1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十一年十月十一日(金曜日)午前十時十八分開議
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議事日程 第四十三號
昭和二十一年十月十一日
午前十時開議
第一 貿易資金特別會計法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二 産業復興營團法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第三 自作農創設特別措置法案(政府提出、衆議院提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第四 農地調整法の一部を改正する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第五 戰時補償特別措置法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第六 金融機關再建整備法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第七 特別和議法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第八 大藏省預金部等損失特別處理法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第九 厚生年金保險法及び船員保險法特例案(政府提出、衆議院送付)第一讀會の續(委員長報告)
第十 企業再建整備法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十一 財産税法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十二 財産税等收入金特別會計法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十三 企業整備資金措置法を廢止する等の法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十四 帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十五 復興金融金庫及び産業復興營團出資拂込金支辨のための公債發行に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十六 自作農創設特別措置特別會計法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十七 豫定線木次、三次間鐵道速成の請願 會 議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=0
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001・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 去る九日丹羽彪吉君貴族院令第一條第四號に依り貴族院議員に任ぜられました、就きましては部屬を第五部に定めました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=1
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002・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 昨十日宗秩寮總裁より治憲王殿下本年七月三日御成年に達せられました旨の通牒がございました、又同日宮内大臣より治憲王殿下貴族院議員辭任の御意思を表明せられましたに付、御允許奏請の處、本月八日勅許あらせられました旨の通牒に接しました
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=2
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003・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 其の他諸般の報告は御異議がなければ朗讀を省略致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=3
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004・会議録情報2
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〔參照〕
一昨九日本院に於て可決したる左の政府提出案は即日裁可を奏請し又可決の旨を衆議院に通知せり
昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案(改第一號)
昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案(改特第一號)
昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案(改第二號)
昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案(改特第二號)
豫算外國庫の負擔となるべき契約を爲すを要する件
恩給法臨時特例案
同日本院に於て可決したる左の建議は文書を以て即日之を政府に呈出せり
議會圖書館の設立と國立圖書館の擴充に關する建議
同日委員長より左の報告書を提出せり
貿易資金特別會計法案可決報告書
産業復興營團法案可決報告書
昨十日委員長より左の報告書を提出せり
自作農創設特別措置法案可決報告書
農地調整法の一部を改正する法律案可決報告書
戰時補償特別措置法案可決報告書
金融機關再建整備法案可決報告書
特別和議法案可決報告書
大藏省預金部等損失特別處理法案可決報告書
厚生年金保險法及び船員保險法特例案可決報告書
企業再建整備法案可決報告書
財産税法案可決報告書
財産税等收入金特別會計法案可決報告書
企業整備資金措置法を廢止する等の法律案可決報告書
帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律案可決報告書
復興金融金庫及び産業復興營團出資拂込金支辨のための公債發行に關する法律案可決報告書
自作農創設特別措置特別會計法案可決報告書
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=4
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005・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より本日の會議を開きます、日程第一、貿易資金特別會計法案、日程第二、産業復興營團法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會の續、委員長報告、是等の兩案を一括して議題と爲すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=5
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006・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、委員長植村子爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=6
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007・会議録情報3
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貿易資金特別會計法案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年十月九日
委員長 子爵植村家治
貴族院議長公爵徳川家正殿
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産業復興營團法案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年十月九日
委員長 子爵植村家治
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔子爵植村家治君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=7
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008・植村家治
○子爵植村家治君 只今上程せられました貿易資金特別會計法案及び産業復興營團法、兩案の特別委員會に於ける審議の經過竝に結果を御報告申上げます、特別委員會は去ぬる日、付託をせられまして一昨日迄三囘、例の如く初日は委員長、副委員長の選擧を行ひまして、後審議に移りました、政府より提案の理由として貿易に關する經理は、昨年十二月貿易資金設置に關する法律に依り輸出入の決濟資金を設けて其の運營をなさしめ、其の生じたる歳入出は便宜の處置として爲替交易調整特別會計に所屬せしめたるものを、今囘貿易の經理を尚一層明確にすると共に、其の運營を益益圓滑にせむには、現行法を廢し、新たに本法を設置するを適當と認めたりとの理由を述べて居ります、質疑の大要を申上げます、對外貿易問題は、聯合國司令部の指令に基くは勿論なるも、輸出入何れが超過せりや、之に對して答へられて、輸出入は三十四億七千六百萬圓中、輸入超過二億八千八百萬圓、其の他棉花輸入製品として輸出を見込む故に、計算中にはないと答辯して居ります、之をきつかけに對外爲替の「バランス」を問はれたるに對し、今日の經濟は國内事情に於て正式なる輸出入機關もなく、其の取扱方針を立て居らず、唯業者の要望に依つて間に合せ的な立て方のみにして、他日正常貿易開始の砌りの整備に俟つ外なしと、又貿易廳に於ては、先方には必ずや爲替相場があるだらうから、其の片鱗だけでもせめて知りたしと種々手を盡したるも、要するに先方は、日本の輸出物を先づ勝手と言へば語弊があるが、先方は自由なる立場で「ドル」に換算したと云ふ範圍に於て、當方の要する食糧とか肥料とかを、日本の要請に基く有らゆる物資を出してやらうと言ふ、當方にはまあ嚴格なる制限あるのみと答へて居ります、又資金は幾らかとの問に對しましては、貿易資金の元手としては五千萬圓であつたが、其の操作に依つて多額の轉換が出來て居た、今囘本法に依る總額は五十億圓迄を預金部なり、日本銀行なりで貿易廳が借金出來るやうになつて居る、「クレヂット」設定問題の問に對しましては、今日の日本は政治的にも安定を缺いて居る、新憲法が出來、附屬法規が出て、日本の法律政治の行き道が決らぬ今日、又金融非常措置の經濟安定もまだ決らぬし、賠償施設の撤去確定して、日本の評價確定し得ぬ今日、其の設定に要する條件が確定し得ぬし、又大きな融通を見込まるるも講和條約なき日本の經濟は破産状態であつて、對等の附合ひが出來ぬ故、實に心細い無意味の情勢に置かれて居ると答辯して居ります、又輸出物檢査監督の杓子定規に陷らず、自主的な自分の力で自由に檢査をさせたいが、今日の産業人の深切失心に依る弊害と、檢査後の當局の監督上に如何に考へるやとの問があり、答へて、實際に於ける商道義心の缺陷に依る其の弊害は認めて居るし、之が爲、貿易全體に大いに迷惑して居る所で、廉賣競爭の弊よりして、國の損害は非常に大きく、現状の貿易状態は國營の形となつて居るので、幸か不幸か知りませぬが、今後は自主的檢査と國營檢査を強化し、萬一不良物を出した業者には、遠慮もして貰ひ、又追出すことをも考へて、其の監督を強化すると答へて居ります、要するに粗製濫造を矯め、値段より品質を考へさせて、國家的意識で造らせ、國家的意識で輸出さす空氣に進めて、貿易上、將來望みを絶つが如き結果を極力防ぎ、假令其の製造、第三國人の品でありましても、整備されたる輸出機關を通ずることとして、其の輸出に關する監督を全うしたしと述べて居ります、最後に一委員よりの質問に、「ポツダム」宣言に於て日本國は其の經濟を支持し、公正なる實物賠償の取立てを可能ならしむるが如き産業を維持することを許さるべし、但し右目的の爲原料の入手を許可さるべし、日本國は將來世界貿易關係への參加を許さるべしと規定しあり、之に依つて最先きに纖維工業の續行、原料入手の許可がありたるが、其の他の雜貨工業、原料の入手に關しては如何、又現在の監視下は平和會議迄か、其の以後も尚續くのか、日本國の意思に依る自主的な貿易可能期如何との問がありました、之に對しての答辯は、輸入の九割迄食糧にして、石油が八分、燐鉱石一分二厘、其の他は棉が大部分で、油脂類、工業鹽、銑鐵等あるも、孰れも具體的でなく、基礎資材及び輸出用原材料等は、此の宣言に依り漸次増加することを希望し、折角交渉中なりと答辯して居ります、要するに答辯の大半は前述答辯中にもありました如く、今日の新日本が平和的民主國家になり切ること、金融非常措置に依り財界の安定したる時、賠償施設の撤去問題が決り、其の殘存機關の種類に依り貿易産業の種類が決り、其の生産力が立ち行くの時、初めて日本の圓の購買力が外國に對して分る、其の分つた時、初めて日本と或程度の自由貿易が出來て、參加が出來ることになる、平和條約後日本が參加し得るや否やは、日本の方で先に諸外國に對し國内的より信用を博するや否やに依つて決定せらるべしと申されて居ります、以上で大體質疑が終りまして討論に移りたるも、別に意見の開陳なく採決に入り、結果は原案通り可決することに決定致しました、次に産業復興營團法案提案の理由としての政府の説明を申上げます、舊法に産業設備營團あり、産業施設上本案と同樣の働きを爲し來りたるも、戰後經濟の速かなる復興を圖るには、日本の經濟現状に於て最低限度必要なる民需生産の充足を圖り、戰災設備、老朽設備等の復舊及び改造轉換乃至建設等を爲すにあり、今日の經濟に於て變則的な値上りは、企業將來に健全なる見透しも附し得ず、金融上にも苦しんで居ることは、製品の需給面にも現れ、將來に確乎たる見透しが立たないことになり、爲に復興建設に對する固定資本の投下、手控へは固より、生産の沈滯は實に大なる實情にあります、之を解決するに、金融の手詰りを、別に準備したる復興金融金庫を以てし、金融後、經濟變動の爲辨濟不能となる虞ある場合も、又は一設備機關の金融のみに依つて企業全體倒壞の虞ある場合とかで、産業囘復の緒も就き得ざる實情を以て見ては、今日其の放任許されず、仍て當面する國家の代行機關に依つて設備の建設運營をなさしめ、金融面にも他の事情を顧慮することなく、生産遂行に全力を集中し、其の達成を圖るが緊要のことで、之に依り、國又は其の代行機關に於て設備建設の負擔等を全面的に負ひて、國の犧牲大となるも已むを得ずとし、又營團に於て設備建設等を行ふ場合等は、國民經濟復興再建に最も必要なるものに限定し、企業上に於ても國の犧牲を以て過度の利潤を抑制し、運營全般に亙りても、必要なる監督を加へつつ進む方針を執る、業務も其の性質上國に於て行ふこととして、日本の今日、行政組織の實情に於て機敏なる活動を妨ぐる等のことあつてはと懸念しての上は、之が自由を講ずるには、又經濟界の權威者の手腕を俟つこととし、之に依つて事務の捌きを圓滑敏速にし、國の監督下に特別なる機構たる本法の如き産業復興營團を設立するが適當とする見地から、之が設置をなし、強力且、清新なる國策遂行機關とするにあり、而して從來の産業設備營團は之を解散して、本法案の營團を設置する所以なりと説明しました、今質疑の大要を述べますと、從來の産業設備營團の業績はどうかと問はれました、之に對して答へて、舊營團は戰時中喫緊の産業設備建設に未働遊休設備の活用、標準型船舶の建造を目的とし、總額三十億圓程度を要したる成績を擧げたりと答へて居ります、又一質問に、新營團運營の成否は、結局役員に其の人を得るか否かに懸つて居ると思はれるから、其の人選に付ては、廣く手腕力量の優れた有能の士を求められたいとの希望に對し、商工大臣から、十分御趣旨を尊重して其の人選に當ることとし、特に新營團は今後中小工業の振興方面にも力を注ぐこととなるので、中小工業に理解ある方にも役員に參加して戴きたいと考へて居る旨の答辯がありました、又新營團の資金は、原則として復興金融金庫から融資を受けることとなつて居るが、金庫は國家資金を使用するので、それだけ「インフレ」を助長することとなるから、債券を公募して、市中から資金を吸收する方が「インフレ」防止の上から適當であると考へるとの質問に對し、商工大臣から、今後市中の金融機關からもどしどし資金の融通を受けるやう、關係方面とも折衝して努力したい旨の答辯がありました、尚營團資金二億圓の算出方はどうかと云ふ問には、固定設備には復興金融金庫より融通するの外、大體資本金二億圓が適當なりと思慮したるに止まり、確乎たる論據なし、從來の設備營團も二億圓より出發したる其の例に依り、一應新營團も二億圓程度とすとの答辯がありました、舊營團と新營團との諸施設の關係を聽きたるに對しましては、舊營團は終戰と共に、現有設備の完備と同時に、未働遊休設備の活用の仕事は之を中止し、建造中に屬する船舶は引繼ぎ、之を造上げる仕事を爲す船の方は來年前半期位に完成する見込なるも、新らしき機關に依り完成を爲すの仕組と、新營團にて引續き仕事を爲すとの意嚮をも存して居る、斯う述べて居ります、又補償打切りに依る生産面への打撃如何、殊に財産税との關係に依つて全滅の状態に進む心配あり、是等の打撃を本法營團に依るか、又他の法律に依つて或程度の救濟を爲す意思ありや否やの質問あり、答へて、右はなかなか困難なる御質問なれど、政府は無計畫にて臨んで居るにあらず、今囘の補償打切りは謂はば水膨れを切開した迄で、少し手緩しとの非難があり、誠に迷惑を感じ居るに、一歩進んで、公債等迄打切つて徹底さすべきであると云ふ議論さへあり、是は諸種の方面に影響して居るので、尚當面する考慮を拂ひ居れり、或は甘かつた點もあるが、補償打切りに依つて個々の仕事を拾つて見て、其の行き方に依つて清新な氣が生れ、日本の將來に必ずしも曉光なしとは見えず、失望したものでもなしと言ひ得る、一面打撃あれど、他面日本の人口を養ひ、相當の見返り物資を造り、日本が或程度の文化生活を爲し得る基礎の仕事は、決して破壞さるべきでなしと見込む、寧ろ賠償物資問題ではあるが、「ポツダム」宣言受諾の結果とは言へ、非常な深切なる司令部の方針に依つて、日本の根本産業を壞すことなく、日本が平和に起ち上つて行く上に付ての基礎は壞したくない、兵器關係の工場撤去の枠内に於ても、此の趣旨に依る關係面の一部は止めて貰はなくては、起上る上には耐え切れぬので、目下此の方面に全力を注ぎ、補償打切り後に於ける整理問題よりも、寧ろ賠償撤去に依る面に付懇談し居れり、此の點多少の手應へがあつて、若干希望があるやうな經過にありと言つて居ります、商工大臣としては、寧ろ補償打切り問題が産業に重大なる影響ありと思ふが、寧ろ後者の賠償關係に重大なる面ありと信ずと言つて居ります、尚産業復興案を樹立する上には、評價問題が困難で、賠償機械を一年内に取去るにしても、撤去とか荷造り費に非常な多額の費用を要し、四百億も要するが、機械帳簿價格は何十分の一となるか、評價であるが、其の評價問題に依りて將來の會社經營に影響する處が重大であつて、時局と共に潛在せる費用が多く、現出しある價格少く、一列一體の評價は意味をなさずと思ふ、之に依つて迷ふ者多し如何との問に對し、答へて、誠に困難なことで、本法案提案遲延も、之に因すと述べ、會社未拂込株を徴收することや、評價益で含みを以て、成るべく整理會社にしないやうにすることの爲に非常に苦心した、今日の物價、現在の闇値に近き評價あらば、會社は整理の要なけれど、然らば水膨れ切開のことともならず、評議を重ねたのでありまして、帳簿價格は不自然、甘きは非難の的となり、結局勝手に評價はせぬで、企業整備委員會に於て妥當に價格を決める外途なきであらうに歸決したと答辯して居ります、商工省と經濟安定本部との關係はどうか、經濟安定本部は商工省に移し、商工省は本營團にやらすのか、商工省の指導監督は從となり、經濟安定本部は主となるの問に對し、經濟安定本部にては、基本的産業政策の決定を爲し、商工省に於ては、之が實施を爲し、産業關係者、即ち營團に於て施行さすが建前である、營團亦經濟安定本部の政策の線に沿ひての其の枠内に於て仕事を決定する、商工省は兩者の政策を頭に置き、主務大臣之を指導監督する、經濟安定本部と營團との直接間に於ては、是等の指導監督はないと答へて居ります、大體以上を以て質問を終りまして、討論に入りました、其の時一委員より、此の際本案に對しまして、希望決議を附して本案に贊成せられました、而して別に他には意見もなく、討論を終結致しまして採決に入りましたる處、原案通り可決し、希望決議案に對しても可決を致したのであります、茲で希望決議を讀み上げます、
希望決議
戰後に於ける産業の速かな復興を促進する爲には時宜を得た施策を敏速に行ふ必要がある、從て本法の施行に際し政府は努めて末稍的監督を避け有效適切な積極的指導を行ひ以て營團の自主的運營に遺憾なからしめるやう特に留意せられんことを望む
是が希望決議案文であります、而して後、星島商工大臣は立たれて、本營團法可決を見たることを感謝し、希望決議に附されたることに付きては、其の希望決議の趣旨を忠實に履行するやう努力する積りでありますと明言されました、是にて付託案全部の報告を終るのでありまするが、私は委員會の空氣を尚附加して報告をさせて戴きます、今囘の憲法に於て、外交上に日本の象徴が對等でなくなつた今日でも、國民の血は尚沸き上つて居るに拘らず、外國貿易にも對等な自由を見出し得ざる遺憾あり、産業復興面には國内的諸法律政治が確立して、刷新せる活動を期したし、政府亦宜しく是等の諸問題の整備の完遂に努め、又生産道義の昂揚を圖りて、自覺ある行動に國民を指導し、政府の信ずる政治體系の文化に寄與せられ、以て對外的の信義評價を高むるの外に途なし、右に非ざれば貿易の振興向上の上にも、産業復興の面にも其の意義ならざるべし、今次顯現せる「ゼネスト」の問題の如きは、對外的に影響しては、日本の破滅となり、其の信を失し、敗戰の慘めさを一層助長し、國家國民を滅亡に導くこと明かなり、實に慨歎に堪へず、政府宜しく重大なる決意を以て、新憲法創定の秋、更生日本、新國家國民を救ひ、眞の民主主義立憲國たらむことに最先き斷乎として護り拔かれむことを強請する、以上を以て終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=8
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009・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ、兩案の採決を致します、兩案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=9
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010・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=10
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011・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに兩案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=11
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012・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=12
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013・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=13
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014・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=14
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015・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 兩案の第二讀會を開きます、御異議がなければ、全部を問題に供します、兩案全部、委員長の報告通りで御異議はございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=15
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016・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=16
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017・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに兩案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=17
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018・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=18
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019・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=19
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020・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=20
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021・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 兩案の第三讀會を開きます、兩案全部、第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=21
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022・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=22
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023・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第三、自作農創設特別措置法案、日程第四、農地調整法の一部を改正する法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會の續、委員長報告、是等の兩案を一括して議題と爲すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=23
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024・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、委員長稻田男爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=24
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025・会議録情報4
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自作農創設特別措置法案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年十月十日
委員長 男爵稻田昌植
貴族院議長公爵徳川家正殿
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農地調整法の一部を改正する法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年十月十日
委員長 男爵稻田昌植
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔男爵稻田昌植君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=25
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026・稻田昌植
○男爵稻田昌植君 自作農創設に關しまする委員會の御報告を申上げます、此の特別委員會は昨日の最終の委員會に於きまして、二三の委員より、此の法律の施行に當りまして、特に運用に萬全の注意をして貰ひたいと云ふ御發言と共に、政府原案通り可決確定を致しました、是より委員會の經過を御報告申上げたいと思ひます、今囘の政府提出の自作農創設に關しまする法律案は、所謂第二次農地改革と言はれるのでありまして、第一次農地改革案と申しますものは、前議會に於て決定されたものであります、其の前議會に於て決定されました第一次農地改革と申しまするものは、生産増強及び農村民主化の二大目標の下に、小作料の金納化及び自作農創設、農地委員會の開設の三つの方法で行はれたのでありまするが、今囘之に引續きまする第二次の農地改革と言はれまする此の兩案は、第一次農地改革の中の自作農を更に擴大強化した案であります、前囘の第一次農地改革の中の自作農を特に「クローズ・アップ」した案と御承知下されば、大體此の第二次農地改革と言はれます案の全貌が御分りかと存じます、假に今申上げましたことを法案に當て嵌めて申しますと、其の「クローズ・アップ」し、大寫ししたと申しますのが、自作農創設特別措置法案であり、之に關聯する土地兼併に關する規定、或は小作料に關する規定、農地委員會の改組などに關する規定を盛りましたものが、農地調整法の一部を改正する法律案、斯う御承知下されば宜しいのであります、尚此の自作農創設に關しまする法律は、自作農創設特別措置特別會計法案と云ふのがございます、併し是は外の委員會に付託されて居りますので、私から申上げる範圍外であります、但し委員會に於きましては、此のやうな重要な法案に關しまするものは、全部關聯したものでありまするので、一つの委員會に將來は併託をして貰ひたいと云ふ意見の出たことだけを申添へて置きます、此の兩案の要綱は相當多數に上りまするが、それを要約致しますると、最も特徴は二つに分れて居ります、一つは開放面積の増大と云ふ點であります、所謂不在地主を全部なくしまして、且在村地主も、其の面積を全國平均一町歩に限る、自作者に對しましても、平均三町歩以上のものを全部開放すると云ふことになりますので、從つて全國で二百萬町歩の新自作農地が出來ることであります、其の上第二の特徴と致しまするのは、此の問題に關する國家管理の強化であります、土地の買收は一切國家自身の手で之を行ひ、小作地の取上は總て地方長官の認可を必要とし、再分配の爲に交換分合を、之を強制的に行ふと云ふやうな點で、國家管理が非常に強化されたと云ふ點、此の開放面積の増大及び國家管理を強化したと云ふことが、今囘の案の二大特徴と申上げて宜からうと思ひます、以上のやうな内容を以ちました此の兩法案の審議に當りまして、審議の當初に先づ農林大臣から提案理由の説明のありました後、關係方面との樽爼折衝の内容を詳しく伺ふことが出來ましたので、委員各位は恐らくは此の法案は一日も早く成立させざるを得ないと思はれたと看取致されます、從つて此の法案の字句或は條文等をいぢるよりも、此の法案執行後の種々の方策に對して、質問が集中されたのであります、却て囚はれない自由な、濶達な議論が行はれたと、委員長としては感ぜられたのであります、從つて其の御質問の内容も、極めて豐富であり、其の量も十分の量が盛り込まれ、孰れも傾聽すべき御議論であり、總て是れ傾聽すべき論旨でありますので、此の際此の取捨選擇を御報告申上げますことは非常に困難を感じます、且御質問は直接に何等の關係のない一問一答を繰返しますことは、却て御了解に如何かと存じまするので、不十分ながら各委員の御質問を二、三の項目に分類致しまして、其の大要を御紹介申上げることに致したいと思ひますので、以上、何卒御了承を願つて置きます、第一種の質問と私が言ひますものは、此の法案の通過後の將來の農業政策の根本に關しますることでございます、此の質問の中心となりましたものは、一體政府に於ては將來の農村を如何に見るのであるか、將來の農村の在り方と云ふものを如何に見るのかと云ふのから「スタート」したのであります、政府當局の見解に依りますると、將來の日本農業と云ふものは、非常に集約されて行く、而も勞力、資本兩方面から集約されて行くものと思はれる、之を協同組織で進ましたい、第二は、世界の競爭場裡に立つ爲には、日本の將來の農業は現状よりも、遙かに多角經營を必要とする、斯う云ふやうな見解を披瀝せられましたので、之に關して質問は展開されて行つたのであります、第一は、今囘の法律の實施を見る場合に於きましては、先程申しました通り、地主と云ふものは可なり影を沒することになる、併しながら從來の地主は必ずしも搾取階級と云ふ譯ではない、封建政府の温床のみではございませぬ、小作制度と云ふものは、經濟上或は社會上、立派な存在理由を持つて居る、然るにも拘らず、今囘の農村の民主化と云ふ點で、之を總て拂拭されるのでありまするが、從來の良き地主は新らしい形に於て是は殘すべきではあるまいかと云ふ御質疑があり、政府も是には善處せらる、だらうと思ひます、更に今囘の土地の改革は成る程是で劃期的の改革は成功するでありませう、併しながら土地の改革のみで、農地の改革のみで農村及び農業の民主化と云ふものは斷じて是は出來ない、政府は土地の改革のみに進歩的であつてはいけないぞと云ふやうな御議論が續出したのであります、更に今度の改革で、小作人の全部が、直ちに全部此の土地を欲しいと云ふ者がないやうに聞いて居るが、何を是は示唆して居るか、將來土地を手に入れるが爲に、却て自己の負擔になることを恐れるのではないか、自作農は作るのは宜しいが、自作農を作つて、自作農にはなつたけれどもと云ふ嘆を與へないやうに盡力して貰ひたい、其の爲には此の經營の合理化と云ふことを先程申上げましたが、其の他萬全の策を講じて自作農になると同時に、其の日から小作農に新らしく顛落する一「ページ」を始めると云ふのでは、此の法の目的は達せられないと云ふやうな、非常に御熱心な御質疑があつたのであります、之に次いで將來の指導方針と云ふものが問題となり、或は指導農場、或は農民道場、或は技術の滲透、或は中堅階級の良き指導などの問題が出て居るのであります、而して農村の思想問題としては、可なり荒れに荒れて居りまするけれども、未だ良き思想が殘つて居る筈であるので、之を更に一層の努力を以て善導すれば、將來の日本の農村は此の法律案通過を機として相當の效果を擧げるであらう、相當の光彩を放つであらうと云ふやうな政府側からの御答辯もあり、委員も了承せられたと思ふのであります、其の次には第二種の私質問と申上げるものであります、それは他の法律との關係であります、第一には憲法、第二は民法、第三は華族世襲財産などとの關係であります、華族世襲財産との關係は、獨り農地調整法との關係のみならず、財産法との關係もあるのでありまするが、是は近く宮内省方面で、之に關して善處せられることと思ひます、それから憲法第二十九條三項との關係は、詰り農地調整法が憲法違反に非ざるやと云ふことであります、政府の側に於きましては、勿論是は違反でないと云ふ御意見であり、更に民法、詰り今度近く制定せらるべき民法、新らしき民法草案との關係であります、是は農業の方からの言葉で言へば、均分相續と言はれる所謂細分農の問題でありますが、詰り均分相續して行きますと土地が細分されるので、之に何か例外規定を求めることが出來るかと云ふ御質問であつたのであります、是は民法草案では、恐らくは現物で分けることを要求して居ないと思ひます、唯問題は、現物以外負債と云ふことの問題があり、同時に土地經營に適するものを選ぶと云ふやうな二點に集約されると思ふので、將來能く研究をすると云ふやうな政府側の御答辯であります、最後の第三種の質問の種類と致しましては、所謂此の實施に於きまする實現の可能性と申しますか、さう云ふやうな問題でありました、詰り二箇年で二百萬町歩以上のものをやると云ふのでありまするが、從來の經驗から申しますると、百年河清を待つと言はないでも、非常に困難がある、果して政府に於ては、此の大面積を此の短い時間でやりきる自信があるかと云ふ御質疑であります、政府に於きましては、所謂中央に於きまする之に關する一局及び現地に於きまする局、及び府縣に於きまする農地部と假に言はれて居りまするが、其の部と密接な連絡を執つて、勿論是は二箇年でやり上げる積りだ、斯う云ふのでありますが、質問者の意思を忖度致しますると云ふと、從來の方法から言ふと、現に第一次の農地改革法が出來ましての成績から言つても、二箇年間で二百萬町歩の農地を處分する、況や交換分合迄入れます場合は非常な困難が伴ふ、それでなくても從來、各省間に於ても種々の問題がある、治水の問題に於きましても、砂防の問題に於きましても、或は地域別に行けば北海道拓殖の問題に於きましても、農林省と内務省は種々そこに摩擦のないことがないとは言へない状態である、此の状態を成るべく早く拂拭して、且、食糧のやうな各省擧つて協力すべき問題であるにも拘らず、動もすれば供出の面に於きまして摩擦がある、或は收穫量の減少となつて現れるやうな場合もある、是から見ますると、より一層此の農地改革に關しましては、十分の努力をして貰ひたいと云ふのが質問者の意思であるやに私は拜察致して居ります、以上で大體の御質問を申上げ得たと思ひまするが、討論の終結以前、或は討議の場合に於きまして、此の法律の全體を見ますると、どうも偏狹性を帶びて居るやうに思はれる、不在地主を全部一掃するが如きは其の一例である、更に地主に對して報奬金を出すと云ふやうなことは、見舞金と云ふ意味かも知らぬが、何か地主に對して氣の毒だと云ふやうな觀念が潛在して居るのではないかと云ふやうな點から言つて、要するに地主から安く買へたと云ふことは、同時に小作人に不當のものを與へたと云ふことになり、將來の兩者と云ふものは、さう云ふ態度で押し擴めては暗い翳が宿る結果になるであらう、從來天上地下に及ぶと言はれました所有權と魅力と云ふものも、從來よりは餘程薄らいで居るやうに思はれる、之に代りまする耕作權と云ふやうなものは、稍稍上づいたやうな感じがあるが、農民に自重心を大いに昂めて貰ひたい、耕作する者は信託せられたと云ふ意味でやるやうに指導して貰ひたいと云ふやうな希望的御意見も重ねて出たことを申添へて置きます、以上で大體私の報告を終りますが、先程申上げました通り、分類して申しましたので、各員の一問一答、特に其の文句を忠實に御傳へしなかつた爲に、質問者の持つて居る持味を出し得なかつた憾みはあると思ひます、此の點は質問者を含めての皆さんに更に御了解を求めて、私の御報告を終りたいと思ひます、(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=26
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027・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 討論の通告がございます、河井彌八君
〔河井彌八君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=27
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028・河井彌八
○河井彌八君 私は此の兩案に對しまして贊成を致す者であります、茲に其の理由を私共農民として働いて居りまする側から申述べたいと存ずるのであります、只今、特別委員長の極めて明快なる秩序ある御報告を承りまして、誠に敬服を致して居るのであります、で私が申述べたい點に能く御觸れになりまして、御言葉は簡單でありましたけれども、實にはつきりと承つたのであります、先づ自作農創設のことは、是は大正年間から始つたことでありまして、其の經過、沿革を調べて見ますると、必ずしも滿足に行つて居ると云ふ譯ではないのであります、隨分地主と云ふ者は一般的に強慾な者であると云ふ考から惡く見られて居つた、其の地主がなかなかさうではなくて、本當に小作人の爲に土地を開放しようと云ふ熱意から深切を以て開放を試みましても、なかなかさうは行かない、さう云ふ事實が相當にあるのであります、又一方には地主として、眞に小作人を助けて、共に倶に農業經營を勵むべきであるに拘らず、實に強慾な態度を執つた者もあると云ふことで、まあ一言にして申しますれば、屡屡失敗をして居ります、失敗をして居ると申して宜いのだと思ふのであります、政府も亦之に對して相當の努力を致しましたけれども、なかなか思ふやうには結果を擧げて居りませぬ、結局はそれはどう云ふことであるかと申しますれば、矢張り經濟上の理由、或は社會關係の根柢から、斯樣な事實となつて現れたものと考へる外はないのであります、例へば地主になるよりも小作になつて居る方が有利である、或は社會的に鬪爭觀念と申しては言葉が惡いかも知れませぬが、所謂階級對立の觀念等から、寧ろ鬪つて居ると云ふことの方が有利であるかどうかは知れませぬけれども、さう云ふ風な態度を執つて居る者がないとも言はれなかつたのであります、斯う云ふことに乘じて色々な社會運動家、農村運動家が色々な策動を試みた事實は、明かに擧つて居るのであります、今日はもうさう云ふ時ではない、即ち「ポツダム」宣言を受諾致しました以上は、是はどうしても此の農村民主化と云ふことが、茲に出て來なければならぬ一大英斷となつて現れた所のものが、此の自作農創設特別措置法案及び農地調整法の一部を改正する法律案であります、併し之に對しましては、社會が一般に相當の疑惑を持つて居るのであります、何故かと申しますれば昨年と申しまするか、既に前議會に於て農地調整法が制定せられたばかりである、又之をやる、一體是はどう云ふ譯か、急速である、而して徹底的である、さう云ふ點を考へて見ますると云ふと、從來の色々な經緯から頭の解放せられない所の人達は、非常な危惧の念を懷いて居るのであります、現に農地改革の案が發表せられました當時、八月の中旬であります、「政府は多數農民を隷屬的存在から解放し經濟民主化を以て農村の封建性を拂拭すると共に農業生産力發展の基礎を確立するため農地の公平配分を一段と強化徹底する必要あるを認め」云々、斯う云ふことが書いてある、さうして此の第二次の農地改革案と云ふものを發表されて居るのであります、此の農地改革案の内容其のものと、只今私が新聞から朗讀致しました其の前文のものとは、關係があるかないか、政府は其の通りの意思を以て御出しになつたのであるかどうかは私は分りませぬけれども、併し是は見樣に依りますと、實に所謂階級の爭議、或は鬪爭と云ふものを茲に激發するの虞があると私は考へる、さうしますると例へば只今の二箇年間に於て、二百萬町歩を開放すると云ふ此の計畫それ自身も、果して圓滑に實行出來るであるかどうかと云ふことに付ては疑なきを得なくなるのであります、尚承りまする所に依りますれば、農林省の玄關に農民が、農民の解放の爲に挺身せむとする所の職員諸君に愬へると云ふ貼札がしてある、それはどう云ふことか、見樣に依りますれば全く惡地主征伐の爲に、是から義勇軍となつて飛び出して行け、其の有志を募るのであると云ふやうな意味に取れないことはない、さう云ふ檄文が貼つてあると云ふことであります、是は委員會に於て問題となつたと云ふことであります、若しさう云ふやうな態度で、此の大切な農村の民主化、それを徹底して實現しなければならぬ所の、此の大切な事業を完成する上に於て、どの位邪魔になるか分らぬと思ふのであります、私は此の點に付きましては、實にさう云ふことがないと云ふことを信ずるのでありまするけれども、願はくは此の疑問を、疑惑を拂拭して掛りたい、斯樣に考へるのであります、今日思想界の各方面を見ましても、甚だ穩當でないのであります、個人の生存權を主張する、是は人權の確立の根本的の事柄でありまするから、固より當然でありまする、併しながら各人が其の權利を主張しまする時に、他人の權利を害してはいけない、共同生活の福祉を毀損してはいけないと云ふことは、どうしても守らなければならぬのであります、自分が自由の立場であるだけそれだけ、自ら自分の頭の中にある所の監督者に從つて行動することでなければならぬ、是が今日所謂解放せられた日本人としてどれだけ行き過ぎがあるかと云ふことは明かな澤山の事實がある、或は更にさうでなくて、其の以上に團結權を利用して、さうして所謂階級鬪爭の如きものに耽つて居る事實がある、それが法規の中に嵌つて適正であるかどうかと云ふことは、極めて愼重な、極めて穩健な團體行動でなければならぬのに、私は今日遺憾ながらさうでないと思ふ澤山の鬪爭委員長と云ふやうな者を、鬪爭委員會と云ふやうなものを掲げて、さうして鬪爭をするのだと云ふやうな態度に出て居ることが澤山ある、今日の「ゼネスト」の如きは、實に恐るべきことである、私が聞く所に依れば、來年の三月迄は「ゼネスト」をやるんだと云ふことを高言して居る者があると云ふことであります、斯う云ふ風に、所謂法律でありましても、是が安んじて信用を持つて圓滑に實施せられるであらうかと云ふことに付ては、非常な疑惑を懷くと云ふことは當然であると私は思ふのであります、それは自作農創設特別措置法の第一條を讀んで見ましても、是は實に能く出來て居ります、能く出來て居りまするけれども、併し是は見方に依りますと、只今私が心配したやうな、其の心配がはつきり盛られて居るんだと言はれても仕方ないやうに考へるのであります、どうか私は斯う云ふやうな考を捨てて、疑惑を捨てて掛つて貰ひたい、而して又之が執行の任に當る所の當局は勿論でありまするけれども、其の色々な重大な關係に立つ所の農地委員にしましても、其の他の關係者に於きまして、虚心坦懷に此の大事な法律の實行せられるやうに圖つて戴きたいと云ふことを考へるのであります、或は一體さう急いで矢繼早に是が出たのは何であるか、私は其の内情は能く存じませぬ、全く存じませぬ、併しながら之に依つて封建の餘勢を拂拭するのだ、或は日本の軍國主義の再建の基を粉碎するのだと云ふやうな説がある、是は多分外國から出た所の、外國から出たと申しては相濟みませぬが、外國流の考へ方で、日本はまだ封建的である、或は軍國主義が又更に必ず起る、例へば東「プロシャ」の「ユンケル」の制度の如きものは、更に「ナチス」の再建をさせたと云ふやうな其の根源となるのではないかと云ふやうなことを心配して居る者がないとは限らぬ、私は今日の日本には斷じてそんなことはない、斯樣に考へるものであります、どうか一つ有らゆる方面の心配を除去して、さうして虚心坦懷に快く此の仕事が出來まするやうに、官民共に努力して欲しいと云ふことが私の考へ方であります、只今委員長の御報告に依りましても、私は又昨日、一昨日兩日、委員會を傍聽に參りました、其の委員會の審議の内容に付きましても、私は非常に質すべきは質し、言ふべきは言うて委員諸君が實に好い事を言うて下すつて居ると思ひます、又之に對する政府の答辯も極めて穩健であり、明快であつて、流石に此の法律を實行するに於ては、眞に國家の爲におやりになる、其の御氣持が能く現れて居つたと思ふのであります、でありまするから、委員長の報告は簡單でありまするけれども、併し願はくは、あの委員會の内容、或は速記録と云ふものを印刷にでもして、速かに之を天下に知らしめて戴きたいと云ふやうに考へるのであります、どうしても、我々は此の際從來の考へ方を捨て、眞に自由の民となり、民主政治を行ふと云ふ態度に出なければならぬと私は考へるのであります、是が過日我々が協贊致しました所の新憲法の精神其のものであります、一體我が國は、古來全く封建的であつて、或は一般の人は隷屬的である、さう云ふことであつて、眞に固有の自由思想、或は民主主義と云ふものはないであらう、なかつたであらう、さう考へまする時に、私はなかつたのではない、あつたんだ、封建時代に於きましても、斯う云ふものがあつたんだと云ふことを私は信ずる者であります、それは封建時代に於きましても、特別の發達をなして居る、即ち私は其の教へを奉じて居る所の一人でありまするが、二宮尊徳翁の教へ其のものである、二宮尊徳翁が一生七十年を通じて努力したのは、此の封建時代に於て最も苦しい時に、如何に民力を養ひ、如何に民主主義に徹底した所の政治を農村に實行したかと云ふ其の事實、之に依つて私は證明出來ると思ふのであります、もう一人大原幽學と云ふ學者があります、此の方の仕事も、亦私は同樣であると思ふのであります、今日の耕地の廢合、耕地の分配、交換の如きものは、大原先生が既に之を實行致して居るのであります、珍らしいことでも何でもない、即ちそれはどう云ふことかと申しますれば、各個人が自分の爲の利益の主張を捨てるのであります、即ち御互に他の人の存在を尊重致します、此の觀念は人と人との觀念ばかりでなくして、人と物との關係に於ても立つのであります、物を大切にする、さうして物の増加に依つて、或は人を尊敬する、人の協力、さうして圓滿なる社會を作り、生産を増加する、分配を公平にすると云ふ此の行き方であります、言ひ換へれば經濟と道徳とが一致する、道徳に依つて經濟を進め、經濟に依つて道徳を完うする、斯う云ふ考へ方であるのであります、土地に付て申しましても、是は昔から我我大和民族、大和民族と云ふことは今日惡いか知れませぬが、日本人の祖先が昔から之に依つて生存をし、之を神樣から受繼いで來た大切なものである、而して之を子孫にずつと傳へるのである、我々は之を管理し、之の力を發展させて、さうして永久に繁榮を築いて行くのだと云ふ觀念であります、で其の方法と致しましては、第一に勤勞であります、第二に分度を立てると云ふことであります、而して推讓を爲す、物を餘して推讓をする、結局生産を十分に擴充して、さうして生活を裕かにすると云ふ考であります、此の考から申しますると、土地に對する、耕地に對する地主、小作人の關係はどうであると申しますれば、土地は全く自分が天から預つて居る所の生産手段である、是は共産主義の意味ではありませぬ、併し之に依つて地主も小作人も、共に相互に勤勞を致して、さうしてそれに依つて生産を擧げて行くと云ふ考へ方であります、斯う云ふ考の盛なる村に、或時小作官が參りまして、小作人に對して自作農創設の方法があるのであるから、自作農にならないかと云ふことを奬めた、さうすると小作人は之を斷つたのであります、それを斷つた理由は、算盤勘定で以て自作農になるよりは、小作人で居る方が得であると云ふ所の考へ方ではないのであります、それはどう云ふことか、自分が食糧増産に一生懸命働いて行くことの出來るのは、地主たらざるが故である、耕作を專らやると云ふ、一番自由に耕作をやる所の地位、即ち小作人の地位が一番宜いからである、斯う云ふのであります、小作官が來てお前の小作料は安過ぎると云ふことを言ふ、いや高過ぎると云ふことを言ふ、いやさうではない、私が是だけ骨を折つて耕作に從事致しまするから、私の扱つて居る所の田は四俵しか穫れなかつたのが、今日は八俵になつた、而して小作料は同じである、若し其の點から申しますれば、小作料は安過ぎる、高くなつても、高く出しても宜いから、どうか小作人に置いて戴きたいと云ふことを言つて居るのであります、其の間に何等不純の算盤勘定の利害觀から來て居る言葉ではないのである、斯う云ふ風になつて行つて居るのであります、それから小作料を納める時に、金納が宜いか物納が宜いかと云ふことは、法律ではもう決つて居ります、併しながら物納をやつて居る、それはどう云ふことか、結り地主と小作人と相共に共同して耕して、出た其の收穫を、御互に之を見て喜んで、さうして分け合ふと云ふ心持なのである、金に對する氣持と物を尊重する氣持と、茲にはつきり出て來るのであります、私は是はちつとも不思議ではない、是こそ本當に農村の淳風美俗である、斯う云ふ風に考へるのである、それから斯う云ふ實例もある、靜岡縣の庵原村に於きましては、非常に澤山の蜜柑が出來る、而して收入が多い、昭和十七八年頃、日本の食糧は主食糧が大分足りなくなつて來て、戰爭が思ふやうに行つて居ない、そこで何とかして一つ果樹を拔いて、さうして主食糧を作れと云ふ命令が出て居る、處が、此の庵原村は蜜柑山畑である、田が少い、であるから、米はどうしても穫れない、併し山畑の蜜柑を拔いてしまつた所で、直ぐにそれで食糧増産と云ふことは出來ない、さうするとどうしたかと申しますれば、其の蜜柑を耕作して居る者が、其の蜜柑の賣上代金から、村の他の一方に於て米を作つて居る農民に對して、一俵に付て十圓づつ報謝金を出して居るのである、斯う云ふ考が方々に起るのでありませうか、儲けた金は是は俺の儲けたのだ、之を外にやると云ふことは俺達の損害なのだと云ふことを考へるのが今日の普通であります、此の村に於てはさうではないのであります、さう云ふ考でありますから、農村と云ふものは本當に良く行くのである、是は昭和十八年から實行したと思ふのでありますが、昭和十八年に、一俵に對して報謝金として十圓づつ出して居ると云ふやうな事實があるのであります、即ち共同的に生活をし、御互を尊重し、御互を助けてやつて行くと云ふ、其の心持がはつきりと斯う云ふ風に出て居るのである、私は此の兩法律を實行する場合に於ても、斯くの如き淳風美俗が殘つて行くやうに、寧ろ之が發展して行くやうにして欲しいのである、それでなかつたならば、初めに讀上げました此の法律案が新聞に出ました時の前文の如き結果になりましたならば、是は恐ろしいことになる、斯樣に考へるのであります、もう一つの例を擧げて見ますと、地主が供出する所の米は一俵二十二圓で買上げられる、小作人が生産者として供出する場合には百二十五圓であつたと記憶致すのである、そこで或村に於きましては、小作人が地主を訪ねて參りまして、一俵に付て五十圓づつ地主に差上げる、贈與すると云ふことを言ひ出たのであります、それはどう云ふことかと申せば、あなたも私も同じやうに食糧増産に骨を折つて居つたのだ、然るにあなたが供出する所のものは、一俵に付て二十二圓でしか買上げられない、私が供出する所のものは百二十五圓である、其の差は凡そ百圓、さうすると此の百圓は自分が一人で取るべきものにあらず、それ故に半分を御返しするのだ、差上げるのではない、御返しするのだと云ふことを言つた、斯う云ふ實例等もあるのであります、斯う云ふ風な淳風美俗が行はれて居る、どうか此の法律を實施する時には、我々の仲間の農民の心持を十分に尊重して、それが活きて行くやうに、又是が本當に伸びて行くやうに御實施を願ひたいのであります、どうして斯う云ふことが行はれるのであるかと申しますれば、是は常會であります、常會を常に開いて、さうしてそれに依つて一般の悉くの人間の發言をさせて、一番の良い考を茲で引出す、是が即ち只今のやうな淳風美俗を養成し、さうして是が色々な方面に於て發展して行く所の一つの有力な機關、最近に於きましては、此の戰爭の際に常會と云ふものを内務省から作らせられました、それのやつて居る常會と云ふものは凡そ評判の惡いものである、是は我々の常會から言へば非常な迷惑なことである、そんなものではない、それでありますから、今日我々が開いて居りまする常會は千百人以上、千三百人位の出席が常にあるのであります、是が何處からの命令に依つてさう云ふ人達が集るとか何とか云ふことは到底考へることは出來ない、通知一本出さないでも、決つた日には集つて來るのであります、村々の常會に至りましては、三十年間毎月必ず出て、缺席したことがないと云ふ人もあるのであります、さう云ふ村は實に良く行つて居るのであります、是は何かと言へば、各人の意見を反映して、其の意見に依つて仕事が行はれる、是こそ本當の民主主義であります、日本固有の民主主義であります、先刻讀上げました法律案の第一條に農村の民主化を促進すると云ふことは、もう既に是は出來上つて居る、私は左樣に考へるのであります、更に私は今日の此の日本の實情を見まして、生産が減退し、道義が荒廢して居る、或は山河破れて居ると云ふ迄行つて居る、之をどうして建直して行くかと言へば、結局は私は此の方法に依つて行くの外はないのだと思ふのであります、嘗て天保の飢饉に於て之を救ひ、此の道の行はれて居る所では、一人の餓死者がなかつた、或は又相馬藩の衰退、十五六萬石の實状が三萬石、四萬石になつたものを救つてしまつたと云ふやうな事實がある、今日の實情と比べまして食糧の窮迫の問題に致しましても、又經濟及び政治の衰退した、頽廢した實情から考へましても、此の方法が最も宜いと思ふのであります、更に私は農村人の立場として、食糧の自給自足政策と云ふものに付て政府に要望致したいのであります、實は我が國の食糧事情が最近最も惡かつた、幸にして聯合軍司令部の御配慮に依りまして、我々は今日迄生き延びて來た、もう是で何とかやつて行けると云ふ途が附いた、斯樣に考へるのであります、從ひまして其の内に二合五勺の配給になるであらうとか云ふやうなことなども言はれて居りますが、まだはつきり其の内容は存じませぬ、之に對しましては、今年の豐作が非常に良い結果を持つて居ると云ふことは考へられるのでありまするが、併しどうか私は食糧の自給自足政策だけは是は棄てたくないのだと、斯樣に考へるのであります、算盤勘定に早い人は、外國から持つて來れば宜いぢやないかと云ふことを直ぐ申すでありませうが、斯うなれば農村は破壞であります、私はそれは甚だ面白くない、又何處の國で、世界全般が必ず豐作であるかどうかと云ふことも分らないのであります、結局はそれならば、食糧自給政策と云ふものが出來るか出來ないかと云ふ問題でありますが、私は是は出來るのだと、斯う考へます、何となれば私共はそれだけの生産力を持つて居るのだ、之を徹底させれば宜しいのだ、どうして徹底させるかと申しますれば、大體に於て幾ら要るのだと申せば、三合配給と致しましても八千萬石、或はもう少しあれば宜い、それ位なことは米と麥と芋類の増産に依つて、私は必ず出來ると思ふのであります、不幸にして出來なかつた時には、海外に依存するの外はありませぬけれども、併し自給政策を立てると云ふことは私はむづかしくないと斯樣に考へます、私は不幸にして農林大臣からまだ食糧増産計畫を伺ふことが出來なかつたのでありまするから、私の意見は當局の御考に對しては、どう云ふ價値を持つかは存じませぬ、先づ米に付て申しますれば、大體是迄の普通作が一段歩二石、陸稻に於て七斗内外であります、之を三石に上げると云ふことは、私はさう無理ではない、骨は折れますけれども行き得ると思ひます、麥に付きましては大體一石五斗位でありませう、是も私は十俵、四石迄は上げ得ると思ひます、甘藷に付ては三百五十貫、之を千貫に上げると云ふことも、是も出來ると思ひます、馬鈴薯に於ても二百五十貫を五百貫に上げることは出來ると思ひます、只今のは希望の數字であります、希望の數字でありまするから無理かも知れませぬけれども、併し私は現在のやうな生産力の低下と云ふことでなしに、相當伸ばし得るものだと考へるのであります、さう致しますれば、どうしても此の三合配給程度のものに行くと云ふことは、是は間違ひない、斯樣に信ずる者であります、戰爭後土地は少くなり、而して人口は殖えた、從つてどうしても食糧の増産と云ふことに邁進しなければならぬ、即ち有らゆる方法を以て集約的の農法を實行しなければならぬ、只今委員長の御擧げになりました方法と云ふものは、即座に採らるべきものであります、で、只今のやうな方法、私共は是は自分達の増産技術、技術として之を持つて居るのであります、蔬菜に付て申しましても、實に驚くべき成績を擧げて居る者は、一枚の畑を八囘位作つて、蔬菜を生産して居ります、是は面積を無闇に殖やすことでなしに、面積の殖えたと同樣な力を生産量に現して居ると云ふことになるのであります、而して是等の耕作をやつて居る人達はどう云ふ人かと申しますれば、皆營々として農業に專心し、研究を怠らずに眞面目にやつて居る所の農民であります、畑一段歩、相當な畑が一段歩ありまするならば、甘藷と麥作とを之に交互に使ひますれば、一年の生産量は以て八人の人口を養ふことが出來ると私は考へて居る、でありまするから、斯樣な農民のやり方に從ひまして、斯樣な生産力を上げて行く方法を普及致しますならば、何でもないのであります、茲に私は農民の名前を持つて居りますが、之を擧げることは致しませぬ、併し大體一町五段歩位を耕して、其の一町五段歩の半分は自作地であり、半分は小作地である小作人である、さう云ふ人達の仕事であります、而して是等の人達が各地に指導者となつて行く其の場合に於きましては、日數の多い者は、延に致しまして三箇月以上、或は四箇月位に亙つて不在になりますが、而も其の人の生産力はちつとも落ちて居ないと云ふことを考へまする時に、私は是等の只今申上げました生産標準が達せられないことはないと、斯樣に考へるのであります、小作人であるから生産が上らない、小作人が搾取せられるから貧乏であると云ふことに付て私は申したい、小作人であるからと云ふことでなくして、懶け者であるから生産が上らないのだ、勤勉に工夫を凝らし、勞力を惜まずやりますれば、一枚の畑を八囘も使へる所に於ては、小作料はちつとも上りませぬ、自分自身で以て小作料を低減する方法は幾らでもある、寧ろ申しますれば、私は小作と云ふこと、それは却て理想的の農業を營むに便利ではないかと考へる、是は此の法律の精神とは逆行して居るかも知れませぬ、併しどんな商賣を營むにしましても、自分が總ての資本を持つて居る必要はないのである、銀行から借りることが出來る、而して商賣は何處迄も發展出來る、だから自分の力に應じて耕作力に應じて、さうして土地を借り、所謂小作をすると云ふことはちつとも差支ない、寧ろ是は私は奬勵して、尊敬して宜いんぢやないかと考へるのである、土地制度が非常に窮屈になつて參りました今日に於きましては、私はさう云ふことを考へる餘地があり、又値打がある、斯樣に私は思ふのである、斯くして參りましたならば、是は相當の生産が上る、從つて自給自足と云ふことは十分に行く、斯樣に私は信ずる者である、之を農家に施して、農家の實收が倍になつて居る例は澤山ある、私の村などは倍を越して居ります、二箇年にして倍額に達したものがあるのである、されば之を府縣に施したならば、例へば或縣は食糧が足りなくて他から移入しなければならぬ縣であると云ふ土地でも、其の指導の方法宜しきを得れば、移入は立どころに止まると私は考へる、又東京なり或は大阪なり、大都市を中心とする大消費都市に於きましても、それに供給する所の食糧自給圏、供給圏と云ふものを作りまして、それに適當な計畫を立てた所の食糧の増産を致しまするならば、食糧の自給自足と云ふものは極めて易く行くのではないかと思ふのであります、東京で食べる所の甘藷を鹿兒島縣から取る、是は事實である、皆さんは御承知ないかも知れませぬが、さう云ふ事實があつた、さう云ふ妙なことをしなくつても、周圍から之を取れば宜しい、其の方法を考へますれば、今後は中央政府の仕事が大分地方に行き、地方自治、府縣單位、或は府縣「ブロック」單位に於て、之を考へらるべき時が來るのでありまするから、斯樣な政策は出來得るのだと私は思ふのであります、どうか斯う云ふ風にして食糧の自給自足、まだまだ人口が八千萬にならうが、之を超さうが、ちつとも私は差支ないと斯う考へます、之に對しましてどうか政府は十分な御考慮を願ひたい、而して願くは此の自給政策をもう捨てて顧みないと云ふやうな態度では困るのであります、是はもう全く此の日本に對しまして、外國からの食糧の「ダンピング」を防ぐことは出來ない、啻でさへ零細農になり、啻でさへ有らゆる産業が皆小さく縮こまつてしまつた時に、此の外國の「ダンピング」を許されたならば、是は一たまりもなく社會崩壞の原因となるのであります、此の點に付ては十分な御考慮を願ひたいのであります、もう一二申上げて降壇を致したいと思ひます、農地の開發、開墾であります、是は今日非常な力を以て政府が御實施になつて居る事柄で、此の度私共が協贊致しました此の豫算に於きましても、農地を急に開發する、即ち失業對策の一面と、又食糧増産の一面とを持つて居る一石二鳥の考でありまするが、是は大變結構なことである、併しながらもう一つ考へて戴きたいのは、從來の既墾地がどんなに減つて行くかと云ふ事實であります、水田に於きまして一番多かつた時は、私能く統計は分りませぬが、二百二十五萬町歩であつたと思ひます、一昨年は百九十二萬町歩に減つて居ります、三十餘萬町歩減つて居る、麥を作る畑はどうであるかと申せば、多かつた年は百九十一萬町歩、之が百七十二萬町歩に減つて居ります、約二十萬町歩減つて居ります、開墾をしたからと云つて、それで直ぐ生産力が充實するものではありませぬ、殊に開墾をする土地として殘つて居るのは、どうしても生産力の乏しい土地であります、之に生産力を十分やらうとするならば、どうしたつて肥料が要るのであります、一番簡單に澤山出來る所の甘藷に付て見ましても、全くの荒地を起した所の成績は甚だ面白くない、況や米とか麥とか、其の他のものに於きましては、是はどうしても肥料が要るのであります、今日啻さへ肥料のない所に、さう云ふものに肥料を投ずる餘地は私はないと考へる、私は開墾をお止しなさいと云ふのではありませぬ、國家の將來を考へまする時に、是は必要であります、又失業對策としては最も重要なことでありまするが、之に對して急速に重きを置く所のことは出來ないと私は考へるのであります、それよりも水田に於て減つて居る所の三十萬町歩、麥畑で減つて居る所の二十萬町歩を先づ復舊致したいのであります、此の中には色々な名義に於て、會社等の特殊の蔬菜園、或は耕地になつて居るのもあります、併し素人がやつてもいけませぬ、それよりは之を本當の百姓に與へて、眞に生産力を増加させて戴きたいのであります、是は戰爭の當時に於きまして隨分斯う云ふ例はあつた、殊に戰地に近い方面、例へば九州南端地方、宮崎縣の如きは殆ど一萬町歩近く田畑が潰れて居つたと思ふ、之を一つ囘復して戴きたいのであります、新聞で見ましたから、分りませぬけれども、小麥を四百萬石餘計明年度は作らなければならぬと云ふ計畫は、此の開墾の實施と云ふことに主眼を入れたならば、是は不可能であります、結局は今迄の既存耕地を小麥作に轉換すると云ふことの外にはないのであります、其の結果は必ずしも總計に於ては芳しく出て來ないであらうと云ふことを心配する者であります、もう一つ耕地の擴張に付て考へて戴きたいのは、砂防を完成致して崩壞地を止めると云ふことであります、年々の國土荒廢と云ふものは非常なものであります、砂防を一度上流に於て完成致しますれば、此の荒廢は止まるのであります、而して下流に於ての大きな面積の廣水域と云ふものは、是は耕地として立派に利用出來るのであります、現に私が報告を得て居る所の荒川一本に於きましても、三千町歩は確かに出來ると云ふことであります、實に良く肥えて居るのであります、殊に是等は牧畜に使ふと云ふだけならば、大變な良い結果が出來るであらうと思ふのであります、さう云ふことを考へますると、例へば利根川にしても、或は淀川にしても、信濃川にしても、北上川にしても、球磨川にしても、さう云ふ餘地は相當にあると思ふのであります、斯う云ふ所から先づ著手せられたら宜しいと思ふのであります、最後に申したいのは、それは粉食のことであります、私が演壇に立ちますと藷狂ひが出て喋り散らすと御考になるのであります、矢張り私は藷狂ひであります、さうして之をどう云ふ風にして食べるかと申しますと、粉食であります、粉食が一番宜しいのであります、結局は今年の如きは私は二十五億貫甘藷は出來たと思ひます、之をどう始末するか、今日の政府の管理方法、統制の方法ではなかなか始末が附かぬと思ふ、願くは是は年來主張して居る所の粉末にする、粉末工場の活躍の外はないと思ふのであります、而して是は甘藷ばかりでなしに、馬鈴薯もさうであると思ひます、さうしますと凡そ都會人に對しては、一日一食は麺麭を食べさせたいと思ふのであります、是は最も有效な食糧の確保方法であると信ずるのであります、願くは之に付て十分なる推進を願ひたいのであります、もう私に對しては貴樣は澤山藷を作つたが、併し今年は腐つて居るぞ、私は腐る藷は作らないのであります、併し腐らせる所がある、是は止めて貰ひたいのであります、(拍手)私に對する攻撃は、私から外に對して申したい抗議である、さう云ふ事實が起つて來る、併し私は構ひませぬ、兎に角腐つても宜いから、宜いとは申しませぬが、作つて作つて作り拔いて、何處迄食糧が澤山豐富になるかと云ふことを見たいのであります、是が行きますれば、實に總ての産業の興隆の本となり、道義が復活する所の本となる、斯う云ふ風にして行かなければならぬと私は思ふのであります、どうか此の案の成立を機會と致しまして、斯う云ふ問題に付て眞劍に努力して戴きたい、斯う云ふことを申しますると、一つの標準農場を作ると云ふやうなことがある、五箇村に一農場を作る、結構である、併し從來の農事試驗場や政府のおやりになつたやうな農場、あ、云ふ方法では到底駄目であります、願くは本當に之をやる所の百姓、篤農者、特殊農者を中心として、技術者は、技術家が之を助けて仕事を完成すると云ふ迄に行つて欲しいのであります、私は現に本原均博士の品種改良の種を取りまして、其の種に依つて如何に食糧は増産出來るかと云ふ、其の方法を實驗中であります、言ひ換へれば、我々のやつて居る所の食糧増産の經驗ある者に之を作らせて居る、品種改良に依つて生産の倍率が出て參ります、併し是は眞に栽培法の實施に依つて其の實效を擧げて來るのでなければ物足らないのである、私は兩々相俟つて、初めて效果を全うするものであると信ずるからであります、まだ本年の成績を私は存じませぬけれども、必ずや茲に大きな結果が現れて來ると私は考へるのである、私共のやつて居りまする所の農村は斯樣に致しまして、今日では食糧増産の面から行きますれば、二年で以て倍になつた所もある、三年で行つて居る場所もある、さうすると農村に紛爭と云ふものはないのである、非常にむづかしい惡い村でも食糧増産一點張りで突込んで行きますると、皆一緒になります、それは實に和氣靄々たる良い村になるのである、斯う云ふ村は各地にある、是は私共さう云ふことをやつて居る、前からやつて居る村で、靜岡縣の菅山村、或は宮城縣の志波姫村、靜岡縣の和田岡村、土方村、島根縣の安田村とか、實に良い村が澤山あるのである、是が即ち全國を率ゐる所の模範農村であります、模範農場であつて模範農村であります、之に本當に技術者が熱意を以て此の仕事を助けて戴きたいのである、どうか私は斯樣な意味に於て、此の案に贊成します、要するのに我々が是からやらなければならぬ所の民主政治は責任政治である、どうか當局者は勿論、此の仕事に當る者は、先づ以て自分の責任を盡して戴きたい、是は從來誰が言つても、其の積りで言つても、責任を忘れて居る人が多いのである、實に是はいけないと思ひます、第二に民主政治と協力政治であります、御互に助け合ふ、御互に感謝を以て助け合ふのが協力政治である、自分が自分の爲に物を奪ふ、人を牛耳ると云ふのではない、自分の全智全能を捧げて人に盡す、是が協力政治である、私は此の考が徹底せざる限りは日本は滅びると思ひます、(拍手)今日のやうな「ゼネスト」が行はれて、政府も之を抑へる力がなく、勝手に行く儘に行つたならば、是はどうなりますか、矢張り個人が自ら考へて、其の方向を轉換するの外はない、斯樣に考へます、即ち民主政治はもう一つ申しますれば道義政治である、道義政治になつて初めて完全なんである、鬪爭の政治ではありませぬ、鬪爭は片つ方が勝つて、片つ方が倒れるのであります、是でどうして我が困つた今日の時局を救ふことが出來ませう、私は農民の立場から、斯樣な意見を述べまして此の兩案に贊成する者であります、(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=28
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029・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 他に御發言もなければ兩案の採決を致します、兩案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=29
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030・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=30
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031・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに兩案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=31
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032・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=32
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033・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=33
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034・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=34
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035・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 兩案の第二讀會を開きます、御異議がなければ全部を問題に供します、兩案全部委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=35
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036・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=36
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037・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに兩案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=37
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038・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=38
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039・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=39
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040・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
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041・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 兩案の第三讀會を開きます、兩案全部第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=41
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042・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、休憩を致します、午後は一時より開會致します
午後零時十一分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=42
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043・会議録情報5
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午後一時八分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=43
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044・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 午前に引續き會議を開きます、日程第五、戰時補償特別措置法案、日程第六、金融機關再建整備法案、日程第七、特別和議法案、日程第八、大藏省預金部等損失特別處理法案、日程第九、厚生年金保險法及び船員保險法特例案、日程第十、企業再建整備法案、日程第十一、財産税法案、日程第十二、財産税等收入金特別會計法案、日程第十三、企業整備資金措置法を廢止する等の法律案、日程第十四、帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律案、日程第十五、復興金融金庫及び産業復興營團出資拂込金支辨のための公債發行に關する法律案、日程第十六、自作農創設特別措置特別會計法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會の續、委員長報告、是等の十二案を一括して議題と爲すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=44
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045・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、委員長三土忠造君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=45
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046・会議録情報6
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戰時補償特別措置法案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年十月十日
委員長 三土忠造
貴族院議長公爵徳川家正殿
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金融機關再建整備法案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年十月十日
委員長 三土忠造
貴族院議長公爵徳川家正殿
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特別和議法案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年十月十日
委員長 三土忠造
貴族院議長公爵徳川家正殿
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大藏省預金部等損失特別處理法案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年十月十日
委員長 三土忠造
貴族院議長公爵徳川家正殿
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厚生年金保險法及び船員保險法特例案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年十月十日
委員長 三土忠造
貴族院議長公爵徳川家正殿
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企業再建整備法案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年十月十日
委員長 三土忠造
貴族院議長公爵徳川家正殿
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財産税法案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年十月十日
委員長 三土忠造
貴族院議長公爵徳川家正殿
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財産税等收入金特別會計法案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年十月十日
委員長 三土忠造
貴族院議長公爵徳川家正殿
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企業整備資金措置法を廢止する等の法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年十月十日
委員長 三土忠造
貴族院議長公爵徳川家正殿
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帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年十月十日
委員長 三土忠造
貴族院議長公爵徳川家正殿
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復興金融金庫及び産業復興營團出資拂込金支辨のための公債發行に關する法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年十月十日
委員長 三土忠造
貴族院議長公爵徳川家正殿
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自作農創設特別措置特別會計法案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十一年十月十日
委員長 三土忠造
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔三土忠造君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=46
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047・三土忠造
○三土忠造君 只今議題と相成りました法律案は實に十二種類の多きに及んで居るのであります、此の中でも殊に戰時補償特別措置法案、金融機關再建整備法案、企業再建整備法案及び財産税法案、此の四つは恐らく我が國肇つて以來の重大法律案であります、此の四つに依つて我が國の經濟上社會上に大激變を來す法律案であります、申さば社會革命、經濟革命を起すべき重大案件であります、是等を主として十二法律案を同一委員に付託されたのでありまするが、此の四案だけでも、各各一つが一箇月や一箇月半掛らなければ、十分審議出來ない程の問題であります、然るに會期切迫の際、是等の外に尚附加へまして十二法律案が同一委員會に付託されました、正味三日間で之を議了せむければならぬと云ふのでありまするから、非常なむつかしいことでありまして、先づ各委員が申合せまして、議論は拔きにして本當の質疑と思ふ點を要領だけを述べ、政府に於きましても曖昧なことは拔きにして、簡單明瞭に答へると云ふことを前提條件として、委員會を開きました、從つて三日間に於ける質問應答は非常に壓縮してありまするが、殊にどの質問を見ましても、どの答辯を見ましても、重要なるものばかりであります、故に是迄の慣例に從ひますと云ふと、委員會に於ける重要質問應答を御報告することになつて居るやうでありますが、それを一々やつて居る譯に參りませぬ、皆全部が重要なものでありますから、どれを拔く譯にも行かぬのであります、そこで質問應答のことを一々申さずに、掻ひ括めて、大體委員會に於て明瞭になつたことの大筋だけを一括して申上げて、御報告に代へたいと思ひます、此の度政府が補償打切りを斷行しなければならぬと云ふことになりまして、其の準備行爲として、先般兩院に於て即決可決されました非常な重大問題たるあの應急措置法案、金融機關の應急措置法案と、それから會社の經理措置法案、あの二つが此の度の打切りの準備になつて居るのであります、あの準備の基礎の上に今度の打切り計畫が出來たのであります、それで戰時補償特別措置法案は此の補償打切りの法案でありまして、其の補償打切りの結果として後の整理をするのが金融機關再建整備法案、企業再建整備法案、斯うなるのであります、財産税の法案の方は、是は別箇のものであります、後で申上げまするが、此の補償打切りに依りまして、之を其の儘にして置けば大變なことになりまするのを、何とかして善後策を講じようと云ふのが金融機關再建整備法案、企業再建整備法案であります、是等と同じ…小さうございますが、矢張り同じものが、大藏省預金部等損失特別處理法案、矢張り金融機關の一つでありまするが、是が丁度金融機關の中に含まれるのでありますが、別箇に扱つてあるのであります、それから此の金融機關の再建、企業再建、之をやりまする爲に、普通の商法、民法の規定に從ひますと云ふと、破産がどんどん起つて參ります、成るべく破産をせしめないやうにと云ふので、茲に特別和議法案と云ふのが之に伴うて必要となつて參つたのであります、即ち戰時補償特別措置法案と金融機關再建整備法案、企業再建整備法案、大藏省預金部等損失特別處理法案、特別和議法案、此の五つが、一つの補償打切りの善後處置として、必要となつた法案であります、財産税法案の方はまるきり別箇のものでありまして、是は非常な國庫收入に缺陷を生じまして、公債を以て賄ひ切れない程度迄になつて參つたので、思切つて茲に財産税と云ふ一時限りの特別な税法を設けまして、之に依つて一度に非常な財産を、謂はば捲き上げて、赤字の補填の一部に充てる、是は全部にはならぬのであります、ほんの一部に充てる爲に、四百三十五億圓と云ふ國民の財産を取上げる、斯う云ふ案であります、而して財産税は到底現金では取れませぬ、從つて物納をやらなければならぬ、物納を許すのには、不動産、有價證券等の處分はさう簡單に參りませぬ、政府の計畫に依りますと、凡そ五六年間掛らなければ、此の取上げた財産を處分することは出來ないと云ふのであります、處が一方に於きましては、其の歳入は一般會計の財源に計上してあるのでありまするから、そこで茲に之を財産税收入を特別會計として、さうして特別會計の持つて居る財産を引當に、日本銀行から借入れるなり、或は公債の形にして公債を發行せしむるなりして、此の特別會計の負擔に於て徐々に計算して行く、詰りそこで特別會計を設定する必要が起つたのであります、戰時補償特別措置法案と云ふものは、是迄に戰時中金融機關に對しても、製造業者に對しましても、或は他の生産者に對しましても、其の外保險會社に對しましても、政府が命令融資をさせ、之に保證を與へ、さうして事業會社の工場、設備等をどんどん擴張さした、それへ全部政府が保證して居つたのでありまするが、處が、今日では御承知の通りな状況でありまするから、到底保證義務を果すことが出來ない、そこで之を打切るより外ない、政府が保證してやらした大變な金高に上る補償金、之に依つて金融機關は融通し、生産業者はそれに依つて事業を擴張し、生産品を納め、製造業者の外に農民なども食糧、馬糧等のやうなものを納めて居ります、それで其の納めたものが全部支拂を受けぬ内に、此の補償打切りの案が出たのであります、政府に於きまして色々工夫されたやうでありまするが、結局八月十五日と云ふもので一つ大きな線を引いたのであります、八月十五日に大きな線を入れて、其の前に支拂を受けて居る者はそれで宜しい、同じやうな性質のものでも、八月十五日以後にまだ支拂を受けて居らぬ、補償の債權の請求權を持つて居る者でも、八月十五日に一線を引いて、其の後は一切請求權消滅と、斯う來たのであります、尚其の上に八月十五日以後に支拂を受けて居る者でも、それは元へ吐き出すと云ふのであります、其の中には全部製品を造つて政府の命令通り品物は納めて、代金の支拂だけ遲れて居つたのがあります、既に代金を受取つたものもあるのでありますが、代金を受取つたものも、八月十五日以後のものは吐き出させる、其の吐き出させるのに、此の措置法に依つて、詰り税の形で取る、百分の百取つてしまふ、戰時保險なども同樣であります、甚だしきは強制疎開をさして、之に對して賠償金を與へると致して居つた、それも或少しの除外を除けましては、後は全部を打切ると、斯う云ふのでありますから、一口に申しますれば、是程無茶なことはない、是程亂暴なことはないのであります、而して其の金高はどうなりますかと云ふと、政府が補償の義務を帶びて居るものが八百十億圓程になるのであります、其の中で地方公共團體、或は特別なものに對しまして、幾分か除外がありまして、それを差引ますと云ふと、結局六百七十億圓、六百七十億圓と云ふものは全部打切つてしまふのであります、故に普通の考で見ますると云ふと、是程亂暴なことはなく、無茶と申しまするか、亂暴と申しまするか、殆ど名状すべからざるものであります、併し能く考へて見ますると云ふと、其の保證したる國家、國家保證でありまするが、國家其のものが、此の無益なる、さうして無暴なる戰爭、滲澹たる敗北の爲に破産してしまつたのであります、保證人が保證の義務を果す能力がなくなつたのであります、仕方がありませぬ、國が此處迄落ち込んだ以上は、補償も何もあつたものではない、そこで國民は之を我慢するより外仕方がないのであります、然るに之を斯うせずに、政府が補償義務を果すことと致しますとどうなりますか、さうなりますと云ふと、六百七十億圓程の公債を發行して、交付公債で與へる外仕方がない、啻でさへ「インフレ」の虞がありますのに、更に之に六百七十億圓の交付公債を出しますと云ふと、更に「インフレ」に拍車を掛けることになりますのみならず、是等の事業會社は、其の工場は殆ど破壞されて居ります、又殘つて居りまするものも、賠償として取られることになつて居ります、それでありますから、此の金を受取つて、さうして收支計算を致して見ますと云ふと、「プラス」になりますけれども、實質に於きましてはなくなつてしまつて居る、會社は潰れて居る、それを此の儘にして置きますると云ふと、所謂擬制資本で以て財界の整理は出來ませぬ、財界整理の點から申しましても、斯くの如き英斷を施す外はないのであります、そこで斯樣な處置を執ります結果として、事業會社、金融機關等に大打撃を與へます、之を此の儘にして置きますると云ふと、總て破産をするの外ない、そこで之をどうして生かすかと云ふことを工夫しましたのが、金融機關再建整備法案、それから企業再建整備法案を計畫した譯であります、其の整備のやり方と致しましては、普通の商法等の規定に依らずしてやるのでありまするが、先刻申しました通り、準備として制定致しました法律に依つて、事業會社も金融機關も經理を二つに分けてあります、舊勘定と新勘定とに分けてあるのでありますが、其の舊勘定と新勘定と別に致しまして整理をして行くのであります、是等の會社を稱して特別經理會社、特別經理會社として扱ふのでありますが、詰り補償を打切られた會社が主であります、それ以外のものも入つて居るのでありまするが、主として補償打切りに依つて非常な損害を蒙つた會社、其の會社を整理してどうやつて生かして行くかと云ふ工夫であります、そこで特別管理人と云ふものを設けまして、さうして此の手に依つて兩勘定、舊勘定、新勘定を段々に片附けて行つて、債權、債務の見合ひを附けて行く、そこで先づ企業の方から申しますと云ふと、企業再建の方に於きましては、先づ繰越金、それから積立金の全部を以て一つ損失を補填して見る、それでいかなければの其の次には資産の評價替をする、今の資産は餘程前とは帳簿價額が増して居りますから、評價替を相當許し、之に依つて先づ補填して見る、是だけで濟めば、先づ立派な會社になるのであります、それでいかなければ、其の次に行くのはどうかと申しますと云ふと、未拂込を徴收するのであります、未拂込を徴收しても尚足らなかつたら、未拂込を込めた所の資本の十分の九迄切り捨てるのであります、或は十分の一で濟むものも、十分の二で濟むものもありますが、十分の九迄切り捨てる、それと同時に舊債權の十分の七迄切り捨てる、尚それでいかなかつたら、殘つて居る資本金の十分の一を切り捨てる、まだいかなかつたら、舊債權の十分の七の殘つて居る三も切り捨てる、斯う云ふことに致しまして、それでいけるかいけぬかの問題を決めるのであります、それで尚いけぬものは破産、或は極く小さくして他の會社に合併するか、或は極めて小規模にして第二會社にしてしまふ、斯う云ふことは特別管理人の手許で、見當を附けるのであります、金融機關も先づ同樣であります、唯少し其の切捨に付て差がありまするが、それは細かくなりまするから、速記録で御覽を願ひます、唯申上げて置きますが、法人の預金で五百萬圓以上のものは七割切り捨てる、五百萬圓以下は五割切り捨てる、百萬圓以下は三割、下の方は出來るだけ犧牲を少くしようと云ふやうにしてあるのであります、それで尚いかなかつたら、法人の預金も全部切り捨てる、尚足りなかつたら、殘餘の預金や其の他の債務の七割を切り捨てる、斯う云ふやうにしてやつて見て、尚いかなければ潰す、いけば細々ながら生かして行くと云ふのであります、斯う云ふ處理をやつて居る間に色々問題が起つて來ますからして、此の特別和議法を作つて、成るべく破産させないやうにする、場合に依つては「アービトラリー」に決めて、債權者に從はすと云ふ、斯う云ふことをやるのであります、是だけ考へましても、隨分大打撃を我々は受けるのであります、ちよつと考へますと、銀行や會社などが困るやうに思はれますけれども、實は我々皆に掛つて來るのであります、詰り銀行の預金が減つて來れば、我々は預金者としてそれだけ切られる、是位整理致しますと云ふと、會社の株が十分の一なら十分の一切り捨てられて、一萬株持つて居るものは千株に減るのであります、是は場合に依つては財産税より大きいかも知れませぬ、事業をやつて居る人は、此の打撃の方が大きいかも知れませぬ、他人事ではなく、我々にもそれが掛つて來るのであります、處が、委員會に於きましては、相當質問がありましたが、併し何と言うても一番先き多數の國民に利害關係があるのは財産税であります、從つて財産税の方が寧ろ質問が多かつたのであります、財産税の方は隨分細かい質問がありましたが、其の中で諸君の御耳に入れたいと思ふ點は、第一は財産の評價であります、先づ不動産は、全國を相當な地區に分けて、其の地區の是迄決つて居りまする賃貸價格の基準になつて居るあれを標準にして、其の地區内の事情の變化に依つて、其の倍數を掛けて行くものは違ふのであります、賃貸價格を基準にして、或は五十倍、或は百倍と云ふやうにして、さうして地域毎に違つて、さうしてそれに依つて財産の評價價格が決る、不動産の價格が決る、斯うなるのであります、株式の方はどうなるかと申しますと、株式は調査委員を設けまして、さうして現在の状態に於て、其の株の内容、事業の將來性、其の外種々の條件を加味して適當に決めると、斯う云ふのであります、それから御互に心配して居りまする生活必要品を除く所の衣服類、家具や書畫、骨董等であります、是はどう云ふ風に評價するか、大藏省として此の評價には非常に困るのでありますが、一つは其の手數を省く爲に、斯う云ふことをするさうであります、之が準備として先日來全國各地に亙つて拔取り調査をして見た結果として、五十萬圓の資産を持つて居るものと見て、五十萬圓と資産を評價された人の右申す衣服類、家具、書畫、骨董と云ふものの所有價額が、先づ平均して百分の五として、そこで先づ五十萬圓迄の人は、其の所有財産等の中で、右申したやうなものを百分の五出しさへすれば宜い、自分の方で品目は要らないから、さう云ふものを百分の五出す、五十萬圓として二萬五千圓であります、二萬五千圓書き出しさへすれば宜い、處が、其の中でも特別に非常な舊家であつて、あすこの家は財産はないけれども、割合に書畫骨董を持つて居るとか、或はあの人は割合に茶人で書畫骨董を澤山愛用して居る、斯う云ふ人に對しては特別に調べるかも知れないが、大多數の人は申告の通りで宜い、五十萬圓以上になると、品目を書き出して、それに依つて調べると云ふことになる、それから納税の順序でありますが、第一は現金及び第一封鎖預金、第二が國債、國債は三月三日現在に所有して居つたあの印を附けました公債、其の國債に限る、其の外の公債は之に當てられぬ、但し政府が交付した公債は宜しい、斯う云ふのであります、第三位が社債であります、第四位が有價證券竝に不動産、斯うなつて居ります、それから第五位が動産、第二封鎖預金は全體の評價財産の最後の部分に當てるのであります、百萬圓假に評價財産があつたと致しますると、第二封鎖預金を一番上へ置いて、最高率に掛る分に拂つて宜しい、第二封鎖に當る分の九十萬圓が他の財産であつて、十萬圓だけ第二封鎖預金があると致しますると、税率の最高率に持つて居た分に拂ふ、斯う云ふことを許す、斯う云ふのであります、それから納税方法でありますが、大體に於て手數を省く爲に申告主義に依る、大體政府が近い内に不動産に致しましても、株式に致しましても、皆其の評價の何を決めますから、其の地區地區の評價が決る、其の所有債券、株券の評價が決るから、それに依つて自ら財産をちやんと算出して、税率を嵌めて見て、さうして之を申告する、申告すれば、大體に於て其の申告に依つて課税する、同時に申告したら直ぐに納める、さうして問題が起つたら後で増減があるかも知れないけれども、兎に角それで取つてしまふ、今迄の他の所得税とか、相續税見たやうに、一々調べて税務署と打合せてやつて行くと云ふのではない、自らの申告に依つて大體濟ます、斯う云ふのであります、併し大きいものになりますと、なかなかさうは行かないかも知れませぬ、是が一番大事な點だらうと思ひますが、そこで委員會に於きまして、財産税の問題に付きましても、色々後で打合せまして、皆が大事な點と思ふ問題に付きまして、全委員の申合せの上で、委員長が代表して政府に質問致したのであります、もう一つ申落しましたが、調査委員が出來ますが、財産税の愈愈と云ふ時には、調査委員を設けまして、其の調査委員で税額を決めることになります、私が委員長として之に對して代表して質問致しましたのは、四つ程あるのでありますが、其の第一が先刻申した納税の順位の不動産と、それから有價證券、是が同一順位になつて居ります、其の同一順位と云ふ外に、主税局などの考では、不動産でも大藏省として成るべく早く現金に換へられるものから取つて行かうと、斯う云ふ心持を持つて居るやうであります、それから有價證券に致しましても、成るべく上場株の良いものを取つて行く、金になり易いものから取つて行くと云ふこと、是は御尤もだらうと思ひますけれども、處が、段々聽いて見ますると、其の選擇は納税者と税務署の人との話合に依つて決める、斯う云ふことが出來たのでありまするが、それで矢張り根には、さう云ふ腹を持つて居る、政府の方では…又それは當然であります、處が、納税者から申すと、なかなかさうは簡單に行かぬので、第一に私が質問したのは、有價證券と不動産は同一順位になつて、其の選擇は税務署と納税者の話合で決めると言はれるが、其の孰れにするかは納税者の自由にし、又同じく有價證券にしても、不動産にしても、納税者に取つて各各個人の都合のあることであるから、どの有價證券を以てしようが、どの不動産を出さうが、之を自由にし、税務官吏の意見を加へないことにして貰ひたい、斯う云ふ質問をしたのでありますが、大藏大臣は早速之に同意されました、初めは少し難色があつたやうでありますが、同意されました、それから第二が大藏省に於ても納税者本人の住宅は最後に取ると云ふことの積りで居るやうでありますけれども、自己の住宅を手離すことは、人間としてよくよくのことでなければ忍びないことである、又現在さう云ふ住宅を渡してしまつたならば、後に代りの住宅がないので、非常に困りまするからして、出來るだけ是は自分の住宅に住はれるやうなことにするならば、左樣な場合には勸業銀行等より融通せしめて、年賦を以て之を償還せしむる、さうすれば政府の方も現金が早く取れて宜しいぢやないかと云ふ、斯う云ふ質問をしましたら、それも宜しいと云ふことであります、さうやると言つたのであります、第三は税務署の役人は不斷でも多忙である爲に、納税者を粗末に扱ひ易い、さう云ふ非難が隨分ありまするが、今度又、財産税其の他大變に税務が殖えて參つたのでありまするからして、斯う云ふ場合に兎角納税者に對して懇切を缺く虞があると思ふから、各税務署に特別増員をして、それで從來ある所の相談所を擴充して、努めて納税者の相談に應じて、懇切丁寧に取扱ふやうにして貰ひたい、是も大藏大臣は、左樣に考へて居つたから、尚努めてやります、斯う云ふことでありました、第四番目には、兎角税務署の官吏は、唯徴税額の多きを求むる傾きがある、又規則に從順でありまするが爲に、大藏省としては議會に於ける審議の間に承認された方針を、十分に下部の機關に徹底せしめ、且十分理解せしめて、其の事務に當らせるやうに取扱はれたい、是は非常に大事なことでありますから、十分徹底さすと云ふことでありました、以上の四つの質問に對しまして、今申しましたやうな次第であります、是で質問を終了致しまして、昨日の午後になつて討論に入りました、有馬忠三郎君、板谷順助君、小山完吾君、河西豊太郎君、此の四君より、孰れも是等諸案は、我が國現下の情勢上已むを得ないと思ふから、是には贊成するけれども、實際に當つて、國民をして自暴自棄に陷らしむる如きことがなく、能く已むを得ざる所以を理解し、徹底せしめ納得して、法の意圖する所に從ふやうに萬全の措置を講ぜらるることを望み、又之が爲に發生する失業援護策に付ても、十分の考慮を拂はれたいと云ふ熱心なる希望を述べられまして、贊成せられたのであります、討論終結後採決に入りまして、全員一致を以て十二案を此の儘可決すべきものと決定致しました、以上委員會の經過竝に結果を御報告致します(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=47
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048・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 討論の通告がございます、板谷順助君
〔板谷順助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=48
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049・板谷順助
○板谷順助君 諸君の御許を得まして簡單に討論を致します、只今委員長の報告されましたる各案に對しまして、現在の社會情勢、國際關係を考慮致しまして
〔議長退席、副議長著席〕
又現在我が國に於ける所の敗戰の現實を認識をし、又産業復興の爲に已むを得ざることと致しまして、是等の法案に對する贊意を表したのでありまするが、私は此の際希望意見を申述べまして、政府の注意を喚起致したいと存ずる次第であります、今囘此の法案に依つて補償は打切られ、財産税は徴收をされまして、所謂我が國に於ける所の中産階級は殆ど全滅に瀕するやうな状態で、從つて又或程度迄丸裸になると云ふことを覺悟せねばならぬのであります、所謂富の再分配が行はれむとしつつある情勢であります、然るに此の法案に依りますと云ふと、富の均分と云ふ言葉が使はれて居る、果して此の言葉が現在の財産税を取上げられる一時的のものであるなら宜しい、併しながら若し此の富の均分と云ふ言葉が、永遠に國家國民の間に流れるとしましたならば、我が國の興隆、國家の振興は不可能であると私は信ずるものであります、此の言葉の意味に於て、此の際政府に警告を致して置きます、又此の財産税に依つて戰時成金は別問題と致しまして、多年先祖傳來、所謂勤儉努力に依つて蓄積したる所の資産を失ふことでありますから、國家今日非常の際に於ける、所謂國家再建の爲には已むを得ざることであると云ふことを、國民に對して能く納得させ、能く理解させると云ふ必要があると考へるのであります、御承知の通り敗戰後に於ける所の我が國民の状態は、所謂虚脱状態、此の虚脱状態から脱却を致して、所謂捨身になる、自主的に如何にして此の國家を再建せねばならぬかと云ふ、此の奮發心を起させると云ふことに付て、政府は出來るだけ、此の方面に對する努力をする必要があると存ずるのであります、又是等の法案に對しましては、會期切迫、時日のない所から、我々は此の重要な法案に對して、十分の審議を盡すことは出來ませぬ、併しながら其の筋の指示を基として出來た法案でありますから、已むを得ず是は承服は致して居りまするけれども、併しながら私は今後此の法案の實施に當りまして、聯合國に於きましても、我が國の再建に付ては、絶大の援助をされると云ふことは信じて疑はぬのであります、從つて此の法案の運用に付ては、政府當局に於きましては、所謂廣義に解釋し、又聯合國の意思に反せざる程度に於て、能く了解を求め、能く理解を求め、而して最も公平に、國民の怨府にならざるやうな方針に依つて運用して貰ひたいと考へるものであります、又更に只今委員長の報告されました通り、補償打切り、或は企業再建と云ふことに付きましては、先般委員會に於ては、資産の評價となるべき所の基準が發表されて居りませぬ、政府當局の説明に依りますれば、此の基準は、最近に於て調査研究、出來るだけ早く發表すると云ふ言明があつたのでありまするが、要するに、所謂世間の稱する所の擬制資本なるものを整理すると云ふことに付て、又我が國が今後其の結果、再建の上、健全なる所の産業を打立てると云ふことに付て、此の基準なるものが、大なる役割を演ずると云ふことは言ふ迄もないことであります、でありまするから、私は政府に於かれましても、此の法案を十分に活用して、徹底的に後顧の憂のないやうに、所謂健全なる所の産業の確立することに付ての、十分御配慮を願ひたいと希望するものであります、又金融整理再建の問題に付きましては、私は非常に不滿を懷いて居ります、所謂其の扱ひ方なるものは極めて不公平であります、詳しくは申上げませぬが、國家が負擔すべき、國家の責任にあるものを、國民に之を轉嫁して居る、でありますから、是等の問題に付ては、どうか政府が其の善後處置に付きまして十分の策を立て、國民をして其の間に甲乙の差別なき萬全の策を執られむことを、其の意味に於きまして私は政府に警告を致して置きます、更に又財産税の問題に付きましては、只今委員長より報告がありましたが、要するに其の評價の基準、又果して是が適正公平に行はれるかと云ふことが重大な問題であります、委員會に於ける所の政府當局の發表に依りますると、四百三十五億の金を取ると言つて居る、是は大體見込通り誤がないと信ずると云ふ答辯である、恐らくは各管内にそれぞれ割當をするでありませう、割當をした場合に於て、果して苛歛誅求が行はれないか、此の意味に於て、只今委員長は之に對する委員會に於ける所の警告を發した、之に對する政府の言明を得られたのでありまするが、要するに國民から、財産を取上げることでありまするから、極めて公平に、國民の怨府たらざらむやうに十分の注意をすべきことであります、又只今委員長からも御話がありましたる通り、納税の順序に付きましては、株券或は不動産の如きものは、納税者の選擇に依ると云ふことに付て、政府が言明をされたのであります、要するに是は貴族院の委員會に於ける所の收穫であります、貴族院に於ける所の收穫であります、でありますから、どうか此の點は政府當局に於かれましても、財務局長、或は税務署長に對して徹底するやうな御配慮を此の際希望致して置きます、更に私は此の際日本を再建すると云ふことに付きましては、何と言つても勞資調整、是が先決問題であります、今日の如く勞働爭議が行はれ、斯かる状態が長く續きましたならば、現在の所謂事業家に於きましては、勞働爭議を嫌がつて生産意欲が乏しい、進んでやる氣持にならない、又勞働者側に於きましても、權利のみを主張して、義務を忘れ、從つて勤勞意欲と云ふものが極めて薄弱、こんなことが若し長く續きましたならば、恐らくは勞資とも共倒れである、(拍手、「同感」と呼ふ者あり)其の結果どうなる、其の結果日本が破滅に瀕すると云ふやうな状態になる、是は火を睹るよりも炳かであります、私は現在の我が國の状態は「アメリカ」の如く、「イギリス」の如き資本家と勞働者が區分されちや居ない、現在我が國に於きましては、御承知の通り資本家らしい資本などありはしない、何と言つても今後は所謂中小商工業に重點を置き、之を活かして、國力の囘復をする以外に途は無いのであります、故に今後我が國の産業を發展する上に於きましては、從來の資本主義は弊害もあつたでありませう、併しながら新たに打立てられた所の資本主義、此の資本主義に依らざる限りは、決して日本の再建は思ひも依らぬと私は信ずるものであります、例へば社會政策勿論結構、社會政策も或程度迄、所謂國民の福利の爲實行せねばならぬことは當然でありまするが、平時に於て、國家の財政が裕かであるならば、徹底的に行ふことも出來るでありませう、現在我が國の財政は一體どうであるか、卑近な例を申しまするならば、戰災地の復興に對しましても、住宅營團は所謂社會政策の意味に於て立てられたのであるが、どう云ふ状態か、併しながら民間に於きましては如何なる工夫をしても、如何なる努力を致しましても、今日立派に家が建つて、復興して居るではないか、大體私が申上げる迄もなく、事業家とか、或は勞働者とか申しまするけれども、是は觀念の問題に依つて、人に依つて區別されて居る譯ではない、現に戰爭以來、從來勤勞大衆と稱せられたる者が事業家となり、資本家となつて、今日立派に營業して居るぢやないか、本人の勤勉努力に依つて、何時でも事業家となり、資本家なりになることが出來る、でありまするから、私は政府が此の問題に對して、信念と勇氣とを以て、若し現在の我が國の情勢、我が國の産業復興の上に於て、資本主義を基調として行かなければならぬと云ふ信念があつたならば、堂々と發表するが宜しい、間違つて居るならば間違つて居るやうに發表されれば宜しい、大體世界に於ける共産主義はいざ知らず、如何なるものであるか分らぬ、併しながら現在に於ける共産主義者の行動、勿論勞働組合は尊重せねばならぬが、此の行き過ぎに對して、政府は信念と勇氣とを以て之を解決すべきものではないか
〔副議長退席、議長著席〕
私は斯かる國家、國民を誤るが如き共産主義、共産主義が果して日本の建設を考へて居るのか、彼等は破壞を考へて居るのであるか、我々は此の點に對して政府が徹底的に之に對する善後處置を講ずると共に、我々國民に於ても所謂輿論の力に於て、斯かる矯激なる所の共産主義は絶對に排撃しなければならぬと私は信ずる者であります、(拍手)以上の希望條件を附しまして、本案に贊成するものであります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=49
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050・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ、十二案の採決を致します、十二案の第二讀會を開くことに御異議はございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=50
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051・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=51
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052・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに各案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=52
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053・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=53
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054・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=54
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055・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=55
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056・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 十二案の第二讀會を開きます、御異議がなければ全部を問題に供します、十二案全部、委員長の報告通りで御異議はございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=56
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057・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=57
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058・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに各案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=58
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059・梅園篤彦
○子爵梅園篤彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=59
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060・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=60
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061・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=61
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062・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 十二案の第三讀會を開きます、十二案全部、第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=62
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063・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=63
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064・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第十七、請願、會議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=64
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065・会議録情報7
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意見書案
豫定線木次、三次間鐵道速成の件
島根縣飯石郡赤石町長後藤竹一外二十名呈出
右の請願は木次線木次驛より島根縣飯石郡掛合村を經て藝備線三次驛に達する區間は曩に豫定線に編入せられたるも未た著工に至らす現在省營自動車を以て貨客の運輸に當れるも機能十分ならさる爲沿線に於ける各種物貨の山積せるは寔に遺憾なるに依り速に鐵道を敷設し以て復興資材の搬出に寄與せられたしとの旨趣にして貴族院は願意の大體は採擇すへきものと議決致候因て議院法第六十五條に依り別册及送付候也
昭和二十一年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=65
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066・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本請願は請願委員長の報告通り採擇することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=66
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067・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、是にて散會致します
午後二時一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003242X04319461011&spkNum=67
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