1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
特別都市計畫法案(政府提出、貴族院送付)
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昭和二十一年七月二十三日(火曜日)午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 林田正治君
理事 鈴木仙八君 理事 西村久之君
理事 今村等君
森崎了三君 細川八十八君
前田榮之助君 山下榮二君
鹿島透君 原尻束君
中田榮太郎君
出席政府委員
戰災復興院總裁 阿部美樹志君
内閣事務官 財津吉文君
内閣事務官 大橋武夫君
内閣事務官 中田政美君
内務政務次官 世耕弘一君
大藏事務官 江澤省三君
委員長の許可を得た出席者
内務事務官 荻田保君
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本日の會議に付した議案
特別都市計畫法案(政府提出、貴族院送付)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=0
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001・林田正治
○林田委員長 それでは是より會議を開きます、通告順に依りまして質疑を續行致します──中田榮太郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=1
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002・中田榮太郎
○中田委員 最初に戰災保險の支拂に付て御伺ひ致したいと思ふのであります、戰災保險の打切りとか、切捨とか、或は少額支拂とか云ふやうな噂を突如として耳に致して居るのでありますが、戰災民をして實は大恐慌を來さしめて居るのであります、今日に至るまでも戰災者に對して適當な救濟の手も延びないので、非常な困難の限りを盡して居るのでありまするのに、此の際戰災保險──多くの保險加入者、罹災者は之を以て立上りの唯一の杖とも柱とも致して居るのでありまするが、若し是が打切られ、或は少額支拂と云ふことにでもなりますれば、復興に非常な支障を來し、差當り既に建設中の住宅、或は註文中のものをも解約せねばならぬ時には、已むなく都市を去つて新たに轉住の計畫も何とか立てねばならぬと云ふやうな羽目に追込まれるのであります、そればかりでなしに、愈愈深刻な生活難に陷りまして、明日からでも路頭に迷ふ者も續出するやうなことがありはしないかと思はれるのであります、申すまでもなく戰災保險は軍需補償とは其の趣を異にしまして、多くは多年零碎な積立をして非常時に備へ、殊に一昨年秋以來敵機の來襲頻繁を加へまして、國家戰爭に依り被るべき損害を幾分なりとも補償せんとして之に附帶契約を致したのであります、都市計畫としては罹災民の生活問題にまで考慮せらるる筋合ではないかも知れませぬが、生ける人間の爲めの本の施設、基盤の施設である以上、そこに同情愛憐の情を以ての考慮あつて然るべしと思はれるに付きまして、其の眞相を承りたいのであります、又都市計畫の立場から、此の切捨或は打切説又は少額支拂と云ふものに對する考へ、竝に之を阻止する御意圖はないか、之をも併せて承りたいのであります、以上第一の質問であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=2
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003・林田正治
○林田委員長 大藏省の政府委員があと暫くしてからこちらに出席しますから、今の御質問に對する答辯は暫く御待ち願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=3
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004・中田榮太郎
○中田委員 第二に承りたいのは、全國の戰災都市が百二十ばかりあるのでありますが、之に特別都市計畫を適用する所の都市の標準と云ふものがありますれば、其の基準を承りたいのであります、此の百二十都市の大小或は罹災の實況等にも依りまするが、戰災戸數が三百以下のものが二十五都市もあります、又百戸以下の都市も數都市加はつて居るのであります、政府としては特に此の特別都市計畫法に依つて復興を圖らねばならぬものが、百二十の中で幾つの都市がそれに相當するものであるか、又此の法に依らなくても差支へないと云ふものが、其の反對に幾らあるものであるか、此の點を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=4
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005・大橋武夫
○大橋政府委員 特別都市計畫法をどう云ふ都市に適用するかと云ふ標準と致しましては、罹災戸數とか或は罹災者の數と云ふやうなものに標準を置いて決定するやうな考へは持つて居りませぬ、然らばどう云う標準で決定するかと云ふことになりますると、結局其の都市に於ける罹災區域の復興の方法と致しまして、都市計畫の事業を實施する必要があるかどうかと云ふ點に依つて、之を決定したいと思ふのでございます、其の理由と致しましては、如何に狹い區域或は少數の二百戸、三百戸と云ふやうな罹災戸數でございましても、其の區域を復興しまするに都市計畫をし、區劃整理をやると云ふやうなことになりまするならば、それに對しましてはやはり他の戰災都市と同樣の國庫補助其の他の特典を附與することが適當である、斯う云ふ風に考へました爲に、其の都市は戸數とか人口とか云ふやうなもので決定せず、實際都市計畫に依つて復興計畫をやる必要があると云ふ場合には、總て是等の都市に適用致すやうに致して參りたいと考へて居ります、隨ひまして百二十都市の復興計畫がまだ全般的に決定したと云ふ所まで參つて居りませぬので、今後其の地元々々に於きまして復興計畫を決定し、それが都市計畫事業として國庫補助を得て行ふことが必要だと云ふやうなものが出ますならば、漸次に之を追加して適用區域にして行く、斯う云ふ風な方針でやつて參りたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=5
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006・中田榮太郎
○中田委員 今の御答へで了承致しました
次に第三、是は此の委員の方々の中で、雪の多い所の而も戰災地から來て居りますものは私一人のやうでございまして、私の責任としても御尋ね致したいと思ひます、雪の多い地方、殊に雪の最も深い地方、其の地方の戰災都市の復興計畫に付て色々御伺ひ申したいと思ふのであります、第一には、積雪の處理をどうするのであるか、是は暗渠のやうな方法に依つて雪を流すやうな溝を造つたり、或は雪を何處かに溜めて置くやうな空地を造る必要もあるだらうと思ふ、又雪を搬出するのには、原始的な人力ばかりでなしに、色色機械を使つてやると云ふやうなことなども併せて考へなくてはならぬと思ふのであります、此の積雪の處理に付ての御考へを承りたい
第二には、自然落下の屋根の勾配、是は人力で以て下すと云ふことも中々容易でありませぬから、さう云ふ自然落下屋根の勾配など、或は屋根にどう云ふものを用ひて屋根葺をするのであるか、其の資材の購入、或は雪の多い場合の採光採暖、殊に雪の重壓に對する所の家屋の構造などに付て、建築上如何樣な御指導をなさる方針であるか
第三は、雪の多い地方の道路には何か特別な計畫があるものであるか、地方に依りますると、雁木人道を造つて居るのでありますが、斯う云ふものに對しての御所見も拜聽したいのであります、又同じ雪でも、粉雪でなくて、濕雪の甚だしい所、斯う云ふ方面の道路上の排水などに付ても承りたいのであります
第四は、特に雪の深い而も濕雪、斯う云ふ方面の通信線或は電力線、斯う云ふものの氷雪に對する處置をどうするのであるか、又併せて防火、交通と云ふことに付ての特別な御計畫も承りたいのであります
第五には、一體氷雪地に於ける建築其の他の設備費用は、より多額を要するのでありますが、之に對しても一律の補償或は補助をなさる御積りであるかどうか
それから第六、是は衆議院或は貴族院を加へまして、議員の中から戰災都市復興状況視察員と云ふやうなものを、適宜各戰災都市に派遣致しまして、併せて復興促進に協力せしむると云ふやうな御考へはないのでありますか、以上六點に付て御答へ願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=6
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007・大橋武夫
○大橋政府委員 只今の中田さんの御質問に對して御答へ致します、第一の問題は、雪害地に於ける特に市街地の積雪の處理としてどう云ふ方法を執る積りであるか、斯う云ふ御質問でございます、今囘の戰災都市の中では新潟縣の長岡市、富山縣の富山市が此の積雪の最も多い處であります、其の外に青森縣の青森市の如きも相當雪害に對しては考へなければならぬ處でございます、是等の都市に於きまして、從來積雪の處理に困つて居りました點を考へて見ますると云ふと、街路の幅員が從來は非常に狹くて、其處へ兩側の家屋から下します雪が積つて、是が爲に道路まで結局雪の捨場になつて交通が出來なくなると云ふやうな點に非常な冬季の交通障碍があつたやうな次第でございます、今囘の都市計畫に於きましては、何れも地元の都市に於きまして、是等の點を根本的に解決する機會を得たいと云ふやうな方針を執つて居ります、其の方法と致しましては、成べく勾配の付いた廣い幅の道路を付けて、之に依りまして其處に周りの雪を下し、さうして道路の眞中へそれを積重ねて、所に依りますと其の街路の眞中に相當廣幅員の開渠を設けまして、此の開渠へ抛り込んで流して行くと云ふやうな方法を執つて居る所もございます、現に長岡市に於ける都市計畫に於きましては、街を南北に通りまする妨火帶用の廣幅員の街路を設けまして、其の眞中に只今申上げましたやうな相當幅の廣い開渠を設け、此の開渠に雪を棄てると云ふやうな方法を採用致して居るのでございます、是等の方法は今後各都市に於て色々研究の上、それぞれ其の地に適したものを考案して計畫を申請して參ると思ひますが、只今の御注意もございましたやうに、復興院と致しましても、是等のやり方に付て今後もう少し積極的に指導をして、此の機會に出來るだけ積雪の處理と云ふことも都市計畫の重要な部門でございまするから、さう云ふ見地からの指導に尚ほ力を入れたいと考へます、建築物に付きましても、從來建築上の種々な研究もごさいまするし、又特に積雪の強い場合に於ける屋根の勾配とか採光採煖等は如何にするかと云ふやうなことに付ても學者の間に色々な研究もあるやうでございまして、是等の研究は此の機會に出來るだけ活かしまして、復興建築の指導にも留意致したいと考へて居ります
それから第三番目の街路の問題でございまするが、街路に於ける開渠に付きましては先程申上げました通りであります、尚ほ雁木の點でありますが、雁木が實際雪害地に於て必要な冬季に於ける都市の交通線を確保する爲に役立つて居るのは申すまでもないのでありますが、一面冬季に於ける火災の延燒に對しまして、此の雁木が非常に危險を増大して居ると云ふやうな點もございまするので、此の構造或は雁木の所々に防火帶式に雁木を遮斷すると云つたやうな措置を講じて、防火上の點に付きましても留意する必要があるではなからうかと云ふ風に考へて居ります、排水に付きましては先程申上げました通り、特に雪を棄てるやうな場所に於ける排水、是は勿論開渠が適當だと思つて居ります、それから通信、電力線其の他の問題でございまするが、是は前囘の委員會に於きまして、市街地に於ける通信、電力線の如きは出來得る限り之を地下に埋設させると云ふことが今囘の復興の一つの方針に相成つて居りまするので、特に雪害地に於きましては斯樣な措置が一層必要だと考へて居るのであります
それから補助率の問題でございますが、補助率に付きましては、只今の所雪害地に付て特別な高率を認めると云ふことは考へて居りませぬ、但し實際上先程も申上げましたやうに、雪害地に於ては街路の幅員が一般交通以上に積雪の除去の爲にそれだけ餘分の幅員を取らなければならぬし、又街路に附帶した施設と致しまして排水溝或は開渠と云つたやうな特別な施設をしなければならぬので、街路の經費の補助の率は同じでありましても、單位「キロ」數當りの工費と云ふものはそれだけ高くなる、隨て補助金は其の工費の高まつた程度に於て、金額としては多くなる、唯率としては別に高めることは今考へて居りませぬ
最後に帝國議會の議員に視察委員を御願ひすると云ふ問題でございまするが、此の點に付きましては、目下復興院と致しましても御述べになりました趣旨に副うて善處したいと存じまして、折角準備中でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=7
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008・中田榮太郎
○中田委員 それでは最初の戰災保險のことはあとから御聽きすることにして、是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=8
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009・林田正治
○林田委員長 森崎了三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=9
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010・森崎了三
○森崎委員 私の御尋ね致したいことは、大體補助金の點及び起債の關係の二點でございます、特別都市計畫法實施の際の國庫補助は、實際に於て事業を施行することが可能の程度に補助金と云ふものを政府は御考へになつて居るかと云ふことが問題の第一點であります、前會に他の委員から質問がありまして、それに對する速記録を拜見致したのでありまするが、政府では所謂事業費の基本單價と云ふものを極く低く見て、之に對する高率の補助と云ふことを御考へになつて居るのではないかと云ふ質問に對しまして、當局は、都市計畫事業に對する國庫の補助は出來るだけ生産額に對して定められたる補助率を以て補助をして行きたいと云ふ考へであると御述べになつて居る、事實其の通りに間違ひないものか、私共は從來地方議會に於きまして、災害補助其の他に付て、色々と政府の補助に對しては運動を續けて參つたのであります、隨て區劃整理は八割補助であり、幹線道路が四分の三、補助道路が二分の一、上水道が三分の一、下水道が三分の一と云ふやうな、斯う云ふ補助に對して、幾度か内務省其の他と交渉を致しまして、常に率に於ては相當高率でありましても、實際配付を受けまする金額に於ては必ずしも高率でないと云ふことを經驗致して居るのであります、是と同じやうな方法に於て若し今度の特別都市計畫に於きましても實施されると云ふことになりましたならば、今度こそは實際に於て此の計畫が實現しないと云ふ心配を多分に持つて居るのであります、現に今月の十六日に於きまして、神戸市會に於きまして戰災復興に付きまして千七百三十七萬圓の豫算を通過させて居るのであります、併しながら是は全體の復興計畫の約二十分の一にしか當らない額なのであります、而も其の計畫の中で政府の方からは一體どれだけの補助があるのかと云ふことに付きましての豫定されて居る補助は、僅かに四百萬圓しかない、若し四百萬圓を八割の高率補助と云ふことに致しましても、事業費としては五百萬圓しか組めない、それを千七百三十萬圓で組んで居るのであります、それに色々關聯する補助はどれ位貰へるのかと云ふこと、次に御尋ね致します起債と云ふことと絡んで來るのでありますが、是は各都市が是だけの計畫をしなければ、實際に於て考へて居るやうな戰災都市の復興は出來ないと云ふことを私達は心配する譯であります、隨て最初當局の言はれましたやうな、清算額に對して定められた補助率を以て補助をして行くと云ふやうなことは、本當に其の通りやつて戴けるものかと云ふことを改めて御尋ねを致したいと思ふのであります、其の上で引續き後から御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=10
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011・大橋武夫
○大橋政府委員 特別都市計畫法に依りまする國庫補助に付きましては、只今の所は豫算補助と居ふことになつて居ります、さうして其の豫算は昨年計算しました單價で組んでございますので、之を今日の物價水準から見ますると頗る不十分であると云ふことは、今御述べになりました通りでございます、當局と致しましては出來得る限り之を實際の支出額に近かからしめるやうな基本單價に、第一に單價自體を改めて行くと云ふことが先づ必要であると思つて居ります、それが爲に若し折角補助金を貰つて見ても、單價が非常に違ふ爲に、實際上は補助率が八割のものが下つて行くと云ふやうなことのないやうに、出來るだけ努力をすると云ふのが只今の方針でございます、隨ひまして是は其の年度々々の豫算に依ることになつて居るのでございますが、本年度は非常に少額を現在豫定されて居りましたので、各都市に對する配付額と云ふものも非常に少額でございまして、只今御述べになりましたやうに、一千萬圓の經費に對して四百萬圓しかないと云つたやうな事實で、是は事實さう云ふ都市が多からうと思ふのでございますが、此の補助金自體の額を本年度に於ても或る程度増額すると云ふことが必要だと思ひまして、只今の所それを折衝致して居ります、さうしてそれに依りまして先づ第一に補助金の額全體を殖やして行く、之に依つて仕事の量を全體的に殖やして行くと云ふことを考へて居ります、其の外に物價高に依る所の單價の食違ひの問題でございまするが、此の點に付きましては單り特別都市計畫法に基く補助ばかりでなく、政府の補助金の中、總ての部分の補助に付て此の問題はある譯でありまして、之に付ては今の所別途に何等かの措置を執る必要があるのではないかと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=11
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012・森崎了三
○森崎委員 只今私から申上げましたことに對する御當局の御答辯は極めて御親切な御話でございまして、どうぞさう云ふ點に於て一段の御努力を御願ひ致したいと思ひます、各地方のさう云ふやうな事業を執行して居りまする責任者は、何れも當局の斯う云ふ點の御努力に對しては感謝を致しますし、又非常な期待を掛けて居る譯であります、どうぞ宜しく御願ひ致したいと思ひます
次に色々補助を戴きましても、やはり事業費の不足と云ふものは當然出て來る譯でありまして、之に對する起債と云ふことに付きましては、常に困難を伴つて居ります、此の不足金の起債に付きましては一體どう云ふやうな方針で政府は居られますか、はつきりした指示を戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=12
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013・荻田保
○荻田説明員 起債の點に付きましては單り復興の問題だけではございませず、地方債全部に付きまして只今審議中なのでございます、本年度非常に地方の起債の申請額が多くなつて居りまして、只今私の手許に集つて居りますので三十億に達して居ります、それで此の内容も檢討致さなければなりませぬのですが、尚ほ地方債の引受をする能力が全體的にどれだけあるかと云ふことも見極めなければ、許可だけして起債の借入が實際出來ないと云ふ問題になりますので、目下兩方面から檢討中でございます、是が出來まして、本年度地方債發行額の全體の枠が決まる譯でございます、さうして其の枠の範圍内で重要なものから許可致すことになつて居ります、只今御述べになりました復興事業の如き勿論重要なものでございまして、殊に國庫補助の裏打になります起債の如きは相當高位の順位に在るものと思ひますから、恐らくは國庫補助のあります戰災復興事業は大體全部許可になる見込であります、見込と申しますより、どうしてもそれだけの金は何處かから探したい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=13
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014・森崎了三
○森崎委員 大體只今内務當局から御話を伺ひまして、起債も可能であると云ふことになりましたのですが、併し一方に於きまして或る一定の限度があつて、其の限度内で抑へられる譯であります、復興院の方では戰災地の復興と云ふものを五年間でやる豫定のやうに伺つて居りますが、是は五箇年で果して出來るのであるか、計畫は五年で出來ましても、只今の内務當局の御話のやうに、たつた三十億位の起債が困難をするやうなことでは、將來是はとても五年では出來ないと私共は考へて居るのでありますが、さう云ふ場合でも復興院は五箇年で出來ると云ふ自信を御持ちになつて居るのでありませうか、尚ほ併せて御伺ひ致しますが、清算金の徴收に付きましては、之を分納した場合には五年を標準にして居られるのでせうか、五年間で復興の計畫が實現する見込があるかないかと云ふ場合に、取上げる方は五箇年で取上げる、政府の言ふことは出來ない癖に人民の方からは取ると云ふことが起つて參りますが、此の點はどう云ふやうに御考へになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=14
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015・大橋武夫
○大橋政府委員 五箇年で土地區劃整理を完了したいと云ふのは、我々の仕事に付て之を助けるやうな種々な條件が出揃つた場合でございまして、若し國庫補助が豫算上組めないと云ふやうなことになり、又地方債の起債が五箇年間では完成しないと云ふやうなことになりますると、結局其の範圍内に於て延びて行くのは已むを得ないことと思つて居ります、勿論我々と致しましては是が延びると云ふことは非常に國家的に色々な支障を招來する虞れがございまするので、其の場合に於きましても出來得る限り左樣な障碍を除去するやうな方向に向つて努力を致さなければならぬと思つて居ります、結論として五年で出來るか出來ないかと云ふ御話でございまするが、實は政府の財政自體に付きましても、來年、再來年の豫算に付ては中々今日どう云ふことになるかと云ふことが今の所見透しが頗る困難なやうな實情にある譯でございまして、此の五年計畫の今後の進行に付きましても、今自信を持つて是れ是れの見透しであると云ふことを申上げ兼ねるやうな次第であると存じます
それから清算金に付ての問題でございまするが、清算金の分納と云ふことは、是は關係者の負擔を容易ならしめる趣旨に依つて分納を認める譯でございますから、今後の實情に依りまして五年の分納は一般的に見て困難だと云ふやうな事情が看取されました際に、是は更に或る程度の延長と云ふことも考慮しなければならぬと思ひます、勿論其の際に於きましても費用負擔者でありまする都市或は府縣の財政等の關係もございまするが、是等の點を十分に勘考致しまして、出來るだけ負擔をし易いやうなことにしたいと云ふ考へであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=15
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016・森崎了三
○森崎委員 最後に一言御尋ね致しますが、戰災地復興の費用の中、一部を直接受益者でない地域に於けるものにも負擔を出させるかどうかと云ふことに付きましては、先日其の具體的方法として出來るだけ縣の補助を多くするやうな方法に依つて、關係區域外の一般縣民からも其の復興建築に對して縣費から補助せしめ、其の費用を負擔さすと御答辯になつて居るのでありますが、此の場合に縣の方にもさう云ふ補助をさすことが事實上出來るかと云ふことと、さう云ふ場合に縣の方で今財源は何處にあるか、どう云ふ所で御考へになつて居るかと云ふことを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=16
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017・荻田保
○荻田説明員 復興事業に付きましては都道府縣の方でやるか、市町村でやるか、其の事情に依つて御決まりになることと思ひますが、此の際市町村がやる場合に於きまして、都道府縣が之に對して補助をすると云ふことは、其の地方の事情に依つて適當にやることはちつとも差支へないのであります、其の補助に付きましても起債事業の性質を有するものでございますから、其のやり方も起債と同樣に扱つて行きたい、斯う思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=17
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018・森崎了三
○森崎委員 只今の御話に依ると、出來るものは勝手にやれと云ふ御話でありますか、さう解釋して差支へないでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=18
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019・荻田保
○荻田説明員 補助を出すか出しませぬか、其の縣に於きまして適當と思はれるやうに實行すると云ふことになると思ひます、こちらから別に是だけは縣で持て、是だけの補助をしろと云ふやうなことに付て、こちらから率を示して指導すると云ふことは致さない積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=19
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020・江澤省三
○江澤政府委員 中田さんの御質問に御答へ致します、戰災保險金の問題でございますが、是は他の軍需補償の問題と關聯致しまして、非常に複雜な關係になつて居りますので、具體的に此處で申上げられないのは甚だ遺憾に存じます、唯政府の方針としましては飽くまでも渡すものは渡す、取るものは取ると云ふ方針に變りはないのでありまして、唯財政上何處までそれがやれるかと云ふやうな點、それから他の關係方面との折衝がどの程度まで進んで行くかと云ふやうなことに非常な深い關係がありますので、今の状態に於きましては出來るだけ多く戰災保險金の支拂が出來るやうに、又して居ると云ふことを申上げることで御滿足願ひたいと思ひます、それに依つて色々罹災者が非常に困難な状態になる、又建築中の家屋も建たぬ、生活にも困難を生ずると云ふやうな非常にお氣の毒な状態が豫想されるではないかと云ふ御話のやうでありますが、之に付きましても、政府としては出來るだけのことはしたい、尚ほ財政其の他の都合で或る程度の支拂に付ての制限がありましても、斯う云ふ困窮者に對しては別途對策を講じて其の補給方法を盡したい、斯う云ふやうなことを考へて居る、是れだけを申上げまして御諒承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=20
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021・中田榮太郎
○中田委員 是は實に大問題で、昨今地方からもやかましく言つて來て居るのでありますが、今の御話では少額支拂と云ふ其の金額は此處で申されない、幾らになるか分らない、斯う云ふやうな御話でありますが、少額支拂の場合の──本日あたりの新聞で見ますと、或は一萬圓とか或は五千圓とか云ふやうなこともありますが、それ位の少額のものでありますか、其の見當は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=21
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022・江澤省三
○江澤政府委員 金額に付きましては各方面との關係もありまして、此處では申上げられませぬ、併し出來るだけ多く御支拂ひしたいと云ふ方針で努力して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=22
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023・中田榮太郎
○中田委員 それでは更に御伺ひしますが、此の程度で打切るとか切捨てと云ふことには政府では決つて居らぬのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=23
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024・江澤省三
○江澤政府委員 此の邊で打切ると云ふことはどう云ふことですか、私には一寸はつきり分りませぬのですが、先程申上げましたやうに政府の方針はやはり渡すものは渡す、取るものは取ると云ふ方針で、出來るだけ努力したい、斯う思つて居るのであります、其の間色々な財政上の都合等もございまするが、成べく拂へるものは多くお拂ひしたい、此の程度で御滿足願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=24
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025・中田榮太郎
○中田委員 是は御承知でもありませうが、地方として大問題でありますから宜しく御願ひ致します、是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=25
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026・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 此の際動議を提出致したいと思ひます、本法案に對する委員各位の御熱心なる御質問も大體終了のやうに思はれますので、質疑は此の程度にて打切り、本日は是にて會議を閉ぢられんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=26
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027・林田正治
○林田委員長 鈴木君の動議がありまして、質疑を此の程度で打切りたいと云ふことでありますが、皆さん御贊成ですか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=27
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028・林田正治
○林田委員長 滿場御贊成と認めますから質疑は本日を以て打切ります、尚ほ本案の決定に關しましては各黨の御意見もあることと思ひまするから、討論及び採決は次の會に讓ります、次會は公報を以て御知らせ致します、本日は是を以て散會致します
午前十一時二十分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009012788X00519460723&spkNum=28
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