1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
復興金融金庫法案(政府提出)
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昭和二十一年九月四日(水曜日)午前十一時開議
出席委員
委員長 高橋泰雄君
理事 寺尾豐君 理事 平岡良藏君
理事 細川八十八君 理事 町田三郎君
石原圓吉君 片岡伊三郎君
村上勇君 苫米地義三君
舟崎由之君 宮前進君
澁谷昇次君 松本七郎君
森三樹二君 松本瀧藏君
小川一平君 岡田勢一君
福田繁芳君
出席國務大臣
商工大臣 星島二郎君
出席政府委員
大藏政務次官 上塚司君
大藏事務官 福田赳夫君
大藏事務官 三井武夫君
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本日の會議に付した議案
復興金融金庫法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=0
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001・高橋泰雄
○高橋委員長 是より會議を開きます、此の際一言御挨拶を申上げます、昨日松川君の補闕と致しまして、諸君の御推擧に依りまして、私委員長の席を汚すことに相成りました、唯何分にも不慣れな者であります、諸君の御指導と御協力に依りまして此の職責を全う致したいと存じます、どうぞ宜しく御願ひ致します、是より質疑に入ります——石原圓吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=1
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002・石原圓吉
○石原(圓)委員 復興金融金庫法は我が國の所謂産業と經濟の復興の根源をなすものと思ふのでありまして、其の意味合から大藏、商工兩大臣に御尋ねしたい點が澤山あるのでありまするけれども、只今兩大臣共御見えにならぬやうでありますから、先づ此の第一章總則の中より逐次御尋ねをしたいと思ふものでございます、此の第一條の「復興金融金庫は、經濟の復興を促進するため必要な資金で他の金融機關等から供給を受けることが困難なものを供給することを目的とする。」其の「他の金融機關等から供給を受けることが困難なものを供給すること」と云ふ、是の詳細の御説明を御願ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=2
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003・福田赳夫
○福田政府委員 御答へ致します、「他の金融機關等から供給を受けることが困難なもの」と云ふことはどう云ふことを考へて居るかと云ふ御話でありますが一、二例を以ちまして御答へ致しますると、今後どうしても日本の基幹的な産業となるべきものでありまするが育成に日時に要する、差當りの採算は取れぬけれども、將來は採算が取れる見透しがあるが、育成に日時を要すると云ふ斯樣なものが一つの場合であります、それからもう一つの場合と致しましては、現在設備は持つて居りますが、併しながら割合操業度が低いと云ふ爲に現在の收支は非常に困難である、斯樣なものに對しましては、操業度を高める意味に於きまして融資を致します、斯樣なことを考へて居ります、それからもう一つは外國貿易關係で相當問題があるだらうと思ひますが、他日外國貿易が自由になりまして、外國からどんどん物が入つて來ると云ふやうな情勢になりました場合に於きまして、或は競爭上いかぬと云ふやうなものでありました場合に於きまして、中中現在手が出にくいと云ふやうなものに付きましても、多少の危險を冐して此の金庫から融資をする、斯樣な場合もあると考へて居ります、總括致しまして、大體現在に於きましては收支は取れないが先行の見透しは宜しいと云ふやうなもの、それから現在收支は取れるが先行多少の不安があるが是はどうしても育成をさせたい、斯樣なものに付きまして融資すると云ふやうに考へて參ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=3
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004・石原圓吉
○石原(圓)委員 私の解釋では、普通銀行其の他の機關では所謂擔保品、所謂引當物と云ふものが目標になる、其の爲に金融が困難である、多くの場合、先の見透しとか將來性とか云ふものは其の人に依つて見方が違ひ、又調査の粗漏、見當違ひ等で色々なことがあると思ひますが、さう云ふことに付ては相當の調査機關を置いてやられるのでせうが、其の調査機關を置くと云ふやうなことの爲に非常な時日を費して時機を失すると云ふ虞も多分にあるのであります、此の復興金庫は三年間を存立期間と定められて居るやうでありまして、非常に急速に、短期間に産業復興の爲に使ふ資金、さう云ふことが何か用意がなければならぬと思ふのでありますが、其の點は如何でせうか、それと無擔保貸出と云ふ點に付てはどう云ふ御見解を持つて居られるでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=4
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005・福田赳夫
○福田政府委員 融資を簡易敏速にしなければならぬと云ふ點に付きましては全く同感でありまして、只今の所興業銀行の店舖、それから勸業銀行の店舖、それから更に商工組合中央金庫の店鋪等を代理店として活用致します、さう致しますと各縣に二、三店舖が出來るかと思ふのでありますが、それで情勢に依りましては、更に一般市中銀行等も代理店にすると云ふことも宜からうと思ひますが、窓口を殖やすと云ふことが簡易敏速の、一番の根本問題だらうと思ひます、それから千何百萬圓と云ふやうな多額なものに付きましては、是は復興金融委員會の方で愼重審議すると云ふ手續も執りたいと思ふのでありますが、それ以下の多額に亙らざるものに付きましては、さう云ふ難かしい手續を止めまして、簡易敏速に致す、斯樣に考へて居ります
それから擔保の問題に付きましては、普通の一般銀行に於きましては成べく擔保を取る、斯樣な建前を執つて參ります、併しながら先程申上げましたやうな育成を要すると云ふ事業に付きましては、場合に依りましては擔保がなくても先の見透しを見返りと致しまして貸出を致す、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=5
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006・石原圓吉
○石原(圓)委員 此の金融の點に付きまして、或る方面では非常な危惧を抱いて居るのであります、それは整理資金に充當され、又其の結果が所謂舊財閥の擁護、現在でも所謂資本家方面の擁護となるやうな虞がないかと云ふことを、一般に非常に杞憂して居るのであります、それ等の問題に對して、絶對にないと云ふ御答へは當然あると思ふのでありますけれども、それに對して、整理資金に充當することを防止するとか、資産家、財閥を擁護することにならないと云ふことに對しての何等かのそこに内規的な取決めがあるでせうか、其の點を伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=6
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007・福田赳夫
○福田政府委員 只今御尋ねの點に付きましては、第一條に「經濟の復興を促進するため必要な資金」とあります、此の點が只今御尋ねの點に當る問題でありまして、經濟の復興を促進する爲め必要な資金でなければ、本金庫に於て融通することは致しませぬ、例へて言ひますと、會社の整理資金、斯樣なものは出す譯には行かぬと考へて居ります、それから又舊債務、現に借金を持つて困つて居る、之を返濟すると云ふやうな資金に付きましては、之を融通することは考へられない所である、斯樣に考へます、尚ほ囘收の見込が全然ない、斯樣な事業に對して放出することも考へられざる所でありまして、只今の所内規はあるかと云ふ御尋ねでありますが、是は復興金融委員會が出來ました際に、其處に於て決定願ふことでありまして、只今の所ではございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=7
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008・石原圓吉
○石原(圓)委員 第一條に付きましては相當大きな希望があるのでありますけれども、此の希望は大藏大臣の御臨席の時に申上げたいと思ひます、第二條の復興金融委員會に關する規定は、勅令で之を定めると云ふことになつて居りますが、此の復興金融委員會の性格、機構等に付て詳細に御説明を願ひたいと思ふのであります、此の全體を拜見致しますと、復興金融委員會の權限が洵に廣大無邊のやうに見えるのであります、詰り是は何と申しますか、金庫法の大部分の理事者は、復興金融委員會に責任を轉嫁すると云ふやうな建前で是が出來たものでないかと云ふ疑ひが持てる程、餘りにも此の委員會の權限が大き過ぎると思ふのであります隨て是の性格等に付て詳細なる御説明を願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=8
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009・福田赳夫
○福田政府委員 御説の通り委員會に對しましては相當廣汎なる權限が與へられて居るのであります、併しながら此の委員會は結局主務大臣の監督の下に立つ譯でありまして、第二十八條に於きまして「復興金融金庫及び復興金融委員會は、主務大臣が、これを監督する。」斯樣な建前になつて居ります、併しながら復興金融金庫は、今後三年間に於きまして經濟の復興を迅速に推進すると云ふ特異なものであります關係上、官廳の監督と云ふ從來の行き方を離れまして、衆智を集めました復興金融委員會に於て其の下部の働きをする、斯樣なことに相成つて居る譯であります、復興金融委員會の構成と致しましては、只今まだ決定的な段階に至つて居らないのでありますが、其の中には八名の委員がありまして、其の八人の中少くとも三名は産業界の代表者、此の中には中小工業の代表者も勿論入るのであります、尚ほ其の他の三名は金融界の代表者が入ることになつて居ります、斯樣な構成に相成るだらうと考へられるのでありますが、此の衆智衆能を集めた機關に於きまして金庫の運營の政策的部面を決定し、且つ重要事項を審議して、金庫自體の監督權を行使する、斯樣な風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=9
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010・石原圓吉
○石原(圓)委員 復興金融委員會の構成はまだ出來て居ないさうでありますから、是も次の機會に希望を申上げることに致したいと思ひます
第三條の復興金融金庫の資本金を百億圓とする、丁度商工大臣がお見えになりまして幸ひであると思ひますが、我が國の再建は所謂産業經濟の復興に俟たなければならぬ、其の建前から此の復興金融金庫法が出來たと思ふのでありますが、それに對して此の資本金の目標を百億圓としたのはどう云ふ點から割出したものでありませうか、之を承りたいのであります、私共の見る所では、斯かる少額の資金では、到底日本の産業復興の實は擧げ得られないと思ふのであります、併し少額の金でもそれが出來れば結構なのでありまして、其の點に付きましての御抱負と申しまするか、又見透しと申しまするか、それ等の點を詳細に承りたいのであります、是が從來の色々な金庫のやうに、申譯的に出來ると云ふやうなことでは大變なことになると思ふので、眞劍に此の金庫を活用して復興を圖らなれけばならぬと云ふ建前から、此の金額の少額なのに驚きまして御尋ねする次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=10
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011・福田赳夫
○福田政府委員 資本金百億圓と致しました根據は、大體今年度、即ち三月一ぱいまでに融資せらるべき額が百億圓、斯樣な見當から出發致した譯であります、斯樣な見當はどうして立てたかと申しますると、大體に於きまして三月までの所要の産業資金と云ふものを考へて見た譯であります、是が先づ大體二百億程度ぢやないか、其の三割位が復興金融に廻り、殘りの七割位が一般市中銀行から供給されるのではないかと考へまして、先づ産業資金を六十億と押へました、併し是が更に色色な情勢に依りまして六十億を「オーバー」して必要なる資金と云ふことも考へられ得るのでありまして、色々豫備的な意味もあります、それから更に今囘の金融措置に依りまして相當窮屈になつて居る産業等もありますので、之に對します臨時的な放出と云ふことも考へられます、斯樣な意味合に於きまして、相當のゆとりを取りまして百億圓と致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=11
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012・石原圓吉
○石原(圓)委員 所謂商工部門に於ける復興資金の見透しに對する商工大臣の御所見を伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=12
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013・星島二郎
○星島國務大臣 是は中々困難な問題でありまして、只今大藏省の政府委員から御説明したやうに、大體二百億圓程度で宜いと云ふやうな見透しから、今囘の案が出來たのであります、併し假に金を出すに致しましても、それに伴ふ物がないのです、そこで物資方面から見ますと、中に急激に金は使へないだらう、そこで一應此の程度でやつて見て、さうして尚ほ不足する場合は、是からは議會も度々ある譯でありますから、改めて此の法案の訂正を願ふと云ふやうなことも考へられます、當面先づ百億圓と云ふことで出した譯で、百億圓で十分だと云ふ考へは毛頭持つて居りませぬ、此の見透しは金と物との掛合ひから此の程度でやつて見ようと云ふのが率直な考へ方でありまして、全體から見ますれば少くとも二百億圓程度は必要だ、斯樣な考へから出發した譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=13
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014・石原圓吉
○石原(圓)委員 是は參考に申上げるのでありますが、昭和二十一年度、二年度に於きまして、漁船の補充計畫と云ふものを昭和二十年十二月二十四日の閣議で決定をしたと御發表がありました、それに依りますと、木造船を十二萬七百五十「トン」、鋼船を二十一萬六千三百三十七「トン」、合計三十三萬七千八十七「トン」と云ふものを建造することが閣議で決定されて居るのであります、之に要する資金は、木造船を「トン」當り二萬圓、鋼船を二萬五千圓と致しますると、七十八億二千三百四十二萬圓を要するのであります、是で現在の船價、造船費と比較しまして大凡違ひはないのであります、唯水産の方面の一部の漁船と云ふものを補充するだけに七十八億幾千圓を要するのでありまして、是は而も閣議で決定濟のものであります、斯う云ふ點から考へまして、一部の水産の中の漁船の建造補充だけで七十八億圓も要するのでありますから、商工、農林其の他中小工業の復活と云ふものに對して、此の百億圓では餘りにも少な過ぎると云ふことを申上げる次第であります、此の點は只今商工大臣も資材のないことを仰せられましたが、是も其の通りであります、けれども非常なる努力の下に復興を圖らなければならぬ時でありますから、此の資金の面に付きましては、特に格段の増額に對する御考慮を仰ぎたいと思ふのであります
次に「復興金融金庫は、定款を以て、左の事項を規定しなければならない。」と云ふことになつて居るやうでありまするが、是は從來の多くの金庫、是まで出來ました所の各種の金庫等と性格に於て定款の中に何か變る所の構想があるのでありませうか、無論戰時中又は事變中、其の前後に出來たものと、此の復興に必要として出來るものとは、そこに性格の相違がなければならぬと思ふのでありますが、其の點は如何でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=14
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015・福田赳夫
○福田政府委員 只今の所は從來の普通の定款を考へて居るのでありまして、別段新機軸と云ふやうなことは考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=15
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016・石原圓吉
○石原(圓)委員 此の役員でありまするが、役員を主として興業銀行の方々の中より御選びになると云ふことを昨日大藏大臣より御説明があつたのでありますが、此の點は如何な理由でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=16
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017・福田赳夫
○福田政府委員 それは大藏大臣が如何なる席上でさう云ふ御話があつたのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=17
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018・石原圓吉
○石原(圓)委員 昨日委員會の時にさう承つたやうに記憶するのでありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=18
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019・福田赳夫
○福田政府委員 此の役員に付きましては先般新聞紙上に興業銀行と本金庫は一體運營となる、それから役員は興業銀行の役員と兼務をする、斯樣なことが一寸出たことがあるのでありまするが、それは何等かの誤りでありまして、只今の所に於きましては、本金庫の役員は全く獨立の役員でありまして、他と兼務をすると云ふ——興業銀行の理事と兼務をすると云ふやうなことは考へて居りませぬ、又選任に當りましては、廣く金融界竝に實業界の其の道の專門家を選定すると云ふ風に私共は伺つて居るのでありまして、之を興業銀行から取ると云ふ風に限定した狹い考へ方を持つて居ると云ふやうなことはありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=19
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020・石原圓吉
○石原(圓)委員 只今の御説明に依りまして、興業銀行等の役員が復興金融金庫の役員を兼務することはないと承知して宜しうございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=20
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021・福田赳夫
○福田政府委員 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=21
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022・石原圓吉
○石原(圓)委員 第十七條の「復興金融金庫は、設立の日から三年を經過した後は、あらたに資金の融通、債務の引受若しくは保證又は社債の應募若しくは引受をすることができない。」此の三年と限定したのはどう云ふ所から起つたものでありませか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=22
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023・福田赳夫
○福田政府委員 三年と申しますのは、今後大體三年の期間の中に於きましては、經濟も安定致しますし、それから特殊な施設を要すると云ふやうなことはあるまい、斯樣な大體の見透しから出發したものであります、併しながら左樣な見透しが當りますかどうか、是は分りませぬ、分りませぬけれども、此の三年と云ふ期間に付きましては機動的に之を伸縮し得る、斯樣な措置が講じてある譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=23
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024・石原圓吉
○石原(圓)委員 此の三年と決めたのは、三年の間に完全に復興し得る、復興金融金庫の融資をして、而もそれを適切妥當なる方面へ速かに融資をして、速かに復興資金としての活用をせしめると云ふことに十分其の期間がある、又それより遲れては復興と云ふことの機を失する爲に斯樣に決めた、斯う云ふ意味に解釋して宜しいでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=24
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025・福田赳夫
○福田政府委員 只今申上げました通り、三年の間に安定すると云ふ見透しで三年と致したのでありまするが、其の裏の氣持と致しましては、三年の間には何とかして安定致したい、斯樣な氣持は十分持つて居るのであります、其の間に何とか總力を擧げて財界の安定をさせなければいかぬ、是は全く同感であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=25
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026・石原圓吉
○石原(圓)委員 此の金融は多岐多樣に亙りまして非常に複雜なものであると思ふのでありまするが、其の複雜多難なる融資を速かに完全にしなければ、結局復興の目的が達しないと云ふことは論を俟たないことでありまして、それには調査機關、貸出の窓口、其の他種々のことに非常に敏速なる用意と愼重なる注意とを要すると思ふのでありまして、是等の點は此の復興金融金庫の成立を俟つて用意をすると云ふことでは可なり遅れると思ふのであります、其の故に政府は此の金庫法の成立に先だつて、二億圓かの日本銀行よりの融資に依つて、先行して融資を始めるやうになされたと思ふのでありますが、其の意味合に於きまして、私は此の復興金融金庫法の成立の一日も速かならんことを思ひ、且又其の事業の遂行を著々進められんことを切望する次第であります、さう云ふ意味に依り、此の委員會が一日も早く、十分當局の御説明を願つて完了することを希望する次第でありまして、此の機會に一言愚見を申上げて置きたいと思ふのであります
次に此の主務大臣と云ふ解釋であります、主務大臣と云ふのは、大藏大臣と商工大臣と兩大臣を指すのであるかどうであるかと云ふことを御尋ねしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=26
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027・星島二郎
○星島國務大臣 本來から言ひますれば、金融のことでありますから、大藏大臣だけで私は十分だらうと斯樣に思ふのでありますが、今囘の此の復興金融金庫は主として産業の復興で、所謂普通の意味の金融ではないのでありまするから、非常に關係の深い商工省と致しまして、共管を望んで居る次第であります、併し是はまだ今後の閣議等に於て決定することでありまするが、大體に於て今日左樣な諒解を得て此の法案に臨んで居る譯であります、けれども實際から言ひますれば、或は農林大臣も、或は運輸大臣も皆關係があることでありまして、各省全部に關係がありませうが、其の中でも最も深い關係を有するものが代表として、所謂堅過ぎてもいけないから、金融本位の只今石原君の仰せらるる如く、斯く斯くの仕事には斯う云ふものの金融が必要であると云ふことは、寧ろ先行して商工省あたりで平素調査したものを此の復興金融金庫に示して、さうして急速にやつて貰ひたいと云ふやうな考へもありますので、私と致しましては其の共管を望んで、さうして共管と云ふことを以て、今此の委員會にも臨んで居る譯でありますが、最後の決定には今少しく色々の審議を要することと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=27
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028・石原圓吉
○石原(圓)委員 私は主務大臣としては、大藏、商工兩大臣が當然共に其の衝に當らるべきであると思ふのでありまして、此のことは絶對必要であると考へるのであります、其の一つの理由と致しましては、復興金融委員會の構成と云ふものが其の主務の大臣に非常に重要なる關聯を持つと思ふのであります、隨て此の復興金融委員會の構威に付て、其の會長などになられる際には、主務大臣が御二人の場合にはどう云ふことになるのであるか、さう云ふことが一つの隘路となつて此の重要なる金庫法の事業が遂行出來ない——遂行出來ても振はない、摩擦が起るとか云ふことはないとは思ひますけれども、若しさう云ふことになつたならば大變だと思ふのでありまして、それ等のことに對する大體の御所見も此の場合伺つて置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=28
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029・星島二郎
○星島國務大臣 只今石原君の仰せの通りに、假に委員會の構成に致しましても、産業人より三名、或は金融界より三名と云ふやうなことが自ら此の法案の目的とする所を表現して居ると思ふのであります、さう云ふ關係からは各省とも全部が關聯がありまするけれども、其の産業關係の方面を代表して、若し出來るならば、大藏大臣、商工大臣の兩管に致したい、けれども、えてして兩管にした場合には、斯う云ふ迅速を要するやうな仕事振りに、つい屋上屋と云ふやうなことがあつてもなりませぬから、豫め金融方面の措置に付ては主として大藏大臣と致して、此の金融は特に産業復興の爲だから、斯く斯くのことは商工大臣に禀議すると云ふことにでも決めまして、迅速を圖る爲に十分の心配りを致しまして措置を致したいと思ひまするし、殊に又産業人の安心の點から言ひましても、今度の金融をするのは普通の銀行ではないと云ふ觀念を以て、さうして積極的な創意及び溌刺たる元氣を振興さす爲にも斯かることが適當だらう、斯樣に考へまして、今日の場合、大藏大臣及び商工大臣の共管に致したい、斯樣な積りで居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=29
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030・石原圓吉
○石原(圓)委員 商工大臣の御説明に依りまして稍稍滿足する所であります、此の問題は所謂經濟安定本部との關係も茲に起らうかと思ふのでありまするが、此の復興金融金庫なるものは總てを超越して、出来ることならば、經濟安定本部の大臣も此の委員の中に入れて、さうして圓滑なる即決速行主義の融資をやつて貰ひたいと云ふことを強く希望するものであります
それから此の委員會の委員の數は、只今の説明の範圍では私共は非常に妥當を缺くと思ふのでありまして、各職能代表、各業界の代表竝に衆議院からも何名かの委員を出すと云ふことが最も妥當だと思ふのであります、産業部門の各界の代表的の人竝に衆議院よりも委員を出すと云ふことに強い意味で私は希望を申上げて置く次第であります、此の點は只今でなくても大藏大臣の御見えになつた時でも、今でも宜しいから御所見のある所を承つて置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=30
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031・星島二郎
○星島國務大臣 是は本會議でも大藏大臣が既に表明しました如く、實際の運營上の意見を決める所でありますから、必ずしも議會人等を求めませぬでも、平素に於て十分之に反映する——或は經濟安定會議に於きましては無論議員の方も出て居りますし、現在の政府は概ね政黨を中心としたる政府で、舊來の如きものとは變つて居りますから、色々な意見を反映する場面は幾らもある譯で、迅速を旨としてどんどん進行する仕事の面に於ての一種の大目附と言ひますか、さう云ふ意味に於て委員會の目的でありますから、私は必ずしも多數を要しない、寧ろ極く專門的に金融方面の産業人等を代表したる適當の方が居れば、却て其の方が運營上宜しいのではないか、さうして若し全體の運營の上に於て、根本的な改正を加へ、或は色々なことが必要ならば、議會も今後度々開かれますし、議會以外の其の他の政黨等の力を藉りまして、それにどんどん意見を言ひますれば動いて行くことと思ひますので、必ずしも凡ゆる委員會の凡ゆる顏役を全部揃へると云ふことは又少し行過ぎではないかと考へます、今日の場合先般大藏大臣が本會議に於きまして説明したやうな風にやつて行きたいと考へて居る譯であります、併し御趣旨のある所はそれを十分反映するやうに何とか考慮したいと思ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=31
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032・石原圓吉
○石原(圓)委員 私は此の委員會の運用上或は何等か監督的、看視的立場からと云ふ心持は毛頭ないのでありまして、要するに各界が圓滿に速く眞相を知つて、必要に應じて即決速行主義に復興を速かならしめるのには、他の委員會であるとか審議會であるとかと云ふものとは、全然別個に重大に考へて、此の運行が圓滑に又目的を速く達し得るやうにしたい、さう云ふ點から申上げて居る次第でありまするから、尚ほ御熟議を御願ひを致して置きます
次に三十二條の罰則の問題でありまするが、茲に一つだけ六箇月の體刑の刑がありますけれども其の他の罰則は總て科料及び罰金となつて居るやうであります、此の點は刑罰主義から申上げますならば是で宜しいと思ふのでありますけれども、現在の五千圓とか二千五百圓と云ふものは非常に金の單價が下つて値打がないのでありまして、斯かる少額の罰則では宜しくないのではないか、もう少し重刑に處することが本當でないかと思ふのでありまするが、其の邊に對する御所見は如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=32
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033・福田赳夫
○福田政府委員 只今罰則が輕過ぎると云ふやうな御話がありましたが、此の罰則の罰金の金額でありますが、是は他に澤山法令がございまして、其の權衡と云ふものは非常にむづかしい問題であります、而して他の罰則に於きまする罰金の額と云ふものは、只今我我が現在の貨幣價値から考へて見ますると、相當低いやうにも見えます、今後之を科すと云ふ際には相當上げて行かなければならぬと云ふやうな關係に立つのではなからうかと思ふのでありますが、現在の罰則全體の體系から精精上げまして此の位の程度、斯樣な所で決めてある譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=33
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034・石原圓吉
○石原(圓)委員 是までの此の種の金庫等に於ける罰則は貨幣價値の非常に高い時に出來たものでありますから、私共と致しましては此の程度では不正をやると云ふ意味から言へば、どう云ふことをしてもやはりやる人はやりますけれども、其の間に體刑を科すると云ふことはどうかと思ひまするが、金額の點に付ては相當増額をすることが、此の事業の遂行の上に必要であらうかと考へるのでありまして、意見として申上げて置きます
それから此の復興金融金庫と、他の金融機關との間に協調をすると云ふことに對して、どのやうな構想を持つて居られるでせうか、又一般金融機關其の他政府關係の金融機關等との間に、摩擦相剋等が起るやうなことがないでありませうか、それ等の見透しに付ても承つて置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=34
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035・福田赳夫
○福田政府委員 只今他の金融機關と本金庫は摩擦を起すやうなことはないか、斯樣な御尋ねでありますが、先づ此の問題は設立の當初にあるかと思ふのであります、設立の當初の範圍と致しましては、本金庫は全く他の銀行とは別のものに致しまして獨立の機關と致す、併しながら其の職員等に付きましては、それぞれ關係金融機關より援助を得まして、復興金融金庫を中心とする協力體制を作つて行きたい、斯樣に考へて居ります、それから尚ほ關係金融機關に色々のことを援助願はなければならぬと云ふ問題に付きましては、一番問題は店舖であります、店舖は場合に依りましては此の金庫の出張所等として借りなければならぬと云ふやうな場合も出て來るものと思ひます、尚ほ代理店に付きましては、非常に多數の代理店として御願ひしなければならぬと云ふやうな場合も出て參ります、さう云ふ仕組を考へて居ります、それから尚ほ市中の銀行との關係が極めて「デリケート」の問題であらうかと思ふのでありますが、此の問題に付きましては、茲にあります通り、一般の金融では、處置の出來ないものを復興金融金庫でやる、斯う云ふことになりまして、法理上市中銀行の領域を侵すやうなことはない建前になつて居るのでありますが、尚ほさう云ふ懸念もありますので、此の復興金融金庫から貸出しまする融通金の金利、斯う云ふやうなものも、市中銀行と睨み合せて、大體協調を取つて行きたいと考へて居ります、それから預金を此の金庫には扱はせないことになつて居りますが、是れ亦市中銀行の領域を侵さないと云ふ配慮から來て居るのでありまして、尚ほ金庫の運營に當りましては、金庫と市中銀行との間の調整に付きましては、日本銀行に相當な役割を課して行きたいと、斯樣な方針を持つて居ります、法律の建前と致しまして、本金庫は一般市中銀行で扱へないと云ふもののみを扱ふのでありますから、大筋と致しましては市中銀行と摩擦を起すことは萬なからうと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=35
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036・石原圓吉
○石原委員 從來の此の種の金庫等の弊害と致しましては、囘轉率の良き企業にのみ融資をして、囘轉率の惡い企業は後廻しにする、是が從來の此の種の金庫の弊害の主なるものであつたと思ひます、之逆をに行つて貰ふことが本金庫の使命であると思ひます、やはり從來のやうに都合の好いもののみやつて、都合の惡い方は愚圖々々と延ばして其の儘引摺つて行くと云ふやうなことがあれば、是は金庫の使命でないと思ひます、それから次は擔保の確實なる事業にのみ融資をして、中小工業等の企業は後廻しにする、是が從來のやり方であつたのであります、是も逆にして、中小工業企業等、所謂擔保の問題は度外して融貸をすると云ふことでなければいけないと思ふのであります、又利用率の高い企業にのみ融資をして、國家の金融の緊要なる事業であつても融資が不圓滑であつたと云ふことが今日まではあるのでありまするが、如何に困難であつても、利潤追求と云ふやうなことは全然度外に置いて、國家緊要の事業には速かにどしどしと窓口で解決するやうな圓滑なる融資の方法を講じて戴きたいと思ふのであります、茲に企業の良否判定と云ふやうな問題に付て、非常な調査上の問題があると思ひます、是が急速に出來て三年間に終ると云ふやうな金庫でありまするから、總てのことが整備し、且つ商工省、農林省其の他各省で從來査調研究濟みのものはどしどしと貸出して行くと云ふことに重點を置かなければならぬ、是等のことはもう今より其の準備をして戴きたいと思ふのであります、それから三年以後の貸付金の取立等に付きましては、其の當時年賦償還の中間にあつたり、又企業が既に準備が出來て是から愈愈本格的にやらうと云ふ時分に三年の期間が滿ちて、次の融資が出來ないと云ふやうな、さう云ふ豫期せざる支障の起ることがあると思ふのでありますが、是等に對する用意はどう云ふことに御考へになつて居るか、是れ亦伺つて置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=36
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037・福田赳夫
○福田政府委員 只今囘轉率が良いものに從來は優先融資をする、又擔保のあるものに優先融資する、收益率の良いものに優先融資すると云ふやうなことであるが、之を逆にしてはどうかと云ふ御話であります、是は本金庫の使命に鑑みまして、育成して行かなければならぬ事業に付きましては、どうしても普通一般の金融の原則に囚はれることは出來ないと思ふのであります、勿論囘轉率の惡いものより良いもの、擔保のないものよりあるもの、收益率の低いものより高いものの方が金融し易いのでありますが、今囘の金庫の運營と致しましては、さう云ふものに大して重點を置くことは出來いなと考へて居ります、尚ほ三年後の貸付金の囘收でありますが、是は貸付を受けました所の企業の實情に應じまして、相當機動的な體制を以て進まなければならぬと思ひます、唯併しながら金は借りたけれどもどうしても立ち行かぬと云ふものに付ては假借なく囘收することは勿論であります、併しながら中途で殺すと云ふやうなことがあつては如何かと思ひますので、運營に當りましては十分氣を付けて行かなければならぬと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=37
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038・石原圓吉
○石原(圓)委員 過去に於ける此の種の金庫等は、要するに政府が是でなければならぬと云ふので作り上げて、其の當時の押出しは非常に宜かつたのでありますけれども、一つも巧く行つて居ないと云ふやうなことを聞くのであります、今囘の金庫は左樣なことがあつてはならぬと思ふのであります、今より從來の種々の弊害であつた、又政政の意圖が行はれなかつた、實際の運用の出來なかつたと云ふ事實を十分御究めになつて、今度の金庫が其の轍を踏まないやうにすることに、十二分の用意と心構へが必要であると思ひますが、之に對する準備、用意と云ふものに對して、まだ私共の得心の行く所に行かぬのでありますが、もう少しく突込んだ御説明を承ることが出來たら結構だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=38
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039・福田赳夫
○福田政府委員 御話の點は御尤もな點でありまして、是はどうしても早く「スタート」しなければならぬと云ふことは申すまでもなないことであります、就きまして本金庫が發足する前に於きましても、既に興業銀行に特別勘定を設けまして、此の興業銀行特別勘定は、八月一日より大體本金庫に於て行ふべき業務と同樣な業務を開始致したのであります、此の準備的受入の態勢と致しましては、さう云ふ意味合のものを作つたのでありまするが、それに更に關係各方面の代表者を以て組織して居りまする所の協議會を設けました、此の協議會に時々問題を持ち寄りまして重要案件を決定して行く、尚ほ特に手の廻らぬ所の中小工業でありますが、此の方面に付きましては、運用上特に配意をする、それから金庫が出來ました曉に於きましては、特に金庫に中小工業のみを對象とする所の相談部と云ふやうなものを設けまして、機宜の措置に誤りのないことを期さうと云ふ考へであります、目下の所は先程申上げました協議會之を中心にして萬遺憾なきを期して居る譯であります、左樣御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=39
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040・石原圓吉
○石原(圓)委員 中小工業、水産問題其の他まだ多數御尋ねがあるのでありますけれども、大藏大臣も御見えにならないし、尚ほ小工業の方は他の同僚の方に御願ひしまして、水産金融に關することを少しく御尋ねをしたいと思ふのであります、水産は只今申上げるやうに應急な閣議決定の計畫で、造船だけでも七十八億幾らと云ふ多額を要するのでありまして、差當りそれはそれと致しましても、徴用されて滅失をした船が北海道より鹿兒島までの間に千二百四十隻あるのであります、此の千二百四十隻に對する所の報償金の凍結されて居る額が二億三千四百四十一萬三千何百圓と云ふものになつて居るのであります、さうして此の船主は是が船體の復興の爲に焦つて居りますが、未だ金融の方途が付かず、此の金融金庫の出來ることを待つて居る次第であります、さうして此の千二百四十隻、二億三千四百四十餘萬圓の報償金は、其の當時の船を造つた價格でありまして、それが丁度現在では十一倍位になつて居るのであります、隨て三十億圓に近い金であります、農林省が調査した所に依ると、本年度の漁船の復興には本年度の八月より十月までに七億九千四百四十六萬圓、八月より三月までに二十二億三萬五千八百二十八圓斯う云ふ金額、捕鯨船の母船を加へたならば之に三億圓、約三十三億圓要る、是は滅失した船を復興する資金であります、此の他に政府の計畫の閣議で決定した三十三萬「トン」七十八億幾圓と云ふものがありまして、之を合せますと百億圓を超過すると云ふ金額であります、私は此の場合、此の復興金融金庫の中に水産部と云ふものを設けられ、さうして專ら此の方面の融資をしてやると云ふことに願ひたい、それに對する御考へを承りたいと思ふのでありまして、是は實は大臣に申上げて大臣より直接承りたいのでありますが、其の御所見は後で伺つても宜しいのでありますし、又此の際それに對する快き御所見が承ることが出來たならば結構だと思ふのであります、實は此の場合參考に申して置きますのは、産業組合中央金庫であります、此の方は相當漁村には融通して宜いと私共は思ふのでありますけれども、あの中金の中に漁村金融協會と云ふものの事務所を置いてやつて居りますので、それ等の方面を期待しても、未だ少しも目鼻が付かないのであります、昨今中央金庫法の一部を改正することになつて、別の室で今日討議をして居りますが、此の方も貸出先は團體であつて、船主であるとか個人に對しては道が未だ開けない、斯う云ふことであります、中央金庫が莫大な金錢を農山漁村から集めて、其のものを死藏同樣とは申しませぬけれども、少しも産業の部面へ融資をしないと云ふことは、最近までの事實であります、最近林兼と云ふ大きな資本漁業家へ、中金の方から勸業銀行に金を廻して、勸業銀行から融通をしたと云ふことを聞くのでありまして、其の金額は一億圓だと云ふことであります、さう云ふやうな點から考へますと、如何にも日本の全沿岸に亙る所の漁村が其の金融の面から非常に虐待されて居る一面、此の二億幾らの報償金は連結され、融資の道は開かれてないさうして何十萬と云ふ漁夫は此の船の出來ることを待つて、失業同樣の状態に居る、斯う云ふのが今日の有樣でありますから、此の際是非とも此の金庫の中に水産部と云ふものを設けて、適切なる方法で迅速に貸出をして貰ひたい、斯う云ふ希望を持つものでありまして、之に對する此の際所見が承れれば結構だと思ふのでありますが、それは次の機會に伺つても結構だと思ふのであります
それから今日日本中で漁村へ金を貸出して非常に圓滑に都合好くやつて居るのは勸業銀行であります、勸業銀行は全國に八十四箇所の支店、出張所、所謂貸出の窓口がありまして、其處の人々は漁村の人々と十數年來常に接觸を致しまして、さうして大いに其の地方の漁民の民情及び習慣、漁業の状態を能く知つて居るのでありまして、殆ど貸出に對して調査研究等に時間をさう要しないと思ふのであります、斯う云ふ點からも勸業銀行と云ふものを、大いに漁村の金融には利用をして戴きたい、是は中小工業とは大いに其の趣を異にするのであります、中小工業は興業銀行が最も便利であると思ふのでありますが、此の漁村には私の地方は東海道でありまするが、名古屋まで行かなければ漁付の金融は付かない、此の食糧難の時に、宿屋のない時に非常に困ると云ふ實情であるのでありまして、どうか此の點は是非勸業銀行を利用するやうにして戴きたい、斯う考へるのであります、此の復興金融金庫の金を漁村に使ふと云ふのは、私は産業の復興に非常に急速に役立つと思ふのでありまして、それは漁撈長、機關士、船長、船員、熟達した漁夫が、此の船が出來ない爲に、皆待機をして遊んで居るのであります、是等の者がどの漁村にも殆ど無數と言うて宜い程居るのでありまして、船さへ出來れば、多年の經驗、多年の腕前を揮うて忽ち漁獲をする、是は農村で畑を開墾し、草を採り、種子を蒔き、苗代を作り、肥料をやる、さう云ふやうなことはもう漁業には一切要らぬのでありまして、單に船が出來て、沖があり、それと食糧があれば、其の翌日から魚を獲つて來る、極く單純に目立つて漁獲の増加が圖れるのでありますから、此の點も能く御考へを願ひたいと思ふのでありますが、唯斯う云ふ機會に經驗のない人が、漁業は面白い、水産は面白いとか、儲かると云ふことから、冐險をやる人も偶にはあるのでありまして、さう云ふことの爲に本當の生業が誤解される虞もありますので、非常に困ることがありますが、是は勸業銀行等に御尋ね下されましたならば、すつかり事情は能く分ると思ふ、只今申上げました點に付きまして、御説明の出來得る範圍の御所見を御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=40
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041・上塚司
○上塚政府委員 四面海を以て繞らされて居る我が日本に於て、水産事業と云ふものが我が國の主要なる食糧を供給する上に於て、又海外への輸出品を作る上に於きましても、極めて重要な役割を務めて居ると云ふことは御説の通りでございます、而して此の戰爭中に於きまして、漁業者の持つて居る漁船が非常に多く徴發せられまして、それの代償として與へられた所の報償金が凍結して、現在漁業者の大部分が其の資金のない爲に困難致して居ることは、實に同情に値するものと思ひます、之に對して特に復興金融金庫の中に水産部を設けて、金融の途を圖つてはどうかと云ふ御尋ねでありまするが、只今の所ではまだ金庫の中に各事業別に其の部門を設けるかどうかと云ふことに付ては、はつきりと決つて居りませぬ、何れ此の運營に付きましては、復興委員會等に於きましても色々と協議せられて、さうして其の大本が決定せられることと思ひます、出來るだけ御趣旨のある所は、其の方面にも御傳へを致すことに致して置きます、尚ほ勸業銀行が、地方に於て水産方面に關する金融の上に非常に有效適切な融資の途を開いて居ると云ふことでありまするが、全く御説の通りでございまして、今囘の復興金融金庫の融資に當りましても、出來るだけ能く勸業銀行を活用致したい、さう考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=41
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042・高橋泰雄
○高橋委員長 石原君に伺ひますが、まだ質疑は餘程ありますか——あれば、もう大分時間が經過して居りますので……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=42
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043・石原圓吉
○石原(圓)委員 ありますが、あとは大藏大臣が御見えになつた時にして、序でにもう一言聽きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=43
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044・高橋泰雄
○高橋委員長 それでは其の點だけ願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=44
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045・石原圓吉
○石原(圓)委員 水産の問題でありますが、進駐軍の司令部から、北緯二十四度までは好意的に漁場の擴大を許されまして、全國の漁業者は勇んで居るのであります、其の上新聞等でも御承知のやうに、捕鯨船が極東に進出することを許され、最近長崎より第一船が出發したと云ふやうに、漁村には一つの此處に劃期が出來て參つたのであります、此の際に髀肉の嘆きはやはり船であります、閣議で決定しました三十三萬「トン」の船は、是は我が政府の閣議で決めたことであるから、是非とも實現に移さなければ、私は進駐軍に對しても申譯がないことになると思ふ、折角二十四度の線まで擴大して貰つたのであります、此の次は赤道直下まで、所謂戰前日本の進出した漁場の區域までは是非とも擴大するやうに、政府の努力も願ひ、又漁村の者共も奮鬪せなければならぬと云ふことになつて居るのであります、然るに船が出來ない爲に、二十四度の線に往復する漁船が寥寥るものであると云ふやうなことでは、實際進駐軍の好意に反することになる、隨て赤道直下まで到底擴大することは出來ない、殊に戰前には「カムチャッカ」方面、或は「アリューシャン」方面、日本海に面する「ロシヤ」方面から、朝鮮方面の沿岸は自由自在に漁業が出來たものが、今ではそれも出來ない、是は漁船が少い爲に、活動の範圍内で活動出來ないから、次の要求が出來ない、斯う云ふやうな實情になつて居りますので、農村で申しますれば、澤山の水田や畑を遊ばして居るのと同じ心持、漁村はそれ以上の髀肉の嘆を以て過して居るのであります、殊にもう一つ申添へたいのは、眞珠であります、日本の眞珠は世界に外には出來ないので日本だけであります、是は技術では出來ない、氣候、水温、海水の温度さう云ふやうなものの爲に、如何に世界の學者が苦心しても日本だけより出來ない、其のものが今度の終戰で第一に見返り物資となつて、「アメリカ」進駐軍其の他を先づ喜ばしたのであります、さうして今日でも其の眞珠の主産地では、日曜毎に外人は押すな押すなの眞珠の視察であります、さう云ふ實情でありまするが、之に對してもやはり資材がない、其の爲に十分の養殖が出來ない、それは一つは資金の面にも影響して居る、斯う云ふことでありまして、此の眞珠を理想的に増殖したならば、私は繭所謂生絲に次ぐ輸出對象物になると固く信じて居る次第であります、左樣に水産の方面には手の著けないやうな、是からやらなければならぬ仕事が無數にありまするので、特に當局に於かれましても御考慮を仰ぎたいと思ふのであります、一應私は是で止めて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=45
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046・高橋泰雄
○高橋委員長 宜しうございますか——それでは本日の質疑は此の程度に致しまして、明日午前十時半より會議を開きまして、更に質疑を續行致したいと思ひます、本日は此の程度で散會致します
午後零時二十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00319460904&spkNum=46
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