1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
特別都市計畫法案(政府提出、貴族院送付)
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昭和二十一年七月十九日(金曜日)午前十時十四分開議
出席委員
委員長 林田正治君
理事 鈴木仙八君 理事 西村久之君
理事 加藤高藏君 理事 今村等君
本多花子君 森崎了三君
森田豊壽君 佃良一君
細川八十八君 前田榮之助君
山口靜江君 鹿島透君
原尻束君 中田榮太郎君
出席國務大臣
内閣總理大臣 吉田茂君
出席政府委員
戰災復興院總裁 阿部美樹志君
戰災復興院次長 重田忠保君
内閣事務官 財津吉文君
内閣事務官 大橋武夫君
内務事務官 谷川昇君
内務事務官 岩澤忠恭君
農林事務官 石川準吉君
遞信事務官 渡邊音二郎君
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本日の會議に付した議案
特別都市計畫法案(政府提出、貴族院送付)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=0
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001・林田正治
○林田委員長 それでは是より會議を開きます、先づ前會の質問に對する遞信省の政府委員の御答辯を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=1
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002・渡邊音二郎
○渡邊(音)政府委員 前會西村委員より御質問がありました、都市の電信電話其の他地下配線の共同計畫に付きましての御質問に對しまして御答へ申上げます、都市の美觀、交通等の點から架空或は地上線路の整備と云ふことは全く西村委員の御話のやうに一日も早く整備すべきものであると云ふことは遞信省に於きましても多年考慮して居ります、殊に關東大震災の復興に當りましても此の點何とか解決したいと存じて居りましたが、今囘の戰災後の復興に當りましても、出來得る限り此の方針を加味致しまして設計致したい、斯樣に存じまして關係の向とは寄り寄り相談中でございます、目下提出致して居ります、昭和二十一年度以降三箇年の電信電話復興計畫に付きましても、此の趣旨を加味致しまして大體幅員四十「メートル」以上の道路に於きましては總て地下配線を行ふことを原則と致します、又四十「メートル」以下に於きましても「ビルディング」街でありますとか、或は劇場街、商店街等交通及び美觀の點から地上に存置するを許さざるものに付きましては、是れ亦地下配線にする方針であります、更に是等の方針に當嵌りませぬでも、道路の關係或は家屋の關係等から大都市に於きましては事情の許す限り地下の配線に改める、此の際に於きまして「ガス」でありますとか、水道でありますとか、電氣でありますとか、やはり地下を利用致しまする配線に付きまして、共同に之を行ふと云ふことに付きましては、勿論遞信省側と致しましては喜んで御協力申上げたい、寧ろ積極的に御協議申上げまして、出來るだけ速く此の點を解決したいと存じて居ります、之に伴ひます資材と致しまして鐵管でありますとか、或は「コンクリート」でありますとか相當要ります、早速遽かに全部の區間之を復興することは困難でございますが、他面電柱其のものに致しましても既に行詰つて居りますので、寧ろ鐵管、「コンクリート」資材の方が將來見透しが付いて居りますので、折角復興院其の他關係方面と協力致しまして、出來れば來春頃から著手したい、斯樣に存じて居ります、尚ほ是等共同線路敷設に伴ふ「ガス」の爆發と云ふことが外國にも實例がございますので、是等の點は二酸化炭素の檢出に依りまして未然に事故を防遏する科學的な方法を講じまして、左樣な災害を防ぎ得ると云ふ確信を持つて居ります、御質問の御趣旨は遠からず實現され得るのではないか、斯樣に存じて居ります、尚ほ附言致しますれば、道路上に於きまして交通を妨げて居る公衆電話の「ボックス」も出來るだけ之を屋内に納める、斯樣な方針にして居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=2
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003・西村久之
○西村(久)委員 御説明に依りまして恒久對策と致します當局の御方針のある所は能く諒承致しましたが、原子爆彈に見舞はれました廣島、長崎のやうな箇處に於きましては、技術的には分らないのでありますけれども、霧雨、小雨でも降りますと、全線電話が不通になるのであります、是は殘つて居ります所の電信電話線が原子の威力に依りまして外裝と申しますか、それが色々な障害を受けて、小さい肉眼で見えない穴でも開いて居る所から水分を吸收致しますと、其處の機能に支障を來しまして、電信、電話が故障勝ちになるのではないかと考へて居ります、就きましては、此の兩地區に於きます所の電信電話の線は早急に之を御取換へを願ふ、さうして通信の圓滑を圖つて戴きたい、斯う云ふ風に考へて居るのでございますが、關係當局が幸ひ御出席でございますから、當局の方の意のある所を伺ひ得ますれば、非常に幸福に存ずるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=3
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004・渡邊音二郎
○渡邊(音)政府委員 御答へ申上げます、御話の通り廣島、長崎は洵に通信事業に取りましても甚大な被害を受けまして、只今の應急的な施設では仰せの通り色々と障害も多いのでございます、之に對しましては、重點を、最も災害を受けました地區から復興すると云ふ趣旨に則りまして、御趣旨の點は十分尊重して貫徹を期したいと思つて居ります、尚ほ廣島遞信局には局長は、現場の專門家が技官として局長として配置してありますので、十分御期待に副ふことが出來ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=4
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005・林田正治
○林田委員長 通告されました細川君と水田君がまだ御出席がありませぬから、次に通告されました原尻君に願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=5
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006・原尻束
○原尻委員 先日總理大臣と農林大臣に御伺ひを致したのでありますけれども、御出席がございませぬでしたので、本日は總理大臣も後でお見えになるさうですから、總理大臣に對する御質問は後に致しまして、農林省の方に御伺ひを致したいと思ひます、繰返すことになりますけれども、都市の住民の食糧、保健衞生、天災地變、都市と農村との對立激化の趨勢、工業能力の増進及び地方農村文化の向上等の諸點を考慮致しまして、都市を此の際解體しまして、國民皆農即ち國民に皆農業を或る程度させる御考へはないかと云ふことを御伺ひ致したいのでありますが、此の國民皆農に付て少し説明を加へる必要があると存じます、工場も學校も農村に分散するのでありまして、之に依つて生じた所の空地は耕作地と致しまして、都市住民自らの手に依つて、而もあり剩る所の自給肥料を用ひて、總理大臣を初め數多の役人や商人、勞働者の家族の手に依つて、主要食糧を初め野菜に至るまで少くとも自給自足をさせたらどうか、又地方に分散して居る所の工場の從業員、學生などもそれぞれ食糧の自給自足を其の職域に勤めながらやるのであります、勿論其の間に專門の農業家はなければならないのですが、それは從來通りにやるのであります、之に依つて食糧問題は解決すると考へるのであります、なぜかならば、全國で六百萬町歩の耕地がございまして、人口は八千萬でありますから、此の八千萬で割算をして見ますと、一人當り七畝十五歩の土地があります、此の七畝十五歩の土地から出來る食物と云ふものは一人では一年間に到底食ひ切れない譯であるのであります、假に甘藷を植えましたならば、此の東京でも一段當り千貫は出來ますが、千貫ありましたならば四人の家族が一年間に食ふだけの食糧が出來るのであります、にも拘らず食糧が足りないと云ふのは何處かに矛盾があるのだらうと考へるのであります、其の矛盾が先程申上げましたやうな點にあると考へるのであります、現に都市の勞働者は生活が非常に困難だと言はれて居りまするが、それは當然困難になるやうな仕組になつて居るのであります、なぜかならば、平均五人の家族がありまして、其の中の一人が勞働を致し、他の四人は殆ど遊んで居るのであります、學校に行く人もありませうが、是は學校から歸つてからは勿論生産に從事して居らない、然るに農村の家族はどう云ふ生活をして居るかと申しますと、夫婦共稼ぎは勿論、老人も子供もそれぞれ體力に應じた所の生産に從事して居るのであります、さう云ふ矛盾がありますから都會の人に生活の困難が出て來るのは當然であるのであります、又肥料代が高い、是も是と同じ原因でありまして、肥料工場に出る所の人は五人分の賃銀を貰はなければ自分の家庭の生活が出來ないから、肥料工場は五人分の生活費を支拂ふのでありますが、農村ではさう云ふことは起らない、それで、此の肥料工場を農村に移しまして、農村の次男三男坊を使ふことになりまするならば、一人の生活費だけを拂へば勞働賃金は濟むのでありまして、非常に勞働賃金は安くなる、隨て肥料代も安くなつて參るのであります、それから、食糧の絶對量を増すことを考へないで、唯供出と分配と外國に依存すると云ふことのみを考へて居るから食糧が缺乏すると云ふ其の例と致しまして、全國一億六千萬坪の燒跡が其の儘放置されて居るのであります、昨年十一月に若しも全部假に麥を植えたと致しまするならば、一段當り三俵の收穫は確實であるのであります、三俵出來ましたならば百五十萬俵の麥が出來て居つた筈であります、少くとも百五十萬俵の買出が減つて居つたであらうと云ふことは想像されるのであります、當時現在の農林大臣はやはり農林省に居られまして農政局長をして居られましたのですから、其の責任は免れないことと存ずるのであります、其の農林大臣が現職に居る間はやはり左樣な考へを御續けになるのかどうか御伺ひを致したいのであります、麥を取つた跡もやはり亂雜で、最近は國民が自發的に之に色々なものを植えて居りますけれども、實に統制が取れて居ないのであります、思ひ思ひに而も素人が植えて居る、尚ほ利用して居ない土地が下町方面に行きますと殆どであるのであります、山へ何里も登つて行つて非常な經費を掛けて開墾するのに比べましたならば、あの本所、深川邊の燒跡を整理して耕地にすると云ふことは非常に易いことであるのでありますが、之を何故に見捨てて置いて徒らに食糧を外國に依存しなければならないかと云ふことを御伺ひ致したいのであります、其の位に致して置きます、詰り、都市計畫を立てるに當つて、少くとも食糧の自給自足をすると云ふ考への下に特別都市計畫を立てる御考へはないかと云ふことを御伺ひして置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=6
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007・林田正治
○林田委員長 總理大臣は後二、三十分しましたら出席すると云ふ通知を受けました、御質問がなければそれまで御待ち致したいと思ひます、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=7
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008・原尻束
○原尻委員 農林省の方から今の御返答を戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=8
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009・林田正治
○林田委員長 西村さんは内務大臣の出席を要求されて居りますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=9
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010・原尻束
○原尻委員 農林大臣の代りの方はおいでになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=10
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011・林田正治
○林田委員長 農林大臣も、農林大臣が出られなければ必ず代りが參ると云ふことですから、姑く御待ち下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=11
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012・吉田茂
○吉田國務大臣 前會の本委員會に於て、原尻君から復興都市計畫に付て政府の對策はどうかと云ふ御尋ねがあつたさうでありまするが、戰災地の復興に關する都市計畫に付きましては、將來の文化國家に相應しい理想的都市の建設を期する爲め、産業の立地及び人口の配分等に關する國土計畫及び地方計畫により規定せらるる都市の性格と規模とを基礎として、都市の能率、保健、防火等を主眼と致しまして決定せらるべきものでありまして、政府と致しましては斯かる方針に基き是が調査立案を著々進め、戰災都市の復興に關する都市計畫は大部分決定を見て居る次第であります、街路、公園の施設、緑地地域、防火地域の指定、燒跡の清掃、整地、過小宅地の整理、堅牢建築物の共同建築等の事業は是等の計畫の具體化として執行することに相成るのでありますが、國土計畫的觀點より眞に百年の計を確立する爲には、前述の復興に關する都市計畫のみでは必ずしも十分ではないのであります、政府と致しましては國土計畫審議會の如き機關を設けまして、之に官民有識者の衆智を結集しまして、更に研究を重ね必要な施策を強力に推進致したいと思つて居ります
次に鹿島君から復興院と内務省とを合併して國土省を設置しては如何と云ふ御尋ねがありましたが、將來行政機構を全面的に檢討する時期もあると思ひますから、此の點は十分研究致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=12
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013・原尻束
○原尻委員 只今總理大臣閣下には、此の特別都市計畫は百年の大計であると云ふ御説明でありましたが、私はどこに其の百年の大計が現はれて居るかと云ふことを見出し得ないのでございます、なぜなれば「ポツダム」宣言に依つて、日本は永久に平和は保障されたが、第三國の戰場にならないと云ふことは保障されて居ないやうであります、左樣な觀點から考へまするならば、何時我が國が第三國の戰場にならないとも限らない、それに對する所の考へを織込まないで都市計畫を立てると云ふことは、決して百年の大計ではないと考へるのであります、でありますから若しも是が國家百年否千年の大計でありまするならば、斯樣な點を勘案致しまして計畫をして戴きたいのであります、此の計畫は二十年位で大體完成するやうに承つて居りますが、現に大正十二年の震災復興計畫が二十年そこそこの間に再び斯樣な災害を繰返したのであります、又是が二十年計畫で出來上るか上らない頃に、再び斯樣なことがないとも限らないのでありますが、之に對しまして總理大臣はどう云ふ御考へを御持ちでありませうか、御伺ひを致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=13
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014・吉田茂
○吉田國務大臣 百年の大計と云ふと如何にも百年らしく考へられますが、併しながら一體今日の事態に於て國防或は戰爭を豫期しての計畫をすると云ふことは、是は現在此の政府としての方針に違ふのであります、戰爭はないものとし、若しくは平和團體を日本が先に立つて國際的平和を樹立することに觀點を置いて居るのでありますから、將來戰爭のあるとか、或は戰爭のあることを前提と致して國土計畫を樹てると云ふことは、少くとも日本今日の政策、方針と違ふと御承知を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=14
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015・原尻束
○原尻委員 それでは戰爭は他の國に於ても許されないと云ふことに決めて、其の點に付ては申上げませぬが、食糧問題の點から申上げますならば、現在我が國の耕地の面積は六百萬町歩でありまして、人口は八千萬である譯であります、それで割算をして見ますと、一人當り七畝十五歩の耕作地があるのであります、此の七畝十五歩の土地から出來る所の食糧は、一人では到底食ひ切れない、假に甘藷を東京で植えましたならば、一段當り千貫を穫ることはさう困難ではないのでありますが、假に一段に千貫出來ましたならば、四人の家族が食ふだけの食糧が出來る、然るに七畝十五歩の土地があるならば、一人で食ふ所の食糧は出來ない筈はないのであります、尤も其の間に桑畑とか菜園、果樹園と云ふものもありますけれども、何れにしても老人子供を含めて平均七畝十五歩の土地があるのでありますから、食糧は足らない筈はないのであります、何かそこに矛盾があるのぢやないかと云ふことを考へられるのであります、其の矛盾の一例と致しまして、都市に居る所の人は平均五人の家族と致しますと云ふと、其の中の一人は何かの職業を持つて働いて居るが、あとの四人の者は殆ど働いて居ない、でありますから一人が五人分の生活費を支給することになるのであります、一方農村に於きましては夫婦共稼ぎは勿論、老人子供も、家族一同一人も殘らず生産に從事致すのであります、斯樣な考へから申しましても、又都會に於て共産黨の人が米を寄越せと云ふやうなことを言つて騷いで廻ります間に、食糧の増産をなぜしないか、ああ云ふ連中に寧ろ勝手に作れ、勝手に作つて食へと言つて七畝十五歩の土地を貸したならば、さう云ふ面倒もなくなるのぢやないか、斯樣な意味から考へまして、此の際都市を解體致しまして、自分の食糧だけは自分で作る所の國民皆農の方針になされては如何かと考へるのであります、それに付隨して種々の有利な點がありますけれども、其の要點だけを御伺ひ致して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=15
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016・吉田茂
○吉田國務大臣 私としては御質問に答へるのには資格が甚だ不十分でありますが、併しながら日本を農業國にすると云ふことの立國の方針をそこまで持つて行くと云ふことの是非に付ては相當問題がありはしないか、現に從來に於ても日本の各段別に依る生産力も肥料の改良に依つて餘程増加された筈であります、又各國等の例を見ましても、農業の改良、農業を機械化する、或は科學化することに依つて相當の増産と云ふことが出來て居ることは其の例が乏しくないのであります、何れにしましても人口と食糧との關係に付ては農業當局者に於て更に日本の土地の生産力を増すことを第一に研究することが必要であり、又現にして居るものと思ひます、又更に日本が農業立國として農業だけで以て立つて行くが宜いかと云ふことに付ては、是は私自身も其の點の利害に付て大いに疑ひます、寧ろ日本としては他日國權を囘復し、獨立を囘復した場合には、有無相通ずることに依つて貿易に依つて足らざる食糧を補ふ、日本の生産し得るものを以て食糧を他國から取ると云ふ、何と言ひますか貿易に立脚して國を成す方が經濟的であり、又國家國民の爲めである、斯う私は思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=16
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017・原尻束
○原尻委員 農林省の政府委員の方が御見えになつて居りますから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=17
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018・石川準吉
○石川政府委員 都市に於て食糧不足を出來るだけ自給自足化すると云ふ趣旨の御質問でありますが、是は現在のやうな状況又將來のことを考へまして、出來る限り都市の近邊に於きまして、蔬菜等に付きましては自給と云ふ所まで參りませぬでも、其の供給力を殖やして行く、特に個人々々に付て身邊の備荒を進めて行くことは極めて必要であると考へて居ります、併しながら都市に於きましても郊外地方に於ては御覽のやうに相當進んで居る譯でありますが、都心部になりますと色々な關係で困難だと考へます、概して此の運動は昨年終戰當時に於きましては非常に盛上りましたが、其の後必ずしも豫期の如く進んで居ないと云ふことは遺憾に存じて居ります、農林當局と致しましては種苗の配付等を致しまして努めては居るのであります、併し是とても必ずしも十分でございませぬので、而も相當の面積の燒跡地があると云ふことに對しましては、今後とも十分の努力を致して參りたいと存じて居ります、此の都市の地域自體に於て致しますと同時に、一般の例へば蔬菜等の供給に致しましても、現在では前と非常に樣子が違つて參つて居りまして、昔でありますと旅物と申しますか、野菜の特産地等がございまして、それが豐富に供給されたのでありますが、現在ではさう云ふ特産地の特産の野菜の生産とか、供給とかと云ふことが殆ど減つて居るのでありまして、結局都市自體でございませぬでも都市に近い所、東京都で申しますれば東京都自體で生産されますものが非常に殖えて居るのであります、遠い將來は別と致しまして、當分の所はさう云ふことで行かなければならないと考へて居るのでありまして、さう云ふ方向へ進んで居るのであります、御質問の趣旨を能く承つて居りませぬので、間違つて居るかも知れませぬけれども……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=18
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019・原尻束
○原尻委員 只今承ります所に依りますと、都市を耕地化することは運動であると云ふ見方で見て居られるやうでありまして、決して積極的に指導して居らないと云ふことが考へられるのであります、先程も申したのですが、昨年の十一月にあの燒跡を全部耕地化して居つたならば、百五十萬俵の麥が出來て居つた筈でありますが、それを取逃してしまつて、全國の燒跡の住民は百五十萬俵の買出しを餘計にしなければならなかつたと云ふことになつて來るのでありまして、是は全く農林省の指導がなかつた爲めの國民の犧牲であると云ふことは免れないと私は考へるのであります、尚ほ現在本所、深川の方を廻つて見ましても更に使用されて居ない所の雛草と云ふやつが茫々と生え繁つて居るのであります、あれをなぜ少くとも甘藷を植える時に肥料にしなかつたか、更に指導性がないと云ふことを私は考へるのであります、唯農民が作つたものを強權で供出させる、さうしてそれを分配すると云ふことだけのことを扱つて居ると云ふ風に考へられるのであります、是は將來の希望でありますが、山に開墾に行くよりも、此の燒跡を耕地化する方がずつと樂なのでありますから、さう云ふ點も一つ御力添へを御願ひしたいのであります、之を全體的に見ますれば、國民の困難解決の途は近きにありと云ふことを御考へ願ひたいのであります、其の一例と致しまして開墾をするよりも今掘つて居る所の田を一寸深くすることに依つて一段當り一石の増收が出來ることは現に實例が澤山あるのであります、一寸一石の増收が出來ましたならば全國三百萬町歩で三千萬石の増收が出來る、昨年は四千萬石であつたさうですが、今年は豐年とすれば七千萬石出來る、そこへ持つて來て此の三千萬石の増産が出來れば一億萬石で、米は餘つて來るやうな結果になつて來るのであります、態態山まで登つて行かなくても、斯樣な近い所に解決の途があると云ふことを御留意を願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=19
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020・石川準吉
○石川政府委員 食糧増産に付きまして先づ既墾地の問題の方が大きい、是は少くとも差當りの問題としては只今仰せになりました深耕と云ふことも其の方法でございますが、特に肥料の問題、それが一番只今の國の問題と考へて居ります、何と申しましても既墾地に對する肥料資材と云ふ問題竝に技術の滲透問題、技術を一般的に改良して參ります問題、斯う云ふことで増産を圖つて行かなければならないと存じて居りますが、さればと申しまして都市と人口との問題、又既墾地だけで我々が十分なる食糧を自給し得ることは出來ないのであります、やはり開墾も重要なことでありますので、それを兩方併せて進めて參りたい、又開墾地の經營等に付ては是は概ね只今仰せになりましたやうに、非常に高いやうな所にございますので、之に付ては又畑作地等に付て、特別の經營方式と云ふやうなものを考へて參らなければならないと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=20
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021・原尻束
○原尻委員 纖維問題でございますが、衣料が非常に高い、其の原因は都市の勞働者を使つて居るから高いのであります、何故高いかと申しますと、都市に於ては五人の家族を養ふだけの給料を支拂はなければ文句を言ふ、それで高くなるのであります、併しながら之を農村に分散して、農村の次男坊、三男坊或は未婚女子、斯う云ふものを使つてやりましたならば、其の工員は自分一人の生活費を貰へば澤山であるのであります、而も自宅には食糧の生産を家族がやつて居ると云ふ風になりますからして、非常に賃金が安くなる、隨て金肥も安くなつて參るのであります、此の點に付てはどう云ふ御考へを御持ちでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=21
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022・石川準吉
○石川政府委員 只今の肥料工場は大きな都市にございます分もございますし、必ずしも大きな都市ではなく、中間の都市と云ふやうな所にあるのもございます、全國的に見ますと是は北陸地方に相當多いと云ふやうなこともございますが、それぞれ立地條件に從つて多分出來上つたものであります、之を他に分散せしめるや否やと云ふ問題に付きましても、分散すると云ふやうなことは當分困難であると思ひます、と申しますのは、斯う云ふ肥料の増産の急な場合にさう云ふことが出來ませぬのみならず、肥料工場自體と致しましても聯合軍司令部の方から是れ是れと云ふ風に承認を受けたものだけと云ふことになつて居る現状から申しましても考へ得ないことでございますが、唯只今仰せになりました都市に於ける勞務者を使ふ結果非常に「コスト」が高くなるのぢやないか、斯う云ふ御話でございます、是は農村等の勞銀と都市の勞銀とは違ひますけれども、併し肥料工場と云ふことになりますと、やはり相當程度の人間を使ふのです、隨て必ずしも是が我々が普通に考へます純農村、若しくはそれに近いやうな所、且又さう云ふ勞力と云ふことは是は考へにくいのではないか、併しながら現實の今使つて居ります──使つて居ると申しますと誤弊がありますが、働いて居ります勞務者の中には、所謂半分農家と云ふやうな人も相當多いのでありまして、さう云ふことはどう云ふことで分るかと申しますと、半分農家と云ふやうな工員諸君には若干肥料の現物支給と云ふやうなことも致して居るのであります、さう云ふ點から見ましても相當半農の方もある、是は富山だとか、新濱だとか九州の工場だとか云ふやうな實例もございますが、謂はば中都市にあつて半分農家と云ふやうな人も相當居ると云ふのが今の實情になつて居ります、肥料工場を何處かに分散するとか移轉するとか云ふことは出來ませぬのでございますが、御話のやうなことは或る部分、是は特に致したと云ふ譯ではございませぬが、現實問題としてなつて居る部分もある、斯う云ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=22
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023・原尻束
○原尻委員 私の質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=23
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024・林田正治
○林田委員長 あと暫く御待ち願ひますと内務省の警保局長が出席致しますから、細川君の發言は暫く内務省の政府委員の出席まで待ちまして、次の通告順に依りまして山口君に御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=24
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025・山口靜江
○山口(靜)委員 それでは御尋ね致したいと思ひますが、此の法案の實行されますに當りまして、一番問題となりますのは、我々適用を受ける一般人だと存じますが、此の法案の中の十五條の後段にございます占有者に對しては立退きを命ずることが出來ると云ふ條文は、實際面に於て種々なる困難が伴ふことと思ひますが、住宅難に依りまして一戸に多數家族の居住して居る實情、又中には現在食糧難に追はれて右から左へと立退きをすることが出來ないやうな方々が非常に多いのではないかと思ふのです、爲に之に對する保護的制度が必要なのではないかと思ひます、立退料とか或は立退きに際する時の運送料、或は其の機關の優先的待遇など法的根據を持たせ、尚且つ實際面に當つて、政府側の親切なる御取計らひが御願ひ致したいと思ふのでございます、單なる法律としての存在に流れずに、生活面に寄與することの大なるものを希望して已まないのでございます、是が對策には如何なる御抱負を政府側は御持ちでせうか、是が御質問申上げたい點でございます、尚ほ疎開の場合は、各世帶別に補償されて居たさうでございますが、今度の法案に於ては此の補償をどう云ふやうな形に依つて現はされますのでせうか、それを御伺ひしたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=25
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026・大橋武夫
○大橋政府委員 立退きに關しましては、御話のやうな措置は勿論考慮することに相成つて居ります、立退きに依る損害に付きましては補償すると云ふことに第十五條の末項に規定致して居ります、之に依りまして立退きに對する必要な經費、又それに依つて通常生ずる損害、即ち營業者に於きましては、其の營業の休止に伴ひまする損失と云ふやうなものに付ても補償をすることになつて居ります、尚ほ立退きの實施に際しましての交通機關或は輸送機關の問題でございまするが、是は立退きを實際實行致しまする際に、必要に應じて十分考慮したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=26
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027・山口靜江
○山口(靜)委員 私の御聽き致したい所は、只今非常な住宅難に當りまして、一戸に多數の家族が居住して居るやうな状態であります、其の場合に一戸に對して四家族なり五家族と云ふやうな状態が少くないのでありますけれども、さう云ふ場合の補償を承つて居るのであります、さう云ふ方々は簡單に中々移轉が出來ないのぢやないかと思ふのですが、占有者に對する補償の外に、さう云ふ方に對する補償はどう云ふことになりますでせうか、やはり考慮に入つて居るのでございませうか、疎開の場合は非常に考へられて居られるやうでございますけれども、此の度の法案に對してはどうでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=27
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028・大橋武夫
○大橋政府委員 建物の移轉に伴ひまする立退きでございますから、其處に御住ひの御方は全部立退いて戴くことになる譯でございます、是等の方の損害に對しては總て補償を致すことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=28
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029・山口靜江
○山口(靜)委員 何世帶入つて居りましても……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=29
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030・大橋武夫
○大橋政府委員 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=30
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031・林田正治
○林田委員長 それでは細川君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=31
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032・細川八十八
○細川委員 特別市制を促進さす爲に、之に竝行致しまして治安状況に付て警保局長に御尋ねしたいのであります、都市に於きましては、主食は全く缺乏を致しまして餓死寸前に迫つて居ります、然るに私が東京に參りましてあの澁谷に參りますると、飯はある、壽司は賣つて居る、白米の飯が到る處にある、それが何れも某國人の經營に屬して居る、又某國人は主食を販賣して居ると云ふことの事實を認めるのであります、全く今日の某國人が都市の經濟事情を紊して居ると云ふことは、事實の證明する所であります、萬人の認めて居る所と思ひます、まだそれどころではございませぬ、汽車に乘りましても列を外して乘込む、或は電車に乘るのも全く無差別、我々日本人を斥けて乘る、今我々國民が此の大事な平和開放を寸前に控へまして隱忍に隱忍を重ねて居りまするが、あの暴擧を此の儘に捨てて置きますることこそ、いつしか私は是は許し難い機運が起りはしないかと憂慮する一人でございます、斯う云ふ經濟事情を紊し、現在金を持つ者のは某國人である、是が買ひにくいものも某國人に賣ればあとは來ない、それで殆ど我が國の主食と云はず、纖維關係禁製品と云はず、それ等の手に移りつつある事實、又治安状況も左樣な我が儘な振舞を致して居ります、是等を斷乎として御取締になる決意が内務省の警保局長にございますか、此の點を私は御伺ひ致したいのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=32
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033・谷川昇
○谷川政府委員 只今の細川さんの御尋ねに御答へを申上げます、只今御示しになりました通り、敗戰後我が國に於きまする社會、經濟、政治状態と云ふものは、國民一般の元氣をなくしました結果もあるでありませうが、非日本人のさうした方面に於ける或は不法的な、或は脱法的な行爲に依つて洵に攪亂されて居りますることは私共殘念に堪へない所であるのであります、是等の由つて來りまする根源でありまするとか、各方面のことに付きましては全國各方面の機關を擧げて段々と調査を進めて參つて居ります、機會ある毎に私の方の機關を通しては是等に對して適切なる方を講ずべく指示して參つたのでありますが、未だ十分な成果を擧げ得ないことは私共の極めて殘念に思つて居る所であるのであります、唯最近に至りまして大體の方針も確定致しまして、種々の施策を實施しつつあるのであります、本月の初めに全國に亙りまして主要列車に對しまして特別の取締を強行致して居ります、取締期間約十日間餘りと云ふものは、全國主要列車のやうなものの列車内に於ける集團的不法行爲は或る程度まで取締の成果を擧げたと考へるのでありますが、併し取締を多少緩めました昨今に於きましては、是が再發を見て居るやうな次第でありまして、之に對しましては警察と致しましても全力を擧げて對處致したいと思ふのでありますが、更に運輸省とも連絡を保ちまして、特別の制度を樹立致しまして恒久的に是等の絶滅を期すべく今折角努力を致して居りますので、今暫く時日を御藉しを願ひたいと思ふのであります、更に又青空市場でありますとか、自由市場でありますとか、或は市民市場でありますとか、闇市場と云ふやうな名前で盛んに闇行爲が大都市を初め中小都市に於ても行はれて居る事實、而も是等を能く調べて見ますれば、其の大多數は非日本人で、中には日本人の經營に依るものも多數あるのでありますが、經營され、而も主要食糧品を初め各種の統制品、其の他の物が非常な法外の價格を以て賣買されて居りまする、實情を見まして、是は我が國の現在の状態として或る點に於きましては已むを得ざるものがあるかも知れませぬが、之を看過することの出來ないのは申すまでもないことであるのであります、二週間前に私は機會を得まして關西の三大都市に於きまする是等の市場を自分自ら觀察して參つたのでありますが、其の組織或は其の取引の實情を見まして暗然たるものがあつたのであります、是等に對しましても唯單に一部分的に或は一時的に措置を講じましたのでは、決して目的を達成することが出來ないと云ふことを明らかにし得ましたので、其の根源を衝くべく今全國警察に指令を致しまして著々準備を始めて居ります、既に關西方面に於きましても、或は當東京都に於きましても、警視廳に於きましても手を著けて居りますることは御案内の通りであるのであります、私共の狙つて居りますることは、是等の取引の根源を成して居りまする取引物資の生産の根元を斷つこと、或は是等の闇取引の「ブローカー」を整理すること、さう云ふ方面に全力を盡すべく色々内偵研究を進めて居るやうな次第であります、各地方廳に對しましては、先般警察部長を集めまして事細かに指示を致して居ります、或は府縣令を新しく改廢し、或は府縣の規則を定めまして、是等に對しまして著々準備を整へて居ることも皆樣御諒承を戴いて居ることだらうと思ふのであります、又一昨日、昨日に亙りまして、警視廳が新橋竝に澁谷の闇市場に對しまして相當の手入を致したことも、新聞紙上で御案内を戴きました通りであるのであります、又昨日は六大都市の關係者を名古屋に集めまして、此の問題に付きまして事細かに打合せを了して居るやうな次第でありまして、斯樣に全國的に而も此の問題の根源を衝くべく凡ゆる努力を傾注致して居りまするので、此の點御諒承を戴きたいと思ふのであります、唯ここで一應皆さんに御報告を申上げて御諒承を得て置きたいと思ひますことは、昨日の、又一昨日の東京都内に於きまする斯うした二闇市場の手入に當りましても、貴い警察官六名が或は四週間或は三週間に亙る重傷を負つて居ると云ふやうな有樣であります、輕傷を負つて居りまする警察官も相當の數に上つて居ります、又關西に於きまして、或は北九州に於きましては是等の取締に當りまして貴い生命を職の爲に殉じて呉れた警察官も居ると云ふやうな實情であるのであります、身を以て是等の警察官が斯う云ふやうな問題に當つて呉れて居りますることは、私自身としては全く感激致して居る所でありまするが、國民一般もどうか元氣を取直して警察と共々に是等の問題の根源を掃蕩すべく御協力を願ひたいと思ふのであります、一例を申上げますれば、列車内の集團的不法行爲の取締に當りましても、最近は拳銃を帶びさしめた警官を搭乘さして居るのでありますが、數人の非日本人の不法的な行動を多數の日本人乘客が見逃して何等之に對して適當なる制裁も意思の表示もして戴いて居ないと云ふやうな有樣、或は假令さう云ふやうに身を以て我が警官が努力致して居りましても、之に精神的或は他の協力を與へてやると云ふ心持になつて貰つて居ないと云ふやうな状態にあることは私頗る遺憾とする所であるのであります、何と致しましても數限られたる警官が、而も終戰後と今日とを比較致して見ますると、普通の犯罪に於きまして四、五倍になつて居ります、集團的の不法行爲に至りましては十五倍、多い所に至りましては二十五倍にもなつて居ると云ふやうな状態であるのであります、それを薄給に甘んじて現在の警察官が努力をして居る、此の有樣は十分に御認めを願ひまして、元氣を付けてやつて戴きたいと思ふのであります、私共と致しましては是等の問題に付きましては十二分に研究を進めて居りまして、凡ゆることが今正に私共にはつきりして參つて居りますので、其の根源を衝くべく努力を致して居ります、ここ一、二箇月の間には相當の成果を擧げることだらうと思ひますので、今暫く御猶豫を願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=33
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034・林田正治
○林田委員長 それでは本日は之を以て散會致しまして、次の會議は公報を以て御通告申上げます
午前十一時五十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00419460719&spkNum=34
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