1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
東京都制の一部を改正する法律案(政府提出)
市制の一部を改正する法律案(政府提出)
町村制の一部を改正する法律案(政府提出)
府縣制の一部を改正する法律案(政府提出)
衆議院議員選擧人名簿等の臨時特例に關する法律案(政府提出)
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昭和二十一年七月十七日(水曜日)午前十時二十五分開議
出席委員
委員長 中島守利君
理事 大塚甚之助君 理事 本多市郎君
理事 早稻田柳右ェ門君 理事 永江一夫君
理事 大原博夫君 理事 竹谷源太郎君
理事 丸山修一郎君
岩本信行君 内海安吉君
小野眞次君 高橋英吉君
細田忠治郎君 松永佛骨君
水口周平君 小野瀬忠兵衞君
小池新太郎君 關根久藏君
青木清左ヱ門君 八坂善一郎君
大矢省三君 大澤喜代一君
堤隆君 細田綱吉君
宮村又八君 武藤運十郎君
矢尾喜三郎君 駒井藤平君
伊藤實雄君 中野四郎君
増井慶太郎君
同月十六日委員岡田春夫君辭任に付其の補闕として大澤喜代一君を議長に於て選定した
出席國務大臣
内務大臣 大村清一君
農林大臣 和田博雄君
出席政府委員
内務事務官 郡祐一君
内務事務官 青木秀夫君
内務事務官 鈴木俊一君
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本日の會議に付した議案
東京都制の一部を改正する法律案(政府提出)
市制の一部を改正する法律案(政府提出)
町村制の一部を改正する法律案(政府提出)
府縣制の一部を改正する法律案(政府提出)
衆議院議員選擧人名簿等の臨時特例に關する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=0
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001・中島守利
○中島委員長 是より會議を開きます、前會に於て農林大臣に對する質疑は、農林大臣御差支への爲に保留して置きました、伊藤君に此の際質疑を許します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=1
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002・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 一昨日農林大臣が御差支へでありまして、農林關係に付きまして二、三御尋ねを致したいことがあつたのでありますが、本日丁度農林大臣が御臨席になりました機會に一、二御伺ひ申上げたいと存ずるのであります、固より此の農林關係の御尋ね致しまする事項は、地方制度に付て法制上そんなに關係のある譯ではないのでありますが、何としても、町村の事務は只今は殆ど農産物供出の事務であると、斯樣に見ても敢て過言ではないと思つて居ります、町村長、町村民を擧げて、農産物供出に付きましては、一年三百六十五日を通じまして非常に苦勞を致して居るのであります、就中今囘の町村制の改正に依りまして、選擧權を有する者の何割以上の連署を以て、或は主腦部の解職權であるとか、將又議會の解散を請求するとか、色々な解散或は解職の請求權が生れて來た譯でありますが、斯樣な事態に立至りますると、此の町村民竝に町村當局が常に頭を惱ます所の供出問題に付きまして、一段と確乎たる方針を立てなくては、町村の自治は治まらないのではないかと斯樣に考へて居りまするが故に、供出問題を中心として、農林御當局の將來の政策に付て御伺ひを申上げたいと考へるのであります、只今農家が供出に對して最も異論を持ち、尚ほ農家が供出を非常に厭やがりまして、今日の如く食糧危機を招來致した所の大きな所以は、何としても第一番は供出に對する強權の發動であつたのであります、農家をして言はしむるならば、唯單に農家にのみ出せよ、出さざる時は云々と云ふが如き強權を發動することは、如何にも農家が一般人民より一段下の國民であると云ふが如き見方ではないか、勿論出さなくてはならぬ食糧であるけれども、此の強權發動を下される以上は、ここに何とか國民一同齊しく國家の爲に働くのであると云ふ觀念を喚び起さなくてはならぬ、斯う云ふことに依りまして、農家が第一番に言ひますることは、農家にのみ強權を發動致しまして、刻下一日も忽せにすべからざる、食糧を耕作する農家が最も必要とする所の農業用資材、肥料、農機具に對しては、何が故に生産責任體制の確立を圖つて、ここに強權發動をしないのか、餘りにも片手落ではないか、是では如何に政府の命令と雖も不公平であると云ふ風な考へ方が、非常に供出意欲の減退致しましたる所以であると、私は實際に取扱つた事務の上から見て體驗致して居るのであります、之に依りまして只今申上げまするやうに、町村制が斯樣に變つて參りますると、或は斯う云ふ規定に於ても非常に町村内に紛糾を來すのではないか、曾て我々共が供出事務に當りました時に、伊藤の野郎奴は米を隨分取りやがる、だから役場から歸る時に殺してやらうぢやないかと云ふ、左樣な世相にまで立至つた時に、私は萬難を排して、頼みに頼んで供出をして貰つたのであります、是に於て先づ農林御當局に於かせられましては、將來農業用資材の生産に對して、如何なる御計畫を持つて居られるか、之をはつきり一つ御示達を相願ひたいのが第一番の問題であるのであります
其の次には農産物價の問題でありまするが、農家の中には、大體此の農産物價と一般の價格との均衡が十分取れて居らぬ、何とかして一般價格と農産物價との均衡を取らなければならぬのではないか、比較にならない安値を以て供出せよと云ふのは非常に不公平である、斯樣なことを申して居る者もある、私は斯樣な無理なことを言ふ農家に共鳴致して、徒らに理論鬪爭を致すのではありませぬ、何としても現在惡性「インフレ」を何とかしなければならない、低物價政策を直ちに執り行はなくてはならぬ時に當りまして、一日としてなくてはならぬ所の、最も大切な主要食糧である農産物を、他の價格と同等まで引上げて下さいなんと云ふことは、洵に無理な御注文であります、是は「インフレ」を益益増強致しまして、國家を滅亡に致らしめる政策であつて、私は左樣なことは申しませぬけれども、少くとも農家が經營出來るだけの施設はしてやらなければならぬ、其の觀點から言ひまするならば、農家が是非とも必要でありまする農業用資材、所謂農機具、肥料に致しましては、現在の米價を少し上げることは勿論必要でありませう、或は四百圓、五百圓にすることは勿論必要でありませうが、此の必要程度に上げました價格と、農業用資材、農機具、肥料の價格が「バランス」の取れる程度にまで、農業用資材の代金に付ては政府が補償をしてやると云ふことに致しましたならば、「インフレ」防止の關係よりして、農家は孜々默々と増産をし、供出に勤勉になるのである、兎に角政府の立場から申しますると、左樣な農業用資材に對しまして幾分の國の犧牲を拂ふことに依りまして、茲に權利義務が生じまして、強權を發動致しましても、農家として一言の不服も言はれないと云ふことは理の當然であると考へて居ります、此の農業用資材に對しまして、政府は將來何かの方法を以て、多額の補償をして戴かれぬものであるか、之に對してどう云ふ方針を持つて居られるか、第二番目と致しましては、此の農産物價と農業用資材の物價の關係に付ての御示達を相願ひたいのであります
第三番目は、供出割當の根本的改革であります、只今供出割當は實收に依つての割當をなさつて居ると思ひます、所謂實收豫想に依つて割當をなさつて居る、隨ひまして農家をして言はしむるならば、澤山作れば澤山取られるのである、是は何とか出來放題にして置いた方が宜いのぢやないか、斯樣な結果になつて増産意欲が減退して居るのが現状なのであります、隨ひまして、私の過去の取扱、尚ほ増産指導に當りました體驗から申しますれば、是は政府はやつて居られませぬが、私の居りまする熊野町は過去二箇年間に亙つて斯樣なことをやつて居るのであります、それは土地の力に依つて、地力に依つて各各の生産責任數量を決定して參ります、隨ひまして、其の生産責任數量より以上作つたものは農家の勝手になるのだ、割當が來ますと、其の生産責任數量は何割と云ふことがはつきり決まつて參りますから、一體此の土地に對しては何ぼの供出があると云ふ觀念が常に農家にあります、隨てそれ以上作つたものは自分のものであると云ふやうに、農家が樂しみの中に増産を致して行くやうになる、此の地力に依つて供出割當を致すやうな方法が最も増産意欲を昂揚し、常に供出に對して安心感を抱く、斯樣な結果になつて來るのでありますが、將來政府は此の供出割當に對して如何樣なる計畫を持つて居らるるか、過去の如く實收率に依つて、之を主眼としてやられるのであるか、或は地力に依つて生産責任數量を決めて、そこから上は、農家の努力に依つてやつたものは農家の自由にせよと云ふ、彈力性のある方針を取られるのであるか、供出割當に付て、先づ第一番に此のことに付て政府の御判斷を相願ひたいと思つて居ります、尚ほ供出問題に付きましては、昨年の割當は個人割當でありまして、惡農に取りましては供出をしないには絶好の「チャンス」であります、之に依りまして自分一人の不名譽、自分一人が犯罪を被るのであるから、他人が世話を燒くなと云ふ自由勝手なことを致しまして、供出は惡農家が之を完遂しなかつたと云ふ結果になつて居ります、是は一昨昨年の如く、やはり増産本位で、責任制度を取られることが、米の横流しを非常に抑制し、連帶責任の下に一致協力の出來ることは、是は過去の體驗の事實であります、どうぞ將來は斯樣なことに一つ相改めまして、連帶責任制度の供出に相成るやうに切に懇願申上げまして、當局の御意見を伺ふ次第であります
尚ほ供出割當の根本と致しましては、私の村で供出をどう云ふやうにやつて居るかと申しますと、由來農林省としましては、町村に對して綜合作付命令を發する、是は町村事務と致しまして非常に複雜なことであります、而も此の綜合作付命令と云ふものは、春、夏、秋、冬と、一年を二期に分ちまして、綜合作付の計畫を立てられるので、段別がだぶつて參りまして、一人一人に當りますと、一町しか作つて居らない者が、作付命令に依りますと、一町二、三段までの耕作をしなければならないと云ふ食違ひが出來て參ります、併しながら之を考へて見ますと、作付を廣くしたばかりでは、實收のあるものではありませぬ、唯徒らに町村の事務を複雜ならしめるだけでありまして、左樣なことを致すよりは、供出に當つて要るものは食糧である、作付段別ぢやない、隨て一年を通して、何何縣何々郡、尚ほ個人に至つては、誰の誰平衞は米に換算して何ぼの供出である、併しながら消費者の部面も考へて、全部それを綜合供出にさせると云ふのでありませぬ、詰り麥ばかり出しても困るし、芋ばかり出しても困るから、其の總數量を米に換算致しまして、其の中の一定數量までは米で出さなくてはならぬと限定を致します、其の限定致しました餘分のものは芋であらうが、麥であらうが、或は馬鈴薯であらうが、主要食糧の何れに於てでも、自由に供出せよと云ふ所の命令を發しますと、農家は自分の過去幾年間の體驗に依つて、適地適作をやつて參ります、只今では、此處では馬鈴薯は出來ないと思ひましても、作付命令に基いて植付けなければならぬ、此處には麥が出來ないと思つても、作付命令を受けますれば植付けをしなければならぬと云ふ實情であります、今申しましたやうに、一定限度の數量を限定致しますれば、農家は此の畑には馬鈴薯は出來ない、此の田には麥は出來ないと云ふ田の癖を能く知つて居ります、適地適作の、自分の過去の農業の技術を遺憾なく發揮致しまして、初めて増産が出來るのではないか、此の綜合供出制度に付きましては、私は只今熊野町で實際に取扱つて居りますが、政府としましては斯樣な御考へがあるかないか、さうして食糧の増産を一つ増進させるやうな、食糧増産政策を執つて居られるかどうか、此の問題としまして、第三番目として、供出の根本的改革問題の解決を御願ひして置きます
其の次に、最後の第四番目でありますが、農家に對する色々の補助金の問題であります、是は農林省としましては、農業會を通して御補助なさるのと、町村を通して御補助なさるのと二樣ありますが、是は又町村役場としましても、町村農業會としましても、非常に困る譯なんです、何故ならば、澤山な金を戴くのでありますが、一昨年の如き農業會竝に役場の世話を致しまして何と驚く勿れ、補助金の費目は百何十種類もある、之を縣に於て郡に割當て、地方事務所で町村に割當てる、それを戴いて戻りまして、町村役場或は農業會の關係を一々分類を致しまして、農民に交付致します時は優に半年以上を要するのであります、加之現在紙のない時に、而も非常に勞賃の高い時に、臨時雇を雇ひ入れて、得難い紙を調達して清算して、それぞれ支拂を致しますと、此の人件費或は諸要費、雜費で以て、農家に渡りますものはほんの僅かの金になつて參ります、而も左樣な制度を執ります爲に、補助金が農家に手渡ります時は、假に水稻奬勵金、増産奬勵金を交付致します時は、最早水稻を穫りまして供出の濟んだ、會計年度も締切である所の五月終りになる、一年を經過して左樣な補助金を渡すと云ふ、左樣な結果になつて居るのが現状なのであります、就きましては、増産計畫其の他肥料の需給對策に付きましても、それぞれ縣或は町村に依つて各各特徴があるので、斯樣な増産施設に付きまして、縣なり町村を御信用になりまして、一つ固めてぱつと補助金を出す、さうして所に應じまして、縣及び町村長の權限に依つて、増産或は供出に適合致しました費用に充當する所の考へがあるか否か、此の補助政策に付ての農林當局の將來の御計畫を御話し願ひたいと思つて居るのであります
以上農業用資材竝に農産物資、それから供出割當方法に付て、最後に農家に對する補助金、此の大きな四項目に亙りまして、農林御當局の明確なる御答辯を御願ひ申上げる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=2
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003・和田博雄
○和田國務大臣 御答へ致します、供出の問題に付きましては、市町村長の方々には從來非常な御努力を願つて居つたのでございまして、其の點に付きましては我々としまして特に感謝致して居る所であります、供出の割當の方法に付きまして、地力を基礎にして割當てたらどうかと云ふ御話でございますが、私も伊藤さんの御考へには同感であります、割當をやりますのには、やはり色々な條件を考へなければなりませぬのでありますが、根本は地力でありますので、地力と云ふものを正確に押へまして、それを基礎に致しまするのみならず、又農家の家族人員と云つたやうなものも考慮しなければなりませず、其の他經營の面積と云つたやうなものも色々考慮しなければならぬと思ふのでありますが、今後の供出割當に付きましては、さう云つた點を十分考慮致しまして、從來ありましたやうな不合理を除いた方法に於てやつて行きたいと、目下準備を致して居ります
それから綜合供出の問題でございまするが、是は一面此の綜合供出の問題を深く考へて見ますと、今後の農業政策の方向を決定するとも言へるのであります、御承知のやうに農業は食糧を供給しまするのみならず、輸出品の原料を供給して居るのでございまして、色々な觀點から綜合供出の問題は十分研究すべき問題と思つて居るのでありまするが、食糧生産と云ふ面及び現在の食糧經濟の運營と云ふ點から考へまして、此の綜合供出の考へ方は、現在と雖も米其の他の食糧間の代替物と云ふ方法で採入れて居るのでございまするが、もつと之を大所高所に立つて、此の考へ方を今度は十分採入れて、一つの計畫的なものに致して行きたい、斯樣に考へて居ります、但し綜合供出の問題に付ては色々技術的にも厄介な問題がございますし、相當な研究を要する問題だとは思つて居ります、併し此の點は十分考へるべき問題を含んで居りますので、此の點に付ては十分我々としても考慮して、適當なる措置を講じたいと考へて居ります
それから補助金の問題でございますが、補助金のやり方に付きましては、其の補助金が實際補助金を必要と致して居ります農家の手に、的確に急速に渡りますやうな工夫を致し、今までの弊害は是非改善致したいと思ひます、唯補助金になりますと、豫算を組みます上に色々の技術問題がございますので、多少の煩瑣の點は免れないと思ふのでありますが、それ等の點も十分考へまして、補助金問題に付きましては、例へば一番非難の的になつて居りまするのは、農業保險の支拂の金でございますが、ああ云ふ事柄はないやうにやり方を變へて行くと云ふことにして、早く的確に行くやうに致したいと思ひます、實際上一番下で仕事をして居られる方に取りましては、補助金が澤山な中間團體を通つて、而も遲く來ると云ふことでは非常に好ましくないことでありますので、是等の點に付ては、我々としても考慮して改善して行きたいと思ひます
それから一番最初に御聽きになりました農業用の資材に付きましては、生産責任制を執つて、強權發動と云つたやうな方法を講じて、農産物に於ける強權發動とそこに均合ひが取れるやうにする考へはないかと云ふ御尋ねでございますが、此の點に付きましては、農機具に付きましては、是は御承知のやうに出荷命令が出せるし、又讓渡命令も出し得ると云ふやうになつて居るのであります、生産の割當も、現實に資材を中央の農機具工場には中央から割當てて居りますので、それに依りまして生産割當もやつて居るのでございますが、それ等の點に付きましても、尚ほ今後一層御趣旨が達成しますやうにやつて行きたいと考へて居ります、それから肥料に付きましては、是も亦今囘我々としては或る程度の案を考へて居る譯でございます、出來るだけ生産が明確に、確實に達成致しまするやうな方法を講じたいと思つて居ります、それから價格の問題でございますが、價格問題は伊藤さんの仰しやいますやうに、農産物の價格と其の他の物價との間の均衡を取ると云ふことは、是は必要なことでありまして、其の均衡を取るのに兩方の價格の間だけの均衡で行くのか、それとも或は調整金と云つたやうなものを出して其の間の均衡を取つて行くかは、それは今後の一般財政と睨み合せて考ふべき點でありますので、どちらの方法を執ると云ふことは私明言致しませぬが、農産物價格と其の他のものの價格との均衡を取ると云ふことに付ては考慮致したいと思ひます、價格問題は是は實際難かしい問題でありまして、色々の觀點から考察が出來ると思ふのでありまして、價格の問題と云ふのは、大雜把に言ひますれば所得の分配の問題でありますので、農業の方へ落ちる所得と、農業以外の工業部門に落ちる所得の問題と、斯う言へると思ふのであります、隨て其の間の所得の均衡を取ると云ふ風にもなるやうに考へられるのでありまして、さう云ふ廣い觀點からも問題を取扱つて、そこに不均衡のないやうに致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=3
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004・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 只今農林大臣より、洵に農村の御事情を能く御研究になりました將來の施策を御言明下さいまして、洵に私滿腔の敬意を表する次第であります、どうぞ將來只今御計畫になつて居りますことを、尚ほ只今私が希望致しましたことを加へまして、農家が飽くまでも彈力性があり、さうして働いて作つたならば、それだけは全部國に出さなくてはならぬのであると云ふ過去の弊風を一掃致しまして、汗水を垂らして働いて、作れば自分の物になると云ふ樂みの中に、増産意欲を昂揚しまするやう、呉れ呉れも將來の政策に御檢討あらんことを御願ひ申上げます、尚ほ且つ供出割當に付きましては、一層早く割當數量が分りまするやうに、其の時期が餘り遲れますと、其の間に於て米麥の横流れがありまして、それが爲に割當を受けました以後に於て、如何樣にも致し難い事態が始終あるのであります、藷類等を持つて居ることに依つて腐敗を致すことがありますから、先刻私が申上げる如く、又農林御當局が十分に考へて居るやうな、地力を本と致しました割當方針に落著を願ひまして、供出割當の數量が早く分りまするやうに、十分なる御努力を我々三千萬の農民の爲に、尚ほ八千萬の同胞の爲に、此の上ながら御奮鬪を御願ひ申上げて已まない次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=4
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005・中島守利
○中島委員長 此の際委員長より議員諸君に御注意を申上げて置きたいと思ひます、まだ質疑は半ばに參つて居りませぬ、通告者は非常に多いのであります、私の考へでは、二十二日に總括的な質問を終りたいと思ひます、成べく簡明に、又どうか成べく問題に懸離れた御質疑は御遠慮願ひたいと思ふのであります、又遂條審議に入りますから、詳細な細かい點は其の際に御願ひしたいのであります、二十二日までには、是非御通告になりました諸君の質疑を滿足に進行したいと思ひますので、此の點を各位に御願ひをする次第であります──次に丸山君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=5
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006・丸山修一郎
○丸山委員 憲法改正案の中の第八十九條第二項に「地方公共團體の長、その議會の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共團體の住民が、直接これを選擧する」とありますが、「その他の吏員」と云ふのは何を豫定せられて居るのでありますか、それを御伺ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=6
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007・郡祐一
○郡政府委員 府縣に付きましては、現在の所確定的には考へて居りませぬけれども、將來知事に對しまする最高の補助者と云ふ立場のものを考へまするならば、是等のものが考へられるのではなからうか、隨ひまして市町村に於きまして、將來は或は助役と云ふやうなものに付て考へられるのではないだらうか、それから府縣、市町村を通じまして、獨立的な立場を保たせようと致しまする監査委員の如きは、之に適當な吏員ではなからうか、大體其のやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=7
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008・丸山修一郎
○丸山委員 知事が公選せられますので、恐らく其の地方に於ける多數黨から推された知事が當選せられる、斯う云ふことになつて、縣の人事は黨派的な色彩が非常に濃厚になると云ふことは、是は免れない當然の事實でありませう、唯それが教育の面に影響致します際に、知事が更迭する度毎に教育人事が政黨政派に禍ひされたと云ふことは、過去に幾多實例があるのでございます、今度は民主的になりましたと申しましても、恐らくさう云ふ黨弊と云ふものはさう根本から芟除されることはなからう、さう云ふ場合に教權の獨立性と云ふものは非常に薄弱になる、それ等を調節する意味に於て、法的な據り所は今の所ないのでありますか、右に對する御所見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=8
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009・大村清一
○大村國務大臣 知事公選其の他地方制度の民主化に依りまして、地方廳の府縣廳乃至市町村役場の人事に黨弊が入ると云ふことは、是は餘程自肅警戒しなければならぬ問題だと思ひます、此の點に付きましては民主政治の發達に伴ひまして、新しい意味に於ける吏僚制度と云ふやうなものが健全に發達して行くことが、絶對必要なことと思ふのであります、此の點に付きましては朝野そこに氣付きまして、適切なる努力がされるものと期待を致して居る次第であります、尚ほ教育者の場合に同樣の懸念があるのでありますが、教員の任免に付きましては政府、殊に文部省に於きまして、新時代に即應するやうな民主的なる任免方法を採用すべく、只今考究中であるのであります、此の點に付きましては「アメリカ」の教育視察團の勸告もあることでありまして、政府としては其の點に善處すべく研究中であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=9
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010・丸山修一郎
○丸山委員 教育に關して人民の參加する法案がありやなしやと云ふ問題でありますが、内務大臣は本案の御説明に當りまして、從來の自主獨立性を強化する爲に、地方制の各部面に人民の參加を擴大されると云ふことを言明せられたのであります、次の時代の人民を育成する、斯う云ふ御言葉は、今後は自治體に於ける一つの大きな行政部面を占むるものである、斯樣に考へますが、地方に於ける教育運營の實際と云ふものは、從來の教育費國庫負擔法に據つたと略略變化のないものであるか、此の邊はどうなるかと云ふことを御尋ねしたいのであります、尚ほ從來の普通教育の場合を考へて見て、教育の實際は、官廳の命令規則に基いて職業教育者と云ふものが其の實踐に當つて、人民大衆と云ふものは直接教育には參加すると云ふ面がないのであります、一種の傍觀者と云ふ立場に置かれたのであります、學務委員と云ふ制度がありましたけれども、唯名ばかりであつて、殆ど教育の實質には關係をして居なかつたと云ふことであります、教育の民主化は今後は人民の總力に於て──其の郷土なら郷土に於ける資力、又郷土民の總力に於て、次代の人民を作ると云ふ組織でなければ、教育の民主化を期せられないのではないか、此の意味に於て、總理大臣は施政方針の中でも、教育の刷新に關して言明がありました、其の教育の民主化を圖る爲に、地方自治體に、人民の選擧に依る委員と云ふものを設けて構成される教育委員會と云ふやうなものの設置をせらるる意思がおありになるかどうか、此の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=10
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011・大村清一
○大村國務大臣 只今教育の民主化に付きまして御述べになりました點は、政府としても洵に御同感であります、御承知の如く我が國の教育制度は專ら勅令に依つて基本が定められて居りまして、國民を代表せられまして、我が國の各般の制度を打建てて行く、其の基本を定める帝國議會と、何等の縁がないと云ふやうなことであつたのでありますが、新憲法の實施せられんとする時期に相成りましては、教育の根本制度は、どうしても議會に基礎を置かなければならぬ、學事根本法とも申すべきものは、少くとも議會に於て審議決定される、それに依つて政府が教育の實際を行政上に現はして行くと云ふことにしなければならぬと云ふ見地から、近く政府部内に於きまして教育刷新委員會を設置し、只今申上げましたやうな、又御質問の趣旨を實現すべく、鋭意研究調査を進めまして、成べく早い機會に教育根本法とも云ふべきものが審議せられることに相成ると思ひます、其の立案に際しまして、只今御尋ねになりましたやうな點も、當然含めて考究されるものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=11
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012・丸山修一郎
○丸山委員 次は地方議員の選擧區を大選擧區にしなかつたと云ふ理由に付てでありますが、本件に付きましては、曩に本會議に於て徳田代議士から質問がありまして、内務大臣の御答辯がありましたけれども、納得の行かぬものがありますから、重ねて御所見を御伺ひ致したいと思ふのであります、現行法に依つて衆議院議員は大選擧區制になつて居ります、又町村に付て、町村會議員は大小に拘らず全地域を一選擧區として居るのに、中間の府縣會議員は所謂小選擧區になつて居ると云ふ事實であります、或る事柄に對して或る制限を加へる、而も其の制限が細かくなればなる程、人民の自由に對して制限を加へると云ふ結果になるのであります、例へば選擧區域に於て小地域に制限することになりますと、選擧民の人物選擇の自由は著しく制限せられることになつて、民主政治の線に逆行するものではないかと考へられるのであります、又先般此の席で御質問もありましたが、小地域に局限せられる結果、所謂地方的に小人物に限られて、議員の素質の低下を招く一因にならないか、斯う云ふ懸念も持たれるのであります、今は同一府縣であれば何も郡と云ふやうな小區域としませぬでも、文化的に、或は其の他の交流に依つて、從來の如きことがありませぬから、府縣會議員は府縣を一選擧として、自由な縣民の選擇に依つて議員を出すと云ふことは當然であつて、何等制限の必要がないやうに我々には思はれるのでありますが、此の點に付ての御所見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=12
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013・大村清一
○大村國務大臣 選擧區の大小と云ふ此の兩者に付きましては、それぞれ利弊が伴つて居りまして、どちらが宜いと云ふことは遽かに判斷が困難なことと思ひます、府縣制に於きましては、地域代表に重きを置くことが適切であらうと云ふ見解で、只今のやうな、謂はば小選擧區制が執られて居るのであります、是は又一つには選擧事務の取扱ひも便利であると云ふ點もあるのであります、兎に角其のやうな次第で現行制度が打立てられて居りまするが、曩に申上げます如く、大選擧區、小選擧區各各利弊を伴つて居ることでありまして、府縣會の構成に於きましては、現状を特に變更するまでもあるまいと云ふ見解で、從來の通りの選擧制度を維持して改正案を提案した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=13
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014・丸山修一郎
○丸山委員 實際に於て、一選擧區から唯一人の議員を出す爲に選擧をすると云ふやうな變態的な必要もある譯でありますが、それ等に對しても、便宜變更せられると云ふやうな餘裕を御持ちになる考へはないのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=14
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015・大村清一
○大村國務大臣 政府と致しましては現制度を變更する必要なしと云ふ見解で、改正案を提案した次第であります、尚ほ併し大選擧區、小選擧區に付きましては、世間にも大いに議論のある所であります、將來の問題と致しましては、國民の輿論に聽きまして、改正の必要を生じました場合には其の時に考慮致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=15
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016・丸山修一郎
○丸山委員 次は、今度の府縣知事の被選擧權は、年齡三十年以上の帝國臣民たる者に限定せられて居ります、其の理由を御尋ね致したい、と云ふのは、國權の最高機關である國會の構成要素である衆議院議員の被選擧權は二十五年以上であります、それに比較しまして、二十五年を三十年にまで引上げると云ふことの制限は、やはり是も一つの制限でありまして、民意の暢達を阻むものであり、又新人の進出を阻止する結果になつて、民主制度の方向に逆行するものではないかと思ふ、過去の例でありますが、曾て明治勿々まだ混亂の時代に、伊藤博文は二十八歳で神奈川縣の縣令になつたと云ふ例もある、知事だから三十年以上でなければならない、衆議院議員は二十五年以上と云ふやうな考へは、一般民衆に對しても何等其の根據に於て納得せられるものがないと思ひます、此の點に關する御所見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=16
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017・郡祐一
○郡政府委員 仰せの通り被選擧資格に付きましては、選擧人が自由な判斷を致すのであるから、寧ろ被選擧資格に付ては一切の制限は取外しても宜しいのではないかと云ふ論も成立つことと思ひます、それから、御述べになりました例のやうに、年齡如何に拘らず、極めて立派な方のあることも當然であります、唯一般的に考へまして、多數決に依りまする議決機關の構成員と、獨任制に依りまして、一切の執行を一人に於て負擔致しまするものとの間には、何等かの差違が必要なのではなからうか、獨任制の機關に付ては、或る程度の經驗と學識を要求することが必要になつて參る、而も他に制限を設くる材料もございませぬし、又それは適當でないのでありまして、年齡に依りまする制限を設くることは、寧ろ現在の状態に於て穩當だろうと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=17
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018・丸山修一郎
○丸山委員 次は町村長の地位を安定せしめると云ふことであります、町村長は有效投票總數の四分の一以上の投票に依つて當選せられ、又有權者五分の一以上の連署に依つて罷免せられる、此の場合に於きまして、投票の際に棄權者が全然なかつた、全部投票したと云ふ場合に於ても、四分の一すれすれで以て當選をしたと云ふ場合を考へて見れば四分の一、五分の一の差と云ふものは全有權者の二十分の一に過ぎないのであります、若し是が三割の棄權者があつたと云ふ場合になりますと、全有權者の四十分の七で以て當選すると云ふ結果になります、罷免要求五分の一でやり得ると云ふ場合に於ては、罷免要求よりも當選した其の率は四十分の一少い、算術的な數字の面に於てさう云ふ結果が現はれる場合があるのであります、今後競爭が激しいと云ふやうな場合に於ては、何かの方法を以て現職の町村長を罷免する、退職を要求すると云ふことが起ることは豫則するに難くありませぬが、其の動搖を防ぐ爲にも、町村長の法定得票數と云ふものを少くとも過半數と云ふやうな、安定した得票を以て決められることが妥當ぢやないかと考へられるのでありますが、其の點に對する御所見を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=18
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019・大村清一
○大村國務大臣 地方公共團體の長を公選する場合に於きまして、法定得票數を設けませぬで、過半數を要すると云ふことに致しますことは、理論上は正に其の通りであらうと思ひます、併し我が國に於きまして初めて直接公選制を採用する際に於きまして、今日の選擧の實際から申しますると、第一囘の選擧に於きまして過半數を得ることが困難だと云ふやうな事例は澤山出ると思ふのであります、其の場合に於きまして更に決選投票をもう一度行ふと云ふことは、選擧が餘りに度々行はれると云ふことになりまして、今少し選擧に對する一般民の自覺訓練が行き届くまでの間は、時期尚早ではなからうか、さうして之を先進國の例に依つて見ましても、必ずしも理論上の過半數と云ふことでなく、直接公選の場合に於きましては何等か他の便法を講じて居るのであります、我が國に於て其の便法を講ずることになりますと、法定得票數と云ふものを相當低い所に持つて行つて、比較多數で當選を認めると云ふ便法を執つたのであります、故に理論的な行き方から申しますると罷免請求權の場合の要求數との間に、不合理の場合が起り得るのであります、是は便法を執つた爲の已むを得ざる缺點であります、尚ほ罷免請求の場合に付きましては、是は監督官廳の公正なる判斷に依りまして、最終決定をすることになつて居りまして、其の點の缺陷は十分補正し得ると信じて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=19
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020・丸山修一郎
○丸山委員 尚ほ之に對しても、罷免に依つて町村に於て町村長が相當長期に亙り缺員の場合、從來のやうに職務管掌を置かれる御意思でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=20
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021・郡祐一
○郡政府委員 自治體の責任者の缺員の状態を起しますことは好ましくないことでありますから、成るべく早く是が缺員を防ぐやうな措置は講じまするけれども、場合に依りまして職務管掌或は代理者の專任を必要とする場合も出て參らうと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=21
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022・丸山修一郎
○丸山委員 次には俸給、給料と云ふ名稱、其の本質的意義、或は各等級、之を決定する法律上の基準に付て御伺ひしたいのであります、此のことは先般私が或る中央官廳に行きました所が、目に付く到る處に、官吏の増俸要求の「ビラ」が貼つてあつた、中央既に此の通りである、是は恐らく今日の俸給と云ふものは其の本質的な意義、其の機能を失つて居る爲ではないか、今後自治體に於て吏員の給料等を定める場合に、何等合理的基準に依らないで、町村自體に於て給料の闇要求と云ふやうな忌はしい事態を未然に防ぐ爲には、之に對して的確なる合理性と云ふものを御互ひに認識して居なければならぬ、やはり給料を受ける者も、支給する者も納得するやうな合理性の上に立つて居なければならぬ、從來の俸給と給料と云ふ言葉に、觀念上どう云ふ違ひがあるか分らぬ、最近教員組合の要望の中に、俸給値上を要求するのに、賃金と云ふ言葉を使つて居る、是は俸給と賃金と云ふのは果してどう云ふものであるか、俸給と給料との異同はどうであるかと云ふ法規上の定義をはつきり伺ひたい、私の見解でありますれば、即ち公務に從事する公務員が其の生活を維持し、體面を維持する爲に要する費用は、國家、公共團體に於て支給すべきものであると考へるのでありますが、さう云ふ意味の俸給であるならば、今日の場合に於ては、先刻申上げたやうに其の意義的の實質機能を果して居ない、斯う云ふことになると思ふのであります、過般政府に於ては俸給令の改正を致して一號俸から三十號俸に至る其の金額が決定されて居ります、其の金額を決定された合理的の基準は何であるか、特に最低級の三十號と云ふ五十圓、是は果して今日に於て前申した生活、體面を維持することが出來る額であるかどうか、此の點に付きまして御見解を明確に御教へを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=22
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023・郡祐一
○郡政府委員 俸給は國家の官吏に對して支給されるものであり、給料は公共團體の吏員に支給されるものであるやうに、現行法制の下に於ては規定されて居る譯であります、隨ひまして自治制度に於きましては報酬と給料と此の二本建になつて居ります、報酬も給料も團體に對します奉仕の反對給付である點に於ては差別はございませぬが、給料は其の地位に應じました生活の保障を致します反對給付であることは、只今御述べになつた通りと存じます、隨ひまして俸給の性格も亦國家に對しての奉仕に對する反對給付であり、生活を保障致します點に於きましては、俸給と給料とは差別はないと思ひます、唯一般の賃金との差別は、一般の賃金は、斯くの如き國又は團體に對しての奉仕に對する給付であると云ふ意味合ひではないと云ふ點に於て差別があるだらうと存じます、此の場合に、然らば其の地位に應じた生活の保障を合理的に決定しなければならぬではないか、是は洵に御尤もな點だと思ひます、現在の一般官吏に對しまする俸給の最低額が、其の生活を保障するのに必ずしも十分であるとは決して申せないと思ひますが、唯色々な、國に於きましては國庫財政、地方に於きましては地方財政等の理由の爲に、現在は各種の手當等を綜合致しまして、辛うじて必要の全部ではない若干を充たし得ると云ふやうな状況に相成つて居ります、是等の俸給、給料を如何に合理的に致すかと云ふことは、公務員法の一つの實質的な大きい檢討問題だと存じて居ります、自治體の吏員に對しまする給料に付きましても、一時に比べましては通牒等に依りまして成べく著しい不合理のないやうに致して居りまするが、未だ十分なるものはございませぬので、一般吏員に對する給料の基準等に付きましては、財源の供與と併せて其の額の合理性を保ちますやうに、今後引續いて努力致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=23
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024・丸山修一郎
○丸山委員 只今の御答へで略略分りました、さうすると結局例へば三十號俸五十圓を受ける者は、其の他の給料を合算すれば概ね是れ位の金額になるから、先づ先づ最低生活が出來るだらうと云ふやうな勘とか見當で行くのですか、斯るが故にと云ふ據點がないのですか、それを御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=24
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025・大村清一
○大村國務大臣 只今御指摘になりました新俸給規則の最下級が五十圓と云ひますのは、是は從來ありました官吏制度は判任官、奏任官、勅任官と云ふやうなことで俸給を定めて居りましたものを、一本の一號俸から三十號俸と云ふのに改めたのでありまして、それを月給で──從來は年俸で定めた所があつたのでありますが、悉く月俸で定めると云ふことになりました、從來の數字を新しい三十號俸の中に嵌め込んだと云ふだけのものでありまして、實際の給與に付きましては政府委員から御答へ申上げましたやうに、差當りの方法と致しまして各種の手當其の他の給與を致しまして、官公吏の實際の收入は、名目上の俸給各號とは相當多額のものが給與されると云ふことに相成つて居るのであります、それも本年の三月關係筋の承認も得まして、或る程度の收入の増加を圖つたのでありますが、尚ほそれでは生活上困難だと云ふことで、段々職員組合等の要求もあり、又事實現在の給與では不十分でありますので、政府に於きましては只今關係方面とも打合はせの上、現在の物價及び國民生活の實情に合ふ程度の増額を致すべく手配中であります、是が結論に達しましたならば、地方公共團體の吏員にも、何等かの方法を以ちまして新しい給與法を採用出來る財政的措置を執りたいと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=25
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026・丸山修一郎
○丸山委員 諸外國等の例に依つて、何等かそこに合理的基準と云ふものをはつきりさせられないものでございませうか、どうも今の御答辯のやうな見當見當と云ふことで行くと云ふことであれば、合理的の認識がない爲に此の問題に對する所謂爭議的紛爭と云ふものの根絶は困難ではないか、苦しければ苦しくても、お互ひに合理性と云ふものを認識して居れば、殊に教養ある者に於てはさう云ふことに付ての爭議と云ふものはない、何等かそこに合理性はないかと云ふことに付て改めて御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=26
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027・大村清一
○大村國務大臣 官公吏の給與に付きましては只今申上げました如く、政府に於きましても適正なるものを定めたいと云ふことで努力を致して居ります、尚ほ新地方制度が實施されましたならば、各公共團體の職員の給料の如きは、其の自主性、自律性に依つて決定さるべきものではございますが、其の決定に付きましては政府と致しましても、官吏とも關係もあることでありますので、適當だと認められる基準を定めまして參考に供する、尚ほ又只今御審議中の勞働關係調整法に於きましては、官公吏に對して爭議行爲としての罷業を認めないと云ふやうな、彼等の生活權を擁護する上に於きましての一つの制限を加へて居ると云ふやうなこともございます、それが爲に官公吏の待遇が一般よりも非常に惡いと云ふやうなことは、是は徳義的にも道義的にも避けなければならぬ問題でありますから、それ等の關係もありますので、結局は是は公共團體が自主的に自律されるものではございますが、それを自主的に自律されるに際しまして、適切なる參考を供すると云ふことには、今後政府としても十分注意を致し、其の措置を講ずる積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=27
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028・丸山修一郎
○丸山委員 次にもう一つ、是は内務大臣に對する質問關係でないかも存じませぬが、町村に於ける町内會等の組織に付て御伺ひ致したいのであります、申すまでもなく民主的な政治行政が行はれると云ふことには、各個人の精神が民主化をすると云ふことが第一の先決問題である、同樣に又日常の生活に對して安定をした生活をし得る状態に置かれると云ふことも、基礎條件だらうと思ふのであります、さう云ふ意味に於きまして最近町内會或は數町内會の聯合等に於て、消費組合を結成して、生産から消費へ直結を圖つて生活の維持をしようと云ふ組織が、諸所方方に起つて居る、併し現在のところ此の消費組合は國法に依る據點或は支援と云ふものを受けて居りませぬが、政府は近き將來に於て、消費組合法と云ふやうな法を以て、此の種の育成或は助長を圖られると云ふやうな御見解はありませぬかと云ふことを、一應御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=28
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029・郡祐一
○郡政府委員 町内會、部落會が消費面に働きますることは極めて必要なことでありまして、御承知のやうに大都市に於きまする消費經濟部は相當の活動を致して居るやうに存じて居ります、併し御話のやうに之に更に國家的の統制を加へ、發展性を與へると云ふことは、十分考へて見なければならない問題だと思つて居ります、唯消費組合法の制定等を考へますることは、關係致します部分が極めて廣汎な問題でありまするので、篤と今後も研究を重ね、又折衝も各方面と致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=29
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030・丸山修一郎
○丸山委員 其の點に付ては諒解致しましたが、今日消費組合組織の立派に出來て居る所に於ては相當闇値段を抑制して居る事實があるのであります、只今地方局長の御話は各般の事情と云ふやうな抽象的な御話ですが、差當り消費組合法なら消費組合法をやつて此の種のものを育成すれば、どう云ふ所が支障になり、或は考慮されても宜いと云ふことを多少具體的に明示して戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=30
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031・郡祐一
○郡政府委員 消費組合に付きまして先づ之を考へて參る主管省、是が的確に何處に致すかと云ふやうな問題、恐らく數箇の省が共管でも致して參らなければならないと云ふやうな點が考へられます、それから商業者等の關係、是等の問題が何處まで消費組合で扱ふことが妥當であるだらうか、既に消費組合法を拵へますならば、理想的な形で拵へると致しますと、生産者或は商業者に對して相當消費組合が進出致す方が望ましいことだと存じて居ります、さう致しますと左樣な業者は生産者に對する關係等に於きまして、既存の法規或は是等を主管して居ります官廳等との關係に、尚且つ餘程論じなければならぬ點が現實にあるやうに考へて居ります、現在の町内會の消費經濟部に於きましても、今少し活溌な働きがもつと強く出來ますやうに私共は希望して居つたのでありますが、之に付きましても色々な支障が起りましたし、更に消費組合法と云ふやうなものを考へますならば、もつと本質的に左樣な問題が起つて來ると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=31
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032・丸山修一郎
○丸山委員 次は新地方制度に於ける地方行政、所謂地方官廳に宣傳情報と云ふやうな組織を、地方の中に持つ必要があるのではないかと云ふことであります、官僚々々と言へば丸で蛇蝎の如く官僚に對して好感を持たないことが、一般の人の通り相場であると云ふやうなことは、聊か憂ふべきではないかと思ふのであります、併し何の爲に官僚が國民との間にさう云ふ隔りを持たれるやうになつたかと云ふことを考へて見まするに、幾多の原因はありませうけれども、何と申しましても其の一つは、動もすれば人民をして知らしむべからず由らしむべしと云ふやうな取扱ひ方が相當權力を伴つて行はれた結果ぢやないか、其の點から考へますと政治行政の民主化を圖る爲には、治者も被治者も、同一の事實に對してはつきりとした認識と理解を持たなければならない、今後自治行政を本當に民主化の線に沿うて行く爲には、もう少し積極的に、縣民或は市町村民をして縣市町村に於ける自治行政の運營の實際を認識させると云ふことに、積極的な進出を見なければならないのぢやないか、斯う云ふやうな意味に於て府縣と云ふ自治機構の中に、宣傳情報の機關を當然必要とするが、之に對する御所見は如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=32
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033・大村清一
○大村國務大臣 只今御尋ねになりました點は私共と致しましても全然御同感でありまして、我が國の今後の民主政治を進めて行く上に於きまして又國民生活を改善して行く上に於きまして非常に重要な、なさなければならぬ事柄だと思ふのであります、併しながら從來の我が國の情報宣傳面の働きは、國民を馬車馬的に扱つたと云ふやうな謗りを免れないものがございまして、今日に於きまして官僚的の情報宣傳機構を更に復活強化すると云ふことは、餘程考へなければならぬ問題だと思ふのであります、聯合軍に於きましても、言論自由を尊重し、又新聞の公器としての報道に誤りなからしむる爲に、度々見解を發表し注意を促されて居る、さう云ふやうな行き方で民主的に、民間的に此の情報宣傳面の正しい效果を狙ふと云ふやうな勞力がなされて居るやうに見えるのであります、我我はそれ等の點とも睨み合せまして、今後の情報宣傳に付きましては善處しなければならぬと思つて居ります、尚ほ新憲法草案が成立し又新改正地方制度が實施されると云ふやうな段階に進みまするならば、餘程行政機構が民主化されまして、其の時代になりまして只今御述べになりましたやうな趣旨の情報宣傳機構を考へて行くと云ふことになりますると、適切なものが生れて來るに相違ないと思ふのであります、暫く其の時期を待つことが賢明であると云ふやうに考へまして、從來情報宣傳面に付きましては、内務省等も其の一翼を擔つて居りまするが、只今はどちらかと申しますと、其の點に付ては消極的態度を執つて居ります、是は經過的には蓋し當然のことであらうと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=33
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034・丸山修一郎
○丸山委員 此の案を研究する上に必要でありますから御伺ひ致しますが、市制の第十四條、町村制の十二條の二項、是は同樣の意味でありますが、「市は市會の議決を經て市に對し特別の關係ある者に付前項の規定に依る住所の要件に拘らず選擧權を與ふることを得」とありますが「特別の關係」と云ふのは一體どう云ふことでありますか、又どう云ふ必要があつて選擧權を與へなければならないのでありますか、御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=34
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035・郡祐一
○郡政府委員 市町村に對しまして現在當該市町村内に住所を有しませぬとか、或は六月の居住要件を充たして居らないけれども、從來其の市町村に對して多くの貢獻を致した、或は市町村長であつたとか、或は議員であつたとか、さう云ふやうな點で非常な功勞があり、左樣な人が當該市町村の各方面に參與して呉れることが望ましいと云ふやうな人もあるだらうと思ひます、殊に戰災後に於きましては住宅の關係等の爲に、曾て其の市町村に極めて緊密な連絡があつたにも拘らず、已むを得ない現在の社會事情、經濟事情に依つて、市町村に復歸することが出來ないで他に住んで居ると云ふ方もあるやうであります、是等の方を何等かの方法で當該の市町村に結び付けますことは、其の個人の爲にも地方團體の爲にも適當であり、社會的に見ましても望ましいことであると考へまして、特に選擧權附與の規定を置いた次第であります、是が非常に濫に流れますことは固より期待して居る所ではございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=35
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036・丸山修一郎
○丸山委員 次に町内會長、部落會長の性格のことに付て御伺ひ致します、第八十一條の補助すると云ふことと、今度の第七十八條の三の援助せしむると云ふこととの間に、性格上の違ひが生じて居るのかどうか、又其の町内會長、部落會長の選任の方法は、從來は市町村長が之を選任しましたが、今度はそれを何處で選任することになりますか、其の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=36
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037・郡祐一
○郡政府委員 町内會長、部落會長等に付きまして、此の度の法律の改正で特に明示しましたのは、報酬を給する規定を置いたことであります、それ以外に於きましては、從來の名譽職區長が大部分現在町内會長、部落會長を兼ねて居り、或は町内會長、部落會長の活動の方が、既に名譽職區長に代位しても宜しい状態にまで發展して居ると思ひます、名譽職區長の制度を廢止致しました以外に於きましては、町内會、部落會に付て何等手を著けて居る所はございませぬ、隨ひまして選任の方法に付きましても、從來の方法と特別法律上差異を期待は致して居らないのでありますが、唯多くの町内會、部落會の中には尚ほ其の選任に付きまして、十分町内會、部落會の内部の住民の意向を反映致して居らぬやうなものもありまするので、それ等のものに付きましては努めて總意に依つて町内會長、部落會長が出るやうな方法に致したいとは思つて居りますが、其の點に付きましては從來通り指導に依つて參りたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=37
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038・丸山修一郎
○丸山委員 最後にもう一つ御伺ひ致します、戰爭に入つて以來、市町村は殆ど其の自治の機能を失ひまして、官廳から指示せらるる枠に豫算を當嵌めて、それに贊成をすると云ふ以外に、其の自治の機能は失はれて居りました、今後は此の前當席で大臣から御話もあつたやうに、地方自治體の税制の改革に依つて、相當彈力性のある財源が與へられると云ふことは豫想に難くありませぬが、併し尚且つ町村をして其の自治の運營を活溌ならしめる爲には、其の他の財源を附與すると云ふ必要も起つて來るのではないか、斯う云ふ場合に於きまして、例へば國有林野の管理を町村にやらせて、其の收益の一部を町村に與へるとか、或は又發電事業の中の配電に關する事業だけは其の町村に管理せしめて、其の收益の一部分を町村の收入にするとか、兎に角今後町村をして收益事業を營ましめると云ふことを認めるか、認めないかと云ふことに付ての御見解を御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=38
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039・郡祐一
○郡政府委員 今後の地方自治團體が收益事業を、其の性格に背反しませぬ限り廣く營んで參りますことは望ましいことであり、左樣に奬勵して參りたいと存じて居ります、御話の中にありました國有林野の管理に付て市町村を當らしめます點に付きましては、果して國有林野所在地の總てに付て適當であるかどうかと云ふ疑念を持つのでありまするが、配電事業に付きましては團體さへ能力がありますならば、地方團體の營む土木とか交通事業等に極めて關係の深いものでありますし、殊に戰災の復奮事業と竝行致しまして配電事業等が實施出來まするならば、洵に自治體の將來の發展の爲に望ましいことのやうに考へて居ります、但し是等のことに付きましては配電事業自體に關係して居りまする官廳もございます、それ等の方との折衝を更に盡して見たいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=39
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040・丸山修一郎
○丸山委員 其の他のことは各條に亙つて御尋ねすることにして、之を以て質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=40
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041・中島守利
○中島委員長 それでは午後一時まで休憩致します
午前十一時四十五分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=41
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042・会議録情報2
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午後一時十八分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=42
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043・中島守利
○中島委員長 午前に引續きまして會議を開きます、質疑を許します──小野君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=43
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044・小野眞次
○小野(眞)委員 簡單に御質問申上げます、知事を官吏にするか公吏にするかと云ふ問題に付きましては、本會議でも本委員會に於きましても、立たれた人が悉く質問され、それに對しまして大臣から懇切な御答辯がございましたが、只今どなたか仰せられましたやうに、まだはつきり要領を得ないものが殘つて居ります、私は是れ以上御尋ねしようと思ひませぬが、唯大臣の御答辯の中に、私達に少し分り難い點がございますので、其の點に關して簡單に御尋ね申上げたいと思ひます、それは説明趣意書を見ますると、官吏にする理由と致しまして「所謂府縣割據の弊を助長し食糧政策其の他現下緊要なる國家諸施策の遂行に支障を來すが如きことなからしむる必要があり又現下の國家機構との間に調和を保たしむることも必要である」とありまして、此の説明に關する限りそれは政治的な問題であつて、法律的な問題が其の間に存在しないやうな意味に解釋出來るのでありますが、先日來の大臣の御答辯を承りますと、是は政治的な面以外に法律的に何か官吏にせざるべからずと云ふものが存在する、官吏にしなければ、一切のものを今日の府縣知事其のものの仕事をやらすことが出來ないのだと云つたやうな答辯にも聞えるのであります、詰り私の尋ねんとする所は、知事を官吏にすることは今日の法律上許されないのであるか、或は他の法律と抵觸する所があるが爲に今日の法律の建前に於ては、前提としてはなし得ないのであるか、或は唯官吏にすることが政治的に效果的であると云ふ考へから、官吏説を主張されて居るのであるか、其の點に對する大臣の御答辯、甚だはつきりしないやうに思ひますので、御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=44
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045・大村清一
○大村國務大臣 知事を官吏にする點に付きまして只今御指摘になり、私の眞意を闡明する機會を與へられましたことは、洵に有難うございます、只今御述べになりましたやうに、今日の現下の情勢から致しまして、府縣「ブロック」府縣割據の弊を矯めまして、地方行政の面に於きましても國家的要求に適順して貰ふと云ふ、政治上の必要が極めて大なることは、私から茲に改めて申上げるまでもないことであります、是が即ち政治上の必要でございますが、併し知事を官吏としなければならぬと云ふことは、單に政治上の理由のみならず、法律上今日の現状ではそれを要請されて居ると信ずるのであります、茲に法律上と申しますのは、廣い意味の法律上であります、帝國議會の御協贊を經て出來て居ります法律のみならず、他の勅令其の他の國家諸法令を含めての法律上の必要と申上げるのであります、之を具體的に申しまするならば、我が國の行政組織は、一面に於きましては官治行政面で運用を致して居り、又他面に於きましては自治行政面で運用を致して居ります、官治行政面に於きましては、所謂議會の協贊を經た法律以外の勅令其の他に依つて運用を致して居るのでありますが、之を問題の府縣制で申しますならば、地方官官制其の他の勅令に依りまして、府縣が今日處理致して居ります所の國政面の運用が、それに依つて出來て居る譯であります、我が國の全體の行政機構が、只今申しますやうに官治面と自治面とからなつて居りまして、而も我が國の特殊の沿革から申しまして、官治行政面が非常に廣いのであります、併し今後之を民主主義の線に沿うて行政諸制度を改革して參りまするならば、國家行政に留保して居りまするものを、漸次相當大量に自治行政面に委讓すると云ふことが行はれなければならぬのであります、其の委讓を致しますに付きましては、是は單に内務省の所管致して居りまする官治行政面のみならず、各省の所管して居る面にも其の事項が極めて多いと思ふのであります、今囘地方制度を改正するに付きましては、地方自治體の權限を、民主主義の線に沿ひまして、地方制度上許す最高限度のことを致したのでありまするが、官治行政の面に付きましては、内務行政は固より、各省行政に付きまして一擧に之を解決することは出來て居ないのであります、さう云ふやうな次第でありますので、今日の段階に於きまして、地方制度を此の現實に調和させる爲の法律手段と致しましては、公選知事に官吏の資格を附與致しまして、さうして官治行政面も、知事の責任に於て之を運營して行くと云ふことにし、又それに依りまして官治行政面の民主化も相當效果あらしめることが出來ると信じて居る次第であります、尚ほ先程來申上げますやうに、今日の我が國の行政のやり方に付きましては、法律上官治行政面を多分に存續致して居ります、さうして官治行政の掌理の任に當ります者は、我が國の從來の法律上の建前と致しましては、官吏が之に當ると云ふことになつて居ります、さうして府縣廳の持つて居りまする仕事の中の官治行政面は、今日の如く知事、部長、事務官と云ふやうな官吏組織に依つて運營を致して居ります、それと調和致させます爲には、今日の制度上、法律上知事を官吏にする必要があるのであります、大體、此のやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=45
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046・小野眞次
○小野(眞)委員 大分分つたやうでありますが、只今の御答辯に依りますと、廣い意味の法律上の差支へがある、其の廣い意味とは帝國議會で協贊を得た法律でなくて、勅令、省令と云つたやうなものだと云ふやうな御説明でございますが、先づ第一に、帝國議會の協贊を經た法律には別に差支へはないのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=46
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047・大村清一
○大村國務大臣 御承知の如く地方自治制度に付きましては、明治二十二年の現行憲法の條章に從つて居ることでございますが、相當廣範圍に既に法律で定められて居りますから、此の點に付きまして之を改正すると云ふことは、法律を俟たなければならぬことは當然であります、併し官治行政の面に於きましては、現行憲法の條章に從ひまして、法律で以て其の官治行政面の改正をすると云ふ必要はないのであります、さうしてそれ等の點は官制其の他の勅令及び附屬法令に依つて運用されまして、法律で規定して居る分は、全然ない譯ではありませぬが、極めて一小部分に局限されて居りまして、官治行政の面は法律以外の勅令以下に依つて處理されて居る次第であります、其の關係から官治行政面に付きましては法律事項として取扱ふ必要はない、又實際の我が國の沿革も其のやうに相成つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=47
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048・小野眞次
○小野(眞)委員 勅令に支障を來すと云ふやうな御心配が主たる原因のやうでございますが、其の勅令を改めて公吏制度を採用すると云ふことには、實際上の問題として相當困難を伴ふものでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=48
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049・大村清一
○大村國務大臣 内務行政或は府縣廳行政の面だけ、官治行政の面を勅令で改正すると云ふことは、他の内務行政以外の一般各省の官治行政の面と、不調和のものが出來る譯でありまして、是等は國の全般の行政組織の問題として總括的に解決をされなければならぬものと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=49
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050・小野眞次
○小野(眞)委員 擧足を取るやうですが、今の御答辯の中に矛盾があるやうに思ふのであります、詰り調和が取れないと云ふ御言葉と、さう云ふことが出來ないと云ふ御言葉とあつたのですが、其の調和が取れないと云ふ程度のものであるか、或はそれは絶對に不可能であると云ふのか其の點を一つ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=50
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051・大村清一
○大村國務大臣 全般的に御説明を申上げますれば、行政の圓滿にして效率ある運營をする上には、やはり調和を取ると云ふ現實の必要がありますれば、制度はそれに適應するやうに打立てなければならぬことは申すまでもないことと思ふのであります、尚ほ先程來申上げました如く、官治行政面は官吏に依つて之を扱はせると云ふ、我が國の國家行政の行き方を執つて居ります以上、府縣行政に關する點だけを其の例外として取扱ふと云ふことは、制度上として、實際問題として、行はれ得ないことと思ふのであります、さうして官治行政をやります上に於きましては、現在の我が國の制度の上で、是は官吏に當らせると云ふ建前になつて居りますから、其の點に付て地方行政面に限つて例外を認めると云ふことは、實際問題として行ひ得ないことと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=51
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052・小野眞次
○小野(眞)委員 其の問題は其の程度で打切ることに致します
其の次に憲法の改正と地方制度との關係ですが、是は質問すると云ふのは、皆最も自分の知つて居る所を質問するのですが、私のは本當に分らぬから御尋ねするのですから、其の御積りで御聽き願ひたいのであります、此の提案の御説明に依りますると、憲法の改正と地方制度の改正とは相竝行して行はなければならぬ、二つが相俟つて日本の民主政治を確立するのだと云ふやうなことで、不即不離の形で兩方が竝び進んで居るやうであります、現に憲法は一方で段々進められて居りますし、是が近く發布を見ると云ふことは、はつきりしたことでございますので、それが近く憲法になつて現はれるのだと云ふことを前提として、もう少し地方制度の中に、色々のことをそれにぴつたり合つたやうなものに直すことが出來ないのかどうか、是は現行憲法がまだ廢止されて居ないから、さう云ふことが出來ないのかどうかと云ふことが分らない點があるので御伺ひしたいと思ひます、例へば府縣の經濟部長とか内務部長、其の他の官吏の任免權は知事に與へることが、將來の問題としては理想であるが、現行憲法の下に於ては天皇が一切其の權利を持つて居るが爲に、如何ともすることが出來ないのだと云ふ御説明であつたやうに思ふのです、もう極く近い將來に新しい憲法が出來、其の新しい憲法に依ればさうしたことが必ず行へると云ふことでありますならば、附則で、其の條文に關する限り實施を何とかして、それだけをさう云ふことが出來るやうに今日の改正の時にして置けないものであるかどうかと云ふ問題であります、又行政裁判所の問題の如きもさうでありますが、近い將來新憲法が出來上りますると、行政裁判所と云ふものは全然なくなると云ふことがはつきりして居るのに、それと竝行して今日改正を行はうとする地方制度の改正に、行政裁判所を置くと云ふことが、どうも改正が徹底せぬと云ふやうな非難を受けさうな感じもするのであります、或は又新憲法が出來上りますると、帝國議會と云ふものが存在しなくなるのであるが、改正町村制の第何條かに、帝國憲法であるとか、帝國臣民であるとか云ふやうな文字を使つて居る、是も同じやうに、現行憲法が今日尚ほ儼として存在する限り如何とも出來ないと思ふのでございますが、そこは法律を拵へる技術の建前から、何とかもつと新憲法と竝行出來るやうな、同じやうな文句を使つて、性質に於てさう云ふことが出來ないものかどうか、是は技術の問題でありますので、御當局の御意見を聽きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=52
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053・大村清一
○大村國務大臣 新憲法は近く帝國議會に於きまして適當に御議決になり、恐らくは明年の二三月の交になれば施行されると云ふ運びにならうと思ひます、其のやうに新憲法が確定致しまして、其の新憲法の條章に從ひました各般の法律、諸制度の改革が出來て、それが相當に進行した曉に於て地方制度を改正すると云ふことになりますと、細大洩らさず非常に整つた立法が出來ることは申す迄もないのでありますが、併し國政の民主主義化を致しますのが、我が國の現在の國民に課せられた重大なる責任であると云ふ政治的面から考へますと、國家政治を民主化するに付きましては、單に國家行政のみならず、地方自治行政の上に於きましても、併せて之をやらなければならぬ、又國家行政の民主化の爲には、寧ろ地方自治行政の民主化が先行しなければならぬ、少くとも同時に行はなければならぬと云ふことは、現下の一つの重大な、日本の政治上の實際問題であらうと思ふのであります、尚ほ一二の事例から申しましても、地方公共團體の長の直接公選と云ふやうな問題に付きましても、法律はさうなつて居りませぬに拘らず、現に各團體に於きまして、相當數の實質上の直接公選が實施されて居りますやうな情勢でもあります、是等は地方自治行政面に於ける民主化の要請が、民間に澎湃たるものがあることを立證して居ると思ふのであります、さう云ふやうな時運でございますので、憲法の改正案が審議中に、それと並行致しまして地方自治制度の改正の御審議を願ふことに致したのであります、是は首尾一貫した、細大洩らさず適當なる地方制度を打立てると云ふ面から參りますると、少し急ぎ過ぎたやり方になつて居ることは私も率直に之を認めるのであります、又其の限度に於きまして、既に憲法草案の條章に照して、今後改めなければならぬ點が起つて來ることも是は已むを得ないのであります、併し新地方制度に於ける骨骼的な根本的な問題に付きましては、新憲法の條章、精神を掬みまして提出致して居ります、改正地方制度案に於きまして、先づ洩れなく相當思ひ切つた民主主義化を斷行致したものと信じて居る次第であります、尚ほ引例をされました官吏の問題でありますが、是は何れ遠からざる内に新憲法の條章及び精神に從ひまして、公務員法とも云ふべきものが、帝國議會で審議決定されることと思ふのであります、併し其の公務員法に於きまして、今日の官吏の關係が如何に改正されるかと云ふことは、まだはつきりと見透しの付かない問題であります、現在の官吏制度に於きましては、御承知のやうに數箇月前まで、親任官、勅任官、奏任官と申して居りました、今日では親任官、一級官、二級官に名前が變りましたが、是等は現行憲法の條章に依りまして、天皇が之を任免すると云ふことになつて居ります、故に府縣行政に於きまして、官治行政面を擔當する官吏に付きましては、是は現行憲法が效力を有して居りまする限り、やはり天皇の任命に俟つ必要があるのであります、改正憲法に於きましても、國務大臣及び法律の定める其の他の官吏の任免を、天皇は内閣の輔佐と同意とに依り、國民の爲に認證することと云ふことになつて居りまして、此の官吏の任免を天皇が認證されることは、新憲法に於ても要求されて居ることであります、唯此の官吏の範圍は、公務員法に依つてどの範圍に限定せられるか、それ等の點がはつきり致しませぬと、改正憲法が施行された上に於きましても、府縣知事が部下の官吏を自由に任免することが出來ますかどうか、其の點は今日豫斷が出來ない譯であります、若し私の發言が是と違つたやうな節があつたと致しまするならば、どうぞ只今申上げましたやうな趣旨に御諒承を願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=53
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054・小野眞次
○小野(眞)委員 それははつきりしませぬが、其の程度に止めて置きます、其の次は選擧權の問題ですが、公民制度から住民制度に移つて、選擧權が非常に擴大されたと云ふこと、是は地方の自治制度の民主化を圖る爲に絶對に必要なるものであり、當然の措置であると思ふのでありますが、形式的にはさうして擴充されたに致しましても、此の前の衆議院の選擧の時のやうに、實際名簿から脱落するものが澤山ございまして、若し本當に選擧の時になつて、選擧權を行使することが出來得ないと云ふことでありますならば、それは改正の精神に根本的に反するものでありますので、住民制度を採用して選擧權の擴張を圖ると云ふことと同時に、選擧權を現實的に確保すると云ふことが、同樣に大きな問題であると思ふのであります、偖て如何にして選擧權を實質的に獲得するかと申しますると、それは今日の制度では、選擧名簿を嚴重に拵へ上げると云ふこと以外に方法がないやうであります、所が現在の選擧名簿と云ふものは、此の前の衆議院議員選擧の時のやうな、非常に澤山な脱落は是は別と致しましても、何時の世の中にも、何時の選擧の時にでも、相當澤山な脱落者があるのであります、唯是は恐らく内務省まで聞えて來ないのでありませうが、地方では相當な問題を選擧毎に起して居るのであります、私は是は選擧權の擴張をすると云ふことと同じやうな程度の必要さに於て、選擧名簿の確定をもつと熱心に、もつと間違ひのないやうに、念を入れてやる必要があると思ひます、其の方法として私は斯う云ふことを考へて居ります、只今の選擧名簿は、是は詳しいことは遂條審議の時に申しますが、只今の選擧名簿と云ふものは、此の改正法に依ると第一次に選擧委員が之を確認する、其の次に府縣知事がそれを確認する、第三次的に行政裁判所が之を確定すると云つたやうな三段制を執つて、それ切りになつて居るのであります、私の寡聞であるかどうか知りませぬが、知る範圍に於きましては被選擧權は別と致しまして、選擧權の問題の爲に行政裁判を仰ぐと云ふことは、是は全國的に考へて殆どないと申しますか、極く數にして僅かなものであつたと思ふのであります、被選擧權の問題の爲に相當さうした、裁判が行はれると云ふこともありませうが、選擧權の云ふ立場から考へますと、さうしたことで爭ふ人はそれ程澤山あるとは思はれませぬ、そこで私は選擧名簿の確定と云ふことは、行政裁判と云ふものの必要を認めないのであります、第一次的に選擧委員がそれを裁定し、更に府縣知事にそれを持つて行つて、府縣知事が右か左かを決定すれば、それで以て選擧人は大體納得し、而してそれで以て大體の公正を期し得ると思ふのであります、唯其の儘で其の一囘切りで之を確定してしまふと云ふ所に、間違ひが起ると思ふのであります、正直に申しますと選擧權は我々國民に取りまして、是れ程大事なものはないと云ふ程の大事な選擧權でございまいが、本當の所平素國民は選擧權と云ふものに對しては、それ程大きな關心は持つて居らないのであります、偖て愈愈選擧となりまして、あちらから頼まれこちらから頼まれ、選擧と云ふことに熱を持つて來た時に、初めて選擧權と云ふことに關心を持つて、自分に果して選擧權があるかないかと云ふことを、血眼になつて探したと云ふことがあります、是は本會議に於て岩本君が一寸觸れて居られましたが、私共絶えず斯うした問題に觸れて居るものの立場から致しますれば、選擧名簿の確定を、もう一度選擧前にやり直す必要があるのではないかと思ふ、而してそれは府縣知事まで行く必要はないと思ひます、唯役場に行つて選擧名簿があるとかないとか云ふことを探し出して、それに依つて決定する、脱落があれば本人に通知する、なければ通知しない、其の程度のことで宜しいから、もう一度選擧名簿の縱覧をやる、二囘繰返す、質的に三次制を執ると云ふことの代りに二次制にして、あとの一囘はもう一囘後でやつて、それは唯一囘選擧委員に於てやると云ふ程度にして、それに依つて選擧名簿の確定を期すると云ふことが、もつと效果的ではないかと思ふのでありますが、此の點に關する先づ御當局の御意見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=54
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055・郡祐一
○郡政府委員 選擧人名簿を極めて確定的なものにしなければならないと云ふ御説は、洵に御尤もでありまして、殊に昨年調整致しました選擧人名簿は、名簿の數が非常に多うございました爲に、又勿々の間に拵へましたこと等の爲に、色々と不便を來して居ります、それで只今御審議を願つて居りまする選擧人名簿の臨時特例も亦其の爲の應急の措置なのでございまして、是は必要ならば本人の届出等も要求出來ますやうに職權調査主義を執りながら、又當事者の參加をも併せ考へますやうなやり方を考へて居りますが、是は御話にありましたやうに、此の程度では尚ほ不徹底の憾みをどうしても免れないのであります、それで大體御話のございましたやうな考へ方に一致して居るかと思ふ部分もあるのでございますが、此の度地方制度の改正を御願ひ致しまして、引續きまして努めて近い内に選擧人名簿の調整に付て根本的な改正を致したいと思つて居ります、其の爲め只今ありまする構想は、選擧人名簿を永久名簿式のものに致しまして、選擧毎に使ひまする選擧人名簿と永久臺帳と二種類のものを拵へます、永久名簿の方には轉出轉入等の移動がありまする際に、本人の申請又は職權に依りまして、絶えず之に補正を加へ、選擧の行はれます直前に、其の臺帳に依つて選擧人名簿の謄本を拵へまして、之を有權者に縱覽を致させ、之を町内會、隣組等を通じまして、最も便宜な方法で多數の者に縱覽させることに致しまして、さうして其の名簿に依つて選擧を行ふ、斯樣な方法に致したいと存ずるのであります、選擧人名簿に關する訴訟等の點は、是は御話にございましたやうに、憲法の改正に伴ひまして早晩行政訴訟の扱ひと云ふものが根本的に切換へられますので、それ等の點は其の時期に──恐らく次の議會等の時期だらうと思ひますが、其の時に考へようと思ひまするし、名簿の構想は左樣な構想を持つて居りまして、只今の所は此の度御願ひします名簿の臨時特例以上に根本的な改革は差控へる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=55
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056・小野眞次
○小野(眞)委員 能く分りました、其の次も同じやうな問題ですが、選擧人名簿に間違ひのあると云ふことは只今御説明もございましたやうに此の前に特に大量の間違ひがあつたと云ふことは、色々の原因もありませうが、私は町村役場に於て取扱つて居る實際から見まして、脱漏、重複の起る一つの大きな原因と致しまして、住所と云ふ文字に對する解釋が區々として一定して居らないと云ふ原因があるのではないかと思ふのであります、例へば何時までも本籍地で選擧權を持つて居る人もありますし、或は寄留先で選擧權を持つて居る人もありまするし、米を貰ふ臺帳に依つて選擧權を拵へて居ると云ふ町村もあります、實例を申しますると、私は船をやつて居りまするが、船の米と云ふのは是は政府から直接貰ふのでありまして──船の統制團體が政府から直接貰て、船員に配給すると云ふことになつてございまして、町村役場を經由しないのであります、其の爲に和歌山市なんですが、米の配給帳に依つて選擧人名簿を拵へたが爲に、船員を全部落してしまひまして、和歌山市内千に近い有權者が殆ど選擧權を貰へなかつたと云ふ事實があるのであります、斯うした關係で、或るものは米の通帳に依つて居り、或るものは寄留地の帳簿を引出してやり、甚だしいのは本籍に依つて何時までもやつて居ると云ふやうな形でありまして、住所に對する觀念と云ふものが、役場の取扱で、町村に依つて違ふと云ふ所に大きな原因があるのではないかと思ふのであります、今の町村制に依りますると、第七條か何かに、選擧權の缺格の條件として、「一定の住居を有せざる者」と云ふやうな文句がありまして、住居と住所とをはつきり區別したやうな感じもするのでありますが、改正法には全然それがなくなつて居りまして、私は愈愈住所と云ふものが人に依つて色々の解釋が出來るやうになるのではないか、隨て其の爲に選擧人名簿に脱落或は重複が相當起るのではないか、益益起る可能性があるのぢやないかと云ふことを心配するのであります、此の際此の委員會を通じて、町村制に謂ふ住所とは如何なるものであるかと云ふことをはつきりして置きたい、是も事實はつきりして居るのでございませうが、はつきりさせて貰つて、將來此の運營に間違ひなからしめたいと存ずるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=56
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057・郡祐一
○郡政府委員 住所に付きましては、行政實例も相當多く色々な場合を先例として言つて居りまして、結局生活の本據としての主觀的事實と客觀的事實と、兩方の要素を備へて居らなければ相成らぬと思ふのであります、調査の手掛りと致しまして配給の臺帳等を使ひますることはございますが、やはり客觀的な要素、客觀的事實を備へることが必要であります、之に付ては職權で調査を致さなければ相成りませぬのでありまして、只今御指摘のやうに配給關係だけを頼りに致したり致しますと、只今のやうな誤りが起つて來ることと存じます、それで「一定の住居」を缺格事項から外しましたので、有形の佳ひと云ふものを必ずしも要素とは致して居りませぬけれども、生活の本據として客觀的に當該の市町村内に住んで居りまする事實の認定を致しまして、それに依つて名簿に登録致すと云ふことに相成ると存ずるのであります、此の點も先程御尋ねのございましたやうに、或る時期を捉へて名簿を調整致しますが爲に、調査に多くの困難がある捕捉が非常に便宜になります、それ等の點でも問題は解決致して參りたいと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=57
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058・小野眞次
○小野(眞)委員 どうも今の御説明では分つたやうな分らぬやうな、恐らくさう云ふ御説明を加へられるから町村が間違ふのだと思ふのです、澤山重複がある、今申しましたやうに或る所は臺帳に依つてやり、或る所は外の帳簿でやると云ふやうなことで、相當重複があるのであります、現實の問題としては二つも三つも──三つもは知りませぬが、二つ投票する人が相當澤山あると私は思ひます、或は又其の爲に兩方ともから削られたのが、是は又もつと澤山あるのでありますが、今のやうな御説明でなしに、それは必ずしも法律的に住所とはどんなものであるかと云ふことを、間違ひなく規定する必要はないのでありまして、唯選擧するのに町村制に於ては住所とは、假に斯う云ふものを言ふのだと云ふ一つの指示を與へれば私は十分だと思ふ、難かしく考へる必要はないと思ふ、之に依つてやれと云ふ具體策を明示すると云ふことが、此の際一番間違ひの救濟策だと思ふのであります、御意見如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=58
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059・郡祐一
○郡政府委員 是は一つ一つの行政實例を見ますると、色々な場合がございまして、それは片方のものは、佛壇を持つて居つたとか、片方の家には幾日來て居つたが、片方の家には幾日しか居らなかつたとか、或は生活物資をどつちで買つて居つたとか、或は家族がどうであつたとか、色々な場合に依りまして、其の都度認定を加へて參ります爲に、相當困難な事實問題を起す場合もあるにはあるのでありまするが、昨年のやうに二重登録や脱漏が起りますのは、何と申しましても、吏員の手不足と不慣れの爲めでありまして、さうして色々な場合の實例に依りまして斯くの如きものの住所であると云ふ認定をさせますことに付きましては、今まで隨分努力は致して居りますが、それは次の選擧人名簿調製の準備の爲に、能く市町村に徹底致させることに致しまするが、一口に申すと、先程申上げましたやうな客觀的な事實に依つて認定を致すと云ふことに相成るのであります、多くの場合は實例に付きまして、實際今まで起りました先例を能く徹底させて、さうして市町村の吏員には、實際扱ひます者には間違ひなきを期して參ることに致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=59
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060・小野眞次
○小野(眞)委員 甚だ分り兼ねますが、其の程度に致します、偖てそれに關聯した問題でございますが、序でに御尋ねする程度ですが、此の改正法には有權者の資格として、一箇所に今まで二箇年だつたのを、六箇月住ひすれば選擧權を與へると云ふことになつて居るやうでございますが、私は此の六箇月さへも長過ぎるのではないかと思ふのであります、或は本當に其の村で、此處に住所を構へて、此處で佳ひするのだと云ふ氣持が本人にありましたならば、それは昨日其の村へ移住して來た者と雖も、其處で選擧權を與へるのが本當だ、唯そこには名簿を拵へたり、或は色々のものをする技術の困難から障碍があると思ふのでございますが、其の點甚だ私はつきりしないのですが、六箇月とか、五月とか、四月とか、前にそれだけの長い期間を置かなければならない、それでなければ公正を期し得ないと云ふやうな特別な原因が何かあれば御示し願ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=60
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061・郡祐一
○郡政府委員 住居要件をどの程度に期間を決めますかは、色々論のある所だらうと思ふのでありまするが、地方團體が地縁團體でありまする性格から申しまして、住民と土地との繋がりと云ふものは、絶對に必要なものだと存ずるのであります、單に名簿調製上の便宜と云ふことではございませぬで、地方團體の性格から、其の住民と土地との繋がりを要求致しまする必要から起つて參つて居るものであります、隨て若干の期間の居住要件と云ふものは、どうしても要さなければ相成らぬ、併し從來の二箇年は餘りにも長きに失しまするので、現在の状態では六箇月を必要とすれば十分ではないであらうかと考へた次第でございます、之を全然不要とすると云ふことは地方團體の性格上無理だらうと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=61
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062・小野眞次
○小野(眞)委員 さうすると又先へ遡つて御尋ねするのですが、先程の御説明に依りますると、只今御考へになつて居られる選擧人名簿と云ふものは、選擧間際に作成されると云ふことでございますが、さうすると其の選擧間際に作成される其の名簿の確定する日から六箇月と云ふことになるのでございますが、今までのやうに九月十五日と云ふ期限を決めて、それから六箇月前と云ふことになれば、其の翌年の六月に選擧と云ふことになりますると、十二月、丁度一年其處に住居を有する者でなければ、本當に選擧權を持たない、條件としては六月でありますが、實際は一年であり、一年半であると云ふことが往々にしてあるのであります、今御話のやうに今後改正される選擧名簿調製の方法が選擧行爲がある其の直前に拵へられると云ふことになりますると、それがまた多くの場合に半減すると思ふのでありまするが、先づ其の點を御尋ね申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=62
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063・郡祐一
○郡政府委員 同じく六箇月の期間を要しましても、六箇月の期間を規定致しましても、地方議會の選擧權に於きまする六箇月が居住の要件であり、衆議院議員選擧法に要します、規定して居りまする六箇月は、名簿の調製期間であると云ふ差のありますことは御承知の通りでありまするが、先程申上げました永久臺帳式に致します場合には、從來のやうな定時名簿の時のやうに、毎年一定の時期を捉へて、それから遡つて何箇月と云ふ考へ方は改めまして、選擧のあります前の時期に一定の縱覽をし、修正をし、確定を致しまするに要する期間を見まして、それに間に合ひます時期を押へて、それから遡つて何箇月と云ふ工合に考へることに、此の點は定時名簿とは違つた構想でものが決められなければ相成らぬと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=63
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064・小野眞次
○小野(眞)委員 それで大分私の意見に近付いたやうでありますが、繰返し是は御答辯を戴かなくとも結構ですが、私はまだそれでも政府が今考へていらつしやる選擧權擴張と云ふ御精神に反するものが、非常に大きいものがあると思ふのであります、私は町村の住民が六箇月も三月もと云ふ住居期間を置く必然は絶對にないと思ふのであります、本當に此處で生活すると云ふ者があれば、先程申しましたやうに、其の前日でも前々日來た者にでも選擧權を與へると云ふことにしたいと云ふ氣持を持つて居ります、是は又逐條審議の時にもう一度繰返して申上げますが、さう云ふ氣持を持つて居ると云ふことだけを此の際申上げて置きます
其の次は郡制を復活される御意思があるかどうかと云ふ問題であります、本會議の時に誰かが地方事務所の廢止を主張されたのに對しまして、此の委員會でもどなたか申されましたが、大臣は、地方事務所と云ふものは今日の政治情勢では之を廢止することは出來ないと云ふ、極く消極的な御言葉でございましたが、廢止の意思なしと云ふことははつきりした、私達稍稍意を強うするものがあつたのでございます、所が然らば今日のやうな現状では、今日の地方事務所と云ふものは存在の價値がないから、もつと之を強力なものにしたらどうかと云ふ質問に對しては、それは強力にすると云ふ意思もないのだと云ふ消極的な御意見であります、然らば更に現状の地方事務所を以て御滿足をしていらつしやるのでありますかと聽くと、それは滿足して居らないのだと云ふ御答辯であつた、全く是は私達大臣の御意思を酌むのに、諒解に苦しむのでありますが、現状の儘では滿足すべき状態でない、擴充する意見もなし、廢止する意見もないと云ふ御答辯であつた、私は、大臣の此の説明書にもあり、再三の御説明にもありましたやうに、今日の地方事務所はなければならぬものが多いと思ふのであります、大臣の御説明はそれは人に依るのだと云ふ御説明でございましたが、私はさう思はない、地方事務所は存在價値があるかどうかと云ふ問題は、人の問題もさることでありまするが、同時に其の地理的な環境が決定するものだと思ひます、地理的に考へて全然必要のないのを、唯通り一遍に拵へた所は成績が擧らないのでありまするし、地理的に考へて是非なければならぬ所に偶偶置いたものは、どんな者がやつても效果が擧つて居ると云ふ事實があると思ふのであります、さうした意味に於きまして私狹い範圍で能く考へまする時に、今日の大臣の説明のやうに、食糧問題から色々な配給、集荷と云つたやうな點を考へますると、今日の情勢に於て地方事務所は決して廢止どころでない、段々強化しなければならないのではないかと思ふのであります、中央集權か地方分權かと云ふ問題でございまするが、私は民主政治を徹底化すると云ふことは、中央集權から地方分權へ行くと云ふことが一番手取り早いと思ふのであります、是ははつきりしたことである、偖て其の中央集權を解いて地方分權にすると云ふことは、國の持つ、中央政府の持つ權力を各府縣に分けると云ふだけでなくして、各府縣に持つ色々の權利を、もつと小さな下部團體に分け與へると云ふことでなければならぬのであります、是も議論の餘地がない、偖てさうでありますならば、府縣廳が是から持つ所の色々の仕事を町村に與へるのでございまするが、併しながら町村では、さりとて統轄を必要としなければならない色々の仕事があるから、一切のものを町村へ町村へと云ふことも、是れ亦出來得ないものが相當澤山ある、さりとて縣では之を統轄してやるのに、餘りに區域が廣過ぎると云ふやうなことがございまして、私は大臣の御意思如何に拘らず、是からの政治情勢では、地方事務所の權限を段々擴大強化しなければならないことになるのではないかと思ふのであります、偖て私のさうした見透しを前提として考へまする時に、此の問も誰かが申されましたやうに、府縣が知事の公選に依つて完全な自治體に近付いて來た、町村は元からでありますが、益益自治的な體制が完備して來たと云ふことになつた時に、其の間に地方事務所と云ふ一つの官僚の足場が存在しまして、折角の地方自治と云ふものが此の處で亂される心配が起るのではないか、地方事務所の權限が擴張されればされるだけ、地方事務所の力が強くなれば強くなるだけ、さうした憂が段々と増して來るのではないかと思ふのであります、色々の見方もあるやうでございますが、私は郡制廢止と云ふことが地方分權から中央集權に持つて行く一つの過程であつたと思ふのであります、其の反對に今日中央集權から地方分權に持つて行く一つの道行と致しまして、此の際茲に一つの段階を拵へて、地方事務所單位の郡制を拵へて、そこに相當強い自治機關を設けると云ふことが、是からの政治を非常に圓滑に、「スムース」にやつて行く所以ではないかと思ふのでありますが、此の點に關する御當局の御意見を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=64
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065・大村清一
○大村國務大臣 今日の地方事務所は、現下の情勢と致しまして、制度上やはり必要なものだと考へて居る次第であります、唯地方事務所の仕事の運營振りに付きましては、世間に兎角の論議が相當盛んに行はれて居るのであります、是は固より制度其のものに對する論議もあることでありますが、又相當大きな部分が制度其のものよりも、其の運營の方法、運營に當つて居る人と云ふやうな點に繋つて居るものがあると思ふのであります、此の後の方の批判は、私共と致しまして十分傾聽致して、運營方法、又それに當つて居る人及び人の心構へと云ふやうなものに付きましては、十分改善をして行くと云ふ必要があらうと思ひます、殊に地方行政の民主化をやるに付きましては、此の邊に努力を集中する責任があると云ふやうに考へて居るのであります、唯地方事務所の將來に對しまして、私が今日消極的な考へを持つて居るやうだと云ふ御批判でありますが、それは其の通りだと思ふのであります、實は我が國の將來がどのやうな展開を致して行くかと云ふことは、今日直ちにはつきりと見透しを付ける譯には行兼ねるのであります、併し地方事務所が活躍を致して居りまする今日の面の一、二を捉へて見ますと、食糧の行政の面に於きましては、段々國民の努力に依りまして、今日の如き強權まで發動して食糧の供出をさせる、之を二合三勺と云ふやうな極めて乏しい量で配給を統制すると云ふやうなことは是は段々と緩和されて行くべきものであらうと思ふのであります、其の他の經濟行政の面に於きましても、戰災から全國民が起ち上りまして協力をして努力を致しまするならば、今日の如き緊迫したる状態は、漸次緩和されて行くであらう、是が何時の日になりまして、曾てございましたやうな大體自由經濟を基本と致しまして、國民の必需物資が極めて圓滑に自然に集荷配給されることになりますか、其の時日は豫測は困難でありますけれども、何時の日かさう云ふ時も來るのではないか、又來ることを國民は期待して居ると思ふのであります、さう云ふやうなことが豫想されますると、地方事務所の性格と云ふものに於きましては、餘程根本的な變革を加へなければならぬことに相成ると思ふ、現状に於きましては必要な機關でありますが、之を更に機能を大いに強化すると云ふことに付きましてはそれ等の點を考へ合せまして篤と考慮を要するのではないか、隨て直ちに地方事務所の機能を大いに強化すると云ふことは、少し危險ではないかと考へて居るのであります、尚ほ又それより進みまして地方分權の趣旨から申しまして、曾てございましたやうな郡制を復活すると云ふことも考へられることでありますけれども、併し郡制の存廢に付きましては、曾て我が國に於きましても地方行政の重大事項として論議せられました結果、遂に廢止致されたことであります、其の當時とは時世も違つて居ります、又今日に於きましては庶政民主化の要請のあることでありまして、是等の點から再檢討を加へなければならぬことではございますが、府縣と市町村との間に於きまして、更に曾てございました程度の一年の豫算が二萬圓とか三萬圓とか、是は今日の貨幣價値から見れば二十萬圓、三十萬圓になるでありませうが、其の程度の地方自治團體を作り、さうして其の後相當に機能に發展のあります所の管下の市町村を監督すると云ふやうな趣旨の郡役所を復活することは、餘程考慮を要する問題ではないかと思ひます、又府縣と町村との間に於きまして、中間機關を設置する必要ありや否やと云ふことは、戰災から復興して參りました今後の地方の實情に依りまして、是が大體自由經濟で運行が出來ると云ふやうなことが可能でありまするならば、其の中間的な無力な郡制を新たに作る必要も或はないのではなからうかと云ふやうなことが考へられるのでありまして、尚ほ此の問題に付きましては今後の推移と相應じまして、十分研究を致して見たいと考へて居る所であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=65
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066・小野眞次
○小野(眞)委員 今の問題は意見の相違でありますので、其の程度にして置きます、次は洵に詰らぬ問題のやうでありまするが、私は府縣とか町村とか云ふ區別を、此の際此の地方制度の改正の機會に撤廢したらどうかと思うのであります、手取早く申しますると、大阪、京都が府であるのに、兵庫、愛知がなぜ縣でなければならぬかと云ふ問題であります、京都と名古屋と比べ、兵庫と大阪と比べまして、一方が府であり、一方が縣であると云ふ理由は、私共どんなに考へても見出すことが出來ないのであります、此の際之をどつちか一つに纒めたらどうか、又府縣を別々にすると云ふことは數が少いから大した弊害はないのでございますが、町村を或は町と云ひ、或は村と區別を付けて置くと云ふこと、是は害は相當あつて利益は全くないやうに思ふのであります、三十年も四十年も前に拵へた名前を、今日までなぜ續けて置くかと云ふことを色々考へて見ましたが、結局えらい人からずつと下の方の人まで町村制々々々と言ふ、つい此の名前に騙されて、今日まで改革することを忘れて居つたのではないかとさへ思ふのであります、色々考へて見ますと、百萬或は二百萬、三百萬の大阪も大阪市であるし、私共の方に參りますと、三萬か四萬に足らぬ市もありますが、それも同じ市と云ふ名前で扱つて居る、如何に大きくても町と云ふのは二萬かそこら、小さい村と雖も二千や三千のものがありますのに、之を區別しなければならぬと云ふ理由は中々見當りにくいのであります、或は其の地域の關係、面積の廣さが之を決定するのかと考へて見ますると、面積の大きい村が非常に澤山ある、或は其の經濟力が之を決定して居るのかと思つて考へて見ますると、それはさうでない例が無數に存在するのであります、例へば私は和歌山縣ですが、和歌山縣廳が縣下の町村へ税金を賦課すると云ふ場合に、購買力のありさうな所は高くし、財的に貧弱な所を低くすると云ふことになりますると、さう云ふ標準で決めて見ますると、町より高く取らなければならぬ村が相當澤山出て來るのであります、さうすると、さう云つた方面でも之を區別することが出來ない、唯問題は、町長さんとか、或は町會議員さんとか云ふ人が、村會議員とか村長と言ふよりも感じが良いと云ふ位の所で、偶偶町長さんに村長さんと言つたら機嫌が惡い、其の程度の利益しかないやうに思ふのであります、私共寡聞にして何か外に特別の理由があるのかどうか知りませぬが、町村と云ふ區別を付けて置かなければならぬと云ふ特別の理由がありますれば御聽かせ願ひたい、若しないとすれば、此の際斯うした區別を止めまして、全部町民と云ふことにしたならば、新しい感じで──村の數約一萬と聞いて居りまするが、一萬に近い村の人達が、町民になつたと云ふ新しい氣分で自治を行ふと云ふ利益も相當大きいものがあるのではないかと思ひます、御意見を承ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=66
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067・郡祐一
○郡政府委員 新しい氣分に相成りますことも意味のあることと思ひますが、同時に又町村と申しますやうな、沿革的に古くからの歴史を持つて居りまする團體に付きましての名稱と云ふものは、努めて變へて參らない、市制施行と云ふやうなことが相當行はれて居りまするが、大部分のものに付きましては、古い傳統を成べく殘して參る、左樣な意味合に於きまして、既に存在して居ります區別を此の際撤廢すると云ふ必要もないのではないだらうか、仰せのやうに經濟的な事情とか、其の團體の能力とか云ふ點では、市町村の區別必ずしも其の通りには決して現はれて居りませぬで、殊に町と村とは、人口に於て町の方が村より多いと云ふ以外には、殆ど多くの區別の實體もないだらうと思ひます、唯村とか町とか云ふ其の團體の纏まりの感じ、是だけの問題だと思ひます、唯之を此の際一つにしてしまひますことも、さして大きい意味合もないではないだらうか、さうすれば今までの古い形と云ふものを置いて參つて宜しいではないだらうか、さうして又左樣なものには、餘り制度の切替りに伴ひまして紛淆を試みることも避けて參つた方が宜しいではないだらうか、大體そんな工合に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=67
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068・小野眞次
○小野(眞)委員 それもさう云ふ意見であれば已むを得ぬと思ひますけれども、私は繰返し申しますが、洵に馬鹿な區別でございまして、正直に申しますと、縣廳あたりで、町村を區別する爲に若い新米の吏員が、相當迷惑して居る事實が澤山あります、是は廢止することが、事務の進捗上から申しましても結構なことであると思ふのでありまして、廢止するとすれば、斯うした町村制の大改革を行ふ時期が適當でないかと思ふ、是は唯其の稱呼の問題であつて、洵に馬鹿らしいやうな、何でもないことのやうでありますが、相當大きな實質の伴ふものであると云ふことを申上げましては、もう一度御考へ願ひたいと思ひます
其の次は、政府に公職適否審査委員會と云ふものが出來て、色々審査すると云ふことでございまして、私此の點に關して、來る選擧のことに關係して御尋ね申上げたいと存じたのでございますが、委員長から、適當な機會に懇談會を開いて御話を承ることが適當だらうと云ふことでございましたので、何か特別な理由が存在することと思ひまして、此の點はさう云ふ機會に發言權を與へられると云ふことを條件にして、留保することに致します
それからあとは小さな問題でございまして、是は逐條審議の時に申上げても宜しいのでありますが、町村制第七十二條に規定してあります町村長の町村内の各種團體に對する指示權の問題であります、東條内閣の時の安藤内相の時に出來た權利でございまして、此の間どなたか申されましたやうに、東條さんが日本の凡ゆる仕事を自分一人で纏めてやつて行かうと云ふ考へを持つて居つた時代の産物でございますが、成程私は今日と雖も、此の町村長が指示權を持つと云ふことの必要は感ずるのであります、指示權がなければ町村内の綜合的の運營の出來ないと云ふこと、隨て指示權は町村長に與へて置くことが效果的であると思ふのでありますが、徒らに此の指示權を濫用するが爲に、町村内に相當の紛擾を來して居ると云ふ事實も、全國的にはどうか知りませぬが、私達の知る範圍では相當澤山存在するのであります、私はそれで此の指示權と云ふものの内容をもう少し檢討されて見たらどうか、一例を申しますと、指示權の行使は結構であるが、それには町村會の同意を必要とするとか云ふやうな程度の制限を加へて、町村長をして總體的の運營をやらせたらどうか、斯う云ふ意見を持つて居りますが、之に對する御意見を御聽き致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=68
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069・郡祐一
○郡政府委員 此の改正は仰せの通り十八年の改正でありますが、御話の中にございましたやうに、町村内の各種の施策を綜合的に運營して參ると云ふことは、今後愈愈必要に相成つて參りますので、自治それ自體が完全な形で運行されますことは、寧ろ望ましいことではないかと思ふのであります、相當濫用されて居ると云ふ御話でございましたが、又私共の見方に依りますと、何も町村制に依ります指示權を使つて呉れなくても宜しいのでありまして、もう少し取纏めの方に當つて呉れたら宜いのに、左樣な方に一向努力が致されて居らない町村もありまして、其の爲に町村内が積極的な運營が出來ないのではないかと云ふやうな節もありますし、何分數の多い町村のことでございますから、色々あると思ふのであります、只今の所、此の指示は町村長の職務權限と致しまして、色々な場合のあることでもありまするし、もう少し運用の經過に俟ちまして、其の都度町村會の同意を得ると云ふ所まで改める程度に只今立至つて居らないのではなからうか、寧ろ指示と云ふものは大小色々なことが考へられまするし、町村長の權限として、殊に町村民から直接選ばれる町村長でもありまするし、暫く現行法の状態に於て其の運用の結果に見て考へたいと思つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=69
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070・小野眞次
○小野(眞)委員 今日まで是の實際問題として、さう云ふ町村長が指示權を濫用したと云ふやうな場面に、内務省は打突からないのでございませうか、實際に町村長と町村内の各種團體長との間に立場を異にする場合、圓滿でない時には町村長の指示權の存在すると云ふことが、却て其の町村の發展を阻碍するやうなことになるものが相當あるのではないかと云ふ心配を持つて居るのでございますが、内務省ではさう云ふ實例を今日まで御聞きにならぬのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=70
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071・郡祐一
○郡政府委員 町村長の中には稀には不適當として解職を致しましたやうな町村長に付ては、其の町村長の存在が町村内の平和な發展に支障を來したと云ふやうな場合も見受けるのでありまするが、指示權がある爲に町村内の統制が害はれたと云ふやうなことは、餘り例がないやうに考へて居るのであります、町村の參與等が町村長を援け、或は協力し、或は牽制致し、さうしてそれ等の參與の協力に依つて指示權を行ひ得ると云ふ形が、最も理想的な形で指示が行はれるのでありますが、一方的に指示權を濫用する、指示權それ自體が町村自治の阻碍に相成つて居ると云ふやうな事態には、今までの所遭遇して居らないのであります、併し若し左樣な所がございましたならば、今後も御示しを戴きまして、よく其の實態に付ては調べ、又指圖することは致して參りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=71
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072・小野眞次
○小野(眞)委員 其の問題は其の位にして、其の次にもう一つ御尋ねしたいのであります、市町村制或は地方制度の改正が斷行されまして、洵に有難いことだと思ふのでありますが、それに附隨する勅令とか、省令と云ふやうなものがどんな形になつて現はれるかと云ふことを私達相當心配するのであります、町村制の場合、府縣制の場合、是は私經驗を持ちませぬが、他の法律に關しましては、私達の關係する總ての法律に關しましては、此の議會の協贊を經なければならない、法律は相當立派に出來て居りますが、勅令、省令に依つて相當歪められると云ふ事實が存在するやうに思ふのであります、若し出來ることでありますならば、さうしたものがどうせ近く改められると思ひますが、我々が之を審査する間に、さう云ふ現行案が出來るやうでありましたならば、一應拜見さして戴きたいと云ふ希望を持つのであります、何時頃其の案が出來上る豫定でございますか、それを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=72
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073・郡祐一
○郡政府委員 御手許に御配り致しました資材の中に、極く廣いものでありますが、命令に規定致しますべき事項を御届けしてあるかと存ずるのであります、御話の中にございましたやうに、地方制度は相當制度自體に綿密に書上げてありまするので、手續等に付て施行命令に讓つて居ります事項で、實質的なものはさう多くないと存ずるのでありますが、極めて簡單な要項は資料で御覽を戴きまして、又其の中の比較的重要なもの等に付ては、口頭で御説明申上げても宜しいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=73
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074・小野眞次
○小野(眞)委員 例へば唯一例を申しますと、選擧費用の關係の如きものであります、どう云ふ形になつて現はれるかと云ふことが、此の地方制度を考へる私達に取りまして、先に、同時に考へたいと思ふのであります、例へば衆議院議員の選擧に於きましても、在來のやうなやり方では選擧が出來ないと思ふのであります、府縣制を改正すれば、府縣會議員の選擧費用がどれだけに計算されるものであるかと云ふことが、私達は直ちに考へたい問題であります、さうした費用に關するものが近く出來るやうでありまするならば御發表願ひたいと思ひます、それは其の程度にして置きます
最後に、是は一緒に御尋ねして宜いと思ひますが、衆議院議員選擧人名簿等の臨時特例に關する法律案に關する問題であります、是は先程私申上げましたやうに、原則としてでも、六箇月と云ふ條件を必要としないと云ふ私の建前から考へまするならば、今囘の選擧の如きは無論是は必要ないと思ふのであります、併しながら先程御當局が説明されましたやうに、殆ど理由と云ふものはありませぬが、六箇月と云ふ期限を假に必要とするに致しましても、今囘の此の名簿には其の原則を復活する必要は毛頭ないのではないかと思ふのであります、御説明を見ますと「疎開者又は戰災に依る避難者に對して出來得る限り國政參與の機會を得させようとするものであつたのであります、併しながら終戰後相當の時日を經過した今日に於ては其の間の事情が一變したのみならず」と云ふのがございまして、其の事情が一變したと云ふことが、此の六箇月の條件を撤去しようと云ふ理由であり、更に又住居條件が名簿脱漏の主たる原因であつたと云ふことが、其の次の理由をなして居るやうであります、名簿脱漏の理由がそれであつたと云ふことを私先程申上げたのでございますが、更に終戰後相當の時日を經過した今日に於て、其の間の事情が一變したと云ふことを私達はまだ認識することが出來ないのであります、私和歌山に居るものでございますが、和歌山は終戰直前にやられたと云ふ關係もあつて、特別な現象であるかも知れませぬが、今日まだ復舊したと云ふ状態になつて居りませぬ、相當澤山避難した人が偶偶相當數戻つて居りましても、それは戻つてからまだ六箇月も、三箇月も、二箇月も經つて居ない人があるのでありまするし、況やまだ戻つて居ない、家が出來ない爲に、壕生活も出來ない爲に、あちらへ移り、こちらへ移りして居る人達もまだ相當澤山あるのでありまして、少くとも此の次の選擧だけは元の通りの條件でやることが公正でないかと思ふのでありますが、御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=74
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075・郡祐一
○郡政府委員 御説と反するやうでありますが、一般論と致しまして戰災者、疎開者等の住居異動も、昨年の名簿調整當時に比べましては、可なり安定した程度に相成つて居ると考へられますし、且つ職權調査主義で名簿調整の爲の法案の期間を要しませぬ前提の下に作成致します場合には、何と致しましても、脱漏は殆ど避け得ない状態に相成るのであります、脱漏だの二重登録の起りますことは非常に遺憾なことであり、又單なる申告主義を採りまするならば、只今の日本の國情に於きましては、何と申しましても、申告漏が數多く出て參ることが豫想されまするから、左樣に致しますと六箇月調査主義を原則に致し、其の結果名簿調製の爲の一定の期間、六箇月と云ふものは之を見ることに致しませぬと、完全な名簿調製にどうしても支障があるものだ、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=75
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076・小野眞次
○小野(眞)委員 それは一片の屁理窟だと思ひます、六箇月と云ふ期間を置かなければ名簿が出來ないと云ふ理由が何處にありますか、二箇月であつたらどう云ふ弊害がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=76
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077・郡祐一
○郡政府委員 從來の名簿調製に於きましても相當長い期間を掛けまして、さうして其の間に於きまする名簿調製期日までの──大都市に於きましては場合に依りますと、實は六箇月以前から調査を開始して居る場合もあるのであります、此の度の實際の問題と致しますると、只今から準備を致して、名簿の確定期日を九月の末に致すとか、十月の初めに致すとか致しますると、其の調査期間に完全な六箇月の期間と云ふものを、其の名簿調製自身の準備には使ふことは出來ませぬのでありまするが、併しながら名簿調製に住居期間を要せぬ場合、或は又六箇月を特例と致しまして二箇月に短縮致します場合、色々な特例を拵へますと云ふことは、却て事態の紛淆を來すと存ずるのであります、衆議院議員の選擧人名簿の調製の爲に六箇月の期間を設け、地方議員に六箇月の住居期間を必要とする、さう云ふことでありますれば、住居期間を全然要せないと云ふことにすれば格別でありますが、是が名簿を作る爲に必要だと云ふ考へ方を取りますならば、其の中間の期間を取りますよりも、早く原則に戻つた方が宜いのではないか、事務の取扱の問題が主になりまするが、其の點は餘りにも一箇月とか二箇月とか云ふやうな差別を設けることは避けて參りたい、早く原則に復歸致したい、斯樣な考へ方でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=77
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078・小野眞次
○小野(眞)委員 名簿作製と云ふ問題から考へますると、例へば私は十八條の──是は逐條審議の時に申上げますが、十八條の三に在來通り委員が其の申立を受けたる日より二十日以内に之を決定すべしと云ふやうな呑氣な規定を設けて居ります、是は二十日も十日も必要としませぬ、五日もあれば宜い、是は町村制の場合であります、其の他の場合でも技術的にはさう長い期間を必要としないと思ふ、私の經驗に依りますれば、六箇月も三箇月も必要としないと思ひます、併しながら今の御説明では、技術的にさう云ふ期間を必要とするのか、其の他或は特例を設けるとすれば全廢するか、或は中間の期間を設けるか、其の中間の期間を設けると云ふことが何の爲に惡いかと云ふ説明にはなつて居らないやうであります、私は之を六箇月と云ふ期間にするならば、今年の此の次に行はれる選擧には、あなた方が考へられて居るやうな名目的な選擧權の擴張は貰つて居るが、本當に選擧權を持ち得ない者が、相當澤山現實的に出來ると云ふことを憂へるのであります、其の點をもう一度御意見を聽かして戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=78
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079・郡祐一
○郡政府委員 前提が戰災に因ります人口異動が或る程度落著いた状態であるか、或は現に人口異動の状況が非常に激しいかと云ふことの、どちらの前提を取るかに依つて結果は違つて來ると思ひまするけれども、六箇月の期間と云ふものは衆議院の基本法に於きましても、又地方制度に於きましても既に定めた期間であります、私先程申しましたやうに疎開なり戰災の異動と云ふものが、或る程度落著したと云ふ前提を取りまするならば、それ等の基本の法律に於きまして必要として居りまする期間と同じ期間を要するだけでございます、是が權利の行使を阻碍すると云ふやうな結論になつて參らないのではなからうかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=79
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080・小野眞次
○小野(眞)委員 諄いやうですが、最後にもう一度伺ひます、私は只今申しましたやうに又相當澤山此の爲に選擧權を奪はれる者が出來るのではないかと思ふ、それがあなた方の實際問題に對する御認識の不足だと思ひます、或は最近になつてこちらに戻つて來て居つても、六箇月と云ふ期間を附せられる爲に、こちらでも選擧權を持ち得ないと云ふのが、相當澤山出來ると思ふ、假に元の通り戻つて居る人が百「パーセント」、百分の百あるに致しましても、其の中には戻つて來た土地で選擧權を持ち得ない者が相當澤山あると思ふ、寧ろ其の爲に慌て急いでやつた爲に脱落を生ずると云ふそれの方が、選擧權を喪失する數が少いのではないかと思ふ、さう云ふ意見を持つて居りますが、どうでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=80
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081・郡祐一
○郡政府委員 數の割合から申しますならば、或は御説のやうなことがあるかも分りませぬ、併しながら事柄の性質が違法状態に於て選擧權の行使を阻まれまする者、是が多いと云ふことは決して好ましいことではないと存ずるのでありまして、隨ひまして名簿の或る程度正確さを犧牲にして脱漏者が生じても速急に名簿を最近の状態で拵へてしまふ、昨年名簿を調製致しました主義、あれは昨年の一囘の調製だけに限つてしまひたい、斯う云ふ考へ方でありまして、數がどうなるかと云ふことに付きましては、手許にそれを現在比較したものを持つて居りませぬので、はつきり申上げ兼ねる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=81
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082・小野眞次
○小野(眞)委員 此の前は六ケ月の期間を撤廢すると云ふ特例を拵へた、其の精神を延長しますならば、今日之を二ヶ月にし、或は又、全部取つてしまひますれば結構でありますが、二ヶ月にし三ヶ月にすると云ふことは、それは決して其の人の權利を阻むものではないと思ふのであります、私は此の點に付て強く主張する者でありますが、後の方の關係もありますから、それは逐條審議の際にもう一度繰返して申上げることにして、質問は此の程度にして置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=82
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083・中島守利
○中島委員長 堤君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=83
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084・堤隆
○堤委員 私はたつた一問題であります、此の法案を拜見致しました時に、是は此の秋の地方選擧に間に合はさんが爲に必要な部分の改訂案を御出しになつた、斯う感じましたのであります、所が其の後大臣の説明を聽きますと、臨時のものでなくして、永久的なものであると云ふ風の考へ方の方が多いやうでありますが、他に是から後に公務員法も出ると言ひ又教育費法も出、地方財政の問題も段々と整備して來ますが、各方面が整備して來ました時に、完全なる地方制度として大幅の全體に亙つた改正をせらるる意圖があるのか、勿論今度改正しました所は是が中心になるでありませうけれども、まあ大體是から後は他の方と接觸する部分に止まつて、是れ位の所で此の法律はおさまるものと見られるのか、其の點を一つ承りたいと思ひます、それだけでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=84
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085・大村清一
○大村國務大臣 此の度御審議を願つて居りまする地方制度改正案が、將來どのやうな行き方をするだらうかと云ふ點に付きましては、先づ直ちに考へられますことは、新憲法が成立致しまして、例へば行政裁判所を廢めて、之を普通の民事裁判所の方で併せて裁判をすると云ふやうなことに制度が變りますれば、其の制度の變ります時に、直ちに其の部分の地方制度の條文は改正しなければならぬと云ふやうなことが、順次起つて來やうと思ひます、是は他の制度の改正に伴ひまして必然的に起る問題であります、併し根本的な問題に付て考へて見ますと、地方自治制度を民主主義化すると申しましても、是はやはり日本の現状に即した日本的なる進み方をしなければならぬと思ひます、何れ憲法草案も確定致し、又國民が民主主義政治の運營に慣れて來る、訓練されて行くと云ふことになりますと、民主主義が發展致しまして、一層日本に民主政治が成長して參りますれば、其の成長しました民主政治に合ふやうに、地方制度と云ふ著物も改めて行く必要が必ず起つて來やうと思ひます、隨て今日御審議を願つて居りまして、今日の世情に合ひます所の地方制度其のものは、地方自治行政の民主主義化が進むに從ひまして、更にそれに合ふやうな新しい著物にしなければならぬと云ふ時期があるものと思ひます、又私は日本の民主主義政治の發展の爲に、其のやうな時が成べく早く來ることを期待するものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=85
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086・堤隆
○堤委員 早く來ることを期待致しますることは、大臣も私も同じことであるけれども、心持に於きまして大臣はさう云ふ時期が中々來ぬと云ふ顏付きでいらつしやる、私は日本の國の民主化は、最早大臣や内務官僚の方々の御考へになつて居るよりももつと急激な勢ひを以て、既にこんな法案を乘越へて進んで居る、後から追つ掛け追つ掛け法律を作つて行くと云ふやうな態度ぢやないか、是は見解の相違でありまして、どうも少し固執するやうでありますが、之を長いこと申上げると甚だ厄介でありますから、此の法案に對して大臣の氣持ちを忖度致しまして質問は致しませぬ、全體日本の國の最もいかめしい憲法ですら口語體になつて居ります、然るに今次の關係法案は一部の改正とは申して居られますが、其の條章は半ばに亙り、其の内容は大臣に於きましては殆ど未曾有の變革と抑しやつていらつしやる位なのに、何でもない問題でありますけれども、何故文語體を口語體に書改められなかつたか、地方制度は國民生活に最も身近なものでありますが、故に最も分り易いやうに口語體で皆に分るやうにして下さることが御親切なことではないか、もう一つは人心を新たにする上に於きまして口語體の新文體を使はしたらどうか、もう一つは法文を統一する點に於て、從來のやうな漢文口調の法文體は我々平民には中々分りにくい、だから是からよう分る口語體でやつて戴きたい、さうすると口語體でない法律は昔の法律である、改正前の法律である、口語體の法律は改正濟みの法律と云ふことになつて來ますが、此の點は如何なものでありますか、今直ぐに之を作る暇がないと仰しやるならば、此の次の議會までに書改められる意圖はないか、先づ第一に此の點を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=86
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087・郡祐一
○郡政府委員 文體につきましては全文書卸して改正する時には口語體、一部の改正をする時には、從來と同じやうな形で文語體と云ふ一應の約束の下に諸般の準備を致しましたので、仰せのやうに地方制度の如きは口語體であることが非常に望ましい種類の法律でありますが、只今申しましたやうな法律提案の約束に依りまして、一部改正の形で致しましたが爲に、勢ひ文語體に相成つた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=87
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088・堤隆
○堤委員 そんな約束は政府の中では御勝手になすつたか知りませぬが、國民は何等さう云ふ約束に携はつて居りませぬ、法律の對象は國民であります、政府御自身の御便利などと云ふことは此の際に於ては固苦しい所の御議論であると思ひます、どうぞ内輪の話ではなくて、皆によう分るやうに御直しになることは出來ませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=88
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089・郡祐一
○郡政府委員 此の度のは地方制度に付きましては、私共と致しましては可なりに大規模な實質的な改革を御願ひしたのであります、此の次の議會に準備が出來るかどうか、無論他に色々の準備があります爲に困難かと存じますが、地方制度を或は集大成致しまして、一本の地方自治法と云ふやうなものが出來上るのが寧ろ便宜ではないだらうか、御話のやうに國民或は實際の住民に親しみ易い法律に致しまするが爲に、左樣な制度の上の改正も是非望ましいことと思つて居ります、之に付ては十分準備致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=89
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090・堤隆
○堤委員 私はそれを先に申したのであります、纒めてやれば宜いと言ふが、改正と云ふことを前に置いておけば話も餘りに固くならぬのぢやないか、形の改正もやはり改正であります、形を改めて内容もちやんと改まれば、それで諒解致します、どうぞ成べく早く御願ひ致します
それから其の後も何でもない問題ですが、近くさう云ふ時期になるのだから選擧も一つ統一なさつたらどうか、是は選擧の件でありますが、府縣會議員選擧が次に起つて、其の次に市町村會議員選擧が起り、それから知事の選擧、參議院の選擧がある、さうすると選擧年には五つの總選擧が行はれる譯であります、民主主義の訓練をすると云ふ點に於きまして、ここ數年間は選擧の囘數は多々益益可なりでありませうが、日本國民と致しまして、四年目毎に年五囘の總選擧をやらされると云ふ事柄は隨分面倒なことであり、且つ實際に於て年五囘の總選擧は眞面目に行はれるか否かは大きな問題と思ひます、此の點に於きましては所謂次の制度の改正の時に、選擧を纏めると云ふことを御考へに入れて戴くことが出來るや否や、如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=90
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091・郡祐一
○郡政府委員 選擧を合同して行ひますることはどうしても考へなければ相成らぬ問題だと思つて居ります、但し之を致します爲には、現在は色々な選擧が、微細な點ではありまするが、相當度々手續が違つて居ります、成べく簡易な方法に手續を統一致しまして、而も選擧民が誤解の爲に誤つた投票を致しませぬやうに組立てなければ相成らぬのであります、隨ひまして當時に於きまする選擧民の選擧に對する理解の程度等も勘案致しまして、最も適當な方法を考へたいものだと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=91
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092・堤隆
○堤委員 是はお互に政治に關係致しまする者が能く其のことを心掛けてやりますれば、私は今次の秋の選擧を四五囘行ひますれば大體通ずるものと思つて居ります、そんなに難かしいものぢやないのであります、現在日本の國に於きましては、政府當路者が選擧と云ふものを非常に難かしく考へ過ぎていらつしやるのであります、選擧なんてそんなに難かしいものぢやありませぬ、細かしい規則を拵へて、成べく引掛るやうなことをやるから選擧は難かしいことになる、實際問題はそんな問題ぢやない、現在「デモクラシー」と云ふものはそんなに難かしいものぢやない、難かしいのは所謂「カタクルシー」でありまして、是は「デモクラシー」ではないのであります、だからもつと選擧を愉快に、本當に權利を伸張するやうにして、纒めて有效な方向に進むやうに、全部が協力するやうにしたいと思ひます、是は希望であります
次に同じく選擧に關係したことでありますが、今度新しい試みと致しまして選擧管理委員會と云ふものを置かれる、今までは府縣知事以下市町村長が責任者であつたのを、今度は選擧管理委員會と云ふものに持つて行かれた、是は私は新しい制度でありますから良いか惡いかと云ふことに付ては考へて居るのではありませぬが、併し縣知事なり市町村長なりが、選擧の當事者であると云ふことから、選擧委員會を置くと云ふ御説明でありますが、さうであれば自分の選擧の時には他に委託し得る方法を講じて、やはり責任者を責任者として置くと云ふことも考へてはどうか、選擧管理委員會と云ふものの委員は、選擧に關係のない者である、さうして此の事柄は相當練達を要することでありますから、私は二年毎に更迭して行つても大體重複する場合が多いと思ふ、さうなつて來ますと茲に選擧に最も練達した所の、而も選擧の外に立ち得るやうな一團が出來て來ると思ふ、是は軈て選擧に於ける一つの弊害の中心となることの虞のあることを憂へるのであります、此の點に於きまして内務諸公は、何等選擧の一つの弊害に陷るやうな心配のないと云ふ確信ありや否やの問題であります、是は前途の問題でありますから唯其の問題に於て、十分に取締ることが出來ると云ふ確信を持つて、此の制度を御立てになつたかどうかと云ふ問題であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=92
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093・郡祐一
○郡政府委員 選擧管理委員が扱ひまするのは、選擧の管理事務の大網を決定し、運用致すことでございまして、是は取締などと違ひまして手心を加へるとか、便宜供與とか云ふことの不可能な種類のものでありますので、其の點に付ての弊害が──假に選擧管理委員を相當長くやります者が、選擧の結果出來ましても、弊害は事柄として左樣に著しくは起らないのではないだらうか、併し一方に於きましては選擧管理委員に付きましては、衆議院議員選擧法の準用に依りまして、相當重い罰則も付けてあります、一方に於きましては弊害の生ずるやうなことに付て法律の上の強制も加へて參りたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=93
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094・堤隆
○堤委員 勿論さうであります、唯直接の關係者である知事なり市町村長に對しては、直接に責任を問ふ機會があるのであります、併し自分達の議會で選擧致しました選擧管理委員は、責任を問うて見た所で暖簾に腕押しの感じがあります、私は一寸責任囘避の出來るやうな、拔け道があるやうな感じが致します、併し是は感じの問題でありまして、新しい制度だからまあやつたら無事に行けさうな氣もするが、一面に何やら心配がある、あなた方は心配なくそれが行けると、肚のどん底から信じていらつしやるか、或は私の言ふやうな多少の心配を持つて居るかと云ふ點の問題だけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=94
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095・郡祐一
○郡政府委員 事柄の扱ひとしましては、先づ先づ心配はなからうと思つて居ります、併し人間の致すことでありますから、中には故意にそれを使ふ者も起らぬとは斷言出來ませぬ、隨ひまして其の場合には之に關します峻嚴なる罰則の發動を期待したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=95
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096・堤隆
○堤委員 それは其の程度に止めて置きませう、それから一番最後に又知事の官公吏問題であります、是はもう十分皆樣方に於て論ぜられましたので、私は知事が官使であると云ふことに付ての缺點を一つ擧げて聽きたいと思ふのであります、全體官吏は任免黜陟の權利が其の上司にあるのに、知事に於ては任免權は政府にないのであります、さう云ふ官吏と云ふものは官吏としては隨分とんちんかんなものである、其のとんちんかんな不完全な官吏を認めたと云ふことは、内務大臣としては、今日までの官吏道に於ては隨分思ひ切つた處置である、洵に御尤もであります、尤もであるが、さう云ふものを認めると云ふことは、官吏を取扱つて行くと云ふ上に於てどうか
もう一つは將來政黨政治が發達して來るが、中央に勢力を持つ所の政黨が地方に於ても勢力を持つから、知事と中央との間の摩擦は大した心配はないと云ふ風に説明せられたやうに思ひます、併し是は間違つて居る場合があり得るのであります、なぜかと申しますれば、政黨の勢力と云ふものは必ずしも日本一面に同樣には行かないので、或る縣に於きましてはA政黨が勢力を占め、或る府縣に於てはB政黨が勢力を占めることは何處でもあり得るのであります、而も政黨が發達して行きますれば、地方に於ける所の實勢力は今日以上に強化されることは當然であります、而も強化された時に於て、若し地方と地方と違つた政黨が勢力を占めますれば、そこに初めて本當に深刻な所謂政黨の爭ひが起つて來るのであります、さうした場合に於ける官吏としての知事の立場、内務大臣はA政黨に屬して居る、A政黨が政權を取つて居る、而も一方の地方に於てはB政黨の知事である、而も其處に於ては縣會もB政黨が勢力を持つて居ると云ふ場合に於ける官吏としての知事の立場は、相當苦しい立場に立ちはしないかと云ふ點が一つあります
それからもう一つは選擧に依つて就任した者と、採用に依つて禄に就いた者とでは、根本的に心構へが違ふのであります、選擧に依つて就任します者は所謂選擧に依つて就任したので、假令如何なる高禄を食んで禄に依つて就いた者とでは全然心持が違ふ、日本に於ては從來官尊民卑の思想が相當強いものでありますから、今日に於ては所謂禄にありつくと云ふ所に得意を感ずる人達もありますけれども、是はもう暫くすれば清算されて、選擧に依つて就任する所の地位と云ふものが、如何に尊いものであるかと云ふことを痛切に感ずる時期が出て來ると私は信ずるのであります、さうして選擧に依つて當選した所の知事は其の責任あり、名譽あり、誇りある所の地位としての知事が禄を食むと云ふことに對しては餘り快しと致しませぬ、さう云ふ人間の性格的な事柄に對する難色を、全體官吏としての地位にどう云ふ風に調和をして行くか、其の他法律上の問題に於きましては、最前小野さんが御尋ねになりましたので能く分ります、御困りの點もあらうかと思ひます、時々大臣は「アメリカ」に於ては官公吏の問題は問題にならないと仰しやる、是は問題にならぬのが當り前です、「アメリカ」に於きましては合衆國から金を貰つたら合衆國の官吏、府縣から金を貰つたら府縣の官吏、こんなことは分り切つた話であります、それから公吏は公吏でも一遍選擧されて、さうして他の方から買はれて他の方から俸給を貰ふ、それは「アメリカ」人の常識が許さない、さう云ふ馬鹿なことは「アメリカ」人は考へても見ないことであります、所が「アメリカ」に於きましても、事實に於て公吏が官吏の職務を取扱はなくてはならない場合がある、さう云ふ場合に如何なる處置を執るかと云ふと、何々と云ふいかめしい命令を出す、但し年俸金一弗、日本の内務當局は、選擧に依る所の知事に對して年俸金一弗なりと云ふ官吏の辭令を出し得るだけの雅量ありや否や、私はそれまでおさばけなさいますならば、是は官吏でも公吏でも何でもないと思ひます、併し官吏の知事の俸給は幾ら幾ら其の性格上當然足りないけれども、一年の俸給はやらなければならぬと云ふ風の事柄であつては、事實に於て知事に優良なる人物を得ると云ふ點に於て困難であります、「アメリカ」に於て問題にならないと云ふことを仰しやるならば「アメリカ」の官公吏に對するだけの考へ方を内務當局御持ちになることが私は必要だと思ふ、さう云つた場合に於ける所謂官吏としての知事の困難を、どう云ふ風に打開して行かれるだらうか、調和して行かれるだらうか、知事を官吏にせられると云ふことを主張なさるが、如何かと實は御心配を申上げて居るのですが、如何なものでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=96
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097・大村清一
○大村國務大臣 知事の屬して居る政黨と、それから中央政權を持つて居ります政黨とが多くの場合に於ては一致するだらうと思ひますが、併し少數の場合に於きましては一致しない場合が起ると思ひます、是は政黨政治、民主政治が發展して行きます場合に於きまして、必然の現象だと思ふのであります、而して是等の相反するやうな問題が起きました場合に於きましては、是は所謂公黨的立場に於きまして、良知と寛容に依つて其の間を運營して行くと云ふことが當然のことでありまして、又日本の民主政治の發展過程に於きましては、さう云ふやうな良習が漸次打立てて行かれるものと、大なる期待を掛けて居る次第であります
次に、「アメリカ」の制度を御引用になりまして御尋ねがあつたのでありまするが、我が國の地方政治、民主政治の發展も段々と其のやうに進んで行くべきものだと思ふのであります、又來るべき公務員法の立案の場合に於きましても、それ等の給與の問題に付きましても十分考究を致して見たいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=97
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098・堤隆
○堤委員 大臣閣下の御氣持は能く分ります、さう云ふ風に雅量と寛大とを以てやつて行く、やつて行かなくてはならないのであります、やつて行くより外に方法はないのであります、併しさうしますことが、官吏として知事を御して行く、官吏の「カテゴリー」の中へ入れて行くと云ふことは、隨分無理な問題だと思ふ、それよりは只今の所は寧ろ公吏にして置いた方が樂ではないかと思ふ、官吏と公吏の問題は私はもう質問致しませぬ、是は委員長に御願ひしたいのでありますが、此の問題は行著く所まで行著いて居りますから、一遍懇談會か何か、特殊な機會を持ちまして、それで御相談願へれば非常な仕合せだと思ひます、私はさう云ふ機會が與へられますならば、私の質問は此の程度で打切つて宜いと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=98
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099・内海安吉
○内海委員 議事進行に付て──只今御質問の中に、地方制度の改正せられたる條文に付て我々平民議員には此の文體、文章には分らないと云ふ言葉を仰せられたのであります、苟くも議員として此の地方制度の改正の審議に臨まれる以上は、此の府縣制位なものが分らぬと云ふのでは、私は議員其の人自らが變てこな言葉になつて居るのか、それとも我々全體に向つて言はれるのであるか、一應釋明を聽きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=99
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100・堤隆
○堤委員 釋明致します、それは私如き者には分りにくいと申しましたことでございまして、若し何でございましたらさう云ふ風の意味に御諒解を願ひたい、私實は此處で申しますが、私は今まで法律と云ふやうなものは未だ曾て見たことがないやうな男でございまして、若し法律をまるで知らないで代議士に出たと云ふことでは、代議士の資格がないと云ふことを仰しやられれば別でございますけれども、是から大いに勉強させて戴かうと思つて居つたのであります、隨て私如き、平民の者には分りにくいと、斯う申したのであります、決して全體の議員の方々にどうと云ふやうな大それたことを考へて居つた譯ではないのであります、御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=100
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101・中島守利
○中島委員長 それで宜いでせう──小池君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=101
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102・小池新太郎
○小池(新)委員 私は主として内務御當局に對しまして御尋ねを致したいのであります、少し大藏關係、又文部省の關係もございますが、些細な問題でございます、主として内務省の方で結構であります
第一に御尋ね申上げますのは、此の地方制度の改正案は、民主化の強化を圖る根本の法案であるのであります、去る委員會に於きまして大矢委員の時期尚早論が出たのであります、之に對しまして大村大臣は、新憲法實施の上は第二段の地方制度改正を行つて、一層民主化の徹底を圖ると云ふことも考へて居ると云ふやうな御答辯であつたのであります、斯う致しますると、何だか本案は十分なるものでない、幾分杜撰な法案のやうに考へられても致し方ないと思ふのであります、我々本臨時議會に於きましては、國民が注視の的と致して居りますることは第一に憲法草案、第二は地方制度の改正案と思ふのであります、此の大切なる地方制度が提案者に於て直ちに第二段改正を必要とせられるやうな御答辯の要旨が、新聞紙上等に見受けられますることは、國民は洵に不安を感ずることと思ふのであります、我々は十分此の暑さにも眞劍味を以て、此の法案の討議を致さねばならぬのでありまするが、斯樣の不安を感じさせるやうな法案でありまするならば、急ぐことなく、新憲法施行後に、全く新たなる觀點から十分御研究を重ねて戴きまして、さうして御提案になる方が國民に對する責務ではないか、斯樣に考へまするので、一應大臣の御所見を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=102
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103・大村清一
○大村國務大臣 今日の我が國の政治の民主化の要請から考へまして、只今御審議を仰いで居ります所の地方制度の改正案は、必要なるものは大綱に於きましては漏れなく、又今日の現段階に適應すると云ふ確信の下に提案を致したものでありまして、間に合はせの暫定的のものだと云ふやうな氣持は持つて居りませぬ、唯堤委員の御質疑の際にも御答へ申上げました通り、附隨的な問題と致しまして、新憲法草案が成立しました曉に於て、例へば行政裁判所等の制度が改められると云ふことに伴ひましての附隨的改正は、最近の機會に於ても之を致すと云ふことがあり得ると思ふのであります、併し是は極めて派生的な問題でありまして、地方制度民主化の大筋の所には、其のやうな變更を要するやうなことはないと信じて居ります、尚ほ堤委員の御質問の時にも御答へ致しました通り、日本の民主化が漸次發展生長して行きます遠き將來を考へますと、今日の現状に即應して居りまする制度が更に發展生長すると云ふ必要の時になりましたならば、それは根本的のものも改正する時期があるであらう、是は併し此のやうな事態が展開した時のことであります、此のやうなことのない限りは、現状に於ては相當確信を持つた案でありまして、間に合はせ、暫定的なものではないのであります、若し今までの私の答辯の中に其のやうな御尋ねになりましたやうな御疑念が起ります節がありますと致しましたならば、どうか只今申上げた次第に御諒解を願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=103
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104・小池新太郎
○小池(新)委員 只今の御答辯に依りまして大臣の御心中は察知出來る、併しながら新聞紙上には、私が今申上げたやうな記事が載つて居つたのであります、此の記事の如きは、此の大切なる地方制度改正案に對して、國民が疑惑を挟む氣持が生ずると私は考へるのであります、其の點を私御伺ひ致したのでありまするが、いつかの時期に於かれまして、之を只今の御答辯のやうな方向に、紙上を通じて御發表下さることが非常に宜いことと私は考へます其のやうに一つ御願ひが致したいのであります
次に御尋ね致したいのでございまするが、大臣の本案提案の趣旨を御説明書に依つて拜見致しますると、地方自治團體に自治本來の發動を容易ならしむる爲め、從來の如き國家的干渉を拂拭して、監督官廳として此の權能を大幅に制して、地方自治體の自立性を尊重、自主的活動を活溌ならしむとのことであります、斯く相成りまするなれば、地方自治の向上に一大飛躍を齎すことは言を俟たないのでありまして、洵に喜ばしきことでございまするが、併しながら地方自治の發達は必ず財政の強化を伴ふのであります、未だ地方税の税制改正案の御提案がないのでありまして、今日では御推測も出來ないのでありまするが、現在のやうな貧弱なる地方財政に於きましては、折角の民主主義の發足も、其の實體に副ふことが出來ないことを、我々町村長を致して居りました實例に依りましても不安に思ふのであります、でありますから、財政の確立をも十分に具備せしめて戴かなければ、折角の御親切は無になることと私は思ふのであります、恒久財源であります所の地租家屋税と云ふやうなものを、是非委讓をして戴くやうな方法に御考へが願ひたい、更に課税上に非常な弊害となつて居りまする遊興飮食税であります、是は現在に於きましては相當の財源となつて居りまするが、其の間には非常な不正を見るのであります、斯う云ふやうなものは實體を能く承知致します地方機關に委讓せられる方が適當と私は考へるのであります、此の意味に於きまして大藏當局が御出席でないので、先づ内務當局より財源を豐富にして戴く御意思がありますか、御答辯を得たい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=104
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105・大村清一
○大村國務大臣 地方制度を改正致しまして、地方公共團體に自主性と自立性とを擴充強化すると云ふことに致したのでありまするが、是は所謂法律上のことでありまして、形の上のことであります、之に財政上の裏打がなくては、實が之に伴はなくては、其の自主性、自立性と云ふものも繪に描いた餅に過ぎないと云ふ御趣旨の御質問であります、全く御同感であります、故に今囘の地方制度の改正に伴ひまして、地方の財政税制もそれに即應するやうな改正を當然致さなければならないと云ふ譯で、私共此の點に十分注意を拂ひ努力を致して居るのであります、唯御承知の通り、我が國社會の經濟の窮迫状態から致しまして、國と云はず、地方と云はず、財政上中々難局でありまして、只今も申上げました線に沿うて財政税制を改革致すと致しましても、中々思ふやうに行き兼ねて居るのであります、併し現在の状態に立脚致しまして、可能なる最大限度のことは取計らつた積りで居るのであります、其の成果に付きましては、近く國の豫算及び財政税制諸案が議會に提案される筈でありまするが、地方財政税制もそれに多大の關聯を持つて居りますから、其の政府諸案の提案をすると同時に提案を致しまして、各位の御審議を乞ふ手筈になつて居ります、其の重大なる點を申しますると、市町村に對しましては、其の住民税の賦課限度を大幅に擴張したことであります、大體一戸四十圓平均と云ふやうに考へて居ります、尚ほ府縣に對しましては新たに府縣民税を設けることに致しまして、其の賦課限度は一戸平均六十圓と云ふことに致しました、之に依りまして相當多額の自主的財源が生れて來る筈であります、それから尚ほ今囘政府は地租、家屋税、營業税、此の三國税に於きまして相當大幅の増税を致して居ります、それに附加税を地方に於て課けると云ふことになりますと、其の點の増收もあり、其の他に更に地方税の賦課率に於きましても大幅なる増率を認めまして、此の三國税の附加税收入に於きましても相當の増收が圖れると云ふことに致しました、尚ほ現在は市町村に於きまして獨立税を課けることが出來ることになつて居りますが、府縣に於きましては法定内の獨立税は認めて居ります、法定外は認めてなかつたのでありますが、府縣に於きましては法定外の獨立税も廣く之を起すことが出來ると云ふことに致しまして、さうして國税の面に於きましてはさう云ふ廣い範圍に亙つて居りませぬが、何がしか國税の課税を廢止するものがあります、其の廢止しました場合に於きましては府縣、市町村に於きまして、そこに獨立税を起す餘地も出來ることであります、今後國家財政の建直りに伴ひまして、戰時中に無暗に國税に掻集めました税種は漸次整理されることと思ひますが、それ等の獨立税を殆ど起し得ることに致しまして、地方の財政の自主性を、其の點に於ても囘復せしめると云ふ方圖を講ずる積りであります、其のやうなことに依りまして、大體地方財政上の總需要それからそれに振向く所の地方財政上の總財源と云ふものを睨み合せまして、其の不足する分は大藏省との交渉に依りまして分與税の大幅なる増額を致しまして、昭和二十一年度に於きましては、兎も角も地方財政需要を充し得ると云ふ結論に達して居る譯であります、併し此のやうな財政經濟上の緊迫状況でありますので、それ等の財政需要と申しましても、是はたつぷりした餘裕あるものを計算することにはなつて居りませぬ、餘程切詰めたものであります故に、二十一年度地方財政の切盛りと云ふことは、相當窮屈なことを豫想せらるるのであります、唯只今申上げました府縣民税市町村民税、或は三國税の附加税と云ふものに對しましては、別に必要に依りましては制限外課税も認めてありますので、地方團體に依りましては或る程度の餘裕財源が、其の制限外課税に依つて生み出すことが出來ると云ふやうなこともあらうと思ひます、併し之を大觀致しますると、二十一年度の地方財政の切盛りは極めて窮屈なことは是は已むを得ないことと思ひます、併し地方税制財政の將來の行き方に付きましては、今度の改革に依りまして其の方向、道は付け得たものと思ひます、今後我が國經濟の建直りに順應致しまして──今囘の地方財政税制の改正は是は應急的のものでありまするが、今後の我が國財政經濟の建直りに伴ひまして、更に國税の改正とも相順應致しまして、第二段の改正を餘り遠くない時期に於きまして致さなければならぬ、是は地方制度の場合とは事情が違ひまして、地方財政税制の二十一年度案は應急案であります、恆久的なものはもう少し財政經濟の見透しの付きます時に、根本的に研究立案するの已むなき事情にあるのであります、大體其のやうな次第でありまするから、何れ又提案の際に於きましては、もう少し具體的に御説明を申上げる機會があらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=105
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106・小池新太郎
○小池(新)委員 只今の御説明でよく諒解致したのでありますが、御願ひを致して置きます、大體附加税と云ふやうなものは一定の決まつたものでないのであります、自治體に於きましては恆久性の財源を要望して居るのであります、どうか今後十分其の方面に努力を御願ひ致したいと思ひます
次に又知事の問題で言ふやうでありますが、是は簡單に申上げます、憲法草案の第八十九條には、後段に「地方公共團體の長、その議會の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共團體の住民が、直接これを選擧する。」斯うありまして、更に九十五條には「天皇又は攝政及び國務大臣、國會議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」斯樣に掲げてあるのであります、住民が選擧致しましたものは公吏であります、便宜知事が官吏となつて居ると云ふことは、現憲法に依りましては違憲でないのでありませうが、新憲法施行後に於ては違憲であらうと私は考へるのであります、新憲法實施後に官吏を免じて公吏とせらるる御意思がありますか、御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=106
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107・大村清一
○大村國務大臣 現在の改正案に執つて居りまするやり方、即ち公選知事を官吏にすると云ふ點は、新憲法施行後も何等差支へない見解でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=107
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108・小池新太郎
○小池(新)委員 私は尊重して義務を負はねばならぬと云ふことから見ますると、確かに違憲でないかと──こちらが十分研究を致して居りませぬで分りませぬが、憲法の條章から言ひましたら、確かに違憲ぢやないかと考へて御尋ねした次第でありますが、私の方も十分研究致しまして、又次の機會に御尋ね致すことに致します
次の問題であります、地方事務所の問題に付きまして過日伊藤氏の質問に對しまして、大臣は御答辯になつて居りまするが、現在の地方事務所は、配給等の部面には相當圓滑に行つて居るからして廢止をする意思がないと云ふやうな御答へでありました、尤も地方事務所が主となつて其の事務には當つて居られるのでありまするが、此の供出部面に對しましては、町村長會とか又は農業會と云ふ會が、非常に内助の功を奏して居るのであります、到底斯樣な會の内助がなくして地方事務所に於て供出を完全にすると云ふやうなことが出來ないことは、我々地方に居りまする者が十分承知致して居るのであります、此の地方事務所は、本日も大臣は廢止する氣もなし、又之を前の郡制當時の郡役所時代の權限を與へて、十分其の活動をさせると云ふやうな御意思もないやうであります、併しながら大臣なんかは我々の如き山間僻地のことは事情を御存知ないのだらうと私は思ふのであります、縣廳に參りますると致しましても往復四日も、五日も、六日も掛らねば用達しが出來ないと云ふやうな現状にありまする町村と致しまして、地方事務所を置かれるならば今少しく所長以下有能な陣容を整へられ、さうして大幅の權限を與へられて、地方公民の利便を主眼として戴くのが民主政治の徹底であらうと私は考へるのであります、現在の地方事務所は主として供出部面に當つて居ると云ふやうな現状でありまして、洵に薄弱であります、今大臣が御答辯になりましたやうな、どうでも宜い、強化もせないと云ふやうな御意思なれば之を廢止して戴くか、さなくばもう少し鞏固なるものにして戴いて、地方のことを御考へ下さることが急務であると私は考へるのであります、一應御考へ直しを願へないものか御意見を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=108
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109・大村清一
○大村國務大臣 地方事務所は御承知の通り戰時中に於きまして設置をされ、さうして戰時中の地方の行政の實際上の要求に基きまして、運營がされて來て居るのであります、而して地方事務所が機能を發揮します上に付きましては、御話の如く管内の町村長會、又は民間團體の絶大なる御協力に依りまして、能く其の機能を果して來たのでありまして、此の點に付きましては、それ等の協力されました方面に對しまして、私共多大の敬意を拂ふものであります、終戰に相成りましたが、我が國の現状はまだ戰時中の統制とは異つた意味に於きまして、諸般の統制を繼續せざるを得ない已むを得ざる實情にあるのでありまして、此の現段階に於きまして、一擧にして地方事務所を廢止をすると云ふことは、到底やり難いと思ふのであります、併し此の地方事務所の問題に付きましては、一面に於きまして之を廢止すべしと云ふやうな議論も段々あることであります、今後の地方事務所の成行きに付きましては、情勢の推移と、又世論に聽きまして、能く考へて見なければならぬ事項だと思ふのであります、唯地方事務所を此の際廢さないで存續をして置くと云ふ限に於きましては、現在の地方事務所の機能を更に有効適切ならしむる上に、其の組織に於きまして、其の運營方法に於きまして、又此の運營に當る其の人に宜しきを得ると云ふ努力は、固より致さなければならぬことでありまして、是等の點に付きましては、只今御注意のありました點を十分念頭に置きまして善處する積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=109
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110・小池新太郎
○小池(新)委員 我々の如き山間に於きましては、現在の交通上非常に不便を感じて居るのでありまして、今説明の通り十分な御心配を御願ひ致したいと思ふのであります
次に御尋ね致したいのは、府縣會議員の選擧に當りまして、選出議員の偏在の弊を防止せられる御考へはないか、之を御尋ね致したいのであります、即ち改正法案の如く地方事務所長、若しくは支廳長の管轄區域を選擧區と致しますれば、人口密集の地であつて、有權者が多數ある地域から立候補した者が、總て金的を射ると云ふやうな状態になつて居るのであります、同一府縣内に於きましても、産業、經濟、何れに於ても固有性を持つて居りますることは御承知の通りでありまして、事情に通じた者が、即ち各郡からそれぞれ選出を致しましたる者が縣會議員として參加することが、一番適切であると思ふのであります、斯う云ふ建前から致しまして、選擧區は郡を區域とすると云ふことが最も適切なことと信ずるのであります、此のやうな方向に現在御提出になつて居りまするものを改正して戴けます御意思はありませぬか、御尋ね致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=110
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111・郡祐一
○郡政府委員 府縣會議員の選擧區を地方事務所單位に致して居りますのは、市の設置、町村の合併等に依りまして、全國的には、郡と致しましては、可なりに小さい、人口數の少いものが出來て居りまするし、又經濟、交通状況等の推移から見まして、寧ろ地方事務所の管轄區域の方が地方の生活の實情に合つて居るのであります、更に選擧事務と申しまするものは一つの行政の單位を捉へますることが、執行上からも便宜でありますので、地方事務所の區域を單位と致して居るのであります、一人一區であります場合は格別、然らざる限りに於きまして、郡の區域を捉へないが爲に、或る地方から全く議員の選出が不可能であると云ふやうな事態は、左程に起らないのではないであらうか、其の故を以ちまして、現在の地方事務所の區域を不適當とする結果には相成らぬではないだらうか、此のやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=111
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112・小池新太郎
○小池(新)委員 確かに現在の地方事務所の區域に於きましては、私が申上げましたやうに、選擧民が一萬内外である、さうして大きな七、八萬も有權者がある郡と云ふやうな所がある、そこから三名の議員が選出せられると云ふやうなことでありますれば、其の一萬内外の郡よりは出ることが出來ないのが事實であります、其の郡は小さな郡であるかと申しますると、山間でありますから非常に面積は廣いのであります、其の地方事務所に於きましても、二郡一緒になつて居りましても、非常に事情が違ふ、斯樣なものを選擧區とせられることは私は不合理である、斯樣に考へます、其の爲に御伺ひを致したのでありまするけれども、どうか十分御當局の方に於かれましても御研究が願ひたいと思ひます
次に市町村の合併、分離に對する御方針を承りたいのであります、合併問題が或る地方で非常に急速に奬勵をせられまして、流行病のやうになつたのであります、壓制的に地方民の不贊成のものを押し切つて實現せんとして居る町村の幹部との間に摩擦を生じて居るのです、町村民大會等を開きまして不信任の決議を致しましたり、色々此の多忙なる時に詰らぬ爭ひをやつて居る事實があるのであります、斯う云ふ醜いことに對しまして御當局の方に於かれましては、斯樣なことのないやうに、未然に防止をせられると云ふやうな方法を講じて戴けるかどうか、伺ひたいのであります、地方自治の發達を阻碍することは非常に大きな問題であると私は考へて居ります、斯う云ふ問題は十分幹部に於て町村民、地方民に對して相當納得さしてから、色々の行動を執らせるやうな方法にやつて戴きたいと私は考へて居るのであります、其の未然防止の方法をどう云ふ風に御考へ願つて居るかと云ふことを御尋ね致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=112
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113・大村清一
○大村國務大臣 餘りに區域なり入口の小さい町村が分立致して居りますることは、其の團體の實力に於て弱いのでありますから、若し關係町村が圓滿に合併を致して、さうして其の力を加へると云ふことは、是は望ましいことだと思ふのであります、併しそこに町村政の進展の上には住民の和と云ふことも、最も重要な要素でございますから、無理なことをして合併を致しましても效のないことでございます、地方自治の本旨に從ひまして、町村合併は住民の意思に依つて是は決定せらるることでありまして、今後も其の線に沿うて運用致したいと思ふのであります、或は御尋ねの御趣旨は戰時中に於てよくあつたやに聞くのでありますが、餘りに無理をして合併をした、さうして何時まで經つても町村政が圓滿に行かないで、寧ろ合併しなかつた方が宜いと云ふやうな事態の所も時にあるかと思ふのであります、併し是は一度合併したならば絶對にそれでなければならぬと云ふ譯にも行き兼ねることと思ひます、折角合併したものでありまするならば、成べくそれで收まることを希望致しますけれども、併しそれが地方自治行政の進展の上に絶對いけない状況でありまして、住民の總意がそこにありますならば、場合に依りましては例外として更に分村已むなしと云ふことも考へられるのであります、是等は其の實情に即しまして、適當に處理を致して行くべきものと思ひます、又監督官廳としての内務省も、只今申しますやうな趣旨に於きまして、事態々々に即應して善處したい方針で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=113
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114・小池新太郎
○小池(新)委員 此の問題は十分諒解致しました、次に選擧人に對しまして、此の法案は直接參政の途を開いたことでありますから、洵に宜いことと思ふのでありますが、其の結果を考へますると、濫訴濫訟の弊を誘發して、拾收の付かないことになりはしないか、只今御提案の彈劾規定は、實情に副はぬものであると私は考へます、例へば二千人の有權者がありまする町村でありましたら、一部落でも四百人の有權者はあるのであります、過日伊藤氏が述べられましたやうに、無智なる者に煽動者が甘言を以て押付けるならば、直ちに是が彈劾の因になるのであります、斯樣な彈劾規定はもう少し御考へになる方法はありはしないか、斯樣に考へるのであります、一應御意見を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=114
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115・郡祐一
○郡政府委員 既に地方團體の長に付きまして直接選擧の途を開くことと、憲法上も致して居りまする現在に於きまして、一般住民を何等かの形に於きまして自治體の行政、政治へ參與させますることは、寧ろ民主主義の圓滿な發達を圖る爲に、好ましいことではあるまいか、唯是が濫訴濫訟に流れますることは、固より好ましくない所であるのでありまするが、之に對しましては、只今の各種の請求權は何處までも請求權でありまして、其の最後の決定は或は當該の議會に於て、或は監督官廳に於て、例へば條例制定に付ては議會でするが、解職、解散等に於ては監督官廳が監督致すと云ふ工合に、他の機關の發動を請求致すに止まるのでありますから、是等の機關の決定致します所は、何處までも妥當であり、總てが納得致しまするやうな正しい結論が下されまするならば、假に或る地方に於きまして請求を致す風が一時強くなることはございましても、漸次是は平靜に落著くのではないであらうか、差當りの問題として色々のことも考へられるのでありまするが、途を開きますることは、寧ろ途を開かずに置きまして、徒に地方自治が混雜を致すよりも、正しい方途を與へて、さうして主張すべきものは主張する、正しい主張は正しく主張すると云ふことに致しますることが、地方自治の進展上必要であらう、斯樣な考へ方でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=115
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116・小池新太郎
○小池(新)委員 正しいことで左樣になるならば、我々贊成でありまするが、今申します如く、茲に煽動者がありまして、さうして甘言を以て署名捺印を押付けると云ふやうな者があると致しますると、折角の民主主義政治の確立を又此の彈劾の爲に反故にすると云ふやうな事柄を生ずることが忽ちあると考へまして、茲に出したのであります、何れ委員長は此の問題に付きましては多數の委員の方々の御意見があるやうでありますから、機會を作つて戴きまして、お互に研究をさして戴きたいと思ひます
次に御尋ね致したいのは、是は名省の職員の事務分擔量を御調べになつたことがございませうか、御尋ね致したいと思ひます、例へて申しますなれば、官廳の職員の中には非常に事務の分擔が多くして、休日を知らざる繁劇の事務に從事して居る所もあるのであります、之に引換へまして或る官廳に於ては、出廳は朝十時半、十一時晝食で一時半から長きは二時頃まで机の傍に居ないと云ふやうな官廳も多數に見受けられるのであります、再建日本の指導者として、洵に私は忌はしいものがあると考へて居ります、無用の定員を御改めになつて、餘剩の經費を捻出致されまして優遇費に充當して、能率の増進を御圖りになると共に、身分の安定を圖つて、國民の信頼を増すことにせられるのが宜いことではないかと私は考へます、内務御當局に於ては斯樣なことに御觸れになつて居るやうなことはございませぬか、御尋ね致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=116
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117・大村清一
○大村國務大臣 只今御質問になりましたことは、洵に御尤もな御注意であります、内務省管下の各廳に付きましては、それ等の點に付きましても、今まで相當の注意を拂つて來た積りであります、殊に終戰後内務省の管下の各役所に於きましては、取扱ひます仕事が段々に變遷を致して來て居ります、それから又色々の新しい仕事もやらなければならぬと云ふやうなことも起つて居りますので、さう云ふ機會に於きましては、新しい仕事の要員は、從來のやつて居りました仕事の繁閑を見計らひまして、そこに彼此れ人を融通する、尚ほ足らざる所で新増員すると云ふやうな行き方で、相當の注意は拂つて來て居ります、併し今後所謂國民の公僕として、官廳職員が最善を盡す上に於きましては、更に調査も致し、工夫も致し、配置換へもすると云ふやうなことに付きましての努力は、致さなければならぬと思つて居ります、又今日の如く職員の優遇と云ふやうなことが焦眉の急務になつて居ります以上、國家財政と睨み合せまして、精鋭主義に依つて、成べく少數の人で仕事をして行く、さうして其の給與は厚くすると云ふ方針に行かなければならぬ、政府全體と致しましても、今後の事態の推移に依りまして、所謂良い意味に於ける行政整理と云ふやうなことが自然問題になつて來るものと思ふのであります、さう云ふやうな點に付きましては、私は不敏ながら閣僚の一人として大いに努力して見たい積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=117
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118・小池新太郎
○小池(新)委員 大變結構な御答辯を得まして安心致したのであります、どうか其の通りに御願ひ致したいと思ひます
次に御尋ね致したいのは警察官吏のことであります、今日愈愈安民保護の重大責任者でありまする警察官吏の生活の安定は固より、地位の向上を圖らねば相成らぬ時であります、現在まだ全額國庫の支辨がないのであります、此の警察官吏に對しましては、全額國庫支辨と云ふ御意思はあるまいか、又是非國庫支辨として、戴きたいと云ふことを御願ひと共に、御意見を承る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=118
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119・大村清一
○大村國務大臣 警察費の國庫支辨に付きましては、御承知の如く府縣に依つて違つて居つたのでありますが、僅か國府は六分の一しか負擔して居なかつた時代もあつたのであります、二十一年度に於きましては六割を國庫負擔とし、四割を地方で負擔すると云ふことに改訂せられることになりました、而して地方財政の賄ひ得ざる點に付きましては、先に一寸申上げました如く、不足分は配付税に依つて其の辻褄を合はせると云ふことに相成つて居りますので、考へやうに依りますれば、國庫の分擔金と配付税に依つて、先づ警察費は辻褄が合つて居るのだと云ふやうに考へることも出來るのであります、併し是は大雜把な話でありまして、正確ではございませぬ、今後の警察費の分擔と致しましては、從來に比べて餘程改善した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=119
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120・小池新太郎
○小池委員 配付税で補ひを付けて戴くやうになつて居るさうでありますが、配付税と云ふやうなことを御考へにならずに、是非國庫支辨にすると云ふ氣持になつて戴くのが宜いと思ひますが、どうぞ其のやうなことに大藏省と御折衝になることが私は一番良いと思ひます、配付税と云ふやうなもので補ひを付けると云ふことは何か國庫としての威信を汚すやうな氣持が致します、どうか其の點は十分御考へ願ひたいと思ひます
もう一つだけ御尋ねして引下ります、現在食糧關係もございますので、中學校以上の學生は殆ど休校せしめて居られるのであります、是が學業の低下は如何にして補充をせらるるかと云ふ問題なのであります、殊に敗戰後理化學研究の最大急務に當面致して居りまして、國民等しく關心を持つて居るのであります、此の教育に關しまして政府が割合に無關心であると云ふやうな非難が非常に多いのでありまして、之に基因致しまして供出面であるとか、其の他色々公共の事業に非常に支障を來して居るのであります、今少しく政府は此の學校方面に御關心を寄せられたい、斯樣に考へるのでありますが、どう云ふ御考へをして居られませうか、是が低下致しますることは火を睹るより明かであります、此の補充方法に付て何か──文部當局に御尋ね致しましても宜いのでありますが、内務大臣としての御考へが承りたい、斯樣に考へるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=120
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121・大村清一
○大村國務大臣 御答へを致します前に、一言附加へさして戴きたいと思ひますが、警察費の連帶支辨金の問題は、國庫が全額を負擔すると云ふことが宜しいと云ふ御意見でございますが、其の點に付きましては、警察は地方治安に非常に重大な關係もありますので、地方的利害に大なる關係を持つて居ります、其の意味に於きまして地方費に於て其の一部を負擔すべき法理的根據もある譯であります、又一面に於きましては警察費は地方でも負擔致しまして、さうして民意に基いた警察の運營と云ふことを確保することも、政治的に必要な面もございますので、政府と致しましては今囘改正せられました國庫負擔六割、地方負擔四割が先づ適當な所ではなからうかと云ふやうに考へて居る次第であります、尚ほ又終戰後の今日の事態と致しましては、警察は國家警察と云ふ考へから、順次地方警察と云ふやうな方に持つて行くのが、警察の民主主義化の上に於きましても適切であらうと云ふやうに考へられます點もありますので、此の機會に所見を申述べまして御參考に供したいと思ふのであります
次に學校教育、殊に中等學校教育が戰時中及び終戰後に於て甚だ憂ふべき状態にあると云ふことに付きましての御尋ねでありますが、此の問題に付きましては全く同感に考へ、之に付きましては文部當局に於きましてそれぞれ對處策を講じ、改善の方法を考へて居ることでありますので、御意見の所は文部大臣にも私から御傳へを致して置きたいと思ひます、尚ほ食糧の問題に關係致しまして、中等學校等の教育が少し疎かになつて居ると云ふ點に付きましては、閣議に於ても審議を致したことでありますし、私も其の責任の一斑を負はなければならぬのでありますが、御承知のやうに食糧問題が窮迫致しまして、殊に東京其の他の消費地に於きましては、是が危機を切拔ける爲に、萬已むを得ず教育を繼續し得ざる所は、休校をさせると云ふ措置を執つたのであります、是は非常特別の臨時措置でありまして、食糧問題が緩和すると共に是は常態に復する次第でございます、是は各位の御諒承を得て置きたい次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=121
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122・小池新太郎
○小池(新)委員 今警察官吏の國庫支辨は、地方民主化の爲に地方も一部持つ方が宜いと云ふ御考へのやうであるが、地方民主主義政治を明かにする爲には御意見の通りでありまするが、俸給其の他國庫支辨は、是は必要であると私は考へます、國庫あり、地方ありでありますから、其の警察の權力運用に當りましては、追々と民主政治に悖らない方法で治安維持に努めて戴かなければならぬのでありますが、此の全額國庫支辨と云ふことは國民の輿論であります、どうか此の點も御考へを願ひたいと思ひます、是を以て私の質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=122
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123・中島守利
○中島委員長 委員長として御諮り致しますが、現在までに質疑の終了した方が十二委員であります、尚ほ今日まで通告を受けて居ります方が一四、五名ございます、成べく之を完了したいと思ふのであります、私は大體十九日を以て終了したいと思つて居つたのでありますが、二十二日に延ばしたのであります、併し尚ほ二十二日でも質疑が終へさうもないやうに思ふのであります、それで此の際諸君に御願ひ致したいと思ひますのは、成べく御意見を省いて戴くやうに願ひたい、質疑の程度に之を致して戴きたい、又重複する問題も大分多いやうに思はれるのであります、又一部には法案に掛離れた質疑が相當にあるやうに思はれるのであります、言論のことでありますから彼此れ申すのではありませぬが、どうか委員諸君に於て自肅せられんことを偏に希望する譯であります、時間も成べく一時間以内に質疑を終るやうに御整理願ひたいと思ふのであります、若し一時間以上に亙らなければならないやうな場合に於ては、委員長まで之を御話を願ひたいと思ふのであります、以上が私の希望でございます、どうか之を御諒承願ひたいと思ふのであります(拍手)本日は是で散會致します、次は十九日の午前十時より開會致します
午後四時二十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00419460717&spkNum=123
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