1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
復興金融金庫法案(政府提出)
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昭和二十一年九月六日(金曜日)午前十時四十九分開議
出席委員
委員長 高橋泰雄君
理事 寺尾豐君 理事 平岡良藏君
理事 細川八十八君 理事 町田三郎君
石原圓吉君 片岡伊三郎君
原藤右門君 村上勇君
苫米地義三君 舟崎由之君
宮前進君 澁谷昇次君
松本七郎君 島田晉作君
森三樹二君 木下榮君
松本瀧藏君 岡田勢一君
福田繁芳君
九月六日委員小川一平君及び宮村又八君辭任に付其の補闕として大津桂一君及び島田晉作君を議長に於て選定した
出席國務大臣
商工大臣 星島二郎君
大藏大臣 石橋湛山君
出席政府委員
大藏事務官 福田赳夫君
同 三井武夫君
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本日の會議に付した議案
復興金融金庫法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=0
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001・高橋泰雄
○高橋委員長 是より會議を開きます、昨日に引續きまして質疑を續行致します——平岡良藏君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=1
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002・平岡良藏
○平岡委員 私は先づ此の金庫の計畫に當つて政府が最も重點的に此の金庫の對象として考へて居られる産業が如何なるものであるかと云ふ點に付て御尋ねしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=2
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003・石橋湛山
○石橋國務大臣 大體其の見當——其の金額の上からの計畫、是はまあ實際の需要を考へての話でありますが、今年の八月から來年の三月に至る主要産業に於ける資金の需要見込と云ふものから申しますと、石灰、鐵、それから鐵道軌道の車輛、それ等が割合に多いものです、それから輕工業では纖維、それから化學肥料であります、それからそれより落ちますが、産業機械、造船、自動車、「ゴム」、建築が、是は割合多く考へて居るのでありますが建築、それから是等の中には無論此の大きな産業ばかりでなく、中小商工業をも含めての考へであります、中心と申しますとさう云ふものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=3
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004・平岡良藏
○平岡委員 そこで最も屡屡政府が聲明をして居られる中小商工業の振興の觀點から、本金庫が十分中小商工業者に利用をされなければならぬと思ひます、從來の此の種機關の在り方と云ふものは、兎角一つの形式的書類の完備等が當然要求せられて居るやうな實情の爲に、極く貧弱な小商工業者のやうなものには中々之を理想的に形體を整へて金融を受けると云ふ點が、非常に不利な趣があつたやうに承知して居るのであります、特に此の點に付て何か便法を考へると云ふやうな點がおありでしたら御示しを願ひたい、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=4
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005・石橋湛山
○石橋國務大臣 御話のやうに中々中小工業に對する金融と云ふものは、色色の意味で難かしいのでありますが、復興金融金庫に於ては特に其の點に注意して、例へば本店の方にも中小企業に對する特別の部を設けますとか云ふことも致したいと思つて居ります、それから各地方にそれぞれ資金の金額を決めまして、多くの窓口に、地方毎に一々中央の指令を仰がずに相當の金融が出來るやうな措置を講じまして、遺憾なきことを期したい、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=5
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006・平岡良藏
○平岡委員 そこで第一條の「他の金融機關等から供給を受けることが困難なもの」とある此の「困難なもの」と云ふのはどう云ふことを意味して居るのですか、はつきり御知らせを願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=6
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007・石橋湛山
○石橋國務大臣 是は先般私の説明の時にも申上げたかと思ひますが、何と申しましても斯う云ふやうな變動期でありまするから、日本の經濟上是非必要であり、將來は見込のある企業でありましても、差詰め或る程度の危險がある、經理上危險を感ずると云ふやうなことの爲に、普通の金融機關としては、自己の危險負擔では融資が一寸出來にくいと云ふものがあると思ひます、それから同じことでありますが、其の事業の育成に或る程度の時間が掛る、普通の金融機關としては資金が固定をすると云ふやうなもの、それから又同じことを繰返す内容になる譯でありますが、現在の所では材料と云ふやうな色々の條件に依りまして企業其のものは結局良いに違ひないけれども、現在に於ては操業度が非常に低いと云ふものがあります、さう云ふものも無論普通の金融機關でも或る場合には金融が出來るのでありますが、中にはさう云ふ種類のものには、今までの取引關係等からして普通の金融機關では一寸難かしいと云ふものがあらうと思ひます、それからもう一つは將來海外から物資が自由に入るやうになつた場合には、果してそれが存續し得るや否やと云ふものもあります、さう云ふものも將來非常にそれこそ相當不安の要素を持つて居るものでありますが、併し現状としてはどうしてもやらなければならぬ、例へば肥料なんかもそれに當るかも知れぬ、さう云ふものは是非日本としてやらなければならぬ、將來海外からどんどん物が入つて來れば價格の點などで相當競爭が困難になると云ふやうなものもあらうかと思ひます、内容は相當複雜でありまして、原則的に是々のものと云ふことを決めることは困難と思ひますが、大體今申上げたやうな色々な事情から、普通の金融機關としては一寸危險が多過ぎて難かしい、斯う云ふものを狙つて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=7
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008・平岡良藏
○平岡委員 さうしますと、此の困難なものと云ふのは、普通の他の金融機關が、囘收等に重點を置く場合には、餘り適當でないと云ふやうな企業體に對して金融をすると云ふことが考へられるのでありますが、其の結果としては此の事業が相當な囘收不能を出す、相當な損失が生ずる、凡そ之に對して政府は或る程度の豫想をして居られますかどうですか、其の點を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=8
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009・石橋湛山
○石橋國務大臣 まあ一應左樣な危險がありますから、隨て全部を政府出資と云ふやうなことに致しまして、議會の協贊を經なければならぬと云ふことに致した譯であります、是はやつて見ないことには分らないのでありますが、併し危險があると申しましても、今御話するやうに日本の産業としては是非必要なものである、それから例の「ポツダム」宣言とか其の他の枠の中に於ける日本の平和産業の維持、斯う云ふことが大體の見當でありますから、無論其の損失も或る程度起るかも知れませぬけれども、私はさう大きな損失が起るものと思つて居りませぬ、唯今申しますやうに、例へば肥料なら肥料と云ふものの經營は今日是非やらなければならぬ、それには資金も相當要る、石炭に於ても同樣でありまして、資金は相當要る、是はどうしても廻はしてやらなければならぬ、隨てそれ等の企業が相當將來經營困難になつて整理に長い時間を要すると云ふことはあらうと思ひます、是等が丸潰れになつてしまつて、全然囘收不能になると云ふものは極めて稀だらうと、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=9
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010・平岡良藏
○平岡委員 そこで此の金融に依つて産業の復興を促さんと考へて居られる點は了承を致されるのであります、私は現在の産業復興の遲々として進まぬ、或は或る程度生産の緒に就いたものが中途挫折をして居ると云ふやうな點等を考へまして、寧ろ復興難の眞の原因は、私は基礎的諸物資の不足にあると思ふ、御承知の戰爭中に於きまして陸海軍が思ふ儘に豫算を分捕つて、互に競合をして軍需品の生産に狂奔したのであります、物動の計畫の面に於て是の需要に應じられなかつた爲に、徒らに各種の軍需品の値上りを招來したのみであつて、數量の生産が上らなかつたが、それに似たやうな形が出來る虞があるのではないか、此の涸渇した戰後の日本の産業界は、其の點を十分考慮致しまして金融すると云ふことでないと、物價の騰貴、「インフレ」の助長に過ぎない結果になると云ふことを案じて居るのであります、其の點に付きましては、どうしても此の際國内で生産を増強するのは勿論でありますけれども、聯合軍に懇請して、復興に必要な諸物資の輸入を御願ひすると云ふ以外ないと思ひます、此の點に對しての政府の御考へを御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=10
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011・石橋湛山
○石橋國務大臣 御話御尤もでありますが、唯私は、何かと云ふと困ることを聯合國へ御願ひすると云ふ必要もありますけれども、そこへ持つて行つて、さうして困難な問題を一應解決して置くと云ふことは相當危險だと思ひますから、成べく聯合國の援けを借りないで、一つ國内でやつて行きたい、無論さうは言ひましても借りなければならぬこともありますけれども、何と申しますか、困難な問題を何でも聯合國に懇請して、そこで解決する考へ方では危險があると思ひますから、成べく私としてはさう云ふ考へ方は止めたい、斯う思つて居ります、そこで國内で出來るだけの必需物資を増産する、殊に石炭の如きはどうしても基本物資で、或る意味に於て石炭さへ相當に出れば、外の工業方面の復興と云ふものは期して待つべきものがあるとも言へる譯であります、唯其の場合石炭に致しましても、強粘結炭は日本には生産がない、隨て製鐵の方面に於ては日本の生産だけでは足りない、斯う云ふ種類のものは是非聯合國方面へ懇請して輸入をする、詰り貿易上必要なものを——どうしても日本には生産がない、貿易上、是は平時の貿易になりましても、是非さう云ふものを輸入しなければならないと云ふものに、成べく懇請の程度もさう云ふ所へ止めて、日本で出來るものだけは出來るだけ今の場合聯合國軍の力に頼らずに、國内でやれるだけやつて行きたい、斯う云ふ風な考へを持つて居る譯であります、復興金融金庫の如きも、やはりさう云ふ觀點から、或は或る程度危險のある場合がありましても、「ポツダム」宣言等で許されて居る範圍の産業は、是非日本に於て強力に復興する、斯う云ふ建前で行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=11
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012・平岡良藏
○平岡委員 問題は別になりまするが、今囘の軍需補償の打切りに伴つて戰時中に於ける企業整備に依る特殊預金——此の特殊預金の或る一定額以上は支拂を打切ると云ふことを仄聞して居るのでありますが、さう云つたことに付て政府は今どう御考へになり或は決定して居るか、又さうせられたに付ては相當已むを得ざる理由があると思ひますが、其の理由を承りたい、斯う思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=12
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013・石橋湛山
○石橋國務大臣 是は先日あの二つの緊急法案の御審議を願ひました際の説明にも、それから又此の復興金融金庫法案を提出した場合の説明にも一寸申上げましたやうに、戰時補償は相當大幅に課税の形式に依つて之を打切らざるを得ない、是は甚だ遺憾なことでありますが、日本の現在の財政の立場から申しますと、洵に已むを得ない處置であります、左樣なことに決定を致しまして、特別に其の課税法案を近い内に議會に提出して、御審議を煩はすことになつて居ります、なぜさう云ふ風なことをしたかと云ふことは、今申上げましたやうに主として財政上の見地から已むを得ずやる、斯う云ふことであります、併しそれに依つて補償を打切られる企業家或は個人が、相當の困難を來すと云ふことは十分之を認めまして、他に其の救濟の途を考へたい、それには日本に必要なる産業は是非之を起さなければならぬ、それには過去のそれ等の産業が持つて居る資産は、補償打切りに依つて減少を致しまして其の限り困難を致しますが、それに對して復興金融の措置に依つて新資金を供給して其の立ち直りを助けて行きたい、斯う云ふのが此の復興金融金庫の趣旨であります、補償をなぜ打切るかと云ふ理由は、今申上げましたやうに主として財政上の見地からしたものであります、左樣に御承知を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=13
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014・平岡良藏
○平岡委員 私は御考への中に幾分矛盾があるやうに考へるのであります、大體此の企業整備と云ふものは、企業其のものを整備するのと、それ等の企業者が持つ工場、軍需工場の轉用と云ふことが、二つの大きな目的のやうに考へられる、さうして其の場合に於て例の五百坪以上は中央の轉用協議會、又二百坪以上の工場は地方に於て、それぞれ最も優秀な最も適當な工場を、各軍需會社は競つて是が轉用を申請し、さうして軍需品の製造に當つたと云ふのが實情であつた、さうして其の轉用せられた工場或は土地、機械等に對する對價として支拂つたのが此の特殊預金であります、ですから是は補償と云ふ文字には當らぬものであらうと私は思ふ、一度對價を支拂つて其の對價を通貨としての犧牲を發揮させない爲に、特殊預金と云ふ特殊と云ふ文字を頭に冠して預金を指して居るのであります、之を打切ると云ふことはどの面から見ても不適當なやうに思ふのであります、特に前申したやうな優秀な各業者を整理したのでありますから、之を支拂ふことが最も妥當な又正當な復興金融であると斯う考へるのであります、若し支拂ふことが困難であれば、此の特殊預金を擔保として之に融資する、是は今復興金融金庫として考へて居る腰だめ的な金融貸出しよりも、最も適當した方法であらうと思ふのであります、そこで問題は一般の預金との關係になりますが、一般預金と云ふものは法人の場合でも個人の場合でも、全資産の一部に過ぎないと思ふのであります、所が此の特殊預金は前述の通り、親代々或は創業以來の全設備を擧げて供出して居る、是が一片の徴税令書に依つて全部徴收されると云ふことは洵に徳義上からも不適當のやうに考へる、それは今御説明の通り、日本の財政事情が許さぬ、財政事情が許さぬからと云うて、それ程はつきりしたものを打切つて置いて、更に其の打切つた政府が他に新しく金を貸さう、融資をしようと云ふことは洵に矛盾撞著があるやうに考へる、此の點に對して御考へを伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=14
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015・石橋湛山
○石橋國務大臣 一度打切つて置いて、他に必ずしも貸すと云ふ意味ではないのでありまして、現在我々が指導して居りますやり方は、御話のやうな、戰時中に企業整備を致しまして、さうして特殊預金を持つて居る、それが打切られる、さう云ふ人達の中で今復興をしようと云ふ計畫を持ち又それが實現可能な向きには、復興金庫或は其の他の方法に依りまして躊躇なく金融をする、斯う云ふ考へであります、ですから言換へますると、特殊預金を持つて居られる方は一應一般的に打切られる、併し其の中にも立直り得る人もあれば、立直り得ない人も出て來る譯であります、其の立直り得る計畫を持つて居り、生産意欲に燃えて居る人には資金を十分供給して、其の人には何處までも援助して行かう、斯う云ふ建前を執つて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=15
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016・平岡良藏
○平岡委員 御説明のやうなことになりますると、特殊預金の切捨て程度と融資とに何か關聯を持たせる御考へがあるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=16
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017・石橋湛山
○石橋國務大臣 それは只今の所では關聯を持たせる積りはございませぬ、復興金融に依つて企業を援けると云ふのは、無論企業整備で廢めた人だけに限らないことでありますから、今後の産業に活動の出來る向きには、それは何人と雖も之を援助する譯であります、併しながら事實に於て、中小工業、或は殊に近頃は機織物の方などにはそれが起つて居るのでありますが、さう云うのは過去に於て企業整備されたやうな人でなければ、實際の經驗から言つても、又今日に於ては中々新しい機織企業をやると云ふことは事實困難でありますから、事實に於て、企業整備された中の優秀な人達、或は地方の優秀な人達が團結をして企業の再建をやる、それに對して金融が行はれると云ふことになりますが、其の表面と申しますか、法規と申しますか、さう云ふ意味に於ては別段關聯はない譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=17
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018・平岡良藏
○平岡委員 丁度御話が織物の點に御觸れになりましたが、地方の實情から行きますると、軍需會社が優秀な工場を見付けて、轉用を受けて、軍需品の製造をして居つた、偶偶終戰に依つて是が終局を告げた關係上、前の織物なら織物の工場で、買受けた人自體が織物業を計畫する、さうして其の轉用の爲に其の建物等を供出した人は、特殊預金として打切りの憂目に遭ふと云ふのが現在の實情である、而も織物等の場合には供出價格の五倍、十倍の價格を以て此の轉賣を計畫して居ると云ふやうな矛盾があるのであります、之に對する大藏大臣の御考へを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=18
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019・石橋湛山
○石橋國務大臣 其の事實をはつきり承知致しませぬが、私の知つて居る所では、實は是は商工省に關係がある問題でありますが、機業地の復興なぞは、戰災等を受けた所を第一にする、或は前に企業整備を受けた所を第一に置くとか、順序がちやんと決まつて居りまして、御話のやうに、無論今織機を持つたりなんかして居る人達は復興が樂な譯でありませうが、其の以外に企業整備をされたり、戰災を受けたりした所の復興も相當強力に復興を圖つて居る積りであります、唯何と申しましても新しく織機を入れるとか何とか云ふことが、生産の上からして困難のやうでありますから、其の仕事は十分進捗しては居らぬやうでありますが、政府の考へ方としては企業整備をされた向き、或は戰災を受けた向きと云ふものに相當の援助をする積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=19
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020・平岡良藏
○平岡委員 今御尋ね申上げたことは大體が商工省關係のことであらうと思ひます、同時に今般提出になりました商工協同組合法とも色々關聯があると思ひますので、商工當局の御出席の場合に改めて御尋ねします
次に私は、今囘の財産税の徴收、それから預金の封鎖等の非常措置に依つて、個人の所得税、特に事業所得の算出が難かしい事態になつて居るのぢやないかと云ふやうに考へるのであります、之に對して大藏省と致しましては、何か特別の處置を御考へになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=20
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021・石橋湛山
○石橋國務大臣 御話のやうに、企業は色々動搖して居りますから、租税上から其の査定が難かしいと云ふことは其の通りと思ひますが、それに對して今の所特に別段變つた方法は講じて居りませぬ、それぞれの實情に應じて査定をして行く、斯う云ふことをやつて居るに過ぎないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=21
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022・高橋泰雄
○高橋委員長 平岡君、今商工大臣が見えました、他の委員會に出席される御都合があるさうですから、若し商工大臣に御尋ねなさることがあれば、此の機會に御質疑を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=22
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023・平岡良藏
○平岡委員 それでは商工大臣に御伺ひしますが、此の金庫は商業に對してはどう云つた考へ方を持つて居られますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=23
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024・星島二郎
○星島國務大臣 直接商業と云ふものを對象として考へます時には、一寸答辯に明療を缺くかも知れませぬが、結局産業の復興を圖りました結果が、それが貿易關係に向けられると云ふやうなものに對しましては、商業方面にも金融の結果が及ぶだらう、斯樣に考へて居ります、併しながら商業其のものに對して此の際金融すると云ふことは對象と致しては居ないだらうと思ふのでありますけれども、併し生産されるものの其の組合等に於きまする一つの資本としてそれが運用されることは亦當然かと、斯樣に思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=24
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025・平岡良藏
○平岡委員 先刻私は産業復興に付て資金の面以外に基礎的物資の絶對的必要な所以を申述べて、此の輸入の懇請に付て御尋ねしたのでありますが、成べく餘り頼りたくないと云ふやうな大藏大臣の御説明でありました、一般社會の實情から申しますと、洵に小さな問題のやうでありますが、茲に一つの貨物自動車と云ふやうなものを考へて見ましても、御承知の通り戰前は「フオード」或は「シボレー」等の米國製の車が殆ど全部であつた、それ等の部品が極く小さなものであつても茲に得られれば、一臺の自動車が完全に動く、或は「ミシン」一つを考へて見ましても、其の針一本、部品一つに業者は非常に苦勞をして居る、此の小さな面に付ても最も親切に、一番難澁をして居る、苦勞をして居る面を取上げて、是が輸入に向つて努力をすると云ふことが欲しいと思ふ、商工大臣の御考へを伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=25
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026・星島二郎
○星島國務大臣 御説の通りでありまして、是から産業の復興には、此の資材の少い日本と致しましては、多くの原料の輸入を圖らなければなりませぬ、又自動車工業の如き、非常に生産力の乏しい時に、當面必要なものでありますので、現に政府は一萬臺以上の自動車の輸入を要請して居るやうな譯で、多分話が付くことと思ふのでありますが、併し心構へと致しましては、全部を聯合軍に仰ぐと云ふやうなことでなしに、出來るだけ一つ國内で十分此の金庫を利用して産業を復興すると云ふ所へ持つて行きたい、斯樣に思つて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=26
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027・平岡良藏
○平岡委員 商工大臣が御見えになつたので、先刻の御尋ねを續けたいと思ひます、織物の産地に於きまして、工場を軍需會社に戰時中轉用を受けた人達が、其の工場を獲得して居る軍需産業の人々が自ら織物を計畫する、さうして戰時中此の工場を提供した人が自らの事業の復興に就き得ないと云ふやうなことが見受けられるやうに考へて居ります、此の織機の新設、増設等に對する當局の御考へは何如でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=27
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028・星島二郎
○星島國務大臣 一時軍需工場等に轉用致したものに付きましては、多く其の當時企業整備の原則に依つてやられたことと思ふのでありますが、併し大半の二百數十種のものは今囘開放致しましたから、其の範圍のものでありますれば、當然それに依つて出來ることと思ひますが、所謂纖維に付きましては、一定の輸入を仰ぎ、又其の中から一定の輸出も致すと云ふやうな非常な計畫生産を致して居りますので、出來るだけ此の自由な原則で復興を願ひたいのでありますけれども、自ら其の間に一定の計畫生産をしなければなりませぬので、それ等は概ね民主的な團體が出來まして、所謂纖維協會と云ふものが出來まして、其の協會に自主的に御相談をなさつてやつて行くと云ふことが最も妥當であらうかと考へます、併し戰前慣れて居つた仕事が、一時戰爭の爲に之を軍需工場に轉用したものが、やはり再び慣れた仕事をしたいと云ふ御希望に對しては、成べくそれを復歸させるやうに協會の方でも努力されると思ひますが、政府と致しましても成べく其の御期待に副ひたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=28
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029・平岡良藏
○平岡委員 今後の日本の財界に最も大きな問題である賠償としての諸生産機關の撤去でありますが、之に付ては相當大規模なものであるので、政府も既に著々計畫を立てて居られると思ふのですが、私は唯工業の種類に依つては、其の儘其處に置けば今後相當永年使用出來る諸設備が、移轉等の爲に移轉先で活用し得ないと云ふやうな事態が相當あるのではないかと云ふことを案ずる者であります、「モーター」一つを考へて見ましても、「サイクル」の違ふ所へ持つて行つたら、是は使用出來ない、其の他劇藥の生産工場であるとか、或は高熱の工場であるとか云ふやうなものを解體移轉後に於て目的が達成せられなかつたと云ふことになりますと、結果として日本の國家の爲にならぬと云ふやうに考へるのであります、此の點に付て十分關係當局と打合せの上に、親切完全に賠償の履行に努力しなければならぬと思ひますが、御考へを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=29
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030・星島二郎
○星島國務大臣 仰せの通りでありまして、是は日本の産業に非常な影響を及ぼすことでありまして、先般新聞等に現はれました一種の線が引かれて居りますが、あれはあそこに掲げられたものが全部撤去されると云ふ所まではまだ確定致して居りませぬけれども、大凡ああ云ふ線に沿うてやられるだらう、斯樣に思ふのでありますが、其の中に付きましても今御意見の通りに、本當に工場を壞して機械を外すと云ふこと位、是は仕事から見まして馬鹿なことはないのですけれども、是は敗戰の姿で已むを得ぬことであります、併しせめて出來るだけのことを一つ要請致しまして、若し日本で外さないで、其の出來た製品を以て之に代ふると云ふやうなことがやつて貰へれば、此の上ないのです、是は此の前の歐洲大戰後に於きまして「ドイツ」がそれをやつて、却つて勝つた國よりも一時繁榮を見ると云ふやうな結果が起つたことの現實から見まして、絶對に斯かることは許されぬことと思ひます、それは諦めて掛りますが、併しせめて數を少くして、其の代りに送りますものは完全にして送る、私は斯樣な方針として、出來れば技術者も附けて、完全に移轉をして運轉するまで見屆けて來ると云ふ位な誠意を披瀝して、持つて行く代りに一つ數を少くして貰ひたい、殊に日本で後で絶對に困るやうな、例へば火力發電所が中國、四國地方に多いのでありますが、是なんかは日本の方から言ひますと渇水時に困るのでありますから、斯う云ふものは何とか一つ換へて貰ひたい、出來れば數を減らして貰ひたいと云ふやうなことも考へられますので、只今の御意見の趣旨を十分尊重致しまして今後政府は善處したい、殊にさう云ふ關係から賠償局と云ふものが外務省内に設けられまして、專らさう云ふ方面の事務を擔當致しまして、外交的に折衝して戴く用意を致して居る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=30
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031・平岡良藏
○平岡委員 商工大臣に對する御尋ねは以上で終ります、次に大藏大臣に御伺ひ致します、財産税の徴收に當つて、今囘封鎖された預金を財産と看做すかどうか、さうして其の徴收には第二封鎖を受入するかどうか、此の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=31
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032・福田赳夫
○福田政府委員 只今御尋ねの點は極めて難かしい問題でありますが、只今當局として考へて居ります所は第二封鎖と相成りました預金を括めまして財産税の税率を計算致します、それから第二封鎖を除きました實資産に付て又別に税額を計算致しまして、其の差額に該當する部分は第二封鎖よりの充當を認める、斯樣なことを考へて居るのであります、まだ正確には決定して居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=32
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033・平岡良藏
○平岡委員 第二封鎖預金は其の性質上百「パーセント」拂ひ得るものと、一錢も拂ひ得ないものとあると思ひます、之を政府が税金として取ると云ふ場合に、小切手が非常に不安定なものであると考へるのであります、此の點如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=33
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034・福田赳夫
○福田政府委員 御説の通りであります、左樣なことに致した場合に於きましては、政府の收納する所の第二封鎖預金の債權は極めて不安定となります、場合に依つては相當の拂ひ戻しが受けられる、場合に依つては全額受けられると云ふ場合もありませうが、場合に依ると一文も拂ひ戻しが受けられぬ、斯樣なことに相成るかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=34
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035・平岡良藏
○平岡委員 其の場合政府は一般の預金者に優先して先取しますか、先取するとすると一般の預金者の利益を侵害することになると思ひますが、其の點如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=35
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036・福田赳夫
○福田政府委員 只今の所でも優先して政府が取ると云ふやうな考へはありませぬ、全く同一の立場に於て同一の配當を受ける、斯樣なことを考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=36
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037・平岡良藏
○平岡委員 最近公益法人の特殊預金に對して之を其の理由如何に依つては特別の扱ひをすると云ふやうな點を利用して、此の預金を肩替りをして居ると云ふやうな風聞が非常に高いのであります、是は如何なる見地からも斯うした脱法行爲は許されぬものであると思ひます、此の状況及び當局の見解に付て御尋ねしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=37
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038・福田赳夫
○福田政府委員 只今補償打切りに關する特別課税法案に於きまして、公益法人に付ては場合に依つては全額、場合に依つては一部の課税の免除を致す、斯樣な規定が挿入される譯であります、之に付きまして民間に於て特殊預金を集めまして、其の規定を利用致しまして全額の封鎖解除を受ける、斯樣なことをやつて居る向きがあると云ふことを相當頻繁に聞くのでありますが、斯樣なことは許されないのであります、と云ふことは只今申上げました公益法人に關する特例と云ふものは、公益法人が其の「オリジン」に於て特殊預金の所有者であつたと云ふ場合に限るのであります、即ち公益法人が建物を持つて居つて、其の建物が燒けて其の建物の特殊預金を持つて居つた、之に對する課税を免除すると云ふ場合に限るものでありまして、其の家屋の被害者でもない特殊法人が他人の特殊預金を集めまして、是で免除を受けると云ふやうなことは、法制上許さない、斯樣な建前で進んで居るのであります、尚ほ假にさう云ふ免除を致すことに致しましても、特殊預金を移轉することは大藏大臣の許可を要するのでありまして、此の許可なくして特殊預金を移動することは違法の行爲であります、隨ひまして其の行爲は無效でありまするから、其の特殊預金を集めた法人に於きまして、是は私のものだと云ふやうな主張をする、斯樣なことは全然許されないのであります、現在各方面に於きまして特殊預金を集めて居る、さうして私の所では特殊預金は全額解除を受ける見込みであるから、半分は後で返してやらうと云ふやうなことで集めて居るのがあるやうでありますが、斯樣なことは全然意味を成さぬと御諒承を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=38
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039・平岡良藏
○平岡委員 此の復興金融委員會の構成に付ては既に御説明があつたやうに思ひますが、私は是はどうしても衆議院議員を參加せしめることは、絶對に現在の政治情勢から言つて必要であると考へるのでありますが、政府の考へを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=39
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040・福田赳夫
○福田政府委員 復興委員會の構成に付きましては、只今考へて居りますのは、會長は大藏大臣、副會長は安定本部長官、其の下に八名の委員を置きまして、八名の委員の中二人は農林、商工大臣を豫定して居るのであります、他の六人に付きましては、三人を金融界、三人を産業界、斯樣なことを考へて居るのであります、それで貴衆兩院の方面からの參加は、此の委員會の運營を全く事務的に機動的にやつて行きたいと云ふ見地から、只今の所では考へて居らないのでありますが、其の趣旨に付きましては昨日大藏、商工大臣から御答辯があつたやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=40
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041・平岡良藏
○平岡委員 一應私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=41
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042・高橋泰雄
○高橋委員長 松本君、一寸松本君に御諮り致しますが、あなたの御要求になつて居ります吉田總理大臣、幣原國務大臣が只今貴族院の憲法委員會に出席なすつて居られてこつちにおいでになることが不可能のやうに今屆があつたのであります、そこで兩大臣に對するあなたの質疑を兩大臣出席可能の時まで御待ちになりますか、それとも質疑を留保されて他の政府委員に對する質疑を今日はなさいますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=42
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043・松本瀧藏
○松本(瀧)委員 其の他に大藏大臣の出席を求めて置きましたが、關係大臣が一人も居られませぬから延期致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=43
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044・高橋泰雄
○高橋委員長 それでは本日の質疑は此の程度に止めまして、明日午前十時より開會致します、本日は是にて散會致します
午前十一時四十分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00519460906&spkNum=44
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