1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
付託議案
所得税法の一部を改正する等の法律案(政府提出)
臨時租税措置法を改正する法律案(政府提出)
地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案(政府提出)
—————————————————————
昭和二十一年八月六日(火曜日)午前十時十七分開議
出席委員
委員長 苫米地義三君
理事 中野武雄君 理事 深津玉一郎君
理事 八木佐太治君 理事 宮澤才吉君
理事 松永義雄君 理事 今井耕君
小川原政信君 片岡伊三郎君
上林山榮吉君 坂本實君
田中實司君 寺尾豐君
江川爲信君 松岡運君
奧村又十郎君 川島金次君
榊原千代君 玉井潤次君
林田哲雄君 飯田義茂君
原尻束君 鈴木憲一君
山下ツ子君
同日飯島祐之理事辭任に付其の補闕として八木佐太治君が理事に當選した
出席政府委員
内務政務次官 世耕弘一君
内務事務官 郡祐一君
内務事務官 荻田保君
大藏政務次官 上塚司君
大藏事務官 池田勇人君
大藏事務官 前尾繁三郎君
━━━━━━━━━━━━━
本日の會議に付した議案
所得税法の一部を改正する等の法律案(政府提出)
臨時租税措置法を改正する法律案(政府提出)
地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=0
-
001・苫米地義三
○苫米地委員長 是より會議を開きます、先づ御諮り致したいことがございます、飯島祐之君が理事辭任の申出を致しました、飯島君の理事辭任を認めることに致しまして、先例に依り其の補缺選擧は委員長指名と云ふことに御異議はございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=1
-
002・苫米地義三
○苫米地委員長 御異議なしと認めます、それでは八木佐太治君を理事に指名致します、御承知願ひます——前會に引續きまして質疑を許します——宮澤才吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=2
-
003・宮澤才吉
○宮澤委員 私は最初に大藏省關係に付て質疑を致したいと存ずるのでありますが、大臣が御見えにならないやうですから、若し御聽きを願はれて、後で大臣より御答辯願はれれば、最初に致して置きたいと思ふのでありますが、此の點に付て大藏省當局に御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=3
-
004・上塚司
○上塚政府委員 若し政務次官若しくは主税局長で御差へがございませぬでしたら、此の場で御答へを致します、尚ほそれで御不滿足でありますれば大臣に取次ぎまして、大臣出席の節に御答へすることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=4
-
005・宮澤才吉
○宮澤委員 只今の御答辯に依りまして大體了承した譯でありますから、若し私の質問に御答へが當らない場合には、更に大臣より御答へを願ふことに致しまして、最初に國土保全に付て大藏省の抱負を御聽きしたいのであります、と云ふことは、申上げるまでもなく戰爭中に於きましては食糧増産が第一點張りでありまして、恐らく内務省關係或は其の他の所管の關係と致しましても、食糧増産以外の關係、或は戰力増強に最も急である増産のみを持つて來たやうでありまして、先づ内務省關係に付きましては後廻しと云ふやうなことで、それは内務土木に致しましても、或は治山治水の關係に致しましても後廻しになつたと云ふことで、凡ゆる關係が荒廢して居ると云ふやうな状態になつて居る譯でありますから、是の戰後の對策と致しまして大藏省は——私の御聽きすることに付ては内務省、農林省の兩方に關係する譯でありますけれども、何れに致しましても、其の金を出す所は大藏省でありまして、大藏省が承知をしなければ出ないのであります、先づさうした場合に大藏省はどう云ふ御考へを持つて居るか云ふことでありますから、勢ひ私の質問は内務省關係、或は農林省關係にも及ぼして參る譯でありますけれども、其の點御諒承願つて置きたいと思ふのであります
先づ只今申上げましたやうに内務土木であるとか、或は農林省關係の食糧以外の、戰力増強と直接の關係以外のものに對しては後廻しになつて居ると云ふやうな關係に付て、私の意見を申上げて御所見を伺ひたいと思ふのであります、國土保全の意味合から致しまして、近來非常に災害が多いと云ふやうなことは、是は今までの内務土木、或は治山治水と云ふやうな關係に缺けて居る點があつたからであると云ふことは見逃せないのであります、殊に最近の北海道の石狩川の氾濫の如きも、是は木を多く伐採して、山林が荒廢したと云ふやうなことに原因するのでありますから、是等の關係に付て今後戰後の對策と共に、國土保全と云ふやうな意味合から致しまして、大なる所の事業を施行して參らなければならないと云ふことでありまして、先づ治山治水と云ふ問題に付て大藏省はどう考へて居るかと云ふことを御聽きするのであります、昨年は御承知の如く四五十年來の凶作であつて、米の減收は御承知の通りでありますが、尚ほ、更にそれに加へて災害に依つて一千萬石以上の損失をして居る、減收を見て居ると云ふやうな今日、之を急速に對策を講じなければ、如何に農民が米麥を増産致しましても、收穫間際に災害に依つて流されてしまふ、不毛に陷れると云ふやうなことに相成つてはならない譯でありますから、是等の恒久對策を先づ以て考へたいと云ふことと、又現在失業者が一千萬にも達しようと云ふ今日、應急策と致しましては失業救濟、又其の事業が恒久對策であると云ふ方面から考へまして、是等の事業の施行に付てどう云ふ御考へを持つて居るか、それに對する所の金を出すことに付て、大藏省、殊に金をいぢる關係の方は消極的であつて、成るべく出さない、出さないと云ふやうな方面ばかり考へて居ると云ふことは私は承知して居るのでありますが、今少しく國土保全と云ふ、百年の大計を立てると云ふやうな意味合からして、此の大計を立てて戴きたいと云ふことを望むのでありまして、先づ治山治水に付きましては、戰力増強の爲に木を伐採したことが非常に多いと云ふことで、石狩川の氾濫も之に基因すると云ふことは、是は爭はれない所の事實であります、北海道ばかりでなく、各地方の山林縣がさうでありまして、其の影響を受けるのは何處であるかと云ふと、下流の木のない方の國土に影響を及ぼして居る譯でありまして、是等の對策に付ては、現在の材木の値段が非常に上つて參つては居るけれども、それが逆算である、市場の相場は高くなつて居るけれども、段々と運賃で、あるとか勞務であるとか、伐採賃であるとか云ふ樣な事に逆算して參る爲に實際の立木の値段はさう高くなつて居らないと云ふ樣なことに相成るのでありまするから、之を色色な強權であるとか法に依つて強制的に伐採を命ぜられて、其の跡地の植林が困難な譯でありますから、是等の不毛の地に對して植林すると云ふやうな場合に付ても、治山と云ふやうな意味合、やはり山に木を植ヱて治水を圖ると云ふやうな意味合から致しまして、是等の植林費に對する補助、私は全額補助を要望するのでありますけれども、是等の點に對しまして御所見を伺ひたいのであります、又治山、治水の砂防工事、或は内務省の土木關係の堤防其の他の治水關係と云ふやうな關係に付ての工事の施行の場合に、大藏省はどう考へて居るか、農林省と致しましても内務省と致しましても、事業は施行致したいけれども、大藏省が財布を掴んで居つて中々出さないと云ふことで、何時も惱んで居る譯でありますが、一つの例を申上げると現在の内地の山林面積は約二千五百萬町歩ある譯であります、此の二千五百萬町歩の山が北海道は針葉樹であるならば一年に五十立方「メートル」或は九州方面に於きますと、一年に十五立方「メートル」の伸長率があると云ふやうなことから致しましか、現在の材木の價格から致しますと恐らく四十億、五十億と云ふ金が、國の富の成長が、知らず識らずの間に太陽の光線と地の力に依つて伸びて居ると云ふことで、唯山林を荒して置くと云ふことは國土保全の上からも、又國の富へ程度を増すと云ふやうな意味合の積極的な考へから參りまして、どうしても是は十分なる所の施策を講じて參らなければならぬ、斯う考へる譯でありますが、是等の積極的事業に對し、國土保全、或は災害の防止と云ふやうな關係に付て、又一つは恒久對策、或は應急對策、失業救濟と云ふやうな意味合から致しまして、相當の金を出すことが、大藏省として承知が出來るかどうであるかと云ふことを、先づ以て御聽きして置きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=5
-
006・上塚司
○上塚政府委員 宮澤君は只今國土計畫に關する御抱負を御述べになりまして、大藏省當局のそれに對する意見を御尋ねでございまするが、國土計畫に關しましては、政府全體と致しまして、大きな計畫を立てる譯でありまして、殊に内務省、農林省等に於て具體的の對策を作り上げる次第であります、さうして大藏省に其の經費を求められるのでありますが、大藏省としては決してさう云ふ費用に對して出し吝しみをするやうなことはございませぬ、國家財政の許す限度に於きましては、出來るだけ多くさう云ふ方面の費用を經費を廻さなくてはいかぬと云ふことを考へて居ります、殊に只今仰せの北海道の開拓事業の如き、今日まで數十年の間、特に開拓費用に付きまして政府は巨額の費用を振向けて居るやうな次第でございます、是等のものは總て國家全體の發展は繁榮の上から致しまして、考慮して定めて居るものでありまして、大藏省が若し經費に付て出し澁ると云ふやうなことがあつたとすれば、それは豫算の上から致しまして、殊に今年度の如きは非常に多額の國費を必要と致します、約二百五十億以上の赤字財政となつて居ります、さう云ふやうな關係を以ちまして、御希望通りの經費の支出が或は出來なかつたかも知れませぬけれども、常に國土保全の問題に關しましては十分の考慮を費しまして、出來るだけの費用を之に向けたいと云ふ考へを持つて居る次第であります、左樣御諒承を御願ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=6
-
007・宮澤才吉
○宮澤委員 只今の御意見が大臣と同じ御意見であれば非常に結構なことでありまして、全く農林省や内務省が計畫を立てたことに對して出し吝みをしないと云ふことであれば私は滿足する譯であります、殊に治水事業の關係に付きましては五箇年計畫が、あれは慥か本年で終りとなるかと思ひますが、明年よりは更に五箇年計畫或は七箇年計畫と云ふやうな計畫を立てて、大なる所の國費の出費を願はなければならないと云ふことを私は考へて居る譯でありますから、其の際は勿論只今の御説のやうに、國の財政と睨み合せてさうして出來るだけ出すと云ふやうなことでありますから、積極的方面に考へ、又國土保全と云ふことが、唯其の地方で施行する事業が必ずしも其の地方の事業でない、是は國全體の仕事であると云ふ風に御考へになつて居ることは非常に私は滿足する譯でありますが、さうした意味合に於きまして更に計畫を立てられた時には出來るだけの、出し吝みをしないと云ふ方面に付て、積極的に御考へを願ひたいことを切望して置きまして、此の問題は是にて滿足を致す譯でありますから打切りに致します、次に税制改革の問題に付て御聽きしたいのであります
先づ第一に改正税制は公正と國民負擔の均衡を缺いて居りはしないかと云ふことを御聽きしたいのであります、次は國民所得の見積りが過大ではないかと云ふこと、三と致しましては、勤勞所得税の税率を引上げることは不適當ではないか、それから又主と致しまして生産力増強の爲の酒の造石の増加を考へて居るかどうか、五と致しまして物品税の徴税方法に付て御聽きして見たいのであります
先ぞ最初申上げたやうに第一と致しまして、終戰後我が國の諸情勢の推移に依つて増税の必要は是は申上げるまでもないのでありますが、國民の税の負擔に付ては公正でなければならない、又均衡を缺いてはならないと存ずるのであります、政府は國の財政に徴しまして、又事務の簡素化を圖ると云ふやうな見地から致しまして、今囘の税制の改正を行はれたのでたりますが、事務を大幅に簡素化する時は私は公正或は均衡と云ふ點が缺けはしないかと云ふことを憂ふるのであります、一例を申上げますと各種の税目を一本にすると云ふやうなことで、或は其の税率が百分の二十である、二十五である或は三十であると云ふのを一本に平均率にしてしまうと云ふやうなことに致します、是は公正を缺いて來はしないか、さう云ふ風に考へるのでありまして、餘程前から事務の一素化をしなければならないと云ふことを申して居るのであります、他の事務は兎に角と致しまして、税の徴收の簡素化と云ふやうなことは或はそこに間違ひを生じはしないか、或は公正を缺きはしないかと云ふことであります、それ等の點の一々の例を擧げますと中々長くなるのでありますが、さうした場合に公正を缺くとか或は均衡を缺くと云ふことになりはしないかと考へるのであります、相續税であるとか或は所得税と云ふやうなものは累進課税でなければならないと云ふやうな意味から行き、又其の税の性質、性格から行きまして、簡素化して之を徴税しようと云ふ風にすることが果して今の公正であるか、或は均衡を缺いて居りはしないかと云ふことを先づ大掴みに御聽きするのでありますが、其の點に付て御伺する次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=7
-
008・池田勇人
○池田(勇)政府委員 租税が公正であり、均衡が取れて居ると云ふことは租税の生命でございます、隨て如何に簡素化すると申しましても租税の公正を害するやうな簡素化は不適當であると考へます、唯我が國の税制は昨日も御話がございましたやうに、非常に複雜に亘つて居りまして、殊に戰時の要求に應ずる爲に凡ゆる手を盡して居ります、只今となりましては、其處まで行くと云ふことが、殆ど不必要であり、又不適當であると云ふことが考へられますので、さう云ふ點を簡素化致したやうな次第でございます、實例で申上げますと、臨時利得税は戰時中竝に戰前から設けて居りましたが、非常な收入のある臨時利得税を止めましたのも、實質的には殆んど意味をなさない、又法人税で課税すれば宜い、斯う云ふやうな考へで實質的に負擔が變らないやうに致すやうに税法を廢止したり、又所得税に於きましても分類所得税、殊に預金の利子に付きましては非常に複雜でございまして、專門家でも中々分らないやうな色々な税率を設けて居ります、併し斯くしますことは却つて負擔の不均衡を來します實例もありますので、税率を簡素化に致したやうな次第でございます、全體と致しまして租税の生命である公正を害するやうな簡素化は致して居ない積りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=8
-
009・宮澤才吉
○宮澤委員 只今の私の質疑に對しまして御答へがあつた譯でありますが、之に付ては又更に他の委員の方から何處の點が不均衡でありはしないかと云ふ御質問があらうと思ひますので、私は此の程度で打切と致しまして、次に所得額を過大に見積つて居はしないか、過大に見積る際に於きましては歳入に缺陷を生じやしないか、斯うした場合どうするかと云ふやうなことを御尋ねするのであります、今囘の税制改正は先づ國の財政に鑑みて百六十億の税の收入をしなければならないと云ふことで、凡ゆる税率の引上と云ふやうなことを致し、又國民の財政經濟の推移から言つて、所得が十分多くなつたと云ふやうな意味合から百六十億を見積られ、殊に我が國の税の中核であり或は基礎を置いてある所の所得税が一番の大きな税の收入になつて居る譯でありますから、之に或は齟齬を來す、或はそれだけの收入がなかつたと云ふやうな場合に大なる所の缺陷を生じやしないか、杞憂であるかも知れませぬが、さう云ふことを考へる譯であります、大藏大臣は本年は國民の總所得は二千億であると言ふ、又本年の増税は二十四億であるが、平年は三十億であると云ふやうなことを申されて居る譯でありますが、先程申しましたやうに、失業者が一千萬人にも及ばんとして居る今日、失業者があると云ふやうなことでは、所得は失業者にはない譯でありますから、二千億の所得の見透しと云ふやうなことは過大でありはしないかと云ふことは私は申す譯であります、さうした場合に國の財政に非常な影響を及ぼす、支那事變の起る昭和十二年の年の國民所得は百十五億、次の年は我が國の戰力増強や其の他の關係から二百二、三十億になつたと云ふやうなことで、遂年増加致しまして、只今に及んだ譯でありますけれども、是が終戰後の、殊に明年頃からは私は非常な不景氣が參ると云ふやうなことを考へる譯でありまして、其の場合に本年は先づ二千億、假に過大でないと致しましても次の年からは相當に所得が減つて參りはしないかと云ふことを考へるのであります、斯うした場合に本年の税制の改正は本年一年だけであるか、次の年には又改正をして國の財源をどれだけ求めなければならないと云ふ場合には税率を改正して高率にして貰はなければならぬと云ふことに參ると考へる、此の税制改正は本年一年行ふだけで、明年は更に改正をして行かなければならないか、或はずつと數年間此の税率で行けるかどうかと云ふやうな見透しと、二千億の所得が必ずあるかどうか、是等の點に付て御所見を御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=9
-
010・池田勇人
○池田(勇)政府委員 御質問の第一點は昭和二十一年度租税收入百六十三億圓は見積り過大ではないかと云ふ點でございます、昭和二十一年度に付きましては、既に年度も三分の一餘りを經過致して居ります状態で、大體、今年度の租税收入は見積りが立つて居るのであります、而も租税の内容に付きましては、昨年の實績に依りまして課税致しまする税に付きましては例へば所得税の附加課税分、或は綜合所得税分は既に決定したのを根據に致して居ります、又勤勞所得税等に付きましては最近の状況を見まして、大體月の收入の十二倍程度を見込んで居りますので是れ亦非常な減收を來すやうなことは考へて居りませぬ、唯法人税に付きましては昨年八月以来殆ど法人は缺損をして居る状態でございますので、此の點に付きましてはさう云ふ事情を能く考慮致しまして、減收を前以て見込んで居る次第であります、間接税に付きましても大體最近の消費状況を見まして適正に見積つて居りますので百六十億圓の昭和二十一年度の租税收入は多くなるとも少くはならないと考へて居ります
第二點は國民總所得が二千億ありや否やと云ふ問題でございます、國民所得の計算は非常に厄介でございまして、我が國に於きましても昭和十年に内閣統計局が非常に綿密な調査を致しまして百四十五億と發表致しました、其の後議會で國民所得の問題が起きました時は大藏省と致しましては、課税上の増加分を昭和十年を基準と致しまして此の程度にあるだらと云ふことを發表致して居ります、昭和十七年、十八年、十九年は課税上の資料に依らず、政府の財政計畫其の他から各種の資料を勘案致しまして例へば昭和十八年には五百億圓、十九年には六百億圓と云ふ數字を發表致して居るのでございます、只今御話の二千億と云ふのは、さう云ふ説もあると云ふ程度に私は聞いて居りまして、自分と致しましても昭和二十一年度の國民所得が二千億あるかないかと云ふ點に付きましては研究致して居りませぬ、折角大藏省全體として只今研究をしつつある状態でありまして、二千億を基準に所得税等の租税收入を見込んでは居ないのでございます
國民所得が二千億あるかないか分らない、又それ以下になると云ふ場合に、昭和二十二年度以降の税制をどうするか、是が御質問の第三點と思ひまするが、租税制度竝に租税收入と云ふものは、其の國の國民經濟、産業機構、其の他各般の事情を考慮致しまして考へるべき筋合のものでございます、敗戰後の我が國の經濟機構が如何になるか、どう云ふやうな在り方で現はれて參りますか、具體的に申しますと財界整理後の經濟機構、産業機構、又財産税徴收後の富の配分状況等を考へまして、歳出を見ながら來年は考へて行きたいと考へて居ります、只今の税制は一部に非常に行詰つて居る、もう是れ以上の税率の増加は出來ないと云ふことを言はれて居ります、我々も其の點に付きましては同感の點が多いのであります、明年度に於きましては外の國と比べまして非常に行過ぎて居る、主として關接税に付きましては所詮税率の低下を圖らなければならないやうな状態になるのではないかと思ひます、又直接税に於きましては私は必ずしも絶頂までに行つて居るとは考へて居りませぬ、來年の歳出等を見比べまして、明年度行ふ税制改正に付きましては、篤と經濟事情の在り方等を考へて研究致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=10
-
011・宮澤才吉
○宮澤委員 只今の御答辯でありますが、數次に亘つて大藏大臣は國民の總所得が二千億であると云ふことを、本議場に於ても御説明になり、其の他の委員會等に於ても御意見の發表があつた譯でありますが、只今の御答辯から參りますとさう云ふ説もあると云ふやうな御話であります、殊に税の負擔と云ふことは勿論只今の御答辯のやうに、昨年の所得に依つて本年課説すると云ふことになつて居つて、先づ只今は「インフレ」であるから金の廻りも宜いと云ふことで、本年はさうした心配はなからうかと思ふのでありますが、平年と致しましては前の年に所得が如何にあつても、其の次の年にがた落ちになると所得税に對しても、又營業税に對しても納税することは困難であると云ふやうな事情も起きて參る譯であります、殊に本年は總所得が二千億ある、明年は此の二千億あつたと云ふことを推定し、或は其の説に依つて明年課税すると云ふやうな場合には、或は明年の納税がどうなるかと云ふやうなことも、是は疑ひを持たなければならない譯でありまして、此處で色々とそれが宜いとか惡いとか云ふやうなことで、私は食ひ下る積りはないのでありますけれども、説であると云ふやうなことを、ああ云ふ本議場で發表されることは如何かと存ずる譯でありまして、殊にさうした場合、明年の所得を本年の二千億の計算で推定される、或は税の基準に置くと云ふやうなことになりますと、そこに非常な缺陷を生ずると云ふことを考へるものでありまして、私は別にそれが善い惡いと云ふことに付て詰問する譯ではないけれども、私の意見を申上げて次の問題に移りたいと思ふのであります
次に勤勞所得の引上でありますが、凡ゆる税率の中所得税のみでないのでありますが、撤廢をし廢止をした税金もある、又税を比較的下げたのもあり、上げたのもあると云ふやうな關係で、一律にどの税金も上げると云ることになれば、勤勞所得税も百分の十八から二十に引上げることも私は敢て反對は致さないのでありますけれども、さうした關係にある今日、勤勞所得税を十八から二十にすると云ふことは、是は非常に殘酷ではないかと云ふことを私は考へるものであります、殊に勤勞者が物價の昂騰と云ふやうなことから生活難の爲に、生活保護に要する待遇改善であると思ふのでありまして、凡ゆる待遇の改善を致しましても、生活が困窮であるから、生活を何とかやつて行かなければならぬと云ふやうなことで、待遇の改善をした、決して其の待遇の改善が餘裕があつて貯蓄に廻るとか、貯金に廻るとか云ふことでない、生活の爲に要する譯でありますから、待遇の改善をして行かなければならないと云ふことで、待遇の改善が行はれて居る譯でありますけれども、斯うして待遇の改善を致しましても、税に依つて更に是は増税をされると云ふことになりますと、唯財布の中に多くの金を入れるのみである、勿論全部税金に納税をする譯ではないのでありますけれども、さうしたことも考へられる譯でありまして此の税金は先づ勤勞者の生死に及ぼす金であると云ふことから、二十にしたことは是は不適當である、昨日も上林山君から色々な御話があつた譯で、或は下げること、或は累進課税に依つて引上げて、三十にすると云ふやうな御意見もあつた譯でありますけれども、此の今の課税の事務的關係からの簡素化、或は是は勤勞所得であるから一律の税で宜しいと云ふ見方から參りまして、是は昨年位は是は仕方ないけれども、生活改善や色々でどうしなも生活困難になつて居る今日税を此の分から徴税すると云ふことは不當ではないか、と考へまして、是は先づ十八にして置くことが適當であらう、もつと下げたいのでありますけれども、昨年の例だけは仕方がないけれども、上げると云ふことを本年考へるべきことではない、先づ十八にして戴きたいと云ふことを主張するものでありますが、御所見を御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=11
-
012・池田勇人
○池田(勇)政府委員 勤勞所得税の引上げは不當であり、實情に副はぬではないかと云ふ御意見のやうでありますが、租税は廣く國民が其の分に應じて納税をすると云ふことが私は一番必要であり、又税務の民主化から申しましてもさう云ふ方向へ進まなければならぬと考へて居るのであります、勤勞所得税は今國民所得の中の相當部分、或は一番大きい所得であるのであります、而して勤勞所得税であつても、只今申上げました其の分に應じて負擔すると云ふことは否定出來ないと思ひます、唯勤勞所得税は資産所得とか、或は事業所得とは其の所得の性質から考へまして、擔税力が少いと云ふことは、是は動かすべからざる事柄でございます、隨て今囘の増税に於きましても、他の所得が相當増税せられる場合に於きましては、勤勞所得者も或る程度の負擔の増加は已むを得ないと考へまして、資産所得に付きましては、大體原則として百分の七事業所得は百分の四引上げましたのを、勤勞所得に於きましては、百分の二に止めた次第でございます、而も昨年の同じ金額に對しまする所得税額と今年のとは過日も申上げましたやうに、三月九日に基礎控除を五十圓から二百圓に引上げました關係上、實除の負擔は昭和二十年分よりも二十一年分の方が低くなつて居る次第であります、勿論是は二萬圓以下の所得者に對してであります、さう云ふ状況でありますので、此の際國庫の歳出が非常に殖えて參ります時に、勤労所得者も已むを得ないこととして御諒承願ひたいと考へて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=12
-
013・宮澤才吉
○宮澤委員 酒の造石を増す御意見があるかどうかと云ふことを御聽きしたいのでありますが、毎年酒の造石に付ては米の收穫と睨み合はせて、或は酒の造石にどの位廻して宜しいか、或は飯米としてどうするかと云ふやうなことに付て、農林省と大藏省が色々の決定に付ては協調、或は御相談の上で決められることを御伺ひして居るのでありまするが、近年食糧が非常に不足して參つたと云ふことから順次下つて、多くの年から考へると、私は先づ五分の一以下になつて居ると云ふやうな風に考へて居る譯でありまして、決して私が酒を好んで酒を多く飮みたいから酒を多く造れと云ふことではないのであります、是は一石何鳥と云ふやうな見地から見まし申上げるのでありますが、酒の造石を減じ、又は禁止した場合でありますが、斯うした場合に酒を造らさないから米がそれだけ飯米の方に廻るかと云ふと、決して私はさうではないと斯う云ふ風に考へるものであります
私は今度こちらへ參つてから、凡ゆる方面から御聽きしたこと、又私の考へて居ることから綜合して申上げる譯でありますけれども、先づ酒造家の方面の觀點から致しますと、酒が非常に少なくなつた爲に密造が非常に殖えて參つたと云ふことを聽いたのでありますが、酒を飮む人はどうしても飮まないでは居られないと云ふので、何等かの方法で酒を飮む、或は「アルコール」に水を入れて飮むとか云ふやうなことも致すやうでありますが、是は國民の健康保健の上に付ても非常に影響があるし、全く清酒でなければならぬ、本當に釀造したものでなければならないと云ふやうな事柄も考へるのでありますが、國民の健康保健と云ふやうな意味合から、或は濁酒であるとか、或は「メチール」に水を入れて飮むとか
〔委員長退席、深津委員長代理著席〕
是が國民の健康に影響を及ぼすと云ふことではならない譯でありますし、それから又六十五萬石或は七十萬石と云ふやうな酒の造石の少ない爲に、此の頃私が御聽きした所から參りますと、先づ二百萬石は米を密造しただらうと云ふやうなことであります、非常に大きな數字になつて居る譯であります、酒の釀造の造石から參りますと、全く三倍の密造の造石があつただらうと云ふことは、決して米を浮上らせる策ではないと云ふことを私は聽いたのでありまして、是は勿論大藏省關係から參りますれば、酒を多く造らして多くの税收入を得たいと云ふ意圖であるかと思ふのでありますけれども、農林省が今の食糧事情の爲に中々酒に廻すことが困難であると云ふことで、何時も頑張ると云ふやうなことも御聽きして居る譯でありますけれども、實除是は消極的の本當のことを知らないものであつて、殊に大藏省關係に於きましては密造關係なども十分に御承知のことと思ふ譯でありまして、是は酒の造石を増石することが私は先づ増税になることである、密造を防止することである、米の闇の消費を防止することである、それから又一つは生産の増強になる譯でありますが、酒のあるとないとで、或は農蠶業を營むもの、或は林業を營むもの、何れも家に歸つて一杯の酒があると云ふことで、其の元氣、夕方或は日の暮れ方に於ける勵み方が違ふ、又一杯やつた後の能率の上り方が違ふと云ふやうなことで、生産の増強になる、是は家際問題で、理窟だけではない、理窟では、酒を造らないで、其の分、或は百萬石或は百二十萬石を飯米の方に廻せばそれだけ宜しいやうでありますけれども、是は決して今の理窟通りではなくて、其の内面に入りますと、只今申上げたやうに密造すると云ふことで、米が闇に消費されてしまふと云ふことにも相成るのでありますし、徴税の方の關係も増税にもなり、密造の防止にもなり、生産の増強にもなると云ふやうな關係から増石する意圖はないかと云ふことを——實際の實例からして斯う云ふものであるから増石する必要がある、殊に國の經濟なり、税金の増徴と云ふことにも相成る譯でありまして、此の點を大藏省は特に強調して、農林省と造石の計畫を立てられたらどうかと云ふことを申上げる次第でありまして、此の御所見を御聽きするのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=13
-
014・池田勇人
○池田(勇)政府委員 酒の效用に付きましては宮澤委員の御説の通りでありまして、我々も酒が増産に役立ち、又國民生活の明朗化に非常に寄與して居ると云ふ點は認め、毎年農林省等と交渉致しまして、米、甘藷、大麥其の他の雜原料の割當に努めて居るのでございます、併し一方食糧關係が非常に逼迫致して居りますので、累年酒に出します米麥、甘藷等は減つて參つて居ります、昨年度は清酒に付きましては、六十五萬石の配給を受け、麥に付きましても、即ち「ビール」用の、麥に付きましても三十數萬石、甘藷に付きましては一億五百萬貫の割當を受けたのでありまするが、甘藷は其の一割餘り、千七百萬貫しか酒造に配給に相成りませぬ、「ビール」も其の後の情勢が變つたので、半分以下になるやうな状況でございます、出來るだけ酒を造り、生産増強の原動力とし、又密造防止等から考へまして努力致して居るのでありますが、只今の状況と致しましては、我々の努力に拘らず、食糧事情が如何に相成りますかに依りまして、餘程此の酒に割當てられる米、麥、甘藷等も減つて來るのではないかと考へて居ります、唯我々希望を繋いで居りますのは、今年の米は昨年度に比べて餘程増收を豫想せられ、甘藷に付きましても非常に好い「ニュース」が入つて居りますので、出來得ますれば昨年以上に作りたいと云ふ希望を持つて努力致して居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=14
-
015・宮澤才吉
○宮澤委員 只今私の申上げたのは決して飯米を廻して酒を造れと云ふことではない、斯うして尚ほ米が浮き上ると云ふやうな、飯米に多く廻るやうな意味合から申上げたことでありますから、委員の方々と致しましても、或は政府の方々と致しましても、誤解のないやうに願つて置きたいと思ふ譯であります、酒を多く造つて飯米を少くしろと云ふ意味ではないのであります
次に今一、二點御聽きしたいのでありますが、物品税の徴税方法に付てであります、書畫骨董の税金を私は色々の説明書から見ますと、非常に下つたやうに思ふ譯であります、事實さうであつたならば、書畫骨董のやうな贅澤品に付てどうして下げたかと云ふことを御聽したいのであります、百分の六十或は百分の八十から百分の二十にしたと云ふやうに私は見て居る譯でありますが、是が其の通りであつたならば書畫及び骨董の税金を下げた理由はどうであるか、それから又其の次に物品税の小賣課税を廢した譯でありますが、現在物品税の課かるべき性質の物品が小賣商人の棚にある分に對してはどう云ふ風になされるか、若し其の調査をして、税金を課けると云ふことであつたならば、其の徴税方法を一度にされるか、或は分割でするか、或は賣つた後に納めると云ふやうなことになるのであるかどうか、それを御聽きしたいのであります、次に洋服や蒲團其の他の税金は改正後はどうなるか、是は全部織物税の方に、洋服の生地は課けてしまふから、洋服の方に物品税として課けなくても宜しいと云ふことになるかどうか、洋服、蒲團と云ふやうな税金に付ては、今度はつきりしない譯であります、是等の點に付てはもう既に織物消費税の方に課かりますから、是はもう課けてあるのであるかと云ふことを御聽きして見たいのであります、それから尚ほ現行法の二本建が今度一本建になつて、或は織物消費税を課けて十五が四十になつた、物品税或は小賣税とか、さう云ふものを課けないで一本にした爲に四十になつたと云ふやうな關係で、是は大體似た税金であるか、或は斯う云ふ風にしたが爲に非常に増税になつて居るかと云ふやうな點を御聽きしたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=15
-
016・池田勇人
○池田(勇)政府委員 書畫骨董に付きましては、從來最初は百分の十、それから百分の二十と、段々上げて參りまして、現在では百分の六十の税率で課税致して居ります、又其の價格が八百圓以上であつた場合には之を百分の八十の特別税率で課税致して居るのであります、併し課税の實情を見ますると云ふと、是は段々課税物件が減つて參ります、さうして實際は非常に脱税が行はれて居る、斯う云ふ點から考へて見ますと、書畫骨董の如き純然たる消費物資でない輾轉流通する可能性の多い物に、高率の消費税率を課税すると云ふことは適當でない、斯う云ふ考への下に百分の六十を百分の二十に引下げた次第でございます、隨ひまして今後と致しましては、業者に納税團體を作らせて、苟くも業者間に於ける取引に付きましても全然脱税のないやうな機構を備へ、さうして取引が正々堂々明るみに出て來るやうに致したい次第でございます
第二の物品税の小賣課税を廢めたのはどうか、是は只今、御承知の通り、小賣課税と製造課税に分れて居りますが、徴税が煩鎖でありまするのと、課税の適正が十分期し得られませぬので、此の際税制の簡素化等の意味から考へまして、小賣課税を製造課税に統合致した次第でございます、唯、製造課税に不適當な花輪とか、盆栽、或は果物等に付きましては、此の際課税を廢めた次第でございます、隨ひまして小賣業者の所持する商品は如何にするか、此の點は經過規定でございます附則に規定致して居ります、即ち小賣業者を製造者と看做しまして、在庫品に付きまして課税を致すことに致して居ります、併し一度に課税致しますると、納税に困難を來します爲め、之を分納で納め得る規定を置いて居る次第でございます、次の洋服、蒲團に付て、尚ほ物品税を課税するかと云ふ御話でございまするが、洋服や蒲團等に付ては從來物品税を課税致して居りましたが、今囘は織物消費税と、織物又は織物製品に對する物品税を統合致しました關係上、洋服、蒲團には物品税を課税致しませぬ、織物消費税だけに相成つたのでございます、最後に織物消費税の四十と云ふ税率はどう云ふ所から出たか、斯う云ふ御話でございますが、從來織物消費税は取引價格の百分の十五でございまして、物品税に付きましては小賣價格の百分の四十であつたのでございます、隨て百分の四十と十五を加へますと百分の五十五になるのでございまするが、先程も申上げましたやうに、日本の關接税は相當高くなつて居りまして、最高百分の百二十を百分の百に引下げました關係と、又織物の價格は非常に上つて居りますので、此の際税率百分の五十五になりますのを、百分の四十に止め置いた次第でございます、隨て織物に對しまする間接税は輕減せられたことに相成るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=16
-
017・宮澤才吉
○宮澤委員 色々細かい質疑を致しまして、それに對して答辯の方が尚ほ丁寧にして戴いたと云ふことは私感激に堪へないのであります、大藏省關係に付きましては以上で終りと致しまして、次は内務省關係の地方分與税の關係に付て三、四質疑を致したいと思ふのであります、質疑を致す大體の要點は、戰後の地方財政と其の對策に付て御聽きしたいことと、二と致して國民學校、青年學校の教職員の待遇に付て、其の負擔區分に付て御聽きしたいのであります、尚ほ三と致しまして、今囘の地方制度改正竝に分與税法の改正後、市町村財政に對して全額賄ひ得る見透しであるかどうか、それから又地方税制の改正目標は何處にあつたか、それから五と致しましては市町村民税の最高納税額の賦課に付ては前に制限額があつたのでございますが、制限額が撤廢されて、今度は其の制限に付ては監督をして參ると云ふことでありますから、此の方針を御聽きしたいのであります、六と致しまして配付税の改正は市に非常に重くて農村を非常に輕く見て居ると云ふことで、農村の財源を市に持つて行かれて、農村は不足しはせぬかと云ふことを御聽きしたいのであります
先づ第一に戰後の地方財政と其の對策でありますが、府縣市町村の財政は極度に膨脹して參つたことは申上げるまでもないのでありまして、殊に政府は現在行ひつつある臨時手當引上、更に給與の根本的の改正を行はんとして居るやうでありますが、將來地方職員も同樣に政府の方針に傚つて參らなければならないと云ふことを考へるものでありますが、是等は今囘の地方税法の改正の税率に依つて徴税徴税するものと、分與税法の改正の配付とで十分賄ひ得るかどうか、本年度は一寸不可能であると云ふ風に考へるのでありますが、其の見透しに付ての所見を御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=17
-
018・郡祐一
○郡政府委員 戰後の地方財政に付きましては、差當り戰災に依りまして地方財政が減收等の結果、經理に支障を來しはせぬだらうかと云ふ問題、それから今後に於きまする戰災の復興等の基本的な問題、此の二つに分けて考へることが出來るだらうと思ふのであります、而して後者の今後の戰災復興等に關しまする問題に付きましては、地方財政と致しましても負擔致す所が極めて大きいのでございます、假に起債等に依りましても其の償還等に十分なる裏打ちをなし得るかどうかと云ふ點に付きましては、より根本的な財政の樹立を必要とすると思ふのであります、唯當面の昭和二十一年度に於きまする戰災に因る地方財源の喪失、或は終戰後に於ける新規財政需要に對しまする財源の附與、是等のことに關しましては三税の増税或は府縣民税、市町村民税の設定、更に税外收入の増收を圖るとか、相當大幅なる配付税の増額、是等のことに依りまして決して地方財政にゆとりが出來たとは私は申せないと思ふのでありますけれども、差當つての經理には支障なきを得るのではないだらうか、唯御指摘になりました職員待遇改善に付きましては今後に於きましても相當多くの財源を要し、是が今後の財政經理を可能ならしむるや否やの境になると思ふのであります、而して年度當割に豫見致し得ますものに付きましては待遇改善の部分も織込んで居りますけれども、年度途中に於きますものに付ては全額若しくは極めて大幅なる國庫補助を得まして、之に依つて經理を致して參らうと思ふのであります、隨ひまして斯樣なことに依りまして當面の地方財政の運營を確保致し、鋭意收支の均衡に努めまして、今後赤字公債等に依らずに地方財政の經理が出來るやうに努力して參りたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=18
-
019・宮澤才吉
○宮澤委員 次に國民學校、青年學校の教職員の待遇に付ては、府縣費を以て支辨する法の建前でありますが、現行の待遇では生活費の昂騰せる今日、市町村に於ては其の情状を察して、或は六月であるとか九月であるとか、年末、年度末等に於て、負擔區分の上から參りますと是は適當ではないと存ずるのでありますけれども、名稱を變へてでも支出して參らなければならないと云ふ實情にあるのであります、而も其の金額は相當多額を要するのでありますが、政府は地方財政の上に於て是等に付て考慮されて居るか、勿論法の建前から行けば是は見て居らないのでありますから、政府と致しましては勿論見てないことが當然である、けれども實情から參りますと斯うした支出は非常に多額に上る譯でありまして、是等の關係に付きましては將來若し此の法の建前からして不適當の支出であると云ふことで、名稱を變へて、何等かの名稱に依つて出さなければならないのでありますから、斯う云ふ不適當のことを是正する意味合ひに於きましても、國に於き十分に是等の賄ひ得るだけの財源を與へると云ふことを、又さうでないとしたならば斯う云ふものを豫めあるから斯うした税制の改正或は分與税の配當、配付税で賄ひ得ると云ふことで今度の改正がされて居るかと云ふことを先づ御聽きしたいのであります
尚ほもう一つ序でに御伺ひして置きますが、旅費であるとか、備品であるとか、消耗品、斯う云ふものの普通の、學校以外のものでありますが、斯うした値上りも非常に多いのでありまして、是等の關係に付ても十分に考慮されて居りますかと云ふことを御伺ひするのでありますが、只今の後で申上げましたのは混同致したのでありますが、殊に今の國民學校の教職員の旅費のやうなものに付ては配當にしてある譯でありますが、是等の點に付ても配當では實際に旅費を支辨することは出來ないと云ふことになつて居るやうに考へます、是等の點に付て御所見を御伺ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=19
-
020・郡祐一
○郡政府委員 國民學校、青年學校の職員に對しまする手當の問題であります、是は御話にありました通り負擔區分の點から致しまするならば、市町村に於て支出すべきものではないと思ふのでありまするけれども、終戰後の經濟事情の變化に對しまして政府職員の待遇改善が、殊に學校の職員に對しまして必ずしも十分でなかつた、生活費の昂騰に對して餘りにも氣の毒な状態にある、斯樣な見地から市町村から相當無理をして支出せられて居る向きがあるやうにも承知致して居るのであります、併しながら御話の中にもありましたやうに、是等のものに付きまして直ちに地方財源の裏打をすると云ふことは、事の性質上致しにくいものであります、寧ろ根本的に教職員に對しまする待遇改善がなされなければ相成らぬのであります、近く特別待遇改善と致しまして、平年度三億三千萬圓程に及びまする待遇改善が實施されます、之に依りまして、學校職員に對しましても、恐らく他の政府職員と均衡の取れた待遇改善が實施されると思ひます、左樣な根本的な待遇改善の實施に依りまして、其の機會には法令に基きませぬで、市町村が支出して居る諸給與等は、寧ろ其の際之を整理致し、左樣な支出を致さずとも教職員に對しまする十分な給與の出來るやうに圖りたいものと考へるのであります、それから備品、消耗品、或は旅費等に付ての御話でございましたが、是等の昂騰と云ふものも確かに著しいものがあるのであります、之に對しましては、特にそれに充てる財源と云ふものを見込んでは居りませぬけれども、戰爭中に要しました諸經費に對しまする財源か必ずしも全部、昭和二十一年度に落して居りませぬので、若干の財源の餘裕等も全體の計畫の上では見込んで居るのでありまして、唯斯樣な諸經費の増加が完全に賄へて居るとは申せないのでありますけれども、此の點は十分考へながら全體の財政計畫を樹立したと云ふことは申上げて宜しいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=20
-
021・宮澤才吉
○宮澤委員 四の問題は後廻しにしまして、五の市町村民税の最高額に付て御所見を伺ひたいのであります、現行法の市町村民税は、人口の七十萬以上の市は最高二千圓であつて、其の他の市は千五百圓、町村は十圓と云ふ一人に對する最高賦課額の制限であつたのでありますが、今囘の改正法に依りますと此の制限はないのであります、府縣は六十圓、市町村は四十圓と云ふ一戸當りの賦課が出來ることでありますから、相當多額な府縣民税或は市町村民税に相成るのであります、隨て納税義務者に對する最高の賦課も相當に多くなる譯でありますが、是等のものに付て殊に御承知の如く市町村の財政が今苦しくなつて參つて居ります、隨て税法の改正に依つて増税が出來たと云ふことでありますけれども、殊に民税と云ふのは色々とやりにくい税金である、殊に大正十一年の改正の時のやうなああ云ふ複雜したものは、腰溜めで行くと云ふやうな今の決定と違つて居る議でありますが、今度の村民の改正、或は市町村民税、府縣民税の改正に付ての賦課方法は、やはり所得であるとか、或は住家の建坪であるとか、或は其の人の資産の算定とか云ふ風に行くことであるか、それとも唯腰溜めで行くことであるか、それから今の最高を決める場合に、監督指導等を具體的にどうおやりになつて行くか是は別に何か命令で定められるかと云ふやうにも考へたのでありますが、色々法の附則や何かを見るに、今度は命令は出ないのだと云ふことになつて居りまするで、やはり指導とか監督と云ふことに十分缺けてはならないと云ふやうに考へる爲に、此の具體的方策に付て御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=21
-
022・郡祐一
○郡政府委員 市町村民税の最高賦課額制限を撤廢致したのは、從來の市町村民税は市町村の全住民の負擔の分任、會費的性質と云ふ點に特に重點を置いて參つた、隨て一人に對する最高賦課額を抑へて參つたのであります、併しながら現在の地方財政の状況、殊に人税に缺乏して居ります地方税制全體から考へまして、市町村民税に付きましては相當大幅な増税を致しております、隨ひまして、一方に於きましては、從前のやうな負擔分任の精神を能ふ限り顯現致させますと共に、一種の所得税的な收入を擧げますことも、其の重要なる目的と相成つて参つた譯であります、而して一方所得税の増率が相當高く、相當の負擔が累進的に課かつて參りますことを考へますと、市町村民税の賦課に付きましては、常に其の所得額等を睨み合はせまして、十分是と均衡を保つて參ると云ふことが必要だと存ずるのであります、左樣に考へますと、從來のやうな一定の制限額を定額で定めますやうなことは、團體間に於きまする最高納税者の所得にも著しき程度の差のある現状から考へまして、却て妥當を缺くと思ひます、隨ひまして市町村民税の賦課方法と致しましては、只今の御指摘のやうな各般の要素を加味致しますると共に、均等割等の賦課額も適當の枠に定めまして指導致して參りたいと思ふのであります、隨ひまして從來の各市町村に於きまする實際の賦課方法等も參酌を致し、又市町村民税は幸に致しまして相當經驗を經て或る程度市町村の實體に即しました適當の結果を得て居る、必ずしも全部とは申せませぬが、大體に於ては或る程度適當なる結果を得て居る、さう致しますると、此の度増額を致しました分は、之に適當に更に均等割の要素なども加味致し、御指摘のやうな各般の要素を加へまして、さうして、各市町村の實情に應じたやうに決めて參りたいと思ふのであります、其の爲に既に先般來各地方の主管の課長等を集めまして、屡屡地方の實情を調査致して居りました、更に大綱に付きましては適當の通牒其の他の方法に依りまして示達を致しまして、其の中で更に府縣をして其の縣内に於ける市町村の實情に即したやうに最高賦課額を適當に決めて參りたいと云ふやうなことに致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=22
-
023・宮澤才吉
○宮澤委員 只今の適當と云ふことで了承した譯でありますが、斯うした實例がある譯でありまして是等の點はどう云ふものであるか、簡單に御伺ひして置きたいと思ふのであります、私の直ぐ隣村の村民税は何でも資産家に十分の一を課すと云ふことが年々決まつて居る、納税者も村會に於てもそれで承知して居る譯でありますが、さうした關係は適當であるか不適當であるか、それに押付けるやうに凡ゆる資産なり所得の算定をして參ると云ふやり方をして參る譯でありますが、是等が果して適當であるかどうかと云ふことも併せて御伺ひして置きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=23
-
024・郡祐一
○郡政府委員 御話のありました具體的な例に付きましては、實情に付きまして更に調べて見なければいけないことだと存じます、御話のやうな程度であれば是は不適當なことであると考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=24
-
025・宮澤才吉
○宮澤委員 次は配付税の改正に付て御伺ひしたいのであります、配付税の起りは、地方財政調整交付金と云ふやうな關係から參つて、漸次進んで配付税、分與税と云ふやうな法律が出來た譯でありますが昭和五—八年頃の農山村の極度の不況に際して、農山村方面は負擔が非常に過重であると云ふやうな見地からして、國民負擔の均衡と云ふ旗印の下に地方財政調整交付金の實現方に付て時の政府に要望致したのでありますが、昭和十一年の廣田内閣の馬場藏相の當時でありますが、是は馬場財政案と稱して二十數億の地方財政調整交付金を支出致しまして、地方都市と中央との負擔の不均衡を是正する意味合に於て此の地方財政調整交付金の案を立てられたやうでありましたが、不幸にして廣田内閣は次の年の一月議會の半ばに於て總辭職をされて、其の次の林内閣が成立致しましたが、馬場財政案を覆されて全然是には目は觸れなかつたと云ふことでありまして、非常に農村方面は激怒して内閣に陳情其の他色々運動が開始されたことは御承知の通りであります、さう致しまして林内閣は其の年の六月與黨が少なかつたと云ふやうな關係もありましたが、凡ゆる迫害を受けて慥か五月下旬に總辭職したと思ふのであります、次の近衞内閣がやはり色々國民負擔の均衡と云ふやうな關係から凡ゆる民の意見がそこにあると云ふ意味合から致しまして——滿足の行く程ではなかつたけれども、或る程度の額が臨時議會に提出されて實現を見、さうして地方財政調整交付金の率を定めて、それに依つて順次進んで參つた譯であります、其の後に配付税、分與税の法律が出來まして、非常に多額の配付が分與税が出來た爲に地方財政も非常に緩和致しました、農村不況の當時、此の財政調整交付金或は地方分與税、配付税の法律が出來てからは町村も財政が比較的樂になつて參つた譯であります、さうして昭和二十年には約九億からの地方費の財源に充てられた譯でありまして、今度二十數億の配付分與の豫算を設け、或は斯うした分與税法の改正の出來ますことは内務、大藏兩大臣を初めとして各關係者に對して私は敬意を表する譯であります、唯色々と内務大臣から案の説明がありましたので、此の案が今度のは必ずしも分與だけではない、地方財政の調整のみではなくして、財源の附與であると云ふやうな性格を併せて持たせたと云ふやうな意味合から申しますと、是は地方財政調整と云ふやうなことは單に配付分與でないと云ふことの意味合から行けば已むを得ないことではあるけれども、私の杞憂であるかも知れませぬが心配になるのは今囘の配付税の改正は都市を重視し、農村を輕視して、其の配付方法が農山村方面の税收入を奪つて都市に持つて行かれはしないか、農村方面の財源が不足することにはなりはしないかと云ふことの所見で御伺ひする次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=25
-
026・郡祐一
○郡政府委員 御話のございましたやうに此の度の分與税制の改正が財源附與と云ふ點に相當重點が置かれて居りまするし、其の爲に割増人口の計算方法等も改正致されて居るのであります、併しながら配付税制の狙ひとして居りまする所は、地方團體間の財政の調整に其の主眼がありますることは固よりであります、左樣な見地から考へて見ますに、實際の配分に於きまして所得税なり、法人税なり、遊興飮食税なり、是等の税の分布はやはり都市殊に大都市に何と申しましても著しく分布致されて居るのであります、隨ひまして此の度の改正案の程度の分與方法では、まだまだ配付税を農村から奪ひまして都市の方に流すと云ふやうなことには相成つて度らぬ、又事實各町村別に現在四散を致して居りますけれども、町村民税を滿度まで徴りませぬでも、財政經理の可能なる町村は相當數發見し得て居るのであります、隨ひまして農村方面の税を都市の方に流すと云ふやうな點は實際に於て起つて居ないと云ふ合に御理解を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=26
-
027・宮澤才吉
○宮澤委員 更に分與税の第三種が特別配付税になつたと云ふやうな意味合で私の意見を申述べたいと思ふのであります、以前も第三種はさうであつたと思ひますが、又今度の第三種が特別と云ふ字に直されたのは、特別であるから第三種と言ふよりも特別と言ふ方が妥當であると云ふ風に考へまして、是は結構なことでありますけれども、併し此の率が特別配付税が百分の五では少過ぎはしないか、今の色々な私の意見や地方局長さんの御答辯にあるやうに、是は地方の財政の調整と云ふことにも意味をなして居ると云ふことから考へますと、五でなく十位にして置いて、どうしても凡ゆることが理窟通りや法定の基準率だけの計算の上から割出したのでは、其の町村の實情や自冶體に當嵌まらないと云ふやうな例は多くある譯であります、そこで特別配付税と云ふやうな法を設けて、茲に若干の配付する金額があつて、法定基準率に依つて計算をして配付するので、其の町村に實際に財政の調整が出來なかつたと云ふ場合に於て、第三種の分を先づ掴み金で出す、さうして財政の調整をすると云ふやうなことになつて參らなければならない、掴み金でやると云ふことになると、是は事務的から行けば勿論出來ないことでございます、實際の法定基準率とか或は凡ゆる計算の上に現はれた所を其の町村に配付すると云ふことになつて參らなければならないのでありますけれども、實際此の基準率でやつた場合に、机の上だけの考へ或は計算に現はれた通りでは、其の町村にはぴつたり合はない、甲乙の町村との實際の調整の比較は旨くいかないと云ふやうなことを考へまして、是は五でなく十にしてはどうか、只今では第一種、第二種とも百分の四十五でありますが、今五位殖やして置いて調整をしたならば旨く行きはしないかと云ふ實情から考へまして、私の意見を申上げまして、出來るならばさう願ひたいと云ふことを申上げる次第でありますが、之に付て御所見を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=27
-
028・郡祐一
○郡政府委員 仰せの通り終戰後の状況と申しまするものは、斟酌配分を相當活用致さなければならぬやうな状態になつて居ります、是が地方分與税制の上から理想から申せば必ずしも宜いことだとは申せないかも知れませぬが、兎に角差當つての年度に於きましては、斟酌配分の活用と云ふことがどうしても必要なのでありますが斟酌配分の幅を著しく擴げますことは、又分與税全體の配分の上から必ずしも好ましくございませぬし、從來の第三種配付額が百分の五に相成つて居りましたし、特別配付税と致しましては百分の五と致して居りますけれども、其の外に戰災市町村等に對しまして臨時特別配付税を百分の二十見て居ります、之を寄せまして是は正確な戰災市町村に對する税の減收を對象と致して居りますが、此の分を百分の二十見て居りますると、此の兩者の操作に依りまして概ね第一種配付と第二種配付を以て十分に實情に妥當し得ませぬ分を補完することが出來るかのやうに現在の所考へて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=28
-
029・宮澤才吉
○宮澤委員 今一つ御聽きしたいのでありますが、地方税制の改正の目標に付てと云ふことで、地方財政の現況、地方財源の擴充に付ての具體的目標、地方財政の自主性の強化に付ての具體的目標、地方財政の調整強化に付ての具體的目標、之を御聽きしたかつたのでありますが、昨日も色々御聽きした所が此の「パンフレット」に要領が書いてあると云ふことで大體之を見ると了承が出來る譯でありますが、今申上げた中でどうしても此の印刷物だけでは了解出來ない點がある譯でありまして、其の點を二、三御伺ひして私の質問を打切りたいと思ふ譯であります
一として國民學校の書記は學校の大小に依つて人數を違へて參るか、さうしてどう云ふ事務を執るかと云ふことが一つ、次は地方財政の自主性の強化の中でありますが、地方的色彩の濃い事務に對する補助金は整理してしまふと云ふことでありますが、其の中に青年學校の教育費の國庫金を廢止するとある譯でありますが、是は青年學校の教育費であるから勿論教員の給料も補助を打切ることである、さうして若し此の教員の補助を打切つた場合には國に傚つて府縣補助も合せて交付して居る譯でありますが、是は非常に多額になりますが、教員の補助を打切るかどうかと云ふことであります、其の次は國民學校の女子の教職員の補助金の増額が府縣に對して行はれるやうでありますが、府縣へ參りますと配當旅費であつて、先づ掴み金で甲の學校は是で旅費を一年中賄へ、乙の學校は是で旅費を一年中賄へと云ふことで、非常に實際に合はない譯であるが、是等の關係に付てどう云ふ御考へでありますか、尚ほ電柱税、不動産取得税の制限はまだ致してあつて、他の獨立税は整理したのでありますが、此の電柱税は制限をもつと上げた方が宜くはないか、此の電柱税を廢止しなかつた理由を御伺ひしたい、尚ほ國税、府縣税、市町村税併せて一人當り、一世帶當りの負擔はどれ位の御見透しを持つて居られるか、以上の點に付て御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=29
-
030・郡祐一
○郡政府委員 國民學校の書記は國民學校に於ける事務を致すもので、十五學級を超える學校に一名置くことに致して居ります、青年學校の教育費補助でありますが、是は諸給與の補助を廢止したので設備費は從來通りになつて居ります、國民學校の關係職員の一般旅費に付ては、御話になりましたやうな、實情に副はない點は十分檢討して是正致したいと思つて居ります、電柱税に付ては大體現行の二・七倍の程度の引上を致して居ります、不動産取得に付ても從來の千分の十六を二十五に致して居ります、大體左樣になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=30
-
031・宮澤才吉
○宮澤委員 青年學校の教員の給料はどうなりますか、昨年と同じになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=31
-
032・郡祐一
○郡政府委員 是は府縣の負擔になりまして、之に對しての財源を別に付與致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=32
-
033・池田勇人
○池田(勇)政府委員 國税の方は專賣益金を加へまして大體二百二十八億圓、地方税は今度の増税を入れて、分與税を除きますが、三十億圓であります、全體が二百五十八億圓でありまして、一人當り三百四十圓程度であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=33
-
034・宮澤才吉
○宮澤委員 長時間に亙つて内務省、大藏省關係の質問を致し、同僚委員の皆樣にも御迷惑であつたと恐縮に存じます、尚ほ政府當局の懇切なる御答辯を戴きまして滿足致した次第であります、以上を以て私の質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=34
-
035・苫米地義三
○苫米地委員長 今日の委員會は是にて終り、明日は午前十時より開會致します
午前十一時四十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00319460806&spkNum=35
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。