1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
付託議案
東京都制の一部を改正する法律案(政府提出)
市制の一部を改正する法律案(政府提出)
町村制の一部を改正する法律案(政府提出)
府縣制の一部を改正する法律案(政府提出)
衆議院議員選擧人名簿等の戰時特例に關する法律案(政府提出)
―――――――――――――――――――――
昭和二十一年七月二十七日(土曜日)午前十時二十八分開議
出席委員
委員長 中島守利君
理事 大塚甚之助君 理事 本多市郎君
理事 松川昌藏君 理事 本間俊一君
理事 早稻田柳右ェ門君 理事 大原博夫君
理事 竹谷源太郎君 理事 丸山修一郎君
岩本信行君 内海安吉君
小野眞次君 田邊讓君
水口周平君 小池新太郎君
鈴木明良君 青木清左ヱ門君
八坂善一郎君 大矢省三君
大澤喜代一君 堤隆君
細田綱吉君 宮村又八君
武藤運十郎君 伊藤實雄君
中野四郎君
出席國務大臣
内務大臣 大村清一君
大藏大臣 石橋湛山君
出席政府委員
法制局長官 入江俊郎君
内務事務官 郡祐一君
内務事務官 鈴木俊一君
委員長の許可を得た出席者
議員 松浦東介君
━━━━━━━━━━━━━
本日の會議に付した議案
東京都制の一部を改正する法律案(政府提出)
市制の一部を改正する法律案(政府提出)
町村制の一部を改正する法律案(政府提出)
府縣制の一部を改正する法律案(政府提出)
衆議院議員選擧人名簿等の臨時特例に關する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=0
-
001・中島守利
○中島委員長 是より開會致します、前會に引續き質疑を許します──竹谷君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=1
-
002・竹谷源太郎
○竹谷委員 私は簡潔に要點だけ御質問を申上げまするから、尾鰭を附ける必要はございませぬから要點だけを御答辯願ひたいと思ひます
第一に縣の廢置分合、境界變更に付て御尋ね致します、道州制或は縣の區域變更等に付きましては、世間に色々な論の存する所でありますが、今後民主政治の下、政治、經濟、交通、産業の發達に伴つて、其の情勢に從ひまして、各團體の地域に改善を加ふべきことは必至と相成る所であります、然るに現行の府縣制第三條に依ると「府縣の廢置分合又は境界變更を要するときは法律を以て之を定む」とありまして、關係府縣又は其の地方の住民の意思は考慮されて居ないのであります、新憲法の第九十一條に依りますと、「一の地方公共團體のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共團體の住民の投票においてその過半數の同意を得なければ、國會は、これを制定することができない」と云ふ規定があります、是は境界變更、或は廢置分合と云ふ問題が府縣に起つた場合には、多分數府縣に跨るから、九十一條の「一の地方公共團體のみに適用される特別法」と云ふことにならないかも知れないのでありますが、精神に於ては此の規定に基かなければならないと思ひます、それで此の府縣制第三條は、府縣住民若しくは其の地方住民の意思を尊重するやう、即ち住民投票の制を採用するやうに改正してはどうか、之に關する政府の御意見を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=2
-
003・大村清一
○大村國務大臣 府縣の廢置分合は、府縣住民の利害に關係すること大でありますから、御話のやうに府縣住民の一般投票と云ふことも大いに考慮して見なければならぬ問題だと思ふのであります、又他の面に於きまして府縣の廢合は我國の行政の實際に於きまして、府縣は國政の上に於て非常に大きな關係を持つて居りますから、其の廢置分合は、現在の地方制度にもありまするやうに、法律を以て帝國議會の御協贊を經て之を決すると云ふ手續を執りまることも亦大いに意義のあることでありまして、其の必要を認めるものであります、今囘の地方制度の改正に當りましては、後に申述べました趣旨は、改正法に於ても維持することが適當なりと云ふ結論に達しまして、其のやうに致したのでありますが、憲法草案の九十一條の趣旨も今竹谷議員の仰せになりました通りでありまして、是は直ちに適用はされませぬが、私が先に申上げました趣旨に於きまして、住民の意思を問ふと云ふことも、是は考慮すべき問題だと思ひます、併し此の投票と云ふことに付きまして、我が國民はまだ習熟訓練を經て居りませぬので、一般投票を此の際直ちに地方制度の上に採り入れると云ふことは、尚ほ考慮して見た方が宜いではないかと云ふやうに考へまして、今囘の改正に於きましては、地方制度の上に一般投票制度の採用を見合せて居るやうな次第でありまして、此の點に付きましては政府と致しても十分考慮を加へて見たいと思つて居ります、今後適當の時期に於きまして其の問題を取上げて見たいと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=3
-
004・竹谷源太郎
○竹谷委員 どうか深甚の御考慮を御願ひ致します、次に都制の問題の中の區長のことに付て御質問を致します、今囘提案されました地方制度改正案は所々に我々の不滿とする所は散在して居りますが、相當思ひ切つた民主的な制度を澤山採用して居りまして、敬意を表するに吝かでありませぬ、併しながら昭和十八年から施行されました現行都制は、帝都の武裝化法とも言ふべきものであつて、今囘の劃期的な地方制度の改革に當つては、斷然之を拂拭しなければならないのであります、然るに少くとも十萬、多いのは何十萬の區民を有する大區長が、依然として官吏から選任される、無論區會の承認は必要でありますが、官吏から選任をされると云ふことになりますと、同じ東京都内に致しましても、八王子市或は三多摩の町村なり、或は東京都の區を除いた全國各地方の市町村長が、總て例外なく市町村住民の直接公選となつて居りますのに、區長のみ官選であると云ふことでは、非常に「バランス」が取れない、之を極端に言ひますならば、東京の區民は日本中の總ての市町村民よりも自治訓練が足らないから、官治行政が必要だと云ふ感想を懷かせるものであつて、是は甚だ時代錯誤であると思ふのであります、是は宜しく區民の直接公選に依るべきものであらうと思ふのでありますが、此の點に對する政府の御所見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=4
-
005・大村清一
○大村國務大臣 只今區長の點に付て御尋ねになりました點は、竹谷委員の御議論から出發致しまして、私共も其の點は御同感を表するのでありますが、併し他の面に於きまして、私から申上げるまでもなく、現在の東京都の區の持つて居ります性格、權限と云ふものから考へて參りますと、區長を公選に致しますことは適當でないと云ふ結論に達するやうに思ふのであります、簡單に其の理由を申述べて見ますと、御承知の如く東京都内の區は、財産營造物を管理すると云ふだけの極めて限られた權限を持つて居りまして、市町村とは其の權限に於きまして非常な相違があるのであります、東京都の區はずつと古い沿革を持つて居るのであります、曾ては東京都の區は國民學校を設置經營する、其の他相當廣い權限を持つて居つた時代もあるのでありますが、其の當時に於きましても區長は市長が任命すると云ふことで、現在の改正案の如く區會の承認を經ると云ふやうなこともして居なかつたのであります、其の當時の區の權限に比べますと、今日區の持つて居ります權限は非常に狹くなつて居ることであります、さうして現在區役所でやつて居ります仕事はそれならばどうかと申しますと、固より自治體としての財産、營造物に關する事務を處理することは言ふまでもありませぬが、其の他に於て國なり都なりの區内に關する事務を、國若くは都の委任を受けまして非常に澤山の仕事をして居るのであります、現在の區役所の仕事の内容を考へて見ますと、殆ど大部分委任事務の方に集中して居るのでありまして、區固有の事務と云ふものは頗る分量は少いのであります、それから尚ほ他の面から考へまして、東京都の如き人口の集團致して居ります所の行政に於きましては、都全體の統一調整と云ふ點が、特に重視せられなければならぬ實情にあると思ふのであります、それ等の諸般の點から考へまして、區長は都長官が之を任命すると云ふことには大いに合理性があるものと考へるのでありまするが、民主主義化の觀點から申しまして、それは都長の專斷に任せず、區會の承認を經ると云ふ程度の民主化は是非必要であると云ふやうに考へまして、區會の意見を徴して都長官が之を命ずると云ふやうに、區會との繋がりを作ることが、民主化の趣旨から申しまして適切であると云ふやうに考へまして、此の改正案を立案致した次第であります、尚又首都の行政機構に付きましては、他の一般地方制度と特別の取扱をすると云ふことは、單に我が國に於けるのみならず、歐米先進國に於きましても其の例の多い所であります、首都の行政組織が、必ずしも首都以外の地方行政組織と同一にならなければならぬと云ふこともないやうに考へる次第であります、尚ほ今後任命せられます所の區長は、固より官吏ではございまするが、先程來度々御説明申上げましたやうに、公選都長官に對しましては部下官吏の任免に付きまして、強い發言權を付與することであります、故に此の都長官の民主化に依りまして、區長人選の基礎となります官吏に付ても十分考慮が加へられることであります、更に加ふるに區會の意見を徴して命ずると云ふ此の二段の民主化が考へられて居る次第でありまして、東京都内の區の性格、區役所主掌事務と云ふやうな點等を考慮致しますると、寧ろ改正案の方が事實上適切なものではないかと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=5
-
006・竹谷源太郎
○竹谷委員 内務大臣の御説明を伺ひますと成程と思はれる節もございまするが、併し御説の通り確かに區は行政區劃のやうな性質が非常に多い、國家委任事務が多く、團體固有事務が非常に少いと云ふのは其の通りの状態であります、併し今後地方分權の進展に伴ひまして、順次區の事務なるものは、團體固有の事務、或は國家行政でも、區長に行はせる事務が非常に多くならうと思ひます、隨てどうしても區長の公選は必至であると思ふのであります、尚ほ此の點は十分御考慮を御願ひ致したいと思ひます
次に北海道の拓殖費に付て伺ひたいと思ひます、北海道會法、北海道地方費法を今囘廢止致しまして、北海道に府縣制を適用して府縣並みにすると云ふ案でありまするが、極めて適切な措置として贊意を表する者であります、唯從來北海道拓殖費と云ふ北海道に對する財政上の特別取扱があつた譯でありまするが、是は今後に於ても變更がないかどうか御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=6
-
007・大村清一
○大村國務大臣 北海道に付きましては、從來其の特殊性に鑑みまして、北海道の開拓の爲に特に國庫から多額の拓殖費を支出することになりまして、其の拓殖行政は内務省の監督の下に北海道廳をして事業をやらせ、經理をさせると云ふことになつて居つたのでございますが、今囘北海道を一般府縣と同樣に地方制度の上で處遇することに改正するに當りましても、尚ほ北海道に於きまして拓殖費を支出する特殊の必要が依然として存して居ります、尚又今囘の改正に於きましては、北海道長官は、北海道たる自治團體の首長でありますと共に、國の機關として其の國政事務を掌理し得るやうに官吏の地位を與へることでありまして、其の結び付きに於きましては、改正後も少くも支障のないことでありますので、從來同樣拓殖費に付きましては、今後特殊の取扱を致して行く方針で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=7
-
008・竹谷源太郎
○竹谷委員 北海道拓殖の特殊性に鑑みまして是は當然のことと思ふのであります、然るに全國に於て、東北地方其の他經濟的に惠まれない地方の經濟的な解放に付きましては今それに觸れませぬが、唯地方税の問題に付て一つ御伺ひ致したいのは、今囘の地方税改正案に依りますと、府縣民税を創設する、それから市町村民税は、從來は十二月、九月、六月と云ふ平均であつたものを、今囘は納税義務者一人に對する平均賦課額を、府縣民税にあつては六十圓、市町村民税にあつては四十圓、合計百圓までは平均賦課することが出來る、場合に依つては五割増加して百五十圓までは増額賦課が出來ると云ふことになりますが、此の結果は國民は相當大きい負擔をしなければならぬと思ふのであります、此の負擔割合は、分與税なり或は其の他の附加税、獨立税等に對して如何なる割合になるか、之を先づ御伺ひしたいと思ふのでありますが、何と言つても或る一つの町村を取つて見ますると、今まで六圓平均の賦課額と云ふものが、百圓乃至百五十圓まで増額をすると云ふ結果になります、それは全國平均である、然るに貧弱な財政的に惠まれない町村等は、從前其の大部分の收入を分與税に得て居つた、特に配付税に依つて惠まれない地方は國家から多額の補給を受ける、他から助けて貰ふと云ふやうな形であつたのでありますが、それが減つて、さうして獨自に負擔すべき府縣民税竝に市町村民税が非常に多額になると云ふことになると、從來の分與税の恩典が貧弱町村から除かれる、隨て非常に負擔過重になる、斯う思ふのであります、そこでさうした結果、擔税力のない、惠まれない地方の町村等に對しては、如何樣な地方財政上の措置を政府は講ぜられますか、此の二點を御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=8
-
009・大村清一
○大村國務大臣 敗戰後の政府竝に地方團體の財政と云ふものは、非常な窮迫した困難な事態に直面して居ることは申すまでもないのであります、此の危局を切拔けます爲には、一般國民又地方公共團體の、十二分の忍耐と協力とに俟つ外はないのであります、今囘國税に於きましても相當の増税が企てられ、又地方團體に付きましても相當過重なる負擔を忍んで貰はなければならぬと云ふことになつて居るのであります、此の點に付きましては洵に好ましいことではございませぬが、實際上已むを得ないことであります、只今御述べのやうに相當多額の増税を地方團體に於て試みましても、尚ほ之に依りまして地方財政は非常に經理が樂になると云ふやうなことは考へられないのであります、此の増税を以て致しましても、財政の經理は極めて窮屈なのであります、隨て團體に依りましては窮屈さを通り越しまして、如何に窮屈は之を忍んでも、尚ほ負擔過重になることを免れないと云ふ團體も生ずるのであります、他の言葉を以て致しますならば、如何に歳出を節約致しまして、如何に増税を極度に取りましても、尚ほ收支相償はないと云ふやうな團體が、少からず出て來ると思ふのであります、其のやうな團體、殊に戰災を被つた團體、又所謂貧弱町村と云ふやうなものに於きまして、さう云ふ事例が段段あると思ふのであります、是等の點に付きましては今囘分與税法を改正致しまして、それ等の窮迫したる状態にあります所には、特に分與税を配付すると云ふ措置を講じまして、實際問題を解決し得るやうに致す方針であります、尚ほ今囘の増税に依りまして地方分與税を加へました税の總收入は、府縣市町村を通じまして約五十五億であります、それだけの收入が得らるる豫定であります、其の五十五億の中二十三億が配付税であります、國庫から地方財政の缺陷を補填致します爲に交付致しますものが二十三億であります、割合は恐らく是は約半分、四割位が配付税で始末をし、六割位が税で始末をすると云ふことに相成る譯であります、尚ほ配付税は前年度に於きましては約九億でありますので、十四億を増加して二十三億と云ふことになつて居るのであります、國庫財政も極めて困難な時でありまするが、政府も地方團體の窮状を察しまして、只今申上げましたやうに相當思ひ切つた配付税の増額を供與されたのであります、此の點に付きましては國の財政當局に對しまして、私共私かに感謝を致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=9
-
010・竹谷源太郎
○竹谷委員 或る普通の市町村を取りまして、其の市町村の收入に係る分與税其の他の税の總額と、それから其の市町村民が納める縣民税竝に市町村民税との比率はどうなりますか、分つたら後で御知らせを願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=10
-
011・郡祐一
○郡政府委員 細かい資料に付きましては御參考に後程御手許に差上げますが、現在の試算を致して見ました所では、從來の算定基準にありまする第一種配付額、第二種配付額、更に斟酌配分に依りまする第三種配付額、第四種配付額、是等のものを合せまして一應配付税を決定致しますと、市町村民税を滿度まで取りませぬでも經理の出來まする團體が相當ある模樣であります、左樣な所には勢ひ斟酌配分の第三種は行かない譯でありますが、第三種に付きましては、やはり斟酌配分と申しましても相當嚴密な──府縣の場合では第三種、市町村では特別配付税でありますが、是等のものに付きましては災害應急費等は負債額が大きいとか、公用地等の地積が大きいとか、一定の基準を設けますと、どうしましても斟酌配分費が相當參る譯であります、隨て町村に付きまして町村民税を滿度まで取らずに經理し得る部分が、相當あるやうに試算の結果はなつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=11
-
012・竹谷源太郎
○竹谷委員 次は警察制度に付て御伺ひ致します、先日我々は警察制度改正試案と云ふ印刷物の配付を受けましたが、今日の我が國に於ける政治、社會情勢から觀察致しまして、隨分と苦心の作であると思ふのであります、一體此の改正案はいつ頃から實施すると云ふ政府の御方針であるか伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=12
-
013・大村清一
○大村國務大臣 其の點は今後の研究に俟たなければならぬことでありまするが、又物資、資材、國庫財政と云ふやうな他の諸條件とも絡んで居る問題でありまして、只今試案に考へて居りますこと悉くを直ちに實行すると云ふことは、所詮困難であらうと思ひます、併し民論に聽きまして警察改善案として執るべき措置が確定するに從ひまして、出來るだけ早く努力を致しまして實現に移したい、隨て來るべき議會に於きまして成べく多くの事項に付ての解決を見て、所要の法律案及び要すれば豫算案も提出致したいと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=13
-
014・竹谷源太郎
○竹谷委員 司法大臣は憲法の委員會等に於て、司法警察は成べく之を司法省の方に移したいと云ふことを言はれる、之に關して内務大臣の御意見を先づ伺ひたい、次に行政警察の非常に多くの部分を、今度の改正試案に依りますると、或は府縣の警察部以外の部又は市町村に移管をする、或は都市にありましては都市警察に移管をするとか云ふことになつて居るやうでありまするが、斯うした場合、此の事務の移管に伴つて職員及び定員を移すのであるかどうか、それを御伺ひしたいと思ひます、それから現在の警察官の定員はどれだけであるか、尚ほ若し司法警察が司法省に移り、行政警察の可なりの部分が都市若しくは警察部以外の府縣廳の各部若しくは市町村に移り、定員もそちらに移り、又保安警察は大縮小を見る、斯うなつて來ますると、一體國家の治安維持は如何にして之を保たうとするのか、今後我々は兵力を持たない國でありまして、凡ゆる治安の維持は警察力に俟たなければならない、國家の唯一の實力を持つものは警察だけであります、警察事務が斯樣に地方分權をし、民主化することは結構でありますが、治安維持に當るべき警備力の基本である、實力が分散をし、統一を缺くと云ふやうなことになりましては非常に緊急な非常事態──内亂若しくは大騷擾事件が發生したと云ふやうな場合に當つて、一體能く治安確保の責任を全うし得るや否や、其の御所信を御伺ひしたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=14
-
015・大村清一
○大村國務大臣 洵に御尤もな御尋ねだと思ひます、先づ第一に司法警察の問題でありますが、是は私は二つに分けて考へる必要があると思ふのであります、それは司法警察と行政警察が、抽象論としてのあり方はどうであるかと云ふ問題、理論上司法警察と行政警察とは、どう云ふあり方にあつて然るべきかと云ふ問題が一つある、それからもう一つは、現實の問題と致しまして、理論は理論的に或る決定がありましても、之を實際の問題として扱ふ場合に於きましては、理論の通りに參らぬと云ふことがあると思ひます、司法警察及び行政警察のあり方に付きましては、我が國に於きましても多年論議されて居る所でありまして、未だ最終的決定になつて居るとは思はれませぬが、併し大體の方向は決まつて居ると思ふのであります、併し之を現實の面から申しますると、只今仰せの如く、我が國の治安の維持と云ふものは、警察一手に之を引受けなければならぬと云ふ状態に相成つて參つたのでございまして、而も現在の警察力は、果して此の治安維持の上から見て十分であるかと申しますると、中々さうは參つて居ないのであります、警察官の定員は正確なことは一寸記憶して居りませぬが、現在の定員は概數で九萬五千であります、さうして現員はどの位あるかと申しますると、時に依つて増減がありまするが、先づ定員の内一萬位──定員八萬五千と云ふ程度に先づなつて居ると云ふやうに御諒解を願つて間違ひはないと思ふのであります、此の程度の警察官を全國に配置致して居る、配置の場合に於きましても、人口密集部分に於きまして、特に警察官を多く配置して居ると云ふやうな關係でありまするが、是だけの警察力を以ちまして、警察事象が激増して居る、又其の事象の性質が非常に扱ひにくいものになつて居ると云ふやうな事態から致しまして、決して十分なものと云ふことは出來ないのであります、出來ますならば差當り之を二倍の二十萬位に致したいと云ふやうな希望は持つて居りまするが、此の點に付きましては關係方面とも打合せを要することでありまして、其のことは只今の情勢に於きましては所詮實現は困難であります、先づ現在の定員位で推移する外はないものと考へて居る次第であります、此のやうな手不足な時期に於きまして、假に理論上司法制度に於きまして檢察廳を獨立致し、檢察廳に刑事警察を必要な限度に於て増員をする、さうして治安維持の重責を持つて居りまする警察を其の儘にして置くと云ふことは、際實問題と致しまして大いに考慮を要する問題と思ふのであります、又國家財政の上に於きましても中々困難な時でありまして、私共現在の事態に立脚致しますと、それだけの増員をすることが出來るならば願はくは内務省警察に於きまして増員を致し、さうしてそれに依つて治安維持の重責を果すのに資したいと云ふやうに考へざるを得ないのであります、尚又犯罪の檢擧と云ふ點から見ましても、從來の實績に依りますれば、内務省警察の中の行政警察の面から檢擧致しましたものは、大凡總數の八割であります、所謂刑事警察に依つて刑事專門で檢擧して居るものは、總數の二割に過ぎないのであります、巡羅其の他の行政警察の面に於きましての犯罪檢擧の實績は、大いに擧つて居るのでありまして、又此のことに依りまして、結局は社會治安が維持されて居ると云ふ此の行政警察の持つて居ります所の犯罪檢擧力と云ふものは、治安維持上絶對に無視することの出來ない、否重視しなければならぬ要素だと確信して居るのであります、是は事態が緩和して參りまして、凡ゆる改善が自由に出來ると云ふやうな情勢に立至りました曉に於きましては、恐らくは私は此の檢察廳に於きまして、檢察上必要なる司法警察要員を充實すると云ふことは、是は大いに理由のあることでありますから、それはさう云ふ工合に相成るであらうと思ふのであります、尚又行政警察の犯罪檢擧に依る治安維持の面も、是は重視すべきものでありますから、刑事司法警察が打立てられた曉に於きましては、行政警察は一切犯罪の檢擧に係り合はぬと云ふやうな工合に、改むべきものではないではなからうかと云ふやうに考へて居る次第であります、併し是等の點に付きましては、只今内務省で研究して居ります所の大體を申述べたのでありますが、結論に達した譯ではございませぬ、更に關係方面とも熟議致しまして、又世論にも能く聽きまして、そこに誤りのないことを期して行く積りでございます
それから尚今後警察の民生化の進行に於て、警察力が非常に弱化するのではないかと云ふ御話であります、是は洵に御尤もな御心配でありますが、併し警察の民主化と云ふことは、是は絶對必要なものと考へるのであります、我が國の警察は一部で言はれて居りますやうに、警察國にまで行過ぎて居ると云ふやうな批判があると思ひます、言葉を換へて申しますならば、凡ゆる行政事務を捉へまして、出來るだけ之を警察的に始末をして行くと云ふやうな行き方に、行過ぎがあると思ふのであります、今日の警察で扱つて居りますものの中に於きましては、之を率直に、淡白に觀察致しますならば何も警察畑に持込まんでも宜しい、他の警察部以外の行政機關に於て處理さしても、一向差支がないと云ふやうなものまで取込んで居るものが段々あるのであります、そこで警察民主化を實行致しますに於きましては、先づ第一に警察は治安維持を致し、或は又人命財産を保護すると云ふ見地から、必要の最小限度だけは留保致しまして、他に渡して一向差支へのないものは、思切つて是を警察部以外に持つて行く、それ等は警察外で處理致して行くと云ふことは、確かに警察民主化の第一著眼點であらうと思ふのであります、それから更に純然たる警察事項と考へられますものに於きましても、必ずしも是は府縣警察に留保致しませぬで、他の國に事例もありますやうに、之を都市警察に委讓致しても差支へのないと云ふものが相當あると思ひます、其の分は出來るだけ多く都市警察に委讓致した方が、寧ろ都市行政の促進の上に於きまして非常に稗補する分がございますので、それ等は一つ思切つて都市警察に讓る、都市警察は必要に依りましては政府警察官も置いて宜からうと思ふのであります、之を町村にまで及ぼすと云ふことに付きましても、是は今後考へて然るべきことでありますが、町村が持つて居ります行政力、財政力と云ふやうな點に付きましては、尚ほ更に檢討をしなければなるまいと考へまして、今度の私案に於きましては町村と云ふことは一應後日に讓つて、先づ都市に讓つて見たらどうかと考へて居る次第であります、尚又今府縣警察が取扱つて居りますものの中に於きましても、例へば鐵道警察と云ふやうな面を取つて考へますと、是は寧ろ鐵道警察を別途に打立てまして、さうして列車内の越規行爲を取締る、或は又近頃世論の喧しい荷拔の問題の如きも取扱ふと云ふやうに致しました方が寧ろ適切だ、それ等の點に付きましてまで地方警察、府縣警察で取扱はうと致しましても、今は手が及ばないと云ふやうな面もあることでありますので、さう云ふ種類のものも考慮したらどうかと考へるのであります、所で是等を委讓致しますに付きましては、それなら人は付けてやる、他の言葉で申しますならば、警察事務が縮小されるに伴つて、府縣警察官も減員をすると云ふことは、是は當然のことでありますが、そこが實は私共の狙ひでありまして、現在の警察定員を増加することは、曩に申上げます如く、所詮今の所では困難であります、故に警察の事務を出來るだけ他に委讓致しまして、そこに出て參ります所の事務執行上の剩員は、餘裕を持つて治安維持の方に振向ける、言葉を換へて申しますならば、現在の定員を減少致しませぬで維持をして、さうして仕事の内容は整理致しまして手を拔く、拔けたる手を以て國民の生命財産を保護し、治安を維持すると云ふ方に專念させよう、それに依りまして實質上の増員問題を解決致したいと考へて居る次第であります、尚ほ私共の見透しに依りますれば、府縣警察の増員は中々其の運びに至り難い情勢にございまするが、「ディストリクト・ポリス」と申しますか、地區警察を増員することは餘り困難でないと考へて居ります、「ディストリクト・ポリス」は、是は或は都市警察であり、場合に依りましては鐵道警察であり得ると思ふのでありまして、そこに府縣警察官の増員問題を解決する鍵があると考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=15
-
016・中島守利
○中島委員長 竹谷君まだ長いですか──まだ長いやうでしたら、今大藏大臣が見えて居りますから、あなたには少し待つて戴きまして、武藤君に大藏大臣に對する質問をして戴きたいと思ひますが如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=16
-
017・竹谷源太郎
○竹谷委員 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=17
-
018・中島守利
○中島委員長 では武藤君、大藏大臣に對する質疑を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=18
-
019・武藤運十郎
○武藤(運)委員 申すまでもなく日本の民主化と云ふことは至上命令でありまして、地方制度改正の如きも、日本民主化の一環として我々は之を考へなければならないと思ふのでありますが、日本が從來世界無比の官僚國家であると言はれました大きな原因は、大體の行政を運用致します役人が、非常に官學萬能、法律萬能のものであつたからだと私は考へるのでありまして、どうしても私は日本を民主化し、日本の官吏を民主化する爲には、私學を振興しなければならないと思ふのであります、從來官學が凡ゆる點に於て國家の補助を受けて來て居るにも拘らず、私學は謂はば野放しでありまして、何等の補助を受けて居ない、全く獨力で經營難に堪へまして今日に來て居るのであります、併しながら私學の從來我が國の政治、經濟、社會の各方面に果した役割と云ふものは、非常に大きなものがあると思ふのでありまして、今後日本の民主化の爲にも、又復興の爲にも、文化國家、平和國家建設の爲にも、私學の持つ使命と云ふものは、更に私は大きなものがあると考へるのであります、此の點に於きまして國家は私學を十分に保護して行かなければなるまいと考へるのであります、所が今度の財産税其の他の處置に依りますと、私學に對して財産税を課すと云ふ御話であります、私學に對する財産税を免除する、之を課税の對象から除くと云ふ意思はないかどうか、是が第一點、それから戰災に依る私學の特殊預金が打切られると云ふ話であります、若し是が打切られまするならば、一般庶民に對して大きな打撃でありますことは勿論でありますけれども、戰災を受けました、半ば公共機關のやうな私學に取りましては、致命的な打撃だと思ふのでありますが、やはり一般預金と同じやうに、私學の特殊預金も打切るかどうか、是が第二點、若し打切らざるを得ないとするならば、別に戰災私學の復興に必要な補助を、國家として與へることを考へて居らないかどうか、此の三點に付きまして御答へを得たいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=19
-
020・石橋湛山
○石橋國務大臣 只今の御尋ねに對して御答へ申上げます、私學に對して財産税を課けるかどうかと云ふことは、未だ財産税法案が決定して居りませぬから、今後の研究問題になる譯でありますが、私としては御話のやうに、私學ばかりではありませぬ、學校とか病院とか云ふやうな公益的なものには、特別の處置を執るべきものと思つて居ります、殊に學校は大體法人になつて居ると居ひますから、若しも法人財産税が行はれないと云ふことになりますれば、必然的に私學が財産税から免れる譯であります
それから私學の持殊預金の問題は實は非常に心配をして居りまして、是も私學ばかりではありませぬ、他のものも色々ありますが心配して居ります、現在の所では特別の處置が執られずに居りますが、併し今後補償問題等を處理致します時には特別の考慮を致したいと考へて居ります、若しも其の特別の考慮が十分でなく、行ひましても十分に行へない、或は色々の關係上、斯樣なものの特殊預金も減額をしなければならぬと云ふ時には、他に補助金等の途を講じたいと思ひます、但し學校の方は、是は文部省の關係でありまして、文部大臣とも話合をして居るのでありますが、色々社會状態の變化がありますから、今まで通りの場所に、今まで通りの學校を復興することが、果して宜いかと云ふことは是は文教全般の問題でありますから、文部省を中心にして御研究を願ひたい、我々の方もそれに關係する限りに於て御協力を申上げようとは申して居りますから、それ等の邊で──此の間文部大臣が何處かで言はれましたが、國土計畫に合はしての學校の配置と云ふことも考へられて居る次第でありますから、それ等の國策と見合せまして、大藏省としては適當の處置を執る覺悟で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=20
-
021・中島守利
○中島委員長 武藤君、あなたの御要求になりました法制局長官が御出席になつて居られますから……大藏大臣は是で宜しいですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=21
-
022・武藤運十郎
○武藤(運)委員 結構です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=22
-
023・中島守利
○中島委員長 質問がまるきり關係ない譯ではありませぬが、大分地方制度とは懸離れたやうな質疑は成るべく遠慮して戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=23
-
024・武藤運十郎
○武藤(運)委員 それでは法制局長官に御尋ねを致します、大體高等試驗のことでありますが、高等試驗は行政の運用を致します中核である、謂はば官吏の登龍門と云ふ風に從來考へられて參つたのでありますが、此の高等試驗が非常に法律萬能主義であり、官學萬能であります、私は昨日當局に高等試驗の受驗者、合格者、採用者の統計を要求して置きましたのですが、まだ出て居りませぬから、私の手許にあります私立大學協會で作つた統計を一寸見ますと、先づ昭和十八年度の行政科の合格者は百七十五名でありますけれども、其の中官學出身は百五十四名で八八%、私學出身は僅か二十一名で一二%であります、それから昭和二十年の司法科試驗の合格者を見ますと、合格者百三十八名に對して官學が七十六名、私學が五十名であります、斯う云ふ状態でありまして、官學が壓倒的に多いのであります、採用者に付きましても統計を持つて居りますが省略を致しまして、此の高等試驗の合格者が官學萬能であると云ふことに、非常に日本の官吏の官僚化の大きな原因があると思ふのであります、此の際一つ法制局長官に御願ひしたいことは、斯樣な官學萬能、法律萬能の、謂はば日本の民主化を阻碍するやうな組織の高等試驗であるならば、此の際高等試驗は廢止してしまつたらどうかと云ふことが第一點、若し之を存續するならば、法律萬能、暗記主義、官學萬能の試驗科目と試驗方法とを、根本的に改革をする意思はないかどうか、第三に試驗委員は官學教授、官吏が壓倒的に多いのでありまして、私學からは殆ど出て居ないと言つても過言ではないのであります、是も私學協會の統計を見ますと、昭和十五年度に於きまする試驗委員は、外交、行政、司法の別になつて居りますが、外交科五十八名中、官立大學の教授が三十三名、官吏二十二名、私立大學の教授は儘か二名に過ぎない、行政科に於きましては總員五十二名の中、官立大學の教授が四十名、官吏七名、私立大學の教授は僅か四名に過ぎない、司法科に於きましては試驗委員の總數が四十六名の中、官立大學の教授三十二名、官吏十一名、私立大學教授は僅かに二名であります、私大からも試驗委員を出すと云ふ風にはなつて居りますけれども名目的で謂はば欺瞞的とも言ふべき數しかないのであります、此の際一つ私立大學教授、在野法曹界、或は新聞記者其の他の言論界から識見の高い人を選び出して、之を官學の教授、官吏と半々位までに持つて行く用意はないかどうか、斯う云ふことを御尋ねしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=24
-
025・入江俊郎
○入江政府委員 只今の御尋ねでございますが、高等試驗の制度に付きましては、御話のやうに行政の運營に當る官吏の適材を得る意味に於きまして、嚴正なる試驗を行つて能力を判定すると云ふ制度は是非なければならぬと思つて居ります、併しながら現在の制度、特に本年四月一日の官吏制度の改革に依りまして、必ずしも高等試驗を通らなくとも、銓衡任用に依りまして任用し得る官吏の範圍が廣くなりましたので、其の力量、經歴如何に依つては、試驗の方法に依らず採用する途も開けて居ります、それに付きましても高等試驗が重要なものであると云ふことは申すまでもないのでありますが、只今の御尋ねの第一點、即ち現在の如き官僚的な方法をやつて居る位ならば、寧ろ廢めたらどうかと云ふ御話でありますが、其の點に付きましては今も申上げましたやうに、適材を本當に公正に得ると云ふ途から致しまして、此の制度を廢止すると云ふことは考へて居りませぬ、結局之に伴ふ御説のやうな若干の弊害、或は相當大きな弊害かも知れませぬが、さう云つた方面を是正すると云ふことに力を注ぎたいと考へて居るのであります、尚ほ此の改革の方法に付て、只今非常に官學を偏重すると云ふ風な御話がありましたけれども、私共多年高等試驗の事務に從事して居りまして、決して官學に偏重すると云ふ風な考へもなく、又運營に於てもさうはならぬやうに思つて居ります、只今の數字は私は手許に持つて居りませぬので、はつきりしたことは分かりませぬけれども、御話のやうに官學を出た者の合格者の數が相當多いのであります、併し是はやはり受驗者の數との比較に於きまして考へて見ないと分らぬと思ひます、單に合格者の内譯だけでは、必ずしも今の「パーセンテージ」が其の儘ものを云ふのではなくして、官學を出た受驗者がどの位あつて、其の中どの位合格したか、又私學を出た人がどの位合格したかと云ふこともあらうかと思ふのであります、又官學、私學に依らずに嚴正な採點をして居りますから、力量の問題もそこにやはり加味されて來るのではないかと思ひます、單純に合格者の内譯だけで官學偏重と云ふことは言へないかと思ひます、併し今の御話のやうに試驗委員に付きましては、從來官學の人が相當多かつたことは確かであります、私共と致しましては、私學の人も出來るだけ多く高等試驗委員に御願ひするやうにしたいと云ふ意圖は、數年來持つて居りましたけれども、特に今度の高等試驗の改革に依つて、此の秋に行ひます高等試驗に付ては、其の點は出來るだけ考慮したいと考へて居ります、尚又今囘の高等試驗の改革は、單純に學理のみに偏することなく、實際方面の知識と云ふやうなものを加味して、本當の意味の力量を得るやうな試驗をしたいと考へて居りますので、學者以外にも民間の方々、例へば今御話がありました在野法曹であるとか、或は又經濟方面で言ひますならば、銀行とか、會社とかの適材と云ふ風な者をも委囑したいと考へて居ります、唯何分にも高等試驗は、やはり形は學術試驗になりますので、そこで高等試驗委員として十分信頼の置けると云ふことが必要であることは申すまでもありませぬが、同時に受驗者の便宜を圖りますと、其の人々の考へ方と云ふものに付て、或る程度一般の人々に理解し得るやうな場面が必要であらうと思ふのであります、尤も高等試驗は何も試驗委員の學説を述べる必要は勿論ないので、其の人々が十分學説的に理解のある人であれば申し分ないのでありますが、或る程度はやはり其の人に、從來學術的な方面の勞作等のあるやうな人の方が、受驗者の方から申しましても便利であると云ふやうな點を考慮しますと、今申しましたやうな民間の人々をさう多數採ると云ふことは、實際上困難を伴ふかも知れませぬ、出來るだけさう云ふ風に努力はしたいと考へて居ります、之を要するに、私共は試驗の方法を出來るだけ民主化し、又實質的に合理化致しまして、政善を圖りたいと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=25
-
026・中島守利
○中島委員長 竹谷君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=26
-
027・竹谷源太郎
○竹谷委員 警察制度に關聯してもう一つ伺ひたいのは、警防團のことであります、警防團は昭和十八年に警防團令に依つて設置せられまして、防空法を中心として精神的團體とし、及び規律的訓練をして來たのでありますが、今や當然其の使命や組織、運營に於て大變革を加へなければならないと思ふのであります、終戰後一年を經過した今日までまだ其の儘でありますが、是は水火消防等に非常に障害があると思ひます、之を如何なる方向に持つて行くか、又どう云ふ組織にするか、如何なる時期に於て之を斷行するか、其の方針を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=27
-
028・大村清一
○大村國務大臣 戰後の警防團をどう云ふやうに持つて行くかと云ふ點に付きましては、一つの大きな課題だと思ひます、是は餘程旨く考へて參りませぬと、戰時のやうな警防團が戰後も殘ると云ふことは餘程警戒しなければならぬと考へて居るのであります、改正議案に於きましては、市町村の施設と致しまして、專ら水害防除、火災防除等に當らしむることとし、其の組織の根本的民主化を圖ると共に、機能の刷新を圖ると云ふやうに表示して居るのでありますが、大體此のやうな構想で、尚ほ一つ各方面の御意見をも聽きまして、新時代に即する警防團として再出發を致したいと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=28
-
029・竹谷源太郎
○竹谷委員 是は大至急やつて戴きたいと思ひます、次にもう一點だけ伺つて私は質問を打切りますが、それは官公吏の制度に付てであります、此の委員會に於きましても、知事を官吏にするか公吏にするか、其の他府縣廳の職員、區役所の區長なり職員なりに付ても、さう云ふやうな問題がある譯でありますが、一々議論をしますと非常に又長くなりますから、省略を致します、併し公選された知事を無理に官僚にしてしまふと云ふことは、折角我等の知事、自分で名前を書いて選出した其の信頼する知事が、却て官吏にされて、官僚に豹變したと云ふ感じを與へるのであつて、食糧の供出なり、其の他にも却て障碍が大きいと思ふ、それから又政府當局は、知事等は國家の事務を澤山やる、だから是は官吏にして置く必要がある、他との調和を圖る上から言つても必要であると云つて居るのでありますが、既に市町村長が廣汎なる國家行政を直接やつて居るのであります、縣民の信任投票を受けてなつた公選知事が、市町村長よりも腕がない筈はない、國家行政に關しても十分の腕を持つて居ると思ふのであります、斯くの如く國家の地方に於ける國家行政を、公選された知事が行ふことに依つて一層國家行政は民主化せられる、又今後官僚の勢力よりも政黨の勢力と云ふものが増大して來て、内務大臣は官僚にあらずして政黨の最も中心的人物が此の「ポスト」を占めるので、隨て地方自治と云ふものに對しましても、官僚の獨善的壓迫とか、強制とかではなくて、今度は政黨の強力なる統制が行はれる、其の結果は例の知事、市町村長の解職請求に當つて、五分の一ではどうだと云ふ説もありますが、兎に角やり方に依つては、内務大臣は政黨出身の、政黨の中心幹部である、内務大臣は知事も市町村長も全部我が黨に之を收めることも出來るのであります、斯う云ふ風にして無論政黨政治は新憲法の庶幾する所でありますが、と同時に少數政黨も保護し、大政黨の弊害を或る程度除去する手段を講ずることが必要であらう、さう云ふ意味合から言つても、知事や市町村長の身分が、簡單に馘になるやうなことは防止しなければなりませぬが、と同時に色々な國家行政に當りましても、中央に於ける多數黨の横暴な國家行政を、地方に於て或る程度弊害を除去する意味に於きましても、國家行政を民主的な知事に相當任せて置く、是が反對黨の知事であれば、政府の邪なる要求は之を受入れないと云ふことに依り、或る程度多數政治の弊害も除去出來るのでありますから、さう云ふ意味合に於きましても、知事、市町村長の身分を確保すると共に、是等に相當廣汎なる國家行政の權限を持たす必要がある、其の場合に之を官吏にしてしまつて、國家統制をすると云ふことになりますと、中央の弊害が地方の隅々にまで及ぶことになるのでありまして、やはり此の點から言ひましても公吏の方が宜いのであります、それから知事が公吏になりますと其の下に官吏を使へない、それは困ると云ふ御話でありますが、何も知事の下に官吏が國家行政事務を行つても、恰も市町村吏員が今やつて居るやうにやつて差支へないと思ふ、政府の心配する所は今市町村に於ては優秀な人材が得られない、官吏制度を殘して置けばそれだけ優秀な人材が府縣廳等に殘るだらう、斯う云ふ御考へがあるかも知れませぬ、一應尤もでありますが、併し今後民主思想の浸潤に伴ひまして、官僚は寧ろ反撃を受ける立場になるのではないかと思ふ、隨て内務省は別に官僚を温存しようと云ふ考へではなしに、地方自治にも優秀な職員を多數得たいと云ふ老婆心からではあらうと思ひますが、左樣な老婆心はもう心配する必要はないと思ふのであります、實はこんな議論をするよりも寧ろ私は憲法第十四條の「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、國民固有の權利である」、國民固有の權利であるのでありますから、それが天皇に依つて任命せられるか、内閣總理大臣に依つて任命せられるか、或は知事に依つて任命せられるか、或は國民に依つて公選せられるか、縣民若しくは市町村民に依つて公選せられるか、それ等の任命の手續は種々雜多でありまするけれども、結局是は國民の公僕であり、國民の固有の權利に基いて任命されるものであります、そこで國民の公僕たる點に於ては何等變りはない、唯任免の手續が違ふに過ぎないのでありますから、寧ろ此の際百尺竿頭一歩を進めて、左樣な官僚とか何とか云ふ差別觀に依つて、從來の官僚に付き纒つた忌はしい觀念を拂拭する上から言つても、ここで新しい民主的な革命を斷行するに當つて、重要な國家公共の事務を執行する者は全く新しい著物を著て、新しい名稱の下に一つになつて、國家事務、公共團體の事務を行ふやうにすることが一番宜いのではないか、之に依つて凡ゆる今までの情弊、弊害、反感、差別と云ふやうなものを一掃することが出來るのではないか、之に依つて眞に民主化の一番根本的な第一歩が踏み出されるのではないか、隨て官公吏と云ふ區別を全廢することに關する政府の所見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=29
-
030・大村清一
○大村國務大臣 竹谷委員の御考へに付きましては私も共鳴致す點が多々あるのでありますが、今囘の地方制度改正案に於きまして、府縣知事を、尚ほ一面に於きまして官吏たる資格を與へると云ふことに付きましては、是までにも度々御説明申上げました如く、今囘の議會に於きまして制度の民主化に付ての纒つた改正案を御審議願ふのは、憲法と地方制度だけであります、他の凡百の國家行政の運營に付きましては、尚ほ當分從來通りと云ふことになつて居ります、是は一つには現下の國状もあることでありまするが、又一つには總てのことを一時に手を著けることに付きまして、事實上手が廻らないと云ふこともあるのであります、而して今囘憲法及び地方行政制度が大いに民主化されますに伴ひまして、今後の我が國の行政、政治の行き方は、從來に比して一層高速度に民主化の方に向つて行くと思ふのであります、又國家の行政も出來るだけ早く、又出來るだけ廣範圍に地方公共團體に委讓致しまして、所謂中央集權的のやり方を地方分權的に切替へられることになると信じます、其のやうに國家凡百の政務の行き方がさう云ふやうに變つて參りまするならば、何も苦しんで知事を官吏とすることも必要がなくなるのであります、尚ほ更に一面に於きましては、成立致しました改正憲法に基きまして、公務員制度に付きましても民主的な改正も加へられることであります、それ等のことに依りまして將來此の問題は、更に飛躍的に解決される時期があることを期待致すのであります、唯今日の段階に於きまして、地方制度を民主化すると云ふことに付きましては、先般來度々御説明申上げましたやうに、公選知事に官吏の身分を併せ有せしめまして、現在府縣廳のやつて居りまする仕事を、極めて端的に、簡單に、全部府縣知事が掌握すると云ふ所を狙つて居るのでありまして、府縣民の輿望を擔つて出て參りました公選知事が、官吏と云ふ名目を持つた爲に、是が官僚化すると云ふやうなことは私は理論上考へられない、又若しさう云ふことがあると云ふことでありますならば、それは公選知事の持つて居ります本質としての民主性に依りまして、其の確信の下に、府縣廳の取扱つて居ります國政事務も民主化することに邁進して戴きたいと思ふのであります、今日の段階に於きまして、府縣の公共事務のみを處理する民選知事を置き、さうして今日の制度に於きましては公選知事の扱へない國政事務に付ては特別官廳を設けて、そこに依然として民主性のない官吏に依りまして行政を行ふと云ふやうな府縣廳の分裂を來すことは、私は地方行政の民主化の上に於きまして洵に贊成し兼ねることであります、どうか此の點に付きましては私の御説明が足らない點があるかも存じませぬが、府縣知事を公選にする、是が官吏になつたからと言つて官僚化すると云ふやうには、どうしても私には考へられないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=30
-
031・竹谷源太郎
○竹谷委員 どうも御説明を聽きましても官吏にすると云ふことは、百害あつて一利ないやうに感じられるのであります、若し官吏でなければやれないと云ふ規定があれば、其の規定を變へれば宜いと思ふのであります、兎に角此の點は十分考へる必要があると思ひます、私は是で質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=31
-
032・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 昨日の質問を繼續させて戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=32
-
033・中島守利
○中島委員長 昨日の質問の繼續ですか、成たけ簡單に願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=33
-
034・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 昨日は民主選擧の基礎のことに付て御尋ねしたのでありますが、今日は引續きまして選擧それ自體の構成及び簡易化に付て御質疑致したいと思ふのであります、先づ第一が選擧公營の徹底でありますが、是は昨日他の委員に於て質疑されたのでありまするが、私は此の委員の御質疑とは又別の角度から御伺ひ致して見たいと思ふのであります、先づ第一に政談演説には常に聽衆二、三人と云ふやうな現状を繰返して居るのであります、法制上選擧公營の立場から、是等を矯正する改善案と云ふものを政府が御持合せになつて居るかどうか、一緒に纒めて御聽きして置きます、もう一つは此の演説會の「ビラ」が都市の美觀を奪つて居るのでありますが、之に對して取締上如何なる方途を考へて居られるか、次に第三には選擧公報を讀む者は殆どない、何人讀むか、數が甚だ少いと思ふのでありますが、之に對する改善方法を御考へになつていらつしやいますか、此の三點を先づ御聽き致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=34
-
035・郡祐一
○郡政府委員 演説會場の公營に付きましては、何と申しましても選擧の際には言論に依ります運動と云ふものは、最も直接的なものであり、又歡迎すべきものであると思ふのであります、隨ひまして大きい選擧と申しますか、勢ひ運動の激烈となります選擧に付きましては、演説會の公營は、十分政府と致しまして徹底致しますやうに致したいと存ずるのであります、隨ひまして演説會の極めて聽衆の少い所と云ふやうなものに付きまして、之を或は一人の候補者の爲の演説會と致しませず、立會演説會のやうなものに致しまして、さうして聽衆の便宜を圖ると云ふやうな方法も一つの方法かと思ひまするが、斯樣なことに付きましては、候補者間の自發的な協定等に依りまして進まれることが望ましいと思ふのであります、制度の上で演説會の中味に立至りますことは是は避けて參りたいと存じて居ります、それから「ポスター」に付きましては、確かに過般の選擧等は稍稍「ポスター」が街に氾濫して居つたやうな觀があるのであります、之に付きましては適當な所で枚數の制限等が根據規定の上で明示されることが、或は適當ではなからうかと考へて居ります、選擧公報を讀み易いものに致しますと云ふことは洵に同感であります、色々と考へて居りまするが、もう少し印刷技術等が進み、手の混んだものに致しますと、或はもう少し讀み易いものになるのかと思ひますけれども、只今の状態では先般致しました程度の選擧公報の發行以外には、一寸技術的に無理だと思ひます、併し是の改善に付ては十分考究して見たいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=35
-
036・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 此の候補者間の協定の問題でありますが、實は私共の所で第一囘の衆議院議員の選擧がありまして、次に再選擧の場合に候補者間の協定を致す積りで縣廳が中へ入つてやつたのでありますが、是が失敗に歸したのであります、恐らく斯う云ふことは候補者間にそれぞれの利害得失がありまして、協定と云ふことは絶對に至難と思ひますので、どうしても法文の上に選擧公營の徹底の條文を差入れなければならぬと思ふのであります、それに付て私が考へて居りますることは、極く簡單に申上げますが、先づ市町村主催の立會演説、是は何か内務省の御方針として餘り宜しくないと云ふやうな御方針であつたやうでありますが、やはり同樣な方針を堅持されて居りますか、所謂市町村營の立會演説であります、是が徹底致しますならば、もう小學校に於ける演説會などと云ふものは要らなくなる、私は昨日の質問者のやうに、此の選擧制度と云ふものを制限するやうな意見は持つて居らぬ、逆の立場から私は考へて居る、其の次は「ビラ」の數の制限でありますが、是は今の御説に先づ承服致します、其の次は推薦状の問題、選擧公報の問題でありますが、是は私は選擧公報と云ふものを全然廢止して、其の代りに候補者の推薦状と云ふやうなものを、一括して隣組配達にする方が宜いんぢやないか、さうすれば特色のある各自各樣の推薦状なり挨拶状なりと云ふものが、隣組を經由して配達されれば、選擧費用の計算の上に於ても非常に都合が好い、殊に今度は郵便料が値上になりますと、無料郵便の制度のない他の選擧に於きましては、私はどうしても候補者として非常に利益があると思ふ、隨て選擧費用の取締の點に於ても亦非常に利益がある、故にどうしても推薦状の一括隣組配達と云ふことを考へて、寧ろ選擧公報は廢止すべきであると考へるのであります、之に對してどう云ふ御意見であるか、又選擧運動費用の規定でありますが、是も當然改正しなければならぬのでありますが、寧ろ本法改正と同時に、此の條項を御謳ひになつたらどうか、次に新聞に依る公營でありますが、是も寧ろ廢止すべきであると考へる、演説會の「ビラ」の數の制限と云ふやうな方法を執ると云ふ代償と致しまして、寧ろ演説會の新聞廣告と云ふものを公營とする方が民主的であると考へます、此の點に付て政府の御考へを承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=36
-
037・郡祐一
○郡政府委員 選擧運動と致しまして、選擧運動は公營で徹底するか、自由な選擧運動で徹底するか、是は兩論何れも眞面目に選擧運動を考へます際に成立つ所であります、唯兩者の何れかに徹底して行ひますることは、何と申しましても無理でありますので、勢ひ自由な選擧と公營との適當なる調和と云ふ所に、現實に選擧運動の規定は落著くものと存ずるのであります、隨ひまして御話の市町村營の立會演説と云ふやうな事柄は、一つの宜い構想なのではありますが、先般のやうに候補者が非常に多く立ちました場合には、時間の割り振り等の爲め、公平に之を行ふと云ふことに非常に困難が伴ひまして、其の爲に實際不可能なのであります、事の性質上絶對に可否を決定すべき事柄でもないやうに存じて居ります、又同じやうに推薦状の一括隣組配達と云ふやうなことも、中々選擧公報でも一定の期日までに提出を願ひまして、之を印刷致しまして配付するのに可成りの困難が伴ひます、成程推薦状等を個々の候補者に付て發送致します時には、特徴が現はれて面白いとは思ひますが、之を一括して隣組に配布することは、事實上可成り困難ではないかと思ふのであります、費用超過の罰則に付きましては、種々檢討致しました上、先般のやうな改正になつたのでありまするが、之に付きましても全般を通じて一つの問題として考ふべき部分はあると存じます、掲示の代りに演説會場の新聞に依る告知と云ふやうな御話もあつたのでありますが、先般の掲示と云ふものは、一方では相當の好評を博して居ると申しますか、一般の有權者に對して便利であるかと存ずるのであります、隨ひまして是は今後も存置して置くことが適當ぢやないだらうか、御話のやうな考へ方も考へられるのでありますが、是は技術上、實際上、聊か實施が困難ぢやないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=37
-
038・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 只今の答辯は何も彼も困難のやうな御話でありますが、更に御答辯をもう少し明確にして置きたいと思ふのであります、市町村營の立會演説は、只今の御答辯では可か否か分りませぬ、可であるか、否であるか之をはつきりさして戴きたいのです、私の所に實例があるのであります、今後の方針として可か否かはつきりして戴きたい、それから推薦状の一括隣組配布は困難であると云ふ御話でありますが、是は郵便料節約及び封筒の上書を廢止すると云ふ意味に於て、困難よりは利益が莫大である、又困難と云ふ理由が私には少しも分らないのです、どう云ふ譯で困難であるかもう一遍承りたいと思ひます、それからもう一つは演説會の新聞廣告、是も技術的に難かしいと云ふことは、或る程度分るのであります、開催の日にち其の他の問題で分るのでありますが、選擧公報を廢するとなれば、それに依つて紙其の他が出る、又實際に於て候補者が選擧演説の新聞廣告と云ふものはさう何囘もやつて居りませぬ、選擧全期間を通じて恐らく三囘か多いもので五囘位である、さうした毎週一囘と云ふやうなことで纒めておやりになる程度で、私は宜しからうと思ふ、さうなれば是も技術的に決して困難と云ふ問題は起らぬと思ふ、技術的に困難と云ふことは見解の相違であるかも知れないが、あなた方が技術的に困難であると云ふ根據を示して貰ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=38
-
039・郡祐一
○郡政府委員 市町村營の立會演説は、事柄自體が法制上可であるとか、否であるとか云ふ判斷を下すべきものではないと思ひますけれども、先程申上げましたやうに、候補者の數が非常に多いとか云ふやうな場合には、中々時間の割振りも出來ぬと云ふやうなこともありますし只今の所適當とは思はないと云ふ工合に御諒承を願ひたいと思ひます、推薦状の隣組一括配布は、推薦状の出て參ります選擧公報でさへ、あの期限までに各候補者から全部原稿を戴きますことが、やつと間に合ふと云ふやうな状況なのであります、それで實際各候補者から推薦状を集めて、さうして今度それを隣組毎に一括配布すると云ふことだと思ひますが、間に合つたものだけ配布する是は出して來ぬのだからと言へばそれまでなのでありますが、選擧の際でありますから、可及的間に合ふ際には總てを集めて配布したい、さうしないと公平、不公平と云ふ點で憂慮すべき問題があります、左樣に致しますと中々各人の推薦状を纒めると云ふことが難かしいのではないだらうか、全部が揃ふやうな状態になりますれば──是も政黨單位等で選擧運動が行はれるやうな時期になりますと、御話のやうなことも極めてやり易い状態になるのでありますが、現状から見て左樣な點で難かしいのではないだらうかと申上げたのであります、それから演説會の會場の新聞廣告は、是は御話のやうな、一週間分を纒めると云ふやうなことであれば可能なのでありまするが、唯私が申しました意味は、演説會と云ふのはやはり其の直前に色々な點で決定する部分がありますので、さう致しますと結局毎日位載せないと無理ではないだらうか、さうすると採用が困難であると思ふと、斯う云ふ意味合であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=39
-
040・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 是れ以上は討論に亙りますから差控へますが、もう一寸申上げて置きますことは、推薦状の一括隣組配布に付て間に合はぬものが出來た時には不公平だと云ふことは、間に合はぬやうに出す者は、本人がそれだけの不公平を受けなければならぬ立場に立つのは當り前でありまして、間に合はない者は自費でやらせると云ふことにすれば、必ず候補者は間に合せるやうにする、もう一つは演説會の新聞廣告なども、是は「ビラ」と並行する、「ビラ」は現にやらない譯ではないのであります、結局は是は私は宜いと思ふ、併し是れ以上に亙ると意見になりますので差控へて置きます
其の次は投票の簡易化であります、此の中の投票の記名式の採用と、幾つかの選擧の投票を一時に行ふと云ふことは、是はどなたか御質問になつたやうでありますから省きます
其の次に選擧人名簿の調製に付ては至れり盡せりの方法を御考へになつていらつしやるのでありますが、他町村に轉出して居ります者、即ち疎開者など、それ等の人には、疎開先の町村に於て立派に投票の出來るやうな方法を御執りになる御意思があるかどうか、御聽きしたいと思ひます、尚ほ投票場の増加に付ても、是は或る程度現在以上に増加しなければならないと思ふのでありますが、之に對しての御考へを承りたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=40
-
041・郡祐一
○郡政府委員 疎開者等の問題でありますが、考へられますことは、不在者投票をもつと一般的に簡易化する必要があるぢやないか、不在者投票に付ては餘りに規定が複雜であつて、不在者投票の場合を限定し過ぎて居るではないかと云ふことを考へるのであります、疎開者の問題は稍稍一時的の問題でありますが、全體的に不在者投票の範圍を擴張し、其の方法を簡易化致すと云ふことで、特に改正を考へて見るべきやうに準備して居ります、それから投票場の増設に付ては、是は御話の通りでありまして、先般も可なりの増設を致した積りでありますが、まだまだ不十分でありまして、今後思切つて増設する必要があると思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=41
-
042・中島守利
○中島委員長 午後一時まで休憩します
午後零時九分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=42
-
043・会議録情報2
――――◇―――――
午後一時四十分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=43
-
044・中島守利
○中島委員長 是より開會致します、午前に引續きまして質疑を許します──青木君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=44
-
045・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 民主選擧の準備教育が徹底されますならば、私は寧ろ連記制は活用すべきではないかと考へるのであります、勿論之には種々の缺點もあつたでありませうが、廢止するが如きは寧ろ逆行であるやうに考へるのであります、昨日此の問題に付て質問がありました時に、政府委員から多少の缺點は認めると云ふ御説明でありましたが、其の多少の缺點の内容を御聽きしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=45
-
046・大村清一
○大村國務大臣 連記制實施の結果に付ての長短に付きましては尚ほ研究中であります、其の研究の過程に於きまして氣の付きました最も主なることは、只今御話の中にもありました如く、民主政治の趣旨が尚ほ未だ選擧民の間に十分了解せられて居ない點があるものと見えまして、今日の如き政黨分立の時に於ては、政黨を見ずして人を見ると云ふやうな關係かと思ふのでありますが、相反する主義政見の人を竝べて連記するやうな事例も段々あつたのでありまして、是等は健全なる民主政治の發達の上に於きまして、大いに考慮しなければならぬ事項ではないかと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=46
-
047・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 唯それだけの理由ならば、寧ろ是は廢止する必要がないやうにも考へます、政府としては廢止するやうな御意向のやうには承つて居りませぬが、理由がないやうに思ふのであります、是等の缺點は其の他にも色々あると思ひますが、併しそれ等は今まで、私が御質疑申上げました民主選擧の基礎訓練如何に依つては匡正出來るやうに考へるのであります、勿論議會よりもそれぞれの方々の意見が出て居ることと思ひますが、政府當局と致しましては十分此の問題は御研究の上で、大衆的な政治家、金力もなく又所謂地盤もなく、又勞力もないと云ふやうな政治家の中に、尚ほ我々が議員となつて欲しい人が相當あると思ふ、さう云ふ方々が容易に立候補出來、又勝利を收め得る途を、此の連記制の問題も固よりでありますが、其の他只今まで御質疑申しました凡ゆる是等の事項を御研究になりまして、さうした途を御開きになつて戴くやうに切望したいのであります
次に此の私の觀點から致しまして選擧の取締、是は昨日も此の問題に觸れたのでありますが、選擧の取締如何に依るのです、所が偶偶此の間の選擧に於きまして政府は選擧中の取締を非常に寛大にされて居る、殆どやつて居らないかに見えるのであります、此の事柄に付て今後やはり現在のやうな方法を御執りになりますか、それとも是は此の前の選擧の結果から見まして嚴重におやりになる御考へでありますか、承りたいのであります、唯此の問題をなぜ御質疑申すかと云ふと不正な選擧をして相當の投票を集める候補者が居ります爲に、私は當選の順序に狂ひを生じて居るのであると云ふ結論を持つて居るのであります、即ち當選しなければならない者が落選し、又當選しなくても宜しい者が當選すると云ふやうな番狂はせと云ふものが、是は寧ろ連記制の缺點と云ふよりは、選擧中に於ける取締が緩漫であつて、不正なる選擧運動を行つた者が、投票を集め過ぎたと云ふやうな關係から、是は勿論地盤關係其の他に相成るのでありますが、さうした關係から當選の順序に狂ひを生じたのではないかと考へるのであります、此の點一つ今後の取締に付て御當局の御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=47
-
048・大村清一
○大村國務大臣 選擧の取締に付きましては選擧違反の事實がありまして、それが選擧犯罪を構成すると云ふやうな明瞭な事實がありました場合に於きましては、固より嚴正に、敏速に、檢擧を致すべきは當然のことであります、併し此の選擧運動中に於きまして、選擧違反の嫌疑があると云ふやうな場合に於きましては、其の嫌疑の濃淡に依りまして是は自ら取扱が異なる次第であります、十分なる確證なくして檢擧に著手すると云ふやうなことがありましては、是は只今の御話のやうに非常に候補者に對して迷惑を及ぼし、檢擧して段々取調を進めた結果、それが無罪になると云ふやうな薄弱な嫌疑の場合に於きましては、それ等の點に付きまして餘程檢擧に著手すると云ふことは考慮しなければならぬことと思ひます、又選擧運動の取締其の宜しきを得ませぬ場合に於きましては、曾てございましたやうな官憲の選擧干渉と云ふやうな非難を招來する虞も多分にあることでありますので、曩の選擧に於きましては内外の要請に依りまして自由なる民意の反映を所期致します趣旨に於きまして、選擧の取締に於きましても適正公平なる措置を執るべく、關係者に十分なる警告も致しまして、大體其の目的を達し得たやに考へて居るのであります、今後の選擧に於きましても只今申しましたやうな同一方針に依りまして、證據の確實な、明白なる問題に付きましては時を移さず斷乎たる措置に出る積りでありますが、極めて薄弱なる嫌疑で妄動致すと云ふやうなことは固より致さない、さうして何處までも公正なる選擧競爭が行はれ、又選擧民は自由なる正しき投票を致すやうに努めまして、荀くも取締に依つて是等の點に暗影を投ずると云ふやうなことは、極力避けるやうに取計らつて行く積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=48
-
049・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 次に泡沫候補の濫立防止の問題でありますが、是も昨日他の委員から御話があり、政府の答辯も御聽きしましたが、是は私まだ不滿足に思つて居る、政府の御答辯に依りますと、政黨の發達を見ますならば、人的推薦の方法も宜しからうと云ふ御話でありますが、政黨の發達と云ふことは、中々今囘の此の九月から行はれる選擧には間に合はないやうに思ふ、勿論政黨が如何に發達致しましても、自己の力のないと云ふことを認識しない候補者、又は賣名候補者、又政黨が發達すればする程所謂犧牲候補者と云ふものが存在する限り、政府の御答辯の範圍内に於きましては人的推薦の方法と云ふことは、どうしても私は採用される時期が來ないやうに思ふ、隨て寧ろ此の際次の機會を待たずに更に一歩進めて、或る意味に於ける一定數の推薦があつたならば立候補出來ると云ふやうな、所謂保證金の制度を撤廢する、又選擧の結果一定數に達しないものに對しましては、次の選擧の立候補を禁止すると云ふ方法もどうかと考へるのでありますが、もう一應此の點に付て御説明を願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=49
-
050・郡祐一
○郡政府委員 得票が前囘の選擧に依つて一定數に達しない者の立候補を禁止すると云ふやうなことは、何と申しましても選擧の立候補に付きましては自由であり、平等な立場に於て立候補を認めますことが、選擧と云ふ事柄の性質上當然と思ふのであります、隨ひまして之に付て人的又は物的の擔保等を要求致すと云ふやうなことは、方法として採用は可能でありますが、得票が或る程度に達しなかつた代償と申しますか、其の故を以て其の人間が將來の選擧に於ても泡沫候補であると云ふ判定を致して、是が立候補を抑制すると云ふことは穩當を缺き、認むべきでないと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=50
-
051・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 是は私の意見でなくして一般的に考へられて居る意見を私が代辯して居るのであります、此の人的推薦の方法、保證金の増額の方法、是は永久でない、少くも次の選擧の立候補の禁止と云ふやうなことに付ては、現在の保證制度が不完全であると云ふことは一般に認め、又政府も私は認めて居るものと解釋して居るのでありまして、是は尚ほ十分の御研究を御願ひ致したいと思ふ、次に選擧を簡易化する意味に於て、私は再選擧の制度は廢止すべきであると考へる、自分自身が此の再選擧の問題で實は引懸つて居るのでありますが、再選擧の如きは洵に無用の長物だと思ふ、もう一つは缺格條項、是なども無用の長物であらうと思ふ、是などは廢止したらどうかと思ふ、唯町村に於て廢止すると云ふことは、どうも僅かな投票を以て當選する者があると云ふやうなことになりますので、是はどうかと思ふ、併し町村以外のものに於ては、もう此の制度は削除する方が宜いと思ふのでありますが、當局として何か特別の御差支へがあるのか、どうしてもそれを殘して置かなければならぬと云ふ御意見でありますならば其の根據を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=51
-
052・郡祐一
○郡政府委員 再選擧と申しますものは、基本となりました選擧に瑕疵があると申しますか、全體として見まして完全なる結果が現れて居りませぬが爲に、基本の選擧を補充する爲に行ひまするので、再選擧の場合を制限するとか云ふやうなことは考へられるかと思ひますが、再選擧と云ふものをなくしてしまふと云ふことは、理論上無理があらうかと存じて居ります、それから法定得票數の問題に付きましては、是は色々な考へ方が成立つ所と思ひまするが、餘りに一般有權者の意向と反すると思はれまする部分まで、法定得票數を引下げると云ふことも如何かと思ひまするので、それ等の點に付ては如何なる基準が適當であるか、御承知のやうに衆議院とそれぞれの地方議會と、何れも法定得票數を異にして居るので、一つの研究すべき問題だと思ふのであります、缺格條項と仰しやいましたが、選擧權、被選擧權の所謂缺格條項の意味でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=52
-
053・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 いや、當選の問題です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=53
-
054・郡祐一
○郡政府委員 衆議院議員選擧法に付ても地方議會と同樣、缺格條項は將來適當に整理致したく考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=54
-
055・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 大體今の御答辯は私の考へと同じやうな考へで御答辯願つて居ります、甚だ滿足であります、是も精々御研究を願ひたい、選擧のことは是で一應打切りまして、次に町村制及び市都府縣制の内容に付て質疑を續けて行きたいと思ふのであります、先づ第一が町内會、部落會に對して人格を與へる御意思があるかどうか、之を御聽きしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=55
-
056・郡祐一
○郡政府委員 町内會、部落會は現在重要な働きを致して居ります、さうして之に人格を與へました方が色々の點に於て便宜かと存じて居ります、唯一方に於きまして町内會、部落會の發達と云ふものは、努めて自然的な發達を庶幾することと致したいし、町内會、部落會のそれぞれの發達の模樣も、各地各地で相當區々になつて居ります、法律で人格を持たせまするに伴ひまして、餘りに之を規制してしまひまして、それぞれの特徴を失ひましても好ましくない點がありまするので、如何なる時期に、どの程度に於て人格を與へるべきや、現在も財産主體等になり得る規定は設けて居りますが、どの程度に於て所謂人格を持たせますかに付ては、更に實際の調査と時期とに付て適當な判斷を致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=56
-
057・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 次に罷免權、解散權の問題でありますが、是も度々論議されて居る、併し私は皆さんの論議とは別箇の行き方を考へて居るのでありまして、町村に於ける是等の認許は府縣會に任せ、市都府縣に於ける認許は衆議院に任せたらどうか、之を一本に所謂官吏の手に委ねないで、斯うしたものに委ねた方がどうかと思ふのでありますが、是等の修正意見を出した場合の當局の御考へを承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=57
-
058・郡祐一
○郡政府委員 現在の行政體系から參りまして解職なり解散なりの處分を致します者、是はやはり監督の立場にある者が之を決定致すべきものと存ずるのであります、左樣な場合に於きまして、町村と府縣會、市府縣と衆議院、是等の間には現在何等の繋がりもございませぬし、それ等のものに繋がりを持たせますことは、寧ろ必ずしも好い結果を生じないやうな工合に考へらるるのであります、若し全然別箇の機關に、系統を別に致したものに決定致させた方が宜いと云ふ論を進めますならば、或は將來之に適しました裁判所でもありますやうな時には、其處で決定すると云ふやうな議論もあり得るかと思ひますけれども、現在の行政體系に於きましては、一般的な監督權を持つて居ります機關が之を決定致すと云ふことが、最も穩當であらうと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=58
-
059・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 さうすると此の認許權を所謂監督官廳が握つて居ると云ふことになると、結局是も度々論議されて居るのかも分りませぬが、此の民主の意義と云ふものがなくなるのではないか、もう一つは、只今の御説明に依ると、府縣會なり或は衆議院に監督の能力がないやうに聞えて來るのであります、もう一つは、從來に於て斯うした公共團體の訴願などは、府縣參事會に於て處理して居るやうな前例があるのであります、其の意味からして私は寧ろ監督官廳よりは、是等の自治團體の議會に任せる方が宜いと云ふ説はやはり枉げられないのであります、唯只今御説明の中にありました特別の裁判所と云ふことも、私は以前からやはり考へて居つたのであります、此の次に實は御聽きする積りでありましたのが、御答辯の中に入つて來たのでありまして、此の點は私の考へと同樣でありますので、是れ以上御質疑申上げれば意見になりますから是で止めます
其の次に現在の改正の要點を點檢致すと、府縣に於ても町村に於ても非常に役が多いのであります、色々な役があります、是等は寧ろ整理して少くする方が宜いのではないかと思ふ、一つの例を申しますと、府縣會と云ふやうなものは、隔月開くやつを寧ろ常置するとか、或は例月開く、或は必要の度毎に開くと云ふやうな方法を執りますならば、寧ろ參事會と云ふやうなものは廢止すべきであると思ふ、もう一つは地方に委員制度が現在の制度ではある筈であります、此の委員制度を活用致しますならば、寧ろ參與と云ふものは要らないやうに思ふ、此の委員制度は、現在のやうな床の間の飾り物的な、唯役振りの機關と云ふやうなものにして置かないで、之を本當の地方議會の議員の研究機關であり、又行政に參與する機關であり、又立法の基本を作る機關と云ふものに擴充して行きますならば、參事會と云ふものも、又參與と云ふやうなものも、寧ろ要らないと云ふ結論に相成るのではないか、隨て政府に私が御問ひ致しますのは、此の地方議會に於ける委員制度を更に擴充する御意思があるかないか、之に對して研究、立法、協力の方法を認めて、尚ほ經費とか或は設備をする御考へがあるかないか、之を御聽きしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=59
-
060・郡祐一
○郡政府委員 地方議會を頻繁に開きますことは、それだけ地方政治の民主化を圖り得ると思ひまして採用致したので、隨て仰せのやうに參事會に付きましても、府縣位の規模になると常設委員的な參事會も必要だと存じますが、市に付きましては或は之を必要としない所も起るかと思ひまして、市參事會は市の判斷に依つて設置せざることを得ることに致して居ります、委員制の活用と申しますことは洵に結構なことでございます、現在よりもつと各般の調査を致し、或は理事者に對して適當な協力を致す機關としての委員制は、十分に活用致されて宜いと思ふのであります、參與に付きましては是は町村内に於きまする各種の施策に付きまして重要なる審議を致す爲に、特に町村に於きましては必置機關と致して居るものでもありますし、町村長の各種團體に對する指示權等と表裏をなしまして、町村内に於きまする有力な團體長を網羅致します爲に、特に設けました制度でありますので、參與と云ふものを此の際廢止する必要はないと存じて居るのであります、併し委員制の活用に付きましては十分是が活用度を高めますやうに、府縣市町村を督勵して參りたいと思つて居るのであります、さう致しまして委員等に對しまする報酬等に付きましても、此の度規定を設けて居るのでありますが、委員が色々な意味合で有力に働き得ますやうに、地方側に於ても各般の用意をすることは洵に好ましいことだと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=60
-
061・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 次に監査委員の問題でありますが、此の監査委員を被監督者の任命に任せると云ふ矛盾を考へるのでありますが、此の法的な考へ方をどう思ひますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=61
-
062・郡祐一
○郡政府委員 監査委員は一方に於て其の職務の上では獨立性を持つて居りまして、其の職務の執行は期待するのでありますけれども、執行機關、議決機關があつて、其の他に全く別箇の系統の立ちました機關と云ふものを更に設けることは適當であらうか、或はやはり執行機關の系統に屬しました、而も獨立性を持つたものとして監査委員を置く方が適當であらうか、是は御話のやうに餘りに機關の獨立性の方にのみ進みまして複雜に致す必要もありませぬし、其の事務なら事務の獨立性と云ふものは、法律が之に與へて居りまする保障等の點から致しましても、市長の任命に致しましたが爲に、さう獨立性が保障されないと云ふことはないと存じまして、左樣な任命の手續を決めた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=62
-
063・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 是も只今の説明では不十分であります、一般的常識から致しましても、被監督の地位にある者が監督する者を作ると云ふやうなことでは、結局は監督と被監督との混淆であります、是は私は何處までも只今の説明では納得出來ないのであります、それから今度はもう一つ監査委員に、地方制度の制度其のものの運用の監査ばかりでなく、一番必要な、只今民衆から要望されて居りますことは、配給物資の適正化である、是等の問題を監査させる方が私はより現在必要であると考へて居るのでありますが、唯現在指示して居りますやうに、町村役場の玄關先に數量などを掲示すると云ふやうな方法では、私は唯町村の是等のやり方を信任すると云ふやうな惡い影響を與へるのみであつて、本當に此の内容を點檢する新しい方法にはならぬと思ふ、隨て此の監査委員に對してそれ等の任務も與へたらどうかと思ふのでありますが、此の點如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=63
-
064・郡祐一
○郡政府委員 監査委員は、先程の説明でも其の意味合を申上げたやうに、市の執行機關の能率を高めます爲に活動致しますことが、恐らく其の主たる狙ひとなると思ふのであります、隨ひまして監査委員の活動は、何處までも市の經營に關します事業の管理、市の出納、其の他市の事務の執行──市に付て申しましたが、町村でも同じであります、左樣な自治體に關係致して居ります、即ち地方制度の中で規律致して居ります事項に付て、其の監査を執行致すのでありまして、隨ひまして市長の事務になつて居ります部分に付きましては、其の監査は監査委員の性質上行はれないと存ずるのであります、隨ひまして配給事務に付きましても、國の委任に依つてやつて居りますものと、市町村の任意統制になつて居りますものとで、區別がある、後者に付ては其の監査を行ひますが、前者に付ては行はないと云ふことに相成ると存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=64
-
065・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 以上申上げました點に基きまして私は斯う云ふ考へを持つて居るのであります、それは此の監査委員の數を殖やして、之を國民の直接選擧、又は法的に認められた部落會とか、町内會の長の間接選擧と云ふ方法を、獨自に御執りになる方が宜いのではないかと思ふのでありますが、之に付ても政府は如何に御考へになつていらつしやるか、もう一應御聽きしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=65
-
066・郡祐一
○郡政府委員 先程も申しましたやうに、監査委員が執行機關の能率を高め、さうして其の構成に於きまして、可及的左樣な能力を持つて居る者を選任し、其の職務權限を法律上確定致しまして、さうして獨立の執行を致させて行かう、斯う云ふ考へなのでありまして、此の監査委員を何等かの形に於て直接選擧し、或は間接選擧すると云ふことを致さなければ、其の獨立性が保障されないと云ふ工合には考へて居らないのであります、此の所謂監査機構に付きましては、自治監査の外に、もつと廣汎な監査機構、或は當該府縣の中で總ての市町村を通じた監査機構と云ふものを一つ考へると云ふことは、或は監査のより徹底した方法として考へられるかも知れませぬが、現在それぞれ自治體が完全な自治體として行動して居る、さうして自治監査をして行く執行機關と、議決機關と、二つの相對立する機關がある、さうして執行機關の能率を高める爲の機構であれば、只今のやうな市町村の吏員と致す制度で宜しいのではないか、それから且つ之に付て何等かの選擧の方法を用ひると云ふのも、寧ろ若干の數の吏員の爲に煩はしいのではないだらうか、それから御話の中にありました數の問題に付きますと、監査委員と云ふのは寧ろ數を少く致しまして、其の一人に對して十分なる責任を負はせる、併し必要なる補助者を使ふと云ふことは宜しいと思ふのでありますが、人數が少くて、さうして其の一人の持つて居る責任度を高めると云ふ方が、望ましいのではないだらうかと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=66
-
067・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 私の申しますのは、此の數の増加は、現在のやうな數を以ては徹底したる監査事務はやれないと云ふ結論からであります、是亦御考慮を願ひたいのであります
其の次に、町村に於ける立法權の問題であります、是は府縣とか或は其の他のものに於ては、現在の方法でも其の數を増せば宜いかと思ひますが、町村に於ては寧ろ部落會とか或は町内會と云ふものを基本とした立法權を御認めになつた方が宜いのではないかと思ふのであります、此の點はどう御考へになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=67
-
068・郡祐一
○郡政府委員 立法權と仰しやいますのが、條例の制定請求であると致しますならば、是は部落單位等に致しまして、餘りに部落的な色彩が濃く出まするよりも、寧ろそれを要求致しまするよりも、部落としての要求が必要でありまするならば、それは部落單位で數を纒めても可能であります、又寧ろ法律の所期致します所は、全町村と云ふ立場から要求が行はれることが好ましいのであります、或る部落の爲めに斯う云ふやうな條例制定を請求すると云ふ考へ方に偏してしまふことは、好ましくないのではないだらうかと申した譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=68
-
069・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 どうも私の質問が成べく簡單にと思ひますので、只今のやうな御答辯になるのも致し方ないと思ふのであります、私は何十人かの人の贊成を求めた條例の發案をするのでなくして、幾つかの部落の贊成を求めた立法なのであります、隨て此の立法が數多く出ると云ふやうな煩を省く爲に、どうしても地方に參りますならば、部落單位或は町内會單位に話を纏めると云ふ方が、最も公正妥當でないかと思ふのでありまして、此の點を申したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=69
-
070・中島守利
○中島委員長 青木君に御注意致しますが、成べく總括的の御質問を願ひたい、細部に亙りましては御質問の機會が他にあると思ひます、成べくさう云ふことにして、簡單に切上げて貰ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=70
-
071・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 次に今度は官廳事務の能率化の問題でありますが、現在の起案の方法、稟議の方法と云ふやうな方法でなくして、之を更に簡易化して能率を高める御考へ、又現在非常に交通難でありまして、通勤するのに一時間半も、場合に依つては二時間も掛かると云ふ所に居ります者が、暑氣の爲めとは言ひながら、半どんで午前中で執務を終ると云ふことになると、午前中の執務が一時間か、場合に依つたら一時間半にしかならない、斯う云ふやうな方法が果して宜いことかどうか、之に對する何等かの對策がおありになるか、之を御聽きしたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=71
-
072・郡祐一
○郡政府委員 官廳事務を、一方に於きましては出來る限り敏速に致しますことは常に心掛けて居り、左樣な督勵が内務省自體に付ても、又府縣廳に付てもなされて居る所でありまして、夏期の半どんに於きましても、是が事務の執行に支障のないやうに常に注意を致して居ります、それぞれ必要な事務の責任者は、平素と同じ勤務時間内役所に居るやうに致して居るのであります、又府縣等に依りまして、若し其の點に於て地方に不便を掛けて居るやうな所がありますならば、十分注意を喚起致しまして、左樣なことのないやうに致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=72
-
073・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 次に是は内務省の管轄と一寸違つて來るのではないかと云ふ虞があるのでありますが、地方制度の問題に附帶致しまして現在の市町村制とか、或は府縣制と云ふ問題の民主化と云ふことは今囘の提案に依つて略略目的を達するものと思ひますが、今度は水利組合の民主化に付てどう云ふことを考へて居られますか、是は内務省の關係ではありませぬか、是は非常に重大な問題であると私は思ひますので、御考へがありましたら承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=73
-
074・郡祐一
○郡政府委員 水利組合に付きましては、從來も市町村に於きまする制度と、物に依りましては非常に似通つた制度になつて居りまして、地方制度に付きまして考へられますやうな改革と云ふのは、當然考へなければ相成らぬと思ひます、運用に於きましては急速に是が民主的な執行を致しまするやうに指導して參りたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=74
-
075・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 此の水利組合の運營程封建的なものはないのでありまして、此の運營は殆ど舊慣に依つてなされて居る、又水利組合の法の上で如何なることを御決めになりましても、實際の運用に當ると舊慣の方が勝つのです、裁判の結果も左樣に相成つて居る、其の爲に實際の時局に適した運營と云ふものは行はれて居らないのが現状でありまして、是が立案をされる場合に、どうか本當の水利組合の民主化に付て唯機構のみの問題でなくて、其の運營の點に於て、私はどうも本委員會で斯う云ふことを申すのは場所違ひかも知れませぬけれども、關聯した問題として、其の點特に今から御考慮を願つて置きたいと思ふのであります
其の次に警察權の擴充強化の問題であります、是も大體他の委員の方に依つて取上げられて居るのでありますが、差當り最も重大な問題としては、どうしても質と數の問題であります、是も亦進駐軍の關係があると思ひますので、私は此の問題に付ては深く觸れないことに致したいと思ひます、此の警察の取締の方面で最も重點を注ぐべきものは、新圓の交換の問題、封鎖預金とか或は特殊預金の交換の問題に付て世間に色々の流説がある、封鎖預金を一萬圓持つて行くと新圓を七千圓呉れる、或は特殊預金を一萬圓持つて行くと新圓を五千圓呉れると云ふやうなことが、どうも現在頻繁に行はれて居るやうに私共は考へるのでありますが、政府當局としては其の根據を御衝きになる御考へがあるかないか、勿論此の根據を衝いた時には、場合に依つては非日本國民も此の問題に解れて來るものと思ふのでありまするが、他の色々な取締もあります、併し此の問題が現在の日本の經濟機構の上に於ける最も重大問題のやうに私は考へて居るのであります、此の點に付て具體的な御考へがありましたら御聽き致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=75
-
076・大村清一
○大村國務大臣 新圓舊圓の關係の問題でありますが、又其の他一般の金融經濟の取締の問題に付きましては、中中專門的な知識を有しなければ完全を期することが出來ないのでありまして、此の點に付きましては大藏當局とも始終打合せの上、誤りなきを期して居る次第でありまして、私、其の詳細を茲で申上げるだけの材料を持つて居りませぬ、大體さう云ふ行き方で誤りなきを期して居ると云ふことだけを御答へ申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=76
-
077・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 次に先に申上げました警察の質と數の問題でありますが、現在の警察の數を以てしては、私は完全なる治安の維持は出來ないと思ふのでありますが、此の補助の意味に於きまして消防、警防團員を御使用になる御考へがあるかないか、御聽きしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=77
-
078・大村清一
○大村國務大臣 我が國の現在の治安を維持しまする上に於きまして、警察力を増強すると云ふことは非常に緊要なことと考へるのでありますが、量を増加すると云ふ點に付きましては色々の事情がございまして、府縣警察に於きまして此の際増員を致しますことは、行ひ兼ねる事情があるのであります、併し府縣警察で取扱つて居りまする仕事を整理致しまして、府縣警察が負擔致します所の仕事を少くすると云ふことに依りまして、實質的に府縣警察の増員をしたと同じやうな效果を收めることは可能であります、此の點に付きましては、或は府縣警察の仕事を市町村等に委讓する、又府縣警察でやつて居ります仕事の中で、他の府縣廳の部に移し得るものは移す、或は府縣警察でやつて居ります仕事を、只今考案中でございますが、鐵道省の管轄下に於ける警察で取扱ふと云ふやうな、さう云ふ仕事の内容の整理に依りまして、數の上の缺陷を補ふと云ふやうなことは著々實行して見たく考へて居ります、又質の點に付きましても、警察官の優遇が出發になることでございますが、是も近く或る程度の目鼻も付くことであります、又現在の議會に於て一般警察官に對しまして、千五百萬圓の増給豫算も要求致して居りまして、之に依りまして下級警察官に於て、月俸十數圓位の増給も出來る、是が基本になりまして、又諸般の手當等が支給されると云ふやうなことで、一般官吏よりも其の程度だけ優遇もされると云ふことに相成りますので、是れと相伴ひまして警察官の採用基準を、中等學校程度以上に引上げると云ふことも實行し得ると考へて居ります、尚又採用致しました新警察官、又現在居ります所の古い警察官を再教育をし、又再訓練をすると云ふことに付きましても、上は大學程度のものから、中間に專門學校程度、さうして現在各府縣にあります所の警察練習所と云ふやうな機關も、整備致したいと云ふやうに考へて居る次第であります、尚ほ警察力の不足の所を、消防乃至警防團で増強すると云ふことも確かに考慮せらるべきでありますが、是は餘程考慮致しませぬと、それ等の補助者が不慣れの爲に人權を蹂躙する、そこまで參りませぬまでも、行過ぎが行はれると云ふやうなことがありますので、是は餘程取扱ふ仕事に依りまして、誤りなきを期さなければならぬと思ひます、尚ほ警防團を一般警察の補助者に使ふことに付きましては、種々考慮を要することがございますので、只今の所と致しましては、市町村の警察、或は市町村の消防、水防と云ふやうなことの補助機關に使ふのが適當ぢやないかと云ふやうに、改正試案には記述致しまして、各方面の御意向も拜聽致したいと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=78
-
079・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 過日大阪方面の新聞には、米二升と芋一貫目は持ち歩きを認めると云ふやうな記事が出て居ります、又昨日でありますか、東京の新聞では米五升までは持ち歩きが差支へないと云ふやうなことが出て居るのであります、果して是が眞實かどうか御聽きしたい、何故斯う云ふことを御聽きするかと云ひますと、現在百姓の所にある米を、一人が二升づつ十遍持つて歩けば半俵、所謂二斗、五升づつ持つて歩けば結局は一俵と一斗の米がなくなる、是は萬一之を御許しになれば、私は非常に重大なる支障を供出米の上に於て起すと思ふ、又私は百姓でありまするが、私の所には縁故關係を辿つて澤山の方が買出と云ひますか、物貰ひと云ひますか、兎に角欲しいと言つて來るので、其の應接に實は困つて居るのであります、それが米二升が大ぴらで持つて歩かれる、芋二貫目が大ぴらで持つて歩かれる、而も昨日の新聞で五升が大ぴらで持つて歩かれると云ふことを見まして、私は洵に心外に堪へないのであります、御答辯を聽かぬ先に斯う云ふことを申上げて失禮でありますが、どう云ふ關係でああ云ふことになつて居りますか、御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=79
-
080・中島守利
○中島委員長 成べく地方制度の範圍外の、縁の遠い質問は遠慮して戴きたいと思ひます、あなた一人の質問ではない、お互ひ多數の委員がおいでになつて質問するのであります、紳士的にどうか御考慮なすつて質疑をなさるやうに御願ひする譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=80
-
081・大村清一
○大村國務大臣 只今御尋ねになりました點は、所に依りまして事情は違ふのです、と申しますのは消費地に於ける取締の實際と、又供出地に於ける取締と云ふものに付ては、實際問題として、そこに力の入れどころが違つて來ることは已むを得ないのであります、東京の如き大消費地に於きまして、食糧不足は洵に名状すべからざる窮況に陷つて居ります、最近に於きましては聯合國の好意に依りまして、事態は相當緩和されて居りますけれども、併し食糧配給の實際に付きましては、國民の嗜好の上から申しまして、洵に扱ひにくいやうなことになつて居ります、即ち米麥と云ふやうな食糧でありませぬで「メリケン」粉と云ふやうなことになつて居りますと、偶偶病人等のある場合に於きましては、聯合軍の配給食糧だけでは立つて行けないと云ふやうな窮状もあるのであります、さう云ふやうな次第でございますので、消費地に於きましてはそれ等の事情もございますし、又一方に於きましては此の食糧問題の窮迫したる實情から、營業として利益を追求して大量なる買出し、所謂不良「ブローカー」が大いに跋扈も致して居るのであります、此の兩者を考へて見ますると、消費地に於きましては不良「ブローカー」を先づ先に手を著ける、之を徹底的に取締ると云ふ點に主力を盡すのは當然のことでありまして、警察力が十分であつて、凡ゆる點まで手が及ぶと致しますれば、何も彼も取締る譯でございますが、其のやうにも行兼ねるのであります、又一面に先程申上げました部面に於きましては、そこまで微に入り細を穿つた取締を致しますことは、消費地に於ける市民生活の根本に觸れて來るやうな點もございまして、行過ぎは却て社會治安にも影響を及ぼすと云ふやうな配慮も致さなければなりませぬ、さう云ふ次第で取締の實際から、只今仰せのやうな記事が出たのではないかと思つて居ります、何れに致せ、其の主要食糧を、大量と雖も少量と雖も、動かすことは何れも法律上はいけないことでございまして、別に五升以下は取締らないと云ふやうなことを、取締當局に於きまして公表する筈はないと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=81
-
082・中島守利
○中島委員長 次は武藤君、成たけどうぞ簡單に願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=82
-
083・武藤運十郎
○武藤(運)委員 私の内務大臣に對する質問の要點は、從來我が國の官界に官學、私學の區別、差別待遇があつた、それが甚だしい爲に、遂には官學閥と云ふやうなものが、中央地方の行政の中に出來まして、それが日本の行政を官僚化する大きな原因になつて居つたと考へられますので、此の際日本の民主化の爲に、中央地方を通じての行政の民主化の爲に、官學私學の區別、差別待遇を撤廢致したいと考へるのでありますけれども、其の點に付て内務大臣の所信と御見解を伺ひたいと思ひます、恐らく大臣も局長も官學の御出身であらうと思はれますので、斯う云ふ問題に付きまして質問致しますことは快くないことかも知れませぬが、どうか行政の民主化の爲に、日本の民主化の爲に、此の問題を眞劍に御考へを願ひたい、斯う私は先づ考へまして、前提を致すのであります、午前中の大臣の御答辯の中には、日本を民主化する爲の法律と致しまして今議會に出たものは、纏まつたものとしては地方制度の改正案と憲法である、斯う云ふ風な御答辯があつたやうでありますけれども、洵に其の通りでありまして、今議會に於ける民主化の爲の法律として、此の二法案は兩横綱とも申すべきものであると私は考へるのであります、併しながら幾ら良い法律を作り、幾ら良い新しい機構を作りましても、之を運用致します人を得なければ、決して所期の目的を達するものではないことは、先般來再々述べられて居る所であります、大體に於きまして、日本の行政機構の運營の中核をなすものは官吏でありまして、此の官吏が、官吏の中でも高級官吏──高等官以上でありますが、此の高級官吏が封建的官僚的でありますならば、心ずや其の行政機構は官僚的にならざるを得ない、反對に之を運用致します官吏が、民主的であり、進歩的であり、能率的であるならば、必ずや其の行政機構と云ふものは、民主的になり、進歩的になり、能率的になると私は信ずるものであります、我が國の官僚制度、官吏制度と云ふものは、非常に官僚的であると云ふことを指摘され、從來是が非難されて居るのでありますが、其の原因は何處にあるかと云ふことを考へて見ますと、是は確かに、他にも原因がありませうけれども、其の大きな原因としては、法律萬能、官學萬能の高等試驗を通過しなければ、高等官以上の高級官吏にはなれない、そこにさう云ふ問題がある、茲に大きな原因があると考へるのであります、私立大學協會の統計を見ますと、昭和十八年度に於きまして、中央官廳に於ける高等官の出身別を見ますと、全部で一千百六十三名の中、官立大學の出身者が一千九十二名で、九三%を占めて居ります、私立大學の出身者は僅かに五十一名でありまして、四・四%に過ぎないのであります、是は中央官廳の例でありますけれども、地方廳の高等官の數なり率なりも、大體に於て似たか寄つたかのものである、單に人數だけではなくて、其の中の官等の高い者は、大部分が官學の出身者でありまして、私學の出身者は高等官になりましても金鎚でありまして、何時でも下つ端の方に居ると云ふ状態にあることは事實であります、日本の民主化と云ふものが歴史の必然であります以上は、どうしても此の行政機構に於ける官僚色と云ふものを拂拭しまして、さうして民主化しなければならないと思ふのであります、私は只今申上げましたやうな理由に依りまして、此の際民間の有力者、就中私學出身者の有力者を、大量に行政官廳に採用する、是が一つの民主化の大きな方法になると考へるのでありますが、此の點に關する内務大臣の御所見を先づ伺ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=83
-
084・大村清一
○大村國務大臣 只今御述べになりました御趣旨に對しましては、私全く同感に考へて居ります、今後地方制度を改正致しました其の運用の任に當ります者は、從來の官僚主義を拂拭致しまして、國民の公僕として能く其の職責を果すやうな吏僚組織を打樹てなければならぬと思ひます、其の吏僚組織を打樹てる際に於きまして、學閥とか或は試驗閥と云ふやうなものに依りまして、區別を付けると云ふやうな、さう云ふ非民主的なことは一切やつては相成らぬと思ふのであります、此の點に付きましては全く御同感に思ふのであります、唯現在の内務省、官界等に於きまして、比較的大學出の者が多い、比較的と申しますよりも殆ど大多數がさうである、或は高等文官試驗出の者が多い、又其の高等文官試驗出の者の中には、大學出が多いと云ふことは事實であります、事實でありますが、そこに内務省の人事に於きまして、さう云ふやうな者を特に尊重すると云ふやうな傾向は全然ないことを、はつきりと申上げる次第であります、それならばどうしてさう云ふことになつて居るかと云ふことになりますと、是は我が國民の向上心の上に大なる禍因があると思ふのであります、私は文部省の方にも度々就職したことがありますが、青年は悉く官學に先づ志す、さうして私學は二次的に志す、斯う云ふ傾向は果して日本の將來の爲に善いことであらうかどうであらうか、私は有爲なる青年が悉く官學に志してさうして世間から非難されますやうな、型に嵌まつた、融通の利かない者を造ることは、國家の爲に好ましくないではないか、寧ろ是は私學の内容を充實致しまして、各々特色ある教育を受ける、さうして人間を造る、官學に參りますと之を私はよく譬へて申して居るのでありますが「マツチ」箱のやうな工業製品を造る、教育は工業製品を造るのではありませぬ、教育は藝術品を造るのであると云ふ所に徹しなければならぬ、そこは私學の振興に俟つ點が多いと云ふやうに思ふのであります、併し從來の青年の志す所は先づ官學と云ふやうなことになつて居りますのが、今日御批判になりますやうな官僚制度の姿になつて居ると思ふのであります、是は根差す所は深いのでありまして、私共内務省に於きまして、例へば本年の幹部職員を採用します場合に於きまして、出願者を見ますと大部分は官學出であります、私學の方からも少くとも數人は採用致しまして、將來の爲に先輩が絶えないやうに是非入れたいと云ふことを努力致しましても、一人も志願者がないと云ふことになりますと、是は採用の途がない譯になります、何がしかの採用のあります場合に於きましては、文官試驗乃至は採用の試問の時の成績等に於きまして、必ずしも有爲ではない者に於きましても、私學優先的に實は採用も致して居るのであります、又御要求に依りまして、現在の内務省の部長以上の經歴を統計的に御覽に入れて居りますが、是で御覽になりましても官學出が非常に多いと云ふことになつて居ります、其の理由は只今簡單に申上げました所に原因致して居ると思ひます、三土大臣の時に民間知事を思切つて起用しよう、尚ほ單に高等文官出の法學士と云ふやうな所に跼蹐致しませぬで、技術畑の方からも人材があれば適用しようと云ふことで、思切つてそこに人を求めて入れたのであります、併し其の結果は此の表で御覽になりますやうに、まだ寥々たるものであります、併し此のやうな行き方を繼續してやつて行きますならば、私學出身の諸君も内務省系統に入つて一つ國家の爲に、國民の爲に奉じて見ようと云ふ氣運が、段々と起つて來ることと確信を致すのであります
尚ほ茲に私事を申上げまして恐縮でありますが、私は京都大學に三箇年居りましただけで、中學校にも、高等學校にも行つて居りませぬ、隨て學友等に於きましても官學方面には至つて知合ひが少いのであります、さうして過去既に凡そ三十年位内務省に關係を持つて居るのでありますが、自分の體驗から申しまして、内務省に關する限りは學閥とか、或は私學出とか云ふやうな、或は又經歴に依りまして何等差別のないと云ふことを、身を以て體驗をして居るのであります、私は何等それ等の點に付きまして、内務省に於て、厭やな氣持をしたことは未だ曾て一度もない、此のことは最も雄辯なる證明だと思ふのであります、又只今思上げますやうな立場に居りますので、御質問の趣旨を何とかして實現して、世間の疑惑を拂拭すると云ふことに努力して來て居ります、又今後も努力する積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=84
-
085・武藤運十郎
○武藤(運)委員 大變結構な御意見を承りましたが、只今の御答辯の中に、私學を輕んじ、官學を重んずる譯ではないのだけれども、先づ學校に於て向學心が官學に向ふ、内務省あたりの志願者も私學の者はない、ない者は採用の仕樣がないし、向學心の赴く所、是は官學出が多くなるのも已むを得ないと云ふやうな御趣旨に拜聽致しましたけれども、私はそれは鷄が先か、卵が先かと云ふ議論と同じであると思ひます、從來私學が官界に於きまして、虐待をされて居ると言ひましては、少し言ひ過ぎると思ひますけれども、十分に同等に待遇をされて居らなかつた、其の爲にどうもやはり役人になるのには官學に行かなくては旨くない、内務省に入つても、何時まで經つても下つ端の高等官では仕樣がないから、志願しても仕方がないと云ふやうな、原因結果の逆になつて居る所もあるのではないかと思ふのであります、例へば採用の問題に付きましても、是は内務省ではないけれども、私の手許にある昭和二十年度に於ける司法省の採用を見ましても、六十八名の採用者の中五十三名が官學であつて、私學は十五名であります、而も受驗した者は總數千三百七十一名の中、官學は僅かに二百五名、さうして合格者が七十六名で五十三名採用致して居ります、所が私學は一千六十一名と云ふ受驗者があり、合格者は僅かに五十名でありまして、更に採用になつた者は十五名、左樣に非常な差があるのであります、午前中法制局長官も申され、志願者の方も見なければ、唯單に合格者又は採用者だけを見ても仕方がないと云ふ風な御説もございました、途中でありましたので私は申上げることを差控へたのでありますが、受驗者に比して、採用者に於ては──非採用者の合格者も官學が三六%、私學は僅かに五%と云ふやうな極く微々たる状態であります、斯う云ふ點から見ても、やはりそこに差別があるのではないかと云ふことを、外部から考へさせられるものがあるのであります、尚ほ伺ひたいことは、先程内務大臣は、内務省に於ては何等差別はないと申されましたが、採用に付て只今申上げました數、それから初任級、昇給、昇進、さう云ふものに付て、やはり内務省に於ては中央地方を通じて何等差別がないものでせうか、是は亡くなつた大森洪太氏の言でありますけれども、最近或る年に於ける司法官試補の入所式に臨んで、一場の訓示を與へた後に、私學出身者は長官にすることは困難であると云ふやうな放言をなさつた事實があるのであります、是は亡くなつてしまつたのであるし、内務省畑ではございませぬから、此處で直接の例にはなりませぬが、さう云ふ極端な例もあるのでありまして、只今内務大臣からの實に公平な御話とは全く違つた御説が、非常に高い地位に在る人からあるのであります、最近に於ては司法省でも檢事長ですか、檢事正等に於て大分民間から採用を致して居りますが、内務省に於ても先程の御趣旨に依りまして、私學出身の民間の有識者、例へば私學の教授とか、或は辯護士とか、新聞記者とか、斯う云ふ人を高級な官吏に大量に採用する意思はないかどうか、殊に昨日の内務大臣の御答辯を伺ひますと、自分は官僚々々と言はれるけれども、ちつとも官僚であるとは思つて居らぬと云ふ風な御説がございました、其の官僚にあらざる所以を、一つ實踐の上に於てはつきり御示し下さいますやうに、此の際一つ冗談ではなく、課長級以上位の役人は、民間と全部入れ代へる位の蠻勇を御揮ひになる御考へはないかどうか、此の點を御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=85
-
086・大村清一
○大村國務大臣 御尋ねは多岐に亙つて居ると思ひますが、内務省に於て幹部議員として採用致しました場合に於きましては、過去の學歴とか、或は學校の種別に依りまして昇進上に何等の差別はございませぬ、最近知事に躍進致しました某氏の如きは小學校を出ただけの經歴しか持つて居らぬ人でありますが、知事になります速さに於きましても、同採用の者に比して少しも遲くないと云ふやうな事例もあるのでありまして、給與等の點に於きましても全く同樣であります、唯先程來申上げますやうに、志願者が少い、隨て比率にすると少くなるのであります、又私事を申上げますが、私は京都大學を三年やつただけでありますが、京都大學を出て來て居ります、所が内務省系に於ては東京帝大を出た者が九割位ありまして、京都大學は一割位しか居りませぬ、併し累進して行つて居る者が一割しかないから、虐待されて累進して居ないかと言ひますと、寧ろさうではありませぬで、東京大學出の方の官界に於て累進する、所謂出世して居る者の方より京都大學出の方が「パーセンテージ」が非常に多いのであります、是等は一つ仔細に御研究願ひますと、内務官界に於てはさう云ふやうなことがないと云ふことが、色々な點から立證出來ると思ふのであります、尚ほ内務省で働いて居ります者は、悉く幹部職員ではございませぬ、所謂曾て言つて居りました屬官出と云ふやうな者も多數居るのであります、併し是は數年前までは部長等になる途がなかつたのでありますが、優秀なる人を下に埋れさせると云ふことは、人物經濟の上に於ても宜しくないことでありますし致しますので、特別任用の途も開きまして、現在經濟部長、警察部長等には高等文官試驗を通つて居ない者で、段々優秀者は其の地位に据えて居るのであります、是等の人が何年か經てば、恐らく知事まで累進し得ると思ふのであります、唯今度知事公選になりますから、公選になる時期までにさう云ふことか實現致しますか、今の所は少し心細いのでありますが、必ずさう云ふやうになる傾向であつたのであります、それから民間から適任者を官界に任用すると云ふことに付きましては、希望者があり、又其の地位に就けて必ずやつて行けると云ふ人でありますれば、喜んで採用を考慮したいと思ふのであります、唯一般論としましては、さう云ふやうな聲が高いのでありますが、偖て目星を付けまして段々話をして見ますと、多くは逃げられてしまふ、私は三土大臣の御指圖の下に、其の點に付きましては餘程努力をして見ましたけれども、中々思ふやうに引受けて貰へないのであります、苦心慘擔致してやつと何人かを捉へ得たと云ふ次第であります、是は今後に於きましても、適任者にして希望者がありましたならば、さう云ふやうな人は優先的に採用致して宜いと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=86
-
087・武藤運十郎
○武藤(運)委員 私の申上げますのは民間から採用に付きまして、希望者があり適任者があればと云ふ、さう云ふ消極的な御方針を承るのではないのでありまして、此の際方針と致しまして何人、何十人、何百人之を採用すると云ふ風に、内務省として、或は政府として方針を御樹てになつて御採用をなさる意思があるかどうかと云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=87
-
088・大村清一
○大村國務大臣 内務行政と云ふものは非常に重大な責務を持つて居りますので、試驗的に採用すると云ふやうな工合には、實際の運用として行き兼ねるのであります、又現にそれぞれ必要な「ポスト」でありますので、殆ど缺員もなく充員致して居るのであります、此の際其の中で無計畫で何十人採用して入れると云ひましても、採用の方法がないのであります、「ポスト」が空いた時分に其處に入れると云ふことより外方法がございませぬで、若し制度を樹てて何十人かの人を採用して置いて、「ポスト」が空くに從つて埋めると云ふやうな、餘裕ある定員及び豫算がございますと、それも考慮が出來ることでありますが、兎に角日々の仕事を滯りなく、間違ひなく處理して行く重大な責任を持つて居りますので、只今御希望になりましたやうなことは、現在の所實際問題として扱ひ兼ねると云ふ事情にあることを御諒承願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=88
-
089・武藤運十郎
○武藤(運)委員 それでは其の問題は此の程度に致しまして、只今一ぱい一ぱいの仕事をして居りますので、空いた「ポスト」はないと云ふ御話でありますが、聯合軍が進駐して參りまして、其の仕事振りを見ますと極めて民主的であり、當然の歸結として非常に能率的であります、實にてきぱきと事を運んで居る、是は日本の官廳の役人のする仕事と比べますと雲泥の相違があるのであります、其のことは私が實際に打突かつて經驗したのでありますけれども、大臣諸公に於かれましても、必ずや幾多の實例を御覽になつたらうと思ふのであります、どうも日本の役所は能率が擧つて居らないやうであります、之を一つ半分位に減してさうして能率を擧げますならば、恐らく今までと同じ位の仕事が出來るのではないかと云ふ風に私は考へるのであります、最近に於て左樣な方法に依つて整理を──整理と云ふ言葉を使つてはどうかと思ひますけれど、左樣な方法を御執りになるやうな御考へはございませぬか、又左樣な場合に私學出身者が整理されると云ふことがありますれば、是は薮蛇になつてしまひまして、洵に殘念でありますけれども、さう云ふことはないやうに整理が出來るか、此の點を御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=89
-
090・大村清一
○大村國務大臣 進駐軍の諸氏の執務振りに付きましては、我々と致しましても大いに學ばなければならぬ點が多多あると云ふことは、私も同樣に考へて居ります、此の點に付きましては一般官界に於きましても十分注意しなければならないと思ふのであります、尚ほ政府部内に於きまして冗員がある、冗員がないと云ふやうな點に付きましては、是は一つの方針としてものを處理して行く場合に於きましては、其の場合に依つて決することでありまして、冗員の有無を論ずると云ふことは水掛論になることが多いと思ひます、それから一面に於きまして國家財政、地方財政と云ふやうな點から參りまして、最近の情勢から申しますると、人件費が非常に重い負擔になりまして、一般行政費の上に重い壓力を加へて居ると云ふことは、是は見逃せない事實であります、日本再建の上に於きましては、官界に於ける人員を今の儘持續するか、或は茲に思切つた「メス」を加へるかと云ふやうなことは、是は廣く見渡しまして、政府として一つの政策を樹てると云ふことに關聯をした問題と思ふのであります、其の點に付きまして政府部内に於ても色々考究は致して居りますが、まだ確たる結論に達して居ない次第であります、さう云ふやうな次第でありますから、行政整理を此の際やる、或はやらないと云ふ點に付きまして、私茲にはつきりとした見透しを申上げる時期に達して居りませぬ、唯御參考に申上げて置きたいと思ひますのは、内務省に於きましても昨年の十一月頃で終つたのでありまするが、中央地方を通じまして、大體三割の行政整理は過去に於てやつたことがあるのであります、併し尚ほ行政整理の問題に付きましては、政府として今後篤と考慮を加へて見なければならぬ問題の一つであると信じて居る次第であります、尚ほ行政整理をやりました場合に於きまして、官學のみを殘して、私學を犧牲にすると云ふやうなやり方は、過去に於ても致しては居りませぬ、將來に於きましても、さう云ふやうな差別待遇をするやうな、非民主的のことは行はれないと云ふやうに、御承知を願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=90
-
091・武藤運十郎
○武藤(運)委員 是で私の質問を打切ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=91
-
092・中島守利
○中島委員長 此の際御諮りを致しますが、委員外で松浦君より、政府に對して質疑を試みたいと云ふ要求があります、許したいと思ひまするが、御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=92
-
093・中島守利
○中島委員長 松浦君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=93
-
094・松浦東介
○松浦東介君 私は委員外でございまするが、特に御許しを得まして、内務大臣に二、三の質疑を致したいのであります、委員會を全部傍聽も致しませぬし、又速記録も手許に廻はつて居りませぬので、少し重複する點があるかも知れませぬが、簡明に成べく重複をしないやうに質疑を致したいと思つて居ります
第一は新憲法と地方自治制との關聯に付てでございます、憲法改正案の第八章の地方自治に於きまして、即ち第八十八條に「地方公共團體の組織及び運營に關する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」、斯樣にあるのでございます、此の度の地方制度改正案を拜見致しまして、其の重點とも言ふべき所謂公選知事に付きましても、此の官吏か公吏かと云ふことに付きましては、色々議論もあつたやうでございまするから、私は之を省略致したいと思ふのでございまするが、其の幕僚として、最も重要な「ポスト」を占むる所の部長級までが、一名殘らず全部中央政府の任命する所の官吏であると云ふ點に至りましては、私は果して新憲法第八十八條の本旨に副ふかどうかと云ふことを疑ふものでございます、又斯かる理論を離れて考へましても、私共が公選知事に與へられました所の庶幾の任務である所の、中央の意思を體し、且つ地方民の民意を尊重しつつ、圓滿なる行政の運行をする可能性が、果してあるかどうかと云ふ點であります、私は端的に申しまするが、此の幕僚である部長が非常に問題であると思ひます、課長以下は或は官吏でも差支へないかも知れませぬが、此の部長を市町村に於ける助役の如く、地方議會の承認若しくは其の同意を要すると云ふ風に改める御意思があるかどうかを承りたいのであります、又其の部長の全部とは申しませぬが一部、約半數は、是は特別任用令に依りまして、知事の欲する者を任命出來るやうなことにしたならば、そこに或る程度まで緩和點が出來るではないか、斯樣に考ふるのでございますが、此の點に付きまして内務大臣の御所信を承りたいのであります、又憲法改正案の第八十九條に「法律の定めるその他の吏員」と云ふのがございまするが、是は地方の住民の直接選擧と云ふことになつて居ります、是は恐らく前の委員から質問があつたらうと思ひますが、具體的には如何なるものを指すのであるかを伺ひたいのであります、法律で定める其の他の吏員が、世上傳ふる如く府縣廳に於きましては部長の如きものであり、又市町村役場に於きましては助役、收入役のやうなものであると致しますならば、憲法草案の六十四條に於きまする内閣總理大臣は國務大臣を罷免することが出來ると云ふ、其の責任内閣制と相反するではないか、中央では責任内閣制を執り、地方ではばらばらに是がなるではないかと云ふことを、我々は疑ふのでありまするが、此の點に關しまして先づ御聽きを致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=94
-
095・大村清一
○大村國務大臣 憲法八十八條の地方自治の本旨と云ふ點に付きましては、是は大觀致しまして、地方の政務は地方民の手に依りて、地方民の負擔に於てやつて行くと云ふやうな、抽象的には一定の内容を持つて居ると思ひまするが、是が實際の適用に付きましては、各國に依つて、又各地方團體に依つて、それぞれ特色は持ち得るものと考へるのであります、地方自治の本旨に基いて、唯一つの型だけに地方自治があると云ふ譯でなく、幾つもの型、形式が考へられ得るものと思ふのであります、我が國の府縣なり、市なり、町村と云ふものは、各各沿革を持つて居りまして、それぞれの發達を致して來て居るのであります、而して大體に於て市及び町村は完全自治體になつて居るが、從來の府縣は不完全自治體であるまと云ふやうに言はれて居るのであります、併し新憲法が成立を致しました曉に於きまして、又今日の時勢と致しまして、地方行政を大いに民主化する、乃至は自治化すると云ふ見地から立ちまするならば、府縣の不完全自治體と稱せられて居ります知事の官選を、知事の公選に振替へると云ふことは、最先に著手しなければならぬ、又憲法の條文及び精神から申しても、少くとも其のことは最先にやらなければならぬと云ふやうに考へまして、知事公選案を立てた次第であります、而して部長以下を現在の儘に致して置きますることに付ては、府縣の持つて居りまする所の性格に照し考へまして、其のやうに致したのであります、御承知の如く府縣は地方公共の事務を處埋致します所の面と、それから國政事務を處埋致す面との二つから、混成されて居るのであります、其の府縣廳を其の儘の形に置きまして自治化して行く、民主化して行くと云ふ立場を執りますると、現在の段階に於きましては府縣知事は公選に致し、之に官吏たる資格を兼ね與へると云ふことに依りまして、部下の官吏を率ヰて國政事務に當る、又府縣知事は公選知事の資格に於きましても、府縣の公吏及び府縣の自治事務を掌理する機能を、現に持つて居ります所の府縣官吏と云ふものの兩者を統率致しまして、仕事を進めて行くと云ふ立場を執ることが、現段階に於て適當であると云ふやうに考へたのであります、而してそれならば一歩進んで、部長級も公選にしたらどうかと云ふことも、是は當然考へて見なければならぬことでありますが、そこは部長を如何なる性格と見るかと云ふ點に依つて決すると思ふのであります、公選知事と云ふものは、是は確かに府縣の自治行政の上に於きましての政策を決定するものと思ふのであります、所が今日の府縣廳の部長以下の者は、決定せられたる政策を、忠實に實行に移すと云ふ、一つの吏僚組織を成して居るものと思ふのであります、此のやうな性格を持つて居りまする部長は、是は公選することが適當でない、部長を府縣の自治行政の政策を決定する立場に持つて行くことは、如何なものであらうかと云ふ所の考慮から、之を公選とせざることにしたのであります、府縣行政と言はず、自治行政の進展を圖りまする上に於きましては、政策を決定する部面に於きましては、是は人民に基礎を置きました公選制を執ることは當然のことでございまするが、併し政策を實現する面を擔當致します所の所謂吏僚組織は、是は永久職であつて、又地位の保障もあり、又適當な給與も保障すると云ふやうなことで、青年がそこに將來の一生の仕事として、獻身的に奉仕をすると云ふやうな魅力のある組織を採ると云ふことが、民主政治の終局の目的を達する上に於きまして、缺くべからざる要件であると思ふのであります、是等の點に付きましては豫ねても申上げたことでありまするが、民主主義の先進國であります所の「アメリカ」に於きまして長く論議をされたことであり、經驗も積んだことでありますが、一九三六年の共和黨及び民主黨の政策綱領の中に、所謂「メリツト・システム」に基いて、民主政治の完成を期さなければならぬと云ふので、兩大政黨とも政綱の中に明記をすると云ふ所まで來て居るのであります、それ等の點も能く考慮致しまして、現在の段階に於きましては、只今提案をして居るやうな所で進んで行くべきではないかと云ふやうに考へて居ります、尚ほ之を將來に付て考へますると、段々此の國政事務と云ふやうなものも、内務行政と言はず、他の一般國政事務と合せまして、中央集權から地方分權の傾向に進むべきものと思ふのであります、即ち中央で扱つて居りました事務も、出來るだけ大幅に地方公共團體に委讓をすると云ふやうなことになつて參りまして、府縣の政策決定面の上に於きましても、知事のみならず更に何がしかの補助者を加へる、丁度町村に於ける助役の如き補助者を加へると云ふやうな場合に立至りましたならば、或は部長を直接公選にするなり、乃至は府縣會の同意を受けると云ふやうに、此の政策決定面に適當なる性格を附與する基礎を置くと云ふやうなことも、考慮せらるべきであらうと思ふのであります、而して憲法草案第八十九條の第二項に於きまする「法律の定めるその他の吏員」と云ふのは、只今申上げましたやうな吏員で、直接公選にすべきであると云ふやうなものは、其の直接公選で選ばれると云ふことを法律で定めると云ふ趣旨でございまして、此の點に付きましては地方制度の立案の際に於きましても、府縣知事を直接公選をする吏員と定める、其の他の者は現段階に於ては定めないと云ふことで決定を致しました次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=95
-
096・松浦東介
○松浦東介君 只今の内務大臣の御答辯に依りますと、部長は政策の決定をやらない、即ち政治家でなく事務家であると云ふ御見解のやうであります、併し私は地方に於ける部長と云ふ地位は、是は事實は堂々たる政策決定をして居る所の、政治家的役割を果して居ると思つて居るのですが、將來事務家として御指導になるものと解釋して此の程度に致します、併しながら私は飽くまで是は私の意見でありまして、内務大臣とは意見が異なると思ひますので強ひては申上げませぬが、地方に公選知事を置きました場合は、どうしても二、三の部長級の幕僚と云ふ、自分の意思で決定する人を持たなければ、強い政治力を發揮した所の政治は出來ないと考へて居ります、それで中央で任命する所の──現在ならば内政部長であるとか或は警察部長と云ふものの外に、例へば先程引きました官房長の如き、政務部長のやうなものを一、二名、此處に緩衝地帶として知事が任命することが出來るやうなことには出來ないものでございませうか、其の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=96
-
097・大村清一
○大村國務大臣 府縣の部長を民衆の選擧と結付ける、民意に結付けると云ふことに付きましては、將來府縣に對しまして、多數の自治事務が委讓されまして、府縣の性格が自治事務を中心とした府縣廳になると云ふやうな時期になりましたならば、當然考へらるべきものと思ふのであります、現在の府縣廳の性格でございましては、度々申上げますやうに自治事務の面は極めて──極めてと云ふのは少し過ぎますが、官治事務に比べまして非常に分量が少いのであります今日の府縣廳の性格は、官治事務に重點があるのでありまして、さうして又只今御話の如く府縣の部長以下は、事務吏僚としてずつと取扱つて來て居るのでありまして、政策面の決定をすると云やうな工合には考へられて居ないと信ずるのであります、尚ほ府縣知事が公選せられまして、官吏の資格を兼ねて府縣廳に臨みます場合に於きましては、府縣廳に居りまする所の公吏に對しましての任免權は固より持つて居ります、併し官吏に對しましては現行の制度の上から申しまして、直ちに任免權を持つと云ふことは御承知の通り不可能でありますが故に、進退の具状權を賦與することに依りまして、其の運用を期して居る次第でります、尚ほ御尋ねのやうに府縣知事が公選されて入つて行つた場合に、全くの素人の民間人を無暗に入れると云ふことは是は所謂「スポイル・システィム」の濫觴になる慮があるのでありまして、民主主義の發達の上に於きまして、餘程考慮を要することではないかと思ふのであります、併し其のやうな趣旨でございませぬで、府縣の吏僚組織を強化する意味に於ての適材がありましたならば、それは府縣知事の持つて居ります進退の具状權に依りまして、其のやうな人々を公選知事が府縣廳内に入れると云ふことは、固より可能のことと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=97
-
098・松浦東介
○松浦東介君 部下の進退に付て強い發言權を持つと云ふことも一應尤もでありまするが、實際の面になりますると、此の原案の儘になりますならば、公選知事は可なり内務省と自然諒解の付く人でなければ勤まらない結果になると思ふのでありまして、民間人を此の方面に起用すると云ふことには、非常に反對の方向になるではないかと私は思ふのであります、どうも私は依然として官僚や學閥の匂ひがするやうな氣がするのであります、此の點は何度申上げましても水掛論になる虞がありますので、此の位で打切ります
第二の點は今度改選されまする地方議會の定員の問題であります、府縣會の定員若しくは市町村會の定員が、果して現在の通りで支障がないかどうかと云ふ根本の問題であります、第一は最近非常に有權者の數が厖大に増大致して居ります、又地方自治が大幅に擴大されて居りますので、從來の府縣會の如く、又從來の市町村會の如く極めて壓縮されまして、所謂官廳の單なる諮問機關同樣な時とは大分趣きが違ふと思ふのでありまして、其の責任は非常に重且つ大なるものであると思ふのでございます、私は此の點より考へましても、現在の府縣會の定員若しくは市町村會の定員と云ふものは増さなければならぬのではないか、相當大幅に之を増員しなければならぬと思ふのでありますが、此の點に對しまして内務大臣は如何御考へになりますか、御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=98
-
099・大村清一
○大村國務大臣 此の議事機關を構成致します議員の定數は相當多い方が宜しい、又多いのにも缺點があつて、少い方が寧ろ能率的であつて望ましいと云ふやうなことに付きまして、此の論議は兩方相當有力な主張が出來ると思ひます、そこでどちらでなければならぬと云ふ數學的の割出しも出來ない問題ではございまするが、今囘の地方制度改正に當りましては、議員數に付きまして、固より有權者は殖えたことでありまするが、制度に於きましては、大體各團體の人口數に依りまして其の多寡を決めると云ふ建前になつて居りまして、有權者の數と云ふやうな點は基準に致して居りませぬ、人口の多い所にそれ相當の議員數を増すと云ふことは、從來とても考慮をされて居つたことであります、又現在のやうな定員を、特に増さなければならぬと云ふやうにも實は考へなかつたので、現在の制度を踏襲したらと云ふことで提案致した次第であります、併し此の點に付きましては先程も申上げましたやうに、算盤で彈き出せる問題でもございませぬ、段々論議を致しますれば意見の相違と云ふやうなことに、結局歸するのではないかと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=99
-
100・松浦東介
○松浦東介君 私は定員は此の際約五割を増すべきではないかと思つて居ります、私實は山形縣で約九年縣會をやつて參つた者でありますが、どうも餘りに議員の數が少い時には、御承知でもございませうが、執行機關と決議機關との間に、宜からぬことで妥協が非常に早いと云ふ缺點を持つやうでございます、此の點は如何御考へになりますか御意見を承りたいと思ひます、尚ほ私の私見に依りますれば、大體五十名位は府縣會にどうしても必要ではないかと思つて居ります、それで人口の話もございましたが、是は今度の地方議會の責任が非常に重大でありますし、一度選擧をすれば四年間解散がない場合には選擧を豫想することが出來ませぬし、是は改むべき點は相當に原案を修正して改むべきではないか、斯樣に私は思つて居ります、私の私案に依りますれば、人口百萬以下の府縣は五十名にし、百萬より人口四萬乃至五萬を殖える毎に定員一名を加へること位が如何であらうかと存じて居ります、尚ほ更に市町村會議員の定員の問題でありまするが、殊に町村の場合は必ず増さなければならぬと私は思つて居ります、現在普通の町村は、村會議員十二名を以て構成して居るやうな譯でありますが、御承知のやうに町村には部落と云ふものが澤山あるのでございまして、其の部落から一名も出し得ないと云ふやうなことも間々あり得るのであります、現在村常會とか部落常會とか、さう云ふやうなものがございますが、斯う云ふ議會以外の變態的なものが未だに存在致して居ります理由は、餘りに村會議員の數若しくは町會議員の數が少い爲に、民意を採り入れるにどうしても人數が足りない、斯う云ふやうな實際の面からまだ常會の解消し切れないのがあるのではないかと思ひます、此の點に付きまして御意見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=100
-
101・大村清一
○大村國務大臣 御話の如く議會が極めて少數でありますれば、理事者と妥協をすると云ふやうなことがやり易いと云ふことも考へ得ることと思ふのでありまして、又さう云ふやうなことで弊害を經驗したことも絶無ではないやうに記憶致して居るのであります、唯改正制度に於きましては、御承知の如く市町村長は住民の直接選擧に依つて其の職に就くことになりまして、其の地位は非常に強化されるのでありまして、町村會議員から選ばれました市町村長とは趣きを異に致し、そこに好ましからざる妥協まですると云ふやうなことは、先づ考へに入れなくて宜いのではないかと云ふやうに思ふのであります、尚ほ議員の定數の問題に付きましては、政府と致しましては現行の點を特に動かす必要はあるまいと云ふ見解で提案を致した次第であります、尚ほ町村の場合に於きましては最低十二人になつて居りまするが、全國町村の一村當りの人口は七八百戸位になつて居ると思ひます、其の程度のものでありますと、大體十二人と云ふことで、各部落から一人づつ出すと云ふやうなことが、大多數の町村に於きましては可能であるやうに考へて居るのであります、町村の場合に於きましては、標準町村に於て議員數十二人と云ふのは、部落關係から見ますと丁度宜い所のやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=101
-
102・松浦東介
○松浦東介君 どうも是は甚だ失禮な言ひ分でございますが、内務省は地方の農村の實情を本當に御存じないのぢやないかと思ひまして、洵に此の點は遺憾とするのであります、今度町村長が假令公選せられましても、それは決して獨裁的な存在ではあり得ないと私は思ふのであります、どうしても公正に、比較的多數の代表者の意見を聽いて、民主的な政治の運營をしなければならぬと思ひますが、只今の御答辯では全く十二名を適當と思ふとか、地方の實情を御存じないやうでありますが、是はもう少し御研究を御願ひしたいと思ひます、此の上は同じことは申上げませぬ
第三は來るべき公選知事の選擧方法、又其の費用等に付てであります、是も亦恐らくは他の諸君から詳しく聽いたことであらうと思つて居りますが、私一點御聽きしたいのは、先般内務大臣が本會議に於ての御答辯中に、現職の知事で立候補の意思のある者はまだ聞いて居ないと云ふやうな御言葉でありました、今果して其のことが御耳に入つて居るかどうか其のことは宜しいのであります、唯私は立候補の意思のある者が極めて多數あるやうに私の耳には入つて居ります、私は勿論現職の知事も公選知事として立候補するに何等差支へないものと思つて居ります、併しながら立候補するには勿論事前に辭職をする必要があると思ひますが、大體其の何日位前に辭職をすることに本省では御考へになつて居りますか、此の點を伺ひたいのであります、現職の儘であつて、辭職をして其の翌日からと云ふことになりますれば、地方の知事官舍を本部にして、又自動車のやうな官物を乘廻はして選擧をするやうなことがあつたと致しますならば、是は地方に重大な問題を惹起するのではないかと思ひます、此の點に付て内務大臣の御答へを願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=102
-
103・大村清一
○大村國務大臣 知事公選の場合に於きまして、現職の知事が立候補をする場合に付ての知事の進退に付ての御尋ねでありますが、是は法律問題として考へます場合と、政治問題として考へます場合と、二つに分けて考へなければならぬと思つて居ります、法律問題と致しましては、改正案に於きましては、知事を選擧に關係ある職員と吏員と云ふことでないことに致しまして、選擧關係の事務は、新設の選擧管理委員會の責任に於て運營すると云ふことに致しますので、現職知事が其の儘立候補致しますことは、法律上差支へないと云ふことに致して居るのであります、然らば來るべき知事公選の場合に於きまして、現在の官選知事が立候補致しまして、丁度衆議院議員の立候補と同じやうに、知事が職務を放擲して選擧に歿頭するやうなことが若しありと致しますれば、是は法律上は差支へないのでありますけれども、政治問題として其の儘に放置して置く譯には行かないことでありまして、さう云ふ場合には退職を求める、退職しなければこちらで退職させると云ふやうな措置は執らなければならぬものと考へて居ります、唯政治問題としては色々の場合があると思ひます、知事に於きましては、自分で進んで立候補すると云ふやうな積極性は全然持つて居ない、所が其の人が偶偶衆望を擔ひまして、自分の知らないうちに推薦候補として立てられ、自分は知事の職務に專念して居て、知らないうちに知事に當選したと云ふやうな場合を想像致しますと、是は政治問題と致しましても、若しさう云ふ理想的な公選があると致しますと、私共は寧ろ洵に美しい、又望ましいことだと思はれるのであります、それだけの衆望を擔ひ得る知事でありましたならば、是非公選知事にもなつて戴きたい、隨て辭職をしなくても其の儘で進んで宜いであらうと考へるのであります、又其の兩者の中間程度の差がありまして色々のものが豫想出來ると思ひますが、併し私共の考へて居ります所では、官選知事が其の儘立候補致しまして、そこに何等がの作爲に依りまして投票を自分の方に獲得すると云ふやうな動きの上に於きましては、官職を利用するやうなことは絶對あつては相成らぬと考へて居るのであります、其のやうなことがありましたならば、斷乎として是正手段を執ると云ふことをはつきり申上げて置く次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=103
-
104・松浦東介
○松浦東介君 只今の御答辯も、洵に内務大臣は樂天的で理想家であるのには私共は驚いてしまひました、實際の面を考へまして、地方の今囘の劃期的な知事の公選に當りまして、衆望を擔つて、唯じつとして居つて衆望が歸して當選するなどと云ふやうなことは、是は考へられないことに思ひます、餘程積極的に、自分が此の縣を斯うすると云ふ理想を縣民に愬へなければ、是は斷じて一人も當選しないものと思つて居ります、それで寧ろさう云ふ風な生温い考へを此の場合御一擲なさいまして、立候補の事前に必ず辭職すべしと云ふことになさつた方が、私は非常に穩當ではないかと思ふのであります、又費用に付ても本會議以外には聽かないのでありますが高いやうであります、餘り費用が高額でございますと、どうしても資本の力が影響するやうにも考へるのでありますが、此の點はどうでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=104
-
105・郡祐一
○郡政府委員 費用に付きましては、概ね先般の大選擧區制で行ひました衆議院議員の選擧の場合の費用の程度、金額で申しますれば二萬五千圓程度、あの程度で抑へまして、隨ひまして選擧の公營以外に努めて選擧運動の費用の嵩まないやうな方法を考へたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=105
-
106・大村清一
○大村國務大臣 是は實際問題と致しまして、曩に私が答辯致しました方針に依りまして處理を致して參る積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=106
-
107・松浦東介
○松浦東介君 どうも甚だ滿足の出來ない御答辯を戴いて洵に遺憾でございます
それでは其の次には是は小さな問題でありますが、府縣會の選擧區の問題に付て簡單に御聽きしたいのであります、私は現行法の地方事務所單位を、やはり郡市單位の選擧區に改めたいと主張する一人であります、是は東北六縣の「ブロック」の縣會議員の役員會に於て、其のやうに決議致して居るやうな次第であります、併しながら私は原則としては郡市單位の選擧區を主張するものであります、一つの例外と致しまして定員一名の選擧區をなくしたい、斯う云ふやうな考へを持つものであります、定員一名の場合は其の接續の郡市と合併して一つの選擧區とすることを適當と考へます、是は非常に細かい例を申上げて甚だ恐縮であります、私は山形縣でございますが、山形縣の例を取りますと、山形縣の酒田市と酒田市の周りの飽海郡の場合を考へますと、酒田市がまだ市制を布かないで酒田町の場合は、飽海郡は縣會議員の定員は四名でありました、幸か不幸か酒田市が市に獨立致しますると、酒田市は定員一名、飽海縣は二名、合計三名でありまして、結果に於て一名の減少を招いて居るやうなこともあります、又從來のやうに權限の極めて低い地方議會の場合を取りましても、定員一名の選擧區の住民は、議員が一名であります爲に、非常に不便を感じて居つた色々の實例があるやうであります、此の點私の意見として申上げたいと思ひますが御意見を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=107
-
108・郡祐一
○郡政府委員 地方事務所の管轄區域を選擧區として居りますのは、郡が郡制を布き、或は郡役所がありました當時に於きましては、適當な一つの單位であつたと思ひまするが、其の後の交通通信等の發達、經濟取引の擴大等から致しまして、行政區劃として現在小に失すると云ふ状態になつて居ると思ふのであります、而して府縣會議員の選擧區に付きまして色々なことが考へられるのでありますが、やはり府縣廳と町村との間の適當な中間區域を捉へることが適當であります、左樣に致しますると郡は既に現在一つの行政上の單位と相成つて居らぬのでありますし、又郡と云ふものが、其の後先程申逃べましたやうに色々の變革に依りまして、稍稍小さい團體になつて居るのではないだらうか、而して又選擧の執行上も、現實に一つの行政區劃と相成つて居りますものを取ります方が、各般の事務の執行上も極めて便利なのであります、而して又地方事務所と云ふのは、一旦設置を致しました後に於て之を勝手に變へると云ふやうなことは事實起つて居りませぬので、色々な意味合から申しまして之を選擧區と致しますことは適當だと思ひます、唯仰せの通り小さい市が多く出來て參りましたが爲に、一人區と云ふものが市の部分に付て相當出來て居ります、是は必ずしも一人區と云ふのは好ましい選擧區であるとも思ひませぬが、唯既に市及び地方事務所と云ふ獨立の單位が出來て居ります場合に、之を否定する理由もないと思ひます、それは仰せのやうに市が獨立致しました殘りの郡と云ふのでは、一郡を以て到底選擧區を構成することが出來ないやうな小さいものが、全國到る處にあります、隨て市又は地方事務所を獨立選擧區と致すと云ふのが、今の所一番妥當な所だと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=108
-
109・松浦東介
○松浦東介君 一應御尤もでありますが、地方事務所の範圍を決定する前のことを考へましても、非常に無理な點も多々あるのではないかと思ひます、其の爲に戰時中でありますが、縣單位の地方事務所を設置して欲しいと云ふやうな要望も、可なり地方から出て參つたことだらうと思ひますが、現在、郡と郡の間に一つの市を挟んで、殆ど其の間二里も三里もある、さう云ふ地形的な所も全國的には珍しくないと思ひますが、此の點本當に實情に副ふには、除外例を設ける必要があると思ひますが、絶對に出來ないものかどうか、其の點を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=109
-
110・郡祐一
○郡政府委員 地方事務所の管轄區域が、現在不便を感じて居ると云ふやうなことも聞いて居ります、唯如何なる場合を考へましても、當初から稍稍無理の場合もありますし、當初適當な行政區劃でありましても、其の後の推移とか市制の施行とかで、現在不便になつて居るものもあるのであります、一旦決定致しました行政區劃を濫りに變更致すことは適當でない、殊に選擧區と云ふものは、重要な權利行使の根據でありますので、地方事務所單位にするか、郡單位にするかと云ふことに一つの問題の點がありますが、既に地方事務所の管轄區域を執ると云ふ前提を執りまして、更にそれの除外例を設けると云ふやうなことは、選擧區の重要性から考へまして、若干の不便はありましても是は避けて行きたい、斯う云ふ考へを持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=110
-
111・松浦東介
○松浦東介君 御答辯を承つて居りますと、原案を御守りになることに實に御熱意があるやうで、是れ以上は申上げたくないと思ひます、最後に、今度の地方自治制の改正は劃期的なものでありまして、日本の民主化の徹底には非常に役立つものと思つて居ります、併しながら、私は先程内務大臣に失禮なことを申上げましたが、地方の人は非常に中央を疑つて居ります、中央が地方の實情を知つて呉れないと云ふことに付ては非常な疑ひを持ち、不信の念を懷いて居ると思ひます、食糧問題其の他も、其の點に大きな原因が潛んで居るのではないかと思つて居ります、是は單に地方の大衆ばかりでなく、相當地位のある指導者階級も、中央に對して非常な不信の念を持つて居る點が多いのではないか、私は之を非常に遺憾に思ふのであります、一例を申上げますならば、地方の議會で色々議論を致しましても、知事なり部長なりが、果して中央に地方議會の民意と云ふものを誠實に反映して居るかどうかと云ふことに付ても、非常に疑つて居る點が多いと思ひます、そこで是は私の一つの試案でありますが、此の民主化の徹底若しくは此の國際間に於ける日本の状況を全國的に敷衍せしめて、健全なる政治の民主化を圖ると云ふことから考へましても、全部とは申しませぬが、地方長官會議若しくは部長會議のやうなものを一部公開致しまして、地方議會の議員にだけ其の傍聽を許すと云ふやうなことは、如何なものであらうかと考へるのであります、斯くすれば中央地方は必ず明朗な氣持になると思ふのでありますが、此の點内務大臣の御考へは如何でありますか、明治の初めに於きまして、明治十三年二月か三月、時の政府は所謂地方の意見を聽き、又地方に知識を普及すると云ふやうな意味から、當時地方官會議を特に傍聽せしめたと云ふ先例もあるさうであります、其の爲に民權自治の思想が大いに進んだと云ふことも承つて居りますが、此の點に付ての御考へを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=111
-
112・大村清一
○大村國務大臣 只今御述べになりました趣旨は、私御同感に考へる點が多多あるのでありまして、唯地方長官會議或は部長會議と云ふのを公開すると云ふ問題に付きましては、是は尚ほ能く考慮して見たいと思ひます、と申しますのは地方長官會議、部長會議に於ける從來の經驗に依りますと、是が傍聽を認めましても、只今のやうな御趣旨に副ふやうな工合に行きますかどうかと云ふ點に付て、疑義があるのであります、大體地方長官會議あたりの議事の經過は、公開ではありませぬが多數の傍聽者もありますし、又新聞にも其の論旨等を發表して居ることであります、其處で地方の實情を能く聽いて、それで明かにすると云ふ程の時間も今までありませぬし、それに依つて只今御述べになりましたやうな御趣旨を達し得るや否や、尚ほ考へて見たいと思ふのであります、尚ほ地方の民意が内務省或は政府に分りますやうなことに付きましては、何等かの方法に依りまして、一層其の點に努めなければならぬと思ふのであります、殊に私共は民主的な新議會が開會されましたやうな機會に於きましては、議員各位なり、又議會を機會に地方の有力者が東京にもおいでになることが段々多いのでありまして、それ等の機會に於きましても、成べく地方の事情を廣く御知らせを願ひたいと云ふやうに切望致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=112
-
113・中島守利
○中島委員長 本日を以ちまして總括的質疑は、一應終了したことに致します、次は來る三十一日午前十時より開きますが、三十一日は委員諸君の懇談會或は政府との間の懇談會を開きまして、大體此の法案を審議する方法を決めたいと思ひますので、是非委員諸君の缺席のないやうに各位から御傳へ願ひたいと思ひます、本日は是で散會致します
午後四時四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X00819460727&spkNum=113
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。