1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○郵便貯金法等の一部を改正する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年七月二十六日(金曜日) 午前十時十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=1
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002・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) それでは會議を開きます、本日は質疑に入りたいと存じまするが、法案は一つになつて出て居りますけれども、内容が郵便貯金、簡易生命保險、郵便年金と三つになつて居りますので、質疑も此の三つに大體區別したら宜いかと存じます、今日は貯金關係の御質疑を願ひたいと思ひます、尚之に關聯した御質問もどうぞ併せて御願ひ致します、別に御質問もなければ…昨日大臣の御説明に依りますると、最高制限を五千圓から一萬圓に引上げた理由に付きまして、犯罪等の虞もあるからと云ふやうな話があつたのでありますが、どう云ふ犯罪があつたのであるか、或は昭和十七年に三千圓から現行の五千圓に引上げた際にどう云ふ支障があつたかと云ふ點に付て、伺ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=2
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003・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 只今の委員長の御質問に御答へ致します、先づ最近の犯罪の状況を御説明申上げますが、昭和十六年度に於きましては部内者犯罪七百七十三名、其の金額が二十八萬四千何がしかになつて居ります、十七年度は六百七十二人、金額に致しまして四十四萬二千圓、十八年度は非常に大きくなりまして、一千二百六十二名、金額に致しまして四十八萬七千圓、十九年度は五百十五名、八萬七千四百何十圓となつて居ります、二十年度はまだ各遞信局から報告が參つて居りませぬので取纏めて居りませぬ、以上申上げました所に依りますると、金額制限を引上げた結果犯罪がどのやうに殖えるかと云ふことは的確に現はれて參るのでありまするが、併しながら是は常識的に考へましても、郵便貯金は御承知のやうに非常に取扱が簡便でありまして、且又各郵便局には元帳、即ち私共の方で貯金原簿と申して居りまするが、貯金原簿を備附けて居りませぬ結果、郵便局では預入の通帳審理で、其の通帳に依つて即時拂を致して居りますやうな結果、其處に通帳の僞造或は騙造と云ふ手段に依りまして貯金を詐取すると云ふ機會が非常に多いのでありまして、それが金額が小さいと云ふ場合に於きましてはそれ程でありませぬけれども、金額が多くなればなる程、其の機會も多くなり、又其の實害も大きくなる、斯樣な次第に相成るのでありまして、それを昨日大臣が金額を五千圓から一萬圓にするのが至當であり、更にそれを二萬圓、三萬圓と致しますると、犯罪防止の見地から申しましても多少困る結果になる、斯樣に申上げた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=3
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004・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 引上に依りまする預金の増加に對しまして、何か御見込がありましたら、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=4
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005・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 引上に依りまして、幾ら貯金が殖えるかと云ふことに付きましては見込を持つて居りませぬ、只今の状態は非常に貯金が減つて居ります、併し一方に於きまして、農村、漁村方面には新圓が相當だぶついて居ると云ふことも事實でありますので、それ等に對しましては、一萬圓に引上げまして、新たな目標を與へると云ふ此の事に依つて相當額の貯金が増加すると云ふことを確信致して居りまするが、只今申上げました通り、それが數字に表はして幾ら見込んだかと云ふことに付きましては、御答へ致し兼ねます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=5
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006・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 次に預金者に對しまして、一つの目標を與へると云ふ御話でありまするが、農山漁村に於きまする浮動購買力の吸收策、即ち此の「インフレ」對策としては目標を與へただけでは未だ完全とは言へないのでありまして、何等か具體的の策を御持ちになつておいでになりませうか、其の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=6
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007・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 御説の通りでありまして、單に目標を與へましただけでは其の效果は薄いと思はれます、そこで遞信省と致しましては、今迄もさうでありましたが、今後に於きましても、極力貯蓄の勸奬と云ふことに努めて行きたいと思つて居ります、唯遺憾なことには終戰後に於きまして、國民の貯蓄意欲と云ふものが非常に減退致して居りまして、唯單に口先だけで勸奬致しましても、其の效果はなかなか擧らないと云ふ困つた實情でありまするが、今後に於きましては、單に勸誘すると云ふだけでなくして、具體的に或は富籤式の貯金、斯う云ふやうなものを新たに設けまして、之に依つて國民の郵便貯蓄心を更に誘發すると云ふやうなことも將來考へる積りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=7
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008・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 先程犯罪の點に付て多少御話があつたのでありまするが、それは貯金關係の犯罪であつたのでありまするが、其の他に遞信部内に於きまして色々な犯罪があるのではないかと思ひますが、例へば書留郵便の内容を拔取つたり多數の公衆に迷惑を掛けて居る點があると存じまするが、其の點はどう云ふ風になつて居りませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=8
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009・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 只今委員長より御質問のありました點に關しましては、私就任前より左樣な事實を能く承知致して居りまする爲に、何等か是正の方法を講じて戴かなければならぬと思つて居りまする矢先に、遞信大臣を拜命を致しましたので、一層其の點を深く痛感致して居るのでございます、例へば書留郵便物の在中の爲替を拔取つて見ましたり、或は小包郵便物の在中品を拔取つて見たりするやうなことが近年非常に其の數を増したやうに思はれるのであります、今朝の新聞でありましたか、都内の某郵便局の集配人が數十囘も書留を開封して、在中の小爲替を竊取した額が合計五萬圓以上に達して居ると云ふやうなことで、而もそれを酒色に浪費して居る所を警察官に檢擧せられたと云ふやうな記事を見たのであります、是は實にどうも民衆をして此の遞信事務に不信を抱かしめ、延いて遞信事務に色々な支障を生ぜしめまするのみならず、郵便貯金だとか或は書留其の他のことに對しまして、どうも遞信省のやり方は信用を置けないと云ふやうなことを民衆に考へさせらるるやうになりましては…過般貴族院の本會議で或議員の一人の御方から色々な御非難もあつたやうなことがありまするので、非常に私は此の點を憂慮致して居りまして、至急に是等の惡弊を除去しなければならぬ、之に付ては取調を嚴重にすると云ふばかりでなく、左樣な事實のあつた時には直ちに職員を派出して、さうして徹底的に之を取調をして左樣な不正行爲の撲滅を期する一面には、斯くの如き惡徳行爲を爲すに至つた動機、原因は何處に存するかと云ふ其の隘路を衝きまして、さうして是等の點を是正しなければならぬと云ふことで、局課長に命じましてそれ等の手配を今やりつつある所でございます、さう云ふことに依りまして民衆の遞信事務に對しまする不安、不信を除去すると云ふことでなければ、遞信事務の擴大強化、或は發展だとかと云ふやうなことは到底望むことは出來ないと私は考へて居りまして、それ等の點に付ては十分に一つ責任を以て斯くの如き弊風を除去致したいと考へて居ります、先刻此の郵便貯金の増額に伴ふて犯罪の増加する理由に付きまして政府委員から答へたのでありますが、通帳だけを信じて、所謂通帳の元帳、原簿と云ふものがないが爲に通帳の文字を改竄すると云ふやうなことで、犯罪が段々助長せらるると云ふ點に對しましては、それは私は金額の殖える度毎に左樣な惡事をする、而もそれは通帳の文字だけを頼つて居るが爲に之を改竄する、それに依つて貯金を詐取されると云ふが如きことは甚だ私は缺陷だと思ふのであります、少くともそれ等の點に付ては、所謂預金の元帳とか云ふやうなものを郵便局若しくは監督局の方に備付けて置いて、さうしてそれに依つて證査をして、然る後に拂戻すと云ふやうな方法でも講じませぬと、通帳の文字を改竄すると云ふが如きことは、さう云ふ改竄の技術が進みますれば進む程犯罪と云ふものが増加する、是はどうしても今のやうな制度にうつちやつて置くことは出來ないと、私は斯樣に考へて居りますから、是は急速にそれ等の點も考慮して見たいと思ひます、左樣御了承を賜りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=9
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010・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 只今遞信大臣から力強い御言葉を戴いたのでありますが、誠にさう云ふ風になつて行きたいものと存じます、偖て遞信省に於きましては從業員組合と云ふものが出來まして、近頃待遇改善等の叫びが可なり強く擧つて居る、それに對して當局に於かれましても適當な處置を爲さつたと云ふ風に仄聞致したのでありまするが、此の從業員組合が要求を致しました際に於きまして、斯う云ふ犯罪等も從業員の方で自肅して防遏して行くと云ふやうなことに對しては何等かの御話合があつたのでありませうか、其の點御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=10
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011・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 從業員組合と云ふものが出來まして、それ等のものが表面上結束したと云ふことになつて居りまするが、四十萬從業員が悉く結束したかどうかは別問題と致しまして、兎に角多數の從業員が現下の是等從業員に對しまする待遇を改善致して呉れなければならぬと云ふ要求のありましたことは事實であります、段々其の理由を聽いて見ますると、他の官廳に於ける從業員諸君と比較して待遇が非常に惡いのであります、其の待遇の惡いと云ふことは月々の給與が他の官廳に比較して低下して居るんだと云ふことと、今一つは任官當時から既に俸給を上げるとか、或は手當の金額だとか、或は賞與の給與とか云ふやうなものが他の官廳に比較して常に劣つて居る、それが歳月を經るに從つてずつと低下して今日に至つたので、之をどうかして是正して我々の生活が安定の出來るよう、我々が欣んで此の遞信事務に從事することの出來るやうにして貰ひたい、是が要求の趣旨であつたのでございます、さう云ふ風な要求を致して居りまする時に、先刻私申上げましたやうに從業員の中で隨分不都合なことをやつて、世の非難を受けて居ると云ふやうな行ひのあることが其の全部ではありますまいが、矢張り生活の窮乏から或は小包の中を拔取り、或は書留の中から之を取出して、さうして其の金を郵便局から騙取すると云ふやうなことをするのは生活難の爲であると云ふことも大分あるに相違ない、故に斯う云ふ風なことを是正するのには矢張り待遇を改善しなければ其の根源を是正することの出來ないと云ふやうなことにも考を及しまして、それ等の點に付きましては十分の考慮を拂つて、さうして彼等と數囘樽爼折衝を重ねました結果、私の提案致しましたことを了承して、其の爭議と云ふものが一段の解決を經たのであります、さう云ふ時に私は是等の代表者に對して君方には色々世間の非難がある、併し其の非難の由つて生ずる原因に付ては色々事情もあらうが、生活難の爲に不知不識の間に惡の方に深入りをして斯う云ふことをやつたのだらう、待遇が改善されたならば自分から自肅自戒して、世間の非難攻撃を拂拭して貰はなければならぬと云ふうやうな趣旨を話し、聽かせて置きました、彼等も世間の非難攻撃は能く承知して居りますので、待遇を改善された以上はさう云ふ點に向つても大いに努力して今迄の不名譽を一掃して、以前遞信省が世人の信頼を受けて居つたやうに返す、否それ以上に信用の囘復を圖らなければならぬと云ふやうな趣旨のことは漏らして居りました、愈愈是等のことを實施し、尚議會でも濟みましたならば私は全國に行脚致しまして一層さう云ふ點に向つて自分から親しく之を視察するのみならず、それ等の點に向つて一つ出來る限りの是正の方法を講じて見たい、斯樣に心得て居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=11
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012・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 次に伺ひたいのは通信の業務は確實を期すと云ふことは當然でありまするが、それと同時に時間と云ふ觀念を十分に御考慮になる必要があるのではないかと思ふのであります、今日の状態に於きましては或は通信と云ふものは確實に行はれて居るのかも知れませぬ、併しながら時間と云ふ點に於きましては或は完全とは言ひ難いのではないかと思ひます、色々と又非難のある點もありやしないかと存じますが、此の點に付きまして遞信大臣の御所見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=12
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013・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 委員長の御質問は一々御尤もであります、郵便の理想と致しましては總てのことが此の迅速、正確、丁寧、是が私は郵便事務に從事して居る者の軌範としなければならぬことであらうと考へて居るのであります、然るに今日事務に從事して居る者のやり方が所謂迅速、正確、親切と云ふ此の三點を守つて居るかと云ふことになりますると、どうも其の點に付て幾多の疑なきを得ないのでありまするのみならず、例へば今迄は書面が二日掛かれば到達して居つたものが四日、五日はまだしも、甚だしきは十日も十五日も掛かる、電報の如きは三時間か四時間で東京、大阪間は立派に受信し、配達して居つたものが四日も五日も掛かる、甚だしきは明日東京を立つて、さうして明後日の朝大阪に着くと云ふ電報を今朝打つた者が、自分の方が先に大阪へ着いて、電報が後から着いたと云ふやうなことが近來非常に多いのであります、速達の料金を拂ひ、速達の手續をして、投函者は是ならば少くとも四、五日の間には着くだらうと思つて居つたものがまだ着かない、或は至急報で打つたので普通電報より早く着くだらうと思つて居つたものが、普通電報より遲れると云ふやうな事實のありますことは、委員長の御話の通りであります、一體斯う云ふ原因は何處から來るかと云ふことに對しましては、それは人員の少いと云ふこともございませう、或は技術の拙劣と云ふこともございませう、或は機械の磨滅、補修が出來ないと云ふやうな點もございませう、或は電報等でありますれば線の故障の爲に途中から郵送されると云ふやうな、色々な故障もございませう、けれどもさう云ふ故障があるからとか、若しくはさう云ふやうな人手不足であるとか、或は其の他の理由があると云ふことだけでは、是等の關係者に對して一々申開きも出來ませぬし、信任を失ふと云ふことが非常に多いのでございまして、是も先刻私が申上げましたやうに書留郵便とか、小包郵便を拔取ると云ふやうなことと相俟つて、斯くの如き遲配とか事故が非常に多いのであります、此の點に付きましても色々な原因を突き留めまして極力一つ之を是正することに努めよう、斯う云ふことを今局課長とも暇のある度毎に相談を致して居りまして、成るたけ急速に之を是正して民衆の信任を取返さなければならぬ、斯樣に考へて今努力致して居ります、左樣御了承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=13
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014・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 次に政府委員の方に御尋ね致しまするが、御配付になりました書類の中の「郵便貯金法中改正法律案要旨」の十三頁でございますが、十九年、二十年の人口は、是はどう云ふ人口でございますか、内地に居りました内地人でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=14
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015・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 仰しやる通り内地の人口であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=15
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016・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) それから十九頁の「預け人員」と云ふのがございますが、是は人員でございませうか、或は口座の數でございませうか、此の點を明かにして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=16
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017・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 實際に於きましては、是は口座數でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=17
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018・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 二十五頁の利廻比較でございまするが、一萬圓、二萬圓、三萬圓等に當りまする郵便貯金の通常元本金額別税引利廻の二分六厘四毛と云ふのは、是はどう云ふことでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=18
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019・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 只今郵便貯金は五千圓迄でありまするから、六千圓、七千圓、八千圓、それ以上は不必要なのでありますが、假に郵便貯金が一萬圓、二萬圓、三萬圓と云ふ風に上つたと致しますれば、さう假定致しますれば、銀行貯蓄との關係が如何になるかと云ふことを御參考の爲に示す爲に掲げた次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=19
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020・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 了承致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=20
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021・岸本彦衞
○岸本彦衞君 新圓後に於きまして郵便貯金の状態はどう云ふ工合でございませうか、最近に至る迄の情勢でも宜しうございますが、御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=21
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022・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 郵便貯金の現在高が最も大きくなりましたのは四月十六日の五百四十六億圓でございました、併し是は全國の各郵便局から集つて來ます統計が一月ばかり遲れますので、其の爲四月十六日が最高と表面上相成つて居るのでありまして、實際上に於きましては、是は三月に新圓を吸收致しました、新舊引換への時にどつと入りました、其の結果が統計上は四月十六日に現はれて五百四十六億圓、斯樣な結果に相成つて居ります、其の後徐々に減り始めまして、只今に於きましては、五百十三億四千何百万圓かになつて居ります、其の減り工合を御參考の爲に申上げますと、最も減り方の激しかつたのは五月中でありまして、是は一日に七千萬圓程度減少して居ります、只今の減り工合は多少緩和されまして、只今約二千萬圓見當毎日減つて居るやうな状況に相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=22
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023・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 郵便貯金法に關聯した御質問がございませぬければ、次に簡易生命保險に關聯した質疑に入りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=23
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024・伊藤一郎
○男爵伊藤一郎君 念の爲に御伺ひ致しますけれども、先程郵便貯金の原簿がないと云ふ御話でありましたが、全然是はないのでありますか、其の爲に若し紛失でも致しました時には、全然自分の貯金が取れないと云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=24
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025・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 先程原簿がないと申上げましたのは、郵便局に備付けてないと云ふ意味で申上げたのでありまして、全國に貯金支局が二十八ありまするから、其處に全國の原簿を集中的に持つて居ります、郵便局にはありませぬが、貯金支局には勿論備へて居ります、但し此處で御參考に申上げて置きまするが、戰災に依りまして、貯金支局二十八の中十六局迄燒失を致しました、其の爲に其の貯金支局に備へてありました原簿は、是は全國で二億足らずありまするが、其の中の約五千萬に近い二十五「パーセント」が燒けてなくなつたのであります、貯金の仕事は御承知の通り、此の原簿を中心としてやつて居りますので、是が燒失致しました結果、或は再度通帳の請求であるとか、利子の拂ひと云ふやうなこと、郵便局では出來ない事柄、支局でなければ出來ない事柄に付きまして非常に支障を來しまして、預入れ人に御迷惑を掛けて居るやうな現状でありまするが、此の原簿の囘復に付きましては、人も非常に澤山要りまするし、又莫大な紙も要しまするので、なかなか急速には囘復致しませぬが、併し目下極力此の囘復に努力致して居りまするので、來年度中には完全に囘復致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=25
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026・伊藤一郎
○男爵伊藤一郎君 さうすると今の御話に依ると、郵便局にはないけれども、支局には原簿がある、唯戰災に依つて燒失したのは別として、あることはあるのでありますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=26
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027・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=27
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028・伊藤一郎
○男爵伊藤一郎君 それから郵便局に原簿を置くと云ふことは、是は恐らく非常に數が多いから出來ないのではないかと思ひますが、將來そんな御計畫があるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=28
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029・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 此の郵便局へ原簿を備へ付けたならば、預け人に取つては非常に便利であるからさうすべきぢやないかと云ふ議論は昔からございまして、私共と致しましては、相當研究致したのでありまするが、今迄の結論を申上げますると、現在二十八の支局に原簿を持つて居ると云ふことだけでも、預け人の住所の異動などに依りまして、原簿を甲の支局から乙の支局に移さなければならぬと云ふやうな關係で非常に煩鎖である、況してや全國一萬三千の郵便局に總て原簿を備へ付けると致しますれば、預け人に取りましては、隣の町に行きましても直ぐ其の原簿を隣の町の郵便局に移し替へなければならぬと云ふやうな手數もありまするので、今迄の研究の結果は、先づ先づ差當り現状が宜いのではないかと云ふ風に私共事務當局としては考へて居りましたのでありまするが、併しながら先程大臣が申されましたやうに、尚此の問題に付きましては、更に新たな觀方から檢討を加へまして最善の方法を採つて行きたいと、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=29
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030・伊藤一郎
○男爵伊藤一郎君 それからもう一つ御伺したいのは、此の今審議して居りまする法律案の形式と申しますか、今の郵便貯金法等の一部、此の等の中に郵便年金とか簡易生命保險とか云ふものが兩方入つて居るのでありますが、斯う云ふ獨立した法律案を等として一括して審議すると云ふやうな形式は今迄ありましたでせうか、何故之を全然別々にして、さうして付託議案として郵便年金法中の一部の改正法律案とか、或は簡易生命保險中の一部を改正する法律案と別々にしなかつたのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=30
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031・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 御尤もでありますが、之を別々にして出せば最も分り宜く、只今の御質疑のやうなことは起らないのでありますが、是は最近或一省から出す法律案で、殆ど何かの牽聯のあるやうなものは斯う云ふやうにして、一括して出すと云ふやうな慣例は今迄もずつとあつたやうに覺えて居るのでございますが、或は二十數法に跨がる奴を一つの法律案で出して、さうして實施せられた曉に於て、其の各數十種の法律案の内容を一々是正すると云ふやうなことをやつて居るやうに思ひます、是も今御示しのやうに、一行々々で出せば宜かつたのでありますが、一つは其の手數を省く爲と、もう一つはさう云ふ慣例が今迄行はれて居ると云ふ意味で出したのでございますが、是は大いに考慮すべきことだと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=31
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032・沖貞男
○男爵沖貞男君 今迄伺つて居りますと云ふと、此の最高額五千圓を一萬圓に上げると云ふことは誠に結構なことでございますが、之をもう少し澤山に上げるやうなことは如何なものでございませうか、それは結局只今御伺すれば、犯罪防止とか、社會情勢に依つて此處いらが宜い見當だらうと云ふ風に、ちよつと伺へるのでございますが、社會情勢、即ち銀行とか、何とかとの關係から、是以上にならぬとか、或は數字的に是以上行かぬとか云ふしつかりした御根據がございますものでございませうか、其處を一つ伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=32
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033・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 一萬圓に止めまするのが、現在の情勢上適當だと考へました理由と致しましては、先程申上げましたやうに犯罪防止の立場是も勿論ありまするが、其の他民業を不當に壓迫しないと云ふ理由もございます、果して然らば一萬圓なら民業を壓迫しないか、或は二萬圓、三萬圓にすれば、民業を壓迫することになると云ふことになりますと、之を數字を以て計數的に的確に表はすと申しますることは、甚だ困難でありまするが、唯私共と致しましては、民業、即ち貯金の場合でありますれば、銀行關係を監督致して居りまする大藏省の當局の言明を信ずるより外ないと思ひまするが、其の大藏省の言明と致しましては、一萬圓が適當である、それ以上引上げることは、銀行方面に影響が非常に多くて困る、斯う云ふ風な御意見でありますので、私共と致しましてはそれに據りまして、今囘は一萬圓としたやうな次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=33
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034・沖貞男
○男爵沖貞男君 少し意見のやうになりまして甚だ恐れ入りますが、現今の社會状勢の方面から經濟的に之を見ますれば、もう少し値上げした方が實情に副ふのではないかと私は思ふのでございます、是は此の間から言ふ通り新圓が地方に分散して居る、それは思ふに農漁村に退藏されて居ると云ふやうなことを伺ふのでありますが、此の新圓なるものは、結局農漁村に死藏されて居るのであつて、農漁村は又さう云ふ現金を握つて居る爲についうつかりして物を買ふと云ふやうな、甚だ卑近な例でありますが、さう云ふ風なことが偶偶あつて、又さう云ふ所へ參りますと、今銀行に付て非常な考慮を廻らして居ると云ふ人達は少い、總て郵便貯金と云ふ所に持つて行くと云ふ風な實情にある譯でございますが、是は只今一萬圓ならば、五人の家族が居れば五萬圓も預ることが出來るかも知れませぬが、もう少し程度を上げてやれば相當な金が吸收出來て、さうして尚非常なさう云ふ風な過ちの金を使はせぬと云ふ風な方面にも役立つのではないかと云ふやうに考へるのでございますが、如何なものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=34
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035・一松定吉
○国務大臣(一松定吉君) 只今沖男爵の御質疑御尤もであると私は思ふのであります、經濟上の實情から見、又新圓吸收策の方面からすれば、只今の男爵の御意見一應御尤もで、さう云ふことは大いに考へなければならぬ所でございますが、只今政府委員から御説明申上げましたやうに、民間の銀行業に對する壓迫と云ふやうなことを考慮すると同時に、大藏省方面の意嚮を參酌致しまして此の程度が適當であらう、斯樣なことで一萬圓と云ふことに決めたのでございまして、御承知の通り數理には法なしと云ふことでございますから、理窟を付ければ幾らでも申上げられませうけれども、まあ此の程度でと云ふことで決めたのでございます、男爵の御意見は御尤もであると云ふことに理解致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=35
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036・岸本彦衞
○岸本彦衞君 先程の原簿の燒けたことに關聯した御尋を申上げようと思ふのでありますが、先程原簿が燒けたことを仰せになりましたが、原簿が燒けた場合に、新らしく作る時、其の内容に付ましては、複本かさう云ふ「チエック」する方法は、ちやんと別にございますのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=36
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037・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 豫ねて斯う云ふこともあらうかと存じまして、各支局に於きましては豫め原簿の寫を取つて居りまして、それを田舍の方の山の中とか、或は淋しい所と云ふやうな所へ保存して置きました、處が御承知のやうに貯金と云ひますものは始終出し入れがありますが、其の寫を原簿にする爲には始終訂正しなければなりませぬ、是は手數上肯定出來ることでありまするので、通帳の通りの原簿の寫と云ふものは現在持つて居りませぬが、併しながら氏名、住所、それから一番初に寫を作ります迄に預けました現在高、さう云ふものは皆持つて居りました、其の後の異動がないと云ふだけでありまして、從ひまして或預人の原簿に付きましては、それ以後の異動が非常に激しい爲に其の寫を持つて居りましても殆ど役に立たない、初から作らなければならぬと云ふことと同じ結果になる場合が非常に多い譯であります、其の場合にどうしますかと申上げますれば、是は預人から通帳を出して戴きまして、其の通帳に依つて原簿を逆に作る、斯う云ふやうに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=37
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038・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 只今岸本委員竝に先刻の副委員長御質疑の中で原簿に關しまする御意見がありました、私政府委員の答辯に關しまして、自分で考へて居りますることをちよつと申上げて見たいのでございます、成る程其の預金を受けた郵便局から報告をして、さうして各支局に於て此の原簿を作つて居ると云ふことは勿論しなければならぬことであるが、それと同時に其の預金を扱つた其の局に、支局に一々報告するのでありますから、其の報告をする際に受入郵便局では、受入れ郵便局だけの少くとも一つの原簿と云ふものでも拵へて、其の局に置いておけば、成る程預金者が他の方面に移動して居る度毎に其の受入郵便局の帳簿を訂正しなければならぬと云ふ手數はございませうけれども、矢張りそれだけの手數は之を努めてやると云ふことでなければ、さう云ふ災害等の場合に於て正しい調査とか、正しい受拂ひと云ふことが出來ない場合が、是は當然豫想しなければならぬのであります、例へば火事或は大地震其の他の竊盜だとか色々なことで、支局に備へてある原簿がなくなることがありませうから、どうしても是は受入局でもそれに相當するだけの、自分の責任に於て受入れただけのものは帳簿を保存して置くことが當然是はしなければならぬことだと思ひます、斯う云ふ點に付きまして、私一つ考へて、出來得べき限り之を實施して見たい、斯う考へて居りますから、どうか副委員長に於かれましても、岸本委員に於かれましても、其の點を一つ御了解を賜りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=38
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039・長谷川赳夫
○長谷川赳夫君 ちよつと簡單のことを一二伺ひたい、此の改正案の預入の最少限度、五十錢を一圓に御引上げになるのでありますが、之をもう少し御上げになる方が却て現在の情勢に適應するのぢやないかと思ふのですが、どう云ふ譯で一圓に御止めになりましたかと云ふこと、それから第二の點は法案と直接關聯はございませぬけれども、預金通帳が、現在の形式に於きまして差引殘額が出てないやうに思ふ、是は預金者から見ましても、それから又事務を取扱ふ職員の側から見ましても、拂戻し其の他の點に可なり不便ではないかと思ふ、將來さう云ふことを改正なさる御考はありませぬか、それから第三の點は此の郵便貯金を拂戻し致します場合に、全額の拂戻しを許さぬのであります、極く少い金額でありますけれども、之を殘すやうになつて居ります、是は恐らく預金を奬勵すると云ふ趣旨から來て居るものと思ひますけれども、是は矢張り、他の銀行や農業會のやうに、さう云ふ場合にも綺麗さつぱりと全部拂戻しをさしてやると云ふ方が、國家の事業として好いのではないかと云ふやうな氣が致しまするが、如何なものでございませうか、此の三點をどうか御説明を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=39
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040・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 御質問の第一點は、最低預入制限額五十錢を一圓に引上げたのだが、まだ少し上げ方が足りないのぢやないか、もう少し高くする必要があるのぢやないか、斯う云ふ御質問のやうでありました、私共と致しましては、仰せの通りさう致したいのであります、手數の省略と云ふことから申しますれば、非常に從業員が助かる譯であります、成るべく高く致したい譯でありますが、此の前最低十錢を五十錢に引上げました際にも色色反對がありまして、郵便貯金と云ふものは大體に於て庶民階級の零細な金を集める、是が郵便貯金である、如何に金額が小さくても、手數を厭ふて受付けないと云ふやうなのは怪しからぬと、斯樣な反對論もありましたやうな次第で、さう云ふ點を考慮致しまして、私共と致しましては手數の點から言ひますれば、もう少し引上げて、せめて五圓位に引上げたいと思ふのでありますが、併し國民の中には、未だに一圓程度の預金をしたいと云ふ者が全然ないとも限りませぬ、斯う云ふ場合に金額が小さいから受付けぬと云ふやうなことは、郵便貯金の趣旨から見ましてどうかと思ひますので、結局一圓と致したやうな次第であります、第二の點は現在の通帳に現在高が現はれて居ない、將來現在高も竝べるやうにする考はないか、斯樣な御質問の御趣旨かと存じますが、仰しやる通り現在の通帳は非常に其の形式が昔出來ましたので古く、預入と拂出とを單に記入するだけのものでありまして、自分の貯金は幾ら殘つて居るかと云ふことは、算盤を置いて見なければ分らぬと云ふやうな不便な形式を採つて居ります、のみならず現在段々總ての形式が横書式になつて居りますに拘らず、郵便貯金通帳は依然として縱書になつて居る、是等の點も併せまして今研究中でありまして、私共の理想と致しましては、現在の通帳を横書きに、且つ現在高が分るやうな形式に致したいと思ひます、併し實行上には色々考慮すべき問題も多々あるかと思ひますので、尚それ等の點も併せて考究の上、出來るならば只今仰しやいました通りの形式を採用致したいと思ひます、最後に郵便貯金は全拂を認めないで、最小五十錢以上を殘す、斯樣になつて居るが、是は預け人の必要に依つて全額を支拂ふべきではないか、斯樣な意味の御質問と心得ますが、現在に於きましても、若し預け人の請求があれば、即時に全額拂をしなければならぬ、要求に應じなければならぬと云ふことになつて居ります、唯それを郵便局に於きましては、法規を履き違へまして、全額拂は出來ないのである、必ず殘さなければならぬ、斯樣に信じて居る郵便局が間々ある結果、預け人に左樣な誤解を招かすやうな結果になつたのではないかと思ひますので、是は今後私共と致しましては、郵便局に對して、預入の金額に依つては全額拂をしなければならぬのであると云ふことを能く徹底致すやうに致したいと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=40
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041・長谷川赳夫
○長谷川赳夫君 能く了承致しました、私もう一點伺ひたいのは、郵便貯金と町村農業會の預金の關係であります、三等郵便局のありますやうな町村には、必ず町村農業會がありまして、殊に村農業會に於きましては、最近米其の他の供出に對する代金は、殆ど強制的に農業會の方に預入れなければならないと云ふやうなやり方をやつて居るのでありますが、丁度郵便貯金が或程度迄銀行業を蠶食して居ると云ふやうな同じ關係で、農業會の預金が郵便預金を蠶食して居ると云ふ結果に最近なりつつあると私は考へて居るのですが、是は現在の状況に於ては已むを得ぬことと思ふのでありますが、それと同時に其の對策として、少くも遞信省の立場から見ましては、有らゆる方面に出來るだけの預金者に便宜を與へて、さうして手續其の他の不備の點からして郵便貯金が殖えなくて、此の農業會の方に是が殖えると云ふやうなことを防止する必要があると思つて居りますが、其の點に付きましては當局はどう思つて居るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=41
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042・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 私共と致しましては、郵便貯金が農業會の貯金の方に流入すると云ふことを、左迄困つた状態だとは考へて居りませぬ、併しながら勿論郵便貯金が増加すると云ふことは、歡迎すべきことでありますので、郵便貯金の増加と云ふことに付きましては、色々の手段を講じなければならぬと思ひます、其の爲には先づ第一に國民が喜んで郵便局を利用して、寧ろ郵便貯金を利用することが、先決問題だと思ひます、現在の世間で言はれて居ります通り、郵便局の窓口の從業員の態度も、必ずしも親切ではありませぬ、率直に申しますれば甚だ不親切であります、又其の能率も良くないのが實情であります、先づ是等の點を改善致しまして、郵便局の窓口の從業員は公衆に對して親切丁寧に、又其の能率も良くしなければならないとか、斯う云ふ風にすることが先づ第一に郵便貯金を増加せしむる方策だと思ひます、其の外制度上の問題に付きましても、出來るだけ郵便貯金制度と云ふものを簡便に預け易い、さう云ふやうな方向に向つて研究を續けて、且實行して行きたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=42
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043・中村徹雄
○男爵中村徹雄君 先程遞信大臣から迅速正確と云ふ御話がありましたけれども、是は私の經驗でございますが、積立貯金の拂戻を受けます際に、郵便局で積立金額の支拂だけは受けまして、利息は後程計算をして御通知致しますと云ふ話でありましたが、爾來數箇月經ちましたけれども、通知に接しませぬ、斯う云ふことは正確を期すべき爲でありますけれども、迅速と云ふ點から見ますと、迅速にせられると云ふ御氣持はあつても、其の爲に手續が煩雜過ぎるのぢやないかと思ひますが、斯う言つた點は如何でございませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=43
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044・一松定吉
○国務大臣(一松定吉君) 中村委員の御質疑御尤もでございます、迅速、正確、正直だとか云ふことを申上げましたのは、遞信從業員の理想として、左樣な理想を以て向上しなければならぬ、斯う云ふ趣旨でありまして、今御示しのやうに貯金の拂戻しに付て、利息の計算だとか云ふことの爲に、正確を期して念には念を入れて、利息の計算を間違はないやうに之を算出すると云ふやうなことは、御示しのやうに正確ではありますが、併しながらそれは迅速ではありませぬ、さう云ふやうなことは所謂誠心誠意を以てやれば、迅速と同時に正確を保ち、之を實績の上に表はすことが出來るのでありますからして、色々さう云ふやうな缺點を、力を盡して是正しようと、斯う云ふやうな只今考を以て、今それに著手致して居るのでございます、今迄さう云ふやうな不都合のありましたことは、遞信當局として誠に相濟まぬことであります、それは偏に御詫をしなければなりませぬ、將來さう云ふことのないやうに努力致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=44
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045・岸本彦衞
○岸本彦衞君 先程沖男爵から御尋になりまして、遞信大臣からの御答を伺ひましたが、私も此の郵便貯金の最高金額を、寧ろ此の際撤廢すると、或は若し撤廢が非常に困難だとすれば、三萬圓とか五萬圓と云ふ風に、増額することが出來ないかと云ふことを、御尋ね致したいのであります、其の理由は、最も今日國民の不安を感じて居ります「インフレ」を、防止します最も力強い方法は、新圓の吸收だらうと思ひます、國民大衆から新圓を吸収する上に付きまして、今日、銀行とか保險會社とか信託會社とか云ふ方面へ、預貯金をすることを一番國民は恐れて居るのであります、殊に最近傳はるやうな、戰時補償の打切、或は銀行の整理とか云ふやうなことが、若しあるとしますれば、是は民業の壓迫ではないのであります、國民の不安を除く爲にも、國が銀行保險會社等に代つて、國民大衆の大切なものを預かる、さうしてそれが如何に使はれるか、又其の期間はどうするかと云ふことは、他日檢討せられると致しまして、大藏當局が唯一萬圓が適當であると言はれるが爲に、是は考へらるべきことでなくして、遞信大臣は少くとも國策として、此の問題を御考へになつて、御相談を願へないだらうかと私存じます、此の際に農漁村に於て、最も新圓が集つて居ると云ふことでありまするが、農漁村は勿論一般大衆から、郵便の如き、最も親しくてさうして國に頼る預貯金の機關を最も廣く此の際國民に使はすように貯金の奬勵は勿論のこと、それに關聯致しまして、或は利息の問題とか、或は先程仰しやいました割増金の問題とか、さう云ふ問題も考慮せらるべきものと存じますが、兎に角郵便貯金を非常に範圍の廣いものにして置く、さうして若し銀行の整理等がございます場合は、第二銀行が出來る迄、或は出來る迄の期間に於きまして相當な期間があると思ひます、此の過渡期間に處しても國家が貯金として預かると云ふことは最も必要なことと存じまするので、此の際一般の制限を撤廢して、さうして大衆の預貯金の機關になると云ふことを考へて戴きたいと存じます、それが自然此の簡易保險及郵便年金等にも關係するのでごさいますが、是等に付きましては、又他に質疑がございませうから置きまして、私は今日世間には銀行國營とか、或は保險國營とか云ふ聲さへもございます、今日幸ひにして日本の政府には此の制度がございますのでありますから、此の制度を活用して、今日の場合に處して制限を撤廢する、さうして此の撤廢した爲に民業を壓迫するやうなことがありましても、是は已むを得ない、さうして唯茲に考へるべきことは、其の資金を國家が持つ爲に生産資金を壓迫するとか、或は此の金の使途に付きましては餘程關心を要するのでありまして、其の使途に付きましては、從來經驗のある銀行、其の他へ此の場合に増加した金額を廻すとか、或は別に委員を設けて相當に嚴重な監督の下に、さうしてそれが生産資金を妨げないやうにすると云ふことにして戴いたら如何なものであらうかと存じます、若し無制限と云ふことが困難なれば相當の高額に制限を置かれると云ふことにして戴けないものであらうかと云ふことを御尋ね申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=45
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046・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 一萬圓をそれ以上に増額すると云ふことが種々の觀點から宜いのではないか、殊に銀行國營と云ふやうな意見もやかましい時でもあるからして、さう云ふことも一つ考慮に入れてはどうか、殊に銀行は全國至る所に、極く村落に至る迄もないが、郵便局はそれより以上多い、成るたけ地方人をして手近な所で預金せしむると云ふことも考へて宜いのではないかと云ふ岸本委員の御意見は尤もだと思ひます、私もそれと同じ考を持つて居ります、唯問題は銀行業者の業務を國家事業に於て壓迫すると云ふことは宜くないではないかと云ふやうな點を考へると同時に、今迄は最高五千圓であつたものが、俄かに之を撤廢して無制限にする、或は俄かに之を最高十萬圓にすると云ふやうなことは多くの研究を要するのみならず、其の一足飛びの發展が將來どう云ふ影響を及すものだらうかと云ふやうな點にも矢張り思ひを致して居るので、先刻申しました通り、大藏當局も先づ一萬圓位が適當だらうからさうして呉れないか、と云ふ懇請もあつたと云ふ事情で、先刻私が申上げました通りに此の程度に打切つたのであります、併しながら今あなたの御話のやうに苟も國家事業である以上は、國家を信頼する預金者が預金をすると云ふことに付て、何も制限を加へる必要はないぢやないかと云ふあなたの御意見、御尤もな御意見で、又今日銀行が色々整理をやる、それが爲に第二銀行を設けると云ふやうな場合に、所謂第一銀行であつたものが預金して居つたと云ふやうなものを一時取下げて、どうしたら宜いだらうと言つて金を持つてうろうろして居る者がある時に、直ぐに國家事業の郵便局に預けると云ふことは宜いことではないかと云ふ御意見、私は全然贊成であります、併し是等の點は遞信省だけと云ふ譯にも參りませぬ、大藏省當局とも能く相談もしなければなりませぬし、又銀行經營者方面とも十分な調査研究の必要があらうと思ひます、何れ適當な時期に於て一つ大いに考慮もし研究もして見たい、場合に依れば、さう云ふ點に付て、委員會等も設けて研究したいと斯樣に考へて居るのでございますが、只今の處、直ちにそれは結構だから其の通りに御受け致しませうと云ふことには行きませぬから、左樣御了承を賜りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=46
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047・岸本彦衞
○岸本彦衞君 此の記録を見ますと、明治十一年から二十二年迄撤廢せられたことがございますが、是はどう云ふ理由に依りますか存じませぬが、撤廢の例も前にあることでございますから、それがどう云ふ理由でございましたか、若し分りましたら御尋ね致したい、又分らなければ、撤廢した歴史がございますから、其の點を御考慮に入れて戴きたいと思ひます、十一頁です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=47
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048・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 明治十四年に撤廢致して居りまするが、如何なる理由に依りまして撤廢致しましたのか、其の當時の事情を今調べて見ましても能く分りませぬ、惡しからず御了承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=48
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049・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) ちよつと私から御尋したいと思ひます、簡易保險が今日のやうな大きなものになりましたのは、是は郵便局員が之を勸誘して歩いたからでありまして、「イギリス」の郵政廳の簡易保險の如きは、唯簡易保險の窓口を開けて居るだけで、勸誘して歩かなかつた爲に、是は結局業務を停止するやうに至つたやうな状態であります、然るに日本に於きましては、勸誘に努めました結果、世界の人人が驚いて居る程簡易保險が發達したのであります、貯金に於きましても、市中の銀行等に於きましては、行員が預金の勸誘に歩くのでありますが、遞信省に於きましては、此の點どう云ふ風になつて居りませうか、御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=49
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050・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 郵便貯金に於きましては、簡易保險或は郵便年金程積極的に勸誘は致して居りませぬ、唯郵便貯金の中、大部分定額貯金であるとか或は積立貯金、さう云つた特殊の預金に付きましては、定員と致しましても各郵便局に勸誘員を配置致しまして…各郵便局と申しましても普通局だけであります、特定局には配置致して居りませぬが、詰り全國主要郵便局には其の定員を配置致しまして、勸誘に努めて居ります、郵便貯金に付ても保險と同じやうに勸誘すべきであると云ふ委員長の御説には全然御贊成申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=50
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051・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 現今の社會状態に於きましては、先程來皆樣の御話がありました通り、農山漁村に於きまして、紙幣の退藏と云ふことが行はれて居ると云ふことが頻りに言はれて居るのでありまして、是は恐らく事實であらうと存じます、之に對しまして、唯預入出來る貯金の金額を一萬圓に引上げて、其の目標を與へたと云ふことだけでは不十分なのでありまして、遞信省に於きましては、簡易保險、郵便年金に於きまして、あのやうな、場合に依りましては執拗と世間からうるさがられる程の勸誘を致して居られるのでありまするから、さう云ふ經驗に依りまして、農山漁村から新圓をどしどし貯金の中に吸收されたらば、非常に御役に立つことだらうと存じますので、此の點然るべく御配意願ひたいと存ずる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=51
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052・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 只今委員長の御話、先刻岸本委員の御話と、又政府委員の答辯と考へて見ますると、私尤もだと思ふ、私の極く淺い經驗から致しましても、只今は此の農山漁村に眞に新圓がだぶ付いて居ると云ふことは事實であると私も思ふのであります、さう云ふやうなものが何故に其の新圓を退藏して居るかと言へば、要するに政府の發表した經濟政策と云ふものに對する信用と云ふものを彼等は持つて居ない、どうも政府は何を言ふか分らぬ、政府の言ふことは朝言ふて晩に變はる、それならば斯う云ふやうなものを銀行に預けて置いても、何時どう云ふやうに封鎖されるかも知らぬ、出すことが出來ないやうになるかも知らぬと云ふやうなことと、昨年八月十五日以前の、所謂終戰前に於ける何時爆撃されるかも知れぬ、さう云ふ時分には、金は自分の身に付けて置かなけりやならぬと云ふやうな、色々な間違つた考へ方もあつたでありませうし、又迷信の結果でもありませうが、兎に角農村漁村に新圓がだぶ付いて居ると云ふことは事實であるやうに思ふ、さう云ふ時に遞信省の此の貯金制度と云ふものに對して、民衆に心から信用すると云ふ氣持を與へて、もう郵便局に預けて居ればもう大丈夫だと云ふやうな氣持に、それ等の人々の氣持を取返しさへすれば、喜んで預けると思ひますが、唯窓口を開いて居ると云ふだけではいかぬのぢやないか、宜しく簡易保險で勸誘して、それが爲に非常な成功を擧げたと同じやうな手段方法を、郵便貯金に付ても考へては如何かと云ふ御意見、私も尤もだと思ふ、唯之に付きましては、勸誘に參りまする者が、勸誘される人との立場上、疑はれたり、或は此の人に直ぐに預けて宜いだらうかと云ふやうな疑惑を持つたりする者が居りませうし、又餘り執拗く勸めると、人に依つては餘りどうも執拗く勸めるのだから何かをかしなことを考へて居るのぢやなからうかと云ふやうなこともございませうからして、それ等の點に付きましては一つ十分考慮して見まして、是非是は良い制度であると私も思ひまするからして、さう云ふ弊害の起らないやうに、弊害の豫想さるべきやうなものを徹底的に之を除去して、さうして好い成績を擧げる、此の點に研究を進めて見まして、成る程是は宜しいと云ふことになりますれば、一つ急速に何等かの手を打つてみたいと斯樣に考へて居ります、どうぞ一つ左樣御了承を賜りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=52
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053・岸本彦衞
○岸本彦衞君 もう一言伺ひたいと思ひますが、今大臣からも特に考慮すると云ふ御言葉を伺ひましたので喜んで居りまするが、此の農漁村に於ける新圓が現に彼等の手許にあるのでございますから、其の中から妻子の將來の爲に、郵便年金の爲に此處で何萬圓或は何千圓と云ふものを出すことは、兎に角非常に澤山の現金を持つて居るが、或はそれを取られるかも分らないし、どうしようかと迷つて居る際でありますから、自分の妻子の爲に十年、二十年、先きに年々是れだけ受取れるのだと云ふことを其の方法をよく丁寧に、深切に説いて、さうして彼等をして得心せしめるならば、年金の方法及簡易生命の何は確かに效果のあるものだと考へます、一つ其の點に付きまして、十分なる此の上御考慮を願ひたいと思ひます、それから國民が國に對して預けたものの不安、殊に長期の將來を考へますと、どう云ふ事があるかも分らないと云ふ不安は今日持つて居るのは已むを得ない、政治の力の弱いこともありませうが、一方聯合軍の關係もございますから、此の點に於きましては、此の際さう云ふ新圓を預けたものを、彼等の爲に將來の年金又は保險金として積立てる、其の方法に付きまして、十分安心の行く方法を立てまして、聯合軍の「ジー・エッチ・キュー」の方からして、それを勝手に日本政府と雖も使ひ得ない、容易く動かし得ないやうな安心を與へる方法を考へて、さうしてそれの了解を得ると云ふ處までして戴ければ非常に良いのぢやないかと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=53
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054・一松定吉
○国務大臣(一松定吉君) 只今の御意見十分尊重致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=54
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055・内藤政光
○子爵内藤政光君 先程御伺ひ致さうと思つて居りましたが、大體私の御伺ひ致したいことは前の御答辯で分りましたが、唯一部分らない處がありますので、伺ひたいと思ひますが、最高價額を一萬圓に、それ以上にすると、銀行業者を壓迫すると云ふ御答辯があつたやうに伺ひましたが、それは私は卑近な例を申上げるのでありますが、農村或は漁村、私が今居ります農村の農家に付て、其の農民の實際のことを聽きまして、何故現金を握つて居るかと云ふことを隣組などに出して皆に聽いて見ますと、其の理由は實際に政府の言ふことは何だか分らない、金の價値が分らないから持つて居るのだと云ふのは第二でありまして、第一に彼等が持つて居ると云ふことは、郵便局に預ければ最高價額が大體今の現在では非常に低い、自分達はもつと多くの金を握つて居る、それぢやそれを農業會に預けたらどうだ、農業會に預ければ皆顏馴染の人ばかりで、直ぐ色々なことを言はれるので嫌だ、それぢや持つて居れば盗難等で危險だらうと申しますと、それももう十二分に知つて居る、それでは銀行に行つたらどうだ、銀行に行くのには農事の忙しい所を一日割いて、さうして遠くの銀行に行くと云ふことは出來ない、であるからして已むを得ず現金を握つて居るのだと申すのであります、先程大臣の御答辯がありましたのでございますが、銀行業者を壓迫すると云ふことよりも、却て其の最高價額をより多く増加すると云ふことは、銀行業者を助くる意味になりはしないかと私は考へるのであります、三等郵便局の如きは可なり僻村にもあります、銀行と云ふものは相當の人口のある所でなければありませぬのでこざいますから、さうするとさう云ふ所に居る人達は現金を怖々握つて居ると云ふ形になつて居りまして、是は若しより多くの價額が預け入れられると云ふことになれば、却て喜んで郵便局へ入れると思ひます、さうして却て其のことが銀行業者を助くる意味になりはしないかと、斯う考へるのでありますが、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=55
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056・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 只今内藤子爵の御意見御尤もでありませうが、銀行業者を助けると云ふ所をもう一度一つどう云ふ譯で助けると云ふことになるかちよつと聽き落しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=56
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057・内藤政光
○子爵内藤政光君 銀行へ行くと云ふのは非常に時間と勞力が掛かるから、僻村に於ては郵便局がそれに代つて農民に對して行つてやると云ふ意味で、價額が上つたからと云ふので少しも銀行業者を壓迫すると云ふ意味に私はなるまいと思ひます、却て銀行業者と云ふものを助けてやる意味になりはしないかと思ふのであります、其の意味に於て少し價額が上ると云ふことが必要な條件ではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=57
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058・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 成る程銀行業を助けると云ふことは郵便局が金を預かると云ふことに依つて、詰り預金が殖えると云ふ意味に於て銀行業者を助けると云ふことに承知して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=58
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059・内藤政光
○子爵内藤政光君 さうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=59
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060・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 其の點が色色銀行を實際に經營して居る人の考と少し違ふのではないかと思ふのですが、銀行を實際經營して居る人は自分の所に預金を吸收すると云ふことが彼等の利益であり、他の方面に預金を取られると云ふことが自分等を壓迫すると云ふやうに彼等は考へて居るのではないかと思ふのであります、只今内藤子爵の御話のやうに致しますると、結局銀行業者と云ふものは預金を吸收するのだから、目的は吸收にあるのだから、何處へでも預金をすれば銀行業者を助けることになるのではないかと云ふことは少しく私と意見が異つて居りますが、それは兎に角と致しまして、今囘の提案は先刻來何囘と申上げましたやうに、大藏省當局とも能く相談の結果まあ此の程度なら宜からう、斯う云ふことで一萬圓に限度を決めた譯でありますが、先刻各委員の皆樣方の御話を承つて見ると、もう少し増額すると云ふことが大いに必要だと云ふやうなことも、決して私は考へて居らぬのではございませぬから、是等の點は將來とても一萬圓に決めてしまつたからどうも出來ぬと云ふことにならぬのでありますから、大いに考へさして戴きたい、斯樣に御願ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=60
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061・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 政府委員の方に伺ひますが、此の前の引上げに於きまして、平均預入高がどの位高まりましたのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=61
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062・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 差上げました參考書の二十一頁に各年別の一口座當り貯金額がございます、郵便貯金が現在の五千圓になりましたのは昭和十七年であります、昭和十七年と十八年と比べて見ますと、昭和十七年に於きましては九十四圓、昭和十八年に於きましては百十圓となつて居ります、是は勿論引上げの結果だけではありますまいが、引上げの結果が多分に入つて居るのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=62
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063・齋藤齊
○委員長(齋藤齊君) 此の表を見ますると、斯くの如き一口座當りの貯金額の増加では、引上げに依る増額とはちよつと受取り難いのではないかと思ふのでありますが、先程來大臣からの御話もあります通り、浮動購買力の吸收と云ふ所に著目されて居りまするならば、唯最高制限だけを上げたのみでは不十分でありまして、一段の御努力が要るのではないかと存ずる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=63
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064・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 御趣旨の通りでございまして、今後私共と致しまして、出來るだけ其の方面に向つて努力致したいと思ひます、何卒御了承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=64
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065・長谷川赳夫
○長谷川赳夫君 先刻政府委員から明治十一年から十五年迄の間に最高制限額を撤廢したのだが、どう云ふ譯か理由は分らぬと云ふやうに御説明があつたと思ひます、是は成る程非常に古い話ですから、而も此の郵便貯金制度の出來ました極く初めの頃でありますから、御調べになることはなかなか困難だと思ひますが、併し此の期間、たつた四箇年だけ最高制限額を撒廢したと云ふことは相當理由があつたのではないかと思ひます、之を御調べ下さいまして、若し御分りになりましたならば、明日でも明後日でも御分りになりましたら御教へ戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=65
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066・齋藤齊
○委員長(齋藤齊君) 今日は此の程度で散會致します、明日午前十時より引續き質疑を續けて行きたいと思ひます
午前十一時四十九分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=66
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067・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 子爵 齋藤齊君
副委員長 男爵 伊藤一郎君
委員
侯爵 淺野長武君
子爵 内藤政光君
長谷川赳夫君
塩田團平君
岸本彦衞君
栃木嘉郎君
伯爵 清閑寺良貞君
江口文雄君
男爵 沖貞男君
男爵 中村徹雄君
木下謙次郎君
國務大臣
遞信大臣 一松定吉君
政府委員
遞信政務次官 中川重春君
遞信事務官 小池行政君
同 岡井彌三郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00219460726&spkNum=67
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