1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○郵便貯金法等の一部を改正する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年七月三十日(火曜日)午前十時十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=1
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002・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 是より會議を始めます、質疑を繼續致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=2
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003・伊藤一郎
○子爵伊藤一郎君 此の簡易生命保險法中改正法律案要旨に「保險契約者貸付金の辨濟を爲さすして命令の定むる期間」とありますが、此の「命令の定むる期間」と云ふことに付て伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=3
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004・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 御答へ致します、貸付期間滿了後四年經過致した時に辨濟を致すことに豫定致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=4
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005・内藤政光
○子爵内藤政光君 簡易生命保險法の改正案に於きまして、第二條を削除しまして、第四條に於きまして五千圓と云ふ風に保險金額を引上げて居られますが、さうしますと民間の保險會社に對しての壓迫と云ふことにならないか、是は大藏御當局の御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=5
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006・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 只今大藏當局を呼びに行つて居りますから少し御待ちを願ひます、大藏當局が參ります前に御質問がありましたら、どうぞ御續けを願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=6
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007・青木重夫
○子爵青木重夫君 只今内藤子爵から御質問がありましたことに關聯して御伺したいのでございますが、民營保險の只今の平均保險金額は幾何になつて居りませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=7
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008・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 最近の統計は不幸にしてまだ大藏省でも出來上つて居らないと云ふことでありまして、從ひまして私持合せがありませぬが、昭和十九年度に於きまする新契約の保險金額の平均は四千九百四十六圓と云ふことに相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=8
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009・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 前囘の委員會に於きまして、江口委員より御質問のありました速達料を拂つた郵便物が速達の效力を發揮せずして普通郵便より遲れたやうな場合、若しくは至急電報を打つた場合、其の至急電報が普通電報よりも遲れて至急電報の效果を發揮しなかつたやうな場合、さう云ふ場合には料金を拂戻してはどうかと云ふやうな御意見があつたやうに思ふのであります、其の點に付きまして答辯させて戴きたいと思ひます、江口委員は御出席でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=9
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010・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 今日缺席でございますけれども、後刻速記録で御覽になると思ひますから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=10
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011・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) それでは申上げたいのですが、實は速達郵便でございますが、それが郵便局の過失に依りまして速達としての取扱をしなかつた、又は普通郵便よりも遲れたと云ふやうな場合には、郵便規則の第九條第一項第三號の規定に依りまして、速達料を還付することになつて居るのでございます、現行法にもさう云ふ規定があるのでございますからして、其の點を一つ御了承賜りたいのでございます、それから電報料金に付きましては電報規則第四十五條に依りまして、其の效果を發揮しないやうな場合には、色々條件がございますが、電報料金を返すことが出來ると云ふ規定がございますので、左樣御了承を賜りたいのであります、唯茲で私考へて居りますることは、斯う云ふ規則のあることを民衆は十分に之を知りませぬ、徹底して居りませぬ、でございまするから之を民衆に知らせる爲に、電報受付の窓口だとか或は郵便物受付の窓口等に左樣な趣旨の記載を致しまして、廣く公衆に知らせると云ふ方法を執りたいと考へて居ります、さう云ふことに依りまして、江口委員の御心配に相成つて居りますることを一つ無くしたい、斯樣に考へて居るのでございます、此の際に之を申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=11
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012・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 只今大藏省の政府委員は衆議院の豫算總會に出席して居りますので、今直ちに本委員會に參ることが困難だと申して居ります、後程必ず出て參ると申して居りますから、御了承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=12
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013・沖貞男
○男爵沖貞男君 只今の大臣の御答辯を伺ひまして能く了解致したのでありますが、甚だ細かいことになりますのですが、速達を容れる袋とそれから普通郵便を容れる袋と違ふやうに了承致して居りますが、それで只今非常に資材がないものでございますから、普通郵便の袋に速達を容れまして、さうしてそれが爲に速達と普通郵便と取違へて抛つて置くと云ふやうなことがございますかと存じまするが、一つ資材の方も何とかここで御勘考願つて配布してやつて戴きたいと斯う思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=13
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014・小池行政
○政府委員(小池行政君) 只今御話のありました速達と普通郵便との行嚢の使用に付きましては、建前は速達は速達專門の行嚢に收めることになつて居ります、之に依りまして速達郵便の速度の效果を期待して居る譯でございます、御話にありました通り、纖維事情から致しまして、此の速達專用の行嚢が非常に不足して參りました、其の原因は主として戰災に因りまして、遞信當局として所有致して居りました約二百萬程度の行嚢の半數の百萬位な數量を燒失致しました、之が爲に非常に行嚢の不足を告げまして、取分け速達とか、或は書留とか云ふものを容れまする特殊な赤行嚢又は白行嚢等に非常な不足を來して居ります爲に、只今御話にありました通り、往々にして普通郵便の行嚢を代用致します爲に、普通郵便と同じ取扱を過つてされる爲に速達の速度が減殺されると云ふことは御話の通りでございまして、私共と致しましては、只今行嚢の増産に專ら力を注いで居るやうな次第でございますので、遠からず其の爲の缺陷は是正されると考へて居るやうな次第でございます、尚今後も此の方面に對しまして出來得る限り力を注ぎまして御期待に副ふやうに努めたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=14
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015・伊藤一郎
○男爵伊藤一郎君 今の御話に關聯してですが、一體郵便物の延著する一般的の理由はどう云ふ譯なんでございますか、いつも大體同じやうに遲れる譯ではなくて、非常に不規則で、或場合には三日掛かることもあるし、或場合には十日以上も掛かることがあると云ふやうに非常に不規則なのは、何かそこに原因があるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=15
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016・小池行政
○政府委員(小池行政君) 一般的な原因は、從業員の側から見ますれば食糧、住宅、交通等の一般的な原因の影響を受けまして、能率が擧がらないと云ふことが一つ擧げられると思ひます、又戰災を受けました施設が未だ十分に復舊しないと云ふことも第二の理由として擧げられる所でございます、是は局舍は申す迄もなく、其の他郵便物を輸送する色々な機關がございますが、それ等の輸送機關が非常に戰災を被つて居りますので、而も尚是が十分に恢復致しませぬ、是が第二の理由として擧げられる所であります、尚往々にして遲延致しまする理由と致しましては、例へば郵便物を輸送する郵便車と云ふやうなものがございますが、此の郵便車が往々にして不規則に運轉されて居る實情にあるのでございます、郵便車自體が戰前に較べまして其の運行囘數の少ないことは、是は一般的な遲延の原因となつて居るのでございますが、鐵道方面の轉送の實情から致しまして、往々にして郵便物を輸送する郵便車の運行と云ふものが必ずしも正常化されて居らない、と云ふことも一つの理由として擧げられて居る所でございます、それから尚戰時中に取扱の簡素化と云ふことが屡屡叫ばれました、是は勞力が非常に戰時中拂底致しました爲に、其の手數を省くことから致しまして、取扱の簡素化を圖つたのでありますが、是が今漸次戰前の状態に復歸致しつつはありますけれども、今尚一部十分に恢復致して居りませぬ爲に、往々にして郵便物が何處か一箇所に停滯して居ると云ふやうな、謂はば手續の粗漏から致しまして、郵便物が何處かに停滯して居ると云ふやうな事態が發生することがございます、是等の點に付きましては成るべく取扱手續の上に於きまして、細密な取扱を致しまして戰前の状態に復したいと、斯樣に考へて居る所でございます、尚末端の郵便局から受取人に對しまして配達致して居りまする面に付て申上げますると、最も事業の上に必要なものは自轉車でございまして、是が戰争中十分に供給出來ませぬでした、又相當の數量の戰災も受けまして、是れ亦今日十分な配備が出來て居らないのでございます、從ひまして若し是等の機械器具類がございましたならば、其の郵便物の速度が末端に於きまして相當改善されるのではないかと思ふのでございますが、往々にして其の自轉車が十分でない、又是が老朽になつたり或は部分品が足りない爲に、偶偶或日それが動かなかつたと云ふやうな理由がございまして、往々にして末端に於きましても亦遲延すると云ふやうな状態が現出して居るやうな次第でございまして、是等の諸點に付きましては、私共と致しましては出來得る限り速かに施設の整備に努めたいと、斯樣に考へて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=16
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017・伊藤一郎
○男爵伊藤一郎君 分りました、もう一つ御伺ひ致しますが、今議題になつて居ります此の三つの改正法律案の施行の期日は何時から御やりになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=17
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018・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 郵便貯金法に付きましては公布と同時に施行致したいと思つて居ります、簡易生命保險法と郵便年金法とに付きましては、今後勅令とか省令等を制定する爲に色色準備期間を要しますので、大體十月一日から施行致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=18
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019・青木重夫
○子爵青木重夫君 先程内藤子爵から簡易生命保險の保險金引上げが民營保險に對する壓迫にならぬと云ふので御質問がございまして、民營保險平均保險額を伺ひました處、昭和十九年で四千九百四十六圓でございますが、現在に於ては無論五千圓を突破して居ると想像致して居る次第でございますが、五千圓以上になりますと、私は當然民營保險と相當の競爭をすることになるのではないかと思ひます、此の點は内藤子爵の御意見と同樣なのでございますが、それに付て内藤子爵より大藏當局の御意見を御質問がございましたけれども、遞信當局は之に對して如何樣に御考になつて居りませうか、遞信當局の御意見を承りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=19
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020・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 只今の民間保險の平均金額は先程申上げました通り四千六百四十九圓、四千九百四十六圓と申上げたかも知れませぬが、それは誤りでありまして、四千六百四十九圓になつて居ります、最近は統計がありませぬけれども、どの會社に於きましても段々高額契約を獲得すると云ふ方面に向つて居ります、是は事業經營の立場から申しましてもどうしてもさうならざるを得ないのであります、さう致しますれば大體に於て平均金額も一萬圓程度に上つて居るのではないかと思ひます、さう致しますと簡易保險に於きましては五千圓以下でありますから、民間の事業と衝突する部分、摩擦する部分は殆どない、假令少々ありましても是は民間事業を壓迫する程度にはならないと私共は考へて居ります、尚大藏當局からも御話があるかと思ひますが、豫め大藏當局の御意見を徴しました所に依りましても、五千圓ならば民間事業を壓迫しない、此の程度ならば宜しいと云ふ意見でありましたので、それを參酌致しまして五千圓が適當であらうと認めたやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=20
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021・齋藤齊
○委員(子爵齋藤齊君) 簡易保險に付て御質問ございませぬか、御ありになりましたならば又後程して戴くことにして、郵便年金に入りたいと存じます、御質問ございませぬか、ございませぬければ、甚だ簡單でございますから、私から此の席から御尋ね致したいと存じます、第六條の二の年金繼續受取人の遺族と云ふのがございますが、此の遺族はどう云ふ順位になつて居りますか、又民法との關係等御話願ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=21
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022・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 大體年金繼續受取人の指定と同じ方法で指定致したいと思つて居ります、從ひまして其の遺族の範圍及び其の順序は年金受取人の配偶者、子、父、母、孫、祖父、祖母及び兄弟姉妹、斯う云ふ範圍で、且又此の順序に依りたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=22
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023・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 民法其の他の關係は如何になるでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=23
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024・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 之に依りまして民法の相續規定を排除すると云ふことに相成る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=24
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025・齋藤齊
○委員(子爵齋藤齊君) 大藏當局が見えましたので御質疑を願ひます、内藤子爵に御願ひ致しますが、大藏當局が見えましたので、先程の御質疑を重ねて遊ばして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=25
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026・内藤政光
○子爵内藤政光君 簡易生命の保險金のことでありますが、其の第二條を改正規定では削除して、さうして第四條に於て、其の保險金額を五千圓と云ふ風に引上げてあります、さうすると民間の保險會社に對して壓迫にはならないかと、斯う云ふことを伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=26
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027・江澤省三
○政府委員(江澤省三君) 只今の御質問に對して御答へ致します、今度簡易保險が五千圓に引上げられたことに付きまして、民間に對する影響はどうかと云ふ御質問と思ひますが、現在昭和二十年、去年の四月から此の三月迄の生命保險の契約内容に付て申上げますると、二十社の合計が、件數百三十五萬八千餘件新契約高が百十四億九千六百萬餘圓、斯う云ふことになつて居りまして、一口の金額が大體八千四百六十一圓と云ふやうな計數になつて居ります、斯う云ふやうな數字から見ますると今度簡易生命保險が五千圓になりましたと云ふことは民營事業に對しましてはさう大きな影響を與へるものではない、斯う存ぜられる次第であります、特に最近は契約も大口のものが殖えて居るやうな傾向でありますので、其の邊は私共の方では大した心配はないと觀測して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=27
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028・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 私から大藏省に質問を致したいと存じますので、どうぞ委員長席に御著を願ひます
〔委員長退席、副委員長著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=28
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029・伊藤一郎
○副委員(男爵伊藤一郎君) それでは私暫く委員長に代りまして其の席を汚します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=29
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030・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 只今大藏省の政府委員の方の御話に依りますると、民營事業に於きまする平均が八千四百六十一圓と云ふことに相成つて居る、簡易保險の方を五千圓に上げてもさしたる影響はないだらうと云ふ御話でございますが、五千圓と平均額八千圓との差額は僅かに三千圓でございます、此の平均と云ふものを其の儘で見ますると、三千圓の開きと云ふものは大して影響ないと云ふやうに矢張り御考になるかも知れませぬが、五千圓以下にも多數の新契約がまだあるのでありまして、此の點簡易保險が壓迫する結果に相成りはしないかと存じます、其の點先程さしたる影響がないと云ふ風に御話がありましたけれども、保險會社は一つあるのでございませぬで、多數の會社がありましてそれが契約を取つて居る、先程御述べになりました昭和二十會計年度に於きまして百三十五萬八千件を取つて居ると云ふのでありまして、優良な會社に於きましては相當高額の契約が取れるかも知れませぬが、所謂弱小會社と申しまするか、小型の會社になりますと大きな契約は取れない實情にあると存じます、此の點大藏當局はどう云ふ風に御考になつて居るのでありませうか、承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=30
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031・江澤省三
○政府委員(江澤省三君) 其の點は私共の方としては今後の問題として相當大口のものが殖える傾向にあるので、さう大きな影響はないと見込みまして、今度の問題に付ての見解を先程申上げた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=31
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032・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 兎に角影響があると云ふことは御認になつて居ると存じますが、果して影響があると致しますれば、所謂弱小會社に對して之をどうして行くかと云ふやうな對策を御持になつて居るのではないかと推測致しますが、弱小會社に對する對策を御示しになつて戴きたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=32
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033・江澤省三
○政府委員(江澤省三君) 大體に於て整理されるものは整理され、生命保險會社の基礎は各社とも相當鞏固になつて居ると存ずるのでありますが、勿論中には弱小と云ふやうな言葉で言つて宜いやうなものも或はあるかも知れませぬ、さう云ふやうなものに付きましては十分それが立つて行くやうに指導して行く、更に已むを得ないものに付ては或程度整理するやうなことになるのも已むを得ない場合があるのではないかと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=33
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034・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 了承致しました、大藏省に對しましては後程又御質問申上げたいと存じて居りまするが、遞信當局に對しまして、簡易保險の事業經營の現況を先づ承りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=34
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035・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 簡易保險事業は御承知の通り昭和十二年以來時局の影響を受けまして飛躍的に事業が膨脹致し、保險料の増收も非常なものでありまして、其の爲に年々健全なる經營状況を續けて來たのであります、昭和十五年に至りまして、戰爭に因る死亡率が多少増加致しましたけれども、尚且實際の死亡率は豫定死亡率を下廻つて居ると云ふやうな状況であります、又其の頃から段々物價が騰貴致しまして、事業費も嵩んで來たのでありまするが、事業内部に於きまして極力節約を致しました結果、是亦さしたる影響も及すことなく昭和十九年に至りまする迄は略略收支の均衡を保つて參つたのであります、昭和二十年度の後半に至りまして、從業員の待遇改善の爲に相當の經費を捻出しなければならぬと云ふやうな情勢に立至りましたので、二十年度の決算はまだ致して居りませぬが、どうしても二千萬圓内外の缺損は免れ得ない見込であります、更に昭和二十一年度に至りましては其の豫算に於きまして前年度と比較致しまして事業費の膨脹は約二億七千二百萬圓と云ふ巨額に達したのであります、是は主として從業員の待遇改善に依る事業費の膨脹に起因致すのであります、さう致しまして此の二億七千二百萬圓と云ふ新たに殖えた事業費の財源の捻出と云ふことに付きましては色色々研究し苦慮致しまして、色々な方法で之を捻出しなければならぬのでありまするが、先づ第一に人員の整理、それから新規契約に對する長期契約の廢止、積立金の方式、從來の方式を「チルメル」式に變更する、此の今囘の法律が通りました場合に於ては保險金額は上ります、從ひまして之に對する收入保險料は増加することになりまするので、それに依りまする收入の増加、斯う云ふことを見込みまして、二十一年度は略略收支の均衡を辛うじて保つと云ふやうな、創始以來未曾有の經營難に突入致して居るやうな次第であります、併しながら今後に於きましては只今申しました保險料の増收に依りまして、大體今後一年間に五百萬件と致しますと、平均保險料は十圓程度、是は保險金額が五千圓となりましたならば、左迄困難事ではないと思ひます、比の計畫通り行きますとしますれば、五六年後に於きましては、只今のやうな色々な無理なことをしないでも略略やつて行ける、それ以後は更にそれに準ず、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=35
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036・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 簡易保險の積立金に付きまして、最近問題になつて居ります軍需補償其の他の補償の打切りに依ります影響がありますものでございませうか、其の點過日は外地資産に付てだけ御話がありましたが、其の他にございませうか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=36
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037・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 軍需補償打切りに依りまして若し影響を蒙むることありとせば、其の額はどの位かと云ふことを算定して見まするに、約三億二千萬圓程度の株式社債などは或は多少の影響を蒙むることがあるかも知れませぬ、斯樣に存じて居ります、其の株式と社債の種類は大體に於きまして興銀、帝國燃料、日發、日鐵、其の他の會社の株式若くは社債でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=37
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038・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 只今の三億二千萬圓餘の額は過日御述になりました外地資産以外のものと了承して宜しうございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=38
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039・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 其の通りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=39
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040・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 簡易保險特別會計法に於きまして、以前は一般會計から繰入が出來るやうになつて居つたのでありますが、今日はどう云ふ風になつて居りませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=40
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041・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 以前の簡易保險郵便年金特別會計法に於きましては、御説の通り若し此の會計に不足がある場合には一般會計から補助すると云ふ規定がありましたが、一昨年、昭和十九年度の此の會計法改正に伴ひまして此の規定が削除されて居ります、從ひまして今日に於きましては假令此の事業に缺損が生じました場合でも、一般會計からは補助しないと云ふ建前に相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=41
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042・伊藤一郎
○副委員長(男爵伊藤一郎君) 齋藤子爵に御注意申上げますが、只今は郵便年金の質疑の時間だと思ひますが、今の點は簡易保險の點だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=42
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043・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 先程私は郵便年金に入つて居つても…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=43
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044・伊藤一郎
○副委員長(男爵伊藤一郎君) 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=44
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045・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 簡易保險事業は庶民階級の保險でありますので、極力之を保護する必要があると云ふのは簡易保險の事業の趣旨だらうと思ひます、而して此の事業創始當時に於きましては、其の意味に於ても一般會計から不足金を補ふことが出來ると云ふ規定があつたのだと存じます、それを止めてしまつたと云ふ理由は如何な點にあるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=45
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046・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 甚だ申譯ないのでありまするが、此の規定を廢止致しました當時の事情を今私殘念ながら審かに致して居りませぬが、想像する所に依りますれば、抑抑初に一般會計から補助すると云ふ規定がありましたのは、事業創始當時に於きましては保險契約者も左迄澤山ないであらう、從ひまして事業の經營は非常に困難であらうから、創始當時の數年間と云ふものは恐らく赤字が出るであらうから、それでは將來簡易保險事業と云ふものは成長しないから補助をする、斯う云ふ意味で出來たのではないかと思ひます、然るに其の後此の事業は年々飛躍的の發展を遂げまして、今日に至りましては厖大なる契約者數と保險金額と鞏固なる基礎を持つことに相成りました今日、將來一般會計から補助しなければならぬと云ふ必要は豫想せられない、斯う云ふ意味を以ちまして、昭和十九年度に於きまして廢止致したのではないかと、斯樣に存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=46
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047・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 庶民階級の保險を確保し生活安定を期すると云ふ點に於きましては、事業創始當時と雖も、今日と雖も何等變つたものでないと存じます、政府に於かれましては、今後簡易生命保險に於ても不足を生じました場合に、之に對して一般會計から繰入れると云ふ途を再び御拓きになる御考が御ありになりませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=47
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048・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 只今の齋藤子爵の御質問に對しましては、簡易生命保險の創設の趣旨から考へましても、どこ迄も庶民階級の利益擁護と云ふことは、政府と致しまして當然考へなければならぬことでありまする結果、今御尋のやうな事實が若し現れて參つたと云ふ場合には、政府の責任と致しまして、是はさう云ふやうな繰入に關しまする法規を更に制定致しまして、庶民に損害を及さないやうにしなければならぬ、斯樣に考へて居りまするから、さう云ふ場合には善處致す、斯う云ふ考を持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=48
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049・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 只今遞信大臣より、庶民階級の保險に對しては極力之を擁護すると云ふ力強い御言葉がありましたので、私は之を以て了承致します、而して大藏當局に御伺ひ致しまするが、今囘簡易生命保險が五千圓迄に引上げられまするが、民營保險に於きましても、五千圓以下の保險は竝行して募集せられて行くと云ふ、然るに此の生命保險に依つて保護されるものは、同じく五千圓以下の保險を掛けられると云ふやうな大衆である、而して簡易保險を所管されまする遞信當局に於かれましては、此の保險金の支拂に對しては極力之を擁護すると云ふ御話でありました、場合に依つては一般會計からの繰入金、即ち國庫からの補助も厭はずやつて行きたいと云ふ御意圖があると存じます、然るに普通生命保險は、是は民營でありますので、未だ政府から補助を受けると云ふやうな途が拓けて居らないのであります、同じ人でありまして、簡易保險に契約して居れば保險金が確保される、民營保險に契約して居れば確保されないと云ふ差別がありましたならば、一般大衆の保險を確保すると云ふ意味合に於きまして聊かをかしな事態になるのではないかと存じます、大藏省は一定金額以下の保險に對して、或は保險全體に對して何等かの保護と云ふやうなことを爲さる御考が御ありでせうか、承りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=49
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050・江澤省三
○政府委員(江澤省三君) 御答します、民營保險に於きましても勿論少額のものに付て十分な保護を與へると云ふことは當然のことであると思ひます、補償打切り其の他に關聯しまして色々な影響が各方面に及ぶのでありますが、政府と致しましては出來得る限り保險に付きましても、影響を最小限度に止めたいと云ふ方針で色々對策を研究をして居ります、少くも少額のものに付きましては十分な處置を取つて行く、斯う云ふやうな方針であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=50
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051・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 次に遞信當局に御尋ね致しますが、以前簡易生命保險に於きましては、健康相談所と云ふものを御設けになりまして被保險者の福祉の増進に當つて居られたのでありまするが、只今に於ては是は全然と云ふ譯ではございませぬが、其の大部分は厚生省に移管せられました、厚生省に委託したことに付きまして幾らか金を出して居られると存じますが、何程になつて居りませうか、其の事情を承りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=51
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052・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 被保險者に對する福祉施設の厚生省に對する委託費と致しましては年々三百萬圓を支出して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=52
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053・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 其の三百萬圓を厚生省に於きまして如何に使はれて居られるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=53
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054・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 厚生省に於きましては此の金を各府縣へ配付致します、各府縣では之を保險者の施設の補助として交付してやつて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=54
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055・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 今の三百萬圓を全國に分けますと、一府縣當り六、七萬圓の少額なものになると思ひますが、斯う云ふやうな金を府縣が貰つた所で、之を果して簡易保險の被保險者の爲に有效適切に使つて居るものでございませうか、承りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=55
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056・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 御説の通りでありまして、此の少額の金を以ちまして十分被保險者の爲の保健衞生施設として有效であるかどうかと云ふことに付ては、私共も非常に疑問を持つて居ります、又實際に果して此の金がどう云ふ風に使はれて居るか、果して保健所に於きまして厚生省と遞信省との間の契約通り被保險者が保健所を利用出來て居るかと云ふことに付きましては、私共多大の關心を持つて居りまして、目下全國へ人を派しまして其の實情を調査中であります、從ひまして其の調査の結果餘り有效でない施設があると認めました場合には、厚生省と交渉致しまして何等かの處置を講じなければならぬと斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=56
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057・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 先日も私から御尋した點でございますが、簡易生命保險は庶民階級の相互扶助の機關でありまして、政府は唯其の仲立ちになつて居るに過ぎないのであります、然るに政府は之を一つの事業の如くに考へて居られまして、政府の御都合に依つて色々なことをなさつて居られます、相互扶助と云ふやうなものは、殊に生命保險に於きましては被保險者の相互扶助であると云ふ考へ方は非常にはつきりして居るのでありまして、外國に於きましても、「アメリカ」邊の保險に致しましても、簡易生命保險の如きは大體相互組織で運營されて居ります、又株式組織で運營されて居りますものも大分相互化されて居ります、今日日本の遞信省の運營致して居られます簡易生命保險に於きましても、さう云ふ理念に基いて運營さるべきだと思ひます、然るに政府は之を一つの事業の如くに考へて居られまして、厚生省が設置せられる場合に於きましては、政府の都合に依つて簡易生命保險の首腦部だけを厚生省に移管し、或は之を遞信省に戻す時には今度は被保險者の福祉施設の如きものを厚生省に殘して來ると云ふやうなことでございまして、是で簡易保險の被保險者或は契約者が果して本當に滿足するものでございませうか、簡易保險の被保險者、契約者と云ふものは、所謂庶民階級でございまして、此の聲が政府の上の方に屆くのにはなかなか困難だと存じます、此の點政府はどう云ふ風に御考になつて居られませうか、將來又簡易生命保險を他省に讓るとか、さう云ふやうなことがないでもありませぬので、此の點伺つて置きたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=57
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058・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 御示しの如く、簡易保險事業は被保險者の相互扶助の施設でございまして、政府の獨占的の事業では決してないのでございまして、我々事業の當事者と致しましては、被保險者から其の施設を預つて居る、委託を受けて居ると云ふ氣持で將來當つて行かなければならぬと思ひます、從來、御示しの如く、其の方針に反したやうな事柄があつたかも知れませぬけれども、今後は十分其の點は氣を付けて行かなければならぬ點であるかと思ひます、從ひまして將來此の事業が厚生省に再び移管になると云ふやうな議が起りました場合に於きましては、私共も是は郵便機關を利用することに依つて飽く迄も發展し又將來も發展を續けて行くのであると云ふ信念を以ちまして、どうしても遞信省に存置しなければならぬと云ふ説を持つて居るものでありますが、此の説を飽く迄も主張致しまして、徒に其の時の行政上の都合に依りまして他省に移管されるが如きことのないやうに努力致したいと思つて居ります、尚又被保險者の利益を尊重すると云ふ意味に於きまして、色々な手段を考へたいと存じますが、其の一端と致しましては、此の改正法律案にもあります如く、簡易生命保險法に於きましては二十八條の二、年金法に於きましては二十二條の二にあります通り、事業の委員會と云ふものを設置致しまして、それには官廳の代表、有識經驗者の外に新たに加入者代表と云ふものを加へまして、之に依りまして被保險者の利益を十分尊重して行きたいと斯樣に存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=58
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059・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 只今政府委員が觸れられました簡易生命保險及郵便年金事業委員會の委員會に於きまして其の組織及構成を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=59
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060・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 此の事業委員會は遞信大臣の監督に屬しまして、只今申上げました通り、保險法二十八條の二、年金法二十二條の二に掲げて居ります事項其の他事業の經營上重要な事柄に付きまして審議調査せしむると云ふことに相成つて居ります、其の構成と致しましては、關係各廳の官吏、有識經驗者、被保險者の代表、契約者の代表、此の三者を組織内に入れたいと思ひます、それから從來ありました、保險及年金の積立金運用委員會は之を廢止致しまして、本事業委員會の中へ採入れたいと思つて居ります、此の委員會に付議致しまする事項は只今の法定致して居ります事項の外に例示致しますと、積立金の運用であるとか、新種保險の創設であるとか、或は保險料の引上げ、保險金額制限の引上げとか、各種の經營上の重要な事項は總て此の委員會に付議致したいと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=60
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061・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 本日承る所に依りますると、簡易生命保險の事業に於きましては其の經營に於て可なり苦しい所があると云ふ御話でございましたが、先日承る所に依りますと二十八條の二に依りまして契約條項を變へる、變へるのにも色々あるけれども、兎に角長期契約還付金の變更だけで濟まして行きたいと云ふ御話でございましたが、其の點果して今後それだけで濟むものでございませうか、或は保險金、保險料等の變更を來すものでありませうか、其の點明かにして貰ひたいと存じます、重ねて此の點を承りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=61
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062・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 二十八條の二に依りまして將來契約條項を變更した場合は之を既存の契約に迄及すと云ふ場合と致しましては、前囘申上げました通り差當り長期還付金、郵便年金に於きましては定期年金の滿期返還金、是だけに止めたいと存じて居ります、處が將來「インフレ」のより以上の昂進に依りまして事業費が一層膨脹致しますとか、或は運用資産が大幅に喪失すると云ふやうな場合が萬一ありました場合には、是は先程大臣から御説明がありました通り、一般會計からの補助に依るべきでありまして、小口の庶民階級の保險であると云ふ特殊性に鑑みまして其の既存の利益を削減することは最少限度長期還付金、それから又滿期返還金の程度に止むべきでありまして、それ以上の保險金額の削減であるとか、保險料の引上げなどに付きましては極力囘避しなければならぬと斯樣に存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=62
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063・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 大藏當局に伺ひますが、先程簡易保險の運用資産に於きまして補償打切の影響を伺つたのでございますが、民營保險に於きましては如何なものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=63
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064・江澤省三
○政府委員(江澤省三君) 是は同樣な事情に依りまして金額は申上げられませぬが、相當大きな損失を計上致すと云ふことは將來決まることでございます、正確に申上げられませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=64
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065・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 之に對する對策として民間に色々と流布されて居る點がございますが、大藏當局と致しましてはどう云ふ風に考へて居られるのでございますか、或は又民間に傳つて居るもの以外に責任準備金の計算方法を變へるとか、其の他技術的の方法迄御考へになつて居りませうか、承りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=65
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066・江澤省三
○政府委員(江澤省三君) 此の邊は目下研究中でありまするが、そこ迄はやらぬで濟むのではないか、斯う存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=66
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067・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 次に伺ひますが、去る土曜日の日でございましたか、傳へられました最近の金融措置、銀行預金の移動禁止と云ふものに付て承りたいと存じます、而して是が一般の銀行の預金に付て行はれまして郵便貯金には適用されなかつたと存じますが、其の點に付ても御説明を願ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=67
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068・江澤省三
○政府委員(江澤省三君) 是は勿論郵便貯金にも適用されて居ります、或は種々の決定が遲れた爲に御質問のやうなことがあつたかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=68
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069・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 此の目的と致しますことは如何なものでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=69
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070・江澤省三
○政府委員(江澤省三君) 是は最近色々な風説に基きまして預金分割に類するやうなことが行はれました、是は今後政府が色々施策を考へて行きます上に於きまして、或は支障を生ずる虞がないとも限らないと云ふことから一應禁止致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=70
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071・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 世間に流布されて居りますものの中では、例へば一萬五千圓以上の預金は永久封鎖するとか、色々なことが傳つて居ります、此の際生命保險の保險金、或は其の解約返戻金、或は郵便年金又は其の解約返還金と云ふものに付てどう云ふ風になるか、幾多の問題がございますので、實施されます場合には十分是等の點を御研究になつて戴きたいと存じますが、只今大藏當局の御説明に依りますれば、是は單なる風説に過ぎないと云ふ風な御話でございますが、斯くの如く確信して宜しいものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=71
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072・江澤省三
○政府委員(江澤省三君) 大體の政府の方針が決まらぬ中に色々説が出て居りますので、勿論風説と見て宜いものと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=72
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073・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 私の質問は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=73
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074・伊藤一郎
○副委員長(男爵伊藤一郎君) では只今齋藤子爵が委員長の席に戻られます
〔子爵齋藤齊君委員長席に着く〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=74
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075・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 別に御質疑はございませぬでせうか、御發言もございませぬので質疑はないものと認めます、是にて質疑を打切ります、次に討論に入ります、御發言ございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=75
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076・木下謙次郎
○木下謙次郎君 簡易保險の成立致しましたのは大正五年大隈内閣の時でありました、丁度私は其の時代の遞信省の政務次官、當時の參政官を致つて居りましで、本案の成立に參畫致しました事實があります、今を去る三十年前であります、長生きをしました爲に、又此の法律の改正案の議に參畫することの出來ましたことは何かの因縁と存じまして、三十年前のことを考へて見ますと、頗る感慨に堪へないものがあります、其の當時は簡易保險が今日我々が見て居る程の盛運に向ふと云ふことは夢更想像しなかつた、當時は非常に問題がありまして、さう云ふ要らぬことをして民間の保險會社を壓迫する必要はないではないか、斯う云ふ反對の議論があつたのでありまするが、遞信當局としては是は一種の社會政策である、社會政策と名が附けられなければ社會政策の一つの施行である、從つて民間の保險會社を壓迫すると云ふよりも、民間の營利會社では手の著かないことを遞信省が官府の力を以て各地にある郵便局を使ひ、又遞信自ら營利事業でない相互利益の一つの保險團體を拵へると、斯う云ふ意味を以て議會に提案を致したのでありまするが、議會の方では色々議論がありました、其の時代貴族院の委員長は林伯爵であつたかと考へます、副委員長が元の前田利定さん、御兩君とも保險會社に關係があつたと見えまして、正面から御反對であつたのであります、衆議院の方では政友會、進歩黨、政黨の關係上、政友會が之に贊成しなかつた、衆議院では政友會が之に反對し、貴族院では保險會社に關係のある方々の反對があつて甚だ行詰つたのでありましたが、其の當時の政府委員として今生きて居りますのは私が一人位ではないかと思ふのであります、法制局參事官の松本烝治博士が政府委員として隨分盡力爲さいましたが、松本君が生きて居られますか、それ以外に殆ど現在生きておいでの方を私は知りませぬのであります、さう云ふ事情で兎に角に貴族院の反對の議論は甚だ強くて、到頭山本達夫さんの動議で、遞信省の最初提案した三百圓と云ふ案を二百五十圓に減額すると云ふ修正案が通過して、貴族院を漸く通つたやうな始末であつたのであります、併し今日是だけの非常な此の事業の發展をしたと云ふことは勿論國運の發展の爲でもありませうが、併し遞信當局の努力も亦一方ならぬことがあつたと我々は深く感謝を致して居る次第であります、丁度此の事業が斯く發展の頂點に達した今日、不幸にして我が國運は蹉跌し、國家は興亡の岐路に立ち、道徳は殆ど頽廢し、人心は弛緩し、先頃から色々御質問があつて、或は郵便の延著とか、小荷物がどうとか、遞信當局が云々とか、色々な御議論がありましたが、是は併し遞信省の事務上の責任ばかりではないのであります、是は皆さん御承知の通りでありますが、斯く國家興亡の岐路に立ち、國運蹉跌の今日、曩に齋藤子爵よりの御質問に對する政府委員の御答に、此の事業の責任準備積立金にも何億と云ふ現在損失を致して居るのでありますが、此の損失があるにも拘らず、此の保險の率に損害を掛けることなきやう今努力の最中であり、而も斯く人心弛廢の今日に當つて、此の文化施設の改善の爲此の法律案を茲に提出爲されたと云ふ其の努力と云ふものに向つては、私は遞信當局に深く謝意を表する者であります、又本委員會の今日迄の經過を拜見しまするに、大體此の案の趣旨に御反對の意嚮は殆どないやうに考へます、併し唯總額の數字の上に郵便貯金の「五千圓」を「一萬圓」とし、簡易保險の「二千圓」を「五千圓」に、郵便年金の「三千六百圓」を「六千圓」とすると云ふ此の數字の上に付ては、大體昨日御意見がありまして、今少し之を餘計に上げてはどうか、一萬圓は少いぢやないか、五千圓は少いぢやないか、今少し之を餘計にして、此の法律改正の趣旨を貫徹したらば宜いではないかと云ふ御意嚮を段々承つたのでありまするが、併し是は簡易保險の成立の當時から考へまして、社會政策、庶民階級の便宜の爲に起した事業であつて、其の爲に民間の事業を壓迫してはならぬと云ふことは、起案の當時から今日迄此の精神の中に籠つて一貫して居る精神であるのであります、若し此の數字の金額を上げると云ふことになりましたらば、遞信當局も喜ぶ所でありませう、又斯くあつて欲しいのでありまするが、併し遞信當局が喜ぶと喜ばざるとに關せず、其の結果が民間の營業を壓迫すると云ふことであつたらば、是は餘程考へなければならぬ、若し此の金額を無制限に上げると云ふことになりましたらば、或は保險を官營にするとか、銀行を官營にするとか、保險官營、銀行官營の時代がありとすれば兎に角に、まだ保險も銀行も官營にすると云ふ時期に到著して居らず、保險は民營、銀行も民營、簡易保險は遞信省の官營と云ふ、斯う三巴に立つて居る今日では、三つとも竝行して、互に其の權利を侵すことなく、又政府の營業が民間の營業を壓迫することなく、雙雙相助け相倚つて國家の進運に貢獻すると云ふことが制定の趣旨であらうかと考へまするから、私は大體に於て此數字の上に於て、又本案の大體の趣旨に於て御贊成を申したいと考へます、甚だ失禮致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=76
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077・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 他に御發言ございませぬか、御發言ない場合に於きましては採決に移りたいと存じますが、別段御發言ございませぬか、然らば討論を打切ります、是より採決に入りたいと存じます、本案を可決して宜しうございませうか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=77
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078・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=78
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079・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 委員各位の熱心なる御審議の結果、全會一致を以て可決して戴きましたことは私誠に感謝に堪へませぬ、御審議の間に於きまして種々御意見を拜聽致しました、將來執務の上に於て多大な裨益する所が多いことを感じて居ります、私から厚く御禮申上げまして皆樣方の御意見に副ふやうに努力致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=79
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080・齋藤齊
○委員長(子爵齋藤齊君) 是にて散會致します
午前十一時三十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=80
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081・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 子爵 齋藤齊君
副委員長 男爵 伊藤一郎君
委員
公爵 島津忠承君
侯爵 淺野長武君
子爵 内藤政光君
子爵 青木重夫君
伯爵 清閑寺良貞君
男爵 沖貞男君
男爵 中村徹雄君
木下謙次郎君
國務大臣
遞信大臣 一松定吉君
政府委員
大藏事務官 江澤省三君
遞信政務次官 中川重春君
遞信事務官 小池行政君
同 渡邊音二郎君
同 岡井彌三郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003518X00419460730&spkNum=81
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