1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十一年九月三十日(月曜日)午前十時八分開議
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議事日程 第三十七號
昭和二十一年九月三十日
午前十時開議
第一 林業會法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二 商工協同組合法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 復興金融金庫法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第四 蠶絲業法の一部を改正する法律案(衆議院提出) 第一讀會
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=0
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001・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 去る二十七日、内閣總理大臣より十月七日迄十日間、帝國議會の會期の延長を命ぜらるる旨の詔書が傳達せられました
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=1
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002・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 其の他諸般の報告は御異議がなければ朗讀を省略致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=2
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003・会議録情報2
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〔參照〕
去る二十七日本院に於て可決したる左の政府提出案は即日裁可を奏請し又可決の旨を衆議院に通知せり
臨時物資需給調整法案
同日本院に於て承諾することを議決したる左の政府提出案は即日之を奏上し又承諾することを議決したる旨を衆議院に通知せり
昭和十九年度第一豫備金支出の件
昭和十九年度特別會計第一豫備金支出の件
昭和十九年度特別會計豫備費支出の件
昭和十九年度特別會計第二豫備金支出の件
昭和二十年度第二豫備金支出の件
昭和二十年度豫備金外支出の件
昭和二十年度特別會計第二豫備金支出の件
昭和二十年度特別會計豫備金外支出の件
昭和二十年度緊急財政處分に依る支出の件
昭和二十一年度第二豫備金支出の件
昭和二十一年度緊急財政處分に依る支出の件
昭和二十一年度緊急對策費第一豫備金支出の件
同日本院に於て採擇することを議決したる木曾川改修竝補助金増額に關する請願外十二件の請願は各各意見書を附し即日之を政府に送付せり
同日委員長より左の報告書を提出せり
復興金融金庫法案可決報告書
同日衆議院より左の政府提出案を受領せり
林業會法案
同日衆議院より左の議案を提出せり
蠶絲業法の一部を改正する法律案
同日内閣總理大臣より左の通第九十囘帝國議會政府委員仰付られたる旨の通牒を受領せり
政府委員
内閣事務官 平田敬一郎君
同 橋本龍伍君
一昨二十八日衆議院より左の政府提出案を受領せり
商工協同組合法案
同日衆議院より本院の送付に係る左の政府提出案は同院に於て之を可決し奏上せる旨の通牒を受領せり
石炭及コークス配給統制法の一部を改正する法律案
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=3
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004・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より本日の會議を開きます、請暇の件に付御諮りを致します、子爵京極高光君病氣に付會期中請暇の申出がございました、許可を致して御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=4
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005・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=5
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006・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第一、林業會法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、和田農林大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=6
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007・会議録情報3
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林業會法案
右の政府提出案は本院において修正議決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十一年九月二十七日
衆議院議長 山崎猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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林業會法案
林業會法
第一條 林業會は、會員が協同して、自主的に林業の改良發達竝びに林産物の生産の確保及び配給の適正を圖ることを目的とする。
この法律において、林業とは、森林の維持造成の事業及び林産物の生産又は販賣の事業をいひ、林産物とは、木材その他森林から産出する物で主務大臣の指定するものをいふ。
第二條 林業會は、都道府縣林業會及び日本林業會とする。
第三條 林業會は、法人とする。
第四條 林業會は、その目的を達するために、左の事業を行ふことができる。
一 林業の指導奬勵に關する施設
二 會員の林業の改良發達を圖るため必要な共同施設
三 林産物の檢査
四 林業に關する調査及び研究
五 前各號に掲げるものの外林業會の目的達成上必要な事業
林業會は、前項の事業の外、左の事業を行ふことができる。
一 政府の指示に基く林産物の生産及び配給に關する割當
二 林産物の價格統制に關する政府の施策に對する協力
三 政府の指示に基く林業に必要な物資の割當
第五條 都道府縣林業會の地區は、都道府縣の區域により、日本林業會の地區は、全國の區域による。
第六條 都道府縣林業會の名稱中には、都、道、府若しくは縣林業會なる文字を用ひ、日本林業會の名稱中には、日本林業會なる文字を用ひなければならない。
林業會でない者は、その名稱中に、前項に掲げる文字を用ひてはならない。
第七條 林業會は、勅令の定めるところにより、登記をしなければならない。
前項の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に對抗することができない。
第八條 林業會(會員に出資をさせるものを除く。)には、法人税及び營業税を課さない。
會員に出資をさせる林業會(以下出資林業會といふ。)には、所得税、法人税及び營業税を課さない。
第九條 都道府縣林業會の會員たる資格を有する者は、左に掲げる者とする。
一 都道府縣の區域を地區とする森林組合聯合會
二 都道府縣の區域を地區とする林産組合
三 前二號に掲げる者を除く外林業を營む者若しくは林業に密接な關係を有する事業を營む者又はこれらの者の團體で定款で定めるもの
日本林業會の會員たる資格を有する者は、左に掲げる者とする。
一 都道府縣林業會
二 前號に掲げる者を除く外林業を營む者若しくは林業に密接な關係を有する事業を營む者又はこれらの者の團體で定款で定めるもの
第十條 都道府縣林業會を設立するには、命令の定めるところにより、前條第一項第一號に掲げる者の同意及び同項第二號に掲げる者の三分の二以上の同意を得て、創立總會を開き、定款その他設立に必要な事項を定め、行政官廳の認可を受けなければならない。
日本林業會を設立するには、命令の定めるところにより、前條第二項第一號に掲げる者の三分の二以上の同意を得て、創立總會を開き、定款その他設立に必要な事項を定め、行政官廳の認可を受けなければならない。
第十一條 林業會の定款には、左の事項を記載しなければならない。
一 目的及び事業
二 名稱
三 地區
四 事務所の所在地
五 會員に關する規定
六 經費の分擔の方法
七 會議に關する規定
八 役員に關する規定
九 業務の執行及び會計に關する規定
十 公告の方法
出資林業會の定款には、前項の事項の外、左の事項を記載しなければならない。
一 出資一口の金額及びその拂込の方法
二 剩餘金の處分及び損失の處理に關する規定
三 準備金の額及びその積立の方法
第十二條 林業會は、主たる事務所の所在地において、設立の登記をすることに因つて成立する。
第十三條 會員たる資格を有する者が林業會に加入しようとするときは、林業會は、正當な理由がないのに、加入に困難な條件を附し、又はその加入を拒んではならない。
第十四條 林業會に、役員として理事及び監事を置く。
役員は、會員又は會員たる法人の業務を執行する役員の中から、總會において、これを選任する。但し、林業會設立當時の役員は、設立同意者又は設立同意者たる法人の業務を執行する役員の中から、創立總會において、これを選任する。
特別の事情があるときは、役員は、前項に該當しない者の中から、これを選任することができる。
第十五條 理事の任期は、三年とし、監事の任期は、二年とする。但し、定款で別段の定をすることができる。
役員は、任期中でも、總會において、これを解任することができる。
第十六條 林業會が理事と契約をするときは、監事が、林業會を代表する。林業會と理事との訴訟についても、亦同樣とする。
第十七條 理事の全員が缺けたとき、又はその職務を行ふことができないときは、監事が、その職務を行ふ。但し、その期間は、三箇月を超えてはならない。
理事の職務を行ふ者がないときは、行政官廳は、假理事を選任し、理事の職務を行はせることができる。
第十八條 監事は、理事又は林業會の使用人と相兼ねてはならない。
第十九條 理事は、定款及び總會の議事録を各事務所に、會員名簿を主たる事務所に備へて置かなければならない。
會員名簿には、各會員について、左の事項を記載しなければならない。
一 氏名又は名稱及び住所
二 出資林業會にあつては、出資口數及び出資各口の取得の年月日竝びに拂込濟出資額及びその拂込の年月日
會及び林業會の債權者は、第一項に掲げる書類の閲覽を求めることができる。
第二十條 林業會の會員に對してする通知又は催告は、會員名簿に記載したその者の住所に、その者が別に通知又は催告を受ける場所を林業會に通知したときは、その場所に宛てることを以て足りる。
前項の通知又は催告は、通常到達すべきであつた時に、到達したものとみなす。
第二十一條 出資林業會の理事は、通常總會の會日から一週間前に、事業報告書、財産目録、貸借對照表及び剩餘金處分案又は損失處理案を監事に提出し、且つ、これらを主たる事務所に備へて置かなければならない。
會員及び林業會の債權者は、前項に掲げる書類の閲覽を求めることができる。
第一項に掲げる書類を通常總會に提出するときは、監事の意見書を添附しなければならない。
第二十二條 林業會の總會は、議員及び特別議員で、これを組織する。
議員は、都道府縣林業會にあつては、會員たる森林組合聯合會若しくはその所屬組合の業務を執行する役員の中から、その聯合會の總會において、これを選任し、又は會員たる林産組合で第九條第一項第二號の資格を有するものの業務を執行する役員の中から、その組合が、これを選擧し、日本林業會にあつては、會員たる都道府縣林業會の業務を執行する役員の中から、會員たる都道府縣林業會が、これを選擧する。
特別議員は、第九條第一項第三號又は同條第二項第二號の會員たる資格を有する會員又は會員たる法人の業務を執行する役員及び林業に關し學識經驗のある者の中から、總會において、これを選任する。
第二十三條 理事は、少くとも毎事業年度一囘通常總會を招集しなければならない。
第二十四條 議員又は特別議員は、總議員及び總特別議員の五分の一以上の同意を得て、會議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して、總會の招集を請求することができる。
理事が、前項の規定による請求があつた日から二週間以内に、正當な理由がないのに、總會招集の手續をしないときは、監事が、その總會を招集しなければならない。
第二十五條 左の事項は、總會の議決によらなければならない。
一 定款の變更
二 毎事業年度の事業計畫の設定及び變更
三 賦課金の賦課徴收方法
四 借入金の最高限度
五 事業報告書の承認
出資林業會にあつては、前項の事項の外、左の事項は、總會の議決によらなければならない。
一 財産目録及び貸借對照表の承認
二 剩餘金の處分及び損失の處理
第二十六條 議員及び特別議員は、總會において、各各一箇の議決權を有する。
第二十七條 總會の議事は、この法律又は定款に特別の定のある場合を除いては、出席者の議決權の過半數でこれを決し、可否同數のときは、議長の決すところによる。
第二十八條 左の事項は、總會を組織する者の半數以上が出席し、出席者の議決權の三分の二以上の多數による議決を必要とする。
一 定款の變更
二 理事又は監事の選任及び解任
三 統制規程の設定、變更及び廢止
前項第一號の事項の決議は、行政官廳の認可を受けなければ、その效力を生じない。
第二十九條 會員は、總會の招集手續又はその議決の方法が法令又は定款に違反すると認めるときは、議決の日から一箇月以内に、その決議の取消を行政官廳に請求することができる。
第三十條 日本林業會に、林業委員會を置く。
林業委員會は、左に掲げる者の中から、日本林業會が、定款の定めるところにより、選任した委員を以て、これを組織する。
一 林業會の業務を執行する役員
二 森林組合又は森林組合聯合會の業務を執行する役員
三 林産組合の業務を執行する役員
四 林業に密接な關係を有する事業を營む者又はその團體の業務を執行する役員
五 林業に關し學識經驗のある者
第三十一條 日本林業會は、林産物の生産、配給、消費及び價格に關する施策に關し、政府にその意見を述べることができる。
日本林業會は、前項の規定により意見を述べるには、豫め林業委員會に諮問しなければならない。
第三十二條 林産物の檢査を行ふ林業會には、檢査員を置かなければならない。
檢査員の選任及び解任は、行政官廳の認可を受けなければならない。
行政官廳は、必要があると認めるときは、檢査員を選任し、又は解任することができる。
第一項の林業會は、檢査員の服務に關する規程を定め、行政官廳の認可を受けなければならない。
第三十三條 林業會が第四條第二項の事業を行ふときは、統制規程を定めなければならない。
統制規程の設定、變更及び廢止は、總會の議決によらなければならない。
第三十四條 林業會は、定款の定めるところにより、その會員に對して經費を賦課することができる。
林業會は、特に必要があるときは、定款の定めるところにより、その會員の全部又は一部に對して、前項の規定による賦課金の外、特別の賦課金を課することができる。
第三十五條 林業會は、定款の定めるところにより、定款又は統制規程に違反した會員に對して過怠金を課することができる。
第三十六條 林業會の事業年度は、四月一日から翌年三月三十一日までとする。
第三十七條 第四條第一項第二號に掲げる事業を行ふ林業會は、定款の定めるところにより、會員に出資をさせることができる。
第三十八條 出資林業會の會員は、出資一口以上を有しなければならない。
出資一口の金額は、均一でなければならない。
第三十九條 出資林業會の會員の責任は、第三十四條の規定による經費負擔の外、その出資額を限度とする。
第四十條 會員は、出資の拂込について、相殺を以て出資林業會に對抗することができない。
第四十一條 會員は、出資林業會の承認を得なければ、その持分を讓り渡すことができない。
會員でない者が持分を讓り受けようとするときは、加入の例によらなければならない。
第四十二條 出資林業會の會員は、持分を共有してはならない。
第四十三條 出資林業會は、會員の持分を取得し、又は質權の目的としてこれを受けてはならない。
第四十四條 出資林業會は、定款で定める額に達するまでは、毎事業年度の剩餘金の十分の一以上を準備金として積み立てなければならない。
前項の定款で定める準備金の額は、出資總額の二分の一を下つてはならない。
第一項の準備金は、損失の填補に充てる場合を除いては、これを使用してはならない。
第四十五條 出資林業會は、損失を填補し、前條第一項の準備金を控除した後でなければ、剩餘金の配當をしてはならない。
剩餘金の配當に關する制限は、命令でこれを定める。
第四十六條 出資林業會は、定款の定めるところにより、會員が出資の拂込を終るまでは、會員に配當する剩餘金をその拂込に充てることができる。
第四十七條 會員に配當する剩餘金又は持分の計算については、計算の基礎となるべき金額について計算上不便な端數金額は、これを切り捨てることができる。
第四十八條 出資林業會は、出資一口の金額の減少を議決したときは、その議決の日から二週間以内に、財産目録及び貸借對照表を作らなければならない。
出資林業會は、前項の期間内に、その債權者に對して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を定款で定める方法に從つて公告し、且つ、知れてゐる債權者には、各別にこれを催告しなければならない。
前項の一定の期間は、一箇月を下つてはならない。
第四十九條 債權者が、前條第二項の一定の期間内に異議を述べなかつたときは、出資一口の金額の減少を承認したものとみなす。
債權者が異議を述べたときは、出資林業會は、辨濟し、若しくは相當の擔保を供し、又は債權者に辨濟を受けさせることを目的として、信託會社若しくは信託業務を營む銀行に相當の財産を信託しなければならない。
第五十條 會員は、定款の定めるところにより、一定の期間前に豫告し、事業年度の終において脱退することができる。
前項の豫告期間は、一年を超えてはならない。
第五十一條 會員は、左の事由に因つて脱退する。
一 會員たる資格の喪失
二 死亡又は法人の解散
三 破産
四 禁治産
五 除名
第五十二條 除名の事由は、定款でこれを定める。
除名は、總會の議決による。但し、除名した會員に、その旨を通知しなければ、これを以てその會員に對抗することができない。
前項の議決には、第二十八條第一項の規定を準用する。
第五十三條 出資林業會の會員が脱退したときは、定款の定めるところにより、その持分の全部又は一部の拂戻を請求することができる。
前項の持分は、脱退した事業年度の終における當該出資林業會の財産によつて、これを定める。
第五十四條 前條第二項の規定により持分の計算をするにあたり、出資林業會の財産を以てその債務を完濟するに足りないときは、當該出資林業會は、脱退した會員に對して、その負擔に歸すべき損失額の拂込を請求することができる。
第五十五條 前二條の請求權は、二年間これを行はないときは、時效に因つて消滅する。
第五十六條 脱退した會員が出資林業會に對する債務を完濟するまでは、出資林業會は、その持分の拂戻を停止することができる。
第五十七條 出資林業會の會員は、定款の定めるところにより、その出資口數を減少することができる。
前項の場合には、第五十三條乃至第五十五條の規定を準用する。
第五十八條 行政官廳は、必要があると認めるときは、林業會に對して、監督上必要な命令を發し、又は處分をすることができる。
第五十九條 行政官廳は、必要があると認めるときは、林業會からその事業に關して報告を徴し、又は當該官吏に、林業會の事務所、事業場その他の場所に臨檢し、業務の状況又は帳簿書類、設備その他の物件を檢査させることができる。
第六十條 林業會の事業若しくは財産の状況によつてその事業の繼續が困難であるとき、又は林業會の決議若しくは役員の行爲が、法令、法令に基いてする行政官廳の處分若しくは定款に違反し、若しくは公益を害し、若しくは害する虞があるときは、行政官廳は、その決議を取り消し、役員の改選を命じ、林業會の事業を停止し、又はその解散を命ずることができる。
第六十一條 林業會は、左の事由に因つて解散する。
一 總會の議決
二 前條の規定による解散の命令
三 會員が一人になつたこと
四 破産
前項第一號の總會の議決には、第二十八條第一項の規定を準用する。
第六十二條 清算人は、就職の後遲滯なく、林業會の財産の現況を調査し、財産目録及び貸借對照表を作り、財産處分の方法を定め、これを總會に提出して、その承認を求めなければならない。
第六十三條 清算人は、林業會の債務を辨濟した後でなければ、林業會の財産を處分してはならない。
第六十四條 清算事務が終つたときは、清算人は、遲滯なく決算報告書を作り、これを總會に提出して、その承認を求めなければならない。
第六十五條 林業會には、民法第四十四條第一項、第五十條、第五十二條第二項、第五十三條乃至第五十五條、第五十九條、第六十一條第一項、第六十二條、第六十四條、第六十六條、第七十條、第七十三條乃至第七十六條及び第七十八條乃至第八十三條竝びに非訟事件手續法第三十五條第二項、第三十六條、第三十七條ノ二、第百三十五條ノ二十五第二項第三項、第百三十六條第一項、第百三十七條及び第百三十八條の規定を準用する。
第六十六條 林産組合は、組合員が協同して、自主的に林産物の生産又は販賣の事業(以下林産業といふ。)の改良發達竝びに林産物の生産の確保及び配給の適正を圖ることを目的とする。
第六十七條 林産組合は、その目的を達するために、左の事業を行ふことができる。
一 林産業の指導奬勵に關する施設
二 組合員の生産し、又は販賣する林産物の加工、運搬、保管又は販賣
三 組合員の林産業に必要な物資の供給又は資金の貸付
四 前二號に掲げるものを除く外組合員の林産業に必要な共同設備の設置その他組合員の林産業に關する共同施設
五 前各號に掲げるものの外組合の目的達成上必要な事業
林産組合は、前項の事業の外、左の事業を行ふことができる。
一 政府の指示に基く林産物の生産及び配給に關する割當
二 林産物の價格統制に關する政府の施策に對する協力
三 政府の指示に基く林産業に必要な物資の割當
第六十八條 林産組合は、組合員の林産業の種類別に、これを設立するものとする。但し、特別の事情があるときは、二種以上の林産業につき、これを設立することができる。
第六十九條 林産組合は、その名稱中に、林産組合なる文字を用ひなければならない。
林産組合でない者は、その名稱中に、林産組合なる文字を用ひてはならない。
第七十條 林産組合には、營業税を課さない。
第七十一條 林産組合の組合員たる資格を有する者は、左に掲げる者とする。
一 林産業を營む者又はその團體
二 林産業に密接な關係を有する事業を營む者又はその團體で定款で定めるもの
第七十二條 林産組合を設立するには、豫め地區を定め、命令の定めるところにより、その地區内において前條第一號の組合員たる資格を有する者の三分の二以上の同意を得て、創立總會を開き、定款その他設立に必要な事項を定め、行政官廳の認可を受けなければならない。但し、組合員たる資格を有する者の林産業の種類が二以上であるときは、各各その三分の二以上の同意を得なければならない。
第七十三條 第六十七條第一項第二號乃至第四號に掲げる事業を行ふ林産組合は、定款の定めるところにより、組合員に出資をさせることができる。
第七十四條 組合員は、總會において各各一箇の議決權を有する。但し、前條の規定により組合員に出資をさせる林産組合(以下出資林産組合といふ。)においては、定款の定めるところにより、一人につき、議決權總數の十分の三を超えない範圍内において、出資口數に應じ、二箇以上の議決權を有せしめることができる。
第七十五條 定款の變更が、地區の擴張又は縮少に關するものであるときは、第二十八條第一項の規定による議決の外、地區の擴張に因りあらたに第七十一條第一號の組合員たる資格を有するに至る者の三分の二以上、又は地區の縮少に因りその組合員でなくなる者の三分の二以上の同意を必要とする。
第七十六條 林産組合は、左の事由に因つて解散する。
一 總會の議決
二 組合の合併
三 第八十二條において準用する第六十條の規定による解散の命令
四 組合員が一人になつたこと
五 破産
前項第一號の總會の議決には、第二十八條第一項の規定を準用する。
第七十七條 林産組合が合併しようとするときは、總會において合併を議決しなければならない。
前項の總會の議決には、第二十八條第一項の規定を準用する。合併は、行政官廳の認可を受けなければ、その效力を生じない。
第七十八條 出資林産組合の合併には、第四十八條及び第四十九條の規定を準用する。
第七十九條 合併に因つて林産組合を設立するには、各林産組合の總會において組合員の中から選任した者が共同して、定款を作成し、理事及び監事を選任し、その他設立に必要な行爲をしなければならない。
前項の總會における選任には、第二十八條第一項の規定を準用する。
第八十條 林産組合の合併は、合併後存續する組合又は合併に因つて設立する組合が、その主たる事務所の所在地において、變更又は設立の登記をすることに因つて、その效力を生ずる。
第八十一條 合併後存續する林産組合又は合併に因つて設立した林産組合は、合併に因つて消滅した林産組合の權利義務(當該林産組合がその行ふ事業に關し行政官廳の許可、認可その他の處分に基いて有する權利義務を含む。)を承繼する。
第八十二條 林産組合には、第三條、第七條、第十一條乃至第二十一條、第二十三條乃至第二十五條、第二十七條乃至第二十九條、第三十三條乃至第三十六條、第三十八條乃至第六十條及び第六十二條乃至第六十五條の規定を準用する。但し、第二十四條第一項中「議員又は特別議員」とあるのは、「組合員」と、「總議員及び總特別議員」とあるのは、「總組合員」と、第三十三條第一項中「第四條第二項」とあるのは、「第六十七條第二項」と讀み替へるものとする。
第八十三條 第五十九條(前條において準用する場合を含む。)の規定による檢査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、これを千圓以下の罰金に處する。
第八十四條 林業會又は林産組合が、この法律若しくはこの法律に基いて發する命令又はこれに基いてする行政官廳の處分に違反したときは、理事、監事、算清人又は第十七條(第八十二條において準用する場合を含む。)の規定による理事の職務を行ふ者を五千圓以下の過料に處する。
第八十五條 第六條第二項又は第六十九條第二項の規定に違反した者は、これを千圓以下の過料に處する。
附 則
第八十六條 この法律施行の期日は、各規定について、勅令でこれを定める。
第八十七條 木材統制法は、これを廢止する。
第八十八條 日本木材株式會社及び地方木材株式會社(前條の規定施行前に解散したものを除く。)は、同條の規定施行の際解散する。
前項の規定により解散した會社の清算については、商法第四百二十一條第一項但書の規定中「二月」とあるのは、「三週間」と讀み替へるものとする。
前項に規定するものの外、第一項の規定により解散した會社の清算に關し必要な事項は、勅令でこれを定める。
日本木材株式會社又は地方木材株式會社で前條の規定施行の際現に清算中のものについては、前二項の規定を準用する。
第八十九條 木材統制法第六條、第七條及び第三十八條の規定竝びに第四十條乃至第四十二條中第六條の規定による命令の違反に關する部分の規定は、第八十七條の規定施行後でも勅令で定める期間を限り、同條の規定にかかはらず、なほその效力を有する。
第九十條 第八十七條の規定施行前(前條の場合には、同條の勅令で定める期間内)にした行爲に關する罰則の適用については、第八十七條の規定施行後(前條の場合には、同條の勅令で定める期間經過後)でも、なほ從前の例による。
第九十一條 日本林業會が成立したときは、社團法人日本林業會(昭和二十年五月三十一日にその設立の許可を受けたものをいふ。以下同じ。)は、日本林業會成立の時に解散するものとし、その權利義務(社團法人日本林業會がその行ふ事業に關し行政官廳の許可、認可その他の處分に基いて有する權利義務を含む。)は、日本林業會においてこれを承繼する。この場合には、社團法人日本林業會には、他の法令中清算に關する規定は、これを適用しない。
第九十二條 日本林業會が、前條の規定により承繼した不動産に關する權利の取得につき登記を受けるときは、その登録税の額は、不動産の價格の千分の四とする。但し、登録税法により算出した登録税の額がこの法律により算出した税額より少いときは、その額による。
第九十三條 日本林業會が第九十一條の規定により承繼した財産は、特別法人税法による剩餘金の計算上これを益金に算入しない。
第九十四條 商工組合法により設立された林産業に關する商工組合で行政官廳の指定するもの(以下指定組合といふ。)は、命令の定めるところにより、總會の決議を以て、林産組合と爲ることができる。
前項の場合には、第十二條の規定を準用する。
前項において準用する第十二條の規定による林産組合の成立に因つて、當該指定組合は、これに吸收されるものとし、當該指定組合の權利義務(當該指定組合がその行ふ事業に關し行政官廳の許可、認可その他の處分に基いて有する權利義務を含む。)は、林産組合において、これを承繼する。
第二項において準用する第十二條の規定により、指定組合が林産組合と爲つたときは、指定組合の組合員の出資は、當該林産組合に對する出資とみなす。
前項の場合において、指定組合に對する出資の持分の上に存在する質權は、林産組合に對する出資の持分の上に存在する。
第三項の場合には、第九十二條の規定を準用する。
第九十五條 前條第二項において準用する第十二條の規定により、指定組合が林産組合と爲つたときは、所得税法、法人税法及び臨時利得税法又は特別法人税法の適用に關しては、當該指定組合は、これを合併に因つて消滅した法人又は特別の法人とみなし、當該林産組合は、これを合併に因つて設立した法人とみなす。
第九十六條 林産組合が第九十四條第三項の規定により承繼した財産については、法人税法による所得、臨時利得税法による利益又は特別法人税法による剩餘金の計算上これを益金に算入しない。
第九十七條 第六號又は第六十九條の規定施行の際、現に第六條第一項又は第六十九條第一項に掲げる文字をその名稱中に用ひてゐる者は、これらの規定施行後六箇月以内にその名稱を變更しなければならない。
第八十五條の規定は、前項の期間内には、同項の者にこれを適用しない。
第九十八條 特別法人税法の一部を次のやうに改正する。
第二條第五號の二の次に左の一號を加へる。
五の三 都道府縣林業會及日本林業會(所屬の會員をして出資を爲さしめざるものを除く)
第九十九條 登録税法の一部を次のやうに改正する。
第十九條第七號中「水産業團體、」の下に「林業會、」を「水産業團體法、」の下に「林業會法、」を加へる。
第百條 印紙税法の一部を次のやうに改正する。
第四條第一項第十二號中「蠶絲業會、」の下に「林産組合、林業會、」を加へる。
第百一條 農林中央金庫法の一部を次のやうに改正する。
第五條第一項中「森林組合、」の下に「林業會、林産組合、」を加へる。
第百二條 この法律に規定するものの外、この法律の施行に關し必要な規定は、勅令でこれを定める。
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〔國務大臣和田博雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=7
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008・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 只今上程になりました林業會法案に付きまして、其の提案理由を御説明申上げます、戰時中木材、薪炭等の需要の増加に伴ひまして、山林を過伐致しましたことは、御承知の通りでござりまするが、之が復舊は國土の保安及び森林資源維持造成の見地から考へまして、頗る緊要の問題と存ずるのでございます、而も他面に於きましては、戰災の復興でありまするとか、産業の再建の爲でありまするとか、木材其の他林産物に對しまする需要は、戰時に劣らない程多量に上つて居る状態でございまして、之に對しましては、有らゆる隘路を克服致しまして、生産に努めますると共に、其の生産物の適正なる配給を圖りますることが極めて必要であると存ずる次第でございます、而して右のやうな森林の維持造成、林産物の生産の確保、及び配給の適正等を圖りまする爲には、政府に於きまして有らゆる行政上の施設を行ふべきは固よりでございまするが、是と相俟ちまして、民間の當業者に於きましても、其の自主的な團結の力に依りまして、之が推進を圖りますることが緊要であると存ずるのでございます、特に林業の特質に鑑みまする時に、森林の所有者と木材業者、製材業者等の林産關係業者との協力提携を強化致しますることが最も必要でございまして、之が爲には特殊の團體機構を必要とするのでございます、斯かる民間の團體と致しましては、從來森林所有者に付きましては、既に森林法に基きまする森林組合がございまして、逐年整備發達を見つつあるのでございまするが、木材業者、製材業者に付きましては、昭和十六年に木材統制法の制定致しまして以來、是等の業者を統合整理致しまして、地方木材會社及び日本木材會社と致し、之をして一元的に木材の生産配給に當らしめました關係上、まだ自主的な團體の成立を見て居ないのでございます、併しながら木材の生産配給に付きまして、斯かる會社をして之に當らしめますることは、現在の事態に適當しないと考へられまするので、此の際木材統制法は之を撤廢致しまして、地方木材會社及び日本木材會社は之を解散せしめますると共に、關係業者をしまして、之に代りまする、自主的な團體であります所の林産組合を組織せしめまして、此の林産組合をして木材生産配給等の自主的統制の實施に當らしめたいと考へるのでございます、而して森林所有者と生産配給業者との協力提携に付きましては、森林所有者の團體でありまする森林組合と、生産配給業者の團體でありまする林産組合とを以て、全國及び府縣の單位に林業會を結成せしめまして、之をして政府の政策に協力し、森林の維持造成と、林産物の生産配給の自主的統制に當らしむることと致したいのでございます、之を要しまするのに、本案は木材統制法を廢止致しまして、林産關係業者の自主的團體でありまする林産組合の結成を促進致しますると共に、其の林業會の活動に依りまして、森林の維持造成、林産物の生産確保及び配給の適正を圖らむと致すものでございます、尚本案は衆議院に於きまして、若干の修正を受けたのでございますが、只今申上げました提案の趣旨に付きましては、何等變更はないのでございます、何卒御審議の上速かに協贊を與へられむことを御願ひ致す次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=8
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009・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました林業會法案は、其の特別委員の數を十九名とし、其の委員の指名を議長に一任するの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=9
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010・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=10
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011・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=11
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012・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔宮坂書記官朗讀〕
林業會法案特別委員
公爵 三條實春君 侯爵 池田宣政君
伯爵 前田利男君 子爵 西大路吉光君
子爵 加藤泰通君 子爵 北條雋八君
子爵 青木重夫君 白澤保美君
小山松吉君 男爵 松平外與麿君
男爵 佐竹義履君 男爵 平山洋三郎君
男爵 前島勘一郎君 竹下豐次君
松尾國松君 田部長右衞門君
竹中藤右衞門君 齋藤万壽雄君
杉山茂君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=12
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013・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第二、商工協同組合法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、星島商工大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=13
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014・会議録情報4
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商工協同組合法案
右の政府提出案は本院において修正議決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十一年九月二十八日
衆議院議長 山崎猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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商工協同組合法案
商工協同組合法
第一章 總則
第一條 商工協同組合は、商業、工業又は鉱業を行ふ者の緊密な結合により、商業、工業又は鉱業の改良發達に資するため組合員の事業の經營の合理化を圖るに必要な共同施設をなすことを目的とする。
第二條 商工協同組合は、これを法人とする。
第三條 商工協同組合は、その名稱の中に組合の事業に應じて、商、工若しくは鉱又はこれらの二以上を冠する業協同組合といふ文字を用ひなければならない。
商工協同組合でないものは、その名稱の中に、前項に掲げる文字を用ひてはならない。
第四條 商工協同組合は、勅令の定めるところにより、登記をしなければならない。
前項の規定により、登記しなければならない事項は、その登記の後でなければ、これを以て第三者に對抗することができない。
第五條 商工協同組合には、營業税を課さない。
第六條 商工協同組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
第二章 設立
第七條 商工協同組合の合組員たる資格を有する者は、定款でこれを定める。但し、左の各號の一に該當する者でなければならない。
一 一定地區内において商業、工業又は鉱業を行ふ者
二 前號の者で組織する團體
三 第一號の者及び前號の團體で組織する團體又は前號の團體で組織する團體
第八條 商工協同組合を設立しようとするときには、組合員にならうとする者が發起人になり、他に組合員にならうと申し出た者があるときには、その同意を得て、創立總會を開き、定款その他必要な事項を定め、行政官廳の認可を受けなければならない。
創立總會における議決は、組合員にならうとする者の三分の二以上の同意を必要とする。
組合員にならうとする者は、創立總會において、代理人により議決權を行ふことができる。
前項の代理人は、組合員にならうとする者でなければならない。
第九條 商工協同組合の定款は、組合が組合員の自由な意思に基き民主的に組織され且つ運營されるやうにこれを作り、左の事項を記載しなければならない。
一 目的
二 名稱
三 地區
四 事務所の所在地
五 組合員たる資格に關する規定
六 組合員の加入及び脱退に關する規定
七 出資一口の金額及びその拂込の方法
八 剩餘金の處分及び損失の填補に關する規定
九 準備金の額及びその積立の方法
十 組合員の權利義務に關する規定
十一 事業及びその執行に關する規定
十二 役員に關する規定
十三 會議に關する規定
十四 會計に關する規定
十五 存立の時期又は解散の事由を定めたときには、その時期又は事由
第十條 第八條第一項の規定による設立の認可があつたときには、發起人は、遲滯なく組合員にならうとする者に、第一囘の拂込をさせなければならない。
第十一條 商工協同組合は、勅令の定めるところにより、設立の登記をすることにより成立する。
第三章 事業
第十二條 商工協同組合は、左の事業を行ふことができる。
一 組合員の取扱品の仕入、保管、運搬、加工、販賣その他組合員の事業に關する共同施設
二 組合員の取扱品又はその生産若しくは加工の設備に對する檢査
三 組合員の事業に關する指導、研究、調査その他組合の目的を達するために必要な事業
商工協同組合は、前項の事業の外、組合員に對する事業資金の貸付、組合員のためにするその事業上の債務の保證又は組合員の貯金の受入を併せて行ふことができる。
第一項第一號及び第二號に掲げる組合の施設は、組合員の利用に差支がない場合に限り、組合員でない者にも、これを利用させることができる。
第十三條 商工協同組合は、行政官廳の許可を受けて、組合員の取扱商品について商品券を發行することができる。
第十四條 商工協同組合が商品券を發行したときには、組合員は、これに對してその取扱商品の引換の義務を負ふ。
第十五條 商工協同組合が商品券を發行した場合に、組合員が商品券の引換をすることができないとき又はその引換を停止したときには、その組合は、商品券の所有者に對して、券面に表示した金額を限度として、辨濟の責を負ふ。
第十六條 商品券を發行した商工協同組合が、みづから商品を販賣する場合には、前三條中組合員とあるのは、組合を含むものとする。
第十七條 保管事業を行ふ商工協同組合は、行政官廳の許可を受けて、組合員の寄託物について倉荷證券を發行することができる。
前項の許可を受けた商工協同組合は、組合員たる寄託者の請求により、寄託物の倉荷證券を交付しなければならない。
商法第六百二十七條第二項及び第六百二十八條の規定は、第一項の倉荷證券に、これを準用する。
倉庫業法第四條及び第八條乃至第十條の規定は、第一項の場合に、これを準用する。
第十八條 前條第一項の許可を受けた商工協同組合の作成する倉荷證券には、第三條第一項の規定による商工協同組合の名稱を冠する倉庫證券といふ文字を記載しなければならない。
商工協同組合でない者の作成する預證券及び質入證券又は倉荷證券には、前項に掲げる文字を記載してはならない。
第十九條 商工協同組合により倉荷證券の發行された寄託物の保管期間は、寄託の日から六箇月以内とする。
前項の寄託物の保管期間は、六箇月を限度として、これを更新することができる。但し、更新の際の證券の所持人が組合員でないときには、組合員の利用に差支がない場合に限る。
第二十條 商法第六百十六條乃至第六百十九條及び第六百二十四條乃至第六百二十六條の規定は、商工協同組合が倉荷證券を發行した場合に、これを準用する。
第四章 組合員の權利義務
第二十一條 組合員は、出資一口以上を有しなければならない。
出資一口の金額は、均一でなければならない。
第二十二條 組合員は、商工協同組合に拂ひ込まなければならない出資金額について、相殺を以て組合に對抗することができない。
第二十三條 商工協同組合は、定款の定めるところにより、組合員が持分を讓渡しようとするときには、組合の承認を受けなければならないものとすることができる。
組合員でない者が、持分を讓り受けようとするときには、加入の例によらなければならない。
持分の讓受人は、その持分について、讓渡人の權利義務を承繼する。
第二十四條 組合員は、總會において各各一個の議決權を有する。
第二十五條 組合員は、總組合員の五分の一以上の同意を得て、總會の目的及びその招集の理由を記載した書面を理事に提出して、總會の招集を請求することができる。
第二十六條 組合員は、總會の招集手續又はその決議の方法が、法令又は定款に違反すると認めるときには、決議の日から三十日以内に、その決議の取消を行政官廳に請求することができる。
第二十七條 商工協同組合は、定款の定めるところにより、その經費を組合員に賦課することができる。
第二十八條 商工協同組合は、定款の定めるところにより、使用料及び手數料を徴收することができる。
第二十九條 商工協同組合の組合員の責任は、第二十七條の規定による經費の負擔の外、その出資金額を限度とする。
第三十條 組合員は、左の事由により脱退する。
一 組合員たる資格の喪失
二 死亡又は解散
三 破産
四 禁治産
五 除名
組合員は、前項の規定にかかはらず、事業年度の終に、商工協同組合を脱退することができる。但し、この場合には三箇月以前にその豫告をしなければならない。
第五章 管理
第三十一條 商工協同組合には、理事及び監事を置かなければならない。
理事及び監事は、總會において、組合員又は組合員たる法人の業務を執行する役員のうちから、これを選任する。但し、組合設立當時の理事及び監事は、創立總會において、組合員にならうとする者又は組合員にならうとする法人の業務を執行する役員のうちから、これを選任する。
第四十一條第二項の規定は、前項本文の場合に、これを準用する。
第三十二條 理事又は監事は、任期中であつても、總會において、これを解任することができる。
第四十一條第二項の規定は、前項の場合に、これを準用する。
第三十三條 商工協同組合が理事と契約をする場合には、監事が組合を代表する。組合と理事との間の訴訟の場合についても同樣である。
第三十四條 監事は、理事又は組合の使用人と相互に兼ねることができない。
第三十五條 理事は、定款及び總會の決議録を各事務所に、組合員名簿を主たる事務所に、備へて置かなければならない。
組合員名簿には、左の事項を記載しなければならない。
一 各組合員の氏名又は名稱及び住所
二 各組合員の出資口數、拂込金額及び拂込年月日
組合員及び組合の債權者は、何時でも組合の帳簿書類の閲覽を求めることができる。
第三十六條 民法第四十四條第一項、第五十二條第二項、第五十三條乃至第五十五條及び第五十九條の規定は、商工協同組合の理事及び監事に、これを準用する。
第三十七條 理事は、定款の定めるところにより、少くとも毎年一囘通常總會を開かなければならない。
理事は、必要があると認めるときには、定款の定めるところにより、何時でも臨時總會を招集することができる。
第三十八條 理事が缺けたときには、總會の招集は、監事が、これを行ふ。
理事が、第二十五條の規定による請求のあつた日から二週間以内に、正當の事由がないのに總會の招集の手續をしないときには、監事は、その總會を招集しなければならない。
第三十九條 總會の決議は、この法律又は定款に特別の規定がある場合の外、出席した組合員の議決權の過半數で、これをしなければならない。
第四十條 組合員は、代理人により議決權を行ふことができる。この場合には、これを出席とみなす。
前項の代理人は、組合員でなければならない。
第四十一條 この法律で別に定めた場合の外、左の事項は、總會の議決を經なければならない。
一 定款の變更
二 組合の解散及び合併
三 毎年度の事業計畫
四 收支豫算及び經費の賦課徴收方法
五 借入金額の最高限度
六 組合員の除名
七 その他定款で定める事項
前項第一號、第二號及び第六號の事項の議決は、總組合員の半數以上が出席して、その議決權の四分の三以上で、これをしなければならない。但し、定款に特別の規定がある場合には、この限りではない。
定款の變更は、行政官廳の認可を受けなければ、その效力を生じない。
第四十二條 理事は、通常總會の會日より二週間前に、財産目録、貸借對照表、事業報告書及び剩餘金處分案を監事に提出し、且つこれを主たる事務所に備へなければならない。
理事は、前項の書類及び監事の意見書を通常總會に提出して、その承認を求めなければならない。
第四十三條 民法第六十二條、第六十四條及び第六十六條の規定は、商工協同組合の總會に、これを準用する。
第四十四條 商工協同組合が出資一口の金額の減少を決議したときには、その決議の日から二週間以内に財産目録及び貸借對照表を作らなければならない。
組合は、前項の期間内にその債權者に對して異議があれば一定の期間内にこれを述べるやう定款の定めるところにより公告し、且つ判明してゐる債權者に對しては、各別にこれを催告しなけばならない。但し、その期間は三十日より短くてはならない。
第四十五條 債權者が、前條第二項の期間内に出資一口の金額の減少に對して異議を述べなかつたときには、これを承認したものとみなす。
債權者が異議を述べたときには、商工協同組合は、これに辨濟し又は相當の擔保を提供しなければ、出資一口の金額を減少することができない。
第四十六條 商工協同組合は、定款で定める準備金の額に達するまで、毎事業年度の剩餘金の十分の一以上を積み立てなければならない。
前項の準備金の額は、出資總額の二分の一より少くてはならない。
第一項の準備金は、損失の填補に充てる場合の外、これを使用することができない。
第四十七條 商工協同組合は、損失を填補し、前條の準備金を控除した後は、勅令の定めるところにより、剩餘金を處分することができる。
第四十八條 商工協同組合は、組合員の脱退の場合の外、持分の拂戻をすることができない。
脱退した組合員は、定款の定めるところにより、その持分の全部又は一部の拂戻を請求することができる。
脱退した組合員の組合に對する權利義務について必要な事項は、勅令でこれを定める。
第四十九條 商工協同組合は、組合員の持分を取得し、又は質權の目的としてこれを受けることができない。
第五十條 商工協同組合がその組合員に對して行ふ通知又は催告は、組合員名簿に記載した組合員の住所又はその者が組合に通知した住所に宛てればたりる。
前項の通知又は催告は、通常到達すべき時に、到達したものとみなす。
第六章 監督及び違法處分に對する救濟
第五十一條 商工協同組合の行爲が法令、法令に基いてなす處分又は定款に違反したときには、行政官廳は、總會の決議を取り消し、役員若しくは清算人を解任し、又は組合の事業の停止若しくは組合の解散を命ずることができる。
第五十二條 この法律に基く許可又は認可の申請があつたときには、行政官廳は、法令に違反し又は公益を害すると認める場合の外、その許可又は認可を拒むことができない。
第五十三條 この法律又はこの法律による命令に基く行政官廳の處分に不服のある者は、行政官廳に訴願し、又は行政裁判所に出訴することができる。
第七章 解散
第五十四條 商工協同組合は、左の事由により解散する。
一 定款で定める時期の到來又は事由の發生
二 總會の決議
三 組合の合併
四 組合の破産
五 第五十一條の規定による解散の命令
總會の決議による解散は、行政官廳の認可を受けなければ、その效力を生じない。
第五十五條 商工協同組合の合併は、行政官廳の認可を受けなければ、その效力を生じない。
第四十四條及び第四十五條の規定は、商工協同組合の合併の場合に、これを準用する。
第五十六條 商工協同組合の合併は、合併後存續する組合又は合併により設立した組合が勅令の定めるところにより登記をすることにより、その效力を生ずる。
第五十七條 合併後存續する商工協同組合又は合併により設立した商工協同組合は、合併により消滅した組合の權利義務を承繼する。
第五十八條 商工協同組合が解散したときには、合併及び破産の場合の外、理事がその清算人になる。
前項の規定により清算人になる者がないとき又は清算人が缺けたときには、裁判所は、利害關係人の申請により、又は職權を以て、清算人を選任することができる。
裁判所は、必要があると認めるときには、職權を以て清算人を解任することができる。
第五十九條 清算人は、就職後遲滯なく組合財産の現況を調査し、財産目録及び貸借對照表を作り、これを總會に提出して、その承認を求めなければならない。
第六十條 清算人は、清算及び財産處分の方法について、裁判所の認可を受けなければならない。
裁判所は、必要があると認めるときには、清算人に對し、清算及び財産處分の方法について監督上必要な事項を命ずることができる。
第六十一條 清算人は、商工協同組合の債務を辨濟した後でなければ、組合財産を處分することができない。
第六十二條 清算事務が終つたときには、清算人は、遲滯なく決算報告書を作り、これを總會に提出して、その承認を求めなければならない。
第六十三條 民法第七十三條、第七十八條乃至第八十一條及び第八十二條第二項竝びに非訟事件手續法第三十五條第二項、第三十六條、第三十七條ノ二、第百三十五條ノ二十五第二項第三項、第百三十六條第一項、第百三十七條及び第百三十八條の規定は、商工協同組合の清算に、これを準用する。
第八章 商工協同組合中央會
第六十四條 商工協同組合中央會は、商工協同組合の指導及び連絡を圖る目的を以て、これを設立することができる。
商工協同組合中央會は、これを法人とする。
第六十五條 商工協同組合中央會は、その名稱の中に商工協同組合中央會といふ文字を用ひなければならない。
商工協同組合中央會でないものは、その名稱の中に、商工協同組合中央會といふ文字を用ひてはならない。
第六十六條 商工協同組合中央會を設立しようとするときには、會員にならうとする者が發起人になり、會員たる資格を有する者の同意を得て、創立總會を開き、定款その他必要な事項を定め、行政官廳の認可を受けなければならない。
前項の同意は、設立發起當時の商工協同組合の過半數の同意を以てたりる。
商工協同組合中央會は、全國を通じて一個とする。
第六十七條 商工協同組合は、商工協同組合中央會の會員になることができる。
前項以外の者も、商工協同組合中央會の定款の定めるところにより、その會員になることができる。
第六十八條 商工協同組合中央會には、左の役員を置かなければならない。
會長 一人
理事 若干人
監事 若干人
第六十九條 商工協同組合中央會は、勅令の定めるところにより、その所屬の商工協同組合の業務又は財産の状況について監査の事業を行ふことができる。
第七十條 第四條、第六條、第十一條、第二十四條乃至第二十七條、第三十一條第二項第三項、第三十二條乃至第三十四條、第三十六條乃至第四十三條、第五十條、第五十一條、第五十四條及び第五十八條乃至第六十三條の規定は、商工協同組合中央會に、これを準用する。
第九章 罰則
第七十一條 商工協同組合又は商工協同組合中央會が、この法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基いてなす處分に違反したときには、會長、理事、監事又は清算人は、これを五千圓以下の過料に處する。
第七十二條 第三條第二項、第十八條第二項又は第六十五條第二項の規定に違反した者は、これを千圓以下の過料に處する。
附 則
第七十三條 この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
第七十四條 商工組合法(以下舊法といふ。)は、これを廢止する。但し、舊法は、他の法令により準用される範圍内においては、なほその效力を有する。
第七十五條 舊法により設立され、この法律施行の際現に存する統制組合及び商工組合中央會は、前條の規定にかかはらず、この法律施行後も、三箇月間を限つてなほ存續するものとする。
前項に掲げる組合及び中央會については、舊法は、前條の規定にかかはらず、なほその效力を有する。
この法律施行前になした行爲又は第一項の規定により同項に掲げる組合又は中央會が存續する期間中になした行爲に關する罰則の適用については、この法律施行後又は前項の規定により效力を有する舊法が、その效力を失つた後も、なほ從前の例による。
第一項に掲げる組合又は中央會で同項の期間滿了の際現に存するものは、その期間滿了の際に解散するものとする。
前項に掲げる組合又は中央會の解散及び清算竝びに第一項の期間滿了の際現に清算中の組合又は中央會の清算については、舊法は、その清算の結了まで、なほその效力を有する。
第七十六條 舊法により設立され、この法律施行の際現に存する施設組合は、これをこの法律により設立された商工協同組合とみなす。
前項の商工協同組合が、この法律施行前に發行した倉荷證券については、當分の間第十八條の規定は、これを適用しない。
第一項の商工協同組合は、必要な定款の變更をしてこの法律施行の日から三箇月以内に、行政官廳に認可の申請をしなければならない。
前項の期間内に同項の認可の申請をしない商工協同組合は、その期間滿了の際解散するものとする。
第一項の商工協同組合の登記について必要な事項は、勅令でこれを定める。
第七十七條 この法律施行の際現に第三條第一項又は第六十五條第一項の名稱をその名稱の中に用ひるものは、この法律施行後三箇月以内に、その名稱を變更しなければならない。
第七十二條の規定は、前項の期間中は、同項に掲げるものには、これを適用しない。
第七十八條 商工組合中央金庫法の一部を、次のやうに改正する。
第一條第一項中「商工組合、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合、工業組合、工業組合聯合會、工業小組合」を「商工協同組合」に改める。
第三條第一項、第三項及び第四項中「統制組合を組合員とする統制組合、商業組合聯合會、工業組合聯合會」を「商工協同組合を組合員とする商工協同組合」に改める。
第七條第一項中「商工組合、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合、工業組合、工業組合聯合會、工業小組合」を「商工協同組合」に改める。
第二十七條第一項但書中「商工組合、商業組合、工業組合」を「商工協同組合」に改める。
第二十八條第一項第六號及び第二十九條第一項第三號中「商工組合、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合、工業組合、工業組合聯合會、工業小組合」を「商工協同組合」に改める。
第七十九條 登録税法の一部を、次のやうに改正する。
第十九條第七號中「商工組合、商工組合中央會、工業組合、工業組合聯合會、工業小組合、工業組合中央會、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合、商業組合中央會」を「商工協同組合、商工協同組合中央會」に、「商工組合法、工業組合法、商業組合法」を「商工協同組合法」に改める。
第八十條 前二條の規定にかかはらす、この法律施行の際商工組合中央金庫に關係のある商工組合、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合、工業組合、工業組合聯合會及び工業小組合につき竝びにこの法律施行の際現に存する商工組合、商工組合中央會、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合、工業組合、工業組合聯合會及び工業小組合の登録税については、なほ從前の例による。
第八十一條 印紙税法の一部を、次のやうに改正する。
第四條第一項第十二號中「商工組合、工業組合、工業組合聯合會、工業小組合、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合」を「商工協同組合」に改める。
第八十二條 食糧管理法の一部を、次のやうに改正する。
第二十一條第二項中「商工組合法第五十五條第二項第三項及第五十六條乃至第五十八條」を「商工協同組合法第十七條第二項第三項及第十八條乃至第二十條」に、同條同項但書中「同法第五十六條、第五十七條第一項及第五十八條中施設組合倉庫證券」を「同法第十八條第一項中第三條第一項の規定による商工協同組合の名稱を冠する倉庫證券」に改める。
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〔國務大臣星島二郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=14
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015・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 商工協同組合法案提出の理由を御説明致します、我が國が今囘の戰爭に依つて被りました所の痛手を速かに囘復致しまして、文化國家の再建を行ひ、世界の進運に寄與致しまする爲には、何よりも先づ國民生活の安定を確保致さなければならぬのでありまするが、之が爲には産業の急速な振興を圖りますことが、緊急の要務でありますことは申上げる迄もありませぬ、然るに我が國産業の現状及び將來を考へまするに、巨大資本に依る重工業を中心と致して居りました從前とは異り、中小工業の比重が非常に大きくなつて來て居るのでありまして、今後中小企業の活躍に期待する處が甚だ大きいのでありますが、中小企業は其の規模、形態其の他性質上、之を放任致して置きましたのでは、其の健全な發達を見ますことが困難な事情にあるのであります、中小企業の振興方策と致しましては色々な方法が考へられるのでありますが、先づ第一に、之を組織化致しまして、企業家の自主的な團結の力に依つて其の弱點を補ひ、協同一致して之が合理化能率化を圖るやうな機構を作ることが肝要であらうと存ずるのであります、現在中小企業を組織化する機構の主要なものと致しましては、商工組合法に依る統制組合及び施設組合があるのでありますが、商工組合法は、戰時立法の一つでありまして、殊に統制組合は政府の戰時經濟統制機構の一環としての役割を擔つて、理事長指導者原理を中心と致しまして、強權的に運營するやうに出來て居りまして、戰後經濟民主化の趣旨に反する點が多く、組合關係者の間に於きましても、之が改正の要望は非常に強いのであります、政府と致しましては、此の際商工組合法、從つて之に基く統制組合及び施設組合の制度を廢止致しまして、之に代つて新に關係商工業者の相互扶助の精神に基く自主的協同の組織たる商工協同組合制度を設けまして、此の新しい組合制度の民主的な運營に依りまして、今後の新經濟状勢に對處致したいと存じまして、今囘本法案を提出致した次第であります、尚詳細は委員會等で申上げることに致したいと存じますが、何卒御審議の上速かに御協贊あらむことを希望する次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=15
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016・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程せられました商工協同組合法案は、其の特別委員の數を十九名とし、其の委員の指名を議長に一任するの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=16
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017・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=17
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018・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=18
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019・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔宮坂書記官朗讀〕
商工協同組合法案特別委員
侯爵 大久保利謙君 侯爵 佐竹義榮君
伯爵 清閑寺良貞君 子爵 柳澤光治君
子爵 交野政邁君 子爵 鳥居忠博君
子爵 京極高鋭君 中田薫君
吉田久君 男爵 奧田剛郎君
男爵 鶴殿家勝君 男爵 肝付兼英君
男爵 田中龍夫君 結城安次君
石川一郎君 高橋龍太郎君
奧主一郎君 秋田三一君
橋本萬右衞門君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=19
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020・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第三、復興金融金庫法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會の續、委員長報告、委員長高橋子爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=20
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021・会議録情報5
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復興金融金庫法案
右可決すべきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年九月二十七日
委員長 子爵高橋是賢
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔子爵高橋是賢君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=21
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022・高橋是賢
○子爵高橋是賢君 只今議題となりました復興金融金庫法案の特別委員會に於ける審議の經過竝に結果を御報告申上げます、委員會は本月二十五日より二十七日に至る三日間連日會議を開きまして、熱心なる討議を行ひ、政府原案を可決致した次第であります、是より委員會に於きまする審議の模樣を申述べたいと思ひます、先づ法案に付て大要の御説明を致しますと、此の法案は戰後に於ける我が國經濟界の混亂を防ぎ、一日も早く民需生産の再興と國民生活の安定を期する爲に整備再建せらるべき企業の必要とする資金であつて、而も一般金融機關等から普通の方法に依つて供給を得られないやうな資金を、迅速圓滑に且豐富に供給することを目的とするものであります、本法案は、七章及び附則共に四十五條の規定がありまするが、其の中の主なる點を申上げますれば、先づ本金庫の資本金、是は一百億圓でありまして、全額を政府から出資致し、設立と同時に四十億圓を拂ひ込むこととなつて居ります、次に本金庫の役員には、理事長、副理事長各各一名、理事二名以上、及び監事一名以上を置くことに致し、是等の決定に付きましては、孰れも復興金融委員會の推薦に基きまして、政府が任命することとなつて居るのであります、此の復興金融委員會は、金庫の運營に關しまして、其の基本方針を決定致しますると同時に、日常の業務に對する監督に付きましても、相當廣範圍な權限を有するものであります、次に本金庫の業務と致しましては、既に申述べましたやうな資金の融通、債務の引受け又は保證及び社債の應募、引受け等を行ふのでありますが、復興金融委員會の承認を經ました場合には、金庫の目的達成の爲に必要なる他の業務をも行ひ得ることとなつて居るのであります、次に前述の如き業務を執行致して參りまするには、相當多額の資金を必要と致しまするので、拂込資本の外に未拂込資本から本金庫が引受け、又は保證したる債務の金額を控除した額を限度と致しまして、復興金融債券を發行することとなつて居るのであります、次に本金庫の存立期間でありまするが、是は設立の日から三年となつて居るのであります、而して復興金融委員會及び復興金融金庫は共に主務大臣の監督の下に置かれて居るのである、最後に本金庫が設立に至ります迄の暫定措置と致しまして、既に八月一日から日本興業銀行に取扱はせて居りまする特別融資は、當然本金庫に引繼ぐこととなつて居るのでありまして、特別融資の債務者に對して、本金庫から債務の現存額と同額の融資を致しまして、日本興業銀行からの特別融資を返濟せしむるのであります、以上が本法案の大要説明でございまするが、是から特別委員會に於きまする質疑應答の主なるもの二、三を御紹介申上げます、第一に本金庫が融資の目標とするものは、他の金融機關等より供給の困難なるものと規定されて居りまするが、現在に於ける所の我が國産業界に於て困難せぬものと云ふものは殆どないと申しても宜いやうな状態であるが、是等を救濟するのではないか、政府は所謂困難と云ふものをどう云ふ見解に依るのかと云ふ御質問でございました、之に對しまして政府は、一般の金融機關に於ては自己の危險負擔に於て、資金の供給を躊躇せざるを得ないやうな企業に對しましても、本金庫は相當の危險を覺悟の上で、資金の融通を行ふのであつて、資本の全額を政府出資と致したのも斯かる考慮より出たるものであつて、單なる救濟機關ではないのであるから、企業の實質經營の良否、將來の見透し及び必要性に付て十分の檢討を加へ、常に緩嚴宜しきを得て、適切なる融資を行ふ旨の説明がございました、次に復興金融委員會の構成と、其の運用に付ての御質疑でございました、之に對しましては政府より委員會の構成は、關係各省大臣、日銀總裁の外、産業金融界方面より代表的人物、及び貴衆兩院議員の中よりも參加を求める方針であるとのことでありました、尚委員會の運用に當つては、特に機動的にして圓滑迅速なるを期する旨の御答辯がございました、次に中小企業に對する融資に付ての御質問でありました、政府は此の金庫は中小企業、特に中小商工業に對する融資に付ては、格段の努力を致す考であつて、小口融資に關する相談所の如きものを設け、又産業營團等を活用して、積極的に支援を致し、企業に對する指導機關等の設置も目下考慮して居る旨の御答辯でございました、次に本金庫の業務の執行期間を三年とせる理由如何と云ふ御質問でありました、之に對して政府は、本金庫は、我が國經濟再興の過渡期に於て、事業の育成、囘復を圖ることを目的とするが故に、經濟界の一應の安定を見る迄の間を推測の上、先づ三筒年位で宜からうと考へた次第であると云ふ御答辯でありました、次に運輸事業に對する資金に付ての御質問でありました、之に對して政府は、海運の復活に付ては十分考慮して居る、興業銀行をして取扱はれて居るのであるが、新船舶の建造、或は輸入等に付て、其の足らざる部分は積極的に融資する考であると云ふ御答辯でありました、其の他戰災住宅の復興とか、或は金利をどうするとか云ふやうな幾多の御質問、應答がございましたが、詳細は速記録に依つて御了承願ひたいと存じます、以上の質疑應答を終りまして、本案を議題に供し、討論に入りました處、板谷委員より、本案は其の運營宜しきを得ざるに於ては、國家に莫大なる損失を齎す結果となるが故に、復興金融委員會竝に金庫の役員等の構成に付ては十分なる注意を望むと云ふ希望を附して、原案に贊成を表せられました、又橋本委員よりも、本法案の使命に鑑み、金庫の運營に付て政府は特に工夫努力せられたい旨の希望的意見の御開陳がございました、斯く致しまして、採決の結果、全會一致を以て原案は可決致されました、是で御報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=22
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023・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ、本案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=23
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024・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=24
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025・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=25
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026・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=26
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027・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=27
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028・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=28
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029・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀會を開きます、御異議がなければ、全部を問題に供します、本案全部、委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=29
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030・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=30
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031・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=31
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032・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=32
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033・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=33
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034・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=34
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035・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部、第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=35
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036・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=36
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037・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第四、蠶絲業法の一部を改正する法律案、衆議院提出、第一讀會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=37
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038・会議録情報6
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蠶絲業法の一部を改正する法律案
右の本院提出案をここに送付する
昭和二十一年九月二十七日
衆議院議長 山崎猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
蠶絲業法の一部を次のやうに改正する。
第二十一條第一項中「蠶絲業者」の下に「又は其の團體」を加へる。
附則
この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
この法律の施行に關し必要な規定は、勅令でこれを定める。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=38
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039・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました蠶絲業法の一部を改正する法律案の特別委員の數を十五名とし、其の委員の指名を議長に一任するの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=39
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040・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=40
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041・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=41
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042・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔宮坂書記官朗讀〕
蠶絲業法の一部を改正する法律案特別委員
侯爵 黒田長禮君 侯爵 四條隆徳君
伯爵 東久世通忠君 子爵 黒田長敬君
子爵 稻垣長賢君 子爵 伊東祐淳君
荒川文六君 長世吉君
男爵 三須精一君 男爵 島津忠彦君
男爵 松本鼎一君 奧村嘉藏君
鹿島精一君 片倉兼太郎君
戸口米次郎君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=42
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043・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 次會の議事日程は決定次第彙報を以て御通知に及びます、本日は是にて散會致します
午前十時三十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03719460930&spkNum=43
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