1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
地方競馬法案(小笠原八十美君外四名提出)
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昭和二十一年九月二日(月曜日)午後一時三十分開議
出席委員
委員長 瀧澤濱吉君
理事 小川原政信君 理事 鈴木仙八君
理事 金井芳次君
小笠原八十美君 佐藤乕次郎君
鈴木周次郎君 永井勝次郎君
宮村又八君 松本六太郎君
川野芳滿君 菊池豊君
九月二日委員厚東常吉君及び香川兼吉君辭任に付其の補闕として小川原政信君及び松本六太郎君を議長に於て選定した
同日理事厚東常吉君の補闕として小川原政信君が理事に當選した
出席國務大臣
農林大臣 和田博雄君
出席政府委員
農林政務次官 大石倫治君
農林事務官 難波理平君
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本日の會議に付した議案
地方競馬法案(小笠原八十美君外四名提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=0
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001・瀧澤濱吉
○瀧澤委員長 是より會議を開きます、本委員會に付託せられましたる小笠原八十美君外四名提出に係る地方競馬法案を議題として其の審議を進めます、審査の方針に關しましては、一昨日委員長、理事の互選會の後で懇談會を開き協議を致したのでありまするが、大體本委員會の審査日數は二日位として、本日より質疑を行ひ、本日中に質疑を終了しない時は、明後五日に質疑を繼續し、直ちに討論採決を行ふ豫定でございます、以上の點を御諒承願つて置きます
尚ほ此の際御諮り致すことがございます、厚東常吉君が委員を辭任せられ、其の補闕として小川原政信君が議長に依り委員に選定致されました、就きましては委員を辭任されましたる厚東君は理事でありますので、其の補闕選任を行はねばなりませぬが、是は先例に依りまして委員長指名と云ふことに異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=1
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002・瀧澤濱吉
○瀧澤委員長 御異議なきものと認めます、それでは小川原政信君を理事に指名致します、尚ほ香川兼吉君が委員を辭任せられ、松本六太郎君が補闕として委員に指名されました、以上御報告を致します、それでは是より通告順に依りまして質疑を許します──小川原政信君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=2
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003・小川原政信
○小川原委員 此の際御尋ね致して置きたいことがあるのであります、御尋ねをします中に、自分の意見も若干挿みまして、御答への便宜を圖りたいと考へるのであります、私共競馬法の一日も早く上程されまして、喜んで競馬を致すと云ふ日を待つて居りましたが、果して其の日が今日に參つて上程されたのであります、此の見地から致しまして、競馬を行ふと云ふことは、私共の觀點から致しますと、産業用馬を最も能く發達させたいと云ふことが、私共の狙ひであるのであります、是までは御案内の如く、軍馬と云ふものに依りまして、或は鍛錬競走であるとか、或は競馬が行はれて居つたのでありまするが、もう軍馬の要は申上げる必要がないので、是からは非常に多數の産業馬が必要になつて參つたのであります、其の産業馬と申しますものは、どの位の數が要るかと云ふことは非常に大きな數になる、今日農林省が百五十萬町歩御開發になると云ふ御聲明をなすつていらつしやるが、此の上に於きまして畜産が含まれて居らぬと云ふことが、私非常に遺憾に堪へないのであります、北海道には乳牛馬ばかりで、役牛がございませぬので、此の七十萬町歩開發することになりますと云ふと、北海道の只今の耕地が一頭當り四町一段であります、之を基準として七十萬町歩開發するとするならば、十七頭萬の馬が要るのであります、さうして内地の方は牛と馬との混用であります、それで是は一頭平均大體の豫測が一町六段餘りになつて居ります、之を内地の方では非常に馬が慾しいと言つて、北海道で御求めになりますが、其の馬が北海道から御希望に副ふことが出來ない程少數であります、そこで此の七十萬町歩を開發すると云ふことになりまして、三分の一だけを馬が耕すとしましても、一町六段の割合で耕して參りますと、十六萬頭要るのであります、現在農林省の御發表になつて居ります、馬が百十二萬頭と仰しやいますが、總ての馬を集めまして、さうして年々更新馬を作らなければならぬ、其の更新馬は大體に見まして一割五分と見ることが、是は專門家の見る所であります、さう致しますと云ふと二十三萬何千頭と云ふ馬が要るのであります、此の外に百十九の災害を受けた都市がありますが、之を復活する上に於きまして、少くとも十萬の輓馬が要ると云ふことになります、さう致しますと非常に厖大な數が産業用馬として必要になつて來る、此の上に於てどうして此の馬を作るか、作つた馬は其の脚がどうであるか、馬と云ふものは私申上げるまでもなく脚が必要でありますので、其の馬が競馬に依つて鍛錬されて、良い脚を作り上げて初めて馬の役をなすのであります、今日「アメリカ」軍が日本の馬を見まして、何と立派な馬であると言つて北海道で歎稱致して居ります、又戰爭前には日本の馬を滿洲に導入したいと云つて、北海道で優牝が二千圓位なものが滿洲では一萬圓、一萬五千圓、二萬圓と云ふ高額で分けて呉れと言ひましたけれども、優牝は國が御放しにならないと云ふことでありますから是は已むを得ない、併し今度平和國家と云ふことになりまして、此の馬を滿洲に入れると云ふことになると大した馬が要ると思ふ、又中華民國も其の通り、私共も是は巷間の説として聞いて居るのでありますが、五萬とか八萬とか中國で欲しいと云つて居ります、此の位に馬を色色育てて來たのであります、ここで軍馬がなくなつたから馬は要らぬと云ふことを考へられますならば非常に困るのでありまして、此の産業用馬を作る上に於きまして健全な馬を作ると云ふことは、どうしても競馬でなければならぬ、一面馬の方から見たのでありますが、是は農業から離した馬はないのでありますから、農業の方から見ますと、一年の肥料と云ふものが、私の計算に依りますと百五十億の計算になつて居るのであります、と言ひますのは、馬肥から水を抽出してしまつて硫酸「アンモニア」が十一億餘りの貫數が穫れるのであります、是は專門家がやつて居るのであります、過隣酸石灰に於きまして五億四千四百萬貫、硫酸加里に致しまして四億萬貫、合せまして二十億七千百萬貫、約二十一億の肥料が穫れます、之を現在農林省の御決めになつて居る所の値段に致しまして百五十億と云ふ厖大な金になるのでありまして、馬を切離して農業はないのであります、又脚を良くすると云ふ方法には競馬より外ない、斯う云ふ考へから致しまして、此の産業用馬の發達を冀ひたいと思つて、私共此の競馬法に贊成致して、速かに是が可決されたい、斯う云ふ考へでありますが、農林省に於かれましては此の馬政の上に於て如何なる御考へがございまするか、畜産政策としてどう云ふ方法を御執りになりますか、此の點を大臣から一つ御聽かせを願ひます、尚ほ更に最後に附加へて申上げますことは、競馬を致します所の輕種は北海道の日高が最も良い地方だと、斯う申されて居ります、日高は一時此の輕種と云ふものを中間種に切替へられたいと云ふので、相當馬政局時代にも御骨折になりましたが、偖て競馬を致します今日になりましてどの位な馬が出來るのでございませうか、其の邊も併せて御尋ねを致したいと思ふのであります、極く簡單でありますが、大筋を一つ御聽かせを願ひたい、斯樣に考へて質問致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=3
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004・和田博雄
○和田國務大臣 後の點は政府の委員から御答へするとしまして、初めの點は、御意見私も同樣に考へて居ります、馬も結局農業を離れて馬はないのでありまして、今後は農業經營の點から言ひましても、又肥料の方の獲得と云ふ點から言つても、又勞力と云ふ點から言ひましても、將來の日本に取りましては大家畜としては馬、牛と云ふものはどうしても入れて行かなければならぬのでありまして、今までのやうな日本が有數の無畜農業であつたと云ふ、斯う云ふ弱點は日本の將來に取りましても、どうしても是はなくなして行かなければならぬ重要な點でありまして、色々の農業の改良をやるにしましても、先づ家畜を入れて行くと云ふのが農業の方から言へば、是は第一段階と考へて居ります、御話のやうな御意見は同感でありまして、競馬も結局はあなたの仰しやいますやうな産業馬の、是は改良と云ひますか、獲得と云ひますか、さう云ふ點からどうしても考へて行かなければならぬものと、斯う考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=4
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005・大石倫治
○大石政府委員 今小川原さんの御質問に對して大臣が御答へ致しました通り、尚ほ御答へ殘りは私から申上げたいと思ふのであります、小川原さんの御意見全く其の通りでございます、日本に於て農業の經營を致しまするに當つて、大動物の必要なことは改めて申すまでもございませぬ、其の大動物の中に於きましても、地域に依りまして耕作上、又肥料の供給上馬でなければならぬ地域もあり、牛であつても間に合ふ地域もあるのでありますが、殊に北海道、東北、北信方面に於きましては、堆肥、廐肥の生産配給の上から致しましても、どうしても馬に依らねばならぬと云ふことが定論であります、日本に於ける馬の建前は、曾て日露戰役の直後に於て、明治大帝の深き思召に依り、茲に馬政計畫の三十年と云ふものが立てられました、それが支那事變中に於て第一期馬政計畫の期限が終るやうになりましたので、更に第二期計畫を三十年間に繼續して立てたのでありましたが、其の第二期の計畫の實行に著手致しましたる間に、段々と支那事變より歐洲大戰に進みまして、軍馬の要求は非常な變化を致したのであります、隨て國内に於ける馬の生産の目標と云ふものは、大體軍の要求に依つて致しました結果、軍の最も軍馬として要求せられましたのは輕種の最も脚の輕い速力の早いものが要求せられ、次に輜重馬であり、或は砲兵輓馬であつたのであります、所が支那事變の實驗に依りまして、もう脚の早い速力を貴ぶ所の騎兵用の馬と云ふものは、飛行機に代つて必要がなくなつた、軍の最も必要とするのは駄馬であり、輓馬でありました、中にも駄馬は曾て一頭の馬もなかつた歩兵部隊にまでも多數の馬が配屬するやうになりまして、それ等の要求に應ずるが爲に、國内の生産方針と云ふものは輕種より漸次中間種に變つて參つたのであります、隨て國内に於ける從來の輕重生産地方に於ける種牝馬或は種牡馬等幾多の變化がありまして、内地は勿論北海道に於きましても、輕種の生産地でありまする日高の如きは、非常な整理が行はれまして、曾ては數千頭の種牝馬を持つて居りましたが、今日は「サラブレット」としては大體二百頭内外、「アンブロ・アラブ」と致しまして、所謂「アラブ」系の輕種と致しまして二百頭位でありまして、其の四百頭も大體は中間種生産に轉換しつつあつたのであります、純粹なる輕種の生産は獨り日高ばかりではなく、全國的に非常に減退を致して參つたのであります、内地に於きましても青森縣、或は宮城縣、或は福島縣の一部、或は鹿兒島縣等は大體輕種を相當生産して居つたのでありますが、是等の地域に於きましても漸次輕種より中間種に移讓を奬勵せられまして、又隨てそれに供用を致しまする所の種牝馬も著しく整理致されまして、此の戰前に比較致しますると數分の一より外ないのであります、競馬に對するものも御承知の通り競馬法に依る日本競馬會の開催致します公認競馬、今囘議員各位より御提出になつて現に審議中であります地方競馬、公認競馬は主として輕種を用ひることと存ずるのでありますが、地方競馬は御話の通り産業馬でありまして、或は農耕用であり、或は輓馬に適するものを主として生産し、此の競爭に走らせることとなると存じますから、輕種はさう澤山奬勵を復活する必要もなからうと思ひますが、農耕馬は全國的に非常な不足を告げて居ります、第二次馬政計畫に於きまして、國内に繋養する所の馬は大體農家の戸數及び能力、飼料、育成上の勞力、さう云ふものを考覈致しまして百五十萬頭と云ふのでありますが、御話の通り耕地は更にここ數年間に百五十萬頭を以て致しましては、到底其の需要を充たすことは出來ないことは明かであります、況や今日此の百五十萬頭の繋養どころか、僅に百十萬或は百二十萬頭臺に止まつて居りまして、軍馬の關係がないと云ふことは、動もすれば馬の必要が非常に減退したが如き誤解を招く、或はさう云ふやうに思はしむるのでありまして、馬に對する所の奬勵の施設も、二十一年度に於ても二十年度に比較して著しく減つて居ると云ふやうな關係があるのであります、併し競馬の施設に依つてさう云ふ馬が自發的に奬勵せられ、殖えて行きますことは、我が國の食糧の増産確保の上から見ましても、洵に好ましいことと存ずるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=5
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006・小川原政信
○小川原委員 私の質問に對しまして大臣、政務次官より私共と意見の一致することを御答へになりましたが、更に私は一、二點御尋ね申上げて見たいと思ひます、馬の重要性、馬をどうしても盛んにせねばならぬと云ふ御話、洵に結構なことであります、牛のことは今日は申上げませぬ、成程百五十萬町歩に對する牛のことも考へて居りますけれども、競馬法でありますから、牛のことは後日に讓りまして、馬に付て些か申上げたいと思ひますことは、馬がそれだけ重要性があり、日本の是からの産業國家を建設して行く、平和國家を建設して行く上には馬がなくてはならぬ、斯う云ふことが決まつて居るにも拘らず、今日畜産局へ參りましてもまるで火の消えたやうで、馬政課なんかあるのかないのか分らない、斯う云ふことは私は日本の畜産振興の上に非常に悲しむべきことだと思ふ、又豫算の上から眺めても餘り香ばしくない、第一馬の一番の根源になる種牡馬の豫算を見ましても、一箇年僅かに三百萬圓そこらである、過日も大臣に申上げたのでありますが、今日北海道では十六萬圓の種馬が出來た、十萬圓以上の種馬が四頭も五頭も出來て居る、それから五萬圓、六萬圓の馬は四五頭も出て居る、然るに種馬の豫算がどれだけあるかと云ふこと、二歳で一頭三千二三百圓、四歳で四千何ぼ、斯う云ふやうな譯で迚も御話にならぬ、脚が少し曲つて居ても四つの脚さへ持つて居れば四千圓はして居る、私の組合で過日も賣上げた値段を言つて寄越しましたが、平均して一頭五千圓から六千圓に賣れて居る、鳥取縣に於きましては、是は私が行つて見た譯でありませぬ、聞いた話ですが、生れたばかりの牛が一頭五千圓もすると云ふことです、然るに種牡馬が一頭三千圓、四千圓と云ふのでは、馬の品種を良くするどころか、却て惡くするばかりです、それで一頭平均五萬圓にして戴いて三千萬圓もあれば宜い、三千萬圓を投込んで良い馬を作れば、大藏省は其の良い馬に課税すれば直ぐ三千萬圓位は取返せる、さうなれば良い馬が餘計出來ただけ得です、それで良い種牡馬を置て農民に安心をさせなければならぬ、私は將來の農業をどう見るかと云ふことは耕作農業は最も窮迫の状況が起るのではないかと想像して居る、と申しますのは、日本軍が南洋に行きまして耕地面積を從來の二倍に擴張して居る、佛印、「シヤム」「ビルマ」も耕地面積は擴張された、是から收穫される農産物はどうなる、或は「アメリカ」「カナダ」は豐作が續いて居る、此の農産物はどうなるか、「アメリカ」に於ては此の農産物は極東に向つて送ると云ふことを演説されて居る、さうなると我が國は農産物の總てを外國から求められると云ふことが想像されるのであります、さうなつて耕作農業が、非常に困つた時に、比の畜産農業を發達さして置けば、之に依つて農業は十分やつて行けると思ふのでありますが、此の點に關する御所信を御尋ね致したいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=6
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007・大石倫治
○大石政府委員 御答へ致します、御説の通り馬の必要は認めて居るのであります、併しそれに對する政府の豫算の持ち方が餘りにも貧弱だと云ふ御意見でありましたが、洵に申譯ない次第であります、前年度までの馬に對する政府の補助、助成等は相當あつたのでございますが、御承知の通り現在に於きましてはそれ等の補助、助成は國策上から一應概ね止めざるを得ないと云ふことに相成つて流れた次第であります、併し種馬の購買費の如きも無論増額致さねばならないのでありまして、農林省と致してもそれぞれ努めて居るのでありますが、つい二十一年度購買の豫算と致しましては、増額を致すことの出來なかつたことは洵に遺憾な次第であります、併し將來は種馬の全國有と云ふこともやはり改めまして、漸次或は民有と云ふやうなことを認め、政府買上の種牡馬も頭數が激減致すのでありますから、適當なる時價に依つて買ひ得るやうな豫算を要求したいと存じて居ります、本年度の豫算に於きましては、既に大體の購買期も終つて居りますし、今俄かに之を増額すると云ふ譯には參らぬのであります、將來馬産殊に畜産全體に對して、其の機構の上にも、又豫算の上にも努力を致しまして、御意見に即するやうな結果を齎したいと存じて居る次第であります、尚ほ畜産局が至つて振はないと云ふ御説でありますが、是も時局の關係から馬政局が廢されて畜産局に變り、其の畜産局に總ての畜産を綜合致しました關係と、此の國策の變革期と申しては語弊がありますが、總てが過渡期に今立つて居ります關係から、未だ根本問題を解決するに至りませぬ、併しそれぞれそれ等に對する調査研究を遂げ、根本的な計畫及び目標を樹立しまして、漸次畜産の振興及び馬産の振興を圖りたいと存ずる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=7
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008・小川原政信
○小川原委員 是で私の質問は終りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=8
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009・瀧澤濱吉
○瀧澤委員長 鈴木周次郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=9
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010・鈴木周次郎
○鈴木(周)委員 議員提出の此の法案に對しては、私は無論政府も御同意と思ひますが、此の實施に當り適當でない點があるなら、又之に對して附加すべき御意見等がありますれば、此の際承つて置きたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=10
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011・和田博雄
○和田國務大臣 今囘議員の方々が提出をされた地方競馬法案に付きまして、私共の方で考へて居ります意見と申しますか、抱いて居ります考へを一應御參考までに述べさして戴きます、それは第一條に「馬事の振興」とあるのでありますが、是は皆樣方の御提出になりました提案の理由を能く翫味致して見ますと、我々の考へと全く同一だらう、實は斯う理解出來るのであります、それはやはり馬事とありますが、實は畜産の振興と云ふ廣い意味の事柄であらうと思ふのでありまして、其のやうに我々としましては之を考へて行きたい、斯う考へて居るのであります、寧ろ明白に之を畜産の振興と云ふやうな意味にするのが宜いのではないかと考へて居るのであります
それからもう一つは、地方競馬と云ふものに付きましては、從來色々の批評があつたのでございまして、地方競馬が今囘提案されました法律に基きまして、公平に、正々堂々と、而も其の趣旨たるや畜産の振興であり、又御質問者が御質問の中に意見として述べられましたやうに、産業馬の増進確保、改良確保と云ふ點にありますならば、此の地方競馬に依りまして得られまする賣得金の處分に付きましては、是が蓄産の振興の爲に使はれ、或は社會事業の爲に使はれますやうに、それが間違ひなくさう云ふ使途に於て競馬法自身が出來ました其の目的が本當に達成せられますやうな、今言ひましたやうな畜産の振興でありますとか、或は社會事業の爲に使はれると、云ふやうに、賣得金の處分に付ては政府と致しましては何等かの形に於きまして、是はさう云ふことが出來ますやうな途を講ずることが必要であらうと、斯樣に考へて居る次第でございまして、大體今囘提案されましたものに付きまして、政府としてはさう云ふ意見は持つて居りますので、御參考までに申上げて置きます、其の他の點に付きましては、此の法案が提出されました趣旨が、洵に委員長の御説明の通り畜産の振興であり、實際上今後の日本の農業經營とも不可分な、農業經營の發達改良を度外視しては考へられない、産馬の改良獲得でありますので、其の他の點に付きましては別段の意見はありませぬで、我々としては是は結構なものだ斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=11
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012・鈴木周次郎
○鈴木(周)委員 此の際提案者の小笠原氏に一寸承つて置きたいのです、第十二條の中ですが、「競馬施行者は、命令の定めるところにより、納付金を馬匹組合聯合會の組織してゐる公益法人たる全國區域の馬事團體に納めなければならない」と云ふものと、第十一條の「百分の二十五」と云ふことと關聯されて居りますので、只今農林大臣より社會事業及び畜産の改良に其の中使つて貰ひたいと云ふやうな非常に良い御話がありましたのですが、提案者は之に對しまして畜産の改良、即ち種牡馬の改良、種牝馬の改良にどの程度御使ひになる氣か、又馬事團體に餘り多くやることは考へものであらうと思ふが、此の點に對して成案があるか、又適當な時期にそれは考へるかと云ふことを一應承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=12
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013・小笠原八十美
○小笠原委員 今鈴木君より提案者に對しての御質問でありましたが、其の收得金の百分の二十五、此の意味は内容をしつかり御説明しなければならぬのであつて、一體は競馬をやるに二十五と云ふのは、それは特別な場合に二十五にしようと思ふから二十五にしたのでありまして、實際は百分の二十しか普通の競馬では取れないのであります、それでは二十五と云ふのはどう云ふ場合に使ふかと云ふと、東北六縣の共進會とか、關東の共進會をやらうと云ふやうな場合、或は又海外引揚者の救濟をやらうと云ふやうな、何か特別な事情の下に開催する分には相當多く取上げても宜いのぢやないか、斯う云ふ場合には主務大臣の認可と共に、百分の二十五を取らう、それを法律に今決めて置かなければならぬ、さう云ふ場合に法律がないから認可をすることが出來ぬと云ふことがあつてはならぬから、其の用意の爲に百分の二十五と致したのでありますが、普通の競馬の際は百分の二十と云ふことにして進みたいと云ふのが提案者の内容であるのであります、而して其の中中央馬事會に納付すると云ふ金はどれだけであるかと云ふと、大體其の中の八分です、二十の中八を中央馬事會に納付する、それはどう云ふ所に使はれるかと云ふことになりますと、八と云ふのは日本全國を、通じて競馬「フアン」の多い所の神奈川とか、東京とか、京都の如きは、今日まだ法律が制定にならぬでも、實施して居る所が御聞及びの通り非常に大きな賣得金があるのであります、さう云ふ場所と、眞に生産地でありましても北海道の一部とか或は東北六縣の如きは競馬をやつても從來ならば損をして來たと云ふ所もあつた、所が此の畜産の發達を期せしめる爲には全國の均衡を取らなければならぬ、其の調節を圖るものは十分の八に依つて中央馬事團體に依つて損をした所、又發達の鈍い所にはそれぞれ助成をして、全國の均衡的な方針に依つて馬政方針の發達、一般の畜産の發達を期しよう、其の他公共團體の救濟方法にも使はう、斯う云ふことの爲に八分と云ふことになつたのでありますが、其の中馬事の方面に振向けるのはどの點か、斯う申されますが、其の點は馬事と申しましても、是は馬の生産地の多い所は、是は其の主催者、縣聯合會自體に於て生産の方に振向ける所もありませう、所が神奈川縣とか或は關東、關西方面に至りましては、是は競馬をする馬、それを購買をすると云ふやうな方にも振向ける方法も執らなければならぬでありませう、さうして其の中から幾分かはそれぞれ畜産方面にも、政府の方面とも連絡を取りまして全國一律に此の使用方針を定めなければなるまい、斯う思ふのであります、それは只今農林大臣からも注文がありました、私も此の點に對しまして大臣に御尋ねしようと思ふ點があつたのでありますが、如何にも是は馬の奬勵と云ふよりも、一般的に畜産奬勵と改めると云ふことは、法的には馬を主體としてやる競馬であるから私は馬で宜いと思ふが、併し一般的に畜産を擴大することも強ち惡いことではない、又一般的には非常に宜いことだと思ひますから私も同意しないものではありませぬ、併し賣得金は何か政府の方で是はどうしても監督の下に一律に間違ひない使途に決めたい、斯う云ふことの御心配があるのでありまするが、是はやはり政府でなく、自主的に、競馬をやるもの自體が皆聯合會でも作るとか、お互ひに相談し合つて此の使途に對して世間の非難を受けないやうに、立派な社會事業にも、馬事振興にも、一般畜産奬勵にも使ふことに自らが之を定め、又實施もしなければならぬと云ふやうに私は考へて居るのであります、隨て中央馬事會とも連絡を取り、政府とも又連絡を取つて完全に之をやらなければならぬものと考へて居るのでありまして、又政府の方と致しましても之をやらぬのであつたならば取消す權限もあるし、又色々な權限も第一條、第二條に依つてもちやんと明瞭になつて居るのでありますから、兎に角政府の方に餘り御世話にならぬで、お互ひの間に於て實際的に社會問題として此の問題を決める、地方競馬と云ふものの收得金は是れ是れ使はれるから、是ならばと云ふ社會的の同情のあるやうに、お互ひから進んで方針を決めて行かなければならぬものと私は考へて居るのであります、畜産とか馬事とか云ふやうな細かい仕分をした使途に對しては、又法案が通過した後に於てもそれぞれお互ひの間で協議して適當に之を振分けたいと考へて居ります、之を以て終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=13
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014・鈴木周次郎
○鈴木(周)委員 只今農林大臣の御話、又提案者小笠原君の御話を聽きまして、此の賣得金の使途に付ては、社會事業其の他畜産の改良、發達の爲に御使ひになると云ふやうに御聽き致しました、農林大臣は社會事業と申されたが、畜産の改良全體が社會事業であらうと思ふし、又之に書きました意味でありますが、此の賣得金の金額は相當大きくなると云ふやうに考へるが、今日の物價から致しましたならば、千萬や二千萬の金は大して大きくない、即ち現在の社會事業と申しますれば、今度の豫算案のやうに何十億と云ふ大きな金でなければならぬと思ふのであります、仍て特に命令をする場合に於ては、畜産の綜合的改良發達の爲に多く出す如く命令されることは私達の希望をして居り、其の點に對して今の提案者小笠原氏の説明も其のやうに聽いて居るのだが、それで間違ひあるかどうかを小笠原君からも聽きたいし、又大臣にさう云ふ意圖があるかどうかを御聽きしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=14
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015・和田博雄
○和田國務大臣 私參考までに意見を申上げましたやうに、賣得金は是は地方競馬法が畜産の振興と云ふことを目的にして居るのでありまするから、やはり畜産の振興の爲に使ふと云ふのが先づ第一の本筋であつて、畜産の振興其の他の社會事業、斯う云ふやうに申上げたのでありまして、私と小笠原氏とは即ち同じことを言つたのだと思つて居ります、畜産の振興と云ふことがどこまでも筋だと斯う思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=15
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016・小笠原八十美
○小笠原委員 私の考へも同樣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=16
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017・瀧澤濱吉
○瀧澤委員長 永井勝次郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=17
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018・永井勝次郎
○永井委員 簡單に是は提案者に御伺ひしたいと思ひます、此の第三條に競馬を行ふ競馬場の數は北海道は三箇所以内、都府縣は各一箇所以内と規定されて居るのでありますが、是は絶對的のものでありませうか、其の土地の状況に依つては色々と彈力性を持たして、北海道の如き廣汎なる地域に於て、其の實情を檢討して四箇所にする場合もあるだらうし、五箇所にする場合もあるだらうと云ふやうな個々の檢討に依つて之を殖すことの出來るやうに餘裕を持たして置いたらどうか、斯う思ふのでありますが、此の點に付て…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=18
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019・小笠原八十美
○小笠原委員 只今の御質問に對して御答へ致しますが、それは御尤もな御質問でありまして、如何にも北海道は三箇所であり他の都府縣は一箇所以内、斯う限定したことは甚だ不合理のやうに見えます、そこで私の案としても之を何とかして其の都度政府の方の許可を得ることに依つて伸縮のあるやうな方法にしたい、斯う云ふことに初めは考へたのであります、所が從來競馬と云ふものは、何となく一種の賭博のやうな關係を含んで居るので、競馬場の數に依つて非常な問題が起きたことがあると云ふことで、それに遡つて心配する政府の方の意圖もあり、又今日委員になつて居る方々の御心配もある、畜産に關係ある議員方の心配もありました、又貴族院の方も能く交渉して見ました所が、此の點に大きな難點もありましたので、色々なことを考へて見まして、是が問題になつて、畜産の發達を今日重大な食糧増産と結付けなければならぬことに後れを取つては、國家の爲に非常に重大な問題だと考へましたので、是は各派の共同提案でありますから、各派の畜産關係の方方と協議致しまして、茲に取纒めて提案したのでありますが、所に依つては一箇所で濟む縣もあります、又北海道と雖も三箇所で御滿足でないやうであります、所が又然らばと云つて、どう云ふ所を限定にして私の所は一箇所で宜いかと云ふ問題が起ると、それを定める爲には大變問題が大きくなりまして、是は中々納まりが付かぬと云ふ所から、どうも不滿足ながらもここに收めて置くことが一番無難であると云ふことで之に致したのでありまして、其の點一つ御諒解を願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=19
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020・永井勝次郎
○永井委員 競馬場を指定する場合に食糧の増産との競合が考へられる譯でありまして、是は政府當局に御尋ねするのでありますが、主要食糧地帶は成べく之を指定しない、さうして若し之を指定の場所に於ては、其處の耕作農民との圓滿なる話合ひを遂げて、其の上で之を指定する、さう云ふ御計らひが必要であらうと存ずるのでありますが、それ等に對する御考へは如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=20
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021・大石倫治
○大石政府委員 此の開催箇所の指定と申しても、法律に明記されて居りますから、別に主務省から其の縣々に指定をする必要がなくなることと思ふのであります、此の明文に依りまして北海道は三箇所、他の都府縣は各一箇所以内と致します、其の開催主體となるものは、現在に於きましては、都道府縣の馬匹組合聯合會、或は一縣を區域と致しまする馬匹組合であります、其の他中央馬事會が主催する場合もございまする外は、競馬場の指定は一箇所と決まつて居りまするから、主務省より御話の如き其の都度の指定を要しないことと思ふのであります、隨て食糧問題との關係は耕地を潰してやると云ふやうなことは餘りないことぢやないか、現在に於て軍馬資源保護法に依つて行はれました全國都道府縣各一箇所づつの競馬場、若しくは北海道は三箇所の競馬場は大部分尚ほ今日殘つて居るやうであります、是等が法律實施の曉に利用せられるものと存じますので、御心配の如きことは餘りなからうかと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=21
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022・永井勝次郎
○永井委員 提案者に御尋ねします、競馬會を開催して行く上に於て從來の弊から見ますと、競馬場を全國的に廻つて歩く俗な言葉で言へばゴロツキのやうな一つの集團があつて、それが開催の上に於て不明朗にして居る點が相當あつたと思ひます、勿論此の競馬の開催は主として畜産の奬勵に資し、其の中に皆が畜産に關心を持ち、明朗に樂しむと云ふ所に狙ひがあるのでありまして、隨て「レース」の内容が明朗でなければならぬと思ひます、さう云ふやうな事柄に付て其の取締や、「レース」の番組の組合せとか、或は馬券の問題とか色々な問題があるでありませうが、それ等に對する内容の明朗化と云ふ事柄に付てどう云ふ御考へを持つて居られますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=22
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023・小笠原八十美
○小笠原委員 御尋ねがありましたから御答へ致しますが、如何にも御尤もな御氣付の點であります、提案者としては地方競馬なるものは本會議でも御説明申上げた通り、開催地の其の縣に於て飼養管理した、或は隣接の都道府縣で二箇年間飼養致した其の馬に限つて出場することが出來る、それを四歳以上八歳以下の馬と云ふことに定める豫定であります、隨て從來の如く旅から旅へと渡つて歩いた騎手に依つて競走が出來るものとは私は考へて居りませぬ、百姓の少し氣の利いた人が騎手になつて競走するのだと云ふことが、地方競馬の主たる目的であります、所が是には今御述べになりましたやうな心配を提案者の私も餘程持つて居ります、どう云ふことかと言へば、茲に産業馬を目的とし、其の發達を期する爲に競馬をやるのでありますが、從來の競馬の「フアン」が何となく速度重點主義で、どうしてもそれに重點を置かれるやうな氣配がある、而もそれは關東、關西の方の競馬の盛んな所に最も多いやうな關係がありますので、そこに心配が出て來るのでありますが、生産地や其の他の田舍の方では其の心配は更にないものと思ひます、それに付ては地方競馬は公認競馬と違ひまして、そこに區別を付けなければならぬことは、産業用馬を目的とする故に、其の競走番組に對しても輓曳競走と云ふものを入れまして、其の他駈歩に於きましても、速歩に於きましても、それぞれ産業馬其のものの番組の編成と云ふことに致さなければならぬのでありまして、其の中に一部、四分の一なり三分の一なりを速度重點的な馬を入れて、一般觀衆の娯樂と云ふ所に置かなければならぬが、それを全部娯樂第一主義の公認競馬主義にやると云ふことの番組は避けなければならぬと考へて居るのでありまして、其の點も政府、中央團體竝にお互ひの開催の方々の協議に依つて、實際の目的の達成するやうに固い契約を拵へ、それに又馬の集合も産業用馬を重點として集め、一部に速度重點主義の馬を加へると云ふことに編成替をして行かなければならぬと思ふのであります、其の他の取締方針と致しましては、商賣的に奔つて競走馬を操縱致し、何か八百長でもやるやうな氣配を持つた今まで非難のあるやうなものは、嚴重にお互ひの間に於て取除かなければならぬのでありまして、それはお互ひの間に能く決めて置きさへすれば、關東、關西の方もそれぞれ是は改まると考へて居ります、以上御答へを申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=23
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024・永井勝次郎
○永井委員 政府に御伺ひ致しますが、公認競馬に於て積立金が二千萬圓位はあるだらうと云ふことを伺つて居るのでありますが、此の積立金が畜産施設に使はれたと云ふことも聞いて居らないのであります、此の金はどうされたか、唯役職員の食潰しになつて居ると云ふことであれば、大きな問題だと思ふのでありますが、是等の積立金の金額及び其の保管はどう云ふ風になつて居るか、又使はれて居るとすればどう云ふ使途に使はれて居るか、是等に付て詳細に伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=24
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025・大石倫治
○大石政府委員 今永井さんの御尋ねの日本競馬會の積立金二千萬圓と云ふものがどうもはつきり分りませぬが、恐らくさう云ふ金はない筈であります、輓馬機動隊と云ふものの關係に依つて、千數百萬圓の金があつた場合がありますけれども、此の人件費が著しく負擔加増し、其の他經費加増の爲に、それ等の金も漸次減少して參りまして、輓馬機動隊も維持困難の現状に陷つてしまつたのであります、又日本競馬會時代の積立金は二千萬圓以上あつた時代もございますけれども、戰爭中競馬を中止致しまして以來、收入は「ゼロ」になりまして、年々數百萬圓と云ふ多額の支出を負擔して參つて居りますので、是等の金も殆どなくなつて、實際今日の日本競馬會の財政關係は寧ろ困難の方に傾いて居ると存ずるのであります、尚ほ詳細なることは取調べた後に申上げることに致したいと思ふのであります、又競馬會は此の十一競馬場を年々開催致して居りました時代に於ては相當の收入があり、剩餘金がございましたので、競馬會より支出を致して馬事會及び社會事業に使ひました金は相當の巨額に達して居つた筈であります、社會事業と致しましても競馬法制定當時は百萬圓、其の後之を二百萬圓に増加し、年々それを支出致して居つた筈であります、又中央馬事團體への助成、地方馬事團體への助成、或は馬産の奬勵殊に此の轉換期に當りまして輕種生産者は非常な苦境に陷つたのであります、之に對しての救助的輕種の買取或は助成的意味の支出、それから現在農林省の管轄になつて居ります栃木縣西那須野に於ける畜産研究所、元馬事研究所と申して居りました是等の施設全體が、日本競馬會の寄附に依つて出來上つて居ります、或は七戸の獸疫調査支所に於ける色々なる獸疫の豫防及び藥の生産其の他に對しましても、相當競馬會が負擔しまして、馬事界に於ける日本馬事會の貢獻する所は、決して僅少ならざることを申上げることが出來るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=25
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026・瀧澤濱吉
○瀧澤委員長 宮村又八君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=26
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027・宮村又八
○宮村委員 一年に四囘とされて居るのは結構だと考へますが、一囘に六日以内と云ふことは、是は私考へますと、賭博とか何とか云ふものは、日を經るに從つて非常に強くなつて來る、是は六日以内とせずに──餘り長ければさう云ふ惡いことを考へさせられる、之を一囘が二日か三日位に限定して貰つたならば、社會政策から見ても犯罪の防止に有效ではないか、斯う云ふ風に私は考へますが其の點如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=27
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028・小笠原八十美
○小笠原委員 此の開催の期間を一囘に六日以内、斯う云ふ風に決めましたに付て、國民の健全娯樂も餘り程度が過ぎると弊害を伴ふのであるから、日程を詰めたらどうかと云ふ御説でありますが、一應御尤もであります、提案者の方としては、是は囘數も都府縣は一箇所と云ふ場所に制限致しましたし、北海道は三箇所と云ふ制限を致したのでありまして、隨てさう云ふ所からして、關西とか或は關東とか云ふ風に、非常に競馬の盛んな所で、まだ囘數の足らぬと云ふ風な要望の澤山ある所では、六日でもまだ足らぬと思ふのであります、所が地方的に見ると、三日位開催すれば後は「フアン」の關係、馬の關係等に依つてそれを繼續することの出來ない事情に置かれる所もあると思ふのであります、それ等を皆地方的に見て自由にやれる程度にして、六日以内とした方が適當であらうと云ふことで、茲に日程を六日以内と云ふことに定めたのであります、此の點に付ては競馬の、畜産に關する議員方の御意見も纒めて、適當であらうと云ふことに定めたやうな譯で、それが提案となつたのであります、以上御答へ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=28
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029・宮村又八
○宮村委員 私競馬場に行つて見ますと、大體は農村の人が其の競馬場に澤山來なくちやならぬのが、得てして都會の人が多い、斯う云ふことを考へますと、どうしても都會の人は其の方面の娯樂の面に向つて進みたい、斯う云ふことになりますが、農村の人が出て來るならば、農閑期はまあ宜いけれども、農繁期の場合になつたら非常に生産に影響があると考へて居ります、それで斯う云ふことは成べく此の畜産の御方にも御願ひして、長くやらないやうに、精精三日に留めて戴くことが、政府から見ましても、又此の組合から見ましても、政府の信頼を増すものと斯う考へますが、此の點に對して政府の御考へを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=29
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030・大石倫治
○大石政府委員 宮村さんの競馬開催期日に對しての御心配は御尤もでございます、併し提案者の御説明を聽きましても、又政府の感想と致しましても、六日以内となつて居ることが、運用上適當であらうと存ずる次第でありまして、此の提案には其の點同意は表し得るのであります、と申すのは御説の通り營業的、商賣的と云ふやうな意味合で開催せられる地方競馬ではないのでありますけれども、假に農村──農村と申しましても馬の生産地方であります、生産地方は主に農村であります、さう云ふ地方の農繁期と農閑期との關係等もありまするから、六日必ずしも適當でない所もあると存じます、併し六日以内でありまするから、主催縣の都合に依りまして、或は東北地方に於て四日間で打切らう、或は三日間で打切らう、斯う云ふのは開催者の都合に依つて決定し得るのでありまして、必ず六日間開かねばならないと云ふ最低制限ではございませぬから、六日間を最高として、其の範圍内に於て其の地方、其の地域、開催者の見込に依つて、開催期日の伸縮を行はして宜しからうと存じます、法律には六日以内と書きましても、運營上却て便宜ではないかと、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=30
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031・宮村又八
○宮村委員 今まで競馬場に行つて見ますれば、九州方面では殆ど二日であります、私の所あたりでは小さい縣ではありますが、生産地でありまして、さう云ふ方面に出て行く人は都會の人が非常に多くて、農村の人は割に少い、それでさう云ふ所へ農村の人が出て來るのは必ず不良化した人が多いのです、それで私は成べくこんなことは長くやらずに、二月に一囘でも宜からうと思ふ、長くやることは結局をかしな犯罪を犯すやうな結果になりはしないか、斯う憂ふるのですが、如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=31
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032・大石倫治
○大石(倫)政府委員 御話のやうな弊害絶對になしとは申上げませぬ、實は私自身も地方競馬規則に依つて施行せられて居る當時に於きましては、其の開催者となり主催を致したことがございます、又全國の地方競馬と云ふものの當時の實情を詳細に私は知つて居るのであります、其の後鍛錬競走と云ふものに變りました、地方競馬規則が廢止せられて鍛錬競走となつた、地方競馬規則時代に於きましては、多き所は一ヶ月三ヶ所の競馬場を以て、概ね最高四日間、春秋二囘開くのであります、少き所に於て一ヶ所若しくは二ヶ所であります、人口的に當時の地方競馬及び鍛錬競走時代に於ける地方競馬の實情を見ますると、概ね農村と申しても、何處でも農村のない縣はありませぬが、馬の生産地方であります、例へば北信方面、東北、北海道と云ふやうな方面に於きましては、地方競馬は甚だ振はないのであります、地方競馬規則時代に於きましては、全國各府縣何處でも開催せられない縣はなかつたのであります、けれども鍛錬競走と云ふことになりまして以來は、北海道三ヶ所の外は、府縣一ヶ所と限定せられましたが、生産地方でありました東北の如きは殆ど全滅致しました、殆ど地方競馬、鍛錬競走と云ふものがなくなつてしまつたのであります、最初青森縣とか、山形縣とか、福島縣には一、二ありましたけれども維持困難でありますから結局開催を中止致して、宮城縣の如きは初めから鍛錬競走と云ふものをやらないでしまつた、北信地方に於きましても同樣の成績でありまして、是が行はれて居りましたのは一都二府一道四十三縣の中で半分位しかなかつたのであります、でありますから斯う云ふ法律がありましても、其の地方の實情に依りまして、是が決して全縣下に必ず普及するものでないのでありますが、斯う云ふやうな「インフレ」景氣であり、通貨の非常にだぶついて居る時代に於きましては、或は生産地方と致しましても、必ずしも經營不能ではないかも知れませぬ、例へば宮城縣の如き競馬場の古いのを持つて居らぬと云ふ地方に於きましては、新たに競馬場を求めると云ふことになりますが、是は土地を手に入れること、其の設備を行ふこと、それは容易ならざるものでありまして、是れ亦實現が困難なことと存ずるのであります、斯樣な次第でありますから、競馬場を一箇所置かねばならぬと云ふ強制的のものではないのでありまして、其の縣の聯合會、若しくは馬匹組合の經濟の關係とか、或は見透しの都合とか、或は設備の關係とかと云ふやうなことに依つて、やらなくても宜しいのであります、又やりましても六日間必ずしもやらなくても宜しいのでありますから、農閑期の適當な時を選んで、四日とか或は三日とかで宜しいのであります、但し御考へを願ひたいことは、此の競馬には先刻提案者の御説明もあります通り、産業用馬の能力試驗であるとか、能力の所謂増進であるとかと云ふやうな、獎勵の意味を含んで行ふのでありますから、一種類の競走では單化過ぎて駄目なのであります、それで駈歩とか速歩とか、或は障碍とか輓曳とか、四通りありますが、一日の番組は概ね多くて十二競馬をやる、十二競馬やりますと六日間やりますれば七十二囘やるのであります、七十二囘やります中、四種類をやつて置きまして、最後の六日目には今度は優勝競走をやらなければならぬ、優勝競走をやるには、一著、二著と云ふものだけ入れれば宜いのでありますから、馬の數は極く少くなつて參ります、それで一日十二囘づつやりまして五日間やりますれば六十囘、六十囘を四つに分けますと十五頭しかない、斯う云ふことになります、さう云ふやうになりましても中々さう云ふことには參らないのでありまして、結局優勝馬になる時は走る馬が極く少くなり、興味が非常に少くなり、優劣がはつきりして參りまして、折角の優勝競馬が成立たないのであります、それでありますから四日間では從來の地方競馬は、大抵駈歩と速歩の二種、若しくは駈歩と障碍の二種──障碍は餘り行はれて居りませぬ──之に今度は輓曳をどうしてもやらうと云ふのであります、輓曳と速歩と駈歩と三通りのものが出るのでありますから、三日間では最後の半日でも一日でも、優勝競走になりましたら出場馬が非常に少くなる、それでは興味が出ないことになるのでありますから、やはり成べく是は五日間か六日間やりますことが、大體開催の實情としては適當だと私は思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=32
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033・宮村又八
○宮村委員 提案者に御願ひして置きますが、賭博みたいなものが行はれないやうに、三箇所位、一日か二日づつ廻ることが出來るならばさう云ふ風に御願ひします、是は希望であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=33
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034・小笠原八十美
○小笠原委員 只今の御希望能く分りました、是は斯う云ふことになります、只今大石政務次官からも御答へになりましたやうに、提案者の方でも、競馬を實施するには農閑期でなければならぬと云ふことは今の御説の通りで同感であります、又さうでなければ競馬は出來ませぬ、是は農家の持つて居る馬を集めて農家の者が之に乘るのであつて、本當の商賣人がやると云ふことは避けなければならぬと云ふことは先刻申上げた通りであります、隨て今までの草競馬と申しましても、速度重點主義でやるのと違つて今度のは産業農馬としての増進を圖りたいと云ふ、それに重點を置いてやるので、今までの競馬とはそこは餘程違ふのであります、隨て今までやつて居る所を見ますと、各各馬を引張つて來て、輓曳競走と云ふものは、殆ど百姓ばかり何萬人と云ふものが集合して居つた傾向が、東北六縣、北海道、全國の生産の七割五分を占めて居る地方に對して、今まで見られて居つた所であつて、隨てさう云ふ地方ではどうしても是は農民が集合するものなりと考へるのであります、隨て農閑期を選ぶことは勿論であります、是は競走をやることになるとなぜ六日間必要であるか、場合に依つては競馬をやれないと云ふことは、大石政務次官の仰しやる通り、又三囘で濟む所も二囘で濟む所もある、今度は何處郡でやると云へばそこに馬が殺到するので、一方を拒絶することの出來ないやうな事情にも立至ると思ふのでありまして、それが爲には所に依つては六日間でも不都合を來す事情もある、斯う云ふことも考へられるのであります、此の法律案に於て六日以内とした所以はそれであります、決して不必要に三日を強いて六日まで延ばすと云ふ趣旨では絶對ありませぬから、左樣御諒承を願ひます、もう一つの御心配である都會人が集まるのではないかと云ふことでありますが、それは私も心配して居る一人で、其の點關西とか關東と云ふやうな、從來の公認競馬の慣習のあつた、又競馬「フアン」の多い所は、どうしてもさう云ふ風になるのでありますから、其の點やはり餘程産業用馬と云ふことに重點を置いて、競走の番組編成は茲に重點を置いて、少くとも大衆的健全娯樂に供する爲の競馬と云ふことを、併せて考へて行きたいと思ふのであります、御答へ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=34
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035・松本六太郎
○松本(六)委員 私共待望して居りました地方競馬法が上程せられまして、大變心強く感じて居る次第であります、先程小笠原君から御意見がありましたやうに、我が國の畜産は非常に今日必要性を増して參つたに拘らず、是が指導奬勵の面に於ては甚だ振はないものがある、就中馬に至りましては、先程小川原君も御述べになつたやうに、凡ゆる角度から今日は非常な逆境に立つて居ると申さなければならぬのであります、之を時代に即應致しまして、所謂民主的の行き方で馬事の振興を圖り、延いては畜産全體の興隆振興を圖ると致しますれば、やはり此の地方競馬の如きものを盛んに致しまして、それに依つてそれ等の資源を求めると云ふことに致さなければならぬ、斯樣に考へられるのであります、斯樣な意味に於て此の地方競馬と云ふものは、是非とも成べく早く實行されますやうに、官民共に協力して行かなければならぬと信ずるのであります、唯、具體的な問題になりますと、色々今御意見がありましたやうに、多少見解の相違等も起つて參るのでありますが、是等は今後之を實施致して參ります内に、改善を加へて行かなければならぬ點はあると存じます、併しながらここで御伺ひ致して置きたいことは、第一條に於きまして、都道府縣を區域とする馬匹組合聯合會、又縣を區域とする馬匹組合を含むと云ふことになつて居るのでありますが、北海道の如き特殊性を持つて居りまする地方に於ては、所謂地方の馬匹組合と云ふものは、是は丁度府縣に匹敵するものである、馬の數から申しましても、或は又地域の廣さから申しましても、北海道の馬匹組合と云ふものは、大體府縣を單位とする組合と同樣、若しくはそれ以上の馬を持ち、廣さを持つて居る譯であります、そこで、北海道の馬匹組合は、必ずしも聯合會でなくても、所謂北海道の馬匹組合と云ふものの特異性を認めて、縣單位の馬匹組合と同じやうな取扱をして戴きたい、斯う云ふ希望は相當強いのであります、詰り北海道は聯合會でなくても、馬匹組合が地方競馬を開催し得ると云ふことにして戴きたい、斯う云ふ希望がある譯でありますが、之に對する御所見を承りたい
それから其の次には、先程是は永井君からも御話がありました點でありますが、北海道三箇所以内とありますが、是も北海道の實情から申しますると、實は不足であると云ふ意見が相當に強いのであります、是等に對しても一つ何とか他に方法を御考へ願へないか
それからもう一つは、所謂第十二條の團體、即ち中央馬事會が此の地方競馬を行ひます場合には、第四條の規定して居ります所の馬の飼養區域、或は其の期間、斯樣なものの制限を受けないことになるのであります、聯合會や其の他の團體が之をやります場合には、此の第四條に依りまして一定期間、一定地域内に於て飼養せられた馬でなければならぬと云ふことが規定せられて居るが、中央馬事會がやる場合には、此の期間も飼養區域も、一切條件とならないと云ふことになつて居るのでありまして、斯う云ふ風になりますと、先程から色々御話がありましたやうに、一つは畜産全體の振興の爲に、或は又健全なる地方の娯樂と云ふやうなことが目的となつて居りますけれども、何と申しても競馬を開催すると云ふ以上は、多くの人が集まつて來なければ成立たない、隨て又馬券が相當に賣れなければ意味をなさないのでありまして、興味本位と云ふ譯ではなくても、やはり左樣なことが伴はない以上は是は成立たぬのであります、所が一方中央馬事會がやりますと、左樣な制限のない自由な馬を、何處からでも集めて來てやれると云ふことになれば、是は非常に盛大な大きな競馬が出來る、それに反して馬匹組合聯合會や、或は馬匹組合等がやりますと、此の第四條の拘束を受けまして、限られた地域の馬、而も其の中でも其の他にも色色な制限を受けることになるのでありまして、無論日本中央馬事會或は府縣の聯合會との關係は、必ずしも相對立する立場のものではありませぬから、左樣なことは話合ひで調節が執れると言はれるかも知れませぬけれども、斯う云ふ風に開催者に依つて甚だしく條件が違ふと云ふ法律であつては、是は杞憂に過ぎないかも知れないが、地方の團體が競馬を開催するに付ては、非常に不利な立場に立たされると云ふことが言ひ得るのであります、此の邊の調節を何とかもう少し、誰がやつても同じやうな行き方に行くやうに、合理的なものに一つ改善せられたいと云ふ希望を持つ者でありますが、政府竝に提案者の御考へを承りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=35
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036・小笠原八十美
○小笠原委員 先づ提案者の方から御答へ致します、第一點の、北海道の馬匹組合と云ふものは、是は聯合會でなくても他の都府縣の馬匹組合聯合會よりも多いぢやないかと云ふことであります、如何にも御説の通り、北海道は馬の資源地でありますから、相當に多いことも、地域の擴大されて居ることも、それは認められ得るのであります、然らばとて、之を法文化するときに於きましては、やはり馬の數や面積の關係で之を限定すると云ふことになりますと、單り北海道ばかりでなく、東北六縣は皆馬産地であつて、皆五萬頭以上を有して居る、所に依つては一萬頭しかなくても聯合會を作つて居ると云ふ問題が起るのでありまして、それ等の區別を付けることも中々面倒なのでありまして、特に北海道があの通り廣大な所でありますから、三箇所として認めた譯であります、若し此の三箇所を、聯合會で不便だとして、各組合が主催でおやりになると云ふ方法も、又聯合會の名に依つて委任を受けてやると云ふ方法も、そこの連絡を取り得ないものでもなからうと思ふのでありまして、此の點は、全國一律な關係を設ける爲には、やはり都道府縣何れも聯合會に依つて主催すると云ふことに致したのであります
次の問題は、北海道は三箇所では不足ではないかと云ふ、永井君同樣な御尋ねでありましたが、それは、先刻來御答辯申上げた通り、やはり競馬と云ふものも、惡く言へば前にも申上げた通り賭博に類似した面があるので、やはり建全娯樂の度を過ると云ふことは、相當に社會的に考へなければならぬので、或る限度に止めて置くと云ふことが必要だと思ひまして、北海道は三箇所以内、其の他は一箇所以内としたのであります、北海道よりも寧ろ他の方には、東京都とか其の他に於てはやはり均衡が取れぬ、北海道を三箇所にしたならば我々の方も二箇所とすることが穩當ぢやないか、他の方の小さな縣と比較して一箇所にしたのはどう云ふ譯か、と云ふやうな質問も内々あつた譯でありまして、やはり此の點は非常に問題が多いのであります、隨て今のやうに北海道だけは三箇所と云ふことで各議員さん方の御諒解を得て定めた譯であります、どうか御諒承を願ひたいのであります
第三番目の各聯合會主催でやる場合には馬に制限をする、中央馬事會でやる場合には制限せぬと云ふのは如何なる譯か、一體是は多分に娯樂的のものがあるので、制限したならば制限しない方に壓倒されて倒されるのではないかと云ふ御心配でありますが、是は斯う云ふ譯になつて居るのであります、中央馬事會がやる時分には、常に地方の聯合會の主催するものと競爭してやると云ふ意味は少しもないのでありまして、地方の聯合會が主催でやり得ない場合には特例を以てやる、斯う云ふやうにしてあるのは何故であるかと申しますれば、是は全國の産業用馬の博覽會を開かう、供進會を開かう、さうして馬の振興を圖らう、畜産の振興を圖らうと云ふやうな場合、又特別に何か救濟事業をしなければならない事業が國家にある、之を競馬に依つてやらう、其の場合には全國的な──東北六縣、北海道更に關東のもの、關西のもの、九州のものと云ふやうに大きな部門で、都道府縣一箇所を區域とせずして、それ以上に擴大をして之を主催しなければならぬ場合に、特例として行ふので、隨て今のやうな馬も制限すると云ふことは出來ないので、さう云ふ場合にのみ之を使ふと云ふことでありますから、決して聯合會の主催と相竝ぶとか、相競爭するとか、衝突するやうな虞は少しもないのであります、其の點は前以て説明が足りない點がありましたので、今改めて御説明をして御諒解を得て置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=36
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037・大石倫治
○大石政府委員 松本君の御質問、大體小笠原君より御答辯になつて居りますからそれで十分だと思ひますけれども、聊か附加へて皆樣の御諒解を得たいと存じます、現在の機構、所謂馬事組合法から申しまして、北海道に於ける單一馬事組合を聯合會と同格、若しくは一縣を一區域として居る組合と同樣の取扱をすることは、困難であることは御承知の通りであります、唯内容的に北海道の單一馬事組合は、本土に於ける一縣一組合のものと優るとも劣らぬと云ふことは是は御尤もであります、例へば根室、釧路、十勝、北見、日高、斯う云ふやうな組合は一國一組合、或は支廳管内一組合となつて居りまして、地域に於きましても、馬匹に於きましても、況や生産力に於きましても驚くべき實力を持つて居るのでありますから、御質問のやうな御考へ方は、決して根據のないものではないと存じますけれども、現在の機構から之を法文化する場合に於きましては、それは到底可能性のないものと思召願はなければならぬ、一府縣の組合で、一組合でありましても、馬は僅かに三百頭や千頭足らずしか居らぬと云ふ所もありまするし、或は三萬頭、四萬頭ある區域もありますし、北海道の單一組合の如きは、生産頭數は一萬を超えて居ると云ふやうな組合もあります、けれども併し是はどうしても法文の建前上、さう云ふやり方はいけないことは御承知の通りでありますから、御諒承を願ふより外ないと思ふのであります、又第三の中央馬事會のことは別に蛇足を添へる必要もありませぬ、小笠原君の御説明に依つて十分だと存じますが、是は決して不合理なやり方とは考へられませぬので、やはり實情を勘考致しまして、運營上斯う云ふ風にして置くことが適當であらうと存ずるのであります、第二の區域の制限或は使用期間の制限は、やはり致して置く方が取締上、番組の編成上、公平なる競走を行はしむる上に於て必要なる制限法と思ふのであります、例へば公認競馬が是より復活致しまして、十一箇所行はれると云ふことになりますと、競馬くずれの馬が澤山地方に入つて參る、或は現在公認競馬を走つて居る馬も地方に賣る場合があります、さう云ふやうな馬が鍛錬不十分な、商賣的でない自由競走に參加すると云ふことになりましたならば、是はもう全く鳶に攫はれるやうな結果にもなる場合が多いのであります、さう云ふやうなことを防止すると云ふ手段方法にもなるのであります、又渡り馬を防いで、成べく地方的な、堅實なる産業用馬の競馬であると云ふ本質を保持させる上から申しましても必要であります、詰り全國何處でも引張つて歩いて出場が出來ると云ふやうな無制限にして置きますと、商賣化して行きまして、騎手の上から、使用者の使用上の關係から、色々な障碍があると思ひますから、やはり或る程度の期限と區域を定めて置くことは、地方競馬の特色を保持し、之を繼續せしむるに必要なことではないかと考へる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=37
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038・松本六太郎
○松本(六)委員 能く分りました、御説明それで十分であります、只今大石政務次官から御話がありましたが、地方團體が行ひます場合と、中央馬事會が施行致します場合に、條件が等しくないと云ふのは面白くないと申上げたのは、私も政務次官の仰しやるやうな心持で、是は當然其の制限を付けなければ、地方競馬の特色と云ふものはなくなる、然るに中央馬事會が、やる場合には、何處の馬でも飛込んで來てやると云ふやうなことになつては、地方競馬の本質まで失ふやうなことになりはせぬかと云ふ點を心配致したのであります、然し先程小笠原さんの御説明に依つて、それは非常に稀な特定の場合にしかやらぬのであつて、常にさう云ふことは行はないのだと云ふ御話でありますから、それならば大した弊害もないし、左樣な特定の場合特定の目的を以てやられると云ふことであれば、さして心配はなからう、さう考へますから其の點で能く諒解致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=38
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039・大石倫治
○大石政府委員 御話の通りであります、中央馬事會のやりますと云ふのは、御話の如く特定の目的、特定の場合に限られて居りまして、常に中央馬事會が主催者となつて、春にも秋にも、年に四囘も五囘もやると云ふやうなことでありませぬで、詰り全國的な畜産或は馬の博覽會をやる、其の資源を斯う云ふ競馬で作らう、「ブロック」的の競馬をやつて、或る一つの目的を助成し、或は之を達成しようと云ふやうな時に限つて、特殊の地域の聯合會若しくは馬事組合の同意、協議、贊成を得て行はれる仕組みになつて居ると存じますから、さう云ふ場合に於ては普通行はれる聯合會、馬匹組合等の開催とは、聊か趣きを異にして居らなければ、出場馬を廣い區域から集めると云ふやうな場合に、飼養期間とか、或は出場區域と云ふのがありましては、やつて行けない、斯う云ふことになるのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=39
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040・瀧澤濱吉
○瀧澤委員長 川野芳滿君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=40
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041・川野芳滿
○川野委員 時間も大變遲れまして、又多數の委員の方より御説明がございましたので、私唯一點御尋ね申上げて見たいと思ふのであります、農業の發達竝に産業振興の爲に家畜の必要であることは、各委員の方より縷縷申述べられ、且又先程和田農林大臣の御答辯にもあつたやうでございますが、此の家畜を増産致すに付きまして、今日最も困難な實情にあるものは飼料の不足と云ふ問題であります、我が國内の飼料は、大體從來は國内産と輸入飼料を以て充されて居つたのでありますが、昭和十六年の如きは百萬「トン」の飼料が出來まして、先づ完全であつたかと考へるのであります、其の後大東亞戰爭勃發致しまするや、段々飼料が減つて參りまして、昭和十七年には八十萬「トン」、十八年には六十萬「トン」、十九年には四十萬「トン」、二十年には十數萬「トン」二十一年には驚くなかれ二千「トン」と云ふ貧弱なる數字になつて參つたのであります、即ち今日需要量の千分の二と云ふ貧弱な配給飼料に相成つて居る、是では如何に口で家畜振興を唱へられましても、肝腎な飼料の配給がなければ、到底家畜の増産と云ふことは覺束ないと私は考へるのであります、本年は御承知のやうに豐作が唱へられて居り、一般食糧配給も從來に比して緩和されるであらうと考へるので、定めし本年度の飼料計畫と云ふものも、相當厖大なる計畫に相成つて居るかと私は考へますが、若し今日に於て來年度の飼料計畫と云ふものが樹立されて居るならば、御示しを願ひたいと思ふのであります、尚ほ如何に我が國が豐作とは申しながら、輸入飼料を仰がなければ、到底滿足なる配給をなすことは不可能であると考へますので、輸入飼料に關しまして聯合軍に要請される御考へはないか、此の點を御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=41
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042・難波理平
○難波政府委員 飼料の方は御話の通り輸入飼料に重點を置きまして、極力聯合軍司令部の方に輸入を懇請致して居る所でございます、本年度はまだ實際に輸入されたものは小量でございまして、隨ひまして配給も極く小量になつて居ります、概數を申上げますと、此の十二月までに輸入致すことに司令部の方と諒解を遂げて居ります數量は、約十一萬二千「トン」でございます、其の中現實に内地へ輸入せられ、又輸入出來るやうな状態になつて居ります數量は、約一萬五千「トン」、其の一萬五千「トン」の中の一部分が最近配給の許可を受けましたので、是が割當配給を致しました、續いて近く入りますものに付きまして配給を致す豫定に相成つて居ります、尚ほ此の十一萬五千「トン」以外に輸入數量の増加を致したいと思ひまして、色々聯合軍司令部の方にも御願ひを致して居る譯でございますが、只今の所は確たることを申上げ兼ねる状態であります、又明年度の輸入と致しましては交渉中でございまして、まだ確實な數字を申上げる所に至つて居りませぬが、我々の方と致しましては三十數萬「トン」を要請致して居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=42
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043・川野芳滿
○川野委員 只今の御説明で大體分りました、輸入飼料があつたと致しましても、相當飼料は不足することは明かであります、先般政府は乳牛組合とか酪農組合、養豚組合、養鶏組合、優良種馬、優良種牛と云ふやうな團體に限つて、自給飼料を目的とした自耕作を御認めになりまして、一段歩なり五畝歩に限つて自ら作付を致し、飼料を作らせると云ふ政策を御執りになつて居るやうでありまするが、此の競馬に出走する所の馬、或は輓馬に對しましては、さう云ふやうな御計畫がないやうであります、故に現在では地方に參りますと、相當な高い闇値で家畜の飼料を買つて居るやうな實情でございまして、口の惡い田舍の童は、未利用資源は人間が食べて居つて、米麥の如きものは馬樣が食べて居ると、斯く嘲弄的な言葉まで使つて居る實情でございます、家畜も生物である以上は當然或る「カロリー」は必要でございますので、配給がなければ當然闇買を致して、さうして飼料に充てて居ると云ふことは、是は免れないことであらうと存ずるのでございますので、此際競馬馬或は輓馬に對しましても、只今申しましたやうな自作耕作を御認めになりまして、さうして自給飼料を作らせる御意思はないか、其の點を御尋ね申したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=43
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044・難波理平
○難波政府委員 自給飼料の生産を許容して居ります點は、實はまだはつきり決めて居る譯ではございませぬ、唯供出割當の際に特殊の家畜に對しまして、自家保有量を若干認めると云ふことをやつて居ります程度でございまして、今御述べになりました點をはつきり政府として認めて居る譯ではございませぬ、御述べになりましたことが、事實上今申しました供出割當等の際に若干行はれて居る、斯う云ふことであらうと存じます、家畜一般に對しましては固よりでございますが、輓馬、競馬馬等に對しましても、非常に飼料が要るのでございまして、是が確保に付ては色々と苦心を致して居る次第でございます、併し何分にも先程申上げましたやうな飼料の状態でございますので、思ふに任せないのでございますけれども、重點的に出來得る限り、必要度の高いものから乏しき飼料を配給致したいと思つて居ります、隨ひまして只今でも、飼料は全部の家畜に萬遍なく配給して居ると云ふ次第ではございませぬので、其の中の特殊なものに限つて配給を致して居る次第であります、輓馬も其の配給を受けます一つのものになつて居る譯でございますが、競馬に出ます馬と致しまして、實は飼料を配給致しますかどうか、そこまでは私共の方でも十分研究を致して居らぬ次第でございます、競馬に出ます馬は先程來も色々と御話がございましたやうに、地方的に農家の馬も出る譯でございますので、一般的に之に直ちに配給が出來ますや否や、もう少し研究を致したいと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=44
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045・川野芳滿
○川野委員 實は私先般畜産局の飼料課に參りまして係の方に伺つたのでありますが、現在に於きましては或る數縣、知事が申請致しまして、さうして食糧管理局と農政局とが之を認めまして、現在日本國内に於きまして數縣は自給飼料の自作耕作を認めて居ると云ふ答辯を聞きまして、さうして本日の質問を致した次第でございますが、此の點に關しましては重ねて申上げることを遠慮致します、併し競馬馬に自給飼料を與へる爲めの自耕作と云ふもの、是は難事業かも知れませぬが、少くとも荷馬車馬の如き輓馬に對しましては、現在輸入飼料竝に割當飼料が不足すると云ふことがはつきり致しますならば、是は自耕作させまして、自給飼料を得る途を開かれることが當然であると私は考へますので、此の點に付きましては特に政府の猛省を促がしまして、さうして斯う云ふ制度を御執り下さらんことを切望致しまして質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=45
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046・瀧澤濱吉
○瀧澤委員長 小笠原八十美君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=46
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047・小笠原八十美
○小笠原委員 大臣は今日御出席が困難なやうでありますから、其の分は殘しまして、只今飼料の問題が出ましたから、私一寸氣の付いた點だけを伺つて置きますが、どうも政府の方の飼料の政策と云ふものは、全然誤つて居ると私は考へて居るのであります、一體家畜と云ふものは農業經營に絶對なくてならぬものだと云ふことを大臣も御認めになつて居る、併しながら私は大臣に伺ひたいことを一寸申上げますが、さう思ひながらも實際に、然らば家畜と云ふものをどう云ふ風に農業經營として重點を置いて居るか、それを農林省で誰がやつて居られるかと云ふ點に付ては、今日多大なる疑問がある、さうして家畜と云ふものに對しても馬は馬、牛は牛と今非常に區別が付いて居るのでありますが、是も今度馬は馬で軍馬たる所の事情が拂拭して産業用馬となり、牛も亦酪農もあれば肉牛もあり、役牛もあると云ふことになつて居るのでありますが、今後はどれだけの大面積を擴張する、現在の段別がどれ程あつて、之に家畜がどれ程の數が要る、それに對しては役牛がどれ程、それから馬はどう云ふものを以て政策とするかと云ふ方針を先以て決めなければならぬ、殊に肥料問題の如きは重大な問題として今日取扱はれて居るが、全部が金肥のみに依つて居る實情で、商工省の部内であるとか、農林省の部内であるとか大騷ぎをして居るが、それより以上に何倍も大切な地力の維持や、地力の改良等に用ひる所の厩肥、之を土臺とする所の畜産に重點を置いての研究は、更に行はれて居ないと云ふことに非常に今日は不思議がある、そこで今あなたの言つた飼料問題に移るが、一體飼料問題と云ふものは外國から何萬「トン」輸入すると云ふ、そんな飼料政策では、畜産の發達も農業經營も出來るものではないと私は考へる、假に考へて御覽なさい、一體畜産を土臺とする厩肥の肥料價格と云ふものに、どれ程重點を置くかと云ふことから研究して行かなければならぬので、一年に二毛作をやる所が、一町二、三段歩に一頭を必要とする、北海道、東北の末端の如き所が、四町歩乃至三町歩で一頭を必要とすると云ふことは、是は原則となつて居るのであります、そこで一箇年之を放牧せずに舍飼としての馬と云ふものは、三千貫の厩肥と云ふものは獲得が出來る、それに硫安と云ふ部分がどれだけ含んで居る、過隣酸と云ふものがどれだけ含んで居ると云ふことを研究すると云ふことに依りまして、それを使用する、それに依つて收穫はどれ程あるかと言へば、家畜を置いて耕作をした所の一町歩と云ふものは、家畜のない所の一町歩の耕作とどれだけの差があると云ふことの研究が、愛知縣でも、奈良縣でも、東北六縣でも、やはり寒地冷害等の防止に依つて研究された色々な問題が、ちやんと統計上分つて居る、それをなぜ活用しないか、之を使ふことに依つて初めて飼料問題が解決せられるので、隨て一町歩に馬を一頭使用する、其の一町歩の中から二段歩分は天引して之を家畜の飼料として與へても、後の八段歩で、家畜のない所よりも一町二段歩分の收穫があると云ふことを、なぜ發見せぬかと云ふことに、私は非常に遺憾があるのであります、さう云ふことを發見すれば、自給肥料は自ら出來るのである、飼料と云ひましても、飼料問題と云ふものは二つに分けなければならぬ、都市輓馬と云ふ唯輸送のみに働いて居る牛馬、竝に農耕畜産關係と、斯う云ふものに分けなければならぬ、農耕畜産關係は自給で、今のやうに一町歩から二割は必ず天引することに依つて解決が著く、後の問題は都市の輸送の牛馬に對して配給すれば宜いので、其の點をどうして區別を付けないで、唯收穫は全部之を食糧とする、飼料と云ふものは何處からか、更に編出して、全部農家の方の牛馬にも配給するものなりと云ふ判斷の下に御研究なさることは間違ひである、實際農家は其の配給を受けて居らない、それだから白米であつても、相當人間よりも良いものを無理してやらなければならぬと云ふことになる、殊に戰時中の如き、あの東條政策の如き、皆玄米供出と云ふことになつて、米糠すら更にないと云ふことになると、尚更白米までも牛馬に與へたと云ふことは、皆さんの御承知の通りだ、隨て斯う云ふことでは非常に困る、此の點は若し畜産を取扱ふあなたとしたならば、特に農林大臣に喧しく言つて、もう飼料と云ふものは農業方面の家畜に對しては天引するものなり、其の方が増産になるんだと云ふことを特に強く要望しないと、是は解決が付かない問題だと私は考へるのでありますが、其の點がどこまで御研究なされて居るかと云ふことをあなた方から伺ひたい、若し御研究なされて居なかつたら、是からでも遲くはありませぬ、本當に眞劍に此の問題を結び付けてやらなければ、畜産の發達も駄目であります、飼料關係の解決も永久に付きませぬ、殊に昨年のやうに、どうしても食糧が不足でありまして、是は天引と云つても耳を藉す人はないと云つたやうなああ云ふ恐慌時代は別として、今年のやうな大豐年を迎へる時分には、之に依つて解決を付ける好い時期でありますから、之に向つて大いなる研究を致しまして、此の方針に進まれたいと思ふのであります
もう一つには、此の畜産關係に付て今馬産課長も居られますが、先刻大石先輩から色々畜産の内容に付て御答辯があつたのでありますが、如何にも日本と云ふものは、本當に軍用馬と乘馬と云ふものは幾らもなかつた、あとは小格輓馬である、駄馬であると云ふことであるから、是は不幸中の幸ひであります、直ちに産業用馬に轉換するのに、非常に都合が好いと云ふことは同感でありますが、更に一歩考へなければならぬことは、一體今日のやうに馬に地域別とか、役種別とか云ふやうな、そんな拘束的なことは全廢して、自由に置かれなければならぬと云ふことはどう云ふことかと云へば──是は今牛の關係は競馬法の問題でありますから申上げませぬが、馬一つに付て御研究なされても、是は考へなければならぬ、一體地域別ぢやない、一戸々々の方針を立てなければならぬので、斯う云ふ風な面積の狹い所に、集約農業に依つて増産を圖らなければならぬと云ふのには、一戸々々の事情が違ふ、而も馬の取扱も違ふ、女でも子供でも取扱ひ易い馬と云ふものに重點を置いて、澤山生産をしなければならぬ、隨て木曾馬の如き或は北海道の土産駒の如きもの、是等の配合宜しきを得て、朝鮮牛の輸入を俟たなくても、其の馬で間に合ふやうに生産能率を擧げなければならぬと思ふのであります、又同じ村に於ても、私の家には馬の操縱手に非常に訓練技術兼ね備はる人物がある、是が農繁期の時分には農馬として使ひ、其の外の時には輸送馬として使つて、經濟の調節を圖ると云ふことで、大きな輓馬を持つ所もあるでせう、各各家庭の事情に依つて違ふから、自由の生産に委して置いて、政府の方では唯種馬を獲得する、其の種馬にはやはり重點を置いて、立地的に競馬のものはどれ位の數を必要とする、健全誤樂の發達にはどれ位のものが必要だそれから輓馬はどれ位必要だ、今日の輸送状態を考へ、自動車の關係から睨み合せて、從來はどれだけの輸送をして來た、小運搬はどれだけ必要だ、之にはどれだけと云ふ計畫を立てて、輓馬の種を獲得しなければならぬ、小格輓馬はどれだけ、木曾馬のやうなものはどれだけと云ふ計畫を立てて、ちやんと馬政方針を確立して、其の種馬を獲得することに大いに努めなければ、先刻農林大臣の言つたやうに、唯畜産は農業關係に大いに必要だ、同感だなんと言つても、それは空念佛で、さう云ふことでは心細い、隨て馬産課長が井上君ならば、井上君が案を作つて、我々民間の要望も入れて共に研究する、何か案を立てられて進むべきだ、唯從來の馬産計畫を踏襲して、之に何とかすると云ふやうな彌縫的なことをやる時代でないと考へて居るのでありますが、何か案があれば、其の大體の骨組を承りたい、それがなければ詳しく承らなくても宜いのでありますが、今後の方針に付ても承りたい、此の點は餘り細かくなりますから、大きな點は來る五日に、大臣の方から御答辯を得ることにして私の質問は打切ります、大體私の申上げたことに對する御答辯だけを伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=47
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048・難波理平
○難波政府委員 今小笠原君から御尋ねになりました二點に付ては、全く私共も其のやうな考へであります、第一點の飼料の問題に付ては、固より先程御話申上げましたのは、何分にも當面の急需に應ずる爲には、やはり輸入に重點を置かなければなりませぬので、主として輸入物の説明を申上げましたが、併し飼料の大宗は何と申しましても國内の自給飼料に依らなければならぬことは、申すまでもない問題でありまして、我々としても其の方面に最も力を注いで居るやうな次第であります、更に又從來飼料として使はれて居りませぬやうな資源なども、此の際飼料にする研究を十分致さなければなりませぬ、又從來飼料にして居りました、例へば牧草を例に取りましても、其のものに付て更に今後研究を進め、其の成分率を高め、或は收穫時期を適當に調節するとか、種々な考案を廻らして、從來の飼料に供せられて居たもの自體の、飼料價値を増すことも致さなければならぬと思ひます、さう云ふやうな點は差當り急いで手を著けて研究もし、實行し得るものは實行して行かなければならぬのでありまして、斯う云ふ方面に於ては、全く御説と同じ考へを致して居る次第であります、唯今まで何分にも食糧が斯う云ふ状態でございますので、其の方の聲が非常に高くて、飼料と云ふものが小さくなつて居つたと云ふことは、是は否定出來ない事實でございますけれども、丁度今後の色々な農作物の状況を見ますと、飼料と云ふ問題を大きく取上げて推進する適當な時期になつて居るやうに考へますので、其の方面に十分力を盡したいと考へて居ります
それから第二の馬産の問題でございますが、此の點に付きましても、全く御同樣な考へを持つて居りまして、今後の馬産は各地に適合した馬を、出來得る限り自由な氣持で以て生産をして貰ふと云ふ方向に向けたいと思つて、今色々と我々の所で計畫を檢討致して居る次第でございます、隨ひまして、さう云ふ方針に適合したやうに、種馬の配置も考へる積りであります、從來のやうな一率の馬政計畫でなしに、又從來内地に居りました國有の馬に付きましても、無論採り入れるべきものは之を採り入れる、又外國産の大きい馬以外の所謂小さいもので、現在の飼料情勢にも適應したやうなものがありますれば、それも無論研究の對象に採り入れると云ふやうな方法で、極く自由に、廣く計畫を立てたい、斯う云ふやうに考へて居りますので、御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=48
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049・瀧澤濱吉
○瀧澤委員長 本日は是にて散會致します、次會は來る五日午前十時開會致します
午後三時四十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012384X00219460902&spkNum=49
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