1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○臨時物資需給調整法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=0
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001・会議録情報2
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委員氏名
委員長 男爵 古市六三君
副委員長 子爵 柳澤光治君
公爵 桂廣太郎君
侯爵 廣幡忠隆君
侯爵 徳川頼貞君
伯爵 壬生基泰君
子爵 森俊成君
子爵 交野政邁君
子爵 鳥居忠博君
子爵 京極高鋭君
長岡半太郎君
男爵 伊藤一郎君
男爵 奧田剛郎君
男爵 加藤成之君
男爵 田中龍夫君
大木操君
川上嘉市君
三橋四郎次君
正田貞一郎君
松本勝太郎君
中山太一君
片岡直方君
河端作兵衞君
岩淵辰雄君
上野喜左衞門君
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昭和二十一年九月二十三日(月曜日)午後一時十八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=1
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002・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) それでは是から臨時物資需給調整法案特別委員會を開會致します、此の法案は大分廣範圍にも關係がありますことでありまするので、どうぞ委員各位に於かれましては、成るべく特別委員會に御出席を戴きまして、御質問の同樣なることを避けて戴きまして、議事の進行を圖りたいと存じます、どうぞ其の點御含みの上で、宜しく御願を申上げます、それでは是から、本法案に付きましての政府の御説明を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=2
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003・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 臨時物資需給調整法の提案理由に付きまして、御説明申上げます、我が國の産業の現状を見ますと、戰災に依る工場設備の甚大な被害、各種設備の老朽荒廢、原材料、資材の不足、物價高に依る生産原價の昂騰、終戰に伴ふ産業秩序の混亂等、諸般の惡條件が競合致して居りますと共に、相次いで生起する勞働爭議に依る不安も加りまして、有らゆる努力にも拘らず、其の囘復は遺憾ながら滿足すべき歩調を示して居ない状態であります、即ち各種物資の基礎を成す石炭に付て見ましても、戰爭中は年間約五千萬「トン」前後、月間約四百萬「トン」の生産を見たのでありますが、終戰後一時は五十萬「トン」迄落ちて、今日漸く百六、七十萬「トン」臺迄漕ぎ附けたと云ふ情勢であります、然るに現在の状況から見まして、月間少くとも二百萬「トン」餘の石炭はどうしても必要であると認められるのであります、又鐡鋼に付て見ましても、石炭不足に惱まされて一四半期四、五十萬「トン」程度の需要に對し、六、七萬「トン」程度の生産しか期待出來ない情勢でありまして、基礎資材が此のやうな状能でありますから、之を原料、材料とする他の工業の生産力が未だ十分の囘復を示して居ないことは、自ら推知出來ることと存じます、他方戰爭に依つて極度に逼迫せしめられた國民生活は、終戰後益益其の困窮の度を加へ、社會秩序の維持の爲にも、其の乏しきを救ふと共に、少いながらも必需物資の適正な配分を確保しなければならないのであります、以上の點から考へまして、現在直面して居る經濟危局を克服して、産業の恢復及び振興を圖ります爲には、どうしても各産業の基礎資材、見返り物資、食糧其の他民生の安定の爲必要な物資に關しては、重點的な計畫生産を實施して行くと共に、此の計畫生産を完遂し國民生活を安定させる爲に、物資の合理的な配分を行ふことが緊要なのでありまして、之が爲には、先づ物資の需給に關する基本的な綜合計畫を策定し、之に基き各種の施策を法的な裏附を以て臨機應變に實施する必要があると考へるのであります、是が本法案を提出するに至つた所以でありまして、本法は此の經濟危機を克服する爲の已むを得ぬ、併し絶對に必要な臨時措置であると考へて居る次第であります、本法案は御覽の通り、實體的な規定は第一條と第二條との二ケ條に過ぎず、其の體裁は極めて簡單でありますが、先づ統制の範圍でありますが、政府提出の原案に依つて申上げますと、第一條に規定して居るやうに、「物資の割當又は配給」「物資の生産」「若しくは工事の施行又は物資の生産若しくは工事の施行の制限若しくは禁止」「物資又は設備の讓渡、引渡又は貸與」の三つの項目に付て、必要な命令をすることを其の内容として居るのであります、次に統制の實施に付きましては、本法は經濟民主化の理念に一貫して居るのであります、即ち本法に基く命令の發動は、總て經濟安定本部總裁が定めた方策に基くことを絶對の要件として居りますが、此の經濟安定本部は經濟界、學界から現職の儘部長、部員を採用すると云ふ畫期的な方法を取つて居るのみならず、經濟界、政界、學界、勞働界、關係各省の權威者より成る經濟安定會議に依つて事を決して行くこととなつて居るのでありまして、民主的な官廳の典型たるの名に恥ぢぬものであると考へます、此のやうな經濟安定本部の運用に依りまして、戰時中に於けるやうな統制の幣を排除すると共に、原材料、資材に付ては十分に民間の創意と經驗とを尊重する必要があり、民間の産業團體等を極力活用して行くことが適當であると考へまして、第二條の規定に依つて、民主的に組織せられた産業團體に對して、當該産業の運營に必要な物資の割當を實施せしむる方針を宣明して居るのであります、尚政府の産業團體に對する關係に付きましては、民間當事者の自主性と責任を尊重し、戰時中の統制法規に見たやうな無用の干渉に陷らないやう、特に留意して居るのであります、以上本法案の内容の概略を申上げたのでありますが、結局問題は法文の體裁が簡單な爲、包括的委任立法となる結果、主務大臣の權限が廣汎に過ぎ、如何なる方法で如何なる内容の統制を實施しようとするのか不明である點と、經濟安定本部と主務大臣との關係を如何に調整するかと云ふ點とに存するのでありまして、此の點は衆議院に於ても痛烈な論議の的となり、其の結果、次の諸點を修正することとなり、政府も之に對して同意致したのであります、即ち其の第一點は、第一條の主務大臣の命令權の行使は經濟安定本部總裁の同意を得て之を行ふものとし、主務大臣の恣意的な命令發動を抑制し、各省間に於ける施策の綜合調整を圖ると共に、經濟安定本部に於ける安定會議の運用等を通じて、其の民主的な運用を圖らうとした點であります、第二點としては命令の發動に當つて、官吏の恣意的な處置を防止する爲に、同一の條件の下にある者には、差別なく適用されるものとする旨の制限規定を置いたのであります、第三點としては、第一條の命令事項の内容を整理致しまして、物資の使用の制限又は禁止に付て、新たに一號を設け、更に生産命令の項に新たに出荷命令を加へることを致しました、更に斯かる規定は必要最小限度に發動すべしとの觀點から二號乃至四號の事項に付ては、供給の特に不足する物資に付てのみ其の適用を行ふことと致しますと共に、設備の讓渡、引渡し、又は貸與に付ては、其の範圍を遊休設備のみに限定することと致したのであります、第四點と致しましては、損失補償を行ふべき事項の範圍を整備致しまして、第三號の事項、即ち生産、出荷命令及び工事命令に付ては、補償の範圍を積極命令のみに限定し、消極命令に付ては、其の要なしと認め、補償の行はぬことと致したのであります、其の第五點は、第二條の産業團體の物資割當に對する不服申立に付ては、主務大臣に申立てて、其の決定を仰ぐ方法を改め不服申立人、産業團體及び第三者から成る委員會を組織させ、其の決定を仰ぐこととしたのであります、其の第六點は、第三條の臨檢檢査に關する政府の權限が餘りに廣きに亙り過ぎるのを制限したのであります、尚第七點としては、本法の存續期間は、經濟安定本部廢止の時となつて居たのでありますが、同部の存續は、状況に依つては當初の豫定期間より延長されることも豫想されますので、本法の終期を明確にする爲、經濟安定本部廢止の時か、本法施行後一年半後の昭和二十三年四月一日か孰れか早い時に效力を失ふこととしたのであります、尚詳細に付ては御質問に應じて御説明申上げることと致しますが、何卒愼重御審議の上御協贊あらむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=3
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004・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) 速記を止めて
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=4
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005・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) 速記を始めて、それではどうぞ御質問を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=5
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006・奧田剛郎
○男爵奧田剛郎君 ちよつと速記を止めて発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=6
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007・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) 速記を止めて
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=7
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008・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) 速記を始めて発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=8
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009・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) それでは臨時物資需給調整法案の大體の骨子の御説明を致します、先程の本委員會に於ける大臣の提案理由の御説明にございましたことでございまするが、先づ此の法案を設けました趣旨は、御承知の通りの終戰後の物資の逼迫、及び設備の荒廢の状況を克服する爲の目的で出來た譯でありまして、其の趣旨は既に詳しく大臣から御述べになりましたが、私は本案の狙つて居る所を申述べますが、第一條にあります通り、産業の復興に關しましての色々の施策と云ふものは、今後經濟安定本部が根本策を決める譯であります、其の決めました根本策を實施を致しまするのは、是は各省大臣の仕事になつて參りますので、實施を致しますに付て、各省大臣が爲し得る權限の範圍を第一條に規定した譯であります、どう云ふ事項に付てさう云ふ權限を授權して戴くことになりますかと申しますると、先づ第一が「物資の割當又は配給」と云ふことを第一號に書いてあります、少い資材を以ちまして、我が國の産業の根幹を培養して行く譯でございますから、其の資材と云ふものは、重點的に割當てが出來ねばいけませぬし、又其の物資が實際に流れて行く所謂、配給の「ルート」は、其の點に副つてそれを流して行かなければならぬのでございます其の爲に主務大臣は物資の割當及び配給の權限を授權して戴くと云ふことになります、第一號に書いてありまして是が此の法律の一番の基本になる規定でございます、物資の流れ方を確定をするのが、此の法案の一番大きな目的であります、次に無論其の「物資の割當又は配給」と申しますのは、此處に書いてございますやうに、經濟安定本部總裁の定める方策に基くことが必要でございまして、經濟安定本部は基本的な政策を決める譯でございまするが、更にそれを細かに或程度細分致しまして、産業別、部門別の物資の動員計畫と云ふものを作る譯であります、それは勿論經濟安定本部が各省からの協力を得まして、部門別の資材の割當、配給計畫と云ふものを作りまして、其の結果に依りまして、各省大臣は其の所管する物資に付きましての各企業別と申しますか、工業別と申しますか、さう云ふ企業別の物資の割當をなさる、又其の配給の「ルート」を確定する譯でございます、是が此の法律の一番大きな仕事でございます、此の仕事に次ぎまして、第二號以下四號迄のそれに更に附隨してございます、勿論是は一號と相竝んで産業の復興の爲に必要な事項でございます、第二號は、小さい字で書いてございます通り、是は衆議院の修正になつたものでございまするが、此の第二號の方は、「物資の使用の制限又は禁止」に關する命令が爲し得ると云ふことでございます、尚序に申上げて置きまするが、此の二號、三號、四號共、此處に書いてございまするのは、「供給の特に不足する物資」と云ふことになつて居ります、第一號の方は、「物資の割當又は配給」と云ふことになつて居りまするが、第二號、三號、四號は、普通の供給が足らぬと云ふだけではなくて、非常に需給關係の逼迫して居る物に限つて、斯う云ふ強い命令が出し得ると云ふことになつて居ります、「經濟安定本部が定める方策に基く供給の特に不足する物資の使用の制限又は禁止」の命令を爲し得る、是が第二號であります、是は經濟安定本部の總裁が定める方策に基いて更に分科して參りまする所の方策に依つて爲す命令である、是は非常に長くなつて居りまするが、經濟安定本部總裁が定める方策に基きまして、矢張り供給の特に不足する「物資の生産若しくは出荷若しくは工事の施行の制限若しくは禁止」と云ふ、非常に長くなるのでありまするが、要するに、非常に供給の足りませぬ物資の生産命令、出荷命令、或は工事の施行の命令を爲し得ると云ふことであります、或はそれに伴ひまして、生産、出荷、工事の施行の制限を致しましたり、禁止をしたりすることも出來る、斯う云ふのが第三號の内容であります、例へば肥料の生産の爲に、肥料工場に對しまして何「トン」の肥料を出せと云ふことは、此の規定に基きまして出荷の命令を爲す譯であります、或は工事の施行等に付ても、特別な工事の建設を命令すると云ふことも、之に依つて出來る譯でございます、申落しましたが、生産と云ふ中には、「加工及び修理」、是も矢張り生産と同じやうに、扱ふ上にそれを含むと云ふ旨を注意して書いてございます、第四號は、同じく經濟安定本部總裁が定めます方策に基きまして、「供給の特に不足する物資又は遊休設備の讓渡、引渡又は貸與」と云ふことでございまして、是は御承知のやうに最近賠償等で、大分設備が我が國から撤去されまするし、又戰災等に依りまして、工場の一部が破壞されて居るものもございます、殘りました設備に於きましても、其の儘で使へないやうなものもございます、所謂遊休になつて居る設備があるのでございますが、さう云ふ設備を國家的に見て最も重點的な方向に使つて行く必要がある、さう云ふ場合には、其の遊休設備と云ふものを必要な方に之を強制的に讓渡を命じ、或は引渡を命じ、或は貸與を命ずると云ふ必要があるのでございまして、又特に供給の不足する物資に付ても、重點的に見て、國家的に見て、重要な産業に流す爲には、強制力を持たせると云ふ必要があるのでございます、さう云ふ意味の規定が此の第四號にあるのでございます、却ち第一條は之を總括的に申しますと、原則的に重要物資に付ては割當制を採つて行く、又其の配給「ルート」を政府の決めた方針に隨つて、其の割當が實行出來るやうに配給の「ルート」を作つて行くと云ふことでございまして、又此の裏附をなす爲に、特定の不足する物資に對しましては使用の制限、禁止をすることもございますが、又生産の足らぬ物に付ては、生産の命令、或は出荷の命令を出すこともございます、又工事をすることを命令することもございます、又さう云ふ工事を禁止することもございます、又特に供給の不足する物資に付きましては、或は遊休設備に付きましては、強制的に讓渡、引渡、貸與をせしめると云ふ權限を主務大臣が授權をせられます、之に依りまして、産業の復興を圖つて行かうと云ふのが第一條でございます、更に斯う云ふ命令を出します場合の補償の規定が第二項に掲げてあるのでございます、又補償の方法は勅令に定めることになつて居りまして、大體の案は御手許に試案を御配り致してございまするが、斯う云ふ命令、「第三號に掲げる物資の生産若しくは出荷若しくは工事の施行」と云ふ、企業者に對しまして或積極的な命令をした場合に、之に依つて生ずる損失に對しては政府は補償する、又第四號、即ち「供給の特に不足する物資又は遊休設備の讓渡、引渡又は貸與」と云ふ特定の行爲を致しました場合には、それに依つて生ずる損失がありました場合に於ては、通常政府は之を補償すると云ふことに致して居ります、尚此の勅令の内容は、御手許にございまするが、補償委員會と云つたやうなものを作りまして、其の委員會に於て、補償すべき金額を確定致しまして補償すると云ふ内容になつて居るのでございます、次に、「第一項の規定による命令をなす場合における擔保權の處理その他必要な事項は、命令でこれを定める。」、是も斯う云ふ法律に能くある例でございまして、強制讓渡を致しまする場合に於ては、それに擔保權が附いて居るのがございます、擔保權をうまく拂ひませぬと、擔保權者の不利益になることもございまするし、又擔保權の附いた儘で仕事を致しますことが、例へば讓受を致しました者に於ても非常に不便であると云ふことで、其の擔保權を處理する方法を決めて置かなければいけませぬので、是又勅令の試案を御手許に御配りしてあると存じまするが、大體補償委員會と同じやうな委員會に掛けまして、處理の方法を決める譯でございます、大體は當事者同士の協議に俟つ譯でございますが、其の協議が整はぬ場合には、其の委員會に掛けまして、其の結果を主務大臣が裁定をするのであります、最後の點、是が修正の一番重要な點になつて居るのでありまして、「第一項の命令は、經濟安定本部總裁の同意を得てこれをなすものとし、」と云ふことでございまして、經濟安定本部と各省との關係を是で確定を致した譯でございまして、各省大臣が第一項にありまする命令を出しまする場合には、總て經濟安定本部總裁の同意を得てから之をすると云ふことが要件になる、又其の命令の内容と致しまして、「且つ同樣の條件の下にある者には、差別なく適用されるものとする。」即ち同じやうな「コンデイシヨン」の下にある業者の方には、甲の人に命令を出したならば、同じやうな條件の下にある業者に對しても、同じやうな命令を出し得るやうにすることが必要だと、斯う云ふやうな規定でありますが是は非常に民主的な規定でありまして一人の特定の人だけが有利になるとか不利になるとか云ふやうなことを避ける爲であります、尤も斯う云ふ風にしましても、例へば或、硫安なら硫安の製造が必要であると云ふことで、硫安の製造命令を出すと云ふやうな時に、或特定の甲の工場に命令を出すと云ふやうな場合に於きまして、其の甲の工場の選定の方法が今日の方法から致しますならば、恐らく一番能率の良い工場を選びまして、之に生産命令を出す譯でございますから、其の生産の條件の同じやうなものが他にありますれば、之に又同じやうな生産命令を出す譯でございますが、非常に能率の良い工場と云ふものはさう澤山ない譯でございますから、さう云ふ意味で、一番能率の良い工場を選ぶと云ふことに致しますれば、さう澤山の工場と云ふものは入つて來ないと云ふ風に考へて居りますし、又遊休設備等の讓渡を命令する場合に於ても、同樣な條件の下にある者には矢張り同じやうな利益を受けさすことが必要でございまするので、例へば、或硫安の工場を造るのに「ボイラー」が必要であると云ふことで、遊休の「ボイラー」が二つあると云ふ場合に、どちらを採るかと云ふことが起ることになりませうがそれは其の工場に一番適する「ボイラー」と云つたやうなことで條件に差があることだらうと思ひますが、さう云ふ場合には、特定の何と申すか「コンデイシヨン」が一番有利なものに命令を出すと云ふことは、是は同じやうに同樣の條件の下にあるものに差別なく適用されると云ふ、此の規定の下に於ても、さう云ふことが爲し得るものであると解釋されるのでございます、要するに、原則として特定の人、特定の事業者に利益を與へる、或は非常に損失を與へると云ふやうな命令の出し方をしてはいけないと云ふことが、此の規定の内部に盛られて居るのであります、第一條の關係はさう云ふ内容になつて居ります、第二條に入ります、第二條は物資の割當を實施致しまする場合に於きまして、主務大臣は之を民主的に組織された産業團體に授權が出來ると云ふ規定でございます、即ち非常に澤山の産業に對しまして、物資の割當をして行く必要があるのでございますが、政府としては、一々是等の産業の實情を詳しく内容を知つて居る譯でもございませぬので、原則として同業者の組織されました所の産業團體に割當の仕事を任すことを此の第二條に依つて明かにしたのでございます、其の條件と致しましては、民主的に組織された團體で、而も其の構成員の議決に基いて割當をすると云ふことが、此の法律の表てに明かにされて居るのでございますが、唯それだけの條件では、非常に漠然として居りまするので、第三項に修正がせられまして、「第一項の産業團體の組織その他の事項に關し必要な事項は、勅令でこれを定める」と云ふ規定が入つて居ります、大體此の勅令の内容と致しまして考へて居りますのは産業團體の構成の内容、特に民主的に組織せられたと云ふ言葉の意味でございまして、是は衆議院に於て度度質問がございまして、論議もせられた譯でありますが、大體を申上げますと、其の團體の設立が自由であり、且當該事業に從事する總ての者、又其の脱退や加入も自由でなければならない要するに、加入脱退が自由であることと、組織することも自由であるし、又加入團體も自由に爲し得ることが必要であります、又加入、之に付て不當な制限を加へるやうな條件を設けるやうなことも宜しくないと云ふことでございます、又團體の形式は色々ございますが、或は社團法人でも宜しうございますし、又營利を目的としない任意の團體、法人、會社と言つたやうなものでも宜いのであります、色々な場合が想像せられるのであります、是は特に制限しないと云ふ規定であります、又團體は非常に不當な金額を積み立てるやうなことも宜しくない、所謂經費と致しまして必要以上の額を取ると云ふやうなことは宜くない、或は色々な會規と云ふやうなものは、公開で、而も自由に意思が表明されるやうな機構でなければいけないし、又會議を爲す場合には、適當な通知を豫めすると云ふやうなことが總て行はれなければならないと云ふやうな規定が此の底の中に掲げられて居るのであります、さう云ふやうな産業團體の組織に關する細かいことは勅令に讓ることに致したのであります、要するに、さう云ふやうな組織された團體や、而も其の構成員の議決に基く構成員の物資の割當に關しまする所謂基礎と云ふものを議決して貰ひまして、其の議決に依つて一々割當をする、斯う云ふ建前になつて居ります、但し毎月々々の割當、或は毎期毎期の割當を一々全體の會員が集つて議決して、それで割當をすると云ふことでは、非常に不便でございますので、此の構成の議決と申しますものは、大體其の割當の基準と云ふものを決めて置きまして、具體的の割當は其の基準に依つて、其の産業團體の役員が決めて、大體の具體的な割當に付ては或は割當委員會を作つて、其の委員會でそれを決めて戴くと云ふやうなことで結構だと考へて居ります、さうしてさう云ふ産業團體は、主務大臣が告示に依つて之を指定する授權を、さう云ふ産業團體に割當の權限を與へる場合には告示に依つて主務大臣が指定をすると云ふことに致したのであります、次に第三項になつて、此の「第二項の規定により指定された産業團體から、第一項の規定により物資の割當を受ける者で、その産業團體の行つた物資の割當の決定に不服のある者は、遲滯なくその旨を物資需給調停委員會に申し出ることができる。」、是は割當の不服に對する救濟の方法であります、尚一項で申落しましたが、團體員以外の者にでも、同じく産業團體が割當を爲し得る權限が書いてございますが、從ひまして、此處に「第一項の規定により物資の割當を受ける者」と云ふのは、産業團體は勿論のこと、團體員以外の者も含まれて居る譯でありまして、それ等の者も自分に割當を受けたものが不當に少かつたと云ふ不服があつた場合には、遲滯なく其の旨を物資需給調停委員會に申出ることが出來ると致して居ります、此の場合には物資需給調停委員會は、事案に付て公正な調査及び審議を致させました上、公益に適した決定をすることが必要であると云ふことを決めてあります、尚物資需給調停委員會は勅令で大體官制を決める譯でありますが、其の内容として豫定して居るのは、此の不服を訴へた者の代表者及び産業團體の代表者、それぞれ一名づつ選んで、此の兩者は又第三者を選定して、此の三人で構成を致すことにする豫定であります、一つの部會に付て一つの委員會を作つて、其の解決を附けて解散をして行くと云ふ建前で參りたいと考へて居ります、最後の方は、さう云ふ委員會の決定を致しました場合に、其の決定に産業團體が從はない場合、即ち鐡なら鐡の割當が非常に不當であつたと云ふ不服を訴へました者が、假に百「トン」の割當を貰つた、併し自分の方は二百「トン」の割當が欲しい、それが至當であると云ふ訴へをして、此の委員會で調査した結果、是は百五十「トン」をやるべきだと、斯う云ふ決定をした場合には、其の不足額の五十「トン」を更に産業團體が追加を要求する譯ですが、其の五十「トン」の割當を産業團體がしない場合には、或は「第二項の規定により指定された産業團體の行ふ物資の割當を經濟安定本部總裁が定める方策に適合させるために必要がある場合には、」即ち經濟安定本部總裁の定める方策と云ふものが、此の調整法の頭に被つて居る譯でありまして、斯う云ふ産業團體の割當が重點的に物を分けて行く、例へば製鐡事業を起すと云ふ建前から致しまして、而もそれが重點的に甲なら甲の企業會社の設備を先づ復活させて行くと云ふ意味で、其處に多量の物資を割當てすると云ふ場合に、産業團體が之を一律に總ての業者に分けると云つたやうな案を執りました場合に、經濟安定本部總裁が定める方策に合つて居らないと云ふことに相成りますれば、主務大臣は經濟安定本部總裁が決めた方策に適合するやうに鐡の方策を變へて行くと云ふことが必要である、さう云ふ場合に主務大臣は其の産業團體に對して、其の行ふ物資の割當の決定の變更を命ずることが出來ると云ふことが、此の規定の趣旨であります、要するに此の法律の主たる眼目は、第一條、第二條の二箇條であります、此の二つの規定の運用で物資需給調整が行はれる譯で、之を全部包含して居るのであります、第三絛以下は之に附帶する關係の規定であります、大體第三條は臨檢、檢査の規定である、從來の色々の統制規定に於ては、最初は原案通りの言葉が其處にあるのが普通でありまして、「主務大臣は、第一條の規定の適用に關して必要な事項につき、關係者から報告を取り、又は當該官吏に必要な場所に臨檢し、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を檢査させることができる。」斯う云ふ規定になるのでございます、併しながら是では餘り廣範圍でございまして、新らしい建前から申しましても、面白くないのではないかと云ふ御論議が衆議院でございまして、小さい字で書いてございまするやうに、「必要な事項」と云ふものを具體的に書きまするし、又どう云ふ場合に臨檢檢査すれば宜いかと云ふことも書きまするし、又どう云ふ場所に、さう云ふ臨檢檢査が出來るかと云ふやうなことも書きまするし、どう云ふものからさう云ふ報告を取り、又は臨檢檢査することが出來るかと云ふことを規定致すことが必要だらうと云ふことで、細かに之を規定致しまして、右の方の小さい字にありますやうに、「左に掲げる事項につき、關係事業者又は前條第二項の規定により指定された産業團體から報告を取ることができる。この場合において、報告がなされず、又は報告が虚僞と認められるときには、主務大臣は、當該官吏に事務所、營業所、工場、事業場又は倉庫に臨檢し、業務の状況又は帳簿、書類その他必要な物件を檢査させることができる。」其の次に項目が掲げてございまして、左の事項と致しまして、「一物資の割當又は配給」「二物資の使用」「三物資の生産若しくは出荷又は工事の施行」「四物資又は設備の状況」、詰り此の四つの項目に關し、此の法律の必要として居りまする事項だけに限つて報告を取ることが出來、而も其の報告がなされず、或は虚僞であると、斯う認められました場合には、營業の場所等に臨檢がなされ得ると云ふことに致した譯でございます、尚最後の一項、證票の問題でありますが、「前項の規定により、當該官吏が臨檢檢査する場合には、その身分を示す證票を携帶し、且つ關係者の要求に應じて、これを示さなければならない。」原案では携帶さへすれば宜いのでございましたが、通常要求があれば之を示すのでありますから、深切に之を規定致すやうに修正されたのでございます、是は運用に付て必要な手續でございます、第四條以下は罰則でございます、第四條、「第一條第一項の規定による命令に違反した者は、これを十年以下の懲役又は十萬圓以下の罰金に處する。前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。」十年、十萬圓と云ふのは、非常に大きい罰でございます、是は他の法令との關係で、同じ經濟法令に斯うしたものがございまして、即ち物價統制令と云ふ「ポツダム」勅令に基く物價の爲の之に代るべき勅令でございます、それが丁度是と同じやうに十年、十萬圓と云ふ刑罰を科して居りまするので、それと歩調を合せまして、是もそれと同じやうに、此のやうな額を決めた譯でございます次ぎ第五條、「左の各號の一に該當する者は、これを六箇月以下の懲役又は五千圓以下の罰金に處する。」其の一つと致しましては「第三條第一項の規定による報告をせず、又は虚僞の報告をした者」、第二が「第三條第一項の規定による檢査を拒み、妨げ、又は忌避した者」、即ち臨檢檢査の關係、報告の關係等に付、命令違反を六箇月、五千圓と云ふことで處罰することに致したのであります、第六條は法人に關する規定でございまして、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務に關して第四條第一項又は前條第一號の違反行爲をしたときには、行爲者を罰するの外、その法人又は人に對して各本條の罰金刑を科する。」附則に入りまして、「この法律は、公布の日から、これを施行する。」即ち此の法律はそれ自體直ぐ動くのでございませぬので、委任の命令が出てから動く譯でございますので、特別の準備を要します、是は公布の日から施行すると云ふことに致しました、事實問題と致しましては、先程商工大臣より御説明を申上げましたやうに、今月末で總動員法が終りまするので、公布の日から施行しなければ間に合はぬやうな状況にも相成つて居ります、さう云ふ意味から致しまして、之を直ちに施行致す譯でございます、それから此の法律の有效期限でございますが、此の法律案は元の案に依りますと、經濟安定本部の廢止された時に廢止すると云ふことであります、經濟安定本部の廢止の官制でございますが、是は成立後一年と云ふことになつて居ります、尤も此の一年は、更に延長するかも知れないことになつて居ります、一年後の状況に依つて經濟安定本部の仕事が一年間で終りませぬ場合は、之を延期すると云ふこともありますが、一應、一年と云ふことに相成つて居ります、此の法律も亦經濟安定本部の總裁の定めました方策の事項でありますので、當然經濟安定本部の廢止と運命を共にすると云ふ趣旨で、之を書いたのでありますが、一面此の法律は、非常に廣い範圍の委任立法の形を取つて居りますので、斯う云ふ經濟不安定の状況の下に於きましては、是は已むを得ないと思ひまして、或程度見極めが出來ましたならば、成るべく早く之を廢止した方が宜しいと云ふので、大體一年位で此の有效期限を切つて置いた方が宜からうと云ふことが衆議院にございました、併し一年に致しますと、丁度來年の十月になりますので、議會が開かれて居るかどうかはつきりしませぬので、來年度の議會が終る二十三年三月三十一日迄有效にすると云ふ意味で「昭和二十三年四月一日又は經濟安定本部の廢止の時の何れか早い時に、その效力を失ふ。」と云ふことになつた譯であります、「但し、その時までになした行爲に對する罰則の適用については、この法律は、その時以後もなほその效力を有する。」又此の法律の效力を失ふ際に於きます損失の補償、擔保權の處理其の他必要な事項に關する經過規定は、其の際勅令で之を定めることが出來るやうに致してあります、施行中の勅令は第一條に於て定めてありますが、經過時の規定も之に定めることが出來るやうに致して居る譯でございます、以上、大體此の法律案の骨子を申上げたやうな次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=9
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010・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) 御質問はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=10
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011・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 何か他の資料の御要求でもございますれば発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=11
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012・中山太一
○中山太一君 此の法案に關聯して居ります物價指數の參考資料を戴きたいのでございますが、之にありますでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=12
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013・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 是にはありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=13
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014・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) では御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=14
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015・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) どう云ふ程度の指數を発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=15
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016・中山太一
○中山太一君 尚此の三年間、若しくは五年間の生産、若しくは輸入等の資料が得られますれば発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=16
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017・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 過去のでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=17
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018・中山太一
○中山太一君 之に該當をしますのですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=18
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019・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 將來のでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=19
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020・中山太一
○中山太一君 現在迄です、ここ兩三年間の、殊に終戰後の生産と発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=20
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021・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) それは書いてございます、御配りしました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=21
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022・中山太一
○中山太一君 現存して居るのもございますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=22
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023・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 現在の物資需給計畫もございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=23
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024・中山太一
○中山太一君 それから今後の生産見込と云ふやうな計畫か豫想か、どちらでも宜しうございますが、今茲に明後年の三月迄御計畫になつて居る其の各月の大體の生産見込數等がありますれば、審議の上に非常に便宜だと思ひますが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=24
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025・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 只今の御要求でございますが、本年下期の生産の見込の數字は御手許に差上げてございます、本年の上期の實績及び下期の成績見込數は御手許に差上げてございますが、來年以降になりますと、實はまだございませぬ、さう云ふ指數なり數字なり作つたことはございませぬ、と申しますのは、輸入と云ふものが一番の基礎をなすのでありまして、輸入は御承知の通り貿易關係は總て「ジー・エイチ・キユー」の管理下にございますので、我々の豫想が出來ない所であります、從ひまして衆議院でも大分さう云ふ御要求があつたのでございますが、それは到底出來ませぬので、實は提出出來なかつた譯であります、色々の計畫に付きましては、今後經濟安定本部が出來まして、あそこで色々計畫をされる譯でありまして、現在はさう云ふ計畫は出來ないやうな建前になつて居りますので、實は其の數字だけは御容赦願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=25
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026・中山太一
○中山太一君 御説明で、能く私は了承致しました、斯う云ふ重要な問題で、而も其の期間が大體決つて居れば、矢張り能く五箇年計畫と言ひますが、是は一箇年半計畫でありますが、其の間の生産等に付て、或程度の計畫數量と云ふものがなければいかぬだらうと思ひます、是だけはどうしてもやらなければ、一般の需給調節が出來ないと云ふ、それ以上は必要ないから、無理に之に對する強權、或特殊のことをしないでも宜いが、是迄は要ると云ふやうな、一つの目安がなければならぬもののやうに考へますから、安定本部からでも宜しうございますが、大體の今の確實な、正確な數字と云ふことは、御説のやうに全く困難でせうから、輸入を斯う云ふ風に仰げば、是だけのものは出來る、どれからどの範圍と云ふやうに、少し大き過ぎても宜しうございますから、出來れば矢張り承知をした方が宜からうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=26
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027・吉田悌二郎
○政政委員(吉田悌二郎君) 御尤もでございます、御手許に差上げてございます物資需給計畫を御覽願ひますと御分りになると思ひますが、最近の生産と云ふものは餘りに少い、幾らありましても足らぬ程度でございますが、是だけの生産で、我が國の生産の見込が宜しいと云ふことでは、對外的にも響が惡いし、又賠償として撒去される工場の問題も、具體的に確定致して居りませぬので、從ひまして、假に鐡なら鐡の生産量と云ふものが、餘りに少いものを出しますと、それに依つて我が國の生産量が分る、斯う云ふことは非常に殘念でございますので、さう云ふ數字を出しますことは、又一面に反對の影響もありまして、確定し得ない状況でございます、從ひまして、大體の七月、八月、九月の需給計畫は御手許にございますが、それに依つて御推察を願ひます、其の他の點は、輸入の問題を含みまして、餘りに低過ぎると、將來伸びぬものと思はれて工合が惡いし、大きに失する見込を附けますると日本政府は嘘を言つて居ると「ジー・エツチ・キユウ」に言はれますので、輸入懇請は致して居りますが、其の状態が政治的にむづかしい問題であります、「ジー・エツチ・キユウ」と致しましては「アメリカ」だけでなく、各國極東委員會の關係もございますのでなかなかむづかしい問題のやうでございまして、我々に最後の意見はなかなか話して呉れない、斯う云ふこともございまして、此の數字を書きますことは、なかなか政治的な考慮が要るのではないかと考へまして、衆議院でも、是は到頭出さなかつたと云ふやうな状況でございますから、其の邊は御了承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=27
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028・中山太一
○中山太一君 私は能く御話戴いて了承致しましたから、政府の今の責任あると云ふ所迄行かなくても、何か一つの計畫でもあつて、どうしても是だけはやらなければならぬと御考になつて居る目安がないと、それに依つて進むと云ふことが出來ないのではないかと思ふので、今御話のやうに嚴格な意味でなく、所謂理想案とでも言ひますかさう云ふものがあれば、我々が想像してもいけないから、政府の何か、草案のもう一つ下の下書と云ふやうな意味で、さう云ふものがあれば宜いと思ひますが、御迷惑を掛けるといけませぬが、それは此の程度ならば速記の方から略して、一應政府の御考を示しても宜いと云ふことでもあれば、さうして戴きたいと思ひます、是は強ひて要求致しませぬ、以前のもので結構であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=28
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029・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) それでは今日は此の程度で散會致したいと思ひます、明日は休みまして、二十五日の午前十時から次囘の審議に入りたいと思ひます
午後二時十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=29
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030・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 男爵 古市六三君
副委員長 子爵 柳澤光治君
委員
公爵 桂廣太郎君
侯爵 廣幡忠隆君
伯爵 壬生基泰君
子爵 鳥居忠博君
子爵 京極高鋭君
長岡半太郎君
男爵 伊藤一郎君
男爵 奧田剛郎君
男爵 加藤成之君
男爵 田中龍夫君
大木操君
川上嘉市君
松本勝太郎君
中山太一君
河端作兵衞君
上野喜左衞門君
國務大臣
商工大臣 星島二郎君
政府委員
商工事務官 吉田悌二郎君
同 玉置敬三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00119460923&spkNum=30
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