1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○罹災都市借地借家臨時處理法案
○訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年七月十三日(土曜日)午前十時十七分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=1
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002・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 是より罹災都市借地借家臨時處理法案特別委員會を開きます、前囘大臣より提案理由の御説明があり、且又政府委員から全面に亙つての御説明がありましたが、今日は豫定通り總括的の質問を始めたいと存じます、其の前に竹下君何か……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=2
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003・竹下豐次
○竹下豐次君 一昨日資料の提供を御願ひ致しました處、私の期待しました通りの細かい統計表を戴きまして有難うございました、一應之を拜見したのでありますけれども、固より此の表を見ただけでは復興計畫と云ふものを窺ひ知ることが出來ないのであります、處が現在審議中の法案と復興計畫とは是は非常に密接な關係があるやうに思ひます、法案の一條々々全部細かく研究した譯でもございませぬけれども、もう既に例へば第五條とか第十一條に規定してありまする契約の期間の問題と云ふやうなことだけ捉まへましても、復興計畫がどう云ふことになつて居るか、又どう云ふ風に進みつつあるかと云ふやうなことと離れられない密接な關係があるやうに思ふのであります、就きましては復興院の御方でどなたかおいで願ひまして、成べく早い機會に説明をして戴きますならば、本案を審議致しますに非常に參考になると思ひます、此の問題は各地方に依りましても非常に状況の違ふことでありますから、さう細かいことを一々御伺ひしたいと云ふことは御無理だと思ひますが、大體の御話を承ることが出來たら仕合せだと存じます、委員長の方で宜しく御取計ひを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=3
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004・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 御諮り致しますが、口今竹下君の御發言のやうに、本案は復興院の復興計畫と關聯して居ります爲に、或適當な時期を選びまして、成るたけ早く復興院の然るべき方を御呼びして、復興計畫に付ての御話を御願ひしたいと存じますが、皆様如何に御取計ひ致しませうか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=4
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005・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 御異議ないと認めます、然らば復興院の方に委員長の方から連絡致しまして、此の次位に復興院の説明を聽くことにします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=5
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006・作間耕逸
○作間耕逸君 私は矢張り御發言に關聯して此の本法案の審議の上に於て關聯した一般的實際問題と致しまして、貸家の建設の奬勵助成等に付て復興院當局が、政府として如何なる見解或は方針を支持して居られるか、それに付て承知致したいと云ふ趣旨で實は御伺ひも致したい、御答辯を願ひたい爲に復興院總裁の御出席を求めたいと斯う思つて居るのであります、私は遲參致しまして、聽き漏らしましたが、只今のは復興院の總裁の復興一般状況經過に付て講演を聽きたいと云ふ御要求でございましたが、私は答辯を求める爲に御出席を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=6
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007・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 承知致しました、今作間君の御希望は竹下君の御意見と大體同じ方向のものでありますから、早速復興院の方に委員長の方から交渉致しまして、成るべく早い機會に於て復興院の總裁又は其の下の者を此處に出席して戴きますやうに取計ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=7
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008・作間耕逸
○作間耕逸君 尚矢張り本法案の審議に關聯致しまして、家賃の一般的標準に關する問題、地代も同樣であります、家賃、地代の一般的の基準を改訂して之を實施せらるる意見があるかどうか、それ等に關して是は主管が厚生省だと存じます、厚生大臣の御出席を願ひます、それから同樣本法案の審議に關聯して土地建物の賣買の代金の處理、是から自然賣買が大いに制約されて居るのであります、是は臨時資金調整令竝に其の施行規則等の實施に依つてさうなるのでありまするが、今日に於ても尚さう云ふやうな制限的取扱を繼續して行かれる特別の理由があるかどうであるか、此の點に付きまして矢張り大藏大臣の御答辯を願ひたいと思ひます、併せて兩大臣の御出席を求めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=8
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009・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 只今作間君の御申出の厚生大臣及び大藏大臣の答辯を求められる點に付きましては委員長の方で然るべく取計ひます……ちよつと申上げますが、作間君の今迄の御意見の中に地代、家賃、是は矢張り厚生省でなくて復興院に屬するさうであります、今民事局長からさう云ふやうな御話がありました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=9
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010・作間耕逸
○作間耕逸君 それぢや厚生大臣は宜しうございます、戰災復興院總裁と大藏大臣……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=10
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011・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 村田君は……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=11
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012・村田保定
○男爵村田保定君 今の作間委員の御要求で私の發言は必要がなくなりました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=12
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013・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) それでは是より本論に入りまして罹災都市借地借家臨時處理法案の概括的御質問を御願ひしたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=13
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014・森俊成
○子爵森俊成君 是は中って居る質問であるかどうか分りませぬが、若しも御意見を承ることが出來れば結構だと思ふのであります、土地でありまするが、大體に於きまして殊に都會の住宅土地、斯う云ふ風な住宅土地のやうに限界的のものは、是は社會政策方面から見ても疑問はありませうが、或個人が所有すると云ふ風なことを無制限に許されるものであるかどうか、或は將來一定の個人が持つ限度と云ふものを或範圍に限定をすると云ふやうな御意向があるかどうか、と云ふのは他のものと違ひまして、都會の住宅土地と云ふものは何と申しましても限りのあるものであります、誰でも持つと云ふことは出來るものでないのであります、或少數の者が占有すると云つては甚だ大袈裟でありますけれども、厖大に所有すると云ふことはどうかと思はれる、斯う云ふ風な點から限界をすべき問題だと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=14
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015・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 只今の御尋でありますが、此の點に付きましては或場所で私が此の法案の説明を致しました時にも、實はさう云つたやうな疑問が提出されまして、即ち農地等に付ては國家が或は買收して再分配をすると云つたやうに政策的に考へて行かれるやうであるが、此の都市の少くともまあ罹災の跡地と云ふやうなものに付て政府が之を買上げて再分配をするとか、或は個人の所有と云ふやうなものに付てさう云ふ國家的立場から制限する、統制をして行くと云ふやうな考はないかと云ふ風な御質問もありましたので、それとも關係するやうに思ふのでありますが、まあ此の點は實は司法省の所管と致しましては、何とも御答へ申上げることは出來ないのでありまして、唯此の臨時處理法は罹災都市の借地借家の燒跡の借地關係、或は使用關係に付て、臨時的應急の措置と致しまして、若し此の法案を出しませぬならば、此の前の罹災土地物件令が消滅致します關係上後の權利關係が混亂致します、さう云ふ關係から一應臨時の罹災跡地の權利關係を調整致すと云ふ目途を以て此の法案を出した次第でありまして、根本的な都市に付ての、どう云ふ計畫を致しますかと云ふ點に付きましては、所管も違ひますことでありますし、此の法案と致しましては、さう云ふ點には何等觸れて居らないのであります、唯先程も問題になりましたやうに、是は戰災復興院等とも十分な連絡を持ちながら、都市計畫或は其の他の建築規正の關係等も考慮に入れまして立案致したのでありまして、其の事柄は例へば第二條の第一項の但書に「他の法令により、その土地に建物を築造するについて許可を必要とする場合に、その許可がないときは、その申出をすることができない」と云ふやうな場合に於ける、「他の法令」と云ふ風な中に、都市計畫法であるとか市街地建築物であるとか、又今囘提出になつて居ります特別都市計畫法等の場合も豫定の中に入れて規定して居る次第であります、又疎開跡地に關する事柄に付て、第九條の但書に於きまして、「公共團體が疎開建物の敷地又はその換地を所有し、又は賃借してゐる場合は、この限りでない」と云ふことに致しまして、公共團體が或は其の疎開跡地を緑地帶とか或は廣場に使ふとか、道路を造ると云ふ風なことで、尚此の疎開跡地を解除しないで公共團體が持つて居るとか其の借地權を設定して居ると云ふ場合は、此の借地權設定から除外して居ると云ふ風な事柄も、矢張りそれ等も豫定に入れて、關聯しての規定でございまして、大體戰災復興院とも協議して立案せられたものでありますから、先程の問題の點もそれ等と矛盾なく立案されて居ると御了解願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=15
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016・作間耕逸
○作間耕逸君 私は司法大臣に御尋を致したいと思ふのでありますが、此の法案は主として戰災當時の戰禍に罹つて燒失した所謂罹災建物の借手、即ち多くは當時の居住者及其の建物の敷地の當時の借地權者、此の者の權利を確保する、若くは優先的の扱をして、以て一概に戰災に罹つた土地建物の權利者を救護せられると云ふ目的から立案せられたものであることは、政府の御説明を拜承し、又之を拜承する迄もなく、此の法案自體に依つて窺はれるのでありますが、是が立法の第一の目的であることと斯樣に信じて居ります、今や國民生活問題の中、食糧の方面は聯合國司令部の好意ある協力、此の幸なる天候の順調、其の他の事情に依りまして稍稍解決の曙光を認め、國民は希望ある前途を明るい氣持で迎へることが出來るやうになりました、全く官民協力の御陰であります、次いで來るべきものは、國民生活の問題と致しましては此の住宅難の打開であります、もう既に此の聲は社會的に輿論として高まりつつある、此の食糧問題が落付くに從つて今度は住宅問題が高潮化する、或は白熱化する虞が多分に見透されるのであります、然るに政府が此の時局に於て此の法案を提出されて、住宅難解決の一方策とされると云ふことは誠に時宜を得たものであるとして我我は深く敬意を表する次第であります、唯此の法案を出されまする以上、第二次的に、副次的に、序に此の復興促進の方面にも相當御留意をなされて然るべきではあるまいか、尤も此の法案の處々隨處には其の趣旨が現はれて居る所もありまするけれども、何としても司法省の案としては罹災者の權利の保護、正當なる罹災者を救護する、それ以外に餘り出られると、戰災復興院の所管にも進むことになるのでありまするが、併しながら直に此の大都市其の他戰災都市の復興を計畫するに付ては、單に罹災者を救護するばかりでは尚慊らぬのでありますと云ふ説もあり、見方もあるのであります、國民感の情上から言へば、甚だ私は非人道的であつて、國家もさう云ふ説に與すべきものではない、戰災に遭遇したならば先づ何を措いても國家としても、國民としても之に同情して、之を優先的に扱つて、さうして其の救濟を圖らなければならぬと云ふのは當然でありますが、併しながら復興の大局から見ると云ふと、戰災者を保護すると云ふことは復舊にはなるかも知れませぬが戰災者と云ふのは氣の毒にも多くは實力を戰災の爲に喪失して居る、であるから僅かに舊來の生活を維持する、それが一生懸命だと云ふやうな者が數の上に於て少くないのであります、國家の大都市復興の目的から云へば、實は戰災に遭はず資力に餘裕のある、而して此の機會に於て都市の復興に協力して將來大いに發達を圖らむと云ふ熱意を持ち、又其の實力を持ち、又其の用意を持つ國民が乘込んで來て、復興の協力或は支援をする、自ら復興の當事者になる、復舊ではないけれども復興の方に力を特つ、持たした方が復興の爲にはなるのだ、國家から觀ればどれも市民である、必ずしも、戰災前の市民である都民でなけらねば其の後の復興に協力せしめられないと云ふやうなものでは勿論ないのであるから、さう云ふ趣旨の復興協力者、復興熱意者も或程度歡迎してやつて、さうして其の便宜を圖つてやらなければならない、斯う云ふ觀方もあるやうであります、で、此の法案は何としても司法案でありまする以上は、どうも復興に重きを置かるることは案の性質上出來ないのでありまするが、司法大臣として此の案に於ても許さるる限りは復興の方にも副次的に、第二次的に其の趣旨を御認めになるやうにし、尚復興上の權利保護の問題に對しては他日復興院總裁とも能く御協力下さつて其の方の復興從事者の側から觀ても矢張り十分なる權利を認められて、以て復興の促進に便宜を圖られますると云ふやうな御所見でありませうか、一つ司法大臣としての御考を此の機會に伺つて置きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=16
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017・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 御答へ致します、只今作間委員の御説は至極御尤かと存じます、併し此の法案が今政府委員から申上げたやうに、先づ第一次的に罹災民の救濟、其の權利の確保と云ふことが此の法案の目的になつて居りますので、左樣に作間委員の仰せられるやうな復興に付て熱意のある人達は、宜しく此の第二條第三條で罹災民が設定取得されました借地權を其の罹災者から或は讓り受けるなり何なりして、合意の上に於て更に賃借權を取得されて、さうして自分の資力をそこに投じて家を建てられると云ふやうなことは十分出來得る餘地があるのでありまして、所有者と、今申上げる二條三條の借地權者と合意の上で如何樣にも出來るかと存じまするので、其の點は決して此の法案に於て阻止する譯ではありませぬから、熱意のある人はさう云ふ方法を執つて復興に大いに努力を願へるかと存じます、全般的の復興促進に付きましては政府と致しましては勿論大いに考慮しなくてはならぬ問題であります、其の點に於ては復興院とも能く協議致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=17
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018・作間耕逸
○作間耕逸君 只今大臣の一應の御答辯でこちらも一通り了承致しました、唯只今の點に關聯して今度は政府委員に御伺ひしたいのは、一體此の第二條の借地權を設定した其の戰災者の借地權利、それから第三條に依つて借地權の讓渡を求めた其の戰災者の借地權利是等のものは一定の期間内に建築をしなければ解消せられることにはなつて居りまするが、其の建築に着手する迄の間に他人へ讓渡すことが出來るのでありませうか、無論此の法案でさう云ふことは禁制してないのでありますから、禁制してない以上は、民法權利移轉の原則に從つて、讓渡は地主家主の承諾さへあれば自由であると云ふことに相成るのでありますが、さうすると實際に戰災者が戰災の特殊事情を主張して權利を得た、それをぽんと人に讓つて、權利金の差額を儲けて、自分はそれで退いてしまつて、其の權利を高い金を出して讓受けて、本當の建築をする者は戰災者にあらずして、所謂復興建築に熱意を有する第三者である、斯う云ふことは今大臣の御答辯に依つてはさう云ふ場合があり得ることを窺はれて、寧ろさう云ふ場合のある方が復興の助成、復興の奬勵になるのではないかと云ふやうな御趣旨でありましたが、是も一面誠に御尤も、處が戰災者が戰災に遭つて気の毒である、助けてやりたい、であるからさう云ふ特典的扱ひを特に認めてやるのである、戰災者も其の趣旨に依つて權利を得た、間もなくそれをぽんと賣渡してしまつてさうして幾らかの金儲けをして、さうして引込んでしまふ、其の權利を實際に行使する者は戰災に關係なき第三者である、其の關係は政府としてはどう御考になるか、却てさう云ふことがあつた方が宜いのである、復興の爲には宜いのであると云ふことになるのでありますか、さう云ふことはそれはどうも、さう云ふ處置をする戰災者は怪しからぬ、權利賣買で金を儲けて引退るやうな戰災者には、特別の扱ひをしてやりたい積りではないのだと云ふことに御考になるのでありませうか、そこを一つ御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=18
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019・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 御答へ申上げます、此の法案の狙ひと致しましては、罹災者と申しますか、罹災建物の居住者或は罹災建物の借主に二條三條に依つて借地權の設定を得せしめ、或は借地權の讓受を得せしめるのでありまして、此の法案の本來の建前と致しましては、罹災者に借地權の設定或は讓渡を得せしめて、其の居住を保護して行かうと云ふ趣旨になつて居るのでございます、併しながら仰せのやうに、其の間得た借地權を讓渡することを必ずしも禁止はして居りませぬ、ですから一般規定に依つて之を讓渡することは必ずしも妨げる所ではございませぬのでありまして、又第七條に依りますと、其の後六ケ月間に正當な事由なくして建物の建築を始めない時は借地權の設定、或は讓渡を解除せられることに、なるかも知れないことになつて居りますので、此の六箇月間に建築に著手すると云ふことは必ずしも初めに第三條に依つて設定を受けた借主、或は居住者と云ふ其の人が、六箇月間に建てなければならないと云ふ程嚴格に解釋しなくても宜いのでありまして、或は其の者から又借をするとか、或は借地權の更に讓渡を受けると云ふ場合も、此の六箇月以内に建築に著手すると云ふ要件に當箝るのでありまして、必ずしも初の借主自身が建築に著手することでなければならない、と云ふ意味ではないと云ふ風に我々は此の七條を解釋して居るのでございます、さう云ふ意味で、法案の狙ひと致しましては、罹災者に借地權の設定或は讓渡を得せしめて、其の居住を保護すると云ふ建前ではございまするが、必ずしも法律の解釋上、其の讓渡轉貸と云ふ風なことを禁止する趣旨ではないと云ふことを考へて居ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=19
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020・作間耕逸
○作間耕逸君 一般的の私の質問は是で打切りまして、後は逐條にでも入りました時、御許しを願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=20
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021・竹下豐次
○竹下豐次君 作間委員の御質問に關聯して、御尋ねしたいのですが …発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=21
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022・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) どうぞ……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=22
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023・竹下豐次
○竹下豐次君 私御尤もの御質問だと思ひます、第三條にも關係があることだと思ひます、此の春通過致しました農地調整法ですね、あれには農民が讓受けた土地を、二箇年の間は賣却することが出來ないと云ふやうな制限規定があつたかのやうに記憶して居ります、此の場合もそれと大變似寄つた場合であります、さうして作間委員の心配されるやうな事實も私は相當澤山起つて居ると思ふ、何か是は豫防方法を豫め法律で規定して置く必要が非常にあると私は感じて居る、實は私も其の點を御尋ねしたいと思つて居りましたが、作間さんから御話がありまして、全く同感で、何かさう云ふ制限規定を置いては困ると云ふやうな事情が政府當局に御ありでありますか、若しありましたならば、農地調整法とは、全く同じぢやありませぬから強いて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=23
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024・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 御答を致します、農地と此の罹災都市とは、餘程趣きが違ふのでありまして、今第七條に政府委員から申上げましたやうに、第二條第一項及び第三條に依つて地上權の讓受を得ました者は、六箇月間に建物の建築を始めなければならぬと云ふ制限がある、それでなければ賃借權は消滅してしまふのであります、此處に嚴格なる制限規定が設けてありますから、農地の場合と、法文の建前から云つても非常に違つて來て居りますから、御説のやうな御心配はなからうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=24
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025・竹下豐次
○竹下豐次君 それも一應理由になることと思ひますが、六箇月の期間が短いか長いかと云ふことが一つの問題になると思ひます、それから著手したと云ふ時は、いつ著手したことになるか、土地の測量、と云ふと業々しいので、それほどでないかも知れませぬけれども、繩でも引いた時には、建築に著手したと云ふことになるのか、どの程度のことをして、著手と認定されるのか、細かいことでも問題になると思ひます、殊に今のやうな資材の出廻りの惡い時には、本人が急いでやらうとしてもなかなか速く完成しないと云ふのが今日の状態だと云ふ風な事情で、著手してもいつ出來るか分らない、そこに惡意を持つて居る者がありましたならば、さう云ふことを口實にして、故らに著手した形にして置いていつ迄も殘してしまふ、言ひ換へれば權利を賣買する期間を長く延ばしてしまふ、六箇月間に著手と云ふことは必ずしも政府の希望する、著手にならないぢやないかと云ふ風に考へますが、其の點は何れ又後で、色々議論が出ることだと思つて居ります、此の席ではっきり今御答辯を承らなくても宜いと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=25
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026・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 御答へ致します、今主張されました繩を張ると云ふやうなことは、準備行爲に過ぎないのであります、之をしも建築に取掛つたと云ふことは言へまいかと思ひます、仕事を始めたと云ふ解釋でありますが、是は勿論常識的に解釋すべきものであつて、若し爭ひが起れば、公正なる裁判所に於て之を判斷する途があります、自ら其の途は解決されると存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=26
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027・竹下豐次
○竹下豐次君 御趣旨のある所は一應承りましたから、それは承つて置く程度に止めまして、色々意見を申上げますのは、又後の機會に申上げたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=27
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028・原泰一
○原泰一君 ちよつと御伺ひを致したいのでございますが、此の法律で耕作の目的で、現に使用して居るやうな場合は、それを保護する爲に、六箇月は使用することが、許されて居ると云ふことになつて居りますが、實際の場合になりますと、それが本當の權原でなく使用して居る場合が、往々あるのが、多いやうでございます、と云ふのは、所有者も遠方に行つて居ない、家を借りて居つた人もどこかへ行つて居ない、併しそれを其の儘、空けて置くのは勿體ないと云ふので、事實の上に於ては、耕作して居るのでございますね、處が又そこへ借地者なり所有者なりが出て來て、返して呉れと云ふやうなことで、問題が起ることはちよいちよいありまするし、又さう云ふやうな場合を恐れまして、實際もつと菜園などにしたら宜いぢやないかと云ふやうな所が、都内に於ても、耕作の目的に使つたら宜いぢやないか、と云ふやうな土地が殘されて居りますが、さう云ふ所まで保護の氣持を徹底さして下さる、と云ふことであれば、都内の菜園化などと云ふことが、もつと多く行はれて、食糧危機突破に、多少の貢獻をするのぢやないか、と云ふ風に考へられますが、是ではちよつとさう云ふ所まで載つて居りませぬが、何か又他の方法に依つて、それを保護すると云ふやうなことは出來ませぬでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=28
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029・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 只今御尋ねの點でありますが、本案に於きましては第六條で「權原により現に耕作の目的で」耕作して居る者は、六箇月間は、其の者は耕作を續けることが出來る、と云ふ風に致して居ります、而して此の權原に依つてと云ふのは正當な權原即ち適法にと云ふ意味でありまして、只今御話のやうに不法占據に依つて耕作を始めたと云ふやうなものは、此の中へ含まないことになりまして、耕作權は保護されないことになります、唯初めに不法であつても、其の後暗默の間に地主等が之を使用を許して行くと云ふことになると其の暗默の間に於て使用貸借と云ふ風なものが出來ますれば、所謂茲に權原に依つてと云ふ適法化されて行くものと云ふことになりまして、本條の適用を受けることに相成る譯であります、六箇月間だけを保護することに致しました理由は大體六箇月あれば一應收穫が出來ると云ふ風に考へましたのであります、既に罹災者が借地權の設定を受け、或は借地權の讓渡を受けて居るのでありますから、それ等の者が建築に著手致したいと思つて居る状態の所へ、何時迄も外の者が耕作を續けて居ると云ふことは甚だ面白くないので、尤も收穫する期間としては六箇月間を保證してやればそれで適當であらうかと思ひまして、六箇月間だけは尚耕作を續けて行くことが出來ると致したのであります、但し其の期間が不適當であれば、其の具體的事情に照しまして、裁判所に對して其の短縮なり、或は伸長を申立てて、其の期間を短縮、或は伸長することが出來る途を但し書に於て拓いて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=29
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030・原泰一
○原泰一君 私の其の希望しまする心持は、其の適法化する意味此の儘でございますと、當事者の了解を得ると云ふやうなことでないと適法化されないのでございますから、例へば裁判所の方へ豫め申出て置いて、どうも行方が分らないから、所有者なり借地權者なり兩方共が何處に居るか分らないから使はして戴きたいと云ふ屆出もしたならば、そんな場合には適注化されるとか云ふ途は考へられないものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=30
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031・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 御尤もな御話でございますが、矢張り所有者、或は借地權者の方の利益も考慮致さなければなりませぬので、本案では矢張り適法でなければいかぬと云ふことに致しまして、特に裁判所等に屆けて置けば宜しいと云ふ所迄は言つてございませぬ、が併し所有者の管理人等が居るやうでありますれば、管理人との話合なり、管理人との暗默の許可と云ふやうなことに依つて、適法化し得る途は十分あらうかと思はれますので、其處迄は本案では自由に耕作が出來ると云ふ所迄は認めてございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=31
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032・村田保定
○男爵村田保定君 只今の御質問に關聯しまして、今の權原に基く耕作権を使用して居る者がどの程度あるのか、さう云ふ御見透しが付いてありませうか、若しあれば承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=32
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033・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 其の點は實は司法省と致しましては十分分つて居りませぬ、是は東京都、或は東京だけの問題ではありませぬでせうが、恐らく區役所等に付て調べれば或は分るかと思ひますが、司法省では今どの程度になつて居るかと云ふことはちよつと見透しは付いて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=33
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034・村田保定
○男爵村田保定君 さうしますと、先程の原委員の御發言のやうに、實際權原に依らないものの方が多いのぢやないかと云ふ風に考えられるのであります、さうしますと、此の規定の御趣旨は實際の實益は比較的少いので、寧ろ逸して居るものの方が大きい、矢張り今原委員の御希望のやうなことが何かそこに實現されてあれば、と云ふやうな氣が致しますが、其の點の此の規定を御設けになつた司法省の御意嚮は何處にあるのか、承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=34
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035・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 是は御承知の通り戰災跡地に借地權者なり所有者の承諾なしにどんどん作つて居る、是は現實の事實であります、併し一方から考へて見ますと、さう云ふ人達も何時迄も使ふと云ふ氣持はないだらうと思ふ、あつても亦それを保護すべきものではなからうかと思ひます、或程度の收穫をさして、さうして戰災跡地の復興と云ふことを主眼にして此の本案は出來上つたものでありまするから、是はもう勝手に使つて居る人は已むを得ないのぢやないかと斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=35
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036・原泰一
○原泰一君 實際私共彼方此方現場に接して居る者から申しますと、今村田委員から御話がありましたやうに、作つて居る人も實際に於ては何等の了解を得られないで作つて居る人もありませうし、さうして先程も申上げましたやうに、彼處を使つたら宜いぢやないかと思はれるやうな處でも隨分空いて居るのであります、それを假に此の法律で保護されて居りまするやうに、何かの工夫に依つて適法化される、永いこととは言はないのであります、勿論六箇月位で結構でありますから、六箇月位ならやつても宜いと云ふやうなことがありますれば、もつと菜園化と云ふことが、今日の二倍も三倍も……實際調べて見ないから分りませぬが、なるのぢやないかと考へられるのでありますから、一面に於て非常に食糧危機の叫ばれて居る今日、さう云ふ遊休のものがあると云ふことに付ては、少しでもそれを實用化して行きたい、斯う云ふ私の氣持から申上げた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=36
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037・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 御尤もでありまするが、それは自ら解決して行つて居るのぢやないかと思つて居ります、其處へ建てる意思もなしに打つちやつてある處に菜園を作らせて居つて、それを直ぐ取上げると云ふことは現實の問題としては起つて居ないと思ひます、此の法案は今申上げますやうに、矢張りどうしても、建築の復興が主眼でありますから、さう云ふやうな急速に復興しないやうな場所に付ては、自ら自然的に解決して行つて居るのぢやないか、斯う認めて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=37
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038・原泰一
○原泰一君 今の問題とは違ふことでありますが、それは先程來段々御話に出て居ります住宅拂底のことでありますが、其の爲に都の方なども色々心配なされまして、政府でも御心配になつて居るのでありますが、例の大きい住宅を開放させると云ふことに付て調査もさせられ、又恐らく今ぢや任意的申出と云ふやうな形式ぢやないだらうかと思ひますが、其の任意的の申出に依つての結果はそれ程思はしくないと云ふやうなことも言はれて居るのでありますが、何かああ云ふやうなことを法律化してでも行かれると云ふやうな御希望が御ありになりますか、それと相俟ちまして、是も私共住宅緩和の一つの方法と致しまして、彼方此方使はれて居ない遊休の建物を調べさしたこともございますが、學校なり或は工場等の宿舍に使はれて居つた建物で、今目尚大きなものが其の儘使はれないであるものがあるのでございます、だからさう云ふやうなものに付きましては、段々色々な事情を聽きますと、それを成るべく所有者が高く賣りたいと云ふやうな譯で、交渉の場合に結局話が纏まらない、さう云ふやうな事實も聞いて居るのでありますが、さう云ふものなど、今日のやうな場合に何か法律なり規則なりに依りまして、住宅に轉用して行くと云ふやうなことをやらせて行くと云ふやうなことが出來ますれば、今日の拂底して居るものをもつと緩和して行くことが出來るぢやないかと云ふことを切實に感じて居るのでありますが、さう云ふことに付て何か御考がありましたら伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=38
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039・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 原委員の今申されましたことは、誠に私も同感であります、政府と致しましては、さう云ふ買上げとか借上げとか云ふことに付て特殊の法律を今設けるやうな意思はないのでありまするが、御承知の通り普通の大きな住宅で現在使つて居るやうな場所を今當局としては調べて居るのでありますが、是は何分にも家族の同居と云ふことは色々な點から見て、風紀上の點、それから斯う云ふ食糧事情の逼迫した時に兎角神經が過敏になつて居りますから、是は餘り望ましくないと思つて居ります、そこで御話の空いて居る大きな家屋、之に付ては十分の手配を盡しまして、さうして「アパート」式に改良して、住宅に因つて居る人達を其處に收容する、さう云ふことに付ては政府の方としては非常に努力して居る次第であります、殊に燒跡の「ビルディング」などは急速に改造して「アパート」式にやらうと云ふことを計畫を立てて居るやうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=39
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040・原泰一
○原泰一君 只今の御話を伺ひまして、私も普通の使用して居る家屋を無理に法律に依つてどうすると云ふことは、是はどうも御考のやうに無理があつて宜くないのぢやないか、任意的に知合でも入れて行くと云ふことであれば非常に結構であるが、無理矢理と云ふことは今御説明にありましたやうな點に於て面倒が起つて來る虞があるのぢやないかと思つて、至極同感なのでありますが、唯政府の今御努力になつて居りまする燒殘りの建物も相當ありますから、政府の方で御努力になつて居ると云ふことは分りますが、なかなか其の努力が實現をしないのであります、だからそれを一つ早く實現するやうな工夫を、先程も御意見が出て居りましたが、さう云ふやうな有資力者がそれに參畫して大いにやつて呉れるなら、さう云ふやうな資力を動員すると云ふことも結構でありますから、何か一つ積極的に其の實を上げると云ふことに御工夫を願ひたいものだと斯う云ふことを切實に考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=40
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041・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 是は今眞劍にやつて居ります、實は私も在野法曹時代から、住宅のない罹災者を收容するに付ては一番「ビルデイング」が宜いんぢやないかと第一聲を上げたのです、是は御承知の通り外郭は何でもありませぬから、内の造作さへ復舊すれば如何樣にも「アパート」に使へる、是は宜いんぢやないかと云ふことを考へまして、之を政府に進言したこともあります、現政府と致しましては、相當實現の程度に進んで居る積りでありますが、尚一層各所管の方と連絡を取りまして、御希望に副ふやうに致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=41
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042・原泰一
○原泰一君 どうぞ一つ御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=42
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043・村田保定
○男爵村田保定君 是は司法大臣に御伺ひして宜いのかどうかと思つて居りましたのですが、只今の原委員の御質問の趣旨と一脈通ずる所があるので、此の際司法大臣の御意見を承つて置きたいと思ふのです、斯う云ふのがあります、銀座の或喫茶店のやうですが、一家月の家賃が四萬圓、さうして其の喫茶店の一箇月の收入十五萬圓、さうすると其の建物所有者は、其の四萬圓を不勞所得して居ると申しますか、兎も角じつとして居つて四萬圓入つて來る、斯う云つたやうな、寧ろ資本主義時代に於ける不勞所得と云ふやうなものが、今日の社會化されて來た時勢に、又こんな新らしい形式で發生して居る事實がある、斯う云ふ事實が又色色な形に於て今の社会に各方面にあるのぢやないかと思ひます、斯う云ふものに對して、一方では今の住宅難で、非常に住宅拂底の状況であつて、是には資材の關係もありまするが、又一方では資金などの關係で、貸家を建てると云ふことは困難になつて居る事情があるので、一種の社會立法の見地からさう云つたやうな、不當か不當でないかそれは考へ樣にも依りますが、今のやうなものよりもつと大きい賃料を上げて居る場合もあるだらうと思ひます、さう云ふものに對して一種義務的に、一方に於て其の收入の何分かを割いて貸家を建てろと云ふやうなことを立法に織込むやうなことは、此の際、殊に社會化せられる今後の所謂民主主義の時代に於て必要ぢやないかと云ふやうな氣がするのです、殊に住宅問題が、先程作間委員からも御話が出ましたやうに、將來の大きな問題になつて來ると云ふやうな時期に、何かさう云ふやうな新らしい、さうして大きな見地からの手を打たれたいと思ふのです、さう云ふ點に付て、今の内閣はどう云ふ風に御考になつて居りまするか、又司法大臣はどう云ふ御考を持つていらつしやるか、之を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=43
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044・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 御答へ致します、今の御説に依りますると、非常に不當利得をして居る者がある、さう云ふ者に對しては、政府は強制的に貸家でも建てさせて、さうして住宅に困つて居る者に之を提供させたらどうか、さう云ふ方面に付ての社會立法でもやれば宜いんぢやないかと云ふ御議論でありまするが、是は相當困難なことだらうと思ひます、御承知の通り今の世の中は是は公正に考へて實に色々な點に不合理な状態があるのであります、之を一擧に修正改革すると云ふやうなことはなかなか容易な事業ぢやないと思ひます、全面的に社會主義政策でも行へば或は出來ることかと考へられまするが、さう云ふことはなかなか各方面に摩擦があつて、現實の問題としては容易に行はるべきものぢやないと私は信じます、併し社會の不合理と云ふやうなことは是は出來るだけ是正して行かなければならぬと云ふことは是はもう各人異論のない所でありまするが、政府としましてもさう云ふ不合理の點は色々な角度から考へて特殊の社會立法なり、色々な法令なりを設けて是は改革して行くと云ふ意思は十分にあると云ふことは茲に申上げて置く次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=44
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045・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 先程の原さんの御質問に關聯致しまして、昨年の末に住宅緊急措置令と云ふものが出來まして……是は司法省の所管ではありませぬが、復興院の所管でございますが、之に依つて罹災者を相當收容致して居るのでありまして、主に寄宿舍とか「アパート」等に罹災者を收容して居りまして、其の軒數は四月末迄に七十軒あるやうでありまして、收容世帶は二千六百八十五世帯、收容人員は一萬三千百三人と云ふ風になつて居つて、之に依つて寄宿舍とか、「アパート」と云ふ風な建物に罹災者の收容を實施して居ると云ふことでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=45
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046・霜山精一
○霜山精一君 此の法律の實施に依りまして色々裁判所の仕事が殖えるのではないかと思ふのですが、何か矢張り此の法律の施行に付ては豫算を伴つて居るのでせうか、若し伴つて居るとすればどう云ふ程度の豫算になつて居りませうか、其の點を一つ……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=46
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047・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 裁判所の仕事が殖えて參りますので、豫算を取つて居りますが、それは大體判事が二十九名かと思ひます、それから本省に事務官一人、それから書記、屬官等は之に應じて取つてございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=47
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048・霜山精一
○霜山精一君 それからもう一點御伺ひ致したいのでありますが、此の法律に依りまして借地權が設置されたり讓渡されたりするのでありますが、今地代家賃統制令と云ふものがあるのでありますが、是は矢張り此の法律に對しても家賃統制令と云ふものが適用になつて來るものでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=48
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049・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 現在地代家賃統制令は尚九月三十日迄效力を持續して居ります、或は其の間にどう云ふ風に致しますか、所管省に於て之を考へて居るやうでありますが、地代家賃統制令のある以上は、其の制限の下に於て此の法律が働くことになるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=49
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050・霜山精一
○霜山精一君 それからもう一點伺ひたい點は、借地法と本法との關係でございますが、大體に於て本法施行後も此の借地關係なんであるから矢張り借地法、借家法と云ふものが其の上にかぶさつて適用になるものとは思ひますが、それでも宜しいのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=50
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051・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 御説の通りであります、例へば二條、三條に依りまして借地權の設定を受けた場合の借地權の存續期間だけに付ては五條で十年と云ふことに致して居りますが、其の他の點は是等の借地權も矢張り借地法の借地權として取扱はれる積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=51
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052・霜山精一
○霜山精一君 さうしますと二條の期間に付ては五條があつて十年と云ふことになつて居るのですが、其の外は全部借地法が適用になると云ふ御見解のやうであります、借地法が其の儘ずつと適用になつて今の十年と云ふ所と衝突矛盾を起すやうな場合はないだらうかと云ふことを考へて居ります、例へば借地法の五條で契約更新の場合の存續期間と云ふものは三十年、二十年と云ふ風になつて居りますが、斯う云ふのと此の十年と云ふのとどうもうまく合はないぢやないかと思ひますが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=52
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053・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 五條で十年の期間に置いてありますが、其の更新に付ては矢張り借地法の適用があるものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=53
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054・霜山精一
○霜山精一君 初は十年であるけれども、更新になると二十年になつたり三十年になつたりするのですか、さうでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=54
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055・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 左樣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=55
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056・原泰一
○原泰一君 地代家賃統制令が九月迄と云ふことでありますが、併し實際の上に於きましては九月が來ない今日に於て其の地代の値上げをしたり、家賃を値上げをして居ると云ふことがあちこちで現實の問題として起つて居ります、是は矢張り地主と借地人との間の契約の上に現はれたり、又はつきり契約の上に現して居つて實行して居ると云ふやうな所もあるやうでございます、私共考へますのに、大體さう一般の物價……此の間も司法大臣の御説明にありましたやうに、三倍程度であるから三倍に上げると云ふやうな所であるやうにも思はれるのでありますが、それが妥當であると云ふことであれば、私は九月迄效力があつても、もう其の枠を外されるのが闇をなくする、闇を横行させると云ふやうなことなからしめる意味に於てはさうありたいと思ふ、が今日實際の問題としてさう云ふやうなことがもうあちこちに起つて居るやうでございますが、其の點に付きまして、司法當局としては、それはもう默つて、それは違ふのだから默つて置いて置かうと云ふ御考なんでございませうか、其の邊の御見解を伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=56
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057・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 地代家賃統制令は現在の處は九月末日に效力を失ふことになつて居りますが、是は必ずや其の間に於て其の地代家賃の最高價格を改訂して、矢張り何等かのさう云ふものが出來ると考へて居ります、でありまするから、司法省と致しましては其の統制法令がある以上は、矢張り其の枠内で總て賃料の決めらるべきものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=57
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058・原泰一
○原泰一君 現在さう云ふ事實が非常にあるのでございます、だからそれが若しもいけない、若しもぢやない、いけないことなんでありますが、それがいけないとはつきり指示をされる必要があるのではないか、さうしないと一軒一と所がやれば、それはもうやつても宜いものだと云ふことが實際の上に申てはどんどん行はれて行くのでございます、私は斯う云ふ傾向は實に宜くなのぢやないかと思ふのであります、だからそれ迄はいけないのだと云ふことに矢張り表面だけは……裏面はどう云ふことがあるか、其の邊のことは分りませぬけれども、少くも決められて居る間は、其の契約の上にそれより高い地代や家賃を決めたりすることはいけないのだとはつきり一般に、地方へ明示される必要があるのではないかと、斯う云ふことを考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=58
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059・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) それはですな、枠を外して宜いと云ふやうなことは、是は政府は考へて居ないのであります、統制令のある内は國民は其の統制令に從ふべきものだと云ふ考で居りまして、偶偶さう云ふことがあつても問題は起らぬから、自然に放置されると云ふやうな現状になつて居るのでありまするが、是は問題となれば矢張り罰則の規定に嚴重に觸れる譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=59
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060・原泰一
○原泰一君 私はさう云ふことが罰則の所へ出ないやうに、法律が能く行はれるやうにと云ふ意味でございますね、此の今の處ではもう一と所でやつて居るのだから宜いだらうと云ふやうなことで、偶偶やつて居るのだと云ふのが實際ではないかと思ふのでありますから、それは統制令がある間はいけないのだぞと云ふことを明示されれば、矢張り地主もしないでありませうし、家主も矢張り無理なことを言はないと云ふことに落着くのではないかと思ふのでありますから、其の所の方針をはつきり示して戴くことが必要ではないか、今日の實情から言へば、さう云ふことが必要ではないかと云ふことを感じますのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=60
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061・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 御答へ致します、現實の問題として原委員の仰せのやうなことは起つて居るらしくあります、併し政府としてはもう既に法令を公布した以上は國民は之に準據すべきだと云ふことでありまして、時に更にそれに準據しろと云ふやうなことを特別に指示することは、是は致したくないのであります、現實の問題としても大つぴらにやつて居るのではないのでして、是は我々の知つて居る範圍に於きましても、偶偶さう云ふことを聞くのでありまするが、誰も彼もやつて居ると云ふ筋合のものぢやないと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=61
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062・東郷彪
○侯爵東郷彪君 私の方の區では去年の四月に家屋の強制疎開がございまして、其の跡に區役所が奬勵をしまして蔬菜を作れ……然る處其の時には必要が生じた場合には何時でも明渡す、斯う云ふ條件の下に栽培しつつあつたのであります、處が五月二十三日、二十五日の空爆に依りまして目黒區には戰災地も相當に出來ました、其の跡地も矢張り蔬菜の栽培が奬勵された、然る處此の四月になりまして栽培者には土地の使用料を課せられまして、四月に前年度分として額は能く記憶して居りませぬが、確か一坪五錢位で區役所からの徴税令に依りまして使用料を納めた、それで初は返す積りで栽培して居つたのですが、使用料を取られたものですから、今後土地はずつと使へるのだと云ふ風に解釋して居る者もあるやうでありますけれども、若し此の法案でも出來まして何かそこに問題が起きました時にはどう云ふ風に取扱はれるのでありませうか、又其の栽培を止めて貰ひたいと言はれてから六箇月以内に立退くとすれば、其の間の使用料と云ふものは拂はなければならないのか、其の邊を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=62
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063・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) それは實際權利關係がどう云ふ風になつて居りますか、詳しく御伺ひしないとちよつと御答へ申上げ兼ねますけれども、それは疎開跡地の所有權が買收か何かせられたのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=63
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064・東郷彪
○侯爵東郷彪君 それは區役所からなんでございまして、土地の持主と栽培者とは直接何等交渉はして居りませぬ、區役所から奬勵されて無償で栽培して居りましたが、初はいつ何時立退きを命ぜられても立退く覺悟で居りました、處が今度使用料を確か坪五錢だと思ひますが既往に遡つて去年十月か十一月から三月末日迄の分を四月に區役所の令書で拂つて居る……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=64
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065・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) それは恐らく疎開の關係を解除して、區役所或は都から所有者に返還すると云ふことになつた場合には本法の適用を受けたることになると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=65
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066・東郷彪
○侯爵東郷彪君 其の場合に六箇月間の使用料は矢張り拂はなければならないものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=66
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067・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 都から所有權を返して所有者の所有に移つてしまふと云ふことになりますと、都との關係はなくなると思ふのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=67
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068・中島徳太郎
○中島徳太郎君 此の十四條の但書はちよつと私に意味が取りにくいのですが、もう一度御聽かせ願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=68
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069・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 是はちよつと分りにくいやうな書き方になつて居りますが、十四條の本文に於きましては、罹災建物が滅失した當時の其の建物の借主、或は疎開建物が除却せられた當時の建物の借主は、自分で其の借地權の設定を受けると云ふやうな資力のない者は、其の燒跡に前の借地權者なり、或は所有者が家を建つた場合にせめて先借權を認めて、前の住居に居住を保護して行かうと云ふ規定でございまして、普通の場合は其の燒けた當時の借主が今度換地の上に建てられた建物の上に先借權を持つと云ふことになつて居るのであります、處が罹災建物の敷地の上に一遍建物が築造せられまして、更に其の敷地が換地處分に依つて、即ち都市計畫法に依りまして換地處分に附せられまして、其の換地の上に更に建物が建てられたと云ふ場合の其の換地の上の建物に對してどう云ふ風に先借權があるかと云ふ問題に關する事柄が但書の規定でありまして、此の場合に矢張り其の一番初の燒けた建物の借主が換地の上に建つた建物にも先借權はあるのでありますが、其の途中の前の燒けた建物の敷地の上に建てられた建物の最後の借主でない時は其の換地の上の建物に先借權が及んで行かない、即ち初の罹災當時の借主がもう其の土地に居なくなつた其の途中に前の燒けた建物の敷地に建てられた建物に外の者が入つて、今度更に換地の上に建物が建てられたと云ふ場合には、もう既に一番初の罹災建物の借主は一旦其の土地から、縁が切れて居りますから、其の者は換地の上の建物には先借權がない、即ち飽く迄も最初の罹災した借主を保護しようと云ふ建前でずつと續いて居なければ、其の敷地の上の建物の最後の借主と云ふことになつて居なければ更に換地の上の建物に先借權がない、此の點は實は震災當時の借地借家臨時處理法の場合と多少建前が違つて居りまして、前の法律では其の場合に人が違つて居つても「バラック」の最後の借主であれば、一番初に燒けた當時の借主でなくても其の燒跡に建つた「バラック」の借主であれば、矢張り換地の上に建つた建物に先借權があると云ふ風になつて居つたのを改めまして、飽く迄も罹災當時の借主を保護すると云ふ建前で、途中で其の者が其處から離れてしまつた時は先借權が換地の上の建物にはないと云ふ建前に致したのであります、廻りくどくなつて居りますが、趣旨はさう云ふ趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=69
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070・中島徳太郎
○中島徳太郎君 只今の御説明で略略分りましたやうでありますが、之を具體的に御尋ねしますと云ふと、疎開で除却せられた建物に居つた前の借主が立退いて行つてしまつた後は、今度換地になりましたものに建てた者が最後に、借主と云ふことになる譯でありますか、もう一遍申上げますと、疎開の爲に建物が除却されますと、除却されたと同時に借主は立退いてしまうて居りますね、其の土地に他の者が來て換地になつた所に建物を造つた場合に、是は前の者には權利はないと云ふことを此の但書は意味して居る言葉と承知して宜いのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=70
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071・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 其の一番初の疎開當時の借主が何處かへ行つた場合に、其の疎開の敷地の上に第三者が家を建つたと云ふ場合には、其の敷地の上には先借權を持つ譯であります、尤も是は貸家として建つた場合だけの話でありまして、自分の住宅として建つたと云ふやうな場合には、勿論さう云ふ申出があつても之を拒むことは正當な事由となりますから、十分此の場合には拒み得るのでありまして、大體は貸家として建つた場合にだけ前の借主が其の貸家に先借權を持つと云ふ建前になります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=71
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072・中島徳太郎
○中島徳太郎君 もう一遍伺ひますが、貸家の除却せられた跡に又貸家を建てたいと云ふ時の例を御話になりましたが、今度貸家と云ふものがもう除却せられまして何もなくなつたのでありますから、土地だけ殘つて居る所に、前の借主は家がないのですから居らぬことになる、今度其の土地の空いた所に他の者が來て土地を借りて家を建てた時には、前の借主は其の權利の關係はないのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=72
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073・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 其の換地の場合ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=73
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074・中島徳太郎
○中島徳太郎君 貸家がなくなるから自然借主は居らなくなりますね、土地だけ殘りませう、其の土地の殘つた所を、今度其の土地を借りまして住居する者が自分で家を建てる場合ですね、借主が貸家を造らずに土地を借りて建物を造つた場合、其の場合にはどうなりますか、嘗てあつた家と云ふものは疎開で飛んでしまうて居りますから無くなつて居りませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=74
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075・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 其の敷地に建つと云ふのはどう云ふことですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=75
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076・中島徳太郎
○中島徳太郎君 市なら市の方で借りて居るものが今年の三月かで濟んでしまうて居りまして、其の跡へ建てたものですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=76
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077・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) それは前の所有者に返還にでもなつた譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=77
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078・中島徳太郎
○中島徳太郎君 返還とは……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=78
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079・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 疎開を解除して、それを東京都が若し所有權を持つて居れば、前の所有者に返還するとか、或は東京都が借地權を持つて居る場合には、借地權を解除して地主に返すとか云ふやうな關係になるだらうと思ひますが、其の上で地主から更に其の敷地を借受けて建つたと云ふ風なことになるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=79
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080・中島徳太郎
○中島徳太郎君 只今の御尋は私にもちよつと分りませぬ、要するに疎開になつてもう建物は除却してしまつた、後の土地は其の儘殘つて居ります、市の方が今年の三月迄は貸賃を呉れて居ります、三月以後はもう呉れぬことになつて居りますが、地面と云ふのは自然こちらに戻されたものと解して宜いものと思ひます、それですから其の土地を貸しまして、第三者が其の上に建物を作つたと云ふ場合に疎開前の借主との關係が何かありますか、ありませぬか、但書はさうでないと思ふのでありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=80
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081・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 其の場合に適法に其の敷地の上に家が建つたと云ふ場合には十四條の本文で前の借主は矢張り其の建物に占有權を申出でることが出來るのであります、唯其の場合に先程申しましたやうに、それは自分で使はなければならないのだと云ふ事情があればそれを拒むことが出來ると云ふことになります、但書はさうでなくて其の敷地ぢやなくて換地の上に家の建つた場合に其の換地の建物に占有權があるのは一番初の借主でなければならぬ、而も敷地の上に建つた建物も借主であつたと云ふ其の土地との關係が續いて居る者だけが此の換地の上の建物に對して占有權を認めて行かうと云ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=81
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082・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) それでは大體時間も參りましたから本日の委員會は是で散會致したいと存じます、就きましては來週の月曜日十五日の午前十時から本委員會を開く豫定にしてございますから左樣御了承願ひます、本日は是で散會致します
午前十一時五十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=82
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083・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 子爵 高木正得君
副委員長 男爵 肝付兼英君
委員 侯爵 東郷彪君
侯爵 嵯峨實勝君
子爵 森俊成君
子爵 大久保教尚君
霜山精一君
男爵 林忠一君
男爵 村田保定君
竹下豐次君
原泰一君
中島徳太郎君
作間耕逸君
國務大臣
司法大臣 木村篤太郎君
政府委員
司法事務官 奧野健一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00219460713&spkNum=83
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