1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十一年九月十日(火曜日)午前十時七分開議
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議事日程 第三十一號
昭和二十一年九月十日
午前十時開議
第一 法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二 恩給法の一部を改正する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第三 帝國議會各議院の議長、副議長及び議員の手當に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第四 地方競馬法案(衆議院送付) 第一讀會
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=0
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001・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 諸般の報告は御異議がなければ朗讀を省略致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=1
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002・会議録情報2
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〔參照〕
去る六日勞働關係調整法案特別委員會に於て當選したる正副委員長の氏名左の如し
委員長 男爵 渡邊修二君
副委員長 子爵 高木正得君
去る七日委員長より豫算委員第一分科擔當委員子爵大河内輝耕君を第四分科兼務委員に選定したる旨の報告書を提出せり
同日衆議院より左の政府提出案を受領せり
法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案
同日衆議院より左の議案を提出せり
地方競馬法案
同日内閣總理大臣より左の通第九十囘帝國議會政府委員仰付けられたる旨の通牒を受領せり
政府委員
内閣事務官 椙杜正太郎君
同 島本融君
昨九日食糧緊急措置令(承諾を求むる件)特別委員會に於て副委員長の補闕選擧を行ひしに男爵佐竹義履君當選せり
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=2
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003・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 是より本日の會議を開きます、日程第一、法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、石橋大藏大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=3
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004・会議録情報3
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法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十一年九月七日
衆議院議長 山崎猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案
第一條 會社その他の法人は、他の法令又は定款にかかはらず、政府の所有する株式又は出資に對して、政府以外の者の所有する株式又は出資に對すると同一の條件を以て、利益又は剩餘金の配當又は分配をしなければならない。
第二條 政府は、他の法令又は契約にかかはらず、會社その他の法人に對し、毎事業年度における配當又は分配することができる利益又は剩餘金の額を拂込濟株金額又は出資金額に對して一定の割合に達せしめるための補給金は、これを交付しない。
前項の規定によつて補給金の交付を受けることのできない會社その他の法人について、法令、契約又は定款に特別の配當準備のための積立をすることを必要とする旨の規定があるときは、その規定は效力を失ふ。
第三條 政府又は地方公共團體は、會社その他の法人の債務については、保證契約をすることができない。但し大藏大臣の指定する會社その他の法人の債務については、この限でない。
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
第二條の規定は、昭和二十年四月一日以後に終了する事業年度の分から、これを適用する。
第二條第二項に規定する會社その他の法人について、この法律施行の際、現に同項に規定する配當準備の爲の積立金があるときは、その積立金は、同項に規定する法令、契約又は定款に規定する目的以外の目的にも、これを使用することができる。
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〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=4
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005・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 只今議題となりました會社其の他の法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案に付きまして、提出の理由を御説明申上げます、政府は從來法令の規定に依りまして設立した會社其の他の法人等に對しまして、法令或は豫算外契約に基く各種の財政援助を與へまして、其の事業の遂行を圓滑ならしめ、以て國策の完遂を圖つて參つたのであります、然るに終戰に伴ひまして、戰後財政再建の爲の一つの方途と致しまして、是等の會社に對しまする政府の財政援助は此の際之を廢止又は制限致しまして、國庫負擔の累増を防止すると共に、併せて戰後に於ける國民經濟の民主的再建の爲に、企業の自主的活動の促進にも資することが肝要であると存じまして、今囘此の法律案を提出致しました次第であります、尚今囘の此の措置に對しましては聯合國軍最高司令官からも覺書が參つて居りまする次第でありまするから、一言申添へて置きます、何卒御審議の上速かに御協贊を與へられむことを御願ひ致す次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=5
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006・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案は恩給法の一部を改正する法律案外一件の特別委員會に併託せられむことの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=6
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007・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=7
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008・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=8
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009・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=9
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010・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 日程第二、恩給法の一部を改正する法律案、日程第三、帝國議會各議院の議長、副議長及び議員の手當に關する法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會の續、委員長報告、是等の兩案を一括して議題と爲すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=10
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011・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます、委員長周布男爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=11
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012・会議録情報4
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恩給法の一部を改正する法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年九月五日
委員長 男爵周布兼道
貴族院議長公爵徳川家正殿
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帝國議會各議院の議長、副議長及び議員の手當に關する法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年九月五日
委員長 男爵周布兼道
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔男爵周布兼道君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=12
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013・周布兼道
○男爵周布兼道君 只今議題となりました兩法律案に付きまして委員會に於ける審議竝に經過の大要と結果を御報告致します、本委員會は去る三日正副委員長の互選に引續きまして即日會議に入りまして、五日迄連日三囘に亙り開催されましたのでございます、先づ恩給法の一部を改正する法律案に付て御報告申上げます、大體に於て事務的の改正でございまして、根本的改正に觸れて居りませぬ、少しく具體的に申上げますれば、第一點は、現行法に依りますと、從軍軍人の在職年の計算に一年を四年として計算するとか、戰死した者の遺族に對し特別有利な扶助料を與へると云ふ風な規定がありまして、又從來恩給を受ける人の多くが軍人、準軍人であつたので、色々の規定がありましたが、終戰の結果、是等を整理することに相成つた譯であります、尚聯合國最高司令部よりの指令に基きまして、其の爲に制定されました本年二月勅令第六十八號を以て恩給法の特例を規定し、軍人の恩給は傷病關係以外に於ては本年二月以降廢止されましたので、其の實體を規定して居る恩給法より之に關する規定を除き、又外地に關する規定を整理したのでございます、第二は、官吏制度の改正に伴ふ點でありまして、傷病者に給せられる増加恩給、傷病年金等が親任、勅任、奏任、判任と各等の區別に依つて差異がありましたのを、職階に其のやうな區別がなくなりましたので、全官吏は第一級より第三級の三つに分けられ、又俸給も官吏俸給令と云ふ一つの制度に單一化されましたので、恩給法の規定を直すやうになつたのでございます、又教育職員、警察、監獄職員の大部分の者が本官になりましたので、從來待遇官吏として規定して居つた部分の整理を行つたのでございます、第三に、臺灣、朝鮮等の公務員の或部分に付ては、恩給の負擔が朝鮮の道、臺灣の州などの地方經濟となつて居りましたが、終戰後實際上之を負擔する事實を失つて居りまして、恩給權があつても受けることが出來ない状況になつて居りますので、其の負擔を國庫と致したのでございます、扨、改正案に付きまして、種種の見地から質疑がございましたが、其の中主なるもの二三を御紹介申上げます、一委員より、此の時世に即して官吏の恩給制度に根本的の改正をする考はなきやとの質問に對しまして、現制度は現在の官吏制度なり給與制度を前提として出來て居るが、官吏制度は憲法の改正に伴ひ根本的に色々檢討して居りまするし、給與制度も根本的な檢討が加へられて居りまするから、恩給制度の根本的大改正は別個の取扱は出來ない、竝行して檢討を加へて行きたいと思ふと云ふことでございまして、臨時的な措置として、現在の恩給金額を増加すべきかを關係當局とも檢討中でありまするが、色々考慮しなければならない事情もありますので、今俄かに其の増額を實行し得ないとのことでございました、又一委員より、改正憲法に依る公務員の範圍も相當變つて來ると思はれるが、恩給法上の公務員と憲法に所謂公務員との關係はどうなるかとの質疑がございました、之に對して、現今法制の下に於ても、恩給法上の公務員と他の法令に規定する公務員とは必ずしも一致して居らない、從つて改正憲法に所謂公務員をどの程度に恩給法上の公務員とするかは、今後研究したいと云ふことでございました、次に恩給を受ける者が少額の爲生活上困難なる場合には、生活保護法は是等の者にも適用さる、のであるかと云ふことでございましたが、此のやうな場合にも生活保護法は適用されるのである、生活保護法に依る扶助は恩給額を差引いたものとなると云ふことでございます、其の他種種の質疑應答がございましたが省略致します、斯くして質疑を終りまして討論に入り採決致しました處、全會一致政府原案通り可決せらるべきものと決定せられたのでございます、次に帝國議會各議院の議長、副議長及び議員の手當に關する法律案に付申上げます、政府の説明に依りますれば、議院法第十九條の規定に依り受けて居ります歳費の全額は、大正九年に改正されて以來今日迄其の儘となつて居りますので、現在の物價水準及び一般の給與に比較致しまして、低きに失して居ると認められます、從つて歳費の定額は相當増額の必要があるが、現状に於ては經濟の状態も未だ安定して居らず、歳費額決定の參考となるべき一般の給與に付きましても、未だ恆久的な基準が確定されて居るとは言はれない有樣でありまするので、定額の改正は其の時期ではないと考へられるので暫く見合せまして、今囘は極めて應急的の措置として各議員歳費の外に、別に、當分の間毎月千五百圓の手當を受けることとし、議員が召集に應じない場合には之を受けられざること、又辭退しても差支ないこと、又官吏にして議員たる者は之を受けられざること等は歳費と同樣に取扱ひまして、唯其の場合には歳費も此の手當も受けられないと云ふやうなことになる結果、却て收入金額が減少するやうになることもあるので、其の際は差額だけを本手當として受けることが出來るやうにしたいと云ふことでございました、質疑應答の中一二を申上げますれば、議長、副議長、議員とも手當の同額なるは如何との問に對しましては、今囘のことは極めて暫定的であつて、今の經濟事情の困難の程度は總て同じであるから同樣に致したのであると云ふことでございました、又此の金額の算定は適當であるかどうかと云ふ質疑に對しましては、今日の物價水準より見て、又官廳方面の色々の給與等から考へて此の程度に決したのであると云ふことの答辯でありました、尚其の外にも質疑は段段ございましたが、省略致します、斯くて採決の結果全會一致原案通り可決確定致したのでございます、此の段御報告申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=13
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014・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 別に御發言もなければ兩案の採決を致します、兩案の第二讀會を開くことに御異議はございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=14
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015・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=15
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016・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに兩案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=16
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017・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=17
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018・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 西大路子爵の動議に御異議はございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=18
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019・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないものと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=19
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020・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 兩案の第二讀會を開きます、御異議がなければ全部を問題に供します、兩案全部委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=20
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021・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=21
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022・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに兩案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=22
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023・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=23
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024・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=24
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025・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=25
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026・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 兩案の第三讀會を開きます、兩案全部第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=26
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027・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=27
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028・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 日程第四、地方競馬法案、衆議院提出、第一讀會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=28
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029・会議録情報5
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地方競馬法案
右の本院提出案をここに送付する
昭和二十一年九月七日
衆議院議長 山崎猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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地方競馬法
第一條 都道府縣を區域とする馬匹組合聯合會(縣を區域とする馬匹組合を含む。以下これに同じ)は、馬事の振興を圖るため、主務大臣の許可を受けて、この法律により、競馬を行ふことができる。
第十二條の馬事團體は、命令の定めるところにより、主務大臣の許可を受けて、前項の競馬を行ふことができる。
第二條 競馬施行者が、この法律により、競馬を開催しようとするときは、命令の定めるところにより、地方長官に屆出でねばならない。
第三條 この法律により、競馬を行ふ競馬場の數は、北海道三箇所以内、都府縣各各一箇所以内である。
第四條 この法律により競馬に出すことのできる馬は、施行者たる馬匹組合聯合會の區域及び命令の定める區域に、命令の定める期間飼養せられる馬に限る。
第一條第二項の競馬については、前項の區域に關する規定は、これを適用しない。
第五條 競馬の開催は、競馬場毎に數へて、年四囘を超えることはできない。但し、主務大臣の許可を受けた場合は、年四囘を超えて競馬を開催することができる。
第六條 競馬開催の期間は、一囘につき、六日以内である。
第七條 競馬を開催するときは、入場者から入場料を取らねばならない。但し、地方長官の認可を受けて、無料入場者と定めた者からは、入場料を取らなくてもよい。
第八條 競馬施行者は、入場者に對して、一口の金額十圓以下の優勝馬票を、額面金額で賣出すことができる。
第九條 その競馬を開催する法人の役員又はその競馬の開催執務委員、騎手その他競馬の事務に從ふ者に對して、優勝馬票を賣出すことはできない。
第十條 競馬施行者は、優勝馬票の的中者に對して、命令の定めるところにより、その競走についての優勝馬票の賣得金の額を超えない範圍内において、拂戻金を交付する。但し、その金額は、優勝馬票の額面金額の百倍を超えることはできない。
優勝馬票の的中者の無い場合における賣得金又は前項但し書の規定によりできた超過金は、命令の定めるところにより、これを優勝馬票を買つた者に拂戻しをする。
前二項の拂戻金の債權は、一年間これを行はなければ、時效によつて消滅する。
第十一條 競馬施行者は、主務大臣の認可を受けて、優勝馬票の賣得金額の百分の二十五以内の金額を、自己の收入とすることができる。
第十二條 前條の場合には、競馬施行者は、命令の定めるところにより、納付金を馬匹組合聯合會の組織してゐる公益法人たる全國區域の馬事團體に納めなければならない。
第十三條 競馬場の開設又は維持、競走馬の出馬登録又は出場、競馬の觀覽、優勝馬票の賣出又は買入、拂戻金又は競馬賞金の支拂又は受取、その他競馬の施行又は開催に關しては、地方税を課することはできない。
第十四條 主務大臣は、公益上必要ありと認めるときは、第一條の許可を受けた者に對して、競馬場の設備の變更その他競馬の施行又は開催に關して、必要な事柄を命ずることができる。
第十五條 主務大臣は、競馬施行者又はその役員若しくは開催執務委員の行爲が、法令若しくはこれに基いてなす處分に違反し又は公益を害し若しくは害する虞があると認めるときは、次の處分をなすことができる。
一 第一條の許可の取消
二 競馬の停止
三 優勝馬票發賣の停止又は制限
四 開催執務委員の職務執行の停止
第十六條 左の各號の一に該當する者は、三年以下の懲役若しくは五千圓以下の罰金に處し、又はその刑を併せ科する。
一 第一條の許可を受けないで、優勝馬票を發賣したり、又はこれに類似の行爲をなした者
二 第十五條第三號の停止又は制限に違反して、優勝馬票を發賣した者
三 この法律による競馬の競走に關し、職業として、多數の者に對して財物を以て賭けごとをなした者
四 第九條に掲げる者にして、前號に規定する行爲の相手方になつたもの
第十七條 開催執務委員が、職務を執行するにあたり、これに對して、暴行又は脅迫を加へた者は、二年以下の懲役又は二千圓以下の罰金に處する。
團體若しくは多衆の威力を示し、團體若しくは多衆を假装して威力を示し、又は兇器を示し若しくは數人共同して前項の罪を犯した者は、三年以下の懲役又は三千圓以下の罰金に處する。
第十八條 左の各號の一に該當する者は、二千圓以下の罰金に處する。
一 第九條に掲げる者に對して、同條に掲げる者なることを知つて、優勝馬票を賣出した者
二 第九條に掲げる者にして、優勝馬票を買入れ又は讓受けたもの
三 第十條第一項の規定による制限に違反して、拂戻金を支拂つた者
四 第十六條第一號乃至第三號に規定する行爲の相手方となつた者
第十九條 左の各號の一に該當する者は、二百圓以下の罰金又は科料に處する。
一 第四條に規定する馬でない馬を、出場せしめた者
二 第十條第一項の規定による制限に違反して、拂戻金の支拂を受けた者
第二十條 その競馬を開催する法人の役員又はその競馬の開催執務委員が、その職務に關して賄賂を取り、又はこれを要求若しくは約束したときは、二年以下の懲役に處する。因つて不正の行爲をなし、又はなすべき行爲をなさないときは、五年以下の懲役に處する。
前項の場合において、受け取つた賄賂はこれを沒收する。若しその全部又は一部を沒收することができない場合には、その價額を追徴する。
第二十一條 前條第一項に掲げる者に對して、賄賂を支拂ひ、提供し、又は約束した者は、二年以下の懲役又は二千圓以下の罰金に處する。
前項の罪を犯した者が、自首したときは、その刑を減輕し、又は免除することができる。
第二十二條 競馬施行者である法人の役員又は開催執行委員が、第十五條第四號の規定による主務大臣の命令に違反したときは、千圓以下の過料に處する。
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條の規定は、前項の過料にこれを準用する。
第二十三條 競馬施行者が、この法律により收得する收入に對しては、所得税及び營業税を課せない。
附 則
この法律は、公布の日からこれを施行する。
馬券税法の一部を次のやうに改正する。
第一條中「競馬法」の下に「又は地方競馬法」を加へ、「又は軍馬資源保護法に依る鍛錬馬競走」を削る。
第二條中「軍馬資源保護法」を「地方競馬法」に、「優等馬票」を「優勝馬票」に改める。
第三條中「優等馬票」を「優勝馬票」に改める。
第四條第一項中「競馬法に依る」を「第一條に規定する」に改め、「又は軍馬資源保護法に依る鍛錬馬競走」及び「又は鍛錬馬競走」を削る。
第五條中「又は鍛錬馬競走」を削る。
第六條及び第七條中「競馬法に依る」を「第一條に規定する」に改め、「又は軍馬資源保護法に依る鍛錬馬競走」を削る。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=29
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030・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程せられました、地方競馬法案は、其の特別委員の數を十五名とし、其の指名を議長に一任するの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=30
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031・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=31
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032・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=32
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033・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔寺光書記官朗讀〕
地方競馬法案特別委員
公爵 徳川慶光君 侯爵 四條隆徳君
伯爵 南部利英君 子爵 北小路三郎君
子爵 西尾忠方君 小山松吉君
松村眞一郎君 男爵 徳川誠君
男爵 三須精一君 男爵 斯波正夫君
瀧川儀作君 安田伊左衞門君
有馬忠三郎君 名古屋三吉君
渡部信君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=33
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034・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 次會の議事日程は決定次第彙報を以て御通知に及びます、本日は是にて散會致します
午前十時二十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03119460910&spkNum=34
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