1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
東京都制の一部を改正する法律案(政府提出)
市制の一部を改正する法律案(政府提出)
町村制の一部を改正する法律案(政府提出)
府縣制の一部を改正する法律案(政府提出)
衆議院議員選擧人名簿等の臨時特例に關する法律案(政府提出)
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昭和二十一年八月五日(月曜日)午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 中島守利君
理事 大塚甚之助君 理事 本多市郎君
理事 松川昌藏君 理事 本間俊一君
理事 早稻田柳右ヱ門君 理事 中村高一君
理事 大原博夫君
岩本信行君 内海定吉君
小野眞次君 淵田長一郎君
細田忠治郎君 綿貫佐民君
小野瀬忠兵衞君 小池新太郎君
佐伯忠義君 青木清左ヱ門君
八坂善一郎君 大澤喜代一君
堤隆君 岡田春夫君
宮村又八君 矢尾喜三郎君
原國君 駒井藤平君
伊藤實雄君
出席國務大臣
内務大臣 大村清一君
出席政府委員
内務事務官 郡祐一君
内務事務官 鈴木俊一君
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本日の會議に付した議案
府縣制の一部を改正する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=0
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001・中島守利
○中島委員長 是より開會致します、本日は府縣制の一部を改正する法律案、此の遂條に亙る質疑に入りたいと思ひます、便宜上各章に亙つて區切りたいと思ひますから第一章を議題に致します、第一款は通則、第二款府縣及其の區域、第三款府縣住民及其の權利義務、第四款府縣條例及府縣規則、以上を議題にしまして質疑を許します、第一章に對しては御質疑はありませぬか──質疑なきものと認めます、第二章府縣會、第一款組織及選擧、第二款職務權限及處務規程、以上議題に供します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=1
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002・小野眞次
○小野(眞)委員 府縣會議員の選擧區の問題ですが、度々論議意見が出ましたやうに、選擧區をやはり地方事務所長又は支廳長管轄區域の單位でなく、元の郡の區域に依つてやると云ふことにしたらどうかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=2
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003・郡祐一
○郡政府委員 現在地方事務所の區域と申しますのが、其の區域を定めます重要の基凖としては、郡と云ふものを常に強く念頭に置いて居る譯であります、唯郡と申しますものが、其の後の郡役所が廢止されました後の色々な變遷に依りまして、可なりに區域に大小雜多な傾向を帶びて居りまするし、又府縣の實際の行政運營の單位として、適當な中間區域と云ふものが必要になつて參るのであります、地方事務所それ自身の性格なり運營に付ては、色々と論があるのでありますが、府縣の行政の一つの單位として、郡が必ずしも總ての場合に適當だと云ふことが申せない状態にある、隨て中間の區域と致しまして一つの區域を拵へ、それが地方事務所の管轄區域であります、隨て假に地方事務所と云ふものを離れて考へて見ましても、あの現在の管轄區域の程度が行政單位としては適當なんぢやないだらうか、斯う云ふ考へ、それが基になりまして選擧區とされて居ると云ふ工合に御考へ戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=3
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004・内海安吉
○内海委員 府縣の選擧區に付ては、只今小野さんの修正意見の如く贊成であります、大體地方事務所の制度と云ふものは、此の間も社會黨の議員の方から御質問がありました如く、昭和十七年の六月十九日、戰時中の最中に出來た制度でありまして、戰爭の推移に伴ふ、地方行政の現状と其の趣向に鑑み國政浸透の徹底と云ふことがあります、斯う云つたやうな總動員計畫と相竝んで出來た所の制度であります、正に是より民主主義平和國家を建設しようと云ふ途上に於きましては、斯かる動機に依つて出來ました所の制度と云ふものは、綺麗さつぱりと清算されまして、元の所謂郡單位にされることこそ、是は民主化の第一歩ではなからうかと思ふのであります、御當局に於かれては色々其の間の御事情もありませうけれども、此の機會に於て寧ろ昭和十七年六月九日に發令致しました此の地方事務所設置の目的と云ふものは、既に私は完了したものと認めますから、其の以前の状態に歸ることが、寧ろ民主的であり、改正の根本に觸れて居るのではなからうかと思ひますから、私は小野さんの修正される御意見に贊成したいものでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=4
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005・郡祐一
○郡政府委員 地方事務所自身の問題と致しましては、仰せのやうに昭和十七年に設置を致しまして、當初の地方事務所の設置の方針と申しまするものは、今日に於ては大幅に修正を加へられなければ相成らぬものと存じて居ります、地方事務所が町村に對しまして二重監督に相成つて見たり、市町村の事務の能率化を却て阻碍して居ると云ふやうなことがありますならば、是は地方事務所設置の趣旨に全く反するのであります、寧ろ町村よりも廣い範圍に於きまして、終戰後の新事態に即して行政が末端まで滲透致すと申しますか、隅々の状況と云ふものを、常に府縣行政或は國政の上に反映致させます爲に、地方事務所と云ふものを活用致したい、隨ひまして府縣とか市町村とか申しまするやうな團體が、其の性格上自治體としての性格を持つて居ります爲に、或は色々な法令、律令等に依りまして手の及びませぬ所を地方事務所に働いて貰ふ、隨ひまして人的構成に於きましても、地方事務所の如きは將來眞に所謂民間の方と申しますか、官吏、公吏の經歴を寧ろ持たない人に依つて、地方事務所と云ふやうなものが構成出來ないであらうか、さう致しますならば地方に於きまする色々な經濟團體其の他の團體の融合と云ふものも圖れるのではないか、隨ひまして或は地方事務所と云ふ名稱自身にもそぐはない所があるかも知れませぬ、固より、十七年のあの設置方針と云ふものは、全く修正されなければ相成らぬと思ふのでありまして、現在修正試案を用意致して居るのであります、左樣な意味で色々な團體を、眞に茲に統合出來るやうな人的構成を持つと云ふことに付て、十分な研究を致して見たい、斯樣に考へて居りますので、地方事務所論に付きましては、今後も各方面の御意見を拜聽致したいものだと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=5
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006・内海安吉
○内海委員 只今政府委員の方より、重ねて地方事務所を飽くまで存置しなければならぬと云ふ理由の御説明があつたやうでありますが、洵に狹い範圍のことでありますけれども、私の郷里でありまする宮城縣の牡鹿郡と桃生郡と云ふのは、經濟の事情に於きましても、又其の他の民度に於きましても、色々な點に於て全然違ふのであります、牡鹿半島は御承知の如く漁村であります、所謂漁業關係の人が多いのであります、桃生郡の方は農村關係の者が多いのであります、經濟上から言ひましても凡ゆる面から言ひましても、石卷市にある所の地方事務所に依つて統合せられると云ふことは、總ての點に於て不便なのであります、是は獨り宮城縣だけでなく、各方面にもさう云ふのが澤山あるだらうと思ひます、此の點に付て尚ほ十分御調べになつて居られるだらうと思ひますが、もう一應地方局長の御説明を聽いて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=6
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007・郡祐一
○郡政府委員 仰せのやうに地方事務所を當初設置致します時に、地方事務所と云ふやうな地方住民の生活に、或は市町村と云ふものに極めて密接な關係を持つべきものを、隨ひまして地方の實情に對する精細なる檢討の上に立つべきものを、寧ろ全國で何箇所位と云ふやうな數を決めまして、さうして各縣に盛り付けて行つたと云ふやうな點が、現在若干の不似合な區域を持つやうな結果に相成つて居ると思ふのであります、隨ひまして御指摘の兩郡のやうな事情の異り、而も兩郡それぞれ相當の町村數を擁して居りますやうな所に於きまして、之を一つに致しますこと自體に無理があつたのだと思ひます、それから又當時に於きまする縣當局等の判斷も、地方事務所の重要性と云ふことに比しましては稍稍不十分な状態にあつた、何と申しますか、地方の聲と云ふものを十分に聽きまして判斷を致すと云ふのに、稍稍不十分な點があつたのではないだらうか、隨ひまして一方に於きまして行政の範圍と云ふものに紛淆を餘り加へることは好ましくございませぬけれども、同時に又終戰後全く情勢を異に致しました實情に應じまして、人的構成に於きましても、運營に於きましても檢討を加へると致しますならば、隨ひまして其の區域と云ふ點も當然取上げて考へるべきものに致したいと思ふのであります、何と申しますか、事務所長と云ふやうなものよりも、寧ろ當該地方の世話係、世話人、斯う云ふ、感じでものが運營出來るならば、圓滑に役に立つ運營が出來るのぢやないかと思ひます、隨ひまして御指摘のやうな點は十分今後の研究問題に致すべきものであり、改善せねばならぬものだと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=7
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008・中島守利
○中島委員長 念の爲に申上げますが、只今議題になつて居りますのは府縣制の第四條より第六十四條まででありますから、其の範圍内の質疑を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=8
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009・細田忠治郎
○細田(忠)委員 第四條の「府縣會議員は各選擧區に於て之を選擧す」其の二に「選擧區は市の區域又は地方事務所長若は支廳長の管轄區域に依る」とありますのを「選擧區は市郡の區域若は島司の管轄したる區域に依る」と改正して見たいと思ふのであります、是は地方局長に伺ひますと、地方事務所の管轄が、大郡と小郡と合して一區域としました關係上、只今内海君が言はれた通りに、小郡と大郡の組合せでございますから、之を選擧事務に照して見ると、定員數を大郡に於て全部を當選せしめ、小郡には府縣會議員の存在を見ないと云ふ場合が事實上發生して參る、第二には府縣會の選擧は、慥か七月八日の細道君の質問の要旨に、何故に府縣會議員の選擧だけに限つて、衆議院或は市町村會議員の如き大選擧區制を採らないかと云ふ質問に答へられて、是は地理的の關係又は民意の反映を考慮して、纏まつたる地域、即ち地方事務所の地域としたと答へられて居りますけれども、地方事務所は只今内海君の言はれた通り、昭和十七年の創設でございまして、郡制と云ふものは其の前に既に數十年の古い歴史を持つて居りますが、此の歴史が戰時中に高度國防の計畫に基きまして、一擧にして此の歴史が覆へされましたので、郡制が依然として存在する限り、新しき制度である地方事務所單位に選擧をして、萬一以上の結果が生じまして、一郡に於ては縣會議員三名も出て居るのに、一郡には一人もないと云ふやうな結果が生じますれば、明かに民意の反映に背くことになる、況や今囘の改正に依りまして、地方自治體には選擧管理委員會と云ふものが發生します以上は、官吏制度の地方事務所の範圍で選擧すると云ふことは以ての外であります、實に其の意が那邊に在るか解するに苦しむのであります、郡に必ず定員ある選擧方法に依るべきだと思ひますから、第四條に對して一應政府當局の御所見を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=9
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010・郡祐一
○郡政府委員 御話の中にもございましたやうに、郡を單位と致しましても、人口に依り定數を配當致しますると、合郡致さなければ一名の議員も出し得ないやうな小郡が現在ある譯であります、隨ひまして大郡と小郡とを合せまして數名の議員定數を配當してあります現在の選擧區に於ては、其の小郡の──是は専ら人口配當に依るのでありますが、其の小郡の方が一名の議員を選出し得るのに比較的近い場合には、小郡からも選出されると思ふのであります、但し其の小郡が極めて小さい場合に於きましては、是は地方事務所に單位を取りましても、郡を基礎に致しまして合區を致しました場合にも、何れに於きましても小郡の方から候補者が出しにくいと云ふことに相成ると思ふのであります、さうして合區を致します場合にも、一名をも出し得ないやうな小さい郡を集めまして、一名だけ出すやうな選擧區を拵へる、それが必ずしも理想的な形態であるとも考へられないやうに思ふのであります、要は其の小郡の程度に依りまして、一名を出し得る程度の郡でありまするならば、之を合せました地方事務所の單位でも出し得るのであります、郡と云ふものが從來の沿革から、現在地理的名稱と云ふ程度に變化して參つて居ります際に於きまして、郡の區域と云ふものが、單に議員を選出する區域として適當でない部分が生じて居ると云ふことを私共は考へて居るのであります、是は地方々々に依りまして、寧ろ郡がやはり依然として生活の單位となつて居りますことは、勿論承知致して居るのであります、併し同時に又然らざる場所も現在生じて居る、さうなりますると選出する議員が果して出られるかどうかと云ふのは、結局其の基礎になる地域が、それだけの有權者を擁して居るかどうかと云ふことに依つて決まるのでありまして、必ずしも選擧區の問題ではないぢやないか、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=10
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011・細田忠治郎
○細田(忠)委員 一應さう云ふやうな見方もあるかも存じませぬけれども、實際問題と致しましては、それは出來得ないのでありまして、御案内の通りに、現在の地方府縣會議員の選擧の人口は、先づ五萬位の人口に依つて一名出すと云ふ標凖になつて居ると私は承知致して居りますが、さうしますると、五萬に足らない所の四萬内外位の郡と、十二、三萬もありまする所の郡と合しまして、さうして茲に定員三名と云ふことになりますならば、丁度此の五萬の平均からしますと定員が三名になる譯でありますが、さう云ふ場合には巧く十萬以上あります所の郡が協調して四、五萬の郡を蠶食致しますると、見事に其の四、五萬の郡からは縣會議員を落選させるやうなことは、選擧の運營方法に於きましても、戰略的に申しましても、十分に出來得ると云ふ是までの私共の實驗も持つて居るのであります、さう云ふ風でございますから、一群單位にしてやりますと、其の郡の消長に依りまして議員は必ず其の郡の利害關係を代表して呉れますけれども、地方に於きましては、御案内の通りに米穀の供出に致しましても、或は其の他の文化施設に致しましても、決して現在では地方事務所と地方事務所との間の競爭とか、或は其の間に於ての提携と云ふことは割合に薄くて、或はやはり郡と郡との提携、或は競ひ合ひと云ふやうなことが、地方自治の現象に相成つて居ります以上は、どう致しましても各郡に定數だけの議員を持つて居りませぬと、其の郡の文化なり、土木なり、總ての點に於きまして大變な不公平が出て來ますので、さう云ふ風な利害の點を考へますと、合して一つの地方事務所の下に議員の定員數を出す危險よりは、分割して郡單位に於て議員を出し得ると云ふことに相成りまする方が、地方の民意を反映し、或は地理的の系統から見ましても、又沿革から申しましても適當でないかと考へまするから、地方事務所を廢する、廢さぬと云ふことは先づ第二の問題と致しましても、少くとも地方事務所から郡單位の選擧に形式を變へると云ふことは、是は絶對の問題でございます、何れ各委員とも能く相談致しますけれども、御考慮をお願ひ致したいと存じます
次には第八條を御伺ひ致します、此の八條は是も選擧に關係する問題でありまするが、「議員定數の六分の一を超ゆるに至りたるとき又は府縣知事若は府縣會に於て必要ありと認むる時は補闕選擧を行ふべし」とありまするのを、昭和十八年改正前の舊法の「府縣會議員中闕員を生したるときは、三箇月以内に補闕選擧を行ふへし」と云ふ風に改正が願ひたい、即ち是は府縣行政區域が郡單位に分割されました以上、府縣會議員は其の地區毎に先程申しまする通りに國民の權利義務の消長を代表する限りは、定員の六分の一、即ち六十名の議員中十名の闕員を見ざれば補闕選擧を行はぬ、斯かる如き制度は民意の反映を府縣會に施す術もありませず、其の地區内の消長に大影響を來しますると云ふことは前段申上げた通りでございます、此の事實に基きまして、是も地方制度が明治三十二年の三月に生れましてから八囘までの改正、即ち昭和十五年まではさう云ふ風でなしに、其の郡内に於て議員の補闕選擧をする場合には、必ず三箇月以内に告示を致しまして府縣會議員の選擧を致した、それが昭和十八年六月のあの第九囘目の地方制度の大改正に依りまして、斯の如く六分の一、即ち六十名で十名闕員がないと選擧せぬと云ふことになりますると、一例として私の兵庫縣は二十五郡ありまするが、其の中でぼつりぼつり缺けて來て、各郡共に一名づつなければ十の郡に一人も縣會議員がないと云ふ事實がなければ補闕選擧が行はれぬと云ふことは、當時の軍閥と官僚の苟合に依りまして、著しく民意を抑へて議會政治の存在と運營に向つて、極度の壓迫を加へました遺物でございますことは歴然たるものであります、斯う云ふ譯でありますから、此の補闕選擧の施行は、此の昭和十八年前の舊法の、府縣會議員中闕員の生じたる時は、一名と雖も三箇月以内に補闕選擧を行ふと云ふことが、地方の民意を地方の議會に反映せしめる所の最も賢明であり、又最も民主的な方法であらうと考へます、第八條には「議員定數の六分の一を超ゆるに至つたるとき又は府縣知事若は府縣會に於て必要ありと認むるときは補闕選擧を行ふべし」とあります、前は府縣知事だけでありましたが、府縣會に於てと云ふ三字が入りましたけれども、併し根本に於きまして議員定數の六分の一を超えると云ふことが、一つの前提と相成つて居ります限りと云ふものは、假令府縣會と云ふ文字が入りましても私は同樣の意味と考へますので、是非とも是は此の地方制度の大改革の際には、廣く民意を映すと云ふ意味に於きまして、三箇月以内に補闕選擧を行ふと云ふことに修正致したいと思ひますが、之に對する御所見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=11
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012・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 府縣會議員の補闕選擧に付きましては、只今御述べになりましたやうに、昭和十八年の改正以前に於きましては、議員一人の闕員を生じました場合に於ても、三箇月以内に直ちに補闕選擧を行へ、斯う云ふ規定になつて居つた譯であります、所が昭和十八年の改正に於きましては、市制町村制に於きまする原則が、議員定數の六分の一を超えるやうな闕員を生じました場合に補闕選擧を行へ、斯う云ふやうな規定がありまするし、又此の衆議院議員の選擧などに付きましても、當時の規定では、やはり二人までは補闕選擧を行はない、二人に達するまでは行はぬ、斯う云ふ規定になつて居りまして、府縣會ばかりが、一人缺けました場合でも直ぐ選擧をしなければならない、斯う云ふ規定になつて居つたのであります、是は能く民意を常時府縣會に反映せしめて置く、一人も遺漏なからしむると云ふやうな趣旨から申しますると、大變結構のやうでありまするけれども、常時府縣會に闕員がない状態に置くと云ふことは、是は理想ではありまするが、實際問題として、やはりそこまで窮屈に考へる必要はないではないだらうか、一面やはり選擧を執行するに伴ひまする色々な繁雜と云ふこともございますから、其の兩者の要求の調和點と申しますか、調整點を見出しまして、衆議院なり、市町村會議員の場合に於きまする補闕選擧の原則に大體凖據致しまして、府縣會の場合にも六分の一を超える場合に、原則として補闕選擧を行ふと云ふことに致したのであります、併しながら其の原則を飽くまでも貫いて參りますと、只今仰せになりましたやうな、甚だしく不公平な状態が起る場合があります、さう云ふことは適當でありませぬので、さう云ふ場合には、行政の統轄の責任者でありまする府縣知事が考へまして必要がありと認めましたならば、六分の一を超えませぬでも補闕選擧をやる、斯う云ふ風に此の前の改正でも致して居つた譯であります、併しながら今囘は更に一歩を進めまして、さう云ふ補闕選擧を行ふことの必要の認定を、府縣知事の外に府縣の一機關である所の府縣會自身に對しても、之を認めまして、府縣會が之を必要でありまするならば、六分の一を超えませぬでも、或は假令一人だけの闕員でありましても、兎に角補闕選擧を行へ、斯う云ふことに致したのであります、隨ひまして實際府縣行政から申しまして、闕員があることが不適當であるとするならば、府縣會の自發的な、自主的な認定に依りまして、補闕選擧を行へば宜しいのでありまして、若しも府縣會自身が其の必要はなし、斯う云ふ御認定をされまするならば、法定の六分の一を超えるまでは補闕選擧をやらないで宜しい、斯う云ふ風に今囘致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=12
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013・細田忠治郎
○細田(忠)委員 一應御尤ものやうに伺ひまするが、從來の地方政治と云ふものと、此の地方制度改正後に於ける地方政治と云ふものは、劃期的な變化を來す、なぜかと申しまするならば、それは今後地方政治と云ふものは、既に此の制度が布かれまするならば、明かに政治的に地方議會が活躍すると云ふことは、是は瞭然たるものがあるのであります、斯かる場合に於きまして、假に地方の民意を巧く政黨的に首腦者が取扱はんとする場合には、自分の政黨の都合の好い場合には補闕選擧を行ふけれども、自分の政黨に都合の惡い場合には選擧を行はないと云ふことが、六分の一と云ふ制限法がありますると、そこに利用される虞がある、是は必ずあることでありまして、三名、五名位までの闕員が出來れば、却て其の闕員を利用して自分の黨勢擴張が出來ると云ふ、反對の現象を生じ得るのでありますから、斯かることを防ぐ意味から申しましても、どうしても地方議會に於きましては、先程申しまする通り、二十五郡で以て十郡も府縣會議員のないやうなことが出て來るのでありまして、假にさう云ふやうな郡が政治的に時の地方議會に不利であり、或は時の地方長官に非常に都合の惡いと云ふやうな場合には、之を行ふ時も出て來るし、行はざる場合も出て來ると云ふやうな、さう云ふ風な流通性のある、動もすれば黨利黨略に利用される虞のある法は斷然抛棄致しまして、飽くまでも地方には議員が必ず其の區域に於て、郡單位に於て出て來るやうに──郡制が沒却されるならば兎も角、どうしても前段申しますやうに米穀の供出とか、其の他土木の問題とか、各郡各郡が相競うて地方自治の綜合的の發達をして居る際に、一郡には縣會議員が二名も三名もあつて、一群にはないと云ふことでは、地方の上から申しましても非常に不平等でありますから、是非ともさう云ふ流通住のあることの弊害の大なるを慮りまして、舊法通りに補闕選擧を三箇月以内に必ず行つて貰ひたいと云ふ希望を申上げて置きます
次に第四十一條の一でありますが、之には「府縣條例を設け又は改廢する」とあるのを「府縣條例及び府縣規則」と、「及び府縣規則」の文字を挿入するが宜いのではないか、是は、府縣會は條例のみ設け又は改廢するとありますけれども、府縣制を圓滿に運行しまする上に、條例は縣民の權利義務に關係する、府縣規則は其の事務上のものでありますから、之を府縣會の議決事項に入るべきであると考へますが、當局の御所見を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=13
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014・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 十八年の改正に於きまして、從來府縣條例と府縣規則は、共に府縣會の議決を經べきものと云ふ建前でありましたのを、府縣條例だけは總て縣會の議決を經るが、府縣規則は原則としては府縣會の議決を經ない、斯う云ふ體制に改めたのであります、其の理由は、條例は所謂權利義務に關係のある事項を主として規定致すものでありますから、謂はば國の場合で言へば法律に該當するやうなものである、規則は主として事務的なものでありますから、謂はば勅令であります、各省大臣の命令に該當するやうなものである、隨て規則は一々府縣會の議決を經ないでも、寧ろ能率的に府縣知事の定める所に從つて公布したならば宜しいではないか、斯う云ふ風にして當時改正せられたと存ずるのであります、併しそれは飽くまでも府縣規則に付ての原則論でありまして、府縣規則の中でも、假令事務に關する事項でありましても、比較的重要な事項を規定したものがあるのであります、さう云ふものは現在の府縣制の第四十一條の第五號に「財産の取得、管理及處分竝に府縣費を以て支辨すべき工事の執行に關する府縣規則」是等は會計經理の基本になる重要な府縣規則でありますから、事務に關するものでも議決を經るやうにしなければいかぬ、第八號の財産營造物の管理に關する件、是等も同樣に府縣會の議決を經しむることに致してあるのであります、尚ほ給料に關するものなどはやはり府縣會の議決を經る、市町村會の議決を經ることに致して居ります、尚ほ市制等に於きましては、舊慣の所謂入會などに關係致しまする規則などに付きましても、府縣會の議決を經るやうに致して居ります、さう云ふ風に重要な府縣なり市町村の規則に付きましては、依然として府縣會なり市町村會の議決を要することに致してあるのであります、隨ひまして特に其の爲に不都合なことは生じないのではないか、斯樣に存じて居ります、又假に此の外に非常に重要な府縣會の府縣規則と云ふものが若しあると致しますならば、それは今囘新しく挿入致した第二項の規定に依つて、それを府縣會の議決事項に加へても一向差支へない譯でありまして、此の儘にして置いても特に支障にはならぬのではないかと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=14
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015・小野眞次
○小野(眞)委員 只今議題になつて居るものが、政府の提案された修正條項だけであるかどうかと云ふことに、多少の疑問を持ちますが、そんなに固苦しい意味でなしに、政府の修正案としてでなく、提案されて居るものを一つ御尋ねしたいと思ひます、それは第五條の府縣會議員の數でございますが、現行法では「府縣會議員は府縣の人口七十萬未滿は議員三十人を以て定員とし」以下漸増を致して居りますが、自治權の擴充と云ふ建前から、或は有權者が非常に増加したと云ふ建前から、言ひ換へるならば、府縣民が府縣制に對する關心を持つ度合が、實質的に非常に増加したと云ふ建前から、私は此の際定員の増加を圖ることが適當ではないかと思ひますが、御當局の御意見は如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=15
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016・郡祐一
○郡政府委員 府縣會の職務權限の幅は確かに増加して參り、又それが望ましいことであります、唯議員の定數を如何樣に定めるかと云ふことに付ては、成べく多くの者を集めた方が周到な審議が出來ると云ふ考へ方と、寧ろ數を少くして、其の少い數の者の一人當りが背負ふ責任を與ふ限り高めることに依つて、會議の審議を權威あらしむるものにすべきではないかと云ふ兩論が、議員の定數論に付てはあると存じます、それで議員の定數を著しく増加致すと云ふのであれば、又論が別になつて來るかと思ひますが、今日の職務權限の幅の程度、又代議制の地方に於ける運用の程度から申して、若干の變動を試みることは、さして意味のあることではなからうか、寧ろ假令職務の幅が殖えて參りましても、現在の程度の議員數を維持し、其の一人々々の責任を可及的に重く感じて貰ふ方が宜いのではなからうか、例へば「ニューヨーク」市等は、曾て非常に大きい議員數を持つて居りましたり、五、六百萬の市で議員數を三十名以下に減らしてしまつたやうな極端な例もあります、是は極端だと思ひますが、今日の状態に於て議員の定數を殖さなければ審議に差支へると云ふことも考へられず、又現在の議員數で非常に不便を來すであらうことも考へられないので、議員の定數に付ては現状維持と致したいと云ふやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=16
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017・小野眞次
○小野(眞)委員 其の問題は其の程度で置きます、意見の相違でありますから、又後で別の觀點から御相談することにします、次は第十二條の「選擧管理委員會は府縣知事の監督を承け云々」とありますが、此の監督とはどんなことでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=17
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018・郡祐一
○郡政府委員 選擧管理委員會は、獨立して選擧の管理事務に付て一定の構成を以て運用致されるものであります、併しながら選擧管理委員會が行動致す場合に於て、事後に於て選擧管理委員會の行動に誤りの點がある、左樣な點を矯正致したり、必要な注意を喚起致す、斯樣な繋がりがなければ、其の選擧管理委員會の行動に付て必要な規正を加へることが出來ないのであります、指揮監督と云ふやうな表現に致しまして、事前に之に干渉すると云ふことは致さないのでありますが、事後に於ける監督と申しますか、監督と云ふ言葉は或は若干の語弊が起つて參るかも知れませぬが、其の行動に付て、府縣知事との繋がりを附けて置く、是は合法的な選擧管理委員會の行動を規正する上に於て、必要であり、斯樣な意味合に於て、寧ろ管理委員會が宙ぶらりんに全體としてなつてしまふよりも、府縣知事に結付きを付けて置く方が、委員會の性質上必要だと考へた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=18
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019・小野眞次
○小野(眞)委員 只今の御説明が雄辯に物語つて居るやうに、監督と云ふ言葉は洵に不明であります、隨て府縣知事自體が立候補する場合が多い今度の選擧に於ては、選擧管理委員會が存在すると云ふことは、其の本來の使命に反すること甚だ大きいものがあると思ひます、是は府縣知事の監督と云ふ文字を削りまして、全部「選擧管理委員會は法令の定むる所に依り」是で十分だと思ひますが、如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=19
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020・郡祐一
○郡政府委員 事柄自體に於て、若し知事の監督を除きますならば、全然運用が附かないか、左樣には考へて居りませぬ、併しながら先程申上げましたやうに、選擧管理委員會の運用自身に付て、選擧管理委員會と申しますのは、御承知のやうに、選擧事務の管理であつて、隨て取締りの面、或は運動の面に何等觸れる所がありませぬ、隨つて選擧管理委員會に知事が或る「インフルエンス」を及ぼすと云ふことは考へる餘地のないことのやうに思ひます、寧ろ必要な選擧管理委員會の事務の可否のある場合に、之に對して何等かの注意を喚起致すと云ふ繋がりのある方が、寧ろ事の圓滑な運營を圖る所以であらう、斯樣に考へる次第であります、御考への──例へば知事が現職の儘立候補致したとしましても、それに依る弊害と云ふのは、先づ選擧管理委員會の事務の中からは出て來ないのではなからうか、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=20
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021・小野眞次
○小野(眞)委員 其の問題も其の程度に致します、次に第二十二條の二の開票區の問題であります、其の第三項の「前項の規定に依り開票區を設くる場合に於て必要なる事項は命令を以て之を定む」此の第三項を削除した場合に、實際の運營上どんな差支へが生ずるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=21
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022・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 第二十二條の二の第三項の「開票區を設くる場合に於て必要なる事項は命令を以て之を定む」斯う云ふ委任を致しました點は、どう云ふ點かと申しますと、第一にどう云ふ區域が開票區の區域であるか、其の區域の告示を致さなければなりませぬ、其の告示に關する規定、それ等の點が主たる點でありますが、尚ほ開票管理者の規定等も必要に應じて設けなければならぬと思つて居ります、例へば數町村の區域を併せて一開票區を設けました場合に、開票管理者は選擧管理委員會が選任することになつて居ります、所が數町村にそれぞれの選擧管理委員會がありますから、どつちの選擧管理委員會が開票管理者を選任して宜いか分らぬ譯であります、さう云ふ場合には特定の開票區の選擧管理委員會をして之を選任させると云ふやうな建前を、此の第三項を根據にして勅令中に規定致したいと思つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=22
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023・小野眞次
○小野(眞)委員 其の次は第三十三條でありますが、「當選者其の當選を承諾したるときは選擧管理委員會は直に其の旨を府縣知事に報告すると共に當選證書を付與し及其の住所氏名を告示すへし」此の「及」は何の爲に付けられたのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=23
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024・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 是は立法技術上の問題でありまして、「及」を取りましても、勿論意味は通ずるかと存じますが、當選證書を付與する、「及其の住所氏名を告示すべし」と云ふやうな、之に類する規定の仕方を致しましたものも、現在府縣制の他の條文等にございますので、大體其の書き振りに從ひまして、及と云ふ字を加へた次第でありまして、特別に深い意味はございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=24
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025・小野眞次
○小野(眞)委員 第四十三條の二の第二項ですが、「府縣會は府縣知事に對し府縣の事務に關する監査委員の監査を求め其の結果の報告を請求することを得」とありますのを、之を府縣會が府縣知事に對して監査の請求をすると云ふ制度を止めて、府縣會自體が直接監査委員に其の監査を要求すると云ふ制度を執られることに何か弊害がございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=25
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026・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 是は監査委員の性格上から斯樣な規定を致したのでありまして、監査委員は其の職務の執行自體に付ては獨立性を以て監査を致すのでありますが、やはり府縣知事の身分的監督の下に立つのでありまして、其の下に於て監査を致します府縣の吏員であります、隨ひまして例へば監督官廳が監査委員の監査を要求致します場合にも、直接に此の監査委員に對して監督官廳が命令を下すのではなくて、先づ府縣知事に對して監査の命令を出しまして、府縣知事から監査委員に行くと云ふ風に致して居るのであります、それ等とも對應致しまして府縣會が監査委員の監査を求めます場合にも、直接身分上の監督權を持つて居ります府縣知事を拔きに致さないで、府縣知事を通して監査委員の監査を求めると云ふ風に致したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=26
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027・小野眞次
○小野(眞)委員 其の問題は町村制の時にゆつくり御相談を致したいと思ひます、其の次は六十三條ですが、「議長は書記をして會議録を製し會議の顛末竝出席議員の氏名を記載せしむへし會議録は議長及議員二名以上之に署名するを要す其の議員は府縣會に於て之を定むへし」と云ふ此の「其の議員は府縣會に於て之を定むへし」と云ふ文句を除いて、參事會の場合と同じやうな取扱をすることに何か弊害がございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=27
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028・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 只今の御尋ねの會議録に署名致します議員の選定方法でありますが、此の府縣會の選定方法は、是は從來現行法が斯樣に相成つて居りますので、それを其の儘に致してあるのであります、それから參事會に付きましても今囘は特に此の點の改正は致しませぬで、從來通りの署名議員の選定の方法に致してあるのであります、是は七十三條の場合でありますが、是はやはり參事會に於きまして或は議長の指名と云ふことにし、或は參事會に於て直接選擧すると云ふやうなことに致しまして、適宜署名議員を決めて差支へないと思ふのであります、府縣會の場合にはやはり基本となる府縣の意思機關のことでありますから、特に府縣會の意思に依つて定まると云ふことを書いたのだらうと存じます、是は特別に今囘此の點に付て何等改正を加へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=28
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029・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 府縣の住所の場合ですが、是は一時配給其の他の關係で、配給の籍を移す場合があるのでありますが、此の場合住所の變更と御認めになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=29
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030・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 選擧權等の基礎になります住所の認定の方法をどう云ふ風にするかと云ふ御尋ねでありますが、住所と云ふのは申すまでもなく生活の本據でありまして、是は從來からの行政實例或は大審院の判例等に依りまして、其の本人の主觀的の意思と、又住所に關する所の客觀的の事實、此の兩方から之を綜合して判斷をして行く、斯う云ふのが原則論であります、今御尋ねになりました配給と住所との關係でありますが、是は配給を受けて居ります所が、直ちにそれだけの理由で住所であると云ふことは申し難いと存じまするが、併し多くの場合に於きましては、配給を受けます所は、それに依つて生活を致します物資の配當を受ける場所でありますから、其處に生活の本據があると認められる場合が、最も多いのではなからうか、斯樣に存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=30
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031・青木清左ヱ門
○青木(清)政府委員 さうするとそれは短期間であれば結局關係ないことになりますな、要するに、自分の問題になりますけれども、東京へ今一應籍を移して配給を貰ひますが、それで府縣會議員の選擧權がなくなるか、市町村會議員の選擧權がなくなるかと云ふ問題であります、其の程度はどんなものでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=31
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032・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 只今仰せになりましたやうな事例に於きましては、恐らく家族等は郷里においでになるのだらうと存じます、隨ひまして生活の本據はやはり郷里にある、斯樣に考へられます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=32
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033・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 分りました、第四條でありますが、第三項「府縣條例を以て數區域を合せて一選擧區を設くることを得」と云ふのでありますが、是は第二項の選擧區を幾つか合せて一選擧區を設くることを得と云ふことに解釋するのでありますか、其の一部を合せると云ふことを認めるとどう云ふやうに工合が惡くなりますか、又御認めになる意思があるかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=33
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034・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 合區に關する規定でありますが、是は從來から選擧區全體の區域を他の選擧區の區域に合せる、斯う云ふことは認めて居りますが、或る選擧區の一部分を他の區域に合せる、斯う云ふことは認めて居らないのであります、選擧區を法律上市の區域、地方事務所の區域、支廳の區域に依る、斯樣に法定を致しました理由は、選擧區を濫りに變更致しますことは、やはりそこに選擧區構成上不純の要素が入つて參りまして、例へば特定の政黨が其の選擧區の構成に強い發言權を持つ場合に、必ずしも公正でない、選擧區の不正が行はれる、斯樣な心配があるのであります、さう云ふ見地から法律上斯う云ふ行政區域を以て當然に縣會議員の選擧區とする、斯樣に定めた譯であります、隨ひまして合區を致します場合、或る選擧區の一部分を勝手に引離して他の選擧區に合せる、斯う云ふことに致しますと、態態法律上選擧區の區劃を確定致しました理由を失つてしまふ譯でありますから、やはり合せます場合は、まるまる合せる必要がある時だけ合せることを認める、斯樣に致したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=34
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035・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 二十二條の九でありますが、「左の投票は之を無效とす」の中に「議員候補者の氏名の外他事を記載したるもの但し爵位、職業、身分、住所又は敬稱の類を記載したるものは此の限に在らず」とあります、隨て點とか丸とかを書いた場合無效になるのであります、是は殆ど意識せずして斯う云ふことが往々起り勝ちなことでありますが、それを無效とする理由は大體分つて居るのでありますが、さうすればそれと同じ關係になつて爵位を書くとか、住所の一部を書くとか、形式の書き方を變へると云ふやうなことに依つて、丸とか點とかを打つたと同樣な效果を及ぼす場合が起るのでありますが、特に斯う云ふ第五の條項を御入れになつた基礎を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=35
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036・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 二十二條の九の投票の無效に關する規定は、大體衆議院選擧法の規定にそつくり其の儘凖據して、規定してあるのであります、此の規定の可否に付きましては今後相當檢討致す餘地があるでありませうし、又所謂自署主義でない記號主義を採ると云ふことになりますれば、斯樣な面倒な現定は一切要らぬことになる譯であります、唯現在此の自署主義を採つて居りまして、而も投票の祕密と云ふことを至上の原則にして居ります關係上、どうも此の規定を削除致すと云ふことは到底許されないと考へるのであります、唯餘り他事記載と云ふものを非常識に認めますと、仰せになりましたやうな甚だしく不公平な場合が生じて參る譯でありまして、先般の衆議院議員の總選擧等に付きましては、連記の關係からして相當緩やかに解釋致しまして、祕密投票の趣旨から云つて心配がないと云ふやうなものに付きましては相當從前の先例なども變へまして運用したやうな次第であります、地方議會の選擧に付きましても同樣に致したいと考へて居りますが、今直ちに此の規定を廢止削除すると云ふことは、やはり此の祕密投票の趣旨から申しまして困難ではないかと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=36
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037・中島守利
○中島委員長 第二章は大體是で御質疑がないものと認めます、第三章府縣參事會、是は第六十五條より第七十四條までであります、之を議題に致します、其の質疑を許します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=37
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038・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 七十三條の府縣參事會員の定數は半數以上でありますが、元の規定を見ますと、府縣參事會は議長又は其の代理者が出席をしなければならぬことになつて居ります、是は議長が出席しなくてもやれると云ふ意味でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=38
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039・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 府縣參事會は、從來其の構成上議長と云ふものと參事會員と云ふものを別々に考へて居つたのであります、參事會と云ふものは議長と參事會員で構成する、斯樣に致してあつたのであります、所が今囘はさう云ふ別な分子、二つの分子から府縣參事會を構成すると云ふことではなくて、總て府縣參事會員を以て構成する唯參事會員の中から議長を選擧する、斯う云ふ風に致したのであります、今まで府縣知事が府縣參事會の議長でありましたが、今度は參事會員の中から議長が選擧される、斯う云ふことになつた譯であります、そこで出席の定足數に付きましても特別に議長を扱ひます必要がありませぬので、唯參事會員定數の半數以上出席した場合に會議が開けると云ふことにした譯であります、若し出席者の中に議長が居ない、欠席したと云ふ場合には副議長が代る、更に副議長に故障があれば會員中より副議長を選ぶ、斯う云ふことになる譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=39
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040・中島守利
○中島委員長 第三章府縣參事會に付ては御質疑ありませぬか──御質疑ないと認めます、午後の一時まで休息致します
午前十一時五十分休息発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=40
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041・会議録情報2
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午後一時三十五分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=41
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042・中島守利
○中島委員長 午前に引續き會議を開きます、府縣制の一部を改正する法律案第四章府縣の官吏及吏員、第一款、第二款、第七十四條の二より九十七條まで、以上の範圍で質疑を許します──細田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=42
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043・細田忠治郎
○細田(忠)委員 是は今度の改正法には提案されて居りませぬ條章で八十二條でございまするが、法令集の方を御覽願ひたいと思ひます、此の八十二條には「府縣會又は府縣參事會の議決又は選擧其の權限を超え又は法令若は會議規則に背くと認むるときは府縣知事は其の意見に依り又は内務大臣の指揮に依り理由を示して之を再議に付し又は再選擧を行はしむべし」此處までは是で結構でございます、「但し特別の事由ありと認むるときは府縣知事は之を再議に付せず又は再選擧を行はしめずして直に取消すことを得」此の但書が私は非常に不當であるが爲に改めたいと云ふのが私の趣旨であります、苟くも府縣會又は府縣參事會が議決致しました事項を、府縣知事が獨斷を以て再議にも付せず、又再選擧も行はず取消すと云ふことは、著しく専横の沙汰であります、非民主的の行動も甚だしいと言ふべきでございますので、其の但書を削らんとする所以でございます、飽くまでも斯う云ふ條項を置いておく必要があるのか、是は削つてしまつて府縣會又は參事會の意思を尊重する意思がないか、御所見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=43
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044・郡祐一
○郡政府委員 固より但書の濫用があつてはならないことでありまして、事急を要して直ちに取消を致さなければ相成らぬとか、緊急已むを得ない場合の措置と致しまして之を認めて居るのであります、之に對しましては出訴の方法もございまするし、救濟の途が備へられて居りまするが爲に、寧ろ時間的に、或は事柄の上から行きまして、緊急已むを得ないものに付て、但書を置いておきまする方が、事柄の色々な變化に應じ得るので、法文と致しましては是で適當なのではないかと思つて居ります、運用の點に付きまして十分注意を要することは勿論であります、今後行政全體が民主的な動きを致しまする場合に於きまして、此の運用に付きましては、技術上の制限を行はなければ相成らぬと思ひまするが、法律的に之を存置して置くと云ふことは差支へないことのやうに存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=44
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045・細田忠治郎
○細田(忠)委員 是と關聯しまして、然らば只今の御説を其の儘に受け容れると致しまして、第八十六條を見ますならば、是には府縣參事會の權限に屬する事件に關し臨時急施を要する場合に於て府縣參事會成立させるとき又は府縣知事に於て之を招集するの暇なしと認むるときは府縣知事は専決處分し次の會期に於て其の處分を府縣參事會に報告すへし」斯うありますが、此の府縣知事の専決處分に關する事項に付きましては次の議會に報告するに止まると致して、動もすれば是は府縣參事會の權限を壟斷すると云ふ懸念も多分にございますので、是は報告して其の承認を求むべしとするのが一番宜いのではないか、即ち先程御伺ひしました第八十二條も「特別の事由ありと認むるときは」、是は地方行政の運營上突嗟の間に於て、運營は一日も停止することは出來ませぬから臨機の處置を執ることは、是は地方の行政官としては當然のことでございますけれども、「特別の事由ありと認むるときは」と云ふやうなことは、非常に茫漠たる見解でありまして、見解に依りますと特別の事由でなくても特別の事由と云ふことを主觀的に主張する場合も出て來ぬとも限りませぬので、私は此の各條を通覽致しまするに、斯う云ふ場合に唯單に「報告すへし」とか「取消すことを得」と云ふやうなことが從來から餘り良く用ひられて居りませぬ、殊に政黨政治が盛んになりますと、是が時に反對に利用されると云ふことは、是は私は澤山其の例を持つて居りますので、是は成べく法の制定に當つて、且つ又此の改正を契機と致しまして、廣く民意を徴しまする上に於きまして、或は報告して次に承認を求める、報告のし放しと云ふやうなことは、一つの意思機關を無視した行動である、斯う云ふやうに考へますので、私は強ひて此の第八十六條にも「報告し且つ其の承認を求むへし」と斯樣に訂正致したいと思ひますが、八十六條に付きましてはどう云ふ御見解でありますかと云ふことを御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=45
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046・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 第八十六條の府縣參事會の權限に屬しまする事件を、府縣知事が専決處分致しました場合に於て、單に府縣參事會に報告すべしとなつて居りますことは、第八十二條の府縣知事の取消權等の思想と同じ思想であつて、多少官僚的な臭ひがせぬかと云ふやうな御話のやうに承りましたが、現在の全體の法の建前から申しますと、不信任議決と云ふやうなものがございませぬでした爲に、仰せになりましたやうな點が多少ないでもなかつたと存ずるのであります、併しながら今度は所謂府縣知事に對する不信任議決と云ふやうな新しい途が開かれて參りました譯でありまして、假に此の八十六條に依りまして府縣知事のなしました専決處分を報告して、其の結果府縣會が之を如何やうに考へるかと云ふことは、府縣會の自由でございまして、府縣會として必要ならば、不信任議決をして之に應ずると云ふことが出來る譯であります、其の場合には府縣知事は府縣會を解散するか或は其の職を去らなければならない、斯う云ふ譯でありまして、茲に「報告すへし」と書いてございましても、結局に於ては報告をして府縣參事會の處置に俟つ、斯う云ふ風に相成るのではないかと存ずるのであります、尚ほ其の外に從來と同樣に或は訴願訴訟の途は許されて居る譯でありますから、さう云ふ風な或は不信任議決の方法、或は訴願訴訟の方法等に依りまして、此の府縣知事の行ひました處置と云ふものが甚だしく不適當であると云ふ場合に於きましては之を匡正し得る途が、自主的にも又訴訟的にも認められて居る譯でありまして、特に是が不適當だと云ふことに相成らぬのではないかと存じて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=46
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047・岩本信行
○岩本委員 第七十四條の二の「府縣知事は官吏とす」の問題でありますが、此の問題は既に論じ盡されて居りますから、同項に付ては申上げませぬが、尚ほ一寸聽いて置きたい、要するに修正するかしないかと云ふやうなことは、是は懸つて議會の權限にある譯でありますから、追つて適當の方法が執られると思ふのでありますが、若し之を公吏或は公務員、斯う云ふことに修正が行はれたと假定する場合に、大臣に依つて大變此の解釋が違ふんぢやありませぬか、民主化の意味に於て相當の距離があるやうに、此の間の金森さんの御話と内務大臣の御話とで、思へたのでありますが、之を若し修正が行はれて所謂公務員とか、或は公吏とか云ふことになつたとすると、當局としてはどう云ふことになりますか、今の總ての機構の上では絶對不可能と御考へになるのかどうか、此の點を一つ伺つて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=47
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048・郡祐一
○郡政府委員 知事の官吏たる身分を、現在直ちに吏員と切替へますることは、府縣が持つて居りまする國の地方行政官廳として、又地方自治體としての二面の性格から考へまして、自治體の面に於きましては、金森國務大臣も申して居られました如く、吏員で何等差支へない譯であります、國の官廳としての一面を持つて居りますが爲に、他の各般の法令の改正を待ちませぬければ、之を實施し得ないと云ふことに相成ると存ずるのであります、隨ひまして將來に於て他の國政全般が、地方に於ける其の執行をどのやうに致すかと云ふ問題、更に國家の地方行政官廳を如何やうに構成致すかの問題、之に伴ひまする各般の法令の改正、是が併行致さなければ、運用は不可能のことと存ずるのであります、極く簡單に只今、申しましたことを分説して見ますならば、知事が官吏であることを前提と致しまして、知事に對して國政事務を掌理せしめて居る諸法令は、若し之を公吏と致しまするならば、公吏たる知事をして掌理せしめ得まするやうに改正を致さなければ相成らぬと思ふのであります、即ち行政官廳として知事は司法警察官の職務を刑事訴訟法に依りて執行し、或は行政官廳として法人に對する各般の監督を致して居ります、是等に付きまして行政官廳として行ひますることを、民法其の他の條文にそれぞれ明記して居るのであります、是等の總てに付ての改正が必要だと存ずるのであります、更に知事を公吏と致し、之に伴ひまして國の行政官廳としての面を全部取除きまして、専ら自治體の長としてのみ扱つて他に強力なる行政官廳を作ると云ふことを考へますならば、其のやうな考へ方が金森國務大臣の私見として申された中にもありましたが、他に地方に現在の官廳としての府縣知事に當る行政官廳を設けるべし、現在府縣と云ふ言葉には官廳的な面と自治體の長としての面とがありますが、前者の方は別の官廳を拵へまして、申さば自治體の府縣の外に府縣官廳と云ふものを別に拵へて、府縣の中に置くべしと云ふ論に相成りますならば、事柄は比較的簡單でありますが、若し府縣行政を左樣な分裂をさせることが好ましくないと致しますならば、現在の各般の國政事務を府縣に委讓致しまして、自治體としての府縣の事務を充實させますやうに、凡ゆる法規が改正を致されなければ相成らぬと存ずるのであります、更に知事を公吏と致しまする場合には、是は部下全員の任免權を掌握することが當然でありますが、斯樣な場合に於きまして、現在は官吏法上、地方官官制に基きまして其の身分が決められて居りますが、公吏全般に付きまして現在の地方官官制に代位すべき公吏の任用分限給與等の基凖と相成りますべき根本法が制定致されませぬならば、恰も當該の知事の私的な部下のやうな關係に立ちましたのでは、公の事務は執行致されぬのであります、左樣な意味の根本法が制定されなければ相成らぬのであります、更に現在官吏を以て當てて居りますのを、知事等を公吏と致しました結果は、豫算的措置に於きましても、府縣費を以て給料其の他を支拂ひます爲に、財政上の相當根本的な切替を致し、形式の上に於きましても、又府縣に對する必要なる財源供與の途をも與へなければ相成らぬと存ずるのであります、更に前に申しました能ふ限り各般の國政事務を府縣に委讓致しまして、現在の府縣が分裂致しますやうなことを避けると致しましても、尚ほ若干の事項に付て、例へば警察が全部地方警察に相成れば宜しいのでありますが、尚ほ國家としての警察が殘りますならば、警察署長に對する指揮權の一部と云ふものを、何處までも官吏が致さなければ相成らぬと云ふやうなことに相成りますならば、何等かの限度に於て特別なる機關の設置を考へなければ相成らぬと云ふ問題があるのであります、斯樣な各般の問題が解決致しました場合に、知事公吏論の實限が考へられるのであります、隨ひまして直ちに地方制度上の官吏と公吏を置き替へることに依りましては、運用が不可能だと存じて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=48
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049・岩本信行
○岩本委員 色々支障があることは分つて居りますが、凡ゆる法令を直して行かなければならぬと云ふことでありまして、其の凡ゆる法令とはどれとどれが引掛るのであるかと云ふことを、一つ資料として御提出を願ひたいと思ひます、今直ちにでなくとも結構でありますが、其の點を御願ひして置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=49
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050・矢尾喜三郎
○矢尾委員 一寸御聽きしますが、八十四條の「府縣會に於て府縣知事不信任の議決を爲したるときは府縣知事は内務大臣に對し府縣會の解散を請求することを得」と云ふことになつて居ります、先般來の内務大臣の答辯其の他に依りますと、地方議會に於きまして不信任案が提出せられた時に於て、内務大臣に對して解散を要求して、内務大臣の決定に依つて解散をすると云ふ風になつて居りますが、其の點に關しまして、私は次の條項に「解散後初て招集せられたる府縣會に於て再び府縣知事不信任の議決を爲したるときは府縣知事は辭任することを要す」と云ふことになつて居りますので、大體原則としましては府縣知事或は現在上程されて居りませぬが、市町村會に於きましても解散權と云ふものは、原則として知事或は市町村長が持つのが當然であると考へて居るのであります、其の點は次の選擧に際しまして再び不信任案を提出される時に於ては退職すると云ふことになつて居るのでありますから、若し地方議會に於きまして不信任案を可決した、さうして内務大臣に申達した場合に於て、内務大臣の方でそれが不適當であると云ふやうな決定が行はれたやうな場合に於てはどうなるのであるかと云ふことを御聽きしたいのであります、地方議會に於きましては不信任案を可決したが、内務大臣の方ではそれは不適當であると云ふことで、其の不信任を認めて解散を認めないと云ふやうなことが起つた場合に於てはどう云ふことになるのでありますか、先づそれを御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=50
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051・郡祐一
○郡政府委員 議決機關と執行機關とは、それぞれ相對しました府縣行政に於ける基本的な機構であります、是が一方の機關であります、府縣會の解散をするや否やに付きましては、内務大臣は單に其の議決のみでありませぬで、各般の事情を考慮して、府縣會を解散致さなければ自治體を收捨することが出來ないと云ふ判斷を下しまする場合に解散が行はれる譯であります、隨ひまして非が知事の方にあつて不信任議決のなされました場合に、更に解散を致しませぬで或は辭職の勸告──是は其の事柄自身で分限上の解散を致させることも出來ますまいけれども、或は知事の自發的な退職を勸告する場合もありませう、或は其の不信任議決がありましたが、府縣會を解散する必要なしと判斷致しました場合には、不信任議決自體が效果を發生しないと云ふだけだと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=51
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052・矢尾喜三郎
○矢尾委員 さうしますと、不信任案を可決したが、效果が發生しないと云ふやうなことに對しましては、本當の地方自治權の上に於きまして益益紛糺を來さしめる因であると私は考へるのであります、だから斯う云ふ第一囘の不信任案と云ふことに對しましては、解散を斷行すると云ふ權利が内務大臣に持たれると云ふ所に、私は矛盾があるのではないかと考へて居る、それが府縣知事或は市町村長に、解散權と云ふものが認められて居りますならば、それを解散してさうして民意に問うてこそ初めて本當の地方自治の效果を擧げ得るものであると考へるのでありますけれども、内務大臣の考へに依りますと──内務省の原案に依ると、或は政黨的な考へに依つて、或は種々な事情に依つて、知事は官吏とすると云ふことになつて居りますので、どう致しましても内務大臣としては知事の方に力を致されることは、過去の事例に於ても明かなことであると私は考へて居る、斯う云ふ立場からそこに矛盾があるのではないかと考へるのであります、それに關聯しまして御伺ひしたいのは、府縣知事の不信任案と云ふのは、所謂單なる不信任を表明した場合に於ける不信任案であるか、又は地方に於ては解散をせられるとか何とか云ふやうなことを避ける爲に、知事其の他の當局者が出した政策であるとか、さう云ふ仕事の爲に反對をする場合が間々あるだらうと思ふのであります、さう云ふ場合に於きましても知事と致しましては、自分の行はんとする政策に對して反對すると云ふやうな場合に於ては、是は不信任を表明したと云ふ意味に於て解釋しても宜いのかどうかと云ふことを御尋ねしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=52
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053・郡祐一
○郡政府委員 私が前段申上げましたのは、法律上の解釋として申上げたのでありまして、府縣會の解散と申しますることは、是は解散を致します者の別に權利でもなければ制裁でもないのであります、府縣會と云ふものを一旦解散致して、新しい組織に致す方が適當なりと云ふ判斷が下されると云ふことなのであります、隨ひまして法律的には、私は先程申上げましたが、不信任の議決がありますれば知事は解散を請求して參りまするし、それに對して概ねの場合に於ては法律上は然らざる場合があり得ますけれども、原則と致しましては勿論解散があると云ふことであらうと考へて居ります、それから不信任の議決と申しますものは、明瞭に何某知事の繼續して其の職にありますことを信任致しませぬ場合でありまして、政策に對する非難等がありまするが故に、直ちに解散を請求して參ると云ふことは、法律上に茲に規定してある所謂不信任議決の場合にはならない場合と御諒解願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=53
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054・大澤喜代一
○大澤委員 先程の第七十四條の二項に付てでありますが、私も關聯して御尋ね致したいと思ひます、今地方の事情を見ますると、長い間の日本の官僚政治の爲に、之を民主化すると云ふことになりましても、知事は相當な人事に關する權限を持つて居る、色々惡徳を働いた官吏だとか、能のない官吏だとか云ふものに對しましては、徹底的なる肅正の必要を我々は痛感致して居るのです、さう云ふ場合に今知事は所謂任免權はない、具状權はあると云ふことは度々今まで承つて來ましたが、一體此の具状權と云ふものはどの程度に具體的に活きて行けるものと當局は考へて居られるのか、其の點を出來るだけ具體的に御答辯願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=54
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055・郡祐一
○郡政府委員 現在地方官官制上、部下の官吏に對しまして、府縣知事は考課の具状權を持つて居ります、法律上は考課の具状權でありまして、其の發動は内務大臣が總理大臣に進達致してやつて居るのであります、併し考課に付きましては非常に誤りのある場合、是れ以外の場合に於きましては、概ね府縣知事の考課の具状權は其の儘形の上で現はれて居るのであります、進退の具状權に付きましても、法律上は現在ありまするやうに、部下の官吏に對して知事は進退の具状をなすことを得と云ふ表現に相成らうと思ひます、運用と致しましては、其の進退に付きまして府縣知事の具状致しましたことに誤りがなければ、官吏に付きまして一定の任用の資格等がざいごます、それ等の點に付きまして、例へば從來でも知事が進退の具状權と云ふものは持つて居りませぬが、部下に付きまして斯樣な者を任用致したいと云ふことは言うて來て居ります、それ等の場合に知事が持つて參りまするものに現在の技官、技師の資格はあるけれども、事務官の資格はないと云ふやうな者を知事が持つて來ることがあります、左樣な資格の區別を設けてあることの善し惡しは別問題と致しまして、技官の任用資格はあるが、事務官の任用資格はないと云ふやうな場合に於きましては、之を知事に通知致して直さして居るやうな場合もあるのでございます、隨ひまして左樣な任用の規定に抵觸を致すかどうか、更に知事の具状自體が著しく黨派的等の傾向でありまして、それ自體が却て府縣行政の上に支障を來す、或は非常に忠實に執行して居りますることが、明瞭に客觀的に認められるにも拘りませず、自己の部下に付きまして何等かの理由に依つて之を免ずるやうなことを具状致して來ました場合、兎に角極端なる場合を除きましては知事の具状と云ふものは、非常に尊重されるものだと思ふのであります、但し極端な場合を申しまするならば政治的な事情で知事と當時の──敢て内務大臣とは申しませぬが、當時の政府とが全く政黨的に違つて居りますやうな場合、政治上の力と云ふものが、或は具状權の行使に付て支障を來すやうな場合もあるのでやないかと思ふのであります、併し法律上の具状權と申しまするものは、部下の吏僚に付て任命權を與へる場合には格別、然らざる限りに於きましては、法律上其の具状に拘束致させると云ふことは不可能でありまして、具状權を認めます程度に法律上は納まらざるを得ず、寧ろ是の任用をはつきりと不動のものと致して置くことが必要なのでありまして、問題は私は運用の問題だと思うて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=55
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056・大澤喜代一
○大澤委員 黨派的とか政治的とか云ふことも勿論考へなくちやならぬのでありますが、例へば先程申しましたやうに戰爭中非常に反民主的な行動をして、別に事務上には支障を來さなかつたが、さう云ふ傾向の露骨な官吏が今日澤山中央にも地方にも居ります、さう云ふやうなことは、黨派とか政治とか云ふ觀念を難れて、所謂地方の眞の民主化と云ふ點から行きますと、相當是等の人事に對しては大鉈を揮はなければならぬのではないかと私は考へて居るのでありますが、さう云ふやうな具體的な問題に對しては、具状權はどう云ふやうに活かされて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=56
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057・郡祐一
○郡政府委員 只今の御話は將來の具状權の問題ではなく、現在居りまする官吏、公吏に付ての反民主的な者を如何樣に扱ふかと云ふ御尋ねと存じます、之に付きましては例へば先程申上げました地方事務所長の人選等に付きましては、近く通牒を出しまして、之を最も運營上宜しい人選を致しまするやうに、人的構成に付て變へて參るやうな指示を致すことに致して居りまするが、一般に付きましては絶えず知事に部下の官吏の勤勉の度合、其の人間の思想動向等に付きまして、知事が絶えず自分で觀察を致しまするやうに、特に上級の、將來幹部となりますべき者に付きましては、現在は比較的低い身分に居りましても、考課表を必ず知事自ら作製を致させまして、其の人間に付ての一切の判斷し得る資料と云ふものを徴して居ります、それに依りまして、殊に幹部と將來なりますべき人間に付きまして、不適當な者の入ることのないやうに努力を致して居ります、他の比較的低い地位にある者に付きましては、知事自身の判斷が行はれませぬ場合に於きまして、知事自身の判斷の報告がありませぬ場合に於きましては、各方面から承知致しましたやうな事柄に付きまして直ちに人を派し、或は知事の書面に依る報告を徴し、或は向ふの人間を呼び出しまして、是が實地の調査を致して居ります、當委員會に於きまして、色々抽象的に御話のありました事柄に付ても、總て然るべき方法を以て實情の調査を致して居ります、左樣に致しまして、中には納得出來る證明の立つものもあります、中には納得し難いものもあります、之に付きましては知り得ました一般的の指示を知事に常に與へまして、更に知事自身が氣の付きませぬやうな場合は、中央に於きまして可及的に凡ゆる方法を以ちまして知り得ました所に從つて、具體的の人間に付ても調査を致して居ります、實際聞いて見ますと、話で聞きましたのと又違つた場合もあるのであります、是等の場合に、知事自身が不公正な態度を以て、内務省に對しまして事實の隱蔽等を致しました場合は格別、是は知事自身の信用の問題になるのでありますが、兎に角知事には凡ゆる方法で、凡ゆる場合に付きまして、人事に付ては具體的に所謂反民主的と申しますか、軍國主義的と申しますか、斯樣な人間を、假令追放の範圍に入りませぬ者でも排除する方法は十分考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=57
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058・大澤喜代一
○大澤委員 次に御伺ひしたいのは、例の監査委員會の仕事と、府縣會乃至參事會の仕事とが、非常に重複して居るやうな風にも感ぜられますが、實際に於ては重複する點がないのですか、其の點一つ伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=58
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059・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 府縣の事務の監査に關しまして、今囘新たに監査委員を設けた譯でありますが、監査委員は府縣知事の身分的監督を受けまして、府縣の事業の管理、事務の執行等に付きまして、如何にすれば最も能率能く管理が出來るか、如何にすれば最も公正なる事務の執行が出來るかと云ふことを、監査することを任務と致して居る譯であります、一方府縣參事會に於きましては、もちろん府縣會の所謂副議決機關と致しまして、府縣の事務の執行、事業の管理等に付きましても關係致しまするが、府縣參事會自身に關しましては、特に出納の檢査とか、さう云ふやうな權限は法律上今までも認めて居りませぬ、唯昭和十八年以前の改正に於きましては、府縣參事會が實地に出納檢査をすると云ふ權能があつたのでありますが、十八年以後に於きましてはさう云ふ權能はなくなりました、今囘其の代りに監査委員を云ふものを設けまして、府縣の事務の監査に遺憾なきを期した譯であります、又一方府縣會に付きましては、從來さう云ふ意味の監査、出納檢査と云ふやうな權限を認めて居りませなかつたのでありますが、今囘新たに市會等と同樣に、さう云ふ出納の監査權などを認めまして、府縣會に於きまして必要なる報告書類等を徴して監査を行ふと云ふことを認めたのであります、併し此の府縣會の事務の監査權と、監査委員の行ひます監査權と云ふものは、やはり立場が違ふのでありまして、府縣會の行ひます監査と云ふのは、飽くまでも府縣の行政執行面に對する監督機構、違反の監査と云ふ立場から之を行ふのであります、併し監査委員の方は、飽くまでも府縣知事の事務的監督權に於きまして、如何にすれば最も能く執行が出來るかと云ふことを根本として仕事を致すのであります、自ら此の立場は違ふと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=59
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060・大澤喜代一
○大澤委員 もう一つ伺つて置きますが、第七十四條に、年齡三十年以上の者は府縣知事の被選擧權を有すですね、今までちよいちよい此の委員會でも政府の諸君から御伺ひして居りましたが、どうしても三十以上でなければならぬと云ふ點がぴつたり我々に來ないのであります、社會黨としてはどうしても二十五以上が至當であると云ふ風に考へて居るのでありますが、三十以上の者でなければ知事の被選擧權がないのだ、又其の方が正しいのだと云ふやうな具體的な見解をもう一度御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=60
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061・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 選擧權に較べまして被選擧權の年齡を如何樣に定めますかと云ふことは、是は非常に論のあることであります、選擧權の方が人を選ぶだけの行爲であるから、隨て此の方は寧ろ年齡等は低くて宜しい、併しながら選ばれる者は單に選ばれるだけではなくして、更に選ばれた後に於て、國政なり地方自治に參與するものであるから、より多く經驗を必要とすると云ふやうな見地から、選擧權よりも被選擧權の年齡を高めると云ふのが、やはり理論的の一つの歸結だらうと思ふのであります、之に對して一方苟くも人を選ぶだけの能力を持つて居るならば、即ち二十歳程度の者にさう云ふ能力が認められるならば、之を選ばれる人に付ても其の程度の條件で宜いではないか、殊に衆望が歸一したのであるから、寧ろ年齡の制限なんと云ふものは、全然取外しても宜いではないかと云ふ論があらうと思ふのであります、此の二つの論と云ふものは從來からずつとございまして、色々各國の法制を見ましても、又我が國の變遷等を見ましても色々あると思ふのであります、大體我が國の法制の建前では、選擧權よりも被選擧權を重視すると云ふ傾向になつて來て居るやうであります、樞密院が、例へば四十以上の者でなければ樞密顧問官になれない、或は貴族院議員は三十歳以上でなければなれないと云つたやうな法制は、やはりさう云ふ點を顧慮して居るのではないかと考へるのであります、府縣知事は所謂議決機關を構成します者と違ひまして、當時やはり其の任にありまして、百般の行政の執行に當る者でありますから、そこに相當の經驗を必要とすることは當然の歸結ではないだらうか、斯樣に考へたのであります、市町村に付きましても同樣な點はあると思ひますが、何と申しましても府縣と市町村とは、國體の取扱ひます事務の分量から申しましても、性質から申しましても、比較にならぬ重要性を持つて居る譯でありますから、特に府縣の場合に於きましては、府縣知事の被選擧權を三十歳と云ふことに致したのであります、尤も選擧權、被選擧權の年齡と云ふものを同一に見て參りました、例へば「ソビエト・ロシア」の如きに於きましても、慥か選擧權は二十歳でありまして、被選擧權も同樣二十歳を取つて居つたのでありますが、尚ほ更に昨年引上げまして二十三歳に致して居るやうであります、斯樣なことはやはり自ら被選擧權の方に或る程度の重い條件を置くと云ふことが、理論的にも實際的にも一つ考へられることではないか、斯樣に考へるのであります、左樣な見地から特に府縣知事に付きましては、三十歳と云ふことに致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=61
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062・大澤喜代一
○大澤委員 御説明の要旨は能く分りますが、併しどうしても私は斯う思ふのです、被選擧權が或る程度年齡を餘計見て之を任用することは正しいと思ひます、けれども衆議院が例へば二十五年以上、特に知事の場合が三十年以上でなければならぬと云ふことは、どうも納得し兼ねる、色々御説明もありましたが、特に日本に於ては只今御話がありましたやうに、長い間樞密院だとか、貴族院だとか、色々年齡閥と申しますか、特に年齡の多い者を尊重し過ぎる、猫の喧嘩ではないが、どうも年の多い者を尊重し過ぎると云ふことが、日本の民主政治を阻碍した一つの大きな原因になつて居ると思ふ、さう云ふ意味で私は衆議院が二十五年以上であるならば、府縣知事が三十年でなければならぬと云ふことは、どうしても私は納得し兼ねるのですが、此の點はどう云ふやうになつて居るでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=62
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063・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 只今臨時法制調査會等に於て衆議院の構成が問題になつて居りますが、衆議院はやはり兩院制の建前から、衆議院よりはより多く年齡其の他の要件に於て練熟せる、經驗に富める者を選ぶべきではないかと云ふやうな論が強くありまして、例へば年齡等も選擧權、被選擧權共に十歳位之を上げたらどうかと云ふやうな論もあるのであります、是等はやはり總ての國政參與の年齡的基凖と云ふものを一律に考へませぬで、やはりそれぞれの機關の特質なり性格に應じて、適宜に定めて行くことが適當ではないだらうかと考へられる理論の反映だと思ふのでありまして、府縣知事に付きましても、少くとも只今官吏の儘にして置きまして、非常に廣汎なる國家行政を全部與かり、同時に又自治體の長として任務を全部處理して行くと云ふ職責から申しますと、やはり三十歳位にして置くのが適當ではないだらうかと、斯樣に考へた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=63
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064・宮村又八
○宮村委員 第八十四條に「府縣會に於て府縣知事不信任の議決を爲したるときは府縣知事は内務大臣に對し府縣會の解散を請求することを得」「解散後初めて招集せられたる府縣會に於て再び府縣知事不信任の議決を爲したるときは府縣知事は辭任することを要す」と云ふことになつて居りますが、若し此の場合に辭任をせずして、原案執行をすると云ふことになれば、是はどんな風になりますか、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=64
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065・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 不信任議決と各種の原案執行權と云ふのは、理論的に申しますと競合する場合があると思ひますが、多くの場合はやはり不信任議決と、原案執行になるやうな議決をする場合とは違ふのではないかと思ひます、不信任議決は別にそこに違法でありますとか、權限を超して居るとか、或は公益を害するとか、或は豫算上執行し難いとか云ふやうなことがなくて、而も府縣知事の行ふ政策が適當でない、それ故に之に對して不信任の議決をする、斯う云ふのが不信任議決であらうと思ふのであります、一方原案執行の方は、今申しましたやうな色々な違法とか、公益を害するとか、收支執行し難いとか云ふやうな事情があります場合に行ふものであります、隨て隅隅例へば豫算の收支上執行し難いとか云ふやうな議決をして居りまして、更に其の上に不信任議決もしたと云ふやうな場合には、御説のやうな場合が起るかとも思ひますけれども、併し左樣なことは先づないのではないか、どちらかで、大抵政治上の問題としては解決するのではないかと思ふのであります、例へば收支執行し難いやうな議決をして居ると云ふことは、即ちそれに依つて事實上不信任を表明することでありますから、知事としては自分の進退に付て考へなければならぬ、一方はつきりと三分の二以上を以て不信任議決をすると云ふやうな場合に、態態小手先の藝を使つて、收支執行し難いやうな議決を更にやると云ふやうなことはないだらうと思ひます、隨ひまして兩方競合すると云ふことは、理論的には兎も角と致しまして、實際上はあり得ないことではないかと斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=65
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066・宮村又八
○宮村委員 斯う云ふことは得てして今日までは隨分行はれて來て居るのでありますが、さう云ふことのないやうに明確にして置いて戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=66
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067・郡祐一
○郡政府委員 不信任議決と申しますものは、其の人間が職に留まつて居ては困ると云ふことで不信任議決をするのであります、さうして再度不信任議決を致しましたならば、法律上當然辭任致すのであります、若し其の場合に不信任議決を再度されて居りながら、尚且つ職に留まつて、さうして思ふ通りのことをやらせるかと云ふ御心配でありますならば、法律上所謂原案執行に付きましては、先程行政課長が申した通りでありますし、職に留まりまして尚且つ自分の思ふやうなことを行掛けの駄賃にしはせぬかと云ふことになりますれば、法律上辭任することを要することを明瞭に規定致して居りまして、之に對しては重大なる政治徳義上の問題でありますから、行掛けの駄賃と云ふやうなことが起らぬやうに、輿論の監視と云ふものに依つて十分之に付ても制裁が出來るものと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=67
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068・宮村又八
○宮村委員 是とは別に尚ほ何か制裁がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=68
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069・郡祐一
○郡政府委員 知事の身分がなくなりますことは第八十四條で規定して居ります、若し在官中に不屈きなことを致した場合に付きましては、官吏の身分の繼續して居る間のことでありますから、事態に依つては文官懲戒令が働くものと考へて居ります
〔「進行」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=69
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070・小野眞次
○小野(眞)委員 第七十四條の八、知事候補者の供託金の金額の問題でありますが、供託制度を設けた精神から考へまして、事實今日の物價から考へて、此の二千圓と云ふ金額は供託金の存在の價値がないと思ふのですが、どうですか、今百年一日の如くやはり二千圓と決められた精神が何處にあるか、御説明を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=70
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071・郡祐一
○郡政府委員 物的擔保が餘り意味を持つて居りませぬことは是は是認せざるを得ぬと思ひます、且つ現金又は國債證書の何れに依りましても供託を致し得ることになつて居りまして、是は必ずしも物價水凖に應じて移動させると云ふ種類のものでもないと思ひますし、假に之を十倍に致しましても尚且つ其の供託と云ふものは左樣に困難なものではないのであります、是は他から融通を受けて證書を供託致しますやうな場合もございますし、物的擔保自身が爾く深い意味は現在なくなつて來て居ります際、さうして衆議院に付きまして一應二千圓と云ふ標凖があります今日、之を特に高めましたからと云うて、物的擔保の意味が非常に強くなるものではない、さうかと言つて之に對應致します物的擔保の適當な方法もない、然らば全部擔保をなくしてしまふか、選擧に付きましては何等かの形式の擔保と云ふものを置いて居る際でありますから、知事の選擧に付て特に之を廢止致すと云ふことも考へられませぬ、隨ひまして之を高めますと云ふことにもさして重要な意味を發見することが出來ぬやうに思ひましたので、衆議院議員選擧と同じやうにして置いた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=71
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072・小野眞次
○小野(眞)委員 私は其の點少し意見が違ふのです、衆議院議員の場合も無論是は二千圓が不適當だと思ひます、併し假に衆議院議員がさうであるに致しましても、知事の場合は大分趣きが違ふと思ひます、それは七十四條の八の第二項で得票數が有效投票の數の十分の一に達せざる時は之を沒收されることになつて居るが、此の知事の立候補する者が相當多い時に、十分の一と云ふことは相當の困難を實際上感ずると思ひます、そこで假に之を五萬圓とか、十萬圓とか、相當な金額に上したならば、候補者の濫立と云ふことが、二項の規定に依つて相當制約出來る見込が立つのぢやないかと思ひます、其の點は實際問題として衆議院の場合と非常に違ふと思ひますが、どうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=72
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073・郡祐一
○郡政府委員 物的擔保を相當高めますことに依つて、果して濫立の防止が出來るかどうかと云ふ點に疑問のあることは先程申上げた通りでありますが、更に又物的擔保を著しく高めますことに依りまして、供託金沒收の憂のありますが爲に、是は現在の程度の供託金だつたら問題ございませぬが、供託金を非常に高めますことは、比較的資金の豐富な候補者に有利に相成る、金錢的な保證のみに餘りに強きを期待すると云ふ反對論を考へて見なければ相成らぬと思ひます、要は私は政黨の發達に依る政黨の人間の保護、即ち政黨政治が確立致しまして、何等かの政黨でなければ立候補が殆ど不可能であると云ふ保證、或は物的擔保と人的擔保を組合せました適當な方法、是等のものが考へられるべきでありまして、物的擔保のみを高めますことは、色々の點から考へなければならぬ問題が起つて來るやうに存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=73
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074・小野眞次
○小野(眞)委員 只今の御答辯が自ら問題を解決して居るやうに思ふ、當局の方でも二千圓と云ふ物的擔保のみでは保證制度を作つた意味をなさないと云ふ結論になるやうに思ひますが、さう解釋して宜いのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=74
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075・郡祐一
○郡政府委員 之に萬全の擔保の意味を込めると云ふことが無理であることは認める者であります、但し府縣のやうな區域に於きまする選擧として、人的擔保として如何なる方法があるかと云ふことになりますと、直ちに物的擔保に組合せます適當な方法が、町村などとは違ひまして困難である、已むを得ず擔保としての性格は不十分であるが、現状に置いてある、此の問題と云ふのは衆議院議員選擧法の根本的な問題の間にも、擔保制度の存廢──存置するとせば如何なる方法を以て存置するかと云ふ問題が、一つの殘つて居る問題であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=75
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076・小野眞次
○小野(眞)委員 それから先きは意見の相違になるので、其の程度に致します、次に第七十四條の十です「最多數を得たる者を以て當選者とす但し有效投票の總數の四分の一以上の得票あることを要す」とある、知事の選擧の場合に四分の一と云ふ數字は、相當點數が辛過ぎる、實際問題から、澤山の人が立候補した場合に、四分の一を取り得ざる最多數の場合が相當あるだらうと思ふ、隨て何囘か選擧を繰返さなければならぬと云ふ煩を事實上生ずるのでありますから、是は五分の一とか六分の一とか、もつと點數を緩やかにする方が適當ではないかと思ひます、之を四分の一と云ふ數を掲げられた何か根據があれば、御示しを願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=76
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077・郡祐一
○郡政府委員 四分の一に致したのは、衆議院の場合の法定得票數、是は御承知のやうに府縣會、市會等に依つてそれぞれ有效得票數が變つて居りますが、我が國の法制に於ける最も高い有效得票數を取つたのであります、之に對しては一人を選ぶ選擧と、數多くを選ぶ選擧と違ふのではないかと云ふ御話もあると思ひますが、法定得票數の意義は、其の間さして變らないかと思ひます、全縣から相當多くの人が立候補する選擧のことを考へれば、四分の一の得票數と云ふのは、相當集めますのに激しい選擧運動が起るものであらうと云ふことは考へられるのであります、一體法定得票數と云ふものが必要なのか、有效投票の最多數を以て當選者と云ふことで宜いのではないか、外國の例を見ると、此の但書の法定得票數を置かないで、實は過半數を得たり、非常に多くの數を得た、色々の例があります、是は當該選擧の政治的な情勢で多く事柄は決定して參るものでありまして、政黨政治の發達の程度等に依つて變つて參るのであります、我が國の現状も、法定得票數を全然無用として差支ないだらうか、之にも若干の疑義は存するのでありまして、非常に多數の立候補者があつて、非常に少數に分配される、成程再選擧の煩は省けますが、非常に低い得票數で當選したもの、之を以て直てに府縣知事、──一般の選擧はさうでありますが、特に獨任制の機關に充てるには不安がありはしないか、それを以て知事の當選者と直ちにすることは無理ではないだらうか、さう致しますれば、何等かの限度に於て法定得票數と云ふものは置かなければならないだらうと思ひます、左樣に致します場合は、知事の選擧は比較的重要な選擧でありますから、今までの選擧では最も重要と認められる衆議院の場合と同じに致す、是が四分の一に致した理由であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=77
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078・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 知事の具状權の問題でありますが、知事と他の官吏との間がしつくりしないと云ふことは、結局是が公吏であつても、又政府の言はれるやうに、官吏の身分を與へられても、出て來た成立が外の官吏とは違ふのでありますから、隨つて知事と外の官吏との摩擦と云ふことも或る程度考へられる、隨て私は此の具状權の外に同意權と申しますか、之を更迭する場合に知事の同意を得る、或は任免の場合に知事の同意を要する、斯う云ふ風には現はれては居りませぬが、さう云ふ建前にして戴きたいと云ふ希望を持つて居るのでありますが、それが政府として具状權との間に、何か特殊の御差支へがあるやうな問題が起きるかどうか、其の點を御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=78
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079・郡祐一
○郡政府委員 部下の官吏に付きまして、御話は官吏を前提としての問題だと思ひます、公吏に付ても一寸御話が觸れたやうですが、公吏に付きましては、部下の任免と云ふ形式は著しく變つて參るのであります、官吏の場合に於きまして具状權を行使致しますやうな種類、即ち憲法上天皇の認證下に行はれますやうな種類の、比較的高級な官吏も込めまして考へます場合に於て、具状權を與へて置きまするならば其の運用さへ宜しきを制すれば、概ね知事の意向が反映した任免が致さるべきである、天皇の認證との關係もあります、更に之に對して知事が同意を與へると云ふやうなことを法律上明記致しますることは、事柄として妥當性を缺くのではないか、書いて書けないとは申しませぬが、適當ではないのではなからうかと云ふやうな工合に考へるのであります、實際問題と致しまして、天皇が認證致されまする前に、一應知事に連絡を致して、知事が承知を致し、具状通りにするとか、具状を斯う云ふ工合に變へるとか云ふやうなことの場合に、知事に連絡がありまして、知事が同意を與へると云ふやうなことは實際上行はれることであり、先程申したのでありますが、此の問題と云ふのは多々運用に屬する問題ではないだらうかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=79
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080・小野眞次
○小野(眞)委員 先程の問題をもう一遍御伺ひしたい、七十四條の十に付て、衆議院議員の選擧の場合に比較して、四分の一が適當であると云ふ御見解のやうでございます、實際問題として衆議院は大選擧區ではございまするが、本當の所どの候補者も各各特有の地盤を持つて居りまして、縣下全體に亙つて選擧運動をなし、縣下全體に亙つて澤山の票を到る處から掻き集めると云ふことは有り得ぬのであります、實際問題は特殊の地盤で大多數を取つて、其の他の地方では極く僅かな部分をそれに附加することに依つて當選すると云ふ形になつて居る、所が府縣知事の場合は全縣下に亙らなければならぬので、是は中々四分の一を取ると云ふことは困難だと私は思ふのであります、若し假に私が心配するやうに是が困難であつて、一囘選擧をやつたが四分の一に達しなかつた、更にやつたが再びさう云ふ人がなかつた、三囘、四囘とやつて尚且つ四分の一に達するものがないと云ふ場合が假にありとするならば、其の場合の處置はどう云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=80
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081・郡祐一
○郡政府委員 御説の通り四分の一を取ると云ふことは樂なことではないのであります、併しながら獨任制の機關として縣内の行政の執行を一人で擔當するのでありますから、何と申しますか「ストロング・ガヴァナー」と能く申して居りますが、左樣な十分な力を持つた執行機關でなければ相成らぬのでありますから、それに對しましては適當な法定得票數を置くことは差支へないと思ふのであります、それで是は一般の選擧の場合にも、法定得票數を得た者に選擧の場合の定數を充しませぬで、再選擧を致しまする場合があるのであります、再選擧をやつて見ても、尚ほまだ候補者が得られぬと云ふやうな場合は殆どございませぬやうに思ひます、此の點でも知事と衆議院議員の場合とは異なる事情はありまするけれども、兎に角再選擧に依つて更に人が得られぬと云ふやうなことは是は法律上の問題ではなくて、實際上の政治上の動きの問題で、左樣な事態は餘り起らないと思ふのであります、但し御述べになりましたやうに四、五囘繰返してもまだ人が得られぬ、此の場合にはどうするか、此の場合には、何處までも法律上は再選擧を繰返して行くと云ふことに相成ると御考へを戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=81
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082・堤隆
○堤委員 先程具状權と同意權の問題がありましたが、現在知事の部下の官公吏の任免に關する問題に對しては事實はどうなつて居りますか、其の任免のことに關しては知事に豫め何か打合せがあるんですかどうですか、上の方からずつと割當でもあるんですか、御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=82
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083・郡祐一
○郡政府委員 御承知のやうに判任官の進退に付ては知事に委任致されて居りますから、知事が自分で専行致します、高等官、今でございますと二級官でございますが、二級以上の進退に付きましては、内務省に於きまして將來の幹部に仕立てると云ふ意味で、内務省で採用致しました分、是は年に數十人採用致しますから、官吏全體の數から云ふと比較的少數であります、是等の者と、それからそれ以外に内務省で適當な場合に銓衡致しまして、地方廳に配屬したのもありますし、地方廳自ら採用致しました高等官もありますし色々でありますが、前者の方の、内務省で幹部の候補者と致しまして採用致しました分に付きましては、中央の専斷で之を異動致して居ります、それから後者の方に付きましては、高等官でありましても知事が内申致して參ります其の内申に依つて異動を致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=83
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084・中島守利
○中島委員長 それでは次に移ります、第五章府縣の財務と、第五章の二府縣組合、條項から參りますれば、九十八條より百二十六條の七まで、以上を議題に致しまして、此の質疑を許します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=84
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085・細田忠治郎
○細田(忠)委員 百十六條──百十六條と云ふのは之には提案されて居りませぬけれども、百十五條と照し合せて見て戴くと能く分りますが、此の百十五條と百十六條とは類似の條文でありまして、百十六條の第六項には「府縣知事の委任を受けたる官吏吏員か爲したる前三項の處分に不服ある者は府縣知事に訴願し其の裁決又は府縣知事の處分に不服ある者は行政裁判所に出訴することを得」と謳はれて居りますが、此の第百十五條と第百十六條との兩條は、殆ど同じやうな類似法でありまする關係上、此の百十五條を訂正されまして、百十五條の第二項には「前項の規定に依る異議の申立ありたるときは府縣知事は府縣參事會に諮りて之を決定すべし」とされて居ります、現行法では是はやはり「不服あるときは行政裁判所に出訴することを得」とあるのを裁判所に行かずして、府縣知事は一應府縣參事會に諮つて決定する、同第三項には「府縣參事會は前項の規定に依る諮問ありたる日より二十日以内に意見を答申すべし」尚ほ其の次に第四項に持つて來て「第二項の規定に依る府縣知事の決定を受けたる者其の決定に不服あるときは行政裁判所に出訴することを得」非常に法の範圍を擴められまして、民主的に出來て居ります點に付きましては贊意を表するのでありますが、然らば此の百十五條の二項、三項同樣に、百十六條にも直ちに行政裁判所に訴へると云ふやうなことをやらないで、府縣知事は之を府縣參事會に諮つて決定すべしとの一項を加へられることを希望するのであります、なぜかと申しまするならば、府縣知事の委任を受けたる所の第百十五條の官吏及び吏員のなした所の處分、此の處分に對して不服を申立てる場合には、此の不服が正當に成立すれば府縣知事及び官吏、吏員は當然さう云ふ不法行爲の責任を負はされて居るのでありますから、斯う云ふやうな場合には法がありましても死文であつて、殆ど府縣知事が自分の部下の官吏及び吏員に命じてやらせて居るのでありまして、其の處分が不當だと云ふことで知事に之を訴願致しましても、其の訴願なり不服が正當に成立しますれば、只今申しまする通りに、其の不法行爲の責任を當然負はなければなりませぬ爲に、さう云ふ不服を申出た場合には成立すると云ふことは殆ど實例上ありませぬ、私が二十數年間地方の議會に居りましても、さう云ふことは未だあつたことはない、斯う云ふやうな事例からしますると、どうしても此の百十五條に雅量を示された如く、百十六條も公平な第三者でありまする參事會に之を諮つて其の決定を經べきが公平であり、且又それが正當であらうと考へますが、百十五條同樣に百十六條を御訂正になる意思があるかないかと云ふことを御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=85
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086・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 百十五條と百十六條との關係でありまするが、百十六條の方は滯納處分に關する規定でありまして、其の滯納處分に付ては所謂異議の申立と云ふことではなくて、訴願の提出と云ふ扱ひに致して居るのであります、滯納處分は結局執行處分でありまして、執行してしまふのでありますから、更にそれを後から、切換へて行くと云ふ時間的餘裕がないのであります、そこで訴願と云ふことにして、府縣知事に訴願をさせ、それに不服があれば更に行政裁判所へ持つて行つて訂正をさせると云ふことになつて居るのであります、所が百十五條の方は使用料、手數料、分擔金の賦課でありますが、是はまだ現實に徴收行爲の行はれない内に賦課行爲がありました場合に、それに對して更に自己審査をして貰ふ、租税等の賦課のありました場合に、知事に對して是は不當であると云つて再審査をして貰ふ、さうして間違つて居れば、其の賦課を變へて貰つて、其の變へられた賦課に依つて之を納めると云ふことでありまして、謂はば自己審査と云ふものは、其の賦課なり徴收なりが、異議の申立に依つて變更せられると云ふことが豫想されて居るのであります、所が百十六條の滯納處分は執行でありますから、やり直しと云ふ餘地がない譯でありまして、そこでもう異議の申立と云ふことでなく、行政訴訟の訴願提起と云ふことで救濟をするやうに致して居る譯であります、そこでさう云ふ風に異議の申立と訴願と云ふ風に區分を致して居りますが、今囘の改正に於きましては今申しました異議の申立と云ふものは、事實を能く認定を致しまして、誤りを正すと云ふ、謂はば自己審査的な面が非常に強いのでありまして、隨てさう云ふ事實の認定を強く含んで居るものに對しては、府縣參事會に諮つて之を決定すると云ふ民主的の方法を選ぶことに致したのであります、所が滯納處分の方は、果してそれが納むべき期限に納めなかつたかどうかと云ふ、法律上の認定の問題が主でありまして、隨ひまして、さう云ふものは府縣參事會に掛けなくても宜いのではなからうか、寧ろ十八年の改正の趣旨に從ひまして、能率的に進捗せしめる方が宜くはないだらうかと云ふ風に考へまして、府縣參事會に諮問をしないことにして、最終的には行政裁判所で決定をして貰ふと云ふ風に致した譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=86
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087・細田忠治郎
○細田(忠)委員 成程、異議の申立と訴願の區別に依つて、百十五條と百十六條の法の解釋を異にすると云ふことに付ては、能く了承致して居るのでありますけれども、併しそれに致しましても最後の判決は誰が握るかと云へば、やはり異議の申立も訴願も、最後に行きますと行政裁判所の決定に俟たなければならない、一應府縣の官吏及び吏員が其の處分を致しますことが、是が神の裁きますのと違ひまして、此の異議の申立に致しましても訴願に致しましても、元々官吏の執行されまする所の行爲から生じて來ます處分に對する法の一つの使ひ分けでありますが故に、殊に百十六條の第七項を見ますと、「第四項の規定に依る處分に係る差押物件の公賣は處分の確定に至るまで執行を停止す」とありますが爲に、或るものを公賣するに致しましても、是は處分の確定に至るまで執行を停止されると、其の間に於て不測の被害が生じて來ないとも限りませぬし、さう云ふ事實に直面するであらうと思つて居りますので、やはり是も法の精神から云ふと、最後の決定權が行政裁判所であり、且又今後政府委員は片方は異議の申立であり、片方は訴願であると言はれましたけれども、それは行政官吏が一つの法の執行を致しまする時に對する異議の申立であり、或は不服である關係上、是はやはり第百十五條と同じやうな愼量な態度を執り、且又其の間に於きまして餘裕を設けて、第百十六條も此の第百十五條と同樣に、最後の判決を行政裁判所に持つて行くが、一應それまでに於ての取扱は參事會に諮つて之を決定する──私は大抵是で決定するだらうと思ひます、私の言はんとする本旨は、行政裁判所まで行つてやらせる期間に──被害を受ける方は不服の申立者の方である、斯う云ふ場合に二十日なり三十日の期間に於て、府縣參事會が之を取裁くと存外早く事が落著して、さうして不服の申立者も物質上其の他の被害を被ることが少いのではないか、斯う云ふ所が私の此の法の訂正の狙ひであります、私はさう云ふ意見を持つて居ると云ふことを御諒承願つて置きます
それから其の次は第百二十四條でありますが、是は決算であります「決算は監査委員をして之を審査せしめ其の意見を附して翌翌年の通常會に於て府縣會に報告すべし」となつて居ります是も今日午前中に申しましたやうに、法制上監査委員と云ふ者は府縣知事の監督を受ける機關になつて居ります關係上、府縣の會計の如き重大な事務は最も嚴密に審査をなさしめると共に、其の結果を府縣會に報告して、其の承認を求めなければならぬ、是が即ち地方行政の運營の萬全の策と考へて居りますので、是なんかでも唯單に決算をして、さうして翌々年の通常會に報告すべしと云ふことは、先程鈴木政府委員も事實を報告して承認を受けるのだと云ふことを言外に言はれました、然らば百尺竿頭一歩を進めて、斯かる報告は此の百四十七條を通じまして澤山ありますが、唯報告すべしと云ふやうなことが澤山謳つてあると云ふことは、是は今日申しまする通りに、國土防衞の見地に立ちまして、東條内閣の時に地方制度と云ふものを、之を戰力増強の意味に於て、一躍して或は集約するものは集約し、制約するものは制約すると云ふことが行はれたが、其の殘滓が殘つて居る譯でありますから、今囘此の地方制度を民主化して、地方制度に自主性と自律性を持たせようと致しますならば、飽くまでも地方議會と云ふものを尊重しなければならない、唯報告すべしと云ふことだけではない、報告して承認を求めると云ふことでありまするならば、意思機關の方も、或は執行機關の方も、非常に和かな取扱が出來ます、此の條章一つ捉へて言ふ譯ではありませぬ、斯う云ふ條文は澤山此の中にある譯であります、殊に先程申しまする通り、縣の會計の報告は翌翌年に報告する譯であるが、今度變ります議員と云ふものは殆ど知つて居られない、さう云ふ場合に、一應報告の内容を能く調査致しまして、さうして之に向つて、承認を與へると云ふのが、是が其の府縣民に對しまして、府縣會に與へられました所の重大なる使命であります、私は斯う云ふやうな建前から致しまして、第百二十四條の斯かる條文に付きましては、報告すべしで打切らないで、報告して而して承認を求むると云ふ所の全面的の改正をせられるだけの意思があるかないか、此の私の見解に對しまして御批判を御聽かせ願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=87
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088・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 決算報告に關する事項でございますが、是は今の御話の中にもございましたやうに、府縣制では、報告と申して居ります場合にそれが單なる報告でなくて、やはり府縣會の承認を求めると云ふ意味を含ましめて居ると云ふことが言へると思ふのであります、先程の規定もさうでありますが、殊に百二十四條に付きましては、府縣會の議決すべき事件と云ふものを列擧してあります、第四十一條の中にも「決算報告に關する事」と云ふのが第三項に規定をしてございます、是はやはり府縣知事が監査委員をして審査せしめまして、其の意見を府縣會に報告を致しましたならば、府縣會は唯それを聽き放しと云ふことではなくて、それを認定するかどうか、承認するかどうかと云ふことに付て議決をすることも、豫定をして規定をして居る譯であります、隨ひまして、若しも此の決算報告に對して、府縣會が之を承認しない、否認すると云ふことになりますれば、府縣知事としてはやはり自分の進退に付て之を考へなければならない、斯う云ふことに相成ると思ふのであります、隨ひまして御趣旨は全く御同感でございます、唯趣旨は稍稍規定の上で不明瞭な點がございますが、さう云ふ趣旨で是が規定されて居る、左樣に御諒解を願ひたいと思ひます、尚ほ市制、町村制等に於きましては、特にはつきり之を認定に付すべしと云ふ規定を此の際設けて居りますが、趣旨はやはり同樣でございまして、是は府縣制流の規定の仕方に從つて居る、斯樣に御諒解を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=88
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089・細田忠治郎
○細田(忠)委員 御趣旨は能く分つて居りまするが、既に此の監査委員と云ふものが抑抑府縣知事の監督の下に置かれて居ると云ふことは、唯一つの府縣に於ての機關とは言ひながら、役人の一つの隸屬機關が出來たと云ふ程度である、此の點は機會を得て御伺ひしたいと存じて居りますが、監査制度を設けたいと云ふことは、飽くまでも府縣の事業を監査さすとか、或は府縣の事務を監査さすとか、或は府縣の出納を監査さすと云ふことの爲に、府縣に於て獨立性を持つた、崇高であつて、さうして至嚴である所の機關として監査機關と云ふものを設ける、然るに監査委員の地位に關して府縣知事の監督を受けると云ふやうなことは、殆ど監査機關と云ふものを殺してしまふやうな制度の存在であります、斯う云ふやうな見地からしますならば、先程申した通りに會計の決算を翌々年に報告すると云ふことでありますならば、是はどうしても報告し且つ承認を求めなければならぬと云ふことになりますると、監査制度と云ふことも非常に嚴密になつて來て、知事から離すことになる、且つ執行機關も唯之に向つて報告し放しぢやない、之に向つて相當の責任を持たなければならぬと云ふことに相成りますると、之を實行し又豫算を消化致します場合に於ても心構へが非常に違つて來る、成程府縣の高等官、即ち二級官以上の方でありまするならば、相當責任も持つ、又其の經理の上に於きましても堪能でありますけれども、概ね事務を取扱ひます下僚に於きましては、法文の上に付ても責任を持たないから、報告し放しのものであると云ふことと、承認を經ると云ふこととは、心構へが非常に違つて居りますので、さう云ふ點に餘り拘泥されないで、文章と云ふものを一言一句を金科玉條のやうに心得ずに、我々に之に「メス」を入れさせて貰ひたい、是が私の考へる所であつて、又提案者の提案の條文をそれが爲に死文に導いてしまふとか、或は骨拔きにするとか云ふことならば兎も角、さう云ふやうな所で意思機關と執行機關とが圓滿な協調が取れると云ふ、微妙な精神作用と云ふことも御考へ置きを願つて置きたい、唯是までは明治三十二年三月地方制度の施行以來第八囘の改正までは、大抵は報告を承認したものである、それを東條内閣の第九囘の時に、唯報告すべしと云ふやうなことになつた、萬事が軍隊口調或は漢文口調になりました點も思ひ合せたならば、一層全面的に之を改正すると云ふ御意思がありますならば、さう云ふ點は一々拾つて、穴探しは致しませぬが、一應御考慮の上御訂正願ひたいと云ふことを申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=89
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090・小野眞次
○小野(眞)委員 今の第百二十四條の問題ですが、現行法に於ては、第五十條に於て「府縣會は通常會及臨時會とす」とあります、それを受けて第百二十四條は「決算は翌翌年の通常會に於て之を府縣會に報告すへし」ありますが、是は當然であります、所が改正案に依りますと、第五十條に「府縣會は定例會及臨時會とす」とあつて、通常會と云ふ文字は存在しないのであります、それに第百二十四條が依然として「翌翌年の通常會に於て」となつて居りまして、是は文字としては不適當ではないか、と云ふよりも寧ろ誤りではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=90
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091・郡祐一
○郡政府委員 決算のことに付ては、概ね豫算の議決を致されますと同じやうな定例會に於て決算の認定を求めると云ふ考へで、通常會と云ふ名稱を附して置いて差支ないやうに考へまして、此の點に付ては特に改めなかつた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=91
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092・小野眞次
○小野(眞)委員 通常會と云ふ文句は此の外に一つも見當らないのであります、此處だけに通常會と云ふ文句を使はなければならぬと云ふ理由は何處にありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=92
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093・郡祐一
○郡政府委員 使はなければならないと云ふことはないのでありますが、從來決算の認定をして居りました會に當りますもの、其のやうな意味合で通常會と云ふ言葉を用ひて置きましても、事柄として誤解は生じないと思ふのでありまして、是は使はなければ運用が付かぬと云ふ工合には考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=93
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094・小野眞次
○小野(眞)委員 さうすると、此の決算の付議された縣會を以て通常會と稱する、反對に考へるとさう解釋しても宜しうございますか、何時でも宜い、兎に角決算が議題に付された縣會を以て通常會となす、さう云ふ風に解釋して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=94
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095・郡祐一
○郡政府委員 決算が付議されたものが、何時でも通常會と云ふ名稱を付けると云ふ意味でありませぬで、決算は豫算と概ね合せられまするやうな時期の、決算を認定するのに相應しい時期の定例會に付議されると云ふ工合で、左樣な定例會に付議すると云ふ工合に考へて戴いたら宜いと思ふのであります、決算の付議されるものを以て通常會と云ふ名稱を付けるのだと云ふ所まで考へて戴かぬで宜しいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=95
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096・中島守利
○中島委員長 それでは是で第五章の一と二は質疑を終りましたことに致します、第六章府縣行政の監督、第百三十一條以下、是は附則を合せて議題に供します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=96
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097・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 百三十一條の第二項「府縣會解散の場合に於ては三箇月以内に議員を選擧すへし」此の項であります、此の三箇月と云ふことは相當の理由はあると思ひますが、併しながら府縣會が解散になりました時には、相當其の府縣會に於て議論があつた後に解散されるのでありまして、又解散してから三箇月と云ふことになると、場合に依つては半年も府縣會が開かれぬと云ふやうな場合も起るものと思ひます、一方に於て府縣會は隔月開くと云ふやうに、特に府縣會は頻繁に開かれなければならないと云ふ理由を政府は持つて居られるに拘らず、此處に行くと、今度は開かなくても宜しいと云ふやうな、矛盾したことになる、此の點どう御考へになつて居りますか、御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=97
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098・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 選擧を執行致します期間は、今囘非常に各種の選擧が殖えて參りましたので、個々の選擧に付てそれぞれ選擧を執行致しますべき期間を法定致して居りますと、相互衝突を致す場合も起りますので、原則としてそれは外した譯であります、唯此の獨任制の議決機關の制度に付きましては、是が構成を成べく速かならしめると云ふことで、特に短い期間を規定致したのでありますが、其の他の選擧に付きましては、大體三箇月以内に行へと云ふ規定を外したのであります、それはそれ等との關係の調和を得せしめることが趣旨であつたのでありますが此の解散の場合に於きまして、特に三箇月以内と云ふ制限を外しませなかつたのは、解散と云ふ行爲は、府縣の此の意思機關を全く消滅せしめてしまふ行爲でありまして、是は最も速かに之を構成しなければならぬ譯であります、其の更迭の期間が餘り長くなつてはいかぬ、そこで是は最長期を押へまして、三箇月以内には少くともやらなくてはならぬ、斯う云ふことであるのであります、其の最長期限と云ふものを更にもつと縮めて、二箇月、一箇月と云ふやうなことも考へられない譯ではありませぬが、併し今後衆議院、參議院、或は府縣知事の選擧と云ふやうなことを考へますと、之を今特に縮めると云ふこともどうであらうか、多少不安がありますので、一應此の最長期限を限つてあると云ふ意味に於きまして、「三箇月以内に」と云ふ規定を殘して置いたのであります、併しながら趣旨は、他の選擧と衝突せざる限り、其の三箇月以内に於て最も速かに之を行へ、斯う云ふ趣旨であるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=98
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099・青木清左ヱ門
○青木(清)委員 趣旨は能く分るのでありますが、さうすると其の間に、此の府縣の議決機關としては參事會がありますが、併し其の參事會も恐らく機能は止まつてしまふものと思ふ、寧ろ是は三箇月と云ふものをもう少し縮める方が却て宜いのではないかと思ふのであります、それも議論に亙るかも分りませぬが、是は修正する場合にそちらで御困りになりますか、此の三箇月と云ふものを短う致しますと、其の間の機能が、さつきから何遍も申上げますやうに止まると思ふ、それは却て不都合を生ずるやうに思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=99
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100・郡祐一
○郡政府委員 此の期間と申しますのは、勿論此の期間の中で可及的に速かに府縣會を構成致しますことを考へて居りますし、先程行政課長から説明致しましたやうに、他の色々な選擧の場合も考へなければ相成りませぬし、現在此の規定で運用は致されて居るのでありまして、可及的早く、支障のない限りは直ちに選擧を執行致すと云ふ運用で差支へないのでありまして、色々な競合の場合を一々書き分けまして、さうして是れ是れの事情のない時には何箇月にすると云ふまで書きませぬでも、運用に任して置いて支障のないことかと存ずるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=100
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101・矢尾喜三郎
○矢尾委員 第百三十三條の二の解職權の問題に付きまして御伺ひしたいと思ひます、此の第百三十三條の二に依りますると、選擧民の五分の一以上が連署を以て、代表者が府縣知事又は府縣會議員、其の他監査委員とかに對しまして解職を要求する權利がありますが、併しながら今日まで府縣の地方自治體に於て常に對衆となつて居りましたのは、知事に對して不信任を表明するとか、或は内務部方面に於ける部長に對して不信任を表明するとか云ふやうなことはなかつたのでありまして、其の對象が常に警察部に置かれて居つたのであります、さう云ふやうなことを考慮致しまして、各府縣の各部長に對して解職を要求せしめると云ふ所の條項を入れて置くと云ふことが、私は必要なことであると考へるのでありますけれども、府縣制に於きましては、知事或は府縣會議員に對しましては解職の要求權が其の選擧民にありますけれども、部長に對しましては何等設けられて居らないと云ふのは、どう云ふ意味に於て御設けにならなかつたかと云ふことを先づ御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=101
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102・郡祐一
○郡政府委員 地方に於ける部長は相當重要な仕事を致して居りますが、是は飽くまでも府縣知事の補助機關であります、府縣に於きまする責任者と致しましては、府縣知事のみが存在致し、他は之に對する補助者であります、隨ひまして之に對する統督の如何と云ふのは、是は知事の責任でありまして、或は知事が部下の統督に於きまして著しく欠けましたが爲に、指彈される場合もあると存じますが、府縣民が其の進退に關しまして請求を致します對象は、執行機關に付きましては、何處までも最高にして總體の責任者であります府縣知事を對象とすべきものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=102
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103・矢尾喜三郎
○矢尾委員 今の御説明に依りまして能く分りましたが一方翻りまして市制及び町村制に依りますと、市長のみに其の責任があつて助役、收入役と云ふものは補助機關であると考へるのであります、市町村制に於きまして助役、收入役まで選擧民の解職要求權が殘されて居ることは、私は只今の御答辯と矛盾があるのではないかと考へるのであります、要するに斯う云ふことは、先に私が御伺ひしました知事に對する不信任案を提出しても、内務省の方で認めなかつたならば、其の不信任案が無效になつてしまふ、又一方に於きまして官僚の末端である所の各部長を保護し、又一方に於きましては市町村制に對しては助役、收入役まで選擧民の解職權を認めると云ふことは、飽くまで我々は官僚獨善の現はれであることを申述べたいと思ふのであります、此の點に付きまして市町村に於きまする助役或は收入役は、業務的な立場にないのかどうか、其の見解を承りたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=103
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104・郡祐一
○郡政府委員 助役に付きましては最高の補助者でありまするが、同時に又其の選任に付きまして、當該の議決機關の同意を得まして選任致します一種の特別の選任方法を以て選ばれて居る吏員であります、收入役に付きましては出納事務に付きまして、御承知の通り市町村長の要求に對しましても拒否を致します權利を持つて居ります特別の立場にある者であります、隨ひまして將來府縣に付きましても、現在の補助機關のやうな部長でございませぬで、別に最高の補助者に付きまして、助役のやうな選任方法で選ばれまするものが出て參ります場合には、事柄が變つて參ると思ふのでありますが、現在の助役と府縣の部長とは其の間に性質を異にするものがあると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=104
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105・矢尾喜三郎
○矢尾委員 只今の御答辯に依りますと、助役竝に收入役は市會の承認を得られると云ふことでありまするけれども、府縣制に於きましても、全然知事の意思と云ふものは無視せられて、上から抑へ付けられると云ふことも今後あり得ないと思ひますので、其の立場は同じでありますけれども、其の點に付きまして議論を重ねましても水掛論になりますから是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=105
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106・堤隆
○堤委員 極めて簡單なことでありますが、是の附則は口語體に出來て居る、其の理由を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=106
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107・郡祐一
○郡政府委員 附則と申しますものは此の改正の法律に伴ひまして、新しく此の法律をどう云ふ工合に適用して參るかに付きまして加へる部分でございすま、丁度直しまする場合に中味で、次の一項を加へる削ると、口語體で平假名で書いてありますのと同じやうな意味合で、附則も口語體に致し、又此の中の約束で──議會の中の約束でないとお叱りを受けるかも知れませぬが、是は形を斯う云ふやうな工合に致しましたので、全部是は口語體で一貫して居ります、其の程度で御諒承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=107
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108・細田忠治郎
○細田(忠)委員 丁度大臣が見えて居りますので御伺ひ致します、是はもう過日申上げ、其の後各委員諸君から連日問題になつて居りますのは、都長官、或は府縣知事に關する事項でありまして、知事は公吏にするか、官吏にするかと云ふことは非常に論爭が「クライマックス」になつて居ります、憲法の條章を繹ねましても、又他の現行法の法規を閲しましても如何なる所にも凡そ官制に基いて其の身分及び職域を約束せらるべき官吏を、國民の公選に依つてやつたと云ふ例は一つも見當りませぬ、都長官とか府縣知事は公選すれば尚更公吏になると云ふことは、觀念的にも實體的にも寸毫の餘地はありませぬ、されば是が官吏たるべき職分を有するとしますならば、公選と云ふことを申しますと一番はつきりして參るのであります、さうして官制に依つて官吏たらしめるのが宜いのか、飽くまでも公選を執行するならば公吏としなければならぬ、此の理念は絶對に覆へすことは出來ませぬ、過日來の大臣の御答辯に依りますと、主務大臣の訓令、或は指令に依る事務を遂行する場合に官吏でなければ差支へる、又は職權に基く特別の委任事務、府縣例の發布もしなければならぬ場合も出て來ませう、又所管の官吏の指揮官として二級官や三級官あたりの進退などのことも、身分上當然執行しなければならない、そこに不自由を生ずるとか、或は警察官吏の處分を停止したり取消したり、悉く法制上引つ掛つて來るから、法制上已むを得ぬと云ふことが御答辯の主點と考へますが、然らば其の問題を離れて、公務員法の制定と云ふのはどの程度まで行けるか、公務員のことは屡屡御言明になつて居りまして、新憲法の直後公務員法を發布して、官吏制度の劃期的の改革を行ふのだ、斯う云ふことを始終聞かされ居りますが、此の點をもう少しはつきりして戴きたい、此の間は社會黨の永江君が金森國務大臣に質問されて居りました、金森國務大臣から地方制度の御意見を承りましても、あれは憲法學上の參考として承つたのでありまして、金森國務大臣が言はれたから直ちに其の通りだとは思ひませぬけれども、併し閣内に於ての御議論として、金森さんの御意見と内務大臣の御説明とは餘程距りがありますので、私共の希望又心境を申しますと、此の二、三箇月の中に公務員法が出ると思ふ、二、三箇月の中に公務員法が出るとすれば、今官吏を公吏とするのも五十歩百歩、知事を官吏とするのも五十歩百歩で、お互ひ政府と我々委員とが鎬を削る必要はないではないか、要は公務員法の制定が、是が官吏制度の劃期的の改革として、どの位程のものか法制審議會の見透しが付くであらうか、私が前囘是は此の次の議會に御出しになりますかと御尋ねしたのに對して、成べく近い議會に於て出すと云ふことを御言明になりました、此の條章を逐條審議に入りますと、官吏である知事と公吏である知事を持ちます時に、我々は各條項毎に是が躓いて參るのであります、公吏であつて差支へないぢやないか、官吏であるならば或る程度茲に一つの警戒を加へて置かうと云ふことが起るではないか、多年の習慣に依りまして官吏と民間と云ふことに對して、苦い經驗を持つて居りますが故に、我々委員は此の問題に向つてさう云ふ考へを持つて居る譯であります、どうしても之に向つての一つの見透しが付きませぬと進行しにくい、況して逐條審議に入ると尚更さうなつて參りますので、實は各委員も此の一點に今非常に迷ひの途上にある譯なのであります、今日も同僚宮村さんからも郡局長に向つて質されまして、郡局長からは丁度内務大臣と同じ文切型の御話を承つたのでありますけれども、幸ひ此處に大臣が見えて居りますから──是はどう致しましても審議の一つの山となつて參りまして、會期も相當ありますけれども、餘程審議も續けて參つたのでありますから、此の邊で本當の御心底を御吐露願ひまして──決して言葉尻を捉へて我々が彼此れ申す驛ではありませぬので、一つ率直な御心境を承りたい、さうして我々の審議の資料にさせて貰ひたいと云ふことを、こちらの方から一つ肌を脱ぎまして御伺ひするのでありますから、御聽かせ願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=108
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109・大村清一
○大村國務大臣 金森國務大臣が見えまして、知事の公吏制、官吏制に付ての御質疑があつたとか、後で承つたのであります、又金森國務相とも其の後で話合ひをしたのでありますが、私の感じと致しましては、そこに私共の考へと金森氏との考への間に、本質的の隔りはないやうに實は感じて居ります、現在の法制に於きましては、府縣廳の性格から致しまして、府縣行政の運營は、官吏たる知事にやらせると云ふ建前で凡ゆることが行はれて居るのでありまして、是は諄々しく申上げるまでもないことであります、所が今囘憲法改正草案に於きまして、知事は直接公選とするとなつて居りますし、又地方制度を民主化すると云ふ建前から致しますと、地方公共團體の長たる府縣知事は、是は直接公選にすることが、地方自治民主化の上から言つても必要なことでありますから、それは致さなければならぬ、其のことは只今御話のありましたやうに、現行憲法の上に於て果して可能であるかと言ふ點も色々考究をして見たのでありまするが、實例は非常に乏しいことでありますけれども、憲法第十條に於きまして、公選せられたる知事を官吏とすると云ふことは、例外的に認められて居ることでありまして、それは現行憲法に於ても可能である、さうすれば府縣廳のやつて居ります所の、公共團體の長としては、是は公選知事として活動をし、從來やつて居りました府縣廳の國政事務の處理の任には、公選知事に官吏たる資格を與へて之を處理させると云ふやうに致せば、現行憲法の下に於ても運用は可能である、さうして新憲法の精神、又地方自治の民主化の精神も今直ちに行ふことが出來る、尚又之を實際の作用から見ましても、公選知事に官吏たる資格を與へますれば、現在の制度に於きまして官吏たる府縣知事の管掌して居りますものを、全部扱はせると云ふことに致しますことは、現在の諸制度を變へなければ出來ないのが、民主化した公選知事の持つて居る民主性に依つて、國政事務を管理させると云ふことの目的も達し得る譯でございまして、現下の事態と致しましては、從來の考へから見ますと、少し繋ぎの惡いことではありますけれども、實際問題として民主化の問題を解決し得ると云ふ結論に達して、之を立案した次第であります、併し之を新憲法實施後の將來を考へて見ますと、府縣知事は公選される、さうして地方行政を民主化すると云ふ方針で行きますならば、現在やつて居りますやうな國政事務は官吏にやらせると云ふやうな點を清算致しまして、現に各地方、府縣廳で扱ひ得るやうな仕事は地方分權の精神に則りまして、教育と云はず、警察と云はず、或は産業行政其の他各般の點に亙りまして、國政事務として處理する建前を、順次關係法令を改正致しまして、地方自治體に委任すると云ふ建前を執つて其の措置を執りますならば、何も苦しんで知事を官吏に致さなくても處理が出來ることは、將來に於ては固より可能なことであります、又さうしますことが金森國務相が言はれる、それが新憲法の精神に合するのだと云ふ御見解のやうでありますが、私もさう云ふ行き方が、新憲法の精神であらうと云ふやうに考へて居る次第であります、尚ほ現在の段階に於きます──是は法律論ぢやございませぬ、政治的な實際問題と致しまして、現在のやうな窮迫したる状態に於きまして、或は食糧の供出でありますとか、治安の維持と云ふやうな現實問題を考へて見ますと、現在に於きましても關係諸法令を改正致しまして、一躍公選知事に國政事務も委任してしまふと云ふやうな策も執り得るが、是は中々困難なことであります、實際の行政部内の扱ひと致しまして、一、二箇月の間に各種の國政事務の處理方針を、全部公選知事に委任をすると云ふ法令上の措置を竝行的に執ると云ふことは中々困難でありますが、若しそれ等の點がなし得ると致しましても、さう云ふ行き方を一擧に執りますと、府縣「ブロツク」とか、地方割據とか云ふやうな勢ひを助長致しまして、此の難局を切拔ける點に於きまして私共實は踏切れないと云ふ實際問題もそこにあるのであります、併し是は踏切つたら宜いぢやないかと云ふことも考へられるのでありますけれども、踏切ると致しましても、度々御説明申上げますやうに、今般の議會に提案を致しましたのは、憲法は根本法でございますから、改正憲法の成立しました後、根本法に合ふやうに其の第二次的な法令を改正すると云ふとでありますので、餘程思切つた改正も出來ることでありますが、地方制度の改正に只今申上げましたやうな意味に於ての第二次的の法律に當るのでありまして、此の改正は唯地方制度だけでございまして、此の法令に於いてはさう全般的の改正は一つも提案されて居りませぬ、そこで地方制度だけが新憲法の精神に向つて何とか前進を致したのでありまして、他の地方府縣廳で扱つて居ります各種の行政の中には、總ての古い法令でやつて來て居ると云ふことになつて居りますので、それ等を一擧に直すと云ふことは中々困難であります、私共の今管掌致して居ります所の、例へば警察諸法令の如きに於ても、是は新憲法の精神に基いて改善をしなければなりませぬが、此の議會には何としても間に合はなかつた、大いに馬力を掛けて次の議會には、全部の點までは行かないとしても、出來るだけの警察諸法令の改正案を出したい、内務省の所管の方に於ても、外にもあると思ひますが、府縣廳の扱つて居ります仕事の中に於ては文部省、商工省、農林省等の仕事に於て、諸法令に於て地方分權の趣旨に依つてやるべき點は澤山に殘つて居りますが、是等のことは到底間に合はなかつたのであります、是等の繋ぎをして兎も角地方行政の民主化を圖ると云ふ目的を達する爲には、只今提案を致したやうな、非常な便法でございますが、府縣の地方公共團體たる性格の事務を處理する爲の公選知事を利用して、それに官吏と云ふ名目を與ふることに依つて、從來官吏が扱つて居りました多數の府縣の事務を管掌すると云ふ便法を講ずることに致したのであります、又此の行き方は先に申上げました第二段的の現下の時局を切拔ける場合に於ても、之に依つて繋ぎが出來て、一足飛びでなく、順次民主化をして行くと云ふ繋ぎにもなり得ると云ふやうに、彼此れ考慮を致しまして、此のやうな案を出した譯であります、度度申上げます如く從來官僚行政、官治行政の弊は確かに過去に於て反省しなければならぬことであります、其の民主化は今後も大いに努力しなければなりませぬ、併し此のやうな謂はば鵺的な改正で止まつて居ると云ふのは、決して從來の官僚主義、官治主義を維持しようと云ふやうな所にあるのではありませぬ、寧ろ反對に府縣知事の持つ民主性に依つて官治行政を一躍民主化すると云ふ一つの捷徑ではないかと云ふ位に實は考へて居る次第であります、之を要するに、知事は公吏として官僚性を拂拭すると云ふ考へ方は新憲法の精神に合ふものと思ひます、併し現行の憲法があり、又他の一般行政が地方自治制度と同樣な改革を見て居らぬ今日に於ては、一時的便法として、知事を官吏にして此の際を凌ぐと云ふのは、實際問題として已むを得ないと云ふやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=109
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110・細田忠治郎
○細田(忠)委員 此の點は私ばかりでなく、全委員の方が承服されないと思ひますが、官吏でなければならぬと云ふことに付ての御説明は十分に承つて居ります、又我々自身としても今の知事を官吏にして置かなかつたならば、先程私が抽ない頭で申上げた通り、或は内務省からの訓令或は指令の執行上に於ても、將又委任に基く一つの府縣令を發布するにしても、或は二級官、三級官あたりの進退問題に付て、分限令に依つて取扱つて行かれる限りは、公吏では行くまい、又警察法令に向つての處分取消も、公吏としては執行出來まい、色々障害があると云ふことは我々も承知致して居ります、所で我々も國民の全輿論として、どうしても知事を公選にと言はなければならぬ程眞劍ではなかつた、寧ろ知事を公選とすべしと云ふやうなことは新聞方面から言はれたことで、我々半信半疑で居た所、當局が勇斷的に知事を公選にすると云ふことまで御發表になつた、だから知事を官吏として扱つて行きたいと云ふことに付ては、先程申上げた通り、障害があり、無理でありますが、知事が官吏になつたからと云つて、此の制度の下に地方行政を運營する爲には、さう云ふ時代遲れの官吏肌を示すやうな愚かな知事、又國民の多數の中から直接選擧されるものの間にさう云ふ知事があり得べからざること、又あらしめはしませぬが、今「ポイント」として聽きたいことは、一體さう云ふことになれば、當分は此の方で行くのか、公務員法は一々作つて行くならば相當日數が掛かるのか、大臣の今の御答辯では次の議會に出すと言つて居ります、其の議會は我々十月と考へて居りますが、此の十月に出すのか、若しさうなれば、此の大きな山のある問題を或は呑み込むことも吐き出すこと出來る、斯う云ふ譯でありますから、官吏の知事を公吏にするのかどうか、是が一點、又何時頃公務員法が出來るのか、是が出來れば、今の官吏制度は全面的に改善出來るのかどうか、此の三點が我々の聽きたい疑問であります、重ねて御所見の程を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=110
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111・大村清一
○大村國務大臣 公務員法の取扱に付ては實は法制審議會で扱つて居ります、此の審議會の出來たのも最近、議會中に出來たのでありまして、郡政府委員は確かに其の委員でありまして、其の進行状態は直接私は詳かにして居りませぬが、改正憲法草案に依りましても、新憲法に依つて動いて行きます爲には、どうしても公務員法と云ふものが成立しなければ憲法の運用は出來ないやうに觀測を致して居るのであります、隨て成べく早い機會に公務員法は輪廓を決めて作らなければ、新憲法の施行が出來ぬだらうと思ひます、今法制審議會に於てはそれ等の話合が段段進んで居ると云ふことでありますが、どのやうに進行致しますか一寸私としましてははつきり見透は付かぬのであります、併し何れに致せ、公務員法が審議されるに付きましては、從來の官僚制度の諸缺點は之を除去致しまして、さうして新公務員法に於きましては、此の吏僚組織に於きまして、民主化を相當思切つてやらなければならぬものと思ふのです、それで公務員法はどう云ふ工合に打立てられますかは一寸私の推測は付きませぬが、嘗ても一寸此の席で申しましたやうに、官吏と公吏との區別は、單に官吏は國庫から俸給が出る或は公吏は地方自治團體から俸給が出ると云ふ位な相違でありまして、其の吏僚組織の根本に付ましては、兩者殆ど區別のないものにならなければならぬものであらうと云ふやうに私は豫想致して居るのであります、其のやうなことになりますれば、出來ました知事を公吏にするか、或は又知事は國庫から俸給を渡すから官吏にするかと云ふやうな點はどうなりますか一寸判斷は付きませぬけれども、其の點は殆ど深く顧みる必要はない程度に、拔本的な改正があるであらうと云ふ風に考へて居る次第であります、さうしてどうも一寸そこの點は、私も見透しは付き兼ねますが、併し少くとも憲法の成立が遲れましたから憲法の實施は恐らく來年の三月以降になるのではないかと思ひますが、三月までには新公務員法が成立しなければ、憲法は活きないと云ふことになると思ふのです故に政府と致しましては餘程急いでやらなければならぬ、又公務員法が總ての諸制度を打立てる根本にもなると思ふのでありますから、是は餘程急いでやらなければならぬ關係にあると存じて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=111
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112・岩本信行
○岩本委員 關聯して一寸伺ひますが、今市町村等で國の事務を相當、代行と云ふか委任すると云ふかやつて居りますが、あれは何の法令に據つて居るのですか、天降り的の命令みたいになつて居りますが、其の點と、それから結局今の大臣の御話で公務員法は憲法實施までにはどうしても出るであらう、所が其の期間は僅か六箇月かそこいらでありますが、此の改正をどう云ふ風に決めるかと云ふことに付て、國民の方では憲法の施行までには必ずさう云ふ方法になるのだと云ふことは、到底一般の國民には徹底を致しませぬで、此の改正案がどう修正されるかと云ふことに全員が著目して居る譯であります、でありますからさう云ふことになつて居るのだと云ふことになれば、此の際勇敢に國民に、公吏とか公務員とか云ふことにして、其の仕事の上の方の方法をたつた一本で是れ是れの法令を委任する、斯う云ふやうな風の簡單な方法で繋ぎを取ると云ふ手段はないものか、此の點を一つ御聽かせを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=112
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113・大村清一
○大村國務大臣 現在市長なり町村長が國政事務を委任されて居りますのは、それぞれの關係法律、命令で出來て居るのであります、例へば教育の問題でございますと、地方學事通則、或は國民學校令、或は國民學校施行規則と云ふやうな、それぞれの教育法令で委任されて居るのであります、産業諸法令に付きましても同樣であります、それから現在府縣知事がやつて居ります仕事を、一片の法令に依りまして悉く知事に委任すると云ふやうな簡便な方法は、實際問題として出來ないと思ふのです、やはり仔細に研究致しまして、例へば警察、消防、教育、保健、衞生、勞働に關する國政事務を、極力府縣に對して委讓すると致しまして、或は何がしかのものは國に留保すると云ふやうな研究も致さなければならぬ點がありまして、單純にやりましては、現下の事態に即した行政の圓滑なる運營が出來ないと云ふ面があるやうに思ふのであります、それから尚ほ此の際府縣知事を純然たる公吏に致しますれば、實施までに於きまして能く研究を致しまして恐らく國政事務の、何がしかに付きましては、現在府縣廳のやつて居る仕事を特別の官廳を設けまして處理させる必要が起るであらうと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=113
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114・岩本信行
○岩本委員 大體分つて居る問題を委任して絶對に御困りになる分を、丁度内務省の土木出張所のやうな形で、出張所にされたらどうかと思ふのでありますが、さうは行きませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=114
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115・大村清一
○大村國務大臣 其のやうな變革を致しまして府縣廳の總合行政の所を分割を致しますことは、此の際適當なやり方ではないかと云ふやうな點も、餘程考へなければならぬ問題でありますからして、之を府縣知事を公吏とすることに依つて旨く國政の運營が出來るかと云ふ點に付きましては、只今の所私一存で一寸申上げる段階ではございませぬ、是は篤と考へて見なければならぬ問題であらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=115
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116・大澤喜代一
○大澤委員 序でに私も入れさせて戴きたいと思ふ點は、今の官吏の身分關係で先般私が質問した時に、まだはつきりしなかつた點が一つあつたのです、それは内務大臣は日本の官僚政治と云ふものは非常に大きな弊害があつたと云ふことは認めて居るのですが、私は根本的な原因と云ふものは、官吏は非常に過去に於て、封建的な、特權的な身分を確認されて居つた、而もそれの確認されて居つた所の法律上の表現と云ふものは、勿論憲法に依つても加味されて居りますが、例の官吏服務紀律、官吏は天皇に忠順であるべきである、所謂天皇の官吏と云つたやうなものがあの官吏服務紀律に依つて第一に加味されて居ると思ひます、此の點に付て御伺ひ致しました時には、それは何も間違ひであるのぢやなくして、國民の公僕と云ふものは心の持ち樣でやつて行けば宜いと云ふ御話であつたのでありますが、現在の新憲法の精神から言つて勿論さうであるし、「ポツダム」宣言の趣旨から言ひましても、天皇の政治に忠順なるべしと云ふ官吏の斯う云ふ紀律、規則と云ふものは今矛盾するものぢやないか、此の機會に官吏の心の持ちやう、さう云ふ問題に對してもはつきりして置いた方が宜いのぢやないかと考へて居ります、どうしても官吏と云ふものは天皇の政治に忠順でなければならぬと云ふやうな、明治二十年に作つた所の官吏服務紀律と云ふものを政府は取上げて、之を官吏に押付けて行く積りであるのかどうか、此の點をはつきりして置きたいと思ひます
それからいま一つ序でに御尋ねしたいのですが、最近、東京もあつたさうですが、地方で特に其の問題に打突かるのです、警察官吏が政黨に入る自由があるのかないのか、或る地方では社會黨、共産黨に入つた爲に、非常に差別的な待遇を受けて居る事實が澤山ある、警視廳管内にもさう云ふことはあると思ひます、官吏諸君のさう云ふ自分の正當な意見を、黨に依つて決定すると云ふ場合に大きな問題があると思ひますので、此の機會に警察官吏が政黨に參加する自由があるのかないのか、其の點を一つ御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=116
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117・大村清一
○大村國務大臣 現在の官吏服務紀律には、第一條に仰せのやうな天皇陛下及び天皇陛下の政府に對し忠實勤勉を旨とすべし云々とございますが、是は私共の解する所に依りますれば、政府は結局國民の福祉増進を旨として存在して居るものでありまして、其の政府に對しまして忠實勤勉を旨とすると云ふのと、今日の官吏は國民の公僕であると云ふこととは、結局私は同じものと云ふ風に考へて居るのであります、併し民主主義の時代になりまして、現在のやうな、第一條のやうな廻りくどい説明よりも、もう少し率直直截明瞭に書き換へると云ふことは、確かに是は大いに政府として考慮すべき問題だと思ひます、さうして何に致せ、此の官吏服務紀律は明治二十年の制定でございまして、其の後時勢の變遷も著しいものがあります、又殊に新憲法も成立すると云ふやうなことになりましては、根本的に此の服務紀律の改正は、公務員法の立案に當つては必ず考へられることと思ふのであります、どのやうな表現になりますかは一寸私豫測致し兼ねますが、只今申しますやうな方向に是は必ず改められると云ふことを私は確信して居るのであります
それから警察官の政黨加入の問題に付きましては、そこに色々警察官の職務遂行上に付きまして考慮しなければならぬ點がございます、併し之に付きましては、民主主義の國たる「アメリカ」で警察官はどう云ふやうに扱つて居るかと云ふやうな點も、實は段々取調べて居つたのでありまするが、結局警察官なるが故に政治活動を嚴禁する、政治行動を全部なくすると云ふやうなことは、是は固より民主主義の時代に於てはやるべきでないと云ふ結論に達して居るのであります、又聯合國側からも曾て新聞に報道せられましたやうな見解も承つて居るのであります、併し警察官の職務の遂行に付きましては、無制限の政治活動を認めると云ふ譯には固より參らないのでありまして、警察官の職務を遂行する上に於きまして差支へない限度、又警察官が國民として持つて居ります所の、基本人權の一部を成して居る所の政治活動と云ふものとの間に於きまして、適當な調和を發見しなければならぬと考へて居るのであります、今其の點に付きましては折角其の調和に付て研究を進めて居ります、警察制度の民主化の他の問題とも併せて適當な結論に達したいと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=117
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118・大澤喜代一
○大澤委員 さうすると具體的にはつきりして貰ひたいのですが、警察官が社會黨や、自由黨や、進歩黨や、共産黨に現在入つたら、入つたとしたら、一體當局の方は、今の考へに依るとどうも是は餘り行過ぎだ、もう少し待つて貰ひたいと云ふ御見解になるのですか、今入つて居る人も澤山あると思ひます、さう云ふ人に對してはどう云ふ風な御處置を執る積りであるかはつきりして置いて貰ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=118
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119・大村清一
○大村國務大臣 現在警察官に於きまして或る政黨に加入して居ると云ふことだけで、之をどう斯う云ふことは考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=119
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120・大澤喜代一
○大澤委員 それでは入つて居つたからと云つて差別待遇をしたり、左遷をしたりすると云ふやうなことは考へて居らぬ譯ですか、さう云ふ事實が今まではなかつたのですか、どうです、さう云ふ事實はありませぬか、共産黨や社會黨に加入したから差別待遇したり、左遷したと云ふ事實はありませぬでしたか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=120
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121・大村清一
○大村國務大臣 終戰後に於きましては、さう云つた事實があつたことを聞いて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=121
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122・大澤喜代一
○大澤委員 私は或る資料を持つて居りますが、それは何れ後で……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=122
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123・中島守利
○中島委員長 府縣制の一部を改正する法律案は、各條審議は是で終了致しました、次は來る七日午前十時より會議を開くことに致しまして、本日は是で散會致します
午後四時七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012722X01019460805&spkNum=123
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