1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○郵便貯金法等の一部を改正する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00119460725&spkNum=0
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001・会議録情報2
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委員氏名
委員長 子爵 齋藤齊君
副委員長 男爵 伊藤一郎君
公爵 島津忠承君
侯爵 淺野長武君
子爵 内藤政光君
子爵 青木重夫君
長谷川赳夫君
塩田團平君
岸本彦衞君
栃木嘉郎君
伯爵 清閑寺良貞君
江口文雄君
男爵 沖貞男君
男爵 中村徹雄君
木下謙次郎君
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昭和二十一年七月二十五日(木曜日)午前十一時十五分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00119460725&spkNum=1
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002・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 是より特別委員會を開催致します、法案に付て政府の御説明を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00119460725&spkNum=2
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003・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 只今議題となりました「郵便貯金法等の一部を改正する法律案」の提案理由を御説明申上げます、此の法律案は、現下の經濟事情に對應し、國民生活の安定確保を圖る目的にて、郵便貯金の最高最低制限額、簡易生命保險の保險金最高制限額及郵便年金の年金最高制限額を引上げると共に、簡易生命保險及郵便年金事業經營の適正強化を期する爲、契約條項に關する命令變更の效力を既存の契約にも及ぼし得ることとする等、郵便貯金法、簡易生命保險法及郵便年金法の一部に付必要なる改正を行はむとするものでございます、先づ第一條は郵便貯金の最高最低制限額に關する郵便貯金法の一部の改正に付てでございます、郵便貯金の最高制限額は制度創始當時には五百圓と定められたのでありますが、其の後經濟界の發達に伴ひまして、明治三十八年には一千圓に、大正九年には二千圓に、昭和十六年には三千圓に、翌十七年には五千圓に引上げられ今日に及んで居るのでございます、併し此の最後の改正以來約四箇年の經濟情勢の變化は特に顯著でありますのみならず、郵便貯金自體に於きましても、昭和十七年末には預入額が百十九億圓に過ぎなかつたのが、只今では其の四倍以上の五百億圓を超え、一口座當り平均貯金額も昭和十七年末の九十四圓に對して二倍半に相當する二百五十圓に達し、總額四千圓を超える預入の數は總體の〇・八「パーセント」に相當する百万五十萬人以上を推定されるに至つたのでございます、そこで此の郵便貯金の最高制限額を引上げて、此の經濟情勢の現状に對應すると共に、一面國民に新らしい貯蓄目標を與へて、貯蓄心の喚起を圖り、「インフレ」防止策の一助とすることが極めて緊要であると考へられるのでありまして、其の引上の程度は民營貯蓄機關に對する影響をも考慮し、一萬圓とすることが最も適當であると思はれるのであります、又郵便貯金一度の預入に付ての最低制限額は、最初十錢と定められ、其の後三錢に引下げられたこともありますが、程なく再び十錢になり、更に昭和十六年に五十錢に引上げられ今日に至つて居ります、處で最近の取扱を見ますと、一度の預入額十圓以上のものが約半數を占め、一圓未滿の小口預入は總口數の四「パーセント」となつて居るのであります、勿論郵便貯金は零細な預金を受け入れるのが本來の使命でありますが、さればと言つて餘りに小口のものに拘はり、之に勞力物資を費すことは考へものでありまして、今日貨幣價値の大幅な低落から考へて、五十錢は如何にも低いとの感が致すのであります、仍て今囘最高制限額の倍額引上に竝行して、最低制限額も現在の二倍の一圓に高めることが適當であると思はれます、次に第二條の簡易生命保險法の關係と致しましては、御承知の如く此の事業は大正五年十月一日國民生活の安定を目途として創始されたものでありますが、爾來二十有九年間不斷の躍進を續けて參りまして、今日見るやうに輝かしき業績を示して居るのであります、簡易生命保險の最高保險金額は創始以來五囘に亙る引上に依りまして、現在其の最高制限額は二千圓と相成つて居り、同一の被保險者が數箇の保險契約を爲す場合に於きましても、右金額を超えることが出來ないものとなつて居りますが、是では最近に於ける生活費の急激なる昂騰に伴ひ、克く國民生活の安定強化を確保し、制度本來の機能を十分に發揮することが出來なくなりましたのみならず、他面事業それ自體としても、最近に於ける人件費、物件費の急騰に伴ひまして、多額の經費を要するに至りましたので、高額契約を獲得することに依つて努めて事業費の低減を圖る必要が起つて參つたのであります、仍つて民營保險事業との關係をも考慮の上、茲に保險金最高制限額を五千圓に引上げると共に、一年間に付き契約し得る現行の制限規定を撤發することにしたのであります、是が改正の第一點でございます、次に改正の第二點は、獨占規定の廢止であります、御承知のやうに現在簡易生命保險事業は政府の獨占と云ふことになつて居るのでありますが、之を其の儘に致して置きますと、最高制限額引上の結果、民間の興亞保險は經營出來なくなりますし、他方獨占規定を制定した當時と事情も異つて居りますので、茲に保險業者の要請にも應へ、此の事業の政府獨占に關する規定を廢止しまして、官民兩保險はそれぞれ過去の經驗に照し、各各得意とする分野より相協力して保險思想の普及に努め、國民生活の安定に寄與することに致したいと存じます、次に改正の第三點と致しまして、現行の小兒に關する保險制度を改正し、小兒の加入し得る保險金最高制限額に付て成人と區別することなく、生後直ちに五千圓迄契約の出來ることと致しました、現行小兒保險制度實施後に於ける經驗に依りますと、小兒の死亡率は漸次少くなる傾向にありますので、現在のやうな制度を其の儘存置する理由は極めて薄弱でありまして、却て小兒の保險的保護に於ても不十分なものがありますので、之を右のやうに改めむとするものであります、唯六歳未滿の小兒は大人に較べて多少死亡率も高いので、被保險者が六歳末濟にて死亡した場合に於ては支拂ふべき保險金額に一定の制限を設けることとし、之を勅令で定めることにしたいと思ひます、次に第四の改正點と致しまして、保險金の削減期間一年六箇月を二年に延長したのであります、御承知のやうに簡易生命保險に於きましては、被保險者の身體檢査を行はないことになつて居りますので、保險金最高制限額を五千圓に引上げまする時は、今迄よりは病弱者が入つて來る危險が多くなります、そこで事業經營の安固を圖る爲、現行の保險金削減期間を半箇年だけ延長しまして、加入後二年内に死亡した者に支拂ふべき保險金額を削減し得ることに致したいと存じます、次に改正の第五點と致しまして、保險契約者が貸付金の辨濟をしない場合に於ては、命令の定める所に依り保險金の減額を爲し得る旨の規定を設けたいと思ひます、保險契約は長期に亙るものでありますから、保險契約者が貸付を受け、長期に亙り之が辨濟をしない時は、貸付金のみが消滅時效に掛かる處がありますので、保險契約者が貸付金を辨濟することなく命令の定める期間を經過した時は、貸付金の辨濟に代へ保險金の減額を爲し得るものとし、之が債權を確保することに致したいと存じます、尚從來の規定に依りますと、長期に亙り貸付金を辨濟しないで其の儘放置した保險契約者は、多額の利息と遅滯金を拂はねばならぬことになつて居りますので、今囘の如く改正することに依り加入者も亦利益を享くることに相成るのであります、改正の第六點と致しまして、成規支拂の範圍に貸付金を加へることにしました、現行の成規支拂の範圍は保險金額及還付金額の支拂に限定せられて居りますが、契約者貸付金に關する取引も同樣の性質を有し、民法第四百七十八條乃至第四百八十條に關聯して、之が支拂の效力に關し問題となる機會が多いので、之をも成規支拂の範圍に加へ、貸付金拂渡の效力に付き爭訟を未然に防止することに致したいのであります、改正の第七點として、政府は契約條項に關する命令を變更する場合に於て、簡易生命保險事業の經營の状況に依り、又事情の變更に依り必要ありと認めた時は、簡易生命保險及郵便年金事業委員會の議を經て、其の變更の際現に存する保險契約に付ても亦將來に向つて其の效力を及ぼすことを得るものと致したいと存じます、申す迄もなく簡易生命保險契約は長期に亙り繼續すべきものでありますから、其の間從來の契約條項を變更して、保險事業經營の状況に鑑み、且又社會情勢の推移變遷に伴ひまして、之を既存の契約にも遡及せしむることを必要とする場合が少くないので、契約條項に關する命令變更の效力を、其の變更の際現に存する契約に付ても及ぼし得るものと致した次第でございます、最後に第三條の郵便年金法の關係に付て申上げますと、郵便年金は大正十五年十月一日、國民生活の安定を目的として創始されたものでありますが、爾來十有九年間、簡易生命保險と共に不斷の躍進を續けて參りまして、今日見るやうな輝かしき業績を示して居るのでございます、郵便年金の最高制限額は、昭和十八年に三千六百圓に引上げられて今日に及んで居るのでありますが、是亦生活費の急激なる昂騰に伴ひまして、現在の年金最高制限額に依つては克く國民生活の安定強化を確保し難く、制度本來の機能を十分に發揮することが出來なくなつたのであります、他面事業それ自體としても、高額契約を獲得することに依つて努めて事業費の低減を圖る必要がありますので、茲に年金最高制限額を六千圖に引上げることに致したいと存じます、是が改正の第一點であります、次に改正の第二點と致しまして、年金受取人又は年金繼續受取人が死亡した場合に於きまして、其の者が支拂を受くべき年金にして未だ其の支拂を受けないものは、勅令の定める所に依り年金受取人又は年金繼續受取人の遺族にそれを支拂ふものと致したいのであります、現行法上斯樣な場合の規定を缺き、民法の相續規定に依り支拂つて居る實情でありますので、事務の簡素化を圖り、支拂事務の敏速を期する爲、此の樣な年金に付ても年金繼續受取人を法定したのと同じ理由で、其の受取人を法定することとしたのであります、改正の第三點と致しまして、年金の差押禁止規定を改め年額六百圓を超える金額に付てのみ之を差押へ得るものと致したいのであります、現行法に定めて居る年金差押不能額は、今日の經濟事情に照らし、國民の最低生活を保證せむとする此の制度の趣旨に副はないものがありますので、茲に此の制限額を改正し、今囘引上の年金額六千圓が創始當時の年金額二千四百圓の約二・五倍に當つて居ることに鑑みまして、年額六百圓以下の年金に付ては差押を禁止することと致したいのでございます、次に改正の第四點と致しまして、年金支拂開始後に於ける契約解除權を認めることに致したいと存じます、郵便年金契約は長期に亙り契約繼續するを常とし、從つて其の間、加入者の私經濟生活に變動を來すことのあるのは已むを得ない所でありますが、契約後の事情に備へ、加入者に自由に契約解除權を與へることは、年金契約に必然的に伴ふ要請であるとせねばならぬのであります、之を經驗に徴しまするに、年金支拂開始後、契約の解約を申し出づる者も極めて多く、且又契約の申込當時に於ても斯うした制限の故に申込を躊躇する者も亦尠くありませぬので、茲に年金契約の解除は、支拂開始前のみならず、開始後に於ても自由に之を認めることに致しました、尚比の場合、契約解除權を行使し得る者は、年金支拂開始前にあつては年金契約者、開始後は年金受取人又は年金繼續受取入に限定するものとしたいと存じます、次に改正の第五點として特別返還金制度を廢止することにしました、戰爭關係規定を存置する必要がないので削除することにしたのであります、改正の第六點と致しましては、前に申述べましたやうに、年金支拂開始後に於ける契約解除權を認めました結果、貸付金額を返還金の範圍内に改めることにしたいと存じます、尚改正の第七點と致しまして、貸付金に付ても民法第四百七十八條乃至第四百八十條に關聯して、成規支拂に付て問題となる機會が多いので、之をも成規支拂の範圍に加へまして、貸付金拂渡の效力に付て爭訟を未然に防止することに致したいと存じます、最後に改正の第八點と致しまして、政府は契約條項に關する命令を變更する場合に於きまして、郵便年金事業の經營の状況に依り、又は事業の變更に依り必要ありと認めましたときは、簡易生命保險と同樣、其の變更の際現に存する年金契約に付ても、亦將來に向つて其の效力を及ぼすことに致しまして、事業堅實なる運營に資することと致したいのでございます、以上申上げました諸點を十分御了承の上、何卒愼重御審議の上、速かに御協贊あらむことを切望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00119460725&spkNum=3
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004・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 此の際資料の提出を御要求になります方がありますれば御申出を願ひます、別段御要求がございませぬければ今日は此の程度で以て散會致したいと存じます、次囘は明日午前十時から致したいと存じます
午前十一時三十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00119460725&spkNum=4
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005・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 子爵 齋藤齊君
副委員長 男爵 伊藤一郎君
委員
公爵 島津忠承君
侯爵 淺野長武君
子爵 内藤政光君
長谷川赳夫君
塩田團平君
岸本彦衞君
栃木嘉郎君
伯爵 清閑寺良貞君
江口文雄君
男爵 沖貞男君
男爵 中村徹雄君
木下謙次郎君
國務大臣
遞信大臣 一松定吉君
政府委員
遞信政務次官 中川重春君
遞信事務官 岡井彌三郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00119460725&spkNum=5
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