1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○勞働關係調整法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年九月十六日(月曜日)午前十時十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=1
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002・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 是より開會致します、本日より各論の部に入りまして、先づ第一章に付ての御質疑を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=2
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003・種田虎雄
○種田虎雄君 此の第二條に「正規の機關の設置及びその運營に關する事項」云々と書いてありますが、此の正規の機關と云ふのはどんなやうなものですか、政府委員の方から……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=3
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004・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 只今種田さんからの御質問ですが、此の「正規の機關の設置及び其の運營に關する事項」と言ふのは、御話のやうに是だけ見ますと分りにくいと思ひますが、是は先達てからも能く問題になつて居りまする經營協議會と云ふ問題を一應考へて居る譯であります、併し其の經營協議會と云ふ名前にしようとそれは構ひませぬ、工場委員會とか色々の名前で宜しうございますが、勞働關係の適正を圖る爲に、協約の中に出來れば正規の經營協議會のやうなものを日頃から作つて置いて、さうしてそれにどう云ふ時に掛ける、どう云ふ事項を掛けると云ふやうに豫め協約で決めて置いて、さうして出來るだけそこで解決するやうに努力すると云ふ趣旨であります、直ぐ要求を突付けて、肯かなければ爭議と云ふことではなしに、兩方の代表者から出來た協議會のやうなものを作つて、そこに一應掛けて、出來ればそこで話を濟ませるやうにすると云ふ趣旨でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=4
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005・種田虎雄
○種田虎雄君 第六條に爭議行爲が「發生する虞がある」と書いてありますが、是は一體なかなか面倒なことだと思ひますが、どんなやうな状態を言ふのか、大體まあ實例かなんかで御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=5
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006・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 是は能く御質問になる所で、實際問題でないとちよつと分りにくいと思ひますが、詰り爭議と言ふのは、一方から主張する譯であります、勞働者なら勞働組合の方から待遇改善其の他に付て主張する、さうして使用者側が、それは宜からうと受入れれば爭議にはならないのですが、それだけの要求は迚も容れられぬと言つて兩方で揉んで居る、併し爭議行爲と云ふものは七條に掲げて居りまするやうに、現實に「正常な運營を阻害する」行爲がなければ爭議にはなりませぬ、そこ迄入らないで、盛に仕事をやつて、丁度此の間の國鐵のやうに、爭議行爲には入らないが、此の十五日から「ゼネスト」に入るぞと言へば、入る虞が多分にありますから、其の直前の状況に虞がある、斯う云ふ風に考へて居る譯であります、さう云ふ時にも、爭議行爲詰り「ゼネスト」に入つてから調停したのでは遅うございますから、どうしても入る虞があると云ふことになれば、事前にそれを採上げると云ふ風な方法を講じたいと云ふ趣旨でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=6
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007・種田虎雄
○種田虎雄君 序でにもう一つ伺ひます、第九條に「爭議行爲が發生したときは、その當事者は、直ちにその旨を勞働委員會又は行政官廳に届け出なければならない」と書いてありまして、發生した時に届け出ると言ふのですが、今御話のやうな所謂虞のあるやうな場合には、是はまだ届け出なくても宜いと云ふのですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=7
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008・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 實は是は立案の時にも其の點を論議したのでございますが、最初は詰り爭議行爲の發生の虞のある時も必要ぢやないかと思ひましたけれども、さうすると非常に漠然として、何時になつて届出れば宜いか、届出なければならぬかと云ふことが大分議論になりました、そこで此處では所謂爭議行爲が發生した時に限つた譯であります、それから第九條は、實は届出を負はして居りますが、之に付きましては、實は罰則は附けて居りませぬので出來るだけ早く官廳が知りますれば早く手當が附く、別に官廳が入つてどうしようと云ふ趣旨ではございませぬが、勞動委員會の方なら勞働委員會に連絡をするなりして、出來れば事前に解決をしたいと云ふ趣旨でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=8
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009・壬生基泰
○伯爵壬生基泰君 第七條を伺ふのですが、「主張を貫徹することを目的として行ふ行爲」と云ふのは、同盟罷業、怠業、作業所閉鎖、其の他にどう云ふものを具體的に想像されて御作りになりましたか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=9
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010・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 大體爭議行爲として行はれて居りますのは、各國とも此處に掲げて居りますやうな「ストライキ」、「サボタージユ」、「ロックアウト」と云ふやうなのが代表的な爭議行爲でありますが、其の外に、拾へば「ピケッティング」と申しまして、爭議をやつた時の罷業破りに入つて來る奴を、其の前で之を防げと云ふやうな行爲が行はれて居ります、さう云ふやうなのを……此の爭議行爲と云ふのは、色々な戰術を編み出すことでございますので、限定する譯に行きませぬ、代表的なものだけ此處に掲げた譯であります、一應豫定されて現に各國で行はれて居るのは、此の外に所謂「ピケッティング」などがございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=10
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011・秋月種英
○子爵秋月種英君 今の御質疑に關聯してですが、此の正常なる運營を阻害すると云ふことでありますが、此の正常なる運營と云ふことはどう云ふ意味なんですか、非常に觀念がむづかしくはないかと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=11
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012・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 此の「正常な運營」と云ふのは、日頃やつて居る仕事に支障のない、其のやうな運營が行はれて居れば宜いので、待遇改善の主張だけをして、さうして使用者の幹部に要求をして居る、併し仕事は平常通りに眞面目にやつて居ると居ふことになりますと、是は爭ひはありますけれども、所謂爭議行爲に入つて居るとは言へない、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=12
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013・吉田久
○吉田久君 第八條の四號に「醫療又は公衆衞生の事業」とありますが、此の醫療事業の中に個人の營業も含まれるかと思はれるのでありますが、個人的の醫療事業、それから稍稍公共的な醫療事業との限界等に付て御考になって居りませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=13
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014・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 第八條の第四號に掲げてあります醫療には、今御話にありました公設のものも、又個人經營のものも、營利的にやられて居るものも皆入る譯であります、其の趣旨は、詰りさう云ふ病院等に於きまして、患者が居る時に爭議を拔き打にやられますと、入院者が非常に困る譯でありますから、さう云ふ者の保護、詰り公衆と言ひますか、大衆の非常に迷惑をする者を保護しようと云ふ趣旨でありますので、此の醫療はそれが公設でありましても、私營であつても構はぬと云ふ考であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=14
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015・吉田久
○吉田久君 個人の醫療事業も矢張り病院と云ふ設備に至らないもので、而も看護婦又は藥剩師を使つて醫療行爲其の他をやつて居る、さう云ふ醫者の營業中に例へば看護婦が同盟して從業しないと云ふやうな場含に、所謂爭議行爲と云ふことで本法の八條に觸れるかどうか、是は多少程度問題ぢやないかと思ふのですが、其の點の限界がどうもはつきりしないと思ひますが、何かそこにはつきりした限界があれば承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=15
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016・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 此の四に病院と書きませぬで、特に醫療と致しましたのは、病院のやうでなくても、個人の經營であつても、看護婦を置き、入院患者を取つて居ると云ふやうな時に、矢張り其處の看護婦が不意打に爭議でもやりますとそこに入つて居る患者が非常に困ると云ふので、さう云ふのを含める趣旨で、醫療とした譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=16
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017・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 次は第二章の斡旋と第三草の調停、第四章仲裁の部に入ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=17
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018・山根健男
○男爵山根健男君 調停の章に付て御質問申上げて宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=18
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019・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) どうぞ…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=19
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020・山根健男
○男爵山根健男君 第十八條の第五號でございますが、此の第五號に「又はその事件が規模が大きいため若しくは特別の性質の事業に」云々とありますが、是は拜見をして見ると、知事などの制定に依つて、是が殆ど公益事業と同等な取扱をすることが出來るやうに思はれますので、之を能く考へて見ますと、此の法案に公益事業と云ふやうなことを持に謳ふ必要はない位のものになるやうな感じを持つのでありますが、此の點に付て伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=20
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021・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 只今御話のやうな十八條の第五號の關係でございますが、實は公益事業と云ふものは、先程の第七條、第八條に限定をして居るのです、此の第八條に限定された公益事業は、それでは本法ではどう云ふ法律上の關係を持つかと申しますと、今御話の十八條の三と四と五に公益事業と云ふものが出て參りまして、強制調停が出來ると云ふことが一つの法律上の問題になつて居る、もう一つの問題はずつと後に參りまして、第五章の三十七條で、公益事業は拔打の爭議が出來ぬ、詰り三十日の豫告が要ると云ふことの二つの法律上の效果が出て來る譯であります、從つて公益事業は、強制調停ともう一つは三十七條の三十日の猶豫期間を置かなければならぬと云ふ、非常に大きな制限が付きますので、公益事業の範圍は八條で極めて嚴格に限定して居る、それで今の調停の方の第十八條の方は、是も無暗に擴がつてはなりませぬけれども、限定致しました反面と致しまして、非常に爭議が大規模に行はれる、例へば石炭なら石炭と云ふものは公益業業には入つて居ないけれども、それが全般に行き渡つて、さうして之を放つて置いたのでは非常に困ると云ふやうな問題もございます、或は又さう規模が全國的に擴がらなくても、性質上、例へば食糧なら食糧の配給が一部分でありましても、それが止りますと、非常に困ると云ふやうな問題がありました時に、それはどうも法律上仕方がないと言つて放つて置く譯に參りませぬので、さう云ふ時に行政官廳の方から勞働委員會に對して請求をする、さうして官廳がやるのではありませぬで、是は勞働委員會が採上げてやると云ふことで、此の五號には公益事業以外に、今御話のありました其の事件が規模が非常に大きいとか、或は其の性質が特別に公益に著しい障碍を持つ時には、行政官廳が勞働委員會に申請が出來ると云ふ風に致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=21
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022・山根健男
○男爵山根健男君 どうも只今の御説明では釋然としないのでありますが、斯う云ふ取決めがなくても、主務大臣が事業の性質とか、公益に及ぼす影響とか云ふことから考へて當然之を指定する權限があるのでありますし、又此の第五號の後を拜見致しますと、結局最後には強制調停と申しますか、職權に基いて調停を行ふことが出來ると云ふ範疇に入るのですから、是も矢張り公益事業に準ずるやうに私は考へるのですが、さうすると知事などの判定に依つて勝手に斯う云ふことが出來るやうに思はれますので、前の主務大臣の指定と云ふことと考へ合せますと、是は必要がないやうに考へられるのでありますが、もう一度政府の御答辯を伺ひまして、又後に委員の方々とも御話合してもう少し深く考へて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=22
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023・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 御話の點御尤もの點もございますが、第八條の二項で、主務大臣が必要があれば範圍は擴げられるやうになって居ります、併しながら是で擴げますと、今申しましたやうに、強制調停以外に第三十七條の適用を受けて參りますから、無暗に擴がりますると、之に指定されると皆三十日で、間が制限される譯であります、從つて此の八條と云ふものは、出來るだけ擴げないことが趣旨であります、併しながら斯うやつて法律で一から四迄と申しましても、今後の社會情勢でどう云ふ事態が起りまするか分りませぬ、其の度に法律を改正すると云ふことはむつかしい、いざと云ふ譯に參りませぬので斯う云ふ規定を置いて居りまするけれども、此の八條の二項で、擴げると云ふことは、是はよくよくのことでないと三十七條の制限が出て來ますから、是は無暗にやるべきではないと思つて居ります、同時に第三項を御覽を戴きますと、第八條の裏に「前項の中央勞働委員會の決議においては、使用者を代表する委員、勞働者を代表する委員及び第三者である委員の各各の過半數の同意がなければならない。」だから勞働、代表が全部反對致しますこと、是は擴張しようと政府が思ひましても、是は出來ない、斯う云ふ制限を置きましたのは、今のやうに八條が餘り廣くなる、唯委員の多數決でやりますと、動もすると必要々々と云ふことで廣くなり、廣くなると、今言つた強制調停をやる以外に、三十七條で皆三十日の豫告々々と云ふことになる、さうすると是は非常に濫りになる虞がありますので、此の八條は非常に嚴格に取扱つて居るのであります、嚴格に取扱ひました反面と致しまして、いざと云ふ時に、今申しましたやうに非常に規模が大きい爭議が起つて來た、或は性質上どうも放つて置けぬと云ふ時に、之を第八條の二項でそれぢや擴げるかと云ふと、是はなかなかむつかしい、さう容易に政府として放つて置く譯にも參りませぬので、勞働委員會に請求をしてやると云ふ考で、斯う云ふ規定を置いて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=23
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024・山根健男
○男爵山根健男君 此の行政官廳と云ふのは、前の主務大臣と云ふこととどう云ふ風な……此の行政官廳はどう云ふ程度のものでございますか、私の申上げた知事の程度で宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=24
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025・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 此の行政官廳は、主務大臣又は地方長官を指定する考でございます、出來れす中央で主務大臣が指定することが宜いかと思ひますけれども、地方的の問題で直ぐ中央に手續を一々して居つては間に合はぬと云ふやうな問題もございませうから、地方長官でも地方の勞働委員會に請求が出來るやうにする必要があらうかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=25
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026・山根健男
○男爵山根健男君 只今の御説明に依りますと、此の公益事業の指定が餘り範圍が擴がつて來るのは面白くないと云ふ御話のやうにも聽きました逆が、にちよつと稍稍皮肉に考へますと、此の公益事業の決定或は之を指定する件でも相當な反對があつたのですから、寧ろ政府の方の御考として、斯う云ふ第十八條の今問題にしました關係の事項のあたりで反對を避けて、さうして實際には此の爭議の調停に對する官憲の力を徹底的に強く用意されて居るやうにも考へられるのでございますが、是は私の稍稍意見にもなりますので、御答辯はどちらでも結構です、どうも私としてははつきり致しませぬので、又後に申上げる機會を戴くかも知れませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=26
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027・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 是はさう云ふ意圖は少しも持ちませぬ、問題は違ふのでございます第八條と第三十七條の關聯性の問題と、それから第十八條の問題とでは、全く問題の性質が別のことを目標として居るのであります、第八條と第三十七條の關聯性のことは、三十日の期間を置かなくちや「ストライキ」を始めちやいけないと云ふ拔打的のことを禁止して居る、制限して居る、それが目標でありますので、それだからまあ勞働權に對する非常な制限になつて居る譯であります、勞働權の制限なるが故に、是は勞働權を尊重する建前から、成るべく之を狹くしようぢやないかと云ふことで此の四つを掲げまして、さうして第二項としまして、例へば米の配給の問題の如き、本當を言ふと米の配給と云ふ事業は或はないのが本當なのですけれども、今臨時にありますのですけれども、ああ云ふことも「ストライキ」が起されると困るぢやないかと云ふことがありますので、そこで此の第二項で主務大臣が一年の期間を限つて此の四項の外に尚外のものを追加出來る、併しそれは地方勞働委員會の非常に嚴格な贊成を要件とすると云ふやうにしまして、此の三十日の期間の制限と云ふものを、之を勞働權に對する制限なるが故に、是は出來るだけ嚴格にやらうぢやないかと云ふのが、第八條及び第三十七條の建前になつて居ります、是も御了承願つたと思つて居ります、それから今度第十八條のことで、是は調停のことであります、調停と云ふのは、調停を決めましても當事者はそれに從ふ義務はないのであります、任意なんであります、それだから、調停と云ふ「チャンス」を與へるが、それをやつても、強制調停と云ふのは言葉が惡いので、調停に應ずることが強制であつて、調停の效果を強制して居るのでは決してありませぬ、其の旨は其處にはつきりして居りますので、それだから調停と云ふ一つの相談に、さう云ふことに入ることの義務を負ふだけなんであつて、決して調停と云ふものはそれで當事者を拘束するものでありませぬから、それだから調停に從はなくても宜い、それだから調停に入ると云ふことは、勞働爭議權の、勞働權の制限には殆どなりませぬ、まあ仲直りしたらどうだ、一つ妥協したらどうだと云ふ求めに應ずると云ふだけのことであつて、それは勞働權の制限に入らぬ、多少は制限に入ると言へば入りますけれども、三十日間爭議をやつてはいかぬと云ふやうな問題とは根本的に性質の違ったものであります、それだからさう云ふことに對して、公益事業の外に、規模が大きい重大なことは、地方長官が、まあ君一遍相談に乘つて見てはどうだと云ふことは言へると云ふことでありまして、是は勞働權に對する制限と云ふことから見ると、本質的に第八條の場合とは違ふのであります、だから、さう云ふ意味に於て第八條とは本質的の性質の差がありますから、政府が八條で強めて此處で弛めると云ふ意圖は一つも持たぬ、全く別の問題であります、重ねて申しますが、此の強制調停と云ふ言棄は何處へも現はれて居らぬと思ひますが、私は言葉は適當でないと思ひます、調停に應ずることを強制されて居るのであつて、調停に必ず從はなくちやならぬと云ふ意味ではないのであります、斯う云ふ用語に付ても將來考へたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=27
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028・山根健男
○男爵山根健男君 今の大臣の御答辯は大體了解致しましたが、併し本質的に違ふと云ふ考へ方には私は異議がある、それと同時に今の強制調停と云ふ言葉はどうだと云ふ話がございましたが、此處に一方からの申請又は職權に基きと云ふ言葉もありますし、直ちに大臣の御言葉に承服が出來ない、之を大體公益事業に準ずる事件に、知事の判定に依つて將來自由に取決められるやうに私は懸念を持ちますので、是以上の御質問は自分の意見も混りますから打切りまして、又後に伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=28
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029・吉田久
○吉田久君 第二章では斡旋、第三章では調停と云ふことになつて居ります、此の斡旋と云ふことは調停に入る一つの段階である、而して其の斡旋に付ては勞働委員會の會長が斡旋員を指名して斡旋せしむると云ふことになつて居るのでありますが、具體的の爭議事件に付ては、先づ其の斡旋員をして斡旋せしむると云ふことが本法の建前になつて居るのか、それとも必ずしもさう云ふことには拘はらない、斡旋を經ないで直ちに調停に入ることが出來ると云ふことになつて居るものでありますか、此の點を一つ、それから第十二條の規定を見ますると、勞働爭議が發生した時は、勞働委員會の會長は斡旋員を指名することが出來ると云ふことになつて居りますが、第六條では、勞働爭議と云ふのは勞働爭議が發生した場合、又は發生する虞がある場合、此の二つを含めて居る、斯う云ふことになつて居る、先程政府委員の御答辯では、最近に於ける國鐡の爭議に付ても、十五日から「ゼネスト」に入ると云ふことだげではまだ爭議行爲が發生したと云ふことにはならないので、爭議行爲が「發生する虞ある状態」と云ふのに當る譯であります、併しながら其の場合に於ても本法の爭議調停と云ふものが行はれなければならないと云ふ御説明があつた、處が此の第十二條では、斡旋員を指名する時は常に勞働爭議が發生した場合でなければならないやうに見えるのであります、「發生する虞がある状態」に於て、而も爭議行爲が斡旋に附せられると云ふ場合をちよつと阻害して居るかのやうに見えるのでありますが、此の點を一つ御説明を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=29
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030・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 今御尋ねの第一の點の、爭議が起つた時には、先づ斡旋をして調停をやるのか、或は調停を直ぐやる場合があるのかと云ふ御尋でございますが、是では別に其の點を喧しく言つて居りませぬ、それで爭議が起りました時に當事者の方から、どうも自分達では解決しない、斡旋員を一つ寄越して呉れぬかと云ふ風に勞働委員會へ話されれば、勞働委員會の方では豫め斡旋員と云ふものを用意して居りますから、其の中から適當な人を指名してやる、或はどうも此の爭議は斡旋員が一人位行かれたんぢやなかなかむづかしい、もう初めから調停委員會に掛けたら宜からう、と云ふことであれば、調停委員會へ初めから掛けても構はない、そこは其の爭議の事情を見まして勞働委員會が適當な措置を執つて行くやうに考へて居る譯であります、それから第二の、十二條で、「勞働爭議が發生したとき」と斯う言つて居りますが、是は前に申しましたやうに、勞働爭議と云ふ定義と爭議行爲と云ふ定義を二つに分けて考へて居るのであります、それで勞働爭議と云ふのは爭ひがある状態を言ふ譯であります、其の爭ひのある状態と云ふのは、現に爭議行爲、「ストラィキ」なら「ストラィキ」が發生したばかりではない、發生する虞ある場合も含めての爭ひある状態が勞働爭議で、爭議行爲と云ふのは、其の爭ひのある状態が更に「ストラィキ」とか云ふ行動に入つた場合に於て爭議行爲と言つて居るのであります、そこで茲に十二條で、「勞働爭議が發生した」と云ふのは爭ひが發生したと云ふことでありまして、爭議行爲が發生しなくても、爭ひが起つて、其の爭ひが爭議行爲の詰り行動が發生し、又は發生する虞ある場合、孰れでも構はない、兎に角其の状態が發生すれば勞働委員會が取止めさせる、斯う云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=30
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031・吉田久
○吉田久君 さうしますと要するに十二條の「勞働爭議が發生した」と云ふ意味は、勞働爭議が、爭議行爲が發生する虞ある状態をも含めると云ふことになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=31
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032・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 左樣であります、言葉を書き改めますと、「勞働爭議が發生した」と云ふ言葉をもう少し詳しく書けば、爭議行爲が發生し、又は發生する虞あるときは」と書く時と同樣になります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=32
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033・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 初め本案の御説明の時に大臣から御話がありましたが、さう云ふことに私共承知して宜しうございませうか、即ち斡旋と云ふことは、爭議の起らむとする場合に、當事者間の斡旋行爲を自主的に爲さしむるやうにするものである、第三條の調停は、双方の意見を聽いて調停のことを定めて出來得る限りの受諾をさせるものである、第四章は勞働委員會の決定に服從すべきものである、即ち勞働協約と同じと云ふ條項があるに依つてそれで服從する義務があると、斯う云ふ風に心得て宜しいものでありませうか、尚私は爭議と云ふことは必ずしも勞働組合、勞働協約と云ふものが出來て居ない場合が澤山あると思ふ、それに對してはどう云ふ風にすべきものであるか、其のことを一つ伺ひたいと思ふ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=33
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034・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 大體今御話になりましたやうな風でございますけれども、大臣が當初に御説明になりました「自主的」と云ふのは、爭議の爭ひの解決に付ては、全般に通じての考へ方、態度でございます、爭ひは無闇に政府などが間へ入って干渉するのではなくて、爭ひは出來るだけ民主的に當事者で解決することを建前にして居ります、それは何處に出て參りまするかと云ふと第一章の第二條に其の原則が謳つてございまして、第二條の終り頃に「勞働爭議が發生したときは、誠意をもつて自主的にこれを解決するやうに、特に努力しなけばならない」と云ふ原則でございます、さうしてそれを尚何處に謳つて居るかと申しますと、第二章の「斡旋」の一番終りの條項の第十六條でも「この章の規定は、勞働爭議の當事者が、双方の合意又は勞働協約の定により、別の斡旋方法によつて、事件の解決を圖ることを妨げるものではない」、是は所謂自主的に決めてやられればそれで宜しいと云ふことを言つて居ります、此の思想は斡旋ばかりではございませぬ、第三章の「調停」の一番終りの第二十八條にも同樣な規定がございまして、此の章の規定、詰り調停の規定は、勞働爭議の當事者が是で自分達で別の方法を決めてやるならばそれでも宜しいと云ふことを言つて居ります、それから又同樣に第四章の「仲裁」の終りの第三十五條にも同樣な規定がございまして、其の「自主的」と云ふことは全般に通ずる譯でございます、唯「斡旋」は「調停」の時と違ひまして、是は政府の方から強制的にと云ふ譯ではございませぬで、其の間に御世話をして差上げると云ふ考へ方でございます、受入れられると受入れられないとは自由でございます、唯爭ひが双方ではやられるけれども、仲に人が入つて取止めた方が双方が便利な時には、さう云ふ方法を考へると云ふことでございます、極く輕い意味でございます、調停の方は委員會制度にもなつて居りますし、第十八條の一と二は、是は任意の調停でございまして、一般の爭議に付ては積極的にやらない、申出でがあればやる、三、四、五のやうに、大衆に影響のあるものは任意に希望するのでありますけれども、何時迄經つても放つたらかして爭ひをやつて居ると云ふことでは、大衆は非常に迷惑を致しまするから、斯う云ふ時に強制的に調停に採上げさせる、併し是も先程大臣から御話のありましたやうに、其の案を押付けると云ふことは考へて居りませぬ、「仲裁」の方は御話のやうに勞働協約と同じやうな效力を持たせるのでございますから、一層強い效力を持つことになりまするけれども、併し仲裁は強制は一つもしないで、双方が御委せをするから何とか是で解決をして欲しいと云ふ委任を致しました時に採上げると云ふ態度でございまして、仲裁の方は強制的に仲裁を採上げさせると云ふことは考へて居ないのでございます、それから今の協約のないのはどうするかと云ふ御話でございますが、出來れば協約で勞資關係のことは、爭ひのことなり、或は勞働條件のことを含めることが是は宜いことだと思ふのですけれども、併し無いものに付て若し爭がございましたら、此の規定にありますやうな斡旋なり、又は調停なり、仲裁のやうな制度に依りますし、又協約がございませぬでも、其の時に兩當事者が臨時に取決めて、どうも二人で話して居つたのでは話が付かないから誰々さんが宜いやうに思ふから、あの人に一つ話を聞いて貰つてやつて見ようぢやないかと云ふ時に、其の時に取決められても結構であります、自由に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=34
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035・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 さうしますと、協定がなければ、勞働協約の條章に依つて仲裁をすると云ふことになりまして、場合に依れば勞働協約を守らぬ、と言ふとおかしいのですが、さう云ふことを書いてなければ、勞働爭議は解決がむつかしいことになるやうな氣が致しますが、如何でせうか、勞働協約に、斯う斯う斯う云ふことをした場合に於ては調整法に依つて仲裁に付するとか何とかと云ふことを書いてない場合は、非常にむつかしいことになつて來はしないかと云ふやうな氣が致しますが、如何でせうか、それを御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=35
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036・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市)君 只今片倉さんの御話は、勞働協約で、此の法律に基く調停を爭ひがあつた時にはやると云ふことを取決めて置かないとむつかしいぢやないかと云ふ御質問のやうに思ひますが、それは必ずしも取決められぬでも結構だと思ひます、協約にあれば結構でございますけれども、無くても其の時に之に從つても構はないし、又其の時に別の方法に依られても構はない、併し當事者間の爭ひの解決が出來れば、兩當事者が豫め協約で、自分の所で若し意見が合はないで爭議した時にはどう云ふ方法でやると云ふことは、豫め決めることが望ましいことだと思ひます、出來るだけさう云ふ風にして豫め此の法律に決めてある調停の方法を執るなり、或は自分の工場で爭ひがあつた時には、特定な人に頼むとか、或は特定な協議會を作つてやると云ふやうなことは、豫め決めて置くことが非常に宜いことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=36
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037・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 さうすれば、何か勞働組合とか勞働協約と云ふやうなもののないやうな場合の時のことを、何か施行規則が御出來になると思ひますが、さう云ふ時に何か入れて置いて戴くことが、事業者側から見ても或は勞働者側から見ても宜いことのやうに考へますが、是も一つ御研究を願つて置きたいと思ひます、さうでなければ、大體に於て全部組合とか或は勞働協約が出來て居ると思はぬのでありまして、結局それがなければ却つて事件を長引かせるやうになる虞があるのであります、それを御研究を願つて置きたいと思ひます、是で私は終りと致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=37
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038・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 只今片倉委員から御尋ねでありますが、此の法律は、勞働爭議が總て解決されることは非常に希望して居りますけれども、是で何も彼も皆解決してしまはなくちやならぬものだと云ふ風に見て居るのぢやないのであります、さうだから今御話して居る勞働協約で仲裁の折合の付かぬ時には、此の法律に依る仲裁の裁定を受けると云ふことが書いてあれば、それは片が付くのでありますけれども、勞働協約にさう云ふ所迄書いてありませぬと、是は此の法律で色々やつて見ても片付かぬ場合はあらうと思つて居ります、だから只今の勞働問題に對する考としましては、勞働問題は或意味に於ける事實問題である、だから無理に片付けても片付かぬ場合があると云ふことを矢張り豫想しての法律でありまするから、さう云ふ趣旨に御考へ下さい、さう云ふ所を強制的に片付けさせる場合に施行令を作ると云ふやうなことは致さぬ積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=38
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039・種田虎雄
○種田虎雄君 此の十五條の命令と云ふのはどんなやうなことを豫期して居るのですか、内容が御分りであれば伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=39
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040・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 是は別にさう細かいものを決める考はございませぬが、此の細かい手續の點、例へば任期をどうするとか、其の招集はどうするとか、どう云ふ形式でやるとかと云ふことを施行規則の方で決めようかと云ふ、極く手續的なことだけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=40
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041・種田虎雄
○種田虎雄君 此の斡旋員候補者と云ふのは勞働委員の中から委囑されるのでありますか、其の以外の者でも宜いのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=41
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042・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 此の斡旋員は勞働委員會の委員も結構であります、又それ以外でも結構であります、それから又人數もさう限定しない、是は各地方々々に依つても違ふと思ひます、東京のやうな所と田舍の縣のやうな所と違ひます、それから尚此處にもちよつと規定をして居つたかと思ひますが、東京の斡旋員は東京に住んで居る人でなくちやいかぬと云ふ風な嚴格なことを考へませぬで、隣の縣に住んで居られても宜い、適當な人が居られれば其の人も考へると云ふ積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=42
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043・種田虎雄
○種田虎雄君 此の十八條の「公益事業に關する事件につき、關係當事者の一方から、」云々と書いてありますが、此の二號には「關係當事者の双方又は一方から、」と書いてある、双方から調停の申請をして來た時には當然入るだらうと思ひますが、是は一號の「關係當事者の双方から、」と云ふ、是が公益事業の方にも引掛って居るから、特に「一方から」と云ふ風に限定されたのでございますか、其の邊の事情はどう云ふものでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=43
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044・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 御話のやうに、此の十八條の一の方は、初めから取決めがない時には、普通の事業に付ては双方から申請がないと、一方だけで採上げる譯にいかぬと云ふ譯であります、それから二の方は、御話のやうに、協定を結んで居る時には今のやうに一方だけで結構でございまするけれども、一方だけからと云ふことを限定しないで、兩方からでも宜いと云ふことで、精神から言へば今種田さんの仰つしやつた通りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=44
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045・種田虎雄
○種田虎雄君 公益事業の方は書いてない……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=45
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046・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 公益事業の方は双方でなしに一方からであつて、双方のものであれば勿論のことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=46
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047・吉田久
○吉田久君 先程斡旋と調停の關係に付て伺ひましたが、此の調停と云ふことは一つの和解であると私は考へて居ります、和解をさせる、そこで和解させるのに付て、先づ斡旋と云ふ方法で、それの下準備と云ふやうなこともやらせる、それから、それで幸に事件が解決されれば宜しいが、解決されない時には斡旋員は手を引いて勞働委員會の調停に移す、斯う云ふことになると思ひます、それで勞働委員會では調停委員會を設けて、さうして調停をされる、此の調停に於ては、矢張り當事者双方の言ひ分を聞いて御互に讓歩させる、適當な方法に落著かせると云ふことに勸告をすると云ふことに力を注ぐべきだと思ひます、そこで最後には調停委員會で調停案と云ふものを拵へる、之を當事者に示し、是で一つやつて貰ひたいと云ふことを勸告をする、是が最後の段階で、結局鳧が付くと云ふことになるやうであります、さう致しますと、調停と斡旋との關係は、調停の方は斡旋よりは更に一歩を進めて、當事者双方に對して調停委員が硝稍自主的なものになって、さうして和解を勸告する、從つて調停案を作成すると云ふことになると私は思ふのであります、若し其の點に付て私の考へが間違つて居れば又お正しを願ひたいのであります、そこで此の十八條の規定を見ると、公益事業に關する爭議は是は當事者一方からも出來る、併しながら公益事業以外の爭議事件に付ては、原則として關係當事者双方から申請しなければ爭議は調停には掛けられない、但し勞働協約に於て調停の申立が許されると云ふことが認められる場合には一方からも出來るやうになるのでありまして、要するに公益事業以外の爭議事件には當事者双方からでなければ調停の申立が出來ない、一方では出來ない、一方でする場合は勞働協約に其の旨の定めがある場合に限ると云ふ云ふ風に私は十八條の規定を讀んで居りますが、さう致しますると、當事者双方からでなければいけない、一方からだけでは出來ないと云ふことは、どうも恐らくないのではなからうか、是が此處で一應區別して居ると云ふことが少し狹いのではなからうかと云ふ考へがするのであります、併し實際的に爭議は大體公益事業の場合起るのでありますから、實際的には三章の適用からして一方から出來ると云ふことに落著きまして、大した面倒はなからうと思ひます、其の點を一つはつきりと政府の答辯を伺ひたいのであります、それから私は前々からして調停に付ては矢張り有權性を持たせるべきであると云ふことを主張して參つたのであります、此のことは近頃の國鐵等の爭議の現状を見まして更に之を痛感するのであります、大臣の御説明では調停と云ふものは押付けるものではない、當事者が示された案に付て協議して、後は輿論で解決されることにならうと云ふ御意見でありました、併し近頃の國鐵の爭議等を見ましても、最後に政治的の陰謀と申しますか、企みが動いて居ると云ふことは誠に明かであります、斯樣な政治的な背景を持つて居る所の爭議に付て、調停委員會が調停案を作つてさうしてそれに從はない時にはそれでお終ひだと云ふことで、爭議の解決が出來るか、纒りが付くのであらうかと云ふことを非常に心配するのであります、輿論と云ふこともございまするが、此の前に一言致しましたやうに、我が國の輿論と云ふものは歐米の輿論とまるで違ふ、是は輿論を適正に、健全なる輿論を作る國民の教養を致さなければならぬかと考へまするが、是は到底急速のことぢやない、徐徐に仕上げるべき事柄のものでありまして、現在の實情に即して爭議の調停と云ふものをどう云ふ風な基準にして決まりを付けるとか云ふことに付ては、別段の考慮を拂ふ必要があるのだと思ふのであります、どうも本法は率直に申しますればはいからに出來上つて居ると思ふのであります、併しながら、其のはいからであると云ふことが我が國の現状の爭議の解決に果して有效適切に役立つかどうかと云ふことに付て考へて見ますと、私は非常な心配を持つて居るのであります、でありますから矢張り調停委員會の調停に付ては、一種の有權性を持たせると云ふことに本案は訂すべきであると云ふことを私は考へて居ります、但し其の訂すのに付て、私が申上げたやうに裁判所をして主として調停の衝に當らしめると云ふことが、是がどうも容れられないのでありましたならば、少くとも此の調停委員會に或一種の有權的の權能を認め、調停案を作成する當事者が、之を聽入れない時には此の調停に代るものを拵へ上げることが出來る、さうして當事者は之に服從しなければならぬと云ふことに補正すべきであると私は考へて居ります、而して此の調停に代る或ものに付きましては、是は當事者に取つては事實大でありするから、矢張り之に對して不服がある者は裁判所に申立をさせる、結局は裁判所に於て其の或るものが適正なものであるかどうかと云ふことの終結の判斷を爲さしむべきだと考へる、此の點に於ては勞働組合法の規定を讀んで見ますと、裁判所が解散を命じた場合に、其の解散の裁判に對しては申立が出來ると云ふことを認めて居るのと同じやうに致して宜からうと私は考へて居るのであります、尚序に勞働組合法の六條の規定でありまするが、此の規定がどうも解釋に苦しんで居る、第一項の規定でありますが、「前條第一項の届出ありたる場合に於て當該組合第二條に該當せざるときは命令の定むる所に依り勞働委員會の決議に依り行政官廳之を決定す」何を決定するのか、決定すると云ふのはどう云ふことを決定するのか、どうも是は難解の條文であると思ひます、此の六條の規定が勞働組合法に於ては可なり有意義に働いて居ります、此の點に付ても政府の御解釋を此の際に承つて置きますれば大變に結構であると考へて居ります、教へて載きたいのであります、要するに私は以上述べた趣旨に於て、矢張り當初から私が主張致して居りますることに付ての事柄を、此の調停の審議に付きまして矢張り主張致します、其の點に付て各位の御勘案竝に政府の御考慮を御願ひ致したいのであります、それだけ本審議に入れるに付て、是がどう云ふ工合に審議されるか分りませぬが、それに付て私の主張を保留して置きたいと云ふことを特に申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=47
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048・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 只今の吉田議員の御質問でございますが、是は非常に重大な問題でありまして、大體此の勞働法規は御承知の通りに憲法に於て今度の草案に於ても認めて居りまする勤勞權と申しますか、之を確保する、もつと端的に申しますれば、勤勞者の生活なり或は民主的の立場を出來るだけ擁護しなくちやならぬ、國家が之を保障しなくちゃならぬと云ふ一つの大きな目標と、もう一つは公共の福祉を國家は維持して行かなくちやならぬと云ふ目標、之をもつと碎いて申しますれば、一般國民生活なり或は日本産業の再建なり、或は秩序の維持なり、或は「ポツダム」宣言に依る義務の履行なり、斯う云ふやうな面に於ける公共の福祉と云ふ一つの太い線と、此の二つの交錯關係で何處で國家が線を引いて行くかと云ふ問題に歸著するのであります、それで只今のやうな國の移り變りの時には、此の線の引き方と云ふものは非常に面倒であると云ふことは、是は御了承下さることと思ふのであります、それで特に民主主義に變ります時であるし、それから又經濟上の非常に動搖のある時である、國民生活、勤勞者の生活の保障と云ふことの非常に重大な時でありますので、下手に線を引きますと、非常に茲に色々な重大な摩擦を起す懸念もありますので、先づ政府としましては、只今のところ此の調整法或は勞働組合法ぐらいの所で二つの線を區別をして行くと云ふのが適當なりと云ふ大體の考に於て、此の案が立つて居るのであります、勿論輿論と云ふものはまだ十分發達しませぬ、それから又勞働爭議が解決をしない場合に、總てを輿論に委せて行くと云ふ譯ではありませぬ、兩方の力の關係もありませう、國家の權力で一つのことを強制して行かぬと云ふ所だけに特徴があります、其の以外の所はどう云ふ方法でどうなるかと云ふことは自ら是は別になつて居ります、其の中の一つとして輿論と云ふものの力が重大なる働を成すだらうと云ふことを期待して居る譯であります、輿論と云ふものも御承知の通り十分でないことは是はもう其の通りでありますけれども、例へば今度の「ゼネスト」の問題にしましても、是で世間に教へること非常に多いものがあると思ひます、又是で一般大衆にも、國民全體にも、又政府にも、色々の示唆を與へることと思ひます、斯う云ふことに依つて矢張り一つの自覺と言ひますか、勞働者の自覺も國民の自覺も茲に起きて來ると云ふやうな譯で、何ものか一歩前進と云ふものを來すだらうと思ひます、さう云ふ線に沿つて斯う云ふ問題を考へて行く、併しそれに依つて成程斯うしなくちやならぬ、斯う變へなくちやならぬと云ふことが大體はつきりしました時には、自然又勞働問題に對する色々な關係が變化を來すと云ふ風に私共は見て居ります、それをまあ一つの前提として、斯う云ふ勞働法規關係が世間に示された、それに依つて議會なり世間の輿論なり或はそこに於きまする色々の響を聞いて、是が出來て行くと云ふ風に私共は考へて居ります、御趣旨の點は勿論御尤もの點も非常に多いと思ひます、矢張り一種の何か社會の安定と申しますか、掻き廻されたやうな社會が段々沈澱して行くと云ふことを待たなくちやならぬと云ふ意味のことも、多分にあるだらうと云ふ風に考へる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=48
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049・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 只今吉田委員からの御質問に對し大臣の御答へになりました以外のことを申上げます、第一の斡旋と調停の違ひでございますが、斡旋は一つの和解でございます、間に人が入ってさうして取入つて話を付けると云ふ一つの和解の方法であります、それから調停も一つの和解ではありますが、斡旋と違ひますのは、御指摘になりましたやうに解決案と云ふものを作つて、さうしてそれを勸告をすると云ふ所が斡旋の方法より一歩前進して居るのであります、と同時に斡旋は何と申しますか、堅苦しくない制度でありますが、調停になりますと、調停委員會と云ふものを作つて、さうして使用者側、第三者、同數で以て構成されて行きますから、多少面倒な制度になります、斡旋の方は斡旋委員が自由に中に入つて、解決するならば取纒めると云ふ風な極く輕い制度になつて居る譯であります、それから十八條の第一號の、双方から申請がなければならぬと云ふ風になつて居るがと云ふことは、只今大臣から御話のありました點でございます、一方からだけでも主張があればやつたらどうかと云ふ意見もありますが、さうしますと、多少爭議に對して一般の方に干渉と云ふ風になる形になりますので、現在の所では任意の普通の企業に付きましては、兩方から持込まれた時に採上げると云ふことを考へて居ります、それから調停の有權性に付きましても、是は前委員會の時にも御質問があつて御答へ致しましたし、又只今大臣から御話がありました點で御了承載けると思ひます、それから組合法の第六條の關係でございますが、組合法第六條に、御話のやうに組合法の第二條に該當しない、詰り資格を持たないと云ふことを決めるには、勞働委員會の決議に依つて行政官廳が決めるとあります、第二條は勞働組合と云ふものの資格を規定してございます、本法に謂ふ勞働組合と云ふものは斯う云ふものを言ふ、併し次のやうなものに該當したならばさうでないぞ、斯う云つて、使用者を代表する者を入れたり、或は主たる經資を使用者側から仰いだり、或は主として政治運動等をやるもの、斯う云ふものは勞働組合の資格を失ふ譯であります、此の資格を失ふか失はないかと云ふことは重大な問題でありますから、勞働委員會のやうな民主的な組織に掛けまして、其の決議に從つて行政官廳が之を決めて行きます、さうして決定をしますとどう云ふことになるかと云ふと、其の十四條で勞働組合は左の事由に因りて解散をすると云ふ中の、第六條の規定に依つて決定がなされると、此の十四條で資格を失ふと云ふことに相成るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=49
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050・吉田久
○吉田久君 今の第六條の點でありますが、そこに第二條に該當せざるときは行政官廳之を決定するとある、さうしますと、第二條で勞働組合たる資格の決定を、該當するかしないかを行政官廳で決めるのですか、それとも該當しないと云ふことを決めるのでありますか、其の點をはつきり……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=50
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051・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 是は該當しないと云ふことを決める譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=51
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052・吉田久
○吉田久君 該當する場合には別に決定しないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=52
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053・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 該當する場合には別に決定を致しませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=53
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054・吉田久
○吉田久君 該當します時は是は勞働組合とは認めないのですか、そこのはつきりした見解を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=54
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055・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 法律の第二條で、斯う云ふものは勞働組合だと云ふことでございますから、斯う云ふ資格を持てば別の決定即ち資格審査を經なくても當然資格を持つて成立する譯であります、併しながら斯う云ふ但書にございまするやうな缺格條項に該當しますと其の資格を失ふ譯でありますから、其の缺格條項に該當するかどうかと云ふことを審査をする……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=55
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056・吉田久
○吉田久君 矢張り該當すると云ふことを決定する譯でありますか、該當しないと云ふ場合……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=56
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057・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 該當するしないの問題でございますが、此の二條の本文と但書がございます、それで本文の方に該當すればそれは資格がある譯でございますから、其の本文に該當するものは該當すると云ふ決定を必要としない譯であります、それはもう當然該當すれば資格を持つ譯であります、それで第二條の但書の條項に該當すれば資格を失ふ譯でありますから、其の失ふのには勞働委員會の決議がないと當然には失はない……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=57
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058・吉田久
○吉田久君 分りました、それからもう一つ……甚だ諄いやうで恐縮ですが、只今厚生大臣から此の有權性の御意見を伺ひました、御尤もであると拜聽致しましたが、どうも近頃勞働運動と云ふものが法律の上で合法的に認められたと云ふことからして、之を宜いことにして、勞働運動に名を藉って非違を遂げると云ふ傾向が多分にあると考へて居るのであります、私は其の非違の一つとして、此の前に二三の犯罪になる事例のあつたことを知つて居るのであります、刑事局長の意見も是は結局犯罪行爲になるだらうと云ふことに傳へ聞いて居ります、そこで一兩日前の新聞を見ますと、内務省から、「ダイヤ」を變更すると云ふやうなことを公表することは、それは違法である、爭議行爲とは認めないのであるから、嚴重に取締ると云ふ指令を發せられたやうであります、是は大變時宜を得た御處置であると考へて居ります、どうも今大臣から御話がありましたやうに、民主主義的に總て勞働團體等を取扱はなければならないと云ふやうな觀念からして成るべく摩擦を起させないやうにと云ふやうなことで、どうも當局のやり方が目に餘る程窺はれると思うて居るのであります、成程摩擦をすると云ふことに避けなければならない、又彈壓も是は戒めなければなりませぬが、併しながらどうもそれも事に依りまして、違法なことをして、さうして爭議行爲を遂行すると云ふやうな場合に、尚之を摩擦を起させないやうにすると云ふやうなことで、寛容な態度で取扱ふと云ふやうなことは、私は甚だ面白くないことであると考へて居るのであります、其のことが矢張り本案の爭議の調停に付ても私は加味されて然るべきではないかと思ふのであります、どうか一つ事は將來に關することかも知れませぬが、更に一段の御考慮を希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=58
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059・種田虎雄
○種田虎雄君 此の三十條の茲に色色、一號、二號とありますが、公益事業の方はどうなのですか、何も規定がないのですが、伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=59
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060・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 三十條の仲裁の方は、仲裁の案が決定しますと勞働協約と同樣の效力を生じまするので、是は公益事業でありましても、さうでなくとも、矢張り兩方から申入れないとやれないと云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=60
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061・種田虎雄
○種田虎雄君 我々此の法案を讀みまして、只今御話のやうな極く分り切つたやうなことでも、ちよつと讀むと頭に直きにぴんと分らないやうなことが多々あるのでありますが、是は一つ、殊に一般關係者方面で理解しなければならぬ法案だと思ひますので、何か此の解説的なものを御作りになる御考がありませうか、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=61
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062・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 只今御尋ねのやうに、此の法律に付きましては、詳しく説明書を書きまして、さうして普及徹底に努めたいと存じます、色々私の方でも準備をして居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=62
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063・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 次は第五章の「爭議行爲の制限禁止等」、第六章の「費用辨償」の質疑に入ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=63
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064・松平乘統
○子爵松平乘統君 第三十八條に「その他」と云ふのは二箇處にありますが、此の御説明を願ひます、「警察官吏、消防職員、監獄において勤務する者その他」、それから先に又「司法の事務に從事する官吏その他」、「その他」が二箇處ある発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=64
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065・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 三十八條の初めの方の「その他」と申しまするのは、警察官吏、消防職員、監獄に勤務する者以外の者でも、國又は公共團體の是れ是れの者は爭議行爲が出來る、斯う云ふ意味でございます、それから後の方に出て來まする「從事する官吏その他」の「その他」と申しまするのは、從事する官吏ばかりでございませぬで、例へば中央の官廳に勤めて居りますると、國務の遂行に必要なる官吏と同時に、其の下に居ります例へば「タイピスト」のやうな者でも、其の指令を出すとか何とか云ふ時に、それが休まれては、唯幹部だけ居つても仕事が進みませぬから、是は官吏と云ふ身分だけに拘束しないで、其の他の者でも斯う云ふ事項に該當する者はいけないぞと云ふ趣旨でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=65
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066・松平乘統
○子爵松平乘統君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=66
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067・壬生基泰
○伯爵壬生基泰君 第三十八條で御伺ひしたいのですが、「現業以外の行政又は司法の事務に從事する官吏」、之に教員は入つてないと聞いて居りますが、さうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=67
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068・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 此の中に教員は入つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=68
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069・壬生基泰
○伯爵壬生基泰君 さうなりますと、行政事務又は司法事務をやる者は爭議行爲をしてはいけない、併し學校の先生は「ストライキ」をやつても宜いと、斯う云ふことに考へて宜いのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=69
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070・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=70
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071・壬生基泰
○伯爵壬生基泰君 さうなりますと、純眞なる兒童に非常に影響を與へる教職にある者が、教壇を放つたらかして「ストライキ」を假にやつたと云ふ場合には、行政官吏が罷業をやつた影響程一般には影響がないか知れませぬが、子供に對する精神的影響は大きいのぢやないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=71
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072・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 此の三十八條に「現業以外の行政又は司法の事務」と云ふことは、言ふ迄もなく公共的のものとして非常に重大なる關係がありまして、之に爭議行爲が起きますと、殊に「ゼネスト」のやうなことが起きますと、政府と云ふものの仕事の運行が直ぐ止つてしまふことになります、さう云ふやうなことでも起きますると、官吏と云ふ少數者の行爲に依りまして、國民全體の投票を基礎にした民主的の政府と云ふもの等も引繰り返るやうなこともあるかも知れぬと云ふやうな心配等も多分にありまして、それは本當の民主主義ではないぢやないかと云ふ趣旨に依つて、斯う云ふことになつて居るのであります、そこで教育と云ふものの「ストライキ」が好ましいか好ましくないかと云ふことは、自ら別に心得まして、さう云ふ意味に於て、一般の官吏の爭議と及ぼす影響が違ふのでありますから、さう云ふ意味に於て教育の「ストライキ」を茲に禁止して居らぬのであります、併しながら教育の「ストライキ」を好むか好まぬかと申しますると、勿論是は好まぬのであります、好まぬのでありまするけれども、此の條項の意義に於て、禁止と云ふ中には入れて居ない、さう云ふ風に御了承を願ひたいのであります、それから尚「官吏その他の者」と云ふことに付て只今も御尋がありましたが、「その他の者」と云ふ範圍は、矢張り國務の遂行と關聯性を持つた意味に於ける「その他の者」でありますから、例へば「エレベーター・ボーイ」、小使と云ふやうな者は、國務の遂行に直接影響あると思はれませぬ、結局「エレベーター」が無くても歩いて上れば宜いぢやないかと云ふやうな意味に於て、「その他の者」にはさう云ふ方面は入つて居りませぬ、併しながら「タイピスト」のやうな者は、國務遂行の矢張り一部であると云ふ風に解釋して居ります、是は事實問題に於て決めて行く考であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=72
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073・壬生基泰
○伯爵壬生基泰君 第三十八條のことで御伺ひ致しますが、「警察官吏、消防職員、監獄において勤務する者」、斯う云ふ者は團結權を認められて居らないのでありますが、其のあとの「現業以外の行政又は司法の事務に從事する官吏その他の者」は團結權は認められて居る、此の違ひは、結局團結權を認めた以上は、罷業權も或程度認められても宜いと云ふやうな法律的の解釋が成立するのぢやないかと思ひます、それで假に爭議行爲をしてはいけないと云ふ者に對しては、いつそ團結權も認めないと云ふ風にした方がはつきりしてしまふのぢやないかとすら考へられますが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=73
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074・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 只今御質問の御趣旨も一つの方法だと思ひますけれども、此の法律に執つて居る建前は、團結權も爭議權も認めない官吏、それから團結權だけ認めて爭議行爲權を認めない官吏と二つに分けて居りまするが、其の趣意を充づ妥當なりと云ふ見解でやつたことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=74
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075・壬生基泰
○伯爵壬生基泰君 今大臣から御説明がございましたが、團結權だけを認められて居る官吏と云ふものは、假にまあ何か待遇改善とか何とか云ふやうな問題が起つた場合には、喧嘩する方法はあるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=75
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076・河合良成
○國務大臣(河合良成君) それは爭議行爲を爲すことは出來ませぬけれども、爭議行爲以外のことは出來ることになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=76
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077・壬生基泰
○伯爵壬生基泰君 さうなりますと、第七條にございまする正常な運營を何か阻害する方法で要求貫徹をやることが出來ないと云ふ風に考へられるのでありますが、其の外正常な運營と政府が認めて居ない業務管理とかさう云ふやうな方法はやつて宜しいと云ふやうな風に廣く解釋して宜いのですか、それとも唯大臣なら大臣の前に代表者が要求書を突付けるとか何とか云ふ程度だけを認めると云ふやうな意味なんですか、どちらの意味で御考になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=77
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078・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 業務管理の方は勿論爭議行爲以上であります、正當なる爭議行爲でなく、正當ならざる爭議行爲と認めて居りますから、勿論いけませぬ、だから結局正常なる運營を阻害せざる程度に於ける勞働權、勤勞權を認めると云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=78
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079・種田虎雄
○種田虎雄君 三十九條に「責任のある使用者若しくはその團體、勞働者の團體」云々と云ふことが書いてありますが、是は事務室か何かを締出すとか、さう云ふやうな場合が當嵌まることになるのでありませうか、どう云ふことを豫想して居られるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=79
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080・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 此の三十九條に謂ふ「責任のある」と云ふのは、工場でありましたら其の工場の責任者、使用者と云ふ譯でございます、それで其の下の方が之に違反したからと言うて、唯下の者がやつたのだと云ふ譯には行かないで、其の責任者が處罰を受ける、斯う云ふ意味で「責任のある」と言つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=80
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081・種田虎雄
○種田虎雄君 官吏の方は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=81
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082・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 團體の方でございますか、團體の方は其の團體の組合長であるとか幹部であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=82
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083・種田虎雄
○種田虎雄君 「前二條の規定の違反があつた場合においては」と書いてありますが、さうしますと此の三十八條の規定は入るのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=83
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084・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=84
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085・種田虎雄
○種田虎雄君 此の三十八條の中に入るとして、其の違反行爲のあつた時に責任ある使用者が制裁を受けると云ふことになつて居ますが、それはどう云ふことを豫想して居るのでありますか、一つ事例を擧げて御説明を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=85
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086・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 三十九條の「責任のある使用者」、是は「團體、勞働者の團體又はその他の者若しくはその團體」それぞれ總て皆入ることになつて居ります、それで三十九條には勿論三十八條が入る、三十八條の違反行爲は、是は今の組合の方が斯う云ふ行爲をしてはならないと云ふことでありますから、官廳の組合が若し之をやりますれば、其の責任のある組合長或は其の組合の團體と云ふものが責任を負ふ……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=86
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087・種田虎雄
○種田虎雄君 使用者と言ふのは……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=87
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088・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 使用者と言ふのは、三十七條と三十八條兩方含めて居りますから、斯う一緒に書いて居る譯でございますが、三十八條の方は是は使用者側の違反でなくて、組合側の方の……官吏の方の違反でありますから、それに付ては該當がない譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=88
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089・種田虎雄
○種田虎雄君 左樣でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=89
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090・吉田久
○吉田久君 只今の三十八條の解釋でございますが、後段の「司法の事務に從事する官吏その他の者」、司法事務に從事する官吏と云ふのには、現業の官吏と現業でない官吏とがありますが、司法事務に從事する官吏は現業に從事すると否とを問はず總て爭議行爲をしてはならない、斯う云ふ風に解釋されると思ふのでありますが、此の點は如何ですか、もう一つ「官吏その他の者」と云ふことに付て厚生大臣から御説明がございましたが、「その他の者」と云ふ範圍は可成り廣いやうでありまして、所謂公務員と云ふものよりも、更に範圍が廣いのではないかと思ふのであります、公務員の中には、所謂雇員と云ふものは現行法では入つて居らぬと思ひます、さう致しますると云ふと、公務員と云ふものよりは、「その他の者」、と云ふのは、其の範圍が廣いと解釋して宜からうと思ふのでありますが、其の點は如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=90
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091・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 只今の御尋の點でございますが、三十八條の「司法の事務に從事する」と云ふのは、其の司法の事務に從事して居る者は全部入りますが、茲にあります「現業」と云ふのは、公企業の意味の現業でございます、從つて國鐵のやうに汽車を動かすとか、或は都が電車を動かすと云ふ公企業、是は政府なり又は公共團體が經營をして居ります、從つてそれに從事して居る者には官吏もございまするし、公吏もございまするが、併しさう云ふ身分でなしにさう云ふ公企業は、是は國が經營しても、或は又會社が經營しても、所謂一般公衆の面から見れば同樣でございます、國が經營して居る鐵道は、是は爭議行爲をしてはいけない、會社のやる鐵道の方は爭議をしても宜しいと云ふ譯に參りませぬので、此の制限した趣旨は專ら一般大衆と云ふ點を考へて居る譯でございますから、それで此の三十八條では國か或は公共團體が假に經營しましても、さう云ふ公企業は一般の會社の公企業と同樣に三十八條から外して、所謂三十七條に入る斯う云ふことでございます、詰り身分に依らない、從つて司法事務は公企業ではございませぬので此の中には含まれないと思ひます、それから今の「官吏その他の者」と云ふのは、御話のやうに公務員ばかりではございませぬ、厚生大臣から御話がございましたやうに、國務或は公共團體の事務を遂行する上に於て必要な者であれば、公務員以外の「タイピスト」のやうな雇員も入る譯であります、併しながら國務なり公共團體の其の本來の事務を遂行する以外の、例へべ掃除人夫がありまするとか、「エレベーター」係、斯う云ふ風な事務は、關係はありますけれども、所謂國務の遂行の事務ではございませぬから、さう云ふものを除く斯う云ふ趣旨でございます、實質を主體にした規定でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=91
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092・種田虎雄
○種田虎雄君 此の三十六條の此の違反行爲をやつた場合には罰則はないやうでありますが、是は矢張り普通の刑法で處罰するやうにでもしようと云ふ譯でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=92
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093・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 三十六條の規定の違反に付きましては、本法では違反處罰規定はございませぬ、それは斯う云ふ工場なり或は鑛山等の安全保持に付てはそれぞれ必要なものは規定がございまして、それに處罰がございます、此の三十六條の規定を置きませぬと、勞働組合法第一條の二項を以ちまして、正當な爭議行爲は刑法の違法性を阻却することになる譯でありますから、鑛業法、工場法等に安全に關する法規がございましても、其の處罰を受けないと云ふ解釋になりますから、茲で以て三十六條は、それは違法性を阻却しないぞと云ふことを規定した譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=93
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094・種田虎雄
○種田虎雄君 此處には何も書いてないことでありますが、此の間の國鐵の「ゼネスト」をやると云ふ場合に、他の産別會議等に於て之に參加して居る各種の團體が、同情罷業と云ひますか、さう云ふやうなことを計畫して居つたやうでありますが、其の色々の産業の中には、馘首とか、さう云ふやうな問題も起らぬやうな企業も入つて居るやうに思ひますが、大體同情罷業と云ひますか、さう云ふやうなことをやつて居るやうな場合に於て、政府はどう云ふ風に御考になるのでございませうか、是は何等法規の上に於ては制裁はないやうでありますが、それに對する取締と云ふのはをかしうございますけれども、放任して置かれる考でございませうか、是は少し行き過ぎた御尋ねかも知れませぬが、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=94
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095・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 同情罷業と云ふものの性質にも依るでありませうけれども、例へば馘首の問題に付て國鐵の「ゼネスト」が起きて居る、馘首の問題と云ふことの關聯性に於て警戒をしてのことだと云ふやうなことならば、非常に關聯性があると思ひますけれども、今御指摘のやうに全然關聯のなくてやると云ふやうなことはどうも好ましくないと思ひます、思ひますけれども、只今の所でそれに對してどう云ふ方法を執ると云ふことは具體的に考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=95
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096・吉田久
○吉田久君 三十九條の罰金でありますが、是は團體に科する罰金……法人である場合には、理事、取締役其の他法人の業務執行者、法人でない場合には、代表者其の他業務を執行する役員とあります、それで是等の役員が個人として處罰を受けるのでありますか、それとも團體の代表者として處罰を受けると云ふ意味でありますか、其の點を伺ひたい、若し團體の代表者として罰を受けると云ふことになりましたならば、罰金額は或は團體の金を以て之を納めると云ふことも出來ることになりはせぬかと考へるのであります、さうなりますと、此の罰則の適用と云ふものは餘り意義を成さなくなると考へるのであります、要するに個人として罰を科するのであるか、團體代表者として罰を科するのであるかと云ふことに付て御考を承りたいのであります、それから尚罰金を納める金、納める所の罰金と云ふものは、個人の金を以て納めなければならぬのか、それとも團體の金を以て納めても宜しいのであるかと云ふことを御尋ね致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=96
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097・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 第三十九條の二項は、御話のやうに、法人であります時には、理事とか取締役其の他其の法人で決めて居ります業務を執行する者、それから法人でなくても、所謂組合は法人格の無い社團と考へて居りますので、矢張り其の代表者なり、或は業務を執行する役員に適用する譯であります、それは第三十九條の一項で其の團體が團體として處罰を受ける時はさうでございます、從つてさう云ふものの罰金は組合が支拂ふことになります、併し三十九條は、團體を處罰をする場合がありますが、行爲者を處罰をする場合もあります、其の行爲者自體が違反をして處罰をされる場合は、それは其の行爲者自體が罰金を支拂ふべきだと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=97
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098・吉田久
○吉田久君 どうも團體に科する罰を團體の金から罰金を納めると云ふのは、實際に刑罰の目的を達するかどうか甚だ疑問だと思ひます、是は矢張り團體を代表する所の個人の科罰になるべきではないかと考へますが、其の點はさう云ふ風に解釋する餘地はないのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=98
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099・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 是は組合ばかりでなしに、會社に付きましても、同樣でございまして、其の會社なり組合なり、さう云ふ團體を處罰する時は、其の團體の責任者に適用は致しまするけれども、それは矢張り其の組合なり會社から出す、それから個人の行爲罰でありまする時は、それは其の行爲者を處罰する、是はどうも已むを得ぬのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=99
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100・正田貞一郎
○正田貞一郎君 私も此の法案に付ては色々詳しく御聞きしたいことも澤山ありますけれども、先程種田さんの質間に於て、政府委員の方から何れ巨細の解釋のやうなものを下さると云ふことでありますが、唯私が茲で一言して置きたいことは、今實際問題として非常に大切の時になつて居ることはもう私の言ふ迄もないのでありまして、誠に一日も忽せにすることが出來ないと云ふ色々の切羽詰つた状態になつて居るのでありまするので、斯う云ふ風な關係法案は速かに、若し成り立つならば成るべく一日も早く實施して、そこで總てのことは適切に處理が出來るやうな風にしたいと考へて居ります、ちよつと一言それだけを御願ひして置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=100
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101・種田虎雄
○種田虎雄君 四十一條の罰則の五百圓と云ふのは、六箇月以下の禁錮又は五百圓、如何にも低いやうに思ふ、勞働組合が五百圓になつて居るので、是と照應して居るやうに思ひますが、斯う云ふことが色々な非難を受ける所ではないかと思ひますが、如何な御考でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=101
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102・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 實は今御話にありますやうに、組合法の方で所謂團結權の保障に付て同じ罰則を掲げて居りますから、こちらの方も同樣にして居ります譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=102
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103・種田虎雄
○種田虎雄君 將來重々御改正になる必要はありませぬでせうか、少し他との釣合が惡いやうに思ふのですが、殊に是は使用者側を罰するのではないかと思ひます、五百圓と云ふ金は如何にも小さいやうに思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=103
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104・吉武惠市
○政府委員(吉武惠市君) 實は金額の方は、罰金刑の方は五百圓でありますけれども、六箇月以下の體罰が入つて居りますから、罰としては相當重い積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=104
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105・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 次は明後日水曜日の午前十時から開會致します、本日は是にて散會致します
午前十一時五十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=105
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106・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 男爵 渡邊修二君
副委員長 子爵 高木正得君
委員
公爵 三條實春君
侯爵 東郷彪君
侯爵 鍋島直泰君
伯爵 壬生基泰君
子爵 秋月種英君
子爵 松平乘統君
子爵 大久保教尚君
子爵 三宅直胖君
桑木嚴翼君
牧野英一君
吉田久君
男爵 松本本松君
男爵 山根健男君
男爵 山名義鶴君
男爵 中村徹雄君
種田虎雄君
正田貞一郎君
竹中藤右衞門君
片倉兼太郎君
國務大臣
厚生大臣 河合良成君
政府委員
厚生事務官 吉武惠市君
同 富樫總一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003757X00419460916&spkNum=106
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