1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
恩給法の一部を改正する法律案(政府提出)
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昭和二十一年八月十九日(月曜日)午前十時二十四分開議
出席委員
委員長 北浦圭太郎君
理事 小島徹三君 理事 坂田道太君
理事 小野瀬忠兵衞君 理事 冨吉榮二君
磯崎貞序君 白井秀吉君
松尾トシ君 森本義夫君
平野八郎君 久芳庄二郎君
布利秋君
出席政府委員
法制局長官 入江俊郎君
内閣事務官 三橋則雄君
内務事務官 郡祐一君
大藏事務官 阪田泰二君
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本日の會議に付した議案
恩給法の一部を改正する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=0
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001・北浦圭太郎
○北浦委員長 それでは會議を開きます、發言順位は通告順位に從ひます、磯崎貞序君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=1
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002・磯崎貞序
○磯崎委員 簡潔に一問一答と云ふ形で質問を致しますから、どうぞ一つ簡明なる御答辯を煩はしたいと思ひます
第一に御尋ね致したいことは、只今提案されて居ります所の、改正案の附則第九條に依りますと、「昭和二十一年三月三十一日までに戰鬪又は戰鬪に準ずべき公務のため傷痍を受け、又は疾病に罹つた者については、尚ほ從前の例による。」と云ふことであります、是は勿論私其の通りと思ひますが、特に今次の戰爭に際會致しまして應召せる軍人將兵と云ふものは驚くべき多數に上つて居ります、而も其の中には、妻子を國に殘しまして戰線に就き、惡戰奮鬪致しました結果、あたら戰線の花と散りましたる氣の毒な將兵が極めて多數ございますが、是等の戰地に於て子供或は夫を失つた遺家族と云ふものは、大變な悲慘な立場になつて居る、特に夫を支柱にして生計をして居りましたる家庭にしますと、其の歎き、其の次に起つて來る問題は、ひしひしと迫る所の物價高に照應して、直ぐ生活難と云ふ問題に襲はれて、路頭に彷ふと云ふやうな悲慘な實例が各所にございますが、斯うした方面に對しましては、恩給の面に於てどう云ふ風に御考へに相成つて居りますか、勿論生活保護法とか各種のさうした施策も別の面にはございますが、恩給の面から考へましてさうした方途に迷へる幾多の氣の毒な家庭に付て、所謂恩給の面から何等か考へらるべき御考へがあるのかどうか、之を先づ第一に御尋ね致します
いま一つは、等しく只今の附則の方に出て居りまする五條、是は「昭和二十一年三月三十一日までに給與事由の生じた恩給の負擔に付ては、なほ從前の例による。朝鮮、臺灣、樺太、關東州若しくは南洋群島に於ける地方經濟又は在滿學校組合の負擔すべき恩給は第十六條の改正規定及び前項の規定にかかはらず、國庫が、これを負擔する。」と云ふことに相成つて居ります、是も勿論其の通りと思ひますが、一寸此の場合に御尋ね致したいことは、所謂普通恩給に屬する考へ方であります、今二年乃至三年、或はいま半年と云ふやうな際どい所に來て居ります所のそれ等の受給權利者が、斯うした立場に置かれて洵に氣の毒な形になつて居る、是等に付ては、どう云ふ風な形に於て公正に行へるものであるか、差當り此の二つに付ての御答辯を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=2
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003・三橋則雄
○三橋政府委員 戰死者の遺族に付て、恩給の面からどう云ふ風に考へて居るかと云ふ御尋ねでありますが、其の點に付て先づ御答へ致します、陸海軍軍人の恩給に付きましては、昨年の十一月二十四日聯合國最高司令官から日本政府に對して發せられました覺書に依りまして、傷病者に對する恩給に關しまする一部の例外を除きまして、全般的に恩給は廢止せられたのでございます、其の廢止せられました恩給の中には、陸海軍軍人の遺族の恩給も入つて居るのでありまして、此の點に付きましては政府當局に於きましては色々と事情を述べ、聯合國最高司令部に對しまして恩給の繼續支給方を懇請致したのでありますが、どうしても許しを得ることが出來なくて、遂に去る二月一日から遺族の扶助料も廢止することになつたのであります、さう云ふやうな事情でありまして、恩給の面からは、戰死者の遺族に對しましては何とも致すことの出來ないやうな事情に立至つたのであります
第二點の御尋ねの、外地から歸つて來ました政府職員で、もう一二年も外地に勤めて居るやうな場合に於きましては、恩給が付くであらうと思はれるやうな者に付きまして、恩給を給するやうなことに付て、何か特別の取計ひでも考へるかと云ふやうな御尋ねではないかと思ふのでありますが、只今の所は其の爲に状別なる制度を設けることもどうかと考へて居りまして、恩給の受給年限に達して居ない人に付きまして、特に恩給受給年限に達するやうな特別の規定を設けると云ふやうな風には、今考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=3
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004・磯崎貞序
○磯崎委員 只今の第一の問題は諒承致しましたが、併し私はそれ等の遺家族が生活に苦しんで居る現實に對しまして、厚生當局と合議を願つて戴いて、生活保護法に規定せられて居ります以外に、特に斯うした面を政治の力に依つて救ふべきである、其の問題に付きまして御協力を御願ひ致したい、是は又他日の機會に於て、さうした方面も厚生省當局に御願ひする積りであります
それから海外同胞の引揚げと云ふことに付て、相當各方面で温かい手を伸ばし、政府當局でも御力添へを願つて、色々な施策も願つて居るのでありますが、どうも實際の情勢に當りますと、大部此の形と違つて居ります、例へば向ふで學校の先生をして居りました人が、こちらへ來ますると直ぐ先生になることは出來ない、或は齒醫者さんにしましても、こちらに來ると直ぐ開業が出來ない、或は只今の場合に於きましても、内地に居りまする官吏乃至公吏でありますと、一時休職になりましても、一年乃至二箇年の間に、他に適當な職場を見付けることに依つて、又恩給中斷が出來る、さう云ふ手もありまするが、さうした方面に於きまして、恩給の面にも大部氣の毒な形に置かれて居る、斯うした問題は、どうしても私は適當にやられて、少くとも内地へ引揚げて一定の期間内に、出來得る限り其の志を全うせしむると云ふ形に於て、適當なる施策を願ひませぬと、どうも不公平であると考へて居ります、是等の點に付きまして特に一つ御留意と、適當なる御施策等を御考究願つて置きます、一體各地を廻りますると、斯う云ふ空氣が擡頭して居ります、只今仰せのやうに、聯合軍の方から、軍に對する恩給支給に付てのきつい指令に接して、軍關係は恩給の制度が廢止せられた、所が今囘の戰爭に當りまして、最も重大なる責任を持つ者は獨り軍部ばかりにあらずして、官僚も等しく其の責任を分擔すべきである、官僚、軍閥が共に責任がありとするならば、ことに依ると普通文官にも、斯うした恩給に對して、近い中にきつい御達しがあるのぢやないかと云ふやうなことから、動ともすると不安焦燥の形さへございます、政府は此の際總ての現存する恩給に對して、近く廢止せられるのぢやないかと云ふやうな不安の空氣がありまする此の際、如何なる御方針でおいでになるかを分明に御説明願つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=4
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005・入江俊郎
○入江政府委員 只今の御尋ねに御答へ申上げます、文官の恩給に付きまして、之を將來廢止するのではないかと云ふやうな考へ方もあるが、どうかと云ふのでございますが、私共と致しましては、今日軍人の恩給が停止されたと云ふことから、當然に文官の恩給も近い將來之を廢止すべきであるとも考へて居りませぬし、又其のやうな事態に立至るやうにも豫想して居りませぬ、唯現在の恩給制度は色々な考へ方もございますが、國家若しくは公共團體が公務員を使用すると云ふ面に於きまして、是が職を退いた後に於ける特別な扶助をすると云ふ面と、今一つは、勤勞して居つた人々が其の勤勞場を離れた場合に、社會生活として之を如何に保持して行くかと云ふ風な、社會扶助の面と、兩方の性質もあるやうに思ひますので、此の恩給の制度に付きましては廣く檢討を加へまして、社會保險の見地から、如何樣に之を見に行くことが出來るかと云ふことを考へて行きたいと思つて居ります、併しながら何れに致しましても、恩給の制度全部を社會保險的のもので「カバー」してしまふことは、恐らく困難でありませうから、恩給として、國家若くは公共團體が、自分で使用して居る公務員に對する特別な給與と云ふ關係に於きましては、やはり後々に殘るものではなからうかと云ふ考の下に、恩給制度に付ては根本的の檢討を加へたいと思つて居りますが、之を廢止すると云ふことは只今考へて居らないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=5
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006・磯崎貞序
○磯崎委員 只今の御答辯に關聯して直感致しますことは、現在恩給を受けます者が、納付金に付て普通教員或は警察官が百分の一の分擔をして、其の他が百分の二となつて居りますが、是等の諸君が十二年とか十七年の期間に到達しした時の形を考へますと、假に十七年間孜々營々として勤續致しましたる官公吏が、どんな恩給の受給になるかと申しますと、先づ百圓の給料を受けました人が退職した際には、恐らく四百圓内外である、現在恩給だけで胡坐をかき、寢て食べると云ふ不當な考へはないにしても、少くも人生の重大な所を國家に御奉公して、戴くべき受給金額が、餘りにも現在の現實から離れた形にあることは、洵に遺憾だと思ひます、少くとも四百圓、四百五十圓位のことで、決して其の生活の主なる支へになるとは考へられませぬ、そこで考へますことは、各自受益者負擔金の立場からしまして、現在の百分の一乃至二と云ふものに對しては、もう少し負擔して宜いぢやないか、百圓取る人が一圓或は二圓と云ふ程度の分擔金は、餘りに冗談に過ぎる程度のことでありますから、只今仰せの如き、將來の保險的の立場からしましても、もつと納付しても宜いぢやないか、而も現在の形に於て決してそれは困難なことぢやない、さうして受給の時が來た場合に、其の受給金の倍額或はそれ以上、少くとも其の恩給を受けたことに依つて、生活の主な經濟が成立つ程度の受給をせられるのが至當ぢやないか、さうした面に御改正の意思ありや、否や、之を第一に御尋ね致します
今一つは、各地に於て恩給を受けて居る人の色々の聲を聞きますと、例へば千葉縣に於て、最初に恩給年限に達して退職した、さう云ふ人が他府縣に行く、殊に戰災後に於ては住所の移轉等が多かつたのですが、違つた府縣に於て受ける際に不便、不利、色々面倒なことがあると言つて居りますが、斯うした形は、やはり恩給證書と云ふやうなものを中心に考へて戴いて、各各其の府縣に於て總ての代行をする、そして府縣或は官廳毎に、各各年に二回とか三回とか、或は年に一度でも、其の當該官吏で以て處理することが出來るのでございますから、さうした面に於て、一つ便宜な御取扱を願ふことが、宜いのではないかと云ふ風にも考へて居ります、此の二點に付きまして御答辯を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=6
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007・三橋則雄
○三橋政府委員 只今の御質問の第一點の、國庫納付金の増額の問題に付て御答へ致します、國庫納付金の増額をすると云ふことになりますと、直ぐに俸給の問題になるのであります、國庫納付金を増額致しまして、さうして恩給の金額を殖やすと云ふことは勿論考へられることではございまするけれども、他面に於きましては、俸給を増額しなければならない場合があると云ふことを考へまして、色色と檢討し、今後恩給法を改正する場合に於きましては、今の御意見のやうなことも、一つの大きな示唆に致しまして考へて行きたい、斯う考へて居ります、此の國庫納付金の沿革を一寸簡單に申上げますると、國庫納付金と云ふのは、今の恩給法の前身でありまする官吏遺族扶助法と云ふものがございまして、其の遺族扶助法に依りまして、官吏は一定の納付金を國庫にすることになつて居つたのであります、此の制度は「フランス」に於ける扶助制度を眞似たのでありまして、「フランス」に於きましては、官吏が辭めた時に於きましては、其の遺族に對して國家から一定の扶助料を出すのに對して、在職中の官吏が一定の納付金を國家にして居つたのであります、又勿論國家からも若干の金を出して居つたのであります、其の制度を眞似まして、さう云ふやうな制度を日本にも作りまして、さうして扶助してやつて居つたのでありまして、此の恩給法が出來ます時には、國庫納付金を廢止するかどうかと云ふことが非常に問題になりましたけれども、結局從來通り續けると云ふことになつたのであります、さう云ふ沿革から致しまして、現在の國庫納付金は非常に割合が少いのであります、是は沿革的な理由であります、でありますから、今後の問題と致しましては、此の國庫納付金に新たなる意義を認めまして、今の御話のやうな風に、國庫納付金を若干總額する、其の増額をする代りに又恩給を殖やす、斯う云ふやうなことも一應考へて行くべきではなからうかと思つて居ります、之に付きましては、能く檢討を加へて參りたいと思つて居ります
第二の點でございまするが、恩給の分擔の問題ぢやないかと思つて居りますが、即ち退職當時、俸給を出して居る所で以て、恩給を出すと云ふやうな風になつて居る所もありまするので、隨ひまして或は今の御話のやうなことがあるかも分りませぬ、之に付きましては、今の御話のやうなことの起らないやうに、國庫恩給分擔制度と云出ものが出來て居ります、此の分擔制度は、實は昭和十七年から、非常に計算の面倒な點も色々ありまして、一時中止して居るやうな状態であります、此の分擔制度も間もなく復活して行くやうな考へもありまして、色々檢討して居りますが、此の分擔制度を復活しますれば、今御話のやうなことはないのぢやないか、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=7
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008・磯崎貞序
○磯崎委員 現在恩給は、町村に於ては、大體一縣の綜合的な形で、組合的な吏員の恩給制度を施いて居る、府縣に於きましては、縣經濟に於てやはり恩給をやつて居り、國庫に於てもやつて居る、同じやうなことが色々の面に於て行はれて居りますが、如何でせう現在地方の官公吏總てが、恐らく國家の要請に依る國務遂行に奔命して居るのであるし、色々の關係で、既存の手續法もございませうが、總て一本でさうした形を行ふと云ふことに致される御意思があるかどうか、今一つは、戰爭追放人と云ふやうな者は、恩給の制度からは今度どう云ふ風になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=8
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009・三橋則雄
○三橋政府委員 今の御質問に對しまして、或は私の御答へが違つて居つたかも分りませぬが、一寸御尋ね致します、先程の第二の御尋ねは、恩給制度を市町村、府縣國と云ふものを一本にしてしまへ、斯う云ふ議でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=9
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010・磯崎貞序
○磯崎委員 さうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=10
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011・三橋則雄
○三橋政府委員 是は先程さう云ふやうに解しなかつたものですから、ついああ云ふやうな、答辯を致しましたが、國の官吏、市町村と云ふ公共團體、府縣と云ふ公共團體の吏員、是は各各立場が違つて居りますので、之を一本に致しまして恩給をやる、恩給制度を施くと云ふことに付きましては、餘程研究しなければいけないのだと思つて居ります、即ち國の官吏に對して恩給を支給されると云ふことは、國と云ふものに使はれる、被使用人たる官吏と云ふものに對して出す恩給であり、府縣の吏員に出す恩給は、府縣と云ふ公共團體が使用人たる立場に於きまして、被使用人たる吏員に對して出す恩給である、市町村に於きましても同樣である、之を一本にしてしまふと云ふことに付きましては、餘程考へなければいけないと思つて居ります、私の曾て調べましたものに依りますと、外國なんかに於きましても、やはり一本にして居る所はないやうに承知して居ります、是は私は簡單に出來る問題でないのではなからうかと云ふ風に考へて居ります
それから戰爭追放者、所謂公職追放者の恩給の問題だと思ふのでありますが、戰爭追放者と云ふ中にも、所謂昨年の十一月二十四日に聯合國最高司令官からの命令がありまして、其の中に、聯合國最高司令官の命令に依り退官退職せられた者に對しましては、恩給を支給することが出來ないと云ふことがあります、之に依りまして、所謂特高警察官など、一般の者に付きまして、聯合國最高司令官の命令に依りまして退官退職を命ぜられた者に付きましては、恩給を支給致して居りませぬ、それから今年の一月四日に、所謂公職追放に關する聯合國最高司令官からの指令が參りまして、此の公職追放に依りまして退官退職した者に對しましても、現在の所は恩給は支給致してないのであります、唯之に付きましては、覺書に斯う云ふやうに書いてあるのでございます其の第五項に、公職より除去せられました者は、公私の恩給、年金、其の他の手當を受くることを得ず、斯う云ふ風に書いてあります、又第三項には、其の公職とは一體どう云ふものかと云ふことが定義を下されて居るのであります、其の前後の事情から致しまして、政府當局に於きましては、當初此の公職追放の中には、貴衆兩院議員及び市長は入らないもの、斯う考へて居つたのであります、即ち今申しました第三項の中には貴衆兩院議員、市長は入るやうな風にはつきり書いてなかつたのであります、最近に至りまして、聯合國最高司令部の方から貴衆兩院議員及び市長も其の中に入ると云ふ指令を受けましたので、公職追放者の中で、公職追放を受けました者で、恩給を剥奪される者の中には、貴衆兩院議員及び市長で追放された人々も亦入るものとして取扱はれなければならなくなりました、そこで先般公布になりました勅令の一部も改正しなければならなくなりましたので、今聯合軍最高司令部と、色々と事務的な打合せを進めて居るやうな次第であります、それから奏任官以下で、一月四日の公職追放に關する覺書に依つて退官退職せしめらるる者もあるのでありますが、之に付きましても、覺書の中の恩給を剥奪せられる者の中に該當するかどうかと云ふ點に付きまして、一應問題になつたのでありますが、是も恩給を剥奪せられる者の中に該當すると云ふことになりまして、是は既に恩給を剥奪される者として勅令の中に明かに規定致して居る所でございます、大體さう云ふやうなことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=11
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012・磯崎貞序
○磯崎委員 最後に一寸御尋ね致しまするが、先程來の御示しに依りまして、今囘驚くべき多數の所謂既存權益の受給者が、恩給の面から遺憾ながら振落されると云ふ形になりますが、今御配付になりました此の表に依りまして、我が國の恩給受給額の相當多額を占めて居るのは軍人でありますが、斯うした方面に對する、長い間掛けました面を掛捨てる、或は今後に於てさうしたものの用がなくなると云ふことになりますが、所謂恩給の損益計算と云ふやうな面から考へて見まして、國庫が純粹に斯うした國費を投ぜられる部面がどの位になつて居るか、無論此の一二年の僅かな間に於て勤めた官公吏は、恩給の受給權利がない、或は只今申しまするやうな軍人とかさう云つた多額の面を負擔した人が、全部今度は其の支給の責がないと云ふやうなことになりますと、相當國の恩給經濟からしますると、其處に餘力が出て來て居りはせぬか、純粹に現在から以降に於ける形、少くとも現在の形で宜しうございますが、どんな風に國費が純粹に此の方面に投ぜられるか、其の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=12
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013・三橋則雄
○三橋政府委員 御手許に差上げました表の、二十年末に於きまする所の軍人恩給關係、此の金額が大體に於きまして今度浮いて來た金額だと考へて居ります、勿論細細しいことを申上げますならば、軍人恩給を貰つて居られました人の中で、文官の經歴を有するやうな人々に付きましては、其の文官の經歴に基きまして、文官としての恩給を支給するかどうかと云ふことを今調査致して居ります、若しも文官の恩給を支給すると云ふ場合に於きましては、是は文官恩給を支給する豫定で居りますので、さう云ふ點から致しまして、此の軍人恩給を貰つて居つた人々で、尚ほ文官恩給を將來貰へる人も若干あるのではなからうかと思ひます、其の點が將來全部廢止されてしまふと云ふ譯ではございませぬけれども、大體に於きまして、此處に擧げてございます所の軍人恩給關係の、普通恩給と扶助料とを合計致しました金額と云ふものは、今後は國庫の方から浮いて來るものと考へて居ります、浮いて來る金と思つて居ります、傷病年金と増加恩給でございますが、是も今改定の手續を執つて居ります、聯合國最高司令官の指令に依りまして、増加恩給と傷病年金だけは、一定の條件の下に繼續支給することが認められて居りますので、之を若干減額して支給することに致して居ります、此の額ははつきりしたことは分りませぬが、數千萬圓程度ではなからうかと思つて居ります、一億圓は出て居ないと思つて居ります、それでございまするので、相當此の金額が減額されると思つて居ります、それから文官恩給を貰つて居る者の中で、先程申上げました公職追放其の他追放者で以て、恩給を失ふ者が相當あると思つて居りますが、此の金額もはつきり今出て居りませぬ、隨ひましてどれ位の金額が此の中から浮いて來るかと云ふことは、はつきり分らないのでございますが、大まかに申上げまして、此の昭和二十年末に於きまする所の恩給金額五億八千二百九十三萬圓、此の中から約一億二、三千萬圓を除きました金額と云ふものは、浮いて來るのでなからうかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=13
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014・磯崎貞序
○磯崎委員 特に最後に一寸希望を申上げて置きますが、只今申上げまするやうな、恐らく私の素人觀にしましても、相當斯うした變動に依りまして、經濟關係でどうかう申すのではないが、まあ兎に角豫備金も出て居ると云ふやうな現在、尚ほ官公吏が其の職場に希望を持つて奉公させると云ふやうな意味合からしましても、現在支給額と云ふものが、色々想像して見まして、恐らく現實な生活の面からは、大した恩給の價値がないと云ふやうなことになつて來て居るのでありますから、是非是等の點を綜合勘案せられまして、極めて近き間に於て機會を得られまして、適當なる御改正案を立てられることが、極めて當然ぢやないかと云ふ風に考へて居ります、之を希望として申上げて置きます
次に、内務省で御見えになつて居りますから、一寸其の方面に御尋ね申上げます、實は恩給とは少し離れて居りますが、私は常に斯う云ふ風に考へて居るのです、現在の官公吏と云ふやうな面を、餘りさう境界を立てて考へたくない、即ち現在の町村の吏員など、或は市に於ける吏員などは、其の仕事を見ますと、殆どもう國の仕事をして居るのである、所謂官吏が國の仕事に專念しておいでになると等しい形に於きまして、地方廳に於ても、さうした國務に恐らく其の總てを投じて居るやうな現段階でございまするので、是は一つ是等の官公吏――まあ官は別として、公吏に對しましての待遇問題であります、最近御承知の通り、大分地方の財政が行詰つて居りまして、正に涸渇の状態であります、私はここで考へまするに、曾て古い時代に、地方にありました國家の最も重大な仕事をする國民學校、前に小學校と申しましたが、小學校は同じ地方でやつて居つた、所が小學校の教員給と云ふものは當然國で負擔すべきものであると云ふ叫びが全國に瀰漫致しまして、遂にそれが今日の形にまでに發展して來たのでありますが、それと同じやうな形に私考へますることは、現在の市町村に於ける、是等の職員が行ひまする其の事務が、所謂國家事務を殆どやつて居る現状から見て、地方の財政が窮乏して居ると云ふやうな形からしまして、是非是は一つ國家が、或は其の五割とか六割とか適當なる部分を分擔せらるべきが妥當ではないか、それに依つて各各其の地域に於て活動しまする所の自治體が、經濟的に於きましても救はれ、或は又其處に居る所の職員が、希望を持つて御奉公が出來ると云ふやうなことに相成るのでありますが、さうした形に於て、總て地方吏員に對する分擔をして、さうして其の進路を開くと云ふやうな御氣持があるかどうかを御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=14
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015・郡祐一
○郡政府委員 仰せの通り、公吏一般が極めて重要なる職責を果して居るのでありまして、是が待遇改喜に付きましては、適切なる財源の附與を致さなければ相成らぬものと存ずるのであります、唯職員の給與と申しまするものは、自治體に於きまして、或る意味合に於きましては負擔致べき基本的なものでありますので、之に對して、特殊のものは別と致しまして、一般的に率を決めまして國庫補助を致すと云ふ考へ方よりも、寧ろそれに相應しい個有の財源を附與致すと云ふことに考へたいと存ずるのであります、唯何分にも地方税制が理想的な形體に尚ほ現在の段階では參つて居りませぬので、本年の年度當初に於きまして、豫想致されました職員の待遇に要しまする經費と云ふものは、之を配付税を以て附與致して居るのであります、それから只今國の官吏に付て考へられて居りまするやうな、更に待遇を改善致します財源に付きましては、是は年度の途中でありまするが爲に、配付税を分與致すことも不可能でありまするので、本年度中に於きましては、其の大部分を國庫補助の形を以て附與致したいと考へて居ります、それで今後に於きまして、公吏と申しますものが愈愈重要な役割を演じて參り、其の數も殖えて參ることと思ひますので、一方に於きましては、是等の經費は當該團體の財源と睨み合すべきものでありますると同時に、又客觀的には、團體に依りまして均衡を失した待遇を致すと云ふことは、凡ゆる面から好ましくございませぬので、今後に於きまして、漸次公吏に關する法制等の整備とも相俟ちまして、成べく國の官吏と均衡を得ました待遇を致し、之に對しては適切なる財源を常に裏打として附與致すことに致したいと思ひます、現に左樣に努力も致して居りますが、更に將來に於きましては、はつきりとした個有財源として、自治體自身が多く心配致しませぬでも、適切な待遇が出來ますやうに取計らつて參りたいと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=15
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016・磯崎貞序
○磯崎委員 是は少し議題と離れますが、幸ひ内務當局が御見えになつて居りますから、序でに伺ひます、先般選擧に關係した際に拜承した當局の御意向でありますが、即ち本年は馬鹿に各種の選擧が澤山行はれる、そこでどちらの町村でも、相當之に對する關心を深めて居りまするが、所で現在の形で、所謂衆議院の成行を見ますると、要するに八月末までには總てのものが議了されると云ふやうな形から、從前御答へになつたのでございますが、恐らく今の情勢では、それより先に延びるのぢやないかと云ふ噂が相當あります、現在の形に於きまして、果して曩に當局が御言明に相成りましたるやうな形で、府縣會議員、或は町村會議員、或は知事、市町村長と云ふやうな選擧が矢繼早に、又計畫通りに行くものでありませうかどうか、其の邊に付て、目下の段階から見透されまして、一つ御示しを戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=16
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017・郡祐一
○郡政府委員 仰せの通り、衆議院に於きまする地方制度改正の御審議も、現に尚ほ御願ひを致して居る状態にありまするので、豫定に比べましては、相當改正法律案の成立も遲れることに相成らうかと存ずるのであります、加ふるに、府縣會議員の選擧に付きまして、其の候補者に付て事前審査を行はねば相成りませぬので、此の爲にも相當時間を見なければならぬやうに存ずるのであります、左樣致しますと、十月の府縣會議員選擧を初め、順次市町村會議員、府縣知事、市町村長と運ぶ豫定に相成つて居りましたのが、それまでの手順が相當準備良く運びまして、十二月に府縣會議員の選擧を行ふことが出來ますれば、それに引續きまして各種の選擧を行ふ運びに相成らうと存じて居ります、尚ほ此の機會に申上げて置きますれば、八月末で府縣會議員の任期が切れてしまふのであります、此の度の改正法律で、現に議員の職にあります者は、後任者の選擧のありますまで、尚ほ其の職務を執り得ますることに規定致して居るのでありますが、此の法律の成立が遲れまして、或は一旦八月三十一日で任期が切れてしまふことが豫想されるのであります、寧ろ必然的に左樣なると思ふのであります、隨ひまして近く法律の御審議を戴きまして、單行法に依りまして、八月三十一日を以て任期の切れます府縣會議員の任期は若干期間延長を願ひ、さうして法律の成立を俟ちまして、更に新しい總選擧の行はれますまで其の職務を行ひ得ますやうに、空白状態を起さないやうに取計らひたいと考へて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=17
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018・磯崎貞序
○磯崎委員 只今の御説の如くに、既に地方議會の議員の任期も切れんとし、それに對する適切なる法案も御出しになると云ふことでありますが、そこで大分地方で心配して居りますことは、恐らく今年の末に行はれる所の通常府縣會の如きものは、やはり新しい議會の構成に依つて行はるべきものであると云ふやうな關係で、事務當局も大分此の方面に關心を持つて居るのでありますが、今御示しのやうであるとするならば、既存の舊議員に依つて府縣政を審議せられると云ふ風に想像される、是等に付ては、是非一つ當局から、地方に適切なる御指導、御鞭撻を願ひます、今一つは、先般來各方面で、市町村長の選擧に當つて勝手な公選制度を執つて居つた、所が最近の或る委員會に於て、當局から、さうした勝手な公選的なことは成べくしないやうに地元へ通牒すると云ふやうなことに漏れ聞いたのでありますが、併し縣の方を調べますと、さうした通知がない爲に困つて居るやうである、そこで是はやはり一定の御訓示を願つて、さう云ふ勝手な選擧は控へた方が宜いと云ふやうなことで、御示しを願つたが宜いのではないか、先般の委員會に於ける當局の御辯明と對應しまして、此の段地方に適當な御通牒を願つて置きたいと思ひます
最後に大藏當局に御尋ねするのでありますが、現在物價が騰貴する、それに對する勤勞階層の生活の面は相當脅かされ、色々官吏待遇改善施策が行はれたのでありますが、其の要綱を一寸此の席上で御示しを御願ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=18
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019・阪田泰二
○阪田政府委員 私から御答へ申上げます、官廳職員の給與に付きましては、只今御話のやうに最近各種の改善が行はれて參りました、大體に於きまして、昨年の終戰後に於ての各種の物價關係の事情、或は職員組合等に於ける各種の要求、さう云ふものに關聯致しまして、次々に改正が行はれて參りました譯であります、主なるものを申上げますと、昨年の十一月に物價手當と云ふものが設けられました、尚ほ家族手當等に付ても増額が行はれました、それが先づ顯著な改正の最初のものであります、それから二月、三月等に於きましては、制度的の改正は行はれませぬでしたが、特別の賞與を出しまして、一時的の窮状の救濟を行つたと云ふやうなことになつて居ります、それから三月に於きまして臨時手當と云ふ制度を設けまして、從來の本俸、物價手當等を基礎にしまして、それに對する一定率の手當を出すことにしました、其の儘の制度で最近までやつて參りましたのでありますが、此の六月に於て更に其の臨時手當の率を、三月當時に行ひましたのよりも倍額程度に増加致しまして、只今まで其の儘やつて來て居ります、御承知のやうに、此の給與關係の問題は、非常に職員組合關係等でも喧しい問題になつて居りまして、又政府と致しましても最近の物價の状況、一般の生計費の状況等と睨み合せまして、是はどうしても或る程度の改善を行はなければならないと云ふことで、尚ほ研究を致して居りましたのであります、新聞紙上等でも御覽になつたかと思ひますが、所謂七月改正案と云ふものがありまして、此の七月から官吏の給與制度に付て、相當此の際としては根本的な改正をして行かうと云ふことで、只今準備を進めて居りまして、關係方面とも折衝中でございます、其の内容と致しましては、大體今までさう云ふやうなことで設けられて來ました各種の手當、物價手當とか、勤續手當とか、臨時手當とか云ふものがございます、それから毎年三月、六月、九月、十二月、斯う云ふ一定の時期に出して居りました賞與がございますが、さう云ふものを此の際全部廢止致しまして、之を本俸に繰入れる、本俸は其の繰入の關係と致しまして相當増額して行く、斯う云ふことに致しまして、大體今までの手當が本俸化される、同時に家族手當に付きましても、同樣最近の生計費の状態、特殊の事情から考へ合せまして、當分廢止しないで存置して置くことに致した譯でありまするが、其の家族手當の金額に付きましては、從來家族手當に對しては、臨時手當も付いて居りますし、賞與も付いて居りますが、其の關係も考慮した上で、尚ほ多少増加すると云ふことに致す積りで居ります、大體さう云ふやうな輪廓を以ちまして只今案を立てまして、關係方面と交渉中でありまして、近く何等かの決定を見るに至るであらうと考へて居ります、尚ほ附加へて申上げて置きますが、今回の案に付きましては、關係方面の意向もありまして、先づ豫め官廳の職員組合と十分話を決めて、案其のものを固めた方が適當であらうと云ふやうな考へから致しまして、此の案を正式決定前に職員組合に示しまして、職員組合に於きましても此の案を十分檢討致しました結果、是で當分の間やつて貰ひたい、此の案に依つて一應此の際の待遇改善としては諒承すると云ふことに、職員組合の方でも決定致して居るやうな状態であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=19
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020・磯崎貞序
○磯崎委員 只今の改善案に付きまして、仄かに伺ひますと、例へば家族手當のやうなことに付ても其の一つですが、是はやはり地域的に色々御決めになつて居る、仄聞する所に依りますと、大都市に於きまして一人百圓ですか、或は普通の都市が八十圓ですか、町村が六十圓とか云つたやうな形に練つておいでになるやうに伺ひますが、併し之に對しまして私などの考へまするのは、少くとも現在物價の面とか、交通の面とか、總ての環境から、適正な御考慮を願ふのは當然でありますが、中々難かしいのは、六大都市と普通の市と云ふものの間に、六大都市と違はない市がある、或は町村に於きましても、他の市と肩を並べて、寧ろそれ以上な所があると云ふやうなことでありますので、構想を練つておいでになる中ならば、此の際特に御注意を願つて置きたいことは、其の實態を能く御調べを願つて、要するに大都市とか、市とか、或は町村に於きましても、市に準ずる町村と云ふやうな、實態を一つ全國的に御覽を願つて、さうして所謂各各其の所を得しむるやうな施策を願ひたいと云ふ風に考へて居ります、此の點に付て多少御考へがございますれば、一つ御示しを願つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=20
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021・阪田泰二
○阪田政府委員 御答へ致します、只今の給與の地域的の區別の問題に付きましては、現在實行して居ります臨時手當、之に於きまして六大都市及び之に準ずる地域は一〇〇%あると致しますれば、市制施行地及び之に準ずる地域に於きましては八五%になつて居ります、更に町村及び之に準ずる地域に於きましては、其の七〇%のものを貰つて居る、斯う云ふやうな地域差が付いて居る譯でございます、斯樣な地域差を付けるに於きましては、例へば厚生省方面に於ける生計費實情の調査、色々さう云ふものを參考と致しまして作りました譯でありますが、唯是が具體的の箇々の地域、或は箇々の役所、個人に適用されて參りますると、御話のやうな不權衡の問題が起つて居る事實は否定出來ないと思ふのであります、それで今囘の改正に於きましては、其の間の關係を色々と研究致して見たのでありますが、やはり色々部分的に左樣な不都合が起つて居るに致しましても、全體として、現状として、地域的に生計費の差が或る程度あると云ふことは、是は否定出來ないことであると思ひますので、其の關係に於きましては、今回の改正に於きましても、地域的の差と云ふものは一應殘ることに相成つて居ります、唯臨時手當が廢止になりまして、本俸がそれに代つて増加されると云ふことに相成りまするが、本俸と云ふものも、是は各人が色々轉任するやうなことが起り得る譯でありますが、之に付きまして地域的の差を付けると云ふことは、是は不可能でございまするから、本俸は今回は地域の如何に拘らず一本になるやうなことになると思ひます、斯樣に致しますると、結局何處を基準にするかと云ふ問題も起つて來る譯でありますが、大體に於きまして切替の結果減收になるやうな者は或る程度補填する、從來よりも減收にならないやうに、生計費が高いと云ふ問題でありますから、成べく臨時的に之を補填して行くやうな途を講じなければならぬと考へて居ります
それから家族手當の問題でありますが、只今御示しになりましたやうに、家族手當の面に於きましては、是は直接に最近に於ける物價なり、生計費の状況に關聯した給與でありますから、其の意味に於きまして、家族手當だけには、今後に於きましても、或る程度の地域差を付けて行きたいと云ふやうに考へて居る次第でございます、唯此の適用に付きましては、今後も餘程注意して參りたいと思ふのでありまして、只今一寸申上げましたやうに、六大都市と申しましても、六大都市に限る譯でなく、六大都市に凖ずべき事情にある地域に付きましては、六大都市と同樣の額をやる、或は市制施行地と言ひましても、町村部に付きまして市制施行地と同樣に扱つて宜いやうな事情にあります所には、同樣にやると云ふやうなことを、出來るだけ實情に適して行へるやうに、運用上考慮して參りたいと考へて居ります、尚ほ將來の問題に付きましては、地域別の生計費と云ふやうな問題に付きましても、今後の情勢等に基きまして色々變化して行く、現在でも町村部の生計費、市制施行地の生計費と云ふものが、相當接近して來るやうな傾向が、或る程度窺はれるのではないかと云ふ風に私共觀察して居ります、六大都市に於きましては、尚ほ相當他よりは高いと云ふやうな實情があるやうであります、左樣な今後の情勢も十分見極めまして、情勢に應じて、適切な處置を執ることを考へて參りたいと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=21
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022・磯崎貞序
○磯崎委員 大體分りましたが、最後に一應私希望を申上げて置きます、例へば只今の家族手當の問題でありますが、是は千葉縣と云はず、或は福島縣と云はず、神奈川縣と云はず、何處にもさうした形があるのでありますが、假に近い例を採りまして神奈川縣に付て見ますと、御承知の通り、神奈川縣には藤澤、茅ケ崎、平塚と云ふやうな一連の小さな都市がある、是は戰爭前に藤澤の如きは藤澤市になつた、それに前後しまして平塚も市になつた、其の中間で、それよりも寧ろ先に市になると思つた茅ケ崎の方が町村として現存して居る、さうして現有人口部面を見ますると、平塚よりも茅ケ崎町の方が相當多い、現在四萬四千以上ある、昔ですと疾に市の資格を得て居ると云ふ形であります、さうした二つの同じ市になつて居る中に挾まれて、偶偶さう云ふ形になつて居るのであります、戰爭中及び戰後に於て、軍需工場の發展に伴つて相當な人間が住んで居ります、殊に別莊、住宅街と云ふやうな方面に於て、相當物價難に追はれて、寧ろ藤澤市或は平塚市、鎌倉市と云ふやうな方面の居住民よりも、相當な生活苦を訴へて居るやうな實情にあります、斯う云ふ事情を御勘案を願つて、やはり單純なる町村と云ふことで行きますと、そこに相當志を得ない官公吏が出來てしまふやうに思はれますので、是非此の實施までの間には、是等實際を檢討願つて、やはりさうした市に準じて扱はれるのが妥當であると考へて居ります、當局は必ずや正しい方途に於て、適切な施策をなさるものなりと信じまして、此の段御希望を申上げまして、私の質問を打切ることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=22
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023・北浦圭太郎
○北浦委員長 此の程度で休みまして、午後は一時半から開くことに致します
午前十一時二十三分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=23
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024・会議録情報2
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午後一時五十一分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=24
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025・冨吉榮二
○冨吉委員長代理 委員長事故の爲に私が代つて暫く此の席を汚します、午前に引續いて委員會を再開致します、通告順に依りまして順次質疑を許します――久芳委員発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=25
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026・久芳庄二郎
○久芳委員 私の質問は三點程ありますが、何れも午前の磯崎君の質問に出て居るのでありますが、強調する意味に於て、項目だけでも擧げて見たいと思ふのであります、其の一は軍人軍屬及び遺家族の恩給並に扶助料のなくなつたことに對する善後處置であります、是は國民感情と申しますか、感情だけでなくて、どうも落着かない氣持がして居るのが、恐らく國民一般の共通の心持だらうと思ひます、中には洵に忍び難い、氣の毒な、同情に堪へぬものが澤山あるのであります、現に南溟の華と散りました海軍大將山縣氏は私の知人でありますが、最近新聞で御覽になつたかと思ひますが、今年の夏には、未亡人が子供を連れて、逗子の海岸で海水浴の休憩所を經營して居るのを見まして、實は生前のことを知つて居る知人の私共は、洵に胸を刺される思ひが致したのであります、是は一個人の感じのものであるか分りませぬが、之に類した――それ以上のことが國民感情としてあるのであります、之に付ては、恩給の方ではどうにもならないと云ふ御答辯を承つて、尤もと思ひますが、午前の磯崎君の御希望もあつたやうに、何か厚生施設其の他に於て、是非考慮して戴きたいものでありますが、午前の答辯で別に御答辯は要りませぬ
第二點は、文官恩給に付て一般文官受給者の疑惑があります、相當「デマ」も飛んで居り、又常識的に考へて見ても、武官がさう云ふことになつたのでありますから、不安に馳られて居るのが實情であります、之に付ても御答辯はありましたので、能く分りまして、大變安心したやうな譯であります
第三項目は、午前にもありましたが、是は軍人恩給其の他のことを考へると均衡が取れなくなりますが、恩給制度として文官のものが存して居る限りは、餘りにも其の額が時代離れをして居るのであつて、是ではどう考へても殆ど役に立たない状態でありますので、之に對する御考慮を願ひたい、殊に恩給のみで生活をして居る者も相當あるのであります、さう云ふ者の身上は實に困窮して居るのでありまして、生活保護と云ふものがあらうと思ひますけれども、恩給と云ふものがある限りは、一應社會的に考慮する價値があるのではないか、斯う云ふ簡單明瞭な、而も常識的な三點であります、何れも午前の答辯で結構でありますが、何か午前に補足して御所見でも承はれば幸甚と思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=26
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027・三橋則雄
○三橋政府委員 軍人軍屬の遺家族の扶助料の點に付きましては、午前の委員會に於きまして極く簡單に申上げたのでありますが、私は勿論のこと、上は總理大臣、又時の國務大臣であられました次田閣下に於かれましても、聯合國最高司令部の方から軍人軍屬の恩給廢止の通告がありました時、又其の話を耳に致しました時に、何とかして貰ひたいと云ふことで、聯合國最高司令部に交渉したのでありますが、色々な事情でどうしても承知して貰ふことが出來ず、遂にああ云ふ風な覺書が公式に出されたのであります、覺書は御承知のやうに、軍隊勤務に依る恩給年金其の他は一切廢止せよ、唯傷病者に對する恩給に關しましては、若干の例外が認められると云ふ趣旨のことが附加へられて居つたのであります、さう云ふ風な正式の書面が政府に出されてから後に於きましても、私達事務的に軍人恩給廢止の手續を立てる意味に於きまして、遺家族の生活の實情を考へまして、又國民感情のある所も察知致しまして、何とかしなければならないと最後まで努力したのでございますが、到頭承認を得られないで今日に參つたのであります、兎にも角にも聯合國最高司令部のあの覺書がはつきりあります以上は、其の覺書が變へられませぬ限りは、日本政府としては、あの線に沿うて取扱ひ致すより仕方がないのでありまして、軍人恩給廢止の手續を執る際に於きまして、最も心を傷めた所であります、所が軍人軍屬の遺家族の恩給がなくなつた後に於きまして、遺家族に對してどう云ふ救濟的な措置を執るかと云ふことが問題になる譯でございますが、此の問題に付きましては、私恩給局の責任者と致しましては、勿論救濟のことを考へる厚生當局と緊密なる連絡を取りまして、厚生省の方に對して、非常な努力を拂つて、善後處置を講じて貰ふやうに色々と努めたのであります、厚生省に於きましても非常な努力をされまして、時の厚生大臣に於かれましては、自ら再三聯合國最高司令部の方にも足を運ばれまして、努力したのでございますが、最初政府に於て考へ、事務的には聯合國最高司令部の方にも色々と打合せをして居りました所の、厚生年金保險法に依る救濟的な處置も難かしいやうになつて來ましたことは、既に御承知の通りであります、斯う云ふ風に色々厚生省も努力されましたけれども、軍人遺家族としての特別な處置をすると云ふことが、今日まで難かしいやうになつて居ると私は聞き及んで居ります、此の點に付きましては、適當な機會に、又改めて厚生省側の委員から御説明すると思ひますが、全く御話のやうに、國民感情としては本當に氣の毒な次第だと思つて居るのでございますが、さう云ふ事情でございますので、御諒承願ひたいと思ひます
最後の第三點は、文官恩給の金額を増額したらどうかと云ふ御尋ねであつたと思ひますが、之に付きましては、御話のやうに文官恩給と云ふものは從來の通りになつて居ります爲に、今御話のやうに、恩給だけで以て生活されて行く所の人々、長く教職に居られた方々で、退職されて恩給だけで生活して居られる方々等に取りましては、非常な僅かな金額である爲に、其の生活は洵に御氣の毒な状態にあられると云ふことは、重々御察し申上げて居る所でございます、私達と致しましては、勿論此の恩給金額の増額が出來ますならばと思ひまして、色々と今日まで檢討も加へて參りましたが、併し其の恩給金額の問題に付きましては、貨幣價値の下落に伴ひまして、其の恩給金額をそれだけ増額するかどうかと云ふやうな問題に付きましては、是は色々な點から考へて行かなくちやならぬ問題があるのであります、唯單に貨幣價値が下落したから、其の割合で以て恩給金額を殖やすと云ふことも、中々現下の事情では難かしい問題でございます、出來ますならば、私共と致しましては、何とかして増額したいと思ひますけれども、御承知のやうな極めて財政の多端な状態、或は海外から引揚げて來る所の同胞のことを考へましたり、或は又戰災で以て家を失ひ、或は其の他軍人遺家族の状態と云ふやうな點を考へて見ますと、此の方面に對します國家の財政的の支出と云ふものを極めて多端なのでありまして、此の多端な現状と云ふものを考へて見ますと、今直ちに文官恩給、と申しましても、普通恩給のことでございますが、之を貨幣の價値の下落に對應して、直ぐ増額出來るかどうかと云ふ問題に付きましては、自ら財政支出的に緩急順序もあるのでございますから、中々檢討を要する問題ではないかと考へて居るのであります、此のやうな次第でございまして、政府に於ても決して疎かにして居る譯ではなく、凡ゆる方面から檢討致して居りますけれども、今日直ちに之を増額すると云ふ決定にまで行つて居ないやうな實情でございます、御諒承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=27
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028・久芳庄二郎
○久芳委員 私の質問は終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=28
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029・冨吉榮二
○冨吉委員長代理 それでは小島委員発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=29
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030・小島徹三
○小島委員 實は今朝程の御答辯の中にあつたのでございますから、聽く必要はないと思ひますけれども、私は念の爲に一應承つて置きたいと思ひます、一體日本と云ふ國は政府と云ひ、或は民間會社と云ひ、總て月給と云ふものを、生活が出來るだけのものをよこさない、僅かな金をよこして、さうして其の他は手當であるとか、家族手當であるとか、或は「ボーナス」とか、さう云ふやうな形で食はせる、さうしてそれに依つて職員とか或は使用人を縛つて置くと云ふ惡傾向があるのでございますが、此の恩給を考へて見ます場合に、恩給と云ふものは受給者の最後の月給と云ふものが基礎になつて居りますからして、さうして又恩給に依つて食つて行かうと云ふのでありますからして、月給と云ふものが十分生活し得るだけのものでなければ、隨てそれの何分の一かを戴く受給者と云ふものは、生活出來ないと云ふことは自明の理であります、所が惡いことには、近頃では政府でも、會社でも總て生活の出來ないと云ふ者を救ふ爲に、手當とか、或は家族手當とか、或は「ボーナス」とか、危機突破資金とか、さう云ふ形で出して居るのであります、隨ひまして、現在の状態で若し退職する人間があるとするならば、其の恩給と云ふものは基本給の何分の一かを貰ふのでありますから、當然生活は出來ないと云ふことは、もう目に見えて居るのであります、でありますから、私と致しましては、政府は是等の職員の食へないと云ふ者を救ふ爲には、どうしてもさう云ふ危機突破資金とか、家族手當とか、そんな姑息なものに依つて之を救ふのではなくして、本給を殖やすと云ふことでなければ、恩給と云ふ面から見れば、其の人は當然恩給を貰つても食へないと云ふことになるのであります、でありますからして、私は實は此の委員會に於きまして、何とかして今までの危機突破資金とか、或は家族手當と云ふやうなものを、全部本給に繰入れて貰ひたいと云ふことを御願ひする積りであつたのであります、今朝程の政府委員の答辯で、近くさう云ふ風にしようと云ふことを仰しやつて居りましたけれども、それでもやはり家族手當と云ふやうなものは、別にすると云ふやうな口吻もあつたやうでありますからして、更に私は念の爲に申上げて置きたいのでありますが、一切合財のものを加へて、十分生活出來るやうにしてやる、さうして恩給を貰ふ者も亦其の中の何分の一かを貰つて、多少でも生活を樂にしてやらうと云ふ風に、考へてやつて戴きたいと思ふのであります、政府委員の御話では、近くさう云ふ風にしたいと云ふことでございましたが、さう致しますと、只今職退する者と其の規定が變つてから退職する者との間には、非常な不公平が起るのでありますが、假に現在退職すると致しましたならば、さう云ふ者に對しては、何等か特別の御配慮をなさる御積りでございませうか、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=30
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031・三橋則雄
○三橋政府委員 今御話のやうな風に、恩給は退職當時の俸給を基礎として算出されて居りますので、今度俸給令が改正になりまして、從來出して居りました所の臨時手當其の他のものを俸給に繰入れ、本給の額が殖えますならば、現在の恩給制度の儘で行きますならば、是から先辭めます所の官吏は必然的に恩給金額が殖えて來る譯であります、そこで考へなければいけない事柄と致しましては、さう云ふやうに俸給が從來の額の二倍三倍、或は五倍、或は極端に云へば七倍八倍にもなると云ふ場合に於きまして、其の割合で以て恩給金額も殖すかどうかと云ふことは、檢討を要する問題になつて來る譯であります、此の點に付きましては、私共と致しましては、關係の當局とも色々連絡を致しまして、檢討を加へて來て居るのでありますが、結論としては、俸給が増額された其の割合に依りまして、恩給の金額を其の儘増額すると云ふことは如何なものであらうか、斯樣に考へて居ります、是は勿論先程御話のやうな風に、恩給は退職致しました後の官吏の生活の保障と云ふやうな意味も持つて支給されて居ると云ふことは、さう云ふ風にも考へられるのでありますが、是は官吏が在職中に於て勤めまして、其の勤めた結果失ふ所の、經濟的な能力を補填してやると云ふやうな趣旨を以て、恩給が出されて居る譯でありまして、其の保障と云ひますか、補填してやるのを、どう云ふ風にして補填するかと云ふことは、是は又其の時其の時代に於ける所の、國家の國力と云ふやうなものも考へて行かなければならぬ問題ぢやなからうかと思ひます、現在恩給は退職當時の俸給の三分の一を基準として居りますが、ずつと以前に於ては、四分の一を基準として出して居つたこともあるのであります、即ち國力未だ盛んならざる時に於きましては、現在のやうな風に退職當時の俸給の三分の一ではなくて、四分の一と云ふ額を以て出して居りました、是が大正の終り頃になつて三分の一に増額したと思ふのであります、隨ひまして、此恩給の額を、俸給と睨み合せまして何分の一にするかと云ふことに付ては、多いに越したことはありませぬけれども、其の時代其の時に於ける所の、色々の情勢と睨み合せて考へて行かなければならぬ問題だと思つて居ります、隨て今度の俸給の増額に伴つて、其の割合で三分の一を出すが宜いか、或はそれよりも一定の率を減らしてやるが宜いかと云ふことは、恩給制度の根本にも觸れて來る、餘程研究しなければならぬ問題ぢやないかと思ひます、又一面國力、財政の支出を考へますと、尚更考へなければいかないと思ふのであります、隨て只今の所と致しましては、普通恩給に關する限りに於きましては、俸給が増額されましたから直ちに其の割合で以て恩給を多くして出すと云ふやうなことは、一寸難かしいのぢやなからうか、斯う考へて居ります、どう云ふ程度にするかと云ふことに付きましては、今事務的に考へて、色色檢討を加へて居る次第であります、御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=31
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032・小島徹三
○小島委員 私が先程御伺ひしましたのはそれもございましたが、實は、月給が何倍になつたから恩給もそれと同じ率で上げなければならぬと云ふ譯でもございませぬけれども、現在月給を取つて居る人間は、總て家族手當とか、或は突破資金とか、さう云ふものに依つて生活を維持して居るのでございますからして、其の俸給令が變つた後のものと、現在のものと非常な差が出來て來る、隨て近く俸給令が變ると云ふならば、それまで頑張つて居つた方が、恩給を澤山貰へるから得だと云ふやうなことになるものでありまして、行政整理も後れると云ふやうなことも出來はしないかと思ふのでてりますが、現在行政整理なり、或は又何かの都合で辭すと云ふ人に對して、何等か特別の考慮を拂つて、さうして近く改正される俸給令に基く恩給を得るやうな人と、同じ程度に保護されると云ふ特殊の考へはございませぬか、御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=32
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033・三橋則雄
○三橋政府委員 今度の俸給令の改正の結果、どう云ふ風になるかと云ふことは、はつきりまだ申上げ兼ねるのでありますが、大體の方向と致しましては、今申しましたやうに、恩給の金額にはさう大きな變動はないやうなことになるのぢやないかと思つて居ります、是は或は少しく違ふかと思ひますが、其の若干の違ひを前の退職者の間でどう云ふ風に調節を取るか、斯う云ふ御考へであると思ふのでありますが、今の所は其の結果も考へて見なければいけませぬが、今度の俸給の増額に伴ひまして、若干増額するものも或は出來るかも分りませぬ、併しさう極端なものはないと思つて居りますが、さうなりました場合に於きまして、從來の恩給受給者恩給額を、直ちに上げると云ふ風に今の所考へて居りませぬ、勿論恩給金額を増額したいと思つて居りますが、先程の久芳委員の御質問に御答へ致しましたやうな趣旨を以ちまして、直ちに増額することは大變ぢやないかと考へて居りまして、其の處置は考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=33
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034・小島徹三
○小島委員 私の言方が惡かつたかも分りませぬが、私は從來の受給者の恩給を上げて呉れと申上げて居るのではなくて、現在退職しようとする人、例へば役人で今月今日退職しようと云ふ人は、實は本俸は少いけれども、危機突破資金、家族手當、さう云ふものに依つて生活して居る譯でございまして、其の人が本日辭すと、一箇月なり二箇月後に、當然豫想される俸給令の改正後に辭すのとの間に非常な差が出來はしないか、隨て今當然辭すべき人も、退職するのを一、二箇月後に待つと云ふ人が出て來はせぬか、さう云ふ人をなくする爲に、今月辭す人にも一箇月後に改正される俸給令を基礎とした恩給との差を拂つてやる御考へはございませぬかと、御聽きしたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=34
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035・三橋則雄
○三橋政府委員 今朝程の大藏省側の政府委員からの答辯の中にあつたかと思ひますが、今度の俸給令の改正がありますれば、是は七月に遡つて適用するやうになるのぢやなからうかと思つて居ります、隨て七月から俸給令が改正になつたやうな取扱になるのぢやないか、さうしますると、七月以後に辭めました者は、總て七月以後の新しい俸給を基礎と致しまして恩給を出すやうになると思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=35
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036・小島徹三
○小島委員 其の點は了承致しました、次に御伺ひ致したいのは、今朝程の御話を承りますと、軍人は殆ど退職資金、恩給を貰へなくなつたのですが、軍人の中でも恩給證書を擔保にして金を借りて居る者が大分あると思ひますが、其の際に於て、債務が殘つて居ると云ふものでありますならば、其の債務は如何相成るものでありませうか、御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=36
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037・三橋則雄
○三橋政府委員 軍人恩給を擔保と致して金を借りて居る人は相當あると思つて居りますが、是等に對しましては擔保物件はなくなりましたけれども、貸借關係は其の儘存續して居るのでありますから、契約あるものと看做される譯であります、併し現實の問題と致しまして、軍人恩給を貰つて居られた方々には、實際に支拂ひが出來ないやうな方が相當あるのでないか、さう云ふ場合に於きましては、其の契約通りに恩給金庫の中で以て金の取扱をすることが出來るかどうか、是は疑問ぢやないかと思つて居りますが、契約其のものは殘つて居ると思ひますから、是は出來ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=37
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038・小島徹三
○小島委員 契約其のものが殘つて居つて、債務が殘つて居ると云ふことでありますならば、結局受給者は、拂ふべき金は政府から貰へない、而も恩給局には借りた金は返さなくてはならぬ、斯う云ふことになるのでありまして、或は受給者が事實上金が拂へないと云ふことがあるかも知れないけれども、永久にさう云ふ債務に追驅けられて居ると云ふことであるならば、其の受給者は非常に苦しい目に遭ふことになるのでありますが、政府は之に對して、何等か特別な方法を以て、是等の債務を免除すると云ふ考へはないものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=38
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039・三橋則雄
○三橋政府委員 恩給受給者が、恩給を擔保に致しまして金を借りました事情は色々あると思ひます、隨て一律に政府に於きまして、今御話のやうに債務を免除する取扱をするかどうかと云ふことは、餘程檢討を要すべき問題ぢやないかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=39
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040・小島徹三
○小島委員 政府の方から載きました表を見ましても、生活費として借りて居るとか、醫療費として借りて居るとか、出産費、葬祭費、斯う云ふ殆ど不生産的のものと申しますか、一遍使つてしまへばなくなつてしまふやうな借金が非常に多いのであります、それに對して、恩給は拂はぬ、借金は拂へては、政府の態度は二重三重に受給者を苦しめるものだと思ふのであります、勿論中には金を借りて居るけれども、生活の樂な者があるかも知れぬが、恐らく大部分は生活に苦しんで居る者であらうと思ふのであります、さう云ふ者に對して、政府は親心を以て特別な考慮を拂はれることは當然と思ひますが、さう云ふ御意思はありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=40
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041・三橋則雄
○三橋政府委員 今御話のやうに、非常に氣の毒な事情から金を借りた方もおありだらうと思ひます、中にはさうでない、即ち色々な事情で、外の理由を以て借りられた方もあるだらうと思ひます、さう云ふことを考へますと、個別的に色々取上げて、ああだ、斯うだと云ふことは出來にくいことと思ふのであります、それから金を借りて居た者だけにさう云ふやうな處置をし、金を借りて居なかつた者は放つて置いて宜いか、斯う云ふ問題も起るのでないかと思ひます、さう考へますと、是はさう簡單に、今御話のやうな風に、免除すると云ふ處置を國家としてやることが出來ないのでないか、それで檢討しなければならぬ、斯う思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=41
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042・小島徹三
○小島委員 政府委員の御答辯は一應之を承ります、併し私はさう云ふ受給者が、金を借りた者と、借りない者との間に不公平が出來ると云ふやうな不公平は、全く無視して宜い不公平であつて、それよりか世の中には大變な不公平が行はれて居るのであります、財閥或は事業家、或は軍需成金と云ふ者は、幾多の法律の裏を潜つて不公平を行つて居ることは明かであります、而も政府としては、是等に對して徹底的な彈壓を加へるとか、不公平を均すと云ふ態度は手緩いのであつて、此の弱い受給者に對してのみ不公平を主張されると云ふことは、洵に不滿とするものであります、併し是以上私は追究致しませぬ、何卒政府に於ても此の點を能く御考へ下さいまして一件々々に付て考へれば成程さう云ふ事情もありませうけれども、全般的に、何とかして氣の毒な者を救つてやると云ふ考への下に、之を善處して貰ひたいと考へるものであります
其の次に御伺ひしたいのでありますが、是は稍稍細いことになりますけれども、恩給法の三十三條と云ふのがございます、之を見ますと「公務員外國の交戰又は擾亂の地域内に於て危險を顧みす其の職務を以て勤務したるときは在勤期間の一月に付二月を加算す
前項の外國の交戰又は擾亂の地域及期間は勅裁を以て之を定む」と云ふことになつて居ります、此の勅裁と云ふことは、今までは是が宜かつたけれども、今後勅裁と云ふものはなくなるのではありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=42
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043・三橋則雄
○三橋政府委員 勅裁はなくならないと思つて居ります、勅裁はやはりあるやうに心得て居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=43
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044・小島徹三
○小島委員 勅裁を求めると云ふのは、何の規定に依つて勅裁を求めるのでありますか、規定の根據は何でございますか、統帥權と云ふものはなくなつたし、勅裁を求めると云ふのはどう云ふ場合でございますか、新憲法に依るとさう云ふものはなくなつてしまふのではないかと思ひますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=44
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045・三橋則雄
○三橋政府委員 此の勅裁と云ふのは、統帥權に基く所の勅裁ではございませぬ、國務上の大權に基きまして、從來通り上奏し、御裁可を仰ぐ、斯う云ふことを考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=45
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046・小島徹三
○小島委員 將來上奏して勅裁を仰ぐことはなくなつてしまふと私は思ふのでございますが、如何でございますか、新憲法ではさう云ふものは大權事項の中に一つもなくなつてしまふと思ふのでありますが、如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=46
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047・三橋則雄
○三橋政府委員 是は新憲法が出來ました上に於きまして、若しも勅裁と云ふことが許されないことでありますれば、新憲法が出來ました時に、改めて恩給法を改正致しまして善處致したいと思ひます、今までの所は、今申上げた所でやつて行く譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=47
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048・小島徹三
○小島委員 只今の所は勅裁があることは私も想像致しますけれども、新憲法が近く改正されることでありますし、是はいつそなくなつた方が宜いのではないか、のみならず三十三條の外國の戰爭或は之に準ずる擾亂云々と云ふことがございますが、日本の新憲法では戰爭は否認すると云ふことになつて居ります、戰爭を否認すると云ふことと、抛棄すると云ふことは違ふのであつて、外國人間の戰爭と雖も是は戰爭と認めない、さう云ふ戰爭と云ふ事態はあり得ないのだと云ふことを建前として居るのではないかと思ひます、さう云ふ點もありますから、此の三十二條に付てはもう一應御考へを願ひたい、只今ではございませぬけれども、新憲法が通れば、一應御考へを願ひたいと思ふのであります、それは僅か一箇條の三十三條の爲に憲法が通つてから恩給法の一部改正の手續をなさることは非常に厄介なことだと思つたものでありますから、一寸御注意をしたまでのことであります
其の次に伺ひたいことは、恩給を受ける者が、在職中毎月月給の百分の一とか百分の二とかを政府に納めて居る譯でありますが、それはどう云ふ性質のものでありませうか、例へばそれは政府に只献上するのか、或はそれは恩給を貰ふと云ふ約束の下に納めて居る金であるのか、隨て其の納めた金は、將來恩給を受ける場合の一部になるべき資金としてあるものか、其の性質如何と云ふことを御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=48
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049・三橋則雄
○三橋政府委員 今朝程の質問の際に其の點は一寸觸れたと思ひますが、國庫納付金の性質に付きましては、沼革的に申しますれば、現在の恩給法の施行せられる前の名前は一寸違つて居りまして、官吏遺族扶助法――是は官吏の恩給法以外にありましたが、其の扶助法に依つて現在の國庫納付金に頭する制度が設けられて居つたのでございます、其の外軍人恩給法の外に色々の恩給法がございましたが、其の恩給法に於きましても、官吏遺族扶助法の納付金の制度が援用されて居りまして、結局恩給を貰つて居る所の公務員全部に付きまして、國庫納付金の制度があつたのであります、此の國庫納付金のやうな制度は、恩給法の施行されました當時に於きまして「フランス」の制度を輸入して來たやうに聞いて居ります「フランス」に於きましては、官吏の遺族に對しましては恩給と言ひますか、扶助料が出されることになつて居ります、其の扶助料は、在職中の官吏が一部の金を出し、其の一部の金に對しまして足りない所を又國家から出す、斯う云ふ制度になつて居るのでございます、其の制度を其の儘採りまして、日本に於きましても、官吏の遺族に對して扶助料を出すと云ふことになりました結果官吏に對して俸給の百分の一、或は最近に於きましては百分の二と云ふやうな納付金の制度を認めて來たと云ふ事情でございます、國庫納付金の制度は、どちらかと云ふと官吏の遺族に對しまして國家から扶助料を出されます、それに對して一つの御奉公と言ひますか、さう云ふ風な意味を以て出されて居るものではなからうかと思つて居ります、沿革的に申しますれば、さう云ふ風な意味になつて居るのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=49
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050・小島徹三
○小島委員 只今の御話を承つて居りましたが、沿革的に言へば、「フランス」では官吏が自分の金も一部納める、それに對して政府も一部を出して、其の金を遺族に渡すと云ふことになつて居ると仰しやいましたが、さうすると在職中に受給者が拂つて居つた月給の百分の一とか二と云ふものは、必ずしも政府が取上げてしまふ必要がないのであつて、若しもここで恩給を拂はないと云ふことがはつきりしたならば、從來積立てて居つた所の金は、受給者と言ひますか、それに渡してやつても差支へないものではないかと考へますが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=50
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051・三橋則雄
○三橋政府委員 性質から申しますれば、今申上げたやうな風のものでありまして、現在の恩給法の制度の事務的の點から申しますと、必ずしも扶助料を貰はなかつたから納付金を返してやると云ふ建前は、制度として採つて居りませぬ、例へば官吏が國簿を喪失しました場合に於ては、是は恩給權を喪失することになつて居ります、其の場合に於きましては、國庫納付金を返すと云ふ風なことは恩給法には全然觸れて居りませぬ、又犯罪其の他に依りまして恩給權を喪失する場合がある、其の場合に於きましても、國庫納付金を返すと云ふ風なことは何も觸れてないのであります、斯う云ふやうなことを考へますと、國庫納付金が恩給の前提ではないと言ひますか、納付金を出すから恩給を貰ふのだ、斯う云ふやうな考へにもなつて居ないのではないかと思ひます、でありますから、扶助料を貰はないから、或は恩給を貰はないから、國庫納付金を必ずしも直ぐに返さなければならないと云ふ風には考へられないのではないかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=51
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052・小島徹三
○小島委員 私も、必ずしも政府は、其の受給者が在職中に拂つて居つた百分の一とか二とか云ふ金を、返してやらなければならぬと云ふ規定はないと思ひますけれども、普通の生命保儉に致しましても、解約した場合に、解約返戻金と云ふものがあるのでございます、殊に此のやうな非常な悲慘な目に遭つて居る所の兵士――將官は、そんなものは戰爭犯罪人でありますから、私はどうでも宜いと思ひますけれども、多くの兵士、或は下士官とか下級將校とか、さう云ふ者に對しては、何等か説明の仕方如何に依るならば、或は之を返してやることも出來るのではないか、政府がそれだけの親切心さへ持てば、何等かの方法に依つて返すことが出來るのではないかと考へるのであります、假令其の金が僅かであつても、之を返してやると云ふことは、どれだけ遺家族に取つて喜ばしいことであるかと云ふことを考へます時に、私は政府は此の點に對して、一つ御考へ願ひたいと思ふのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=52
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053・三橋則雄
○三橋政府委員 陸海軍軍人の恩給が廢止せられました際に於きまして、從來納めて居りました所の國庫納金をどうするかと云ふことに付きましては、關係當局、殊に大藏省當局なんかとも色々相談をして參つたのでありますが、御承知の通りに、軍人に付きましては國庫納金は從來認めてなかつたのであります、軍人に付きましては國庫納金の制度はございませぬでした、又最近に至りまして、軍人に付きまして國庫納金制度が設けられましてから後に於きましても、戰地に在る軍人に付きましては、國庫納金を免除するやうな風なことになつて居りました、さう云ふやうな關係でございまして、此の軍人に付きまして、或る時に於きましては國庫納金を出す、或る時に於きましては出さないと云ふやうな状態になつて居りましたので、實際に事務當局に於て、國庫納金を返すと云ふことになつた場合に於きましては、どう云ふ風なことになるだらうと云ふことを色々檢討もして見たのでありますが、實際に於きましては、俸給を拂つて居る所に於きまして、どれ位の國庫納金をしたかと云ふことを調べなければ、返すことが出來ないので、それが中々出來ない、事務的に實際に於て不可能である、斯う云ふ風な結論になりまして、國庫納金を返してやりたいと云ふことに付きまして、我々色々苦心をしたのでありますが、結局出來ないで今日に至つたやうな譯であります、御諒承を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=53
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054・小島徹三
○小島委員 私の質問は之を以て終りますが、呉々も私は政府が親心を以て、實際軍人の――高級將官と云ふやうなものは、私は憎むべき者であると云ふことは確信するものでございますけれども、又反面に於て、非常に氣の毒な人も居る、殊に兵士、下士官と云ふものは苦んで居るのでありますから、是等に對しては、何等かの方法を以て之を返すと云ふことを御考へ願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=54
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055・冨吉榮二
○冨吉委員長代理 松尾さんに御尋ね致します、あなたは三橋政府委員に對する御質問があるなら、其の方だけ今御濟ませになつて、他の政府委員に對する質問は留保されたらどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=55
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056・松尾トシ
○松尾委員 私質問に慣れませぬものですから、明日に廻して戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=56
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057・冨吉榮二
○冨吉委員長代理 それでは白井さんどうぞ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=57
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058・白井秀吉
○白井委員 私も數項に亘つて質問致したいと考へて居つたてでありますけれども、今朝來の質問に依りまして大體盡きて居るやうでありますが、唯二つの點に付て重ねて質問致したいと思ひます、是も大體前の質問者に依つて觸れられて居るのでありますけれども、政府の御答辯が十分でないやうに思ひますし、又多少觸れられない點もあるのでありますから、重複致しますけれども、簡單に二點だけ質問致したいと思ひます、本改正案は、終戰に伴ひ、戰爭、軍隊外地等に關する規定を改廢することと、官吏制度の改正に伴ひ規定を整理する爲めであると云ふことに相成つて居るのでありますが、此の官吏制度の改正に伴ふ所の規定は、事務的に當然やらねばならないことであり、又其の内容は、實質に於ては普通のものは從來と變りはないのでありますが、主として軍人軍屬の恩給、扶助料等を停止すると云ふことが眼目であるやうであります、之に依りまして、今次戰爭以來出征致しました軍人で、此の恩給を受け得らるべき人達が、多くの方が受け得ないと云ふやうな状態になつて居るのであります、申すまでもないことでありますが、是等の軍人は何も自ら好んで戰爭に參加致したものでなく、國家の義務として、國家の命令のまにまに、而も是が世界平和の爲め、民族永遠の幸福の爲めだと云ふことで、死を鴻毛の輕きに比して孜々として奮鬪致して來たのであります、而も其の中には短かきは數年、長きに至りましては十年内外も、あたら青春の時期を外地に過して、今敗戰に依つて歸りますと、或る一部からは戰犯者の如く冷眼視せられ、而も職に就くに途なく、茫然自失して居ると云ふやうな状態にあるのであります、是等の人達は、今後國家再興の爲に、戰爭に於て努力された力を振向けまする上に於きましては、非常な力となる人達なのでありまするが、然るに聞く所に依りますると、復員當時約束せられた、即ち在職中に於ける所の積立金であるとか、或は退職金、其の他の支給し得らるべきものが、現在尚ほ殆ど渡つて居ないと云ふやうなことで、是も結局何もならぬのだらうと云ふやうな、捨鉢的な氣分になつて居る者も相當に多いのであります、それ等に對しましては、政府として十分なる同情を以て善處せられなければならない所であると思ふのであります、而も此の給恩の停止に依つて非常な衝動を與へられて居るのでありますが、是等既に受け得られる所の在職中の積立金であるとか、或は退職金であるとか、それさへも渡らないと云ふことであると、今申上げるやうに、非常な惡い影響を與へると思ふのでありますが、是等の實情は實際どんな風になつて居りますか、又政府と致されましては、是等に對する御考へがどんな風になつて居りますかと云ふやうなことを、一つ御伺ひ致したいと思ひます
それから第二と致しましては、恩給制度は廢止すべしと云ふ所の意見が、早くから擡頭して居まして、而も恩給亡國論と云ふやうなことまで提唱せられて、之に對しな相當の共鳴もあるやうに考へるのであります、私は敢て賛否の自分の意見を此處で申上げる譯でございませぬけれども、敗戰に依る國家敗政並に國家經濟の再建の爲には、是まで國家の爲に孜々として積立てられた所の預金、或は戰爭保險等、非常な犧牲を強ひられて居る者が澤山あるのでありますが、若しも此の恩給を廢止して、他に救濟の途を求めると云ふやうな方法を考へるならば、此の際が最も適當な時機ではないかと云ふやうにも考へられるのであります、之に對して政府としてはどんな風に御考へになつて居りまするか、若し是は廢止しないのだと云ふ御考へでありまするならば、其の御所見と、併せて是は研究して見ねばならないと云ふ御考へでありますかどうか、こんな點を承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=58
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059・三橋則雄
○三橋政府委員 軍人の在職中の積立金等のことに付きましての御尋ねが、第一ではなかつたかと思ひますが、之に付きましては、其の方のことを取扱つて居りました所の政府委員が居りますから、其の方から詳しく御説明申上げることに致したいと思ひます、恩給廢止の問題でありますが、之に付きましては、今朝程入江政府委員から色々と御説明申上げましたやうな次第でありまして、政府と致しましては、今直ちに文官の恩給を廢止してしまふまでには考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=59
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060・白井秀吉
○白井委員 恩給制度を直ちに廢止する意思はないと云ふことは、午前中の御答辯で分つたのでありますけれども、私は先程申上げますやうに、若しも廢止するとするならば、此のやうに色々の犧牲を強ひられて居る時期が最も適當だと思ふのでありまして、今直ちに廢止する意思はないにしても、是は十分研究しなければならぬ問題であると云ふ風に、御考へになつて居るかどうかと云ふことを御伺ひ致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=60
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061・冨吉榮二
○冨吉委員長代理 政府委員、何か考慮するとかしないとか云ふことの御答辯はありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=61
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062・三橋則雄
○三橋政府委員 廢止に付きましては、今申上げたやうに考へて居ります、廢止を考慮すると云ふ風にはまだ申上げて居ないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=62
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063・白井秀吉
○白井委員 私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=63
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064・冨吉榮二
○冨吉委員長代理 それでは小野瀬さん発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=64
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065・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員 私の質問は、是まで前質問者が色々と質問された所と、大體に於きまして重複するもののみでありますから、取止めます
〔冨吉委員長代理退席、小島委員長代理着席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=65
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066・小島徹三
○小島委員長代理 本日の質疑は此の程度で中止致します、次會は追つて公報を以て御通知致します、本日は是にて散會致します
午後二時四十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010159X00319460819&spkNum=66
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