1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
自作農創設特別措置法案(政府提出)
農地調整法の一部を改正する法律案(政府提出)
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昭和二十一年九月三十日(月曜日)午前十時三十一分開議
出席委員
委員長 葉梨新五郎君
理事 小川原政信君 理事 森幸太郎君
理事 藤本虎喜君 理事 菊池豐君
磯崎貞序君 古賀太郎君
三浦寅之助君 松浦薫君
三ツ林幸三君 關根久藏君
原健三郎君 太田秋之助君
松岡運君 寺島隆太郎君
荒木武行君 吉澤仁太郎君
井伊誠一君 高倉輝君
松澤一君 中原健次君
平野市太郎君 松本六太郎君
豐澤豐雄君 北政清君
山木武夫君
出席國務大臣
内務大臣 大村清一君
農林大臣 和田博雄君
出席政府委員
内務事務官 郡祐一君
大藏事務官 池田勇人君
司法務事官 奧野健一君
農林事務官 山添利作君
農林事務官 笹山茂太郎君
委員長の許可を得た出席者
農林事務官 大和田啓氣君
農林事務官 三浦善郎君
農林事務官 所秀雄君
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本日の會議に付した議案
自作農創設特別措置法案(政府提出)
農地調整法の一部を改正する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=0
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001・葉梨新五郎
○葉梨委員長 是より會議を開きます、前會に引續き第二十七條に對する質疑を續行致します──太田秋之助君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=1
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002・太田秋之助
○太田(秋)委員 第二十七條に對して御伺ひする點があつて此の條項を留保して戴いたのでありましたが、此の第二十七條の、將來農作物の價格が下落して、年賦金、公租公課の合計金額が一定の割合を超過する場合は、年賦金を減免すると云ふ規定は、經營上の施策として政府の親心は洵に能く分るのであります、此の場合に於て、是までに創設された所の自作農地との均衡がどう云ふことになるか、過去に於て創設されました所の自作農地の購入價格も、本法立案と同樣の公定價格であります、又利率も同樣三分二厘と承知して居ります、同一條件にあるのでありますから、此の外に更に今までは個人の取引があつたのでありますので、多少個人の取引には裏付けを伴ふことを聞いて居ります、實際の負擔と云ふことになれば、此の法案に依つて創設されたる額よりも、負擔の方は増して來ると思ふのであります、それで既設の自作農地に對しても本法の第二十七條を援用することが出來るか、或は不可能であるか、又不可能な場合には、既設の自作農地が經營困難に陷つた場合は如何にして之を救濟するか、政府の御所見を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=2
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003・和田博雄
○和田國務大臣 それはどうも法律的には過去のものに付ては一寸遡れないと思ふのです、併し實際問題としましては、將來さう云ふ問題が起れば、是は自作農地全般に付て起ることになる譯でありますから、やはり政府としては何等かさう云ふ時には考慮しなけれはならぬやうになるのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=3
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004・太田秋之助
○太田(秋)委員 此の法律が援用出來ないことは、私共もさう考へて居りましたが、大臣の御答辯で、さう云ふ實情のあつた時は何等か考慮の餘地があると云ふことでありますから、是は承知致しました
次にやはり關聯した問題でございますが、既往に於ける自作農創設者は、將來の不況時代に備ふる爲に、從來小作をして居つた小作料を基準と致しまして、之を農業會に收納期に預けるのであります、農業會では預つたものを公定價格に換算を致しまして、是から年賦金を拂込むだけを取り、尚ほ殘餘がありますから、其の殘餘の中一定額を償還貯備金として積立するのであります、其の積立金を取つても、今日の農作物の價額で言へば殘りがある、是は自由に任せると云ふことになつて居ります、此のことは勿論御承知の如く、市町村が責任を負つて、さうして自作農創設に轉換した時代に端を發したのであります、此の當時自作農組合を組織しまして、さうして此の非常時に備へる所の積立金の方法を實施したのであります、政府は本法に依りまして創設された所の自作農家に對しても、償還に對する所の貯備の方法を指導するの御方針であるかどうか、此の點に付て御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=4
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005・和田博雄
○和田國務大臣 御話のやうな點は從來政府として行つたことでありまして、相當の效果を擧げて居る譯であります、勿論本法に依りまして創定されました自作農家に對しましても、何等かさう云つた處置を講じたい、斯う考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=5
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006・太田秋之助
○太田(秋)委員 重ねて要望しますが、農作物の不況時代の對策として第二十七條に依つて國庫より援助をすることは、是は曩にも申した通り私は非常に敬意を表します、併し最近之を受ける方が之を當然のことと考へまして、又斯う云ふ法案があれば之に依存するが如きこともあり得るのであります、私は成べく斯う云ふ依存心を避けて、さうして常に感謝の觀念を以て努力さへすれば、無理をしなくても農作物の極端に下落しない中は、此の非常時に備へる所の年賦償還の豫備積金は出來ると思ふのであります、斯う云ふ點に付ては何等か政府も施行令か何か作りまして、十分御指導願ひたいど云ふことを重ね要望して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=6
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007・和田博雄
○和田國務大臣 御話の點は十分我々としても考へて實行したいと思ひます、やはり本法に依つて自作農になりました者が、本當に努力して出來るだけ早く繰上償還の途を開いてあるのでありますから、お互ひの力に依つて早く自作農になるやうに指導奬勵して行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=7
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008・太田秋之助
○太田(秋)委員 次に今一言伺ひたいのは、第二十七條に依つて年賦金額を減額する場合、又は色々噂されて居る所の平價の切下げを將來行ふやうなことがあるのではないかと云ふやうなことも案ぜられるのでありますが、此の場合に於きましても、地主が買うた農地證券は切下げの影響を受けると云ふやうなことはないと私は確信するものであります、該土地代金は政府の指定する戰爭前の平常經濟の状態にある際に定めた公定價格を基準とする低廉なるものでありますから、此の證券の價格と云ふもの、又價値と云ふものは一定不變でなくてはならぬと私は考へるのであります、是は絶對條件であると思ふのです、此の點に疑義があつては本法の審議の上に重大なる關係を有すると思ふのであります、此の點を明確にせられたい、勿論幣價の切下げと云ふことは、今後の問題としてまだ未定の豫測でありますが、如何なる場合に於ても此の證券の價値を保持すべきであると思ふのであります、殊に自作地の年賦金額の減免に際する時、是が財源を此の證券の切下げに求めると云ふやうなことがあつてはならないと思ひますので、私は少し神經過敏過ぎるかも知れませぬが、斯う云ふ點をはつきりとして、自分の長年持つて來た所の土地やさう云ふものを一片の證券に變へられて、其の證券が更に切下げになる、或は幣價切下げの場合に其の價値が下ると云ふやうなことがあつては、是は地主の財産として換へたものであるから、斯う云ふことはあるべき筈のものでないと思ふけれども、之に對しては勿論大藏省に關係もありますが、大體此の點は主管大臣の御方針に依つてはつきりと決まることと思ひますので、此の際伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=8
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009・山添利作
○山添政府委員 同樣の御質問が此の前にもございまして、其の際御答へしたことでございますが、第二十七條の條項に依り、農産物價が非常に下落した際、政府が此の法律に依りまして土地を買ひました者に對して支拂を減免すると云ふやうな場合に、一方の農地證券の方の價格はどうするかと云ふ點に付ての御質問でございますが、さう云ふ場合に於きましても、さう云ふ意味に於きまして農地證券の價格を減額すると云ふことは絶對にございませぬ、唯理論上の問題として、幣價の切下げをする場合、是は現在程度の「インフレーション」の状況ではさう云ふことがないと考へるのが常識でございまして、此の前の「ヨーロッパ」戰爭後に於ける「ドイツ」の場合でありますとか、或は現在に於て「ハンガリー」等で起つて居る状況であるとか、さう云ふやうな場合に於ける幣制整理の場合にどうなるかと云ふことになりますと、是は幣制整理のやり方で色々の複雜な關係が起つて來る譯であります、併しさう云ふ場合に於きましても、此の農地價格と云ふものが大體斯う云ふ値段に決められたと云ふことは、一方に御話のやうにある譯でありますから、不當な取扱や不當な影響を受けないと云ふことははつきりして居ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=9
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010・太田秋之助
○太田(秋)委員 是で私の質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=10
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011・吉澤仁太郎
○吉澤委員 是は前に遡るかも知れませぬけれども、念の爲に一寸伺つて置きたいのであります、農地の買收代金のことでありますが、是は賣渡と關聯して居りますので、第六條に「當該賃貸價格に四十(農地調整法第六條の三第一項の規定により地方長官の定めた率があるときは、その率)」に依ると云ふことになつて居りますが、是は現實問題として、私共の新潟縣の佐渡郡は大體賃貸價格の四十五倍が公定價格になつて居りますが、さう云つた場合には其の率を適用されることになるか承つて置きたい、又さう云ふやうになつて居ります場合に、やはり小作人に對して其の率で賣渡すことになりますかどうかと云ふことを念の爲に承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=11
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012・山添利作
○山添政府委員 是は舊時代、と言ふと語弊がございますが、農地管理令等の時代に於ける公定價格の決め方がさう云ふ風になつて居つたと云ふ意味であらうと思ひます、現在はさう云ふ地區と雖も一律に田に付きまして四十倍、畑に付きまして四十八倍と云ふことでございます、それとは關係なしに、別の意味合に於きまして何等か租税、地租を低くすると云ふやうな考へを以て、賃貸價格を低く決めてあると云ふやうなことが、青森縣等にはあるさうでありまして、さう云ふ場合に於きまして此の農地調整法の第六條の三項を準用するのでありまして、農地管理令時代に於ける最高價格が偶偶其の時に於ける賣買事例に依つて決められたものでありまして、是が四十倍よりも高いから直ちに其の率に依ると云ふ意味ではございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=12
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013・三ッ林幸三
○三ッ林委員 一寸御伺ひ致します、第二十七條は、第十六條の規定に依り賣渡した農地の對價に對する年賦金が不況の際に納まらない時には、減免すると云ふことでありますけれども、私は斯う云ふ不安定な法律では困ると思ひます、御承知の通り土地から上るものは結局農作物であります、農作物を金錢に換へたのでありまするけれども、結局農地から農作物が上つたものを政府が年賦と致しまして──私共子供の内から能く承知して居りますけれども、大體に於て埼玉縣あたりでありますると、田畑一段歩を賣買致しまするのが、米三十俵の例になつて居ります、米三十俵なければ地所が一段賣買出來ない、さう云ふことになりますから、結局私は政府が買收すると致しますれば、それもやはり米麥で、物納で御取りになる、結局三十箇年年賦と致しますれば、米でありますれば一年に一俵づつ三十箇年に亙つて取る、さう云ふことだと思ひます、金に換算致しますから中々いざごさが出ますが、物納でありますれば一年に一俵づつ納めますれば、五俵穫れれば四俵殘ると云ふことでありますから、其の御考へを大臣に御説明願ひたいと存じます、それから又金の問題でありますれば、私が計算致しまするのに、どうしても米一俵百圓を下るやうな相場でありますと、農家は全滅になります、畑一町一萬圓とすると一年千圓、田で換算して七千五百圓とすると七百五十圓になります、一割の借があると云ふことは農家と致しましては大變な苦痛なのであります、大概の身上をなくした人は、地所を擔保に致しまして高利の金を借りたので身上がなくなつて居ります、是までの自作農と致しましても、勸業銀行から借りましても、必ず支拂はなくてはならぬ建前にはなつて居りまするけれども、中々それが支拂へないのは、農作物が安くて、そこの家に借金がある爲に生活費の方が掛りまして、其の借金が拂へなかつたのであります、さう云ふ意味に於きまして一段歩五俵と取りまして、丁度百圓になりますると一町歩五千圓になります、五千圓で公課など掛りますと、丁度二千圓近所年賦償還で掛ります、さうすると三千圓殘りますから、どうやら五、六人の家族ならやつて行けるかと思ひますが、金で換算致しますれば、一俵の米が百圓下ではどうしてもやつて行けないと云ふことになりますから、其の二點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=13
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014・和田博雄
○和田國務大臣 是は從來と雖も自作農の創定に付きましては物納でありませぬで、やはり年賦金と云ふものを支拂ふやうに致して居つたのでありまして、政府が米で取ると云ふことは、一見宜いやうでありまするが、實はさうではないのであつて、價格が實際は決まらぬと云ふことなのであります、と云ふのは、米の價格が將來どう變るか分らぬものを、其の時其の時に取つて行きますれば、小作人に取つて非常な負擔になる場合もあれば、ならぬ場合もあると云ふことになつて、非常に不安定であると云ふ點がいけないのであります、貨幣の方は、是はやはり一般の價値基準でありますので、成程貨幣價値其のものも變動はありまするが、やはり斯う云ふ一つの償還と云ふやうなことをやりまする時に、一般の價値基準を以てやると云ふことが、殊に今のやうな資本主義の社會に於ては、是はもう當り前のことなのでありまして、さう云ふ、あなたのやうな御考へを採る譯には參らなかつたのでございます
それから一俵百圓しなければ農家の經濟が成立つて行かないと云ふことは、是はどうも一々の事情に依つて違ふのでございまして、農家の經營のやり方、或は其の他の收入のあるなし、色々な點から言へるのでございまして、必ずしも一俵百圓しなければ成立つて行かない、斯う云ふ譯には參らないのではないか、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=14
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015・三ッ林幸三
○三ッ林委員 それから農林大臣にもう一つ御願ひして置きたいと思ひますのは、私は地主ではありませぬけれども、兎角今の時に地主と云ふものは小作人のものを搾取したやうなことを流布されて居ります、此の間も農林大臣は本會議に於て、地主の小作料の問題で、結局小作料が高い、それだから一町歩を持つて居てもどうにかやつて行けると云ふやうな御説明がありましたけれども、私共と致しましても、其の觀念を是非もう少し柔かく持つて戴きたいと存じます、辛苦を致しまして、結局地所を取りますにも、嚊の著物を質に置いてやるやうな、頬冠りを早くしたからこそ幾らかの地所を持つやうになつたのでありまして、それを敗戰日本になつたから、それが當り前になるのだ、斯う云ふやうな御考へで法律を作つてやりますと、自作農になつた人に、此の地所は法律に依つて取つたのだと云ふやうな怠け癖が付きますと、結局増産にならないのであります、粒々辛苦して取りました地所でありますけれども、時勢の然らしむる所と云ふか、結局政府の御力でさうなつたのでありますから、耕作者、地主と云ふものが、お互ひに一體になつて土地の分配を致さないと、是は増産に大なる影響があると思ひます、お前方は惡いことをしたのだから、地所をやるのは當り前なのだ、と云ふやうなことで解決致しますと、お互ひに氣持を惡く致しまするから、是はお互ひに協調致しまして、耕作者と致しましても、實際に於て自分の土地がないので人の土地を借りて作ると云ふのは忍びないのでありまするから、是は時勢で已むを得ませぬが、お互ひに協調して、それぢやお前の方にやるのだからと云ふやうに、氣持好く解決しなければならぬと存じます、其の御話を願ひたい
次に農地は結局分讓になるが、凡そ農地だけを取りましても、大體に於て宅地もない耕作者と云ふものが大變居ります、是までの例を見ましても、小作を止め、自作を止めて、東京などに出て來た人の家庭を見ますと、大體に於て宅地のない人が早く出て參つたのであります、さう云ふ意味に於きまして、田圃だけは自分のものになつたけれども、宅地と云ふものが自分のものになりませぬと、地方にはまだ中々因習的なことがありますから、さう云ふ關係で腰が落著いて農事に勵むことが出來ないのでありますから、其の點を如何にするのでありますか、一寸御説明願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=15
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016・和田博雄
○和田國務大臣 私も非常に柔かい氣持を持つて居るのであります(笑聲)表現がまづかつた點は一つ御諒承を御願ひして置きます、唯事實どうか、斯う云ふことを仰せられましたので、事實は高いやうに思つた、斯う申上げたのであります
それから只今の宅地の點でございますが、宅地の點は、御審議を願ひました第十五條に於きまして、自作農になるべき者が其の宅地を買ふことが必要であります場合には、宅地もやはり買へるやうになつて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=16
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017・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは第二十八條に移ります、第二十八條を朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=17
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018・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第二十八條 第十六條の規定による農地の賣渡を受けた者又はその相續人が當該農地に就いてこの自作をやめようとするときは、政府は、命令の定めるところにより、その者に對して當該農地を買ひ取るべきことを申し入れなければならない。
前項の申入があつたときは、その時にその申入において定めた條件によつて當該農地の賣買が成立する。この場合における當該農地の對價には、第六條第三項の規定を準用する。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=18
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019・葉梨新五郎
○葉梨委員長 第二十八條に付て質疑を行ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=19
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020・井伊誠一
○井伊委員 耕地に付て自作を廢止すれば、申入だけで強制的に賣買が成立する、斯う云ふことになつて居るのでありますが、さうしますと、是は大體強制的で、民法の賣買とは趣を異にして居る話であります、隨て買取申入の方法、是が後で定められると云ふことになつて居りますが、其の買取申入の方法と云ふものは、一體どう云ふ風に御決めになるのでありますか、其の點を御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=20
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021・山添利作
○山添政府委員 金錢貸借等に依りまして自作を止めようと云ひましても、是は最終的に止めるのでなくて、一時希望に依つて止めるので、又自作したい、斯う云ふ場合には申込をしないと云ふのであります、隨て此の命令のことに付きましても、別にさう云ふやうなことを決めるのでありまして、餘り細かいことを決める考へは持つて居ないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=21
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022・井伊誠一
○井伊委員 尚ほ關聯しまして、此の「自作をやめようとするときは」と云ふ意味でありますが、是はさう云ふ事情を見屆けた時は、政府は是の買取の申入をしなければならない、斯う云ふことでありますから、政府はどうしても義務的にやらなければならぬ、さうすると、誰が此の見屆をするか、それは自作であるか、それを一寸御聽きしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=22
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023・山添利作
○山添政府委員 是は此の法律若しくは今までの自作農創設維持の施設に依り自作農となりました人に付ては、表向き自作をしなければならぬと云ふ義務が書いてある譯ではございませぬけれども、其の裏面と致しまして、色々制限が付けてございますことは御承知の通りであります、自作を止めようと云ふことに付きましても、さう云ふ意味合から、自然地方長官等の許可なり承認なりを受けなければならぬことになつて居るのであります、さう云ふ機會に斯う云ふことは直ちに分る譯であります、勿論此の規定が置いてございますのは、自作地は自作者から自作者へと云ふ風に、ずつと續けて行きたいと云ふ趣旨でございますから、其の間は農地委員會等の取扱に依りまして運用して參りたいと思つて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=23
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024・森幸太郎
○森(幸)委員 是は斯う云ふ譯ではないですか、土地の賣渡を受けて自作になつた者が、自分は作れないから自作を止めなければならないと云ふ場合には、一町歩までは小作にすることも出來るのではないかと思ひますが、さう云ふのでなしに、止めようとすると、直ちに政府は命令の定める所に依つて、其の者に對して買ふことになりますと、是は一應自分の土地であると云ふのに小作をさせないと云ふのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=24
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025・山添利作
○山添政府委員 是は特別の政府の保護に依りまして自作農になりました者で、其の自作地に付きましては斯う云ふ義務が付けてある譯であります、それを漫然と小作地にしようと云ふことは認めない発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=25
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026・和田博雄
○和田國務大臣 是はいけないのです、是は政府の保護に依つて、政府が地主から買つて小作地を自作にしてやつたとすると、それに止めるからと云つて、今度勝手に直ぐ小作に出す、地主になつてしまふと云ふことでは、自作農創設の根本精神に反する譯でありますから、之を禁じて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=26
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027・森幸太郎
○森(幸)委員 斯う云ふ場合はどうですか、先の條文に遡るかも知れませぬが、次男が既に一町歩なら一町歩の財産の割付けを親から受けて居る、所有權は決まつて居るのだが、現在一世帶内に居るから、割付けはやつても其の田は小作させて居る、それを政府が買上げてしまふと、分前を貰ふものがないことになる、斯う云ふ事實があるのですが、はつきり割付けをして居るものが、同一世帶に居ると云ふので、兄貴だとか親の世帶に包含されて居ると云ふことで、さう云ふものは認めないのですか、それはどう云ふ取扱をするのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=27
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028・山添利作
○山添政府委員 此の法律に於てはさう云ふものを認めて居りませぬ、隨て小作地に代る農地證券で財産の分前を持つて行くことになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=28
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029・三浦寅之助
○三浦委員 農地を買受けた人が、故意に買受代金を地主に支拂はぬと云ふ場合はどうするのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=29
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030・山添利作
○山添政府委員 納付金を故意に支拂はないと云ふものに付きましては、是は當然強制執行をすることになる譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=30
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031・北政清
○北(政)委員 此の問題に付て大臣の説明の趣旨は分るのですが、要するに折角自作農を創設したものが、自作を止めて小作にさせると云ふことの出來ぬことははつきりして居るが、此の條文の意味は、自作を止めようとする者は政府に賣渡さなければならぬ、斯う云ふ意味ではないか、そこでそれに付ての處理は第六條の規定に依つて農地委員會がやる、是だけ書けば宜いことである、それが何だか「政府は、命令の定めるところにより、その者に對して當該農地を買ひ取るべきことを申し入れなければならない。」とあるが、政府が申入れなければならぬのではない、本人が賣渡さなければならぬ、是で宜いのではないか、斯う書いてあるから分らぬ、小作に貸すことは許さぬ、否でも應でも賣らなければならぬ、斯う云ふ意味ではないか、小作をさすのに何も自作農創設資金を出してやる必要はない、だから政府に賣らなければならぬと云ふのが本音ではないか、自分が自作して居つたのを止め、あとの自作者を見付けると云ふやうなことは農地委員會がやるべきことではないか、それが斯う云ふ面倒な言葉になつて居るから益益分らぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=31
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032・山添利作
○山添政府委員 是は自作を止めようと云ふ者の眼から見ますれば、今御話になつたやうなことと違ひはないのでありますけれども、此の法律の全般が政府が介入して自作農を創設しようと云ふ、政府側からずつと規定を致して居るのであります、隨て此の場合に於きましても、政府の義務として自作農を維持する、自作地は自作地で斯う云ふ趣意のことを政府の責任としてやる、斯う云ふ意味を表現してあるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=32
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033・北政清
○北(政)委員 政府が「買ひ取るべきことを申し入れなければならない。」、さうでなく、自分が止めるときは、政府に賣ります、是ではつきりする発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=33
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034・山添利作
○山添政府委員 第二項に於きまして、政府が申入を致しますると、當然に賣買が成立をする譯であります、政府が一旦買つて、政府が又次の自作農にならんとする人に賣る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=34
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035・葉梨新五郎
○葉梨委員長 一寸參考に委員長から御伺ひして置きますが、第二項の後段の所の「當該農地の對價には、第六條第三項の規定を準用する。」此の時には、報償金が支拂つてあつた土地である場合にはどうなるかと云ふ點であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=35
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036・山添利作
○山添政府委員 是は報償金とは全然關係がありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=36
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037・三浦寅之助
○三浦委員 自作者が納付金を支拂はなかつた場合、あなたの御説明では強制執行をする、さうすれば競買だから、小作人でもなければ、農家でもない者でも買ふことが出來ると云ふ結果になりますが、それでも宜いのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=37
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038・山添利作
○山添政府委員 此の全般の問題に付きましては、此の法律に依りまして自作地になりました外に付きましても、競買の問題と此の自作農創設主義との間には問題がある譯であります、此の競落の場合に於きましても、非訟事件手續法でございますか、あの中に競落人に付て裁判所等で制限をすると云ふやうな規定も設けてある譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=38
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039・三浦寅之助
○三浦委員 それは第何條ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=39
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040・山添利作
○山添政府委員 是は後で調べまして申上げます、是は統制經濟になつてからさう云ふ條文が附加はつた譯であります、それから又一方、耕作の目的を以て土地を買受けると云ふ場合、或は然らざる場合に於きましても、地方長官或は農地委員會に、土地の權利移轉に付ては承認を受けなければならぬ規定、其の噛み合はせに依りまして運用して參りたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=40
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041・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは第二十九條に移ります、第二十九條を朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=41
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042・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第二十九條 第十六條の規定により農地の賣渡を受けた者で命令で定めるものは、第十五條の規定により政府が買收した農業用施設、土地又は建物を買ひ受けようとするときは、市町村農地委員會に對して申込をしなければならない。
第十五條の規定により政府が買收した農業用施設、土地又は建物の賣渡については、第十六條、第十八條乃至第二十二條及び第二十六條の規定を準用する。この場合において、第十八條第三項中「前條」とあり、又は第十九條第一項中「第十七條」とあるのは、「第二十九條第一項」と讀み替へるものとする。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=42
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043・井伊誠一
○井伊委員 是は此の耕地を買取る者だけになつて居りますが、それの相續人と云ふものも入れた方が宜いのではないかと思ひます、それは直ぐ買取るのだから其の必要がないと云ふ風に考へられますけれども、申込んで置いて直ぐ相續人が變ると云ふ場合もあると思ひますから…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=43
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044・山添利作
○山添政府委員 此の第二十九條の規定は尤もらしく書いてございますが、事實に於ては、其の前に宅地を買ひたいと云つて申請を致します、それに對して農地委員會が相當であると認めて、其の人に賣る積りで國が買收した、當然其の人に行く譯であります、それに對して一定の申込手續を致す、斯う云ふ簡單な規定でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=44
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045・井伊誠一
○井伊委員 大體今の御説明で分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=45
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046・北政清
○北(政)委員 今の第十七條とあるのを第二十九條と讀み替へる、是は讀み替へないで第二十九條なら第二十九條と書いたらどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=46
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047・山添利作
○山添政府委員 是は元の片假名で文語體で書いてありますものには、第十七條とありますのは第二十九條第一項とすと云ふやうに書いたものでありますが、口語體になりましてから、斯う云ふ文章になつたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=47
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048・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは第三十條に移ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=48
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049・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第三十條 政府は自作農を創設するため必要があるときは、左に掲げるものを買收することができる。
一 農地以外の土地で農地の開發に供しようとするもの
二 政府の所有に屬する土地で農地の開發に供しようとするものに關する所有權及び擔保權以外の權利
三 第一號又は前號の土地附近の農地で當該土地と併せて開發するのを相當とするもの
四 第一號又は第二號の土地の上にある立木は建物その他の工作物
五 漁業權
六 水の使用に關する權利
七 開發後における第一號又は第二號の土地の利用上必要な土地、立木又は建物その他の工作物
前項第六號又は第七號に掲げるものは、政府が、これを使用することができる。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=49
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050・松本六太郎
○松本(六)委員 此の第三十條に付て私は先般來大藏大臣の御出席を求めて居つたのであります、今日もお見えになつて居りませぬから、之を留保致しまして、適當の機會に大臣の御出席を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=50
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051・葉梨新五郎
○葉梨委員長 了承致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=51
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052・北政清
○北(政)委員 水の使用に關する權利を買收すると云ふのでありまするが、此の水利費用の滯納して居るものに付ては、政府が責任を負ふのか、負はないのか、北海道あたりは土功組合費が莫大なものでありますから、之を滯納して居る、そこで今度は政府が買つてしまへば、前地主に對して、請求することが出來ぬ、さうなると、大なる歳入の變化を來しますが、是は政府が其の滯納を辨償してやる肚であるかどうかを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=52
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053・笹山茂太郎
○笹山政府委員 水の使用に關する權利でございますが、是は今まで引水權等の權利がございますが、此の權利を買收する場合に於きましては、其の權利の現在持つて居る價値を買收すると云ふ見地から、價格を算定するのでございます、隨ひまして其の價値の判定に付きまして、從來債務を負擔して居ると云つた場合に於きましては、其の債務を考慮して其の價値を判定して行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=53
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054・北政清
○北(政)委員 今債務を考慮してと言はれるが、それでは土功組合として困るのだが、滯納して居る金は政府が拂つて呉れるかと云ふことを聽きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=54
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055・笹山茂太郎
○笹山政府委員 土功組合員が土功組合に對しまして有する債務を負擔すると云ふ考へはございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=55
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056・森幸太郎
○森(幸)委員 漁業權の買收に對してはどう云ふ方法に依つて效果を擧げるのでありますか
又水の使用に關する權利は、今北君から御質問がありましたが、非常な旱魃の所に於ては、耕地整理等の關係で灌漑用水の設備に相當の金を使つて居るのであります、それを耕作者が負擔する、或は地主が負擔すると云ふことで、問題を起して居る場所も相當あるのであります、今度政府が一應それを買上げる場合に於ては、賃貸價格の四十倍とか云ふやうな標準以外に、其の土地に付いて居る債務が相當の價格ある場合に、どう云ふ買上げをせられるのですか、さわ云ふ土地に付ての債務、此の二點に付て御伺ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=56
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057・笹山茂太郎
○笹山政府委員 漁業權の價格評定の問題でございますが、從來漁業權の評價に付きましては色々例があります、例へば從來の漁獲高を評價して、何箇年かの平均を見てやらう、或は一坪當りの評價を致しまして、それを見出すと云ふやうなやり方、是は色々なやり方がありまして、私共としては、其の中で最も合理的なものを見出さう、斯う云ふ風に考へて居るのでございます
それから水の權利の買收の問題でございますが、從來相當設備をして居ると云ふやうなものに付きましては、從來掛つた設備費、それから其の設備の將來の殘存期間、斯う云つたものを十分考慮して、適當な價格を以て買收したら宜しからう、斯う云ふ風に考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=57
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058・森幸太郎
○森(幸)委員 漁業權を決定されるのは、今御話の所謂過去の漁業高とか云ふやうなものを參酌して決めると云ふのですが、農地委員會などは漁業のことを一つも知らない、だから農地委員會が一方的行爲で總てやるのだと言つて、知りもせぬ農業者が漁業權に喙を容れて勝手に決められて、一向漁業權者が、發言をすることを許されない、斯う云ふことになると大變なことになると思ふのですが、漁業權等斯う云ふ特殊な權利を評價すると云ふやうな場合には、現在の農地委員と云ふもの以外に、何とか調査機關と云ふやうなものを設ける御考へはないのですか、之を御伺ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=58
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059・笹山茂太郎
○笹山政府委員 漁業權の買收は、そこの水面を埋立てると云ふやうな場合に生ずるのが普通でございます、隨ひまして其の水面を埋立てするのが適當であるかどうかと云ふ判定に付きましては、十分各方面から檢討して、果してそれが合理的であるかどうかと云ふことを審議をするのでございます、只今私の方の考へとしましては、開拓委員會と云ふものを縣の方に設置しまして、それ等の委員がそれぞれの專門的な立場から、其の埋立をして宜いかどうかを十分判斷する筈でございます、隨ひまして其の場合に於きましては、十分漁業權者の意見を聽くことになつて居ります、又其の委員の中に漁業權者の代表者を參加させると云ふことも當然考へて居るのでございます、それから評價に付ての問題でございますが、御話のやうに、農地委員會に專門家がないと云ふやうな情勢でございますから、是等の特殊な權利の評價に付きましては、今後農地委員會に、當該漁業權に關係ある人とか、或は專門家を一つ參加させまして評價の適正を期して參りたい、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=59
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060・小川原政信
○小川原委員 只今の御答辯に依つて疑義を生じたのですが、北君の今質問されました土功組合費は政府に於て負はないのだ、斯う云ふ風に御答辯になつたやうに聞いたのですが、どうしてそれを御負ひにならぬのでありますか、其の負はないと云ふ理由を簡單に御説明を願つて、それに依つて私は二、三御尋ねしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=60
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061・笹山茂太郎
○笹山政府委員 只今北さんに申上げましたのは、土功組合の負擔して居る債務に付て政府が買收の對價に算入するかどうかと云つた御質問であつたと思ひます、私は其の點に付きましては、其の對價に付ては、現在に其の土功組合が保有して居る水の權利の現状の價値を判斷して決定するのであつて、土功組合の債務を其の儘政府が承繼する考へはない、斯う云ふ御答へをしたのであります、只今の御話は、將來政府が買收した土地を開發等に利用せられる場合に於きまして、土功組合の一分子としまして必要なる負擔をどうするか、斯う云つた御尋ねだらうと思ひます、其の點に付きましては必要なる經費は政府の方としても負擔する積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=61
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062・小川原政信
○小川原委員 大分はつきりしたやうですけれども、もつと根本的に掘下げて考へて戴きたいと思ふのです、政府は土功組合と云ふものは個人の、私用のものだと云ふ御考へであるならば、是は、法案と全く矛盾した思想で、法案の思想は土地の社會施設でありまして、詰り國家が占有し、或は二三の者が占有すべきものでない、土地と云ふものは平等に持たなければならぬと云ふ社會的な考へから此の自作農と云ふものが起つたと思ひますが、其の根本問題に考へまして、土功組合と云ふものは、全く原野でありましたものを、民衆が土地を改良しよう、謂はば國土を作らうと云ふことから、山に穴を鑿ち、溝を掘り、さうして川を堰き止めまして、全く國家のすべき仕事を農民が致したのであります、さうして今までの荒れ果てた原野が美田になつて今日米が穫れて國家に稗益して居るのですから、此の費用は國家が支出すべきものである、北海道の土功組合に於きましても、我々は其のことを長年──二十年以上主張して參りました、所が茲に於て全く民主主義を採入れられました此の法案が出來ますと云ふと、國民は國家のすべき施設を借金して背負はなければならぬと云ふ理由はないのであります、作つた品物は供出致さなければならぬ、其の作つたものは私有財産ではない、國家の命令に依つて動かさなければならぬと云ふことになつて參つた、さうすると、其の根本思想から考へまして、此の借金と云ふものは國家が負ふべきものである、國家が之を負うて──さうして農産物の増産を圖ると云ふことは、土地を占有した農民のすることであつて、農民は多くの果實を取らなければならぬと云ふ義務を負はされたのでありまして、此の借金は國家が負ふべきものだと解釋して居るので、松本君の此の間から大藏大臣を御呼出しになつて居るのも、實はそれを御聽きになりたかつたのだらうと思ふのでありますが、今日負はぬと仰しやつたから、私は非常に疑點が起つたのであります、こちらの方に水貯めを拵へ、あちらの山に穴を掘り、こちらの谷川に橋がなかつたので橋を架ける、是は國家が川を拵へ、橋を造らなければならぬものであり、國家が鐵材や「コンクリート」を持つて來て橋を拵へ、川を掘るべきものであります、橋を造つたり、川を掘つたりするやうなことを、國民がする責任はない筈であります、農民は田を作つて米を穫ると云ふ責任はあるけれども、水と云ふものは天然國家の使用する權利である、それを農民に負はして、借金はお前達負へと云ふのは分りませぬですから、その邊をもつとはつきり御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=62
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063・笹山茂太郎
○笹山政府委員 其の點に付ては、私は買收に依つて其の水の權利を持つて居る人達に損失を與へるやうなことは絶對致したくないのであります、隨ひまして其の川なり或は水路と云ふものが、現在持つて居る價値、其の點に付きましては、十分其の評價に付て考へて行きたい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=63
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064・小川原政信
○小川原委員 大分接近した御答辯でありますが、さうしますと、更にそれ等に掛つた費用は國家が賠償しよう、斯う云ふ御意思だと云ふことになるのですか、其の點さへ御聽きして置けばそれで宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=64
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065・笹山茂太郎
○笹山政府委員 其の點は、從來其の川なり水路を作る爲に組合員が負擔した所の經費があるのでございます、さう云ふものを參考にしまして、或は今後さう云つた施設が何年間持續が出來るかと云ふ點も考慮しまして、相當の價格を算定したい、斯う考へて居ります、さつきの北さんの御質問と、今の小川原さんの御質問とは別だと云ふ風に考へて居りますが、あれは同じでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=65
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066・北政清
○北(政)委員 私は斯う思つて居る、土功組合が借金があるのは、國家が負擔するかせぬかは別問題だ、併し其の買つた土地に對する土功組合費は政府が當然拂つて行くべきだ、土功組合員が其の土地を今政府に賣る、是が税が滯納されて居りますと、土功組合の經理が付かないのであります、そこで今仰しやつたやうな風で、其の責任を負はぬとあれば、今早く地主の持つて居る内に、之を競賣處分に土功組合が大急ぎでやらなければならぬ、さうして其の競賣された者に土地が移轉されても政府は認めるのか認めないのか、若し直ぐ政府に買はれると、あと競賣することが出來ない、だから競賣の出來る内に、今早くやらなければならぬ、それをやるのかやらぬのか、其の滯納して居るものは責任を持つのか持たぬのか、此のことを御尋ねして居るのでありまして、土功組合其のものの借金を問うて居るのではありませぬ、だから問題は全然違ふ
尚ほ此の點はもう一つ聽きたいのですが、一體土功組合費の高い所は小作料は高いのであるが、高く取らなければ其の土功組合費と云ふものを拂つて行けないのである、それであるから賃貸價格は高い、其の高い賃貸價格の何十倍と云ふものが、今度の政府の買上價格になり、小作者への賣渡價格になるのである、普通の取引は土功組合費の高い所は、普通の相場より土功組合費を金利に見ただけ安く買ふのである、それを今政府が買へば、土功組合費の高い所を高く買つて、それを農民に高く賣付けられますから、農民は大變な話である、税を拂はなければならぬから高い小作料を取る、そこをどうされるか、それは政府が相當補償しなければ小作人は、事實上買へない、斯う云ふ問題が起つて來る譯である、何處でも土功組合費の高い所は土地は安いに決まつて居る、そこを一つはつきりして戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=66
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067・笹山茂太郎
○笹山政府委員 土功組合に帶納中の借金を政府の方で其の儘承繼するかどうか、斯う云つた點ですが、此の問題に付ては先程も申上げたやうに、政府の方で買收する場合の對價の算定に付きましては、其の買收する所の權利を持つて居る所の價値が、どれだけあるかと云ふことを算定して、其の價値に相當する對價を以て支拂ふ、斯う云ふ考へで居るのであります、又其の買つたものを、將來の開拓民或は入植者にどの位の値段で賣るかと云ふ問題でございますが、是は其の賣拂當時に於ける所の其の權利なり、或は施設の持つ所の内容、經濟的價値と云ふものに相當する値段で以て賣るのでありますから、決して開拓者或は入植者に高く賣付けると云ふやうな考へは毛頭ございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=67
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068・葉梨新五郎
○葉梨委員長 北君の御不審の點は、其の組合對組合員の關係を國家が補償せよと云ふ所に疑點があるのだらうと思ひます、政府は組合に對して經費全般、及び將來に對する見透しに對して賠償補償をするのだ、賠償補償を受けた組合は滯納が組合員にあつても、何等缺損になつて居ない、そこで組合員と組合との滯納關係は、其の組合と組合員との間に解決すべきものであつて、政府がそれを負ふかどうかと云ふことを聽かれる、それは負へないと云ふのが開拓局長の御答辯であるやうに委員長は伺つて居ります、ですから是はそれ以上御追究になつても、答へは同じことだらうと思ひますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=68
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069・北政清
○北(政)委員 そこで恐らくさうなるだらうから、さうなれば土功組合は國税徴收法を引用してやれるのでありまして、今の内に競賣處分をしてしまはなければならぬ、政府に渡つたらもう入らぬのです、斯樣な變動を今與へさせる積りか、そこで其の競賣したものが效力があるかどうか、去年の十一月から云々と云ふのに該當するかしないか、ここをはつきりしたいのです、さうでなければ土功組合は赤字になるから、赤字にならぬ施策を講じなければならぬ、斯う云ふのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=69
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070・笹山茂太郎
○笹山政府委員 只今の御話で大分御質問の趣旨が私分つて來ました、實は此の土功組合の現在持つて居る水利權、さう云つた所に於きましては、實際の問題としましては、新しく開拓して其處に水の問題をどうしようかと云ふやうな例は稀れだらうと思ふのであります、隨ひまして政府としまして、さう云つた土功組合に關係して居る、地區に付て、新しく其の土地を政府の方に買收して、又土功組合が舊來やつて居つたやうな開拓をやると云ふやうなことは極めて稀れだらうと思ふのです、私共としましては、既に開拓に著手されて居る所の地區に付きましては、新しく其處を買收してどうすると云ふ考へはありませぬので、全然今まで開發されて居らなかつたと云ふ土地に付きまして、自作農者を設定したい、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=70
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071・山添利作
○山添政府委員 今の内に急いで借金を取立てる、滯納を取立てる爲に土地を競賣して置かうと云ふのは困るので、是はさうでなくて、自作農創設をする、其の結果として受取ります所の一時現金で拂ひます分、又殘額農地證券で拂ひます分、之を、それに充てれば宜い譯であります、土地の競賣をやらなくても、それに代る農地證券なり何なり渡す譯でありますから、其の權利の上に今の滯納の分を取立てると云ふ風に扱つて行きたいと思ふのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=71
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072・北政清
○北(政)委員 開拓局長の御答辯は全然私の問ふことに合つて居ないので、是は關係がない、今の問題ですが、其の土地證券の差押へをやられる、斯う仰しやいますが、土功組合は他の財産に對しての權利はない、土地に對して國税徴收法の適用をすることが出來る、ですから土地を競賣するにしても、あとの方に對しては權利がない、ですから之を早く整理する上に於ては、どうしても競賣處分をしなければならぬと云ふ風な事態が起つて來るのであります、普通土地の賣買では、次に買ふ人が大抵責任を負つて居る、それが慣例です、それを今度政府だから負はぬと云ふことはいかぬではないか、私は斯う思ふのです、それから前にも申上げたやうに、土功組合費の高い所は小作料が高い、高いから賃貸價格が高い、其の四十倍であるから高いものになるが、買ふ方の小作人では、必ず非常な高いものを買はなければならぬ、其の上今度は土功組合費を拂はなければならぬ、斯うなるのですが、之に對しては先程開拓局長は、それは賣る値は別だ、一體政府は、今度賣る値を全然別に考へられるのか、是は買つた値で賣るので、報償金だけは別だ、斯う考へて居るので、買つた價格で賣付けられるのではない、斯う考へるのですが、買ふ價格が別だとなれば、私が此の間から言つて居る百億圓問題も解決が付くやうに、半値にしてやるか、三分の一にしてやるか、農地委員が勝手に決めてしまふ、それで宜いか、そんなものではなからう、私はやはり買つた値で賣るのが建前ではないか、斯う思ふのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=72
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073・山添利作
○山添政府委員 結局北さんの御問ひになつて居りますのは、既墾土地の問題だと思ひます、さう云ふ場合に於きましては、價格は四十倍と云ふのは、是は原則でありますと共に、一面又最高價格と云ふ意味でありまして、御話のやうに高い負擔が付いて居る、隨て高くしてやると云ふことをやれば、經濟的に見れば當然是は又其の意味に於きまして安くしなければならぬのでありまして、是は其の事情に適しますやうに買收價格も決定すれば、決めました後の賣渡價格も決定する、斯う云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=73
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074・北政清
○北(政)委員 それで分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=74
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075・葉梨新五郎
○葉梨委員長 既墾地と未墾地と意思が通じないから、開拓局長は未墾地の答辯をして、居つたのです、それでは第三十條宜しうございますれば、第三十一條に移ります、第三十一條を朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=75
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076・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第三十一條 政府が前條の規定による買收又は使用をするには、都道府縣農地委員會が命令の定めるところにより定める未墾地買收計畫によらなければならない。
未墾地買收計畫においては、買收し、又は使用すべき土地、權利、立木又は建物その他の工作物、買收の時期又は使用の時期及び期間竝びに對價を定めなければならない。
前項の對價を定める場合には、農地にあつては、第六條第三項の規定を準用し、農地以外の土地にあつては、命令の定めるところにより、當該土地の近傍類似の農地の時價を參酌し、土地以外のものにあつては、時價を參酌する。この場合において、同項中「市町村農地委員會」とあるのは、「都道府縣農地委員會」と讀み替へるものとする。
都道府縣農地委員會は、未墾地買收計畫を定めたときは、遲滯なくその旨を公告し、且つ公告の日から二十日間前條の規定により買收し、又は使用すべきものの所在地の市役所又は町村役場において左の事項を記載した書類を縱覽に供しなければならない。
一 買收し、又は使用すべき土地、權利、立木又は工作物の所有者の氏名又は名稱及び住所
二 買收し、又は使用すべき土地については、その所在、地番、地目及び面積、權利については、その種類、立木については、その樹種、數量及び所在の場所、工作物については、その種類及び所在の場所
三 對價
四 買收の時期又は使用の時期及び期間
未墾地買收計畫については、第七條及び第八條の規定を準用する。この場合において、これらの規定中「市町村農地委員會」とあるのは、「都道府縣農地委員會」と、「都道府縣農地委員會」とあるのは、「地方長官」と、第七條第一項及び第八條中「同條第五項」とあり、又は第七條第二項中「前條第五項」とあるのは、「第三十一條第四項」と、第八條中「承認」とあるのは、「認可」と讀み替へるものとする。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=76
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077・森幸太郎
○森(幸)委員 是は小さいやうな問題でありまするけれども、實際問題としては相當論議が起つて來るのではないかと思ふのでありますが、此の土地臺帳に依りまして一筆々々の段別が、或は九畝何歩、或は一段一畝十歩とか、或は一段二畝何歩とか、昔の土地整理で區々になつて居るのでありますが、さう云ふやうな一町歩とか三町歩とかと云ふ數字に限定した場合に、其の所有權を設定する場合に、此の端數が重なり合つて五畝歩とか、七畝二歩とかと云ふものが出來て來る、我々常識から考へまして、八畝九歩あつても一段一筆と見る、又一段一畝あつても、或は一段二畝あつても、是は一段と見る、田舍ではさう云ふ常識になつて居るのですが、斯う云ふことは十把一束に、一町歩、三町歩、四町歩、斯うやつて置きますと、末端へ行つて是が實行に移る時には問題になる、一町歩所有されるとか、或は三町歩所有されると云つても、僅かに五畝歩出るとか、一町歩掠めるとかと云ふやうな問題が起らぬとも限らぬ、斯う云ふ點はどう云ふ風に處理される積りであるか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=77
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078・山添利作
○山添政府委員 是はさう云ふ端數も結局合計して計算することになると思ひますが、偖て一町歩を若干超したと云ふやうな場合に、機械的に其の若干超した部分を分割してやるかと云ふと、それはさうではないので、一枚の田として分割出來ぬと云ふやうなのは其の儘置いたら宜いと思ひます、ですから、結局分筆するかせぬかと云ふ具體的問題でありまして、數字できちつと決めますよりも、結局此の田を又半分に分けたが宜いか、割り得る所は分けても宜いけれども、まあ普通の場合は割ることは出來ないだらうと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=78
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079・森幸太郎
○森(幸)委員 どうも實際に見て、田と云ふのは水利關係で、二畝切離すとか、半分に切離すとか云ふことは出來るものではない、一段三畝とか一段四畝とか云ふやうな大きいものは考へなければならぬと思ひますけれども、日本の耕地ですから高低があるし、一段二畝とか、八畝とか九畝と云ふやうなものは隨分田舍にはある、さう云ふものは四捨五入位で一段と見る、一段四畝は一段と云ふ風に見てやる、九段あると云ふのを一畝々々とやつて行くとつい一町になつてしまふ、斯う云ふことが出て來る、是は地方々々に依つて分割が違ひます、殊に山間に入りますと、滅茶々々な段別になつて居ります、きちんと耕地整理をやつた所でもはつきりしない所があります、さう云ふことは常識的に定めて貰ふ方が妥當ではないかと思ふのであります、餘り嚴密にやると、二畝でも收用出來るのだから切離すと云ふので、滅茶々々になると思ふ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=79
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080・山添利作
○山添政府委員 何れに致しましても、現に一枚の田なら田として成立して居るものを分割すると云ふことは考へて居らないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=80
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081・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは第三十二條に移ります、第三十二條を朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=81
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082・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第三十二條 都道府縣農地委員會は、前條の規定による未墾地買收計畫を定めるため必要があるときは、その委員又は委員會の事務に從事する者に、他人の土地に立ち入つて、測量し、檢査し、又は測量若しくは檢査の障害となる物を移轉し、若しくは除却させることができる。但し、これに因つて生じた損害は、これを補償しなければならない。
政府が第三十條の規定による買收又は使用をするため必要がある場合には、前項の規定を準用する。この場合において、同項の規定中「その委員又は委員會の事務に從事する者」とあるのは、「當該官吏」と讀み替へるものとする。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=82
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083・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質疑がなければ第三十三條に移ります、第三十三條を朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=83
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084・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第三十三條 政府は、第三十條の規定による買收又は使用に係る土地(同條第一項第二號に規定する土地を含む。)又は工作物にある物件の所有者又は占有者に、その物件を收去させることができる。
前項の場合において、當該物件を收去することに因つて當該物件を從來用ひた目的に供することが出來ないときは、當該物件の所有者は、命令の定めるところにより、政府に對してその買收を請求することが出來る。
前項に規定する買收の對價は、地方長官が、時價を參酌してこれを定める。
第二項に規定する買收については、第九條、第十一條、第十二條第一項、第十三條第一項第二項及び第十四條の規定を準用する。この場合において、第九條第二項第一號中「第六條第五項各號」とあるのは、「第三十一條第四項各號」と、第十一條中「第六條乃至第九條」とあるのは、「第三十三條第四項において準用する第九條」と讀み替へるものとする。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=84
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085・葉梨新五郎
○葉梨委員長 以上に御質疑がございませぬければ第三十四條に移ります、第三十四條を朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=85
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086・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第三十四條 第三十條の規定による買收又は使用については、第九條乃至第十一條、第三十二條第一項、第十三條第一項第二項及び第十四條の規定を準用する。この場合において、「第九條第二項第一號中「第六條第五項各號」とあるのは、「第三十一條第四項各號」と第十一條中「第六條乃至第九條」とあるのは、「第三十一條第一項乃至第四項(第三十八條第二項において準用する場合を含む。)若しくは同條第一項、第三十一條第五項若しくは第三十八條第二項において準用する第七條及び第八條竝びに第三十四條において準用する第九條と讀み替へるものとし、第十條中「市町村農地委員會」とあるのは、當該買收が第三十八條に規定するものである場合を除いて、「都道府縣農地委員會」と讀み替へるものとする。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=86
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087・笹山茂太郎
○笹山政府委員 未墾地の買收關係、色々な手續に付きましては、實は既耕地の手續を準用して居ります、隨ひまして買收計畫を立てる場合に於きましては、既耕地であれば市町村農地委員會が主體になつて立てるのでございますが、未墾地の場合は範圍が廣いですから、それは都道府縣農地委員會が計畫を立てる、斯う云ふことを中心に考へまして、一定面積以下の場合に於きましては、市町村農地委員會が計畫を作成する、斯う云ふ建前になつて居ります、買收の場合の買收令書を交付するとか、或は對價の支拂其の他の手續とか、或は補償の場合、或は先取特權者が不明で公告をする場合、斯う云ふ場合には總て既耕地の場合を準用するのであります、さう云ふ關係で非常に準用條文が多いのでございます、偖て之を旨く整理すると云ふことは、法律的技術と云ひますか、さう云つた點から、私も其の邊は能く分らないのでございますが、斯う云ふ風に整理することが一番適當であると云ふことで、斯う云ふ分りにくいことになつたのであります、其の點一つ御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=87
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088・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質疑がなければ第三十五條に入ります、第三十五條を朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=88
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089・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第三十五條 政府が、第三十條第二項の規定により、權利、土地、立木又は工作物を使用する場合においては、前條において準用する第九條第一項の令書に記載し、又は同項但書の規定により公告した使用の時期に、政府は、當該權利、土地、立木又は工作物の使用權を取得し、當該權利又は當該土地、立木若しくは工作物に關する權利は、使用の期間その行使を停止される。但し、使用を妨げないものは、この限りでない。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=89
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090・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質疑もないやうですから第三十六條に移ります、第三十六條を朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=90
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091・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第三十六條 第三十條第二項の規定による權利、土地、立木若しくは工作物の使用が三年以上に亙るとき、又はその使用に因つて當該權利、土地、立木若しくは工作物を從來用ひた目的に供することが著しく困難となるときは、當該權利を有する者又は當該土地、立木若しくは工作物の所有者は、命令の定めるところにより、政府に對して當該權利又は土地、立木若しくは工作物の買收を請求することが出來る。
前項に規定する買收の對價は、地方長官が、これを定める。
第一項の場合には、第三十一條第三項前段及び第三十三條第四項の規定を準用する。この場合において、第三十一條第三項前段において準用する第六條第三項中「市町村農地委員會が地方長官の認可を受けて」とあるのは、「地方長官が」と讀み替へるものとする。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=91
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092・葉梨新五郎
○葉梨委員長 開拓局長に一寸伺ひますが、第三十六條の第一項に「立木若しくは工作物の使用が三年以上に亙るとき、」とありますが、一面此の立法は二年間で使命を果すと云ふことになつて居るのですが、特にここで三年と云ふのを表はすのは、立法の趣旨に食違ひをして居るのではないかと云ふやうに感ぜられるのですが、どう云ふ意味に解したら宜いか、其の點はどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=92
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093・笹山茂太郎
○笹山政府委員 其の點に付きまして私の説明が不十分でございましたが、此の際に於きまして明かにして置きたいと思ひます
未墾地の方は御承知のやうに開發を行ふものでございますから、其の土地の買收は出來るだけ速かにやるのでございますが、買つた土地を利用しまして開發する、さうして自作農者になるべき人に賣ることを契約した場合は、其の農地が開發されて、さうして熟地になつた場合に於きまして處分をする、斯う云ふ建前になつて居るのでございます、隨ひまして耕地のやうに買收も賣渡も二年間で完了すると云ふことは、實際問題としてあり得ないのでございまして、どうしても農地が開發されて賣ると云ふまでには數年間掛ると思ふのでございます、此處に書いて居ります工作物の使用が三年以上と云ふ風になつて居りますのは、餘り長い間使用期間が續くと、所有者に非常な迷惑を掛けるのでございまして、斯う云つた場合さう長く使はれる時は、寧ろ買つて欲しいと云ふ風に所有權者を保護する趣旨の下に、斯う云ふ風にしたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=93
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094・葉梨新五郎
○葉梨委員長 さうしますと、自作農創設特別措置法案を二年間に實施すると云ふ説明は、既墾地と未墾地の場合に截然と分けて置く必要があると思ひますが、政府はどう云ふ風に取扱はれますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=94
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095・山添利作
○山添政府委員 委員長の御話の通りでありまして、二箇年間に完了すると申しますのは、既墾地に付てのみであります、未墾地の問題は別であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=95
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096・葉梨新五郎
○葉梨委員長 別途に説明か何か入れなくて宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=96
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097・山添利作
○山添政府委員 此の法律の方には實は二箇年間と云ふことは書いてございませぬので、施行令の方に二箇年で既墾地のことは概ね完了すると云ふ規定を入れる積りに致して居るのであります、さう云ふ場合に明かに致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=97
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098・葉梨新五郎
○葉梨委員長 承知致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=98
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099・北政清
○北(政)委員 第三十六條の二項に、「前項に規定する買收對價は、地方長官が、これを定める。」とあるが、地方長官が獨裁で決めることはないし、市町村委員會でなければ分らぬ、又都道府縣の委員會へ持つて行つても分る筈がない、そこで之を市町村委員會が決めて、全部の決定權を與へなくても、それから出したものを地方長官が決めるけれども、地方長官だつて知らう筈はない、此の立木が幾らであるかと云ふことは地元の者でなければ分りませぬ、其の側の者でなければ實際の價格は分らぬ、それを地方長官が決める、役所が勝手に決めたがつてどうにもならぬ、是は止めて貰ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=99
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100・笹山茂太郎
○笹山政府委員 此の第三十六條第二項に「買收の對價は、地方長官が、これを定める。」となつて居りますのは、耕作物の對價とか其の他の件の評價でございますが、是は御話のやうに地方長官が決めるのでございますが、此の決定に付きましては、地方長官の手足となつて居ります評價委員、其の他の官吏が十分地元の事情を調査して決める、斯う致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=100
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101・北政清
○北(政)委員 今官吏がやると言ふが、なぜ農地委員會に民主的に決めさせないのか、なぜ官吏がやるか、官吏が知つて居るかと云ふと知らない、其處の農地委員會の者こそ、是なら幾らで買つても宜い、是なら買はぬでも宜いと云ふことが本當に分る、是は市町村の農地委員會が決める、それでなければ分らぬのです、其の點地方長官が官吏を使つて決めるのでは、是は大變なものです、以ての外である、是は市町村委員會に決めさせると云ふことにした方が宜いのではないか、斯う云ふ譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=101
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102・笹山茂太郎
○笹山政府委員 地方長官が決める場合に於きましては、十分實情を調査して決める積りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=102
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103・北政清
○北(政)委員 どう考へても民主的にやらうとは考へないのか、もうそれだけ伺へば宜いのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=103
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104・笹山茂太郎
○笹山政府委員 是は地方長官が獨斷で定めることではございませぬで、十分地方の意見其の他を聽いて考慮して決めるのでございます、勿論御話のやうに、斯う云つた複雜した問題の解決には獨斷と云ふことは何よりも愼まなければならぬことでございまして、斯う云つた決定に付きましては、廣く各方面の意見を徴して決める、斯う云ふことになるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=104
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105・北政清
○北(政)委員 それなら委員會がちやんと立派にあるのではないか、他の仕事は土地まで委員會に評價させる、併し私は是れ以上は議論になるから言ひませぬが、それならさう直してもあなたの肚と間違ひなからう、御承知下さるものと解釋して宜いのですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=105
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106・笹山茂太郎
○笹山政府委員 先程御話申上げたやうに、十分地方の實情を調査してやりたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=106
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107・葉梨新五郎
○葉梨委員長 第三十六條はもう別に御質疑がございませぬから、午後からは第三十七條より審議を行ふことに致しまして、午後は一時開會致します、是にて休憩致します
午後零時五分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=107
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108・会議録情報2
――――◇―――――
午後一時三十五分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=108
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109・葉梨新五郎
○葉梨委員長 休憩前に引續き是より會議を開きます、逐條審議を續行致します、第三十七條より審議を進めます、第三十七條を朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=109
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110・三浦善郎
○三浦説明員 (朗讀)
第三十七條 政府は、第三十條の規定により土地の買收をする場合において、特に必要があるときは、その買收の當時當該土地に關し所有權、賃借權、使用貸借による權利、永小作權、地上權又は入會權を有する者に對し當該土地に代るべき土地として賣り渡し、又は賃貸するため必要な他の土地(當該土地の上にある立木を含む。)を買收し、又は使用することができる。
前項の場合には、第三十一條乃至前條の規定を準用する。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=110
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111・葉梨新五郎
○葉梨委員長 以上に付て御質疑はございませぬか──御質疑がなければ第三十八條に入ります、第三十八條を朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=111
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112・三浦善郎
○三浦説明員 (朗讀)
第三十八條 政府が第三十條第一項の規定による買收をする場合において、その買收に係る同項第一號の土地の面積が主務大臣の定める面積を超えないときは、政府は、第三十一條第一項の規定にかかはらず、市町村農地委員會の定める未墾地買收計畫により第三十條第一項の規定による買收をすることができる。
前項の場合には、第七條、第八條、第三十一條第二項第三項前段第四項及び第三十二條第一項の規定を準用する。この場合において、第七條第一項及び第八條中「同條第五項」とあり、又は第七條第二項中「前條第五項」とあるのは、「第三十一條第四項」と、第三十一條第四項及び第三十二條第一項中「都道府縣農地委員會」とあるのは、「市町村農地委員會」と讀み替へるものとする。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=112
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113・葉梨新五郎
○葉梨委員長 以上に付て質疑を行ひます、御質疑はございませぬか──ございませぬければ第三十九條に移ります、第三十九條を朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=113
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114・三浦善郎
○三浦説明員 (朗讀)
第三十九條 政府は、第三十二條第一項(同條第二項、第三十七條第二項及び前條第二項において準用する場合を含む。)の規定による行爲、第三十三條第一項第三十七條第二項において準用する場合を含む。)の規定による收去、第三十三條第四項(第三十六條第三項及び第三十七條第二項において準用する場合を含む。)若しくは第三十四條(第三十七條第二項において準用する場合を含む。)において準用する第十二條第一項の規定による權利の消滅又は第三十五條(第三十七條第二項において準用する場合を含む。)の規定による權利の行使の停止に因つて生じた損失を補償しなければならない。
第三十二條第一項(同條第二項、第三十七條第二項及び前條第二項において準用する場合を含む。)の規定による行爲に係る補償の場合を除いて、前項の規定による補償を受けるべき者は、第三十條若しくは第三十七條の規定による買收若しくは使用又は第三十三條第二項(第三十七條第二項において準用する場合を含む。)若しくは第三十六條第一項(第三十七條第二項において準用する場合を含む。)の規定による買收の場合にあつては、當該土地、權利又は立木、工作物その他の物件に關し所有權及び擔保權以外の權利を有した者、第三十三條第一項(第三十七條第二項において準用する場合を含む。)の規定による收去の場合にあつては、當該物件に關し擔保權以外の權利を有する者に限る。但し、その者が第三十一條第四項(第三十七條第二項及び前條第二項において準用する場合を含む。)の規定による公告のあつた後當該權利を取得した者であるときは、この限りでない。
第一項の補償金額については、第二十二條第三項乃至第七項の規定を準用する。この場合において、「市町村農地委員會」とあるのは、第三十二條第二項(第三十七條第二項において準用する場合を含む。)において準用する同條第一項の規定による行爲、第三十三條第一項(第三十七條第二項において準用する場合を含む。)の規定による收去又は第三十三條第二項若しくは第三十六條第一項(第三十七條第二項において準用する場合を含む。)の規定による買收に係る補償については、「地方長官」と、その他の補償については、前條の規定による買收に係る場合を除いて、「都道府縣農地委員會」と讀み替へるものとする。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=114
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115・松浦薫
○松浦(薫)委員 讀んで戴いただけではぴんと來ないので、此處はどう云ふ風なことを言つて居るのだと云ふことを、平たく一應説明して戴いた方が能く分るのではないかと思ふのですが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=115
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116・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは是からは便宜朗讀が濟みましたら、政府委員より其の條項々々の概要の説明をして戴くことに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=116
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117・笹山茂太郎
○笹山政府委員 それでは只今の御話に基きまして、私から第三十九條の點を一寸簡單に説明致します、第三十九條は損失補償に關する規定でありまして、第一項は補償の對象、第二項は補償を受けるべき相手方は唯か、第三項は補償金の額を規定して居るのでございます
第一に補償の對象としましては、測量檢査又は測量、若しくは檢査の障害物の移轉、若しくは除却に依つて生じた損失、是は補償する、それから收去命令に依つて物件を收去した場合に、其の收去に依つて生じた所の損失を補償する、第三は買收の結果、從來の權利が消滅することに依つて生じた所の損失、次は使用の結果、從來の權利の行使を停止される、それに依つて生じた所の損失でございます
第二點は補償を受けるべきものに付ては測量、檢査又は測量若しくは檢査の障害物の移轉又は除却の場合は、其のことに依つて直接損失を受けた者が損失を受ける對象になるのでございます、其の他の場合は相手方を限定して居りまして、買收又は使用の場合は、所有者は對價を受け、擔保權者は供託された物件等に付て其の權利を行ふことが出來るのでありますから、補償を受けるものはそれ以外の權利の有したものに限る、使用物件の收去、除却の場合は、擔保權は、目的物の擔保の價値の減少することはないのでありますから、補償の必要はないのでございます、隨ひまして補償を受けるべきものは擔保權以外の權利を有したものに限る、斯う云ふ規定になつて居るのでございます、さうして但書にありますやうに、補償を受けるべきものは未墾地買收計畫の公告の時に當該權利を有して居たものでなければならないのでありますが、公告のあつた後當該權利を取得したもの、既に買收又は使用の豫定をされて居らぬものに關しては、其の豫定後新たに權利を取得したのでありますから、損失の補償を受ける權利はないのであります、唯民事問題としては、被買收者たる使用者に對し賠償を請求すると云ふことになるのであります
第三に補償金額に付ては、既耕地に關する第二十二條の規定を準用致して居るのでございますから、補償金額は除却すべき所の損失と云ふことになつて、是は農地委員會が之を決定して實施する、其の決定に對して不服あるものに付ては、通常裁判所に出訴が出來る、擔保權がある場合に於ては供託することが出來る、斯う云つた諸點は既耕地の場合と同樣になつて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=117
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118・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質疑はございませぬか──一點私から御伺ひしたいのでありますが、三十六頁の第二項の終りの行にある「の規定による公告のあつた後當該權利を取得した者であるときは、この限りでない。」、公告のあつた後當該權利を取得した者である時は、一般の場合は當然だと思ひますが、死亡等に依り權利の移動等、詰り相續人に死亡に依り直ぐ移つたと云ふ場合も適用されるのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=118
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119・笹山茂太郎
○笹山政府委員 死亡に依つて相續すると云つた場合に於きましては、一般の包括承繼でございますから、此の場合に於ては前の事項に基いて適用されると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=119
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120・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質疑がございませぬければ第四十條に移ります、第四十條の朗讀竝に、説明を致させます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=120
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121・三浦善郎
○三浦説明員 (朗讀)
第四十條 第三十條の規定により政府が買收した土地又は同條第一項第二號に規定する土地の開發については、他の法令中命令で定める制限又は禁止の規定は、これを適用しない。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=121
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122・笹山茂太郎
○笹山政府委員 第四十條の趣旨は、政府が開發の爲に供すると云つて買つた土地に付きましては、從來他の規定で色々開發に關する制限を行つて居る規定があるのでございます、例へば河川法とか、森林法とか、或は國立公園法と云つたやうな法律で、一定の地區に對しまして開墾することを禁じて居る、或は制限して居る規定があるのでございます、併しながら政府が開發の用に供すると云つて買つた目的の土地でございますから、それ等の制限は斯う云つた土地に付ては適用しない、即ち特別に又改めて斯う云つた許可なり或は認可を受けて開發する必要はない、要するに、施業を完璧に進める上に於きまして斯う云つた規定を設けたのでございます、勿論是等の土地が開發の用途に供される場合に於きまして、買收の前に開拓委員會其の他に依りまして、關係者が十分事前に相談をして居るのでございます、其の相談に基いて買收するのでございますから、斯う云ふ規定を設けても差支へない、斯う云ふ風に思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=122
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123・葉梨新五郎
○葉梨委員長 さうしますと「他の法令中」云々と云ふことは、他の如何なる法令にも先行すると解釋して宜しいのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=123
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124・笹山茂太郎
○笹山政府委員 第四十條の關係で制限又は禁止の規定が適用されないと云ふ法律の關係ですが、是は先程言ふやうに、河川法とか、森林法とか、牧野法とか色々あるのでございますが、結局是等の規定が其の法律の適用に於ては排除される、斯う云ふ風に解釋して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=124
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125・小川原政信
○小川原委員 今の御説明に依つて思ひ付いたのでありますが、牧野のことです、今の所であると人里近く牧野がある、所が今度は未利用地を利用して行かうと云ふ頭から、今、牧野として利用して居るものを開墾して行くと云ふことになると、牧野を撤廢して奧の方へ持つて行くと云ふことになるのであります、さう云ふ場合はどう云ふことになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=125
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126・笹山茂太郎
○笹山政府委員 農地委員會の意見に依りまして、其の牧野を奧の方へ上げて、さうして今の牧野を畑にした方が宜からう、斯う云ふ決定が農地委員會でなされる場合に於きましては、現在牧野になつて居る所は、それを買收して開發をする、斯う云ふことになります、それから奧の方へ持つて行くと云ふ場合でございますが、是はどうしても牧野が畜産上必要缺くべからざるものであると云ふやうな場合に於きましては、其の政府の買收した牧野の換地と云ふことにしまして、政府が又買收して元の牧野の所有權者に讓渡する、斯う云ふ建前になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=126
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127・小川原政信
○小川原委員 町村の委員會が宜しいと認めた、斯う云ふ所が大事な所ですが、此の農地の方に關係のある人は牧野と云ふのは餘り考へて呉れないのです、そこで牧野と云ふものは何處でも宜いと云ふやうに考へて、それで奧の方へ持つて行かうと云ふ説があるのですけれども、是はだにが居つて全然いけない、それから奧の方へ持つて行きますと、牧野と云ふものは春草の良い所と、夏草の良い所と、秋草の良い所があるのですが、今設定して居るのは、春草、夏草、秋草も穫れると云ふ所を目掛けてやつて居るのでありますが、奧の方へ持つて行きますと、それが全然いけなくなつて來ると云ふことになります、それから北海道のやうな所は、奧地には熊の害がある、斯う云ふ上から考へまして、今北海道では、農林省が土地を買上げるのだから、牧野を撤廢すると云ふやうな風に考へて、さうして此の土地を買上げて居る所の役人の方もさう云ふものを奧の方へ方へとやつて居るのですが、是が非常に畜産に障碍を來すのであります、斯う云ふのはどう云ふ風になさいますか、事實問題として御伺ひ致して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=127
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128・笹山茂太郎
○笹山政府委員 現在放牧採草地に使つて居るやうな所を開墾すると云ふやうな事柄に付きましては、愼重に從來とも取扱つて居るのでございます、即ちさう云つた地區を開墾すると云ふ場合に於きましては、畜産に與へる所の影響其の他、又開發に依つて得る所の利益、彼此較量して決定しなければならぬ、隨ひまして一方的な意見からそれを決定することは適當ではありませぬので、從來の牧野關係者に十分に相談をして決定する、殊に面積が相當大きくなりますれば、特に愼重に取扱ふ爲に、縣の開拓委員會と云ふものに諮りまして、さうして衆議に依つて愼重審議の上で決定する、勿論其の開拓委員會には畜産關係の代表者が入つて居られますし、又當該牧野の關係者を臨時委員等にしまして、さうして十分意見を尊重することになつて居ります、隨ひまして農地委員會の一方的な、或は獨斷的な意見に依つて決定すると云ふことはありませぬで、其の事前の過程と致しましては、關係方面に十分連絡を致し、又意見を徴すると云ふことに取扱つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=128
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129・小川原政信
○小川原委員 今の御説明に依りまして、牧野關係のものを委員會の委員に選定すると云ふ御話でありますから、此の問題は是で了承致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=129
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130・葉梨新五郎
○葉梨委員長 他に御質疑はございませぬか──ございませぬければ第四十一條に移ります、第四十一條を朗讀せしめ且つ説明を求めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=130
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131・三浦善郎
○三浦説明員 (朗讀)
第四十一條 政府は第三十條第一項の規定により買收した土地(同條第一項第二號に規定する土地を含む。)、權利、立木若しくは工作物又は同條第二項の規定により使用した權利、土地、立木若しくは工作物を自作農として農業に精進し得る見込のある者その他命令で定める者に賣渡し、又は賃貸することができる。
前項の規定による賣渡又は賃貸については、第十七條、第十八條第一項乃至第三項第五項、第二十條、第二十一條及び第二十六條の規定を準用する。この場合において、第三十一條の規定による未墾地買收計畫により買收し、又は使用した土地(第三十條第一項第二號に規定する土地を含む。)、權利、立木又は工作物の賣渡又は賃貸については、第十七條及び第十八條第一項竝びに同條第五項において準用する第八條中「市町村農地委員會」とあるのは「都道府縣農地委員會」と、「都道府縣農地委員會の承認」とあるのは、「地方長官の認可」と讀み替へるものとする。
第一項の規定により第三十條第一項第一號乃至第三號に規定する土地を賣り渡す場合には、前項において準用する規定の外、第二十七條及び第二十八條の規定を準用する。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=131
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132・笹山茂太郎
○笹山政府委員 第四十一條の規定は、賣渡又は賃貸に關する規定でございます、第一項の方は、處分の對象、相手方及び方法に付て規定して居るのでございます、即ち處分の對象としましては、第三十條の規定に依り買收し又は使用した土地、斯う云つたものに付きましては、將來自作農として農業に精進し得る見込のある者に對しまして處分をする、「その他命令で定める者」、其の命令と云ふのは、私共の方としまして現在豫定して居りますのは、公共團體或は自作農創設維持の事業を行ふ所の團體、或は入植者の團體、斯う云つたものを豫定して居るのでございまして、何れも自作農創設と云ふことに密接な關係を持つた者に限つて居るのでございます、それから換地のやうな場合、之を換地用に買つた場合には、當然是は前の所有者と云ひますか、換地を利益とする所有者に對しまして處分するのでございます、尚ほ採草地とか薪炭林とか、さう云つたものに付きましては、個人ばかりでなく、場合に依りましては、此の新しい開拓村の全體の者に處分すると云ふ場合も豫定して居るのでございます、それから手續の問題でございますが、是は買受申込の規定とか、或は賣渡計畫とか或は賣渡の期日の規定とか、斯う云つた事柄に付きましては、總て既耕地に於ける所の斯う云つた手續の規定を準用して居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=132
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133・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質疑はございませぬか──御質疑がなければ第四十二條に移りたいと思ひます、第四十二條を朗讀せしめ且つ其の説明を求めること致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=133
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134・所秀雄
○所説明員 (朗讀)
第四十二條 第六條第五項(第十五條第二項において準用する場合を含む。)又は第三十一條第四項(第三十七條第二項及び第三十八條第二項において準用する場合を含む。)の規定による公告のあつた後は、當該買收計畫において定められた土地、農業用施設、工作物又は立木に關する權利を有する者は、買收又は使用に支障を及ぼす虞のない場合を除いて、地方長官の許可を受けなければ、當該土地の形質を變更し又は當該農業用施設、工作物若しくは立木を損壞し、若しくは收去してはならない。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=134
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135・笹山茂太郎
○笹山政府委員 第四十二條の方は、買收計畫に依る公告のあつた後は、其の土地を簡單に變更してはいけない、總てさう云つた重大な變更をする場合に於ては、地方長官の許可を得なければならぬと云ふのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=135
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136・葉梨新五郎
○葉梨委員長 「買收又は使用に支障を及ぼす虞のない場合、」此の範圍はどう云ふ範圍か、特に此の字句を設けられた點に付て御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=136
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137・笹山茂太郎
○笹山政府委員 簡單な使用と云ふやうな場合は、勿論特殊な許可を得ないでも使用出來るのでございます、さう云ふ趣旨で特に其の重大な影響のあると云つた問題に付て許可を要する、斯う云ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=137
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138・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質疑がなければ第四十三條に移ります、第四十三條を朗讀せしめ、且つ其の説明を求めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=138
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139・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第四十三條 第三條、第十五條、第三十條、第三十三條第二項、第三十六條又は第三十七條の規定により買收し、又は使用する土地、權利又は立木、工作物其の他の物件の對價、第十三條第三項に規定する報償金及び第二十二條第二項又は第三十九條第一項の規定による補償金は、三十年以内に償還すべき證券を以てこれを交付することができる。
前項の規定により交付するため、政府は、必要な額を限度として證券を發行することができる
前二項の規定により交付ずる證券の交付價格は時價を參酌して大藏大臣が、これを定める。
第二項の證券に關し必要な事項は、命令でこれを定める。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=139
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140・山添利作
○山添政府委員 是は此の法律に依りまして支拂ひます色々の對價、又報償金及び補償金、是等を農地證券を以て交付すると云ふ規定であります、農地證券のことは今までに度々御説明を致して參りましたが、大體二十四年間に元利均等償還をする、それから利率は年に三分六厘五毛であります、第三に「交付價格は、時償を參酌して大藏大臣がこれを定める。」と書いてありますが、只今のやうに、公債の實際の利廻りを以て此の證券の利率計算を致しますから、交付價格は額面金額と同率にする見込みであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=140
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141・磯崎貞序
○磯崎委員 未墾地に對する報償などに對しましては、所謂田畑とは違ひますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=141
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142・笹山茂太郎
○笹山政府委員 未墾地の買收に付きましては、既墾地のやうな報償金と云ふものはないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=142
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143・松浦薫
○松浦(薫)委員 一寸前の質問の終りました條項の買收に關聯して居りますことで伺ひたいと思ひますが、政府が買收しない新開地とか燒畑等に付きましては、地主が若し賣りたいならば、自由に之を誰にでも賣つて宜いものかと云ふ點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=143
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144・山添利作
○山添政府委員 是は農地調整法の方に、農地委員會なり地方長官なりの許可若しくは承認を受けなければならぬと云ふ規定があります、併し此の法律にはさう云ふものは關係がない譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=144
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145・松浦薫
○松浦(薫)委員 さうすると、自由に誰にでも賣り得ると云ふ譯でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=145
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146・山添利作
○山添政府委員 それは今の農地調整法の方に制限がありますけれども、實際問題と致しましては、別に特別の制限を加へないだらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=146
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147・小川原政信
○小川原委員 普通の既墾地でありますと、報償金を貰ふことになるのでありますが、立木があつたり、工作物がある、工作物があると云ふことになれば補償金を貰ふことが出來るだらうと思ひます、それから立木のあつた場合には、報償金と補償金と二つ含めて貰へるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=147
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148・笹山茂太郎
○笹山政府委員 買收して未墾地に立木がある場合には、其の立木は、現在の木材或は、薪炭の價格に依りましてそれぞれ立木の時價と云ふものがありますから、それを參酌して行く譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=148
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149・小川原政信
○小川原委員 其の立木は、用材とか薪炭材とか、適當の對價で御買上になると思ひますが、之に對する報償金或は補償金と云ふものは貰へるのですか、貰へないのですか、唯其の物件を御買上になつてしまつてそれで宜いと云ふことになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=149
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150・笹山茂太郎
○笹山政府委員 さう云つた場合は、特別の報償金と云ふことは實は考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=150
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151・小川原政信
○小川原委員 どうして私がさう云ふことを申上げるかと云ふと、植林を致して、木が大きくなれば何千圓と云ふ金になりますが、植えたばかりで、三年、四年經つたやうな木でありますと、木を買上げて貰つても木代と云ふものは何もないことになる、と云ふのは、植えるには先づ下草を刈つて、それに一段歩大抵五十圓、七十圓拂はなければならぬ、それでもどうかと思ふ位でありまして、それに植付けると相當の價格になります、此の場合は補償金、報償金、兩方貰へるやうな氣が致しますが、どうでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=151
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152・笹山茂太郎
○笹山政府委員 只今の人工造林、植林、斯う云つた場合に於きまして、まだ伐期に達しない幼齡林、之を伐る場合に於きましては、從來の幼齡林育成に對しまして投下した資本を根據として、出來るだけの補償をする積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=152
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153・小川原政信
○小川原委員 大變能く分つて參りました、そこで此の用材の方でございますが、是は今の實際の算定價格を見ますと、土地を買上げて戴く、或は其の材木を買つて戴くより、其の木を其處に置いて、天然に殖える方が非常に利殖が多いのであります、そこで此の木の造植と云ふのは米を作るよりまだ良いと云ふ計算に今の所なつて居りますが、是等に對しまして何か報償金とか特別のものがありますでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=153
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154・笹山茂太郎
○笹山政府委員 林木を長い間育てた方が經濟的に良いかどうかと云ふことに付きましては、色々説があるだらうと思ひますが、私共の聞いて居る所に依りますと、適當な伐期と云ふものがありまして、其の伐期を基點にして循環した方が森林經營上最も經濟的であるやうに聞いて居ります、隨て伐期到來のものに付きましては、寧ろ伐つた方が森林經營としては經濟的に良いのではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=154
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155・小川原政信
○小川原委員 例を擧げて申上げると能く分るのですが、北海道のことは一寸早いと思ひますが、北海道のやうな澤山木がある所では、開墾して作物を穫つた方が宜いのではないかと言はれますけれども、さうではない、檜を植付けたり、杉を植付けたり、甚しいのになりますと、桐を植付けて居る、さうすると、三十年平均しますと其の方が何よりも宜いのであります、それで馬鈴薯を穫つたり粟を穫るよりは此の方が宜いと云つて、どんどん植付けて居ります、今落葉松をやる譯でございますが、落葉松と云ふものはそれ程に行きませぬから、先刻の御話能く了解致しましたけれども、斯う云ふ一つの利殖と云ふ上から考へた取上げ方をすると云ふことになると、是は政府に賣つた方が損だから賣らないと云ふ結果が起るのでありますが、是は政府は何としても御買上げになるか、斯う云ふ時になると是はどう云ふことになるか、斯う思ふのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=155
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156・笹山茂太郎
○笹山政府委員 此の開拓適地を選定する場合に於きましては、それが山林經營としてやつた方が宜いか、或はそれを開發して畑作經營にした方が宜いかと云ふ點に付きましては、個人的利益關係はそれぞれ其の地區に依つて違ひがあるだらうと思ひます、隨ひまして開發と云ふものは、單に其の當時の個人的な利害關係ばかりでなく場合に依つては、廣く國家的見地から其の經濟價値を判斷して行かなければならぬ場合があるのではないか、斯う云ふ風に考へます、隨ひまして今の御話のやうな場合に於きましては、其の具體的な場所が山林經營として適當であるか、或はそれを農耕地に拓いた方が、諸般の關係から考へて見て適當であるかと云ふことに付きましては、先程申上げたやうに、各方面の意見を徴する、さうしてそれは開發した方が綜合的な見地から考へても宜いのだと云ふことが決まつた所に付て買收をする、斯う云ふ考へで居ります、さう無暗に、何でも彼でも畑地にした方が宜いと云ふことで、獨斷的な取扱ひをするのではございませぬから、其の點はどうぞ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=156
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157・小川原政信
○小川原委員 それは分りましたが、僅かな所でもさう云ふものに對する所の値段が合はないやうなものがありますから、さう云ふ時にはどう云ふことになるか、斯う云ふことなのです、あなたの仰しやる通りに行くのだらうとは思ひますけれども、今申しましたやうな所は、立木では賣つた方が損だと云ふ結果になつて居る、政府はそこに報償金か補償金か、どつちでも宜いが、お出しにならなければならぬのではないか、斯う考へるのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=157
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158・笹山茂太郎
○笹山政府委員 其の點は先程申上げたやうに、伐期の到達して居らない幼齡林のやうな場合に於きましては、それは一つ十分伐採に依つて生ずる所の山元の損失を補償する、斯う云ふ考へであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=158
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159・磯崎貞序
○磯崎委員 今度の土地の買受者の小作人の立場でありますが、小作人は何れも相當金を持つて居る、隨て現金を以て納付すると云ふ場合が相當豫想される一方に於きまして、さうした金員が現金として入りました場合に、やはり被買收者たる地主に對するものは、之を悉く證券でなく、やはりさうした金の集まり工合に依つては、現金で御支拂になるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=159
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160・山添利作
○山添政府委員 一應現金で支拂ふ積りでありまして、是は豫算上既に見積りをして居る譯であります、是は或は後に變るかも知れませぬけれども、今の所地主一人當りに對して、四千圓程度を限度として、現金で支拂ふと云ふことに致したらどうかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=160
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161・磯崎貞序
○磯崎委員 只今のは、詰り土地の買收面積などに拘らず、平均的に一人當り左樣な金額でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=161
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162・山添利作
○山添政府委員 左樣に致しますことが宜しいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=162
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163・三浦寅之助
○三浦委員 さうすると例へば小作人が買つて、其の買つたものの一部なり全額なりを、買つた人が國庫の方へ拂つたのは國庫の收入になつて、別に賣つた地主には關係がない譯ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=163
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164・山添利作
○山添政府委員 さうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=164
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165・葉梨新五郎
○葉梨委員長 他に御質疑はありませぬか──なければ第四十四條に移りたいと思ひます、第四十四條を朗讀せしめ、且つ説明を求めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=165
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166・所秀雄
○所説明委員 (朗讀)
第四十四條 第三條、第十五條、第三十條第一項、第三十三條第二項、第三十六條若しくは第三十七條の規定による買收、第十六條(第二十九條第二項において準用する場合を含む。)若しくは第四十一條の規定による賣渡若しくは賃貸、第二十三條若しくは第二十五條の規定による交換又は第二十八條第一項(第四十一條第三項において準用する場合を含む。)の規定による買取をする場合における登記は、勅令の定めるところによる。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=166
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167・山添利作
○山添政府委員 是は特別の登記規則を定めるのでございまして、申すまでもなく、普通の登記手續でやつて居りましたのでは迚も間に合ひつこありませぬ、隨て特別の方法に依る所の登記をすると云ふ譯で、司法省に於て目下研究を致して居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=167
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168・小川原政信
○小川原委員 詰らぬやうな御尋ねをしますが、此の問題に付きまして、一體登記事項は何年位掛るでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=168
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169・山添利作
○山添政府委員 是は普通にやつて居りましたら十年掛つても濟まぬだらう、斯う云ふ譯でありまして、隨て計畫書と云ふやうなものを以て登記簿に代へるとか、適當な方法を採用される譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=169
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170・古賀太郎
○古賀委員 一寸前に遡るやうでありますけれども、御尋ねしたいと思ひます、其の町村に有する神社或は寺院の所有地は、在村小作地として政府が之を買收の對象とせられるや否や、詰り公共團體に之を入れますかどうか、一寸御尋ねしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=170
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171・山添利作
○山添政府委員 それは第三條の法人其の他の團體の持つて居ります土地として扱はれる譯であります、隨て買收の對象にはなる、それを實際どう扱ふかと云ふことは、市町村農地委員會が、それぞれ沿革等もありませうから、それ等の點を斟酌して決定する譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=171
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172・古賀太郎
○古賀委員 買收の對象となりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=172
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173・山添利作
○山添政府委員 なります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=173
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174・古賀太郎
○古賀委員 さうすると、他町村に持つて居りますのは無論のことでありますが、寺に依つては、世襲財産でなくして、詰り曹洞宗の如きは地方長官が管理しまして、さうして寺院の本當の共有財産と云ふやうな風になりまして、門徒總代が之を管理して居ります、それと眞宗とか其の他の宗教にありましては、世襲財産として全く個人的に相續してやつて來て、無論相當農作をして居るのもあれば、相當小作地として付けて居るものもあるし、或は他町村に相當持つて居るのもありますが、さう云ふ點に付きまして、少し詳しく處分方法を御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=174
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175・山添利作
○山添政府委員 お寺の財産等は、今御述べになりましたやうに、住職の個人財産と見るべきものもありまするし、又お寺其のものの財産の場合もあります、隨て其の二つの場合を區別致しまして、それぞれ第三條の規定を適用して行く譯であります、是は普通の法人の所有地と云ふことと何等區別はないのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=175
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176・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは第四十四條は御質疑はございませぬか──ございませぬければ第四十五條に移りたいと思ひます、第四十五條を朗讀せしめ、且つ其の説明を求めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=176
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177・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第四十五條 主務大臣又は地方長官は、必要があると認めるときは、農地その他の土地又は物件に關し必要な報告を徴することができる。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=177
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178・葉梨新五郎
○葉梨委員長 説明はありませぬか、讀んで字の如きものですか──それでは説明を要せざることと致します、御質疑はございませぬか──それでは第四十六條に移ります、第四十六條を朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=178
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179・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第四十六條 政府が、第三條、第十五條、第三十條、第三十三條第二項、第三十六條又は第三十七條の規定により買收し、又は使用する土地、權利又は立木、工作物その他の物件の管理に關する主務大臣の權限の一部は、命令の定めるところにより、市町村長、市町村農地委員會その他命令で定めるものにこれを行はせることができる。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=179
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180・山添利作
○山添政府委員 是は政府で買ひました土地其の他の物件の管理でございまするが、今日でございますと、原則と致しまして買收と同時に又賣渡をする、隨て管理をする場合は殆どないのでございまするが、假に何等かの理由で暫く其の所有權を政府が留保して居ると云ふ場合に於きまして、市町村長、又は市町村農地委員會等に管理をせしめる、又未墾地でございますると、是は開發をして其の後に賣渡すことになりまするから、當然其の間に於ける土地、物件の管理と云ふ問題が起る譯であります、是は政府の委託事業と致しまして、開發等に當ります農地開發營團其の他都道府縣農業會と云ふやうなものをして管理を行はせると云ふ見込であります、是等のことを命令を以て管理規則を制定する見込であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=180
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181・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質疑はございませぬか──それでは私から一點御伺ひ致しますが、此の最後の條項の「その他命令で定めるものに」、此の命令規定でございますが、御配付の命令事項の説明書を讀んで見ますと、「都道府縣、都道府縣農業會、市町村農業會、農地開發營團等」、斯う云ふ風になつて居りますが、先般來の主務大臣及び政府委員の説明の中には、實行組合と云ふものを屡屡含んで御話があつたやうに記憶するのでありまして、斯う云ふ場合には實行組合を含ませたらどうかと思ふのですが、是は此の命令事項の參考書類には入つて居ないです、それはどう云ふ風に御考へになつていらつしやるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=181
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182・山添利作
○山添政府委員 御説の如く實行組合を含ませましても差支へないのでありますが、さう云ふ場合に於きましては、事實上實行組合に任せるに致しましても、政府としては名目上市町村農業會と云ふものを責任主體にして置いたらどうかと云ふやうな考へで、斯樣に致して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=182
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183・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質疑がございませぬければ第四十七條に移ります、第四十七條を朗讀せしめ且つ説明を求めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=183
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184・大和田啓氣
○大和田説明員 〔朗讀〕
第四十七條 主務大臣又は地方長官は、自作農の創設上特に必要があると認めるときは、この法律により市町村農地委員會の權限に屬させた事項を都道府縣農地委員會に處理させることができる。
前項の場合には、同項の規定により都道府縣農地委員會に處理させる事項に關しては、この法律により都道府縣農地委員會の權限に屬させた事項は、地方長官が、これを處理し、この法律により市町村農地委員會に對してすべき異議の申立は、都道府縣農地委員會に對し、都道府縣農地委員會に對してすべき訴願の提起は、地方長官に對してこれをするものとする。
主務大臣は、自作農の創設上特に必要があると認めるときは、この法律により都道府縣農地委員會の權限に屬させた事項を地方長官又は中央農地委員會に處理させることができる。
前項の場合には、同項の規定により地方長官又は中央農地委員會に處理させる事項に關しては、この法律により地方長官の權限に屬させた事項は、主務大臣が、これを處理し、この法律により都道府縣農地委員會に對してすべき異議の申立は、地方長官又は中央農地委員會に對し、地方長官に對してすべき訴願の提起は、主務大臣に對してこれをするものとする。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=184
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185・山添利作
○山添政府委員 此の農地委員會に付きましては、其の性質は行政廳でございまするけれども、上の方から監督上の命令を發する、斯樣な主義は採つて居らないのであります、併しながら一面に於きまして農地委員會が謂はば「サボタージュ」をする、隨てものが動かぬと云ふことになりましては困りますので、さう云ふ場合に處します爲に、上級の都道府縣農地委員會をして、市町村農地委員會のなすべき仕事を代つて行はしめると云ふ規定を設けたのであります、此の事柄は、例へば未墾地に付きまして都道府縣農地委員會の動かないと云ふ場合に、中央農地委員會若しくは地方長官に處理させると云ふことも亦、事實はさう云ふ場合はないと思ひますけれども、理論上の要求としてさう云ふ規定を設けたのであります、それは普通の法律に於ける上からの命令事項と云ふのが、此の民主的に專ら活動すると云ふことを本旨にした所の農地委員會の性格に鑑みまして、仕事が動かぬと云ふ場合には、命令に依つて、代つて上の機關が仕事を處理すると云ふ代執行の規定であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=185
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186・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質疑はございませぬか──それでは第四十八條に移ります、第四十八條を朗讀せしめ、且つ説明せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=186
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187・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第四十八條 この法律中市町村農地委員會に關する規定は、地區農地委員會の設けられてゐる市町村の地區にあつては、地區農地委員會にこれを適用する。この場合において、第三條第一項中「市町村の區域」とあるのは、「地區農地委員會の設けられてゐる地區」と、同項第一號中「隣接市町村の區域」とあるのは、「隣接市町村の區域内の地域又は他の地區農地委員會の設けられてゐる地區で當該地區に隣接ずる地區」と讀み替へるものとする発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=187
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188・山添利作
○山添政府委員 此の地區農地委員會と申しますのは、農地調整法の方に其の規定を設けて居るのでございまして、何か不自然、と申すとをかしいのでありまするが、町村合併等に依りまして、區域の厖大な地域が一つの市を成して居る、或は町を成して居る、所が農地等の關係から見ますると、實體は合併前のそれぞれの元の町村を成して居つた區域に依る方が宜い、斯う云ふやうな場合には、其の區域毎に地區農地委員會を設ける譯であります、さう致しますると、此の地區農地委員會の區域が、此の法律に於ける所の市町村の區域と云ふやうに看做される、斯う云ふことに致すのでございまするが、さう云ふ場合がございまするので、此處に書いてございます通りに、地區農地委員會に對して市町村農地委員會に關する規定を適用すると云ふことを念の爲に書いたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=188
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189・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質疑はございませぬか──御質疑なしと認めます、第四十九條に移ります、第四十九條を朗讀せしめ、且つ説明を求めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=189
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190・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第四十九條 この法律中町村又は町村長に關する規定は、町村の事務の全部又は役場事務を共同處理する町村組合のある地にあつては町村組合又は組合管理者に、町村制を施行しない地にあつてはこれに準ずるものに、市又は市長に關する規定は、東京都の區のある區域、京都市、大阪市、横濱市、名古屋市及び神戸市にあつては地方長官の指定する區又は區長にこれを適用する発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=190
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191・山添利作
○山添政府委員 此の第四十九條の規定は、第四十八條の規定と實質に於きましては略略同趣旨でございまするが、此の町村組合のありまする所に付ては、それを單一の町村と看做したり、又東京都の如き、其の他の大都市に於きましては、區と云ふものを一つの市町村並に取扱ふと云ふことを明確に致したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=191
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192・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質疑はございませぬか──それでは私から一點一寸伺ひます、東京都は區で規定すると言ひまするが、區を區域にすると云ふことになると、三多摩地方などに行くとどう云ふことになりますか、葛飾區とか城東區方面へ行つても、區だけでも市町村よりも非常に廣い範圍になるのですが、さう云ふ所でも唯區單位だけで行かれる豫定でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=192
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193・山添利作
○山添政府委員 區の所は區で行くと云ふ譯で、京橋區の如きは其の區を單位とする、又其處には市町村農地委員會を置かれても宜い、斯う云ふやうにやるのでありますが、委員長の御話しのは、葛飾──元の郡でございますが、彼處には區がございませぬのだらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=193
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194・葉梨新五郎
○葉梨委員長 あるのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=194
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195・山添利作
○山添政府委員 あればさう云ふ譯でございますが、其の場合には區の區域が不都合であると云ふのでございますれば、此の第四十八條の規定に依りまして地方長官は或る程度分け得る譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=195
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196・葉梨新五郎
○葉梨委員長 差支へない譯ですか、それなら結構です、それでは第五十條に移ります、第五十條を朗讀せしめ、且つ説明を求めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=196
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197・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第五十條 左の各號の一に該當する者は、これを六箇月以下の懲役又は五百圓以下の罰金に處する。
一 第三十二條第二項(第三十七條第二項において準用する場合を含む。)において準用する第三十二條第一項の規定による當該官吏の測量、檢査、移轉又は除却を拒み、妨げ又は忌避した者
二 第四十二條の規定に違反した者
三 第四十五條の規定に違反して、報告を怠り、又は虚僞の報告をした者発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=197
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198・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質疑ございませぬければ第五十一條に移ります、第五十一條を朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=198
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199・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第五十一條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務に關し前條第二號又は第三號の違反行爲をしたときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に對して同條の罰金刑を科する発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=199
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200・葉梨新五郎
○葉梨委員長 一寸伺ひますが、此の中に「法人若しくは人」として、ずつと「人」としてございますが、是は個人の意味でございませうね、是は文語體で行くから個人と書かなかつたと云ふ意味でございませうか、どう云ふことでございませうか、「人」と云ふより、「個人」と書いた方がはつきりするのではないかと思ひますが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=200
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201・山添利作
○山添政府委員 是は慣用で、今までずつと斯う云ふ風になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=201
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202・葉梨新五郎
○葉梨委員長 法律用語でさう云ふ風になつて居るのでしたら結構です、次に附則に付て審議を進めます、附則を朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=202
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203・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
附 則
この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
第三條第一項の規定による農地の買收については、市町村農地委員會は、相當と認めるときは、命令の定めるところにより、昭和二十年十一月二十三日現在における事實に基いて第六條の規定による農地買收計畫を定めることができる。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=203
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204・山添利作
○山添政府委員 此の附則の第二項でございますが、法律の字句から申しますると、原則論と致しましては、農地の買收計畫を立てる當時の事實に基きまして買收計畫を立てる譯でございまするが、御承知のやうに、前囘の農地調整の改正の發表の前後を繞りまして、色々と面白くない事實が行はれたこともございます、それ等のものを其の儘に看過してしまふと云ふことでは、是は社會正義にも合致致さない譯であります、隨て此の法律に依りましては昨年の十一月二十三日まで遡り得る、さうして不當なる土地取上等の如きものは、之を元に還して此の法律を適用することがある、斯う云ふことを定めたのでございます、其の趣旨とする所は、違法行爲或は法を免れんとする行爲、さう云ふ社會的な不正事實は之を其の儘にはしないと云ふのが趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=204
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205・三ッ林幸三
○三ッ林委員 昭和二十年の十一月二十三日現在まで遡るのですが、假に町村委員會で決めまして、地方事務所が知事の委任を受けて居つて、許可を貰ひまして、農地調整法に依つて是が自作農になつたのでありますけれども、結局其の間に實際問題と致しましては農地調整委員會でやりましたけれども、是までは地主對小作者でやつて居た、どう云ふことをやつて居たか分らないのでありまするが、其の爲に農地委員會では正當と認めまして申達致しまして、知事の認可を受けて登記を濟ませて居たのであります、それが結局正當にやつて居たのでありますが、斯う云ふ風に遡つてやることになりましても、初めは地主、小作人が宜い按配にやつて居たのであります、今度の法律で大體に於て七百何十圓、補償金が幾らで千圓近くなると思ひますが、若しも或る人に其の小作人が突かれて、お前は法律が出來てからやれば得ではなかつたかと云ふやうなことになりまして、例へば米一俵貰つて居たとか、金を二千圓出したとか云ふやうな問題が出來たとしたならば、どう云ふ處理を致しますか、其の點を一つ御聽きして見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=205
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206・山添利作
○山添政府委員 只今の點は、結局農地に關する公定價格の違反になる譯でありましてさう云ふ場合に於きましても、是は元の小作地が、自作地になつたのであり、且つ其の正當なる土地の上にあつた所の小作人に其の儘賣られたと云ふことであるならば、自作地になりましたこと、それ自身は別に引つ繰返す必要はない譯であります、問題は價格統制の違反として處罰されることになる譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=206
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207・三ッ林幸三
○三ッ林委員 價格統制違反になると言はれるけれども、私共市町村長をして居ります者がそれを認めて申達して知事が認可した、さうした場合──私は責任を囘避するものではありませぬが、私共も惡いことをしたことになるのですか、どうなるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=207
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208・山添利作
○山添政府委員 是は惡いことは惡いのです(笑聲)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=208
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209・三ッ林幸三
○三ッ林委員 實際は知らないで、小作人と地主でやつたので、こつちが知らないけれども罰則を見ると大分やかましく書いてありますが、どうなるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=209
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210・山添利作
○山添政府委員 さう云ふやうに、今までは公定價格に依らないで、自作農の創設が行はれた場合が非常に多いのであります、隨て今度は必ず國家が其の間に介在をして自作農の創設をすると云ふことに致したのであります、先のことは惡いことは惡いのでありますけれども、それを如何に取扱ふかと云ふことは、又一方刑罰としては刑事政策の方である譯でありまして、公にさう一々答へられないと思ふのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=210
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211・葉梨新五郎
○葉梨委員長 此の第五十條の罰則には其の際の罰則規定は入つて居りませぬ、是は立入妨害をした時とか、或は公告のあつた後に土地の形質を變更し、又は農業用施設、工作物若しくは立木等を損壞收去したるもの、及び主務大臣又は地方長官の徴する報告を怠り又は虚僞の報告をしたものと云ふ、此の三項が大體六箇月以下の懲役若しくは五百圓以下の罰金と云ふことであります、あなたの只今仰しやられたことは、此の規定には當嵌まらない譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=211
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212・三ッ林幸三
○三ッ林委員 さうすると、八月一日以降はいかぬと云ふので七月三十一日までに申請致しまして、知事が認可して居りますが、其の問題はいざこざがありましても私共は責任がないと見て戴かないと困りますが、其の點を能く御含み願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=212
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213・葉梨新五郎
○葉梨委員長 農林大臣より一つ御心配のないやうに御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=213
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214・和田博雄
○和田國務大臣 其の點はさうなのですが、唯中にはさう云ふやうなことを地方町村長などは知らなくても、農地委員なり何なりが、此の法を免れる──と言ふと語弊がありますが、さう云ふ意味で急いでやつたと云ふ不當なものでありますれば、其の場合には計畫を變へて、十一月二十三日に遡つて、今度は新しい計畫に基いてやる、斯う云ふことになるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=214
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215・葉梨新五郎
○葉梨委員長 他に御質疑がございませぬければ自作農創設特別措置法案の各條の質疑は之を以て終了致したことと致します、此の際吉澤仁太郎君の保留せられて居りました大藏省關係の質疑を許可致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=215
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216・吉澤仁太郎
○吉澤委員 本昭和二十一年度の所得税の調査に際しまして、農家の保有米即ち自家用米の價格算定基準に對して乙種事業所得を課けるに當りまして、食糧營團が拂下する公定價格を以て大體算定するやうにと云ふ財務當局の御指示があつたさうであります、此の價格を以てするのは慥か本年初めてのやうに承つて居ります、今までは大體此の統制になりましてから地主の供出價格に依つて農家の保有米は算定されて居つたのであります、所が今年はさう云ふ御指示があつたので、是は嚴正に實行されたかされぬかは存じませぬけれども、私共之に付ては強く反對したのであります、大體私が申上げるまでもなく、所得は眞に農家が物を賣り、或は作つてそれを處分したものに對して乙種分類所得税を課する、是は當然でありますが、自分で食べた物、使用した物、之に公定價格に依つて課すると云ふ例は餘り現在までなかつたのであります、是は相當重要な問題でありまして、若し假りに二十二年度の課税に致しましても、例へば地主の保有米、又は地主の小作料が七十五圓で、之に依つて算定される、又農家の買上米と買上米に附髓した配給價格の値上、此の値上を假に四百五十圓とすると、そこに著しい相違を來すのでありますが、此の價格の算定標準をどこに御置きになるか、之に依つて農家の所得税の決定額が非常に違つて來る、過日大藏大臣に伺つた時には、大臣は能く此の邊の事情を御存じなかつたやうな御答辯でありましたが、今日は主税局長がお見えになつて居りますから、一つ主税局長の御答辯を要求致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=216
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217・池田勇人
○池田(勇)政府委員 農家が生産した其の生産物を自分で消費される場合に於きましては、やはり生産物に對しても所得を課するのが當然であります、此の際に昨年から今年に掛けて米價が動いた、斯う云ふ場合には、其の平均價格に依り所得計算の場合に其の計算に入れると云ふ方針であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=217
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218・吉澤仁太郎
○吉澤委員 平均價格と言はれると、一體どれとどれの平均を御取りになるのか、大體の御方針を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=218
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219・池田勇人
○池田(勇)政府委員 農家の米は從來は十一月と、十二月、一月と一應此の三箇月間に生産せられた米が出廻ると云ふ考へではさう云ふ方針で行つて居ります、併し本年は從來と違ひまして十一月、十二月、一月、二月、三月位に供出される、斯う云ふ計算の下に、一石當り幾らと云ふ計算で行つて居ります、數字は幾らであつたか覺えて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=219
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220・吉澤仁太郎
○吉澤委員 局長さんは私の質問をまだ能く御諒解出來て居ないのではないかと思ひますが、私は農家の飯米のことを申上げて居るのであります、十一月と十二月の平均米價に依つて所得を決定するのは從來行はれた例でありますが、其の後米價が統制されるやうになつてからは、政府が買上値段に依つてやられることは當然であります、そこで唯私の御伺ひ致したいのは、農家の飯米の價格を何れに見るか、既に供出價格ははつきりして居るのですから、飯米價格に對する御方針を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=220
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221・池田勇人
○池田(勇)政府委員 是は取扱としてどちらを執つて居るか分りますが、消費者價格で見るのが、理論的だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=221
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222・吉澤仁太郎
○吉澤委員 さうすると、營團が配給する其の價格に依るのが理論上當然だ、斯樣に承つて宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=222
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223・池田勇人
○池田(勇)政府委員 斯く致しますことが生産者以外の人の負擔と生産者の負擔とが均衡に行きますからそれが理論的だと思ひますが、實際の取扱ひと致しましては、農家の生産した價格に依つて居るのではないかと思つて居ります、此の點は實際には、私存じて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=223
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224・吉澤仁太郎
○吉澤委員 是は相當重大な問題でありまして、昨年の取扱方針と今年の取扱方針が大分變つたのでありまして、農家の所得に大異變を來したのでありますから、念の爲め伺つたのでありますが、私はやはりさう云ふ方法になさると、中々調査が御困難だと思はれる節もあるのであります、何となれば、供出した數量ははつきりして居りますが、自家用數量は一體幾ら自家用に供したかと云ふことは分らないことが第一でありますし、それから其の他の品物、詰り唯單に米だけではございませぬ、豆とか小豆とか或は藷類の如き、果實の如き、全部がやはりさう云ふものに御覽になると、中々容易ならぬ御手數もあり、農家の所得が莫大に計算されることになる譯でありまして、是は今はつきり御答辯を伺ひたいのではないのでありますが、能く御檢討を願つて、餘りに苛酷に亙らざる程度の課税を要望して此の質問を打切りたいと思ひます、農林大臣に續いて御伺ひ致したいのでありますが、主税局長がおいでになつて居りますから若し其の方を御先に質問される方があれば後程でも結構であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=224
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225・太田秋之助
○太田(秋)委員 其の件に關することですから御許し下さい──丁度幸ひに主税局長さんがお見え下さつたので、此の機會に伺つて置きたいと思ひます、それは當然のやうでございますが、此の法案に依りまして政府が御買上になる田畑、是は勿論公定價格と稱しまして、從來規定されて居つた所の田が四十、畑が四十八と云ふ標準價格に依るのであります、隨て此の價格が今度發表された所の財産税の基準になると思ふのでありますが、之を超して課税するやうなことは財産税に於ても最早ないと信じて居ります、併し實際に於ては、地方に於ては四十、四十八でなく、地方の税務署が時價に依つて之を課税の對象にすると云ふことになると、是は容易ならぬ問題なのでございますので、でありますから私は政府の買上になる土地は、當然のことでございますが、是は公定價格の評價が付いて居ります、其の他の政府の買上にならぬ所の、一般自作農が今日所有して居るものの財産税の基準も之に準じて御取りになると考へますが、之に付て主務局長の御意見を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=225
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226・池田勇人
○池田(勇)政府委員 財産税の對象となりまする田畑の評價に付きましては、色々な意見がございます、御話の如く、政府の買上げるものは賃貸價格の所定と倍數に報償金を加へたもの、それの對象にならない所謂自作農者の田畑に付きましては、それ以外の一般の取扱價格に依るべきではないか、斯う云ふ意見もあるのでありますが、只今の所政府と致しましては、田畑に付きましては、此の自作農創設特別措置法案に豫定して居られる倍數に依り、さうしてそれに報償金を加へたらと考へて居ります、唯あの倍數以外に使ひ得る倍數が地方の状況に依つてあり得るのでございます、若しさう云ふやうな、あの倍數よりも他の倍數が適用になる場合に於きましては、勿論其の倍數に依りたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=226
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227・太田秋之助
○太田(秋)委員 大體分りましたが、政府の御買上げになる田畑に對しては、今御説明を伺つて承知致しましたが、唯政府の御買上げになる土地と地番も同じだし、地味も大體違はぬと云ふやうな状態にあるものに付きまして、一方は政府が買上げるのだから、是は公定價格の基準に依つて財産税の規格の標準にする、一方は地方で賣買するのはそれよりも高く賣れて居るのであるから、それを各税務署に於て審査して、財産税課税の對象にすると云ふやうなことは、私は矛盾して居るのではないかと思ひますが、此の點をはつきりと御答へ願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=227
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228・池田勇人
○池田(勇)政府委員 先程申上げましたやうに、田畑の評價は、此の自作農創設特別措置法案で定められましたあの倍數に依つて參ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=228
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229・太田秋之助
○太田(秋)委員 それで分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=229
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230・北政清
○北(政)委員 主税局長さんに今のことに關聯して御伺ひしたいと思ひます、一體政府の今囘の自作農創設として買上げる價格、是は當然の公定價格であります、そこで今の賣り買ひをしない自作農の財産税の査定に當りましては、今の御話を聽きますと、政府の詰り賃貸價格に或る倍數を四十倍なら四十倍を掛けた以上に、報償金を加へると云ふ風に聞えましたが、小作者に賣るのは報償金を入れないものであります、さうすると賃貸價格に倍數を掛けたものが本當なのです、報償金は今土地を離れるので、特別御同情ある金なのであります、報償金を取る人は其の價格に見て宜いかも知れませぬが、さうでない賣り買ひをしない者には何も收入になるべきものではない、又價格に評價さるべきものではない、今囘に限つて此の報償金があるので、今後に於て報償金があるかと云ふとないのであります、それを以て加算すると云ふことは、全然誤りだ、斯う思つて居りますから、此の點に對する御所見を聽きたいと思ひます
もう一つは、實は葛飾區の金町でありますが、此の邊で今畑地の實際に自家用に作つて居るもの一段歩に對して六千圓と云ふ査定で御發表になつた、是があの邊の基準であります、斯うされると、其の六千圓からの厖大な金はどうして課けられるのか、事實上賣つても居らなければ、買つても居らないのであります、又此の燒跡に作つて居るものを、其の筆法で全部課税して居りますかどうか、其の人の一段歩も自家用であります、燒跡で三畝作つて居るのも、自家用であります、假に三畝としましても二千圓である、それだけの收入に見て居られるのかどうか、それに何も課けて居らぬのではないか、一方之を六千圓と見ると云ふやうな無暴な計算は如何なる所から出るのか、是はあの邊葛飾區全部の査定であります、之を根本的に直す肚があるか、こんな惡い間違つて居るものは直す、斯う云ふ御考へであるか、闇で賣つたものは收入のあるだけ課けるのは當然であります、闇でも何でも賣らぬものを六千圓と云ふのは如何なる價格から算出したか、土地を賣りも買ひもせないものを報償金まで含むと云ふやうなさう云ふ無茶なことをやつて貰つては大變でありますから、それを御考へ願ひたい、價格算出の基礎は一體何處にあるか、斯う云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=230
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231・池田勇人
○池田(勇)政府委員 田畑の評價に付きましては、賃貸價格の倍數に依ります、さうして財産税の課税對象になる方が報償金としまして三町以下のものに貰はれた其の部分のものに對しましては、報償金を加算して計算致します、實際に貰はない方に對しましては加算は致しませぬ、是は當然のことでございます
次に葛飾方面の田畑所得、殊に畑の所得に一段六千圓の所得を見積つたのは過當ではないか、斯う云ふ御質問でありまするが、私はどの方面の畑がどれだけの課税が適當であるとは答へられませぬ、税務署は適當と認むる所で決定したと思ひます、若し其の決定が不當であつた場合には、當然早急に訂正致して居る筈でございます、次に燒跡に作つた野菜に對して所得を見積らないか、斯う云ふ御質問でありまするが、燒跡に作られました菜園は作つた人が事業としてやつて居るかどうかに依つて判斷しなければなりませぬ、事業として事業所得と見るべきものか、一時の所得と見るかが問題でございます、假令一畝の畑でも、將來永久に自作としてやられる意思があり、さうしてやられた場合に付きましては、理論上は一時の所得でありませぬから、假令金額は少いものに致しましても課税すべき筋合のものであります、唯徴税手續上それを強ひて取らないと云ふ場合があると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=231
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232・北政清
○北(政)委員 只今の燒跡のは業務としてやつて居らなければ取らない、斯う云ふ御説ですが、やはり自家用の一段歩を作つて居る者も其の點に於ては一つも變りがない、其の一段歩に六千圓の査定をあの邊全部にして居ることは動かすべからざる事實である、是は現實です、査定の通知が來たのです、そこで私は農民ならば皆課けるのだ、都市の人ならば何段作つて居つても、何畝作つて居つても、それはお負けしてやるのだ、業務でないと見るのだ、何町歩永久に作つても今年の收入は今年の收入、其の所得に間違ひない、農民の自家用の米も今仰しやるやうに課税するのではないのですか、何故に自家用の野菜に課税出來ませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=232
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233・葉梨新五郎
○葉梨委員長 北君に御相談申上げますが、どうか出來るだけ其の御議論は財産税の質疑の時に御讓りになつて、之に關係することだけを御質問願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=233
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234・北政清
○北(政)委員 今土地を買ふか買はぬかに重大關係を持つのです、小作民は買へば課税される、都會の人は課税せぬ、斯う云ふやうに國民に不公平なことをすると云ふことはない、私は斯う思ふから問ふのです、それが國民に公平だと云ふ理由になるか、農民だから六千圓課ける、是は業務である、さうでないものには一つも課けない、農民の穫つた自家用の米は課税する、而も平均だ、何が平均する必要があるか、全部農業會に出荷させて全部ちやんと數字が分つて居る、昨年六十圓で出したものが五十俵なら五十俵、百二十圓で出したものは三十俵なら三十俵ではつきり分る、三月から價格が上れば、三月から後の價格に對して平均して見積る、斯う云ふ數字が間違ひなく出る、然るに拘らず、其の平均だけ課けると云ふのは、實に亂暴極まる話で、きちんと六十圓で正直に一番先に供出して居た者は、百二十圓との眞中の八十圓で取られる、九十圓で取られるとしたならどうなる、是は無茶苦茶です、斯う思ふが、其の點に付て御答へ願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=234
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235・池田勇人
○池田(勇)政府委員 先づ都會の方の菜園の所得に對しては取らない、是は不公平ではないか、斯う云ふ御質問でありまするが、只今の所得税法は、營業を目的としない一時の所得は取らないと云ふ建前になつて居ります、隨て所得税法當然の結果と致しまして、都會の人が燒跡に偶偶南瓜を作つたからと云つて、それを計算して課税はしない建前になつて居ります、葛飾方面で一段六千圓の所得を決定した、其の六千圓が善いか惡いか、其の問題は別に致しますが、業務としてやれば理論上は課税になる、斯う云ふことでございます
それから農家の自家用米を平均で見たのは亂暴ではないか、斯う云ふ御質問でありまするが、農家は自家保有米を是だけ持つて居る、それを十一月に消費した、十二月に消費した、一月に消費した其の時の價格が違つた時には、それに依つて所得を計算しなければ、どの金額に依つて保有米の計算をして宜いか分らないから、それは其の時々の米價に依つて保有米の金額を計算した、斯う云ふのでございまして、平均して決めなければ却て不當になると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=235
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236・北政清
○北(政)委員 只今の御答へで尚ほ疑問が起る、營業でない、收益を擧げる目的でないものは課税をしない、農家の食ふものは販賣する所謂營業用でないのですが、それには課税をする、此の理論が分らない、自家用と云ふものは營業か營業でないか──今の一段歩作つたものは一つも販賣する爲に作つては居らぬ、自家用の蔬菜園である、之に對しては六千圓の課税をする、さう云ふ理窟は成立たぬ、農家の自家用は販賣して利益を擧げようと云ふものではないのに、之にも現に課税をして居る、だから農民に對して非常な偏頗な課税ではないか、何も理論にならぬではないか、農家の自家用なら是は營業ではないから宜しい、斯う見て宜しいのかどうか、斯う言ふのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=236
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237・池田勇人
○池田(勇)政府委員 農業者が農業をやられる範圍に於きましては、それを事業と認めます、隨て事業から出て來る所得でありますから課税をするのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=237
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238・北政清
○北(政)委員 どうも變な理窟を付ける、自家用でも農民なら事業と解釋する、都會の者が自家用に作つて居るものは事業と解釋せぬ、自分の家の蔬菜收入に一つも變らない、一畝であらうと半畝であらうと一つも變らない、其の差別待遇に先入主を持つて居ると云ふことは甚だをかしい、自家用でも業務であると云ふ、そんな理窟は分らない、斯樣な無茶なことをする積りですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=238
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239・池田勇人
○池田(勇)政府委員 他の例を以て御話申上げれば御諒解が行くかと思ひます、自家用と云ふのは、今の生産統制、販賣統制をやつて居ります時に、業者に或る程度認めて居ります、例へば酒屋が自家用に酒を造つて居る、其の時に自家用の酒は營業の分でないから、其の分の儲けは課税しない、斯う云ふことはないと思ふ、是と同じことで、事業者が之を其の一部として偶偶生産したものを自分で消費せられても、是は所得から除く譯には行かない、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=239
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240・葉梨新五郎
○葉梨委員長 松岡君に御相談しますが、あなたの保留して居ります炭礦埋沒農地に關する質疑を此の際おやりになつたら如何かと思ひます──松岡君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=240
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241・松岡運
○松岡(運)委員 特に委員長の許可を得ましたから、多少附議せられて居ります議題とは異なつた點もあるかも知れませぬが、御許しを得たいと思ひます、政府は本法の第三條及び第五條の關係命令事項として鉱山又は炭坑附近の農地は、其の保有し得る農地面積に算入することの不適當なる農地と見做す、更に現在陷沒せる農地は勿論、將來に陷沒の虞ある農地は政府買上の對象としないと云ふやうなことを命令事項にはつきりと書いてあるやうでございますが、斯う云つた農地は、其の儘將來何時までも放つて置かれる御意見であるかどうか、先づ農林當局に御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=241
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242・山添利作
○山添政府委員 さう云ふ鉱害に掛りましたやうな土地も、出來るだけ之を復舊して立派な農地にしたいと云ふことは當然でありまして、それを復舊すると云ふことには十分施設をする積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=242
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243・松岡運
○松岡(運)委員 今農政局長の御答辯で、要するに斯う云つた法律を作られる所以も、農産の造成が目的で作られて居るのでありますから、當然過ぎるやうな當然の御答辯と考へますが、唯實際問題と致しまして、復舊して普通の農地にせしめると云ふ單なる言葉の上だけでは了解し兼ねるのであります、此の問題が起りまして既に二十年餘を經て居るのでありますが、今日に至りましても更に根本的な問題の解決がなされて居らない、御承知でもありませうが、日本の石炭の存在は、北海道、常磐、山口、九州と云つた方面に分れて居りますが、其の中で最も生産の多いのは取も直さず九州地方であります、就中福岡縣の如きは、戰前に於きまして全國の生産の五割五分を占めて居る、それが戰爭最中になりますと、北海道の生産が意の如くならない爲に、全國の石炭を一手に引受けて居つたかの感があるのであります、是が爲に其の半面には、之を採掘する爲に起つて來る被害と云ふものは殆ど想像以上のものがありまして、或は道路、河川が沈沒陷落して其の效をなさない、家屋は傾斜埋沒し、飮料水の井水は涸渇してしまふ、斯う云つた公共施設の破壞は勿論地方民の生活を脅かすことが洵に甚大なものがあるのであります、就中耕地の被害は、是亦恐らく關係のない方の想像の及ばない所でありまして、其の大部分の耕地は、所謂田は二毛作田の是れ以上の良田はないと云つた位の美田であります、其の美田の被害が福岡縣だけに於きましても一萬町歩を今超えて居るのであります、之に山林の被害、畑の被害、斯う云つたものを加へましたならば、其の面積は測り知り得ないのであります、今福岡縣の行政區は十一市十九郡、三百箇町村に依つて成立つて居るのでありますが、此の中七市八郡八十九箇村の市町村が全部此の鉱害の影響を受けて居るのであります、是は更に福岡縣のみでなく、現に佐賀、長崎等の各縣にも次第に陷落の被害が發生して參りまして、同地方の農民は全く自分達の將來職業を如何にせんかと迷つて居るのであります、政府は只今復舊せしむると云ふやうな御話がありましたが、具體的にどうして復舊せしむるかと云ふことを御尋ねして見たいと思ひます
是は商工當局に御尋ね申上げますが、此の問題が起りまして農林省當局に於きましては其の經過と致しまして、將來際限なく發生する鉱害に對して、農林省が責任を持つことは出來ないけれども、將來に對する對策が講じられた場合には、既往の分に對しては何とかすると云ふことを、はつきり我々に御話になつたことが幾度もあるのであります、先づ鉱業法の改正をやれと云つたやうなことで慫慂も受けまするし、商工省と致しましては、御承知の通り昭和十二年から是が改正の委員會を開きまして、十四年に鉱業法の改正を見たのであります、所謂今まで民法に例のない、過失若しくは故意に依らざる、所謂無過失賠償なる法律が新たに日本に生れたのであります、此の目的とする所は、殆ど此の鉱害を解決せんが爲に、特別に此の法律が類例のない法律として日本に生れたのでありますが、果して其の結果、鉱害對策として此の法律がどれ程有效に使はれて居るかを、商工當局に御尋ねして見たいと思ふのであります、所謂法は如何なる立派な法律でありましても、其の運用に依つて初めて效果が擧るものであります、運用の妙は人にあるのであります、此の法律を遵奉して鉱害の復舊をせしめる、所謂之を運用するものは商工省當局なり農林省當局が最も關係が深いと思ふのであります、之に付きまして農林當局は、此の鉱害對策を具體的にどうして片付けるか、どうして復舊せしむるかと云ふことと、商工當局は特別に制定された鉱業法が、果して此の問題に對してどんな效果を擧げて居るかを、現状に付て説明を御聽かせ願ひたいと思ふのであります
更に私共内務省に御出席を願つたのは、税のことだけではなくして、内務省關係の方は總體論としまして、斯う云つた被害を受けた町村の將來經濟上の問題、市町村行政上の問題として、斯かる治安上の問題を果して、此の儘放任せられて居つて市町村の指導が出來るかどうか、國有の河川、國道と云つたやうなものは、國の威光でそれぞれ業者から是が復舊に關して相當の費用を御取りになつて居るのでありますが、末端である市町村と云ふものは、さう云ふ力を持ちませぬが爲に、苦しい中から市町村の經濟を割いて、水路にしろ、町村道にしろ、町村用の河川にしろ、さう云つた公共用の施設はやつて居るのであります、而も町村に對する業者の負擔と言ふよりも寧ろ關係者の負擔と云ふものは、彼の住民税、さう云つたものも徴收の困難なる故を以て、一人四圓平均と云ふことになつて居れば、徴收を業者に委託するの故を以て是の七割と云つたやうに、不合理極まることを自覺しつつも、町村爲政者は甘んじて之に依つて町村の財政を補ふ爲に、不合理なることを知りつつ課税し徴税して居ると云ふ状況でありますが、斯う云つた状況を何時までも繼續されることは、市町村指導をせられる所の内務當局の御考へとして、果して已むを得ないことであると看過せらるる積りであるか、先づ以上の事柄に付きましてそれぞれ御答辯を拜聽したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=243
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244・池田欽三郎
○池田(欽)政府委員 只今の松岡委員の炭坑の陷落に對しまする御尋ねでございますが、現在の鉱業法の建前と致しましては、御承知の通り原則と致しましては、金錢賠償にすると云ふことが建前になつて居りまして、經費が比較的に少額で濟む場合は、原状囘復を請求することが出來ると云ふやうなことになつて居りまして、例外として原状囘復と云ふことが規定されて居るのであります、斯う云ふやうな規定を設けられました趣旨は炭坑の陷落に因しまして損害を受けた者に對しまして、出來るだけ損失を補填すると云ふ考へ方と同時に、日本の炭礦業が非常に條件の惡い採掘を致して居りまして、過大の負擔をさせることに依りまして極めて基礎産業と致して重要な炭礦業の維持を危うからしめると云ふことのないやうに、原則と致しまして金錢賠償にし、經費の關係を比較考量して原状囘復をすると云ふやうな建前になつて居るのであります、隨ひまして原状囘復と云ふことは非常に望ましいことでありまして、我々と致しましてはさう云ふ風に努力致さなければならぬのでありますが、一面炭礦の維持と云ふやうな點を考へまして、それを強制すると云ふことまでにはなつて居ないのであります、只今御話になりました現在原状囘復になつた分、それから金錢賠償で解決致して居る分が、どう云ふ件數になつて居りますか、私後で數字を調べて御報告申上げても結構だと思ふのでありますが、さう云ふやうな趣旨で現在の法を運用して居るのであります、唯將來の問題と致しまして現在又鉱業法の改正を研究中でありまして、此の賠償の問題に付きましても十分其の際に檢討を致したい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=244
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245・郡祐一
○郡政府委員 炭礦地方に於きまする町村が、財政的に疲弊して居りますことは、御指摘のやうな點があると存じます、之に對しましては配付税も、御承知の通り一般課税力に逆比例致し、一般財政事情に比例致しまして算定致して居りますから、獨り住民税のみで擔税力を考へますることは適當ではないかと存じます、各税を基礎に致して考へました配付税は、相當程度其の實體に應じて當該の地方に分與されて居るやうに存ずるのであります、市町村民税の特別徴收の問題は、當該市町村の實情なり、炭礦地方の勞務者の状況から見まして、炭礦業者等に委託するのは事柄として已むを得ず、寧ろ或は事態として適當ではなからうかと考へて居るのでありますが、其の方法に付ては十分考へて見なければ相成らぬと思ふのであります、而して炭礦地方に於きましては、衞生費等に付ても財政支出が非常に多いのであります、御指摘のやうに、道路等の問題も相當財政上の負擔に多くの影響を及ぼして來るものと存じますので、此の度地方税法竝に分與税法の改正に依りまして、市町村に對しまする特別配付税を設けて居りますが、是の分與に於きましては、炭礦地方の特殊の事情と云ふものは十分斟酌したいと思ひます、炭礦地方の土木事業費の補助等に對しましても、十分考慮致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=245
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246・笹山茂太郎
○笹山政府委員 福岡縣の炭礦地方の陷沒した農地の復舊問題でございますが、是は現在鉱業法の建前から、炭礦側で被害を復舊すると云ふ建前になつて居るのでございます、隨ひまして農林省としましては、從來此の法律の適用區域外の被害地帶に對しまして、それぞれ復舊事業に對して協力を致して參つたのでございますが、今後斯う云つた法律の適用地域外の問題に付きましても、法律上當然炭礦側として義務を果した上で尚且つ十分でないと云ふ状態でありますれば、我々の方で今度の緊急開拓事業の一環として復舊に進んで參りたい、斯う考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=246
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247・葉梨新五郎
○葉梨委員長 松岡君成べく簡單に御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=247
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248・松岡運
○松岡(運)委員 只今商工當局の御話に依りますと、金錢賠償の結果、詰り原形復舊を目的とする賠償規定ではないのだからと云ふ御話でありました、其の點能く承知して居ります、元々是は法の制定の折に、金錢賠償と云ふことは所謂農地所有者としては到底耐へられないから、耕地であれば辛じて耕作し得る程度の復舊、住家であれば辛じて住み得るだけの復舊、さう云つたものだけでもと云ふことで、御話をしたのでありますが、やはり民法上の建前から、金錢賠償でなければいけないと云ふことで、斯う云ふことになつたのであります、現在のやうな石炭事情から申しまして、既に今までさへも其の賠償と云ふものは困難であつた、それが所謂石炭業の國營であるとか、或は國有であるとか云ふやうな今日になりまして、尚更是の賠償と云ふものに付ては業者は冷淡であります、又既に業者の今やつて居りますことは、總て補助助成に依つて石炭業が現在繼續せられて居ることは、私が申上げるまでもなく鉱山局長の方が能く御存じだと思ふのであります、斯う云つたやうな場合に、此の賠償は果して果せるか、此の賠償を果した時には、石炭業と云ふものは死滅に頻する状況に陷り、所謂米、石炭、肥料と云つた惡循環は益益強くなつて來ると思ふ、然らば其の鉱業法の改正當時に設定せられました所謂供託金制度、積立金制度は果してどうか、農家が自分で復舊しようとする場合、其の復舊費が足りないから對價賠償をして呉れ、斯う云つた場合に出せないと云ふので供託金制度が設けられて居りますが、今供託金が果してどの位積んであるか、是は後で調査とか云ふことですが、私が調査した所を御話致しますと、福岡縣全部で三百八十萬圓ばかりのものであります、此の三百八十萬圓が今申上げました九千五百町歩の田地に對してどの位に當るでありませうか、九千五百町歩の對價がどの位するか假に一段歩當りの積立金を出して見ますと、僅かに四十圓そこそこではないか、それに尚ほ礦業家として別途の積立金をやつて居りますが、それも合せて僅か一千三百萬圓であります、其の一千三百萬圓を九千五百町歩の賠償金に充てる爲に支出させると致しても、一段歩當り僅か百圓そこそこである、それで賠償の對象は原形復舊でない、金錢賠償であると云ふことも能く知つて居りますが、今の石炭の所謂共存共榮の施設をやる爲に、こんなに業者を痛めて、石炭の産出を阻止するやうなことはしたくないが、以前に鉱業法の改正が行はれたが、是が何等役に立つて居ないと云ふことを茲にはつきり申上げて置きます、私は簡單に申しますが、此の被害地の總面積地は、例へば福岡縣だけでありましても、米の生産が内輪に見積つて一段四俵として十六萬石、少くとも五俵は穫れる所であります、此の二十萬石が減收につて居るのであります、是は二毛作田でありますから、麥に致しましても十萬石、合せて三十萬石の米麥が鉱害の爲に減收を來して居るのであります、此の三十萬石の米が今ありましたならば、石炭が出せないと云つて勞働者の加配米を云々と騷いで居つたあの加配米が、一箇月に於て僅かに一萬二千二百石あれば宜い、是が融通されるとすれば、三十萬石あつたならば此の稼働者の加配米の一年分を優に賄へる、さうして是は石炭が出せないと云ふやうなことを杞憂に終らせ、更に肥料が出來ないと云ふやうな此の惡循環を解消するのに容易な資料となり得るのであります、それを農林當局なり或は商工當局は事務的云々と云ふことのみに依つて、未だに唯復舊せしめる、復舊もしめると云ふことばかりで、本當に實現せしむるやうなことに留意して貰はないと云ふのは、不可解極まることと私は考へます、先達て森委員が食糧緊急措置令の折に話されましたが、あの琵琶湖の干拓の如きは止めて置け、内容は私申上げませぬが、斯う云ふことを御話せられたことを聽いて居ります、あの琵琶湖を干拓してどれだけの農産物が穫れるか、此の鉱害地を復舊しましたならば、直ぐ翌年から熟田と同じやうな量が穫れる、福岡縣に於きましては、今までの僅かなる縣費と國の僅かなる助成を以て、營々としてここ十箇年餘りに復興しました耕地が千九百町歩あります、其の千九百町歩の耕地、今實つて居る田を一度實地に付て見て戴きたい、一般の熟田と何處に變りがあるか而も斯う云ふ所は今まで何百年も作つたこともない所を開拓してやるやうな所と違つて、是こそ何百年も先祖代々作つて居つた土地でありますから、耕作の便は此の上もない好い所であります、ああ云つた琵琶湖の、同僚の中から其の效果さへ著しく疑はれて居るやうな所に、農林省は莫大な費用を投じてやるよりも、多少事務的には不合理がありましても、それは政府の最高の政治的政策に依りまして、本當に米の出來る、増産の出來る所に絶大なる助力をされて復舊せしめられると云ふ著意をして戴きたい、大體此のことが出來るか出來ぬかと云ふことに付きまして囘答を得まして、若し出來ない場合には、私相當の決意をして居る次第であります、決意と申しますのは、二十年掛つて出來ない此の問題も、恐らく他の方法では出來ぬことはないと思ひます、と云ふのは、炭礦業者、是が今の賠償金を直ぐ出すと云ふこともやりませぬし、それから又農耕者に致しましても業者から年々來る──勞力を投じ肥料を使つて米を作るよりも補償米代金として貰つた方が宜い、況や此の農地法のそれに依りますと、是は所謂買收の對象外に置かれる、どの位採つて居つても宜いのですから、惡農に於ては復舊より、復舊しないで此の儘置いた方が宜いと云ふ考へを持つと思ふ、此の鉱害地を特に買收の對象として買はせて呉れと云ふやうな者が續々と出て居るのであります、斯う云つた傾向にありますので、炭礦業者も勿論是の補償を出さうとしないし、關係農業者に於ても之を復舊しようとしない、併し是は何としても國家的の石炭と米との重大問題であるからして、私個人は一坪の土地も一片の石炭も全然關係を持たない、純然たる第三者の立場に居ります故に、石炭と米程今日に於て必須缺くべからざる問題はないと云ふ其の見地から致しまして、今までのやうな生温い御方針でありましたならば、政府を信頼するに足らず、私は曾ての明治時代に於ける田中正造を氣取る譯ではありませぬけれども、こう云つた方法でもやらなければ、單なる事務的の論議に依つて是が制限されると云ふことは、國家的損害の是れ程大なるものはないと云ふ觀念から、相當の決意をしようと今考へて居るのであります、今までのやうな月並的な、何とかして助成をすると云ふやうなことでなく、是は唯單なる一地方の問題と見られますけれども、石炭が全國的にどれ程重要であり、又食糧がどれだけ重要であるかと云ふ大局的見地から見ましたならば、關係大臣が御寄りになつて政治的に最高の解決を付けて戴いても、決して苦しからざる問題であると云ふことを考へて居りましたので、今まで斯う云つた席上で質問すること、意見を述べることを抑へて居りましたけれども、其の後非公式に御話を聽いて見ますと、決して結論に到達する機會がありませぬので、公の席上ではつきりとどう云ふ方法で解決をするか、所謂復舊せしめる豫定であると云ふことを承つて、信頼を置くことが出來るか出來ぬかの認識をはつきりしたいと云ふ爲に、態態委員を替へて戴きまして、議題外の謗りを受けると云ふことも顧みないで御許しを願つた所以は此處にあるのでありますから、殊に私は主務大臣から直接其の話を聽きたいものと思つたのですけれども、鉱山局長と農政局長が責任を以て答辯をされると云ふことでありますから、此の鉱害問題をどうするか、之に付て最後のはつきりした御意見を聽かして戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=248
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249・池田欽三郎
○池田(欽)政府委員 重ねての御質問でございまするが、現在の鉱業法の建前と致しましては、先程申しましたやうに、金錢賠償をすると云ふ建前でありまするが、經費其の他と比較考量致しまして、囘復出來るものはそれを進めて行きたい、やらして行きたい、斯樣に考へて居るのであります、唯現在、先程も申しましたやうに、鉱業法の改正と云ふ問題をやつて居りますので、只今の問題に付きましては十分其の點を研究の對象に致したい、斯樣に考へて居るのであります、特に其の御話のありました供託金の問題に付きましては、昭和十四年當時の事情と現在では相當違つて居りますので、此の點も特に研究を致して見たい、斯樣に思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=249
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250・笹山茂太郎
○笹山政府委員 只今の御話御尤もでありまして、私共と致しましては、商工省の意見を十分に聽きまして、商工省と協力して緊急開拓事業の一環として、此の陷沒の安定した場所から逐次出來る限り進めたいと考へて居ります、尚ほ琵琶湖の干拓の問題がありましたが、本年は非常に作柄が良いやうに聞いて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=250
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251・松岡運
○松岡(運)委員 もう一つ、どう云ふ方法で復舊させるのか、それを伺ひたい、唯復舊すると云ふのでなく、其の具體策を御聽かせ願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=251
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252・笹山茂太郎
○笹山政府委員 復舊の方法としましては、縣の方で復舊の對策關係を取纒めるやうな委員會のやうなものを作りまして、そこで施行方法なり其の他を十分協議して決めて參つたらどうかと考へて居ります、さうして決まつたものに付きまして、比較的陷沒が安定しましたものから、立地條件等を考慮しまして有利な方から逐次事業を始めて行く、斯う云ふやうにやつて參りたい、尚ほ經費の問題に付きましては、先程申上げましたやうに、鉱山側の積立金等の關係もありますし、又我々の方の經費の關係もありまして、そこは一つ十分協議して參りたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=252
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253・松岡運
○松岡(運)委員 私の聽きたいのは、經費の問題です、それを一つ具體的に伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=253
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254・笹山茂太郎
○笹山政府委員 經費の關係に付きましては、現在の建前としましては、鉱業法に依りましてそれぞれ損害を賠償する義務が鉱山側にある譯であります、隨ひまして現在に於ける積立金其の他を十分考慮しまして、どうしても從來の法律の建前で不十分な經費であると云ふことが分れば、其の足らない分に付きましては私共として出來る限り應援して參りたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=254
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255・葉梨新五郎
○葉梨委員長 松岡君、大體今の答辯で御滿足願へませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=255
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256・松岡運
○松岡(運)委員 是は何時でもさう云ふことを言はれるのです、而もはつきり將來の目安が立てば、所謂鉱業法の改正でも出來れば、此の復舊の問題に對しては農林省が相當の助成費をやるのだと云ふことが分れば別ですが、斯う云ふ問題が起つてから全然賠償責任者が分らない、あつても資力がない者はどうするか、それから賠償金額が復舊費に足らないものの差額はどうするか、賠償責任者のないものに對しては、是は全額國庫が負擔すべきである、それを僅か四割しか補助して居ない、是が爲め地方民はどれだけ迷惑して居るか分らない、私は此の程度にして置きますが、要するに此の工事と云ふのは勞力が主で、別に資材と云ふものは要りませぬから、此の位打つてつけの失業救濟事業はないと思ひます、石炭の増産、食糧の増産、それと所謂失業救濟、一石三鳥の仕事でございますから、大所高所かを見られて、一つ關係大臣に特に御話を願ひまして──閣議等でも御話合ひを願つて、何とかして一日も早く、今年やらなければ來年から是は出て來るのですから、之を一つ切に御願ひ申上げます、私は決して議論に趨つて申上げようとは思ひませぬ、それからもう一つ御尋ねしますが、第三條竝に第五條の關係事項としまして、斯う云ふものがあります、温泉地帶の農地などは一體どうされる積りでありますか、例へて言へばこんなことでございます、現に大分縣の由布院等には、各所に既に田の中に「ボーリング」を付けまして、彼處の三百町歩ばかりの字と云ふものは、殆ど全部何百箇所と云ふ「ボーリング」が付いて、所謂食糧が安定し、財界が安定して來ましたならば温泉地帶として實現を見んとして居るやうな土地でありますが、斯う云ふやうな所は大體の普通の對象の農地とされる積りでありますか、或は第三條なり第五條の關係命令のそれに入れられる積りでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=256
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257・山添利作
○山添政府委員 温泉地帶の近くの農地でありまして、其の附近の旅館の敷地になるとか、或は住宅の敷地になると云ふやうな所でございますれば、是は政府に於て買收しない、即ち市町村農地委員會等に於きまして、其の邊の認定を致すことになつて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=257
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258・松岡運
○松岡(運)委員 是は私は餘り強く言ふ必要はありませぬが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=258
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259・葉梨新五郎
○葉梨委員長 松岡君、あなたは委員になられたばかりて御存じないかも知れませぬが、既に是等の點に付てはもう再々繰返された質疑でありまして、先程も宣告致しました通り、農地法案に付ては逐條審議を一應終つたのです、關聯して何時までも質問されることは他の委員諸君にも御迷惑でありますから左樣御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=259
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260・松岡運
○松岡(運)委員 唯一つだけ御尋ねしますが、斯う云ふことは「現に湧出しつつある温泉地帶」と云つたやうに、はつきり命令か何かで決められた方が宜いかと思ひます、さうしないと、唯温泉地帶と言ひましても、他にもありますからそこに將來買收を繞つて、相剋摩擦の種を蒔くことになるのでありますから、丁度茲に命令として斯う云ふ例が出て居りますから、其の命令事項の中に「現に湧出しつつある温泉地帶」と云ふやうなものを入れられたらどうか、さうした方が摩擦を避ける爲に宜からうと云ふことで私も考へて居りますが、どう云つた御意見かを參考の爲に承つて置きます、それから最前の復舊の問題でありますが、愈愈方針が決まりました場合に、一度少くとも大臣に御報告願ひまして、各關係大臣の御意見の決まつた所を一つ非公式にでも御知らせ願ひたいと思ひます、それに依つて將來の措置を決したいと考へます、今の質問に對する答辯を得まして私の質問は終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=260
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261・山添利作
○山添政府委員 現状は農地であるけれども、近く用途を變更すると云ふやうな見込の場合は、必ずしも温泉に限る譯ではないのです、隨て又温泉と云ふことを特別に掲げることもないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=261
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262・北政清
○北(政)委員 議事進行に付て──逐條審議は終つたのでありますが、過般私竝に委員長からも御話がありましたが、通貨の問題に關して大藏大臣と農林大臣の意見がまだぴつたり行かぬと云ふことの御返事を聽いて居らぬのであります、それを御願ひしたい
もう一つはやはり農林、大藏兩省の問題ですが、農民の自家消費米に關する營業を認めると云ふやうなこと、農民の自家用米、之に對して課税をするのかしないのかと云ふことに付ては、今御返事を聽かうとは思ひませぬが、農林省はさう云ふやうな農民に對して本當に差別待遇を是認しておやりになるかならぬか、大藏大臣に能く御相談になつて、明日で宜しいから御返事を願ひたい、此の點を御願ひして置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=262
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263・葉梨新五郎
○葉梨委員長 諒承致しました──農地調整法の一部を改正する法律案の審議に入りたいと思ひます、農地調整法の一部を改正する法律案の逐條審議を行ひます、改正法案の朗讀を第一條から致させます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=263
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264・北政清
○北(政)委員 もう一度議事進行に付て──本日は本會議もありますし、此の程度にして明日に御願ひ出來ぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=264
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265・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それは御承知の通り會期があと僅かの期間しかないのでありまして、貴族院に對する徳義上から申しましても、我々は實は昨日休みも廢してやりたかつたのでありますが、社會黨の黨大會に關係しまして昨日は休んだやうな次第でありますから、御迷惑でもありませうが、一つ本日は御勉強を御願ひしたいと思つて居る次第であります、其の爲に夕飯の用意も委員長に於て適宜整へて居りますから、どうぞ御迷惑ではありませうが、御勉強を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=265
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266・北政清
○北(政)委員 それでは宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=266
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267・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは便宜御手許にある新舊對照表の方を御覽願つた方が宜くはないかと思ひます、それでは第一條の改正の點より朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=267
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268・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第一條 本法は耕作者の地位の安定及農業生産力の維持増進を圖る爲農地關係の調整を爲すを以て目的とす発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=268
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269・三浦寅之助
○三浦委員 改正法に於ては只今朗讀されたやうな改正になつたのでありますが、現行法に於ては「第一條本法は互讓相助の精神に則り農地の所有者及耕作者の地位の安定及農業生産力の維持増進を圖り以て農村の經濟更生及農村平和の保持を期する爲農地關係の調整を爲すを以て目的とす」、斯う云ふことが書いてありまして、現行法に於きましては、互讓相助の精神と云ふことと、農地の所有者の所有者の地位の安定と云ふことと、農村の經濟更生と云ふことと、農村の平和の保持と云ふことを特に言つて居るのであります、此の點を今度どう云ふ意味に於て削除したのであるか、先づ其の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=269
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270・山添利作
○山添政府委員 條文は變りましても、本來農村生活と言はず、社會生活を營む者と致しましては、互讓相助の精神がなければならぬことは申すまでもないことであります、併しながら其の當時此の法律に於きましては、もう既に農地關係等に付きましては、此の農地改革等に依りまして、相當前の状況とは變つて參つて居るのであります、此の前の農地調整法の改正案が、昨年の臨時議會に議せられました當時に於ても、此の第一條は當然改めたらどうかと云ふ議論が議會の方からございましたやうな次第でございます、そこで今囘の之を改正致します機會に文字をはつきり致した、斯う云ふことでありまして、特別に深い理由があると云ふ譯ではございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=270
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271・三浦寅之助
○三浦委員 只今の農政局長の御説明では、特別深い意味はない、前と同じだと云ふやうなことにも解釋するのでありますが、見樣に依りましては、第一條から見ると、耕作者の地位を主眼とすると云ふことに於て、農地所有者の立場と云ふものを考へない、即ち階級的立場に立つて此の法案が作成されたとも考へられるのでありますが、農林當局は、此の案が所謂階級的立場を保持すると云ふ趣旨に依つて出來たのであるか、それとも又地主の立場も考へて、地主と小作人の立場を同等位に考へて、所謂協調的立場に立つて、即ち地主と小作人が相協調する立場に立つて農地の調整を圖る、即ち農業生産力の維持増進を圖り、農地の調整を圖ると云ふ趣旨に於て本法が改正されたのであるか、其の點を一つ明確にして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=271
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272・山添利作
○山添政府委員 是は政府と致しましては、別に一方だけの立場に立つと云ふやうな考へ方は持つて居らないのでありまする、併し此の農地關係の問題を扱ふに付きましては、此の法律の規定致して居りまする所は、土地返還の問題でございまするとか、或は農地價格の問題、或は小作料の問題、若しくは小作關係の改善の問題と云ふやうに、其の主たる目的が耕作者、言ひ換へて見れば、小作者の地位を安定し、又其の公正なる利益を確保すると云ふ點に主眼があるのであります、併しながらそれ等のことを行ひますに付きましては、自ら全般の立場に立つて公正妥當に措置されることでなければならぬ、是はもう申すまでもないのであります、例へば農地委員會等の構成と云ふやうなこと、又其の運用と云ふやうなこと、是等のことが公正妥當な立場に依つてなされなければならぬと云ふことは、是はもう申すまでもないことと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=272
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273・三浦寅之助
○三浦委員 諄いやうでありますが、まだはつきりしないやうであります、勿論今の御説明のやうな趣旨の改正で來たことは能く承知します、併しながら又一面に於ては、色々議論されまするけれども、一町歩の地主の保有を政府が強調するやうに認めて居るのであります、でありますれば、是はやはり此の地主の立場に對しても相當考へたのか、それとも又地主の立場と云ふものは全然考へないで、唯耕作者のみを主眼にしたのか、分り易く言へば、地主の立場には全然考慮を拂はずして、此の耕作者の立場を主として本改正案が提出されたのかと云ふ其の精神を御聽きするのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=273
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274・山添利作
○山添政府委員 此の改正案全般に於きまして、耕作者の立場か如何にも弱い所があり、又其の小作關係等に於きましても改善すべき點があると云ふ意味に於きまして此の改正案が出來て居るのでありますけれども、其の事柄は直ちに以て地主の地位又其の利益を無視すると云ふことでないことは勿論でありまして、其の運用等に於きましては、社會的に見まして公正妥當でなければならぬ、是はもう特に説明と申すのもをかしい位で、是は當然のことであると私共は考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=274
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275・三浦寅之助
○三浦委員 只今の説明では、やはり地主の立場も考へると云ふ御説明でありますが、唯書き方から見ると、特に除いたのでさう云ふやうな感じを持つから特に御意見を聽いたやうな次第であります
それから、農業生産力の維持増進でありますが、是は前にも何囘も繰返されたやうでありまして諄いやうでありますが、私は是は非常に重大だから申上げるのであります、農業生産力の維持増進は、先づ最も重要なことは供出であり、供出に付ては、現在收穫期に一定の收穫量を計算して、僅かの保有米を認め、それ以上は全部供出せしめると云ふやうな立場に於て當局がやるやうでありますが、之に依つて果して將來生産力の増強が出來得るかどうか、もう一つは、斯う云ふやうな立場に立つて當局は完全に供出せしめ得ると云ふ確信ありや否やを御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=275
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276・山添利作
○山添政府委員 此の供出制度に付きましては、色々の困難なる問題があり、又今までああもやり斯うもやりと致しました結果、現在に來て居るのでありまして、本年決められました方法、即ち生産されましたものから一定基準に依つて其の農家に必要なる自家用食糧を除きましたものを供出せしめる、是は此の衆議院に設置せられました食糧對策委員會等とも協議の上に、それぞれ各方面の意向を參酌致しまして決定されました案であります、御話のやうに、自家用のものを除いて全部供出せしめることは、是は農家の努力心を殺ぐではないか、斯う云ふ議論がございます、又農林省内部で色々研究を致して居りました時分に於きましては、さう云ふことを色々考慮致して居つたのであります、今申しましたやうな方々の意見を參酌し、又本年度に於ける、食糧の需給状況も考へまして、現在の決定になりましたやうな案に落付いたのでございます、將來食糧事情が緩和せられるに從ひまして、供出方法も亦自然變つて來る點があると思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=276
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277・三浦寅之助
○三浦委員 今のやうな説明は色々聽いたから分るのであります、唯結論は、今のやうな方法に依つて割當てた供出が完全に完成し得ると云ふ確信を持つて居るかどうかと云ふことです、私の考へを以てすれば、今のやうな當局のやり方では、非常に困難が伴ふし、供出は非常に危險である、完成せしめることが非常に因難であると云ふ見解を持ちますが故に、特に心配の餘り念を押すのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=277
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278・山添利作
○山添政府委員 是は私が答辯しても餘り自信がある譯ではないのですから、やはり食糧管理局か大臣から答辯をして戴かなければ…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=278
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279・葉梨新五郎
○葉梨委員長 大臣の出席するまで、保留されては如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=279
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280・三浦寅之助
○三浦委員 それではさう云ふことに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=280
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281・小川原政信
○小川原委員 時間の關係上私は此處で御尋ねしたいと思つて居りましたが、大臣が御出席になるならば、之を御尋ねせぬことに致します、一番最後でも宜うございます、實は三點、此の前の第一條に能く似て居るのですから、前の第一條で御尋ねしようと思つたのですけれども、餘り御喋りしちやつて、實は最後にと思つて三點だけ殘して置いたのです、今日でもどうか、後で宜しうございますから…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=281
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282・葉梨新五郎
○葉梨委員長 第一條改正條文に付ては宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=282
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283・松本六太郎
○松本委員 私もありますが、大臣がおいでになつてからやります、留保して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=283
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284・北政清
○北(政)委員 私は大臣が居らなければ、能く御相談の上御返事を願ひたいと思ふのでありますが、先程三浦さんから御話のやうに、今まで互讓相助と云ふことがないのならば宜い、それを今度わざわざ除いたと云ふことに於て、此の法律は自作農創設でなくて、農地調整法です、調整する上に於て互讓相助の必要と云ふものはないものだ、斯う云ふ考へに變つて來たと云ふことが明瞭なのです、然らば茲に問題の起つて來るのは、是は耕作權なのだ、此の耕作權の確立に付ての限界と云ふものがはつきりして居らぬ、だからそこをはつきりさせることが大事なのだ、あとはもう法律一點張りで行くのだ、地主と小作と腕づくの喧嘩をやらせる、斯う私共は見解を下して居る、今さうでないないと農政局長がなんぼ返事をしても、そんなら除かぬでも宜い、何で除いた、其の除いたことで此の精神は分る、やらう、御命令に從つて戰ひをやりませう、私は斯うだと思ふ、それには法律的にはつきりして置かなければならぬ、そこで其の耕作權の限界、之を能く御研究、御相談の上御囘答を願ひたいのであります、此の一條は是で質問を終了したと言はぬと云ふことだけ申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=284
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285・三浦寅之助
○三浦委員 それからやはり「農村平和の保持を期する爲」と云ふやうなことを除いて居るのでありますが、此の自作農創設、農地調整法の條文から言つて、二箇年以内に之を完成すると云ふことは、農村從來の因縁錯綜し、利害複雜な状態に於て、非常なる利害衝突や紛爭が續出すると考へらるるのでありますが、さう云ふやうなことを豫想して、特に農村平和の保持と云ふことを除いたのかどうか、それとも又斯う云ふやうな非常に複雜なことがあつても、完全に農村平和の保持をなし得ると云ふ確信を今の當局が持たれて居るかどうか、更に色々の農村の紛爭を考へる場合に於て、非常に心配な點が多いのでありまして、さう云つたやうな點に對して、農村平和の保持を完全に期すると云ふ確信があるかどうか、其の點に對する御所見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=285
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286・山添利作
○山添政府委員 勿論農地改革の問題に付きましては、具體的な場合に於きましては色々問題が起り得ることはあると思ひます、併しながら其の問題があることは事實で、其の問題を解決致します──と申すとをかしいのでございまするが、此の處理の方法は農地委員會に依つてやるのだ、而して其の農地委員會は、地主の代表あり、小作者の代表あり、其の代表者が寄りまして、懇談し、研究し、又議論をして、公正妥當なる結論を得ようと云ふ譯でございまするから、是は所謂民主主義の原則に依りまして問題が處理される、斯う云ふ關係でありまして、別に利害の對立と云ふことは到る處にある、唯其の利害の對立を如何に處理するかと云ふ問題であります、其の手段としての農地委員會の運用と云ふことに付きましては、それは旨く行くと云ふ風に考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=286
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287・葉梨新五郎
○葉梨委員長 宜しければ次の條文に移りたいと思ひます、第四條を朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=287
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288・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第四條 農地の所有權、賃貸權、地上權其の他の權利の設定又は移轉は命令の定むる所に依り當事者に於て地方長官の許可又は市町村農地委員會の承認を受くるに非ざれば之を爲すことを得ず
前項の許可又は承認には條件を附することを得
第一項の許可又は承認を受けずして爲したる行爲は其の効力を生ぜず
第四條の二乃至第五條を削る。
第六條中第二號及び第三號を削り、第四號を第二號とし、以下順次二號づつ繰り上げ、同條を第五條とする。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=288
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289・中原健次
○中原委員 第四條の規定は所謂不當なる土地の返還を要求することを調整する爲に大切な條項であると考へます、此の土地取上の現在の状態は、先般來本委員會に於ても屡屡論議されたと思ひまするが、さうして又當局の資料の中にも、土地取上状況に付ては實に驚くべき數字を御報告になつて居られます、而も其の政府の發表されました數字にも勝つて、現在はそれに倍する以上の取上事件が續發致して居るのでありまして、殊に又農地調整のことが問題になりまするや、地主階級の諸君は、農村民主化に對する理解をすることが出來ず、飽くまで自己の立場を防衞せん爲の所謂必死の攻勢に出て居るのであります(「ノーノー」)さう云ふ關係から、最近持上つて居りまする返還要求の事柄は、其の殆どが爭議の状態を辿つて居るのでありまするが、爭議の状態を辿つて居ると云ふことは、其の取上の眞相が肯き難いものを孕んで居ると示すことを自ら證明するものであるまして、其のやうな經緯もありまして、從來地主階級としての優位性から小作者に對する色々な手を盡しました、所謂壓制手段に依る不當なる土地取上が澤山其の中に織込まれて居るのであります、固より私も特別な例外を承知して居りまするが、其の大多數に於ては不當なる内容を持つて居るのでありまして、政府とせられましては、所謂農村民主化、我が日本の民主化徹底の爲に此の調整法の運營が極めて重要であると云ふことの御理解でありまする以上は、此の點に對して一層深き理解と、さうして妥當適切なる運營を私劈頭要望して已まない次第であります、それに付きまして、現在所謂不當土地取上と稱するものが數々ありまするが、本日茲に其の具體的な内容を列擧する煩を避けまするけれども、取敢ず私の知りまする限りで特に緊迫して居りまする問題は、所謂土地取上に依る權利移轉の登記の問題であります、其の權利移轉の登記が單なる法令の裏を濳りまして、所謂昭和十九年三月以前に其の契約がなされたものかの如き裝ひの下に其の登記が續々となされて居ると云ふ事實があるのであります、勿論登記所としましては之を受付ける事務的な面に於て如何とも致し方がないのだらうと考へられるのでありまするが、現在の日本民主化に對する政府の理解を徹底せしめる爲には、是等の取扱を司法當局としても相當考ふべきではないかと思ふのでありまするが、司法省關係の方はお見えになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=289
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290・葉梨新五郎
○葉梨委員長 間もなく見えるさうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=290
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291・中原健次
○中原委員 司法省關係の方がお見えになつて居りませねば、それでは取敢ず農林當局に此の問題に對する御見解と御決意を先づ承つて置きたいと考へるものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=291
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292・山添利作
○山添政府委員 さう云ふ事實が行はれて居ると云ふことは耳に致して居ります、隨て司法省との間に協議を致しまして嚴重なる取締を致したいと考へて居ります、併し之に付きましては、役所だけで取締ると云ひましても、是は事の事實が分らなけれは中々分りにくい場合が多いのであります、そこで原則的には、最近に於きましては土地移動の許可等も控へて居るのでありまして、さう澤山土地の移動等がある譯がないのでありまするから、是は官廳方面に於きまして取締なり氣を付けますると同時に、其の他の方面に於きましても其の法律の趣旨の徹底と云ふことに付きましては御協力を願ひたいと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=292
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293・中原健次
○中原委員 其の點に付きましては、斯う云ふ態度を御執り願へないだらうかと云ふことに付て申上げて見たいと思ひます、農林當局は所謂當該官廳として、司法省に對して十分さう云ふ御斡旋を戴くと云ふことに付て、其の誠意の程は能く分るのでございますが、大體其のやうな意味に於ける登記に關しては、先づ司法當局をして何とか其の受付を拒否出來ると云ふやうな事務取扱上の便法か考案さるべきではないかと云ふことが一つと、第二は、若しさう云ふことがどうしても不可能である、如何に農村民主化の爲に協力したいと考へても、若しさう云ふことがどうしても出來ないと云ふことであるならば、少くとも昨年の十一月以後になされました登記に付ては、其の契約の成立ちが、只今申上げまするやうに所謂農地管理令改正の時を境としてのさう云ふ契約としての屆出に對しまして特別な考慮を拂ふ、隨て是は農地委員會の愼重なる審査に依つて、少くともさう云ふ事實が見えるならば其の土地の返還決定は之を直ちに取消し、さうして本法に依る所謂買收對象として其の土地を決定すると云ふやうな取扱を農林當局として御決意願ひたいと云ふことに付て、一應御所見を承つて置きたいと思ふものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=293
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294・葉梨新五郎
○葉梨委員長 中原君に申上げますが、本問題は再三再四本委員曾て論議されたのでありますから、成べく要點に盡きるやうに希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=294
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295・中原健次
○中原委員 承知致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=295
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296・山添利作
○山添政府委員 此の第四條の關係は、實は土地取上とは直接關係のない問題であります、土地取上の方は第九條の方であります、今の第四條の問題は結局土地所有權の移轉等が主でございます、今の場合は結局政府の公正買收を逃れる爲に、其の前に賣買があつた、隨て一町未滿に小作地を分散する、さう云ふ戰術に使はれるのがある譯であります、さう云つたことは勿論不當でございますから、是は證明書を付けさせますなり何なり、やはり適當な措置を執る必要があるのではないかと考へて居るのでございますが、能く司法省とも相談を致しまして適當な措置を致したいと考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=296
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297・中原健次
○中原委員 之に關聯致しまして御尋ね致します、是は最近起りました新しい問題であります、只今申しますやうに、承認し難い事情を以て、而も威壓或は懷柔其の他の方法でまんまと土地を取上げて、それを現在既に作つて居る耕作地が多數あるのでありますが、さう云ふ耕作地で作りました米の供出に關する取扱をどうすべきか、斯う云ふ問題が起きて居るのであります、併しさう云ふ關係の土地で作られた米は、やはり耕作者が現在受けて居りまする所の保有米の承認がなさるべきものか、それとも其の保有米を承認することなく、全面的に供出せしめることが妥當ではないかと云ふ見方が生れて居るのであります、是は現在の供出事情から考へまして極めて大切な問題であります、是は所謂耕作者の供出意欲を毒する一つの出來事でもあるのであります、隨ひまして此の點は十分御考究になりたいと思ふのでありまするが、私の意見を以て致しますれば、それは既に其の取上げた土地が不適當である、不當である、適當ではないと云ふことが決定致しまする以上は、其の保有米を認めるべきものではないと云ふことに當然なると存じます、隨てそれは全部的に供出せしめると云ふ取扱ひ方が妥當であると云ふやうに考へますが、農林當局の御意向を伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=297
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298・山添利作
○山添政府委員 それは具體的に市町村或は部落等に於きまして如何に扱ふかの問題になると考へます、併し考へて見れば、不當なる土地取上を致しまして、其の取上が無效である、隨て又元へ還すべきものであると云ふことであれば、それは元へ還すべきであり、又地主が還さぬと云ふことであるならば、裁判所の手續を借りるなり何なり致して是は還すべきでありまして、作つたものと云ふことになりますれべ、是は作つたものとして普通の意味に於ける供出或は保有と云ふやうな扱ひを受けるのではないだらうか、そこで法律關係は──是は法律關係と言ひますか、事柄はそれぞれ分けて措置をすると云ふより外に適當な途がないではないか、是は私は常識的に考へるのですが、どう云ふ事柄が實は能く呑込めないのでありますけれども、不當な土地の取上をした、隨てそれはいけないのだから全部供出せしめると云ふならば、是は其の限りに於ては分る、其の事柄が分らぬことはございませぬけれども、不當だと云ふことであれば土地を返さすことが本來で、作つたものをどうするかと云ふこととは又別に考へなければならぬ、斯う思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=298
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299・北政清
○北(政)委員 第四條に依ると、實質上農民には土地の自由な動かしと云ふものが全然剥奪されて居る譯であります、そこで是で行つて農村の青年でも何でも眞面目に農村に止まる氣にならうかなるまいか、是が他の産業であると建物を建てようと何をしようと自由だが、獨り農民のみには總てのものが動かすべからざる鐵鎖に縛られるのであります、土地に付ては勿論、生産物にしても、所謂供出と云つたやうな、まるでお殿樣にでも差上げるやうな名前を付けて取上げる、而も其の値段は二束三文である、こんなことでどうして日本の農業が發達して、食糧が充實しようか、第一條にあなた方の書いたものは悉く嘘の皮です、農民の動かせるものが一つでもあるか、農民には絶對自由を與へず、特殊民族だ、斯う云ふ考へ方で居られる、口ではさうでないと言はれるかも知れぬが、それは口だけのことです、是で日本の食糧が安定する程生産が増加されると考へられるか、青年は次第に農村を去つてしまふ、それに配給よりも餘計食ひたいと云ふ者が殖えた、本當の一町歩、二町歩の農家は八萬戸に減つて居る、現在に於て農林省は一體どう見て居るか、此の上是をおやりになる所の信念を承つて置きたい、それから命令事項に付ては、是は私は特別な委員會でも設けて其の委員會でやらなければ駄目だと思ふ、お役人だけの小手先で拵へた命令事項と云ふものは實際に合はぬのではないか、そこで此の命令事項の決め方に付ては誰が決めるのか、「地方長官の許可又は」とあるが、是は地方長官がやつても宜いと云ふのか、市町村農地委員會でも宜いと云ふのか、其の點がはつきりしない、是が、又は農地委員會の承認を得て地方長官が決めるとか、斯う云ふことならばいざ知らずであるが、どうも是では何處までも官僚統制の形を以て農村を握り込まんとして居るのがはつきりして居ると思ふ、そこで斯うすれば官僚の勝手にならぬと云ふことに付てはつきり御答辯願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=299
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300・山添利作
○山添政府委員 農村にも自由性を囘復、特に經營に於ける自由性の囘復が望ましいのは當然でございまして、今の供出制度のやうなことに付きましては、國として安定せしむると云ふ意味に於ける大きな價格政策を執る、あとは別に強制をしないと云ふ建前が原則で、それは食糧事情が緩和されれば當然さう云ふことになり、又さう云ふことが早いことを私共も願つて居る譯であります、心持ちに於きましては今北さしが御述べになりましたことと私共の考へて居ることとは全然違はぬので、北さんの御考へになつて居るやうに私共も考へて居るのであります、唯第四條の點に付きましては目的が示してございませぬので、御述べになりましたやうに、何でも彼でも縛ると云ふやうな印象を與へるのであります、併し此の第四條の目的と致して居りまする所は、農地の兼併を防ぐと云ふことが一つであります、是は折角自作農創設特別措置法等に依りまして農地改革を行ひましても、又土地の兼併が行はれると云ふやうなことでは困りますので、さう云ふ點は防いで行かなければならぬ、又隨てさう云ふやうな場合に於きまして、土地の所有權の移轉と云ふやうなことに付きましては、地方長官の許可制度に致しまして、相成べくは自作農から自作農へと云ふ形を續けて行く、さう云ふ趣旨に於きまして農地が農業者以外の手に理由なく移ると云ふやうなことを防いで行くのが此の目的でございます、又第四條の他の目的と致しましては、農地の利用關係を公正に調整致しまして、個々の農家に取りまして、又國全體としても其の生産力を上げて參る、即ち農地の所有權でなくて賃借權、言ひ換へれば誰に小作させるか、斯う云ふ小作關係を移動致します場合に、市町村農地委員會の承認を受けしめる、其のことに依りまして必要以上に、家族勞力の範圍まで超えて或る人の所に小作地が集まると云ふやうなことを防ぐ、逆に又家族勞力は多いけれども耕地が少いと云ふやうな人に小作地を振向けて行くやうに致しまして、全體としての生産力を増加し、又農村に於ける釣合ひの取れた農地の利用關係を實現して行きたい、斯う云ふ意味でございまして、謂はば後見人と云ふやうな全體の立場に於きまして、さう云ふ農地關係の權利の移動を見て行かう、斯う云ふ趣旨に外ならないのであります、隨て所有權の移動に致しても、又小作關係の變更に致しましても、それが只今申しますやうな趣旨に於て行はれる限り、是は無條件に許可があり、又承認がある譯でありまして、特別に官僚的な意識があるとか、或は官僚化した委員會の意識で權限を握つたり、ものを取運んだりすると云ふ考へ方では毛頭ないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=300
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301・北政清
○北(政)委員 唯通り一遍の御返事でありまして、實際上に於ては土地を動かすことは出來ぬ、賣買の權利もない者に誰が金融する人がありますか、是で農村金融は全く止せる、一たび火災を起した、或は水害に遭つたと云ふ場合に、直ちに土地を資金化、金融化することは一つも出來ない、又土地の兼併を防ぐには中小地主でやつて行ける方法にすれば兼併されないのであります、今まで資本家の思ふが儘になつた、都會の者が他で儲けた金は金利は上らぬでも、是でやつて行く、斯う云ふことをやらして行く、今あなた方が何と仰しやつても、鎌一丁四十圓で賣付けられる、さうして三百圓や六百圓の米が出來る筈がない、そこで其の場合都會の金を持つた人は、何時かは又政府も迭るだらうし、其の内に金の價値も上るだらうと考へやうが、併し農民自らはどうにもならぬ、動きが付かぬものである、農村の青年の前途に何の樂しみを持たせますか、唯牛馬の如く、毆り使はれるだけだ、此の觀念で行つて日本の農業生産がどうなるか、斷じてせなければならぬ、あなた方が第一條に書いたことは嘘僞りだ、自作農創設に書いたことも嘘僞りだ、斯樣な口先だけの虚僞な行き方では駄目だ、眞劍にどうしたら出來ますか、農民に何の自由がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=301
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302・葉梨新五郎
○葉梨委員長 北君、發言中でありますが、申上げます、あなたは第一條の質疑は大臣の出席まで保留せられて居る、只今の御意見は總括質疑の際におやりになつたことを又重ねておやりになつて居るやうでありますが、どうか條文の質疑は成べく急いで濟まさうではございませぬか、其のことを御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=302
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303・北政清
○北(政)委員 宜しうございます──第四條はそれで完全に縛つてしまう、そこで民主的なものが含まれて居ないから言ふのです、第四條を此の儘で置くか置かぬと云ふことは重大な問題だ、唯何でも彼でも農民を縛り付けた儘で行く規則ではないですか、之に對して、唯法は此の儘にして置いて、俺の心持ちはさうでない、一たび法律になつて出た以上、法の運用者は必ずしもあなたではない、ですから茲に解釋と云ふものをはつきりして置かなければならぬ、此の際私はさう云ふ意味合に於て、農村金融に於ても、農民と云ふものから自由を除いたのでは何にも出來ませぬよ、之に對して政府は出來る自信があるか、過般も農林大臣は協同組合の金融でと言はれた、是で何がやれるか、やれる御自信があるなら其の自信を披瀝して戴きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=303
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304・山添利作
○山添政府委員 是は農林大臣が答へましたやうに私共も協同組合の系統に依る所の金融に依りたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=304
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305・北政清
○北(政)委員 協同組合は何を當てにして貸しますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=305
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306・山添利作
○山添政府委員 それは結局農地其のものを對象としてやる譯でありまして、其の場合に許可制度になつて居りましても、それは融通を不承認にすると云ふ譯ではないので、結局それが他の農業者の手に行つて、同じく又自作地として經營されると云ふことであれば宜い譯であります、そこには又多くの自作者たる買ひ手がある、隨て許可制度がございましても、買ひ手は澤山ある譯であつて、隨て成程制限ではございますけれども、農地の擔保價値と云ふやうなものを、さうひどく減損すると云ふことにはならないと私は考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=306
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307・三浦寅之助
○三浦委員 此處に「地方長官の許可又は市町村農地委員會の承認」とありますのは、是は地方長官の許可でも宜しい、市町村農地委員會の承認でも宜しい、どちらでも一つ受ければ宜いと云ふ意味ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=307
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308・山添利作
○山添政府委員 是は命令で書き分ける譯でございまして、所有權等に付ては地方長官の許可を受ける、又賃借權の設定等、即ち小作關係の變更と云ふことに付きましては、市町村農地委員會と云ふ風に分けるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=308
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309・三浦寅之助
○三浦委員 只今北さんの質問に對して、局長さんは、擔保價値を減損すると云ふ意味でもない、詰り農地を對象として金融も出來ると云ふやうなことを御答辯になつたのですが、私は今まで二、三囘やつたのですけれども、結局金融の對象になると云ふことであれば、其の結果が金錢の支拂をしないと云ふやうな場合に於ては、結局強制競賣か何かの方法に依る以外に效果がないやうに思ふし、それから擔保價値が減損しない場合に、抵當權の設定とか、其の他のさう云ふ物權的の設定も簡單に承認するのかどうか、先程答辯がなかつたのでありますが、所謂強制競賣の場合に、既に強制競賣があつてから、而も誰ががそれを買受けてから、やはり更にそれが地方長官なり何なりの許可がないと云ふやうな場合には、若しないと云ふならば、強制競賣は無效になつてしまふ、其の條文が──出來たら其の條文の根據を御示し願ひたい、強制競賣でなく、地方長官が許可しないと強制競賣が無效になる、段段私には分らないやうな結論が出て來るのでありまして、其の點を御答へ願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=309
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310・山添利作
○山添政府委員 是は民事訴訟法の第六百六十二條の二と云ふのにあるのであります、是は競賣に參加する人等を制限したり出來るのでありますが、偖てそれでは競賣をやらして置いて、それを後から又地方長官が審査をして許可すると云ふやうなことは出來ない、是は秩序を破壞するやうな結果になりますから、是は豫め其の範圍を制限すると云ふやうな措置を執つて置くべきものと考へて居るのであります、私よりも專門家の方がおいでになりますから、其の方から御答へ戴く方が適當だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=310
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311・中原健次
○中原委員 民事局長お見えのやうですから一寸要點を申上げます、本法案の改正案の第四條でありますが、即ち此の權利の移轉に關する登記の手續のことに關聯しまして、大體適當ならざる土地の返還要求がありまして、從來土地所有者の地位の優位性の上に更に無理押しが利いて、其のやうな納得出來難い事情にも拘らず、土地が返還されて行つたと云ふ事實があるのでありますが、さう云ふ合法的ならざる土地の取上を決定致しました趣旨は、直ちに所謂權利移轉の登記を致す場合に、即ち農地管理令改正の所謂昭和十九年三月以前に於て、既に其の契約は成立して居るのであると云ふことを條件として申請をして居る場合が多いのであります、而もそれが最近屡屡行はれて居るのでありまして、それは事實を御取調になれば自ら明かになると思ふのであります、さう云ふことが今更ら農地調整が削除されたことに依つて、新しくさう云ふ合法的ならざる取扱方を一應農地管理令の改正のそれを根據として申請して居ると云ふやうな事實に對して、唯之を機械的に事務的にだけ司法當局が御取扱ひになることは、此の農村民主化を國が要請し、政府が熱願して居ります今日甚だ遺憾千萬なことである、斯樣に思ふのであります、隨ひましてさう云ふ取扱に對する局長の御所見、御決意等を伺つて置きたいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=311
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312・奧野健一
○奧野政府委員 只今の御質問は、三月二十四日以前に農地の所有權等の讓渡契約があつたとして、其の權利移轉の登記の申請があつた場合に、どう云ふ風に之に對して處置すべきかと云ふ風に御伺ひ致したのでありますが、御承知のやうに、現行登記法に於きましては、登記官吏には實體的の審査權がないと云ふことになつて居りまするので、御質問のやうな登記の申請があつた場合は、契約書等がさう云ふ風に出來て居る、所謂形式的に申請書類が完備して居ります以上、登記官吏としては、それが果して契約書通りの實際であるかと云ふ、實質に立至つてまで審査する權限がないと云ふことに解釋されて居るのであります、隨て形式的に完備して居れば、一應登記官吏として受理せざるを得ないやうに現行の不動産登記法ではなつて居ります、併しながら假に登記がさう云ふ風になされても、實質に於てそれが嘘であつて、三月二十四日以前の契約でもないのに、契約書を故意に遡らせて登記を受けたと云ふことでありますと、是は刑法上明かに公正證書の原本に不實記載をなさしめたと云ふ犯罪を構成する譯でありまして、此の意味に於て其の取締を嚴重にして、其の脱法行爲を防止すべきものであらうかと考へる譯であります、そこで此の問題に付きましては、私共と致しましても非常な關心を持つて居りまして、本年の三月二十二日附通牒に依りまして、斯かる登記の申請があつた場合には、登記所から府縣の農務課に斯う云ふ申請が出たと云ふことを通知しろと云ふ通牒を出した譯であります、通知した結果、府縣當局に於て果してそれが眞實であるか或は脱法行爲のものであるかと云ふことを能く檢討されて、若しそれが犯罪を構成すると云ふ場合に於きましては、府縣當局に於て適當な處置に出られると云ふこと、所謂脱法行爲の取締の強化と云ふ意味を以ちまして、斯かる登記の申請がありました場合には府縣の農務課に通知するやうにと云ふことを、私の方から三月二十二日附で通牒を致したのであります、それ以上登記官吏が實質に入つて、斯う云ふ契約書になつて居るが、それはさうでないのではないかと云ふことを、實質的に推問するとことを許しますことは色々弊害を生ずる虞がありますので、一應さう云つたやうな疑はしき場合に於ては府縣の方へ通知をする、後は縣當局等に於て農業取締の見地から監督權の發動に俟つ、大體斯う云ふ風な取扱で行くと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=312
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313・中原健次
○中原委員 所謂形式的の取扱の上では御尤もと存じまするし、其の通牒の心遣ひに付きましても洵に結構だと思ふのですが、實際は所謂虚僞の申告書を作成したかしないかの疑問があるやうな眞相が伏在する場合もあるのであります、詰り兎に角判は捺したが、實際は先程申しましたやうに、從來農民は實に封建的な立場に置かれて居りました關係上、大きいものには常に卷かれ勝でありまして、嫌であつて、本當に心に副はないけれども、地主さんから色々な手を盡して言はれたものであるからつい判を捺んたと云ふやうな場合が非常に多いのでありまして、さう云ふやうな因縁を認めると云ふことになりますと、農地改革は恐らく期して待つべくもないのであります、そこでさう云ふやうな眞實に小作人が承諾せざるものを、色々な手を盡して承諾せしめて之を決定した其の契約は、決して合理的なものではないと云ふ認識に立つて取扱がなされなければ、本當に農村の封建性を追拂ふことは難かしいのであります、隨ひましてさう云ふやうな眞相を十分知ることが出來ますと、只今法律的には色々御困難な點があると勿論想像致しますが、現在我が日本の國の行き方と致しましては、相當大きい決意を以て斯くの如き巧妙なるやり方に對する對策を考へられる必要があるのではないか、それを唯單に、さう云ふ通牒に示されるやうな意味に於て、それが違法行爲であるならばと云ふ程度では、實際は違法行爲でないと云ふ答へが出來るだけに整つて居るのでございまして、さう云ふ點を形式的に其の儘認めるのではなくして、其の問題の中に内在する所の眞相を掴み上げて、之を處理して行くと云ふ扱ひ方が、今後はどうしても必要になつて來る、即ち我が日本の民主化斷行の爲には相當大きい決意が必要ではないか、斯樣に思ふのであります、斯う云ふ末端的な問題ではありますけれども、是が今後を規定する非常に大きな岐れ路になるのでありまして、司法當局に於かれましては、現在の斯う云ふ段階に對する御認識を十分御持ちを戴かなければならぬ、此の問題に對しては、唯單に法律家的な取扱ひ方だけではなしに、もう少し政治的な取扱ひ方が望ましいのではないか、斯樣に私は思ふのでありますが、尚ほ所謂第一次修正の農地法が實施された二月でありましたか、其の時を轉機として、それ以後に於ける屆出は少くともより一層之を否定する強力な理由が成立つのではないか、即ち少くとも農地委員會が之を承認せざる限り、左樣なものは其の實體が承服出來ない、文書の上で如何に纒まつて居らうとも、農地委員會が之を不當なりとするならば、是は先づ不當なものとして取上げて行くと云ふやうな扱ひ方も要るのではないか、隨ひまして農地調整法第一次改正法律が施行されました其の時を分岐點として、そこから以後に於ける屆出に對しては、特に峻嚴なる方法に依つて之を識別し取扱つて行くと云ふやうななされ方が望ましいのではないか、斯樣に思ふのであります、隨ひましてさう云ふ取扱ひ上の問題に付ては農林當局と十分御協力戴きまして、成程と思へるやうな取扱の方法を此の際御考案願ひたい、隨ひまして二十一年二月を境と致しまして斷乎とした態度を以て之に臨むと云ふやうな行き方が出來るものかどうか、之に付ての御所見を伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=313
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314・奧野健一
○奧野政府委員 此の前に御答へ申しましたのは司法省としての大體の現在の取扱であります、私事を申して甚だ恐縮でありますが、私は前任地に於きましては仙臺の地方裁判所長を致して居つたのでありますが、仙臺に於きましては、此の一定の期日前に契約書に依る登記の申請があつた場合には、寧ろ是は或る疑ひを持つて、さう云ふ場合には積極的にそれが本當に其の期日以前に契約があつたのだと云ふことの證明を、例へば地方事務所等で證明をしたものを持つて來い、是はどの程度に強く──それを持つて來ないが爲に却下出來るかどうかと云ふ法律問題まで遡りますと、色々問題があるかも知れませぬが、政治的に考へまして、眞實のさう云ふ前の契約があつたのだと云ふことの、地方事務所であるとか或は農業會であるとか、さう云つたやうな公的なものの證明書を持つて來いと云ふ風に、一應行き過ぎであるかも知れませぬが、さう云ふ風な通牒を登記所に出したことがあります、それに付きましては、法律的にそれが何處まで押し通し得るかと云ふことはやはり疑問があると思はれますので、民事局長に代りましてからは、先程申しましたやうな、稍稍手緩いかと思ひますが、縣の方へ通知すると云ふ程度の通牒を出した譯でありますが、先程申しましたやうなことも或は考へ得るのではないかと云ふ風に考へて居りますので、此の點は尚ほ農林當局とも能く協議を致しまして、適當に工夫を致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=314
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315・中原健次
○中原委員 一言附加へて置きます、懇切な御答辯でありまして非常に滿足致しますが、現在の農業會或は町村長と云ふやうな機關は、甚だ遺憾でありまするけれども、必ずしも適切なる報告をなし得る條件を持つて居ない、所謂過去に屬する一つの公的な機關でありまして、所謂日本民主化に對する、それに即應した機關でないと云ふことは、最早十分論議し盡されて居る今日でありますので、今後はさう云ふ機關の承認ではなくて、もう少し民主的な機關の認證に依つて之を受付けると云ふやうな取扱方をなされることを一言希望致しまして、此の質問を終つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=315
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316・三浦寅之助
○三浦委員 丁度司法省の方が見えて居られるから御伺ひするのですが、先程の局長さんの強制執行の問題に對する答辯は、どう見ても私はまだ腑に落ちないのであります、局長さんの話では、農地に對する強制競賣は可能だ、唯競落後に於ける地方長官か何かの許可がなければと云ふやうな趣旨に於て、民事訴訟法の第六百六十二條の二項を御示しになつたのでありますけれども、此の條文から見ても私は今の局長さんの御答辯は大分違つて居ると云ふ風に考へざるを得ないのでありますが、どう處理するか、農地も強制競賣が出來るかどうか、若し出來ないならば、どう云ふ場合に出來ないのか、先づ農林當局は強制競賣は出來ると云ふ見解なのです、それが出來るなら出來るで宜いのですが、出來るかどうか、若し強制競賣が出來て、それで競落した者は、それならば此の所有權を完全に取得することが出來るかどうか、取得することがいけないなら、どう云ふやうな制限があるか、其の點をはつきりして戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=316
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317・奧野健一
○奧野政府委員 農地に對しましても強制執行が出來ると考へて居ります、強制執行に依つて強制競賣をやりまして、強制競賣に依つて競落後に於て所有權を移轉するには、やはり地方長官の許可を必要とする、隨て契約に依つて所有權を移轉する其の前に地方長官の許可を必要とすると云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=317
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318・三浦寅之助
○三浦委員 それがどうしても腑に落ちない、或る一定の條件を附して競賣するなら別ですが、唯所有權取得の場合に地方長官が許可すると云ふのであるが、それでは強制競賣の意味が全然なくなるし、それこそ競賣と云ふ意味が根本から破壞されるやうな氣がする、今の第六百六十二條の趣旨はさうではないと私は思ふ、此の第六百六十二條の意味から見ますと、強制競賣前に賣却の條件を變更するのだから、是は強制競賣を開始する前の處置ではないかと思ふのでありますが、此の條文からはどうしても判斷出來ないのです、それでどう考へても私には腑に落ちないから繰返して聽きたいのです、それからもう一つ、強制競賣が簡單に出來るか、私は出來るのが惡いと言ふのではないけれども、又是から見ると、強制競賣が出來るやうにも考へられる、併し強制競賣で競落すれば、今度誰でも勝手に競落に依つて所有權を取得すれば、此の規定と云ふものは又色々破壞される結果になるのであります、それは所有權を移轉するのに許可を得るけれども、競賣で行くなら、それは何も許可は要らないと云ふやうに簡單になつて來るので、さう云ふやうに色々法規上惡用される心配がある、それが惡用されると此の法律の第四條の條文は根本的に破壞されるやうな疑問も起る、それで私は再三繰返し繰返し、實は御迷惑と思つたけれども質問した譯であります、此の點の見解をはつきりして貰ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=318
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319・奧野健一
○奧野政府委員 強制執行自體と致しましては、只今仰せの條件と云ふことは入らないのではないか、唯此の第四條では所有權の移轉をするに付ての條件と云ひますか、許可を必要とする、隨て所有權移轉の所までは何等の障碍なく進んで行く、所謂差押をして競賣手續を行ふと云ふことまでは行きますが、最後の競落に依つて所有權が移轉すると云ふ時に、それが農地でありますと、此の許可がなければ效力を發生しないと云ふことに突當りますので、其の時までに許可を得て居れば完全に所有權の移轉が出來る、それまでは強制執行をどんどん進めて行くことが出來る、是は甚だ法律的で形式論的に御考へになるかと思ひますが、結局押へて居るのは、移動所有權の移轉の所だけを押へて居る、それまでは此の一般法規に依つて進めて行くと云ふ風に考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=319
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320・三浦寅之助
○三浦委員 どうも其の點が腑に落ちませぬ、それなら更に進んで今度は地上權、賃借權と云ふやうな一種の權利、そんな權利に對する強制執行ですが、斯う云ふものも、普通ならば權利に對する強制執行も相當考へられる事件もあるのです、最近差押へられた中にさう云ふ點もあるが、斯う云ふ點の御見解はどうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=320
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321・奧野健一
○奧野政府委員 此の地上權等に付きましては、今一寸條文を持つて居りませぬが、恐らく民事訴訟法の第六百二十五條と思ひますが、財産權の強制執行として、讓渡命令に依つて移轉せしむる爲には地方長官の許可が必要であると云ふのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=321
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322・三浦寅之助
○三浦委員 私が心配するのは、私もさう云ふ讓渡命令が出來るやうに考へられるものですから、さう云ふことにすれば、愈愈實際の耕地の運用上非常に惡用されて、大きく影響するのではないかと思ふので、唯はつきり法規の根據を當局から御示し願ひたいと思ひます、希望だけ述べて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=322
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323・松浦薫
○松浦(薫)委員 地上權の問題が出て居りますからして、之に關して一言質問させて戴きたいと思ひます、地主がありまして、小作があり、更に又小作人がある、斯樣な場合に、先般當局は自作たり得る者は又小作人である、斯樣に御答辯戴きましたが、是は間違ひないのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=323
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324・山添利作
○山添政府委員 小作人が一時借りて居つたと云ふ場合を除きましては、今御話の通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=324
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325・三浦寅之助
○三浦委員 其の場合に於きまして、地方に依りましては地上權と云ふものが所有權より以上に高い場所があるさうでございまして、其の場合小作人が自作農になる爲に、此の地上權の支拂に對して之を如何樣に取扱ふか、當局は何か御方針を持つて居られるか御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=325
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326・山添利作
○山添政府委員 所謂作株を發生して居る甘土地權の問題でございまするが、是は地主に對して地價を拂ひますると同時に、其の甘土地權を持つて居りまする人に政府の方から補償を致します、其の地主に拂ひます土地代金と甘土地權者に拂ひまする補償金の合算額が、大體普通の場合に於ける地價に相當するものである、斯ふ云ふことを屡屡申上げて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=326
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327・松浦薫
○松浦(薫)委員 さうしますると、地上權を持つて居る小作人と云ふものは政府からやはり補償を貰ふ、斯う云ふことになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=327
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328・山添利作
○山添政府委員 其の通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=328
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329・松浦薫
○松浦(薫)委員 それはやはり證券で貰ふのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=329
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330・山添利作
○山添政府委員 證券で支拂ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=330
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331・松浦薫
○松浦(薫)委員 さうしますると、是は從前非常に多額なものを拂つたと云ふ場合がありましても、今の御話では、兩方合せたものが大體價格となるならば、それ以内と云ふことになる、是は拂つた金額より減ると考へます、それは已むを得ないと考へられて居るかどうか、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=331
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332・山添利作
○山添政府委員 是は農地價格を全般的に統制して居ります理由から見まして、結局創設される自作農が長く安定して經營をやつて行ける價格でなければならぬのは申すまでもありまぜぬが、其の意味から申しまして、御指摘になりましたやうな場合がございましても、是は已むを得ないと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=332
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333・松浦薫
○松浦(薫)委員 さう致しますると、地主はやはり同樣に取前が非常に少くなると云ふことになるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=333
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334・山添利作
○山添政府委員 少くなると申しますか、普通のさう云ふ權利が付いて居りませぬ土地よりも低い値段を受けると云ふことに當然なる譯であります、是は普通の場合に於きましてもさうでなければならぬと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=334
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335・松浦薫
○松浦(薫)委員 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=335
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336・葉梨新五郎
○葉梨委員長 第四條に關する質疑がなければ、次に第五條に移ることと致しまして、此の際六時まで休憩致します
午後五時十六分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=336
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337・会議録情報3
――――◇―――――
午後六時七分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=337
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338・葉梨新五郎
○葉梨委員長 休憩前に引續き會議を開きます、「農地調整法の一部を改正する決律案」の第五條より審議に入ります、第五條を朗讀せしめます
〔「第五條はない」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=338
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339・葉梨新五郎
○葉梨委員長 第五條は形式的のことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=339
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340・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第五條 前條の規定は左の各號の一に該當する場合には之を適用せず
一 第三條の團體が同條の事業を行ふ爲前條に掲ぐる權利を取得する場合
二 前條に掲ぐる權利の取得に關し當事者の一方が國、都道府縣又は農地開發營團なる場合
三 土地收用法其の他の法令に依り農地を收用する場合
四 其の他命令を以て定むる場合発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=340
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341・山添利作
○山添政府委員 改正第五條は元の法律の第六條に相當するのでありますが、元の第六條の中から第三號を落したのであります、此の第三號を落しました理由は、第三號に依りますると、土地の賣買を致します場合に、自分は之を自作するのだと云ふ建前で百姓が買ひます時分には許可は要らない、斯う云ふことになつて居つたのでありますが、是は元の農地管理令等に於きましては、さう云ふ場合に於ても許可を要することになつて居りました、又今囘に於きましても、先程申しましたやうに土地の兼併を防いで行くとか、或は適當なる農地の利用關係の調整を圖つく行くと云ふ意味からは、さう云ふ場合に於きましても一應許可制度に掛けると云ふことが適當と考へますので、此の第三號を落したと云ふのであります
〔「進行」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=341
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342・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質問がございませぬければ第六條に入ります、第六條を朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=342
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343・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第六條 農地の所有者、賃借人、永小作人其の他權原に基き農地を耕作することを得る者其の農地を耕作以外の目的に供せんとするときは命令の定むる所に依り地方長官の許可を受くべし
前項の許可には條件を附することを得発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=343
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344・山添利作
○山添政府委員 此の第六條は新しく入つたのでございますが、是は耕地の潰滅──統計の上の言葉では潰滅と云ふやうな言葉を使つて居りますが、要するに耕地を耕地として使はない、それ以外の用途に供すると云ふ場合に、濫りに此の農地が不必要なる用途轉換を受けることがないやうに、地方長官の許可制度に掛けたのであります、農地を大切にして行かう、斯う云ふ趣旨に外ならぬのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=344
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345・葉梨新五郎
○葉梨委員長 此の命令事項の所にある「五十坪未滿の農地」「其の他農林大臣の定むる農地」と云ふことに付ての「許可申請の手續」云々と云ふことでありますが、此の五十坪未滿の農地と云ふのを特に此の命令事項の説明の中に入れたのは、農家の宅地と云ふやうな意味を以てでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=345
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346・山添利作
○山添政府委員 餘り小さい場合まで一々やりますと、又窮屈でございますので、小さいものは宜からう、斯う云ふ趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=346
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347・吉澤仁太郎
○吉澤委員 一寸御伺ひ致したいと思ひます、農地の所有者は分りますが、「賃借人、永小作人其の他權原に基き農地を耕作することを得る者其の農地を耕作以外の目的に供せんとする」と云ふ此の項でありますが、賃借人若しくは永小作人が農地以外の目的に供せんとする場合と云ふのは、どう云つたやうな場合を指すのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=347
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348・山添利作
○山添政府委員 是は權原を持つて居る人を皆擧げたのであります、私が申しましたやうに、土地の潰滅と言ひますか、其の他の用途に供すると云ふ場合は、概ね所有者がございますのが通例でございますけれども、其の他の場合も若しあるとすれば、許可を受けなければならぬ、斯う云ふ意味に於きまして加へたのでありまして、特別にさう云ふ場合が何であるかと云ふ所まで想像致して書いた譯ではないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=348
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349・吉澤仁太郎
○吉澤委員 では斯う云ふ場合はどうなるでありませうか、今まで耕地でありましたが、例へば畑であつても宅地に變更したい、所謂地目變換して宅地に使用したいと云ふ場合、所有者でなく、賃借人がなすことを得ませうか、又なすことを得るとしたならば、其の後に於ける賃貸料はどうなるかと云ふことに付て當局は御考へになつて居りますか、承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=349
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350・山添利作
○山添政府委員 是は借りて居る方に於きまして、所有者の承諾を得ないで、濫りにさう云ふやうに土地に本質的變化を加へると云ふことは出來ないのではないか、隨てさう云ふ場合に於きましては、所有者と借りて居る方との間の協議に依ることと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=350
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351・中原健次
○中原委員 此の「地方長官の許可を受くべし」と云ふことですが、やはり此の場合地目を變へ、目的を變へると云ふことになるとすれば、農地委員會の意思に問ふと云ふやうな必要はないものでせうか、其の方の御見解を承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=351
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352・山添利作
○山添政府委員 是は具體的な事情に基いて判斷をする必要があり、其の爲には農地委員會等を經由する、又農地委員會の意見を附せしむると云ふことが適當だと考へて居ります、それ等のことは命令で以て規定致したい積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=352
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353・北政清
○北(政)委員 又北海道の問題ですが、北海道は水田は二十箇年免租になつて居るのです、そこで宅地も其の場合別に分けない、畑地も田、地目の儘です、現在三分の二まではさうだらうと思ふのですが、北海道に於ては之を新たに宅地に直さなければならぬと云ふことになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=353
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354・山添利作
○山添政府委員 是は實際上の用途の問題を規定して居るのでありまして、所謂土地臺帳に於ける地目變換と云ふこととは直接には關係がないのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=354
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355・葉梨新五郎
○葉梨委員長 宜しければ、第七條に移ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=355
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356・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第七條 命令を以て定むる自作農創設維持の事業に依り創設又は維持せられたる自作地に付ては其の旨の登記を爲すことを要す
前項の登記を爲すに非ざれば同項に規定する自作農創設維持の事業に依り創設又は維持せられたる自作地たることを以て第三者に對抗することを得ず
第一項の規定に依る登記に關し必要なる事項は勅令を以て之を定む発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=356
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357・山添利作
○山添政府委員 此の第七條を改正致しましたのは、自作農創設特別措置法に基きまして、自作農創設事業を行ふことがございますので、それ等のものも同じく自作地の登記をする譯でありますが、さう云ふ意味に於て命令を以て定むると云ふ中にさう云ふものも採入れると云ふ趣旨で字句の整理をした譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=357
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358・葉梨新五郎
○葉梨委員長 宜しければ、第九條を朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=358
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359・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第九條 農地の賃貸人は賃借人が宥恕すべき事情なきに拘らず小作料を滯納する等信義に反したる行爲なき限り賃貸借の解除若は解約を爲し又は更新を拒むことを得ず但し土地使用の目的の變更又は賃貸人の自作を相當とする場合其の他正當の事由ある場合は此の限に在らず
當事業者が農地の賃貸借の時期を定めたるときは當事者が期間滿了前六月乃至一年内に相手方に對し更新拒絶の通知又は條件を變更するに非ざれば更新せざる旨の通知を爲さざるときは從前の賃貸借と同一の條件を以て更に賃貸借を爲したるものと看做す但し賃貸人の疾病に因りて自ら耕作すること能はざる爲其の他特別の事由に因りて一時賃貸借を爲したること明なる場合は此の限に在らず
農地の賃貸借の當事者賃貸借の解除若は解約を爲し又は更新を拒まんとするときは命令の定むる所に依り市町村農地委員會の承認を受くべし
前項の承認を受けずして爲したる行爲は其の效力を生ぜず
第二項竝に民法第六百十七條及第六百十八條の規定に異る小作條件にして賃借人に不利なるものは之を定めさるものと看做す発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=359
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360・中原健次
○中原委員 一寸御尋ね致します、是から市町村農地委員會が働くと致しまして、大體買收の計畫を立てて進んで參ります爲に、斯う云ふ一つの問題が起つて來るのであります、即ち在村の小さい地主がそれまでに必死になつて土地を取上げて居る譯でありますが、若し其の取上が正當なる理由でないと云ふ場合に、正當ならざると看做し得る事情で何れ農地委員會に審査を求めて、是は取消の出來るやうな事情になつたと致しまして、取上を取消し得ると致しまして、偶偶其の在村の小地主が既に其の土地を耕作して居ると云ふ事態が發生するのでありまするが、さう云ふ場合に、其の事情がどうであらうとも、取上げた其の小小作地は買收することが出來ないと云ふやうな取扱になつて參るのではないか、さうしますと、其の取上はどうであらうとも、其の儘に見逃さなくてはならぬと云ふやうな事柄が生れて來はしまいかと云ふやうな一つの憂へが起るのですが、それに對する御見解は如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=360
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361・山添利作
○山添政府委員 不當なものでございますれば、自作農創設特別措置法案の附則の第二項に依りまして、昨年の十一月二十三日現在に遡つて其の時の状況で政府が買收することになる譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=361
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362・中原健次
○中原委員 それで更に農地委員會は今其の權能が大體「ストップ」状態に置かれて居ると云ふことを私共看取して居るのでありますが、どうせ此の改正がなされますれば、直ちに農地委員會の選擧に著手を急がれるであらうと思ひまするが、其の著手された農地委員會が先づ第一番に取上げなければならない問題は、第四條の時に一寸觸れましたやうに、不當なりと看做され得る取上に付て、既往に遡つて之を審査することになると思ひまするが、其の既往に遡りまして、新たに設定されました農地委員會が若しそれを不當であると云ふ認定を下しました場合に、其の認定をどう云ふ風に取上げて行かれるのでありませうか、隨てそれを過去に遡つて、二十年十一月二十三日でありますか、それに遡つて、それ以後の期間に於ける取上は、若しそれが前に申しましたやうに登記濟になつて居らうとも之を取消さしむると云ふ、それだけの權限が農地委員會に與へられるかどうか、當然與へられると思ひますが、其の點もう一度此處で明確に承つて置きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=362
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363・山添利作
○山添政府委員 新しく出來ました農地委員會に於きまして、審査の上、是は明かに不當であると云ふことでありますれば、農地委員會は、取消を俟たずして、其の十一月二十三日の状況に依つて土地の買收計畫を立てることが出來るのでありますが、それは別と致しまして、國が自作農創設の爲にそれを買收するかどうかと云ふ問題とは別に、不當に取上げた土地は之を元の小作人に返還する──一種の原状囘復をすることになる譯であります、それは併しながら農地委員會の權限と云ふことではなくて、斡旋するとか云ふやうな、仲介の勞を取つて、不當なるものは元に戻すやうにするのであります、農地委員會が特別の權限を持つて居る譯ではございませぬが、農地委員會が又さう云ふ任務を持つて居る、斯う云ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=363
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364・中原健次
○中原委員 此の場合、第四條の時に一寸御尋ね致し掛けて中止しました、所謂不當なと看做され得る取上に依つて現在地主が耕作致して居る、其の耕作に依つて生産しました米の處分でありますが、其の供出問題が、私共の解釋では、不當なりと看做され得る事情に依つて取上げた土地に依つての耕作物、それを其の儘認めてしまふと云ふことになりますると、其の不當であると云ふことを又一面承認すると云ふ形になるのではなからうか、そこでやはり所謂保有量を殘させると云ふ耕作者に對する取扱ではなくて、作つて呉れたものを其の儘全部供出せしめると云ふやうな取扱方の方が、左樣な違法行爲を矯める意味に於ても效果的ではなからうか、又理論的に考へても、間違つてされたものを、而も意識的に間違ひをやつたことを承認するやうな取扱をされることはやはり過ちではないか、斯樣に思ふのでありますが、先程の御話の經緯がはつきり致して居りませぬので、幸ひ大臣が御出席のやうでありまするから、大臣の御見解を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=364
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365・和田博雄
○和田國務大臣 是はやはり現在の法制の下では御話のやうな譯には參らぬと思ひます、やはり供出の點は供出の點として、其の者から供出さすべきものは供出さして行く、斯う云ふことになるのでありまして、現在の法制の制度ではそこまでは參る譯には行かないだらう、斯樣に私も考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=365
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366・中原健次
○中原委員 それでは保有量はやはり一定の保有量を認める、斯う云ふことになる譯ですね、それが問題です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=366
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367・和田博雄
○和田國務大臣 それは其の者が自作で──地主が不當な權限で土地を取上げたのではあるが、兎に角自作で耕して居る、斯う云ふことになりますれば、保有量と云ふものは耕作者としての保有量と云ふものが認められます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=367
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368・高倉輝
○高倉委員 此の中にあります「賃貸人の自作を相當とする場合其の他正當の事由ある場合は此の限に在らず」と云ふのは、是は取扱方に依りますと、將來非常に大きなごたごたを農村に生む原因となりますが、此の「相當とする場合」と云ふのはどう云ふ場合を言ふのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=368
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369・山添利作
○山添政府委員 是は既に農林省竝に司法當局共に協議の上、此の解釋に對する通牒も出て居る次第でありまして、それに依りますると、先づ第一に誰が耕した方が能率が上ると同時に、小作人の方に於きましても其の小作地を返還致しましても差支へない、生活に直ちに困ると云ふやうな事情はない、斯う云ふ兩面から致しまして差支へのない、又生産力の點から言へば望ましいと云ふ場合に、正當なものと云ふ風に解釋致して居るのであります、唯問題は、さう云ふ風に公の解釋、又理論に依る解釋が確立して居りましても、斯う云ふことの運用と云ふものは結局其の當時の社會思想と申しますか、さう云ふやうな一般の意識水準と云ふやうなことにも色々關係する譯でありまして、それ等の點に付きまして、只今申しましたやうな思想、又基準を徹底せしめると云ふことは今後とも必要であると存じて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=369
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370・高倉輝
○高倉委員 一應此處に書いてあります條文を合理化することは困難なことではありませうけれども、實際に於きまして、是は地主の土地取上を合理化する一つの結果を生みはしないか、是まであの夥しい土地取上が實際に、昨年農地調整法が出來まして以來、農村に行はれて居つたのは當局も認めておいでになりますし、實際に土地を取上げられたのが是まで多くありました、所で取上げられた方が便利であると考へて取上げられた場合と云ふのはないと思ふ、生産力も上るし、自分達も取上げられても困難はないと思つて取上げられた場合と云ふのは、實際に於ては極めて少かつたでありませう、それにも拘らずあれ程多くの土地取上の問題が起きて居ります、然るに其の結果は、現行農地調整法に於て罰則があるにも拘らず、それが一度も實際に實行されたことがないと云ふことは、是までの實例に顧みましても、耕作者の利益があの法律で擁護されなかつたと云ふ一つの結果を現はして居ると思ふ、此處に斯う云ふことが書いてありますけれども、やはり是からも土地取上を合理化して、小作人と地主との間に新しい紛爭の種を蒔くと云ふことを考へなければいけませぬし、而も是まで實際に於きまして働く小作人と云ふものは農村に於ては極めて力の弱いものであります、農村の政治的な面も、經濟的な面も、主として地主の手に握られて居るのが實際でありまして、小作人の力はなかつた、將來必ず出て參るでありませうが、農地委員會の問題でも、本當に「パーセンテージ」だけで、小作人に有利に之を運營し得るかどうか是は非常に疑問であらうと思ふ、是は先程申しました是までの罰則が實際に適用されなかつたと云ふことが、現在の機構の性格を何よりも能く現はして居ると思ふ、さうしますと、斯う云ふことが、今説明されたやうな意味ではなく、實際に土地取上を合理化する結果になつて、初めに書いてあります第一條の小作人の地位の安定を圖ると云ふことと牴觸する結果を生みはしないかと云ふことを、私共は痛切に考へるのでありますが、此の點に關しては當局はどう御考へになりませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=370
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371・和田博雄
○和田國務大臣 此の法律としましては、此處に書いてありますやうに、自作を相當とすると云ふことに付ては嚴正な、謂はば公正な第三者の立場を取りまして、それで兩者の利益と云ふものを一つ上の立場から見て、どちらが國の經濟力を上げる上に適當であるかと云ふ點から判定をして居るのでありまして、是は相反する利益が存在しまする時には、どうしても法の建前としては取らざるを得ない一つの立場であらうと思ふのであります、此の前の農地調整法が出ました時の土地返還に付ては、相當の數字にも上つて居りまするし、又面積に付きましても、或る程度の面積に亙つて居る譯でありますが、それ等のものに付ての具體的な内容は、やはり中には相當の數は自作を相當とする、所謂此の法律にありまする但書に眞正面から適當するものも私はあつたと思ひます、全部が全部之を以て地主の土地取上を合理化するものだとは言へないと思ふのでありまして、是等の點は尚ほ實際に調停に上りましたもの、又はさうでないものに付て調べますれば、恐らくはつきりしたものが出ると思ひますが、只今農林省の方で、やつて居ることを見た限りに於ては、さう云ふものもあるのであります、是は何處までも此の法制が運用されまする點に付ては、政府としてはさう云つた公正な立場に於て此の法が運用されますやうに、實際上此の條項の運用に當りまする者に對して、さう云ふ公正な立場の解釋を、又精神を浸透させるやうに努めまするが、唯是は何としましても、法律自體が適用されまする其の状態に於ける農民其の他の側の意識水準其の他にもやはり關係を持つて來ると思ふ、そこに於て或る場合に結果的に見れば、又事實不當なものが出て來る、斯う云ふことになる場合もあり得るのであります、是は理論的に考へても、又實際に於てもあり得ると思ひます、そこでどうしても斯う云ふものに付ては是は事實凡ゆる方面から、此の法の運用の衝に當る者として、農地委員會の活用とか、或は此の實際の調停に當る人達の仕事のやり方とか云つたやうな點に付て、公正な立場を取るやうに十分指導をし其の心構へをして行くと云ふことに結局は落付いて來るのでありまして、是があるから常に必ず土地取上を正當化すると云ふことにもならぬと思ふのであります、それから土地取上に付きましては、是は率直に言ひますと、大體に於て日本の今のやうな状態に於ては、或る程度の土地の引上と地主に自耕の能力の多少ありまする現状に於ては──是は全部が全部自耕能力があるとは私思ひませぬが、本當の意味に於ける地主及び其の家族に於て、自耕能力がありまする場合に於ては、やはり大きな見地から見て、其の者が現在の小作人よりももつと生産力を上げる、而も小作人の側に於ても多少の土地を返しても他に換地があると云ふやうな場合、家族の關係に依つて差當つて困らないと云ふやうな宥恕すべき事由がありまする時は、やはり此の程度のものは之を認めますることが、社會的の正義の點から云ひましても宜いのではないか、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=371
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372・北政清
○北(政)委員 此の第九條の初めの「賃貸人は賃借人が宥怒すべき事情なきに拘らず小作料を滯納する等信義に反したる行爲なき限り」とある此の判斷は、此の文章から見ますると、賃貸人の判斷に依るやうに見えるのでありますが、此處が耕作權確立の境目の所である、詰り小作人の方は今年は三俵しか穫れぬと言ふ、是は極端な例ですが、分り易く申します、さう致しますと、是は賃貸人の主判斷になりますならば、實際三俵しか穫れぬことは分つて居るが、何とかして出さしたいから六俵あると頑張る、さうして六俵の收穫として小作料を請求したに拘らず拂はないから、茲に解約をする、斯う云ふ非常に一方的なことになるやうに是では見えるのであります、私はここに何かはつきりしたものを置かぬと紛議の種となる、どつちが宥恕すべきか、どつちが信義であるか、一體信義とか宥恕とか云ふことは法律的の價値はないので、實收を如何にして定めるか、其の判斷は誰がするか、だから其の契約を解除するとかせぬとか云ふ時には、其の先に農地委員會へ兩方の意見を出して、其の裁定に依つて決めるとか何とか云ふことをしなければ、此處が一番境目だと思ふ、此の間の松澤君の質問は、耕作權が契約に依つて成立つて居るのだから、土地は借りて居る、其の借りて居る耕作權のある土地に立入禁止を命ずると云ふことはいかぬではないかと云ふ質問であつた、それを多分に肯定されたやうな御返事を民事局長もやつて居られますし、大臣もやつて居られたことを聽いて居るのであります、そこで地の境目をはつきりしませぬと非常に困るではないか、もう一つ此處で承つて置きたいことは、一體小作料でなしに、土地資本利子と云ふものは正しいものであらうかなからうか、斯う云ふ點であります、今の小作料を見ますと、大體は土地資本利子と税金とを入れますと寧ろ「マイナス」になつて居ります、そこで是が今度國家は、小作人ではなくて、自作農になつた者に金を貸すのだ、斯う思ふのであります、隨て耕作權もなければ所有權もないのであります、金貸人としての權利を持つのではないかと云ふ風に考へられるのであります、後で國家が取つた場合に於ての行き方にも是は重大な關係を持つのでありますから、一つはつきりした御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=372
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373・和田博雄
○和田國務大臣 第九條は農地の「賃貸人は賃貸借の解除若は解約を爲し又は更新を拒むことを得ず」と云ふのが本體の文章であります、「賃借人が宥恕すべき事情なきに拘らず小作料を滯納する等信義に反したる行爲なき限り」と云ふのは、是は限定であります、賃貸人がなし得る行爲の限定を此處に書いてあるのであります、條件であります、隨て之を誰が判斷するかと云ふことは、是は賃貸人が判斷するのでなくして、第一には農地委員會、それから最終は裁判所と云ふことになるのでありまして、是は何處までも客觀的に決定されるのであります、それから此の土地資本利子でありますが、是は土地と云ふものを「キャピタラィズ」した時に、それに對する利子と云ふ觀念で土地資本利子と云ふ考へ方があるのでありまして、勿論自作農になりました者に對しまして國家は年々それから償還金を得る譯でありまして、謂はば債權者の地位になつて居るのであります、其の債權の支拂は、一時に支拂ふことも出來るし、又小作人は法律の規定に從つて年々償還して行く、斯う云ふことも出來るやうになつて居るのでございまして、其の關係を言へば、一種の金を貸したと云ふことも言へると思ふのでありますが、是は結果的にさう云ふ形になつて居るのでございまして、實際上は何も國家が金貸であると云ふ立場にのみ立つて居る譯ではないのであつて、國家はやはり此の法律を、自作農創定の法律に於て御覽になりましたやうに、創定されました自作農に對しては凡ゆる施設を講じまして是が維持に努めて居る、斯う云ふことに御考へを御願ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=373
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374・北政清
○北(政)委員 さうしますと、一番最初の「賃貸人は」と云ふことは「賃貸借の解除若は解約」の所に懸つて來る、斯う承つて宜いのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=374
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375・和田博雄
○和田國務大臣 さうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=375
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376・北政清
○北(政)委員 さうすると、宥恕すべき事情とか、信義に反した行爲とか云ふことは、是はあなたの決めるのは相當高い、儂のは安い、さう云ふ議論をして居る、さうなると農地委員に其の裁定は任せる、斯う云ふことになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=376
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377・和田博雄
○和田國務大臣 結局は賃借人と賃貸人の間の爭ひになる譯であります、其の時に誰が裁定するかと云ふことになる譯でありますから、結局農地委員會、若しくは調停に掛ければ調停の判事、裁判になれば裁判、斯う云ふことになる譯であります、と云ふのは、斯う云ふ條項を置く必要がありますのは、御承知のやうに地主の土地返還には、實に色々な原因で土地返還を地主が申込むのであつて、滑稽なのになると、小作人が例へば自分とは宗旨を異にした日蓮宗の信者だから返せと云ふやうなことで小作爭議の起つたやうな例も昔はあつたのであります、此の頃はさう云ふことはないのでありませうが、やはり斯う云ふ客觀的に信義に反する行爲のない限りは、やはり年々小作人の耕作權と云ふものは保護されて、耕作することが出來る、斯う云ふことにした規定であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=377
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378・北政清
○北(政)委員 今の農地委員會の裁定は、丁度勞働組合法の勞働委員會の裁定のやうに、之には命令權もない、何もないですね、だから最後は裁判所の決定でなければならぬ、斯うなると思ひます、さうなると相當年月を經た後の問題になつて來る、容易にそれまでは行かぬ、調停に掛ける、調停で旨く行きさうもなければそれを裁判にする、裁判に掛けて旨く行きさうもなければ調停に引戻す此の手は今までもやつて居る譯です、是が繰返されるとしますと、農地委員會の裁定を以て其の收穫高を確實なものと認めさせるとか認めると云ふことの必要はないのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=378
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379・和田博雄
○和田國務大臣 農地委員會は、此の第三條を御覽になりますと分りますやうに、先づ承認をする譯でありますが、さう云ふ場合は承認しないと云ふことになる譯であります、賃貸人が土地を返せ、又解約しようと言つてもどうもそこに信義に反した行爲が小作人にないのだと云ふことになれば、承認しないと云ふことになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=379
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380・北政清
○北(政)委員 さうしますと、承認しないから出せぬと言ふことが出來ますが、地主の方ではどうにもならないと云ふ譯ですね、信義に反しようが何しようが農地委員會が決定をしなければどうにもならない、もう一つ序でに御伺ひして置きますが、此の「六月乃至一年内」と云ふこと、是は六箇月以上、必要なら六箇月以前にとはつきりしないで「六月乃至一年内」とどうしてしたか、而も是はやはり農地委員會が裁定をするのでありますから、其の農地委員會の承認を得なければならぬのだから、先づ農地委員會の諒解を經た後にあらざれば其の通知を出してはならぬ、斯う云ふ風にならぬものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=380
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381・山添利作
○山添政府委員 是は農地委員會が判斷をすることになつて居り、又豫め農地委員會が事前に事の判斷をする譯でありまして、農地委員會の判斷に基いて、農地委員會の方で小作人に信義に反したことがあると云ふことになれば、そこで初めて土地を返して呉れ、斯う云ふ申出をすることになる譯であります、それで御話の通りに是はなつて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=381
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382・北政清
○北(政)委員 今の後からの分は契約の期間滿了の場合であります、從來の大審院の判決例を見ますと、小作料の契約期間滿了は小作料の改訂時期であつて、是は土地引上の爲の理由にはならぬと云ふ判決例が澤山あるのであります、それと今度全然趣きを異にされて、今までの大審院の判決例と云ふものは效力がない、斯う云ふことになりますのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=382
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383・和田博雄
○和田國務大臣 是は斯う云ふ趣旨なのです、假令期間滿了と云ふことに依つて、純粹に法律的に平面的に考へれば、是は期間が滿了だから、もう小作契約は濟んでしまふ、斯う云ふことになるのだが、併しそれはさうではないので、期限付の小作契約に於ては、本來の趣旨が當事者に何等の信義に反するやうなことがなければ、是は假令年々小作であらうが、有期間の小作であらうが、小作と云ふものは何處までもさせて行く、是が社會の正義の點から見て正しいことなのだと云ふ建前に立つて居るのであつて、そこでやはり更新の拒絶と云ふものに付きましても、是は制限をしまして、期間滿了前の六月乃至一年以内、餘り直ぐ前に此の期間更新の拒絶の通知をしますと、實際上農作物があつたり、又小作人の方で土地を取上げられた後、期間滿了になつた後での準備其の他色々なことがありますので、先づ期間の點に於て制限をして、而も此の制限をしたのと、それから條件を變更するにあらざれば更新しないと云ふやうな通知、之をやらぬ時には元々の條件と同じ條件で賃貸借を爲したものと看做して、何處までも小作を續けさせて行くのだと云ふ建前でありまして、此の條文が出來るまでには、御承知のやうに大正九年ですか、其の後の小作制度調査會或は小作調査會等に於きまして、日本の年々小作をどうするか、有期小作の繼續をどうするかと云ふことを、各方面の專門家が集まつて研究に研究を積んだ結果、農地調整法の中に採入れられた規定でありまして、今あなたの仰しやるやうな心配は實は是では餘りないのであつて、斯うやることに依つて有期の小作契約も相當の保護が出來て居る、斯う云ふことになつて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=383
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384・北政清
○北(政)委員 今度政府は一町歩以下と云ふ小作を温存して行かうと認めて居られる、そこで耕作權の確立と云ふことが今度の規定にはつきり出て來るものと私共期待して居つたに拘らず、今の第九條で見ると、耕作權の確立が甚だふやふやになつてしまつて居る、却て耕作權を危殆に瀕せしめる、而も今までの大審院の判決例も否定すると云ふやうな、逆に小作をいぢめる立場になつて居る、如何にも表向きは小作贔屓に見えますけれども、中味はどうも正反對なやうな方向になつて來て居る、斯う解釋される、寧ろ耕作權に付ては斯うだと云ふことをはつきり決めて貰はなければならぬ、そこがはつきり決らぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=384
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385・和田博雄
○和田國務大臣 どうもあなたの質問の趣旨が分らないのです、此の方が耕作權は確立されて居るのでありまして、どう云ふ御質問の趣旨か一寸私共分らぬのですが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=385
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386・北政清
○北(政)委員 今までだと小作料の改訂時期に過ぎない、立退を要求する時のことでないとされて居る、それが今度は六箇月前にやれば完全に出せるのだ、斯う云ふことになつて來る、だから逆になつて來たのではないか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=386
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387・和田博雄
○和田國務大臣 それは第九條の第一項できちんと、賃貸借の解除なり解約はすることが出來ないと云ふことを置いて居る譯ですから、二項に於ては、斯う云ふ規定であつて…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=387
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388・中原健次
○中原委員 現農地委員會の問題になるのですが、土地取上の色々の問題が澤山數字の上に盛られて居りますやうに、私共岡山縣だけで申上げましても約一萬件の紛爭がある、其の場合に、大體現在の農地委員會が之を承認して土地取上をなさしめたと云ふのが、其の中の大部分を占めて居つた、さうすると現在構成して居ります農地委員は言ふまでもなく第一次改正以前の農地委員だと解釋するのですが、第一次改正以前の農地委員がやはり其の儘居据つて居る譯ですが、其の農地委員會が決定した決定を、今度新たに選出されました農地委員會が若し不當と認めて否定する場合には、それを否定するの權限があるかどうかと云ふ問題であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=388
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389・山添利作
○山添政府委員 是は前の農地委員會が内容が假令不當のものでありましても承認をしたと云ふことであれば、其の罰則の點に於ては掛らない譯です、併しながら不當なものはやはり飽くまで不當なので、隨て農地委員會の承認はあつたけれどもそれは不當である、隨て第九條第一項に反して居る、無效であると云ふことを小作人の方から爭ふことは出來る譯であります、又先程申しましたやうに、新しい農地委員會はさう云ふ指導をすることは出來る譯です、又新しい農地委員會の獨自の權限と致しましては、土地の買收と云ふことは出來る譯なのです、併し農地委員會の權限と云ふものは今申上げた範圍である譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=389
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390・中原健次
○中原委員 さうでありますと、さう云ふ意味に於て現在の農地委員は、本當は其の權能を停止させると云ふことの方が社會的に見て正しいのではないかと思ふのです、そこで新農地委員が選出されるまでの何ぼかの期間中に於ける危險を防止する爲の、何か農林省としての御方針が今まで行はれて居りますか、或は現在ありますか、其の點を御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=390
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391・山添利作
○山添政府委員 其のことに付きましては、現在の農地委員會は、此の改正法律が施行になりますと同時に、解散と申しますか、權能を停止する、又此の土地取上の問題は新しく農地委員會は出來ますけれども、尚ほ之を一層嚴重に取扱ふと云ふ意味に於きまして、當分の間地方長官が其の事務を扱ふ、地方長官の許可に掛らせることに致して居るのでありまして、其の關係は農地調整法の改正案の附則に書いてございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=391
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392・吉澤仁太郎
○吉澤委員 一寸今農政局長の御答辯中に、現在の農地委員會が決定したことでも不正であると認めるものは、新しく出來た農地委員會に依つて變更せしむることが出來る、斯う云ふ御答辯のやうに伺つて居りますが、私大體現在の農地委員は、私共新潟縣では今年の二月知事の任命で全部更新されたのであります、其の後に於て今度詮衝方法が變つて、選擧方法に依ると云ふやうなことが一時傳へられた、それも其の後又選擧期日の延期と云ふことで、御通牒に基いて其の儘になつて居るのでありますが、私共の見解から致しますと、現在の農地委員も前議會後に生れたものであつて、やはり農地委員會としての權威は、今後新しき方法に依つて設立される農地委員會と何等權限に於て異なつたことはないと思ふのですが、其の邊を明かにして戴きたいと思ひますが、如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=392
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393・山添利作
○山添政府委員 仰せの如く權限の上に於きまして、例へば斯う云ふ判斷を致します上に於きましては、何等變る點はないのであります、併し是が御話のやうに旨く行つて居る所はそれで宜い譯で、非常に幸ひでありますが、實例と致しましてさうでない所もあるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=393
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394・中原健次
○中原委員 了解しました、それなら結構であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=394
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395・葉梨新五郎
○葉梨委員長 次の條文に移ることに御異議ありますか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=395
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396・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは第九條の八に移ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=396
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397・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第九條の八 小作料の額が田に在りては通常收穫せらるる米の價額、畑に在りては通常收穫せられる主作物の價額の一定割合に相當する額を超ゆるときは農地の賃借人又は永小作人は當該農地の賃貸人又は所有者に對し其の一定割合に相當する額に至る迄小作料の減額を請求することを得
前項の一定割合は中央農地委員會の定むる基準に從ひ都道府縣農地委員會之を定む但し田に在りては二割五分、畑に在りては一割五分を超ゆることを得ず
前項に規定するものの外第一項の規定の施行に關し必要なる事項は命令を以て之を定む
中央農地委員會に關する規程は勅令を以て之を定む発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=397
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398・太田秋之助
○太田(秋)委員 此の第九條の八の小作料の改定でございますが、是は從來は都道府縣で農地委員會を主體として適正小作料を各市町村に依つて作つて居つたのであります、所が今度の改正農地調整法に依りますと、此處に大體の標準を示して居ります、即ち田二割五分、畑一割五分、最も現在のやうな米價其の他農作物が段々値上りになつて居る時には、何とか地主の手許も間に合つて居るかも知れませぬ、併し農作物の價格が低下して來ると、金納でありますから、公租公課其の他の總ての水利事業の負擔と云ふものを加へますと是では迚も地主は負擔に耐へられないのではないか、斯う云ふ風にも感ぜられます、此のことは自分も體驗者の一人として、實は今二百町歩ばかり干拓地を持つてやつて居りますが、迚も土地から生ずるものだけでは用排水其の他の事業が出來ず、自作農を創設しようとしても、中々小作農に引受ける氣配がなく、毎年我々が數萬圓の金を持つて來てやらなければ此の農地を維持して行くことも出來ない、迚も是は容易なことでないから、之をどう云ふ風にしようかと云ふことで耕作者と協議した結果、共同經營にして、土地から上るものに依つて一定の割合を以て小作料を納める、共同で維持管理をして呉れないかと云ふことを頼んで居るのでありますけれども、共同管理に依る場合に於ても、二割五分ではどうかと云ふ疑ひもあるのであります、斯樣な場合に、特殊な事情にあるものは、此の割合を超過しても宜いのかどうか、又小作料でなくして、共同出し合ひである、共同出し合ひは所謂收穫の高に依つて出し合ふのでありますから、結局小作料のやうになるのでありますが、斯う云ふことに付てどう云ふ扱ひをして宜いか、之を伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=398
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399・山添利作
○山添政府委員 此の第九條の八は絶對的な準繩を定めたのでありまして、之には例外がないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=399
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400・太田秋之助
○太田(秋)委員 勿論是は一つの法律でありますから、最高の絶對のものを定めたのでありますが、農地の經營が出來ない場合にはどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=400
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401・和田博雄
○和田國務大臣 經營は出來るのであつて、唯地主としての經營が出來ないと云ふだけではないかと思ひます、それは何か特別な其の土地に付ての方法を講じますれば、耕作者としては經營の立ち得る途があるのではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=401
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402・太田秋之助
○太田(秋)委員 大臣か仰しやるやうな地主としての收入がないとか、地主は其の土地から生ずるもので償還金が欲しいと云ふのではないのであつて、是は別です、其の耕地を保護して行く爲には色々水害も參りますし、又用排水用の電力料も十倍に上つて、今まで三千圓のものは三萬何千圓も拂ふことになり、其の他の總ての危險を負擔して行くことになりますと、其の土地から上る收益を以てしては出來ないのであります、是まで出來なかつたと云ふのは、地主の貰つた小作料は石五十五圓で、政府に賣上げる耕作料の方は一俵百二十圓で大變宜しい、是等を貰つて生計は立つが、地主としてはそれだけの收入では其の耕地の維持出來ない、斯う云ふ結論になるのでありまして、地主が自分の年賦金の償還に當てる費用が足りないと云ふのでなく、そこから上るものを共同の管理で以てやることにした場合に於きまして、共同管理にしても此の一定率を超す場合にはどう云ふ風になるか、それを例外として認めるか認めないか、此の法は最高の絶對のものであるから認めないか、其の他の不足分は共同管理から出し合つても宜いと云ふことになるのか、どちらですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=402
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403・和田博雄
○和田國務大臣 二百町歩の地主とか百五十町歩の地主の土地は、自作農創定の法律に依りまして小作人に行く譯でありまして、地主と小作人とのさう云ふ共同經營は認められないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=403
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404・北政清
○北(政)委員 此の第九條の二に於きましては、小作料は金錢以外の他の物を基準としてはならぬと決めてあります、それから第九條の八に來ますと「通常收穫せらるる米の價額」云々とあります、是は前には米なんか基準にしてはいかぬと止めてあるのに後では又標準が其の一割とか二割と云ふことを言はうとして居る、それは非常に矛盾ではないかと思ふのであります、それから今の割合ですが、畑だから一割五分で宜しい、水田だから二割五分であると云ふのは、如何なる所から出したか、其の計數の基礎を承りたい、機械揚水の所は大體さうなると思ひますが、恐らく二割五分では灌漑用費用には足らない、それから貯水池組合、是も大體二割五分や三割は灌漑消費用だけで掛る譯であります、斯樣なことになりますので、一體此の二割五分、一割五分と云ふのは、どう云ふ所から決められたのか、其の基準を聽かして戴きたい、何か是は據り所があるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=404
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405・山添利作
○山添政府委員 畑と水田の關係でございまするが、是は今までの費用を取つて見ますると、畑でございますると、大體水田の半分と云ふやうな小作料の決めになつて居ります、之を地價から見ましても、今の畑は、田の六割と云ふやうな所に相當致して居るのであります、そこで此の二割五分或は一割五分でございまするが、大體同樣の價格の收穫物があると致しまして、田の方を百とすれば畑の方は六十、斯う云ふ割合で大體今までの小作料を取つて居るのであります、又此の割合で行きますると、土地水利費等を出すのに非常に困る、斯う云ふやうな御話がございますが、是は今のやうに土地改良を致しますのに、資本が要ることは確かでございまするけれども、併し地主としては、今まででございますと、土地改良費を出し、又普通の小作料なるものを受ける、斯う云ふ意味に於きまして一つの小作料の中から、水利費まで出すのは、困難だ、割合が繰下つて來る、斯う云ふことになる譯でございますが、此の點に付ては今度は金納小作料になりまして、地主の方で土地改良をして行くとか、或は水利費を新しく負擔して行くと云ふやうなことは、是は御話のやうに困難なのであります、さう云ふ經營に關する事柄は、漸次耕作者自身の方で負擔をし、其の費用に依つて改良をし、生産を進めて行く、斯う云ふ方向に經濟的にも向つて行くのでありませうし、又指導方針としても大體さう云ふ風に向いて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=405
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406・北政清
○北(政)委員 今何か新しい所でも拵へるやうなことを思うて居られるか知らぬが、石炭の價格は去年は二倍になりました、更に四倍位になりませう、今まででも小作料では「マイナス」です、今までのでも機械揚水、電氣揚水、貯水池、此の大半は其の部分に入る譯であります、さうすると、小作人は只で貰つても、それを自分で始めなければならぬと云ふことになると、今までの小作料より高いことになる、さう云ふ譯ですから、此の間から私が買はぬ者が澤山ある、買はぬ買はぬと言ふのは是である、あなた方の御話では、今新たにするのなら止めて置けと云ふことになる、結局さうなると此の土地を捨ててしまふ、それでは今直ちに日本として生産力に大きな影響を來すのではないかと思ふ
それから前の方の第九條の二と八の關係、米を基準にしてはいかぬと言うて居りながら、あなた方の出される法律では、又決めて居る、米を基準にしてどう、米の價格がどう、斯う云ふことをしてはいかぬと云ふことが、第九條の二に決めてある、此の矛盾はどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=406
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407・山添利作
○山添政府委員 是はまるで話が違ふのでありまして、飽くまでも金納小作料と云ふことである譯であります、偖て此の規定が置かれましたのは、現在でございますると、御承知のやうに金納小作料の割合は、收穫物に比して相當低い割合であります、所が北さんがえず豫想されて居る所でありすが、將來農産物が非常に下つた場合、現在では先づ宜いと思つて居る小作料でも、實質上の負擔として非常に高くなる場合がないとは言へない、さう云ふ場合の勘定の仕方としては、斯う云ふやうな基準を取るより外に表現の仕方がないのであります、思想はちつとも混同はして居らないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=407
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408・太田秋之助
○太田(秋)委員 私の質問に對して大臣はあつさり御答へになりましたが、大臣の御答へになるやうに、此の土地を國家が買上げて、自作農が立派に創設出來れば私は願つたり叶つたりです、所が中々さう云ふ風には參らぬ、是までも自作農を自らしようとしたが、經營困難である、やつたけれども中々維持管理費を要するから、今暫く土地改良を進めてからでないと、我々の手に持つて來たのでは、年々の負擔が容易でないと云ふことになる、私は絶えず之をやつて來たり、負擔して來たりしたのである、併し事茲に來つて、斯う云ふ法律が出て決定する場合に、今後二割五分の範圍内に於て土地改良と申しましても、固より自然に逆らつてやつた干拓ですから、災害を受け易い、災害の防止と云ふものは絶えずやつて行かなければならぬ、それに用排水と云ふものを電力でやつて居る、さう云ふやうな實際の維持費、管理費が足りない、足りないから是は耕作者自身で取つた所が、地主は關係しないから、物を集めて耕作者の共同で經營管理をしろ、斯う云ふことを言ふけれども、中々出來ない、斯う云ふことになつて居る、さう云ふやうな特殊の事情のあるものに對しては、今の農政局長の御話では、さう云ふ特殊事情のあるものは、小作料の外に何等か水利關係の負擔と云ふものを別に設けても宜しい、斯う云ふのなら話が分る、其の點に付て、どうも何でも彼でも二割五分の範圍内で補ひを付けて、土地改良もやれば危險防止もやれ、或は用排水の管理もやれと言ふ、若し是が出來ないことになつて抛棄したならば、此の面積は元の水面になつてしまふ、斯う云ふことでありまして、私は此の土地改良には一身を投じてやつて來たものでありますが、眞劍に御尋ねします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=408
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409・山添利作
○山添政府委員 是は金納小作料で、段當り田で言ひますと六十圓なら六十圓を抑へられる、然るに北さんが御述べになりましたやうに、水利費だけでも非常に高くなつて、昔とは比べものにならない、又只今御話に出ましたやうに、何等かの災害復舊と云ふことの爲に相當支出をしなければならぬ、斯う云ふ事態が起つて來た、此の時に今の小作料で間に合はないと云ふやうなことでありますれば、是は農地委員會に於きまして、さう云ふ負擔割合、即ち小作條件の一部をなして居る譯ですから、其の小作條件を妥當と思ふ所に修正すれば宜い譯です、其の費用負擔は地主がやらない、斯う云ふやうなことでやつて行けば宜い譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=409
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410・太田秋之助
○太田(秋)委員 大體話が了解するに近いのでありますけれども、今の二割五分は絶對だ、是れ以上は小作料としてはもう取つてはいけない、併し其の他に、此の土地を維持して行くのには、用排水と云ふものを一日でも休めば、其の耕地と云ふものは全面的に全滅するのであります、さう云ふものは雨が降れば降る程、さう云ふ土地である限り、餘り費用の高まる場合は、直ちに農地委員會に諮つて、其の費用の負擔は、二割五分の外に何等か別途に方法を講じて行けば宜しい、斯う云ふ御話なら分るのです、さう云ふことに承知して差支へありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=410
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411・和田博雄
○和田國務大臣 どうも地主が何處までも二百町歩のものを持つて、それを小作人に小作をさせて行くと云ふ考へが、一寸問題ではないのでせうか、さう云ふ土地が一體自作農創定の對象になるかならぬかと云ふと、是はやはりなると思ふのでありまして、それが對象になる時には、やはり國家として買上げるべきものは買上げる、それで耕地整理なんかの負擔關係に於ては、是は此の前から説明致しましたやうに、土地價格の按配に依つてやつて行く、斯う云ふことになるだらうと思ひます、將來の小作料と云ふものは金納になる譯でありますが、將來農産物の價格が非常に變動を豫想される、どんなに變動しても小作料は最高田は二割五分、畑は一割五分を超へることは出來ないと云ふ規定なのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=411
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412・太田秋之助
○太田(秋)委員 今大臣が飽くまでも買上げると云ふのならば、自作農を創設するのは當然です、私共も亦之を望むのであります、自分自身でも、開發したら自作農を創設しようと思つて居つたのです、是は大臣の仰しやるやうにしたいのですが、中々今の耕作者は之を引受けようとしないのであります、此處に私共は惱みを持つて居るのであります、之を引受けて小作者自ら此の土地の管理をすると云ふならば、是は今まで非常に開發に貢獻しただけで、自分の今後に殘される所の耕作者への苦勞も除かれるのでありますから、此の點には變りはないのであります、さう云ふ風に國家がして下さると云ふなら結構なことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=412
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413・葉梨新五郎
○葉梨委員長 如何ですか、是は何時まで議論をし合つても見解の相違であつて、政府は、二割五分以内に於てやれなければ、それはあとから買つた者とか、小作人とか──小作人のやれる土地ならば小作人にやらせる、水利事業等を小作人にやらしたら宜いと云ふ、所が委員側は、其の水利費にも二割五分どころではない、うんと掛るので、それは到底やれるものではない、斯う云ふことであつて、意見を何時まで鬪はしても一致せぬと思ふのであります、要するに質疑は質疑として諸君の御意見のある所は御意見を述ぶるべき場所に於て御述べを願ひば宜いと思ひます、次に行くことにしたら如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=413
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414・吉澤仁太郎
○吉澤委員 此の二割五分を最高と認むると云ふことになると、例へば一段の年貢米が一石である、其の一石の小作料は七十五圓であります、小作の所得は、二石收穫出來るとするならば、假に石六百圓と見れば千二百圓であります、斯うなりますと、其の二割五分該當額に達するまでに至らなければ、小作料の減免要求はすることは出來ぬ、斯う云ふ意味に解釋して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=414
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415・和田博雄
○和田國務大臣 此の第九條の八は將來の問題であります、只今の小作料をどう斯うすると云ふ問題ではないのであります、是は將來此の通常收穫せられる米の價額の何割に相當する額を超える時には減免の要求が出來ると云ふのでありまして、例へば將來農産物が非常に下つた時の問題でありまして、現在の小作料をどう斯うする、斯う云ふ問題ではないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=415
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416・吉澤仁太郎
○吉澤委員 それは今御答辯のやうに私も大體了承致して居りますが、將來と云ふことになりますと、下つた場合を豫測しての話でありますけれども、例へば價格が左程下らぬ程度に於て不作があつた場合には、小作人が減免要求をすると云ふ場合に、小作の收量の二割五分程度を超えなければ減免に應じなくても宜い、減免を請求する譯にも行かぬ、斯う云うことになる譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=416
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417・和田博雄
○和田國務大臣 小作料と云ふものは、現在統制されまして、「ストップ」を食つて居る譯です、それが金納になつて居る譯であります、本當を言へば金納になつた時には、是は定額小作料で減免の問題と云ふのはなくなつてしまふのが正しいのであります、從來の小作條項には減免條項が入つて居るのでありますから、それの關する限りに於ては、あなたの言はれた其の減免條項の方で行くと云ふのであつて、第九條の八で行く譯ではないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=417
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418・吉澤仁太郎
○吉澤委員 もう一遍能く説明して下さい、私の御尋ねするのは、此の農地法が制定された場合、即ち「主作物の價額の一定割合に相當する額を超ゆるときは農地の賃借人又は永小作人は當該農地の賃貸人又は所有者に對し其の一定割合に相當する額に至る迄小作料の減額を請求することを得」と云ふことに依つて、次の項で二割五分と云ふのがあるのでありますが、例へばさうなりますと、二割五分の該當額が七十五圓より下廻らない中は減免要求が出來ないか、斯う御問ひするのですが、御分りでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=418
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419・和田博雄
○和田國務大臣 斯う云ふやうに今小作契約があります、小作契約で兎に角一石假に小作料を拂つても、物納の時には七十五圓とする、七十五圓で金納になつてしまつた譯ですから、普通は七十五圓で「ストップ」されてしまつて居る、小作料を改訂する時には第九條の四に依るか、五に依るかしなければ現在の小作料と云ふものは改訂は出來ない譯です、そこで從來より減免の慣行がある、減免慣行がさう云ふやうな場合には是は金納になつて、それは本當を言ふと定額小作料であつて、減免と云ふものはなくなつてしまつて宜い譯ですが、從來減免慣行のあるものを、而もそれがちやんと小作料の契約の條項になつて居るものに付ては、例へば不作の年が來た、斯う云ふことで價格の點から言へば第九條の八には該當しない、然るに不作だから小作料を負けて呉れと云ふことを小作人が言つて來た時に、減免條項に依つてさう云ふことはやれる、斯う云ふことなのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=419
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420・吉澤仁太郎
○吉澤委員 さうなりますと、直ちに此の第九條の八は適用はやれないと云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=420
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421・和田博雄
○和田國務大臣 第九條の八は、農産物の價格が變動します、さうすると小作人の…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=421
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422・吉澤仁太郎
○吉澤委員 變動しない場合でも宜い発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=422
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423・和田博雄
○和田國務大臣 農産物の價格が變動しない場合でも、米價が百五十圓なら百五十圓で釘付けだ、七十五圓なら七十五圓で釘付けだ、さう云ふことになつて、假に是が一割、今ので行くと二割五分以下になつて居るのですから、さうすると此の場合は當然第九條の八で適用がない譯になりますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=423
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424・吉澤仁太郎
○吉澤委員 是は別に農産物の價格に關係がない、詰り凶作等の場合に於ける減免條項を書いたものだと思つて居るのですが、さうではないのですか、農産價格の關係と云ふものはどう云ふ點にあるのですか、一寸分り兼ねます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=424
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425・和田博雄
○和田國務大臣 是は小作減免ぢやない、通常收穫せらるるですから、普通の年の米の價格と云ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=425
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426・葉梨新五郎
○葉梨委員長 速記を停止します、短時間懇談せられんことを希望します
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=426
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427・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは速記を開始致します、次に第九條の十発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=427
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428・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第九條の十 耕作の目的に供する爲にする農地の賃貸借又は永小作に付ては書面に依り小作料の額、支拂條件及減免條件、賃貸借又は永小作の存續期間、敷金、修繕費、用排水費及有益費の負擔其の他賃貸借又は永小作の内容を明ならしむべし発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=428
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429・中原健次
○中原委員 是では負擔の内容を明かならしむべしと云ふことになつて居るのですが、先程からの御意見などから考へると、修繕費、用排水費其の他のものは、小作人が負擔をするやうな約束をすると云ふことに一應斷定してしまつて宜いのですか、それとも是は契約だから適當にしたら宜いと云ふことになるのですか、どちらですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=429
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430・山添利作
○山添政府委員 現存の契約に付ては、現に決まつて居る契約の内容をはつきりさせようと云ふことであります、それから將來のことは、勿論契約自由の原則で、どちらが負擔すると云ふやうなことは自由でございますが、此の第九條の十の施行に付きましては、政府に於て委員會等に依りまして模範的な約款を作りまして、さう云ふものに依るやうに指導をして行かう、斯う云ふ考へを持つて居る譯なのです、其の場合に只今大臣から御話がありましたやうに、小作契約が金納になつて、根本的に制度が變つて來た譯です、隨て不作の場合の減免も依然ございますけれども、偖て昔通りに僅かな不作と云ふやうなことで一々やることは適當だとは考へられないので、相當の所は保險で「カバー」する、さう云ふことでも「カバー」し切れないと云ふ時に、初めて昔のやうな減免をやるとか云ふやうに、内容に付ても整理檢討すべきものがあると考へて居ります、それ等のことに付ては能く委員會等に於きまして檢討を加へた上、模範的な契約條項を作りたい、又それを奬めたい、專ら指導したいと云ふ積りで居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=430
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431・中原健次
○中原委員 さう云つた場合には、其の約款等を政府が制定して指導すると云ふことになると、制定される約款の作成委員會と云ふ風なものが民主的な形で持たれて、其の委員會で決定すると云ふやうなことになるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=431
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432・山添利作
○山添政府委員 中央農地委員會であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=432
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433・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは第十五條発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=433
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434・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第十五條 市町村に市町村農地委員會を置く
市町村農地委員會は地方長官の監督に屬し左に掲げる事項を處理す
一 本法其の他の法律に依り其の權限に屬せしめたる事項
二 其の他農地關係の調整に關し勅令を以て定むる事項発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=434
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435・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質疑はありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=435
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436・北政清
○北(政)委員 是は地方長官が公選になつて公吏になりましても、是でおやりになる肚でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=436
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437・山添利作
○山添政府委員 公吏となりましても、當然地方長官なるものは國の事務を扱ふ性格は依然保存して居る譯でありして、變りはございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=437
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438・葉梨新五郎
○葉梨委員長 第十五條の二発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=438
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439・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第十五條の二 市町村農地委員會は會長及委員を以て之を組織す
會長は委員に於て互選し其の選に當りたる者を以て之に充つ但し委員に於て會長を互選すること能はざるときは第八項の規定に依り選任せられたる委員の中より地方長官の選任したる者を以て之に充つ
委員は左の各號の區分に從ひ各號の一に該當し被選擧權を有する者に就き當該各號に該當し選擧權を有する者の選擧したる者を以て之に充つ
一 耕作の業務を營む者にして農地を所有せざるもの又は耕作の業務を營む農地の面積が其の所有する農地の面積の二倍を超ゆるもの
二 農地の所有者にして其の所有する農地に付耕作の業務を營まざるもの又は其の所有する農地の面積が耕作の業務を營む農地の面積の二倍を超ゆるもの
三 耕作の業務を營み且農地を所有する者にして前二號に該當せざるもの
前項の規定の適用に付ては耕作の業務を營む者の同居の戸主若は家族又は耕作の業務を營む者の戸主若は家族にして命令を以て定むる特別の事由に因り其の者と同居せざるに至りたるものの所有する農地は之を當該耕作の業務を營む者の所有する農地と看做す
第三項の規定の適用に付ては同項各號の一に該當する者の同居の戸主又は家族は之を當該各號に該當する者と看做す
第三項の規定に依り選擧せらるべき委員の定數は同項第一號の區分に屬する者に在りては五人、同項第二號の區分に屬する者に在りては三人、同項第三號の區分に屬する者に在りては二人とす
地方長官必要ありと認むるときは特定の市町村農地委員會に付第三項の規定に依り選擧せらるべき委員の定數を増加することを得此の場合に於ては同項第一號の區分に屬する者に就き増加すべき委員の定數は同項第二號及第三號の區分に屬する者に就き増加すべき委員の定數の合計と等しきことを要し且増加すべき委員の定數の合計は十人を超ゆることを得ず
地方長官必要ありと認むるときは第三項の規定に依り選擧せらるる委員を選任することを得
前項の委員を選任するには第三項の規定に依り選擧せられたる總委員の同意あることを要す但し第二項但書の規定に依り會長に充つべき委員を選任せんとするときは此の限に在らず
委員は名譽職とす発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=439
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440・葉梨新五郎
○葉梨委員長 第十五條の三竝に第十五條の四も朗讀せしめます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=440
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441・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第十五條の三 市町村の區域内に住所を有し命令を以て定むる面積の農地に付耕作の業務を營む者若は當該市町村の區域内に於て命令を以て定むる面積の農地を所有する者又は此等の者の同居の戸主若は家族は市町村農地委員會の委員の選擧權及被選擧權を有す
前條第四項の規定は前項の場合に之を準用す
第十五條の四 左に掲ぐる者は選擧權及被選擧權を有せず
一 未成年者
二 禁治産者
三 六年の懲役又は禁錮以上の刑に處せられたる者
四 六年未滿の懲役又は禁錮の刑に處せられ其の刑の執行を終り又は執行を受くることなきに至る迄の者
左に掲ぐる者は被選擧權を有せず
一 準禁治産者
二 破産者にして復權を得ざるもの発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=441
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442・北政清
○北(政)委員 今の委員の選び方でありますが、耕作の業務を營む農地が所有する面積の二倍以上だと云ふやうな者を何の爲に加へるのか、一體純小作者で出すことが宜いではないか、所有地を持つて居れば公正な判斷に行かない、何れの號に於ても今の自作兼小作、小作兼地主と云ふやうに分けてあるやうでありますが、其の必要はないではないか、私は地主の方だけは自作兼貸付者を入れて宜いと思ひますが、其の他のものは、どつちにも付かない、貸付もして居らぬ、管理もして居らぬと云ふ者でなければ本當の中間的な考へ方が起らぬ、本當の自作として公正な考へ方をさせたい、それには借りて居る事情がある、貸して居る事情があると云ふことでは宜くないと思ふのでありますが、御所見を承つて置きたいのであります
それから六年以上の懲役に處せられた者、是も刑の執行を終つた者は宜いではないか、何時までそれを追及すると、却てそれは自暴自棄に陷らしめるものである、もう改心して立派な人間になつて居る者を永久に葬ると云ふことは、なすべきことでないと考へる、此の二つに付て伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=442
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443・山添利作
○山添政府委員 一號、二號、三號の分け方でございますが、第一は、全然土地を持つて居ないで、それこそ百「パーセント」の小作と、それから五割以上が小作地である、即て主として小作と云ふ性格のものであります、それから二番目は全然自分は耕して居ないが土地を持つて居る人、若しくは自分で耕して居るよりも、五割以上は他の方に小作に出して居る、斯う云ふ地主的性格のもの、第三が前二號に該當しない者、即ち自作と、それから自作を主とし、又小作もして居る、或は若干は他に貸して居ると云ふやうな者であります、北さんの御議論がございましたけれども、農地委員會は農村の凡ゆる「カテゴリー」の人を選擧人としては持たなければならぬ譯です、此の農地委員會の仕事は、成程當面自作農創設の仕事だけのやうでございますけれども、其の他にも色々ある譯で、やはり凡ゆる階層の農村の人を代表しなければいけない、さう云ふ考へに立つて居りまして、一號、二號、三號の此の分け方は、前囘の農地調整法と何等變りはない譯であります
それから選擧權の所で、「六年未滿の懲役又は禁錮の刑に處せられ」云々は、まだ其の刑を終つて居ない人のことを言つて居るのでありまして、終つてしまへば宜い、斯う云ふ解釋なのです、但し六年以上の懲役又は禁錮に處せられた者、是はいけない、此の第十五條の四と云ふ規定は、地方の一般の選擧に關する規定其の儘を採つたので、農地調整法として何等獨自のものは出して居ないのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=443
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444・北政清
○北(政)委員 それは今までの慣習の儘の考へ方である、私は罪を犯した人でも、それが直れば、六年の懲役であらうと、十年の懲役であらうと、改心して立派な人間として戻つて來た以上、それに尚ほ委員の選擧權まで剥いでしまふ必要はない、必ずしも今までの法律の眞似をしなければならぬことはないではないか
もう一つは地方長官の任命する場合、是は今後一般民選に依つて地方長官が出來て來ます、其の結果は、政黨的色彩が多分に含まれて來ることは當然である、其の爲に其の選び方と云ふものは偏頗な選び方がないとは言へない、そこでそれを承認するかせぬか、今まで選擧に依つた者が承認しないとすると──選擧と云ふことでそれを抑へてあると言はれるかも知れませぬが、私はそれは效力がないのだ、何處まで行つても何囘やつて見ても、其の方からは…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=444
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445・葉梨新五郎
○葉梨委員長 北君の申されることは御意見でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=445
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446・北政清
○北(政)委員 いや質問であります、段々話を聽いて居て下さい、ちやんと質問になります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=446
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447・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それは質問にしようとすれば質問になるが、どうか時間の關係もありますから簡潔に願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=447
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448・北政清
○北(政)委員 それは分りますが、問題は極めて重大です、本當に委員の選擧…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=448
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449・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それならあなたの御發言中、我々は新憲法の精神に依つて新たなる議會を權威あるものとして、さうして當然我が國全國の各機關に其の政黨政治が浸透する運命にあるのです、あなたの所論を聽いて居ると、新憲法に依つて今後實施せらるべき所の國家の最高權威の機關としての議會、又之に準じて行はれる所の各種の選擧に依つて行くのであるが、如何にも從來の官僚や軍閥の攻撃を招いて居つた時代の政黨内閣のやうな…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=449
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450・北政清
○北(政)委員 あなたは私に議論する積りですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=450
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451・葉梨新五郎
○葉梨委員長 そんなことはない、あなたの話を伺つて居ると、さう云ふ風に私の頭に響いて來るのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=451
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452・北政清
○北(政)委員 あなたに…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=452
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453・葉梨新五郎
○葉梨委員長 さうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=453
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454・北政清
○北(政)委員 それはあなた個人としてです、言論に干渉して貰つては困ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=454
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455・葉梨新五郎
○葉梨委員長 干渉ではない、お互ひの權威の爲に、論議も或る程度と言ふこともあるから、出來得る限りお互ひの感情を刺戟しないやうな論議の仕方を…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=455
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456・北政清
○北(政)委員 何が感情を刺戟でありますか…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=456
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457・葉梨新五郎
○葉梨委員長 あなたの議論です、お互ひが權威付けて行かなくてはならぬと思つて居りますから…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=457
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458・北政清
○北(政)委員 形式だけ權威付けても駄目です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=458
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459・葉梨新五郎
○葉梨委員長 實質上權威付ける爲にお互ひが努力して居るのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=459
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460・北政清
○北(政)委員 それはあなたの御意見として參考にして置きます、あなたは私の話を皆聽かないで、さう云ふ議論を吹掛けられることは…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=460
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461・葉梨新五郎
○葉梨委員長 議論ではない私はあなたの御發言に對しても、何も取消を云云すると云ふことを申すのでも何でもない、お互ひの權威の爲にそこは自重したいものだと云ふことを申して居るのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=461
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462・北政清
○北(政)委員 自重しろと言ふが、私は大變眞劍にやらうと思つたから言つて居る発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=462
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463・葉梨新五郎
○葉梨委員長 自重して居らぬと申上げるのではありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=463
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464・北政清
○北(政)委員 そこで私は委員が何時まで經つても決まらぬと云ふのでは困るから質問して居る、それでも宜いですか、而もそれが偏頗な考へ方と見られること、あれは地主側だから地主の方をやつた、さうでない積りでやつても、小作の人ならさう言ひ兼ねない、地主側の人は反對に、あれは小作がやつたのだからと言ひ兼ねない、だから儼然と、市町村會なら市町村會が選擧して出す、斯うはつきり決めたらどうか、私は斯う言ふのです何處にあなたの言ふやうなことがありますか、それでなくては決まらぬのです、大事な點ではないか、當局としては是はどう考へて居るかを聽いて居るので、何も意見でもなければ議論でもない、本當にやる上に斯うしなければ出來ぬと思ふから言つて居るのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=464
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465・和田博雄
○和田國務大臣 其の點は、是は何も特別に選ばなければならぬのではないのであつて選ぶことが出來なければ選ばぬでも宜い譯でありますから、我々の方としては是で一向支障はない、斯う考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=465
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466・北政清
○北(政)委員 是は今度は調停だけの問題でなしに、農村の計畫を立てなければならぬ、其の計畫を立てる上に於ては、やはり町村の實際を知つて居る者が、是が適任であると選ぶのでなければ出來ない、それを單なる町村長の内申とか云ふやうなことでは、地方長官としては決めやうがないでせうだから私は大事なことだと思ふ、是は農村計畫を立てる人なのだ、單なる今までの小作調停だとか調整だけの問題ではない、農村計畫者だ、そうすると其の見方が、唯小作からだけ選んだ、地主からだけ選んだと云ふのでは出來ない、ですから、私は其の町村に於て權威のある者を、皆で選擧して三人なり五人なりが出させると云ふことが、一番簡易な而も正確な方法だと思ふのでありますが、此の點どう云ふ御考へであるか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=466
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467・和田博雄
○和田國務大臣 御意見はさう云ふ御意見もあり得ると思ひますが、茲ではやはり是は總委員の同意と云ふことに依りまして、自主的には皆が此の人ならと云ふ人を選ぶやうになるのでありまして、若しもさう云ふ人がなければ、是は無理に選ぶ必要はない、斯う云ふ考へであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=467
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468・高倉輝
○高倉委員 農地委員會の構成は非常に大きな問題でありまして、今現に小作人の間で、農地調整法の中で特に此の構成を一番問題にして居ると思はれます、是はやはり非常に合理的な根據がないのではありますまいか、前にありました、五人づつと云ふのが變つて來て、さう云ふ構成になつて居りますが、併しそれにしても尚ほ是は本當に合理的な根據がなく、又御都合主義で作つたのではないか、一應是は第一條の耕作人を中心にして、此の農地調整法を行つて行くと云ふ方針から、此の構成法は變つたと見て宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=468
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469・和田博雄
○和田國務大臣 是が變りましたのは、結局自作と云ふものがどう云ふ性格であるかと云ふことに付ての色々な意見からだと思ふのでありまして、寧ろ自作と云ふものは地主と同じやうな立場に立つ、斯う考へまして、それで二つのものを一緒にして小作と同數に致したのでありまして、是で土地の所有の方と耕作の方との間に均衡が取れる、斯う云ふ考へ方で斯樣に致したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=469
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470・高倉輝
○高倉委員 さう云ふことになりますと、結局今仰しやるやうに、自作と小作の均衡を取ると云ふことになりますと、現行農地調整法の精神に據つたのであつて、新しい農地調整法第一條とは牴觸することになりませぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=470
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471・山添利作
○山添政府委員 是は二つの側に分けた場合に、一方を多くする、斯う云ふ思想はやはり取らないのであります、そこは均衡を得る必要があると云ふ觀念に立脚して居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=471
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472・高倉輝
○高倉委員 是はやはりどうもをかしな話でありまして、兩方の立場を立てて行く場合には──今の説明に依りますと、最初にありました互讓相助の精神、或は農地の所有者及び耕作者の地位の安定と云ふことになるのではありますまいか、若しも本當に耕作者の地位の安定と云ふ立場から構成を御整へになるならば、是は地主が幾人、小作人が幾人、自作農が幾人と云ふやうな決定をしないで、自由に選擧すべきものであるが、さうしてそれが恐らく一番合理的であると思ひますが、若しさうでなくて、今まではやはり農村には封建的な要素があるから、或る意味でやはり地主、富農の勢力に牽制されて、さう云ふ形の構成になると云ふ危險があると、若し當局で御心配になつた結果であるならば、其の時には裁定の場合に斯う云ふ構成にしなければいけないと云ふやうな規定ならば呑込めますけれども、さうでなしに、斯うしてわざわざ兩方を五對五と云ふやうにやつたことは、此の法の精神其のものをあなた方が自分で破つておいでになることになりはせぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=472
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473・和田博雄
○和田國務大臣 それは一寸極端なことでありまして、是はやはり結局自作農と云ふものをどう考へるかと云ふことであらうと私は思ふのです、此處では、自作農と云ふものはやはり二重の性格を實は持つて居るのであつて、片方は耕作者、片方は所有者、斯う云ふ二重の性格を持つて居ります、併し農地委員と云ふものを構成する場合に於ては、今度の場合に於ては自作農の創定と云ふことが主たる役割になる譯でありますので、そこで土地所有の面と純小作の面と同數にして構成したと云ふ譯でありまして、之を今度は逆に、單に耕作すると云ふ方から見れば、耕作者は寧ろ多くて、純粹の地主と云ふものは非常に數が少い、斯う云ふやうに解釋出來るのではないか、斯う思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=473
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474・高倉輝
○高倉委員 是れ以上質問しても同じことでありますから質問致しませぬが、初めに大體自作農は地主の立場に立つものと認めて對等の數にしたと仰しやるのは、後で御改めになつた點を見ましても、やはり此の點は合理的ではないと云ふことだけを申上げて、私は質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=474
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475・中原健次
○中原委員 小さいことを申すやうでありますが、第十五條の三で「市町村の區域内に住所を有し命令を以て定むる面積の農地に付耕作の業務を營む」云々と云ふことがありますが、斯う云ふ實例がある譯であります、Aと云ふ村に居住してB村に耕作に出掛けて行くと云ふ、極端なやうですが、是が事實あつたのであります、さう云ふ場合に其の耕作人はどちらの村で選擧權があるか、之に依ると居住地と云ふと、自分が耕作して居ない居住地で所謂農地委員の選擧權、被選擧權があるのだと思ひますが、斯う云ふ矛盾があるのであります、それを承つて置きたいと思ひます
それからもう一つは、是は私が不幸にして聽いて居りませぬのだと思ひますが、御迷惑だと思ひますが一應御尋ね致します、「命令を以て定むる面積」と云ふ面積を一應承りたいと思ひます、それが第二點であります
それから第三、是は關聯するのでありますが、極めて重要なことであります、それは今度の地方制度の改正との關聯なのです、不幸にして内務大臣がお見えにならないのが遺憾でございますが、時間もないことでありますから一應農林大臣の御見解を伺つて置きまして、又次の機會がありますれば、其の機會に内務大臣の御意見を聽くことに致したいと思ひます、其の地方制度の改正案に依りますと、町村制の第七十二條の三に、町村長は町村の團體に對して監督上必要なる命令をなすことを得と云ふやうな條項があります、衆議院の修正案にあつたと思ふのでありますが、さうなりますと、市町村長は、例へば農地委員會と云ふ一つの團體が決定をし取扱ひました事項に對しても、相當干渉が出來ると云ふやうなことが想像出來るのでありますが、若しさう云ふことになると、一應兎も角民主的に出來上つて居ります農地委員會の活動を重壓する、制約付ける、或は阻碍すると云ふやうなことになつて、農村民主化に逆行する結果を齎すのではなからうか、と云ふことは市町村長は成程今度公選になるのでありますから、さつきからの御議論のやうに、一應肯ける點もないでもありませぬが、まだまださう早急に市町村長に眞に民主的な性格を持つた者が必ずしも選ばれるとも限りませぬし、特に市町村長にそこまでの干渉權を與へなくても治まつて行くだけの自主性があると云ふ風に、農地委員會の人格を認めますれば、そこまでの干渉を農地委員會に關する限りせぬでも宜いのではないかと云ふ風に考へられるのでありますが、若しさう云ふ議論が成立ちますれば、此の地方制度改正案に對する一つの對策が本法案に於ては必要なのではないかと云ふやうな考へが生れて參るのであります、それに付て農林大臣の御所見を承つて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=475
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476・和田博雄
○和田國務大臣 最後の點から御答へ致しますが、其の點は慥か衆議院で修正になつた點だと思ひます、原案にはなかつたと記憶して居ります、それは市町村長が農地委員會等に付て監督權を持つて、指揮監督し命令が出せんと云ふことに付きましては、どうもそれを無暗にやられては困るのでありまして、其の運用に付きましては十分内務省と打合せまして、實は私先般も内務大臣に申入れまして、農地委員會等に付てはさう云ふことはやらないやうにやつて貰ひたい、斯う云ふことを申入れをして置いた譯であります、それは十分考へる、殊にあれには不當なことをやれば、上級官廳が取消か何か出來ると云ふことの但書が付いて居つたやうにも記憶して居るのでありまして、經濟關係の民主的の團體に付て市町村長の監督權がさう云ふやうに運用されますことは出來るだけ避けて、何處までも民主的にやつて行くと云ふことが建前でありますので、結局「團體等」の「等」の中に、文字通りに解釋すれば色々のものが入る譯でありますが、是は運用上十分氣を付けると云ふことに致したい、斯う思つて居ります、其の點に付ては尚ほ能く内務省とも十分連絡を執りたい、斯樣に思ひます
それから「命令を以て定むる面積」は御配り致しました命令事項の中にありまして、都府縣にありましては──是は一寸違つたさうでありまして、關係方面との關係で、北海道では三段歩、都府縣にありましては一段歩と云ふことになつて居るのであります、それから地方長官は勝手にいぢることは出來ないと云ふことになつて居るのであります
それから出先の關係は、やはり住所のあります市町村に於きまして選擧權、被選擧權を持つて居る、斯う云ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=476
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477・中原健次
○中原委員 恐縮でありますが、一寸もう一つ附加へます、それは只今の「其の他の團體」と云ふ中に、今後農村に考へられますのは、農業の協同組合或は農民組合と云ふ風なものが相當民主的に、而も自主的に出來上つて來ると思ひまするが、それ等の活動も、勿論言ふまでもなく、是は日本民主化の爲に重要な團體のことでありますので、市町村長の命令云々に付ては、先の「其の他の團體」と云ふ御言葉の中に是等も包含されて、共に市町村長の干渉の範圍内に之を置かないと云ふやうに御考慮戴けるのでありませうか、それを御伺ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=477
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478・和田博雄
○和田國務大臣 さう云ふ風にしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=478
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479・松浦薫
○松浦(薫)委員 先程濟みました所ですが、「地方長官必要ありと認むるときは」と云ふ、是はどう云ふやうな場合を構想されて斯う云ふことをお言ひになるのか御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=479
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480・山添利作
○山添政府委員 是は法文の形の上に於きましては、地方長官が任命をして、さうして委員の同意を得ると云ふやうな形になつて居りますけれども、實際の運用と致しましては、下の選任された農地委員の方で相談の結果、滿場一致で斯う云ふ人を委員に加へたいと云ふ場合に、地方長官に要請をする、そこで地方長官が任命をする、斯う云ふことを考へて居る譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=480
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481・松浦薫
○松浦(薫)委員 是はさうすると、通常置くことを建前に考へたものでせうか、或は成べく置かないけれども、萬已むを得ない時は置く、斯う云ふやうな意味を持たせるのですか、どうでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=481
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482・山添利作
○山添政府委員 是は其の委員の顏觸れ、又土地の事情等もありまして、簡單に一般的な形で言ひ表はすことは一寸出來ないのでありますけれども、其の委員の合議に依りまして、是れ是れの人を加へれば、あの人は土地に關する事柄は專門家でもあるし、仕事が旨く運ぶと云ふやうなこと、或は又あの人を入れて置けば色々議事進行も旨く行くだらうと云ふ風に、適當な人があり、且つ皆が置いた方が宜いと云ふ場合に、第三者を以て委員に置く、斯う云ふ意味であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=482
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483・松浦薫
○松浦(薫)委員 尚ほもう一つ、例へば此の場合に於きまして、地方長官が、其の縣としては全般として置くのだと云ふやうな方針の下に進むのでせうか、一縣の中でも、此の村或は此の地方では置くのだと云ふやうな區別をするやうな場合を御考へでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=483
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484・山添利作
○山添政府委員 是は最初に申しましたやうに、形の上は上からの選任でありますけれども、内容に於きましては下から持つて來る、斯う云ふ風に考へて居るのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=484
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485・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは第十五條の九に進みます、第十五條の九の朗讀を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=485
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486・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第十五條の九 委員の任期は二年とす
第十五條の二第三項各號の區分の一に屬し選擧權を有する者は當該區分に屬し選擧權を有する者の二分の一以上の同意を得て當該區分に屬する者に就き同項の規定に依り選擧せられたる委員の全員の改選を市町村長に請求することを得
地方長官は特別の事由あるときは第十五條の二第八項の規定に依り選任したる委員を解任することを得
第十五條の二第九項本文の規定は前項の場合に之を準用す
補闕委員は其前任者の殘任期間在任す
委員は其の任期滿了したるときと雖も後任の委員就任する迄仍其の職務を行ふ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=486
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487・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質疑はございませぬか
〔「なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=487
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488・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは第十五條の十一発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=488
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489・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第十五條の十一 市町村農地委員會は定員の過半數に當る委員出席するに非ざれば會議を開くことを得ず
議事は出席員の過半數を以て之を決す可否同數なるときは會長の決する所に依る
市町村農地委員會の會議は 公開す
會長は議事録を作成し之を縱覽に供すべし発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=489
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490・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質問はありませぬか
〔「質問」なしと呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=490
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491・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御異議なきものと認めます──第十五條の十三発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=491
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492・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第十五條の十三 都道府縣に都道府縣農地委員會を置く
都道府縣農地委員會は主務大臣及地方長官の監督に屬し左に掲ぐる事項を處理す
一 本法其の他の法律に依り其の權限に屬せしめたる事項
二 其の他農地關係の調整に關し勅令を以て定むる事項発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=492
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493・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質疑もございませぬか
〔「なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=493
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494・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは第十五條の十四発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=494
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495・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第十五條の十四 都道府縣農地委員會は會長及委員を以て之を組織す
會長は地方長官を以て之に充つ
委員は左に掲ぐる者を以て之に充つ
一 第十五條の二第三項の規定に依り同項第一號の區分に屬する者に就き選擧せられたる委員に於て互選し其の選に當りたる者 十人
二 第十五條の二第三項の規定に依り同項第二號の區分に屬する者に就き選擧せられたる委員に於て互選し其の選に當りたる者 六人
三 第十五條の二第三項の規定に依り同項第三號の區分に屬する者に就き選擧せられたる委員に於て互選し其の選に當りたる者 四人
四 學識經驗ある者の中より主務大臣の選任したる者 五人乃至十人発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=495
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496・北政清
○北(政)委員 此の「主務大臣の選任したる者」ですが、是は先程の御話の如く、やはり下からの推薦に依るものをやると云ふことを建前に行かれるのでありますか、又斯樣な場合には、それを法文に書いたらどうかと思ひますが如何です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=496
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497・山添利作
○山添政府委員 都道府縣に於ける學識經驗者の中から選びます委員でございますが、是は地方長官の方から推薦をさせまして、農林大臣に於て適當と認める人を選任致します、是は全國に亙りまして廣い範圍でありまして、到底主務大臣には獨自の見解でやる譯に行かず、又やることも適當でございませぬ、やはり地方長官の推薦致しました者の中から選ぶ方針であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=497
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498・北政清
○北(政)委員 さうしますと、町村のは委員會の推薦に俟つが、是だけは地方長官の獨裁で決まる譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=498
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499・山添利作
○山添政府委員 是は獨裁と言へば非常に言葉が惡くなりますが、何と致しましても所謂學識經驗者と云ふことでありまして、特に今囘は開拓の仕事等もございますので、相當其の方面からも任命しなければならぬと思つて居りますが、さう云ふ風になりますれば、自然是は學識經驗者を選ぶのでありまするから、其の間に不都合は起らないと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=499
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500・北政清
○北(政)委員 此の學識經驗者と云ふことですが、經驗者と云ふと、何か大財閥か何かでなければ經濟問題の經驗者でないやうに言ふのですが、實は其の仕事をして居るのは御殿樣でなくて支配人である、斯う云ふ譯です、又學者と言ふと、研究室で黴の生えた一つも餘所の分らない人に大體なつて居ります、斯樣な意味合に於て、寧ろ民主的に皆に選ばした方が宜いではないか、下の方は民主的にやるが、此處へ來ては學識經驗者から地方長官が推薦する、理論がどうも筋が通つて居ないやうに思ふのですが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=500
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501・山添利作
○山添政府委員 只今のは御意見として承つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=501
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502・松本六太郎
○松本(六)委員 是はやはり町村に於て其の他の人を選任致しますと同樣に、都道府縣に於きまする委員も、少くとも前項の規定に依つて選任せられました委員の同意を要すると云ふことにならなければ民主的には行かないと思はれます、少くとも左樣な方法に出られたいと思ふのですが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=502
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503・山添利作
○山添政府委員 此の邊になりますと、それぞれ意見になる譯でありまするが、町村の場合に於きましては、選任の方法が民主的でなければならぬ、是は當然でありますると同時に、又專ら其の委員が討議をし、決定して行くと云ふ形で町村内の仕事を處理する譯です、所が都道府縣の農地委員會の仕事になりますると、自ら仕事をすると云ふよりも、市町村農地委員會の立てました計畫を判斷する、即ち承認を與へる、或は異議のありました場合に裁定を加へると云ふことが主でありまして、そこに至りますると、所謂民主的方法と云ふことも勿論大事でありまするが、同時に學識經驗と云ふやうな事柄も亦其の性質上當然重視しなければならぬことであります、而して選任の範圍に於きましても、大體縣位の段階になりますと、自らそこに人の顏觸れと云ふことも選擇し易いのであります、地方長官が推薦した中から農林大臣が任命をすると言ひましても、是が或る一方に偏するとか、或は妙な人を選任するとか云ふやうな事柄は先づ心配ない、さう云ふやうな意味合に於きまして、形の上では兎も角、實際問題としては是で足りるのではないかと私共は考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=503
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504・松本六太郎
○松本(六)委員 是は議論に亙ると思ひますから餘り多くは申上げないが、さう云ふ論法を以てすれば、町村に於ける場合も同樣のことが言ひ得るが、さうではなしに、やはり民主化と云ふものは、徹頭徹尾一貫して行くのでなかつたならば、眞の民主化ではない、又地方長官が獨善的なさう云ふことはやらないにしても、斯う云ふ形を取りますことは、如何にもさう云ふやうなことをやりはしないかと云ふやうな不安を持つこと、乃至は又此の都道府縣に於ける委員會を圓滿に運營致して參りまするには、全部の委員がやはり信頼の出來る人、さうして其の人達が同意の出來る人達で構成することが一番望ましいことである、而も今御話のあつたやうに、さう云ふ立派な人を地方長官が推薦しようと云ふ場合に、委員の同意を求めたらそれで地方長官の立場と云ふやうなものが失はれると云ふことはあり得ない、私は圓滿に委員會を遂行して參りまするには、委員全體の氣持がぴつたり合ふと云ふことが一番大事だ、斯う云ふ見解から申して居るのです、あとは議論になりますから、是非さう云ふ風に運用せられんことを希望として申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=504
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505・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それはお互ひに委員の協議をする時に、御意見として又協議をしますれば…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=505
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506・松浦薫
○松浦(薫)委員 今の件で、之には居住の指定がないやうですが、例へば東京在住の、其の地選出の代議士と云ふやうなものが之に選ばれ得るものでせうか、どうでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=506
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507・山添利作
○山添政府委員 是は別に住所制限はございませぬけれども、概ね地元の人を選ぶのが當然のことだらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=507
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508・松浦薫
○松浦(薫)委員 だから、今言つたやうに、東京在住の、其の地方選出の代議士と云ふやうなものは…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=508
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509・山添利作
○山添政府委員 それは入り得る譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=509
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510・吉澤仁太郎
○吉澤委員 此の市町村農地委員の選定すべき方法でありますが、是は一體郵便投票にでも依らしめる御方針なのですか、投票所でも設けて、やはり一箇所で投票せしめると云ふ方法なのでありますか、此の選擧の方法は將來豫想される問題としてやはり相當主要な問題であると思ひますから、參考として承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=510
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511・山添利作
○山添政府委員 是はどうしてもやはり立候補制度を採りまして、町村役場等で投票箱を設けて選擧して貰ひ、其の結果と云ひますか、それを一定の場所に送る、斯う云ふやうな方法を執るやうな積りで、實は研究を致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=511
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512・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは第十五條の十五に移ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=512
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513・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第十五條の十五 第十五條の二第十項、第十五條の六乃至第十五條の八、第十五條の九第一項乃至第三項第五項第六項及第十五條の十乃至第十五條の十二の規定は都道府縣農地委員會に之を準用す但し第十五條の九第二項中市町村長とあるは地方長官、同條第三項中地方長官とあるは主務大臣、第十五條の二第八項とあるは第十五條の十四第三項第四號とす発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=513
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514・葉梨新五郎
○葉梨委員長 第十五條の十六発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=514
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515・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第十五條の十六 市町村農地委員會及都道府縣農地委員會は第十五條又は第十五條の十三に規定する事項を處理する爲必要あるときは農地の所有者又は耕作者其の他關係者に對し其の出頭を求め若は必要なる報告を徴し又は委員會の事務に從事する者をして農地其の他必要なる場所に就き所要の調査を爲さしむることを得発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=515
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516・北政清
○北(政)委員 一寸ですが、今の町村の委員會が出來まして、そうして會長まで決まつて、それから後でないと事務の委員は出來ないのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=516
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517・山添利作
○山添政府委員 事務の人は委員會で任命する譯であります、それまでに其の豫定を以て人を町村に採用して置くと云ふことは當然ある譯であります、尤も又現に豫算面から申しましても、一名は本年から書記が居ることになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=517
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518・葉梨新五郎
○葉梨委員長 次に第十六條発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=518
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519・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第十六條 左に掲ぐる不動産の取得に對しては、地方税を課することを得ず
一 第三條の規定に依る土地の取得又は第七條の自作農創設維持事業の爲にする土地の取得
二 第七條の自作農創設維持の事業に依る個人の土地の取得
三 第七條の自作農創設維持の事業に依り創設又は維持せられたる土地の所有者が其の創設又は維持の條件を具備せざるに至りたる場合に於ける事業者の土地の取得発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=519
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520・北政清
○北(政)委員 是は地方税を課することを得ずですが、登記料はどうなりますか、何處か別にありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=520
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521・山添利作
○山添政府委員 登記のことは登録税法で免除すると云ふので、後の方に書いてあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=521
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522・北政清
○北(政)委員 地方税だけで、町村税は關係ありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=522
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523・山添利作
○山添政府委員 是は府縣税で所得税を課けて、それに對して又市町村でも課けると云ふことでありますれば、それは兩方を含めた意味であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=523
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524・北政清
○北(政)委員 是では地方税とはつきりして居りますね
〔「進行々々」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=524
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525・葉梨新五郎
○葉梨委員長 第十七條の二発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=525
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526・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第十七條の二 第十五條の二第三項各號の區分の何れかに付被選擧權者の數同條第六項に規定する定數に滿たざる市町村に設置せらるべき市町村農地委員會に關しては勅令の定むる所に依り特例を設くることを得
特別の事情ある市町村には勅令の定むる所に依り市町村農地委員會を置かざることを得此の場合に於ては本法に依り市町村農地委員會の權限に屬せしめたる事項は當該市町村の隣接市町村に設置せられたる市町村農地委員會にして地方長官の指定するもの之を處理す
地方長官特に必要ありと認むるときは命令の定むる所に依り市町村の區域を二以上の地區に分ち市町村農地委員會に代へ各地區に地區農地委員會を置くことを得
本法中市町村農地委員會に關する規定は第二項の規定を除くの外前項の地區農地委員會に之を適用す発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=526
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527・北政清
○北(政)委員 此の特別の事情で其の市町村に出來にくいと云ふやうなことがあるかどうか、さうすると他村の人に、お隣りの村だからと云つて、それは全然分る筈がない、而も其の人が計畫して出すと云ふことも出來得ないから、それはどうしても各市町村に拵へさせなければならぬのではないでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=527
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528・山添利作
○山漆政府委員 是は凡ゆる市町村に市町村農地委員會を置くと云ふ主義で出來て居るのですけれども、場合に依つては地主がない──ないと云ふとをかしいのでありますが、非常に數が少い、例へば一人きり居らぬと云ふやうな場合もありますし、色々あるので、特例を置くことに致して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=528
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529・北政清
○北(政)委員 若しさう云ふ場合には地主が代理者を出したらどうでせう、其の村ではどうもそこに農地委員會が成立たぬと云ふのは變になるので、小作人は居るが、地主は他村に居つて居らぬとか、東京の人だと云ふやうな場合は成立たぬ、さう云ふ場合は土地を管理して居る者とか何とか、關係のある者でもやつて拵へる必要があるのではありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=529
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530・葉梨新五郎
○葉梨委員長 不在地主は選擧權はないのだから、其の場合は不在地主は入らないでせう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=530
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531・北政清
○北(政)委員 不在地主は勿論居らぬから分るが、それが居ないからと云つて、小作は居るが、地主は不在地主で居らぬのだ、だからして其處に農地委員會は出來ない、所でお隣りの村の人にやらせると云つても、お隣りの村の人に分る筈はない、だからさう云ふ場合は代理でも宜いから置かないかと云ふことです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=531
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532・和田博雄
○和田國務大臣 其の場合は農地委員會は置くのでありますが、例へば農地は殆どないと云ふ區がありますね、さう云ふ所は置くのは無意味だから置かないと云ふ意味であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=532
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533・葉梨新五郎
○葉梨委員長 第十七條の三発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=533
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534・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第十七條の三 本法中町村又は町村長に關する規定は町村組合にして町村の事務の全部又は役場事務を共同處理するものの存する地に在りては町村組合又は組合管理者に、町村制を施行せざる地に在りては之に準ずるものに、市又は市長に關する規定は東京都の區の存する區域、京都市、大阪市、横濱市、名古屋市及神戸市に在りては地方長官の指定する區又は區長に之を適用す
〔「質問なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=534
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535・葉梨新五郎
○葉梨委員長 第十七條の四発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=535
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536・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第十七條の四 第四條、第六條の二第一項、第六條の四第二項、第九條の二第一項若は第九條の三(第九條の七に於て準用する場合を含む)又は第九條の九の規定に違反したる者は二年以下の懲役又は一萬圓以下の罰金に處す
〔「質問なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=536
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537・葉梨新五郎
○葉梨委員長 第十七條の五発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=537
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538・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第十七條の五 左の各號の一に該當する者は六月以下の懲役又は五百圓以下の罰金に處す
一 第六條の規定に違反したる者
二 第九條第三項の規定に違反したる者
三 第十七條の規定に依る報告を怠り若は虚僞の報告を爲し又は當該官吏の臨檢査を拒み、妨げ若は忌避したる者
〔「質問なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=538
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539・葉梨新五郎
○葉梨委員長 第十七條の六発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=539
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540・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
第十七條の六 法人の代表者又は法人若は人の代理人、使用人其の他の從業者其の法人又は人の業務に關し第十七條の四又は前條第一號第二號若は第三號前段の違反行爲を爲したるときは行爲者を罰するの外其の法人又は人に對し各本條の罰金刑を科す
〔「質問なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=540
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541・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質疑がございませぬければ、附則に移ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=541
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542・大和田啓氣
○大和田説明員 (朗讀)
附 則
この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
第四條の改正規定は、この法律施行前從前の第六條第三號の規定により從前の第五條の規定による認可を受けないでした農地に關する契約で當該契約に係る權利の設定又は移轉に關する登記及び當該農地の引渡のいづれもが完了してゐないものについてもこれを適用する。
この法律施行後勅令で定める時期までは、第九條第三項の規定中「市町村農地委員會の承認」とあるのは、「地方長官の許可」と、同條第四項の改正規定中「承認」とあるのは、「許可」と讀み替へるものとする。
登録税法の一部を次のやうに改正する
第十九條第八號の二中「第四條、第六條」を「第七條」に改め、同條第九號中「第六條」を「第七條」に改め、「若は第四條」及び「第四條、」を削り、同條第九號の二中「第四條の團體か同法第三條又は第四條」を「第七條」に、同條第九號の二及び第十二號中「第四條、第六條」を「第七條」に改める。
〔「質問なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=542
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543・葉梨新五郎
○葉梨委員長 各位の御努力に依りまして農地調整法の一部を改正する法律案の各條審議も是にて終了致しました次第であります、明日は午前十時より開會することと致しまして、是にて散會致します
午後八時五十分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011383X01419460930&spkNum=543
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