1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
付託議案
自作農創設特別措置法案(政府提出)
農地調整法の一部を改正する法律案(政府提出)
―――――――――――――――――――――
昭和二十一年九月二十五日(水曜日)午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 葉梨新五郎君
理事 小川原政信君 理事 上林山榮吉君
理事 森幸太郎君 理事 飯島祐之君
理事 山口光一郎君 理事 細野三千雄君
理事 富吉榮二君 理事 藤本虎喜君
理事 井出一太郎君 理事 菊池豐君
磯崎貞序君 北れい吉君
古賀太郎君 田邊讓君
三浦寅之助君 松浦薫君
青木清左ヱ門君 江川爲信君
小笹耕作君 太田秋之助君
白木一平君 寺島隆太郎君
佐伯忠義君 吉澤仁太郎君
井伊誠一君 大澤喜代一君
高倉輝君 平野市太郎君
麻生正藏君 松本六太郎君
北政清君 山木武夫君
出席國務大臣
農林大臣 和田博雄君
出席政府委員
農林事務官 山添利作君
農林事務官 笹山茂太郎君
委員長の許可を得た出席者
議員 布利秋君
━━━━━━━━━━━━━
本日の會議に付した議案
自作農創設特別措置法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=0
-
001・葉梨新五郎
○葉梨委員長 是より會議を開きます、前會諸君に御諮り致しまして本日まで保留になつて居ります件に付て御相談申上げます、それは委員外議員布利秋君が曾て委員たりし時代に留保されて居る質問の點が多少あるのでありまして、此の際逐條審議に入るに先立ちまして、時間を限定して其の發言を許可致したいと思ふのであります、御異議がなければ左樣に計りたいと思ひます
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=1
-
002・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは委員外議員布利秋君の質疑を許可することに致します、布君發言席に御著席を願ひます──布君に申上げます、正十一時まであなたに時間を差上げることに致したいと思ひます、どうぞ其の御含みで御質疑を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=2
-
003・布利秋
○布利秋君 私は演説をやる積りではありませぬので、簡單に不明の點を農林大臣に御聽きしたいと云ふ考へであります、詰り私共は此の重大な法案を審議致しますには、敗戰と云ふ深い認識がなくて此の農村の再建を圖ることは出來ぬやうに私自身は考へて居ります、それで徒らに質疑を弄ぶものでなく、唯二、三御尋ねをして自分の肚を納得さすと同時に、選擧區に歸りまして、農民に聽かれた場合の返答の材料を確めて置きたいと云ふ以外に私の質問の目的はないのであります、唯此のことだけは御聽きしたいと思つたのであります、此の農地法案の自作農創設は、何處か外國にも例があつたらうか、例があつたと致せば其の結果がどんな風になつて居つたか、斯う云ふことを御尋ねして、其の調を若干御話をして戴きたいと私は思つて居つた、さうして自分の調と照し合せて見たいと云ふ考へでありましたが、是は徒らに弄ぶと云ふことになりますから、差控へます
茲で農地の問題と關係極めて深い問題でありまして、それから發生して居ることで、昨今の我々の生活と密接な關係にありまする麥粉の問題、是は聊か緊急的な建前を持つて居りますけれども、此の序の時間に御尋したい、此の中野の麥粉の中毒はそれだけで終つて居らぬのでありまして、前にもありました、それからあの粉を貰つた時に泥と砂が混じつて、是も問題になつたことがある、併しそれ等に付ても新聞を通ずるのみであつて、一向に確かな所を聽くことが出來ぬ、人から聽かれても我々は返答に困つて居る譯である、そこであの麥粉ですが、あれを或る外國から受取つたのであるか、受取つた後にああ云ふ中毒性のものが起きたのであるか、受取る以前であつたのか、又其の原因がどう云つたものか、之を一つ御尋ねして、我々があの麥粉を若し食べた時、どう云ふ手當を考へて居なければならぬかと云ふことを、是は農林大臣に御尋ねしてもどうも都合が惡いので、それは削除して戴いて宜しいでありますが、唯是は所謂農地から來ることであつて、農地がなければ粉もありませぬから、そこで一つ關聯した緊急的な意味を稍稍持つて居りますので之を一寸御尋ねして置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=3
-
004・和田博雄
○和田國務大臣 中野の小麥粉の點に付きましては、今警視廳に主になつて調べて貰つて居るのでありまして、其の方で色々調べて居りまして、まだ具體的な報告は來て居りませぬが、經過的な報告でありますれば分つて居ると思ひますから、其の方の者から御答辯致させたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=4
-
005・布利秋
○布利秋君 次に新聞を見て居る以外に方法がないのですが、米の收穫高が發表毎に違ひます、それで其の豫算額を決めます時の基本數字はどう云ふ風にして取扱はれて居り、又我々がそれを參考にすべきものかと云ふことを、御尋ねして置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=5
-
006・和田博雄
○和田國務大臣 農林省の方の大體の收穫豫想は、正式のものは九月十日現在のものを從來は豫想收穫として正式に發表致して居つた譯であります、其の發表は第一囘目のもは十月になるのであります、是は地方からの報告を取纒めまして發表致す譯になつて居るのであります、それから第二囘目の收穫豫想があつて、次に實收高の報告、斯う云ふことになるのであります、併し米の供出の割當に付きましては、やはり豫想割當でありますので、さう云ふものを待つて居る譯にも參りませぬので、農林省の方としましては各農事試驗場で耕作試驗がありまして、麥なら麥、米なら米の各種の作柄の試驗をやつて居る、それ等の試驗の結果を參照しましたり、それから各地方にあります食糧檢査所の食糧檢査員の報告なども取ります、それから又農林省としましては、それぞれ其の地方的な、例へば氣象と作柄との關係と云つたやうなものを學問的に調べましたものからも大體の結果を得まして、それ等のものを綜合して或る程度の目安を付けまして、それを以て各地方長官に當りまして一縣々々の割當をやる譯であります、地方長官の方は其の地方で調べましたものを持つて來て、それで本省との打合せをして、お互ひに折衝することになつて居ります、此の間は地方長官からの報告を一應發表致したのでありますが、それは農林省で調べましたものよりも惡く、少なく出て居るのでありますが、農林省としましてはあれを實際の數字とは思つて居ないのであります、正式の發表としましては、豫想收穫高と致しまして大體のものは十月に結果を纒めましたものを發表する、斯う云ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=6
-
007・布利秋
○布利秋君 それから芋と麥とのことでありますが、是は都會に於ても當然配給を受けるものと豫期して居つた、それが或る部分には一囘位あつたと云ふ話でありますが、我々の住んで居ります廣い區域内にはまだ一囘も芋なり麥なりが配給をされないし、是が普遍的に市内に於ても行つて居らぬと云ふことを聞いて居ります、さうして或る所へ行きましたら、大變に芋があつてそれをどしどし分配をして居つたのでありますが、是は結局闇の物であつた、それは申上げたら分りますが、今の闇の力を持つて居りますてき屋の區域と云ふものは隨分廣くて、淺草から其の他の區域に亙つて居ります、之に配給して居るのを私は見たのでありますが、芋は或る部分にはあると考へる、田舍の方を調査しましたら、麥は出來なかつたが芋に依つてやつと助かつて居ると云ふ手紙も受けましたし、又或る所では芋も麥も案外餘つたと云ふ所もあります、そこで一體今年の中に多少は配給があるのか、「ラジオ」ではあるやうに傳へましたが、一向にないものですから、まだ行先長いのかどうか、一寸知らせて戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=7
-
008・和田博雄
○和田國務大臣 芋は今年の中にと云ふか、近くあると思ひます、是は東京都は東京都として計畫を立てて居るのでありまして、それには芋はやはり配給するやうになつて居る、斯う思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=8
-
009・布利秋
○布利秋君 それから話を變へまして、市外に大邸宅を持つて居つて──東京では大分少くなりましたが、畑地にして居る場合、是は税金を避ける場合で、其の他に關西方面の大都市にもないではなかつた、斯う云ふ場合に、廣い自分の庭を畑にして居る、さうして畑の税金でやつて居る、或は森林の税金でやつて居ると云ふ場合のことは今度の法案にどう云ふ風に關聯するかと云ふことを御聽きしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=9
-
010・和田博雄
○和田國務大臣 それは今度の法案には直接關係がありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=10
-
011・布利秋
○布利秋君 さうすると、其の地主が自分の名前に於て相當澤山持つて居る、それから自分の邸宅内を畑と云ふことにして屆け出たとした場合、合せまして三町歩以上あると云ふ場合にどうなるか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=11
-
012・和田博雄
○和田國務大臣 さう云ふものは恐らくないと思ふのですが、宅地だらうと思ひますが、さうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=12
-
013・布利秋
○布利秋君 宅地が畑になつて居るのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=13
-
014・和田博雄
○和田國務大臣 宅地を畑にしてやつて居りますものは今度の法案には直接關係がないことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=14
-
015・布利秋
○布利秋君 それから舊藩主が相當廣い土地を持つて居りまして、私の知る所でも之を大牧場にしてしまつて、株式會社とか組合にして牛を飼つて居ります、さうして本人の御主人は東京に居つて、時々歸つて行くと云ふやうなことがある、是は不在に入りますか、それとも株式會社であるから宜しいのか此の點一寸不明瞭であるからはつきりしたことを一つ御聽きしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=15
-
016・和田博雄
○和田國務大臣 結局それは法人經營の農業と云ふことになる譯でありまして、其の點に付ては、實際上農業の方で適正な農業と見られるかどうかと云ふことになると思ひますが、只今の御話ですと、是は唯單に牧場と云ふ譯でありまするので、農地ではありませぬから、一應先づ關係がないと云ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=16
-
017・布利秋
○布利秋君 其の場合に農地であつたものを噂を聞いて牧場にやり變へて居る人がある、其の點はどんなものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=17
-
018・和田博雄
○和田國務大臣 現在牧場にして牧場經營をやつて居りますれば、是は牧場として扱はなければならぬと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=18
-
019・布利秋
○布利秋君 是が昨年の十月とか十一月とかまでは許すが、それ以後のは駄目だと云ふ話を聽きましたが、是は確かなことでありませうか、詰り法人組織にしてしまふ、どうせ斯う云ふ問題が起るから早くやつて置くと云ふのが智慧の走つた人であります、走らない者は終ひまで愚圖々々して居る、其の點を何か限度がありますか、時間的に…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=19
-
020・和田博雄
○和田國務大臣 それはやはり十一月二十三日で押へることが出來ます、一應それを限界にしまして、其の後になつて、畑とかさう云ふ風にしたものに付ては、是は當然考へられると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=20
-
021・布利秋
○布利秋君 「ゴルフ」場はどうなりませう、是は農地に入らぬのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=21
-
022・山添利作
○山添政府委員 「ゴルフ」場の如き、是は農地にした方が宜いと云ふことでありますれば、未墾地として買上げまして、それを又農地にさせたら宜いと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=22
-
023・布利秋
○布利秋君 それから是までの農地改良では補助費が八割、或は六割五分と云ふやうに思つて居りますが、今後新開拓をやりますれば是が續くものであるか、それから戰災者などが團體を組んで新開拓をやりますのと、個人でやりますのと、やはり同じであるか、此の二點に付て伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=23
-
024・笹山茂太郎
○笹山政府委員 農地改良の補助金は從來通り續けて參りたいと思ひます、唯補助率に付きましては若干違つて參ります、又戰災者、復員者等が新しく開拓すると云ふ場合に付きましては補助金を出して行きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=24
-
025・布利秋
○布利秋君 それから農地委員會もやはり人間でありますから、時に獨善的な立場を執ることがないとは言へませぬが、其の場合には改選する、所謂「リコール」すると云ふ方法、詰り選擧した者の方に其の權利がありますでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=25
-
026・山添利作
○山添政府委員 設けてございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=26
-
027・布利秋
○布利秋君 それから第三國人、是は極く日本に近い國の第三國人でありますが、此の方に切替へた土地、是は手が著けられないのでございませうか、名義が今どしどしさう云ふ風に變りつつありますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=27
-
028・和田博雄
○和田國務大臣 前の御尋ねの委員の改選は、法律でちやんと規定がありまして、一定の數の選擧人の同意があれば改選出來るやうになつて居ります
第三國人の場合は、それが承繼人でありますれば、本法の色々な規定は其の承繼人にも及ぶやうになつて居りますが、只今それが續々其の手に移つて居るかどうか、是は私餘り聞いて居りませぬが、其の點は今後能く調べることに致しますが、一應承繼人に及ぶと云ふ規定がありますから、其の關係に於ては及びます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=28
-
029・布利秋
○布利秋君 それから土地の交換と云ふことに付て、一町歩小作が引受けたとします場合、あちらに一段歩、こちらの山の根に一段歩あると云ふことで、歩くのに相當骨が折れると云ふ場合、之を交換すると云ふことに付ての質疑が前にありまして、私は丁度其の答へを聽かなかつたので重複するかも知れませぬが、之を一寸御伺ひして置きたい、交換と云ふことは難かしいでせうけれども、理論としては宜いと思ひますが、政府はそれをどう指導されるのか、さうして共同作業にして能率を上げて行くのか、之に付て伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=29
-
030・和田博雄
○和田國務大臣 さう云つたやうな農地は出來るだけ交換致しまして、其の分から勞力を省くやうにして行きたいと思ひます、共同作業等の點に付きましては、勿論今後と雖も十分さう云ふ點を指導致しましてやらせて行きたい、斯う云ふ考へでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=30
-
031・布利秋
○布利秋君 都會には商工協同組合法と云ふものが今度出來ます、農民には農民の協同組合法案と云ふものが出るとは聞いて居りますけれども、確實に出るのであるか、出ないのであるか、又農民だけが自分の收益を制限される、都會だけは自由競爭に陷ると云ふやうな弊もありまして、農村の者は自由競爭の方へ出て行つた方が却て自分の生活を宜く出來ると云ふ立場から、農村の青年が段々減りはせぬかと私は思ひますけれども、それは意見であるからやつて見なければ分らぬことですが、農村の農民協同組合法案と云ふものが、此の次の臨時議會にでも出るのか、出ないのか位のことに付て、一つ御答へを聽いて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=31
-
032・和田博雄
○和田國務大臣 私と致しましては、是は是非出したい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=32
-
033・布利秋
○布利秋君 時間を見つつあと一つだけ、農地證券で金融が出來ると云ふことを私は傍聽して伺ひましたが、之には弊害が起きはせぬかとも考へますけれども、又第三國人が此の金融面に出張つて來る餘地がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=33
-
034・和田博雄
○和田國務大臣 是は一つ、出來るだけ農業方面の中金であるとか何とか、さう云つたやうな金融機關で金融の途を付けたい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=34
-
035・布利秋
○布利秋君 まだ三、四殘りましたけれども、時間も制約されましたから、是で私の質疑を打切りに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=35
-
036・葉梨新五郎
○葉梨委員長 是から自作農創設特別措置法案の逐條的審議を行つて參りたいと思ひます、審議の方法は委員長に於きまして條文を一條づつ讀上げることに致しまして、其の讀上げました條文に付て、御質疑のある諸君が隨意御發議を願ふ、此の御發議は一々發言席に御着きなく、自席から行つて戴く、政府委員も出來る限り自席に於て大きな聲で御答辯を願ふ、斯樣なことにして促進して參りたいと思ひます
第一條 この法律は、耕作者の地位を安定し、その勞働の成果を公正に享受させるため自作農を急速且つ廣汎に創設し、以て農業生産力の發展と農村における民主的傾向の促進を圖ることを目的とする発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=36
-
037・北政清
○北(政)委員 私は第一條の目的としては此の意味で宜いと思ひますが、此の法全體から見ますと、決して耕作者の地位は一つも安定しない、逆に小作料より非常に高い年賦金を三十年も拂はなければならぬのであります、又農村の民主化と言はれますけれども、是は民主化の端の端の、極く片鱗である、本當の民主化にはならぬ、此の意味を此の儘の文句で第一條に活かして行かれるならば、後の全文に付て御考慮を願はなければならぬと思ひますが、其の點を御伺ひ致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=37
-
038・和田博雄
○和田國務大臣 私は此の第一條で宜いと思つて居りまして、其の點に付ては今まで種々御答辯致した通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=38
-
039・北政清
○北(政)委員 只今大臣は、是で耕作者の地位が安定する、是で宜いと思つて居られると云ふことであるが、一體如何なる計算をされて居りますか、私は過般も申上げましたやうに、一千圓を基準と致しまして一石のものとした場合、是では高いのだ、斯う云ふ説でありますが、今度二割五分より取れないとすると、四石以上の生産の所でなければ一石にはならぬのであります、假に之を一石二斗にしましても、私の計算では九十七圓程になるのであります、一石二斗にしても尚ほ赤字であります、恐らく一石二斗と云ひますならば二十圓そこそこ──二十五圓の賃貸價格の所は一つもないと申上げて過言ではないと思ひます、私は又政府の出されました資料にある九十六萬町歩、是が二十圓から三十圓までの面積でありまして、二百八十萬町歩に對しまして約三分の一であります、所謂標準型であります、之を以て見て居るので、決して私の計算には誤りないと確信致して居ります、之を安いと言はれるのは、如何なる數字から安いと言はれるのか、其の數字をはつきり出して戴きたい、更に十八圓幾らを中と言はれて出されましたが、十八圓以下の賃貸價格のものから計算しましても、尚ほ七十七圓五十五錢になるのであります、是は契約小作料であります、普通契約小作料より三十年間を通じて、一割以下實收より以上の實納小作料と云ふものは減るものであると思ふ、斯う云ふ建前から見ますと、何と致しましても十八圓七十一錢と云ふ此の賃貸價格から見ても、それにはならぬ、七百四十八圓の土地と致しましてさう云ふ計算にはならぬのであります、是で尚ほ高いと言はれるのは何の相場から出されるのか、唯口先だけで高くはない、小作料の方が高いのだと仰しやるが、是でどうして安定するか、小作料より餘計取つて安定するか、而も將來「デフレ」の貨幣で拂はなければならぬことは當然であります、是が半分以下になるこは當然過ぎる程當然であります、之を何時までも「インフレ」の今の貨幣價値でやると云ふのは、あなたは三十年も居らぬからさう云ふことを言つて居るが、そんなことはない、絶對にない、こんなことで貿易も何も出來ますか、お隣りの土地まで持つて行つても七十五圓の金では出來はしないと、是で安定すると云ふ第一條の文句で宜いかどうか、私は是で安定はしなくても小作人に持たせる、押付ける、斯う云ふならさう書いて貰ひたい、是では一つも安定せぬ、金を餘計拂つて安定すると云ふことは、一體何處から出て來たか、惡地主も是までは取らぬ、さう云ふことはない、どうか算盤をはつきりと出して下さい、小作人は死ぬか生きるか、追放されるか、自作農になるかどうかの境目であります、此の根本を決めて貰はなければ先には進めませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=39
-
040・和田博雄
○和田國務大臣 是は此の前の委員會で、標準の七百六十圓の價格を取りまして御配り致しました實納小作料の均等幾らと云ふのを基礎にして、詳しく御説明した筈であります、それに依りますと確か年賦償還の方が隨分安くなつて居つたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=40
-
041・葉梨新五郎
○葉梨委員長 北君討論ではないから御質疑に止めて下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=41
-
042・北政清
○北(政)委員 今のやうに、數字で出したと云ふことは此の間言つた筈だと云ふなら、其の數字をはつきり出して戴けば私は諄くは問はぬ、數字を出して下さい、あなたの方は七百六十圓、私のは七百四十八圓で高い相場である、七百四十八圓ですと二十四箇年賦にしまして…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=42
-
043・和田博雄
○和田國務大臣 此の前私は詳しく數字で御説明致した筈であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=43
-
044・北政清
○北(政)委員 詳しくありやせぬ、出て居りませぬ、速記録を見て御覽なさい、實際金が合はぬのです、それでは仕方がないから其の數字を申上げる、七百四十八圓の土地で見ますと、是は千圓に對して六十圓七十二錢でありますから、七百四十八圓に對しては二十四箇年の年賦金は四十五圓十二錢となります、それに加へることが十八圓七十錢の賃貸價格、それに土地負擔を十一圓七十二錢として、「イクォール」七十五圓五十五錢となりませう、七百六十圓となると是れ以上になる、それで年賦八斗にしてもどうなるか、斯う云ふ問題であります、一石にしても七十五圓だから五十五錢高いが、十八圓七十一錢の農地で一石などと云ふ小作料がどうして取れますか、そんなことがどうして出來ます、十八圓七十一錢の賃貸價格の土地が四石以上穫れたり致しますか、斷じて穫れない、分り切つた數字であります、それを説明したしたと何故頑張りますか、本當のことを話して下さい、私は今此處で議論しようとは思つて居りませぬ、私はどうしても算盤が合はぬから問うて居るのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=44
-
045・和田博雄
○和田國務大臣 それは前に詳しく御話した積りであります、併し今あなたの御話を聽いて居りますと、十八圓加へて居りますが、賃貸價格は地租ではない、それを加へるのはどうかと思ひます、計算は今直ぐ出來ますから何れ御示し致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=45
-
046・高倉輝
○高倉委員 一寸言葉の點で御質問致しますが、同じ法律であります自作農創設の方が口語になつて居るのは大變結構でありますが、關聯のある農地調整法は文語の元の儘になつて居りますが、是はどう云ふ調整をされますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=46
-
047・和田博雄
○和田國務大臣 是は一寸過渡期の現象でありまして、前のは文語になつて居ります、改正の方でありますから農地調整の方はそれに合はせるので、斯う云ふ形になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=47
-
048・高倉輝
○高倉委員 是はどう云ふ形で將來統一されますか、どうせ統一されなければいけないでせう、尚ほ一言申上げますが、此の法律は非常に難かしいのでありまして、是は農民の資格を決める法律であるに拘らず、迚も農民には分りませぬ、さう云ふ意味でももつと分り易い法律に直す必要があると思ひますが、農地調整法は文語で書いてあります、憲法でさへ口語になつて居る時に、是が文語になつて居ることはをかしいのでありますから、どう云ふ形かで統一されなければなりませぬ、それはどう云ふ形で統一される御積りでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=48
-
049・和田博雄
○和田國務大臣 是は一部改正でありますから、どうしても文語になるのでありまして、結局全部改正することになると思ひるすが、今まで文語で書いてあつたものを口語にすることは全般の法律に關係することでありますから、まあどうなりますか、一應研究は致しますが、今の所はさう云ふ形ですから、一部改正ですから片方は口語になり、片方は文語になる、斯う云ふ形であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=49
-
050・三浦寅之助
○三浦委員 「農業生産力の發展」と云ふ言葉に關聯致しますが、それは度々議論になつて居りますので、結論だけ聽いて置きますが、私は農民の生産意欲を非常に向上せしめると云ふ意味に於て、供出は少くとも耕作前に割當てろ、同時に收穫後に於ては割當以上のものは自由なる處分を許すと云ふことが、農民の生産意欲を向上せしめるものと思ふのであります、耕作前に供出の割當をして置けば、農民はそれ以上穫れば自分の自由に出來ると云ふ立場に於て、非常に熱心に灌漑排水或は除草等を一囘のものは二囘、二囘のものは三囘、三囘のものは四囘と云ふ風に朝晩見廻りして、少しでも多く穫らうと云ふやうに、非常に熱心にやると云ふ基礎になると思ふのであります、自作農だけを創設した所で、出來た所の秋の收穫に於て、一定の保有量を取つて、あとは全部供出せしめると云ふことでは、農民に取つて何等の妙味がなくなるやうな氣がするのです、是は私が二、三の農村を廻つて色々聽いたのでありますが、農民が之をみんな言つて居るのです、其の點に對して御意見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=50
-
051・和田博雄
○和田國務大臣 其の點に付きましては、もう既に幾囘も御答へ致したのでありますが、今囘はさう云ふ供出の方法を採らなかつたのでありまして詳しくは速記録等で御覽を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=51
-
052・松本六太郎
○松本(六)委員 此の第一條は言ふまでもなく目的を總括的に書いてあるのでありますが、私は此の法律が此の目的の通り圓滿に且つ完全に遂行せらるるかどうかと云ふことに大きな疑問を持つのであります、何故ならば、只今北君からも御質問がありましたが、將來自作農となる今日の小作人の人々は、果して此の法律に依つて政府當局が期待して居るやうに土地を買ふかどうかと云ふことです、是は今日既に各地に於て左樣な兆候を我々は實際に見又は聞いて居るのでありますが、一部の土地は勿論買ひませう、併しながら私は政府が買收せられまする所の二百萬町歩の厖大なる土地は、其の多くの部分が國有地となつてしまつて、政府の手に殘るのではないかと云ふやうなことが心配されるのであります、それは今日各方面に於ける農民組合の意向を聽いて見ましても、我々は耕作權が確立した以上、何も地主になつて重い負擔を背負つて苦しむ必要はない、相手方が個人である場合、地主が個人である場合には色々うるさい問題もあつたし、土地の取上と云ふやうな問題も起つたりするけれども、國家が土地を持つて國有地になつた以上は、最早耕作權は完全なものになるから、土地を買ふ必要はないのだ、斯う云ふ意向に傾いて居る地方が非常に多い、私は結局さう云ふことになりはしないかと思はれるのであります、そこで此の法律の何處を見ましても、農地委員會がお前は此の土地を買へと言つたならば必ず買はなければならぬと云ふ、小作人の義務は此の法律にはない、耕作はするけれども、土地は買ひませぬと言へば、それで濟むことになつて居るのでありますから、此の點に對して政府はどう云ふ風に御考へになつて居りますか、私は完全に自作農を創設しようとしたならば、もつと周到なる用意が必要ではないか、斯樣に考へるのでありますが、御意見を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=52
-
053・山添利作
○山添政府委員 第一にさう云ふ風に澤山さう云ふ事態が起るとは考へて居ないのであります、假にぼつぼつさう云ふことがあるとしましても一方に甲なる小作人が甲なる土地を買ひたい、乙なる小作人が乙なる土地を買ひたくない、そこで乙なる土地を政府が買ひ、甲なる土地が地主の手に殘ると云ふ場合であれば、其の時に土地の交換分合をやりまして、甲なる農地を政府が取得して其の土地を甲なる小作人に賣ると云ふ途を開いてある譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=53
-
054・磯崎貞序
○磯崎委員 先般も私伺つたのでございますが、少くとも農地制度に付きましては、所謂適正規模及び耕地の分合が絶對的の前提條件であると云ふ信念を私は動かさないのであります、併しそれに對しましての當局の御答辯洵に遺憾であります、茲で伺ひまするが、此の自作農創設に當りまして、法に二箇年以内に最も迅速に此の事業を完成すると仰せられてございますが、是はどう致しましても絶對に困難であると私は考へるのであります、政府の御構想の如くに希望者がありや否やと云ふやうな點に付ても、多大な疑問もありまするし、又之に對しまして買收計畫とか賣渡計畫とか或は其の間に對する各機構、登記各般に亙りまして、恐らく二年が二十年位掛ると云ふ桁違ひの結果に陷るのではないかと云ふ風に考へて居りますが、現在此の問題の審議に當りまして、如何なる機構に於て此の問題を進行するか、此の法案が通過しましたならば、直くどうした形で行ふのか、或は登記に付いてどう云ふ風にするか、或は各農地委員會の機構に付てはどうとか、明瞭に一つ全貌を御示しを願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=54
-
055・和田博雄
○和田國務大臣 其の點に付きましては、私一昨日どなたかの御質問に對して御答へ致した譯でありますが、斯う云ふ事業をやりまする時に、唯出來ない出來ないと言つて居れば、さう云ふ御議論も立つと思ふのでありますが、やはり政府と致しましては、斯う云ふ事業はやると云ふ決心で方々の御協力を願つて實際にやつて行く、斯う云ふことに盡るのであります、機構と致しましては、末端に於きましては、市町村の農地委員會と云ふものを作りまして、其處に事務的な機構としては書記を三名置き、それで市町村の農地委員會と云ふものに買收計畫を立てさせ、又賣渡計畫を立てさせまして、それに從つてやつて行く、それから中央から地方を通ずる一つの土地に付ての機構としましては、中央と全國五つばかりの「ブロック」に農地管理局を置き、各縣に農地管理部を置きまして、其處に人員を揃へ、共通のことを專心にそれ等の人々にやつて戴く、斯う云ふことに致しまして、一方に於ては勿論色々な點に付て啓蒙、啓發も致す必要がある譯でありますが、それ等の仕事と同時に、實際の仕事をやつて戴く、斯う云ふやうに考へて居るのでありまして、勿論是は官廳だけの力でなくして、やはり民間のそれぞれの團體、又各方面の人々の力をも借りまして、二年間に十分事業が進みまするやうに致したい、斯う考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=55
-
056・森幸太郎
○森(幸)委員 私は農林大臣に御相談的に申上げるのですから、一つ其の御氣持で御答へを願ひたいと思ひますが、此の法案を政府が提案されて、第一條に民主化する、或は耕作者の地位を安定させると云ふ立派な文句は書いてありますけれども、農村の實情に付て十分檢討を加へられて、斯うしなければならないのだと云ふ確信の下に此の法案を御出しになつたやうには、全然受取れない節があるのであります、今松本委員の御説の通り、農村の事情は、此の法案を通じて政府が御考へになつて居るとは非常に違つて居るやうに考へます、今日農村の生産物は非常に高くなつて居りまして、藁だけでも四百圓か五百圓の收入が上ります、さうして北君の指摘されたやうに、長い間高い年賦償却をして、耕作料金を拂つて耕作すると云ふよりも、寧ろ耕作權の確保と云ふことを生産者は希望して居ると云ふやうな實態にあるやうに見受けられるのであります、殊に此の農地を買取つた以上、三十年の間は特別の事情、所謂勅令命令に定めてある以外に政府の承認を求めなければ之を移動することが出來ないと云ふ窮屈な地主になることは、今日の小作者としては心から歡迎して居らぬ向が多いやうに思ふのであります、此の法案は何處から見ましても、本當に政府自體が農村の爲を考へ、農村の將來を考へて、斯くすべきより外に途がないと云ふ確信を以て提案されたのではない、或る關係方面から或は色々の事情よりして斯うするより仕方がないから、其の覺書其の他に準據して斯う云ふ案を作つた、それであるから衆議院に於て色々異論もあらうし、意見もあらうけれども、已むを得ないのだと云ふ氣持を何かの方法に依つて表現されることが、此の法案の審議を促進する一つの途ではないか、斯樣にも考へるのであります、或は國務大臣として責任上さうであると言明されることが御困りであるとすれば、秘密會でも宜しい、斯う云ふ事情で仕方がないのだ、だから衆議院としても色々異論もあらうし、不滿足の點もあらうけれども今日の日本の國情から考へて仕方がないのだ、斯う云ふ風なことを御示しになる方が宜いのではないか、斯樣にも私は考へるのであります、此の法案に對して飽くまでも責任を持ち、確信を持つて御出しになつたとすれば、我が政府、農林當局の農村に對する認識が餘りにも不徹底であると去ふ非難もあり、我々もそこに不滿を感ずるのでありますが、此の點一つ何とか御囘答が得られませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=56
-
057・和田博雄
○和田國務大臣 色々の事情もあると思ひますが、日本が「ポツダム」宣言を受諾致しまして、之を履行する義務を國民的に負つて居る、而も農村民主化の促進を圖ると云ふことが一つの國家の義務であると致しまする以上、我々と致しましては、十分日本の農村の實情其の他歴史等をも勘案致しまして、農地制度の改革を致すべきものだと確信致して居るのであります、其の意味に於きまして色々御意見もあると思ひまするが、我々と致しましては、現在の事情に於て農地の改革はどうしても必要だと思ひますし、私と致しましても責任を持つて之を提案した以上は私自身としての責任は十分にあると云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=57
-
058・森幸太郎
○森(幸)委員 只今の御答辯已むを得ないかと思ひます、併しさうしますと、敗戰後議會が開かれたのは何囘もありまするが、昨年の十二月に開かれた八十九帝國議會に於て、和田國務大臣は當時農政局長として、政府委員として臨まれて居つたのであります、其の時に敗戰後の日本を建直す上に於て、現在の昭和十三年に出來た農地法では不十分であるから、敗戰後の日本の民主化を圖る爲に、茲に農地調整法を改正すると云ふので一部の改正法律案を御提案になつた、其の時は既に敗戰後であります、敗戰後の日本に於ける農政を御定めになる意味に於て提案されたのであります、今日も同じ敗戰後の日本であつて、其の當時と今日とでは事情が變つて居らない、何が故に此の八十九帝國議會に御出しになつた農地調整法の改正法案と根本的に其の意味を變へる改正法案を今囘御提出になつたか、其の間の事情であります、殊に政府委員として、農政局長として、松村農林大臣を御援けになつて八十九議會に御臨みになつた農林大臣であります、其の間の所信を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=58
-
059・和田博雄
○和田國務大臣 是は私今までも縷々説明致した譯でありますが、農地の第一次の改革を出しまして、其の途中に於て「デイレクティヴ」が出て來まして、其の「デイレクティヴ」に對するこちらの政府の報告書を出した譯であります、其の報告書に付てG・H・Qで不滿足だと云ふことになりまして、それが更に對日理事會で同時に問題にもなりまして、隨ひまして其の不滿足な點に付きまして向ふとの色々な折衝を致しまして、それで今囘の案が提出されて來た、斯う云ふことになつて來て居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=59
-
060・森幸太郎
○森(幸)委員 さうすると結果に於て今農林大臣が御説明になりました通り、日本政府としては八十九議會に於て、敗戰日本の農村を建直す爲に農地調整法の一部を改正した、所がそれが關係方面の諒解を求められなくて、ここに更に調整法を一部改正しなければならぬと云ふことになつたと云ふ御説明であります、さうすると、結論に於て政府の意圖にあらざる此の法案の改正をすると云ふことに受取れるのであります、其の點はどう御説明になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=60
-
061・和田博雄
○和田國務大臣 政府の意圖にあらざるとは、私は言へないと思ふのであります、それはやはり其の過程に於て十分に此の案を斟酌──向ふの專門家の意見も聽き、又こちらと致しましても向ふの意向を酌みまして十分練つてやりました以上は、是は政府と致しましても責任を持つて此の提案を致した、斯う云ふことに相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=61
-
062・森幸太郎
○森(幸)委員 さうしますと、私先般申上げた通り、此の法案に對する議會の審議權をどの程度まで受け容れられる態勢にあるか、政府の考へたことが關係方面に依つて修正せられざるを得ないやうになつた爲に、政府は考へて更に改正して本法案を出したのだ、さうしますれば殆ど絶對的のものであつて、我々が長い間努力して之を審議することが、政府として何處まで受け容れられる態勢があるかと云ふことを我我は考へなければならぬことに結論されるのではないかと思ふのであります、だから祕密會でも開いてはつきりと御話になつて、斯うだから斯うと、仕方がないのだと云ふ風に御説明になつた方が簡單明瞭で宜いのではないか、斯樣にも考へるのですが、どうでせう御相談申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=62
-
063・和田博雄
○和田國務大臣 是は私本會議で御答辯致しましたやうに、何も議會の審議權をどう斯うすると云ふことは毛頭考へて居りませぬが、やはりさう云つた方面の色々の事情もありまするので、其の點を十分御考へを御願ひ致したいと云ふことを申上げた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=63
-
064・菊池豐
○菊池(豐)委員 委員長議事進行で──只今の森委員の質疑應答を承つて居りまして、私も少し思ひ當る點があるのです、委員會の第一日に、小川原政信君から、不耕作地主四町歩から乃至三町歩から一町歩に下つてしまつたと云ふことは困る、之を二町歩に引上げる意思が當局にあるかどうかと云ふ質疑がありました時に、和田さんは缺席して居られて、山添さんが出て居られて、斯う答へて居られる、一町歩は動かし得ない原則となつて居ると承知して居る、私は此の言葉の底を流れて居るものは、即ち森君の質疑、森君の意見と非常に相通ずるものがあると思ふのです、絶對的の原則と承知して呉れ、議會の審議權に對して甚だ怪しからぬ御答辯だつたと私は思つて居るのですが、唯今までも本會議や委員會の空氣を見ますと、與黨である自由黨と進歩黨が殆ど反對黨的の立場になつて居る、唯一の在野黨である所の反對黨である社會黨が、ともすれば與黨のやうな感じを我々に抱かせて居ると云ふことを見ますと、世界の情勢、日本の現状に關して我々委員は客觀的な認識と云ふものを忘れてはならないと思ふのですが、併し此の觀點からしましても、本案が相當重要な國際的な性格を多分に持つて居ると云ふことを思ふ時に、敢て理事會に諮れと云ふ端的な、是は相談であつたでせうが、御申出はどうかと思ふのですが、少くとも政府自ら進んで打つべき政治的の手があつたらうと思ふ、徒らに審議を澁滯させ──どうせ落著く所へ落著かなければならないのならば、徒らに澁滯させて紛糾を起させるやうなことは、和田さんの見識に於て甚だどうかと思ふ點があると思ふのです、只今の森君の質疑に對して、私は左樣な見解を持つて居るのですが、此の機會に敢て理事會とは言はぬ、公的なり私的なり、適當な方法に於て、もう少し國際的な情勢と云ふもの、それから日本の現状と云ふもの、例へて言へば、四町歩から一町歩になるまでの交渉の「プロセス」と云ふものを、或る程度適當の機會に於て御發表になると云つたやうな方法に依つて審議を進めると云ふ意思があるかないか、御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=64
-
065・葉梨新五郎
○葉梨委員長 動議ではなく御質疑でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=65
-
066・菊池豐
○菊池(豐)委員 質疑になつて居りませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=66
-
067・和田博雄
○和田國務大臣 私が各黨派に付き、それぞれ本案が出ます時に提案の經過に付ては御説明致した譯でありまするが、尚ほ委員の御方でさう云ふ御要求がありまするならば、勿論話すことは一向差支へないと思つて居ります、或は速記などは止めまして、御話しても宜しいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=67
-
068・菊池豐
○菊池(豐)委員 まだ幾らかこだはりがあるやうですが、大體こつちの肚も政府當局には呑込めて來たと思ふのです、適當に其の間の空氣を參酌して、委員長に於て議事の進行に資せられんことを希望致します、續いて先程の松本委員からの質疑であつたか、其の次の方の質疑でありましたか、行政機構に付て當局の御答へがありましたので、關聯して一寸御尋ねして見たいと思ひます
それから五地區に地方農地管理局を御置きになる、今朝の新聞を見ると、内務省では之を中央集權なりとして餘り贊成して居ない、私共も曾てありました地方商工局の設置と同工異曲のものだと云ふ識者の非難を免れないのではないか、事務の簡捷、行政の簡素化と云ふことが盛んに叫ばれて居ります時に、殊に森委員の質疑にもありましたやうに、二年間と云ふ限られた僅かの時間内に此の厖大な土地を處理しようと云ふこと自體が土臺無理であります、であるに拘らず、更に事務の澁滯、昏迷を招くやうな機關を御置きになることは非常にまづいのではないかと思ふのであります、之に付ての御考へを御洩らし願ひたい、と同時にもう一つは、やはり前委員より質疑がありましたが、小作人は地所を買ふ意思はない、あなたの方では買はせて見せる、從來の質疑の應答の形を見ると、賣れ殘つたものは實行組合とか農業會に之を肩替りさせる、或は買はせると云ふことである、併し劣惡な地所を押賣りすることは出來ないと私は思ひます、私は買ふべきものだと思ひますが、當然地所が殘ると云ふことは、あなたが幾ら此處で頑張つても、恐らく此の問題の推移に付て相當の感覺を持つて居る人は否認することの出來ない情勢だと思ひます、所が地方に五つの屋上屋の管理局を置くと云つたやうなことをしておいでになりながら、當然賣れ殘るであらう所の地所に對して、之を管理する豫算を御置きにならない、實際に於て農地は國家管理に移行しつつあると云つたやうなことが言ひ得るのではないか、國家が大地主になると云ふやうな事態をあなた方は招いて居るのではないか、にも拘らず、之に對して少しも豫算を御置きにならぬと云ふことに付ても、どうも私共納得行かない點があるのであります、此の二つに付て御答へ願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=68
-
069・和田博雄
○和田國務大臣 今度考へて居ります農地管理局と云ふものは屋上屋ではありませぬ、寧ろ今までのやうな行政の組織では中々進行しなかつた土地の仕事を迅速にやります爲に、必要上我々は考へた事柄であります、其の點に付きましては、地方分權と言ひますけれども、事業に依りましては、私はやはり地方が本當に腰を入れて出來るやうな組織をすることが今後と雖も必要だと思つて居ります
それからもう一つの土地の殘る問題でありますが、是は私が前から御答へ致して居りますやうに、小作人が土地を買はないに付きましては、中に隨分色々の誤解があつたのであります、さう云ふ點に付ては、やはり政府としては十分納得の行くやうに努力すべきだと思ふのであります、隨ひましてさう云ふ努力をやつた上で尚且つ殘つたものに付きましては、農地委員會なりに管理させる譯でありまして、農地委員會が管理します時には、小作料が上つて來ますから、其の上つて來た小作料の中から管理費を賄つて行くと云ふ考へ方を致して居ります、併し小作料で足りませぬものは、後で何等かの豫算を組まなければなりませぬが、只今の所はさう云ふ考へで進んで居る譯でありますから、管理に付ても豫算が出て居ない譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=69
-
070・葉梨新五郎
○葉梨委員長 菊池君に御諮り致しますが、森委員の勸告及びあなたのそれを補足する意味の要求か、御質疑のやうな形式で行はれた御發言に依りまして、政府は秘密會を開いて司令部側と申しますか、關係筋との交渉經過、國際的關係に付て説明をしたいと云ふ意思表示を致して居ります、仍て其の件を進めてから後にされては如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=70
-
071・菊池豐
○菊池(豐)委員 承知しました、唯一言…、小作人は實情を能く知らない、それは和田さんの言ふことと同感だと思ひます、此の趣旨を能く徹底させる所謂指導機關を、あなた方の持つて居る構想の中に、「デザイン」の中に併せて御作りになることは喫緊の要務であらうと私は思ひます、其のことに依つて一部の人の間に提唱されて居る耕作權の確立と云ふことは固より結構でありますが、と同時に、地所は買はなくて宜いと云ふやうな、さう云ふ根性を拂拭するやうな動きは必要だと思ふのであります、結構な思付だ、それははつきり適當な機會に附加へてやつて貰ひたいと云ふことを申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=71
-
072・大澤喜代一
○大澤委員 關聯して申上げます、今まで各黨代表の委員諸君の御話を承つて居りましたが、仰仰現政府が今度出した土地改革法案のやうな重大な案は、自らの意圖するものとして積極的な立場から此の改革案を出したのか、それとも自ら意圖しないのに拘らず、他の關係から強制的に──強制的にと云ふのではないが、或はさう云つた意味合で仕方なく此の法案を出したのかどうかと云ふ話が出て居ります、今委員長の御話だと、其の間の經過に付て祕密會を開くと云ふ御話だが、私は何も祕密會の必要はないと思ふ、何故かと申しますと、我々社會黨としては、今度の二つの案に付ては斯う考へて居る、それは現在の吉田内閣としては、實際は改革したくない此の土地問題である、それは去年の議會を見ても、今の本會議乃至委員會の空氣を見ても、如何にして此の政府の出した案を骨拔きにしようかと云ふことの議論が盛んに各黨から行はれて居る、殊に自由黨が本會議以來政府の與黨であるのか何であるのか分らぬやうな態度で反對して居るのを見て居る、併し斯う云ふことは何處から出て來るかと申しますと、少くとも去年の議會に出したあれ程の案が、改惡されて通過した、今年又出た、所が又之を何とかしようと云ふ所が見えて居る、斯う云ふ點から見ても、現在の吉田内閣それ自體は何等の積極的の意圖を持つて居らないと云ふことがはつきり分る、それにも拘らず、何故此の案が出なければならないかと云ふと、政府の希望するしないに拘らず、それは一つの──だ、──と云ふことがはつきりしないから、さう云ふ──が出る…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=72
-
073・葉梨新五郎
○葉梨委員長 大澤君に御注意申上げますが、あなたの御言議の中には──であるとか、何とか、非常に不穩當の言辭が多いやうであります、委員會の質疑は穩當に御進めあらんことを望みます
〔「──と云ふ言葉はまづい」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=73
-
074・大澤喜代一
○大澤委員 ──と云ふのは取消します、何故──かと云ふことを申上げます、それは私此の間の委員會で申上げましたが、一九四五年のG・H・Qの覺書にちやんと書いてある、それは「民主化促進上經濟的障碍を排除し、人權の尊重を全からしめ且數世紀に亙る封建的壓制の下日本農民を奴隷化して來た經濟的桎梏を打破するため日本帝國政府は其の耕作農民に對しその勞働成果を享受する爲現状より以上の均等の機會を保障すべきことを指令せらる」とある、此の──に基いて此の案が出て居る発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=74
-
075・葉梨新五郎
○葉梨委員長 大澤君に申上げます、あなたの御讀上げになつて居るものは、既に各委員の手許に參考資料として送付されて居るものであります、それはあなたが御讀上げにならなくても各委員とも頭に入つて居ることと存じます、でありますから、あなたがそれを御讀上げになつて各委員を刺戟なさらなくとも、あなたの御意見は祕密會を開く必要なし、斯樣な御發言と信じます、それであればそれで宜しうございますから、それに付きまして私は決を採りたいと思ひます、祕密會を開いて、而して政府の交渉經過と申しますか、國際的關係に對する見解或は經過等に付て意見を徴すべしとのことに同意の諸君の擧手を願ひます
〔贊成者擧手〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=75
-
076・葉梨新五郎
○葉梨委員長 多數であります、仍て午後一時より祕密會を開くことと致しまして休憩致します
午前十一時五十一分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=76
-
077・会議録情報2
――――◇―――――
午後二時十三分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=77
-
078・葉梨新五郎
○葉梨委員長 是より會議を開きます、休憩前に引續き遂條審議を行ひます──第一條の審議中休憩になつたのでありますが、第一條に付ては宜しうございますか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=78
-
079・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは第二條に移ります
第二條 この法律において農地とは、耕作の目的に供される土地をいふ。
この法律において、自作地とは、耕作の業務を營む者が所有權に基きその業務の目的に供してゐる農地をいひ、小作地とは、耕作の業務を營む者が賃借權、使用貸借による權利、永小作權、地上權又は質權に基きその業務の目的に供してゐる農地をいふ。
前項の規定の適用については、耕作の業務を營む者の同居の戸主若しくは家族又は耕作の業務を營む者の戸主若しくは家族で命令で定める特別の事由に因りその者と同居しなくなつたものが有する同項に掲げる權利は、これをその耕作の業務を營む者の有するものとみなす。
この法律において、自作農とは、自作地に就き耕作の業務を營む、個人をいひ、小作農とは、小作地に就き耕作の業務を營む個人をいふ。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=79
-
080・北政清
○北(政)委員 實は是はもう全體ですが、此の文章は實に分りにくいですね、わざわざ分らぬやうに書いてあるのです、我々程度で分りにくいのでありますから、農民は言ふに及ばず、迚も農村の役場の人でも分らぬ、之を徹底的に直さうとすると相當時間が掛ると思ひます、今字句に餘りこだはらずに質問だけを進めて行きたいと思つて居ります
そこで「同居の戸主」此の解釋が能く分らないのですが、一體何にも關係がない者が同居して居る、例へば東京附近で現在同居して居りますが、それは其の土地にも關係がなければ何もない、唯東京に通ふ爲に同居して居る、此の文句から言うと、其の者は皆權利がある譯になりますが、是はどうかと云ふことと、もう一つは「質權に基きその業務の目的」、是は一寸どう云ふのを言ふか、私には分りませぬが、教へて戴きたいと思ひます
もう一つ、又小作を認めるが、又小作はどう云ふやうになるか、御料地を最初に借りた人は段二十五錢で借りて居る、併し親小作に對しては小作料を半斗納めて居る者がある、それは帳簿上にも土地貸借の契約にもない譯です、斯う云ふものは相當の數あるものと私は考へるのでありますが、是は實際耕作者です、實際耕作者であるが、之に對しては土地が分讓されるかされぬか、獲得權があるかないかと云ふことです
尚ほ私先へ行つて申上げたいのですが、「自作農とは、自作地に就き耕作の業務を營む個人をいひ、」とあるが、自作農とは、其の所有地に付き耕作をして居る者を言ふのではないのであるか、「自作農とは、自作地に就き」と云ふのは實に分らない、是は一例を示すのでありますが、「面積を超えるときは、その面積を超える面積の當該區域内の小作地」と云ふやうな、實に惡どいことが書いてあります、そこで斯う云ふ字句を直すに付て、委員長さんの御意見を聽いて見たいのでありますが、直すと云ふならば皆直さなければならぬ、どうも分りにくくて困ると思ひますが、以上御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=80
-
081・山添利作
○山添政府委員 是は實に御話の通りに名文でないのであります、どうも分りにくいのでありますが、分りにくい所以のものは、普通の意味の所帶と云ふ觀念を少し範圍を擴げた、其の擴げたものを如何に表現するかと云ふのでありまして、單純に所帶と言つてしまひましても、此の第三項に書いてありますやうな特別の事由で、家族の一員が一寸東京に出て居る、さう云ふ者が土地を持つて居る場合にどうなるか、斯う云ふやうな場合をも含めました意味でありまして、惡文であると云ふことは、實は非常に苦心をしたと云ふことなのであります、そこで非常に分りにくいのでございますが、すらつと考へれば、是は所帶と云ふことでありまして、其の所帶と云ふことの中に、例へば土地の所有名義人は今親の家に居ない、何等かの事由で餘所へ行つて居る、併し其の人も其の所帶に屬して居るものに取扱はれる、斯う云ふことが此の第三項に書いてある意味なのであります、「同居の戸主」とありますが、普通から言ひますれば、要するに同居の家族と云ふことでございますけれども、今の民法が戸主と家族、斯う云ふ風に分けて居るものでございますから、わざわざそこの所を區別しまして、家族だけで書きますと、戸主が拔けると云ふことになりますので、「戸主若しくは家族、」斯う云ふ風にしてあるのであります
それから「その業務の目的に供してゐる農地」と云ふのは、質に取つて、自分がそれを只今耕作して居ると云ふのでありまして、斯う云ふ場合があるかどうかと云ふことは、私共殆どないと思ひますが、理論の上に於て斯う云ふ場合があると云ふので、是は輕微でございますが、拔けないと云ふ意味に於てわざわざ加へたのであります、斯う云ふ場合が澤山あるとは勿論考へて居りませぬ
それから一番終ひの「自作農とは、自作地に就き耕作の業務を營む個人、」成程觀念がだぶつて居るやうに見えるのでございまするが、偖て是は第二項に於きまして「自作地とは、耕作の業務を營む者が所有權に基き」と云ふことで自作地と云ふものを定義して居りますが、其の次の項に行きまして、其の人が所有權を持つて居なくても、家族の一人が所有權を持つて居る、そこで其の家族が耕作の業務をやつて居ればそれが自作地になる譯です、さう云ふ意味に於きまして此の末項の所に來る譯でありまして、「自作地に就き」と云ふのを第三項を拔かして讀んでしまふと、即ち所有權を持つて居る、所有權に基いてやつてしまふのだと云ふことに定義してしまふと、是は又意味が狹くなる、さう云ふ意味で…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=81
-
082・北政清
○北(政)委員 今の同居の戸主のことは、例へば私の家に局長さしが疎開して來て居られる、さうしますと、實は其の人は農業には何も關係はない、私の家は農業である、此處にやはり同居の戸主が居る、だから是は全く分らないものになつてしまふ、私は是は、耕作の業務を營む者及び其の家族、此の方が寧ろ分るのではないか、全然關係のない者、所謂部屋住ひして居る、間借りして居る、斯う考へてもやはり同居の戸主である
それから今の所有地の分け方でありますが、「自作農とは、自作地に就き」と云ふ理窟は、何と考へても分りにくいのでありまして、富士山の上に又山に登ると書いたと同じやうなことではないかと思ふ、是は分りにくうございまして、此の點はつきりして置かぬと後で困ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=82
-
083・山添利作
○山添政府委員 「同居の戸主」と云ふのは、上の方から見まして──是は單純に是だけを切離して、まるで縁故のない同居の戸主と云ふ風に讀みましては困るのでありまして、「耕作の業務を營む者の戸主」──其の人が戸主である場合が多いでありませう、でありますが、さうでない場合に於きまして、息子の方が實際耕作の業務を營んで居る、所が土地の所有名義はもう年の寄つた親父さんになつて居る、斯う云ふ場合を想像して戴けば分ると思ひます、さう云ふ場合を含めての意味であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=83
-
084・北政清
○北(政)委員 それは、耕作の業務に從事する者と書けば、それで一言で濟んでしまふ、何と仰しやつても、其の家に同居して居る戸主は戸主である、「營む者の同居」ですから…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=84
-
085・和田博雄
○和田國務大臣 それは斯う云ふ譯であります、此の「耕作の業務を營む者」と云ふのが、現在耕作して居る者です、是は假に子供が耕作して居る、其の親父さんが年を取つて同居して居る、さうして「耕作の業務を營む者の同居の戸主若しくは家族」と、斯う來るのでありまして、御話のやうな何にも關係のない餘所の──北さんに全然關係のない戸主たる人が同居して居ても、それは何も「同居の戸主」と云ふことにはならない、是は上からくつ付いて居るのです、日本語は西洋語のやうに正確には出來ないのでありますが、日本語をすらつと讀めば、私の言ふやうな意味であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=85
-
086・三浦寅之助
○三浦委員 今のことで大變分るやうな話でありますが、斯う云ふ場合が實際ある、今のやうに同居しても、全然他人が同居したと云ふやうな場合は、是は常識から見ても此處に入らないと分るのでありますが、實際の問題として斯う云ふことが考へられる、親父が土地を持つて居る、所が子供が分家してやはり土地を持つて居る、さうして實際に於ては分家した子供と親父が一緒に同居して居つて、同一世帶で同一の生活をして居る、唯偶偶色々の關係上親父の相續人が居ない、具體的にもう少し分り能く言ふと、親父が戸主で其の相續人が其の家に居ない、さうして弟が分家して、其の父親と弟が實際に於て同一の世帶で生活して居ると云ふやうな場合には、戸籍上に於ては父親と子供が別個の戸主であるけれども、實際に於ては同一世帶になつて生活して居る、斯う云ふやうな實際問題の場合には、之をどう解釋するか、非常に疑問が多いと思ひますが、其の點を御解釋願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=86
-
087・山添利作
○山添政府委員 それは嚴格な意味に於きまして、第二條の定義には當嵌らないのでありますけれども、取扱としては、其の社會通念から言つて當然自作地と見ると云ふのでありまして、實際上は自作地の如く處置して行くのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=87
-
088・三浦寅之助
○三浦委員 はつきりしないのですが、法律的には違ふのであるが、實際の場合には同じやうに處置すると云ふのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=88
-
089・山添利作
○山添政府委員 自作地として處置をすべきものと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=89
-
090・三浦寅之助
○三浦委員 考へるでは困る、是は實際に於て爭ひが起るのではないでせうか、法律の解釋上に於ては違ふけれども、取扱は一つにすると云ふことになると、結局あなたの考へる通り末端まで果して行くかどうか、是は非常に紛爭が起る因になると思ひます、此の點の解釋をはつきりと、法律的にさう解釋するのならば解釋するのだと決めて置かないと、法律は別だが、實際は同一にすると云ふことになると、をかしくなりはしませぬか、どつちか一つに決めて置いて貰はないと、取扱に於て非常に困ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=90
-
091・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 是は斯う云ふ問題が起ると思ひます、今の問題が實際上ある、それで其の時は、次男坊が土地も持つて居るし、耕作をして居るのであるから、當然近き將來に一家獨立して家を建てるべきであるが、唯資材其の他の關係で建てないで、今相續人が餘所へ行つて居る爲に、其の家の中に居ることが便宜であるから居る、それは大體ではない、だから近き將來に於て家を建てて、其の家を出るべきである、其の弟の世帶と兄貴の世帶──兄貴の世帶と云ふのは、今親父が百姓をやつて居る譯です、其の兄貴の世帶とは別個になつて、二つの世帶と認めて此の法案が適用されるのであると云ふ、此の方がはつきり分ると思ひますが、どうでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=91
-
092・山添利作
○山添政府委員 是は何處までも細かく法律に書きまして迷ふことがないやうにと思ひまして、又曩に總司令部の方からの注意書にも、色々の自由裁量を餘り下の農地委員會等に任せ過ぎて居ると書いてあるので、成べくさう云ふことのないやうにと思つて、是は細かく書いてある積りですけれども、偖て具體的の場合になりますと、凡ゆる面が此の法律の中に總て網羅してあると云ふ譯には行かない場合がある譯であります、そこで例へば法律の第五條でございますが、第五條などで政府で買收しない場合が書いてございますが、其の末號に「その他命令で定める農地で市町村農地委員會が政府において買收することを不相當と認めるもの」、斯う云ふやうな字句も入れてあるのでございますが、是は此の法律に依りますと同時に、具體的の場合には、個々の場合に付て一種の判決例のやうなものを出して是正をして參る、さうんてそれは自作農を創設すると云ふ法の目的に照らして、具體的の場合を規定して行きたいと考へて居る譯であります、隨て今御話になつたやうな、兎も角戸籍面に於ては分家して居るけれども、實際上に於ては同一家族に屬して居ると云ふやうな場合に於きましては、是は第二條の第三項に書いてありますやうなと云ひますか、第二條の第二項に於けるが如き法律の趣旨に照らして解釋をして、取扱方針を決めて行く、斯う云ふ風に扱ひたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=92
-
093・三浦寅之助
○三浦委員 そこです、是は判例と言ふけれども、一に之を適用されると云ふことは、詰り農林當局の解釋が一つの基準になるのだから、どつちでも宜いからはつきりした解釋を與へて置かないと、實際の場合に非常に紛爭になるから、此處ではつきりと、入るなら入る、入らぬなら入らぬと、はつきりした解釋を與へて貰はないと困ると思ひますので、はつきりした解釋を與へて貰ひたい、是から實際の趣旨に依つてとか、實際の判例に依つてとか云ふことになると、纒まりが付かぬのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=93
-
094・和田博雄
○和田國務大臣 あなたの仰しやつた點だと、此の法律の上から行くと入らないと御答へして宜いと思ふのですが、實際の動きから考へて見ますと、恐らくそれは親父からの使用貸借だらうと思ふのです、小作などをしないで、同居の子供が耕して居るのだらうと思ふのです、さうすると入らぬ、親父の土地を買つて、又子供に賣渡してやると云ふことになる、是は形式論から行けば其の通りでありますが、そこはまあ入らぬと云ふ解釋は取るが、實際問題としては、さう云ふやうなものは末端の農地委員會なら農地委員會で適當に、今言つたやうに二重の手間をしないやうな處理を、一世帶としてやつた方が現實に合ふのではないか、斯う云ふことを申上げて居るのでありまして、法律解釋としては入りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=94
-
095・葉梨新五郎
○葉梨委員長 先程の北君の又小作の問題は御答辯ありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=95
-
096・山添利作
○山添政府委員 又小作は、原則と致しまして現に小作をして居る其の小作人が土地を買ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=96
-
097・葉梨新五郎
○葉梨委員長 第二條は宜しうございますか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=97
-
098・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは第三條に移ります
第三條 左に掲げる農地は、政府が、これを買收する。
一 農地の所有者がその住所のある市町村の區域(その隣接市町村の區域内の地域で市町村農地委員會が都道府縣農地委員會の承認を得て當該市町村の區域に準ずるものとして指定したものを含む。以下同じ。)外において所有する小作地
二 農地の所有者がその住所のある市町村の區域内において、北海道にあつては四町歩、都府縣にあつては中央農地委員會が都府縣別に定める面積を超える小作地を所有する場合、その面積を超える面積の當該區域内の小作地
三 農地の所有者がその住所のある市町村の區域内において所有する小作地の面積とその者の所有する自作地の面積の合計が、北海道にあつては十二町歩、都府縣にあつては中央農地委員會が都府縣別に定める面積を超えるときは、その面積を超える面積の當該區域内の小作地
前項第二號又は第三號に規定する都府縣別の面積は、その平均面積が同項第二號に規定するものにあつては概ね一町歩、同項第三號に規定するものにあつては概ね三町歩になるやうに、これを定めなければならない。
都道府縣農地委員會は、特に必要があると認めるときは、中央農地委員會の承認を得て、當該都道府縣の區域を二以上の區域に分ける各區域別に第一項第二號又は第三號の都道府縣別の面積を定めることができる。但し、各區域別の面積は、その平均面積が概ね同項第二號又は第三號の當該都道府縣別の面積になるやうに、これを定めなければならない。
第五條、第七號に規定する農地で命令で定めるものの面積は、第一項第二號又は第三號に規定する小作地又は自作地の面積にこれを算入しない。
第一項の農地の外左に掲げる農地で、都道府縣農地委員會又は市町村農地委員會が、命令の定めるところにより、自作農の創設上政府において買收することを相當と認めたものは、政府が、これを買收する。
一 自作農でその者の營む耕作の業務が適正でないものの所有する自作地の面積が第一項第三號の面積を超える場合、當該面積を超える面積の自作地
二 自作地で當該自作地に就いての自作農以外の者が請負その他の契約に基き耕作の業務の目的に供してゐるもの
三 法人その他の團體でその營む耕作の業務が適正でないものの所有する自作地
四 法人其の他の團體の所有する小作地
五 農地で所有權其の他の權原に基きこれを耕作することのできる者が現に耕作の目的に供してゐないもの
六 前各號に掲げるものを除く外農地でその所有者が市町村農地委員會に對し政府において買收すべき旨を申し出たもの発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=98
-
099・三浦寅之助
○三浦委員 是は非常に分つて居ることなのですが、實際の解釋から言ふと少し爭ひがあるから、念の爲に伺つて置くのですが、此の住所と云ふ解釋です、此の條文から當然住所と云ふものは一箇所に決まつて居るやうに考へるのですが、又學者に依つては、住所が二箇所あると云ふ立派な論據を以て主張して居る立派な學者もあるのであります、此の住所の解釋が一體民法上の解釋として、或は此の法規の解釋として、一箇所と限定するのか、或は二箇所あるものと考へられるのか、有名な學者の解釋が二つありますから、念の爲に伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=99
-
100・山添利作
○山添政府委員 是は一箇所でります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=100
-
101・小川原政信
○小川原委員 私は第二號と第三號に付て御尋ねをするのですが、此の間も御話がありまして諄いやうではありますが、北海道の四町歩と云ふことがどうしても分らぬのであります、平均四町歩でありますから、それで分りさうでありますけれども、全く北海道の農家と云ふものは、過日も申上げました通り、都會の附近に居ります者のやうに一町歩とか二町歩とか云ふ土地を作りませぬ、ありましても、それは洵に少數であります、四町歩以下の所は殆どないと言つて宜しい位に少數でありますから、平均四町歩と云ふことにはならぬのであります、どう計算致しましてもならぬのであります、若し内地のやうに五段百姓とか或は一町百姓と云ふものが澤山あるとするならば、五町歩作る者も澤山居りますから、是は平均四町歩と云ふことにはなります、併し北海道は何ぼ算用しても實際にならぬのであります、事實ならぬのであります、さうすると、此の四町歩と云ふことは實際に適せないと云ふことになるのであります、それ故に五町歩と云ふ所で行かなければならぬのでありまして、第三號も亦北海道は十二町歩とあるものを十五町歩と直さなければ是はいけぬと云ふことになるのでありますが、農林大臣は是は如何やうに御考へになつて居りますか、最後の御尋ねでありますから、一應ここで改めて御尋ねを致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=101
-
102・和田博雄
○和田國務大臣 是は此の前御答へ致しましたやうに、北海道の内でも四町歩以下のものもありまするし、四町歩以上のものもありますので、此處にありますやうに二つ以上の區域に分けまして、さうして都道府縣農地委員會で其の平均四町歩になりますやうに之を決めて行く、斯う云ふことに致したいのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=102
-
103・三浦寅之助
○三浦委員 それから農家では御承知の通り篤農家やなんかに於ては作男と云ふか、農業の使用人を年期か何かで使つて居る所もありますし、さう云ふやうに農業勞力に使用人を使つて自作をして居ると云ふやうな場合には差支へないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=103
-
104・和田博雄
○和田國務大臣 作男の問題は主として東北が多い譯でありますが、例へば譯負耕作みたやうな意味でやつて居るものですと、是はいけませぬが、事實さうでなくして、實際自分の家族も働き、請負耕作でなくて、作男も勞務の關係から使つて居ると云ふことでありますれば、是は勿論宜しい譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=104
-
105・小川原政信
○小川原委員 先の問題に關聯して此の際茲で御尋ねを致して置きたいと思ふのであります、戰後に於ける我が國の國情より見る時、北海道の重要性は極めて大であつて、明治以來特別な取扱の下に開發を實施して來た開拓途上の北海道は、今後事柄が拓殖に關する限り、行政の總ての權能を成べく一元的、綜合的に北海道廳長官に集中し、其の監督の權限も一つの所に纒めて北海道長官をして十分の活動をなさしむることが肝要であると思ひます、之に對する御答辯を願ひたいのであります、新憲法竝に改正地方制度の目標として居る地方分權を徹底させる爲には、北海道拓殖等の問題に對しましても、中央の權限を成べく地方へ移讓し、地方長官をして自由なる活動をなさしむるの要があると考へるのであります、此の點に付きまして御答辯を願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=105
-
106・和田博雄
○和田國務大臣 私は北海道が特殊な地域であると云ふことは認めますが、併し北海道の特殊性を強調する餘り、從來のやうに北海道が何でも彼でも特別に北海道だけでやらなければならぬ、斯う云ふ考へ方は私は將來の日本の爲には打破すべきものだと考へて居ります、殊に地方制度の改正に依りまして、北海道にも府縣制を布くやうになりますれば、是は仕事の面から言ひますれば、やはり中央として一貫してやれるやうに致して行くと云ふことが、從來府縣の「ブロック」と云ふものの傾向に日本の經濟は惱んで來た譯ですから、將來さう云ふことのないやうに致すことが必要だと思ふのでありまして、それと自治行政の面とは私は決して矛盾するものではない、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=106
-
107・小川原政信
○小川原委員 もう一つ御尋ねして置きたいのでありますが、北海道が今まで一元化して參りまして、さうして日本の開拓の上に於て非常な貢獻をして居ります、尚ほ北海道三百五十萬の道民は此の政府の施策が宜しいと言つて居るのであります、是は最早農林大臣御承知の通り閣議御決定でありまして、其の閣議決定は一つの慣例に依りまして左樣に致して參つたのでありますが、今囘は新たに綜合計畫を立てます上に、二本建で行くと云ふことが北海道の農林行政にも非常に煩瑣を來すのでありまして、一本建の方が非常に宜しい、斯う云ふことになつて行きますし、道民三百五十萬全體が希望して行かうと云ふ所に非常に農林省の御考へと違つた點があります、ここから考へますと、非常に官僚的な方法ではないか、民主政治の基盤を覆すものでないかと云ふ一つの心配があるのでありますが、其の點は如何樣に御考へになつて居りまするか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=107
-
108・和田博雄
○和田國務大臣 私は民主政治の基盤を覆すとは考へて居ないのでありまして、今實際上惧るべきことは、各縣がそれぞれ經濟的な面に於きましても、行政の面に於きましても、實に殆ど孤立的と言つては語弊がございますが、「ブロック」的な、地域的な考へから色色なことが考へられて居ると云ふことで、私は寧ろ是が最も避くべき弊害だらうと思ふのでありまして、寧ろそれ等のことのないやうに考へて行くと云ふことでなければ、日本の將來の政治に取つては工合が惡いのでありまして、勿論民意は十分尊重すべきものでありますが、他方自治の問題と、全體の經濟政策の遂行と云ふ面、是は十分に調和し得るものと私は考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=108
-
109・葉梨新五郎
○葉梨委員長 小川原君に申上げますが、北海道長官は只今外出中でありまして、暫く猶豫されたいと云ふ内務省からの連絡がありました、間もなく出席されることと思ひますから、それまで保留をなされたら如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=109
-
110・小川原政信
○小川原委員 承知致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=110
-
111・麻生正藏
○麻生委員 一寸念の爲に御聽きして置きたい、第三條の第三號の面積の中には、同條第一號の隣接市町村分の所謂除外例、此の方も皆入つて居るのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=111
-
112・山添利作
○山添政府委員 是は問題なしに、小作地としての中には含んで居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=112
-
113・松本六太郎
○松本(六)委員 此處に「都道府縣農地委員會は、特に必要があると認めるときは、中央農地委員會の承認を得て、當該都道府縣の區域を二以上の區域に分け各區域別に第一項第二號又は第三號の都道府縣別の面積に代るべき面積を定めることができる。但し、各區域別の面積は、その平均面積が概ね同項第二號又は第三號の當該都道府縣別の面積になるやうに、これを定めなければならない。」とあるのでありますが、此の項の後の方にありまする「同項第二號又は第三號の當該都道府縣別の面積になるやうに、これを定めなければならない。」ここの所がどうも一寸、明瞭でないのでありますが、區域を二以上に分ちました場合に、それを總括した面積が、所謂第二號又は第三號の面積になるやうにしなければならぬ、斯う云ふ意味ならば此の趣旨が徹底する譯でありますけれども、三つに分けるか、四つに分けるか知りませぬが、分けた場合に、其の區域毎の面積が、此の第二號又は第三號の面積となるやうにと云ふことであれば、折角此の規定を茲に設けられました趣旨が餘り效果を擧げて居ないと云ふことになると思ひますが、此の點は如何でありますか一つ伺ひたい
それからもう一つは後段の方へ行きまして、「自作農でその者の營む耕作の業務が適正でないものの所有する自作地の面積が第一項第三號の面積を超える場合、當該面積を超える面積の自作地」斯うあります、現在自作農であるが、其の者の經營して居ります所の耕作の業務が適正でないものと云ふ其の定義でございますが、具體的に言へばどう云ふものを指すのでありますか、此の二つに付て御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=113
-
114・和田博雄
○和田國務大臣 第一點は斯う云ふやうに御解釋を願ひたい、此處に一町歩、三町歩とあります、是は全國平均一町歩、三町歩ですね、其の一町歩三町歩は、中央農地委員會で各府縣別に、例へば一町歩と云ふ場合には、全國平均で一町歩になりますやうに、中央の委員會で各府縣別の保有限度を決める譯です、隨て香川縣に於ては幾ら、斯う云ふことに決まつて來る、そこで決まつた面積が平均の一町歩だと云ふことになりますれば、福井なら福井で縣内に於きまして地帶に依つて相當違ふ所がありませうから、二つ以上の地域に分けて、それで縣の平均が一町歩なら一町歩になるやうに決められる、斯う云ふ譯です
第二點は、耕作の業務が適正でないと云ふことは判斷が中々難かしい譯でありますが、大雜把と云ひますか、筋を言ひますれば、近傍の類似の農地生産の效果を擧げて居ない、斯う云ふことが一つの標準になる、斯う思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=114
-
115・上林山榮吉
○上林山委員 極めて重要なことであると思ひますので一言御伺ひ致します、何處を見ましても、農地委員會の法律上の人格、性格と云ふものが明瞭にされて居ないやうでありますが、農地委員會の法的性格はどう云ふ風に解釋すべきであるか、之を御伺ひ致したいのであります、先般若し農地が賣れ殘つた場合は、農地委員會に管理せしめる、斯う云ふやうなことを言つて居られますが、法的人格がしつかり分つて居ないのにさう云ふ管理をし得るかどうかと云ふ疑ひがあります、此の點を先づ第一に御伺ひ致したいのであります
第二には、政府が農地を買收する場合に、農地の所有者が其の住所のある市町村の區域外に於て所有する小作地を買收する、是は當然のことでありますが、其の場合自分の村の耕地が非常に少い、或は隣の村の耕地が平均非常に高い、さう云ふやうな場合に、其の當該市町村の農地委員會が、あの方面の土地を十町歩だけ自分達の村のものに準じて之を貰ひたい、斯う云ふ場合に、是は兩者の當該農地委員會の協議がなくして、一方的な農地委員會に依つて府縣の農地委員會の承認を得ればさう云ふ風に認定するのであるか、或はそれが競合した場合には、或は又縣の農地委員會が認定し得なかつた場合には、どう云ふやうな調節の方法が出來るか、此の點に付て承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=115
-
116・和田博雄
○和田國務大臣 第一點は、農地委員會と云ふものは、一種の國家機關でございまして行政廳である、法律的には行政廳と云ふことに相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=116
-
117・山添利作
○山添政府委員 農地委員會が隣りの區域を指定する問題でございますが、それは住所地の市町村の農地委員會に於きまして、都道府縣農地委員會の承認を經て規定する譯でありますが、一體どう云ふ場合に其の土地をどう國が買收して行くかと云ふ、隣りの地區の農地委員會と色々問題の起る場合があると思ひます、是は勿論双方の農地委員會に於て協議致しまして、甲なら甲の所有地のどれをそれぞれ買收するかと云ふことを決める譯でございますが、やはり其の間原則的なやうな事柄は決めて置かないと、解決が面倒になるやうな場合もございませうと思ひます、隨て此の法律にもございますやうな趣旨に準じまして、纒まらなければ先づ區域外であつても區域に準ずるものとして指定した土地のものは先づ買上げて行く、斯う云ふやうな原則で運用して行くべきであると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=117
-
118・上林山榮吉
○上林山委員 農林大臣が農地委員會の性格は行政だ、斯う云ふのでありますが、それは行政機關でありますかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=118
-
119・和田博雄
○和田國務大臣 行政廳である、斯う言つたのであります──左樣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=119
-
120・上林山榮吉
○上林山委員 行政廳と云ふことは、言ふまでもなく一つの人格を持つて居る、意思能力を持つて居る、行爲も出來る、所有も出來ると云ふ所まで農林省としては御考へになつて居るかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=120
-
121・和田博雄
○和田國務大臣 所有は致しませぬ、管理を致すだけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=121
-
122・麻生正藏
○麻生委員 先程松本委員から質問したことでありますが、當該都道府縣の二以上の區域に分ける面積を各區域別に平均になるやうな風に決めると云ふ此の平均は、假に一町二段と八段歩を平均すると一町になる、單純に甲が一町二段、乙が八段、斯う云あ風に決めますか、其の區域内の單位面積を掛けまして丁度平均になると云ふやうにするのか、其の點はどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=122
-
123・山添利作
○山添政府委員 それは「ウエート」を付けて平均になるやうに決めたら宜いと思ひます、ですから面積のことも考慮に入れてやつて行けば宜いのであります、單純なる算術平均でやると、却て工合の惡いことが出來て來ます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=123
-
124・菊池豐
○菊池(豐)委員 先に申上げて置きますが、一つは議事進行一つは質疑であります、例へて言へば、上林山君なら上林山君の質疑が終つて居ないやうな氣持がする、一應委員長は上林山君にそれで宜いですかと尋ねて、それから次に質疑して戴かぬと五目飯のやうになつてまづいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=124
-
125・葉梨新五郎
○葉梨委員長 分りました、左樣取計らひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=125
-
126・菊池豐
○菊池(豐)委員 自作農に付て特別の關心を拂はれ、自作農は無制限である所に本案の妙味があり長所があるのだ、斯う仰せられたが、私は率直に申上げて、自作農に標準面積を規定しないと云ふことは、論理的一貫性を缺いて居はしないか、斯う思ふのです、それは戰時中の軍國的權力主義に基く所の歪められた形の儘の現状維持主義は働く農民には納得が出來ない、十一月二十三日と云ふ末梢的な制限はありますが、之をどう御考へになつて居りますか、曾てあなた方の御出しになつた、名前は違ひますが、皇國農村等に於きましても、標準面積と云ふものは御決めになつて居つたと思ふ、一町歩とか三町歩とか云ふものが大體には決められて居りますが、是のみ非常に茫洋として居る所に、作男とか農奴と云つた問題も並行して質疑が起るのではないかと思ふ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=126
-
127・和田博雄
○和田國務大臣 日本の現在の農業經營に取つて見ますと、それぞれの形のものが自作農にもある譯であります、例へば東北なんかになつて來ますれば、やはり自分が耕して居るが、作男を使つて一緒になつて耕して居ると云ふこともあれば、單に家族の勞力だけで、あとはそれぞれの季節の忙がしい時に日傭を使つてやつて居ると云ふのが恐らく大部分だらうと思ふ、自作農の經營に付ては、現在やつて居る自作農に付て今直ちに土地の配分をやらうとして居る譯であります、其の時に現在實際上十分な生産力を擧げて居る、其の自作農の經營面積を三町歩なら三町歩まで削つて、餘つた土地を小作人に與へると云ふことは、日本全體の農業生産力と云ふ點から言へば、私に言はせれば餘り意味はない、唯土地を與へると云ふ面から言へば、それは多少の意味があるかも知れませぬが、生産力其のものを考へる場合に、現在自家能力を持つて居る者の四町歩から一町歩を切つて小作人にやると云ふことは、土地を與へると云ふ點から言へば意味はありますが、生産力其のものを維持すると云ふ點から言へば、餘り意味のないことになる、そこで自作農の經營に付てはさう云ふ對策を執らない、併し例外として、實際の自家勞力ではやつて行けないで、生産力を擧げて居ないに拘らず、四町歩なり、五町歩を持つて居ると云ふのは、國全體から見ればさう云ふものを三町歩に割いて、あとは有用な小作人に與へた方が全體としての生産力は上る譯であります、さう云ふものは三町歩に削ると云ふ方針を執つた譯でありまして、論理的には一貫して居ると思ふのであります
それから適正規模、皇國農村の關係でありますが、あれは自作農を創定する時に、出來るだけ適正規模の自作農を創定して行かうと云ふ思想があつたと思ふのであります、其の適正規模と云ふのは、地方々々に依つて又違ふ譯でありますが、一應さう云ふ考へを新たに創設して行く上に於て執つた考へ方ではないかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=127
-
128・菊池豐
○菊池(豐)委員 大體御趣旨は分りましたが、割切れないものは、現状維持主義と云ふ所に適正農家、適正規模と云ふことに付て再吟味を加へる機會があるからと仰せられて居りますが、成程三人か四人の家族で田ばかり五町歩位耕して居る者がある、さうして相當供出の實績も上つて居る、本當の精農で、農村の推進力として立派な役目を努めて居る者もありますが、私の申上げるのは、先刻來森委員の質疑もありましたが、僅か二月か三月の間に耕作地主の持つて居る保有面積が四町歩から急激に一町歩に飛んだのはどうしたのか、其の僅か二月云々と云ふ言葉の中に、九月、十月、十一月と云ふ言葉がありました、農地改革が進駐軍或は前内閣の手に依つて斷行されると云ふ噂を早耳に聞取つて居ります所の相當の大地主、中地主階級が適當な方法に依つて歪められた形の──十一月二十三日前の一箇月か二箇月の間に歪められた形の儘に相當大きな地所を占めて居ると云ふことは、是はあなたの仰せられる十一月二十三日の現状では再檢討出來ない「ミス」があると思ふ、是は非常に眞面目に働く農民に對してまづい心持を與へはしないかと思ふのであります、率直に申上げますれば、此の現状維持と云ふ言葉の中には、一面從來の奴隷的な農民を解放すると云ふことが謳はれて居りますが、此の一面に依つてのみ解決は出來ない、現状維持と云ふ言葉が一つの煙幕になつて地主を擁護して、英國案を換骨脱胎させて居ると云ふやうな見方もあるのではないか、現に東北地方の農業制度も斷片的に御話になりましたが、併し農業勤勞者と云ふものをどの程度までか制限を加へて置かなければならぬと云ふ話はないと思ふ、是は實際上百姓を親代代十三代もやつて居る私共としては痛切に考へて居るのですが、請負制度ならば一番宜いのですが、請負制度か、或は日傭農業者と云つたやうな關係になつて居るかと云ふことの識別が中々困難な場合が大概多いのではないか、隨て請負制度の闇取引と云ふやうなことも相當行はれるのではないかと思ふのであります、兎に角相當の地主が此の缺陷に便乘して、昨年來政治的の背景とか其の他封建的の雰圍氣の下に、零細な小作人の所から土地を引上げて居る、十一月二十三日前に引上げた形になつて居ると云ふことは、是は何々も出來ると云ふ附足りの法文の實際を案山子的のものにしはせぬかと云ふことを私共は大變に惧れて居るのです、此の點に付て論理的一貫性を缺いて居ないと和田さんは仰せられて居りますが、實際問題と云ふのはさう簡單でないと思ふのです、唯自作農だけが標準面積を規定されて居らないと云ふ所に、斯う云ふ大きな「ミス」があると云ふことは、御認めになりませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=128
-
129・和田博雄
○和田國務大臣 私は原則として申上げたので、例外としては、第三條の何項になりますかにちやんと規定してあるのであつて、自作農であつても自分の營む耕作の業務が適正でないものは、三町歩で切ると云ふことに致して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=129
-
130・菊池豐
○菊池(豐)委員 例外とか原則とか言はれますが、例外が甚だ多い場合がないとは保證されないと思ふ、此の條文にかじり付く譯ではないが、所謂擬制自作農と云ふものに對して當局も監視の眼を見張る必要があるだらうと云ふことを申上げて終つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=130
-
131・葉梨新五郎
○葉梨委員長 菊池君もう宜しうございますか──北君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=131
-
132・北政清
○北(政)委員 私一寸中座しまして、誰かとだぶつて居つたら何ですが、もう一つだけ御尋ね致します、第三條第一項に隣接市町村區域のことが認められて居るのでありまして、此の場合是が何れの農地委員會が處理すべきか、土地ある所の委員會であるか、住所地の委員會であるか…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=132
-
133・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それは住所地の委員會であるとの御説でありました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=133
-
134・北政清
○北(政)委員 さうですか、さうしますと、そこに變なことが起つて來る、其の村の農地委員會が計畫を立てます、其の計畫に隣村の計畫までを含めなければならぬことになる、事實から云ふと、私は其の土地のある村の方がどうしてもやらなければならぬものではないかと思ふ、是が變だと思ふのです、是では農地計畫を立てるにも立てられぬではないか、斯う云ふやうに考へられるのですが、此の點はどうしたら事實上やれるか
それから四頁の「一」の「自作農でその者の營む耕作の業務が適正でないものの所有する自作地の面積が第一項第三號の面積を超える場合、當該面積を超える面積」斯うあるのでありますが、是は一項乃至三號の面積を超えた面積と解釋して宜いのかどうか
それから其の「六」に行つて「政府において買收すべき旨を申し出たもの」と云ふのは、「政府に賣渡すべき旨を申し出たもの」ではなからうか、斯う思ふのでありますが、如何ですか
それから權原を「原」と云ふ字を書きました理由を一寸聽いて置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=134
-
135・山添利作
○山添政府委員 今の屬人主義を以ちまして區域の指定を致しますが、其の扱ひます買收計畫は、それぞれ自分の市町村の區域内の農地だけであります、此の場合兩方の區域に跨がつて居れば、兩方の農地委員會が困るではないかと云ふ御話でありますが、隨て兩方の市町村農地委員會は兩方の地域に跨がつて土地を有して居るものに關しましては、どの農地を國が買收するかと云ふことに付ては協議する必要がある譯であります、唯其の協議が何時までも纒まらぬと云ふことでは困りますので、さう云ふ場合にどう云ふ風に處理をして行くかと云ふ基準を示したいと云ふことを考へて居ります
それから第一項第三號の「面積を超えるとき」と云ふのは、平均三町歩、隨て具體的に各府縣別に決めます面積でありまして、其の面積を超える時に買ふ譯であります
それから「その他の權原に基きこれを耕作する」と云ふ「權原」の文字は、民法に用例があるのであります
それから第六號の「政府において買收すべき旨を」と云ふのは其の當時者から申しますると買取つて貰ひたいと云ふ意味であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=135
-
136・北政清
○北(政)委員 一寸そこで此の文句で變なことになる譯でございますが、「市町村農地委員會に對し政府において買收すべき旨を」と云ふのは、其の所有者が政府に賣渡すべしと云ふことが本當ではないかと思ふのであります
それから先刻自作農を營む者云々、今の三町歩なり、五町歩なり──怠惰な農家に實際に適しないでも一町歩なら一町歩、三町歩なら三町歩持たせる、其の以外にさうでないものは其の以上でも宜しい、反面に斯う解釋して宜いではないか、農林大臣が非常に御骨折りになつて私の感謝して居る點は、此處のやうに解釋するのですが、さう解釋して宜いでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=136
-
137・山添利作
○山添政府委員 初めの方の「耕作の業務が適正でないものの所有する」、斯う云ふ言葉でございますが、結局生産力が擧つて居る、經營が優秀であると云ふものは其の儘認められる、惡いものは三町歩で切られる、斯う云ふことでありまして、御述べになりましたことと違はないと思ひます
それから「政府において買收すべき旨」と云ふのは、是は字句の問題でございますが農地委員會に對し、政府が之を買收して呉れるやうに申出たと云ふ風に讀めば…(笑聲)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=137
-
138・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 只今の土地の買收の場合に、小作人が買收を欲しないものまでも買收するやうな御計畫になりますが、斯う云ふことは一つの矛盾だと思ふのですが、是は御修正になる御意思はないか、斯う云ふ矛盾を一つ御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=138
-
139・山添利作
○山添政府委員 政府が土地を買收しますに付きましては、農地委員會でどの土地を買收するかと云ふことを決定致す譯でありまして、又決定を致します前に於きましては、其の決定の土地の買收計畫及び賣渡計畫の資料を得まして、土地の所有者又は現に耕作して居る人と云ふやうな關係者から、それぞれ其の希望等を書きました調書を取る譯でございます、隨てそれに依つて計畫を立てる譯でございますから、何と云ひましても是はさう云ふ小作者の方で買ひたいと云ふ土地を買ふ譯でございます、併し假に農地委員會が、之を不在地主の土地として買收を決定した、併し小作者は其の土地の買受を希望しない、其の場合にはどうするかと云へば、結局他に土地を買ひたいと云ふ小作者もある譯でありますから、土地の交換分合でありまするとか、或は耕作權の交換分合に依つて之を處置致しまして、買取の希望のある小作者に土地を取得せしめるやうに致して參るのでございます、さう云ふ風に處置が付くとそれぞれ考へて居るのでありまして、今御話のやうに法文を變へると云ふ積りは持つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=139
-
140・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 此の問題は恐らく地主が唯賣りたくないから裏道を考へると云ふ問題ではなく、實際小作人としましても一反歩の土地から米ならば三十圓の三俵で、三々が九十圓と云ふ地代を拂へば、あとはもううるさいこと一切なしだと云ふことになれば、是は買取らない方が宜いのだと云ふやうな空氣が相當あります、又さう云ふやうに指導して居る農民組合の幹部の方もあるやうに私は聞いて居るのでありますが、之を考へて見ますると、そこに矛盾がある、もう一つは、土地を賣渡す場合に、元の小作人に耕作の優先權があると云ふことなのであります、もう一つは先程の御説明に依ると、耕作の實績を擧げて居る者に對して土地の所有を認める、斯う云ふことになると、地主の手に殘る土地と云ふものは、結局隋農の土地が殘ることになるのであります、地主が其の土地を取上げる權利が地主に出來て來ることになり、一町歩殘つた土地は、當然地主が耕作すべき土地だと云ふ結論になるのであります、さう云ふ一つの矛盾がありますが、之をどう云ふやうに御考へになつて居るか、兎に角耕作の途が食違つて來ると思ひますが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=140
-
141・和田博雄
○和田國務大臣 私は其の點は必ずしもさうもならぬと思ふのであります、小作人が買ひたくないと云ふのは、どう云ふ意味で買ひたくないのか、能く話せば分ることもあると思ひますが、現在の小作人は土地に對しまする愛著と云ふものも相當強いのでありまして、それ等の點から言つて、必ずしも全部が買はない、而も隋農だけが買はずに殘ると云ふ結論を下すには、私は少し早いのではないかと思ふのであります、此の點は實際上に當つて見まして、能く話してやらなければならぬと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=141
-
142・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 是れ以上は議論になりますから──實は此の間私家へ歸りましたら、私の村の村長が斯う云ふことを言ふのです、村長に當選した爲に──是は去年當選したのでありますが、殊に戰時中の村長は隨分忙しいのでありまして、百姓を廢めて小作人の方に一時預けて置いた、所が其の實權が小作人に行くことになりまして、自分は村長をやつた爲に、祖先傳來の土地を失ふことになる、さう云ふ考へ方を其の村長がして居る譯です、さう云ふものまでも政府が買上げるのは少し行過ぎはしないか、斯う云ふ問題があるのです、それから又税務署へ勤めたとか、縣廳の役人になるとか、さう云ふことを頻りに言つて居るのでありますが、さう云ふ者にまで買收の範圍を擴めて行くと云ふことは、實情に副はぬのではないか、もう一つは又小作に賣渡の權利を認めると云ふ先程の御話だつたけれども實際は小作人がじょーやから或る一定の土地を下して貰つて居る、併しながら自分の子供が小さいとか、或は自分の家内が死んだとか云ふことで、一時的に又小作者との間に一種の契約を結んで居ることがある、それは文章にはなつて居らぬが、古來からさう云ふことが一つの慣習となつて居る、自分の子の大きくなるまで一つ頼むぞい、分つたと云ふのです、一時的なさう云ふ慣習がある、又地主にしても、今まで二町歩作つて居つた、併しながら色々變動があつた爲に、其の二町歩を一町歩に減して、一時小作に預けて置いたと云ふやうな特殊な條件がある、今の計畫で言ふと、それまで政府は買收の範圍を御擴めになるらしいのであります、是は實際の慣習を無視したことで、さう云ふ土地取上と云ふものをなさるならば、人情上致し方がないし、又別に何等の不平もない、併しながらさう云ふことでなしに、地主の要望も從來の土地は持ちたいと云ふのを、適正農家と云ふことでないにも拘らず、條件を付けて居らぬにも拘らず、土地を取上げる、是は斷然排除すべきです、併しながらさう云ふ特殊の場合は認めると云ふことを御設定になる御意思があるかどうか、之を一つ御聽きしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=142
-
143・山添利作
○山添政府委員 特殊の場合は特殊の場合として取扱ふのでありまして、最初の御話の村長をやつて居つたと云ふ場合は、第五條の六號に依りまして、賃貸借をし、貸して居つた、是は一時貸して居つたやうに扱ふのでございまして、直ちにそれを以て一町歩で嚴格に制限をすると云ふことはございませぬ、元耕作をして居た範圍までは認められるのであります、又小作の場合に付きましても、私が先程現に耕作をして居る人と申しましたのは、原則を申したのでありまして、それが明かに賃貸借をして居つた一時的なものであると云ふ特別な場合に於きましては、其の本當の權利者なる者は、所謂賃借權を持つて居る人、小作權を持つて居る人と云ふ風になる譯であります、之に付きましても、慥か第十六條でございますか、さう云ふ風な範圍を命令で定めると云ふことで規定するやうになつて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=143
-
144・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 もう一つ御尋ねしたいのですが、各府縣に於て區域を定めて保有限度を決めると云ふのでありますが、其の限度を決める基準になるものは、土地の收穫と云ふものを中心とするのでありますか、或は耕作が非常に易いとかどうとか云ふものを基本としてやるのか、簡單に言ふならば、一段歩の田が何十町となく續いて居る平野の面積と、それから山間部の小さい畑が段々にある所と、それをどう云ふ風な方法で區別されますか、其の根據を御聽きしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=144
-
145・和田博雄
○和田國務大臣 御答へ致します、平均一町歩と決める基準でありますが、是は地方農地委員會で各府縣別に決める譯であります、其の各府縣別に決めます時には、色々な基準と云ふものが考へられるのであります、例へば其の各府縣に於きまする小作地の面積と、小作人の割合でありますとか、或は農地と農家人口の割合でありますとか、或は土地其のものの生産力でありまするとか、恐らくさう云つた各種の三つか四つばかりの條件が考へられると思ふのであります、さう云ふ各面から見まして、是等のものをどの比例で、點數で言へば、例へば農家人口と耕地の割合は何點と見るか、之をどの「ウェート」で見るかと云ふことに依りまして決定されるものと思ひます、是は地方農地委員會に於て決定するのでありまして、私共としましては、さう云つたやうな現在の五町歩の保有面積を決めました時に決めたやうな標準で決めますか、或は又そこに新しい「アイディア」がありますれば、十分に意見を聽きまして決めたい、斯う思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=145
-
146・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 其の決め方に付きまして、先づ各府縣に對して保有限度を決めて、あとを府縣に於て決めて、其の平均が曩に中央に於て指定したやうになると云ふことになれば、實際取扱上各府縣毎に一本なら問題はないのですが、それを幾つかに分ける時に、其に決める限度と云ふものは非常な問題になると思ふ、だから私は各府縣の内情を先づ聽いて、さうして府縣を幾つかに分ける方が宜いかどうかと云ふことを地方の農地委員會に聽いて、さうしてそれを基本として中央に於て御決定になる時に、假に福井縣ならば三つにするとか、或は愛知縣ならば四つにすると云ふやうに分けて、さうして其の地方々々の最高段別を御決めになつた方が却て滑らかに行くのではないかと思ふが、それを分けて平均にすると云ふことに付て、どうも手續上却て矛盾になりはせぬかと思ふが、どうでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=146
-
147・和田博雄
○和田國務大臣 全國平均一町歩になるやうに各府縣に割當てる譯であります、例へば香川は五段なら五段、東北の青森は一町五段が二町になるかも知れませぬが、さう云ふ風に各府縣別に全國平均一町歩となるやうに、各府縣の最高の保有面積と云ふものが決まつて來る、それを地方の農地委員會で決める、其の決まつた限度に於て、縣に於ては地方長官が必要と認めた時に、其の縣内の事情に應じて二つ以上の區域に分けて、其の平均面積が其の府縣にに割當てられました限度になりまするやうに、府縣の事情に即して決めて行く、斯う云ふことになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=147
-
148・森幸太郎
○森(幸)委員 さつき北さんの御話に對する、農政局長の御答辯が少し私にははつきりしないと思ふのでありますが、自作三町歩と云ふことが一時發表されて、二町歩自作する者は、あと一町歩だけは小作地を許す、或は一町歩自作する者は、外に一町歩の小作地を認める、斯う云ふ風になつて、三町歩自作する者はそれ以上の土地所有を認めない、斯う云ふ原則になつて居つた、それが先程大臣の御説明にもありました通り、三町歩以上の自作は自家勞力に依つてやるのだから、是が三町歩を増加して四町歩、五町歩になつても、それは除外例として認められるやうになつた、斯う云ふ風に承つたのですが、新聞にも、自作は制限がない、斯う發表されたことがありましたが、さうするとどうも第三條に「前項第二號又は第三號に規定する都府縣別の面積」が「概ね一町歩」それから「同項第三號に規定するものにあつては概ね三町歩になるやうに、これを定めなければならない。」、斯う云ふことが謳つてある、さうすると、當初の向ふの指令では、三町歩より超えてはいけない、斯ふ云ふことになつて居つたのが、自作すれば四町歩でも五町歩でも、六町歩でも七町歩でも行ける、斯う云ふ風に解釋して宜いのでありますか、それは自作させて、良いものはやらせ、惡いものはいけない、斯う云ふ點をはつきり御説明を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=148
-
149・和田博雄
○和田國務大臣 經營と土地保有とはやはり分けて考へて戴きたい、自作地と云ふものは、現在自分で自分の土地を經營して居る、現状で押へる譯ですから、此の法律が施行される時に、現在實際上自家勞力で四町歩なら四町歩經營して居る、斯う云ふものに付ては、わざわざ三町歩で切つて、あと一町歩買上げると云ふことは全然しない、原則として經營の面には觸れない、斯う云ふ意味です、併し自作の中でも、事實上生産力もちつとも擧つて居らず、業務が適正でないものが日本にはある譯です、さう云ふやうなものは一應三町歩と云ふ所で切つて、それ以上の所は土地解放の方で出させよう、斯う云ふ譯です、それから保有面積の方は、平均一町歩持てる譯ですから、假に二町歩なら二町歩自作して居る地主が、今假に外に三町歩なら三町歩小作に出して居る場合、二町歩「プラス」一町歩、それで三町歩、二町五段自分で耕して居る場合は、一應經營の面積を三町歩と限つて、さうして小作地として出せる面積は五段しかない、斯ふ云ふことになるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=149
-
150・森幸太郎
○森(幸)委員 さうしますと、三町歩以上──四町歩現在自作して居る者は、もう小作地は持てないことになる譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=150
-
151・和田博雄
○和田國務大臣 さう云ふ譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=151
-
152・細野三千雄
○細野委員 私は字句だけなのですが、第三條中に「第五條第七號に規定する農地で命令で定めるもの」とありますが、此の命令はどう云ふ内容の命令を御出しになる御構想であるか
次に「都道府縣農地委員會又は市町村農地委員會が、命令の定めるところにより」の命令の内容を御伺ひしたい
第三に、第一號の「自作農でその者の營む耕作の業務が適正でないもの」の認定權は、都道府縣農地委員會又は市町村農地委員會兩方が持つて居るやうに見えますが、此の兩方の認定權の關係を御伺ひしたいと思ひます
第四番目に第二號に「請負その他の契約」とありますが「その他の契約」とはどう云ふ風な契約を想像して居りますか、之を御伺ひしたい
第五點は、三號と四號の兩方にありまする「法人その他の團體」、是は例へば神社とか、お寺と云ふ風なもの、或は大字、部落などは之に入りますかどうか、團體と云ふことの説明を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=152
-
153・山添利作
○山添政府委員 初めの二行目の「命令で定めるもの」と云ふのは、後の方にございます第五條の七號の、要するに價値の非常に乏しい土地、燒畑、切替畑或は荒廢地、斯う云ふやうなものを擧げますし、同時に又是等に類するやうな價値の乏しい土地が第五條七號の命令で出る譯でありまして、さう云ふものの中で、此の保有面積の中に算入しないことを適當と市町村の農地委員會が認めたもの、さう云ふものは入れないと書く積りで居ります、繰返して言ひますが、謂はば註釋規定のやうなものでありまして、價値のないものを入れないと云ふのであります
それから四行目の「命令の定めるところにより」と云ふのは、只今御述べになりましたやうに、どちらの農地委員會でも認定が出來ると云ふことを規定する積りであります、同時に此の耕作の規模が適當でないもの、斯う云ふことも明瞭にする必要がございますから、さう云ふことの内容も同じく規定致したい考へであります、それからどつちでもやれることは一體どうなるのかと云ふことでございますが、是は實際の運用と致しまして、此處に非常に大きな農場があり、市町村農地委員會では手に負へぬと云ふやうな場合もあるのです、さう云ふやうな場合に於きましても、都道府縣の農地委員會に於て決定すると云ふことであります
それから社寺等は法人であると思ひます、何れに致しましても、此の法人其の他の團體の所有地と云ふ中に含めて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=153
-
154・細野三千雄
○細野委員 もう一つ部落農地と、二號の「その他の契約」と云ふのを…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=154
-
155・山添利作
○山添政府委員 「その他の契約」に付きましては、共同耕作と云ふやうな形を執る場合を考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=155
-
156・細野三千雄
○細野委員 それで結構であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=156
-
157・葉梨新五郎
○葉梨委員長 此の際一寸御相談致したいと思ひます、此の條文の中で各所に「命令で定める」、「命令で定める」と非常に多いのであります、是は先程から私も感じて居つたのでありますが、之を一々政府から解釋を聽かなければ、實際の場合の適用が分らぬことになるのでありますが、是は條文全體を通じて、何條の何項に於ける命令と云ふ時は斯う云ふ場合と云ふやうな風に整理をして、明日の委員會までに提出して貰ふことにしては如何ですか
〔「贊成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=157
-
158・和田博雄
○和田國務大臣 參考書類として最初に出してある筈であります、なければ差上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=158
-
159・葉梨新五郎
○葉梨委員長 私の手許には一枚拔けて居つたのです──分りました、それでは只今の事項は、來て居るさうでありますから、御手許にない方は御請求願ふやうにしたら如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=159
-
160・大澤喜代一
○大澤委員 一寸御伺ひしますが、假に斯う云ふ場合はどうなるでせうか、私が十町歩の地主だとします、さうすると結局在村地主だから九町歩だけを國家の方に賣つて、一町歩保有出來る、所で此の十町歩の中どの一町歩を殘してどの九町歩を賣るかと云ふ問題、是はどう云ふ方法で決定することになりますか、例へば村に十町歩持つて居つて、其の十町歩の中で九町歩は收穫率の良くない田だ、一町歩は非常に良い田だとなれば、其の一町歩を殘したいと云ふ要求が起る譯ですが、さう云ふやうなことは何處で決定するのですか、農地委員會で決定するのですか、十町歩の中どの九町歩を國家に賣ると云ふ、詰り場所ですね、其の決定は何處で決めて、又どう云ふ方法でやるのか、それはどう云ふ譯かと云ふと、此の法案が發表されましてから、自分が詰り地主の保有土地に該當する小作人になりたくない爲に、農村ではもう非常に猛烈な競爭が始まつて居る、是非自分は小作にしないで、自分を賣るやうな土地の方に廻して貰ひたい、さう云ふので地主に對して澤山物を持つて行つたり、米を持つて行つたり、農民間の競爭が猛烈である、ですから此の場合に其の一町歩を決定する機關は何か、さうして其の基準は何か、此の點どう云ふ風に御考へになつて居るか、現實の問題として大きい問題だと思ひます、だから我々は一つそ一町歩を殘さなければ宜いと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=160
-
161・山添利作
○山添政府委員 前の調整法に於きましては、どう云ふ土地を殘すかと云ふことは、地主の選擇があつた譯でありますが、今囘は地主に選擇權はございませぬ、農地委員會が決める譯であります然らば農地委員會はどう云ふ標準で決めるか、是は具體的なことでありますから、色々なことがあらうと思ひますが、法律に書いてございます事柄は、第一今も御述べになりましたやうに、色々小作人が競爭すると云ふこともありませう、多くの小作者に土地の買收の機會を公正ならしむると云ふことを參酌して居り、又創設される自作農が立つか立たぬか、適當な割合に於て買ひ得るやうに、持ち得るやうにと云ふことを斟酌して決めると云ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=161
-
162・大澤喜代一
○大澤委員 今の問題、それは容易な問題ではないと思ひますが、細かいことは何れ後の機會に御伺ひします
今一つ、委員會以來非常に問題になつて居る買取を欲しない小作人の耕作權の問題であります、先程大臣は、買取を欲する小作人と土地の交換分合をすると云ふことを申されて居りますが、結局買取を欲しない小作人もあり得ると思ふ、是は希望するとしないとに拘らず──さうすると結論は、其の買取を欲しない小作人は他の土地と交換もしたくない、長い間自分は小作をして居るのだから、飽くまで自分は此の耕作權でやつて行きたいと云ふことをはつきり意思表示した場合、是はどう云ふ風に其の耕作權を取扱ふ積りですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=162
-
163・和田博雄
○和田國務大臣 是はさう云ふ場合もあると思ひます、併し實際上それに付ては色々なことが私考へられると思ふのでありまして、其の儘其の小作人に耕作させて置くと云ふことが大體の方針でありますが、其の場合には、是はどうしても農地委員會が管理するか、實行組合か農地委員會かどつちかと思ひますが、結局小作人が其の土地を買ひたくないと云ふことでありますれば、それは其の儘耕作させて置くことになる譯であります、併し之を例へば村なら村の耕作と云ふ點から大きく考へました時には、或は其の小作人の土地に付て交換分合を實際上無理でも行つて、經營の面積が少くとも、勞力の點から云つて無駄のないやうにすると云ふことが、村として宜いのでないかと云ふことが起つて來る譯であります、其の際はやはり賣渡を受けた農業會であるとか、實行組合であるとかの運用に掛る所があると思ひまするが、差當つては是は其の小作人なり、自作人なりに管理した主體が耕作させて置く、斯う云ふことになると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=163
-
164・葉梨新五郎
○葉梨委員長 大澤君宜しうございますか──麻生君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=164
-
165・麻生正藏
○麻生委員 先程の大澤委員の質問に對する御答辯は、一町歩以上所有する地主の土地に對しては委員會が選擇權を持つと云つたやうな御答辯でありましたが、其の場合假に一町歩しか持つて居ない地主には大體其の儘殘つて行くが、假に三町歩なり五町なり持つて居る場合には、其の委員會に選擇されて、あとに殘つた自分の一町歩と云ふのはどちらかと云へば惡いものだ、こんなことになると非常に其の間に不公平なことが起りはせぬか、其の點に付ての御考へはどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=165
-
166・和田博雄
○和田國務大臣 是は實際買收計畫を立てる時に、どう云ふ條件を勘案するかと云ふことに掛つて居る譯であります、是は場合に依りましては御話のやうなことが論理的には考へられまするが、結局農地委員會が買收計畫を立てるに付ては何處までも小作人に均等な機會を與へて行くことと、それから田畑等の面積に、經營の面から云つて適當な斟酌を加へること、それから小作人の方の希望とか云ふものを勘案して決める譯でありまして、農地委員會が出來るだけさう云ふ點を公正にやることを我々は期待して居る譯であります、是は理窟として考へますれば、あなたの仰しやつたやうな結果も起り得ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=166
-
167・麻生正藏
○麻生委員 只今の、結果として起ると云ふことでは甚だ困る、私は寧ろ結果として起ることがあると云ふよりも、さう云ふものが、各所に起るのではないかと思ひます、さうなると是は甚だ不公平なことになりはしないかと思ひますが、何かそこに農地委員會の裁量する基準を立てて置きませぬと、非常に不公平と紊亂が起ると私は考へます、是は後の條項で質問する積りで居りましたが、農地委員會で買收計畫を立てました際に、例へば地主の方から云へば、自分の所の良い田圃だけ買收計畫に入れてしまつて、惡い田圃だけ殘る、是では困ることになる、甲の者はさう云ふ風になつて、乙の者は非常に宜い工合になると云ふことが起つて來て、是は紛爭を招く因と思ふ、私は必ず其の場合に異議の申立が出て來るに違ひないと思ふだから斯う云ふことは豫め基準を立てまして、或はさう云ふ場合には半分はどうする、三分の一はどうする、或は賃貸價格を以て斯う云ふやうに抑へると云ふ基準を御立てになつて置かぬと、實際問題として農地委員會が甚だ扱ひにくいものになりはせぬかと思ふのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=167
-
168・葉梨新五郎
○葉梨委員長 農地委員會に色々認定權を與へるやうでありますが、それに對する基準が政府にあるのではありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=168
-
169・和田博雄
○和田國務大臣 其の點は、農地委員會には地主の方と小作の方と同數で出て居りまして、村の事情に詳しい人がやる譯でありますから、私は或る程度の抽象的な基準は立て得られるだらうと思ひますけれども、惡い土地ばかりが殘るとか、逆に良い土地ばかりが殘ると云ふやうな極端な事柄は、觀念の上では考へられても、實際問題としては逆ではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=169
-
170・葉梨新五郎
○葉梨委員長 麻生委員の御質問は、委員會から憎まれた地主は非常に惡い土地を與へられる場合があり、好感を持たれて居る地主は良い土地が比較的與へられる場合があると云ふ、感情等に支配されることがあることを惧れての御質問ではありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=170
-
171・麻生正藏
○麻生委員 それもありますけれども、今買收計畫が立てられ、一方賣渡計畫が立てられ、良い地面は小作人の要求があれば渡すことになつて、良い地面だけが取られ、後に殘る惡い土地だけを地主に持たし易くなるさう云ふことになると、そこにどうも不正な問題が起ると思ふ、考へられるどころではない、實際に必ず起ると思ふ、之に對して何等かやはり基準を定めて置きませぬと、以前のやうに地主に選擇權があるのだとなれば差支へありませぬが、委員會が選擇權を持つと云ふことになれば、一町歩の土地を持つ者と一町歩以上持つ者との間に不均衡の問題が起る発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=171
-
172・葉梨新五郎
○葉梨委員長 地主の所有し得る一町歩と云ふのは買收されない土地ですから、此の土地に選擇と云ふことはされない、自分の所有權に殘るものは初めから決まつて居るのではありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=172
-
173・麻生正藏
○麻生委員 それが農林當局の御答辯に依りますると、一町歩を殘すまでの選擇權は農地委員會が持つのだ、斯う云ふ話でありますから、一町歩殘すものだけは所有者が選擇權を持つて居る、それなら問題はない、それは前の規定であつて、今度はさう云ふのではない、其の選擇權は委員會が持つのだと云ふことになりますから、一町歩を保有するまでの選擇權に對して委員會が權限を持つ、斯う云ふ形になる発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=173
-
174・葉梨新五郎
○葉梨委員長 保有地に對する選擇權までを委員會が持つことになると基準が難かしいと仰しやるのですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=174
-
175・麻生正藏
○麻生委員 さうです、一町歩まで持つて居る者は選擇權があるが、一町歩以上持つて居る者は選擇權を許されない発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=175
-
176・和田博雄
○和田國務大臣 現在小作人は小作人として、生産力の良い土地、惡い土地と云ふものがありませうけれども、逆に心配しますれば、良い土地ばかり地主に殘つて惡い土地ばかり賣出されると云ふことも考へられる譯であります、さう云ふ地味的の關係もあり、土地其のものの關係もある譯であります、誰もが耕して居つて、土地が空いて居る譯ではない、現實に土地が與へられて居る譯でありますから、是はやはり村の中で土地の分配をする際、斯う云ふやうにやつて行くと云ふ建前、一つの基準が出て參ると思ふ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=176
-
177・麻生正藏
○麻生委員 どうも今の御説明では實際問題の解決は出來ぬと思ふ、是れ以上言ひましても何でありますから、要するに是は委員會に於て、さう云ふ場合には他の所有者のものと睨み合はせて公正なる、詰り小作者も困らぬやうに、保有する地主も困らぬやうに、公正なる立場で處する、さう云ふ考へ方でないと問題になると思ひますから、さう云ふ指導方針でやつて戴きたい、さうしませぬと、選擇權が委員會にあると云ふことになりますと、可なり紛爭を起すと思ひますから──選擇權があれば選擇權は公正なものでなければならぬ、さう云ふ考へ方で進むより仕樣がない発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=177
-
178・大澤喜代一
○大澤委員 一寸關聯してもう一囘突込んで置きたい、是は今度の案の重大な癌になると思ふ、地主さんの立場からでは今の如くだが、小作人の立場から言ふとうんと深刻です、十町歩を十人の小作人に分ける場合に、十人の小作人が皆土地が欲しいと假定する、十町歩を十人の小作で耕す場合に、一町を引くと九人だけ土地が與へられて、一人だけが與へられない結果になる、斯う云ふ豫想が出來る、最後の一町歩に當つた小作人の立場と云ふものは非常な悲慘なものだと我々は思ふ、斯う云ふ人も他の九人の仲間と一緒になりたいけれども、政府が一町歩だけ自作を殘すことになる爲に癌となる、其の癌の爲に小作人が迷惑する、是は大きな問題である、先程和田さんの御話を聽くと、均等な機會で小作が皆なくなると云ふことを豫想して居るのではないか、結局此の一人の小作人にだけは充がはないで、此の十町歩を他の九人に一町歩づつ平均にやつて、皆一町歩づつの自作と云ふやうな手段を執る、斯う云ふ風な方法であれば、十人が一町歩づづ作つても、一人は皆小作する譯だから、茲に十人の自、小作が出來る、さうすると如何にも是は一人だけが小作になつて、九人が皆自作になると云ふので、均等な機會が與へられたと云ふことで、是が公正な解決だと考へて居るのではないのですか、是は返答如何に依つては重大な問題です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=178
-
179・和田博雄
○和田國務大臣 その通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=179
-
180・大澤喜代一
○大澤委員 だから問題であります、さうすると假に六十萬町歩殘ると、和田さんは、約小作人が六十萬人か七十萬人位しか殘らぬと云ふことを外國の記者にも發表して居るが、今の發表で行くと、極端に言へば、一町歩十人の小作人が出來る、さうすると六百萬人の小作人が殘ることにもなる発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=180
-
181・和田博雄
○和田國務大臣 それは平均と云ふことを言つて居る譯ではないのでありまして、或るものに付ては、是は全部何することには參りませぬし、其の十人が全部平均しなくても宜いのであります、其の小作人の經營面積其の他の事情に應じて、そこは決めて行けば宜い譯であります、それは皆が皆平均になれば惡平等になりますから、さう云ふことは考へて居る譯ではないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=181
-
182・大澤喜代一
○大澤委員 是は少くとも今假定した所で言ふと、一町歩づつ小作人に渡るのではありませぬか、地主の保有一町歩を認めると云ふと、それを一町歩として少くとも四、五百萬の小作人は殘ると云ふことはあり得る譯ですね、さうすると少くとも今度六十萬町歩の小作地が殘ると、百四十萬人位の小作人が殘ると云ふことは言へると思ひます、故に是は問題であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=182
-
183・葉梨新五郎
○葉梨委員長 併し買はない人もありますから、そこを議論すると討論でなければ仕方がなくなります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=183
-
184・北政清
○北(政)委員 そこで一寸問ひ忘れて居つたのでありますが、茲に法人若しくは團體の所有する小作地の問題がありますが、逆に法人が借りて居る、實例で申しますと、北海道では昭和十五年から終戰までに水田四萬町歩、畑二十萬町歩が荒れた譯です、此の荒廢になつた土地を實は炭礦若しくは日通で借りて居る、食糧事情の爲に其の荒れた部分を借りまして耕作して居る譯です、五箇年の鍬下である、斯う云ふものには一體持たすか持たさぬか、持たさぬとした場合には、五箇年の鍬下の權利の金を拂つて呉れるか呉れぬのか、誰が金を拂つて呉れるか、斯う云ふ問題であります
それから先程からの問題も、どうも農地委員會が土地の授受の選定を勝手にすると云ふのに、北海道は今五町歩の土地ですが、此の一町歩を農地委員會がどう切るか、彼處でも此處でも寄越せと言はれると、重大な問題が起ると思ふ、やはり是は地主の選擇に任すべきではないか、五町歩の土地の中の一町歩を何處を取るかと云ふことは、農地委員會は手を著けられない、さうしなければ分筆もしなければ登記もしない、どう云ふ方法で強制徴收をおやりになるか、此の問題が一つ、もう一つは、小作人の適當でない者に對しては土地を賣らない、そこで其の場合に於て此の人間が土地を改良し暗渠排水もやつた、客土もやつた、其の權利も沒收されてしまふのであるかどうか、そこに附隨する其の人の住宅、是も沒收して追拂ふのであるか、若し動かぬ時はどうして追拂ふか、此の點を質して置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=184
-
185・和田博雄
○和田國務大臣 鉱害地の問題は中々厄介でありまして、常習被害地のやうな所は自作農を創設するに不適當な土地でありますので、何か別の管理方法を講じようと思つて居ります
それから北海道の四町歩の問題は平均四町歩で、是は北海道の内部で二つ以上に區域を分けて、少い所もあり多い所もありますから、そこは實情に適するやうにやつて行きたい、斯う云ふ譯であります
それから最後の點は耕作に適しないもの、是は國が買ひたくないものです、又耕作に適しないと云つても、それは何も追拂ふ譯ではないのでありまして、一應は小作をさす譯であります、例へば疎開者が其處に來て居る、さう云ふ人は農業者としては適當ではないかも知れませぬが、さう云つたやうな土地が假に買收計畫の中に入つて買上げるとなれば、一應やはりさう云ふ人達に小作をさせて行く、併し將來小作契約の期間なんかが來て、どうせ小作契約ですから小作期間がある譯でありますが、さう云ふ小作契約期間が滿了した時に、さう云つた人達が他へ移るやうな事情があります場合は、斯うした所は作離れをする、若しも作離れします時には適當な方法で解決させる譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=185
-
186・葉梨新五郎
○葉梨委員長 法人が借地して居ると云ふ場合はどう云ふ御解釋ですか、法人や其の他の團體が借地して居ると云ふ北君の質問に對して答辯が拔けたやうでありますが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=186
-
187・北政清
○北(政)委員 實は荒廢した土地を去年から拓いて作つて居る、それは奇麗にした譯です、日通の勞働者の爲に耕作して居る所は今はもう立派な土地になつた譯です、荒地を拓いた、其の代り五箇年の鍬下權を持つて居る、そこでそれは適しないものと思つて持たされないか、さう云ふものでも持たすか、持たされない場合には、五箇年の鍬下權利金に付ては政府は拂つて呉れるか、其の所謂開墾料が要る譯です
それと同じ譯で、今の耕作に適しないと農地委員會が認めれば、之を讓り渡すべしと決定する外はない、此の人は親の代から居つたが、親は非常に眞面目で、土地改良をやつた、所が息子は怠け者で碌すつぽやらない、之に任すと荒れてしまふからと云ふ場合も多いと思ふ、其の場合に其の建物も附いて居るならば、それは他の者に讓る外はない、此の場合にどうするか、之を出すならば行先を決めてやる、又其の建物も買收してやる、今までは暗渠排水をやつたり、税金を拂つたり、土地代も拂つて居る、之を小作人に拂はすことが出來るか、どうも其の全體を見て小作者に拂ふ途がない、さうすると本當に耕作權と云ふものは蹂躙されてしまふ、それでは我慢すると云つて放つて置けば、さうしたものは誰も構はないで遊ばして置く、斯うなつてしまふ、それで宜いであらうか、是は同一土地を所有するかせぬかと云ふことに分れて來る、重大な問題になりますので、甚だ諄いやうでありますが、御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=187
-
188・山添利作
○山添政府委員 第一に鍬下權利を持つて居る者の話でありますが、是は私は、極く最近に拓きました土地ならば、國と致しましてはさう云ふものを買はない場合が一般だと思ひまするが、假りにそれを買ふと致しましても、今御話の點をどうするか、是は地價の中にさう云ふものを含めて考へ得るのでありまして、土地の價格としては、適正な開墾費等を考慮した價格と致しましての農地價格と云ふやうなものが考へ得る譯です、即ちそれが元山林原野であつたと云へば、其の山林原野自體の四十八倍と云ふのではなくして、別の考へ方をされますから、さう云ふ問題の中に解消をすると思ひます
それから其の小作者に對して土地を賣らない場合に於きましても、原則的には其の儘小作關係を繼續して居る譯であります、何等か都合が付いて其の人も他に移り得ると云ふ場合に、其の人が投じました費用と云ふものは當然國として償還すべきものであります、是は民法にも書いてあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=188
-
189・北政清
○北(政)委員 鍬下のことで申上げたのでありますが、水田地の荒れたものでありますから、賃貸價格は水田で付いて居るのであります、荒れたからと云つて荒廢地として處分されて居ないものです、是は拓殖銀行の土地などに澤山あるが、取扱なども別に之を荒廢地として免税されて居ると云ふことはないのであります、そこで賃貸價格が決まると、寧ろ高い價格が決まる、一方耕作者は五箇年の鍬下でやつた、去年と今年で拓いて居る譯であります、是は四萬町歩ばかりありますが、四萬町歩が皆さうなつて居るのではない、折角開墾した努力を只抛棄してしまふのか、地主からやると言つた所が、地主が呉れなければ一體どうするか、政府がそれを先に取つて渡すのか、渡さぬのか、さうすると此の評價は誰がするのか、此の間から小作權の問題でも申上げたのでありますが、北海道としては相當廣汎な面積に付て是があるのであります、北海道は御承知の通り華族さんに無理に持たせてやらした關係で、大地主が安い小作料で權利金を拂つて居るのであるが、是が皆ふいになるのではないかと云ふ懸念を持つて居るのでありますから、其の點を能く承つて置きたいのであります、事業場とか炭礦とか斯う云ふ今土地を借りて作つて居るものは持てるか持てぬかはつきりして貰ひたい、今の荒地を拓いてやつて居るものは完全に小作人である、さう云ふ團體に持たせるか持たせないかを御伺ひ致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=189
-
190・山添利作
○山添政府委員 どうもはつきりしない點がございますが、例へば北海道の銀行が土地を持つて居た、本來田であつたが荒れてしまつた、隨てそれを借りて居る小作人が相當費用や色々のものを投じて良い田にした、それを小作人が今度買ふ譯です、買ふ場合に於きまして小作人が國から買ふ場合には、小作人の立場から考へますと、安い賃貸價格で元の自分の所へ來るのですから問題ありませぬ、唯其の小作人に賣らないで、他の人にそれが行く場合が若しありますれば、之をどうするかと云ふ問題でありまするが、其の場合に其の人の投じた費用を誰も見てやらぬと云ふ譯には行かないのであります、其の人に賣らずに、他の人に賣ることは先づ先づないと思ひますが、假にさう云ふ場合がありとすれば、それに對する適當なる補償をすべきことは言ふまでもないと思ひます、後の場合はどう云ふことを御述べになつたかはつきり致しませぬが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=190
-
191・北政清
○北(政)委員 實は食糧不足の關係上、食糧増産を極力奬めた譯です、各事業場や炭礦の從業員の爲に荒れた土地を借りて作つた、是は多く法人にある、法人には寧ろ土地を持つて居るのを取らうと云ふ此の規則であるから、折角去年から拓いて今年も現在作つて居るのだが、それが取られてしまふ懸念がある、炭礦事業場のは今度は自作農にさせると云ふ御考へであるかどうか、それが出來るか出來ぬか、法人の土地は當然取られると云ふやうになつて居るが、さうすると是は各炭礦でも大きな響きになると思ふ、廣い所は百町近くも作つて居る土地があると思ひます、私共は二十町も作つて居りますから、是は取られてしまひましたから、今まで拓いた賃銀にも當らない、それは困る譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=191
-
192・山添利作
○山添政府委員 法人の場合に於きましても、原則として總て國が買收してしまふと云ふことはないのでありまして、法人自體が農業を目的とし、且つ優秀なる經營をやつて居る場合には、勿論殘りますし、又其の他の場合に於きましても、其の法人のやつて居りまする業務に必須の關係があると云ふ場合も殘る譯でありますが、又今御述べになりましたやうな、自分が開墾をしたやうな場合に於きましても、是は其の地方の状況に應じて措置をするものと考へます、誤解のないやうに申上げて置きたいことは、今の場合とは別に法人の土地所有を考へます場合に、戰爭中軍需會社等で買ひました農地で農民の手に返すべきものが大部分ある譯であります、是は嚴重に元の手に返すやうに措置をしたいと考へて居るのであります、此の點ははつきりさせて置きたいと思ひますが、其の他の場合に於きましては、原則的に必ずしも規定すると云ふことはございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=192
-
193・葉梨新五郎
○葉梨委員長 北君の御質疑は、法人が借地人である場合に其の法人の借地を認めるのか、斯う云ふ點でありませう、法人其の他の團體が借地人である場合、其處に重點があるやうに先程から聽いて居りますが、其の點の政府の答辯を要求する譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=193
-
194・山添利作
○山添政府委員 借地をして相變らず農業を續けて行くと云ふ場合もあり得る譯であります、それで其の借地を政府が買收して其の法人に賣るかと云へば、是はそれ程の勞を取ることはございませぬ、現實にはさう云ふことはないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=194
-
195・北政清
○北(政)委員 法人が皆借りて作つて居るのです、日本通運とか、炭礦とか、人造石油會社とか、皆到る處で借りてやつて居ります、法人が地主でなくて、法人が小作人になつて居る、此のものには賣らぬとなれば取上げられるのだから、そこで今の鍬下其の他に對する償金は御拂ひになるか、斯う云ふことです、今まで食糧自給が盛んに奬勵されたのです、食物を作られなければ嘘だと云ふので今年もやつた、折角荒廢地を拓いてやつて居る譯ですが、それは認められるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=195
-
196・葉梨新五郎
○葉梨委員長 どうですか、それは今日御答辯戴けなければ研究なすつて明日でも御返事なすつたら…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=196
-
197・和田博雄
○和田國務大臣 それでは事情を伺つて參りませう、簡單にはいきませぬから…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=197
-
198・北政清
○北(政)委員 例へば青年會がやつて居るとか、處女會がやつて居るとか云ふものが全國各地にあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=198
-
199・和田博雄
○和田國務大臣 原則としてさう云ふものに自作農を創定すると云ふことはないことははつきりして居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=199
-
200・葉梨新五郎
○葉梨委員長 此の問題は政府に考究して貰ひませう、法人若しくは團體が自作農になると云ふことはをかしな話ですから、と云つて、現實に法人若しくは團體が作つて居る土地が全國にあるのでありますから、之に對する措置を明かにするやうに研究をして政府から答辯を得、さうして委員會に於ても解釋を決めると云ふことにして、本日は此の程度で如何がでございますか──それでは明日午前十時より續行することに致しまして本日は此の程度で散會致します
午後五時九分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01019460925&spkNum=200
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。