1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
復興金融金庫法案(政府提出)
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昭和二十一年九月十二日(木曜日)午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 高橋泰雄君
理事 寺尾豐君 理事 平岡良藏君
理事 町田三郎君
青木孝義君 石原圓吉君
殿田孝次君 村上勇君
寺田榮吉君 苫米地義三君
本間俊一君 松本七郎君
森三樹二君 藤井正男君
岡田勢一君 福田繁芳君
九月十二日委員北村徳太郎君辭任に付其の補闕として寺田榮吉君を議長に於て選定した
出席國務大臣
大藏大臣 石橋湛山君
出席政府委員
大藏事務官 福田赳夫君
大藏事務官 三井武夫君
農林政務次官 大石倫治君
商工事務官 三木秋義君
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本日の會議に付した議案
復興金融金庫法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=0
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001・高橋泰雄
○高橋委員長 是より會議を開きます――寺尾豐君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=1
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002・寺尾豐
○寺尾委員 私は主として日本の工業と云ふものを、今後如何に再建をして之を推進して行くべきかと云ふ點に付て、質疑を申上げて見たいと考へる譯であります、我が國の總力を云ふものが食糧問題に全く凝集をされてしまつて居るが、百年の大計を樹てる、將來日本が文化國家として、先進國に對して少しづつでも之に近寄つて、國を進展をさして行くと云ふ大きな、茲に所謂國策を樹立をしなければならぬぢやないか、餘りにも今の總てが唯我々が生を繋ぐること、生きて行くと云ふことだけに沒頭してしまつて、靜かに考へます時に非常に心細いものがありはせぬか、斯う考へる譯であります、殊に最近追加をされました賠償工場、此の撤去等は、我々が考へまして愕然たるものがある、平和國日本建設に對しても一大脅威ではなからうかとさえ考へる譯であります、此の際に特に、將來の日本が單に農業國であると云ふことに止まらず、高度の工業國として、茲に根本的な所の計畫を樹てる必要はないか、斯樣に考へる譯であります、御承知のやうに、凡ゆる大企業が崩壞的な慘憺たる状態下に於きましては、之を小企業を基盤として地方に分散をし、或は之を農村に配置して、所謂農村の工業化と云ふものを圖らなければならぬ、斯樣に考へる譯であります、農林御當局と致しまして、農村の工業化と云ふことに對して如何なる御施策を持つて居られまするか、其の大體のことを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=2
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003・大石倫治
○大石政府委員 只今寺尾君の御質問、洵に日本再建に付て緊急にして重要なる御質問であると存ずるのであります、日本の再建に對する百年の計を定めるには、日本全體の存在性、日本全體の進路と云ふやうなものに對する綜合的の大國策が定められなければならぬ譯であります、然るに御話の如く、今殆ど全國を擧げて食糧問題――生きねばならぬ爲に總てが其の點に集中せられて居りますことは、又是れ人間本能の然らしむる所であり、先づ生命を保たなければ、何事も、何物もなし得ないと云ふ關係から、茲に不足なる食糧飢餓線上に彷徨する國民に對する所の解決の問題、是等に集中せられて居ることと存ずるのであります、軈て食糧問題も漸次安定の域に向つて參りまするし、人心自ら日本再建に向つて關心を持つと云ふ時期が近く到來するのみならず、敗戰日本の戰勝國に對する賠償の關係、詰り平和條約竝に平和條約締結後に於ける日本と云ふことになりますれば、どうしても獨り農業國内關係に止まる譯には參りませぬので、隨て工業も、又國際貿易も共に之に適應して國策が樹てられなければならぬと存ずるのであります、現在に於きましても農村に對して關心を持たれますることは我々の洵に望む所でありまして、農林省と致しましては、現在及び將來の農村を如何になせば再建の爲に、國民の生活安定の爲に最善なる方法であるかと云ふことを考へますれば、御説の如く單純なる農村として居ることは甚だ策の得たるものでないと存じます、之に對してはやはり適當なる農村工業化を圖らねばならぬと存ずるのであります、農村を工業化するに當つては、どう云ふ方向、どう云ふ程度に之を行ふかと云ふことに付きましては、未だ具體的の方策は決定致して居らぬのでありますが、之に對しては、農林省を致しましても調査研究を致して適當なる方策を定め、指導奬勵を致さねばならぬと存ずるのであります、例へば農村工業化に當りましては、どの程度の工業を農村に配置するのが適當であるか、又農村と云ふものの將來の耕地面積、人口の配置等、幾多の關係を能く極めねばならぬのでありすが、先づ農村に對しては、現在に於ては敢て機械化する程の廣漠たる面積を持たない日本農村でありますから、手作でも間に合ふのでありますけれども、手作で狹い耕地を守つて行きますことは、現在の如く農村收入が増加して居る時に於きましては宜しいのでありますけれども、萬一食糧が過剩となり、其の價格が下落致しまする場合には、農村經濟と云ふものは非常なる壓迫を受けるものでありますから、之に對する關係も能く考へまして、農村の電化、それと同時に或は農業の機械化であるとか、收穫物の機械操作であるとか、さう云ふことをして茲に餘剩勞力を生ぜしめて、それを能く活用する、又農閑期に於ける勞力の利用を充たすと云ふやうなことから、或は農産物の加工工業、或は更に輕工業的の木工であるとか、或は部分品の製造であるとか、幾多さう云ふ方面のことを能く調査研究を致しまして、其の方策を定めて行きたいと存ずるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=3
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004・寺尾豐
○寺尾委員 是は前に農林省で發表したやうに記憶して居りますが、我が國農業の發達の爲には農村工業を推進す以外に途がないと云ふやうな建前から、農村工業建設案を作成したと云ふことを聞いて居ります、さうして中央に、農林省外局として農村工業建設局を設置して、農村工業の指導、奬勵、監督に當る、更に地方廳に農村工業建設課を設けて、推進機關としては國立又は財團法人の農村工業研究指導所を設けて、急速強力に農村の工業振興を圖る、而も其の助成金として一億二千六百萬圓と云ふものを大藏省に要求をして居る、是は慥か本年三月、勿論現内閣の案ではないやうでありますけれども、既に其の研究と相當劃期的に農村の工業化を圖ると云ふやうな案の發表があつたと記憶致して居りますが、之に關しまして、此の前内閣の斯うした農村工業化の具體的な施策、之に對して現農林省と致しましては、連絡乃至之を更に強化するか、或は此の案を如何に取扱つて行かれるかと云ふことに付て承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=4
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005・大石倫治
○大石政府委員 其の計畫に付きましては、前内閣の考へ方を現内閣に於きましても尊重繼承致すのでありますけれども、未だ現内閣の建前と致しましは、具體的に直ちにそれを踏襲する、或はそれを加除を致して案を立てたと云ふ程度には至つて居りませぬ、それ等に對しても研究したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=5
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006・寺尾豐
○寺尾委員 農産物乃至は林産、海産物等の加工工業、所謂原料を商品化して、そこに生産を高めて行かうと云ふことに付ては、各地方農山漁村に於て著々實行に移されつつある、斯樣に見ることが出來ると思ひまするが、只今も農林次官の仰せのありましたやうに、輕工業、去る豫算總會でも星島商工大臣から御答辯があつて、先づ日本の今後の産業も、重點的な方向として纖維工業を第一にする、第二は所謂原料資材が少くて精度の非常に密なもの、即ち地方等に於て之をやる時には、輸送乃至は資材の獲得等の關係もございますので、斯樣な輕工業であり精密工業、斯う云ふものを取上げて行くのだ、之に重點を置いて纖維工業に次ぐものとすると云ふ御答辯がありましたが、私は洵に是は卓見であり、日本の工業の行き方、少くとも工業立國と云ふ所の理想に、少しでも堅實な計畫を立てて行くと云ふことが必要だと考へるのであります、現在地方、特に郡等を單位にして農業會と云ふやうなものが出來て居るやうであります、御當局としては之を農工業會、斯う云ふものに改組をすると云ふやうなことに依つて農村の工業化、更に斯うした農工業會の下に一つの相當の設備と、相當の精度を有する製作が出來る所の工場を持ちまして、之を更に農家に直結をする、私は年來農村の工業化に付て、聊か興味と關心を持つて參つたものでありますが、農家即工場、斯う云ふ形に於て輕工業、精密工業と云ふものを農村に於て十分やり得るのではないか、斯樣に考へて居るものであります、即ち三臺、五臺で結構でありますから、農家の納屋であるとか、或は土間、斯う云つたやうな所に之を据付けて精密部分品の製作をやらせる、それならばどう云ふやうな製品を選ぶかと云ふことに付きましては、勿論色々のものもありませうが、私などの考へて居りまする所は、「スモール・ツール」とか、或は各種の測定器とか、醫療器とか、或は通信器とか、其の外更に進んでは「メジュアリング・マシーン」と稱する極く小型であつて、而も非常な精度と價格の高いもの、斯う云つたやうなものの部品製作も農村に於て十分やり得るのではないか、斯樣に考へて居る譯でありますが、是等に付て農林次官の今の御話では、未だ研究中であつて、具體的な案を得て居ないと云ふやうな御話でありますから、御答辯を御願ひすると云ふことよりも、聊か私見になりますけれども、此の農村の工業化の方法に付て、今少しく申上げて見たいと思ひます
然らば農村のさうした工業化をやるのには、而もそれが精密工業であれば、其の技術等は二年、三年、或はそれ以上も掛らなければ出來ぬのではないが、農夫が荒つぽい所謂耕作をやつて居る大きな手を以て、精密な製品の出來やう筈がないではないか、斯樣に考へられるやうでありますけれども、私は此の農村の工業化に於ける所の技術的な、或は推進力ともなるべきものは、今の農村に澤山居ります所の青年諸君、此の青年に其の中心勢力となつて之を擔當して貰ふ、所謂復員で歸つて參りました者、大都市の工場の休止に依つて郷里に歸つて居ります者、彼等多くの青年の中には非常に優れた技術者が澤山居ります、是は一々擧げて申上げるまでもなく、今度の戰爭が科學戰であると言はれただけありまして、是等の戰爭に參畫した所の青年達、又技術を持つて居ない青年達に致しましても、其の強健なる體力、堅實なる思想、是等を以て彼等が農村に於て工業化と云ふ百年の計とも稱すべき工業立國の基礎を擔當すると云ふことになりますならば、彼等の精神、考へ方と云ふものは、全く今までのやうな非協力的なものではなくなるであらうと思ひます、今日或る地方に於ては、思想的にも刻々非常に喜ばしくない方向に進んで居ると云ふやうな實情もありまするが、それは彼等が結局希望を持たない、希望ある職業を持たないから左樣になるのではないか、又左樣になるのだと私は見て居る譯であります、殊に農村に於ける先輩達は、容易に是等青年達に俗に謂ふ世を讓らぬ、何時までも自分達が村の、或は町の支配をして行く、體力も能力も持つて居る所の青年に決して大事な仕事を渡さない、斯う云つたやうなことも、彼等青年をして何となく非協力的な、極端に申しますならば、多少自暴自棄的な考へに向はしめる譯で、農村を行脚して見ました結果から申しましても、先輩と青年との間に相當深い思想的な「ギヤップ」が出來て居るやうに見受けられるのであります、そこで今日特に食糧問題の非常に危機を孕んで居る際に、農村に是等の有力有能の青年を中心にして、新しい日本の工業と云ふものを打立てて行くことが、實に緊急なる重要事ではないかと思ひます、結局さうしますることが思想を堅實にし、失業問題を解決し、食糧問題も併せて解決が出來る、斯う云つたやうな大國策を是非共農林當局竝に商工御當局の御協力に依つて、一日も早く行つて戴きたいと思ひますが、之に對する農林、商工兩御當局の一應の御考へを御聽きしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=6
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007・大石倫治
○大石政府委員 御意見洵に御尤もであります、能く御意見を翫味致しまして、御趣旨に副ふやうに致したいと存じます、現在農村に於ては徴用工の復員であるとか、或は歸還兵とか云ふ者の中には、相當特殊の技術を習得して歸つて居る者もあるのであります、農村工業化に當りましては、先刻も申上げました通り、部分品の製作とか、纖維品の製作とか云ふものもございまするが、先づ第一に農産物――と申しますよりも、生産物の加工を第一と致して行く方が普遍的ではないかと思ひます、又御意見の如きものは特殊の農村、特殊の地域にやり得ることでありますが、併し洵に結構な御意見だと思ふのであります、生産品と致しましては、農村に於ける緬羊の飼育をして行くから、其の緬羊の絲を以て加工して物を織るのであります、或は養蠶を致しました其の還元繭の活用に付きましては、生絲を紡ぎ、又それを纖維品にまで持つて行くとか、其の他藁細工でありましても、竹の細工でありましても、蔦、蔓の細工でありましても、幾多農村それ自身と直接的なる物が澤山ございますから、是等の物もやつて行かねばならぬと存じます、又さう云ふやうな精密なる輕工業を進めますことも、考慮すべき重要な問題だと存ずる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=7
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008・三木秋義
○三木政府委員 農村の工業化に付きましての御意見がございましたが、商工省側の考へ方と致しましては、何と致しましても、今後の此の日本の經濟の建直をやりまする爲には、工業の分散、工業の振興と云ふことは當然必要になつて來る譯であります、比較的國土が狹小であり、而も非常な大きな人數を此の中で養つて行かなければならぬと云ふ際に於きましては、獨り農業のみに頼ることは出來ないのであります、工業の振興と云ふことが當然必要となつて來ると思ひます、唯其の場合に於きましても、比較的資源に乏しい我が國と致しましては、非常な少い資源を利用しまして、比較的高級の品を作ると云ふことが必要になつて來ると思ふのであります、隨てどうしても今後の方針と致しましては、今仰しやいましたやうな纖維産業、或は又精密工業の方面に進まざるを得ないのぢやないか、洵に御尤もな御意見であらうと思ふのであります、唯今後の工業の形態と致しましては、財閥の解體、其の他とも關聯致しまして、どうしても中小の形に持つて行かざるを得ない、中小の形に持つて行くと致しましても、更に又地域的に之を分散せしめると云ふことも、當然考へて參らなければならぬと思ふのであります、左樣な場合に於て、日本の國土を形成致しまする最も大きな因子でありまする所の農民、農家に頼らざるを得ないことは洵に明瞭であらうと思ふのであります、それで此の農家の力を如何に工業方面に利用するかと云ふ問題でありまするが、結局今後の方針と致しましては、どうしても農業の機械化、或は電力化と云ふことをやります一面に於きまして、之に依つて浮いて參りまする所の勞力を、工業方面に向けると云ふことを當然考へて參らなければならぬと思ひます、是に農村の工業化と云ふことを強力に推進して參らなければならぬのではないかと思ふのであります、それで今の技術の方面に於きましても、戰爭中に都市に於て、或は工場に於て習得した所の青年諸君が澤山居る、其の技術を活用すると共に、施設に於きましても、軍需工場として休廢止された物を必要な方面に移す、其の工場の建物、或は機械設備に於きましても、之を農村に移して、出來るだけ斯う云ふ方面に活用して參りたいと云ふことを考へて居る次第であります、洵に御意見の通り今後に於きまする所の日本の工業の建直しの爲には、どうしても農村の力を頼らなければならぬ、さう云ふ意味に於きまして農村の工業化を急速に進めて參らなければならぬ、又農業の多角經營と云ふ方面から考へましても、どうしても斯う云ふ方面に行かざるを得ないと考へるのでありまして、御意見洵に御達見であらうと、滿腹の贊意を表し、我々としまして出來るだけの措置を講じて參りたいと考へる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=8
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009・寺田榮吉
○寺田委員 御答辯十分拜聽致しました、商工省と致しまして、現在占領軍に對して、日本の今後の賠償物資に向けるに致しましても、亦日本の新しい工業製品を賣る國内消費に致しましても、或は貿易方面に之を使ふに致しましても、唯日本だけが自力で總てをやつて行かうと云ふことには、餘りにも日本の實力が低下をして居る状態であります、聯合軍に對して、さう云つたやうなことに對する援助乃至は「アメリカ」等から何か資材の輸入でありますとか、製品の選定でありますとか云ふことに付て、御折衝乃至はさう云ふことを御交渉になつた、又なつていらつしやるやうなことがございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=9
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010・三木秋義
○三木政府委員 我々の考へ方と致しましては、只今も申上げたやうに、どうしても此の少い資材を高度に活用して參ることは、當然考へて參らなければならぬことで、一方に纖維工業或は精密工業を發展せしめると同時に、他方に又日本人獨特の技術でございます所の手工業、此の工藝品方面に於きまして特段の振興策を講じて參りたい、斯樣なことを考へて居ります、唯斯樣な場合に於きましても、どうしても原材料が不足すると云ふことが考へられる、特に今後に於きまする産業再建の基礎物資である所の、或は鐵鋼、石炭、鹽、さう云ふ風な原材料方面に於て非常な不足を來たして居るのでありまして、是か日本の産業再建に非常に大きな「ネック」になると云ふことが考へられまするので、唯單に之を他國に頼ると云ふことのみでは固よりいけませぬが、我々と致しましては、國内に於きまする所の凡ゆる財源を總動員して之に掛かつて參りたい、未利用資源は當然之を活用する、或は又遊休設備も之を活用する、或は又其の他の隱退藏物資も十分に動員すると云ふやうな凡ゆる手段を講じて、國内の必要なる資源を開發すると云ふことを考へまするけれども、それでも尚ほ足らざる所は、之を他國に頼らざるを得ないと考へるのでありまして、左樣な方面に付きましても、そこに適當なる時期に於て、適當なる方法を講じてやつて參りたいと思ふのであります、唯此の席上で、其の詳細なことはまだ御話する機會になつて居りませぬ、御諒承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=10
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011・寺尾豐
○寺尾委員 戰前「アメリカ」の資本等が日本の工業に向けられて居つたと云ふやうなことは周知の事實でありますが、戰爭に依つてそれ等が多く、殆ど全部でありませうが引揚げてしまつた、終戰後に於て今後の日本の工業のあり方がどう云ふ風になつて居るかと云ふことに關して、聞く所に依りますと、「アメリカ」資本等もぼつぼつ注入をされつつあると云つたやうなことも耳に入る譯でありますが、御發表乃至は梗概が御聽き出來ますならば、御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=11
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012・三木秋義
○三木政府委員 事國際的な問題にも關聯致しまするので、まだ詳細に御話する機會になつて居りませぬ、御諒承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=12
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013・寺尾豐
○寺尾委員 農林御當局竝に商工省の方も――私本年二月頃に農林省の農村の工業化と云ふものに對する施策の大體の發表を見ました時に、洵に日本再建の爲に斯くあるべきである、それに依つてこそ初めて科學の日本も軈て出來るであらうし、文化の國、平和國家の建設が容易に出來るであらう、斯う信じて、非常にそれに期待を持つて居つた譯であります、今日御聞き致しました所、未だ專門的な、具體的な所まで案を作るに至つて居ないと云ふ御話でありますので、若干失望は致しましたけれども、兩政府委員の熱意のある御答辯と、今後の御方針に對する御決意を拜聽致しましたので、何卒此の點十分な御研究と、一日も早く實際の仕事をやつて行くと云ふことに御努力を願ひたいと思ひます、私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=13
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014・高橋泰雄
○高橋委員長 石原圓吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=14
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015・石原圓吉
○石原(圓)委員 昨日興銀より立替代費と申しまするか、其の貸付の内譯を拜聽したのでありまするが、其の内譯の中運轉資金が三千八百餘萬圓と云ふことでありましたが、是は私の記憶が間違ひなかつたのでせうか、若し四千百幾百萬圓の中運轉資金が三千八百餘萬圓と致しますと、設備に支出した金は僅かに三百萬圓ばかりのやうに心得ますが、それでは大體の面から見て運轉資金が多過ぎるやうに、貸出方が多過ぎるやうに思ふのであります、是等のものが或は工場の工員に對する未拂賃銀に振當てるとか、或は殆ど休止同樣の工場を運轉する爲の運轉資金に當つて居るとか云ふやうな場合に、實際に於て今後の復興資金としての性格がはつきり認め得るものであらうかどうかと云ふことに對して、聊か疑ひを持つものでありまするが、此の點を一つ御説明願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=15
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016・福田赳夫
○福田政府委員 復興金融金庫が出來ますまでの暫定措置と致しまして、八月一日からやつて居るのでありますが、實際動き出したのは八月中旬乃至八月二十日位と見て宜いかと思ふのであります、それで昨日御説明申上げましたのは八月中のことでありまして、大體下旬の極く短期間のことど御承知願ひたいのであります、其の短期間に於て四千百萬圓と云ふのでありまして、尚ほ目下續々と新しい融資が實行されつつあります、其の八月中に出來ましたものの中で、運轉資金が三千八百萬圓であつたかと云ふことに付きましては、左樣であります、併しながら八月十一日のあの經過的なごたごたがありまして、あの措置に關聯しまして、運轉資金の融通がどうしても付かぬと云ふのが相當ありまして、此の十日間に斯樣なものが相當出た、其の三千八百萬圓の中大部分のものは左樣な筋合の資金であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=16
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017・石原圓吉
○石原(圓)委員 私の個人的の見解でありまするけれども、今後の復興と云ふものに對する基本をなすものはやはり設備であると思ふのでありまして、此の設備と人と運轉費とが轉倒して居ると云ふことは、只今御説明に依つて、一時的の現象と見まして了承して置きまするけれども、今後此の點に付て大きな御注意を願ひませぬと、運轉資金と云ふやうなものには、とうも整理未拂等に充當すると云ふやうな、我我が固く主張して居る所の整理資金等に當嵌められるやうな疑ひを持つことになり易いのでありまして、今後は絶對に此の點に御注意を願ひたいと思ふのであります、それから復興金融金庫の貸出利率、其の償還方法、償還期限、是等はどう云ふことになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=17
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018・福田赳夫
○福田政府委員 貸出の利率に付きましては、只今興業銀行より貸出して居りまするものと大體同じ程度のものに致したいと考へて居ります、即ち最低日歩一錢四厘、最高一錢六厘、斯樣な所を考へて居ります、尚ほ囘收の期限に付きましては、實情に應じまして、或は多少長くなるものもあらうかと思ひますが、個々具體の事業の性質に依り適當に決定する、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=18
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019・石原圓吉
○石原(圓)委員 私は此の利率が他の銀行と略略同樣であると云ふことは、此の金庫の性質上、又復興をせしめねばならぬ國民全體に對する貸出資金として、過重に過ぎるやうに思ふのでありますが、此の點に對してはどう云ふ御考へでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=19
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020・福田赳夫
○福田政府委員 利率を一般の貸出利率よりも下げますと、他の金融機關との貸出とそこで「バランス」が取れない關係がありまして、何れも復興金融金庫の方に集まつて來る、斯樣な状況になると思ふのであります、復興金融金庫で貸します資金と雖も、是は救濟でも何でもない、本當に企業の責任態勢に對する援助的意味の資金でありますので、是が他の金融機關以下の利率まで下げると云ふことになりますれば、市中金融から貸りる人はなくなるのであります、市中金融の今後産業復興に對して取るべき地位は相當重大であります、先般申上げました通り、寧ろ市中金融機關の方に、引受ける割合と云ふものを絶對的に多からしめたいと考へて居る次第でありまして、特に復興金融金庫の方を下げて行くと云ふ形にしますと、相當弊害があると云ふ見解から、只今申上げたやうな結論に到達した譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=20
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021・石原圓吉
○石原(圓)委員 此の點がどうも御説明でありまするけれども、一方國民に對しては公債利子を引下げるとか、打切るとか、其の他種々の方面から國民全體に課せられて居る負擔は大でありまするから、此の復興金融の金利こそ最低に止めて、さうして勇んで復興に此の金を使つて活動するやうな、奮起せしめる方法が私は必要だと思ふのでありますが、若し是が單に勸銀とか、興銀とかの利益が、此の利率を引下げる爲に少くなる、さう云ふやうな他の銀行との均衡的なことが考慮の主なるものでありますれば、それは何か別の方法で御考慮をしてやつて、此の利率は相當引下げて安くすることが妥當であると云ふ希望を茲に申上げて置く次第であります、尚又此の金庫の金を興銀、勸銀が代貸しをする場合に、其の代行としての手數料とか何等か、さう云ふものに付ては如何樣に御考へになつて居られるでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=21
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022・福田赳夫
○福田政府委員 代行の爲めの手數料等は徴收することに相成るかと思ふのでありますが、細目はまだ決定に至つて居りませぬ、追つて發表致す機會があらうかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=22
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023・石原圓吉
○石原(圓)委員 私の質問は以上でありまして、尚ほ先日來懸案になつて居りまする復興委員會の構成に對して、衆議院側竝に職能代表を入れると云ふこと、主管大臣がどうなると云ふこと、是等のことは相當茲にはつきりと致して置きたいと思ふのでありまして、此の點に對して、委員長は適當なる方法を御執り下さることを御希望申上げまして、私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=23
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024・高橋泰雄
○高橋委員長 承知致しました――平岡良藏君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=24
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025・平岡良藏
○平岡委員 農林當局に砂糖の點に付て御聽きしたいと思ひます、時局柄洵に已むを得ないことであらうと存じまするが、砂糖の一般家庭に對する配給のないこと洵に久しいのであります、而も我々が新聞等で見ますると、砂糖の配給券を騙取したとか、砂糖の現物が大きな盜難に遭つたとか、何か遠い、我々の社會と違ふやうな、砂糖に關する記事等が度々見聞されるのであります、大體砂糖はどの程度製造されつつあり、或は終戰後の所謂特殊物件として殘存して居つたか、同時に此の加工業者に對する配給、一般の家庭に對する配給、それ等の關係に付て御伺ひしたい、私共は此の榮養上最も必要な物資が、願はくは其の儘の形に於て、各各の家庭に多少なりとも配給せられる日の一日も速かならんことを希望して已まないのであります、此の點に對する農林當局の御考へを御聽きしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=25
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026・大石倫治
○大石政府委員 只今の御質問でございますが、砂糖の配給が一般的に行はれませぬことは、洵に遺憾に堪へない次第でございます、御話の如く、從來の供給資源地でありまする臺灣を初め、外地の砂糖を全然内地へ輸入致すことが出來なくなつたのであります、全國の現在の生産致しまする砂糖は僅か十三萬貫程度のものでありまして、需要量の十分の一にも及んで居らぬのであります、隨て内地生産の砂糖は、第一には乳幼兒であるとか、或は病人であるとか、萬已むを得ざる方面に供給を致して居りましても尚ほ不十分を感じて居るやうな次第でございますので、業務用と致しましても、一般家庭の配給と致しましても、當分其の見込を達することは出來ないのであります、併し日本國民の最も要求の強い砂糖に對しましては、何とか遠からず外地よりも輸入を致して、出來得る限りの供給、配給等を致したいと云ふ考へであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=26
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027・平岡良藏
○平岡委員 もう一つ農林當局の御出での中に伺つて置きたいことは、食糧の自給の爲に五箇年の計畫を以て干拓、開拓等の計畫があるのでありますが、私は色々な觀點から見まして、どうも遽かに領土の狹い日本で、一本槍で食糧の自給と云ふことに進むことはどうかと思ふ、他の主食の安易な生産國から此の供給を仰ぐことも、又日本の工業製品其の他を其の國に輸出すると云う原因と申しますか、關聯にもなると思ふのであります、そこで此の干拓、開拓事業の面を、私は所謂水力發電方面の仕事に轉向して行つたらどうかと云ふやうに考へるのであります、是は所謂一石二鳥の仕事でありまして、豐水時に於ける洪水の慘害を防ぎ、渇水時に於ける灌漑用水の豐富を齎し、同時に先刻御話の農村方面の電化等にも非常な貢獻をなすものであると考へるのであります、日本の將來の經濟状態の改善は、私は此の水力發電が根幹を成すものであると云ふやうに考へるのであります、未利用資源と云ふことをよく申しますが、是等は目に見えない最も大きい未利用資源である、而も其の儘放置する時は洪水の慘害を齎す、是等を考へました時、どうしても復興の重點を「ダム」の建設に置くと云ふことが必要であらうと思ひます、商工、農林御當局の御考へを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=27
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028・大石倫治
○大石政府委員 御尋ねの耕地開墾、干拓の事業は是亦國内の食糧自足自給の一端として推進を致す必要があつてやつて居ります、又一面海外歸還の職なき人々、或は軍隊の復員者、其の他生活の途を得兼ねて居る方々に對する救濟、及び業を授けると云ふ建前からも、是はやらねばならぬと云ふのであります、其の既成耕地の完全收穫を得る一つの方策と致しまして、「ダム」を造つて水害や旱害の調節を致しますることは、農林省と致しましても、現在及び餘程以前から之を實現致すことに努力致して居るのであります、併しながら戰爭中に於きましては、是等の事業を進捗せしめ、或は完成せしめることが出來なかつたのでありますが、之を復興致して漸次計畫のものを實現して見たいと存じて居る次第であります、「ダム」の建設は、御話の如く一面水害除却の一手段となり、旱害時の水の不足を補ふこととなり、又電力を起して工業を促進せしめることになるのでありますが、現在の所に於きましては、斯う云ふ大工事は、甚だ殘念ながら資材の不足の爲に、又或る方面の希望の關係等から致しまして、中々思ふやうに實現し難いと云ふやうな事情を御諒承願ひたいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=28
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029・平岡良藏
○平岡委員 「ダム」のやうな大きな工事が、現状に於て實現至難と云ふことは私共も十分諒承致すのであります、是が電力自由企業の當時に於ては、常に各電力會社は數箇年先の計畫を立案して居つたのであります、官營になつて豐富低廉な電力は遂に得られなかつた、相當強力な研究機關を設けて、資材の潤澤化と同時に、順調な計畫化、著工が出來ますやう萬全の措置を希望致しまして、私は農林當局に對する質問を終りたいと思ひます
次に先刻石原議員も御觸れになりましたが、此の第二條の金融委員會に對する規定であります、之を勅令で定めると云ふことに簡單に書いてあるのであります、所が此の復興金融委員會と云ふものが、結局總てを料理して行くやうな形になると私は思ふのであります、是だけ重要な人事に對して、更に一言も觸れて居らぬと云ふことは、現在の政府の行き方から云つて非常に不親切な、又審議のしにくいやり方ではないかと云ふやうに思ふのであります、大藏當局の御見解を御聽きしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=29
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030・福田赳夫
○福田政府委員 委員會の構成と云ふやうなものまでも法律に書くと云ふことになりますと、法律が更に複雜になります、さなきだに非常に複雜を極めるのでありまして、從來に慣行に從ひまして、勅令を以て之を定める、斯樣なことに致した譯であります、併しながら委員會の官制と致しましては、先般來大藏、商工兩大臣よりも御答へがあつたやうに、復興金融委員會は大藏大臣の監督に屬しまして、復興金融金庫法及び同施行令の規定に依り、其の權限に屬せしめられたる事項を處理する外、復興金融金庫の運營上、重要な事項に關して大蔵大臣の諮問に應じ、又は意見を述べる、斯樣なことになつて居るのであります、非常に重要な機關でありますることは固よりであります、隨ひまして、是が構成に付きましては非常に愼重な態度を取る譯でありまして、繰返して申上げるやうな譯でありますが、會長は大藏大臣、副會長は安定本部長官、それから委員と致しましては農林商工兩大臣、日本銀行總裁、金融界より二名、産業界より三名と云ふ構成で、此の人選に付きましても最も公正なる人を物色致すと云ふことに、目下最高主腦部に依つて折角努力中であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=30
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031・平岡良藏
○平岡委員 御答へを伺ひましたが、私は石原委員と同樣に、此の委員會の規定に關しましては、委員長に於きまして、もつと現在の政府の考へて居りますよりも、民主的なものに出來る限りに行きたいと思ひますので、適當の御處置を希望して已まないものであります
次に本日は幸ひ三木部長が御見えになつて居るので、先刻の質問にも觸れて置きましたが、更に企業整備に依る特殊預金の取扱ひに付きまして、御尋ねをしたいと思ひます、此の問題に付ては、私連日各方面から陳情やら激勵やらを受けて居て、洵に困惑を致して居るのであります、三木部長も十分御承知の通り、此の企業整備の特殊預金と云ふものは、既に補償の範圍からは離れて居る、完全に支拂を濟ませて居る、濟ませて居るからこそ茲に預金の形にあると云ふやうに考へるのであります、當時の實情から見ますると、或る一つの整備される會社が、軍需會社に其の工場其の他を賣る、其の場合に軍需會社は、其の整備せらるる會社に、一遍小切手を以て大體支拂つて居るのが普通の状態であります、さうして其の受取つた代金を、政府の指令に依つて所謂特殊預金と云ふ形にして預けて居る、さう云つたものが政府の考へ方で支拂はれないと云ふことは、如何にも不可能な行き方であります、將來の政府の諸政策にも非常な惡影響があるんぢやないかと云ふやうに私は考へるのであります、況んや此の八月十五日、終戰までに色々の事情でそれを引出したと云ふものに對しては追求しない、其の儘國策に從順に、正直に特殊預金の形で置いたものに對しては、金額の課税をすると云ふことは、如何にも道義的に見ましても理窟の上から言つても、肯けないやり方だと云ふやうに考へるのであります、同時に政府の考へ方は、一定額以下は支拂ふやうなことに聞いて居るのであります、是は之を果して特殊預金の形に於て其の儘置くものであるか、或は此の際課税以外のものは支拂をすると云ふことでありますが、此の二點に付て御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=31
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032・三木秋義
○三木政府委員 企業整備の關係の特殊預金がどうなるかと云ふ御質問でありますが、私も商工省に居りまして、企業整備を直接擔當致しました關係上、從來の沿革を宜く存じて居るものであります、宜く存じて居りますだけに、此の特殊預金を切ると云ふことに付ては非常に苦痛を感ずるのであります、只今の所之を如何に處理するかと云ふ問題に付きましては、まだ關係方面に於て論議中でありまして、必要な法案に付きましても近く議會に出しまして御檢討願ふことになつて居ります、詳細の點に付きましては其の機會に申上げたいと存じまするが、唯政府側の氣持と致しましては、出來得るだけ斯樣な企業整備、詰り國策に殉じて父祖傳來の業務を抛つた方々に對して、餘りに苛酷な取扱にならぬやうにしたい、出來るだけ便宜な取扱をしたい、斯樣な氣持で善處したいと考へて居ります、御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=32
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033・平岡良藏
○平岡委員 御答辯を伺ひましたが、大體原案として提出せられますると、各般の事情から中々此の變更は困難であると思ひます、幸ひ事情に精通せられて居ります商工省に於きまして、能く大藏當局と折衝の上に、どの面から見ましても餘り苛酷、殘酷な方法でないやうな程度に於て、戰爭の負擔を適當に業者が擔ひ得るやうな方向に、立案を願ひたいと思ふのであります
大藏大臣はお見えになりませぬが、福田政府委員に御尋ね致しますが、最近我々の身邊に非常に新圓に對する「デマ」が頻々として響いて參るのであります、是は恐らく全國的な現象であらうと思ふのであります、此の通貨に對する信用を失ひますることは、申すまでもなく完全なる「インフレ」の實現と云ふことにもなるのでありませう、同時に此の金融機關等に預入が出來ないと云ふやうなことは、信用が經濟の根幹を成すものであると云ふやうな見地からも、非常に重大な事態であると私は思ふのであります、今朝の新聞に散見致して居つたやうでありますが、大藏大臣が新圓に對しては處置をしないと云ふやうな聲明をしたやうなことが見えて居ります、私はもう少し強力に、有效適切なる處置を致しまして、此の「デマ」を一掃すると云ふことが、喫緊重要な處置であらうと考へるのであります、福田政府委員の御考へを御聽きしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=33
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034・福田赳夫
○福田政府委員 只今の御説は洵に御尤もな次第であらうかと思ふのであります、最近特に此の兩三日に於きまして、惡性な「デマ」が横行して居ります、昨日紙上を見ますと、三億何千萬圓と云ふ資金が放出になつて居るのでありますが、或は十月一ぱいに新圓證紙貼付の札を引換へると云ふやうなことを感違ひした向もあるのではないかと思ふのでありますが、根本は通貨六百億、愈愈新圓の處置をやるぞと云ふことが根本の原因であつたやうに銀行筋から報告を受けて居ります、斯樣な惡性「デマ」が横行すると云ふことは遺憾なことでありまして、之に付きましては、御説の通り、政府として斷乎たる態度を執る必要があらうかと思ふのであります、大藏大臣に於きましても、其の具體的方法で色々考へて居ると思ひますが、是は後刻大臣より御答辯あることと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=34
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035・平岡良藏
○平岡委員 私の質問は終りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=35
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036・高橋泰雄
○高橋委員長 此の際暫時休憩致します、尚ほ大藏大臣は午後二時頃此の委員會に御出席することになると云ふことであります、仍て午後は一時に開會致します
午前十一時五十六分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=36
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037・会議録情報2
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午後二時十八分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=37
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038・高橋泰雄
○高橋委員長 休憩前に續いて會議を開きます――町田三郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=38
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039・町田三郎
○町田委員 主管の問題に付て、大藏大臣からは大藏省の主管だと云ふ御囘答がありましたし、商工大臣からは、大藏省と商工省との共同主管だと云ふ御話がありましたのですが、其の點兩大臣の御話は食違つて居ると思ふのですが、其の點に付て更に改めて御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=39
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040・石橋湛山
○石橋國務大臣 所管などと云ふことは私は餘り興味を持たないで、どうでも宜いですけれども、實はさう云ふ商工大臣との共管と云ふ話があつて、私としては一向差支へないので、一寸其の引懸りがありまして、今日まだ私から共管にするとか何とか言へない立場にあるのです、事情は心得て居るのでありますが、一應兎に角大藏大臣の主管である、あとは善處すると云ふことで昨日御答へして置いた譯であります、今日もどうか其の點で御諒承を願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=40
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041・町田三郎
○町田委員 其の問題に付ては僕も餘り興味がないのですが、唯兩大臣の御話が食ひ違つて居るのはまづいと思ふものですから、それを御尋ね致したのであります、それから商業者に對する金融に付て、復興金融金庫は大藏大臣の御話に依れば、商業者にも金融すると云ふ御話でありますが、商工大臣は商業者には金融しないと云ふ御話であつた、それは工業者に金融することに依つて間接的には商業者をも潤すことにはならうけれども、直接商業者には金融しないと云ふのでは、此の點兩大臣の御説が食違ひますので、更に御尋ねしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=41
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042・石橋湛山
○石橋國務大臣 商工大臣がどう云ふ答へをされたか、何か一寸誤解があつたのではないかと思ひます、復興金融金庫は決して商業者に金融してはならぬと云ふことはどこにも書いてありませぬ、又我々の考へとしても、經濟復興に必要なものにはやらうと云ふ、相當廣い見地を以てやることになつて居りますから、商業者には金融出來ないと云ふことはありませぬ、何か商工大臣がどなたかの質問を誤解されたか、或は思ひ違ひをしたのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=42
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043・町田三郎
○町田委員 私も商業者にはどうしても金融して戴かなければならぬと思ふので、それで其の點に付て特に念を押して御尋ねした譯であります、尚ほ復興金融金庫は、戰災者とか企業整備に依つて廢業した者とかを、特に援助する爲の金庫ではないと云ふ御説明がありましたにも拘らず、それ等の者に對しては何等かの處置を講じてやりたいと云ふ大藏大臣の御話がありました、そこで其の何等かの處置とは、此の金融金庫に依つて處置を講じてやりたいと云ふのか、若しくは他に何か大藏大臣の御考へになることがおありになるのですか、其の點を明かにして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=43
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044・石橋湛山
○石橋國務大臣 大藏省の仕事と致しましては、特に際立つて戰災者或は引揚者等に特別の處置をすると云ふことはありませぬ、さう云ふことは只今考へて居りませぬが、何と申しますか、金融金庫に於ける金融も、特に戰災者だから、引揚者だからと云ふことは言はない譯であります、併し實情はさう云ふ方々が殊に金融の必要を感じて居るのですから、さう云ふ方面には無論、特別と云ふ言葉を使ふことは違ふかも知れませぬが、含みとしては特別と言つて宜いかも知れませぬ、出來るだけの便宜を圖る、斯う云ふ考へであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=44
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045・町田三郎
○町田委員 それから是は數囘質問者があつて、一應の囘答は御聽きして居りますけれども、尚ほ一つ重ねて御尋ね致したいと思ひますことは、大工場、大會社の救濟になりはしないかと云ふ懸念と、中小企業に對する貸出が案外出來ないのではないかと云ふ懸念があるのですが、中小企業者に貸出しが出來ないと云ふのは、中小企業者の方に借りたいと云ふ意思がなくて貸出が出來ないのではなくて、此の機關を能く知らない爲めとか、若しくは手續が非常に面倒であるとか云ふやうな理由が一つと、それから金融機關の方から言へば、大きい工場、大きい會社に對しては相當愼重に手數を掛けて調査する便宜もあるけれども、小さい企業に對しては多少面倒臭いと云ふ傾向もあつて、大會社に偏傾する虞が多分にあるのではないかと思ひます、それに對して大藏省も恐らく中小工業本位と云ふ風に考へて居られるかどうか、其の點をもう少し明かにして戴きたい、我我の希望としては、中小工業本位にして戴きたいと思ふのですけれども、それに付てどう云ふ風な工作をおやりになる御意思があるか、其の點を御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=45
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046・石橋湛山
○石橋國務大臣 是は復興金融金庫にしましても、其のやり方で、御話のやうな大企業の救濟になると云ふやうな懸念がないとは言へませぬが、建前は左樣な譯ではない、委員會も設けて、そこで特に大きな金融に付ては嚴重に審査もする譯でありますから、所謂大企業に對して特別の便宜を圖り、元來成立つべからざるものを其の金融に依つて成立たせる、救濟すると云ふことは事實上起らないと思ひます、又當時者にも左樣なことをやらさぬやうに嚴重に言うて經營して貰はうと思つて居ります、それから中小企業の方は御話のやうに確かに金融が面倒であります、それ故に普通の金融機關だと、第一手數が掛かるので厭やがる、大口の貸金の場合は手數が少くて利益が多い譯でありますから、自然大口の方に行く譯であります、併し御承知のやうに、普通の金融機關でも特に中小企業を中心としてやらうと云ふ建前の銀行は、曾ては例へば第百とか、大阪の三和とかはさう云ふ建前の金融機關でありましたが、それ等は非常に能く面倒を見て呉れた譯であります、最近ではさう云ふものはどれ程やつて居るか分りませぬが、今度の復興金融金庫に於ては、それを是非やらう、此の間からも申しますやうに、さう云ふ方面に對しては企業の指導と云ふことで、積極的な世話までして見たいと考へて居りますから、其の方へは相當手が屆くだらうと思ひます、唯中小企業が非常に金融に困つて居ると云ふことは、私も抽象的に聞くのであります、又事實困つても居ませう、けれども資材の關係で仕事が出來ない關係かと思ひますが、實は具體的の申込は餘りないやうに思ひます、組合などから陳情がありましたから、私はそれはやる、復興金融金庫ばかりでない、現在地方に於ては、財務局を中心にして、さう云ふものは申込をして呉れれば一々の場合に付て十分親切に取扱う、東京に於ては大藏省に直接持つて來ても宜しい、石橋の所に手紙で寄越しても宜い、私は來る手紙はどんな手紙でも眼を通して居るからと言つても一通も來ませぬ、地方の財務局に於てもそれ程申込は聽きませぬ、多分仕事が捗々しく行かないので、金も欲しいが、偖て具體的に申込む段階になつて居ないのだと思ひます、是は却て憂ふべき現象でありますが、實情はさうなつて居ります、それからもう少し仕事を積極的に世話をしてやると云ふ方面からやらぬと、實は中小企業の金融は、抽象的にやるやると言つても申込がないのではないかと思ひます、其の點も考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=46
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047・町田三郎
○町田委員 私も金を借りに行つた經驗がありますけれども、どうも顏見知りでない所に借りに行くのは實に辛いものです、殊に金融金庫は半官半民の所でありますから、お役所に金を借りに行くことは氣輕に行けない點が非常に多いと思ふのであります、さう云ふ點で實際金融の必要を痛感して居つても、案外申込がないと云ふ實情にあるのではないかと思ひます、其の點に付きましては先程も申上げましたやうに、一般に簡易に借りられると云ふことを知らしめることが一つの手段であると思ひます、それから今大臣の言はれましたやうに、單に金を貸して貸し放しと云ふのでなく、事業の發展伸張を圖る爲に、事業の經營面若しくは事業の性質等に付ても金融金庫が指導し、援助すると云ふ方面に進んで行きましたならば、此の金庫も割合氣輕に利用出來るやうになつて、本當に有效な働きをするやうになるのではないかと思ひます、其の點は大臣と同感であります、是非一つさう云ふ方向に進んで戴くやうに御願ひしたいと思ひます
それから尚ほ金融委員の中に議會人を入れないかと云ふ説が同僚諸君からありまして、それは大體原則としては入れないのだと云ふやうな御囘答があつたと思ひますが、其の委員に入る入らないに拘らず、議會が兎に角是れだけ此の事業に對して注目して、詳細に亙る質問をしたり、希望を申上げて居る譯で、議會の意思と云ふものが此の金融金庫に反映しなければならないと思ふのですが、それに付ては議會は單に法律が出來る時に關與すると云ふだけでなく、後にも、監督と言つては少し語弊があるかも知れませぬが、此の金融金庫に對して何等かの意見を述べる機會が與へられるか、若しくはさう云ふ權能なり何なり持つことが出來るかと云ふことを、御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=47
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048・石橋湛山
○石橋國務大臣 議會と斯ふ云ふものの關係は、理論的に考へ或は實際的に考へても、實は中々難かしい問題でありまして、私は建前として、成るべく各種の委員などには、兩院と云ふよりも寧ろ衆議院中心の委員會を作つて行きたいと云ふ考へを持つて居ります、併し何も彼もさうすると云ふことが宜いかどうかと云ふことには指當疑問がありますから、そこには自ら又何と申しますか、所謂三權分立と云ふやうな考へ方から言ひますと、衆議院が餘り行政的な所へまで入り込むと云ふことが善いかと云ふことよりも、そこへ何でも入ると云ふことは、議會の爲にもどうかと思ふ、殊に之は金融の實際に關與する委員會でありますから、餘り政治と直結しては困る、是は「アメリカ」あたりの實情に見ても左樣のやうです、兎に角政治上から直結することは、斯樣な金融機關では宜くない、其の點は注意する必要があります、こんな譯で貴衆兩院から委員を採らぬと云ふ譯ではありませぬが、併し貴衆兩院議員としては一應採るまい、全くの「エキスパート」として入つて戴かう、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=48
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049・町田三郎
○町田委員 其の問題は非常に「デリケート」な問題で、嘗て政黨華かなりし頃に、政黨人が凡ゆる部面に容喙した爲に、日本の政黨政治を墮落せしめたと云ふ歴史を持つて居るので、其の點に付ては議會自身も能く戒心しなければならぬと思つて居りますけれども、併し又何と言つても議會は國民の意見を代表する所でありますから、此の意見を何等かの形で採入れて貰ふと云ふことは、非常に肝要のことではないかと思ひますが、其の限度はどの限度に止めるのが適當か、是は中々難かしい問題と思ひますけれども、併し議會の意思を反映せしむると云ふことに付ては、一つ當局者も御考へになつて戴きたいと思ひます、尚ほ是は少し大きい問題ですし、屡屡繰返されて居る問題ですが、日本の工業の再建が容易に出來ないで居ると思ふのですけれども、之に付ては大藏大臣初め政府の當路者も、總て生産の増強に付て心から御心配なすつておいでになると思ふのです、併し現實に行はれて居る政策と云ふものは、生産を阻碍するやうな政策ばかり行はれて居ると私は思ふのです、例へば三月二日の圓の封鎖に致しましても、六月二十一日の處置に致しましても、それから今度の第一封鎖、第二封鎖の處置に付きましても、其の最高の狙ひは生産の増強にあるだらうと思ひますが、現實に現はれた影響と云ふものは、却つて金融の措置に依つて生産の増強を害して居ると思ふのです、之に付ては更に根本的な政策を施さなければ中々生産は増強そないのぢやないかと思ひます、私の考へは、非常に素朴な考へを申上げれば、斯う云ふ風なうるさい色々な、制限を取つてしまふ方が宜いのぢやないか、是は非常に素朴な考へですけれども、何等かの處置を講じなければ――其の處置と云ふのは、段々うるさくして、縛つて居る上に又繩を掛けて縛ると云ふやうなさう云ふ處置でなく、もっと之を切離して、さうして生産活動が自由に出來ると云ふやうな、さう云ふ方向の處置を講じなければいけないのぢやないかと思ふのですけれども、大藏大臣はさう云ふ御考へはおありになるかならないか伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=49
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050・石橋湛山
○石橋國務大臣 御尤もな御考へで、私も豫ね豫ねさう云ふ考へ方であります、餘り「インフレ」「インフレ」とばかり言ふといかぬと云ふことを申して居りましたのも、さう云ふ建前からであります、一應整理するものは整理しないと建直しが出來ませぬから、それで現在其の整理段階に入る、それが稍稍私の考へよりも、全體の法案を出す等の時間が少し延びて居りまして、甚だ其の點遺憾に感じて居ります、出來るだけ早い間に整理すべきものは一應整理して、さうして今日の面倒な色色な制限は早く解きたいと考へて居ります、其の時間の出來るだけ早く來ることを希望も致しますし、又左樣に今後努力したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=50
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051・町田三郎
○町田委員 新圓に對して樣々な「デマ」が飛んで居ると云ふことは、大臣に於かれても御承知のことと思ふのですが、此の種の「デマ」と云ふものは根も葉もない所に起るのではなく、「デマ」が起る時には「デマ」が起るやうな相當の根據があると思ふのです、全然根據のないやうな「デマ」ならば直ぐに消えてしまひますけれども、根據のある「デマ」と云ふものは中々消えないと思ふのです、此の新圓に付て行はれて居るやうな「デマ」は相當據り所があつて、さう簡單に權力や何かでそれを封じようとしても、此の「デマ」は中々消えないと思ふのです、それに付ては私の考へは、今言ふやうな色々な拘束を解くことに依つて、今縛つてあるものを解くことに依つて、新圓に對する信用を増し、「デマ」を封ずることが出來るのだと云ふやうに考へて居ります、今のやうな處置を其の儘にして置いて、さうして新圓に對する「デマ」を封じようとしても、それは迚も私は封じ切れるものではないと思ふのです、それに付て大藏大臣はどう云ふやうな御考へを御持ちになるか、御處置を御執りになる御考へはないかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=51
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052・石橋湛山
○石橋國務大臣 實は私も其の「デマ」が色々飛んで居ると云ふことを聞きますが、どんな「デマ」がどれ程飛んで居るかと云ふことを能く承知しませぬが、併し今どうしてそんな噂が出るのか、其の出所に付ては一寸調べさして居りますけれども、是は御説のやうに又私が始終申しますやうに、根本に於て新圓、舊圓などと云ふものがあるから起るのでありまして、さう云ふ區別をなくなせば、「デマ」を飛ばさうと思つても種が全くなくなる譯であります、出來るだけ早い機會に新圓、舊圓の區別は撤廢したい、斯う考へて居りますが、其の時期が何時になるかと云ふことは、今やつて居ります處置がもう少し進行しました上で見定めたいと思ふのであります、それまでの間或る時間がまだある譯でありますが、其の間に色々の「デマ」が飛ぶと云ふことも洵に面白くないことでありますから、一面に於ては一體どう云ふ人達がさう云ふ「デマ」を振撤いて居るのかと云ふことを調べて見ようと思ひます、それから出來るだけの機會に、それが何等根據のないことであると云ふことも、無效かも知れませぬが、繰返して述べて見たい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=52
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053・町田三郎
○町田委員 私の質問は以上を以て終ることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=53
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054・高橋泰雄
○高橋委員長 青木孝義君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=54
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055・青木孝義
○青木(孝)委員 私は一寸御尋ねを致したいと思ひますが、先程主管の問題に付て大藏大臣が、自分は其の點に付て餘り興味を持たぬけれども、大體前に答へたやうなことで諒承して貰ひたい、斯う云ふ御話でありましたが、私は記憶致して居ります所では、私が本會議で其の點を質問致しました時に、商工省との共管と云ふ言葉を御使ひになつたかどうかはつきり覺えて居りませぬが、どうもそれは共管と云ふ風に私は承つたのであります、ですから今日此處で承りますると、それが少し違ふやうでありますが、どう云ふ點でそれを明確に御答へを願ふことが出來ないでありませうか、其の點を一つ御伺ひ致したい
それからもう一つは、之に關聯して簡單に御尋ね致します、復興金融委員會の構成の問題でありますが、先程之に議會人が參加する――議會人と云ふ言葉が適當であるかどうか分りませぬが、參加することは餘り好ましくないと云ふやうな御意見のやうでありますが、私は此の復興金融委員會と云ふやうなものに、今後議會人が加はると云ふことは、過去に於きます日本の政治上に於ける餘り良くなかつた關係と云ふやうなものとは大分違ふのではないか、と云ふことは、御承知の通りに、戰爭中に於きまする金庫と名の付いたやうなものは、是は必ずしも好成績を擧げて居つたものではないと云ふ風に考へて居るのであります、殊に今日のやうな時期が到來致しまして、之を勅令で定めるとか、或は此の法律で定めるとか云ふことは問題に致しませぬまでも、大藏大臣も十分其の點は御承知だと存じますが、委員會の構成に付ての振合と云ふやうなものが新聞に發表されて居つたと思ひます、何しろ今日までの日本の官僚政治、斯う云ふことを言はして居つた間は、其の點が凡ゆる部面に滲透して、さうして其の弊害は極めて大きなものであつたことが分るのでありまして、今囘のやうな場合に於きましては、もう少し「オーブン」に人を入れて、凡ゆる界の意見乃至は其の意向に從つて、適切に之を行つて行くと云ふことが大切なのではないか、其の爲に非常に複雜になると云ふことから、其の事務が拙速に行かないと云ふやうなことが起るかも知れませぬが、併し私共の考へます所では、第一是までの經過を見ましても、先づ大藏省は日銀を睨んで居る、日銀は又一般金融機關を睨んで居る、更に一般金融機關は産業界を睨んで居ると云ふ風に、どうも日本の情勢を見ますと、何時でも官僚的なものが其の儘産業界に大きな影響を與へて居る、そこで何時でも産業人であれ、金融人であれ、民間人と云ふものは兎角官に頼る以外は物を考へないと云ふやうなとこになつて、其の爲に言ひたいことも言へないやうな極めて封建的な状態が、日本の産業界乃至一般經濟界、財界を繞つてあると云ふことは、どなたも今日御否定にならないと私は思ふのであります、斯う云ふ意味から考へましても、今日の議會人と云ふものが、過去に於ける政友、民政と云ふやうな、政黨華かなりし時代に色々な惡辣なことがあつたとか、或は惡い影響を與へたとか云ふことは、我々も知つては居りますが、それとは違つて今日我々は考へる必要があるのではないか、殊に此の復興金融委員會と云ふやうなものは、是が運營如何に依りましては、先程の中小商工業者と云ふものは擔保がなかつたり、其の保證が適當でなかつたりとか、さう云つたことが色々複雜でありまする爲に、實際は――先程大臣は餘り自分の所へ要求がない、自分は出來るだけさう云ふことを實際に確かめようとして居るのだけれども、さう云ふことに付ては餘り要求がないやうだと云ふやうに仰しやつて居りますが、それは時期がそこまで至つて居ないとか、或は時間的問題と云ふこともありませうが、私は從來の金庫と云ふやうなものが何でも規則詰めになつて居つて、さうして中々埓が明かぬ、そんなことをして居るよりも、日に四十錢でも五十錢でも、高い金利で借りてやつて行かうと云ふやうなことになつてしまふ、又例へて申上げますれば、外地から歸つて來たやうな人達が、從來東京都なら東京都内に知人があつたが、併し今日のやうに都が爆撃を受けて四散して居るやうな状況に於ては、歸つて來たけれども親戚もなければ知人もない、隨て僅か三千圓か二千圓の金を借りるに付て、色々走り廻つてもどうしても目的を達しない、さうしてそれを愬へて見ても、それは規則に斯う云ふことに決まつて居るから駄目だと云ふことが、現實に私自身もさう云ふ經驗を最近に持つて居るので、さう云ふことも御相談したのでありますが、實際には愈愈復興しようと云ふ途上に於きまして、從來のやうな形でお役人が物を決めて行くやうな態度では、到底復興の歩を進めることは出來ないと思つて居る、隨てさう云ふ場合に先程申上げましたやうに、上から下へと云ふやうな關係で、何でも頭をぺこぺこ下げて行くと云ふやうなことがもう習慣になつて居る民間人としては、此處で一つ大きく胸を擴げるやうな、此の復興金融委員會と云ふやうな所へも、出來るだけ各界の人を入れて、委曲を盡させる、そこで十分檢討した上で機能を發揮させると云ふことは、當然此のやうな場合に於ては必要ではないか、さうして假に我々が斯う云ふ所で大臣或は政府委員の方に色々御質問しても、そこで巧く頬冠りをして通つてしまへば、後はそれで宜いのだと云ふやうなことでは、折角時間を費して色々論議しましても、其の效果が簿いと云ふことになりまするので、復興委員會一つで以て、必ずしも其の目的を全部達せられると云ふやうには考へませぬけれども、復興委員會の構成、其の委員會の「メンバー」として、或は見やうに依つては第三者的立場にある議員と云ふやうなものが、參畫することが可なり效果的であらうと思ふのであります、斯う云ふ意味で、各黨共さう云ふやうな意向が強いのでありまするので、さう云ふ點は大藏大臣に於かれましても十分一つ御考へになりまして、そして多少さう云ふ點に付ては考へを變へて戴く方が、私は今日の時宜に適して居るのではないかと云ふ風に考へるのであります、隨ひましてG・H・Q・であるとか、外國の現在の日本の議員に對する考へ方、或は民主化とか自由主義とか、さう云ふ現在の日本に對する見方が多少違つて居るかも知れませぬが、併しさう云ふことは兎も角として、私は復興金融委員會に議會人を入れると云ふことは、それは數が幾人入るかと云ふ、さう云ふ問題を申上げる譯ではありませぬが、是非入れて、さうして有利に――有利にと申しますことは、金融委員會が有能に働くやうに、大藏大臣或は主管大臣が十分それを活用なさると云ふことが宜くないかと云ふ風に私は考へまするが、もう一遍大藏大臣は其の點に付て、度々各面から御質問があつたことと存じますけれども、御答へが願へれば幸ひだと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=55
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056・石橋湛山
○石橋國務大臣 第一の商工省との共管の問題は、御言葉の通り、本會議では大體今の御話のやうに私は御答へしたのであります、其の後一寸情勢が變つたのであります、それでまだそれがはつきり決定致しませぬから、稍稍曖昧の御答へをして居る譯であります、其の點は適當に處理し得ると存じまするから、御諒承願ひたいのであります、情勢が變つたと云ふのは、對外關係で變つたのであります
それから委員の問題は、先程町田君の御質問にも御答へしたのでありますが、此の金庫の委員は一種の評議機關には違ひありませぬけれども、例へば今度近い内に大藏省で又皆樣に御危介を願ひたいと思ふ財政調査會でありますとか、税制調査會でありますとか、金融制度調査會と云ふやうなものと違ひまして、一種の行政機關として作られるものでありますから、無論議會關係の方にも御參畫を願はなければならぬとは思ひますけれども、其の場合に各派の代表と云ふやうな、普通議會人を日本の委員會で以て御願ひをする場合に行ふやうな、さう云ふ方式は採らないで、何處までも專門家と云ふ立場から然るべき方に御願ひが出來れば御願ひする、殊に又人數も限られて居るものでありますから、自然非常に窮屈になりまして、そんなことで特に議會中心と云ふことではなく、專門家に集まつて戴いて、實際の金融金庫の行政に參與して貰ふ、斯う云ふ意味であります、或は議會人を中心にしろと云ふ御希望には一寸副ひ兼ねるやうなことになるかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=56
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057・青木孝義
○青木(孝)委員 私の只今の申上げた所は、議會人を中心にと云ふことではありませぬので、其の點は若しさう云ふ風に聞えましたら、私の方から訂正を致します、以上で私の質問は終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=57
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058・高橋泰雄
○高橋委員長 苫米地君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=58
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059・苫米地義三
○苫米地(義)委員 私一、二の點を簡單に御伺ひ致します、第一は最初の質問で御伺ひしたのでありますけれども、日本の復興産業の資金として百億を豫定すると云ふことは、現在の段階では非常に少な過ぎると思ふのであります、隨ひまして百億を限定して、さうして足りなかつたならば又直ぐ議會に掛けて増資をすると云ふやうな御話もございましたけれども、斯う云ふものは一遍法律になりますと、中々さう簡單には行かないものぢやないかと思ふのであります、それで私は實は修正案を出さうかと考へたのであります、其の修正案は、復興金融債券の發行額は拂込金額の五倍を超ゆることが出來ない、と云ふやうなことにでもしますれば、相當の資金が出來ますし、其の取捨は情勢に應じて加減が出來る、斯う思ふのであります、此の方が確かに宜いと私は思ひますが、四圍の情勢上此の際百億を超ゆることが出來ないと云ふことでありますと、此の事業の復興と云ふものは中斷しては、やはり效果がないのでありまして、引續いて後の資金が出るのだと云ふ前提がありますれば、極く圓滑に産業の復興が出來ると思ふのであります、それでありますから、若し此の法案を其の儘通すと致しましても、前途足りないと云ふことでありますれば、なくなつて行詰らない中に早く法案の改正なり、或は資本の増加なりをやつて戴きたい、斯う思ふのでありまして、此の點をはつきりと一つ大臣の御意見を伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=59
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060・石橋湛山
○石橋國務大臣 從來の日本の斯う云ふ種類の金庫とか、銀行とか云ふものでありますと、今の修正案を御出しにならうかと云ふ御話のやうに、何倍の債券を出すと云ふ行き方で行く譯であります、今度のは色々の關係から全部の資金を豫算で出さう、斯う云ふことになつて、或る意味に於て窮屈な譯でありますが、一應百億圓とした譯であります、併し是は豫算で出すのでありますから、どうせ今度四十億圓拂込みまして、あとの六十億圓は必要ならば債券を出して金融して行く、債券を出しましても、次の議會には其の債券を落すやうに豫算を出さなけれはならぬと云ふことになりますから、今後議會は頻繁に開かれますし、私は百億圓で賄つて居る中に、あとの必要があれば寧ろ結構だと思ひます、百億圓で足らなくて追加豫算を次の議會で出さなければならぬ、斯う云ふことになれば大變結構だと思ひます、無論其の場合は豫算の御審議を願ひまして、資本金を増すことに致す積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=60
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061・苫米地義三
○苫米地(義)委員 それで結構だと思ひます、先程の御話に、資金の需要が割合に少いと云ふことで、此の間もさう云ふ御意見でありましたが、現在の物價關係から申しまして、前囘にも申上げたやうに、金融の方面も、或は企業方面も萎縮病的な症状を現はして居ると云ふことを私は申上げて置いたのですが、現在の産業の状態は私はさうだと思ふのであります、それでありますから、少くとも此の物價の安定がつかない限り、企業の復興意欲と云ふものは萎縮病的になつて居るのぢやないか、私は之を寧ろ心配するものであります、金融の方面に於ても確かにさう云ふ傾向が見えます、そこで此の金庫の方面の運營から申しますれば、運轉資金は大體市中銀行で處分出來る、此處へ來るものは大部分固定資本に投下される要求だと思ふのであります、さうしますと、此の金で以て復興します産業は、物價の安定がない限り非常に危險になります、それでありますから物價の安定を何處に抑へるかと云ふことを、重ねてもう一遍伺ひたいと思ふのです、今申上げるやうに、若し米價を生産者價格の六百圓に抑へますれば、總てのものが其の標準に依つて物價が決ります、其の物價に依つて企業が設備されるのであります、然るに消費價格が四百五十圓では、そこに三割の食違ひが出來る、若し政府が物價を今の消費價格で抑へようと云ふことで、それが假りに成功するとすれば、現在の此の三割高の投資と云ふものは、其の時になれば非常に薄弱な企業體になる譯であります、それでありますから企業の方は非常に迷つて居る状態でありまして、隨て資金の需要が割に起きないと云ふ、一種の正常でない萎縮病的な症状が現はれて居ると思ふのであります、之を直すには、どうしても物價の安定策を早く講じなければならぬと云ふことが前提だと思ふのでありますが、政府は一體物價の水準を何處に抑へようと云ふ御見解でありませうか、此の點をもう一度伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=61
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062・石橋湛山
○石橋國務大臣 是は安定本部で立案し、物價會議に掛けて定むべきものでありませうから、私から茲で御答へすることは或は如何かと思ひますが、大體私の考へを申上げますと、現在の物價は、何時も申上げますやうに物價水準と云ふものがはつきりしないのであります、大體日本銀行あたりで作つて居ります實際物價指數と云ふものを――是は餘り完全なものではありませぬが、昨年九月以來作つて居ります、是は言ひ換へれば、實際に我々が物を買ふ場合に、米が幾ら靴が幾らと云ふやうな、色々なものを相當多數拾つて作つて居るのであります、それで見ますと――此處に數字は持つて參りませぬでしたが、昨年の九月を基準に致しますと、本年二月は百九十幾らになりまして、約二倍に上つて居ります、それから御承知のやうに二月に金融緊急措置令が出まして、通貨は六百億圓を超えたものが一擧に三月の半ばには百五十何億圓かに減りました、その影響が多少ありまして、物價は三月四月と下りました、けれども其の影響は通貨が六百億圓から百五十億圓に落ちたやうなひどい上り方ではありませぬ、それから其の後又通貨は御承知のやうにどんどん殖えました、即ち本年の三月まで物價が多少落ちまして、四、五、六あたり多少又上つて居りましたが、七月から八月と又下つて居ります、九月はまだ指數が出來上りませぬが、今の豫想では更に八月よりも下るやうであります、そんな風で大體市中の實際の物價の動きは横這ひ、若しくは安定し、最近に於ては幸ひ穀物などの關係から少し下り氣味、斯う云ふ状況であります、此の事實はやはり我々として認識しなければならないのでありまして、やはり茲に多少の安定があるとすれば、之を基準にして考へるべきものである、併しながら現在の生産は、例へば工場に致しましても三十「パーセント」しか運轉させて居らない、或は石炭に致しましても標準の生産高に達して居らないそれ故に「コスト」が高い、是が又物價に響いて居る譯でありますから、そこで少しく先を見まして、是から半年なり一年なり先を見て、其の場合に石炭はどれ程の生産高があるか、どれだけの生産高があればどれ程の「コスト」があるか、或は工場の生産高に於ても同樣で、それを一つ入れる、でありますから、現在の物價を基準にし、それに生産増加に對する前途の見透しを加へたもので、一つ物價の基準を決めるべきものではないか、斯樣に考へて居ります、米が六百圓とか四百五十圓とか云ふのも、未だあの通りに決定したものとも申兼ねる譯でありますが、此の場合も果して六百圓を基準にすべきか、四百五十圓を基準にすべきものかと云ふことは、今申上げるやうな點を考へて決めるべきものだと存じて居ります、何れにしましても之を至急に定めなければならぬのでありまして、物價廳或は安定本部の方でも其の準備を致して居ります、さう遠くない中に左樣な點がはつきり決まるだらうと思ひます、私の見込は今申上げたやうな所でありますから、隨て産業家としても左樣な考慮を若し拂つて下さるならば、或る程度の前途の見透しが付くのではないかと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=62
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063・苫米地義三
○苫米地(義)委員 御話のやうにまだ決まつて居らぬとすれば、一日も早く決めないと、實際實業界は迷ふのが當然であります、而も斯う云ふ金融政策は、一方から言ふと物價政策或は生産政策と相伴つて、竝行的に進まなければならぬと思ふのが、ちぐはぐになつて居りますからどうかと思ふのでありますが、又物價の安定も、必ずしも六百圓が宜いとか四百五十圓が宜いとか、それは全體の上から見透しを付けて決定することでありませうが、若し戰前の二十倍と云ふことが避けられないものとすれば、何を苦んで四百五十圓にして補給金を澤山やらなければならぬかと云ふことが、私はあると思ふのです、さう云ふ點も絡みますから、一つ至急に經濟安定本部其の他關係先と御協力願つて、御決定を願ひたいと思ひます
それから序ででありますから――今朝の新聞にございますが、補償打切りに依つて整理さるべき會社の資産評價の問題、是は前に大藏大臣は時價を以てすると云ふことでありますけれども、恐らくさう云ふことにならないと思ふのですが、あの評價の仕方及び其の整理の仕方は、新聞を見ても能く分りませぬ、此の際一つ御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=63
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064・石橋湛山
○石橋國務大臣 是も亦はつきり御説明を申上げ兼ねるのです、決まつて居らないのです、昨日新聞記者と話をしました時、色々の質問に答へたのを新聞記者諸君の方で色々綜合し、想像を加へて書いて貰つたので、餘り間違つても居らぬやうであります、私の申したのとは違つて居らぬやうでありますが、ああ云ふやうな色々の意見がある、斯う云ふやうに御了承願ひたいのであります、今急いで居りますから、恐らくここ一兩日の中には決め得ると思ひますけれども、今茲て公式に御説明申上げる段階になつて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=64
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065・苫米地義三
○苫米地(義)委員 あの件も大分店曝しになつて居りまして、さう云ふことは産業界に非常に停帶氣分を起して居る譯です、是も一つ一日も早く決定してやつて戴くことが宜からうと思ひます
それから是は簡單な問題ですが、投機の利益金は一體新舊どちらの勘定に入りませうか、投機は會社經理措置令に依つて新舊勘定に分れますが、其の投機の營業利益は舊勘定に入りますか、新勘定に入りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=65
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066・福田赳夫
○福田政府委員 投機に出ます所の利益金は、私企業の方ははつきり知りませぬが、恐らく金融機關と同じであらふと思ふのであります、金融機關の場合に於きましては、舊勘定の特別準備金として保留する、斯樣なことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=66
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067・苫米地義三
○苫米地(義)委員 八月十五日ですか、あの以前の利益は舊勘定に移すと云ふことならば分るのでせうが、其の以後の利益金、即ち總ての會社は利益を年末位にやつて居りますが、期の半ばに於て損益計算を出さなければならぬことになりますか、或は一期間を通じて損益計算をして、出した利益を期間に依つて分けるか、或はどうしても八月中に損益計算を分けて、其の利益は、舊勘定、それから其の以後に出るものは新勘定と云ふことになるのでありませう、其の點は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=67
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068・福田赳夫
○福田政府委員 金融機關の場合に於きましては、先づ決算は八月十一日で一應打切るのであります、更に次の決算は三月三十一日までと致しまして、其の間には決算は致さないのであります、それから其の次はまだ定めて居りませぬが、八月十一日に出る所の利益金は、是は舊勘定の方に特別準備金として積立てる、それから其の後に於きましては新勘定、舊勘定共に決算をする譯でありますが、是は最終的に新勘定、舊勘定を合わせて決算をするまでは特別に積立て置く、斯樣なことに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=68
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069・苫米地義三
○苫米地(義)委員 細かいことを御伺ひしなんですが、それ等をはつきりさせて戴きたいと思ひます
それから問題が違ふのですけけれども、財界人のG項該當調査、是は今後も相當出ると云ふ噂もあるのですが、大臣の御見込は如何でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=69
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070・石橋湛山
○石橋國務大臣 是は一寸見込が付きませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=70
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071・苫米地義三
○苫米地(義)委員 それは餘談のやうでありますが、まだ打切てないやうな風に聽きますけれども、簡單に伺ひました、もう一つは第二會社を設立致しますが、其の際に元の會社の役員が第二會社の方の役員を兼ねられませうか、それはどうでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=71
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072・福田赳夫
○福田政府委員 是は個々の會社の實情に應じまして、或は兼ねる場合もありませうし、或は又新しくなると云ふ場合もありませうし、それは色々あるだらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=72
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073・苫米地義三
○苫米地(義)委員 是で私の質問は終るのでありますが、最後に此の復興金融委員會に付ては、皆樣から御話がありましたから、私は重ねて申上げませぬが、唯私の御尋ねし、又希望したいことは、先の御話に依りますと、役人と銀行員が大多數で、民間から三名取ると云ふ風に、銀行局長の御話でありましたが、此の復興金融金庫の性格に鑑みまして、もつと民間から經濟人なり産業人を加へて運用すべきではないでせうか、政界方面からも出せと云ふ要望もありますが、産業人、經濟人の方をもつと充實する必要があるかのやうに思ひますが、其の點は如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=73
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074・石橋湛山
○石橋國務大臣 是はまだ決めて居りませぬが、唯職權と申しまするか、「エツキス・オフィチィオ」へ入るかどうか、關係各省大臣、それから日本銀行總裁、あとは決めて居りませぬですから、其の點は相當自由に選擇する積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=74
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075・青木孝義
○青木(孝)委員 私は一寸大藏大臣に御伺ひ致します、是は關聯と申しまするか、將來のことですが、まだ財産税の法案は出て居りませぬが、一應御聽きしたいと思ふのです、財産税は有體財産に付ては課税すると云ふことは分りますが、無體財産と申しまするか、著作權とか、特許權とか云ふものに付ては課税なさる御考でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=75
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076・石橋湛山
○石橋國務大臣 其の點は今主税局長が來て居りませぬから、はつきりしないのですが、大體は確かですけれども、間違つてはいけませぬから、御答へしない方が宜いと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=76
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077・高橋泰雄
○高橋委員長 青木君に御諮り致しますが、今の御質問は、主税局長の出席を求めて尚ほ御尋ねになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=77
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078・青木孝義
○青木(孝)委員 次の議會に致しませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=78
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079・高橋泰雄
○高橋委員長 本案に對する質疑は是で終了致しました、次會は公報を以て通知致します、本日は是にて散會致します
午後三時十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013078X00919460912&spkNum=79
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