1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
特別都市計畫法案(政府提出、貴族院送付)
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昭和二十一年七月十七日(水曜日)午前十時十三分開議
出席委員
委員長 林田正治君
理事 鈴木仙八君 理事 西村久之君
理事 今村等君
水田三喜男君 佃良一君
細川八十八君 前田榮之助君
鹿島透君 原尻束君
中田榮太郎君
出席政府委員
戰災復興院總裁 阿部美樹志君
内閣事務官 財津吉文君
内閣事務官 大橋武夫君
内閣事務官 中田政美君
内務事務官 岩澤忠恭君
文部事務官 日高第四郎君
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本日の會議に付したる議案
特別都市計畫法案(政府提出、貴族院送付)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=0
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001・林田正治
○林田委員長 是より委員會を開きます、通告順に依つて質問を許します──中田榮太郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=1
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002・中田榮太郎
○中田委員 最初に復興全體に關する問題から質問させて戴きたいと思ふのであります、國家の再建の所謂中核、或は主要問題である所の戰災都市の復興事業は、今日までの所唯一つの、而も此の數の少い委員會に付託せられて居る所の特別都市計畫法案を通してばかり、唯是のみを通して今期議會の問題であると云ふことは、私は此の復興の大問題、而も一箇年を經過して餘りにも進捗しない此の至難な事業、之を比較的輕く或は冷淡に取扱はれて居るのではないか、斯樣な感じを持つのであります、洵に不滿足の至りであるのであります、百二十餘の大中都市で災害戸數が二百三十五萬戸もあり、又災害坪數が一億七千五百萬坪、災害に喘ぎつつある者は實に全人口の大約五分の一、即ち一千五百萬、是は唯數字の上ではあるけれども、畏多いことであるが宮城を始め奉りまして、國として、又都府縣として共に其の腦天を打碎かれて居るのであります、頭部を始め人體の要所々々は、悉く其の全機能を消失に近からしめられて居るのであると思はれるのであります、斯樣な現状に對しまして尚且つ此のやうな取扱はれ方、或は此のやうな施策で宜いのであらうかどうか、之に對する御所信を承りたいのであります
次に第二、都市計畫上過大都市發生の原因を防止する所の一つの方策と致しまして、學校の地方分散、又適正配置を行ふと云ふことは、是は洵に我々の日頃主張して居る所で、大贊成であります、殊に地方産業に即應すること、又所謂主要軍事施設地を再興せしめる爲にも、努めて迅速且つ英斷を以て進めて然るべしと思はれるのでありますが、併し是は相當難澁な問題であるのであり、之に付て今日まで政府の處理して居られる所の具體的事項を承りたいのであります
第三、何れの戰爭に於きましても最も大なる被害者は常に學校の子供であります、青少年であると私は斷言するのであります、而も國家再建に際して先づ第一に之を救はねばならぬのであります、即ち彼等を學ばしめる所の數多き罹災學校、殊に國民學校の復興に付ては、曩に文部省からの積極的復舊補償に對しまして各方面共相當力を入れて、立上りの色々の手配を致して居つたのであります、併し遂に其の手掛りを失はれ、とどの詰りは大藏省から復興院に其の「パトン」は讓り渡されたのであります、最後に僅かばかりの利子の補給に止まると聞いて居るのでありますが、其の眞相を承りたい、又噂のやうなものであるとするならば、果して新憲法に示されて居る所の所謂教育の強度の義務化、或は尊き權利として教育を受けしめること、是が果して十分に實現し得るものであらうかどうか、是も御所見を承りたいのであります
第四、傳染病院或は市民病院、其の他保健施設は戰災地として最も大切な且つ厚生救護の優先的主要問題であると思はれるのであります、政府は斯樣な問題に付て積極的な施策を講じつつあられるかどうか、又國庫負擔等に付ての程度等も承りたいのであります
第五、住宅營團は其の創立の精神に於きまして、又其の機構或は事業遂行に於て最も國民の信頼の的となつて居るべき筈であります、終戰以來戰災復興の假設住宅の建設受託の實情に付きまして、芳しからざる實相にあることは、去る十一日の本會議に於ける決議案贊成演説の中にも現はれて居るが、又私共自身が戰災地の眞つ只中にありまして受けつつある所の苦き體驗からのみ申上げるだけでもないのであります、詰り他に多くの實例があるのであります、昨年終戰後間もなく縣當局からの通牒に依りまして、申込約束をしたものが、其の後次々豫約の建設費が著しく引上げられまして、遂に約二倍位になつたのであります、而も五月に入りまして豫め相當纒まつた額の新圓の前以ての直納を要望せられまして、更に最近に於きましては先方の方から殆ど破約宣告の状態に至つて居るのであります、終戰直後であるならば、色々方法を以て建設することも出來たのであります、待ちに待たせた揚句、如何とも致し難き状態に立至らしめまして、我々は今に於て燒「トタン」の掘立小屋の中に喘ぎつつあることは、洵に私のみでなく數多いのであります、斯樣な實情に付きましては既に或る程度御承知のこととは思ひまするが、此の儘にして已むを得ずして放置して置かねばならぬのでありまするか、或はそれに對して適當な具體的對策に及ばるるのでありまするか、其の點の御意見を承りたいのであります
第六番目、何處の都市も戰災復興の財政運營は最も惱む所でありまするが、之に關して例へば富籤或は寶籤のやうなものを許して、復興事業費の調達を圖らしむる所の御考へはないか、又戰災者に對して小口資金の供給をなす御考へはないか、以上戰災復興の全體の問題に付て、先づ其の六箇條を御尋ね申した次第であります、都市計畫の具體問題は是までの御答へを得まして、又引續いてやらせて戴きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=2
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003・阿部美樹志
○阿部(美)政府委員 御答へ致します、元來此の都市計畫其のものに付きましては、技術的な面とそれから法律的な面とあることは既に御承知のことでありますが、此の技術的方面を強力に裏付ける爲に法的措置が必要となるのでありますが、技術的方面はそれぞれの專門的知識と經驗、或は内外の諸例を採入れまして、都市の現状に鑑みて相當遠い將來の發展性と云ふものを見込み、科學的に又能率的に立案計畫をして居る次第でありまして、今日まで戰災都市の大半の計畫を終つた次第であります、其の方法と致しましては過去數十年間の人口の推移を統計的に調査することは勿論、産業、工業などの立地條件、將來の發展性、是等が將來交通運輸にどう云ふ關係を及ぼすか、又住宅問題との關係、商業との關聯、更に河川、港灣、鐵道などとの關聯などを一々綿密に調査研究を致しまして、將來都市と致しまして、萬遺憾のないやうに、都市面積比例配分の技術的事項をば社會的、經濟的、肉體的構造に適應するやうに只今立案計畫致して居り、又致した次第であります、要するに最近の科學と技術の異常な發達に即應致しまして、工業、商業、公衆衞生、建築方面、交通、防災などに亙りまして、人類の活動上萬遺憾のないやうに計畫を進めて居る次第であります、此のやうに都市計畫を立てまして、都市計畫委員會の議に付して決定の上、之を都市計畫事業として實行に移すのでありますが、今囘のやうに仰せの如く、全國百二十餘の都市が前古未曾有の戰災を被りまして、御話の如く住むに家なき國民に對しましては、一刻も早く土地區劃整理の實行を致しまして、從來のやうな「バラツク」ではなく、少くとも本建築をして、正常の業務と住居とを確保するやうに致すことが、刻下の急務中の急務であると存ずる次第であります、隨ひまして此の區劃整理事業を極めて迅速に、且つ強力に、又徹底的に實行する爲に、今囘の特別都市計畫法を必要とする次第であります、即ち法的處置に依りまして元の軍用地、軍需工場跡地、公共用地、官有地等をば無條件に土地區劃整理地區内に編入致しまして、民生上又保健上、防災上から必要とする緑地とか公園、菜園地は勿論、擴大されて行きます所の街路とか、過小宅地等の用途に充てるやうに致したいと考へて居る次第であります、學校の地方分散に付きましては、只今内務省及び文部省と案を立てまして協議中であります、成べく早い機會に之を實現致したいと存じて居ります、それから御話の住宅建設の具體的方法でありますが、是は我々と致しましては非常に其の責任を痛感致しまして、成べく此の燒失或は罹災家屋の再建を急速に圖りたいと思ふのであります、是は罹災及び疎開家屋は約三百萬戸に近いものでありまして、今日まで不急の爲に建設を抑制して參りました住宅之を成べく早く再建しなければならぬ、さう云うものを合はしまして大約四百三十萬戸に上るのでありますが、之を十年計畫──是は少し氣長いやうに感じますが、資材其の他の關係上十年計畫と致しましても、相當な資材を要する次第であります、假に四十三萬戸を年々建てることに致しますれば、其の木材だけでも年々三千八百萬石程を必要とするのでありまして、是は我國の山林行政と申しますか、又伐採石數から云ひまして過半の量に當るのでありまして、其の量は到底此の住宅建設のみに振向けると云ふ譯には參りませぬので、今年は已むを得ず二十五萬戸の建設と云ふことに、政府は案を立てた次第であります、其の内容と致しましては、内十二萬四千戸が計畫住宅であります、あとの十二萬六千戸と云ふのが民間で自發的にやります數量と推定して居ります、其の十二萬四千戸の中五萬戸が庶民住宅となつて居りまして、其の他は農地の開發住宅、石炭勞務者の住宅、さう云ふものに振向けて居る次第であります、最後に御尋ねの、財政の一方法と致しまして、富籤の方法も考慮致しましてはどうかと云ふ點でございますが、此の問題は現在調査研究を進めて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=3
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004・中田榮太郎
○中田委員 引續き更に具體問題に入りたいと思ひますが、只今の御答への中に滿足の出來まするものもありますけれども、私は具體問題に付て御尋ね致したのでありまするが、御答へは、どちらかと云へば一般論に拜承したのであります、併し是は是だけに致して置きませう
今度は、都市計畫に比較的直接關係ある問題を四、五捉へて御尋ね致したいと思ふのであります、第一は、都市計畫の實際を色々な方面から眺めて見ますると、兎角都會の中心、都心に重きを置かれまして、先づ之を先にし、それから外部、郊外方面をどちらかと云へば輕んじて後廻しにするやうな風があるのであります、隨て都市の雜然たる發達を來しまして、遂に收拾することの出來ないやうな状況であることは、既に御承知の通りであります、色色青果或は輸送機關等に至りますまでも勘案せられまして、周廻線と申しますか、時には二重三重の環状線、斯う云ふものを考へ合せられまして、計畫を進むべきであらうと私は思ふのであります、東京都を初めと致しまして、全國の燒失都市計畫の一端を伺ひますと、何れも此の感があるのであります、之に對しまして大體どのやうな指導方針を執つて居られますか、其の實相を承りたいのであります、第二は、緑地、公園などに全地域の一〇%以上も充てられる方針であることは、是は洵に結構なことでありますが、之を容易ならしめる爲に、軍用地其の他公用地を無償下附して、民有地は之を買收すると云ふことにしてはどうであるか、此の點を御伺ひ致します、第三には、區劃畫整理の八割補償、是は洵に結構なことでありまするが、寧ろ有償の精神に基いて、一歩進めて全部有償にしては如何でありませうか、道路の七割五分と云ふ補償に付きましても、同樣もう一歩進められては如伺か、斯樣に思ふのであります、第四、上水道及び下水道は、罹災地に對しましては優先的に奬勵すべきものであると思ひますが、それに關する國庫助成の程度、又其の程度を更に増額する御考へはないかどうか、次に第五、從職員の俸給は兎角斯う云ふ場合には事業費の中から出されるのであるが、寧ろ是は事業費以外に別途に計上せられましてはどうであるか、次に第六、過小借地の限度又は凡そ三十坪を原則として居りまするが、其の實際上の運營は如何樣なものでありまするか、都市又同じ都市の中に於ても色々程度の差がありませうが、其の所謂程度の幅と云ふものにどの程度見積つて居られるのでありまするか、又斯う云ふことは都市區劃整理委員會に於て考慮すべきものであるかどうか、是が第六であります、以上御答辯願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=4
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005・大橋武夫
○大橋政府委員 最初に御質問になりました都市計畫の指導はどう云ふ方針でやつて居るかと云ふ御尋ねでございますが、政府と致しましては、今囘の戰災區域が、北は北海道から南は鹿兒島まで及びます殆ど全國に亙つて居ります點を考へまして、關東震災當時に帝都復興院を作りまして、政府の直轄の事業として復興事業を計畫し、又實施致しましたやうなやり方では、實際上可なり困難が豫想せられました次第でございます、隨ひまして今囘の都市計畫に於きましては、地方機關即ち府縣廳或は市町村と云ふものに、此の立案竝に計畫の實施に付ての責任を持たす方針を採つた譯でございます、隨ひまして都市計畫は、實質的にはそれぞれの市町村、成は市町村に於て困難と致します場合は其の關係の府縣廳が當りますが、是等の市町村又は府縣に於きまして現地の實情を十分に調査して、さうして現地の市民、府縣民の豫ての理想なり希望なりと云ふものを此の計畫の上に反映させて行く、特に全國一律の計畫と云ふことにならないで、それぞれ其の都市其の都市に應じました都市の個性と云ふものが、都市計畫の上に活きた所謂郷土色の豊かな都市計畫を作らせると云ふ風な方針で指導を致して參つて居る次第でございます、固より此の地方の創意と云ふものを主として活力して行く譯でございますが、併しそれに致しましても、今囘の罹災地等に於きましては、今後の都市に於ける建築物と云ふものは、段々將來の木造から所謂不燃建築物、即ち鐵筋「コンクリート」の建築物に變つて行く、又さう云ふものが漸次増加して行くと云ふことが豫想せられます、隨ひまして道路の幅を擴げるとか、或は緑地を作ると申しましても、「コンクリート」の建物が出來ました後に之を取拂つて道を擴げると云ふやうなことは困難でございますので、恐らく斯う云ふ風な思ひ切つた都市計畫を致しますには、今度の機會は我が國の都市としましては最後の又最善の機會であると云ふことが察知せられますやうな次第でございます、隨ひまして、政府と致しましては、地方の創意を其の都市計畫の上に活かされますると同時に、今日の時勢として、又今後の都市と致しまして、必要と豫想せられまする道路の幅員なり、或は宅地の區劃の整理なり、又緑地なり、又各般の土地の利用計畫と云ふやうなものに付きまして、全國を通じまして或る程度の基準と云ふものを設けて居ります、此の復興方針に付きましては先般資料と致しまして、昨年十二月に閣議決定になりました戰災都市復興計畫基本方針と云ふものを御手許に配付致してございます、それに依つて詳細は御覽を願ひたいと存じます
それから次に官有地を無償で下附してはどうかと云ふ點でございます、今囘の土地區劃整理に於きまして、非常に民有地の減歩が増しまする關係上、是の振替と致しまして、練兵場、軍用地、其の他今後の國情に鑑みまして、官有地で相當用途を變へることが出來るやうになりまするものが出て參つた次第でございまして、是等に付きましては出來得る限り之を區劃整理區域の中に編入致しまして、それに依つて出來るだけ民有地の減歩を減して行くと云ふことを計畫致して居るのでございます、之に關しましては本法案の中にも其の規定を設けまして、從來官有地、公有地、國有地、御料地と云ふやうなものは、原則として土地區劃整理區域の中には編入してなかつたのでございまするが、今囘は之を編入することに致した次第でございます、唯其の編入になりました官有地の價格を無償にするかどうかと云ふ點でございまするが、此の點は國の一般財政との關係もございまするので、只今の所では無償と云ふことは考慮致して居らないやうな次第でございます
それから第三の道路其の他の土木事業に對する國庫補助率の問題でございまするが、之を全額國庫が負擔をするやうなことは考へられないかと云ふ點でございます、此の點も現在の國家財政の實情に鑑みまして、出來るだけ多額の補助率を計上すると云ふことになりました結果が、前囘も申述べました通り、道路に對しては四分の三又は二分の一、土地區劃整理事業に對しては八割と云ふ補助率になつた次第でございまして、此の補助率は關東大震災當時の是等の事業に對する補助率よりも上廻つた補助率でございまして、國庫と致しましては、相當今囘の都市計畫の特別の事情に鑑みまして、是だけ前囘の關東大震災當時よりは増して居るやうな次第でございます、それから水道、下水道の補助率でございまするが、水道事業の率は三分の一、下水道に對しましては三分の二と云ふ補助率に相成つて居ります、是も色々な點を勘案致しまして是だけの率に決定されたのでありまするが、特に水道、下水道に於きましては、事業に伴ふ收益がある譯でございまして、是等の點も考慮した上で此の率が決定された次第でございます
それから第五番目に御尋ねになりました事務費と事業費と別々に組んだらどうか、從來事業費の中から支辨されて居つた事務費を別途に組むやうにしてはどうかと云ふ點でございますが、是は事業の補助率なり、或は事業全體の經費を勘案致しまする際に、事業費の中に含めると云ふことは考慮に入れた上で、斯樣な率なり、又額が決定された次第でございます、只今の所では事務費だけに付て別途に補助をすると云ふことは考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=5
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006・財津吉文
○財津説明員 最後に宅地の最小限度三十坪としてあるが、是は土地の状況に依つて幅を設けるものぢやないのか、斯う云ふ御質問だつたと思ふのであります、宅地の最小限度を三十坪と致しましたのは、宅地の利用或は保健衞生、防火、防災と云ふやうな見地から見まして、宅地と致しましてはせめて少くともまあ此の程度の坪數はあつて欲しいと云ふ、其の最小限度を示したものでありまして、隨ひまして地方の状況に依りまして、もつと此の限度を高めることが出來ると云ふやうな場所に置きましては、それ以上に高めることが望ましいのであります、隨ひましてさう云ふ方針を地方に對しては示す積りであります、其の場合に問題と致しまして、然らばどの程度まで高めることが出來るかと云ふことは、是は土地區劃整理委員會と云ふものが各地方に出來ますので、其の委員會に於きましてそれぞれの其の土地の實情に即して定めることになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=6
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007・中田榮太郎
○中田委員 今の二點に對する御答へは結構であります、最後に御尋ね申上げたいのは、十一日の本會議に於きまして、戰災復興促進決議案を滿場一致を以て可決致されて居るのでありますが、其の際吉田總理は特に發言を求められまして、本日の決議案に依り諸士の協力を得たのを機會に一層努力する、斯樣な御話であつたのでありまするが、我々は之を水泡に歸したくない、言葉だけに歸したくないと云ふことは、お互ひに特に考へて居ることでありますが、之に對しまして考究中、或は立案を進め、或は何か進行中のやうなことでもありますれば、具體案を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=7
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008・阿部美樹志
○阿部(美)政府委員 只今の、御尋ねに對して、御答へ致します、事業と致しましては都市計畫事業、住宅問題、其の他戰災復興院と致しましては相當な範圍に實施すべきことを持つて居るのでありますが、只今都市計畫事業なり、住宅問題なりに對しまして立案して居りますことを各省とも能く協議を致しまして、速かに實行の出來ますやうに推進致したいと存ずる次第であります、一例を申しますと、約二十年前の震災後に、非常に多くの「バラック」建築が出來たのでありますが、それが因となり果となりまして、今囘の戰災も亦非常に災害を大きくしたのであります、我々と致しましては、どうしても斯う云つたやうな災害は未然に防ぎ得るやうに施策をしたい、隨て今囘の都市計畫事業に付きましては、相當廣範圍に防火地域と云ふものを指定しなければならぬと考へて居りまして、是は市街地建築物法の改正を只今用意して居る次第であります、其の他各大都市なども、先程申述べました方針に基きまして、各具體的に案を進めて居りますから、成べく速かに之を實行し得るやうに努力して居ります、簡單でありますが是で御答へと致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=8
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009・中田榮太郎
○中田委員 大體是で打切りと致したいと思ひます、どうか最後の決議案問題を具現化することに對しましては、改めて御希望を申上げまして私の質問は是で打切と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=9
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010・林田正治
○林田委員長 通告順に從つて佃良一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=10
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011・佃良一
○佃委員 私は十三點に付て簡單に御尋ねを申上げたいのであります、第一は特別都市計畫事業が國家の事業であることは明かでございまするが、其の費用の一部を公共團體に負擔せしむるの理由に付て承りたいのであります、第二は本法の第四條に於て公共團體が經費を負擔する場合には「國庫は勅令の定めるところにより、その費用の全部又は一部を補助する」とござりまするが、全部を國庫より補助する場合の具體的事例はどうであるかを御伺ひ申上げたいのであります、第三には本事業は其の性質より見て全額國庫補助に依るを至當と思ふが、政府の御所見を承りたいのであります、第四點は國庫補助は政府に於て事業費の基本單價を定め、其の單價に對して一定率の金額を補助する建前であると聞きますが、是は事實でござりませうか、而も其の單價は一例を擧げますると、戰災地の清掃費は坪當り七圓餘と定められて居るのでありまするが、大都市に於ては事實上坪當り五十圓と云ふのが常識であるのであります、是は神戸方面の例を申上げて居るのであります、隨て政府の定むる單價に依つて補助するとなると、補助率は八割或は三分の一と云ひまするけれども、事實上は二、三割、或は又五分の一或は又六分の一にしかならぬと考へられるのであります、是は結果から見て國民を僞ることになるのではないか、政府は實際必要な事業費を基本として、其の定めたる補助率を以て補助すべきであるが、此の點どうでございませうか
第五、復興事業の基礎たる土地區劃整理は五箇年計畫であると聞きまするが、現在の補助内定額は餘りにも僅少であつて、此の儘では何十年をも要する計畫になると私は考へまするが、此の點に付て政府の御所見を伺ひたいのであります、第六、特別都市計畫事業の執行者が偶偶市町村長であれば其の經費は市町村で負擔し、府縣知事でありますならば府縣で負擔するとか、其の事業主體を異にするに伴ひ其の經費の負擔者が或は市町村或は府縣と異るのは公平を缺く結果となると考へるのであります、政府は事業執行者が市町村長たると府縣知事たるとに拘らず、其の費用は府縣及び市町村に於て適正に分擔せしむる必要ありと私は考へまするが、此の點に付ての御當局の御所見を伺ひます
第七、公共團體に於て本事業を執行する場合、其の實際に必要なる事業費に付て起債を認めず、政府に於て内示したる補助の基本たる事業費中、補助金を差引いた殘りの部分にのみ起債を認める方針の如く聞及んで居りまするが、事實上政府に於て内示された補助の基本たる事業費を以てしては事業執行が不可能であると信ずるのであります、政府は公共團體の實際の所要額全額に付て起債を認めて下さると云ふ御意思があるかないか、此の點を承りたいのであります
第八、用地買收補償費は相當巨額に達する見込でございます、現在の公共團體の財政力では支拂の困難が豫想せらるるのでありまするが、政府に於ては之に對して債券の發行に依つて支拂はしむる方途を講ぜらるるの御意思ありやなきや、此の點を御伺ひ致します
第九、昭和二十年十二月三十日閣議決定の「戰災地復興計畫基本方針」第五項土地整理の中、(二)に於て「必要に應じて地券の發行等の方法を考慮すること」とございまするが、是が具體的事例と其の法制的措置に付て承りたいのであります
第十、「戰災地復興計畫基本方針」第九項復興計畫事業費中の(二)に於ては「公共團體に於て負擔する費用に付ては其の一部を罹災區域外の住民をして負擔せしむることを得ること」とございまするが、是は罹災地域に即せざる市町村の區域内全部に亙り受益者負擔金を徴收し得ると解して差支へないのでございませうか、右の場合に於ける是が法制的措置如何を伺ひたいのであります
第十一は過小宅地は如何なる程度に於て決定する方針なりや否や、又其の基準如何、是は前の質問者に依つて明かでございまするから是の御答辯は要りませぬ
第十二、法第十八條に於て「補償審査會は都道府縣又は主務大臣の指定する市毎に之を置き」とありますが、現在指定せんとする市は、どう云ふ市でありまするか、同條第五項に於て、「委員は關係各廳の一級又は二級の官吏」とあるが、會長は通常地方長官であつても、主務大臣の指定する市は會長が特に市長であるとせられて居る點と對應して、「委員は關係各廳の一級又は二級の官吏」の次に、「(第一項の規定により主務大臣の指定する市においては町の吏員)」を加ふる必要ありと私は考へて居りまするが、此の點に付て御當局の御所見を承りたいのであります
第十三、土地區劃整理に付て徴集する清算金に付ては分納を認むる旨規定せられてありまするが、其の年限に制限を附しまするのか、事業執行者より支拂ふべき清算金に付ても分割支拂を認むるのでありますか、若し分割支拂を認めない時は、當該公共團體に於て立替支拂ひをなさねばならぬ場合が多いのでありまするが、其の財源に付て考慮を拂はれて居られますかどうか、御當局の御説明を戴きたいのであります、以上十三點を御伺ひ致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=11
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012・大橋武夫
○大橋政府委員 最初の第一點は、公共團體が都市計畫の費用を負擔する理由はどう云ふ點にあるのかと云ふ御尋ねでございまするが、都市計畫事業は法制上國の事業となつて居るのでございます、是は仕事を實施するに付て色色な點を考慮した上で、國の事業として決定されたものでございまして、其の結果生ずる所の經濟上の利益は國家に及ぶと同時に、地元の公共團體の住民全體に及ぶことは申すまでもないのでございます、隨ひまして都市計畫法に於きましては、公共團體に於て其の費用を原則として負擔をする、斯う云ふ建前に從來相成つて居ります、此の點に付きましては今囘の特別都市計畫法に於きましても、此の原則に對する例外を規定致してございませぬ、隨ひまして原則として公共團體が負擔をする、さうして之に對して特別に國庫が高額なる補助をする、斯う云ふ規定が殘つて居る次第でございます、此の地方費の負擔と、之に對する國庫補助に依りまして、都市計畫の事業の結果利益を負擔する其の地方の住民と、又國民全體とが適當に此の費用を分割して負擔をする結果となる譯でございます
それから本法案に於きまして、全部又は一部を補助すると云ふ規定を設けてございまするが、全部補助する場合、具體的の例があるかと云ふ御質問でございまするが、是は只今の所具體的に全額を補助するものと決定して居りまする事業はございませぬ、是は今後の實情に依りまして、將來或はさう云ふものも出て參るかも知れませぬが、今日の所はございませぬやうな次第でございます
それから第三に、都市計畫の費用を原則として國庫が負擔してはどうかと云ふ御尋ねでございまするが、是等の費用を國庫で負擔をすると云ふことは、私共と致しましても、當初より一つの問題として考へた次第でございまするが、何分にも敗戰後の我が國の財政は頗る困難を極めて居りまするし、それ等の點を考へまして、全額を國庫に於て負擔をすると云ふ方針を貫くことが出來なかつたやうな次第でございます
それから第四點の、國庫補助は政府に於て適當なる單價を定め、其の單價を基準として補助をするのではないかと云ふ御尋ねでございまするが、政府と致しましては、都市計畫事業に對する國庫の補助は、出來るだけ清算額に對して定められたる補助率を以て補助して行きたいと云ふ考へでございます、唯御話のやうな單價を定めて經費を配當すると云ふことは、現在實施は致して居りまするが、それは現在ありまする豫算を各地に分配する一つの標準と致しまして、一應其の豫算の基礎になつて居りまする單價を標準として、各都市の仕事の量、隨ひまして豫想せられる經費の支出額と云ふものを豫定致しまして、其の豫定額に對して一應配當してある譯でございます、是は其の後の實績に依りまして、清算額が定められました場合には、出來るだけ其の清算額を基礎として補助率を適用するやうになつて居ります
其の次に、土地區劃整理の、政府の今年度豫定して居る經費は、五箇年に全區域を完成する積りださうだが、頗る少額ではないかと云ふ點でございまするが、此の點は御指摘の通りでございまして、私共も目下今年度の豫算として提案になります所の今年度の豫算の中に、經濟安定の爲の公共事業費と云ふものが、約六十億圓程豫定せられて居りまするが、此の中に出來るだけ區劃整理の費用を要求したいと存じまして、目下折角關係方面と折衝中でございます
それから其の次の、市町村が執行する場合、府縣が執行する場合、之に依つて經費の負擔が異りはしないかと云ふ御尋ねでございまするが、此の點、市町村が執行するか、府縣が執行するかと云ふことは、事業を執行するのにどちらの機關が其の能力があるか、又便宜であるか、又結果がうまく行くかと云ふやうな點を勘案されまして、市町村當局と府縣當局との協議で決定される次第でございまして、此の結果法律上は經費の負擔が多少變ることにはなつて居りまするが、併し何れの場合に於きましても、市町村が若し負擔する場合には市町村に對して關係府縣から或る程度の補助をして貰ふ、又府縣が負擔をする場合に於ては、關係の市町村から負擔金を取ると云ふ方法に依りまして、出來るだけ市町村長が執行した場合と、府縣知事が執行した場合で、經費負擔が違ふと云ふやうなことのないやうに、行政上の指導を致して參りたいと考へて居るのでございます
それから其の次の事業費の補助の割當額豫定額が少額である爲に起債をしなければならぬ、此の起債をしなければならぬ際に、補助豫定額と比べまして上廻る經費の分に付ては、起債を抑へるやうな方針ではないかと云ふ御尋ねでございまするが、此の點は内務省に於て起債の許否をされることになつて居りまするので、現在の所大體左樣な方針でやつて居られるのでございまするが、併し復興院と致しましては、出來るだけ左樣なことのないやうに折衝を續けて居る所でございます
それから其の次の用地買收に付て地方團體が債券發行の方法を執つてはどうかと云ふ點でございまするが、是は今後の實情に依りまして左樣な必要がありまするやうならば、十分さう云ふ問題を取上げて研究し、さうしてそれが爲に法案が必要ならば、さう云ふ法案も準備をする、出來るだけ實情に即した、又色々地方々々の實情に依りまして色々な考へがあらうと思ひまするが、さう云ふやり方に付ては、出來るだけさう云ふ創意を生かして行くと云ふ風に致したいと存じて居ります、それから地券の發行に付ての具體的な例又之に付ての法制的の根據と云ふ御話でございまするが、此の地券の發行と云ふ問題は、昨年秋から暮に掛けまして、東京都其の他二、三の都市に於きまして斯う云ふ方法で以て區劃整理をやつてはどうかと云ふ説が多かつたのでございます、其の後各都市とも研究の結果、現在では地券發行に依つて區劃整理事業を實施しようと云ふ計畫を具體的に持つて居る都市はございませぬ
それから其の次の都市計畫の經費を罹災區域外の住民へはどう云ふ風にして負擔をさせるかと云ふ點でございますが、是は都市計畫事業の利益の存する限度に於きまして、受益者の負擔を掛けますことは、是は現在の都市計畫法で出來る譯でございますが、それだけでは不十分でございまして、此の點は是等の經費を市町村で實施をしまする場合に於きましては、出來るだけ縣の補助を多くすると云ふやうな方法に依りまして、關係區域外の一般縣民からも、其の都市の復興費の一部を縣費からの補助金の形で實質上負擔をさせて行かう、斯う云ふことを指導して行きたいと思つて居ります
それから補償審査委員會に於て市長を會長とするものはどう云ふものかと云ふことでありますが、是は現在豫想致して居りまするのは、大阪、神戸、名古屋、横濱の四市でございます、さうして是等の都市に設けられまする補償審査委員會に於きましては關係各廳の一級、二級の官吏と同樣に、其の關係都市の市の關係の吏員が當然審査會の委員にならなければならぬことは御示しの通りでございまして、此の法律の條項と致しましては、學識經驗者と云ふ條項で以て市の吏員を加へる、斯う云ふ解釋に相成つて居ります、それから清算金の分納の年限は、大體五箇年位と斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=12
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013・佃良一
○佃委員 大變御懇篤な御答辯を戴きまして有難うございました、私の質問は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=13
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014・林田正治
○林田委員長 それでは通告順に從ひまして鈴木君に御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=14
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015・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 今囘の特別都市計畫法案に付て二、三點御伺ひ致したいと思ひます、先づ私は東京都を通じて質問を致して見たいと思ひますが、東京都の今囘の戰災復興都市計畫を見ますと、成程商工業、住宅地域竝に緑地、道路網等の設定に付ては一應首肯することが出來るのでありますが、帝都東京は國政の中樞地であると同時に、世界に於ける文化都市の典型ともなるべき理想を持つものでありまして、美しい都會、住み好い都會と同時に、清淨な文化都市でなければならない筈だと思ふのであります、斯かる考察から致しますれば、衞生的な見地から先づ第一に懸念をされることは下水道に付てであります、曾て東京市に於きまして大下水道工事をやつて間もなく、其の利用價値は殆ど低下をしてしまひました、今は全く「ゼロ」と云ふやうな状態でありまして、此の下水道に付ては明治時代に神田で當時の創設に携はつた某英國人が、東京の歴史は糞小便に始まつて糞小便に終るであらうと云ふ、まるで謎のやうな言葉を殘して歸つて行つたと云ふことを聽いて居りますが、今にして思へば一面洵に穿つた名言であつたやうに思ふのであります、東京は以前から出水毎に下町一帶は糞尿に惱まされるばかりでなく、江東方面の如きは糞尿の沼と化す地帶が續出をして居りまして、戰時中空襲前後に及んでは、都心を始め山手の高層建築から小住宅に至るまで糞尿の充滿でありまして、全く手の下しやうのない状態、所謂處置なしに至つたことは誰しもが經驗をしたことであります、現在戰災地帶に於ける戰災住宅の殆ど全部が、糞尿に關する限り原始處理を行つて居る状態であります、斯かる現状から考へられまして、糞尿處理に對する衞生的見地から、同時に之に關聯をする下水道の更生に付て、今囘の計畫に於てどのやうな御考へがありますか、其の點を御伺ひをしたいと思ひます
次に都市計畫と官廳との連絡であります、特に運輸省との連絡に付て御尋ねを致したいと思ひます、嘗ての都市計畫に於ける道路、橋梁設定等を見ますに、折角道路が完成され、又は橋梁が竣功をしながら、鐵道の路線であるとか、或は踏切、又は線路の堤防などに依つて其の道路が遮斷をされて、全く道路としての用をなさず、橋梁も橋梁としての眞價を發揮し得ないと云ふやうな箇所が隨處に見受けられます、そればかりではなく鐵道と道路の接觸地帶で土手崩れ等を生じました場合に、運輸省關係は路線のみを修理をして、道路の方には目前の危險を眼のあたりに見ながら其の儘放置をして置く、同じやうな場合、一方内務省關係は道路のみを修理して、路線の危險状態は其の儘放置をして置くと云つたやうなことを屡屡見受けて居ります、是等は内務省と運輸省との連絡が緊密ではないと云ふ證左であります、今度の都市計畫に當つて斯かることのないやうに、十分緊密な連絡を取つて戴きたいと思ふのであります、例へば驛前等を都市計畫に依つて廣場を設定せる後に至つて、鐵道路線或は貨物駐車場、驛の移轉、構想の變更に依りまして、更に計畫の建直しをやらなければならないと云ふやうなことを、ものに依つては根本的に計畫の大變更を來すやうなことがあつては、復興都市建設に多大の障碍を來す以外の何物でもないと思ふのであります、都市計畫は究極に於て建築の問題であります、建築は道路計畫と區劃整理の線に沿つて行はれることは言ふまでもないことであります、復興實現の要諦は、一般人が安んじて建築に取り掛れる基礎、詰り道路決定と區劃整理の確立の此の二點であります、是なくしては、戰後の國民一般人は住居に迷ひ、産業も手に付かず、唯混迷に陷ちて時日を空しくするばかりであります、此の道路決定と區劃整理の確立に當つては、前に申述べましたやうに、關係各官廳と十分な打合せと連絡を如何にするかに付て質問を致したいのであります
それから逐條的に前議員の方が相當細かい質問をされましたが、私もちよつと一言御尋ねして置きたいと思ひます、第六條に付て此の都市計畫の速かな實現には勿論相當な考へ方がなければならないのでありますが、地券の發行計畫は多分御考へになつて居たやうでありますけれども、一應御破算になつてしまつたやうであります、第六條の「前條第一項の土地區劃整理の施行地區に編入された土地について、所有者その土地に地上權、賃借權又は永小作權がある場合は、これらの權利の權利者を含む。)の同意があつた場合には、勅令の定めるところにより、換地を交付しないで金錢で清算することができる。」と云ふ是でありますが、速かな事業の實現を見る上に於きまして、本人の同意がなくとも、土地整理委員會の意見に於て換地を交付しないで金錢で清算することが出來れば、事業の促進に非常に便利と當局は思はれるかどうか、又之をおやりになる意思があるかどうか、此の點に付て御尋ねして置きたいと思ひます
それから第十一條であります、區劃整理委員會でありますが、東京都に於ては東京都を一地區にするのか、又は三十五區を別個に之を置くのか、それとも特別の構想にて新地區的に分割設置をする御考へであるか、此の點に付て御尋ねをして見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=15
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016・大橋武夫
○大橋政府委員 御尋ねの第一點の東京都の下水道の計畫はどうなつて居るかと云ふ點でございますが、東京都に於きましては戰時中に下水道に非常な被害を蒙つて居りまして、現在の都の水道事業と致しましては第一著と致しまして、此の現在蒙つて居りまする被害を復舊すると云ふ點が主眼になつて居ります、其の點を目下實施中でごさいます、併しながら御指摘の通り今後の都市建設の爲には、どうしても此の機會に徹底した下水道の普及を圖ることが必要でございますので、其の方面の調査研究も並行的に進めて居るのでございまして、區劃整理が濟みましたならば、直ちに著手して實現に移ることの出來まするやうに、目下調査計畫中でございます
それから第二に運輸省と復興院の都市計畫の連絡はどうなつて居るかと云ふ御尋ねでございまするが、復興院と致しましては、地方から出て參りまする都市計畫を決定致しまする前に、必ず運輸省と次のやうな點に付て打合せて居ります、其の第一點は從來の驛を移轉する計畫があるかないか、又移轉する場合には何處へ移轉をするか、それから若し貨物驛と乘客の專用驛と分離するやうな計畫があれば、それはどう云ふ計畫であるか、それから鐵道の要求する驛の爲めの用地竝に線路の用地としてはどう云ふ用地が必要であるか、それから彈丸列車其の他新線に付ての鐵道の計畫は、其の都市に於てはどうなつて居るか、斯う云ふやうな點を打合せて居ります、それから港灣の點に關しましても、やはり同樣に港灣局と將來の港灣計畫を打合せると云ふやうなことを致して居りまして、現在までに決定致して居りまする各都市の都市計畫に於きましては、驛前廣場或は貨物驛の新設、新線の構築又今後の鐵道の改良、事業の爲に必要な用地、是等の點も十分に打合せを致しまして、區劃整理に於きましては必ず是等の用地を獲得することが出來るやうな措置を講じてやつて居る次第でございます、此の點は他の省に關しましてもやはり同樣の打合せを致して、計畫が將來齟齬することがないやうに、出來得る限り連絡を致して居ります
それから、第六條の規定に土地の關係人の同意が必要となつて居るが、同意なくて清算が出來るやうにしてはどうかと云ふ點でございますが、此の法案に於きましては、過小宅地を整理する場合、或は大なる宅地を、特に減歩の率を増して減歩をするやうな場合、さう云ふ場合には同意がなくてやれることに致してありますが、併し一般的に同意がなく清算をすると云ふ方法は認めて居りませぬ、併しながら是は今後土地區劃整理委員會の運用に依りまして、不用になりました工場敷地であるとか、其の他餘り利用してなかつたやうな大邸宅の燒跡であるとか、さう云つたものに付ては、出來るだけ勸奬の方法を講じて、清算をする必要のありますものは清算をして戴くやうにすると云ふ風な指導を致したいと思つて居ります、それから第十一條の土地區劃整理の委員會でございますが、是は東京都に於きましては之を幾つかの土地區劃整理施行地區に分けることに豫想して居ります、唯其の地域はまだ具體的に決定して居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=16
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017・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 第六條に付ては分りました、下水道の問題ですが、下水道は在來の下水を修理をすると云ふ風な御答辯でありましたが、在來の下水が兎に角實際に於て其の利用價値が全然「ゼロ」のものがある、是は技術者から見ましても、在來の下水と云ふものはもう既に泥砂に依つて殆ど埋められて居る箇所もある、技術的にあれは立派なものでないと云ふやうなことを聞かされて居ります、それから其の下水の不完備に依つて東京都内に於ても時時川の氾濫するやうな場所もありましたり、もう根本的に都市計畫と並行して、先づ第一に私は下水道の大計畫を立直さなければ、到底衞生的見地から立派な都市は出來ないと思ひますから、其の點十分に御考へ下さるやうに御願ひしたいと思ひます
それから、運輸省とは緊密な連絡がある、前以て計畫の途上に於て打合せをして行くと云ふ風な御答辯でありましたが、是も、私の知つて居る範圍の所に於ては、既に幹線道路が發表になつて、そこに大貨物驛が出現をすると云ふので、寄り寄り地元の者が陳情をして居るさうであります、是等は餘り緊密な連絡が付いてないやうに考へられます、東京都に付ての大體を通じての質問でありますが、交通局、港灣局などは、それは都の方で非常に細かい所の打合せが付くか知りませぬが、どうも運輸省との連絡は、今までの都市計畫事業の上に於きましても、道路が出來ても三年も五年も踏切が擴がらなかつたり、其の土堤が開かなかつたりして、道路が全然使へないと云ふことは未だにある、是等を唯連絡がお付きになつて居るやうに御考ヘであつては私は困ると思ひます、もう一遍是は能く御調査を御願ひしたいと思ひます、それから大體東京都は何區かに御分けになつて委員會を御作りのやうでありますが、私は第十六條に付て御尋ねしたいと思ひますが、第十六條には「第五條第一項の土地區劃整理の施行により、土地區劃整理施行地區内における施行後の宅地の總地積が、施行前の宅地の總地積に比し、一割五分以上減少するに至つたときは、その一割五分を超える部分について、土地所有者及び關係者に對して、勅令の定めるところにより、補償金を交付する」とありますが、是が私の懸念しましたのは、東京都が若し一委員會になつたやうな場合でありますが、之を分割して委員會を御作りになると云ふならば、斯う云ふ點も御考へが願ひたいと思ひます、是は緑地地帶を單獨な買收をした場合、所謂別途事業としてあつた場合、新市域の方面は大體緑地地帶を除いて二割五分か三割程度の減歩となる樣子でありますが、都心京橋、日本橋、淺草などは、道路の完備、所謂在來道路面積の擴大の爲め其の減歩は七、八分に過ぎないと云ふことでありまして、若し一割五分に達しない場合は之を清算負擔することが適當である、と申しますのは、是等の中心都心地域は、曾ての關東大震災に於て既に總地積の一割を提供をして居るやに聞いて居ります、而して又今囘の此の都市計畫に依つて一律一體に一割五分以上と云ふことを規定される場合に、新市域との均衡上私は不平等ではないかと考へるのでありまして、此の點に付て一寸御伺ひして見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=17
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018・財津吉文
○財津政府委員 只今の御質問に御答へ致します、此の一割五分以上の減歩の場合、一割五分だけは地主に負擔させる、此の場合の區域はどう云ふ所を標準にするかと云ふ問題になると思ひますが、それは大體地區毎にやりたいと思つて居ります、隨ひまして銀座の減歩と新市域の減歩とが一緒になると云ふことはないと思ひます、大體似たやうな箇所に於て此の今の減歩の割合が確定される、斯う云ふやうに御承知置きを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=18
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019・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 了解致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=19
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020・林田正治
○林田委員長 次は鹿島透君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=20
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021・鹿島透
○鹿島委員 色々御聽きしたいと思つたことがありましたが、あらまし了承致しました、國土省の設置の問題は此の前の質問で保留して居つたのでありますが、内務省からお見えになつて居れば御伺ひして置きたいと思ひます、尚ほ國土計畫審議會の方はどうなつて居るか、此のことも序に御伺ひ致して置きます、それから農村計畫と云ふやうなことに付て御伺ひしたいのでありますが、昨年十二月の閣議決定に依る戰災地復興計畫基本方針に、都市、農村の人口配分等に關する合理的方策に依り過大都市の抑制云々と云ふことが示されて居りますが、過大都市の人口抑制は大體此の法案で出來るとしまして、其の人口をば農村方面に持つて行く譯でありますが、農村の受入に付ても色々なことが考へられて居りますけれども、是では十分でないと云ふ風に私は考へるのであります、過大都市を抑制しようとすれば、當然農村に對する受入態勢を整へて、そんな意味から尚ほ又今後の我が國の經濟の形體を相當變つたものにして行かなければ、色色な問題が解決しないと云ふ立場から、農村方面、農工を中核とする産業の再編成が必要であると思つて居るのでありまして、耕地の造成やら水利、道路の整備、尚ほ文化施設の向上、生活の改善、斯う云つたやうなことをば考へ併せまして、農工兩方面の生産を増強する、文化程度を上げると云つたやうな施策を執らなければ農村人口を増加することは出來ないと考へるのであります、私は本法案と共に所謂都市計畫に對して、農村計畫と云つたものが必要であると考へて居るのでありますが、農村計畫をば立法化すると云ふ考へはないか、之をば此の機會に御尋ねして置きます
それから次には特殊な都市の整備復興に付てでありますが、地方の都市中特に軍關係の施設、或は軍需工場等を中心として運營されて居つた所謂軍都、軍港、軍關係工場都市、是等特殊の性格を持つて居つた都市の復興に付ては、又特別の考慮を拂ふ必要があると考へて居ります、是等の都市に殘存して居る諸施設の轉換及び整備擴充等に付て、全く新たな構想の下に實施する必要があると思ふのでありまして、又其の都市だけで是は解決すべき問題でもない、其の都市を含む一聯の地域をば含めて、綜合的に計畫實施することが大事であると思つて居ります、之に付てどう云ふやうな御考へを持つて居られるか、それを御伺ひ致して置きたいと思ひます
それから資材の問題でありますが、是は中々難かしい問題でありますけれども、本法案を實施するには厖大な各種の復興資材が要るのでありまして、差當り「セメント」の如き是は非常に必要と考へて居ります、「セメント」の生産状況と將來に對する見透し、是等に付て御伺ひして置きます、尚ほ硝子に付ても同樣に御伺ひを致して置きます
それから大學、專門學校等の地方分散に付ては、それぞれ關係方面と打合せをして居ると云ふことでありましたが、私も是は是非此の際斯う云つたやうな教育機關竝に研究機關等はどうしても地方に分散する必要がある、さうしなければ結局此の過大都市を抑へて行くことは出來ないと云ふやうな考へを持つて居るのでありまして、是は大體御答へがありましたからそれで了承致しました、特に地方の戰災學校の復興でありますが、是は非常に地方でも困つて居ります、資材もないし、又金も起債を許されぬ關係で非常に困つて居ります、何とかして是等戰災の國民學校或は中等學校等を早く復興しなければ、是は非常な問題を將來に貽すと考へて居るのでありますが、之に付ての御考へを御伺ひ致して置きたいと思ひます
それから都市計畫委員會の運用に付てでありますが、一體地方の委員會でありますけれども、果して此の運用が旨く行つて居るかどうかと云ふ問題であります、地方の縣廳方面の係の方が本省と打合せて案を御作りになつて、それに付て地方の委員會が十分意見を述べて、本當にさう云つたやうな意見希望等が採り入れられて居るか、參考書で御伺ひ致しますと、既に街路區劃等に付ても決定して居る向があるやうでありますが、果して是等は地方の都市計畫委員會が、十分活用されて、其の上で決定して居るものであるか、其の點も御伺ひ致して置きます、尚ほ又地方委員會の意見、是等も道路等に付てはさう地方委員會で彼此れ申しましても、全國を通じての基本方針がございませうから、簡單に變更せられませぬでせうけれども、地方委員會の考へも相當復興計畫に付ては御採用になる方針であるかどうか、唯諮問をする、唯意見を聽くと云ふだけであつて、本當にそれ等の考へが採入れられて居らぬのではないかと思ふのでありますが、委員會の意思を十分尊重されるかどうかと云ふことも併せて御伺ひ致して置きます
それか過大都市の人口抑制と云ふことが書いてありますが、どうも此の法案をずつと見まして、果して過大都市の人口抑制が十分出來るかどうかと云ふ不安を私は持つて居ります、本法案に於てどの條項が過大都市の人口を抑制する強制力を持つて居るかと云ふことを御伺ひ致して置きたいと思ふ、第六條も第七條も、私はさう大した效果はないぢやないか、結局東京で申しますと、今の人口よりか更に相當多い所の、言換へますれば戰前の人口と云つたやうなそんなものになりはせんかと云つた不安があるのであります、此の點は人口を抑制する爲に無論考へてありますけれども、其の效果がないぢやないかと云ふことを考へるのでありまして、どの條項が之に付て準備されて居るかと云ふことをば御伺ひ致します
過小宅地の問題は出ましたから是は此の際質疑は取止めます、唯三十坪と云つたやうな坪數では非常に少い、やはり今後の都市は、私は畑でも作れるやうな宅地が欲しいのでありまして、之に付ては地方の状況に依つて三十坪以上、是は最小限度を示したのだから善處すると云ふ話がありましたが、出來るだけ此の敷地は相當廣いものが取られるやうに希望する譯であります、それから次に個人の所有する宅地に付て其の總面積を制限すると云つたやうな意思はないかどうか、先程の御答辯で一寸それらしい御答辯がありましたけれども、其の點をばはつきり御伺ひして置きたいと思ふのであります、農業方面に於ても農地の所有面積が制限されますが、都會方面の宅地に付ても、私は餘り大きい宅地を個人が持つて居る、是はどうかと思ふのでありまして、さう云つたやうな考へはないかどうか、尚ほ又本法案にさう云ふ點が示してあればどの點がそれに當るか、さう云ふことも御示しを願ひたいと思つて居ります、それから住宅の宅地と建坪との比例はどの位にされる御積りでありますか、尚ほ學校の敷地の適正化が必要だらうと思ひますが、之に付ても基準を持つていらつしやるかどうか、それと本法適用の地域外の町村に當つて緑地地域を指定した場合に、其の土地の利用に對する制限はどうか、其のことも御伺ひを致して置きます、それから堅牢建築物、耐火建築物を促進することは必要であり、又さう云ふやうな御方針のやうでありますが、それに對する具體的な御考へがあれば伺ひたい、住宅敷地造成の爲の具體的な御考へ、尚ほ共同住宅に對する御考も此の際御伺ひを致して置きたいと思ひます、以上のことを御尋ね致しまして、尚ほ御答へに依つて更に小さい點を御聽きしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=21
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022・林田正治
○林田委員長 鹿島君に申上げます、先般も御話がありました國土省の設置の問題でありまするが、此の問題に付ては本日總理大臣が出席されて御答辯がある筈でありました所、病氣の爲に登院がありませぬ、不日適當なる機會に總理大臣から答辯があるさうでありまするから、それまで御待ちを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=22
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023・岩澤忠恭
○岩澤政府委員 國土計畫に付ての御質問に對して一應簡單でありますけれども御答へ致したいと思ひます、御存じの通り國土計畫に付きましては、戰爭前から戰爭中に掛けましては、大東亞共榮圈の經濟關係の方に對象を取つて居りました爲に、非常に厖大な國土計畫の構想を練つて居つたのでありますけれども、敗戰後に於きましては御存じの通り「ポツダム」宣言の要請を完全に遂行すると共に、民主主義國家の建設を圖る爲には、非常に少くなりました國土に、而も過大な人口を收容して如何にして今後日本國が存在して行くかと云ふことが主目的になつて居るのであります、其の爲には第一に、考へなければならぬことは、食糧増産確保を期する上に於ての農業の再建、それから戰災地の復興、軍需産業の解體竝に之を平和産業に切替へて行くこと、又食糧増産の基礎的條件であります所の肥料とか、石炭、鐵鋼に付きましての基礎産業の開發等、色々綜合的關聯に付きまして、急速に是等の計畫を立てまして、過大な人口の收容に遺憾ないやうな目途の下に國土計畫を考へなければならぬと思ふのであります、隨ひまして是等の主目的を計畫する場合に於ては、國土計畫は唯單に抽象的に都市計畫とは違ひまして、總ての方面に御存じの通りに關係がありますから、唯單に内務省だけで之をどう斯うすると云ふことは非常な重荷でありますけれども、併しながら現在内務省に於て之を總括して居る關係上、私の方と致しましては敗戰後此の縮小せられた國土、又過大な人口を今後どうして生かして行くかと云ふ點に付きまして相當研究を重ねて居りまして、漸く一案が出來て居るのであります、此の案を、先程御尋ねになりました國土計畫の審議會が成立致しましたならば、之に掛けまして、本當の固まつたものにして發表致したいと思ひます、尚ほ先程の過大人口を今後どうして配分するかと云ふ御尋ねでありましたけれども、是は今暫定的な此の案の一部として、私も先程の御質問と同樣な趣旨に於て、今後に於て此の過大人口は少くとも農村に於て之を收容して貰ひたい、出來るだけ都市の膨脹を抑制すると云ふ方針の下に、農業地の増大と、隨て農村の文化施設の向上と云ふやうな面と結び合せて、田舍の方に出來るだけ人口を收容して貰ひたい、就きましては是は一つの構想でありまするけれども、今後五箇年間に於て日本の人口が八千萬人になるものだと云ふ場合に於ては、農村と都市に於てどう云ふやうな人口の配分計畫をして居るかと申しますと、大體我々の狙つて居る所は、都市に三千萬、農村に於て五千萬と云ふ人口を收容するのが適當ではないかと思ふのであります、尚ほ戰災地の工業配分、或は又全國的な工業配分に付きましては、御存じの通り工業が賠償の對象となるのが相當ありますから、今直ちにどう云ふものが殘るかと云ふ見透しは付きませぬけれども、どうしても日本の將來のことを考へますれば、或る面に於ては重工業なり、或は輕工業其の他の工業はどうしても存置しなければならぬ爲に、さう云ふやうなことも配分計畫は持つて居りますけれども、是が最終的のものでありませぬから、此の席に於て發表するだけの域に達して居りませぬ、其の他各都市の人口配分に付きましては、我々の方の案として今後各方面の專門家に御集り願つて、十分檢討して貰つた上に於て總ての人口を、此の位が適當ではないかと云ふやうなことも發表出來るやうになるだらうと考へて居ります、以上御答へ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=23
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024・大橋武夫
○大橋政府委員 都市計畫委員會の運用に付きまして御質問がございましたが、現在都市計畫委員會の運用と致しましては、此の委員會の委員を出來るだけ其の地方の實情、又地方の民意を反映出來るやうな人を網羅するやうに指導を致して居ります、尚ほ此の都市計畫委員會の外に、當局と致しましては關係の市町村に特別の復興委員會と云ふやうなものが出來るやうに指導をし、其の市町村の都市計畫に付きましては、其の市町村に於ける復興委員會、是は市町村制の委員會でございまして、都市計畫の委員會ではございませぬ、都市計畫法上の意義を持つものではございませぬが、實際上其の委員會には其の地方の各方面の關係者、識者を網羅致しまして、地方の民意が眞に活溌に其の委員會に反映するやうな指導を致して居ります、さうして地方に於ける計畫と云ふものは、此の復興委員會を通つたものが案として復興院の方へ出て來る、復興院では其の地方の市町村に於ける委員會を通り、府縣廳を通つて出て來た案に對して、法律上の手續として地方の都市計畫委員會に諮問をすると、斯う云ふ風なやり方に相成つて居るのでございます、勿論此の場合に於きましても、其の地方委員會に於ける意見は出來るだけ之に據るべきものでございまして、事實上地方の委員會等の意見が當局に於て採用されなかつたと云ふ實例はございませぬ
それから過大都市の抑制に付て、今囘の法案のどの條項がそれに該當して居るかと云ふ御質問でございましたが、只今國土局長から答辯がございましたやうに過大都市の抑制に付ては別途の措置に依つて之を講ずべきものと考へまして、此の法案自體に於きましては、過大都市を直接抑制すべき有效なる規定と云ふものは入つて居りませぬ、それから都市に於ける大なる宅地を制限するやうな規定を置いてはないと云ふ點でございまするが、大なる宅地が色々な意味から言ひまして、今後都市に於ては問題になると存ずるのでございまするが、本法案に於きましては區劃整理減歩の結果、過小宅地を整理することになる、其の整理をする爲に、從來の過小宅地に却て逆に敷地の廣さを増してやらなければならぬ場合、又一般の率よりも減す率を小なる宅地に付ては減さなければならぬ、さう云ふやうな場合に於きましては、其の小なる宅地に於て減歩が少くなつただけ之を何處かに於て埋合せなければなりませぬので、是は出來るだけ大なる宅地に於て、それだけの減歩を餘計負擔して貰ふと云ふ方法を採ることに致して居ります、是は第七條の第二項に其の旨が規定致してございます
それから土地の利用の方法として特に兼併率の點はどうなるかと云ふ御尋ねでございまするが、將來の都市の性格に鑑みまして、土地の兼併率をもう少し減して行かなければならぬと云ふことは明かなのでございまして、此の點は將來市街地建築物法の改正に依つて、兼併率に對する現在の制限は一層強化されることになると思ふのでございます、唯其の具體的な率等に付きましては今尚ほ調査中でございまするが、現在よりも相當強化される方向に向いて居ると云ふことだけは御答へ出來るのでございます
尚ほ復興關係の資材に關する問題でございまするが、現在の所土木建築等に必要なる鐵鋼とか「セメント」、又硝子と云つたやうな資材は、戰後特に石炭の増産が捗々しく參りませぬやうな關係上、當初に豫定せられたやうな増産の成績を見て居りませぬ、隨ひまして今日資材關係は頗る窮屈でございます、殊に某方面に於ける相當な用途がございまする結果、今日國内の復興用に許されて居る資材の量と云ふものは、我々の希望量に比較しまして極めて僅少でありますけれども、併し此の問題は、今後の一般の産業の復興の「テンポ」と云ふものと一緒に行くべきものと思つて居るのでございまして、何時までも今日のやうな状態が續くと云ふことは考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=24
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025・中田政美
○中田政府委員 只今耐火性の建築物の助成に付ての御質問がありましたので、其の分を御答へします、戰災都市の建築物に付きましては、恒久對策と致しましては能ふ限り耐火性の建築物に致したいと云ふことは、強い我々の方針であります、併しながら其の耐火性と申しましても、其の階數等は、平家とか或は二階建と云ふやうなことでなしに、能ふ限り立體制に四階或は五階と云ふやうに致しまして、土地の活用に資したいと云ふ考へでありまして、之に依つて建設される都市は、明るく能率的なものに致したい根本の考へであります、併しながら是等の建築に付きましては多大の資材が要りますので、全部之を鐵筋「コンクリート」に致しますことは、中々容易ならぬ資材難に打突かると思ひます、隨ひまして現在に於きましても、復興院に於きます研究所に於て、未利用資材の活用方法等に付ても研究を進めて居ります、又此の耐火建築物に付ての助成に付きましては、其の必要なる土地或は資材、資金等の斡旋、免税、又は國庫補助等、色々な點に付て助成の方法に付き目下研究致して居りますが、差當つての問題と致しましては、資材等の關係もありまして中々困難のやうでございますので、極力之に今後努力する考へでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=25
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026・日高第四郎
○日高政府委員 初めに戰災學校の概要だけを申上げます、今度の罹災致しました學校の中、被害の輕微なものを除きますと、大學が三十一校、高等學校が二十三校、專門學校が百十四校、教員養成所學校が六十二校、中等學校が五百九十六校、青年學校が九百六十三校、國民學校が千百六十四校合計しますと二千九百五十三校と非常な多數に上つて居りますので、是等のものを復舊させることは、今日の日本の文化を昂揚し教育を充實させる爲には、非常に必要なものではございますけれども、他の省からも御説明があつたかと存じますけれども、復興の爲めの資材は非常に窮屈でございまして、急に之を復興することは中々困難であります、それで今の所では殘存の建築物を應急に修理致しましてそれを最大限に使ふ、例へば二部教授をするとか、或は一つの校舍を二つの學校で使ふとか云ふやうな方法を一方では執りますと同時に、元の軍事施設等の建物を出來るだけ轉用して、急に間に合せると云ふやうな方法を執つて居ります、文部省と致しましては、今度の戰爭に依りまして色色な災害を受けました經驗から考へまして、出來るだけ適當に學校の配分を考へたいと云ふことは念願致して居りますが、事實上校舍を移すと云ふやうなことは非常な困難に逢著致して居りますので、今の場合は應急の處置として、主に軍の學校或は施設の轉用と云ふ所に目標を置きまして、それを成べく支障の少いやうに配當する爲に、臨時に學校施設を考へる施設部を設けまして、大藏省の方と御相談致して、其の重要度竝に緊急度と云ふやうなことを勘案致して處置を決定致して居る次第であります、それから復興に要します資金其の他に付きましては、御承知のやうに今日は色々の制限がありまして、必ずしも教育の爲めであるから凍結されて居る資金が融通出來ると云ふ風になつて居りませぬので、是等の點に付ては今後の日本の教育を復興させる爲めの最大な必要事項でありますので、寄り寄り研究致しまして、大藏當局竝に物資の方では商工省「マ」司令部關係などに宜く諒解を得まして、成べく教育に關する資金の融通の付きますやうに骨折りを致して居ります、まだ十分な成案を得て居りませぬのは甚だ申譯ございませぬが、さう云ふ意圖を以ちまして研究中でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=26
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027・大橋武夫
○大橋政府委員 緑地地域に於きまする土地利用の制限と致しましては、緑地地域の建物の新築、又は増築の制限と云ふことが狽ひに相成つて居ります、即ち農業、林業、畜産業、又は水産業を營むに付て、必要な建築物、或はさう云ふ仕事に從事して居ります者が居住する爲に使ふ所の建築物、それから公園、運動場のやうな施設に付隨した所の建築物、又建築物の敷地の面積に比しまして著しく兼併率の低い建物、斯う云つたやうな建物、即ち緑地の效果を害しない、又は緑地の利用上必要であると云つたやうな建物だけを認めて行く、斯う云ふ風に致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=27
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028・鹿島透
○鹿島委員 まだ御答辯がない所がありますが、又何れかの機會に致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=28
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029・林田正治
○林田委員長 それでは午前中は之を以て會議を閉ぢまして、午後二時から會議を續行致します
午後零時十六分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=29
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030・会議録情報2
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午後二時五分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=30
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031・林田正治
○林田委員長 それでは午前中に引續いて會議を開きます、午前の質問に對して政府委員の答辯漏れがあるさうですから、其の御答辯を御願ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=31
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032・大橋武夫
○大橋政府委員 午前中の鹿島委員の御質問中、答辯漏れの事項に付て御答へ申上げます、御質問は軍都、軍港或は軍の工廠の如く、軍關係の施設に依つて、之を基礎として立つて居つた都市の復興に付ては、特別の考慮が必要であると云ふ趣旨の御質問でございます、此の點は當局と致しましても全く同感に存ずるのでございます、特に軍港に付きましては、其の港灣を商業上の港として轉換することの可否、又之を港として其都市が商業都或は工業都として立ち得るか否かと云ふやうな點が問題になる譯でございます、又軍の工廠のありました都市に於きましては、此の工場設備を平和産業に轉換すると云ふ問題もある譯でございますが、併しながら此の點は工廠に於ける設備は主として賠償の對象になるものが多いやうな關係上、工廠自體の轉換と云ふことが今尚ほどう云ふ方向に持つて行くべきかと云ふやうな點に付て、或る時期を經ませぬと云ふと、確たる見透しが付かないやうな實情にある譯でございます、それから軍の師團、或は軍の學校等のありました都市が、是等の施設のなくなつた後にどうなるかと云ふ問題がある譯でございますが、是は午前中にも他の政府委員より答辯のありました學校の分散の問題等と睨み合せまして、適當なる所に適當なる學校を移轉する、此の問題は方針さへ決定致しますならば、比較的簡單に實現し得るものと考へて居るのでございます、何れに致しましても軍都、軍港、工廠所在地等の都市と致しましては、是等の都市の將來と云ふ問題に付きましては、先づ第一に都市自身が、市民自身が問題に致して居りまして色々と考究中であり、又各方面の手蔓を求めて、必要なる工場或は學校等の施設を誘致するやうに努めて居るのが現在の状況でございます、政府と致しましては是等の都市の實情を能く見まして、必要な場合に於きましては、無論政府として其の更生に必要なる援助をしなければなりませぬし、又御述べになりました通りに、地方計畫乃至國土計畫の觀點から此の問題を取上げて、國土計畫の上の大きな題目の一つとして考究する手筈に相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=32
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033・鹿島透
○鹿島委員 委員長、一寸もう一つ──大體分りましたが、もう一つ小さい問題ですが關聯がありますから、一寸御尋ねして置きたいのは、此の復興には規格の整備が非常に必要でありますが、特に「メートル」法が現在では全面的に採用致して居りませぬ、復興院として「メートル」法の全面採用に付てどう云ふ考へを持つて居るか、一言御聽きして置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=33
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034・大橋武夫
○大橋政府委員 「メートル」法に付きましては、復興院と致しましては出來得る限り之に依るやうに努めて居ります、既に市街地建築物法に於きましては、其の規格は「メートル」法に依つてやつて居ります、隨ひまして建築物の取締等に付きましても、出來得る限り「メートル」法に依つて取締ることに相成つて居ります、又一般土木に付きましても道路、橋梁其の他の規格は殆ど「メートル」に依つて居るやうな實情でございまして、復興院と致しましては「メートル」法に付きましては、之を出來るだけ速かに土木建築の全面に此の方式が採用せられることを希望致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=34
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035・林田正治
○林田委員長 それでは通告順に從ひまして西村久之君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=35
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036・西村久之
○西村(久)委員 私は此の機會に極く簡單に、戰災地復興の問題に關しまする政府當局の御意見を二、三御質し致したいと存ずるのであります、午前中の會議に鈴木君から下水道關係の施設に對して、適當なる計畫を立てる必要はないかと云ふやうな御尋ねがありました、私もそれに對して同じ意見を有するのでありまするが、是と相關聯致します、斯くの如きことは今後ないと豫想しなければなりませぬので、百年の大計を立てる戰災都市の復舊と致しましては、外に出て居ります所の電信、電話線は全部之を外から地下に埋めて、地下施設に變へるべきが今後に於ける大都市計畫の最も必要なる施設の一つではなからうかと云ふことを痛感するのであります、外へ出て居ります關係から、火災でもありますれば直ちに電信、電話線に故障を起しまして、通話は杜絶され、それが機能を發揮するに不便を感ずる例少くないのであります、斯う云ふ風なことを考へまして、將來に於ける大都市を計畫するには、此の戰災地復興に當りまして電信、電話線を地下に變へられる御計畫の下に進められようとする御意圖を持つて居るかどうか、此の點を一つ御尋ね申上げます
次に廣島、長崎の如く世界に比類のない原子力を持つた爆彈を以て見舞はれました、其の慘状眼も當てられないやうな戰災都市中の慘状を呈した都市があるのでありまするが、此の都市は他の都市の燒夷彈、爆彈の被害と趣きを異に致しまして、時間たるや一秒半乃至二秒の瞬間に於きまして全家屋は倒壞を致しまするし、人畜は即死するし、遠方の距離にあります所の、一定の離れたる地點にあります所は人類に致しましても、原子爆彈の被害を受けまして、一週間目二週間目で死んでしまふと云ふやうな悲慘なる状況を呈したのでありまして、斯くの如き中心地に當るべき所の戰災都市は、殆ど草木も數十年間は生えぬであらうと云ふやうに豫想された位、嚴しい所の爆撃を受けたのであります、隨ひまして殘つて居りますものは殆どないのであります、鐵筋「コンクリート」建に致しましても、一時に倒壞致しまして、鐵筋は飴玉のやうに曲るやうな實情を呈して居るのであります、斯う云ふ都市に於きまする戰災の復興に當りましては、特別都市計畫に依りませぬ別箇の戰災都市の復舊に、政府としては御留意になつて然るべきではないかと思ふのであります、隨ひまして原子爆彈下に於ける戰災都市の復舊計畫に、別途の成案があられるかどうかと云ふ點を御尋ね申上げて見たいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=36
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037・阿部美樹志
○阿部(美)政府委員 先程來上下水道の整備問題に付て、特に御注意がありました次第で、都市の基本計畫はやはり上下水道、特に下水道であると思ひますから、東京都其の他の關係方面と十分協力致しまして、迅速なる囘復が出來るやうに取計らひたいと思ひます、又只今の御説の電信電話等の地下埋設に關しましては、私共年來希望して居るのでございますが、是は遞信省其の他の關係でごいざますから、能く協議致しまして、其の方の當局から御答辯致すやうに致したいと思ひます
最後に廣島及び長崎の慘害、是は私共洵に同情の至りに堪へないのでございまして、只今如何なる方法を以て之を囘復するか、復興するかと云ふことに付きましては、多大の研究を要する問題であると存ずるのであります、終戰直後に米軍もやはり此の問題に付きまして非常な關心を持つて、直ちに調査員を派遣したやうな次第でございまして、其の調査員から聽きます所に依りますと、是は今後斯う云ふものが自分の國に來た場合に、どう云ふ風にして都市を護るかと云ふことを研究するのである、斯う言つて居りました、隨て我々としても材料はございませぬが、今後十分に研究を加へまして、萬遺憾のないやうに處置致したいと思ひます、出來るだけのことを致して復興に努めたい考へでございます、まだ成案と云ふ程度に達して居りませぬことは洵に申譯ない次第と思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=37
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038・西村久之
○西村(久)委員 只今の政府當局の御意見を伺ひますと、御努力になると云ふ御心持は分るのでありますが、私の御尋ね申上げて居りますのは、別箇の扱ひ方を以て此の兩都市の復興計畫に當られんとする御意見があるかどうかと云ふ點であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=38
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039・阿部美樹志
○阿部(美)政府委員 只今の御尋ねに對しましては、今日まで兩都市の復興に特別の方法を執る、或は特別の特別都市計畫法を立てると云ふ所まで進んで居りませぬが、實情に即しまして將來さう云ふ場合が生じますれば、特別の立法を考へたい、斯う存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=39
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040・西村久之
○西村(久)委員 御答辯で御趣旨は了承致しましたが、電信電話の問題に付ては、遞信當局と打合せた後に御答辯を願ふと云ふことに致しまして、御答辯は後日に伺ふことと致しまして、私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=40
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041・林田正治
○林田委員長 前田榮之助君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=41
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042・前田榮之助
○前田委員 此の際私は復興院當局竝に關係各省の方に御尋ねして置きたいのでありますが、先づ第一に特別都市計畫法案の實施に當りましては、既に御説明にもなりましたやうに、資材の方面からも、資金の方面からも、執行の上に非常な難關が横はつて居ると云ふことであります、之に對しては多大な努力を必要と致すのでありますが、如何に多大な努力を拂ひましても、中中困難なものが澤山あります、さう云ふことを考へた時に、御當局の方では大體御計畫になつて居る百二十有餘の戰災都市の復興の完成は、何年間で完成すると云ふ御豫定を持つて居るかと云ふことを第一に御尋ね致したいのであります、其の期間、世界は非常な速力を以て進歩發達をすると思ふのであります、假に十年間で此の計畫が完成致しますると其の十年後の都市を如何にすべきか、國民生活をしてどう云ふやうに持つて行くべきか、斯う云ふ所に此の計畫がなければならぬと思ふのであります、從來動ともすると都市計畫等を立てられた場合に、計畫が完成した時には、最初に計畫した人口數等を既に超過して、其の計畫は極めて消極的な、國民生活とぴつたり合はないと云ふやうなことが間々あるのでありますが、さう云ふ點の見透しに付て御當局の御考へを先づ聽いて置きたいのであります、其の主なる問題は、日本の産業が斯うした非常に資材の不足をして居る、資源の乏しい國と致しましては、今日のやうな状態でなしに、一つの經濟革命が當然行はれるものだと我我は考へて居るのでありますが、其の生産の基礎になるものは、日本に於ては少くとも電氣産業でなければならぬと思ふのであります、今日の産業の基礎が肥料に致しましても、其の他の生活必需物資の生産に致しましても、交通運輸の關係に致しましても、石炭に頼つて居る部面が大變多い爲に、日本の復興に付て非常な難關に打突かつて居る譯なのでありますが、將來の日本は電氣産業でなければならぬと思ふ、さう云ふ上に立つて都市復興の抱負、それから是は國土局の方に聽きたいのでありますが、日本の國土計畫がやはりさう云ふ上に立つて、電氣産業を基礎とした所の國土計畫と云ふものに對しての御考へを先づ第一に承つて置きたいのであります
其の次には文化都市の建設の問題でありますが、他の委員からも色々御聽きになつて居りまするので、重複するやうな點は御答辯を省略して戴いて差支へありませぬ、唯私が附加へて御尋ね致して置きたいのは、御説明にもありましたやうに、日本の學校を全國的に適當な所に適當な學校を置くと云ふ分布状態を考へると云ふ御話であるのでありますが、其の考へは今日の學校教育と云ふものを基礎にされて居るかどうか、十年後の學校教育と云ふものを基礎にすべきではないかと私はさう云ふ觀點を持つて居るのであります、日本の今日までの殊に高等專門學校、大學あたりの教育は、實際我々國民生活からは縁の遠いやうな學校教育をされて居るやうに我々は見て居るのであります、即ち法科に致しましても辯護士とか官吏とか云ふものを作るやうな教育を致しまして、今日までの官僚政治の中に陣取つて、日本の國民生活の優位な地位に立つて、今までの所謂官僚獨善主義とか云ふやうな弊害のあることをやつて來たのでありますが、將來の日本の教育と云ふものはさう云ふことが不當であることは私が多言を要しない所でありまして、さう云ふ上から考へますると、學校教育は國民生活と常に表裏一體となつた──日常生活と云ひますか、日常社會國家經濟と表面一體となつたやうな教育が行はれなければならぬ、さう致しますると唯講堂の中で講義を聽くと云ふことでなしに、是は「アメリカ」等の方面に於ては特にさう云ふ點が顯著だと云ふ風に私共も承知致して居るのでありますが、工業地帶に工科を置く、或は水産業の旺盛な所に水産學校を置く、又病院等の盛んであり、又非常に空氣が良くて風景の佳い所で療養所等がある所には、其のやうに適當な醫科の學校と云ふやうなものが當然必要になることだと思ふ、東京の眞中に農科大學があると云ふやうな、そんな馬鹿げた學校施設の妥當でないことは、論を俟たないのでありますが、さう云ふ十年後の、或は二十年後の日本の國民經濟、其の他の國民生活と云ふものを中心として考へられた學校教育施設と云ふものの分布が考へられて居るかどうか、又それが考へられて居るならどう云ふやうに御考へになつて居るか、此の點も御尋ね致して、御答辯を煩はしたいと思ふのであります
それから都市計畫の中心になるものは、文化施設と致しましてはさう云ふものでありますか、其の他交通運輸と云ふものが其の都市の中心生命だと私は考へて居るのでありますが、此の交通運輸の都市の生命であるべきものの中で、特に日本の缺陷とも言ふべきものは、港灣施設だと思ふのであります、唯單なる棧橋があり、岸壁があると云ふことだけでは、港灣の價値は私はないと思ふのでありまして、それには非常な高度な科學機械と云ふものが使はれなければならぬ、「クレーン」其の他の施設、或は倉庫等に致しましても、世界の科學機械の粹を集めたやうなものが作られなければ、其の港灣施設、其の都市の港灣としては價値がないものではないかと思ふのであります、さう云ふことを考へた時に、日本の都市計畫等に付ては、特に留意しなければならぬと思ふのであります、此の點に付きましても、非常に一方に偏した、例へば九州、中國の所謂馬關を中心とした所へ、さう云ふ施設が集中されて居つても、是はいけないのでありまして、國土計畫から言ひまするならば、關東方面は何處、北海道方面は何處、日本海方面に於ては或は新潟、舞鶴と云ふやうな分布等も相當考へられなければならぬのでありますが、さう云ふ御考へに付ては相當御考慮になつて居るとは信ずるのでありまするが、御高見を此の際拜聽さして戴きたいのであります
其の次に御尋ねして置きたいのは、今日の日本の實情から見ますと、物價は段々高くなり、物資は段々拂底すると云ふやうな、所謂「インフレ」状態になつた今日に、其の考だけで都市計畫は勿論御立てになつては居らぬと思ふのでありまするが、將來、數年ならずして世界の産業が一大變換をなすことをも豫想致しますると、物資は氾濫し、物價は低落して、さうして今の「インフレ」状態は逆な結果を來すことをも、我々は將來の日本と致しましては豫想しなければならぬと思ふのであります、さうした際に國土局長の御説明に依りますと、日本の八千萬の人口の中で三千萬は都市、五千萬は農村が適當と考へて居ると云ふ御話がありましたが、此の五千萬の農村の人口が、今日のやうな日本の農業形態で果して生活し得るかどうかと云ふことは、私は極めて困難ではないかと思ふのであります、斯う云ふことを考へた時に、今日の日本の農村は單なる耕作農民としてのみならず、進んで農村に於ける所の工業化、電化、斯う云ふものを急速に發展させなければならぬ實情が必ず來るのではなからうかと云ふことを豫想致しました時に、やはり此の都市計畫の中に於ける工場等の中で、農村へ分散さるべきものが相當あるのではなからうかと思ふ、斯う云ふこともやはり計畫の中に入れられつつ此の都市計畫法が作られて居るかどうか、斯う云ふ點を御尋ねして置きたいのであります
それからもう一つ御尋ねして置きたいのは、斯う云ふ機會に、動ともすると從來の都市計畫と云ふものが戰爭を豫想して計畫を立てられた爲に、軍閥地主と云ふ者の爲には相當になつて居るが、反對に小市民、或は小地主と云ふものが色々收拾の付かぬ犧牲を拂つて居る部面も相當あるのであります、聞く所に依りますと、大都市の附近の農村、或は其の中に自作農の創定の爲に、農地調整法の適用を受けんとする農民が居る際に、地主の方では特別都市計畫法の指定を受けることに依つて、此の農地調整法の適用をしないことになると云ふことを聞き付けて、特別都市計畫法の指定を受けるべく農林當局へ非常に陳情等を致して居る向もあるのであります、其の反對に又農民の方にも、それは不都合だ、非常に生活を脅すと云ふので、心配して居る向も聞き及んで居るのでありますが、さう云ふことに付ては、單なる政治運動がされたことに當局が動かされるやうなことは、私は斷じてないと信じて居るのでありまするが、さう云ふことに付て農林當局から、自作農創定等の今日の食糧問題の大切な場合に、農林當局の意思と云ふものは決して、變らない御意見を持つて居るかどうかと云ふ點をも一つ御聞かせを願ひたいのであります、尚ほ一、二御聽きしたいのでありますが、御答辯を承つて後に御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=42
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043・大橋武夫
○大橋政府委員 前田さんの御質問に對しては御答へ申上げます、先づ最初の御質問は、復興の完成は何時頃まで掛るか、之に對する當局の見透しはどうかと云ふ御質問であります、御指摘になりました通り、現在の我が國と致しましては敗戰の結果、資材の面に於きましても、資金の面に於きましても、特に又國家財政の面に於きましても、極めて困難な實情にあるのでございまして、是が爲に何年計畫と云つたやうな計畫を立てて、さうして其の通りに漸を追うて毎年度々々々所定の計畫に從つて此の事業を完成に運ぶと云ふことは頗る困難でございます、隨ひまして豫算の計畫と致しましても、在來此の種の事業に於て執られて居りましたやうな繼續年度を定めて、繼續費として之を定めると云ふやうな方法は執つて居らぬのでございまして、其の理由は全く御指摘になりましたやうな國家財政の見透し、又産業囘復に對する今後の見透し、資材、資金其の他の面に付ての今後の見透しと云ふものが、全く茲一、二年間の今後の状況に依つて、或る程度定まつて行く、今現實の段階に於ては其の見透しが困難であると云ふやうな理由に基いた結果でございます、斯樣な次第でございますからして、何時まで掛るかと云ふ御質問に對しまして、何時頃までに出來上る豫定であると云ふやうな御答へを申上げることは頗る困難でありまするが、併し當局と致しましては、大體事情が許し得るならば此の程度に運んで行きたいと云ふやうな目安と申しますか、或は目安と申すよりも一應の大離把な見當と申しますか、豫定と云ふやうなはつきりした形を持つて居りせぬが、漠然たる見透しだけは付て居るのでございます、それは主として幾ら急いでも此の位は掛るだらうと云ふやうな點から、寧ろ仕事の分量とか、仕事の進捗の實際の速度、さう云つたやうなことを豫想して見當を付けた見透しと云ふやうなものがある譯でございます、それは大體土地區劃整理に付きましては五年乃至六年、道路、水道、下水道、公園、其の他此の種の都市の各種の施設に付きましては二十年乃至三十年位と云つたやうな目安は、一應付けて居るのでございます、勿論此の中特に區劃整理の五年乃至六年と云ふやうな短期のものに付きましては、資材、資金其の他の實情が頗る圓滑に行つた場合に、此の程度で完成し得ると豫定し得るのでございます、其の圓滑に行くかどうか、それの見透しと致しましては、今一寸私共の方でも立ち兼ねて居るやうな次第でございます、是は今後我が國の經濟が如何に安定するかと云ふやうな大きな根本の問題に依つて、此の年限は左右されるものと御承知を願ひたいのでございます、斯樣に此の復興事業の完成と云ふものは、相當長期の遠い將來になる次第でございますからして、それまでの間に色々な實情が變更して、其の結果折角の計畫が出來上つた頃には、時代遲れになると云ふやうな心配も十分にあるのでございます、此の點に付きましては色々な技術上の點から考慮を致しまして、道路の幅に致しましても、又公園、緑地等の割合等に致しましても、現在ありまする外國の都市計畫の理論に基きまして、我が國の實情に之を合せて、又今後の交通機關、今後の我が國の産業の方面と云つたやうな點をも、出來得る限り遠い將來を考慮に入れた上で、決定して參るやうに致して居る次第でございます、特に將來の我が國の産業が、石炭を基礎とした産業から電氣を基礎とした産業に入つて行かなければならぬと云ふ御説に付きましては、私共も全く同感でありまして、今後所謂電源に近接致して居りまする東北、或は中部、或は南九州、是等の方面に於ける産業の發達と云ふことは、國土計畫の面から云つても十分に力を入れなければならぬ點でありまして、此の方面に於ける都市計畫、殊に其の都市に伴ひます所の港灣とか道路、鐵道と云ふやうな工場地帶を造成する色々な要素に付ては、十分研究した上で、都市計畫を決めて參りたい、斯樣に考へて居ります
それから次に學校を分布することに付て、現在までの學校は國民生活の實情に即應して居らぬから、今後學校の分布を考へるに當つては、國民生活と表裏一體になるやうな學校教育と云ふものを豫定して、是等の配置を決定しなければならぬと云ふ御意見に付きましては、是れ亦全く同感でございます、今までの學校教育が動ともすると實地から遊離した單なる學問の切賣と申しますか、理論だけと申しますか、實地と即應しなかつたやうな學校も可なりあつたと思ふのでございます、是は御指摘になりました通り、從來の學校が主として大都市に集中した結果、其の學校の基礎になるべき産業其の他の立地條件を無視して作られた爲に、其の教育が空疎になつて居つたと云ふやうな點は確かにあると存じます、今後國土計畫に依つて學校の配置を決定するに當りましては、御指摘になりましたやうな水産の方面には水産關係の學校、工場のある所には工場方面の學校、斯う云つたやうな見地から學校の配置なり、或は又色々な研究機關、其の他の文化施設の配置と云ふやうなものは決定しなければならぬと思つて居るのでございます
それから第三に港灣の施設の從來の缺點に付て御指摘になりまして、特に港灣の從來の設備と云ふものが、水上の設備のみであつて、荷物を扱ふ所の陸上設備と云ふやうなものが缺けて居つたと云ふことは、是れ亦當局としても十分認めて居る所でございます、特に外國に於きましては、港灣と云ふものは水陸の境堺でありまして、水陸の施設が一體となつて茲に港灣の設備が出來て居るのでございます、從來の我が國の港灣の實情は、水陸の施設でなく、水上の施設だけであつたのでございまして、其の結果港灣の利用價値と云ふものが全く不十分であつた、之を今度都市計畫をやるに付きましては十分に改良すると云ふ考への下に、港灣の施設も研究して行かなければならぬ、隨ひまして特に港灣の背後をなします所の埠頭區域、倉庫地帶、又港灣に接近したる工場地帶、それから港灣と陸とを連ねる所の道路、引込線、さう云つた施設、又艀其の他の施設、斯う云ふやうな施設は勿論、御指摘になりました「クレーン」其の他の荷役關係の設備に付きましても、是は十分に考へなければなりませぬので、港灣の都市計畫に於きましては、將來是等の施設が出來得る時期になつたならば之を設備することの出來まするやうな港灣の區域と云ふものを決定して、さうして港灣計畫をやつて行く、都市計畫も此の港灣地帶を本にして接續して計畫されて行くと云ふやうな見地で計畫されて居る次第であります
それから第四に御述べになりました農村の工業化と云ふことが將來必要になる、之に付て都市の工業地帶を決定するに付ては、是等の點をも考慮に入れてやらなければならぬと云ふ御説に付きましても、是れ亦同感に存ずるのでございます、戰爭中に於きましても、空襲に對する疎開其の他の事情に依りまして、都市にありました工場が相當農村に移動して居ります、又終戰後に於きましても、食糧、勞力其の他の關係上、是等の農村に移動致しました工場が都市に歸つて來て居ないと云ふやうなものが相當あるのでございまして、是等の中の或るものは其の儘農村に居著いて、農村工業として將來轉換して行くものもあると存ずるのでございます、都市の工場地帶を決定致しまするに付きましては、無論是等の都市から出て行つた工場に付ては、之を計算に入れて決定致しまするばかりでなく、現在都市にある工場に付きましても、今後それを農村に移轉する、或は工場の種類の變換其の他に於きましても、之を適當な地方に移動すると云ふやうなことを眼中に含めて、其の工場地帶の決定をして行くべきものと思つて居ります
それから最後に、都市計畫法を適用した都市に於ては、農地調整法の適用がなくなる結果、小地主或は小市民の犧牲が起る、或は是が或る者は利益になり、或は是が或る者は不利益になると云ふやうな點を御心配になつて居つたのでありますが、特別都市計畫法の適用がありましても、此の區劃整理を實施致しまする地域は主として燒跡でございますので、其の燒跡外にありまする農地等が此の區劃整理區域に入ると云ふことは原則としてないのでございます、隨ひまして區劃整理に伴ひまして廣い農地が此の區域に入る、それが爲に農地が宅地に變更されると云ふやうなことは、事實上は殆どないことになる譯でございまして、此の點に付きましては農林當局にも十分に御諒解を願つてあるのでございまして、本法案に付きましては農林當局としても、別に御異存を持つて居られた次第ではございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=43
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044・前田榮之助
○前田委員 大體御答辯を戴いたので諒承致しましたが、尚ほ續いて二、三御尋ねして置きたいのは、西村委員からも御意見が出たのでありますが、長崎、廣島兩都市の原子力の破壞に依る被害の慘状に付ては、總裁から多大の御同情を含めたる御答辯があつたのですが、「マッカーサー」司令部の方に於きましても、此の兩都市に對する同情は世界的だと云ふやうに承つて居るので、日本政府は、斯う云ふことに勇敢に陳情することに依つて、寧ろ「アメリカ」の國民性に副ふやうになる場合が多いのでありますが、動もすると日本人は謙讓の美徳を發揮される爲に、損をする場合があるのでありまして、此の兩都市の問題に付ては、司令部の諒解を得るやうに一層努めて戴きたいと同時に、此の都市計畫法の御實施に當りましても、被害の率、量と云ふものが他の都市と同一でないのでありまして、唯廣島、長崎にだけ特別な同情と云ふことでなしに、被害の率、量と云ふものに對しての國家の之に對する適當なる處置、斯う云ふ點に一つ一層の御努力を、是は御願ひ致して置きます
それから大體此の計畫法に於きましては、國防と云ふことが全然從來の都市計畫とは違つた點が大きいのでありますが、日本は平和國家と致しまして、國際的に戰爭と云ふことを一切豫想しないで立國の精神が立てられて居るのでありますが、併しながら第三國と第三國との戰爭の飛ばつちりを受けないと云ふことの豫想は、日本と雖も是は保障出來ぬのぢやないかと思ふのであります、さう云ふ上から考へますると、戰爭抛棄と云ふことが全然都市計畫の中に無視されて居るのは、將來不安な點がないこともないのぢやないかと私は思ふのでありますが、其の點に對する御當局の御意見を御漏らしを願ひたいと思ふのであります
それから此の際承つて置きたいのは、是は東京都内でも隨所にあることで、各都市ともあるのでありますが、墓地の整理の問題であります、寺院墓地と云ふものが極めて不整頓に無秩序の儘で、日本の都市が整理されて居りませぬが、是は都市の美觀の上からも、又色々の問題からも、何とか美化されなければならぬものではないかと思ふのであります、是は信教の自由と云ふことも考へなければならぬので、徒らに撤去を命じたりと云ふやうなことでもいけないと思ふのでありますが、先づ第一に墓地と云ふものが、一定の區劃に大體整理された形に置かなければならぬ、又寺院等が日本には隨分澤山建てられますが、今日の日本の社會教育等の必要な場合に、是は強制する譯には勿論參らぬのでありますが、政府は進んで此の宗教團體等とも御相談の上に、之を公開されると云ふことになりますならば、都市の中に澤山必要以上の寺院があつても差支へないことになるだらうと思ふのでありますし、若しさう云ふことが出來ないものならば、此の寺院等も一定の制限等を加へなければ、都市の恰好が付かないのではないか、斯樣に考へるのでありますが、此の點の御意見を御伺ひしたいのであります
それから次には經濟の上から考へました都市は、今日のやうな日本の闇商人、小賣商、色々のだらしのない市場と云ふやうなものが濫立した状態では、是は都市の美觀は勿論のこと、日本の經濟生活が破壞されることだけは間違ひないのでありまして、將來國際的な經濟生活の上に立つての國際競爭をやる場合に於ても、先づ小賣商等に付ては、日本の小賣商は七人か八人かで一人の小賣商を養つて居るやうなことで、恐らく諸外國の比率から申上げますならば、何十倍の差があると思ふのであります、さう云ふこと等も考へまして、商業地域等が考へられて御計畫に入れられて居るかどうかと云ふことを御尋ねしたいのであります
それから最後に、是はさう大きい問題ではないのであります、前に御尋ねになつた方があつたやうでありますが、それと意味が同じなんですが、關西と關東は、何と申しますか、私も素人ですから能く分りませぬが、建物の居間なんかの寸法が違ひますが、之を統一される御意思があるかどうか、是は疊等に付きましても、生産の上から言つても、日本に於ては統一すべきものではないかと思ふのですが、此の點の御意見を御伺ひしたいのであります、それから序に御尋ねして置きたいのは、現在の都市の状態を見ますると、資本主義經濟の上に立つて、打算の上に立つての自然發展と云ふものが現在進行しつつあるやうに私は見て居るのであります、即ち映畫だとか、或は闇取引をやつて相當儲かる者は、建築物でも闇をしてでも金は幾ら掛つてもどんどん作つて行くが、勤勞階級が住まふ所の必要なる住宅と云ふものは、勤勞階級自體にも建てられなければ、之を建ててやる家主も、建てたとて採算が合はないから建てない、斯う云ふ状態にあるのでありまして、是は御説明の中には、計畫の中に立つて住宅營團とか、或は其の他市營住宅等の公共團體をして、相當なる補助を與へ資材を集めて建てる、而も二十五萬戸の中で十二萬四千戸はさう云ふものだと云ふやうに御説明になつたのでありますが、之をもつと積極的に、日本の今日の實情から致しますと、本當に日本の民主主義的な國家を建て、而も産業の重要な役目をする所の勤勞階級の生活を護つてやると云ふ、近代的な立場に立つて考へますならば、今日のやうな状態で、儲かる者はどんどん資材も闇をしたりして、色々なことで其の方へ流れて行く、資力の少ない者は中々それが實現しないで居る、さう云ふことが弊害の元となつて、東京に於きましても市中には家がないから、朝晩郊外の方から通ふ爲に交通地獄が出現して居ると云ふやうなことにもなつて居るのでありますが、もつと積極的に早くから、勤勞階級の住宅と云ふものに對して國の力でやつてやるべきものぢやないかと思ふのでありますが、此の點の御所見を御伺ひしたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=44
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045・大橋武夫
○大橋政府委員 復興都市計畫に於きまする防空の問題でございますが、戰時中に於きまして都市計畫と致しましての防空の施設は、最も顯著なるものは例の建物疎開でございます、建物疎開は、大體都市の必要な區域に廣幅の空地を作りまして、之に依つて火災の延燒を豫防致しますると同時に、火災に際して之を退避路に使用すると云ふ目的で出來て居つたものでございます、尚ほ之に伴ひまして密集住宅地區に於きましては、一部分の家屋を除却致しまして、其處の小空地を作る、又堅牢なる建築物の周邊を──其の建物の延燒を防止致します爲に、周圍の木造建物を撤去すると云ふやうな方法に依りまして、都市の防空の強化を圖つた譯であります、併しながら何を申しましても我が國の殆ど全部の都市は、其の大部分の建物が木造建築でありました關係上、其の效果は極めて制限せられたるものに過ぎなかつたことは御承知の通りでございます、今囘の都市計畫に於きましては、別段將來の戰爭を豫想すると申す譯ではございませぬが、併し凡そ近代都市として豫想し得るやうな火災其の他の災害を防禦致しますることに依りまして、市民の生活を護り、市民の生活に安心を與へる必要がありますので、災害防止と云ふ見地から、やはり或る種の施設をすることに致して居ります、特に是等の災害防止の施設として役立ち得るものは、道路の幅員を廣くすること、それから必要なる諸所に廣幅員の緑地を設けること、竝に其の幅員の廣い道路、或は緑地の周圍に、更に道路なり緑地を防禦しまする爲に、其の道路、緑地に面した建物を鐵筋「コンクリート」の防火建築にすると云ふやうなことが必要になるのでございまして、今囘の計畫に於きましても、出來るだけ必要な箇所には市民の待避出來るやうな道路又は緑地、之を守るべき防火地區と云ふやうなものを設定することにして居ります
それから墓地の整理の必要なことは、各都市とも痛感致して居るのでございまして、特に區劃整理に於きましては、墓地の整理を併せて施行することになつて居ります、又寺院の合併、整備と云ふ問題でございますが、是も一、二の都市に於きましては特に佛教の寺院などで、同じ宗派に屬する寺は此の際整備して一括合祀する、之に依つて寺の敷地も一箇所に纒まつた結果廣くなり、立派な寺になる、あつちこつちに小さなお寺のあるのを纒めると云ふやうなことを考へて居る都市もございます、是等の墓地の整理に致しましても、寺院の整備に致しましても、何分現在の實情では土地區劃整理の大體方針が指定致したばかりでございまして、其の中味は是から決めて行くことになるのでございまして、當局と致しましても此の區劃整理の仕事の進行に付きましては、始終注意を致しまして、出來るだけさう云ふ方向に向けて援助をし、又之を推進するやうに努力したいと考へて居ります
それから小賣商の整備に伴ふ市街地の商業地區の決定でございますが、是は御述べになりましたやうな方針の下に商業地域を決定致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=45
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046・中田政美
○中田政府委員 建築資材の規格を全國的に統一するやうにしたらどうかと云ふ御尋ねに致しましては、全く同感でございまして、寸法に付きましては「メートル」制の採用を極力進めて居りますし、其の他の補助資材に付きましても、御意見の通りに是から努力したいと考へて居ります
第二に庶民住宅の建築は國家的にもつと積極的に援助して造るやうにしなければならぬではないか、此の御尋ねに付きましては、洵に御説の通りでございます、政府に於きましても本年度の建築、所謂住宅供給の計畫は正に庶民階級──新圓生活に於て新圓の獲得の中々困難な階級、是にはどうしても低廉家賃の住宅の供給に著意を致しまして、財政的措置に付て目下努力して居る次第でございます、數は十二萬數千戸で、或は御不滿ではございませうが、極力是が實現に努力したいと思ひます、唯資材等の關係上、色々隘路がございまして、例へば「セメント」を造るに致しましても先立つものは石炭である、鐵鋼にしましても製鐵の今の生産力を以てしては、中々住宅用の分量が多くならない、木材に付きましても輸送の隘路等もございまして、中々大都市への移出は困難であると云ふやうな、所謂資材面の隘路は容易ならぬ問題でございますが、極力政府は努力して庶民階級の住宅供給に邁進する詰りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=46
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047・前田榮之助
○前田委員 是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=47
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048・林田正治
○林田委員長 あと一人細川八十八君の通告が殘つて居ります、政府の國土省設置に關する吉田總理大臣の答辯、それから先程の西村君の御質問に對する遞信省の答辯が殘つて居ります、此の二つの答辯と細川君の御質問を次會に讓りたいと思ひますが御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=48
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049・林田正治
○林田委員長 それでは本日は是にて散會致します、次會は公報を以て御知らせ致します
午後三時十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00319460717&spkNum=49
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