1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案(政府提出)
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昭和二十一年九月三日(火曜日)午後零時十五分開議
出席委員
委員長 坂東幸太郎君
理事 青木孝義君 理事 高橋英吉君
理事 川崎秀二君
田中實司君 坂田道太君
山崎常吉君 正木清君
東隆君 松本瀧藏君
松原一彦君
出席政府委員
大藏事務官 石原周夫君
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本日の會議に付した議案
法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案(政府提出)
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001・坂東幸太郎
○坂東委員長 是より委員會を開會致します、本日の日程は法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案之を直ちに議題に供します、此の法律案に付きましては、此の前質疑應答がございましたけれども、尚ほ本日更に進んで其の質疑を續行致したいと思ひます、私から一言御伺ひ致しますが、此の法律案は理由にあります通りに「聯合國最高司令官の要求に基いて會社その他の法人に對する政府の財政援助を制限する必要がある。」と云ふのでありますが、其の聯合國最高司令部の指令は何時出たのでありますか、一寸伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=1
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002・石原周夫
○石原政府委員 此の本になつて居ります聯合國最高司令部の指令は、本年四月三日と四月四日の二囘に亙つて居ります、四月の三日の指令は、政府の債務保證及び政府の代行機關の債務に關する指令と云ふことでございまして、之に依りまして、政府及び地方公共團體は、會社其の他の法人の債務に付きましては、債務保證を致してはならない、それには但書がございまして、特に聯合國最高司令部の許可を得て指定せらるべき金融機關の債務に付ては此の限りにあらず、是が法律の第三條の但書の付いて居る點なのであります、それが今囘の法律から申しますれば、第三條になつて居ります、それから同じ指令に又別の條項がございまして、法人に對しまする政府の財政援助は、今後は補助の形式に依らなければならない、補助以外の形式に依ります財政援助をしてはいけないと云ふ風になつて居ります、是が今囘の第一條に該當致しまする、政府の持株に付きまして配當を辭退致して居ります所謂政府の配當辭退、或は政府の後配當と云ふ點であります、それを止めようと云ふ趣旨の規定の基礎になつて居る次第であります、もう一つは、四月四日の昭和二十年度緊急財政處分に關する指令でありまして、是は緊急財政處分を致しましたものを向ふに申請致しまして、承認を貰ひました時の指令でありますが、其の中に會社其の他の法人の配當の支拂を可能ならしむる爲めの補助をしてはいけないと云ふことがございます、それが今囘の第二條の基礎になつて居る指令でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=2
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003・坂東幸太郎
○坂東委員長 第三條の方の社債其の他の保證ですが、それに付て一寸説明願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=3
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004・石原周夫
○石原政府委員 三條の會社其の他の法人の債務の保證の問題でございますが、法人の債務に付きまして、政府が從來保證して居りましたのは、概ね社債の形式でございます、唯大日本育英會のやうな、會社でないものに對しましては、借入金の元利支拂保證と云ふことになつて居るのですが、是は保證契約をすることが出來ない、それから但書が、「大藏大臣の指定する會社その他の法人の債務についてはこの限りでない。」と云ふ規定があるのであります
先づ前段の方に付て申上げますと、是は今後に付て保證契約をすることが出來ないと云ふ規定であるのでありまして、現在既に有效に保證せられて居ります法人の債務に付きまして、其の效力を云々する問題ではございませぬ、隨ひまして、現在までに既に出されました政府保證債務と云ふものをどう處理致すかと云ふ點は、此の財政援助の法律の第三條に規定する所ではないのでありまして、之に付きましては、目下一部本議會に提案になつて居り、尚ほ殘部に付きましては、近く御提案申上げることになつて居ります所謂補償打切り關係の一聯の法律案に於きまして、近日中にどう云ふ處理を致すかと云ふことに付ての案を提出せられると思ふが、何れに致しましても、現在あります債務の問題に付きましては、今申上げたやうなことで別の處理になります、次に但書の問題でございますが、是は先程指令を讀上げました時に申上げましたやうに、一定の金融機關と云ふものに付きましては、聯合軍最高司令部の承認を得て云々と云ふことになつて居りますが、現在までの所は、大藏大臣が之を指定するやうな運びになつて居りませぬ、御參考までに關聯がありますので申上げますれば、復興金融金庫に付きましても、其の所要資金は政府が出資金を以て直接に賄ふと云ふ形式を執つて居りますので、債務と云ふものを政府が保證致して、それに依つて金融の途を付けると云ふ方法は採用しなかつた譯であります、隨ひまして今の所、第三條の但書の、大藏大臣の指定する法人と云ふものが出て參る運びになつて居ない譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=4
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005・坂東幸太郎
○坂東委員長 現在第三條に依つて政府が保證して居る債務及び債券ですが、其の額は幾ら程位ありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=5
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006・石原周夫
○石原政府委員 是は調査の時期に依りまして、或は金額が若干食違ひが出て參るかも知れぬと思ひますが、大體現在までに一應締めて見ました所で、百九十八億五千四百萬圓と云ふ數字になつて居ります、是は二、三十程の會社に上りまするので、一々申上げることは非常に長くなりまするから、其の中で大きなものに付て申上げますと、興行銀行の所謂興業債券が六十七億圓程になつて居ります、是が一番大きいもので、其の次が戰時金融金庫の戰時金融債券、それから特殊借入金を合計致しまして三十七億圓程あります、それに次ぎまして大きいのは、北支開發株式會社の二十億三千萬圓、産業設備營團の十七億五千萬圓、日本發送電株式會社の十四億七千九百萬圓と云ふやうなものが大きなものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=6
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007・坂東幸太郎
○坂東委員長 今御説明の金額ですが、それは此の間行つた軍需補償は無論全然關係はない譯ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=7
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008・石原周夫
○石原政府委員 所謂直接に軍需補償と申します一般補償、或はそれと關聯して問題となりました契約の打切りでありますとか、半製品、或は戰災保險でありますとか、それを合せて廣義に軍需補償と申して居つたのでありますが、其の何れにも含まれて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=8
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009・坂東幸太郎
○坂東委員長 さうすると約二百億圓ある譯です、其の補償を政府が打切れば、其の債權者は餘程迷惑する者がありませうが、其の債權者は主に銀行になつて居りますか、個人になつて居りますか、分ければどのやうになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=9
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010・石原周夫
○石原政府委員 今一寸手許に金融機關で幾ら、それから一般の個人と申しますか、金融機關以外に幾らと云ふ數字を持ち合はせて居りませぬけれども、預金部を合せましての金融機關が、此の中の大多數と申しますか半分より遙かに多い金額を持つて居ることは確かであります、ですから大體に於て金融機關の持つて居るものが殆ど大部分であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=10
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011・坂東幸太郎
○坂東委員長 預金部の場合でありますと、政府であるから、それで差支へない譯ですが、銀行の場合ですと、それだけ銀行が損失になると云ふ部面が多くあると思ひます、或は個人の場合ですと、政府が補償を打切れば尚更損害を蒙るのですが、さう云つた關係は政府としてどう云ふ御見込ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=11
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012・石原周夫
○石原政府委員 此の社債は一應斯う云ふ保證でございますので、主たる債務は是等の特殊法人ですか、さう云つた法人が持つて居る譯であります、そこで先づ主たる債務がどう云ふ状況になるかと云ふことが、此の補償をどうするかと云ふ問題の前にあるかと思ふのであります、隨ひまして是等の會社が是等の社債の見合ひとして持つて居ります所の各社の資産と云ふものがどうなるかと云ふことが、先づ第一段の問題であらうと思つて居ります、それ等の資産の状態がどう云ふやうな状態になるかと云ふことが、其の債務の支拂能力に自ら反映を致すのであります、主たる債務と申しまするか、さうした保證を受けて居りまする元の法人の債務がどうなるかと云ふことと相表裏致しまして、元利保證と云ふ問題も考へられなければならぬ、さう云ふ方向ではなからうかと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=12
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013・坂東幸太郎
○坂東委員長 さうすると相當に金融業者竝に個人の債權者は損害を蒙むるべき形勢にあると見て差支へないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=13
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014・石原周夫
○石原政府委員 何れ詳細は別途補償打切りの關係の一聯の法案の時に申上げることになると思ふのでありますが、主たる債務と此の保證債務との關係と云ふことで考へまして、支拂保證と云ふものは主たる債務其のものに從屬してあるものであると云ふことでもあり、且又元利支拂保證の債務と云ふものは、民間の一般の債務と本來同じやうな性質を持ちます所の私法上のものでございますので、特に政府の保證債務だけに付て別段の考へを致すかどうかと云ふことは、今申上げたやうな元利支拂保證と云ふものの債務の性格から、自ら出て參る點があらうかと思ひます、御尋ねの損害がどの程度出るかと云ふやうな點に付きましては、大體今申上げられますことは、主たる債務がどう云ふ風に落著くかと云ふことと相表裏する、隨ひまして大體其の程度の影響が出て參るのではあるまいかと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=14
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015・坂東幸太郎
○坂東委員長 第二條の、從來の政府が會社の配當に對する補給金ですが、或る程度まで補給する、前年度では此の補給金額は總計幾ら位支出して居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=15
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016・石原周夫
○石原政府委員 御答へ致します、先程一寸指令の中で讀み落しました點がございますので、其の點を附加へて申上げます、其の基礎になつて居ります指令の中で、斯う云ふことが書いてあります、「昭和二十會計年度中に於て配當を支拂ひ又は支拂ふべきことを報告せる會社に對する補償は該配當支拂に要する金額を考慮して之をなすべし」、斯う云ふことになつて居ります、先程申上げませぬでしたから今の御尋ねに關聯致しまして申上げます、それで先づ二十年度の分に付きましては、今の關係もございまして、配當補給或は利益補給と云ふ形に於きまする支拂は出來ないことになつて居ります、御承知のやうに、斯う云つた會社の會計年度の決算の時に於きまして配當の補給を致して居りますので、二十年度の豫算に十九年度の決算が出て參つて居ります、隨ひまして最近年度と致しましては、二十年度豫算に概ね十九年度の會社の決算が出ました時に補給を致しまして、それは合計で八千二百十七萬三千圓程でございます、内譯は北支開發に對しまして二百十九萬四千圓、帝國礦業開發に對しまして三千五百萬圓、日本發送電に對しまして三千五百二十萬圓、帝國燃料興業に對しまして九百七十七萬九千圓と云ふやうな數字になる、是が二十年度の豫算として計上せられた分であります、それから二十年度の分でありまするが、今のやうに配當の補給になります分を拔きまして──でありまするから本來の意味、此の法律で申しまする意味に於きまする配當の補給ではないのでありまするが、損失の補助と申しまするか、赤字が出ないと云ふ範圍内に於ける補助は、二十一年度の改定豫算に計上致しまして、先頃御審議を願つた譯であります、それが商工省の豫算にもございまして、日本發送電に對しまして二千萬圓、帝國石油株式會社に對しまして千八百十萬三千圓、合計致しまして、三千八百萬圓程のものが、所謂配當補給でありませぬ、此の法律の趣旨に從ひまして出來たのでありますが、是が三千八百萬圓でありまして、それに依つて赤字を補填すると云ふことをやつたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=16
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017・坂東幸太郎
○坂東委員長 第一條の政府が持つて居る株券ですが、それは幾ら位ですが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=17
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018・石原周夫
○石原政府委員 政府の持つて居りまする後配株の株券の數字は、今一寸手許にございませぬので、後程申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=18
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019・坂東幸太郎
○坂東委員長 もう一點第三條の但書のことですが、保證契約をすることが出來ないと云ふのが原則で「但し大藏大臣の指定する會社その他の法人の債務については、この限でない」と云ふことがありますが、是は財政援助を制限した銀行、會社、營團、其の關係は絶對いけないので、其の他の種類のことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=19
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020・石原周夫
○石原政府委員 廣く「會社その他の法人」と云ふ風に書いてございますので、所謂從來の特殊會社、特殊法人と申しまするやうなものばかりに限りませぬで、一應一切のと云ふことに考へると云ふことであります、併しながら但書に付きましては、此處では「會社その他の法人」と云ふことで、是も非常に廣くなつて居りますので、規定の上に於きましては、禁止も一切やる、外せる方も一切やると云ふことになつたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=20
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021・坂東幸太郎
○坂東委員長 さうすれば、總て政府が財政援助をするやうな意味の銀行、會社、營團、さう云ふものは總て最高司令部の許可を受けてやらなければならぬと云ふ意味で、許可を受ければ差支へないと解釋して宜いのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=21
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022・石原周夫
○石原政府委員 法律の表に於きましては、大藏大臣の指定でありますが、今申しましたやうな内部的な手續を經まして總てやることになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=22
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023・坂東幸太郎
○坂東委員長 其の他別に質疑はありませぬか──それでは質疑は終了致しました、次會は明後五日木曜日午前十一時から開會致しまして、直ちに討論採決致します、本日は是にて散會致します
午後零時三十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009010243X01719460903&spkNum=23
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