、併しながら此の問題を徹底的にはつきり研究して、皆樣に能く御分になると云ふやうに御説明になることは、是は十分な材料を持つていらつしやる當局者でなければ出來ないことである、當局者でも餘程能く御研究にならなければ出來ないことである、是はどんな問題だか、今申上げれば御分りになる、無論皆さんもさうだと仰つしやる、併し是は出來ないぢや濟まない問題である、是はむつかしい問題だから出來ませぬとか、能く研究致しますとか云ふ御答へぢやちよつと困るので、併し今直ぐ御答を頂戴したい意思は毛頭持つて居りませぬ、私の是から申述べようとすることを政府で十分御研究下すつて、如何なる時期でも宜しうございますから御答を願ひたい、政府は如何なる場合にも發言することは出來るのですから、是は出來ることなら成るたけ本會議でやつて戴きたい、國民一般に重大な影響を持つた問題でございますから、どうしても是は本會議でありたい、併し萬已むを得なければ仕方がない、それは豫算委員會でも機會がございますから、已むを得ませぬが、出來ることなら本會議にして戴きたい、而も徹底的な御答を願ひたい、私は徹底的な御答を得る迄は、少し皆さんに御迷惑になるかも知れないが、度々立つだらうと思ひます、其の問題は何かと云ふと増税の問題です、此の増税案は「インフレ」助長の結果を來すことは皆さんも御認になると思ふ、それでありますから今朝私の所へ或御方が御訪ね下さいまして御尋ねがあつた、お前之を贊成するかと云ふ斯う云ふ御話であつた、私は斯う御答へした、今あなたが御尋になれば私は反對だと言はなければならぬ、併し政府が「インフレ」問題に對して十分理解ある説明が出來ればそれは贊成である、今贊成するか、反對するかと聽かれたつて困ると言つたのですが、今直ぐ決めろと仰つしやればそれは反對せざるを得ぬ、それで其處迄申上げれば後は譯ないので、何も申上げる程はないので、實は「インフレ」の將來の見透しのことでございます、皆さん個々に御研究願ひたい材料を少し差上げたいし、政府の御答を少しでも早く皆さんに御知らせしたい、それにはどれだけ有益な材料を提供するかそれは知りませぬ、さう云ふ考で、何故もつと早くやらなかつたと云ふのは、それは外交關係を顧慮した、昨晩になつて外交關係は大丈夫と見ましたから、それでやり出した、是は「インフレ」問題に付て色々な見解がございます、私は只今の處では「インフレ」になるに決つて居ると思ふ、其の程度は如何、私の考では日本は「ハンガリー」になると思つて居る、一兆億圓が一錢になることは今の私の頭では必至と見て居る、是は必至の問題です、それに對して政府はどうかと云ふことが第一問、第二問と致しましては、それは防げない、防げないものは仕樣がない、仕樣がないぢやない、防ぐことも極力やるも宜いが、そんなことよりももつと必要なことは、どうせ「インフレ」は來るのですから、來るのなら費用や勞力を使つたつて仕樣がない、そんなことで國民を苦しめたつて仕樣がない、況んや増税をやつても仕樣がない、「インフレ」にならない時分に國民にどんどん金を使はせて、少しでも旨い酒の一杯でも飮ませた方が餘程宜い、例は違ひます、脱線して申譯ないですが、今度の封鎖預金を御覽なさい、あんな苦しい思ひをさせる必要はない、あれはどうかと云ふと、早い者勝ち、自墮落に金をぽんぽん使つた者はうまくやつたが、一生懸命働いて、金を貯め、公債などを引受けて預金部あたりに預金してさうして戰爭を助けようと思つた人間は今日喰ふことも出來ない、そんなになつちやつた、今迄謹直であつた人は、況して一生懸命金を貯めた人は非常な損をして、非常な惡い境遇に落ちて、喰ふことも出來ないことになつた、全く道樂のしどくです、まあ此處には斯んな方はいらつしやいませぬが、詰り從來金を使つて、方々で豪遊を極めた、又多少不道徳になるやうなことになり掛けた人はやりどくです、それではいけない、人生としては、それは不道徳なことや、詰らない娯樂はいけませぬが、正當に金を使ふものなら使はせた方が宜いと思ふ、「インフレ」が必至なら金を使はせた方が宜いと思ふ、税もかけない方が宜い、其の方が得です、それで第二の質問に移りますが、それでは「インフレ」が來ないと仰しやるなら、其の來ないと仰しやることを十分具體的に説明して、私が納得し、皆さんが納得行くやうに一つ説明をして戴きたい、是がどうしても防げないのならあんな詰らない經濟統制だのみんな廢めてしまつて、今の中に我々に贅澤をさせた方が宜い、贅澤はいけませぬが、我々は政務の研究すら出來ない、五百圓位では、病氣だけれども、自分のことを申上げて何ですが、自動車に乘ることすら出來ない、さう云ふ方は澤山あらうと思ふ、國民にそんな苦しい生活をさせるよりも、どうせ一錢のものが一千兆にも二千兆にもなるなら、放つて置いて何でも勝手にさせたが宜い、併し斯う言はれるかも知れぬ、お前の言ふやうに一兆には行かない、そんなに一兆億圓が一錢になつてしまふと云ふことはない、此の位の程度で止める、此の位の程度で止めるから辛抱して呉れろと仰しやるなら辛抱しなければならぬ、極力助けなければなりませぬが、さあそれが果して或程度で止るや否や、ここが大變な疑問です、私は今に一兆億圓迄行かうと思ひますけれども、政府の御考は多分或所で止めようと云ふ御話だらうと思ふ、今後騰るには相違ないが併し或所迄で止めて、さうして一兆億になると云ふ、そんなことはありはしないと、斯う云ふ御考だらうと思ふ、それならそれで宜しい、唯私には納得が行かないし、どなたに伺つても大丈夫だと仰しやる人は居ない、「インフレ」必至と仰しやる方は、今朝も方々で伺つたが、大分財政通の方におありになる、おありになるぢやない、殆どさうなんだ、それで問題は實は極めて簡單であります、其の點唯御答へして置くでは不滿であります、どうせ突然の質問でございますから、今日の御答は大して期待致しませぬ、寧ろ皆樣に御研究を願ふ方が主でございますけれども、其の爲に登壇は出來ませぬから、已むを得ず茲に質問の形式を採りましたのですから、又何れ相當の機會に於きまして、政府と能く打合せ致しまして、政府から御答を願ふことに致します、それから皆さん又斯う云ふ御疑が出て來ようと思ふ、それぢや誰が一番先に「インフレ」で困るのか、斯う云ふことになる、私は農民は困らないと思ひます、物を作つて居るから是は困ることはない、勞働者社會も今の社會状態ぢや勞働組合と云ふものがございますから困りませぬ、それで何とかして上げて行くからまあ大丈夫、官吏も政府の力があるから、「インフレ」に伴つて二倍に物價がなりや二倍だけ上げて行くから、是も困りませぬ、一番困るのは公債の引受け手、公債の引受け手なり、或は現金を持つて居る連中、此の連中は乞食になつてしまひます、だから私は非常にやかましく申しましたが、問題は狹いのです、此の乞食になつてしまふ連中さへ救つて戴ければ宜いのです、併し是は容易なことぢやないと思ふのです、それをどう云ふ風にして御救になるか、今の生活保護法だとか何とか、そんなんでは、迚も駄目です、さうして其の次に、働ければ宜しうございますけれども、失業が來ることは目の前に分つて居る、それがどれ位の人間でありますか、是も伺ひたい、一體救濟を願ひたい人間はどの位、「インフレ」で救濟を願ひたいのはそんなに澤山ないと思ふ、此の點も一つ御説明を願ひたい、最後に御斷り致して置きますが、尚是は公債なんぞ引受けたり、或は現金なんぞ持つてぢつとして居る連中は、其の人達が惡いのだ、何故早く公債なんぞ叩き賣つちやつたり何かして、さうして物に換へて置かないのだ、物に換へて置きさへすれば、それで宜いぢやないかと云ふ御話もありませうけれども、今それがやれませうか、出來やしない、昔なら尚やれない、そんなことをしようものなら、非國民だと言はれるし、又やれた所で、あの頃やつたら…やるべきものぢやないと日本人は道徳觀念で縛られて、公債は幾らでも引受けてそれを持つて居なければならぬと云ふことで、是は先が見えないからいけない、お前が惡いのだと云ふことは言へないと思ひます、私は之に對して斯う云ふことを言つたことがある、戰時公債を募集された時、戰時公債と云ふのは物價に「リンク」させろと言つたのです、百圓のものを百圓で返しちやいけない、百圓のものは百圓にして…、物價が倍になつたら、倍にしてお返しなさい、さう云ふことを申出たことがある、さうしないと公債の應募者は立行きませぬと云ふことを申上げたことがあるのです、無論御採用にはならない、併し述べるだけは述べて置かなければいけませぬので述べて置いた、それで何です、それで若し之をしたからして、先行き見込を見ないから惡いのだ、現金なぞ握つて居たから惡いのだと云ふやうなことなら、戰爭は起りつこない、國民に先行き見込が分つて居れば戰爭なんぞしやしない、併し國民全體が惡いのかと云ふと、それは戰爭責任者なんぞは惡いのですけれども、必ず勝つと云ふ自信を持つた人が…私は持ちませぬでしたが、必ず勝つと云ふ見込を持つた人が惡いのだ、それだからお前達は幾ら苦んでも宜いとは言へない、それは當局者と違つて材料がないから仕方がない、さう云ふ譯です、尚之に付ては、今頃そんなことを言つたつて、もう少し「インフレ」が強くなつてからお前質問したら宜いぢやないかと云ふ御話です、是も今の戰爭と同じことです、戰爭のことは早くから準備して置かなければ宜かつた、具體的に申上げますれば、甚だ失禮でございますが、戰爭が起つたのは、統帥權の獨立なんです、處が統帥權の獨立はいけない、あれを止して置きさへすれば戰爭は起らぬ、それではあの問題がどれだけ日本で研究されたらう、誰も此の壇上で言つた人は居ませぬ、一人くらい、あれば私位が少し喰ひ付いて來たかも知れないが、なかつた、不幸にして私も十分の確信がなかつた、併しどなたもおありにならなかつたかと云ふと、あつた、現に此處に御出になる植原國務大臣が、戰爭が起る二十年も前から此の説を唱へられて、さうして統帥權の獨立と云ふことは是非止めなければいかぬ、斯う云ふ御話があつたのです、處が、私共不幸にして此の御著書を拜見する機會がなかつた、それは機會がない譯で、「イギリス」で御書きになつた本で、こちらに餘り飜譯はなし、世界に一册か二册しかない本、それを私は無理に願つて拜見したのですから、それが一般に行はれなかつたことは仕方がないのです、併しさう云ふ先覺者はあつた、其の頃から試みになつて居れば救へた、それと同じやうに、今から「インフレ」はどうかしなけれはいかぬと云ふことに官民一致して救濟すれば、それは成る程一圓が千兆圓になるなんぞは…私はさう思ふけれども、十中八九なると思そのですが萬一の僥倖を期せられないこともないかも知れないと思ふ、其の意味で、政府の御答辯が不十分なことは、私が滿足の出來ないことは分り切つて居るのです、併し皆さんに早く研究をして戴きたいと云ふことと、それから將來政府は一日も早く之を研究して發表して戴きたい、だから今日突然斯う云ふことを言ひ出したのは、昨日に至りまして海外の關係は、私がこんな滅茶苦茶なことを言つても大丈夫と云ふ確信を得ましたので、一日も早くと思つて此の壇上に立ちました、惡しからず其の點を御酌み取りになつて、政府の答辯は宜しく御願ひ致します
〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=19
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020・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 只今の御質問一御答へ致します、「インフレ」が「ハンガリー」などと同じやうに進行して、日本の通貨が一千兆億圓にもなる見込だ、さう云ふ風に御考だと云ふことでありますが、私は左樣に考へて居りませぬ、是はなかなか議論になる所と存じますが、現在の日本に於ける所謂「インフレ」は、大體に於て戰時中に起つて居つたのでありますが、それを統制其の他に依つて抑壓して、例へば物價に致しましても表面に之を表さずに置きました、從つて之を學者の中には戰時「インフレ」と稱した人もあるのであります、其の「インフレ」が戰後になりまして、統制が緩るむ等の關係からしまして現れて來ました、其處に又種種なる原因から國民に色々經濟的な心配をさせるが如き現象を生じました爲に、今迄の預金の引出しが盛に行はれた、それから本年の初め、前内閣時代に之を止める爲に、日本銀行紙幣の預入令等を施行して、一時通貨を收縮したのでありますが、併し矢張り根本的に經濟界の前途に對する安心が付きませぬので、同じやうに又其の預金が引出されたと云ふ現象で、今日再び又紙幣の發行高が著した殖えたのであります、でありますから此の影響に依る「インフレ」は過去に起つた「インフレ」でありまして、實は已むを得ないものであります、併し之に對する對策としては、今般實行致すことになりまして、既に其の一部の法律案の御協贊も得ました經濟界の整理、所謂補償の打切り、それから續きまして財産税の課税と云ふ所の一聯の政策に依つて、過去に起りました所謂「インフレ」の或部分を抑制が出來ると考へて居る次第であります、最も恐るべきものは今後の財政の膨脹でありまして、今後日本の財政が年々歳々著しく膨脹して、それが赤字になつて結局通貨の發行に依つて賄はれると云ふことになりますれば、實際是は「インフレ」は免がれない、恐らく「ハンガリー」其の他の「インフレ」は左樣なものと私は考へて居る譯であります、前の世界戰後の「ドイツ」の場合も同樣であつたと存じます、でありますから此の財政の處理であります、併しながら其の財政も、それならば所謂健全財政で一文も赤字を出さないのが宜いかと申しますと、無論「インフレ」の觀點から申せばそれが一番宜いのでありますが、併しさう致しますれば現在明日、又は將來明日失業する人、或は生産設備で動かないと云ふものを動かすことは出來ませぬから、そこで一方に於ては増産を圖る、現在の「インフレ」の克服策としては、普通の場合は唯通貨が發行されて「インフレ」が起つたと云ふのではなく、實は食糧を初め物資が非常に不足して同時に人心が非常に不安に陷つた、斯う云ふことでありますから、其の食糧の不足、其の他の物資の不足と云ふものを補充することが必要なのでありまして、政府としては其の點に目下全力を注がうとして居るのであります、でありますから財政の方面に於きましても、此の財政を收縮すれば此の「インフレ」は止るのではなくして、同時に増産に必要な資金は之を放出してやる、さうして出來るだけの人を動かし、出來るだけのものを動かして増産をすると云ふ所作を講じなければ、此の「インフレ」は喰ひ止らないと思ふ、そこに政策としては非常にむつかしい所があると云ふことを私は感じます、是が普通の「インフレ」ならば「デフレーション」政策をやれば簡單に止ると思ひますが、さうは行かない所に非常な困難がある、從つて又世の中から色々の議論が生じ、又誤解も生ずる點があると思ひます、が只今政府と致しましては今後の財政の處理を適當に行つて行き、同時に増産の政策を強力に行つて行く、此のことに依りまして私は日本の現在の所謂「インフレ」は喰ひ止め得ると、斯う云ふ風に確信を持つて居る次第であります、現在通貨は成る程非常に増發されて居りますが、其の中のどれ程かと云ふ數字は色々調査してもはつきりしたことは分りませぬが、大部分のものは、退藏されて居るのでありまして、市場に流通して居りませぬ、成る程公定價格とか、限界價格と云ふものに比較致しますと、闇價格と云ふものは非常に高い、是は日本の現在の物價の水準と云ふものも能く分らないのでありますが、所謂限定價格及び公定價格ではない、之は認めなければならぬ譯であります、去りとて闇價格の全部が今の日本の本當の物價であるかと云ふと、是にも疑問があります、が兎に角現在の物價と云ふものは、今迄言はれて居る公定價格よりは相當高いものであると見られるのであります、處が、露天市場などの價格を見ますと、最近は八月一日から露天と云ふものが止めになりましたから、其の後の統計はございませぬが、それ以前の露天に於ける物價は相當落著いて居ることを發見致すのであります、でありますから通貨は非常な勢ひを以て増加しましたが、あの通貨が全部流通して居るのでないと云ふことは、露天の價格などが落著いて居る點から考へましても想像の出來ることと思ふのであります、從つて此の通貨の多い數量は今囘の經濟界の整理、其の他が一應濟みまして、金融機關等に信用が、詰り預金に對して信用が出來ると云ふ段になりますれば、私は相當此の通貨は吸收出來るだらうと考へます、又さう致さなければならぬと存じて居る次第であります、今度の經濟界の整理に付きましても、物價の安定を企圖しなければ此の整理が出來ないのであります、各企業の整理をする、其の資産をどう評價するかと云ふ場合に、直ちに物價の問題が關聯して來るのでありまして、一部の御説の如く今後どんどん物價が騰るとすれば、今囘の整理と云ふものは無意味になる、整理をする必要はないと云ふことになる譯でありますが、我々は左樣に考へて居りませぬので、現在の物價の程度に所謂此の「インフレ」を喰ひ止めると云ふ觀點から、今囘の經濟界の整理も致したいと存じて居る譯であります、以上では未だ十分な御答にならぬかも知れませぬが、尚詳細のことは他の機會に又申上げることも出來ようかと思ひますが、本日は一應それだけ御答へ申上げて置きます
〔子爵大河内輝耕君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=20
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021・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 再質問を致します前に御詫び致します、先刻の質問は大變語氣も荒くなりまして、内容も甚だ粗末なことを申しましたので、是は御詫を致して置きますが、辯明するのもをかしうございますが、實はまだ病氣が宜しくない、さう云ふ風な始末になりましたので、そこは一つ惡しからず…それで只今又何れ何等かの機會に述べようと云ふ御話でございますから、其の時で宜からうと思ひますが、其の時の又政府の御研究になる材料と致しまして再質問の形で述べますが、増産と財政の緊縮、此の二つに限定される、是は財政はそれで詰つて行きませうか、どうでせうか、此の點を一點伺ひたい、私は駄目だと思ふ、増産々々と仰しやいますが、増産が何年經つて效果を生ずるのでせうか、そんなに直ぐ増産が出來て、それが直ぐに效果を及ぼすものならば、それは宜うございますけれども、此の通りの體裁で、省線の電車が一年に二輛しか製造出來ないなんと云ふことで、何で増産が出來るか、何年經つて出來るのですか、其の點が私はまあ不思議に思ふ、それからもう一つ伺ひたいのは、私は救濟策は講じてお置になる方が宜いと思ふ、宜いと思ふぢやない、置かなければならぬと思ふ、併し是は個人の意見ですが、政府の仰しやることを前提として考へても、救濟策は講じて置かなければなるまいと思ふ、さうすれば政府の思つたよりも大きな「インフレ」が來た場合、千億圓にならぬとは請合へないのですが、私はなると確信して居るのですが、政府はさうはならぬと云つて居られるが、ならぬとも限らぬ、なつてしまつてから政府は迭つてしまつて申譯がない、丁度近衞内閣に起した戰爭が、東條内閣になつて、東條さんが申譯ないと云つて見たつて何にもならないと同じことです、それは苦しむのは國民ばかり、東條さんが一人死んで見たつて仕方がない、「インフレ」を起して大變な損害を受けた時に、どなたか或大臣が一人腹を切つたつて、三文の價値もない、そこの點を能く御考を願ひたい、それで私は、是は御答がなければ御研究になつてからで宜しうございますが、一番困る階級が公債所有者なり、其の他現金を持つて居る連中なのです、是は換價の方法がないのですから、之に付ては今から救濟策を講じて御置になる必要があらうと思ふ、此の間の應急措置法かなんぞ御覽になつても能く分る、預金者ばかり非常にいぢめられて居ります、それは宜しうございます、それは別問題だから申しませぬが、もう少し不動産を換價する方法を樂にするとか云ふやうなこともあるだらう、が、そんな細かいことは申しませぬ、そんな具體的なことは政府の御答を待つて述べます、是は例へばです、それから救濟策をどう云ふ風にするのか、今全然御答がありませぬでした、是は併し後に調べて答へると仰しやるならそれで宜しうございますが、御差支なければして戴きたい、それから是は私の方で伺ひ漏しをしたのですが、「ドイツ」に於ける「インフレ」がどれだけの害を及ぼしたかと云ふこと、是は御調になつて見て一向差支のないことであり、實は是も前から御通告申上げて置けば十分な御答は伺へたでせうし、又其御打合せも出來たのでせうが、是は大變參考にもなるので、どんな救濟策を執つたか、又どんな程度迄「ドイツ」で荒されたかと云ふ此の點を御答へ願ひたい
〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=21
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022・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 先程申上げましたやうに、私共は現在の物價の程度に依つて、之を極力喰止める、斯う云ふ方策を執つて居る積りでありまして、從つて今御尋の公債及び現金の所有者の保護と云ふことは結局「インフレ」を喰ひ止めると云ふ以外に其の方法はないと考へます、物價が騰貴したらばそれに應じて公債の支拂金額を殖やすと云ふことは、是は技術的にも非常に困難なことであらうと考へて居りますが、尚さう云ふ技術的なことに付ては研究も致しまして、又機會がありましたならば、所見を述べることに致したいと存じます、それから「ドイツ」の「インフレ」がどんな損害を與へたかと云ふ御尋のやうでございましたが、「ドイツ」の「インフレ」は終戰後漸次起りまして千九百二十二年の秋半ば過ぎ迄は、今數字は覺えて居りませぬが、可なり「インフレ」が昂進しましたが、其の間は非常に景氣が好くて、失業者の如きはありませぬでした、無論一方に於て不健全な状況も現れまして、所謂成金を生じました、が、失業者はありませぬでした、あの世界に有名な「ドイツ」の非常な「インフレ」が起つたのは千九百二十三年の春の「ルール」占領以後であります、それから急にひどくなりまして、千九百二十三年の十一月頃所謂一兆億と云ふものになりました譯です、あの一兆億は特殊の原因、即ち一つの戰時状態で、所謂「ルール」の占領に依つて消極的抵抗を「ドイツ」國が致しました、且「ルール」の占領に依つて、確かあの時の石炭の生産の八割方を占めて居りました土地が封鎖されまして、而も其の土地の「ドイツ」人が其の殘りの「ドイツ」へ追つ拂はれて來まして、それを政府が救濟しなければならぬと云ふやうな非常な一種特別の戰時状態に入りましたので、急に紙幣の發行高が進みまして、「ドイツ」國人の幾つかの大きな工場が晝夜運轉で紙幣を刷つたと云ふやうな現象が現れたのが千九百二十三年であります、左樣な譯でありまして、何と申しますか、戰後から「ルール」占領前に至るあの政治的波瀾が起る迄は、「インフレ」ではありましたが、案外「ドイツ」の經濟界には損害を與へることが少うございました、千九百二十三年に至りまして、ひどいことになりましたが、それは比較的短期間に濟んで、所謂「レンテンマルク」に依つて不思議な程に直ちに「インフレ」が何と申しますか、解決したと云ふやうに只今記憶致して居ります、是は唯記憶だけでちよつと御答へ致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=22
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023・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 只今色々伺ひましたが、是れ以上は騰らないと云ふ確信の下に御答へ下さつた、處が、事實はさうは行きませぬ、世間は活きて居りますから、それだから騰つた場合を想像して救濟策を御立てにならなければならぬ、現に此の間見る見るうちに物價が騰つてしまつた、一圓の物が十圓位に騰るのは見る見るうちです、從つてさう云ふ時に何かやつて置かないと、或階級の者はひどい目に遭ひます、それで其の救濟策を伺つたが、是は今此處で突然申上げたことですから、救濟策の御答はございませぬでしたけれども、是は已むを得ない、無論初めから私はそれは無理だと思つて居りました、唯豫告を申上げて置くことに致します、是も豫告を申上げて置くことに止めたいと思ふのですが、願くはやつて戴ければ是非小さいことだからやつて戴きたいが、「ドイツ」ではあんなに苦しんだ時に何處の階級が一番苦しんだか、それからそれに對して政府がどんな救濟策を講じたか、其の二點御分りなら只今御答へ願ひたい
〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=23
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024・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 御答へ申上げます、今の「ドイツ」の「インフレ」の時に苦んだと申しますのは、先程申上げましたやうに、生産に從事が出來る企業家及び勞働者はあまり苦しまなくて宜かつたのであります、唯一定收入の人とか、年金を貰つて居る人とか、或は學校の教職員と云ふやうな人は物價高で相當苦しみましたやうであります、併し之をどう云ふ風に救濟したかと云ふことは、私は只今記憶致して居りませぬから、尚調べまして御答へ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=24
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025・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました所得税法の一部を改正する等の法律案外二件の特別委員の數を二十五名とし、其の委員の指名を議長に一任するの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=25
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026・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=26
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027・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=27
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028・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔宮坂書記官朗讀〕
所得税法の一部を改正する等の法律案外二件特別委員
侯爵 池田宣政君 侯爵 西郷吉之助君
侯爵 鍋島直泰君 伯爵 奥平昌恭君
子爵 富小路隆直君 子爵 綾小路護君
子爵 藤井兼誼君 子爵 梅溪通虎君
中田薫君 男爵 周布兼道君
男爵 松平外與麿君 男爵 岡俊二君
男爵 水谷川忠麿君 男爵 長基連君
黒田英雄君 松尾國松君
小山完吾君 佐々木嘉太郎君
塩田團平君 長島銀藏君
徳田昂平君 井川忠雄君
子爵 七條光明君 名取和作君
田島道治君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=28
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029・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第四、改定豫算に關する法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會の續、委員長報告、委員長久保田男爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=29
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030・会議録情報4
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改定豫算に關する法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年八月十五日
委員長 男爵 久保田敬一
貴族院議長公爵 徳川家正殿
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〔男爵久保田敬一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=30
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031・久保田敬一
○男爵久保田敬一君 改定豫算に關する法律案の特別委員會の御報告を申上げます、本委員會は本月十三日より十五日迄三日間毎日開會致しました、審議の結果、贊成及び反對の兩論がございましたが、過半數を以て原案を可決すべきものと決定數しました、本法は昭和二十一年度豫算が通常議會に於て議定せられざりし爲に憲法第七十一條に於て施行せられたる前年度豫算より不用額を削滅し、又所要の經費の追加を致しまして編成したる改定豫算を議會に提出することが出來るやうにする爲に立法せられた法律案であつて同時に本案中には一般の豫備費の外に經濟安定費と云ふ特別の豫備費を計上する等、會計法の特例を設けてあるのであります、本案に對しましては色々の疑義がございました、委員會に於て委員と大藏大臣、法制局長官其の他の政府委員との質疑應答に依りまして其の明かにされた點は大體次のやうでございます、第一に憲法第七十一條に依る施行豫算は即ち本年度の總豫算であつて通常議會にて協贊せられたると同樣に取扱はるべきものであるのに、之を今囘の如く法律に依つて改定することは出來ない筈であると云ふ意見に對しましては、政府の解釋は御説の通り施行豫算は本年度豫算として現存するものでありますが、御承知の通り昨年度の豫算は戰時豫算として、編成されまして、終戰後の本年度に實行すべき豫算としては實際に即くせざる點が非常に多い、即ち昨年度豫算の總額は二百九十二億でありますが、其の中に本年に使用出來るものは僅かに公債費の八十億圓、其の他に過ぎませぬ、更に之に追加すべきものは巨大の額に上つて居りまして、是の從來の例に依りますれば不用額は政府部内の決定に依りまして落し、追加所要額を追加豫算として議會の協贊を求むることとなつて居るのでありますが、此の不用額を落すことも追加額と同樣に議會の協贊を經ることがより立憲的であり且民主的であると考へたのと、又一方には本年度の豫算を一見分り易くする爲に本年度施行豫算に増減を加へたものを改定豫算として議會に提出出來るやうにしたものであつて、憲法に依つて定められたる施行豫算を無視したものではないと云ふ解釋でございます、第二に會計法第二十四條に依れば總決算は總豫算と同一の樣式を用ふべきことを規定してあるのでありますが、今囘改定豫算が出來た以上は必然的に決算は施行豫算に依らない改定豫算に依るものと思はれるのでありますが、さう致しますると施行豫算と云ふものは消えてなくなつてしまふのではないかと云ふ問に對しまして、政府の答辯は、御説の通りに決算は改定豫算に依る積りでありますが、改定豫算なるものが施行豫算を基として之に所要の増減を加へたものである以上は、施行豫算は消えてなくなると云ふことは言へないのである、殊に議會の審議權も、改定豫算中の施行豫算通りの部分は審議の對象となりませぬ、其の増減したる部分に付てのみ協贊を求むる趣旨であるのでありますからして、施行豫算は施行豫算としてどこ迄も存在を認めて居ると云ふと云ふ答辯でございます、第三に、政府は改定豫算を議會に提出するには、法律を要すると認めて本法案を提出したのであるに拘らず、其の未だ之が成立しない前に改定豫算を議會に既に提出したことは、違法ではないかと云ふ問に對しましては、政府の答辯は、豫算と法律を同じ議會に提出して審議を求めた例は、税法、特別會計法等に於て幾多の先例もあります、殊に本法案は昭和二十一年の改定豫算に關する法律であるからして、此の法律の審議中に豫算を議會に提出し、通過審議を求むることは、違法とは考へられないと云ふ答辯でありました、更に政府は附加へまして、本法は終戰後の非常事態に對する立法であつて、特例中の特例であるのでありますからして、之を以て將來の例と爲すと云ふことはない、又新憲法が出來れば、第七十一條のやうな條文はなくなると思ふのでありますからして、今後此のやうなことは起らないと云ふことを御了承戴きたいと云ふことであります、討論に入り、二人の委員から贊成意見がございました、即ち本法案には諸種の疑點があるが、目下特別非常事態にある時の立法であつて、政府の説明を聽けば、一應了承し得る程度であるからして、贊成すると云ふ意見と、もう一つは、本法は一見するに、憲法に定められたる施行豫算を法律を以て改廢せむとするが如く見えるが、政府の説明に依れば、施行豫算は施行豫算として存在し、之に所要の増減を加へむとすると云ふのでありますからして、之を違法にあらずと承認することが出來ると云ふ意見で贊成されました、更に反對の一委員は、總豫算は通常議會に於てのみ議すべきものであつて、通常議會以外の議會は、追加の豫算の外は論議する權能はない、從つて今囘政府が改定の總豫算を本議會に提出することは、憲法違反にあらざるかの感を與ふるのである、故に本案には反對であると云ふ理由で反對を表明されました、採決の結果、過半數を以て本案は可決すべきものと決定したのでございます、尚一言附言致しますが、此の委員會に於ける質疑及び討論の有樣から察知致しまして、委員會の空氣は、政府の答辯は委員を十分納得せしむるには至らない、尚議論の餘地はあると認められるのであつて、從つて贊成する所の委員の意見も誠に消極的のものがございました、併し現下の情勢に於きまして、政府に於ても各種の複雜な事情があることは察知せられることであります、此の際徒に混亂を起すことも宜しくないと云うやうな考慮が委員の中にありまして、本案を承認したものであることを御了承願ひたいと思ひます、之を以て報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=31
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032・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 討論の通告がございます、佐々木惣一君
〔佐々木惣一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=32
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033・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私は今此の壇上に立ちまして、本案に對して反對の意見を述べなくてはならないと云ふことを頗る遺憾とするものであります、私の反對の理由は本案が帝國憲法に違反するものであると云ふ點にあるのであります、本案が帝國憲法に違反すると云ふことに付きましては、私は本案が本院に上程されました去る十二日の本會議に於ける私の質問の中に於て、既に言及して置きましたから此處には之を繰返しませぬ、唯先日私の質問に對し、吉田總理大臣及び石橋大藏大臣は、本案は、憲法違反でないと云ふことのみ御答辯に相成りまして、私が憲法違反であるとして指摘した點に照して、如何なる理由で兩大臣が憲法違反にならぬとせられるかと云ふことに付ては、先づなん等の御答がなかつたのであります、之に對しまして私は問を以て問に答へられたやうな感じがするのであるとし、之を承認せないと云ふことを言明して質問を打切つたのであります、實は其の時再質問を致しまして、徹底的に事理を明かにすることが私の本意でありましたけれども、併しながら私の其の當時に持つて居りましたる或感じからしまして、それを試みなかつたのであります、事理を明かにする方法として不徹底であつたと云ふことは、實は私自身其の當時から能く氣が付いて居たのであります、併し總理大臣及び大藏大臣の外にさう云ふ憲法其の他の法理問題に付て、御説明を願ふことに甚だ失禮でありますけるれども、兩大臣よりも一層適當な方が、他の大臣方の中に或は居られはしないかと思つて、さう云ふ大臣が此の總理大臣及び大藏大臣の外に御説明下さるやうなことがありまするならば、之を拜承しまして、其の上で更に十分に御教へを受けようと存じて居つたのでありまして、其の意は私の質問の初めにさう云ふ願ひはしませぬけれども、申添へて置いた積りであります、然るに總理大臣及大藏大臣兩大臣のみの御答辯しかありませぬでしたからして、私は私の持ちまする或感じよりして、どうも總理大臣吉田さん、及び大藏大臣石橋さんと云ふやうな、さう云ふ個人の名を擧げるといけませぬけれども、實際の感じでありまするが、さう云ふ方に對しまして、斯かる法理問題を徹底的に御尋ねして、議論を鬪はすと云やうな氣持には實際なれなかつたのであります、是が私の本會議に於きまして、私の徹底せざる状態に於て質問を打切りました私の氣持であります、今日は質問ではありませぬから、此處に少しく本法律案が憲法違反であると云ふ理由、其のことを一層明晰に述べまして、更に少しく敷衍して、之に由つて以て私が反對する理由を、明晰に致したいと思ふのであります、併しそれもむづかしいことではありませぬ、只今委員長の御報告を伺ひましたのですが、其の御報告中にも既に明かに言及して居られました通り、政府の方々は其の所謂法理論と云ふものを、先づ如何に爲すべきかと云ふことに付て、餘程御苦心になつて居ることが察せられるのであります、是は委員の方々に於きましても、さう云ふ風であるらしく、今御報告にありましたから、さう云ふ細かいことを申しませぬ、殊に會計法と、或は又此の法律に基いて出された所の、豫算案と云ふものの提出、及び提出せられたる豫算案に關する、帝國議會の審議權と云ふやうなことは、非常に重大な問題でありまするが、之に付きましては實は前の本會議の時に、石橋大藏大臣も一言御説明に及びましたけれども、私はさう云ふことは他の或は豫算案の時に、申すかも知れませぬが、此處では要するに此の法律自身が憲法違反であると云ふことだけに、問題を限るのであります、で併し、それも大體要點は簡單なことでありまして、一般に總豫算が存在を見るに至りました以上は、更に總豫算として之を改正すると云ふやうなこと、即ち本法律案に改定豫算と言うて居るやうなことは、それは何と辯明しても、我が帝國憲法の今日の制度では、認めない所であります、それは諄諄しく申しませぬが、先刻の御報告中にもありましたから申しまするが、新憲法に於ては、即ち現憲法の七十一條の、前年度の豫算を施行すると云ふやうなことはないのであらうから、さう云ふことは問題でない、そんなまだ出來て居ない所の、出來るでありませうけれども、未だ出來て居ない所の、所謂新憲法なんてまだありやしない、新憲法に關する意見がありまするが、さう云ふものを引用して、此の問題を説明せむとするが如き態度、其のことが私は不贊成であります、今日の問題は帝國憲法の問題、現在存する所の其の憲法の下に於て、考ふべきものでありまするが、此の憲法の下に於きましては、兎に角總豫算として或年度に於て存在して居りまするものがある以上は、それを改正して總豫算とすると云ふやうなことは、到底認められないのであります、此のことを彼此言ふことは、徒に時間が掛るのみでありまするから、此の結論だけを申して置きまするが、其の點に付きまして只今御報告の中にありました、政府當局の方の御答辯は、全然誤りである、而して此の理論は只今申しましたやうな、今年度の二十一年度の豫算、即ち前年度の豫算と同一の内容を持つて居る、此の豫算と云ふものは、今年度二十一年度に既に存在して居るのであります、ないのぢやない、存在して居るのである、其の存在して居る所の、其の豫算に對して、更に總豫算其のものとして、之を改正をすると云ふやうなことが、我が現在の憲法上許されないと云ふ前の理論は、其の儘之に當嵌るのであります、本年度に限つてさう云ふ理論が當嵌らないと云ふやうなことはどうも言へないのであります、本年は只今の御報告に依りますれば、政府の方々の御考は非常なる事態であると云ふやうなことである、さう云ふことは此處では問題にならないのである、さう云ふ憲法の法理の問題に付きまして、憲法は非常の場合には非常に處するべき又別の方法もあるのでありまするから、そんな非常の場合であるから憲法上疑はしくても之に依ると云ふやうなことは、是はもうてんで問題を外らしてしまつたのです、そんな答辯は是は決して我が帝國の前途を眞面目に發展せしむると云ふやうな此の今日に於て、さう云ふ答辯態度はすべきものではない、憲法論なら憲法論としてさうして問題を解決したら宜い、それがどうでありませうとも、他のことを以て之に答へると云ふやうなことは到底どうも是は私はいけないと思ふのでありまするし、もう一つは只今御報告に依りますれば議會の審議に出すと云ふことが所謂民主的だとか立憲的だとか、民主的と伺ひましたが、それは權限のないものを審議することは議會と雖も許されませぬ、斯う云ふ風に論點が錯雜して來ますると、實は此の法律に基いて是からどう云ふ風に成立するかも知れませぬが、私はあのやうな御答辯を伺つた以上ははつきりと申さなければならぬ立場に實は今なりました、此の豫算は法理上成立しないものであります、即ち政府は提出するの權限なく、又議會は之を審議するの權限なきものであります、私は是は言ふ氣持でありませぬでしたけれども、只今御報告中如何にも議會に審議を求めることが所謂民主的だとか、立憲的だとか云ふやうな御話があつたと致しますれば、之を默つて居る譯にいかない、議會が如何に有力のものでなくちやなりませぬとしても、其の審議權其のものは法に依つてきちんと根據がなくてはならないのである、さう云ふことは唯議會の諸君と云ふ者に對してまあ謂はば氣持を好くすると云ふだけの問題でありまして、さう云ふことは與へられたる憲法論の問題とは全然關係ないことであります、私はさう思ふのでありまして、實は只今委員長の御報告の一部を引抜いて此の豫定外の御話をしたのであります、若し既に存在して居りまする所の豫算があるにも拘らず、其の豫算を更に總豫算として改正をすると云ふことが出來ると云ふやうなことを許しまする以上は、假に法理論としてです、然るに實際上の問題を考へて見ませうか、それならば一見豫算を議定すると云ふが如きことは無意味になつてしまふ、更に極端に申しますれば、凡そ豫算の議定と云ふやうなことは全然無意味になつてしまふと、斯ふ云ふことに相成るのであると思ふのでありまするからして、さう云ふことは到底我が現行の憲法の下には許されないことであります、そこで更に然らば先刻來既に出て居りまする通りに帝國憲法は即ち其の普通の手續を經て出來るやうな豫算がない、併しながら豫算其のものとしてはある、唯普通の手續に依つて出來るやうな豫算でない、さう云ふ豫算がないんだけれども、唯豫算其のものとしてはあると云ふやうな時には、即ち皆さん御存じの通りに帝國憲法第七十一條に依りまして、所謂前年度の豫算と内容を同じうする豫算が存在すると云ふことになつて居りまするのですから、之に對して更に改定豫算などを出すことは出來ないと云ふ理論は同じことでありますからして繰返しませぬが、唯私は今問題となつて居ります帝國憲法第七十一條が、我が憲法の制定の當時に如何に起草者が特に意を用ひた規定であるかと云ふことを一つ御話して、特に政府の方々に聽いて戴きたいのであります、或年度の豫算が普通の豫算を成立せしめまする所の手續に依つて出來ないと云ふことがあると云ふことは、是は固より理論的にも考へられることであり、實際にもあることであります、依つてさう云ふ場合に處する處置として如何にすべきかと云ふことば實に帝國憲法を立案せられる時に我々の先輩の特に意を用ひられた所の問題の一つであるのであります、私は議院などで徒に外國の制度や外國の學説などを喋々して如何にも其の説が深いかの如く見せることは大嫌ひでありますが、併し茲にはほんの必要の範圍に於きまして一言さして戴きたいであります、外國に於きましては所謂今日見て問題になつて居りまするが如き豫算の成立せないと云ふ、さう云ふ場合に於ける所の處置に付きましては國々に依つて色々違つて居りまするが、全然さう云ふことに付ての處置を定めて居ない、例へば「ドイツ」の如きに於きましてはそれが爲に非常な問題が起つたのであります、實際家の間にも又學者の間にも其のことに處しまする處置に付て色々の問題が起りました、併しながら今に至りましても、理論的には矢張り疑問の儘に殘つて居るのである、斯う云ふやうな事情に恐らく我々の即ち先覺者は考へられたと思ひますが、特にさう云ふ場合に處する問題を頭に於きまして、さうして特に第七十一條を設けられたのであります、第七十一條に稍稍似て居る規定を設けて居るのは例へば「スペイン」の憲法の如きにありますけれども、併しながらそれは我が國の場合と違ひまして全然違つて居る、要するに是は我が國に於ける特色ある條規の一つとなつて居るのであります、而して是は實は外國に於きましても、此の憲法制定當時の我が國の憲法の規定を見た學者の中でも、色々我が國の憲法を賞讚して居る人もあるのでありまするけれども、其の賞讚すべき規定の中の一に屬するものとして、特に此の第七十一條を指摘して居る學者もあるのであります、私は今其の學者があるから宜いと云ふのではありませぬよ、兎に角それ程特に我が憲法の制定者が意を用ひられた所の此の憲法の第七十一條の條項であると云ふやうな、さう云ふことを餘程我々國民は注意しなければならない、又政府の方々は特にさう云ふことを注意せられたいと云ふ風に思ふのでありまして、それで私は政府の御苦心も能く分るし、甚だ遺憾でありますけれども、矢張り此の憲法論は憲法論だ、仍て此の法律案が憲法に違反すると信じて居る以上は、私は此の壇上に立つて其のことを明かにせなくてはならぬから、茲に反對の意思を表明したのであります、思ひまするのに、丁度昨八月十五日を以て終戰滿一年を迎へました後一日の今日憲法違反の此の法律が成立を見るに至らむとして居りますることは、私をして大いに考へしむるものがあるのであります、既往一年の間、我が國朝野の間には我が國の社會生活が一般的に所謂「デモクラテイック」に強化を要求すると云ふの聲が絶えず叫ばれて居ります、終戰一年を迎へました所の昨日、今日等の新聞等の記事から察しますると云ふと、右の聲は單に右の要求を爲すの聲たるに止まらず、或意味に於ては其の要求が實現せられたと云ふことを喜び祝するの聲となつて居るかのやうに思はれるのであります、私は茲で思ふ、果してさう喜び祝して宜いのでありませうか、少くとも政治に付ては斷じてさう言へないと思ふのであります、「デモクラテイック」の政治の爲に憲法の改正を要すると云ふことは盛に高調されて居ります、それに違ひありませぬ、而しながら如何なる内容の憲法が出來ると致しましても、苟も憲法である限り之を尊重すると云ふ嚴肅なる氣持があるのでなくては、到底憲法に依る所の「デモクラテイック」の政治が行はれる筈がないのであります、我々國民は今主として「アメリカ」國民の生活状態に注目し、其の長所に習ふと云ふことを心掛けて居ります、私共もさうであります、其の「アメリカ」で最も重要とされて居りまする所の國民の心掛の一つとしては、どう云ふことがあるかと申しまするのに、政府や國民が憲法を重んずると云ふことが最も重要なる心掛の一として、尤も普通の話にも上りまするし、又如何なる書物を見ましても殆どさう云ふことが載つて居るのであります、且「アメリカ」では御存じのやうに制度と致しまして、最高裁判所と云ふものがあつて、或法律が憲法違反のものであるや否やを審査致しまして、憲法違反のものである以上は、之を無效とすると云ふ制度があるのであります、是は單に制度のみならず實際に於きましても、既に實施中にある所の法律でも、其の最高裁判所の憲法違反とする所の判決に從つて、無效として取扱はれたと云ふことのあるのは既に皆さんも御承知でありませう、先年の彼の「ニューディール」に關する所の法律の取扱に付て、少くとも我が國民中知つて居る者が少くないと思ふのであります、終戰後一年間我が朝野の國民は「アメリカ」の好意ある支持に依る「デモクラテイック」の政治を語り、之が爲に憲法改正の必要をも説きまして、さうして常に「アメリカ」に感謝するの意を表して居るのであります、私もさう考へて居ります、然らばさう云ふ我々國民は唯さう云ふことを言うたりするに止まらずして、實際の生活に於て、「アメリカ」に於けるが如く憲法を重んずると云ふの勇氣を持たなければならないのであります、それでこそ始めて我々は對外的には「アメリカ」の行爲に感謝するの意を徹底せしむるものであり、對内的には「デモクラテイック」の政治に邁進するものと申されると存ずるのであります、然らずんば我々の實際の政治行動に於きましてもさう云ふ實際的に行動を執るのでなければ、如何に口で「アメリカ」の政治を謳歌し、「アメリカ」の我々に對する好意ある支持を感謝すると申しましても、是は到底駄目であります、恰も終戰滿一年を迎へました昨今、私は憲法違反の故を以て一つの法律案に反對することに付きましては誠に遺憾を感ずるものでありますけれども、併しながら恰も終戰一年の今日に於きまして、此の遺憾を感ずると同時に、而も私の如き一學徒が茲に壇上に起つて斯かることを不遠慮に申上げることにも、或重大な意味があるかと存ずるのであります、之を以て私の反對意見を終ります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=33
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034・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 黒田英雄君
〔黒田英雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=34
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035・黒田英雄
○黒田英雄君 私は本案に贊成する者でありまして、其の理由を簡單に申述べたいと思ひます、本案に對する反對の御意見は、要するに本法律案は憲法違反であると云ふことであります、私は憲法違反にあらずと考へるのであります、即ち昭和二十一年度の豫算と致しましては、憲法第七十一條に依りまして既に前年度即ち昭和二十年度豫算が施行豫算として定められてあるのであります、今日は其の施行豫算が儼然として存在して居るのであります、若し此の施行豫算を根本的に無くなして他に豫算を作ると云ふことであれば其の法律は即ち憲法違反であると私も信ずるのであります、即ち法律を以て豫算を變更することは出來ない、併しながら豫算を以て豫算を變更することは是は差支ないと信ずるのであります、從來の例に依りますれば、施行豫算が出來た後に緊急必要なるものは之を追加豫算として議會の協贊を經て居つたのであります、今度の豫算は改定豫算と稱せられて居りますけれども、其の實質に於きましては追加豫算の性質を帶びる部分が多くあるのであります、御承知の通り憲法制定以來會計法の規定がなくして追加豫算と云ふものは認められて居つたのであります、恐らくは是は豫算を以て豫算を變更すると云ふことは差支ないと云ふ根據であらうと私は信じて居るのでありますが、追加豫算が餘りに濫出する爲に之を寧ろ制限する意味を以て會計法に於て追加豫算の規定を設けられたのでありまして、其の規定に依つて追加豫算を茲に出すと云ふことは問題はないと思ふのであります、次に是は從來の追加豫算の取扱に於きましては成るべく不用なる金額は之を減少して置いて、さうして實行豫算と云ふものを作りまして、政府部内に於てそれ等の金額は使はせないと云ふことに致して此の實行豫算が作られて居つたのであります、併しながら其の實行豫算は政府部内で作つた所の所謂行政豫算でありますから、此の金額を必要があれば又復活さして、施行豫算の範圍内に於ては之を使ふと云ふことは自由であつたのであります、政府部内の手續はありまするが、自由であつたのであります、然るに今囘は此の減額も茲に議會の御協贊を得ようとして提出されて居るのであります、是は從來と雖も、或増額を、新しい豫算を出す場合に於て、一方に或仕事を、之を止めて、或は行政整理に依つて減額して、それを財源に充てて作ると云ふ風な豫算を作ることも出來得たのであります、從つて之を豫算として議會の協贊を仰ぐと云ふことは、私は是は差支ないことと考へるのであります、毫も憲法違反ではないと存ずるのであります、從來の施行豫算に於きましても、普通の總豫算に於きましてもでありますが、議會の協贊を經ないものが、矢張り總體の形を整へて尚載つて居つたのであります、尚又施行豫算の際に於きましても、繼續費の如く年割額が決つて居つて、二十年度に於て十萬圓、二十一年度は二十萬圓と決つて居つたものは、是は前年度の豫算が施行されましても、矢張り其の點は二十萬圓に既に議會の協贊を得て居る金額に變へて居るのであります、さう云ふ風に豫算を以て豫算を變へることは差支ない、唯如何にも今度の案に依りますれば、減額する項目が非常に多く、又増額する項目もあり、又新たに經濟安定費と云ふやうな豫備金が加つて居ると云ふ風な爲に、是は法律を以て…勿論此の經濟安定費の如きは、會計法の例外と致しまして、會計法九條に、豫備金は第一豫備金、第二豫備金となつて居りまするから、之に經濟安定費と云ふ豫備金的なものを加へると云ふことは、法律を要するのであります、左樣な次第で、豫算の形と致しましては、從來の如く單に實行豫算として政府部内で編成したものであつては、是は一般の國民が見ても全體の財政の全貌を知ることは出來ないのであります、甚だ不便であるのでありまするものを、今度はそれが一目で分るやうにし、併し是は何處迄も施行豫算と云ふものをなくなすものではない、施行豫算は儼然として存して居つて、其の施行豫算に對して追加する、又は減額する目的を以て掲げられて居るのであつて、其の外にそれに觸れてない、施行豫算の金額其の儘が認められるものは、矢張り其の儘殘つて居るのでありまするから、此の施行豫算と云ふものは少しも消滅したものではなくして、儼然として憲法第七十一條に依りまして、施行豫算と云ふものは存在して居る、唯餘りに之の項目が多い爲に、全部が變つた如く見えるだけであつて、本質的の施行豫算と云ふものは此處にあると云ふことを私は信ずるのであります、それ故に此の法律は毫も憲法の七十一條の施行豫算の規定を變更する目的のものと其效果は變らないものと考へまして、憲法違反に非すと考へるのであります、唯此の法律の提出が、今度の改定豫算を出される以前に出來て居れば最も適當であつたと思ふのでありますが、是は議會が解散をされて、本年度に入つて總選擧もあり、又内閣の更迭色々な事情もあつて、早く提出が出來なかつたと云ふことの事情もあると思ひまするから、是は誠に遺憾に思ひまするが、巳むを得ないことと考へるのであります、要するに此の法律は實質に於きましては會計法の改正であつて、毫も憲法を變更するものではなく、豫算も施行豫算は儼然として存して、之をなくなすものではない、消滅さして、變へたものではないと云ふ風に解釋しまして、私は本案に贊成を致す者であります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=35
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036・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 松村眞一郎君
〔松村眞一郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=36
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037・松村眞一郎
○松村眞一郎君 私は本案に反對致す者でございます、政府は現に衆議院に對しまして、先議の意味に於きまして、議會に昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算と云ふものを提出致して居るのであります、總豫算であります、私は總豫算なるものは解散後の議會に於ては提案する權能なきものであると云ふことを考へまするが故に、斯くの如き法律案を提案し、此の政府の措置、法律的に固く取扱はれると云ふ態度を執られるならば茲に憲法の問題を生じ此の法律それ自身が憲法違反なりや否やと云ふ、茲に固い議論が生ずる關係に於きまして、此の法案は不成立を可なりと考へるのであります、私は豫算の全貌を眺める便宜の爲に今度の案の如きものを拵へられまして、便宜議會に提案される、是は國民が之を見て便利であり、政府の説明をされるのにも或は便利であり、議員が豫算の全般を見るが爲に便宜であると云ふ、便宜論の爲の取扱に止めたいと云ふのが私の趣旨であります、さう云ふやうに止めるが爲には、斯くの如き法律を出してはいけないと云ふことの私の議論でありまするが故に、政府が斯くの如き形を備へて提案されることは私は宜いとは思ひませぬけれども、只今申しました便宜の方面から認めても宜からう、斯う云ふ議論であります、併しながら茲に法律を出して、此の總豫算と云ふものを提案されるに至りましては、是は法律論をせざるを得なくなる、固くなると云ふことになる、さう致しますると云ふと、此の豫算は總豫算と云ふ法律上固い意味のものを議會に提案されると云ふことに我々は考へざるを得ない立場になることを非常に遺憾とする者であります、此の法律が成立しなかつたなれば、我々は左樣な如き固い法律論、憲法違反論を爲す必要ないと云ふ見解を執つて居る者であります、そこで何が故に是が總豫算であるかと云ふことを申上げますれば、是はもう誰が見ても通常議會に提出する案とちつとも違つてない、何處が違つて居りますか、總豫算であるのであります、それであるが故に之を見ますと云ふと、例へば此の第一款として皇室費と云ふものが計上してある、皇室費四百五十萬圓、皇室費と云ふものは、是は憲法の規定に依つて議會の協贊を經る必要のないものであります、それは六十六條に書いてある、皇室經費は増額を要する場合を除く外帝國議會の協贊を要せずと云ふことを書いてある、それから繼續費と云ふものがあります、繼續費の年度割額を既に議會が協贊をして居る場合に、既に協贊して居る繼續費をも豫算に計上して議會に出すのは、總豫算であるが故に出すのであります、是は決して議會の協贊を求めて居るのでない、皇室費の協贊を求めるが爲に出して居るのではないのであつて、總豫算であるが故に總ての豫算を了解することを必要とする關係から、此の總豫算の中に皇室費と云ふものを計上する、繼續費を計上するのである、處が、今度の豫算は其の通りなそです、何の必要があつて特別議會で審議を要せざるもの迄も此の豫算に計上して議院に提出する必要ありや否やと云ふ點が私の議論の要點であります、之を法律的に取扱ふならばさう云ふことになる、此の法律に依つて斯くの如き總豫算を提出した場合に於ては、是は直ちに私は憲法問題になると云ふことを考へるのであります、それは申上げる迄もなく憲法の第六十四條に於きまして、國家の歳入歳出は毎年豫算を以て帝國議會の協贊を經ることになつて居る、是が通常議會であります、年度に入らざる前に於て翌年度の豫算を總豫算として提出をして、議會に於て審議すると云ふのが、是が通常議會の職權であり、それが權限である、其の形で此の臨時議會に臨む、此の解散後の議會に臨むと云ふことが、是が法律的に申しましたなれば、是は違憲であると云ふことを言はざるを得ない、元來通常議會と、特別議會、又は臨時議會との區別は何處にあるか、總豫算を議するや否やと云ふ外に區別はないのです、だから總豫算を提出し、總豫算を議することは是は通常議會である、政府は斯くの如き法律を出して此の解散後の特別議會を通常議會とせむどすることになるのでありますから、是は非常なことをやることになるのです、法律論を致しますと、それだからいけないと私は申して居るのです、通常議會と同じやうな權限を此の特別議會に與へて、總ての豫算に付て能く審議をして檢討することが民主主義であるとか云ふやうなことの意味の答辯を委員會に於て大藏大臣がして居られる、それは私は法律論としては承りませぬ、元來豫算の審議を致します時には國政の全般に亙つて、我々は質問を述べ、意見を述べるのであります、是は豫算全般に付てです、國務全般に付て意見を述べ、議論を鬪はすと云ふことと、豫算の審議の範圍とは別問題であります、私は斯くの如き豫算を御出しにならなくても議院は既に成立して居る、既に行はれて居る所の本年度の豫算の項目に付て論議をすることは、何等制限がないのでありますから、それはされて私は宜からうと思ふ、併しながら審議權は此の總豫算に對して持つて居ない、處が、政府は總豫算を此處に提出して居る、そして説明に曰く、總豫算を提出して居るけれども、此の内議會の審議權のあるものは是れ是れ是れだと云ふことを政府は言はむと欲して居るのであつて、さう云ふことが分りますか、之を見まして…、どれを政府が審議權を認めて居るのだ、此の總豫算の内のどの部分が議會の協贊權のあるものであると云ふ範圍が少しも明確でない、總豫算を提出して置きながら、總豫算全部に對して議會の審議權なし、或部分審議權ありと云ふのであるならば、豫算を見て一見明瞭になるやうに私はなさらなけりやならぬと思ふのです、さう云ふことを斯かる法律を出してやられたならば、政府はさう云ふ説明をする必要がある、それで委員會に於てはさう云ふ説明をして居られる、豫算の増減變更のないものは此處に豫算表に出して居るけれども、議院に審議權はないと云ふことを明言して居られる、政府はそれが分りますか、之を見て…、私は分らぬと思ふ、國民をして分らしむる爲に全部の豫算を整へたと言はれるけれども、全部の豫算を整へたるが爲に何處を審議して宜いか分らないと云ふことにされることが果して適當なる方策であるや否やと云ふことを私は疑ふのであります、其の意味に於きまして、是は法律的に御取扱になることが宜くないと云ふことの私の議論であります、斯くの如き法律を成立せしめたならば、此の法律に依つて此の總豫算なるものを合理化しなければならぬ、合法的な説明をしなければいかぬ、此の總豫算を合法的に説明すると云ふことは、此の豫算が違憲的なりと云ふことを説明することになる譯なのであります、非常に不自然なことになる、之を法律的に取扱ふことは違憲的に取扱ふと云ふことになりまするが故に、斯くの如き法律がない方が政府の爲に便利であり、又我々も非常に容易く、柔かなる氣分を以て豫算に臨むことが出來ると云ふのが、私が本法案の成立しないが宜しいと申すのであります、之がなかつても少しも困らないと云ふことを申すのであります、只今は六十四條の關係に付て申しましたが、七十一條の關係に付て私は申したいと思ひます、是は帝國議會に於てです、豫算が成立に至らない時は政府は前年度の豫算を施行すべしと云ふことが明確に書いてある、そこで昭和二十一年度の豫算と云ふものは既に此處に存在して居る、現に存在して居るのでありますから、政府が此の議會に何の審議を求むるのであるかと申しましたならば、追加の豫算の審議を求めるのであります、追加の豫算であります、或は會計法に謂ふ追加豫算と云ふ、さう云ふ「テクニック」を申すのぢやない、本豫算があつて、儼然として本豫算があつて、既に四月、五月、六月、七月、八月迄總豫算を我々は實行して居る、政府は實行して居る、其の總豫算の追加の豫算を此の議會に要求して居られるのでありますから、如何なる形を以て提案されようとも、議會は追加の豫算を審議すると云ふことになる譯であります、だからそれだけで宜しいのであります、斯う云ふやうな法律を出さなかつたならば、我々は其の氣持で、總豫算と云ふことは書いてありますけれども、總豫算ではないのであると云ふ意味に於て取扱が出來ると云ふことを私は申上げるのでありまするから、憲法七十一條の規定に抵觸するが如き結果を生ずる斯くの如き法律は成立せしめないことが宜しい、斯う云ふことになるのであります、そこで私は今度は會計法の少し技術的になりまするが、政府と意見を鬪はしたのでありますが、斯う云ふことになる譯であります、若し普通の場合であるなれば、詰り追加豫算を追加豫算なる形を以て提案しなければならないのであるが、今度の場合はです、追加豫算と云ふよりも、もう少し廣い範圍に於て提案したいのであつたから、斯くの如き豫算を出したのである、斯う云ふことを言はれたのでありますから、そこに私は大藏大臣に對して質問をしたのであります、元來今期の議會に御出しになつて居る所の諸項目と云ふものは、此の會計法の追加豫算の提出を必要として居る經費になるのぢやないか、是は追加豫算はどう云ふことを書いて居られるかと云ふと、必要缺くべからざる經費の外追加豫算を提出することを得ず、斯う云ふことになつて居りますから、此の議會に御出しになつて居る費目は、一つとして必要缺くべからざる經費に非ざるものなしと云ふことを認めますか、どうでありますかと云ふことを申しました處が、其の通りだと仰つしやつたのでありまするから、此の會計法の技術的に申しましたなれば、實質上追加豫算の本質を備へて居る豫算を政府は提出されて居るのでありますから、斯くの如き法律を出す必要がないと云ふ結論になる譯であります、然らば會計法の規定と合ふやうに、追一とか追二、追三と云ふ形で出さなかつた關係はどうなるかと云ふやうなさう云ふ技術的なことは、それは適當に處理も出來まするし、それだけのことであれば、政府はそれだけの改正をされても宜いのでございまするし、又さう云ふ場合は問題が會計法だけの問題に止まるのであります、併しながら政府が斯くの如き法律を出して、總豫算と云ふものを合法的にしようと云ふやうなことの態度を執られた場合に於ては、さう云ふ取扱が出來なくなる意味に於きまして、私は斯かる法律を出されることは、全然政府に必要ないことをされるのであつて、此の法案と云ふものは書あつて益のないものであると云ふことを私は申上げるのであります、さう云ふ譯でありまするから、此の法案は成立せしむることに依つて政府も困られることになり、議院も亦非常な困惑な地位に立たしめる法案であるのみならず、私は憲法の法理論を此處では致しませぬ、併しながら憲法上の議論を此處に致しましたなれば、甚だ疑義の多い問題であると云ふことは、是はもう明瞭なことであります、元來此の憲法の法理の問題は、妥協で解決すべき問題ではありませぬ、確然たる理路を歩むべきものでありまするが故に、其の議論を若し致しましたならば、私は此の法律案と云ふものは容易に審議を爲し得ることの出來ないものであると云ふことを考へまする關係から、本法案は成立せしめざることを私は可なりと信ずるものであります、以上の理由を以て本案に反對致します(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=37
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038・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是にて討論は終結したるものと認めます、是より採決を致します、本案の第二讀會を開くことに贊成の諸君の起立を請ひます
〔起立者多數〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=38
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039・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 過半數と認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=39
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040・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=40
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041・植村家治
○子爵植村家治君 以下私は只今の動議通り贊成でありまするが、或は此の贊成の一言が誤解を釀すと面白くありませぬから、唯本案内容の贊否に觸れざる、直ちに、即ち直ちに第二讀會開會と云ふ動議のみに對し、贊成を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=41
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042・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=42
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043・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=43
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044・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀會を開きます、御異議なければ、全部を問題に供します、本案全部、委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」「反對」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=44
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045・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=45
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046・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=46
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047・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=47
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048・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=48
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049・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=49
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050・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部、第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」「反對」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=50
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051・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、次會の議事日程は、決定次第、彙報を以て御通知に及びます、本日は是にて散會致します
午後零時三十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X02019460816&spkNum=51
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