1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十一年十月三日(木曜日)午前十時八分議
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議事日程 第三十八號
昭和二十一年十月三日
午前十時開議
第一 請願委員長報告
第二 林業會法案(政府提出、衆議院送付)
第一讀會の續(委員長報告)
第三 商工協同組合法案(政府提出、衆議院送付)
第一讀會の續(委員長報告)
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001・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 昨二日伊藤豊次君、貴族院令第一條第六號に依り貴族院議員に任ぜられました、就きましては部屬を第四部に定めました
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=1
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002・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 其の他諸般の報告は御異議がなければ朗讀を省略致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=2
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003・会議録情報2
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〔參照〕
從三位勳三等 岩田宙造君
去月三十日願に依り貴族院議員を免せらる
同日本院に於て可決したる左の政府提出案は即日裁可を奏請し又可決の旨を衆議院に通知せり
復興金融金庫法案
同日委員會に於て當選したる正副委員長の氏名左の如し
林業會法案特別委員會
委員長 子爵 北條雋八君
副委員長 男爵 松平外與麿君
商工協同組合法案特別委員會
委員長 男爵 肝付兼英君
副委員長 子爵 柳澤光治君
蠶絲業法の一部を改正する法律案特別委員會
委員長 子爵 稻垣長賢君
副委員長 男爵 島津忠彦君
同日衆議院より本院の送付に係る左の政府提出案は同院に於て之を可決し奏上せる旨の通牒を受領せり
農林中央金庫法の一部を改正する法律案
同日内閣總理大臣より左の通第九十囘帝國議會政府委員仰付られたる旨の通牒を受領せり
大藏省所管事務政府委員
大藏事務官 渡邊喜久造君
商工省所管事務政府委員
商工事務官 和田太郎君
昨二日委員長より左の報告書を提出せり
林業會法案可決報告書
商工協同組合法案可決報告書
請願委員會特別報告第七號
請願文書表第十四囘報告
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=3
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004・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より本日の會議を開きます、岩田宙造君議員辭職に付、帝國憲法改正案特別委員に闕員を生じました、補闕として坂田幹太君を指名致します
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=4
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005・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第一、請願委員長報告、請願委員長高木子爵
〔子爵高木正得君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=5
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006・高木正得
○子爵高木正得君 是より請願委員會の第二囘報告を申上げます、先づ去る七月二十三日の第一囘報告後のものに付て申上げます、請願委員會は六囘、即ち八月二日、同十六日、同二十三日、九月十三日、同二十日に、十月二日にそれぞれ開會致しました、又分科會は、第一分科會を八月十九日、九月十二日、同十六日、同二十八日の四囘、第二分科會を八月二十日、同三十一日、九月十七日、同二十八日の四囘、第三分科會を七月二十九日、八月十二日、同十九日、九月二日、同十六日、同二十八日の六囘、第四分科會を八月二十日、同三十一日の二囘、合せて十六囘開會致しました、請願文書表報告は十一囘でございまして、七月二十四日、同三十一日、八月七日、同十四日、同二十一日、同二十八日、九月四日、同十一日、同十八日、同二十五日、十月二日にそれぞれ提出致しました、請願委員會特別報告は六囘でございまして、八月二日に第二號、同十六日に第三號、同二十三日に第四號、九月十三日に第五號、同二十日に第六號、十月二日に第七號を提出致しました、請願書の受理件數は六十八件、其の請願連署人數は一萬三百七十二名でございます、右の請願六十八件と、第一囘報告の際に申上げました内で請願文書表に未掲載のもの四件、とを合せまして都合七十二件を文書表に掲載致しました、以上七十二件の請願と、前囘御報告の際未審査になつて居りました請願に付きまして、愼重審査の結果、議院の會議に付すべしとするもの六十二件、議院の會議に付するを要せずとするもの一件と云ふことに相成りました、詳細に付きましては速記録に就て御了承願ひたいと思ひます、以上の御報告と第一囘報告との累計を申上げますと、委員會の開會數は八囘、分科會の開會數は十七囘、即ち第一分科會が四囘、第二分科會が四囘、第三分科會が七囘、第四分科會が二囘と云ふことに相成ります、請願文書表報告は十四囘、請願書受理件數は八十六件、請願連署人數は一萬一千二百三十六名、請願文書表掲載件數は八十六件でございまして、未掲載のものは一件もございませぬ、審査の結果は、議院の會議に付すべしとするもの六十五件、議院の會議に付するを要せずとするもの一件でございます、以上は昭和二十一年十月二日迄の御報告でございます、是で御報告を終ります
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=6
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007・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第二、林業會法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會の續、委員長報告、委員長北條子爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=7
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008・会議録情報3
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林業會法案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年十月二日
委員長 子爵北條雋八
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔子爵北條雋八君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=8
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009・北條雋八
○子爵北條雋八君 只今議題となりました林業會法案の特別委員會に於ける審議の經過竝に結果を御報告申上げます、委員會は九月三十日審議に入りまして、同日及び十月一日、二日の三囘に亙りまして開會致し、愼重審議の結果原案通り可決すべきものなりと決定致しました、本法案の骨子は、森林所有者の團體でありまする森林組合と、木材業者其の他林産關係業者の團體でありまする林産組合とを以て林業會を組織致しまして、此の自主的系統團體の自治的活動に依りまして森林の維持造成、林産物の生産確保、及び配給の適正を圖ることにあります、而して森林組合に付きましては、現行森林法に其の規定がございますので、本案の内容と致しましては、主として林業會及び林産組合の組織に關する規定が大部分を占めて居るのでございます、尚本案は衆議院に於きまして左の三點に付て修正せられたものでございます、即ち第一點は、第一條中木材の次に「薪炭」の二字を加へまして、「林産物とは、木材、薪炭その他森林から産出する物で主務大臣の指定するものをいふ。」としたのでありまして、第二點は、第九十一條の第二項と致しまして、「日本林業會は、前項の規定により承繼した債務については、その承繼に因つて得た財産の限度において、その辨濟の責に任ずる。」を加へ、負債の義務迄引繼がぬやうに致したのでございます、第三點は、第九十八條と致しまして、森林法の一部を改正する條文を加へたのであります、即ち森林組合にも林産組合と同樣に林産物の需給に關する自治統制の事業を行はせることを明かにしたものでございます、次に委員會に於きまして各委員から極めて熱心なる御質問及び意見の開陳があり、政府當局よりも具體的の答辯がございましたが、詳細は速記録を御覽願ふことと致しまして、茲では質疑應答の主なるものに付て簡單に御紹介致します、先づ一委員より、將來に於ける木材需給の見透しに付て質問がございました、之に對しまして政府當局より、今後の見透しは憂慮すべき状況で、昭和十九年迄は一億石の生産でありまして、大體の需要を充し得ましたが、二十年度は六千五百萬石程度に止まりました、本年度は七千五百萬石を目標として生産に努力致して居りますが、八月迄の生産實績は上半期の生産計畫に對しましての六割程度でありまして、此の状況では本年度の計畫達成は容易でなく、政府と致しましては極増産に努力致して居ります、今後は本法に依る組織を十分活用致しまして、自主的に生増強を圖りたいと思つて居ります、又需要に付ては、本年度は七千二百萬石を計畫して居りますが、八月迄の配給實績は生産實績と同樣に上半期配給計畫に對しまして約六割程度であります、勿論外材の輸入に付ても考へて居りまして、本年末迄に百五十萬石、來年中には約二千萬石を懇請して居りまして、是が實現すれば需給の均衡が取れるとの答辯がございました、次に一委員より、森林組合の發達助長に付ての質問がございました、即ち本法で新たに林産組合が作られ、林業會が構成されることになるが、林産組合の仕事は森林組合と同じ範圍のものであり、生産者側の森林組合と、販賣業者側の林産組合とを二本建にして、木材の増産を圖ることは無理ではないか、又森林組合をもつと強化育成して、植林から林産物の加工販賣迄を一貫的にやらせるやうにすべきであると思ふがどうか、又實際的には、森林組合が林産組合に壓迫されると思はれるが、森林組合の強化を如何にして行ふかと云ふ問に對しまして、政府當局は、森林組合が生産から加工迄一貫的にやるやうになることは、理想としては誠に望ましいことだが、現實の状態では、森林組合のみに一元化することは到底出來ないと思ふ、森林組合と林産組合とが互ひに相協力して初めて森林の維持造成及び林産物の生産確保、配給の適正を圖り得るものと期待して居るので、森林組合が林産組合に不當に壓迫されるとは考へて居らい、又森林組合自體の育成助長には政府としても今後とも十分努力する旨の答辯がございました、次に數人の委員から、價格に付て質問があり、即ち立木の價格は現在公定價格である所の木材價格から逆算して決定して居るが、場所に依つては立木所有者は採算が取れず、逆に損失になることも少くない、少くとも所有者が喜んで供出し、且伐つた跡地に植林が出來る程度の合理的な價格を定めたらどうか、又木材價格は數萬の規格に分れて價格が公定されて居り、全く常識で判斷の付かないやうな複雜さであり、現實に即應しないことがあるから、之を簡便に合理化して決めたらどうかとの質問に對しまして、政府は立木の公定價格を定めることは困難であるが、再造林費を與へることは必要と考へて居る、現在の價格が必ずしも適切でないことも能く承知して居るので、現在根本的に檢討中である、又規格も基準的なものに付ては之を定め、簡易に分り易いやうにするべく研究中である、尚價格の決定には、民間の意見を尊重し、十分取り入れて行く積りであるとの答辯がございました、次に同じく數人の委員から、戰時中の濫伐跡地に對する造林の計畫に付きまして、其の具體的な内容を質されましたが、當局は造林の急を要することは十分承知して居り、本年度以降五箇年間に二百七十二萬町歩を造林する計畫であり、内本年度は四十七萬町歩を完遂したいと考へて居る、更に今後豫算の許す限り民間の造林を助成致して參りたい、尚民有林の官行造林に付ても目下研究中で、其の他造林に必要な種や苗木の確保に付ても失業者を相當數使用致しまして、之に充當して行きたいと云ふ答辯がございました、尚此の他燃料の問題、砂防の問題、民有林施業案促進の問題等、種々重要な質疑應答がありましたが、詳細は速記録を御覽願ふことと致しまして、省略させて戴きます、斯くして質疑を終り討論に入りました處、先づ一委員より、贊成の意見竝に次の三點に付きまして希望を述べられました、即ち一は、林産物の規格、價格の統制に付ては、林業に經驗を有する民間人及び需要者代表の意見に依ること、二は、造林の促進を圖る爲山林所有者の立木の價格を公定すること、三は、日本林業會の資産の繼承に當り其の評價は公正を期すること、又一委員より同じく贊成の意見がありまして、次の希望が述べられました、即ち本案は暫定的速急に立案しなければならなかつた事情は了承するが、今後更に檢討の上恆久的で且根本的な立法をせられたい、又從來の木材統制の弊害が再び起らないやうに十分民主的自主的な運用に萬全を期せられたい、最後に一委員より、次の六點に付て運用上の希望を附し贊成の意見が述べられました、其の第一に、森林組合と林産組合の事業を明確に區分せられたいこと、第二に、林産物の價格特に立木の價格に付ては、適正な原價計算を行ひ、是と市場價格との兩方を考へて、價格の公正を期すること、第三に、木材の規格を實際に適合するやう極力合理化すること、第四に、森林組合の育成指導を更に強化すること、第五に、造林計畫の實施に當つては良質の種苗の配付に努めること、第六に、薪炭の生産事業は成るべく速かに森林組合の事業として行はせるやう指導せられたいこと等が述べられました、以上で討論を終り、採決の結果、全會一致、原案通り可決すべきものなりと決定せられました、簡單ながら御報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=9
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010・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ、本案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=10
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011・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=11
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012・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=12
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013・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=13
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014・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=14
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015・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=15
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016・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀會を開きます、御異議がなければ、全部を問題に供します、本案全部、委員長の報告通りで、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=16
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017・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=17
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018・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを、希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=18
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019・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=19
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020・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=20
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021・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=21
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022・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部、第二讀會の決議通りで、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=22
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023・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=23
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024・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第三、商工協同組合法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會の續、委員長報告、委員長肝付男爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=24
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025・会議録情報4
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商工協同組合法案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年十月二日
委員長 男爵肝付兼英
貴族院議長公爵家川家正殿
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〔男爵肝付兼英君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=25
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026・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 只今上程せられました商工協同組合法案の委員會の審議の模樣を御報告申上げます、本委員會は九月三十日、十月一日、十月二日と、三日間に亙りまして開催致しました、先づ商工大臣より本案の提案の理由竝に法案の内容に付て相當詳細な御説明がございましたが、此の點は省略をさせて戴きます、續いて質疑に入りまして、愼重なる審議の結果、本案は原案通り可決すべきものと決定致しました、尚本案は衆議院に於て修正せられた箇所がございます、即ち第三十一條に於きまして、其の第三項に「特別の理由があるときには、理事のうち二人以内を限り、前項に該當しない者のうちから、これを選任することができる。」との項目が追加致されました、本委員會に於きましては、此の衆議院の修正案を原案として取扱つたのでございます、御手許に配付されて居りまする原案は政府の元の原案でございますから、一應御注意を申上げて置きます、以下質疑應答の概略を少しく申上げたいと思ひます、先づ商工協同組合の性格は、公法人なりやと云ふ質問に對しましては、協同組合は現行の施設組合と同樣に私法人であつて、民法上の公益法人、營利法人の孰れにも屬しない中間法人であると云ふ答辯がございました、次に商工協同組合と商工會議所、臨時物資需給調整法に依る指定産業團體、産業復興營團との關聯如何と云ふ質問に對しましては、商工會議所は、其の所在地特有の經濟界の輿論を反映する意見の代表機關でありますが、若し中小企業者が商工會議所に入りたい時には、財政的にも、個人として加入するよりも團體として加入する方が便宜であると云ふ場合には、協同組合として之に加入することが出來るのであります、又協同組合は、本來經濟事業を營むものでありますが、偶偶其の團體が物資の割當等の統制業務に適した状態にある時は、臨時物資需給調整法に依つて指定組合になることが出來るのであります、又産業復興營團は、産業設備營團の設備を受繼ぎまして、又新しく設備を擴張する企業に融資し、中小商工業に設備を造つて貸與する役割を爲すものであると云ふ答辯がございました、次に中小商工業の金融は今後如何にして行ふ所存であるかと云ふ質問に對しましては、從來は組合金融及び一般市中銀行等に依つて行はれて居たのでありますが、今後は復興金融金庫を中心として運營して參りたいと考へて居ると云ふ答辯がございました、又共同施設は組合員に利用させるのが眼目か、或は組合が主體となつて販賣、保管等をするのが目的であるか、共同市場も共同施設の中に含まれるのであるかと云ふ質問に對しましては、共同施設は組合員の利用を第一として考へて居りますので、組合員の委託を受けて賣つたり又は保管したり、或は組合目體の業務として販賣又は保管する時も、共同販賣、又は共同保管と云ふことになりますので、共同市場もそれが組合員各個の事業を別に留保する範圍内に於きましては、差支がないと云ふ答辯がございました、又工業者が商業者の組合に入つても差支ないと云ふことになれば不都合は生じないかと云ふ質問に對しましては、工業者、商業者又は鉱業者が各産業別、業種別に組合を作つても宜しいし、上下縱横關聯性があれば、工業者が商業者の組合に入つても一向差支がないのでありまして、關聯性があると云ふことが一番大切な問題であります、若し不都合があつた場合には、脱退も自由であると云ふ答辯がございました、次に商工協同組合が倉庫證券を發行する場合、一般倉庫業者との關聯はどうなるかと云ふ御質問に對しましては、商工協同組合は保管事業を行ふので、其の事業を圓滑に遂行する爲、倉庫證券を發行するやうにしたのでありまして、組合員の寄託物に付てのみ發行するのでありまするから、一般の倉庫業者と競合するやうな虞はないと考へると云ふ答辯でございました、次に商品券は通貨類似の作用を爲すものでありますから、其の無統制な發行は「インフレ」を促進することはないかと云ふ御質問に對しましては、今日の經濟状態では商品券發行の機ではないかも知れないのでありまするが、將來を豫想して規定した譯でありまして、濫發の弊害は一般商品券同樣、商品券取締法に依つて防止する考であると云ふ答辯でございました、次に從來六大都市の百貨店が商品券を濫發して金融を圖つたことがあるが、將來小規模な協同組合にも此の種の事態が生じはせぬか、其の爲に資本額の何分の一迄發行を許すと云ふ如き制限を設ける意思はないかと云ふ質問に對しましては、十分に御質問の趣旨を尊重し、大藏省と連絡して善處したいと云ふ答辯がございました、次に今後の工業の在り方と、中小工業の行き方は如何に在るべきかと云ふ質問に對しましては、相當大規模なものも存續の必要があると考へまするが、財閥解體、賠償實施等から考へまして、將來は中小工業の數は愈増大し、其の比重も大きくなると考へられまするので、之に付きましては、或は組織化し、或は資金、資材の斡旋等に依りまして、又近く政府部内に設けらるべき中小工業助成局や、或は聯合會に依る技術指導等に依つて、大いに助成する考であると云ふ答辯がございました、次に戰時中の親子工場關係は、今後も認めるのか或は認めないのかと云ふ御質問に對しましては、今後に於きましても其の合理的な聯繋が必要でありまして、組合組織に依りまして縱の關係、横の關係を含めて、最も適當なる方法で指導致す考である旨の答辯がございました、次に組合員の資格に付ての御質問でありまするが、大企業者は入らぬと思ふが、大中小企業の限界の設定は困難ではないかと云ふ御質問に對しまして、本法案は主として中小工業を對象として拵へたものでありまするが、大企業者も加入することは、法律上少しも制限しては居りませぬから、此の問題に付ては困難はないものと考へる旨の御答辯がございました、最後に、勞働組合の發達に伴ふ今後の勞働問題に付ては如何に對處して行くか、勞賃の騰貴は、大企業では或程度合理化に依つて「カバー」出來るが、中小企業では勞賃高の影響は大きい爲に、困難な問題が生ずると考へるが如何と云ふ質問に對しましては、此の問題に付ては技術の向上と機械の導入に依りまして、極力經營の合理化を圖らねばならぬのでありまするが、其の方面に於きまして本協同組合の使命は誠に重大であります、唯本組合を傭主組合として勞働組合と對立するが如き方向には指導致さない積りでありまして、成るべく企業家、勞働者を包括して其の關係を調整し、共存共榮の機關として當該事業の改善發達を圖る方向に指導して行きたいと云ふ答辯がございました、其の他協同組合とか統制組合とか、或は統制會とか云ふものは、理論的には誠に結構だが、實際には今日迄官僚の最も惡い所と、民間の弊害の多い所とを集めたやうな結果になつて居ると云ふのは誠に遺憾であると思ふが、此の法案が實施される曉に於ては、此の點は如何に處置する積りか、或は又纖維工業の將來の見透しはどうであるか、或は又、戰時中に於ける企業整備の後始末をどうする積りかと云ふやうな各種の貴重なる御質問があつたのでございまするが、時間の關係上、大體速記録に讓りたいと思ひまするが、右の中、我が國の纖維工業の將來の見透しに付て、纖維局長から特に説明を加へられた點に付て此の際御報告を申上げたいと思ひます、御承知のやうに、我が國の纖維工業は英國の「ランカシヤ」を向ふに廻しまして、戰前には世界に雄飛した日本の特殊な産業であつたのでありまするが、今囘の世界大戰に依りまして、或は企業整備に依つて、或は戰災等に依つて相當な打撃を受けたのでございます、併しながら敗戰後我が國に於ける纖維工業は著著として其の復興を圖つて居るのでありまするが、最近政府に於きまして纖維工業の三年計畫を計畫致されました、それに依りますると、我々日常の衣料生活と云ふものは、今後尚相當窮屈を免れないとは思ひまするが、併しながら此の計畫に依りますれば、三年後には少くとも嘗て盛でありました時の日本の纖維工業に對しては及びも付かないことではございまするが、併しながら我々が想像して居つた以上な復興を計畫することが出來まして、之に對しましては、原棉の輸入、資材の獲得、或は燃料の獲得と云ふやうな點に最善の努力を拂ふことに依りまして、將來の我が國の纖維工業と云ふものは相當な活況を呈し得ると云ふ見込が付いて參つたと云ふことは、誠に「アメリカ」の我が國に對する特異の存在と云ふことを了解して呉れた結果であることであつて、此の點は大いに感謝をせねばならぬと云ふ意味の御答辯がございました、其の他の條文の細目に付きましても、熱心な質疑應答が交されたのでありまするが、詳細は速記録に於て御承知を願ふことに致したいと思ひます、斯くして討論に入りましたが、一委員より、本法案は誠に進歩的な法案であつて時宜に適したもので、全面的に贊成するが、對象が主として中小商工業者である關係上、政府に於ても特に本法案の趣旨徹底に努力致されると共に、今後の指導育成に付萬全を期せられむことを切望する旨の御發言がありました、又他の一委員よりは、本法案に依る組合の共同施設の運營に付ては、非民主的な、獨善的運營に走つて組合員以外の者を不當に壓迫するやうなことのないやうに、政府に於て適當なる指導措置を執られたいとの希望を述べて本案に贊成する旨の御發言がございました、次いで採決に入りました、全員一致本法案は原案通り可決すべきものなりと決定致しました、以上簡單ではございまするが、御報告申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=26
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027・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ、本案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=27
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028・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=28
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029・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=29
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030・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=30
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031・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=31
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032・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=32
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033・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀會を開きます、御異議がなければ、全部を問題に供します、本案全部、委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=33
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034・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=34
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035・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=35
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036・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=36
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037・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=37
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038・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=38
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039・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部、第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=39
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040・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、次會の議事日程は決定次第彙報を以て御通知に及びます、本日は是にて散會致します
午前十時四十六分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X03819461003&spkNum=40
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