1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○臨時物資需給調整法案
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昭和二十一年九月二十六日(木曜日)午前十時九分開會
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001・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) それでは昨日に引續きまして會議を開きます、商工省政府委員から、昨日委員の方から御要求になりました資料に付ての御報告があります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=1
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002・鈴木重郎
○政府委員(鈴木重郎君) 昨日御質疑のございました眞空管の品質の問題に付きまして、御説明を申上げます、聯合軍司令部からの日本政府に對する指示に依りまして、可及的速かに日本全國戸數の半數は少くとも「ラヂオ・セツト」を設置するやうにと云ふ指示がございましたので、之に基きまして出來得る限り優秀な受信器の生産に努力を致して居るのでございます、御質疑のございましたやうに、歐米の受信器に比べまして、其の技術的な品質が極めて不良であることは、誠に遺憾な點でございますが、其の内特に眞空管に付きまして、今日其の質的の改良向上に努力を致して居りますが、尚極めて困難な事情があるのでございます、特に眞空管製造の上に於きまして、一番困難になつて居りまするのは、主として眞空管製造に必要でありまする所の原材料の品質の問題でございます、特に眞空管の製造に最も關係のございますのは、之の製造に必要な石炭でございまするが、發生爐用炭の「カロリー」は、少くとも眞空管の如きものに付きましては七千「カロリー」以上程度の優良炭を必要と致すのでございます、併しながら今日の事情、必ずしも斯う云ふ優良炭を確實に入手すると云ふことも困難でございまして、大體平均を致しますると、今日の處、四千「カロリー」から五千「カロリー」程度の原料炭しか入つて居ないのでございます從ひまして、出來まする眞空管其のものの質が、餘り優良なものが出來ないと云ふやうなことが一つの理由でございます、次に第二の理由と致しましては、眞空管を組成致して居りまする色色の部品、例へば「フイラメント」であるとか、或は「グリツド」であるとか、斯う言つたやうな品物の質が均一なものがなかなか出來にくい、從ひまして、之を揃へます際に困難を感じて居るやうな状況でございます、第三は、是等の部品を作りまする所の原材料でありまする「タングステン」、或は「モリブデン」と云つたやうな關係の原鑛石の品質が、なかなか揃つたものがない譯でございまして、御承知の通り、是等の「モリブデン」は朝鮮から出ましたものを持つて居つた在庫だけでございまするし、「タングステン」は御承知の通り、中南支と云ふやうな方面からの産物でございまして、現在の處、多少まだ在庫品としては持つて居るのでございまするが、之の品質がなかなか不揃ひでございまして、此の選別に非常な困難を感じて居りまする結果、是等を使ひまして出來ましたものが、矢張り材質的に均一なものが得られないと云ふことが、大きな理由でございます、尚又、是も輸入であつたのでありますが、絶縁材料として使つて居りまする雲母が、是亦極めて品質が惡いのでございまして、從來印度なり、「ブラジル」方面から輸入して居つたのでありますが、是等の優良な雲母が最近不足をして參りまして、矢張り品質の揃はないものを無理をして使ふと云ふやうなことが、其の大きな原因でございます、之も現在、優良な製品を關係方面に懇請を致しまして、目下輸入の申請を致して居りまするので、何れ優良なものが入りますれば、雲母等に付きましては、或程度の改善が出來やうかと存ずるのであります、又「ガラス」の部分と合成樹脂の部分とを繋いで居りまするやうな色々の接着劑の品質が良くないのでございます、合成樹脂なり「セラツク」等、此の原料は「クレゾール」でありますが、「セラツク」等は輸入に俟たなければならぬ關係上、是等の接着劑の品質が現在の處、漸次惡くなつて參りまして、是も亦現在輸入の手續を致して居るのでございますが、斯う云ふ風な理由から、現在其の質的な改善が思ふやうに進んで居らないのでございます、尚一應出來ました眞空管の性能等の檢査、或は試驗と云ふやうな問題が、矢張り大きな原因になつて居るのでございますが、是等の試驗設備、或は檢査設備等も、戰災其の他の打撃を受けまして、今日之が復興整備に努力致して居りまするが、矢張り斯う言つた試驗設備、檢査設備の劣惡化と云ふことも、出來ました製品を十分に技術的な檢査試驗が出來ない關係から、比較的粗惡のものが入ると云ふことが大きな原因であらうと思ふのでございます、是等の設備の整備復興に付きましては、現在關係業者の中に、強力な統制機關も作りまして、是が專ら指導鞭撻に當りまして、出來得る限り優秀なものの檢査試驗を強力にやると云ふやうに、目下努力を致して居るのでございます、從ひまして、結果的に申しますると、現在の處、不十分ではございまするが、製品の歩留りと申しますか、一應規格に合格致しまするものと致しましては、平均致しますると、現在は約四十五「パーセント」位の歩留りでございまして、約過半數のものが眞空管として使へないと云ふやうな現状でございまして、出來得る限り是等の材質の問題、試驗なり檢査の結果それ等の材質の選定なり、製造技術上の向上を圖りまして、出來得る限り之の歩留りを良くし、優秀なものを造るやうに努力致して居るのでありまして、少くとも六十「パーセント」七十「パーセント」の歩留りを得るやうに努力致さなければならぬと存ずるのであります、無論眞空管の中に於きましても、色々むつかしい眞空管もあり、比較的易しい眞空管もございまして、例へば十二「エフ」と云つたやうな眞空管に於きましては、現在では九十「パーセント」以上の歩留りを示して居るのでありますが、なかなか困難な球に付きますると、三十「パーセント」程度しか歩留りがないと云ふ状況がございまして、是等の生産歩留りの向上に努力を致して居るのであります、尚生産の均一、大量生産をする問題に付きまして、最近漸く「アメリカ」式の眞空管製造の機械が運轉を開始致します、是は「アイヴアンホー・マシーン」と申しますが、此の機械が運轉致しますれば、大體に於きまして一晝夜七萬五千の眞空管が出來ると云ふ大量生産のものでございまして、現在は、此の眞空管を手吹きでやつて居りまして、漸く一日千二百箇位しか出來ないと云ふやうなものが、今のやうに七萬も出來るやうに相成りますれば、相當大量生産が出來ると存ずるのでありまして、又機械化することに依りまして、比較的均一なものが出來るかと、斯樣に努力を致して居るやうな状況でございます無論又、是等の材質上の問題と關聯致しまして、矢張り工員の製造技術の問題も相當あらうかと存ずるのでありまして、是等の工員の製造技術に關する指導等にも、各「メーカー」も努力を致して居りまするが、尚歐米品の如き優秀な物の出來ないことを遺憾に存ずるのでありまして、出來得る限り速かに歐米品に匹敵し、或は之を凌駕するやうな優秀な眞空管を造り、又「ラジオ・セツト」の生産に努力を致したい積りでございます、尚、次に硼砂、硼酸でございまして、其の状況でございますが、一應資料としても御手許に御配りしてあるのでございますが、是も亦全部輸入に俟つて得るのでありまして、從來は硼砂に付きましては、主として、北米から輸入を致して居たのでございます、本年の四月頃に於きまして、大體在庫が二千「トン」位ありましたのでありますが、此の資料にもございますやうに、其の後約九百「トン」程使用致して居るのであります、現在交易營團の手持になつて居りますものが約千百「トン」ありますが、此の中進駐軍關係の琺瑯鐵器であるとか或は「ガラス」製品、陶磁器とか云つたやうな方面の用途に當てる爲に、現在六百二十「トン」程を使用するやうに手續を進めて居りまするし、尚其の外でも、斯う言つた琺瑯鐵器、或は陶磁器「ガラス」或は農機具の方面等の熔接材と致しまして使ふやうに約三百七十「トン」を現在手續中でございまするが、尚次に、其の消費も最少限見積りまして、約五百「トン」少し色々の農機具なり、或は琺瑯鐵器、「ガラス」等に使ひますると、少くとも七、八百「トン」、年間に約一萬「トン」は必要であるのでございまするが、之に付きましては、現在此の原料でありまする粗製品でありますが、硼砂原鑛と書いてございまするが、一種の粗製硼砂でございます、之を七月頃關係方面に懇請を致しまして、輸入の手配を致して居りまするが、之も近く輸入が出來るのではなからうかと、斯う存じて居るのでございます、硼酸も大體、用途と致しまなては、同じやうな用途に使ひまするが、特に一部は醫藥用等に使はれることは御承知の通りでありまして、是は現在の處、殆ど僅かな數量でございまして、在庫も全然ございませぬし、非常な窮迫なた状況でございます、大體、以上御説明申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=2
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003・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 序に鹽の資料を御手許に御上げ致しましたので簡單に御説明申上げます、此處に擧げました數字は、昭和十年以後の輸入數量及び消費の事情でございます、生産量を別に擧げることを、實は手違ひで落して居りましてございますが、大體は消費量から輸入量を差引きましたのが、其の年の生産量になる譯でございます、それから若干、時期的の數字はございますが、大體の數字はさう云ふことに相成つて居ります、御一讀を願ひますやうに、鹽の輸入は大體一番多い時が百八十萬「トン」ばかり、昭和十九年迄には、大體百萬「トン」が一番少い輸入であつたのでございます、二十年では、それが四十六萬「トン」、非常に下りまなて四十六萬「トン」、更に本年度は十二萬三千「トン」、主として中國方面の鹽でありまして、最近は臺灣のもてが若干入つて居るのでございます、其の工業鹽、食料鹽の比率は此の表で御覽の通りでございまするが現在消費の方はと申しますと、食料鹽と致しまして、大體年間百萬「トン」位を從來必要として居つたのでございます、工業鹽も、大體之に近いもので非常に多い時は百四十萬「トン」程も使つた年がございますが、大體百萬「トン」、食糧鹽と工業鹽と、半々位の所で消費をして參りまして、最近は工業の設備が、或は賠償の撤去となり、或は破壞せられて居りまする關係で、本年度等に於きましては非常に減つて居りまして、消費が減つて居りますのみならず、設備の消化能力も減つて居りまして、大體年間五十萬「トン」位あれば現在の設備を賄へる、工業消費と致しましてはさう云ふ状況でございます、食料鹽も百萬「トン」、昨今は特に少うございまして、四十六萬「トン」の消費でございますが、是は矢張り平均百萬「トン」位に復活すべきものと考へます、從つて差當りの問題と致しましては、五十萬「トン」位の工業鹽と、百萬「トン」位の食料鹽で、百五十萬「トン」位の消費量を目途として生産を高めなければならぬ、斯う云ふやうになつて居る次第であります、尚生産の方は此處にございませぬが、此の差を計算致しますると、昭和十五年頃が一番多いのでございまして、五十七萬「トン」程生産して居つたのでございます、逐次減りまして、風水害其の他資材の關係等で逐次減りまして、三十八萬「トン」、四十萬「トン」と、大體往來致しまして、昭和十九年には三十五萬「トン」に減つて居ります、昭和二十年は二十二萬一千「トン」になつて居ります、更に本年度の上期だけの數字でありますが、約十七萬「トン」の生産を致して居ります、丁度昭和十九年程度の生産に復活をして居る譯であります、自給製鹽の擴張等に依りまして、年間約三十四、五萬「トン」の生産に復活をして居るのであります孰れに致しましても非常に微々たるものでございまして、之を先刻述べた百五十萬「トン」に殖やすと云ふことは非常に困難な状況にあるのであります一應配付しました鹽の資料に付て申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=3
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004・河端作兵衞
○河端作兵衞君 硼酸のことに付て御伺ひしたいのですが、硼酸は誠になくてはならぬ物と考へますが、殆ど現在の處、生産がないやうな状態になつて居りますが、是非御盡力を願ひたい、何とか輸入の途を講じて戴かぬと相成らぬと思つて居ります、是非さう云ふやうな意味で御努力を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=4
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005・鈴木重郎
○政府委員(鈴木重郎君) 先程、ちよつと御説明を落しましたが、現在矢張り輸入の計畫に入れまして、關係方面と折衝中でありますので、何れ或程度の許可は得られることと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=5
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006・三橋四郎次
○三橋四郎次君 大藏省の方がいらつしやいますから、ちよつと御伺ひしたいのですが、中小商工業と言はず、農業、林業に對しまして、最も一般的に需要せらるる自轉車とか、「オート」三輪、「トラツク」、又は地下足袋と云ふやうな、極く民需向きの物の國家的の製造状況がどうであるか、それから其の將來の生産の見透しはどんなものであるか、是等の物の入手は非常に困難で、配給を待つて居たのでは、殆ど何時になるか分らない、普通の手段では迚も手に入らないから、已むを得ず闇で買はにやならぬと云ふことになると自轉車の「タイヤ」は「チユーブ」と一組で二千圓する、地下足袋が一足二百圓すると云ふやうなことでは、なかなか手が出せないのでありますが、一體、斯う云ふ生産復興に關して、一般に民需的に出來るものでありませうか其の價格の計算の基礎と云ふものは、勿論其の生産「コスト」と云ふものを計算して決めてあると思ふのでありますが、最近になつて値を上げるにしましても、從來の何倍と云つたやうな、斯う云ふやうな決め方だとすると、甚だ是は意味がないことと思ひます、物價が綜合的で、而も「コスト」の基礎計算の上に決定されねばならぬことは普通の常識でありますが、現在では、公價があつても配給がなければ何にもならぬと思ひます、又物があつても、公價が平氣で無視せられると云ふことになれば、さうして賣る方も買ふ方もそれに慣らされてしまつて居ると云ふ現在では、其處に價格と云ふものが、全然意味を成さないことになつて居るそんな風で行くと、例へば俸給とか、手當と云ふものを、幾ら「ストライキ」をやつて直しても、其の仕事が潰れてしまふ迄は止め度がないと云ふことになつてしまふのです、今中小商工業なり、其の他農業方面に於ても力強く起ち上らなければならぬと云ふ時に、斯う云ふやうなものは一體どの位の値段が適當であり、それを果して我々の手に入れることが出來得るや否やと云ふ見込に付て御伺ひしたいのであります今朝新聞を見ますと、何か「トラツク」に對しては融資をすると云ふやうなことが出て居りましたが、あの融資の範圍はどの程度迄及ぶのか、新聞でははつきりせぬやうでありますが、此の點も併せて御伺ひ致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=6
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007・鈴木重郎
○政府委員(鈴木重郎君) 中小商工業方面なり農山村方面の交通機關、或は小規模の小運送機關と致しましても、白轉車、「リヤカー」等の極めて必要なことは、誠に御説の通りでありまして出來得る限り之の充足を圖るやうに致したいと考へて居るのであります、取敢ず自轉車の現在の生産實情を申上げますと、現在の處では、大體一箇月約五千乃至六千臺位づつの自轉車を生産致して居ります、「リヤカー」はそれよりも少し上廻りまして、七千乃至八千臺位を現在生産致して居ります、我々の大體の目標と致しましては、自轉車等に付ては、約十五萬臺位の生産目標を立てて居るのでありますが、現在色々の、石炭の關係、或は原材料、資材の鐵等の色々の關係から、實際の生産状況は今申上げたやうな程度に止まつて居るのであります、自轉車の配給に付きましては、此の八月迄は關係方面の要求もありまして、全部輸出に振り向けて居りました關係から、國内向けには全然配給がなかつたのであります併しながら今御話の通り國内の需要、例へば通信、郵便局の關係、又は水道局のやうな所、或は配電會社と云つたやうな自轉車の極めて必要な方面も、相當戰災を受けまして非常に不足を致して居りましたので、關係方面にも懇請を致し、一部國内にも配給することの承認を得まして、八月に漸く始めて第一回の國内配給をやつたのでございます、之も極めて僅か一萬臺ばかりでございまして、之を全國各縣に、主として今申上げましたやうな郵便局なり配電會社なり、或は水道關係と云つたやうな、專ら困つて居られる方面に取敢ず一部を配給致したのでありますが九月にはもう少し上廻りまして、約四萬臺位を此の方面に振り向けることを大體了解を得まして、先づ取敢ず國内の方に現在出荷を致して居る状況でございます、「リヤカー」に付きましては是又主として農山村方面、或は中小商業者等の輸送機關に充てるやうに致しまして、是も矢張り各府縣を單位として、各府縣の方から配給を致して居るのであります、是等の價格に付きましても、色々御意見がございましたが、矢張り色々と原料の鐵の値が上る、工費が上る、或は石炭の昂騰と云ふやうなことから考へまして、主として現在では物價廳でありますが、從來は大藏省の物價部とも十分御相談を致し、又十分檢討をして戴きまして、現在の價格に相成つて居るのでございますが、今後の色々の情勢を見ますると、現在の公定價格では、まだ増産を期待することも、なかなか困難のやうな状態も發生致して居りまして、是等に付きましては、決して漫然と値上をして居ると云ふことではなくして、生産の確保を期し得るやうな、適正價格の檢討を關係方面に御願ひ致して居るやうな状況でございます、「トラツク」に付きましても、出來得る限り努力をするやうに致して居るのでございまして、現在の大體の月産は千四百臺程度でございます、是は御承知の通り聯合軍の製造許可の限度が、月産千五百臺でございまして、各工場の復興、整理も漸次整つて參り、七月頃から此の千五百臺程度の所迄復興して參つて居ります、尚今後の問題と致しましては、寧ろ是等に必要な原材料、鐵の鋼材を充足の方が困難に相成つて參つて居ります、從來は多少、是等の「メーカー」の手持資材もございまして、月産千五百臺に近い千四百臺、多い時は千四百八十五臺が最高でありまして、其の程度迄上つて居りますが、今後必要な資材の入手が多少困難になつて參りましたので手持資材の不足の關係から致しまして或程度減産しやしないかと、斯う考へられるのであります、「トラツク」の配給に付きましては御承知の通り、生産臺數が分りますと、全部運輸省の方に御連絡を致しまして、是等の縣別なり或は用途別配當は、運輸省に於て御決定を願つて、各府縣を通して配給を致す、斯う云ふやうな状況に相成つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=7
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008・三橋四郎次
○三橋四郎次君 商工關係に付ても、一つ伺つて置きたいのであります、小さい問題でありますが、戰爭中に集めました金屬の「スクラツプ」の今尚、其の邊に兩晒しになつて居ることを時々見出すのであります、それでお寺から集めた梵鐘とか燈籠と云つたやうなもの、又是も僅か殘つて居りますが、一般に供出した銅像と云ふやうなものは、今どんな風になつて居るのか、皆是は鑄潰されてしまつたのか、若し是がああ云ふやうに手を附けずにあつたとしたならば、少し位壞れて居つても之を元の持主へ戻すやうなことを考へて居られるのか、其の點は如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=8
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009・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 其處ら邊に、色々の「スクラツプ」が御目に附くことと存じます、之に付きましては出來るだけ早く之を鋼材等に再壓延を致しまして、消費に充てることが必要と思ふのでありますが、何分にも石炭が逼迫して居りますので、現在各地に集積致しまして、雨晒しになつて居るやうな状況でございますが、石炭の配給さへ餘裕が出來ますれば、成るべく早い機會に之を再壓延することに致したいと考へて居ります、尚戰時中に集めました佛像、其の他機械類もあるのでありますが、壞さないで、所有者の分つて居りますものは、終戰直後大部分のものは元の持主に御返し出來て居るかと考へて居ります、唯、早くそれ等のものを壞して收容致します關係で壞れた儘、依然として燃料不足の爲に會社、工場等に殘つて居るものが相當あるかと思ひます、併しながら所有者の判つて居るもので、完全なるものは成るべく御返しすると云ふ方針で、相當御返しをしたものがあるかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=9
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010・三橋四郎次
○三橋四郎次君 銅像等の金なぞを返して貰つたと云ふやうな話を聞いて居りますが、向ふから返すと云ふ通知を受けないものは既に壞してしまつたと、斯う云ふ風に承知して宜いのか、又地方的に果してどの程度で、何所へ行けば分ると云ふことが、例へば東京であれば、何所へ行つて聽けば、もう潰してしまつてあるとか、或はまだ何所かに在ると云ふことを調べる手段がありや否や発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=10
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011・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 銅像でありますとか、大きな梵鐘でありますとか云ふものは、金屬の囘收會社に於て之を一應處理致して居りまするので、其處で現在の状況と云ふものは分りまするので、何處でどう云ふものを囘收會社が頂戴したかと云ふことが分りますれば、其の徑路は尋ね得るものと考へます、概ねさう云ふものは銅の精錬會社、工場に入つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=11
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012・三橋四郎次
○三橋四郎次君 それでは商工省關係の方は是で終りますが、次に農林關係のことをちよつと御伺ひしたいと思ひます、昨日述べました木材のことをちよつと御伺ひ致したい、木材の需給調整が戰災住宅、工場、或は木工品の材料として、或は進駐軍用と云ふやうな關係で、頗る重要であるは言ふ迄もありませぬ、其の當面の計畫として、昨日山林局長より一通り、他の委員の質問に對して御説明があつたのであります、隨分窮屈らしくて、果して需要の分が得られるかどうかと云ふことは心配せられるのでありますが、殊に山林問題は當面だけでなくて、將來も併せて考へるべき重大な問題が現在と非常な深い連絡を持つことと思ふのであります、農地調整法が既に出て居り、更に強化されるやうに今審議されて居るのでありますが、さう云つたやうなものと併行して、其の面より山林をどう云ふ風にしようかと云ふ考を當局は持つて居るや否や、此の問題は新聞でちよつと衆議院で質問應答があつたやうに見たのでありますが、重大な問題でありますから、更めて御説明を願ひたいと思ふのであります、又所管が違ふのでありませうが、同じ性質であるから序に御問ひする、どなたからでも御答があれば仕合せであります、詰り農地調整法の同じやうな考へ方であると一體市内宅地はどうなるのかと云ふことも、此の際伺つて置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=12
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013・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 御答へ申上げます、只今の御尋は、農地に付きまして、所謂農地開放と云ふやうなものを現在自作農關係の分として衆議院で御審議を願つて居るのであります、同樣のことを山林に付て、所謂山林開放と云ふやうなものをやるかどうかと云ふやうな御尋と拜承致しましたのであります、只今山林に付ては、我々と致しましては、さう云ふやうなことは考へて居りませぬ、將來の木材の需給關係から見て、山林をどうするかと云ふやうなことに付ての點に關しましては、御承知の通りに、戰爭中隨分無理を致しまして、大體五、六千萬石程度の木材を伐つて居りましたのを、戰爭中どんどん上りまして、約一億近い、又時に依りましては、一億以上の木材を伐つたのでありまして、是が爲に非常な過伐、濫伐に陷り、最近の水害の主要な原因も、さう云ふ所にある譯なのでありまして、從つて山林關係に付きましては、先づ造林及び治山、治水と云ふことに力を入れて參りたいと思ふのであります、同時に木材需給の觀點から申しましても、需要量は御話にございましたやうに、戰災の復興とか、其の他色々の需要方面は減らぬと思ふのでありますが、併し供給面を從來の如く過伐、濫伐で以て賄つて行くと云ふことは、到底事情が許さぬと思ひますので、事情が許します範圍に於て不足分は外材の輸入と云ふやうなことで賄つて行くと云ふやうな方向へ進みたいと斯樣に實は考へて居るのであります、それから土地の問題に付きましては、農地の今度の制度に於きましても、都市計畫法の施行されて居る地域、又近く施行されると云ふやうな地域の土地は國が買收すると云ふ計畫も相當に致して居るのであります、今御尋の市内地に付きましては、我々關係から申しますれば、是は考慮は致して居らぬと云ふ風に御了承を願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=13
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014・三橋四郎次
○三橋四郎次君 それでは序に開墾の問題に付て、ちよつと伺ひますが、飛行場、練兵場等、殊に戰爭中に良田、それから良い畑などを潰したものに付ての現状は、どんな方法を之に執つて居るか、又戰爭中に潰えたものがどの位あつたか、それがどんな風に今後開墾され、さうしてそれが元の耕作地に戻すと云ふやうな豫定がどんな風に附いて居るか、是は勿論農地調整法に聯關する問題でありますが、其の現状はどんな風でありますか、又新たに五箇年計畫で開墾される面積は、全國で非常に多いやうに聞いて居りますが、さうすると、隨分條件の惡い所迄開墾が行くと思ひます、此處五年間位の間には、色々の状況に變化が起ることと思ひます、さう云ふ風に起つたとしたならば、所謂耕作の限界と言ひますか、「マージン・オブ・カルティヴェーシヨン」が五箇年計畫を破る處がありやしないか、其の邊に付て考慮を巡らして居るや否や、それから單に米を作る、藷を作る、麥を作ると云ふ風だけに考へることが、食糧増産のそれだけで宜いのかと云ふことが考へられるのであります、もう少し、此處で食糧問題を科學的に其の缺乏を補ふと云ふことが、此の際考へられるべきぢやないかと思ふのであります、斯う云ふ方面に當局はどんな御用意があるや、今は兎に角足らぬのであるから、兎に角滿腹感さへ得れば宜いと云ふでせうか、唯、今の場合のやうに粉食でも、唯粉だけ分配すると云ふのでは、隨分不深切な話である、又厚生方面から見ても、隨分是は危險でもあり、亂暴だと思ふのであります、是は科學的に日本の食糧問題を囘復するには、食事の轉換と云ふやうなことも、片一方に於て増産等に於て考ふべきものだと思ひます、各方面に於て科學性の缺乏が、我々の大なる缺點だと云ふことが戰爭中に見出されたのであります、此の面に於ても當局は何等か考慮を拂つて居るや否や、其の點もちよつと御伺ひするのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=14
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015・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 御答へ申上げます、飛行場、其の他練兵場等の問題でありますが、大體飛行場其の他に潰されましたのは、十萬町歩程度でありますが、之に付きましては終戰直後、聯合軍方面で使用することと決定致し、ましたもの以外は、總て之を大藏省所管に移しまて、之を農耕地、或は一部鹽田と云ふやうな方面に振り向けて、其の中農耕地に向けましたものに付きましては、開墾を致して居るのであります、此の方の開墾は相當進捗致して居るのであります、と申しますことは一般の開拓のやうに非常に條件の惡い所を開墾するのとは違ひまして、平地であり、而も今御話にございましたやうに、從來の田とか、或は畑を潰して、さう云ふ方面に振り向けたのでありますから、相當工事もやり易いと云ふことで開墾は相當進捗して居ります、唯之を開墾致しまする場合に、飛行場に致しました際に、尤も古いのは別でありますが、特に終戰眞際になつて急に潰したやうなものもあり、又是は戰爭後地元に戻すと云ふやうな條件附で飛行場にしたものも少くないのであります、從つて斯う云ふ面に付きましては地元の方面に之を返還致しまして、地元の小集團、小開墾事業として、之を開墾させて居るやうな状態でございます、面積の小さい演習地等に付きましては、是は地方廳に其の處理を一任致しまして、方針と致しましては、只今申上げましたやうな方針で以て進んで居るのであります、それから開拓問題に付て御尋がございましたが、是は出來るだけ耕地を殖やす一面、此の方面に對して國内移民と申しますか、出來るだけ此の方面にも人口を包容致すと云ふ觀點から致しまして、さう云ふやうな要請の下に開墾計畫、開拓計畫を立てて居りますので、具體的には、なかなか條件としては困難な所も多からうと思ふのであります、五箇年間に百五十萬町歩を致すと云ふ場合に、可墾地の中で、傾斜度が十五度以内の所は總て之を入れるとか、或は又霜の期間を見まして、其の一定の條件以内のものは入れますとか、或は温度關係を見まして、或程度の温度以内のものは開墾計畫地に入れると云ふやうなことで前提としては、先程も申上げましたやうに、出來るだけ多く開墾し、又多くの人口を包容すると云ふ點から致して居りますので、開墾計畫が具體的に進み、又適地の調査を事前に致すことになつて居るのでありますが、さう云ふやうな關係から致しまして、又經濟事情の變化と云ふやうなものも考慮致しまして、其の進捗状況に應じて、更に檢討を要するものも出て參らうかと思ふのでありますが、建前は今申上げましたやうなことで計畫を立てて居るやうな次第であるのであります、最後に食糧の科學的觀點から見た今後の對策の問題でありますが、御承知のやうに從來は米麥に依存して居つたのでありますが、今後、此の狹小な土地で、又今後増加して參ります人口を包容して行きます上に於きましても、從來の如く、米麥にのみ依存すると云ふことは到底許されないのであります、從つて此の面から見ましても、今後の食糧問題は相當大きな問題であると思ふのでありますが、同時に榮養的の觀點から見まして、從來は是も御承知のやうに餘りに澱粉質食糧に頼り過ぎて居つたのであります、之を蛋白質食糧、或は脂肪食糧と云ふやうなものも、「コンビネート」致しました所謂綜合食糧對策として、又科學的に此の問題を取扱つて參らなければならぬと考へて居るのであります、其の意味に於きまして、私共の方の生産面から申しますれば、水産の振興、或は畜産の振興と云ふやうなことに今後力を入れて參りたいと思ふのでありますが、更に全體の綜合的の觀點から致しまして、此所に御見えになつて居りますが、經濟安定本部に於きましても、特に此の問題に付ては重大な關必を持たれ、今後此の問題を綜合的觀點からして取扱つて行かうと云ふことで、色々今後、其の觀點から致しまする御研究、御檢討をせらるるやうに承つて居るのであります、大體さう云ふ風で進みたいと思つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=15
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016・三橋四郎次
○三橋四郎次君 序に農林に付て、もう一つ伺ひます、是は實業團體のことでありますが、戰爭中の要求に依りまして、戰爭前の歴史とか、發達と云ふものを無視して、戰爭目的の完遂の爲に其の組織を變更すると云ふ處置を執つたのは、是は已むを得ないことでありますが、今終戰後になつて見ますると、各各元の姿に戻し、而も新らしい今の時代に「マツチ」するやうに再建設することが當然であり、又斯くしてこそ、各各の持場に於て、其の産業の發展を期し得ることも自明のことでありますが、例へば戰爭中に農業會に畜産も、蠶も茶も皆合同されてしまつたのであります、今日は元の姿に復歸すべきが當然だと思ふのでありますが、先達つて新聞で當局談として傳へて居るのを見ますると、畜産と蠶は其のやうにせられる、茶は林檎と同樣に、特殊農産物として取扱ふが、畜産、蠶は同じやうに扱はないと云ふ風に見えたのでありますが、之に對して、どう云ふ考を持つて居るか、茶は見返り物資として、既に二囘も三百萬「ポンド」も輸出して居り、あと五百萬「ポンド」輸出する支度もちやんと出來て居るのでありまして「アメリカ」より之が見返りとしての食糧を得る役目を勤める點は、林檎と同一でないのは申す迄もないのであります、第一次歐洲戰爭後に於ては、約五千萬「ポンド」も茶は輸出したのでありまして、「アメリカ」へは三千萬「ポンド」も輸出したのでありますが、戰爭中はそれが已むなきに至つて、滿洲、支那、蒙古等に所謂交易品として出して居つたのでありますが、さうして戰爭中は、食糧増産の爲に茶園も工場と同然、減反を餘儀なくされまして、其の栽培面積は約半分に迄なつたのであります、それに加ふるに、肥料、勞力の不足の結果、生産額も戰前の半分になつてしまつたのであります、併しそれでも尚、八百萬「ポンド」を「アメリカ」に出し得ると云ふことになつて居るのでありますが、更に増産に努力すれば、之を四、五年の中には四、五倍にして昔に立返らすと云ふことは、必ずしも困難ぢやないのであります、然るに現在では、其の栽培と新茶製造迄は、農業會が足を突つ込んで、輸出面は貿易廳の管轄下に置かれて居る、それから内需方面は農林省の支配下に置かれて居る、從つて戰前一體であつた茶業が、言ひ換へれば茶業組合規則に依つて、栽培、貿易又内地配給迄、一切が一元化されて、三者相寄つて長い歴史の下に發達を遂げて來たものが、今は生木を三つに割かれるやうにされたのであります、當然の結果として横の連絡が不十分なるのみならず、相互間に摩擦相剋を來すのも已むを得ない結果でありまして、實に此の苦い經驗を今當業者は嘗めつつあるのであります、それであるから茶の食糧稼ぎと云ふ大きな役目を完全に遂行すると云ふ爲には、矢張り新たに一緒になるでなく、唯昔に戻るのでありまして、栽培より交易、内地配給と、一元的に戰前の如くに一體にすると云ふことが、當業者全部の切なる希望であるのですが、前述の如く昔に戻るとしても、今の時代の要求に應じて其の組織を現代化すると云ふことは、是は當然であります、此の邊に關して當局がどんな風な御考を持つて居りますか、此の際御伺ひするのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=16
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017・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 御答へ申上げます、團體の問題でありますが、實は團體制度に付ては、現在檢討中でありまして、まだ結論を得て居りませぬ唯團體統合の、農業會に統合致しました前の、各種の産業に付きましては、それぞれの團體があつたことは、只今御述べになりました通りであります、又此のそれぞれの團體に分立致して居りましたことが、明治以來の各部門の技術的な、或は經營的な發達部面に於て、相當大きな功績を擧げたことも事實なのであります、併しながら、段々と其の發達が最高度になつて參りますると同時に、一面に於て、各種の團體が分立致して居りまする爲に、生産農民が一人で以て色々のものの、多いものに付きましては二十七、八の團體にも分屬しなければならぬと云ふやうな極めて非常識なやうな結果にもなつたのでありまして、團體統合は一面戰爭の爲と云ふことよりも、寧ろさう云ふやうな分立し過ぎた結果の弊を矯める爲の意味も、相當強く動きまして、團體統合の結果になつたのであります、從つて之を又元へ戻す、元のやうな、極めて複雜多岐な團體分立に戻すと云ふことに付きましては、今後の農業經營の、特に世界經濟に入つて參ります上に於きまして、多角的にやつて參らなければ、なかなか、將來豫想されます農業恐慌に備へまする上に於きましても、極めて憂慮せらるるのであります、從つてさう云ふ觀點から、特に一つの部門に重點を置いて見ると云ふよりも、さう云ふ觀點から團體の問題を考慮しなければならぬのではないか、斯樣に考へて居るのでございます、從つて斯う云ふ意味で、團體の問題に付きましては、今後の農業經營の在り方と云ふやうなものも頭に置いて考へなければならないと存じまして、折角檢討を致して居るやうな次第でございます、唯さう云ふ場合に於きましても、技術的の問題等に付きましては、或程度分化した指導と云ふやうなことも、或は必要になつて來るかとも思ふのでありまするが、又只今御述べになりました意味も、さう云ふ觀點からの御意見であつたやうに思ふのでありまして、斯う云ふものをどう云ふ風に團體制度と噛み合せるかと云ふことに付きましても、全體の團體の整備の問題、或は復元の問題に關聯致しまして、十分考慮して、愼重にやつて參りたい、斯樣に考へて居るやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=17
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018・三橋四郎次
○三橋四郎次君 今の實業團體の問題に付ては、是から先は議論になりますが、要するに末端に於て色々になると云ふことの弊害は、是はもう實際であります、併し今私が申上げたやうに、指導面が全然違つてしまつて、横の連絡が法的にない、斯う行つたならば、更に其の業と云ふものの發達は期せられない、それですから私は前に戻るが今現在の要求に如何に「マツチ」せしむるかと云ふことの組織問題に付ては是は別に考へなければならぬ、要するに考へ方としては、ものをばらばらにすると云ふやうなことがあつてはならない、例へば集荷の面は農業會がするそれから集めた物を、今度は茶で云ふならば、輸出會社が貿易廳の代行機關として之を集めると云ふやうな時に、集める面と、それから之を再製して外部に出す面とがうまく行かないと、適品を手に入れると云ふことに困つて居るのが現在である、況や又、斯う云ふ適品を栽培すると云ふことは又別になる、斯う云つた點がどうしてもいかぬのであります、そこでどうして之を一元的に、上から下まで行くやうにしたら宜いかと云ふ技術的のことは、是は勿論考へなければならぬ、是以上のことは、又他の場合に於て議論する場合があらうと思ひますから、今日は少し是は縁が遠いやうでありますから、此の程度にして置きます、そこで農林の問題は終りますが、大藏省の鹽の問題を、今ちよつと伺つても宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=18
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019・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 至急連絡致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=19
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020・三橋四郎次
○三橋四郎次君 それでは御見えになります迄、私は質問を保留して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=20
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021・長岡半太郎
○長岡半太郎君 只今「ラジオ・バルブ」に關する御答辯を得まして、大分安心する所がありましたが、戰時中、澤山の「バルブ」が要るので、是はどうしても自動裝置を用ひて造らなければ、此の需要に應じ兼ねると云ふことを屡屡當局者に御話ししたのでございますけれども、どうも日本のやうな、手の先の器用な人間の澤山居る所に自動裝置などと云ふものを作ると、失業者も出來る、又餘り澤山拵へられると「ストツク」に澤山入つて、在庫品が餘計出來て始末に困るからして、我々の會社では自動裝置と云ふものは成るべく造らぬことにして居ると云ふ辯明を得たのでございますけれども、今日ではなかなか勞銀が高いものですから逆の傾向を帶びて來ました、「アイヴアンホー」の「オートマテイツク・マシーン」を使ふと云ふことを御話になつたので、非常に安心した次第であります、其の他に於きましても、私は斯樣な「ウエージ」の高い時代になりますれば、どうしても自動裝置を使つて、均一な、自動裝置を使ひますと、部分品は總て均一性を帶びますからして、それに依つて作ることが、今日良い機械、裝置等を造るに必要だと思ひます其の代り失業者は出るかも知れませぬが、是で一安心は致しましたが、偖、其の部分品として使ふ「マイカー」の如きもの、是はどうも「インド」産、或は「アフリカ」産の「マイカー」でないといかぬやうであります、成るべく良い品を御取寄せになつて、良い「バルブ」を造り、長くそれを持たせ均一性を保たせると云ふことに努力を願ひたいと思ふのでございます、次に申上げたいのは檢査でございます、檢査は日本の程杜撰な檢査をやる所はないのです、是は何處に行つて見ましても、檢査と云ふことに非常に力を入れて居るのでありまするけれども、日本人は放つたらかしにして居るのが多くございますが、「ラジオ・バルブ」の如きは最も檢査を要するものと私は考へるのであります、それで其の檢査の方法等に於ては、特にまだ研究すべき餘地があると思ひます、石炭々々と云ふ御話がありましたが、此の石炭は恐しく「ヴアブ」の外裝に使ふ硝子を拵へる石炭であらう、硝子を溶かすには「ウオーター・ガス」を使つて居るのでありますから又石炭を要し、又硝子の材料として特殊の砂を使はなければならぬ、其の特殊の砂なるものが此の近所にある砂で宜いか、それとも安南あたりから良い砂を取らなければならぬか、是も又問題でありますが、大分研究を要することであらうと考へるのであります、それからもう一つ、此の前申上げなかつたのは、放送協會の使つて居る録音盤でございますが、是が又恐しく惡い、其の録音盤の中に使ふ「シエラツク」、「シエラツク」は殆ど「インド」獨占の産物であつて、是が戰時中來なかつた爲でありますか知れませぬが、録音盤に入つた話を聽きますると、あの人の話にしては聲がまるで違ふが嘘ぢやないかと大概の人は考へる、中へ行つて調べて見ると其の「シエラツク」とまだ外に蝋や何か要りまするが、それ等のものの不足して居る、或は老朽して居る爲であると思ひます、「アメリカ」の人に言はせると日本の「ラジオ」はまだ「ラジオ」でない、「アメリカ」あたりでこんなものをやつたらば誰も聽く人はないがと云ふやうな批評をして居るのも、斯う云ふやうな所に、まるで其の録音盤に載つた人の聲と云ふものが、不斷に聞える聲と違つて居ることは、是は早く是正しなければならぬことと考へるのであります、是が「バルブ」に關する私の心附いた點でございます、次いで硼酸のことをちよつと御話し致しましたが、硼酸の必要なることは戰前からやかましく言つて居るのは、私は寧ろ其の鋼鐵に入れるとか、或は銅の中の酸化したものを除くとか、所謂「ボロレナイズド・カツパー」を拵へるとか云ふやうに專ら申上げたのでなく、硼酸の必要なることは、今日化學製造に使ふ硝子の器で、どうも從來の硝子器では、中の硝子が溶ける、水を入れましても日本の粗製の硝子になりますると云ふと、硝子が溶けて來る、それは「スペクトル」分析を致しますと、どんな硝子を使つて見ても日本製のは近頃は硅素が溶けて來る、即ち「シリコン」が入つて居ることが分るのでありまして、即ち硝子が水に溶ける、全く溶けない硝子と云ふものを得ようとしても到底得られないことでございますけれども、特別な精錬を要するものに於ては、此の「パイレツクス」硝子、「アメリカ」で發達したものでございますが、日本でもそれの擬いのものが出來て居ります、「パイレツクス」硝子に硼酸を使ふのでありまして、光學硝子の「ポロシリケート」と云ふ特殊の「レンズ」を使ふ双眼鏡類に入用で、多量の硼酸が入つて居ります、其の用に供するのと、專ら是から使はれると思ふのは、「パイレツクス」硝子が使はれると思ひます、是は一番餘計に使はれる分でありまして、戰前には陸海軍の人にどうしても硼酸がなくなると云ふと、光學硝子が出來ませぬからして之を早く多量に買つて貯へて置きなさいと言ひましたが、どうしても是は會計上不可能である、さう云ふものを貯藏することが不可能であると云ふことで遂に其の説は容れられなかつたのであります、「ドイツ」に於ても、第一囘戰爭の時に硼酸がないと云ふので、非常な苦しみをしたさうであります、私がちよつと其のことを「ドイツ」に行つて話しました處が、我々の祕密にしたことを君がどう云ふのだと云ふので我々だつて困るのだ、それでやかましく言つて居ります、貯藏すると云ふことが會計法上不都合であつて貯藏が出來ないから、何か代用品でもあるかと云つて、私は聽いたのでありますが、それには實に困つた、第一囘の戰爭の時に殆どなくなつてしまつた、此の硼酸が色々外に普通に家庭に於ても使ふ用がありまするが、不幸にして我が國には、まあ涙程のものがありまするけれども、「アメリカ」に行くと、湖全體に硼砂が出來て居る、湖の底、底と云ふ程でありませぬが、殆ど干上つた湖に硼砂があります、掘り出す賃金が幾らと云ふことでありますが、價格から言へば到底競爭し得ないものであります、此の硼酸を得ると云ふことはどうしても必要であると思ふのでありますそれが今日幾らか解決したのは誠に喜ばしいことと考へまするが、此の需給品を色々考へて見ますると、或は斯う云ふ品物が落ちて居はしないかと思ひますが、御調になつて居ると思ひますけれども、申上げて置きたいと思ふのは、只今の「シエラツク」もありまするが、機械工業等に於て段々發達して來た機械に使ふもので、本邦に於て少量は得られるけれども、殆ど需要に應じ兼ねる程の分量であつて困るものがあります、それは「バナジウム」でありまして、是は砂鐵に少量入つて居りまするが、切羽詰つた時に經費を構はずして抽出すれば得られると云ふやうな少量であります、それから「コバルト」、是も少量はありまするが、到底「カナダ」に於けるやうに多量には得られない、「ニツケル」、「ニツケル」は多少あります、「セリウム」是は映畫用の「カーボン」に使はれるものでありまして、一「トン」半位戰時中使つて居つたやうな按配であります、原料は朝鮮に可なりあります、光電管に使ひまする「セシウム」、是は日本にもありまするが、是もまあ、是は割合にあるかと思ひますけれども、此の抽出法が色々方法がありまして、如何なものでありまするか、それから金屬を溶かしまする時に、例へば鐵で申せば、湯を流す時どの温度に於て流すかと云ふ時に使ひまする白金「ロージユーム」の「サーモジヤンクシヨン」を使ひます之の原料が必要であります、多少は北海道から出ますから、或はそれで間に合ふかも知れませぬけれども、どうも不十分ではないかと思ひます、「イリジユーム」、是は萬年筆の先に使ふ、それからどうしてもなくて困つて居るのは「ダイヤモンド・サンド」であります厚い硝子を切ると云ふやうな場合、例へば光學機械を作る時に使ふやうな「ダイヤモンド・サンド」それから電球の「タングステン」を引くに使ふやうな「ダイヤモンド」の「ダイス」、針金を小さな穴を拵へて其處から引張り出す、どうしても「ダイヤモンド」でないといけませぬ、「ウイヂヤ」などと云ふものがありますけれども、是は銅線を引くやうな時は宜いが、「ダイヤモンド」の「ダイス」でないと一「ミリメートル」の何分の一と云ふやうな小さなものは引張り出せないのであります、是は原料は「ボルネオ」から專ら來る、「ボルネオ」の黒い「ダイヤモンド」、裝飾にならない「ダイヤモンド」であります、それでないと普通の裝飾用のものは軟くて、「ダイス」には宜しくありませぬ、斯う云ふ種類のものがまだ幾らも落ちて居はしないかと思ひまするが、特にどうしてもなくて困つて居ると云ふものは、斯う云ふやうなものであります、まあ是が今私が氣が附いた機械工業等に於て必要なるものであると思ひます、私が今茲に述べる必要はないと思ひまするけれども、民衆が今困つて居るのは、石鹸の不足でありまするが、「コプラ」と云ふものは何時こちらに輸入されるのであるか、「コプラ」の不足で石鹸の需要が滿たされて居らぬのぢやないかと、密かに考へる次第でありまするが、是はちよつと御話を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=21
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022・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 只今御述べになりました品物の中で「バナジウム」鑛石が輸入計畫の中に入つて居りまして、只今輸入懇請中でございます、其の他の「ダイヤモンド」、「コバルト」等はまだ多少「ストツク」もございます關係もありまして、今囘の輸入計畫の中には入つて居らぬのでございます、逐次是は輸入計畫に入れて行くべきものと考へて居ります、尚「コバルト」の方は目下輸入懇請中の品に入つて居りまして、成るべく早い機會に相當の量を輸入して戴きたいと考へまして、「ジー・エツチ、キユー」の方に懇請致して居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=22
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023・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) 膳國務相がおいでになつて居るのですが、成るべく膳國務相に御尋におありの方の御質問を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=23
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024・川上嘉市
○川上嘉市君 私のも一部關係するので、其の關係のことから申上げます、今國民經濟を救ふ上に最も必要なことは、結局は食糧問題の解決ではないかと思つて居ります、是さへ落ち著けば、最近問題になつた「ジエネスト」のやうな問題も、或程度迄防げます、又假に今の儘で若しずつと勞銀を上げ、且働く時間を少くしようと云ふやうな「ネガテイブ」の方の方法で何處迄も進んで參りますと、結局は澤山取つても物が足りないと云ふと、「インフレ」を益益助長する、斯う云ふ風な傾向になるものと考へます、そこで食糧品がどれだけ足りぬかと云ふ風な問題になりますと、結局私は日本に食糧問題なしと、或所で話したことがあるのですが、實際に生鮮食糧品と云ふものは、多少の罐詰のやうなものは外國から參りますけれども、殆ど是は問題でありませぬで、皆内地で出來るものを融通すれば手に入る、手に入るけれども、唯入る途が非常に廻り遠くて、骨が折れて、さうして値段が公定の何倍、時としては十倍、十數倍になつて入ると云ふだけのことでありまして、實際の量としては、兎に角内地産の生鮮食糧品だけで以て、日本人が食つて行けるのであります、さう云ふ意味から言ふと、生鮮食糧品に關する限りは日本に問題はない、唯それを配給し、或は分配する其の方法に非常に不完全な點がある爲に困つて居ると云ふことになると思ひます、それから又、主食糧でありますが、此の方も本當を言ふと、まあ愈愈困つて無いと云ふ時には、「アメリカ」進駐軍の方で何とかして呉れる是は勿論私は或點に於て、さうして呉れるべき義務があるのぢやないかと考へます、と云ふのは、日本は今自分で以て輸入することは出來ませぬ、全部の輸入を其の手に頼る外はないのでありますから、若し日本人を多量に飢ヱしむると云ふやうなこになると、是は人道問題であります、日本人が非常に懶けて居つて自分の義務を盡さぬで持つて來て呉れと云ふと、無論受け容れられないのでありますが、併しながら全力を盡して居るけれども、それでも足りぬと云ふ時に日本人が多量飢ヱると云ふことは考へられない、さう云ふ點から考へると、主食糧に於ても本當は問題はない筈なのでありますが、それが實際に於て此のやうな混亂を來す所以は何かと申しますと、結局其處に配給とか、其の外の色々な點に非常にまづい點がある、其の爲に國民が塗炭の苦しみにあると云ふのが現状ではないかと思ひます、それで今迄の食糧品に對する農林當局の或は國全體としての對策と云ふものが、非常に片手落ちであると云ふやうな感じがるのすです、それはどう云ふことかと言ひますと、生産者の方に餘りに重きを置き過ぎて、消費者と云ふものに對する同情が少くはなかつたかと云ふ感じが私はするのであります、何時の場合にも、農民或は農山漁村の生産意欲と云ふことが非常に能く言はれるのであります處が、其の外の方の消費者の側に對する思ひやりが誠に少いやうな、少くとも結果に表れた所では非常に少い、最近に於ける供出の割當なんかもさうでありますが、見て居ると、初めの中は今年の秋は非常に豐作であるやうに言はれて居りました處が、最近になつて最後の締め括りを見ると、新聞に發表された所に依ると、不良と言ふ、作柄不良だと云ふやうな報告が可なりあるそれで實際に於て或縣の知事なんかの話で見ると、今年の供出は四千萬石位は出來るだらう、本當に公平に行けば四千萬石位は出來るだらう、それが二千七、八百萬石と云ふ程度で行つて、而も不作と云ふ報告が非常に多いと云ふ理由が、我々にはちよつと解せないのであります、或は其處に消費者に對する思ひやりとか、或は生産意欲と云ふことを餘りに重きを置き過ぎるが爲に、農山漁村が三千五百萬人口があると、殘りの四千五百萬に對する、其の方に對する思ひやりが非常に少いのぢやないかと云ふやうな感じを持つのであります、そこで此の公定値段を決めるそれ自身が、實を言ふと、私共可なり今迄高過ぎたと思ひます、其の場合に、何時でも高い方が標準になつて、同じ作物の中でこつちに比べてこつちは安過ぎるからして、其の高い方に準つて、右へ準へで以て唯上げて來るのがありまして、是は前内閣の時でありましたけれども、私は大藏省へ出かけて行つて話したことがある、丁度お茶の公定値段が決められた時ですが、昨年に比べて、六倍に決められた、是は餘りに上り過ぎるぢやないか、一體原價がどの位上つたのか、お茶の畑はお茶の木が一本も去年と比ばて殖えたことがない……、一昨年であります、それは去年の話ですから、又非常な配給もあるし、さう上つて居る筈もないのでありまして、又勞銀はと云ふと、皆家族の手であつて、それも上つて居らない、にも拘らず、一躍六倍だ、我々工業家の製品は一割上げて呉れれば結構と思ふ、斯う云ふ場合に、其の六十割の高率に上げると云ふことはあり得ないことだと申しました處が、其の時に次官の答辯は、物價局がまだこつちに移つたばかりで、自分の方では素人で能く分らぬ、農林省の附箋を其の儘決めたのだと言つて、私に陳謝して居られました、さう云ふ時に、どうも今迄の農林當局の見解が、唯農林省の關係だけのことを基準にして、其の結果が他に如何に及ぶかと云ふことに付ての考慮が少し足りなかつたのでないかと云ふやうな感じがするのでありますそれにしても、假に公で私共が、本當に皆手に入るならばまだ我慢し得ると思ひます、處が、なかなか入らぬ、入らぬと云ふのは、例へば藷でありますが、昨日私はこちらに居ります自分の子供の家で、藷を賣りに來て買ひました、藷は一貫目三十五圓、公が四圓です、濱松邊で十圓乃至十二圓、それがこつちへ來て三十五圓、さう云ふので買はなければならぬ、それが現實であるとすれば、我々は唯公が出來たと云ふ看板を掛けたからと云つて、看板に安心して居ることが出來ない、事實それですから、政治と云ふものは、こつちで以て或「プラン」を作り、さうして好い看板を掛けて、綺麗な看板を掛けて居るからして、それで國民が其の恩惠に浴するかと、斯う申しますと、實際にそれを實行さして貰はぬと、我々は一向に其の有難味に浴することが出來ない、左樣な状態であるのです、そこで一體、食糧品の全部が本當に公で來るやうになれば、恐らくは勞働爭議も起らなくなるだらうし、又色々な問題がずつとすらすらと解決して行くやうに考へられるのですが、それで其の公を何處迄も維持して行くと云ふ方法、どう云ふ風な構想で以て、それを維持されますか、又それを維持するだけの確信があられるか、其の點に付てちよつと御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=24
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025・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 結局食糧品の價格を如何に定めるか、又此の配給をば如何に合理化するかと云ふ問題でございますが、有體に申せば、なかなか政府が終戰後色々計畫した食糧の配給計畫、又價格政策も、必ずしも成功したとは申上げられないと云ふことは事實であります、結局何と申しましても主要食糧品の不足と云ふこと、それから此の不足感に騙られまする買漁りと云ふやうなことが、總ての配給の系統を紊し、又價格の不當な闇相場が現出すると云ふやうなことなのでありますが、なかなか此の混沌たる經濟界の状況から見まして、私、物價廳を御預りして居る譯でありますけれども、唯一つの一聯の政策、之に依つて總てのものが立ち直ると云ふやうな起死囘生的の妙策はないと思ひます、要するに此の根本は、今の經濟の混亂、將來に對する不安、斯う云ふ面を一掃しなければ物が安定しないのだと存じて居ります物價其のものに付きましては、過般も本會議でも申上げましたやうに、兎に角私共の考としては、物價を強ひて下げると云ふよりも、一つの安定した物價を作る、之に依つて物資の出廻りも殖えて參りますし、闇の取引も根絶して參る方に一歩を進めて參る、斯う考へて居るのであります、現在の主要食糧に付きましての供出の問題、それから生鮮食料品の配給の問題、實は川上委員の御所説のやうに、現在甚だうまく行つて居りませぬ、農林省に於きましても、之が爲には各關係團體と折角一生懸命になつて居ることは事實でありますけれども、又思ふやうにならぬことも事實であります、安定本部に於きましては、此の國民の食糧問題、是が經濟安定、國民生活の安定の中核問題だと云ふ考から、此處に第三部と云ふのがあります、是は主として、今、川上君の仰せられたやうな問題の矛盾をば解決する根本策の研究機關で、是が物價廳と相俟ちまして、其の方面に折角努力したいと存じて居るのでありますが、併し是が立ち直る確信があるかと云ふ御尋に對しましては、兎も角本年の米穀の豐作、之に依つて國民が徒に食糧の不足に焦慮すると云ふ考がなくなる程度の配給が出來る見込で居るのであります、唯配給數量の問題等に付きましては、外國から矢張り輸入しなければなりませぬ、不足物資の輸入とも微妙な關係がありますので、もう少し經ちませぬと、本當に國民の安心するが如き主要食糧品、其の他の配給の目標を公にすることも、まだ色々數量の計算其の他の關係から見込が附き兼ねると思ひますけれども、之を要しまするに、今後主要食糧の供給の確保、是は確かに出來る見込で居ります、之を中心に致しまして、物價其の他に付きましても、從來と違ひ、或一定の目標に基く政策が漸次行はれ得ると考へて居る譯であります、尚其の他、色々の物資の需給の問題に付きまして、足りない所はそれぞれ又政府委員から補足して申上げさせて戴きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=25
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026・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 只今御話の中に、農林省は農村のことのみを考へて都市のことに對して考へ方が足りないのではないかと云ふやうな意味の御尋があつたと思ふのでありますが、實は私共と致しましては、さう云ふやうな考は毛頭持つて居りませぬ、寧ろ農家から申しますと、我々の生活必需品、或は生産に關して、必要な物資に付ての強權を發動せずに、農家の食糧だけを強權を發動して持つて行くではないかと云ふやうな非難を受ける位に迄致しまして、御説のやうな強權措置を講じて、食糧を集めて居るのでございまして、又出來るだけ國内の食糧を手に入れまする爲に、昨年の末から今年に掛けて御承知のやうに各縣軒竝みに赤字搬出と云ふやうなことで出した縣が實は端境期に非常に困ると云ふやうなことも敢て覺悟の上で致して居るのでございます、さう云ふ風に致しまして、單り農家の立場と云ふことのみに拘泥せず、出來るだけ廣く國民全般の食糧問題をどうするかと云ふことを苦慮致して居りますので、此のことは御了承を願へると思ふのであります、唯配給其の他の問題に付ては、矢張り御話もございましたやうに、尚拙いと云ふ所もあらうかと思ひます、從つて此の改善と云ふ方面に付きましては色々工夫を加へて行かなければならぬと云ふやうに考へて、折角此の方向に進んで參りたいと存ずるのであります、それから食糧の闇價格の問題でありますが、此の問題は今、膳國務大臣から御話がありましたやうに、結局不足感と云ふことが之に對して非常に大きな因子を成して居る、同時にそれが因となり或は果となつて、結局供出自體に對して、少からぬ影響を持つて惡循環を致して居るやうに存ずるのでありまして、其の根源を斷つことが必要であると云ふことは、只今大臣からも御説明をされましたやうに私共も考へて居るのであります、さう云ふ方向で、今後とも進んで參りたいと努力致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=26
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027・川上嘉市
○川上嘉市君 此の對策に付きまして實はちよつと私の思ひ著きがあるのですが、それを申述べて置きたいと思ひます、今議會で、農林大臣の御答辯になつた供出其の他に付て民主的の方法をやる、例へば農業會、其の外生産者の自治的にやる、それを民主的だと言つて居られるやうですが、私はそれは自治的であつて民主的ではないと考へます、民主的でやると云ふのは、要するに國民全體の輿論に副ふやうに行くことでありますが、茲に獨り消費者と云ふものが忘れられて居る、是は民主的と云ふこととは逆だと考へて居りますそれから供出をすることに付て、今實際に委員になつて居る人の話を聽いて見ても、生産者自身は非常に生産者の利益ばかりを主張して、出來るだけ少く出さうとして居ることが實情だらうと考へますが、消費者の利益と云ふものが忘れられて居るやうな感じがするのであります、そこで自分の考へましたのは、農業會、或は其の外、色々の農山漁村の所謂集荷機關だとか、配給機關とか、或は營團、其の外に消費者と云ふものの代表を入れて、丁度勞働委員會に司法省側と組合の委員と、それから中立の委員とあるやうに、それ等を皆入れて、それに依つて納得の行く所迄やる、さうしてそれ以外の機關を通じては絶對に出さない、斯う云ふ風にして見たらどうだらうかと思ふのであります、詰り闇の取引が出來ると云ふことは、それは剩りがあるから出來るのであつて、剩りのないやうにする剩つたものは自分で處分しても宜し、出すとすれば必ず其の機關を通じてやると云ふことにしなければならぬ、其の代り割當以上供出した者には、或程度獎勵を與へると云ふことは差支ないと思ひますが、それも無論程度問題で或適正な程度に於ては結構だと思ひます、斯う云ふ方法を講じて、本當に民主的な機關に依つて總て取扱ふと云ふことにすれば、闇を取締ることが出來はせぬかと考へますけれども、それに付て御批評なり、或は御考を伺ひたいと思ひます、次には國民的の運動をやつたらどうか、此の點は實は本會議で御質問申上げたのですが、或は總理大臣か、内務大臣の管轄かも知れませぬけれども、現内閣が出來ました最初に於て、是は供出のことに關聯するのぢやないかと、新聞では感じられたのですが、國民的總運動を起すと云ふことに付て、言論機關を動員し、又代議士も加つてやると云ふやうなことが新聞に出て居りましたが、其の後杳として消息が絶えてしまつて居るが、今以てそれを適當な機會にやられる御意思が有るか無いか、私は實はさう云ふやうなことを餘程前に言ひ出したのでありますが、前内閣の時には、まだ政黨の「バツク」がないからしてそれは駄目だ、内閣が迭つたらやつても宜いと云ふことを申して居られましたが、丁度新らしい内閣が出來た時に、直ぐそんな話がありましたが、矢張り國民全體の道義を振興すると云ふことでなければ斯う云ふ取締りの實效を擧げることは到底困難だと思ひます、それで供出に致しましても、斯う云ふ風な國民の總運動と相俟つて、先程申しましたやうな本當の民主的な配給、買上、發送と云ふやうな機關を運營することにしたならば、或點迄目的を達することが出來はしないかと思ひます、是等に對する御考を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=27
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028・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 供出の問題民主化の問題に付ての第一點の御尋ねでありますが、私共も全く同樣の觀點から此の問題を考へて居る次第であります、從つて食糧の供出に關聯致しましても、道府縣に食糧委員會と云ふものを設けまして、中央からの割當、或は又下への割當、其の他生産に關聯した色々の事項を審議決定して行きます機關と致しまして、只今申しました食糧委員會と云ふものを構成して居るのであります、此の委員會は勿論生産者の方面も入りまするが、主として消費者、是は各政黨關係の方は勿論、消費組合關係、勞働組合關係、其の他一般の學識經驗のある方々、總ての人々を網羅致しまして、此處で食糧の大きな問題を御審議、又決定をして戴くと云ふことに致して居るのであります、唯今御話になりました中で、生産農民だけの團體のことに觸れての御話があつたのでありますが、是は恐らく市町村の食糧調整委員會の問題であらうかと存ずるのでありますが、此の食糧調整委員會は御承知のやうに、各部落、各農家に對する割當量を決めます、從つて是は其の村の供出責任量として決りましたものをどう云ふ風に之を部落に又農家に割り當てるか、それと同時に又見返りの生産用資材、例へば肥料とか、農機具、斯う云ふやうなものをどう云ふ風に分けるかと云ふことが主でございまして、是は勿論一般の消費者の方々は御存じのないことで、一番能く知つて居るのは、お互の生産農民があそこの部落、あの農家はどれ位生産するかと云ふことを一番能く知つて居られる譯でありますから、從つて市町村の食糧調整委員會は耕作農民が中心になる、勿論農業會長とか、或は檢査員とか、さう云ふやうな人々も入り、又部落會長等も入りまするけれども、主として生産農民を中心にして行くのであります、其の狙ひは、先程申上げましたやうな觀點から致して居るのでありますが、建前と致しましては、是が民主的になり、又特に輿論の力と云ふものを活用致したいと云ふことを私共も考へて居るのでありまして、第二點の御尋にも關聯致すのでありますが現在食糧關係に付きましては、衆議院に食糧對策委員會と云ふものが出來て居ります、是は各黨が網羅せられまして、相當多勢の方々が、此の委員として、例へば供出部會とか、配給部會とか、資材部會とか、色々の部會に分れて、それぞれ政府に對して色々協力をして戴いて居るのであります、早場米の供出督勵に付きましても、大體議會の方の審議の目鼻が着き次第、是等の方々が行つて、各縣に督勵して貰ふ、結局、各方面の人々の御協力に依らなければ…、勿論生産農民に對する自覺を促すと云ふことも必要でありますと同時に、輿論、或は各界の御協力を得なければならぬ、先程も御話がありましたが、地方長官の例に徴しましても、例外なく地方長官は市町村の生産見込と云ふものに引摺られる、或は生産報告に付て色々政治的の考慮も加へて居るやうでありまして、漏れなく私共の生産見込とは違つた低目の數字を言つて居のるであります、一人として地方長官で私共と見解を同じうするやうな地方長官は現在の處、遺憾ながら米の供出に付ては無いのであります、是等の人々に對しましては、内務省とも協力を以ちまして反省を促して居るのでありますが、地方長官としましても、色々立場も、辛い所もあらうかと思ふのでありますが、是等は結局、今申しましたやうな輿論の力竝に各界各層の御協力と云ふことに依らなければ、なかなか解決が困難である、斯う云ふ風に考へて居りまして、折角努力を致して居るやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=28
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029・川上嘉市
○川上嘉市君 もう一つ御尋ね致しますが、さうすると、米でしたか、供出以外の自由販賣は許さぬと云ふ大臣の確か御答辯のやうに思つたのですが、供出以外の剩つたものは、何の手を經ておやりになる御豫定ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=29
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030・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 供出割當以上の、詰り超過供出に付きましては、是は勿論政府に於て買取りまして、一般の配給「ルート」を通じて流す、斯う云ふことに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=30
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031・川上嘉市
○川上嘉市君 そう致しますと、政府が御買上になるのは營團ですか、或は農業會ですか、結局私は此の問題を解決するには、さう言つた供出以外の餘分なものをどう處理するかと云ふので問題は解決するのぢやないかと思ふのでありますが、それを或特定の民主的の機關を通じて、それ以外にはもう絶對にいかぬと云ふやうな方法を執ることが出來ないかどうか、さつき質問の中に、それがあつたのでありますが、それに對する御考を伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=31
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032・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 機關と致しましては、結局現在一般の割當の食糧は、農業會を通じて政府が買ひまして之を食糧營團に一定の計畫の下に賣却して、一般消費者に廻す、斯う云ふことになつて居るのであります、供出割當量以上のものに付て色々問題があり所謂自由販賣の議論もあつたのでありますが、先程、膳大臣からも御話がございましたやうな情勢でございまして色々微妙な國際的の關係もある譯でありますが、政府と致しましては、自由な流し方はさせない、一般の、勿論之を引出す爲の色々の手段と云ふものは講ぜられなければならぬと考へますがさう云ふやうな手段を講じまして、出來るだけ私共としては、割當以上の超過供出を期待して居るのでありますが其の供出せられまする超過分に付きましては、矢張り一般の集荷徑路と同樣に、農業會を通じて政府が買ひまして之を一般の配給「ルート」に從つて配給すると云ふ方向で進んで參りたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=32
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033・川上嘉市
○川上嘉市君 そこで、私の曩に民主的でないと申しましたのは、本當言ふと、農業會のことです、農業會が生産者だけであるが爲に、そこで買ひます時に値段とか色々なことに付て、決して公で行かない、相當の開きがあるやうです、或は買ふ時に皆買はないとか有つても無いと云ふ風なこともありませう、昨年の密柑が非常に値段が高くて、一反歩の收穫が、密柑畑を持つて居る人は五萬圓乃至六萬圓にもなりました、其の當時買ひ始めは公定が九十錢だつたのを、いきなり十三圓で買つたと云ふのがある、靜岡縣の實情はさうだつたのです、さう云ふ時に、農業會を通じて買集めを爲す時に、其の値段なるものが非常に紊れる、それがどうかと申しますと、結局生産者だけであるが故に、先程御話のありました供出割合を決めると云ふ食糧委員ですか其の點に付ては、是は民主的になつて居ると思ふのですが、其の委員になつて居る人なんかの感想を聽きましても矢張り生産者だけの主張が非常に強くてうまく行かぬと云ふ話を聽いて居ります、況や生産者だけの或機關で以て買上げると云ふと、其處に色々の弊害の根本があるのぢやないかと考へる、そこで今御即答を願ふことは非常に御無理だと思ひますが、丁度膳長官もいらつしやいますから、それ等の點を將來一つ御考慮を願つて、何かもう少し出來ない出來ないでやつて居ると、結局仕方がないのです、何か出來る方法を一つ國民全部の爲に御考へ願ひたいと思ひます、それから先程ちよつと御伺ひしましたが、國民運動に付ては、是は或は進駐運との關係もあるかも知れませぬが、若せ御差支がないのだつたら、それ等に付て御考を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=33
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034・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 只今供出の制度、殊に只今例に御擧げになりました果物其の他、所謂生鮮食糧品の配給等に付きましては、農林次官からも御答のありましたやうに、農林省としても折角努力せられて居りますが、尚是等に付きましては、より以上の途もなからうかと云ふことに付きましては、是からも十分に研究を致しまして、若し直す途がありますれば、其の途に行くやうに折角各機關と協力致したいと私共は考へて居る譯でございます、國民運動の問題でありますが、從來の國民運動が、戰時中一つの或目的の爲に國民をば強ひて之を誘導する、之が爲に日本の平和主義的觀念を破りまして或爲すべからざる一つの戰爭に誘導したと云ふやうなこともありまするし、此の國民運動的のこと、又所謂「フアツシヨ」的と言ひますか、一つの少數の人達の計畫に基きまして、國民全般を動かさうとする運動が、是も又民主的なりや否やと云ふことに付ても考慮を要する點もありまするし、其の點に付ては今囘の補償打切りに伴ひまする經濟界の動きに付ても、國民の各層の協力を得なければならぬ問題もありまするし、勿論食糧問題もありまするが如何に是等を考へるか、又どう云ふやうな構想を以てさう云ふことをやるのが適當なりや否やと云ふことに付きましては、愼重な考慮を要すると思ふのでありますので、此の點に付ては、今直ちに斯樣な方法に依つて斯うだと云ふやうなことも申上げ兼ねる次第もあります譯で、御了承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=34
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035・田中龍夫
○男爵田中龍夫君 大分時間も經ちましたが、國務大臣は午後からも御出席になりませうか、それでなければ、只今承りたいと思ひますが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=35
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036・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) 只今御願ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=36
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037・田中龍夫
○男爵田中龍夫君 それでは私は、此の物資需給調整法の第一條の責任の所在を承りたいと存じます、安定本部にございますか、主務大臣にございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=37
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038・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 物資需給の問題でございますが、是は根本の責任は、經濟安定本部總裁にあります、安定本部の總裁は物資の需給の根本方策をば、先づ十分に研究しまして、出來る限り安定會議に付議致しまして、其の意見を徴します、尚それに基きまして統制すべき各主要の物資に付きまして、是は主として割當配給の問題でありますが、之をば各物資に付きまして各大きな産業別にどう云ふ風に割當配給するかと云ふ根本の計畫を決めまして、それを各省に移します、關係各省大臣は、關係大臣は其の根本的の割當方針に基きまして、各主管の中の各産業に對する割當をする譯でありますから、根本の責任の主體と言ひますか、それは經濟安定本部の總裁たる國務大臣にございます、其の計畫の下に、各省大臣が各各の主管の事項を實施する斯樣に御了承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=38
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039・田中龍夫
○男爵田中龍夫君 此の物資需給調整法の問題は此處にございます法文だけでなく、實際の實施の運營に主たる内容があると存じますが、さう言つた場合に、根本の計畫は安定本部で御立てになりますが、商工省なら商工省と致しまして、其の商工省の所管の産業に對する、例へば第一項の割當であるとか、第二項の生産命令、さう云ふやうな出荷命令と云ふやうなものが出されまして、結局實施面に於ける責任は主務大臣にあると云ふことになるだらうと存ずるのであります、然るに終戰後の今日の現状は、戰時中と非常な相違がございまして、色々な各般の惡條件と云ふものが累積して居ると思ひますさう云つた場合に、自分の所管に關する事項に關しましては、例へば商工省としては原材料の配給なり、何なりに付ては、當然責任を負ふべきだと思ひますが、縱しんば生産命令を出します場合に、其の自分の所管でない、例へば資金の問題であるとか、勞務の問題であるとか、さう言つた他の省の所管のことに付て迄、商工省は責任は負へないだらうと思ひます、さう云ふ場合に、それならば内閣はと申しますと、内閣は實施官廳ではないと存じます、其の邊の御見解を承りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=39
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040・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 實は從來の我が國の行政機構に於きましては、只今御質問のやうな色々所管の省がありまして、同時に權限の重複等もありまするので、譬へて申しますれば、石炭なら石炭の問題に付て、生産の指揮をしたくても、勞務の關係があり、其の他資材、杭木等は、是は農林省の所管だと云ふやうなことで意に滿たないと云ふことがあるのでありますが、實は此の諸弊害を除く爲に經濟安定本部の構想と云ふものがある譯であります、經濟安定本部に於ては、根本の生産需給の計畫を立てます、其の下に各省が各々の分掌して居る事項に付ての責任は持ちまするが、さう云ふやうな綜合的の計畫に基いて、安定本部の總裁は各省の指揮命令を致します、又實際上の事務當局と致しましては、安定本部内に絶えず色々な事項に關する各省の連絡會議を開きまして、そこで、例へば商工大臣が石炭の生産に付ての連絡があります際に、勞務其の他資材等に付て、矛盾のないやうに、さう云ふ連絡會議で協議をして定め、尚問題が定まりませぬ場合には、安定本部總裁は命令を致しまして、各省大臣に其の施行を命じます、其の間に矛盾がないやうに致しましたのが、今囘の安定本部の構想であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=40
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041・田中龍夫
○男爵田中龍夫君 戰時中でも、矢張り總理大臣が主務大臣に對しまして、生産擴充、特に重點産業等に付きまする各般の生産要素、各省に亙る問題に付きまして、矢張り査察等に付て命令が出たと思ふのであります、併し問題は矢張り企畫院がございまして、それが實施官廳の各省と云ふものとの間に結局計畫の眞の「セーブ」と云ふものが實施迄滿たなければ、どうしても完璧に出來ないと云ふ所迄行きまして、所謂企畫院と商工省との合體の軍需省の總動員局と云ふものになつたものと思ふのであります、今囘の、矢張り總理大臣がそれならば、各省大臣を指揮命令遊ばすと言ひます場合には、内閣が全部の責任を御取りになる御考へでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=41
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042・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 從來の日本の經濟統制の方策に付きましては、或は企畫廳、其の他色々の構想がございましたが、是は實は單純の企畫の廳でありまして、各省大臣に對しまする企畫廳が首腦者の指揮命令權と云ふものがございませぬでした、今囘の安定本部の官制に於きましては、從來と異なりまして、特に各省大臣に對しまする指揮命令權をば明確に致しまして、從來企畫廳等中央の計畫廳で計畫しましたことが、各省に對しまする命令と言ふか、政策の決定しないことをば防止しまするやうな積極的な從來に無い官制を作りまして、其の點を明確に致しました譯であります、まあ結局、最後の命令權と云ふことでありますけれども、實際問題に於きましては、最近迄でも安定本部が出來まして、色々の具體問題に付て、各省の施策をば綜合的に計畫及び其の實施を推進致して居りまするけれども、さう云ふやうな點に付きまして、事務的にも大變順調に行つて居るやうでありますが、若し各省の間に意見の相違のありまする場合には、先程申しまする安定本部總裁である總理大臣が各省に命令すると云ふことに相成つて居りますので、別に其の間に閣僚全體の責任と云ふやうな問題は起きずに問題が進み得ると、斯樣に存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=42
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043・田中龍夫
○男爵田中龍夫君 私の御尋を申して居りまする骨子は、閣僚間の權限の問題とか何とか云ふ風な、さう云ふ風な最高部の問題ではありませぬで、實際各責任の所在が明確でない、又多元的になつて居ると云ふことが、戰時中に生産擴充、其の他の増産上、工場事業場等の現場に於きましては、非常に苦勞をして居つたので、譬へて申しますれば、原材料の割當は商工省が呉れるけれども、輸送は運輸省だ、それで運輸省に行けば、又運輸省の下の方の計畫が違つて、生産命令は出たけれども、今度は資金の問題になる、是は大藏省だ、大藏省の方では、商工省に對して必ずしも同一の歩調を執らない爲に、さう云ふ風に生産の末端の現場が四分五裂に寸斷されて居ることが、實際の生産に非常な惡影響があつて、生産減退と云ふものを導いた、是は顯著な事實だと思ふのでありまして、斯かる問題になりました時に、會社工場と云ふ風なものは、安定本部に陳情すれば全面的に責任を持つて戴けるものでありませうか、如何なものでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=43
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044・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) どうも此の官廳の權限と言ひますか、職務と申しますか、どうも是は一元的と申しましても、一つの長、一つの頭で全部をどうもやると云ふことも、技術上は出來ないので、如何樣に官制を考へ、如何樣に役所の執務振りを變へましても、矢張り各々所管の廳がありますれば、それ等の御協力があつて、初めて仕事が出來るのでありまするから、今の御質問のやうな實際問題として、一つの所に行けば萬事が片が附くと云ふやうなことは、事實上は是は困難だらうと思ひます、併しながら、從來の日本の官廳の制度、是が良いかどうかと云ふことに付きましては、根本的に此の憲法改正を企圖致しまして、内閣、各省及び地方制度、まあ色々に付ての根本的の此の官公署制度に付ての改良問題が研究されることになりまして、近々に其の調査も發足するやうにも存じて居るのでありますが、何れさう云ふやうな點の改善に付ては研究されなければなりませぬけれども、例へば今の御尋のやうな場合に付きまして、安定本部に參れば萬事が片が附くかどうか知りませぬけれども、色々の事業の指導に當りまして、窓口の多いと云ふことは、非常な不能率的であると云ふことは申す迄もない處であります、大きな所では手もありませうが、中小工業になりますると、誠にそれが迷惑になり實は困るのでありますが、實は商工省とも目下協議中でありますが、何か此の商工省の下部機構として、中小工業に關するだけの問題でありますが、中小工業の假に助成局とでも申しますやうな機關がありまして、中小工業者は手もなし、物も能く分らないのでありまするから、此の局が中央にも、又地方にも適當な分局が出來まして、其處に來れば、資金のことでも資材のことでも、或は勞務のことでも何でも懇切に指導が出來得られる、又技術上の問題に付ても、適當な指導が受け得られると云ふやうな風に致しまして、そこで窓口を一つにしたならばどうかと云ふやうな考も持つて居ります、是はもう、唯責任がどうだ、權利がどうだと云ふやうなことでは解決出來ませぬので、實際の必要に應じまして、左樣な部局を設けて、成るべく窓口を一つにしまして、適切なる指導と援助の出來るやうに考へる、まあ、こんなことを私共は考へて居りますが、是が大中小、總ての産業に亙つてそんなものが出来るかどうかと云ふことは、是は隨分官廳機構の改正の問題として研究すべきものだと思つて居ります、共々努めたいと存じて居りますから、どうか御了承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=44
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045・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) それでは是で休憩を致します、午後は一時十五分から開會致します
午後零時十九分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=45
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046・会議録情報2
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午後一時三十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=46
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047・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) それぢや午前に引續きまして開會致します、三橋委員に申上げますが、大藏次官は各派交渉會の方へおいでになつて居りまして、都合が附き兼ねるので、鹽の關係に付て説明員が御見えになつて居りまするから、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=47
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048・三橋四郎次
○三橋四郎次君 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=48
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049・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) それぢや説明員発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=49
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050・三橋四郎次
○三橋四郎次君 鹽の問題で御尋ね致しますが、戴いた參考書を見ますると從來の日本の製鹽事業が如何にも情ないものになつて居りまして、工業鹽及び食料鹽の所要量の内地産額が其の四分の一程度と云ふやうな、實に哀れな状況であります、是は昨日でありましたか、一昨日であつたか、是は大藏省のお方でなくて商工省の方だと思ひますが、内地鹽は到底數量的にも、生産「コスト」の上から言うても、自給がどうしても出來ない、斯う云ふ風に頭から決めて居たやうに、斯う伺つたのでありますが、一體我が國で、今最も科學的の方法に依つて製鹽せられて居る所は何處であるか、其の生産量はどんな風な「エフィシエンシー」であるか、又其の「コスト」は今どの位に附いて居るか、又輸入鹽は其の値段がどんな風であるか、是は爲替關係もありますが、どんな風に爲替の「レート」を決めるか、さうすれば自然出ると思ひますがそれと對比して見てどう云ふことになるか、日常必需品として所謂米鹽と昔から一口に言ふのでありますが、之を全部に近い迄を他に求めて居ると云ふ今迄の行き方は、自存獨立を危くするは申す迄もなく、工業原料として將來日本の歩き方に鹽の占むる位置の重大なることも、戰前から考へても申す迄もないのであります、然るに頭から鹽が内地に在つては出來ない、斯う決めて掛るのは、科學的の考へ方の貧困から戰爭に敗けたと云ふ其の教訓を忘るるものでなくて何であらうか、「ドイツ」は聞く所に依ると、砂糖問題を、砂糖「ケーン」から、「ビート」で完成したと云ふ風にも聞いて居りますが、今電力の方は色々の掣肘を受けて居りますが、兎に角水力電氣が地形上に於て日本は十分利用し得る國であります、それから四面海であつて、鹽の原料は無盡藏であると云ふ所に、鹽を科學的に考へないで、初めから内地では出來ない、他所から貰ふと云ふやうな風な考へ方は、新らしい日本の歩みとしてどんなものか、それを私は前申しましたやうに、餘りに非科學的の考へ方である、斯う思ふのであります、それに對しての當局の意見、それから心構へ等が伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=50
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051・市瀬泰藏
○説明員(市瀬泰藏君) 御説明致します、從來日本の製鹽状況、之を勘案致しまして、工業用鹽、食料用鹽の必要量の、特に最近に於きましては、四分の一程度しか確保出來なかつたと仰しやいました御質問の通りでありまして、此の點を非常に遺憾として居たのであります、併しながら只今の御質問にありましたやうな「コスト」の上から非常に日本の製鹽事業は割が惡いものであると申されますのは、尚檢討の餘地があるかと思ひます、と申しますのは、昨年度から逼迫した鹽の需給状況に對處しまして出來ました自給製鹽業と云ふものがありますが、此のものの中には、劣惡なる日本の製鹽立地條件を克服して、製鹽技術に於て著しい進歩を來したのであります、例へば電氣製鹽に於きまして、海水電氣「ボイラー」で海水を濃縮しまして、それを眞罐空、之を二重乃至三重、四重と組合せて、此蒸を促進させるのであります、斯う云ふ海水電氣「ボイラー」三重效用眞空罐、斯う云ふやうな製鹽技術を以て致しますと、原價の計算で、一「トン」當り約九百圓程度になるのであります、又現在廣島縣の三原でやつて居ります帝人式の製鹽方法を以て致しましても、現在の處、明確なる原價計算の「データ」を御見せすることの出來ないのを遺憾と致しますが、是又千圓を遙かに割るのであります、只今申しました電氣製鹽の眞空罐利用のものにありましては、大體早くも今年の十月、それから來年の二月頃を期して完成するものが多いのでありまして、是が完成した時に具體的な數字を御知らせ致しますと、我が國の製鹽技術も相當進歩して居ることが御了解になると思ふのでありふすが、未だ稼働して居るものがありませぬので、此の點非帶に遺憾として居ります、斯う云ふ機械的な製鹽で、先づ年産能力二十萬「トン」を擧げる豫定になつて居ります、それから鹽の需給状況に付て申上げますと、此の度の鹽政策が轉換致しまして、一定の條件に該當します、要するに非常に能率の好いものだけが、補助金を交付し得ることになりまして、さうして專業製鹽者に切替へられるのでありますが、斯う云ふのが凡そ四十萬「トン」の設備能力を持ち、將來實生産に於ても三十萬「トン」は越すと思ひます、それから從來の國内專業製鹽者が設備能力五十萬「トン」是は先般と昨年來の風水害に依り鹽田が破壞せられまして、最盛期の國内供給力よりも落ちて居りますが、此の五十萬「トン」の能力で明年度からは四十萬「トン」の供給が出來ると思ひます、茲に於きまして、國内で七十萬「トン」の供給が出來るのでありますが、一方國内需要を見ますと、食料用鹽としては現在のやうな貧弱な配給の形を打破つて、昭和十五年程度の自由に鹽を買へる状況に致すには、百萬「トン」を要し、現在の「ソーダー」工場、其の他の能力から見ますと、工業用鹽四十萬「トン」あれば十分充足出來ると思ひます、斯う云ふ需要會計百四十萬「トン」に對しますると、曩に申しました七十萬「トン」の供給では非常に少いのでありまして、之を輸入鹽に俟つと云ふ計畫になつて居るのであります、抑々製鹽事業に付きましては大藏省と致しましても、最低限度の國内需要は確保致したい、さう云ふ考から國内生産、百二十萬「トン」を目標として、昨年度から五箇年計畫を以て、先ぞ自給製鹽の製鹽の技術の優秀なるものを育成しよう、さうして従來の專業製鹽を基本として改良して行かう、斯う云ふ計畫でやつて居たのでありますが、此の度政策の轉換を繞りまして、斯う云ふことは專業製鹽者に對してのみ限られることになりました、斯くして最低限度の國内需要を充足すると云ふ線は些か轉換を餘儀なくせられましたけれども、鹽の國内鹽の供給確保と云ふ點に付ては、今後とも政府として、大藏省に致しましても、考へて居るのでありまで、で決して日本は立地條件が惡いから、鹽は駄目である、斯う云ふ悲觀的な考は持つて居ないのであります、輸入鹽の状況を申上げます、今年は九十七萬「トン」約百萬「トン」の輸入があると云ふ話でありましたが、今年四月から九月迄の上半期に於きましては、僅か十萬「トン」しか入つて居りませぬ、斯う云ふ實情でありまして、輸入に多く期待致し兼ねるのでありますが、諸般の事情が變りまして、輸入が相當潤澤に入つて來たと致しましても、現在の爲替相場は一應「チエツク」せられまして、一「ドル」十五圓となつて居りまして、約一「トン」の鹽が四百五十圓程度になつて居ります、併しながら自由經濟に於きます講買力低下説に依つて爲替相場が出來ると致しますれば一「ドル」約六十圓見當かと思はれます時には、鹽一「トン」が千百圓か、二百圓程度にならうかと思ひまして、斯う云ふ點から考へますと、輸入鹽、案外安からずと、さう云ふ感が致でのであります、以上で発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=51
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052・三橋四郎次
○三橋四郎次君 さうしますと、今年政府が補助金を出して自給製鹽でやつたものが五十萬「トン」が、今年秋と云ふか、十月頃迄には「フル」に行けば四十萬「トン」は出るだらう、それから舊來の製造に依るものが約三十五萬乃至四十萬あるとすると、まあそれを四十萬「トン」、電氣製鹽の方が四十萬と見て、兩方合せると八十萬「トン」、それから御話の自家鹽が約百萬「トン」、工業鹽が約三十萬「トン」乃至四十萬「トン」とすると、まだ其處に六十萬「トン」位の不足が出來る、然るに輸入の方の足取は甚だ惡いと云ふやうな話で、甚だ其處が心許ないのでありますが、結局日本が食料用として、或は工業鹽として、食料鹽其のものは人口が殖えただけ殖えるのでありますが、工業鹽はそこで戰前の半分程度としても、其處に百五十萬「トン」はどうしても要る、斯う云ふ風に思ふのであるが、然らば從來の五箇年計畫が百二十萬「トン」は一應此處で捨てたと言ひますが、さうして輸入鹽が豫期の如く今年來ないから將來はそれをどう云ふ風にしようと云ふか、四十萬乃至五十萬「トン」の電氣製鹽と云ふものを將來は之を殖やして行かうと云ふ考であるか、是はもう此處で一應措き、さうしてあとは輸入鹽に俟つと云ふのか或は足らない間は輸入鹽で間に合せるけれども、又一方に於ても、矢張り最近の今御話の、非常に技術的に進歩したのを、之を以て今迄の舊來の製鹽にも其の技術を及して、さうして此の鹽の生産量を上げて行くべきで勿論あると思ふのでありますが、さう云ふ方向に進むべきものと信ずるのが常識でありますが、それに付て一應伺つて置きますのと、又今、御話のやうに、補助金を與へて從來やつて居るが、今度は能率の惡い動きの惡い奴は切つてしまふ、それは一應の切り方は宜いですが、將來の百二十萬「トン」、此の方から出るやうになつて、内地製鹽の從來の方法が四十萬「トン」で、大低百五十萬「トン」となるのでありますから、其の分に付ては將來是は一應四十萬乃至五十萬程度の生産程度に止めて置くか、將來どう云ふ風に之を補助育成するかと云ふ、其の邊の見込、方針等が立つて居るや否や、それはまだ立つて居ないのか、其の邊をちよつと伺つて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=52
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053・市瀬泰藏
○政府委員(市瀬泰藏君) 只今の御質問の中、技術的に進歩致しました自給製鹽で、新たに此の度專業製鹽になるものの「トン」數を御質問のことは、反對になつて居りますが、其の方が設備が四十萬「トン」で、實際の生産が約三十萬「トン」であります、それから從來の專業の方が設備が五十萬で從つて生産が四十萬「トン」であります、此の點御了承を御願ひします、で先程申上げましたやうに、現状では勿論、現在工事中の製鹽工場が完成致しましても、國内の需要を充すには遙かに遠いのでありまして、凡そ國内需要能力が政府の專業として官廳として配給し得るもの七十萬「トン」、それから自給製鹽が是は大體の推測でありますが、先づ二十萬「トン」程度あるのではなからうかと、斯う思つて居りますが、孰れに致しましても鹽は足らないのであります、さうしまして其の二十萬「トン」と申します自給製鹽は、現在非常に原始的な方法が多いのでありまして、是は補助金の交付をし得る條件に該當致しませぬ、例へば海水を其儘釜で煮詰めるとか、粗朶で燃やす、或は石炭で燃やす、それから電氣の開放式と申しまして、蒸氣を其の儘濛々と工場内に出す電氣製鹽式、斯う云ふものばかりでありますが、斯う云ふのは、現實に於て「コスト」が一「トン」當り安くて二千二百圓、薪の如きに至りますと一萬圓を超えて居るのがありまして、是等はどう致しましても、輸入鹽が潤澤になつた時には、其の「コスト」に於て負けるのでありまして、現在は先程申上げましたやうに輸入の状況が思はしくありませぬが、關係方面に鹽の逼迫を陳情して、輸入を極力懇請して居ります關係から、或は近き將來に於て、相當鹽の輸入があるのではないか、斯う云ふ豫測を致して居ります、尚之を裏附けるものと致しまして、關係方面からの答辯に依りますと現在は食糧の輸送、或は復員の爲に船が塞がつて居るのであるが、將來、或は今度の新米の状況が非常に好い、要するに豐作の爲に、國内への食糧輸送用の船が大分空く、斯う云ふ場合に鹽を相當送るであらう、斯う云ふやうな根據から私達の推測では、近き將來には相當輸入鹽が入るのではないかと思ひます、此の場合には、遺憾ながら技術的に劣惡なる自給製鹽業者はやつて行けなくなつて、遂には製鹽業界から脱落して行くのではないかと思ひます結局鹽の需給に「ギヤツプ」があるのでありまして、現在の優秀なる日本の機械製鹽技術と、從來の專業製鹽と合した實生産七十萬「トン」の能力を確保して行かう、斯う云ふ見解を執つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=53
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054・三橋四郎次
○三橋四郎次君 もう一つ伺ひますがさうすると云ふと現在七十萬「トン」以上は、特に之を殖やさうとはしないあとは輸入鹽に俟つ、斯う云ふ風な御考へなんでありませうか、言ひ換へれば、其の七十萬「トン」の内地製鹽をもう少し殖やすと云ふ考へ方でなくてまあ此の程度に於て、他は輸入鹽に俟つて行かう、斯う云ふ風な考へ方を持つて居られるのかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=54
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055・市瀬泰藏
○説明員(市瀬泰藏君) 御答へ致します、只今の御質問のやうに、現在では輸入の見透しと云ふものが、一部不明な「フアクター」を持つて居りますけれども、其の點を此の席で明言出來ないのを非常に遺憾と致しますが、御質問の通りに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=55
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056・三橋四郎次
○三橋四郎次君 私は今の場合にはそれより外已むを得ぬが、先程申上げたやうに我々の方で科學的に考へれば、さう云ふ風な電氣製鹽に於て立派な技術があり、「コスト」も低いと言ふならば、矢張り目途としては、近い將來外地製鹽がなくともやつて行けると云ふ目標の下に、生産方針を立てべきものだと私は信ずるのであります、今の御答へでは、其の邊甚だ遺憾に思ふのでありますが、今は外地鹽を入れなければならぬと云ふ特別の理由があるかも知れませぬけれども、併しながら心構へとしては、今申上げた科學的に考へれば、言ひ換へれば電氣製鹽を高度に科學化すれば、「コスト」も低く、分量も殖えるとしたならば、輸入鹽は將來要らぬものにすると云ふことを目標にして、内地の製鹽方針を決定すべきものなりと、斯う思ふのであります、今としては何かさう行かぬ事情があるかも知れませぬが、さう云ふ風に是非ありたいものであると思ふのであります其の點に付てはどう云ふ風に考へて居られますか、もう一つは、輸入鹽が今の場合、是は爲替「レート」の關係でどう云ふ値が出るかも知れませぬが、假に六十圓なら六十圓と見て、千二百圓と云つたやうになると、此の鹽の場合は、米の場合と同じく、茲に値段を高くして、消費者に對する値段と、政府の買入値段とに差を附けると云ふやうなことは御考になつて居るや否や、それも併せて伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=56
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057・市瀬泰藏
○説明員(市瀬泰藏君) 御説明致します、從來の專業鹽田の中には、相當鹽田で鹽を濃縮致しますけれども、それからの所謂技術的に申しますと、煎熬設備に於て相當劣惡な開放式の平釜を使つて居るのであります、要するに斯う云ふものを改良して生産能力を上げる、それから先程の自給製鹽で新たに專業になるものの完全稼働を圖る、斯う云ふ方向に向つて鹽の増産を圖ると云ふ方針を當面としては持つて居ります、例の製鹽に對する助成金の問題もあり、國家の財政、經濟の上から、今後製鹽に相當の肋成金を盛つて行くと云ふことにも、なかなか難點がありまして、此の際暫くは設備の完全稼働と云ふことに依る増産、是で以て曩に七十萬「トン」と申しましたのを相當上げたいと云ふ意向でありますが、尚以上は一應輸入鹽に頼らう、斯う云ふ方針を執つて居ります、それから爲替の相場に依りまして、輸入鹽は大體「アメリカ」、それから紅海地方、「レツド・シー」であります、それから北支、臺灣、斯う云ふ各地から參りますから、價格も色々であります、それから國内の專業製鹽も、地域に依つて、買上の收納價格が非常に變つて居りますが、賣渡しの價格は一本建として居るのが現在でありまして、將來も其の方針で進んで行く考であります、此の場合に價格の補償と云ふ點も、一部の能率の惡い國内專業製鹽者には起ることも考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=57
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058・河端作兵衞
○河端作兵衞君 總動員法の定むる統制違反が戰時中澤山、恐らく最大の「レコード」を破つて居るのぢやないか、斯う想像さるる程澤山の違反者を出し處罸をされて居るのでありますが、總動員法も最近に終りを告げて、此の臨時物資需給調整法案に變り、矢張り同じやうに統制違反をする者がどつさり出來ようと想像されます、之に對しましてどう云ふ風な御考を持つていらつしやるか、之を承りたいと存じます、殊に稀に見る程の種々な罰則を設けて居ります、甚だ此の施行の宜しきを得ない時には、實に憂慮すべき恐怖、恫喝の累に陷るやうなことになりやせぬかと云ふことを私は顧慮致します、殊に將來の此の對象となるべきものは恐らく小中商工業者、それ等が是等の對象となるべきものと想像さるるのでありますが、日本の再建は、恐らく此の種の業者に依つて日本の再建をしなければならぬ、斯う云ふ時期に際會して居るに拘らず、殊に政治の季節に入りまして之を政爭の具に供して惡用するやうな者があるならば、日本の産業の芽生えの時期に於て、恐らく甚だしき障碍をなすのぢやないか、私は斯う云ふ風な感を懷きます、勿論當局に於かせられましても、之に對する相當な用意がなけりやならぬと私は存じまするが之に對する御用意があるならば是非承りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=58
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059・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 此の物資需給調整法の罰則は、非常に重い處罰を以て規定致して居ります、此の罰則の關係は、先般もちよつと御説明申上げましたが、物價統制令と云ふ「ポツダム」勅令がございまして、それと同等の罰則を置いたのでございます、非常に重い罰でございまして、從來の刑罰法規に比べますと一番最高のものでございます、併しながら是は固より斯う云ふ罰を科するのが主たる狙ひではございませぬ、唯、經濟に携りまする者が、此の安定本部で出來ました産業復興の政策と云ふものに、協力しない場合の處罰は是々に値すると云ふことを書いたのでございまして、實際の運用に當りましては、第二條等にもございまするやうに、産業團體が自ら自治的に統制をして行く譯でございまして、而も其のやり方等に付きましては、業者の發意に大體の重點を置きまして運用せられることになつて居ります、即ち業者の人達の理解に依る統制と云ふことで進む譯でございます、民主的に組織せられた産業團體、或は構成員の議決に基いて、色々な統制を實施すると云ふやうなことは、正しく業者の理解の下に運用される統制である、勿論全般的の國家的の計畫に付きましては經濟安定本部に於て決める譯でございますが、其の枠内に於きましては、さう云ふ全般の事實を能く了解されまして實施する統制でございまするから、其の點は能く業者と云ふ者はどう云ふ點を守り、どう云ふ行動をしなければいかぬかと云ふことを納得せられて實行せられて行くことであると、斯う考へて居ります、總動員法等に於きましては專ら戰爭目的の爲に戰力を充足する爲に、無理矢理に引張つて行く統制であつたのでございまするから、當業者の方々の御理解如何に拘らず、必要已むを得ず引摺られて行つたと云ふやうな統制でございました爲に、兎角にさう云ふ點の理解が乏しくて、色々の違反事件も起つて居つたのでございますが、今後は能く納得の行く統制の下に行動せられる譯でございますから、違反せられる方は非常に少からうと考へて居る譯でございます、併しながら他の同じ同業者の方が統制を守つて居るのに中に統制に違反すると云ふ方があればさう云ふ方に付ては、矢張り相當の嚴罰を以て臨むと云ふことを、此の法の建前に致したのでございます、尚實際の運用に當りましては、此の第三條等にも規定致して居りまするやうに、從來の法律でありますると、必要な事項に付て、必要な場所にどんどん臨檢も出來、檢査も出來ると云つたやうなことで、それに對して一々罰則を科して居つたのでございまするが、今囘は斯う云ふ臨檢檢査の規定等も、先づ一應報告を徴し、報告が出なかつた場合、或は其の報告が虚僞であると思はるる場合等に於て、初めて臨檢檢査が出來ると云ふやうなことも細かに規定致しましたし、又報告を徴收致しまする相手方と云ふものも此處にはつきり掲げますし、又何でも從來は報告を徴收が出來たのでありまするが、今囘は專ら第三條の一號乃至四號に掲げて居りまする事項だけに付ての報告しか取り得ないと云ふやうなことで、當事者の服すべき義務の範圍を非常に限定せられ、明確にせられて參つて居ります、從つて之に對する違反と云ふものも非常に明確にせられて居る譯でございまするから、今後に於きましては、圖らずも斯う云ふ罰則に遭ふと云ふやうなことがないやうに運用されることではなからうかと考へて居ります、全般的に申しまして、此の處罰をするのが目的ではございませぬ、此の産業の囘復の爲に此處一年半、最長一年半の間、物資の割當なり、或は特別の命令なりを致しまする場合に對する民間業者の方々の御協力を期待して居る譯でありまして、處罰は此の最高限度迄行く必要はございませぬ、此の法規を皆の方方に守つて戴きまして、産業の囘復の一日も速かならむことを期して居ると云ふ次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=59
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060・河端作兵衞
○河端作兵衞君 私は希望を述べたいと思ひまするが、此の法律は、要するに生産の増強にあると云ふ風なことが目的でございまするから、御承知の通り小さい商工業者の如き者は、殆ど家庭工業に類似するやうな仕事が多いのであります、工場勞働に從事して居る從業員とは、多分に其の考へ方を異にして居ります、從つて可なり努力もし寢る目も寢ずにやるやうな事情に置かるると思ふのであります、處が、不幸にして是等の希望する、所謂生産意欲に達せざる風に資材を與へないと、只今申上げたやうな結果を招致する、各各日本の再建は皆各層で擔當すべきものでありますが、殊に小さい工業商業或は中位の工業商業と云ふ風なものに對するの期待は甚だ大であります、此の際本當に、眞劍なる國民の總ての機關を動員することが急務ぢやないか、我々は戰時中に仕事をやつて居りまして、可なり迷惑を感じた一人でありまするが、先づ官公吏諸君に勤務の一層の御奮發を御願ひしたい、斯う云ふことを私は當時から痛切に考へて居ります、先づ局長さんは課長さんより五分でも十分でも先に出て居つて居さい、課長さんは係長さんよりは先に出て下さい、さう云ふことに致すならば、恐らくはまだまだ總ての仕事が捗どるのではないかと云ふことを、私は仕事をやりつつ考へました、それは甚だ私のことを申しては誠に相濟まぬのでございまするが、私は朝六時に工場に出て居ります、現在でも出て居ります、それが私の日課になつて居りまするが、どうか、六時に官廳に出て戴くと云ふのは、甚だ是は申し兼ねたことでございます、凡そ常識上判斷しまして、出勤をしなければならないと云ふ時間には先づ上の方が先に出て戴くと云ふ風なことなを御願ひしなければ、是は將來なかなか復興がむづかしい、例へば此處の建物から隣の建物へ行くのに書類が一週間づつも掛ることが、恐らくは過去に於ける常道でありました、判この三つも頂戴するやうなことになると結局一箇月半も掛つてしまふ、さうして其の資材の割當を頂戴する時分には資材が要らなくなつてしまふ、つい止むに止まれず、闇のものを買ふと云ふことが、要するに統制違反の恐らくはそれが原因である、若しも現在の機關が戰時中のやうなことをやつたならば又先程申しましたやうな統制違反、恐らく國民が慄へ上つてしまやうな數の違反者を出すのではないか、斯う考へます、何分國家も未曾有の危機に遭遇致しまして、殊に斯くの如く、尚統制をどうしても御願ひしなければならないと云ふ風な状況にあります、實に遺憾の極みでございますが、どうか一日も早く、斯くの如き状態を脱却することが御互の義務であります、就きましては其の一番眼目を成す行政部面に私は御願ひするのでありまするが、是非一つ、一層の御奮發を願つて、此の現在の法案の趣旨に副ふやうな、どうか結果を齎して戴きたい、是が私の御願ひでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=60
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061・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 只今の仰せの事々、皆私共身に泌みて感ずる所でございます戰時中、色々な仕事を忙しくやる際に於きましても、御話のやうに一つの書類が隣の課に行きますのに、二日も三日も掛ると云ふことがございまして、自分でも誠に呆れて居るのでございますが、之に付きましては戰後進駐軍あたりの仕事のし振りを見ますと、非常に良いさうでございまして、無論是は軍の方でやるからでもございませうが、非常に我々として學ぶ所も多いのでございます、段々官吏制度も改革をせられまして、非常に仕事がやり易くなる形には仕向けられると思ひますが、矢張り其の職に携ります者の心構へであらうと思ひます、又、只今仰せの統制機關の仕事振りも、非常に業者の方々に御迷惑を掛けて居ると云ふ御話でございました、是もさう云ふことが多々あつたのでございます今後は此の民主的と云ふ言葉を盛に使つてございますが、同業者の方が矢張りさう云ふ機關を督勵して戴きまして從來のやうに統制機關が業者側を頤で使ふやうな態度をすつかり變へまして會員の方、組合員の方が、其の統制機關を本當に手足のやうに使つて、仕事の補助をさせると云ふやうな意味に、所謂民主的なと云ふ意味を取り、大いに御活動願ひますことに依つて、逐次さう云ふ方の活動も迅速に參りますやうに御監督も願ひたいと思ひますし、役所の方も、又特にさう云ふことを統制官の方にも勸める豫定でございます只今の御言葉は、關係各局の方面にも能く申傳へまして御趣旨を體するやうに致したいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=61
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062・長岡半太郎
○長岡半太郎君 此の需給の物資の品質は何處で御鑑定になる譯でございますか、役所でおやりになる譯ですか、それとも「メーカー」の方から、「メーカー」と言ふか、供給者から、言つて來たので御配給になる譯でございますか是は非常に工業に關係がありますのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=62
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063・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 配給致します資材の品質の問題、是は非常に貴重な御質問でございますが、是は今日迄直接に品質に付て特別の注文の附けました物の外は、原則的には、それぞれ「メーカー」の矢張り何と申しますか、責任に於て確保されて居るのでございます、從ひまして此の統制團體なり官廳なりが直接此の品質に付ての良い惡いと云ふことを判定する仕事をやつて居りませぬ、「メーカー」の矢張り責任に於て良い物を出すと云ふやうな建前に從來なつて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=63
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064・長岡半太郎
○長岡半太郎君 さつき鹽に關する御質疑があつたやうでございますが、其の時に序に申上げれば宜かつたのでございますけれども、どうも電氣製鹽とか、色々な新らしい化學的の考もあるやうでありますけれども、出來た鹽の「ピユーリテイ」が、是迄も我々が使つて居た「ピユーリテイ」と同じでなければ比較にならぬと思ひます、鹽を原料として「ソーダ」工業をやつて見ても、苛性「ソーダ」を造つて見ても若し其の中に不純物が澤山あつて、一緒に出て來た場合に於ては、場合に依つては、殆ど或物に依つては役に立たぬやうなものが出來て來る、それで尚「ピユーリテイ」の如何を顧みず議論をして居つたならば、「トン」數などの議論も、若し不純物が入つて居るとすれば、殆ど意味を成さぬやうなことになりますが、どの位の「ピユーリテイ」を持つて居るものやら、第一醫藥にでもするなり、或は家庭の食料に使ふとするならば、鹽化「マグネシユウム」はどの位の所迄除して居るか、其處らの所が、餘程瞹昧に私の頭にはなつてからに、其の「ピユーリテイ」の議論がなければ、幾ら「トン」數が餘計になつてもあんまり喜ばしくない、又「ピユーリテイ」が良ければ、是は非常に歡迎する所でありますが、愈々使つて見てからに、是は數量はあるけれども、一向役に立たぬものであると云ふやうなことが言はれるやうになれば餘り議論する餘地がないやうに思ひます、其處に頗る疑惑を懷いて居ります其の點は如何でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=64
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065・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 特にさう云ふ「ピユーリテイ」等の特別に必要なものに付きましては、今後恐らく産業團體に於きまして、檢査なり、或は保證なりの制度を實行して戴くことにならうと思ひます、醫藥品等に付ては藥局方の證明が出來て居るのでありますが、原材料に付ては、まだ其の方のことが少いやうでございます、のみならず、只今は非常に供給が逼迫して居ります關係で、惡いものの、まあ石炭などの例を取りましても能くあるのでありますが、非常に「カロリー」の低いものが、例へば五千「カロリー」の物も三千「カロリー」の物も一緒くたにして、何「トン」取れたと云ふやうに申して居ります、又配給もさう云ふことになつて居ります、折角炭の配給があつても、是では製鐵用に使はれないと云ふようなことが澤山ございまして、非常に今此の點の、何と申しますか、品質保持と云ふことに付て、何かの制度を作らねばいかぬのでございますが、如何せむ、非常に品物が逼迫して居りますので、さう云ふことが起つて參つて居るのであります、逐次増産が出來ますに隨ひまして、さう云ふ點は矢張り責任を持つて、「メーカー」が製造する方の責任に於て、品質の保持が出來ることが、先づ第一でありまするが、又さう云ふことが實行困難な場合には、産業團體の力に依つて檢査制度なり、又は證明、保證の制度なりを実施すべきものと考へて居ります、此の法律と致しましては、取敢ず増産に非常に重點を置きまして、需給の特別に逼迫した今日に於きましての制度でございまするから、直接其の檢査の制度は表に出して居らぬのでございます、但し商工協同組合法と云ふものが是は中小商工業の方の施設でございまして、近く貴族院の方にも御審議を願ふ譯でありますが、此の方に付きましては、組合員の製品の檢査制度を実施致しまして、中小商工業の持つて居りまする色々な生産上の弱點から致しまして、品質の落ちると云ふことを保持すると云ふことは考へて居りますが、需給調整の方に於きましては、主として大「メーカー」の製品を狙つて居りますので、其の點に付ての配慮が出來て居らぬのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=65
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066・長岡半太郎
○長岡半太郎君 新らしい裝置を使ひ或は機械を使ふ時には、どうも餘程詳しい檢査をやつた後でなければ使へないのでありまして、電氣製鹽法と云ふのは、今御話を承りますると云ふと、餘り從來使はなかつた方法でありまするが、それが餘り人間の身體に工合の良くない、而も食つた後は下痢を起すと云ふやうな鹽化「マグネシウム」のやうなものが入つて居るとすれば、是は餘程困難な問題になりまするから、其の方は實施される前に、既に御檢査になつたのでありませうか、或は又電氣を使ふと云ふことは、鹽化「マグネシウム」を取る時に、既に「マグネシウム」の入つたものと一緒になつたものを後で又處理されるのでありませうか、其の點を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=66
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067・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 鹽の方は政府の專賣でございまして、大藏省の方の所管で、實際どうやつて居られますか、私能く存じませぬのでありますが、恐らく品質に付ての檢査は、直接には行つて居られないかと思ひます、其の點は改めまして一遍大藏省に能く伺ひまして、御答へしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=67
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068・田中龍夫
○男爵田中龍夫君 只今罰則のことに付きまして、ちよつと他の委員から御質問がございましたが、それに關聯致しまして伺ひたいのでございますが、御話のやうに本法の罰則規定は非常に嚴しいものだと思ふのでありますが、然るに此の統制を實施します末端の官衙なり統制機關の役職員に付きまして技術上、各方面から色々な兎角の批評を聞くのであります、處が斯かる公務員と申しますか、統制に從事する者は實に國家の代行機關でありまして、其の一擧手一投足は寧ろ國民の範となるべき當然の筋合のものでございます、處が、其の統制機關の役職員の行爲に對する色々な問題に對しまして、此の罰則の規定と比べまして如何なる罰則が適用されて居りまするか伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=68
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069・吉田悌二郎
○政府秀員(吉田悌二郎君) 此處に指定致します統制團體の役職員の涜職の規定でございますが、是は「經濟關係罰則の整備に關する法律」と云ふのがございまして、此の役職員は公務員と其の規定に依つて看做されまして、所謂涜職の罪が適用されることになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=69
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070・田中龍夫
○男爵田中龍夫君 其の涜職の所謂刑罰と云ふものと、此の統制の行はれるに付きまして、各般の色々な統制規定の間に必然的に起つて來る已むを得ざる色色な違反が、現場では多々今迄あつたと思ふのであります、さう云ふ風な場合に比べまして、若し此の罰則よりも尚範となるべき統制機關の者の罰則が低いやうであります場合には、矢張り戰時中は別として、今後相當問題になるのぢやないかと思ひます、公務員の罰則の内容はどんな風なものでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=70
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071・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 只今刑法を取寄せまして申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=71
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072・田中龍夫
○男爵田中龍夫君 尚統制規定が各物資別に色々出て來ると思ひますが、其の統制規定の中から、戰時中などでも當然現場としましては二元的、三元的になつて居ります關係で、右に從へば左の方に觸れる、左に從へば右の方に觸れると云ふ場合が多々あつたのでありますが、今後はさう云つた問題に對しましては、特に何等かの特免の規定のやうなものでも出來るのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=72
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073・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) どら云ふ例でございませうか、さう云ふのを私餘り聞いて居りませぬが、實例がありますれば伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=73
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074・田中龍夫
○男爵田中龍夫君 具體的に申しますれば、二つの省の間に根本的に理念の相違したものが今迄多々あつたと思ふのであります、戰時中でございますと軍の要請に從つて生産の期日が定められて居りまして、非常な急速生産と云ふものが命令的に出て來る、それで若しそれに從はない場合には、色々な解約其の他の問題とか、さう云ふ風なものが起つて參りまして、他方色々な不足の隘路資材が眼前にあつても、統制規定上それを融通することが出來ない斯う云つたやうな問題があつたのでありますが、終戰後の今日は、縱しんば軍がないにしましても、進駐軍用等に付きまして特別な需要のものがあるかも知れないと思ふのであります、さう云つた場合に、矢張り其の間には今の日本の現状からしますれば、進駐軍のものに對しては是非とも完遂しなければならぬと云ふことに置かれると思ふのてあります、さう云つたやうな場合には、特例でも認めて戴けるものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=74
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075・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 一つの資材が二つ三つの用途に取り合になると云ふ場合に、どちらを優先にするかと云ふ問題でございますが、固より假に其の例として進駐軍の例を御擧げになりましたが、目下進駐軍の設營用の資材を優先的に進駐軍に廻して居りますさう云ふものに付きましては、他の用途に使ひますものは順位が後になりまして、ちよつとしかないと云ふ場合には、進駐軍の方に廻してしまふ、斯う云ふことになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=75
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076・田中龍夫
○男爵田中龍夫君 昨日來色々統制の内容に付きまして承つたのでありますが、今囘行はれます物資の統制が、物動の形式から申しますと、素材物動でありまして行はれるとしますると、例へば進駐軍需用と云ふやうなものは矢張り進駐軍向けとして素材配當が最終消費者たる進駐軍に對して行はれるのでありませうか、と申しますのは、若し進駐軍が機械等のものが必要であると云ふ場合は、それは丁度元の軍需のやうに切符支給とか、現物支給とか云ふやうな關係で、工業組合の方に流れるのでありませうか、それとも一括工業組合に流れまして、それを製品として納入する恰好になるのでございませうか、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=76
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077・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 物に依つて色々あるのです、一應現物を進駐軍に引渡しまして、進駐軍から工場の方に原材料を送り届けるものもございます、又進駐軍の注文を政府が代行して注文する譯でありますが、さう云ふ場合には、其の工場に對して資材の割當をする、切符を切る、斯う云ふのもございます、色々物に依つて違ひますし又使ふ場所に依つても多少違つて居るやうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=77
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078・田中龍夫
○男爵田中龍夫君 今迄の所謂最終消費者である軍だとか、其の他生産擴充の各工場とか云ふやうなものに對する問題は、今の最終需要者別配當でありまして、それから其の他、それが同時に製品を購入する時には工業組合別の配當が行はれたのでありまして、其の間に二元的になつて、詰り配當の形式上から言ひますと、二元的になつて居りまして、其の點は纖維とか「ゴム」とか云ふ風なものはさうなつては居りませぬが、鐵でありますとか、非鐵金屬でありますとか、さう云つたものは二元化されて居つたのであります、其の間に一面統制が弛緩する原因があつたのでございます、今後は詰り日本國内の需要に對しましては一括、例へば大枠に進駐軍用と民需用と云ふ風に二本建程度の區分になりますか、それとももつと細分化されて參りますか、何かそれに依つて大分統制の内容が變つて來ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=78
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079・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 御手許に差上げてあります所の物資需給計畫七月、九月のものがございます、其の中に進駐軍用と云ふ項目があります、是は直接進駐軍に渡す品物の量であります、其の他に各物資別の中に、進駐軍用の注文の資材が全部入つて居ります、是は進駐軍の注文のありました都度、其の工場に流すのであります、進駐軍用の各種の品物は、政府が先づ發註を致します、例へば宿舍建設用の資材或は斯う云ふ家具類、「モータ」と云ふやうなものは、日本政府が發註致します、發註すると同時に、資材の割當を其の工場に致します、組合等を使つて居りませぬ、直接工場に對して割當を致して居りまして、其の團體を使つて居りませぬ、直接政府の注文で政府が割當をする斯う云ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=79
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080・森俊成
○子爵森俊成君 折角大臣が御忙しい所を御見えになつて居りますに付て、私極く簡單に掻い摘んで御尋ねしたいと思ひます、先達て衆議院で以て、當局から調整法案で以て配給會社に指定する會社は、例の在來の官制統制會社を、官制的のものを民主的なものに改めて、且其の内容等の陣容と云ふやうなものを改めると云ふやうな御答があつたと記憶して居ります、大臣も御承知ではございませうが、從來の統制會社の中で、其の全部とは申しませぬけれども、中には相當非難を受けて居るものもあるやうに聞き及んで居るのであります、此處で以て産業が開發、再建の途にあると云ふやうなことを考へて見ますると、是はなかなかの重要なる問題ぢやないかと考へられるのであります、例へて申しますると、例の石油配給統制會社のやうなものでありまするが、是は先達て株主總會を開きまして、名前を統制と云ふ字を削りまして配給株式會社となりました、無論是は當局の御了解もあつたのでありますが其の内容は、從來の舊役員全部が少しも改つて居らないのであります、勿論業者が戰爭の際、戰爭中には軍用の所要石油類の配給を獨占して、さうして戰爭遂行に協力したと云ふことは、是は其の通りであります、でありますから、一方終戰と同時に、其の配給方法に付て非常に面白くないことなんかもあつて、需要者側から非常な非難の的となつて居るのであります、それで二、三の刑事問題等も起したと云ふやうなことも聞き及んで居るのであります、まあ申上げれば、尚他にも思はしからざることがあるのであります、是は一例に過ぎないのでありまするが、斯う云ふ風な會社が單に名前を變へて表面だけを糊塗して居り、内容に於ては變りがない、是では折角の經濟新發足と申しますか、産業再建と申しまするか、是は幾ら當局で以て御盡力になつたところで以て何も役に立たないことではないかと思ひます、でありまするから、折角此處で以て再發足をすると云ふのであるならば當局に於きましては、此の種のやうな弊害と云ふやうなものが將來起らないと云ふやうなことに付て、大臣は何か十分の御確信を持つて居るかどうか、若し持つて居られるとすれば、此の點しつかりやつて戴きたいと思ひます、此の點を私伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=80
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081・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 既に此の四五の統制團體は解散を命じましたが、又一咋日の閣議に於きまして、後十四五の統制會社、統制團體がありましたのが、是も今囘解散を命じました、是で大體戰時型の統制機構の詰り中心となつて居りましたものは、全部此の月末で影を歿する譯であります、併し森子爵の仰せらるる如く、實は看板だけを塗り變へて、實體は大部分殘る譯でありまして、仕事の上に於て差支がないやうには凡そ出來て居りますが、其の中の一、二のものは、全く人も改らない、選擧に依つて出て來ます所謂重役陣と言ひますか、其の理事陣はすつかり改つたものもありまするし、それから全く同じ人であつて、唯名目が變つたんだと云ふやうな、外觀上殆ど何でもない、同じものぢやないかと云ふやうなものも相當あります、是は其の「エキスパート」と致しまして、又其の業界に人を求められぬ結果其のやうになつて居るのでありまして、是は一時に、率直に申しますれば、直ぐ右から左へ綺麗に變へると云ふことが、なかなか困難なる場合がある、假に政治問題でありましても、追放されたと言つても、議会が全部一新したかと云ふとさうは急には改りませぬ、何遍かやつて居る中に、矢張り本當の民主化となるのであつて、さう言へば、是は國民全部が實は陛下を中心に戰爭をやつたのでありますから、誰一人だつて、全部が追放さるべきであります、之が改れば、矢張り改つた氣持で仕事が出來る譯でありますから、今日殘つて居ります者は、已むを得ない事情の爲に、人が居ない爲に、又從來の機構が急變しては當面の問題が困る爲に、實は同じ事務所で看板だけ塗り變へた統制機構が相當あります、それは率直に認めるのでありますが、併し尚ずつと監視を怠らず致しまして、所謂從來の指導者原理、上から臨んだ態度はちつとも改つて居ないと云ふ點がありますならば、それは組合員の關係なら、組合、或は業界の人達ならば、今度は民主的の選擧に依つて選ばれてやつて居る譯でありますから、其の人が全體に目覺めぬ場合は、さう云ふものが起り得るかも知れませぬ、或は信望の厚い人が民主的な良い措置を執つて居りますれば、其の儘附いて行くことと思ふのでありますが、併し今囘提案致しました協同組合法の如きが、衆議院の委員會の樣子を見ましても、どうも看板塗り變へに過ぎぬと云ふ聲が非常にありますので、是等に付きましては、當局と致しましては、十分眼を光らせまして其の實體を掴んで行きたいと思ひます、殊に只今一つの例を御擧げになりました石油統制機構の如きは全く民主的になるやうに之を指導致しまして、ですけれども、出て來る人は、矢張り其の界に人物が少いのか、特殊な關係を有する爲か、矢張り業界から選ばれて來ると云ふことになりますれば、同じやうな人が矢張り選ばれて來るやうなことになつて居る譯でありますが、併し色々な弊害もあるやに聞いて居りますので、商工省内に於きましては、監察課と云ふものがありまして、是が明細な取調を致しまして、之に對する措置を怠らないで、今後の方針に十分善處して行きたい、斯樣に考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=81
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082・森俊成
○子爵森俊成君 大臣より詳細なる御答辯を承りまして恐縮に存じます、成る程總てのことは急に改めることもなかなかむづかしいでありませう、又實際御話の通り、業界に於て斯うやりたくても、其の人を得られない場合もありませう、でありますけれども、兎にも角にも、唯看板の塗り變へに過ぎないと云ふやうなことも、今の御話では認めないのでもないやうな御口吻でございますが、諄くは申しませぬけれどもどうか是は産業界の再建の爲に、折角御盡力を御願ひ致したいと思ひます、終り発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=82
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083・京極高鋭
○子爵京極高鋭君 私は簡單に二つばかり商工大臣に伺ひたいと思ひますが、終戰以來、政府は常に文化國家の建設と云ふことを言はれ、又再建日本の文化を建設すると云ふことを言はれて居りますが、之にはどうしても文化的の資材、新聞用紙とか出版用紙、それから寫眞、映畫用の「フイルム」と云ふものが、どうしてもなければ文化は發達しないと思ふ、今日迄其の衝に當る毎に、商工省其の他の當局の方が、全く其の文化を理解しない方が之に當られた爲に、文化の興隆が非常に阻害された例が澤山あります、併し幸にして今度商工大臣は非常に文化を理解され、又藝術にも造詣深い方でありまして、戰時中も此の文化を護ると云ふことに、野に在つて文化を護ることに努力された方でありますが、殊に文化的資材に付ての割當とか、配給と云ふやうなことに付て、何か御意見なり御抱負があれば、伺つて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=83
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084・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 戰時中に情報局と云ふものが出來まして、色々名は變つては居りましたけれども、それが兎もすれば、所謂指導者原理に囚はれ過ぎ、或は所謂思想迄も統制して行かうと云ふやうな行き過ぎたことをやりました爲に、合囘是は全部廢止されました、其結果、或は「ラジオ」に致しましても、或は新聞、出版等に致しましても、或は映畫等に付きましても、今は全く野放しになつて居ります關係で、唯關係筋の方で若干の檢閲をやつて居られると云ふやうなことになつて居るのでありますが、さりとて之を又集めて型を決めて、一つの統制をして行くと云ふことは、今やつてはならぬことでもありますし、又やりも出來ないことなんであります、そこで「ラヂオ」は御承知の通りに、遞信省の電波局の一課の下に仕事をやつて居る、無論民間の協會が中心になつてやつて居りますけれども、政府と致しましては、監督官廳は遞信省の電波局である、或は新聞雜誌の管理に付きましては、商工省の纖維局の紙業課の三十歳そこそこの人が課長としてやつて居るやうな譯でありまして、それ等は勿論、紙の配給割當のみに參加して居る人でありますけれども、從つて此の新聞は非常に民主化して居るから、大いに紙を殖やす、處が、此の新聞は反動紙だからいかぬと云つて、紙を減すと云ふことで或程度迄は啄を容れられぬことはないのですから、此處に非常に危險性があるので、今相當な民主的なと稱せられる一つの會が出來て、其の諮問に依つて大體決定を致して居るやうな状況である際に、私は此の局に當つたやうな譯であります、私は矢張り舊情報局のやうなものを設けまして、さうして全體を思想的に、或は文化的な意味に於きまして、政府が國民を指導して行かうと云ふやうな大反れたことは、是は今やるべきことぢやないと思ひますが、併しながら日本は將來文化國家として貢献すると云ふことで、何も言論を抑壓し、或は思想を統一すると云ふやうな意味ぢやなしに、斯う云ふ姿で行くのだ、殊に戰爭放棄後の此の日本は、本當な文化國家に於て、何處の國にも負けない、否、或は「スイス」や「スエーデン」のやうに、所謂強い國ではないけれども、文化を誇つて、世界に寧ろ其の憬れを持たすと云ふ位迄に行く爲には、相當意を用ひなければならぬと云ふ考から、取敢ず商工省所管でありました此の新聞雜誌等の此の紙の配給は、今は少いから色々な問題を起して居りますので、今囘出來まする經濟安定本部等に於きましても、もつと紙を殖やす譯に行かぬか、さうすれば「パルプ」の工合はどうするかと云ふやうな根本問題を經濟的にも考へる必要があります、或は「ラヂオ」は一體現在の儘で宜いのか、もう少し國民にもつと受信機を殖やしたい、或はもつと農村に「ラヂオ」を徹底するやうにしなければならぬとか、色々な點から考へて見ましても、或は「フイルム」の製造或は生「フイルム」の輸入、さう云ふやうなものに付きましても、もつともつと映畫と云ふものを、或は教育なり、國民娯樂の上に徹底させる爲には、何かしら内閣全體として考へる必要がないかしらと云ふことから、私發議致しまして、所謂文化委員會と云ふやうなものでも、内閣に設けまして、さうして、其處で大綱を決めまして、其の大綱の示す所に依つて、それぞれ所管の或は商工省は新聞紙、雜誌、或は遞信省は「ラヂオ」、或は「フイルム」の製造に付ては商工省、或は「フイルム」、映畫の内容に付ては内務省と云つたやうな風に、何かやらなければならぬと云ふことを考へ附きました、處が、偶々それは舊情報局の復活であると、斯樣な誤解を或部面に受けまして、それが若干停頓致して居るやうな譯であります、併し是は今少し他の目前の政務が片附きますれば、是は落ち著いて、さう急ぐ必要はありませぬから、一つ是非とも目的を達成するやうに、それ等の誤解を一掃致しまして、決して舊情報局のやうに、日本國民の頭を引摺つて行くと云ふやうな考は毛頭ないのでありますから、文化の爲に政府が出來るだけのことをしたいと云ふ意味から發足して行きたい、斯う思ひましたので、從つて商工當局と致しましては、其の根本方針が決つた範圍に於て、どうせ不足物資でありますから、今後の需給調整法等に依りまして、其の紙の分配をどう合理的にやつて行くか、斯樣な工合で進んで行きたい、併し一時、まあ今の商工當局で少さな課で以て此の非常な影響を持つ紙の分配を單純な一つの團體の意見を聽いて扱ふと云ふことは、必ずしも妥當でないから、今日、内閣の中に紙の割當委員會と云ふものが臨時に設けられまして、さうして國務大臣が之に當つて、さうして、併し是は永久ではありませぬ、全體の今文化政策が、大凡片が附きましたならば、それぞれ仕事の實體は各省々々でやる譯でありますから、凡そさう云ふ構想の下、今日實行致して居る譯で、現在の紙の配給機構は必ずしも萬全ぢやない、目下政府は之に對しまして、十分の考を以て善處したい、斯樣に努力中であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=84
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085・京極高鋭
○子爵京極高鋭君 もう一つ伺ひたいと思ひます、此の委員會に於て屡屡言はれる物資、統制よりも、是非増産に力を入れる、其の爲に精神運動を起すと云ふやうな御質問が川上委員からも、田中委員からも、中山委員からも、屡屡是迄伺ひました、處が、之に政府の御答辯は、實は餘りに滿足するものでない、何か、誠に心許ないと云ふやうな氣がするのであります、是は何故かと私は思ひますと、矢張り今伺ひますると、内閣が文化委員會と云ふやうなものを作られる、文化の色々と世話をされると云ふことは、甚だ結構でありますが、さう云ふことをする役所、詰り今差當り、一番大事な石炭増産と云ふやうなことがあれば、是はもう政府の各省が總掛りになり、又國民も一體になつて之をやる、其の世話をする役所が茲に必要なのでありまして、其處に矢張り其の途の「エキスパート」を置いて、此の精神を作興させなければいけないと思ひます、今やつて居られるのを見ると、各省區々にやつて居られるやうで、それで此の間は農林省及び商工省の方が熱意が足りないと云ふやうなこと迄仰しやられましたけれども、是はさうでなくて、結局は啓發宣傳とか、さう云ふことは單にさうむづかしいものでなしに、相當の時日が要ると思ふのです、其の點で結局、熱意は同じでも、農林省は比較的地方に網を持つて居るので、有效であつたりする、是は問題が具體的であるから樂でありますが、矢張り政府が總掛り、又國民が一體になつて、文化的の啓發宣傳する、其の世話をする役所は今仰しやられました文化委員會と云ふやうな先程の文化の世話と共に、此の國民運動と云ふよりも、國民の精神を作興する任務を持つ役所が是非私は必要だと思ひます、是には戰前に内閣の情報委員會と云ふやうなものが出來て、其の目的の爲に出來たのでありますが、是が段々内閣情報部となり、内閣情報局となつて、本來の文化的の啓發宣傳の任務が段々戰爭指導の一本槍になつて終ひには、文化の興隆すべき任務を忘れて、文化の敵となつてしまつたと云ふやうなものもあります、さつき商工大臣が言はれました一方に非難の起つたと云ふ意味は、きつと其の當時、情報局に「サーベル」をがしやつかせて廃刊届をさせたりする役人が居たり、「ラヂオ」が足りないからと言つて、全部の「ラヂオ」を沒收して指導者に與へるとか、或は民間の、或一部の饗應を受けて不公平な取扱をすると云ふやうな、さう云ふことが澤山出て來たからと思ひますが、私は是非、さう云つたやうな役所を置くことが必要でありますが、唯さう云つたやうな、前の情報局の轍を蹈まないと云ふことを冀ふ次第であります、其の點に付ての御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=85
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086・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 誠に京極子爵の仰せの通りでありまして、私もそれを念願と致しまして、此の間閣議に諮りましたやうな次第でありまして、文化院とか、文化局と云ふやうなものを我が國に設けて呉れないかと云ふ所迄申したのでありますが、趣旨は皆賛成なのですが、今日本は敗戰後將に民主化せられむとする其の時に、兎もすればさう云ふ考でなくとも、さう云ふ役所が出來ると云ふと、ついつい要らぬ統制をやつたりするとか、さう云ふ誤解を招くと云ふので、役所は是を取止めになりました、そこで文部省の中に設けたら宜いぢやないかと云ふのです、文部省に設けますと、少し教育方面に偏するやうな點もありますので、もつと廣い意味に於ての扱ひと致しまして、只今申しました文化委員會、是には貴衆兩院議員は勿論、學識經驗を持つ委員を網羅した一つの委員會を作りまして、此處で大方針を決めて、其の決めた方針を一つ各省が實施する、經濟安定本部が出來ました因は、どうも各省割據になりまして、兎もすれば豫算の分奪りになり、是は「アメリカ」流の國務省的の經營に移した方が宜からうと云ふ所から、私は出來たのであると思ふ、安定本部は將來どう云ふ風になりますか、一年で濟むことぢやありませぬ、一年に區切つて置いてやつて居る所に相當味があるのでありますが、此の行き方は經濟諸問題を全部此處で統一して、石炭は斯うやれ、肥料は斯うやれ、米の問題は斯うやれ、豫算は斯うなのだと云ふやうなことを各省に割據させないで行ける一つの方法としては、誠に是は良い行き方であると思ふのでありますが、それと同じやうに、矢張り經濟問題以外、無論經濟問題は關係致しますけれども、離れた此の一つの、もつと高い意味の文化面の諸問題を捉へて、どうしても一つ日本の將來再建の上には、殊に精神運動其のことが大變な何でありますから是非とも相當な力を持つ一つの官廳を設け、委員會を設けて、それぞれ一つ施策を作ると云ふことが必要だらうと思ひますが、それが如何せむ、甚だ殘念なる哉、今日將に兎もすれば反動的なことになり易いと思はれる時でありまするから、今少し社會の落ち著を見まして、私は此の希望を棄てないで、是非ともやつて見たいと、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=86
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087・川上嘉市
○川上嘉市君 大臣が御見えになりましたから、今朝程御質問致しましたのと多少重複の嫌ひはないでもありませぬが、今一度伺ひます、それは産業の再興及び振興と云ふものは、結局するに兩者の生産意欲を彌が上にも揚げさせると云ふのが第一ではないかと云ふやうに考へます、殊に最近の國民の生活竝に經濟の安定を圖る上に於ては、一方に於て食糧品などの價格を安定さすと云ふことが必要であると同時に、積極的に生産を爲さなければならぬと云ふことは、是は誰もが言ふ定論であります、處で、新時代の生産に付て何が最も必要かと申しますと、結局は最良の品物を最も廉く造る、斯う云ふことより外に良法はないと思ふのであります、さうする爲には、各經營者が自分の創意を發揮し、且能率の最も良い方法で以て、此の事業を何處迄も合理的に經營すると云ふより外は無いのでありますが、此の前本會議でちよつと御質問申したやうに只今の商工業方面の生産意欲を非常に阻止するやうな状況が、今各方面とも備つて居るやうに考へるのであります、それは第一、補償打切り、是で以て非常に打撃を被つて居る、其の上に假に幾ら經營を良くしてやりましても、法人税が資本に對する二割五分以上の所得に對しては九十九「パーセント」であつて、僅かに一「パーセント」しか殘らぬ、二割五分以下のものに對しては是が九十三「パーセント」四五、詰り殘る所は僅かに六「パーセント」五五しか無い、斯う云ふ現状でありますと、如何に一生懸命になつてやつて見ても、殆ど手に殘るものは無い、或工場が他の工場に比べて三倍、五倍の能率を擧げましても、其の結果は二割五分を超過すると、今の處、皆僅かに一「パーセント」しか殘らぬ、斯う云ふ状況でありますと、生産意欲は殆ど揚がらない、結局は今日方々で、「ゼネスト」なんかが段段流行り掛けて居りますが、ああ云ふ風なことをして、皆で寄つてたかつて仕事を潰してしまふと云ふやうな結果になりはしないか、さうして給料を上げた處がそれが殆ど全部食糧に費されてしまふ、さうして物がない、物が出來ないと云ふと、僅かの物に對して澤山の買ひ手が集ると云ふことになりますからして、益益闇値は高くなると云ふやうな結果に了りはせぬかと云ふことを非常に心配して居るのであります一方から考へて見ると、國家の財政を整理する上に税は確に必要でありますが、併し今の状況で見ますと、此の立ち直る迄は、どの會社も殆ど儲かる會社が無いと云ふのが現状ではないかと思ひます、新聞の營業報告の廣告を見ましても、損と云ふのが殆ど大部分である、之に持つて行つて、それだけの重税を課して見た處が、總額に於て非常に少ないのぢやないか、寧ろ本當に事業を盛にすると云ふ意味から言へば當分の間は今申しましたやうな補償打切りと云ふやうな傷手を被つた者には税を免除することが本當ではないかと考へる、さう云ふ時に今日のやうな高い税を以て苛め附けると云ふことであつては、生産意欲も何も起りはせぬと思ひます、それに付ては大藏大臣からも御答辯がありまして、税制委員會で調べた上で、改正するやうな案でも、次の議會に出すかも知れないと云ふやうな御話があつたのですが、商工御當局として、特に御管掌の各商業、工業が盛になりますやうに、是非特別の御盡力を願ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=87
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088・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 全く仰せの通りでありまして、生産意欲を増す爲には、或程度迄矢張り利潤追求と云ふ觀念ではなく樂しみと云ふ意味から言ひましても、算盤が合ふやうにしなければならぬのであります、併し今日と致しましては、所謂資本主義と云ふものは相當修正しなければならぬと云ふ觀念から言ひまして、必ずしも利潤追求と云ふことの觀念を中心に總ての産業政策を立てる譯には參りませず、殊に不足物資に付きましては、斯う云ふ面倒な法律を作つて調整をして行かなければならぬ、それは非常に生産意欲を阻害することは當然な話であります併しながら是は已むを得ぬ過渡的なものでありまして、物資が豐富になつた後に於きましては、矢張り自由經濟の原則の下に、一つ生産意欲を溌刺として起さすと云ふのが建前だと思ひます私自身も、實は自由經濟を主眼とする自由黨に身を置いて居るのでありますが、併し是は今日のやうな非常時の物資需給不均衡の場合には、總て制限を置かなければならぬことは已むを得ないことでありまして、同時に又、今日の憲法も變りますやうな譯でありまして、財産すら自分の物であつて、自分の物でない、非常に社會性を帶びて來る譯であります、自分が働いて立派な物を作つて、それに依つて國家の爲に貢獻する、或は社會の爲に盡すと云ふ所に非常な滿足感なり希望が出來て、それに依つて益々努力すると云ふ氣持從來努力して金が儲かつて行くとか、財産が出來て行くとか云ふこと以外に他の一つの喜びが觀念として出て來ると云ふことが社會全體の爲に要望され生れ替つて來て、一つの社會建設ともなるのでありますから、其の間の事情を調整して行かなければなりませぬ、併しながら長い間の習慣と、人間本來の私と云ふものは、去る譯ではありませぬから、矢張り或程度迄は自分が働けば自分の物になると云ふ其の概念を捨てる譯に行かぬ、是は如何に社會主義の世の中になりましても、それは捨てられぬ又、今日社會黨の人達もそれを主張して居る譯でありますから、さう云ふ點から申しましても、仰せの如く造つた品物に對しては、全部税金で徴つてしまふと云ふ今日の物品税と云ふものも、決して生産意欲を増し、日本が見返り物資をうんと造つて、世界に雄飛する一つの行き方ではないと思ひます、是等は大藏大臣御言明の如く、早急に一つ、之を是正する一つの審議會を開いて、それに依つて相當、昔とは程度は變りませうけれども、現在の儘では到底行けないのでありますから、是は一つ改廢致しまして、十分産業の上に皆の熱が出るやうな調子に變へて行きたい、斯樣に考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=88
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089・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) 他に御質問はありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=89
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090・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 田中委員の御質問で、背任罪の罰則の點でありますが、矢張り最高十年でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=90
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091・田中龍夫
○男爵田中龍夫君 私の申しました趣旨は既に御了承を戴けたと思ひますが統制を致しますと、其の統制の衝に當りまする官吏なり公務員と云ふものの綱紀と云ふものが最も大事ではないかさう云ふ點で人を罰する以上は、自らに對しても強い律と云ふものが必要だと思つて伺つた次第であります、尚其の外、色々細かい問題も申しましたが、此の趣旨も要するに新らしい統制が出來るに付ては、今迄のやうな非常にむづかしい事務手續と云ふものが、出來るだけなくなりまして、簡素になるやうにと云ふのが本旨でありますので、此の點一言申上げまして、私の質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=91
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092・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) 別に御發言もないやうでありますから、質疑は終了したものと認め、直ちに討論に移ります、御異議がございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=92
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093・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) 御異議がないものと認め討論に入ります、臨時物資需給調整法案を議題と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=93
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094・川上嘉市
○川上嘉市君 私は本法案の衆議院で改正された案に賛成するものであります、既に澤山の討議が行はれまして、法案それ自身としては、私は是で適當と考へます、それに關して私の一つの希望がありますが、計畫官廳と實施官廳との間には、實際此の本法を施行される上に於て、色々具體的の問題に付て種々なる問題が起らうと考へるのでありますが、安定本部は實施官廳の、即ち商工省の自主的立場を諒とせられて、共に一體的の活動に付て特に留意せられることを希望として申述べます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=94
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095・壬生基泰
○伯爵壬生基泰君 私も賛成意見を申述べます、昨日來、田中委員が戰爭中企畫院に於かれまして、此の計畫を立案せられる立場に居られた御經驗に基いて、該博なる御質疑がございました私も其の當時、多少之に關係した者として其の經驗に基いて、二、三の希望意見を附けたいと思ひます、此の案其のものに對しては、法三章の委任立法でありますから、兎や角意見を附ける所は全然ないと思ひますが、唯第一と致しましては、甚だ失禮な言ひ方を申上げるのですが、商工省始め色々の協議會とか或は販賣會社とか、さう云ふものの末端に至る迄の之に關與せられます方が、實需者の希望と云ふものを御存じない方が多い、結局需要者の立場と云ふものが全然加味されないで、紙の上の統制をすると云ふ場合が間々あるが、矢張り斯う云ふやうに委任立法になりますと、大部分が省令に委任されて行く結果になりまして、命令一本出ればどうにでもなる、又實需家の希望と云ふものをどう云ふ方法で酌み取つて行くかと云ふことは、委員會其の他に於ておやり戴くこととして十分酌み取つて戴きたい、斯う云ふことともう一つは、次は各需要者の團體が割當をやる、それに基いて切符なり、何なりに依つて、物資を取る譯でありますが、その場合、あとの「トン」なり、三「トン」なりあれば、此の機械は完全に出來上つて動き出すと云ふやうな場合に於て、割當制度で按分比例か何かでやつてしまふ、其の結果二、三「トン」の物がない爲に機械が立ち腐れになつて行くと云ふ例が戰爭中はございました、間々あつた、今後も斯う云ふことは避け得られないのではないか、之を如何にすれば避け得られるか、例へば中央保留、商工省が御持ちになつて居るものをうまく運用して、さう云ふやうなことに付ては十分の御留意を願ひたい、斯う考へるのであります、結局、法案其のものには、斯う云ふ際でありますから、賛成するのでありますが、唯運用と云ふものに付ては、唯統制せむが爲に統制と云ふことにならずに、此の第一條の最初に掲げてございまする目的に適合するやうに、十分立派に運用して戴きたたいと云ふ希望條件を附けまして終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=95
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096・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) 御發言も盡きたやうでありますから、是から直ちに採決に入ります、本委員會に付託に相成りました、臨時物資需給調整法案は、原案、即ち衆議院修正案の通り可決することに御異議はありませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=96
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097・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) 御異議がないものと認めて、左樣決定致します是にて本委員會は終了致しました、散會致します
午後三時十六分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=97
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098・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 男爵 古市六三君
副委員長 子爵 柳澤光治君
委 員
公爵 桂廣太郎君
侯爵 廣幡忠隆君
伯爵 壬生基泰君
子爵 森俊成君
子爵 交野政邁君
子爵 鳥居忠博君
子爵 京極高鋭君
長岡半太郎君
男爵 伊藤一郎君
男爵 奧田剛郎君
男爵 加藤成之君
男爵 田中龍夫君
大木操君
川上嘉市君
三橋四郎次君
松本勝太郎君
中山太一君
河端作兵衞君
岩淵辰雄君
上野喜左衞門君
國務大臣
商工大臣 星島二郎君
國務大臣 膳桂之助君
政府委員
内閣事務官 島本融君
農林次官 楠見義男君
農林技官 中尾勇君
商工事務官 吉田悌二郎君
同 鈴木重郎君
説明員
大藏事務官 市瀬泰藏君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003744X00319460926&spkNum=98
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