1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十一年九月二十七日(金曜日)午前十時十九分開議
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議事日程 第三十六號
昭和二十一年九月二十七日
午前十時開議
第一 昭和十九年度第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會 議(委員長報告)
第二 昭和十九年度特別會計第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會 議(委員長報告)
第三 昭和十九年度特別會計豫備費支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付)會 議(委員長報告)
第四 昭和十九年度特別會計第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會 議(委員長報告)
第五 昭和二十年度第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會 議(委員長報告)
第六 昭和二十年度豫備金外支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會 議(委員長報告)
第七 昭和二十年度特別會計第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付)會 議(委員長報告)
第八 昭和二十年度特別會計豫備金外支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付)會 議(委員長報告)
第九 昭和二十年度緊急財政處分に依る支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會 議(委員長報告)
第十 昭和二十一年度第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會 議(委員長報告)
第十一 昭和二十一年度緊急財政處分に依る支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會 議(委員長報告)
第十二 昭和二十一年度緊急對策費第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會 議(委員長報告)
第十三 臨時物資需給調整法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十四 木曾川改修竝補助金増額に關する請願 會 議
第十五 私立學校の戰災復興に對する國庫補助の請願 會 議
第十六 北海道後志山麓及道南地方に省營自動車運輸開始の請願 會 議
第十七 茨城縣日立漁港修築の請願 會 議
第十八 青森縣野邊地河口改修に關する請願 會 議
第十九 千葉縣夷隅郡古澤村に無集配郵便局設置の請願 會 議
第二十 讀書施設の普及に關する請願 會 議
第二十一 東北海道縦貫鐵道速成の請願 會 議
第二十二 北海道廣尾港修築の請願 會 議
第二十三 奧羽本線新庄驛、最上郡大藏村清水間に鐵道敷設の請願 會 議
第二十四 四國綜合大學設置に關する請願 會 議
第二十五 高松經濟專門學校の大學昇格に關する請願 會 議
第二十六 在外個人財産の補償に關する請願 會 議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=0
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001・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 諸般の報告は、御異議がなければ、朗讀を省略致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=1
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002・会議録情報2
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〔參照〕
去る二十三日本院に於て可決したる左の衆議院提出案は即日裁可を奏請し又可決の旨を衆議院に通知せり
地方競馬法案
同日委員會に於て當選したる正副委員長の氏名左の如し
復興金融金庫法案特別委員會
委員長 子爵 高橋是賢君
副委員長 男爵 杉溪由言君
臨時物資需給調整法案特別委員會
委員長 男爵 古市六三君
副委員長 子爵 柳澤光治君
同日委員長より左の報告書を提出せり
昭和十九年度第一豫備金支出の件、昭和十九年度特別會計第一豫備金支出の件、昭和十九年度特別會計豫備費支出の件、昭和十九年度特別會計第二豫備金支出の件、昭和二十年度第二豫備金支出の件、昭和二十年度豫備金外支出の件、昭和二十年度特別會計第二豫備金支出の件、昭和二十年度特別會計豫備金外支出の件、昭和二十年度緊急財政處分に依る支出の件、昭和二十一年度第二豫備金支出の件、昭和二十一年度緊急財政處分に依る支出の件、昭和二十一年度緊急對策費第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)可決報告書
同日内閣總理大臣より左の通第九十囘帝國議會政府委員仰付られたる旨の通牒を受領せり
内務省所管事務政府委員
北海道廳長官 増田甲子七君
一昨二十五日委員長より左の報告書を提出せり
請願文書表(第十三囘報告)
昨二十六日委員長より左の報告書を提出せり
臨時物資需給調整法案可決報告書
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=2
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003・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より本日の會議を開きます、日程第一、昭和十九年度第一豫備金支出の件、日程第二、昭和十九年度特別會計第一豫備金支出の件、日程第三、昭和十九年度特別會計豫備金支出の件、日程第四、昭和十九年度特別會計第二豫備金支出の件、日程第五、昭和二十年度第二豫備金支出の件、日程第六、昭和二十年度豫備金外支出の件、日程第七、昭和二十年度特別會計第二豫備金支出の件、日程第八、昭和二十年度特別會計豫備金外支出の件、日程第九、昭和二十年度緊急財政處分に依る支出の件、日程第十、昭和二十一年度第二豫備金支出の件、日程第十一、昭和二十一年度緊急財政處分に依る支出の件、日程第十二、昭和二十一年度緊急對策費第一豫備金支出の件、承諾を求むる件、衆議院送付、會議、委員長報告、是等の十二件を一括して議題と爲すことに御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=3
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004・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、委員長高橋男爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=4
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005・会議録情報3
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昭和十九年度第一豫備金支出の件、昭和十九年度特別會計第一豫備金支出の件、昭和十九年度特別會計豫備費支出の件、昭和十九年度特別會計第二豫備金支出の件、昭和二十年度第二豫備金支出の件、昭和二十年度豫備金外支出の件、昭和二十年度特別會計第二豫備金支出の件、昭和二十年度特別會計豫備金外支出の件、昭和二十年度緊急財政處分に依る支出の件、昭和二十一年度第二豫備金支出の件、昭和二十一年度緊急財政處分に依る支出の件、昭和二十一年度緊急對策費第一豫備金支出の件
右承諾すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年九月二十三日
委員長 男爵高橋弓彦
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔男爵高橋弓彦君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=5
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006・高崎弓彦
○男爵高崎弓彦君 只今議題となりました、昭和十九年度第一豫備金支出の件外事後承諾を求むる件十一件に付きまして、特別委員會の審議の經過竝に結果に付て簡單に御報告申上げます、委員會は九月二十一日委員長及び理事の互選を致しまして、引續き會議を開き、政府から提案理由の説明を聽取致しました、是等の議案に付きましては、既に大藏大臣より本議場に於て説明せられたことでありますから、此處では其の概要だけを申上げます、即ち昭和十九年度に於きましては、第一豫備金及び豫備費より支出せられました金額は、三億八千六百八十餘萬圓、第二豫備金より支出せられました金額は千五百萬圓、計四億百八十餘萬圓であります、昭和二十年度に於きましては、第二豫備金及び豫備金外支出せられました金額は、四十八億二千百四十餘萬圓でありまして、其の内一般會計の第二豫備金より支出せられました金額は、二十億圓でありまして、終戰前に支出致されました金額は、十億三千八百五十萬餘圓、終戰後支出致されました金額は、九億六千百四十餘萬圓であります、尚緊急財政處分に依り支出せられました金額は、四十三億七千五百八十餘萬圓でありまして、全額終戰後の支出に係るものであります、昭和二十年度に於て支出せられました金額は、總計九十一億九千七百三十餘萬圓であります、次に昭和二十一年度に於きましては、第二豫備金より二十億圓、緊急對策費第一豫備金より四億圓、緊急財政處分に依り二十一億二千三百萬圓、計四十五億二千三百萬圓を支出せられましたもので、今囘事後承諾を求められて居ります金額の合計は百四十一億二千二百十餘萬圓となつて居ります、以上が是等の諸案の概要でありますが、年度別に此の金額の内、重要なものを申上げて見ますと昭和十九年度第一豫備金支出の件は、支出致しましたものは一億三千餘萬圓でありますが、其の内一千萬圓以上の支出になつて居りますものが、内務省所管では警察費連帶支辨金、徴兵旅費、大藏省の所管、是は諸拂戻金、厚生省の所管は軍事扶助費、戰時災害保護費、大東亞省所管では、戰時事變臨時手當等であります、次に昭和十九年度特別會計第一豫備金支出に於きまして一千萬圓以上支出になつて居りますものは、大藏省所管、損害保險國營再保險金、農商省所管の農業再保險金等であります、昭和十九年度特別會計豫備費支出に於きましては一千萬圓以上のものは、運輸省所管事業費用品資金補足金であります、昭和十九年度特別會計第二豫備金支出に於きまして一千萬圓以上に支出して居るものが、運輸省所管の用品資金補足金であります、昭和二十年度第二豫備金支出に於きましては、一件一億圓以上のものは、内務省所管防空緊急施設諸費、大藏省所管、鹽及樟腦緊急増産對策費、農林省所管食糧増産對策諸費、林産物生産緊急施設費、食糧増産應急諸費等であります、昭和二十年度豫備金外の支出に於きまして一件が一千萬圓以上のものは、内務省所管、大藏省所管、司法省所管、文部省所管、厚生省所管の政府の職員臨時給與金であります、内務省所管、北海道臨時國有林増伐諸費、大藏省所管、財産税等創設準備諸費、農林省所管の價格調整補給金等であります、昭和二十年度特別會計第二豫備金支出に於きまして一件が千萬圓以上のものは、外務省所管、朝鮮總督府に於ける防衞對策諸費、運輸省所管、用品資金緊急補足外四件であります、昭和二十年度特別會計豫備金外の支出に於きましては、一件一億圓以上のものは、大藏省所管、業務勘定、農林省所管の薪炭需給調節費、運轉省所管、用品資金緊急補足、用品及工作費補足、事業費でございます、昭和二十年度の緊急財政處分に依る支出に於きましては一件一億圓以上のものは、勅令第百二十七號に依るものが大藏省所管で、内地へ引揚邦人及び内地よりの引揚げる者に對して諸般の對策緊急諸費、運輸省所管、船舶運營會損失補償及補助金、復員諸費、勅令第百五十九號に依るものが、内務省所管の河川災害復舊費、地方職員臨時給與補助金、文部省所管が、國民學校及青年學校教員臨時給與補助金、商工省所管、價格調整補給金、運輸省の所管が、船舶運營會損失補償及補助金、勅令第百七十九號に依りまするものが、内務省所管、都市疎開事業費補助金、地方職員臨時給與補助金であります、昭和二十一年度第二豫備金支出に於きましては一件一億圓以上のものは、外務省所管、外地職員其の他歸還の諸費、大藏省所管、終戰處理費、復員諸費、厚生省所管、救濟福祉事業費補助金、農林省所管、蔬菜價格調整補給金、商工省所管、石炭價格調整補給金等であります、昭和二十一年度緊急財政處分に依る支出に於きましては一件一億圓以上のものは、大藏省所管、復員諸費、終戰處理費、商工省所管、石炭價格調整補給金、運輸省所管、歸還輸送費、船舶運營會補助金等であります、昭和二十一年度緊急對策費第一豫備金支出に於きましては、厚生省の所管、戰時災害保護費であります、其の後之に付きまして政府當局との間に熱心且有益な質疑應答が行はれましたが、是等の點は速記録に依りまして御覽を願ひたいのでございますが、其の中二三の質問を御紹介致しますと、自給鹽の保護に付ての補助金に付て質問がありました、政府は戰時中から鹽不足に付て、製鹽に對し補助金を支出して居つたが、元來我が國の製鹽費は非常に高價であるから、今日に於ては我が國の食料鹽年額八十萬「トン」を製造する設備に止めて、其の他の工業鹽は廉價なる輸入鹽に俟つ方針と致しました、從つて現在の設備と將來、來春迄に完成に近い設備とを以てすれば、其の八十萬「トン」の生産の目的には適應するから、是等に對しては補助金は出すが、其の他に對しては補助金を打切にする方針だと云ふ答辯でありました、次に陸海軍病院のことでありましたが、現存のものは厚生省所管に移つて國立病院となつて居つて、現在の收容患者は主に傷痍軍人であるけれども、將來は施設上餘裕が出來れば一般に使用させる方針であるも、時期に付ては厚生省で考慮中だ、尚未完成のものが澤山あるが、之を病院とするか、外に使用するかの利用法に付ては今尚研究中だと言つて居ります、それから未利用資源の食糧化に付て質問がありましたが、昨年の後半期は主食糧の確保に付て全然見透しが付かなかつた爲に、補充として米に換算して約百五十萬石を豫想して其の生産を奬勵したけれども、實際には十萬石程度の收穫に過ぎなかつた、固より未利用資源の製品と云ふものは榮養價値に於ては主食としての目的に適しないものであるから、今日に於ては是等の製品は今後主食代用としては配給をしないと云ふことを言つて居ります、それから國民學校の復舊に關しての質問がございましたが、國民學校復舊と云ふものは、大問題として論議されて居るが、今日の状態では、文部省は勿論、大藏省方面に於ても決して滿足して居る譯ではないが、從來公共團體に對して利子のみを負擔して來たが、復舊費の半分は、國庫より負擔し、經濟安定費から一億餘圓を支出することになつて居るけれども、其の結果に依つては、尚増額する考である、資材等も優先的に配給して居るが、校舍の建築は先づ鐵筋「コンクリート」を理想として居るのであるけれども、現在の状態に於ては、「バラック」式で三箇年位は我慢をして貰つて、其の後の五箇年位の間に理想的なものに復舊したいと云ふ考である、それから地方税務署の事務に付ての誤謬があつたり、誠に取扱ひが杜撰だと云ふことに對する御質問がありましたが、我が國の徴税に付ては、凡そ十五年前迄は其の正確に自信があつたけれども、段々財政の膨脹に從ひ、現在民間の取扱ひに對しては、普通税務に一萬人、財産税に六千人が從事して居るけれども、税務署も亦三百八十有餘を算するに至つたが、其の從事員も從つて新任の者が多く、其の事務上に付遺憾の點が多いのは恐縮である、故に政府に於ても本年度豫算に計上し、税務講習所の内容を整備することになつて居る、其の他「アルコール」製造に關し、卷煙草拂底に關し、農産物加工施設に關し、一般官吏に對する臨時家族手當に關し、私立學校に對し補助、低利資金融通等の對策に關し、米補給金に關し、色々の質問應答がありましたが、是は速記録で御覽を願ひたいと思ひます、次で討論に入りまして、昭和十九年度第一豫備金支出の件外事後承諾を求むるの件十一件共滿場一致にて之に承諾を與ふべきものと決定致しました、右御報告申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=6
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007・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ、是より採決を致します、十二件共委員長の報告通り、承諾を與ふることに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=7
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008・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=8
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009・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第十三、臨時物資需給調整法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會の續、委員長報告、委員長古市男爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=9
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010・会議録情報4
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臨時物資需給調整法案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年九月二十六日
委員長 男爵古市六三
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔男爵古市六三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=10
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011・古市六三
○男爵古市六三君 只今上程に相成りました、臨時物資需給調整法案の特別委員會の審議の經過竝に結果に付て御報告を申上げます、本委員會は去る二十三日、二十五日及び昨日二十六日に開きまして、最初に商工大臣から提案の理由を伺ひ、續いて逐條に亙つて商務局長の説明を煩しました、即ち本案は我が國産業の現状に於て、戰災に依る工場設備の甚大なる被害、各種設備の老朽荒廢、原料資材の不足、物價の昂騰、終戰に伴ふ産業秩序の混亂、勞働爭議に依る不安等に依り、其の囘復に對して滿足すべき状態でありませぬので、基礎原料たる石炭、基礎資材たる鐵鋼の極度の逼迫が他の工業の生産力の囘復に影響を致し、又國民生活は終戰後益益困窮の度を加へて來ますので、之を救ふ爲にも必需物資の適正なる配分の確保を圖らなければならないのであります、そこで各種産業の基礎資材、見返り物資、食糧其の他民生安定の爲の物に對し重點的な計畫生産を實施して、其の合理的な配分を行はなければならぬので、各種の施策を法的な裏附けで臨機應變に實施すると云ふのが本法案の目的であるのであります、本法案の實體的規定は、第一條及び第二條の二つに過ぎませぬ、第一條で、各省大臣の爲し得る權限範圍を規定して此の法律の一番の基本を示し、物資の流れ方を確定するのを大きな目的とし、配給の「ルート」を確定するのが大きな仕事であるのであります、必要な命令は經濟安定本部總裁の定めた方策に基くことの絶對要件を附し、經濟民主化の理念に一貫して、經濟安定本部には、經濟界、學界から現職の儘部長、部員を採用することとして、尚經濟界、政界、勞働界關係の各省の權威者から成る經濟安定會議に依つて事を決するやうになつて居るのであります、原材料、資材は民間の創意と經驗とを尊重し、民主的に組織せられた産業團體等の活用に努めまして、それに當該産業の運營に必要な物資の割當を實施させる方針を明かに致し、政府は此の團體に對しまして、無用の干渉をしないやうに特に留意を致して居るとのことであります、結局問題は法文の體裁が簡單で、包括的な委任立法となる爲に、主務大臣の權限が廣範になり、如何なる内容の統制を實施するかが不明であるのと、經濟安定本部と主務大臣との關係を如何に調整するかに問題がありまして、遂に衆議院が次の七つの點を修正することになつたのであります、第一點は、第一條の主務大臣の命令權の行使は、經濟安定本部總裁の同意を得るを要することと致し、主務大臣の勝手な命令の發動を抑制し、各省間の施策の綜合調整を圖ると共に、安定本部の經濟安定會議の運用に依つて其の民主的な運用を圖らうとしたことであります、第二點は、命令の發動に當りまして、官吏の勝手な處置を防止する爲に、同一條件にあるものには差別なく適用されるものとしたことであります、其の第三點は、第一條の命令事項に付て、物資の使用制限又は禁止に付新たに一號を設けまして、生産命令の項に出荷命令を加へて、更に必要最小限度に發動し得るやうに、二號乃至四號の事項は、供給の不足する物資に限り適用することとしまして、設備の讓渡、引渡又は貸與は、遊休設備にのみ限定したことであります、第四點は、損失補償を行ふべき事項は、第三號の事項、即ち生産、出荷命令及び工事命令に付ては、補償の範圍を積極命令のみに限定を致しまして、消極命令に付ては補償を行はぬやうに致しました、第五點は、第二條の産業團體の物資割當に對する不服申立は、主務大臣の決定を仰ぐと云ふのを改めまして、不服申立人、産業團體及び第三者より成る委員會の決定に依ることと致しました、第六點は、第三條の臨檢、檢査の政府の權限が廣過ぎるのを制限したのであります、最後に第七點は、本法の存續期間が經濟安定本部の廢止の時となつて居るのを、經濟安定本部の廢止の時か、本法施行後一箇年半後の昭和二十三年四月一日か、孰れか早い時に效力を失ふことになつて居るのであります、何分新日本の力強い發足に重大なる關係を持ちます重要なる法案でありまするので、熱心なる質疑、政府に對する注意、勸告、希望が委員よりありましたが、是からそれ等に付きまして御紹介を致します、一委員より、總動員法は生産の有らゆる要素を取扱つたが、此の法案は物資面のみで他の勞務、金融、輸送等を考へて居らないが、それでやつて行けるのか、之に對しまして、物資のみに限る本法案は不十分である、融資は復興金庫から、其の運用は協議會で重點的にやることとし、輸送は特別の法律がなくとも運輸省で其のやり方に依つて圓滑にやつて行けるので、資材の重點的の配給をし、資金の裏附をすれば、生産はやれると思はれるとのことでありました、又勞働者には餘裕があると云ふが、戰時中のやうに頭數の問題ではない、生産指示をした時に、政府は積極的態度を以て就業せしむることが出來ないと思ふ、從つて業者は其の生産が出來ないことになりはしないかと云ふ問に對しまして、勞務に強制法規がないので其の憂はあるが、肥料問題のあつた時に、勞働組合の方に懇請してうまくやれた例があると云ふ説明がございました、次に見返り品の生産は中小工業者がやることと思ふが、地域的にも、又銘柄に付ても複合生産が多くなり、經營規模が小さくなる、從つて問屋の必要が超ると思ふが、今迄の統制の缺陷の最大のものは、商業機構を輕視した點であると思ふ、其の結果「メーカー」が能率よく良い物を造る方向に向はなかつたと思ふ、此の法律の中の産業團體に商業的なものが含まれて居るかと云ふことに對しまして、産業團體とは割當をする機關で、配給會社が問屋である、配給協議會には一部問屋的な面が活かしてある、今後の統制と今迄のそれとの違ひは何處にあるのか、今迄は切羽詰つた統制であるけれども、今後は其の目的達成の爲にやると云ふ公開された明朗な統制になると思ふのでありますとのことであります、本法の如き形の統制は中央集權化を強化せしめやせぬかと云ふ問に對しましては、本法に採り上げるものは全國的に統制するもので、其の他は自主統制、地方統制に任せて行くのである、尚一委員より、政府は乏しき物資の割當に力を入れるよりも、増産第一の方が宜くはないかと云ふ問に對しまして、政府は、誠に其の通りでありますが、何分物資が少いので自由開放は到底出來ませぬ、本來本法も増産の爲のものでありますとの答辯がありました、産業界が金融界に壓迫せられる傾向があるが、さう云ふことのないやうに努力せられたいと云ふ希望に對しまして、商工大臣は、從來其のやうな傾向がなかつた譯ではないが、將來は其のやうなことのないやうに十分努力をし、復興金融金庫にしても飽く迄産業再建の爲に役立てる積りである、尚委員より、現在の賃銀が生活給になつて居るけれども能率給にしなくてはならぬと云ふことに對しまして、大臣は、此の點は目下鋭意研究中であるとの答辯がありました、又鋼材の輸入は切實に要することと思ふが、鋼材を得るに鐵鉱石と石炭とを輸入するか、銑鐵を入れるか、或は直接鋼材を入れるかの三方法があるが、最後の第三の方法は、米國に於ても現在鋼材不十分とのことであるから到底望みはなく、第一のは船腹が間に合はない、第二のでありますと、船腹は第一の場合の半分位で濟むが、失業者が増し、且第一の特點である副産物が得られない、當局としては其の孰れに依らる、方針であるかとの問に對しまして、對日理事會では、銑鐵二百萬「トン」、鋼塊三百五十萬「トン」と決定をしたが、能力は各各七十萬「トン」乃至八十萬「トン」よりはない、不足分に對しては銑鋼一貫作業でやり、燃料は壓延用の石炭を用ひ、代用品として重油の輸入を懇請して居るとのことであります、更に一委員より、木材の需給は如何、元來地木の統制は宜くなかつたが、今後はどんな統制をするかとの問に對しまして、日本地木に對し、之に代るに日本林業會を、其の下部機關として都道府縣林業會、其の下部に森林組合聯合會、林業組合が出來ることになつて居ります、本年度の生産の目標は七千五百萬石、第一四半期の實績は前年同期の七割四分で千四百萬石、此の七月以降は食糧の不足で下向となりましたが、六千五百萬石は確保が出來る見込であるとのことであります、又木材の需要は賠償物資の梱包材、復興用、進駐軍兵舍用等で、梱包用は二箇年間に千六百萬石、復興用のものは既に七割二分は出して、年度末迄には完納する見込であります、兵舍用のものは九月末には完納をする、又輸入材は年末迄に十五萬石入り、明年は二千萬石を懇請して居るのであります、斯う云ふことであります、次に丸公を維持して行く覺悟如何と云ふ問題に對しまして、膳國務大臣は、終戰直後の政府の價格は宜いとは思はない、主要食糧不足の爲買漁りで價格體系が亂れてしまひ、物價安定の要訣は、將來の經濟不安を一掃することにあるので、安定本部としては安定した物價を作り、物資の出廻りを良くするやうにしたい、主要食糧品は確保出來る見込であるから、それに準じて物資の供出、配給を圓滑にして行きたいとのことでありました、又税が高く、生産意欲を阻害して居ると云ふことに對しまして、商工大臣は、物資の豐富な場合自由競爭に依る所の生産意欲は良いが、又それが自由經濟の建前であるので、現在のやうな頗る窮屈な場合は、一つの過渡期として已むを得ないことと思はれると云ふことでありました、鹽の増産は實に重要で、又加里鹽、硼酸、硼砂等も同樣であるが、是等に對してはどうするかと云ふのに對し、鹽は現在も不足で僅かに輸入して居る、大藏省の所管であるから此の法案の計畫中にはないが、今後安定本部と商工省と大藏省と十分連絡をしてやる、其の他に付ては輸入を考へて居る、尚日本の自給鹽は非常に少く、且茲十年位は電力、石炭の價格が下がるとは思はれぬから、「コスト」高になり、「ソーダ」工業などは安い輸入鹽にどうしても依らなければならぬ、極力輸入して行きたいと思つて居る、加里鹽、硼酸、硼砂、石綿、雲母、「ダイヤモンド・サンド」「ダイヤモンド・ダイス」、「ヴァナヂュウム」、又石鹸不足を解決する「コプラ」等の輸入に俟つものは既に懇請中のものもありますと云ふ返答でありました、「リヤカー」、自轉車、「トラック」の不足は、中小工業の振興を阻止して居るやうに思ふ、其の生産状況はどうかと云ふ問に對しまして、自轉車は月産五千臺、「リヤカー」は七百乃至八百臺、年一萬五千臺を目標として居る、「トラック」は月産千四百臺、配給は運輸省に任せてある、八月には郵便、水道、配電關係に自轉車を、又「リヤカー」は農業、中小工業方面に向けたと云ふことであります、更に一委員より、總動員法にも違反者が多かつたが、本案の違反者も恐らく多いであらう、又其の違反者が再建經濟を擔つて居る中小工業者であると思はれるが、之に對する對策如何、之に對しまして、重い罰則を規定してあるが、業者の意思に依る統制を趣旨とする故に徒に罰則を適用するのではなく、納得の出來る行動を執れば宜いので、總動員法のやうに無理に統制して行くと云ふのとは違つて居るとのことであります、又一委員は、看板だけ塗り替へたばかりで、内容は統制會社と全く同一の配給會社であるがどう云ふことかと云ふことに對しまして、商工大臣は統制會社の解散で戰時中の統制は姿を沒した、併し人が居らぬ爲、又は急變では困る爲に内容の全く同じものが存在して居る、漸次民主的になつて行くことと思ふが、今後監察課で十分其の内容を監視して行くことにするとのことであります、増産には精神的部面が重要であるが、尚文化部面の紙、「ラヂオ」の配給を良くしなくてはならぬと思ふ、之に對し商工大臣は、戰爭中の情報局がなくなつたので新聞、映畫が自由になつて居る、之を纏めるのは今出來ることではない、紙は紙業課に、「ラヂオ」は遞信省に配給統制をやらせて居る、文化國家として立つ爲には内閣で綜合的に決めて貰ふのが宜いと考へて、内閣に文化委員會などを作るが宜いと思つて居るが、之を反動的と見られ易いので、もう少し世相が安定してからやりたいと思つて居るとのことであります、其の他色々委員竝に政府の間に質疑應答がございましたが、それ等は速記録に讓りますから、御覽を願ひたいと思ひます、以上で質疑を終り討論に入りました處、一委員は、實行機關としての商工省の善處を望み、更に一委員は、物を生産する時に僅かな鐵がない爲に生産が完成しない、さう云ふ場合があるやうに、單に運用は法一本ではうまく行かない、十分に注意を拂ふことを希望する、衆議院修正の本法案に贊成の旨を表されました、斯くて採決に入り、異議なく全會一致可決すべきものなりと決定致しました、以上を以て御報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=11
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012・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ本案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=12
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013・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=13
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014・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=14
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015・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=15
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016・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=16
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017・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=17
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018・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀會を開きます、御異議がなければ全部を問題に供します、本案全部委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=18
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019・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=19
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020・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=20
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021・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=21
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022・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=22
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023・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=23
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024・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=24
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025・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=25
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026・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第十四より日程第二十六迄の請願、會議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=26
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027・会議録情報5
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意見書案
木曾川改修竝補助金増額に關する件
岐阜市稻葉郡用排水普通水理組合管理者川出久一外九十四名呈出
右の請願は木曾川竝其の支派川は戰時に於ける上流山林の濫伐と沿岸山野の開墾等に因り一朝洪水に際會すれは忽ち氾濫破堤の危險甚しきに依り速に事業費を増額して改修工事に著手し以て治水の完璧を圖られたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
私立學校の戰災復興に對する國庫補助の件
東京都杉並區下井草町百二十五番地教員武内貞義呈出
右の請願は戰災に依り燒失せる各種私立學校は物價騰貴の爲自力復興は固より教職員の給與にも困難を感する實情なるを以て國庫より復興費に對する補助を行ふと共に資金の貸付及特殊預金、封鎖預貯金の引出手續簡易化等に對し特別の措置を講せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
北海道後志山麓及道南地方に省營自動車運輸開始の件
北海道磯谷郡南尻別村長小林榮三郎外五名呈出
右の請願は北海道後志山麓及道南地方の各村は豐富なる農、林、漁産資源を藏するに拘らす交通不便の爲其の開發を見る能はさるは洵に遺憾なるに依り速に省營自動車の運輸を開始し以て食糧事情の打開に資すると共に地方の振興に寄與せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
茨城縣日立漁港修築の件
茨城縣日立市長高嶋秀吉外一名呈出
右の請願は茨城縣日立市は戰禍と終戰後の各種重工業の崩壞に因り市勢次第に衰退し之か打開策としては地勢上漁業に依存する外なき實情なるに依り速に日立港を修築して漁港設備を充實し以て同市の復興に寄與せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
青森縣野邊地河口改修に關する件
青森縣上北郡野邊地町長代理助役中村龜四郎呈出
右の請願は青森縣野邊地町は本州と北海道との連絡上樞要の地點なるに依り町の自力を以て野邊地河口に港を開設し水陸物資の輸送に専念し來れるも町の財政貧困にして現に計畫中の河口擴張竝に浚渫、防波堤の延長等も實現不可能の實情なるに依り速に國費を以て河口の改修を圖られたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
千葉縣夷隅郡古澤村に無集配郵便局設置の件
千葉縣夷隅郡古澤村公吏北根吉作外九名呈出
右の請願は千葉縣夷隅郡古澤村は同地方の中心地にして郵便局と緊密なる連繋を要するに拘らす所管の大東郵便局は四粁餘を距つる爲村民の勞力時間の徒費大なるものあるに依り速に同村字桑田に無集配郵便局を設置し以て生産能率の向上と村民の便益に資せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
讀書施設の普及に關する件
東京都世田谷區玉川奧澤町三丁目二百四十一番地官吏中田邦造外六百五十名呈出
滋賀縣大津市中堀町四番地の三平民的屋勝外六十三名呈出
右の請願は國民道義の確立と基礎教養の向上を圖るは民主主義日本建設の根幹にして讀書は其の永續的捷徑なるに依り速に圖書館法規を改正して都道府縣市町村に各種の讀書施設を普及し其の中心となるへき圖書館を法律を以て設置し社會教育の振興に寄與せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
東北海道縱貫鐵道速成の件
北海道帶廣市西二條南五丁目一番地味噌醤油釀造業宮本富次郎呈出
右の請願は日高線樣似、廣尾線廣尾の兩驛間竝士幌線十勝三股、石北線上川の兩驛間に鐵道を敷設するは東北海道縱貫鐵道の完成となり廣尾港と相俟て沿線地方に於ける豐富なる林、農、水、鉱産資源の開發に寄與すること甚大なるに依り速に同鐵道を實現し以て食糧問題、人口問題の解決に資すると共に道東地區の經濟及文化の進展に貢獻せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依る別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
北海道廣尾港修築の件
北海道廣尾郡廣尾村字西通七丁目農業高橋武松呈出
右の請願は廣尾港は太平洋に面せる唯一の不凍港にして世界三大漁田の漁業根擴地竝北方航路の安全避難港として重大なる使命を有するのみならす東北海道に於ける豐富なる林、農、畜、水産物の運輸上最適の良港なるに依り速に築港を完成して一大商漁港たらしめ以て東北海道の拓殖開發に寄與せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
奧羽本線新庄驛、最上郡大藏村清水間に鐵道敷設の件
山形縣最上郡新庄町上仲町公吏楢岡徹呈出
右の請願は奧羽本線新庄驛、山形縣最上郡大藏村清水間に鐵道を敷設するは沿線に於ける豐富なる農、林産資源の開發上貢獻する所大なるに依り速に之か實現を圖り以て食糧及燃料問題の解決に資せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
四國綜合大學設置に關する件
香川縣仲多度郡善通寺町大字善通寺六百四十八番地公吏松浦愼吾呈出
右の請願は日本再建に當り高等教育の普及は喫緊の事に屬するも現下の食糧、住宅問題等より遠隔の地に遊學し能はさる者少からさるは洵に遺憾なるに依り政府は速に四國綜合大學を設置し以て四國四縣住民の久しきに亙る要望に應ふると共に同地方の學徒をして向學の志を遂けしめられたく尚設置の箇所は四國の中央部に位して交通機關完備し且元第十一師團關係の建築物多數を殘存せる等各種の便宜を有する香川縣善通寺町とせられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
高松經濟專門學校の大學昇格に關する件
香川縣仲多度郡善通寺町大字善通寺六百四十八番地公吏松浦愼吾呈出
右の請願は四國四縣の學徒にして大學入學を志す者極めて多きに拘らす同地方に一の大學をも存置せさるは洵に遺憾なるに依り政府は速に高松經濟專門學校を大學令に據る商科大學に昇格せしめ以て四國全土の要望に副はれたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
在外個人財産の補償に關する件
東京都芝區田村町一丁目三番地朝鮮關係殘務整理事務所内無業穗積眞六郎外四名呈出
右の請願は外地引揚者は祖國再建の固き決意を以て歸國せるも再起を圖るへき地盤なく就職も意の如くならさる爲令や相次て破滅に瀕する實情なるに依り政府は是等引揚者個人財産の損害に付ては軍需補償關係のものと同一視することなく適當なる補償を與へられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=27
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028・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是等の請願は請願委員長の報告通り採擇することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=28
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029・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、本日は是にて散會致します
午前十一時五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03619460927&spkNum=29
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