1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
所得税法の一部を改正する等の法律案(政府提出)
臨時租税措置法を改正する法律案(政府提出)
地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案(政府提出)
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昭和二十一年八月十五日(木曜日)午前十時四十八分開議
出席委員
委員長 苫米地義三君
理事 殿田孝次君 理事 深津玉一郎君
理事 宮澤才吉君 理事 松永義雄君
理事 山崎常吉君
小川原政信君 河原田巖君
片岡伊三郎君 上林山榮吉君
坂本實君 田中實司君
寺尾豊君 飯島祐之君
寺田榮吉君 加藤高藏君
松岡運君 寺島隆太郎君
川島金次君 榊原千代君
玉井潤次君 林田哲雄君
米山久君 橋本二郎君
原尻束君 鈴木憲一君
増井慶太郎君 野村ミス君
八月十三日委員山下ツ子君辭任に付其の補闕として野村ミス君を議長に於て選定した
八月十四日委員江川爲信君及び武藤嘉一君辭任に付其の補闕として寺田榮吉君及び寺島隆太郎君を議長に於て選定した
出席國務大臣
内務大臣 大村清一君
大藏大臣 石橋湛山君
出席政府委員
内務事務官 郡祐一君
内務事務官 荻田保君
大藏政務次官 上塚司君
大藏事務官 池田勇人君
大藏事務官 前尾繁三郎君
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本日の會議に付した議案
所得税法の一部を改正する等の法律案(政府提出)
臨時租税措置法を改正する法律案(政府提出)
地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=0
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001・苫米地義三
○苫米地委員長 是より會議を開きます、先づ委員の異動を御報告申上げます、一昨十三日山下ツ子君が辭任され、其の補闕として野村ミス君が、昨十四日江川爲信君が辭任され、其の補闕として寺田榮吉君が、武藤嘉一君が辭任され其の補闕として寺島隆太郎君が各各議長に依りまして指名されました
只今より本委員會に付託せられて居りまする法律案三件、即ち所得税法の一部を改正する等の法律案、臨時租税措置法改正に關する法律案、地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案、此の三案を一括議題として討論に付します、討論は通告順に依りまして之を許します——殿田孝次君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=1
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002・殿田孝次
○殿田委員 私は日本自由黨を代表致しまして、只今議題となつて居ります所得税法の一部を改正する法律案、臨時租税措置法の改正案竝に地方税及び地方分與税法の一部を改正する法律案に對しまして、簡單に其の見解を披瀝したいと思ひます、元來我が日本自由黨の租税に關する根本的な主張と致しましては、國民が各各其の所得の分に應じて國家に納税の義務を果し、且つ國家經營に參畫貢献すると云ふのでありまして、是が即ち民主主義の日本を建設する基底をなすものであると私は信じて居ります、特に戰ひに敗れました日本を救ひ、新しい平和國家、民主主義の日本を再建する爲には、戰爭中に言はれたとは又別の意味に於て、國民の總力を結集しなければならぬと考へます、我々が國家再建の基本法たる新憲法に於ても、國民の納税義務をはつきり規定せんことを主張するのも、此の意味に外ならないのであります、近時一部の政黨に於ては官吏の俸給は大いに値上しろ、租税は納めなくとも宜しいと云ふ風な無責任な主張を敢てし、國民大衆に媚びんとするやうな傾向がありますのは、我が黨としては斷じて執らざる所であります、唯、併し國民が總て納税の義務を果し、國家經營の權利を持たなければならぬが、それは飽くまで擔税能力の分に應じての問題でありまして、換言しますならば、租税は金持に重く貧乏人に輕くと云ふ社會政策的原則の上に立つてのことでなくてはならないのであります、特に農工商其の他の勤勞所得階級に對しては、成べく負擔の輕減を圖ると云ふのが政治の要諦でなくてはならぬと考へます、此の見地に立ちまして今回の所得税法の一部改正案を見ますのに、資産所得に於て比較的重く、勤勞所得に對しては輕く改正されんとして居りますが、是は我が黨の從來の主張と一致するものでありますが、最近の「インフレ」進行過程に於ける物價高の現状に於て、分類所得税中の勤勞所得税に付ては、其の基礎控除額月二百圓を其の儘に据置かれて其の税率に於ても二「パーセント」の引上を行はんとするのは、我が黨の主張とは必ずしも一致して居ないのであります、それは前内閣が設定しました五百圓生活の枠とも矛盾致しまするし、且つ今議會に提出されて居りまする生活保護法に於ける五人家族二百五十圓の支給が最低生活の限度を示したものでないと致しましても、其の間論議の餘地は十分あると考へます、其の他酒税、織物消費税、物品税等の間接税の改正に付ても勞働者農民等の低額所得者の生活を擁護せんとする我が黨の政策と矛盾する點も可成り多いのであります、併し一方財政上の要求は敗戰と云ふ冷酷な現實を通じまして、洵に切實なものがあります、且つ「ポツダム」宣言を履行しなければならぬと云ふ今日、軍需補償の打切や、財産税の徴收等、日本の經濟革命が將に來らんとし、現實に我が經濟界は極度に混亂動搖して居ります、其の際、今直ちに税制の根本的改革や大幅の減税は到底求むることが出來ないのであります、其の間の事情に付ては、責任ある政治家ならば能く事情を諒とせられるだらうと私は考へます、否寧ろ増税が此の程度に止まつたことに付ては、現内閣の功績として或る程度まで成功したものだとも考へるのであります、我が黨は近く斷行すると政府が國民に公約せられて居る拔本塞源的な税制の整理に於て、我が黨の政策綱領が全面的に實現することを前提と致まして、今日の増税案に對しましては、其の骨格に於て賛成の意を表するものであります、地方税竝に地方分與税の改正に付きましても、民主主義日本の建設の爲には、地方自治を強化擴充することが絶對に必要でありまして、それが爲には、地方に獨立した確乎たる財源を附與しなければならぬと云ふことは自明の理であります、仍て地方還付税配付税を根本的に改廢しなければならぬことは當然でありますが、此の點に付ても政府は我が黨の主張を十分諒解され、近く斷行する税制整理に於て臨時租税措置法と共に拔本塞源的な改正を行ふことを言明されて居るので、我が黨は此の際藉すに時白を以てし、茲に以上政府提出の改正案全部に對しまして、大體原案を支持しようとするものであります、唯遊興飮食税中の飮食税に關する部分に關しましては、政府當局も是が惡税たることを認め、且つ戰爭終了と共に廢止することを公約されて居るのでありますから、我が黨としては、茲に修正案を提出し、國民大衆の負擔を輕減しようとするものであります、即ち政府案に示されたる飮食税の免税點を十月より物價の現情に綜合し三十圓に引上げ、隨て之に關聯する所の旅館「ホテル」等の宿泊料に付きましても、免税點を十二圓より十五圓に——是は洋式の場合でありますが、日本旅館に付ても二十圓を四十圓に改正せんとするものであります、此の飮食税の輕減に依つて地方への分與税も相當額減るので、此の際我が黨としては民主主義の根本的理念に徹しまして、中央に薄く地方に厚くと云ふ原則の下に、政府改正原案の増收を保持する爲に、地方の財源を確保する爲に、政府原案の地方分與率を修正せんとするものであります、其の修正案を茲に説明致します
所得税の一部を改正する等の法律案の一部を次の通り修正する
第十七條中第二條第三項の改正規定の次に次のやうに加へる
第三條中「十圓」を「三十圓」に、「十二圓」を「十五圓」に、「二十圓」を「四十圓」に改める。
次に
地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案の一部を次の通り修正する
地方分與税法第二條第二項の改正規定中「百分の三十・四二」を「百分の三十四・七九」に改める。
同法第六條第一項の改正規定中「百分の三十・四二」を「百分の三十四・七九」に改める。
同法第四十七條第三項の改正規定中「百分の三十・四二」を「百分の三十四・七九」に、「昭和二十一年度に於ては百分の三十九・五一、昭和二十二年度に於ては百分の三十一・四二」を「昭和二十一年度に於ては百分の四十二・一六、昭和二十二年度に於ては百分の三十五・九四」に改める。
同法第四十八條第三項の改正規定中「百分の三十・四二」を「百分の三十四・七九」に、「昭和二十三年度分に付ては百分の三十・四三」を「昭和二十三年度分に付ては百分の三十二・四七」に改める。
以上を以て大體私の修正案を表明致しました、而も私が今提出致しました此の修正案を實施する時には、是と並行して現在内務省指令として施行されて居ります國民飮食の枠、即ち限界價格を、總額に於て三十圓を五十圓に改めで貰ひたい、一皿五圓と限られて居つたものを十圓に、飮物の三圓を五圓に引上げられることを、内務當局に要求するのであります
最後に私が一言したいのは、石橋大藏大臣は今日出席されて居りますが、今囘の増税の提案に付て、其の説明の中に、經濟界の變動に對處し、社会情勢の變化に應じて、負擔の衡平を圖る爲に、税法を整備するのだと言はれましたが、私は法律の整備も必要でありますけれども、要は之を運用する人の問題だと考へて居ります、私は法の運用に其の人を得るならば、頗る簡單な法三章式な法律でも宜いのではないかと考へるのであります、今日日本の國情を見まするのに、長い間の戰爭に於て、日本の經濟界は一大變化を遂げました、社会情勢が一變したと共に、國民の擔税層が亦一變したのであります、此の國民の擔税能力に應じて、各各負擔の衡平を期すと云ふことは、中々難かしいことであらうと私は考へます、殊に戰爭中には人手不足で、且つ税務署の役人などの待遇が極めて冷薄であつた、其の結果所得額の決定や其の他の税額の決定に付ても、頗る不衡平な點があつたと信じます、日露戰爭當時は、鐵成金や船成金の一部の人達に非常な變化がありましたけれども、今日は長い間の戰爭の結果、軍需成金や統制成金、水膨れや燒太り、或は又最近の情勢では闇太りなどと云ふものも出て來ました、是等の新興所得階級と言ひますか、此の連中の所得に對しまして、税務署の役人の現在の「スタッフ」では、果して公正な査定が出來るか、戰爭中は隨分無理もあつたやうに考へられます、併し是は人間と云ふものは兎角易きに就く習性があるのでありまして、先づ徴れる所から徴らうと云ふやうな貢ぎ取り根性から、弱い者いぢめになつたやうな例が澤山あると思ひます、特に戰爭中低額所得者は、政府の苛斂誅求を受けて隨分困つた例も、澤山聞いて居るのであります、政府は今日税務署の現在の陣容で、果して衡平な課税を期待することが出來るか、政府は今度の増税案に於て、百六十億の實收を期待されて居りますけれども、今日の税務署の「スタッフ」で、果して是が現實に徴れるかどうかと云ふことに對しましても、私は非常に疑念を持つものであります、最近復員して來た若い税務署の官吏が、會社や商店に行つて、まるで刑事被告人に對する如く、帳簿を點檢して居るやうな状況を屡屡見るのでありますが、是等の税務署の官吏、特に下級官吏に對する再教育と云ふやうなことに付ても、政府はどう云ふ風に考へて居るか、政府は最近流行りもののやうに行政整理を言ひ、人員淘汰を叫んで居りますけれども、私は課税の衡平を期す意味から言ひますならば、寧ろ税務署の官吏などは、大いに若い有能な人を採用して陣容を建直してこそ、眞に課税の衡平が期せられるだらうと思ふのであります、千篇一律な、各省の「セクショナリズム」に則る所の、所謂天引整理などと云ふ風な從來の行き方でなしに、税務署の役人などは大いに一つ新規採用をやつて貰ひたい、私は失業救濟の意味からも此の點を強調致したいと思ふのであります以上要するに我が黨と致しましては、飮食税の一部を修正する外、之に關聯する地方分與税の一部を修正する、此の外に次のやうな條件附で以て、大體政府の原案を承認しようとするものであります、條件と云ふのは先づ第一に成るべく早く根本的税制整理を斷行して貰ひたい、第二番目には、課税は内外人を通じて嚴重公平にやつて貰ひたい、第三番目には、飮食税は次の機會に於て撤廢して貰ひたい、此の三つを條件と致しまして、私は日本自由黨を代表しまして政府の原案に賛成であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=2
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003・苫米地義三
○苫米地委員長 宮澤才吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=3
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004・宮澤才吉
○宮澤委員 私は日本進歩黨を代表して、只今日本自由黨代表委員から修正案が提出された譯でありますが此の修正案に賛成するものであります、先づ遊興飮食税の免税點を引上げると云ふことになりますと地方分與税の財源である遊興飮食税でありますから、直ちに之に影響して、地方分與税が減額されると云ふやうなことを憂へて居つたのでありますけれども、只今其の後に於ての地方分與税、或は還付税の法律案の一部を修正すると云ふやうな御意見でありまして、此の修正が出來るならば大體の點に於きましては影響がないと云ふことでありますので、是が影響がないとすれば、私は結構である譯でありますから、之に賛成するものであります、殊に又其の他の關係に付きましては、只今永々自由黨代表の委員から御述べになりました趣旨と同感でありますから此の修正案に賛成し、其の他の改正税法に對しては賛成するものであります、以上賛成の意見を述べた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=4
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005・苫米地義三
○苫米地委員長 川島金次君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=5
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006・川島金次
○川島委員 私は只今議題になつて居りまする三案に對し、社會黨を代表して其の見解を表明し、一部修正の動議を提出するものであります、只今他の委員の方から、増税は國民全體が分相應に負擔すると云ふことが當然のことであると云ふ御話がありました、國民全體が分相應に税を負擔する以上は其の税を課する所の責任者である政府當局は須く其の國民に對して少くとも最低の生活を保障すると云ふ一切の適切なる施策を講ずる責任があると私は確信致します、吉田首相は曾て本會議の政府の施政方針の説明に於てなされました演説中、國民生活の最低を保障すると言明致して居ります、又更に石橋藏相は、曾て本員が本會議場に於て五百圓生活の困難と矛盾とを質したことに對しまして、今日の國民生活を五百圓の枠を以て律することの極めて適當ならざる旨を認めたことは、私の記憶にある所であります、然るに政府は組閣以來の民生安定に關する諸言明にも拘らず、通貨は日と共に膨脹の一途を辿るのみでありまして、又しても其の通貨の發行高は、今月に入つて既に六百億に垂んとし、本年二月末前内閣が實施せる金融緊急措置令も、何等其の効なき結果と相成り、更に今回再度の措置令を斷行致したのでありまするが而も今日、私共の見解から致しますならば、此の情勢を以て推移致しますれば、本年中には通貨の發行正に一千億に迫らんとさへ想像される次第であります、斯くの如き通貨の幾何級數的な膨脹は、さなきだに産業界に於ける資本家、事業家の生産見送りや怠慢と相俟つて、物資の生産は一向に捗らず、惡性「インフレーション」は益益其の深度を加へようとして居るのであります、斯くて國民生活殊に少額の賃金と俸給とを以て生活する勤勞階級の生活は愈愈困憊疲弊を極めつつある有樣であります、斯くの如きは幣原内閣以來、民生安定に關する其の施策を誤りたる結果とも言ふべきでありまして、今日の民生の不安と困窮の責任は、正に敗戰以來の歴代政府にありと言はねばならぬと私は思ふのであります、即ち近くは吉田首相の言明せる國民生活の最低保障も、一片の空文に終らんかの虞がある、今や國内に於ける勤勞階級が政府に對する多大の失望と強烈なる反感を極め、遂には全國所在の勞働組合が蹶起し、其の揆を一にするが如く吉田内閣の退陣を要求しつつあること、亦當然のことと言ふべきでありませう、思ふに敗戰日本再建の基礎は實に産業經濟の急速なる復興にありとは、石橋藏相の言を俟つまでもない事柄であるのであります、而して産業の復興は勞働者勤勞階級の活溌にして明朗なる生活力に基く逞ましく旺盛なる生産と勤勞の意欲に俟つ所極めて甚大なることは、是れ亦言ふまでもありませぬ、勞働者勤勞者の生活力は、其の賃銀と俸給の收入如何に懸つて居りますこと、亦贅言を要しないのであります、然るに我國勤勞階級の一人平均年所得額は僅かに五千五百圓であるとは大藏當局の言明する所であります、我國の勤勞階級が如何に劣惡な賃金收入に於て遇されて居るかを之に依つて最も雄辯に物語つて居るのであります、之に依れば一箇月の勤勞階級の收入平均額は僅かに四百五十圓強であります、今日の國民生活は、主食糧初め一般生活必需物資一切を配給品若しくは之に準ずる所の物を以て生活すると致しましても、一人平均實に最低百圓を要することは夙に當局に於ても御承知のことと存じ上げる次第であります、隨て之を一家五人の家族と致しますれば配給品生活に於てすら既に五百圓を要するのであります、而も今日の生活は配給品のみを以てしては、斷じて勤勞に堪へる生活は不可能でありまして、若し假に食糧生活に於て配給品のみに依存すると致しますならば實に人間的生活と云ふよりは寧ろ生物學的生存すら能はないと言つても過言でないのであります、隨て一家の生活を支へ且つ一家の支柱たる者明日の生産に精勵し、明日の勤勞を果さんとする時は其の生必物資の大半を配給以外に於て補給しなければ斷じて生活が不可能であるのであります、而も此の俸給たるや悉く生活上の赤字であり、家計上の一大失調となつて居ることも亦言ふを俟たない次第であるのであります、況や最近勤勞階級に取つて唯一の嗜好品たる酒類、煙草などは大幅に値上を斷行され、更に勤勞階級が負擔すべき定期乘車賃金も實に大幅なる増率を見て參りました、而して更に此の乘車賃金等も更に又々政府の施策に依つて増額されんとする形勢にあるのであります、其の外目下本議會に於て審議決定を見んとする地方税制の改革に伴ひ從來の十二圓、九圓、六圓の市町村民税は平均四十圓と相成り、之を制限外課税を加へますならば、將に六十圓とならうとして居る一方、新たに府縣民税は一戸平均六十圓、制限外を加ふれば八十圓とならうとして居るのであります、斯くてさなきだに其の日其の日の生活に困難と窮迫を愬へつつある勞働者、勤勞階級の負擔は將に空前の過重を見んとして居るのであります、今や小額所得階級は引續く家計の失調を預貯金に依つて補ひ來りましたが、既に其の預貯金をすらも全く使ひ果し、或は衣類其の他の生活必要品を質草として、質庫に生活の一端を求め、或は是等のものを泣く泣く賣り拂つて辛うじて其の生活を維持して居る者が益益多きを加へて居る有樣であります、其の證據には全國都市に於ける所の公益質庫の利用者は勞働者と俸給生活者に於て其の九〇%を占め、而も其の質草は概ね衣料品でありますことも當局既に御承知のことと思ふのであります、是が爲め勤勞者の中には洵に遺憾ながら已むに已まれず心ならずも好ましからざる事件を惹起して居る事柄が新聞紙上にも傳へられて居るのであります、即ち其の一例を申上げますならば、國民學校の老教師が生活困難の爲に已むに已まれず畑荒しをしたとか、治安の重要なる任務に携はる一官吏が食糧生活に困つて買出人の食糧の一部をはねたと云ふ等々其の罪は洵に憎むべきでありますが、其の生活實相を考へて見ますならば一面洵に同情すべきでありまして、斯くの如き現象が全國に現はれて居りますと云ふことは、一に私は政府の民生安定に關する施策の無能の結果と言はなければならぬと思ふのであります、斯くの如く其の生活にすら困窮せる勞働階級殊に小額所得階級に對して如何に政府の言ふ應分負擔の原則とは言ひながら依然として百分の十八を課税し來り、剩へ今囘の如く百分の二十に増率せんとするが如きは勤勞階級の生活を無視した冷酷な手段と言はなければならぬのであります、斯くの如きは勤勞階級の生活を一層壓迫するものでありまして、遂には勤勞生産の意欲を阻むこと是より甚しきはないと云ふことを私は惧れるのであります、而も政府は勤勞所得税の缺陷であり、財政上已むを得ぬと唯其の一語に答辯を繰返して居るのでありますが、私共をして言はしむるならば政府は成程民間に依る擬制資本は遂に兩三日前大手術を加へたのでありますが、一方政府は我が日本の侵略主義的、帝國主義的な戰爭の遺物である所の一千四百億萬圓に上る所の公債を抱へ此の公債に對する利拂を認め、税金は勿論利拂を認めるとの政策を今日我々の前に示したのであります、此の公債の如きも只今申上げました如く私共から言はしむるならば此の公債たるや實に日本侵略主義、帝國主義の遺物であると斷言致します、茲に政府が手を付けずして日本の堅實なる財政の再建は斷じて不可能であると私は思ひます、同時に勤勞所得税に斯の如き過重なる負擔を求めんとすることは、實に侵略戰爭の遺物である厖大な國債を抱へて居る結果ではないかと私は確信致すのであります、敗戰日本の再建は産業其の他各般の事業の活溌なる復興にありと致しますならば、先づ何よりも是等に携る勤勞階級の切實なる生活より來る血と汗の叫びに耳を傾け、聊かなりとも其の生活の苦痛より解放し、之に依つて勤勞者の生産と勤勞意欲の昂揚に資すること、即ち責任ある爲政家の務めであると申上げたいのであります、而して是こそ我が國産業の復興の一大基調であると申上げる次第であります、仍て私は我が社會黨を代表して所得税の免税點を年額六千圓に引上げる、即ち法律的に申しますならば、第一條の所得税法第十二條を改正する規定の次に、第六十條第一項中(二千四百圓)を(六千圓)に改む、第十七條第二項中(二千四百圓)を(六千圓)に改む、更に又第一條の所得税法第二十一條第一項を改正する規定中第三號丙種及第四號を次のやうに改む、第三事業所得丙種百分の十八、是は所謂自由勞働者に對する課税率でありますが、今日の自由勞働者の重要性は多々益益其の度を加へるものであり、而かも食糧の逼迫、生活難の加重に喘ぎながら依然として是等自由勞働者に對して過重なる税を課することは適當ならずと云ふ確信を以て此の改正を致したいと思ふのであります、更に第四勤勞所得百分の十八第一條の所得税法第二十二條、第二項を改正する規定中(百分の三十)を(百分の二十八)に改む、第一條の所得税法第七十二條第二項を改正する規定を削る、是は今の海外に居住して居る同胞に對して其の同胞が我が國内に於て給與を受ける場合其の給與に對して税率を過重に増加せんとする政府の原案でありますが、私共の見解は之を只今申上げました如く百分の三十にせんとするものを從來の如く百分の二十八に据置くことが最も適當であると確信致して此の改正の動議を提出致す次第であります、曾て池田主税局長は、米英の例を引いて、「イギリス」に於ても「アメリカ」に於ても、勤勞所得税の納税者は非常に數が多く、其の額も極めて高額であると説明されましたが、私が最近入手致しました情報に依れば、英國の如きは英國勤勞者の大半は、社會的にも、文化的にも、家庭生活の上に於ても或は國民的立場に於ても、戰勝國であるだけに、極めて豐かな條件に惠まれて居ると云ふのが實相であります、然るにも拘らず英國の現内閣は本年四月の議會に於て英國勞働者、即ち戰爭中國家の爲に多大なる血と汗と膏の犧牲を拂つた勞働階級をして、二百萬人以上の所得税解放を斷行したと云ふことを私は知つたのであります、我が國の勤勞階級は戰爭中必勝の信念を強制され、ありと凡ゆる惡條件に拒まれつつ、所謂愛國の一念から其の膏と其の血と其の汗とを搾り續けて參つたのが我が國の勞働階級の實體であります、而も悲しむべき敗戰の結果に至り、尚ほ其の上に、戰爭中の多大なる犧牲の上に、更に又次々と新たなる税法が改正せられ、所謂過重なる税が次々と負擔に掛つて參りますると云ふやうなことは、勞働階級ならずとしても、之に對する何等か適切なる施策を講ずべきこそが、繰返して申しますが、所謂日本經濟産業復興の私は一大基調でなければならぬと思ふのであります、斯樣な意味合ひに於きまして、以上の修正動議を提出致す次第であります、尚ほ此の際、只今白由黨から提案になりました地方税の問題並に飮食税の問題中、飮食税の免税點、即ち三十圓、宿泊料の十二圓を十五圓、二十圓を四十圓に引上げんとする案に對しましては私共も贊意を表したいのであります、隨て我が黨は此の所得税を除いて、只今申上げた飮食税問題に關する修正案には賛成を致し、更に政府提案の法案に對しましては全面的賛意を表する次第であります、唯此の際に私共は只今の私共の修正案並に自由黨の修正案を除いた全般的な税制改革案に對し、賛意を表するに先立つて希望條件を附したいと存ずるのであります、此の委員會に於ても屡屡問題になつて參りましたのでありますが、最近大藏省が課税致しました農業所得に對し、闇價格と誤認したる査定が極めて廣範圍に亙つて居るやうに見受けるのでありますが、之に對して當局は須く科學的、綿密なる、親切なる納税義務者の取扱ひを實施し、若し誤りありと致しますならば逐次之を訂正して欲しいのであります、又本委員會に是亦問題になりまして今も御話が出たやうでありますが、所得税の調査委員の構成に付きまして、今後所得税調査委員の構成を改訂致す御意思が當局にありと致しますならば、又改正すべきであらうと思ひますが、此の際には勞働組合や農民組合或は消費者の代表をも、而も其の數の半數以上それに加へることの必要であることを私共は考へて居りますので、是非ともそれを實現して戴きたいと云ふことを強く希望致すのであります、更に只今問題になりましたが、我が黨と致しましても、今日の日本の租税體系と云ふものは既に行き詰りを生じて居るのではないかと云ふことを我々は痛感して居るのであります、故に此の税制の根本的改革と云ふものは國民生活並に國家再建の上に極めて緊密なる關係がありますので、即時速かに税制の根本的改革の斷行を希望する次第であります
尚ほ最後に戰災者及び引揚者の免税期間を打切つたと云ふ御話でありますが、此の戰災者及び引揚者の生活の實情に照し、更に在外資産或は軍需補償の打切等も關聯致すのでありませうが、是等戰災者引揚者の免税期間を更に一箇年延長すべきでないかと思ひますが、最後に其の免税期間の延長を強く要望致しまして、私共の所得税竝に自由黨提案の修正案を除いた政府提出に係る法案に對して、全面的に賛意を表する次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=6
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007・玉井潤次
○玉井委員 私は日本社會黨を代表致しまして今川島君から言はれました希望條件に對して一應明瞭に附加へたいと思ふのであります、私共は農業所得の問題に對して、其の税率を上げて呉れとか、上げて呉れるなと云ふ問題は一言も述べなかつたのであります、それは税の率と云ふ問題よりは、寧ろ徴税方法に對しての疑問を私共は澤山持つて居るが故であつたのであります、昭和二十年度の所得は私共が農事實行組合或は農業會を通じて詳細に申告をして居つたのであります、隨て農民側に言はせるならば、我々の申告は一應は信用されるものであらうと云ふやうな氣持があつたのであります、所が税務署から其の査定が來た時に、之を見て非常な驚愕を持つたのであります、なぜならば我々の申告したことは全然取上げられて居ない、殆ど取上げて居なくして、それが何に基いて査定されたかと云ふことすら分らないやうな査定が行はれたのであります、唯官吏に言はせるならば、長い間の所謂徴税事務に當つた經驗から或る一つの勘を持つて居るのだ、其の勘を以て査定をしたのだと仰しやるかも知れませぬ、或は又上からして斯く斯くの税務署に於ては是だけの税金を徴收せよと云ふやうな、豫めの豫定があるが故に、其の豫定に基いて徴收したのだと云ふかも知れませぬ、或は又甚しきに至つては、或る税務署の如きものは、君は供出が不足であつた、而して割當供出をしなかつた部分は闇に流したのだ、故に闇價格を以て收穫を決定したのだと云ふやうなことを言つて居られるのであります、斯う云ふやうなことが言はれた場合に於て、果して農民はどの方向に向つて行くでありませうか、私に言はせるならば、政治と云ふものは國民と政府がお互ひに信頼すると云ふことが非常に大事であるのではないかと思ふ、隨て苟くも農民が農事實行組合を通じ、農會を通じて出した所の申告は、唯それが申告させたのみであつて、何等之を考慮しなかつたと云ふなら、それは農民を全然信用しなかつたと云ふことを明かに物語つて居るものであります、さうするなら、農民は一體如何なる方向に向つて行くかと云ふと、恐らくは眞面目なる供出をするものがなくなるでありませう、而して是が闇に流されると云ふことは當然行はれることと私は信ずるのであります、抑抑農民諸君が供出を命じられて居る、而してそれは米麥、雜穀或は芋類、蔬菜或は藁工品と云ふやうなものに至るまで供出責任を負うて居るのであります、其の責任を完全に果すなら、それは丸公に掛けるから直ちに所得が出る、或は又供出されて居ないものがあるとするならば、それは一體何處へ行つたかと云ふことを研究する餘地は徴税官にあるべきものと思ひます、それは又一つの義務だと思ひます、成程農民諸君の中には物交に費したものが相當あるでありませう、而して其の物交に費したものはどう云ふ方面の物交にしたのでありませうか、是は或は肥料であるとか、或は又農機具であるとか、或は學童の學用品であるとか、或は日用雜貨に於て是が物交にされたと私共は假定しますが、其の物交にされた時、それが所謂闇に賣られたと言ふことは出來ないのである、物交にされた公定價格と云ふものは安いのでありまするから、それは同じく安く見る必要がある、それと同時に、今私が申上げたやうなものは農業を繼續する爲に、其の收穫を得る爲に費した所の必要費なのであります、然らばそれを所謂所得の中に加へると云ふことが違法であることは明瞭なのでありまするからして、今申上げたやうに供出が足りなかつたと云うて、之を直ちに闇とすることは甚だ以て間違つたことだと云ふことを私は信じて疑はぬのであります、而してさう言ふならば、政府は斯う言はれるのであります、我々の査定が惡かつたならば審査請求をすれば宜いぢやないか、審査請求が成り立たなかつたならば、行政訴訟を起せば宜いぢやないかと仰しやるでありませう、併しながら審査請求をした場合に於て、徴税權は停止されないのであります、徴税は徴税として徴收されてしまふ、而して審査は容易に決定されない、それが成り立たぬと云うて行政訴訟を起せと云つても、農民は一體それをやることが出來るでありませうか、農民は所謂普通の言葉で言ふならば、それは泣寢入りに終つてしまふのであります、さうすれば今申上げたやうな、所謂無理が通れば道理引込む、斯う云ふ形に行くならば、私は農村の前途と云ふものは必ず慘憺たるものが起るのではないかと云ふことを確信して疑はぬのであります、尚ほ口を開けば農村の淳風美俗は地を拂うたと皆さんは仰しやるのでありますが、拂はせたものがあると云ふことを御承知願ひたい、拂はせると云ふことは當局の政治の貧困さであります、政治が間違つて居る爲にさう云ふ氣持があると云ふことを私は考へて居る、今私共の代表が言はれたやうに、間違つた査定があるならば、是は直ちに直して戴きたい、苟くも今後に於ては、どうしても申告と云ふものを唯一の材料とし、農民を飽くまでも信用して、其の申告に基いて税の査定をすると云ふことを私共の條件として、之を直ちに各税務署に通牒をして下さいまして、さうして間違ひを訂正することは吝かでないと云ふ氣持をはつきり現はして戴きたいと云ふことが私共の希望の條件であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=7
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008・苫米地義三
○苫米地委員長 原尻束君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=8
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009・原尻束
○原尻委員 私は協同民主黨を代表致しまして、只今議題となりました、「所得税法の一部を改正する等の法律案外二案」に對しまして見解を申上げたいと存じます、先程自由黨代表から申述べられました所の飮食税の修正意見に賛成し、尚ほ其の他の政府原案に對しましては賛意を表するものであります、次に來るべき時期に行はれる所の税の根本的改正をせられるのに當りまして、其の希望條件を申述べて置きたいと存じます、是も自由黨から述べられて居りますが、それに尚ほ附加して戴きたいことは、税務の民主化であります、其の爲に所得税調査委員制度を改正致しまして、人員を各町村一名程度に増員を希望するのであります、次に標準率の決定竝に所得の調査に當りましては、所得調査委員を參加せしめるやうに希望致します、次に池田主税局長は地方の税務署に於ける所の標準率は政府では之に關與しないと云ふやうな御意見でありますが、是では國民と政府との間が離れてしまふのでありまして、政府は國民の實情を知らないことになる、尚ほ横の公平が保たれないのであります、各税務署間、各府縣間に於ける所の課税が均衡を失する虞があるのでありまして、必ず政府に於ては此の標準率を檢討し、各府縣に於て不公平に行はれて居るか居ないかと云ふことに常に御注意を御願ひ致します、第二の希望條件と致しましては、俸給生活者以外の所得の算定に當りまして、扶養家族の人員に於て、俸給生活者の家族手當程度の扶養家族の控除の増額を御願ひする次第であります、次に地方將來自治體強化の爲に地方財政に彈力性を強めることを希望致します、其の一つと致しまして制限外課税に對する許可制度を屆出制度にされることを希望致しまして、私の意見と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=9
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010・苫米地義三
○苫米地委員長 増井慶太郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=10
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011・増井慶太郎
○増井委員 私は新政會を代表致しまして、政府の所得税改正案に付きましては大體に於きまして、茲に賛意を表するものでありますが、併し箇々に亙つて見ますると、さうばかり行かぬ點もあります、大體に於きまして先程自由黨の代表の方の御意見がありましたが、其の意見に賛成するのであります、唯皆さんからも御意見がありましたが、勤勞所得者に對する所の税率の改正は皆さんの御述べになつた通り、又政府當局の御承知の通りであります、此の點に於きましては餘程御考慮を願つて置かなければならぬ、斯う云ふ風に希望致します、尚ほ物品税のやうなものでも、甲、乙、丙、丁に分けてありますが、其の中にも單に帽子となつて居ります、帽子其のものは高い帽子もあり、學生の冠る帽子もあり、極めて簡單なる所の戰鬪帽もある、斯うしたことは、其の他に付きましても箇々に亙りまして相當ありますから、是等に付きましては御考慮願はなければならぬ、斯う考へます、尚ほ税制の根本的、改革の御考へも政府に於ておありのやうであります、之に向つては現在皆さんの御述べになつた通りのこと、其の他を色々加味して、さうして來るべき時に於きましては、税制の根本的改革を御願ひする次第であります、只今協各民主黨の方からも御話がありましたが、地方に於きます所の税の標準率、是が從來は税務署の方々に依つて御決めになりましたけれども、唯單に役所の方だけで御決めになると云ふと、一般の我々との間に食違ひがありますから、是は今御述べになった通り民間の方を入れて、さうして一定率のものを其の地方々々に依つて課税しなければならぬ、大體農村方面或は各方面の所得に付ても、一々個々に亘つてお前の所は米を何俵、お茶を幾ら、蜜柑を幾ら、何を幾らと云つても中々税の徴り方と云ふものは困難でありますし、其の價格にも色々差がありますから、大體に於きまして此の價格に對して此の位だらうと云ふ其の査定は、時に依つて間違つて居ることがありますから、之に對することは地方々々の税務署に對して、民間人を入れて、さうして其の地方の實情に即して丁寧親切に御決めにならなければ、各方面で不平不滿が起つて、隨て徴税の上に於きまして非常な困難を來すことがあると思ひます、尚ほ又我我國民は此の大きな税金は國家が新日本建設の爲に之を使ふと云ふやうな氣持が全部に徹底したならば、喜んで納めることも出來ませう、其のことが徹底致しませぬと各方面から非常な不平不滿も出ますことでありますし、當局に於きまして此の大きな税金は極めて有効適切に、斯う云ふ風にして總てを使ふと云ふことを國民に能く御示しになり、又其の使途も立派に明確に御示しになつたならば、我我國民は喜んで其の衡平な税に付きまして恐らく出すと思ひます、其の點を一つ能く御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=11
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012・苫米地義三
○苫米地委員長 是で討論は終局致しました、只今から採決致します、先づ最初に所得税法の一部を改正する等の法律案に付き採決致します、先づ日本社会黨提出の修正案に付きまして採決を致します、即ち第一條の所得税法第十二條を改正する規定の次に次のやうに加へる、第十六條第一項中二千四百圓を六千圓に改める、第一條所得税法第二十一條第一項を改正する規定中、第三號丙種及び第四號を次のやうに改める、第三、事業所得丙種百分の十八、第四、勤勞所得百分の十八、第一條の所得税法第二十二條第二項を改正する規定中百分の三十を百分の二十八に改める、第一條の所得税法第七十二條第二項を改正する規定を削る、本修正案に賛成の諸君の起立を求めます
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=12
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013・苫米地義三
○苫米地委員長 起立少數、仍て本修正案は否決されました、次に日本自由黨提出の修正案、即ち本案第十七條中遊興飮税法第二條を改正する規定の次に、第三條中十圓を三十圓に、十二圓を十五圓に二十圓を四十圓に改めると云ふやうにする、即ち遊興飮食税の免税點を前述やうに引上げると云ふ修正動議に付き採決致します、本修正案に賛成の諸君の起立を求めます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=13
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014・苫米地義三
○苫米地委員長 起立總員、仍て本修正案は可決致されました、次に本案の修正の部分を除きたる部分を原案通りに決するに付き採決致します、賛成の諸君の起立を求めます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=14
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015・苫米地義三
○苫米地委員長 起立總員、仍て修正を除きたる部分は原案の通り可決致しました
次に臨時租税措置法を改正する法律案に付き採決致します、原案に賛成の諸君の起立を求めます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=15
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016・苫米地義三
○苫米地委員長 起立總員仍て本案は原案の通り可決致しました
次に地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案に付き採決致します、先づ日本自由黨提出の修正案に付き採決致します、本修成案に賛成の諸君の起立を求めます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=16
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017・苫米地義三
○苫米地委員長 起立總員、仍て本修正案は可決致しました、次に本法案の修正の部分を除きたる部分に付き原案の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=17
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018・苫米地義三
○苫米地委員長 起立總員、仍て本案の修正部分を除きたる部分は原案通り可決致しました、此の際大藏大臣より發言を求められて居ります、之を許します——石橋大藏大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=18
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019・石橋湛山
○石橋國務大臣 屡屡申しました通り、現行の税制は戰時財政充足の要請に基きまして、相當複雜化して居ります、又平時に於ける負擔としては適當ならずと認められるものがございますので目下進行して居ります産業及び金融界の整理、又財産税徴收等の後に於きまする國民經濟の實情に即せしめまして、出來るだけ早い機會に中央及び地方を通ずる租税制度の根本的改正を行ひまして、終戰後に於ける適正なる國民負擔の實現を圖る考へでございます、是が爲には是れ亦屡屡申しましたやうに、貴衆兩院議員を中心と致しまして、廣く學識經驗者を以て構成する委員會を設け、適切なる成案を得て戴きたいと考へて居る次第であります
尚ほ勤勞所得に對する課税に付きましては、現下の物價及び賃金の實情等に鑑みまして、種々論議のある所でありますが、右に申しました來るべき税制改正の際に於きましては、十分それ等の御論議の趣意を尊重した案を委員會に於ても御作り願ひ、又政府としても左樣に致したいと考へて居ります
次に遊興飮食税の課税に付きましては、其の負擔の程度、課税の方法並に國庫財政及び地方財政等の要求の面から相當考究を要する問題があるのであります、隨ひまして近き將來に於て、中央及び地方を通ずる税制の改正を斷行する場合に十分檢討を遂げまして、適當に之を整理したいと考へて居る次第であります、尚ほ只今の御修正に對しては十分其の御意思を政府に於ても尊重致す考へであります
尚ほ亦非日本人に對しましては先日聯合國軍最高司令部よりも、當然課税すべきものであると云ふ旨を、政府に對して回答を寄せて參つた次第でありまして、適切なる課税を行ふことに付きましては、今後十分努力致したいと考へて居ります
それから農村の最近に於ける所得の實情に付きましては、其の樣相が甚だ複雜でありますので、個個の農家の實收入を適當に把握して、實情に即する課税を行ひ、極力負擔の公正を期して居る次第でございますが、本年の課税に當りましては若干の調査上の誤謬があり、又課税に關する行違ひ等に基因致しまして、地方的に多少の問題を起した次第でありますが、現在に於きましてはそれ等の問題も大方解決が付いて居る次第であります、今後の課税に付きましては負擔の公正化に一層注意を拂ひまして、又市町村當局或は農業團體等、事情に精通して居る方々の協力を更に緊密に致しまして、機械的一律な課税に陷ることがなきやうに致したいと考へて居ります、さうして具體的に個々の農家の所得の實情を的確に反映する課税を行ふやうに努力致す考へであります
尚ほ税務行政の改革に付きましては、是れ亦累次政府としても申上げて居りますやうに、今後大いに之を改革し、民主化する所存でございますから御諒承を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=19
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020・苫米地義三
○苫米地委員長 内務大臣の發言を許します——内務大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=20
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021・大村清一
○大村國務大臣 地方税制の根本的改革に付きましても、國税の根本的改正の時期に於きまして地方の實情に適應致すやう、成べく早い機會に是が斷行を致す所存であります
尚ほ分與税法に對する御修正に付きましては、是は國税の改正御意見と關聯致して居ることでありまして、地方税法主管の内務省と致しましても、十分御修正の意思を尊重する所存でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=21
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022・苫米地義三
○苫米地委員長 之を以ちまして本委員會に於ける議事は全部終了致しました
私委員長と致しまして洵に不慣れなものでございますから、諸君に對して甚だ御迷惑であつたかと思ふのでありますが、幸ひにも圓滿に終了致しまして洵に有難うございました、之を以ちまして散會を致します(拍手)
午後零時三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009011573X00819460815&spkNum=22
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