1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○罹災都市借地借家臨時處理法案
○訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年七月十八日(木曜日)午前十時十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=1
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002・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 是より開會致します、罹災都市借地借家臨時處理法案の第一條から第五條迄の質疑を御許し致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=2
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003・竹下豐次
○竹下豐次君 一昨十六日復興院次長と私との問答の中、私の發言中木材の供出に關する部分に付きまして穩當な發言でなかつたかのやうに後で氣の付いた所がありますので、速記録から其の部分を削除することを御認め戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=3
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004・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 皆樣に御諮り致しますが、只今竹下委員の御申出の如く先般復興院次長との御質疑中一部御取消を只今御申出がありましたが、御許して差支ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=4
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005・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 皆樣御異議ないと認めます、さう致しますれば委員長と致しまして然るべく取計ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=5
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006・竹下豐次
○竹下豐次君 どうぞ委員長の方で適當に御處置下さいますやうに御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=6
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007・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 承りました…五條迄の間の御質疑は如何なものでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=7
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008・霜山精一
○霜山精一君 少し二條、三條等に付て御尋して見たいのです、舊令第四條の一項に依りまして、建物の居住者が土地を使ふ權利があります、其の居住者の中には其の滅失した建物の借主も無論包含して居る場合もあり得る譯であります、さうして其の居住者と敷地の所有者との間には賃貸借があつたものと第四條で看做されて居る、それから舊令第四條第四項に依つて居住者が二箇月内に土地の使用をしなかつた場合には、土地の所有者が自由に使用出來る、それから又は他人をして使用せしめることが出來ると云ふことに第四項でなつて居ります、斯うなると大體居住者が「バラツク」を建てて使つて居る場合と、それから所有者が此の第四項の規定に依つて「バラツク」を建てて自分の地面を使つて居る場合、それから第三に所有者でない、所有者の許可を受けて第三者が「バラツク」を建てて其の地面を使つて居る場合、此の三つの場合が四條で認められて居る譯であります、此の三つの場合に付て一々まあ考へて見る必要があるのでありまするが、要するに此の三人の者に付きましては本法二十九條の規定に依つて、大體其の「バラツク」に一年住むことをまあ認めよう、斯う云ふ建前に本法ではなつて居ります、其の上に三者に對しては第三十二條の規定に依つて、此の二十九條一項本文第三項の規定に基いて、建物所有の目的で、罹災建物の敷地を自ら使用する者に付ては二條乃至五條の規定を準用して居りまするからして、是等の三人の者は二條乃至五條の規定に依つて、此の敷地に付て新たなる賃貸借を設定し或は既にある賃貸借の讓渡をして、賃貸借の承繼をして、さうして其の地面を新たに使ふ權利を認めて居ることに三十二條に依つてなつて居るのであります、で私の疑問とする所は此の居住者、賃借權者、家の借主を含めて居る居住者の方に付ては大體是で結構であらうと思ひますが、第二、第三の場合、即ち舊法第四條四項の場合、所有者が自分で「バラツク」を建てて居る場合、或は所有者の許可を得て第三者が「バラツク」を建てて居る場合に、此の二十九條の規定で一年を認めようと云ふのは結構でせうけれども、三十二條の規定に依つて賃貸借を設定したり或は既存の賃貸借を承繼したりすることに依つて、新たなる賃貸借を得せしめ或は又賃貸借を承繼さして迄も之を保護する必要があるかどうかと云ふことに付ては大いに疑問ではないかと私は考へて居るのであります、で先づ第一に先程私の擧げました所有者が「バラツク」を建てて一時之を使つて住んで居ると云ふ場合に付きましては、第二條、第三條の適用が果してあるのかどうかと申しますると、所有者ですから自分に對して借地權を設定しろと云ふことは出來ませぬのですからして、此の第二條を準用することは出來ないことになるそれから然らば三條の適用があるかと言へば、所有者は賃貸借の承繼を受けると云ふことが、貸主でありまするからして、主の權利借を譲受けたならば、混同に依つて賃貸借は消滅してしまふのであります、でありまするからして、此の所有者に付ては第二條、第三條の準用と云ふものはあり得ないのぢやないかと云ふのが私の第一の疑問であります、それから第二の疑問は四條第四項の他人をして使用せしめて居つた場合、即ち燒跡に土地所有者の許可を得て一時他人が「バラツク」を建てて當分住んで居つた、斯う云ふ者に二條、三條を準用して保護する必要があるかどうかと云ふ點に關するのであります、此の第三の地人が使用權を持つて居る場合と云ふのは、是は元來其の敷地自體に付ては何等縁故はないのであります、前の居住者とか建物の借主のやうな者は、其處で長年商賣をして居つたとか、住んで居つたとか云ふやうな、非常に其の地面に密接な關係を持つて居りまするから、而もそれが罹災したのでありまするから此の居住者、或は建物の借主を保護する新たなる賃貸借を認めて、或は賃貸借の承繼を認めて、此の地面を續いて使ふ權利を認めると云ふことに付ては、大いに理由があると思ふのでありますけれども此の第三の場合は、元來は其の地面に住んだこともない者である、其處で商賣をして居つた譯でもない、唯燒け出されて行く所がないから、一時所有者の許可を得て「バラツク」住ひをしたと云ふだけの縁故しか地面其のものに付ては持つて居ないのであります、ですから此の居住者の保護の場合と之を同列に於て保護する理由は私はないと思ふ、ですから寧ろ斯う云ふ第三の場合の如き、他人をして一時使用せしめて居つたやうな場合に付ては二十九條一項の保護を與へて、其處に折角「バラツク」を建てて居つたのだから一年だけは存續させてやらう、さうして一年經つたら立退かせると云ふ位な程度で十分保護は出來るのであつて更に進んで、本法案の如く新たなる借地權を設定せしめ、或は又借地權を承繼せしめて迄其の地面を繼續して使はせると云ふ理由は私はなからうと考へるのであります以上二つの問題に付て政府當局の御答辯を願ひたいのでありふす発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=8
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009・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 最後の點から申上げますと、物件令第四條第四項に依りまして、現に建物所有の爲に燒跡を使用して居る者に付きまして、二條、三條等に依つて保護を與へる必要はないではないかと云ふ御意見でございますが、考へ方に依つてはさう云ふ御説も理由はあることと思ふのでありまするが、まあ兎に角現在に於きまして、其處を本據と致しまして「バラツク」を持つて居住して居る人間でありますので、勿論罹災匆々の際に於きましては、行き所がなくて、前の居住者も二月經つても使用しないと云ふ燒跡を、行き所がないから、或は所有者から使用を許されて、兎も角も現に尚其處に於て建物使用の爲に其處を本據として居住して居るので、所謂罹災者に凖ずべきものであらうと云ふ考から致しまして、罹災者と同樣の保護を與へて然るべきではないかと云ふ意味を以ちまして、二條、三條を凖用致した次第であります、要するに現在の本據を保護する點に於て、罹災者と同樣な取扱をするのが妥當ではないかと云ふことに依りましたものであります、それから初の御質疑であります、所有者の場合に於てどうかと云ふことでありますが、所有者の場合に於て、借地權がない場合に於きましては問題ないのでありまするが、其の土地に借地權がある場合に於きまして、所謂物件令第四條の第四項で、所有者自から使用すると云ふことを一時許されて居るのでありますが、是は借地權者がある譯でありますから其の借地權者が休眠状態になつて居りますが、軈て其の借地權者が起上つて來る場合に於ては、所有者と雖も其の爲に自分の道を讓らなければならない關係になりまするので、矢張りさう云ふ場合に於て三條等の凖用を必要と致す、尤も其の場合に於ては混同等の問題が生ずると思ひまするが、一應其の借地權を取上げると言ひますか消滅せしむる必要があると云ふ意味で以て、其の場合の所有者に付ても、其の場合に於ては三條でありますが、之を凖用することと致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=9
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010・霜山精一
○霜山精一君 只今前段で説明された點は、要するに一時所有者の許しを得て使用して居つたやうなさう云ふ者をどの程度に保護するかと云ふ問題でありまして、是から以上は見解の相違と云ふことになると思ひまするから、其の問題は打切つて置きまして、後段に説明されました、所有者が土地を自から使用して居つた場合に二條、三條を適用すると云ふ規定になつて居りますが、所有者が土地を使用して居る場合に、二條と云ふものは凖用されるに付て何も問題はないと云ふ御説明のやうでありましたが、二條を凖用して居るから此の所有者が所有者に對して借地權の設定を申出ることが出來ると云ふことに變なことなんですが、私共は凖用されれば讀めるのですが、問題ないと云ふのは二條が凖用されないと云ふ意味なのでありませうか、或は凖用されるけれども、結局之を使ふことはないと云ふ意味なのでありませうか、御説明が十分はつきりしなかつたやうに考へられまするが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=10
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011・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 借地權がない場合に於きまして、自分の土地に付て自分が借地權を、設定を求めると云ふことは、他に何等かの必要がない限りは無意味と考へます、さう云ふ意味で問題がない発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=11
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012・霜山精一
○霜山精一君 それでありますと第三十二條の規定で、第二十九條第三項の規定に基いて建物所有の目的で罹災建物の敷地を使用するものに付ては二條の規定を凖用するけれども、此の第三項の中の所有者に付ては所有者が使用して居る場合に付ては二條の準用はないものだと云ふことをはつきり書かなければならぬのではないでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=12
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013・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 説明が少しく足りませぬでしたが、實は根本的に申しますと、物件令第四條と云ふ規定は是は實は借地權のある場合のみを考へて居る規定でありまして、從ひまして、全然借地權のない場合に所有者が自から使用すると云ふやうなことに付ては實は觸れてない譯であります、でありますから、此の場合に於きましては借地權のある場合であつて、而して借地權は舊令第三條に依つて休眠状態になつて居ります、其の場合に居住者が二月經つても使用しない場合に於ては本來は借地權者がある譯でありますから、自由に所有者と雖も利用出來ないのでありますが、さう云ふ罹災の際でありまするから、四條の四項に依りまして自から借地權の停止状態になつて居る間は、土地所有者は其の土地を使用が出來ると云ふ特例を拓いた譯であります、そこで其の四條第四項に依つて所有者が土地を使用する場合に付て、第三十二條は廣く二條乃至五條の規定を準用すると云ふことになつて居りますので、一體二條、三條の規定をどう云ふ風に準用するのかと去ふ疑問になつて參る譯でありますが、是は借地權が其の罹災敷地に現在ある譯でありますから二條と三條何れが適用されるかと云ふことになりますと、三條が適用されて參る譯であります、それが故に此の場合に於て所有者は自分の上にある借地權者の借地權の讓渡を求めると云ふことになつて參る譯でありまして、其の結果は特に其の借地權の上に別に第三者があるとか、或は轉貸の關係になつて居ると云ふやうに、第三者が權利を持つて居るやうな場合でない限りは今度の法に依つて消滅するものだと云ふ風に考へるのでありまして、借地權の存する限りに於きましては、其の場合に於ては二條は適用ないと云ふことに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=13
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014・霜山精一
○霜山精一君 舊令第四條の規定は借地權のある場合の規定であると云ふ御話であります、成る程さう云ふ風に讀めるやうであります然らば第二條の規定と云ふものは借地權のない場合に此の借地權を設定せしめる規定なのである、さうすると四條の場合は二十九條に規定してある譯である、其の二十九條の規定に基いて敷地を使ふ場合ですから、此の三十二條の規定は借地權のある者に付ても此の規定が適用になると云ふ結果になりまして、二條を準用する場合はないのではないかと云ふことになるのではないでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=14
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015・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 御質問は非常に御尤もでありまして、此の點は非常にむつかしい問題になるのでありますが、本來は舊令の四條と云ふのは借地權のある場合を豫定して規定であります、借地權のない場合に建物に居住して居つた者は、然らば全然其の敷地を使用おることが出來ないのかと云ひますと、我々まあ部内の立案當時の考としましては、表面は借地權のある場合でありますが、借地權のない場合と雖も是は勿論解釋に依つて居住者は其の敷地を使用することが出來るのだと云ふ風に實は解釋して居るのであります、從つてさう云ふ場合の居住者が居住して居つた場合に於ては二條に依つて借地權設定を申出ることが出來ると云ふ趣旨で、此の文字だけから行きますと御説のやうになりますが、舊令四條は實はさう云ふ風に勿論解釋を準して居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=15
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016・霜山精一
○霜山精一君 御説はよく分りましたが、さうすると舊令第四條第四項に依つて所有者が自ら使用し或は又他人をして使用せしめる場合に於ても、賃貸借者がなかつた場合でも矢張り此の規定で以て保護を與へると云ふ趣旨ではないかと思ひます、第一項がさう云ふ趣旨であるならば、第四項も亦賃貸借者のない場合でも居住者が使用しないと云ふ場合には自分でも使用出來る、他人をして使用せしめる場合もある、そこ迄擴げて若し解釋されるのであれば、是は四條の第四項に付ても第二條の適用があつて然るべき、殊に他をして使はして居る場合には之を保護してやれる理由があると仰つしやるのですから、第二條を適用しなければならぬ、第四項の場合でも…併しながら所有者に付ては第二條を適用する餘地がないのです、ですから若しそれが餘地がないならば第三十二條の規定をずつと讀めば所有者も入つて居る、それで困りはしないか、斯う云ふのが私の疑問です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=16
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017・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 御説の通りでありまして、所有者に關しては自分の土地に對して自分が借地權を有つと云ふことは無意味であると云ふ意味で、結局適用がないと云ふ趣旨になる譯でありますそれなれば、そこに所有者の場合は除くと云ふ風に書けば宜いではいかと云ふことに相成る譯でありますが、まあさう云つたやうな當然分るやうなことも隨分隨所に入つて居る譯で、全體の體裁から云へば或はさう云ふことも規定することが宜いと云ふことにならうかと思ひますが、第三十二條と云ふのはまあ其の外の場合も廣く第二十九條の一項本文及三項に基いて云々と云ふので、他に二條等の適用のある場合が非常に多いので概括的に準用すると云ふことになつて居りますので、其の間に所有者である場合に於ては第二條の準用はないのだと云ふ風なことに致しますと、如何にも緻密ではありますが非常に複雜に相成りますので、當然理論上準用のないものと讀んで戴く積りで、第三十二條は外の部分を兼ねて一般的に準用と致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=17
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018・霜山精一
○霜山精一君 所有者に付て第二條の規定が準用はないと云ふことは漸く了解致しました、それで結構であります、第三條の準用があつてそして自分の土地に付て借地權の讓渡の申出をする、斯う云ふ法律關係が餘程是は妙なことではないかと思ふのです、自分が土地を人に貸して居る、それで其の借地權者に對して其の借地權を讓渡せ、斯う云ふ請求を權利を認めることになる譯ですが、寧ろ其の場合は相當の補償を拂つて借地權を消滅せしめることが出來る、斯う云ふことにするのが正式なやり方で、自分の貸した地面に借地權を讓渡せと云ふやうなことをしなくても、自分は是から使つて、是からずつとやつて行くんだから、其の借地權は消滅せしめることが出來るのである、斯う云ふことにして三條を準用しない方が、法律の構想としては適當ではあるまいかと私は考へますけれども、どう云ふものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=18
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019・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 所有者の場合だけを取つて見ますと、御説のやうにすることが理論的でもあるし、分り易くもなると思ふのであります、が先程申しましたやうに、三十二條等は一般的に外の場合も含んで居りますので、其の内容を具體的に場合を分つて規定することが非常に複雜にも相成る次第でありますし、殊に第三條の借地權者の次に括弧致しまして、「借地權者が更に借地權を設定した場合には、その借地權の設定を受けた者」と云ふので、轉貸の場合に之を規定して居るのであります、其の場合は轉貸を受けた所謂轉借權に付て讓渡を受けると云ふことになつて居りますので、所有者である場合であつても矢張り賃貸人があり、其の上に轉貸借があり、轉借人があると云ふ場合に於きましては、自分の土地ではあるけれども、轉借權の讓渡を受けると云ふ場合もあり得る譯でありますから、さう云ふ意味もありますので、特に所有者の場合は常に必ず賃借權の消滅請求權と云ふ一本でも行かない事情もありました關係上、一般的に凖用の中に入れて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=19
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020・霜山精一
○霜山精一君 私ばかり質問して惡いですから休憩致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=20
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021・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) どなたか御質疑を願ひます、外に御質疑がなければ霜山君續けては…此の範圍内ならば…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=21
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022・霜山精一
○霜山精一君 範圍なのであります、私ばかり質問して甚だ恐縮ですが、もう少く御猶餘願ひます、第三條に他の者に優先して借地權の讓渡を受けることが出來ると云ふ規定がありますが、此の優先の意味に付きましては第二條の優先の問題の時に一應質問を致しましたのでありますが、第三條の場合は借地權の讓渡に關する優先問題でありまして、少しく二條の場合の優先問題とは性質が異つて居るものがあるやうに考へますので、此の第三條の場合の優先の問題に付て少しく御尋を致したいと思ふのであります、他の者に優先して借地權の讓渡を受けることが出來ると云ふのでありますから、借地權の讓渡と云ふ行爲か茲に多數競合して居る場合でなければならぬことは言ふ迄もない、其の競合して居る各種の場合を想像して見なければならぬ譯であります、其の中の如何なるものに優先するのであるか、借地權の讓渡が競合して行はれた場合に其の一つが他に優先することが出來ると云ふ規定ですから、借地權が何度にも讓渡された、其の場合に、どれがどれに優先するかと云ふ問題と考へるのであります、先づ色々な場合があると思ひまするが、本條の規定に依つて借地權の讓渡を受ける前に或他の者が其の借地權の讓渡を受けた場合、是がまあ一つの場合になるだらうと思ふ、それから他の一つの場合は本條の讓渡を受けたが、其の後になつて所有者が又其の借地權を他人に讓渡した、斯う云ふ二つの場合がまあ豫想される譯であります、其の場合に此の本條の規定に依る借地權の讓受人は前の奴に優先するのか、後の奴に優先するのかと云ふことが問題になると思ふのであります、而も尚問題を細かく分けると、又色々な場合を想像することが出來るのでありまして、前の場合に付きましては、詰り此の借地權の譲渡のあつた前に他の人が借地權を先へ讓受けた場合に付きましても、其の基本となる借地權其のものに登記がある、對抗要件を備へた借地權である場合もあるが、それから基本となる借地權に登記がない場合も想像し得る譯であります、其の二つの場合が想像される譯であります、それから又更に之を細分すれば、其の前の奴ですよ、借地權の登記があるものに付て讓渡が行はれた、其の讓渡行爲に付て登記がある場合と登記のない場合とがあり得る譯ですから、又それを二つに細分することが出來る譯であります、それから基本の借地權に付て登記がなかつたと云ふ場合でも、其の讓渡行爲に付ては無論登記がない場合でありませうが、併しながら讓渡した後に、借地權の登記を請求する場合もあり得る譯です、ですから基本の借地權に付て登記がなかつたと云ふものに付きましても、讓渡行為に付て登記のない場合と、登記のある場合とが想像し得る譯であります、それからもう一つの場合は、今は建物の滅失前に、前からある借地權のことを言つて居るのですが建物の滅失した前には借地權がなかつたけれども、建物が滅失した後に借地權を設定して登記をした、斯う云ふ場合がもう一つ細分される譯ですね、さうして其の借地權に付ては讓渡行爲に付て、登記のある場合もあり登記のない場合もあり得る譯であります、又其の借地權の設定其のものが登記のある場合とない場合とがあるし、又讓渡行爲其のものに登記のある場合とない場合とあり得る譯ですから、さう云ふ風に區別して考へますと、此の讓渡行爲の前の讓渡行爲にも色々の場合が想像し得る譯であります、それから本件讓渡行爲が、問題の三條の讓渡行爲のあつた後に讓渡行爲の行はれた場合に付きましても、或は其の讓渡行爲に付て登記のある場合あり、或は又其の讓渡行爲に付ては登記のなかつたと云ふ場合もあり得る譯であります、斯う云ふ風に借地權の讓渡行爲の前後を通じて、幾つも讓渡行為があり得るし、其の態樣も種種雜多であります、是等多數の讓渡行爲の中是が優先するのはどれであるか、此の讓渡行爲がどれを以てどれだけのものに優先するのであるかと云ふことは大いに研究を要する問題ではないかと考へて居るのです、非常に問題が細かいのですから何か斯う、表か何かに作つて戴くと大變理解が早いのではないかと思ひます、非常に細か過ぎるやうなことですから、表を作つて戴いて、是は之に讓らすのだ、是は之に負けるのだと云ふことになると、さうすると是はどう云ふものに優先するかと云ふことが、自ら表で分るのではないかと思ふのであります、若し直ぐ御答の出來ることでせうけれども、理解を深める意味で、表を作つて戴けば…、後で宜しうございますけれども、さう云ふ點に關すする優劣の表を一つ御願したいと思ふのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=22
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023・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 表のことに付きましては、何れ歸りましてから差上げることに致します、唯一應概括的に御答へ致しますならば、基本である借地權が對抗要件を備へてない場合に於きましては、第二條末項の關係から、借地權でないものと看做す譯になりますから、是は問題にならないのでありましてまあ二條の規定の適用があると云ふことになります、尤も此の前にも御話申上げましたやうに、罹災した建物の敷地の借地權に付ては、登記等の對抗要件を備へなくても、當分の間は對抗力を持つことになつて居りますからさう云ふものは、矢張り對抗力ある借地權として其の讓渡が問題になり得る譯であります、即ち要するに對抗力の備つて居る借地權に付ての、讓渡關係に付ての優先の問題が生ずることになる譯であります、然らばさう云ふ借地權のあつた場合に於ての優劣とか優先の問題と云ふことに付て考へますならば、其の對抗力ある借地權の讓渡に付て、讓渡それ自身の對抗要件が備つて居つた場合に付きましては、申出前に既に借地權の讓渡が行はれて、而も其の譲渡に付ての對抗要件が備つてありますれば優先の問題と云ふよりも、寧ろ其の對抗要件の備つた、讓渡された其の借地權の讓渡を求めれば宜いと云ふことになりますのでありまして、即ち申出前に讓渡が行はれ共の讓渡に付て對抗要件が備つて居ると云ふ場合には、其の新借地權者に對して、借地權の讓受けを求めれば宜い關係になりますので此の場合にも優先の問題が起らないかと考へます、そこで結局問題は、借地權讓渡が前に行はれて居つたにも拘らず、讓渡に付て對抗要件が備て居なかつた場合、或は此の三條に依つて借地權の讓受けを受けた後に、更に第三者に同じ借地權を讓渡して、逸早く其の讓渡の對抗要件を具備したと云ふやうな場合に限つて、それ等の者に優先すると云ふ效力が生ずると云ふ風に、一應考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=23
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024・霜山精一
○霜山精一君 大體の御説明は了解致しました、唯私はもう一つ矢張り考へますのは、此の三條に依る借地權の讓渡を、第三者に對抗するのに、登記が要するかどうかと云ふことが、基本の一つの問題てはないかと思ひまするが、其の點の解釋は原則としては、無論先へ登記した者が勝つと云ふのが原則ですけれども、此の場合には或は之を優先させると云ふ趣旨から登記がなくても此の借地權の讓渡は、登記のある者に對しても優先するのだと、斯う云ふ解釋になるのではないかと想像して居りますが、如何なものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=24
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025・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 借地權者相互の間に於ては、登記がなくても此の借地權が優先すると云ふ考へで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=25
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026・霜山精一
○霜山精一君 私の聞いて居るのは無論相互の間、借地權を受けた者の間の相互の關係と云ふ風に見て居る、唯私の申して居るのは三條に依る讓渡行爲に付ては、登記がなくても既に登記を了した、他の讓渡行為に優先するかどうかと云ふことを御尋ねしたのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=26
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027・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 御質問の趣旨は、先程申しましたやうに既に他の借地權者に讓渡して對抗要件を備へた場合に於ては、其の者から借地權の讓渡を受けることになりますが、まだ對抗要件が備つて居ない場合は、それを無視して前の借地權者から讓渡を受けると云ふことになります、或は又もう既に三條に依つて借地權の設定を受けた後に、二重に其の同じ借地權を他の者に讓渡してそれ等の者に付て後から借地權の讓渡に付ての對抗要件を備へても、此の三條に依つて讓受けた借地權は、自分が借地權者であることを、それ等の者に主張出來ると云ふ意味で登記がなくても優先すると云ふ考であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=27
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028・霜山精一
○霜山精一君 もう一點御質問しようと思ひます點は、第三條の括弧の中の問題で、借地權者が更に借地權を設定した場合には、其の借地權の設定を受けた者が借地權讓渡の申出が出來る「借地權者が更に借地權を設定した場合」と云ふのはどう云ふ場合であるかと云ふ問題は、只今御話の賃貸借の場合も一つの之を入るものと考へまするが、地上權者である場合、地上權者が他人に其の土地を賃貸すると云ふ場合も、賃借權を設定すると云ふ場合もあり得る譯であります、地上權者が賃借權を設定した場合は矢張り其の括弧の中に入るものと解さざるを得ないのであります、そこでまあ例を地上權者が此の借地權を設定した場合、即ち賃貸借をしたと云ふ場合に、地上權にも賃貸借にも登記があればですね、是はまあ問題なく其の第三條の規定を適用して宜いのであります、又地上權の方には登記がある、それから賃貸借の方には登記がしてなかつた、斯う云ふ場合でも、登記のない賃貸借も今の十條の規定が茲にありますから對抗力を持つ、即ち建物の滅失前から賃貸借をしてある者に付ては、十條の規定で其の登記がなくても其の賃借權は對抗出來ますから、それで三條の規定に依つての適用があると思ふのであります、唯茲に問題になるのは初め地上權がありまして、さうして建物の滅失後に建物が罹災した後に賃借權の設定をしてさうして其の賃借權の設定に付ては登記がしてない、斯う云ふ點に付きましては十條は建物が滅失した當時から引續いて、其の敷地に借地權を有する者は對抗力があると斯う書いてあるのですから、今のやうに滅失後に地上權者から賃借權の設定を受けて、滅失後に其の敷地の使用を始めた者、滅失後に借地權を有した者、之に付ては十條の適用がない結果、詰り是は對抗の出來ない賃借權であると云ふことになりますと、此の二條の末項の規定は、それを準用して居る第三條の後段の規定等に依りまして、さう云ふ對抗してある借地權はないものと斯う看做されて、此の場合には二條の規定を適用するのか或は三條の規定を適用するのか、其の點が明確を缺くのではないか、詰り滅失後に賃借權を設定してある場合に付ては、而もそれに付て登記が無い、或は地上權の登記の無い場合も想像されるのですが、さう云ふ場合に付ては、借地權は無いものと看做されると云ふことになるのですから二條の規定を適用することになると云つても、地上權者はある譯ですからさう云ふ場合には地上權讓渡の申出も出來ると云ふ外はないのですけれども、其の點が其の賃借權の設定を受けた者に對して讓渡の申出が出來る、借地權者が借地權を設定した場合には其の借地權の設定を受けた者に對して讓渡の申出が出來ると云ふことに書いてありますから、さう云ふ風な對抗の出來ない賃借權の設定されたやうな場合には、三條の適用も困難になるのではないかと云ふ風に考へるのですが、どう云ふ風に御解釋になるのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=28
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029・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 三條の括弧の中でありますが、借地權者が更に借地權を設定した場合に於ては、其の借地權の設定を受けた者に對して讓渡を求めると云ふことになりまして、是は御設問のやうに轉貸借の場合のみならず、地上權者が自己の地上權に基いて賃貸借を、所謂借地權を更に設定した場合も兩方含める意味で斯う云ふ書き方を致したのでありまして從つて單に轉貸借と云ふ風な書き方を避けた譯であります、而して此の場合に於きましては御設問の場合のやうに、地上權者が更に賃借權を設定したと云ふ場合を採つて見ますれば、其の賃借權も矢張り對抗要件の備つた賃借權でなければならないのでありまして、若し御設問のやうに地上權に付ては對抗要件の備つて居る、或は十條の規定に依つて對抗力があると云ふ場合であるが、其の上に設定された借地權に付ては、對抗要件が無いと云ふ場合に於きましては、其の借地權の方は是は借地權でないものと看做されて、其の元の地上權のみに付て第三條の規定が働きまして、其の地上權の讓渡を求めると云ふことになると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=29
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030・霜山精一
○霜山精一君 さう云ふ風に大體は解釋されて來るものと豫想はして居りましたが、事は非常に複雜でありまして、此の第二條、第四項の規定に「第三者に對抗することのできない借地權」其の規定が第三條の後段に矢張り準用になつて居りまする結果、此の借地權の設定を受けた斯う云ふものの中に登記がなくても、對抗力のある借地權も、登記があれば無論問題はないので是が當嵌まるのですけれども、登記がなくても十條の規定の結果、此の借地權の設定を受けたものの中に入るものもあり、それから登記のないものに付きましても、一部は此の借地權の設定を受けたものに入らぬものがあり得る譯です、詰り同じやうに借地權者が更に借地權を設定した場合もある、設定した場合は登記があるかないかは問題外として、兎も角設定した場合には其の借地權の設定を受けた者と斯う書いてありますから、設定を受けたものの中に全然登記のないものであつて、而も十條の規定で對抗力のあるものとが此の中に入つて居ます、それから登記はなくて、結局對抗力を持たないものは其の借地權の設定を受けたものの中に入らぬ、同じ登記を受けなかつた借地權の間に此の規定の中に借地權の設定を受けたものとなるものとならぬものとが包含してある譯なのですね、それは非常に解釋上能く細かく解釋すればさうなるのですけれども其の點を矢張り明確に規定する方が賢明ぢやないかと私は考へるのです、非常に分り難い、能く細かく噛んで含めるやうにやつて見れば、そこ迄解釋が落ちないことはないかも知れませぬけれども、卒然として條文を讀んだり、或は素人が此の條文を讀んだりしては、何が何だかさっぱり分らないと云ふことになるのではないかと思ふのですが、何か其の點をもう少し明確にする方法は御考はないのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=30
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031・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 對抗力がある借地權に付ては、第三條に行くと對抗力のないものは第三條の限りに於ては借地權と見ないんだと云ふ建前ははつきりして居るのでありまして、然らば其の對抗要件と云ふものは何か、是は登記法、其の他の法令に依つて決つて來るので、其の間の區別は歴然と付く譯でありますが、只今御指摘のやうに、此の罹災の關係で今急には建物もない、又建物の登記も出來ないと云ふやうな此の過渡期の状態に於ては、登記がなくても對抗が出來ると云ふ例外を第十條なり、或は此の舊令に當る物件令等に拓きました關係上、そこに同じく登記がなくても對抗力のあるものとないものとが斯う出て來て非常に分り難いではないかと云ふ御説、御尤もと思ふのでありますが、唯立法技術の上に於ては、其の關係を事細かに規定して行くことは非常に煩瑣に相成りまするので、其の點は解釋に讓ることに致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=31
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032・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) もうそれで宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=32
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033・霜山精一
○霜山精一君 もう少し伺ひたいと思ひます、第四條に移つて御尋ね致したいのですが、前回御説明もございまして、賃借權の讓渡の場合に賃貸人の承諾は要らないものである、承諾はあつたものと看做すのであると云ふことにせられた立法理由に付て、土地所有者と云ふものは單に地代を目標にして居るのであるからして、事實地代さへ取れれば賃貸人の承諾は餘り要らない、其の點に於て地上權と賃貸借との間に大した逕庭はないのであると云ふ風な御説明を伺つたのでありまするが、併しながら此の地上權と賃貸借に付ては必ずしもさう一概に言ふことは出來ないのぢやないか、若し御説のやうな御考でありますれば、此の場合だけでなしに、借地法なり民法なりにも既に此の承諾を要することを總て前提として規定を設けて居る、さう云ふ規定との均衡もあるのです、若しさう云ふ御考でしたならば、借地法の改正なり民法の改正と云ふことに迄進んでやられる御積りなんでありませう、其の點を一つ御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=33
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034・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 此の前申上げたのは、都會地に於ける借地權と一般に言はれる中には、大體借地權、賃借權並に地上權引括めて借地法等が規定して居り、慣習上も借地權の讓渡も相當一つの財産として自由に行はれて居ると云ふやうな實情も考へまして、此の三條に依つて半強制的に讓渡を受けたものが地上權であると借地權であるとに依つて非常に差を付けると云ふことは、折角借地權讓渡を受け得せしめた罹災者保護の建前から衡平を失する感もありますし、普通の賃貸借であれば、其の使用の内容がどう云ふ風に使用するか、其の使用の目的如何に依つて賃貸人の地位が非常に影響せられることが多いのでありますが宅地の賃貸借に於きましては、建物使用と云ふことに大體目的は限定されますことであり、其の意味に於て借地權は地代を取れば、それに依つて其の目的を達すると云ふ關係で、而も地代と云ふものは實際に於て割合低廉な關係であるさう云ふ風な色々な事情も考へまして、誰が借地權者になるかと云ふことは、それ程重要なことではないと云ふ考も致すので、而も此の罹災者の爲に借地權の設定を與へると云ふ、斯う云ふ特殊な事情も絡合みひまして、此の場合に限つては地主が其の借地權の讓渡に自分の意に滿たないからと云ふ意味で、承諾をするとかしないとか云ふやうなことにしては、折角の三條に依る保護の目的を十分に達しないと云ふ、さう云ふ例外な特別の事情のある、此の事情の下に於てのみ賃貸人の承諾を不必要と致した次第でありまして、之を一般に推し擴げて民法の上に於て、轉貸借並に賃借權の讓渡に付て賃貸人の承諾を必要としないと云ふ風に改めるとか、或は借地法等に於てもさう云ふ風な趣旨に、地上權と全然同一に改めるとか、と云ふやうな意響は持つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=34
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035・霜山精一
○霜山精一君 賃貸借の場合に、借地權の讓渡に付て、賃貸人の承諾が要ると云ふことは、詰り讓受人の資力、信用等がはつきり分らないから、若し非常に無資力のものに讓渡されて地代を拂はぬと云ふやうなことになつては困るからして賃貸人の承諾が要る、大體斯う云ふ風になつて居るものと考へて居るのであります、世の中には非常に惡い地主の爲に苦しんで居る借地人も可なりありまするけれども、亦一面に於ては非常に惡い賃借人、借地人の爲に苦しんで居る地主も少くないのです、是はまあ今日の立法では、段々賃借人を保護する風に傾いて參りましたけれども、實際上の問題として惡いやつに引つ掛かると、地主はもう何とも仕樣がない、もうさう云ふ事例が多々あるのであります、家賃を拂はぬ、立退きはしないと云ふ風な目に遭つて居る地主は實に澤山あるのであります、ですから地主としては相當の人が讓受けて呉れれば是は問題はないのですけれども、如何にも惡辣なやつがそこに出て來ないとも限らない、其の場合に何か矢張り正當の事由がある場合には拒絶が出來る、正當の事由のない時には承諾と看做すと云ふやうな、そこに裕りを多少置いて置く方が宜くはあるまいかと云ふことを考へるのですが、其の餘地はないものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=35
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036・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 其の點も我々に於きましては十分檢討致したのでありますが、若しさう云ふ風なことに致しまして、折角借地權者の方で讓渡すことは承諾なり異議がないと云ふことになつて居るのに、地主の方でそれを拒んだと云ふ場合にどう云ふことに結果がなりますか、民法の趣旨から行きますと、前の賃貸借の關係を解除して、其の敷地を取上げることが出來ると云ふことになりますので、或はさう云ふ場合に建物が若しあると云ふことになれば、誰が其の建物を買取る責任を持つかと云ふことになるかと云ふやうなことも、色々複雜な法律關係もそこに出て參るのでありまして、別に現在地代が低廉であると云ふ關係、而も本法は臨時の法規であると云ふ關係、それから若し資力のさう云ふ地代でも拂へない資力のないものであると云つたやうな場合で、愈愈新らしい賃借權者になつて地代が拂へぬと云ふ場合には一般原則に依つて債務不履行と云ふことで契約を解除して行けば宜い譯である、更に又建物が建つた場合に於ては、其の場合には先取特權を、地主にも所謂賃貸人にも得せしめると云ふ途を拓いて居る次第でありますから、色々な事情を考慮した結果之に落著いた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=36
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037・霜山精一
○霜山精一君 もう一つ非常に細かい文字上の問題として、賃貸人の承諾があつたものと看做す、斯う云ふ風になつて居りまして、第三條一項の規定の括弧の中の轉貸借のあつたやうな場合に付ては、賃貸人と轉貸人と二人居る譯なんですが、さう云ふ賃貸人と轉貸人とある場合には、どちらの承諾があつたものと見るのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=37
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038・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 御説の場合は、雙方の承諾あつたものと見る趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=38
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039・霜山精一
○霜山精一君 轉貸借の場合にはもう既に賃貸人が轉貸借其のものに付ては轉貸借の承諾を與へて居る譯なんです、今度それが讓渡される場合には此の賃貸人の承諾が要るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=39
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040・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 矢張り賃貸人は賃料の關係に於きまして民法の規定に依つて第二次的ではありませうが賃料を受ける權利を持つて居りまするから、直接轉借人に對して持つて居りまするから非常な利害關係を矢張り持つて居ると考へまして、此の場合としましては、さう云ふ轉貸借のあつた場合に於ては賃貸人、轉貸人雙方の承諾があつたものと解釋すべきと云ふ風に解釋して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=40
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041・霜山精一
○霜山精一君 私は民法の問題として御尋して居るのですが、借地人が所有者の承諾を得て、借地人が賃貸人の承諾を得て轉貸借をした、轉貸借をすることに付ては既に所有者が承諾を與へて居る、其の轉借人から今度轉借權の讓渡をする場合、民法の規定では元の轉借人、轉貸人、之の承諾を得る規定はありまするが、元の所有者の承諾を得ると云ふことが民法の解釋として相當かどうか、民法の問題として考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=41
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042・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) それは民法の解釋でありますが、私の今此處で考へて居る解釋としては、矢張りさう云ふ場合に元の賃貸人の同意も必要であるのぢやないかと今ちよつと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=42
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043・霜山精一
○霜山精一君 私も能く其の點調べてありませぬですから、若し御調べの結果雙方の承諾が要ると云ふことであれば此の規定で結構でありますが、御調べになりました結果を一つ御知らせ願ひたいと思ひます、それから後段の「讓受人は、讓渡を受けたことを、直ちに賃貸人に通知しなければならない」と云ふ此の賃貸人に付ても同じ問題がありますから御調べを願ひたい、若し矢張り承諾が要るものだと云ふならば、此の通知も兩方しなければならぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=43
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044・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) さう云ふ兩方に要ると云ふことになれば無論賃貸人は雙方にと云ふ積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=44
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045・霜山精一
○霜山精一君 此の通知の效力ですけれども、若し通知をしなかつた場合はどうなるのであるかと云ふことが此の規定でははつきりしないのであります、通知をしなかつたら承諾をしなかつたものと見るのか、或は何か他に通知をしないことに對する制裁があるのか單純に是は知らせると云ふ意味だけであつて、何も效力がないのかと云ふ點を御尋して見たいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=45
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046・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 是は知らないうちに承諾をしなくても、承諾になつたものと看做される譯でありますから、之を知らないうちに讓渡されると云ふことであつては、非常に賃貸人が迷惑を蒙ると云ふ關係で通知をしなければならないと云ふことになつたのでありまして、訓示的と云へば其の意味に於て訓示的でありまして、若し此の通知をしないが故に讓渡の效力がどうなるかと云ふことは關係なく、通知をしなくても讓渡は讓渡で有效で、而も承諾があつたものと看做されるのであります、が併し通知をしない場合には、之に依つて賃貸人が損害でも蒙ると云ふ場合に於ては、通知義務違背の效力として、賃貸人に對して損害賠償の義務があると云ふ風に考へて居ります、此の點は丁度民法の供託の場合に於て、供託の通知を民法が規定して居る場合の例に倣つた譯でありまして、此の場合も解釋上は、通知しなくても供託は有效であるが、通知しないが爲に蒙つた損害の賠償の責任はあると、云ふ解釋と同じやうな積りで規定した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=46
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047・霜山精一
○霜山精一君 三條の規定に依つて賃借權が讓渡される場合は、人の賃借權を讓受けてさうして他人の地面の上に家を建てよう、斯う云ふのでありまするから、賃借權を讓受けて他人の地面の上に建築をしよう、斯う云ふことなんですからして、其の建築をする讓受けた者から見れば、其の地面の所有者に無交渉で、全然土地の所有者のことなんか眼中に置かないで、賃借權を讓受けてさうして其處へ家を建てると云ふやうなことは普通の觀念ではない、苟くも人の地面の上に家を建てるなんと云ふ時は、其の地主の所へ行つて、今度賃借權を讓受けることになりましたからどうか一つ宜しく御願ひ致しますと云ふやうな挨拶をするのが仁義であるし、それが普通人のやる所です、何等の斷りなしに人の地面の上に賃借權者になつたのだから家を建てる、斯う云ふやうなことは普通の事例ではない譯です、斯う云ふ風に承諾のあつたものと看做される場合でも同樣であらうと私は思ふのです、さうして見ると賃借人の方では、さう讓渡のあつたと云ふことをもう既に分つて居ると見なければならぬ場合が多からうと思ふ、ですからさう云ふ風に既に知つて居る場合に付ては、此の通知義務を認める必要はない、斯う云ふ風に規定した方がいいんぢやないかと思ふのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=47
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048・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 或は解釋上さう云ふ解釋が此の儘でも出て來るかとも思はれます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=48
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049・霜山精一
○霜山精一君 能く法律には、もう既に知つて居る場合には通知せぬでも宜いと云ふやうな規定が各處にあるやうでありますが、さう云ふ規定は矢張り明確にした方がさう云ふ風に解釋するよりもはつきりするのではないでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=49
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050・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 恐らく解釋でもう分つて居る場合には、更に通知する必要がないと云ふ解釋は此の儘でも當然なし得るんではないかと思ひますが、一應は兎に角賃貸人に通知義務があると云ふことにして置きませぬと、事實知つて居つたかどうかと云ふことに付て爭があり、或は賃貸人の方で既に知つて居りながら、知らなかつたのだと云つて損害を寄越せと云ふやうなことになりまして紛爭を起し易いことになりますので一應は一般的に通知しなければならないと云ふことにして置きまして、實際知つて居るからと思つて通知を、もう當然不必要と思つて通知しなかつたやうな場合には、解釋で其の場合を救濟して行くと云ふことで大體宜からうと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=50
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051・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 霜山君に申上げますが、そろそろ時刻も參りましたから、此の邊で休憇を致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=51
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052・霜山精一
○霜山精一君 どうぞ御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=52
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053・村田保定
○男爵村田保定君 私二、三回缺席して申譯ないのですが、其の間に全體に對する質問はもう終つてしまつたやうであります、逐條が全部濟んだ後で、もう一遍全體と云ひますか、ほんの一點ですけれども御伺したいと思ひます、大臣の御出席を願ひたいと思ひますが宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=53
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054・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) さう云ふ御希望ならば、其の折に大臣の御出席を得まして御質問願ふことに委員長は取計らひます、是で休憇致します、午後は一時から再開致します
午前十一時五十四分休憇発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=54
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055・会議録情報3
――――◇―――――
午後一時二十分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=55
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056・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 是より午前に引續き開會致します、罹災都市借地借家臨時處理法の第一條から第五條の御質疑がありましたから此の際御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=56
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057・作間耕逸
○作間耕逸君 詰らぬ問題でございますが、法律の用語に付て此の際政府委員、寧ろ司法當局の御考を伺つを置きたいのであります、此の第四條に「みなす」と云ふ言葉が使つてあるのであります、是はもう之を漢字で表はす場合に於ては法律上の術語として絶對的な意味に使はれて無を有とし、有を無とすることさへも出來る字義を持つて居るのです、併しそれは、「看做す」と云ふ此の漢字に依つて初めて法律上の術語となるのでありまして、唯音讀から生ずるのではないのです、然るに是が平假名で「みなす」と書いてある、是は此の法案の他の部分に付てもあるかも知れませぬが、是からの將來の立法にも關係して來るのです、第四條にもありますし、第二條にもあります、是が法律の民主化、即ち法文を文語體から口語體に改めると云ふ大きな方針の下に此の平假名を選ばれたものと思ひます、恐らく漢字を避けて法律の民主化の爲に殊更に平假名を用ひられたものと思ひますけれども、是では法律上の術語の持つ特性效果を失つて居る、平假名で示されたのでは申し換へれば何のことか何の意味か分らない、漢字を使ふと殊更にむつかしくなると云ふ思召しかも知れませぬが、それなれば他に準用それから設定、斯う云ふ法律上の術語が矢張り漢字其の儘で使つてある、平假名に代用されて居ない、然るに獨り此の「みなす」と云ふ字だけを漢字を避けて殊更に平假名を用ひられたのはどう云ふ譯でありますか、平假名を用ひなければ其の點が、口語體にならぬ、文語體になると云ふことでありませうか、「看做す」漢字を使つても私はそこは讀方が同じなれば矢張り口語調ではないかと思ふ、漢字を使へば文語調になり、假名で書けば口語調になる、斯う云ふものではないかと思ひます、立案に當つて定めし其の邊の意見も出たことと思ひます、此の場合單に是だけの問題ではありませぬ、此の法案全體を通じて又更に是から追つて色々出來上る他の法律案にも關係することでありますから、此の際司法當局の御見解を伺つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=57
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058・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 茲に「みなす」と書きましたのは、御説のやうに漢字の看と云ふ字と做と云ふ字を書いて「看做す」と云ふ趣旨と同じでありまして、所謂法律上の擬制を茲に表はしたのであります、それなれば漢字でさう云ふ風に書いた方が從來通りの觀念から云つても能く分るのになぜ平假名に直したかと云ふ御尋でありますが、是は恐らく「みなす」と云ふことに依つて外の字に間違へられる虞がないので、平假名で書いても間違はない、若し平假名で間違のないものであれば、成るべく漢字を避けて平假名で書いた方が民主化と云ふことになると云ふ風な最近に於ける政府の方針のやうであるかと思ひます、趣旨は御説のやうに擬制即ち法律上の今迄の漢字の看做すと何等變らない趣旨でございます、尚此の點は實は法制局等に於て新憲法の用例文例に傚つて統一されて居るやうでありまして、實は法制局の審議等に直接參加しました事務官が居りますので、若し委員長から説明員等に依つて説明を致させると云ふことになりますれば、其の方から適當に御話願へるかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=58
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059・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 作間君に御尋しますが、説明員に説明致させませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=59
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060・作間耕逸
○作間耕逸君 別にそれ程にも及ばぬかと思ひます、委員長の御考で宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=60
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061・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 只今民事局長の言はれた通りださうでありますから御了承を願ひます、さうすると、一條から五條迄の間に御質疑がございませぬか、ないものと認めます、然らば次に第六條から第十條迄を問題に致します御質問を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=61
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062・作間耕逸
○作間耕逸君 細かな問題でございますけれども、此の際ちよつと御尋をして置きたいことは、第六條の耕作の目的で使用してある土地は六箇月間其の土地の使用を續けることが出來るとなつて居ります、建物の所有ではありませぬから、特に之を短くされたと云ふ御趣旨は分つて居りますが、他の法律の場合を見ますると、農作物の時には大抵植付けてあつた耕作物の其の收穫期迄を一區切として居るものが通例のやうであります、之を單に月を以て限られると云ふと、丁度此の月が耕作の收穫期と一致すれば宜いのでありますが、一致しない場合があり得るのでありまして、例へば今日から六箇月と致しますと甘藷は穫れてしまひ、今度は秋冬に掛けての大根の種を蒔くのである、丁度其の大根が漸くものになり掛ける頃にもうそれを取上げてしまはなければならぬことは、甚だ増産の上からも遺憾な點があるし、又之を耕作して居る人に取つても殘念なことに思はれるのであります、從つて其の間に又感情問題も生ずる虞もありまするから、是は其の當時に植付けてあるものの收穫の終る迄と云ふことで區切られて、單なる月數に依られない方が宜いのではあるまいか、實際的ではあるまいかと考へられますが、之を一箇年の半分の六箇月、季節時候に拘らず、植付收穫に拘らず六箇月と定められました理由は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=62
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063・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 誠に御尤もな御説であります、收穫を終る迄と云ふことに定めることが具體的には甚だ妥當であるかと思ひます、唯個々的に收穫の終る迄と云ふことでありますれば、耕作の種類に依つて其の終了の時期が非常に區々に相成りまするので、斯う云ふ風に稍稍劃一を尊ぶ法律に於きましては、大體六箇月あれば一通り其の收穫が終るのではないか、又六箇月しかないことが豫め分つて居れば其の豫想の下に植付等をやつて貰へば、自ら其の間の調節もつくのではないかと云ふ所から、確實性を尊重する意味で、即ち借地權のある其の間は此の二項に依りまして、折角借地權の設定を受け、或は讓渡を受けても、其の耕作の使用が繼續して居る間は、第二項に依りまして借地權の存續期間の進行は停止されて、借地權の權利を行使することが出來ないと云ふ強い制限を與へられて居ります結果、寧ろ其の間を法律で一定して、法律關係の安定を圖つた方が宜しからうと云ふ趣旨に依りまして六箇月に限定した譯で大體、六箇月あれば收穫が終るのではないかと云ふ豫想であります唯それだけは個々具體的な場合に於て或は困る場合もあらうかと思ひまして、さう云ふ場合は但書に依つて其の期間の伸長或は短縮等を爲し得る途を特に殘して置いた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=63
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064・作間耕逸
○作間耕逸君 但書のありますのは、政府委員仰せの通りであります、けれども農作物に付て裁判所に態々申立をして期間の伸縮をすると云ふことは、所謂牛刀を以て鷄口を割くの類ひでありますからそれは餘程の場合と云ふことになる譯であります、耕作物の種類が違つた場合には、其の中で一番遲い最後の物に據れば宜からうと思ひます、それから月を以て斯う云ふやうに區切られて居りますと、例へば三月目に收穫があつた、あとの三月を其の儘遊ばして置くのは如何にも惜しい、先は先のことにして、兎に角種を播くとか、植付をして置け、それが丁度六箇月の收量に中途半端になります、耕作者は丁度今増産の社會的要求を脊景にして、色々交渉したり歎願したりして面倒が絶えないかと思ふのです、是れ以上は觀方の相違でありますから申上げませぬが、私共はさう云ふ風に紛議が生ずる場合が、月で決める方が實際に於ては寧ろ多いのではあるまいか、斯う考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=64
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065・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 尚一言附加へて置きたいと思ひますことは、菜園の中に數種類の植付等があつて、其の收穫期が劃一的に判然致さぬやうな場合もありますし或は主なる物の收穫と云ふ風なことに致しましても、其の數種類の中のどれが主なる物であるかと云ふやうなこともはつきり致さないやうな關係もありますし、唯收穫と云ふ場合は、其の間の法律關係が甚だ曖昧になると云ふことを實は惧れた次第であります、尚但書等に依つて短縮或は伸長が出來ますが、勿論裁判所に申立てると云ふ風な手續を致さないでも、關係者が全部の合意で其の期間の變更と云ふことは、是は解釋上許されることと考へますから、實際に於きまては適當にやり得るのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=65
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066・作間耕逸
○作間耕逸君 次は第七條の中に「建物所有の目的でその土地の使用を始めなかつたとき」と、斯うありますが、是は小さいやうな問題に見えまするけれども、實際上はなかなか問題の起り易い、紛議の生じ易い點だと思ひます、土地の使用を始めなかつたと云ふのは是はまあ事實の關係を、其の時々の事態に依つて結局は裁判所の判斷に俟つの他はないでありませうありませうけれども政府當局としては斯う云ふ場合は原則として如何に御考になるか、即ち借地人が材木は既に注文した、大工も傭ひ入れをした斯う云ふ事實がある、併しながら土地は其の儘打つちやつてある、燒け殘りの「トタン」、瓦礫、燒土は其の儘少しも手を著けてない、單に材木は用意をしつつある、勞務者も依頼して居る、斯う云ふやうに土地其のもの、現地を離れての準備は土地の使用を始めたと云ふことに私共は入らぬと思ふ、併しながら借地權者から言はすると云ふと、何も現地の使用著手は直ぐ出來るのだから、材木の用意、勞務者の手配、其の方が大事で且むづかしい、それが今準備中なのですから、斯う云ふ辯明をし、又事實がさうであつたとしますれば、其の時は土地の使用を始めなかつたと云ふ場合に當篏るのですか、或は使用を始めたと見て宜いのでありまするか、私が斯樣な質問を致すのは、是は一體復興當局に一つ本當に追及したいと思つたのです、私は復興當局は都市計畫で、机上「プラン」で、いや此處は道路を何「メートル」にやる、此處は緑地帶を造ると云ふやうに、都市計畫にのみ重きを置かれて居るが、何を措いても先づ燒跡のあの不始末、不體裁を片付けさせたら一番宜いのだと思ふ、さうすれば體裁の上からも氣持の上からも衞生の上からも非常に良いのであります、私共はあれを斯う思つて居る、土地の舊來の使用者はあれを取片付けるべし、それから運送や何かの都合が付かぬで、なかなか個人の力で片付かない品物は其の敷地の一隅に整頓して置けば宜しい、後は政府なり都市なりの責任で宜しい、其の他の部分は綺麗に清掃をしろ、是が復興の第一歩だと思ふ、今日風が吹いて燒土の埃が盛に飛ぶ、從つてて蚤とか虱とか云ふやうなものが特にさう云ふ地帶から生ずる、不衞生のみならず復興状態を見ましても或は復舊状態を見ましても、單に賑かな人通多い道端には家は建つて居りますけれども、一歩中へ入る、裏へ入れば、依然として元の通り、中には大通りのそれに面して居る宅地が矢張りもう戰災直後のあの舊態依然として少しも手を著けてない場合が多い、何は扨て措き復興當局として此の清掃を第一にやらせることが、大きく言へば聯合國に對しても、全く日本が復興に活溌なる進歩を示しつつあると云ふことが一目瞭然するのであります、然るに大部分は矢張り燒「トタン」鐵材等は其の儘、徒つて瓦礫、燒土其の他塵芥は其の儘になつて居る、草蓬々と生えて居る、偶に菜園が作られて居りますけれども、多くは草が其の瓦礫の間から生え上つて居ると云ふ、あの不體裁の状態を依然として通して居るのである、そこで私は土地の使用を始めなかつたと云ふことは、土地の現状に手を著けない以上は、内部的に如何なる用意をしても、言ひ換へれば經濟的に如何なる用意をしても、現地に建築の著手をしない場合には使用を始めなかつたとして斷乎解除は出來るさうして現地に使用を始める、其の着手の第一歩は其の敷地を清掃すべし、綺麗にすべし、斯う云ふ一つ方針で此の問題を御扱ひになり、御覽になり、個々の場合に御臨みになつて、さう云ふ見解で判斷を下されてはどうかと思ふのであります、此の點に付て政府は何と御考になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=66
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067・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 此の建物の所有の目的で其の土地の使用を始めなかつたと云ふ意味は、土地に建築を始めなかつたと云ふ、築造に着手しなかつたと云ふ意味でありまして、でありまするから其の土地に客觀的に何等か建築の著手と認めらるるやうな、或は材料を持ち込むとか、さう云つたやうな、其の土地に付て現實に客觀的に建築の着手に取り掛つたと思はれる客觀的の事實のあることを豫想して居りますので、唯大工と約束が出來たとか、材料の注文をしたと云ふことだけでは、土地の使用を始めたと云ふ風には解釋出來ないものと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=67
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068・作間耕逸
○作間耕逸君 それは只今私が申上げた所と同じ意見でありますから、矢張り客觀的事實の認定を下される其の一つの條件として、少くも土地の清掃を果すと云ふ位にして、側面から矢張り東京都市其の他の都市の復舊復興に御協力に相成つて然るべきものだと思ふ、是が非常に間接に復舊なり復興を助ける、斯う云ふ結果に相成るだらうと思ひます、それから第九條是は「疎開建物が除却された當時におけるその敷地の借地權者、その當時借地權以外の權利に基いてその敷地にその建物を所有してゐた者及びその當時におけるその建物の借主」、之に付ては前七條の規定を凖用されると云ふことになつて居る、是は一體疎開と云ふのも戰災と云ふのも矢張り同じく戰爭を原因とする、それに依つて生じた建物の異動、廣く解釋すれば同じ性質のものに歸著致すのであります、疎開建物に付ては罹災建物疎開地に付ては戰災地と同樣である、斯う云ふやうに規定をされても、即ち同樣に扱はれても、大低の場合それで間に合ふのではないか、併るに之を、疎開建物の敷地に付て別に一條を設けられまして罹災建物の敷地と區別をする必要と實益はどこにあるのでありませうか、それを伺つて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=68
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069・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 罹災建物の敷地に付きましては、既に戰時罹災土地物件令、所謂舊令なるものが出て居りまして、既に其の敷地の法律關係は一應舊令に依つて處理されて居るのであります、處が疎開建物の敷地等に付ては、今迄何等のさう言つたやうなものの處理規定がございますので、全然其の關係を同樣に見ることは法律上色々差支のある點があります又罹災建物の敷地に於ては借地權等は尚停止せられては居りますが存續して居る状態になつて居ります、疎開建物の敷地等に於きましては、或は土地の所有權が買收せられたことになつて居る場合もありますし、又或は賃借權を放棄して居ることになつて居る場合もありますし、其の間の法律關係は一定して居らないのであります、さう云ふ次第でありまするから全然同列に各條に疎開建物の敷地を罹災建物の敷地と同樣に扱ふことは法律上是は困難を感じまして別に第九條を以て規定をして大體凖用すると云ふ建前を取つた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=69
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070・作間耕逸
○作間耕逸君 疎開建物が除却されました敷地、此の敷地に公共團體が之を所有し、或は賃借して居ることは、是はもう但書に依つて別個の問題になりまするが、此の敷地に都市其の他の公共團體がもう疎開地を持つて居る必要がなくなつた、管理する必要もなくなつた、從つて之を元所有者に還元する、復歸をする、斯う云ふ場合に疎開建物の所有者、即ち其の借地權者、從來の借地權者は都市或は其の他の公共團體から疎開に付ての賠償金は貰つて居りませう、貰つて居りませうけれども、地主は其の場合どうなるかと申せば、全く何等の賃貸借の設定なく、完全なる無疵の所有權を回復的に取得することになるのですが、此の場合に於ては、從前の借地權者は、全く是は國家の戰爭目的の爲に自己の心ならずも建物を疎開し除却されたのでありまするから、其の土地の所有權が元の地主に其の儘戻りまする場合には、借地權も亦從前に繼續して其の儘其の土地に付て戻つて來ても宜いものではないかと思ふのであります、さうすると云ふと、借地權者は都市或は其の他の公共團體から借地權の對價を得て居ります、對價を得て居りながら又元の土地に借地權を繼續して有すると云ふことは、是は借地權者の爲に大變都合の好いことになりませうが、併しながら又一面地主は只今申したやうに完全なる所有權を回復して、さうして今度又新たに別の人に借地權を設定せしめて、さうして權利金なり何なりを新たに徴收すると云ふことは、是は今度は地主が大變幸せなことになる、此の關係を餘り不公平でないやうに兩方に然るべく調整して、負擔も利益も權衡の取れるやうに調和しなければならぬかと考へて居りまするが、此の關係に付て政府當局の御意見は如何でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=70
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071・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 御説のやうに、建物が防空用の空地設定の爲に除却せられる場合に於ては借地權は恐らく賠償を受けて消滅することになつて居ることと考へます、而して其の用地に使用して居つた公共團體等が最早防空空地を繼續せしめて置く必要がない、言ひ換れば其の敷地を自から所有し、或は之を賃借して置く必要がないと思ひました場合に、其の關係を解除して元の土地の所有者に不要として返還せしめると云ふことになると思ふのであります、さう致しました以上は、矢張り前の借地權者にも借地權を原状回復せしめる意味で、借地權の設定をせしめると云ふことが妥當であらうかと考へまして、其の敷地の借地權者、實は其の當時に於ける借地權者で、現在は借地權を有しない者であつても、第九條で第二條以下の準用に依りまして、借地權の設定を受けしむることに致した譯であります、さう云ふ場合に、前に補償を受けて居りながら、更に借地權の設定を受けると云ふのは或は不當利得をするのではないか或は若し又地主が其の借地權の設定の際に、更に權利金を取ると云ふやうなことは、地主としては一應補償を受けて置きながら、更に更地の土地として返還を受け、而して借地權の設定の場合に權利金を取ると云ふやうなことは不當ではないか、其の間の調和をするやうにしては如何かと云ふ御尋でありますが、御尤もな次第でありまして、是は所謂二條等に依つて、適當の借地條件で賃貸をすることになりますので、若し假に權利金を決めるとか、或は賃料を決めるとか云ふやうなことに付きましては、其の前に於ける補償の關係等或は前の借地權關係、借地條件等とも睨み合せて適當に定むべきものであらうかと思ひます、尚其の點に付て紛議でも起ります場合に於ては、十五條等に依つて適當に法律關係が決められ得るものであると考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=71
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072・作間耕逸
○作間耕逸君 政府委員の只今の御答のやうに、矢張り更地として宅地、敷地を取戻し得た地主の利得とか、それから再び借地の設定又は讓渡をしなければならぬ、從前の借地權者の利害關係、是等は個々の問題に付て衡平を期すべく此の鑑定委員會等に於て、權衡を圖つて行くべきものであると云ふ御趣旨は、是は私の意を得たものとして結構に存じまするが、此の借地權の年限は、殘存期間が十年未滿の時は十年に繰延べる、是は借地權者の年限上からの方であつて、是は其の立法の御氣持は分つて居ります、十年としても、第三者に對抗し得る期間は、今年の七月一日から五箇年以内に、其の土地に付て權利を取得した第三者に對抗することが出來る、是は此の五箇年以内は對抗し得る期間なんですか、其の土地に付て、第三者が權利を取得した、其の對抗を受ける方から言つての期間なんでありますから、まさか殘存期間が十年、少くも十年以内、是以上と云ふことを認める對抗の期間は五年に止めると云ふ譯ぢやないでせうね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=72
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073・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 第十條は此の滅失或は除却當時から引續いて持つて居る借地權者の借地權の對抗の問題を規定して居りますので、是が九條の場合は恐らく極めて、斯う云ふ事例は少いと思ひます、と申しますのは多く借地權は除却當時に賠償等を受けて、消滅して居るものと思ふので、そこで前の借地權者でも新しく借地權の設定を受けると云ふ關係になるものと思ひます、何等かの事由に依つて、まだ借地權が補償等に依つて、消滅せしめられないものがありとすれば、或は十條の問題と絡んで來ることがあり得るかと思ひますが、多くは借地權は消滅せしめて、新らしく公共團體等で借地權を設定したり、或は所有權を取得して居る關係になりますので其の返還を受ける場合は、多くは更地として返還を受けるのでありますから、前の借地權者が今度二條に依つて新らしく借地權の設定を受けた、其の借地權は總て十年と云ふことになる譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=73
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074・作間耕逸
○作間耕逸君 疎開建物で除却された敷地の問題は、但書のやうな場合は別と致しまして、後は除却當時の原状に於て、土地も借地權も共に復活する、さうして繼續をする、改めて借地權の設定とか讓渡とかは要しない、一旦疎開の爲に建物も取られ土地も取られ、さうして借地權もなくなつたけれども、其の疎開の目的が消滅した、土地其のものは返還されて地主へ還つて、其の時には其の敷地の借地權も共に、其の儘の状態に於て地主へ還つて、さうして從來の關係を將來に持續する、斯う扱つた方が便宜である、實際的である、又適切のやうに考へまするが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=74
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075・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) さう云ふ考へ方も一案かと實は思ひます、併しながら事實は借地權はもう消滅して更地になつて居るのでありまするから、之を消滅しなかつたものと看做すと云ふことになりますので、其の間の法律關係はどう云ふ風になるのであるか、或は賃料等がどう云ふ風になるのであるかと云ふまうなことも、法律上問題になりますし、又必ずしも外に適當な借地なり土地を得て居つてそこに借地權を自働的に前からあつたものに看做して貰へなくても宜しいと云ふやうなものもあらうかと思ひます、さう云ふものは將來必要であれば借地權の設定を受け得る權利だけは與へて置けば宜いので、さう云ふ意思のない者でも何でも前の借地權者であれば一應全部前から繼續して復活して居ることに致すと云ふことになりますと、稍稍行過ぎではないかと云ふ風にも考へます、それと又此の防空關係を解除して公共團體から返還せられる法律關係も必ずしも一樣であらうとは思はれないのでありまして、其の間に於て色々な種々の場合があらうと思ひますから、總て今迄疎開前の現状に全部機械的に復活せしむると云ふことは色々な點に於て差支の場合があるのではないかと思ひまして、新たに改めて借地權の設定を受くるとかと云ふ風に致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=75
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076・作間耕逸
○作間耕逸君 疎開が必要なくなつて地所が戻つた場合に新たに借地權を設定せしめると云ふことこそ却て法律關係が面倒になる、將來借地權が要らぬ者はそこで借地權を放棄せしめれば借地權が法文になつたそれで足る、是は其の疎開で取上げられて居つた期間借地權は中斷した、それが濟んで元に戻る、それは取上げられた當時の状態其の儘に於て戻る、さうして又進行を始むると云ふことにした方が面倒が少いと考へられまするが、是は意見の相違になりますから質問としては是で一應宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=76
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077・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 御質問はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=77
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078・村田保定
○男爵村田保定君 先程文字に付ての作間委員の御質があ問りましたが、大先輩の御意見に反駁するのは誠に恐縮でありますが、私の考では此の「みなす」と云ふのは民主化の意味で結構だと思ふのでありますが、もう一歩進めて第十條にある罹災建物が滅失し、或は疎開建物が除却された、是は其の法律用語として既に固定して居るものではあるかも分りませぬが、此の除却されたのを取毀されたとか、罹災建物が滅失と云ふのを失はれたとか、さう云ふ平易な本當の民衆に親しい言葉に直して戴くことは一層望ましいと思ふのでありますが、權利の名稱とか、其の他讓渡とか設定とか云ふやうな、斯う云ふ漢語を使ふことは非常に便利でもありますし、多少の科學性を持たせる、純粹の日本語に直してしまふと非科學的になると云ふ嫌ひがあるかも知れないと思ふのでありますが、もつと民衆の生活にぴつたりと著いた立法技術と申しますか、そこを狙つて行きたいと思ふのであります、實は司法大臣に御尋したいと思ふのは、其の點に關しての何でありますが、是は寧ろ法制局あたりに御尋すべきであり、司法省當局に御尋するのは或は筋が違つて居るかも知れませぬが、各省各方面の御方がさう云つた狙を持つて法律を作ることに努力して戴かぬと是はなかなか出來ぬと思ひます、どう云ふ風に御考になって居りますか、それをちよっと御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=78
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079・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 出來るだけ分り易く法律の文章なり文字なりを改むべきだと云ふ御考は全く私共も同感であります、口語體に改めましても尚所々にぎごちないと思はれる用語があることは甚だ申譯がないと思ふのであります、只今御指摘の罹災建物の滅失或は疎開建物の除却と云ふ風な言葉に付きましてもどう云ふものかと考へますが、實は滅失と云ふやうなことに付ては或程度今迄法律用語としての内容もまあ大體決つて居るやうな譯で、例へば取毀すと云ふ言葉も結構かと思ひますが、取毀さないで其の儘其の建物を何處かに持つて行つて、其の場所から除却する場合もありませうし、色々言葉はむつかしいのでありまして、分り易く書くと云ふのも餘程骨が折れると思ひます、今後我々事務當局として立案する場合に於きましては御趣旨の點は實は我々も非常に同感して居るところでありますから、其の方向に向つて極力努力致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=79
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080・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 十條迄の御質疑はもうおありになりませぬか、それでは次に第十一條から第十五條迄を問題に致します、御質疑を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=80
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081・竹下豐次
○竹下豐次君 極く簡單の御尋を致したいと思ひます、第十四條に「その完成前賃借の申出をすることによつて」と云ふことになつて居りますが、是は完成前に限つて完成後の分を除外して居るのはどう云ふ譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=81
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082・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 余り先借が横合からと云つては語弊がありますが、先借權を持つて居る方から先借の申出が出る期間を余りに長く放置して置くことは、建物の所有者の地位を不安ならしむると考へまして、成るべく早い期間に其の申出をなすべき期間を打切りたいと云ふ意味で、建築の初からと云ふことになると、どう云ふ家が出來るか分らない譯で、さう云ふ場合に申出が勿論出來ないでせうから、それかと云つて完成後暫く或一定の期間と云ふことであれば、完成して、優先して借受ける者が後から飛出して來ると云ふのでは、建物建築者の方の法律關係も不安である、さう云ふ關係を睨み合せまして、少くとも完成前に申出をすると云ふことに致したのでありまして、此の先例は關東震災當時に於ける借地借家臨時處理法でありまする、是は御手許に差上げて居る參考書類にありますが、第三條の「新に築造せられたる建物に付其の完成前賃借の申出を爲したるときは」云々と云ふ先例に實は倣つて規定した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=82
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083・竹下豐次
○竹下豐次君 但書に「その敷地の換地に築造された建物については、この申出をすることができない」とありますが、之を換地の場合と換地以外の場合と取扱を異にされて居るのはどう云ふ譯でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=83
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084・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 罹災建物の、或は疎開建物の除却された或は罹災建物が滅失當時に於ける其の建物の借主であれば、其の敷地の上に建てられた建物には先借權を與へる、又其の敷地でなくても、其の敷地、換地、區劃整理の結果其の敷地が換地になりました場合に其の換地の上に建てられた場合に、其の換地の建物に對しても前の建物の借主は先借權の申出が出來ると云ふことに致したのであります、處が前の敷地にも建築がなされ、其の換地が出來たので換地の方にも建物が建てられたと云ふ場合に於きましては、其の最後の換地の上の建物に先借權を申出ることが出來る、所謂借主と云ふのは、其の中間と云ひますか、中間の前の敷地の上の建物の借主で、最後の借主であつた者でなければ其の敷地の換地に對して建てた建物に對して先借權を持たせないと云ふ趣旨であります、即ち結局敷地の上と換地の上と兩方に建物が建つた場合に、敷地の方にはもう借主にならないで置いて、換地の方へ直ぐ先借權を持たすと云ふことは許さない、言ひ換へれば其の土地から一旦立去つた借主がありますから、さう云ふ者はもう其の最後に出來た換地の上の建物に對して先借權を認めないと云ふ趣旨であります、即ち但書の場合は罹災當時の建物の借主であつて、それが敷地に家が出來て、其の借主になつた者でなければ其の敷地の換地の上に建てられた建物の借主にもなり得ない、優先的に先借權は認めないと云ふことに致しましたので、所謂一番初の建物の罹災者保護であるが、其の間に途中でもう何處かに離れてしまつた借主には先借權を與へないと云ふ趣旨でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=84
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085・竹下豐次
○竹下豐次君 大變込入つて居つて、能く理解が出來ないのでありますが、假に甲と云ふ土地に建てて居つた家が燒けた、其處には都合で以て家が建てられないで、乙と云ふ土地を換地として與へられた、其處に建物が建つた、其の場合にはどうなるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=85
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086・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 一番初の燒けた家の借主は直ぐ換地に建てた家の先借權を持つことで出來ます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=86
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087・竹下豐次
○竹下豐次君 さうすると、換地にも建物が出來、元の所にも建物が出來た、二軒出來た場合が、此の但書に當ると云ふことですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=87
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088・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=88
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089・竹下豐次
○竹下豐次君 さう云ふ風に見えますかが、どうも此の條文はさう云ふ風に讀み兼ねたのであります、併し御趣旨のある所は分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=89
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090・中島徳太郎
○中島徳太郎君 ちよつと今の竹下さんの御話に關聯したやうなことかも知れませぬが、第十條の方を私はまだ十分に研究して見て居ないのでありますが、疎開の爲に建物が除却された土地が殘つて居りますね、其の土地は家があつて借主はもう既に除却せられる時に話が出來て行つてしまつて居らぬ者もありますね、貸して居つた者は今度は其の土地を何かに利用する時には、一應前の借主にそれだけの通告をして、それから利用せなければいかぬと云ふことになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=90
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091・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 其の最後の除却當時の建物の借主は、今度土地が返還された場合に於きましては、九條で場合に依つては其の土地の上に借地權の設定を求めることも出來ますし、自分が其の敷地に借地權を求めない場合は、十四條で其の敷地の上、或は換地の上に家が貸家として建つたと云ふやうな場合には、其の建物に付て先借權を認めると云ふ趣旨でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=91
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092・中島徳太郎
○中島徳太郎君 私の御尋するのは、貸家のあつたものが、もう既に除却されて家はなくなつてしまつて居ります、後の其の土地に對して地主が處分をした時に、是がどうなるかを御尋して居るので、此處に「前項の催告は、土地所有者が、借地權者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法で、これをすることができる。」と云ふやうなことになつて居りますが、さうすると後の地面を處分するのには、其の借主に何かするか、公示か何かせなければいかぬのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=92
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093・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) それはちよつと問題が實は違ふのでありまして、今御讀みになつたのは十二條だと思ひますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=93
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094・中島徳太郎
○中島徳太郎君 十二條です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=94
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095・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 十二條ですね、十二條は一般的に土地の所有者は其の所有土地の上に借地權者があつた場合に、借地權者が將來續けて借地權を持つて行くかどうかと云ふことを聽きまして、持つて行くと云ふ風な返事がなければ、もう其の借地權がないものと云ふ風に看做して、更地は、外へ借すなり、地主が自分で家を建てるなり出來る途を拓かうと云ふ、所謂地主をして借地權を整理せしむる特別な規定でありまして今のとはちよつと關係がない條文であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=95
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096・中島徳太郎
○中島徳太郎君 私の御尋しますのは、元は土地の上に建物があつて、それを貸家にして居つたものが、今度は疎開の爲に家がなくなつてしまつて、土地だけ殘つて居りませう、其の土地を又更に同じ貸家にするならば、前の借主は無論優先的位置にあることを認めます、既に四圍の情勢が變つて貸家は造らぬことになつてしまつて、土地で外へ貸すとか何とか云ふことになると、一應矢張り前の借主にそれだけでも通告をして掛らねばならぬか、それから又既に今日迄に東京で見ましても露店のやうなものや何かどんどん出來て居りますね、目拔きの場所には…ああ云ふものは前借主から何か抗議を申込んで來たならば出來ぬことになるのでありますか、其の邊はどうなるのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=96
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097・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 前の借主の方から積極的に二條、三條の即ち疎開の關係でありますれば九條に依つて凖用されて居りまする二條、三條の規定で以て、前の借主等から積極的に申出て來れば、其の者が場合に依つては借地權の設定を受け、借地權の讓渡を受けると云ふことになりますが、此方からさう云ふ意思ありや否やと云ふやうなことは問合はす必要はないことと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=97
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098・中島徳太郎
○中島徳太郎君 其の問合す必要のありなしは別にしまして、繰返して申しますが、貸家と云ふものがなくなつてしまふて、前の借主とは縁が切れてしまつて居ることになつて居ります、それでも此の法律が出ますと、前の借主の方から特權を得たやうにして申込があつた場合にはどうなりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=98
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099・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 前の借主に付きましては、九條で前七條の規定の凖用の結果、前の疎開當時の家の借主も其の土地に付て借地權の設定を求めることが出來ることになつて居ります、唯それに對しては地主の方で正當な事由がありまして斷はる場合に於ては斷はることが出來るけれども、地主に正當な事由がなければ、前の建物の借主は借地權の設定を地主に求めて來ることが出來ることになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=99
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100・竹下豐次
○竹下豐次君 先の質問に對する御説明に依りまして趣旨のある所を尊重しまして、さう云ふ意味に此の文句を解釋したいと思ひまして只今讀返して居たのでありますが、どうもまだ分りませぬので重ねて御尋しますけれども、第一項のあとから二行目に「その建物」と書いてございます「その建物の最後の借主」其の建物と云ふのは先き私の御尋ね致しました甲と云ふ敷地に建てられた建物でありますか、換地に建てられた建物でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=100
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101・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 甲と云ふ建物の敷地に建てられた建物であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=101
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102・竹下豐次
○竹下豐次君 すると先きの説明を見まするに、二戸以上建てた時の場合だと云ふ事でしたが、其のことは此の中のどの文字で二戸以上家が建つた場合だと云ふことが分ることになるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=102
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103・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 其の敷地に建物が築造せられた場合に於ける其の即ち前の燒けた跡の敷地其の敷地に建物が第一の甲と云ふ所へ築造せられた場合に於ける其の甲の上に建つた建物の最後の借主でなければ、今度其の敷地の換地に新らしく建つた建物に付ては先借權がない、申出が出來ないと云ふ趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=103
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104・竹下豐次
○竹下豐次君 さうすると、元の敷地即ち甲地に建物が建つた場合其處の其の建物の最後の借主であつても、假に最後の借主であつたとしても、更に其の上にもう一戸換地に建つた建物の借り出を申出ることが出來ないと云ふことは勿論一戸持つて居つた者が二戸要求することは當然出來ないことのやうに思はれますが、殊更に規定する必要がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=104
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105・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 前の敷地は換地になりますと、取壞されてしまひますから、今度は換地の方に一應建てて、換地に住つてしまふことになる譯であります、前の敷地の建物は取壞されます關係上、換地に今度新らしく建つた其の建物に移つて行かなければなりませぬから、其の場合に其の眞中の建物に關係のないものはもう換地の方の建物には及んで來ないのだ、だから換地の方の建物に及ぶにはずつと連絡して居らなければならぬので、中間の初の敷地の上に建つた建物にも牽連を持つて居なければならぬので、即ち其の中間と云ひますか、其の敷地の上に建てられたる建物の借主でなければならぬと云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=105
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106・竹下豐次
○竹下豐次君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=106
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107・村田保定
○子爵村田保定君 此の第十四條の罹災建物の規定は是は御説明では、政府委員の御説明の時、居住權と云ふやうに御説明がありましたが、必ずしも居住權に限らない譯ぢやないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=107
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108・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) まあ罹災の時迄其處で家を借りて色々な商賣をやつて居つたと云ふやうな場合に、自分が其の敷地に直接借地權を得るだけの資力がないが、矢張り其處の場所で今迄のやうに老舖で同じやうな商賣をやりたいと云ふやうな、さう云ふ意味の居住權と云ひますか、營業權と云ひますか、さう云ふ老鋪と云ひますか、さう云つたやうなものを其の場所的な此の居住權の保譲と云ふことに主眼を置いて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=108
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109・村田保定
○子爵村田保定君 さうしますと其處に住んで居らずに、例へば店だけ置いて居つたと云ふやうな場合は此の條文に依つて保護せられない御趣旨でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=109
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110・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) さうではありませぬ、店だけでも建物の借主があればそこで營業をして居つたと云ふやうな事で、それを保護すると云ふまあ居住を伴ふ場合、伴はない場合、兩方を含んで居る積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=110
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111・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 第十條から第十五條迄の御質疑は御濟みになりましたか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=111
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112・作間耕逸
○作間耕逸君 第十五條に付て鑑定委員會の意見を…此の鑑定委員會と云ふのは價格とか金額とか云ふものの相當かどうか、適正かどうかと云ふことを鑑定するのが通例でありまするが、是はそれも含んで居りませうが、其の以外に賃貸借の條件、色々な條件を鑑定委員會で決めるのですな、さうして此の委員會は三人の委員であつて判事は之に入らない、此の三人の委員會で色々の借地借家の條件迄、金錢問題、價格問題は勿論、其の以外に或は期限とかそれから權利金を出したら宜いとか、出さぬ方が宜いとか、さう云ふやうな問題迄も此の鑑定委員會が協議決定することになる權限を持つて居るのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=112
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113・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 條件と申しましても、多くは地代を幾らにするか、或は讓渡對價は幾らが相當であるかと云ふやうな條件を定むるに付て、鑑定委員會の意見を聽くと云ふことに致したのでありまして、委員會の委員はどう云ふ人々を以てそれに充つるか、豫め地方の特別知識經驗ある者の中から適當と思はれる者を候補者に選定して置きまして、各事案毎に指定することになつて居るのでありますが、多くは條件と云ひますか、借地、地代、或は家賃、或は敷金或は期間、期間は大體に於て十年なら十年と云ふことになつて居りますから、多くは地代とか或は家賃とか云ふことの金額と云ふやうなことになりませうと思ふのでありますが、さう云ふ場合には其の地方に於けるさう云ふことに明るい知識經驗のある者を委員として、さう云ふ人々の意見を聽くと云ふことの積りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=113
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114・作間耕逸
○作間耕逸君 是が單に價格、金額等金錢に關する問題でありますれば、是は文字通り鑑定の内に相當するのですから、鑑定委員會で宜いのですが、其の外の色々の借地借家の條件迄も併せて決めるのだ、又さう云ふことを單獨に決め得られるのだと云ふことになると判事が入るか入らぬかに依つて此の委員會の性質は違つて來ますが第十九條、是は後で審議になるのでせうけれども、ちよつと之を拜見しますと、判事は入らないと云ふ組織になつて居る、さうすると其の委員會の意見を聽き、裁判所は是は唯諮問機關的に、謂はば參考の爲に聽くのですか、裁判所は事實上は其の評議に重きを置かるるのでせうけれども、必ずしも其の意見に羈束されるのぢやないのでせうな発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=114
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115・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 左樣であります、羈束されない積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=115
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116・作間耕逸
○作間耕逸君 さうすると裁判所はそれとは又別に裁判所として、裁判決定を下すのですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=116
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117・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 參考として十分尊重は致しますが、拘束されないのでありまして、獨自の見解で決定をする譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=117
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118・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 御質疑はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=118
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119・作間耕逸
○作間耕逸君 今十五條迄でございますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=119
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120・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 十五條迄…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=120
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121・作間耕逸
○作間耕逸君 それぢや宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=121
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122・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 十五條迄は御質疑はないものと認めます、本日は此の程度で散會致したいと思ひます、明日は午前十時から開會致します、是で散會致します
午後二時四十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=122
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123・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 子爵 高木正得君
副委員長 男爵 肝付兼英君
委員
侯爵 東郷彪君
侯爵 嵯峨實勝君
伯爵 東久世通忠君
子爵 森俊成君
子爵 大久保教尚君
霜山精一君
男爵 村田保定君
竹下豐次君
中島徳太都君
作間耕逸君
政府委員
司法事務官 奧野健一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00619460718&spkNum=123
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