1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
改定豫算に關する法律案(政府提出)
法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案(政府提出)
—————————————————————
昭和二十一年八月八日(木曜日)午前十時五十七分開議
出席委員
委員長 坂東幸太郎君
理事 青木孝義君 理事 島田晉作君
田中實司君 太田秋之助君
北村徳太郎君 新妻イト君
松本七郎君 東隆君
松本瀧藏君 竹谷源太郎君
七月三十一日委員伊藤恭一君辭任に付其の補闕として豐澤豐雄君を議長に於て選定した
七月三十日法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案(政府提出)の審査を本委員に付託された
出席國務大臣
大藏大臣 石橋湛山君
出席政府委員
大藏事務官 河野一之君
大藏事務官 石原周夫君
━━━━━━━━━━━━━
本日の會議に付した議案
改定豫算に關する法律案(政府提出)
法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01219460808&spkNum=0
-
001・坂東幸太郎
○坂東委員長 是より會議を開きます、本日の本委員會の議事の順序を申上げますと、劈頭に去る三十日本會議に於て政府から提出されました議案、即ち法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案の説明を願ひます、其の次には、以前の續きの改定豫算に關する法律案の質疑を續行しまして、是は豫定は大體質疑を今日で終了されませう、さうして先に申しました法律案の説明を聞きまして、それで今日は散會しまして、明後日開きたいと云ふ順序になります、それでは政府の説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01219460808&spkNum=1
-
002・石橋湛山
○石橋國務大臣 會社其の他の法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案、是の提出の理由に付きましては、曩に本會議で一應申上げました通りでございますが、尚ほ本委員會に付託に相成りました機會に、其の理由を重ねて御説明申上げたいと思ひます
從來政府は特殊會社等に對しましては、法令或は豫算外國庫の負擔となるべき契約に關する件に基きまして、政府の出資に對しては、特殊條件に依る利益又は剩餘金の配當又は分配を認め或は一定の利益配當を可能ならしめる爲の配當補給金を交付し、或は社債に對して政府が其の元利金の支拂を保證する等、各種の積極的財政援助を講じまして、其の經營收支に對する援助、或は資金の獲得に對する保護を致しまして、以て政府施策の圓滑なる遂行を圖つて參つた次第であります、併し以上申上げますやうな財政援助の措置は、其の結果と致しまして、厖大な國庫の債務を招く次第でありまして、而も是等の債務は、其の性質上多くは所謂未必の債務に屬します關係上、其の負擔額も極めて不明確な實情にありますので、國家財政の現状に顧みます時は、是等の措置は速かに之を制限致しまして、今後に於ける債務の累増を防止致しますことが、戰後財政再建の途上に於きましては緊急の方途であると存ずる次第であります、又一面右のやうな財政援助の措置は、之に依りまして企業をして、動もすれば公の保護に依存せしめる弊を生じ、其の自主的の活動を弱めることとなることも否み難い事實であります、隨て今囘の如き措置を講じますことは、企業の合理的採算に對する自主的責任を明かに致しますと共に、其の自主的活動を促進する結果ともなり、戰後經濟の民主的再建に資する所以であると存ずる次第であります、尚ほ本件に關しましては、今般聯合國最高司令官からの要求も參つて居る次第でありまして、此の點からも之を廢止又は制限を致す必要があるのであります、以上の理由に依りまして、此の法律案を提出致しました次第であります、何卒御審議の上御贊成を願ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01219460808&spkNum=2
-
003・河野一之
○河野政府委員 本法律案の内容に付きまして、只今大臣から御説明申上げましたことで大體盡きて居る譯でございますが、多少立入つて御説明申上げます、本法案は、只今御説明にもありました通り、第一の目的は國家財政の現状に於きまして、不確定の債務の累増を制限する、廢めると云ふことが第一點であります、第二點の目的と致しましては、それに依つて企業の自主的活動を促し、其の責任に於て企業の經營をやり、隨て戰後經濟の民主的再建に資すると云ふことでございます、此の二點が骨子となりまして本法律案を立案致した次第でございます
先づ第一條の規定でございますが、是は此處にも書いてございます通り、會社其の地の法人は、政府の所有して居る株式出資と、政府以外の者の所有して居る株式、又は出資に對して、同一の條件で利益の配當或は剩餘金の分配をしなければならぬ、從來政府が株を持つて居ります特殊會社に付きましては、大體劣後配當と申しまして、利益金が一定の割合に達するまでは政府に對して配當をするを要しない、斯う云ふ規定が大體の特殊會社の規定にある譯でございます、例へば日本輸出農産物會社法で言ひますと、此の十二條にありますが「日本輸出農産物株式會社は毎營業年度に於ける配當し得べき利益金額が政府以外の者の所有する株式の拂込みたる株金額に對し年百分の四の割合に達する迄政府の所有する株式に對し利益の配當を爲すことを要せず」即ち百分の四に一般の民間配當がなりますまでは、政府の方が辭退すると申しますか、しなくても宜しいと云ふことで、積極的に援助をやつて居つたのでございます、斯う云ふやうな規定は、其の他東北興業株式會社法、或は日本肥料株式會社法、或は帝國燃料株式會社法、帝國鑛業開發株式會社法其の他各種の特殊會社に其の例がある譯でございます
それから第二條の規定は、配當補給の規定でありまして、其の會社の利益に依りまして、一定の金額まで配當が出來ないと云つた場合には、それに達するまでの金額を國の方から補給してやる、所謂配當補給の規定でございます、是は會社に依つて色々違ひますが、四分のものもございます、或は六分のものもございます、會社の性質に依つて各各違ひますが、斯う云つたやうな規定は特殊會社に大體例となつて居ります、先程申上げました法律の外に、發送電でありますとか、或は帝國石油、東亞海運、東拓、北支那開發と云つた會社に斯う云ふやうな規定がございます、第二項の規定は、斯う云ふやうな補給金の交付を受ける會社に付きましては、政府から特殊の補給金を受けるのであるから、利益が出た場合に於ては一定の金額を必ず積立てて置かなければならない、即ち商法に所謂法定積立金の外に、特別の積立金をここで各特殊會社法で指定して居る譯でございます、今囘配當補給の規定を廢めますに付きまして、斯う云ふやうなことは實際上必要がなくなりましたから、之を廢めるのが第二項の規定でございます
それから第三條は、地方公共團體に付ては餘り例がございませぬが、政府は特殊會社が借入れる借入金に付きまして元利の保證をする、或は社債に付き元本の償還、利息に付て保證をすると云ふ規定も、大概の特殊會社に從來ございました、其の他豫算外契約を以てさう云ふやうな規定を設けて居るものもございます、公共團體に付ては、先程申上げました通り餘り例はございませぬが、例へば中小商工業の金融損失補償と云つたやうなものに付きましては、國が一應保證致しまして、それから地方公共團體は更に金融機關に對して保證をする、さう云つたやうな制度を持つて居る所もございます、斯う云ふものに付きましては今後保證をやらないと云ふことに改めた次第であります、但し大藏大臣の指定する特殊のものに付きましては、或る程度斯う云つた保證の制度が必要なのではないかと考へます、隨ひまして但書を置いた譯であります、例へば復興金融金庫の如き、其の他特殊のものに付きましては、其の資金獲得其の他の状況から考へまして、或る程度のものを殘す必要があるのではないかと考へまして、此の但書を置いた次第であります
附則の點は是は公布の日から施行致す譯でありますが、第二條の配當補給の規定に付きましては、昨年の四月一日以後に終了する事業年度から之をやらない、例へば日本發送電でありますとか、帝國石油でありますとか、配當補給の義務の發生致して居るものがございますが、是は十九年度までで一應打切つてしまひまして、二十年度に發生したものに付ては之をやらない、隨ひまして、今囘の改定豫算に於きましては、さう云ふものが計上してない譯でございます、附則の第三項の規定は、第二條の第二項の特別の積立金の規定でありますが、之を廢めます結果、從來積立てて置いたものに付きましても、之を一般の積立金と同じやうに使つて宜しい、之を其の儘從來の法律の規定に依つて持つて居る必要はない、一般の法定積立金同樣に取扱つて差支へない、斯う云ふ趣旨の規定でございます、以上簡單でございますが御説明致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01219460808&spkNum=3
-
004・坂東幸太郎
○坂東委員長 最初申上げました順序に依りまして、改定豫算に關する法律案の質疑がありますならばやりますが、此の前には、法律案の本體に付ての質疑は相當詳しく致しましたが、新しい人も居りますから、重複しない範圍内に於て、質問があつたら御願ひ致します、御承知の通り改定豫算に關する法律案は、是が先に通過しなければ豫算が本會議で審議が出來ない譯になります、此の法律案に依つて豫算が成立するのでありますから、先にどうしても決めなければならぬと云ふことになつて居ります、御含みの上で、質疑があつたら御願ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01219460808&spkNum=4
-
005・島田晋作
○島田委員 此の委員會に、私、今日初めて出ましたので、だぶらない積りでありますが、極く簡單に質問させて戴きます、内容に付きましては、今委員長の仰しやつたやうに、此處で申上げる限りではございませぬが、只今の日本の經濟情勢から見ましても、今度の豫算の編成の御苦心は能く分りますが、今後と致しましても、色々變化があると存じますので、又此の改定豫算がもう一遍改定するやうなことが、年内に起るのではないかと云ふことも豫想せられますが、さう云ふ點に付きましての大臣の御意見、御方針を御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01219460808&spkNum=5
-
006・石橋湛山
○石橋國務大臣 此の改定豫算と申しますのは、詰り本當ならば、今までの制度に依りますれば、本年度は本當の豫算が成立しなかつたのでありますから、前年度の豫算を其の儘實行すると云ふことになる譯であります、所が前年度の豫算は戰時中のもので、今日の實行は出來ませぬので、特に本年度は改定豫算と云ふ名の下に、新しい豫算を編成した譯であります、之には曩に御説明申上げたやうに、もう既に使つてしまひました、詰り本年の四月一日から今日までのものを含められた一つの豫算でありますから、之を又改定すると云ふことは絶對にない譯でありまして、若し今後更に費用が要るとすれば、是は新たに追加豫算として出て來る譯でありますから改定豫算を改定すると云ふことはありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01219460808&spkNum=6
-
007・坂東幸太郎
○坂東委員長 一寸島田君は代つて來たのでありますから、私から申上げますが、此の改定豫算に關する法律案で、四月、五月、六月までは從來の去年の豫算を直したので、それを使つて居るのでありまして、七月、八月は追加で出して決つたのであります、さうなつて居りますが、それを引括めまして改定豫算を作つて、其の中に今言はれたやうに支出したものを支出したと看做すと云ふ、詰り正常化する意味の法律であります、そんな順序になつて居ります──どなたか質疑はございませぬか──それでは此の改定豫算に關する法律案は質疑がないやうでありますから、終了と看做して宜しうございますか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01219460808&spkNum=7
-
008・坂東幸太郎
○坂東委員長 それでは改定豫算に關する法律案に對する質疑は是を以て終了致しました、本日は是を以て散會しまして、次囘は明後日午前十時からやることに致します
午前十一時十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01219460808&spkNum=8
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。