1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
改定豫算に關する法律案(政府提出)
法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案(政府提出)
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昭和二十一年八月十日(土曜日)午前十時四十六分開議
出席委員左の如し
委員長 坂東幸太郎君
理事 青木孝義君 理事 島田晋作君
田中實司君 瀧清麻吉君
江部順治君 太田秋之助君
北村徳太郎君 新妻イト君
松本七郎君 松本瀧藏君
豐澤豐雄君
出席國務大臣
大藏大臣 石橋湛山君
出席政府委員
大藏事務官 河野一之君
大藏事務官 石原周夫君
委員長の許可を得た出席者
議員 原藤右門君
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本日の會議に付した議案
改定豫算に關する法律案(政府提出)
法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=0
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001・坂東幸太郎
○坂東委員長 是り會議を開きます、而して改定豫算に關する法律案を議題と致しまして討論に移ります──田中實司君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=1
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002・田中實司
○田中(實)委員 私は本法律案に對しまして、自由黨を代表致しまして贊成を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=2
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003・坂東幸太郎
○坂東委員長 太田秋之助君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=3
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004・太田秋之助
○太田(秋)委員 私は進歩黨を代表致しまして、改定豫算に關する法律案の原案に贊成致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=4
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005・坂東幸太郎
○坂東委員長 松本瀧藏君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=5
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006・松本瀧藏
○松本(瀧)委員 私は協同民主黨を代表致しまして、本案に對して贊成の意を表します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=6
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007・坂東幸太郎
○坂東委員長 委員外の原藤右門君に發言を許します──原君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=7
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008・原藤右門
○原藤右門君 私は無所屬倶樂部を代表致しまして、本案に對しまして贊成の意を表します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=8
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009・坂東幸太郎
○坂東委員長 松本七郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=9
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010・松本七郎
○松本(七)委員 四圍の情勢から斯う云ふ變則的なものになつたことは已むを得ないのでありますが、經濟安定費と云ふものの濫費を、極力大藏當局に避けるやうに御努力願ひたいと云ふことを要望致しまして、社會黨を代表致しまして本案に贊成致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=10
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011・坂東幸太郎
○坂東委員長 是にて討論は終局致しました、是より採決致します、原案に贊成の諸君の起立を願ひます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=11
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012・坂東幸太郎
○坂東委員長 起立總員、仍て本案は原案通り可決確定致しました
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=12
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013・坂東幸太郎
○坂東委員長 それでは法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案を議題に供します──松本君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=13
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014・松本七郎
○松本(七)委員 先般の提案理由の説明で、大藏大臣は、財政の援助を制限することに依つて民主化を促進すると云ふ言葉があつたやうに思ひますが、從來日本の企業と云ふものが、多く政府の財政的の援助を受けて、其の保護下にあつたと云ふことは、民主化を非常に妨げましたことは間違ひないことで、之を今度制限することに依つて、實勢を強めると云ふことは期待出來るのでありますが、其の半面に公共性はあるが利益の少い事業と云ふやうなものが、資本の逃避、或は生産「サボ」と云ふやうなものを助長する虞はないか、此の點を御伺ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=14
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015・石橋湛山
○石橋國務大臣 今後と雖も國家の民主に必要な事業に付ては、國家自身が經營するとか、特別なる措置を講じなければならぬと思ひます、唯現在までありまするのは、多くは戰時中特別の事情等に依つて生じたものでありますから、是等は何れも整理を致しまして、本當に其の事業其のものがやれるやうな方向に導いて行きたいと云ふ方針でありまして、御心配の如きことはないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=15
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016・松本七郎
○松本(七)委員 さうしますと、公共的な事業は其の經營の主體が國家に移行すると云ふ方面に向ふのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=16
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017・石橋湛山
○石橋國務大臣 例へば今囘の改定豫算に出ました公共事業費と云ふやうなものは、何れも事業を遂行して參るのでありますから、國家の援助なしには遂行の出來ない事業にして、而も國家の爲に必要であると云ふものは、依然としてやはり國家の力を貸して行く譯であります、唯株式會社等の形になつて居りますものに、配當の保證をすると云ふやうなことは、今後は止めて行く、斯樣な考へであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=17
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018・松本七郎
○松本(七)委員 一般の株式會社等で、今後社會化を行ふ必要が生じて來はしないかと我々は考へるのでありますが、此の企業の社會化に付ての見透しを御伺ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=18
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019・石橋湛山
○石橋國務大臣 社會化と云ふ御質問の趣意が一寸能く呑込めないのでありますが、民營に依つては遂行が出來ない、而も社會上必要なものと云ふ種類のものに付ては、國家或は其の他の公益團體等に依つて之を遂行すると云ふ意味ならば、其の通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=19
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020・松本七郎
○松本(七)委員 私の御伺ひしたいのは、基本産業から徐々に國有、國營の形態に移すと云ふ大きな一つの方向に向つて、さう云ふ目標に向つて進まれるかどうか、さう云ふ點なのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=20
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021・石橋湛山
○石橋國務大臣 現在でも、例へば鐵道は國營であります、と云ふやうに、社會、公共の爲に國營を適當とするものは、無論國營で今後新たにやるものも起つて來ると思ひますが、全般の企業を國營に移す、斯う云ふ方向は取つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=21
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022・松本七郎
○松本(七)委員 私の申上げた社會化も、從來からよく言はれて居りましたやうな、所謂官僚統制ではなく、さう云ふ風な國有或は國營にしても、實際の經營はもつと民主化される、社會化と民主化を竝行してやらなければ、社會化と云ふものは能率は却て低下すると云ふやうな結果を招くと考へるのであります、今まで國家の庇護の下に成長した日本の株式會社のやうな企業であつても、斯う云ふ困難な情勢下には自然に自滅し、それが國有に移らなければならなくなる情勢にあると考へるのでありますが、政府當局が、本會議其の他でも、能く「イズム」に拘泥せずと云ふことを言はれて居るのでありますが、現在資本主義制度と云ふものが現實に崩壞しつつあると云ふことは、大藏大臣御認めになるかどうか、其の點を御伺ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=22
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023・石橋湛山
○石橋國務大臣 資本主義が崩壞しつつあるかないかと云ふことは議論になりまして、一寸短時間では其の議論は中々出來ないのでありますが、結論を申しますと、無論此の資本主義──第一、資本主義なるものがはつきりしないのでありますが、是は絶えず時勢の變化に依つて修正されて、今までもありますし、今後も修正されて行くものと考へて居ります、でありますから、私は所謂資本主義が崩壞しつつあると云ふことは今考へて居りませぬ、修正の必要を持つて居ると云ふことは認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=23
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024・松本七郎
○松本(七)委員 資本主義から社會主義に移ると申しましても、一線を劃して、今日から社會主義と云ふ譯には參りませぬで、當然現實の問題としては、何處から何處で以て區別するかと云ふことは、實際不可能なことでありますが、大きな世界の流れとして、我我の見る所では、急速に民主主義化と社會主義化と云ふものが大きな潮流として流れて居ると見るのであります、今後我が國は國際經濟の立場から之を考へて行かなければなりませぬし、此の新しい、憲法、世界に類例のない憲法も出來、今後本當に世界文化に貢獻して行かうと云ふのには、やはり一つの大きな目標と云ふものの定義を下せば、資本主義とか社會主義と云ふことは非常にむづかしいのでありますけれども、一般的な常識として、資本主義を飽くまでも守つて維持して行くか、問題は、此の新しい日本の建設が成つた曉に、どう云ふ姿になるかと云ふことが大きな問題であらうと思ひます、一般的な常識として、社會主義の方向に向けるか、それとも資本主義を修正はされながらも、之を守つて行くかと云ふ此の大きな目標は、是から日本を建設しようとする政府當局に、はつきりしたものがなければならぬと思ひますが、「イズム」に拘泥せずと云ふことで、何となくそこが曖昧な感じがするのでありますが、此の點に付て大藏大臣に所見を御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=24
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025・石橋湛山
○石橋國務大臣 資本主義の定義が難かしい如く、社會主義の定義も甚だ難かしいのであります、若しも社會主義と云ふものが、何と申しますか、常識で言へば、生産設備は原則として國有又は公有にすると云ふ意味であると致しまするならば、現在の世界の情勢が、果して大きな潮流として其の方に向つて居るかどうかと云ふことは、私は疑問だと思ふのであります、或る程度の、是は前からあるのでありますが、全體の國民生活に非常に廣く緊切な關係を持つて居ります、例へば普通の施設であるならば道路と云ふ風に、非常な緊切な關係を持つて居るものは、漸次公有、國有に、現在も無論なりつつありますし、將來もなつて行くと思ひます、其の範圍がどの位に擴がるのかと云ふことは、其の時々の情勢に依ると思ひます、それ位の程度ならば、社會主義化と云ふことが現在世界の大勢と言へるかと思ひますが、それ以上に進んでのことでありますと議論になりませうが、私自身の今の考へでは、はつきり左樣な潮流があるとは考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=25
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026・坂東幸太郎
○坂東委員長 今大臣に先約があつて時間が來たのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=26
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027・松本七郎
○松本(七)委員 それでは宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=27
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028・坂東幸太郎
○坂東委員長 それでは引續き法人に對する政府の財政援助に關する法律案の質疑を繼續致します、午前中にやりたいと思ひますので、政府委員が居りますから、十分御質疑を願ひます──太田秋之助君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=28
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029・太田秋之助
○太田(秋)委員 政府委員の方に伺ひますが、法人に對する政府の財政援助を制限すると云ふ、是は戰時中に出來たものもありませうが、戰爭前からあつた所謂國策會社、例へば東北興業なども入つて居るやうでありますが、是等が政府の財政援助を打切られた場合どう云ふことになりませうか、今後の御見透しに付て伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=29
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030・河野一之
○河野(一)政府委員 御答へ申上げます、先程大臣から御話がございましたが、大體戰爭に協力したと申しますか、戰爭關係會社のものが大部分だが、東北興業のやうなものが入つて居るのではないかと云ふ御尋ねでございます、東北興業會社は成程戰前からございまして、東北振興の爲に相當の活躍を致して來たことは事實でございます、又此の株の募集に付きましては、公共團體が或る程度引受けて居ることも事實であります、併しながら此の會社に對して財政援助を止めると云ふ趣旨は、戰爭に協力して居つたからと云ふ趣旨も多少はございませうが、さう云ふ趣旨よりは、寧ろ會社を自立自營させる、斯う云ふ積りでやつて居ります、一昨日も申しました通り、經濟の民主的再建と云ふことを目途として、斯う云ふ會社に付ては、自立してやらせると云ふ趣旨から出來たもので、斯う云ふ會社に付きましても、成べく其の企業の經營を合理化致しまして、自立し得るやう、政府と致しましては積極的に監督もし、指導もして參りたい、斯う云ふ風に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=30
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031・太田秋之助
○太田(秋)委員 只今の御話を承りますと、是から立直すと云ふことで、洵に結構でございますが、斯う云ふ國策會社は營利を目的とする事業會社が餘り手を著けないやうな仕事、所謂國家の開發の爲の仕事に向つて進んで居るのでありまして、斯う云ふものに對して政府の財政援助を打切ると云ふことになりますと、之を立直すのも容易でないと思ひますが、之に對して政府はどう云ふ仕事に依つて立直して行く積りでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=31
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032・河野一之
○河野(一)政府委員 東北興業會社に付きましては、是は普通の採算からは成立ち得ないやうな仕事も相當やつて居ります、直ちに收益の上らないと云ふやうな仕事も相當致して居ります、併し最近の情勢に於きまして、色々軍事的の仕事も致して居つたことは事實でありまして、其の方面の整理と云ふことも第一に考へられると思ひます、又此の會社は政府が慥か半額を出資致して居ります、それから公共團體も出資致して居ります、斯う云ふやうな仕事は、民間に任せますならば到底企業としては起つて來ない、從つて國が出資をし、或は公共團體、其の關係の府縣から出資をして、採算を或る程度度外視してやつて行くと云ふ意味に於て、政府も今後必要があれば出資致します、又府縣に付きましても、資金の獲得或は出資とか云ふ點で、相當積極的な援助をして行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=32
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033・太田秋之助
○太田(秋)委員 段々御話を承りましたが、日本發送電の如き事業會社は、是は料金を引上げれば政府の援助を打切られても成立つ譯であります、併し農地開發營團、或は日本醫療團、斯う云ふものは政府の援助を打切られたならば、折角此處まで來たものを挫折させるやうなことになると思ひます、今度の法律案に依りますと、政府の投資に對しても、政府以外の株主と同樣の配當をすると云ふことでございますが、從來財政が窮迫した場合,政府は配當を辭退したこともありますので、それを他に活用すると云ふことになれば、經濟面に於て相當緩和されるのではないかと思ひます、此の點に付ての御考へは如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=33
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034・河野一之
○河野(一)政府委員 御答へ申上げます、此の政府の財政援助の制限に關する法律は、一般的な政府の財政援助を止めると云ふ意味の規定でございます、先程申上げました通り、配當補給金の問題、それから元利の支拂補償の問題、さう云ふ一般的な援助はやつて行かない、併し個々の重要な事業に付て、國が援助を致すことを止めると云ふ趣旨ではないのでございます、隨ひまして、農地開發營團の如きが農地を開發する、此の場合に其の耕地の改良、或は土地改良に付きまして、國が別に補助金を出すと云ふことを禁止する規定ではないのでございます、それから帝國興發株式會社が今後どう云ふ風に相成りますか、假に存續すると致しまして、之に對する配當補給なり、元利補償と云ふやうなことは止めますけれども、假に金鑛山の開發をやるとか、或は精錬をやるとか、油田の開發をやるとか云ふ場合に、國としては豫算に取りまして補助金を出して行く、個別的の補助金を出すことは何等此の法律の趣旨に反するものではない、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=34
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035・太田秋之助
○太田(秋)委員 第三條の但書に該當するのはどう云ふ種類のものでありますか、東北興業會社の如き性質のものは之に該當するかどうか、此の點に付て伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=35
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036・河野一之
○河野(一)政府委員 是は聯合軍の指令の中に大藏大臣が特に指定した場合に於ては左樣にしても宜いと云ふやうな點が入つて居りますので、萬一の場合を考へまして、此の但書を付けましたもので、大體餘り該當するものはないのではないかと今の所考へて居りますが、今後の色々事情もあることでありますし、此の場合に於きまして留保と申しますか、考へまして致したいと思ひます、まだ具體的にどの會社は宜いと云ふ風には決めて居りませぬ次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=36
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037・太田秋之助
○太田(秋)委員 重ねて又承りますが、政府以外の公共團體も政府の慫慂に依つて東北興業の株を持ち、それは市町村などの方にも行つて居る、若し此の東北興業が今後全く潰れてしまつた場合には、其の責任はどうなるか、其の點も併せて伺ひたい、此の公共團體の持つたのは、政府の慫慂に依つて持つたのであつて、是は會社が潰れてしまへば、政府は當時配當保證をしたのであるから、當然其の責任を負はなければならぬと私は思ふのであるが、其の點如何であるか承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=37
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038・河野一之
○河野(一)政府委員 特殊會社で政府が慫慂致しまして株を持たしたのは、御話の東北興業だけだと思ふのでありますが、此の配當補給等を廢めましても、恐らく東北興業は潰れるやうにはならないのではないか、會社と致しまして他の方の軍需補償を澤山持つて居ると云ふ譯ではございませぬで、御承知の通り非常に廣汎な仕事を致して居りますので、此の財政整理に關する法律に依つて非常に内容が惡くなり、潰れる、隨て公共團體が損失を蒙ると云ふやうなことはないのぢやないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=38
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039・太田秋之助
○太田(秋)委員 大體了承致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=39
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040・松本七郎
○松本(七)委員 只今の質問に關聯しまして、第三條の但書ですが、第三條は今の所具體的に此の事態に該當する事項はなささうだと云ふ御話でありますが、萬一さう云ふ場合が出來た時に、大藏大臣の指定するまで──どう云ふものを指定するかと云ふことに付て、何か別に決定するまでの期間でも考へて居られますでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=40
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041・河野一之
○河野(一)政府委員 是は聯合軍其の他と折衝致しまして、個々の會社に付きまして指定をすると云ふやうなことに相成るのではないかと思ひます、大藏大臣が現在の情勢に於きまして、勝手に決めると云ふ譯には事實問題として參らぬのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=41
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042・坂東幸太郎
○坂東委員長 一寸私から御伺ひしますが、今の東北興業株式會社のことでありますが、政府が勸誘して市町村も株を持つて居る、そこで政府の財政援助を打切れば、或は會社が潰れるかも知れぬ、其の場合の責任はどうかと云ふ質問でありますが、さう云ふ場合には、政府は相當責任がありますから、此の第三條の大藏大臣の指定云々と云ふことに該當せしめて、援助其の他をすると云ふことになりますか如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=42
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043・河野一之
○河野(一)政府委員 此の第三條の規定は保證だけでございまして、社債の元利保證、借入金の保證と云つたやうな保證債務の規定でございますが、配當補給其の他は前二條の規定でありまして、東北興業を此の例から但書に該當せしめて、保證をすると云ふことに依つては、直ちに東北興業が良くなると云ふことには相成らぬかと存ぜられます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=43
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044・坂東幸太郎
○坂東委員長 東北興業の場合は債務の保證と云ふ規定はないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=44
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045・河野一之
○河野(一)政府委員 ございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=45
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046・坂東幸太郎
○坂東委員長 あるとすれば、政府は財政援助をしないから潰れる、政府が責任があるから其の保證と云ふことを活かして、さうして大藏大臣が特例として之を援助すると云ふことになり得べきものではないですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=46
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047・河野一之
○河野(一)政府委員 是は今後さう云ふやうなことの必要のあるものが出來ればやる、斯う云ふ趣旨でございまして、從來のものは茲で一切合財皆打切りまして、新しい「スタート」をする、今後絶對に保證しないと云ふやうなことも、事情の變化に依りまして困難かと思はれますので、其の場合には特定の會社なり、或は其の他の法人に付て社債其の他の保證をやつて行く、併し從來のものは總て此の際一應打切る、斯う云ふ趣旨でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=47
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048・坂東幸太郎
○坂東委員長 もう一言だけ、さうでありますけれども、併し先程申しましたやうに、政府が勸誘して市町村までも株を持つて居るのでありますから、相當政府も責任があるのですから、故に將來のことだと云ひましても、若し東北興業株式會社が新たなる事業等を經營した場合は、其の事業の性質に依つて、政府が援助する形に依つて此の興業會社を救ふと云ふことは、此の第三條の但書の規定を活かすと云ふことは別に無理はないのではありませんか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=48
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049・河野一之
○河野(一)政府委員 さう云ふ方法に依ることも一案かとも存ぜられますが、此の規定としては、假に東北興業と云ふものが非常に惡くて潰れさうだと云つた場合に於きまして、それを援助して救ふと云つた問題は、此の第三條の但書の問題でなしに、他の問題として、別途或は補助金をやるとか、其の他資金の融通に付て或る程度經費を斡旋してやるとか、或は低利資金を融通してやると云つた方法に於てやつた方が、實際問題として效果が多いのではないか、唯元利の保證をしてやつたところで、借金は飽までも東北興業の借金でありまして、是が減る譯ではないのでありまして、唯國が保證してやることに依つて借金することはやりよくなると云ふだけのことでありますから、東北興業の援助の問題としましては、他の方法に依つて考慮した方が至當なんぢやないか、此の第三條の問題は、一般的に他の方に資金を獲得するに付て、普通ならば出來ないであらうと云ふやうな事業に付きまして、特定の會社を指定してやると云ふ今後の問題と御考へ願ひたいと存ずる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=49
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050・太田秋之助
○太田(秋)委員 今直面して居る問題でございますので、之に付きまして一應御伺ひして、はつきり致して置きたいと思ひます、御承知の如く木材統制法と云ふものが現在廢止されることになりまして、それに代るに林業會法と云ふことになりましたのですが、隨て日本木材會社竝に地方木材會社は一切の取引を清算することになつて居る、所が日本木材會社は、最近地方木材會社に對して木材代金の支拂を遲延して居るのであります、それで支拂を請求しても、資金難であるから容易に支拂が出來ないと云ふやうなことになつて居りますが、私共の考へる所に依れば、日本木材會社は、整理をすれば確かに支拂の途が付くとは信じますけれども、若し夫れ日本木材會社に於て支拂が出來得ない經濟状態に相成つた場合には、政府はどう云ふやうな扱ひにするか、若しそれを滿足に拂つて貰はなければ、地方木材會社は清算關係を完了しない結果に陷るのであります、此の點に付て政府の御所信を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=50
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051・河野一之
○河野(一)政府委員 日本木材に對する財政援助の途は配當補給の規定があるかと存じます、是は慥か政府は出資致して居らなかつたと存じますが、此の會社は最近配當補給を受けたことはございませぬ、今後整理せられると云ふことになりますと、政府の援助の手段として、特にそれ以外の援助の規定を從來持つて居りませぬので、今御話のありました地方木材との整理勘定の問題は、此の會社だけの問題として處理せらるべきもので、特に政府が整理促進の爲に財政援助をすると云ふやうなことは、只今の所考へて居らぬ次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=51
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052・太田秋之助
○太田(秋)委員 日本木材會社の性格は、申すまでもなく戰時中に於ける所の國家要請に應へる爲に出來たのであります、隨ひまして、政府自體がなすべき仕事を、此の會社に、國策會社として代行せしめたので、日本は政府の手先となつて各會社に木材を出させたのでありますが、今度解消する場合に於きまして、政府は會社勘定に依つて經理をしろと云ふことになりますと、若し其の會社が借入金等が相當あつて、更に日木社が清算に當つて、支拂をする資金を持たないと云ふやうな場合に陷りましたならば、どう云ふ結果になるか、私は政府と日木社との關係契約に付ては存じて居りませぬが、斯う云ふ場合に政府はどう云ふやうに扱つて行くのか承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=52
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053・河野一之
○河野(一)政府委員 日本木材は、確かに聯合軍司令部からの指令を受けて解散することになつたと思ひます、日本木材に付ても色々な問題もございませうが、今囘の財政援助を打切られます會社は、大體特殊會社が其の大部分でありまして、從來政府の代行機關として、戰時中は相當の役割を果して來て居つた譯であります、日本木材も其の中の一會社であつた譯であります、今囘財政上の理由もあり、又戰後の經濟再建の趣旨に鑑みて、蠻勇を振つて斯う云ふやうな援助を打切る、斯う云ふことに致しました場合に於きまして、日本木材だけに付て特別に此の際財政救濟其の他を考へると云ふ譯には、一寸參らないのではないかと考へます、殊に軍需補償其の他の打切りに依りまして、相當に手荒い療治が行はれますことを考へますと、其の中の特殊のものを選んで特別な取扱をすると云ふことは、中々困難ではないかと考へられる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=53
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054・太田秋之助
○太田(秋)委員 御説明を聽けば御尤もな點もあります、他の軍需會社等も、又其の他の會社も總て國家の要請に應へて、同樣なる役割を務めたのである、併し今囘は之を打切るのだ、此の時に於て日木社の關係だけを援助することは出來ない、それも一應は我々も左樣に考へられますが、唯其の及ぼす影響と云ふものは、若し日木社が其の儘支拂を停滯すると云ふことになると、是は其の地方々々に於ける此の株式と云ふものは、森林組合、所謂單位森林組合であるとか、或は府縣費を以て投資して居るものもあるやうに聞いて居ります、さう云ふ公共性のあるものが投資して居る場合に於て、是が解散の結果清算出來得ないことになりましても、政府はそれでも宜しいと云ふ御考へであるのか、其の點になりまして、末端の方に行きますと、大分それ等の整理には不滿を持つと云ふ結果になるのでありますけれども、政府として之を取上げて考へて居らないのでありますか、さう云ふことに對して更に何等かの方法を講じてやると云ふことは御考へにならないのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=54
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055・河野一之
○河野(一)政府委員 企業の整理は整理とし、又其の後に於ける再建は再建として、特別の指導なり或は助成なり、監督を加へて行くべきものと考へます、御話の筋合に依りまして、例へば森林組合なり地方木材なりが苦境に陷ることもあらうかと存じますが、其の問題は又別個の問題として、新しい企業の「スタート」を切るにはどう云ふ方法を執つたら宜いか、是は最近發表せられます企業應急措置にも關聯する問題でありますが、さう云ふ一聯の問題と併せて、政府としては積極的に其の再建に乘出して行かうと云ふやうに考へて居ります、是が爲には復興金融金庫と云ふものも設立する考へであります、さう云つた金融面、或は其の他各種の方面から、さう云つた企業の再建に對しては、萬全の努力を致したいと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=55
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056・坂東幸太郎
○坂東委員長 他に御質疑はございませぬか──若しありませぬでしたならば、今日は是で散會致しまして、次會の日程は公報を以て通知致します、本日は之を以て散會致します
午前十一時三十分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01319460810&spkNum=56
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