1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
自作農創設特別措置法案(政府提出)
農地調整法の一部を改正する法律案(政府提出)
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昭和二十一年九月二十六日(木曜日)午前十時三十分開議
出席委員
委員長 葉梨新五郎君
理事 小川原政信君 理事 上林山榮吉君
理事 飯島祐之君 理事 山口光一郎君
理事 細野三千雄君 理事 富吉榮二君
理事 藤本虎喜君 理事 井出一太郎君
理事 菊池豐君
磯崎貞序君 古賀太郎君
田邊讓君 森田豐壽君
杉田一郎君 松浦薫君
青木清左ヱ門君 江川爲信君
小笹耕作君 太田秋之助君
寺島隆太郎君 吉澤仁太郎君
井伊誠一君 大澤喜代一君
高倉輝君 松澤一君
堂森芳夫君 平野市太郎君
麻生正藏君 橋本二郎君
松本六太郎君 増井慶太郎君
北政清君 山木武夫君
九月二十六日委員白木一平君、佐伯忠義君及び玉井潤次君辭任に付其の補闕として松岡運君、荒木武行君及び松澤一君を議長に於て選定した
出席國務大臣
農林大臣 和田博雄君
出席政府委員
北海道廳長官 増田甲子七君
農林事務官 山添利作君
農林事務官 笹山茂太郎君
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本日の會議に付した議案
自作農創設特別措置法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=0
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001・葉梨新五郎
○葉梨委員長 是より會議を開きます、前會に引續き逐條審議を續行致します、昨日は第三條の審議を行つたのでありますが、第三條の審議中、第五頁の一行目、「法人其の他の團體の所有する小作地」と云ふ點に至りまして、北政清君から此の反對の理由、即ち法人其の他の團體が借地して居る場合に對する政府の見解を求め、政府は此の見解を協議の後答辯すると云ふことになつて散會してあるのでありますが、ここから進めたいと思ひます、政府は昨日保留になつて居りまする、法人其の他の團體が賃借して居る、詰り借地して居る場合に對する解釋が一致しましたならば、此の際答辯を致して戴きます──答辯がなければ尚ほ之を保留するものと致します、第三條にまだございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=1
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002・平野市太郎
○平野(市)委員 小作人の宅地でありますが、農家の宅地は都市の宅地とは趣きを異に致しまして、五段百姓と雖も少くとも五畝歩或は七畝歩の宅地を持つて居るのであります、是は御承知の納屋或は堆肥舍、牛舍又年に二囘麥や籾を乾燥しなければならない廣い表を持つて居るのでありまして、全く農家の宅地は脱穀調製工場であり、農地であります、斯う云ふ點から見ますならば、都市の宅地とは全然趣きを異にして居るのでありまして、賃貸價格も田畑並みでありますから、此の際政府は農家の宅地を農地として買收して、小作農民に拂下げる意思ありや、此の點を御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=2
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003・和田博雄
○和田國務大臣 宅地は、是は通常買收すると云ふことは、既墾地に付ては考へて居りませぬが、未墾地に付きましては、やはりさう云ふ必要があると思ひますので、農業經營をやる上に必要なと云ふ意味で、さう云つたものも同時に買收すると云ふことは考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=3
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004・平野市太郎
○平野(市)委員 農家の宅地は全く農地と同じものでありまして、之を所有して居る地主も、宅地として税金は納めて居ないのでありまして、大抵賃貸價格も田畑並みで拂つて居るのであります、是が宅地として殘される場合には、地主は當然宅地地主となつて殘るのでありまして、平均一町歩と本案には出て居りますが、耕地段別の少い縣に於きましては、殘される地主の保有面積は五、六段しか殘らぬのであります、幸ひにして地主の中で宅地を多く持つて居る地主は二町でも三町でも殘されることになるのでありますから、是非此の際農家の宅地は農地と看做して買收して戴きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=4
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005・葉梨新五郎
○葉梨委員長 政府は今の質問に對して答辯がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=5
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006・和田博雄
○和田國務大臣 大體前の答辯で一應盡きると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=6
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007・北政清
○北(政)委員 今の平野さんからの御質問は非常に大問題でありまして、小作人の入つて居る所、是は農地と同樣に買上げ得ることにしなければ實際上に於て困ると思ひます、何とか是は一つ今のやうな御考へを考へ直して戴きたい、殊に農村では穀物の乾し場、納屋等、非常に廣い面積を持つて居る、之を地主の側に置いたのでは本當の樂しみをなくしてしまふ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=7
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008・和田博雄
○和田國務大臣 多少私も考へ違ひをして居りまして失禮しました、是は先の方へ行くと出て來るのでありまして、第十五條に其の規定があります、此の買收する農地に付て自作農となるべき者が同じ地主から宅地を借りて居ると云ふやうな場合には、是はやはり宅地も買ふことが出來るやうになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=8
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009・井伊誠一
○井伊委員 第三條の第一項の一號、二號、三號の買取地を決める前に、市町村の農地委員會や、都道府縣の農地委員會が先に出來て居なければならぬ關係になつて居るのでありますが、是は今度改訂になりました新しい組織に依る農地委員會に依つてやる御考へなのでありませうか、或は現在の組織に於てやるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=9
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010・和田博雄
○和田國務大臣 是は今度新たに構成しまする農地委員會で買收する計畫を立てる、斯う云ふ風に致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=10
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011・井伊誠一
○井伊委員 それから「市町村の區域」と云ふ文字を使ひまして、「以下同じ。」と云ふことになつて居るのでありますが、此の「以下同じ。」と云ふのは何處まで使ふ意味なのでありますか、第三號までの意味でございますか、或は此の法文全體の中に現はれる「市町村の區域」と云ふものに付て、全部括弧内にある所の意味が使はれるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=11
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012・和田博雄
○和田國務大臣 是は法文全部であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=12
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013・井伊誠一
○井伊委員 序でありますが、此の自作農創設の特別措置法と併せまして、農地調整法も出て居るのでありますが、そちらの方にも實は市町村の區域と云ふことが問題になりさうな危險がある、固より此の法文だけで使はれて居ることでありますけれども、同時に之を施行する、詰り市町村農地委員會の選擧と云ふやうな所へ來ますと、又其の文字が使はれますので、さうすると區域が違つて來ると云ふやうな誤解が生じ易いのであります、此の點はどうでございませうか、農地委員會の方に使はれて居るやうなのは全然關係なしでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=13
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014・和田博雄
○和田國務大臣 是はやはり法律が別になつて居りまするから、此の點はこちらだけで宜いと云ふことになつて居ると思ひます、農地委員會の方は農地委員會の方として、別に規定を設けて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=14
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015・井伊誠一
○井伊委員 市町村農地委員會は隣接市町村の區域内にある當該地主の所有を自己の市町村の區域に準ずるものと指定する、斯う云ふのでありますが、此の準ずるものとすると云ふのは、どう云ふ所までを意味するものでございますか、又さう云ふ風にすることは、どう云ふ利益があるのでありますか、其の點を明かにして戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=15
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016・和田博雄
○和田國務大臣 結局準ずるものと云ひまするのは、色々な點から見て當該住所のありまする市町村の區域と同じ區域と見られるもの、斯う云ふ譯でございます、例へば部落と部落とくつ付いて居つて、經濟的にも其の他の點からも同じ區域と見る方が、之をわざわざ別の物として見るよりも、社會的な關聯から言つて適當だ、斯う云ふやうなことでありまして、それで準ずるものと云ふ言葉を使つた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=16
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017・井伊誠一
○井伊委員 それから市町村農地委員會が都道府縣の農地委員會の承認を得るのでありますが、是は一筆毎に選擇をして、さうして其の上に承認を得て指定すると云ふことになるものでありますか、或は總括的にやるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=17
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018・山添利作
○山添政府委員 是は區域でありまして、例へば其の隣の字と云ふやうな風にやる譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=18
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019・井伊誠一
○井伊委員 概括するのですか──分りました、尚ほ此の地主住所地たる市町村の方には實際には所有地がなくて、隣接の市町村の方にだけ所有地があると云ふ場合に、やはり農地委員會は此の指定を行ふのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=19
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020・山添利作
○山添政府委員 是は或る一人々々の地主の爲に斯う云ふ地區を指定すると云ふことでなくて、先程大臣から御答へがありましたやうに、準ずるものとして指定するには、結局何かと云ふと、其の市町村農地委員會が指定する場合に於ける基準なのです、隨てさう云ふことは指定の問題としては直接に關係がない譯でありますけれども、指定された場合に於て、さう云ふことがございますれば、それは在村地主の「カテゴリー」の中に入る、斯う云ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=20
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021・井伊誠一
○井伊委員 もう二點ばかり、隣接市町村が偶偶他の道府縣と云ふやうな場合に、其の市町村農地委員會の承認を仰ぐべき府縣の農地委員會と云ふのは何處になるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=21
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022・山添利作
○山添政府委員 是は農地委員會と云ふものは中央から府縣、それから市町村、斯う云ふ風に系統的に作つてあります、隨て指定する農地委員會の上級委員會である所の府縣農地委員會であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=22
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023・井伊誠一
○井伊委員 其の府縣と申しますと、結局地主の住所地を基準としますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=23
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024・山添利作
○山添政府委員 さう云ふ譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=24
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025・井伊誠一
○井伊委員 もう一つ、第三條、第一項の第一號から第三號までの此の事實を認定します所の基準になる時期でございます、是は本法の施行期日でも標準にするのでありますか、或は地方の農地委員會に於て適當な日を定めるのでありますか、其の點を御尋ねします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=25
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026・山添利作
○山添政府委員 是は附則の第二項に書いてございまして、法律的に見ますと、原則的には其の買收計畫を立てる所の時期に依る譯でございますが、昭和二十年十一月二十三日現在に於て適用する方が適當であると云ふ時には其の状況に依ると云ふことに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=26
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027・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 一町歩殘したことに依つて斯う云ふ問題が起ると思ふ、例へば是は實際自分の大字のことを言つても宜いが、自分の部落に於て農地を解放する者は結局私だけである、あとの地主は全部解放しないでも宜い、隨て小作人は私の小作人でなければ土地の所有者になれない、斯う云ふ問題が起る、するとそれは土地の交換分合に依つて各小作人が土地所有の恩典に浴することが出來るやうにすると云ふ御答辯であるが、さう云ふ風に土地の交換分合と云ふものが簡單に出來るものかどうか、私は恐らく出來ないと思ふ、此の點に付て御見込を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=27
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028・山添利作
○山添政府委員 成程交換分合を致すのには、それに相當した土地でなければならぬ、又それの爲の差金であるとか、色々の條件を考へなければならぬ、出來ないと御見込になるのは、さう云ふ意見もございませうけれども、是は從來と雖も交換分合と云ふのは別の意味に於て色々奬勵して居る關係もあり、又相當農村でもやつて居る事例もあるのであります、今囘はさう云ふ經驗に基き、同時に又法律に依つて強制し得る所の規定も認めて居るのでありますから、なし得る限りさう云ふことを遂行して行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=28
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029・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 斯う云ふ質問をして居りますのは、僅かに二箇年と云ふ年限を限つて、昨日も他の同僚から質問があつたのでありますが、恐らく短期間に出來ない、此の法案と云ふものは、机上の空論であつて、實際の問題に付て非常に難かしい問題であると云ふことを私は特に強調した譯であります、成程今の御答辯に依つて、土地の交換分合と云ふものは出來る、私は出來ないと思ふが、それは見込の相違である、併しながらそれを實際にやつた場合に、恐らく昨日も色々論議されて居るやうに議論も起き、紛爭も起き、又事實に於て田圃が一枚々々そこに特徴がある、近いとか、遠いとか、用水が掛るとか、掛らぬとか、地味が良いとか惡いとか、草が生えるとか生えないとか、色々の實情に於て非常に難かしい、さうして見ると、私は一町歩殘すと云ふ問題は恐らく却て邪魔になると思ふ、寧ろ一町歩殘さないか、殘すならばもう少し範圍を廣くするか、二つに一つの問題で、非常に難かしいそれから宅地又は農場とする目的を以て交換分合を、既に事實に於て進行中のものがある、是も自作農として一應交換分合して一つ所へ集團的に集めたものを、更に細分しなければならない性質のものかどうか、此の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=29
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030・山添利作
○山添政府委員 此の前に、宅地にする目的で耕地整理をし交換分合して置いたと云ふことに付いての質問がござましたが、其の場合に於きましても、それが此の法律に言ひますやうに、現實に近い將來宅地となる、又それが相當と認められると云ふ土地でなければ、農地は農地として扱ふと云ふことを申上げたのでありますが、是も結局具體的な問題でありまして、一概にそれがさうであるとか、さうでないとか云ふことは申上げられないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=30
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031・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 是は宅地の問題のみに限りませぬ、農場とする計畫を以て地主が集團的に其處に集めて、今計畫が進行中であると云ふもの、之を分散させるものであるかどうか、之に對する御答辯を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=31
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032・山添利作
○山添政府委員 恐らくそれは其の土地に小作人でもそれぞれ付いて居るのだらうと思ひますが、果してそれが直ぐ返還になるやうな話になつて居るかどうか、其の點も大分問題になると思ひますが、是は現状主義で押へて行く譯でありまするから、將來さう云ふ計畫であると云ひましても、それを其の儘認めて行くと云ふ主義は執つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=32
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033・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 勿論それは小作人との間に諒解が成立つて居ることを言ふのでありまして、唯それを一般的にさう云ふことが出來ない、さう云ふことになると、そこに色々なる紛爭が起きる、一應小作人との間に諒解が成立つて居つても、人間は慾が出て來るから、そこで色々な問題が起ると思ふ、だから斯う云ふ今計畫が進行中のものは、前に家の所でも私は申しましたやうに、分家をすると云ふやうなことも、もう既に戸籍上分家してしまつて、唯家だけ建てられない状態にある、又其の分家の子供も耕作を開始して居ると云ふやうなものまで一律的にそれはいかぬのだ、此の法則を何處までも法の解釋を以て當嵌めると云ふことになると、私はそこで色々の紛爭が起ると思ふ
もう一つ茲で御聽きしたいのは、自作農と小作者との間に協同經營をやつて居る土地がある、すると是は要するに、協同經營をやつて居る五人なら五人、六人なら六人の共有地として賣買する、登記をするのであるが、是はどう云ふ取扱をなさるのであるか、分りませぬか──それは自作農の甲、乙、丙、丁、此の四人なら四人の者が協同して土地を經營して居る、さうすると、それが地主の規定外にある、又規定内であつても、地主獨自の自作地とは認められない、協同經營地である、だから之を小作人に賣渡さなければいかぬ、賣渡す場合に於て一旦政府で買上げてしまつて、一人の小作人に渡すとか、或は三人、四人の小作人に分割して渡すと云ふやうなことになれば現状と變らないのであるから、寧ろ是は何々外何名の名義で之を賣渡す方が宜いと思ふのであるが、其の實際上の取扱を聽きたいと思ふのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=33
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034・山添利作
○山添政府委員 此の協同經營の問題に付ては、此の法律で──法律と言ふとをかしいのですが、今までの實際に於きましては、斯う云ふやうな法律を免れる爲に協同經營と云ふやうな形を執る場合が事實として多いものでありますから、隨てさう云ふ脱法的なことを防ぐ爲に、協同經營に類するやうなものは原則としては一應政府に於て買ひ得ることになつて居る譯であります、併しながら其の内容に於きまして、是はさう云ふことでないと云ふことであれば、さう云ふ形もあり得ることと考へるのであります、併し御話のやうな場合のやうに、大體協同經營と云ふやうな形でありましても、其の内容が小作である、若しくは實質的に小作に近いと云ふものは、是は此の法律に依りまして自作農にして行く譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=34
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035・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 さうすると、さう云ふやうな實際の取扱は、成程此の委員會に於ては御答辯があるから分るのであるが、實際の時になると、やはり通牒か何かで御出しになりますか、昨日からも法の解釋に付て色々の問題があるのであるが、さう云ふ問題は唯此處で解釋するだけでなしに、恐らく後からになつて、通牒か何等かの形を以て下級官廳の方へ御徹底になるのだと私は思ふ、所がそれが往々にして、議會の審議の状況と實際それを取扱ふ時とでは色々の問題が起る、問題が起るのがうるさい爲に、實際と違つた方向に斯う云ふ通牒を出される場合が往々にしてある、私は斯う云ふ問題は、此の點をはつきりして、通牒を出すなら出すで、其の案文を此の際明示して戴きたい、斯う思ふ
それからもう一つ、私一番初めに此の間御聽きした中で、農村の生活水準を高める上に於ての凡ゆる施設、勿論それは廣汎であるが、其の廣汎な全貌を委員會の進行と睨み合せて御發表を願ひたいと云ふことを申上げたが、まだ御發表がないのであります、是は重大な事項であると思ひますので、法案の審議も終りに近付きつつあるから、内務省が國土計畫を發表して居るが如く、農林省は農民の生活水準を高める上に於ての諸施設に付ての全貌を此の際はつきり御發表になつては如何かと思ひますが、どうでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=35
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036・和田博雄
○和田國務大臣 是は今後の色々な施設がある譯でありますし、此の委員會に於て私が色々御答辯致したことを以て御諒解を願ひたいのであります
それから解釋の點に付きましては、是は勿論此の委員會其の他に於きまする審議を十分に願つて居る譯でありますから、是が末端に行きますに付きましては、どうせ是は通牒で解釋其の他に付てははつきりと出すことは勿論やる積りで居ります、唯一片の通牒を出しましても、中々問題は納まらないので、其の時々にやはり具體的な事例が起つて來る譯であります、さう云ふ時にはやはり中央から、或は上から答を出すとか、十分に解釋其の他に付て疑義のないやうに、又趣旨が徹底するやうに致すことは、是は勿論やります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=36
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037・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 是は字句の問題ですが、第三條の第一項の、前にどなたか申されて居たが、「その隣接市町村の區域内の地域で市町村農地委員會が」、斯うなつて居りますと、其の市町村農地委員會が地主の住所のある市町村であると云ふことが分らないから、之をはつきりする爲に、「その」とか何とか特別な字句を入れなくてはならぬと思ふが、入れなくても是ではつきり致しますか、唯市町村農地委員會と云ふことになると、どつちの市町村農地委員會か分らないことになりませぬか、はつきりして居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=37
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038・山添利作
○山添政府委員 御答へ致します、是は分るか分らないかと言はれましても、主觀的な問題でありますけれども、私共の積りと致しましては、「市町村の區域」で括弧致しまして、其の下に「その隣接市町村の區域内の地域で」とありまして「住所のある市町村の區域」と云ふことがあり、其の下に「市町村農地委員會」とか、其の上に「その隣接市町村の區域内の」、斯う云ふやうにありますので、大體住所主義で行くことが分ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=38
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039・葉梨新五郎
○葉梨委員長 北君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=39
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040・北政清
○北(政)委員 丁度局長が居られますので御伺ひ致しますが、私此の間から四町歩及び十二町歩の問題に付きまして、何とかならぬかと思つて色々注意して、考へて居るのですが、どうも、五町歩以上の所が大部分でありますから、中々容易でないと思ふのであります、其の面積が非常に多い、又屯田兵村は一町三段三畝十歩とし、追給地は三町六段二畝二十歩、斯う云ふ分れ方になつて居ります、此の兩方を見ますと、やり繰りがしにくい、斯う考へますので、元來此の五町歩と云ふことで決めましたのは、「アメリカ」の「ケプロン」氏とか「クラーク」氏其の他に指導をされて此の計畫になつたので、農林省から能く御話し下されば、「マッカーサー」司令部は能く分るだらうと思ふ、寧ろ五町歩でなければならぬと言つて呉れるだらうと考へるのであります、そこで單に各府縣の一町歩を四町歩にするとか、内地の方は三町歩だから十二町歩にするとか、斯う云ふやうに機械的に出たかの如き感じを持つてはならぬのでありまして、北海道長官も是でやられる御確信があるかどうか、此の點を承つて置きたいのであります、又農林大臣も更に一つ「マッカーサー」司令部と御交渉になる考へがないかどうか、之を一つ御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=40
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041・和田博雄
○和田國務大臣 是は北海道の内部で區域を分けて、平均四町歩になりますやうに、出來るだけ私共はやつて戴きたい、斯う思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=41
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042・増田甲子七
○増田政府委員 北海道は御説のやうに、内地と状況が大分違ひまして、謂はば此の頃流行して居るやうな國土計畫と云ふやうなものも夙に施行された結果、所謂地割と云ふものが出來て、隨ひまして五町歩單位で農地を經營するやうに既に出來上つて居りまして、之に對する農道とか或は防風林と云ふやうなものも、五町歩單位に地割され、それに平仄が合ふやうに出來上つて居ると云ふのが御説のやうに大部分の状況である、斯う存じて居ります、唯統計的に、現在どの位の割合であるかと云ふやうなことは、此の際資料を持ちませぬが、相當の部分がさう云ふ風に地割されて居る、又五町歩單位で農地が經營されて居ると云ふのが實情にございます、政府に於きましては、北海道と内地との土地の生産力と云ふやうな關係を專ら勘案されまして、一町歩に對する四町歩と云ふやうに御決定になつて此の案が出來たやうになつて居ります、一面北海道は特殊事情がありまして、四町歩を單位として彼此れそこの所を勘案し合つて、さうして平均四町歩になると云ふやうな御説もございまするが、長官と致しましては、やはり地割の關係、將來の交換分合と云ふやうな關係が相當困難を極めると云ふことも豫想されまするから、相成るべくは五町歩單位と云ふことに相成るやうに御配慮を願ひたいと云ふことを、私長官と致しましては希望を持つて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=42
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043・北政清
○北(政)委員 長官の御希望はさうですし、今の農林大臣も成べくと云ふ御言葉でありますから──是は實際上出來ぬと困ると云ふ點を持ちますので、一つ是非御交渉願ひたいと思ふのであります
更に私は過般も御伺ひしましたやうに、北海道はどうしても有畜農業でなければならぬのに、牧草地を農耕地面積に入れますならば、有畜農業の根本的破壞になるのであります、是は此の間のやうに耕種肥培をして居る所は畑地と見る、さうでない所はと云ふやうになると、みな牧草地は手入れせぬことになる譯であります、北海道は牧草地だけは農耕地と認めない、詰り採草地と認める、採草地と認めると云ふことは、肥料をやつては惡いと云ふことではない、是非ともさう御解釋を願ひ、我々にさう解釋させて戴きたいと思ふのでありますが、其の點大臣からもう一度御意見を拜聽致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=43
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044・和田博雄
○和田國務大臣 前の御質問にも一寸私御答へしたいのですが、北海道の統計を見ますと、五町歩以下の農家が相當あるのです、斯う云ふものは全部區域が五町歩に限られて農場を經營して居ると云ふことは言へないと思ひます、五町歩以下の農地の農家が多く、五町歩以上十町歩までの農家は少いのであります、そこで私は四町歩と云ふものも、北海道の内部で按配致しますれば、平均四町歩となつて、十分目的が達せられるのではないかと考へられますので、四町歩説を固執致して居る譯であります
それから只今の牧草地の點でありますが、是はやはり肥培管理をやつて居る所は農地と法律の建前からは認めざるを得ないと思ふのであります、どうも法律上は、農地と云ふことになつて居りますので、其の點は致し方ないと私共としては考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=44
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045・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは此の際昨日保留になつて居ります北海道長官に對する質疑に付て小川原君の發言を許可致します──小川原君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=45
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046・小川原政信
○小川原委員 私の昨日から續けて居る質問に對しまして、今北君から質問がありまして、北海道長官竝に農林大臣からの御答辯がありましたが、どうもまだ私にはしつくり腑に落ちぬので、更に附加へまして質問をしたいと思ふのです、昨日私の質問に對しまして農林大臣は、二つの地區に分けてやれば宜いではないか、斯う云ふことが一つ、それから只今北君の御尋ねに對しまして、四町歩の農家が多いから、平均すれば宜いではないか、斯う云ふことを申されたのであります、それは其の通りにも見えますけれども、是は實際を御知りにならないので、實際を知つた北海道長官に出て貰はなければならぬと云ふのはそこなのであります、さう致しますと、根釧原野の開拓に於きましては、少くとも三十町歩入れなければ根釧原野の一家の生活と云ふものは出來ないと思ひます、是は北海道でやつて見まして大失敗を致しました、天北原野になりますれば四十町歩以上入れなければならぬと思ひます、それでありますから、今以て草茫茫と生えて居るのであります、若し之を二つに割つて、徳川時代から開けて居る所の面積から見ると、成程四町歩の人間も相當ございませう、なぜさう云ふことがあるかと云ふと、是は鰊干場を耕作して居りますからさう云ふ風に見えるのであります、けれども今日の如く鰊の周期が變つて參りまして、又大漁をして居ると云ふ實情でありますから、鰊干場は干場として使ふ條件が揃つて、是は農地ではないのであります、先程北君が言はれました一町歩をどう斯うと云ふことは、そんなことは洵に少數であります、まだまだそれは御知りにならないのです、私共何十年北海道に生活して、海岸を廻つて、北海道を踏破して見まして、實際問題としてそんなことではとんでもない問題が起ると思ふのであります、さう云ふ點から考察を致しますと、あなたの仰しやる通り、二つに割つて、南の海岸の方は今申したやうでありますから、是は四町歩としても宜いかも知れないが、若し中央から北の方、東北に掛けて北海道を割つたならば、是は大變なことになるのであります、さうでありますと、北海道の状況と云ふものは根本から覆されてしまふ、此の間も私いたづら口のやうなことを言ひましたが、實際農林省には其の人がないと云ふことを申上げたのは、それなのであります、是は意見になりますから私申上げませぬが、私の肚にはどうしても落ちぬのであります、さうでありますから、是は別の方法で私は考へようと思つて居りましたが、問題が出ましたから此處で實態を申上げて、更に御考慮を願はなければならぬ、斯う思ふのであります、其の一點を農林大臣は如何樣に御考へになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=46
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047・和田博雄
○和田國務大臣 どうも私は、あなたは經營地と所有地を混同されて居ると思ふ、現在五町歩を自作として經營して居るものは、何もそれを覆すと云ふことは私少しも考へて居ないのであります、地主が、唯保有する面積は、北海道に於ては平均四町歩とする、四町歩を出ても宜い、北海道は平均四町歩ですから、都合に依つて北海道長官が地方を二つ以上の區域に分けて、此の地方は地主が保有し得る面積は二町歩で宜いと云ふならば二町歩、五町歩で宜いと思ふなら五町歩、さう云ふやうに分けることが出來るのだ、併し平均は北海道は四町歩、斯う云ふことを申上げて居るのであります、現在五町歩に區劃されて、實際五町歩として經營されて居るものを、わざわざ四町歩に分けて、其の殘りの一町歩を他の小作者に賣渡して經營しようと云ふのではないのであります、現在五町歩で經營して居るものは、其の經營は五町歩が許されるのであります、是と地主の保有面積とをはつきり分けて御考へ願ひたいと思ふのであります、此の統計を見ますると、あなたの御意見に對して反撥するやうで甚だ恐れ入りますが、經營の方から見ましても五町歩未滿のものが可なり多いのであります、例へば五段未滿のものを取つて見ると三萬戸からのものがあります、五段から一町までのものが一萬二千戸からある、一町から二町までのものが一萬五千戸ある、二町歩から三町歩のものが二萬戸ある、三町歩から五町歩までのものが四萬戸ある譯です、五町歩以上十町歩未滿のものが四萬戸ある、十町歩以上のものが一萬九千戸あると云ふやうなことでありますので、恐らく是は北海道全部を睨み合せますれば、保有面積として平均四町歩と致しましても、私は十分そこに地方々々の事情に應じた保有面積が出て來て、平均が四町歩になり得る、斯う保有地の方から考へ得るのでありますから、隨て私は四町歩でも構はないのではないか、斯う考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=47
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048・小川原政信
○小川原委員 それで北海道長官實際の問題として宜しいのですか、誰が何と言つても、あなたがやることなのですから、あなたはそれで承服が出來ますか、私も勿論此の經營面積と所有面積とを區別して考へて居るのであります、それはさう考へなくてはなりませぬ、此の法案に於てもさうなつて居りますから、あなたが五町歩でなければならぬと云ふことを仰しやるのは、北海道の實情が私の言ふやうなことがあるから五町歩でなければならぬと云ふ理論を御立てになつたと思ふのであります、私はどうしても五町歩でなければならぬ、斯う考へるのでありますが、是は意見の相違だと云ふことになれば、もう議論に入りますから、是は質問を致しませぬ、一應北海道長官の答辯を得たい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=48
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049・増田甲子七
○増田政府委員 先程の御答への中に私統計的の資料の正確なものを持合せないからはつきりしたことを申上げ兼ねると云ふことを前提として申上げましたが、今農林大臣の御答への中に、統計的な數字が現はれて居りましたが、實際に現地を隅なくと云ふ程度ではございませぬが、現地の大部分を私巡視致した結果の觀察でございますが、やはり最初御答辯申上げましたやうに、地割が五町歩と上つて居りまして、之に對する農道とか道縁と云ふものが實に立派に出來上つて居りまして、所謂地方計畫と申しますか、國土計畫と云ふやうなものが明治の初年に「ケプロン」の指導もあり、是は北君の言はれた通りでありますが、實に立派に出來上つて居ります、そこで私共の觀察と致しましては、五町歩以上の農地が壓倒的多數であると云ふ風にも觀察されるのでございます、併しやはり科學に基いた資料と云ふものを現在持つて居りませぬから、はつきりしたことは申上げ兼ねると云ふことは、最初前提した通りでございますが、地域と致しまして、今小川原さんの仰しやつた根釧原野は固より天北平原、それから網走地方、十勝地方、所謂地域的に見まして大部分でございます、それから面積から申しましても殆ど大部分であると私は思つて居ります、それから空知地方、上川地方等は何れも私は五町歩以上のものが多いと云ふ觀察の結果の印象を持つて居ります、唯農林大臣も仰しやつたし、小川原さんも仰しやいましたが、道南地方は夙に開けた關係もあり、他に行くものは稍稍少いのではないかと云ふ感じを持つて居ります、併し之を兩地域に分つて、さうして平均四町歩に達するかどうかと云ふことは、私まだ非常な疑問を持つて居るのでありまして、兩地域に分つて平均四町歩に達すれば宜いではないかと云ふことも、若し大體其の數が同じならばさう云ふことも言へると思ひますが、私の印象と致しましても、やはり五町歩以上の方が壓倒的とまでは申上げ兼ねますが、印象としては非常に多い、隨て是は實地に付て相當調査を致しましてでなければ、良心的には強く主張出來ませぬけれども、兎に角自作農創設を第三條に依つて立派にやつて行く上に餘程困難な事情が出現しはせぬかと惧れて居ります、繰返しますが、長官と致しましては、やはり北海道に付ては五町歩と云ふやうな平均の單位を戴いたならばと云ふ希望を持つて居るものでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=49
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050・小川原政信
○小川原委員 それでは此の問題は長官の御答辯ではつきり致しましたから、是れ以上言ふことになりますると、自分の意見になりますから、それは差控へまして、更に考へることに致します
次は私は、第三條のことを早く決めてしまはなければ皆さんに對して御迷惑だと思ひますが、農林大臣に對して昨日申上げたことをもう一遍繰返さして戴きます、農林大臣は私の度々の質問に對しまして、北海道の特殊事情と云ふものを御認め下さつたのでありまして、是は私有難く感じて居るのであります、北海道の特殊事情と云ふことになれば、そこに一元化して行くことを意味して行く、斯う思ふのでありますが、昨日の答辯に依れば、北海道に付ては矛盾のやうでありました、一應私は納得したのでありますけれども、又北海道は農林省がやらなければならぬと云ふ御話になると、今の長官の方が宜いのか、農林大臣が宜いのかそれは分りませぬが、兎に角さう云ふやうな二つの問題が起つて來ると云ふことは當然であります、さうなると農林大臣のやうに、此の土地を北海道に御求めになつて、さうして北海道の拓殖の上から考へますと、全く内務省と農林省とが錯誤した行き方をする、お互ひに國家の爲に働かう、お互ひに國家の爲に農産を増産して行かうと云ふ心は一つであるが、手段に依つては全く其の結果は得られないと云ふことに私は非常に遺憾を感ずるものであります、それで北海道の開發は政府を初めとして日本の全部の人の應援がなければ出來ぬと私は思ふ、自作農を設定して行く上に於きまして、土地を處分して行く、斯う云ふことになりますので、そこで四十五萬町歩を考へました時に、拓殖計畫から切離しては是は出來ない、若し之を今のやうな論理で御進めになると、茲に二元化しまして非常に摩擦が起るのでありますが、此の土地を全部内務省所管としておやりなされたら如何かと思ふのであります、農林大臣更に一つ御答辯を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=50
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051・和田博雄
○和田國務大臣 未墾地の買收の豫算は農林省に組んで居るのでありまして、それを何する譯には參りませぬ、私は屡屡言ふのでありますが、どうか一つ十分御理解を願ひたいのであります、それで私は北海道と云ふものが、此の戰後に於て日本の農業の上からしましても、國の何から言つても非常な比重を持つて來たと云ふことは、十分私は認めるのであります、殊に私は戰爭中から農事行政をやつて居りました時に、北海道の農業と云ふものは見直さなければならぬのだと云ふことを強く私自身感じて居つたのであります、併しさう云ふ特殊性があればあるだけ、私をして言はしむれば、行政と云ふものは國の一本の政策に從つて、地方廳が所謂經濟的な「ブロック」の弊に落ちないやうにやつて行くと云ふことでなければ、私は今後斯う云ふ狹い日本では十分な富の開發と云ふものは出來ないと確信して居ります、それには私はやはり此の開拓なら開拓と云ふ事業と、北海道の拓殖事業と云ふものが矛盾しませぬやうに、北海道は恰も獨立國であると云ふやうな感じを持つてやることは出來るだけ避けまして、國の一貫した方針に從つて行政をやつて行くと云ふことでなければならぬと私は總て確信致して居ります、其の點に於て豫算は農林省の方に組んで居るのであります、それはなぜならば、開拓と云ふ事業は國の大きな方針として決めまして、それで農林省が主管の責任省としてやることになつて居りますから、無論豫算としては組んで居ります、それだからと言つて、農林省が何も北海道の事情を無視して勝手にやつて行く、斯う云ふことは考へて居りませぬ、其の點に付きましては十分北海道の特殊の事情も容れ、北海道の開拓の從來の計畫其のものをも考へて調和を取つてやつて行く考へで居るのであります、寧ろ私は北海道に今後立てまする拓殖計畫なら拓殖計畫と云ふものが、やはり全般との關係に於て十分調整の取れるやうに、それこそ廣く知識を求めてさう云ふものが決定されるべきだとすら考へて居るのであります、其の點に付きましては、全部農林省から今の豫算に組んで居るものは出すと云ふことではなくして、豫算としては農林省で一括して組んであるが、それを實際出すには、北海道には今長官も居る譯ですから、農林大臣は北海道の長官と云ふものを指揮監督致しますが、其の指揮監督をして十分な連絡を執つて、さうして實際に適するやうにやつて行く、斯う考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=51
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052・小川原政信
○小川原委員 大變農林大臣は熱意を持つて御答辯下さいまして有難うございましたが、御熱意は御熱意として敬服を致し、感謝致しますが、私まだ腑に落ちぬ點があるのであります、何故かと申しますと、土地を買收されて農業をやる、斯う云ふことになりまして、そこに自作農を設定されます四十五萬町歩御買ひ下さつても、内地とは全く違ひまして、道路も付けなければならぬ、工業用地も其の中にあるのだ、或は鐵道も敷いて行かなければならぬ、堤防用地もあるのだ、全く内地とは事情が違つて參りますので、さう云ふことになりますと、拓殖計畫と云ふものが其の計畫を致して居るのであります、其の土地を農耕地にのみ使はれてしまつたのでは、北海道の發展と云ふものは出來ぬのであります、私は此の間から之を細かしく申上げたいと思ひましたが、意見になるかと思つて實は差控へたのでありますが、斯う云ふ所に非常にそこに困ることが起るのでありますから、農林大臣の御熱意と御方針は能く分りましたが、北海道長官に對して、お前此の通りやれと、斯う仰しやると云ふと、是は拓殖計畫の中に入つて、北海道長官は農林省の出店のやうにして拓殖計畫一本で行くと云ふことになりますれば、そこに摩擦がなくて、非常に實情に適した柔らかい北海道、増産の出來る北海道、皆樣の可愛がつて下さる北海道が出來て國の御役に立つと私は考へて居るのであります、そこで此のことを尚ほ御尋ね致すのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=52
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053・和田博雄
○和田國務大臣 北海道の拓殖計畫と云ふものは、農産のみならず、他の工業其の他があるのだらうと思ひます、併し其の時にやはり開墾と云ふ事業も拓殖計畫の中に當然入つて來るべきことだと思ひます、そこで農林省でやります四十五萬町歩なら四十五萬町歩の開墾の計畫を、それ等の一般の北海道の拓殖計畫と矛盾のないやうに、而も早く實行出來るやうな方法でやつて行く、斯う云ふことであらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=53
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054・小川原政信
○小川原委員 もう一點、餘りしつこいやうでありますけれども、斯う云ふことは十分明かにして置きたいと思ふので御許しを願ひたいのであります、實は農林省の方でも御心配を下さいまして、前々から農地營團を北海道に御出し下さつて、さうして色々と土地を整理して戴いたり、或は増産をして戴きましたが、實は失敗に終つてしまつた、見るべきものは一つもないのです、私も何處か見る所があるかと思つて、隨分廻つて見ましたけれども、一つも──せめて一石でも宜い、穀類を穫つて下さつたかと云ふと、ないのであります、其の上に又之をやられると云ふと、此の前に申上げた通り、酸性土壤を御買ひになつて、それで又自作農を設定しようと云つても、誰が買ふ人があるか、もう皆知つて居りますから買ひませぬ、さうすると、其の詰らない土地が農林省の手持になる、斯う云ふことになつてしまひはせぬか、是は取越し苦勞かも知れませぬ、喜んで飛び付く人があるかも知れませぬが、恐らく酸性土壤などは飛び付く人はない、さうすると酸性土壤の農業經營と云ふものは一體どうすれば宜いのか、斯う云ふことになつてしまふ、折角御心配になつて國幣を御費しになつても結果が擧りませぬから、私は此のことを憂ふるのであります、それから拓殖計畫をして居つてどうであつたかと云ふと、あの森林が北海道の拓殖計畫があればこそ長年の戰爭の役に立つたのでありませうし、又今後復活する上にあの森林が役立つのであります、農民に開放してしまつたら、復興に木一本もないと云ふことになつてしまふ、又石炭に致しましてもさうです、拓殖計畫があつたればこそ石炭が役に立つたのであります、あれがなかつたらどんなことになつてしまふか、斯う云ふ心配を持つものであります、それでありますから、あなたの御考へ下さることも私の考へることも、國を憂ふると云ふ途は一つでありますが、行き途が違ふのであると云ふことで、此處にお互ひの意見の相違があるのでありますが、今是から將來に向つて國の御厄介にならなければならぬ所は、あの大きな泥炭濕地です、あれをどう云ふ風にして開拓して行くか、私共の思ひますのには、あんな山を崩して又酸性土壤をやつて居るよりは、寧ろ酸性土壤に軌道を敷いて機關車で此の泥炭濕地へ持つて來る、さうすると泥炭にある所の有機物と酸素と化合して良い土地が出來るのです、さう云ふことは北海道長官が計畫して居る所の綜合拓殖計畫で一つ腕を揮はして見られたらどうであるか、私は斯樣に考へるのであります、何と云ひましても石狩川の流域、勇拂原野、十勝川の流域、斯う云ふ所は氣候も好いし平坦であるし、此の土を此の方面へ持つて來る、是は人力では出來ませぬ、斯う云ふことになりますから、私は全部北海道長官に御任せになつておやりになつた方が非常に利益がある、斯う考へるのでありますが、此のことを一つ御答辯願ひまして、最後に長官に御尋ねしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=54
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055・和田博雄
○和田國務大臣 御氣持は能く分るのでありますが、私は北海道の拓殖計畫と云ふものが、是は私見でありますが、從來のやうな形で立てられるのではなくて、もつと大きな見地から凡ゆる方面の人の參加に依つて立てられることが望ましいと思ふのであります、さう云ふ私の前提を許して戴ければ、其の立てられました拓殖計畫の中には、勿論我々の關係の方から言へば開拓事業がある譯でありますから、それ等に付て十分なる意見も述べ、現に計畫して居る計畫も、そこに提出し、拓殖委員會にそれぞれ各方面の權威が集まつて、それが唯農林省と云ふものに限定されることなく、色々な人が集まつて立てられる、それに從つて北海道長官が地方長官として責任を以てやつて行く、併し其のやり方に付ては、さう云ふ大きな委員會で決まつた方針に付て、農林省關係のものは農林省が十分此の北海道長官に指揮もし監督もし打合せもしてやつて行く、斯う云ふことになつて初めて私は巧く動くであらう、斯う思つて居るのであります、そこで只今のやうな農地開發營團がやつて居りました此の開拓に付ては、それは色々の御批判があると思ひます、又巧く行つて居ないことは私も存じて居ります、併しそれに付ては、やはり例へば適地の選定とか、さう云つたやうな點に付て拙かつたのではないかと思ふ、そこでさう云ふ點に付きましては、今後は十分大きな計畫の線に沿ふのみならず、やはり適地の選定等に付ては、さう云ふ各方面の立派な權威者の委員會に依つてやつて貰ふ、斯う云ふやうにして、其の選定をやつた選定地に付て、營團なら營團が開發をやつて行く、斯う云ふことに致して行きたい、斯う思つて居るのであります、勿論北海道に付きましては、是は單に開發と云ふ點からのみならず、色々な問題が澤山殘つて居るのであります、又相當開發すべき地面もあると思ひます、それ等の點に付ては、私は御話のやうな御氣持は能く分つて居るのでありまして、只今言つたやうな意味に於て、實際上の設計もやり機構もやつて行くやうに、少しでも開發の方に行くやうに致したい、斯う考へるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=55
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056・小川原政信
○小川原委員 有難うございました、段々斯うして話して見ると、私の説に贊成して戴けて、非常に愉快に思ふのでありますが、綜合計畫も大事である、今までは第二計畫であつたから是はいけませぬ、今度は綜合計畫でありますから、農林大臣の言はれる通り、多數の人の衆智を集めた綜合的な開發に行かう、それには農林省は微力ながら考へてやらう、斯う云ふ話でありますから、私の目的は是で達したのであります、綜合計畫を立てる上に於て、北海道長官一本となつて居ると云ふことに付ては、洵に此の點は結構だ、洵に其の點は有難うございました、此の上に於きまして北海道長官に御尋ねするのでありますが、北海道長官は斯樣に致しまして、農林大臣の仰しやる通りに、今までのやうなやり方ではいかぬ、拓殖計畫ではいかぬ、綜合的に開發して、衆智を集めて行くのだ、さすれば農林省も微力ながら援けてやらう、斯う言はんばかりの御話であつたのでありまするから、茲に、綜合計畫を御樹てになつて、今農林省が御買ひになつた土地も綜合計畫の中に入れて行く御意思がありますかどうか、一つ北海道長官に御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=56
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057・増田甲子七
○増田政府委員 御答へ致します、北海道は稍稍内地と産業方面に於きましても、第一地域が非常に離れて居りますから、地理的關係のみならず、産業關係は水産、農産、林産業、經營の形態其の他非常に違ふのでございまして、私は地域が違ふ點は、「イギリス」本土と「アイルランド」と違ふと云つたやうな状況よりももつと違ふ、と云ふのは、「アイルランド」と「イングランド」は緯度に於て同じでありまして、農業經營に於て同じである、所がさう云ふやうな緯度と云ふやうな關係は全然違ふ、耕作に致しましても、北海道は段當四俵、内地は五俵と云ふやうに、諸般の事情が違ふから、北海道は長官が責任を以て一元的綜合的に之を開發すると云ふやうなことは、從來から其の必要性を唱へられて居りまして、又現在事業上やつて居ります、併し農林大臣の仰しやるやうに、北海道は獨立國と云ふ言葉を一寸御使ひでありましたが、北海道を獨立國視しようと云ふやうなことは現在あつてはならないと私は思つて居ります、又私はさう云ふことはないと思ひます、やはり大きい見地に立つて、北海道の終戰後に於ける全日本に對する使命と云ふものは、從來と質量共に各段の相違がある、隨て北海道は全日本に對して此の新使命を達成すると云ふことが、日本の復興を齎す所以でもあり、又北海道自身の爲にもなると私は考へて居ります、此の點は農林大臣と全然所感を一に致して居ります、併し地域的の關係は固より、産業諸般の關係が非常に違ふのでありまして、此の點は彼處へ行くに致しましても、私は幸ひに飛行機で往來して居りますが、他の部下吏僚諸君は大體三日は掛ります、それから非常に疲れて、一日は眠らないと頭が痛くて仕事が出來ないと云ふやうな状況で、大體四日は必ず掛る、隨て青森縣などと距離は餘り違はぬかも知れませぬけれども、彼處へ行くにも非常に困難を極めて居るやうな關係もあります、それから水産、農産、林産等、其の經營の形態と云ふやうなものも大分違つて居ります、隨て現地に居りまする長官なり或は指導者階級なり、是は諸般の政治、經濟、産業、農業、商業、鉱工業、電氣、其の他さう云ふ方面に關する指導者と云ひますか、達識經驗者の意見と云ふものが綜合されまして、其の綜合された意見が一定の北海道開發計畫と云ふものに結集されなければならぬ、其の開發計畫を大々的に行ふことが、終戰後の日本に對する北海道の新使命を果す所以である、斯う云ふ風に私は考へまして、先般百數十萬圓の豫算を道參事會に協贊して貰ひまして、北海道綜合開發調査委員會と云ふものを設置致しました、今の豫算は此の委員會に要する費用だけであります、此の委員會に於て、北海道を諸般の見地から綜合的に開發すると云ふことを研究して貰つて居りますが、此の委員會にも部會が十ございまして、水産部門、農畜部門、林産部門、或は鉱業部門、それから工業部門、開拓部門、或は商業金融部門、或は教育民生の部門と云つたやうに、十の部會に分れて居りまして、それぞれ「エキスパート」の方を委員として委囑して調査に發足致した譯であります、其の結果來年あたりは其の綜合開發企畫と云ふものが調査の結果出來ると云ふ風に私考へて居ります、中央に於きましても、農林大臣が先程仰しやいました拓殖委員會と云ふやうなものを作つていらつしやるやうでございますが、兩方の企畫が平仄が合ひ、調和が取れまして、北海道の大開發が出來ましたならば、私は日本の爲に幸慶の至りであると考へて居ります、唯小川原さんの仰しやつた拓殖豫算でございますが、是はやはり中央に於きまして各省ばらばらであると云ふやうなことは、北海道廳長官が綜合的、一元的に北海道行政を運營する上に不便であると云ふ感じを私持つて居ります、唯拓殖豫算を編成する際には、北海道廳長官は固より各省大臣の指揮監督を受けて居るのでございますから、各省大臣がそれぞれ意見を述べられ、或は指導され、或は監督されると云ふやうなことで、豫算編成上は私はそれぞれの本省の指導を受くべきものである、斯う云ふ風に考へて居ります、以上を以ちまして御答へと致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=57
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058・小川原政信
○小川原委員 各拓殖計畫の金を使ふ上には、各省の豫算に付ての指導を受けると云ふことでなく、それは内務省が綜合計畫を立てるのでありますから、内務大臣の監督下にあるのでありまして、力は各省が力を協せて呉れるでありませうが、豫算の行使に付ては、是は立法的に考へまして、當然内務大臣の認可さへ、或は監督さへあればそれで宜いと思ひますが、其の點はどう御考へになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=58
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059・増田甲子七
○増田政府委員 豫算編成の過程に付て申上げた譯でございまして、豫算の執行上に付ては、御説の通り内務大臣の指揮を受けて之を執行すると云ふ建前でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=59
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060・小川原政信
○小川原委員 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=60
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061・寺島隆太郎
○寺島委員 議事進行に付て──逐條審議の状態を今まで承つて居りましたが、私が是から質問致したいと云ふ事項は、第三條第三項、第四條全部、竝に第十六條に及んで居るのでありますが、他の委員諸君の考へ方も、斯う云ふ風に飛び飛びに細切れのやうに逐條審議をされては、甚だ質問がしにくいと思ひますから、此の際關聯事項の條文は、特に第三條に於ては土地を政府が買上げる場合、第五條に於ては此の土地を賣る場合、第十六條に於ては、如何なる状態を勘案して政府が實際に小作人に此の土地を賣渡すかと云ふやうな事項に亙つて居りますから、如何でせう、斯う云ふものは何箇條かを一括して質疑させて戴くやうな譯には參りませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=61
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062・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それは其の關係條文は、例へば第三條の何項は第何條に關聯して居るが、此處の所はどうするか、さう云ふ意味の質問をおやりになることは一向差支へないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=62
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063・寺島隆太郎
○寺島委員 それでは私は第五條に付て…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=63
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064・葉梨新五郎
○葉梨委員長 關聯事項は宜しいと申上げたのです、さう云ふやうに第三條の審議中に第五條を質問すると云ふやうなことは、條文の審議上どうかと思ひます、唯第三條のどの項と第五條のどの項が關聯して居るが、是はどう云ふ風にするかと云ふやうな御質疑は、それは結構ですと申上げたのです──菊池君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=64
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065・菊池豐
○菊池(豐)委員 第三條に「左に掲げる農地は、政府が、これを買收する。」、さうして一、二、三と分けてありますが、そこにもう一條附加して、既に言ひ盡された問題だと思ひますが、政府は轉業農家、飯米農家を此の機會に根絶させ、農業の勤怠の區別を分明ならしめ、そこに關頭一歩を進めて、是等の非農家の土地或は小作契約權を強制收用に依つて買收する、さうして取上げた土地は、昨日寺島君或は其の他の人から質疑のありました善良なる意思に基いて、而も働く意志と優秀なる專門的の技術知識を持つて居る人達の就農への均等なる機會を與へる爲に使ふと云ふことに付て、一つ決斷を願ふ譯に參りませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=65
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066・和田博雄
○和田國務大臣 さう云ふ譯には參りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=66
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067・菊池豐
○菊池(豐)委員 重ねて御尋ね致します、さう云ふ譯に行かぬと云ふ、それは私共委員會として相當深刻に考へさせられる御答へだと思ふのですが、更に今の御言葉に對して一應反省を促したいと思ふことは、此の農村の供出を妨げ、増産の意欲を退嬰させる一つの──的存在であります所の非農家が、此の儘あなたの手に依つて温存されると致すならば、恐らくは農村の民主化などと云ふことは到底望めないだらうと思ふばかりでなく、眞面目な農家は一生懸命働いて増産するとか、供出するとか云ふやうなことは考へない、殊に最近どんどん還つて來て居ります所の復員青年男女、農村再建の夢と情熱を燃やして還つて來て居りまする此の青年男女が、働く百姓の馬鹿らしさを痛感して、さうしてどんどん惡の淵に轉落しつつあると云ふ嚴肅なる事實を大臣は見逃すことは出來ないと私は思ふ、現在農村に盛んに一つの流行的な傾向で勃興しつつあります博奕、喧嘩、それから農作物の闇と云ふものは、今將に此の三段以下の轉業農家の支配下に於て、復員青年男女の手に依つて收拾あれ消化されると云ふ形に移行しつつあることも、嚴肅な事實だと私は思ひます、隨て農村の文化の全面的の潰滅と云ふことも、此處に端緒を發見することが出來ると思ふのです、過日の本會議で、私は同僚の寺島君が、農村文化の在り方に付て極めて適切な質問をしたことに對して、農林大臣は非常に重大なる關心と情熱を持つて其の昂揚に約束されたと記憶を致して居ります、私は──私事を語つて恐縮ですが、約二十五年間、村や縣の青年團と共に生活の大半を費して參りました關係上、農林大臣のあの日の答辯に對して不覺なる涙を流すことを禁じ得なかつた一人であつた、恐らくあの答辯を通じて滿天下の青年は大なる期待と憧れをあなたの一身に懸けて居ると思ふ、恐らくあなたが思ひ半ばに過ぎる程重大なる期待を懸けて居るだらうと思ふのであります、然るに今のやうに木で鼻を括つたやうに、左樣な考へはありませぬと膠もなく一蹴されることに依つて、農村の人達が、其の青年がどんなにがつかりするかと云ふやうなことは、單に失望を與へるだけでなく、現在此の法案の審議の經過を、幾多の論議的な一貫性を缺いて居ると云ふ内容を包藏しながらも、劃期的の改革案であると云ふ點に付て進歩性を認め、默々として沈默の讚美を守り、此の經過に對して重要なる關心を怠つて居ない青年がどんなにがつかりするか、是は將來日本に大きな禍根を貽すだらうと云ふことを考へない譯に行かないと考へるのであります、詰り全面的に農村の文化の光を遮つて居る惡の温床である所の、あの三段百姓、二段百姓、さう云ふ農家にして農家にあらざる人達を此の際何とかすることに付て、或は是からの見透しに付て、先日誰かに答へられた協同組合運動に依つてそれを阻止する、或は當然來るべき所の農村慌恐の際に、それ等は轉落するだらうなどと云ふ、さう云ふ抽象的な答へでは私は滿足出來ない、却て二段、三段の百姓が恐ろしい惡政に脂ぎつて居つて農村恐慌が出來る曉には、其の人達の手に依つて幾多の零細な農地が其の人達の手に集まる虞がありはしないか、農村恐慌は逆效果を來しはしないかと云ふことも私共は惧れて居るのであります、私は詰り農村文化擁護者の一員としての立場から、もう一度農林大臣の愼重なる考慮を求めたいと思ふのです、もう一遍何とか片を付けて戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=67
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068・和田博雄
○和田國務大臣 私は過小農が耕して居る其の土地を強制的に何とか取らないか、斯う仰せられるから、それは契約を強制的に解除させたりする意思は毛頭ない、斯う申上げたのであります、過小農の問題をさう云ふことで解決すると云ふことは、私はどうも適當な策ではないと思ひます、日本の過小農と云ふものの存在が、唯單に農地の所有と分配だけから來て居ると考へること自體が、私に言はせれば間違ひではないかと思ふ、私は日本の過小農と云ふものは、是はやはり日本の全體の經濟と云ひますか、産業其の他の今のやうな破壞された、又從來のやうな發達の仕方に根本的な原因を持つて居ると思ふ、そこで私は過小農の問題を解決するのには、農地方面に於ては、今囘のやうな農地の再分配に依る一つの自作農の創定と云ふものを圖りますると同時に、是は別途考へて行くべき問題であると思ふのであります、是は一つは今の食糧事情に依つて暫定的な原因から農業をやつて居る、さう云ふ人達は恐らく經濟が變動すれば直ぐ止めてしまふ人々だらうと思ふ、隨てさう云ふ者に付いては、さう云ふ食糧事情の一般の安定と云ふ面から、漸次農業其のものから脱落して行くやうな方法を執るのが、私は一番自然だらうと思ひます、それからさうしても尚ほ殘る、日本の所謂狹い領土に於ける謂はば宿命と云ふと語弊があるのでありますが、過小農に付きましては、是はどうしても一面に於ては、他の産業に其の勞働力を按配する機會を與へるやうな方法を講ずるか、それでなければ、それ等の者だけの協同の力に依つて、農業自體をもつと合理的な勞働組織に依つてやつて行くか、どちらかの方法しかないと思ふ、其の他移民とかさう云つたものも考へられませうが、さう云ふことを別とすれば、私は恐らく考へられるのは其の三つだらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=68
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069・葉梨新五郎
○葉梨委員長 菊池君意見を鬪はすことは成べく御避けを願つて、進行を圖られるやうに御願ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=69
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070・菊池豐
○菊池(豐)委員 承知しました、唯一つ御答への中の一つの矛盾を指摘したいと思ひますことは、御話の中に、さうすると過小農の整理はさう云ふ三つの形に依つて存續させ、或は行ふと云ふ御意思は了承致しましたが、そこに關聯を生ずることは、從來盛んに論議されました、先刻青木君も盛んに申しました一町歩の不耕作地主のあり方と云ふものが重大な關聯を持つて來るだらうと私は思ふのです、是も一つの働かざる過小農を作ると云ふことになると思ひます、山添局長の御話に依ると、是は原則的に絶對にどうすることも出來ない、言葉の定義をなすものは英國案だ、併しそこには最高限度と云ふ文字を見逃すことは出來ないと思ふのです、どうしても一町歩なり幾らかの地所を取つて置かなければならないとするならば、それは一畝でも一段歩でも宜いではないかと云ふ、一つの暴論かも知れぬが、さう云ふ議論も成立つて來ると思ふ、英國の見解に依る一町歩に依つて最低限度の衣食住を保證することが出來ると言つて居りますが、七百五十圓で一箇年はおろか、一箇月も、如何に農村が最低限度の生活とは申せ、生活水準を維持することが出來ないのは火を睹るよりも明かであります、さう云ふ點に付て一町歩も同時に整理する、一町歩も大乘的見地に立つて一つ自由黨、進歩黨の諸君も共鳴して整理する、同時に過小農家を限界線を引いて、幾つかの形のものに區分すると云ふことに付ては、私共は異議を唱へるものではありませぬ、議論になることは愼みますが、今御話の、然るべき時代が來れば解消すると云ふことは、先程私が申上げたやうな逆結果を齎らすと云ふことに依つて、大臣の御話は筋が通るまいと思ふ、以上簡單に私が思つて居る心持を申上げますが、あとは議論に亙りますので、一旦此の問題の質疑を打切つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=70
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071・葉梨新五郎
○葉梨委員長 高倉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=71
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072・高倉輝
○高倉委員 土地を買ひまして小作人に賣渡すと云ふ點に付て、和田さんは、中には買はない者があるかも知れないが、能く話せば買ふだらうと云ふ、極めて樂觀的な御意見を述べて居られましたけれども、是は買はない農民が相當出て來ると云ふことは、やはり豫想しなければいけないだらうと思ひます、先達て…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=72
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073・葉梨新五郎
○葉梨委員長 高倉君に申上げますが、第一條の審議の際に、總括的にそれに關する質疑應答が繰返されて居つたのでありまして、第三條に關する條項に付て進行さるるやうに、成べく該當する條文に付ての御質疑を御希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=73
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074・高倉輝
○高倉委員 承知致しました、其の積りで申上げます、其の前提で申上げたのでありますから、御聽きを願ひます、買はなかつた所の土地の處分に付きまして、是は或る場合は農地委員會の手で、或は農業會等の手で管理をさせると云ふことを此の審議の初めに仰しやいましたが、元來農業會にしましても、農地委員會にしましても──農地委員會は元來が土地を買上げて賣渡す所の組織であつて、其の土地を管理する爲の組織ではありませぬし、農業會も其の爲の組織ではありませぬ、であります、から、是は非常に不自然なことである筈であります、土地を買はないと云ふ問題は、現に二合五勺の配給と云ふ噂が傳はりましただけでも、土地に關する關心は大きく違つて居りますし、土地の闇値段は大きく下つて居る現象も現はれて居りますし、又現に九州全體の七縣の農民協議會と云ふものに於て、最近、一町歩を殘すことは不當であるから、土地全體を國營にしろと云ふ決議を致して居ります、又同じく最近に、是も山形縣の九十二團體で全縣の農民大會を開いた其の席上で、土地を買はないと云ふ決議を現にして居るのであります、是は九州全體に亙る、山形縣全體に亙る農民の組織で決議をして居りますので、決して土地を農民が買ふと云ふ工合に樂觀出來ない現象が目の前に現はれて居ります、さう云ふ風な事柄に對する和田さんの是までの説明ではやはり非常に不完全であつて、買はない場合の對策と云ふものをもつと完全にして御置きにならなければいけないのではないか、それには働く農民に依る所の共同管理委員會と云ふものを作つて、買はない土地を管理をしなければいけないのではないか、其の爲には、やはりここで一町歩の土地を殘すから非常に面倒になつて來るので、一町歩の土地さへなければ、買はない土地を共同管理をしますと、直ぐにそれが耕地整理や共同耕作の基礎にもなります、一町歩が殘つて居ります爲に、それが何時まで經つても大きな禍ひを貽すことになりますが、其の土地を農業會或は農地委員會で管理させると云ふことは非常に不自然なことであり、又それから樣々のごだごだが起ると思ひますが、之に對してどう御考へになりませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=74
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075・和田博雄
○和田國務大臣 そこはどうも多少意見になりますので、恐入りますが、賣れない土地は實行組合とか、農業會と云つたやうなものに先づ賣渡す、それであと尚ほ殘るものは農地委員會の管理、斯う云ふ風に致して居る譯でありまして、此の點に付きましては、私はやはり地方の村々に依つて相當違ふのだと思ふのであります、一概に、一町歩を殘すから其の點に付て色々紛爭が起るとも考へられないのであります、一町歩は法律的に十分殘され確保されて居る土地ではありますが、地主が自發的にそれを賣ることも別段禁じて居る譯ではないのであります、實際上、此の部落なら部落の實行組合なら實行組合と云ふものが相當立派に働き得るものでありますならば、それ等のものの手にそれを渡すことに依りまして十分其の土地の管理をすると云ふことは出來るのではないか、斯う考へて居る次第であります、意見になりますが、多少意見を異にして居るかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=75
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076・高倉輝
○高倉委員 是は今申上げましたやうに、實行組合にしましても、農業會にしましても、固より是は現在其の賣れない土地を管理する爲の組織でないものに渡るのでありますから、當然不自然であることは已むを得ない、それの爲に、例へば農地管理委員會と云ふものを作らせ、之を管理させると云ふ風な意思を御持ちになりませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=76
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077・和田博雄
○和田國務大臣 私は過去の經驗から見まして、必ずしもさうではないと思ひます、例へば、私大分農村を廻つて土地の農耕を見ました、其の時實行組合で土地を管理致しまして相當の成績を擧げて居る所があつたのでありまして、是は實行組合と云ふものを構成する人達にも依れば、又其の實行組合の指導をして居る人にも依るのであります、實行組合なるものは別に管理委員會と云ふものを作りませぬでも、それに依つて働き得るものがある、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=77
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078・高倉輝
○高倉委員 優秀な人が居ればずつと巧く行くと云ふ風な考へ方は、是は組織的に基本的なものではないのでありまして、やはり管理をする爲には管理をする本質的な組織がなければ出來ないのではありませぬか、例へば今、或る場合には農地委員會に之を管理させると仰しやいましたけれども、農地委員會の中には地主も、自作農も、小作人も、新しく土地を買ふ小作人も入つて居る譯でありますが、自作農にしましても、地主にしましても、其の新しく買はれた土地に對する何等の利害關係がないのでありまして、さう云ふ人達の組織に依る所の農地委員會でそれを管理させると云ふことは不自然なことであるだけでなく、結局それに關心のない人が其の管理をします爲に、農村に新しいごたごたを作る種に必ずなると思ひますが、之に對してどう御考へになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=78
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079・和田博雄
○和田國務大臣 土地は買ひませぬけれども、耕して居る人はやはり小作人として耕して居る譯であります、そこの所はさしたる條件がそれに依つて變ることもない譯でありますから、餘りいざこざが生ずるとは思はないのであります、それから實行組合、是は御承知のやうに耕作する人々の組合でありまして、殊に其の土地と云ふものに付てはやはり共同の利害を十分持つて居るのでありまして、其の點に付ては組織としても餘り心配は要らない、斯う思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=79
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080・葉梨新五郎
○葉梨委員長 高倉君、共同管理の御趣旨に依つて御質問のやうでありますが、一町歩と云ふことは成程あなたの仰しやることに關聯はして參りますが、共同管理の問題と是は當然主義上の見解の相違の問題となるのであります、其の主義を採るか否かの問題になるのでありまして、此の條文の逐條審議を進めるに當つては甚だ不適當な御質問かと委員長は認めます、仍て其の點は一つ御注意を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=80
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081・高倉輝
○高倉委員 もう其の點は宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=81
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082・大澤喜代一
○大澤委員 簡單に御尋ね致します、實は昨日も一寸觸れたのですが、今度の自作農創設特別措置法、所謂自作農を作ると云ふことで、當局の御方針では何と云ひますか、結局此の法案が通過致しますと、日本には自作農と地主、それから小作農、斯う三つだけが日本の農村の階級として殘るのだと云ふ建前で此の法案が出來たのでありませうか、僕は一應此の問題を中心に御尋ねするのであります、と云ふのは、昨日御伺ひ致しましたやうに、一町歩を殘すことに依りまして、實際は自小作が相當殘るのではないか、斯う云ふことが考へられるのであります、當局は自作と地主と小作を殘して、自小作は殘さないと云ふ方針で此の法案を出したのか、場合に依つては自小作も殘ることがあり得ると云ふ含みを持たして此の案を實現する積りか、其の點が重大なる問題だと思ふのですが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=82
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083・和田博雄
○和田國務大臣 私は之をやりましても自小作はやはり殘ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=83
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084・大澤喜代一
○大澤委員 さうすると是は寧ろ自作農創設案と云うても、自小作創設案になると思ひます、と云ふのは、昨日御伺ひ致しましたやうに、僕は決してそれを議論して居るのではありませぬが、例へば和田さんは此の間の新聞の發表で、先月二十九日午後四時から東京都の丸の内の放送會館第五「スタヂオ」で外人記者團と會見をされた、其の會見談が新聞に書いてある、此の外人記者團と會見の記事が果して本當かどうか分りませぬが、私は本當だと思ふのです、或は昨日も一寸問題になりましたやうに、此の案を實施することに依りまして、三百七十萬人の小作人中七十萬人位が殘る、斯う仰せられたのでございます、だから私は是は何かの誤算ではないかと思ふのです、昨日御話しましたやうに、一町歩の地主の土地に付て、五人、六人、七人と分けて小作人があり得ると云ふことは、十分大臣も認めたのでありまして、政府は此の點に於て誤算をして居るのではないかと思ふのであります、是れ以上私は聽きませぬが、爾く七十萬人の澤山の小作人が殘ると云ふことは重大問題だと思ひます、是は何れ討論の時に殘して置きます、其の次に此の外人記者團との會見の記事の中に、自作農に能力があれば三町歩以上の土地所有を認めると云ふことは事實か、斯う外人記者團が大臣に質問をして居るのに對して、事實である、斯う仰しやつて居るのであります、自作農に能力があれば三町歩以上の土地を認めて居るのは事實だ、さうすると是は具體的には今度の場合は、我々現在大體自作をして居る者は四町歩でも五町歩でも構はないと云ふことに理解出來るのでありますが、さう云ふ意味の外人記者團に對する囘答か、それとも今後自作農に能力があれば四町歩でも、五町歩でも認めてやるのか、私ははつきりしないのでありますが、是は或は裏と表が此の法案の審議にありはしないかと思つて念の爲に御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=84
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085・和田博雄
○和田國務大臣 それは現在自作をして居る者と云ふ前提があります、其の點外人記者に、言葉の飜譯も拙かつたので、意も能く通じなかつたのでありますが、私ははつきり現在と押へて居るのだと云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=85
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086・大澤喜代一
○大澤委員 それで安心致しました、今私は大臣から資料を頂戴したのですが、此の間御質問を致した御料地の問題ですが、先程の資料の内容に依りますと、御料林野農地開放見込面積中世傳御料地面積に關する調査、之を見ると、帝室林野局調査の農地開放面積は四萬九千百四十町歩、是は世傳御料地を含むと云ふ御囘答なのです、そこで私は念の爲に御聽き致しますが、世傳御料地と云ふものは御料地の中の相當な面積を占めて居りまして、大體二十萬八千五百十一町歩と云ふ統計が出て居ります、而して此の世傳御料地二十萬町歩以上の面積の中には、木曾初め澤山の十六萬町歩近い所の御料林が既に世傳御料地として含まれて居りますが、此の世傳御料地は全然農地に解放すべき餘地がないと云ふ意味で對象にしないのか、少くとも此の二十何萬町歩と云ふ世傳御料地は、それ以外の理由で、日本の農業問題の解決の爲にはどうも手の付けようがないものだと云ふ御考へで農林省は對象にしないのか、之をはつきり致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=86
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087・笹山茂太郎
○笹山政府委員 其の點に付きましては私から代つて御答へ致します、世傳御料地の解放に付きましては、是はまだ適地調査が濟んで居りませぬ、其の意味から現在の世傳御料地の調査の濟んだ所に於ては世傳御料地は入つて居らない、斯う云ふ意味合ひから、將來世傳御料地に付きましても開墾適地がありますれば解放して戴けると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=87
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088・大澤喜代一
○大澤委員 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=88
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089・平野市太郎
○平野(市)委員 議事進行に付て、一寸委員長に御願ひ致しますが、最前菊池委員は、三段歩以下の過小農は──である、尚ほ其の御言葉の中に三段歩以下の百姓は闇賣をして居るのだ、斯う云ふやうなことを言はれましたが、私全國の農民、過小農の立場から──私は實際の農民であります、過小農民の立場に立つて、是非此の──と云ふ言葉だけは適當な言葉に取替へて戴きたいと思ひます、御承知のやうに、我が香川縣に於きましては三段百姓は數が多いのであります、此の三段百姓に追込んだのは、今迄の制度が惡かつたのです、百姓は少くとも一町歩位の土地を作つて百姓をして生活をしたいのですが、悲しい哉、今までの制度が惡かつた爲に、それだけ作ることが出來なかつた、さりとて三段百姓は戰時中どれだけの努力を拂つたでせうか、叺の生産も三段百姓なるが故に出來たのです、炭燒きでも薪切りでも、皆小作農民があつた爲に出來たのです、百姓だけして生活をして居つたならばそんな暇はないのであります、三段百姓が能く働いたから出來たのであります、又三段百姓は絶對闇賣は出來ませぬ、闇賣をするのは、大きな百姓が食ひ殘したものを不心得な者が闇賣をするのが多いやうであります、やはり闇賣は大體「ブローカー」がやつて、純粹なる農民はしようとしても出來るものではないのであります、此の點だげ適當な言葉に取消して戴きたい、農民の爲に切に希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=89
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090・葉梨新五郎
○葉梨委員長 了承致しました、適當な機會に菊池君の出席を見まして、委員長に於て取計らふことに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=90
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091・松本六太郎
○松本(六)委員 只今大澤君から御料地の問題がありましたが、大學林の小作地と云ふものが相當大きい面積があります、それは大學が所謂試驗地として持つて居る土地の中にある譯ですが、實際農業の試驗をやる爲に使つて居る土地は、是は勿論問題はない譯でありますけれども、林業を經營致しますが爲に、多くの小作人に耕作をさせて、此の小作の勞力を林業に適當な時使ふと云ふ爲に北海道に於きましては北大の農場、或は東大の農場と云ふやうなものは、其の農場だけで一箇村を形成して居る所があります、空知郡の東山と云ふ村は一村約千戸の戸數がありまして、是が全部大學の小作であります、さう云ふのが隣村の山部村と云ふ所にもある譯ですが、是は自作農になりたいと云ふことでありまして、多年熱心な請願等もやつて居るのですが、大學が是まで解放しないで來たので、此の機會に我々は斯う云ふ土地はどうしても自作農にしてやるべきだと思ひますが、政府に於てはどう云ふ御方針を執つて居られまするか、此の點を御伺ひして置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=91
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092・山添利作
○山添政府委員 御質問の趣旨と同樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=92
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093・磯崎貞序
○磯崎委員 不在地主の土地でございますが、隣接市町村の區域の中、部落を隣合はせる程度は色々境界も分るのですが、同じ隣接町村としましても極く極端な、地域が相當離れた所の部落、さうした方面に存在するものは所謂不在地主のそれに當るかどうか、それを御伺ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=93
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094・山添利作
○山添政府委員 「當該市町村の區域に準ずるもの」と云ふ範圍内で認める譯でありまして、餘り遠隔なもの、或は山一つ越えて隣りのもの、併し地圖から見れば隣りだ、斯う云ふものは認ない譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=94
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095・磯崎貞序
○磯崎委員 今一つ、地主が或る法人に一定の年度を切つて小作の契約をして、三、五町歩の土地を其の法人が經營して居る、此の場合當然其の經營主である法人の方で、土地を與へられる資格を得られるものか、之を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=95
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096・山添利作
○山添政府委員 それは昨日も問題になりましたが、原則として法人が賃借して居る土地に付ては、成程其の法人が小作人でありますが、それに所有權を移さないと、さう云ふことはしない方針であります、即ち自作農の創設と云ふ方針に合致しない、さう云ふことは原則的には致さない譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=96
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097・磯崎貞序
○磯崎委員 變則的に多少やれる場合がありませうか、此のことに付ての御考へを…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=97
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098・山添利作
○山添政府委員 自作農の創設でありますから、さう云ふことは認めないのであります、例へばそれ自身を專門にやつて居る法人、種苗の會社或は横濱植木、斯う云ふ例外的なものがやつて居る場合に、自分の所有地にさう云ふ小作地が混じつて居ると云ふことがあれば、一經營地として認める場合はあり得るかと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=98
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099・磯崎貞序
○磯崎委員 さうすると、國策的な形から相當大きな或る法人が所謂原種圃を經營して居る場合は、今の變則に當ると解釋して宜いのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=99
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100・山添利作
○山添政府委員 是は何處までも法律の趣旨から見て、自作農創設の譯でありますが、さう云ふ場合に於て直ちに其の經營を壞すと云ふことは無論適當でありませぬから、國としてはさう云ふことは留保して居つたら宜いと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=100
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101・葉梨新五郎
○葉梨委員 それでは第三條に對する質疑は大體出盡したやうに思ひますので、第三條は終了したものと致しまして、午後からは第四條に入りたいと思ひます、休憩致します
午後零時十七分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=101
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102・会議録情報2
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午後一時五十二分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=102
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103・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは開會致します、午前に引續き逐條審議に入ります──菊池君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=103
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104・菊池豐
○菊池(豐)委員 午前の私の過小農家の批判の言葉の中に──と云ふ一節が非常に一部の方々の御氣嫌を損じたやうに思はれますから、あつさりと取消します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=104
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105・葉梨新五郎
○葉梨委員長 了承致しました、大澤君、御發言はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=105
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106・大澤喜代一
○大澤委員 昨日──と云ふ言葉を使つて非常に誤解を生んだやうですから、あれを撤囘して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=106
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107・葉梨新五郎
○葉梨委員長 了承致しました、それでは第四條に入ります
第四條 前條の規定の適用については、農地の所有者の同居の戸主若しくは家族又は農地の所有者の戸主若くは家族で第二條第三項に規定する特別の事由に因りその者と同居しなくなつた者が當該農地の所有者の住所のある市町村の區域内において所有する農地は、これを當該農地の所有者の所有する農地とみなす。
前條第一項の規定の適用については、農地の所有者で第二條第三項に規定する特別の事由に因りその所有する農地のある市町村の區域内に住所を有しなくなつたものは、これを當該市町村の區域内に住所を有する者とみなす。
之に付て御質疑はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=107
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108・北政清
○北(政)委員 昨日も言つたのですが、「同居の戸主」と云ふのは、政府の方では上の方から掛つて來るから分ると言はれるが、是は讀む人の立場から見なければなりませぬ、「前條の規定の適用については、」と云ふ前段があつて、前條の規定を適用して行く上に於て、農地所有者の同居の戸主と云ふのですから、何も此の人だと云ふことは關係しない、やはり同居の戸主は同居の戸主でありますから、是は昨日の御説明では之を讀む人に分らぬ、殊に程度の低い農村社會に於ては分らぬと思ふ、誰が解釋したつて是は戸主と看做す、別に關係のないものに關係させる必要はないと思ひます、それから「市町村の區域内に住所を有しなくなつたものは、これを當該市町村の區域内に住所を有する者とみなす。」と云ふ字句に付ても、市町村の區域内に住所を有しなくなつた者だつたら、完全に他へ行つてしまふと思ふのであります、それで私は斯う云ふ字句に付ては、此處で一々やつて行くよりは、大體の方針だけを御伺ひして置いて、後で小委員會でも設けられて、少數の委員と政府の方とで直して行つた方が、議事の進行が早いと思ふ、さうしないと全文に亙つて一々申上げなければならぬことになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=108
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109・和田博雄
○和田國務大臣 此の「農地の所有者の」と云ふ「の」は「ポゼシヴ」なので、「同居の戸主」で切れるのですから、日本語としては分ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=109
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110・北政清
○北(政)委員 「所有者の同居」だから家の中に一緒に居る、是は少しも變らない、大臣が言はれれば言はれる程變になつて來る、民法でも刑法でも「同居」と云ふことがそれに關係があるとかないとか云ふ差別を付けることはありはしない、政府もさうこだはらないで、皆に分るやうにすれば宜い、あなた方の言はれるのは、所有者の其の戸主と云ふことらしいが、此の字句ではさう讀めませぬ、あなた方は自分で拵へられたから先入主があつて分るだらうが、私等でも分らぬのだから、他の者に分る筈がないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=110
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111・葉梨新五郎
○葉梨委員長 具體的に斯うだと北さんに分るやうに御説明になつたら如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=111
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112・和田博雄
○和田國務大臣 意味は分つて居られるのです、唯表現の仕方が日本語としてまづいのではないか、斯う云ふ御話らしいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=112
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113・北政清
○北(政)委員 是等の字句に付ては後で小委員會でも設けて檢討したらどうでせうか、此處で一々やつて居つたら非常に時間が掛る、私としては相當直したいと思つて居る箇所が隨分あります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=113
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114・松本六太郎
○松本(六)委員 議事進行に付て申上げたいのですが、僕も北君と同感です、隨分解釋に苦しむやうな所がありますから、斯樣な字句に付ては、後で其のことだけに付て少數の人で政府と一緒になつて出來るだけ分り易くするやうな方法を執られる方が、議事進行上宜いだらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=114
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115・葉梨新五郎
○葉梨委員長 其の外に御質疑はありませぬか──それでは第五條に入ります
第五條 政府は、左の各號の一に該當する農地については、第三條の規定による買收をしない。
一 國又は公共團體が公共用又は公用に供してゐる農地
二 都道府縣、市町村、都道府縣農業會、市町村農業會、農事實行組合、農地開發營團その他命令で定める團體の所有する農地で自作農の創設又は共同耕作の目的に供するもの
三 試驗研究又は農事指導の目的に供してゐる農地で地方長官の指定したもの
四 都市計畫法第十二條第一項の規定による土地區劃整理を施行する土地又は都市計畫による同法第十六條第一項の施設に必要な土地の境域内にある農地で地方長官の指定する區域内にあるもの
五 近く土地使用の目的を變更することを相當とする農地で市町村農地委員會が都道府縣農地委員會の承認を得て指定したもの
六 自作農が疾病その他命令で定める事由に因つてその自作地に就き自ら耕作の業務を營むことができないため賃貸借又は使用貸借により一時當該自作地を他人の耕作の業務の目的に供した場合、市町村農地委員會が、その自作農が近く自作するものを認め、且つその自作を相當と認める當該農地
七 新開墾地、燒畑、切替畑等收穫の著しく不定な農地その他命令で定める農地で市町村農地委員會が政府において買收することを不相當と認めるもの
以上に付て御審議を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=115
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116・上林山榮吉
○上林山委員 昨日農林大臣に農地委員會の法的性格を承つたのでありますが、それに依ると、行政官廳としての性格であると云ふ御答辯でありましたが、市町村農業會或は都道府縣農業會の法的性格がさう云ふものであるとすれば、何等か官制にでも之を明かにする御意思があるかどうか、此の儘では、行爲能力或は意思能力、さうしたやうな法的な活動が十分に出來るのであるかないか、疑はれる點が多いので、何か官制等を以て之を明かにしなければならぬのではないか、斯う考へるのでありますが、此の儘で宜いと考へて居られるかどうか、是は今後殆ど農地の中心勢力になつて總てを處置しなければならぬ重大な問題であります、或は訴願其の他色々な問題が起つて來るのでありますが、さう云ふ見地から此の點をもう少し明かにして置きたいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=116
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117・和田博雄
○和田國務大臣 農地委員會に付きましては農地調整法の中に組織と權限が書いてありますそれから例を求めますれば、土地收用法の中の土地收用委員會でありますか、さう云ふものは法律に書いてあるだけでありまして、それはやはり一程の行政廳としての性格を持つたものと云ふことになつて居りますので、別に別段の官制を作る積りはございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=117
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118・上林山榮吉
○上林山委員 官制を作らないで十分の運營が出來る御自信があれば、それで結構でありますが、何れ又小委員會等で研究して見たいと思ひます
次に御尋ね致したいのは、戰災に因つて都市で現在農地に準じて耕作をして居る部分が相當にあるのでありますが、是は勿論都市と農村との人口の配分と云ふ國土計畫から勘案をしなければならぬ根本的な問題でありまして、農林當局だけの所管ではありませぬが、農地が一町歩でも十町歩でも廣いことを解放される農民は要望して居るのでありますから、此の見地から、都市を或る程度國土計畫に從つて縮小する必要がある、斯う云ふ面から、此の戰災地を農地に編入する御意思はないのかどうか
更に私は、是も亦農林當局だけの御意見では出來ないのでありますが、農林當局の御意見を伺ひたいのは、農地に付ては御承知のやうに所有制限を致した譯でありますが、都市の宅地に付ては何等の制限を現在して居ないのであります、でありますから、是は國土計畫に勿論盛るべき根本の問題ではありますが、農林當局は是等のものに對しても、之を農地にすると云ふやうな見地から、どう云ふ見解を持つて居るものでありませうか、私は此の問題に付て先づ御伺ひ致して置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=118
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119・山添利作
○山添政府委員 都市の問題でありますが、無論、東京市の人口に致しても、是が何百人になるのか、餘程戰爭中等とは樣子が違ふのであります、隨て又其の市街地を形成すべき區域に付ても違つて參ります、隨てそれは都市計畫に從ひまして、永久的に區分の出來る土地は、是は農地なら農地と云ふ風にする部分が出來て來る譯であります、御承知の緑地帶の外にさう云ふ部分も出來ることと考へて居ります、さう云ふやうなことは内務當局等と共に十分研究を致したい、斯う考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=119
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120・上林山榮吉
○上林山委員 研究をしたいと云ふ程度であつて、國土計畫に對して、殊に農耕地を擴めると云ふ意味に於ける國土計畫に對して、農林當局としてはまだ具體的に何等折衝をされたことはない譯でありますか、是から積極的にしたいと云ふ意欲を持つて居られる、斯う云ふ風に解すべきでありますか、其の點をはつきり御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=120
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121・山添利作
○山添政府委員 後の方の意味のことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=121
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122・上林山榮吉
○上林山委員 此の問題は重要な問題でありますから、一つ積極的な御研究、或は内務當局に一つ御折衝下さることに御願ひ致しまして次へ進みます
御承知のやうに、戰爭中、増産をしなければならぬと云ふことで、宅地内の五畝歩、一段歩と云ふやうなものも此の二、三年間農耕地になつて居るのであります、是等は土地の狹い方面に於ける農村に取つては、法規上は問題にならないとは云ふものの、實際の取扱の上に於て問題になることが起つて來るのではないか、現在一段なり二段なり、名義が自分の宅地になつて居るものを農地にして居る、二、三年でも作りなさいと云ふやふな簡單なことで之を作らして居ると云ふ場合、是は名義は純然たる宅地でありますが、是等のものに對して、法規上は勿論今申します如く問題にはならないと考へますが、當局として方針を明かに示されたい、斯う考へるのでありますが、如何に考へて居られるか、此の點を御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=122
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123・山添利作
○山添政府委員 宅地の部分が今特別の事情に依りまして菜園になつて居る、或は今後もさう云ふ場合が相當續くかと思ひますが、宅地としてはつきりして居るものは宅地と考へた方が宜いと思ひます、併しそれが農地と見ると云ふ具體的な状況であれば、是は農地として見る、斯う云ふ譯であります、併し御話のやうな場合は、恐らく是は一括した宅地と云ふものをなして居るのではないか、私は斯う云ふ風に想像する譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=123
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124・寺島隆太郎
○寺島委員 私は第五條全般に付て御尋ね申上げ且つ其の御考へ方を承りました後に、關聯事項は第十六條と午前中審議になりました第三條の第三號に關聯して參るのであります
政府が今囘の劃期的な農地改革に依つて、農村に存在致して居りました封建的因習を除き去らうと云ふことに付ては、私も深く敬意を表するのでありますが、其の社會革命を行ふ途上に於て、幾つかの犧牲は避けらるべきものではないのでありますが、成べく此犧牲を少くして、本案を極めて圓滿に行はしむる爲に、昨日も速記を取らざる祕密會の席上に於て大臣に個別的に御尋ね致したのでありますが、地主に一町歩の農地所有權を認めて居る此の所有權は、私が申すまでもなく、耕作權を伴はざる所有權であります、隨て是は端的に言へば、今後本法施行後に於て、一町歩と云ふ零細なる土地を持つて居る地主の性格と云ふものは、丁度株券を持つて居る株主か乃至は債券を持つて居る所有者と大して選ぶ所はない、一定の定められたる金納小作料を貰つて公租公課を納めると云ふ實質でしかあり得ないのであります、所が此の第五條に於て、政府は第一項以降第七項の場合に於ては其の農地を買收しない、斯う云ふやうな措置を講ぜられて居るのでありますが、茲に私は特に農林大臣に御考へを願ひたい點は現在までの農村のあり方、特に今日まで農林省當局が奬勵して參り、農村に指導をし續けて參つた所の姿は、例へば皇國農村の確立とか、さう云ふやうなことに依りまして──私も是は贊成ではありますが、日本の農村が、餘りにも過剩な勞力を注込むことに依つて辛うじて生きて行くことが出來ると云ふ、畸形的な存在を成べく脱却して、彼の「アメリカ」其の他の先進國に於て考へられて居るやうな、單位當りの勞働力に於て生産すべき其の量を可及的大ならしめると云ふやうな方向へ、農林御當局の農政指導の志向が注がれて居つたと考へるのであります、其の後戰爭と云ふ、全く非常の事態、「ノルマル」ならざる事態に遭遇して、而も農村の相貌は、それと共に一方にはさうした農林省の指導と、一方に於ては食糧増産を絶對にすべしと云ふ至上命令との二つの條件を擔當して非常に農村竝に農家、特に現實に耕作しつつある姿は極めて畸形的な状態にあると云ふことが緒論し得られるだらうと考へるのであります、現實の姿はどうしても土地を持て餘して困る、此の土地を何とか耕さなければならないと云ふ必然の必要に迫られて、之を無理やりに殆ど嚴命で小作に付したと云ふ場合もありませうし、又極めて低位な、殆ど農業勞働に習熟せざる都會の歸農者が、或は三段百姓或は二段百姓と云ふ形に於て、極めて畸形的に存在して居る形を今日に於ては各地に於て見得られるのであります、農相が御考へになつて居られるやうな、働く者に其の土地が按分的に行はれて居ると云ふことは、斷じて言ひ得ないだらうと私は思ふのであります、其の場合に此の第五條を御規定なさるに於て、私は一つ考へて見なければならないことは、斯うして日本の──私は根本論から先づ御伺ひ致したいのでありますが、此の所有權と耕作權と云ふ二つの對立の中に日本の農村を規定して行かうと云ふことが、一つの無理な段階に只今來て居るのではないかと考へるのであります、私は本案に依つて他日の農村に豫定せられる農業恐慌が來た場合に於ては、恐らく日本の社會が資本主義社會である限りに於ては、其の極めて前面に零細な農民が押出された結果、假令其處に幾つかの「コオペレート」に依る企てが考へられやうとも、其處に尚ほ一抹の危險性なきを得ないのであります、仍て私は茲に第五條と關聯して前段の根本問題として御尋ね致したいのは、特に第十六條に於ても規定致して居るのでありますが、斯うしたこと以外に、所有權と耕作權と云ふものの上に、例へば經營權と云ふやうなものを取上げて來て、其の經營權を例へば國なり國の指示に從ふ地方、町村の農地委員會が持つて居つて、さうして働く者に適當に土地の分配をなして行くと云ふことが日本農村將來のあり方であるとは考へますが、是は根本論であつて、私の議論であつて、本法直接の質疑の對象にはなりませぬからそれは措きます、さう云ふことが出來ないならば、飜つて現實の問題として考へなければならないことは、現に今や先祖傳來の其の農地を此の法律に依つて日本の農村民主革命に捧げようとして居る地主諸君の今の立場であらうと私は考へるのであります、斷じて私は地主擁護の建前と云ふものを一片も持つて居らない積りでありますが、現實に於て倅が農業大學を出た、其の妻に百姓に適當なる者を娶つた、今此の曠古未曾有の農地革命に對處して雄々しく自分は自作農家として起ち上らうと考へて居る人々にも、此の第五條の規定は餘りにも狹いものではなからうか、私が最初に指摘致しました、極めて畸形的な耕作状態を續けて居る日本の農村のあり方に於て、丁度歸農のどさくさ紛れに──あの戰時のどさくさ紛れに耕作權を獲得した者には極めて手厚い保護がなされて居る、而も其の時期は戰時と云ふ、凡そ平常の時期を以ては豫測することの出來ない時期に定められた此の一線が、而も今後平和になり、今後永く繼續せらるべき農村の姿に押付けられると云ふことに於ては、其處に私は社會公平の原則に缺くる所があるのではなからうか、之を換言すれば、現に土地の耕作者が所有權を持つて居つても、此の所有權は耕作權を持たない一片の、例へば債券のやうなものであると假定致すならば、最早是は地方的に考へて見ても、其の家屋の構造が、其の農業の設備が直ちに自作農たるに轉換し得る幾多の群を空しく失望の彼方に追ひ去ると云ふことが、曠古未曾有の此の法案を實行するに當つての正しい考へであるかどうか、友愛を基調として居る現内閣の農政として考へられる一項であるか、端的に結論を急ぎますならば、私は此の第五條の第六號若しくは第七號の中間邊りに、例へば此處に、決して是は地主の諸君に對して擁護の立場ではなく、斯かる社會公平の原則の上に立つて、一例せば、農地所有者及び其の家族が其の所有農地に就き自ら耕作を營むことを適當とし、且つ市町村農地委員會が妥當と認むる場合に於ては、第三條第二號の範圍を超えない農地耕作部分に付ては買上を行はないと云ふやうな一項目を、此の法の明文の上に殘して置くと云ふことも亦、私は凹凸激しい現状に於ては、農地革命を圓滿に行ふ上に於て必要ではないかと云ふのが、私の御伺ひしたいと考へて居る第一點、是が其の筋の「ディレクティヴ」に依つて不可能なりと農相御考への場合に於ては、例へば私が今披露致しましたやうな場合に於ては、此の睡り所有權になつて居る土地の耕作權は、町村の農地委員會が適當と認め、且つ明日から鍬を握つて田圃へ行つて、他の一方に於ては農村文化を背負ひ、一方に於ては村の中堅たることが出來るやうな者に、例へば其の所有權に對して或る程度の耕作權を認めて行くと云ふやうな法の措置を第二に於て御考へ願ふことが出來ないかどうか、それが出來ないとせば、せめて第十六條に於て「政府は、第三條の規定により買收した農地及び政府の所有に屬する農地で命令で定めるものを、命令の定めるところにより、その買收の時期において當該農地に就き耕作の業務を營む小作農その他命令で定める者で、自作農として農業に精進する見込のあるもの」、詰り自作農として農業に精進する見込ある者に、優先的に是等の諸君を加へるの御意思があるかどうか、此の三點は私は本案を極めて圓滿に遂行する上に於て、例へば所有權と耕作權との上に物件としての經營權と云ふものを政府が設定して、自分自身が働く者に農地を分配するのだと云ふやうな、農業一本に專心行ふことが困難なりと思考せらるる内外の情勢に於ては、せめて本法に於て此の程度のことがあつて然るべきではなからうかと私は考へるのでありますが、農林大臣の御考へを一つ承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=124
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125・山添利作
○山添政府委員 只今の問題でございますけれども、是は今の土地が根本的に足りないと云ふ所からさう云ふやうな事情も起つて來る譯でございますが、此の法案の全體の建前と致しましては、現状に立脚をして、さうして土地改革の仕事をやつて行くのでありまして、之を將來の期待と云ふ所まで擴げて參りますと、結局實行の場合に於きまして、此の法案が實施出來ない、斯う云ふやうな結果に立至るだらうと思ふのであります、隨て今御話になりましたやうな場合と雖も、結局其の若い人が自作をしようとする土地は、他に耕作して居る人がある譯であります、隨て是は其の事實に基いて之を現に耕作をして居る人の自作地にして參る、斯う云ふ風な建前になつて居る、それを將來の事柄を考慮に入れて、其の儘にして置くと言ひましても、そこに確實性もなければ、又一波瀾を起さずには已まぬ、斯う云ふことになるだらうと思ふのであります、やはり此の法案にあります通りのことで進んで行くことが實際適切だらう、斯う云ふ風に考へて居るのであります、又第十六條の關係に於て同樣なことを述べられたのでありますが、此の第十六條の關係に於て賣渡す人と言ひましても、結局現實に其の土地の上に耕作して居る人若しくは極く近い過去に於て、例へば十一月二十三日に耕作をして居つたと云ふやうな人が對象になる譯でありまして、御話のやうな場合に於きましては、何等かそこに餘裕のある土地、即ち例へば法人のやつて居りました土地で、それが解體すると云ふやうな場合には、土地の餘裕が出來て參る譯でありますけれども、さう云ふ土地は、日本全國の問題としては少い譯であります、只今御話のやうな筋には出來ぬと、斯う云ふ風に考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=125
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126・寺島隆太郎
○寺島委員 農政局長の今の御考へ方は、現實の事實を以て規定して、其の上に農政百年の計を樹つると云ふこと以外に、現状其の他のことも豫想せらるるを以て、可哀さうだが出來ぬのだと云ふ風に私は聽いたのでありますが、然らばあなたは、あなたが農政局長として多年農林官僚としてやつて來て、一つは農政の面から指摘せられる去年の十一月二十三日に於ける農村の指導方針が、今日に於て適用せられるや否や、第二は戰時と云ふ、凡そ平常の状態を以ては規定せられない此の突發的な事實の上に、凹凸激しき此の事實の上に、而も農政百年の傳統を築くのだ、それ以外に方法はないのだ、現實に働きたいと云ふ人があつても、それは他に耕作權を持つて居る人があるから、耕作權を取上げると云ふやうな場合以外には出來ないのだと、斯う云ふ風にあなたは逃げようとせられるが、是は大體政府が此の法案を決められるに當つて、私は非常に卑怯な點があると思ふ、例へば最低農家の維持培養に可能なる農地を保障するとか、さう云ふやうな制度を前提としてやつて行くならば、さう云ふあなたの所論も分ると思ひますが、此の凹凸激しい現状農村の上にさう云ふものを築いて來ると云ふことに對しては、私は非常に不深切なやり方であると考へるのであります、それから此の第十六條なり第十八條なり第五條なりの規定の中に於て、他の小作人諸君の現に持つて居る耕作權が適當でない場合、詰り過剩なる場合とか、又適當でないやうな場合に於ては、是は地主自身が耕作者になることも出來るのだ、例へば買上の場合に於ては是が優先して──優先と云ふ言葉が語弊があれば、是等の諸君が買ふ便法があると云ふ法的措置を、私は茲に直ちに執り得るだらうと思ふ、之をあなたが駄目だと頑張られる御所論をもう一遍農民の前に示して貰ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=126
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127・山添利作
○山添政府委員 戰時中非常に凸凹が起つて居る、是は確かにさう云ふこともございませうと思ひます、此の法案に於きましては、小作地に付ては直接觸れて居りませぬが、小作地に付きましても經營面積が耕作能力に比して多い、隨て能率が上つて居ないと云ふ場合には、超過して居ります部分に付て制限を加へて行くと云ふことになつて居ります、此の考へ方は小作に付きましても左樣な「アイディア」が適用される譯であります、隨て適正な經營が行はれる範圍に制限されると云ふことは、本質的にはあることでございます、併しながら、戰時中の色々なことに依つて「バランス」が破れた、それを是正して行くには今言つたやうな不適正になつた部分に付て是正して行く、多くの場合は日本の農業の状態に於ては何人も現在やつて居ります以上の土地を經營したい、是は一般の状況である譯でありまして、やはりさう云ふ一般の状況に於て物を考へて行くと云ふことでなければならぬと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=127
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128・寺島隆太郎
○寺島委員 今の農政局長の御話で一寸首肯し難い點があるのでありますが、それは現状の此の耕作者が餘剩と思考せられる土地に付ては、本法の定むる所に依つて當然其の耕作權を認めない、さう云ふやうな規定も出來て居ることであるから、それは私の所論したやうな弊害は起らないとあなたは仰しやつて居るけれども、農村の實状は自己に認められたる耕作權は是はどのやうな形に於ても確保しようとする足掻きが、其の間に於ては私は續けられるだらうと思ふ、分散を惧れると云ふならば、私は寧ろ、其の農家自身が土地に付て適正と首肯せられない殘餘の部分の認定上の多くの問題が起つて來るだらうと思ふ、若し斯う云ふことを規定すれば「チャチャノフ」の小農經營の原理を私が茲に引用するまでもなく、農業生産の本質的なものは其の家族勞働の増減に依つて左右せられる、是はあなたも知つて居られる農政の鐵則です、詰りもつと端的に言へば、一個の夫婦があつて、二十五歳の時に結婚して、結婚十年長男が七、八歳の頃を以て農業生産能力は一番低下し、それから更に十四、五年經つて、長男が妻を娶つた時に農業の勞働力と云ふものは最高に達する、其の場合に於ける適正と稱せられ、可能と稱せられる土地の耕作段別は、自ら其の家族勞働と云ふものを主軸として居る農業の鐵則に鑑みて行はれて行くものと私は考へるのであります、其の時にさうした家族勞働を基盤と致す、其の家族勞働自體が決して一定不變のものではない、是れ自體に凹凸激しきものがあるのだ、是は今後十年、十五年、其の家の營生状態を考へて來れば、茲に多く耕作しなければならない場合が起る、尚ほ場合に依つては、其の他の耕作權を他に移讓しなければならぬと云ふやうな諸々の状態が、將來に於ても豫測せられるのではなからうかと思ふ、それ程現實の事態を把握して、此の上にあなたは農政百年の道標を打立てると云ふこと自體が、私は論理に食違ひを來して居るのではないかと思ふのであります、あなたは大臣の命令で、左樣なことは此の法案としては絶體認められないと云ふやうな一點張りで逃げて居られると思ひますが、一體是は法文の解釋で、斯う云ふ風に詰寄つて見ても已むを得ないのでありますが、大臣是は出來ないものでありませうか、どう云ふものでありませうか、あなたの政治的な、又農政的な立場に立つて説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=128
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129・和田博雄
○和田國務大臣 寺島さんが出されました問題は、私は二つあると思ふのであります、一つは現在地主に一町歩の保有面積を許されて居る、此の一町歩の保有面積を許されて居る地主の中には、家族勞働其の他の關係で自作すればなし得るものがある、而も偶偶其の借手は、戰爭中に於て農業に專心して居る者でないやうな者が入つて來て、小作人になつて居るやうなものがある、さう云ふやうな場合には、是は寧ろ自作の意思があるだけでなしに、十分能力のある者が耕した方が宜いのではないか、斯う云ふ御意見であらうと思ふ、それは結局私は前から御説明して居るやうに、本法では其の矛盾は、第六號に依りまして地主が自作を相當とする、而も農地委員會がそれを認める、斯う云ふ一つの「システム」に依りまして、其の問題を具體的に解決して行くと云ふことに致して居るのであります
それからもう一つの問題は、家族勞働の變化と土地の保有關係の問題でありますが、是はあなたの御言葉の中にありましたやうに、假に今家族勞働の點から言つて、「マキシマム」な勞働になつて居るものがある、それが三町歩なら三町歩と云ふものを耕作して居ると假定する、それが何年かの後には、家族が死んだりしてずつと減つて行つて二町歩しか耕やせないと云ふことになると、今の事情で行けばあとの一町歩と云ふものは小作に出せる、地主は一町歩持ち得ることになつて居ります、而して此の一町歩を保有することは、成程一面の論理から言へば如何にも矛盾して居るやうではありますが、長い將來を見て見れば、さう云ふ「ケース」も起つて來るので、是は經營面に一つの幅を持たせると云ふ點から言へば、やはり一町歩程度のものは保有せしめて置くと云ふことも、日本の農政に取つては十分意味があるのではないか、斯う私は思つて居るのでありまして、只今の所さう云ふやうな建前から其の法案が出來て居る、斯う云ふやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=129
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130・寺島隆太郎
○寺島委員 大臣の御意向も能く分りました、第五條乃至第十六條の建前に於ては、第十六條の例へば追加其の他に依つては大體やりたくないと云ふやうな風に私は只今了解致したのでありますが、地主小作の相對の場合にのみ是が認められると云ふやうに結論は相成るのであつて、此の點は後來本法が運用される場合に於て、現實農村の中に幾つかの排撃となつて、我々が當面し、政治家として農村を經廻り歩く場合に於ては、囘答に是れ窮するやうな問題として殘ると云ふことを、我々本案の審議に當つた委員の一人として認めざるを得ないと云ふことを考へると、是は一片の涙なきを得ない問題であります、されば私は日本の土地の所有形態乃至は耕作形態を、今日のやうな單なる所有權とか耕作權とか云ふ兩者の對立の儘に置いておくから斯う云ふやうなことになるのだ、大臣が先日も述べて居られたやうに、日本の農業の上に今後企てらるべき幾つかの機械化なり、或は耕作面積を擴げることに依つて生ずる勞働の負荷率の遞減、斯う云ふやうな問題を取上げる上に付ても、寧ろ耕作權、所有權の上に、例へば經營權と云ふやうなものを設定して、耕作權と云ふやうなものは、それに睡らせて、是は個人の取扱ふべき問題から、更に國なり或は國の委託に依る地方の團體なりが、取扱ふと云ふやうな措置を將來に於て御考へかどうか、是だけを大臣に御伺ひして置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=130
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131・和田博雄
○和田國務大臣 其の點は結局農地と云ふものがありまして、それがはつきりと財産權としても認められ、又耕作權と云ふものも一種の財産權と認める、斯う云ふことになつて居ります、併し何れにしても、それ等のものは權利それ自身抽象的にあるのではないのであつて、それは國民が一つの經濟生活をやり、社會生活をやつて行きまする上に於て當然福祉を増進するやうに運用さるべきものであると云ふことは、言ふまでもないことだと私は思ふのであります、現在の農地の改革に於きましても、勿論最後の判定になりまする所は、只今申上げましたやうに、耕作權とか、所有權と云ふことよりも、もう一つ高い國民の經濟の上から言つて、どちらが増産になるか、どちらが、土地の生産力を上げて國全體の爲になるかと云ふ點から判定を致して居るやうな譯でありますので、現在の農地制度の改革と云ふものは、自作農と云ふものを作りまして、其の自作農と云ふ中小農民を基礎にして、今後の働き、色々の農政をやつて行く、斯う云ふやうな建前になつて居るのでありますが、それを基礎にして、今後はさう云ふものの實際上の經營なり、構成なりと云ふものを、國民經濟的に最大の效果が擧りますやうに、色々な手段と云ふものを、今後農業行政として考へて行きたい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=131
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132・寺島隆太郎
○寺島委員 さうしますと、甚だ蛇足のやうでありまするが、本案第五條の逐條審議の終りに當りまして、大臣が述べられました、例へば第九條の規定に依つて、地主と小作人とが相對に、あなたの仰しやつたやうな方法に依つて認められるやうな場合を考へる爲に、或は農村「ボス」の横行になつたり、或は又其の間に好ましくないやうな色々な弊害が起つて來ると云ふやうなことを私は現に豫想するのでありますが、之に付ては如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=132
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133・和田博雄
○和田國務大臣 其の點に付きましては、それぞれの村の事情とか、具體的な事件に依つて結局決定するより致し方ないのでありまして、然るが故にこそ第九條の解釋等に付きましては、之を嚴格に解釋致すと云ふやうに、政府の方針としてはやつて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=133
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134・寺島隆太郎
○寺島委員 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=134
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135・葉梨新五郎
○葉梨委員長 平野君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=135
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136・平野市太郎
○平野(市)委員 私は第五條の第三號と第四號に付て御尋ね致したいと思ひます、試驗場或は農學校が試驗の爲に土地を使つて居ります、是が縣有地、國有地であつたら問題ではないが、試驗場と雖も、農學校と雖も地主から土地を借りて作つて居るのであります、斯う云ふ土地は本法から言つてどう云ふ風になつて居るのでありますか、買收の對象にならぬのでありませうか、此の點を御伺ひ致して置きます
それから第四號の都市計畫と土地區劃整理であります、是も戰爭前に隨分都市計畫或は區劃整理を市街の附近に於てはやつて居るのでありますが、是等の區劃整理或は都市計畫の所も道は付けました、是は地主が區劃整理組合を作つて補助金を貰つて道は付けましたけれども、やはり田地である、併し何時家を建てて、來るかも分らぬのでありまして、是も本法から言ひますならば、買收することが來ぬやうに思ふのでありますが、是は當然買收すべきものだと私は思ひますし、現在田畑でありましたならば、現行の此の價格に依つて買收すべきが正しいと思ふのであります、なぜならば、戰爭前或は戰爭中の都市計畫と現在の戰爭を抛棄した我が國の都市計畫とは自らは變らなければならぬものと思ふのであります、又地主は區劃整理組合を作つて、僅かの費用を入れて道を付けて、土地の値上りを待たうとして居るのであります、地主は唯道を一筋付けて、市に發展する爲に其處へ家が建つて來る、さうなれば田地を宅地として坪何十圓、否何百圓で賣ると云ふやうな計畫をして居るのであります、斯う云ふやうな計畫は、今後私は絶對に許すべきでなからうと存じます、何年先に家が建つか分らぬやうなものは、現在畑であつたならば畑の相場で、田であつたならば田の相場で一旦國が買上げて、さうして之を小作人に讓つてやるべきが正しいのだと思ひます、さうして如何に土地が發展して宅地になつても、其の價格は坪何十圓、坪何百圓と云ふやうな價格でなく、やはり賃貸價格の何倍と現在決めてある位の相場で賣却すべきが正しいと思ふのであります、不勞所得に依つて莫大な利潤を取ると云ふやうなことは、今後許してはならぬと思ふのでありますが、此の點に付て當局の御意見を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=136
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137・山添利作
○山添政府委員 第三號の場合に問題になりますのは、結局農學校等で試驗研究に使つて居り、且つ其の土地を他の人から借りて居ると云ふ場合であります、其の場合に、其の借りた土地を國が買收して農學校の所有にする、斯う云ふことをしないと云ふのが第五條の意味であります、隨て地方長官の指定致しましたさう云ふものは、小作地でありましても買收の對象にならない、斯う云ふ意味であります
それから第四號の場合に付きましては、是は正しい状況に基きまして地方長官が具體的に考へて、將來農地として殘すべきものは農地として殘す、即ち默つて居れば結局買收の對象になる譯であります、其の反對に、現状は農地でありましても、宅地として利用増加をして行くと云ふ土地であれば、之を指定する、結局具體的には地方長官の指定に掛る譯であります、又其の價格に付きましては、此の法律に原則が書いてございまして、即ち公定價格に依る、而して農地の賃貸價格の何倍と云ふ價格に依るのでございまするが、それに付て區劃整理等に特別に要した費用等がございますれば、其の點斟酌される、併しそれ以外に所謂思惑とか何とか云ふやうな値段と云ふやうなことは、本法に依る賣買には全然關係のない事柄でありまして、全然認められないことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=137
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138・平野市太郎
○平野(市)委員 然らば此の區劃整理に決まつて居る土地は政府が買上げぬ、今後宅地になる場合に土地所有者は勝手に自分の思ふ相場で賣れるのでありますか、此の點を御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=138
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139・山添利作
○山添政府委員 是は只今政府が買入れないと云ふ御話でありましたが、此處に書いてありますのは、地方長官の指定する區域は買入れない、斯う云ふ譯でありまして、此處に書いてありますのは、土地區劃整理を施行する土地と云ふ風に廣くございますけれども、其の區域内に屬するものは全部國が買はないと云ふ意味でなくて、其の中で地方長官の指定する區域は買はない、斯う云ふ譯で、更に選分けをするのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=139
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140・平野市太郎
○平野(市)委員 それは能く分つて居るのです、此の法案で買はない土地を今度地主が宅地として賣る場合に、地主が自分の勝手な値で以て賣れるのでありますか、之を尋ねて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=140
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141・山添利作
○山添政府委員 それは價格統制がございますればそれに依る譯でありまして、自由であれば自由と云ふことで、此の農地の價格には農地でないものとして賣る場合には關係がございませぬ、但しそれでも農地として賣る場合には農地の價格に依る、斯う云ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=141
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142・葉梨新五郎
○葉梨委員長 麻生君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=142
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143・麻生正藏
○麻生委員 今の問題に關聯してでございますが、第五號に付てでありますが、都市計畫事業に依つて新築又は改築した道路の兩側、道路の幅員の約五倍の土地は事業費の三分の一又は四分の一に相當する金額を受益者負擔として徴收して居る、さう云ふ場合是等は第五號、詰り「近く土地使用の目的を變更することを相當とする農地」として認められるかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=143
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144・山添利作
○山添政府委員 費用負擔をしたと云ふことは、必ずしも其の儘で以て農地以外になるものと云ふ風に確實に見ると云ふことにはならぬと思ひます、併しそれは具體的な場合に於きまして判斷をすれば宜い譯でありまして、今の所費用負擔をしたから直ちにと云ふ譯には參りませぬが、一般の状況を考へて判定されると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=144
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145・麻生正藏
○麻生委員 やはり其の條項に該當するやうなことですが、都市計畫に依りまして現に區劃整理を行つて居りますが、形式的には耕地整理組合法に依つてやつて居るのが各所に相當ある、さう云ふ場合にそれをどう云ふ風に御認めになるか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=145
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146・山添利作
○山添政府委員 是は第五號に書いてあることであります、是は前にも二度ばかり御答へ致したことがありますが、それなるが故に直ちに宅地になると云ふことにはなりませぬ、やはり具體的な判斷が要る、斯う云ふことなのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=146
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147・麻生正藏
○麻生委員 それから第六號の場合に、一時預けた自作農地の外に、地主的な所有一町歩と云ふものを御認めになるのかどうか
此の項で御質問した方が宜いかどうか分りませぬが、序でありますから御尋ねしたいと思ひますが、耕地整理施行中のもので、まだ換地配當未了のものに付ては、農地の耕作或は耕地整理施行の便宜其の他の理由に依つて、一時假配當的に耕作せしめてあるものがあるのが普通の状態であります、そこで此の場合に自作農地設定の基準となるべき耕作者の段別と云ふものは、整理施行前の各耕作者段別を基準として定めるのではないかと思ふのでありますが、其の點を一つ確かめて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=147
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148・山添利作
○山添政府委員 第六號の場合に於きましては、結局一町歩の外に、元自作をして居りました範圍の土地が一町歩を超して居る部分だけを認めるのでありまして、原則として一町歩の保有を認めると云ふのが、別口として加はる、斯う云ふ意味ではございませぬ、隨て一町歩と同時に元二町歩を自作して居つた、其の二町歩を小作地に出したと云ふ場合に於きましては、其の二町歩が返して貰へると云ひますか、政府が買收しないと云ふことでありまして、其の外に更に一町歩保有出來る、斯う云ふ意味ではございませぬ
それから耕地整理の場合でございますが、是は色々複雜な事情もございませうが、結局前の状況に依りまして、現況は耕地整理の施行途上に於きましては、便宜に從つて色々やつて居ると思ひますが、結局其の前の土地の原簿と云ふものを基礎に致しまして處置を致す、斯う云ふやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=148
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149・麻生正藏
○麻生委員 第六號の自作農の所謂一時預けた土地、之に對して一寸合點が行かぬと思ひますが、此の預けた土地は近く自作するものと認めて、其の土地だけは買上げない、斯う云ふのですからそれ以外に尚ほ一町歩だけはやはり地主的所有として認められるやうに考へられるが、其の認められない根據は何處にあるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=149
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150・和田博雄
○和田國務大臣 例へば自作農が疾病其の他の理由で二町歩耕して居るのを二町歩全部一時貸して居る、斯う云ふ場合、それが全部自作農に相當するものとしてさう云ふ時は二町歩が全部歸つて來る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=150
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151・麻生正藏
○麻生委員 其の以外に若しも其の人が或は三町歩以上持つて居る場合、もうあと一町歩だけは持てると云ふことが當然のやうに考へられるのでありますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=151
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152・山添利作
○山添政府委員 是は本來六號の場合は小作地の保有は一町歩に制限すると云ふのが原則でありまして、第五條の六は、其の場合に例外的に元自作して居つた範圍までは認めようと云ふことでありますから當然其の一町歩が基礎になる、元自作して居つたものがそれよりも廣い場合に、其の廣い部分だけ例外の意味であります、隨て又法制的に見ましても、第四頁の二行目等に書いてありますこと、斯う云ふことの反射的にもさう云ふ意味が出る、斯う云ふ譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=152
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153・北政清
○北(政)委員 第一項の「國又は公共圍體が云々、是は國家が借りて居る土地のことを意味するものか、貸して居る土地のことを意味するのか一寸分りにくいと思ひますが、私は國家が借りて居る場合に於て、さうすると今公共の用に供して居るが、來年から是は止めるかも知れぬと云ふものに對しては自作農創設をする意思があるのかないのか、斯う云ふことを聽きたい
其の次は「試驗研究又は農事指導」斯う分けて書いてありますが、それならば採種圃は指導とも言はれるし、試驗研究とも言はれる、優良品種採種圃を農業會其の他でやつて居ると云ふものは、是は當然書く必要がない
其の次は都市計畫の場合ですが、都市計畫をやる場合に於きましては、都市計畫委員の方で勝手に決めまして、其の地方の市町村農地委員會に何等の相談もなく地方長官が勝手にやられる、大體に於て日本に於ては都市の勢力が強い、都市の運動は直ぐ聽くが農村の運動は殆ど聽いて下さらぬ、斯樣な意味合に於て私は明かに其の場合には農地委員會に協議すべきこととか、或は農地委員會の承認したものでなければ都市計畫の區域と云ふものに編入することが出來ぬと云ふやうなことをはつきりして置く必要があるのではないかと思ふ、都市は實に勝手に甚だ廣い面積を其の都市の區域に入れ、色々な計畫をして、計畫では道路だけを作つて居るが、先刻御話の如く實際作らぬ、實際に於ては其處は小作地になつて居る、斯う云ふ關係を此の際に一掃して置く必要があるのではないか、斯う考へるのでありますが、御所見を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=153
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154・山添利作
○山添政府委員 國又は公共團體が所有してない、詰り人から借りて居る土地と云ふことが當然ここに書いてある意味でありまして、國自體が持つて居ると云ふことであれば、本來買ふとか買はぬと云ふ問題は起らないのであります
それから優良種苗の配付に當つて居る農場でございますが、是は農事指導の目的に供して居る土地と解釋して行けば宜いのではないかと云ふ風に考へます
それから都市計畫の區域を決める場合に、農村方面の意見を反映して決定すべしと云ふ御意見は同感であります、隨て今後に於きましてはさう云ふ風になりますやうに、關係方面とも十分話合ひをしたいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=154
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155・北政清
○北(政)委員 國が買取るに違ひないが、來年からは國がやる見込がないと云ふのは、自作農創設の對象にして宜しいのではないか、斯う云ふことなのです、又都市計畫の方は分りましたが、最初の方は明文に書かぬでも、農事指導の目的に供して居る農地にはつきり入る、斯う云ふことならそれで宜しい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=155
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156・山添利作
○山添政府委員 來年から止めると云ふことがはつきりして居れば勿論對象になります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=156
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157・江川爲信
○江川委員 先程の麻生君の質問に對しての御答辯に一寸呑み込めない所があつたのですが、具體的に申しますと、斯う云ふ場合ではないかと思ふのです、不耕作地主として一町歩持つて居つた人が、二町歩の田圃を預けてあつた、さうして其の二町歩の田圃を返して貰つたと云ふ場合、其の人は、自作としては二町歩であり、不耕作地主としては一町歩である、斯う云ふ人は一町歩持つても差支へないのではないかと云ふことを御尋ねしたいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=157
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158・和田博雄
○和田國務大臣 是は第三條第四項に「第五條第七號に規定する農地で命令で定めるものの面積ば、第一項第二號又は第三號に規定する小作地又は自作地の面積にこれを算入しない。」斯う云ふ規定がある譯でありますから、隨て茲に載せて居ない、七號以外のものは自作地の面積に之を算入する、斯う云ふ解釋になりまして、今麻生さんの仰しやつたやうな場合に於きましては、是は其の他に尚且つ一町歩が持てると云ふことにはならない、斯う云ふことになるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=158
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159・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それは大臣斯う云ふことではないのですか、例へば、五町歩なら五町歩持つて居る者が出征した、其の出征する前に其の人は二町歩なら二町歩を耕して居つたが、應召から復員して其の二町歩を再び耕すと云ふ時に、今現に五町歩の地主であつて、さうして二町歩を自作するのだと云ふ時にはもう一町歩持てるのではないか、當然さう解釋出來るのではありませぬか、さうでなければをかしな法律になります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=159
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160・和田博雄
○和田國務大臣 をかしいのではありませぬ、第五條の六號と云ふものが茲に書いてあることは、國が自作農地の創定をする場合に、買收の對象にならない土地を例外的に認めて居る譯なのでありまして、原則としては一町歩しか認めない、斯う云ふことになつて居る譯であります、此の一町歩に算入しない面積は、唯第五條の七號に規定する農地で命令で定めるものだけに限つて居るのであります、隨てそれ以外のものは當然算入する、斯う云ふことに法律の趣旨がなつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=160
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161・葉梨新五郎
○葉梨委員長 さうすると第六號の「疾病その他命令で定める事由に因つて」云々の所は、今まで作つて居つた者が去年の十一月二十三日現在の際に於て偶偶自作して居なかつたと云ふ爲に、一町歩以外は失效すると云ふ意味でありますか、さうすると此の法律は特に此の規定をする理由が失はれるやうに感じますがどうなりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=161
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162・和田博雄
○和田國務大臣 さうではありませぬで、假に自作農が十一月の一定の期日に耕して居ない土地がある、それ等のもので、本來から言へば、是は面積關係から當然買收の對象になるものがある譯であります、併し其の買收の對象になるものがありますけれども、茲に述べたやうな理由に依つて農地委員會が適當と認めて、本當に自作するのだ、斯う云ふものに付ては自作農として從來通り自作させても宜いのではないか、許された範圍内でやる、それだけのことなのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=162
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163・葉梨新五郎
○葉梨委員長 さうすると地主としての保有一町歩の點は當然棄權させられると云ふのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=163
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164・和田博雄
○和田國務大臣 隨て其の一町歩と云ふものは、是れ以外に「プラス」一町歩と云ふことにはならない発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=164
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165・松澤一
○松澤(一)委員 調停裁判などで使用貸借──地主が意地になつて、仕樣がない一年も貸すか、まあ其の中には何とかなるだらうと云ふので、調停などで使用貸借として貸借にして置く小作契約などがありますが、さう云ふのも之に入りますか、さう云ふ調停成立主義でやつたと云ふやうなことも疾病其の他さう云ふ命令に入るかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=165
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166・和田博雄
○和田國務大臣 是は市町村農地委員會が兎に角適當と認めなければどうも入るとは簡單に言へないのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=166
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167・松澤一
○松澤(一)委員 それが法律的にどう打突かるかと云ふことです、假に使用貸借が調停などで成立して居る、農地委員會は、あれは調停で技術的にやつたのだから買收の對象にしようと言つて置いた場合に、そつちの方から異議が出たらどうなりますか、今度は調停裁判所と農地委員會との經緯がどうなるかどつちが強いものか、司法省の方が居られなければ、農林省の方だけの意見で宜いのです、農林省の方が強いのだと云ふならそれでも宜しい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=167
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168・和田博雄
○和田國務大臣 私は買收の對象になると思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=168
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169・大澤喜代一
○大澤委員 此の第五條は、總括的に考へて見て、其の用ひ方に依つては、小作人が自作農になりたいにも拘らずなれないと云ふやうな被害が相當甚大なものがあると思ふのです、其の字句の點をはつきりして戴きたいと思ふのです、例へば第五條の五號ですが、是は多分舊農地調整法の第七條の二を此の五號に變へたものだと思ふのですが、詰り「近く土地使用の目的を變更することを相當とする農地で」云々、是は市街地の農地委員會が都道府縣の農地委員會の承認を得ると、「近く土地使用の目的」云々に依つて、國家に土地を賣らぬでも宜いと云ふことになる譯ですね、そこで其の「近く」と云ふのは、一體どの位の時間を概念としたものか、之を一應はつきりさせて貰ひたいと思ふのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=169
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170・和田博雄
○和田國務大臣 「近く」と云ふのは、法律では扱つた例が餘りないのであります、此の前の農地調整法の時に使つたのですが、あれと同じやうに解釋して居りまして、個々の具體的な色々な事情から見て、極く近い將來と云ふ意味であつて、是は其の時の事情に依つて判定する、斯う云ふことに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=170
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171・大澤喜代一
○大澤委員 是は將來市街地あたりの農地委員會では非常に問題になると思ふのですが、どうもはつきりしませぬ、大體二年位ですか、前の農地調整法を見ると、第一條の二には二年と云ふことを謳つて居りますが、是は此の前後ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=171
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172・和田博雄
○和田國務大臣 そんなに長くはないのであります、他の所で遲滯なくとか、さう云つた言葉を使つて居る譯でありますが、それよりは何ですけれども、具體的な事情に依つて決定するので、二年とか何とか、そんな長い期間は豫定して居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=172
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173・大澤喜代一
○大澤委員 第七號の新開墾地と云ふものは、收穫の著しく不定なる農地として委員會が認めた場合には買收することを不相當と認める、斯うありますが、此の新開墾地と云ふ概念、最も今の「近く」と同じで、今までの開墾地の中でも所謂此の新開墾地に該當するものは相當あると云ふ見込か、それとも是から相當新開墾地と云ふものが出來る譯ですが、それを主に對象として、其の場合の新開墾地と云ふものも謳つた譯でせうか、收穫の著しく不定なる農地と云ふのも、用ひ方に依つては不得要領なことになることがあると思ふが、立案者の方では大體どの位の見當で第七號の内容を考へて居るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=173
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174・和田博雄
○和田國務大臣 御話の點は御尤もな點もあるのでありまして、是は前に私讀みましたやうに、第三條の所で、第七號に規定しますものは、此の小作地又は自作地の一町歩とか云ふこと、あれに算入しないと云ふことになつて居りますので、其の算入しない理由は、非常に收穫が不定であつて、之を算入して自作農を創定すると云ふことが實際上どうも殆ど無意味だ、斯う云ふ點から考へて居るのでありまして、具體的な例としますれば、近い過去に於きまして開墾された土地も勿論入りますが、何處までも收穫の非常に不定な農地、斯う云ふことに重きを置いて居る譯でありまして、法の精神はさう云ふ所にある譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=174
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175・松浦薫
○松浦(薫)委員 さうしますと、若し國が買收しない場合であれば、或は一町歩以上小作地として殘し得ると云ふやうなことにもなるのですか、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=175
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176・和田博雄
○和田國務大臣 左樣であります、併し開墾地、燒畑等で、市町村の農地委員會が是は政府で買收することは不相當だ、斯う認めましたものは、あの制限の面積の中に加へない譯でありますから、或は一町歩でも二町歩でも持てることになるだらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=176
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177・松浦薫
○松浦(薫)委員 では、若し斯う云ふ土地がありまして、斯う云ふ土地ばかりを殘された場合に於きましても、地主は之に對して何等異議を申立てることは出來ないのはどう云ふものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=177
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178・山添利作
○山添政府委員 此の第三條の、要するに四頁に書いてあるものには算入しない、斯う云ふ譯でありますから、隨て枠外であります、又算入しないのでありますから、例へば小作地でありまして、斯う云ふ土地を三町歩持つて居る、それでは三町歩あるから、普通の、是れ以上の土地は含まないのかと云ふと、さうではないのであつて、其の以外の土地はやはり含む、是は本來枠の外にある、斯う云ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=178
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179・葉梨新五郎
○葉梨委員長 第五條は宜しうございますか
〔「宜しい」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=179
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180・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは第六條に入ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=180
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181・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第六條 政府が第三條の規定による買收をするには、市町村農地委員會の定める農地買收計畫によらなければならない。
農地買收計畫においては、買收すべき農地竝びに買收の時期及び對價を定めなければならない。
前項の對價は當該農地につき地租法による賃貸價格があるときは、田にあつては當該賃貸價格に四十(農地調整法第六條の三第一項の規定により地方長官の定めた率があるときは、その率)、畑にあつては當該賃貸價格に四十八(同條同項の規定により地方長官の定めた率があるときは、その率)を乘じて得た額(同條同項の規定により地方長官の定めた額があるときは、その額)の範圍内においてこれを定め、當該農地につき地租法による賃貸價格がないときは、市町村農地委員會が地方長官の認可を受けて定めた額による。但し、特別の事情に因つて市町村農地委員會が地方長官の認可を受けて當該農地につき額を定めたときは、その額による。
市町村農地委員會は、農地買收計畫を定めるには、左の事項を勘案してこれをしなければならない。
一 自作農となるべき者の農地を買ひ受ける機會を公正にすること。
二 自作農となるべき者の耕作する農地を集團化し、且つ當該地方の状況に應じて當該農地につき田畑の割合を適正にすること。
市町村農地委員會は、農地買收計畫を定めたときは、遲帶なくその旨を公告し、且つ公告から十日間市役所又は町村役場において左の事項を記載した書類を縱覽に供しなければならない。
一 買收すべき農地の所有者の氏名又は名稱及び住所
二 買收すべき農地の所在、地番、地目(土地臺帳の地目が現況と異なるときは、土地臺帳の地目及び現況による地目。以下同じ。)及び面積
三 對價
四 買收の時期発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=181
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182・江川爲信
○江川委員 此の買收計畫、是が非常に重大な事業であると同時に、色々と問題を起すだらうと思ふのであります、先程もありましたが、都市計畫の區域附近にある土地を買つて、それを賣ることが出來るかどうか、それは非常に價格の問題が伴ふので、斯う云ふ點が問題となるのであります、將來上る見込を持つて居る所は、小作としては買ひたい、地主としては賣りたくない、斯う云ふ問題は必ず起る、都市近郊は殊に起ると思ふ、所が自然の儘に今までずつとある土地で、移動のない土地ならば、それは先程話した通りに不勞所得のやうな關係になるが、相當に高い値段で買つた土地で、さうしてそれが後にある所の乘率に依つて買はれる、斯うなりますと土地所有者は非常な大きな損害になる、そこで是等は甚だしい例でありますが、例へば一坪三十圓、四十圓、五十圓でも買つた、而もそれは宅地となる可能性のある所でありますから、大抵畑が多い、それを今の乘率で行きますと二圓か三圓でありますから、そこに爭ひが起るのは當然である、田の方で參りましてもそれは色々良い田もあれば惡い田もある、そこで計畫を立てる場合に於て、農地委員會が其の計畫を立てるのだと云ふことでありまするが、やはり土地を所有して居る者の意見と云ふものは相當に尊重されなければならぬと私は思ふ、所有權は絶對のものではないと言ふが、私は或る意味に於てそれは絶對のものであると思ふ、隨て土地所有者の所有權を相當に尊重して計畫が立てられなくてはならないと思ふのでありますが、さう云ふ點に付てどう云ふ御考へを持つて居られるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=182
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183・和田博雄
○和田國務大臣 土地の買收計畫を決定致しまするのは農地委員會であります、其の農地委員會には地主の代表と小作の代表とが出て來て、それで農地委員會を構成致す譯であります、そこで兩方の利益を代表する者が出て、買收計畫を決める譯であります、民主的に決める、斯う云ふ意向になつて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=183
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184・江川爲信
○江川委員 言つて見れば、地主の代表と小作の代表とが出て來まして、さう云ふことを決めるのだと云ふことになりまするが、やはり案を組むと云ふことが元になるので、さう云ふ案を組む時に、何か地主の所有權を相當に尊重して、さう云ふ方々の意見も聽いて案が組まれなくてはならぬと思ふ、さう云ふ點に付て──私は何か別な偏つた考へで申して居るのではありませぬ、唯法律だけで行きますと、先程申しましたやうに、三十圓、五十圓で買つた土地を二圓、三圓で賣らなくてはならぬと云ふやうな實情になつて參ります、さう致しますから、さう云ふ實情に即して案と云ふものが組まれなくてはならぬと思ふ、さりとて、さう云ふ高い價格で買ふべきものではない、とすれば、さう云ふ土地はやはり所有權を持つて居る人に持たせることが本當ではないか、それを安く二圓、三圓で買つた人は軈て適當な時期になりますと、五十圓、七十圓に賣り得ると云ふ土地であります、それは農地としては賣れない、併しながら宅地として賣ることが出來る、私先般質問の時に、地方長官の許可さへ取ることが出來るならば、是はやはり例外の價格を以て處分することが出來るかどうか、現在はさう云ふことになつて居るが、將來はどうかと云ふことを御尋ね致したのでありますが、小作人が現在二圓、三圓で買つたものを、三十圓、五十圓に賣ると云ふことは非常な利益である、其の反面に於て、現在の地主が三十圓、五十圓出したものを、二圓、三圓で賣渡すと云ふことも非常な大きな損害である、斯う云ふ點は十分所有者の意見を尊重して計畫が立てらるべきものではないか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=184
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185・和田博雄
○和田國務大臣 御話の點に於て、買收計畫を立てまする時に、其の前提としてどう云ふ土地を買ふかと云ふことに付て、只今第五條に於て御審議を願ひましたやうに、將來宅地になることがはつきりして居るやうなものは、先づ最初に買收計畫から抜いてしまふのであります、第五條の一項の四號、五號と云ふやうな所でもう抜いて居るのであります、又買收計畫を立てて、小作人が自作農になります其の時に、小作人は農業に精進しますと云ふ條件を付けて居ります、隨て何處までも農業者として立つて行く者が先づ土地を得るのであります、そこでそれ等の者が安い値段で買つて後に高い値段で賣ると云ふことは、さう云ふ面からやれないやうになつて居る譯であります、假にそれが自作農になりまして、將來土地を處分する時でも、地方長官の許可を要するのでありまして、さう任意に安く買つたものを高く賣ると云ふことは出來ないことになつて居るのであります、それから只今、地主が過去に於て高く買つたものを安くと云ふことを仰せられますが、過去の事情どう云ふ事情で高く買ひましたか、さう云ふ個人的な理由は、土地價格を決める時には考慮の中に入つて居りませぬ、さうではなく、土地其のものに付て、それが生産力と云ふものを正確に反映して居るかどうか、斯う云ふ見地から此の價格と云ふものは決めて居るし、又それが特別の事情がある場合には動かせるやうになつて居るのでありまして、其の點は御諒解を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=185
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186・江川爲信
○江川委員 さう云ふ土地は賣らないことになつて居ると云ふことは分りましたが、高く買つたとか、さう云ふことは考慮に入れないことになつて居ると云ふやうなことは、法律上考慮に入れないことになつて居つても、實際上はさう云ふことになつて居る土地が非常に多い、而も將來自分の分家をするとか色々の事情で、此處を宅地にしようと云ふやうな豫定の下に買つて置いたと云ふやうな所が相當にある、さう云ふことを實際問題として考慮に加ふべきものではないか、買上の際に於て考慮に加ふべきだと云ふ問題ではなくして、さう云ふものは、やはり買收の際に取外すべきものではないかと云ふことを申上げたのでありますが、只今の御話で能く分りました
次にお終ひの方に參りまして、今度の計畫を立てるに當りまして、或は耕作する農地を集團化する、交換分合の關係を考慮するとか云ふやうなことを計畫の上に表はして、實行することになつて居ります、是は中々大切なことではありますが、又中々容易に農村で交換分合とか農地の集團化が出來るものではなく、今まで農林省等に於て此の點に非常な力を入れ、又其の方針を受けて、我々地方の其の方面の仕事をする者としては相當無理を掛けてまでやつて居りますが、中々容易に行かない、所がさう云ふ今まで容易に行かなかつたこと、それを今度一擧に、而も二年間に大體此の事業を完成しようと云ふ方針の下に、此の大きな事業も含んでやらうと云ふのであります、そこで大臣は本會議で、此の事業は強力な政府の政治力に依つてやると云ふやうな御演説があつたのでありますが、斯う云ふ難かしい事業の前提として、強力な政府の政治力と云ふことは、どう云ふ意味であるか、一寸御聽き致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=186
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187・和田博雄
○和田國務大臣 どう云ふ言葉で正確に表現しましたか、一寸私記憶にないのでありますが、兎も角大きな仕事でありますので、政府としても本當に肚を据ゑて仕事が出來るやうな機構をそれぞれ整へて之をやる、斯う云ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=187
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188・江川爲信
○江川委員 近頃言ふ民主的にやつても、民主的にやればやる程中々捗らない、それを二年間で民主的にやらうと云ふのでありますから、本當にやらうとするならば、官僚的な、もつと強い何かの力でやるより方法はないのではないか、さう云ふことを今の時代に中中やれるものではないが、さう云ふ大きな仕事をするのに、農地委員會に對する國の助成金と申しまするか、さう云ふものは極めて少いやうに考へます、あれは一體一農地委員會に對して何程の金を助成し、さうしてそれはどう云ふ者を其の農地委員會に職員として置く御考へであるか、之を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=188
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189・山添利作
○山添政府委員 農地委員會に投じます費用でございますが、是は本年度分は半年分の經費が計上してある譯でありまして、之を一年分に引伸ばして考へると、事業の非常に進むべき豫定の農地委員會に對しては四萬圓、然らざるものに對しては三萬六千圓でございますか、一農地委員會當りさう云ふことに致して居ります、三人の書記を置くことに致して居りますが、此の三人の書記に付きましては、特別にどう云ふ者と云ふやうな資格制限は設けて居りませぬけれども、事柄の性質に鑑みて、農業方面の知識あり、特に土地に付ても相當の心得のある人と云ふ風に考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=189
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190・吉澤仁太郎
○吉澤委員 今の江川委員の質問に關聯して御伺ひ致します、先程上林山委員からも御質問があつたのでありますが、此の農地委員會の性格をまだはつきり呑込めないのであります、農地委員會は行政廳である、斯う云ふ大臣の御答辯でありますが、どうも此の條章を通覽しましても、又農地委員會に關する條章を見ましても、何だか一種の議決機關のやうであり、何等其の性格がはつきりして居ない、此の大事業を遂行する上にどうもあやふやな點があると思ふ、さうして又市町村とは何等の連繋もない、唯農地委員の選擧をする時に、町村長が之を擔當すると云ふ時にしかないと思ふのでありまして、其の市町村の農地委員長に町村長以外の者がなると云ふことは當然考へられることでありますが、さう云ふ場合に、其の廳舍もなければ、又其の下部組織も持つて居らぬのでありまして、役場と相反した考へを持つて居るとか、或は餘り仲の好いものでないと云ふやうな人が委員長になつた場合には、一體どう運營して行くかと云ふことは、全然見當が付かぬことになりはせぬかと思ふのであります、村長が農地委員會の委員長になつたやうな場合には、それは運營が圓滑に行くとは思ひますが、どうもさうでない場合が多くあり勝ちなのでありますから、其の個個の運營が、何處を掴めば圓滑にすることが出來るかと云ふことが全然分らないのであります、さうして又行政廳としまして委員會はありましても、勿論事務を擔當するのでありますから、責任がございますが、其の責任は委員長が負ふのか、委員が負ふのか、それ等の點に付てもやはり不明確であります、農地調整法に其の事があると云ふ最前の御話でありましたが、之には又別に勅令を以て定めると云ふやうなことも書いてあるやうでありますし、さう云ふ時に、勅令に依つて其の性格或は職制、職務と云ふやうなものを御制定になる御見込から承りたいと思ひます、又今の江川委員の御質疑に關聯して、此の農地調整法に於ける農地委員の經費は、道府縣のものは道府縣で持つ、市町村のものは市町村で持つと書いてありますが、今の農政局長の御答辯は、それはどう云ふ面に對する國費の補助或は負擔であるかを、もう少し明確に御話願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=190
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191・山添利作
○山添政府委員 只今の市町村農地委員會等に關します事柄は、此の法律の中に組織も書いてございますれば、權限もはつきり致して居る譯でありまして、隨て是れ以上勅令で其のことを書く──是は非常な特例ではございますが、其の特例と云ふことを是れ以上書くと云ふことは、別に其の必要を考へて居りませぬ、是は勞働委員會等に於てもさうでありますし、それから先程出ました土地收用委員會に付てもさうでありまするし、大體法人格と云ふやうなものは勿論持つて居りませぬけれども、組織權限さへはつきりして居れば、もうそれ以外に關係のあることはないと思ふのであります、又之のやりまする仕事に付きましては、農地の買收計畫とか賣渡計畫と云ふやうなことが主で、勿論其の他に此の農地調整法に書いて居ります小作關係の處理其の他色々ございますが、今囘の自作農創設事業に付て見ますれば、今の計畫を立てると云ふことが主でありまして、それを具體的に手續を運ぶと云ふ事柄に付きましては、是は別の仕事として府縣或は市町村長と云ふやうな經路を經て、例へば買收令書をどう云ふ經路で送達するとか、或は農地證券をどう云ふ經路で交付するとか云ふことになりますると、是は又別の系統の仕事になる譯であります、それからどう云ふ經費に對して費用を交付するかと云ふ問題でございますが、是は法制的に見ますると、市町村に市町村農地委員會を置くと云ふことでございまして、其の費用は市町村で持つことになつて居ります、併し其の實質に於きましては、市町村に成べく御迷惑を掛けないやうに國費を出すのであります、其の内譯の費用と致しましては、是は委員の手當でございますとか、先程申しました書記の手當と云ふやうなものが一番大きい譯でありまして、書記三名、一人當り約五千圓を豫算の單價に致して居ります、其の他に委員の手當、或は各部落に委員補助と云ふものを設置致します、是は實際上農地關係を色々調べて貰ふ手傳ひに必要であるのであります、さう云ふやうな人に對する費用、それから事務費が相當要る譯でございますから、さう云ふ事務費と云ふやうなもの、又初年度に於きましては、土地の一筆調査を致すと云ふやうなことで、五千圓ばかりを豫定して居る、或は又初年度に付きましては選擧の費用、斯う云ふものを見込んで居る譯でございまして、さう云ふものを引括めまして先程申上げましたやうな額を豫算として計上致して居るのであります
それから役場との連絡關係でございますが、是は農地委員會と致しましては、役場とも能く協力を願はなければなりませぬし、又地元の農業會の支援をも受けなければならぬ譯でありますし、其の間緊密な連絡を必要とする譯であり、又仕事の上で手傳つて戴きます便宜と致しまして、町村の人、又は農業會の人に、兼任の書記と云ふやうな名前を付けて手傳つて貰ふと云ふことも考へて居るのであります、市町村長も當然其の地位に基くものとして、從來のやうに委員會の委員長にするとか、委員の中に加へるとか云ひます事柄は、今度の委員會の構成、即ち地主側及び小作側を同數代表せしめると云ふ此の基本の線に沿ひまして、さう云ふ措置を執りますことは不適當だと考へて居るのであります、事實上役場と農業會とは十分緊密に連絡をし、又援助を受けてやつて行きたいと云ふ風に考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=191
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192・吉澤仁太郎
○吉澤委員 今の御説明で大體分りましたが、役場との連絡關係に付ては、それはあなたの御意見として、あなたの御希望に止まつて居るのであつて、實際に臨んでは農業會と役場がどうも互ひに見解を異にして、色々な問題が現に起りつつある所もあります、それは農業會と云ふものと、役場と云ふものが、全然異なつた使命と、異なつた仕事をやつて居りますから、それで起るのでありますけれども、農地委員會が若し役場側と相反した色々な方向に向つて行くと云ふことになると、中々容易でないと思ひます、そこで私は、やはり是は法案の中に、市町村長に何等か、監督、と云ふと一寸又語弊がありますし、どうかと思ひますが、連繋を保ち得べき何か法的條項を挿入する御意思ありや否やと云ふことを、いま一度承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=192
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193・和田博雄
○和田國務大臣 それは實質的にはやはり連絡を取つて戴くと云ふことにしまして、法律の中にはどうもそれを置きたくない、斯う云ふ風に考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=193
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194・北政清
○北(政)委員 此の價格を決定致しますのに、賃貸價格で決定して行く、此の決定方が地方長官になつて居りまするが、是は地方の農地委員會にした方が民主的ではないか、是は全くの官僚獨善的な行き方ではないかと思ふのであります
其の次は鐵道の敷設に依りまして價格に非常な差が起る、我々の方で、新設の所に付きましては、既に土地の價格が數倍に上つて居る、斯う云ふものに對してはどう云ふ計算をするか、それから又十日間の告示、又決定してから十日間と斯う云ふことになつて居りますけれども、此の十日間と云ふのは、餘りに日が短か過ぎるではないか、告示だけでは駄目で、やはり通牒をやる必要があるのではないか、實は私共北海道の新十津川村は、大きさは香川縣と同じ面積を持つて居りますが、そこで告示を出して一體誰に分るのでありますか、分るものではない、そこで是はやはり通牒するか何かの手段を講じなければならぬのではないか、又土地臺帳と登記所の臺帳と非常に差がある、合ふべきであるが中に合つて居らぬ、町村の農地委員會が計畫しても、それが必ず登記簿と合つて貰ひたいと云ふやうなことで、此の町村だけでそれを發表して、買收になる面積とか、對價とか、之を決めるが、對價が既に出ないと云ふやうな實際上の心配があるのであります、又田舍に居りまして、やつと知つた時に出て行つて見ると、時既に遲しと云ふことになるので、此の十日間をもつともつと延長する必要がある、通知を受けてから何日とすべきものではないか、斯う云ふ考へ方を持つて居るのであります、尚又異議申立にしましても、決定したら十日間、一體何時決つたのか今の郵便でさへ、此處から北海道まで一週間以上どうして掛かる、又地方長官から各町村へ郵便で出しても分らない、そこで本人が受取つた時には異議の申立も何も出來ないことになる、是なども非常に無理ではないかと云ふ感じが致すのでありますが、是だけ一寸先に承ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=194
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195・山添利作
○山添政府委員 鐵道が付いた爲に大分地價が變つて居るだらうと云ふやうな場合でありますが、それは取引としてはさう云ふことがあると思ひます、併し是は公定價格で行つて居るのでありまして、今の農地の利用價値、嚴密に申せば、其の地帶一帶として上ると云ふことはある譯でありますが、それは公定價格と致しましては、さう云ふ事情を一々考へて行く必要はないものと考へて居ります、況や其の鐵道に近い所が地價が上つたと云ふやうなことであれば、それは事實農地としての利用價値がそれ程上つたと云ふことではない、御話の意味は、色々の意味で地價が上つて居りはせぬかと云ふやうな意味と承るのでありますが、さう云ふことであれば、是は全然農地の價格と云ふものには關係なしにやつて行くと云ふことが適當であると思つて居ります
それから十日間が非常に短いと云ふことでございますが、此の農地委員會で色々計畫を立てますのに付きましても、大體農地委員會に於きましては餘程研究を重ねて事が決まるものと考へるのであります、且つ其の農地委員會の仕事は萬事公開され、且つ其の記録も會議の決議録は絶えず縱覽に供されて居る、平生からどう云ふやうに行つて居るかと云ふことを明かに致して置く譯であります、村に於ては大體さう云ふものが出來上る時には、話の内容は概ね分つて居る、斯う云ふ状況で進むものと考へます、隨て是は村と致しましては相當の問題でありますから、表面では皆大抵は分る譯でありますから、是は十日間で十分間に合ふと云ふ風に考へて居ります、それから不服のある人は十日間を經過した時は此の限りでないと云ふ點の十日間でございまするが、是は出したけれども受取らなかつた、斯う云ふのであれば、是はやはり其の人が知つてからと云ふことになる譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=195
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196・北政清
○北(政)委員 地方長官が、賃貸價格の決まらないものを決めることに付ての御返事がなかつたやうに思ひますが、それを一寸伺ひたい、どう考へても、今言はれるやうに十日間位で委員會のあることが分らなければならぬのですから、それを一般的に知らせる、或は今度農地委員會がありさうだと云ふ評判が立つ、併しながら委員會を招集して、委員會が開催されると云ふことは、廣い所では決して分らないのであります、殊に我々の方は隣村へ行くのに二つも三つもの驛を通つて行かなければならぬと云ふやうな所が澤山あるのであります、是などもどうも十日間位では餘りに短い、寧ろそれよりはそこに十分な時間を置いて、決定したあとの仕事が「スピード」で行くやうにやられたらどうか
それから今一つ先程御話のあつた町村長關係のことでありますが、之を委員として入れることはどうか、政府の主張も御尤もと思ふのでありますが、一體此の準備事務に付て、町村長が權利なしに他の職員を使ふ、それが出來ない、又さうなると町村長としては非常に置き去りになるやうな感じも持ちます、どの職員を指名するか、是は特に委員會が出來上るまでの準備、大體選擧名簿を拵へるにしてもさうであります、相當の仕事があるのだと思ふ、是は何等かの形式に於て町村長としつかり結び付ける必要がある、是は事務的にさう考へますが、それに付ては此の法律の何處にも見えて居らぬやうに思ふが、其の點は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=196
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197・山添利作
○山添政府委員 地方長官が率を定めると云ふことに付て、地方長官よりも農地委員會の方が宜いではないかと云ふことでありますが、是は農地調整法に依りまして地方長官か決めます時は、都道府縣農地委員會の意見を聽きまして、それに諮問をした上で何十倍と云ふ率を決める譯でありまして、實質上に於きましては御意見の通りになつて居るやうな次第であります
それから十日間は長いか短いか、專ら短い問題でございますが、是は此の期間を長くするとか短くするとか云ふ問題よりも、常時此の問題に付て能く皆に知らして置くと云ふことが必要でございます、例へば農地の買收計畫に致しましても、農地委員會で決めたら、それを役場に貼紙をして、それで知らぬ顏、是ではいけないのでありまして、一々其の部落の方に帳面等も廻して、各戸別に話をするとか、見せて廻すとか、何とかさう云ふ色々の方法に依りまして、是は當然關係者が漏れなく其のことを知り、又市町村農地委員會で、異議があつて異議を述べると云ふならば、十分述べて貰ふ、斯う云ふ風に專ら所謂民主的に事柄を運營して行く、さう云ふ積りでございまして、是は期間を制限すると云ふ、期間の問題よりも、運用のやり方と云ふことに十分氣を付けて行くべきであると云ふ風に考へて居るし、又さう云ふ風に指導致す積りでございます
それから役場との連絡關係は事實上必要であり、又御願ひしなければことは御話の通りでございます、併しそれを法制的に關聯を付けますと云ふことに付きましては、是は先程申しましたやう事情で望ましくない、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=197
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198・北政清
○北(政)委員 今の御話のやうに町村内は或る程度知らせますが、村外地主の土地は取つてしまふし、村外には知らせやうがない、町村のことは新聞などにも出さない、大きな新聞ですと新聞廣告にも出ますが、小さい所は皆掲示板があつて、其處に貼出して公告して居るのでありますから、村外では全然知りやうがない、それに付ては何か方法を講じて分るやうにして戴ければ結構だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=198
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199・江川爲信
○江川委員 價格に關聯して御伺ひします、賃貸價格に或は四十乃至四十八を掛けたものと云ふことになつて居りますが、是も十年も前に決めた賃貸價格でありまして、それを基本としてそれに乘ずると云ふことは、果して公正を得て居るかどうか、それで之に依ると云ふと、其の時よりも變化を來して、惡くなつた所は割高に買はなくてはならぬ、併し良くなつた所は割安に賣らなければならぬ、非常な不公正なものを支拂ふことになるのでありまするが、是はお急ぎの關係上さう云ふことになつたかも知れませぬが、賃貸價格更正の時期が來て居るのでありますから、之を更正しまして、然る後に正確な價格で賣買すると云ふことが本當ではないかと思ひますが、如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=199
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200・山添利作
○山添政府委員 是は著しく事情が違つて參つて、隨て均衡が破れて居る、例へば或る土地が土地改良をした、然るにも拘らず元の儘の賃貸價格で、土地の生産力を公正に反映して居ない、斯う云ふやうな場合にはそれを修正する途が開いてある譯でありまして、原則論と致しまして、其の賃貸價格に依ると云ふことはそれで結構であらう、例外的に著しく状況が變つて來たと云ふ、今のやうな特別の事情のございます土地に付きましては、それぞれ修正する途が開けてある譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=200
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201・麻生正藏
○麻生委員 やはり價格に關係することでありまして、先程も一寸質問致しましたが、都市計畫地に對して、都市計畫の所謂利用者の受益負擔と云ふものが掲げてありますが、斯う云ふものは負擔金が上つて居りますので、土地買上げに對してはどんな風になつてなさいますか
それから第二點は、今御話がありましたけれども、土地改良事業、或は耕地整理と云つたやうなことで、從前の耕地と著しく違つた状態になりました際に、農地委員會が一括的に之を定めて、さうして地方長官の認可を受けることにする、又此の場合に價格の基準が、最近に於て農地調整法第六條の二に依りまして、地方長官の認可を受けた價格の農地が事實ありますれば、それを基準にして農地委員會が立てた方が宜いやうに思はれますが、それ等の點に付て御伺ひ致します
それから第三點は、耕地整理施行濟のもので、既に換地配當濟のものがありまして、それ等のものは元の賃貸價格で以て割當てて、賃貸價格と云ふものは定められて居るのであります、併し實質的には從前の耕地と非常な相違のあるものになつて居りますので、斯樣な土地に對しては、實際は小作料に於きましても、從前から見れば非常に高くなつて居ると云ふ實情にあるのです、斯う云ふ場合には、之を單純に賃貸價格の一般倍率と云ふことに致しますと、非常に其の間實際に符合せぬものが出來るのであります、是も前同樣、地方長官の認可を受けて農地委員會が定めた場合に、それに依るものかどうか
第四點は、先程も一寸話が出て居りましたが、農地の所有者が農地を耕作以外の目的に供せんとする時に於て、農地調整法第六條に依つて地方長官の認可を要することになつて居りますが、此の場合に認可を受けまして、其の後で之を他に賣却したと云つたやうな場合に、其の土地を自作農地として買受けました場合には、其の土地の價格と云ふものは如何程に公定すべきものであるか、詰り先に自作農地として安く買つて、地目變換をやりまして、それを宅地なり何なりに變へてさうして之を宅地として賣る場合には高く賣れると云つたやうなことになります、先程のやうに市街地に於ける農地などに付ては可なり問題が起りますので、さう云ふ地目變換をやりました際、其の後の土地價格と云ふものはどう云ふ風に定めるかと云ふこと
それから第五は、耕地整理の施行地でありまして、換地の未濟のものは、所謂、確定地番と云ふものはない譯であります、隨て換地處分の手續が終了後でないとすると、買收計畫と云ふものは立たぬ譯です、さう云ふ場合に於ては、買收時期に相當の猶餘期間を必要とするやうになる譯で、是は是非とも必要とするのであります、之に對する御考へを伺ひたい、以上であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=201
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202・山添利作
○山添政府委員 區劃整理を致しました時の地價でございますが、それは區劃整理の費用と云ふものを參酌して農地の價格が決められる譯であります、其の事柄は、第三番目として御述べになりました耕地整理をして土地の生産力を増進したと云ふ場合と同樣でございまして、其の耕地整理の爲に要したる費用を參酌される譯であります、何れの場合に於きましても、投じたる費用は參酌される譯でありますが、同時に其のことの爲に土地の利用價値が上つて居る限りに於て、今の費用は土地價格の中に抛り込まれる、斯う云ふ風に特別の價格を作つて行くのであります
それから其の特別價格を作る手續でありますが、是は其の土地を擧げまして、農地委員會から地方長官の認可を受ける、斯う云ふことになります
區域を指定して其の倍率を變へると云ふのは、是は何等かの事情で、例へば青森縣等にあるさうでございますが、賃貸價格が、農地の生産力と云ふよりも、特別の理由に依つて特別に安く決めてあると云ふやうな場合が青森縣にあると云ふことを聞いて居りますが、さう云ふ場合には區域を指定する、例へば郡なら郡の區域と云ふことになるのであります、御話のやうな場合でありますると、是は面倒でも、其の地區の中の適當な農地を、標示するに足る所を記載して一括してやつて行く、何かさう云ふ一括して全部が「カバー」出來るやうな適當な方法でやつて戴いたら宜いと思ひます
それからもう一つ換地未濟のものの取扱ひ方でございますが、是は極力換地處分を急ぐべきものでありますけれども、無論濟まぬものもある譯であります、此の場合それが何時濟むかと云ふことを待つて居りますよりも、やはり原簿に依りまして、買收計畫を立てる、斯う云ふ風に扱つて參る、勿論其の際に状況等色々變つて居ることもございますから、それはそれで補正すると云ふとおかしいのでありますが、其の元の土地所有者の權利義務に屬するものは買つた國が承け繼ぎ、又國から買つた小作人が承け繼ぐ、斯う云ふやうなことになるのでありますから、其の權利義務の承け繼ぎ關係に於て補正をして行く、斯う云ふことで實際に合はして行きたいと云ふ考へであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=202
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203・麻生正藏
○麻生委員 耕地整理をやつてしまひまして、換地配當が濟んでしまつたものは、地目變換で割當てて居りますが、そんなやうな所はやはり特別價格でやりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=203
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204・山添利作
○山添政府委員 さうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=204
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205・磯崎貞序
○磯崎委員 此の土地立法に於ける最も重大な要素である買收價格の問題でございますが、先程來色々同僚から御話があつたのでありますが、是は極めて公正妥當に行はれなければならぬと云ふ風に考へて居ります、而して今日法の規定して居る所の根據、所謂賃貸價格と云ふ制度に付きましては、先般來色々論議せられたのでありますが、今日著しく不公正になつて居る、極めて近い内に又其の改正も行はれると云ふやうな段階に入つて居るのでありますが、殊に又最近に於ける土地改良或は暗渠排水、さうした形から著しく其の耕地の利用價値と云ふものが變化して居ります、隨ひまして今江川氏の言ひまするが如き、近く更正の行はれる機會に於て、公正妥當に一つの標準を決めて戴く、是も一つの方法でありませう、併し當局では本案の遂行を御急ぎになつて居る、是も相當考へなければならぬことでございますが、私はどうしても斯うした土地の買收に當りまして、それは安くなるか高くなるかは別としまして、根據のある價格に於て公正に行はなければならぬと云ふ觀點から、幸ひ今日ではもう何處の土地に於きましても一枚の地番には皆小作料と云ふものが打つてある、而も其の小作料と云ふものに付きましては、數度の農地調整法に基いて地方の小作官等が立會つて、現代的な形で兩方共に宜いと云ふ形の物納制度で現存して居るのでありますから、之を取つて以て、一つ法に認めておいでになる所の融資の三分二厘でも宜しうございます、一つそれでやつて戴くことが私は一番妥當ではないか、此の意見は、只今江川氏の申される、賃貸價格を更生して、それから又それに對して一定の方針を決めて戴くと云ふことならば別問題であるが、さうしたことが近い内に行はれないと云ふことならば、只今申しまする所謂現在の小作料を基準にして、さうして逆算に行くことが一番妥當であると云ふ風に考へて居りますが、一つ重ねて當局の御考へを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=205
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206・山添利作
○山添政府委員 全國的な標準と致しましては、賃貸價格と云ふものが一番據るべき普遍的な基準でございます、小作料の問題に付きましても、例へば供出も小作料の割合に據つたらどうかとか何とか云ふやうな意見も新聞等で隨分拜見するのであります、それは一つの基準ではございますが、小作料其のものも隨分「アンバランス」がある、隨て小作料の合理化運動と云ふやうなことを農林省としても今までやつて參つた、斯う云ふことも御承知の點でありまして、是は土地賃貸價格を基準にする、而も是が一番用ひるのに都合が好い、色々な點から見まして便宜である、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=206
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207・磯崎貞序
○磯崎委員 事を御急ぎになるのには、現在の賃貸價格に據るのが一番早いでございませうが、さうした拙速は私はどうも好んで居りませぬ、公正妥當に願ふと云ふことに付きましては、さうした根據に依つた形でおやりになるのが妥當である、斯う云ふ風に考へて居ります、是は私の方の意見で、お互ひの意見の間に相當の距離があるやうでありますから是は私此の邊て止めて置きます
今一つ此處て先程から御話がありましたる餘裕の十日間、是は私は二十日間と云ふことに願ひたいと思ふ、此の重大な案件に對する公示期間と云ふものは當然二十日間程度が宜しいと云ふ風に考へて居ります、此の點に付きましても併せて申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=207
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208・葉梨新五郎
○葉梨委員長 磯崎君は答辯は必要ございませぬね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=208
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209・磯崎貞序
○磯崎委員 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=209
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210・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 曩に耕地整理の問題に付て御答辯があつたのですが、耕地整理をして土地の利用價値が上つたものに對する價格の算定の仕方ですが、ずつと以前に耕地整理をやつたのと、現在やつたのとの間に、掛けたお金の相違がある譯であります、どれを基準としてやるか、現在の利用價値であるから、結局現在掛けた、成べく最近に要したる費用を加算すると云ふことになるのでありますか、さうでなくて、以前のならば、物價に高低があるから以前の金額にする、さう云ふことになるのですか、どう云ふものを基準にしておやりになるのか、もう少し細かく御説明願ひたいと思ふのであります
それから只今私の方の土地などは、一村とか一字ではなしに、郡全體が何千町歩と云ふ廣い範圍に亙つて用水の改良工事をやらうとして、今其の準備として一段歩に對して、もう百圓、二百圓と云ふ大きな金額が今掛つて來、尚ほ其の一部を今地主が支拂ひつつあるのであります、さう云ふ問題は、實際の支拂つた金額を、賣買の時に我々の方で貰ふことが出來るのかどうか、我々と云ふのは語弊がありますが、地主の方は小作の方から貰ふのであるかどうか、其の金額が一段歩五千圓の中百圓、二百圓なら問題はない、併し七百圓と云ふやうな小さい金額の頭の上で今一段歩に付て百圓、二百圓と云ふことになると、大きな開きが出る、それが兎に角加算されるのかどうか、其の邊の所をもう少しはつきりして戴きませぬと、現在の地主の方で其の賦課金を滯納すると云ふ問題になるのですが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=210
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211・山添利作
○山添政府委員 是は物の値段の關係でございまするから、結局それだけの價値がなくてはならぬ、斯う云ふ譯であります、先程申しましたやうに、其の投じました費用、是が生産力に現はれて居る範圍に於て斟酌すると申上げたのは、要するに、それが現に殘つて居る費用と云ふことと、それからそれが爲に現に生産力がそれだけ高まつて、それだけ値打がある、斯う云ふ兩方の事情を見まして、さうして其の農地の上にそれだけの生産力が高まり、隨て値段が上つて居る、斯う云ふ限度に於て見て行く譯であります、理論的に申しますると、さう云ふことでございまして、後は其の具體的な時に公正妥當に決定をする、斯う云ふより外はないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=211
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212・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 過去の耕地の問題は公正妥當より以外に問題はないと思ふが、現在の賦課金を徴收されつつある問題の如きものは、其の金額の儘加算すれば宜いではありませぬか、さうしなければ賦課金の滯納と云ふ問題が起ります、もう少しはつきり其の點を伺ひたい、現在進行しつつあるもの、それは其の耕地の改良事業或は用水改良事業が果して效果を收めるかどうか分らぬし、又色々な關係で中斷されるかも分らぬのですが、今現に金を掛けつつあるのですから、是は其の金を加算されるのが至當であると思ふ、私は加算すると云ふことをはつきり申されても一向差支へないと思ふのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=212
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213・山添利作
○山添政府委員 御話の通りに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=213
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214・松澤一
○松澤(一)委員 「自作農となるべき者の農地を買ひ受ける機會を公正にする」、斯うなると、小作農は殆ど自作させるやうに自作地を與へると云ふ變へ方と、其の次の第二號の「自作農となるべき者の耕作する農地を集團化」する、斯う云ふことを關聯して見て來ると、地主の土地は點々として殘して宜いのか、自作農を中心として土地の買收計畫を立てて行くのか、是は此の項が農地委員會の運營上重大な項であるが故に一應聽いて置きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=214
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215・和田博雄
○和田國務大臣 一寸私にはつきり致さなかつたのでありますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=215
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216・葉梨新五郎
○葉梨委員長 自作農となるべき者の耕作する農地は集團化するが、地主の持つ土地は詰り切れ切れになつても宜しいのか、斯う云ふことなのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=216
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217・和田博雄
○和田國務大臣 二號に付てさう云ふことまでは考へて居ないのか、斯う云ふ御質問ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=217
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218・松澤一
○松澤(一)委員 それで宜いのかと云ふことです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=218
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219・和田博雄
○和田國務大臣 地主の持つて居る土地が切れ切れになつたやうな結果を生じても構はぬか、斯う言はれるのですね──それは買收計畫と賣渡計畫に依つて行く譯でありまして、必ずしも纒まつた所が地主に殘ると云ふことにも或はならぬかと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=219
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220・松澤一
○松澤(一)委員 是は農地委員會の運營上非常に重大なことです、其の答辯で結構ですが、自作農を中心とするやうな方法に書いてあるから、要するに自作農になる人に都合の好い土地を買ふ、但し其の田畑は適正に買つたり適正に殘さなければいかぬと云ふことを考慮の中に入れて、自作農を中心として農地委員會を運營して宜いのですね、地主の土地なんか點々として殘して置いても宜いのだし、それから自作農になるべき人の買ふ機會を均等にする爲には、どの人にも持たせると云ふことを考へれば、地主の方は何處へどう殘して置いても宜い、結局私が委員會の劈頭に御質問申上げたやうに、小作制度を殘して自作農を創設すると云ふのだから、自作農を中心にして土地の計畫を考へれば宜いのでせう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=220
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221・和田博雄
○和田國務大臣 農地の買收計畫を定める時には、斯う云ふ二つの事柄を勘案しなければならぬのでありますから、やはり自作農となる者が耕作する農地を集團化すると云ふやうに考へることになるのであります、御承知のやうに地主側も澤山の小作人に貸して居りますし、小作人も澤山の地主から借りて居るのが日本の現状でありますから、結局斯う云ふやうな耕作者になる者の農地を集團化しますることをやりますと、或は其の結果として地主の土地所有から言へば、分散した結果も出ると云ふ場合もあり得ると思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=221
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222・井出一太郎
○井出委員 本會議で大臣に御尋ねしました農地價格の問題に付て若干御尋ね致します、私は、賃貸價格を基礎にすること、之には問題ないと致しまして、今度の價格を決定するに當つて、之を構成する考へ方として、地主採算價格と自作收益價格と云ふものを構想して居られるやうに伺ひますが、其の調整の上に今度の價格が算定せられる、此の場合地主採算價格に付ては現在米價が釘付けにされて居りますので、是はまだ問題を含んで居らぬ、斯う思ひます、所で自作收益價格でありますが、昨年の十二月に第一次改革案を決定しました時には、米が百五十圓でありました、所が現在米は三百圓であり、又六百圓にもならうと致して居る、此の場合自作收益價格から割出した農地價格と云ふものは、當然變つて來ても宜いのではないか、斯う云ふ質問に對しまして大臣の御答へは、それは一應さうではあるが、其の中に於ける土地資本利子と云ふものは不變である、隨てある、隨て土地資本利子から割出された所の農地價格、是は變らなくても宜いのだと云ふ風に私は伺つたのでありますが、只今のやうな「インフレ」の激動下にありまして、物價の事情と云ひ、或は賃金の事情と云ひ、昨年の十二月から見ますと非常に大きな變化が現在あるのでありまして、さう云ふ意味から土地資本利子も貨幣額に表現せられた數字と云ふものは、やはり「インフレ」の影響を受けて當然變化があるのではないか、斯う考へます時に、土地價格と云ふものは當然變化を來して宜いのではないか、嚴密に言へばさう考へるのですが、實際には是はもう昨年とさうえらい日子を經て居るのではないので、當局の四十倍なり四十八倍なりを實際に適用すると云ふことは、別に問題はありませぬが、理論的に言へば、此の九箇月の間に變化があつて然るべきものではないか、此の點に付て大臣の御意見を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=222
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223・和田博雄
○和田國務大臣 慥か私が御答へ致しましたのは、米價が上つた時に直ぐ土地價格を變へるか、斯う云ふ御質問に對して、米價が上つたと云ふのは、米價を構成する生産費の中の色々な要素が上つたと云ふことに依つての値上りなのであつて、土地資本利子其のものの値上りに依つてではないのだから、隨て直ちに之を變へると云ふ譯には行かぬ、斯う云ふことを申上げた譯でありまして、其の點に付きましては、是は只今のやうな御意見もありまするが、結局土地の價格と自作農の方の價格に付て言へば、是は自作人になりまする者が自作人になることに依りまして、小作人でありまする時よりも負擔が殖えると云ふことがあつてはなりませぬのと、もう一つはそれを出します根柢に於ては、自作農收益價格と云ふものは、結局自作農が其の土地を耕すことに依つて得る收入、さう云ふものが基準になつて居りますので、隨ひまして只今申上げましたやうに、直ちに米價其のものが變つたからと申して、直ぐ此の爲め値段を上げて行くと云ふ方式は執れなかつた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=223
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224・井出一太郎
○井出委員 理論的には、斯う云ふ經濟事情の下にあつては變化をすべきものであるが、現實的に言ふならば据置くのは已むを得ない、左樣な風に解釋して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=224
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225・和田博雄
○和田國務大臣 是は理論的に言ひますと、却てあなたの仰しやるやうに上ると云ふ結果が必ず出ないと思ふのです、と云ふのは、生産費其の他のものの昂騰がありまするので、問題は結果自作收益と云ふことになるから、それ等の點に付て言へば或は下る場合も一應あるのでありまして、一概に上ると云ふことは出來ないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=225
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226・井出一太郎
○井出委員 私のは上り下りと云ふことでなくて、變動と云ふ意味でございます、是れ以上宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=226
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227・葉梨新五郎
○葉梨委員長 本條項は大體質問も盡きたやうに思はれます、第七條に是から入る譯でありますが、一點委員長として農林大臣に伺つて置きたいと思ひます、八頁の四、五行目の「乘じて得た額の範圍内においてこれを定め」と云ふ所であります、此の範圍内と云ふことは、此の前も一寸他の委員から質問のあつた點でありますが、昨日御説明のありました關係筋との交渉に於ても、範圍内とされる必要はない、寧ろ日本政府案は承認されると云ふ條項に依つて、金額は限定されて來て居ります、特にここに範圍内と云ふことを決める必要はないのではないかと感ずるのでありますが、其の範圍内と云ふ言葉を置かれた理由は、どう云ふ理由でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=227
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228・和田博雄
○和田國務大臣 此の點は範圍内と書きませぬと、却て一本になつてしまひまして、をかしなことになるのであります、慥かあの七百幾らと云ふのは標準價格だと思ふのであります、標準價格に於て七百五十六圓と、斯う云ふ意味であります、隨て賃貸價格に於ける倍率と云ふものは、あの標準價格に於ては、標準の賃貸價格で割りますと田に於ては四十倍、畑に於ては四十八倍と云ふことになるのであります、隨て其の點に於ては最高の標準があれであると云ふ意味なのでありまして、範圍内と云ふことに致して居るのであります、それから價格の點に付て一應申上げますが、それは藥師神さんから質問があつたのでありますが、農地價格は公定價格に依ることが原則であると云はことは勿論であります、併し特別の事情があります場合は、公定價格を超える場合、それからそれ以下になる場合もあると云ふことになつて居ります、公定價格を基準として、例外的の場合に之を適當に變更する、斯う云ふ意味であります、公定價格から高く決めます場合は、只今色々議論になりましたやうに、例へば前囘の賃貸價格の設定の際に何かの理由で、地租を輕減する爲に賃貸價格を特に低く設定された場合、是は青森であるとか、其の他の地域にあります、それから耕地整理等に依りまして非常に賃貸價格が低くなつて居る、斯う云ふことがございます、さう云ふやうなもの、それから其の後になりまして相當の費用を投じまして土地改良を施した、斯う云ふものは是は公定價格を標準にして變更致しますから高くなることと思ひます、公定價格から低くなります場合は、永小作權とか又作株の存在して居る土地、是は作株に相當の價格がありますから、隨て其の土地の價格と云ふものは、作株價格を加へたものが公定價格、隨て其素朴地の價格と云ふものは公定價格より低くなります、それから耕地整理の結果、其の土地に附いて居る債務を小作人として引受けなければならぬやうな場合もあります、さう云ふ時には買受人が其の土地に附いて居る負債を引受けますから、負債を現在の公定價格から差引いたものと云ふことになる譯であります、尤も用排水とか其の他の恆常的に其の土地に掛つて來る費用は勿論差引きませぬが、只今申しましたやうに、一般の負債で、小作人が買つた爲に引受けると云ふやうなものは當然差引くことになるのであります、併し耕地整理費等を控除します場合は、既に特別價格として申請されて居る場合が多いのではないかと思ふのでありますが、只今言ひましたやうに、兎に角一應さう云ふ場合に於て土地に附いて居る債務を小作人が引受けねばならぬと云つた際は、公定價格よりも低く決まることになる、小作料が非常に安い場合があります、賃貸價格は普通に設定されては居りますが、其の土地の小作料が類似の小作料に比べまして何等かの意味で特別に低く決定されて居つて、且つ將來に亙つても當然さう云ふ事情が續くだらうと云ふ場合に於ては、やはり買收價格を決定します時には公定價格より低く決める方が妥當でありますので、さう云ふ場合は低く決める、斯う云ふことに相成るのであります、併し此の公定價格よりも農地の價格が低く假に決められても、地主側としては異議の申立も出來まするし、又都道府縣の農地委員會には訴願も出來るやうになつて居りますし、買收價格其のものに付ては通常裁判所に出訴も出來る、斯う云ふ風になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=228
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229・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それから去る九月十八日の藤本君及び北君、兩委員の質問に對する大藏大臣の答辯の中に斯樣なことがあるのであります、現在の通貨價値を以て國内の經濟界に波瀾を起さぬ範圍に於て物價價値を決定する、斯う云ふ答辯があつたのでありますが、之に農林大臣は閣僚として御同意なさる御意思があるか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=229
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230・和田博雄
○和田國務大臣 それはどう云ふ意味ですか、私能く内容も分りませぬが、現在の通貨價値を攪亂しないと云ふことはどうにでも解釋出來るのでありまして…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=230
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231・葉梨新五郎
○葉梨委員長 いや、現在の通貨價値を以て國内の經濟界に波瀾を起さぬ範圍にて物價價値を決定すべきものと…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=231
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232・和田博雄
○和田國務大臣 それは物價水準を決める、斯う云ふ譯でありますか、其の點に付きましてはどうも私個人としては色々の意見を物價水準に付ては持つて居る譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=232
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233・葉梨新五郎
○葉梨委員長 農林大臣としてのあなたの御意見を…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=233
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234・和田博雄
○和田國務大臣 それは大藏大臣の大臣としての意見ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=234
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235・葉梨新五郎
○葉梨委員長 大藏大臣としての答辯であつた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=235
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236・和田博雄
○和田國務大臣 どうも是は簡單には…私内容を能く理解も出來ませぬから、はつきりそれは宜いと、斯う云ふ譯には私としては參らぬ、隨てどう云ふ意味か、はつきり御答へ致し兼ねると思ひます、物價水準其のものに付きましては、私共も相當の意見を持つて居りますので、日本の物價水準を何處に安定するとか云ふことに付きましては、閣僚としてもさう云ふものが閣議に掛つて決定されたものでないのでありまして、それは大藏大臣自體の恐らく御意見であらうと思ひます、私として其のものを直ちに同じ意見だと、斯う言ふ譯には一寸參らないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=236
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237・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それは大藏大臣として當委員會に出席されて、公の席に於て答辯された言葉であります、仍て是は大藏大臣の所謂個人の意見として委員會は聽いたのではないのであります、委員會に於ては、大藏大臣の物價基準の決定に關する意見として之を伺つたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=237
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238・和田博雄
○和田國務大臣 私はどうも直ぐには同意致し兼ねます、別の意見を持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=238
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239・葉梨新五郎
○葉梨委員長 然らば農林大臣は同意致し兼ねると了解して宜しいか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=239
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240・和田博雄
○和田國務大臣 別の意見を持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=240
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241・葉梨新五郎
○葉梨委員長 其の別の意見は此處で御發表願へませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=241
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242・和田博雄
○和田國務大臣 個人的の意見でありますから…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=242
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243・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それを伺はないと之の關係を決定するのに非常に不都合になると思ふのでありますが、それを伺はして貰ふ譯には參りませぬか、只今でなくても宜しいが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=243
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244・和田博雄
○和田國務大臣 どう云ふ關係があるのですか、物價水準の決定に對する私の意見が假に大藏大臣の…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=244
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245・葉梨新五郎
○葉梨委員長 農林大臣として大藏大臣の意見と違ふと云ふことになりますと、それを伺つて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=245
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246・和田博雄
○和田國務大臣 それはどう云ふ關係になるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=246
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247・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それは物價の基準が──此の農地の買上價格の決定は、所謂政府の説明は説明であるが、現在の物價の基準と云ふものに依つて考ふべき必要があると云ふ論がある、そこで現在の物價を非常に變動期の物價と認めるか、或は大藏大臣の言ふやうに、現在の通貨價値を以て物價を決定する基準にして行くのだと云ふ意見になると、是は相當考慮しなくてはならぬことになるから、それで之を伺つて居るのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=247
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248・和田博雄
○和田國務大臣 考慮することになると云ふことは、現在の公定價格として決められて居るものを考慮しなければならぬ、斯う云ふことですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=248
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249・葉梨新五郎
○葉梨委員長 さう云ふことです、例へば米價の決定も變更されると云ふこと、それはどう云ふ基準に依つて變更するのか、さうすると物價の基準を何處に置いて變更するのだと云ふことの説明が自ら行はれる譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=249
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250・和田博雄
○和田國務大臣 例へば現在の米價を變更する時、變更に付て物價水準を決定する爲にそれはどう云ふ意味を持つか、斯う云ふことに付ては色々な意見があり得ると思ひますので、只今の大藏大臣の御意見が直ちに農地の委員會の、例へば農地價格に付ての内面的な關聯と云ふのは一寸私には呑込めないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=250
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251・葉梨新五郎
○葉梨委員長 私は是が必要であるから伺つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=251
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252・和田博雄
○和田國務大臣 私は一寸其の點は…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=252
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253・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは大藏大臣の説明と言ひますか、意見には農林大臣は同意し兼ねる…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=253
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254・和田博雄
○和田國務大臣 と云ふことはどう云ふ意味なのだか、具體的な意味がはつきり分らないから、前後の關係が分らないから、それだけで「イエス」「ノート」は言へないのです、どう云ふ意味なのかはつきりしませぬ、是はどうも非常に無理なことだと思ふ、例へば大藏大臣の言葉はどう云ふ意味で御聽きになつてどう云ふ内面的な關聯があるのか…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=254
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255・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは北君御説明願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=255
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256・北政清
○北(政)委員 私の問ひました目的は、實は通貨量を問うたのだけれども、大藏大臣は通貨價値の安定に付て申された、議論したとて仕樣がないと思つてあの程度で置いたのです、一體私は今相當の「インフレ」時代だと考へる、そこで是は貿易再開の時に於ける日本の通貨量と非常な關係を持つ譯です、而も是は長いことない、ここ一、二年で何とか安定させねばならぬ、而も小作人は將來三十年に亙つて拂はねばならぬから、今眼に見えて此の札が半分になるではないか、だから私共は小作に此の儘でやつたら大變なことだ、金納制度にしても、物價が今のやうに上つて居る時には金納制度も大變宜しいけれども、下つた時には隣りの土地まで皆賣らなければやれぬのだから大變なことになると言つて、私が百億圓位出せと言つたのもそこに端を發して居る、實に重大な問題です、買上價格は今の金でやるのだから宜しいけれども、買ふ人は、是でやられては大變だ、今闇の金をうんと持つて居つて、現金で拂ふ人は宜いか知らないが、さうでない、今の米價で眞面目にやつて居る者は金はない、どうしても年賦償還で拂はねばならぬ、さうすると拂ふ時には數倍拂はねばならぬ、決して今の小作料やそんなことどころではない、此の間から小作料の高い安いは、五圓、十圓違ふ違ぬはではない、それでは小作人追出しになると云ふのが私の根本理念である、あれをやつては大變だ、今の「インフレ」紙幣を何年續ける積りだ、今大藏大臣の言つたのは、今だけの安定策を言うて居るので、三十年先のことになつたらどう云ふことになるのだと云ふことは答辯しない、農民はとんでもない目に逢ふ、だから私は是は重大な問題だと思ふ、其の點に付てはつきり聽いて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=256
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257・葉梨新五郎
○葉梨委員長 農林大臣に申上げますが、丁度其の日はあなたは缺席して居られたのです、だから或はどなたからか御聽きになつたかと思ふのだが、御聽きになつて居らなかつた、是は中々重要な問題ですから、能く御調べ下さつて御返事下さつても結構です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=257
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258・和田博雄
○和田國務大臣 通貨量に對する質問のやうに思ふのですが、結局今のやうな「インフレ」が續いて行くならば、是は農民に取つて非常に困るやうな結果になるのだがと云ふ御話ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=258
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259・北政清
○北(政)委員 「インフレ」が續いて居るのに、「デフレ」にしないでやれるかと云ふ、其の御見込をはつきりして貰ひたい、「インフレ」の紙幣を「デフレ」の紙幣では拂へない…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=259
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260・和田博雄
○和田國務大臣 唯「インフレ」の紙幣と「デフレ」の紙幣と云ふことだけで議論をされては困るのであつて、「デフレ」の政策の下に於ても、尚且つ農民が自己の農業經營の收益の中から十分之を拂つて、而も後の農業經營をやつて行けるかどうかと云ふことに私は歸著するのであらうと思ふが、勿論貨幣價値の變動に付て見れば、それは「インフレ」の時の貨幣價値は、「デフレ」の時の貨幣價値とは違ひませうけれども、三十年の間には「インフレ」の時期もあらう、或は「デフレ」の時期もあらうと思ふのであります、併しそれは何時來るか分らない、長いことでありますから──そこで或る程度の相殺は出來ます、それからもう一つ小作人に繰上償還の途が開かれて居りますが故に、若しも餘力があれば早いこと「インフレ」を除き得る途がある、其の點に付ては左樣に考へるのであります、それから通貨量の問題は、私は量だけで問題にされるのは多少異論があります、通貨量がなぜ殖えて居るかと云ふと、そこに通貨の流通速度の問題がある、それからあなたの通貨量の問題は、是は日本が今の賠償でありますとか、色々其の問題に付ての經濟機構の問題と表裏致して居るのでありまして、さう云ふ問題を前提にしますれば、只今言つたやうに經濟界に變動を與へないやうにすると云ふこと、斯う云ふ事柄に付ては調べた上で御話をするより仕方がないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=260
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261・葉梨新五郎
○葉梨委員長 結局農林大臣が當時大藏大臣の發言の時には丁度出席して居られなかつた、それは今委員會の事務當局から注意を受けて、私もはつきりしたのであります、それでありますから、あなたの仰しやることも、私が農林大臣に御聽きしたいと思ふことも、共に此の席で只今答辯を求めると云ふことは無理のやうでありますから、私は單に農林大臣としての意見と申してもいけない、此の法案は内閣の法案であります、内閣、所謂政府の之に對する態度を決めて、さうして此の委員會に報告して戴く、斯う云ふことにして農林大臣が大藏大臣と能く御協議なされて、御答辯を願ふと云ふことに致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=261
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262・北政清
○北(政)委員 唯一言私農林大臣に申上げたいのであります、今の御話だが、難かしい議論は拔きにして、ざつくばらんに申上げる、昔米が石十三圓五十錢、それが昭和八年御承知の通り十五、六圓、其の際に於ては小作料は金納になりますと大分高いものになる、是は火を睹るより明かである、何と言つても今の金は金の裏付けのない金である、金を引渡すと書いてない、金の裏付けなしの流通紙幣を以て外國と貿易が出來るか、今のやうな物々交換ならそれで宜しいが、本當に貿易をやらうと云ふ時の爲替は、ふらふらの爲替では取引は出來ない、私は外國貿易もやつて來て居ります、ふらふらのものでは出來るものではない、さうすると金の裏付けをしない以上は、日本の貿易の再開は絶對に出來ない、物々交換で行くより仕樣がない、でありますから今の大多量の流通貨幣の儘で行けるものでないと云ふことは、火を睹るよりも明かである、今の七十五圓の米が將來十五圓に下つたら、一體どれだけ持つて行けば宜い、それと同じことだ今の「インフレ」の借金を拂ふのに、「デフレ」の正金で拂ふ、是が問題なのだ、それだから小作人が買はぬと言ふのだ、此の事實を知つたら誰も買ふ者はない、恐ろしくて買へない、實に恐ろしい、是は小作人から自作人を作るのではない、農村から皆追出す、大變な問題だから能く御研究を願ひます、答辯は要りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=262
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263・和田博雄
○和田國務大臣 答辯は申上げませぬが、今の「デフレ」論をやると、意見になると思ひます、殊に北君の意見に對しては、反駁しようとすれば出來るだけの意見を私持つて居りますが、併し議論はしても仕樣がありませぬ、能く私の方としても事情を聽きました上で相談は致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=263
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264・葉梨新五郎
○葉梨委員長 どうぞ左樣のことに願ひます、本日は此の程度にて散會することに致しまして、明日は午前十時より續行致します
午後四時四十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01119460926&spkNum=264
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