1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十一年七月三十日(火曜日)
午後二時三十三分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第二十一號
昭和二十一年七月三十日
午後一時開議
第一 罹災都市借地借家臨時處理法案(政府提出、貴族院送付)
第一讀會
第二 法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第三 所得税法の一部を改正する等の法律案(政府提出)第一讀會
第四 臨時租税措置法を改正する法律案(政府提出) 第一讀會
第五 地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案(政府提出) 第一讀會
第六 政府出資特別會計法外二十一法令の廢止等に關する法律案(政府提出)
第一讀會の續(委員長報告)
第七 特別都市計畫法案(政府提出、貴族院送付)
第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━
〔朗讀を省略した報告〕
一、政府から提出された議案は次の通りである
法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案
(以上七月二十七日提出)
一、議員から提出された議案は次の通りである
大都市制度確立に關する建議案
提出者
三浦寅之助君 山崎常吉君
大矢省三君 佃良一君
中野武雄君
(以上七月二十七日提出)
肥料の増産配給に關する決議案
提出者
苫米地義三君 北れい吉君
葉梨新五郎君
中小工業振興に關する建議案
提出者
原國君 川野芳滿君
三木武夫君 鹿島透君
奈良女子帝國大學設置に關する建議案
提出者
森山ヨネ君 八坂善一郎君
片町線四條畷木津間の電化促進竝に列車増發に關する建議案
提出者
細川八十八君 松永佛骨君
寺田榮吉君 有田二郎君
田中萬逸君 左藤義詮君
本多花子君
(以上七月二十九日提出)
一、去二十七日議長に於て次の通り常任委員辭任の許可があつた
第四部選出豫算委員 河野密君
第九部選出豫算委員 山崎道子君
一、去二十七日次の通り特別委員の異動があつた
帝國憲法改正案(政府提出)委員
辭任 中山榮一君 補闕 秋田大助君
金融緊急措置令(承諾を求める件)外十一件委員
辭任 河野密君 補闕 今村等君
食糧緊急措置令(承諾を求める件)
委員
辭任 稻村順三君 補闕 清澤俊英君
東京都制の一部を改正する法律案(政府提出)外三件委員
辭任 松本淳造君 補闕 岡田春夫君
會計法戰時特例廢止等に關する法律案(政府提出)委員
辭任 高津正道君 補闕 島田晋作君
辭任 吉川兼光君 補闕 林虎雄君
勞働關係調整法案(政府提出)委員
辭任 石田一松君 補闕 柏原義則君
一、昨二十九日衆議院規則第十五條但書に依り議長に於て議席を次の通り變更した
五 和崎ハル君
六 松谷天光光君
一一 布利秋君
一二 中山榮一君
一、昨二十九日議長に於て次の通り常任委員辭任の許可があつた
第三部選出豫算委員 小川一平君
第八部選出豫算委員 武藤嘉一君
一、昨二十九日常任委員補闕選擧の結果次の通り當選した
第四部選出
豫算委員 吉川兼光君(河野密君補闕)
第九部選出
豫算委員 新妻イト君(山崎道子君補闕)
一、昨二十九日次の通り特別委員の異動があつた
帝國憲法改正案(政府提出)委員
辭任 福田繁芳君 補闕 中山榮一君
食糧緊急措置令(承諾を求める件)委員
辭任 奧村又十郎君 補闕 堂森芳夫君
―――――――――――――――――――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=0
-
001・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 是より會議を開きます
―――――――――――――――――――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=1
-
002・山口喜久一郎
○山口喜久一郎君 議事日程變更の緊急動議を提出致します、即ち此の際日程第六を繰上げ上程し、其の審議を進められんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=2
-
003・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 山口君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=3
-
004・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認めます、仍て日程の順序は變更せられました──日程第六、政府出資特別會計法外二十一法令の廢止等に關する法律案の第一讀會の續を開きます、委員長の報告を求めます──委員長坂東幸太郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=4
-
005・会議録情報2
――――◇―――――
第六 政府出資特別會計法外二十一法令の廢止等に關する法律案(政府提出)
第一讀會の續(委員長報告)
―――――――――――――――――――――
報告書
一 政府出資特別會計法外二十一法令の廢止等に關する法律案
(政府提出)
右は本院に於て可決すべきものと議決した因つてここに報告する
昭和二十一年七月二十七日
委員長 坂東幸太郎
衆議院議長 樋貝詮三殿
〔坂東幸太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=5
-
006・坂東幸太郎
○坂東幸太郎君 只今上程せられました法律案に付きまして、審査の經過竝に結果を簡單に御報告申上げます、此の法律案は特別會計十三竝に其の他を合しまして、特別會計に關する法律案が八件と、其の外特別會計に關する勅令一件と、全部で二十二件の特別會計を廢止するに付きまして、其の結果生じたる殘る所の資産、權利義務關係を處理せんが爲に制定せんとする法律案であります、此の法律案は十五條ありまするが、それ等に付きまして委員側から相當詳細な質疑があり、又政府側では大藏大臣竝に政府事務當局から詳細な答辯がありました、其の中に於きまして數點だけ御報告を申上げます
即ち政府の特別出資は何程であるかと云ふ質問に對して、政府は内地關係公稱資本二十二億八千餘萬圓、拂込濟が十七億四千萬圓、外地關係は公稱十二億四千萬圓、拂込濟が十億八千萬圓、内地外地を合せまして公稱資本は三十五億圓、拂込濟は二十八億餘萬圓と云ふ答辯がございました、又新圓分布の状態に關する所の質問に對する答辯は、滯留の最も多い部面を順番に答辯されましたが、先づ第一には農漁村、殊に都市周邊の蔬菜、果樹等を栽培して居る村、第二番には物品販賣業、配給機關、各種統制組合、第三は映畫、芝居等の各種興行會社及び飮食店、第四は電鐵會社、瓦斯電氣會社、運送業、土建業、第五は闇「ブローカー」、是は一般に澤山持つて居ると言はれて居るが、實際には非常に窮屈らしいと云ふ答辯でございます、又個人の政治資金を認めるかと云ふ質問に對しましては、個人の政治資金は認めないが、それに付ては政府は十分考慮研究すると云ふ答辯でありました、又生命保險の一般の打切りに對する質問に對しては、現在政府では考へて居ないが、愈愈困難となつた場合と雖も、小額の保險者には迷惑を掛けないと云ふ答辯でありました、又法律案の中で食糧管理特別會計法中の改正がありますが、其の中に從來三十八億圓の證券發行額を五十二億圓に變更するに付て質疑がありましたが、之に對する政府の答辯は、從來生産確保補給金は會計法戰時特例で支辨したが、之を廢止の結果、一本として此の食糧管理特別會計法の中に入れて、五十二億圓になつたものであると云ふ答辯でありました、又同じく米穀管理特別會計法の改正中にある四十五億圓を一般會計に移すと云ふ條文があるが、其の理由如何と云ふ質問に對しましては、食糧管理特別會計法が開設せられて以來、損害を見積つたのが四十五億圓、之を今囘は一般會計に移すことにしたのである、斯う云ふ答辯があつたのであります、竹谷委員は東北六縣の國有林の多いことを述べられて曰く、北海道、東北以外の國有林は山林全體の約一割二分、東北六縣は四割九分である、故に國有林が多い結果、東北六縣は非常に不利益を被つて居る、東北不振の一因も茲にあると思ふから、政府は國有林を相當民有に移す意向はないかと云ふ質問に對しまして、農林省を代表して大石政務次官より、成程御尤もである、之には種種なる原因があるが、十分研究して御趣旨に副ひたいと云ふ意味の答辯がありました
斯くして三日間を以て質疑を終了し、二十七日に討論となりまして、自由黨代表の青木孝義君、進歩黨代表の青木清左ヱ門君、社會黨代表の新妻イト君、協同民主黨代表の大橋喜美君竝に新政會代表の伊藤恭一君より原案贊成の陳述がありました、採決の結果全會一致を以て原案を可決するに至りました、簡單ながら以上を以て委員長の報告と致します(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=6
-
007・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 本案の第二讀會を開くに御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=7
-
008・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認めます、仍て本案の第二讀會を開くに決しました
―――――――――――――――――――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=8
-
009・山口喜久一郎
○山口喜久一郎君 直ちに本案の第二讀會を開き、第三讀會を省略して、委員長報告通り可決せられんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=9
-
010・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 山口君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=10
-
011・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認めます、仍て直ちに本案の第二讀會を開き、議案全部を議題と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=11
-
012・会議録情報3
――――◇―――――
政府出資特別會計法外二十一法令の廢止等に關する法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=12
-
013・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 別に御發議もありませぬ、第三讀會を省略して、委員長報告通り可決確定致しました(拍手)
―――――――――――――――――――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=13
-
014・山口喜久一郎
○山口喜久一郎君 議事日程變更の緊急動議を提出致します、即ち此の際日程第七を繰上げ上程し、其の審議を進められんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=14
-
015・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 山口君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=15
-
016・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認めます、仍て日程の順序は變更せられました──日程第七、特別都市計畫法案の第一讀會の續を開きます、委員長の報告を求めます──委員長 林田正治君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=16
-
017・会議録情報4
――――◇―――――
第七 特別都市計畫法案(政府提出貴族院送付)
第一讀會の續(委員長報告)
―――――――――――――――――――――
報告書
一 特別都市計畫法案(政府提出、貴族院送付)
右は本院に於て可決すべきものと議決した因つてここに報告する
昭和二十一年七月二十九日
委員長 林田正治
衆議院議長樋貝詮三殿
―――――――――――――――――――――
〔林田正治君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=17
-
018・林田正治
○林田正治君 只今上程になりました特別都市計畫法案委員會の審議の經過竝に結果に付て御報告申上げます、尚ほ其の詳細は速記録に讓ることに致したいと存じます、本案の委員會は質疑應答を重ねますること六囘、此の間極めて熱心なる質疑が行はれました、今其の主なるものに付て申上げます
第一は全國に亙り百二十有餘、燒失面積一億六千萬坪に及びまする所の戰災都市の復興は、實に國家百年の大計を樹てることを意味するものであつて、本計畫は先づ國土計畫の線に沿うて樹立されねばならぬ、從來の無計畫的な、單なる横廣がり的な過大人口都市の復興は斷じてやめなければならない、且つ過去の禍ひを轉じて、此の際防空防災に十分意を用ひ、幸福なる文化的な都會を作らねばならぬが、政府の之に對する意見は如何と云ふ所の質問に對しましては、勿論政府は此の質問の趣旨に副うて、國家百年の大計を目途と致して、本年一月政府が定めました所の戰災地復興計畫基本方針に則ると共に、内務省國土局とも十分に連絡を圖り、防空防災にも十二分に意を用ひて、廣幅員の道路及び緑地帶と云ふやうなものを思ひ切つて設けまして、さうして此の計畫を立て、從來の都市の單なる平面的なる所の都會より、立體的な、而も防空防災の上に於て十分意を用ひ、工場、學校等の地方分散をも織り込んで、文化的な住み心地の良い都會の復興に努めると云ふ答辯がありました
第二は戰災復興院及び内務省國土局を併合して、新たに國土省設置の意思があるかどうかと云ふ所の質問及び國土計畫審議會を設置するの意思ありや否やの質問に對しましては、總理大臣より、現在の所國土省設置の意思はないけれども、國土計畫審議會は近き將來に於て之を設置する積りであると云ふ答辯がありました、第三は從來の都市計畫事業に伴ひまする所の色々不都合なる所の實例を引用して、都市計畫事業の執行には先づ何を措いても上下水道の完備、瓦斯管或は電燈、電話線の如き、さう云ふものの地下埋設が絶對に必要であると云ふことが強調せられまして、政府は何れも其の希望に副ふ旨の答辯がありました、尚ほ本計畫事業の實行に當り、他の官廳、就中運輸省との連絡の最も必要なることを、事實を擧げて質問がありましたに對して、勿論政府は此の希望に副うて萬遺憾なきを期する旨の答辯がありました、第四の質問は從來の軍港或は師團所在地の如き所謂軍都の復興の方針に付て、如何なる考へを持つて居るかと云ふ所の質問に對しましては、政府は、軍港は是が商港への轉換の可能であるかどうかと云ふこと、或は又工厰、兵營等の施設が賠償物資にならざる限りに於きまして、是等のものを平和産業若しくは學校等への轉換にも十分考慮を致す積りであるが、又地方に其のやうな希望がある場合に於きましては、政府と致しまして十二分に之に援助を與へるに吝かでないと云ふ答辯でありました、第五は廣島、長崎兩市に對しては、補助金の増額、其の他特別の取扱をなす意思があるかどうかと云ふ質問に對しては、政府は只今の所其の意思がないと云ふ答辯でありました、第六は戰災都市復興の財源として富籤發行の意思ありや否やの質問に對しましては、十二分に之を考慮すると云ふ答辯でありました、第七は戰災者に對する所の火災保險は、戰災學校と共に全額支拂ふべきものであると云ふ所の質問に對しましては、政府は出來得る限り支拂ふことに努むると云ふ極めて漠然たる答辯でありました、第八は國庫補助金及び起債の件に關しましても、實際に即しました極めて剴切なる意見が發表されました、第九は特別なる所の法律が制定され、之に基き都市の復興が出來ましても、現在のやうに治安は紊れ、而も都市の中堅層である所の中小商工業者が、所謂日本人にあらざる者の傍若無人の行動に依つて日に日に壓迫さるるに於きましては、折角の都市復興も何等の價値なきに至るのであるからして、此の都市の治安の問題に對して、政府は如何なる決意を持つかと云ふ所の質問に對しましては、内務省警保局長は極めて強い、自信たつぷりの答辯をなしまして、集團暴行もここ一、二箇月の間に一掃が出來ると云ふ所の強い答辯でありました、最後に復興には凡そ何年を要するかと云ふ所の質問に對しましては、目下の所財政と資材の見透しが付かないからして明言は出來ない、唯資材が圓滑に手に入るならば、土地の區劃整理に四年乃至六年、都市の施設には凡そ二十年乃至三十年を要すると云ふ答辯がありました、斯くの如く都市計畫、都市復興の見透しは殆ど立つて居ないのであります、復興院が現在大藏省の承認を得て居ります財源から推論致すならば、實に百年を要する計算となるのであります
仍て委員會に於きましては、討論の際、自由黨を代表して森崎了三君より、左の希望條件を附して本案を可決したいとの意見がございました、其の希望條件を朗讀致します
一、現在内務省の一部局の觀ある戰災復興院の機構を大いに擴大強化し、關係官廳との連絡を緊密にし、可及的短年期間に戰災都市の復興を完成するやう政府は財政的其の他必要なる處置を講ずべし
二、戰災復興工事に對する政府補助金は精算額に對し補助率を適用し、尚ほ本事業に伴う起債に關しては工事施行可能の限度まで之を優先的に承認すべし
三、廣島、長崎兩市の復興に關しては特別の考慮を拂ふべし
四、都市の上下水道の完璧を期し、「ガス」、電信、電話、電燈線の地下埋設を實施すべし
五、都市に於ける過大宅地の所有權を相當程度に制限すると共に、戰災者の住宅建築用資材の優先的配給をなすべし
六、戰災者個人の火災保險金は之を全面的に支拂ふべし、但し戰災學校も之に準ずること
七、都市の過大人口防止の爲に、學校、文化施設、工場等の計畫的地方分散竝に農村の國土計畫を急速に實施すべし
此の動議に對しまして、進歩黨を代表して細川八十八君、日本社會黨を代表して前田榮之助君、協同民主黨を代表して原尻束君、新政會を代表して中田榮太郎君、無所屬倶樂部を代表して森曉君より、それぞれ森崎君の動議に贊成の意見が開陳されまして、全員一致原案の通り決定致した次第であります、以上(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=18
-
019・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 本案の第二讀會を開くに御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=19
-
020・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認めます、仍て本案の第二讀會を開くに決しました
―――――――――――――――――――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=20
-
021・山口喜久一郎
○山口喜久一郎君 直ちに本案の第二讀會を開き、第三讀會を省略して、委員長報告通り可決せられんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=21
-
022・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 山口君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=22
-
023・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認めます、仍て直ちに本案の第二讀會を開き、議案全部を議題と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=23
-
024・会議録情報5
――――◇―――――
特別都市計畫法案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=24
-
025・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 別に御發議もありませぬ、第三讀會を省略して、委員長報告通り可決確定致しました(拍手)──日程第一、羅災都市借地借家臨時處理法案の第一讀會を開きます──木村司法大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=25
-
026・会議録情報6
――――◇―――――
第一 罹災都市借地借家臨時處理法案(政府提出、貴族院送付)
第一讀會
―――――――――――――――――――――
罹災都市借地借家臨時處理法案
罹災都市借地借家臨時處理法
第一條 この法律において、罹災建物とは、空襲その他今次の戰爭に因る災害のため滅失した建物をいひ、疎開建物とは、今次の戰爭に際し防空上の必要により除却された建物をいひ、借地權とは、建物の所有を目的とする地上權及び賃借權をいひ、借地とは、借地權の設定された土地をいひ、借家とは、賃借された建物をいふ。
第二條 罹災建物が滅失した當時におけるその建物の借主は、その建物の敷地又はその換地に借地權の存しない場合には、その土地の所有者に對し、この法律施行の日から一箇年以内に建物所有の目的で賃借の申出をすることによつて、他の者に優先して、相當な借地條件で、その土地を賃借することができる。但し、その土地を、權原により現に建物所有の目的で使用する者があるとき、又は他の法令により、その土地に建物を築造するについて許可を必要とする場合に、その許可がないときは、その申出をすることができない。
土地所有者は、前項の申出を受けた日から三週間以内に、拒絶の意思を表示しないときは、その期間滿了の時、その申出を承諾したものとみなす。
土地所有者は、建物所有の目的で自ら使用することを必要とする場合その他正當な事由があるのでなければ、第一項の申出を拒絶することができない。
第三者に對抗することのできない借地權及び臨時設備その他一時使用のために設定されたことの明かな借地權は、第一項の規定の適用については、これを借地權でないものとみなす。
第三條 前條第一項の借主は、罹災建物の敷地又はその換地に借地權の存する場合には、その借地權者(借地權者が更に借地權を設定した場合には、その借地權の設定を受けた者)に對し、同項の期間内にその者の有する借地權の讓渡の申出をすることによつて、他の者に優先して、相當な對價で、その借地權の讓渡を受けることができる。この場合には、前條第一項但書及び第二項乃至第四項の規定を準用する。
第四條 前條の規定により賃借權が讓渡された場合には、その讓渡について、賃貸人の承諾があつたものとみなす。この場合には、讓受人は、讓渡を受けたことを、直ちに賃借人に通知しなければならない。
第五條 第二條の規定により設定された賃借權の存續期間は、借地法第二條の規定にかかはらず、これを十年とする。但し、建物が、この期間滿了前に朽廢したときは、賃借權は、これに因つて消滅する。
當事者は、前項の規定にかかはらず、その合意により、別段の定をすることができる。但し、存續期間を十年未滿とする借地條件は、これを定めないものとみなす。
第六條 第二條の規定による賃借權の設定又は第三條の規定による借地權の讓渡があつた場合において、その土地を、權原により現に耕作の目的で使用する者(第二十九條第一項本文又は第三項の規定により使用する者を除く。)があるときは、その者は、賃借權の設定又は借地權の讓渡があつた後(その賃借權の設定又は借地權の讓渡について、裁判があつたときは、その裁判が確定した後、調停があつたときは、その調停が成立した後)、六箇月間に限り、その土地の使用を續けることができる。但し、裁判所は、申立により、その期間を短縮し、又は伸張することができる。
第二條の規定により設定された賃借權又は第三條の規定により讓渡された借地權の存續期間は、前項又は第二十九條第一項本文若しくは第三項の規定による土地の使用の續く間、その進行を停止する。この場合には、その停止期間中、借地權者は、その權利を行使することができず、又、地代又は借賃の支拂義務は、發生しない。
第一項の規定により土地を使用する者が、自ら、第二條の規定による賃借權の設定又は第三條の規定による借地權の讓渡を受けた場合には、前二項の規定を適用しない。
第七條 第二條第一項の借主が、同條の規定による賃借權の設定又は第三條の規定による借地權の讓渡を受けた後(その賃借權の設定又は借地權の讓渡について、裁判があつたときは、その裁判が確定した後、調停があつたときは、その調停が成立した後)、六箇月を經過しても、正常な事由がなくて、建物所有の目的でその土地の使用を始めなかつたときは、土地所有者又は借地權の讓渡人は、その賃借權の設定契約又は借地權の讓渡契約を解除することができる。但し、その解除前にその使用を始めたときは、この限りでない。
第二條第一項の借主が、建物所有の目的でその土地の使用を始めた後、建物の完成前に、その使用を止めた場合にも、前項と同樣である。
前條第一項又は第二十九條第一項本文若しくは第三項の規定により土地を使用する者がある場合には、第一項の六箇月は、その使用の終はつた時から、これを起算する。
第八條 第二條の規定による賃借權の設定又は第三條の規定による借地權の讓渡があつたときは、賃貸人又は借地權の讓渡人は、借賃の全額又は借地權の讓渡の對價について、借地權者がその土地に所有する建物の上に、先取特權を有する。
前項の先取特權は、借賃については、その額及び、若し存續期間若しくは借賃の支拂次期の定があるときはその旨、又は若し辨濟期の來た借賃があるときはその旨、讓渡の對價については、その對價の辨濟されない旨を登記することによつて、その效力を保存する。
第一項の先取特權は、他の權利に對し、優先の效力を有する。但し、國税徴收法により徴收することのできる請求權、共益費用不動産保存不動産工事の先取特權竝びに前項の登記前に登記した質權及び抵當權に後れる。
第九條 疎開建物が除却された當時におけるその敷地の借地權者、その當時借地權以外の權利に基いてその敷地にその建物を所有してゐた者及びその當時におけるその建物の借主については、前七條の規定を準用する。但し、公共團體が、疎開建物の敷地又はその換地を所有し、又は賃借してゐる場合は、この限りでない。
第十條 罹災建物が滅失し、又は疎開建物が除却された當時から、引き續き、その建物の敷地又はその換地に借地權を有する者は、その借地權の登記及びその土地にある建物の登記がなくても、これを以て、昭和二十一年七月一日から五箇年以内に、その土地について權利を取得した第三者に、對抗することができる。
第十一條 この法律施行の際現に罹災建物又は疎開建物の敷地にある借地權(臨時設備その他一時使用のために設定されたことの明かな借地權を除く。)の殘存期間が、十年未滿のときは、これを十年とする。この場合には、第五條第一項但書及び第二項の規定を準用する。
第十二條 土地所有者は、この法律施行の日から一箇年以内に、第十條に規定する借地權者(罹災建物が滅失し、又は疎開建物が除却された後、更に借地權を設定してゐる者を除く。)に對し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内に、借地權を存續させる意思があるかないかを申し出るやうに、催告することができる。若し、借地權者が、その期間内に、借地權を存續させる意思があることを申し出ないときは、その期間滿了の時、借地權は、消滅する。但し、借地權者が更に借地權を設定してゐる場合には、各各の借地權は、すべての借地權者が、その申出をしないときに限り、消滅する。
前項の催告は、土地所有者が、借地權者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法で、これをすることができる。
前項の公示は、公示送達に關する民事訴訟法の規定に從ひ、裁判所の掲示場に掲示し、且つ、その掲示のあつたことを、新聞紙に二囘掲載して、これを行ふ。
公示に關する手續は、借地の所在地の區裁判所の管轄に屬する。
第二項の場合には、民法第九十七條の二第三項及び第五項の規定を準用する。
第十三條 借地權者が更に借地權を設定してゐる場合に、その借地權を設定してゐる者については、前條の規定を準用する。
第十四條 罹災建物が滅失し、又は疎開建物が除却された當時におけるその建物の借主は、その建物の敷地又はその換地に、その建物が滅失し、又は除却された後、その借主以外の者により、最初に築造された建物について、その完成前賃借の申出をすることによつて、他の者に優先して、相當な借家條件で、その建物を賃借することができる。但し、その借主が、罹災建物が滅失し、又は疎開建物が除却された後、その借主以外の者により、その敷地に建物が築造された場合におけるその建物の最後の借主でないときは、その敷地の換地に築造された建物については、この申出をすることができない。
前項の場合には、第二條第二項及び第三項の規定を準用する。
第十五條 第二條(第九條及び第三十二條第一項において準用する場合を含む。)若しくは前條の規定による賃借權の設定又は第三條(第九條及び第三十二條第一項において準用する場合を含む。)の規定による借地權の讓渡に關する法律關係について、當事者間に、爭があり、又は協議が調はないときは、申立により、裁判所は鑑定委員會の意見を聽き、從前の賃貸借の條件、土地又は建物の状況その他一切の事情を斟酌して、これを定めることができる。
第十六條 第二條(第九條及び第三十二條第一項において準用する場合を含む。)若しくは第十四條の規定による賃借の申出又は第三條(第九條及び第三十二條第一項において準用する場合を含む。)の規定による借地權の讓渡の申出をした者が數人ある場合に、賃借しようとする土地若しくは建物又は讓渡を受けようとする借地權の目的である土地の割當について、當事者間に協議が調はないときは、裁判所は、申立により、土地又は建物の状況、借主又は讓受人の職業その他一切の事情を斟酌して、その割當をすることができる。
裁判所は、當事者間の衡平を維持するため必要があると認めるときは、割當を受けない者又は著しく不利益な割當を受けた者のために、著しく利益な割當を受けた者に對し、相當な出捐を命ずることができる。
第十七條 地代、借賃、敷金その他の借地借家の條件が著しく不當なときは、當事者の申立により、裁判所は、鑑定委員會の意見を聽き、借地借家關係を衡平にするために、その條件の變更を命ずることができる。この場合には、裁判所は、敷金その他の財産上の給付の返還を命じ、又はその給付を地代若しくは借賃の前拂とみなし、その他相當な處分を命ずることができる。
第十八條 第六條第一項但書(第九條において準用する場合を含む。)又は第十五條乃至前條の規定による裁判は、借地又は借家の所在地を管轄する區裁判所が非訟事件手續法により、これをする。
第十九條 鑑定委員會は、三人以上の委員を以て、これを組織する鑑定委員は、裁判所が、各事件について、左の者の中からこれを指定する。
一 地方裁判所長が、毎年豫め、特別の知識經驗のある者その他適當な者の中から選任した者
二 當事者が、合意で選定した者
第二十條 鑑定委員會の決議は、委員の過半數の意見による。
第二十一條 鑑定委員會の評議は、祕密とする。
第二十二條 鑑定委員には、旅費、日當及び止宿料を給する。その額は、勅令でこれを定める。
第二十三條 第十五條乃至第十七條の規定による申立があつた場合には、借地借家調停法第四條の二及び第五條の規定を準用する。この場合に、調停に付する裁判に對しては、不服を申し立てることができない。
第二十四條 第六條第一項但書(第九條において準用する場合を含む。)又は第十五條乃至第十七條の規定による裁判に對しては、即時抗告をすることができる。その期間は、これを二週間とする。
前項の即時抗告は、執行停止の效力を有する。
第二十五條 第十五條乃至第十七條の規定による裁判は、裁判上の和解と同一の效力を有する。
附 則
第二十六條 この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
第二十七條 この法律を適用する地區は、勅令でこれを定める。
第二十八條 借地借家臨時處理法及び戰時罹災土地物件令は、これを廢止する。
第二十九條 罹災建物の敷地につきこの法律施行の際現に存する舊令第四條第一項の規定による賃借權は、建物の所有を目的とするものについてはこの法律施行の日から一箇年間、その他のものについてはこの法律施行の日から六箇月間に限り、なほ存續する。但し、その敷地につき、舊令第三條第一項の規定の適用を受ける借地權を有する者(舊令第四條第一項の規定による賃借權に基いて、その敷地を他の者に使用させてゐる者を除く。)については、この限りでない。
前項本文の賃借權は、その敷地を自ら使用する賃借人又は轉借人が、その敷地の使用を止め、この法律施行の際におけるその敷地の使用の目的を變更し、又はあらたにその敷地につき使用若しくは收益を目的とする權利を取得したときは、同項の期間滿了前でも、これに因つて消滅する。
舊令第四條第四項の規定により、昭和二十一年七月一日前からこの法律施行の際まで、引き續き、罹災建物の敷地を現に使用する者がある場合には、同項に規定する土地所有者の權利については、前二項の規定を準用する。
第三十條 この法律施行の際現に存する舊令第三條第一項の規定の適用を受ける借地權の存續期間は、前條第一項本文又は第三項に規定する權利が存續してゐる間、なほその進行を停止する。この場合には、舊令第三條第二項の規定は、この法律施行後(昭和二十年法律第四十四號附則第二項の期間經過後を含む。以下同じ。)においても、なほその效力を有する。
第三十一條 第二十九條第一項本文又は第三項の規定に基いて存續する借地權は、第二條第一項(第三十二條第一項において準用する場合を含む。)及び第三條第一項(第三十二條第一項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、これを借地權でないものとみなす。
第三十二條 第二十九條第一項本文又は第三項の規定に基いて、建物所有の目的で罹災建物の敷地又はその換地を自ら使用する者については、第二條乃至第五條、第七條第二項及び第八條の規定を準用する。
前項に規定する者は、同項において準用する第二條第一項又は第三條第一項の規定による賃借權の設定又は借地權の讓渡の申出を拒絶されたときは、その申出を拒絶した者に對し、權原によりその土地に所有する建物を、相當な對價で買ひ取るべきことを請求することができる。
第三十三條 舊令第七條第一項の規定により設定された使用權でこの法律施行の際現に存するものは、この法律施行の日から五箇年間に限り、なほ存續する。この場合には、舊令第十三條、第十六條、及び第十七條の規定は、この法律施行後においても、なほその效力を有する。
地方長官は、舊令第十六條第一項各號の場合の外、使用權の設定された土地について、換地豫定地の指定又は換地處分の告示があつた場合においても、その使用權を取り消すことができる。この場合には、舊令第十六號第二項の規定を準用する。
第三十四條 舊令第五條、第十五條及び第十八條第二項の規定は、この法律施行後においても、なほその效力を有する。
第三十五條 第八條(第九條及び第三十二條第一項において準用する場合を含む。)の規定により、まだ辨濟期の來ない借賃につき先取特權に關する登記を受ける場合においては、賃貸借の存續期間における借賃の全額から、既に辨濟期の來た借賃の額を控除した金額を以て、登録税法第二條第一項第九號に規定する債權金額とみなす。
―――――――――――――――――――――
〔國務大臣木村篤太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=26
-
027・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 只今上程になりました罹災都市借地借家臨時處理法案の提案理由を御説明申上げます
今次の戰爭に際しまして、空襲其の他の災害に依りまして、被害を蒙りました罹災戸數は全國に於て約二百四十萬、其の外建物疎開に依るもの約六十萬戸、此の夥しい多數の國民が一時にして住居の安定を失ひまして、今尚ほ困苦を極めて居ることは各位の御承知の通りであります、政府は是が爲に戰時中に於て戰時罹災土地物件令を制定致しまして、罹災者の住宅確保と罹災地の借地關係の調整を圖つて參つたのでありまするが、此の戰時罹災土地物件令は、戰時中に於ける臨時應急の立法であるばかりでなく、其の根據法でありまする戰時緊急措置法は、曩の議會に於きまして廢止せられたのでありまするから、之に伴ふ善後措置を講ずるの必要があるのであります、尚ほ又現下の住宅難其の他の急迫せる事態に對處しまするには、更に新たなる觀點に立ちまして、罹災者及び建物疎開者の保護、罹災都市の復興の促進竝に土地建物に關する法律關係の整理調整を圖る爲め應急の措置を講ぜねばならないのであります、是が政府に於きまして本法案を提出した理由であります、以下簡單に其の重要の點を申上げたいと存じます
第一は戰時罹災土地物件令に基いて、罹災地に「バラック」其の他の建物を築造したるもの、又は罹災建物若しくは疎開建物の從來の借主、或は又疎開跡地に於ける從前の借地權者に付きまして、其の土地の確保を圖る爲に、借地權の設定又は借地權の讓渡を受けしむる途を開きまして、以て是等罹災者の保護を圖ると共に、罹災都市復興の一助たらしめんとしたのであります
第二は戰時罹災土地物件令其の他に依つて、罹災土地又は疎開跡地に菜園を設け、之を耕作したる者には、尚ほ六箇月間其の土地の使用を認めまして、現に是等菜園に生育して居ります野菜等の收穫を確保せんとしたのであります
第三は戰時罹災土地物件令に依り、其の存續期間の進行を停止せる借地權は、前述の第一及び第二の場合を除きまして、直ちに之を舊に復しまして、以て借地權者をして其の本來の借地權に基き建物を建築する等、其の土地を利用する途を開いたのであります
第四は罹災土地又は疎開跡地の借地權に付き、其の存續期間が十年未滿のものは、之を十年に延長致しまして、建物建築の積極的意圖ある借地權者に對しまして、其の住宅の建設を促しますと共に、他方斯かる意思のないものと認められまする借地權に對しましては、土地所有者に於て其の借地權を消滅せしめ得る途を開き、借地關係の整理を圖りました次第であります
第五は罹災建物又は疎開建物の從前の借主の爲に、今後其の土地に築造される借家に對し、先借權を認めまして、其の保護を圖らうと致した次第であります
以上の諸點の外、著しく不當の借地借家條件を適正ならしめる途を講ずること等、罹災都市に於ける借地借家の法律關係に付て、其の調整を圖つて參つた次第であります、以上本案提出の理由の概要を御説明申上げたのでありますが、何卒愼重御審議の上速かに可決せられんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=27
-
028・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 質疑の通告があります、順次之を許します──石原圓吉君
〔石原圓吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=28
-
029・石原圓吉
○石原圓吉君 只今御上程になりました罹災都市借地借家臨時處理法案に付き、日本自由黨を代表し茲に以下の諸點に付て質問を試みたいと思ひます
本案提出の理由御説明に依れば、罹災者の保護、都市復興の促進等の爲と承りたしまが、私は本問題の提出遲きに失したことを遺憾とするものであります、少くも戰時緊急措置令の撤廢と同時に御提案なさるべきものでなかつたかと思ふのであります、百二十餘の壞滅都市、二百四十餘萬戸の罹災住宅、一千數百萬人の罹災者は、酷寒の冬に家を求め、炎熱の夏に食を求めて苦しんで居るのであります、此の罹災者を救への聲は街に滿ちて居ります、是が保護を一歩誤らんか、國家の重大事であるのであります、故に本案の如きは終戰直後に於て、而も血と涙の温かき心を以て立案をして、罹災大衆に安住の地を與へ、悉く其の所を得せしめて、以て生活の安定、勤勞意欲の昂揚を圖り、都市復興に邁進するの途を與ふべく、爲政者は深き考慮を拂ふべきであると思ふのであります、然るに民主日本を再建すべく我々が再出發致しましてより早や一年を經過致したのであります、今頃此の臨時處理法案の提出を見るが如きは、巧遲も必要でありませうが、斯く遲きに失することは其の影響する所大なるものがありまして、罹災者に對し洵に申譯ない次第と存ずるものであります、其の影響の一つと致しましては、罹災者が疎開をし、避難をして居る間に、空巣狙ひのやうに飛込んで來た者が其の土地を借り、家を借りて、さうして平然として住まつて居る、本當の罹災者は、家なく土地なく、困難を凌いで居ると云ふのが現在の實情であると思ふのであります、以上に對する關係大臣の御所見を伺ひたいのであります
第二は小さい問題でありまするけれども、影響する所大でありまするから、案の内容の一部を茲に質疑致したいのであります、土地所有權には期限も附せずして借地權を其の賃借人より取上げる權利を付與し、又新聞紙不足の現在に於て、一片の新聞廣告に依つて借地權者が周知するものと看做したるが如き、又現在の如く郵便物の遲配甚だしく、且つ交通不便なる時、短期間内に意思表示を強要せらるるが如きは、土地所有者を保護し、借地權者、一般大衆を保護せざるが如く見受けらるるのでありまするが、是れ亦御所見を承りたいと存ずるのであります
第三は重大なる役目を有する鑑定委員を裁判所が指定したり、同委員會の評議を祕密に付するが如きは反民主主義と思はるるが、御所見は如何でありませうか
第四は借地權の存續期間竝に殘存期間をも、共に實情に適不適を考慮致しませず、機械的に十年と規定したるは如何なる御所存でありませうか、是れ亦御伺ひをする點であります
第五は、敗戰後に於て我が國は財閥の解體、大地主の分解等、民主主義實現の爲め必要なる凡ゆる方途が講ぜられて居るのでありまするが、一方巨大なる住宅、土地を抱へた大地主的存在があれば、他面住むべき土地もなき憐れなる罹災者もあるのでありますが故に、土地の所有面積に一定の限度を付しては如何かと存ずるのであります、是れ亦御所見を御伺ひしたいのであります
第六は本案は一時的對案でありまして、實は國家百年の大計の上に立つて平和日本を建設すべき復興計畫樹立の先驅をなすべきものと存ずるのでありまするが,政府に於ては速かに是が根本的且つ科學的の立案の用意がありまするや否や、あれば如何なる程度に進捗して居りまするや、差支へない限り承りたいのであります、以上を以て私の質問と致します(拍手)
〔國務大臣木村篤太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=29
-
030・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 只今の御質問中、私の關係して居ります事項に付て御答へ申上げます
先づ第一に本法案はもつと早く提案すべきでなかつたらうかと云ふ御質問であります、一應御尤ものやうに承るのであります、御承知の通り戰時罹災土地物件令と云ふものがあるのでありまして、現に此の法令は生きて居るのであります、此の法令は御承知の通り今年の九月三十日を以て廢止になるのであります、之に對應すべき法案として、今日御審議を願はんとする罹災都市借地借家臨時處理法があるのでありまして、是がそれに代るべきものなのであります、遲きに失すると云ふ御質問は洵に其のやうでありまするが、現在物件令が生きて居る間は、其の法令に依つて處理されるのでありまするから、別段不都合はないと存ずる次第であります
それから第二點の借地權者が疎開して居つて、さうして其の行き先が分らぬ、それに付て一片の公告其の他では甚だしく借地權者の利害を無視するのぢやないかと云ふ御質問であります、是は一應御尤もと存じます、併しながら此の法案に於きましては非常に借地權者、殊に借家人、所謂家を借りて住んで居つた現實の使用者であります其の人達を保護する爲に重點を置いて居ります、此の人達は殊に一箇年の餘裕を以て借地權の設定なり、或は借地權の讓渡なりを請求することが出來ることになつて居ります、要するに一箇年、是は或は考へ方に依つて短きに失するかとも思はれまするが、今日復興の非常に急がれて居る際に一箇年の餘裕を與へますると、此の間に於て大體の整理は付くのぢやなからうか、斯う政府では考へたのであります、左樣御承知を願ひたうございます
それから第三の十年の期間は甚だ短きに失しはしないかと云ふ御質問であります、是も一應御尤もであります
〔議長退席、副議長著席〕
併し此の十年は今日の罹災都市に建てまする建物の色々な樣子から考へまして、先づ十年を認めれば相當ぢやなからうかと考へて居るのであります、ここで一つ御考へを願ひたいのは、此の十年と云ふのは、其の十年が來れば建物を撤去させると云ふ意味では毛頭ないのであります、勿論十年の間に建物が腐朽致しまして、所謂消滅致しますると、借地權は自ら消滅するのでありまするが、依然として其の家が使ひ得る状態でありますると、借地法に返りまして、借地法の第四條の適用を受けまして、更に其の期間を更新し得ることになつて居るのであります、此の點から十分保護を受ける次第であります
それから第五點の鑑定委員會の規定でありまするが、此の鑑定委員會は、御承知の通り民間から其の方面の知識經驗のある人を集めたいと云ふ意向を政府では持つて居るのであります、唯誰でも宜いと云ふ譯では毛頭ないのであります、或は借家主、借地主、斯う云ふ中でも經驗者があれば、當局と致しましては努めて其の人達に鑑定委員になつて戴きたいと思つて居ります、尚ほ當事者が此の人ならば宜いと、お互ひに同意を以て選ばれた人であれば、此の人を鑑定委員と致すことになつて居るのであります、要は適正な運用を致したい、さうして借地關係の調整を圖つて行きたいと云ふ趣旨であるのであります、尚ほ此の委員會の決定は決して裁判所を拘束するものではないのであります、裁判所の參考に供するのであります、裁判所は其の獨自の見解に基きまして、公正妥當と信ずる所に依つて總ての關係を調整して行くのであります
尚ほ一言附加致したいのは、必ずしも是は裁判に訴へるべきものではありませぬ、御承知の通り裁判所では調停を今活用致して居るのであります、其の調停を利用致しまして總ての借地關係の調整を圖つて行けば、十分なる運營を圖り得るものと信じて疑はないのであります、左樣どうぞ御承知を願ひます
〔副議長退席、議長著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=30
-
031・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 武藤運十郎君
〔武藤運十郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=31
-
032・武藤運十郎
○武藤運十郎君 今次戰爭に於ける爆撃は甚だ苛烈を極めるものでありまして、先程來御話のありました通り全國に於ける罹災都市は百十九、罹災家屋は二百四十六萬、罹災人口は實に一千萬人に及ぶのであります、本案は斯樣に大勢の、廣範圍に亙る人民の住居に關する運命を左右するものでありまするが、就中其の大多數が勤勞大衆であることを考へまする時に、我が日本社會黨と致しましては、本案に對して勤勞大衆の立場から十分なる檢討を加へなければならないと思ふのであります、私事を申上げまして洵に恐縮でありますが、私も罹災者であります、家を燒かれ、衣類を燒かれ、家財道具を燒かれまして、身を以て罹災者の苦しみを痛切に感じて居る者の一人であります、併しながら私の本日の質問は勿論私一個の質問ではありませぬ、全國一千萬人の、人間として住むに家なき慘憺たる罹災者の眞劍なる叫びであります、關係當局に於かれましては、本當に一千萬人の罹災者の身になりまして、眞劍なる御答辯を煩はしたいと思ふ次第であります(拍手)
先づ第一に御伺ひしたいことは、此の法律の立法精神は何處にあるかと云ふことであります、即ち本法は眞に居住者の生活と利益とを擁護する爲に作られるものであるか、それとも錯綜した罹災都市に於ける借地、借家關係を簡單に片付けることに依つて、土地所有者の利益を擁護せんとするものであるか、是であります、連日連夜のあの苛烈なる爆撃下に身を挺して、最後まで都市を護らんとした者、まだ煙の出て居る焦土に立つて、「スコップ」を振つて雄々しくも復興に著手した者、苦心慘憺して燒跡に「バラック」を建てた者、それ等は何れも勤勞大衆たる居住者ではありませぬか、洵に居住者こそは罹災土地復舊の最大の功勞者であり、隨て土地に對して最大の發言權を有する權利者であると言はなければなりませぬ(拍手)果して然らば本法は先づ第一に居住者の生活と利益とを中心として規定されなければならないことは、私の申上げるまでもない所でありますけれども、此の點に關する當局の御考へは如何でありませうか、幸ひにして木村司法大臣は生粹の法律家でありますから、私は此の機會に於きまして、地主、家主、借地、借家人との法律關係、即ち之を法律的に申しますならば、不動産所有權と不動産利用權との關係に付て、大臣の根本的なる信念を承りたいと存ずるのであります(拍手)私の信ずる所に依りますれば、不動産所有權の絶對性と云ふことは今や許されない所でありまして、不動産所有權は不動産利用權の前に重大なる讓歩をしなければならない、換言しますれば、不動産所有權に對する不動産利用權の強化及び優位性は洵に歴史の必然であり、之を世界的な傾向と言はなければなりませぬ(拍手)此のことは必ずしも社會主義社會に於て然るのみでなく、修正期にある資本主義社會に於きましても亦同樣なことが言ひ得られるのであります、斯かる基本的觀點に立ちまして、我々は今後借地借家關係を解釋して宜いかどうか、此の點に關する木村司法大臣の明確なる御答辯を煩はしたいと思ふものであります(拍手)
第二に御伺ひしたいことは、政府は此の際大中都市に於ける宅地及び住宅の強力なる國家管理を斷行する意思はないかと云ふことであります、都市に於きましては、御承知の通り大都市になればなる程、借地借家の關係が多いのであります、元來宅地、住宅の如きは、投資又は投機の目的、即ち營利の目的に供せらるべきものではないのでありまして、從來是が資本主義的な投機又は投資の目的に供せられて居りました所に、勤勞大衆の斷えざる住居不安定の根本的な原因があつたのであります、而して此の住居の不安定を根本的に除去する爲には、どうしても先づ大中都市及び其の附近町村に於ける宅地と住宅の強力なる國家管理を斷行するより外に途はないのでありまして、敗戰下物資の極度に缺乏せる我が國に於きましては、此の根本問題を解決しない限り、如何なる計畫を立てましても決して住宅問題は解決するものではないのであります、政府は住宅に關しましては、昨年十一月中に住宅緊急措置令を出しまして、遊休大邸宅の開放に著手したのであります、併しながら新聞紙等の傳ふる所に依りますれば、最も大邸宅の多い東京に於きまして、既に實施以來半年を經過した今日に於きまして、豫想の二千戸に對しまして未だ十分の一にも滿たないと云ふ有樣ではありませぬか、地方の各都市に於きましても略略同樣なことが言ひ得るのであります、是に於きまして政府は更に之を強化し、一般大邸宅は申すに及ばず、軍需會社の寮、寄宿舍、燒「ビル」等、廣範圍に亙つて強權を發動するのは勿論、大中都市の建物に對しましても全面的な國家管理を斷行する意思はないかどうか、殊に罹災都市の宅地に對する國家管理は、多數の都市が燒野原になつて居る現在が最も好い機會でありまして、私は此の好機を逸しましたならば永久に之を實現する機會がないのではないかと考へるのであります(拍手)此の點に付きまして當局の確乎たる御意見を承りたいと存じます
第三に御伺ひしたいことは、政府は本法上の借地借家の紛爭に付きまして、民主的なる特別の調停又は裁判機關を設ける意思はないかと云ふことであります、宅地又は住宅の強力なる國家管理を斷行しない限り、罹災都市に於きましては、今後數年間或いは十數年間に亙りまして、無數の、極めて深刻なる借地借家紛爭が起ることを豫想せられるのであります、又現に起りつつあります、法案第十八條に依りますると、斯かる紛爭に付きましては、非訟事件手續法に依つて簡易迅速に裁判すると云ふのでありますけれども、從來私共の經驗する所に依りますると、祕密主義、職權主義の封建的な非訟事件手續法に依りましては、簡易迅速の名に於きまして、居住者、借主は常に正當なる主張や證據を制限せられ、結局居住者、借主の不利益に歸するのが例であります、爭ひのある地代、家賃の額、建物の買取價格等を評價致します際に於きましても、先程來御話のありました鑑定委員會と云ふものは、只今司法大臣は經驗者を入れると言つて居られますけれども、從來多くは地主、家主又は官吏、軍人の古手でありまして、居住者、借主は殆ど之に加へられて居ないのであります、是に於きまして私は政府が本法上の紛爭に付きましては、民主的な特別の調停又は裁判機關を設けて、居住者、借主の居住權を十分に保護すると同時に、鑑定委員には居住者、借主を多量に選任參加させる必要があると思ふのでありますが、此の點に關する木村司法大臣の御意見を伺ひたいのであります
第四に伺ひたいことは本法と復興計畫との關聯に付てであります、先程も色々御話があつたやうでありますけれども、木村司法大臣の御説明の通り、本法の目的は罹災都市の借地借家關係を整理すると同時に、之に依りまして罹災都市の速かなる復興を圖らんとするにあるのであります、然るに罹災以來既に一年以上を經過して居るにも拘らず、復興計畫は遲々として進捗して居ないではありませぬか、是が爲に罹災都市の復興が著しく阻碍されて居りますことは爭ふべからざる事實であります、私の考へる所に依りますれば、罹災都市の復興は先づ住宅の建設からであります、住宅建築の基礎をなす所の區劃整理の實施凖備は、現在果して如何なる程度まで進捗して居るか、先づ之を伺ひたいのであります
次に當局は、今當局の認める建築資金一萬圓で本當に家が建つと御考へでありますかどうか、坪當り三千圓乃至五千圓は間違ひなく掛るのでありますから、例へば十坪の家でも優に四、五萬圓を要するのであります、此の際政府は此の建築資金に付ては相當額まで罹災者の封鎖預金又は特殊預金を解除する意思はないかどうか、是は大藏大臣に伺ひたいと思ふのであります、然るに新聞紙の傳ふる所に依りますれば、政府は我々の豫て唱へて居ります軍需補償打切りの道連れと致しまして、一般罹災者の特殊預金をも此の際打切らんとして居るかのやうであります、若し斯樣なことが事實であると致しますならば、一千萬罹災者に取りましては洵に青天の霹靂であり、由々しき大事であると申さねばなりませぬ、家を燒かれ、衣類を燒かれ、家財道具を燒かれて丸裸となつた罹災者に取りましては、特殊預金こそは之に代るべき唯一の財産であり、生活と住宅の復興資金でなければなりませぬ、若し是が燒けない者に對する財産課税と關係なく打切られると致しますならば、罹災者に對しては洵に不公平なる十割課税であり、謂はば財産全部の沒收であります、斯くてば罹災者は踏んだり蹴つたりの目に遭ふ次第でありまして、住宅の復興などは洵に思ひも依らない所と申さなければなりませぬ、斯かる打切りは果して事實であるかどうか、先程來都市計畫法の御報告の中にもありましたが、どうも大藏當局の御話が、少額ならばどうであるとか、或は考慮するとか云ふ風な御話でありまして、漠然として居るやうな御報告てありましたが、此の際此の本會議に於きまして、大藏大臣の之に對する明確なる御答辯を煩はしたいと思ふのであります(拍手)
最後に御伺ひしたいことは、住宅の復興を擔當すべき住宅營團は、其の首腦部に多く官吏の古手を集めたせいでありますか、甚だ官僚的、非能率的でありまして、事毎に仕事が巧く運んで居ないのであります、當局に於ては之をもつと民主的、能率的に改革する方法はないかどうか、殊に東京に於きましては、住宅の計畫が、住宅營團と東京都との二本建になつて居ります爲に、計畫と實施とに付て一元的の仕事が出來ないのではないか、此の點に關する戰災復興院及び内務當局の御考へは如何であるか、御伺ひを致したいのであります、私は以上四點に付きまして、それぞれ關係當局より明確なる御答辯を要求する次第であります(拍手)
〔國務大臣木村篤太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=32
-
033・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 只今の御質問に對して御答へ致します、先づ第一に此の法案の目的とする所は何かと云ふ御質問でありまするが、先般私が申上げました通り、此の法案は罹災都市に於ける借地借家の調整を圖ることを主眼として居るのであります、併しながら此の法案に依つて第一に何人が保護されるかと云ふことになりますると、只今武藤君の御心配になつて居りまする所謂借家人、住居者であります、此の人々は今申されました通り、戰災に依つて一番不幸な境遇に陷つた人であります、此の人々を先づ第一に救ひ上げようとするのが本法案第一條の規定でありまして、以下三條にもそれを謳つて居るのであります、要するに此の法案は決して地主などを保護しようと云ふ目的で出來たものでないと云ふことを此處に明言する次第でございます(拍手)
第二に所有權と借地權との關係如何の點であります、御承知の通り御審議になつて居りまする憲法草案に依りますると、私有財産は認められて居るのであります、併しながら此の財産權の運用に致しましても、公共の福祉、之に合ふやうに使用しなければいかぬと云ふ明文が設けられて居るのであります、要するに所有權も無制限に之を行使することは出來ないのであります、公共の福祉に合ふやうに之を使用しなければ相成らぬことになつて居るのであります、そこで借地權と所有權との優位の問題でありまするが、是は一概に申すことは出來ませぬが、私の見る所に於きましては、借地權が優先的に保護さるべきものであると信じて居ります、現に其の方向に向ひつつあることは、此の御審議を願はんとする法案に於ても十分に其の一端が現はれて居るのであります、どうぞ左樣に御承知願ひたうございます
それから第三に此の借地關係を處理するに付て一段の考慮を要する、それに付ては特別の裁判機關を設けては如何かと云ふことであります、是も一應御尤もの御考へであります、併しながら政府と致しましては、此の法案處理に付きまして十二分の考慮を只今拂つて居るのであります、司法省に於ては此の借地關係、借家關係に付て最も重點を置きまして、優秀な裁判官を此の方に當らせんとして居るのであります、而も御承知の通り此の法案に依りますると、鑑定委員會と云ふものを設けられて居るのであります、只今武藤君の御説に依りますると、此の鑑定委員會の委員に如何はしいものがあつては相成らぬ、要するに是までのものは或は地主、家主其の他官僚の古手を持つて來た、斯う云ふものに、當らせることはいかないと云ふ御説であります、私は是は御尤もであると信じます、隨ひまして此の法案實施の曉に於て構成さるべき鑑定委員會の組織に付ては、當局と致しまして十二分の考慮を拂ひます(拍手)又從來、武藤君の御専門でありまするが、調停委員、之も私も實際の方面から窺ひ知つて居るのでありますが、隨分弊害がありまして、其の委員の選定に付て幾多考慮すべき點があるのであります、是は私も認めます、從來のさう云ふ惡い點は私は十二分に改めて行きたいと存じて居ります(拍手)而して十二分に民意を尊重致しまして、借家主或は借地權者と云ふ方面で十分の保護を圖つて行きたいと存ずるのであります、左樣御承知を願ひます(拍手)
〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=33
-
034・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 只今の御質問中、一萬圓で家が建つかと云ふやうな御言葉がありましたが、我々も一萬圓で家が建つとは思つて居りませぬ、併しながら此の特殊預金の問題は、種々なる關係がありまして、只今自由に之を引出すことを許す譯に行かないことになつて居ります、尚ほ是は目下研究し、近い内に解決致す筈になつて居ります、所謂補償問題の解決と同時に此の問題も解決致す譯であります、此の補償問題に付ては今武藤君の御質問中にもありましたやうに、之を直ぐ打切れと云ふ御議論が大いなる影響をなして居ります、私共は出來るだけ之に付て多くの方々が後で出來るだけ御困りにならぬやうに、是はお互ひの問題でありますから、大いに其の解決に努力して居る次第でありますから、十分に御滿足の行くやうな解決とは申せぬかも知れませぬが、近く其の點に於ては問題がはつきり致します、唯金額に付ては申上げる時期になつて居りませぬから暫く御猶豫を願ひます(拍手)
〔政府委員阿部美樹志君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=34
-
035・阿部美樹志
○政府委員(阿部美樹志君) 只今の御質問第四に對しまして御答へを致します、戰災地の復興が極めて遲々たるものがあるではないかと云ふ仰せでございますが、當局と致しましては計畫の決定が遲れまして、復興を阻害することのないやうに鋭意地方廳を督勵致しまして、計畫立案に専念して參りまして、既に其の大半──都市計畫に付きましては五十七都市、區劃整理に付きましては四十三、既に官報に告示になつて居ります、此のやうな次第でありまして、其の他の都市に付きましても只今手續中でありまして、殘る部分は洵に僅少になつて居ります、何卒此の點御諒承を願ひたいと思ひます、復興事業は單に計畫のみでは出來ませぬで、資金、勞務、物資など各般の需要を必要と致します關係上、其の計畫立案の際豫め關係當局と十分な連絡を取つて、出來得る限りの努力を今日まで盡して參りました次第でありますが、各位に於かれましても何卒特別な御支援を賜はりまして、一日も速かなる復興を企圖致したいと存ずる次第でございます、此の點特に御願ひ致して置きます
次に住宅營團の問題でありますが、御指摘のやうな點もありますので、目下鋭意其の調整竝に改革に終始して居りまして、近く其の成果を見ることが出來ると思ふのであります、詰り時代の進運に伴ひまして適當に之を改革して、運用致して行きたいと存ずる次第であります、此の點御答へ致します(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=35
-
036・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 大村内務大臣は關係が薄いから、御答辯がないと云ふことですが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=36
-
037・武藤運十郎
○武藤運十郎君 東京都の住宅營團の問題はどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=37
-
038・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) それでは武藤君、一寸簡單に其の要點を繰返して下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=38
-
039・武藤運十郎
○武藤運十郎君 自席から御伺ひ致します──住宅計畫に付きまして、東京に於きましては、住宅營團と東京都と其の計畫が二本建になつて居るやうに我々は考へますし、其の爲に一元的な仕事が實施の上に、計畫の上に事毎に巧く行つて居ないやうに考へます、其の點に付て内務大臣の御考へを承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=39
-
040・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 内務大臣の御所管でないと云ふ見解のやうですが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=40
-
041・武藤運十郎
○武藤運十郎君 それでは必ずしも内務大臣とは限りませぬ、政府當局全體に質問して居るのでありますから、御相談をなさいまして、どなたでも結構ですから、責任ある方から答辯を戴きたい
〔「もう一遍質問せい」「あんな無責任な答辯はありはせぬ」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=41
-
042・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 靜肅に願ひます
〔政府委員阿部美樹志君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=42
-
043・阿部美樹志
○政府委員(阿部美樹志君) 私から御答へ致します、住宅建築が住宅營團と東京都の二本建である爲に、復興が進まないのではないかと云ふやうな御質問と心得ましたが、復興院と致しましては二本建である爲に遲延して居るとは考へないのでございます、計畫を決めまして、復興院から住宅營團に對して何萬戸、東京都に對しましては何萬戸と云ふ工合に指示致しまして、それに基き資材勞務其の他を勘案致しまして進行さして居る次第でございます、隨て二本建である爲に進行しないと云ふことはないと存ずるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=43
-
044・武藤運十郎
○武藤運十郎君 自席から──大藏大臣にもう一遍質問を致します、先程の大藏大臣の御答辯は何か御事情があります爲に十分答辯が出來ないと云ふやうな御説明でありましたけれども、苟くも重大な問題でありますから、もう少し具體的な御答辯が出來なければならないと私は考へるのであります、殊に一千萬人の罹災者は、本當に血眼になつて、耳を聳てて、此の議會の成行きを見守つて居るのであります、どうかもう少し眞劍に、出來るだけ具體的に御答辯を願ひます(拍手)どうしても出來ないと云ふことまでしろと言ふのではないのでありますけれども、先程の二つの法案の御報告から見ましても、どうも大藏大臣の其の點に關する御答辯がはつきりしないとか、曖昧だとか云ふやうな御報告を承つて居るのであります、私も只今大藏大臣の御答辯を伺ひまして感を同じくするのであります、どうかもう少し具體的に親切に御答辯を願ひたい(拍手)
〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=44
-
045・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 御尋ねに答へます、特殊預金の引出しが建築の場合に漸く一萬圓だけに限られて居ると云ふことは、御説明申上げるまでもなく御承知だと思ひます、──政府としては出したいのでありますけれども、それは出せないと云ふ事情であります
それから更に今後の補償の問題に搦んで火災保險の問題に付きましては、是は目下其の案を立てて居るのでありまして、數字の點はまだ申上げられませぬが、併し小さな保險者に對しては出來るだけ御迷惑の掛らないやうに致す積りで、目下極力努めて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=45
-
046・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 是にて質疑は終了致しました、本案の審査を付託すべき委員の選擧に付て御諮り致します
―――――――――――――――――――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=46
-
047・山口喜久一郎
○山口喜久一郎君 本案は議長指名十八名の委員に付託せられんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=47
-
048・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 山口君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=48
-
049・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認ます、仍て動議の如く決しました──日程第二、法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案の第一讀會を開きます──石橋大藏大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=49
-
050・会議録情報7
――――◇―――――
第二 法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案(政府提出) 第一讀會
―――――――――――――――――――――
法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案
第一條 會社その他の法人は、他の法令又は定款にかかはらず、政府の所有する株式又は出資に對して、政府以外の者の所有する株式又は出資に對すると同一の條件を以て、利益又は剩餘金の配當又は分配をしなければならない。
第二條 政府は、他の法令又は契約にかかはらず、會社その他の法人に對し、毎事業年度における配當又は分配することができる利益又は剩餘金の額を拂込濟株金額又は出資金額に對して一定の割合に達せしめるための補給金は、これを交付しない。
前項の規定によつて補給金の交付を受けることのできない會社その他の法人について、法令、契約又は定款に特別の配當準備のための積立をすることを必要とする旨の規定があるときは、その規定は效力を失ふ。
第三條 政府又は地方公共團體は、會社その他の法人の債務については、保證契約をすることができない。但し大藏大臣の指定する會社その他の法人の債務については、この限でない
附 則
この法律は公布の日から、これを施行する。
第二條の規定は、昭和二十年四月一日以後に終了する事業年度の分から、これを適用する。
第二條第二項に規定する會社その他の法人について、この法律施行の際、現に同項に規定する配當準備の爲の積立金があるときは、その積立金は、同項に規定する法令、契約又は定款に規定する目的以外の目的にも、これを使用することができる。
―――――――――――――――――――――
〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=50
-
051・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 只今議題となりました會社其の他の法人に對する政府の財政援助の制限に關する法律案の提出の理由を御説明申上げます
政府は從來法令の規定に依つて設立致しました會社其の他の法人等に對しまして、法令或は豫算外契約に基く各種の財政援助を與へまして、以て其の事業の遂行を圓滑ならしめ、國策の完遂を圖つて參つたのであります、併し今や終戰に伴ひまして戰後財政再建の必要を生じましたので、其の一つの方途と致しまして、此の財政援助は、之を廢止或は制限を致しまして、國庫負擔の累増を防止致したいと考へるのであります、而してそれと同時に、之に依りまして戰後に於ける國民經濟の民主的再建の爲に企業の自主的活動を促進致すことの一助とも致したいのであります、是が此の法律案を提出致しました理由でございます
尚ほ今囘の此の措置に關しましては、聯合國軍最高司令部からも之に關する覺書が參つて居りますことを一言申添へて置きます、以上の次第でありますから何卒御審議の上速かに御協贊を與へられんことを御願ひ致します(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=51
-
052・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 本案の審査を付託すべき委員の選擧に付て御諮り致します
―――――――――――――――――――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=52
-
053・山口喜久一郎
○山口喜久一郎君 本案は政府提出、會計法戰時特例廢止等に關する法律案委員に併せ付託せられんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=53
-
054・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 山口君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=54
-
055・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認めます、仍て動議の如く決しました──日程第三乃至第五は便宜上一括議題となすに御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=55
-
056・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認めます、日程第三、所得税法の一部を改正する等の法律案、日程第四、臨時租税措置法を改正する法律案、日程第五、地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案、右三案を一括して第一讀會を開きます──石橋大藏大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=56
-
057・会議録情報8
――――◇―――――
第三 所得税法の一部を改正する等の法律案(政府提出) 第一讀會
第四 臨時租税措置法を改正する法律案(政府提出) 第一讀會
第五 地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案(政府提出) 第一讀會
―――――――――――――――――――――
所得税法の一部を改正する等の法律案
第一條 所得税法の一部を次のやうに改正する
第五條に次の一項を加へる。
前項の重要物産の製造、採掘又は採取を業とする個人が其の設備を増設したるときは命令の定むる所に依り設備増設の年及其の翌年より三年間其の増設したる設備に依る物産の製造、採掘又は採取の業務より生ずる所得に付所得税を免除す
第十條第一項に次の一號を加へる。
第八 讓渡所得
不動産、不動産上の權利、船舶(製造中の船舶を含む)又は鑛業若は砂鑛業に關する權利若は設備の讓渡に因る所得但し甲種の事業所得に屬するものを除く
第十一條第一號を次のやうに改める。
一 削除
第十二條第一項第三號中「中法人より受くる利益若は利息の配當又は剩餘金の分配は前年三月一日より其の年二月末日迄の、其の他」を削り、同項に次の一號を加へる。
十一 讓渡所得は不動産、不動産上の權利、船舶(製造中の船舶を含む)又は鑛業若は砂鑛業に關する權利若は設備の讓渡に因る前年中の總收入金額より取得價額、設備費、改良費及命令を以て定むる讓渡に關する經費を控除したる金額
同條第二項中「及臨時利得税」を削り、同條第三項及び第四項を削り、同條第八項を次のやうに改める。
不動産、不動産上の權利、船舶(製造中の船舶を含む)又は鑛業若は砂鑛業に關する權利若は設備にして命令を以て定むる日前に取得したるものに付ては命令を以て定むる價額に其の百分の五に相當する金額を加算したる金額を以て第一項第十一號の取得價額とし同日以後に爲したる設備又は改良に要したる費用のみを以て同號の設備費又は改良費とす
第一項第十一號及前項の規定の適用に付ては相續、贈與又は遺贈に因り取得したるものは相續人、受贈者又は受遺者が引續き之を有したるものと看做し讓渡後相續の開始ありたる場合に於ては被相續人の爲したる讓渡は之を相續人の爲したる讓渡と看做す
第一項及前二項に定むるものの外讓渡所得の計算に關し必要なる事項は命令を以て之を定む
第二十條の三 讓渡所得に付ては其の所得より五千圓を控除す
第二十一條第一項を次のやうに改める。
分類所得税は左の税率に依り之を賦課す
第一 不動産所得 百分の三十
第二 配當利子所得
百分の三十
第三 事業所得
甲種及乙種 百分の二十五
丙種 百分の二十
第四 勤勞所得 百分の二十
第五 山林の所得
所得金額を左の各級に區分し遞次に各税率を適用す
六千圓以下の金額
百分の二十
六千圓を超ゆる金額
百分の二十五
一萬圓を超ゆる金額
百分の三十
二萬圓を超ゆる金額
百分の四十
四萬圓を超ゆる金額
百分の五十五
十萬圓を超ゆる金額
百分の七十
第六 退職所得
所得金額を支拂者の異る毎に左の各級に區分し遞次に各税率を適用す
三萬圓以下の金額
百分の二十
三萬圓を超ゆる金額
百分の三十五
十萬圓を超ゆる金額
百分の五十
十萬圓を超ゆる金額
百分の六十五
第七 清算取引所得
所得金額を左の各級に區分し遞次に各税率を適用す
一萬圓以下の金額
百分の十
一萬圓を超ゆる金額
百分の二十
五萬圓を超ゆる金額
百分の四十
第八 讓渡所得
所得金額を左の各級に區分し遞次に各税率を適用す
十萬圓以下の金額
百分の三十
十萬圓を超ゆる金額
百分の五十
三十萬圓を超ゆる金額
百分の七十
同條第二項中「百分の二十三は之を百分の二十一」を「百分の三十は之を百分の二十五」に改め、同條第三項乃至第五項を削り、同條第六項中「百分の二十一は之を百分の十八」を「百分の二十五は之を百分の二十」に改め、同條第七項中「第一項、第二項又は前項」を「前三項」に改める。
第二十二條第一項を次のやうに改める。
第一條の規定に該當せざる個人又は本法施行地に本店若は主たる事務所を有せざる法人の甲種の配當利子所得に對する分類所得税は前條の規定に拘らず百分の四十の税率に依り之を賦課す
同條第二項中「百分の三十五」を「百分の三十」に改める。
第二十九條第一號中「第一號」を「第二號」に改め、同條第四號を削る。
第三十條第一項第二號及び第三號を次のやうに改める。
二 公債、社債及預金の利子竝に合同運用信託の利益は前年中の收入金額(無記名の公債及社債の利子に付ては支拂を受けたる金額)
三 削除
同項第五號を次のやうに改める。
五 法人より受くる利益若は利息の配當又は剩餘金の分配は前年中の收入金額(無記名株式の配當に付ては支拂を受けたる金額)より其の元本を得るに要したる負債の利子を控除したる金額但し第八條に規定する利益の配當若は剩餘金の分配又は積立金(法人税法第九條及特別法人税法第九條の二に規定する積立金を謂ふ)を以て爲したる利益の配當若は剩餘金の分配にして株式の拂込若は出資に充てられたるものに付ては前年中の收入金額より其の十分の四に相當する金額を控除したる金額
同條第二項中「及臨時利得税」を削り、同條第三項及び第四項を削り、同條第五項中「第一號乃至第五號」を「第一號、第二號、第四號及第五號」に改め、同條第七項を削る。
第三十三條 綜合所得税は總所得金額を左の各級に區分し遞次に各税率を適用して之を賦課す
一萬圓を超ゆる金額
百分の三十五
一萬五千圓を超ゆる金額
百分の四十
二萬圓を超ゆる金額
百分の四十五
三萬圓を超ゆる金額
百分の五十
五萬圓を超ゆる金額
百分の五十五
十萬圓を超ゆる金額
百分の六十
二十萬圓を超ゆる金額
百分の六十四
三十萬圓を超ゆる金額
百分の六十七
前項の場合に於て戸主及其の同居家族の總所得金額は之を合算し其の總額に對し税率を適用して算出したる金額を各其の總所得金額に按分して各其の税額を定む戸主と別居する二人以上の同居家族の總所得金額に付亦同じ
第三十四條第一項中「若は乙種の退職所得」を「、乙種の退職所得若は讓渡所得」に改め、但書を削り、同條第二項を削り、同條第三項中「第一項」を「前項」に改める。
第三十六條第一項中「及乙種の退職所得」を「、乙種の退職所得、及讓渡利得」に改める。
第六十九條第二項第一號中「高等官」を「所屬の一級又は二級の官吏」に改める。
第七十二條第二項中「百分の十八」を「百分の二十」に改める。
第七十三條第一項中「及乙種の退職所得」を「、乙種の退職所得及讓渡所得」に改める。
第七十六條の二を削る。
第八十四條第一項中「及乙種の退職所得」を「、乙種の退職所得及讓渡所得」に改める。
第百六條第一項中「百分の三十」を「百分の四十五」に改める。
第二條 法人税法の一部を次のやうに改正する。
第三條 前條の規定に依り法人税を賦課する所得及資本は左に掲ぐるものとす
一 各事業年度の普通所得
二 各事業年度の超過所得
三 清算所得
四 各事業年度の資本
第四條第一項中「所得」を「普通所得」に改め、同條第二項中「及臨時利得税」を削り、「所得」を「普通所得」に改め、同條第三項中「三年」を「一年」に、「所得」を「普通所得」に改め、同條第五項中「所得」を「普通所得」に改める。
第五條第二項中「所得」を「普通所得」に改める。
第五條の二 法人の各事業年度の普通所得が當該事業年度の資本金額に對し百分の八を乘じて算出したる金額を超過するときは其の超過額を以て各事業年度の超過所得とす
前項の資本金額は第七條の規定に依り計算したる金額に依る
第七條第一項中「より各月末に於ける繰越缺損金額を控除したる金額」を削る。
第九條第一項中「所得」を「普通所得」に改め、同條第二項中「及臨時利得税」を削る。
第十二條中「所得に付」を「各事業年度の普通所得に對する」に改め、同條に次の一項を加へる。
前項の重要物産の製造、採掘又は採取を爲す法人が其の設備を増設したるときは命令の定むる所に依り當該事業年度及其の翌事業年度開始の日より三年以内に終了する事業年度に於て其の増設したる設備に依る物産の製造、採掘又は採取の業務より生ずる各事業年度の普通所得に對する法人税を免除す
第十三條及第十四條 削除
第十六條第一項を次のやうに改める。
法人税は左の税率に依り之を賦課す
一 各事業年度の普通所得
本法施行地に本店又は主たる事務所を有する法人所得金額の百分の三十五本法施行地に本店又は主たる事務所を有せざる法人
所得金額の百分の四十五
二 各事業年度の超過所得
各事業年度の超過所得金額を左の各級に區分し遞次に各税率を適用す
各事業年度の普通所得中當該事業年度の資本金額に對し百分の八を乘じて算出したる金額を超ゆる金額 百分の三十
同百分の十五を乘じて算出したる金額を超ゆる金額 百分の四十
同百分の二十五を乘じて算出したる金額を超ゆる金額 百分の五十
資本金額年十萬圓以下なる法人に限り本號に規定する税率百分の三十は之を百分の二十とし同百分の四十は之を百分の三十とし同百分の五十は之を百分の四十とす
三 清算所得
清算所得金額を左の如く區分し各税率を適用す
積立金又は本法其の他の法令に依り法人税を課せられざる所得より成る金額
百分の三十五
其の他の金額 百分の五十
四 各事業年度の資本
資本金額の千分の三
同條第二項中「當該事業年度の所得」を「當該事業年度の普通所得及超過所得」に改め、同條第三項中「法人の所得」を「法人の普通所得」に改め、同條第五項中「年十圓」を「十圓」に改め、同條第六項中「所得金額」を「普通所得金額」に、「其の事業年度の所得」を「其の事業年度の普通所得及超過所得」に改める。
第十七條第一項中「所得」を「普通所得」に、「百分の四十五」を「百分の五十」に、「五十萬圓」を「三十萬圓」に、「百分の七十四」を「百分の六十七」に改め、同條第二項を次のやうに改める。
前項の各事業年度の普通所得及普通所得中留保したる金額は其の事業年度の普通所得、超過所得及資本に課せらるべき法人税額(前項の規定に依り加算する税額を含まず)を其の事業年度の普通所得及其の普通所得中留保したる金額の雙方より控除したる殘額に依る
第二十七條中「各事業年度の所得」を「各事業年度の普通所得、超過所得」に改める。
第三條 特別法人税法の一部を次のやうに改正する。
第四條第四項中「三年」を「一年」に改める。
第九條中「百分の二十二」を「百分の二十五」に、「百分の二十六」を「百分の三十五」に、「百分の四十二」を「百分の五十」に改める
附則第三項を削る。
第四條 營業税法の一部を次のやうに改正する。
第四條第二項中「臨時利得税竝に」を削り、同條第三項中「三年」を「一年」に改める。
第七條第六項中「及臨時利得税」を削る。
第九條 削除
第十條第二項中「及臨時利得税」を削り、同條第三項及び第四項を削る。
第十二條に次の一項を加へる。
前項の重要物産の製造、採掘又は採取を業とする者が其の設備を増設したるときは命令の定むる所に依り設備増設の年及其の翌年より三年間(法人に付ては其の設備を増設したる事業年度及其の翌事業年度開始の日より三年以内に終了する事業年度に於て)其の増設したる設備に依る物産の製造、採掘又は採取の業務より生ずる純益に付營業税を免除す
第十四條中「百分の二」を「百分の二・五」に改める。
第五條 地租法の一部を次のやうに改正する。
第九條第一項中「第一囘」を「第二囘」に、「十三年」を、「二十四年」に改める。
第十條中「百分の三」を「百分の四」に改める。
第六條 家屋税法の一部を次のやうに改正する。
第七條中「百分の二・五」を「百分の三・五」に改める。
第七條 相續税法の一部を次のやうに改正する。
第五條の二第一項中「五萬圓」を「十萬圓」に、「千五百圓」を「三千圓」に改め、同條第二項中「三萬圓」を「五萬圓」に、「千五百圓」を「三千圓」に改める。
第六條中「五千圓」を「二萬圓」に「千圓」を「三千圓」に改める。
第七條 削除
第八條第一項中「一萬圓以下の金額 ─千分の十三 ─千分の二十 ─千分の二十六
一萬圓を超ゆる金額─千分の二十 ─千分の二十六─千分の四十
二萬圓を超ゆる金額─千分の二十七─千分の四十 ─千分の五十五」を
「二萬圓以下の金額 ─千分の十五 ─千分の二十五─千分の三十五
二萬圓を超ゆる金額─千分の二十五─千分の三十五─千分の五十五」に、
「百萬圓を超ゆる金額 ─千分の三百六十五─千分の四百十五 ─千分の五百
二百萬圓を超ゆる金額─千分の三百九十五─千分の四百四十五─千分の五百三十五
三百萬圓を超ゆる金額─千分の四百二十 ─千分の四百七十 ─千分の五百六十
五百萬圓を超ゆる金額─千分の四百四十 ─千分の四百九十 ─千分の五百八十 」を
「百萬圓を超ゆる金額 ─千分の三百七十 ─千分の四百二十 ─千分の五百
二百萬圓を超ゆる金額─千分の四百五 ─千分の四百六十 ─千分の五百三十
三百萬圓を超ゆる金額─千分の四百四十 ─千分の四百九十五─千分の五百六十
五百萬圓を超ゆる金額─千分の四百七十五─千分の五百三十 ─千分の五百九十
千萬圓を超ゆる金額 ─千分の五百十 ─千分の五百六十五─千分の六百二十
二千萬圓を超ゆる金額─千分の五百五十 ─千分の六百 ─千分の六百五十」に、
「二百萬圓を超ゆる金額─千分の五百八十─千分の六百二十─千分の六百五十
三百萬圓を超ゆる金額─千分の六百 ─千分の六百四十─千分の六百七十」を
「二百萬圓を超ゆる金額─千分の五百八十─千分の六百三十─千分の六百六十
三百萬圓を超ゆる金額─千分の六百二十─千分の六百七十─千分の七百十
五百萬圓を超ゆる金額─千分の六百六十─千分の七百十 ─千分の七百六十
千萬圓を超ゆる金額 ─ 千分の七百 ─千分の七百五十─千分の八百 」に改める。
第九條の二 前二條の場合に於て第八條第一項の税率を適用して算出したる金額か其の課税價格より家督相續に在りては二萬圓、遺産相續に在りては三千圓を控除したる金額を超過するときは其の超過額を同項の税率を適用して算出したる金額より控除したるものを以て税額とす
第十七條第一項中「三百圓」を「千圓」に改める。
第二十三條第一項中「千圓」を「三千圓」に改め、同條第二項中「千圓」を「三千圓」に改め、「(朝鮮、臺灣又は樺太に住所を有したる當時爲したる贈與を含む)」を削る。
第二十七條乃至第三十條削る
第八條 鑛區税法の一部を次のやうに改正する。
第二條第一項中「三十錢」を「一圓」に、「六十錢」を「二圓」に改める。
第九條 有價證券移轉税法の一部を次のやうに改正する。
第二條中「社債券、産業債券、商工債券及株券」を「社債券(特別の法令に依り設立せられたる法人にして會社に非ざるものの發行する債券を含む)及株券(特別の法令に依り設立せられたる法人にして會社に非ざるものの發行する出資證券を含む)」に改める。
第三條中「登録したる社債」の下に「(特別の法令に依り設立せられたる法人にして會社に非ざるものの發行する債券の權利を含む)」を、「會社の社員」の下に「(特別の法令に依り設立せられたる法人にして會社に非ざるものの出資者を含む但し出資證券の發行ありたる分の出資者を除く)」を加へる。
第五條 有價證券移轉税は左の區別に從ひ之を納むべし
第一種 有價證券仲買人を買受人とする賣買取引に因る移轉
取得價額の萬分の五
第二種 第一種以外の移轉
甲 取引所の實物市場に於ける賣買取引に因る移轉
取得價額の萬分の十
乙 其の他
取得價額の萬分の二十
第七條 有價證券移轉税は其の全額十錢未滿なるときは之を十錢とす十錢未滿の端數あるときは之を切捨つ
第十條第一號中「第十三條の五」を「第百十一條」に改め、同條第九號を次のやうに改める。
九 前各號の外命令を以て定むる有價證券の移轉
第十一條中「社債」の下に「(特別の法令に依り設立せられたる法人にして會社に非ざるものの發行する債券の權利を含む」)を加へる。
第二十條第一項中「三圓」を「十圓」に改める。
第二十三條中「一圓」を「五圓」に改める。
第十條 登録税法の一部を次のやうに改正する。
第二條第一項中「千分の五」を「千分の六」に、「千分の五十」を「千分の六十」に、「千分の三十」を「千分の三十五」に、「千分の四十」を「千分の五十」に、「千分の一・五」を「千分の二」に、「千分の三」を「千分の四」に、「千分の九」を「千分の十一」に、「千分の十三」を「千分の十六」に、「千分の二十」を「千分の二十五」に、「千分の二十六」を「千分の三十二」に、「千分の二十五」を「千分の三十五」に、「千分の五・五」を「千分の六・五」に、「千分の四」を「千分の五」に、「千分の二」を「千分の三」に、「千分の一」を「千分の一・五」に、「一圓」を「三圓」に、「五十錢」を「二圓」に、「五圓」を「二十圓」に改める。
同條に次の一項を加へる。
前項の場合に於て不動産毎一箇に付税額金二圓未滿なるときは二圓とす
第二條の二中「千分の一」を「千分の一・五」に改める。
第三條第一項中「千分の三」を「千分の四」に、「千分の四十五」を「千分の五十五」に、「千分の二十三」を「千分の二十八」に、「千分の一」を「千分の一・五」に、「千分の五・五」を「千分の六・五」に、「千分の四」を「千分の五」に、「一圓」を「三圓」に、「四十錢」を「二圓」に、「二十錢」を「一圓」に改める。
第三條の二中「千分の五十」を「千分の六十」に、「千分の三十」を「千分の三十五」に、「千分の四十五」を「千分の五十五」に改める。
第三條の三及び第三條の四中「千分の一」を「千分の一・五」に、「五圓」を「十五圓」に改める。
第三條の五中「千分の二」を「千分の三」に、「二十錢」を「五十錢」に、「十錢」を「二十錢」に、「五錢」を「十錢」に、「一圓」を「二圓」に改める。
第四條第一項第一號中「五十錢」を「一圓五十錢」に、同項第二號中「十錢」を「三十錢」に、同項第三號中「五錢」を「二十錢」に、同項第四號中「十錢」を「一圓」に改める。
第四條の二第一項中「千分の一」を「千分の一・五」に、「二十圓」を「五十圓」に改め、同條第二項中「五圓」を「十五圓」に改める。
第五條及び第五條の二中「千分の二」を「千分の三」に、「二十圓」を「五十圓」に、「五圓」を「十五圓」に改める。
第六條第一項但書中「第六號」の下に「第八號の二」を加へ、「税金額五十圓未滿なるときは五十圓」を「税額金百圓未滿なるときは百圓」に、同項第一號乃至第十四號の五中「千分の六」を「千分の七」に、「千分の一」を「千分の一・五」に、「千分の二」を「千分の三」に、「千分の三」を「千分の四」に、「五十圓」を「百五十圓」に、「二十圓」を「六十圓」に改め、同項第十四號の六を削り、同項第十五號乃至第十九號中「二十圓」を「六十圓」に、「十五圓」を「五十圓」に、「五圓」を「十五圓」に改め、同條第二項中「五圓」を「十五圓」に改める。
第六條の二第一項中「千分の二」を「千分の三」に、「二十圓」を「五十圓」に改め、同條第二項中「五圓」を「十五圓」に改める。
第六條の三中「千分の二」を「千分の三」に、「二十圓」を「五十圓」に改める。
第六條の四第一項第一號及び第二號中「二十圓」を「六十圓」に改め同項第二號の二を削り、同項第三號乃至第七號中「二十圓」を「六十圓」に、「十圓」を「三十圓」に、「五圓」を「十五圓」に改め、同條第二項中「二圓」を「五圓」に改める。
第七條中「五十圓」を「百五十圓」に、「二十圓」を「五十圓」に、「二圓」を「五圓」に改める。
第八條中「五十圓」を「百五十圓」に、「二十五圓」を「八十圓」に、「十圓」を「三十圓」に、「七圓」を「二十圓」に、「一圓」を「三圓」に改める。
第九條中「十五圓」を「五十圓」に、「十圓」を「三十圓」に、「六圓」を「二十圓」に、「四圓」を「十圓」に、「三圓」を「七圓」に、「二圓」を「五圓」に、「八圓」を「二十五圓」に、「二十圓」を「六十圓」に、「五十錢」を「二圓」に改める。
第十條中「二圓」を「五圓」に、「十圓」を「三十圓」に、「千分の五・五」を「千分の六・五」に、「一圓」を「三圓」に、「五圓」を「十五圓」に、「千分の四」を「千分の五」に、「五十錢」を「二圓」に改める。
第十條の二中「二十圓」を「六十圓」に、「二圓」を「五圓」に、「十圓」を「三十圓」に、「千分の五・五」を「千分の六・五」に、「一圓」を「三圓」に、「千分の四」を「千分の五」に、「五十錢」を「二圓」に改める。
第十一條中「一圓」を「五圓」に、「十圓」を「十五圓」に、「五圓」を「十五圓」に、「千分の五・五」を「千分の六・五」に、「五十錢」を「三圓」に、「二圓」を「五圓」に、「千分の四」を「千分の五」に改める。
第十二條第一號中「二圓」を「五圓」に、「五圓」を「十五圓」に、同條第二號中「二圓」を「十五圓」に、同條第三號乃至第十號中「千分の五・五」を「千分の六・五」に、「一圓」を「三圓」に、「二圓」を「五圓」に、「千分の四」を「千分の五」に、「五十錢」を「三圓」に改める。
第十二條の二中「一圓」を「五圓」に、「五圓」及び「二圓」を「十五圓」に、「千分の五・五」を「千分の六・五」に、「五十錢」を「三圓」に、「千分の四」を「千分の五」に、「二十錢」を「五十錢」に改める。
第十三條中「二圓」を「五圓」に、「二十圓」を「六十圓」に、「五圓」を「十五圓」に、「一圓」を「三圓」に改める。
第十四條中「百圓」を「三百圓」に、「四十五圓」を「百五十圓」に、「十圓」を「三十圓」に、「五圓」を「十五圓」に、「一圓」を「三圓」に、「二百圓」を「六百圓」に、「五十圓」を「百五十圓」に、「二十圓」を「六十圓」に、「二圓」を「五圓」に、「千分の五・五、を「千分の六・五」に、「千分の四」を「千分の五」に、「五十錢」及び「四十錢」を「一圓」に、「二十錢」を「五十錢」に改める。
第十五條中「十五圓」を「五十圓」に、「三圓」を「十圓」に、「一圓」を「三圓」に、「五圓」を「十五圓」に、「一圓五十錢」を「五圓」に、「二十錢」を「五十錢」に、「五十錢」を「二圓」に、千分の五・五」を「千分の六・五」に、「十圓」を「三十圓」に、「千分の四」を「千分の五」に、「四十錢」を「一圓」に改める。
第十五條の二中「一圓」を「三圓」に、「五圓」を「十五圓」に、「四十錢」を「一圓」に、「三圓」を「十圓」に、「五十錢」を「二圓」に、「二圓」を「五圓」に、「二十錢」を「五十錢」に、「千分の五・五」を「千分の六・五」に、「千分の四」を「千分の五」に改める。
第十六條第一項中「千分の三」を「千分の四」に改める。
第十八條 登録税は其の全額十錢未滿なるときは之を十錢とす十錢未滿の端數あるときは之を切捨つ
第十一條 酒税法の一部を次のやうに改正する。
第二十七條第一項を次のやうに改める。
酒税の税率左の如し
一 清酒
第一級 一石に付 二千七百五十圓
第二級 一石に付 千九百十圓
二 合成清酒 一石に付 千七百五十圓
三 濁酒 一石に付 千二百三十圓
四 白酒 一石に付 二千七百五十圓
五 味淋 一石に付 二千二百二十圓
六 燒酎 一石に付 千七百五十圓
七 麥酒 一石に付 千二百十圓
八 果實酒
第一級 一石に付 千八百五十圓
第二級 一石に付 千四百圓
第三級 一石に付 千百三十圓
九 雜酒
第一級 一石に付 三千圓
第二級 一石に付 二千五百圓
アルコール分二十度を超ゆるときはアルコール分二十度を超ゆる一度毎に百五十圓を加ふ
第三級 一石に付 二千四百八十圓
アルコール分二十度を超ゆるときはアルコール分二十度を超ゆる一度毎に百四十八圓を加ふ
第四級 一石に付 千九百五十圓
同條第三項中「五十三圓」を「百三十八圓」に改める。
第二十七條の三に次の一號を加へる。
三 第五十條第二號の規定に依りアルコールを混和したるもの
第六十條第一項及び第二項中「一萬圓」を「三萬圓」に改める。
第八十三條第一項中「五百三十圓」を「千八百五十五圓」に、「四十三圓」を「百四十八圓」に、「五百十五圓」を「千六百九十五圓」に、「二十五圓」を「八十一圓」に改める。
第十二條 酒類業團體法の一部を次のやうに改正する。
第三條中「且當該事業に關する國策の遂行に協力」を「組合員共同の利益を促進」に改める。
第三條の二第二項中「政府の認可を受け」を削る。
第五條の二第一項中「し及過怠金を徴收」を削り、同項の次に次の一項を加へる。
酒造組合は定款又は統制規程の定むる所に依り其の組合員に對し過怠金を徴收することを得
同條第二項中「前項」を「前二項」に、「組合長」を「理事長」に改める。
第五條の四 政府は必要ありと認むるときは酒造組合の組合員に對し當該組合の行ふ統制に從ふへきことを命することを得
第六條の七及び第六條の八中「同條第四項」を「同條第二項、同條第五項」に改める。
第六條の九に次の一項を加へる。
政府は必要ありと認むるときは前項に掲くる酒造組合及酒造組合の組合員に對し酒造組合中央會の行ふ統制に從ふへきことを命することを得
第十條の三中「且當該事業に關する國策の遂行に協力」を「組合員共同の利益を促進」に改める。
第十條の七に次の一項を加へる。
政府は必要ありと認むるときは前條に掲くる酒販組合聯合會及其の會員(會員の構成員を含む)に對し酒販組合中央會の行ふ統制に從ふへきことを命することを得
第十條の九中「同條第四項」を「同條第二項、同條第五項」に改める。
第十條の十二第一項中「規定に」の下に「依る命令に」を加へ、同條第二項中「第六條の九の規定」を「第六條の九第二項の規定に依る命令」に、「第十條の七の規定」を「第十條の七第二項の規定に依る命令」に改める。
第十三條 清涼飮料税法の一部を次のやうに改正する。
第二條中「七十圓」を「三百二十圓」に、「百六十圓」を「五百五十圓」に、「五十圓」を「二百圓」に改める。
第十四條 砂糖消費税法の一部を次のやうに改正する。
第二條 削除
第三條第一號中「八圓七十錢」を「二百八十圓」に、「十一圓」を「三百四十圓」に、「十二圓」を「三百五十圓」に、「十七圓五十錢」を「三百六十圓」に、「二十二圓」を「四百六十圓」に、「三圓八十錢」を「八十五圓」に、「二十三圓」を「四百八十圓」に、「五圓五十錢」を「百二十圓」に、同條第二號中「十二圓」を「二百五十圓」に、「七圓」を「百四十圓」に、同條第三號中「十五圓」を「三百十圓」に改める。
第三條の二を削る。
第四條第一項中「第三條」を「前條」に改める。
第六條及び第七條第一項中「第四條第一項但書、」の下に「第四條の二、」を加へる。
第七條の二乃至第七條の五を削る。
第十一條第一項第二號を次のやうに改める。
二 削除
第十一條の四及び第十一條の五を削る。
第十二條の二及び第十二條の三中「及特別消費税」を削る。
第十三條の二を削る。
第十四條の二第一項中「第十三條乃至前條」を「前二條」に改め、「、特別消費税」を削り、同條第二項中「第十三條乃至前條」を「前二條」に改め、同條第三項中「、第十三條の二」を削る。
第十四條の三を削る。
第十六條中「乃至」を「又は」に改める。
第十七條中「乃至第十四條、第十四條の三」を「、第十四條」に改める。
第十七條の四乃至第十七條の九を削る。
第十五條 織物消費税法の一部を次のやうに改正する。
第一條但書を削る。
第二條 消費税の税率は織物の價格百分の四十とす但し綿又はステープルファイバーのみを原料とする織物に付ては織物の價格百分の十とす
第四條第二項を削る。
第二十七條 削除
第十六條 物品税法の一部を次のやうに改正する。
第一條 左に掲ぐる物品にして命令を以て定むるものには本法に依り物品税を課す
第一種
甲類
一 寫眞機、寫眞引伸機、映寫機、同部分品及附屬品竝に現像燒付用器具
二 寫眞用の乾板、フィルム及感光紙
三 蓄音器及同部分品
四 蓄音器用レコード
五 樂器、同部分品及附屬品
六 雙眼鏡、隻眼鏡及同ケース
七 銃及同部分品
八 藥莢及彈丸
九 ゴルフ用具、同部分品及附屬品
十 娯樂用のモーターボート、スカール及ヨット
十一 撞球用具
十二 ネオン管及同變壓器
十三 喫煙用ライター及電氣マッチ
十四 乘用自動車
十五 化粧品
十六 貴石若は半貴石又は之を用ひたる製品
十七 眞珠又は眞珠を用ひたる製品
十八 貴金屬製品又は金若は白金を用ひたる製品
十九 鼈甲製品
二十 珊瑚製品、琥珀製品、象牙製品及十寶製品
二十一 毛皮又は毛皮製品但し第四十五號に掲ぐるものを除く
二十二 羽毛、羽毛製品又は羽毛を用ひたる製品
乙類
二十三 扇風機及同部分品
二十四 暖房用の電氣、瓦斯又は礦油ストーブ
二十五 冷藏器及同部分品
二十六 金庫及鋼鐵製家具
二十七 時計及同部分品
二十八 照明器具
二十九 電氣器具及瓦斯器具
三十 大理石、大理石に類する裝飾用石材及之を原料とする擬石竝に陶磁器製タイル
三十一 文房具
三十二 身邊用細貨類及化粧用具
三十三 喫煙用具
三十四 扇子及團扇
三十五 鞄及トランク類竝に行李
三十六 飾物、玩具、遊戲具、搖籃及乳母車類
三十七 運動具
三十八 漆器、陶磁器及硝子製器具にして別號に掲げざるもの
三十九 煙火類
四十 薫物及線香類
四十一 シャンプー及洗粉
四十二 紅茶、烏龍茶、包種茶、珈琲、ココア及其の代用物、玉露竝に碾茶
四十三 嗜好飮料但し酒類及清涼飮料を除く
四十四 グルタミン酸ソーダを主成分とする調味料
四十五 犬毛皮、兎毛皮及同製品
四十六 室内裝飾用品
四十七 圍碁及將棋用具
四十八 貴金屬を鍍し又は張りたる製品にして別號に掲げざるもの
四十九 皮革製品にして別號に掲げざるもの
五十 簾、釣燈籠及提灯類
五十一 鐵瓶竝に茶道、香道及華道用具
五十二 釣用具類
丙類
五十三 ラジオ聽取機及同部分品
五十四 受信用眞空管、マイクロホン、擴聲用増幅器及擴聲器
五十五 電球類及電氣配線用品
五十六 携行用の電燈、同ケース及電池
五十七 魔法瓶、水筒類及同部分品
五十八 計算機
五十九 タイプライター、同部分品及附屬品
六十 謄寫器及同附屬品
六十一 金錢登録機
六十二 タイムスタンプ、タイムレコーダー及同附屬品
六十三 ミシン及同部分品竝にミシン用針
六十四 幻燈機、實物投影機及同ケース
六十五 安全剃刄
六十六 カレンダー、繪葉書竝に觀賞用の寫眞及印刷物類
六十七 歯磨
六十八 バター、チーズ、クリーム及其の代用物竝にジヤム
六十九 緑茶
七十 酒類粕
七十一 食品加工料
七十二 ハム、ベーコン、ソーセージ其の他燻製の肉類及魚類
七十三 寒天
七十四 帽子、杖、鞭及傘
七十五 履物、同部分品及附屬品
七十六 家具
七十七 メリヤス、レース、フェルト及同製品竝に組物
七十八 印章及印判類
丁類
七十九 事務用器具及事務用品
八十 電話機、電話交換機、同部分品及附屬品
八十一 板硝子
八十二 敷物類
八十三 紙及セロファン
八十四 靴塗料類
八十五 折箱、割箸、祝箸及爪楊枝類
八十六 滋養強壯劑及口中劑
八十七 防蟲劑、殺蟲劑及防臭劑
八十八 調味料
八十九 罐、罎、壼其の他類似の容器(通常小賣に用ひざる容器を除く)に入れたる食料品
九十 海苔
九十一 書畫及骨董
九十二 靴
第二種
一 燐寸
二 飴、葡萄糖及麥芽糖
三 サッカリン及ヅルチン
四 蜂蜜
甲類に該當する物品にして乙類、丙類又は丁類の何れかに該當するものは之を甲類とし乙類に該當する物品にして丙類又は丁類の何れかに該當するものは之を乙類とし丙類に該當する物品にして丁類に該當するものは之を丙類とす
第二條 物品税の税率左の如し
第一種
甲類 物品の價格百分の百
乙類 物品の價格百分の六十
丙類 物品の價格百分の四十
丁類 物品の價格百分の二十
第二種
一 燐寸 千本に付二十五錢
二 飴、葡萄糖及麥芽糖百斤に付二百圓
三 サッカリン及ヅルチン
一瓩に付 八百圓
四 蜂蜜 百斤に付 三百圓
第一種第七十七號に掲ぐる物品中綿又はステープルファイバーのみを原料とするメリヤス及同製品に付ては前項の規定に拘らず其の價格の百分の十の税率に依る
第三條第一項を次のやうに改める。
前條の價格は製造場より移出する時の物品の價格とす但し第一種第九十一號に掲ぐる物品に付ては小賣業者の販賣價格とし保税地域より引取らるる物品にして引取人より税金を徴收するものに付ては引取の際に於ける價格とす
第四條 物品税は製造場より移出せられたる物品の價格又は數量に應じ製造者より之を徴收す但し第一種第九十一號に掲ぐる物品に付ては販賣せられたる物品の價格に應じ小賣業者より之を徴收し保税地域より引取らるる物品に付ては命令を以て定むる場合を除くの外引取られたる物品の價格又は數量に應じ引取人より之を徴收す
第五條中「第九號」を「第九十一號」に改める。
第七條中「第二種又は第三種の物品」を「第一種又は第二種の物品(第一種第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に、「第二種若は第三種」を「第一種若は第二種」に、「命令を以て定むる第二種」を「命令を以て定むる第一種」に改める。
第八條第一項中「第一種の」を「第一種第九十一號に掲ぐる」に、「販賣したる物品に付其の品名毎に」を「販賣したる物品に付」に、「第二種の物品」を「第一種の物品(第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に、「第三種」を「第二種」に改め、同條第二項中「、第二種又は第三種」を「又は第二種」に改める。
第九條第一項中「第一種の」を「第一種第九十一號に掲ぐる」に、「第二種の物品」を「第一種の物品(第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改め、同條第二項中「第三種」を「第二種」に改める。
第十條第一項中「第四條但書の場合に於ては」を「保税地域より引取らるる物品に付ては」に改め、同條第二項中「第二種又は第三種の物品」を「第一種又は第二種の物品(第一種第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改める。
第十一條第一項及び第十二條第一項第一號中「第二種又は第三種の物品」を「第一種又は第二種の物品(第一種第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改める。
第十五條中「第一種の」を「第一種第九十一號に掲ぐる」に、「第二種若は第三種の物品」を「第一種若は第二種の物品(第一種第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改める。
第十六條第一項中「、第二種又は第三種」を「又は第二種」に改め、同條第二項中「第一種の」を「第一種第九十一號に掲ぐる」に、「第二種若は第三種の物品」を「第一種若は第二種の物品(第一種第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改める。
第十六條の二第一項中「第一種の」を「第一種第九十一號に掲ぐる」に、「第二種若は第三種の物品」を「第一種若は第二種の物品(第一種第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改める。
第十六條の三中「第一種の」を「第一種第九十一號に掲ぐる」に、第二種若は第三種の物品」を「第一種若は第二種の物品(第一種第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改める。
第十七條中「、第二種又は第三種」を「又は第二種」に改める。
第十九條第一項第二號中「第一種の」を「第一種第九十一號に掲ぐる」に、「第二種若は第三種の物品」を「第一種若は第二種の物品(第一種第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改め、同條第二項中「第二種若は第三種」を「第一種若は第二種」に改める。
第二十五條中「第二種の物品」を「第一種の物品(第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改める。
第二十五條の二第一項中「第一種の」を「第一種第九十一號に掲ぐる」に、「第二種若は第三種の物品」を「第一種若は第二種の物品(第一種第九十一號に掲ぐる物品を除く)」に改める。
第十七條 遊興飮食税法の一部を次のやうに改正する。
第二條第三項を削り、同條第四項中「及第三項」削る。
第九條の二第一項中「、納税切符の使用」を削り、同條第三項中「し又は納税切符を使用」を削る。
第九條の三第一項中「及納税切符」を削り、同條第二項中「し又は納税切符を使用」を削り、同條第三項中「又は納税切符」を削る。
第九條の四中「及納税切符」を削る。
第十二條第一項第四號中「又は納税切符」を削る。
第十五條の二中「若は納税切符」を削る。
第十八條 入場税法の一部を次のやうに改正する。
第二條第二種第一號中「麻雀場」を「舞踏場、麻雀場」に改める。
第十九條 骨牌税法の一部を次のやうに改正する。
第四條第一項中「二十圓」を「百圓」に、「三圓」を「十圓」に改め、同條第二項中「五十錢」を「二圓」に改める。
第二十條 印紙税法の一部を次のやうに改正する。
第四條第一項第一號乃至第五號を次のやうに改める。
一 不動産、鐵道財團、軌道財團、自動車交通事業財團又は船舶の所有權移轉に關する證書
二 消費貸借に關する證書
三 請負に關する證書
四 運送に關する證書
五 傭船契約書}
記載金高百圓以下のもの 十錢
同 五百圓以下のもの 五十錢
同 千圓以下のもの 一圓
同 一萬圓以下のもの 五圓
同 十萬圓以下のもの 十圓
同 百萬圓以下のもの 五十圓
同 百萬圓を超ゆるもの 百圓
記載金高なきもの 十錢
同項第七號中「三錢」を「十錢」に、同項第八號乃至第三十二號中「五錢」を「十錢」に、同項第三十三號中「十錢」を「二十錢」に、同項第三十四號中「一圓」を「二圓」に改める。
第五條第七號、第九號、第九號の三、第十二號、第十四號及び第二十五號中「十圓」を「五十圓」に改める。
第六條の二中「五錢」を「十錢」に改める。
第十一條中「五圓」を「十圓」に改める。
第十二條中「二圓」を「十圓」に改める。
第十三條中「四圓」を「十圓」に改める。
第二十一條 狩獵法の一部を次のやうに改正する。
第八條第一項中「七十圓」を「二百圓」に、「二十圓」を「百五十圓」に、「四十圓」を「百二十圓」に、「十八圓」を「五十圓」に改める。
第二十二條 關税法の一部を次のやうに改正する。
第十條中「、艙口申告書、船用品目録」を削る。
第十二條 削除
第十七條中「税關長の特許を受くるに非されは」を「豫め税關に届出つるに非されは」に改める。
第十八條第一項中「外國貿易船は」の下に「税關長の特許を受くるに非されは」を加へる。
第二十六條第一項中「税關長の特許を受くへし」を「豫め其の旨を税關に届出つへし」に改める。
第三十九條第一項中「開港間、保税地域間又は開港と保税地域との間」を「開港、保税地域及税關官署所在地相互間」に改める。
第三十九條の二 削除
第三十九條の五第一項中「又は保税地域」を「、保税地域又は税關官署所在地」に改め、但書を削る。
第四十條 内國貨物は税關に申告し其の免許を受くるに非されは外國貿易船に積載し之を運送することを得す
第四十五條中「第三十一條乃至第三十四條、第三十七條乃至第三十九條の五」を「第三十一條、第三十二條、第三十四條、第三十七條乃至第三十九條、第三十九條の三乃至第三十九の五」に改める。
第五十九條及第六十條 削除
第七十九條 削除
第八十條中「第十三條、」の下に「第十七條、」を加へる。
第八十一條中「、第三十九條の二又は第四十條第二項」を「又は第四十條」に改める。
第八十二條中「第七十七條乃至第八十一條」を「第七十七條、第七十八條、第八十條又は第八十一條」に改める。
第九十八條 削除
第二十三條 關税定率法の一部を次のやうに改正する。
第三條の二を削る。
第七條第三號を次のやうに改める。
三 削除
同條第五號を次のやうに改める。
五 削除
同條第十五號を次のやうに改める。
十五 在外公館より送還したる物品
第二十四條 保税倉庫法の一部を次のやうに改正する。
第四條 削除
第二十五條 國税徴收法の一部を次のやうに改正する。
第四條の一第二號を次のやうに改める。
二 府縣税其の他の公課の滯納に因り滯納處分を受くるとき
第二十六條 納税施設法の一部を次のやうに改正する。
「第四章 租税の貯蓄納付」を「第四章 削除」に改める。
第十七條乃至第二十五條 削除
第二十六條及び第三十一條中「、納税準備預金及戰時納税貯蓄」を「及納税準備預金」に改める。
第二十七條 國庫出納金端數計算法の一部を次のやうに改正する。
第一條第二項を次のやうに改める。
命令を以て指定する國税の收入金又は還付金にして十錢未滿の端數あるときは其の端數は之を切捨つ
第二十八條 左の各號に掲げる法律は、これを廢止する。
一 臨時利得税法
二 配當利子特別税法
三 外貨債特別税法
四 建築税法
五 特別行爲税法
六 電氣瓦斯税法
七 廣告税法
八 所得税法人税内外地關渉法
九 戰時災害國税減免法
十 日滿國税徴收事務共助法
十一 昭和十二年法律第九十四號(今次の戰爭のため從軍した軍人及び軍屬に對する租税の減免、徴收猶豫等に關する法律)
十二 昭和十七年法律第七十四號(所得税等の日滿二重課税防止に關する法律)
十三 昭和十八年法律第七十二號(輸出物品に對する内國税免除又は交付金交付の停止等に關する法律)
附 則
第二十九條 この法律施行の期日は、各規定について、勅令でこれを定める。
第三十條 不動産所得、乙種の配當利子所得、甲種及び乙種の事業所得、乙種の勤勞所得、山林の所得、乙種の退職所得竝びに個人の總所得に對する所得税については、第六項に規定するものを除く外、昭和二十一年分から、改正後の所得税法の規定を適用する。但し、同法五條第二項、第十二條第一項、第三項及び第四項、第二十九條竝びに第三十條第一項、第三項及び第四項の改正規定は、昭和二十二年分から、これを適用する。
讓渡所得に對する分類所得税については、改正後の所得税法第十二條第六項の規定により命令で定める日以後の讓渡に因る所得に對して、改正後の同法の規定を適用する。
從前の所得税法第十二條第二項及び第三十條第二項の規定は、甲種の事業所得又は個人の總所得に對する昭和二十一年分以後の所得税について、なほその效力を有する。
法人から受ける利益若しくは利息の配當又は剩餘金の分配については、昭和二十二年分に限り、所得税法第十二條第一項第三號及び第三十條第一項第五號中「前年中」とあるのは、「昭和二十一年三月一日より同年十二月三十一日迄」と讀み替へるものとする。
不動産所得、乙種の配當利子所得、甲種の事業所得及び乙種の事業所得、乙種の勤務所得、山林の所得、乙種の退職所得及び個人の總所得に對する昭和二十年分以前の所得税及び第一條の規定施行前に課した又は課すべきであつた甲種の配當利子所得、丙種の事業所得、甲種の勤勞所得、甲種の退職所得及び清算取引所得に する分類所得税竝びに所得税法第百六條第一項の規定により支拂の際賦課することを得べき綜合所得税については、なほ從前の例による。
乙種の配當利子所得、甲種の事業所得、乙種の勤勞所得及び個人の總所得に對する昭和二十一年分の所得税については、なほ從前の所得税法第十一條第一號、第十二條第一項、第三項及び第四項、第二十九條竝びに第三十條第一項、第三項及び第四項の例による。
昭和二十一年九月一日から同年十二月三十一日までに支給を受ける甲種の勤勞所得に對する分類所得税については、所得税法第二十四條第一項の規定にかかはらず、同年八月一日現在の扶養家族數により、同項の規定により算出した金額を、分類所得税額から控除する。
昭和二十一年分の分類所得税及び綜合所得税に限り、所得税法第七十三條第一項中「其の年八月一日より三十一日限」とあるのは、「昭和二十一年九月一日より三十日限」と讀み替へるものとする。
昭和二十一年九月に任期の終了する所得調査委員及び所得審査委員竝びに補缺員の任期は、昭和二十二年九月まで、これを延長する。
第三十一條 各事業年度の普通所得、超過所得及び資本に對する法人税については、昭和二十一年四月一日以後に終了する事業年度分から、清算所得に對する法人税については、同日以後の解散又は合併に因る分から、改正後の法人税法の規定を適用する。
從前の法人税法第四條第二項及び第九條第二項の規定は、昭和二十一年四月一日以後に終了する各事業年度分の普通所得及び超過所得に對する法人税について、なほその效力を有する。
昭和二十一年三月三十一日以前に終了した各事業年度の所得及び資本に對する法人税竝びに同日以前の解散又は合併に因る清算所得に對する法人税については、なほ從前の例による。
第三十二條 各事業年度の剩餘金に對する特別法人税については、昭和二十一年四月一日以後に終了する事業年度分から、清算剩餘金に對する特別法人税については、同日以後の解散又は合併に因る分から、改正後の特別法人税法の規定を適用する。
昭和二十一年三月三十一日以前に終了した各事業年度の剩餘金に對する特別法人税及び同日以前の解散又は合併に因る清算剩餘金に對する特別法人税については、なほ從前の例による。
第三十三條 法人の各事業年度の純益に對する營業税については、昭和二十一年四月一日以後に終了する事業年度分から、清算純益に對する營業税については、同日以後における解散又は合併に因る分から、個人の營業税については、昭和二十一年分から、改正後の營業税法の規定を適用する。但し、個人の營業税については、營業税法第十條第三項、第四項及び第十二條第二項の改正規定は、昭和二十二年分から、これを適用する。
從前の營業税法第四條第二項、第七條第六項及び第十條第二項の規定は、法人の昭和二十一年四月一日以後に終了する各事業年度分の營業税及び個人の昭和二十一年分以後の營業税について、なほその效力を有する。
法人の昭和二十一年三月三十一日以前に終了した各事業年度の純益及び同日以前の解散又は合併に因る清算純益に對する營業税竝びに個人の昭和二十年分以前の營業税については、なほ從前の例による。
第三十四條 地租法第十條の改正規定は、昭和二十一年分の地租から、これを適用する。
昭和二十年分以前の地租については、なほ從前の例による。
第三十五條 家屋税法第七條の改正規定は、昭和二十二年分の家屋税から、これを適用する。
昭和二十一年分以前の家屋税については、なほ從前の例による。
第三十六條 第七條の規定施行前開始した相續に關する相續税については、なほ從前の例による。但し、昭和二十一年七月一日以後に隱居に因り開始した家督相續又は同日以後になした相續税法第二十三條第一項に規定する贈與については、これらの課税價格が百萬圓を超える場合に限り、同法第八條の改正規定を適用する。
第三十七條 鑛區税法第二條の改正規定は、昭和二十二年分の鑛區税から、これを適用する。
昭和二十一年分以前の鑛區税については、なほ從前の例による。
第三十八條 有價證券移轉税は、第九條の規定施行の日の前日までは、昭和二十年勅令第四百二十三號廢止の日以後においても、これを課しない。
昭和二十年八月一日から第九條の規定施行の日の前日までの間に、有價證券仲買人の業を開始した者又はその營業を廢止した者は、同條の規定施行の日から一箇月以内に、政府に申告しなければならない。
第九條の規定施行前に課した又は課すべきであつた有價證券移轉税については、なほ從前の例による。
第三十九條 恩給金庫法第四十一條、庶民金庫法第二十六條、國民更生金庫法第二十六條、住宅營團法第二十七條、帝都高速度交通營團法三十條、農地開發法第三十一條、産業設備營團法第二十九條、戰時金融金庫法第二十六條、南方開發金庫法第二十七條及び國民醫療法第六十一條中「及有價證券移轉税法」を削る。
第四十條 當分の間、他の法令中登録税の税率の特例を定めてゐる場合において、法人の設立、資本の増加又は株金拂込について、税率が「千分の一」と定められてゐるときは「千分の一・五」、「千分の五」と定められてゐるときは「千分の六」と讀み替へ、不動産又は船舶の取得について、税率が「千分の一」と定められてゐるときは、「千分の一・五」、「千分の三」と定められてゐるときは「千分の四」と讀み替へるものとする。
第十條の規定施行前に課した又は課すべきであつた登録税については、なほ從前の例による。
第四十一條 第十一條の規定施行前に課した又は課すべきであつた酒税については、なほ從前の例による。
第十一條の規定施行の際、製造場又は保税地域以外の場所で、酒類の製造者又は販賣業者が、各種類を通じて、合計四斗以上の酒類を所持する場合及びその所持する酒類が、合計四斗に滿たない場合でも、命令で定める酒類が、合計一斗以上である場合においては、その場所を製造場、その所持者を製造者とみなして、その所持する酒類に對し酒税を課する。この場合においては、第十一條の規定施行の日に、その酒類を製造場から移出したものとみなし、改正後の酒税法第二十七條、第二十七條の二又は第八十三條の規定により算出した税額と從前の規定により算出した税額との差額を、その税額として、命令の定めるところにより徴收する。
前項の製造者又は販賣業者は、その所持する酒類の種類、級別及びアルコール分の異なるごとに數量、價格及び貯藏の場所を、第十一條の規定施行後一箇月以内に、政府に申告しなければならない。
第十一條の規定施行の際、製造場に現存する酒類で、戻入又は移入したものについては、酒税法第三十八條第一項の規定にかかはらず、これを移出した時に酒税を徴收する。この場合においては、第二項後段に定める税額を、その税額とする。
第四十二條 第十三條の規定施行前に課した又は課すべきであつた清涼飮料税については、なほ從前の例による。
第十三條の規定施行の際、製造場以外の場所で、同一人が、第一種又は第二種を通じて、合計一石以上の清涼飮料を所持する場合においては、その場所を製造場、その所持者を製造者とみなし、清涼飮料税を課する。この場合においては、第十三條の規定施行の日に、その清涼飮料を、製造場外に移出したものとみなし、第一種の清涼飮料については、一石ついて二百五十圓、第二種の清涼飮料については、一石について三百九十圓の割合により算出した金額を、その税額として、命令の定めるところにより徴收する。
前項の清涼飮料の所持者は、その所持する清涼飮料の種別、數量及び貯藏の場所を、第十三條の規定施行後一箇月以内に、政府に申告しなければならない。
第四十三條 第十四條の規定施行前に課した又は課すべきであつた砂糖消費税又は砂糖特別消費税については、なほ從前の例による。
第十四條の規定施行後一箇月以内に輸出した菓子、糖菓その他命令で定める物品に對する砂糖消費税法第十二條の二の規定による交付金については、なほ從前の例による。
從前の砂糖消費税法第三條の税率により消費税を課せられた砂糖、糖蜜又は糖水を原料として製造した砂糖(第三種の砂糖を除く。)、糖蜜又は糖水で、第十四條の規定施行後製造場から引き取られるものについては、同法第十二條の規定にかかはらず、消費税を徴收する。この場合においては、改正後の同法第三條の税率により算出した金額と從前の同條の税率により算出した金額との差額を、その税額とする。
從前の砂糖消費税法第三條の税率により消費税を課せられた第二種乙の砂糖を以て製造した第三種の砂糖で、第十四條の規定施行後製造場から引き取られるものについては、改正後の同法第三條中「八十五圓」とあるのは、「四百四十一圓八十錢」と讀み替へ、「百二十圓」とあるのは、「四百六十二圓五十錢」と讀み替へるものとする。
第十四條の規定施行の際、製造場又は保税地域以外の場所で、同一人が、各種類を通じて、合計三百斤以上の砂糖、糖蜜又は糖水を所持する場合においては、その者が、同條の規定施行の日に、これを製造場から引き取つたものとみなし、消費税を課する。この場合においては、改正後の砂糖消費税法第三條の税率により算出した金額と從前の同條の税率により算出した金額との差額(第三種の砂糖については、氷砂糖は百斤について四百三十八圓、その他のものは百斤について四百五十七圓の割合により算出した金額)を、その税額として、命令の定めるところにより徴收する。但し、從前の砂糖消費税法により特別消費税を課せられた砂糖、糖蜜又は糖水を所持する場合においては、その課せられた税額に相當する金額を控除した金額を、その税額とする。
前項の砂糖、糖蜜又は糖水の所持者は、その所持する砂糖、糖蜜又は糖水の種別、數量及び貯藏の場所を、第十四條の規定施行後一箇月以内に、政府に申告しなければならない。
第四十四條 第十五條の規定施行前に課した又は課すべきであつた織物消費税については、なほ從前の例による。
從前の織物消費税法第二條の税率により消費税を課せられた織物で、第十五條の規定施行後製造場から引き取られるものについては、同法第八條の規定にかかはらず、消費税を徴收する。この場合においては、改正後の同法第二條の税率により算出した金額と從前の同條の税率により算出した金額との差額を、その税額とする。
第十五條の規定施行の際、製造場又は保税地域以外の場所で、織物又は織物を原料とする製品(以下織物製品といふ。)の製造者若しくは販賣者又は命令で定める者が、總價格一萬圓以上の織物又は織物製品(從前の物品税法により物品税を課せられたものを除く。)を所持する場合においては、その者が、同條の規定施行の日に、これを製造場から引き取つたものとみなし、消費税を課する。この場合においては、改正後の織物消費税法第二條の税率により算出した金額と從前の同條の税率により算出した金額との差額を、その税額として、命令の定めるところにより徴收する。
前項の織物又は織物製品中、命令で定めるものについては、同項の規定にかかはらず、命令の定めるところにより、その織物又は織物製品を、その貯藏の場所から引き取る時に、その消費税を徴收することができる。
第三項の製造者若しくは販賣者又は命令で定める者は、その所持する織物又は織物製品の種類、數量、價格及び貯藏の場所を、第十五條の規定施行後一箇月以内に、政府に申告しなければならない。
從前の物品税法第一條第一種第二十五號に掲げる物品の小賣業者から、第三項の規定により消費税を徴收する場合においては、その物品の小賣業者の組織する團體(その組織する團體を含む。)について、從前の同法第二十五條の二乃至第二十五條の七の規定を準用する。
第四十五條 第十六條の規定施行前に課した又は課すべきであつた物品税については、なほ從前の例による。
第十六條の規定施行後一箇月以内に輸出した菓子、糖菓その他命令で定める物品に對する物品税法第十四條の規定による交付金については、なほ從前の例による。
第十六條の規定施行前から、引き續いて、從前の物品税法第一條に掲げる第一種の物品で、改正後の同條に掲げるもの(第九十一號に掲げる物品を除く。)又はヅルチンを製造する者が、第十六條の規定施行後一箇月以内に、その旨を政府に申告するときは、同條の規定施行の日に、同法第十五條の規定により、申告したものとみなす。
第十六條の規定施行の際、製造場又は保税地域以外の場所で、改正後の物品税法第一條に掲げる第一種若しくは第二種の物品(第一種第九十一號に掲げる物品を除く。)の製造者若しくは販賣者又は命令で定める者が、次の各號の一に該當する物品を所持する場合においては、その場所を製造場、その所持者を製造者とみなし、物品税を課する。この場合においては、同條の規定施行の日に、その物品を、製造場外に移出したものとみなし、命令の定めるとこにより、その物品税を徴收する。但し、從前の規定により物品税を課せられた物品については、その課せられた税額に相當する金額を控除した金額を、その税額とする。
一 改正後の物品税法第一條に掲げる第一種の物品(從前の同法第一條に掲げる第二種の物品を除く。)で、總價格一萬圓以上のもの
二 飴、葡萄糖又は麥芽糖で、合計五百斤以上のもの
三 サッカリン又はヅルチンで、合計二瓩以上のもの
四 三百斤以上の蜂蜜
前項の物品中、改正後の物品税法第十二條第一項の規定又は第十三條第一項の規定に該當するものについては、前項の規定にかかはらず、命令の定めるところにより、その物品税を徴收しないことができる。
第四項の物品中、命令で定めるものについては、同項の規定にかかはらず、命令の定めるところにより、その物品を、その貯藏の場所から移出する時に、その物品税を徴收することができる。
第四項の製造者若しくは販賣者又は命令で定める者は、同項第一號の物品については、その品名ごとに數量、價格及び貯藏の場所を、同項第二號乃至第四號の物品については、その品名ごとに數量及び貯藏の場所を、第十六條の規定施行後一箇月以内に、政府に申告しなければならない。
從前の物品税法第一條に掲げる第一種の物品(第九號に掲げる物品を除く。)の小賣業者から、第四項の規定により物品税を徴收する場合においては、その物品の小賣業者の組織する團體(その組織する團體を含む。)について、從前の同法第二十五條の二乃至第二十五條の七の規定を準用する。
第四十六條 第十八條の規定施行前から、引き續き、舞踏場を經營する者が、同條の規定施行後一箇月以内に、その旨を政府に申告するときは、同條の規定施行の日に、入場税法第七條の規定により、申告したものとみなす。
第四十七條 第十九條の規定施行前に課した又は課すべきであつた骨牌税については、なほ從前の例による。
第十九條の規定施行の際、骨牌の製造又は販賣をなす者の所持する骨牌については、製造又は販賣をなす者が、改正後の骨牌税法第四條の規定による税額と從前の規定による税額との差額に相當する金額を税額として、骨牌税を納めなければならない。
第四十八條 第二十條の規定施行前に課した又は課すべきであつた印紙税については、なほ從前の例による。
印紙税法第四條第一項に掲げる帳簿の昭和二十年七月三十一日以前に開始した附込に對する同項又は同法第七條の規定の適用については、同年八月一日から、同年勅令第四百二十三號廢止の日の前日までの期間は、これを同法第四條第一項又は第七條に規定する一年の期間に算入しない。
第四十九條 從前の納税施設法第十七條の規定による貯蓄で第二十六條の規定施行の際現に存するものについては、なほ從前の例による。
第五十條 第二十七條の規定施行前納入の告知をなした國税の收入金又は還付金及び納付した國税の還付金の端數の計算については、なほ從前の例による。
第五十一條 法人の昭和二十一年三月三十一日以前に終了した各事業年度分の臨時利得税及び個人の昭和二十一年分以前の臨時利得税については、なほ從前の臨時利得税法の例による。
第五十二條 第二十八條第八號の規定施行前に終了した各事業年度分の所得及び資本に對する法人税、同號の規定施行前の合併に因る清算所得に對する法人税竝びに昭和二十一年分以前の不動産所得、乙種の配當利子所得、甲種の事業所得、乙種の事業所得、乙種の勤勞所得、山林の所得、乙種の退職所得及び個人の總所得に對する所得税については、なほ從前の所得税法人税内外地關渉法の例による。同號の規定施行前に課した又は課すべきであつた甲種の配當利子所得及び甲種の勤勞所得に對する分類所得税竝びに從前の所得税法人税内外地關渉法第二十二條の規定により支拂の際賦課することを得べき綜合所得税についてもまた同じ。
第五十三條 第二十八條第九號の規定施行前の戰時災害について、被害者の納付すべき國税、被害物件に對して課せらるべき國税又は戰時災害のあつた地方で納付すべき國税の輕減若しくは免除、課税標準の計算若しくは決定に關する特例、徴收猶豫又は納税資格要件の特例に關しては、なほ從前の戰時災害國税減免法の例による。但し、地租又は家屋税については、命令で特別の定をした場合には、この限りでない。
第五十四條 今次の戰爭のため從軍した軍人軍屬又はその同居の戸主若しくは家族の所得税、營業税若しくは地租の輕減、免除、徴收猶豫若しくは課税標準の決定に關する特例又は納税資格要件の特例に關しては、なほ從前の昭和十二年法律第九十四號の例による。
第五十五條 第二十八條第十二號の規定の施行について必要な事項は、命令でこれを定める。
第五十六條 酒類、清涼飮料、砂糖、糖蜜、糖水、骨牌、從前の物品税法第一條に掲げる物品、糖菓又は果實蜜若しくはこれに類する物で、第二十八條第十三號の規定施行前に、輸出したものに對する内國税の免除若しくは交付金の交付又は同號の規定施行前に、關東州から輸入した物に對する租税の輕減若しくは免除については、なほ從前の昭和十八年法律第七十二號の例による。
第五十七條 第十七條、第二十一條及び第二十八條第二號乃至第七號の規定施行前に課した又は課すべきであつた遊興飮食税、狩獵免許税、配當利子特別税、外貨債特別税、建築税、特別行爲税、電氣瓦斯税及び廣告税については、なほ從前の例による。
第五十八條 この法律による他の法律の廢止又は改正前になした行爲に關する罰則の適用については、なほ從前の例による。
―――――――――――――――――――――
臨時租税措置法を改正する法律案
租税特別措置法
第一條 當分の間この法律により、所得税、法人税、特別法人税、營業税及び登録税を、輕減若しくは免除し、又はその課税標準の計算若しくはその徴收に關する特例を設ける。
第二條 左に掲げる甲種の配當利子所得については、命令の定めるところにより、分類所得税を免除する。
一 明治三十九年法律第三十四號(國債に關する法律)又は社債等登録法により、銀行(日本銀行を除く。)その他命令で定める金融機關の登録した公債又は社債の利子
二 貯蓄銀行法第九條第一項又は昭和十八年法律第四十三號(普通銀行等の貯蓄銀行業務又は信託業務の兼營等に關する法律)第二條第一項の規定により、貯蓄銀行又は貯蓄銀行業務を營む銀行の供託した公債及び社債の利子
三 金融機關に對する金融機關の預金で命令で定めるものの利子
第三條 個人が、法令、法令に基く命令又は行政官廳の指導若しくは斡旋により、木材又は薪炭の増産の必要上、立木の伐採又は讓渡をしたときは、當該立木の伐採又は讓渡に因り生ずる山林の所得から、命令の定めるところにより計算した金額の十分の五を控除して、分類所得税を賦課する。
第四條 個人が、相續税法第十七條の二の規定により、相續財産たる不動産又は立木を相續税の物納に充てたときは、命令の定めるところにより、當該不動産又は立木の物納に因り生ずる讓渡所得又は山林の所得から、當該不動産又は立木に課せられた相續税額のうち命令で定める金額に相當する金額を控除して、分類所得税を賦課する。
第五條 個人のその年中の營業の所得金額又は純益金額が、その年分の營業の所得の決定金額又は純益の決定金額に對し、五割以上減少した場合においては、命令の定めるところにより、その年分の當該營業所得に對する所得税及び營業税を左の區分により輕減する。
減少割合が七割以下のとき
税額の十分の三
減少割合が七割を超えるとき
税額の十分の六
前項の規定は、個人でその年中の營業の所得金額が五萬圓以上のものについては、これを適用しない。
前二項の規定は、個人のその年中の乙種の事業所得に該當する所得の金額が、その年分の乙種の事業所得の決定金額に對し、五割以上減少した場合について、これを準用する。
第六條 前條の規定により所得税及び營業税の輕減を受けようとする者は、命令の定めるところにより、その旨を政府に申請しなければならない。
前項の申請があつたときは、政府は輕減處分が確定するまで税金の徴收を猶豫することができる。
第七條 國庫補助金その他これに類する收入で命令で定めるものは、命令の定めるところにより、法人税法による所得及び營業税法による法人の純益の計算上、これを益金に算入しない。
第八條 命令で定める法人の設定した價格平衡資金又は施設補修準備金への繰入金は、命令の定めるところにより、法人税法による所得及び營業税法による純益の計算上、これを損金に算入する。
第九條 法人が額面以上の價額で株式を發行した場合の額面を超える金額については、命令の定めるところにより、その十分の五に相當する金額を、法人税法による所得及び營業税法による純益の計算上益金に算入しない。
第十條 法人のなした寄附金のうち、命令の定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、法人税法による所得及び營業税法による純益又は特別法人税法による剩餘金の計算上、これを損金に算入しない。但し、命令で定める寄附金については、命令の定めるところにより、その一部を損金に算入する。
第十一條 法人の納付した罰金又は科料(通告處分により納付した罰金又は科料に相當する金額を含む。)は、法人税法による所得及び營業税法による純益の計算上、これを損金に算入しない。
第十二條 法人が合併した場合において、合併に因り消滅した法人の株式(出資を含む。本條中以下これに同じ。)を、合併後存續する法人又は合併に因り消滅した他の法人が、合併前において取得したときは、命令の定めるところにより、當該株式の取得に要した金錢を、合併に因り消滅した法人の株主(社員を含む。)が、合併後存續する法人又は合併に因り設立した法人から合併に因り取得した金錢とみなし、法人税法及び營業税法を適用する。
第十三條 命令で定める法人が、各事業年度分の法人税又は各事業年度分の營業税についてなすべき法人税法第十八條又は營業税法第十五條の申告の期限は、これを毎事業年度の決算が確定した後六十日以内とする。
第十四條 前條に規定する法人は、命令の定めるところにより、各事業年度分の法人税及び營業税を、同條の規定による申告と同時に政府に納付しなければならない。
第十五條 第十三條に規定する法人が、前條の規定による法人税若しくは營業税の納付をしないとき又はその納付した税額が納付すべき税額に對し不足するときは、納付すべき税額又は不足する税額に命令の定めるところにより計算した金額を命令の定めるところにより、加算してこれを徴收する。
第十六條 納税施設法第七條乃至第九條の規定は、第十三條に規定する法人については、これを適用しない。
第十七條 耕作を目的とする土地(その土地に附屬して使用される土地を含む。)について、所有權の交換をした場合においては、交換に因る所有權の取得又は交換のためにする所有權の保存の登記については、命令の定めるところにより、登録税を免除する。
前項の規定は、永小作權の交換又は前項の土地の所有權と永小作權との交換をした場合について、これを準用する。
第十八條 左に掲げる事項が、法令、法令に基く命令又は行政官廳の指導若しくは斡旋によりなされる場合においては、命令の定めるところにより、その登記の登録税の額は、他の法令に特別の定のある場合を除いては、登録税法にかかはらず左の額による。但し、登録税法により計算した登録税の額が、左の額より少いときはその額による。
一 會社の設立
金錢出資による拂込株金額及び金錢を目的とする株金以外の出資の價格の千分の六と、金錢以外の財産の出資による拂込株金額及び金錢以外の財産を目的とする株金以外の出資の價格の千分の一・五との合計額
二 會社資本の増加
金錢出資による増資拂込株金額及び金錢を目的とする株金以外の出資の價格の千分の六と、金錢以外の財産の出資による増資拂込株金額及び金錢以外の財産を目的とする株金以外の出資の價格の千分の一・五との合計額
三 第二囘以後の株金拂込
毎囘の金錢による拂込株金額の千分の六と、金錢以外の財産の出資による拂込株金額の千分の一・五との合計額
四 會社の設立、資本増加若しくは第二囘以後の株金の拂込又は事業の設備若しくは事業の讓受の場合における不動産又は船舶に關する權利の取得
不動産又は船舶の價格の千分の四
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
甲種及び乙種の事業所得、山林の所得、讓渡所得及び個人の總所得に對する所得税竝びに個人の營業税については、昭和二十二年分からこの法律を適用する。
各事業年度の普通所得及び超過所得に對する法人税竝びに法人の各事業年度の純益に對する營業税については、昭和二十一年四月一日以後に終了する事業年度分から、清算所得に對する法人税及び清算純益に對する營業税については、同日以後の解散又は合併に因る分から、この法律を適用する。但し、同年八月三十一日までに決算の確定した事業年度分に限り、第十三條中「毎事業年度の決算が確定した後六十日以内」とあるのは、「昭和二十一年十月三十一日まで」と讀み替へるものとする。
特別の法人の各事業年度の剩餘金に對する特別法人税については、昭和二十一年四月一日以後に終了する事業年度分から、この法律を適用する。
昭和二十年分以前の乙種の配當利子所得に對する分類所得税、昭和二十一年分以前の甲種及び乙種の事業所得、乙種の勤勞所得、山林の所得及び個人の總所得に對する所得税、個人の昭和二十一年分以前の營業税及び臨時利得税、昭和二十一年分以前の鑛區税、法人の昭和二十一年三月三十一日以前に終了した各事業年度の所得及び資本に對する法人税及び純益に對する營業税及び臨時利得税、法人の同日以前の解散又は合併に因る清算所得に對する法人税及び清算純益に對する營業税、特別の法人の同日以前に終了した各事業年度の剩餘金に對する特別法人税及び同日以前の解散又は合併に因る清算剩餘金に對する特別法人税及びこの法律施行前に課した又は課すべきであつた甲種の配當利子所得に對する分類所得税及び登録税の輕減又は免除竝びにこれらの租税の課税標準の計算、徴收及びこれらの租税の輕減又は免除に因る納税資格要件の特例に關しては、なほ從前の例による。
―――――――――――――――――――――
地方税及び地方分與税法の一部を改正する法律案
第一條 地方税法の一部を次のやうに改正する。
第一條第一項中「府縣」を「道府縣」に、「府縣税」を「道府縣税」に改め、同條第二項中「府縣條例」を「道府縣條例」に改め、同項の次に次の一項を加へる。
前二項の規定を除くの外本法中府縣、府縣税、府縣民税、府縣知事、府縣吏員、府縣參事會又は府縣條例とあるは夫々北海道、北海道税、北海道民税、北海道廳長官、北海道吏員、北海道參事會又は北海道條例を含むものとす
同條第三項中「及北海道地方費」を削り、同條第四項を次のやうに改める。
前項の場合に於ては府縣、府縣税、府縣民税、府縣知事、府縣吏員、府縣參事會又は府縣條例とあるは夫々東京都、東京都税、東京都民税、東京都長官、東京都吏員、東京都參事會又は東京都條例とす
第二十條 第一項の次に次の一項を加へる。
第四十八條の六第一項の場合に於て市町村は府縣民税の賦課總額の配當に關し違法又は錯誤ありと認むるときは其の告知を受けたる日より三十日以内に府縣知事に異議の申立を爲すことを得
同條第三項中「前二項」を「前三項」に改め、同條第四項中「前三項」を「前項」に改め、同條第五項中「前四項」を「前五項」に改める。
第二十六條第一項第一號中「又は徴收の囑託を受けたる滿洲國の國税若は地方税」を削る。
第四十六條中「百分の百」を「百分の二百」に、「百分の百二十」を「百分の二百四十」に改める。
第四十八條中「段別税」「府縣民税段別税」に改め、同條に次の二項を加へる。
府縣は前項に掲ぐるものの外別に税目を起して獨立税を課することを得
前項の獨立税の新設及變更に付ては内務大臣及大藏大臣の許可を受くべし
第四十八條の二 府縣民税は左に掲ぐる者に對し之を課す但し貧困に因り生活の爲公私の救助を受け又は扶助を受くる者に對しては此の限に在らず
一 府縣内に一戸を構ふる個人又は一戸を構へざるも獨立の生計を營む個人
二 前號に該當せざるも府縣内に事務所、營業所又は家屋敷を有する個人
三 府縣内に事務所又は營業所を有する法人
前項第一號又は第二號の個人に付ては當該事實ある市町村毎に、第三號の法人に付ては其の事務所又は營業所毎に府縣民税を課す
第四十八條の三 府縣民税の賦課期日は四月一日とす
前項に定むるものの外府縣民税の課税方法は府縣條例を以て之を規定すべし
第六條及第十條の規定は府縣民税に付ては之を適用せず
第四十八條の四 府縣民税の賦課總額は六十圓に第四十八條の二に定むる納税義務者數を乘じたる額を超ゆることを得ず
前項の規定の適用に付ては第四十八條の二第一項第一號又は第二號の個人は當該事實ある市町村毎に、同項第三號の法人は其の事務所又は營業所毎に獨立の納税義務者と看做す
第四十八條の五 特別の必要ある場合に於ては内務大臣の許可を受け前條第一項に規定する制限額を超過し其の百分の五十以内に於て増課することを得
第四十八條の六 府縣民税の賦課總額は府縣條例の定むる所に依り之を市町村に配當することを得
前項の場合に於ては法律、命令及府縣條例に定むるものの外府縣民税の課税方法は關係市町村の條例を以て之を規定せしむることを得
第五十八條中「藝妓税附加税」を「藝妓税附加税第四十八條第二項の規定に依る獨立税の附加税」に改める。
第六十條第二項中「段別税の賦課率」の下に「の二分の一」を加へる。
第六十一條中「百分の二百」を「百分の三百」に、「百分の二百四十」を「百分の三百六十」に改める。
第六十三條第二項中「第四十八條に掲ぐる獨立税」を「第四十八條第一項に掲ぐる獨立税(府縣民税を除く)」に改める。
第六十五條第一項中「十月」を「四月」に改める。
第六十六條第一項及び第二項を次のやうに改める。
市町村民税の賦課總額は四十圓に第六十四條に定むる納税義務者數を乘じたる額を超ゆることを得ず同條第三項中「前二項」を「前項」に改める。
第六十六條の二 特別の必要ある場合に於ては府縣知事の許可を受け前條第一項に規定する制限額を超過し其の百分の五十以内に於て増課することを得
第七十五條第一項の次に次の一項を加へる。
府縣民税に對しては府縣税獨立税割を課することを得ず
同條第二項中「前項」を「第一項」に改める。
第七十六條第二項を次のやうに改める。
府縣民税又は市町村民税に對しては府縣税獨立税割又は市町村税獨立税割を課することを得ず
第八十條第二項中「二十圓」を「二百圓」に改める。
第八十五條の二項中「百分の百とあるは百分の三百、百分の百二十とあるは百分の三百六十」を「百分の二百とあるは百分の五百、百分の二百四十とあるは百分の六百」に改める。
第八十五條の十中「東京都の區」を「東京都の區の區税竝に東京都の區」に改め、同條を第八十五條の十四とする。
第八十五條の七第一項を削り、同條を第八十五條の八とし、第八十五條の八を第八十五條の九とし、第八十五條の九を第八十五條の十とする。
第八十五條の六を第八十五條の七とし、第八十五條の五中「第六十四條」を「第六十七條」に改め、同條を第八十五條の六とする。」
第八十五條の四第一項中「都民税」を削り、同條を第八十五條の五とする。
第八十五條の四 東京都の區の存する區域に於ては第四十八條の四第一項の規定の準用に付ては同項中六十圓に第四十八條の二に定むる納税義務者數を乘じたる額とあるは六十圓に東京都に於ける第一條第四項に於て準用する第四十八條の二に定むる納税義務者數を乘じたる額及四十圓に區の存する區域に於ける第一條第四項に於て準用する第四十八條の二に定むる納税義務者數を乘じたる額の合算額とす
都民税の課税に付第四十八條の二第二項及第四十八條の四第二項の規定を準用する場合に於ては東京都の區の存する區域を以て市と看做す
第八十五條の十一 東京都の區は東京都條例の定むる所に依り其の區域内に於て東京都の課することを得る税の全部又は一部を區税として課することを得
前項の東京都條例に付ては内務大臣の許可を受くべし
第八十五條の十二 東京都の區は前條第一項の外別に税目を起して獨立税を課することを得
前項の獨立税の新設及變更に付ては東京都の同意竝に内務大臣及大藏大臣の許可を受くべし
第八十五條の十三 區税に付ては本法中市町村税に關する規定を準用す
前項の場合に於ては市町村、市町村長、市町村吏員、市町村會又は市町村條例とあるは區、區長、區所屬の官吏、區所屬の都吏員若は區吏員、區會又は區條例とす
第二條 地方分與税法の一部を次のやうに改正する。
地方分與税法目次中「第四款町村配付税」を「第四款 町村配付税 第五款 特別配付税」に改める。
第二條第二項中「百分の十・〇六」を「百分の十六・六七」に、「百分の十四・四〇」を「百分の三十・四二」に改める。
第六條第一項中「百分の十・〇六」を「百分の十六・六七」に、「百分の十四・四〇」を「百分の三十・四二」に改める。
第十條中「百分の六十三」を「百分の六十五」に、「百分の三十七」を「百分の三十五」に改める。
第十三條 道府縣配付税は之を第一種配付額、第二種配付額及第三種配付額に分ち第一種配付額は道府縣の課税力を標準とし、第二種配付額は道府縣の財政需要を標準とし、第三種配付額は特別の事情ある道府縣に對し其の事情を斟酌して之を分與す
第十四條 第一種配付額、第二種配付額及第三種配付額は夫々道府縣配付税總額の百分の四十七・五、百分の四十七・五及百分の五とす
第十五條第四項中「百分の百」を「百分の二百」に改める。
第十六條第二項を次のやうに改める。
割増人口は當該道府縣の大都市部人口の三倍、都市部人口の二倍及町村部人口の合算額に百五十萬を加へたるものとす
第十六條の二 第三種配付額の分與方法は命令の定むる所に依る
第十七條第二項中「前二條」を「第十五條及第十六條」に改める。
第十八條 前條第二項の規定に依り減額したる額は之を第三種配付額に加ふ
第十九條 市町村配付税は大都市配付税、都市配付税、町村配付税及特別配付税の四種とす
大都市配付税は大都市に、都市配付税は都市に、町村配付税は町村に、特別配付税は大都市、都市及町村に對して之を分與す
大都市及都市の區分は命令の定むる所に依る
第二十條第一項第一號中「半額」を「百分の四十七・五」に改め、同項第二號中「半額」を「百分の四十七・五」に「大都市、都市及町村の各總額割増人口」を「大都市總人口の三倍、都市總人口の二倍及町村總人口」に改め、同條第四項中「百分の二百」を「百分の三百」に改める。
第二十條の二 特別配付税の總額は市町村配付税總額の百分の五とす
第二十三條第四項中「百分の二百」を「百分の三百」に改める。
第二十四條第二項を次のやうに改める。
割増人口は當該市の人口に九十萬を加へたるものとす
第二十六條 前條第二項の規定に依り減額したる額は之を特別配付税に加ふ
第二十七條 都市配付税は之を第一種配付額及第二種配付額に分ち第一種配付額は都市の課税力を標準とし、第二種配付額は都市の財政需要を標準として之を分與す
第二十八條 第一種配付額及第二種配付額は夫々都市配付税總額の半額とす
第二十九條第四項中「百分の二百」を「百分の三百」に改める。
第三十條第二項を次のやうに改める。
割増人口は當該市の人口に四萬五千を加へたるものとす
第三十一條 削除
第三十三條中「第三種配付額」を「特別配付税」に改める。
第三十四條 町村配付税は之を第一種配付額及第二種配付額に分ち第一種配付額は町村の課税力を標準とし、第二種配付額は町村の財政需要を標準として之を分與す
第三十五條 第一種配付額及第二種配付額は夫々町村配付税總額の半額とす
第三十六條第四項中「百分の二百」を「百分の三百」に改める。
第三十七條第二項を次のやうに改める。
割増人口は當該町村の人口に三千を加へたるものとす
第三十八條 削除
第四十條中「第三種配付額」を「特別配付税」に改める。
第四十條の二を第四十條の四とする。
第三章に次の一款を加へる。
第五款 特別配付税
第四十條の二 特別配付税は特別の事情ある大都市、都市及町村に對し其の事情を斟酌して之を分與す
第四十條の三 特別配付税の分與方法は命令の定むる所に依る
第四十二條中「第十五條乃至第十七條、第十九條」を「第十五條、第十七條」に、「、第十五條災害土木費負債額竝に第十六條、第二十四條、第三十條及第三十七條の國民學校兒童數」を「竝に第十五條の災害土木費負債額」に改め、「人口、」の下に「第十六條の大都市部人口、都市部人口及町村部人口、」を加へる。
第四十七條第二項中「百分の十・〇六」を「百分の十六・六七」に、「昭和二十一年度に於ては百分の十・一四、昭和二十二年度に於ては百分の十・〇八」を「昭和二十一年度に於ては百分の十九・三五、昭和二十二年度に於ては百分の十八・九〇」に改め、同條第三項中「百分の十四・四〇」を「百分の三十・四二」に、「昭和二十一年度に於ては百分の十七・九五」を「昭和二十一年度に於ては百分の三十九・五一、昭和二十二年度に於ては百分の三十一・四二」に改める。
第四十八條第二項中「百分の十・〇六」を「百分の十六・六七」に、「昭和二十一年度分に付ては百分の十二・二二、昭和二十二年度分に付ては百分の十・三二、昭和二十三年度分に付ては百分の十・一四、昭和二十四年度分に付ては百分の十・〇八」を「昭和二十一年度分に付ては百分の三十六・三七、昭和二十二年度分に付ては百分の四十・〇七、昭和二十三年度分に付ては百分の十九・二一、昭和二十四年度分に付ては百分の十六・七三」に改め、同條第三項中「百分の十四・四〇」を「百分の三十・四二」に、「昭和二十二年度分に付ては百分の十四・三〇、昭和二十二年度分に付ては百分の十四・五六」を「昭和二十一年度に付ては百分の五十七・九〇、昭和二十二年度分に付ては百分の四十八・八八、昭和二十三年度分に付ては百分の三十・四三」に改め、同條第四項を削る。
第四十九條 當分の間道府縣配付税には第一種配付額、第二種配付額及第三種配付額の外に第四種配付額を設け戰災に因り税收入の減少する道府縣に對し其の減收額を標準として之を分與す
第四種配付額は道府縣配付税總額の百分の十以内に於て命令を以て定むる額とす
道府縣配付税中第一種配付額及第二種配付額は當分の間第十四條の規定に拘らず夫々道府縣配付税總額より第十四條に定むる第三種配付額及前項に定むる第四種配付額の合算額を控除したる額の半額とす
第五十條 道府縣配付税中第四種配付額は戰災後の税收入額(戰災後税額と稱す以下同じ)が戰災なかりし場合に於て收入すべかりし税收入見込額(戰災前税額と稱す以下同じ)に不足する道府縣に對し其の不足額に按分して之を分與す
道府縣配付税中第四種配付額が前項の不足額の合計額を超過する場合に於ては其の超過額は之を第三種配付額に加ふ
第五十一條 當分の間第十七條第一項中第二種配付額とあるは第二種配付額及第四種配付額とし同條第二項中第十五條及第十六條とあるは第十五條、第十六條及第五十條第一項とす
第五十二條 當分の間市町村配付税には大都市配付税、都市配付税、町村配付税及特別配付税の外に臨時特別配付税を設け戰災に因り税收入の減少する大都市、都市及町村に對し其の減收額を標準として之を分與す
臨時特別配付税は市町村配付税總額の百分の二十以内に於て命令を以て定むる額とす
當分の間第二十條第一項中市町村配付税總額の百分の四十七・五とあるは市町村配付税總額の百分の四十七・五より臨時特別配付税の半額を控除したる額とす
第五十三條 臨時特別配付税は戰災後税額が戰災前税額に不足する大都市、都市及町村に對し其の不足額に按分して之を分與す
臨時特別配付税總額が前項の不足額の合計額を超過する場合に於ては其の超過額は之を特別配付税に加ふ
第五十四條 當分の間第二十五條中大都市標準單位税額とあるは大都市特別標準單位税額とし同條第二項中前二條の規定に依る大都市配付税の額とあるは前二條の規定に依る大都市配付税の額及第五十三條の規定に依る臨時特別配付税の額の合算額とす
第五十五條 當分の間第三十二條中都市標準單位税額とあるは都市特別標準單位税額とし、同條第二項中第二十九條及第三十條の規定に依る都市配付税の額とあるは第二十九條及第三十條の規定に依る都市配付税の額及第五十三條の規定に依る臨時特別配付税の額の合算額とす
第五十六條 當分の間第三十九條中町村標準單位税額とあるは町村特別標準單位税額とし同條第二項中第三十六條及第三十七條の規定に依る町村配付税の額とあるは第三十六條及第三十七條の規定に依る町村配付税の額及第五十三條の規定に依る臨時特別配付税の額の合算額とす
第五十七條 前三條の大都市特別標準單位税額、都市特別標準單位税額又は町村特別標準單位税額は臨時特別配付税の大都市、都市又は町村に對する各分與額の總額を全大都市、全都市又は全町村の人口を以て除したる額に大都市標準單位税額、都市標準單位税額又は町村標準單位税額を加へたる額とす
第五十八條 第五十條及代五十三條の戰災前税額及戰災後税額竝に前條の人口は命令の定むる所に依る
第五十九條 昭和二十年度分以前の國税附加税額の算定に付ては第十五條第四項中百分の二百とあるは百分の百、第二十條第四項、第二十三條第四項、第二十九條第四項及第三十六條第四項中百分の三百とあるは百分の二百とす
昭和二十一年度分の家屋税附加税額の算定に付ては第十五條第四項中百分の二百とあるは百分の三百二十、第二十條第四項、第二十三條第四項、第二十九條第四項及第三十六條第四項中百分の三百とあるは百分の四百二十とす
第六十條 昭和二十一年度及昭和二十二年度に限り第十一條第一項中前年度初日とあるは當該年度初日とす
第六十一條乃至第七十四條を削る。
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。但し、地方税法第一條及び第八十五條の十一乃至第八十五條の十四の改正規定の施行の期日は、勅令でこれを定める。
この法律(前項但書に掲げる改正規定、地方税法第二十六條及び第八十條の改正規定竝びに附則第六項の規定を除く。)は、昭和二十一年度分から、これを適用する。
地方税法第一條の改正規定の施行されるまでは、地方税法中府縣に關する規定を東京都及び北海道地方費に準用する場合において、「府縣民税」とあるのは「東京都民税」又は「北海道民税」と讀み替へるものとし、改正後の同法第八十五條の四中「第一條第四項」とあるのは「第一條第三項」と讀み替へるものとする。
昭和二十一年度分の家屋税附加税及び家屋税割に限り、地方税法第四十六條の改正規定中「百分の二百」とあるのは「百分の三百二十」、「百分の二百四十」とあるのは「百分の三百八十」、同法第六十一條の改正規定中「百分の三百」とあるのは「百分の四百二十」、「百分の三百六十」とあるのは「百分の五百」、同法第七十五條第一項中「家屋税の百分の二十五」とあるのは「家屋税の百分の三十五」、同法第七十六條第一項中「家屋税の百分の六十八」とあるのは「家屋税の百分の九十五」、同法第八十五條の二の改正規定中「百分の五百」とあるのは「百分の七百四十」、「百分の六百」とあるのは「百分の八百八十」、改正後の同法第八十五條の七中「百分の九十三」とあるのは「百分の百三十」と讀み替へるものとする。
昭和二十一年度分に限り、地方税法第四十五條中「地租附加税、家屋税附加税及營業税附加税の賦課率」とあるのは「地租附加税及營業税附加税の賦課率竝に家屋税附加税の賦課率より百分の四十を減じたるものを一・四を以て除したるもの」、同法第五十九條中「地租附加税、家屋税附加税及營業税附加税の賦課率」とあるのは「地租附加税及營業税附加税の賦課率竝に家屋税附加税の賦課率を一・四を以て除したるもの」、同法第四十八條の三第一項及び第六十五條第一項の改正規定中「四月一日」とあるのは「十月一日」と讀み替へるものとする。
日滿地方税徴收事務共助法は、これを廢止する。
―――――――――――――――――――――
〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=57
-
058・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 只今議題となりました所得税法の一部を改正する等の法律案外一件に付きまして御説明を申上げます
終戰後に於ける時局を速かに收拾し、國民生活の安定を確保し、新しき日本の建設を期する爲め、當面必要と致します財政需要は相當の巨額に上つて居る次第であります、之に善處致します爲に、租税に付きましても國民經濟の實情及び國民生活に及ぼす影響等を愼重に考へました上、適當と認められる増税等を行ひ、國庫收入の増加を圖つて財政の強化に資しますと同時に、經濟諸情勢の推移に應じまして國民負擔の公正を期し、併せて徴税の簡素化を圖ることに致したいのであります、即ち直接税に付きましては、分類所得税の増徴を主眼と致しまして、特に資産所得に對して重課致すことと致しました、又間接税に付きましては、酒類等嗜好品に對し重課することと致し、其の他各税に亙つて最近に於ける物價及び取引の状況等に即應致しまして、相當の増税を行はうとするものであります、同時に目下の事情として課税を不適當とするに至りました若干の租税を廢止、又は改正致しまする等、戰時税制を平時税制に移行せしめる爲に所要の整備をも併せて行はうとするものでございます
本案の内容を申上げますれば、先づ分類所得税に付きましては、租税收入の半ばに達しまする最も重要なる租税でありまするので、今囘の増税に於きましても、只今申述べました通り之に主眼を置いて居るのでございます、即ち資産所得に對し増徴の程度を強く致します、勤勞所得に對しましては其の程度を弱く致します趣旨に依りまして、所得の種類の性質に應じて差等を付けながら、原則として百分の二乃至百分の七程度の税率の引上を行ひまして、さうして總税額に於ては二割五分程度の増徴を圖ると云ふ計畫であります、又綜合所得に付きましては、分類所得税の税率の引上に照應しながら税率を改訂致しまして、高額所得者に對する課税の擴充を期することと致して居ります
法人税に付きましては、法人の臨時利得税を法人税に統合致しまして、普通所得と超過所得とに區分を致して課税致します、普通所得に對する税率は百分の二程度上げました、超過所得に對する税率は、從來の臨時利得税程度の税收を擧げる目途の下に之を定めることと致して居ります、之に伴ひまして、特別法人税に付きましても相當程度の税率の引上を行ふことと致して居るのであります
臨時利得税は今次の戰爭終了後一年以内に廢止すると云ふことになつて居たのでございますが、今囘の税制改正を機と致しまして之を廢止致します、併し法人の臨時利得税は前に申上げましたやうに、實質に於ては之を法人税に統合致します譯でございます、又個人の不動産等の讓渡に對する課税は之を所得税に統合致して居るのであります
それから相續税でございますが、是は高額財産の相續者に對する税率を相當程度引上げることと致します、同時に課税最低限又は扶養家族控除額は二倍乃至四倍程度に引上げまして、以て小額財産の相續者の負擔を緩和することと致したいのでございます
又地方團體の財源でございます地租、家屋税及び營業税に付きましても、地方財政の状況等を考慮致しまして、相當程度税率を引上げ、其の他鑛區税、有價證券移轉税、登録税に付きましても、相當程度税率の引上を行ふ計畫でございます
次に酒税に付きましては、此の酒類が嗜好品である性質に鑑みまして、此の際相當重く税を課することは已むを得ないことと認められますので、各種酒類の品質等に應じまして、税負擔に差等を付しながら、總税額に於て十九年度程度の増收を圖ることと致したのであります
織物に付きましては、消費税と物品税とを統合致しまして、徴税の簡素化を圖ると共に、税率を原則として百分の四十に致しました
物品税に付きましては、徴税を簡素且つ適正ならしむる爲に、現在の第一種の物品は小賣課税を致して居るのでありますが、今囘之を改めまして、原則として製造課税に致しました、又製造課税に改めることの困難な一部の物品に對しましては、其の課税を廢止することと致した譯であります、又甲類物品に對する税率百分の百二十と云ふのが從來の税率でありますが、是は餘りに高きに失しますので、之を百分の百に引下げます、又飴などに對しましては砂糖と同程度の税率の引上を行ふことと致しました外、清涼飮料税、砂糖消費税、骨牌税、印紙税等に付きましても、相當程度の税率の引上を行ふ計畫でございます
以上の増税に即應致しまして、税制を出來る限り簡素適正ならしむると共に、終戰後に於ける事態に應じまして、税務の運營の適正等を期することと致しまする爲め、現在に於きましては課税するを不適當と考へられるに至りました配當利子特別税、外貨債特別税、建築税、特別行爲税、電氣瓦斯税及び廣告税等は之を廢止致しまする外、各税法に亙りまして必要な改正又は廢止を行ふことと致しました
尚ほ今次の戰爭遂行上の必要等に依り實施せられて參りました臨時租税措置法は、今囘租税特別措置法と改めまして、生産の増強竝に國民生活の安定其の他現下緊要の諸政策の遂行に資する爲め、特に必要とせられる租税の減免等に付てのみ之を整備存置致しまして、戰爭遂行上の必要に依つて定められました租税の減免等は、此の際之を廢止することに致しました
以上述べました増税等各種の措置に依りまして、平年度に於て三十九億七百餘萬圓、初年度であります昭和二十一年度に於て二十四億五千百餘萬圓の増收となる見込でございます
今囘の増税等の大綱は以上の如くでありますが、今次の戰爭開始の前後を通じます累次の増税に依りまして、國民の租税負擔は現在に於ても相當重いものとなつて居ります、國民經濟乃至國民生活の不安定な今日に於きまして、更に増税等に依りまして重税を課することは洵に忍び難いことであります、併しながら財政の基礎を出來る限り鞏固にし、急速に財政經濟の再建及び國民生活の安定を圖ります爲には、洵に已むを得ない次第であると考へて居る次第であります、政府は本増税等の實施に付きまして、國民各層の深き御理解と御協力とに期待致しますと同時に、一層適實公正な税務の運營に付きまして十分な努力を致したいと覺悟致して居ります、尚ほ國民經濟の推移及び國民生活の實情に即しまして、出來るだけ早い機會に租税制度の全般に亙る根本的整理改正を行ひまして、適正な國民負擔の實現を圖りたいと、只今其の計畫を致して居る次第であります、何卒以上の次第を御諒恕の上、速かに御協贊を與へられんことを切に御願ひする次第であります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=58
-
059・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 大村内務大臣
〔國務大臣大村清一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=59
-
060・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今上程になつて居ります三法律案の中、第三の地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案に付きまして其の要旨を説明致します
地方公共團體の財政は、多數都市の戰災と、終戰後の社會經濟情勢の一變とに依りまして、其の事情が激變致し、困難なる段階に立至つて居るのであります、此の地方財政の現況を概括して申述べて見ますれば、戰災其の他に依り地方公共團體は多大の税源を喪失致して居ります、加ふるに物價の騰貴に依る職員の給與改善費竝に戰災復興其の他災害對策、食糧對策等に多額の財源を必要と致して居ります、更に戰災其の他に依り、地方公共團體間の財政事情の不均衡は極めて著しく、且つ其の状況は甚だしく複雜と相成つて居ります、而も地方行政の民主化、地方自治の發達を期しまするには、地方制度の改革と相竝行致しまして、地方自治團體の財政の強化と其の自主化を圖ることが必要であります、斯くの如き地方財政の現況に鑑み、今囘第一に地方財源の擴充、第二に地方財政の自主性の強化、第三に地方財政調整の適正化、此の三つのことを目標と致しまして、地方税法及び地方分與税法の一部を改正せんとする次第であります
先づ地方税法中の改正事項に付て概要を申述べますが、是は大體に於て地方税全般に亙つて相當の増税を行はんとするのであります、今や地方民の擔税力は増強した面もありますが、又弱化したる面もあるのであります、殊に生活上の困難さが増大して居ります時に、一般的増税を行ふには深甚の考慮を加へなければならぬことは申すまでもありませぬ、併しながら多額の地方財源の補填を國庫財政の援助にのみ俟ちますことは、國庫財政も亦逼迫して居る今日に於きましては、所詮多くを期待することは出來ないのであります、隨て地方税自體に於て相當の増税を行はんとするものであります、而して増税に當りましては、地方の財政上の自主性を強化することも併せ考慮して居る次第であります
改正の第一點は、地租、家屋税及び營業税の所謂三國税の附加税に付きまして、其の標準賦課率を道府縣、市町村とも各各百分の百づつ増率せんとすることであります、而して其の本税たる各國税に於きましても、今囘相當の増税が行はれますから、之と地方賦課税率の増率と相俟ちまして、地方は相當の増收を期待することが出來るのであります
改正の第二點は、市町村民税の納税義務者一人當りの平均賦課制限額を四十圓に引上げますると共に、更に制限外課税の途を設けんとすることであります、尚ほ納税者一人に對する最高賦課額に付きましては、其の賦課總額を著しく引上げる關係もありまして、法定の制限は之を撤廢致しましたが、之に依つて過當の賦課が行はれないやう適切なる措置を講ずる所存であります
改正の第三點は、府縣に對して納税義務者一人當りの平均賦課制限額を六十圓とする所の府縣民税を新たに設けんとすることであります、其の内容は大體市町村民税に準じて居るのであります
改正の第四點は、現在市町村に對して認められて居りますと同樣に、府縣に對しましても新たに法定外獨立税設定の權能を附與せんとすることであります
次に地方分與税法の改正に付て其の主要なる點を説明致します、改正の第一點は、配付税全體に關する事項でありますが、其の一つは前述の地方税制の改正竝に國費地方費の負擔區分の改正等に依り、地方は相當の收入を見込み得るのでありますけれども、之を以て未だ地方財政需要の増加額及び戰災に依る地方税の減收を補填するに足りませぬから、其の不足額は配付税の増額に依つて措置することと致しまして、是が爲め其の繰入率及び分與率を改訂せんとすることであります、而して昭和二十一年度の配付税總額は實に二十三億三千餘萬圓と相成りまして、前年度の八億九千餘萬圓に比し相當大幅の増額と相成つて居るのであります、其の二は、道府縣及び市町村に對する財源賦與額と財源所要額との調整を配付税に於て圖りまするが爲に、配付税の道府縣の分と市町村の分との割振りを變更致しまして、道府縣の分に百分の二を増さんとすることであります
改正の第二點は、道府縣の配付税に關する事項でありまするが、其の一つは、戰災後の道府縣の財政事情は極めて複雜な變化を來して居り、隨て過去の實績を基礎と致しまする固定した法定の分與基準のみを以て致しましては、配付税分與の適正を期し難いので、新たに特別の事情ある道府縣に對して、其の事情を斟酌して分與する所の第三種配付額を設けんとすることであります、其の二は、都市方面の特に甚だしい財政需要増加の状況、人口少數團體に對する財源賦與の必要、國民學校兒童數の一時的なる増減の状況等に鑑みまして、財政需要に應じて分與する所の第二種配付額の分與基準となつて居ります各道府縣の割増人口の算定方法を改正致しまして、大都市部人口の三倍、都市部人口の二倍、町村部人口の一倍の合算額二百五十萬人を加へたものに依ることと致し、國民學校兒童數に依る人口割増の制を廢止せんとすることであります
改正の第三は、市町村の配付税に關する事項でありまするが、其の一は戰災後大都市、都市、町村間の財政事情も亦極めて複雜なる變化を示し、法定の分與基準のみを以て致しましては、大都市、都市、町村に對する配付税分割の適正を期し難き状況にありまするので、市町村配付税中に新たに大都市、都市、町村を通じまして、特別の事情ある市町村に對し、其の事情を斟酌して分與する所の特別の配付税を設けんとすることであります、之に伴ひまして都市配付税及び町村配付税の中で、從來同じ作用を致して居りました第三種配付額は不用となりますので、之を廢止することと致したのであります、其の二は、市町村配付税總額を財政需要を標準と致しまして大都市、都市、町村の三「ブロック」に分與する場合、都市方面の特に甚だしい財政需要増加の状況に鑑みまして、大都市總人口の三倍、都市總人口の二倍、町村總人口の一倍に按分することに改めんとすることであります、其の三は、人口少數團體に對する財源賦與の必要、國民學校兒童數の一時的な増減の状況等に鑑みまして、大都市、都市、町村の各配付税中、財政需要を標準とする第二種配付額の分與基準となつて居ります所の割増人口の算定方法を改めまして、大都市に付ては加算人口六十萬でありますが、之を五割増致しました九十萬に改め、都市及び町村に付きましても、是と同樣にそれぞれ五割づつ増しますると共に、何れも國民學校兒童數に依る人口割増の制を廢止せんとすることであります
改正の第四點は、配付税の臨時特例に關する事項であります、戰災團體の財政状況に鑑み、其の税の減收額の二分の一程度を補填すると云ふことを目途と致しまして、道府縣配付税中に第四種の配付額を、又市町村配付税中に臨時特別配付税を設けんとすることであります、以上の通りでありますので何卒御審議の上御協贊あらんことを希望致します(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=60
-
061・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 質疑の通告があります、順次之を許します──西村久之君
〔西村久之君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=61
-
062・西村久之
○西村久之君 只今上程中の所得税法の一部を改正する等の法律案外二件に關聯致しまして、此の案は直接に國民の生活に影響を致しますると共に、國民經濟の脅威を來す虞ある重大なる案件と信じまするが故に、所信を述べ、三、四項に亙りまして、大藏大臣竝に内務大臣の率直なる御意見を拜聽し、國民の安心をするやう御答辨を願ふ積りでございます(拍手)
先づ第一に御尋ねを申上げて見たいと思ひますることは、國民の總負擔力が、國家の要請せられんとする所の各種の租税竝に近く全貌を現はさんとする所の財産税、之を果して國民の擔税力に依つて賄ひ得られるか否かと云ふことに付きまして、殘念ながら私も些かの杞憂を持ち、心配を致しますると共に、國民も齊しく此の點に付きましては憂慮心配をして居るのではなからうかと存じまするので、此の點に付きまする所の大藏大臣の確乎たる御方針を伺ふ積りであります(拍手)御承知の通りに、戰に敗れました日本國民が、今後國家再建に當りまする上に於きまして、負擔力の及ぶ限りを國に捧げて再建を圖らんとすることは、國民齊しく覺悟の上であらうと信ずるのであります、併しながら若し財政計畫を誤れる場合に於きましては、自己の負擔能力を以て政府の要請する諸税金を賄ひ得ざる結果を來しまするが故に、其の際に於きましては、國民は經濟的に破綻に向はなければならないと云ふ心配があるのであります、此の點を私熟熟と考へまして、甚だ大藏大臣に對して申上げにくい言葉かは知りませぬが、只今より引例を致しまして大藏大臣の所見を伺ひたいと存じます
御承知の通りに租税法の改正に依りまして、國民が重い所の税を受けることは、大藏大臣も内務大臣も、是は共に御認めになつて居られる所でありまして、只今の御演説中に、國民の苦しい立場に立つことは自分で之を御認めになつて居られるのであります、私は此の大臣が御認めになられる國民の負擔と云ふものは、政府の税の課けやう如何に依つては破綻する嫌ひを痛感致すのであります、何となれば今日増税を圖られたる所の所得税の増徴に付て、引例して大藏大臣の御所見を伺ひますが、綜合所得税の最高率は百分の六十七だが、之に對しまして分類所得税率百分の三十、此の雙方を加へますれば賦課率は百分の九十七と相成るのであります、而して昨年中に國民が最高限度、即ち三十萬圓を所得して居る者がありと假定致しまするならば、其の方に課かります所の所得税は二十九萬一千圓と相成るのでありまして、僅かに九千圓を殘すのみと相成るのであります、其の金は三十萬諸共三月二日に凍結をなされて居るのでありますから、在活必需用の費用より外に引出しが出來ず、尚ほ儼然としてあるものと豫想しなければならぬのであります、其の場合に政府が三十萬の凍結したそれを基準として財産税を御課けになりまする際には、九千圓で以て政府の要求せんとする財産税が補はれるかどうかと云ふ點に心配があるのであります、他に色々財産を持つて居ります方々ならばいざ知りませず、所得其のものを銀行に預け、三十萬より外に財産のない方でありましたならば、政府の要請される財産税には、恐らく三十萬の財産者として納税の義務は果し得ぬ嫌ひを生ずるのではなからうかと考へるが故に、さう云ふことを考へまして、國民が若し破綻せんと致しまするならば、財産税の賦課率は百分の三以上に達すべからずと云ふ結論に相成らなければ、納める所の金はないと云ふ結果に相成るので、なからうかと私は信ずるのであります、此の點に付きまして大藏大臣は、所得税其の他の諸税竝に財産税を賦課した際に、國民の擔税力には聊かも狂ひを生じない、さう云ふことには相成らないと御言明が願はれますれば結構だと存ずるのでありますが、大藏大臣の御所見を伺ひたいと存じます
次に國が今日多額の費用を要しまする際に、普通所得者が所得税の増徴を圖られるのは、是れ致し方なしと致しましても、勤勞者大衆の所得までも引上げて、茲に税收を圖らなければならないと云ふ程に、國家の前途に不安あり、苦しい財政状態であるか如何であるかと云ふことを御尋ね申上げるのであります
御承知の通り國民は政府の課税方法なり、財産税の徴收方法なり、賦課率なりの明示が遲れる爲に、戰々競々と致しまして、自己の財政或は自己の世帶の經理の心配をなされて居る者が多數あると思ふのであります、さう云ふやうな事柄が結局新圓の退藏に相成るのではないかとも考へられるのであります、隨て大藏大臣は此の法案で見ますると、所得税の納期を附則で一箇月延期されて居るかのやうに承知致すのでありますが、今度決定されました所の税法に依つて課税する所の所得の對象は、所得税は凍結されましたる本人の所得金、即ち三月二日の凍結資金で以て所得税の納税を御認めになる方針であられるかどうか、此の點をも重ねて御尋ね申上げて見たいと存じます
次に政府が國民の總所得を決定するに至りました所の基準は、何れに立脚して之を算定されたものであるかと云ふ點をも、重ねて御尋ねを申上げて置くのであります
第二に御尋ね申上げて見たいと存じますることは、遊興飮食税に關する件と、今囘新設致されました所の府縣民税に對する件との二件に付て、關係大臣の御意見を伺ひたいと思ふのであります、遊興飮食税は、過去に於きましてはいざ知りませず、今日に於きましては惡税でありまして、一般大衆の負擔を税で徴收せんとするやうな惡税ではなからうかと云ふことを私は考へるのであります、如何となれば、過去に於ては一品十圓の品物は相當良い品物であつたのでありますが、今日物價高の影響を受けまして、何品一つとして十圓以内で食べられるやうな品物はないやうな實情であります、其の際に於きまして一品十圓を標準として遊興飮食税を負擔致しまする際には、一般大衆が食堂に入つて戴きまする所の其の食物に税を課せられる嫌ひがありまして、大衆課税の謗りを免れない結果と相成るのではなからうかと存ずるのであります、のみならず此の税は徴收技術の上に於きまして頗る難點があるのであります、正直なる人は納め、正直ならざる人は納めないと云ふやうな、そこの分別をすることが頗る困難なる關係にある税であるのであります、斯くの如き所の税は速かに之を撤廢する意圖なきや否やと云ふ點を御尋ねを申上げます
次に新設されました所の地方府縣民税に付きまして、一應御尋ね申上げて見たいと存ずるのでありますが、是は先程内務大臣の御説明を伺ひますれば、地方税源の緩和上新設したのであると云ふ意に解したのであります、私は地方税源を緩和する爲に新設なされんと致しまするならば、税の體系上、斯くの如く市町村民税或は府縣民税と云ふやうな、税を二本建になされずして、國税一本建の國民税として、地方の財源は配付税に依る分與の方法を執られるのが、簡素なる税の建前でないかと考へるのであります、此の點に對します所の内務大臣の御所見を伺ふのであります
最後に御尋ね申上げるのは、闇に對します所の課税、是が脱税、と申しますか、税を逃げる虞があるのであります、さうなりますと、淳朴なる所の國民は重き所の負擔を受け、闇屋の諸君は樂々と、負擔を受けずして新圓を退藏すると云ふことになります、さうすれば國民負擔の衡平を缺く嫌ひがあるのでありまして、國民は公平適正なる所の負擔を受けなければならないものと信ずるのであります、尤も之を取締るのには別途の方法があるのではありますが、私はここで租税を以て何等かの處置をして、之を囘收せんとする所の御意圖はないものかどうか、此の點を御尋ね申上げて見たいと存ずるのであります、以上を私の質疑と致しまして、殘餘の質疑は其の他の機會に讓ることに致します(拍手)
〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=62
-
063・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 只今の御質問に對して御答へ申上げます、所得税の税率は御話のやうに高額所得者に對するものは非常に高いものに相成ります、併し是は超過累進税でございますから、其の高い税率は超過部分に課かるのでありまして、例へば先程御話の三十萬圓の所得のある人には、其の下から九十何「パーセント」が課かる譯でございませぬ、隨つて御計算の三十萬圓の所得者が殘る所九千圓と云ふのは少し相違がございまして、三十萬圓の所得者には、是は假に勤勞所得と致しますならば、さうして家族が四人と云ふやうな計算で致して見ますと、二十二萬八千九百八十二圓税が課かりますから、殘る所は七萬一千十八圓と云ふことになりまして、御話の九千圓より稍稍多いものであります、それから其の結果財産税が納められなくはないかと云ふ御話でありますが、財産税は現在其のそれぞれの方が持つて居る財産に課税するのでございます、隨て其の財産が必ずしも現金でなくても宜い譯でありまして、若し現金等がなければ物納をも許す譯でありますから、一方に於て所得税を取られるから財産税が拂はれないと云ふことは起らない次第と思ひます、大體に於て本年度に於て先程御説明申上げましたやうな増税を致し、又近い機會に御協贊を仰ぐ財産税法が出來る譯でありますが、兩者とも我々と致しましては現在の事情に見まして、必ずや實行が出來ると云ふ目途の下に、其の確信の下に立案を致して居る次第であります
尚ほ勤勞所得税の問題は各方面から屡屡御尋ねがありまして、其の度に御答へして居る次第でありますが、是は所得税と云ふものが現在の日本の税法に於ては根幹でありまして、而も其の所得税の中では所謂勤勞所得税が根幹である譯でありまして、之を若し變へると云ふことになりますれば、全體の税制の根本的考へ方を變へなければならぬのであります、大體今日の世界の税制に於ては、所得税が中心であると云ふことが先づ一般の税制でありますし、又所得税の中では日本で申します所謂勤勞所得税が重要なる部分を占めて居ると云ふことも世界全體の例でございます、それだから世界の例必ずしも日本に用ひると云ふことはありませぬが、兎に角國民全體が、或る程度以上の收入があれば必ず何がしかの國税を直接に負擔すると云ふ建前から申しますと、勤勞所得税と云ふものは、原則、原理としても廢止は出來ない次第であります、而して是は其の財政の状況に依りまして非常に伸縮性を持つて居るものでございまして、此の點が分類所得税の一つの特徴でありますが、今年度の如き財政の困難なる場合に於きましては其の税率を殖やす、其の代り假に明年に於て財政が樂になると云ふことになれば直ちに税率を下げるし、年々歳々上げもし、下げもする、茲に分類所得税の妙味がある譯であります、近年は遺憾ながら上げる方ばかりでありまして、殘念至極でありますが、さう遠くない將來に於て下げる機會もあらうと思ふのであります
尚ほ封鎖預金で税が拂へるかと云ふ御尋ねでありますが、拂へます、所得税等決つたものは封鎖預金に依つての支拂を受けることになつて居りますから、左樣御承知を願ひます
又遊興飮食税、是は中々問題の税であります、御説如何にも御尤もでありますが、唯差詰めと致しましては、遊興飮食税を廢止すると云ふやうなことを致しますると、他の物品税等との振合がございまして、やはり此の一つだけを廢止すると云ふことは振合上困難であります、もう一つは、此の免税點を引上げましても、既に十圓以上になつて居るのでありますが、大體に於て此の税は花代及びそれを伴ふ所の飮食に重課されて居る次第でありまして、其の點から申せば所謂大衆課税ではないと云ふ意味もありまして、本年度は兎に角之を存置することに致した次第であります
尚ほ所謂闇と申しますか、それに對する課税と云ふことが屡屡問題になる譯でありますが、我々と致しましては、闇であるとか何とかと云ふことは、税と云ふ立場からは考へない譯でありまして、兎に角各自の所得、收入と云ふものに對して、それを捕捉して課税すると云ふ建前で參ります、唯併しながら或る種の事態の人達の所得は中々之を捕捉することが技術上困難である爲に、逋脱する向きがあることは甚だ遺憾でありますが、是は税務行政等を擴充すると同時に、從來とも是等の捕捉に努力して居る次第でありまして、近年或る程度それ等を捕捉し、現に課税を致して居る次第でありますから、御諒承を願ふ次第であります(拍手)
〔國務大臣大村清一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=63
-
064・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 戰後の地方財政は歳出が激増せざるを得ないと云ふ情勢にありますので、之に振向けます所の歳入をどうしても考へなければならぬ、之に付きましては政府財政に於きましても極力援助は受けたのであります、即ち國費、地方費の負擔區分を是正致しまして、從來よりも國庫が餘分に費用を負擔すると云ふやうな措置も講じ、其の他政府から出來るだけの援助を仰ぐと云ふことは致したのでありますが、國庫財政に於きましても窮迫状況は地方財政に讓りませぬので、地方財政自體に於て財源を求めると云ふことは、此の際是非考へなければならぬと云ふ事態に立至つて居りますので、此の際國民の負擔は洵に重く、其の點から考へますると好ましいことではございませぬが、已むを得ず出來るだけの増税を致しまして、此の難局を切拔けると云ふことに致さざるを得ないのであります、どうか此の點に付きましては、國民各位の理解ある御納得を仰ぎたいと思ふのであります、而して増税を致す場合に於きまして、府縣民税乃至市町村民税の増徴と云ふやうなことに依らず、之を國税一本で徴税することが簡便ではないかと云ふことでございまするが、國税で以て國民の擔税力を十分に捕捉することは、中々言ふべくして行ひ難い面があります、地方税として地方の自治財政に依つて徴税を致しますれば、そこに國民の擔税力を公平妥當に捉へ得ると云ふ面もあることでありますし、又今囘地方制度を改正致しまして、之を大いに民主化すると云ふことに相成りましたので、是が裏付けとなる地方財政の上に自主性を持たせると云ふことは甚だ必要なことでもあります、彼此れ勘案致しまして、今囘府縣民税は納税者一人當り六十圓と致しまして、年額八億八千萬圓、市町村民税は從來の低い率を四十圓に引上げますことに依りまして、年額四億八千萬圓と云ふ増收を圖ることに致したのであります
尚ほ先に法律案説明の時に申上げたことでありまするが、政府に於きましても、地方財政、地方民の負擔の重課を慮りまして、分與税に於きましては、前年度八億九千餘萬圓の所を一躍二十三億三千萬圓に増加致しまして、前年に比べますと二倍五、六分の激増でありまするが、さう云ふやうな措置も執つて居ります、是等の考慮に依りまして、地方民は、どうか忍び難い所でありますが、此の難局はお互ひに協力して之を切拔けると云ふ所に格段の御理解を仰ぎたいと思ふ次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=64
-
065・西村久之
○西村久之君 只今の内務大臣の御答辯は私の質問要旨とは大分違ふのであります、私の質問申上げたのは、市町村民税と縣民税は之を廢めて、國民税として國が税を一本に徴收して、地方財政には分與税の形で財源の補給をするやうに、租税體系を改める意思を持たないかと云ふことを御尋ね申した次第であります
〔國務大臣大村清一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=65
-
066・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 重ねて御答へ申上げまするが、府縣民税、市町村民税を廢めまして、國税一本で取りますることは、地方財政の自主性を持ちます上に於きまして適當でありませぬから、府縣民税、市町村民税で行くと云ふやうに考へて居ります、又實際の課税問題に於きまして、國税で以て總ての擔税力を捉へると云ふよりも、國税、地方税兩税に依りまして、巧みに擔税力を公平妥當に捉へることが適當であると云ふやうに考へて居りますので、國税一本に致しますよりも、府縣民税、市町村民税を維持發達さした方が適當だと云ふやうに考へて居る次第であります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=66
-
067・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 小池新太郎君
〔小池新太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=67
-
068・小池新太郎
○小池新太郎君 私は上程中の所得税法の一部改正等の法律案外二件の改正法律案に付きまして、關係大臣一々の御答辯を求める次第であります
先づ第一に我が國の財政の將來に付きまして、藏相として明確なる見透しを持つて居られますや否やを一應御尋ね致したいのでございます、石橋藏相は凡ゆる機會に於かれまして御答辯にはなつて居るのでございまするが、是までの御答辯にては、國民と致しまして未だ納得が行かないとの聲が高いのであります、即ち國民所得の全般を測定致しまして、我が國經濟の前途の動きを測定し、合理的なる經濟再建の妙味を國民に示さるべきであると思ふのであります、財産税其の他新税創設が噂に上りました當時、財産税を實施したなれば、發行公債の償却に充當して健全財政の一歩に入るとのことで、約一千億圓程度の徴税可能が傳へられたのであります、敗戰國民と致しまして是も致し方ないことであるとの考へを抱いて居つたのでありましたが、石橋藏相が御就任以來、財産税の一部を一般會計に繰入れると稱されたり、或は又最近に至りましては、新聞記者諸君との會見に於て、法人財産税、戰時利得税、個人財産増價税の課税を見合せ、個人財産税のみと致し、而も不動産に對して重課する等々言明をされて居るのであります、是が爲め今日の暗澹たる世相に於きまして、政府に確乎たる財政上の御信念なきにあらずやとの世評を耳に致すのであります、心ある者は洵に心外に堪へない所でありまして、新生日本再建の基盤たる健全財政確立の見透しは此處であると云ふ方向を明示せられまして、此の際石橋藏相の御意思を國民に披瀝せられたいと思ふのであります
次に昭和二十一年度改定豫算書は既に提出せられましたが、本改正法律案の通過に依りまして見積りをせられたる増加額をも含めまする租税收入百三十二億九千八百萬圓を以て經常部支出に充當せられるのでありまするが、果して此の沈滯を致して居りまする財界の現状に鑑みまして、各租税收入に於て缺陷がないと御考へになつて居るのでありませうか、私は必ずや缺陷を免れずと考へる一人であります、若し缺陷を生じましたる場合に於きまして、其の補填の方法に付て如何なる御考へを御持ちになつて居りまするか、はつきりと承つて置きたいのであります
次に納税は國民と致しまして日常忘るべからざる義務心の發露でなければならぬのであります、是が課税に當りましては最も公正に、納税者に接する税務官吏は言語を愼み、努めて懇切丁寧を旨として相互に諒解滿足を致し、進んで納税すると云ふ美風を確立することが最も大切であります、然るに現行所得税、營業税、兩税の課税體系や是が税率等に於きましては、洵に遺憾の點が多いのでありますが、今囘提出の改正要點にも是等の遺憾の點に何等觸れることなく、妙味がないのであります、唯々増税のみの税率引上に止まつて居るのであります、納税者の意思を十分尊重して本當の民主主義を主眼とする税法の大改正を行はれる御意思はないか否やを御伺ひするものであります
次に西村君より御伺ひを致しまして、既に御答辯はあつたのでありまするが、遊興飮食税、物品税であります、此の税は脱税が多く、其の他の弊害を多分に伴う國税であります、全く税收の多寡は兎も角と致しまして、平時の國税體系には相應しくないと私は考へるのであります、是非廢止をせられる如く御一考が願ひたいと思ふのであります
次に食糧の問題は未だ二十年産米が供出遲々として目的達成に至つて居ないのであります、紙上に發表になりまする供出成績は、麥類の供出に惡影響を及ぼしつつあるのでありまして、洵に遺憾に存ずる所であります、政府は此の際相當額の報奬金を遡つて支出をして、供出の促進を圖られる意圖はありませぬか、更に和田農相の妙案と稱する農家保有米の減量であります、是は農村民の感情を刺戟して其の後の供出面に支障を來して居るのであります、之に對しまして如何なる御考へを持たるるや、(「問題外」と呼ぶ者あり)承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=68
-
069・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 一寸御注意致します、少し問題と離れて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=69
-
070・小池新太郎
○小池新太郎君(續) 問題に移ります、次は地方分與税に移ります、地方分與税制定の趣旨は只今内務大臣より縷々ご説明があつたのでございまするが、此の税に付ては、戰災に依りまして、制定當時と今日の税源は非常なる變化を生じて居るのであります、政府は從來と異なつて恆久性のある税源を求められて、貧弱なる市町村に對する十分なる分與を用意せらるる御意思がないかどうか、承りたいと存ずるのであります
尚ほ本年改定豫算に計上せられて居りまする分與税の總額は二十三億圓、即ち二十年度の分に比べまして十四億圓の増額と承つたのであります、地方に依りまして異なるかも存じませぬが、地方廳から市町村へ豫め指示をせられて居る分與税額は、前年の約半數程度の下渡金であると云ふことを申して居るのでございます、甚だ不可解に存ずるものでありまして、唯さへ財源の涸渇に惱んで居りまする市町村に對して、前年より減額分配せられるが如きことは萬々ないとは考へるのでありまするが、事實とすれば由々しき問題でありまして、増加額を等分せらるるものとは存じまするが、此の機會に御當局の御意思を承つて置きたいのであります
要は、財政の按配が直ちに經濟界に顯現を致します、敗戰日本は只今浮沈の岐路にありまして、社會の隅々まで多大の不安な空氣が漂つて居るのであります、我が國財政の赤字は改定豫算面に見ましても、既に二百數十億圓ありまするが、其の上に賠償に依つて生ずる赤字が更に四百億圓も加はると云ふことになりますることは、一層國民の國家財政に關する不安を助長するものと思ふものであります、斯かる赤字財政に付ては、如何なる時期に於て、如何なる方法に依つて、如何なる財源を以て此の赤字を決濟すると云ふ明確なる御計畫を持つて居られねばなりませぬ、然るに此の税制の改正に基礎を置いて提出せられました本年度改定豫算に於きましても、我々は毫も前途に光明を發見することが出來ぬのであります、斯樣な一時的糊塗策に終らず、宜しく根本的に税制の改正を斷行せられんことを切望するものでありまするが、藏相の率直な御答辯を御願ひ致しまして私の質問を終ることに致します(拍手)
〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=70
-
071・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 財産税に付きましては目下立案を致して居りますが、私はまだ其の財産税の内容に付て新聞に言明を致したことはございませぬので、新聞に出て居る儘を御信用のないやうに願ひたいのであります
尚ほ健全財政に付ての御尋ねでありますが、財政の「バランス」を合せると云ふのが一つの狹い意味の健全財政でありますが、國民經濟の「バランス」を合せると云ふことが一層必要な健全財政であると考へて居る譯でありまして、左樣な財政の處理を今後致して行きたいと考へます、國民經濟の「バランス」が合ふと云ふことであれば、即ちそれが増産であり、國民所得が殖えると云ふことでありまして、それを目途に致さねば今日の財政經濟の處理は出來ない次第でございます
最後に御尋ねの赤字をどうして消すかと云ふことも、それに繋がる譯でありまして、即ち一方に於ては歳出の削減をする必要がありますが、一面に於て歳入の増を圖る、歳入の増を圖るには國民經濟の囘復を圖らなければならぬ、斯う云ふ次第でございます、税制の改革は先程も申上げましたやうに、無論根本的の改革を致したいと考へて居りますが、併しながら其の税制の改革だけで財政の赤字は消えるものでないと考へて居る次第であります
それから今年度の租税に若し缺陷が出來たら、其の補填をどうするかと云ふふ御尋ねのやうでありましたが、私は租税には缺陷は出來ないと考へて居ります次第であります
それから納税者の意思を尊重するやうにと云ふ御意見は洵に御尤もでありまして、是は税務署の所謂民主化と云ふことに依つて今日も努力致して居りますが、尚ほ一層其の努力を續ける積りで居ります
それから物品税と飮食税に對する御批評は、物品税に對しては先程御説明申上げましたやうに、大體原則として生産者課税を取ることに致しましたから、脱税等の憂ひは著しく減少すると考へて居ります、飮食税に付ては先程御答辯申上げました通りの事情に依つて之を繼續致して居りますが、是も税制の根本的改革の場合には、適當なる處理を致すべきものと考へて居る次第であります以上甚だ簡單でありますが御答へ致します(拍手)
〔國務大臣大村清一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=71
-
072・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 分與税制を改善する意思があるかどうかと云ふ御尋ねでありますが、地方行政を民主主義化します上に付きましては、地方團體の財政を含めての行政の運營に於きましても、自主性、自律性を強化致す必要がございますので、成べく府縣市町村に獨立税を澤山持たせたいと云ふやうに考へて居ります、隨て出來るだけ分與税に依つて措置致しますることは少からしめたいと云ふ風に考へて居ります、併し分與税の持つ各團體の財政力の調整を致す必要がございますので、分與税を零にすることは適當でないと思ひまするが、成べく獨立税を多く致し、分與税を少くすると云ふことで今後進んで行きたいと考へて居ります
それから尚ほ昨年の秋頃に於きまして、政府の分與税の財源は、戰災に依つて相當減收すると云ふやうな情勢にありましたので、地方團體に對しましても、其の趣を通達致しまして、注意を喚起したことはございまするが、今囘の提案に依りまして、分與税は前年度の二倍半以上に増額することに相成りました、是等も年度開始後の今日に於きまして配付額が決まつて居りませぬことは、各地方團體に御迷惑になつて居ると考へますが、法案成立の曉に於きましては、準備を整へて置きまして、成べく早目に増額の示達も致す積りで居ります、尚ほ町村に對しましては、凡そ前年度の五割増位の分與税が配付に相成る見込みでございます(拍手)
―――――――――――――――――――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=72
-
073・山口喜久一郎
○山口喜久一郎君 三案に對する殘餘の質疑は延期し、之を次會に繼續することとし、本日は是にて散會せられんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=73
-
074・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 山口君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=74
-
075・樋貝詮三
○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認めます、仍て動議の如く決しました、次會の議事日程は公報を以て通知致します、本日は是にて散會致します
午後五時九分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X02219460730&spkNum=75
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。